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2010年7月27日 第3回 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防・早期発見に関する検討会 議事録

健康局総務課生活習慣病対策室

○日時

平成22年7月27日(火)
14:00〜16:00


○場所

厚生労働省19階 専用第27会議室


○議事

○生活習慣病対策室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第3回慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防・早期発見に関する検討会」を開催させていただきたいと思います。
 委員の皆様方には、何かと非常に御多忙の折、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、今村委員、桂委員、瀬戸山委員、中尾委員の4名の委員の方から御欠席の御連絡をいただいております。また、本日、見城委員が遅れて来られるとのことでございます。
 今回は、COPDの予防と普及啓発をテーマにさせていただいておりますので、その関係から、COPDの普及啓発の手法ということについての有識者を本日お招きしてございますので、御紹介いたします。
 株式会社マッキャンヘルスケアの石川様でございます。
○石川参考人 石川と申します。よろしくお願いいたします。
○生活習慣病対策室長 それでは、以後の進行を工藤座長によろしくお願い申し上げます。
○工藤座長 皆様、お暑い中、御苦労さまでございます。どうかよろしくお願いいたします。
 前回の検討会における議論を踏まえまして、具体的な慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防と早期発見に関する検討を進めてまいりたいと思います。
 それでは、事務局から配付資料の確認をお願いします。
○生活習慣病対策室長 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、そのほかに資料1として、第2回慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防・早期発見に関する検討会の議事概要。
 資料2は、中村委員からの提出資料。
 資料3は、石川参考人からの提出資料でございます。
 また、中村委員からは、参考資料1としまして、禁煙支援の指導者マニュアル「脱メタバコ支援マニュアル」、参考資料2としまして、大阪府医師会発行リーフレット「生活習慣病予防のコツを教えます!」の御提出もありましたことから、あわせて配付させていただいております。
 また、最後に参考資料3としまして、非喫煙者と喫煙者の肺の比較についても配付させていただいているところでございます。
 もし不足ないしは落丁等ございましたら、事務局までお申し出いただければと思いますが、いかがでございましょうか。ありませんか。
(「はい」と声あり)
○生活習慣病対策室長 それでは、座長、よろしくお願いします。
○工藤座長 それでは、早速議論に移りたいと思います。
 まず、第2回、前回の検討会における議論の概要につきまして事務局の方から説明をしていただきたいと思います。お願いします。
○生活習慣病対策室長 それにつきましては、資料1を見ていただければと思います。
 第2回目の検討会の議事概要でございます。前回は、COPDの早期発見に関するテーマで御議論をいただきました。そのテーマによる前回の御議論を事務局なりに幾つか分類させていただいたものを、こちらに記載させていただいております。
 1つ目としましては、肺年齢についてでございます。
 肺年齢の位置付けでございますけれども、肺年齢は、スクリーニングとして、また一般の方を対象に説明しやすい指標として考え出されたものであるということで、健常者であっても高い数字になってしまう場合も時にはある。したがって、正確な判断には、1秒量や、その他の数値を使って測定できる機器によるデータを見て最終的に判断する必要があるということ。
 それから、肺年齢の活用方法につきましても、実際の年齢よりも肺年齢が高い場合には、受診者本人自身の注意喚起になるなどの動機付けに活用できるのではないかという御意見。
 それから、測定機器につきまして、まずハイ・チェッカーについてでございますが、その精度としては、アメリカの呼吸器学会などのガイドラインに準拠したもので、スパイロメーターと同等の性能があるものの、呼吸曲線の記録ができないので、的確に息を吹き込めたかどうかの判断は少し難しいといった御意見。
 また、機器としての位置付けとしては、このハイ・チェッカーは医療機器ではあるけれども、フローボリューム曲線が記録として残せないので、保険点数がとれない種類の医療機器であるといった御意見がございました。
 それから、スパイロメーターにつきましては、一般健診でスパイロメーターによる肺機能検査をするのは、一部の施設ではやっているところがあるものの、安全性の点で全体の施設で全員にやるのはなかなか踏み切れないといった御意見がございました。
 2ページ目の問診票の感度でございますが、年齢が高い者においては、問診票において点数が大きく加算される割には、COPDに該当する者が少ないためと考えられることから、年齢に対する問診票の配点については今後の検討課題といった御意見。
 それから、問診票の位置付けとしては、呼吸機能の問診項目は8項目あるが、その項目の中でも、既に他の健診において記載するようになっているものもあるので、最大4つの質問を健診項目に追加すれば、実質的には呼吸機能の問診票を配付したのと同じ状況になるのではないかという御意見。
 それから、労働安全法によります健診とか、高齢者の医療の確保に関する法律による特定健診など、趣旨の健診において幅広くCOPDの可能性の有無を調べる問診項目を入れてもいいのではないかという御意見もございました。
 また、健診の対象者でございますけれども、これについては40歳以上の非喫煙者も含めて、だれでもという形で行うことが妥当ではないかといった御意見。
 それから、健診をした後の受け皿としては、健診等でCOPDの疑いを持つ者を、呼吸器の専門医に紹介していった場合には、呼吸器内科の方で受け皿として十分に対応できるのかといった御意見。
 それから、スクリーニングの回数としては、検査日が2日にまたがらないような方が効率的ではないかといった御意見。
 それから、関係機関、すなわち健診機関と専門医療機関の連携システムの確立が非常に重要であるといった御意見等がございました。
 また、禁煙支援につきましては、禁煙指導の2つ目のポツにも記載してございますように、現在喫煙をしている者であって、COPDの疑いとならなかった者に対しての禁煙指導も重要ではないかといった御意見がございました。
 最後に、今後の検討課題としては大きく5つございました。
 1つ目が質問票の内容についてでございまして、IPAGの質問票のスクリーニングとしての導入については、基本的には異論はないが、その中身をどのような項目を選ぶか、あるいは修正するかについては今後の問題であろうといった御意見。
 それから、肺年齢の測定の上限でございますけれども、ハイ・チェッカーにつきましても、肺年齢を何歳ぐらいまでに限定して使用したらいいかといった問題。
 それから、質問票と肺年齢測定器の組み合わせについてでございますけれども、質問票と簡易スパイロメーターと言われている肺年齢測定器をどのような形で組み合わせたらいいかといった問題。
 それから、喫煙を有するCOPD疑い者への啓発ですけれども、健診でのCOPDの疑い者で喫煙している者を、どのように健康増進の方向に持っていったらいいかといった問題。
 最後に、健診機関、一般医療機関、専門医療機関の連携システムの構築といった点において、その最適な連携システムはどうあるべきかといった問題が今後の検討課題であろうといった御意見が前回の御議論の内容の概要でございます。
 事務局からは以上でございます。
○工藤座長 ただいま、資料1に基づいて前回の検討会での議論の概要を事務局の方から御説明いただきましたけれども、何か確認しておくようなところがありますでしょうか。もしあれば、ここで言っていただければと思いますが。よろしゅうございますか。
(「はい」と声あり)
○工藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、本日、中村委員の方から、健診の場を活用した効果的な禁煙支援ということについて御説明いただくことになっております。20〜30分ぐらいの内容になるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○中村委員 それでは、マイクを使いたいので、座ってさせていただきます。
 今日は、COPDの予防ということで、その主要な原因であるたばこについてのお話をさせていただきますけれども、COPDの予防ということになりますと、本人の喫煙、受動喫煙といった、有害なたばこの暴露をできるだけ減らすことが大切です。たばこを吸っている人は禁煙していただき、まだたばこを吸い始めていない子どもたちには、将来、たばこを吸わないようにする。更に、吸っていなくても、周りの煙で影響を受けますから、受動喫煙を防止するということで、社会全体としてたばこ対策を進めていくことがCOPDの予防につながります。
 今回、COPDのスクリーニングというのが論点になっていますから、それに関連して、COPDのスクリーニングの場で、たばこを吸っている方に禁煙をどう働きかけていくかというところに焦点を当てたお話をさせていただきたいと思います。
 今日発表する資料を皆さん方のお手元に配っているのですけれども、4枚だけ追加のものがあります。そのときに説明をさせていただきたいと思います。
 まず、たばこがCOPDも含めて病気の原因として、それぞれの病気ごとにどれぐらいの関わりがあるかということで、これが日本を代表する一番最新のデータです。3つの大きな追跡調査の研究を併合解析したもので、約30万人のデータに基づくものです。これは男性の成績なのですけれども、COPDでは6割、一方女性は16%、2割弱になっています。肺がんについても男性で7割、女性もCOPDの女性と同じぐらいで、喫煙率の高い男性においては、たばこが原因として関わりが非常に大きいということがわかっております。
 COPDは男性優位の病気ですから、男女合わせてもたばこが一番大きな原因であるということになります。それ以外のこういったいろいろな病気がたばこと密接に関連しています。意外と知られていないのがくも膜下出血。あと、がん検診として対象になっている胃がん、肺がん、肝がん、子宮頸がんも喫煙と関連があります。大腸がんも最近、フランスの国際がん研究機関から、関連ありというステートメントが出ていますし、乳がんについても可能性ありと報告されています。つまり、がん検診の対象になっているがんも、乳がんは可能性ありですけれども、それ以外は確実な証拠があるということになっておりまして、がん検診という観点でも禁煙の問題を考えていかなければいけないということです。
 COPDについて少しお話しますと、禁煙したらどのような効果が得られるかということですけれども、まず自覚症状が改善します。それから、特にCOPDになっていない一般健常集団においても、一秒量の低下が喫煙で早まっていたものが、禁煙すると5年以内に非喫煙者にほぼ近付きます。
 COPDの健診をすると、軽度・中等度のCOPDの方がたくさん見つかるわけですけれども、こういった方が禁煙すれば、最初の1年は1秒量がむしろ少し改善が見られまして、その後も禁煙を続けることによって、たばこを吸い続けた場合に比べて肺機能の低下を約半分にとどめることができます。禁煙の指導をして11年目まで追跡したLung Health Studyという研究でも、禁煙により肺機能の低下を防止できる効果が明らかになっています。だから、軽度・中等度のCOPDになっていても間に合う。重度のCOPDについてはエビデンスは多くないのですけれども、例えば入院率の減少効果などがわかってきております。
 更に、禁煙によってCOPDによる死亡のリスクが減少しますその証拠を提供したのが、Lung Health Studyです。禁煙の効果を調べた研究で、COPDの軽度、また中等度程度の方で、約6,000人の喫煙者が対象になりまして、2つの群にランダムに割り付けをされて、特別介入群は3か月弱、禁煙のプログラムを受ける。当時はニコチンガムを使っています。あとは医師のアドバイスとか、禁煙の方法について学ぶ行動療法を用いたグループカウンセリングを組み合わせた禁煙のプログラムを受けますと、5年後に禁煙している割合が約2割となり、通常ケア群に比べて約4倍ぐらい上昇しました。
 それでも、8割の人は禁煙できていない。これぐらいの差でも、全死因の死亡率が15%、低下しました。勿論、こちらの人が全員やめていたら、もっと大きな全死因の死亡率の差が出るのですけれども、このぐらいの差であっても、禁煙というのは生命予後を改善するということです。
 具体的に病気別に見ますと、もともとCOPDを持っていた方なので、呼吸器疾患で死亡する危険が特に低下し、通常ケア群の約半分まで下がりました。一方の群は全員禁煙して、一方の群は全員吸い続けたわけではなくて、20%と5%の禁煙率の差がこれぐらいの効果を生むことに着目してください。
 肺がんとか脳血管障害、虚血性心疾患、いずれも喫煙関連の病気ですけれども、20%以上の死亡率の減少が見られています。統計学的には、全体のサンプル数が大きくなかったので有意差は出ていませんけれども、もし対象者数が多ければこういったものも有意に低下したということになるかと思います。
 ここからが4枚、新しく追加したスライドの説明です。
 これは、アナルズ・オブ・インターナル・メディスンという論文に掲載されたものですが、COPD健診を対策型の健診として無症状の人に実施すべきかどうかということを考えるのに、アメリカのUS Preventive Service Task Forceという予防に関係した委員会があるのですけれども、そこで合計8つのリサーチクエスチョンを設定して、スパイロメトリーを使ったCOPD健診の科学的根拠について検討しました。結論から言うと、スパイロメトリーを使ったCOPDの健診によって軽度から中程度のCOPDの発見は確かにできるのだけれども、そのような診断をしても、その診断自体が生命予後といいますか、COPDによる死亡を減少するということにつながるというエビデンスはないというのがこの論文の結論です。
 このレビューでは、8つのリサーチクエスチョンを設定しました。まず、スパイロメトリーをすることで、COPDの罹患とか死亡が果たして減らせるか。これについてはきちんとした比較試験が実施されておらず、エビデンスがないというのが結論です。
 2番目は、無症状の人にCOPDの健診をやる際にハイリスクグループを設定できるか。これについては、年齢とか喫煙状況などがハイリスク者かどうかを判別するということで使えると報告されています。スバイロメトリーの有害性については、そんなに大きくはないのですけれども、一部、間違って陽性という人を出してしまう。それは検査の場合、しようがないことですけれども、大きな問題にはなっていません。
 3番目にCOPDの治療の効果についてですが、薬物療法、呼吸リハ、それからひどくなってくると酸素療法ですけれども、重症の段階になったら、こういった治療法が予後を改善するということで有効であろうということになっています。ただ、軽度・中等症の人においてはエビデンスがないということで、COPDのスバイロメトリーで発見されるのが重度の人というよりは、軽度、中等症の人なので、その人たちが受ける恩恵が少ないということであります。
 ワクチンについては、インフルエンザのワクチンがCOPDの増悪を抑制する効果があるということが確かめられております。
 禁煙については、スパイロメトリーをすることによって禁煙の促進につながるかについてですが、確かにスパイロメトリーと、後で御紹介しますけれども、呼気中の一酸化炭素の測定を組み合わせると、組み合わせない場合に比べて、禁煙率が有意ではないものの2倍以上高まるという報告があるのですけれども、そうでないという研究も幾つかありまして、今のところ必ずしも結論が得られていません。禁煙の動機付けをするということは多少役に立つだろうけれども、エビデンスとしては必ずしもまだ十分でないので、その分野は今後研究がまだ必要だということになっております。
  この論文から言えることは、重度の人が必ずしも治療ルートに乗っていない場合、治療の有効性に関するエビデンスがあるので、そういった重症の人をきちんと専門の呼吸器内科のところに結び付けるというのは1つ意味があると思います。重症の人を見つけるのに、無症状の人に対して、もし健診するのであれば、スパイロがいいのか、その費用対効果を考えれば、例えば質問票でやるのがいいのではないかということになります。
 ただ、質問票でやっても、要医療となるようなCOPDがなかったと判定した場合、喫煙している人は安心してしまうという問題がありますから、やはり健診をもし何らかの形でするのであれば、COPDの主要原因である喫煙対策として、たばこを吸っている人に禁煙を働きかける場にしないと、COPDのスクリーニングの意義が十分高まらないのではないかと思います。
 これがもう一枚追加したもので、第1回目の会議で厚労省の方からのプレゼンにもありましたけれども、日本も批准しまして、今やFCTCに基づいてたばこ規制・対策が世界的に進められているわけで、この対策をすることが、簡単に言ってしまえばCOPDの予防につながるということであります。受動喫煙の防止も入っていますし、何よりたばこの大幅な値上げによって、たばこを吸っている人が禁煙を考えるいい機会になります。
 更に、保健医療の場で禁煙を勧めたり、やめたいけれども、なかなかやめられない人が治療を受けやすくする環境を整備することによって、COPDを初めとしたたばこ病の発症や重症化の予防が推進されると思います。具体的に健診の場面でどんなことができるのか。COPDのスクリーニングの場もありますし、特定健診や職域でよく行われている定期健診もありますし、がん検診も一般財源化されて、その体制が今、問題になっておりますけれども、比較的広く行われています。
 ドックもそうです。そういういろいろな健康スクリーニングの場面で禁煙をどう働きかけていくかということについて、私たちが今まで行ってきた研究成果を紹介していきたいと思います。
 健診の場面が忙しい場面なので、余り時間がとれないということになります。ですから、喫煙状況を問診票であらかじめ把握しておいて、それで短時間の簡易なアドバイスをして、日本の場合は2006年から保険の禁煙治療が受けられますので、そちらの方に誘導していくことが健診の場面で実行可能性が一番高いものだと思います。
 問診票についても、私たちは既に研究班としていろいろ作業をしてきていまして、案もつくってあります。特定健診であれば喫煙状況が把握されています。喫煙本数も一般に健診では把握されているかと思います。あと、可能であれば、朝目覚めてから最初の1本を吸うまでの時間。本数とこの質問の2つで、大体その人のニコチンの血中濃度を占うことができます。特に5分以内で、例えば36本以上吸うという方は非常に依存度が高い、血中濃度が高いと考えられます。禁煙すると禁断症状が非常に強く出やすい人です。禁煙治療が特に適用となる対象者です。
 あと、喫煙ステージ(禁煙の準備性)の質問ですが、直ちに禁煙しようと考えているとか、6か月以内にやめたいと考えている人には、治療を受けたらどうですかという情報提供をするとよいですし勧めになりますし、禁煙に余り関心のない人に対しては、禁煙の気持ちが高まるような働きかけをしていくということで、相手に合わせた情報を提供をする際に、喫煙ステージをあらかじめ把握しておくといいと思います。
 どんな情報提供をするかですけれども、2つの内容からなっておりまして、1つ目は禁煙することが重要だということを伝える。これは、これまでも医療従事者はいろいろな場面でやってきていることですけれども、ポイントは禁煙をはっきりと勧めることです。禁煙した方がいいと言うと、喫煙している人は、禁煙してもいいし、禁煙しなくてもいい、選ぶのはあなたと思ってしまうので、この機会に禁煙しましょうと、はっきりとしたメッセージを出すことが重要です。
 次のポイントは禁煙の優先順位が高いことを伝えることです。さらに、できるだけその人の心に響くように、個別化した情報。健康影響を言うにしても、禁煙の効果を言うにしても、その人に合った、心に響くような情報。例えば健康を切り口で言うのだったら、病歴を踏まえて、また今回の健診の結果の異常と結び付ける。喫煙によって善玉コレステロールが下がったり、逆に悪玉とか中性脂肪上がることがわかっていますし、糖尿病の発症にもつながることから、血糖も上がることがわかっております。
 あと、多血症とか白血球増加。夏場には結構使えるネタですけれども、血液どろどろで、汗をかいて脱水になって脳梗塞や心筋梗塞が起こりやすい。水分をとるのとあわせて、この際禁煙したらどうですかという働きかけです。肺がんになるよという一般的な害を強調するのではなく、健康状態や検査値などと関係づけて情報提供することが大切です。あと、自覚症状と結び付けるのもいいでしょう。
 健診結果で何も異常がない場合は、まず褒めて、ただ1つだけ課題があるという形で、いいニュースを言って悪いニュースを言うと抵抗感なく聞いてもらえます。健康を切り口には今申し上げたとおりですけれども、私が最近重要だと思って、実際健診の場面で使っているのは、喫煙しているともったいないという言い方での情報提供もやっております。
 例えば時間を奪われる。1日23時間とか22時間で生活していることになりますよとか。女性には老けてみえますよという話。あと、たばこ代は本人もよくわかっています。値上げが今年の10月からありますから、たばこ代には結構敏感になっています。将来日本の医療はどうなるかわからない中で、できるだけ病気にならないようにしておかないと、医療費の自己負担が結構かかることになるかもしれませんよと。あと、家族も道連れにするよという話です。
 仕事に関連して言うと、接客のある人はたばこのにおいがして、意外と相手に不快に思わせているかもしれない。最近では、たばこを吸いに行くとさぼっているように見られる。病気で休みがちになる可能性がありますし、ストレス解消と思っているけれども、実はたばこでストレスが更に増える。禁煙する方が、最終的にストレスが改善しますよ。家の話でもそうですけれども、職場でも火事の原因にもなります。
 健康を切り口とした前半のお話をして、たばこをやめることが重要だし、たばこを吸っていること自身、もったいないからやめませんか。特に大阪の人などは、もったいないという言葉を出すと皆さん結構聞いてくれます。 二つ目は、禁煙のソリューションを提案することです。実は、今や禁煙は楽にできるのです。その情報の内容は、3つからなっていて、比較的楽にやめられる。自力でやると苦しいけれども、禁煙補助薬を使うと結構楽に、ちょっと我慢というところまで禁断症状を緩和してくれます。しかも禁煙補助剤で、プラシーボに比べて2〜3倍禁煙率が上がりますし、指導を受けると3倍近くまで上がることがわかっていまして、保険の治療は5回行いますから、5回きちんと受けたら3倍ぐらい禁煙率が上がりますから、禁煙補助剤と指導の2つを組み合わせると禁煙できる可能性がかなり高まります。
 自力で無理でも、治療を受けることによって、かなり確実に禁煙できます。しかも、たばこ代3か月分と治療の3か月と比較しても、保険が使えるので治療費の方が安い。更に値上げをすると400円ちょっと超えるようになりますから、より差が広がります。うまくいかなくても決して損はしない。将来のたばこ代などを考えると、非常に得をする取組みですよといった内容の情報を提供します。
 健診の診察場面で医師にそういうせりふを実際言っていただいて、通常診察をした場合のコントロール群と比較しますと、6か月以内にやめたいと思っている人、日本では喫煙者全体の中でも占める割合は少なく2割弱なのですけれども、そういう人は1年後に禁煙している可能性が3倍ぐらい高まります。1分程度の指導でも、やめたいと思っている人たちには結構役に立ちます。
 今後、たばこが値上がりしたり、たばこ吸える場所が更に規制されていきますと、6か月以内にやめたい人の割合は世界の経験から言うと増えていきます。ですから、1分指導でも効果が出やすい環境になりますので、6か月以内にやめたい人には必ず情報提供をする。今後のことも考えて、まだ6か月以内に禁煙しようと思っていない人にも情報提供をやっていくのがいいです。全体では1分指導で1.5倍禁煙率を高めるということがわかっています。
 もう少し時間をかけて指導をするとどうなるか。特定保健指導で言うと、動機付け支援程度の介入密度の指導をした場合の効果も調べてします。健診の場面で、人間ドックなどで比較的実施しやすい内容ですけれども、健診時に20分ぐらい指導して、あとは電話フォローする。全員フォローするのではなくて、やめる日を決めた人だけ3ヵ月にわたって4回電話でフォローする。それほど濃厚な指導ではないのですけれども、初回だけ少し時間をかけます。
 その際に、呼気中の一酸化炭素濃度や尿中のニコチン代謝物濃度をはかって、本人の喫煙量がどの程度か、自分で思っているのと一致しているのかどうか、意外とこれらのたばこ検査で気付きが促せたりするのですけれども、その人の禁煙の関心度にあわせて指導をし、小冊子を差し上げる。
 たばこの検査は、客観的にどれくらいの喫煙量なのか、ヘビースモーカーかどうかを判定できるようになっています。尿の方は、少し費用がかかります。最近2〜3日の状況を反映するので、こちらの方がより安定した喫煙の暴露指標です。呼気一酸化炭素濃度は、当日朝から禁煙しておられると、半減期が短いため、かなり値が下がってしまうので、変に安心させてしまう問題があります。ですから、ドックなどで朝から禁煙を命じているような健診には、向いていません。この研究では、両方組み合わせてやっています。
 1年後の結果ですけれども、1か月以内にやめたいという人では指導群で3割が禁煙できています。これは薬を全く使っていない時代の研究ですけれども、よい結果が得られています。関心がある人においても、この介入が有効ででした。喫煙者全体では2.4倍禁煙率が有意に高まることが確かめられています。この研究成果は、厚生労働省の個別健康教育事業に活用されました。
 この研究では、指導者のトレーニングも開発しまして、トレーニングを受けた指導者が指導した場合にどの程度の結果がでるかいうことも見ていますけれども、同じように効果がみられています。トレーニングをやることによって指導のスキルが高まりますが、スキルが高いほど、指導を受けた受診者の禁煙率が高く、やはりいい結果を指導者として出せるということを研究で確認しております。
 更に、6ヵ月間に5回かけて対面で指導をする、今回の特定保健指導で言うと積極的支援の中でも濃厚な指導内容になりますけれども、初回40分、その後20〜30分の時間をかけて指導しますと、指導群とコントロール群でより大きな差が出てきます。禁煙の場合は、指導の時間をかけるほど、また回数を増やすほど、あるところまでは禁煙率が上がっていきます。1か月以内に考えている人とか6か月以内に考えている人では大きな差が出ますし、6か月以内に考えていないけれども、禁煙に関心がある人でも指導の効果がみられています。
 つまり、濃厚な指導をすれば、ステージが低い人でも、その中で動機が高まって禁煙していきます。 これらのデータを使って職場の健診で禁煙の指導を導入した場合の効果について簡単なシミュレーションをしていますが、先ほど御紹介した1分の指導を健診で喫煙者全員に実施し5年間職場で実施すると、累積の禁煙率は11%になりまして、喫煙率30%なら3%低下させる効果があると推定されています。一方、全館禁煙に踏み切った場合に大体4%ぐらい、喫煙率が差分として下がるということがわかっていますので、それにほぼ相当した効果になります。敷地内禁煙の場合はインパクトが大きくて、10%ぐらい禁煙率を下げられる。ただ、施設の禁煙化の喫煙率減少効果は実施後毎年続くわけではなくて、実施した直後に喫煙率が下がるということなので、全館禁煙などの受動喫煙の防止対策と、健診のときの禁煙のアドバイスや治療への結び付けを組み合わせ継続的に実施することが喫煙率全体を下げていくことに役立つということです。
 実際、特定保健指導で禁煙の取組みをやりますと、治療費は確かにかかるのですけれども、保健指導費用の削減とか医療費の削減効果が期待できますから、最終的には保険者として黒字になる。6年目ぐらいに釣り合って、それ以後、黒字に転換する。1,000人ぐらいで喫煙率が2割ぐらいの集団でも、15年後には700万円ぐらい黒字になることがシミュレーションしてわかっています。
 健診のときにやめたいということがわかった場合には、その方は保険の禁煙治療に結び付けていくということになります。
これが保険の禁煙治療の概要ですけれども、3か月の間に5回通っていただきます。初回と2週間後と4週後、8週後、12週後。カウンセリングと禁煙の補助薬の処方を受けていただく。補助薬はニコチンパッチかバレニクリン。
 中医協として結果検証をしておりまして、5回きちんと受けた人では、治療を終わってから9か月間、1服もたばこを吸わない人の割合が約5割と、治療を受けた人の約半分が禁煙成功者になれる。このような方は今後も禁煙が続く可能性が高い人であります。途中で治療を中断する人もいますので、回数が多いほど禁煙成功率が上がるのですけれども、全体では3割が9か月間の禁煙に成功しています。これはイギリスの成績などに比べても良くて、保険による禁煙治療の制度が一定の成果を上げているということが、この結果検証で示されています。
このデータを研究班で使いまして、費用対効果も見ておりますけれども、乳がんマンモグラフィとか肺がん検診としてのPET検診、今、社会的に話題になっている子宮頸がんのHPVワクチンの費用対効果よりも、禁煙治療の方がはるかに優れている。なぜ優れているかといいますと、禁煙治療の場合は、費用がかかっても、喫煙がいろいろな病気と関係があるので、禁煙することによるたばこ病の減少によって医療費が節減できるために経済的にもプラスになるのです。
 健康面にもプラスだし、経済的にもプラスということで、厳しい費用対効果の閾値を設定しても、常にクリアします。世界的には、この5万ドルぐらいまでに費用対効果を設定できれば、そのプログラムは社会的に受け入れられるということで、PET検診とか子宮頸がん検診は合格するのですけれども、禁煙治療の場合はもっとより厳しい費用対効果の閾値において、常に95%以上の確率でクリアできるという結果になっております。
 禁煙治療の補助薬としては、ニコチン製剤であるニコチンパッチとガム、バレニクリンという飲み薬が使えます。ニコチンパッチとバレニクリンが保険薬として禁煙治療において12週間使えます。あと、アメリカのガイドラインで推奨しているのはニコチン製剤の組み合わせです。COPDで外来治療しているような方で喫煙を継続している人は、一般にヘビースモーカーの方が多くて、なかなか禁煙が難しいので、ニコチンパッチ単独に比べて効果がより高いバレニクリンか、ガムとパッチの併用がより有効です。 薬局で売っているパッチとかガムは、勿論保険が効かないので自己負担となりますけれども、注意すべきは、医療用のニコチンパッチがそのまま薬局で売られているわけではなくて、一番大きいサイズをなくしてOTC化されています。しかも昼間だけ張るということなので、ヘビースモーカーの人が、薬局のパッチを張っても本数がゼロにならない場合が少なくありません。禁煙外来へ来られたらいいのですけれども、そこで禁煙をあきらめてしまっている状況も十分考えられています。薬局と医療用のパッチにはこのような違いがあるということを公共的なコマーシャルで知らせることができればいいのですが、実際にはできないのが実態です。
 禁煙のカウンセリングについては、先ほど健診の場面でのいろいろなプログラムの効果をお知らせしましたけれども、これはアメリカのガイドラインのまとめですけれども、大体3分以内で1.3倍禁煙率が上がる。回数とか時間を増やせば禁煙率が上がっていきます。更に、効果的なカウンセリングの要素は、問題解決カウンセリングと、医療従事者からの励ましや称賛です。禁煙外来の中で、その人が問題点と感じていることを解決するような話し合いと、「頑張ってください」と励ましたり、禁煙できたら褒めるという情緒的な医療従事者からのサポートが禁煙率を高めることにつながります。
 こういった禁煙カウンセリングのやり方、また薬物療法のやり方を、現在全国で1万施設、保険による禁煙治療の登録医療機関があるのですけれども、指導技術の差が考えられるので、それを標準化するために日本禁煙推進医師歯科医師連盟として指導者トレーニングのプロジェクトを動かしています。指導者トレーニングの方法は、インターネットを活用したeラーニングです。大阪で30施設を対象にパイロット調査をやって、いい結果が出ましたので、この秋から無料でこういったインターネットの勉強ができるシステムを普及していく予定です。
 学習内容としては、9つのトピックについて、まず学んで、ワークショップに半日参加して、あとコンピュータで5例のケースとエンカウンターしていただいて、バーチャルなカウンセリングを体験学習するということなのですけれども、全国展開にむけては、この半日ワークショップもバーチャル化する形で、全部ウェブで学習が完了するように現在コンテンツの開発をしています。一番おもしろいところは、5例のケースを用いたバーチャルカウンセリングです。治療の進みぐあいに合わせて、患者から質問を受けたりしますけれども、選択肢を間違うと患者が怒り出したり気分を悪くしたりするというフィードバックがかかるような学習システムとしてつくってあります。
 ずっと申し上げてきたのですけれども、今後実施されるかもしれないCOPDのスクリーニングも含めて、広く日本で行われている健診やがん検診の場で禁煙の働きかけを制度として実施していくことが重要だと考えておりまして、そのためには健診のときの問診で喫煙状況は把握されますけれども、禁煙の関心度を聞いたり、可能であれば保険適用の患者さんかどうかを調べるためのニチコン依存症の診断テスト(TDS)を入れて、5点以上の場合はニコチン依存症ということで要治療として、医療機関の保険の治療に結び付ける。4点未満の場合は保険の治療の対象にならないのですけれども、ニコチン依存症疑いとして要指導という形で、保健師さんをはじめ特定保健指導に従事しているスタッフが禁煙の指導をして、禁煙の補助薬が必要だったら、薬局・薬店のOTC薬を利用する。勿論、自由診療で医療機関の禁煙外来を受けることはできるのですけれども、費用の面で難しければ、医療機関に行かない形でまずやってみて、無理だったら自由診療の禁煙治療を受けるということで、健診から治療へ結び付けていく。
 高血圧などの慢性疾患の場合、一定の異常になりますと要医療ということで、医療機関に紹介して治療を受けるよう勧めるわけですけれども、喫煙の本質もニチコン依存症という慢性疾患でありますので、同じような考え方で治療に結び付けて喫煙する人をより効果的に減らしていくということが必要だと思います。
 肺がんCT検診においても、たばこを吸っていると検診の効果が十分得られないということがわかっています。たばこを吸わない人だと、肺がん検診を受けることによって、肺がん死亡が約70%有意に減少しますが、たばこを吸っていると13%減少するだけで、しかも統計的に有意ではありません。しかも、CT検診を受ける人はどちらかというと健康の意識の高い人なので、全死因死亡も少し低くなりますが、それと同じぐらいの低下なので、ほとんど効果がないということになります。喫煙者が連続受診すると25%ぐらい減少しますけれども、それでも統計学的に有意ではなりません。つまり、たばこを吸っている人はまず禁煙をする。一般に禁煙すると肺がんの細胞の増殖スピードが遅くなって、より検診で見つけやすくなることがわかっております。
 CT検診は、もともとたばこを吸わない人で受動喫煙の暴露により肺がんのリスクが高いと考えられる方と、たばこを吸っている人というよりは、禁煙した人が肺がんのリスクが十分低下するのに10年から15年かかりますから、禁煙した後、肺がんが出てこないかどうかをきちんと見るための検診としてやっていくべきではないかと考えます。
 メタボも、実はたばこを吸っている人がなりやすいことがわかってきております。また、特定保健指導において、喫煙していると体重減少に成功しにくいということも津下班の研究データでわかってきておりまして、特定健診、特定保健指導においても、喫煙をそのまま放置しておくと、本来目的としているメタボの減少の推進の妨げになる可能性が考えられます。
 その背景として、喫煙している人は食生活、運動習慣などの生活習慣の乱れを伴っています。例えば朝食欠食とか早食い、塩分の多いものをとるとか、野菜が少ないとか、お酒をたくさん飲む。あと、日常的な運動習慣も少ない。
 これは、私どもの健診のデータを津下班で解析して、この間、班会議で発表したものですけれども、喫煙者は非喫煙者に比べて、運動や身体活動が少ないとか塩分のとり過ぎ、朝食欠食、果物が少ないとか野菜が少ない、あと飲酒が多いということが出ております。しかし、禁煙すると、朝食欠食など、禁煙の年数とともに改善して非喫煙者に近付きます。身体活動も、より運動するようになります。2合とか3合以上という、お酒をたくさん飲む頻度も禁煙の年数とともに量が減ってきます。禁煙すると味覚が改善しますから、塩分の過剰摂取の傾向が改善していきます。
 このように、喫煙していると、健康意識や依存症などの理由で、他の生活習慣も乱れやすく、喫煙を放置していると、ほかの生活習慣の改善もなかなか難しいのではないかと思われます。特定保健指導でも大切なのは、複数の不健康な生活習慣をどこから改善していくかということで、たばこを吸っている人は、ひょっとしたら禁煙することが健康生活の扉を開く。ちょうどドミノ倒しのスタートになる。喫煙者は一般に健診やがん検診の受診率も低いようですが、禁煙したら、健康意識が高まってむしろ健診の受診率が高まるのではないかということも十分考えられるということです。
 メタボ健診ではなくて、「メタバコ」健診として、喫煙している人には、制度として健診の場で禁煙を働きかける。具体的な方法は、今日お配りした「脱メタバコ支援マニュアル」に載っていますので、見てください。
 あと、教材としては、今日お配りした大阪府医師会で、私が委員長でつくったリーフレットがあります。そのほか、厚労省の方から、画像教材で若い人にも禁煙の動機付けできるものということで、以前香川医大にいらっしゃって、今、香川県立保健医療大学の佐藤先生から、肺気腫関係のスライドをいただきました。専門家の先生を前にして恐縮ですが、いくつか画像を紹介します。肺気腫には、肺の中の小葉中心性に起こる肺気腫と、肺の周辺にできる肺気腫とがありますけれども、この症例のように30歳代という比較的若い年齢でも壁のところにできた肺気腫が見つかり、短期間で進行する方もいらっしゃいます。 これは41歳の男性で肺がんになった方ですけれども、背景に肺気腫があります。
 これは66歳の腺がんですけれども、画像で顕著な肺気腫が背景にあります。その息子さんが35歳ですけれども、同じように肺気腫病変が進んでいます。 歯科領域の喫煙の害に関する画像ですが、たばこのパッケージからとってきました。これは福岡歯科大学の埴岡先生から提供いただきました。こういった画像を使って、それぞれの年代に合わせて関心のある話題を基に、たばこの害、また禁煙した場合の効果を示していくのがいいと思います。今年、結核予防会が作成された世界記念データのポスターは、喫煙していることが赤い糸を切っているのではないかということを訴えていましたが、若い世代にインパクトのある内容だと思います。
 時間が長くなって申しわけありません。以上です。
○工藤座長 ありがとうございました。中村委員には大変詳しく御説明をいただきましたけれども、何かただいまの御説明に関して御質問等ございますか。竹川委員、どうぞ。
○竹川委員 発表、ありがとうございました。
 外国の方の文献なのですけれども、スパイロをしたときに、軽度から中等症の発見が可能なのだけれども、あとの健康面ではいいことは余りないというということが証明されているかと思います。発見された方にはどのような介入をされているのですか。
○中村委員 COPDの場合、結局治療法としては、禁煙するのが最大の治療法ですね。予防法でもあるけれども、治療でもある。あとは、この論文でレビューされていた範囲としては、薬物療法と呼吸リハと、もっとひどくなった場合、酸素療法ですね。例えばボリュームリダクションのような外科的治療については、このレビューでは対象にはなっていないようです。
○竹川委員 質問させてもらったのがこの会で、発見した後のフォローとかも、地域連携とか保健指導とかをどんどんしていければいいなという話があったので、その辺りはどうだったのかというのと。
 あと、禁煙指導もドクターが3分したら結構効果がありますよというお話があるではないですか。
○中村委員 1分です。
○竹川委員 1分でしたか。その辺で指導されていても、そういうふうに効果がないと言っていたのかが、ちょっと疑問なのですけれども。治療法だけではなくて、酸素とか薬とかリハだけではなくて、そういうドクターとかナースーの指導的な介入がどれぐらいあったのか。
○中村委員 つまり、この論文では、スパイロを使った対策型COPDの健診に関するエビデンスについてレビューするのが目的でした。ですから、スパイロしなくても問診で喫煙者は把握できますから、そこから禁煙指導をいきなりしたらどうかという意見もあるでしょう。スパイロを組み合わせたら、例えば動機が高まるのかどうか。先ほど御紹介した一酸化炭素の検査でも動機が高まるのかどうかということで、禁煙が目的ならスパイロをあえてする必要があるか。
 スパイロをやって見つかった軽度・中等度の人は、あとどういう治療ができるかといっても、喫煙していたら禁煙の指導ができますけれども、喫煙していなかったら、しかもそれほど症状もなかったら治療の対象にもならず経過観察になりますね。その場合に費用対効果を考えるとスパイロを本当にやる必要があるのか。無症状の人にスパイロをして軽度、中等度のCOPDを早く見つけても、禁煙を除けば生命予後に影響する有効な治療法につながらないのではないかという考え方もあるわけです。
 スパイロをやって、それで禁煙する人がどんどん増えていったら、それはスパイロをやることに意義があるのですけれども、スパイロをやることが禁煙者をどんどん増やすことにつながるのかどうかというのも1つ、リサーチクエスチョンだったのですけれども、効果があるかもしれないけれども、まだ十分なエビデンスはない。
 呼気一酸化炭素の測定もそうなのですけれども、スパイロだけ実施して結果を知らせたら、どんどん禁煙していくわけではない。だから、費用対効果も考えたら、禁煙のためにスパイロを無症状の人にやるというのはそんなに推奨されるものではないというのが今のところのエビデンスかと思います。
○竹川委員 この回で話しているのが、まず肺年齢からスパイロにという話があるではないですか。そこの説明の仕方とかが大きいかなとすごく感じていたので、その辺りをお聞きしたいのですけれども。
○中村委員 そういう細かなところ点までの検討はされていないと思います。
○竹川委員 なので、今、私たちがしようとしていることは間違いではないということ。ただ、そのエビデンスは、スパイロをして指導云々を置いておいて治療を行った。そして、治療したのだけれども、結果的に健康面への恩恵は余りなかったということだけですね。
○工藤座長 今の中村委員のお話は、スパイロをやることが禁煙率をどれだけ高められるのかという点については、そうストレートにつながるものではないよというお話だったと思います。この点について、相澤委員、どうぞ。
○相澤委員 アナルズ・オブ・インターナル・メディスンのあの論文は、私たちにとっては非常にネガティブな論文なのです。あれがエビデンスとは、私、思えないのです。恐らく禁煙にしても、例えば受診治療ということにしても、積極的な介入はしていないと思います。ただスパイロを使って、あなたの肺機能はこうでしたよぐらいしか伝えていない。
 例えば、同じころに出たブリティッシュ・メディカル・ジャーナルの肺年齢を伝えて介入した群と、そうでない群で比べたら、これは倍以上の禁煙率の差が出ていた。だから、そういう目的を持ってやったのではなくて、ただスパイロがどうだったかということを見ている論文だから、それに対する反論の論文というのはあると思います。
○工藤座長 どうぞ、中村委員。
○中村委員 この論文はシステマティックレビューできちんとしたレビューがなされていると思います。ただ、一つひとつの研究の内容として、日本だったらもうちょっと効果が出るようにできるとか、こういう介入ができるということもあるのであれば、それはきちんとした研究デザインで日本としてのエビデンスを出していかないとだめだと思います。
 最近のイギリスの一般医による新しい研究で、喫煙者に肺年齢をフィードバックして肺年齢の結果に応じたメッセージを用いて全員に禁煙を勧めたら禁煙率を高めたというRCTの研究も実際出てきていますから、日本でも肺年齢の普及に関係しておられる先生方がそういうエビデンスを出していく。自分たちがこれだったら効果が出ると思っているやり方を使って、効果を確認することは意味があると思うし、まだこの分野は必ずしも結論が出たということではないのではないかと思います。
○相澤委員 私が言いたいのは、最初にこれがエビデンスと出されてしまったら、これから先、ここで話し合う必要は何もないわけです。
○中村委員 これはあくまで2007年1月までに報告された世界の研究をレビューして、それでこんなエビデンスが今のところそろっていますよということを示したもので、具体的に介入をどういうふうにやっていくか、軽度とか中等度の人にどういうふうに働きかけをしていくかということで言うと、たばこを吸っている人については、まだまだいろいろ介入方法として検討する余地はあるのではないかと思います。
 ただ、たばこを吸っていない方に対して、私はどんなふうにやるのか。それがその人の生命予後まで影響できるような介入が果たしてできるのかどうか。受動喫煙の問題はあると思いますけれども、その辺りが私も具体的にどのように進めていくのか全体像が見えていない中で、あくまで一つのエビデンスのレビューと考えていただいたらいいと思います。
○工藤座長 問題の整理を少ししたいと思います。確かに喫煙しているかどうかということを見るには、質問すればいいわけですから、何もスパイロをやる必要は全然ない。ですから、そのままたばこをやめた方がいいですよという禁煙の指導とか禁煙治療の方向へ持っていくというのは、一つの考え方として当然あるわけですね。
 ただもう一つは、実際にCOPDになってしまっているのに、自分たちはCOPDだと全く思わない。現在の実際の受療率がどのぐらいかというのは正確にはわかりませんけれども、少なくとも厚生労働省の出している数字では20数万人とか、あるいはメーカーサイド、薬側から算出しているのは大体70〜80万人。一方で、500万人潜在しているのではないかという、この格差を縮めなければならない。
 その点では、治療法に関しては、勿論禁煙が前提になるわけですが、禁煙、プラス現在の標準的な治療が、最近では大体スタチンあるいはACE阻害薬と同じだけの死亡リスクを下げるデータも出てきておりますから、その辺のところでの治療との結び付きというようなことでは、診断をしなければしようがないという部分があるので、それが前提に、スパイロメトリーの重要さが、そもそもの議論の出発点だったのではないかと思いますけれども。何かほかに御意見ございますか。よろしいですか。
○たばこ対策専門官 1つだけコメントさせていただければと思います。
 今の中村先生のお話は、工藤先生が要約されたとおりかと思いますけれども、それは軽度もしくは中等度のCOPDを診断することに意義があるかどうかという問題提起とほとんど同じだと思います。つまり、中村先生がおっしゃっているとおりであれば、重症は別として、軽度と中症度の方に関しては、診断はつけなくても禁煙を迫ればいいのではないかという考え方もあるということなのではないかと思います。
 一方で、先日、相澤先生からお話を伺ったときに、中等度に関しては必ずしも禁煙だけではなくて、場合によっては薬物とかを使っていくということがあったか思うので、どこまでが実際にやるべきところで、見逃してもいいとは言わないけれども、どこまでが禁煙指導を対応すれば十分なのか。そのラインのところを少しはっきりさせておく方が、今後、例えば問診票みたいなものをつくる上でも大事になってくるのではないかと思います。
○相澤委員 おっしゃるとおりだと思います。軽症の患者さんを全員治療する必要があるのかとか、中等症だとどうなのかというのは、やはりこれは治療効果の面から見て一定のコンセンサス、議論をしていた方がいいのではないでしょうか。
○工藤座長 そうかもしれませんね。
 ほかに何か御意見ございますか。よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○工藤座長 それでは、次のプレゼンテーションとも関係しておりますので、中村委員、どうもありがとうございました。
 続いて、株式会社マッキャンヘルスケアの石川参考人から、COPD普及・啓発への取組みへの提言について御説明をいただきたいと思います。ちょっと準備の間、お待ちください。
○石川参考人 よろしいですか。
○工藤座長 どうぞ。よろしくお願いします。
○石川参考人 今、中村先生のお話を伺って、相当専門的なお話ですし、非常に精緻な内容でした。私の話はもっと大ざっぱになります。COPDというものを、実は私もよく知りませんでした。アンケート結果とかはあるのですか。何%ぐらいの人がこの病気について認知しているのですか。
○工藤座長 相澤委員。
○相澤委員 きちんとした調査ではないのですけれども、街頭でアンケートを配ってというものがあります。それは、2年ぐらい前の世界COPDデーのときで、まだ認知率というのは10%から20%ぐらいの間、COPDという名前でそれぐらいだったと思います。
○石川参考人 今日、私がここで話をさせていただく一つの誘因は、実は新型インフルエンザの広報を私は2年間、厚生労働省でやっていました。今は、ある私企業の社員ですけれども、出向して2年間やっていたのですが、そのとき新型インフルエンザについて、発生する前の年から広報していたのですが、認知度がある意味で低かったのです。
 ある意味でというのは、新型インフルエンザという単語は知っていますという人が80%だったのですが、どういうものだと思いますかというと、鳥インフルエンザでしょうとか。それもある意味正しいのですけれども、正確ではなかったり、季節性インフルエンザとそんなに変わらないのではないですかとか、正しい理解は非常に低かったのです。
 その後ポスターをつくるとき、COPDになっている方は、新型インフルエンザに罹患した場合、重症化率が高いですと書きましたけれども、実はその時点でもよくCOPDについて理解していなかったですね。
○たばこ対策専門官 新型インフルエンザ。
○石川参考人 新型インフルエンザの広報において。ですから、COPDというのはなかなか難しいなという印象を持っていますけれども、今日これから話をさせていただくのは、恐らく先ほどの御議論にあったように、COPDにかかってしまって重症の方は、これはすぐ治療をする。そこまでの治療が必要ない方は、禁煙という形で改善ができる。更に、喫煙に対する予防策みたいなものも含めて、COPDというものをもっと多くの人に知ってもらう、そのためにはどうしたらいいのかということで、幾つか考え方を整理してみました。それが、これから20〜30分で話をさせていただくテーマになります。
 まず、課題の整理なのですが、これは私自身が整理しなければと思ったことなので、もう既にこの検討会のみなさまには、一々説明は加えませんが、要するにCOPDというのは気付かれにくいということです。お医者さんサイドから言うと、医療サイドでも関心が低いし、治療法がないと医療サイドでも思われていて、検査機器は普及していない。この辺は、専門家に向けての広報と体制整備でしょうから、一般向けの広報とはちょっと違うのですが、患者サイドから言うと、要するに年のせいだと思っていたり、たばこのせいだ。これはそのとおりでしょうけれども、症状が気付きにくいとかあるわけです。ですから、現実的には気付きにくい病気としての認知を広める、この辺が広報の課題になってくるのでしょう。
 それから、医療サイドに関しては、これは先ほど申し上げたとおり、医療従事者、専門家に対する広報ですから、ちょっと考え方を変えなければいけないし、医療の体制整備をする必要があると思いますから、これも純然たる広報、一般向けの広報から外して、多分患者さん向けというか、患者というのは医療機関を受診した方が患者ですから、正確に言うと患者ではないです。潜在患者ということだと思いますが、この方々向けにどう広報したらいいのだろうかということだと思います。
 ポイントは5つあると思いす。ネーミング、情報整理、ターゲット別の情報・メッセージ、全体プランと啓発賛同者です。
 ネーミングというのは、COPDというのは英語ですか。それの頭文字をとって、世界的にはこういう名称があるのでしょうけれども、これ自体を説明するとなると、COPDとは何ですかというところから始めなければいけなくなります。そうすると、中村先生が医療従事者が喫煙者に対して、例えば1分間でもという話がありましたけれども、コミュニケーションの時間が1分間しかないときにCOPDとは何ですかと説明すると、多分それで30秒ぐらいは消えてしまうだろうと思います。だから、名称自体がかなりバリアーになるなと思いました。
 例えば肺年齢という考え方を普及していくというのは、COPDよりははるかにわかりやすいと思います。わかりやすいというのは、ネーミングが私たちにとってどういう意味を持っているのかということが、比較的すっと入ってくる。そのようなネーミングの方がコミュニケーションは短時間で済むわけです。肺年齢というのは、要するにあなたの肺年齢は、あなたの暦年齢よりもずっと上がってしまっていますよとか、あなたの肺はあなたの暦の年齢よりも大分若いとか比較ができますし、年齢に対する関心は持ちやすい。
 ただし、どこまで自分のこととして切実に感じることができるかというと、これはなかなか難しいですね。肺年齢だけで切実さを感じるかどうか。1つの指標としては非常にわかりやすいなと思います。ですから、COPDだと、それ、別に私のことではないというか、それは社会の問題というか、そういう他人事としてとらえる観点が強いと思います。けれども、肺年齢になるとぐっと私事になってくると思います。ただ、どこまで私事と感じられるのかということだと思います。
 ですから、これはまだ十分見直される必要があるのではないかと思います。例えばがんというのは日本でがんと言っていますね。でも、正式な名称は悪性新生物なのでしょう。ですから、悪性新生物に対するがんというネーミングと対応するような意味で、慢性閉塞性肺疾患がCOPDということでしょうが、これに対応する、もっと親しみやすいネーミングを考えてもいいのではないか。名前を考えるということ自体が、実はある種のPR効果を持つと思っています。
 つまり、名前自体がわかりやすいということもあるし、名前を考えるのだということでイベント化できますね。これは別にネーミングを募集するとか、そういうことをやる必要はないと思いますが、名前を考えるということだけでも十分PRになる。ですから、これはどこが検討したらいいのかわかりませんけれども、1つポイントになるだろう。
 あと、情報の整理なのですが、この検討会での資料等を拝見して、私がこういう情報だと非常にわかりやすいと思ったものを列挙しました。これらが基本的には広報におけるメッセージになると思います。これを全部読むだけで1分以上かかりますから、これすべてをコミュニケーションに使うことはできないと思っていますけれども、このコミュニケーションの素材をうまく対象別に振り分けていくことが、多分大事なのだろう。それで、まず列挙しました。ただ、この列挙でCOPDを十分説明しているかどうかというのは、私、専門家ではないので、検討していただく必要があるだろうと思います。
 ターゲットは喫煙者だということでくくれば単純なのですが、多分喫煙者でもなかなか情報は得てくれないでしょうね。これはよく言われることですけれども、この10年間で情報量は410倍に増えている。ですから、99.7%の情報というのはほとんど届いていないわけです。私たち自身、例えば今ここでCOPDについて考えているので、COPDについての基本的な理解は得ているかもしれませんが、経済のこととか重要な問題があっても、私たち自身認識しているかというと、多分認識していない問題がたくさんある。健康上の問題でも多分たくさんあるでしょう。
 ですから、なぜ、だれに対して、この情報を届けなければいけないのかというシナリオを非常に明確にしないと、情報というのはただ一般的に広くメッセージを発しても、砂に水をまくような感じになってしまうわけです。
 そこで、COPDのことをだれに伝えたいのか、だれなら関心を持って行動を変えてくれるのか。喫煙者ということで一くくりにするだけではまずいし、社会全般が知ることによってCOPDの重要さが認知されやすくなるという環境のことも考えて、ターゲットをきちっと分けておく必要がある。一般の人というのは、例えば厚生労働省は国民に対して啓発する、国民と言いますけれども、国民と言っても非常に多いわけですね。当然喫煙者が候補に挙がってくる。では、喫煙者は全部同じなのだろうか。
 COPDというのは私が理解した範囲で言うと、呼吸機能が低下するということですね。だから、1回に吸える息の量が減るということですね。だから、運動すると非常に苦しくなる。平たく言うと運動能力が落ちるということだと思います。単純に呼吸が非常に制限されたものになるということですね。ですから、喫煙してスポーツしている人に対しては非常に重要なポイントになってくるだろう。
 もう一つは、私が読んだ資料の中で言うと、高血圧だけではありませんけれども、基礎疾患を持っている方でCOPDを併発すると死亡率が上がる。こういった関心を持たざるを得ないような人たちをメインターゲットにしていく。関心を強く持つ人たちというのは、人に伝えるだろうと思います。そこから中継的にどんどん情報が広まっていく。ですから、まず広く伝えるということよりも、どうしても関心を持たざるを得ない人に対して的確に使えていくという戦略の方が、多分効率がいいだろうと思います。切実度は、多分こういう順番になっていくだろう。
 一般の人たちに対しては、もうこれは他人事ではありませんよということで、肺年齢を御存じですか、あなた自身も肺年齢というものに関心を持ったらどうですか。そういう人たちには、こういう基本情報を提供すればいいのだろうと思います。例えば、一般的な意味でCOPDというのは、1990年では死因の第6位だったものが、WHOは2020年では3位に予想しています。こういった切り口で関心喚起をしていくのだろう。
 喫煙者に対してはどうかというと、これは喫煙の弊害を実感してもらうことが当然目標になるのですけれども、自分の何気ない状態というものが、実はCOPDの兆候かもしれない。そういう気付きを持ってもらう。ここでは運動時の呼吸困難を生じる進行性の病気だとか、軽症から行動が制限されるとか、重症化すれば相当の医療費がかかる。COPDは生命を脅かす病気である。こういったことを端的にコピーでお知らせしていくことが大事になってくるだろう。
 このセットで15秒から30秒ぐらいでコミュニケーションができると思います。一番最初は関心喚起から入ればいいので、COPDについての詳しい説明というのは、関心を持った方が自分で吸収していただけばいい。一番最初の関心喚起のフックだけをしっかりするということです。
 写真は、先ほど中村先生が参考で出していただいたものが非常にショッキングですけれども、ああいう写真を使えればいいだろうと思います。
 あと、未成年者の喫煙は重症COPDの発症につながるとか、女性は喫煙感受性が高い。これはちょっと喫煙感受性という言葉が難しいので、要再考かと思います。受動喫煙もCOPDの危険因子といったものも補足的に説明していく。
 ただ、この辺までは、いわゆるたばこ対策とそんなに変わらないと思います。ですから、そこから一歩踏み込んで、COPDをきちっと認知していただきたい方々をターゲットとしてセグメントしていく。その1つがスポーツをやっている方だと思います。ですから、好きな運動ができなくなる。これは、果たしてこう言えるかどうか。たばこ1箱で走れる距離が何メートルか縮んでしまいますよといった、運動をする人にとって非常にわかりやすい表現をしていくということだと思います。
 これも運動時の呼吸困難が生じるとか、先ほどのたばこと同じですけれども、こういうファクト、事実を伝えていく。
 疾患を持った方々に対しては、それにもかかわらず、たばこを吸っていらっしゃるということが前提になるわけですけれども、せっかくの治療効果をたばこで無駄にしていませんか。これは、ある意味でエビデンスで実証ができるのであれば、それをはっきり示せばいいと思います。
 死亡率が上がりますというところまで、はっきり言えるかどうか。エビデンスはあるのでしょうけれども、コミュニケーションとしてここまで言えるかどうかは要検討だと思います。
 こういった内容と、だれに向けてということを考えながら、一般の人向けには、多分情報提供としては、広く厚生労働省とか関連学会のホームページで基本情報を出しながら、あとスポークスパーソンを立てて、COPDのことはその方がいつも説明するという人が、例えば学会の方なのか、どういう方か、お立てになってマスメディアに登場するという手法がいいのだろうと思います。
 喫煙者向けには、先ほどスポーツ愛好家と言いましたけれども、そういう方々がどこに行くのか。先ほど中村先生も、たばこ対策のところで健康診断というのを、どう機会として利用するかというお話をされていましたが、それは一番わかりやすいと思います。健康診断の会場にポスターが張ってあったり、パンフレットが置いてあったり、喫煙者にリーフレットが自動的に手渡されたりといったコミュニケーションの形をつくってしまえばいいわけですから、それをやっていったらどうだろう。
 それは、健康診断の場所だけではなく、例えば一般のジョギングが好きな方に対しては、なかなかタッチするポイントはないですけれども、ボウリングはどうかわかりませんけれども、いろいろな複合的なスポーツ施設があります。そういうところには、ポスター掲示やパンフレット配布ができると思います。
 疾患を持っている方々は、これは病院の待合室とか、そういうところでしょうね。それから、担当の先生がリーフレットなどをじかに渡す。このように具体的に対象別にどういう情報提供をしたらいいかということを考えた上で、結局一番大事になってくるのが、だれに協力してもらうのかということだと思います。
 一般の人向けは、これは広く自治体、学会、NPOなどと、たばこ対策との連携でやっていくのだろうと思いますが、喫煙者向けというのは健保組合が多分やってくれるだろうと思います。ここでは、スポーツ施設とかスポーツ活動の推進団体といったところが一緒にできればいいのではないかと思います。こういった団体を巻き込むという言い方は、ちょっと語弊があるかもしれませんが、一緒に動いてもらうことが大事だと思います。
 あと、疾患を既に持った方というと、これは医療機関、医療関連団体との連携があるし、あと企業です。実際、先ほどたばことメタボリックシンドロームの関係を中村先生はお話されていましたけれども、メタボリックシンドロームに関していえば、メタボ撲滅委員会のような第三者機関的なものがありました。今でもあるのだろうと思いますが、そういった機関を立ち上げて広めていく。そのためには、多分企業がそこに入ってくる方がスキームとしてはわかりやすいですね。これは公共的な運動になると思うので、何か利益目標でやる集まりではないのですが、そういった賛同がないと、実際のところは運動としての広がりがかなり制限されてしまうのではないか。
 例えば、行政が財政難で今、広報にお金を使える状況にあるとは思えませんから、その意味では民間をもっと有効に活用したらどうなのか。この辺が多分2番目、3番目辺りで有効に働くのだろうと思います。
 私の方からは以上です。
○工藤座長 どうもありがとうございました。石川参考人の方から今、普及啓発の、一般市民に対してどういう形でアピールしていくと伝わりやすいのかということについて、御専門の大変貴重な御意見をいただいたと思いますが、何か御質問あるいは御意見ございますか。
 糸口で、ちょっと私の方から。COPDという言葉は確かにわかりにくいですね。ただ、これは世界的な共通用語になっていて、漢字に直すのが大好きな中国でも現在ではほとんどCOPDです。これは、80年代にAIDSが出てきたときを私、思い出すのですが、最初は後天性免疫不全症候群という医学用語だったのですけれども、もう今や完全にAIDSですね。そういう点では、中身を一々閉塞性肺疾患と言わないでも、COPDが定着すれば、それはそれでいいのかなと思います。
 もう一つは、メタボリック症候群が、何年だったか忘れましたけれども、大阪の日本内科学会の総会で共同記者会見をやって発表された。あれは、腹囲の測定と合わさって一挙に用語が日本中に広がって、その年の暮れに日本内科学会が非常にはやった用語をつくり出したという。
○たばこ対策専門官 流行語大賞。
○工藤座長 そう流行語大賞に表彰されたのです。ですから、そうなれば、COPDのままだっていいのですけれども、これが大変難しいということもあって、呼吸器学会は先ほど石川参考人がおっしゃったように、「肺年齢」というので広く関心を持ってもらった方がいいのではないかということで進んできたように思います。
 さて、何か御意見ございますか。
○相澤委員 COPDという用語は今、工藤先生が言われたような経緯があって、学会内でもかなり議論があったのです。やはりたばこ病で行った方がいいのではないかと。そうすると、一般の人に対するアピールと学術的なあれとが乖離があったらまずいのではないか。例えば今、言われたAIDSというのは、専門用語と一般の人というか、AIDS自体が正式な用語ですので。ですから、そこら辺でちょっとまずいのではないかということで、COPDのままになっているというところがあるわけです。
○工藤座長 メタボリック症候群というのも、最初出てきたときに何のことやらわかりませんよね。だけれども、そのうちに中身がだんだん伝わってきて、今ごろになって腹囲があれでいいかとか、いろいろな議論がある。石川さんがおっしゃったのは非常に大切なことだと思います。いかに先に名前でアピールするかというのは、とても大切なことだと思います。
○相澤委員 それでちょっとお聞きしたいのですけれども、例えばCOPDという名前は動かせないということで、別な手段、ある程度使い分けるとか、そういうことというのは啓発の手段としてはどうなのでしょう。有効で、通常やることなのか、それとも余りそういった名前を使い分けるということはよくないのか。
○石川参考人 いや、名前を使い分けるのは別に問題は何もないと思います。ただ、一般のケース・バイ・ケースですけれども、この名前を絶対に浸透させたいという、例えば物を売るときに商品名だったら、それは浸透させたいと思うでしょうね。そこでいろいろなことを言いません。たった1つだけ、繰り返し言うことになると思います。
 多分、このCOPDに関しては、COPDという名前を覚えてもらうことが問題なのではないのだと思います。コミュニケーションの最終目標というのは、こういう疾患があって、こういうというのはネーミングが問題になってしまいますけれども、気付いていないことに対して気付きを得てもらい、あとは、それに対する行動変容まで促すということでしょう。COPDという言葉が医療の世界では、勿論専門家は、医療の方々は御存じなのでしょう。ですから、医療の現場の混乱をもたらさない限りは、何を使ってもいいのではないでしょうか。
○相澤委員 そうすると、さっき言われたように、最初、関心を持ってもらうときには、そういった詳しいことは話す必要はないので、たばこ病でも、あるいはもっとアトラクティブな名前でも、それをわかって、来てくれる人に対してCOPDの説明をするというような2段階の。
○石川参考人 それで構わない。関心を持っていただいた方が情報をやっと入手して、理解をして、行動を起こすという段階が多分あると思います。今は、その関心すら十分持たれていないという状況だと思うので、まずは関心喚起をするしかない。その存在すら、まだ認められていないわけですね。
○相澤委員 わかりました。
○中村委員 いいですか。
○工藤座長 どうぞ、中村委員。
○中村委員 COPDのネーミングなのですけれども、私もCOPDは学術的にはいいのでしょうけれども、周知を図っていくときに難しいかなと思います。ただ、たばこ病と言うと余りにも広くなってしまうので。やはり肺という切り口でたばことの関係を知ってもらい、またCOPDそのものについての理解も深めていくということで、今、はやっているAKB48、この間、世界禁煙デーのイベントに出演協力があったようでですけれども、例えばたばこ病48ではないですけれども、そういう新しい切り口で、そこにCOPDが重要疾患として入っているという紹介も、ちょっと目新しくていいのではないかと思います。
 例えばたばこ病症候群とかたばこ病シンドロームというのも、メタボの向こうを張って名前としてあり得るのかもわからないですけれども、いろいろなたばこ病があって、COPDがその中に1つある。COPDは、更にその名前から飛び出してキャラが立つような名前の付け方ができれば、いいと思います。 いずれにしても、COPD単独で啓発するというのは限界があって、メタボの場合、広がったのは、メタボの中に実は血圧もあり、糖尿病もあり、脂質異常もある。そこにまた関連する学会もいっぱいあり、多くの産業界が関連する。特定機能食品も含めて健康食品とか、いろいろな産業が関連して社会運動として、厚労省も特定健診の対象にしたこともありますけれども、その中で流行語大賞をとるぐらいまでなったのですけれども、COPD単独では、メタボの経験から言うとなかなか認知を広げるのは難しい気がします。
 たとえば、ほかの関連学会も含めて、関係機関と広く一緒に取組んで、その中で例えばある期間限定でCOPDを広げていくというような取組みも行う方が、よりすそ野が広がっていいのではないかと感じます。
○工藤座長 どうぞ。
○見城委員 御説明、いろいろ興味深く伺いました。今のプレゼンテーションを伺うと、例えばたばこ病というものが、たばこと付いただけで、一昔前でしたらたばこ企業の力が大きかったので、そういう部分でかき消されるというか、使いづらかったり一般化しなかったのかとか、ちょっと疑問があったのです。
 それから、なぜ全世界、この言いづらいCOPDという。例えばCOPだったら、コップかカップか、そういう言い方ができれば非常にやりいいのに、Dが付いているから何とも短くできないわけですね。
 それから、メタボリックはメタボなと、ヒットする言葉というのは必ず形容詞になるのです。日本語の「な」を付けたりして、メタボな体とか、メタボな人とか、メタボ的と使えるのだけれども、これはどうしても使えない。どうして、それなのに中国までこれなのかとか、非常に疑問があります。もしかして、そこの疑問がもう少し見えると、なぜCOPDだったのか。そうすると、もう一つ、また解決の糸口があるのではないかと思って、今お話を聞いていました。
○工藤座長 今、COPDはCOPD以外の言葉にはなっていませんね。漢字に直しているのは日本と中国。中国も慢性閉塞性肺疾患で同じです。だけれども、中国の学会の詳録を見ても、漢字のものは少ない。COPDですね。日本も、学会はCOPDで、一々日本語訳は付けていないわけです。だんだんエイズ的になっているのかなとは思うのですけれども。
○見城委員 エイズの場合ですと、エイズという片仮名が1つの単語のようになっていますから。
○工藤座長 おっしゃるようにCOPDですから、コップとかカップならやりやすい。
○見城委員 バッチとかもすごくつくりやすいし。
○工藤座長 実はCOPDのほかにCOLDというものがあったのです。クロニック・オブストラクティブ・ラング・ディジーズ。それで、GOLDという世界的なCOPDの対策の機構がありますけれども、GOLDのLはCOLDからとっているのです。だけれども、最初からCOLDならコールドで言いやすいのですけれども、かぜ引きと間違いやすいというのでCOPDになったと聞いています。
 だけれども、しようがないですね。これを今更ひっくり返して別な病名を付けるわけにはいかないですね。俗称として何か考えられないかというのはありますが。
○見城委員 石川さんので非常に興味深かったのが、COPDは人事、他人事。肺年齢は私事、より身近なことでの分析だと思いますが、この辺りをもう少し聞かせていただけますか。
○石川参考人 今、欧文のCOPDとか、そういう省略語は仕事などをしていますとたくさんありますね。それは、業種が違うとたくさんあって、我々は慣れてしまっていると思います。ただし、本当に身近に、それが自分の生活に関係があるものかどうかというのは、よく調べないとわからないですけれども、まず一般的な生活ではアルファベットだと、それだけで遠ざけてしまうと思います。
 アルファベットではありませんが、例えば麻疹というのは、はしかといわれます。麻疹と言うと、ちょっとわかりにくいですけれども、はしかというと、子どものころから聞いてきて、わかりやすい。私は、麻疹というと自分のことでもあるのだけれども、もうちょっと俯瞰的なというか、客観的なニュアンスを感じて、はしかというと自分の経験に入ってくる。
 多分COPDに罹患している人というのは、ああ、自分はCOPDだとはなかなか思えないのではないですか。アルファベットで病名を言われても、そんなものかなという程度で、実感がわかないですね。そこが日本語としてこなれないと、言葉としてこなれないと、自分の心の中にはどうしても入ってこないのです。どうしても経験の中に。
 それは専門的にはそうなのだろう。そういう疾患に自分はかかっているのかもしれない、あるいはリスクがあると思うかもしれませんけれども、どこかよそよそしいのです。それが肺年齢になれば、自分の肺の状態のことを言っているわけですから、もうちょっと自分の問題として考えられますよね。だから、COPDというのが余りにも入りにくいのです。
 例えば先生から「あなた、COPDです」と言われたときに、どう自分は思うのかということなのです。そうすると、すごく専門的な病気にかかってしまっている感じがするのですけれども、何のことはない、実はたばこを吸っていて呼吸がしづらくなっているということ。それを平たく言ってもらった方が、はるかにわかりやすい。それはCOPDという言葉を経由して理解する必要がまるでないのです。だから、寄り道をしている感じがします。コミュニケーションとして非常に複雑になってしまっている。
 だから、息がしづらくなる病気だということがわかるような俗称があった方が、実感として腑に落ちるというイメージを持っています。そういう意味で、せめて今ある中では、肺年齢の方がわかりやすい。
○見城委員 1回目のときに、私も肺年齢ということは非常にわかりやすく、とても身近に感じましたし、それから年齢という言葉に人は敏感ですので、特に団塊の世代がある年齢に達していますので、年齢と聞いただけで非常に反応するわけです。そういうこともあって、肺年齢がぷーっと吹いてわかるということを、詳しくわからなくても、そういうものをやるようにして、みんなが肺年齢に意識を持つようにした方がいいのではないかという意見を申し上げたら、ぷっと吹くのが結果がどうも余り正確でないので、一般化できないというか、そんなに簡単には使えない。コマーシャリズムに乗せてやることはできないような御意見が出たのですけれども。
 肺年齢という言葉には、1回目の会議の一番最初に印象深く飛び付いた感じなのですね。ですから、私はこの辺を押さえるべきだなと思います。
○工藤座長 前回の検討会でも、肺年齢とやったときに、たばこは吸っているけれども、肺年齢が若かった人はどうするのだと。かえって安心してしまうのではないかという御意見もあって、今日は禁煙の推進、健診プラス禁煙という指導を同時にこれは並行しなければいけない。結合する必要があるということで、今日参考人においでいただいてお話いただいたわけです。
 もう一つは、先ほど見城委員が言われたように、肺年齢というのは確かに、石川さんがおっしゃった自分事ですね。たばこを吸っていようといまいと、また、かつて吸っていて、今、吸っていないとに関係なく、自分の肺年齢は大体どのぐらいなのだろうかということですから、これは広く訴える用語としては大変いいのではないか。
 第2回のときに頑張って吹いていただきました竹川委員の肺年齢が何歳だったか、実年齢よりずっと若かったのですね。それから、プレゼンテーションのときに出ましたけれども、オリンピックのゴールドメダリストの有森裕子さん、実年齢が画像で出ていましたからいいですね。41歳が肺年齢23歳だったわけです。そういう意味では、健康の維持というところも含めて、肺年齢というのは思い切り訴えることはできるだろうと思います。
 ほかに何か御意見ありますか。
○見城委員 あと、肺年齢に加えておきますと、周辺のたばこを吸ってなかなかやめられない方の一番おびえているのがそこなのです。今は健康というか、特別には出ていないのだけれども、大体だれかにたばこのことで言われると、おびえているなと見えるのが、実際は見えないところで不健康になっているのではないか。ですから、非常にアピールすると思いますし、逆にいうと、不安がありながらも行動を起こせない人たちにとって、本当に一歩を踏み出す救いになるのではないかと思います。
○工藤座長 そろそろ時間なのですが、今日、大変重要な御意見をお二人の参考人からいただきましたが、全体を通じて何か御発言し残している方はおられますか。
○見城委員 もう一つ。
○工藤座長 どうぞ。
○見城委員 COPDでこのコピーは印象に残るなと思ったのが、「その咳COPDかもしれませんよ」という、これはよくわからなくても子どものころYMCAと覚えていたように印象に残って、ちょっと気になるなと。やはり自分はお医者さんに診てもらおうかとなるので、決してCOPDが使えないのではなく、使い方によっては非常に印象深くアピールする言葉だと思いました。
○工藤座長 「その咳」という部分が、ほかの言葉でもいいわけですからね。「COPDかもしれませんよ」。
 では、よろしいですか。
○石川参考人 1つだけ。
○工藤座長 どうぞ。
○石川参考人 これは発言としては慎重に行うべきことですけれども、例えばたばこの禁煙治療が保険適用されるとか、たばこ対策に関する広報に、これだけいろいろ経験を持った方々がお集まりになって話し合うとか、日本というのは非常に優しい国ですね。なぜかというと、たばこを吸っている方が健康を害すると医療費の問題が出てくるという行政課題があるからだと思いますが、その人個人の健康問題でいえば、自己責任ですね。だから、ここまでして広報しなくてもいいようなものだという気がする。
 勿論、受動喫煙の問題があったり、社会環境の問題があるから、たばこというのはその人だけの問題ではなくて、完全に隔離されたところで吸っていただくのだったら、それはいいのでしょうけれども、そうではない、社会的な問題を含んでいるので、こういったいろいろな啓発方法が必要になるという側面があると思います。
 その部分に関して言うと、喫煙者にはたぶん、実は自分の健康だけの問題だったら、何でそんなに自分に介入してくるのだという思いが、根底にはあるのだろうと思います。うるさく言われたくないというか。しかし、1人の問題では済まないのだということを、情報としてもっと前面に出さなければいけないのかな。あなたの健康問題としては、あなたの中で解決するかもしれないけれども、家族の問題であり、コミュニティの問題であり、医療経済の問題でありといった関連がある。それが見えにくくて、広報のテーマとしてはあくまで一個人の健康問題に傾く。それであなたはいいのですかというトーンが主流になっている。
 それは勿論とても大事だし、そういう広報が中心になるとは思うのですが、もうちょっと公共的な観点を含めた喫煙者に対する情報提供があっていいのかな。それは余り見かけないのです。
○工藤座長 ありがとうございました。今日は、生活習慣病であるCOPDと、たばこ対策と、そしてそれをまたどういう形で啓発していったらいいかという方法論の問題、この3つを結び付けて議論をしていただいたと思います。今日の検討内容を踏まえまして、今後、更に検討すべき点を整理し上で、今後の検討を進めていきたいと思います。
 そのほか、何か事務局の方からございますか。
○生活習慣病対策室長 まず、次回の日程につきましては、後日調整させていただきまして御案内申し上げさせていただきたいと思います。
 次に、7月29日付で私どもの方に人事異動がある予定でございまして、私どもの上田局長よりごあいさつさせていただきます。
○健康局長 健康局長の上田でございます。
 本検討会は、私の私的検討会として開催していただいておりますけれども、私事で恐縮でございますが、今月29日をもちまして退官することになり、後任の外山局長に後をお願いすることになりました。また、事務局も少し異動があるようでございまして、報告書のまとめに向けて、引き続き次の代の事務局が頑張ることになりますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 また、この本検討会に先立ちまして、昨年、慢性疾患対策の更なる充実に向けた検討会を開催いたしました。その成果として、慢性疼痛とCOPDに対する国の対策を充実すべきとの結論が得られたところでございます。
 再び私事でございますけれども、私、医者になって初めて受け持った患者さんが肺気腫、慢性気管支炎、すなわちCOPDの方で、重症の心不全を起こしておられまして、私が受け持っていた2年間で二度、心停止を起こされました。その都度、蘇生には成功いたしましたけれども、呼吸すること自体が苦しくて夜も寝られないという状態が続いておられたところでございます。主治医は私から別の医師にかわりまして、1年ほどして、苦しさの余り、自ら命を絶たれました。今でも時折、その患者さんのことを夢に見ることがございます。以来、私は、予防できる病気は何としても予防したいという思いを強くしているところでございます。
 慢性疾患の時代に当たりましては、1次予防だけではなく、病気の進行を緩やかにする2次予防も重要と考えます。勿論病気にならないことが一番でございますが、高齢化とともにどうしても避けられないこともございます。社会全体も高齢化してまいります。こういう時代にあってこそ、病気になった患者さんを社会全体で支えていく仕組みが重要と考えております。このような観点から、私ども健康局では、その組織目標として疾病管理と患者支援というものを掲げております。
 COPDの今後の対策におかれましては、慢性疾患の全体の取組みの一環として、今、私が申し上げた疾病管理と患者支援の目標のもと、社会全体で患者さんを支えていくという考えが広がっていくことを期待したいと思います。本検討会が、今後先生方のお知恵により、よい成果を出していただけることを期待いたしまして御礼にかえさせていただきたいと思います。
 どうもありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。
○工藤座長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。


(了)

健康局総務課生活習慣病対策室
健康情報管理係

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