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2010年7月30日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会議事録

医薬食品局

○日時

平成22年7月30日(金)16:00~


○場所

厚生労働省 専用第21会議室


○出席者

出席委員:(15名)五十音順、敬省略

 大 石 了 三、 加 藤 総 夫、 佐 藤 田鶴子、 清 水 秀 行、

 手 島 玲 子、○永 井 良 三、 野 田 光 彦、 林   邦 彦、

 檜 山 行 雄、 古 川   漸、◎松 井   陽、  松 木 則 夫、

 村 田 美 穂、 本 橋 信 高、 山 本 一 彦

欠席委員:(4名)五十音順、敬省略

 鈴 木 邦 彦、 千 葉   勉、 成 富 博 章、 西 澤   理 

行政機関出席者

 成 田 昌 稔 ( 審査管理課長)

 内 海 英 雄 ( 独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

 赤 川 治 郎 ( 独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 ただ今より「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催させていた
だきます。本日はお忙しい中、御参集いただきましてありがとうございます。
 まず、事務局から当部会委員の異動について御報告させていただきます。東京大学大学
院薬学系研究科の松木則夫教授に、新たに当部会の委員に御就任いただいております。
 本日の委員の出席についてですが、鈴木委員、千葉委員、成冨委員、西澤委員より欠席
との御連絡をいただいております。現在のところ、当部会員数19名のうち15名の委員に
御出席いただいておりますので、定足数に達していることを御報告いたします。
 また、事務局の方の異動ですが、本日付けで厚生労働省、PMDAの異動がありました。
PMDAの方ですが、審査第四部長の近澤が審査第二部長に着任しております。それから、
審査第四部長には山田が新たに着任しております。なお、本日付けで審議官の岸田、安全
対策課長の森、上席審議役の平山も異動になっておりまして、今日は異動の関係で欠席さ
せていただくということで御了承いただきたいと思っております。新しい審議官等につい
ては、次回改めて御紹介させていただきたいと思っております。
 それでは松井部会長、以後の進行をお願いいたします。
○松井部会長 それでは本日の審議に入ります。まず事務局から配付資料の確認と審議事
項に関する競合品目・競合企業リストについて報告をしてください。
○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、
当部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載されている資料1~15をあらか
じめお送りしております。このほか、資料16「審議品目の薬事分科会における取扱い等
の(案)」、資料17「専門委員リスト」、資料18「競合品目・競合企業リスト」を配付し
ております。また、当日配付資料といたしまして資料5-2「サムスカ錠添付文書(改訂版)」
を配付しております。
 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストを資料18に従いまし
て御報告いたします。各品目の競合品目選定理由ですが、資料18を御覧ください。
 まず、1ページのアクレフですが、本品目につきましては強オピオイド鎮痛剤を定時投
与中のがん患者における突出痛の鎮痛を効能・効果とするフェンタニル製剤であり、同様
の効能・効果を有し、現在開発中の薬剤として競合品目1及び2を、また市販されている
オピオイド速効製剤で用法・用量に関連する使用上の注意欄に臨時追加投与(レスキュー
・ドーズ)の方法が明記されている薬剤として、オキノーム散を競合品目3として選定し
ています。
 次に2ページ目で、ネバナック懸濁性点眼液ですが、本品目につきましては「内眼部手
術における術後炎症」を効能・効果とする非ステロイド製剤であり、同様の効能・効果を
有する抗炎症点眼剤につきまして、資料に掲げますとおり競合品目として選定しておりま
す。
 3ページ、ザイザル錠ですが、本品目は第2世代抗ヒスタミン薬の一つである「ジルテ
ック錠/ドライシロップ」の有効成分であるセチリジン塩酸塩のR体であることから、ジ
ルテック錠/ドライシロップと同様の治療効果が期待でき、このためジルテック錠/ドラ
イシロップ及び同種同効の第2世代抗ヒスタミン薬につきまして、資料に掲げるとおり選
定しております。
 4ページ、ボトックス注ですが、本品目は「上肢痙縮、下肢痙縮」を効能・効果として
おり、この効能・効果として国内で承認されている、あるいは開発中の品目といったもの
は本品目以外ございませんが、痙縮の治療に用いられ、「痙性麻痺」の効能・効果を有す
る薬剤として、資料に掲げるとおり競合品目として選定しております。
 次に5ページ、サムスカ錠ですが、本品目はループ利尿薬等、他の利尿薬で効果不十分
な心不全における体液貯留を効能・効果とする利尿薬であり、本品目は既存の利尿薬を投
与しても体液貯留が存在する患者に追加的に投与されることから競合品目はないと判断
しております。
 6ページ、ジプレキサ錠ですが、本品目は双極性障害における躁症状の改善を効能・効
果としており、この効能・効果として国内において承認されている薬剤はありませんが、
躁病の効能・効果で承認されているセレネースを競合品目として選定しております。 7
ページ、ヒュミラ皮下注ですが、本品目は「中等症又は重症の活動期にあるクローン病の
寛解導入及び維持療法」を効能・効果とするヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製
剤であり、この効能・効果を有する製剤について資料に掲げる2品目を競合品目として選
定しております。
 最後に8ページ、Canakinumabですが、本品目は2歳以上のクリオピン関連周期性症候
群を予定される効能・効果としており、この効能・効果を有する薬剤は製造販売承認され
ている品目及び開発中の品目には認められないことから競合品目はなしと判断しており
ます。以上でございます。
○松井部会長 ただ今の事務局からの説明に関して、特段の御意見等はございますでしょ
うか。よろしいですか。
 それでは、本部会の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつきましては了解を
得たものといたします。それでは委員からの申出状況について報告してください。
○事務局 各委員からの申出状況についてですが、まず議題1「アクレフ」は、退室委員
はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は永井委員、林委員、山本委員です。 議
題2「ネバナック」は、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は山本委
員です。
 議題3「ザイザル錠」は、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は古
川委員、松木委員、本橋委員です。
 議題4「ボトックス注」は、退室委員は大石委員、議決に参加しない委員は加藤委員、
永井委員、林委員、古川委員、松木委員、本橋委員、山本委員です。
 議題5「サムスカ錠」は、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は本
橋委員です。
 議題6「ジプレキサ」は、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員もい
らっしゃいません。
 議題7「ヒュミラ」は、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は林委
員、山本委員です。議題8「Canakinumab」は、退室委員はいらっしゃいません。議決に
参加しない委員は加藤委員、永井委員、林委員です。以上でございます。
○松井部会長 ありがとうございます。本日は、審議事項は8議題、報告事項が7議題と
大変タイトとなっておりますので御協力をお願いいたします。
 早速、議題1に入ります。議題1について、医薬品機構から概要を説明してください。
○機構 それでは議題1、資料1、医薬品アクレフ口腔粘膜吸収剤200μg、同口腔粘膜
吸収剤400μg、同口腔粘膜吸収剤600μg、同口腔粘膜吸収剤800μgの製造販売承認の可
否等について、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。
 本剤は強オピオイド鎮痛剤であるフェンタニルクエン酸塩を有効成分として含有する、
薬剤部分を頬と歯茎の間に含み、持ち手部分を左右に動かす又は回転させるなどして溶解
する口腔粘膜吸収剤です。本邦において、フェンタニル又はフェンタニルクエン酸塩を有
効成分とする経皮吸収型製剤が既にがん性疼痛に対して承認されており、本剤はそのよう
な強オピオイド鎮痛剤を定時投与中のがん患者における突出痛に対する治療薬として開
発されています。海外において本剤は、2010年3月現在、がん性突出痛を効能・効果と
して、米国、英国等の23か国で承認されております。
 本申請の専門委員としては、資料17に記載されております6名の委員を指名いたしま
した。
 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。まず、本剤の用法
・用量について審査報告書の32ページの図を御覧ください。モルヒネ製剤やオキシコド
ン製剤のレスキュー・ドーズの投与量は定時投与量の1/6や1/8~1/4を目安に決定され
ますが、本剤の至適用量と持続性疼痛治療薬の1日投与量の関係は、図Aの海外試験、図
Bの国内試験のいずれにおきましても相関は認められていないことから、本剤の用法・用
量は200μgより開始して200μgずつ漸増し、用量調節時には1回の突出痛に対して同一
用量の本剤を1本追加投与できると規定しております。
 本剤の有効性について、審査報告書27ページ、一番上の表を御覧ください。持続性疼
痛治療薬としてオピオイド鎮痛剤が1週間以上投与され、1日1~4回の突出痛を有する
日本人がん患者を対象とした第III相試験において、本剤又はモルヒネ経口剤の至適用量を
突出痛に対して5回投与したときの投与開始後60分までの累積疼痛緩和スコアは、主要
評価項目であるクロスオーバー解析対象において本剤投与期9.69±2.10、モルヒネ投与
期7.79±2.66、両薬剤間の差とその95%信頼区間は1.91[1.35、2.46]であり、95%信
頼区間の下限値はあらかじめ設定された非劣性限界値(△=-0.5)を上回ったことから、本
剤のモルヒネ速放性経口剤に対する非劣性が検証されております。
 本剤の安全性について、28ページの上の表を御覧ください。前述しました第III相試験
における本剤投与期にはモルヒネ投与期と比較して傾眠及び嘔吐の発現率が高値を示し
ておりますが、高度の事象は認められておらず、臨床上大きな問題はないと判断しており
ます。一方、審査報告書30ページの表を御覧ください。本剤の投与方法に関連した有害
事象として、口腔内出血や口内炎が認められており、これらの症状が認められた場合には、
本剤の血中濃度が高くなるおそれがあるので、速やかに医師又は薬剤師に相談するように
注意喚起しております。
 本剤の適正使用について、CTD1.8添付文書(案)の30ページを御覧ください。本剤
は小児に対する誤用を防止するため、一次包装ははさみを用いなければ容易に開封できな
い不透明なブリスター包装としており、途中で服薬を中止し、残存した薬剤部分を直ちに
処分できない場合に一時的に保管するための小児誤用防止対策が施された専用の容器を
提供する予定です。また、患者の誤用を防止するため、用量の異なる本剤を同時に処方・
調剤しないこと、服用しなくなった未使用製剤は病院又は薬局へ返却するよう指導する旨
を注意喚起しております。なお、本剤の服用方法、保管方法等については、医療従事者向
け及び患者向けの資材を用いて情報提供を行う予定です。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審
議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は6年、製剤は劇薬に該当し、生
物由来製品及び特定生物由来製品に該当しないと判断しております。なお、薬事分科会で
は報告を予定しております。以上です。よろしく御審議の程お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。質疑に入る前に、突出痛というものがどういうも
のか御説明いただけますか。
○機構 がん性疼痛の治療に際しましては、定時投与薬、いわゆる1日に3回、若しくは
1回、2回等の決まった時刻に投与する薬剤によってコントロールされる痛みそういった
薬剤で疼痛がコントロールされていても一時的に発現する突発性の強い痛みがあります。
従来使用されているモルヒネやオキシコドンの速放性製剤では、定時投与と突出痛の両方
に使用されてきましたが、本剤は突出痛、一時的な強い痛みに対してのみ適用する製剤と
して開発された製剤です。
○松井部会長 ありがとうございます。御質疑をお願いいたします。いかがでしょうか。
○佐藤委員 通常の投与方法と異なったツールで期待できるものと考えておりますが、使
用上の注意のところで一つ質問させていただきたいと思います。
 口腔内投与に関連した有害事象の点ですが、30ページに書かれております、最初に説
明されました「口腔粘膜に強く擦り過ぎると出血することがあるので注意してください」
ということで、30ページで見ますと第III相試験のところまでは口腔内出血が起こってい
ます。口腔癌の人は外して考えた場合ですが、口の中の歯肉粘膜、歯茎の粘膜というのは、
非常に強くて歯ブラシで擦ってもそうそう出血するものではないところで出血するとい
うところに、ある意味問題があるのではないかというふうに感じるのです。その原因をち
ょっと考えてみると、多分フェンタニル自体、吸収についても問題はなさそうですので、
この剤形を見ますと恐らく新添加物デキストレイトという、多分デキストリン系統のもの
だと思うのですが、それか若しくは□□系のオクテニルコハク酸デンプンナトリウムとい
うのを□□□作ってあるので、そのどちらかが。まずこれは、多分耳下腺唾液が出るとこ
ろ辺りに入れてくるくる回すとか引っ張るとか書いてありますが、それを強くやり過ぎた
結果出たにしても、歯肉に傷ができないと出血はしないんじゃないかというふうに思うん
です。出血があったという事例について、そう思うのです。この突出痛というのが起こる
状況のときというのは、恐らく痛みがありますから交感神経優位になっていて、通常より
唾液が出にくい。そういう方のところで入れて溶かせということ自体、そこに張り付いた
のを引っ張ったりした傷で出血したんじゃないかと想像するのですが、それがどういうこ
とで出血が起こっているのか。
 であれば、この賦形薬、今言った賦形剤等の成分には問題がないのか、もしかすると唾
液が出にくい状況がどの方にもあるはずなのです。であれば溶ける、粘張度と言うか、よ
くわかりませんが、唾液が少なくても溶けるようなパーセンテージに含有量を変えるとか
ということを考えなくてもいいのでしょうか。実際に長期投与では口腔内出血は0になっ
ていますけれども、その点について教えていただきたいと思います。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 説明させていただきます。審査報告書の30ページの辺りを開いていただきたい
と思います。まず御指摘の点ですが、この製剤は海外で製造されてしており、海外で承認
されているものと同じ製剤を使っております。ですから、処方、添加剤、それから組成等
に関しても全て海外と同一の製剤です。このデキストレイト自体は海外、米国では特に汎
用されている賦形剤でして、この賦形剤そのものの安全性につきましても確認しておりま
すが、特に安全性に懸念があるとは考えておりません。御指摘の口腔内出血、口内炎等の
有害事象は、実は海外試験と比較しまして日本人の国内試験の方で多く認められておりま
す。その一つの要因としまして、服薬に要する時間が日本人長くかかっていることが考え
られます。審査報告書の13ページの下の図が服薬に要した時間を提示したものです。海
外の試験では大体15分を目安に服薬するよう指導しており、国内の臨床試験でも当初、
同じような方法で服薬するよう指導したのですけれども、海外の試験では大体15分のと
ころにピークがきているのに対して、日本人の国内試験では、15分が度数としては一番
高いのですが、非常にばらつきが大きく、服薬に30分ぐらいの時間を要している患者さ
んが多く認められています。
 30ページに戻っていただいて、文章中で説明させていただいているのですけれども、
国内の第II相試験では、まず海外試験と同じようなプロトコールで実施しました。その服
薬方法の記載がこちらですが、国内II相試験では、「薬剤部分を擦りつけたり、くるくる
回したりして、15分を目標に溶かす」というふうにしたところ、口腔内出血が16.3%と
比較的高頻度に認められました。その後、患者さんにお渡しする文書の記載が再度検討さ
れ、日本人は生真面目な性格があると思うのですけれども、比較的服薬するのに時間がか
かるにもかかわらず、非常に熱心に、必要以上に擦り付けることがないよう、強く擦り付
けすぎると出血することがあるので注意してくださいと注意喚起したところ、国内第III相
および国内長期投与試験ではその発現率が低下しました。したがって、患者さんへの服薬
指導が重要ではないかと考えております。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○佐藤委員 ということは使用によって擦り過ぎて擦過傷が口腔内に起こっているとい
うことで出血ということなのでしょうか。
○機構 そのように考察はできると思います。
○松井部会長 佐藤委員が御指摘のとおり、13ページの一番下のところから14ページの
始めにかけまして、唾液分泌量が加齢に伴って低下することとか、がん疾患の進行により
唾液の産生量が低下して口腔内が乾燥することとかいうことが記載されていて、考察はさ
れていると思いますが、最後に出てきましたような指導は非常に大切だということです
ね。よろしいですか。ほかに御意見は。
○村田委員 今の説明でよく分かったのですが、それに関連して添付文書の方も用法・用
量に関連する使用上の注意というのを見ると、余り今の点が強調されていないように思う
のです。つまり最初の説明がこうだったのかと思ったのですけれども。ぐっと副作用が減
っているための説明をかなり強調してここに書いて、そうしないと出血してしまうという
ことを入れていただいた方がいいかと思いますが。15分~30分を目安にというようなこ
とで、割にさらっと書いてあるように思います。
○機構 添付文書の用法・用量に関連する使用上の注意としましては御指摘のとおりなの
ですが、適用上の注意の項に具体的な本剤の使用方法について細かく記載しております。
CTD1.8.添付文書(案)の30ページの辺りを見ていただければと思います。2)の(3)、
「服用時には、薬剤部分を口腔粘膜上で強く擦りつけずに、持ち手部分を前後左右に動か
す、あるいは回転させるなどして溶かすこと(投与部位の炎症・出血などを起こすおそれ
がある)」と注意喚起をさせていただいております。
○村田委員 そもそも15分を目安にというふうに書き直して、こうしたらよかったとお
っしゃったにもかかわらず、時間に関しては最初の方に書いてあって、しかも15分~30
分と書くと、大体、患者さんは結構平気で延ばすのです。ですから、15分を目安にとい
うことで、長くなり過ぎるとこういうことがありましたということを入れていただいた方
がいいと思うのですが。
○機構 服薬の目標の時間として15分を目安というのは、第II相試験でも第III相、長期
でも特に変更しておらず、いずれの試験でも目標とするのは15分を目安にしているので
すが、実際に服薬に要した時間というのが、日本人の場合、国内試験では30分ぐらいか
かっている症例があったということです。この服薬の目標の時間に関しましては、専門協
議、それから申請者と随分議論させていただいたのですけれども、突出痛に対する治療薬
なので、今回の臨床試験の中では服薬時間と、薬物動態パラメータや鎮痛効果との関連性
は見られていませんが、吸収されなければ鎮痛効果は発揮されませんので、あまりだらだ
らと服用するのではなくて、できるだけ速やかに吸収して速やかに鎮痛効果を得るため
に、一定の目安は必要だろうと考えております。それが15分という目安だったのですが、
日本人は生真面目なので、15分と書いて一生懸命に15分で服用しようと思って無理をす
ることがないよう15分~30分を目安にという記載にさせていただきました。
○村田委員 説明していただければよく分かるのですが、申し訳ないのですが、医者も隅
から隅まで全部は見ないのです。ですから、やはり一番重要なところは最初の目に付くと
ころに書いていただくということだと思います。がんの患者さんは痛みが強くて飲まれる
のに、そこで口の中から出血したらとてもショックが大きいので、できるだけそれを避け
るということを心掛けていただきたいと思います。
○松井部会長 検討していただけますか。
○機構 はい、検討させていただきます。それから本剤の使用方法に関しましては、また
別途、事前に説明いただく資材等も作成しておりますので、そちらの方でも配慮させてい
ただきたいと思います。
○松井部会長 ほかにいかがでしょうか。
○清水委員 今のところですけれども、添付文書は基本的に見るのですね。読むのではな
く見ることが多いのです。読んでいただきたいと思ってはおりますが。ですから、今のと
ころですと、先生が指摘されたようなところ、用法・用量に関連する使用上の注意の1)
のところに、適用上の注意を参照する旨を書いていただく方法は一つあろうかと思いま
す。そういった中で、適用上の注意の中の項目の1)、交付時の(2)(3)の辺りは、交付
時ではなくて処方する際に必要な内容だと思うのです。これをここに書いてもなかなか見
つけてもらえないのではないかと思うので、この内容については、できれば用法・用量に
関連する使用上の注意の2.用量調節と維持のところに記載するのが妥当かと考えます
が、そこのところはいかがでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 検討させていただきたいと思います。ただ、非常に特殊な製剤でございまして、
処方の際に留意していただく点も非常に多いのですが、服薬の際に注意していただく点も
非常に多くございまして、またその服薬後に気を付けていただく点も非常にたくさんござ
います。記載する場所をそれぞれ配慮して検討しましたが、御指摘の点を踏まえて再度考
えさせていただきたいと思います。
○松井部会長 お願いします。ほかにはよろしいでしょうか。
○清水委員 この薬剤の剤形というのはどのように考えたらよろしいでしょうか。
○機構 剤形と仰いますのは、内服薬なのか外用薬なのかということですか。
○清水委員 組成・性状のところに一応、剤形という枠がありますね。そこに素錠という
ふうに書かれているのですが。
 添付文書の27ページの左側のカラムに組成・性状というところがありまして、上から
4つ目のところに剤形というカラムがあります。要は、錠剤とかカプセル剤という、いわ
ゆる薬の形なのですが。
○機構 錠剤にホルダーが付いているという整理になると理解しております。
○清水委員 広い括りで言えば錠剤と考えていいということですね。
○機構 いいえ、持ち手部分は添加物の一つとしてとらえておりますので、錠剤に持ち手
が付いた剤形ということになると思うのですが。
○清水委員 それを口腔粘膜吸収剤というふうに、今回新たに定義をしたということで、
既存の剤形とは異なる剤形という認識ですか。
○機構 そのとおりです。
○清水委員 ここに素錠と書いてあると錠剤の範囲かなと。
○松井部会長 特異なことなのでしょうけども、御理解を。何か御意見はありますか。
 今の点は、よろしいですか。
○清水委員 はい。
○機構 より適切な表記の御意見がありましたら、お伺いしたいのです。薬剤部分に特殊
な加工を施していないことをお伝えするために、ここには素錠という記載をさせていただ
いていますが、何か御意見があれば。
○清水委員 今般、日本薬局方が15改正になるに当たって剤形を随分大きく見直してい
ると思うのです。そこのところと関連して少し意見を述べさせていただきました。
○松井部会長 何かいいアイデアがあったらお願いいたします。
○清水委員 安全使用の面なのですが、在宅において当人以外の者に誤用されることがな
いかというところが、この薬剤で最も危惧されるところだとは思います。そういった中、
パッケージには随分工夫をしたということは書かれているのですが、実際に余り例はない
かもしれませんが、使用の途中で出さなくてはならないようなことが起こったとき、甘み
も付いていて、子供のお菓子とよく似たような形態にも見えるものなので、そこのところ
について適正使用ができるような指導というのは何かなさっているのでしょうか。
○機構 すみません、数がなかったので、事前にお配りしなかったのですが、こういった
形のボトルを供給する予定です。入口に内向きのひだがついていまして、いったん、服薬
途中の錠剤部を挿入するともう引き出せなくなります。ボトルは、いわゆるプッシュリタ
ーンで、押しながら回さないと開封できない形になっている小児誤用対策が施された専用
の容器です。こちらの容器を基本的には患者の皆様に、入院中の方であっても在宅の方で
あっても提供する予定で、申請者も体制を整えています。ただし、長期間この中に保管し
ておくのは適切ではないので、1日に1回この中の薬剤を開けて、薬剤そのものは40℃
~60℃程度の高温の流水で容易に溶解しますので、必ず1日に1回、その薬剤部分を流水
に流して廃棄していただくよう注意喚起しています。
○松井部会長 私も小児科の医者として同じことを考えました。やはり、これが危険なも
のであるということを周囲の人に分かるように、はっきり注意を容器の外に付けていただ
きたいと思います。それでも、事故は起こり得るものだと思いますけれども。ほかに御質
疑はございませんでしょうか。よろしいですか。
 ありがとうございました。先生方からの御質疑を受けて議決に入ってよろしいでしょう
か。
 それでは、議決に入ります。なお、永井委員、林委員、山本委員におかれましては利益
相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議
題について承認を可としてよろしいですか。
 承認を可とします。それでは、今の指摘された点をよく検討の上、よろしくお願いいた
します。ありがとうございます。
 次の議題に入ります。お願いいたします。
○機構 議題2、資料2、ネバナック懸濁性点眼液0.1%の製造販売承認の可否等につい
て機構より説明いたします。
 本剤の有効成分であるネパフェナクは、非ストロイド性抗炎症薬(NSAID)であるアンフ
ェナクのプロドラッグとして米国アルコン社により見出された化合物であり、本剤は、眼
科手術の術後炎症に対する抗炎症点眼剤として開発が行われたものです。
 海外において、本剤は、2010年4月現在、白内障手術に伴う術後炎症及び眼痛に係る
効能で、米国、欧州等73か国において承認されております。
 本申請の専門委員としては、資料17に記載されています10名の委員を指名しました。
 主な審査内容について簡単に説明させていただきます。審査報告書27ページ、2)第II
相プラセボ対照比較試験の項を御覧ください。白内障手術患者214例を対象に、本剤又は
プラセボを点眼した際の有効性及び安全性を検討する二重盲検並行群間比較試験が実施
されております。その結果、表8に示していますように、有効性主要評価項目である術後
14日目の治癒率は、本剤群71.4%、プラセボ群28.6%、術後14日間における眼無痛率
は、本剤群が96.2%、プラセボ群67.6%であり、いずれも本剤群のプラセボ群に対する
優越性が検証されております。また、28ページ、上の3)第III相実薬対照試験の項を御覧
ください。白内障手術患者473例を対象に、本剤又はジクロフェナクナトリウム点眼液
0.1%を点眼した際の有効性及び安全性を検討する二重盲検並行群間比較試験が実施さ
れ、表9に示していますように、主要効果項目である術後14日目の治癒率は、本剤群82.7
%、ジクロフェナク群80.7%であり、本剤群のジクロフェナク群に対する非劣性が検証
されています。
 29ページ、5)眼科手術に対する第III相非対照試験の項を御覧ください。本邦において
代表的と考えられる白内障以外の硝子体手術等の内眼手術及びレーザー手術の施行患者
計112例を対象に、本剤を点眼した際の有効性及び安全性を検討する非盲検非対照試験が
実施され、主要評価項目である全眼手術における投与終了時の治癒率は85.6%、投与終
了時までの眼無痛率は91.0%との成績が得られております。機構は、プラセボ対照比較
試験及び実薬対照比較試験成績から白内障手術の術後炎症に対する本剤の有効性は示さ
れているものと判断しております。また、非盲検非対照試験において白内障以外の一部の
内眼部手術に対しても有効性が示唆されていること、本薬の作用機序を踏まえると眼手術
の種類、術式によらず手術時の炎症に対し一定の有効性を期待できると考えられることか
ら、添付文書において臨床試験成績を適切に情報提供した上で、本剤の適用対象について
は内眼部手術とすることが適切と判断しております。
 34ページ、(4)安全性についての項を御覧ください。臨床試験においては、臨床上問
題となる全身性の有害事象は認められず、国内臨床試験における比較的発現率の高かった
眼局所の有害事象としては、アレルギー性結膜炎1.2%、点状角膜炎1.0%、眼の異物感、
視力低下各0.6%などが認められていますが、多くは軽度であり、現時点では本剤の安全
性に大きな問題はないと考えております。ただし、臨床試験で検討された眼手術の種類及
び症例数が限られていること、また、本剤は眼手術の種類に応じて長期にわたり投与され
る可能性も考えられることから、使用実態下での安全性を製造販売後調査においてさらに
検討する必要があると考えております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審
議いただくことが適当と判断いたしました。本申請に係る再審査期間は8年、原体は劇薬
に該当し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製
品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しておりま
す。よろしく御審議の程お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質疑をお願いします。いか
がでしょうか。何か問題はありませんか。特に御懸念の点はありませんか。御質問、御意
見がないということで議決に入ってよろしいでしょうか。
 議決に入ります。なお、山本委員におかれましては利益相反に関する申出に基づきまし
て、議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして承認を可として
よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告
いたします。
 議題3に移ります。議題3につきまして医薬品機構から御説明をお願いいたします。
○機構 議題3、資料3、ザイザル錠5mgの製造販売承認の可否等について、機構より
説明いたします。
 レボセチリジン塩酸塩は、既承認の抗ヒスタミン薬でラセミ体であるセチリジン塩酸塩
の光学異性体(レボ体)であり、セチリジンの治療効果を単一で担うと考えられたことか
ら、レボセチリジンのみを有効成分として含有する本剤の開発が行われ、今般、アレルギ
ー性鼻炎、蕁麻疹等を効能・効果として承認申請がなされたものです。海外においては、
本剤は、2010年5月現在93か国で承認されております。
 本申請の専門委員としては、資料17に記載されております10名の委員を指名いたしま
した。
 主な審査内容について簡単に説明させていただきます。審査報告書7ページの中段(i)
薬理試験成績の概要の項を御覧ください。非臨床薬理試験においては、レボセチリジンの
ヒトヒスタミンH1受容体に対する親和性はもう一方の光学異性体である
dextrocetirizineに比べ約30倍高いことが示されており、また次のページの中段に記載
がありますように、イヌを用いたin vivo抗ヒスタミン作用試験においてレボセチリジン
及びセチリジンはヒスタミンの皮内投与による膨疹を抑制したのに対し、
dextrocetirizineでは抑制作用は認められませんでした。
 19ページの下から6行目、1)日本人健康成人における本剤及びセチリジン投与時のレ
ボセチリジンの薬物動態の項を御覧ください。日本人健康成人を対象に本剤5mg、10mg
及びセチリジン10mgを単回経口投与したときのレボセチリジンの薬物動態が検討され、
その結果、20ページの表2に示しておりますように、本剤5mgとセチリジン10mg投与時
のレボセチリジンのCmax、AUCはほぼ同様であり、生物学的同等性の判断基準を満た
すことが確認されております。
 25ページの中段、1)季節性アレルギー性鼻炎患者を対象としたセチリジン及びプラセ
ボ対照比較試験の項を御覧ください。海外の季節性アレルギー性鼻炎患者797例を対象
に、本剤5mgとセチリジン10mgの治療効果を比較するため、無作為化二重盲検並行群間
比較試験が実施されております。その結果、表10に示しておりますように、主要評価項
目である1週間の全治療期間におけるくしゃみ発作、鼻汁、鼻のそう痒及び眼のそう痒の
4症状の合計スコアの調整済み平均値は、本剤群で4.00、セチリジン群で3.89であり、
本剤5mgとセチリジン10mgの治療効果は臨床的に同等であることが示されております。
 これらの結果を踏まえ、機構は、セチリジンの治療効果は一方の光学異性体であるレボ
セチリジンに依存していると判断でき、新たな臨床試験に依らずとも、既承認であるセチ
リジンの国内臨床試験成績に基づき、日本人患者における本剤の有効性は説明可能である
と判断しております。
 31ページの(2)安全性についての項を御覧ください。海外においては、比較対照とし
てセチリジン群が設定された本剤の臨床試験が複数実施されていることから、これらの試
験の併合データに基づき、本剤とセチリジンの安全性プロファイルを比較検討しておりま
す。その結果、表19に示しておりますように、発現した有害事象の種類は、両群ともに
傾眠、頭痛、疲労等であり、その発現頻度、重症度、発現時期等も両群でほぼ同様でした。
また、次のページの表20に示しておりますように、海外の市販後安全性データに基づく
比較においても、本剤とセチリジンで異なる傾向は認められておりません。
 以上より、機構は、現時点で得られている臨床データに基づけば、本剤の安全性プロフ
ァイルはセチリジンとほぼ同様と考えられ、セチリジンの国内臨床試験成績及びこれまで
に集積された製造販売後の安全性情報等により、日本人患者による本剤の安全性は担保可
能であると判断しております。
 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審
議いただくことが適当と判断いたしました。本剤の再審査期間は8年、原体は劇薬に該当
し、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のい
ずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。よろ
しく御審議の程お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質疑をお願いいたします。
○古川委員 投与量の御説明はなかったのですけれども、これは小児は2.5mgを1日2回
となっていますね。アメリカは2.5mgを1回でいいということで、2回投与する理由はど
のような理由なのでしょうか。
○機構 回答させていただきます。小児の試験成績につきましても、現在市販されている
セチリジンの成績に基づいて評価をしており、セチリジンの投与回数が1日2回とされて
おりますが本剤に関しても同様に設定しております。
○古川委員 今一つよく分からないのだけれども、外国は1回の投与ですね。アメリカの
論文は、6~11歳2.5mgを1回、イギリスは5mgを1回となっていますね。いずれも外
国の投与量は1回となっているのですが、2回にした理由というのは、ほかの薬に倣って
決めたということなのですか。
○機構 お答えさせていただきます。本剤はセチリジンの半量で同等の有効性を示すこと
が確認されておりますので、小児の用量はセチリジンの1回5mgの半量の1回2.5mgと
した上で、用法はセチリジンと同様に1日2回とすべきと考えています。
○古川委員 そもそも1日1回投与は効くということから始まった薬ですよね。違うので
すか。
○機構 成人においては1日1回で効くというところですけれども、本邦ではセチリジン
の小児の用量は1日2回投与により有効性の検証がなされています。日本人においては小
児に対して1日1回投与の有効性は検証されていませんので、セチリジンのデータを踏ま
えまして、本剤についても同じ用法にすべきと考えています。
○松井部会長 松木先生にお伺いしたいのですけれども、今の機構の推論のD体とL体の
差でしょうけれども、実際に使われている薬と同様に安全である、有効であるというふう
に推論して正しいかどうかという点についての御意見です。今の回数につきましても、も
しできましたらコメントをお願いします。
○松木委員 回数については把握をしていないのですが、D体とL体で基本的には活性体
の方が効果があって、反対の不活性体は邪魔をするのが普通なのですけれども、本剤はそ
れほど劇的な違いは見られていないと思うのです。ただ、中枢移行性というところでは若
干違いがあるようで、少しその副作用の軽度があるのかというところです。これは余り顕
著な差ではありません。ですから、同等と考えて差し支えないと思います。
○松井部会長 ありがとうございました。投与回数についてはいかがでしょうか。1回投
与の成績は、子供についてはないのですね。
○機構 はい、日本人患者においては得られていません。
○松井部会長 いかがでしょうか。古川先生、どのようにしたらよろしいですか。
○古川委員 そこのところの決め方は難しいものがあるのですけれども。結局、外国では
子供の1回投与のデータがあるわけです。だから、その薬を持ってきておきながら日本で
は2回としている。しかも、日本では1回の投与が効くかどうかもやっていないという点
では無理があるように思うのですが、いかがなものかと。
○松井部会長 ほかの先生方、どのようにお考えでしょうか。いかがでしょうか。この点
は、もう一度検討する余地がありますか。少なくて済むものなら投与回数を少なくしよう
というのが、基本的にとるポジションだと思うのですが。
○機構 実際に得られているデータに基づいて用法・用量は決定していきたいと考えてお
りますので、今得られている、これはもちろんセチリジンのデータですけれども、それを
踏まえますと、1日2回が妥当ではないかと機構としては考えております。
○松井部会長 委員の先生方どうですか。どなたか御意見ありませんか。
○大石委員 1回5mg投与のデータがないので、小児に1回5mgを投与するのが少し危
険かもしれないということを考えて、2回に分けた方が無難という意味も入っているので
しょうか。
○機構 やはり1日1回投与と1日2回投与ということになりますと、有効性が持続する
時間が違ってくるかと思います。
○大石委員 ピークが違いますよね。
○機構 セチリジンに関しては成人に比べて小児患者さんの方が、若干消失が早くなると
いうデータが得られていますので、1日2回の投与が有効性を持続させるという点でより
有用だろうと考えております。
○大石委員 取扱いを考えればこれを分割して投与するというのは、2.5mg錠がありませ
んので、繁雑ではあるのですね。それは、1回投与でいければそれに越したことはないと
思いますけれども、多少心配なところがあるのではないかとも思います。
○松井部会長 どうしますか。案を出さないといけません。そうでないと機構の方も考慮
のしようがないと思います。言い出した古川先生どうですか。
○古川委員 外国の薬を登用するに当たって、外国での使用方法、2.5mgを1回投与とい
うこともせずに2回にしたというのは、ちょっと話が進みすぎているようなので。2.5mg
が2回でも副作用がないというのは分かりました。2.5mg1回と2回を比較するなり、何
かデータが不足しているように思いますけれども、いかがでしょうか。
○審査管理課長 これは、今までラセミ体であって、国内で既に承認されて汎用されてい
る製剤を、R体のみにしたということですので、薬理的には半量でいいという機構の方の
考えでまとめていただいているところだと思います。確かに古川先生の御指摘のこともあ
りますけれども、これから市販後のデータ等も蓄積されてくるかと思いますので、その中
で1回という使い方も出てくるかもしれませんので、そういうことも含めましてデータの
集積をさせていただいた上で、どうするかをまた改めてその中で考えさせていただくとい
うことではいかがでしょうか。日本で使われている製剤が2回ということで、その申請の
内容的にはその半量でいいという、国内での臨床試験をやらずに体内動態的な形で申請さ
れていますので、今回はそれを優先させていただいて、市販後の中でいろいろな使い方が
出てこようかと思いますので、それを蓄積させていただくということではいかがかと思う
のですけれども。
○松井部会長 ここで再検討なしにこのままにして通してということですか。
○審査管理課長 はい。一応、理論的には2回でそのままということでいいのではないか
と思うのですけれども、御指摘がありましたように1回、2回の使い勝手ということもあ
りますし、そういうところはいろいろなデータが蓄積された段階で、また検討させていた
だくということでどうかと思うのですけれども。
○松井部会長 分かりました。これ以上、議論が進まないと思うので、委員の先生方の御
意見を議決で得るということにしたいと思うのですけれども、よろしいですか。
 それでは、古川委員、松木委員、本橋委員におかれましては利益相反に関する申出に基
づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。
○大石委員 ほかの点についてよろしいでしょうか。
○松井部会長 大石委員どうぞ。
○大石委員 添付文書の1ページ、禁忌のところなのですが、ここにピペラジン誘導体と
書いてありますが、ジルテックの添付文書はヒドロキシジンになっていると思いますけれ
ども、それは何か理由があるのでしょうか。ピペラジン誘導体と書いたら医薬品の中で何
種類ぐらい含まれるようになるのか御説明をお願いします。
○松井部会長 機構の方、お願いします。
○機構 御指摘ありがとうございます。ここのピペラジン誘導体とジルテックのヒドロキ
シジンに関しましては、どうして異なる記載になってしまったのかというところを、申請
者の方に確認して、より適切な記載になるように検討させていただきたいと思います。
○大石委員 基本的には同じでないと現場が混乱するわけです。それから、今まではヒド
ロキシジンだけだったのが、ピペラジン誘導体となると医薬品は何種類くらい含まれるこ
とになるのでしょうか。それは今は分かりませんか。
○機構 申し訳ありません。今データを持ち合わせておりません。
○加藤委員 審査報告書23ページに、認知機能に対する影響というのがありますが、こ
れについて伺います。最近、こういうH1ブロッカーで中枢神経系作用が少ないというの
が、患者のQOLを上げるために有効だということで出ていると思います。運転操作試験
と、その次にフリッカー融合頻度の結果が出ています。こういう検査結果というのが、他
のH1ブロッカーについて今まで出ていたかどうか記憶にないのですが、ここである程度
認知機能に対する影響が少ないという結論を統計的に出しています。それは薬剤の販売あ
るいは患者にとっての利便性ということで、何か販売上の注意を払う指導をするのでしょ
うか。
 というのは、添付文書をいろいろ見てみたのですが、イギリスの添付文書には、こうい
う機械の操作とか認知機能に対する影響が非常に少ないことが書いてある。アメリカのは
全く書いていないで、運転あるいは危険な機械の操作はやめることと、ただ書いている。
日本のを見るとアメリカに倣っていますが、今までのH1ブロッカーに対してこういう優
れた点がある、こういう違いがあるということを、薬剤の特徴として添付文書に載せると
か載せないとか、あるいはこれから開発されていくH1ブロッカーに関して、どのような
指導をしていくのか。こういうデータの提出を求めるのかどうか、お考えをお聞きしたい
と思います。
○機構 回答させていただきます。これまでに開発されているH1ブロッカーに関して
も、こういった認知機能に関する試験はほとんどの薬剤で実施されていると思います。た
だ、添付文書にこういった試験データを載せている例は少ないかと思います。本剤に関し
て、眠気の発現頻度はプラセボに比べて若干高いという結果が出ており、眠気に関しては
従来のものと同様、十分な注意が必要であると考えています。
 一方、このデータを添付文書等で記載した場合には、このデータから眠気が非常に少な
いという誤認を与える可能性もあるのではないかということで、今回は添付文書にこれを
記載することはしておりません。
○松井部会長 今の御説明で、よろしいですか。大石先生の御質問に対しては後日、検討
の結果をお知らせいただくと。ほかにございますか。
○清水委員 添付文書に記載されている内容の記載の位置の確認ですが、添付文書の2ペ
ージの4.の副作用のところの頭書きに、「レボセリチリジンは、ラセミ体である」等々、
この薬の特徴が書かれている4行がありますね。その中に「有効性、安全性を検証する臨
床試験は行われていない」という旨を、副作用のところの頭に置くのが適切なのかどうか。
場合によっては効能・効果の後の使用上の注意事項のところに入れておいた方が、この薬
剤の位置付けが見る人に分かりやすいように思うのですが、いかがでしょうか。
○機構 回答させていただきます。この記載をどこにするのかというところは、実際、こ
の添付文書を作成する段階で申請者とも検討してきたところではあるのですが、一応、副
作用のところでいきなりセチリジンの記載が出てくることで、実際に使われる方には、本
剤ではないものの情報がいきなり出てきて違和感があるのではないかと思われましたの
で、ここに記載しておくのが一番分かりやすいと考えたところです。ただ、御指摘を踏ま
えて、再度、適切な記載位置に関して申請者と更に検討したいと思います。
○清水委員 位置付けが、一番分かる記載だろうと思うのです。よろしくお願いします。
○松井部会長 よろしいでしょうか。ほかにございますか。
○手島委員 添付文書ですが、2ページの2.重要な基本的注意の(3)で、「本剤の使用
により効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように」とあります。
どれくらいの期間で認められないということを、具体的に記入することは難しいのでしょ
うか。
○機構 お答えします。症状などによって個人差もあるところだと思いますので、明確な
ところを、いつまで効果が認められなかったらという明確な記載はなかなか難しいところ
だと思います。
○松井部会長 はっきり記載することが難しいというお返事だったと思います。ほかには
いかがでしょうか。よろしいですか。
 それでは先ほどの点も含めまして議決に入ろうと思いますが、3名の方には議決への参
加を御遠慮いただきたいと思います。本議題につきまして、承認を可としてよろしいでし
ょうか。
 では、承認を可とさせていただきます。ただし、投与回数の点については引き続き検討
が必要だと思いますし、その点が問題になったということは、分科会にも何らかの形で伝
達していただきたいと思います。
 それでは先に移りたいと思います。議題4です。機構から御説明をお願いします。なお
大石委員につきましては別室にて御待機いただきます。
── 大石委員退室 ──
○機構 説明させていただきます。議題4、資料4、医薬品ボトックス注用50単位及び
同注用100単位の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、医薬品医療機器総合
機構より説明いたします。
 本剤の有効成分はA型ボツリヌス毒素であり、本剤は、1996年10月に眼瞼痙攣の効能
・効果で承認されて以来、2000年1月に片側顔面痙攣、2001年6月に痙性斜頸、2009年
2月には2歳以上の小児脳性麻痺患者における下肢痙縮に伴う尖足の効能・効果で追加承
認されております。海外では2010年3月現在、本剤は本邦と同様の効能・効果に対して、
83の国又は地域で承認されております。本邦では、20□年□月より脳卒中後の上肢痙縮
患者、20□年□月より脳卒中後の下肢痙縮患者を対象とした臨床試験が開始され、今般、
上肢痙縮及び下肢痙縮に対する有効性及び安全性が確認されたと考え、製造販売承認事項
一部変更承認申請が行われたということです。
 本申請の専門委員としては、資料17に記載されている5名の委員を指名しました。
 審査内容について、臨床成績を中心に御説明させていただきます。まず、有効性につい
てですが、審査報告書9ページ上から9行目を御覧ください。脳卒中後の上肢痙縮を有す
る患者を対象とした検証的試験において、主要評価項目であるFASでの二重盲検期の手
関節のMAS(これは関節の筋緊張の亢進状態を評価する指標ですが、)の変化量に基づく
時間曲線下面積において、本剤投与量として最大240単位を投与した高用量群では、本剤
群で-10.40、プラセボ群で-3.57であり、本剤群とプラセボ群の平均値の差は-6.83、統
計学的に有意な減少が認められました。また審査報告書12ページ下から1行目を御覧く
ださい。脳卒中後の下肢痙縮を有する患者を対象とした検証的試験において、主要評価項
目であるFASでの二重盲検期の足関節のMASの変化量に基づく時間曲線下面積は、本
剤群で-8.51、プラセボ群で-5.09であり、本剤群とプラセボ群の平均値の差は-3.43であ
り、統計学的に有意な減少が認められました。
 次に安全性についてですが、審査報告書20ページの表を御覧ください。海外で上肢痙
縮、下肢痙縮、眼瞼痙攣、痙性斜頸を対象としたプラセボ対照試験において認められた有
害事象を比較した結果、上肢痙縮又は下肢痙縮を対象とした試験では、四肢痛、転倒、努
力呼吸量減少、肺機能検査値低下が多く認められていますが、四肢痛及び転倒については、
原疾患に起因する又は本剤投与により痙縮の状態が変化したことによると考えられたこ
と、努力呼吸量減少、肺機能検査値低下については、眼瞼痙攣、痙性斜頸を対象とした試
験では肺機能に関する検査を実施していなかったのに対し、この上肢痙縮又は下肢痙縮を
対象とした臨床試験では、肺機能に関する検査を実施し、悪化した場合には有害事象とし
て集計していたことから、これらの発現率が高かったと考えられており、上肢痙縮及び下
肢痙縮と既承認効能・効果における、本剤の安全性プロファイルに大きな差異はないと考
えております。1.8添付文書(案)の4ページを御覧ください。なお、転倒については、本
剤投与により活動性の上昇等により、転倒が生じやすいと考えられたことから、重要な基
本的注意(2)の10)において注意喚起をすることとしております。
 審査報告書29ページの「(4)本剤の効能・効果について」を御覧ください。効能・効
果についてですが、痙縮は上位運動ニューロンの障害により生じ、原因疾患にかかわらず
その病態は類似しており、脳卒中後の痙縮が代表的なものと考えられること、公表文献等
で脊髄損傷、頭部外傷、多発性硬化症等、原因疾患にかかわらず本剤の有効性が報告され
ており、安全性についても脳卒中後の痙縮患者を対象とした国内外臨床試験成績と大きく
異なる傾向は認められなかったことから、効能・効果については原因疾患を限定せずに「上
肢痙縮、下肢痙縮」とすることが適切と判断いたしました。なお、原因疾患別の有効性及
び安全性については、製造販売後調査で検討することとしております。
 以上の審査を踏まえ、本剤の上肢痙縮、下肢痙縮に対する効能・効果を追加承認して差
し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしまし
た。本申請は新効能及び新用量医薬品であり、再審査期間は4年とすることが適切と判断
しております。なお、薬事分科会への報告を予定しております。以上です。よろしく御審
議の程お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございました。それでは御質疑をお願いします。いかがでしょ
うか。
○佐藤委員 プリミティブな質問になるかもしれませんが、本剤の適正使用について伺い
たいと思います。これは使った後の残りの物の処理とかも含め、この34ページを拝見す
ると、機構としての考え方は、使用される所は現在のところ限定されているだろうけれど
も、こういうものが認可されてきていれば実際にこれから増えてくるのか。どうも増えて
いきそうな感じがするのは、5、6行目のところから、インターネットを使って講習会を
開くと。多くの医師にそれを使えるようにしていくつもりであるのか。そうすると、その
処理等について今後、本当に厳格に認定された医師が使えるようにしたいのか、それとも
限った者にしていくのか。製剤直接の問題ではありませんが、適正使用をどう広げていく
かということの問題点について、お伺いしてよろしいでしょうか。
○機構 機構より御説明させていただきます。本剤に関しましては先ほど述べましたよう
に、これまで眼瞼痙攣、片側顔面痙攣、痙性斜頸といった適用を承認してきました。その
中で承認条件として、本剤を適切に使用できる医師等に限定させること、及びそういった
措置をとること、かつ廃棄等に関してもきちんと行うことを規定しています。これまで既
承認効能においても、このインターネット等、ウェブ上の講習及び実際の講習会を医師が
きちんと受講し、その講習を受けたということをきちんと確認した上で、その医師が使用
できる環境を作ってきています。
 今回の効能に関しても、今までやってきた内容を、適用するということで考えています。
既存効能と同じようにやっていますので、今回の適用に関して特別大きな変更をしている
わけではありません。ただ、今回の適用に関しては、リハビリ科又は整形外科など、これ
までにない診療科も当然対象となることから、きちんと厳密に運用することは申請者にも
申し伝えています。
○松井部会長 この資格講習制度を使うということですね。
○機構 はい。義務付けることとしています。
○松井部会長 ですから、どんどん広げていくということではないと理解できると思いま
す。いかがでしょうか。
○清水委員 同様に適正使用に関することですが、今回、適用を拡大にするに当たって、
3か月間の累積投与量として一人の患者様に360単位を上限とする、ここのところをどう
やって担保していくかというのは非常に難しい問題かなと思います。審査報告(2)、38
ページの上段の辺りにその辺が書かれています。その中に本剤の納入を制限するというこ
とも文言として書かれていますが、そういったことが実際に適切に可能なのかどうか。そ
このところが一点、気になるところです。
 それから、これは先般、御存じのことと思いますが、この薬剤についてはメーカーサイ
ドから管理の記録というノート形式のものが出ていて、それで、うちの施設では薬剤部も
協力して記録を付けているわけですが、ただ、その管理の記録の中には患者さん個人の名
前を記載する所はないのです。物がどれだけ動いたかの記録しかないから、簡易的な薬歴
にもならない。つまりAさんに3か月以内に幾つ打ったということすら、つかめない記録
用紙になっています。場合によっては、この管理の記録などのフォーマットを考え直すと、
もう少し役に立つものになるのかなという印象も持ったのですが、そのことも併せてお考
えをお願いします。
○機構 説明させていただきます。本剤は使用する前に事前登録を行わなければならない
ようになっています。そこでカルテ番号等をファックス等で送付した上で、実際に使用す
る本数を出していただく。100単位で何本という形のものを出していただくことを、今規
定しています。今回の適用に関しても事前登録制を同じように行うこととしていて、同一
の患者さんに3か月以内の累積で、同一病院で出ていることがあれば医師に問い合わせを
した上で、この患者さんに関しては多くないですかということをきちんと確認することを
検討しています。
 また添付文書の重要な基本的注意のところで、同意を取得する際に添付文書の1.8.1の
4ページですが、11)で他の医療機関において本剤の投与を受けている場合には、治療対
象疾患及び投与日を必ず申し出ることを確認した上で、同意を取得することにしています
ので、そういったことからも管理はできるものと考えています。
○清水委員 専門を持つ、異なった医療機関で、この適用拡大によって複数の医療機関で
接種することは、可能性としては非常に大きくなると思います。確かに添付文書の11)に
その旨が書かれていますし、先ほども言ったように本当は添付文書を読んでいただければ
いいのですが、基本は見てしまうのです。そうすると書いてあると言っても、たくさんあ
る記載の中の一つだと非常に分かりづらい。そこのところの記載はもう少し注意を引くよ
うな記載の方法を考えていただければと思います。
○機構 機構から説明させていただきます。この件に関しては、患者さんにそういった確
認をすることを講習できちんと述べる体制もとって、使えるような環境にしていきたいと
考えています。
○松井部会長 村田委員、いかがですか。
○村田委員 上肢と下肢の痙縮に通るということで大変喜んでいたのですが、これをよく
見ると、上肢・下肢の痙縮というのは実際には、これの打つ所を見ると手首の屈曲と尖足
だけですよね。ですから、上肢・下肢の痙縮ではないと思うのです。実際には膝が伸展し
てしまって困るような人も結構おられるのですが、これは病名は下肢痙縮ですけれども、
その治療に使ってはいけないということなのですよね。それが一つと、もしその場合、今
後、実際にはそういうニーズがかなりあるのですが、それを適用拡大する場合に、既に上
肢・下肢痙縮という名前で通っている場合、どのようにしたらいいのかを教えていただけ
ますか。
○松井部会長 いかがですか。
○機構 機構の方からお答えさせていただきます。そういう投与方法についても、今のと
ころやってはいけないという規定ではないので、先生の御判断であり得ると思います。こ
この添付文書に書かせていただいたのは、あくまでも典型的な対象筋についてのものとい
うことです。
○村田委員 そうなのですか。
○機構 それから臨床試験の中で実際に投与された方法は、こういったものなので、こう
いったところが主な対象筋であるということ。ただ、痙縮の症状といったものは、当然、
様々なケースが想定されて、その一つ一つに対して治験をやるというのは、現実問題とし
て困難だと我々も考えていますので、臨床試験で対象とならなかった筋への投与につい
て、やってはいけないという縛りにはしていない状況です。そこに関しては、製造販売後
の調査の中で、実際に打った部位であるとか、その場合の患者さんの安全性等について随
時確認していく予定にしています。
○松井部会長 投与部位を限定するものではないということですね。
○機構 あくまでも、この添付文書に書かせていただいている投与部位というのは、典型
的な上肢・下肢痙縮に関して考えていただきたい部位ということですので、これ以外の筋
に打ってはいけないという記載にはなっていないということです。
○松井部会長 村田委員、よろしいでしょうか。ほかにございますか。
○加藤委員 二つ伺います。一つ目は今のことに関してですが、ほかの国の添付文書を見
ていて、これはもともとフランスでできた薬でフランスの添付文書を見ていると、上肢・
下肢に関して、ほかの適応に関してはその適応症が書いてありますが、上肢・下肢痙縮に
関しては“focal symptomatic treatment of”という言葉がわざわざ付いているのです。
日本語訳が1.6.2のところにあります。上肢・下肢の痙縮に関しては、日本語に訳して言
うと局所対症療法というのが明確に書いてありますが、日本語の方には、同じような表現
でこのように限局した表現を用いなくてもいいのかなと、今、議論を伺っていて思いまし
た。
○松井部会長 一つ一ついきましょうか。いかがでしょうか。場所は分かりますか。もう
一度お願いできますか。
○加藤委員 資料の1.6.2でフランスの添付文書とあります。その前半は英語、後半に日
本語訳が出ていて、適応症のところが、眼瞼痙攣とか顔面痙攣については、そのままの病
名が書いてありますけれども、上肢・下肢痙縮に関しては局所的な対症療法と明記されて
いて、使い分けがされていると思ったのですが、その問題は今の議論に関係して、そこを
明記した方がいいのかどうか問題提起したいと思います。
○機構 機構より御説明させていただきます。本剤の効能・効果に関連する使用上の注意
の項で、本剤は直接的に対症療法であるということは明記していませんが、上肢痙縮、下
肢痙縮については、痙縮の原因となる疾患の診断及び治療を併せて行うことということ
で、この薬はあくまでそちらをメインにしているものではないということを書かせていた
だいたつもりです。
○松井部会長 よろしいですか。
○加藤委員 臨床上、診断と投与の関係で問題がなければ別に構わないと思います。
○松井部会長 もう一つ御質問がありましたね。
○加藤委員 二つ目は添付文書で、非常に細かく、また今回の適用拡大と関係ないところ
で申し訳ないのですが、添付文書1.8.1の3ページに使用上の注意というのがあって、使
用上の注意1.慎重投与のところで、4番の緑内障のある患者又はその素因のある患者と
いうところで、「本剤は抗コリン作用を有するため」という表現があります。このボツリ
ヌストキシンの本体は神経伝達物質放出の阻害であり、これは例えばここでは副交感神経
からの神経伝達物質阻害だったり、神経筋接合部がこれを用いた治療としてのターゲット
になるわけですが、本質的には神経筋接合部だけでなく、副交感神経系にも同じような作
用が及ぶことがその副作用の本態であって、抗コリン作用を有するというのは、厳密に言
うと正しくないのではないかと思います。これは今回の適用拡大とは関係ないと思いま
す。申し訳ありません。
○松井部会長 加藤委員から、そういう指摘があったと。
○機構 御指摘の点は理解いたしましたが、これは昔の通ったときに、こういう書き振り
でずっと流通されていますので、今回の中で敢えて変えるという判断はしていませんけれ
ども、何か適切な表現があるかどうかについては、少し検討させていただきます。変える
なら変えるなりの理由が我々にも必要ですので、そこまでやるかどうかというところも含
めて、考えさせていただければと思います。
○松井部会長 加藤委員にお聞きしますが、それは学問的にも広く認められたことと考え
てよろしいのですか。
○加藤委員 そうだと思います。このボツリヌストキシンは、とにかく何であろうと神経
伝達物質が放出されるプロセスを抑えるだけですので、投与部位によっては副交感神経で
あるとか、ほかの神経からの放出も抑えるというだけの話だと思います。コリン受容体に
作用するというエビデンスは、私の知る限りではないと思います。
○機構 我々も同様の理解です。先ほどの御質問について補足させていただきますと、も
う一つ、重要な基本的注意1.8.1の添付文書の3ページを御覧いただきたいのですが、
(2)の2)のところにも「本剤の投与は対症療法であり、効果は通常3~4か月で消失し、
投与を繰り返す必要がある」ということで、あくまでもこの薬は対症療法だということに
関しても明記していますので、先ほどの効能・効果に関連する使用上の注意と併せての記
載で、一応、我々としては十分なのではないかと判断したということです。
○松井部会長 ほかにはございませんか。よろしいでしょうか。しつこいようですが先ほ
どの加藤先生の御指摘は、もし正しくないことがここにずっと書かれているのだったら、
適切に対処すべきだと私は思いますので、検討をお願いします。
 それでは議決に入ってよろしいでしょうか。なお加藤委員、永井委員、林委員、古川委
員、松木委員、本橋委員、山本委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき議
決への参加を御遠慮いただきたいと思います。
 本議題につきまして、承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないものと認めます。承認を可とし薬事分科会に報告いたします。それでは大
石委員に入っていただいてください。
── 大石委員入室 ──
○松井部会長 それでは議題5に移ります。医薬品機構から概要を説明してください。
○機構 議題5、資料5、医薬品サムスカ錠15mgにつきまして、医薬品医療機器総合機
構より説明させていただきます。なお、本日資料5-2として配付させていただきました添
付文書(案)は、事前にお送りした添付文書の禁忌の項の一つ目に、「本剤の成分又はベン
ゾアゼピン系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者」と記載していましたが、ベンゾアゼ
ピン系薬剤が指す薬剤が分かりにくいことから、「本剤の成分又は類似化合物(モザバプ
タン塩酸塩等)に対し過敏症の既往歴のある患者」に記載整備しています。
 審査報告書3ページを御覧ください。本剤、トルバプタンは、バソプレシンV2-受容体
への結合を阻害し、電解質排泄の増加を伴わず水分のみを排泄する水利尿薬で、大塚製薬
株式会社により創製されました。本邦では、心不全が原因で浮腫を来している患者のうち、
ループ利尿薬等の既存の利尿薬を投与しても体液貯留が残る患者や、電解質の低下及びそ
れに伴う副作用により既存の利尿薬が使用又は増量できない患者において、塩類排泄を増
加させずに更なる利尿を得ることを目的とした開発も進められ、今般「心性浮腫」を予定
効能・効果とする医薬品製造販売承認申請がなされました。
 一方、米国では、2009年5月に「心不全、肝硬変及び抗利尿ホルモン不適合分泌症候
群(以下、「SIADH」)等の患者における、血清Na濃度125mEq/L未満又はそれより軽度で
あっても低Na血症の症状を有し、水分制限では補正できない低Na血症」の効能・効果
で承認されています。また欧州では「成人におけるSIADHによる低Na血症」の効能・効
果で2009年8月に承認されており、効能・効果は一様ではないものの、本薬は2010年5
月現在、31の国又は地域で承認されております。
 なお、本薬と同様、バソプレシンV2-受容体拮抗薬であるモザバプタン(販売名:フィズ
リン錠)が、「異所性抗利尿ホルモン産生腫瘍によるSIADHにおける低Na血症の改善(既
存治療で効果不十分な場合に限る)」の効能・効果で2006年7月に本邦で承認されており
ます。
 本品目の審査に関しましては、専門委員として、資料17に記載されております委員が
指名されました。
 本品目の臨床試験成績に関する審査の概略について説明させていただきます。有効性に
ついて説明させていただきます。審査報告書50ページ「6)うっ血性心不全患者を対象と
したプラセボとの無作為二重盲検並行群間比較試験」の項を御覧ください。既存の利尿薬
を投与していても過剰な体液貯留が認められる日本人のうっ血性心不全患者を対象に、本
薬15mg又はプラセボ1日1回7日間経口投与する無作為化二重盲検並行群間比較試験が
実施されました。51ページ図1を御覧ください。図1に主要評価項目とされた体重のベ
ースラインから最終投与時までの変化量を示しておりますが、最終投与時の変化量は本薬
15mg群で-1.54kg、プラセボ群で-0.45kgであり、群間に有意差が認められました。本薬
15mg群の体重は、投与1日目に最も大きく減少し、投与4~7日目ではプラセボ群との
差がほぼ一定でした。また、副次評価項目とされた下肢浮腫、頚静脈怒張等においても改
善傾向が示されました。これら有効性の指標の変化から、本薬15mgの心不全患者の水分
貯留の改善に関する一定の有効性が示されたと判断しました。
 続いて安全性について説明させていただきます。審査報告書52ページ表2を御覧くだ
さい。先程と同じ試験におきまして、いずれかの群で3%以上に認められた有害事象を示
しています。便秘、口渇、頻尿、悪心、倦怠感、浮動性めまい、頭痛等が本薬群でプラセ
ボ群より多く認められていましたが、いずれも軽度~中等度であり、大きな問題は認めら
れませんでした。しかしながら、本薬の投与対象である既存の利尿薬を投与していても過
剰な体液貯留がある心不全患者においては、低Na血症の合併が高頻度に見られることか
ら、本薬の投与による急激な血清Na濃度の上昇や、それに伴う橋中心髄鞘崩壊症の発現
リスクが懸念されます。そこで96ページ以降を御覧ください。安全性について懸念され
る点に関して記載していますが、「(1)血清Na濃度の上昇」の項を御覧ください。ベー
スラインのNa濃度と血清Na濃度の急激な上昇リスクとの関連は不明確であり、個々の
患者におけるNa上昇のリスクを投与前に予測できないこと等を踏まえ、全ての患者にお
いて血清Na濃度のモニタリングを適切に行う必要があると判断しています。また、同じ
ページの「(2)水利尿作用に基づくリスク」を御覧ください。過度の水利尿作用に伴い生
じ得る、脱水、血栓塞栓症、高カリウム血症や、末梢循環の悪化を介する低心拍出量症候
群等の発現に注意する必要があり、本薬投与時は、体重、血圧、脈拍数、尿量等を頻回に
測定することが必要と判断いたしました。以上に加え、審査報告書98ページ「(7)の入
院管理」の項を御覧ください。当該項目にも記載しましたように、本薬の投与開始直後に
大きな水利尿作用効果が発現すること、慢性心不全は進行性の病態であり、急性増悪を生
じた場合、患者の状態はその都度適切に評価されるべきであること、投与対象は同一では
ないものの、海外の添付文書においても急激な血清Na濃度の上昇に対する懸念から入院
下で本薬の投与を開始又は再開する旨規定されていること等を踏まえ、患者の安全性確保
の観点から、本薬の投与開始又は再開は入院管理下で行うことを添付文書の「警告」の欄
に規定しておくことにしました。
 続きまして本薬の「用法・用量」について御説明します。審査報告書95ページを御覧
ください。本薬15mg1日1回7日間投与の有効性及び安全性が確認されたこと、本薬
15mg、30mg及び45mgの有効性はほぼ同程度で、有害事象は高用量ほど高かったこと、本
薬15mgを7日間投与しても効果不十分な患者における30mgへの増量効果を検討した試験
においても、本薬15mgを超える高用量に増量することの有用性は示されなかったことか
ら、本薬の用法・用量は通常15mg1日1回とすることが適切であると判断しました。し
かしながら、循環血漿量の急激な減少が望ましくない患者等では、本薬を15mg投与時よ
り緩徐に作用させ始めることが望ましい場合もあると考え、審査報告書53ページの7)
に記載しているような少数例の検討ではありますが、日本人患者において15mgよりも緩
徐な利尿効果が得られる可能性が示唆された7.5mgからの開始が望ましい旨添付文書
(案)の「用法・用量に関連する使用上の注意」の項において、注意喚起することが妥当と
判断しました。
 続きまして「効能・効果」についてですが、審査報告書94ページを御覧ください。心
不全患者では、Na利尿を図ることが基本ですが、本薬は、血清Naの排泄には影響しな
いことから、既存の経口利尿薬治療でも体液貯留が存在する場合に、Na排泄作用のある
利尿薬と併用して投与することが本薬の原則的な使用方法と考えられます。以上より、本
薬の臨床的位置付けが既存の薬剤と明らかに異なることから、既存の利尿薬に倣い「心性
浮腫」とするのではなく、「ループ利尿薬等の他の利尿薬で効果不十分な心不全における
体液貯留」とし、「効能・効果に関連する使用上の注意」において他の利尿薬(ループ利
尿薬、サイアザイド系利尿薬、抗アルドステロン薬等)と併用して使用する旨を注意喚起
することが妥当と判断いたしました。
 製造販売後調査については、審査報告書100ページを御覧ください。目標症例数を3,000
例とした使用成績調査を実施し、7.5mgの投与及び7日間を超えた投与での安全性及び有
効性、治療実態下における本薬の血清Na濃度に及ぼす影響等を検討可能な情報を収集す
る予定です。
 なお、本薬は心不全患者における短期的な症状の改善を目的とした薬剤であるものの、
本邦における心不全の標準的な治療環境下で、本薬が中長期的な予後(死亡率や罹患率)
に悪影響を及ぼさないことを示すことは重要であると考えられるため、本薬投与終了□か
月後の予後の検討を目的とした製造販売後臨床試験が実施される予定であり、デザインの
詳細に関しては今後検討を行っていく予定です。
 以上のような検討を行った結果、本薬を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品
第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。
 原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品には該当し
ないと判断しております。再審査期間は8年とすることが適当であると判断しておりま
す。薬事分科会では報告を予定しております。御審議の程よろしくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生から御質疑をお願いします。いかがで
しょうか。永井先生、何かございますか。
○永井部会長代理 まだ、これは評価が定まっていない薬で、少し懸念されるところもあ
るわけですね。本当に水利尿だけで、心不全が中長期的に良くなるかどうかというところ
ですね。使い方が少し気になるのですが、添付文書のどこかに「漫然と投与しないこと」
と書いてあったと思います。そこはもう少し明確に書いた方がよいようにも思ったのです
が、書き振りはどうなのでしょうか。漫然と投与しないことというのは少し漫然としてい
るように思いますが。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○機構 機構から説明させていただきます。この漫然と投与しないことというのは悩んだ
ところなのですが、個々の症例によって症状が違いますし、改善しない場合を判断すると
きに効果が徐々に下がっているところとかで、目標とする体重には至っていないとする場
合もありますので、具体的に、いつというところがなかなか書けないのかなと考えていま
す。
○松井部会長 添付文書の1ページの右側のカラムの一番上です。体液貯留状態が改善し
ない場合には漫然と投与しないと。
○機構 恐らく先生は(3)のところを御覧になっておっしゃったと思いますが、その上の
(2)のところに「目標体重に戻った場合は」というところで、「漫然と投与を継続しない
こと」と、その理由として「国内臨床試験において2週間を超える使用経験はない」とい
うところで、大まかな時期というのは判断していただけるのかと考えています。
○松井部会長 いかがでしょうか。ほかには何か御指摘がありますか。
○永井部会長代理 長期投与試験の臨床試験を行うというのは、決定というふうに考えて
よろしいのでしょうか。
○機構 はい。長期投与試験というか、基本的には短期的に使います。要するに効果が終
わるまで。その後の予後が□か月後にどうなっているのか確認する試験をしていただくこ
とは予定しています。
○永井部会長代理 いわゆるRCTを行うというほどではないわけですね。いわゆる市販
後調査を行うと。
○機構 いいえ、一応、□□□□□□というところで、□か月後の予後に関して比較する
ことになりますので、市販後調査というところではなく試験という形になります。
○松井部会長 全部の症例について調査するということですか。
○機構 いいえ、ここはまた別途の試験として、市販後調査とはまた別です。
○松井部会長 別にやると。
○機構 はい。別に症例数を組んで、□□□□と比較して予後を確認するということです。
○松井部会長 ほかにございますか。特段に御意見はありませんか。
 それではないようですので議決に入ってよろしいでしょうか。なお、本橋委員におかれ
ましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただきたいと思いま
す。本議題について承認可としてよろしいでしょうか。
 それでは御異議がないようですので承認可として薬事分科会に報告させていただきま
す。次に議題6をお願いします。
○機構 議題6、資料6、医薬品ジプレキサ錠2.5mg他の製造販売承認事項一部変更承認
の可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明いたします。
 本剤の有効成分であるオランザピンは、チエノベンゾジアゼピン骨格を有する非定型抗
精神病薬であり、海外では2010年4月現在、102の国又は地域で承認されており、今回
の申請効能である「双極性障害における躁症状」については、98の国又は地域で承認さ
れております。本邦では統合失調症の効能・効果で2000年12月に錠剤、2001年11月に
細粒剤、2005年3月に口腔内崩壊錠が承認されておりまして、今回の申請効能である「双
極性障害における躁症状」に対し、2005年6月より臨床試験が開始され、有効性及び安
全性が確認されたとして、承認申請が行われたものです。
 本申請の専門委員としましては、資料17に記載されております4名の委員を指名して
おります。
 審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。
 まず、有効性についてですが、審査報告書12ページの上の表を御覧ください。国内第
III相試験において、主要評価項目であるFASでの投与3週後におけるヤング躁病評価尺
度の合計点のベースラインからの変化量は、本剤群で-12.6、プラセボ群で-6.8であり、
本剤群とプラセボ群の群間差は-5.8と統計学的に有意な減少が認められております。ま
た、審査報告書29ページ下から4行目を御覧ください。双極性障害は躁症状とうつ症状
が周期的に循環する経過をたどると考えられておりますが、本申請では双極性障害の躁症
状のみに対する有効性が示されたのみであることから、用法・用量に関連する使用上の注
意の項で、「躁症状が改善した場合には、本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を
漫然と投与しないよう注意すること」を記載し、注意喚起しております。
 次に、安全性についてですが、審査報告書15ページの上から1番目及び2番目の表を
御覧ください。国内第III相試験及び長期投与試験におきまして、本剤の投与により、HbA1c、
空腹時及び随時血糖値の推移に大きな変動は認められておりません。また審査報告書15
ページ下から1行目を御覧ください。統合失調症を対象とした国内臨床試験においては、
血糖値に関する検査を実施していないため、明確な比較は困難ですが、耐糖能異常に関連
する有害事象の発現状況は、統合失調症を対象とした試験で580例中2例(0.3%)、双極
性障害の躁症状を対象とした試験で186例中1例(0.5%)であったことを踏まえると、耐
糖能異常のリスクは、既承認効能である統合失調症を上回るものでないと考え、新たな注
意喚起の必要はないと考えております。
 以上の審査を踏まえまして、本剤の双極性障害における躁症状の改善に対する効能・効
果を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判
断いたしました。本申請は新効能及び新用量医薬品であり、再審査期間は4年が適当と判
断しております。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
 以上です。よろしく御審議の程お願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。それでは委員の先生方から御質問、御意見をお願
いします。いかがでしょうか。
○清水委員 ちょっと分からないので教えていただきたいのですが、双極性の躁とうつの
出現の周期です。もちろん患者さん個人によって随分違うのかもしれないですけれども、
おおむねどのような周期というふうに言われているのでしょうか。
○機構 機構より御説明させていただきます。このぐらいの期間で循環するという話は、
患者個々によって違いますので、明確な期間というものはなかなか言いづらいと思いま
す。そこは本橋委員、何かおわかりになりますでしょうか。
○松井部会長 いかがでしょうか。
○本橋委員 やはり躁状態は数か月は続くのではないか。4か月ぐらいが平均的なもので
はないかと言われているかと思います。ただ、躁だけを繰り返す人もいれば、躁とうつと
両方を繰り返す人もいて非常に多彩なのです。ですから、なかなか一筋縄ではいかない。
個々の方に合わせて考えていかないといけないというところではないかと思います。
○清水委員 そうしますと、この薬剤を、この適応症で使うとなると、投与と中止を繰り
返す投与設計になってくるということでしょうか。
○本橋委員 私の方で答えさせていただきますが、一般的には躁をうまくコントロールで
きれば、その後のうつは防げることが多いわけです。ですから、いかに速やかに躁を抑え
るかということが、双極性障害の治療においては一番大事なことだと思います。もちろん、
これで1回抑えても、また出てくることはあるわけですけれども、ずっと何回も何回も断
続的に使っていかなくてはいけないということではないと思います。
○清水委員 ありがとうございました。
○松井部会長 ほかには、いかがですか。
○佐藤委員 この服用によって起こってくる高血糖のところについてお伺いします。特別
にそこだけが目立って見えるのは私だけなのかもしれませんが、これはこの薬剤の構造
上、独特に生じてくるものなのでしょうか。それとも、このたぐいのものであれば通常出
てくるものなのでしょうか。
○松井部会長 いかがですか。機構からお答えください。
○佐藤委員 例えばニューキノロンのある薬剤などでは、高血糖を生じてくるというよう
なものがありますが、そういうような特異的に出てきたものなのか。それともこの類薬で
あれば当然出てくるものなのか。
○機構 お答えさせていただきます。非定型抗精神病薬では、この構造特性というよりも、
非定型抗精神病薬とその分類に関しては大体、高血糖というものは注意を払うべき事項で
あるという状況にあると思います。
○佐藤委員 ということは、この薬についてだけ注意してくださいということを言うもの
でもないということですね。
○機構 既にこの薬に関しては、糖尿病及び糖尿病の既往のある患者に関しては、禁忌と
されていますので、そういったところでの注意喚起もされていることから、ここで今回説
明させていただきました。
○佐藤委員 分かりました。
○松井部会長 大石先生、よろしいですか。何か御追加がございましたらどうぞ。
○大石委員 非定型の中で、これとクエチアピンでしたでしょうか。だけど、ほかのもそ
のような傾向は考えておかないといけないということだと思います。
○松井部会長 ほかにございませんか。この薬剤と自殺企図等は何らかの関係はございま
すか。
○機構 機構より答えさせていただきます。審査報告書19ページを御覧いただきたいと
思います。国内外の臨床試験で自殺関連リスクをプラセボ対照試験で比較していて、その
中で統合失調症及び双極I型障害において、プラセボと比較して有意な差は認められてい
ないということで、この薬を飲むからということで懸念する必要はないのではないかと考
えています。
○松井部会長 ほかに御質疑はよろしいでしょうか。
○本橋委員 今回、初めて双極性障害という言葉が効能に出てきたわけですが、今までは
恐らく躁うつ病という言葉が使われていたと思います。これまでに使われている薬にも炭
酸リチウムなど、躁うつ病の躁状態に対する薬というのはあったわけで、この辺は病名を
ある程度統一していくことが必要ではないかと思いますが、そういった作業はどのように
進めたらよろしいのか、教えていただければと思います。
○松井部会長 統一するというのは、どこのレベルでということですか。
○本橋委員 ですから、今病名はICD-10とかで付けますので、双極性障害という言葉を
使って統計とかを取っているわけです。ところが薬剤の効能については躁うつ病という古
い病名がいまだに使われているわけです。ですから、その辺りを今後統一していく必要が
あるのではないかと考えるのですが、それはどのように進めていけば可能なのでしょう
か。逆に厚生労働省の方にお尋ねしたいのですけれども。
○機構 もしあれば厚生労働省の方から補足していただければと思いますが、先生が御承
知のように、こういった双極性障害は最近のDSMといったことで明確化されてきていま
すので、以前、古くに承認された薬では確かに躁うつ病といった状態像での承認をしてき
ております。先生が御指摘のように何らかの整理が必要だというふうに我々も認識してい
ますが、一つの考え方としては、例えば昔、精神分裂病を統合失調症に変更したように、
何らかのコンセンサスというものを我々の方と学会の方で検討させていただいて、本来あ
るべき効能・効果というものを整理していくというのは、一つあるかと思いますが、この
薬については双極性障害ということを付けることが適切だと我々は思っていますので、そ
こは別途、並行しながら併せて関連学会と相談させていただく事項なのかと考えていま
す。
○松井部会長 課長、何か御追加がありますか。
○審査管理課長 これに関してというわけではありませんが、例えば、評価のガイドライ
ンとかを作るときに、対象疾患名をどうするかということも議論になりますので、そうい
うところで出てきたところに関して、過去のものについてどうするかについては、そうい
う時をとらえて変更等については検討させていただきたいと思っています。
○松井部会長 ありがとうございました。よろしいですか。そのほかに御質疑はございま
せんか。
 この件について議決に入ってよろしいですか。本議題について、承認を可としてよろし
いでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。
 続いて議題7に移ります。医薬品機構から概要を御説明ください。
○機構 議題7、資料7及び7-2、医薬品ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0.8mLの製造販
売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。
 なお、事前に送付しました資料7の添付文書(案)については承認条件の記載漏れがあり
ましたので、資料7-2として別途送付させていただきました。大変申し訳ありませんが、
添付文書(案)については資料7-2を御覧ください。
 それでは、医薬品の説明に入ります。クローン病は下痢、血便、外瘻等の消化器症状と
ともに、発熱、倦怠感などの全身症状を呈し、再燃・再発を繰り返す難治性の炎症性腸疾
患です。
 本邦では、活動期クローン病患者に対して、軽症ではメサラジン製剤等が、中等症から
重症ではその他にステロイドが併用され、ステロイドの減量・離脱が困難な患者に対して
はアザチオプリンが使用されています。さらに効果不十分な場合は抗TNFα抗体製剤で
あるインフリキシマブ(遺伝子組換え)が使用されます。また、症例によっては、薬物療法
以外に栄養療法や外科的治療の適応も考慮されます。一方、寛解期のクローン病患者に対
しては、維持療法として栄養療法又はメサラジン、アザチオプリン、インフリキシマブ等
の薬物療法が用いられています。
 アダリムマブ(遺伝子組換え)(以下、「本薬」)とさせていただきますが、本薬はヒト型
の抗TNFα抗体製剤であり、既に本邦でも関節リウマチ等に対する効能・効果で承認さ
れています。今般、クローン病患者に対しても本薬の有用性が期待され、開発に至りまし
た。
 本邦において、本薬は2008年4月に「関節リウマチ」に係る効能・効果で承認された
後、2010年1月に「尋常性乾癬、関節症性乾癬」に係る効能・効果が承認されています。
海外においては、本薬は関節リウマチに対し、2010年5月現在で海外84か国で承認され
ており、クローン病に対しては海外72か国で承認されています。
 本品目の専門協議では、本日の配付資料17に示します専門委員が指名されております。
 以下、本薬の有効性、安全性について臨床試験成績を中心に説明いたします。
 主な臨床試験成績としては、国内外の寛解導入試験及び寛解維持試験計6試験の成績が
提出されています。なお、本邦におけるクローン病の患者数は約2万人と、欧米と比較し
て少ないことから、臨床データパッケージは、欧米で実施された検証試験と、それと類似
したデザインで実施された小規模の国内試験により構成されています。
 有効性に関してですが、寛解導入効果に関して、海外試験成績は報告書13ページの表
7を御覧ください。国内の臨床試験成績に関しては、報告書15ページの表11を御覧くだ
さい。寛解導入効果についてですが、既存治療で効果不十分な中等症から重症のクローン
病患者を対象とした海外の寛解導入試験において、主要評価項目である「投与4週時の寛
解率」についてプラセボ群に対する投与開始160mg、2週時に80mg群の優越性が認めら
れております。
 また、国内の寛解導入試験においても同様の傾向が認められていることから、本邦にお
いて本薬160/80mg群の寛解導入効果は期待できると考えました。寛解維持効果に関して
は、海外試験成績は報告書18ページの表18になります。国内の試験成績に関しては、報
告書21ページの中段辺りに「有効性について・・・」と記載されている段落を御覧くだ
さい。寛解維持効果についてなのですが、海外の寛解維持試験において、主要評価項目で
ある「投与26週及び56週時の寛解率」について、40mg隔週群のプラセボ群に対する優
越性が認められています。また、国内寛解維持試験でも同様の傾向であったことから、本
邦において本薬40mg隔週投与時の寛解維持効果は期待できると考えました。
 続いて安全性に関してですが、国内外の寛解導入試験における結果に関しては報告書
15ページの表12、海外の方の試験成績については報告書34ページの表36を御覧くださ
い。もう一つ、国内外の寛解維持試験に関しても御覧いただきたいところがございます。
寛解維持試験について、国内試験については報告書21ページの表21になります。海外の
試験に関しては35ページの表38となります。たくさんありまして恐縮ですが、御覧くだ
さい。
 国内の臨床試験で発現した有害事象と海外の臨床試験で発現した有害事象とを比較検
討した結果なのですが、国内外において認められた有害事象及びその頻度に特段の差は認
められませんでした。
 また、安全性に関してもう一つ、本邦における既承認の他疾患との有害事象プロファイ
ルの比較についてです。こちらについては報告書39ページの表44を御覧ください。本薬
の既承認の疾患に対する臨床試験成績と比較しても、クローン病の原疾患に関連する有害
事象を除き、特異な事象や発現傾向は認められませんでした。本薬を含む抗TNFα抗体
製剤では、既に結核等の重篤な感染症、ループス様症状、脱髄疾患等の発現が知られてお
り、添付文書等でも注意喚起がなされているところです。今回、このような安全性を検討
した結果、クローン病への適用に際しても、他疾患への適用時と同様に十分な注意を払い、
同様の安全対策を講じることにより、忍容可能であると考えました。ただし、国内クロー
ン病患者に対する本薬投与時の安全性情報は現時点で限られていること等から、一定数の
症例に係るデータが蓄積されるまでの間は全症例を対象とした調査を実施するとともに、
長期使用時の情報についても製造販売後調査により集積し、安全性等を確認することが必
要と考えました。
 以上のような機構での審査の結果、本薬の既存治療で効果不十分な中等症から重症の活
動期クローン病患者に対する寛解導入効果及び維持効果は認められ、必要な安全対策を講
じることで安全性は許容可能と考えられることから、一定数集積までの全症例を対象とし
た製造販売後調査に係る承認条件を付した上で、承認して差し支えないと判断し、医薬品
第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。なお、本薬は新効能・新用量医薬
品に該当し、現在本薬は関節リウマチ及び尋常性乾癬の効能に対する再審査期間中である
ことから、クローン病に対する再審査期間は、関節リウマチ等に対する再審査期間の残余
期間とすることが適当であると判断しています。
 薬事分科会では報告を予定しています。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いいたします。い
かがでしょうか。
○山本委員 全体の流れとしてはこれでよろしいと思いますが、やはり、関節リウマチに
比べて圧倒的に初回の投与量が多いですね。残念ながら、我が国ではTNFのブロッカー
でPCP、ニューモシスチス肺炎の発生率が高いので、その辺をどう考えるかという、考
え方を教えていただきたいと思います。
○機構 機構より説明いたします。確かに用法・用量について、初回用量ですが、クロー
ン病については関節リウマチや尋常性乾癬よりも高く設定はされています。ただ、用法・
用量の投与回数としては160mgが1回、その後80mgを2週間隔空けて1回、その後40mg
を隔週ということで、長期的には関節リウマチ等と変わりはない投与量かと考えていま
す。
 肺炎に関しては、既に関節リウマチ等でもいろいろ懸念されていますので、実際、報告
書でも検討させていただきました。39ページ、40ページ辺りになります。そのように添
付文書上でも、肺炎、結核、悪性腫瘍等の発現状況を他疾患の臨床試験成績と比較したこ
ろ、クローン病については現時点では感染症について特段高くなるような傾向は出ていな
いので、既存の効能であります関節リウマチ等の安全対策と同様な処置を講じることで、
現時点では忍容可能であろうと考えています。
 ただ、確かに症例検討例数は非常に少ないですので、製造販売後調査においても十分そ
こは確認していく必要があるかと考えています。
○山本委員 40mgの定常状態、寛解維持療法になればリウマチでの蓄積があるので大丈
夫だと思いますが、初回と次がちょっと気になっていて、関節リウマチでも初回辺りに感
染が起きることが多いので。この方は、40mgと比べて160mgですからね。ちょっと多い
ですね。感染症の方たちに相談して、初回のときに例えばST合剤を予防投与するとか、
そういう警鐘を少し入れておいた方がいいのかという気がします。残念ながら、我が国は
外国と頻度が違うのですよね。
○松井部会長 多いということですか。
○山本委員 そうなのです。関節リウマチはかなりTNFブロッカーの経験がありますの
で、専門医はかなり注意しているのですが、消化器の先生はそれほど経験がないので、
160mgをボンと入れたときに、今はクローン病が増えていますから結構たくさんの患者が
入ると思いますが、ちょっと不安かなと。
○松井部会長 十分な注意が必要であるということですね。
○山本委員 会社の方も、もちろんこれで悪くなったら困るので、そういうときに添付文
書をどうするかを注意だけは喚起しておいてください。
○松井部会長 よろしいですか。
○機構 検討させていただきます。投与4週時までについて、確かに我々も懸念はしてい
ました。重篤な感染症についてについては、報告書上でも記載はしていないところですが、
もう少し一般的な有害事象ですと、34ページに4週時までの有害事象発現率を記載して
います。
 ただ、実際のところ、160mg投与時の感染症への影響については、基本的には国内の症
例数が非常に限られていますので、明確にはなっていません。
○山本委員 別に、方向性として悪くないと思います。アラバという薬を御存じだと思い
ますけれども、今でも欧米では一定の量使われている薬なのですが、日本では開始された
直後にニューモシスチス肺炎が急激に増えて、今はもう日本では、ほとんど薬として機能
しなくなってしまった。
○松井部会長 それも同じ機序の薬ですか。
○山本委員 違います。免疫抑制薬です。日本と欧米ではどうもニューモシスチス肺炎の
頻度が違う。湿気という状況がそれを生んでいるのかもしれません。欧米ではクローン病
は大丈夫だと、これは分かります。しかし、日本の状況は少し違います。新しく始める、
特に高用量を始めるので、そこのところ、感染の専門家とも相談されたらどうでしょうか
というアドバイスだけはしておいてください。
○機構 分かりました。先生からいただいた御意見については、申請者の方にも伝えたい
と思います。あとは、全例調査においても十分にその辺りの情報を集積できるようにした
いと思います。
○松井部会長 是非お願いします。ほかにございますか。特段、御意見はございませんか。
それでは、議決に入ってよろしいでしょうか。なお、林委員、山本委員におかれましては
利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題につきまして承認を可としてよろしいでしょうか。
 御異議がないようですので、承認を可として薬事分科会に報告いたします。議題8に移
ります。最後の審議議題です。お願いします。
○事務局 議題8、Canakinumabを希少疾病用医薬品として指定することの可否について
御説明いたします。資料2にございますように、医薬品医療機器総合機構が事前に評価を
取りまとめていますので、この報告書に沿って希少疾病用医薬品の指定要件である対象患
者数、医療上の必要性、最後に開発の可能性、この三点について御説明申し上げます。
 本剤の有効成分であるCanakinumabですが、ヒトインターロイキン1βに高い親和性を
有する完全ヒトモノクローナル抗体です。本剤の予定される効能・効果は、2歳以上の次
のクリオピリン関連周期性症候群、いわゆるCAPSと呼ばれていますけれども、その中
で家族性の寒冷自己炎症症候群、マックル・ウェールズ症候群、新生児期発症多臓器系炎
症性疾患でございます。申請者はノバルティスファーマ株式会社です。
 まず、一つ目の要件である対象患者数について御説明いたします。CAPSは100万人
に1人の程度で発症するとされており、本邦における推定患者数は全国で約120人程度と
考えられています。以上より、当該指定要件である5万人以下を満たすものと判断してい
ます。
 次に、医療上の必要性について御説明いたします。CAPSは、生後すぐあるいは幼児
期より発症し、生涯を通じて様々な炎症症状が繰り返し発生し、ときに生命を脅かすおそ
れもある慢性の自己炎症性疾患です。CAPSは臨床症状、重篤度から三つのフェノタイ
プに分類され、最も重要とされている新生児期発症多臓器系炎症性疾患では早期に治療が
開始されない場合、20%が成人に達するまでに死亡するとの報告もあります。本邦ではこ
のCAPSに対する標準的な治療法は確立しておらず、現時点では当該疾患に対する効能
・効果を有する薬剤はありません。そのため、本剤の有効性、安全性が確認されれば医療
上の必要性はあるものと判断しています。
 最後に、本剤の開発の可能性についてです。現在、国内で第III相の臨床試験を実施して
おり、本剤の開発の可能性はあると考えております。
 以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性、この三点を検討した結果、本剤は
希少疾病用医薬品としての要件を満たすものと判断しております。以上、御審議の程よろ
しくお願いいたします。
○松井部会長 ありがとうございます。委員の先生方から御質疑をお願いいたします。い
かがでしょうか。特にございませんでしょうか。特段の意見がないようですので、議決に
入ろうと思いますがよろしいですか。なお、加藤委員、永井委員、林委員におかれまして
は利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。
 本議題について指定を可としてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。御異議がないようですので指定を可とし、薬事分科会に報告い
たします。以上が審議事項でございます。次に報告事項をお願いいたします。
○事務局 報告事項について御説明いたします。資料9でございます。
 議題1、プレセデックス静注液200μg「ホスピーラ」及び同静注液200μg「マルイシ」
の製造販売承認事項一部変更承認及び承認条件の解除について御報告いたします。
 本剤は、1バイアル中にデクスメデトミジンとして200μgを含有する注射剤でありま
す。2004年1月、「集中治療下で管理し、早期抜管が可能な患者での人工呼吸中及び抜
管後の鎮静」の効能・効果で承認されています。24時間を超えて本剤を使用した際の安
全性が確立されていなかったことから、本剤の投与期間は「24時間を超えないこと」と
する制限が設けられております。今般、ホスピーラ・ジャパン株式会社及び丸石製薬株式
会社から、「集中治療における人工呼吸中及び離脱後の鎮静」を効能・効果とする、投与
期間制限削除のための製造販売承認事項一部変更承認申請がなされたものであります。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いた
しました。
 また、提出された資料から、本剤の初回承認時における承認条件「本剤の本邦における
臨床的位置付けが明確化するための市販後臨床試験を実施すること」の内容について確認
できたものと判断いたしました。
 続いて、報告の議題2でございます。資料10です。本剤はランソプラゾールを有効成
分とするプロトンポンプ阻害剤で、現在、「胃潰瘍」等の効能・効果で承認されています。
今般、武田薬品工業株式会社より、非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十
二指腸潰瘍の再発抑制の効能を追加する新効能医薬品としての製造販売承認事項一部変
更承認申請がなされました。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いた
しました。
 続いて、報告事項の議題3です。医薬品ネシーナ錠6.25mg、同錠12.5mg及び25mgの
製造販売承認事項一部変更承認について御報告いたします。資料は11でございます。本
剤はアログリプチン安息香酸塩を有効成分とする経口血糖降下薬であり、現在は、本剤の
単独使用又は本剤とα-グルコシダーゼ阻害薬との併用について承認されています。
 今般、武田薬品工業株式会社から、本剤とチアゾリジン系薬剤との併用について、効能
・効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものであります。
 医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本剤とチアゾリジン系薬剤を併用した際
の有効性及び安全性が確認されたことから、本剤を承認して差し支えないと判断いたしま
した。
○松井部会長 議題3のところで一度切っていいですか。この点について、何か御質疑は
ございますか。
 ないようですので続けてください。
○事務局 続けさせていただきます。続けて議題4ですが、「医療用医薬品の再審査の結
果について」まとめて御報告いたします。資料番号は12-1から12-4でございます。これ
らはいずれも医薬品再審査確認等結果通知書です。
 資料12-1、一般名称は「イコデキストリン、塩化ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化
カルシウム、塩化マグネシウム」、販売名は「エクストラニール腹膜透析液」のものです。
 資料12-2、一般名称は「ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンG」、販売名
は「献血グロベニン-I静注用500mg他」のものでございます。
 資料12-3、一般名称は「タクロリムス水和物」、販売名は「プロトピック軟膏0.1%」
のものです。
 最後に資料12-4ですが、一般名称は「インスリンリスプロ(遺伝子組換え)」、販売名
は「ヒューマログ注カート他」のものでございます。
 これらの品目について、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成績等に
基づき再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている
承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認
事項について変更の必要のないカテゴリー1と判定したものでございます。以上です。
○松井部会長 ありがとうございます。続けてお願いします。
○事務局 続きまして報告事項、議題5、希少疾病用医薬品の指定の解除について御説明
いたします。資料13を御覧ください。申請者は東レ株式会社、対象薬剤はインターフェ
ロンベータです。1995年7月、「中心窩新生血管を伴う老人性円板状黄斑変性症」を予
定効能として希少疾病用医薬品に指定されました。その後、本効能・効果について二つの
臨床試験を実施しましたが、本剤投与時の視力、あるいは眼底病変の改善が自然経過より
も優れているという明確な根拠は示されず、また安全性においても全身に及ぼすインター
フェロン製剤の副作用のリスクを勘案する必要があるなどの理由により、2002年7月に
申請の取り下げがなされました。取り下げ後も申請者において、開発の可能性について検
討を続けておりましたが、近年になって複数の代替薬が承認されたという事情もあり、今
般開発中止を正式に決定し、別添の希少疾病用医薬品の中止届が提出されました。よって、
本剤の希少疾病用医薬品の指定を取り消すことといたします。以上、御報告いたします。
○松井部会長 続けてください。
○事務局 続いて資料14、報告事項の議題6、優先審査指定品目の審査結果について御
報告します。優先審査の取扱いについては資料の2ページ目に概要をお示ししています。
この制度は薬事法第14条第7項に基づき、医療上、特に必要性が高いと認められる品目
について、他の品目に優先して審査を行うものです。その指定に当たっては適応疾病の重
篤性、医療上の有用性とを総合的に評価して判断されます。資料の1ページ目にお戻りく
ださい。今回、承認申請とともに優先審査の指定申請が出され、指定しないこととした品
目は□□□□□□□□□□□、□□□□□□□、成分名は□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□です。
 本剤については、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□の効能に係
る承認申請がなされたものです。本剤の適応疾病については重篤な疾病に該当すると考え
られます。本剤の有用性についてですが、当該適応疾患の治療法については既承認の□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□を効能・効果として含んでお
り、既存の治療法がないとは言えないと考えます。また、□□□□□□□□□□□を対象
に、□□□□□□に対する□□□を検証することを目的とした□□□□□□□試験におい
て、本剤の有用性が□□□□□□に比べ□□□□□□□ということが示されています。本
剤群の□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□が□□□□□□群を上回ること、□□
□□□において本剤群における□□□□□□□□□□□が□□□□□□群を上回ってい
る等、本剤が既存の治療法より特段に優れているとは言えないと考えます。
 以上より、本剤は適応疾患は重篤であるものの、既存の治療法と比較して特段の有用性
は認められないことから優先審査品目に指定しないこととしました。この品目については
通常の審査を経た後に改めてこの部会で御審議いただくことになると思いますので、その
際にはよろしくお願いいたします。以上です。
○事務局 続いて議題7、医療用医薬品の承認条件の解除について御報告いたします。資
料15-1、差し替えを御用意ください。販売名、レミケード点滴静注100、一般名、インフ
リキシマブ(遺伝子組換え)、承認取得者、田辺三菱製薬株式会社の承認条件の一部解除に
ついて御報告いたします。
 本剤は、平成14年1月にクローン病治療薬として承認されて以降、平成15年7月には
関節リウマチ、平成22年1月には乾癬、同年4月には強直性脊椎炎の効能を取得してお
ります。2ページ目を御覧ください。今回の対象であるベーチェット病による難治性網膜
ぶどう膜炎については、国内の治験症例が極めて限られていることから、製造販売後一定
数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施する
ことにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに本剤の安全性及び有効性に関す
るデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じることの条件を付されて平
成19年1月に承認されています。それを受け、本年6月28日に当該使用成績調査の結果
が提出されました。今般、医薬品医療機器総合機構がその提出資料の審査を行いました。
本調査では効能追加の平成19年1月以降、平成21年6月30日までに収集された安全性
解析対象症例464例を中心に解析を行いました。
 17ページの最後、総合評価を御確認ください。提出されました資料について審査を行
った結果、本剤の有効性及び安全性について現時点で大きな問題はないと判断しました。
そのため、ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎に係る承認条件については確認で
きたものと考え、当該承認条件を解除しても差し支えないものと判断しております。以上、
御報告いたします。
 続いて資料15-2、アクテムラでございます。販売名、アクテムラ点滴静注用80mg、同
200mg、同400mg、一般名、トシリズマブ(遺伝子組換え)、承認取得者、中外製薬株式会
社の承認条件の一部解除について御報告いたします。
 本剤は平成17年4月、キャッスルマン病に係る効能・効果で承認され、平成20年4月
に関節リウマチ、多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎、pJIAと略させていた
だきます。そして、全身性若年性特発性関節炎、sJIAに係る効能・効果で承認されま
した。その関節リウマチ、pJIA、sJIAの効能・効果に関する承認条件として、1.
製造販売後、一定数の症例に係るデータが蓄積されるまでの間は、全症例を対象に使用成
績調査を実施することにより、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、
本剤の適正使用に必要な措置を講じることが付されました。それを受け、本年6月28日
に関節リウマチ及びpJIAを対象とした特定使用成績調査の結果が提出され、医薬品医
療機器総合機構が提出資料の審査を行いました。なお、sJIAにつきましては今回の審
査報告対象とはされておりません。
 本調査では、平成20年4月の効能追加以降、平成21年7月15日までの3,987例を中
心に解析を行いました。22ページの総合評価を御覧ください。提出された資料について
審査を行った結果、本剤の安全性及び有効性について、現時点で新たな対応を必要とする
問題はないと判断しております。そのため、関節リウマチ及びpJIAに係る承認条件1
については確認できたものと考え、当該承認条件を解除しても差し支えないものと判断し
ています。以上、御報告いたします。
○松井部会長 ありがとうございます。議題4~7について、何か御質疑はございますか。
 特段ないようですので、報告事項については御確認をいただいたものといたします。
 本日の議題は以上です。事務局から何か報告はありますか。
○事務局 次回の部会は、既に御案内のように8月26日(木)、午後4時から開催させて
いただく予定です。どうぞよろしくお願いいたします。
○松井部会長 以上でございます。会議の終了が遅れましたことをおわびいたします。本
日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。


(了)

備考
  本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 中山(内線 2746)

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