ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 健康局が実施する検討会等 > 腎臓移植の基準等に関する作業班 > 第2回腎臓移植の基準等に関する作業班議事録




2010年8月26日 第2回腎臓移植の基準等に関する作業班議事録

健康局疾病対策課臓器移植対策室

○日時

日時 平成22年8月26日(水)
18:00〜


○場所

厚生労働省省議室(9階)


○議題

1.開 会

2.議 事
(1) レシピエント選択基準について
(2) その他

3.閉 会

○議事

○井原補佐 ただいまから、第2回腎臓移植の基準等に関する作業班を開催いたします。班員の先生方におかれましては、お忙しい中、また遅い時間帯での会議にかかわらずお集りいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、両角先生からご欠席の、相川厚先生からは出席が難しいかもしれないとのご連絡をいただいております。また、本日のご議論にオブザーバーとして、東京大学の樋口範雄先生、全国腎臓病協議会の宮本??宏会長、日本臓器ネットワークの朝居朋子コーディネーターにご出席をいただくこととしております。お三方、何卒よろしくお願いいたします。
 また、事務局に異動がございましたので、ご挨拶申し上げます。大竹補佐の後任として荒木補佐が着任いたしました。
○荒木補佐 臓器移植対策室に8月9日付で参りました荒木と申します。よろしくお願いいたします。
○井原補佐 以降の議事進行は大島班長にお願いしたいと思います。報道のカメラの方はご退席をお願いいたします。
○大島班長 それでは「腎臓移植の基準等に関する作業班」を開始させていただきます。最初にまず事務局から資料の確認をお願いいたします。
○井原補佐 資料の確認をさせていただきます。議事次第を1枚おめくりいただきまして、資料1-1「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律の概要」、1枚紙です。資料1-2「臓器の移植に関する法律施行規則の一部を改正する省令について(概要)」、1枚紙です。資料1-3「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針の一部改正について(概要)」、こちらは2枚になっています。続きまして資料2「腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準について」、1枚紙です。資料3「腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準の運用状況について」、日本臓器移植ネットワーク提出資料、こちらはカラー両面印刷で計15枚の資料です。また、参考資料1として「腎臓移植希望者登録の状況」、参考資料2「各年における透析導入患者の現状(20歳未満の人数)」、こちらは「我が国の慢性透析療法の現況」より抜粋して事務局で作成いたしました。それから参考資料3として現行のレシピエント選択基準、参考資料4としてドナー適応基準、最後に参考資料5として平成18年に開催されました腎臓移植に関する作業班の資料1をそのままお示ししております。資料は以上になります。落丁等ございましたら事務局までお申し付けください。
○大島班長 よろしいでしょうか。それでは早速、議事に入りたいと思います。
 まず事務局から、この度改正された省令・ガイドラインの概要について説明をお願いいたします。
○辺見室長 それでは私から、資料1-1、1-2、1-3につきましてご説明いたします。
 資料1-1「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律の概要」です。こちらは平成21年に改正法ということで成立しておりますけれども、この一部が平成22年1月に施行、平成22年7月17日に全面施行されています。
 ポイントは大きく5点になります。1は「臓器摘出の要件の改正」ということです。?@と?Aがありまして、?@については(現行法での要件)と書いてありますが、端的に申し上げますと、従来、本人の書面による意思表示がある、臓器提供カード等によって意思が表示されているといったような場合であって、遺族がこれを拒まないとき又は遺族がいないときということが要件とされていたわけですけれども、これに本人の臓器提供の意思が不明の場合であって、遺族がこれを書面により承諾するときというものが追加をされています。
 併せて2ですが、「臓器提供に係る脳死判定の要件の改正」ということで、基本的な考えとしましては、本人の書面による意思表示があるということが従来の要件であったわけですが、この書面による意思表示がない場合であっても、家族の書面による承諾によって脳死判定が可能となるということです。
 3番目が「親族への優先提供」ということです。従来、提供先を指定することについては当面見合わせるということで、提供先を特定しての臓器提供の意思表示はできないところでしたが、今回の規定においては親族に限りまして、優先的に臓器を提供するという意思表示を臓器提供の意思表示に併せて行うことができるという規定が置かれました。
 4番は「普及・啓発」ということですが、国及び地方公共団体は、移植医療に関する啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるという規定が置かれています。この中に免許証及び医療保険の被保険者証に、意思表示を記載することができる欄を設けるといったことが書かれているわけですが、この条文に基づきまして、運転免許証につきましては道路交通法の施行規則、医療保険はいろいろな法律がありますけれども、被保険者証の様式を定める省令等が改正されています。これらの様式の省令改正が行われているわけですが、実際には免許証につきましては更新の時期もありますし、医療保険の被保険者証については被保険者証の様式を保険者ごとにいつ切り替えるのかという判断もありますので、一斉にというわけではありませんが、順次切り替わっていくことになります。
 5番目は「検討」ということで、附則に置かれている規定です。虐待を受けた児童に関する取扱いの規定ですが、虐待を受けた児童が死亡した場合に当該児童から臓器が提供されることがないように、虐待があるかどうかを確認し、その疑いがある場合に適切に対応するための方策を検討し、適切な処置を講ずるといった規定が置かれています。
 なお、先ほど申し上げましたように、これら法律の規定はすべて施行になっていますけれども、1番及び2番に基づきます本人の書面による意思表示がない場合の家族の承諾での提供というものが、本日までで3例あります。3番の親族への優先提供というのが、5月に1例あります。こういった状況になっています。
 続きまして、資料1-2、省令の改正です。法律に基づきまして、省令で脳死判定の基準についての関係ルールや、医師や医療機関が記録する書類について規定が置かれています。今回、本人の書面による意思表示がない場合、家族同意によって提供が可能となることにより、書面による意思表示ができない、いわゆる15歳未満の子どもからの提供が可能になったわけですけれども、従来の脳死判定基準ですと6歳以上ということでしたので、6歳未満にも適用される基準というものを設けておりまして、これに伴う省令改正を行っています。具体的には、例えば、2回行います脳死判定の間隔を通常6時間のところを24時間以上とするということや、週齢12週よりも小さいお子さんの場合は、脳死判定は行わないといったような基準が定められています。
 2番目は、法律の改正に伴って書類を改正したということです。この省令につきましても法律の施行日と合わせて施行しております。
 資料1-3「ガイドラインの一部改正」です。1番から申し上げますが、まず、臓器提供に係る意思表示等に関する事項ということです。今回、書面による意思表示がなく本人意思が不明な場合、家族同意でということになるわけですけれども、こういった場合に「提供しない」という意思表示、これが重要となってくるのですが、この「提供しない」という意思表示についてはどのような年齢まで考えるのか。先ほど、「提供する」という意思表示は15歳以上ということでしたが、「提供しない」意思表示について年齢をどのように考えるかということです。これについては、年齢に関わらず、「提供しない」という意思表示をしていれば、これは拒否の意思表示であると扱うということでガイドラインに規定をしています。
 次に、知的障害者です。知的障害者については、従来より臓器提供については見合わせるという扱いがなされていますが、今回、法改正に伴った要件の改定が行われていますが、従来同様、年齢に関わらず、当面、臓器摘出は見合わせることと規定をしています。
 次に、2番、同意を行う家族及び遺族の範囲です。基本的には従来の、本人のカードがあった場合に承諾をする家族の範囲と同じ範囲ということで、維持しているわけですけれども、死亡した方が未成年である場合には、特に父母それぞれの意向を慎重かつ丁寧に把握することを規定しています。
 3番目は臓器提供の施設、脳死下での臓器提供の施設に関することですが、従来より救急医療等の分野で高度の医療を行う施設であることとしまして、いわゆる4類型、資料の下のほうの・の4つ目までの4類型の施設に該当する施設であって、脳死判定等を行う体制が取れていることという規定があったわけですが、今回、小児からの移植が行われるということを踏まえまして、まず1点は虐待への対応、先ほどの法律の検討規定も踏まえたものですが、虐待への対応を行う体制ができていること。もう1つは、先ほどの4類型に日本小児総合医療施設協議会の会員施設を加えています。これらは国立の成育医療センターですとか、公立の子ども病院ですとか、そういった施設が対象になります。従来の4類型ですとこういったところが中に入って参りませんので、この5項目を加えております。
 4つ目は、虐待を受けた児童への対応等に関する事項ということです。上のところでもちょっと触れましたけれども、虐待を受けた児童への対応ということで、関係する規定を定めています。まず、児童から臓器提供を行う施設に必要な体制ということで、1つ目は、虐待防止委員会等の院内体制を整備されているということ。2つ目として、対応するためのマニュアル等が整備されていること。この2点です。
 もう1つは、虐待が行われた疑いの有無の確認の流れについてです。先ほどの院内体制の下で虐待が行われた疑いがあるかどうかということを確認していただくとともに、この結果、虐待が行われた疑いがある場合には児童相談所等に通告をしていただくということです。一方で、途中で医学的理由により虐待が行われた疑いがあるということが否定された場合は、また関係機関に連絡した上で、継続の要否について検討することとされています。そうした上で、臓器提供を行う場合に、虐待防止委員会の委員等との情報共有が必要であるとか、施設内の倫理委員会等において確認を行うとか、捜査機関との連携を十分に図るといったことを規定しています。
 5番は脳死した身体から臓器を摘出する場合の標準的な手順ということです。これは従来より定められていた手順に沿ったものですが、1点、用語の定義的なところで変更があります。コーディネーターの説明を受けるかどうかということを、主治医がご家族にお話をするタイミングです。従来、これを臨床的脳死の判定を行った場合としていたわけですけれども、国会等の議論の中で、法的脳死、臨床的脳死、いろいろな脳死の定義があるといった話もあったところであり、むしろこの状態の内容に則して書き下したほうがいいのではないかという話もあり、「法に規定する脳死判定を行ったとしたならば、脳死とされうる状態にあると判断した場合」と書いたところです。
 ここに関する修正点として、ちょっと立ち入ると細かい表現になりますけれども、従来の書きぶりですと、無呼吸テストが不要ということで、事前の判定を行う場合に自発呼吸が消失していることを確認しなくてもいいのではないか、若しくは自発呼吸が残っていてもいいのではないかといったような議論がされ得る書きぶりが残っていたのですが、そこはやはり前提条件として、自発的呼吸は消失した状態であるということが分かるような書きぶりにしております。
 6番目は、脳死判定に伴いまして、従来、鼓膜損傷がある場合、脳死判定は行えないという取扱いをしていましたが、一定の方法により前庭反射の確認ができるということで、研究班の報告に準拠した方法で確認する場合には、鼓膜損傷がある場合においても脳死判定は可能と規定しております。長くなってしまいましたが、以上でございます。
○大島班長 ありがとうございました。ただ今の報告につきまして、ご質問も含め、ご意見等があれば伺いたいと思います。
○樋口参考人 参考人として参った者が質問などしてよろしいのでしょうか。
○大島班長 構いません、どうぞ。
○樋口参考人 それからもう1つ前置きなのですが、本当は参考人というのは何か有益な情報を提供するために来ているのではないかと私は思っているのですけれども、これからの質問はむしろ、本当はここにおられる先生方とか関係者の方はみなよく知っていて、私だけの質問みたいな話になると本当に恐縮なので、それは座長のほうでうまく切ってください。
○大島班長 分かりました、どうぞ。
○樋口参考人 私は医事法を教えていて、こういうことについて、特にいま法律的な要件の話でしたから詳しくて然るべきなのですけれど、必ずしもそうではないのです。まず、それを申し上げておきます。それで、今日のところでも本当に基本的なところで分からない。
 まず第1に、今日初めて私はここに出てきているものですから、腎臓移植の基準等に関する作業班ということは、きっと他の臓器についても作業班があるのでしょうね。多分、先生方は腎臓の専門家なのでしょうから、やはり腎臓についてだけ特別にこういう何らかのガイドラインが必要なのだろうという部分があり、何でもかんでも臓器は一緒という話はきっとなくて、そういう話なのだろうと思うのですけれども、要するに、他の臓器でも考慮すべき基準と、腎臓で特に考慮すべき要素とを分けて、説明してくださると、腎臓についてのガイドラインの意義がいっそうわかりやすいと思うのです。いまの説明は腎臓に限らず一般的な説明のように聞こえましたので、他の臓器ではこういうガイドラインになっていて、しかし腎臓についてはこういうところがという話が見えてくると、医学の素人にもわかる話になります。こちらにおられる関係者は全部分かっているのかもしれませんが。
○大島班長 いいえ、今日は実はこの後でそこに行きます。
○樋口参考人 そうですか。まず第1にそれが分かるとありがたいという気がしたのです。
 2つ目です。これもなかなか難しくて、臓器移植というときに、いろいろな臓器移植があります。この作業班というのは腎臓移植の基準等ということで、すごく一般的なことを書いてあるようでいて、まず普通に考えると、腎臓だったら生体腎移植がありますね。生体腎で構わないというのは、腎臓が2つあるからですが。多分、生体腎移植のことはここでは一切関係なくという話なのでしょうけれども、本当はそういう話なのかどうか。こういう法制度を作っていくときに、こっちは全然別の話で、死んだときの話だけという話なのか、やはり何らかの形で関連はあるわけですから、そのバランスを取るというか総合的に考えていく必要が本当はあるのではないかという感じがします。いや、私が言っているのは、全部規制しろという意味ではないのです。そういう比較の視座、視点みたいな話もあってよいと思うのですが、ここで検討されるのはやはり要点を限定した話かもしれないので、そこまではやれないということかもしれませんが。
 3つ目です。今度は死ぬ話なのですけれども、死んだときの話が、やはり脳死の話がマスコミ等でそっちのほうだけが非常に興味を持たれていて、それは脳死問題についてある意味ではいつまでも決着がつかないからかもしれません。法律上はついたのだろうと私は思っていますけれども、そう言ったって、人間の生死の問題ですから、相当数の人にとっては少なくとも決着がついておられないということなのだろうと思います。ここでの基準は、やはり心臓死からの腎臓摘出と腎臓提供というものも含まれているはずですよね。そうなると、具体的な質問をしたほうがいいと思うので、例えば1つの例なのですが、1-3で、先ほどご説明の中で、改正の内容の3「小児からの臓器提供施設に関する事項」で、「一応これは脳死の場合ですが」という条件的な説明があったように思います。そうすると、心臓死についてはこういう要件がなくて、どんどんやっているということなのかどうか。
 だから、脳死判定が必要で、私自身も自分の大学病院で実は脳死の判定委員の1人なのです。ただし、今まで東大病院は脳死の判定をしたことが実はないのです。しかし今後はあるだろうと思われているのですけれども、そういう状況なので、やはり脳死の判定という話になると非常に難しいから、こういう提供施設に関する事項を細かく定めるということなのであって、心臓死については何ら関係がないということなのかどうかを、そういうことをちょっと確認しておきたいような気がしました。
 もう1点だけ、すみません。子どもの問題というのは非常に重要で、間違いであったら何であれ訂正してもらいたいと思いますが、腎臓と眼球に関しては、眼球と言っていいのでしょうか、角膜と言うべきなのか、その移植については、ずっと昔から法律があって、本人の意思と関係なく、と言っていいのかどうか分かりませんが、とにかく、遺族が提供すると言えば、もちろん心臓死ですけれども、それで提供することができる。そういう話でやってきたのが、今回、脳死を含めた臓器移植で、先ほど説明があったように、新聞等でも大きく報道されているので、それが一番重要なことだろうと思いますが、本人の意思が不明であった場合であっても、遺族の意思でとにかく提供ができると変えられたわけですよね。大きな改正だと思います。
 しかし、腎臓については、それが心臓死の場合については、一応、暫定規定というか、当分は何とかを維持するという経過措置ですね、それによって遺族の意思だけで提供ができることになっていたはずです。したがって、腎臓については、今回の法改正は、他のところでは大きな点で何か違いがあるのかもしれませんが、実際に心臓死のケースでの腎臓の死体からの提供という意味では変わっていないのかどうか。しかし、未成年者のところでは何か変わっていそうな感じもあるのです。だから、心臓死の提供でも従来は、心臓死からでも6歳未満か何かはやらないという話、あるいは6歳から15歳の間はやられていたのだろうかという、「お前、そんなことも知らないのか」とネットワークの人に笑われそうな話なのですが。今回の法改正でははっきりと脳死の場合であっても、15歳未満であれ、6歳未満でさえ移植が可能になりました。そうだとすると、それは心臓死の場合の腎臓の提供にも影響を及ぼしているのかどうか。長くなって申し訳ありませんでしたが、私の質問に、この会議にとって意味のあるところがあったら、どなたかに教えていただきたい。それで、ないところについては削除して、無視してもらって構いません。
○大島班長 ありがとうございます。簡潔に答えてください。そんなに難しいご質問ではなかったと思います。
○辺見室長 今回の臓器の基準については、臓器移植の公平性・中立性という観点から、医学的観点から配分の基準を定めるということで、これは各臓器に基準があります。他の各臓器は細かくなりますので、それぞれ医学的見地から定められているものですので、また改めてご説明させていただきたいと思います。
 2番目の、いろいろな移植があるということですが、こちらは臓器移植法に基づいて定められている基準で、基本的には脳死及び心臓死の死体からの移植ということです。生体腎は対象にしておりません。
 3つ目ですが、施設の要件が心臓死の場合はないのかということですが、こちらに示されているような施設の要件はありません。ただ、手続的な意味で、法律に定められた手続等は守っていただくという必要はあります。
 4番目、子どもの問題ですが、従来置かれていた経過措置は、今回の本則によって定められましたので経過措置はなくなっています。ただ、虐待に関する事項ですとか、先ほどちょっとご紹介しましたような、一部子どもに関するようなもので適用されるものはあります。脳死が故にというものもありますので、はまるものとはまらないものがありますけれども、置き替わるところというのは、虐待に関するところなどは変わってくるというところです。
○大島班長 ありがとうございました。それから、生体に関しては、法的なものはないのですが、倫理的には非常に厳しい倫理規定を持っているということです。
 他に、説明について何かご質問・ご意見等がございましたらどうぞ。
○飯野班員 今のお答えでちょっとまた疑問が出たのですけれども。心臓死の場合も小児の虐待に関してはマニュアルを作ったり、こういうものを作らなければいけないわけですか。今まではこういうものはなくて、普通にやられていましたよね。ということは、これができたので、今度は小児からの心臓死での移植の場合には、マニュアルがそこの病院になければいけないという要件が必要になってくるのですか。
○辺見室長 はい、その通りです。
○大島班長 他にいかがでしょうか。今日の本題はこの先にありますので、先に進めさせていただいてよろしいでしょうか。
 それでは、次に、今日の本題のレシピエントの選択基準に移っていきたいと思います。まず最初に、これまでの経緯等について事務局から説明をお願いします。
○井原補佐 それでは、「腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準について」、これまでの経緯などを含めて簡単に説明させていただきます。資料2をご覧ください。1.経緯です。平成7年に制定されましたこのレシピエント選択基準については、阻血時間の短縮、都道府県内配分を中心とすること、そして小児患者並びに長期待機患者の優先度を上げることを考慮して、平成14年1月に選択基準の改正を行っています。その後、平成21年7月に法律の一部が改正されましたので、その際新たに盛り込まれました親族への優先提供の規定を設けるために、平成22年1月に改めて基準を改正しています。
 今回その基準について改めてご議論いただくわけですが、現行の基準がどのような経緯で決まったかについて、参考資料5をご覧ください。両面印刷になっていますが、4頁になります。これは平成13年当時の臓器移植委員会の資料ですが、「(レシピエント)選択基準骨子(案)」となっています。平成13年以前の基準に関して見直しをした際、このような考え方に基づいてレシピエント選択基準を作ってはどうかということが提言されています。
 2.優先順位をポイント制とする。この中で、搬送時間(阻血時間)、そしてHLAの適合度ポイントを、マッチルールからミスマッチルールとする。そして、待機日数をポイント制とするということで、それぞれのウエイトを1対1対1程度としてポイント制にしてはどうかということが、基本的な考え方となっています。
 4.その他(1)ですが、小児待機患者については一定の年齢区分毎にポイントを加算する方向です。
 この大きな4点が、今回の現行の基準に盛り込まれています。このような考え方でこれまで基準が運用されてきましたが、その基準の実際の実施状況等については、日本臓器移植ネットワークより資料3として提示していただいていますので、後ほど朝居参考人より発表いただきたいと考えています。
 資料2の3.検討のポイントに戻っていただきたいのですが、親族優先の規定を盛り込む際に、この作業班で昨年11月に議論をいただきました。その際、現行の基準について指摘いただいた点は、以下の3つが主な点になります。1つ目は、HLA型の適合度の評価についてです。現在ミスマッチルールの中で0点から14点と非常に幅広く点数を分けていますが、これがこのような考え方でよいかという点です。それから、待機日数の評価について、現在長く待たれている方に移植の機会が多く当たるような状況について、待機日数のウエイトをどうするかという点を指摘いただきました。小児の待機患者への対応について、段階的なポイントを付けることであるとか、もう少し点数が多くてもいいのではないかというような意見も示されています。このような観点について、現在の基準の運用状況等をまず確認いただいたうえで、議論をしていただければと考えています。事務局からは以上です。
○大島班長 ありがとうございました。この点について、何かご意見、ご質問はありますか。主な議論のポイントは、いま事務局からお話していただいたとおりなのですが、医学的な基準、要するに成績がいいか悪いか、どういうマッチングでいいのか悪いのかが1点です。それから、希望者が非常にたくさんいるにもかかわらず、提供されるのが少ないということで、公平性の担保をどのように取るかが2つ目ですね。3つ目は子どもなのですが、子どもの特殊性や緊急性に対してどう考えるのかという、この3つのポイントが主な論点です。それにプラスアルファーでいくつかあるのですが、主にはこの3つの点が非常に大きなポイントです。いかがでしょうか。
 今回そろそろ見直したほうがいいのではないかということの大きな基本の1つは、医学的技術も随分進んできて、従来の医学的な基準では、どうもうまく説明がつきにくいような状況が出てきたのではないかということもあります。これは、またあとでそういった議論が出てくるだろうと思います。それから、公平性に関しては、待機期間がものすごく長くなってきて、いまの状況でいくと平均で14年以上待たないと、腎臓が回ってくるチャンスはないというような状況があるということです。ということが、今回見直すべきではないかという議論が出てきた背景にあるということです。何かご意見はありますか。
○井原補佐 まず現在の運用状況について、ネットワークのほうから報告をしていただこうと思います。資料3について、ネットワークの朝居コーディネーターより説明をお願いします。
○朝居参考人 医療本部の朝居です。資料3に沿って説明させていただきます。まず資料3の上のパワーポイントですが、旧基準と新基準でシッピングの先を比較しています。なお今回の分析からは、腎単独移植だけを対象にしています。膵腎同時移植は完全に除いていますので、現行基準がどのように具体的に反映したかを純粋に見られるようにしています。新基準になりますと、同一県内の優先ポイントのお陰で、同一県内での移植が8割を超えています。小児の優先ポイントの効果もあって、小児への移植が新基準では6.6%、旧基準に比べますと4ポイント上がっているのが1つの特徴です。
○大島班長 新基準というのは、現基準ですね。
○朝居参考人 失礼しました。現基準です。HLAのミスマッチとドナー年齢・阻血時間で比較をした表になります。HLAの不適合抗原数は、検索型の2桁で表しています。DNA型の検索ではいまは行っていませんので、2桁でのミスマッチということになっています。現基準においては、DR、ABともにミスマッチの数が有意に増えています。旧基準ではDRは0.11ミスマッチだったのが、現基準では0.51、ABは1.28のミスマッチだったのが2.17となっています。ドナーの年齢についても、現基準のほうが有意に高くなっています。温阻血時間については変わりはありません。総阻血時間については、以前の基準ですと861分、約14時間、いまの基準ですと731分で約12時間ということで、有意に短くなっています。これは、いまの基準の目的の1つであった搬送時間の短縮が達成されている結果になっています。
 次の頁は、レシピエントの年齢・待機期間・透析期間で比較したものです。すべてにおいて、旧基準と現基準を比べると、有意差が出ています。レシピエント年齢については、小児も含めた全体で見ますと、旧基準は44歳だったのが、現基準では47歳と、レシピエントの年齢平均に有意差があります。16歳以上のレシピエントだけを見ますと、つまり現基準で16歳未満の加算のポイントのない方たちを除いて考えたところ、旧基準では平均45歳だったのが、現行基準では50歳と、有意に高くなっています。
 待機期間についても、大きく違ってきています。旧基準では6年の待機期間が、現基準では14年となっています。透析期間についても、待機期間と同じように現基準のほうが長くなっています。下のスライドについては、待機日数、透析日数を少し細かく見た表になります。現基準の中で、全体の待機日数は5,207日ということで14年ですが、これを16歳以上の待機日数と16歳未満、加算が付いている方の待機日数で分けてみました。16歳以上の待機日数は、5,500日ということで約15年、16歳未満の待機日数は800日ということで、約2年で移植を受けることができています。これは、16歳未満の加算ポイントの成果だといえます。
 次のスライドにいきますが、選択基準変更前後の待機年数および透析年数です。青いグラフが旧基準、白いグラフが現基準になっています。左側が待機年数、右側が透析年数です。5年ごとに分けて見てみますと、旧基準では5年未満で移植が受けられた方が1,063人分の447人、半数弱は5年未満での移植が可能でした。しかし、現基準で見てみますと、5年未満で移植を受けられている方は84名いらっしゃいますが、これはほとんどが小児という形にはなります。10年以上の待機で移植を受けられた、10年以上の白い棒グラフ511人と最多になっており、10年以上待たないと移植が回ってこないというのが、このグラフからも明らかに示されています。透析年数については、待機年数とリンクしている部分がありますので、ほぼ同じようなグラフにはなっています。
 下のスライドですが、レシピエント選択基準変更前後の生存率・生着率で、成績を見てみました。生存率については、差はありませんでしたが、生着率については現基準で1ヶ月93%、1年87.5%、3年で81%、5年で75%ということで、有意に成績がよくなっています。
 次は生着率のグラフになりますが、赤が現基準、黒が旧基準で、有意差がありました。下は生存率ですが、有意差はありませんでした。3枚目の下の表をグラフ化したものとご理解ください。5頁の上のスライドについては、これはレシピエントが16歳未満か以上かで分けた生着率で、有意差はありませんでした。
 その下については、レシピエント選択基準変更別の、移植を受けられた後の転帰ということで、亡くなられた方の数を示しています。左側のグラフが移植後5年以内に亡くなられた方の数、青が旧基準、白が現基準です。右側が、移植後1年以内の死亡数を月ごとに示しています。移植後5年以内の死亡を見ていきますと、1年以内で死亡される方が全体の約半数いらっしゃいます。それから、移植後1年以内の死亡だけで見ますと、旧基準では48人、現基準では50人、半年以内の死亡が多くなっています。これを死因で見ていきますと、半年以内の死亡の方は、感染症がいちばん多く出ていました。
 次は、選択基準変更前後の移植後の無機能腎・術後透析期間・死亡・生着率を表にしています。旧基準では、透析離脱不能が8.1%、うち全く腎臓が機能しなかった方が4.0%でした。現基準では8.2%、機能未発現の腎臓はそのうちの3.9%ということで、これについてはほとんど差がありません。術後の透析期間、移植をしてから透析を離脱するまでの期間については、旧基準では15日、現基準では12日です。移植後の死亡率については、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月では特に差は見られませんでした。
 下のカラーのグラフは、透析離脱不能例を旧基準と現基準で比較していますが、その理由について示しています。機能未発現、つまり腎臓が全く機能しなかったのが赤いグラフ、それから移植後の腎血栓で廃絶したのが黄色いグラフ、拒絶反応が緑、技術的要因がピンク、その他がブルーです。
 7頁の上のグラフになりますが、レシピエント選択基準変更前後の移植後の死因分類です。旧基準、現基準ともにいちばん多いのが、赤の感染症です。次に多いのが、オレンジ色の悪性腫瘍といった形になっています。それから緑のグラフですが、心疾患も目立つ形になっています。ただ旧基準については、1995年から2002年までの長期で見ていますので、全体数が多くなっています。現基準については、死亡数が全体的に少ないというようなことではなく、移植後の時間経過の長さによって、旧基準で移植された方の死亡数が多くなっています。
 下は、HLAの不適合抗原数です。これは検索型のDRだけで見ていますが、黒いグラフがDRが0ミスマッチの方、赤いグラフがDRが1ミスマッチ、ブルーがDRが2ミスマッチとなっています。これについては、有意差は出ていませんでした。次は、HLAの不適合抗原数のAとBだけで見ていったものですが、黒がABの0ミスマッチ、赤がABの1から2ミスマッチ、ブルーがABの3から4ミスマッチということで、これについてはABの0ミスマッチとABの1から2ミスマッチについては生着率に有意に差が出ています。
 次は、HLAの不適合抗原数、検索型A・B・DRの3つのHLAのマッチングで分析したものですが、その生着率をグラフに示します。HLAが全く合っていないのが紫色、6ミスマッチといって、この方たちは5例しかないのですが、全員生着しているので100%のグラフになっています。黒いグラフが0ミスマッチ、ブルーのグラフが1ミスマッチ、緑が2ミスマッチ、黄色が3ミスマッチ、オレンジが4ミスマッチ、グレーが5ミスマッチということで出ていますが、これについてはLogrank検定では有意差が出ていました。
 次が、いまのグラフを表にしたものです。1年から10年までのミスマッチ数による生着率を表で示しています。6ミスマッチは1年から10年まで5例しかありませんが、全部生着していますので100%ですが、例えば0ミスマッチですと1年後の生着率が88.4%、2年が87%、1ミスマッチですと1年後86.1%、2年が82.3%というふうに見ていく表になっています。その下は、同じような分類で、生存率を示しています。これについては、有意差はありませんでした。ミスマッチによる生存率の有意差は出ていないということがわかっています。
○大島班長 ミスマッチの数が増えれば増えるほど、成績は悪くなってくるというのが一般的な通説ですが、いちばんミスマッチの多いのが100%という成績を一体どう考えたらいいのかということですが、5例と少ないからとしか言いようがないということですね。
○朝居参考人 はい、そう考えます。その1つの考え方の根拠として、A・Bだけで見ていきますと、やはり0ミスマッチがいちばん成績がよくて、1から2ミスマッチとは有意差がありますので、HLAのミスマッチというのも1つの成績に差が出る部分ではあるのではないかなということはいえると思います。
 10頁の上の表は、HLAのミスマッチによる生存率を示した表になります。10頁の下については、小児の提供者、16歳未満のドナーからの心停止後の腎臓提供だけに限っての分析です。1995年4月から2009年12月までで、16歳未満の心停止後腎提供の方は69名いらっしゃいました。その方から移植を受けた方の生存率、生着率を示しています。生存率が赤のグラフ、生着率が黒のグラフとなっています。
 11頁の上ですが、16歳未満の提供者から16歳未満の移植者だけで生存率と生着率を見ていきますと、これは子どもから子どもへの移植ということなのですが、28名いらっしゃいました。生存率は赤のグラフ、生着率は黒いグラフですが、1年生着率で82%、10年で66%となっています。その下のグラフと対比していただきたいのですが、小児のドナー提供者から16歳以上への移植となりますと、生着率は1年では82%ということで、上のグラフの小児の82.1%と変わりはないのですが、10年の生着率で見ていきますと、小児から小児の場合は66%なのが、小児から16歳以上の場合は51.7%と差が出てきます。
 12頁の上のグラフについては、透析期間が生着率に与える影響という医学的な見地から、生着率を透析期間で分類したものです。赤が透析10年以上、黒が透析10年未満、青が透析20年以上ということで、透析20年以上の方の生着率はほかの方たちに比べると悪いということが、このグラフからも示されています。
 術後透析期間を2群に分けたときに、どこで有意差が出るかを見たところ、17年で有意差が出てきました。これは、赤が17年以上、黒が17年未満ということで出ています。失礼しました。いまの17年は、移植までの平均透析期間の17年で分類したもので、これは有意差が出ていて、一体透析期間何年で生着率に有意差が出てくるのだろうと思って分析したところ、13年というのが13頁の上のパワーポイントになります。透析期間13年で成績に差が出てくるというのが、今回分かりました。
 13頁の下ですが、配分基準による年代別移植者数ということで、青が旧基準、白が現基準になります。年代を左から5歳未満、5歳から10歳未満、10歳以上16歳未満、16歳以上20歳まで、あとは20代、30代、40代ということで分けてみました。そうしますと、現基準になりますと、5歳から16歳未満までのグラフについては白が圧倒的に多くて、いまの基準の恩恵ということで小児の移植が進んでいるのですが、16歳から20歳未満、つまり10代後半の方については、旧基準では多少の移植がありましたが、現基準では移植が全くありませんでした。補足ですが、これをちょっと待機日数で見ていきましたところ、旧基準で16歳以上20歳未満の待機日数は、平均が2.5年で、旧基準ではHLAのマッチングさえ合っていれば、待機日数が短くても移植のチャンスがありました。現基準では、小児加算の対象外なので、待機日数が短いため、全くチャンスがないということが、このグラフからも言えます。また現基準では、40代から50代に圧倒的に移植が多いということも見えてきました。
 14頁の上の表は、移植希望登録者の年齢別での待機患者数です。5月31日現在の1万1,795名を年代別でグラフを作ったのが、この数になっています。いちばん多く待っていらっしゃる年代が、46歳から60歳という形になっています。16歳未満の登録者は45人でした。移植希望者の待機年数が下のパワーポイントになりますが、1万1,795名中5年未満の待機日数の方が4,899人、5年以上が3,080人、10年以上が2,502人となっています。
 15ページの上は、待機者の透析年数を示しています。5年以上が3,100人ということで、透析人数はいちばん多くなっています。下のパワーポイントは、小児の腎臓移植件数と腎臓移植希望者数の推移で、棒グラフが小児の16歳未満の腎臓移植件数、折れ線グラフが小児の16歳未満の腎臓移植希望者数ということで出しています。2001年の基準の改訂前から小児の分だけは待機者数を出していますけれど、2001年当時は78人いらっしゃった小児の待機者は、2009年ではピンクの折れ線グラフ、39人ということになっています。
 最後の頁ですが、これは16歳以上の移植件数と、移植希望者数の推移です。棒グラフが移植件数ということになっています。待機者数はピンクの折れ線グラフで、これは16歳以上に限ったものだけになっています。そして最後のグラフは臓器提供者(ドナー)の年代別です。緑が脳死下の提供で76名、赤が心停止下の提供で1,246名、5歳代別に棒グラフにしました。提供者数として心停止下では10代後半と20代、それから40代から60代にピークがあるのが、グラフから見て取れます。私からの説明は以上です。
○大島班長 非常に濃い中身を短い時間でお話いただきましたので、整理がつきかねているところもあるかもしれませんが、自由にご意見を出していただきたいと思います。
○飯野班員 簡潔に答えていただいてよろしいのですが、3点あります。最初に1頁目について。これを我々が決めたときに、地域でのインセンティブを高めるために「地域性」を持ってこようということでこういうことを決めたわけです。このようにきれいに同一県内に集まったわけですが、そのインセンティブは高まったのかということです。出てくる所について、例えば東北のある県では全然出なかったところが、本当に出てきたのかとか、その辺はどうなのでしょうか。
○朝居参考人 最近顕著にドナー数が増えているのは九州・沖縄ブロックなのですが、以前旧基準のときは年間数件であったのが、今は年間20件近くのドナーが出ているということがあります。それが自県で移植ができているということの1つのインセンティブだといえると思います。
○飯野班員 それがインセンティブになって非常によくなったということですね。
○朝居参考人 はい。
○飯野班員 もう1点は11頁です。これは小児から小児、あるいは小児から大人への成績ですが、大人から小児への成績はいいのかどうか、どの程度いいのかというのを大体の印象で教えてください。なぜかというと、小児に大人の腎臓をあげたほうがいいかどうかという問題が出てくるわけです。
○朝居参考人 これは2006年末までの生着率のデータですが、成人ドナーから小児レシピエントで、1年生着率が91%、5年で73%、10年で73%という数字が出ています。
○飯野班員 それを比較すると、どうなるのですか。
○朝居参考人 そうやって比較すると、11頁の上のグラフが小児から小児ということで、1年が82%、5年が74%となっていますので、成人から小児のほうが若干成績はいいとは言えます。有意差があるかどうかまでは見ていませんが。
○飯野班員 普通はそうですね。海外でもそうです。大人から小児へのほうがいいというデータはありますね。
○大島班長 少なくとも悪くはないということですね。
○朝居参考人 悪くはないです。
○飯野班員 3点目は13頁です。そちらでやったものは、大人で40〜50歳代が旧基準よりも現基準のほうが多くなったということなのですが、これは絶対数ですから、このまま入れてしまうと誤った解釈になると思います。結局、希望者数で割ってどのくらい当たったか、それをきちんとやらないと。このまま見ると、たくさん高齢者が当たっているということですが、高齢の希望者が多ければそれだけ当たる率は多くなるわけですから、次の「希望者数」という分母で割っておかないといけないのです。それを今計算するのは難しいと思いますが、そういう点を入れて考えたほうがいいと思います。
○樋口参考人 折角の機会だと私も思っているので、聞けるだけは聞こうと思いますので伺います。いまの選択基準の資料1-2骨子の4.で、とにかく3つを1:1:1で分けて云々というのが現基準であるということでした。これは平成13年の記録らしいのですが、そのいちばん下に、「実施後1年のデータが蓄積された時点で新ルールを検討する」とあります。しかし、それはまだやっていなくて、今回はこの現基準について、いま説明を伺ったデータでやっているということなのでしょうか。
○井原補佐 そういうわけではございません。この資料自体は平成18年の資料になりまして、基準を変えてから何度か実際のデータを見ていただいた上で、まだ移植者数が少ないということで、実際のデータを比較するにはまだ早いだろうということで、少し経過を取ってからまた議論をしてはどうかというご指摘をいただいております。
○樋口参考人 先ほどの私の発言は別に誰かを責めているとか何とかということはまったくありませんし、そちらもそう解釈していないと思いますが、ただ確認だけなのです。いままでも検討の中でどういう議論があったのかないのかという点です。ただ、いまのご説明だともう少し様子を見てというだけで、何らかの判断があったということではないのですね。現行基準で悪いとか良いとかという判断はなくて、判断がつかないから今日に至っていると解釈すればいいわけですか。
○飯野班員 小児に対しては最初から良くなって、数が増えていますから良いという評価を私たちはしています。
○樋口参考人 2つ目ですが、いまの説明は内容が非常に濃くて、私などには消化し切れないのです。非常に興味深いデータがいっぱいあるのですが、いわゆる旧基準と現基準を比較して、母数がほとんど近いですから、数の上では。年数も8年程度で比べられているので、そういう意味では、比較の視座はきちんとしていると思うのですが、一方で旧基準が適用されていたからこうで、現基準だからこうなのだろうかということではなくて、たまたまこの時期とこの時期の違い、例えば待機日数がこんなに伸びたのは現基準が悪いからだと解釈しがちになりますが、普通はそういう話ではないような気がするのです。いったいその要因は何か。しかし、単純にご説明だけ伺っていると、現基準はとんでもない。いままで待機年数は6年だったのが14年に増えているなどというのはとんでもない基準だということになりかねません。そういうふうに思う人はいないのかもしれませんが、少しミスリーディングな感じがあって、この比較というのが何のためなのか。比較した結果、本当の意味で有意なことはこれだということが分かりました、というような話までしてくださると、もう1つ良かったかなと思います。
 3つ目です。本件は、医療倫理の数ある諸原則の中でいわゆるjustice(配分的正義)に関する問題となります。要するに、こういう限られた資源、この場合、腎臓ですから資源と呼ぶのが適切ではないかもしれませんが、英語ではとにかくResourceといいますが、それをいかに適切に配分かするというのは本当に難しい問題なので、ずっとこの関係の方はご苦労されてきたと思うのです。
 私は一般的なこと、机上の空論しか知らないのですが、アメリカ医師会の倫理規定というのがありまして、こういう限られた財、例えば医者が1人しか患者を診ることができないのに2人とかというときの「トリアージの原則」とか、そういう配分的正義について、何と何を考慮してはいけないか、何は考慮していいかということについて、彼らはきちんとルールは作っているのです。そして、それは医療倫理に則っていると言っているのです。ただし、それは一般的な臨床上のものを主として想定しているので、臓器移植に常に当てはまるかどうかが本当は分からない。臓器移植のほうは、アメリカのUNOSのネットワークについてもご存じの方が多いのでしょうから、それと同じなのだとおっしゃってくだされば、それはそれでいいのですが、一般的な倫理では、年齢は考慮に入れない。この臨床で医療的な効果というのがいちばん大事です。医学的見地あるいはmedical needsといいますが、医療上の必要性というのが一番大事なので、搬送時間も、それが短ければ短いほど新鮮な臓器で、うまくいく確率が非常に高くなると言うのなら、それは意味があるのです。でも、政策的判断でできるだけ地域のものは地域へということなのでしょうか。そういう話があっていけないということはないと思うのですが、それはたぶん一般的な医療倫理では、アメリカでは疑問になるかもしれないと思うのです。もちろんアメリカでどうだからと言っても別にどうということはない。日本は日本だという話があっていいのですが、他の医療上の配分的正義の問題であれば考慮されていない要素がここに入っていて、それはもしかしたら、腎臓というものの特殊性によるのかもしれません。腎臓がだめになってもそう簡単に死ぬわけではありませんから。もしかして、肝臓だったら、いまにも死にそうな人から順に提供するというのが大原則になると思いますから、医学的緊急度といいますか必要性(medical needs)がいちばんの大原則になるかもしれない。しかし、腎臓はそれだけではいかない。透析という手法があって延ばすことができるので、他の場合の医療倫理とは別個の考慮要素が入り、それも公正ということでやっているのかどうかということなのです。
○飯野班員 UNOSには地域ポイントがあります。先生がおっしゃっている上のほうの倫理基準が、そのままUNOSで使われているかどうかは分かりませんが。
○樋口参考人 「子ども優先」は、どうですか。
○飯野班員 「子ども優先」は。
○樋口参考人 何であれ、あってもいいと私は思いますが。
○湯沢班員 「小児優先」もあります。
○大島班長 地域ポイントは、アメリカのほうが日本よりもはるかに厳しいですね。エリアを決めてありまして、そのエリアを越えて行った場合には必ず返せというルールがあるようです。
 それから、前回の基準を作るとき、もちろん地域の問題というのは今のような議論もあったのですが、それだけではなくて、最初に先生が指摘された阻血時間をいかに短くするかというのも、大きな議論になっていました。今度の成績がいいというのは、阻血時間が短くなっていますので、その阻血時間の影響がどうなのかということについても、考慮しなければいけないだろうと思います。
○服部班員 女子医大腎臓小児科の服部です。小児科医の立場から1点だけ述べさせていただきます。13頁目の下のスライドで、ポイントの制度が変わって16歳未満の子どもは随分恩恵を受けたなということはよく分かったのですが、私たち小児科医は16歳未満の子どもだけを診るわけではなくて、16歳以上の思春期の子、それから若年成人も診ます。現基準にかわったことで、16歳から20歳代の献腎移植が本当に少なくなってしまったことを心配しています。今回見直すときに、社会人に巣立っていく、ちょうどこの辺の世代にもっと献腎移植のチャンスが増えるような仕組みを考えないといけないなと思いました。
 もう1つは16頁目の下のスライドですが、逆に、臓器の提供は15歳から20歳代が多い。たぶん事故とかで提供者になったのだと思いますが、腎臓を受ける側と提供する側のデータが全くアンバランスであり、今後、献腎移植のシステムを考えていく上で非常に興味深いデータだと思いました。
○宮本参考人 全国腎臓病協議会の宮本です。私自身も末期腎不全で透析治療を受けている1人で、すでに28年になりますし、献腎移植を希望して同じ年数が経つということになります。私自身が当事者として、あるいは当事者団体の代表として少し意見を言わせていただきます。
 1つは、脳死下の腎提供にしろ心停止下の腎提供にしろ、貴重な第三者の善意に基づく臓器提供ということから考えると、レシピエントの選択基準については、医学的な根拠に基づいてその適合性が有意に担保される、そういうことを第一義的にレシピエント選択が行われることが好ましいと私は思います。現行でも、当然HLAの適合性が前提になっているわけですが、大島先生が言われたように、現在の医学的水準からいうと見直す必要があるのであれば、その辺は専門の先生方で十分検討を加えていただきたいと思います。
 次に、ご指摘のとおり、国内での臓器移植希望者の中で腎移植希望者が現在12,000人ぐらいの待機者がいて、圧倒的に多いわけです。そういう意味では、第二義的に、その中からどういうふうに公平性を担保してレシピエントを選択するかということの考慮は必要だと思うのですが、現行の選択基準で、待機日数4,000何日かを基準としてポイントが分かれるところで、先ほど朝居さんから報告をいただいたように、ここ数年、レシピエントに選択されて移植に至った患者さんは、現実的に透析歴が長い方がかなり選定されて移植に至っているという現状はあると思います。
 ただ、片方で、資料の13頁にあるように、透析年数13年を境にして生着率等にその変化が出てくるという医学的な結果が出ているのであれば、貴重な善意に基づく腎提供を受けて移植が行われたのであれば、結果として待機年数が長い場合にマイナスの要因があるのであれば、その辺は少し考慮する必要があるかなと思います。また、透析患者が高齢化して、平均年齢はすでに65歳を超えて66歳ぐらいになっていますから、移植希望者の平均年齢もグラフにあるように、これも上がっていくというのは当然だと思うのです。私自身は28年待っていますが、20代、30代、40代の現役世代で働きざかりの透析患者が、いまの平均で14〜15年を前提としなければ移植に至らないというのは、ある意味酷かなと思います。いくら日本の透析医療がよくなったと言っても、14〜15年の透析を前提としないと腎移植には至らないというのは、患者さんにとっては非常に酷である。将来の生活設計にもマイナスの要因かなと思います。待機日数について、ポイント加算には意味があると思うのですが、待機日数に対するポイントというのは、何らかのなだらかな検討を加えていただいてもいいのではないかと思います。
 長い間透析をされている方に優先的に順番が回ってくるというのは、心情的にはいいとは思うのですが、冷静に判断すると、医学的に生着率が落ちたりするという結果になるのであれば、その見直しは必要かと思います。いわゆる現役世代に移植の希望が回ってくるということも、今後加味していただくことが必要かなと思います。
 3番目は小児についてです。現行どおり小児の段階で透析治療を続けることは成長を阻害するということもありますので、そういう子どもに対しては一定のポイントの優先性を持って、優先的に移植の順番が回るように配慮することが、好ましいことだと私は思います。
○大島班長 ありがとうございます。患者サイドからの考え方というのは非常に大事であり、重要だと思います。
○宮本参考人 もう一言言わせてください。一時期はネットワークへの腎移植希望登録者も15,000〜6,000人ぐらいあったと思うのです。ところが、いまはそれがずっと減ってきて、11,000人とか12,000人になってしまっているのは、1つは透析患者が高齢化してしまっているということ。それと、いまの選択基準では14、15年とかそのぐらいの一定年数を待たない限り移植が回ってこないということになると、どうしても、移植を諦めてしまって登録に至らないということで、登録者数の減少に至っているという要因もあるのです。そういうことも加味して、一定の見直しは必要かなと思います。
○大島班長 いかがでしょうか。
○湯沢班員 移植を担当している湯沢です。この件ですべての点について、例えばHLAについては移植学会とHLAの専門家である日本組織適合性学会で、見直しに向けて検討委員会が作られて検討されており、私はその意見も伺ってきております。待機日数についても、小児につきましては日本移植学会と日本臨床腎移植学会が合同で委員会を作りまして検討して、その意見も承ってきているので、それについてここでお話させていただきたいのです。
 まずHLAの適合度の評価については、現在のシステムでネットワークから発表があって、結果的にはミスマッチ数でほとんど有意差がないということが発表されているわけですが、実はこれが大問題なのです。国際的には血清学的にタイピングされているHLAの型を2桁で表す方法がもう30年ぐらい前から行われていたのですが、現在は世界的にHLAのタイピングはDNAでされておりまして、それは4桁で表します。血清学的なタイピングでの結果を2桁で表す方法は、国際的な移植の世界では現在ほとんど議論されておらず、マッチとかミスマッチは4桁のDNAの型で議論されているのです。2桁だと有意差がないというのは、言ってしまえばアバウトな基準といってもよくて、4桁で検討すると有意差が出てくるという報告はあります。日本組織適合性学会と移植学会の合同委員会では、HLAを血清学的な2桁のタイピングでのマッチ・ミスマッチではなくて、4桁のDNAタイプでのマッチ・ミスマッチでの基準に改めてもらえないかということが1つあります。
○大島班長 ちなみに、どれぐらいの差がありますか。
○湯沢班員 正式な数としてUNOSなどにはまだ出ておりませんので、差があるということしかまだ言えません。
○飯野班員 日本ではどうなのでしょうか。日本はわりに成績がいいですね。ですから、そこにプラス4桁でやってさらに良くなるかどうかという検討は、どうでしょう。
○湯沢班員 日本では生体腎のデータとして4桁のものもないのです。ただ夫婦間という、全くHLAが合っていない状態での成績は非常にいいので、ひょっとしたら出ない可能性はあります。これは検討を要することだと思います。
○大島班長 技術は常に進歩していますので、今こういう状況にあるということを頭の中に置いていただきたい。それをきちんとしたルールの中に収めてしまうかどうかという話とは違った話になりますので。
○湯沢班員 日本組織適合性学会との合同委員会でのもう1つの検討事項として、平成13年に決まったレシピエント選択基準で、前提条件として、「前提条件1-3、リンパ球直接交叉試験陰性」という項目があるのです。それで全リンパ球又はTリンパ球をサイトトキシシティーテストをして、リンパ球を血清で殺すか殺さないかの判断をするのです。これまた時代遅れと言っては申し訳ないのですが、これは非常に感度が鈍い方法だといわれております。リンパ球に対する抗体があるかどうかの検査は、専門的な話になりますが、これよりはむしろフローサイトメーターを使ってやるのがもはや一般的ですし、そのさらに上には、抗体シングルアンチジェンの有無をしっかり検討した上での移植というのが今はあります。国際的に見ますと、リンパ球交叉試験をリンパ球サイトトキシシティーテストで行っている国はもうほとんどないと言ってよくて、実際にはフローサイトメーターで行っているのが主流だと思うのです。実際に、西日本のほうではこれも選択基準の1つとされております。「リンパ球交叉試験陰性」という項目の書き方ですとあまりにもアバウトで、現在の世界的な基準を満たしているとはとても思えないというのが意見です。非常に専門的な話になって恐縮なのですが、日本移植学会と日本組織適合性学会としてのコメントというか意見で、それだけは言ってきてくださいということで承ってまいりました。
○大島班長 ありがとうございました。何かご質問、ご意見はございませんか。
○飯野班員 非常に素晴らしいと思うのですが、フローサイトメトリーを使うことを現実のシステムとして入れていくことは可能なのですか。
○湯沢班員 そこが問題でして、例えば東日本で全部のネットワークに登録されている組織適合性検査施設やHLA検査施設で、全部ができるとは限らないのです。ネットワークの実務委員会でもそこが議論になるのですが、一挙にフローサイトメーターにしてしまったらいいのではないかという意見が出ても、現実的にはちょっと不可能で、改善していく必要があることだと思います。
○大島班長 医療をやっている人間、しかも先端でやっている人間というのはいつもいちばん新しい情報のもとで動いていますので、そう持っていくべきだと努力をしてきています。それがいちばんいいと考えます。極端に言うと、そういう状況に持っていくのが当然だというぐらいの感じがいつもあります。しかし、制度だとかシステムだとかということを考えると、お金の問題があります。一旦決めたら、少なくとも3年か5年か10年ぐらいはどうやって維持していくかということになります。その辺のところが研究者には相当欠落している部分があります。もちろんメリットとデメリットは常にありますので、そういった点についてはよく判断していただきたいと思います。医療関係者はどうしても医学的な目から見てしまいますが、それはそれで大事なのですが、国民全体の視点とか、患者さんの視点とか、そういったところから見たときにどういうあり方がよいのか。地域の問題もあるし、いろいろな利害関係が出てくると思います。非常に希少で貴重なものをどのように配分したらいいのかということについては、医学関係者だけに任せておいたら相当おかしなことになるだろうと私は思っています。そういった意味では樋口先生から、こういう基準だとか、こういう考え方は十分に押さえるべきだというようなご意見をいただけたらと思いますが。
○飯野班員 それに関係して、樋口先生が先ほどお話になった中で質問をしたいのです。年齢には関係がないと先生は、先ほどおっしゃったのですし、昨日も正義とは何かと散々言っていましたが、若い人に優先的にあげるというのは正義ではないかなと私自身はいつも考えているのですが、そういう考え方は受け入れられないのですか。年齢は関係ない、それが平等なのでしょうか。それは違うのではないかと思いますが。
○樋口参考人 生命倫理であれ何であれ、私は机上の空論の本だけを読んでいるわけですが、例えばアメリカでは、年齢差別禁止法というのが連邦法であって、定年制すら違法なので、定年制それ自体がないのです。「60歳になったから、あなたは辞めなさい」という話ではなくて、やはり個人主義の国ですから、個人個人のそれぞれの能力が大事なのです。しかし、その人が持っている社会的地位なんかは、医療上のところではさすがに駄目です。個人のメディカル・ニーズでという話になると、そのときに、もう高齢化していて、こういうことをやっても耐えられないかもしれないという要素は入ってくるかもしれないのです。しかし、「あなたは75歳ですからね」という話ではないということです。
 ところが、日本では定年制があるのは当たり前だし、いわゆる正義の考え方が少し違うということ、それは仕方のないことなのではないかとは思っています。
○湯沢班員 もう1つ、日本移植学会と日本臨床腎移植学会で5月9日に集まって検討された項目について報告させていただきたいのです。
 まず、これまでの成績を見まして、待機年数が非常に長くなっていること自体は少し問題なのではないかということで、提言として出てきたのは、いままで10年を目処に1年1ポイントとしてきていますので、10年を超えると、プラトーに達するもののログでいくと、だらだらとポイントが上がってくる。要するに、登録後の年数が結構ウエイトを占めているというのが現状で、実際に高齢の方に移植されていることが多いわけで、例えばいまの1年1ポイントを、1年0.5ポイントにしたらどうかという意見が出ました。
 もう1つは、小児のポイントが、いまですと16歳未満を14点というポイントにしています。実は、平成13年に改訂された基準でいきますと、そのときには、14点にすると小児が大体12%になるのではないかという試算がされたということです。それは、このくらいが適当だろうと言って14点とされたのですが、実際に蓋を開けてみますと、先ほどの統計にありましたように、実際に小児には8%しかされていない。どうしても、待機年数が長い人が優先されることになりますので、思ったほど小児に配分されていない。この14ポイントをもう少し増やせば、小児に優先的にいくのではないかという意見が出ました。
 このときに、例えば待機年数1年を0.5ポイントにするとか、小児のポイントを少し増やしたらどうかということについて、現在登録されている患者さんなり、ここ10年とかの提供者たちの中でシミュレーションをしてみたらどうだろうか。そうすると、何歳ぐらいの人には何パーセントいくのだとか、待機年数に限らず、ある程度の年齢配分、先ほども報告がありましたが、それに変化が出てくるということは十分予想されるわけで、そうすれば、平均待機年数14年とか、小児が8%とかということが解消されるのではないかということです。移植学会と臨床腎移植学会の委員会では、いくつかのパターンのシミュレーションをした上で、どのくらい年齢配分が変わってくるかということを、臓器移植ネットワークに出していただけないかという提言をしたいという結論に達しました。
○大島班長 0.5ポイント上げるとか下げるとかという話は、今ちょっと早すぎる感じがしますので、基本的に、こういう問題についてどうだ。この点が少し考えるべきではないかというような、もう少し包括的な意見をいただいて。いま最後に提案していただいた、シミュレーションでそれを見ようではないかということ、これは非常に良いアイディアだなと私も思います。そのシミュレーションにかけるのに、こういう点はどうだ、ああいう点はどうだというご意見をいただければなと思います。
○服部班員 小児のポイントを上げていただくのはありがたいのですけれども、小児科医としては、繰り返しになりますが、16歳のところでバサッと線引きをするのはどうかなという思いがあります。16歳から20代をもう少し早く移植できるようなシステムにしていただきたいなと思います。
○大島班長 服部班員の言いたいことは、成長が止まっていて16歳でストンと切られてしまうと、それでは大変なことになってしまうというようなお話だろうと思いますので、その辺のことを、もう少し説得力のあるようなお話しをしていただきたいのです。
○服部班員 説明が悪くてすみません。小児の場合、体が大きくなることも大事ですが、社会人になるということも大事です。透析をやっている状況と腎移植をした状態は、就職状況は全く違います。16歳未満のポイントを上げるのもいいのですが、例えば16歳から20歳は10何点とか、それから若年成人にもポイントを与えてもらうようなシステムがいいのではないかと考えます。上手に言えませんけど。
○大島班長 たぶん十分に伝わったと思います。
○樋口参考人 基準について再検討する機会ということで、この作業班の会議が開かれているわけなので、そうするとさっきの平成13年の資料の「選択基準骨子」というところへ返ってくることになります。湯沢先生は、上のほうの1の(3)についても言及されましたが、私のような素人には全く意味も分からないので、そういうのは先生方にお任せするとして、わかりやすい基準は3つである、優先順位をポイント制にしているのだということを今日学びました。
 まず(1)の搬送時間ポイント、これは阻血時間との関係があって、医学的な話と、それからもう1つ地域的インセンティブという話があって、複合的なものだからなかなか難しいらしいのですが、先ほど飯野先生が質問したときに返ってきた答のように、九州では何か意味があったかもしれないということでした。ですから、そういう話の分析を(1)でする。どなたかがもうしているのかもしれませんけれども、それは一応成功しているのか、意味があったのか。あるいは、意味はあるかもしれないけれども十分ではなくて、順番を1:1:1ではなくて、もう少し劣位に置いてもいいようなものなのかという何らかの判断を専門家のところで行う必要があります。ただし専門家というので医者だけに任せるのは問題だと座長もおっしゃって、私もそうは思うのです。どういう形であれ、何かそういう分析がネットワークの人たちも含めて出てきて、だからこうですよという話になるといいような気がします。
 2つ目は、HLA適応型云々というのも、これだと本当はよく分からないのです。先ほど湯沢先生がお話されたことは、医学としては先端なのかもしれません。DNAの4桁という話がありました。素人考えなのですが、今日出た資料の現行基準で、1,300人ぐらいでいろいろなデータを集めていますが、この人たちに協力を願って、DNAの何とかというので測ってみると、それは過去の資料ですが、こういう形で行われたのだけれども、実は、こちらの細かなデータまで使うと、あるべき優先順位としては別のものであったとかいうことがわかるのかもしれません。そういう研究をしてくださって、これは有意に違うではないかということであれば再検討の必要があります。
 要するに、社会的な公正というのは絶対必要なのだけれども、この問題はどうしたってメディカル・ニーズなのです。それが結局その個人にとって有意に効果がある。これだけ待機時間を延ばされて漸く移植してもらったと言っても、1年の間に全然また駄目でというのだと、本当に残念だけれども、結局意味がないのです。メディカル・ニーズというのは、いまにも死にそうかというだけではなくて、回復可能性と言ったらいいのでしょうか、その効果がどれだけ持つかみたいな話を含めたメディカル・ニーズで判断してもらうのが本当はいちばんいいのです。そういうものであるのだよと言えば、我々患者たちも、それはしょうがない。時間として早めに登録したから当然先だという話ではないというふうに、納得してくださるのではないだろうかと思うのです。だから、(2)はそういう検証をしてくださって、もっと精密なものを出してくれるといいなと思うのです。むしろ、これが初めにあるべきだという気もするのです。
 3つ目の待機日数ポイントで難しいのは、今日聞いていても分かりましたが、何しろ、宮本さんが自分のことはなげうってああいうご発言をされた。その中で、本当にそうなのかどうか分かりませんが、日数だけで判断していると、結局みんなが長くなって、全部尻つぼみになる。登録しても、はじまらないではないかという形になる。特に若い人がこれから10何年待てという話になるというのはなかなか大変なことなのです。そうすると、これを何らかの形で補正する。全部駄目にすることはないのかもしれませんが。
 余計なことを言いますが、私が別の検討会で関係したことで救急車の搬送の順番の話があって、いままで何でやっていたかというと、待機順なのです。待機順というのは、救急車の場合は電話をかけた順番です。電話をかけた順番に救急車を出しているのです。それで実際には圧倒的多数の場合、救急車は軽傷者のほうに先にいくのです。統計を取ると軽傷者は6割ですが、そちらのほうに行ってしまって、次に重傷者が電話をかけてきたときに救急車はもうない。それで死んでいるのを見逃しているので、それはおかしいではないかということを私は強く申し上げたのです。
 順番通りというのが非常に公正のように言っていますが、絶対に公正ではない。アンフェアなのです。そういうシステムで、非常に形式的だから、そういう意味では誰も傷つかないと言うのですが、実際に傷ついている人はたくさんいるのに目に見えないのです。待機日数ポイントというのは分かりやすくていいのです。長く待った人に、お待ちくださいましたと言うのは分かるのですが、やってみた結果としてこういうデータが出てきましたというようなことを、宮本さんがおっしゃってくださったような話で、少しポイントを下げるなり何なり、改善していければいいのではなかろうかと、今日の会議で感じました。
○大島班長 ありがとうございました。ほかはいかがでしょうか。
○佐多班員 いまの問題で、待機日数が旧基準で6.76、新基準で14.27になっていますが、これの本当の理由は何なのですか。そこがいちばん大きな問題で、もう1つは子どもの問題もあると思うのですが。
○大島班長 これについて朝居さん、何かコメントできますか。
○朝居参考人 平均待機日数が延びた本当の理由ですか。以前学会で出したデータですが、「待機」と「搬送地域ポイント」と「HLA」で1:1:1を目指すということで、現基準が作られたということでしたが、実際に分析したら、1:1:0.7でした。HLAのポイントが、全体的に1:1:1がキープできていなかったということを以前学会で発表したことがあるのです。そういった意味でレシピエントのリストアップされる表を見ていると、まずは地域ポイントで上がってくる。あとは、小児以外は圧倒的に待機日数の長い人が上に来てしまうという事実がすごくあります。希にHLAのポイントが0ミスマッチ14点という人が上がってくるということもあるのですが、いまの基準だと、どうしても待機日数の長い人が圧倒的に上位に来る。そして、上位から意思確認をしますので、小児以外は待機日数の長い人が受けるというのは、現基準だと当然と言えば当然なので、この待機日数ということで結果が出ているのだと思います。
 逆に言うと、昔は6マッチ。HLAが合っていれば、待機日数が短くても上にあがってきたという事実があったので、そういった意味では、6年という短い待機期間でも、HLAが合っていれば、十分移植のチャンスがあったのが、今は、そういった意味では待っていないと出てこないというのが如実に出ています。
○宮本参考人 透析患者の推移と今のレシピエント選択基準が設定されたのとが、タイミング的にぴったり合っていると思うのです。たぶん臓器移植法制定前とか、ネットワーク設立前後の透析患者の平均年齢は今よりもかなり若い。いま0.8歳ずつぐらい高齢化していますが、もう14、15年前ですから、平均年令はもっと若かった。これはちょうど私の推移と合致するのですが、バリバリで働いているような透析患者が多く、移植を希望する方も多かったから、移植希望登録者は15,000〜6,000人あったと思うのです。そういう推移の中で選択基準が変わって、ポイント制が導入された。そういう方は、年数が経っていると透析年数もどんどん上がっているので、ちょうどこの時期、ここ3、4年ぐらいのときに、ぴったりポイント制が導入されたのと、長期透析者で移植希望者が合致して、数字的にこういう数が結果として上がってきているのではないかと思います。
○湯沢班員 待機年数6年が14年になったというのは、もう少し簡単な話だと思います。旧基準ですと、待機年数は全く関係ないのです。それは点数に入っていないわけで、ランダムに選ばれると、そのくらいだと。新しい基準では、待機年数10年までが年に1ポイントずつ上がって、10年からは少しログになって平らになるのですが、10年を目処に10ポイントになるのだと。新基準ですと他のポイント、同一県内が12点、同一ブロック内が6点とかとなります。HLAの適合度は、最高で14点。小児は、16歳未満は14点と入ってきます。14点に比べますと10点という年齢のポイントは、10年分で考えても7、8年分だと考えますと、「6年」が「14年」になるのは妥当な線ではないかと考えて間違いではないと思います。
○井原補佐 昔の基準での待機日数の意味づけというところなのですが、参考資料5の7頁以後に昔の基準を載せてあります。こちらの中で待機日数というのはHLAの適合度の次に来ております。実際としては、ドナーの方とHLAがフルマッチの方が複数いた場合は、待機日数が長い方から受けていたということになります。ドナーの年齢が成人の場合にこの基準になっております。
 そして8頁が、小児腎提供に係るレシピエント選択基準です。こちらの場合は、まずHLAの適合度。その次が待機期間の長い方。さらに、それが複数いる場合には、地域が近い方ということで、こちらの基準がむしろ今の基準に近い優先順位づけになっていて、この3つの要素を平均的に見てはどうかと。その中で地域性というのはいくつかの複合的な要素があるというお話だったと思いますが、やはり阻血時間が短いということが、移植成績に良い影響を与えるというようなご議論があって、基準が改正された、過去の議論を拝見するとそうなっているかと思います。
○湯沢班員 ちょっと言葉が不足していたのですが、古い基準ですと、HLAの適合度でいくと、実は同じポイントのところにズラッと人が並んでくる。新しい基準ですとログが加わってくるので、何点何々で結構バチッと決まるのですが、旧基準ですと、少なくとも待機日数以外はポイントが一定である、そこでズラッと並んでくるということで、ポイントの意味づけがだいぶ変わってきている。そして、結果的にはこういうことになってきているのではないかと思うのです。だから、年数としてのポイントを結構優先してポイント制に入れたということが、8年の延長につながっていると思って間違いないと思います。
○飯野班員 いままでの議論で、これを基本的にどういうふうにしていくかというようなやり方については、計算等でいろいろ出てくると思うのですが、基本的には若い人にやるのかどうか、年齢をどういうふうに判断するのかという基本的な考え方。もう1つは、トリアージとかそういうのが出てきましたが、重症者に与えるのか、あるいは期間が短い、導入すぐの人にそれを優先的に与えるのかという考え方です。移植医からすると、若い人あるいは導入すぐの人のほうが成績がいい。長期の人、重症者の移植をすると成績が悪い。しかし、それはどちらが正義なのか、どちらが平等なのかと。私自身は、若い人のほうがいいと思いますが、そういう点が2つ目。それから地域性、その3つが問題ではないかと思います。そこのところをアグリーされれば、このシステムを構築できるのではないかという気がします。
○大島班長 ありがとうございます。ほかにはいかがですか。
○樋口参考人 子どもの話なのですが、先ほど飯野先生のおっしゃったことで、16とか15とかという数字がこの世界ではすごく意味を持っているのです。臓器移植でも、15というのはすごく意味を持っているのですが、どこから出てきたのだろうということがあるわけですが、何であれ、医学的な話ではないのです。民法で遺言年齢というのがあって、15歳になると遺言が自分でできると書いてあるのです。それを引っ張ってきて何だかんだと言うのですが、本当は関係ないのです。もちろん、遺言で自分の臓器を提供したいということが書けるようになるのだからという話がなくはないのですが。
 もし、もう少し若い人に広めにというのだったら、これは小手先の話かもしれませんが、日本では普通に未成年という概念があって、誰でも知っているわけです。いまのところはまだ20歳です。16で切る必要はなくて、未成年者、子どもを優先しようという話なら、本当は、16に何の意味もないのであれば、20歳未満のところまでは行きやすいような気はしますけれども。
○大島班長 ありがとうございます。
○服部班員 僕もまったく樋口先生の意見に賛成で、例えば、フランスは18歳以下、アメリカは17歳以下と、世界的に小児の定義はバラバラです。
○樋口参考人 アメリカではそれは普通にいって成人年齢ですね。
○服部班員 先生がおっしゃるような未成年というような表現は、社会性を考慮するという面では、非常にいい言葉ではないかと思います。
○大島班長 ありがとうございました。全体のご意見としていわゆる医学的な判断というのは無視できないというレベルよりももう少し高い。基本的なところで医学的な判断というのは重視すべきだろうという点については、医療関係者だけではなくて樋口先生からも、宮本さんからもご指摘があり、この点については多分コンセンサスが得られるのではないかと思います。
 ただエビデンスがきちんとあるのかどうかがいちばん大きな問題で、朝居さんから報告されたものでHLAのミスマッチ0というのは、これはいいと言っていいのですか。HLAのミスマッチ0の移植は、これは湯沢先生いいのですか。
○湯沢班員 このデータからは言えません。
○大島班長 このデータからは言えない、全世界的にはどうか、いかがですか、分かりませんか。
○飯野班員 0ミスマッチだけはいい、アメリカでは0ミスマッチだけはよくて、他は差はなかったのです。
○湯沢班員 そうですね。
○大島班長 それは言っていいのですか。0ミスマッチはいいと。
○飯野班員 日本ではまだ、アメリカでは。
○大島班長 一応有意差はないけれども、0ミスマッチはいいことはいいと。今度のネットワークのデータでもそういう格好には一応なっていますが。日本ではそれを証明できるだけのものはまだ現実にはまだないと。
○湯沢班員 ただネットワークで一部4桁で登録されているのは、いまデータとしてあります。
○朝居参考人 レシピエントは全部DNAタイピングをやっているのであるのですが、ドナーのほうが4桁ですべて報告きているかというとそうではないので、そういった意味での照合というのはすごく難しいところがあります。
○大島班長 そこはまだ疑問のところがあると。
○朝居参考人 そうですね。もし4桁のドナー、HLAの4桁出ているドナーと、4桁レシピエントとある程度選んでできる、もしそれで差が出るのだったら、1つやってみてもいいのかとは思いますが、わかっていないので。
大島班長 その点が1つ提案事項で残りますね。DNA4桁という話はこれはいまの話とリンクしている話ですね。現実にこれから全部これでやれというふうに言ったときに、それだけの整備が簡単にできる話なのかどうかということについての、ざっとした見通し等について意見はありますか。
○湯沢班員 そんなに大変なことではないかと思います。
○大島班長 そんなに大変なことではない。
○湯沢班員 ほとんどのラボはいまDNAタイピングしていますので、それをあえて4桁を2桁に読み替えて登録しているのがほとんどです。
○大島班長 それからフローサイトメトリーついてはどうですか。フローサイトメトリーでやることによって、いったい何がよくて、何がわかっているのですか。
○湯沢班員 クロスマッチの制度が上がりますので、いままで淋巴球サイトトキシシティーテストでは検出されなかったクロスマッチ陽性が出てきて、より成績がよくなることは大いに期待できます。
○大島班長 いわゆる今までは、クロスマッチってプラスだとやってはいけないと。
○湯沢班員 それは感度が低いものでそう判断していましたが、いままでのテストだとマイナスと出ていたものがフローサイトメーターでやるとプラスに出る場合があると。それは拒絶反応なり、廃絶に至る率が明らかに高いというのはいくらでも報告されています。
○大島班長 ということは。
○湯沢班員 より成績を良くするためには、従来のクロスマッチよりは、フローサイトメーターでやったほうがいいだろうと。
○大島班長 フローサイトメトリーでやるということは、それについてはほとんどエビデンスが出ているわけですか。
○湯沢班員 はい。
○大島班長 日本だけではなくて。
○湯沢班員 国際的にも。やっている施設がまだ100%ではありませんので。
○大島班長 どのくらいですか。
○湯沢班員 関西のほうはほとんどやられていますが、東のほうはまだまだ半分ぐらいです。
○大島班長 全体としていくと4分の3ぐらいはやっていると。
○湯沢班員 例えば生体腎なんかはほとんどやっています。それは組織適合性法学会がアンケートをしまして。
○大島班長 大体の話でいいです。まだ準備段階であることは間違いないですか。
○湯沢班員 100%の施設でやっているわけではありません。
○大島班長 13年透析をやると差が出るというのは、出ている事実は一応あると。
○朝居参考人 透析13年で有意に差が出たといくつか、13年、15年といくつかその辺で区切ったときに、13年というので初めて有意差が出たので、13頁の上のグラフになります。ただこれは何が影響しているのかという分析まではまだしていないので、そういった意味では多変量解析をやったりとか、そういうのを見ていかないといけないというのは、あると思いますけれど。
○大島班長 非常にいじわるな質問になってしまいますが、宮本さんはそれでもそこで差が出るのだったら、その差を重視してポイントの中に加えたらどうだというご意見、非常に厳しいご意見。樋口先生、ここで差が出るのなら待機期間が13年、透析をやっていない人を優先させてもいいのではないかといいのでは、これは理屈としてもってきて成立するような話でしょうか。患者団体がそれでいいと言えば非常に大きな力になると思いますが。
○宮本参考人 すみません。明らかに13年を境にするということで、ポイントを区切るということですか。
○大島班長 一応13年で差が出るというところが1つあったということで、1つの例として話をさせていただきました。
○宮本参考人 だから長期透析者で移植した場合の生着率が、ここにあるように明らかに医学的にエビデンスで出てくるのであれば、それは前提として当時者も認めざるを得ないのではないかと思いますし、先ほど言い忘れましたが、服部先生が言われたように透析することで十分私自身もそれで生きているわけですから、ある意味で社会復帰ができるけれども、現実はQOLは一般と比べれば極端に下がりますし、やはり移植にはかなわないわけです。末期腎不全での治療として、人工透析はそれで長期生存が可能になったとはいえ、なんらかの合併症があったり、生活に障害を来す。就労をはじめいろいろなところで支障が出てきてQOLが下がるわけです。
 そういう意味では移植が優先、末期腎不全にはある意味第1次的に根治療法である移植が優先されるべきだと思うので、若い患者さんの移植希望が叶うような一定の基準があってもいいと思いますし、残念ながら私と同じような透析歴の方が先ほど議論されているようにポイント制になってから結構移植をされているのです。心情的にはよかったなとは言いますが、現実は透析しているよりQOLが下がっているほうが、私が知る限りは多いのです。それが今日資料を見せてもらうと現実に長期透析者の移植は医学的にも、結果的には生着率が下がっているということになれば、そうそうポイントを、長期の待機者を、言い方が難しいですが、そんなに重視することもなく、平等になだらかなポイント制にしてもいいのかと思います。
○大島班長 いま非常に重要な発言がありましたが、長期透析者の、長期待機者の移植のQOLはひょっとしたら、下がっているのではないかと、こういうデータはありますか。
○湯沢班員 客観的なデータとしてすぐといっても困りますが、たまたま実は我々の施設で去年4人の方に献腎移植をしまして、たまたま60歳以上の方ばかりだったのですが、そうするとそういう患者さんに移植して、やはり透析患者が20年前後の皆さん。そうしますと60歳を超えている方ですと、実際に移植されたからとQOLが劇的に上がるかと、そういうこともなくて実際はこれで孫とゆっくり遊べるとかとも言ますけど、劇的に社会生活が改善することもありませんし、これは患者さんを目の前にして言うのもなんなのですが、劇的に元気になったわけではないというのを、しみじみ医療者も感じていまして、若い方に移植すると劇的に元気になるのが、年配の方に移植するとたまたま腎臓、結構若い人から提供があったこともわかっていまして、有効にという言葉は悪いのでしょうが、ちょっと活かされないのかなという思いを、医療者方としては思ったということが。多少そういうことがあったことをお話をします。
○大島班長 報告ではそういう報告は聞いたことはないですか。
○湯沢班員 はい、ただもう1つ年齢を話すときに、どうしても1つ伝えておかなくてはいけないことですが、例えば西日本のほうですと70歳を目処に移植はしないとのことで、もう登録患者さんからは外されていることがほとんど、ほとんどというか、基本的には移植はされないです。ただ東のほうはそういう決まりがありませんので、実際70歳以上の方も登録が継続はされています。地域差があっておかしいのですが、この基準にも入っていないことですが、実際には70歳で西は限っていて、東は区切ってない。ちょっと爆弾発言かもしれませんが、こういうことがあっていいのかどうかということを。
○宮本参考人 違う角度から言いますと、長期透析者の方が移植に至った時には、なかなか十分な予後になっていないというのが、私が見る限りのそういう側面があるのと、もう一方の側面でいうと、やはり20年過ぎて30年前後の透析患者さんというのは、逆に透析の合併症が様々出てきて、それを克服するために根治療法たる腎移植を希望するという側面もあるということを、一言申し述べさせていただきます。
○大島班長 20年も、30年近くも待って、その間お金を払い続けて待機しているという人の気持ちを考えると、たぶんそういうのがすごく強いのだろうと思っています。しかし実際にやってみたらQOLがほとんど改善しないということであれば、いったい何なんだろういうことになり兼ねないですね。
 もうそろそろ時間ですが、今日もちろん結論が出るところではないですが、医学的な意味での問題というのは今いくつか出てきましたので、これらについてエビデンスとしてきちんと言えるかどうかということは、はっきりさせなければいけないと思います。医学的に明らかにいいということについては、これはきちんと認めようではないかという点が1つあります。待機期間については、ちょっとこれはなやましい感じがしました。全体として若い人にチャンスを与えるべきではないか、与えたほうがいいのではないかというようなご意見があったかと思いますが、これはただ若いというだけでもっていっていいのかという話になりますと、相当難しいのかなと思います。
○湯沢班員 1つ追加したいことがあります。最後のまとめのところで申し訳ないのですが、相川先生が常日頃おっしゃっていることで代弁させていただきます。小児から提供がありました臓器を小児にという思いは、なにも移植を受ける側だけの問題ではなくて、提供者側にもあります。提供される家族が自分の子供の臓器を移植するのだったら、年輩の方にといっては申し訳ないのですが、小児の方に移植していただければという思いはやはり強いのではないかと。子供の中で移植して長く生きていってほしいという思いは必ずあると思われて、それは無視できないのじゃないかということを、常に相川先生がおっしゃっていましたので、追加させていただきました。
○大島班長 どこまで申し上げたか忘れました。
○樋口参考人 待機日数が。
○大島班長 そうですね、ごめんなさい。待機日数についてどう考えていくか。若い人にという論拠を、例えば医学的意味でQOLとかあるいは透析期間13年というのが、今度のネットワークのデータから出ました。これは長くなればなるほどひょっとすると移植するときに悪いということになりますと、できるだけ短いほどいいとすれば、短いほうに多少いい点数を付けていくというような考え方というのを、そういうことを根拠として持ってくることができるのかどうかというのが1点です。QOLについてきちんとデータがあるのであれば、調べてもらうのも非常に大事なことだと思います。
 小児の問題については、15歳、16歳というところに小児ということで切る根拠というのがほとんどないと。たまたま何かの理由をつけなくてはいけないので、民法のどこからか持ってきたような理由で削ってしまったということですが、小児の実態を考えると小児に対しては、成人としてあるいは就職なども含め社会人としてきちんと自立できるように考えてみたらどうだろうかという提案があり、それを後押しする形で湯沢班員のほうから、小児の場合には単に医学的な意味だけではなく、提供する家族のほうにもそういった希望が強いのではないかという話があり、従来の基準よりは、もう少し小児に対してはプラスの方向で考えていったらどうかというようなお話がありました。
 あるいは搬送時間と阻血時間の問題については、もう少しこれをきちんと整理した上で、プラスになっているのであればそれはそれでそのプラスの部分を明らかにして、現行のいいところとまずいところを、はっきりと区別して次に生かしていったらいかがか。そういうようなご意見があったかと思います。シミュレーションはやはりやるべきではないかと。今日挙がってきたご意見を十分に踏まえた上で、どういった形でシミュレーションを進めるかですが。何かご意見があれば伺いたいと思います。時間も迫っていますので特になければ、事務局のほうで何か考えがありましたら。
○井原補佐 シミュレーションを実際にやる場合に、具体的な条件設定等が必要になってまいりますので、その点を是非、作業班の班員の中でどなたか中心となってご指導できる先生がいらっしゃればと考えています。
○大島班長 いかがですか、私がやりましょうと言う方がいれば。
○湯沢班員 移植学会と臨床腎症学会の会議では、湯沢お前やれと言われましたが。
○大島班長 なるほど。
○飯野班員 あと1つだけ、この基準で今後検討していただきたいのは、C型肝炎のドナーからの、ずっと前の会議で私が提案しましたが、責任がありますので。見直しをきちんとしないといけないのかなという気がしております。
○大島班長 はい、変えてから何年経ちましたか。あのときに一緒に変えましたか。
○朝居参考人 2002年のこの基準のときに。
○大島班長 一緒に変えましたか。
○朝居参考人 はい。
○大島班長 あれは大激論のあとで、大議論してやった話ですよね。
○飯野班員 そうですね。
○大島班長 佐多先生何かご意見は、この点。
○佐多班員 原則的には考え方はあまり変わってないのですが。ただずいぶん経ちましたので、この間生体腎移植を含めて、いろんなデータがもしありましたら、その辺のことを是非ディスカッションをして、そのデータに基づいて考えていくことを。
○大島班長 わかりました。
○湯沢班員 C型肝炎についてはネットワークの実務委員会なり、ネットワークの検査委員会のほうでも検討されておりますので、その検討も十分に入れていければと思います。
○大島班長 丁度時間になりましたが、全体を通し何かこれだけは言っておきたいことがありましたら。
○湯沢班員 すみません、シミュレーションは私がやっておくのですか。
○大島班長 基本的には参加していただきたいと思います。
○湯沢班員 はい、よろしくお願いします。
○大島班長 湯沢班員だけでいいかどうかということについては、また少し検討させていただいて、先生には入っていただくとのことでよろしくお願いしたいと思います。
 それでは長時間にわたりありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室

代表 : 03(5253)1111

内線 : 2362 ・ 2365

ホーム > 政策について > 審議会・研究会等 > 健康局が実施する検討会等 > 腎臓移植の基準等に関する作業班 > 第2回腎臓移植の基準等に関する作業班議事録

ページの先頭へ戻る