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2010年8月11日 平成22年度第1回血液事業部会運営委員会議事録

医薬食品局血液対策課

○日時

平成22年8月11日(水)15:00~17:00


○場所

航空会館 501+502会議室


○出席者

出席委員:(5名)五十音順、敬省略、◎委員長、○委員長代理

○大平 勝美、岡田 義昭、◎佐川 公矯
半田 誠、山口 照英

欠席委員:(1名)敬称略

花井 十伍

参考人

日本赤十字社

○議事

○難波江補佐
それでは、ただいまから「平成22年度第2回血液事業部会運営委員会」を開催いたしたいと思います。なお、本日は公開で行うこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。
 本日の出欠状況ですが、花井委員は今日は見えられないかもしれないということでございますが、5名の委員の方には御出席いただいております。
また、本日は採血事業者等、血液事業の担い手として、日本赤十字社血液事業本部経営会議委員の田所憲治さん。総括副本部長の俵国芳さん。副本部長の石川隆英さん。副本部長の日野学さんにお越しいただいておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次に事務局にも異動がございましたので、御紹介させていただきます。7月30日付けで血液対策課長に亀井美登里の後任として、三宅智が着任いたしました。
○三宅血液対策課長
 御紹介いただきました、血液対策課長を拝命いたしました三宅でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は10年余り前には医薬局の安全対策課の方で副作用関係をやっておりました。国立感染症研究所にも一時、席を置いたりしておりまして、この血液事業関係にもその意味では関係があるところにおりました。血液製剤は極めて有効なものであり、多くの人たちがそれによって命を救われている面がありますが、もう一方で、やはり安全性ということで諸刃の刃の面を持っております。この運営委員の役割は迅速にそうした安全性の問題に対応していただくということで、非常に大事なものと感じております。どうぞよろしくお願いいたします。
○難波江補佐
 また、他の業務で現在遅れておりますが、血液対策企画官に光岡俊成の後任として、安田尚之が着任しております。後ほど御紹介させていただきます。カメラの頭撮りはここまででお願いいたします。
 では、佐川委員長、以降の進行をよろしくお願いいたします。
○佐川委員長
 佐川公矯と申します。本日の司会進行役を務めます。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに事務局より資料の確認をお願いします。
○難波江補佐
 お手元の資料を確認させていただきます。まず頭に議事次第がございます。1枚おめくりいただきまして、座席表、委員名簿、資料1は前回の議事要旨でございます。資料2は2部構成になっておりますが、感染症定期報告。頭紙の部分とクリップどめの論文一式になっております。資料3-1、3-2、3-3がございます。資料4が、第63回WHO総会の決議でございます。資料5-1が、血液事業本部のこの一年。資料5-2が、血液事業の広域運営体制について。横の紙になっております。資料6-1、6-2、6-3、6-4はクリップどめで一式になっております。資料7が、血漿分画製剤の自給率の推移でございます。以上でございます。不足がございましたらお申し付けください。
○佐川委員長
 それでは、議題1「議事要旨の確認」でありますが、資料1としてお配りいたしました議事要旨について、御意見がありましたら事務局まで御連絡ください。
 次に議題2の「感染症定期報告について」です。まず事務局から御説明をお願いします。
○難波江補佐
 お手元の資料2「感染症定期報告に関する今後の対応について」の御説明でございます。今年の3月1日~5月31日までに届きました論文の方をまとめております。新規の論文としては30本ございます。5ページからになっております。1つずつ御説明させていただきます。
 1つ目はE型肝炎で、昨年名古屋で開かれましたISBTで報告されたものでございます。HEV陽性血液の輸血を受けた受血者のルックバック調査から、血液製剤中のHEV高値5.4 log/bag以上がウイルス伝播に関連づけると考えられた。一方、赤十字社では北海道においてHBV、HCV、HIVに加えて、HEV NATスクリーニング検査を行っているが、2005年1月~2006年3月には検査結果が判明する前に輸血が行われた場合があった。
 過去に供血保管検体のルックバック検査によりHEV陽性血液製剤の輸血を受けた13例が判明したが、HEV感染の兆候を示した4例中3例がE型肝炎を発症し、一例は一過性のALT上昇を示した。輸血された4製剤のHEVウイルス量とジェノタイプは、5.4(G4)、5.5(G3)、5.8(G4)、6.8(G3)log/bagであり、HEV感染を起こさなかった4例へ輸血された4製剤では、4.4未満、4.4未満、4.3、5.5であったと。ジェノタイプ4は3より毒性が高い可能性が示唆されたというものでございます。
 6ページの資料番号2でございます。HTLV-1に関する報告でございます。長崎市におけるHTLV-1の感染率はATLの発症率とATLの発症率を献血者からではなく、2000~2007年に長崎大学病院を受診した患者10,261名の抗体検査データ及び長崎県にがん登録された、長崎市内で診断を受けたATL患者360名のデータを評価した。
 その結果、患者10,261名中HTLV-1抗体陽性者は1,392名、陽性率は13.57%であり、女性が有意に高かった。HTLV-1キャリアの大まかな生涯ATL発症リスクは男性で7.29%、女性で3.78%と推定され、また出生年別抗体陽性率及び年間HTLV-1キャリア推定人数からキャリア10万人当たり年間ATL発症率を推定した。本試験の出生年別HTLV-1抗体陽性率は過去に報告された供血者の陽性率と比べて約50%高く、また過大評価の可能性はあるが、長崎市において高齢者のHTLV-1キャリアの大規模集団が存在することが示唆されたという報告でございます。
 7ページ、文献番号3。同様にHTLV-1でございます。HTLV-1抗体陽性供血者キャリア白血球除去前に採取した血液検体の末梢血単核細胞または凝固血液からDNAサンプルを抽出し、HTLV-1プロウイルス量を調べ、献血者のプロウイルス量の分布と過去のデータから血液検体の80%に感染リスクがあると仮定し、感受性を持つプロウイルス量を推定した。その結果、HTLV-1抗体陽性供血者の血液成分中のHTLV-1感染細胞の最大数4.9×(10の4乗)は、推定される感染ウイルス量6×(10の5乗)感染細胞よりかなり低く、血清学的スクリーニングと白血球除去により輸血感染リスクは事実上排除されていることが示されたという報告でございます。
 続きまして、4番、アメリカ・トリパノソーマ、シャーガス病でございます。米国の血液供給におけるT.cruziスクリーニングの費用対効果についての報告である。米国の供血血液の75~80%にT.cruziスクリーニング検査が行われており、29,000名当たり1名が陽性と考えられる。本報告ではT.cruziの脅威とその制圧にかかる費用を評価するために、異なるスクリーニング条件下で受血者の仮想コホートを設定し、生涯コストと健康に関する結果を比較するために、病気進行モデリングを用いた。7つの供血者もしくは献血検査の方法を分析し、スクリーニングしない場合と比較した。その結果、モデルにおいて最も影響のあるパラメーターは輸血されたポピュレーションの特徴と関連しており、生存率、健康状態ユーティリティー及び将来の健康状態の低下率である。T.cruziに関しては血清陽性率及び伝播効率が最も影響している。本分析は選択的なT.cruziスクリーニングは全数検査とほぼ同等の効果があり、低コストであることを指示しているという報告でございます。
 これまでで何か御意見がございましたら、いただけますでしょうか。
○佐川委員長
 何かございませんでしょうか。山口先生、どうぞ。
○山口委員
 1番の論文ですけれども、添付されているのが抄録だけです。日赤の研究所から出されている報告ですので、もしわかったら教えてください。今までHEVはこれまでもジェノタイプ4が劇症になったりするということで毒性が強いと言われていたと思うのですが、今回のものは多分劇症になった方はいらっしゃらなくて、肝炎が発症したその程度はジェノタイプ3よりも4の方が多かったという解釈でよろしいでしょうか。
○日野副本部長
 手元にデータがございませんので、詳しい話は現時点ではできないのですけれども、たしか私の記憶ではジェノタイプ3がメインだったと思いますし、スクリーニング状況においてもジェノタイプ4は北海道において5%程度の割合です。そのような状況からすると、ほとんどなかったと思っています。
○佐川委員長
 よろしいでしょか。私から岡田先生にお聞きしたいのですが、文献番号3はHTLV-1のプロウイルス量が実際に調べてみたら、感染が成立するだけの数はないという論文のように思いましたけれども、これからすると献血血液によるHTLV-1感染は非常に可能性が低いものと解釈してよろしいでしょか。
○岡田委員
 そうですね。抗体のスクリーニング、プラス白血球除去がありますので、非常に少ないと考えていいと思います。
○佐川委員長
 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。
 では、お願いします。
○難波江補佐
 続きまして、文献番号5番、ウイルス感染でございます。Mayaro virusはアルファウイルス属トガウイルス科に属し、ジェノタイプD及びLの2系統が確認されている。2008年2月、ブラジル北部サンタバーバラにある村でMayaro virusのアウトブレイクが起こり、患者は発疹、発熱及び重篤な関節痛が最長7日間続いた。患者血清検体のIgMをELISAで検査した結果、36検体からMayaro virusに関するIgMが検出された。Mayaro virus分離株3株がジェノタイプDと確認され、また村で捕獲した蚊にはMayaro virusの主要な媒介蚊であるHaemagogus janthinomysが含まれるという方法でございます。
 続きまして、8ページの文献番号6、同じくウイルス感染でございます。2009年8~9月、イタリアにおいて脳髄膜炎と診断された発熱及び神経的特徴を伴うびまん性大B細胞リンパ腫患者にUsutu virusの神経侵襲性感染が認められた最初の報告である。脳脊髄液はUsutu virus陽性であり、Usutu virusはRT-PCR及びシークエンスにより血清及び血漿で検出された。ウイルス遺伝子のプレメンブレン及びNS5領域の部分シークエンスはUsutu virus Vienna及びBudapestに類似しているという方法でございます。
 続きまして、7番もウイルス感染でございます。アルブミン溶液、プロトロンビン複合体及び血液凝固第?因子からパルボウイルスB19及びtorque teno virusを除去するナノフィルトレーションの可能性を評価した。実験の規模を小さくし、覚せい剤にそれぞれのウイルスDNA陽性血清を添加し、35nmに続いて15nmのナノフィルトレーションを行った。ウイルス量の測定はリアルタイムPCRによって行われ、15nmナノフィルトレーションは3製剤からB19ウイルスについて4.0log以上の除去能を示し、torque teno virusについては15及び35nmナノフィルトレーションによりアルブミン溶液及び第?因子からそれぞれ3.0log以上の除去能を示した。また、これらの処理後、ウイルスDNAは測定されなかったが、一方、15nmナノフィルトレーションの後、プロトロンビン複合体ではtorque teno virusが検出されたという報告でございます。
 続きまして、9ページの8番、黄熱でございます。米国赤十字社はyellow feverワクチン接種者には2週間の供血延期を求めておりますが、2009年4月10日に病院の血液バンク管理者は、血液製剤が供血4日前にyellow feverワクチンを接種した米国訓練兵89名から集められたことに気づいた。本報告では供血延期の過失を特定し、輸血に関連した黄熱ワクチンウイルス感染かどうかを決定するために、病院とCDCによって行われた調査を概説している。迅速な回収にかかわらず、6ユニットの血液製剤が5名の患者に輸血された。臨床所見や重篤な有害反応を示す検査値の異常は輸血後一月以内においては4人の輸血者には見られなかった。5例目は前立腺がん及び輸血依存性末期のB細胞リンパ腫の患者であり、ホスピスケアを受け亡くなった。生存者4名のうち3例では黄熱ウイルスワクチンの血清学的反応が検出された。本報告は輸血に関連した黄熱ワクチンウイルスの感染が起こることを示し、かつ慎重なスクリーニングと直近にワクチン接種した人の供血延期の必要性を強調しているという報告でございます。
 9番目も黄熱病で、2009年4月、ブラジルにおいて母親が分娩後に黄熱ワクチンを接種し、黄熱ワクチンウイルスが母乳を介して乳児に伝播したとの報告がなされたという報告でございます。
 以上、ここまでで御意見等がございましたら、よろしくお願いします。
○佐川委員長
 いかがでしょうか。何か御意見、コメントはございませんでしょうか。
 ないようですので、続いてお願いします。
○難波江補佐
 続きまして、10ページの文献10、クラミジアの報告です。フランスにおいて家禽と殺場の従業員3例に非定型肺炎が起き、10の養鶏場で疫学調査が行われた。25調査群中19群にクラミジア関連因子が検出され、オウム病クラミジアが検出されたのは陽性中1群のみであり、これまでに分類されていない新規クラミドフィラ属の存在が明らかとなった。更に6陽性群からクラミジア菌を分離した結果、すべてのサンプルにおいて16srRNA遺伝子配列の相同性がほぼ一致し、また、現在認められているクラミドフィラ属の株とは異なるが、同属であることが示されたという報告でございます。
 11番目、細菌感染でございます。日本において初流血除去導入前及び導入後の血小板濃厚液の細菌汚染頻度を調査した。日本赤十字社が供給する、初流血除去導入前及び導入後の有効期限切れ血小板濃厚液を用い、保存から4日以上後に血小板検体をサンプリングし、好気性及び嫌気性ボトル双方に10mL量を接種した。その結果、細菌感染は初流血除去導入前後で0.17%から0.05%に減少し、減少率71%。臨床的に重大な細菌の汚染件数は4件、0.01%であった。本結果より初流血除去の効果は細菌汚染頻度において顕著であった。また、細菌汚染頻度は西洋諸国と同等であり、バイオスクリーニング検査は非実施であるにもかかわらず、日本ではPC輸血後の敗血症反応の発現頻度が低いのは、日本でのPCの保存期間が72時間と短いことが理由として考えられ、この重要性を示唆する結果であった。
 続きまして、12番のチクングニアでございます。これは2010年4月7日現在、チクングニアのアジア及びインド洋における報告でございますが、インドネシア、タイ、マレーシアなどでチクングニアがはやっているという報告でございます。
 以上、ここまでで何かございましたら、よろしくお願いします。
○佐川委員長
 今までの御報告で何か御意見はございませんでしょうか。日赤がやっている初流血除去は効果があるというTransfusionに載った論文。岡田先生、どうぞ。
○岡田委員
 初流血除去は有効な方法です。当初は余り有効ではないのではないかという話もありましたけれども、20,000例の検討で減少させることに有効であったということが統計学的にも示されたということです。
 ヨーロッパで不活化を検討している国においても、日本に注目している国もあります。ヨーロッパですと5日間が主流ですけれども、それを可能であれば日本並みにしたいというような国もありますので、そういう面では日本のやっている方法は、不活化は導入しませんけれども、72時間で保っているところで、血小板の機能低下も防げるということで、この72時間がキープできれば経済的にも、今後有効で安全な不活化法が開発されれば話は違ってくると思いますけれども、現時点においてはこの72時間をキープできるうちであれば、血小板の安全性はスクリーニングをやっている国と同等だということを示していると思います。
○佐川委員長
 ほかに何かございますか。
○日野副本部長
 先ほどの山口先生の御質問ですが、この論文の発表以外に、日赤の方では8件確認しているのですけれども、そのうちのジェノタイプ4に関しては2件あったという情報を持っています。いずれも先生が御存じのように、血小板での劇症化は今のところはございません。
○山口委員
 ありがとうございました。
○佐川委員長
 よろしいでしょうか。血小板の細菌感染が初流血除去と保存期間が諸外国に比べて短いというこの2つの要素で少ないという論文で、その評価もそのとおりであるという岡田先生からのコメントでありました。
半田先生、どうぞ。
○半田委員
 私が信じたのは欧米と同じくらいの汚染率だということですけれども、日本は成分採血が100%近い。汚染ということに関しましては、それと全血採血との違いは余り反映はされないのでしょうか。
○佐川委員長
 田所先生、お願いします。
○田所経営会議委員
 日本でのデータはそんなにないというのは、全血由来の血小板がないので日本のデータはないのですけれども、外国での汚染率を見ると、成分と全血由来の血小板とで、汚染率はそうないというお話が出ています。ですから、そこはどれほど効果があるのかはわからない。日本でのデータが少なくともないということがあります。
 もう一つ、先ほど有効期間が日本は短いということを申し上げて、現在は4日にしているのですけれども、日本の4日という数え方は採血した日が1なんです。それで2、3、4と行くんですけれども、欧米は同じ5日といった場合、採血した日は0です。それから1、2、3、4、5と行きますから、同じ日でも欧米の方が長いということは少し知っておいていただければと思います。同じ5日と言っても日本の方が実は短いということです。
○半田委員
 そうすると、もし安全性という意味から言うと、勿論、保存期間は短くする。初流血除去、成分採血はもう一つ進めるべきなのかどうかは答えが出ないということですね。この論文では最初の2つは確かに日本が、そういう意味では欧米に比べたら、安全性という意味では有利な点であると。成分に関しては最近感染のリスクという意味では、成分採血は余り貢献していない可能性もあるということですね。
○田所経営会議委員
 それをはっきり証明する日本のデータがないというぐらいに解釈いただければと思います。欧米のデータで成分由来とプールした全血由来の血小板の細菌汚染頻度は変わらないという論文があるということですので、日本で成分と全血由来の発症頻度とそれを混ぜたときの実際の細菌汚染がどうなるかは、きちんとしたデータを出してみないとわからないところがあるので、何とも言えないです。
○佐川委員長
 よろしいでしょうか。では、続けてお願いします。
○難波江補佐
 続きまして、11ページの13番でございます。アメリカ領でございますが、プエルトリコでは2007年から2005年のアウトブレイクにより更に大きなデング熱アウトブレイクが起き、この間の供血者におけるデング熱ウイルス血漿の割合について調査が行われた。調査用に保存されたサンプルは、米国及びプエルトリコで輸血されたユニットであり、TMAで初回陽性であったサンプルは再検査が行われ、再度陽性を示した場合には追加検査が行われ、確定された。検査が実施された15,350サンプルのうち、初回陽性は28、再度陽性は25サンプルであり、陽性の割合は1対614であった。
 また、米国に輸出されたデング熱陽性供血者は12例、再度陽性では13例であった。再陽性サンプル中の約半数はIgM陰性で、高力価ウイルス血症を示し、細胞培養検査において感染性が認められた。デング熱が流行している間は供血者のスクリーニング措置が検討されるべきであるという報告でございます。
 続きまして、14番、バベシア症です。American Red Crossはバベシア症の拡大報告を受け、米国7州での供血検査の実施を提案している。近くTransfusion誌に掲載予定の研究報告3報では、供血血液のBabesian microtiに対するIgG抗体を調査した結果、コネチカット州及びマサチューセッツ州で広範囲な拡大が確認され、ロードアイランド州における輸血を介した感染の広がりを特定し、2005~2007年にAmerican Red CrossのHemovigilance Programに報告したTTB症例の分析がなされた。これらの報告はバベシア及びTTBが増加している危険性への懸念が強調されており、ARCは感染地域での供血血液検査を行う2つの提案を作成した。
 まず、コネチカット州でimmunofiuoresence assayによる全血献血された供血血液検査、陽性供血者の供血延期などを行い、この結果次第であるが、他の6州でも検査範囲を広げる予定である。バベシア症はIxodes属のマダニによって伝播し、大部分の感染者は無症候か軽症で何か月も続く可能性がある。現在、FDAが認可した検査方法はなく、寄生虫保有者が供血した場合、受血者への輸血を介した感染の可能性があるという報告です。
 15番、パルボウイルスです。成分輸血によるパルボウイルスB19感染を評価するために、供血者と受血者の関係が既知である保存血液検体及びB19ウイルスDNA定量可能なPCRを用いて、B19ウイルス感受性(抗B19V IgG陰性)である受血者のB19ウイルス感染について調査した。輸血前B19VのIgG抗体陽性率が78%である手術歴のある患者群に輸血が行われた105名の供血者からなる112のB19V DNA陽性である成分輸血について評価した。B19V DNAが10の6乗IU/mL以下である成分輸血を受けた輸血者24名には感染が認められず、B19V DNAが10の10乗IU/mL以上である成分輸血を受けた輸血前の抗体陽性がある受血者1名に既往反応が認められた。B19V DNAが10の6乗以下である成分輸血からは感染は起こらない。もしくはまれであることが示唆された。献血の定常的なスクリーニングにB19V DNAのNAT検査は不要であることを支持しているという報告でございます。
 日本語訳に若干訂正がございまして、一番最後のところですが、英文では「献血の定常的なスクリーニングにセンシティブな」とございますので、感度のいいB19V DNAのNAT検査は不要であると支持しているという訳に訂正させていただきます。
 続きまして、16番ですが、これは前回レビューを岡田先生に行っていただきましたXMRVでございまして、この論文はすべてネガティブであったという報告でございますが、もう既に報告いただいておりますので、割愛させていただきます。
 ここまでで何かございましたら、よろしくお願いします。
○佐川委員長
 今までの報告で何かございませんでしょうか。半田先生、どうぞ。
○半田委員
 このパルボの15番の案件ですが、これは多分、血漿分画製剤に関することなんでしょうけれども、輸血用血液製剤は我が国では赤血球の凝集反応で調べているわけですけれども、私どものところで1例、ごくまれですけれども、それをすり抜けて感染した症例が出ていました。このDNAの10の6乗IUレベルは凝集反応からいいますと、これは検出感度内のものなのでしょうか。要するに日本の輸血用血液製剤の安全性という意味では、今のいわゆる凝集反応で、この文献とすると問題ないということでよろしいのでしょうか。
○佐川委員長
 10の6乗IU以上以下で、日本のスクリーニング方法とどれくらい整合性があるのでしょうかという質問だと思いますけれども、いかがでしょうか。
○田所経営会議委員
 今は凝集法ではなくて抗原を使ったCLEIA法ではかっています。その抗原を測定しているということです。その感度はIUに相当すると大体10の7乗以下であることは、ほぼできているんですけれども、すべてが6乗以下であるかというと、ちょっと違うかと思います。
○佐川委員長
 山口先生、どうぞ。
○山口委員
 今の論文の関係ですけれども、抗体陽性率が全体で78%だったとされていますが、15番の論文のテーブル1の中で20から10の6乗IUまでの間での抗体陽性のドナーは2例しかないので、これだけでは余りにもn数が少ないような気がしまして、10の6乗を安全性のクライテリアにするには例数が少ないのかなという気がしております。
○岡田委員
 私もそう思います。これは10の5乗以上の方は3人しか対象がないので、すべてが抗体陽性の方なので、これで感染するかしないかは言えないのではないかと思います。
 それと、これは輸血用血液ですけれども、FDAはSDプラズマで感染事故が5年以上前に治験の段階に起こっているんです。そのときは10の4乗以下の/mLのパルボを輸血された人は抗体陽性にならなかったということで、10の4乗で線引きしているんです。そうすると今回の報告と100倍くらいの差があります。ですので、これは10の6乗の数字だけを見てしまうと、そこで線が引かれそうな感じなんですけれども、実際はまだわからないです。
 それとホスト側の要因として、やはり自己免疫性疾患などで溶血が非常に起こっているような免疫性の溶血疾患ですと、どうしてもパルボが感染しやすいということもありますので、この10の6乗で線を引くのは慎重にしないといけないと思います。
○佐川委員長
 日本では別の方法でスクリーニングをかけているわけですね。これからCLEIA法でやったデータがだんだん出てくると思いますけれども、いかがでしょうか。
○田所経営会議委員
 先ほど言いましたように、今はCLEIA法で抗原を測定しています。その主な目的は分画製剤におけるパルボウイルスの低減を図るということで行っています。
 結果として、血漿をプールしますので、先ほど言った我々の現状の感度で製剤としては、PCRで製剤レベルで測定すると10の4乗以下になっています。輸血の感染については、これまで感染症報告がすべて行われて、たしか私の記憶では7例くらい感染例が見られます。どれくらいの重症度かというと、例えば移植後に赤血球の回復が遅れるとか、一部は白血球の低下等も見られた例もあるという程度で、決定的に治療できなかったという例は今のところはないということかと思います。その中には今、言われた10の6乗以下のコピー数もあったかと思います。
○佐川委員長
 よろしいでしょうか。では、続けてお願いします。
○難波江補佐
 続きまして、13ページの17番でございます。インフルエンザでこれは今年の1月の報告ですので、かなり時間が経ったものでございますが、CDCから出されている週間報告でブタインフルエンザ(H3N2)のヒト感染が見られたというものでございます。ただ、ヒトヒト感染を疑う証拠は認められていないというものでございます。
 18番も新型インフルエンザA(H1N1)の報告でございます。欧州連合の血液規制委員会がH1N1インフルエンザパンデミックが血液供給に不足をもたらすとの報告があることから、血液供給を十分確保するために2つの規制を緩和することを検討している。欧州各国代表は、深刻なパンデミックにより10~15%の輸血用血液が不足となる事態を懸念している。委員会は欧州内のassociation of national suppliers and regional alliances及び各国規制機関に出席を依頼し、安定供給を維持するためにどの規制を緩和するか検討した。インフルエンザ様症状回復後の献血延期期間の短縮及びヘモグロビン値の基準の緩和を検討しているという報告でございます。
 19番も新型インフルエンザH1N1でございます。重症パンデミック2009インフルエンザA(H1N1)ウイルス感染とイムノグロブリンG2欠損との関連を調査するため、H1N1感染患者集団におけるIgGサブクラスのレベルを調べた。H1N1感染患者は重症、中程度、健康妊婦に分類し、血液サンプルを比較した。低アルブミン血症、貧血、総IgG・IgG1・IgG2レベル低下については、統計学的に有意に重症H1N1感染と関連が見られた。多変量解析後にも有意差が見られたのは低アルブミン血症と平均IgGレベル低下であった。IgG2欠損患者を平均90日間追跡調査をしたところ、低アルブミン血症のほとんどの患者で解消していたが、IgG欠損は解消されなかった。健康妊婦では軽度のIgG1、IgG2低下が認められたが、H1N1感染妊婦ではIgG2レベルが有意に低かったという報告でございます。
 20番目は12月の運営委員会に日赤より報告いただいた、献血後に新型インフルエンザを発症した、または疑われた方、96名の血液について調べたところ、いずれからも検出されなかったという報告が論文になったというものでございます。
 14ページの21番、同じく新型インフルエンザでございます。2009、2010年のノルウェーにおいて、2009パンデミックインフルエンザウイルスのhaemagglutinin HA1に変異のあるD222Gは死亡及び重篤症例に頻繁に認められたが、中程度の症例では事実上認められなかった。この差異は統計的に有意であり、本結果はこの変異と臨床症状間における因果関係では一致している。本報告は重症例の転帰の関係であるパンデミックウイルスにおける変異の特定を行った最初の報告である。一方、非重篤症例においても、実際に変異ウイルスが非常に低い頻度で流行しているかを判断するためにさらなる軽度の症例数が必要であるという報告でございます。
 22番は鳥インフルエンザでございます。鳥インフルエンザ(H5N1)の感染者における組織分布及び肺以外での臓器での複製能を調査するため、感染患者の剖検を実施した。ウイルス量は脾臓に比べて肺で最も多く、心臓・肝臓・腎臓・大小腸及び脳ではウイルスは検出されなかった。また、ウイルス量は右肺に比べて左肺でより多く検出され、左肺の病理組織により重篤な損傷が認められた結果と一致し、また、左肺組織には+/-鎖双方のウイルスRNAが存在した。一方、低ウイルス量であった脾臓には+鎖ウイルスRNAは認められず、循環血液などによって運ばれた可能性が示唆されているという報告でございます。
 以上、インフルエンザ関係でございました。よろしくお願いします。
○佐川委員長
 御意見、コメントはございますか。よろしいですか。では、お願いします。
○難波江補佐
 続きまして、15ページ、BSEでございます。スイスからの報告ですが、スイスにおいてBSEを発症したウシの仔(グループA)に血漿中PrPresが産生されているかを調査し、また、健常ウシ(グループB)と陽性頻度を比較した。グループAはBSEを発症したウシの仔181頭、グループBは2001~2006年にBSE症例のないスイスの健常ウシ240頭でなっている。すべての血漿はAlicon Prio Trapを用いて評価され、PrPresの生前検査が行われた。仔181頭中29(16.1%)は血漿中PrPres陽性であり、母ウシがBSEを発症する1年以内前に生まれた仔は、母ウシ発症の1年以上前に生まれた子より、PrPres陽性血漿の頻度は顕著に高く、健常ウシでは240頭中10(4.2%)であった。PrPresはウシ血液中に検出可能であり、健常ウシ群よりBSE発症ウシの仔により高頻度に検出されたという報告です。
 続きまして、24番です。これは昨年12月の運営委員会でサーベイランス委員会の山田先生にお越しいただいて発表いただいた内容でございます。日本のCJDサーベイランス委員会により、最近の9年間で登録された患者に行われた医療(外科処置、脳神経外科処置、眼科手術及び輸血)が調査された。孤発性CJD(sporadic CJD)753名と対照被験者210名からなる症例対照試験において、プリオン病がsporadic CJD発症前に調査対象の医療を介して伝播したことを示すエビデンスは見出せなかった。これまでに報告された症例対照試験のレビューにおいて、輸血がCJDの有意なリスク因子であることが示されたことはなく、本試験も同様の結果であった。本試験においてsporadic CJD発症後に手術を受けたsporadic CJD患者の4.5%はsporadic CJD発症後に手術を受けており、sporadic CJD発症後ですら手術を受けた患者がいる事実は、医療処置を介したプリオン伝播の可能性を除外できないことを示唆しているという報告でございます。
 30番までヤコブ病関係の報告でございますので、一気に行かせていただきます。
 25番です。NIHの研究者はマウスにおいてプリオン関連の障害の特徴であるスポンジ様脳損傷を引き起こさないプリオン病の新しい形状を報告した。この新しいプリオン病は脳動脈を破壊するアルツハイマー病と関連した脳アミロイド血管障害と似ている。本研究はプリオン病の兆候が多数発現したが、プリオン病を代表するニューロン内外のスポンジ様の穴は観察されず、マウス脳は動脈、静脈及び毛細血管の損傷により血管外で捕捉されたプリオンタンパクプラークが蓄積されていたという報告でございます。
 26番は既に御報告いただいていますが、英国のvCJDリスクが高いと考えられているが、血液病患者17例を剖検した結果、1例で脾臓にプリオンが見られたという報告でございます。
 27番ですが、感染性プリオンタンパクの除去を目的とした孔径15nmのウイルス除去フィルターの評価を行った。フィルターろ過前にアンチトロンビンサンプルに異なる2つの方法で調製されたプリオンサンプルをスパイクした。動物を用いたバイオアッセイによるlog reduction factorは、2回の独立したろ過において4.72以上及び4.0であった。しかしながら、感染性は15nmフィルターろ過したサンプルの超遠心分離後の沈殿物と上清の両者に検出され、完全除去は困難であることが示された。本データは感染性プリオンタンパクの一定量は直径15nmより小さい。もしくは可溶性であるとの結論を提示しているというものでございます。
 28番です。2008年6月、30代男性が13か月にわたる人格変化、進行性不安定及び知能低下にて入院し、2009年1月に死亡した。病歴において輸血及び他人からの臓器移植は受けていなかった。患者のprion protein geneのコドン129には疾病と関連が知られている変異はなく、ヘテロ接合体であった。vCJDとの診断は、臨床症状と進行、MRI所見、他の診断を排除した結果なされ、また、孤発性CJDは不適当と判断された。ヒトPrNPのコドン129における多型がプリオン病の大きな感受性因子となっており、これまでのvCJDでは全症例がメチオニンホモ接合体であったという報告でございます。
 29番。英国CJDサーベイランスの月間統計の報告でございまして、2009年には2名のvCJD新規症例が登録されたが、英国におけるvCJDアウトブレイクは減少しているとする見解と一致しているというものでございます。
 30番。これは英国の血液の諮問委員会の第8回会議の要旨でございます。プリオンフィルターについて、プリオンフィルター処理赤血球の安全性を評価する臨床試験(PRISM trail)及び同製剤の有効性評価からの新しいデータがvCJDワーキンググループから報告された。臨床試験の初期結果は有望であったが、この試験には完了まで時間がかかることがわかり、動物を使用した内部の有効性試験からデータが得られるのは2014年になる。これらの情報と分析から、委員会は本フィルターが感染を低減する十分な証拠が現在あるとし、PRISM臨床試験の完了条件として、フィルター処理赤血球は1996年1月1日以降に生まれたヒトへの提供を推奨するというものでございます。以上でございます。
○佐川委員長
 今までの御報告について、何か御質問、御意見はございませんでしょうか。CJD関係のものがたくさんあります。
○岡田委員
 28、29と関係するんですけれども、今までvCJDを発病した患者さんはすべてメチオニンのホモだったんですが、この28番目の論文ではそれがヘテロの人が発症したという第1例目ということですね。最終的には、この方は病理解剖を受けていないので、病理学的に本当にvCJDかどうかは確認されていないんですけれども、臨床症状と臨床検査等で間違いないだろうということです。29番目の論文で、2009年は2名ということで減ってきているんです。
○岡田委員
 動物実験投与にヘテロのプリオンの型を持っているのは、感染させてから発病するまで非常に時間が長くかかると言われています。そうしますと28番目の論文で最初のヘテロの人間の患者さんだということになると、場合によっては今後、一過性にヘテロの型が発病してくる可能性があります。ですから、イギリスのvCJDの患者さんは2名とかどんどん減っているんですけれども、山が出てくる可能性はあるかなと思っています。
 日本人の多く、90%以上の方はメチオニンのホモを持っておりますので、ヘテロの方は逆に非常に少ないということで、日本人の方で英国に滞在していて、感染していても発症していないという方の率は、メチオニンのホモが多いということから考えて非常に少ないだろうということが推定されます。ですので、イギリスのvCJDの患者さんは若干、今後増える可能性があるということですね。
○佐川委員長
 ということでございますが、半田先生、どうぞ。
○半田委員
 26番目の文献ですが、これは血液病の患者さんで、この方もヘテロで脾臓にプリオンがあるということは、まだ潜伏期間である可能性があるということですか。
○岡田委員
 そうです。
○佐川委員長
 今後もうちょっと見ないといけないということですね。よろしいでしょうか。
 それでは、ただいまの文献報告をいただきましたけれども、御報告を念頭に置いて、引き続き感染症の報告の収集等をお願い申し上げます。
 続きまして、議題3「血液製剤に関する報告事項について」です。遡及調査の進捗状況、副作用感染症報告の状況、これまで報告された事例のその後の対応状況について報告をいただきます。事務局からお願いいたします。
○難波江補佐
 では、お手元の資料3-1について御説明させていただきます。
 3ページをごらんください。これは供血者から始まる遡及調査の実施状況でございます。右側が今年の4月1日~5月31日までの2か月間の数値でございます。遡及調査の調査対象とした献血件数は286件ございました。その製剤の本数でございますが318件で、医療機関に情報提供を行った。これは5月31日現在の数値でございますが、129件でございます。個別NATの結果でございますが、15本で陽性がございまして、すべてHBVだったというものでございます。
 医療機関へ供給された状況でございますが、18本供給されていまして、16本が使用されていたということでございます。その輸血を受けた方の状況でございますが、陽転事例はなかったというものでございます。資料3-1は以上でございます。
○佐川委員長
 資料3-1についての御説明でしたが、御質問はございませんでしょうか。では、引き続き、お願いします。
○難波江補佐
 続きまして、資料3-2でございます。これは医療機関からの報告でございますが、今回は劇症例と個票として御報告する案件はございませんでした。
 それ以外の報告でございますが、18ページにまとめたものがございます。5月7日~7月19日までの報告でございます。
 1番の(1)でございますが、B型肝炎報告事例は6件ございました。C型肝炎報告事例は4件ございました。HIVはございませんでした。その他に7件ございましたが、1件が前回報告させていただきましたA型肝炎の案件でございます。もう一つが単純ヘルペスの報告でございます。そのほか5件が細菌感染の例でございました。
 B型肝炎でございます。6例のうち個別NAT陽性は2例でございました。C型肝炎ですが、3例のうち個別NAT陽性は0でございました。HIVは報告がなく、先ほど申しましたが、その他ではB、C以外の肝障害報告としてはA型肝炎が1件ほどあったというものでございます。
 以上でございます。
○佐川委員長
 委員の先生方、何か御意見、御質問はいかがでしょうか。
○大平委員
 これまでずっと古くからの経緯を資料として出されているんですけれども、それについて特段、新しいもの以外のものについて工夫していただいて、ページ数を少なくするとか、そういう方法はあり得るのかどうか。余り変わっていないのを出されているというのもあると思いますので、もし効果的なわかりやすい方法として、何か新しいものがあったら、それはきちんと報告するのが大事だと思いますが、平成17年とか16年とか、そういう個票がずっと出ていて、変化がないものについては変化があった時点で何か表記していただくとか、そういうのも工夫していただけたらいいのかなと思うんですが、その点は事務局として何かありますか。
○難波江補佐
 御指摘をありがとうございます。この個表の案件につきましては、まだすべての献血者の方が見えられていないということで、報告したままで日にちを変えて、研究者の方からその結果がわかった場合に、下線で1名増えたとか2名増えたということを毎回報告させていただいているんですが、一枚一枚おめくりいただかないと状況がわからないとなっておりますので、もう少しわかりやすいように事務局の方で、次回以降、工夫させていただきます。
○佐川委員長
 よろしくお願いいたします。岡田先生、どうぞ。
○岡田委員
 24ページのバクテリアの感染が疑われた例だと思いますけれども、24ページの下から3例目ですね。照射赤血球濃厚液を輸血された人が輸血開始約4時間後に体温が39.2℃になって、8時間後も40℃を超えたということ。それで同一採血番号の血漿は陰性だったけれども、患者さんの血培からバチルスセレウスが同定されたということで、バッグが確認されていないので因果関係はなかなか難しいと思いますけれども、このバチルスセレウスは比較的低温でも増えることができる菌ですので、こういうふうに因果関係がなかなかわからないので、こういう輸血の最中とか輸血が終わって直後に熱が出るような症例の場合には輸血バッグを保管しておいて、それを培養すれば因果関係がはっきりすると思います。
○佐川委員長
 そのとおりだと思うんですけれども、両者そろって調べるということができない場合もあるようですが、これについては何かほかの情報はありますか。この症例について、血液バックの検査等、日赤からはいかがでしょうか。
○日野副本部長
 輸血に使用された血液の保存に関しては、以前から国の指針もありまして、それに基づいてやっていただいているところではあるんですけれども、ここ3年間の日赤の方に細菌汚染として報告された症例のバックの保管状況を見てみますと、年々10%程度上がってきてはいます。そういう意味では昨年80%程度まで上がってきてはいますが、今回はたまたまそういう形で保管がされていなかったという症例だったと思います。
○佐川委員長
 こういう症例はちゃんと患者さんの血液とバッグの血液を調べて確認するということを励行したいと思います。ありがとうございました。ほかにはございませんでしょうか。
 それでは、続きまして、資料3-3について、事務局よりお願いします。
○難波江補佐
 その前に血液対策企画官に着任しました安田が到着しましたので、一言ごあいさつさせていただきます。
○安田血液対策企画官
 7月30日付で血液対策企画官に就任いたしました安田と申します。本日はこの前の会議が大幅に長引きまして、会議の参加が遅れましたことをまずおわび申し上げます。
 何分にもこの分野は私は始めての分野でございますが、鋭意努力させていただきたいと思いますので、皆さんよろしくお願いいたします。
○佐川委員長
 よろしくお願いします。それでは、引き続き、お願いします。
○難波江補佐
 それと花井委員より本日は欠席という御連絡がございました。
 それでは、資料3-3になります。献血件数及びHIV抗体・NAT陽性件数でございます。
 一番下、今年の1~6月までの速報値でございますが、献血件数として266万6,292件。うちHIVの陽性件数が39件、女性が2例、NATのみでの陽性は0件ということで、10万件当たり1.463となっております。これは前回1~3月までの速報値を御報告させていただいたときは1.064ということでございましたので、前回かなり低かったわけでございますが、今回は例年並みに戻ってきたというような数値でございます。
 3ページ目に都道府県別の数値を記載しております。39件のうち東京ですが、前回1~3月までは2件だったんですが、この3か月で12件増えまして、今のところ14件となっております。大阪ですが前回5件ということで、若干昨年よりペースが増えたのではないかという御意見をいただきましたが、この3か月で3件ということで8件となっております。
 島根が3件ということで、去年までの24年間で2件しかなかったんですけれども、今年が半年で3件報告されておりまして、島根県全体としての去年まで、献血にかかわらずHIVの報告者全体でも過去25年で9件でしたが、一方で保健所等における検査では3月までのデータですが、保健所等の検査では見つかっておりません。実際の保健所の検査の件数自体も3月までのデータでは、前年を下回って減少傾向にあるということでございます。
 6ページ目です。これは3月までのデータですが、全体の推移と赤と緑で男女の違いを示しておりまして、男性は減っておりますが、女性が伸びているという数値でございます。本日御説明させていただきました内容は、今週金曜日に開催されますエイズ動向委員会でも報告させていただきまして、そちらで新しい最新のサーベイランスのデータと併せて御審議いただく予定でございます。
 また、このように島根で見られましたとおり、保健所の検査に期して、献血において陽性者が急に増加するといった背景には、検査目的で献血に来られている方がいらっしゃる可能性も否定できませんので、検査目的での献血では御遠慮いただくよう周知徹底を図ることが肝要と考えております。
 本日は参考資料として、お手元に献血の差異に献血者に配付している「お願い!」と問診表を日赤よりお持ちいただいたものを配付させていただいております。現在の取組みにつきまして、日赤より簡単に御説明いただけばと思います。
○日野副本部長
 お手元に「お願い!」と書いたA3のものが1つ。もう一つは問診票があります。「お願い!」の方に関しましては、献血を受け入れる段階で献血希望者に見ていただいているものです。
 1枚目の「お願い!」と書いてあるところに関しては、以下に該当する方は献血を御遠慮くださいということで、?@にHIV検査が目的の方に関しては献血を御遠慮くださいという記載があります。
 それ以外に一番最後の「献血後のお知らせ」という4ページ目になりますけれども、こちらに関しては、より安全な輸血医療のためにということで、真ん中に一つは検査目的の献血をお断りする理由とか、エイズ検査の施設ということで、HIV検査の相談マップの方にアクセスしていただければ、全国の保健所及び民間の医療機関になりますけれども、こちらの方の検査機関の情報が得られるという情報を載せているという状況があります。
 それと実際に問診票を書くに当たって、一番上の欄外になりますけれども、赤い字で「エイズ検査の目的の献血は、血液を必要とする患者さんの安全のためにお断りしています」ということで、問診票の一番上にもそういった表示はさせていただいているという状況にあります。
 簡単ですけれども、御紹介させていただきました。
○佐川委員長
 ありがとうございました。ただいままでの報告で何か御質問、御意見はございませんでしょうか。どうぞ。
○大平委員
 今、島根の3件もそうですが、東京でも増加している傾向というところで、エイズ動向委員会の方にも是非反映していただきたいのは、検査機関できちんと検査する方法として、大分こう着状態のままずっと来ているんですけれども、何かもっといい方法がないのかどうかということを保健所も含めて、何かアイデアを出していただいて、やはり献血から検査目的の距離を置いてもらうようにしていただく方法を考えていただくということが大事かなと思います。
 島根のはびっくりしましたけれども、最近の保健所の傾向として、保健所での検査数の減少が言われていますが、それは遺憾なことだと思いますので、厚労省として検査目的というよりは、検査をきちんと推進することが大切なことで、検査をしていただいて、万一感染している方には治療に結び付けていただくという大事な目的がありますので、是非その方向をどういうふうに今後の検討として新しいアイデアを出していただけるようにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○難波江補佐
 ありがとうございます。いただいた御意見は金曜日のエイズ動向委員会で報告させていただきます。
○佐川委員長
 ほかはよろしいでしょうか。それでは、事務局及び日赤においてはただいまいただきました御意見等を念頭に置いて、血液製剤の安全性に関する情報を引き続き収集していただきますようお願いいたします。
 次の議題ですけれども、順番を入れ替えまして、先に議題5「その他」を行いたいと思います。初めに資料4の第63回WHO総会決議について、事務局から御報告をお願いします。
○難波江補佐
 資料4について御説明させていただきます。これは本年5月に開催されました第63回WHО世界保健総会において採択されました血液関係の決議でございます。前2枚に日本語の仮訳を添付しまして、原文は後ろ5~8ページまでとなっております。
 WHO総会は毎年5月に開催されておりますが、これまで血液関係の主な決議としては、この日本語の仮訳にもございます世界献血者デーの設立の提案に関するWHA58.13という決議、これは2005年に採択されております。それから、人の血液と血液製剤の利用と供給に関するWHA28.72という、これは1975年に採択された決議で、各国に献血を基にした国が運営する血液事業の実施を求める決議がございました。
 今回新たに採択された決議の背景でございますが、血液の前半部分に記載されておりますけれども、主に途上国において血液の利用が高まっている一方で、分画技術が欠如していたり、また規制が十分でないため血液の質が分画には適していなかったりする状況にあるということで、途上国における血液事業の質を高めていくことを目的として、各国及びWHO事務局に行動を求めているものでございます。
 3ページに1.からございますのが各国に行動を求めている内容でございます。4ページの2.にあるのがWHO事務局に行動を求めているものでございます。この中で特筆すべきは3ページの1の(1)でございます。そこに「もし特殊な事情がないのであれば、国内自給を達成することを目的として、資源の入手可能性に基づき、国家的に調整され、効率的に管理された、持続可能な血液および血漿プログラムを実施するためのすべての必要な措置をとること」ということを加盟国に求めているものでございます。
 これまで国内事業の達成については、我が国では既に血液法の中に盛り込まれておりますけれども、国際的にはWHO事務局の文章やEUの決議などでは言及さめておりましたけれども、このようにWHO総会の決議として採択されたのは今回が初めてでございます。
 今後ですが、ここに書かれてあります内容につきまして、各国及び事務局がそれぞれ実施をしまして、進捗状況について少なくとも4年おきに報告することがWHO事務局に求められております。
 以上でございます。
○佐川委員長
 ただいまのWHOの総会での報告、決議文についての御報告でありましたが、委員の皆様や日赤から何か御意見、御質問はございませんでしょうか。大平委員、どうぞ。
○大平委員
 大変画期的な決議をしていただいて、日本では血液法がありまして、きちんと国内自給の方向で動いているということが法律上は明記されているんですけれども、国家的に調整されてというところでは、調整されているかどうかでいつも議論になるところで、国内事業の達成については厚労省内での部局内の問題ですとか、WTOですとか、いろいろな障壁の問題とかもなかなか克服できないまま来ているところがあります。こうしたWHOの総会決議できちんとバックアップされることによって、国内自給に向けて、きちんと厚労省としての姿勢、政府のとしての姿勢を示していただけるように、是非毅然と努力していただきたいと思っています。
○佐川委員長
 ただいまの大平委員の御意見は非常に貴重な御意見だと思います。日本でやってきたことが、血液法の中に盛り込まれた内容が実は世界的に見ても正しい方向であったと。世界の潮流が日本の潮流にむしろ後追いで追いかけてきているのではないかということで、もっと国として毅然たる姿勢を示せという叱咤激励の言葉であったように思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、事務局及び日赤におかれましては、ただいまの御意見等を念頭に置いて、更にWHO総会の決議との内容も踏まえた上で、引き続き、血液事業の推進を努力していただくようにお願いいたします。
 次に議題4「日本赤十字社からの報告事項について」です。
 資料5-1血液事業本部のこの一年(平成21年度)の取組みについて」。日赤からの報告をお願いいたします。
○俵総括副本部長
 日本赤十字社血液事業本部の俵でございます。委員の先生方には日ごろより血液事業につきましては御理解と御指導を賜り、厚く御礼申し上げます。
 それでは、お手元の資料5-1「血液事業本部のこの一年(平成21年度)の取組みについて」を御説明させていただきます。
 まず平成21年度の献血者数でございますけれども、合計で約530万人で、対前年度に比べ約16万人の増加となりました。また、献血量で見ますと約207万リットルを確保いたしました。これは原料血漿確保や輸血用血液の需要量の増加に過不足なく対応した結果でございます。
 この献血者確保についての主な対策としては、まず(1)複数回献血者の確保、(2)若年層献血者等の確保、(3)献血協力組織育成研修、(4)献血協賛企業の活動推進に重点を置きまして、鋭意推進してまいりました。
 3ページです。このほか、平成21年度は新たな広報活動として、(7)LOVE in Actionプロジェクトを10月から実施いたしました。ラジオ番組による献血の啓発、芸能人やスポーツ選手が参加しての各地のイベントや学生との意見交換会などを実施し、若年層への献血の普及啓発を図ってまいりました。
 (8)献血者へのサービス向上でございます。安心して献血ができる環境の整備、献血のイメージアップを目的として、献血ルームの改修、献血バスのラッピングなどを実施してまいりました。
 4ページ。「2.献血者健康被害救済制度の運用状況」でございます。これにつきましては、本制度の対象となる医療機関を受診した件数が891件でございまして、全献血者数の0.015%でございました。健康被害を負った献血者からの請求を血液センターで受理し、血液事業本部に給付判定依頼があった医療費、医療手当請求書は全部で934件であり、国の定める判定基準に基づき給付判定を行った結果、すべての請求が給付の対照となり救済が行われたということでございます。
 「3.安全対策」でございます。安全対策につきましてはお大きく2つ行っておりまして、まず1つは輸血関連急性肺障害TRALIの防止対策でございます。
 もう一つが、輸血用血液製剤の感染性因子の低減化(不活化)技術の導入の検討を行ってまいりました。
 まず輸血後に副作用として発症することがあるTRALIについては、その原因の一つとして、妊娠等で産み出されました白血球抗体を有する献血血液が原因であるということが最近の研究でわかってまいりました。このため、男性献血者からの血液を主体とした全血由来の新鮮凍結血漿の製造を実施することとし、血液事業統一システムの改修を行い、施行運用を円滑に進めるための体制を整備したところでございます。
 また、感染性因子の低減化に関しましては、他の製剤と比べて細菌感染により重篤化する可能性が高い血小板製剤における低減化技術の導入を優先的に取り組んでおりまして、いろいろな評価の結果、海外における使用状況なども加味して、国の委員会等へ報告させていただきました。
 血漿分画事業でございますが、原料血漿の確保につきましては目標量の100万リットルを達成することができました。また、血液凝固第?[因子製剤の貯法変更(室温保存化)や国内自給推進のために取り組んでいた5%アルブミンの製造販売承認申請を行うとともに、国内自給の推進に当たっては、医療関係者に対し再度その理念の啓発に努めたところでございます。
 「5.過誤の防止」です。過誤の防止につきましては、インシデントレポートの内容を分析しまして、事故防止に取り組んでまいりました。
 「6.合理的・効率的な事業運営の推進、健全財政の確立」についてでございます。製剤業務については、平成21年度中に3施設を集約させていただきました。業務の集約化を行うことにより、機器及び試薬などのコスト削減が可能となるとともに、各種材料の一括調達したことによりまして、費用の抑制など効率的な運営に努めてまいりました。
 また、都道府県の枠を超えた広域的な需給管理及び財政の一元化など、広域的な事業の実施体制の構築について、引き続き検討してまいりました。これにつきましてはこの後、詳しく説明させていただく予定でございます。
 以上、簡単ではございますけれども、平成21年度の血液事業本部の取組みについて報告させていただきました。資料2は参考としてグラフ等をお付けしておりますので、後ほどご覧いただければと思っております。
 今後とも御指導のほどよろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。
○佐川委員長
 ありがとうございました。ただいまの御報告に対して、いかがでしょうか。御意見等はございませんでしょうか。半田先生、どうぞ。
○半田委員
 献血者の健康被害に関しまして、グラフを見せていただいたのですけれども、グラフの中で勿論これは発生頻度は非常に少ないのですが、VVR転倒がありまして、特に時間ですね。採血してからの時間の図がありまして、11ページ、採血してから180分後でもVVRの転倒があって、この辺の危険性はかなりあると思います。
 この辺に関してはパンフレットを見させていただいたのですけれども、パンフレットの中に、採血副作用の注意に、確かに失神して転倒が発生する場合がありますという採血副作用の注意が「献血いただく前」の四角の前にあります。これを読むと、採血してすぐに失神してしまうことはあるかもしけないですけれども、結構時間が経ってから、家に帰ってから転倒するとか、そういうこともあると思います。この辺のところはどの程度まで献血被害としては、どの程度の重症度というのかお教え下さい。
○田所経営会議委員
 今の「お願い!」の文章の真ん中で採血副作用の注意が書いてあるのですが、もう一つ、見開きのページには献血後のお願いということで、献血後のことについても1ページを使って説明させていただいています。
 献血の会場が離れてVVRが起きた場合、気分が悪くて寝ていましたという方や、路上で倒れたりしたというようなことがあって、怪我をされている場合があります。何分でどの程度の副作用があったかというデータは持ち合わせていないので、御説明が難しいです。
○半田委員
 多分、死亡例もあったと思います。この辺が重要な点かなと思いましたので、質問させていただきました。
○佐川委員長
 確かに今、半田委員が言われたように、採血中及び採血後の健康被害の一番頻度の多いものとしてVVR、それに伴う転倒事故があると思います。この説明書の中ではテクニカルタームとしてはVVRであるとか、血管迷走神経反射だということはどこにも出てきませんが、そういう有害事象はよくある。頻度的には1%近いですね。それを少し患者さんに情報としてまとめて提供するという努力は充分でしょうか。その辺のことに関する患者さん自身の認識がまだ十分でないのではないかという気がしますが、いかがでしょうか。
○田所経営会議委員 その内容につきましては、今の御指摘の内容は、実は「献血いただく前に」の文章の中に数字としては出させていただいていまして、失神などが0.9%、100人に1人。失神を伴う転倒がまれに発生することがありますということで、この失神を伴う転倒のパーセンテージまでは入れてはいないのですけれども、一応書いてはございます。
○佐川委員長 わかりました。何か御意見はございませんでしょうか。大平委員、どうぞ。
○大平委員 血漿分画における取組みというところでは、100万Lの原料血漿の確保が達成できたということで、これによって新たな5%アルブミンの製造販売承認申請を行うということが書いてありますが、これは目処としてはいつくらいになるのか。また、国内事業推進のために医療関係者に対して、再度その理念の啓発を努めたと書いてありますが、こうしたことによっての成果がどんな成果に結び付いているかということが、後でもいいですので、そういう成果みたいなものも出されるといいのではないかと思います。
 よい点、悪い点というところでは、反省すべき点というところも、これはネガティブな反応ではなくて、これから推進していくためにもこの点についてもう少し取組みを厚くしたらいいのではないか、ということとか、そういう意味での報告として掲げていただけたら、逆に日赤へのいろいろな方たちの声援にもなると思いますので、そういったところも、もし今後検討していただけたら、ありがたいと思います。
○俵総括副本部長 ありがとうございます。大いに参考にさせていただきまして、進めていきたいと思っております。
○佐川委員長 1つだけよろしいでしょうか。4ページのTRALIの防止のために新鮮凍結血漿のドナーを男性に切り替えるという内容がさらっと書かれていたように思うのですけれども、その方針を決められたわけですか。
○俵総括副本部長 その形で国内自給を賄っていけるかどうかはまだ検討しておりますので、それでうまくいけば、そういう方針で進めていく可能性はあるということでございます。
 5%のアルブミンに関しては、来年度早々には上市する予定でございますので、今、必死になって急いでおります。
○佐川委員長
 よろしいでしょうか。何か追加はございますか。
○大平委員
 これは今後の検討課題であると思いますが、WHO総会の決議というところで、国内自給の問題として、今後、血漿分画製剤を国内自給へ賄っていく方向でやっていくとしましても、日赤だけでやっていくだけでは、なかなかほかの民間メーカーもあったりして、そことの競合とかそういうのもあると思います。そういうのも含めて、表を見させていただくと、昨年度よりは販売実績としては減少の方が多いところもあるので、そういう面では製造の問題とか今後の研究とか、そういうのも将来的に日本の血漿分画製剤の製造としての在り方をどんどん考えていって、国内自給としての安定した供給ができるような方向を日赤としても是非検討していただきたいと思います。
○俵総括副本部長
 ありがとうございます。それは国とも相談をしながら進めていくつもりでございます。
○難波江補佐
 今、大平委員から御指摘いただいた点は大変重要な点でございまして、今年の3月の血液事業部会において、こういった分画製剤を取り巻く諸問題について集中的に審議検討する場を設けるということで、今年度は血漿分画製剤の供給体制の在り方に関する検討会(仮称)を立ち上げるべく、今、準備を進めているところでございます。その中で今、取り上げていただいたような点、将来的にも安定的な供給をどうするかという点について、御審議をいただければと考えております。
○佐川委員長
 よろしくお願いします。ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、ただいまの議論を踏まえた上での血液事業の運営をよろしくお願いいたします。
 続きまして、資料5-2「血液事業の広域運営体制について」ということで、日赤から報告をお願いします。
○石川副本部長
 副本部長の石川でございます。私の方から資料5-2につきまして、御説明を申し上げます。よろしくお願いいたします。
 日本赤十字社では、広域事業の運営体制の導入に向けての検討を行ってまいりましたので、この中の資料に基づいて御説明をいたします。2ページ目です。この体制の目的ですけれども、安全対策の充実、安定供給、事業の効率化、健全な経営基盤の確立を図ることによって、いわゆる血液法や薬事法、あるいは国からの指導などに則った事業運営体制を構築しまして、国民に信頼される持続可能な血液事業体制の確立を目的としております。
 3ページ目です。広域運営体制の導入に当たりまして、現在の血液事業を取り巻く課題につきまして、事業面と財政面から御説明をさせていただきます。まず事業面ということでございますけれども、事業規模、これは採血量・供給量の小さな血液センターでは、輸血用血液の期限切れや他の血液センターへ血液を依存することが多く発生しておりまして、血液製剤別かつ血液型別に過不足のない在庫管理が困難な状況にございます。
 2点目といたしまして、今後更なる少子高齢化と人口の偏在など、地域間格差が拡大することが懸念されておりますけれども、医療機関への供給に支障を来すことがないよう、安定的に献血者を確保することがますます必要となっております。
 3点目ですけれども、供給上の問題としまして、現在、供給区域は都道府県単位ということになっておりますので、県境付近にある医療機関の場合は、基本的には当該都道府県の血液センターから供給しておりますけれども、今後はより迅速な供給の体制の整備か急務となっております。
 4ページ目です。財政面の課題について御説明をいたします。先ほど御説明いたしましたように、事業面のところで格差が生じているところがございますので、血液センターの財政にも格差が生じてきているということでございます。資金力のない血液センターが施設整備を行う場合、血液事業全体では資金があるのに、その血液センターが借入れを行うというような不都合が生じてございます。したがいまして、血液センターで分散保有している資金を本社で一元管理し、効率的な財務活動を実施する必要が生じてございます。
 5ページ目です。これまでの広域運営体制の検討の経緯ということで、少し時期をさかのぼって御説明をさせていただきます。平成元年に新血液事業検討推進検討委員会の第1次報告という報告に基づきまして、当時の厚生省薬務局長から日赤に対しまして、今後の血液事業への取組みに当たり留意すべき事項ということで、この内容は広域的な事業運営に関して通知を受けております。それ以来、日赤の内部では広域事業運営に関しましての検討を開始しております。
 また、平成2年に血液事業に関する総務庁の調査が行われまして、翌3年に厚生省からその内容が通知されました。内容としましては、採血区域や供給区域を広域的に見直すことなどの改善が求められております。
 日赤としましては、まず同一都道府県内に複数の血液センターがあるところがございまして、そこの場合の経営の一体化。次に同一都道府県内に複数の血液センターがある場合には、検査・製剤業務を1か所でやろうと。次に県境を越えた血液センターの検査・製剤の集約化に取り組んでまいりました。
 6ページ目です。こちらは旧厚生省からの通知の抜粋でございます。読ませていただきますが「血液事業の体制整備の見直しについて」ということで、採血、製造、供給の各機能に即した効率的、合理的な組織形態を構築する必要があるとされ、具体的には「現在、血液事業の実施は各血液センター毎に、事業面、財政面、人事面において独立的に運営されているが、血液事業が各血液センター単位に細分化されている現状では、効率的、合理的な事業運営は困難といえる」。
 「同時に独占による非効率や停滞の生じないような組織形態を構築する必要がある。例えば、広域区域単位に血液センターを再編制して計画的採血を実施するとともに」などの対策が必要と指摘されております。
 7ページ目です。平成3年の総務庁の勧告です。ごらんいただけるように、ほぼ血液事業の運営の合理化、効率化ということで、先ほどの指摘とほぼ同内容の指摘がされているということでございます。
 8ページ目です。検査業務の集約の状況でございます。平成6年3月までは全国77の血液センターがあったわけですが、そのすべてで検査業務を行っておりました。平成18年7月を示しておりますが、それは当時の運営委員会で血液事業の集約化に関しまして御報告させていただいておりますので、その時点では全国で34センター、現在は10センターで実施をしております。将来的には8センターに集約をする予定でございます。
 9ページ目です。こちらは製剤業務の集約化です。こちらも平成11年3月までは77の血液センターで実施しておりまして、平成18年7月の時点では52センター。現在は27センターになっております。平成25年度末までに全国11センター程度まで集約をする予定としております。
 10ページ目です。次に今後導入する広域事業運営の概要について、御説明をさせいただきます。これまで検査、製剤業務という、いわゆる事業のちょうど真ん中部分のところを広域化してきたわけですけれども、今後は血液製剤の需要と供給ということで、事業の入口である献血の受入れと出口である血液の供給部分を広域化しようと。かつ財政まで広域をしていこうというものでございます。
 まず1点目として、業務面としては広域需給管理、2点目としては経営面として事業運営のブロック化と財政の一元化。3点目は組織として、本社直轄のブロックセンターの設置でございまして、後ほどこれは一つひとつ御説明をいたします。
 11ページ目です。この導入に当たりましては、製剤業務の集約がおおむね完成する平成24年度から導入をすることとしております。
 12ページ目です。先ほど10ページ目で御説明いたしました広域事業運営体制の概要につきまして、まず1点目。広域自給管理の定義ですけれども、都道府県の枠を超えた広域的なエリア内において、需要予測に基づく全血採血、血小板採血、血漿採血の種別ごとの役割分担などを踏まえた採血、供給の年間計画を策定するとともに、日々の自給に見合った採血を実施して、効率的、合理的に輸血用血液製剤の安定的な需給を管理していくことであります。
 13ページ目にイメージ図を示しました。広域需給管理下では複数の血液センターを1つのブロックとして構成いたしまして、ブロック内の需給をブロック血液センターが管理をするという方法でございます。複数の血液センターの在庫を一元管理することによりまして、血液型ごとにアンバランスな在庫を調整することが可能になるとともに、需要に見合った適切な採血を行うことで、結果として安定供給と有効活用が図れることになります。
 14ページ目です。これは実際に県境を超えた需給管理の実例としてお示しをしておりまして、小規模の血液センターの製剤業務を大規模の血液センターに集約した後の赤血球の在庫推移を示しております。青の点線の折れ線グラフが小規模センターが1県単位で需給を管理していた平成19年の在庫推移でございますけれども、赤い線が集約後の平成20年の推移でございます。
 青い点線は適正在庫ラインというグリーンのラインがありますけれども、そこを大きく上下しております。集約後は変動も少なく、安定的な在庫を管理しているということがご覧になれると思います。これはスケールメリットから赤血球在庫が常に過不足のない一定の在庫を維持しているということでございまして、過剰在庫に起因する期限切れの減少にもつながっております。
 15ページ目です。広域運営体制2つ目で、事業運営のブロック化と財政の一元化ということでございます。これまでの都道府県単位の事業運営からブロック単位への運営と変更いたしますので、事業計画の策定や予算の編成につきましてもブロック単位で行います。また、これまで個々の血液センターが保有していた資金を一元的に管理します。これによりまして、各血液センターで行っていた経理や用度の業務をブロックセンター1か所に集約いたします。
 16ページ目がブロック単位の運営についてということでございます。下の方にあります地域の血液センターは、これまで独立採算制を取っておりましたけれども、この独立採算制を廃止して、血液事業本部の経営監督の下、各地域血液センターを包括して、ブロック全体を一元化いたします。
 地域血液センターは地域独自の事業を企画して、ブロックセンターに予算要求をするとともに、ブロック全体の事業計画や予算策定に参画をいたします。ブロック血液センターはブロック全体の事業計画を策定するとともに、必要な運営予算の編成を行います。血液事業本部では各ブロックから上がってきたブロックの事業計画を承認し、承認した予算を交付するという形を知ります。
 17ページ目です。次に資金の一元管理の方ですけれども、地域血液センターから血液は供給するわけですけれども、その供給収入についてはブロックセンターがすべて回収し、またその全額を血液事業本部へ送金いたします。血液事業本部はブロックセンターの事業運営に必要な資金を定期的に送金いたします。
 ブロックセンターは仕入先など取引業者の支払など、地域血液センターが必要な資金も含めて、管理をいたします。このように血液事業全体の資金とすることで、資金の有効活用を図ることといたしております。
 18ページ目です。広域事業運営の先ほどの3点目の本社直轄のブロックセンターの設置について御説明をいたします。まず現行の血液事業の仕組みですけれども、各都道府県支部は血液センターの設置者という位置づけになっておりまして、血液センターの経営及び監督を行っております。一方、血液事業本部は薬事法や血液法などに基づく事業実施面での血液センターの監督を行っております。また、地域内の血液センターの技術指導や血液の需給調整を目的に地域ごとに基幹センターを設置しております。
 しかしながら、基幹センターというのはあくまでも都道府県支部の血液センターであるというということは、ほかの血液センターと同じ位置づけですので、ブロック単位での運営を行っていく上での指導的役割や調整機能というのは持っておりません。
 そこで19ページ目です。今後の仕組みは各都道府県を北海道、東北、関東甲信越、東海北陸、近畿、中四国、九州の7ブロックにエリアを分けまして、現行の基幹センターを廃止し、血液事業本部直轄のブロック血液センターを新たに設置いたします。
 その上で血液センターにおける経営及び監督につきましても、血液事業本部が行います。各都道府県支部は都道府県と連携をした献血推進という役割と、地域血液センターの設置者という部分は残りますので、血液センターの管理面における一般的な指導的役割といったもののみを担うこととなります。また、各都道府県の地域血液センターはこれまでどおり献血推進、採血、供給業務というものを実施してまいります。
 20ページ目です。ブロックセンターの設置場所を示したものでございます。
 最後の21ページは、これまでの内容を実施体制ということで一覧にまとめたものでございます。
 少し駆け足で御説明をいたしましたが、以上が平成24年度当初から導入を検討しております日本赤十字社の広域事業運営体制でございます。以上、よろしくお願いいたします。
○佐川委員長
 ありがとうございました。ただいまの御報告に対して、委員の先生方から御意見、御質問はいかがでしょうか。半田先生、どうぞ。
○半田委員
 今お聞きして大変すばらしいと。特に血液事業ということで、合理化、効率化は当然なすべきことであって、すばらしいことだと思いますが。やはりこれだけ大きな変革はいろいろな痛みを伴うと思います。1つそれぞれの地域の輸血医療の現場を担ったのは、実は日赤の血液センターであるということが、特に輸血の場合は副反応が起こったりとか、非常にいろいろなことが現場で起こるんです。その相談に乗ってくれるのが地域の血液センターであると。
 そこで例えば検査をして、例えば不規則抗体などが出たり、そういう場合の血液の選択とか、そういうのも地域で非常にきめ細かく今までやられていたところがなくなってくるという、これは一つの例えですけれども、いろいろな痛みが多分あると思いますが、そういうそれぞれの痛みに関してはどういうデメリットがあるかということもはっきりとある程度言っていただいて、それはどういうふうに解決すべかということもお話をしていただけると1ついいなと。
 もう一つは、地域の輸血医療は、そういう意味では日赤の血液センターに頼っていると見られて、実際に医療機関が怠けているというところもあります。それに関しましては、それぞれの医療機関が輸血検査とか輸血というものに関して、もう少しきちんとした体制を医療機関が取らなくてはいけないということは絶対にあるので、勿論、学会とか医療関係施設では努力をしなくてはいけないと思いますが、やはり国としましても、例えば診療報酬の面とか指導体制などももうちょっときちんとしていただいて、日赤がこういう形で広域化するということになると、地域に関してはもうちょっと医療機関が独自できちんとした体制を整えるような方策を取っていただけると非常にありがたいということです。以上です。
○佐川委員長
 いかがですか。大事な問題を指摘されたように思いますが、どうぞよろしくお願いします。
○田所経営会議委員
 不規則抗体等も含めて、医療機関が行うべきとされているような検査も血液センターでかなり引き受けていたりした地域もあるわけですけれども、基本的には輸血療法実施のガイドラインでは、ABO、Rh型の血液型と不規則抗体のスクリーニングまでは、その輸血を実施する医療機関が責任を持って行うということがうたわれておりますので、そこまでは是非医療機関の方で実施していただきたい。
 しかし、その同定となると不規則抗体が出た、それは何に対する抗体かということになると難しいと思いますので、パネルセルがないというようなことと、そういうことについては積極的に協力させていただきたいと思っています。
 あとはそれを実施する場合、手術の直前に不規則抗体を見たんだけれども、今日中に結果を出して欲しいというのは距離という問題がありますので、そこはなかなか難しい問題があります。そこら辺は我々も検体を集める時間、あるいは製剤を製造する血液センターと検査をするセンターとの連絡時間がありますので、そういうのを明示させていただきながら、それに併せて持ち込んでいただくということも、情報をきちんと提示して協力していきたいと思っています。ただ、医療機関の方でも少し早めに検体を出していただくということも御協力をいただければという具合に思っています。
 その供給に関しては、今まで以上に各血液センターは在庫も持ちやすくなってきていますし、他センターに協力もしやすくなると思います。小さなセンターが明日の予約がもう入っているそのときにほかのセンターから協力してくれと言われても、明日の分は出せない。ただ、今度は広域運営体制になると、血液を出してもブロックセンターの方から補ってもらえるというのがありますので、近隣ですぐに出せるということがあって容易になる。しかも今まで期限切れになるからということで夜間在庫も少なめにしか持てなかったようなところも、今後は少し多めに持って、もし期限切れになりそうだと必要なところに使ってもらうということから、在庫も少し高いレベルで持てるということがありますので、供給面で言うとかなり安定した状況にはなるだろうと思います。
 ただ、二次製剤、製造所でないとつくれない製剤、注文してからつくる製剤については少し時間がかかる問題は、距離の問題からはあり得るということがありますので、それについては二次製剤、赤血球などについては有効期限を少し延ばすということで活用しやすくするということと、これまた医療機関の方からも少し早めに連絡をいただいて、早めにつくり足す、あるいは夜間も含めてオンコール体制を整備するというようなことで、極力問題点は少なくなるようにしたいと考えています。
○佐川委員長
 ありがとうございました。
○難波江補佐
 ただいま半田委員から御指摘いただいた点につきまして、院内の管理体制につきましては、平成18年から輸血管理料というものが診療報酬に掲載されていますけれども、毎年行っている使用実態調査においては年々管理体制がよくなっているという報告がございます。これは先月改正されました適正使用調査会で報告されたものでございます。
 一方で、国の方では輸血療法の実施に関する指針をお示ししておりますが、これにつきまして、同様に先月開催されました適正使用調査会で学会の方より改定の提案を出していただきました。現在はそれを踏まえまして、事務局の方で改定の作業を開始しているところでございます。ただ、適正使用調査会でも指摘があったんですけれども、幾つかあった提案の中で、やはりもう少し実態として、今どうなっているのかを丁寧に把握した上で、やはり審議した方がいいだろうということで、今年度実施を予定しています使用実態調査の中で、その辺のデータもちゃんと救い上げた上で検討を進めてまいりたいと思います。
○佐川委員長
 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、この問題はここで終わりまして、続きまして、「(5)その他」のところでありますが、もう一つ案件があります。フィブリノゲン製剤に関わる報告事項について、事務局から報告をお願いいたします。
○安田血液対策企画官
 それでは、前回の運営委員会後の新しい情報について、御提供をさせていただきます。
 資料6-1を見てください。こちらの方はフィブリノゲン製剤の納入先医療機関の追加調査ということでございまして、平成19年11月7日に実施しました追加調査の結果につきまして、新たに来たものにつきまして、これを更新しているものでございます。一番新しいのが8月6日、これを既にプレス発表しておりまして、厚生労働省のホームページにも載せております。
 この状況でございますが、2ページ目を見ていただきたいと思います。この調査の結果としては、累積といたしまして「(1)投与の年月について回答があった医療機関数と元患者数」ということで897施設。元患者数で12,923名。
 「(2)過去に投与の事実をお知らせしたという記録が残されているが、現在では投与の年月は特定できないとする回答があった医療機関数と元患者数」が88施設、275人ということで、合計で現在967施設、13,198名についての情報が来ているところでございます。今後ともこれにつきましては、現在も回収中でございますので、また新しい情報につきましてはホームページ等でも提供していきたいと考えているところでございます。
 資料6-2を見てください。7月30日付で発表されました「C型肝炎訴訟の和解について」でございます。これは平成20年1月以降、救済法が施行した後に累計している原告からの和解が1名なされましたという情報でございます。この結果、参考にもお書きしておりますが、和解等の成立人数は現在1,557人、新規提訴等人数は7月29日現在で1,709名となっているところでございます。
 資料6-3を見てください。これは昨年9月4日にプレス発表をいたしまして、フィブリノゲン製剤納入医療機関への訪問調査を行いますということでプレス発表をさせていただきましたが、その結果について5月20日付で発表を行った結果を報告させていただくものでございます。
 こちらの方を行って施設は6ページの2.に書いていますとおり、調査機関及び調査対象施設といたしまして、21年9月~12月まで15の施設について行ったものでございます。
 その調査結果でございますが、7ページを見ていただきたいと思います。15施設におきましても、いずれも平成6年以前の診療録等は保管されていましたが、その保管方法は個々の医療機関によって異なっておりました。?@15医療機関のうち、ほぼ半数の7医療機関におきましては、診療年に対象を絞るなどして網羅的な診療録の記録の精査を行っていました。15医療機関のうち残りの8医療機関におきましては、この診療録等の記録が保管されていたのでございますが、網羅的な診療録等の記録の精査は行われていなかったものの、元患者の方からの問い合わせについてはきちんと対応しておりますという形でそれぞれ報告されているものでございます。
 この調査の結果は8ページの(3)に記載しているとおり、15医療機関のうち11医療機関におきまして、合計510名のフィブリノゲン製剤の投与事実が確認されておりまして、その結果、元患者の方へのお知らせ状況といたしまして、お知らせしたが143名、お知らせしていないが367名となっており、お知らせしていない理由といたしまして、連絡先が不明、連絡が付かない、あるいは死亡等の内訳になっているところでございます。
 この結果につきまして、厚生労働省といたしましては、すべてのフィブリノゲン製剤の医療機関につきまして、この情報をきちんと提供いたしまして、今後とも投与事実の確認のための参考としていただくということを情報提供することとしております。また、肝炎対策基本法が施行されたことも踏まえまして、改めてウイルス性肝炎の検査についても広く呼びかけることといたしまして、政府広報あるいは健康局の肝炎対策室でもポスターの掲示等で広く呼びかけを行っているところでございます。
 (3)それ以降、また新しくできたものにつきましては、厚生労働省のホームページ上で情報を継続的に更新していくという形を取らせていただくことにしております。
 最後に9ページ目。資料6-4について御報告させていただきます。資料6-4につきましては「1.経緯」で書いていますとおり、平成20年4月の段階で血友病以外の疾病でフィブリノゲン製剤以外の血漿分画製剤を投与していたところ、ウイルス性肝炎、またはその可能性があった症例について報告を求め、同様に医薬食品局が医療機関から報告を受けて局内で保有していたものを整理いたしまして、専門家の精査を行ったところでございます。
 その結果を報告させていただくものでございます。中身につきましては概要だけでございますが、この整理の結果、合計70製剤、1,700例の症例報告の評価について審議を行ったところでございます。
 この評価の結果でございますが、それぞれこれまでに受診勧告を行っているもの以外に、広く感染が懸念されるものは新たに認められなかったという結果になっております。しかしながら、10ページの(2)に記載されています2つの製品につきましては、肝炎ウイルスの感染リスクは低いと考えられるものの、その可能性は否定できないため、念のため受診勧告を行った方がよいとされまして、その結果、4.に記載していますとおり、7月2日付の事務連絡におきまして、(2)に記載されていますガンマガード、バクスター株式会社、ティシール、日本臓器製薬株式会社につきまして、それぞれの製造販売業者に対し、受診勧告の実施を行うように依頼したところでございます。駆け足でございましたが、以上でございます。
○佐川委員長
 ありがとうございました。ただいまのフィブリノゲン製剤に関する御報告に関して、何か御質問、御意見はございませんでしょうか。
 それでは、最後ですが、資料7「血漿分画製剤の自給率の推移」について、事務局からお願いいたします。
○難波江補佐
 では、資料7について御説明させていただきます。これは血液事業部会などでも何度か出させていただいておりますが、今回、平成21年度の数値が前回見込み値いう形だったんですけれども、確定いたしましたので、御報告させていただきます。
 これは平成7年度、1枚目にございますアルブミン製剤、免疫グロブリン製剤及び凝固因子第?[製剤の主要3製剤の国内自給率の推移をお示ししたグラフでございます。アルブミン製剤につきましては、平成19年度まで上昇しておりましたが、平成20年度以降低下しているというものでございまして、これにつきましては要因としては先般の適正使用調査会でもデータを基に示されましたが、DPC環境下でより安価な輸入製剤が選択されやすい傾向が強まっていることが挙げられております。
 この点につきましては、3月の血液事業部会や先月の適正使用調査会でも御議論いただいておりますが、インフォームドコンセントの際に国内献血由来、または外国産のものかなどを患者に説明しているかということや、病院で製剤を採用する際に、血液法の趣旨である国内自給達成ということが話し合われているかを確認しながら、適正使用の推進、国内自給の推進を進めていく必要があるといった御意見をいただいているところでございます。
 また、免疫グロブリン製剤は以前高い国内自給率を維持しているものの、遺伝子組換え製剤を含む第?[因子製剤の国内事業率の推移を見ますと、近年では国内血漿由来製品のシェアが低下傾向にあり、21年度は25%を切っている状況でございます。
 次のページは一部、先ほどのデータと重複がございますが、主な血漿分画製剤の国内自給率の推移をお示ししましたグラフでございます。21年度は乾燥濃縮人アンチトロンビン?Vの国内自給が100%達成されております。一方でHBs人免疫グロブリンについては極めて低い国内自給率で推移しているという状況でございます。資料7は以上でございます。
○佐川委員長
 血漿分画製剤の国内自給率に関するデータに基づいた御報告がございましたが、何か御質問、御意見はございませんでしょうか。これについてはいろいろ課題が出てまいりましたので、それについては新しい委員会を立ち上げて、今後検討していきたいということを先ほど難波江課長補佐より報告がございました。よろしいでしょうか。
 それでは、特になければ、本日の議題は以上で終了いたします。次回の日程等につきましては、後日、事務局から御連絡いたします。本日は御多忙のところ、誠にありがとうございました。


(了)

連絡先:医薬食品局血液対策課 課長補佐 難波江(内線2905)

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