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2010年9月6日 第36回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会議事録

健康局疾病対策課臓器移植対策室

○日時

平成22年9月6日(月)
16:30〜


○場所

経済産業省別館825号会議室


○議題

1.開 会

2.議 事
(1) 改正法の施行状況について
(2) 移植希望者(レシピエント)選択基準について
(3) 改正法の施行を踏まえた今後の検討課題について 
(4) その他

3.閉 会

○議事

○長岡補佐 それでは、相川厚先生がまだお着きではありませんが、ただいまより「第36回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会」を開催いたします。本日は木下委員から欠席のご連絡を、また、大島先生より別のご予定との関係で遅れるといったご連絡をいただいております。本日は現時点で定足数を満たす15名のご出席を賜っておりますので、ここでご報告いたします。また、本日はオブザーバーとして「心臓移植の基準等に関する作業班」の北村惣一郎班長にご参加をいただいております。北村先生、よろしくお願いいたします。また、事務局に人事異動がありましたのでご紹介をいたします。8月9日付けで新たに臓器移植対策室長補佐に荒木が就任しております。
○荒木補佐 荒木と申します。よろしくお願いします。
○長岡補佐 続きまして資料の確認をします。議事次第をご覧ください、配布資料のところです。
 資料1-1「改正法の施行状況について」。資料1-2「改正法施行後の脳死下での臓器提供事例について」。横長の資料で、参考資料が7頁まで付いております。資料1-3「脳死下における臓器提供事例に係る情報開示について」。これも後ろに2頁の参考資料が付いています。資料1-4「脳死下における臓器提供事例に係る検証会議の開催について」。資料2-1「心臓移植希望者(レシピエント)選択基準(案)」。この後ろに参考資料が3つ付いております。1つ目が「ALLOCATION」で始まる英文の資料です。これが少し長いのですが、両面で32頁まであります。参考資料の2は「EXECTIVE SUMMARY」という題で始まるものですが、これも英文の資料でして3頁まであります。最後が画面を打ち出した資料ですが、参考資料3は「HEART TRANSPRANTATION」と書かれた、これも英文の資料ですが、これも両面で最後は8頁まで付いています。以上が資料2-1です。
 次は資料2-2で「肺移植希望者(レシピエント)選択基準(案)」です。その後ろに参考資料が2種類付いています。参考資料の1「日本人小児スパイログラム基準値」。その後ろ、これも日本語の論文ですが、「日本呼吸器学会肺生理専門委員会報告」と書かれた参考資料2が付いています。17頁の資料です。資料2-3「心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準(案)」。以上が資料2です。
 資料3「移植医療における今後の検討課題について(案)」があります。以上が資料です。乱丁などがありましたら事務局までお知らせいただければと思います。また、例のごとく机の上に現行の法令ガイドラインをまとめた紙ファイルを置いてあります。これも議論の際に参考にしていただければと思います。今回は改正法施行後初めてということですので改正後の法律は全て入っていますので、それをご覧いただければと思います。以上が資料の確認です。特に問題がないようでしたら先に進みますが、よろしいでしょうか。
 それでは、以後の議事進行は永井委員長にお願いします。報道のカメラの方はここでご退室をお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。
○永井委員長 ありがとうございます。この委員会では、これまで省令・ガイドラインをはじめ、様々な角度から精力的にご議論いただいております。今日は改正法の施行後初めての委員会であるということですので、その施行状況についてご確認いただいた後、臓器ごとのレシピエント選択基準等についてご議論いただくという予定になっています。よろしいでしょうか。では、議事に入りますが、はじめの議題、改正法の施行状況について事務局より資料の説明をお願いいたします。
○辺見室長 それでは、私のほうからまず資料の1-1及び1-2についてご説明します。まず、資料1-1、改正法の施行状況です。1番は、省令・ガイドライン等の改正です。6月25日に省令・ガイドラインを改正いたしまして都道府県、政令市、中核市のほか臓器提供施設、関係団体等に通知を発出しているところです。
 これを踏まえまして2番は、新たな制度についての周知・広報です。(1)は多様なメディアを通じた周知・広報ということでまず、7月17日が施行日になりますので、これをまたいだ形で7月13日から18日、新聞各紙に政府広報を掲載しております。全国紙、ブロック紙、地方紙に掲載をしているところです。厚生労働省のホームページに専用ページを設置いたしまして、トップページからアイコンをクリックするとアクセスできるような形にしております。説明会の開催ということで医療機関、行政機関、マスコミ等を対象に合計5回ほど説明会を開催しております。学会の先生方にご協力いただきまして、医療現場への周知のためということで機関誌やホームページなどに情報掲載をいただいているところです。
 普及啓発的な視点は(2)です。改正内容を踏まえまして臓器提供意思表示カードの改正を行ったところですが、この改正後の意思表示カードと一体となったカード一体型リーフレットを400万枚作成し、配布しています。併せて免許証や保険証に意思表示欄が設けられることとなっているところでありますけれども、こちらはカード一体型リーフレットからカードを外した形の説明用のリーフレットのもので、1,000万枚ほど作りまして配布しています。
 次にシール一体型ですが、免許証や保険証でまだ意思表示欄が設けられていないものも使用されておりますので、それらの方のためにシールが付いているリーフレットも合わせて500万枚ほど配布しているところです。臓器提供意思登録システムは、インターネットやモバイルサイトを通じて意思表示を登録できる臓器移植ネットワークにおいて運用をしているシステムですが、8月の新規登録者数が7,270人になっています。
 このシステムは、これまで概ね月平均約2,000人の登録がなされてきたところですが、この8月の1ヶ月で7,270人ということで、平均的な月数の3.6倍ほどの登録があったところです。この結果、8月末現在の登録者数は71,182人となっております。
 3番は、「施行後に起きる脳死後の臓器提供事例への対応」です。後ろに付いております資料も合わせてあとで説明いたします。7月17日以降、これは9月4日現在で7例ということですけども、実は本日、脳死判定があって、これから提供があるという事例を、13時から記者会見を行って公表したところです。これが入りますと8例ということになりますが、順次、臓器移植ネットワークから情報開示、記者会見を行っています。内訳は家族の書面による承諾によるものが6例で、いままさに進んでいるものが提供に至りますと7例。本人の署名による意思表示によるものが1例です。
 いちばん下、4番ですけれども、検証会議の開催です。9月8日に「第32回脳死下における臓器提供事例に係る検証会議」を開催します。1年数ヶ月、間が空いているところですが、55例目までの検証は行われていますので、56例目以降の検証を行っていく予定としています。
 次に資料1-2です。先ほど触れました提供事例ですが、9月4日現在までの7例を表にしたのが、こちらの1枚目の横長の表です。左から5つ目の欄に「書面による意思表示」という欄がありますが、上から3つほどが「なし」、4番目が「あり」、そのあと3つが「なし」ということです。1例の「あり」を除いて6例が書面による意思表示がない、すなわち家族の承諾による提供です。
 その後ろに付いている参考資料ですが、1頁目から5頁目までは、脳死判定事例としては94例目、提供事例としては93例目の事例について公表した際の資料、そのあとは今日急いで付けてきたものですが、6頁目、7頁目は今朝2回目の脳死判定が7時に終わったという事例です。まだ判定が終わったという段階ですので、「情報公開について」というドナーに関する情報が公表されているだけのものです。その他の移植に関する情報は今後順次、提供していくことになっています。とりあえず、ここまでで一区切りつけさせていただきます。
○永井委員長 ありがとうございました。ただいまのご説明につきまして何かご質問、ご意見はございますでしょうか。
○大久保委員 これは予算の問題もあるのでしょうが、一体型リーフレットの新カードが400万枚というのは本当にあまりにも少なくて、おそらく現在では免許証にはほとんどまだ入っていませんし、これから保険証にもようやく入っていって配られる段階で、おそらく1年や2年はなかなか皆さんの手に渡らないと思うのです。以前はカードだけで1億数千万枚も配っているわけですが、実際としてこの400万枚というのは本当にあまりにも少ないので、何とかもう少し予算的な措置は取れないものなのかなと思います。実はいろいろな催しのときにカードを配布しておる患者団体としては、とてもいま困っている現状なのです。その辺のところ、厚労省としてはどうなのでしょうか。
○永井委員長 いかがでしょうか。
○辺見室長 予算の影響というのはどうしてもやむを得ないところでして、私どもとしては予算の範囲内でできる限り多くの方に行き渡るような工夫をしていきたいと考えております。一方で枚数の制約というのもありますので、意思登録システムの普及も併せて行うことによって全体として効率的にということも、いまの仕組みの中で何か工夫をしながらやっていきたいと考えております。あまり勢いがいい答弁ができなくて申し訳ないのですけども、何とか工夫をしていきたいということであります。
○大久保委員 もう1年ぐらいはおそらく配らなくてはいけないかなと思っているのですが、来年については予算的措置も是非考えていただきたいと思っております。
○松原委員 置く場所ですが、コンビニにあると聞いたのですが、なかなか練馬にはなくて、区役所の入り口にも置いていないのです。保健課の6階か何かに行かないとないみたいなので、もう少し誰でも簡単にもらえるように、受付か何かに置いてあればもらいやすいのですが、わざわざその保健の所まで行かないとないみたいなのですよね。ですから、もう少しすぐ手に入るこのドナーカードを書くのが、と思いました。
○永井委員長 それはまた各自治体に指示を出していただけますでしょうか。
○辺見室長 そうですね、臓器移植ネットワークを通じて早くしていただいているところですが、配布場所の実態等を把握いたしまして、できる限り工夫していきたいと思います。
○相川(厚)委員 私どもの病院の玄関に、2日前にこの臓器提供意思カード、新しいものがどちらかというと後ろに置かれて、エンゼルが付いているピンクと青いもの、あれも経過途中で発行した提供者意思表示カードなのですが、それが前面に出ているのですね。しかも、その枚数のほうが圧倒的に多いのですね。だから、これはどうなのかなと思って、私は自分で勝手にその新しいカードを前に出してしまったのです。受付の方に「これは新しいカードを前に出してくれ」と言ったのです。実質的には、裏面を見ますと多少違いますよね。1、2、3で、最後に臓器提供したくない臓器は×にすることが一括になっておりますが、ハート型のほうはそうではないのですよね。だから、そこら辺はどうなのかなと思っているのですが、実際にそのエンゼルマークが出ているほうが、枚数的にはまだ実際には巷では多いのではないのでしょうか。
○永井委員長 事務局、いかがでしょうか。
○辺見室長 基本的には置き換えていただいたほうがいいことだと思いますので、そちらも先ほどの松原先生への話と同じになりますが、実態をよく把握した上で改善していきたいと思います。おそらく新しいものを配布できるようにお願いをするということでいくことだと思いますので、その方向で見直していきたいと思います。
○大久保委員 400万枚はどこに行っているのですか。
○辺見室長 先ほどコンビニで見つからないという話があったのですが、コンビニですとか行政機関、区役所、保健所などで置いていただけるように配布をしているということです。
○永井委員長 ほかにいかがでしょうか。
○相川(直)委員 細かいことですが、さっき相川厚委員が言われた件ですが、特にコンビニなどの仕事の形態は古いものを先にさばくので、「古いものではなくて新しいものをさばくようにしてください」ということを言わないと現場の人はわからないですよ。古いものがなくなったら新しいものを出そうということになりますから、そのところはしっかりと指導なさったらいかがでしょうか。
○山本委員 いま6例の患者さんが、家族の意思というか、本人の意思表示がないままの臓器提供ということになるわけです。その中には、新聞報道ですけれども、以前から本人の「いざというときには」という話が出ていたので家族が積極的に話をし出したというのがあったと思います。ということは、全くないのと、書面ではないですけれども、そういう意思があったという、その辺のもう少し細かいところは6例、7例でどうなっているのか質問させていただきたいと思います。
○永井委員長 いかがでしょうか。
○辺見室長 この「あり」「なし」の区分につきましては、法律の6条1項1号と2号で、1号は書面による意思表示がある場合で、2号が書面による意思表示がなくて拒否の意思表示も示していない場合です。これがこの1号と2号の区分けとなります。それで、2号に区分けられた場合で、書面による提供の意思表示がなくて拒否の意思表示がない場合、これは家族の承諾になる場合ですが、ご家族がどういうお気持で承諾をされるかはご家族によっていろいろな思いがあると思います。
 それで山本先生がおっしゃられたのは多分1例目だと思いますけれども、1例目のご家族は、自分たちが承諾をした理由は、先生がおっしゃられたように、以前から家族の間でのお話があってとおっしゃられていて、それをご紹介させていただいたところです。その他のご家族の方たちも、実はお話をお伺いすると、ご決断された理由は家族の中で様々なようにお見受けしております。どういう形で区分するのがいいのかは難しいところですが、いままでの事例の中でコメントをされている限りにおいて、生前口頭でそういった気持は示されていたという事例は確か1例だと思っております。ああ、2例か。1例は話があったというような内容で、あったというその話は微妙なのですけれども、明確におっしゃっているのは1例です。
○山本委員 私の質問の趣旨というのは、家族だけという中にもいろいろなものがあるのだろうと。その辺のところも細かく分析をするというのも大事なところなのではないのかと、そういう意味です。
○永井委員長 わかりました。よろしいでしょうか。ご意見がございませんでしたら、残りの件について事務局よりご説明をお願いします。
○辺見室長 それでは、いまのお話と少しつながります資料1-3「脳死下での臓器提供事例に係る情報の開示について」です。この情報の開示につきましては、1例目から4例目ぐらいまで終わったところで、この委員会の前身になります公衆衛生審議会の臓器移植専門委員会でご議論されて、一定の形ができております。その仕組みに従って、基本的には現在も対応しているところです。
 1の「従来の対応」ですが、「ご家族の承諾を得た上で法的脳死判定(2回目)が終了後に次のような情報を開示」するということで、?@から?Fまでございます。ただ、この?@ですが、ポツの2つ目に、「意思表示の方法及び提供の意思表示がなされている臓器の種類」とあります。要は、カードがあるという制度を前提とした形での情報開示項目となっているところです。タイミング的には、いまの法的脳死判定(2回目)が終了した時点の後、逐次移植施設が決定した時点では移植施設名ですとか、摘出手術が開始された時点ではその開始時刻ですとか、そういったような情報の開示をしているところです。
 今回、法改正を踏まえた対応といたしまして、少し法改正内容からくる必要な追加情報を出しております。?@にありますが、第一報のとき、具体的には、法的脳死判定(2回目)が終わって、まだ記者会見の時点ではなく、記者会見の大体2、3時間前になりますが、いわゆる投げ込みをする時点で、付加的にこの3つの情報を付けています。1つは、本人の意思が表示があったか、不明であったか。この「表示あり」というのは書面での意思表示があったかどうかという趣旨です。
 2つ目は、提供者の年齢区分です。年齢については、上の欄でご覧のとおり、?@にあります、「性別」の横ですが、10歳階級別年齢でお示しをするのが従来からの基本パターンです。これに加えて、6歳未満であるか6歳以上であるか、15歳未満であるか15歳以上であるか、18歳未満であるか18歳以上であるかがわかるような形での年齢区分を書くこと、としております。6歳というのは脳死判定の基準の変わり目、15歳は意思表示の変わり目、18歳は、いわゆる児童に係る部分、虐待対応等の区分ということで、これがわかるような形としております。
 3つ目が、親族優先提供であるかないかです。?Aは、これに係るものですが、親族優先提供である場合には、公表資料に親族関係等の情報を追加するとしているところです。現状としてご報告を申し上げます。
○永井委員長 ただいまのご説明にご質問、ご意見をお願いいたします。
○大久保委員 これは、今回見ていると、提供施設の名前が上がった所は1ヶ所だけで、ほとんど上がっていない。それから県すら上がっていなくて、「関東甲信越」と言って、いくつあるかわからないぐらいの県がある所も非常に大きな括りで書かれているということ。もちろん提供する側のご家族のほうのご意思で、どうしてもここまでということがあるのかもしれませんが、あまりにも提供施設の情報が出てこないのが、今回非常に気になるのです。提供施設側の協力もあるのでしょうが、あまりにも提供施設側のものが不透明であると、やはり一般国民に対しても非常に不透明になってしまうので、もちろんご家族に配慮した形ですが、提供施設に関する情報がもう少し出るように是非考えていただきたいというのが、私の今回の率直な意見なのです。あまりにも出てきませんよね。まず提供施設はどこかとか、提供施設側がどういうように対応したか、一切わからないのです。
○相川(直)委員 私は、いまの大久保委員の意見には反対です。臓器移植の透明性を確保するという意味では、提供施設を具体的に示すことも必要であるかもしれませんが、本邦第2例目の脳死臓器移植を提供したときに担当した者としての印象ですけれども、提供施設が報道に早くわかりますと、取材等で、提供医療の業務が妨害されるような事態に至ったことがあります。もう1つは、提供施設がかなり絞り込まれますと、いろいろな事故、例えば交通事故の情報とドナーの大体の年齢から、提供者が特定されてしまう可能性がかなり高いのです。特に、救急搬送を担当した人、あるいは事故を目撃した人などによって、ドナーがわかってしまうことがありますと、レシピエントのほうがその情報を得てしまう可能性が非常に高くなります。ですから、もちろんご家族があまり情報を出してくれないという場合もありますが、そうでなくとも、あまり具体的に提供施設を示すことは、いろいろな点で問題が生じる可能性があります。
○大久保委員 提供施設の名前を出せというのではないのです。提供したその状況は、どういう形で提供されたかという情報も一切ないのです。特に東京とかは別でしょうけれども、地方の提供施設は、県で言ったら2つだけだというようになってしまってかなり特定されるので、その部分はよくわかりますが、ただ、あまりにも広すぎるのではないか。関東甲信越というよりも、関東地方とかもあるだろう。それから、どういう形で提供されたかという具体的な例が出てきてもいいのではないか。全く提供側のところが見えないのが現在の情報開示なので。施設は特定されないようなことに配慮しないといけませんが、もう少し提供側の状況が見えるようにしたほうがいいのではないかと思っています。
○永井委員長 どんなイメージでしょうか。
○大久保委員 まず、どういう形でその話が始まったのか、ご家族が申し出られたのか、もしくは提供施設側がどういう状況でご家族に説明をされたのかとか。病状のどの状況のときに説明をされたのか、要するに、入院されてからどの程度の間に説明をされたのか。それも全然わかりませんし、どういう状況で話されたのかもわかりません。もちろんご家族が申し出たのか、そうではないのかもわからない。要するに、一切提供側のことがゼロなので、もう少し何か工夫をしてでも、提供側のどういう状況で、そういう提供に至ったかが明らかになるような方向で考えていただきたいと思っています。
○辺見室長 提供施設名の取扱いにつきましては過去にも本委員会での議論がございまして、もともと提供施設に関するところはブロックで開示をするのが当初の取扱いです。途中から提供施設名を開示をするという扱いに、10何例目からか変わっておりますが、いずれの場合であったとしても、ご家族の承諾を得た場合ということです。
 最近、法施行前は、施設名の開示についてご家族がご承諾されるほうがむしろ多かったということです。それでも、ご家族が提供施設名について開示を拒まれる事例が続いておりました。今回、法改正の施行後ですが、基本的な扱いについては同じです。前提として、これらの開示項目について移植に関する情報開示ということで、必要性があることについてはコーディネーターからご家族に対して説明いただいているところです。そうした中で、この6例、今日のを入れて7例ですが、いずれもご家族がご承諾されなかったところです。施設の範囲に関しても、大久保委員がおっしゃられた関東甲信越は非常に広いものです。北部九州という、ちょっと絞られた事例もあったかと思います。その辺りは、コーディネーターがご家族と話をする中で、関東甲信越ではなくて関東ではといったような話もする中で、結果的にこうなっているというのが現状です。
 大久保委員がおっしゃられたような提供過程に関する話については、こういった施設名が出ないものについてはすべて記者会見をしておりますが、そうした中で、必ず質問が出るところです。現在、何回か繰り返すうちに、ネットワークの小中委員が中心になって対応されていますが、ご説明できる内容、ご説明している内容が変わってきていて、具体的に申し上げますと、ご家族からコメントをいただくときに、どういった状況で、まさにご家族から申し出たのか、ドクターのほうから話があったのかといったような決断をされる少し前の段階から、ご家族がどういう状況でお考えになって、お決めになられたのかも含めた形でコメントをいただけるようになってきております。つまびらかに1つひとつ報道されるわけではないのですが、会見の場ではそういったことをご説明させていただいております。
 たぶんいまネットワークとして、会見をする場でできるという意味では、努力としてはかなり進めていただいているのかなとは思っております。施設名はどうしてもご家族、ご遺族の気持として、いろいろな関係で特定される可能性がございますので、そこのところはどうしても無理を言うわけにはいかないという状況がいま続いているということです。
○永井委員長 いかがでしょうか。小中委員、何か追加することはございませんか。
○小中委員 いま事務局からお話していただいたとおりですが、やはりご家族は、先生方もう十分ご存じのように、非常につらい状況のときです。例えばある家族ですが、紙面にご自分の家族の方が入院されている病院名が出たことを見るのがつらいと、そのようなことも話をされていましたので、可能な限り、ご家族自身は了承していただいているのではないかと、今は思っております。
 それと、法律が改正される前と今との少しの違いというのは、やはり改正されてから1例目の本人の意思のないときの報道の関心は、非常に高かったのですね。私自身も驚いた部分があって、ちょうど1例目を思い出したような思いがしたぐらいに関心が高かったです。もちろん記者の方々は、その1例目のときのようなことでは決してなく、きちんとされているのでそれほど問題なことはないと思いますが、やはりその関心の高さというのを、ご家族の中にも、もしかしたら敏感に感じておられる方がいるのかもしれないです。ということで、ご家族が了承いただける範囲に留めていただくことが大事なことではないかと思っております。
○永井委員長 そのほか何かご質問、ご意見はございますか。
○高杉委員 大久保委員の気持はわかるのですが、つらい状況の中で本人の意思を活かして家族が提供したと。これを土足で踏みにじるような、踏み込むような行為は絶対守らなければいけない。その上で、徐々に日本の社会はこの脳死移植を受け入れていく状況のまだ本当に初めのスタートですから、大事な取組みが大切だろうと。慎重にということ。後から分析はできるわけですから、それを一気に、提供したときにすぐ情報がないからということは、やはりちょっと。守っていかなければいけないルールがあると思います。私は、その現場の人たちの気持も大切だと思いますし、提供者の気持も大切だと思います。
○大久保委員 よくわかるので、私も提供者の気持ちを守るのは当然だと思うのですが、この中で、やはり提供施設側がすごく引いているのではないかとちょっと感じているのです。情報開示に関しても。だから、もちろんご家族の問題もあって、ご家族が絶対にこれだというのもあるかもしれませんが、提供施設側のほうも、できるだけ情報開示をしたくないというのがあるのではないかという気がします。
○高杉委員 それは、そのスタートの段階で大切だと。私も何例かの施設を知っていますが、本当に大変なのですね。それが普通の医療になるまでしばらくかかるのかと思います。
○辺見室長 現在、こちらの資料に掲げました6例及び7例に関しては、いずれも基本的にはご遺族の意向ですので、施設側の意向ということではございません。
 あと、いまご指摘がありましたところですが、報道によって医療の現場が混乱するようなことは避けるべきだと思います。現在、各論で言うといろいろあるのかもしれませんが、最近の事例に関しましては、マスコミ各社に非常にご理解いただいて対応いただいていると、むしろ考えております。私どもも、いろいろな話に関して記者クラブの代表の方々と話をさせていただいておりますし、先ほどのネットワークから、会見する際にその経過についてお話をするといったような取扱いも、そうした関係の中から出てきたと考えております。何とかそうしたチャンネルを維持しながら、いろいろな関係者の方がいらっしゃいますので、皆様からご理解いただけるような形で進めていくことが大切かと考えているところです。
○相川(直)委員 情報提供施設側が引いているのではないかという大久保委員のコメントがあったので、お答えします。特に、先ほどの私の発言で、例えば私どもの施設が情報提供を拒んでいるとか、あるいは情報提供に積極的でないという誤解が生じているといけないので申し上げますが、そのようなことはございません。ただ、脳死の判定あるいは臓器摘出を行っていると同時に、あるいはその前に、マスコミ等に施設名が公開されますと、実際には粛々とした臓期提供及び臓器摘出の医療がうまくいかない。電話がかかってきたり、あるいはいろいろな撮影とか何かで円滑にいかないようなことは是非避けなければいけないというのが私の意見です。
 先ほど私が大久保委員の意見に反対と言ったのは、大久保委員の臓器提供施設を特定するというコメントに反対することであって、臓器提供施設においてどのようなことが行われていたかを開示することについては、先ほどの大久保委員の最初の発言はなかったわけですので、例えば関東甲信越では県の数が多くてわからないということに関して申し上げたまでですので、誤解のないように申し上げておきます。
 ちなみに私どもの施設では、臓器提供が終わった後にCPCを行いまして、その患者の臓器提供の状況等は英文雑誌で発表しておりますので、決して不透明にするような意図はございませんでした。
○永井委員長 よろしいでしょうか。そうしますと、また、今のご意見を踏まえて、ネットワークと厚労省のほうで適切に対応いただきたいと思います。
 次の資料1-4についてのご説明をよろしくお願いします。
○辺見室長 それでは資料1-4についてです。先ほど、検証会議を8日に開催というお話をさせていただきました。この検証会議の現状について、まずご説明いたします。平成11年10月の公衆衛生審議会臓器移植専門委員会の報告に基づきまして、移植医療が国民の間に広く定着するまでの間、第三者の立場で検証を行うことを目的として設けられたものです。平成12年3月に第1回を開催し、その後、平成21年3月が直近ですが、31回開催をしております。脳死判定事例は法改正の前の時点ですと86例ですが、55例目までを検証しておりますので、今後56例目以降の検証が必要という状況です。
 2頁目の推移をご覧ください。こちらの数字は93例目まで入れておりますので、年度別の臓器提供者数は直近まできますと93、検証は55例目までで、平成20年度の検証の7件までのところで、合計55件となっております。各年の検証会議開催件数は、こちらにあるとおりです。平成12年度、13年度辺りをご覧いただきますと、検証会議1回につき1件検証するという形です。ほぼ10例目を終わった辺りで検証の方法について議論がありまして、その後、検証方法を若干効率化しております。それ以降は、1回の会議において2件ないし3件、多いときは4件検証するような形で、検証が行われております。例えば、平成19年度は3回開催し、9件検証ですので、ほぼ3掛ける3という形で検証が行われてきている状況です。
 3頁目をご覧ください。この検証作業ですが、これは11件目以降の現行の検証作業です。検証会議におきましては、医学的検証と、あっせん業務の検証を行っております。医学的検証グループにおいて救急・脳外・脳波の専門医各1名ですので、合計3名に実地検証をお願いいたしまして、臓器提供施設を訪問し、事前に記載しているフォーマットに基づいて実地検証をする。これに基づいて報告書を作成し、検証会議に意見書を提出する。また、あっせん業務の検証については、臓器移植ネットワークの中央評価委員会において、レシピエント選択やドナー家族への対応などについて評価を行ったその結果を検証会議に報告をするといった流れで進めているところです。ちなみに、1例目から4例目は審議会自体でやっているのですが、10例目より前は実地検証に行くという形ではなく、提供施設をお呼びする仕組みをとっておりましたので、それで時間がかかっていた。これを、実地検証を行うことによって、1回の会議で3件程度検証できる仕組みに今なっている状況です。
 1頁目に戻りまして、2番目が当面の開催方針、3番目が今後の課題です。まず、当面の方針として、当面は現行の方法で医学的検証作業グループ及び検証会議本体を可能な限り開催し、56例目以降の検証作業を進めていくということです。ただ、過去の速いペースで考えましても、平成19年の年間9例が最高ですが、ちょっと早めにしても年間16例がぎりぎりかというところです。一方、そうした中で法改正後、新たに可能となった家族承諾による提供というものも出てきております。これらについては、新しい仕組みである部分もありますので、検証を行うことによって今後の制度運営に活かしていく部分もあろうかと思います。上記の56例目以降の未検証の事例の検証を進めながら、すべてを終えてからではなく、並行して早めに検証を行う。ただ、ドナー家族のケアの状況も検証に含めている実態に鑑みまして、ほぼ1年を経過した来年夏頃の検証会議にお諮りをすることでどうかと考えております。
 3番目、今後の課題です。当面の開催をこのように行いながら、今後の課題として、まず改正法により新たに可能となった事例として、15歳未満の小児からの提供事例があります。いまのところまだありませんが、今後あり得るところです。また、既に7件出ているところですが、本人の意思が不明であり、家族承諾により提供を行った事例があります。
 また、改正法の施行によりまして、臓器提供数自体が増加することも見込まれますので、こうしたことへの対応も課題となっております。また、未検証の部分が32例ほど、プラス法施行後の7例もある状況ですので、この辺りをどうしていくかが大きな意味で課題となっております。
 今後の検討の進め方ですが、現行方式での検証作業を進めつつ、今後の迅速かつ効率的・効果的な検証方法について検討を進めていく必要があるのではないかということです。その際には、実際に検証を行っております検証会議の先生方のご意見も伺いながら、具体的な方向性について、また、この臓器移植委員会の場においてご議論いただき、今後の方向性を検討していくことでどうかと考えているところです。以上です。
○永井委員長 ただいまのご説明について、ご意見はいかがでしょうか。
○相川(厚)委員 この検証のスピードは、やはり問題があると思います。現場では実際の大学の救急施設または4類型の救急施設などでも、人事の異動がある意味では盛んに行われるわけですね。医療関係者だったらご存じだと思いますが、大体4月に担当者等々、よく替わるわけです。1年後の検証、または1年以上経った検証ということになりますと、当然その当時の担当医がほかの病院に行ってしまって、また、ほかの部署に行ってしまって、もういないということになります。それで正確を期せないわけではないのでしょうけれど、実際にそのときの現場にいた先生がいる、担当医がいるというのと、代理の医者がいるというのでは、やはり違うと思います。この点において、もっと迅速に、1年といわずに、確かに家族のグリーフケアの問題はあると思いますが、もう少し迅速に対応して、現実に即した検証方法をとっていただいたほうがいいと思います。
 いま実際にたまっている未検証事例が32例で、ここ2年間はやっていないわけです。現場からすると、2年前のものを掘り起こして検証するというのは、非常に大変な作業だと私は思いますので、できればその点のことを考慮していただきたい。臓器移植関連学会協議会でも、この提案を出しております。
○永井委員長 いかがでしょうか。
○大久保委員 要するに、2つの問題があると思うのです。1つは、今までやってきたこの55例から、今後のところで同じようにやるのか、32例残っているのをまたやるのかどうかです。もちろん、法律改正後のものについて、やらなければいけないことだと思う。検証委員会は1つしかないので、そこで全部をひっくるめてこれからやっていくことは、とてもではないけれどもできないのではないかと。もう少し絞って。
 実は、この検証委員会というのは、もともと法律ができるときに患者団体として強く要望してつくっていただいた経緯があります。そのとき、最初は10例まで一応やりましょうという形でやって、10例終わった後に、いくら何でも10例ではということで、30例ぐらいを目途にやってはどうかという話がありました。いま相川委員とも、昔のことを思い出してお話をしていたのですが、そのようになっていたはずです。その後、全く報告がなかったので、ここまでで50いくつきていて、2年間休んでいるような状況なのです。この先、いまと同じような形で検証委員会は検証をし続けるのか。それとも書類だけであって、問題事例だけを取り上げて検証委員会で諮っていくのか。それから、今後のこの法律が変わった後の事例に関して、特に本人意思が不明の場合だけをやるのか、子どもだけをやるのかということで、1つずつ決めていかないといけないのではないかと思うのです。
○永井委員長 いまの点、事務局いかがでしょうか。
○辺見室長 おそらくいろいろご意見があろうかと思いますので、そうしたことを踏まえて検討したいとは思います。ポイントとして、法改正後の事例について、言い方はあれですが、しっかりと検証していかなければいけないのではないかというのは、当然あると思います。こうしたことをプライオリティに置きながら、検証作業全体についてどう考えるかが、また問題になってくると思います。ちょっと今の段階では、事務局具体案はお示しできるような状況ではありませんが、検討するに当たって重要なご指摘であると考えます。
○奥山委員 3つほど質問します。まず、検証会議のいちばんの目的は何かと。要するに、ガイドラインどおりにきちんとやっていることを検証するのか。それとも、検証することによって、どこかにいろいろな問題点がないのか、システムの問題点とか、そういうのを明らかにして、システムを改善する方向に検証会議の意義があるのか。その辺を少し教えていただきたいというのが、1つです。
 2つ目は、検証会議をやっておられるのですが、例えば細かいデータや何かのデータベースと細かい事例検証の両方をどのように組み合わせておられるのか。もう90例もやっておられるので、マスとしての分析もかなりできるはずだと思いますので、その辺がどうなっているのかを伺いたい。
 3番目は、あまり首を締めるようなことは言いたくないのですが、15歳未満からの提供事例というのは新しいことなのですが、18歳未満の子どもの虐待の除外というのも新しいことなので、その辺の検証はどのようにお考えになっておられるのか。この3つの点を伺いたいと思います。
○永井委員長 いかがでしょうか。事務局、何か。
○辺見室長 まず1つ目の点ですが、基本的には法律、省令、ガイドラインに従って行われているかということを検証するというのが第1の目的です。こうした中でいろいろ問題点が出てくることもありますので、そうした場合には通知を発出したり、ガイドラインに追記をしたりといったような対応を行っているところだと思います。
 2番目の質問がよくわからなかったのですが、データベースを作っているかということですか。
○奥山委員 細かいデータベースをきちんと、それぞれ指針に合ったことをベースに作ると、マスとしても分析できますよね。それから年度ごとにどう変わっていったかという経時変化もわかるでしょうし、そのようなデータベースを作る方法と、それから、事例を細かく見る方法と、そういうものを組み合わせて検証するのが多いと思うのですが、その辺はいかがですか。
○辺見室長 事実で申し上げますと、これまでの検証作業は検証を行うことが会議の中心で、データベース作りというのは必ずしも行っておりません。
○奥山委員 その点で言うと、おそらく1つ目の質問と絡んでくるのだと思うのですが、それがガイドラインどおりにやっていたかどうかを検証して、間違いがなかったという検証だけだとしたらそれでいいのだと思うのですが、全体を合わせていろいろなところに問題点がないか、あるいはこういうところを改善していったらもっとうまくいくのではないかというのを出していこうとすると、全体的な流れであるとか、マスとしての分析ができるようなデータベースを作っていくのは非常に重要なことなのではないかと思うのですが、それも1つちょっと、目的が私が考えているのと違っているのかもしれないということかなと思います。
○永井委員長 検証の目的によるのだと思うのですが、どうなのでしょうか。検証というのは、そもそも何を目指していたかですね。データベースを作って、スタディをするというところまで入っているかどうかですね。
○大久保委員 おそらく、いまの室長もそのときいらっしゃらなかっただろうし、私はそのときいたごくわずかのいま残っている委員なのですが、基本的には透明性を、要するに臓器移植がきちっと間違いなく行われていたことを検証するということになっていたので、そこからデータベースとか、もともとそういう発想はないのです。そういったことに関しては、基本的には全部ネットワークがデータを持っていますので、そういったデータを含めてネットワークとしてどういう形で上がるかで、だから、ある意味ではこういう形でありました、こういう形でありましたという学会発表もネットワークがされていますので、そういった分析についてはおそらくネットワークだと思うのです。検証会議の人は提言をするとかというようなことで、もともとその考え方で検証会議が始まっていないので、それはほとんどないと思う。何かあれば、それはもちろんこの委員会に上がってくると思うのですが、ほとんど上がってきていませんので、問題はそういった形で、まずいかに国民に信頼される臓器提供であったかをきちっと検証することがもともとの目的で、国民の信頼を得ることがいちばん大きな目的だったと私は思っています。
○奥山委員 すみません。3番目の答えを。
○辺見室長 いま私が上げたところで結論付けるつもりもありませんで、18歳未満の虐待対応も当然プロセスの中で確認をする部分があるということは、ご指摘のとおりだと思います。それを今後の中でどう位置づけていくかということですから、あくまで15歳未満に限定するつもりもありませんので、おっしゃるようなポイントもあると思います。
○山本委員 いまのその検証という中で、レスポンシビリティマインドな検証と、アナライシスマインドな検証と、当然2つあるわけです。いま事務局はレスポンシビリティのところが非常にメインになっていましたが、やはりアナライシスのほうも非常に大事ではないのかなと思っております。その辺で、もう平成20年度までやっている検証の中で、急に平成19年度から臓器提供者数が非常に増えてきて、そして平成21年度で急に下がって、平成22年度というのは法改正の前はゼロですから、急になくなってきている。これは何か理由があるのか。こういうところが私はアナライシスマインドではないのかと思いながら、感じておりましたが、いかがでしょうか。
○辺見室長 いくつかポイントがあると思うのですが、まず私も大久保委員がご説明された当時のことはわからないのですが、最初におっしゃられたように、10例をとか30例をなどと言っているようなところで作業が始まっているところは、おそらく分析というレベルではないのだと思います。なので、始めた当初はいま山本先生のおっしゃられた言葉でいくとレスポンシビリティマインドということだと思います。そういう点からいうと、私どもの持っているデータの中から分析というのはちょっと難しいのと、おそらく検証事例を見ても、全体として増えているか減っているかというのは、わかりにくいのかなとは思います。一般的に言われていることとして、法改正といったような大きなことがあると、その前の段階で少なめになるといったことは言われたりもしますが、あまり実証的なものもありませんので、申し訳ございません。お答えは難しいところです。
○山本委員 平成20年度に15例になってきて、先生方はもっともっとこれで増えてくるのという期待が非常に多かったわけですから、ここで急にこうなってきているのは法律の改正が出てきたからということなのか、その辺のところを是非これからも分析をお願いしたいなと思います。
○相川(直)委員 いま討議している資料1-4に戻ってよろしいですか。先ほど説明がありましたように、また大久保委員からもご発言がありましたように、脳死下における臓器提供が行われた初期の段階では、しっかりとしたガイドラインに沿った臓器提供が行われ、それが適切に移植につながったかということを事例ごとに検証して、また問題点があったらそれを指摘するという事例ごとの指摘が検証会議の目的であって、いまの議論の中では、その検証会議の対象になった事例がまだ全部でないということが議論の1つ。もう1つは、法改正後に、今日を含めて8例の事例が出てきても、これは検証会議がまだ行われていないということで、どのようにするかを主に議論していると思います。
 そのことについて私が発言させていただくと、もちろん相川厚委員が発言したように、検証会議はなるべく早くやるべきだということ。それと、今度は検証会議のほうのマンパワーの両方のしのぎ合いだと思っているわけです。現時点でまず残っているもの、法改正前の事例で残っているものの検証をどうするか。これは当然なるべく早くやってほしいということなのですが、いま緊急の課題は、法改正後には新たな問題、先ほどの18歳未満の虐待のこと、あるいは小児のこと、あるいは特に本人の意思が不明であって、家族の了解の下に臓器提供が行われたというような、いくつか新しいことが出てきておりますので、まずこの検証はなるべく早く行うべきであります。前の数十例残っているのが終わってから今回の法改正後のものに手をつけるということよりは、例えば前の委員会は前の委員会で進行しつつ、新しい委員会をつくるなり、あるいはマンパワーを増やすなりして、法改正後に起こった事例について、新たな検証項目ができているわけですから、それについてもなるべくスピードを上げて、事例ごとに検証し、また問題が起こってきた場合には、それについて新たな対応策をとるということをするべきではないかと思います。前の事例を放っておいていいということではありませんが、現時点ではまずは法改正後の事例に全力を注ぐべきではないかと思っております。
○永井委員長 ちなみに、いま委員は何人ですか。
○辺見室長 13人だったと思います。間違えていたらまたあとで訂正します。
○永井委員長 その方々が全員で、いままでの検証を進めてこられたということですね。つまり、AグループとかBグループとか分けているわけではないですね。
○辺見室長 はい、会議体としては1つです。
○永井委員長 そうすると、13人では手が回りきれないということになりますね。
○相川(直)委員 特に1週間に1回、あるいはそれより早いペースで実際に起こっているわけですから、1つのチームだけでフォローできるかなという物理的な問題もあるのではないかと思いますね。
○永井委員長 そうしますと、法改正前の症例については、検証項目をもうちょっとわかりやすくして、多くの方が参加してそちらについて作業を進め、法改正後については少し丁寧に検証していくというような、そういう方法にしないと、いまのマンパワーでは無理ではないかなという気がいたしますが、いかがでしょうか。
○町野委員 相川委員の言われたことに私は賛成で、私もかなり古い人間ですが、ドナー側で救命救急のための措置が十分にとられずに脳死臓器提供に至ったのではないかということが1つの問題で、もう1つは脳死判定がきちんと行われているかどうか、その2つはかなりポイントだったのです。あとで移植手術について、それがきちんと行われたかどうかについては、これはやっていないはずなのです。あくまでも脳死臓器移植を定着させるということで、何件かやってこれで問題ないなら大丈夫だろうというので、要するに定着ということを目指した、それだったわけです。
 その点について、私は、ある範囲でもう目的に到達したと思うのです。ただ、これから問題は、先ほどから出てきておりますとおり、法改正があってここのところで非常に大きくシフトしたのは、小児脳死判定がきちんとできるかという問題がありますから、これはやらなければいけないだろう。それで、何歳未満と。もう1つ大きな問題は、ドナー側は、いままでのように本人の意思決定が事前になければ駄目だということは変わったわけです。少なくとも書面は要らないという話になったわけですから、そのときにドナー側の、いわば遺族の意思決定が適切に行われ、同意のとり方がきちんとできているか、そういうことについても見なければいけないという話になる。同時に、多くの人は抵抗ないのかもしれませんが、親族優先提供の問題、それから虐待児からの摘出の問題、ガイドラインのところでありました知的障害者等からの問題、これらはすべて検討事項です。そういうことまで考えたら、こちらが見なければいけないことは確かなのですが、前にドナー側の家族について、その人のケアの問題もやらなければいけないという話になったために、非常に話が進まなくなったということを私は聞いております。
 先ほどのお話にありましたとおり、自分たちの子どもさんとか、親族の死を受け入れた上で、臓器の提供に至るということは非常につらい決断なのです。そのところで、いちいち「虐待がありましたか」とか、それは聞ける話ではないですから。マスコミだったら聞くかもしれないというのはちょっと言いすぎかもしれません。マスコミの方はかなりそこは気にされますが、調査するほうとしては、これは到底できる相談ではない。だから、新法にシフトした検証会議をやらなければいけないことは確かなのですが、やり方はかなり考えなければいけないだろうと思います。だから、新法について、もちろんそれはそうなので、多くの人は法改正が正しかったかどうか、依然としてみんな議論している状態ですから、これは必要なことは確かです。しかし、やり方はかなり考えなければいけないだろうと私は思います。
○永井委員長 しかし、状況はどんどん動いていますので、早めに対応しませんと、また積み残しがうんと増えてしまうということが起こり得るのではないかと思いますが。ほかにいかがでしょうか。
○奥山委員 検証会議の方法を教えていただきたいのですが、検証委員はドナーのご家族に実際に会われるのですか。
○辺見室長 いや、会わないです。
○奥山委員 では、実際にどのように行われたかというのは、提供病院のほうに伺うということですか。具体的にどんな形でやっておられるのか、教えていただけますか。
○辺見室長 現在のやり方ということで説明させていただきます。先ほどの3頁の仕組みになりますが、医学的検証作業グループサイドの医学的検証は、提供病院からの情報ということになります。
○奥山委員 提供病院の先生から聴取りをするというように考えてよろしいですか。資料を見せていただきながら、聴取りをする。
○辺見室長 はい。臓器移植ネットワークの中央評価委員会のほうは、これは直接的に言えばコーディネーターの動きになりますので、コーディネーターがご家族に説明をした時点ですとか、その後コーディネーターがご家族をフォローしている状況ですとか、そういったことになります。
○奥山委員 検証会議の結果の公表というのは、どのようになっているのですか。
○辺見室長 一定の報告書にまとめて、その報告書をご家族にお送りをし、ご承諾が得られれば公表、得られなければ非公表ということで行われております。
○奥山委員 そうすると、1件1件、報告書を作って、それをご家族に送るということですか。
○辺見室長 はい。
○永井委員長 いずれにしてもメンバーを増やすという必要はあるかと思いますが、事務局、その点はいかがですか。
○辺見室長 今度メンバーを増やす場合、どういった方々になっていただくかということもあろうかと思います。実際に回数を開催できるような形で具体的な人選ができるのかというのは、ちょっとすぐはお答えしにくいところです。先ほど人数を間違えました。13名ではなくて12人です。委員長は藤原研司先生にご就任いただいています。委員の中には竹内一夫先生ですとか、ここの委員会の中から貫井先生などにもご出席いただいているところです。すぐ増やせるのかどうかということについては、よく検討が必要だなと思います。
○永井委員長 貫井先生、何かご意見がありますか。
○貫井委員 担当者から実情が示されていないので、捕捉します。脳死の判定に関してですが、実際には各地区に医学的検証委員がいるのです。全国で各地区、8地区か7地区に脳外科医2人、救急医2人、脳波1人です。その人たちが現場の病院に行って調査してきて、その結果を医学的検証作業グループで検討し、検証委員会に報告します。実際には検証委員会というのは報告結果を検討する会なので、検証委員会の委員を増やしてもしょうがないのです。実働部隊を増やさなければいけないのです。ただし、実働部隊は現場に出ている医者ですから、どのように増やすかというのは大変難しいことになると思います。ですから、検証会議そのものは上がってきた報告書を検討する会ですから、その前の準備をする人たちをどうするか。これが大事なところです。このように医学的検証作業は四重構造になっているのです。
 この移植委員会があって、その下に検証会議があって、検証会議の下に医学的検証をするグループがいて、さらに現場に出向いて実地検証する医師団がいるのです。それから、移植ネットワークのほうはコーディネーターがまとめて、それを移植ネットワークの中央評価委員会で検討し、その結果を検証会議に出してくるわけですから、現実には相当大変かなと思います。むしろ検証会議の人数を増やすのではなくて、新しい制度を含めて考えるなど、その辺がだいぶ問題になるのかなと思いますけれども。
○永井委員長 そうすると、少しチェックポイント等をわかりやすくしたマニュアルというのか、そういうものを用意して、現場の人たちが。
○貫井委員 フォーマットを作って、それを前もって出していただいて、検証に行く人たちはそれをチェックして、その中で疑問点があれば現場に行って議論してくるのです。フォーマットというのも最初はなかったのですが、11年目以降に作りまして、各提供施設に配って、医学的な検証に関してはそれに沿って出していただいているのです。先ほどの議論を聞いていますと、いままでの50数例の検証で残ったものと、改正臓器移植法成立以降の新しい例の検討点は少し違いますので、それをどう区別してやっていくかではないでしょうか。
○相川(厚)委員 実地検証が「救急・脳外・脳波専門医各1名」とここに書いてありますが、これは全員揃って行かないと駄目なのでしょうか。
○貫井委員 各地区に一応、脳外科2名、救急2名、脳波の専門家1名が委員として委託されています。その中で都合のいい人たちが各1名計3名で現場に出向きます。その際、同じ地区ではなくて、関東地区の人が例えば関西に行くとか、東北に行くとかという形になっているのです。
○相川(厚)委員 現実的にこれは臨床医の先生方で、各領域の先生方が3人から6人揃った段階で、ここの病院に一斉に行くというのは、スケジュールは非常に難しいのではないですか。
○貫井委員 3人。大変です。それともう1つは、行った人たちが報告書を書くのです。報告書を代表がまとめて、検証会議に出してくるのです。
○相川(厚)委員 これは臨床の現場で働いているドクターだと思いますので、まず臨床の現場でさえも時間がなくて、人がなくて、ものすごく大変だとは想像できるのです。
○貫井委員 だから、何か考えないと。
○相川(厚)委員 その上に各地域の3人全部集まって、それが同じ日、同じ時間に行かないと駄目というのは、これは現実的に難しいのではないでしょうか。
○貫井委員 そう思います。
○相川(厚)委員 それであれば、「救急・脳外・脳波の専門医」と書いてありますが、これはおそらく皆さん、脳波の判定などはもちろん資格がある方で、脳死判定もおそらく資格がある方だと私は思います。何が何でもこの3人全部集めていかなくてはいけないというのはどうなのでしょうか。見直す必要が。
○貫井委員 その辺の仕組みもそうですし、2年間放ったらかしですから、いま実際に委託した委員がほとんど任期切れですね。一覧表があるのですが、私はもらいましたがほとんど任期切れですから、現実には何か新しい方法を考えてもいいのかなと思いますけれどもね。
○永井委員長 この議論は、引き続き継続するということで、いろいろなアイディアがありましたら、お寄せいただければと思います。いずれにしても、少し効率的にしないと、問題が解決しないだろうと思います。検証委員会のほうでも、まだメンバーはいらっしゃるわけですよね。
○貫井委員 検証委員会の委員はいます。
○永井委員長 そちらの委員の先生方のご意見も聞いた上で、また事務局で提案をまとめていただけますでしょうか。
○貫井委員 明後日やるのです。
○永井委員長 そうですか。そちらでも、さらにご議論いただければと思います。
 次の議題にまいりますが、各臓器別の作業班において検討されてまいりましたレシピエント選択基準についてのご議論です。まず、検討状況について、事務局よりご説明をお願いいたします。
○荒木補佐 各臓器移植希望者選択基準について、今回は心臓、肺、そして心肺同時、この3点について、各作業班において選択基準(案)ということで改善点が出されておりますので、ご議論いただきたいと思います。まず、資料2-1とそれに付いている参考資料について説明申し上げて、本日は心臓班の班長であります北村班長にも来ていただいておりますので、補足をいただければと思っております。
  資料2-1「心臓移植希望者(レシピエント)選択基準(案)」です。時間の関係もありますので、基本的には変更したい部分についての説明をさせていただきます。基本的には適合条件に合った方が、まずこのレシピエントとして選択されて、そのあと、その中での優先順位を決めていくという形、これは各臓器そういう形になっております。
 1頁のいちばん下ですが、これは前回の臓器移植委員会でも出されていると思いますが、親族優先という項目が入っているということです。2頁の赤い下線の部分を今回、追加で入れたいということです。大きい考え方ですが、(3)の年齢という所です。すなわち臓器提供者、ドナーが18歳未満の場合には、日本臓器移植ネットワークに移植希望者(レシピエント)の登録を行った時点において、18歳未満の移植希望者(レシピエント)を優先すると、この1点が大きく変えられたことです。すなわち、18歳未満のドナーが出たら、18歳未満の方を優先させるという項目が入ったということです。
 こちらについては参考資料1で、アメリカのUNOSの基準も参考にさせていただいております。見づらいですが、3.7.5という頁があります。ここに「Allocation of Pediatric Donor Hearts to Pediatric Heart Candidates」とあって、「At the time of listing」、日本語に訳すと、登録の際に18歳未満のレシピエントに対して18歳未満のドナーが出た場合に優先するという基準になっております。
さらに、3.7-21という頁に、具体的なアロケーションの順番が書いてあります。黒い太文字ですと、3.7.10.1です。これは見え消しになっておりますので、線が引かれていますが、1番になるのが3.7-22に書いてあります。「Primary Ped Candidates for Pediatric Donor」ということで、順番がすべて書いてあります。細かいので、ここについては飛ばさせていただきます。
 さらに、参考資料2です。これはアメリカのUNOSの現基準が決められた際のEXECUTIVE SUMMARYです。2頁の下から3段落目ですが、ボードがポリシーのチェンジの3.7.5、すなわち先ほど申し上げたように、18歳未満のドナーのハートは18歳未満の方に優先するというアロケーションの話をアプルーブしたという証拠資料です。
 さらに、参考資料3です。これは国際心臓・肺移植学会のほうでの参考資料で、図としてわかりやすいので、今回厳選した形で出させていただいておりますが、なぜ18歳未満のドナーのものを18歳未満の方に移植したほうがいいのかという話です。1頁の下です。18歳未満のレシピエント側の方の移植成績ということで、1 year Mortalityが出されております。Relative Riskが1を超えるとMortalityが上がるということですが、18歳未満の方のレシピエントにとって、やはりドナー年齢が上がると、特に例えば40歳の方からもらうと、Relative Riskとして2倍を超えるデータがあるということです。同様なものが2頁にあって、11歳から17歳の方に限った場合ということです。こちらもドナーの年齢が上がるにつれて、レシピエント側、すなわち11歳から17歳の方の生着率、1 year Mortalityが上がってくるというものです。
 逆に成人、18歳以上の方がどうだという資料が4頁になります。こちらはレシピエントの年齢が18歳以上ということで、18歳から30歳。その方に対して、ドナーの方の年齢によって生着率、1 year Mortalityがどうなるかということですが、これを見ていただくとわかりますように、ドナーの方が30歳前後ぐらいまでRelative Riskはほとんど変わらない。逆に、18歳未満というか、子どもの心臓をレシピエント側、18歳、30歳の方に移植しても、そんなに有利な点がないというご議論になりましたので、今回、先ほどの2頁の(3)年齢の部分において、18歳未満のドナーが出た場合には「18歳未満の移植希望者を優先する」という項目を入れております。大きな点がこちらです。
 これに関連して、2頁の上のほうの*の所ですが、こちらは医学的緊急度の定義、Status1がいちばん緊急度が高いというものです。特に(エ)の部分ですが、18歳未満の場合においては重症室に収容されていない場合であっても、カテコラミン等の強心薬の自動的な点滴投与を行っている状態も(エ)に含めると。なぜ18歳未満かということですが、特に18歳未満のお子様の場合については、例えば補助人工心肺についての使用がしがたい部分もあるということ。あるいは、ICU症候群ではないのですが、ご家族の配慮、ケアも重要なので、なかなかICU、重症室に入れることが難しいということもある。そういう医学的な観点から、(エ)について、18歳未満の場合には重症室以外でもカテコラミンを投与していればStatus1という形で、医学的緊急度を上げるということです。
 次に3頁に移ります。具体的選択方法ということで、これまでどおりドナーが18歳以上の場合については、順位としてStatus1、医学的緊急度でまず見て、その中でのABO式血液型の一致が1番目。次はStatus1の中での適合の方が2番目という形になります。ただし、ドナーが18歳未満の場合については、Status1、医学的緊急度が高い方、そしてその次に18歳未満の年齢の方が優先。さらにはABO式血液型一致、適合という順番になるということで、具体的な順番をこちらに書いております。
 さらに、上の(注)の部分について、先ほどのStatus1の期間は累積されています。例えば18歳未満の場合においては、カテコラミンで重症室でない所にいらっしゃった場合にはStatus1の期間として算定しますが、その方が18歳以上になって重症室に入っていない場合にはStatus2ということで、Status1の累積期間に積算されないというイメージの部分を書いております。
 4頁ですが、下線部に書いてありますように、適宜、新しい医学的知見などを踏まえて、選択基準の見直しをするということを明文化したということです。資料2-1については以上です。北村先生のほうから補足をいただけますか。
○北村参考人 心臓部会のほうでは、18歳以下を小児と位置付けて、優先の提供を認めるという形を出させていただきましたが、優先するということは、どこかで誰かが優先されないという不公平性を持つのではないかということで、移植の公平性という観点から、それが十分容認され得るものかどうかというところで、いちばん悩んだところです。しかも、日本の中では心臓移植以外の臓器移植では、年齢による優先基準を明確に決めておりません。しかしながら、心臓というのは肝臓、腎臓、あるいは肺臓と違って、生体移植がない、分割して移植を行うことができないという観点、さらに、心臓の特色として、子どもの心臓移植を必要とする心不全、重症心不全に至ってからの予後は、成人の場合よりも悪い。さらに、適切な人工心臓がなかなか得がたい。外国製のものを申請しても、現状では日本の企業が受け取るのが難しいというぐらいになり、極めて高額になるというような、いろいろな問題があります。さらに、今回の法改正の中では、例えば親族への優先を認めたように、心臓における渡航移植というものを減らしていこう、我が国でできるようにという社会的状況とも言えるものも踏まえた法改正の趣旨があるということも踏まえて、総合的に小児、18歳未満からの提供は18歳未満に優先的に考え、そこで適切な移植対象者(レシピエント)が見つからない場合には、18歳以上の人に渡していくという形になったわけです。
 一方、成人のある年齢層においては不利ということもあるかもしれませんが、それは新しい法律の改正で、現在も見られるように成人への提供は増加していくであろうという判断に基づいて、何とか容認できる、バランスのとれる範囲の優先ではないかと判断しました。我が国は子どもの移植が行われておりませんので、先ほど荒木補佐からご説明いただきました小児から小児の移植の成績が1年生存率のみならず、長期の成績も優れているという観点は、我が国のデータはありませんので、UNOSのデータを借用したものです。
 次に、15歳以下の提供が認められたのに、なぜ18歳かということですが、これはUNOSのデータが、米国の成人と小児の分類が18歳になっている関係で、18歳と認めているからで、ここはUNOSのデータに依存する限り、年齢を我が国で適当に変えるのは正しくなかろうという判断で18歳にしております。たまたま小児における児童虐待防止法の年齢が18歳未満となっておりますが、これは偶然の一致で、これを考えた上での18歳という年齢引きではありません。
 以上のような医学的並びに我が国の法改正の渡航移植を減らしていくべきではないか、あるいは提供者の心情を慮れば、小児から小児の提供を優先すべきではないかという種々の総合的判断として、特異的かもしれませんが心臓にこういう優先を認めていってはどうかということで提出させていただいたところです。以上です。
○永井委員長 ただいまのご説明に何かご意見はありますか。
○大島委員 いま北村先生は、ほかの臓器でも小児に対する優先というのはあり得ないというお話をされましたが、腎臓ではもう既にやっています。腎臓ではポイント制をとっていて、小児に対するポイントを高くすることによって、いまは16歳未満に関してはほとんどが16歳未満の小児に移植されるという状況になっています。
○大久保委員 UNOSのデータで、UNOSが去年から18歳についての区分で優先提供をされていることを私も聞きました。それ以前から実際に提供するご家族にとっては、同じような年齢のお子様に提供されるというのはすごく大きなことではないかなと思っています。肺の場合は大きさの問題があるのでしょうけれども、心臓の研究班がこのことを決められたことに私は賛成をします。提供のご家族のことを考えても、これは良い基準ではないかと思います。
○町野委員 私は若干、留保がありまして、反対をするものではないのですが、ご説明の中でいくつかありました。1つはUNOSのデータを基にして、小児については小児の心臓の提供というのは成績が非常に良い。これは医学的な理由です。私は、これはその点で妥当だと思います。もう1つは、小児については小さい子ども、小児の心臓でなければなかなか提供が難しいので、そっちを優先させるべきだと。それも医学的な理由です。ただし、それ以外の例えば家族の意思としてはどういうつもりであるかとか、臓器移植法が改正されたのは小児臓器提供、特に小児心臓移植について、これは道を開くものであるから、この点を考慮すべきだということは私は言えないだろうと思います。
 基本的に小児の心臓移植をまず認めるべきだという趣旨の法改正は、これは否定されたわけですね。承諾年齢を引き下げるとか、そういうことによってそれは否定されて、全部同じ基準でいきましょうということになったのですから、そこにある基準というのは、親族優先提供のような場合もかなり問題ですが、あくまでも医療的な正義の問題だろうと私は思います。その点の留保はやはりしておかなければいけないので、かつて小児の臓器移植にある学会辺りは賛成して、「小児のものは小児に」という言い方をしたことがあります。私はこれはおかしいだろうと思います。小児の臓器だろうと、それは基本的に公共の財です。その趣旨に従って臓器移植ネットワークによる配分は行われているわけですから、私はセンチメントとしては理解できますが、あくまでも問題はいまのような医学的理由によって優先順位が上がるということしかないだろうと思います。
○北村参考人 町野先生のおっしゃるところが、最も私どもの部会のほうでも検討したところなのです。そこで最も重要な点は、おっしゃられたとおり我が国にないデータをUNOSから借りるという形で、18歳という年齢に限って、医学的な根拠でそれを第1優先にしているわけです。ただ、いろいろな委員からの意見でも、私も認めざるを得ない点もあると思いますが、今回の法改正の趣旨には親族優先ということが入っています。これも外国ではあまり明記されていない法律ですが、我が国の乏しい提供の中で、いかにこれを認めていただけるか、考えていただけるかという趣旨が法の中にはあったと思うのです。その辺は町野先生はご反対の意見があろうと思いますが、そういうところも踏まえて、最も法改正の趣旨を反映させるためには、医学的理由を第1にしながら、補足的にはそういうところも理解されやすい形でまとめたという背景があって、最も悩ましい点だろうと思います。
 ただ、成人の場合は、予測されていますようにたくさんの提供が増えてきておりますので、そこに対する不公平感というのも、これも原則的には結果であって、先に置く条件ではないということもあるかもしれませんが、結果的にはその不公平感は容認される範囲であろうというのが心臓部会の判断であった、ということを申し上げさせていただきます。
○永井委員長 町野委員、どうでしょうか。
○町野委員 私としては理解はいたします。しかし、あとの部分には賛成することは到底できない。
○大島委員 腎臓での議論の一端をお話しますと、これを純粋に医学的な問題と言っていいのかどうか、デリケートなところがあります。小児で透析をやっていますと、成長ができないのです。成長に限界があって、特に2次成長期に入ると、移植と透析で明らかに違ってきます。これを医学的な問題と言っていいのかどうかというのは非常に議論になるところですが、我々医者の側からいくと非常によくわかる理由の1つです。
 もう1つが、透析のまま年齢を重ねていきますと、社会的に非常に大きな不利益というのか、就業だとかいろいろな状況になったときに、これはいろいろな意味でチャンスが小さくなると、これも非常によくわかる話です。医学的にそんなことは関係ないと言い切ってしまえば、ただ単に生物学的な意味で成績が良いか、悪いかという1点だけに的を絞って、小児の問題を言っていいのかどうかというのは、医学の専門家としてもつらいところがあります。そこのところで公平性というものを持ち出されたときに、どういう形で参加していいのかというのは、確かに問題はあります。
 実際に決めるプロセスでは医者だけで決めたわけではありませんので、社会のほかの方も入って、小児に優先的なポイントを与えるべきだろうという形でもって決められたというプロセスがあった、ということだけはお話はしておきたいと思います。
○相川(厚)委員 大島先生のをもう1つ補足させていただくと、腎臓は2つありますので、大人に移植する場合はお子さんの腎臓を2つとも付けて移植をしないといけないという状態があります。子どもだったらお二人のお子さんに移植ができるのに、2つの腎臓をすべてその1人の成人の方に移植をしなくてはいけないというのは、臨床家として非常につらいことです。これは確かに順番から言えば、そのように大人に当たってしまえば、これはもうしょうがないことなのですが、そういう事態も実際に発生しています。だから、移植医は非常につらい思いをしながら、成人の方は元気になられていいのですが、「この2つの腎臓を一人ひとりお子さんにあげたら、2人助けられたのにな」という気持は、やはりそういう感情はずっと残ったはずだと思うのです。これもやはり心臓とかそういうものとはちょっと違う点です。
○町野委員 いまのご議論というのは、医学的な効果としてどれが期待できるか、その評価の問題ですね。先ほど大島先生がおっしゃられたように、小児の場合については腎臓の移植があれば、これから成長することができる。だから、その点をより医学的効果として評価するかどうかの問題で、必ずしもそれは不公平とは思わないわけです。いまの相川委員の言われたこともやはり同じ。つまり、どのようにしたら要するに移植の効果が上がるかという問題の評価の仕方です。それはあくまでも医学的な観点からされるべき問題であって、生命の質という問題ではないのです。大人についてはあまり長生きしなくてもいいから、子どもはこれからと、そういう話ではないので、やはり医学的な効果の問題ですので、私はその点について反対するものではないです。
○永井委員長 北村参考人、いかがでしょうか。これはどこまで医学的な話か。
○北村参考人 部会の検討の第1回の報告はもう出ていますか。それをまた読んでいただきますと、まさしく町野先生がおっしゃっている点で、生命に年齢によって差が生じるようなことであっていいのかという議論も行いました。その中で、やはりいちばん大事なことは、医学的に小児から小児、つまり成長期の子どもに成長期の、特にアメリカで言っていますのはadolescence、思春期の年齢までということを強調しております。その年齢層同士は、共に成長するという過程を持って、成人のように心臓の大きさはもうそれ以上大きくなる必要がないという条件と違うということがあろうかと思われます。そういう成長期同士の移植というのが、1年の生存率から見ても、さらに長期の生存率から見ても、遠隔期の免疫反応と言われる冠動脈の閉塞性疾患の発生を見ても少ないということがありまして、まずは医学的な理由を重視したということ、それは事実です。ただ、そのほかの意見としては、やはり先ほど申しましたようなことが入ってきたのもまた事実ですので、詳細に申し上げた次第です。あくまで医学的なものを中心としたということはご了解いただきたいと思います。
○奥山委員 これを読むと、要するにpediatricからpediatricというのは前からあると。adolescentからpediatricのレシピエントへというところが変わったような書き方、2頁の3段目を読むとそのように読めたのです。adolescentとpediatricの関係性というのは、こちらの海外のデータではどのような形になっているのか、ちょっと教えていただければと思います。
○北村参考人 従来、日本もそうですが、いままでの状況でも8歳ぐらいの子供まで成人からの提供で移植実例があります。いままでは日本は15歳以下は認められておりませんから、それ以上の年齢の人からの提供、つまり20歳代の提供から8歳ぐらいまで、体のサイズ、心臓の大きさが合う場合は提供があります。その道はいまでも残っておりますが、そこは待機時間の長さによって決まります。日本で新たに子どもたちの登録ができるようになったということで、登録を始めますと百何十番という番号の順番になって、とても難しい状態もまた発生するであろうという予測は立ちます。成人から小児への移植、臓器の提供はほかの条件、つまり待機時間等が合えば、優先されれば、それは施設の医師の判断で行うことができます。18歳以下の提供があっても、18歳以下の適切なレシピエントがない場合には、それはより年齢の高い20歳、25歳、30歳という人に順次配分されていきます。
○奥山委員 その分け方なのですが、18歳で分けたのですが、海外のこれを読ませていただくと、pediatricとadolescentと分けて、adolescentからpediatricに行くのだという書き方になっていますよね。この辺のところが、pediatricからpediatricというのは、もともとそうだったのをこのように改正しましたというのがadolescentからpediatricと。つまり、3.7.10.1を見ると、確かにpediatric heartのallocationは、pediatric candidatesにいちばん先に行くようになってはいるのです。それを消して、今度adolescentから行くようになったというのかなと思って読ませていただいたのですが。
○北村参考人 いや、そうではないです。
○奥山委員 参考資料2の2頁の下から3段落目です。「The Board approved modification to Policies 3.7.5」で、「Allocation of Adolescent Donor Heart to Pediatric Heart Candidates」になったということを、これは述べているのだろうと思うのです。違いますか。
○荒木補佐 参考資料1と参考資料2の語彙の使い方という部分だと思います。参考資料2は2008年6月のエグゼクティブボードのサマリーです。参考資料1については、UNOSの最新のシェアリングの基準ということです。こちらが新しい形になっていて、語彙の違いを向こうがどのように考えているかという詳細は承知しませんが、現実問題としてはPedからPedという形の18歳未満ということで定義されているというように。
○奥山委員 そうすると、pediatricというのもadolescentというのも、18歳未満ということで、同じという解釈だということですか。
○荒木補佐 こっちのほうが新しいという意味合いで、参考資料1は2009年の最新のものという観点からは、語彙の使い方を少し分けたのかどうかは詳細は承知しませんが、一応18歳未満が。
○奥山委員 つまり、18歳未満ということで全部一括していますと考えていいのですね。その中で、12歳未満と12歳以上18歳未満とは分けていませんという考え方でよろしいということなのですね。
○荒木補佐 はい。
○奥山委員 わかりました。ありがとうございます。
○永井委員長 町野委員のご指摘は、あくまでも医学的な理由を優先するという基本的な考え方があれば、これも了解できるということかと思いますが、今回のご提案について、選択基準をこのように変えるということを、委員の先生方はご了解いただけるということで、よろしいでしょうか。
○北村参考人 はい。
○永井委員長 よろしいでしょうか。
(異議なし)
○永井委員長 ありがとうございます。今後そのように取り扱わせていただきます。次の肺のほうをお願いします。
○荒木補佐 続きまして、肺移植希望者(レシピエント)選択基準、こちらは次の心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準にもかかわってきますので、手短に修正点について説明したいと思います。資料2-2「肺移植希望者(レシピエント)選択基準(案)」です。これは簡単にいいますと、これまで肺の大きさ、ドナーとレシピエントの大きさの適合性の評価を、ボルドウィンの式ということで、海外の方のデータを使わせていただいています。そこに書いてありますように、「日本呼吸器学会肺生理学専門委員会」ということで、やはり日本人の体格に合ったデータとして肺の大きさを評価したいと。さらには、呼吸器学会肺生理専門委員会の出されているデータについては、18歳以上のデータを基に評価をしていますので、肺の大きさの評価として3つ、1)両方ともが18歳以上の場合、2)両方ともが18歳未満の場合、3)として1)、2)に該当しない、即ちドナーとレシピエントの年齢が18歳以上と未満に分かれる場合の3点で、肺の大きさの評価の式を変えたというのが大きな点です。
 細かい数値については、そちらの式のとおりですが、両方とも18歳以上の場合には、推定の予測肺活量で評価すると。その場合に、±30%までであれば適合できるだろうというのが1つです。18歳未満の場合については、これまで評価の指標にはないので身長で評価する。注意点は、片肺移植の場合には若干大きくても耐えうるだろうということで、-12%〜-15%までという形になっています。両肺の場合には、±12%と。3)についても同様な形で、身長の大きさで肺の大きさを評価する形になっています。
 2頁目ですが、(4)肺の大きさについての優先順位です。「前提条件(2)肺の大きさの1)又は2)の場合を優先する」、これはどういう意味かといいますと、1)あるいは2)で評価された場合の優先順位を高くするということです。即ち、18歳未満・18歳未満の場合、18歳以上・18歳以上の場合で、エイジマッチングという場合を評価しようということです。
 3頁目です。中段にあります赤の下線については、これまでも記載があったのですが、場所を変えたので少し赤い字になっています。最後の3「その他」ということで、(1)6歳から18歳未満の場合については、参考という形ですが、以下の式で予測肺活量も評価できますよということです。参考という形で載せてくださいというような要望がありましたので、こちらに載せています。
 後ろの参考資料1、参考資料2については、いまの参考にありました日本人小児スパイログラム基準値(6〜18歳)のデータの元データ、そして参考資料2が18歳以上の場合の評価式、日本呼吸器学会肺生理専門委員会の報告書を添付しています。さらに、資料2-3、心肺同時移植希望者の場合、これは基本的にはいま説明申し上げました肺の大きさの評価の部分について置き換えたということになっています。単純にそれだけですので、説明については以上です。
 さらに、北村先生には肺のレシピエント選択基準の議論の際に、肺作業班にも参考人としてご参画いただいていますので、もし何か補充がありましたらお願いします。
○北村参考人 肺のほうでも、小児優先の話題は上がったのですが、やはり肺は大きさの基準をもってやれば、特にそれを必要としないという判断で、数式が入ってきて、我々にとってはちょっとややこしいかなとも思いますが、こういう形で選択すると決まったと。
○永井委員長 あくまでも医学的な理由ということになりますね。そういう説明ですが、いかがでしょうか。もしよろしければ、これも先ほどと同じように、医学的な理由に基づいた計算式であると考えてご了解いただければと思います。よろしいでしょうか。
(異議なし)
○永井委員長 ありがとうございます。それでは、了解いただいたことにさせていただきます。続いて、最後の議題ですが、改正法の施行を踏まえた今後の検討課題についてご議論いただきたいと思います。事務局から列記した資料がありますので、説明をお願いします。
○辺見室長 資料3をご覧ください。時間も限られていますので、簡潔に説明させていただきます。今後の検討課題について、検討のポイント及びその視点を整理、列記した資料です。左側は、移植医療のプロセスということで、治療の段階から重篤な状態、提供のご意思からあっせん、移植といった流れを示しているものです。右側に、主な課題ということで整理をしています。完全には対応関係にあるわけではないと思います。各段階からいろいろな問題が出てくると思いますので、その辺りは多少大まかなものとしてご覧いただきたいと思います。
 課題ですが、大きく5分野です。臓器提供施設への支援についてということで、手続きに関する負担軽減や体制整備の支援、ドナーファミリーのケアについて、やはり手続きについての負担軽減や心のケアの問題、普及啓発に関する問題、コーディネーターの教育に関する問題。また、移植の実施に係る諸課題ということで、レシピエント選択基準の継続的な見直しや検証のあり方に関する問題といったような検討課題があろうかと考えています。それぞれ、検討の課題の内容を整理した上で、タイミングを見て委員会にご相談をさせていただくようなことを考えています。さらに、ポイントとして、視点として加えるべき点などがありましたら、よろしくお願いします。
○永井委員長 ありがとうございました。何かご質問、ご意見はありますか。
○大久保委員 今後こういったことを検討するということで、課題を書いているのですね。
○山本委員 先ほどから出ています検証に関して、ここに全く何もないのですが、どこかに入れておいたほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○辺見室長 いちばん下にあります。
○佐野委員 たくさんあると思うのですが、1つは我々が今度移植施設になると、例えば心臓のほうで最初に出てくるのがメディカルコンサルタント派遣です。これは、もういまは週に1例か2例ぐらい出ていますので、そうすると、もうほとんど病院の業務ができないですよね。ですから、そういう所に多少なりともサポートがあるのかどうか。それから、もう1つはコーディネーターのことですが、心臓、肺、肝臓と出てくると、いままで病院として一応1人ずつのコーディネーターを付けていまして、心臓はいなかったので3人で2つの臓器で何とかなったのですが、これから多くなって心臓、肺、肝臓と3つに分けると、逆に言えば1人が1つの臓器を全部見るので、そうすると彼女たちは365日24時間すべて拘束されるのですね。ですから、そういう意味で、施設に対してある程度行政的にプラスアルファーのサポートが、いまのところはないに等しいので、例えば人数的なものを付けていただけるのでしょうか。
 それから、もう1つは病院のコーディネーターだけではなくて、たぶん日本臓器ネットワークのコーディネーターの方も、いまの何倍もの労力が要る。そして、それに対しても日本中を飛び回らないといけないような状態になっていると思います。そういう意味でも、コーディネーターの教育だけではなくて、体制や人数も含めてもう少し充実しないと、我々の所もそうですが、最初はコーディネーターになる人はすごくモチベーションがあって燃えているのですが、あまりにもひどいとだんだん疲れ果てて、たぶんそのうち燃え尽き症候群になるのではないかと思って、実際には心配しています。大阪大学や国立循環器病センターのコーディネーターの方などに聞いてみたら、生活はそれ以外にないような生活をされていますので、いまはいいのですが、彼女たちが2年、3年といまよりもっと忙しくなったら、たぶんそのうち疲れ果てて燃え尽きると思いますので、その前に各施設だけではなくて、日本臓器ネットワークも含めて、もう少し充実していただけるようなことも検討課題として付け加えていただければと思います。
○永井委員長 ありがとうございました。ほかにいかがですか。
○町野委員 法改正に向けてのもの、あるいは現在の見直しのものが全然入っていないのですが、それでいいのかなと。確かに、これは国会の立法ですから、行政側がやる話ではないというのも1つの理屈でしょうが、やはりいくつか問題があるわけです。例えば大きなところでは、親族のオプト・インでオーケーにしたと。一体それはそもそもよかったのかということだって、もちろん議論はしなければいけませんし、それから法律家の多くが反対なのは親族優先提供ですね。先ほど私が小児のものは小児という考え方に反対だと言ったのは、結局それにつながるわけです。あのときは、親族だけに留まらないのではないだろうかと、これからはこういう人にあげてほしいという意思だって、もしかしたら重視しなければいけないという理屈も、自己決定ということをいえば皆そうなりますからね。そのことを非常に恐れているわけです。親族優先提供については法律家のかなりの多くの人、特に作業部会の法律家の人たちはほとんど反対でした。しかし、法律ができた以上は、この範囲内で何とかやらなければいけないということで、そうやったわけです。
 それから、脳死判定の拒否権を認めたことも、これも理屈がよくわからないところがあります。実際にはあまり影響がないと言われましたが、果たしてそういうものだろうかというのはちょっとわからないところがあります。それから非常に問題になりまして、ここでも出てきましたが、知的障害者等からについての臓器の提供ですが、あれはもう本当に訳がわからないところが随分あります。最大の問題は、児童虐待の扱いです。これは、皆様といいますか、おっしゃられるとおり、どうしてこうなのかがよくわかりません。やはり、15歳未満の小児からの臓器の提供が旧法では不可能だったと、その引き替えのような格好で何かこれが入ったような経緯があるので、最初のところではとにかく脳死のことしか考えない、それから15歳未満のことしか考えないというので、虐待とはまたちょっと別のムードで話が始まって、そのために非常に話がもつれたところがあります。これも、もう1回見なければいけないところがあると思います。ですから、こういう法律的な問題点もやっておかなければ。この臓器移植法は改正されたのですが、思想的にはまだよくわからないところが随分たくさん残っているわけですから、やはり、ただ臓器移植法を推進するという立場からの検討課題だけではなくて、将来に向けた全般的な問題点として指摘されていることも、見直しの課題に入れていただきたいと思います。
○永井委員長 ほかにいかがでしょうか。
○山勢委員 看護のほうからなのですが、検証会議の作業グループで臓器提供施設の検証は、たぶん医療施設ですよね。そして、家族へのケアに関しては中央評価委員会、ネットワークがその場になっていると思うのですが、この中のドナー家族への対応はこれまで私も研究してきた中で、コーディネーターと現場の看護師の役割が、かなりオーバーラップしているところがあります。看護がドナー家族へのケアをかなりやっていると思っているのですが、救急看護学会の中でもそういうことも検討されています。なかなか看護師は私も含めて声を出すのが上手ではないので含まれていないかと思うのですが、どちらに入るのか、また中間的な立場なのか、そのところは私はいますぐには答えは出せませんが、看護の力というのも入れていただきたいと思います。
○永井委員長 役割分担ということでしょうか。ほかにいかがでしょうか。
○佐野委員 先ほど北村先生も言われたように、大人も含めてですが、特に子どもでは、移植になっても、その前の補助心臓や人工心臓が日本で使えるのは1つもありません。ですから、現実的には小さい子の場合ですと、Status1といっても強心剤を使っている子は待てますが、それ以上に悪くなった子は全くチャンスはないのですね。ですから、世界中で使われている補助心臓や人工心臓がありますので、この部会からでもいいですから、できるだけ早くそういうものが子どもと大人も含めて、世界基準のものが日本でもあまり遅れないで使えるように、それも同時にこちらからでも発信していただければ、実際にやるほうとすると非常に助かると。現実的に、患者さんもそれで助かると思いますので、よろしくお願いします。
○大島委員 先ほど佐野先生も指摘されたので黙っていようとは思ったのですが、やはりこれだけは一言言っておいたほうがいいと思いますので、あえて言います。いまのネットワークのシステムというのは、臓器の提供が増えるに従って予算規模が広がるという形になっていないのですね。したがって、どれぐらいで破綻するのかはちょっと見えませんが、例えばこのまま年間に100例も出たらもう間違いなく破綻すると思います。実際に動いている人たちのなかには、50例でも難しいということを言っている人もいます。ただはっきり言えることは、提供数が増えるに従って予算規模も大きくなりコーディネーターもそれによって増えていくという構造にはなっていないということです。これは、致命的な制度上の問題で、これをきちんとしていかないと、増えれば増えるほどおかしくなってしまうのは目に見えていることです。これに対しては、相当危機感をもって対応しなければいけないということが1つあると思うのです。
 それからもう1つは、昔からある臓器バンク、いわゆる腎臓バンクから始まって各県に臓器バンクがあるのですが、これをどうやって有効に使うのかということが、いままでは臓器の提供が全体的に少なかったものですからあまり大きな問題になりませんでした。しかし、この問題を、これから提供がもし増えるということを想定するのであれば、各県の臓器バンクと各県のコーディネーターとの関係をきちんと明確にしていく必要があります。これも非常に緊急の課題だろうと思いますので、この点についてあえて私も大きな問題であることを指摘しておきたいと思います。
○永井委員長 ほかにいかがでしょうか。
○奥山委員 お話を伺っていて、私自身も先ほど質問をさせていただいたのですが、半分わかっていて質問した部分があるのですが、ここに書いてあるように普及啓発は必要ですし、それから理解いただくことを引き続きやっていく必要はあると思うのです。先程来いろいろな方々のお話に出ているように、ちょっと違った段階に入ったのだという意識をもって、今後の検討課題を考えていかないと、いままでの継続の中で必要だったことと、次の段階で必要なことをもう少し分けて考えていっていただきたいと思いました。
○永井委員長 ほかにいかがでしょう。先ほどの心のケアの問題ですが、国からのドナーやドナー家族に対して感謝の表明は、いまはどうなっているのでしょうか。
○辺見室長 ドナーの家族に対して、厚生労働大臣から感謝状をお届けすると。実際にお届けするのは、コーディネーターを通じてお届けいただいていますが、感謝状を差し上げています。それから、ドナー家族の集いなどがある場合に、厚生労働大臣から挨拶文を差し上げるといったようなことをしている状況です。
○永井委員長 そういうときに、何か花が出るとかそういうことまではされていないのですか。言葉だけですか。
○大久保委員 我々はずっと、いのちきずなの日など慰霊祭はやっているのですが、おそらく厚生労働省が感謝状を出していることすらほかの人は知らないですよね。それも言わないから、ほとんど誰も知らないですよね。そういったドナーファミリーというのは本当に大変なことがたくさんあるのだけれども、それが1つも国民に伝わってないのですよね。ですから、移植も含めて国民に伝えるということが、厚労省、ネットワークを含めてできていないのだと思いますね。ですから、普及啓発はまずどこにきちんと伝えていくかということなので、普及啓発班という作業班はずっと残るようですので、おそらくそちらで話をすることになるかと思います。どういう形でやるか、どういう組織をつくるかもすごく大事だと思います。
 おそらく、いまの話を全部でいくと、大変な問題がたくさんあると思うのですね。いま少しずつ出てきたと思うのですが、本当にたくさんの問題を抱えているので、かなり真剣にこの会を開いていかないと解決できないぐらいの数があると思います。先生方もお忙しいでしょうが、できるだけ会を開いていただいて、どうしてもそこでできないことは普及啓発班などの班に下ろすという形でしっかり議論をしていって、それを今度は国民の方たちに知らせていくことがとても大事だと思います。
○永井委員長 ありがとうございます。まだこの件は議論が続くと思いますので、本日はこの辺りにしたいと思います。本日予定した議題はここまでということで、次回以降具体的な議論をさらに重ねたいと思いますので、よろしくお願いします。それでは、事務局から今後の予定についてお願いします。
○長岡補佐 本日は活発なご議論をいただきまして、どうもありがとうございました。いただいたご意見を踏まえまして、今後の検証の進め方ですが、明後日、検証会議もありますので、検証会議の先生方のご意見も伺いながら、また事務局で課題を整理したいと思っています。また、今後の検証課題についてたくさんご意見を頂戴しましたので、これを踏まえて具体的に検討を進めまして、また次回以降のこの会でご議論をいただければと思っています。
 次回以降の開催日程については、委員長とも調整の上、日程調整をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。以上です。
○永井委員長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室

代表 : 03(5253)1111

内線 : 2366 ・ 2365

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