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2010年9月1日 職業能力開発分科会若年労働者部会(旧勤労青少年部会)

職業能力開発局キャリア形成支援室

○日時

平成22年9月1日15:00~


○場所

中央合同庁舎5号館 共用第6会議室


○議題

(1)第9次勤労青少年福祉対策基本方針策定に向けた検討の論点について
(2)その他

○議事

○清家部会長 
「第6回労働政策審議会職業能力開発分科会若年労働者部会」を開催します。本日は、武山委員がご欠席です。先般、4月23日付でこの部会に所属されます委員の交替がありましたので、報告します。交替後の名簿は、お手元の参考資料6をご覧いただきたいと思いますが、山野委員に替わられまして株式会社フジの阿部委員がご就任されましたので、よろしくお願いします。阿部委員、一言お願いできますか。

○阿部委員 
今日は初めての参加ですので、勉強させていただきたいと思いましてやって参りました。よろしくお願いします。

○清家部会長 
事務局においても異動があったと伺っていますので、ご紹介いただけますか。

○田中キャリア形成支援室長補佐 
8月10日付で杉浦審議官の後任として桑田審議官が着任しましたので、紹介申し上げます。

○桑田大臣官房審議官(職業能力開発担当)
 桑田でございます。よろしくお願いします。

○清家部会長 
議事に移ります。本日の議事次第にありますように、本日の議題は、「第9次勤労青少年福祉対策基本方針策定に向けた検討の論点について」です。本議題に関しいくつか資料があるようですので、事務局から一括してご説明をいただきたいと思います。

○伊藤キャリア形成支援室長 
本部会の事務局を仰せつかっておりますキャリア形成支援室長の伊藤です。よろしくお願いします。私からお手元の資料について、少し時間を頂戴して、30分強ぐらいになるかと思いますが一括して報告したいと思います。
 本部会を前回2月に開催をし、その際私どもから現行の平成18年度から平成22年度までを計画期間とする第8次勤労青少年福祉対策基本方針の進捗状況について説明申し上げ、それを踏まえ勤労青少年福祉施策のあり方について幅広いご意見を頂戴したところです。前回頂戴した主なご意見については、本日の資料5に簡単にまとめているところです。ただいま部会長からもお話がありましたが、本日以降、本部会において能力開発分科会運営規定等に基づき、新たな第9次勤労青少年福祉基本方針にかかわるご審議をいただきたいと考えており、本日はキックオフということで関連するデータ、論点、たたき台などについて、幅広く説明を申し上げたいと思います。
 資料の説明は少し行ったり来たりになって恐縮ですが、最初に参考4-2、これは勤労青少年福祉法の条文そのものを付けています。1頁、勤労青少年福祉法第6条に、今回ご審議をいただきます勤労青少年福祉対策基本方針の本法上の位置づけについて規定がなされているところです。厚生労働大臣は、勤労青少年の福祉に関する施策の基本となるべき方針を定めるものとするとされています。
 具体的に方針に定める事項としては、第2項にありますように勤労青少年の職業生活の動向に関する事項、勤労青少年の福祉の増進について講じようとする施策の基本となるべき事項、大きくはこの2つの事項について方針の中に位置付けることとされており、また、3項にありますように、本方針について、勤労青少年の就業状況等を考慮して定めなければならないとされているところです。第4項には、大臣が基本方針を定めるに当たっては、あらかじめ労働政策審議会の意見を聴くこととされており、この規定に基づき、本部会において労働政策審議会を代表する立場でご審議をいただく、このような位置づけです。
 前回の部会でもごく簡単には紹介を申し上げましたが、現行の第8次基本方針の概要について、参考3-1という資料があります。こちらでアウトラインだけ確認的に紹介を申し上げたいと思っています。要旨として、5年前におきます、若者の雇用労働をめぐる現状を踏まえた上で、若い人材の育成という観点に立ち、これまでの在職者を主たる対象とした余暇活動支援から、フリーター、若年無業者などを対象としたキャリア形成、職業的自立に向けた支援に重点を移行するということ。また、既往の第7次の方針では、30歳未満の者を勤労青少年と位置づけていたわけですが、前回の審議を踏まえて第8次から、35歳未満の方を勤労青少年福祉対策の対象とするという考え方が整理をされたところです。
 概要ですが、先ほど序文でも紹介しましたように、方針の第1としては、勤労青少年の職業生活の動向について概括的に触れているところです。5年前、現状とは随分違い、むしろ労働力需要が大変旺盛な社会環境であったわけですが、そういった中でも若者の働く希望と需要とのミスマッチの問題、若年失業率が高水準にあるといった今日にも連なる問題が、第8次の方針の中でも指摘をされていたところです。
 第2ですが、そういった中での勤労青少年の福祉の増進に関する基本的施策として、勤労青少年福祉の方向性と、先ほども触れました現状を踏まえて、勤労青少年が主体的に職業生活設計を行うとともに、その自律的な選択の支援をする、といったことを勤労青少年福祉行政の目指す方向として位置づけした上で、具体的な施策分野として、1つには職業生活の充実ということで意識形成の支援、自信・意欲の獲得のための支援、職業選択・職場定着の支援、職業能力開発の推進等々の事項を位置づけています。
 さらに、自由時間を活用した生活の充実ということで、社会活動参加、さまざまな世代同士の交流、国際交流の促進、勤労青少年福祉行政推進のための基本となる環境整備、勤労青少年指導体制の整備、こういった内容がこの部会での審議を踏まえ、前回の8次方針の中に盛り込まれていたところです。
 こういったことを確認した上で、本日はかなり大部の資料を準備していますが、資料1から説明を申し上げたいと思います。先ほども触れましたように、法に基づいて基本方針に定める事項とされています勤労青少年を取り巻く現状に関して、前回の8次方針の中でも取り上げていますような指標を中心に、今日、勤労青少年、若者にかかわる課題としてしばしば指摘されている事項、あるいは後半のほうで説明申し上げます施策とのかかわりで紹介申し上げた事項等々を中心に資料1にまとめています。時間の制約もありますのでこの中でも特に特徴的なもの、あるいは今回初めて委員の皆様方に紹介申し上げますような資料を中心に、簡単にピックアップをしながら説明を申し上げたいと思います。
 はじめに、若者の雇用をめぐる環境です。若者の完全失業率に関しては、資料の1頁にありますように、平成20年までは傾向的に他の年齢層と同様、失業率は低下を続けていたわけですが、経済環境の大きな変化のもとで、平成21年には25歳未満の失業率9.1%ということで大幅に悪化をし、他の年齢層に比べてもこの失業率の悪化の程度がより大きいという状況にあります。
 また、現在、非常に大きな社会問題にもなっております新規学卒者の就職をめぐる環境、高卒・大卒について、2、3頁にお示しをしています。高卒に関しては、就職内定率93.9%、大卒91.8%という状況ですが、こういった就職内定率以上に、高卒に関してはハローワークの業務の取扱いにより求人倍率を算出しているわけですが、今春卒業者に関しての求人倍率1.29倍ということで、高校卒業者から見ると、ほとんど就職についての選択の可能性がない中でのいま申し上げた就職内定率93.9%といったデータである、と読みとることができるのではないかと思っています。
 人口にかかわるデータです。よくご案内のデータが多いかと思うのですが、例えば5頁に我が国の青少年人口の推移についてお示しをしています。後ほどの論点ともかかわってまいりますが、国勢調査上等の青少年人口の定義は、15~34歳という定義になっています。この定義のもとでの青少年人口ですが、現在すでに減少傾向にあり、2009年には3,000万人を下回る状況にあり、かつ総人口に占める青少年人口の割合もはじめて25%、4分の1を下回るといった状況になっています。将来人口推計を見ても、右側にありますように、今後ともこの青少年人口の割合は低下を続け、21世紀半ばには15%程度の水準にまで落ち込むということが見込まれている状況です。それに呼応して6頁にもありますように、労働力人口の中で見ても若年労働力人口について、ボリュームとしても、また率としても、これは高学歴化の影響もあるわけですが、減少をたどりつつあるということです。
 7頁以下、就業分野、雇用形態別の動向です。ご案内のように産業分類についてこの間何回かの見直しがなされているということで、7頁の特に左側の産業別就業構成割合のグラフ、大変見にくいものになっていますが、あえてローデータとしてここでお示しをしています。対応関係とかは非常に複雑ですのでなかなか一概には言いにくい部分もあるのですが、産業別で見た場合には製造業に従事をする若年就業者の割合が低下をしているということ、右側の職業別で見た場合には、生産工程・労務、事務的職業で割合が減り、保安サービス、販売、専門的・技術的職業、こういった分野で就業者の比率が増加をしているという傾向が見てとれるところです。
 また、雇用形態別で見た場合ですが、9頁のグラフ、5歳刻みでパート、派遣、契約社員の雇用比率というものを、この10年間で経年で追ったものですが、各年齢層ともパート、派遣、契約社員の割合が増えているわけですが、とりわけ20代前半・後半といった若年層で、いわゆるこれら非正規の雇用比率が高まっていることが見てとれるところです。
 10頁以下が離転職の状況です。この中では特に12頁、いわゆる7・5・3ということで紹介されることの多い学卒就職者の3年以内の離職率の推移について、昭和62年以降の約20年間のタームで追ったものです。必ずしも中高卒については、傾向的に離職率が増えているということには一概には言えないわけですが、大卒の3年間の離職率に関しては、1年後、3年後といずれの着眼点で見ても、傾向的に増加をしている。これまでは7・5・3ということで大卒については3年間、3割離職と一般的に捉えられていたものですが、直近の平成18年卒就職者に関して見ますと、3年間の離職率が34.2%ということで、30%台半ば、3分の1を超えている状況にあると、こういった状況が見てとれます。
 19頁以下には、新規学卒者の進路の状況全般についてのデータを、学校基本調査に基づいてお示しをしているところです。19頁が高校卒業者の状況です。非常に細かい字で見づらいかと思うのですが、上の薄い紫色の折線グラフが、高校卒業者のうち高等教育機関に進学をした者の割合。経年的に増加をしていますが、平成19年3月に50%を超えた。いわゆる大学教育のユニバーサル化と称される状況が数字の上ではっきり現れている。
 それと裏腹にその下の就職率の折線グラフですが、高校を卒業して就職をする方の割合は、直近で15.8%と、20%を大きく割り込んでいる状況です。また、進路未決定者の割合も、これは必ずしも一貫して増加をしているわけではありませんが、5%台と。ちなみに、若干、これは細かい話になってしまうのですが、学調の中では、近年、もともと進路未定とされていた者の統計区分を見直しし、一時的な仕事に就いた者という区分を、近年新たに設けたところで、こういった要素により進路未定の割合は、過去との比較でいうと若干低目に数字として出ていることが見込まれるという点だけ1点付け加えたいと思っています。
 そのすぐ右側が、同じく大学卒業者の進路の状況です。就職率に関しては、60.8%です。ちなみに、先ほど資料の2、3頁で就職内定率ということで紹介申し上げていましたが、2、3頁の就職内定率は就職希望者を分母とした就職者の比率で、19~21頁の就職率は卒業者全体を分母とした場合の就職者の比率ということで、定義の違いがあります。大学を卒業して就職をされる方は、現状では6割、それ以外の方は大学院に進学をしたり、卒業をしても進路が未決定といった方についても相当数に上る。ここ2年上昇傾向にあり、平成22~23年卒では16%強という状況になっています。いろいろな意味での高学歴化と進路の多様化といった状況が見てとれるのではないかと思っています。
 また、後ほど紹介申し上げます勤労青少年ホーム等とのかかわりで、中学・高校卒業者、とりわけその中でも県外就職の状況について改めて分析したのが、その上の20頁です。後ほども紹介します勤労青少年ホーム等の勤労青少年福祉法に基づく施策対象者。広く勤労青少年ということではあるのですが、当時、念頭に置かれていた代表的なボリュームゾーンとしては、中学・高校を卒業し、親元を離れて就職をした方々に対する交流の場の提供があったのではないかと思っています。
 そういった典型的な勤労青少年福祉施策の対象として目されていたボリュームが、いまどうなっているのかということですが、20頁の1、これが中学・高校卒、そのあと「県外就職者」となっているのですが、これは誤植でして、「中学・高校卒就職者及びうち県外就職者数の推移」ということで読み換えをしていただければと思います。オレンジ色が高卒、紺色が中卒でして、中卒に関しては、今回、50年前まで現データを遡って調べてみたのですが、昭和30年代半ばにあっては、これは100人単位ですが中卒就職者が41万人で、そのうち親元を離れ県外で就職をした方が15万人いた。その後の高校進学率の高まり等々によってこの数字は漸減をし、平成に入ってからは、労働市場へのインパクトという観点でいうと、ネグリジブルと言ってもいいぐらいの非常に小さな規模になっている。
 高卒に関しては、昭和40年代がピークでして、高卒就職者65万人、そのうち県外就職者が11万人でした。その後、高卒就職者については減少に転じたのですが、そのうち県外就職者という観点でいうと、平成に入るまでまだ微増を続けていました。地域別の高卒就職者の受入れの需要のミスマッチ等々もあって、このような現象が発生していたということではないかと思っています。バブルの時期まで高卒県外就職者はわずかながら増えていたわけですが、先ほども紹介申し上げました18歳人口の減少、その中での就職率の低下、裏腹の高等教育進学率の上昇等と相まって、直近でいいますと高卒就職者全体として18万人、そのうち県外に就職をする方は4万人といった状況です。
 さらに、そのうち京浜・東海・京阪神、こういった代表的な大都市地域における中卒・高卒の県外就職者の受入数の推移についても、下の棒グラフでお示しをしていますが、傾向としては折線グラフとほぼ同じ状況です。例えば、京浜地域でいうと、高卒で県外から受け入れている方は、年間1万6,000人程度、中卒については約100人、ほとんどいない状況と、こういった状況です。
 22頁以下ですが、学校の中途退学あるいは無業にかかわるデータです。高校の中退率に関しては、2%台前半から半ばということで推移をしている状況です。こういった学校の中途退学と無業、いわゆるニートのかかわりに関して、これは小杉委員にも格別のお力添えをいただき、就業構造基本調査の再集計という形で分析をいただいた資料が24頁にあります。
 ニート、35歳未満の無業者、全体としてはニートの発生率は2.2%前後で推移をしているところですが、年齢階級と学歴別に大変顕著な差位があることをこのグラフは示しているところです。すなわち、いまほど紹介申し上げました高校中退者を含む、学歴としては中卒学歴の方について、高卒・大卒学歴の方に比し極端に無業率が高い。こちらにありますように10%前後の率を示し、かつ高卒・大卒の方に関しては、エージング、加齢に従って無業率が低下をしているわけですが、中卒学歴の方に関しては、加齢によるところの無業率の低下は必ずしも生じてない。30代後半以下ではむしろさらに上がっている、こういう状況が見てとれるところです。
 26頁以下には、若者のキャリア形成にかかわる意識等のデータをいくつか紹介申し上げています。26頁、自己啓発の状況。5年前との比較で、全年齢層もそうですし、若年層についても自己啓発を具体的に行った者の割合が増えているということです。その主な理由としては、現在の仕事に必要な知識・能力を身につけるため、それに加えて若年層では将来の仕事・キャリアアップに備えて資格取得、こういった動機もかなりのウエイトに上っているところです。
 また、職業生活設計についての考え方として、これは正社員と正社員以外の雇用形態の方を比較したものですが、雇用形態による差が1点認められ、正社員では主体的に職業生活設計を考えたいとしている方が6割を超えているのに対して、正社員以外の方では5割にとどまり、1割程度の差が生じているということです。
 また、若者の働くことに関する意識としては、生産性本部と日本経済青年協議会が協同で行っています「働くことの意識」調査が大変高名ですが、こういったデータから引用したのが28、29頁の経年調査の結果です。特に近年の顕著な特徴としては、会社の選択基準について、かつて最上位を占めていました会社の将来性といった項目の回答率が落ち込み、自己の個性・能力が生かせる、仕事がおもしろい、先ほど申し上げましたキャリアにかかる意識ともかかわっているわけですが、こういった項目が上位を占めている、といったことが近年の特徴ではないかと思っています。
 資料2-1です。勤労青少年の能力開発、就職促進などにかかわる施策、ともに当初の職業安定局、能力開発局が所管をしている予算事業ですが、お手元の2-1が今年度の平成22年度ベースの資料です。また、これに関連をして、まだ整理が少し不十分で恐縮ですが、速報的に8月末に提出をしました平成23年度概算要求のうち若年者対策関連、したがいまして資料2-1に概ね対応する内容に関して資料2-3ということで提示をしています。
 2-1の内容については、委員の皆様方にはすでにご案内の中身が多いかと思いますが、柱としては、フリーターをはじめとする若者の就職支援にかかわる施策、フリーターの正規雇用化のためのトライアル雇用、ジョブカフェ、ニートと無業の若者の職業的自立支援の強化という観点のサポートステーション事業の拡充、また、今日、大変な社会的関心の対象ともなっています新規学卒者・未就職卒業者等に対する就職支援の取組み、その他学校教育との連携によるキャリア形成支援の推進、それぞれの施策の概況をこの資料の中でお示しし、それぞれの主な施策に関する具体的なスキームや実績などについて次頁以下でお示しをしていますが、具体的な説明については少しここでは割愛をしたいと思います。
 以上申し上げました内容に関して、資料2-3にあります、こちらは今回の概算要求の資料ですが、概算要求の中でも若年者の就職促進、自立支援対策に関しては大きな柱と位置づけ、予算額についても全体としては拡充をする方向で新卒者支援の強化、未就職卒業者の早期就職支援(一部新規の内容も含まれています)、フリーター正規雇用化、ニートの若者の自立支援、学校教育段階からの支援の推進、こういった項目を今回の概算要求の中でも重点として掲げているところです。
 先ほどの資料2-1の最後の頁ですが、前回の勤労青少年福祉対策基本方針の中でも項目として取り上げていますワーキングホリデー制度、ご案内の方も多いかと思いますが、二国間の協定に基づく、最長1年間異なった文化の中での休暇と付随的な就労の機会を若者に提供する仕組み、概ね18~30歳までの若者が本制度の対象になっているところですが、順次、協定締結国を拡大していまして、現在は11の国と地域が対象国となり、本邦におけるビザ発給数、利用数としては、近年2万人前後で推移をしている、ということをこの資料で紹介申し上げているところです。
 資料2-2です。前回もこの部会の中で実態についてお尋ねがありました勤労青少年ホームの活動・実態等について紹介をした資料です。勤労青少年ホーム、勤労青少年福祉法第15条に基づく、本法に基づく代表的な仕組み、事業と申し上げてよろしいかということです。ホームの概要にありますように、主に中小企業などで働く若者の福祉の増進、健全な職業人としての育成に資するための各種相談、レクリエーション、クラブ活動等々の機会を提供する事業、仕組みであり、また具体的な施設でありと、こういった位置づけです。
 勤労青少年福祉対策基本方針の考え方に即してこのホームの利用対象者についても設定をされており、先ほども紹介申し上げました第8次の中での対象年齢の考え方の整理を踏まえ、現行ホームについては特色の所にありますように、原則としては概ね15歳から35歳までのそれぞれの地域、在住・在勤の若者が利用対象です。その利用の妨げとならない範囲内では、それよりもアッパーの年齢層の方も利用の対象となっているということです。
 右側に利用実績等をお示しをしていますが、ホームの設置箇所数に関しては、5年前、平成16年度には479カ所だったものが、直近、昨年末時点では395カ所ということで、箇所数自体が減少しています。また、延べ利用者数に関してもこれに呼応し、394万人から279万人に減少しているという状況です。その上にありますように、この間別の資料でも説明申し上げました勤労青少年の人口の減少、若者の余暇活動の多様化・傾向の変化、さらには施設の老朽化といったことがその背景にあるものと思っています。
 補足をしますと、勤労青少年ホームについては、もともと国からの補助、財政支援に基づき地方公共団体、具体的には市町村が設置をしていたものですが、各種福祉施設に関する個々の補助金の仕組みについて見直しがこの間なされていて、平成16年度には勤労青少年ホームを対象とした国からの補助金制度が廃止され、また平成20年度には、国の補助によって設置された施設について、それまで転用・廃止についてはかなり厳格な規制を設けていたわけですが、勤労青少年ホームにかかわらずこうした国の補助によるところの自治体の施設の用途変更・廃止についての規制緩和を行った、といったこともその1つの要因になっていると見立てているところです。
 2頁に利用者のプロフィールについてお示しをしています。非常に大きな特徴としては、性別で見た場合に女性の利用者比率が非常に高いということ、また利用者の年齢層について、もともと20代中心だったものが30代にかなり重点がシフトしつつある、ということが1つの大きな特徴ではないかと思っています。
 勤労青少年ホームの具体的な活動の形態としては、大きくは2つ、3頁にありますように講座・教室という形態とクラブ活動という形態があります。講座・教室というのは、指導員を配置している。教える側と教えられる側、若者が教えられる側と、こういう形態です。クラブ活動は、基本的には若者が主体的に集まって主体的に活動するという形態です。それぞれの内訳についてはこちらに示していますが、講座でいいますと家政、ダンス関係、クラブ活動でいいますとスポーツ、音楽、ダンス関係、こういった活動内容と、先ほど申し上げました性別の内訳といったものがリンクをしていると、大まかには見てとれるところです。
 勤労青少年ホームに関しては、全体としてはいまほど説明申し上げましたように利用者数の減少という状況が見てとれるところですが、私どもは、それぞれの勤労青少年ホームの活動に日常接する中で把握をしていますいくつかの事例を、今回、資料の4~6頁にお示しをしているところです。端的に申し上げますと、全体としては利用実績低下という傾向が見てとれるわけですが、それぞれの地域の課題に応じ、運営上の工夫を行い、大変活性化をしている勤労青少年ホームの活動事例が見てとれるということです。
 勤労青少年ホームの施設や活動のイメージについて、いま申し上げた内容でもまだ少し不確かなところがあろうかと思いますので、例えば4頁の鹿児島の事例などを引用しながら、勤労青少年ホームの一般的な施設や運用の形態について、もう少し補足をしたいと思います。設置や運営の主体は、先ほども申し上げましたように地方公共団体、具体的には市町村です。市町村がかつては国の財政支援、補助を受けながら設置をし、現在は市町村が運営をしている。ただ、運営の形態に関しては市町村が直営で、すなわち市町村の職員がホームの館長・職員というケースもあれば、鹿児島のように指定管理者制度を活用して民間団体に運営を委ねているといったケースもあります。
 施設の規模に関しては、大臣告示により、望ましい施設のあり方としては600?u以上ということになっていますが、今回紹介申し上げます代表的な事例でいいますと、施設の面積でいうと1,600?uあるいは1,800?u、こういった広さです。施設の内容としては、比較的小規模の体育館に、会議室、調理室、談話室、和室、あるいはホームによっては防音設備の付いた音楽室とか、そういった活動内容に応じた多様な施設がある。いずれにしても基本的には屋内の活動のための施設ということです。
 ここで紹介申し上げている事例、鹿児島は地方の中心都市、新潟県三条市はご案内のように金属加工を中心とした地方の中小企業の街、埼玉県川越市は東京のベッドタウンであると同時に独自の顔を持った街ということになってくるわけです。
 ここで紹介申し上げている内容、詳しくはまた資料をご覧いただければと思うのですが、共通する点としては2点ほどあると私どもは見てとっています。1つは、勤労青少年ホームの運営について、いま申し上げましたように運営の主体は市町村、そして利用者がいる。ただ、こうした非常に活性化をしていると解される勤労青少年ホームに関しては、運営主体である自治体と利用者だけではなく、言わばその橋渡し役として運営委員会といった場に関係行政機関、学識者はもとより事業主団体、利用者代表、こういった多様な勤労青少年ホーム、勤労青少年福祉施策にかかわる方々に参画をしてもらっての運営の母体を形成し、運営母体がホームの事業内容の企画、利・活用の促進のための周知・広報と、こういったことに非常に重要な役割を担っている、ということが1点言えようかと思っています。
 もう1点の特徴としては、先ほども触れましたように主たる活動内容は講座・教室、あるいはクラブ活動といった、いわゆる余暇活動の機会の提供ということですが、ここで紹介申し上げています勤労青少年ホームについて、併せて若者のキャリア支援にかかわる具体的な事業展開を行っている、ということも大きな特徴ではないかと。キャリアコンサルタント、キャリアカウンセラーの配置による在職中・求職中も含めての若者に対するキャリアについての専門的な相談の実施。あるいは新潟の三条市でいいますと、地域若者サポートステーション、ニート等若者の自立支援の拠点、これが勤労青少年ホームの中に入り込んでいて、言わば平日の夜間や休日は勤労青少年ホームとしての本来の活動として、在勤中の若者を対象とした余暇活動の機会を提供する。こういった方々は平日日中には通常利用することは困難ですので、こういった時間帯にはニートの若者であったり、あるいは場所貸し事業ということで、高齢者の方あるいは専業主婦の方々の団体の活動に場所、施設を提供する。三条市の例でいいますと、ホームの中でのこうした高齢者の方々の活動とニート支援を結びつけて世代間の交流の場を設けたり、あるいは勤労青少年ホームの中にラジオのFM放送の簡単なスタジオを設置して、勤労青少年ホームやサポートステーションの活動について、常時、地域に発信をする、こういったユニークな取組みも見てとれたところです。
 ただ、それぞれの頁の下にも掲げていますように、勤労青少年ホームの横の連携がなかなか図りにくくて、今後の事業活動の方向性について、能動的な議論の場を持ちにくいとか、自治体についても、当然非常に厳しい財政状況にある中で運営に難渋をしている。ちなみに、勤労青少年ホームの運営コストについては、それぞれの市町村、自治体が予算措置をしているわけですが、先ほど申し上げました官庁以下の職員の人件費を除いた運営費・事業費という意味で申し上げますと、ここで紹介申し上げている比較的大規模な勤労青少年ホームを例に取ると、大体、年間の運営費が1,000万円台といった規模です。大きな施設ですと、光熱水料、指導員の謝金、諸々の事業費、こういった内容です。こういった活動事例なども参考にしていただきながら、今後の活動のあり方についてご審議をいただければと思います。
 最後に資料3です。いまほど申し上げました実態も踏まえまして、私ども事務局で、今回、この部会で第9次方針についてご議論いただくに当たって、たたき台としての検討論点案も準備をしました。前回ご議論いただいた内容、また今後、能力開発分科会において同じサイクルでの第9次能力開発基本計画の審議もなされる予定でして、そういったものとの整合性確保といったことも当然必要になってくるわけですが、念頭に置かれる課題としてここで大きく5点に分けています。
 1点は非常に基本的な話ですが、「勤労青少年」と「福祉」の捉え方の整理です。法に基づく「勤労青少年の福祉」の概念、狭い意味での余暇活動ということだけではなくて、職業指導、職業訓練、職場環境整備、と非常に多義的な概念ですが、今日の社会的な要請等に鑑みるならば、いま申し上げました広い福祉の概念の中でもより充実した職業生涯の実現、言い換えれば福祉の向上の基盤となるキャリア形成支援といったことが、とりわけ重要な課題として考えられるのではないか。そういった考え方を方針の中で明確化することが考えられるのではないか、ということを1点お示しをしています。
 また、先ほども触れましたように、第8次の審議の中でその時点での若者対策の対象年齢の設定との整合性を確保するという観点から、前回、対象年齢の考え方、従前の30歳未満を35歳未満ということで整理したわけですが、その後のさまざまな状況、そもそもの勤労青少年福祉対策の目的なども勘案しながら、この部会の場でもこうした対象年齢の考え方について、改めてご審議をいただければと思っています。
 2の長期的なキャリア形成支援の充実に関しては、現在、若者の就職、キャリアをめぐり発生をしている学校卒業時の就職機会確保の困難性、早期の離転職、非正規雇用と、先ほどデータで紹介申し上げました実態を踏まえながら、学校から職業生活への移行段階、企業内等の各段階における若者のキャリア支援にかかわる施策の充実の方向性についても、是非、この部会の中でご審議をいただければと思っているところです。
 また、ニート等の若者の問題、言い換えれば青少年期に期待をされる発達課題の達成に至らなかった若者、先ほど学歴と無業発生率の関連についてデータも紹介申し上げましたが、言い換えれば我が国の青少年期の若者に係るさまざまな課題についての非常に象徴的、代表的な問題が、ニート状態の発生ということではないかと思っています。
 8次方針の中で初めて勤労青少年福祉対策に関連する施策、課題としての位置づけがなされたところですが、その時点では多分に理念的な課題という側面もあったわけですが、その後、地域若者サポートステーション事業をはじめ具体的な施策展開の中で明らかになりつつある課題もあります。このあとの質疑の中でもまた補足説明を申し上げたいと思っていますが、そういった施策の現状も踏まえた上で若者の職業的自立支援施策の意義等についても、改めてご審議をいただければと思っています。
 また、先ほど実態について紹介申し上げました勤労青少年ホームのあり方に関して、前半のほうで触れている内容は、先ほど資料で紹介した内容と同様です。全体としては利用者減少傾向にあるわけですが、個々に見た場合には、レクリエーション活動など伝統的なホーム活動で実績を挙げている事例、また都市・地方を問わず若者のキャリア形成にかかわる支援拠点として有効活用されている事例も少なからずある、と私どもも思っているところです。
 先ほどキャリア支援については少し触れましたが、勤労青少年のキャリアに係る課題の背景に少子化、地域・家庭・職場の人間関係の有り様、あるいは進路・趣味の多様化と、こういったさまざまな社会環境変化のもとでの「孤独」「孤立」の問題といったものがあるのではないか。もとよりそうした課題を勤労青少年ホームといった単独の施策メニューで対応しきれるということではありませんが、いまほど申し上げました課題を踏まえての若者にとっての「居場所」、あるいは「同世代・異世代間のリアルな交流の場」といった位置づけで、勤労青少年ホームを必要な施策の1つのメニューとして有効に活用していくことは、大いにあり得るのではないかと私どもは思っており、こうした観点も含め勤労青少年ホームの今後の課題や展望について自治体・ホーム関係者・利用者等の関係者に、部会の審議を通じ一定の方向性をお示しいただけると大変ありがたいと思っています。
 いま申し上げましたそれぞれの課題に共通する言わばプラットホーム的な課題として、地域ネットワークの整備、専門人材の養成ということを挙げています。いま申し上げました課題に対応する上では、勤労青少年ホームあるいは若者自立支援機関だけでは対応しきれない。また、求められるスタッフの専門性も、大変多岐にわたるのではないかと思っています。
 本年4月には、宮本委員等と大変骨折りをされた「子ども・若者育成支援推進法」が施行されて、自立に向け課題を抱える若者を対象とした地域協議会といった場の整備が、それぞれの自治体の総意のもとでいま順次進められつつあるところですが、勤労青少年福祉施策という観点からも、こうした関係機関、人材によるネットワーク構築の必要性、具体的にはこうした人材を対象としての研修、養成の機会の提供、あるいは好事例等の紹介、前回、小杉委員からご指摘をいただいた施策評価といろいろな切り口があるかと思っています。こうした勤労青少年福祉施策全般にかかわりましての基盤となります事項についても、是非ご審議をいただき、一定の方向性をお導きいただければと思っています。
 以上申し上げましたのは、あくまでもたたき台ということです。現状、論点も含め、このあと残された時間の中でご質問またご審議をいただければと思っています。どうぞよろしくお願いします。

○清家部会長 
ありがとうございました。それでは、ただいま3つ資料がございまして、事務局からまず資料1の「勤労青少年を取り巻く現状について」のデータ、それから資料2-1、資料2-2、資料2-3という順番で、勤労青少年に関する主要施策、勤労青少年ホーム、概算要求について冒頭に説明がありました。
 それから、いま資料3、まさに今日中心的にご議論をいただく第9次勤労青少年福祉対策基本方針策定に向けた主な論点について、ご説明をいただいたところです。まとめて議論をさせていただきたいと思いますので、特に資料1、2については確認事項やご質問等、もちろんご意見もございますでしょう。その上でこの資料3について、いまの検討論点というのを参考に、第9次の基本方針の策定に向けた論点、あるいは考え方、その他これに関連して、皆様方から自由にご意見を承りたいと思うので、よろしくお願いします。
 それでは、どなたからでも。小杉委員、どうぞ。

○小杉委員 
まず最初の資料1に関する質問といいますか、意見をかなり含んだものですが、20頁に挙がっている地域間移動の話です。いまのご認識だと、地域間移動はごく小さくなったというご認識を示されましたが、これはわかっている地域間移動が小さくなったというだけにすぎないのではないかということです。
 まず高卒就職者16万人に対して、大卒が33万人と倍いる。大卒の場合というのは、大学に入るときにかなり大幅な地域間移動をしていて、若者の地域間移動ということを考えたときに、進学行動から含めて地域間移動を考えなければならない。そして大学を卒業するときに、また地域間移動をするということ。
 それからもう1つ、ちょっと前の派遣の話を考えてみますと、あのとき派遣切りで住所がなくなってしまったというのはなぜかというと、地域間移動してきたからなのです。つまり厚生労働省の行政としては掴んでいない地域間移動がたくさんあって、特に若い人たちは、つまり地元に仕事がないために、派遣会社の住宅付きの求人に応募していくという行動をとったわけです。そういう地域の若者たちが。
 その辺のところまで含めてみると、若者の福祉ということを考えたときに、地域間移動をせざるを得ない、あるいはしてくる若者たちの福祉というのは、もう少し幅広に考えなければいけないのではないか。勤労青少年ホームは地域間移動がなくなったから、その部分の意味がなくなったということは、あまりないのではないかということが1つです。
 その辺の若者の地域間移動について、もう少し広範な資料をどうしたら取れるかわからないのですが、捉えていく必要があるのではないか。といいますのは、特にこれから地方の時代という話もありますが、地域間移動というのは、やはり国としては考えなければならないことで、場合によっては積極的な地域間移動が必要な場合もあるわけで、そこまで含めて地域間移動について、もう少し積極的にデータを作って考えていかなければならないのではないかというのを、まず最初の意見として申し上げたいと思います。

○伊藤キャリア形成支援室長 
データの捕捉という観点から少し補足して、ご説明したいと思います。いまご指摘いただいた資料1の20頁については、むしろ非常に希有な地域間の移動を詳細に把握できるデータ。中卒、高卒に関しては、ハローワークと学校の分担のもとで、ほぼ全数について移動を業務上把握するという仕組みになっているので、このような形で卒業時の移動について47県掛ける47県のマトリックスで正確に把握できるわけでして、その範疇で今回ご提示したわけですが、例えば大卒あるいは既卒についても同じような形で、地域間移動を主体的に把握するというデータは存在しないということで、これは先ほど説明が不足していたのですが、正確に把握し得る範囲内での、代表的な若年者の地域間移動の現状という一側面にすぎず、かつその側面が若者の労働市場全体の中で、シェアとして相対的に小さくなってきているものですから、このデータだけをもって若者の移動の実質を把握するということについては、制約があると私どもは認識しています。
 ただ、同時に統計的な制約もありと。ここまで悉皆的、正確な形ではないにせよ、大卒あるいは既卒の若者の地域間移動の現状について、どういった工夫を講ずることによって把握が可能なのか。是非、専門家である小杉委員等々からもアドバイスをいただきながら、もし次回以降で追加的にお示しできるものがあるとするならば、そこは工夫してみたいと思うのですが、現状では私ども、必要性は感じつつも、なかなか具体的なアイディア、材料にまでは到達していないというのがいまの状況です。

○小杉委員 
福祉というときに、どこまで福祉を考えるかなのです。結局この間いろいろあって、ハローワークで住宅の斡旋までという話が出てきたのは、福祉の範疇として、住居についてどう考えるかというのも大事なことではないか。
 私どもが中小企業のヒアリングなどしていますと、やはり高卒の採用を手控えた1つの理由が、ほしいけど寮が用意できなくなったとか、そういうので遠くの高卒に求人を出せないとか、そんな話もあちこちから聞くのです。
 中小レベルの企業が、かつてのように寮を用意できるような環境ではなくなった。そういうときに一体、住宅という福祉が、これまでは日本の場合は企業が住宅を用意する、若者については住宅を用意するというのが、ある意味では普通のような感覚を持っていましたが、それがずいぶん変わってきていて、若者の福祉ということを考えたときに、住宅の面について何らかの形の福祉というところまで考えを及ばせるべきではないかと。そういうことも含めて、移動についてもう少しセンシティブに考えるべきではないかということを申し上げました。

○清家部会長 
統計ですと、就調などは、どうでしょうか。


○伊藤キャリア形成支援室長 
移動ですと雇用動向調査辺りが代表的な調査になるかと思うので。

○小杉委員 
学校進学時の移動は、学調で取れることは取れるのですが、その後の就職に当たっての移動というのは、またこれも大学の場合は取れなくなって。

○清家部会長 
確かに重要な点ですね。

○小杉委員 
前はリクルートさんがやっていたのですが。

○清家部会長 
それでは、小杉委員よろしいですか。

○小杉委員 
とりあえず、いまのところはここまでで。

○清家部会長 
では、他にはいかがでしょうか。

○花井委員 
勤労青少年に関する施策の現状の所で、ワーキングホリデーについて、いくつか質問したいと思います。これは二国間で受け入れの人数の上限を設定すると聞いてますが、現在の国が右の四角の中に書いてありますが、それぞれの協定の上限人数というのはどうなっているのか。例えば日本から香港には何人行って、香港から日本にはどのくらい来ているのか。といいますのは、ここにあるアジアからというのが、台湾、香港とあるのですが、就労が中心になっているという話もあり、要するに出稼ぎみたいに来て、帰っているのではないかということも一部言われているようなので、そのことが少し気になります。
 それから、日本人でワーキングホリデーを使って行った人たちが、日本に帰ってきたときの就業状況というのはどうなっているのか。といいますのは、第8次の基本方針の中に「国際交流の促進」という所で位置づけられているわけですが、就職だけが全てとは思わないのですが、ただ、これを見ますと制度についての説明の中に「休暇を楽しみながら」というのがあるのです。目的としては休暇を楽しんで、そこで国際的な感覚を養うということが目的なのか。やはり就業とか、あるいは社会的な力をつけるとか、いろいろあると思うのですが、若者に対しての、その辺の目的がどういうことで、この基本方針の中に位置づけられているのかというのが、いまひとつわからないものですから。
 また、こういう資料が出ているということは、今回の9次にも入るのか、どうなのか。できれば各国がそれぞれどのくらいなのか、実際はどうなのか、帰ってきての就業状況などはどうなのかというのも、もしわかれば教えていただきたいと思います。

○伊藤キャリア形成支援室長 
いまワーキングホリデー制度について、多岐にわたるご質問をいただきました。現行方針上のワーキングホリデー制度の位置づけに関しては、前回のご審議を踏まえて、こうした国際交流という観点が、今後の若者の活性化、健全育成という観点で重要ではないかということで、第8次の中でより充実した形で位置づけがなされていまして、お手元の資料でいいますと参考3-2に現行の基本方針がありますが、その中の13頁の「国際交流の促進」の中で、ワーキングホリデー制度の持つキャリア形成機能の有効活用という観点から、この勤労青少年福祉対策体系の中でワーキングホリデー制度が位置づけられているということです。
 それ以外に、いま何点かご質問をいただきましたが、定員と実態に関しては、いま手元にある資料の中で、今回ご提示しているワーキングホリデーの、これは日本からそれぞれの協定締結国への送り出しの人数ですが、オーストラリアが1万人以上ということで、過半を占めている。あるいは各国別に定員が定められている例があるというのも、いま花井委員がご指摘のとおりでして、例えばカナダでは1万人、英国では1,000人という定員設定がされていることは把握しているのですが、必ずしも体系的・網羅的には私どもも手元に資料がありませんので、いまご指摘をいただいた具体的な数字の部分については、所管部局にも確認をした上で、今日のお尋ねに即した資料を、次回までに準備したいと思います。
 目的に関しては、お手元の資料の中でも提示していますように、それぞれの協定締結国における就労というのが、直接の目的ではない。これは制度創設の目的もそうですし、それぞれの協定の中で位置づけられている、そういった目的の中でも、就労は目的ではなく、お手元の資料にもありますように、異文化交流、休暇を通じての若者の意識涵養、健全育成ということが目的であって、ただ、若者が置かれている一般的な経済環境の中で、あらかじめ1年といった長期の活動資金を準備して、渡航できる若者は非常に限定されるだろうということで、その滞在資金を補うことを目的としての、付随的な就労について、このビザの中で、一定の制約の中で認めるというのが、大まかにはこのワーキングホリデー制度の枠組み、あるいは目的です。
 足らざる部分については、次回までにまた補足で資料を準備させていただきたいと思います。

○清家部会長 
それでは、他にご意見はいかがでしょうか。三浦委員、どうぞ。

○三浦委員 
資料1の1頁で、15歳から24歳の平成21年度の失業率が、他の年齢層より高いというデータが示されていますが、これは新卒の就職が難しかったからということが大きく影響しているのでしょうか。
 それから24頁の学歴別の無業者の割合の所で、高校中退者を含めた中学卒の人たちが無業になる割合が高いというデータが出ているのですが、その無業になった理由というのは、何か調査の結果はあるのでしょうか。以上の2点の質問です。

○伊藤キャリア形成支援室長 
前者に関しては、失業者に関して、学卒・無業・離職による失業といくつかの区分がありまして、その中で確認可能な部分があるのですが、いま資料を確認しておりますので、確認できましたらこの後少し時間をおいて、また別途お答えしたいと思います。
 先に資料1の24頁、学歴別の無業、学歴との相関関係、理由の部分ですね。こちらについて少し補足の説明を申し上げたいと思います。この点に関してはマクロの捉え方と、ミクロあるいは個々人の捉え方、両方の視点があるのではないかと思っています。マクロで捉えた場合に、なぜこのように学歴と無業率の相関が非常にクリアに出てくるのかということに関して、私どもは大きく3つの理由が考えられると考えておりまして、1つは中卒で就職し、あるいは高校に進学したけれども、中途退学してしまったと。本来であれば学校教育の中で身につけるべき基礎的な能力について、身につける暇がなく、いわば外部労働市場に放り出されてしまった、こういう要素が1つ。
 2点目としては、これは特に高校中退者に当てはまる話ではないかと思っていますが、高校中退の理由等についても、文科行政でもいろいろな分析を行っていますが、勉強についていけなくなって自信を喪失した、あるいは学校の中での人間関係にかかわる問題、そういったことを端緒に、中途退学を余儀なくされているケースが多い。そういった退学に至るプロセスの中で、自信を失ってしまう、生きる目的、意識といったものを喪失しているケースというのが非常に多いのではないか。
 それから、さらに3点目としては、このように中学卒、あるいは高校中退で就職活動を行った場合、例えばハローワークなどで就職活動を行って求職登録した場合、当然その就職活動の支援を行うわけですが、現状ではこういった新規学卒者以外の方で、高卒以上の学歴を持っていない方を対象とした正社員の求人というのは、非常に限定されている状況です。
 したがって、こうした学歴やお立場で、外部労働市場で求職活動しても、少なくとも正社員の就職の機会はなかなか得られずに、計画的な能力開発、あるいは働くことについての意識喚起を行うということについて、非常に制約がある。こういった中退に至るプロセスと、その後の外部労働市場における現状、両々相まって、このように中途退学者を含めた中卒学歴の方に関して、非常に無業率が高いという現状が発生しているのではないかと思っているところです。
 それから、こういったニートの方に関して、なぜ無業状態に至っているのか。あるいは無業状態の方に関しては、就職希望がある方とない方がいるわけですが、求職活動を行っていないという意味では共通しているわけですが、この辺りについては小杉委員がJILPTのお立場で就業構造基本調査を活用、再集計した非常に緻密な分析がありまして、その中で中卒学歴の方で無業状態の方が、求職活動を行わない理由といったデータがあります。これを見てみますと、少し意外な結果ではあるのですが、回答率としていちばん高いのは、病気、怪我のため。世の中一般に捉えられているニートとは少し違う理由で求職活動を行わない、いわゆる無業状態にある方というのが相当数いる。女性の場合は3割強、男性の場合は2割強。それに次ぐのが、知識・能力に自信がない、探したが見つからない。一旦は就職活動をしたけれども、就職には至らなかった。それから、希望する仕事がありそうにない。ある意味、最初からあきらめてしまっている。病気、怪我といった客観的な事情によってニート状態にある方が相当数いる。
 それ以外に、先ほど申し上げました、ニートの方が再就職をする非常に厳しい状況の中で自信をなくしたり、最初から自信を失っていたり、あるいは一旦就職活動したけれども、就職に至れずにディスカリッジして就職活動をあきらめてしまった、こういった方が多いといったことがデータとして見て取れるところです。
 もし小杉委員のほうで、実際に分析されたお立場で、さらに何かお気づきの点があれば。

○小杉委員 
若干補足させていただきます。病気、怪我というのは全体を通じて大体3割くらい、ニート状態の人たちの3割くらいはそういう理由です。ですからそういう人たちは、ある意味では就労を促進する相手ではないのですが、それは中卒に限らず、全体として3割くらいはそういう人だということが言えると思います。
 その中で中卒の方たちの特徴というのは、やはり自信の問題が大きい、特徴的です。例えばそれに対して高学歴の大卒の方の特徴というと、むしろ何かの試験のために勉強しているとか、そういうことで、いわゆる司法試験浪人とか、ああいうものを頭に浮かべてもらえばいちばんわかりやすい。そういうタイプの働いていない状態の方が多いのが高学歴者の特徴とか、いくつか学歴による特徴があったかと思います。
 いま手元になくて、記憶だけで申し上げていて申し訳ないです。

○伊藤キャリア形成支援室長 
それと最初のほうのお尋ねで、1頁の若年失業率の状況、学卒未就職の起用の度合いについてでした。労働力調査の中で、この完全失業者について求職理由別という区分がありまして、その中に学卒未就職者というのは1つの区分としてあります。最新の7月の状況でいうと、失業者331万人の中で、学卒未就職ということを理由に、すなわち卒業段階で就職に至らず、そのままずっと求職活動を行っているけれども、就職に至っていない方が、17万人で、前年同期と比べると4万人ほどの増です。ただ、年齢階級等のクロスはありませんで、この表でいうと、おそらく大部分は若年層に該当するものと思われるもので、一定この学卒未就職失業者の増が寄与しているものの、このグラフにありますような大幅な増の中での寄与度は、必ずしも大きくはないと。むしろウエイトとしては、離転職による失業者の増のウエイトのほうが大きい。手元にある数字の範囲内での分析なので若干不正確かと思いますが、概況としてはそのようなことが言えると思います。

○清家部会長 
ほかにございますか。

○永田委員 
資料3の「論点」の1番の2つ目の◇に、勤労青少年の対象年齢の記載があります。青少年という語感だけで捉えると、ある程度年代は限定的なものになると考えるわけですが、一方で先ほどの資料1にもありましたように、1990年代のバブルが過ぎた数年あとの、いわゆる就職氷河期と言われている世代の方々が30半ばを過ぎてくる状況にあって、そこに多く課題が固まっていて、いろいろな状況にある方々がいらっしゃいます。そのような状況があるということです。
 そうしたことを考えると、今回策定する基本方針が、今後5年間にわたる基本方針の策定をするということになると、いま30代半ばに差し掛かっている方々が5年後には40歳を超えてきます。それに加えて、それらの方々の課題解決が図られたとしても、それ以降の世代の方々に対するいろいろな課題も発生するのだと思っています。
 そういう意味では、この対象年齢というものについて、もちろん一定の年数なり年齢で定義することもあるとは思いますが、その時点時点での状況なり、課題認識を踏まえ、ある程度柔軟な対応ができるような形にしたほうがいいのではないかと考えているところです。その点について、ご認識等があればお伺いできないかと思います。

○清家部会長 
これは事務局のご意見もありますが、委員の皆さんの中で、いまの永田委員の点について、どのようなお考えかということも伺えればと思います。まずは事務局のご認識を伺います。

○伊藤キャリア形成支援室長 
事実関係の部分と、現時点での事務局の考え方をご説明します。現状に関しては前回も若干ご質問いただいたのですが、勤労青少年の捉え方です。もともとこの勤労青少年福祉法が成立をした段階では、その時代時代の変化による対応の柔軟性と、個々人の多様性と両方の観点から、法律で対象年齢の特定をすべきではないという積極的な考え方の下で、法律上は対象年齢の幅を具体的に規定はしていませんが、当時のコメンタール、法律解説などを見ますと、そのような多様性がある、幅があるということを前提としながら、年齢的には概ね25歳未満の者を勤労青少年として捉えると。まだまだ中高卒で、働く世界に身を投じる若者が多かった時代ですので、今日と同一で比較をすることはできないと思います。
 そこから出発をする中で、今日いろいろな資料でご紹介しましたように、若者の労働市場へ入る年齢は進学率の向上に合わせて高齢化し、あるいは今ほどご指摘もありましたような、働くことにかかわる課題を抱えた若者の現実の年齢層の変化を捉える中で、段階的に見直しを行い、前回第8次の方針審議の中で、従前は30歳未満だったものを35歳未満と見直しをしたわけです。
 私ども事務局の捉え方としては、伝統的な勤労青少年としての課題解決の年齢がキャリーオーバーしてきていることと、その時点で、若者自立・挑戦プランに係る政府全体としての審議等を通じ、若者にかかわる雇用能力開発支援施策の対象年齢について、従前は概ね30歳未満だったもの、代表的にはトライアル雇用の支援対象者の年齢上限であったり、一般的なジョブカフェ等の利用対象年齢の設定といったことですが、これを、35歳未満に引き上げをしたというタイミングでした。
 そのような、施策、制度設計との整合性を確保する観点から、勤労青少年福祉方針上の勤労青少年の対象年齢について、概ね35歳未満と見直しをしたと理解しています。
 考え方ですが、まさにこの場で幅広くご審議をいただいた上で、取りまとめいただければと考えています。今回ご提示をした論点、そのベースになる考え方として、その後の施策対象の年齢設定については、35歳未満であったものを、さらに超氷河期、本人のご満足される就職機会を得られないままに、今日に至っている若者が30代後半に至っている現状も踏まえて、さまざまな施策について、概ね40歳未満ということで、さらに引上げをされている施策メニューが多い現状にはありますが、もともとの勤労青少年福祉対策の目的、あるいはこの基本方針で設定をする対象年齢というのが、国として勤労青少年に期待をするものの表れという側面もあるのかなと。そういったことを考えた場合には、現時点での事務局の考え方としては、概ね引き続き35歳未満で、そこのハードルそのものを上げることではなく、むしろ運用の中で30代後半の中でも、勤労青少年に係る施策メニューの中で、その提供が効果的、必要と思われる方について対応していく。そういう柔軟性の中で対応していくことが、より相応しい、あるいはこの勤労青少年福祉法、それに基づく基本方針の位置づけ等に鑑みて、現実的なものではないかという考え方を持っています。いま申し上げたような事務局の考え方も参考にしながら、本日またこれ以降の部会でご審議いただければと思っています。

○遠藤委員 
対象年齢の問題についてです。この基本方針5年ごとに見直しになるわけですから、そうなってくれば、その当時の対象者の方がどんどん年齢を重ねていくことになるので、どこまでいっても対象年齢を繰上げなければならなくなると思うのです。
 いちばん恐れてしまうのは、年齢が上がることによって、対象者の状況が変わってくることです。例えば単身者であるのか、家族がいるのか、場合によっては子どもがいるのかということなどを考えてくると、その施策展開が幅を持ちすぎてしまって、本来ターゲットにしていた対象者から離れるのではないか。効果も多少分散してしまったり、有効な施策展開を考えていたものの多少のずれが出てきたりということを考えます。どの段階でも国が支援する一定程度の役割を常に持っていることは、何ら否定するものではないのですが、ある程度のターゲットはあまりぶれない形で押さえておくべきではないか。各年齢層を対象とした施策を核として持っていて、その制度から漏れてしまう方々を、ご指摘のような柔軟な運用でどう対応していくのかというほうが、個人的にはあり得るのかなと思っています。

○小杉委員 
基本的に皆さん同じような認識だと思うのですが、いまの35歳というところをあえて動かすというよりは、弾力的にという考え方で、もともと勤労青少年福祉対策という名前が付いていますから、どんどん勤労青少年の幅を広げていくというよりは、ある程度ターゲットを絞った施策にするために、そのターゲティングは必要だと思います。
 年齢のことと関係はあるのですが、少し違う話を申し上げます。勤労青少年をどう考えるかにかかわってくるのですが、かつてこの法律ができて、勤労青少年ホームができてという頃の勤労青少年の課題は何かというと、地域から出てきて孤立化してしまう人たちを、どうやって社会に馴染ませていくかということで、福祉にウエイトを置いた法律が出来上がってきたと思います。
 その法律の精神そのものはずっと生きていると思うのです。ただ、若者の状況は変わってきているから、その若者の状況に合わせて、法律の精神を活かしながら読み換えをしていくということが、いまの課題だと思うのです。
 そう考えたときに、前回キャリア形成支援ということを大きな柱に入れたことは、まさにそれだと思いますし、これからのことを考えると、先ほど言った地域間移動などを含めて、ニートのところでは「発達課題」という表現になっていますが、青少年期の発達課題的なものが、十分に満たされない状態に対して支援していくという考え方を中心にしていく必要があるのではないか。それを前面に出すと、常に自立の課題を抱える人に対して、自立のための支援をしていくことが必要だと。
 そのときに、いまは何かというと、例えばニート状態の若者に関しては、親元を離れていてのこのようなところが出てくるだろうし、それぞれの課題を出していくことが、そこで年齢を35歳で区切ることよりは、基本的な青少年期の課題をクリアするために足りないところを支援する、その線引きとして例えば35歳とするけれども、それに大きく限定するわけではない。自立プロセスの中の初期キャリアの形成に対する支援をするというのが、この法律の肝ではないかと思います。
 そう考えたときに、危惧しているのが、先ほどグラフにありましたが勤労青少年ホームが急激に減っている事態です。これに対して、勤労青少年ホームの存在価値はきちんと訴えなければいけないのではないか。必要だということは、きちんと主張しなければならないことだと思います。ここでのうまく展開している事例などを参考にして、青少年期の自立の発達課題に対して社会として拠点が必要だと、そういうことは指針の中できちんと訴えるべきではないかと思います。

○清家部会長 
ソフトの政策に関する、目に見えるシンボリックな拠点として、ホームがあったほうが良いのではないかということですね。
年齢のことについては、最初に問題提起していただいた永田委員はどうでしょうか。

○永田委員 
年齢について、35歳ではなくて別の年齢にしたほうがいいということではなくて、ターゲットが年を取っていく上で変わってくる、満遍的に総花的な施策は限界があると思うので、そのときどきの課題を踏まえた施策を、柔軟性を含めてやっていただくことが必要かなと思います。ここについては何歳にしてくれとか、そのような趣旨での発言ではありませんので、私はいただいた内容で理解はさせていただきました。

○清家部会長 
いまの小杉委員のご発言の後半部分について、事務局から何かありますか。

○伊藤キャリア形成支援室長 
小杉委員から、勤労青少年ホームへの期待と懸念の両方の観点からのお話をいただきました。私どもも、今回いくつかの勤労青少年ホームを回り、運営責任者、その他関係者と意見交換をした中で感じたところですが、それぞれの自治体、地域の立場からすると、勤労青少年ホームというのは地域社会の担い手である若者の活性化と、具体的な話としては地域定着を目指し得る数少ない実効性のある施策であり、拠点であるという認識、評価が非常に強く持たれています。そういう基本認識を、具体的な取組みとして、巻込型の運営基盤の形成にまでつなげているところは、本当に初期の目的に沿って活性化をしているということではないかと思います。
 他方で、今回お示ししている資料で、先ほどは時間の関係で詳しい説明はできなかったのですが、うまくいっていることばかりではなくて、それぞれ課題もあります。先ほど自治体の運営予算にも若干触れましたが、自治体の厳しい財政状況の中での効率的な運営も課題となっています。
 また、自治体の立場としては、この勤労青少年ホームが国の政策の中でどのように位置づけられるのかについては、それぞれの地域の中で、市町村の議会、首長の十分な理解を得た上で、必要な予算を確保して施策を推進していくという意味で、大変重要な課題であります。
 そういう意味では、今回意見交換をする中でも、当然それぞれの自治体の勤労青少年対策、所管部課長等にあっては、今年この勤労青少年福祉対策基本方針が審議される節目の年であることは認識を持たれているわけで、この部会での議論を通じ、この勤労青少年ホームを含めた、国としての勤労青少年ホームのあり方、方向性を示してもらい、福祉法に基づいて基本方針を参酌をして、都道府県、自治体ごとに勤労青少年福祉事業計画を定めるという仕組みになっています。それを反映した形で、自治体の立場でも、勤労青少年ホームを含めた施策の位置づけを改めて明確化、重点化をしようという期待を持たれての、基本方針に係る審議という位置づけになっているのかと思っています。
 勤労青少年ホームについては、従前、社団法人全国勤労青少年ホーム協議会という、勤労青少年ホームの相互交流の場がありまして、そういった場が他のホーム、他の自治体の活動好事例などを紹介する有効な場の1つとなっていたのですが、この協議会が諸事情により、1昨年に解散をしたこともありまして、地域を超えてのホームの経験交流が若干制約をされています。
 そういうことからすると、例えば、この事業を所管している国の立場で、広域的な勤労青少年ホームの活動の実態について、何某かの交流、情報提供、情報交換が可能な場を創設、提供していくこともあり得ようかと思っています。そういった中で今回ご審議をいただく方向性、キャリア支援という観点からの具体的な取組留意点、あるいはそれを支える人材のあり方についても、今後の部会の審議の中で、是非ご意見をいただき、方針に位置づけられるものは位置づけることにより、それがいま申し上げたような、自治体の期待に応えることにもなってくるのかと思います。
 今回データとしてご紹介している勤労青少年ホームの数に関しては、勤労青少年福祉法に基づく設置運営基準を満たすものとして、過去に国庫補助金より設置されたものですが、それ以外にも類似施設ということで、国庫補助金を受けたもの以外で、勤労青少年の活動に資する施設として、それぞれの自治体が設置している施設が、395の外数で52ほどあります。
 私どもとしては、そういった制度的にはこれそのものではないけれども、同じような志をもって活動している自治体あるいは施設に対しても、いま申し上げたような周辺的なサポート施策について、その対象としていくといった形で、国庫補助金を復活することは難しいと言わざるを得ないわけですが、ソフト面でのサポート、盛上げ、その輪を広げていくことについては、十分検討に値することだと思っていますし、そういった立場で自治体、ホームに対するサポートを広げていきたいという問題意識を持っています。

○清家部会長 
それは具体的には、基本方針の書きぶりによって、首長にしっかりと認識していただくとか、地方自治体における青少年施策を進める部局がそういった議会、首長と話を進める上でのサポートになるということですか。

○伊藤キャリア形成支援室長 
これは私の主観ということではなくて、実際に今回ホームを訪問する中で、運営責任者、直営の場合にはそれぞれの市の勤労青少年対策の担当課長が、ホームの館長を兼ねているケースが多うございまして、そういう意味ではホームの運営責任者であり、自治体の勤労青少年対策を司る両方の立場で、この国の基本方針に期待を持たれているということです。

○宮本委員 
いまの話で、5年前の第8次の策定をした頃の議論を思い出しました。その当時も、勤労青少年ホームをどう位置づけるかは、かなりの時間をかけて議論したと思います。そのあと地域若者サポートステーションを開設するときにも、当時500近い勤労青少年ホームが箱としてあると。それとサポートステーションをセットでやれないかというのは相当議論をして、それにもかかわらずかなり死んだ状態になっている勤労青少年ホームを活性化して、サポートステーションとセットでやることができない状態で、結局別途にサポートステーションを開設したことがありました。
 ですけれども、今日の資料の中でも、三条とか、いくつかの勤労青少年ホームはサポートステーションとドッキングさせながら、いい活動をしていると。だけれども、ごく限られたところがそれをやっただけになっていると思います。
 サポートステーションが100カ所できて、いろいろな活動をやっている中で見えてきていることは、サポートステーションというのは単に相談窓口だけではないし、1対1のパーソナルなサポートをやるというだけでは限界が見えてきていて、集団でというか、あるいは地域活動という中で、全体としていろいろと不安定な状態にある若い人たちの活性化を図らなければいけない段階にきているのではないかという声は、だいぶ聞かれています。サポートステーションに個人登録をしていると、だんだん増えていって、何百人という数になっているわけで、これをパーソナルなサポートだけでやるわけにいかないところにきているので、そのような意味で、勤労青少年ホームをもう一度、初期の高度成長期の勤労青少年の扱いとは違うとは言いながらも、もう少し集団的に活性化する拠点として考えるべきところにきているという感じがします。
 ですから、5年前にできなかったことを、いまだったらもう一回捉え直しもできる時期にきているということで、もう一度議論していく必要があるのではないかと思います。

○阿部委員 
勤労青少年ホームの運営についてです。地方公共団体の予算規模はどの程度なのでしょうか。可能であれば、いくつかの事例を挙げてご紹介いただきたいと思います。

○伊藤キャリア形成支援室長 
いま阿部委員から、勤労青少年ホームの運営コスト等についてお尋ねいただいたところです。資料の説明の中でも触れましたように、押し並べて申し上げますと、光熱水料、指導員の活動謝金、その他諸事業の展開のための事務費等々で、年間1,000万円強というのが、いちばん典型的な勤労青少年ホームの運営予算になろうかと思います。今回ご紹介申し上げています勤労青少年ホームでも、川越に関してはちょうど1,000万円です。
 実は若干地域性もありまして。

○阿部委員 
ありますよね。参加している人数が、随分地方と都会では違いますね。


○伊藤キャリア形成支援室長 
施設の規模、利用人数、諸コストのベースが、都市部あるいは地方中心都市と、小都市では違うということです。今回資料でご紹介していない大都市型の勤労青少年ホームの中では、年間の運営費が2,000万円を超えている事例もあります。大体その辺りがマキシマムで、標準的には1,000万円で、中小都市の勤労青少年ホームにあっては100万円台といったケースもあります。大体そういった分布ということでご理解いただければと思います。
 それから、先ほど宮本委員からご指摘のあったサポートステーションの関係についてです。宮本委員からお話がありましたように、5年前の時点ではサポートステーションは具体的には立ち上がっていませんでした。宮本委員、小杉委員にあっては、サポートステーションのアドバイザリーボードにもご参加していただきまして、両方の立場でご指摘いただいたと思っています。そういう実績、そこで見えてきた課題を踏まえて、勤労青少年福祉施策のあり方と、サポートステーションなどの自立支援策のあり方について、結び付けたご議論をいただける環境が整ってきていると思います。
 具体的に、いま勤労青少年ホームの場を活用してサポートステーションを展開している事例としては、今日具体的に資料でご紹介した新潟の三条以外に、京都、今年度開設したばかりの群馬東部のサポートステーション、今日ご紹介している狭義の勤労青少年ホームには入っていませんが、先ほどご紹介した類似施設で、札幌に関しては勤労青少年ホームの系譜の施設の中で、サポートステーション事業を展開しているということで、勤労青少年ホーム的な施設の中で、サポートステーション事業を展開している例は、少数ではありますが、少しずつ広がっています。
 私どもサポートステーション事業も所管している立場で申し上げますと、いまお話がありましたように、交流活動の場なくしては、個別の相談だけでは自立に結び付かない。人とのリアルな交流、社会参加の場をどのように作っていくのか。もちろん拠点から職場等、外へ出ていくということは、それぞれ取り組んでもらわなければいけないことですが、リアルな生産活動の場である職場そのものに、就職経験、職業経験のほとんどない、あるいは人間関係について自信を喪失しているニートが即入っていくということは、かなりハードルの高いケースも多うございまして、そういう意味ではワークショップ的な場を同じ施設の中で作り上げて、徐々にハードルを高くしていくというやり方のほうが、より実効性があるのではないかと。そういう意味では、先ほどご紹介しました新潟三条の例で、勤労青少年ホームの中の喫茶店、食堂をサポートステーション利用者のジョブ・トレーニングの場として活用したりしています。それから、これは今日ご紹介している例ではありませんが、サポートステーションの施設の中に地域住民の交流の場を設定して、同じ建物の中で、地域住民とニートなどの若者が、実際に接することのできる場を設けたり、施設の中と外で、重層的な交流活動の場を設定していくことが、若者の自立支援という観点で、非常に実効性があることが、この間の事業展開を通じて確認されつつあると思っています。
 こういった点についても、必要に応じ、次回以降に具体的な事例などもご紹介しながら、勤労青少年施策のあり方と、自立支援策のあり方についても、是非有機的に結び付けた形でのご審議、ご提言をいただければありがたいと思っています。

○宮本委員 
もう1つです。元に戻って申し訳ないのですが、先ほどの年齢の問題に関してです。動きの中から出てくるもので、35歳までだと納まらない方々が多くなってきて、支援現場も40を超す方も来ます。
 この法律は勤労青少年福祉ということですので、先ほど小杉委員が言われたように、初期のキャリア形成の課題を持った人たちに対する法律であり、取組みであるべきで、当然そこに大人たちとは違う手法があり、動いていることだと思うのです。
 そこに、その30歳を超え、40歳になる方たちが来ること自体は、その年齢の人たちの行く場がないという問題が、そこで明らかになっているわけです。支援現場は、早期発見・早期サポートが必要だということで、いまサポートステーションも年齢を下げようと努力しているわけですから、10代後半の人たちを一生懸命サポートすることを重点でやっています。例えば高校中退者というのが、1つのフォーカスグループになっていると思うのですが、そうやればやるほど、一方で30代後半の人たちも対象にしなければいけない、20歳以上の年齢幅のある人たちを支援するというと、方法が相当違うはずなのです。
 そういう意味で、今回年齢をどうするかということをやる場合には、年齢段階でいうと中年期ですが、中年期に対して従来の専門機関が対象とできないような課題が何なのか。そこの部分について、いま社会的な資源があるのかないのかという整理をする必要があるのではないかと思います。そうでないと、ニーズに応じて年齢も柔軟に広くということになると、現場は水増しして、大変なことで、適確な支援はできないという危惧を感じざるを得ないということです。

○清家部会長 
ほかに何かございますか。

○阿部委員 
いまの話ですが、当社で採用したときの経験から申しますと、就業意欲や社会人としてのコミュニケーション能力が明らかに不足している若者を多く見かけるのです。だから、キャリア形成に当たっては、技術的、専門的な職務能力だけではなく、社会人としての基礎力をしっかりと身に付けてもらうことが重要ではないかと感じています。

○永田委員 
先ほど勤労青少年ホームの活性化を図る、あるいはキャリア形成支援の場として活用するといったご意見もありました。そういった方向については、私もそのような視点でこれから検討を進めていくことが必要なのではないかと考えています。
 これはホームに限ったことではありませんが、いま仕事を探しても仕事がない、あるいは高校を中退されたり、いろいろな困った方がいるということですが、そういった方々がどこに相談をすればいいのか、あるいは誰に相談をすればいいのか、自分のキャリアをどうすればいいのか、そういうことをどこに行けば解決できるのかが、なかなかそういう方々に伝わっていないのではないかと思っています。
 もし、そういうことがわかっていれば相談に行ったとか、わからないがためにいまの状況が続いているとか、そのようなケースもあり得るのではないかと思っていまして、そういう意味では、これからホームも含めたハード面での充実も大切になってきますけれども、それと併せて、そういったものが身近にある、あそこに行けばある、こうすれば相談をできる、そういうことが一人ひとりに伝わるような広報、周知活動なりの充実を図っていくことが大切なのではないかと思っています。

○清家部会長 
その辺について何かありますか。

○伊藤キャリア形成支援室長 
いま永田委員からご指摘いただいた点ですが、この勤労青少年福祉対策という観点はもとより、より幅広く労働施策の展開に当たって重要な点だと思っています。いまご指摘いただいた点に関しては、1つには、さまざまな職業能力開発あるいは就職支援等にかかわる施策について、この間、課題の広がりに応じて充実を図ることによって、結果として非常に複雑化をしています。それぞれ抱える課題、属性に応じて、ジャストフィットの施策メニューはなかなか到達しにくいという指摘は、各方面からもいただいているところです。
 そういった中、私ども全省的に大臣の指示の下で、当初のホームページも含め、関連する施策について、どのような属性のどのような課題を持った人であれば、この施策が最もフィットするということについて、最短距離で結び付くような、わかりやすい広報については、当能開局も含め、それぞれの部局で改善措置を図っているところです。
 もう1つは、今日ここでご審議をいただいているような課題を抱える若者を考えた場合には、一般的な広報だけでは解決しきれない部分もあります。先ほど宮本委員に少しお触れいただいたのですが、サポートステーションなどで取り組みつつある、アウトリーチ型の手法、能動的なサポート、すなわち勤労青少年あるいはニート等の若者のうち、自分からはなかなか足を踏み出しにくい若者も相当数いるということを考えた場合には、こちらからの情報発信ということだけではなくて、リアルにこちらからアプローチしていくという施策についても、これから充実が必要なのだろうと。とは言え、これは手間もコストもかかる話ですので、あらゆる対象層についてアウトリーチ型というのは非常に難しいのですが、先ほどデータでもご紹介した、高校中退者等がニートの重大な発生源になっているという問題意識の下で、少なくともここは焦点化したほうがいいのではないかということで、今年度から文科省とも施策連携を図り、それぞれの高校から高校中退リスクのある方、あるいは中退してしまって、進路決定についてのサポートが必要な方について、サポートステーションからアウトリーチ能動支援をかける仕組みを構築したり、そういうプライオリティの高い部分から順次取組みを進めつつあるところですが、委員のおっしゃったことは、さまざまな施策全般に当てはまることだと思っていますので、この部会の中でも、さらにご審議いただきたいと思っていますし、私どももできるところから手を付けていきたいと思います。

○小杉委員 
いまのご意見に触発されてですが、このような公的支援はなかなか伝わっていませんし、私的な支援でも、いろいろな方がいろいろと努力されているのです。NPOレベルの方、共同組合とか、いろいろなところで支援の声は上がって、動いてはいるのですが、なかなかそれが当事者に届かないという大きな問題があると思います。
 そこで、子ども・若者育成支援推進法という形で、地域のネットワークを作るとか、地域サポートステーションもそういうことを発想して、地域にネットワークを作ろうと。それでアウトリーチという話も出てきて、何とか支援の枠を整備すると同時に、それを当事者にどう届けるかを努力してきても、なかなかうまくいきません。
 なかなかうまくいかないことを、この指針の中には視点として入れておく必要があると思います。実際に地域で活動しているNPO、組合なども含めて、この指針の中で、連帯を訴えかけるとか、そのようなスタンスも必要なのではないかと思いました。

○花井委員 
検討論点の2、3にかかわることで、平成23年度若年者対策の概算要求が出されていますが、取り分け今回新卒の就職が大きな問題になっていまして、この中に企業に対しての奨励金、卒業後3年以内の既卒者に対してもと出ています。この計画が5年間と考えたときに、例えば新卒扱いを3年間ぐらい、その年だけではなくて、もう少しそれを広げて考える視点も必要なのかなと思います。
 それから、新成長戦略のペーパーも出されていますが、先ほどの資料で若者の離職の理由を見ますと、給与が不満、労働時間が長いといったことが出されています。それと併せて、成長戦略のキーワードが「出番」と「居場所」で、この言葉は若者だけではなくて、高齢者も特にそうなのかもしれませんが。取り分け、中退をしてしまった、あるいは就職がなくて非常に困っている人たちが、先ほど永田委員から話があったように、どこへ行ったらいいのかわからない。「居場所」、それはとても必要なのではないかと考えていまして、是非ともこういう言葉。そして成長戦略の中に組み込まれたトランポリン型社会、失敗してももう一回復活できる、やり直しはできる勇気を、どこかで与えることが必要なのではないかと思うのです。
 それから第二のセーフティネットはいま検討中ですが、職業訓練がきちんと公的に受けられるという安心感、ディーセント・ワーク、ワーク・ライフ・バランスといった言葉がありまして、成長戦略が2020年までとなっていますので、このような考え方は非常に大切なことではないかと思います。是非今回の基本方針の中に、どのような形かはこれからですが、組み込む必要があると思います。是非お願いします。

○遠藤委員 
いまの花井委員のご発言にかかわることです。今日の「検討論点」の中で、現在、国でお考えになっている新規施策を含めて、いくつか出てきたかかわりのあるところは基本方針の中に書込みがされるという理解でよろしいのでしょうか。
 それから、労働者の意識が多様化したということはよく取り上げられてはいるのですが、多様化する意識の中で、最近若い方々が安定志向になってきたという指摘があり、もし勤められるのであれば、もう少し長く勤めていたいということも、一方で言われています。
 企業内での取組みを見ていきますと、個別対応ということで、例えばメンター制度を拡充していくという対応をする一方で、集団的な対応として、例えばかつて取り止めていたような運動会を社内的にやってみたり、あるいは社内旅行をやってみるということもあったりして、個別と集団の組合せを、宮本先生がおっしゃったように、職場内でもマッチングさせることによって、少しでも継続雇用を図れるような取組みもやっています。多様な意識の中でも、最近はこんな傾向が出てきたというところもピックアップしていただいて、それにかかわるような施策展開も国は行っていることを出していくことができれば、まさにメッセージという形で伝わっていくのかなと思いました。

○清家部会長 
その点についていかがですか。

○伊藤キャリア形成支援室長 
各委員から関連する重要な点について、ご指摘いただきました。遠藤委員のおっしゃった今後の書込みということについては、今回概算要求の関連については、何分概算要求直後ということで、今日は必ずしも十二分な資料をご提供できていない部分もあるのですが、次回以降、より具体性をもった資料を、この概算要求に関してもそうですし、先ほど花井委員から新成長戦略のコンセプトの重要性のご指摘もいただきました。新成長戦略に位置づけられた課題についても、一部報道もされていますように、除々に検討なり、取組みに着手しつつあるものもあります。そういったものをご審議いただく材料としてご提示をし、その中で勤労青少年福祉対策という観点から重要なものについては、それを位置づけていくという方向でご議論いただきたいと思いますし、私どももそのようなスタンスで、事務局として取りまとめに当たっていきたいと思っています。
 それから、いま遠藤委員からは、企業の中での集団的な働き掛けの場の話がありまして、先ほど花井委員からは居場所という話がありました。企業の中でも、若者にとっての居場所が必要であると。あるいは失業者、ニートにあっては、企業の中というわけにはいきませんので、それがパブリックサービスの中であったり、先ほど小杉委員のおっしゃった民間の支援団体の活動であっても、有効なもの、信頼に値するものについては、そういったものも位置づけていくことも大変重要であると思っています。
 私どもが考えますに、民間にも若者の自立、社会参加をサポートするような団体、活動があるということ、これは皆様方もご承知のとおりかと思いますが、そういった活動の制約はいろいろあるかと思うのですが、情報として伝わっていない部分ももちろんあるのですが、信頼性の問題です。外形的にその団体のサポートというのは、本当に信頼に値するかどうかについて、若者本人あるいは保護者にとって、なかなか見えにくいという要素もあるのかなと思っています。
 そういった意味では、何某かのフィルターのようなものが必要であって、先ほど宮本委員がおっしゃいましたように、サポートステーションはニートの若者の個別支援だけが役割ではなくて、広い意味での若者支援のネットワークづくりがもともとのミッションということで、昨年度辺りからサポートステーションを受託している団体だけではなく、幅広く若者をサポートする団体についての情報をデータベース化をして、発信していくような取組みについても、順次進めているところです。
 まだまだ発展途上ですが、そういういくつかの枠組みの中で、必ずしも国や自治体、公だけではなく民間を含めて、あるいは遠藤委員のおっしゃったような企業内、さまざまなフェイズの中で、若者が参加できる、落ち着いた形で自己成長できるような場を若者自身、保護者も含めた関係者にも、認知をし、あるいは信頼性をもって伝えるような手立てが必要になってくると思っております。そういう点についても、是非ご審議を深めていただいて、そのエッセンスを方針の中にも位置づけることができればと思っていますので、よろしくお願いします。

○宮本委員 
1つ加えさせていただきます。先ほどの勤労青少年ホームのこれからのあり方について1つ考えるのは、若者自立塾は宿泊型だったわけです。それで、事業仕分けで廃止と決まったのですが、3カ月、6カ月の合宿型で、寝食を共にしながら、いろいろな意味で総合的に立直りを図るという、手法としては非常に重要なものを持っていたと思われます。
 もう1つ必要だと思うのは、通所型です。例えば学校を中退した、学校を去ったあと、仕事にも十分に接続できず、行くべき学校もなく、家にはいられない人たちが、放置されたときにどこに居場所があるのか。居場所がないというだけではなくて、人からの働き掛けもない状態ですので、この初期のキャリア形成の時期だということからすると、発達もそこでストップするわけなのです。
 そういう点でいって、通所型の機関がこの時期は非常に重要だと思っているのですが、サポートステーションなどの場合には、まず場所が狭く、基本的に相談的な機能を果たすための場所設定なので、学校や会社の代わりに毎日来ていいような状態にならないところが、限界だと思っているのです。それに代わる、いわゆる職業訓練の場があるのですが、その職業訓練の場に完全に入れない人たちの中間的な場がないのです。
 5年前に勤労青少年ホームの議論をしたときには、まだそのようないろいろな取組みがない中での議論だったので、私自身もそういう発想がなかったのですが、いまになってみると、勤労青少年ホームという場所がある、サポートステーションが各地で展開していて、サポートステーションのやれていることと、やれないいろいろな制約がはっきりと出てきているので、そういう意味でホームを通所型の機関として位置づけることができるのではないかと思います。学校や会社に代わるべき、毎日通える場で、居場所であると同時に訓練ができ、そこで学べる場であり、かつ孤立した若者たちにとって必要だと思います。高度成長期に勤労青少年ホームをつくったのも、休暇に行き場所のない地方出身の若者たちのためにつくったという話を聞いていますが、現代版の居場所として、是非それを活性化することができるのではないかと。その辺りも検討していただきたいと思います。

○花井委員 
関連して質問です。若者自立塾が事業仕分けでなくなってしまいまして、いま基金事業の中で行われていると思います。求職者支援制度の恒久化に向けて、いま雇用保険部会と能開分科会で検討が行われていると思いますが、いま宮本委員から、ホームを通所型に使うというアイディアが出されていますが、いま若者自立塾は基金訓練で行われていますが、今後はどうしようとしているのでしょうか。

○伊藤キャリア形成支援室長 
いまの花井委員からのお尋ねについては、まだ検討途上の段階ですが、いまの状況をかい摘んでご説明します。若者自立塾事業は、昨年度の事業仕分けで廃止になり、それに代わってニート等のうち、特に自立に困難を抱えた若者に対する合宿型の生活訓練つきのメニューとして、その時点で既に創設されていた基金訓練の中の1つのメニューとして、合宿型若者自立プログラムを、従前の自立塾からプログラムや仕組みを相当大幅な見直しをした上で、スタートしています。
 いま現在の状況としては、旧自立塾の実施団体は28ありましたが、この基金の合宿型プログラムについては現時点では19団体で実施していまして、私どもが把握をしている中では、既に開講し、受講している方の数は160名強です。しかし、順次実施箇所も拡大しています。
 今年度については、この基金訓練の1つのメニューとして、生活訓練も含めた合宿のプログラムを展開していきたいと考えていますが、来年度以降の取扱いについては、ご案内のように、現在能力開発分科会、雇用保険部会といった、労働政策審議会の他の場において、この基金訓練をベースとしての恒久措置、求職者支援制度について議論がなされている途上ですし、したがって求職者支援制度にかかわっては、今回の概算要求の中での事項要求ということで、具体的な要求内容までは明らかになっているわけではないということで、その1つの位置づけであるところの合宿型についても、まだ具体的な方針が確定しているわけではありません。
 審議会の中では、恒久措置の目的に鑑みて、できるだけシンプルな仕組みで、あるいは主に就職に資する基礎的な内容と、実践的な内容の両方を盛り込んだ内容であるべきではないか等のご意見もいただいている最中です。
 そのようなご指摘も踏まえて、遠からず求職者支援制度訓練の、全体としての設計コンセプトも整理をし、それを踏まえて、現在基金訓練の中で行っている宿泊型プログラムの位置づけについても具体化をし、精査をしていく。
 ということで、まだ現時点では具体的な方針について検討途上ということで、この点については、また基金訓練、求職者支援制度という観点で言えば、能開分科会の中、また勤労青少年福祉に係る課題という意味では、この若年部会の中でも、その時点、時点での検討状況、方向性については、さらにまた追加でご報告を申し上げたいと思っています。

○清家部会長 
求職者支援制度がどうなるか、財源の問題であるとか、一般会計の財源でやれるのか、いろいろな問題があると思いますので、そこはまだ確定的なことは何も言えないと思います。
 仕分けも、できれば仕分けの検証というか、仕分けしたものが本当に仕分けしてよかったのかという検証は必要ですよね。仕分けは、仕分けをしっぱなしでいいということはないので、そういう意味では、そういうことはできればやっていただきたいと思います。

○花井委員 
私はあれが本当に仕分けられてよかったのかどうなのかと思っています。先ほどから、勤労青少年ホームのあり方が重要ではないかという話が出されていますし、宮本委員からは通所型として使えるのではないかとか、出ているので、もちろん2つの分科会と部会で検討していることや、財源の問題もある程度は聞いていますが、せっかく5年間の基本方針を作るわけですから、実現するかどうかは別として、何らかのアイディアでもいいですから、ここの部会で出せたらと思いました。

○遠藤委員 
いまのご意見に関連します。私も頭の整理ができていないのですが、厚生労働省の労働政策における重点事項の中に、就職活動準備事業というものが位置づけられています。求職者支援制度の前段階的な形のものとして位置づけているのではないかと思われますが、そういった仕組みの中で、宮本委員がおっしゃったように、例えば勤労青少年ホームを活用した形での準備を橋渡し的にやってもらうようにする。場合によってはそのまま就職もあるでしょうし、求職者支援制度に行っていただくというような複線型の1つの拠点として使っていくというのは、事業展開の中では十分にあり得ると思いました。
○清家部会長 
まだいろいろご意見があるかもしれませんが、所定の時間になりました。今日は最初の部会でしたが、皆様方から非常に有益なご意見を伺えたと思います。いまのお話を伺っていましても、ハードウェアとソフトウェア、いちばん大切なのはソフトなのかと思いますが、同時に箱物は問題だという議論でずっときていますがそれだけでよいのかとも思います。今日のお話でも実はソフトウェアの部分をしっかりと実現するためにもハードウェアが必要だということはあるわけですから、その辺はしっかりと我々も議論をし、言うべきことは言っていかなければいけないと思います。今日の議論を伺っていて、最初の小杉委員の住宅の話もそうですし、いまのお話もそうだと思います。そこは我々も意識して議論していったほうがいいと思います。私も大変勉強になりました。ありがとうございます。
 そういうことで、本日の議題は、第9次の勤労青少年福祉対策基本方針策定に向けた検討の論点ということで、大変有益な議論をいただきまして、ありがとうございました。本日の議論はここまでとさせていただきます。何かお気づきの点がございましたら、次の会議の前でも、事務局にお寄せいただければと思います。最後に事務局から何かございますか。

○田中キャリア形成支援室長補佐 
今後のスケジュールです。資料4です。本日の議論を踏まえ、新たな基本方針の策定に向けて骨子案の作成を事務局で進めていきたいと思っています。次回の日程は、11月の開催を予定していますが、第9次職業能力開発基本計画の策定のスケジュールに合わせて開催日を調整したいと思っていますので、改めて後日事務局からご連絡差し上げます。

○清家部会長 
そのようにしますので、よろしくお願いします。
 本日はこれで終了ですが、本日の議事録署名委員は、部会長の私と、労使から1名ずつお願いするということで、今回は労側から永田委員、使側から三浦委員にお願いします。以上をもちまして本日の部会は終了します。今日はありがとうございました。


(了)
<照会先>

職業能力開発局キャリア形成支援室

企画係 三宅: 03-5253-1111(5372)

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