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2010年7月28日 第16回 医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会 議事録

○日時

平成22年7月28日(水)10:00~11:45


○場所

グランドアーク半蔵門 富士西の間


○議事

○橋本流通指導官
 定刻となりましたので、ただ今から第16回医療用医薬品の流通改善に関する懇談会を開催いたします。
 初めに、委員の交代がございます。団体から選出していただいております委員より、10名の交代がございます。時間の関係から、誠に恐縮ですが、お手元の懇談会名簿の配布をもちましてご紹介に代えさせていただきます。新たに委員として加わっていただきました皆様には、よろしくお願いいたします。
 次に、委員の欠席の状況でございますが、本日は、明治大学大学院の上原様、日本精神科病院協会の菅野様、全国自治体病院協議会の神原様、日本医師会の鈴木様、日本歯科医師会の中谷様から、ご欠席のご連絡をいただいております。
 次に、前回の懇談会以降に事務局の異動がございましたので、ご紹介いたします。経済課長の福本浩樹、首席流通指導官、日下田敏彦。
 ここで、福本経済課長より一言ご挨拶申し上げます。

○福本経済課長
 この1月から厚生労働省医政局経済課長をしております福本でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、皆様方には、本日はご多忙の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 医薬品の流通でございますけれども、本懇談会で平成19年度に緊急提言をおまとめいただきました。それに基づいて20年度、それから21年度、各般の取組が行われてきたと承知いたしております。本日の懇談会では、まずこの2年にわたる取組の状況を総括して、議論、それから評価をしていただきますとともに、本年は2年ごとの薬価改定の年でございますので、この4月には薬価改定がございました。この20年度、それから21年度の2年の取組を踏まえて、本日はさらに加えて、今後取り組むべき方向を議論、そして整理していただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○橋本流通指導官
 なお、医政局長でございますが、本日は公務により欠席させていただきますことをご了承ください。
 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。座席図、懇談会名簿、議事次第、資料1、医薬品の流通改善について、資料2、卸と製薬メーカーの流通改善への取組状況について、資料3、医療用医薬品における情報化進捗状況調査について、資料4、医薬品のコード表示の現状、問題点・対応の方向について。それぞれお手元に配布しておりますので、ご確認ください。
 それでは、以降の議事進行につきましては、嶋口座長にお願いいたしたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

○嶋口座長
 嶋口でございます。久々の流通改善懇談会でございますが、早速これから本日の議題に入りたいと思います。
 本日は、先ほどの議事次第のご説明にもございましたように、大きな意味で2つ。1つは、流通改善の取組状況についてということで、これについては、まず事務局からご説明していただきまして、次に各流通当事者、メーカーさんと卸さんの立場でご報告をいただいて、今後の課題等についてもご説明いただいて、そしてその後でユーザーサイドを含めて皆様からのご意見をちょうだいすることにしたいと思っております。2つ目の議題は、医療用医薬品における情報化進捗状況調査等について、やはり事務局からご説明していただきまして、その後、委員の皆様方からご意見をいただくことにしたいと思います。
 では早速でございますが、最初の議題である医薬品の流通改善について、事務局のほうからご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○日下田首席流通指導官
 首席流通指導官の日下田でございます。私からは、資料1を使いましてご説明させていただきます。
 医薬品の流通改善ということで、19年にこの懇談会におきまして緊急提言をおまとめいただいたところでございますが、緊急提言以前の医薬品流通の問題、また提言後、提言を踏まえました流通がどのようになっているかというところをご説明させていただきたいと思います。
 まず、概ね1年ぶりの開催ということでございますので、おさらいということで、医薬品流通の問題点についてまとめてみたものが、1つ目の資料でございます。メーカーと卸、いわゆる川上の問題と、卸と医療機関・薬局、いわゆる川下の問題に分けて整理させていただいております。
 川上では、仕切価が高い。川下では、納入価と仕切価がひっくり返っている。それを埋める意味合いから、割戻し・アローアンスが大きいものとなっていた。ひっくり返っているものを埋める機能を持たせていた。次に、仕切価等の提示時期が遅いと言われていました。アローアンスの提示が期末にもなると、卸が提示する納入価水準が決め切れず、価格交渉が遅くなるという状態になっていた。また、総価取引がされていた。このほうが利益管理が確実であるということでございました。しかし、薬価調査の観点からしますと、総価取引というのは個々の品目の価格を正確にとらえているのか。また、価格が決まっていないというのは、全体をとらえるのかという問題提起がされたという状況であったというところでございます。
 次の資料でございます。そこで、これらの問題をどう改善するかということで、19年9月に当懇談会におきまして、緊急提言として改善の方向性を整理していただいたというところでございます。全体を端的に言いますと、問題として取り上げられたものを逆の方向に向けていくということでございます。
 川上について言いますと、仕切価や割戻し・アローアンス基準は速やかに提示すること、割戻し・アローアンスから仕切価に振り替えられるものは振り替え、適正な仕切価水準を設定すること、割戻し・アローアンスの整理・縮小や基準を明確にすることの取組により、一次売差マイナス改善、割戻し・アローアンスの拡大傾向の改善を行うということが、川上での改善の方向ということでございます。
 次に川下ということにつきましては、経済合理性のある価格設定が言われておりまして、コストには差があるということや、価格交渉で粘れば安くなるということではなく、説明ができる価格設定が必要であること、価値と価格を反映した取引ということで、単品単価での取引、難しければ総価除外の取引ということ、さらには長期とは6カ月として、未妥結仮納入の解消、総価取引の解消を方向としたというところであります。
 次の資料でございます。次に、この提言に沿いまして、各流通当事者の取組の結果が実際にどのようになったかということを整理させていただいたものです。まず納入価の妥結率を整理したものでございまして、全体の妥結率を緊急提言前と後の平成18年度と20年度を比較したものでございます。青い菱形の線が平成18年度で、赤の正方形の線が平成20年度、1年目の7月から2年目の10月、9月というところの推移を示したものでございます。結果でございますが、赤い線が青い線の上に常にあるということになっておりまして、縦軸が妥結率でありますので、妥結率が高いということであります。18年度に比べまして20年度のほうが早期に妥結が行われたということが見てとれます。また、薬価改定6カ月後、10月ですが、妥結率を見ますと、18年度が5割、20年度が7割と、改善に向かっているということが言えるということでございます。
 次の資料は、少しポイントを絞って、医療機関、薬局別の薬価改定1年目の6カ月後、次の資料が2年目の6カ月後の妥結率を比較したものでございます。まず薬価改定1年目の6カ月後、10月の妥結率を比較したものを棒グラフであらわしたものでございます。青の左側が18年10月、赤の右が20年10月でございまして、病院、薬局のいずれの機関も改善傾向は顕著なものがあります。特にチェーン薬局は、14.4%が68.9%と大幅に改善されているというところでございます。
 次が、薬価改定2年目の6ヶ月後、10月の妥結率を比較したグラフでございます。これも、青の左が19年10月、赤の右が21年9月でございます。これは2年目ということで、いずれも、先ほどの1年目の妥結率と比べますと、比較的高い率を示しているということでございます。改善傾向という点では、病院、200床以上というところが頑張っていただいているというところですが、まだ全体としては低い率を示しているというところでございます。
 次の資料は、20年度薬価改定後の妥結率の推移を機関別にグラフにしたものでございます。横軸の左からの2番目のところでございますが、薬価改定6カ月後、20年9月の妥結率を見てみますと、全体としては7割となっております。妥結率の推移を見てみますと、1年目は、年度末の3月に向けまして100%に近づいていき、2年目は、1年目の結果を反映し、比較的高い妥結率で推移しているというところでございます。改善状況を見てみますと、黄色い線になりますが、チェーン薬局が改善しているというところでございます。青い線の病院、特に赤い線の200床以上の病院の妥結率は、改善傾向にはあるものの、常に最も低い状態が続いているという状況にあります。
 続きまして、医療機関別の納入価の妥結率の資料でございます。これは、医療機関の設置主体別に、妥結率の推移を表にしたものでございます。20年9月、20年12月、21年3月の妥結率を並べたものでございます。国立病院機構は、入札を実施しているということから、半年後の9月には概ね100%となっておりますが、例えば済生会、労働者健康福祉機構、日赤、厚生連など、全国に病院がある公的な病院の妥結状況は長期の未妥結の状態になっているということがうかがえるかと思います。
 続きまして、総価取引の資料でございます。これは、日本医薬品卸業連合会にまとめていただいたもので、大手5社の売上高による加重平均によるものでございます。200床以上の病院と調剤薬局チェーンの薬価改定2年度目の19年度と21年度を比較したもので、ご覧のとおり、広い意味で言えば改善傾向に向かっているということが言えるかと思います。
 幾つかポイントを挙げますと、青い部分であります単品単価契約につきまして、200床以上の病院が36.2から52へ、調剤薬局チェーンは1から27へと、双方とも増加しており、病院につきましては、先ほど申し上げましたが、5割を超えているという状況でございます。また、調剤薬局チェーンを見ますと、緑の部分であります全品総価の一律値引というのがほとんどなくなり、緑の19年度60から21年度1.3、それが紫の部分の全品総価除外ありへ移行しているというものと見られます。改善傾向にあると言えますが、除外設定の妥当性がどうかという観点から見ますと、除外されるべきものが除外されているのか、提言でも除外されるべきものが例示されておりますので、その中身には注意する必要があると思われます。
 次に、仕切価・割戻し・アローアンス、納入価について18年度と20年度を比較したもので、これにつきましては昨年の流改懇では総括が留保されたところのものでございます。それで、これは今回メーカー25社、卸20社からヒアリングした結果を整理したものでございます。
 まず仕切価であります。メーカーに全品目を対象に対薬価で仕切価水準を聞いた結果でございまして、加重平均値が1.3%上がったというところから2.9%下がったというところまであり、その多くは1%程度下げたというところであります。
 次に、割戻し・アローアンスについてでございますが、これも対薬価で水準は0.7%上がったところから2.1%下がったところまでございまして、これも1%縮小したというところが多かったということであります。全体的に最終原価を見てみますと、仕切価が1%下がり、割戻し・アローアンスが1%縮小したと、それぞれ相殺し合って、ほぼ同等の水準なっているといった認識でございます。
 次に納入価は、平均2%程度下がっているということでございまして、一次売差がマイナス1%からマイナス2%にマイナスのまま拡大している。最終原価が同等でありますので、納入価水準が維持できれば売差が拡大することはありませんでしたが、最終原価と納入価の差が卸の粗利という構造からしますと、最終原価が同様にあって売差が拡大したということは、卸自らが利益を削って、納入価が下がったということが考えられます。
 最後に、薬価と納入価の差というものが薬価差ということでございます。6.9%から8.4%と1.5%拡大しております。納入価の水準が下がっていけば、薬価差が拡大していく。公的保険制度の観点から、薬価差の拡大は好ましい状態ではないということから、留意して取り組んでいく必要があると考えております。
 最後に、今回の医薬品の流通改善の全体の評価という資料ございます。まず川上の問題では、仕切価等の提示時期は妥当な時期になり、割戻し・アローアンスの一部は仕切価に振り替えもあり、仕切価も低下しているものの、一次売差はマイナスのまま拡大している。川下の問題では、経済合理性とは言っているが、実際の取引では十分に反映されていない。大規模病院やチェーン薬局では、総価取引が多く、除外設定にあっては一層の工夫の余地がある。妥結時期は全体としては早まっているが、全国規模の公的病院では長期未妥結の状態が続いている。薬価差も広がってしまった。
 以上のことから、昨年留保しました一次売差マイナスの改善についての評価も含めまして、全体の評価としては、昨年の表現と同様ではありますが、一定の改善は見られているが、道半ばということで整理させていただきました。
 いずれにいたしましても、3つの課題、1つ目長期にわたる未妥結仮納入の改善、2つ目、総価取引の改善、3つ目一次売差マイナス、割戻し・アローアンスの拡大傾向の改善についての取組につきまして、一つの課題だけを改善するような取組を進めますと、一方で逆に悪化するという課題が出ることも考えられますので、3つの課題それぞれバランスをとった取組が望まれるものと考えております。
 なお、参考資料としまして、昨年流改懇後の国の取組や、改流通当事者に対するヒアリングの結果概要、価格の妥結状況調査結果概要などを添付しておりますので、後ほどご参照いただければと思います。
 私からの説明は以上でございます。

○嶋口座長
 どうもありがとうございました。非常に分かりやすく説明していただきましたので、理解が進んだと思います。
 それでは続きまして、今ご説明いただきました流通改善の取組状況について、今度は卸とメーカーのサイドから、それぞれお立場がありますでしょうから、その立場から総括された資料をご提出いただいておりますので、それについて早速これからご説明いただきたいと思います。
 まず、この中間流通の代表である卸連のほうからご提出いただきました資料は資料2でございますが、早速これについて松谷委員からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○松谷委員
 日本医薬品卸業連合会の副会長をしております松谷でございますけれども、21年度における卸の取組についてご説明をさせていただきます。
 最初に、未妥結仮納入の解消についてというテーマに対しては、妥結率自体は、薬価改定2年目の妥結率と比較すると、平成19年10月が79.6%であったものが、平成21年9月末では82.9%でございます。ちなみに、平成20年の9月末が70.9%ということでございます。
 これについて説明申し上げますと、薬価改定の2年目は、薬価水準に変化がないことから、価格交渉は比較的順調でありました。なお、平成21年度の価格交渉が年度内に妥結せず、3月末日を超えて価格が未妥結の病院・薬局数は全国で22件、そのうち病院が21件、薬局が1件で、薬価改定1年目の平成20年度のときに報告しました67件に対して大きく減少いたしました。未妥結の病院では、大学病院、公立病院、公的病院が比較的その中で多いということでございます。
 それから、総価取引の是正につきましては、これは前回の報告のときは、主要卸5社の平均値でやったのですけれども、今度は加重平均値に修正をしてありますので、1年前に報告したものとは少し数字が違いますけれども、傾向としては加重平均にしたほうが事実に近いと思いましたので、そういう集計にさせていただきました。
 薬価改定2年目の平成19年度と21年度を比較すると、単品単価契約の増加及び全品総価契約の低下を確認することができました。なお、平成20年度と21年度を比較すると、逆行ないし横ばいの印象を受けますが、これは、平成20年度の数値が4月から12月までで、この時点の妥結率は81.6%でしたので、そういう違いが出ております。この21年度の平均値は、22年3月末日の妥結率が98%なので、数字としては妥当だと思っております。すなわち、翌年1月以降まで価格妥結時期が延びた取引は、薬価差益の水準に取引当事者が歩み寄れない開きがあるために膠着状態になったケースが多く、その取引形態は総価取引である場合が多い。それで、平成21年度は、これらのケースを包含するため、総価取引の割合が平成20年度よりも多少多くなっているというのが事実でございます。
 3番目に、売差マイナスの改善について申し上げます。緊急提言では、割戻し・アローアンスのうち、可能なものは仕切価に反映するよう見直すこととされておりました。しかし、割戻しプラスアローアンスの引き下げ分の仕切価への反映が部分的であったため、最終原価率が前年よりも上昇いたしました。他方、未妥結仮納入の解消を図るため、早期妥結を推進した結果、市場価格は大きく低下いたしました。先ほどありましたように、6.9%の税込み薬価差が、8.4%にまで広がりました。この結果、前年度マイナス2.69%であった売買差益の改善はマイナス2.04%にとどまり、営業利益率は、販売費及び一般管理費を圧縮したにもかかわらず過去最悪の0.29%に転落いたしました。なお、平均乖離率は拡大し、先ほど言いましたように、8.4%となってしまいました。
 今後の取組方針等について、流通改善の本年度の取組につきましては、本年度は2年に1回の薬価改定が行われ、新たな薬価水準のもとで流通改善第2ラウンドを迎えます。緊急提言後の平成20年度薬価改定を踏まえた流通改善第1ラウンドの取組については、昨年の本懇談会において一定の評価をいただいたものの、「道半ば」とされました。また、本年4月に試行導入された新薬価制度は、価値に見合った市場価格が形成されなければその目的を達成することはできないと考えております。すなわち、緊急提言実現の取組と今度の新薬価制度というのは表裏一体の関係にあると、卸は認識しております。医薬品卸業は、このような認識に基づき、流通改善懇談会の緊急提言の実現に最大限の努力を傾注することとしております。本年5月25日に行われました我々卸連の総会決議として、別添にしてありますけれども、流通改善第2ラウンドについて、新薬価制度の理解の下に、より積極的に取り組んでいくという決議をいたしました。ついては、流通改善懇談会において、単品単価取引の拡充、総価取引の場合は最低購入量の明示をぜひしていただきたい。それから、未妥結仮納入の解消、売差マイナス是正の取組が前進するための効果的な方策を検討していただきたいし、我々も検討していきます。併せて、国においては流通関係者に対しての新薬価制度の意義についての一層の啓蒙活動をお願いいたします。
 なお、1の?Bで述べたように、平成20年度において、医薬品卸企業は、早期妥結を強く志向したため価格交渉力が相対的に低下し、史上最悪の決算結果となり、企業成績と早期妥結はトレードオフの関係にあるという声も出ております。未妥結仮納入改善の取組の進展に影響することが懸念されます。ついては、前回の流通改善懇談会における「早期妥結のインセンティブ」は傾聴すべきご意見であるので、検討を深めることが必要であると考えております。流通改善懇談会の委員の方々のご意見をお伺いしたいと思っております。
 それから、これは別のテーマでありますけれども、2番目に、流通コードのバーコード表示についてお願いいたします。流通改善の取組の一つに、流通コードのバーコード表示の普及が挙げられております。品質不良等の理由により回収を要する医療用医薬品のトレーサビリティーを確保するためには、流通コードとして商品コード・有効期限・製造番号(一般にロット番号と言われているもの)のバーコード表示が重要であります。しかし、厚生労働省の通知で、バーコードによる表示は、生物由来・特定生物由来製品のみが必須表示とされ、その他の製品は任意表示とされています。生物由来・特定生物由来製品は、全製品の2%弱であるため、卸企業のIT化投資の効果は薄いと考えております。現状では、不良品の回収作業は、卸が納入先の医療機関等に出向き、目視により製品を確認している状況であります。効率的な不良品の回収等を図るためには、卸企業のIT化を促進し、迅速な遡及調査を可能にするトレーサビリティーの充実が必要であると考えております。ついては、流通改善懇談会においても、流通コードのバーコード表示の促進について、議論をぜひお願いしたいと思います。
 次に、今現在の商品コードの任意と必須のことでありますけれども、ここの一番下にちょっと注目していただきたいんですけれども、体外診断薬については商品コード及び有効期限、製造番号は全部必須表示となっているのに、医薬品はまだ任意だということをご承知おき願いたいと思います。
 以上でございます。

○嶋口座長
 松谷委員、ありがとうございました。特に後半のバーコードの問題については、後のほうでちょっとまた議論したいと思いますが、いずれにしても、現在の卸連のほうから見た流通改善の緊急提言後の状況をお話しいただきました。
 次に、製薬協のほうからご提出いただいております資料が資料2にございますが、加茂谷委員から早速ご説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○加茂谷委員
 製薬協流通適正化委員会の加茂谷でございます。メーカー委員を代表いたしまして、流通改善に関するこの2年間の取組につきまして、資料に基づきご報告を申し上げたいと思います。
 既にご存じのとおり、19年9月の緊急提言で、メーカー並びに卸様との取引における留意事項として4点、課題が掲げられているところでございます。お手元の資料の(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)になります。この4点の項目ごとにメーカーの取組についてご紹介、ご報告を申し上げたいと思います。
 (ア)「医療機関/薬局の信頼を得るための取組」ということにつきましては、従前よりメーカーと卸様との取引においては、きちんとした取引基本契約書に基づいた契約を交わしておりますし、透明なものであったと認識しているところでございます。また、19年9月の緊急提言を通知されて以降、これをトリガーといたしまして、様々な機会を通じてその考え方も周知してきておりますし、各社、それを真摯に受け止め、この2年間も対応してきたという認識を持っているところでございます。
 (イ)「仕切価等の速やかな提示等」ということにつきまして、先ほどの経済課からの報告にもありましたように、過去にはこれが随分遅かったといった議論もあったわけでございますが、本年4月の薬価の改定に先立つ薬価の官報告示が3月5日にあったわけでございますが、仕切価につきましては、その告示後概ね3日以内の範囲内で卸売業者様に仕切価を各社とも提示したものと認識しているところでございます。また、割戻し・アローアンスの提示につきましても、薬価内示後、聞き及ぶところでは、3月中にはその概略を提示するとともに、割戻し・アローアンスの内容について卸様と話合いを行ったと認識しているところでございます。結果といたしまして、卸様から医療機関あるいは薬局への早期の価格提示並びに価格交渉につながっているものと推察しているところでございます。
 (ウ)「適正な仕切価水準の設定」ということについてですが、仕切価そのものにつきましては、各社の企業秘密に属するようなものでございますので、個別に業界団体として把握しているものではございませんけれども、聞き及ぶところ、割戻し・アローアンスのうち、一次仕切価に反映可能なものについては、各社一次仕切価に反映させたものと認識しておりますし、市場環境等の変化に伴って、各社において改めて製品構成あるいは製品価値等を勘案した仕切価、新しい薬価に対応する仕切価を設定し、卸様に説明、話合いに努めたと認識しているところでございます。
 (エ)「割戻し・アローアンスの整理・縮小と基準の明確化」というコラムにつきましても、これも仕切価と同様に、個別具体的には把握しているものではございませんけれども、各社とも見直しを行いまして、緊急提言にも求められておりました高率なアローアンスについてはできるだけ整理・縮小するとともに、仕切価修正的なアローアンスについては割戻しや一次仕切価に反映させたものと認識しているところでございます。
 先ほど事務局の報告にもございました、事務局報告の9ページにあります仕切価・割戻し・アローアンスの図式、平均して仕切価1%ダウン、割戻し・アローアンス1%縮小という数値につきまして、個別企業間に差はあろうとは思いますけれども、メーカーとしてこの概要につきましては大きな違和感を抱いているところではございません。内容としてはこういうものかなという認識を持っているところでございます。
 今後の流通改善に対する取組でございますけれども、私どもの立場といたしましては、緊急提言の趣旨を踏まえ、メーカーとして流通改善に対してこの2年間真摯に取り組んできたところでありますけれども、先ほどの事務局の報告にございますところの「一定の改善は見られているが、道半ば」といったご指摘もあるところから、メーカーとしては、引き続き卸様との取引における透明性を確保するとともに、卸様の主体性を尊重し、話合い等の場、コミュニケーションを通じて、医療用薬品の取引における一層の透明性の確保に努めていきたいと思っているところでございます。
 メーカーの立場からは、より一層、医療関係者に対して個々の医薬品の製品価値を説明することによって、総価取引、一山幾らという購入方法ではない、個別医薬品ごとの特性を生かした価格交渉をぜひお願いしたいということで、側面からサポートをしていきたいと思っているところでございます。
 以上でございます。

○嶋口座長
 加茂谷さん、ありがとうございました。
 緊急提言後のほぼ2年間にわたっての流通改善の実態について、事務局、卸連、それからメーカーサイドからご説明いただいたわけでございますが、早速これからこのテーマについてフリーディスカッションをお願いしたいと思います。どなたでも結構でございますが、委員の先生方からご意見がございましたら、どうぞお願いいたします。もちろん感想でも構いませんが、いかがでございましょうか。
 もしないようでしたら、ユーザー側の委員の先生方からまだ何もご発言がないので、もしユーザーサイドからご発言いただければと思います。大変僭越ではございますけれども、私のほうから指名させていただいてよろしゅうございますでしょうか。
 まず、日本保険薬局協会の三津原委員から、感想あるいはご意見等ございましたらお願いしたいと思うんですが、よろしくお願いします。

○三津原委員
 メーカーさんのほうのご説明がありまして、お話をちょっと聞いて感想を申し上げたいと思っております。メーカーさんとしては、仕切価マイナスといったものに取り組んでいるというご発言がありました。確かにそれは個々のメーカーさんの秘密事項も当然あるのだろうということで、製薬協なら製薬協で、本当の実態というのは把握しておられるのだろうかと聞いてみたいなと思っているんでしょうけれども、どうでしょうか。

○嶋口座長
 いかがでございましょうか。

○加茂谷委員
 先ほどもお話しさせていただきましたように、各社の仕切価設定に関しては、環境あるいはその製品における社内の位置づけ等がございまして、企業秘密と認識しておりますので、製薬協として各社の仕切価、この品目についてはどの仕切価で設定していますかといった把握調査ということは一切行っておりません。

○三津原委員
 そうすると、個々のメーカーさんから卸さんに提示されるわけですね。卸連としては、では当然のことながら知っているわけですね。どうでしょうか。

○嶋口座長
 松谷さん、お願いします。

○松谷委員
 仕切価につきましては、我々卸連としては調査しておりますので、それで分かっておりますけれども、今年の分で言うと、来年の8月ぐらいにならないと細かいところまでは分かりませんけれども、年次傾向というのは全部とらえております。そのときの仕切価及び割戻し・アローアンスについてもそれなりに調査をしておりますけれども、実際に、先ほどのお話にあったように、個々のメーカーさんの個々の商品について我々が調べたものをそのまま発表するというわけにはいかないので、基本的には幾つかのくくりにして発表している部分がありますけれども、そういうものは傾向的にはつかまえております。

○嶋口座長
 三津原さん、これでよろしゅうございますでしょうか。実態的には、仕切価のところは卸さんにとっては今相当厳しくなっているということですが、個々については、ちょっとここの場では難しいけれども、平均的、全体的には仕切価は卸さんのほうが、先ほどの営業利益が大分低下してしまったというところで、厳しい状況にあるということではないかと思いますが。

○三津原委員
 卸さんとメーカーさんとの間の話ですから、エンドユーザーとしては、どうでもいいと言えばどうでもいいことなのですけれども、毎回いろいろなことを聞いて、売差マイナスというのは変ではないか、変だろうなということはだれが見ても分かるんです。そういった各社の秘密事項があるということ、また卸連としても発表できないということもお伺いすると、結局ブラックボックスへ入ってしまって、そこから議論が前へ進まないのだろうと。ずっとそういうことを繰り返しているということで、幾らやってもこの話は前へ進まないのだろうという気がするんですけれども、どんなものでしょうか。

○嶋口座長
 これについては、もちろんブラックボックス的な部分も相当あるのですが、いろいろな複雑な問題が絡み合っておりますので、そこのところをこれからこの流通改善懇談会の中でいろいろ議論していこうというところもあるのですけれども、おっしゃることは非常に理解できる部分があると思います。ありがとうございました。
 それでは、日本私立医科大学協会の小山委員のほうから、やはりユーザーサイドということでご意見をいただければと思います。

○小山委員
 ありがとうございます。まず松谷委員にちょっとご質問ですけれども、先ほど4月未妥結のところで大学病院が多いというご発言があったのですけれども、21病院のうち、大学病院が未妥結というのはそんなにいっぱいあるのですか。ほとんどが大学病院みたいな言い方をされたので、ちょっと気になったのですけれども。

○松谷委員
 大学病院さんは2件でございます。

○小山委員
 では、多くないですよね。22病院のうちの2件ですよね。

○松谷委員
 ただ、金額が非常に大きいのです。

○小山委員
 それともう一つ松谷委員にお聞きしたいのですけれども、このご発表の中の早期妥結のインセンティブをという話ですけれども、具体的にはどのようなことをお考えでしょうか。

○嶋口座長
 松谷委員、お願いいたします。

○松谷委員
 前回の流通改善懇談会で小山先生からも、早く決めるということに対してインセンティブがなければ、早く決めるということにはなかなかいかないと。また、一部の先生方の話をお伺いしていますと、遅く決めたことによってペナルティーがあるのならまだ一生懸命考えるけれども、ペナルティーのない中では最後の最後まで粘るのが自分たち購入者側の態度だということもお伺いしておりますし、その意味ではごもっともだと思うんですけれども、それがずっとそのまま容認されますと、いつまでたってもこのことは解決しないので、長期未妥結というのは一応6カ月だと流改懇で決まった以上は、6カ月以内で決まったものについて、何らかのインセンティブはないか。それから、それ以上に超えたものに対しては、何らかのペナルティーがないか。これを卸側がどうのこうのではなくて、公平な立場でこういうものを見る方を含めての検討でないと、私どもにはこうしてくださいという具体的な提案が今あるわけではないんですけれども、実際に価格交渉しているときに医療機関さんや皆さんから言われる中で言えば、ある意味でごもっともだと思いますので、そういう検討をぜひこの流通当事者が全部集まって、また学術経験者にも入っていただいているので、こういう中で検討していただけたらなと。自分らの手前みそのようなことを言って、それが通るわけはないと思いますので、そういう意味で全体が納得していただけるような研究をぜひしていただきたいなということでございます。

○小山委員
 今おっしゃったとおり、後からやれば、後からやるほうが有利だという形態というんですか、そういう商習慣をつくってしまったことが結局こういう結果を招いているわけですから、まずそこのところを卸の方々に正していただくことが第一だと思うんです。早く妥結すれば早く妥結するほど有利なんだといったことがない限り、これは、病院の今の経営状況はご存じのように非常に逼迫しておりますので、今回のプラス改定で少し息がつけるところまでいけるかどうか分かりませんけれども、幾らかいいですけれども、そういった意味ではここの占める割合は非常に大きいわけです。ですので、まず一つは、こちら側サイドとすれば、後から妥結したほうが有利になるような妥結をしないように努力していただきたいということです。もう一つは、具体的な話をすると、例えば100錠買うのと1,000錠買うのでは、値段は当然違うと思うのです。この辺に対する最後のほうの公明正大なインセンティブというのですか、これだけ量を使ったからといった形だとすると、インセンティブの一つになるのかなと思うんです。その場合に、そのご褒美的なものが早く妥結していれば満額戻るけれども、遅ければ遅いほどそれが少し減量するとかという形だとすると、かなり公明正大にいろいろなことができるかなという感じはしているんですけれども、いかがでしょうか。

○松谷委員
 包装単位とか、いろいろなことについてはごもっともだと思うのですけれども、実際に卸連で100錠と500錠と価格の1錠当たりの違いをどれぐらいあるかということを調べてみると、パーセンテージにすると、最初に調べたときには4.7%ぐらいだったんですけれども、現在は調整幅2%になったので、だんだん大包装と小包装との差が少なくなりまして、2%ぐらいあるかないか、またほとんどないような製品もあるということなのですけれども、総価取引ですと、100錠であろうが500錠であろうが何でも一緒になってしまって、そうなると、細かいものをたくさん頼まれるのと、まとめてということでいうと、包装間格差が総価ではできづらいということもあります。それからもう一つは、早期に決めるということは、また早期に他の製品と価格を比較できる。決めていないのにほかのものと比較することはなかなかできない。新薬が年に4回も発売されたり、年に2回ジェネリックが発売されるという意味で言えば、私は、早期妥結しているほうが、品目間の競争とか、いろいろな意味で競争原理は働くのではないかと思っております。2年も価格を決めないと、新たな競合関係の商品比較というのはなかなかしづらいのではないか。実際に単品単価でやっていらっしゃる医療機関さんというのは、そういうことを非常に頻繁に、しょっちゅうそういう製品ごとの見積もり比較をされて、その時期その時期の競争原理が働いているように私は理解しておりますけれども。

○小山委員
 恐らくその辺にちょっと差があって、単品単価は非常に時間がかかるし、労力が非常に必要だといったところでそういう話になってくるかと思うのですけれども、そのようなメリットがあるのだとすれば、それはぜひ各医療機関にお話しをして、なるべく半年以内の妥結を促すように努力していきたいと思います。
 それからもう一つ、メーカーのほうの加茂谷さんにお聞きしたいのですけれども、こんな質問をしていいのかどうか、駄目だったらちょっとバツにしておいていただきたいんですけれども、メーカーと卸の間は、単品なんですか。

○松谷委員
 すべて単品毎の仕切価です。

○小山委員
 メーカーと卸の間は全部単品で、単品ごとの仕切価でやるのですね。

○松谷委員
 はい。

○小山委員
 ありがとうございました。

○嶋口座長
 よろしゅうございますか。
 加茂谷さんもいいですか。

○加茂谷委員
 他社の事例は分かりかねますけれども、弊社の場合は、品目数で二百何十品目扱っておりますけれども、個別に一品一品、かつその包装単位ごとに、仕切価をそれぞれ設定して、卸様に提示させていただいております。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 基本的には、総価というのは、いわゆる川下と言われる卸さんとユーザー側のほうの問題、ここが課題だということでしょうね。
 インセンティブの問題、これはなかなか微妙な問題でございますが、先ほど卸連の松谷さんのほうからお話がございましたように、どうも卸業の業績のほうと早期妥結のほうがトレードオフの関係にあるようなご発言もございましたけれども、これはさらにいろいろ議論を深めていかないと、なかなか方向が見出せないかな。例えばインセンティブといっても、いわゆるよいところに与えるのか、それともディスインセンティブというか、逆インセンティブになっている部分をどうするのかとか、そういうことを含めて、それから金銭的なインセンティブなのか、それとも非金銭的なのか。いわゆる非金銭的なインセンティブだったら、早期妥結のよいところを公表するとかということもありますけれども、金銭的なインセンティブになりますと、一体だれがだれに対してどういう負担をするのかとか、国がそれをやるべきかとか、そういう問題がたくさん複雑に絡み合ってくると思いますので、ぜひこの辺りについてはまたこの流通改善懇談会の中で議論を深めていけたらいいなと思っております。
 どうも、小山委員、ありがとうございました。
 それでは、もうお一方、日本医療法人協会の関委員から一言お願いいたします。

○関委員
 関でございます。
 まず、基本的な流通の在り方というか、仕組の中で、例えば、メーカーから卸、そして医療機関という形で薬が来るのですが、では卸の役割というのは何なのだろうかということ。要するに、そこに中間的に卸が介在することによって当然価格は上がるわけですが、それはいわゆるコストオンという形で、ある一定のコストをかけているのかどうか。当然、メーカーと卸との力関係の中で仕切価は違いますし。というのも、私どもが新しい薬剤が発売されたり、それを購入するときに、何社かの卸に価格を提示させるわけですが、これは当然違うんです。そうすると、我々の側がそれを想像すると、あるメーカーと卸の力関係はこうなんだなというのはある程度垣間見ることができるわけです。そういう中で、最終的に我々のところで、いわゆる薬価差益というものがどんどん減ってきている現状はあるわけです。それで、その仕組みをつくるのにこういう会議があるのかなとも思うんですが、そういう中で、我々使う立場から言いますと、実は薬価差益の中に含まれるものが幾つかあると思うのです。一つは、デッドストックの問題というのがあって、当然医療機関ですから、多種類のまれにしか使わない薬剤も含めて購入しているわけです。これはもちろん返品できないのが原則ですので、そうするとデッドストックというものが当然生じているということ。それから、薬剤を置いておくことによるコストもかかっているということ。それから、現状の医療費の仕組みからいうと、薬剤師のいわゆる給料分というんですか、これはほとんどないんです。調剤料という非常に安いものぐらいしかなくて、そういったことを考えますと、その辺りがむしろ薬剤師のいわゆる給料分をもっと担保する医療保険制度にならないと、この辺も改定がないと、恐らく透明な仕組みというのはできてこないのではないかと感じています。
 先ほどのコストオンということをちょっとお聞きしたいんですが、これはほぼ決まっているんですか。例えば卸は何%と。その辺はいかがなんでしょうか。

○松谷委員
 卸の製品別のマージン体系というのは、それぞれのメーカーさんで売りたい、売ってほしいと言っている製品のほうが卸にとってはマージンがあるような設定になっておりますから、そういう製品については、どちらかというと先生方にお願いするときも、そういうものを頭に入れて価格を言っておりますし、同時に局方品とかエッセンシャルドラッグみたいなものについては、ほとんど薬価差のないストレートな形で我々に入ってきますので、これも引けと言われると、なかなか引きづらいといった関係にございます。
 それから、マージンという意味で言えば、卸は今、ここにも書いておきましたけれども、7%ちょっとが平均的なグロスマージン率でございますので、これは、加重平均値一定幅方式の薬価制度ができる前は、卸の平均のマージン率というのは大体12%あったんですけれども、その後5%ぐらい下がっている。それから、経費も10%かかっていたものが今は6%台にしているということで、そういう意味では、私ども卸としてはスリムにしないと、とてもではないけれども利益が出ないという体系になっていて、今回のように一気に、税込みですけれども、1.5%薬価差が開くということになりますと、その分は卸にとっては一番大きく影響するということでございます。

○関委員
 そこで、要するに卸はなくてもいいのではないかという議論も当然出てくるわけですね。そうすると、では卸の役割は何かと。私どもに来られる営業の方は、様々な情報を提供するのは卸がやるんだとか、いろいろな仕掛けをつくって、役割を変えてきているという印象もあるんですが、卸の役割ということはどうなのでしょうか。医薬品の流通に関わる卸の役割。卸はなくてもいいのではないかという、メーカーと直接取引してもいいのではないかという部分があるんですが、そこはいかがなのでしょうか。

○松谷委員
 私が全部言うというのはあれかもしれませんけれども、医療用医薬品というのは非常に種類が多いということ、それから大量に一度に納めるということではなくて、医療用医薬品は患者があって必要なときに必要なだけ届けられるということ、そういう意味では保管、医療機関のバックヤード的な役割は一般の商品よりも非常に高いということがあるし、配送頻度も非常に高い。そういうものがきちんと対応できるということ。また、日本の医薬品卸というのは、今、日本の状況というのは諸外国と一番違うのは、完全分業でないために、医療機関、診療所、歯科医師、それから調剤薬局も含めて、約20万件のユーザーがあって、そこに対して商品を届けるだけではなくて、先ほどもちょっと申し上げたけれども、不良品が出たり、いろいろなものが出たら、それを回収してくるといった、動脈の役割と静脈の役割、毛細血管的なことをやっているというのは、これは世界のいろいろな医療用医薬品の流通の中では、私は日本はその部分では一番進んでいるのではないかということと、その中に諸外国では今非常に問題になっているにせ薬だとか、第三者パーティーがやっているような商品が紛れ込むといったことが、日本は一番少ないというか、皆無に近いというのも、医療機関と卸との信頼関係、また卸に対してのメーカーの信頼関係がなせるわざではないかと理解しております。

○関委員
 そうしますと、例えば国立病院機構あるいは厚生連とか、そういう全国に展開する、機関の一括購入を一つの窓口で交渉しておられるところは、そういうところが一つの流通のセンターみたいなものをつくって卸の役割をやるということも多分可能になってくるのじゃないかと思うのです。そういう流れが一方でできているのじゃないかということが考えられます。我々のような民間の病院はなかなかそういうことはできないのです。例えば医療法人協会も、薬剤を一括購入して、そして分配するような仕組みというのは当然考えたこともあったのですけれども、やはりそれはうまくいかなかったのです。しかし、それができる機構ができているのじゃないかと思います。現実に国立病院機構などは、仄聞するところ、今回の医療費の改定の中で出てきたいわゆる新薬の割り戻しの制限のようなものは適用されていないのだと聞いているのです。いわゆるジェネリックと新薬との関係の中で、新薬についてのある割り戻しの制限のように読める新しい診療報酬改定があったのですけれども、それは国立病院機構のような大きなといいますか、そういうところにはどうも実質的に適用されていないと聞いています。その辺りで、将来にかけてそういう問題が出てくるのじゃないかと思うのですが、それはいかがなのでしょうか。

○松谷委員
 国立病院機構さんのことについては、そこへ一括で納めて国立病院機構さん自体が物流しているわけではなくて、取引自体は150幾つの施設へ全部今までどおりの卸が行って、細かい受注をその都度やっていますので、実際の価格交渉が本部になっているというだけで、我々が負担している物流コストというのは今までと変わらずに、また逆に言うと、過去ですと、非常に親しい地域の卸さんと取引していたのが、違う卸が行くようになったり、一時は非常に混乱もいたしました。そういう意味では、本当の購入機構がそれを全部買い取って自分の傘下のところに配るといった共同購入というのは、基本的に今はまだ日本ではありませんし、それだけ細かい物流をすること自体は、卸の今申し上げたような経費率では私はやれないのではないかと、多くのお得意さんがあるから我々はそれだけのコストでやれるということですから、そのように思っています。
 それから、国立病院機構さんの今度の新薬のことについてという意味では、あちら様も今度はカテゴリー別に、ジェネリックとか、創出加算になった部分とか、こういうものについてはそれなりの考えでおやりになっているので、全然適用していないとか、こういうことではないと理解いたしております。

○嶋口座長
 どうもありがとうございました。この議論は、非常に本質的な問題でもあり、非常に時間がかかる問題でもあるような気もします。これを研究会でやっていると延々とやれるんですけれども、この会では時間がありません。そこでちょっと総括的な意味で、今、関委員から非常に大きな、卸の役割とでもいうのでしょうか、そういうお話をいただきましたので、メーカーの立場からみた卸の役割というのを一言述べていただいて、それから学会のほうの代表的な立場から三村委員のほうからそれについて一言いただければいいなと思っています。まずメーカーの立場で、加茂谷さん、いかがでしょうか。

○加茂谷委員
 今お話しいただきました流通経費を削減するために、こういう表現がいいのかどうか判りませんが、卸様を中抜きして、直接メーカーと医療機関で交渉して、あるいはディストリビュートを例えばクロネコヤマトさんのようなところにお願いしたらいいのではないかといったお話かと思うのですけれども、メーカーの立場で言えば、結論から申し上げますと、現行の医療用医薬品の流通をお願いしております卸様にそのディストリビュート、物流機能、さらには金融機能とか、診療所様あるいは薬局様に関しては販売促進機能、こういったものも兼ね備えた今の日本の医薬品卸様にゆだねざるを得ないといいましょうか、そこはもう全幅の信頼を置いて今お願いしているというところかと思います。クロネコヤマトという単に物を運ぶというだけであれば、そちらのほうが確かに経費としては削減も可能かとは思いますけれども、全国の20万件近いユーザー様に対して適時的確に配送していただき、さらに麻薬とか毒物・劇薬のような特殊な医薬品にもきちんと対応していただけるという観点から言えば、先ほど松谷会長からもお話がございましたけれども、日本の医薬品流通というのは世界に冠たるものだとメーカーの立場でも評価し、全幅の信頼を置いているということであります。
 以上です。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 三村委員のほうから一言いただけますか。

○三村委員
 卸の役割ですが、基本的にはこれだけ多様な商品があり、かついわゆる緊急配送あるいは緊急時に様々な形ですぐに安全にかつ安定的に商品を届けなければいけないという状況にありますので、基本的には卸の持っている毛細管的な商流と物流ネットワークは非常に重要であると思っております。ですから、インフラとしての面がありますので、それが目に見えないコストを負担しているというところについては、基本的に評価すべきだと思っております。

○嶋口座長
 それでは、この議論はここまでにしたいと思いますが、小山委員、何かございますか。

○小山委員
 卸の役割というのは僕も非常に重要だと思いますし、これは日本独自の非常にいいシステムだと思うので、これはぜひ今までどおり頑張っていただきたいのですけれども、ただ、卸以外の流通ルートがないというのも少し異常かなと思います。そういった意味で、今ヤマトの話が出ましたけれども、例えば後発品に関してはもうダイレクトに行くんだとか、そのように、絶対にこっちでなければ駄目だというのではなくて、直接の取引のほうがいいようなものも出てきていますので、そこのところのすみ分けというのをやっていったほうがいいと思うのです。何でもかんでも全部卸にというところから、少し時代が変わってきて、直接の流通ルートというのもあってもいいのではないかと思いますので、卸は卸で非常に大事だと思いますし、これは守っていくべきだと思うのですけれども、と同時に、いつまでもそこに固着するのではなくて、その次の発展形としてはダイレクトというものがあるのだということは認識すべきではないかなと思います。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 では、もうお一方、お願いいたします。

○森委員
 一言だけ薬局の立場から。卸の役割ですけれども、薬局はご存じのように、採用薬を自分のところで決められるわけではありません。通常、処方されてから薬を手配することになります。また、最近、非常に多くの医療機関から多くの薬が出る中で、今、毛細血管型の流通網という話をされましたけれども、卸のほうで非常にきめ細かな対応、そして急配等にも対応をしていただいています。また、医薬品は、物だけではなくて、情報というものも必要になって、適宜情報もいただいている中で、薬局としては、卸の役割が非常に重要だと思います。現状では、卸がなければ、国民に必要な医薬品がきちんと供給できないのではないかと思っております。
 以上です。

○嶋口座長 
 どうもありがとうございました。
 今日はそういう一番基本的なところの議論が少しできたのは大変よいのかなと思います。基本的には、卸の機能と卸の形態というのは違いますので、機能は重要だけれども、その卸機能を担う具体的な形態が今の卸業さんがいいのか、別の形態がいいのか、これはまた議論があると思うのです。しかし、公的な商品を扱っている流通の担い手としての日本の医薬品卸業というのは、非常によく頑張っていますが、同時に自由競争の中ですから、新しい形態がどんどん出てくれば、そこでまた新しい競争が出て、よりよい卸形態がそれに取ってかわる可能性は幾らでもあり得るわけですから、そういう視点から考えればいいのかなという感じがいたします。
 それでは、ここまで、基本的に緊急提言を受けた後の平成20年、21年のその実態がどうなっているかというご報告、それに関する議論をいただいたわけですが、ちょっとこの辺りの総括で、三村先生のほうから何か一言いただければありがたいと思います。

○三村委員
 早期妥結を課題にしたというのは、一番見えやすいし、ある意味で一番取り組みやすいからというところがあったのだろうと思います。そうしますと、それがここまで来たということは、それについての基本的な評価というのは出してもいいし、妥結が後れているところは、それなりの理由があるのだということも見えてきましたので、その意味で一定の評価ということでいいと思います。ただ、先ほど何度かご指摘がありましたように、それが結果として、例えば薬価差の拡大に結びつくといった形になっていたり、あるいはどこか取引にひずみが生じているということでありましたら、それは決して持続的な改善に結びつけることはできません。次の段階では、価値と価格との間の整合性という話へときちんと議論を振り向けていくということが重要だと思っております。ですから、先ほどから何度かご指摘がありましたとおり、例えば新薬創出加算的な品目のとらえ方とか、ジェネリックのとらえ方、あるいは長期収載品のとらえ方とか、様々なジャンルの性格をきちんと踏まえながら、それに合った価格設定で価格交渉をしていくという考え方がもう少し浸透していくことで、流通改善の方向性が見えてくるのではないかと思っております。一応、一定の評価ということなんですが、まだそういう意味からするともう一つ大きなハードルがあるかなという感じがしております。
 それから、先ほど小山先生がおっしゃったことですが、私は非常に重要な指摘をしていただいていると思っております。だから、早く妥結するほうが得だということを見せていくためには、きちんとした価値と価格の整合性を明確に示しながらその辺りを少し整理していくという方向があればと思います。

○嶋口座長
 どうもありがとうございました。
 これまでのご説明や議論からある程度確認できる点ですが、多くのメーカーさん、それから卸さん、ユーザーの方々がそれぞれ、かなり積極的にこの流通改善に取り組んでいただいた結果、一応未妥結仮納入や総価取引の是正に向けての大きな前進が見られたと感じております。そういう意味で関係者の皆様方のご尽力には本当に敬意を表したいと思います。
 ところが、一方で道半ばという言葉がございましたが、まだ改善が十分でないところや、さらに改善を進めるべき議題がいろいろ今日は浮かび上がってきたような感じがいたします。ただ、流通当事者としてここにご参加の委員の先生方には、本日の議論を踏まえて、それぞれのお立場でこの22年度は、緊急提言を受けて取り組んだ20年、21年の取組の実績を後退させることなく、むしろさらに前進させるように、流通改善に向けた取組をぜひお願いしたいと思っております。
 それから、厚生労働省におかれましても、改善状況について、ぜひ定期的なフォローアップを行うとともに、今後とも課題解決のために力を尽くしていただければありがたいなと思っております。
 ということで、一応第1部のほうのその後の流通改善の取組についてのテーマはここまでにいたしまして、次の議題に入りたいと思います。
 次の議題は、医療用医薬品における情報化進捗状況調査について、資料3と4が準備されておりますので、早速、資料3と4のご説明を事務局よりお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○矢作流通指導官
 それでは、医療用医薬品にかかるバーコード表示につきまして、表示状況調査結果のご報告と、先ほど松谷委員よりご説明のございました卸連資料においてバーコード表示促進の要望がございましたけれども、表示促進に向けての問題点と対応の方向性について、資料3、4に基づきご説明いたします。
 医療用医薬品のバーコード表示につきましては、平成18年9月に厚生労働省医薬食品局安全対策課から通知された実施要項に基づいて、各メーカーによる取組が進められているところでございます。
 まず、資料3に基づき、医療用医薬品における情報化進捗状況調査結果についてご説明いたします。この調査は、メーカーのバーコード表示状況と、それを扱う卸のバーコード活用状況について調査したものでございます。調査は、平成20年度に第1回の調査を実施し、その結果につきましては、前回、昨年の流改懇にご報告しております。今回は、前回調査から約1年後の昨年9月末時点の状況調査結果のご報告となります。
 なお、この調査結果につきましては厚生労働省のホームページでも公表しております。
 初めに、メーカーへの調査結果についてご説明いたします。資料3の2ページ目の表をご覧ください。表が3段になっておりますけれども、これは安全対策課通知に基づく、調剤包装、販売包装、元梱包装それぞれの包装単位における医薬品の種類ごとに、横軸のJANコードの取得、MEDIS-DCデータベースへの登録及びバーコードの表示についての対応割合を表しております。表の右側の新バーコード表示割合の区分の中で、網かけをしている箇所と、していない箇所がございますけれども、網かけをしていない白地の箇所が、通知において必須表示としている項目、網かけをしているグレーの箇所が、任意表示としている項目となります。したがって、ご覧のとおり、有効期限と製造番号までバーコード表示を必須表示としているのは、調剤包装単位では特定生物由来製品のみで、ほかと若干異なりますが、基本的には特定生物由来製品を含む生物由来製品のみが、有効期限と製造番号までのバーコード表示を必須表示としております。また、括弧書きが前年調査結果の数値となっております。
 時間の関係から、バーコード表示状況についてのみご説明いたします。全体の傾向としては、必須表示である白地の部分は、どの包装単位においても概ね90%以上となっており、前年調査からおよそ20%程度増え、必須表示項目については確実にバーコード表示が進んでいるということがこの調査結果から伺えます。一方で、グレーの任意表示の部分については、どの包装単位においても、概ね1けたから20%程度と、前年と比べてもほぼ横ばいという調査結果になっております。
 次に、卸におけるバーコード活用状況の調査結果についてご説明いたします。4ページ目の表をご覧ください。卸の調査結果については、メーカーが有効期限やロット番号も表示した新バーコード表示製品について、各卸における利用状況を確認した調査となります。現在、有効期限やロット番号を必須表示としているのは、先ほど申しましたとおり、特定生物由来製品を含む生物由来製品だけですので、これら製品に表示されている新バーコードを卸において利用しているかどうかという調査となります。
 調査結果表1-1、卸の物流センターでの利用状況についてでございますが、販売包装、元梱包装とも、30%程度が既に新バーコードを利用しているとしております。前年が10%程度ですので、前年と比べ20%程度増えたことになっておりますが、それでも30%程度ですので、利用率としては低い数値となっております。ただ、右側の表1-2の上段に記載があるように、現在は新バーコードを利用していないとした卸のうち、80%程度は新バーコードの利用を準備中としている結果となっております。
 以下、表2-1、支店・営業所の状況や、表3の新バーコード対応のバーコードリーダーの保有状況等を調査しておりますが、傾向としては、前年調査時よりは利用は進んでいるけれども、それでもまだ利用率としては20%程度という結果が出ております。
 これら全体から見た傾向につきましては、通知でバーコードを必須表示とされた項目については、メーカーによる対応が着実に進んでいますが、一方で任意表示とされた有効期限やロット番号といういわゆる可変情報の項目については、10%前後と1年前の調査時と比べて変化がないという状況結果となっております。一方で卸におけるロット番号・有効期限までを含むバーコードの利用状況は、徐々に対応が進んではいるものの、概ね10~30%程度と依然として低い利用状況となっております。
 卸の調査結果については、新バーコード、いわゆる有効期限とロット番号までも含んだ表示は、特定生物由来製品を含む生物由来製品のみが現在必須化されているということから、先ほどの卸連資料にて説明がありましたように、表示対象がこのように限定されているため、設備投資と効果の観点から導入に踏み切れないという状況を表しているようにも思われる結果となっております。
 続きまして、これらの状況を踏まえ、卸連資料において要望のございました、現在任意表示とされている有効期限・ロット番号の表示を進める場合に、どのような問題点があり、どのような対応が必要かを整理したものが、資料4となります。この資料は、経済課において、実際にメーカー、卸、医療機関を訪問し、確認した内容をまとめたものとなります。
 まず、実際の流通現場では、バーコード表示された製品が主に卸や医療機関でどのように利用されているかを整理したものが、1の現状に記載した表になります。上から2つ目の販売包装単位で見ますと、メーカーでは、通知に基づき、商品コードのみバーコード表示しており、ロット番号・有効期限は、バーコードにはありませんけれども、文字により表示されております。これを真ん中の卸ではどのように利用しているかですが、元梱包装単位でも同じですけれども、入荷から出荷まで、いわゆる物が動くたびに、商品入荷時にメーカーからJD-NETというEDIシステムを利用して提供されたロット番号や有効期限と同じものかどうか、間違いがないか、医薬品の安全性確保の観点等から、出荷までのあらゆる工程において、目視により確認照合作業を実施しています。その際、当然ながら、バーコードで商品をスキャンしても情報は商品コードしか得られませんので、ロット番号・有効期限の確認作業は、箱に記載された内容と目視による照合作業が必要となってしまいます。
 一方で、販売包装単位の2つ下の生物由来製品等については、既にメーカーにおいてロット番号・有効期限も含めた情報がバーコードにより表示されておりますので、卸は製品にバーコードをスキャンすれば、機械的に確認作業ができる。したがって、目視に比べ、効率化はもちろんのこと、確認の精度も確保できております。
 このほか、先ほどの卸連資料にてご説明もございましたけれども、一番下の段の不良医薬品等の回収時において、医療機関等に出向き、目視による製品確認や手作業による伝票作業等が必要であるため、確認の精度の弊害などが卸において発生している状況が見られております。
 これに対し、一番右の医療機関等においてですけれども、ロット番号・有効期限までの情報は、現在バーコード表示されている特定生物由来製品を含む生物由来製品については、薬事法において記録及び保存義務が課されていることなどから活用されておりますけれども、それ以外の製品においては、例えば内服薬をだれにどのロット番号・有効期限のものを使用したか、そこまでの情報をシステムで運用しているような医療機関は現状としてはまだ少ないという状況です。
 これらの現状を踏まえまして、裏側になりますけれども、2、改善の方向と問題点についてでございます。まず包装単位で考えた場合、1つ目の○ですが、調剤包装単位にロット番号・有効期限をバーコード表示することについては、先ほどご説明いたしましたとおり、活用の場である医療機関等では、現状としてはまだここまでの情報を管理・運用するまでには至っていない。また、ここには表示についての技術的な問題も一方でありますので、それらの状況を踏まえますと、直ちにというよりは、次のステップで考えるべき区分だと思われます。
 2つ目の○でございますけれども、直面しておりますのは、元梱包装と販売包装におけるロット番号・有効期限のバーコード表示ですけれども、これらが行われれば、現在卸が行っている目視による確認作業や手作業による入力行為がなくなるということから、ヒューマンエラーの発生を防ぐとともに、機械的な確認作業によって流通の品質管理や安全管理の徹底が図られるという効果が得られることになります。
 しかしながら、効果を得られる一方で、下の表にあるような問題点も存在いたします。一番大きいのはコストの問題でございまして、表示を行うメーカーにおいては、バーコードを印字するための機械や工場拡張など、相当程度のコストの発生が伴うことになる模様でございます。これは、現在表示されている商品コードとは、商品を識別するだけのコードですので、いわば固定情報であるため、一般的には、予めパッケージに印刷しておけば、印刷費用は要するが、新たな設備投資は発生しないということになりますが、ロット番号・有効期限を表示するとなると、これらは可変情報であるため、一般的には、製造工程における包装ラインにおいてマーキングする必要がございます。したがって、包装ラインごとにバーコードを印字する機械の設置が必要となることから、印字機の設置費用はもちろんのこと、工場のスペースの状況によっては工場拡張も必要とため、相当程度のコストを要することが想定されます。
 また、印字の際は、印字の精度を確保するためには、印字時に一旦製品を停止させて印字する必要があるため、生産効率も現行の2分の1から3分の1程度に落ちるという懸念もございます。
 一方、卸においても、新バーコードをスキャンできるバーコードリーダーに切り替える必要がありますので、コストの発生もありますが、メーカーに比べればコスト負担は少なく、またこれにより目視や手入力がなくなるなど、効率化とともに安全性の向上も図られるため、卸が担う流通過程におけるメリットは非常に大きいと思われます。
 これらを総合的に見た上で、3の対応の方向性についてですが、ロット番号・有効期限が表示されていないがゆえに、現在卸が行っている目視による確認や手入力による作業は、いわばメーカーの出荷誤りのチェックまたはメーカーからの回収依頼に伴い実施しているものでありますので、これらの業務がロット番号・有効期限表示によりシステム的に対応できるようになれば、流通の品質管理や安全管理が徹底されることになるため、メーカー自体の安心・安全に対する取組が評価されるなど、メーカーにとってもメリットが得られるものと考えられます。
 したがって、結論としては、メーカーと卸の間で、改善のためのそれぞれのコストやメリットなどについて、双方で共通認識を形成することが重要でありますので、まずは共通認識を形成することが必要で、その上で対応の方向を見きわめるべきではないかと考えております。
 バーコードに係る説明については以上でございます。

○嶋口座長
 どうもありがとうございました。
 ちょっと確認ですが、これは、メーカーさんと卸さんをベースにして調査をかけた、その結果と今後の課題と認識してよろしゅうございますか。

○矢作流通指導官
 資料3につきましては、メーカーと卸への調査の結果でございます。資料4につきましては、経済課として、製薬メーカー、卸売企業、医療機関を訪問して確認した内容をまとめたものになります。

○嶋口座長
 分かりました。確認したかったのは、医療機関のほうも少し考慮に入れた上でやっている提言だと、そのように理解してよろしいわけですね。

○矢作流通指導官
 資料4につきましては、そのようになっております。

○嶋口座長
 分かりました。ありがとうございました。
 このバーコードについては、先ほど卸連の立場から松谷委員より既に、ぜひ流改懇の中でもこの改善の在り方を検討していただきたいというご意見がございましたが、ではそれはまた改めて後半のほうでと私のほうから言いましたので、松谷委員から何か一言、この結果についてコメントがございましたら、お願いしたいと思います。その後、メーカーの立場でちょっとコメントして、それからユーザーサイドからと、そのようにお聞きしていきたいと思います。ではお願いいたします。

○松谷委員
 厚労省さんの調査の結果を見て、まだ利用率が少ないということ自体は、全部に付番されていないので少ないということなのですけれども、今一番重要だと思っていますのは、患者の安全性とか、流通自体が効率的であると同時に高度でなければいけない。その意味では、新医薬品産業ビジョンの中でも、IT化の問題を進めるということがきちんと書いてあるわけでありますし、病院さんや薬局さんに対する医薬品の業務手順書というのが平成19年4月1日に出たのですけれども、その中では、製品を受け取るときに必ずロット番号と有効期限をチェックするようにということが書いてあるわけです。それは箱を見れば分かるわけですけれども、同時に伝票に一気通貫でこういうものが印字されていれば、それで確認するということで、より精度が上がる。片一方でそういう管理を進めるようにと厚労省自身も勧めているにもかかわらず、ここだけがまだ任意であるということと、非常に費用がかかるとか、いろいろなことはありますけれども、私は先ほどもちょっと言いましたけれども、体外診断薬で全部それが必須になっているのに、何で医療用医薬品について必須にならないのかなというのが、私は特に疑問に思っております。

○嶋口座長
 これは、海外の医薬品の流通の場合について、卸連のほうで何か調査したことはございますか。その情報はないですか。

○長谷川委員
 ありません。

○嶋口座長
 では結構でございます。分かりました。今のところはかなり目視で確認している部分が相当多いというご指摘を先ほどいただきました。ただ、問題は、だれがどうコストを負担するのか。この辺りはなかなか微妙な問題で、卸さんもこれを全部、また別の費用が発生するという今の厳しい中で大変だと。だから、国かメーカーさんがやってくれないかという話もあるでしょう。しかし、それは国もなかなかできないし、メーカーさんもいろいろな事情があるような感じもしますけれども、全体としては進めていかざるを得ないような方向だと思います。
 メーカーさんのお立場から、この調査結果と提言を見て、ご意見はございますでしょうか。お願いします。

○禰宜委員
 製薬協の禰宜でございます。メーカーといたしましては、あくまで現在の患者さんのメリットを最大化するということで、調剤包装単位までの対応を前提といたしまして、卸売業者のみならず医療機関や患者まで効率的かつ経済的に活用できるようにということで、上位団体の日薬連のプロジェクトの中で一応検討しているというのが、現状でございます。ただ今お話がございましたように、販売包装単位への変動情報表示につきましては、卸連のほうからありましたようなメリットについては我々としても十二分に理解しているところでございますけれども、ちょっとここにもコメントが出ておりますように、製造工程への投資の問題とか、あるいはまだ印字の精度の問題あるいは工程速度の問題というところもありまして、今現在、各製薬企業の判断にゆだねているといった現状があります。だから、日薬連のプロジェクトとの連携をとりながら、これからこういう課題を卸さんとしっかりと打ち合わせをさせていただきながら、改善に向けた形で検討していきたいと考えております。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 では、ほかの委員の方々、とりわけユーザーサイドのほうのご意見がございましたらお願いしたいのですが、いかがでしょうか。では、小山委員、お願いします。

○小山委員
 結局今、資料4のところに書いてあるけれども、医療機関等では余り使っていないということなのですけれども、これをやるためにはそれなりの投資が必要なわけです。ところが、これはほんのわずかな特定生物由来製品にしか使えないとなると、投資はしないと思うのです。これがもし全部バーコードでもってやっていただければ、病院側とすれば非常に管理は楽になるのです。商品名に関してはもうデジタル化されたものを持っているわけです。だから、本当は有効期限とロット番号というのがデジタル化数字でポンと入るシステムができれば、これはすごく使うと思うのです。ですので、松谷委員がおっしゃったように、まだ任意のところが任意でないということになって全部ついてくれば、ユーザー側とすればこれを使わない手はないと思いますので、商品管理の面でも絶対よろしいですので、つけていただければ、我々はそれなりの投資を使うという準備はあると思っております。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 そのほかに何かございますか。お願いします。

○三津原委員
 薬局でもこれは使えると思うのです。バーコードリーダーを買って自分のコンピューターへ結びつければ、管理は至って楽なのです。そういった面では、つけていただければ非常にありがたいと思います。
 それともう一つは、意外なことを言うかもしれませんけれども、私どもは、大量の処方せんを受けますと、それをコンピューターに打ち込むわけです。そうすると、打ち込みミスというのが出てまいります。レセプト請求を間違ったり、いろいろなことが出てくるのですけれども、これは人間のやることですから、どうしても出てくるのです。バーコードには当然のことながら投資というのが必要になってきますから、やるのであるならば、積極的にやりたいところです。そうすると、処方せんそのものにもバーコードをつけてもらうと、非常に処理コストが安くなってくるんです。薬局のほうの処理コストが安くなってくる。オペレーターが要らなくなってしまうということにもつながって、やるのだったら、そういうところまで拡大して使えるようになると、大変ありがたいと、むしろ積極的にやることになるのだろうという気がします。
 以上です。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 何かもう大いにやるべきだという意見しかないような感じがしますけれども、関連したところで、こういう課題があるとか、この辺りをちょっと克服しないとか、そういうご意見がございましたら、どうぞご意見をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。はい。

○禰宜委員
 今、医療側のほうからご意見をちょうだいしたわけでございますけれども、今は販売包装単位での話が中心だったと思うんですが、いわゆる調剤包装単位というところについてはどのようにお考えでしょうか。

○三津原委員
 相当コストがかかるんじゃないかと思うんです、そこまでやるということになると。そこまではどうかなという気はしますけれども。

○嶋口座長
 それについてはよろしゅうございますか。何か。

○禰宜委員
 先ほど申しましたように、プロジェクトの中では、調剤包装単位まで可能かどうかといった実装実験等もやって、非常にハードルも高いとは思っているんですけれども、そのような検討をしておりましたので、ちょっとご意見をと思いました。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 そのほかにございますか。特にこのコードの問題につきまして、いかがでございましょうか。よろしゅうございますか。
 ありがとうございました。それでは、医薬品のコード表示の問題につきましては、まず第一には、どうしても製薬メーカーさんと卸さんとの間で改善のための共通認識をつくっていただくことが必要であると、事務局からも報告がございました。この方向で製薬メーカーさんと卸さんが改善のための話合いの場をぜひ持っていただいて、お互いが有益となるような方向に進んでいくことが望ましいという印象を持っております。その間にはまだいろいろ課題があると思いますが、どうも方向としてはもう今やこのコード化というのは必須の課題ではないかなという感じがいたしますので、ぜひお願いしたいと思います。
 それから、ユーザーサイドのほうも、これはなかなか難しいんですが、時にはメーカーさんと卸さんのほうでつくられたコードを実際の医療現場の中ではまたつくり直さなければいけないとか、ちょっと別のものを考えなければいけないというふぐあいが出ることもひょっとしたら課題としてあるかもしれないわけで、その辺りをトータルでどうやってコード化を考えるかという視点ももう一方で必要なのかなという感じがいたします。そういうことを含めまして、今後ともこの流通改善懇談会の中でぜひこの問題をフォローしていきたいと思いますし、よい形をつくれたらいいなと感じております。いろいろ貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、本日の懇談会は、一応2つの中心問題があったのですが、この辺りでそろそろ終了したいと思いますが、今後のスケジュール等について事務局のほうからご説明をお願いしたいと思います。

○橋本流通指導官
 次回の予定については、現時点では未定でございます。必要に応じ、日程調整をした上で開催させていただきたいと思っております。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 何か一言、言っておきたいという委員の先生方からのご意見等ございましたら、この機会でございますので。あるいは、ちょっと私は自分に直接関わらなかったのでというご意見があるかもしれませんが。では、佐藤委員。

○佐藤委員
 日本病院薬剤師会の立場として、先ほど、本来の診療報酬の区分の話なのですが、薬剤師のフィーという問題が関委員から出ましたので、ちょっと簡単にご説明したいと思います。
 我々病院薬剤師は大体5万人ぐらいいるのですが、今の診療報酬は平成20年のデータで約1,500億円ぐらいです。医薬分業の進展で2000年をピークにして200億円ぐらいフィーが減っているということですので、関委員のような病院経営者側からすると、本来は、本質的に薬剤師のフィーを薬価差で取るということは少しおかしいかなということはあるのですが、現実にはそういうプレッシャーというのは病院経営者および薬剤師双方にかかってきているのではないかというのが1点です。
 あと、先ほど三村委員とか小山委員の発言にもありましたように、我々の所属する国立大学病院は国立病院と同様、早目に妥結して大量の医薬品を購入すると、本当はそれなりのインセンティブが必要だということに対して、薬剤師からディスインセンティブに対する不満が出てきているということが、病院経営者側からも出て来ていることです。今回の主張では余り出ていませんが、国立大学病院としても妥結率がどうも昨今低くなってきているというのを、私どもは非常に懸念することがあります。そういうものをしっかりやっていただくことにより、例えば、今回試行される新薬創出加算はいろいろな面で未承認薬対策を含めて我々としては非常に押し進めたいところです。しかし2,000~3,000品目ある単品契約というものの手間が非常に大変だということになると、その辺のコスト管理というのはバーコードを含めていろいろやっていてもきついので、その辺のフィーを何らかの形で診療報酬以外に、薬価差などのこういう部分で対応しなくてはいけないというのが現実にございます。そうすると、ディスインセンティブの部分が拡大されてしまうということは、我々には非常に不本意な形で未妥結が増えてくるのではないかということがありますので、ぜひその辺も何か新しい企画を考えていただければと思います。
 以上です。

○嶋口座長
 本当に貴重なご意見、どうもありがとうございました。
 ほかにございますか。江口さん。

○江口委員
 ジェネリック医薬品販社協会の江口でございます。
 未妥結の問題、なぜ価格が決定しないかと、この辺の基本的な問題を解決すべきではないかと思うんですが、先ほどからのお話の中で、結局、最終的にメーカーさんが決めているのか、問屋さんが決めているのかという問題。確かに公定価格の中での自由経済みたいな格好での商売をしていますので、いろいろなものがあるとは思うんです。現在、いろいろな医療機関または薬局チェーンなどで、問屋を通さずに直接メーカーさんと価格交渉をせよ、そのほうが安くなるのではないかという声が強いわけです。ところが、現実においては、先ほどからのお話のように、我々卸業といいますか、問屋の仕事そのものは重要な仕事をしていると自負いたしております。その中で価格が一番重要かもしれませんので、その中で一つお尋ねしたいのは、メーカーさんのMRさん、それから我々卸のほうのMSという格好での営業の仕事があるわけです。お尋ねしたいのは、MRというのは、発足した当時は、学術的な情報の提供だというもので、価格に対しては関知しないといった仕事だと私は理解していたわけでございますけれども、現在は、メーカーさんのMRが大手さんなどのいろいろなユーザーのところでの決定をされているケースがあるようにお見受けするわけです。この辺が複雑に絡んできて、私もこの会には何回かここずっと出席させていただいていますけれども、一番隠れたところではないかなと。この問題をきちんとしない限り、いつまでたってもこの結論は出ないのではないかなと。MRは価格決定に対しては一切口を出さないというぐらいの姿勢、また卸さんにゆだねるといったものがあってしかるべきではないかと思うわけでございます。その辺はなかなか難しいかもしれませんけれども、総価山買いにしても未妥結にしても何にしても、根本にあるような気がいたします。
 以上でございます。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 江口委員は、ジェネリックの立場は、比較的その辺りは経済合理的にやっているということで、新薬のほうではかなりそこが不透明な部分があるのではないかというご指摘を受けたわけでございますが、この問題は、長年いろいろ議論もありますけれども、ぜひまたこの流改懇の中でいろいろ考えていく……。では。

○加茂谷委員
 今、江口委員からお話がありました点で、ちょっと誤解が生じたまま終わってしまうのはいかがかと思います。基本的にMR、メーカーのMRにつきましては、価格に関しては一切タッチしていないという前提でございます。我々の立場で言いますと、独占禁止法上の再販拘束になるおそれもあるということで、各社MRとも、医薬品の価格決定には関与することがないようにということで、注意に注意を重ねて慎重な行動をしていると理解しておりますので、今の江口委員の、いかにもMRが価格に関与しているような発言については、もし本当にそういう事実があるとすれば、独占禁止法違反という非常に厳しいペナルティーもございますので、我々としては、MRが価格に関与しているという事実はないということをあえて発言させていただきます。

○嶋口座長
 同じでございますね。

○禰宜委員
 はい、そうでございます。

○嶋口座長
 ということで、江口委員、これについてまた議論していきますと、延々と……。

○江口委員
 分かりました。この問題は、なかなか難しい現場の問題、いろいろなものが加味されますので、今おっしゃったとおりだと思うんです、大きな意味では。しかし、なぜ妥結しないかと、その原因の一つにも、今おっしゃいましたけれども、何かがあるのではないかなといった気持ちを持っておりますので、これまで言いますと問題が大変大きくなりますので、一応現場ではそういうものを私どもは持っているということだけでもお考えいただければと思います。

○嶋口座長
 ありがとうございました。
 それでは、そろそろ時間もまいりましたので、ちょっと早いのですが、今回はこれにて閉会したいと思います。大変お暑い中、積極的にご参加いただきまして、ありがとうございました。ぜひすばらしい日本の医薬品の流通の在り方を今後とも考えていきたいと思います。また、事務局のほうもこれからもよろしくお願いしたいと思います。
 では、以上で閉会でございます。どうもありがとうございました。
(了)


(了)
<照会先>

医政局経済課 矢作、橋本
03-5253-1111(2536)

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