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2010年5月28日 第13回がん対策推進協議会議事録

○議事

第13回がん対策推進協議会議事録

 日  時:平成22年5月28(金)13:00~16:25
 場  所:ホテルはあといん乃木坂 B1F フルール
 出席委員:垣添会長、天野会長代理、荒生委員、江口委員、嘉山委員、川越委員、
      郷内委員、永池委員、中沢委員、野田委員、埴岡委員、檜山委員、保坂委員、
      本田委員、前川委員、南委員、三好委員、門田委員、安岡委員

○鈴木がん対策推進室長
 ただ今より第13回がん対策推進協議会を開催いたします。
 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがと
うございます。
 事務局の、がん対策推進室長の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
 初めに、本日の委員の出欠状況でございますが、中川委員がご都合によりご欠席とのご
連絡を受けております。
 また、門田委員、川越委員が遅れておられますが、本日ご出席の予定でございます。し
たがいまして、がん対策推進協議会委員規程、委員の定数20名に対しまして出席委員が19
名でございますので、議事運営に必要な定数に達していることをご報告申し上げます。
 続きまして、本日新たに任命されました委員の方のご紹介をさせていただきます。
 独立行政法人国立がん研究センター理事長の嘉山孝正委員でございます。
 社団法人日本医師会常任理事の保坂シゲリ委員でございます。
 まず最初に、嘉山委員より一言ご挨拶をお願いいたします。

○嘉山委員
 それでは、ご挨拶させていただきます。
 がんセンターに参りましてから、まだ2カ月弱でございまして、今、がんセンター内部
のヒアリングが大体終わったところで、組織改革は終わりました。6月から新体制で始め
ますが、このがん対策推進協議会に関して我々がどう考えているかといいますと、現場を
預かっている国家のがんの最高責任病院として、この推進協議会には全面的に協力して、
具体的な案を鈴木室長に上げていきたいと考えておりますので、皆様のご協力をよろしく
お願いいたします。
 どうもありがとうございます。

○鈴木がん対策推進室長
 続きまして、保坂委員より一言ご挨拶をお願いいたします。

○保坂委員
 社団法人日本医師会の常任理事という役割に就いて、がん対策の担当もさせていただく
ようになりまして、私もまだ2カ月足らずでございます。前任の内田常任理事が、大変こ
の会に熱意を持ってお世話になったと聞いております。なかなかそこまでできるかどうか
は分かりませんが、皆様のお役に立てるようにしたいと思いますので、どうぞよろしくお
願いいたします。

○鈴木がん対策推進室長
 ありがとうございました。
 また、本日は、参考人といたしまして独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報
センターの若尾文彦センター長補佐に出席をお願いしております。
 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。
 大臣官房審議官、がん対策担当の麦谷でございます。
 また、がんに関する研究などで関連のある省庁といたしまして、文部科学省より研究振
興局研究振興戦略官の渡辺様にご出席いただいております。
 また、同じく文部科学省より、高等教育局医学教育課長の新木様にご出席いただいてお
ります。
 続きまして、経済産業省より、商務情報政策局医療・福祉機器産業室長にご出席いただ
く予定でございましたが、急用のため、課長補佐の佐藤様にご出席いただいております。
 それでは、麦谷がん対策担当審議官からご挨拶させていただきます。

○麦谷審議官
 協議会の委員の先生方には、お忙しい中ご参集いただきまして誠にありがとうございま
す。
 これは平成19年4月に第1回目を開催して、今日で第13回ということですので、私のほ
うが全く新参者で参加をさせていただいております。
 ただ、全く新参者ではなくて、私はがん対策を担当するのが実はこれで3回目でござい
まして、最初は、20年前にがんの研究費を担当させていただきました。2回目が、老人保
健課長としてがんの検診に、そこに座長としてお座りになっている垣添先生にご指導いた
だいて、がん検診を担当させていただきました。今回3回目で、多分4回目はないと思い
ますので、三度目の正直で、今回は治療とか、そういった臨床的なことを推進しようと
─もちろん検診も含めてですが─思っております。
 実は昨日までWHO総会に行っておりまして、昨日、飛行機で帰ってまいりました。飛
行機の中でたまさか「エクストラオーディナリー・メジャーズ」という映画を観ました。
ちょっと日本の題名が分からなくて、日本で公開しているかどうかも分からないんですが、
ハリソン・フォードが出ている映画を観ました。
 それは、実は実話を元にした映画でありまして、がんではないんですが、ポンペ病とい
う病気があります。詳しくは話しませんが、これは酵素が欠損している病気で、従来はほ
とんど10歳未満で亡くなってしまう病気でした。そのポンペ病の子供を持った親が、子供
を救うために治療薬を開発する医者を探す、そういう話で、これが実話だというのがすご
く驚きましたが、それを映画にしたものです。
 ハリソン・フォードはその治療薬を探す医者なんですが、それを観ていて、非常に短期
間のうちに─短期間だと思うんですが、短期間のうちに、それまで治療方法がなかった
ポンペ病の治療薬を開発して製品にするということに、アメリカのすごさというか、底力
というんですかね、私はそういう意味で感銘を覚えました。
 私は仕事上、アメリカへ行く機会も何回かありますが、NIHの中にNCI─ナショ
ナル・キャンサー・インスティテュートというのがあります。NIHというのは、ご存じ
のとおり27のセンターから成っていまして、NCIは、NIHの中では最大の予算を誇る
組織ですので、できるだけそこに行って、今度、所長が変わりますが、いろいろな人と会
って話をするようにしておりますし、それから製薬会社の社長ともできるだけ会うように
して、がんのいろいろな情報を交換しながら、何とか最先端の医療、最先端の治療につな
げていきたいと思っております。
 アメリカは、まだ「『ナショナル』キャンサー・インスティテュート」なんですね。日
本は独立法人にしてしまいましたが。これがいいのか悪いのか、私もよく分かりません。
民間のダイナミズムがあったほうがいいのか、国が予算を投じたほうがいいのか、ここは
一長一短があって、どちらがいいかよく分かりませんが、先ほど嘉山理事長が言われたよ
うに、日本はがんセンターを中心に、何とか英知を結集して世界の最先端のがんの治療を
やっていきたいと思っております。この協議会の先生方のご意見を賜りながら一生懸命や
っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○鈴木がん対策推進室長
 では、以後の進行につきましては垣添会長にお願いいたします。

○垣添会長
 皆さん、こんにちは。
 第13回のがん対策推進協議会にお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、がん対策推進基本計画の中間報告書の案について皆様にご議論をいただきたい
と思います。
 中間報告につきましては、これまで第12回の協議会と、その後、3度にわたってメール
等によりご検討いただきました。委員の皆様から多くの意見をいただきまして、これを報
告書に反映させていただきました。本日は、委員のほぼ全員が一堂に会しましたので、こ
こでさらにご議論いただいて、その内容を取り入れて、中間報告の最終案の取りまとめを
したいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それと、前回─第12回でいろいろご議論いただいて取りまとめた、埴岡委員を中心と
するワーキンググループで取りまとめた2011年度のがん対策に向けた提案書、これはこの
協議会の提案書という形で取りまとめをさせていただきましたが、これを4月9日に長妻
厚生労働大臣にお渡しいたしました。この内容は、前回ご議論いただいたことを思い出し
ていただけるとよろしいかと思いますが、予算と診療報酬、制度に関する項目と、非常に
細部にわたって検討されたものです。長妻大臣からは「この提案書をよく読んで十分検討
したい」と前向きなご返事をいただいたことをご報告申し上げておきたいと思います。
 では、最初に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○鈴木がん対策推進室長
 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 お手元に、資料といたしまして、右肩に「平成22年5月28日 第13回がん対策推進協議会
資料」とルビを打っております「がん対策推進基本計画 中間報告書(案)」があると思い
ます。その中には、見ていただくと分かりますが、添付資料1番から6番までが添付され
ています。
 続きまして、別の冊子となっておりますが、参考資料といたしまして参考1「都道府県
がん対策推進計画等策定状況」という3枚の綴り、参考2といたしまして「緩和ケア研修
会修了証書の交付枚数」、参考3「がん登録における課題と対応策(案)」この3部を配
布させていただいているところでございます。
 また、委員の皆様方には手持ち資料ということで、手持ち参考1「がん対策基本法」、
手持ち参考2「がん対策基本法案に対する附帯決議」、手持ち参考3「がん対策推進基本
計画」この3つを机上に配布させていただいているところでございます。
 以上となっております。資料の過不足等がございましたら、事務局までお申し出いただ
きたいと思います。
 では、以上をもちまして冒頭のカメラ撮りは終了させていただきますので、ご協力をよ
ろしくお願いいたします。

(カメラ撤収)

○鈴木がん対策推進室長
 それでは垣添会長、よろしくお願いいたします。

○垣添会長
 それでは、議題に入りたいと思います。
 お手元の分厚い資料、中間報告書(案)全般の構成についての説明と、第1章「がん対
策推進基本計画の策定の趣旨」、第2章「中間報告の目的と検討経緯」について、厚生労
働省から説明してください。
 これは膨大ですので、一気に説明したらとても議論になりませんので、適宜分けてご議
論いただきながら進んでまいりたいと思います。
 事務局、お願いします。

○高岡がん対策推進室長補佐
 それでは、事務局よりご説明申し上げます。
 右肩に「平成22年5月28日 第13回がん対策推進協議会資料」とある中間報告書(案)で
す。
 1枚おめくりいただきまして、目次(案)をご覧ください。
 全体的には、第1章から第5章までございまして、まず「基本計画策定の趣旨」「中間
報告の目的と検討経緯」「中間報告」「がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必
要な事項」「終わりに」となってございます。
 第3章「中間報告」につきましては、それぞれの個別目標につきまして進捗状況、今後
の課題等を記載しております。「個別目標」につきましては、基本計画からの抜粋です。
「進捗状況」は、平成19年度基本計画策定以降に取り組まれた施策と個別目標の進捗状況
を記載しております。「今後の課題等」につきましては、協議会の委員の皆様方からいた
だきました、今後の課題等に関する意見を記載しております。
 なお、関係者の間でコンセンサスが得られていないものにつきましては、「意見があ
る」「指摘がある」といった表現になってございます。これらの課題をたたき台に、今後、
次期計画の策定や予算措置等に勘案されるものと考えております。
 それでは、第1章、第2章についてご説明いたします。
 第1章につきましては「基本計画の策定の趣旨」ということで、皆様ご承知のとおりか
と思いますけれども、基本法第9条第1項において、政府はがん対策の総合的かつ計画的
な推進を図るため、長期的視点に立ちつつ計画を策定することということで、平成19年度
から基本計画を策定しております。
 第2章に、中間報告の目的と検討経緯を記載してございます。
 中間報告の目的は、基本計画に定める目標等を確実に達成するために進捗状況を把握す
るということでございまして、検討につきましては、がん対策推進協議会の委員の皆様方
からのご意見を聴取し、検討を行っております。

○垣添会長
 全体の構成と、第1章、第2章の説明をいただきましたが、この部分に関して、何かご
発言いただくことがありましょうか。

○埴岡委員
 多分、このまま各章立てごとに意見を言っていくとなると各論の話ばかりになりがちだ
と思うので、最初に全体のことを少し見ておきたいと思います。1ページの第2章「中間
報告の目的と検討経緯」の検討経緯に関連しての発言になります。
 今回、この中間報告書(案)をつくったわけですが、つくり方に関して、この協議会と
して若干の反省が必要であると思っています。事務局がつくられたたたき台に関して2度
ほど、意見のヒアリングをフリーフォーマットの文書によって行っていただいたわけです
が、それで出た意見を基本的にそのまま取りまとめるという形になっています。そういう
意味では、出た意見がたくさん寄せ集められているものの、そのつくり方のプロセス自体
からわかるように、意見の寄せ集めの意見集になってしまっています。出た意見によって
総論や各論を評価したり揉んだりしてロジックモデルに組み立てるとか、シナリオをつく
り上げるという形にはなっていないということを、この中間報告書の構造的問題として、
まず認識しておかなければいけないと思います。
 それから、今回の中間報告では、今後に向けて、「今後の課題等」との項目で多くの記
述がなされているわけですが、これも20人の委員から出た意見を恐らくほぼ網羅的に列挙
してあるのだと思います。単純な列挙のような形になっていることに加えて、見ていただ
きますと、語尾が「必要がある」で終わっているものと、「意見がある」「指摘があっ
た」「提案されている」などになっているものと、「期待する」というものの、おおよそ
3つのパタンに分かれています。「必要がある」は、少し前向きなのかなという気はしま
すが、ほとんどが「意見がある」「指摘がある」「提案があった」となっており、基本的
には出された意見がスルーされているかっこうになっています。もう一つ「期待する」と
いうものは、誰かがやるということで行政の責任とは捉えられていない形になっています。
そういう意味では、この中間報告書(案)にはたくさん情報が盛り込まれているのですけ
れども、今後、何をするのかということにあまりつながっていないという感じを受けてお
ります。
 さらに「必要がある」という語尾になっているものも、ほとんどが「検討する必要があ
る」「研究の必要がある」ということで、「実施する必要がある」となっているものがな
い。あるいは、誰がいつまでにやるということに関しては言及されていないということで
ございまして、今後、中間報告の後の4年目、5年目の実施、あるいは第2期計画に向け
て、この辺りを考える仕組み、プロセス自体をもう少し深めていく必要があると感じまし
た。
 これは第2章に関するコメントとして申し上げておきます。

○垣添会長
 今のご指摘は大変重要で、私も、各委員からの様々な意見の取りまとめ、意見集のよう
な形になっているので、これをこの協議会として、最終的にどういう形に持っていくかと
いう部分がちょっと欠けているなと。
 今日、この本文に関しても含めていろいろご議論いただければ、それをある程度、今、
埴岡委員が指摘されたような方向に持っていくような努力をしていきたいと思っておりま
す。

○野田委員
 今の考え方について、埴岡委員のご意見に非常に頷くところが大きいんですけれども、
それを根治しようとして今からやり方を立て直しても、時間がない。そうなると、今日は
せっかく皆さんが集まっているんですから、やはり今のに向けて対症療法としてやるべき
ことがあって、それは各章の中で、「指摘がある」となっている部分のうちここでコンセ
ンサスを得られるものはどれなのか、みんなで意識して話をしようではないかと。コンセ
ンサスが得られるものに関しては、ここから発信できるような記述に積極的に変えていく
というのをここでやろうではないかと思います。
 事務局としても、あれだけ労をとって集めていただいたけれども、それぞれから来てい
る意見なので、こういう言葉を事務局の段階で外すことはできなかったんだと思うんです
ね。でも、今、ここでならば、コンセンサスが得られれば外せるのではないか、あるいは
強い主張にできるのではないかと思いますので、それを意識してディスカッションすると
いうことで、いかがでしょうか。

○垣添会長
 大変具体的で建設的な提案をいただいて、ありがとうございます。
 他の委員の皆様方も、今の野田委員のご指摘、あるいは埴岡委員のご指摘にご異論はな
いと思いますが、そのように進めさせていただいてよろしゅうございましょうか。
 ありがとうございます。

○天野会長代理
 今のお二方のご意見と重なる部分があるかと思いますが、そもそもこの中間報告の目的
が何なのか、明確にしておく必要があると思っています。
 「基本計画の進捗状況を把握することが極めて重要との考えから、がん対策推進協議会
の意見を聴きながら検討し、中間報告を行う」と1ページに書いてありまして、進捗を把
握することはもちろん重要ですが、一番重要なのは、このがん対策推進基本計画が今年か
ら4年目、5年目を迎える中で何をすべきなのか、「ドゥー」の部分を確定させていくこ
とではないかと考えておりますので、野田委員のご指摘に重なりますが、今日は、できる
だけその部分を明確にするような記述ができればと考えております。

○垣添会長
 極めて大事なご指摘だと思います。
 よろしゅうございますか。それでは、先に進ませていただきます。
 今の、いろいろな意見を取り上げられた中から、本日の議論も通じてできるだけ意見の
一致する部分を取りまとめていって、中間報告を取りまとめる、そういう姿勢で、ぜひこ
の本文もお読みいただき、議論に参加していただければと思います。よろしくお願いを申
し上げます。
 では、第3章「中間報告」の?T「全体目標に対する進捗状況と今後の課題等」及び?U
「重点的に取り組むべき課題」について、事務局から説明してください。

○高岡がん対策推進室長補佐
 ?T「全体目標に対する進捗状況と今後の課題等」です。
 全体目標は、「がんによる死亡者の減少」と「すべてのがん患者及びその家族の苦痛の
軽減並びに療養生活の質の維持向上」の2点がございます。
 まず1点目の、死亡者の減少につきましては、基本計画において、がんの年齢調整死亡
率(75歳未満)の20%減少」を今後10年間の全体目標としております。ベースラインであ
る平成17年の人口10万対の年齢調整死亡率92.4を100%といたしますと、平成20年、87.2と
なっておりまして、5.6%マイナスとなっております。
 今後の課題といたしまして、指標の意味合いを正確に伝えるために、率ではなく数で推
移を示す必要があるというご意見があります。75歳以上のがん死亡数は増加しております
が、75歳未満のがん死亡数は減少しております。
 年率2%程度で年齢調整死亡率が減少しておりますけれども、この10年で20%という目
標が低いというご指摘もございます。一方で、今、目標を30%、40%と引き上げるには根
拠が足りないというご意見もございます。
 死亡率に加えて罹患率の減少も、目標の1つとして設定すべきというご意見、また、将
来的には都道府県別、がんの種類別にこのような全体目標を設定すべきというご意見もご
ざいます。
 次に、全てのがん患者、家族の苦痛の軽減に関する全体目標については、この目標達成
に向けた進捗状況を把握するための指標を厚生労働省の研究班において、ツールとしては
受療行動調査、これは厚生労働省の統計ですけれども、または研究班の患者アンケート調
査、これらの評価方法を検討しているところでございます。
 今後の課題といたしましては、このQOLの向上は非常に大事な課題でございまして、
科学的な視点からの対応が求められるということでございます。
 緩和ケアの推進、医療と介護の連携などの生活支援も重要で、グリーフケアなども推進
すべきとの意見もございます。
 重点的に取り組むべき課題につきましては、放射線療法・化学療法の推進、緩和ケアの
推進、がん登録の推進、この3点が重点的に取り組むべき課題と基本計画においてされて
おりますが、この後の「中間報告」のところで進捗状況、今後の課題を記載することとし
ております。

○垣添会長
 「全体目標に対する進捗と今後の課題等」ということで、「がんによる死亡者の減少」
「すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上」の2つが
掲げられているわけでありますが、これに対していろいろ意見をいただいているという部
分と、それから、2番目の重点的に取り組むべき課題の部分を説明いただきましたが、こ
れに関してご発言いただきたいと思います。

○郷内委員
 3ページの2「すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持
向上」について、進捗状況に対しての報告がこのたった3行というのは一体どういうご報
告なのかという気がいたしました。3行という余りの記載の少なさに驚いております。
 それから、この(進捗状況)の文末でございますが、「評価方法の開発を行い、測定の
可能性を検討しているところである」と。「可能性を検討する」という言葉は、結局これ
まで何もやってこられなかったということではないでしょうか。私、3年もたってこのよ
うな表記しかできないことに大変失望を感じております。私は委員としてここに参加して
おりまして、全国のがん患者さんに申し開きようがございません。
 この部分はこれだけで十分なのかどうか、ぜひ皆様でご検討をお願いいたします。

○垣添会長
 重要なご指摘だと思います。

○前川委員
 今、郷内委員がおっしゃったように、非常に短いなと思います。
 そこで、提案でございます。
 まず、がん対策推進基本計画というのは、がんで苦しむ人をなくしたいという言葉、そ
れが本当の第1目標というか、その言葉に尽きると思います。そこで、2番目の「すべて
のがん患者……」の(進捗状況)のところに、このような文章を考えました。「緩和ケア
の研修会の全国的な開催など、緩和ケアを推進していくための取組が行われているものの、
医師を初めとした医療従事者はがん患者やその家族が抱える苦痛に対して十分な配慮をし
てはいないという患者や家族からの指摘がある。また、この目標達成に向けた進捗につい
て把握すべく、厚生労働省研究班において指標の開発を行っているところである」という
のを挿入していただいて、その下に「この目標達成に向けた……」と入れていただければ
と思いますので、ご検討をお願いいたします。
 それと、4ページの「また、目標達成に向けては、」の後に「医療従事者、特に医師は
がん患者やその家族の抱える身体的苦痛、心の苦痛、生活の苦痛などについて当然のこと
として配慮を行うような医療体制を整備し、その実現のために政府は関係者の協力の下、
あらゆる施策を講ずる必要がある」というのを入れていただいて、2行目の「支援が重要
である」のところを「……重要であるとともに、指標の確立を急ぐ必要がある」と入れて
いただければと思いますので、ご検討をよろしくお願いいたします。

○垣添会長
 今、郷内委員あるいは前川委員からご指摘の部分は、例えばこの進捗状況なり、あるい
は記述の部分がいかにも木で鼻をくくったような表現ではないかという批判だと思います
が、今のお2人のご意見に対して、ほかにご意見ありますか。

○江口委員
 以前の協議会でも意見が出ていましたが、やはりアウトカムの評価方法開発は行われて
いるわけです。長期的な評価方法と、短期に評価すべき内容に関する評価方法とに分け、
目の前に迫っているものについては早急にやるという話でした。しかし、この文章からは
そういうことも全く感じられないので、具体的な進捗状況について、評価方法も含め、は
っきりと書いていただきたいと思います。

○垣添会長
 江口委員、あるいは前川委員が先ほど文章の案としてご指摘いただいた部分などを、こ
れは事務局に寄せていただいて、多分、先ほど前川委員が補強するような形で提案された
部分に特に反対の委員はおられないと思いますので、そういった意見を含めてもう少しこ
れを膨らませた形で、特に進捗状況などに関しては書くような形でまとめたいと思います
が、いかがでしょうか。

○郷内委員
 事務局にお願いするということで、これまで会議のたびに「この検討を事務局にお願い
します」ということで会議が終わっているんですけれども、私は、やはりこの部分はその
後の各論に入る前の大きなテーマなので、ここに関してはもうちょっと時間をかけていた
だきたいと思っております。
 それから、今のお話、私は漠然としたことしか申し上げられませんでしたけれども、こ
の進捗状況について、とにかく何も出すものがないということであるならば、そのように
正直にお書きになればよろしかったのではないかと思います。書けるものがあるんでした
ら、やはり出していただきたいです。

○垣添会長
 そのとおりでしょうね。

○野田委員
 全体目標と個別との関連性なんですけれども、必ずしも何もないという─つまり全体
として書くべきこと、全体として「これができれば、全て分かる」というようなものに関
して進んだかということだけここに書くべきなのか、それとも、その個別の中に……。
 私は、個別でいろいろ進めているものの進捗の中に、「すべてのがん患者及びその家族
の苦痛の軽減並びに療養生活の質の維持向上」に資するべきものは十分にあったと思いま
すが、例えばこの段落とすれば、先ほど前川委員や郷内委員が言われたように、ここの書
きっぷりをもう少し膨らませるのも大事ですが、その後ろのほうに、これから入る個別の
中でこういうものに資するだろうと思われるものを積極的にピックアップしてここに入れ
ていくことは、ここに書くべきことではないんですか、そういう質問なんですが。全体で
はなくなるんですかね。

○垣添会長
 確かに、これから入っていく個別の進捗状況に関しては、かなりいろいろなことが書か
れていますので、それをこの、言ってみれば総論みたいなところに書くかどうかというこ
とですが。

○埴岡委員
 全体目標は2つあって、2つとも課題が多いのですが、特に2つ目の「苦痛の軽減と療
養生活の質の維持向上」に関しては、とても材料不足になっている、あるいは書き方が薄
いということは言えると思います。
 2つ指摘したいことがあります。1つは、がん対策全体のマネジメントにかかわること
です。例えば今、「それについては、研究班で検討中です」とおっしゃるわけですけれど
も、よく「基礎研究と臨床の間にデスバレーがある」と言われるのと同様に、研究と実際
に我々の問題意識にマッチした使える指標を使うということが間で途切れてしまっている
と思うのです。ですから、例えば研究されている方と我々が一緒にお話をして、我々の問
題意識やどういうものが欲しいのかというニーズをお伝えして、それはつくれそうなのか、
つくれそうではないのか、今、どこまでいっているのかといったことを聞かせていただく。
そういったつなぐ場の設定をする必要があると思います。
 2つ目は、野田委員がおっしゃったことと同じですが、先ほど言ったように、がん計画
が目的に向けた因果関係で構成されていない、言い換えると、いわゆるロジックモデルの
上に組み立てられていない。全体目標というゴールの設定はよくできていると思います。
しかし、ゴールに向けて、どのアクションでどういったインパクトを与えて、その結果を
出していこうとするのか、いわゆるアウトカムに向けた影響経路の想定がはっきりしてい
ないのだと思います。
 ですので、全体目標の2に関しては、例えば「医療従事者の育成」の「患者さんをケア
する人員の育成に関して」がその目標のアウトカムを狙うための施策であり、「相談、情
報提供業務の施策○番」がそれに影響を与えようとするものであるといった捉え方をする。
そして、それが幾ら行われたかという活動やアクティビティのベースではなくて、それを
やることによってどのような波及経路で、幾ら患者さんの問題解決や満足度の向上につな
がったのかという結果・アウトカムを見るように組み立てることが大切です。これからは、
そこのところをみんなで意識していく必要があると思います。

○垣添会長
 そういうふうに書いてあると、皆さんも大変満足されるんだと思います。ですから、基
本的な構造の部分を今、幾つもご指摘いただいていますが……。

○南委員
 今の点に関係しますが、研究班において、今、検討しているということは、研究班にお
ける成果はそうすぐ出てきませんので、現実的な成果をここに書きづらいというのはよく
理解できます。しかし、例えば、この基本計画に基いて立ち上げられた研究班があるので
あれば、少なくともその研究班の名前、責任者を挙げていただければ、我々のほうからも
アプローチしやすくなると思いますので、そのような情報もここに入れていただいたらい
かがかと思いますが。

○垣添会長
 この死亡者の減少とQOLの向上という2大目標は極めて重要な部分ですから、これか
ら個々の内容に入っていくところではありますけれども、いわば前文に相当するところに
もう少し、今、いろいろな委員からご指摘のような内容も入れて膨らませる形で、ぜひお
願いしたいと思います。
 それから、確かにこれまで何度も議論があったアウトカム評価、あるいは評価の指標を
どうするかという話がほとんどここには反映されていませんので、そういったご指摘も取
り入れる形で進めていただければと思います。

○檜山委員
 ちょっと議論が違うんですが、1番の中で、3ページの2段落目です。この辺り、罹患
率の減少とか死亡率の傾向ということで書いてあるんですが、最後に、これらに向けて
「予算上及び制度上の包括的な取り組みを行う必要があるとの指摘がある」という言葉で
書かれているんですが、先ほど野田委員からありましたように、この辺りはきちっと皆さ
んのコンセンサスを得ていただいたほうが。これは前回の協議会でも十分ディスカッショ
ンしていただいたので、恐らくこれらに対して反対される方はそんなにおられないのでは
ないかと思うので、この辺りの文言をきちんと整理されて、「……との指摘がある」とい
う言葉は削除していただく方向で議論していただければと思います。

○垣添会長
 ありがとうございます。これも非常に大事なご指摘だと思います。これまで繰り返し議
論されて……。事務局の立場としては、予算がとれるかどうか分からないということで、
どうしても腰が引けるんだと思いますけれども、この協議会は、やはり患者や家族あるい
は遺族代表の委員も含めて、がん対策に関してあらゆる角度から検討する場ですので、で
きるだけ前向きに対処するということで、文章の上ではきちんと今のようなご指摘を反映
していただければと思います。
 予算に関して言えば、「予算上及び制度上の包括的な取り組みが必要である」と断言す
る必要があるのではないかと思いますが、よろしゅうございますね。

○永池委員
 ただ今の意見については、賛成でございます。別の点で、よろしいでしょうか。

○垣添会長
 では、今の件はそのように整理させていただきます。

○永池委員
 4ページでございます。?U「重点的に取り組むべき課題」の前のパラグラフの2行目の
終わり辺りから、少し表現に不足があるために、内容が十分に伝わってこないのではない
かなと思う点でございます。
 「グリーフケアを家族のケアを推進すべきとの意見がある」というところに関してでご
ざいますが、これは前後の脈絡からして「グリーフケアの視点を重視した家族のケアを推
進すべき」そのようなご意見だったかどうかを、発言された方にご確認させてください。
この点も「意見がある」ということではなく、恐らく皆様方全員にご了承いただけるとこ
ろではないかと思いますので、ぜひとも「家族ケアの重要性」といった視点に修正するこ
とをここで合意していただければと思います。

○垣添会長
 多分ご指摘のとおりで、「グリーフケアを推進することによる家族ケアを推進すべきで
ある」という意見があった─ではなくて、これも「すべきである」ということになるん
だと思いますが、いかがでしょう。これだと文意がちゃんととり切れませんので、そのよ
うに訂正させていただきます。

○野田委員
 先ほど檜山委員がおっしゃったように、「中間報告」の?Tの1「がんによる死亡者の減
少」に関する(今後の課題等)の文章に関しては、やはり一番重大な、最も明らかなメル
クマールに対するこれからのアプローチを示しているものですので、それぞれに関して
「意見がある」で止めるのか、あるいはそれを外すのか。先ほど檜山委員は一番後ろから
2番目のところをおっしゃいましたけれども、それだけではなく、やはり垣添会長のイニ
シアチブでちょっとディスカッションをしていただけるとありがたい。このままだと、こ
れは何もインパクトがないというか。

○垣添会長
 そのとおりですね。ですから、埴岡委員が冒頭ご指摘のように、意見集であるというこ
とになってしまいますので、その中で「これだけは、ぜひ」「この部分に関しては強調す
べきである」というところをご発言いただきたいと思いますし、今、野田委員が発言され
かかった「死亡者の減少」に関して、いろいろな意見がここに書いてありますけれども、
これに関して、例えば野田委員はどんなふうにあれすべきとおっしゃりたいですか。

○野田委員
 私は、一番前からの2つは、もう「意見がある」でなくていいのではないかと思います。
 3番目の「一方、」というところ、現状の目標維持に関してはここで皆様のご意見をい
ただいて、私自身は、これは現状の目標維持という意見ですが、やはりここでディスカッ
ションが必要なのかと思います。
 それで、一番最後の二、三行、「さらに、」として将来に向けて目標を設定すべきだと
いうことですが、研究者の立場からすると、これに関しては目標の1つ手前で、こういう
都道府県別、がん種別で死亡率、罹患率が正確にとれる、そういう制度を確立した上で目
標を設定すべきだというふうにしないと、こういうふうに細かくなると非常に数値がぶれ
ますので、今の段階では目標の設定自体が無意味になっているのではないかと私は思いま
す。
 そういう意見を持っていますが、皆様のご意見をと思います。

○保坂委員
 新参者でございますので、お聞きしたいことなんですけれども、この報告書は、1ペー
ジの第2章の?Tを見ますと「がん対策推進協議会の意見を聴きながら検討し、中間報告を
行う」とか、?Uでは「がん対策推進協議会等において、がん患者の方々からのご意見を伺
うこととした」とか、全部主語は厚生労働省だと思うんですね。表紙を見ましても、この
報告書は厚生労働省として書かれている。
 今、皆さんのご意見を伺っていると、この協議会の答申といいますか、そういう形でお
出しするのであれば、多分、皆さんがおっしゃっているような書きぶりができるのではな
いかと思うんですけれども、そこのところは、厚生労働省としては協議会の答申のような
形でまとめるということでよろしいんでしょうか。

○鈴木がん対策推進室長
 基本計画もそうですが、基本的には、協議会からのご意見を聞いて、厚生労働省のほう
で取りまとめて報告書をつくるということになります。そういうところもございまして、
語尾については先ほどのような整理をさせていただいたところでございます。

○埴岡委員
 私も、先ほど野田委員がおっしゃったように具体的に申し上げると、第1段落の「必要
があるとの意見がある」の「意見がある」はとって大丈夫だと思います。
 第2段落の末尾の「取り組めるようにすべきであるとの意見がある」の「意見がある」
もとって大丈夫だと思います。
 第3段落に関しては、「第2期計画までに妥当な目標を設定する」とすればいいと思い
ます。
 次の段落は、先ほど檜山委員がおっしゃったとおり、「予算上及び制度上の包括的な取
り組みを行う必要があるとの指摘がある」の「指摘がある」はとってもいいのではないか
と思います。
 最後の3行の段落は、野田委員がおっしゃったとおり、「現在の数字をモニターしつつ、
適切な指標開発を行う」という語尾でいいのではないかと思います。

○垣添会長
 非常に具体的な提案をありがとうございます。

○門田委員
 今、埴岡委員がおっしゃったんですが、事務局のご意見と埴岡さんがおっしゃっている
ご意見、これをどうするのかという大前提がはっきりしないと意見の出しようが、なかな
か難しいのではないでしょうか。
 事務局として厚生労働省のサイドでまとめるということを通すのであれば、今のご意見
もなくなってしまうというか、このままでも仕方ないかもしれないので、そこのところを
ディスカッションしたほうがいいのではないですか。

○野田委員
 そこはディスカッションしても余り意味がないというか、先ほどの保坂委員のご意見で
明らかになったように、事務局がどのようにとらえられて、事務局としてどういうふうに
発信するかという、どちらかというと事務局側の問題ではないですか。
 つまり、私たちとすれば「事務局に発信してもらいたい」といって意見をお渡ししてい
る。「特にこれとこれは、事務局として中間報告として発信していただきたい意見であ
る」というものに関して、今、「意見がある」はとってくださいと言っている。先ほどの
経緯だと、それを事務局がどう考えるかということになるのではないですかね。それで、
むしろ事務局が「自分たちとして発信するのではない、皆さんから意見を聞くとこういう
のもあったんですよ」という程度の発信にとどめるというものは、このままになる。
 ですから私たちとしては議論の余地はなくて、それぞれに関しては正しいと考えること
なので、むしろ「事務局として、中間報告として発信できますか」というふうに投げてい
るということではないですか。どうすべきかという議論で決まりますかね。

○門田委員
 これは前回の協議会においても類似のことがずっと繰り返されているんですよね。です
から、やはりこういう形で患者さんも家族の方も加わったこの協議会でするものと、それ
から厚労省サイドのものをどうするのかということは、お願いで済むのではなくて、この
協議会の在り方の問題だと思うんですよね。
 ですから最終的に、前の話のときにここでは特に喫煙率の問題とか幾つかの問題が出て
きたけれども、政治的配慮に基づいて変わったこともあったわけですよ。ですから、その
辺りのことを本当にどうするのか、我々はこれで2回目のディスカッションに入っている
わけですので、そこのところの意思統一が必要だと。だから、できなければ仕方がないと
思いますよ。だけれども、そこのところをどうするかということを、これほど傍聴者の方
がいらっしゃる中でその形で置いておくというのは、余り好ましくないのではないか。少
なくとも我々はどうしたいということを言うべきではないか。

○垣添会長
 門田委員のおっしゃるとおりで、この協議会としてどう考えるかということ、ですから
今、案として出てきたものの中で、「必要である」とか「……と考えられる」といった形
では、この協議会としてはとても満足できないというご意見をたくさんいただいていると
いうことです。したがって、この協議会としては、この中間報告に関してこう考えるとい
う案を、あと事務局がどう取り扱うかに関しては厚生労働省の考え方になるだろうと思い
ます。
 ただし、がん対策基本法の第4章に、この協議会を設けることは、がん医療の専門家や
有識者やがんの患者や家族、遺族の代表を含めて我が国のがん対策を進めていく、そのた
めの仕組みなんだということは書き込まれていますから、この協議会の発言は、厚生労働
省に対して非常に大きな意味を持つんだと私は考えます。
 ですから、現在は様々な意見が上がっていますけれども、例えば先ほど埴岡委員が具体
的に指摘されたように、「必要がある」とかそういう部分を幾つか、特にご反対がなけれ
ば、私もその部分は切り取っていいのではないかと考えます。
 ですから、皆さん方が「こうあるべきだ」という考えをぜひ出していただければと思い
ます。それがこの協議会の意見になると思います。

○中沢委員
 今、おっしゃったような形で、基本的に、協議会としては例えば「必要である」という
形で、それを厚生労働省がどのような形で処理するかは任せるということで、賛同すると
ころでございます。
 もう一点、先ほどから言われている3ページの「さらに、」のところですが、都道府県
別の目標をこの協議会として設定すべきなのかどうか。基本的に、国が基本計画をつくっ
て、各都道府県ごとに都道府県のがん対策の計画をつくるような仕組みになっております
ので、それをつくるに当たって必要なものをこれで提示して、それを参考に、最終的には
やはり都道府県が目標を設定すると思います。このままだと、「意見がある」であればい
いんですけれども、これが協議会全体の意見となってしまうと、都道府県独自でいろいろ
目標を設定しているところもございますので、そこら辺は配慮をお願いしたいと思います。

○垣添会長
 確かに、この「さらに、」の部分は、場合によっては触れないほうがいいのかもしれま
せん。

○野田委員
 すみません、本当に軽率でした。
 「さらに、」でどうしてもお願いしたいのは、がんの種類別というところであります。
これはやはり「さらに、」のところに残していただきたい。つまり、大きな数字で括るの
は非常に大事ですけれども、実際の実現に関するタクティクスに関しては、がんの種類別
というところが随分大きく関わってきますので、がんの種類別のほうはできれば残してい
ただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○埴岡委員
 すみません、私も先ほどの意見を少し訂正いたします。都道府県別の目標に関しては都
道府県の自主性が尊重されるべきで、国は都道府県が目標を立てやすいように情報の整備
などの支援をするということだと思います。

○垣添会長
 それとがん種別ということ、その2つを入れて残しましょうか。
 他に、よろしいでしょうか。
 それでは、まだ議論が不十分かとは思いますが、時間の関係もありますので、先に進ま
せていただきます。
 次は、4ページの真ん中辺、?V「分野別施策の個別目標に対する進捗状況と今後の課題
等」について、事務局からお願いします。

○高岡がん対策推進室長補佐
 4ページ、?Vの1「がん医療」です。
 がん医療につきましては、「放射線療法・化学療法の推進」、「緩和ケア」、「在宅医
療」、「診療ガイドラインの作成」の4点ございます。
 放射線療法及び化学療法の推進につきましては、個別目標が3つございます。
 1つ目は、5年以内に拠点病院において放射線療法、外来化学療法を実施できる体制を
整備すること。また、都道府県拠点、特定機能病院に放射線療法部門、化学療法部門を設
置すること。
 こちらの進捗状況につきましては、平成20年3月に拠点病院指針を見直し、化学療法、
放射線療法を実施する設備を、また、都道府県拠点、特定機能病院につきましては放射線
療法部門、化学療法部門の設置、これらを指定要件としております。よって、平成22年4
月1日現在におきましては、拠点病院377施設全てにおいてリニアック、外来化学療法室を
有しております。また、都道府県拠点、特定機能病院、91施設の全てにおいて、放射線療
法部門、化学療法部門を設置しているという報告になっております。
 なお、そのような設置の推進に当たりまして、リニアックの緊急整備、診療報酬改定に
よる評価、国立がん研究センターがん対策情報センターにおける研修会、文部科学省がん
プロフェッショナル養成プラン、このような取組が行われております。
 今後の課題といたしましては、そのような拠点病院における設備の量的充足状況の評価
だけではなく、質的な評価を検討していく必要があるということで記載しております。
 なお、実施体制につきましては、医療従事者の推計を行い、個別に専門性の高い医療従
事者の配置を行うとともに、チーム医療の推進が必要ということで記載しております。
 個別目標の2番といたしましては、5年以内に新薬の上市までの期間を2.5年短縮するこ
ととしております。
 これにつきましては、「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」に基づきま
して、医薬品医療機器総合機構の新薬審査人員を増員するなどの取組を行い、平成18年度
においては申請ラグが1.2年、審査ラグが1.2年でドラッグ・ラグは合計2.4年であったのに
対し、平成20年においては申請ラグ1.5年、審査ラグ0.7年でドラッグ・ラグは2.2年になっ
ております。
 今後の課題といたしまして、全体ではドラッグ・ラグはやや改善が認められるものの、
申請ラグの延長が認められるということで、審査の体制強化のみならず、関係者の連携が
必要であるということで記載しております。
 また、未承認薬の使用につきましては、平成22年2月から医療上の必要性の高い未承認
薬・適応外薬検討会議における検討を開始しており、さらなるドラッグ・ラグ解消に向け
た取組が期待されるということです。
 個別目標の3番といたしましては、放射線療法、外来化学療法の実施件数を参考指標と
して用いるということでございます。
 拠点病院における放射線療法につきましては、平成19年、1施設当たり50.2人、548.4回
であったのに対し、平成21年、34.4人、660.3回となっております。1施設当たりの患者数
が減っておりますのは、平成19年度から平成21年度の間に、放射線療法の比較的実績が少
ない施設が多く指定を受けたことが影響しているというご意見をいただいております。
 社会医療診療行為別調査におきましても、それぞれの項目の記載をしておりますが、日
本放射線腫瘍学会調べによりますと、放射線治療患者数は基本計画策定後、増加している
という報告もございます。
 化学療法につきましては、拠点病院におきまして外来化学療法加算の平均算定件数が、
平成19年、321.2件であったのに対して平成20年、410.4件になっております。社会医療診
療行為別調査などによりますと、外来化学療法加算の算定は平成19年度、1,722施設、9万
1,164件であったのが、平成20年度、外来化学療法加算1と2に区分されておりますけれど
も、1のほうが1,146施設、9万5,801件、2のほうが899施設、1万8,319件となっており
ます。
 これらの参考資料に関しましては、平成22年度において予算化されましたがん医療に携
わる医療従事者の計画的育成事業、こちらはがん研究センターへの委託事業でございます
けれども、そこで医療従事者の育成に関しまして必要数を算定して、今後、がん対策推進
協議会において進捗状況をモニターすべきという意見をいただいております。
 ?A緩和ケアにつきましては、3つ個別目標がございます。
 1つ目は、10年以内に全てのがん診療に携わる医師が緩和ケアについての基本的な知識
を習得することです。
 進捗状況といたしましては、緩和ケア研修会の開催指針を策定しておりまして、それに
則った緩和ケア研修会が開催されております。修了者数は、平成22年3月末時点で1万
1,254人に上ります。
 その他、医療用麻薬適正使用ガイダンスの配布や、そのホームページへの掲載、また、
平成22年度診療報酬改定における緩和ケア研修会修了者への評価ということがございます。
 今後の課題といたしまして、この緩和ケア研修会のますますの普及、また研修の進捗状
況のモニタリングなどが挙げられております。
 緩和ケアの個別目標の2点目につきましては、原則として全国全ての2次医療圏におい
て、5年以内に緩和ケアの医師数を増加させるとともに、緩和ケアチームを設置している
医療機関を複数箇所整備することとなってございます。
 緩和ケアチームを設置している医療機関数は、平成19年、326施設から、平成20年、612
施設になってございます。
 今後の課題といたしましては、緩和ケアチームが設置されていない医療圏においても、
緩和ケアチームの設置推進に努めなければいけないということ、在宅療養も積極的に推進
すべきというようなご意見をいただいております。
 個別目標の3点目は、医療用麻薬の消費量を緩和ケアの提供体制の整備状況を計るため
の参考指標として用いるということになっております。
 進捗といたしましては、平成19年、3,835キロであったものが、平成20年、4,152キロと
なってございます。
 今後の課題といたしましては、医療用麻薬の消費量のみならず、使用人数の推移を比較
すべきということでございます。参考値といたしまして、平成20年の医療施設調査、こち
らによりますと、医療用麻薬の処方を行った施設が1万3,258施設でございます。これは今
後、フォローしていくことは可能かと思いますけれども、平成20年からの指標となってお
りますので、前回との比較は、現時点においてはできないということでございます。
 また、平成20年度の診療報酬改定により、がん性疼痛緩和指導管理料が新設されており
ますので、次回、最終報告におきましては、こちらの算定件数の推移を確認するというこ
とで、医療用麻薬の消費量のみならず使用人数の推移を比較すべきというご意見には対応
できるかと考えております。
 次に、医療分野の個別目標の3番目、在宅医療でございます。
 在宅医療につきましては、がん患者の意向を踏まえて、住み慣れた家庭や地域での療養
を選択できる患者数の増加を個別目標にしております。
 参考指標として、がん患者の在宅での死亡割合を用いることになってございます。
 進捗状況といたしましては、平成18年の医療法改正におきまして、居宅等における医療
の確保に関する事項を明示してございます。また、平成18年度の診療報酬改定におきまし
ては、新たに24時間の往診、訪問看護の提供体制を持つ診療所を在宅療養支援診療所とし
て位置づけ、手厚い評価を実施しております。
 在宅緩和ケアに関する従事者に対しましては、専門研修などを実施し、また、拠点病院
などが実施する緩和ケア研修会におきましても、在宅緩和ケアに関する研修を行っていた
だいております。
 参考指標の、がん患者の在宅での死亡割合でございますが、平成17年は自宅での死亡5.7
%、老人ホーム0.5%、介護老人保健施設0.1%だったのに対しまして、平成20年、自宅7.3
%、老人ホーム0.8%、介護老人保健施設0.2%でございます。
 今後の課題といたしましては、本来、在宅医療の推進は患者の在宅死が目的ではなく、
家で過ごしたいと願う患者さん及びその家族を支援することにございます。ですので、そ
のような体制整備が必要であると記載しております。
 また、在宅医療の質の評価を行うための開発指標を検討すべきというご指摘、また、地
域ごとに在宅医療推進協議会などを置いて在宅医療に関する関係者が集まって、地域にお
けるネットワークを構築することが重要、患者及びその家族の求めに応じて、地域連携、
クリティカルパスを用いた在宅医療の提供体制の整備が必要、今後、都道府県別の在宅看
取り率を公表できるよう検討を行う、こういったご指摘をいただいております。
 医療の分野では最後ですが、診療ガイドラインの作成につきましては、個別目標といた
しまして、科学的根拠に基づいて作成可能な全てのがんの種類についての診療ガイドライ
ンを作成するとともに、必要に応じて更新していくことを目標としています。
 進捗状況につきましては、厚生労働省の研究班におきまして、診療ガイドラインの作成
状況について調査し、また、診療ガイドラインを作成し、更新すべきがんの種類について
リストアップし、作成・更新を実施しているということで、がん対策情報センターの調べ
によりますと、平成19年3月末時点において15のガイドラインが策定されていたのに対し、
平成22年1月時点では25となっております。
 更新のガイドライン数も明示すべきといったご意見を協議会からいただいておりました
ので記載しておりますが、平成19年3月末時点で2であったのが、平成22年1月時点で15
となっております。
 今後の課題といたしましては、補助療法・副作用対策のガイドラインを策定していくべ
きとのご意見、また、診療ガイドラインの作成にとどまらず、そのガイドラインに示され
ている標準治療の普及が大事であること、医療の質の評価を行って、収集・分析・開示を
行うベンチマークセンターを設置すべきということ、診療ガイドライン作成に患者関係者
が参加すべきであることというご意見をいただいております。

○垣添会長
 各論に入ってまいりまして、?Vの1、がん医療の部分では4つあります。?@は「放射線
療法及び化学療法の推進並びに医療従事者の育成」?Aが「緩和ケア」?Bが「在宅医療」?C
が「診療ガイドラインの作成」これを今、一気にご説明いただきましたけれども、かなり
膨大ですので、まずは4ページの中ほどから6ページ下の(個別目標?A)の上まで、?Vの
1の?@「放射線療法及び化学療法の推進並びに医療従事者の育成」の(個別目標?@)につ
いて、何かご発言ございましょうか。

○川越委員
 これから述べることは最初の基本計画の目標に入っていないので、適切かどうかちょっ
と分からないんですけれども、今後のことを考える上で非常に重要だと思いますので、1
つ意見を言わせていただきたいと思います。
 それは、1つ前に戻ってしまうんですけれども、?U「重点的に取り組むべき課題」、そ
れから?Vにも関わってまいりますけれども、ここで言っていることが、がん治療の現場の
問題を適切に反映していないので、実は危惧しておるわけでございます。
 それは、ここで言っている腫瘍内科医を育成しろとか緩和医療を推進しろ、これは物す
ごく大切なことなんですけれども、私、同級の教授連中などに聞きましたら、外科医が減
っていることをすごく心配してているんですね。つまり、腫瘍外科医の育成をこの目標の
中に挙げるべきではないかと思っております。その点について、ここで今、取り上げるの
が適切かどうか分かりませんけれども、報告のどこかに「なお、問題として」といった形
で書き込まないと、外科医が減っていくことが、多分、10年後とか先になって物すごく問
題となってきます。

○垣添会長
 これは全体の中で、どこかで触れていませんでしたっけ。

○鈴木がん対策推進室長
 今回の、いわゆる最初につくりました計画の個別目標に書いていないものにつきまして
は、34ページに「基本計画に記載されていないものの、重要な視点であり、今後取り組む
べき事項について……以下の提案があった」というところでそういった分類をさせていた
だいて、ここにご意見を入れさせていただいているところでございます。

○垣添会長
 そこに加えておく必要があるという話ですね。
 今の川越委員のご指摘に関しては大事な部分ですので、34ページの意見の1つとして取
り扱わせていただきたいと思います。

○南委員
 今の外科医の問題は、非常に重要な問題だと私も思います。
 もう一つ、放射線治療、それから化学療法を専門に扱う人材育成に関してですが、でき
ますれば、今後の課題で結構ですので、ぜひ専従として携わる人間の育成が重要だという
ことを盛り込んでいただければと思います。
 緩和に関しては専従ということが求められていますけれども、今、放射線治療も非常に
高度になっています。化学療法も非常に高度になっています。やはり片手間でできる治療
ではなくなってきていますので、「専従で携わる専門職の育成が求められる」というのを
課題のところに加えていただければと思います。

○垣添会長
 部位としては、どこになりますか。

○南委員
 ?Vの1の?@「放射線療法及び化学療法の推進並びに医療従事者の育成」の、6ページの
(今後の課題等?@)のところになるかと思います。

○垣添会長
 今のご意見、取り入れてよろしいですね。
 他に、いかがでしょう。

○檜山委員
 今の川越委員のご発言は、元々この基本計画が、日本は手術のレベルは高いんだ、それ
に比べて放射線、化学療法は遅れているのでという形で、この目標が立てられているので
はないかと思うので、今、ご指摘の手術している人間が化学療法も放射線療法もやってい
たという状況を踏まえて、やはり専従というのもどうしても必要な文言だと思います。
 ただ、今、川越委員がおっしゃるように、状況が変わってきていることも確かなので、
その辺りの文言はどこかに盛り込んでいただいたほうが私としてもありがたいと思います。

○垣添会長
 確かに、これをつくったときと状況が変わっていることはおっしゃるとおりです。

○門田委員
 前のディスカッションをぶり返して申しわけないんですが、私、外科医としてこの協議
会に入っておって、「均てん化」という表現からも分かるように、手術そのものも必ずし
も満足できるものではないということから、あの段階でも何らかの形で外科ということを
主張させていただいて、治療法として外科、放射線、それから薬物療法というように横並
びでは出てきたんですけれども、特に大きく取り上げないという方針になったと思うんで
すよね。
 ただし、それからわずかの間に物すごく変わってきて、現場が大変なことになっている
のは事実ですので、私の立場からしても、何らかの形のものを新たに追加していただくと
いうのは、ぜひお願いしたいと思います。

○垣添会長
 先ほどの川越委員と今の門田委員のご発言も含めて、あるいは檜山委員のご発言も含め
て、34ページの部分にぜひ追加していただければと思います。
 他にいかがでしょうか。先に進んでよろしいでしょうか。
 では、次は6ページから8ページの真ん中辺まで、(個別目標?A)の抗がん剤、医薬品
について。これはいかがでしょうか。

○南委員
 7ページのドラッグ・ラグの件ですが、この書き方を見ますと、審査体制が強化されて、
審査におけるタイムラグは減ってきている。それは実際そうだと思うんですが、その申請
のラグが本当に悪いような書き方になってしまっていると思います。この原因究明こそが
大事なのであって、なぜ申請ラグが遅れているのかというところを今後、解明していく必
要があるだろうと思います。単に製薬企業の問題だけではなくて、臨床試験、治験を行う
側のインフラストラクチャーの問題、それから申請条件の問題もあるかもしれませんので、
そこら辺の原因究明をしていくことが重要になっていくと思います。
 ですから、申請ラグは製薬企業の問題だというのではなくて、参加する側全てがその原
因究明をしていく必要があるというところを盛り込む必要があると思います。

○野田委員
 そういう書きぶりに私には見えないんですが。
 だれも申請ラグが製薬企業のせいだとは思っていなくて、むしろ違うところに原因があ
るとみんな思っていると思います。それをこの(今後の課題等)のところでは「……認め
られた。ドラッグ・ラグの解消に関しては、」という言葉で切り換えてしまっているけれ
ども、「申請ラグの延長が認められた。よって、」ということだと思うんですが、総合機
構の体制強化だけではなくて、これが「十分に役割を果たせるような包括的な戦略の策定
が必要であり、そのためには省庁横断的な体制構築も病院である」という、この中に今の
を含ませているように私には思えるんですが、これをもう少し明確化するという……。
 これはちょっと、何となく意味は分かるけれども具体性に欠けるような感じがするので、
これをもうちょっと具体化していくということだと思うんですけれども、そこに今、南委
員の言われたことは入るのではないですか。

○南委員
 例えば、8ページの下から3つ目のパラグラフ、「また、」で始まる部分の2行目です
が、「新薬の審査開始時期については申請者に依存するところが大きいが」とはっきり書
いてあります。

○野田委員
 確かに。

○南委員
 やはりこの表現は少しおかしいと思います。「申請者に依存するところが大きい」とい
う根拠が薄弱だと思います。そういう点からすると、今度はさらにもう一つその前段階ま
でさかのぼって、申請数の推移はどうなっているのかを見る必要があると思うんです。

○垣添会長
 今の点に関して、事務局から何かご意見ありますか。

○鈴木がん対策推進室長
 いえ。

○垣添会長
 なかなか難しいか。

○嘉山委員
 エビデンスがないところで、室長と補佐を攻めるのは酷ではないでしょうか。
 ドラッグ・ラグに関しては、もう中医協でじっくりと討論をしていまして、薬事法が一
番問題だということはもう分かっています。したがって、そこをきちっと整理整頓すれば
製薬会社も出してくることが分かっているので、そこは室長に、今回、私は3月以前には
レスポンシビリティがないので、これに対しては何も意見を言わなかったんですけれども、
今日は文部科学省も経済産業省も来ていらっしゃいますので、本来、横の連絡をとり合っ
ていろいろなディスカッションをすればもっといい中間報告ができたのではないか。後で
もっといっぱい言いますけれども、このドラッグ・ラグに関しては完全に薬事法の問題で、
PMDAの問題もありますけれども、そこに薬事という大きな壁があるので、PMDAの
個人的な問題ではなくて、そこを法改正するとかしないとなかなか難しいし、あと、国家
戦略局だとか成長戦略の中にこれを入れていかないと、この協議会がドラッグ・ラグをな
くせ、なくせと言ってもなかなか難しい問題が含まれていると思います。
 ですから、そこは政府に対して厚生労働省が頼むということではないか。あと、厚生労
働省の中では、特に薬事法をどうするか議論すべきだと思います。

○垣添会長
 今、文部科学省のがん研究戦略作業部会でいろいろな議論をしておりまして、そこから
国家戦略としてのがん対策といったこともいずれ出てきますので、今のような問題も当然
含まれてくることになると思います。これはもう少し先にまた議論いただくことになろう
かと思いますが、この中間報告の中のドラッグ・ラグに関しては、今、何点かご指摘いた
だいたようなことを含めて、もう少しこの記述を検討していただきたいと思います。

○江口委員
 6ページの人材育成のところで、人材育成の数値目標についてなど全然出ていません。
中間報告として今後の課題を考えるときには、どのぐらいのものを目標にするか、具体的
なところを挙げるべきだと思います。

○嘉山委員
 これはやはりエビデンスが一番問題で、どのぐらいのがん患者がいて─まだがん登録
さえ3割しかできていないんですから、こんなのは無理な話です。今のがん登録は大体3
割。何のためのがん登録かといえば、学問のため、あるいはWHOへ出す統計のためにが
ん登録をやっているような感じがします。本来であれば患者さんに還元されるようながん
登録をしなければいけないのに、それがされていない。つまり、がんになった瞬間から登
録するという制度にしなければ意味がないんですね。それがされていないので、鈴木室長
も高岡室長補佐も、この辺はなかなか書けないと思います。
 ですから、そのエビデンスが出て初めて、例えばどの地区に何人いてどの地区にはいな
いので何人必要で、ここに重点的にやると。実際に私が前任地で、東北がん─大学でも
うちが最初にがんセンターをつくったんですけれども、東北地方でがんネットワークをつ
くりました。垣添会長にも1回目の講演に来ていただきましたけれども、そこで何をやっ
ているかというと、やはりがん登録をまずきちっとやって、そこで放射線治療医が何人必
要であるのか、それが出るんですね。そうすると数値目標がはっきり出るので、例えば新
木課長の前任の三浦課長が医学教育課長のときにやった、がんプロフェッショナルプラン
の中で、どの地区で何人養成すればいいという数字が出ます。
 したがって、まずやることは、がん患者さんがどの地区に何人、どういう病状で発生し
ているか、何人放射線治療医が要るのかといった地区別の数字を出して初めて数値目標が
出る。それは今、がんセンターで計画していますが、今はなかなか出ないのではないかと
思います。出すべきだというご意見はもっともで、出すべきだとは思っています。

○垣添会長
 年来議論されているところで、問題点は嘉山委員ご指摘のとおりだと思うんですね。や
はりがん登録がきちんといって、そのデータに基づいて我が国のがん対策が進められなく
てはいけないし、それがまた死亡率の低下とか、そういう評価にもつながるということで
すから、後ほど先のほうでもう少しご議論いただきたいと思います。

○埴岡委員
 嘉山委員が指摘された、患者さんの数と今の医療資源の数をちゃんと調べてから計画を
立てるべきというのは、おっしゃるとおりだと思います。ちなみに、その施策は、去年の
がん対策推進協議会の提案書の70本の施策のひとつに入っていました。「医療従事者の計
画的育成」という施策で、それを厚生労働省のほうで頑張って採用していただき、2億円
ずつ3年間の予算をつけていただいた。そして、国立がん研究センターにその予算と施策
を推進する任務が行ったわけです。患者と医療資源のミスマッチの現状を知ることが対策
の発出点だという考えは、この協議会で共有されていると思います。まさにそれをやらな
ければいけないのですが、それができあがるのを待ってからではなくて、つくりながら進
めていくことも大事なポイントだと思いますので、念のために申し上げました。
 70本の施策に関して皆さんにアンケートでご意見を聞いたときに、医療従事者も患者関
係者も、施策の中でこの「医療従事者の計画的育成」がもっとも大事だと回答しました。
やはり、どこが足りる、足りないだけではなくて、全体をよく見て、どこがどのように幾
ら足りないのか、どこが余っていてどこが足りないのか、そうしたことを見えるようにす
ることが大事だということを改めて強調しておきたいと思います。

○本田委員
 これは意見というか、分からないんですけれども、ドラッグ・ラグの(今後の課題等)
の中で、一番初めのパラグラフには「患者等の各当事者が十分に役割を果たせるような」
という文言があるんですけれども、なぜ申請ラグがあるのかとか、なぜこんなことが起こ
っているのかという中には、患者、国民の臨床試験に対する理解とか、そういうことを知
るといったことがまだ日本では根づいていないというか、十分でない部分もあると思いま
すので、そういうことを一言、患者、国民の責務ということでもありましたので、臨床試
験についてよく知り、そういう情報を得られるように支援することで理解を広めるとか、
そういうことも一言入れておかなくていいのかなと感じました。

○垣添会長
 書いてありませんでしたっけ。

○郷内委員
 34ページに。

○垣添会長
 ね、私、読んだ記憶がある。

○本田委員
 ここの項目ではないものですから、すみません。

○垣添会長
 分かりました。ちょっと整理しなくてはいけない部分はあるかと思いますが、一応記述
はされているということで。

○天野会長代理
  先ほどドラッグ・ラグについて嘉山委員から貴重なご指摘がありました。根本的には
薬事法の改正が必要だというご指摘がありましたが、現時点では、この中間報告の中にそ
ういった内容は全く盛り込まれていない。あるとするならば、8ページに医療上の必要性
の高い未承認薬・適応外薬検討会議についてのくだりがありますが、検討会議で個別の薬
剤についてちまちま議論していても、全くこれは解決しない問題であるわけで、こういっ
た根本的なことについての言及を、ぜひお願いしたいと思います。
 その書きぶりについて、ぜひ嘉山委員からサゼスチョンをいただければと思います。

○嘉山委員
 これは「薬事法」と一言で書くだけではなくて、アメリカのFDAは承認した後、責任
がないんですよ。日本のPMDAは責任をとらなければいけない。私は前任地で最初にP
MDAと連携大学院をつくりましたが、せいぜい3人なんですね。大学院ですから。これ
は間に合わないということで、やはりアメリカのFDAと同じように、薬事法だけでなく
てそこに免責ということを、例えば、100万人のうち1人がその薬のショックで亡くな
ってしまったら、日本のマスメディアは大騒ぎしますね。しかしながら、99万9,999人の人
が助かるのであれば、それは国民的合意で免責にするというような考え方を国民的レベル
でしていけば、こういうドラッグ・ラグはかなり解消できる。先ほど本田委員がおっしゃ
ったように、国民的な理解が出てくると思います。
 免責というもの、これまた法律なんですよ。ですから、やはり国会に頑張ってもらわな
ければ、鈴木室長も高岡補佐もなかなか動けないところがあって、この辺は私、彼らの気
持ちがよく分かる。さっきからイライラしているのではないかと思うんです。あの2人。
 ただ、もっと言えば、これは私自身は国立がんセンターが今、皆さんに言われているよ
うで、私は実は針のむしろにいるような当事者意識があります。今後こういうことは、が
んセンターと厚生労働省とで手を組んで直していきたいと考えています。

○江口委員
 例えば、9ページの一番下の(その他)に書いてある内容は、(その他)ではなくて、
明確な主張として項目立てをすべきと考えます。例えば「意見がある」という言葉は、弱
すぎて提言になりません。
 また、「日本放射線腫瘍学会調べによると、放射線治療患者数は増加しているとの報告
もある」という文章は伝え聞きで、無意味であり不用です。
 だから、やはり根拠に基づく必要数算定内容など、しっかりと書くべきだと思います。

○垣添会長
 そうですね。評価するというポジティブな形で位置を検討したいと思います。
 時間が大幅に遅れておりますので、申しわけありませんが、少し先に進ませてください。
 8ページから9ページの(その他)までの個別目標?Bについて、何かありましょうか。

○野田委員
 そこはもう本当に、江口委員に言っていただきましたが、「なお、日本放射線腫瘍学会
調べによると、」というのは何が何でも外してもらわないと、こんなエビデンスかエビデ
ンスでないか分からないようなものがぶら下がっているのは、ちょっと辛い感じがします。
 でも、これをつけたかった意味もよく分かって、それは、上の保険の点数だけだと本当
に放射線治療の実数が伝わらないからだとも思うんですね。なので、例えば下の、確かに
私たち、施設ごとの放射線治療や何かのとき、学会のほうが数字を持っているんですよね。
であれば、本当にきちんとしたエビデンスであり、それをリファーできるという形で引け
るかどうかチェックしてから。それができなかったら、やはりここは外すしかないのでは
ないかと思います。

○垣添会長
 よろしいですか。では、9ページの真ん中辺の放射線腫瘍学会調べの部分は、削除いた
しましょう。

○荒生委員
 8ページの(進捗状況?B)で、拠点病院における放射線療法の平均治療回数ですけれど
も、平成19年が1施設当たり548.4回、平成21年が1施設当たり660.3回ということで、私
の目では平均治療回数が増えているように見えるんですけれども、こちらの文章は「平均
治療回数が減少している」となっている、これはただの間違いなんでしょうか。

○高岡がん対策推進室長補佐
 すみません、修正いたします。ありがとうございます。

○垣添会長
 では、9ページ一番下からの?A緩和ケアに関して、いかがでしょうか。

○前川委員
 私の見落としかもしれませんけれども、10年以内か5年以内に5万人の緩和ケア研修医
をというのは、どこかに出ていますか。

○鈴木がん対策推進室長
 10万人もしくは5万人という数字については、この報告書の中には入っておりません。

○前川委員
 これはどうなのかなと思いながら、ちょっと迷っている発言なんですけれども、以前、
安倍元首相が、がん医療に関わっている10万人の方が5年以内に緩和ケアの研修を終える
ように目標を立てているといった発言をされています。ですので、ちょっとそこに数字を
入れてほしいなという部分が1点。
 そして、(今後の課題等)の上ですけれども、がん性疼痛緩和指導管理料が今年4月の
診療報酬改定で、緩和ケアチームの医師が1人でも緩和ケア研修を受けていれば、どの医
師も疼痛管理料がもらえるようになったんだと思います。そうすると、何だか「では、受
けなくてもいいや」と思われるのではないかと思って、これからちょっとそれが問題では
ないかと思います。それを考えていただきたい。
 そこで、11ページの段落上の最後のほうを「正確な数を把握することとし、」として、
やはりここに「全ての医師が研修を受けること」というふうな、これは課題なので、ちょ
っと目標の部分かもしれませんけれども、やはり全ての医師。診療報酬が「1人でも」と
なっているので、そこで何か複雑になっているのではないかと思います。
 もう一点。11ページの(個別目標?A)のすぐ上で「いわゆる座学中心から実地研修中心
に移行」という、これは前の協議会でも出たと思うんですけれども、その辺りで、がんで
苦しむ患者に寄り添うことのできる研修会というふうに、何かこれを受ければいいという、
本当に役に立つ研修会になるように願っております。

○三好委員
 私も11ページの第2パラグラフ、今、前川委員がおっしゃったところと少しかぶります
が、せっかく今、緩和ケア研修会というのが始まっていて、その取組自体はすばらしいも
のだと思うんですけれども、その研修会を受けてどのように先生方が変わっていったのか
という行動変容等の研修効果の評価は必ずしていただきたいと、強く推したいと思います。
 また、この第2パラグラフの最後の2行が「がん患者やその家族の意見を研修会の内容
に反映させるべきとの意見もある」となっているんですけれども、前回の協議会でも申し
ましたように、やはり患者視点がまだまだ足りない研修会の内容になっていると思います
ので、例えばコミュニケーション技術のところだとか悪い知らせの伝え方、そういう具体
的な部分に関しては患者としても意見が言える場面があると思いますので、これはぜひ
「意見もある」ではなく「反映させるべき」としていただきたいというのが1点です。
 もう一点、同じ11ページの(進捗状況?A)に緩和ケアチームの設置数が書いてあります。
設置数が増えているのはとてもありがたいことですけれども、実際に拠点病院の緩和ケア
チームの皆さんにお話を伺いますと、実際、チームとして名前は連ねているけれども動い
ていないという話も聞きます。なので、これは意見の1つですけれども、ぜひ次回の計画
の中には、その設置数だけではなくて、緩和ケアチームがどのように動いて、そして実際、
患者さんがどれだけそのチームによって助けられたかをどこかに書いていただきたいと思
います。
 それと、全体的なことなんですけれども、今、医師対象の緩和ケア研修会が計画に基づ
いて進んでいますが、実際、地方の緩和ケア研修会には、他職種の皆さんが参加するとい
う現状も出てきていますので、ぜひ、12ページの上から3行目にもありますけれども、医
師だけではなく、緩和ケアチームに関わる看護師等、いろいろなコメディカルの皆さんに
対しての緩和ケア研修会も今後は検討していただきたいと思っております。

○垣添会長
 緩和ケア研修の効果を評価してほしいとか、他にもこういうアウトカム評価に関してた
びたび意見をいただいていますので、緩和ケア研修の効果の評価ということは、どこかに
文言として入れるようにいたしましょう。
 それから、緩和ケア研修会に患者さんの声を取り入れてほしいという話は、これまでも
何度かいただいていますので、当然のことだと思いますので、これもやはり文言として残
るようにしたいと思います。
 あと、拠点病院で、例えば相談支援センターなり、いろいろなものが体制として大体で
きていたという話がありますけれども、やはり質の評価、何が行われているのかをこれか
ら評価していく必要があるという議論をたくさんいただいていますので、これも取り入れ
させていただきたいと思います。

○嘉山委員
 そのときのエンドポイントというか、アウトカムでもいいんですけれども、やり方によ
って全然違ってくるので、そこは工夫が必要です。
 それは、医療側の目で見ては駄目です。医療側の目でアンケートをとっては駄目で、今、
東北がんネットワークでは私が指示をしているんですけれども、患者さんに全てオープン
でアンケート用紙を配って、例えば、痛いのに医者に「痛い」と言えないとか、そういう
こともあるんですよ。それこそ先ほど三好委員がおっしゃったコミュニケーション能力で、
本当は痛いんだけれども医者の前で言えないとか、そういうことも含めた、非常にナイー
ブなところまで含めた患者さんへのアンケートをつくらないと、本当の活動が分からない
と思いますので、そこは室長、つくるときに相談していただければ幾らでも相談に乗りま
すから。

○垣添会長
 非常に具体的で、かつ重要な部分だと思います。
 これまでの議論で、満足度調査の話が出ていますけれども、なかなか進まないというの
は大変残念なことであります。

○本田委員
 11ページから12ページのところで、もう三好委員がおっしゃっていることで言わずもが
なかもしれませんけれども、ぜひ強調したいと思っているのが、緩和の研修にしても、そ
の緩和の知識とかそういうことも大事かもしれませんけれども、12ページの一番上のパラ
グラフの5行目に「3つの役割が連携し、」とあるんですけれども、「もう病院での治療
ができなくなったから、あとは在宅でゆっくりしてください」なり「ホスピスを探してく
ださい」という状況になったときに、「あとは自分で探してください」みたいな状況がま
だまだたくさん聞かれていて、患者さんにとっては、体の痛みとかいろいろな痛みがある
中で、そこの心の痛み等が大変強く聞かれています。本当は初めの段階で、この重点目標
というか、全体目標の?Uのところで発言しようかとも思ったんですけれども、そういうと
ころで、がん対策基本法ができてもちっとも変わっていないという声を大変たくさん聞き
ます。
 なので、この連携してやっていくんだという、患者さんの声を聞いて研修内容を改める、
反映させるという「意見がある」ではなくて、「すべきである」といった形にしていただ
くとか、最後の連携の部分も、文言をもう少し強調していただければと感じています。

○垣添会長
 いずれも、ごもっともなご意見ではないかと思います。
 では、申しわけありません、先に進ませていただきます。今のご発言は、できるだけ取
り入れるようにさせていただきます。
 12ページの下のほうから14ページの?B在宅医療に関して、何かご発言ありましょうか。

○川越委員
 この在宅医療というのが、現在在院日数の短縮や病床数削減の中で、非常に重要な位置
を占めてきていることは皆さん御承知のとおりだと思います。ただ、この中間報告を読ん
で感じることは、相変わらず高齢者の在宅医療とがん患者の在宅医療をごちゃごちゃにし
て議論している。この点に対しての根本的な見直しを今後の課題の中に入れていただきた
いと思います。それが第1点です。
 第2点として、在宅医療の現実を議論するときに、指標というか、数字がほとんどない。
特にがんの方のですね。これはやはり非常に大きな問題です。先ほど嘉山委員がおっしゃ
いましたけれども、がん登録というものも、ただ学問的なことではなくて患者さんの目線
に立って考えていただきたい。どういう医療を受けて、最終的にがんの方は一定の割合で
亡くなるわけですけれども、そのときに本当に満足して逝ったか、どういう場所で亡くな
られたかといった数字まできっちり出して、それで議論できるようなものを考えていかな
ければと思います。
 第3点として、がん患者に対する在宅医療の提供体制というのが全然変わっていないこ
と。在宅医療というのは、今回のがん対策基本法の均てん化と関係してだと思うんですけ
れども、例えば13ページの上から3つ目の段落ですと、要するに、医師会を中心にうまく
やっているところがある、そういうものを評価しろとあるんですけれども、これはやはり
本当の姿を見ていないと思います。
 例えば、ここで「好事例」と書いていらっしゃることが本当に好事例なのか。これは私
は、先ほど申しましたように、高齢者にとっては好事例だと思いますけれども、がんにと
っては決して好事例ではないといったこともございますので、そういうことも含めて、こ
こは書き直していただきたいなと思います。
 それから、今まで厚労省中心にやってきた施策、例えば14ページに書いてあるネットワ
ーク化、それからクリティカルパス、それから、いわゆるコンサルテーションというよう
なこと、その3つの柱で地域の先生をうまく動員したらがんの在宅医療ができるという考
え方を、そろそろ見直す必要があります。そもそもこの基本法ができたときに、在宅に関
しては従来の枠組みの中でどうやってやるかという計画的な立場が取られた。逆に言うと、
在宅が本当に大事だ、大事だと言いながら本当に実行できる形になっていない。何かイン
センティブをつけてやるというようなことでは限界があります。やはりやらなければいけ
ないのは質の向上ですから、そういう観点に立って全体的な見直しをもう一度しなければ
いけない、そういう時期になっているのではないかと思います。

○垣添会長
 (今後の課題等)のところに具体的にご提案いただければと思います。

○嘉山委員
 何だか今日は厚生労働省を私が守るような感じになっていて申しわけないんですけれど
も、今、川越委員がおっしゃったように、在宅がん医療と在宅高齢者医療は違うんですよ
ね。在宅でがんをやるということは、在宅で治療も一緒にできなければいけないというこ
となんですね。従来は、もううちへ帰ってしまうとそれっきりだということで、今回、埴
岡委員から私、インフォメーションをいただきまして中医協で、今年の4月から在宅でも、
抗がん剤を打つとそれに診療報酬がつくことになりました。これは厚生労働省の力と埴岡
先生から私へのアドバイスだと思っていますが、そういうことも皆さん知っておいていた
だければ、在宅でがんと闘える一つのステップができましたよということをお伝えしたい
と思います。

○垣添会長
 今の嘉山委員のご指摘と川越委員のご指摘で、高齢者在宅医療とがん患者の在宅医療の
切り分け、ごちゃ混ぜになっている部分を少し整理していただければと思います。

○江口委員
 今の、在宅でのがんの治療は非常に重要なことだと思いますが、それにつけても、文言
なんですけれども、12ページの一番上に「その際、在宅療養における緩和ケアも推進すべ
きとの意見がある」という「との意見」という表現は弱いと思います。この協議会として
は「推進すべきである」です。
 「地域ごとに計画を立案することが重要である」の表現は、地域の事情に応じて重点的
にやらなければいけないということであり、表現を弱める「との意見がある」は不要です。

○垣添会長
 今の2点のご指摘は、省くということでよろしいですね。

○江口委員
 緩和ケアに関して(今後の課題等)のところ、10ページから11ページにかけて、緩和研
修会充実・整備の問題は、指導できる人材育成を長期的ビジョンで考えねばなりません。
現状では、医科大学に緩和医療学の正規講座がほとんどありません。実際調べてみると3
大学にしかありません。
 その意味で、長期的視野からは、やはり全国の医科大学に緩和医療学の正規講座を設置
することも、協議会の意思として、ぜひ入れておいていただきたい。

○垣添会長
 これまで十分は議論されていなかったかもしれませんけれども、ご指摘のように、緩和
医療の講座が我が国では絶対的に不足しているということが、緩和医療の遅れの一つの重
要な要因だと思いますから、やはりどこかに書き込むということでよろしゅうございます
ね。

○嘉山委員
 私は大学の学部長をやっていたので、厚生労働省からいつもやれ、やれと命令が来るん
ですけれども、そこにお金が何もついていないんですよ。運営費交付金が東大も含めてざ
っと減らされて、大学の業務はどんどん増えているのにも関わらず裏を見ると白紙なんで
すよね。普通、会社であれば、何か業務をやれといったらそこにはソフトとハードが絶対
ついてきて、それで業務をやれと言うんですが、私立はその辺、ある程度自由にできるん
ですが、国立の場合は運営費交付金でやられていますので、そこも含めて盛り込まないと
本当に疲弊してしまいます。今日は新木課長も来ていらっしゃいますが、医学教育課長は
医学部の親方ですからね。
 ですから、もちろん大事なことなので緩和医療の講座をつくるのは当然なんですけれど
も、戦前の陸軍と同じように全部現地調達するというのでは医療が疲弊するだけなので、
それを実現するするため、フィージビリティという意味では、文部科学省も含めた形で要
求することが大事だと思います。

○垣添会長
 大変具体的な提案をありがとうございます。
 せっかくご出席ですから、いかがでしょうか。

○新木文部科学省医学教育課長
 今、ご指摘のように、緩和ケアに関する講座は大変重要なものと思っておりまして、現
在、文部科学省で進めておりますがんプロフェッショナル養成プランでも、今年、新しい
予算の目玉は、放射線科も含めて緩和ケア等の組織体制をどう大学につくっていただける
か、そのサポートをするということを主眼にやっております。
 ついでに申し上げますと、今、緩和ケアについては3大学というご指摘、そのとおりで
ありまして、これは何とか増やしたいと思っておりますが、いかんせん今、嘉山委員がお
っしゃったように、大学は財政的にかなり厳しいところがありまして、我々の事業でつけ
ても、なかなかそれが永続するものでないといったこともあって、大学側も現実的にかな
り難しい。最終的には、みんな教育費の問題なり医療費の問題、もっと大きいパイの話に
帰結してしまいますが、こういう協議会の場、またこれを含めて国民的な大きな声で、も
っと教育、医学にお金を投じるべきだというようなことは、我々、大変ありがたいと思っ
ております。

○垣添会長
 財政的裏づけを持った緩和ケア講座の開設といった内容にある必要がある。

○嘉山委員
 新木課長、うまく答えられましたが、垣添会長、例えばがんプロは全部で17あるんです
よ。17。ブロックで。一番安いところは1校300万円です。人一人雇えない。そういう現実
ですから……

○垣添会長
 結局がん対策全て、今の緩和ケア講座の話だけではなくて、全てが財政的な裏づけなし
にやれという話で進んでいるところがあるんですよね。

○嘉山委員
 我々は当事者で、背中に背負って動きますけれども、患者さんの皆さんは国民の皆さん
の同意を得るように、財政的裏づけというか、社会保障ですよね、結局。セーフティネッ
トですよ、社会の。それを大きな声で言っていただかないと、「やれ、やれ」では現場は
どんどん疲弊していって、また悪循環に入ってしまうので、その辺のご援助も反対にお願
いしたいと思います。

○新木文部科学省医学教育課長
 数字だけの話でありますが、18ネットワークで20億円でありましで、その中に92大学あ
りますので、1大学当たりで見ると、ちょっと私も正確な数字を把握しておりませんが、
300万円ぐらい。グループ全体で見ると300万円ということはありませんので、そこは訂正
させてください。

○保坂委員
 どこの部分がということではないんですけれども、今、嘉山委員がおっしゃいましたよ
うに、がんの患者さんも在宅でと言ったときに、本当にその患者さんのために在宅に持っ
ていこうということではなく、病院の平均在院日数を減らすために家に帰そうとかいうこ
とがそもそも出発点になって、こういうことが始まっているとしか私たちには思えないよ
うな仕組みになっているので、在宅の方の緩和医療をやるような医師を増やしていこうと
言っても、やはり経営的に成り立たなければできないわけです、在宅の人を診ようとする
診療所等があったとしても。
 もう一つ、在宅でがんの治療をしようというか、やっていこうという患者さんがいた場
合に、訪問看護ステーションが非常に重要な役割を果たすと思うんですけれども、今、全
国に訪問看護ステーションはたくさんありますが、重い患者さんを診てくれる訪問看護ス
テーションはない。というのは、そういうことは経営的に成り立たないからであって、な
かなかない。それから、当然訪問看護師さんにも非常に高度な知識が、普通の老人の在宅
医療をやるのとは違うスキルが要るわけですね。ぜひその辺のことを考えながらやってい
ただきたい。
 それにはやはり財政的な裏づけがないと、訪問看護ステーションも経営できなければや
っていけませんので。恐らく全国の訪問看護ステーションでがんの患者さんを診ているの
は、医師会立のものだけではないかと思うんですね。民間立では到底そこまでできない状
況なので、ぜひその辺のこともどこかに、関係して書けるところがあったら書いていただ
きたいし、患者の皆さん、ここに代表で出ていらっしゃる皆さんも、本当に熱い心でいろ
いろおっしゃっているんだと思いますけれども、嘉山委員がおっしゃったように日本の社
会保障費全体を上げていかないと、がんの患者さんだけではないけれども、がんの患者さ
んのためにも何もできないということをぜひご理解いただいて、そういった日本の社会保
障の割合を増やしていくことについての協力を、ぜひお願いしたいと思います。

○垣添会長
 ご指摘のとおりだと思います。

○野田委員
 そのことで、私、ずっと川越委員等にお聞きしたいと思っていたんですが、中間評価の
ときしか聞けないのでお聞きしますが、在宅医療はそういう複雑な問題を抱えていて、個
別目標が「家庭や地域での療養を選択できる患者数の増加を目標とした」と。今のを全て
含んでいるので、在宅死亡率ではなくてこちらをここに掲げていますが、これはずっと、
やっている間じゅう、測れない数字をここに置いているわけですよね。
 ですから、今の問題を包含したまま、その問題は分かりますが、その問題を解決する方
向に進んでいるように見えないんですが、それで結局、ディスカッションの進捗では、在
宅の死亡率の上がった、下がったを言っているんですよ。なので、本当にこの立て方でい
いんですかということを川越委員にお聞きしたいんですが。

○川越委員
 私も、ちょっと総論的な話をしたようですけれども、実はそんな話かできないんですよ
ね。野田委員がおっしゃったように。例えば、在宅死亡率は参考意見だと言いながら、在
宅死亡率が1.7%上がった、いいではないかというような感覚でとられるんですね。けれど
も、我々が一番大事にしていることは、これだけ在宅医療が量的にも問われるのであれば、
やはり質をちゃんと担保した形で量を増やしていかないと駄目だと。それは今の体制では
駄目だという根本的なことに触れなければいけないと思うんですね。

○野田委員
 そうすると、やはり目標設定なので、課題の最後で、次の目標設定においては、今の質
的な部分の評価の川越委員の意見と、それからむしろ予算的な裏づけの部分での保坂委員
のお考え等を入れたような形のようなものをつくる必要があるということを打ち出してお
かないと、いつまでも在宅死亡率で……。

○垣添会長
 そうですね。大変きれいにまとめていただきまして、ありがとうございます。

○川越委員
 13ページの3段落目の「このほか、静岡市や尾道市において地域の」云々という、これ
はぜひ外していただきたいと思います。これは高齢者の好事例になるかもしれません。た
だ、これを真似しているところがたくさんあるけれども、うまくいっているところを聞い
たことがありません。ですから、こういうものをここに出して、医師会を中心にして在宅
医療を何かやっていったらいいという、そういう一つの免罪符的なものをここに書いてほ
しくないというのが現場しか知らない者の希望です。

○垣添会長
 分かりました。取り入れましょう。

○本田委員
 先ほど野田委員がおっしゃったような形で書き換えていただきたいと私も思っているん
ですが、1つ患者側というか、使う側の視点としても、在宅医療の質が分かるような指標
に変えていくのはもちろんですけれども、在宅医療への連携というか、病院医療と在宅と
の連携の在り方の部分が本当にないので、ドラッグ・ラグでよく「がん難民」と言われま
すけれども、実はそこの部分でかなりのがん難民が生まれているという現実がありますの
で、その視点をぜひ課題のところに入れていただきたいと思います。

○垣添会長
 今の本田委員のご指摘も、大変重要だと思います。それも取り入れるようにいたします。
 申しわけありませんが、先に進みます。
 14ページの下から15ページの真ん中辺まで、?C診療ガイドラインの作成について、いか
がでしょうか。
 これは個別にやらなければもっと早く進むんですけれども、やはり極めて大事な部分な
ので、1つずつ議論していただくとこれだけ意見が出てきますので、もう既に大幅に予定
から遅れてしまっているんです。ですから、申しわけありませんけれども、3時間でまと
めるのは難しいと覚悟してください。
 よろしいでしょうか。
 では、もう一息進みます。15ページの真ん中辺、第3章の?V「分野別施策の個別目標に
対する進捗状況と今後の課題等」の2「医療機関の整備等」について、厚生労働省から説
明してください。

○高岡がん対策推進室長補佐
 15ページの2「医療機関の整備等」については、個別目標を、原則として全国全ての2
次医療圏に、3年以内に概ね1カ所程度、拠点病院を整備するとともに、全ての拠点病院
において5年以内に、我が国に多いがんに関する地域連携クリティカルパスを整備するこ
ととしております。
 進捗状況といたしましては、平成20年3月の拠点病院の指定要件の見直しによりまして、
平成23年10月までに地域連携クリティカルパスを整備しなければいけないとしております。
 また、平成22年度診療報酬改定におきましては、拠点病院におけるキャンサーボードの
開催、院内がん登録のさらなる充実を含めて一層の評価を行うこととされました。
 拠点病院の整備率につきましては、平成19年79.9%、これは医療圏の数と施設の数を比
べたものです。平成22年においては108%となっております。我が国に多いがんのうち、そ
の一部について地域連携クリティカルパスを策定している拠点病院の割合は、平成19年
13.6%、平成21年、26.4%。我が国に多いがん全てについて地域連携クリティカルパスを
策定している拠点病院の割合は、平成19年2.1%、平成21年6.7%にとどまっております。
 今後の課題といたしましては、まず、平成22年4月時点で231医療圏、全部で349ある中
で231医療圏において、377カ所の拠点病院が整備されておりまして、拠点病院のない空白
の医療圏に居住するがん患者さんにつきましては、他の医療圏にある拠点病院がカバーす
ることとなっているということで、「おおむね、すべてのがん患者が拠点病院によりカバ
ーされていると言える」としております。
 一方、拠点病院の在り方につきましては、複数の機関で連携して指定要件を満たす病院
についても指定を受けることができるようにすべきといった意見や、新たに準拠点病院制
度をつくるべきといった意見もございます。拠点病院連絡協議会はその機能を強化するこ
と、また、拠点病院における医療の質の評価が必要であり、DPCデータ、レセプトデー
タを活用すること、ベンチマークセンターを設置してデータを公表すべき等の意見がござ
います。
 地域連携クリティカルパスについては、いまだその整備が進んではおりませんけれども、
拠点病院においては、平成23年10月末までに整備しなければいけないという指定要件にな
っていることから、最終報告までには、少なくとも拠点病院における整備は進められるこ
とが期待されます。
 なお、この数多く存在する地域連携クリティカルパスにつきましては、特に策定すべき
ものを研究班において提示できるよう検討を行うとしております。

○垣添会長
 この部分に関して、いかがでしょうか。

○埴岡委員
 医療機関の整備等に関しまして、2点ございます。
 1つは、がん拠点病院制度全体の改革についてです。この協議会が取りまとめた提案書
におきましても、重点施策の1つとして特別に記述をして提案していました。そもそも、
がん拠点病院制度は均てん化の決め手となる施策とすべく、どこでも、だれでも質の高い
医療を受けられるように医療機関をネットワーク化することを考えていたわけですけれど
も、現状では、必ずしもそれがうまく効果を発揮できているわけではない状況となってい
ます。一部、“副作用”も見られておりまして、拠点病院でも質が担保できないとか、あ
るいは拠点病院が一人勝ち的な行動をして周りとの連携がうまくいっていないといったこ
とも見られ、リード役の医療機関をつくりつつ周りの医療機関とつないでいって全体が上
がっていくという形が、あまりうまく回っていない。
 そこで、がん拠点病院に関してはいろいろな提案が出されているわけですが、要するに
一言で表現すると、がん拠点病院制度の包括的な見直しを行い、第2期拠点病院制度をス
タートさせる発想で考えていくと。この協議会としては言いっ放しではなくて、その辺り
を引き続き考えていく必要があると思います。
 2点目は、国立がん研究センターの位置づけについてです。私はかねがね申し上げてい
るように、国立がん研究センターがアメリカのNCIすなわち米国がん研究所のような、
司令塔役割を果たすべきだと考えています。ところが先ほどありましたように独立行政法
人化されてしまった。元々のがん対策推進基本計画、あるいはこの中間報告書のどこにも、
がん研究センターのことが書いてありませんが、一体どうするつもりなのか。
 恐らく司令塔論に何らかの結論をつける必要があると思います。司令塔にするのか、し
ないのか。司令塔にした場合、どういう司令塔なのか。ただしその場合、今までの割と権
威的で自分が存在感を示すという形から、日本のネットワーク全体のためにインフラをつ
くって全体を持ち上げていくような新しいリーダーシップの形になっていくことが大切だ
と思うのですが、そういうことを考えなくていいのか。
 計画及びこの中間報告書には、国の施策だけではなくて学会ですとか病院ネットワーク
という他の重要な当事者との連携も余り書かれていません。がん対策の重要な当時者の一
つとして、がん研究センター等の位置づけをどうしていくのか、それもしっかり考えたほ
うがいいのではないかと思います。

○嘉山委員
 どうもありがとうございました。
 がんセンターとしては、独立行政法人になったという意味は、国家がやらなければいけ
ない仕事を、国家の中にあっては制限があるものを取り払って、ただし、民間ではできな
い仕事をやる。これが独立行政法人なんですね。例えば定員で言えば、今まで脳外科は3
人しかいません。これでは絶対大学に勝てるわけがないんですね。ですから、定員枠を外
れるという意味では、厚生労働省の直轄から外れたことはいいことです。例えば基礎研究
は、民間でやってもお金になりませんので、民間は手を出さない。そういう業務をやらな
ければけいない、これが独立行政法人の精神です。
 したがって、従来と同じリーダーシップを発揮して─従来どのぐらいリーダーシップ
を発揮していたかは非常に疑問のあるところだと思いますが、新生独立行政法人国立がん
研究センターとしては、従来以上のリーダーシップを発揮して、がんをやっていく責務を
担っているという自覚はしております。

○垣添会長
 今の嘉山委員の、新しい独立行政法人国立がん研究センターの意義みたいなものを、連
携とかネットワークの中に取り入れるということでよろしいですか。

○鈴木がん対策推進室長
 35ページに「国、国立がん研究センター、都道府県、市町村等の役割を明確に示すべ
き」という、今の埴岡委員のご指摘も踏まえまして、今後、見直しの際にはこういったと
ころも検討するということで、一文は入れさせていただいているところでございます。
 さらにもう少し明確化ということであれば、また文章をご提示していただければと思い
ます。

○垣添会長
 次期基本計画を作成する際の論点の1つに挙がっているということですね。

○嘉山委員
 先ほどアメリカ的にするのか、日本的にするのかという問題がありましたが、アメリカ
は、先生ご存じのように、予算は日本のNCCの20倍、30倍です。人間も20倍、30倍いて、
麦谷審議官がおっしゃったような地位に本当はあるべきなんですけれども、いかんせん人
とお金がなかったということがあります。
 今後は、独立行政法人なので我々は努力をして、それを何とかしながら、ただ、運営費
交付金は、減らしていただくと国立大学法人のような衰退をたどりますので、そこはやは
りしっかりといただければ機能を果たせると思っています。

○垣添会長
 これは極めて重要な問題で、短期間の議論で方向性を出すのは難しいと思いますので、
ここは一応35ページに、次期基本計画を作成する際の論点とするということで整理させて
いただきます。

○野田委員
 全くもってそうで、基礎研究は民間でやっても仕方ないというところが1つあるんです
が、それは後で2人でお話しさせていただくとして、実際には、嘉山委員のおっしゃって
いる組織と国で果たすべき役割は、この項目におさまるものではないと思うんですね。が
ん研究センターの研究から全てにわたって広くあれするものなので、実際、新しくがん研
究センターがこういう形で立ち上がっているわけですから、それを踏まえた上で、独立し
た項目を一番後ろに設けることを提案したいと思います。

○檜山委員
 医療機関の問題ですけれども、この文章を読むと、やはり5大がんという形で均てん化
するということで評価されているんですが、やはり取り残されているがんがあることもき
ちっと明記していただきたいというのが我々の希望でありまして、稀少がん、難治がん、
それから死亡率が上がっているがんも確かにある。嘉山委員が言われるように、エビデン
スがないので何も言えないかもしれませんけれども、そのエビデンスをとる登録も含めて
の話になりますが、最終的にはそういう、本当に何人の患者さん、どういう拠点病院が地
域に要るのかという、5大がんに関しては、こういう地域の拠点病院でいいんだけれども、
稀少がんや小児がんや難治がんに関しては実際どういう形で取り組むべきかということを、
次の課題として取り入れていただければと思っています。

○鈴木がん対策推進室長
 元々、基本計画を立ち上げたときに念頭に置かれていたのは5大がんでしたが、今回、
35ページの一番上の●に「がんの種類別に対策を推進し、我が国に多いがんのみならず、
小児がん等患者数の少ないがんの対策も着実に実施すべき」ということで、これも次期計
画を策定するための一つの論点として挙げさせていただいているところでございます。

○垣添会長
 ありがとうございました。
 大分予定が狂ってしまいましたが、ここで10分間休憩をとらせていただきます。3時25
分に戻ってください。再開後、17ページの3「がん医療に関する相談支援及び情報提供」
からスタートします。
15時14分(休憩)
15時21分(再開)
○垣添会長
 再開いたします。
 今日じゅうに何としてもこの中間報告をまとめなくてはいけないということがあります
ので、申しわけありませんが、この後は個別の議論を少しはしょらせていただいて、幾つ
かまとめて進めたいと思います。
 まずは17ページからの3「がん医療に関する相談支援及び情報提供」と、20ページから
の4「がん登録」を併せて、ごく簡単に事務局から説明いただいて、ご議論ください。

○高岡がん対策推進室長補佐
 それでは、ごく簡単にご説明させていただきます。
 17ページの相談支援、情報提供ですが、個別目標?@が相談支援センターの整備、個別目
標?Aがパンフレット等の情報提供となっております。
 今後の課題ですけれども、相談支援センターは設置されたが質の向上が大事であるとい
うこと、また、ピアサポートが大事であるということが記載されております。
 個別目標?Aのパンフレットですとか患者必携などの情報の普及については、パンフレッ
トはがん対策情報センターで平成19年4種類から平成22年46種類に拡充されておりまして、
患者必携につきましては、平成21年6月に試作版を作成しております。今後は患者さんが
必要とする情報を定期的にモニタリングするということ、また、情報提供に関する指標の
再検討が必要ということを記載しております。
 個別目標?Bといたしまして、拠点病院の診療実績の情報提供の充実でございます。
 がん対策情報センターで拠点病院の診療実績を平成19年44項目、平成22年452項目という
ことで、項目数を増やしてございます。
 今後の課題といたしましては、より分かりやすくこの情報提供をしていくことと、がん
の治療や療養に関する信頼性や科学的根拠に乏しい情報の発信や広告について、何らかの
規制などの在り方について検討する必要があるという意見をいただいております。
 がん登録につきましては、個別目標が3つございまして、1つ目は、院内がん登録実施
医療機関数の増加。
 医療機関数の増加につきましては、平成21年12月時点で366の拠点病院で標準的な院内が
ん登録が実施されているということでございます。
 今後の課題につきましては、予後調査の実施の体制整備が早急に必要であるということ
でございます。
 個別目標?A、拠点病院におけるがん登録実務者の研修受講でございます。
 これにつきましては、平成21年度、初級者研修会修了者数は1,133人でございます。平成
22年4月には、拠点病院全てにおいてがん登録実務者研修を修了しているということでご
ざいます。
 今後の課題といたしましては、研修内容の評価が必要ということでございます。
 個別目標?B、がん登録の国民認知度調査を行うとともに、がん登録の在り方についてさ
らなる検討を行い、その課題、対応策を取りまとめるということでございまして、がん登
録の認知度調査は、世論調査を平成19年、21年に実施しております。がん登録の課題、対
応策を取りまとめることにつきましては、厚生労働科学研究やがん研究助成金の研究班に
おいて取りまとめられてございます。こちらは参考資料で本日、配布しております。
 今後の課題といたしましては、がん登録の認知度が低いということで、認知度向上のた
めの施策の検討が必要ということでございます。

○垣添会長
 申しわけありません、物すごくはしょりましたけれども、まず、相談支援、情報提供に
関して何かご意見ありましょうか。

○郷内委員
 相談支援センターですが、この中にも書かれてはおりますが、結局、在院日数の短縮化
は本当に全国で急速に進んでおりまして、拠点病院の中にある相談支援センターではあり
ますが、対象になる方はほとんどが在宅。要するに、退院後、自宅療養されている方たち
が圧倒的に多くなっております。私ども、相談員の方たちが受けている研修対応というも
のを存じ上げないんですけれども、その辺のところ、相談員の方たちががん情報センター
で受ける研修内容などについては、在宅で療養している生活全般の患者さんの悩み、身体
的な苦痛だけではなく経済的な問題、あるいは精神的な心の問題とか、あらゆるものに対
するある程度の情報提供も必要なので、そういうものに対する……。
 あるいは拠点病院にかかっている、いないに関係なく、地域医療圏の患者さんを全員抱
えるようなつもりでいるとすれば、今の認知度が足りないということは、やはりそのまま
─ちょっと見ておりますと、病院の相談支援センターは待ちの姿勢です。患者さんが来
るのを待っているという状態です。決して自分たちから出ていくような行動はありません。
それから、自分たちから情報を発信することもとても少ないです。中央の情報をただ紹介
するだけという今の在り方は、もうちょっと積極的な関わり方を患者さんに対して向けて
いただきたいと思いますので、そういう書き方をお願いします。

○垣添会長
 相談支援の研修に関して、何かお答えいただくことありますか。

○若尾がん対策情報センターセンター長補佐
 がん対策情報センターで相談員に関する研修を行っていますが、ご指摘されている点に
ついては、我々としては十分配慮してやっているところでございます。
 ただ、以前もご紹介しましたが、相談員で研修しても、異動でどんどん人が変わってし
まう。なかなか離職率が高くて根づかないということもあります。ご指摘の点を踏まえて、
また今後のカリキュラム等に反映していきたいと考えております。

○三好委員
 私からも相談支援センターについて2点、お願い等も含めて意見させてください。
 まず、18ページの一番下の行に「相談支援センターが患者擁護の趣旨から設置されてい
ることを周知徹底すること」とありますが、先ほどの郷内委員のお話のとおり、まだまだ
認知度が低いので、ここを「設置されていることを国民に周知徹底すること」と、「患者
擁護の趣旨から」というのは省いてしまってもいいのかなと思うのが1点です。
 それから、前々回でしたか、協議会でも申しましたが、やはり相談支援センターが病院
内にあることに気づかない患者さんが、まだまだいらっしゃいます。拠点病院を全て見て
回りましたが、相変わらず「相談支援センター」という文字がドアに掲げられていない状
況がありますので、最低限、相談室の前に「相談支援センター」と掲示することを必須の
項目として挙げていただきたいと思っております。
 2点目は、ピアサポートのところですけれども、私たちは患者会として、日常ピアサポ
ートを行っております。ただ、今、一番問題になっているのが、質の担保ができているの
かということであります。私たち、勉強しないままピアサポートという形で患者さんのケ
アに当たっているメンバーもたくさんおりますので、その中で、せっかくこの中間報告の
課題に挙げるのであれば、19ページの第2パラグラフに「医療従事者等のプロ・サポータ
ーとピア・サポーターの交流や相互啓発活動も重要であり、体と心の痛みの軽減を支援で
きるプログラムを開発し、実施すること」とありますが、ここにぜひ、「質を保つための
研修を実施する」という1行を入れていただきたいと思っております。
 相談支援センターにしても患者会にしても、まだまだ利用されない率が高いですので、
ぜひもっとたくさんの患者さんに知っていただきたいというのもありますし、拠点病院の
医療者の皆さんにも、そういったピア・サポーターという立場で患者さんを癒してくれる、
相談に乗る場所もあるということをもっと知っていただきたいと思います。

○垣添会長
 相談支援センターの周知は非常に重要ですので、ぜひ取り入れたいと思います。

○若尾がん対策情報センターセンター長補佐
 相談支援センターあるいはがん情報サービス等、まだまだ周知率が低いことは前回の世
論調査等でも確認されています。それらについて一気に周知率を上げるためのキャンペー
ンを患者必携と併せた形で大きく、皆さんに知っていただいて、利用していただくための
仕掛けを今年度、何とか考えていきたいと思っております。

○嘉山委員
 今までの国立がんセンターの啓発の仕方は、非常に自己満足に陥っていた点があると私
は判断して、今、答えた彼に、この6月からと言いましたが、アメリカではもう間違いな
くインフルエンスするという方法が2つあるので、その2つを文部科学省とも相談してや
るつもりでいます。そうすると、全国民に一歩進んだ形で啓発できると考えています。

○安岡委員
 私は、相談研修を受けました。前期、後期全て受けましたが、全然内容が分かっていな
くて、大半の方が居眠りをしております。だから、あれを受けてどうなるんだろうと。た
だ修了証書だけもらえるので皆さん行っているんですけれども、本当にあれって役に立つ
のかなというのが第一印象です。ちゃんと地域で先生方を呼んでやってもらうと、もっと
いい研修になるのではないか。あれだけ大きい所に詰め込まれて朝から版までみっちりや
られると、大半がもう居眠り状態でやっているので、駄目だと思います。
 それから、サポート。ピアサポートにしましても心のケアというのが全然入っていなく
て、研修等でもそうですけれども、やはり患者さんは皆さん、相談に来るときには何らか
の不安とか、心に傷を負いながら来るんですが、そういうところの勉強が全然できずにピ
アサポートすると、反対に患者さんを傷つけてしまったりといったことがあって、高知で
は一応、心のケアを1年間通して勉強しています。今年6月から17人が出ていくようにな
っていますけれども、そういうちゃんとしたスピリチュアルケアのお勉強をした人たちに
よってサポートしてあげないと、大変なことになるのではないかと思っています。

○垣添会長
 ピアサポートの在り方、あるいは相談支援センターにおける研修の内容に関して、かな
り手厳しいご意見をいただきました。

○嘉山委員
 まさにおっしゃるとおりです。要するに、全く患者さんの視点から研修内容を決めてい
ないんですよ。まるで医学部の講義をやっているような内容なので、だから私、さっき自
己満足と言ったんですけれども、患者さんの視点での相談員になるような内容に改めさせ
ますから、ちょっとお待ちください。

○垣添会長
 申しわけありません、これでこの話はストップさせてください。
 がん登録に参ります。23ページの真ん中辺まで。いかがでしょうか。

○埴岡委員
 がん登録、特に地域がん登録に関しては、この協議会でも何度も整備が必要であるとい
う意見が出ています。それに比べると、書きぶりが素っ気ないという印象があります。
 地域がん登録、院内がん登録、臓器別がん登録がありますが、がん対策推進基本計画の
策定時には、あえて地域がん登録に関しては明記されなかったという経緯があったと思い
ます。ですから、この中間報告では地域がん登録の位置づけを明確にすると同時に、先日
この協議会からも提案を出した地域がん登録に関する法制化を含めたしっかりとした対策
を、はっきりと書いていただきたいという感じがいたします。
 2点目は、地域がん登録に限らず、院内がん登録も含めてそうですけれども、登録のデ
ータを集めるだけではなくて、データを分析し活用するというところがあると思います。
例えば、院内がん登録系のデータですと、全がん協がもう十数年間、研究費を使って開示
方法を研究されておりまして、一応の定評もございます。地域がん登録系のデータでした
ら大阪府が施設別、地域別、ステージ別のデータを一般公表しております。そういう形で
きっちり開示をして、施設別、地域別で情報を出して活用するということも、できるだけ
明記していただければと思います。

○垣添会長
 今、埴岡委員がご指摘のように、長妻大臣にお会いして2011年度のがん対策に向けての
提案書をお渡しした中に、項目として、がん登録に関して強調する形で要望書を出してお
って、その中で法制化のことも含めてお願いしておりますので、後ろの「法制化を含めた
検討の在り方」というのは、少し強調して書いていただければと思います。

○野田委員
 その地域がん登録のことですが、今回のは確かに目標、そしてそれに対する達成という
ことで言っているので、地域がん登録のことが出てこないわけですが、ちょっとその点で、
地域がん登録にとどまらず検診とか、いろいろな問題とか、国がするべきこと、都道府県
がするべきことの識別とその連携という部分がそれぞれの部分に関係しているので、一番
最後のところで、やはりさっきの国立がん研究センターのことと同じように、1つ大きな
問題として取り上げていただきたい。
 その中の具体例として、1つはがん登録の問題もあるし、これから出てくると思います
が、検診の問題もあると思うんですが、そういう観点からも、後ろで取り上げていただく
ことも必要かと思います。

○垣添会長
 ご指摘のとおりだと思います。
 それでは、23ページの真ん中辺、5「がんの予防」から25ページの一番下、6「がんの
早期発見」までお願いできますでしょうか。

○高岡がん対策推進室長補佐
 23ページの5「がんの予防」につきましては、個別目標の1番目が、たばこ対策につい
てです。
 進捗状況としては、受動喫煙防止対策の重要性と正しい知識の普及のために様々な取組
がなされており、喫煙が健康に及ぼす影響について知識は87.5%に普及していますが、未
成年者の喫煙率は0%の目標に達しておりません。平成22年度税制改正において、1本当
たり3.5円の税率引き上げを行うこととしております。
 今後の課題といたしましては、より強力にたばこ対策を推進する必要があるということ
で、たばこ税の増税は、今後、引き続き継続して要請すべきとの意見を記載しております。
 また、次期基本計画などにおいて喫煙率の目標値を定める必要があるという意見も記載
しております。
 次の個別目標といたしましては、「健康日本21」に掲げられている食事に関する目標
ですが、こちらは今後の課題のところに、食育との共同推進が重要ということ、また、食
事以外の運動もがんの予防に関してエビデンスがあるということで、推進方策を検討すべ
きということを記載しております。
 次に、6「がんの早期発見」につきましては、まず検診の受診率についてと、検診の精
度管理についてです。
 検診の受診率につきましては、添付資料6に表にしてございますので、数値については
そちらをご覧ください。平成19年度の基本計画策定時以降の国民生活基礎調査がまだ実施
されておりませんので、まだ評価がなされる時にはなっておりませんけれども、参考とし
て世論調査ですとか、あとは地域保健・健康増進事業報告といった別の調査もなされてお
りまして、そういった調査結果を見ても、29ページに書かせていただいておりますが、
「検診受診率50%の目標については、これまでの対策のみで達成できるかどうか予断を許
さない状況であるため、さらに検診受診率を向上させるために、がん対策推進協議会等の
関係者の意見を聴きながら、関係者が一丸となって、一層の努力を図る必要がある」と記
載しております。
 個別目標の2につきましては、精度管理・事業評価、科学的根拠に基づくがん検診の実
施についてでございます。
 これは厚生労働科学研究の研究班によりまして、事業評価のチェックリストの調査を行
っておりますが、いまだ全ての市町村においては事業評価が適切になされていない、精度
管理が適切になされていないということになっております。
 また、科学的根拠に基づいた検診の実施につきましては、胃がん、子宮がん、肺がん、
乳がん、大腸がん、8割から9割の市町村において指針どおりの検診が実施されておりま
す。
 今後の課題につきましては、チェックリストの遵守が今後の課題であるというご意見と、
エビデンスに基づいたがん検診に係るガイドラインの作成、活用が不可欠であるといった
ご意見をいただいております。また、検診の効果と限界、デメリットに関しても受診者に
対して十分説明した上で検診の受診勧奨を行うことが必要というふうなことで記載してお
ります。

○垣添会長
 では、まず「がんの予防」に関して、いかがでしょうか。

○天野会長代理
 たばこの予防に関して、喫煙率の話です。そもそもがん対策推進基本計画において、未
成年者の喫煙率0%というごく当たり前の目標が記載されていたことに問題があるわけで
すが、成年の喫煙率についても次期の計画で必ず明記すべきということで、「必要であ
る」という表現は、ぜひ直していただきたいと思っております。

○垣添会長
 今、天野委員がご指摘の点は極めて重要で、第1期の一番最初の協議会のときに、委員
全員の賛成で喫煙率半減という数値目標を挙げたのが、最終的にそれを挙げると閣議決定
されないということで、泣く泣くおろしたという事実があります。ですから懲りずに、次
期の計画を定める際には、この喫煙率の話はもう一度取り上げるようにしたいと思います
が、少なくともここで「必要がある」という部分はとりたいと思いますが、よろしいです
ね。
 ありがとうございます。

○郷内委員
 25ページの下のほうですが、子宮頸がん予防ワクチンについて2行ほど記載がございま
す。私は婦人科がんの患者会の代表としてこの場に参加させていただいておりますので、
この部分の記載が極めてあっさりであることは非常に残念であるということと、それから、
既に報道等で皆様ご存じだと思いますが、国からの助成がなかなか進まないということで、
ワクチン接種の助成について、一部もう自治体のほうで走り出して、都道府県あるいは市
町村のほうで助成が始まっております。ただ、このように各地域ごとの助成ということで
ばらつきが出るのは、やはり患者としては何としても困るわけで、全国一律に、等しく、
居住地に関係なく接種が受けられる環境を速やかに整えていただきたいので、この部分は
もうちょっと書き込みをお願いしたいと思っております。

○垣添会長
 どういうふうに踏み込めばいいでしょう。

○郷内委員
 例えば、この続きとして「ワクチン接種の助成については、現在、都道府県等で一部、
助成制度が始まっておるが、国民からは国の助成を求める声もある」というようなことも
入れていただきたいです。

○垣添会長
 そこまで書き込まないといけないでしょうね。

○嘉山委員
 私は、それよりもう、こんなに効果があるものであれば無料にしろと言ったほうがいい
と思いますよ。だって、こんなに効果があるものにお金をかけないで他に……、野田委員
が研究しているまだ未明のものにお金をかけるよりは確実であるんだから、これはもう絶
対、100%国に要求したほうが私はいいと思います。それで助かる人がいるんですから。こ
れは確実に効果が分かっているわけですからね。

○野田委員
 そこですけれども、ですので、まず郷内委員がおっしゃることの前段として、エビデン
スに基づいて効果が明らかなものに関しては、とにかく積極的に推進すべきであると。そ
こで全体に無料かどうかはともかく、国を挙げて積極的に推進すべきであるというのをま
ず強調するということだと思います。
 その後段の、市町村や何かにおいてというのは次の問題であって、とにかくまず積極的
な、それも私たち研究者として一番言っていただきたいのは、明らかにエビデンスに基づ
いているものの推進は積極的になされるべきである、国としてするべきであるというふう
に書いていただきたい。

○保坂委員
 実は予防接種法の改正について話し合われておりまして、その中で、子宮頸がんワクチ
ンだけを取り出していろいろやりますと様々な問題がありますので、予防接種法改正の中
で、子宮頸がんワクチンを含めて定期接種化するということで、子供の予防接種の定期接
種化について私ども取り組んでいるところでございますが、ここに子宮頸がん予防ワクチ
ンも定期接種化するというぐらい踏み込んで書いていただくほうが、地方、地方によって
少し補助とかではなくて、定期接種化すれば、今、嘉山委員が全部無料とおっしゃいまし
たけれども、それも不可能ではないだろうと思いますので、ぜひそこまで書き込んでいた
だきたいと思います。

○垣添会長
 この場におられる皆さんが賛成されると思いますので、やはり子宮頸がん予防ワクチン
に関しては、国を挙げて積極的に推進するというところまで必ず書き込むことにさせてい
ただきたいと思います。
 先に進んでよろしいでしょうか。
 それでは、6「がんの早期発見」についてお願いします。

○永池委員
 がん検診の受診率を上げる方策のところで、幾つか盛り込まれている点に加えていただ
きたいという発言でございます。
 受診率向上の受診勧奨システムの確立に関する指摘であったり、ハンドブック等を活用
した普及啓発、あるいは研修等が挙げられております。28ページの後半から29ページの前
段でございますが、こうした点に加えまして、実際に市町村保健事業として検診が実施さ
れており、この事業に関与する、例えば保健師等の医療従事者の充実が求められるのでは
ないかと思います。こうした市町村保健事業を担う保健師など従事者の十分な配置、専門
性を発揮できるための体制整備が重要ではないかと思いますので、この辺りも加えて今後
の検討課題の中に表記していただければと思いますが、いかがでしょうか。

○垣添会長
 研修のことですね。分かりました。
 他に、いかがでしょうか。
 29ページの上から3つ目の段落、検診受診率50%の目標は予断が許さない、それで「受
診率を向上させるために、がん対策推進協議会等の関係者の意見を聴きながら、関係者が
一丸となって、一層の努力を図る必要がある」というのは何とも弱い話で、先ほど野田委
員が発言されたように、検診の話にしてもがん登録にしても、国が音頭をとって進めると
いう形に最後にまとめるようにさせていたきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

○荒生委員
 がん検診に対しましては、私ども酒田市でも、受診率がなかなか上がらなくて四苦八苦
している状態です。
 前にもお伝えしたかと思いますけれども、やはり市町村が実施しているのは働いていな
い方、国民健康保険に入られている方を中心に、まず対象者としているわけですけれども、
どうしても中小企業、企業で働いている方の受診率が上がってこない。
 あと、働いていない方でも、個別にお医者さんで検診をしている方のデータがなかなか
上がってこないということで、地域全体のがん検診の受診率を計算しようにも、ちょっと
計算できないような状態になっています。どうしても地域全体にがん検診の受診を進める
に当たっては、そういったデータの蓄積、精度管理の問題も出てくるかと思うんですけれ
ども、そういった環境整備の必要性もあるのではないかと私、1つ思っております。
 もう一つ、胃がん検診ですけれども、現在、ガイドラインでは放射線、バリウムを飲ん
でのX線撮影のみ受診者として挙げていいですよということで、成績表に上げているわけ
ですけれども、中には人間ドックを受けた方で、やはり中には内視鏡を進めている医療機
関もありまして、市の検診として、内視鏡も受けているんだけれども、その内視鏡を受け
ている方の数が全然上がってこないという矛盾も出てきております。
 住民にしてみれば、自分は胃がん検診を受けているんだと。でも、国のデータ的なこと
を言えば、胃がん検診を受けていないほうに分類されてしまうので、そちらのガイドライ
ンの見直し等も進めていただきたいと思っております。

○垣添会長
 胃がん検診に関しては、ガイドラインは確かにレントゲン検査となっていますが、現実
問題として内視鏡検査がかなり走っている。だけれども、内視鏡検査に取り替えるだけの
エビデンスがないということで、今、大変困った状況なんですけれども、一応厚生労働省
の研究費などをいただいて、そういうことも今、検討中ですので、今のご意見に関しては、
もう少し時間をいただかなくてはいけないかと思います。

○郷内委員
 今年1月にタウンミーティングということで、私、新潟に行かせていただきまして、新
潟県のがん検診の担当者が発言されたのを今、思い出したんですけれども、27ページの下
のほうに「市町村の実施するがん検診に関しては地方交付税が適切に使われているか調査
すべきであり、」とございます、まさにこのことだったと思うんです。
 昨年度、たしか1,500億円の地方交付税ががん検診のためにということで出た。それは承
知しておるんですけれども、その1月の新潟の担当者の方は、この1,500億円の地方交付税
が新潟のがん検診には入ってこなかったと言われまして、私、びっくりしました。地方交
付税という性格が補助金とまた違うということで、使途が全然はっきり追及できない。こ
れは各県で1,500億円がちゃんと使われたかどうか、絶対検証していただかなければいけな
いと思います。

○垣添会長
 そのとおりで、大問題なんですけれども……。

○鈴木がん対策推進室長
 入ってこなかったというのは、事実誤認です。交付税ですので、不交付団体以外につき
ましては必ず総務省からお金が入っています。それが自治体の中で、会計の担当との折衝
の中で負けたというのはあると思います。ですので、「入っていない」という言葉は事実
誤認ですので、そこだけは確認させてください。

○垣添会長
 つまり、地方交付税は交付されたけれども、それががん検診に使われていないというこ
とですよね。

○郷内委員
 そうです。

○鈴木がん対策推進室長
 もう一つ、実際にどれだけ使われたか実態を把握すべきということでございますけれど
も、実は、総務省でそのような統計が出るのか確認させていただきました。その際に、地
方自治法上、地方交付税というのはそういった品目も含めて一括で出ているということが
ございまして、あとは自治体の裁量となります。したがいまして、地方自治法上、そうい
った調査をすることは不可能という回答を得ているところでございます。

○垣添会長
 調査をすることは「可能」ですか。

○鈴木がん対策推進室長
 「不可能」です。

○垣添会長
 やはりそういうことなんだ。

○中沢委員
 都道府県の立場で言わせていただきますと、ご承知のように、がん検診は市町村事業で
すので、この交付税につきましては市町村にいくわけですけれども、基本的には基準財政
需要額の算定の中に含まれて、それで計算上、かなり多くの額がいっているという形にな
っていると思います。ご案内のとおり、確かに不交付団体というのがありますので、そう
いう意味では、全国の市町村全てに交付されているというのは誤解でございまして、財政
状況によりましては交付税をいただかなくてもやっていけるところもございます。そうい
ったところに関しては入っていないので、これを基に市町村ごとのがん検診の受診率がど
うこう、予算がどうこうという形で全国の市町村の比較には、なかなか使えないのが現状
かなと思います。
 これは「指摘がある」というところではよろしいかと思いますけれども、これをやった
ところで、現状に関してはっきりしたものは得られないのではないかと思っております。

○野田委員
 全く今の話で、でも1つだけ要因があるみたいで、要するに、県の予算立てのサイクル
と国の予算立てのサイクルにずれがあるので、スタートのとき、つまり、そこでもう払う
んだよ、これだけ行くよというのが分かってからでないと予算立てができないので、最初
の立ち上がりは遅い。本当に染み渡るまで。そういうことは県の方たちも盛んに言ってい
ました。
 ただ、もう一つ、新潟でもおっしゃっていましたし今のことをお聞きしたので、逆にそ
うすると、では、県のがん対策推進協議会は何をするんだと。つまり、中沢委員にお聞き
したいんですけれども、県単位で地方交付税がどう使われているかは、県が主体となって、
市町村と一緒になって調べれば、それは調べられることなんですか。地方交付税を基とし
てどれだけの検診事業が行われているかということですけれども。

○中沢委員
 結論から申し上げますと、なかなか難しいです。
 これについては中間報告という形でいただいたときに意見を付して、これに関してはち
ょっと難しいと言わせていただきました。いずれにしても、色のついていない交付税がが
ん検診にどのくらい使われているかというのは、なかなか難しいことだと思います。

○垣添会長
 ここまでにいたします。
 次に、31ページの7「がん研究」について、お願いいたします。

○高岡がん対策推進室長補佐
 31ページのがん研究について、ご説明します。
 個別目標としては、研究をより一層推進していくことということで、厚生労働省、文部
科学省、経済産業省が連携して取り組んできております。
 今後の課題といたしましては、一定の研究予算による支援が行われて、すぐれた研究が
推進されているんですけれども、基礎と臨床の間の「死の谷」を乗り越えて、イノベーシ
ョンを起こす研究、開発、機能の強化が必要であるということで記載しております。
 国内のがん研究全体を俯瞰すると同時に、がんの種類や研究フェーズごとにがん研究の
推進状況を把握するということでご意見をいただいております。

○垣添会長
 がん研究に関して、ご発言ありましょうか。

○天野会長代理
 32ページの上から5つ目の段落に「また、がん研究の成果ががん対策の事業等に結びつ
くよう、がん研究の成果発表会に、がん対策推進協議会の委員が参加すること、」という
記述がありますが、成果発表会のみに、しかも協議会の委員という極めて限定された書き
方になっていまして、ちょっとここは理解できないと思います。
 がん研究の推進には、そもそも患者や国民の理解が不可欠であると考えられますので、
例えばIRBへの参画とか、がん研究のデザイン段階からの参画、またがん研究の企画立
案の場へ患者参画が必要だといった記述があってしかるべきかと思います。

○垣添会長
 ご指摘のとおりだと思います。

○本田委員
 今の天野委員の発言に私も同感ですというか、同じことを申し上げたかったんですけれ
ども、成果、評価、がん研究、もちろん基礎とか臨床的なものだけではなくて、社会学的
なものとかいろいろなものがあると思うんですけれども、どういう研究がされていても、
その結果が一体どうなっているのか、もちろん一般の視点で分からないこともたくさんあ
りますけれども、それがどう役立つように活かされているのかということまで見ていかな
いと、今後、やったままでお金ばかり投入しますということにはならないと思います。
 さらに、先ほど天野委員もおっしゃったように企画立案の部分から参画していかないと、
例えばピアサポートの問題が先ほどいろいろ議論されましたけれども、患者さんとのグル
ープ療法とか、ピアサポートの在り方の研究みたいなものが研究班で立ち上がったとして
も、結局その研究班の結果が実際のがん患者さんのピアサポートの中に全く活かされてい
ない現状があるのではないかということをよく聞きますので、この部分、もう少し書き加
えていただければと思います。

○垣添会長
 具体例として、踏み込んでいただれば。

○野田委員
 天野委員と本田委員にお聞きしたいんですが、今のご意見は分かりましたし、ここは患
者の方たちの参画の仕方なので、それほどいじらずにと思って付せんもつけなかったんで
すが、この2番目の、立案もするし評価もする、そういう俯瞰的にできる戦略的機能があ
るということについて、もしお二方がこれについては賛成であるということであれば、こ
の書き込みの中に、今、おっしゃったように患者の視点、あるいは患者の代表の視点も取
り込むようなことを考えた上で、「こういうものが必要である」という言葉をここに入れ
るのはいかがでしょうか。

○本田委員
 今、野田委員がおっしゃってくださったようなことは、私、まさに賛成です。そのほう
が意味があるのではないか。患者だけではなく、国民の視点みたいな形で。

○垣添会長
 おっしゃるとおりだと思います。

○嘉山委員
 患者さんの言うこと全てを聞くわけにはいきません。幾ら本田委員が頭がよくても、医
学の専門的なことはやはり分からない。それをもしやりたいのであれば、医学研究あるい
はがん研究が最後どういう結果になっているか、つまりエンドポイントとして寿命が伸び
たとか、患者さんのがんが治ったとか、そういうことを評価する委員会だとか検証部会に
出れば、それは非常に皆さんの目が厳しいからいいとは思いますが、私が宇宙研究の学会
に出ても何を言っているんだか分からないのと同じように、そういう無駄なことをしない
で、もっと実のあることをされたほうがいいと思いますので、その辺は分けてお書きにな
ったほうがいいと思います。それが私の素直な気持ちです。
 もちろん、門田委員もご存じのように、国立がんセンターだけではありません。がんの
研究だけではなくて、今、日本の医学研究が非常に落ちています。それは大学が非常に苦
しいこともあるし、社会福祉費が低い、高等教育費が低いということもあって、がんだけ
ではないんですよ。ただし、もっと努力すればもうちょっと何とかなるということはあり
ますので、それは我々が努力する。具体的に言えば「ニューイングランド・ジャーナル・
メディスン」にがんに関係する臨床論文が一昨年、ゼロです。これはもう学会としては驚
愕したんですけれども、それはやはりがんセンターの責任だと思いますので、これはもう
心してやらせていただきます。

○垣添会長
 それは、がんセンターの責任だけではないですよ。(笑)

○本田委員
 嘉山委員が今、おっしゃったことはもっともだと私も思っています。ただ、評価の仕方
というか、そういう参画の仕方にはいろいろな形があると思います。医学そのものの中身
だけが評価とか参画の仕方ではないと思っています。だから、その在り方も考えるべきだ
と感じていますので、理解していただければなと感じています。

○野田委員
 そこは永遠のテーマ、つまり、逃げるわけではありませんけれども、医療科学をやって
いる限りは患者さん、国民の視点が非常に重要ですし、だけれども、具体的な推進に当た
っては、どこで……、つまり、広く深くという選択と集中がどうしても必要です。
 そのときに、ちょっとお聞きしたいんですが、先ほどからずっと議論を続けてきている、
このがん対策推進協議会の位置づけですね。例えば、先ほどのまでの医療については、あ
あいうふうに具体的なポイントで出てくるんですが、私たち研究を考えると、ここの研究
費を見ていただいたお分かりのように、これはこのがん室に非常にお世話になって動いて
いるわけですけれども、実際には研究費は、今日は医福室もいらしていますし、あるいは
文部科学省がこれだけ大きいものを出しているわけですね。
 そこでがん対策推進協議会が俯瞰するようなものを主張するときに、やはりそういう人
たちとも一緒になってどういう組織が必要か、そこに当然、これはがん研究センターです
から、嘉山委員や何かに入っていただいて、今、言ったようなところを少し、どういう国
家戦略的機能が必要なのか、そこの構成はどうあるべきなのか話し合うワーキンググルー
プなりをこの中につくって、それはあくまでもここのワーキンググループですから、具体
的に国家戦略的な機能がどこでどうなるかはまた別の話ですけれども、それに関するディ
スカッションを続けて、それを3省庁の方たちに聞いていただいたほうがいいのではない
かという感じがするんですが、いかがでしょうか。

○垣添会長
 従来この協議会は、基本法が成立する背景にがんの患者さんや家族、遺族あるいは広く
国民の声があったことから、この協議会のメンバーとして、がんの専門家や有識者だけで
はなくて患者代表委員とか家族代表委員とか、そういう人たちが加わることになっていま
すから、当然のこととして、これまで我が国のがん医療あるいはがん対策で欠けていた部
分に議論が集中していました。だけれども、これを全て支えるものとしてがんの研究が大
事だというのは、基本法の中にも推進基本計画の中にもきちんとうたわれています。です
から、今の野田委員のご指摘は、私ももっともだと思うんですね。
 従来、埴岡委員を中心にして、予算などに反映させるような提案を大変精力的に、皆さ
ん方の協力を得てまとめてまいりました。これはワーキンググループの非常に大きな成果
だと思いますが、もし皆さん方の同意がいただけるなら、例えば野田委員を中心にしてが
んの研究に関するワーキンググループをつくるといったことは、いかがでしょうか。よろ
しゅうございますか。
 それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございます。

○天野会長代理
 今の、がんの研究に関するワーキンググループは必要であるということで、このまま進
めていただければと思いますが、肝心のがん対策に関する提案を行うワーキンググループ
のほうも当然、今年度も継続ということでよろしいでしょうか。

○垣添会長
 それはもう当然のことだと私は理解していましたので。特にタームは決まっていません
けれども、ぜひ続けていただければと思います。
 では、33ページの第4章「がん対策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項」
と第5章「終わりに」を一緒に説明いただきます。

○高岡がん対策推進室長補佐
 33ページ、第4章につきましては、基本計画に書かれている7つの項目について記載し
ております。
 まず、1「関係者等の有機的連携・協力の更なる強化」につきましては、主に学会との
連携についてですが、今後は医療従事者の育成ですとか解説資料の作成、これらに関する
さらなる推進が期待されるということで記載しております。
 2番「都道府県による都道府県計画の策定」につきましては、平成19年度中に都道府県
計画を策定したのは38都道府県でした。平成21年11月には全ての都道府県において計画が
策定されています。アクションプランにつきましては、平成22年5月27日現在、38都道府
県において策定されておりまして、参考資料としてその一覧を配布しております。
 3「関係者等の意見の把握」でございますけれども、こちらはがん対策推進協議会が関
係者の意見を把握いただいて、提案書を提出いただいているということでございまして、
これを踏まえて、より強力に関係者が連携して、総力を挙げてがん対策を充実・強化して
いくことが重要であると記載しております。
 4「がん患者を含めた国民等の努力」につきましては、「知識の習得については、主体
的かつ積極的な活動がみられるものの、検診の受診については未だ課題が山積」と記載し
ておりまして、先ほど来、ご議論ありましたドラッグ・ラグ解消に向けても、がん患者さ
んを含めた関係者が共同して展開することが望まれると記載しております。
 5「必要な財政措置の実施及び予算の効率化・重点化」につきましては、「今後引き続
き、関係府省の連携強化・重複排除を図ることが重要である」と記載しております。
 6「目標の達成状況の把握及び効果に関する評価」でございますが、ここに書かれてい
ることを踏まえて、このたび基本計画の中間報告を行っております。
 7「基本計画の見直し」につきましては、いろいろご意見をいただきましたが、基本計
画に記載されていないものをこちらに記載させていただいておりまして、「重要な視点で
ある」ということで、「これらの貴重な意見は、次期基本計画を作成する際の論点とす
る」と記載しております。
 最後に第5章「終わりに」では、現在の基本計画の最終評価まで残された期間は長くは
ないんですけれども、個別目標の達成に向けた各種取組を進めていくことが必要と書いて
ございます。

○垣添会長
 第4章、第5章に関して、いかがでしょうか。

○川越委員
  34ページの7「基本計画の見直し」の中に在宅のことを書いていないことは、ちょっ
と問題ではないかと思います。
 というのは、ワーキンググループの中で取りまとめた意見で、例えばグループホームを
充実しようとか、在宅のそういう供給体制をもっと整備すべきだということ、制度化も含
めてですね、そういう提案があったので、そこをぜひ盛っていただきたいと思います。
 在宅の項目はもちろんあるんですけれども、それは目標を立てて、進捗状況を見て、今
後という格好になっています。先ほど私はかなり厳しいことを言いましたけれども、在宅
に関しては、その最初のところはスタートになっていないと思うんですね。だからこそち
ょっとくどくど言ったんですけれども、やはりスタート地点に戻る必要がある。、制度的
に見直し、より質の高い医療を提供して在宅で患者さんが満足できる、そういうものをつ
くっていくことが大切だと思います。「意見がある」ということを書いていただいても結
構ですけれども、そのことをぜひこの中に入れていただきたいと思います。

○三好委員
 35ページの上から上から5つ目の●「治療による経済的負担の増加により、」というと
ころに「がん患者の経済的負担の軽減について検討すべき」という一文がありますが、こ
こが今、見直しということで、その他のところという感じで書いてあるんですけれども、
そもそも全体目標の2の「すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減並びに療養生活の
質の維持向上」の中に、もちろんこの経済的な痛みというのは大きく関わっているのでは
ないかと私は思うんですけれども、これをぜひこの場所ではなく前の部分に持ってきてい
ただく、グリーフケアのことが書いてあったと思うんですが、そちらに大きな1つの項目
として入れていただくことはできないでしょうか。

○垣添会長
 いかがでしょうか。特に反対のご意見はないと思いますが、がん患者さんが経済的理由
から治療を継続できないというのは極めて由々しい問題ですので、大きく扱うようにいた
しましょう。よろしいですね。
 他に、いかがでしょうか。

○埴岡委員
 33ページからの第4章ですが、当初のドラフトにはこの部分がなかったのですけれども、
策定された計画が実際に実行されるか、成果が担保されるか、国を挙げて取り組めるかと
いうことに関しては本当に大事なところなので、しっかりと見る必要があると思います。
 計画全体が国からの“上から目線”になっているところがあると思います。むしろ都道
府県あるいは市町村で、いろいろな好事例も出てきていると思います。計画、アクション
プラン、具体的な施策のいずれにしても、国がそうした地域の好事例を取り入れる姿勢が
必要ではないかという印象をもっておりますので、何らかの記述をいただければと思いま
す。
 また、33ページの4「がん患者を含めた国民等の努力」ですが、たしか基本計画本文に
は、「がんに関する政策決定に関しても、患者が参加するという形で取り組むべきであ
る」ということが入っていましたので、そのことは、中間報告書に抜けているならば、ぜ
ひどこかに入れていただきたいと思います。
 それから、34ページに「5.必要な財政措置の実施及び予算の効率化・重点化」とござ
います。がん対策基本法の中には、「がん対策基本法によって推進するとしたことのため
に必要な法制度の整備をする」と書かれています。財政はもちろん大事なところですので
明記が必要です。さらに、法制度的な整備についても、既にもう法があるからできないと
いうことではなくて、必要なことは法制度から変えていくということを、基本法に基づい
てしっかり入れていただきたいと思います。
 それに関連して、前回この協議会から出した提案書においても、予算と診療報酬と制度
改正の3つの領域を横軸で見て、横断的に取り組まないと進まないということが指摘されて
いたのですが、中間報告書ではその視点が弱いので、周辺的な部分の記述ではなくて、本
文的なところにしっかり書いていただきたいと思います。
 それから、こういう政策立案・改正に関して、先ほども出ていましたように、国のタイ
ミングと地域のタイミングが合わないということがございます。上からおろす政策ではな
くて、現場の声あるいは患者の声を聞いて、それを集約して施策を決めていくプロセスを、
提案書でも指摘しましたように、上手に調整して進める、そういったことも入れていただ
きたいと思います。
 それから、時間もなくなってきたので簡潔にするようにしますが、もう一言だけ。すみ
ません。
 中間報告書に付いている資料集について。例えば、がん対策予算で対応した内容が列挙
されていますが、列挙されているだけで、読んでもどう判断していいか分からないところ
があるので、何の意図でどういう結果が出て、評価できるのかできないのかが分かるよう
な形でお願いできればと思います。今、事業仕分けの際に使われているような資料の構成
にしていただけるとありがたいです。
 一番大事なのは、中間報告書をつくることと同時に、これから何をするかということで
す。ぜひそれについても具体的に、これから1年半どうするのかということ、要するに今
後1年半のカレンダーを、ぜひ今日は明確にして会議を終えていただきたいと思います。
中間報告の後の、第1期計画の残り1年半をどうするかということと、第2期計画をこれ
から1年半でどうやってつくるのか、そのときに、だれがどういう観点で作業していくの
か。先ほどから出ているような、エビデンスに基づいたかたちでアウトカム志向でロジッ
クに基づいてやる、その他にもいろいろなことが出ていましたけれども、そういうことを
どのようにしていくのかを、きっちり決めて会議を終えていただければと思います。

○垣添会長
 いろいろな重要なご指摘がありましたけれども、特に最後の部分、残る1年半どうする
かというのは大変重要な点だと思います。

○鈴木がん対策推進室長
 今回、中間報告をいただきましたので、これを基に5年間の最終の取りまとめと、次期
計画をどうするのかについてになると思います。また、それにつきましては、5年目とな
りますので来年、あと2年間ございますが、もう一方で、この委員会の委員の任期もあり
ますので、そういったところも含めまして、今後、スケジュールをつくらせていただきた
いと思っております。

○野田委員
 全くもってそこに関連することなんですけれども、ここに「見直し」と書いて、項目と
してどんどん並んでいて、実際にこれがどう活かされて、どうなるのかがちょっと見えな
いですね。なので、できればいろいろ、時間の問題もあると思いますが、見直しですから、
これは恐らく次期を立てるのに「これをこう活かしてほしい」という形ですので、先ほど
三好委員が言われたように、現在の課題だというものは、とにかくここから引き上げて前
に移して、ここをもう少し整理をする必要があるのではないか。
 例えば、この基本計画の構造的な問題点、あるいはその推進に当たる具体策の問題点と
かいう形でやっていって、なるべく次の計画を立てるのに取り込みやすい形にすることが
大事だし、あるいは取り込むために何かが必要だったら、その1年半の間にエビデンスを
集めるなりが必要だということで、前に向けてもう少し整理が必要な感じがします。

○垣添会長
 大変具体的ないい提案をいただいたと思いますが、それに関連して、先ほど来、議論の
あったがん登録とかがん検診の話は、どう……。

○野田委員
 ここに入れる。

○垣添会長
 ここに入れるということですね。

○鈴木がん対策推進室長
 野田委員のおっしゃることはもっともだと思いますが、私どもとしても、前に入れられ
るようなものについてはなるべく前に入れさせていただきました。前にというのは、先ほ
ど申しましたとおり、個別目標ですとかそういった全体目標についての進展という関係で
ございます。
 ただし、その視点から外れているものも今回、委員の皆様方から出てきたということで、
それを7「基本計画の見直し」として1つ取りまとめさせていただいたということでござ
います。これだけではなくて、前のほうにも次期計画の見直しの観点でこういうことをす
べきではないかという文章も残っていますので、私ども、その辺はある程度は整理させて
いただいたと考えているところでございます。

○埴岡委員
 第2期計画をつくるときに、第1期計画をつくったときの反省を踏まえることが大事だ
と思います。第1期計画をつくるときに、日程のない中で大変バタバタとつくった部分が
あって、不十分かつ不完全燃焼のところがありましたが、第2期計画のときにはどうする
のか。だれがそのときに委員をしているかという任期の問題は別として、例えばよくない
のは、来年4月、5月にバタバタと開いてバッとつくってしまうということ。そうではな
くて、今まであったいろいろな指摘の情報や材料などを集めて、情報集めに1年かかるも
のもあるかもしれませんから、これから1年半かけて計画的に計画をつくっていく。それ
も、今のような反省を踏まえて。計画づくりの作業計画みたいなものが必要ですね。

○本田委員
 私も、今、埴岡委員がおっしゃったことをとても危惧していて、委員の任期のこともお
っしゃいましたけれども、添付資料3によると、今の協議会は恐らく平成23年度のところ
でお終いになるわけですよね。そうすると、次の任期の方がいきなり次期計画をつくらな
ければいけない。それまでにある程度のことを詰めておかないと、また前回と同じバタバ
タを繰り返すのではないか、そして次の委員の方に大変失礼なことになるのではないかと
危惧しておりますので、できれば、例えばあと1年半というか、今年は何をするのか、来
年度は何をするのかをある程度の目安として示していただければと思います。今でなくて
もいいんですけれども。

○垣添会長
 埴岡委員にしても本田委員にしても、今のご指摘は、いずれも次期計画を立てる上で極
めて重要なご指摘だと思います。ありがとうございます。
 司会の不手際で既に大幅に時間を超えております。特に休憩以降大幅にはしょってしま
ったので申しわけありませんけれども、一応これで通してご検討いただきました。今日、
貴重な意見をたくさんいただきましたので、この中間報告書の取りまとめについては本日
の議論を踏まえまして、事務局と私にご一任いただければ幸いですが、いかがでしょうか。
よろしゅうございますか。
 ありがとうございます。もちろん、最終稿ができましたら、事務局より皆様方にお送り
いたします。
 この後の中間報告書の取り扱いに関して、事務局から説明いただけますでしょうか。

○鈴木がん対策推進室長
 今日ご議論いただきましたので、それを踏まえて修正するとともに、最初の議論の中に
もありましたが、これは厚生労働省として出させていただきますので、その辺も加味しな
がら文章をつくらせていただきたいと思います。

○埴岡委員
 この協議会の日程についてお尋ねします。
 次回がいつなのかということです。元々予定では6月ぐらいの開催のはずだったのが、
今回、前に1回挟まったのかなという気もしますし、前にずれただけで次は秋になるとの
説もあります。私は、本来いろいろ審議しなければいけないこともあるので、開催は必要
だと思います。
 それから、提案書で来年度予算の要望等も多々出ていたのですが、それに対してどうい
う進捗があるのかということも、提案した皆様方も関心があると思います。その辺りの状
況と見通しを伺いたいと思います。

○鈴木がん対策推進室長
 6月に必ず開催というわけではなくて、それは適宜、私どもも必要に応じて開催回数を
増やしたりして、開催を考えたいと思います。そういったことも含めまして、今後のスケ
ジュールを考えたいと思っています。
 もう一つ、予算の関係につきましては、今後、局内、省内で検討させていただきまして、
それを、8月末になると思いますが、概算要求に向けて検討していきたいと思っておりま
す。
 そういった中で、今回いただきました提案書の中でできるものは、そういった予算に反
映させるようなことはさせていただきたいと思っておりまして、また、その際に詳細等を
お聞かせいただけることがあれば、私どものほうから個別にご連絡させていただきたいと
思っております。

○檜山委員
 今のお答えではちょっと分からなかったんですが、要は、次はいつ開催なんですか。と
いうのは、例年3回開催されているかと思うんですが、3回でも少ないという意見が毎回
委員から出ていると理解していて、今回は、この中間報告がプラスの、エキストラの形で
入ったと私は理解していたんですが、違うんでしょうか。

○鈴木がん対策推進室長
 予算上では昨年度まで3回、そんなに回数の予算をとっておりませんでしたが、今年度
は計画の見直しの関係もございますので、回数を増やした予算をとっておりますので、回
数につきましては、今後の予定も含めて検討させていただきたいと思っております。

○郷内委員
 この協議会本体とは別に、先ほどワーキンググループのお話が会長から出たかと思うん
ですが、昨年度のワーキンググループのメンバー、我々は、今もまだ解散していない、そ
のまま……

○垣添会長
 続けてください。

○郷内委員
 そのワーキンググループとしていろいろ検討したいとか、例えばタウンミーティングも、
今年、本当に年明けにバタバタとやりまして、各自治体から「もっと早くに」とか「時間
を前もって」というご指摘をたくさんいただきまして、それは非常に私たちも反省してお
りますので、そういうことも踏まえるとすれば……。ワーキンググループとしての活動は
継続していいということでよろしいんでしょうか。

○垣添会長
 その理解です。それから、先ほどの研究に関するものは新たに立てる。

○郷内委員
 分かりました。

○野田委員
 時間がないので、簡単に。
 研究に関するものは先ほどここで話が出ただけですので、もう少し具体性を持った案を
出して、それは委員の皆様にお見せして、こうあるべきだ、いや、こうでないかというご
意見を1回いただきます。その上で、まとめたものを皆さんにもう一度回して、ご参加い
ただく方に手を挙げていただくという形で進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○垣添会長
 結構です。
 では、よろしゅうございましょうか。
 長時間のご審議、誠にありがとうございました。これをもちまして第13回の協議会を閉
じさせていただきます。
(了)


(了)
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がん対策調整係

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