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2010年8月20日 第9回高齢者医療制度改革会議議事録

○日時

平成22年8月20日 13:00~15:00


○場所

中央合同庁舎5号館 厚生労働省内省議室(9階)


○出席者

阿部委員、池上委員、岩見委員、岩村委員(座長)、岡崎委員、小島委員、鎌田委員、
久保田専務理事(齊藤委員代理)、小林委員、近藤委員、齊藤理事(見坊委員代理)、
白川委員、高尾愛知県副知事(神田委員代理)、堂本委員、樋口委員、藤原委員、
三上委員、横尾委員
長妻厚生労働大臣、足立厚生労働大臣政務官、山井厚生労働大臣政務官
<事務局>
外口保険局長、唐澤審議官、武田保険局総務課長、吉岡保険局高齢者医療課長、
伊藤保険局国民健康保険課長、吉田保険局保険課長、村山保険局調査課長、
佐藤保険局医療課長、岩渕医政局総務課長

○議題

中間とりまとめ

○議事

○岩村座長
 本日は大変お忙しい中、また猛暑が続く中、委員の皆様にはお集まりをいただきまして、ありがとうございます。まだ来ていらっしゃらない方が2~3名いらっしゃいますけれども、早晩お着きになると思いますので、時間にもなりましたものですから、ただいまから第9回「高齢者医療制度改革会議」を始めさせていただきたいと思います。
 本日は神田委員の代理で高尾愛知県副知事、見坊委員の代理で齊藤全国老人クラブ連合会理事、また齊藤委員の代理で久保田日本経団連専務理事にそれぞれご出席いただいております。よろしくお願いいたします。
 今日は第9回目の改革会議ということになりますけれども、前回の会議におきまして、これまでのこの会議でのご議論というものを踏まえて、事務局から中間とりまとめの案をお示ししたところであります。そして、それをたたき台としてご議論を頂戴いたしました。
 本日は前回の会議における皆様のご議論、そして、地方公聴会でのご意見を踏まえまして、事務局の方に改めて中間とりまとめの案をご用意いただいております。既に皆様のお手元には事前にお配りしているところだと思います。そして、今日はこれを基に議論をしていただいて、中間とりまとめということにさせていただきたいと考えております。
 それでは、初めに長妻大臣からご挨拶を頂戴したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○長妻大臣
 皆様こんにちは。本日も大変お暑い中お集まりをいただきまして、ありがとうございます。
 今日は9回目ということでございます。今、岩村座長からもお話がございましたけれども、前回はお示しした中間とりまとめ案をご議論いただきました。
 その後、公聴会を開きまして、福岡、宮城、大阪の3か所で2,100名余りの方にご参加いただいて、文章も含めると600人の方からご意見をいただいて、会場では十数名の方と直接意見交換をさせていただきました。
 そして、8月7日にはこの建物の2階の講堂で78名の方が6グループに分かれてそれぞれディスカッションをしていただいて、グループごとにご意見をまとめていただきました。私も一つ一つのグループに全部時間をずらして参加させていただきましたけれども、公募で来ていただいた知らない方々に本当に真剣に議論をしていただいて、一緒に医療をつくっていこうという非常に関心の高い大きなテーマだということを改めて感じた次第であります。
 そういうご意見を反映させたものを今日中間とりまとめ案ということでご議論をいただくということでございますので、是非皆様方にはよりよい制度へのさらなるご議論をいただければ大変幸いであると考えております。
 そして、いろいろな公聴会でも出た意見でありますけれども、ねじれ国会でありますので、「野党とも一定の合意を得て進めてほしい」「政権が変更になるたびに制度が変更になるというのは利用者の方にとって非常に不利益になる」というご意見もいただいておりますので、我々といたしましても、来年法案を提出するというタイムスケジュールを考えているわけでございますので、皆様方に一定のご議論をいただくということと、野党の理解を得るということも同時並行的に進めていかなければならないと感じておりますので、よろしくお願いいたします。
 大変恐縮ですけれども、私は中座をさせていただきますが、皆様方にはご議論をいただければと思います。暑い中、本当にありがとうございます。

○岩村座長
 大臣、どうもありがとうございました。
 それでは、カメラ撮りはここまでとさせていただきたいと思います。

(報道関係者退室)

○岩村座長
 それでは、議事に入ることにいたします。
 今日お手元に資料が出ておりますけれども、先ほどお話しましたように、中間とりまとめの案について修正を加えたものになっております。また、そのほかお手元資料の中では、地方公聴会の実施結果の概要なども出させていただいているところでございますので、これについて、まず最初に事務局からご説明をいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○吉岡課長
 それでは、お手元の資料のクリップを外していただければと思います。
 1枚めくっていただきまして、座席表の次でございますが、右上に資料1-1と付してあります。中間とりまとめの案でございます。前回からの修正点のポイントについて若干ご説明をさせていただきたいと思います。
 まず最初に「I はじめに」ということで章立てをいたしております。1ページから2ページにわたっての記述ですが、これまでの経緯、2ページ目に入りますと改革会議の検討のねらいあるいは6原則、そして、この会議では4案が提示されて議論が行われてきたということ、更には公聴会あるいは意識調査の実施などを通じていただいた国民のご意見も踏まえて検討が行われてきたということなどを「I はじめに」という形で整理いたしております。
 3ページが「II 現行制度の問題点等」であります。前回は利点が先にございましたので、未練がましいといったようなご指摘もございました。問題点と利点の順番を入れ替えさせていただいていることなどの修正であります。
 4ページでございます。「III 新たな制度の基本骨格」といたしまして、最初に新制度の基本的なコンセプトを整理させていただいております。後期高齢者医療制度の問題点を改めるとともに利点は残し、高齢者の方も若い方もより安心・納得・信頼できる持続的な新たな制度を構築するということ。それから、後期高齢者医療制度の廃止を契機として、長年の課題であった国保の広域化を実現していくということなどの記述であります。
 少し飛びまして6ページでございます。6ページの下の○ですが、国保の運営に関するご指摘がございました。早期に全年齢を対象とした都道府県単位化を図るべきというご意見が多数ありましたので、その旨の記述を追加させていただいております。
 8ページでございます。国の責任というものがはっきりしないのではないかというご指摘をいただきました。国においては、こうした国保の運営が健全かつ円滑に図られるよう財政上の責任を十分に果たしていく。それから、国保間や国保と被用者保険間の調整など各般にわたる支援を行うといった記述を追加しております。
 9ページでございます。被用者保険サイドあるいは経済団体からのご指摘として、各保険者の財政状況が厳しいものとなっているといった点、新制度への移行に伴って負担が大幅に増加することのないようにするということと併せまして、将来にわたり負担可能な範囲にとどめるといった点を追加しております。
 また「(2)公費」につきましては、国、県、市町村の内訳などを記載すべきというご指摘がございましたので、その旨の記載を9ページから10ページにかけて行っております。その上で新たな制度においても、引き続き、国と地方がそれぞれの役割に応じて財政上の責任を十分に果たしていくことが重要としております。
 11ページの中ほどでございます。上から3つ目の○ですが、世帯主以外の高齢者は保険料の納付義務がなくなり、こうした高齢者においては年金からの天引きが必要ないものになるということですが、収納率の低下について懸念する意見がございました。収納率の低下の防止等の観点からの措置を講じていくということを追記させていただいております。
 12ページでございます。「(4)現役世代の保険料による支援」に関しましても、税と保険料の役割分担や景気・雇用等への影響にも配慮する。あるいは公平で納得のいく支え合いの仕組みにするということを追記しております。
 「4.医療サービス」につきましては、基本的な視点として入院に頼り過ぎることなくということに加えまして、在宅を強いられることもなく、リハビリも含めた必要な医療・介護が切れ目なく受けられる体制を構築するという追記をしております。
 最後14ページでございます。「IV 今後の検討等の進め方」に関しまして、システム、広報といったそれぞれについて施行準備をしっかりと進めるべきといったご指摘を踏まえての記述の整理をさせていただいております。
 資料1-2につきましては、ただいまの修正点が溶け込んだ形で整理をしている中間とりまとめの案でございます。
 資料2でございます。「新たな制度に関する基本資料」を改めて整理して、ご提出させていただいているものです。
 資料3でございます。「中間とりまとめ後に残される課題」を整理したものですが、中間とりまとめ案の中ではさまざまな点について、引き続き検討するということにされているわけであります。そうした年末までに検討を行う事項だけを取り上げて整理をしたものであります。通し番号を検討課題のところに付けておりますが、○1から始まりまして、最後の○14まで14の課題につきまして、今後9月、10月、11月と順次ご議論をいただきたいと考えております。
 資料4でございます。「高齢者医療システム検討会設置について」という1枚紙であります。
 「1.目的」の中ほどにありますように、後期高齢者医療制度導入時の反省に立ち、現時点から地方自治体等の意見を十分に聞きながら、着実にシステム改修を進めることが必要であるということが今回のとりまとめの案の中にも記述しているところです。そこで市町村の方々あるいは広域連合の方々などを構成員とします検討会を本日付で設置させていただき、9月上旬には第1回の会合をもちたいということで、前倒しでこうしたシステムの準備にも取り組んでいきたいと考えております。
 資料5は「第8回会議における意見の概要」を整理したものでございます。
 資料6につきましては、公聴会の開催状況をまとめたものでございます。
 一番上の表にございますように、これまで4会場で行ってまいりました。参加人数は合わせて2,217名ということで多数の方々のご参加をいただき、また当日にもそれぞれの会場で合わせまして668名の方から文書でのご意見も頂戴したところでございます。いただいたご意見につきまして、次の1ページからどういうご意見があったのかということを整理させていただいておりますので、こうしたものも踏まえて、今回の中間とりまとめの案の整理をさせていただいたところであります。
 資料7-1でございますが、本日、神田委員から中間とりまとめ案に関する意見書ということでご提出をいただいているものでございます。
 資料7-2、横書きの資料でございますが、ただいまの神田委員意見書に対する私ども厚生労働省の考え方を整理している資料でございます。
 資料につきましては、以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○岩村座長
 どうもありがとうございました。
 今日の中間とりまとめ案につきましては、各委員の皆様からあらかじめご意見をいただいたところでございまして、可能な限りそれを反映させたものとなっていると考えております。
 今、事務局から資料の紹介がありましたように、神田委員から意見書が提出されているところです。神田委員は今日ご欠席で、代理で高尾愛知県副知事に来ていただいておりますので、まずは高尾副知事から意見書のポイントについてご説明をいただきたいと思います。大変詳しい内容の意見書でございますので、ポイントを絞ってお話いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○高尾愛知県副知事(神田委員代理)
 ありがとうございます。
 知事がどうしても地元の公務で出席できませんので、代理でお許しをいただきたいと思います。
 意見書を8月11日に提出させていただいております。概要をお伝えしたいと思います。
 基本的な点、問題認識につきましては、意見書の1ページの初めの部分と4ページから5ページの終わりの部分にまとめてございます。大きく3点ございます。
 1点目は、これまで改革会議での議論は8回にわたり行われましたけれども、私ども知事会といいますか、神田委員の受け止めとしては、必ずしも十分なものとは言えないのではないか。更に年内までにとりまとめるということでございますが、そうなると相当時間不足ではないか。議論が拙速と言わざるを得ないという点が1点目でございます。
 具体的には知事会の方で医療費の将来推計等の数値的なデータをお願いしておりましたけれども、まだ示されていないということ、制度設計を担う国の役割や責任について具体的な議論が十分になされていないということがございます。また、中間とりまとめ案では高齢者の対象年齢でありますとか、財源スキームなど制度の根幹に関わる多くの論点が引き続き検討という形で残されておりまして、これらにつきまして十分に時間をかけて議論をすることが必要だということでございます。
 2点目はその関連でもございますが、若年者を含む国保全体の運営の在り方につきまして、今回の中間とりまとめ案で全年齢を対象に都道府県単位化を図るという形で断定的な記述があるわけでございますけれども、私どもの認識としては、これまでこの会議で全年齢を対象とする、全年齢を通じた国保全体の在り方につきまして、1つのテーマとして取り上げて体系的に議論されたことはまだないと認識しているわけでございます。この会議でも意見がございましたけれども、巨額の繰入金でかろうじて支えられている国保の抱える構造的な問題がございます。単に都道府県単位で広域化すればすべてが解決するものではないと考えておりまして、やはり国保を取り巻くさまざまな課題、それに対する抜本的な解決策にまで掘り下げて慎重に議論をすべきであると考えております。そういう意味で、今回のとりまとめは性急に過ぎるのではないかという意見でございます。
 また、全年齢を通ずる国保全体の制度論につきまして、この改革会議がどこまでの守備範囲、責任を持つのか。こういったことも改めて整理していただきたいと考えております。
 最後3点目でございますけれども、今後の検討に当たってのスタンスでございます。9か月、8回にわたりまして議論が行われ中間とりまとめ案が公表されましたが、やはり世論の反応といいますか、新聞の論調でありますとか、公聴会での議論のまとめを今日提出していただいておりますけれども、やはり慎重に議論をすべきだ、あるいは公聴会では現行制度を継続すべきだという意見も多くあるように見受けられます。大臣からもご発言がありましたけれども、国会の情勢も変わりまして、法案を通すためには野党との協議も不可欠になったという状況がございます。こういった中で、先に示されたスケジュールあるいは6原則にどこまで固執して議論をしていくのか、その妥当性あるいは現実性ということをいま一度考えるべきではないかというのが知事の思いでございます。
 なお、個々具体的な問題につきましては、2ページから4ページまでにまとめてございますけれども、これは前回の会議で提出いたしました知事会の中間とりまとめと重複いたしますので、説明は省略させていただきます。
 私からは以上でございます。

○岩村座長
 高尾副知事、どうもありがとうございました。
 それでは、先ほど事務局からご紹介がありましたように、この意見書につきまして厚生労働省の考え方というものが資料7-2ということで配付されておりますので、この資料につきまして、今度は事務局からポイントを説明していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○吉岡課長
 お手元の資料7-2でございます。「『神田委員意見書』に対する厚生労働省の考え方」ということで整理したものでございますけれども、ポイントだけ申し上げたいと思います。
 意見書では「1 はじめに」というところで、この改革会議で国保全体の運営の在り方までまとめようとするのは問題というご指摘をいただいております。既に大臣が示した6原則におきまして、会議の冒頭から、市町村国保の広域化についての議論もお願いしてきたところであります。そして、この会議の議論では、新たな制度では約8割の高齢者が国保に加入するということになったわけでございます。したがって、その受け皿となる国保の在り方についても一体として議論していただくことが不可欠になるわけであります。
 そして、この会議のご意見としましては、将来的には全年齢を対象とした国保の都道府県単位化を実現すべきというご意見が大勢であったと認識しております。
 次のページからもう一つ飛びまして「4 国保の運営のあり方について」というところで、重ねて「全年齢を対象とした国保の都道府県単位化に係る記述は削除すべきである」というご意見をいただいておりますけれども、ただいま申したような全年齢を対象として都道府県単位化すべきというのが、この会議の意見の大勢であったと理解しております。しかしながら、その実現に向けましては、より具体的な検討が必要であることも事実でありますので、私どもは改革会議の議論と並行しまして、それぞれ都道府県、市町村、広域連合との間でこれから精力的に実務的な検討も行っていきたいと考えております。
 次のページの「(2)運営の仕組みについて」というところで、国の責任というものが不十分ではないかというご指摘をいただきました。先ほどご説明しました中間とりまとめの案でも、財政上の責任を十分に果たしていくといったことなどの国の責任についての記述を改めて追加させていただいております。
 「(3)運営の仕組みについて」の中では、広域連合の問題についてはいずれも本質的な問題点とは考えられないというご指摘をいただいておりますけれども、これもこの会議の委員の方々のご意見とは大きく異なるのではないかと認識しております。
 最後に別紙というものを付けております。財政影響試算についてのご指摘がございました。今回の中間とりまとめ案では高齢者の加入関係、サラリーマンや被扶養者の方は被用者保険に、その他の高齢者は国保に加入するという加入関係が明確になったということで、そういう意味で財政影響試算を実施する上での第1関門はクリアーされたわけでございますが、更には財政調整を具体的にどうするのか、公費をどうするのか、窓口負担割合あるいは保険料、医療費の効率化の取組みをやることによって将来的に医療費がどのぐらい減っていくことになるのか。こうしたことのひと当りのご議論をいただいた上で、秋には財政影響試算につきましても一定の条件を付した上でお示しさせていただきたいと考えているところであります。
 なお、大まかな医療費の見通しでございましたらば、一番最後に付けておりますけれども、平成18年の制度改正時に示した見通しというものを既にこの会議でもお配りさせていただいておりますので、これをご参考にしていただければと考えております。いずれにしても財政影響試算は今後のご議論も踏まえた上で、秋にはお示しをさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 神田知事からお出しいただいた意見書の中で述べられていることは、これまでの改革会議の中でもさまざまな委員の方から議論を頂戴していたポイントであろうと思います。
 そこで、委員の方から改めてこの意見書に関連してご発言があれば頂戴したいと思います。
 阿部委員、どうぞ。

○阿部委員
 ありがとうございます。
 「委員配付資料」で申し上げますが、全国知事会の意見書の3ページです。上の段ですが、今も吉岡課長から話がありましたように、「全年齢を対象とした国保の都道府県単位化に係る記述は削除すべきである」という事項がございます。削除せよということは、市町村と都道府県の財政運営が何時までも併存していくことになりますので、私は絶対に反対です。やはり1日も早く全年齢を対象とした国保の都道府県単位化を目指すべきでありまして、このような財政運営の併存状態は、早期に解消しなければならないと考えております。
 更に、いずれ運営主体についての議論は継続されていくわけでありますが、私は繰り返し都道府県が運営主体を担うべきである、ということを本日も改めて申し上げおきたいと思います。
 また、神田委員は第1回目のときからこの会議のスケジュールに対して不満を表明されております。時間があった方がいいにこしたことはないんですけれども、我々退職者連合としては、現行制度を1日も早く廃止して新しい制度に移行すべきだと考えておりますので、示されたスケジュールの中でお互い努力していくべきではないかということを申し上げておきます。
 以上です。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 そのほかにいかがでございましょうか。岡崎委員、どうぞ。

○岡崎委員
 我々も一貫しまして、今、市町村国保を預かっております。ただ、人口減少、特に中山間の人口減少は、高知県だけの問題ではなくて全国的な問題でもありますので、やはり今回の75歳以上の方々の国保への受け入れと併せまして、市町村国保を広域化しないと近々破綻するということは目に見えています。やはり広域化の道筋をここの時点できちんとつけていくべきだと思っていますので、都道府県の単位化に向ける記述を削除するということはあり得ないと考えております。
 ここに指摘もされていますが、幾つか共通認識もあります。例えば1ページに平成20年度の各市町村の決算の中でも赤字で運営をされている市町村がかなりありまして、それを一般会計から補てんしているというのが総額で3,700億円ぐらいあります。市町村が持ち出しをして、何とか赤字を埋めながら均衡させているという状況がありますので、やはり国保を広域化するとともに、持続できるような財政制度にしっかりと組み上げていくことが非常に重要であります。
 今回、資料1で書き直していただいた記述の中にも、財政については最終責任を国がしっかりと持っていくという記述が入っておりますが、この点はしっかりと確認をしていただきたいと言うことでございます。
 これから高齢者の皆様方の人口も非常に増えていきますし、特に75歳以上の後期高齢者の方々は団塊の世代がそこへ突入していきますので、更にボリュームが増える中で、若い方々の保険料負担というものは所得が下がってきておりますので、かなり課題があるということです。やはり国費の投入ということは、国保の継続的な発展また維持のためにも絶対に避けられませんので、国が最終の財政責任を負っているということは、本会でもきちんと確認していただきたいということがございます。
 以上です。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 そのほかにいかがでございましょうか。横尾委員、どうぞ。

○横尾委員
 私も、今、岡崎委員がおっしゃったような点を1つ感じておりまして、それは意見書の1ページ目にありますように、約3,700億円の法定外繰入金でかろうじて運営している厳しい現状がありますので、この解決に向けては今後十分な、また慎重な議論をしていくべきだろうと思います。
 それに加えて、やはり都道府県の役割というのは大変大きいものがございまして、併せてご説明いただいた厚労省の考え方の1ページにありますように、「この改革会議の議論と並行して都道府県、市町村、広域連合の間で実務的な検討も行っていきたい」と述べておられます。これを踏まえますと、併せて添付していただいた資料4に「システム検討会」の設置があるのですが、ここにはたまたま名称として都道府県が入っていないのですけれども、是非入っていただいて、実務的な課題等についても事前から課題を抽出し、どのようによりよいものにしていくかということにも尽力をいただきたいと感じております。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 小島委員、どうぞ。

○小島委員
 ありがとうございます。
 神田委員の意見書の中で指摘された国保の問題は、構造的な問題が解決しないと、単に広域化しても解決しないということは全くそのとおりだと思っております。
 構造的な問題の1つとしては、国保加入者世帯の半分以上が無職世帯で、その多くが年金受給者等の世帯です。その多くはサラリーマンOBの世帯だということが言えます。この扱いをどうするかがまさに今回大きな議論になっている高齢者医療制度をどうするかということにつながってくるところがあります。
 もうひとつの国保の構造的な問題の要因として、被用者健保を退職すれば地域保険に移行するという問題をどう考えるかということがあります。私がこれまで主張してきましたサラリーマンOBを被用者グループとしてどう支えるか、あるいはどう扱うかという被用者保険の在り方そのものも議論すべき課題だと思っております。そういう観点からすると、今回の中間報告として、大勢の意見としてこういうとりまとめをしたということについては受け止めておきたいと思います。しかし、幾つかこれからの検討課題として挙げられているような課題も前提ということで受け止めております。検討課題の1番目には、特定健保の扱いの在り方ということも書かれております。
そういう観点から考えますと、高齢者医療費の増大をだれが負担をしていくか、あるいは分かち合っていくかという課題がまさに今回の議論であります。これから増大する医療費の負担を分かち合うかというためには、医療保険制度における共助の意識をどう高めるかという意識があって初めて負担の分かち合いというものが出てくると思いますので、そういう分かち合いの意識あるいは共助の考え方がどういう形で生まれるかということが極めて重要な課題であると思っております。そのことを抜きにして制度をつくっても、これは持続可能にならないと思います。
 そういう意味では、いきなり大上段に構えて、上から負担が必要だということで各保険者あるいは加入者、国民に負担を求めていくという簡単な話ではないんだろうと思っております。今回の参院選をめぐる消費税引き上げの問題がいい例ではないと思います。何のため、誰のために負担を分かち合うのかという国民的な合意が前提だと思っています。そのためには、医療制度の中でいえば、私たちの身近な医療保険制度の中、加入者グループの中での負担の分かち合いの意識を日々育て上げていくということが必要ではないかと思います。被用者グループでいえば、一緒に働いている仲間あるいはかつて働いていた職場のOBの皆さん、そういう人たちの医療費をどうみんなで助け合うか、まさに共助です。分かち合うという意識を育て上げることが必要ではないかと思っております。それが医療保険制度、社会保険制度の原点であり本質だろうと思っておりますので、加入者の納得を醸成できるような仕組みが必要だということです。
 これが私が何度も繰り返し申し上げている被用者グループの突き抜け方式です。本来そういう姿が必要だろうと思います。突き抜け型というのは日本では必ずしも理解が得られていないんですけれども、フランス、ドイツなどの大陸ヨーロッパでは当然の話であります。そういう意味では本来の医療保険制度の持つ機能といいますか、加入者自身がお互いに制度を支え合うという当事者意識を持って自主的に運営するという意識をはっきりさせることが医療制度を支えることになってくる。負担についても分かち合う、そういう納得が得られると思いますので、最終報告に向けて、そういう仕組みをどう被用者グループの医療保険に組み込むか、そういうものを活用できるかということも含めて是非積極的に検討すべきだと思っています。
 そのことが結果的に高齢者全体の医療費を国民あるいは医療保険加入者全体で分かち合う、負担し合う、支援することになってくるんだと思います。そのことを醸成するような仕組みあるいはそういう制度をどう組み込むかということが、医療保険制度の本質に関わるところだと思います。国民皆年金、皆保険制度が確立して50年を迎えるという時期でありますので、改めて医療保険制度の役割、機能、保険者機能というものをきちんと示していくことが必要ではないかと思っております。
 以上です。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 そのほか神田委員の意見書に関してのご意見はございますでしょうか。宮武委員、お願いいたします。

○宮武委員
 この会議では1回発言するのがせいぜいなので、ともかく早く発言させてもらいます。
 今、小島さんがいみじくもおっしゃいましたように、皆保険体制がスタートしたのが1961年度ですから、今年度で半世紀を迎えました。この半世紀における制度の変貌というのは極めて激しいものがあって、とりわけ皆保険の基盤である市町村国保は産業構造の変化と少子長命化によって様変わりをしてしまった。しかも、岡崎委員がおっしゃるように、放っておけば、先行き今の人口減少と高齢化の波にもまれて破綻をするというのは目に見えているのではないか。そういう意味では、高齢者の医療制度と国民皆保険及び市町村国保の在り方というのは切り離して論議ができないわけです。そこは不可分のものとして論議をしたいと思います。国保の内容の細部にわたる議論は無理にしても、大きな流れの中で皆保険を支えて、次の半世紀を切り開くためにどうすればいいのかという国民への問いかけが一番大事ではないか。次の半世紀をどうやって制度をもたせていくんだということを問いかけていくのがこの会議の役割ではないかと思っております。
 市町村の合併があったから、その結果として市町村国保が再編成をしてきたという歴史だったわけです。皆保険体制を引いたときは市町村国保が3,600ぐらいあった。それが徐々に集約されていったのも市町村合併であった。平成の大合併という神風が吹いたおかけで約1,800まで再編成できたけれども、また次の市町村合併を待っているのではなくて、主体的に国保の側から再編成を仕掛けていかなければいけない時代にきているのではないかと思っております。
 その上で、今日は神田委員がお見えになっていないので何か聞きやすいような、聞きにくいような変な具合なんですけれども、この意見書というのは愛知県知事としての個人的な見解と考えてよろしいのでしょうか。全国知事会においても75歳以上の医療制度については市町村の広域連合でやるということが多数派でありますけれども、10府県においては県が直接ということも含めまして、県が関与をしていこうという積極的な意見があったわけであります。確認ですけれども、恐らく個人的な見解ではないかと思いますが、これを教えてください。
 2番目ですが、国保の運営の在り方については、所得が低いなどのために医療費が高くかかる。そして、多額の法定外繰入を強いられていると書いておられます。これは市町村、市町村長のなげきを代弁しておられるわけだと思います。代弁しておられるのであれば、当事者の市町村、市町村長が県単位にしてほしいと切望されていることに対してはどうお答えになるのかということをむしろお聞きしたいのです。県単位化してほしいと市長会も、町村会も強く要望されていることにどういう理解をしておられるのか。
 3番目でございますけれども、運営の仕組みのところについて言いますと、75歳以上については県内統一の保険料としたということを言わば評価されているわけです。そうしますと、全年齢にわたって保険料はなるべく均一で平準化した方がいいとお考えになっているのか。そこは愛知県知事としてのお考えはどうなのかをお聞きしたい。同時に、運営の仕組みについても市町村国保は悪くないんだ、市町村の広域連合と市町村が密接な連携を取り始めたと認識されている。そこに県が積極的に関与して県と市町村が連携して、連携と責任を高めていく方法をとられた方がより強い体制ができると思うんですが、それについてはどんなご意見なのか。
 一応3つの確認と質問をしたいと思います。

○岩村座長
 今、ご質問がありましたので、まず高尾副知事から答えられるところについてお答えいただくということでお願いします。

○高尾愛知県副知事(神田委員代理)
 ありがとうございます。
 まずこれはどういう立場での意見かということですけれども、委員としての意見を申し述べると書いてありますので、神田委員としての意見でございます。
 それから、県単位化を市町村の方で望んでいるのに、なぜ県は消極的なのかということでございますけれども、今の国保の提案でございますが、私どもは決して広域化自体に反対しているわけではありません。ただ、広域化イコール都道府県単位化なのかということは1つあると思います。これから広域化等支援方針に従って各県で事情を踏まえていろいろな取組みが始まると思います。単位につきましても、一挙に都道府県でやるという考え方もあるでしょうし、医療圏単位でやるとか郡市単位でやる。バラバラな保険料を一定のところに集めていくという大作業でございますから、広域化といってもいろいろなパターンがあるのではないか。そこの議論をもう少しすべきではないかという思いがあります。
 それから、県単位化をした場合に収支改善につながるという前提自体について、もう少し深い議論をしていただきたいと思います。まとめるとそれで収支がよくなるような雰囲気もあるんですけれども、私どもは本当にそうなのかきちんと数値、データで議論をしていただきたいと思っているわけでございます。そのまま赤字体質が県単位化された主体に持ち込まれるということになってしまうのではないか。その辺につきましても、具体的にデータで検証してほしい。
 といいますのは、国保の保険料は、今、若年層は差がありますから、どこの水準に保険料をもっていくかによって収支も全然違ってくるわけです。そのときに恐らく一番高いところにはもっていけないでしょう。真ん中でいけるかというとこれもいろいろと議論があって、恐らく実際はかなり抑えた水準に設定するようなことになるのではないか。そういうことを踏まえたときに、県単位になったときの収支はどうなるか。こういったことも十分に吟味していただきたい。何より単位をどういうふうに設定するかにかかわらず、今、先生がおっしゃった国保自体の構造的な問題があるわけでございます。そこに対して都道府県単位化ということだけで、本当にすべてが解決するんだろうかというところに私どもは問題意識を持っているわけでございます。そういったことで、トータルで議論をしていただきたいという思いでございます。
 県の関わりでございますけれども、意見書の3ページの下の辺りに書いてございますが、都道府県も何もしないというわけではございません。現行の広域連合方式の下であっても、いろんな形で基金の設置等も含めて関わりを持っているわけでありますから、そういったところの運用の中で県の役割なり関わりをもっと高めていく。そういう意識は持っているわけでございます。
 以上3点を私からのお答えとさせていただきます。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 池上委員、意見書に関してということでよろしゅうございますか。

○池上委員
 はい。

○岩村座長
 お願いいたします。

○池上委員
 意見書にありました国保に限って都道府県化するということに対して、確かに財政基盤に問題があるという点はそのとおりだと受け止めます。そのために私は4案のうちの1つの案として、今後の課題として被用者保険を含めての都道府県化を提案申し上げた次第であります。自画自賛して恐縮でございますけれども、私の案は有識者調査において最も賛同を得られた案であるということを改めて申し上げます。
 これは直接関連がございませんけれども、小島委員からご指摘のあった点に事実誤認が2つありまして、フランスでは75%の国民が1つの保険者に加入しています。ドイツでは保険者においてリスク構造調整が行われた上、国民は保険者を選べる立場にありますので、日本と大きく事情が異なることを解説として申し上げます。
 以上です。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 このほかに今日の中間とりまとめ全体についてもご意見を伺いたいものですから、神田委員の意見書についてのご意見はここまでとさせていただければと思います。
 座長といたしましては、今日皆様のお手元にございます中間とりまとめの案の2ページ目、これは赤字の入った資料1-1、溶け込み版でも一緒だと思いますが、その最後のところでございますけれども「なお、一部の委員からは、現時点でとりまとめを行うことは拙速であるとし、様々な点において反対・懸念が示されたが、この中間とりまとめは、委員の意見の大勢をとりまとめたものである。本改革会議においては、こうした意見にも配慮しつつ、今後も更に議論を深め」と記載させていただいているところでございますので、今日はご本人がいらっしゃらないのですが、こういう形で神田委員の意見書をこの中に反映させるということで、ここの部分についてはまとめさせていただければと思います。いろいろご意見もあろうかと思いますけれども、ご了承いただければと存じます。
 そこで、それ以外の点で今日お示ししました中間とりまとめの案につきまして、各委員の方々からご意見がありましたら、併せてお伺いをいたしたいと思います。

○足立政務官
 ちょっといいですか。

○岩村座長
 足立政務官、どうぞ。

○足立政務官
 先ほど横尾委員から、資料4のシステム検討会設置についてのところで疑問が提示されたので、そこのいきさつは吉岡課長から説明があった方がいいのではないかと思います。

○岩村座長
 吉岡課長、お願いします。

○吉岡課長
 中間とりまとめで具体的にシステムの準備を早期に進めるべきだというご指摘をいただきましたので、市長会、町村会、広域連合の協議会、知事会にそれぞれ参加をお願いしたわけですが、残念ながら、知事会の方からは現時点での参加はご遠慮したいというお話がございました。
 システムについては、今の広域連合のシステムの改修と市町村国保の改修でございますので、実務的な観点からは広域連合の方々、市町村の方々にお入りいただければ検討は開始できるわけではございますけれども、私どもは少なくとも市町村に対する指導というものを担っていただいている都道府県にご参加いただくことは必要だろうと思っておりますので、引き続き首を長くしてお待ちしたいと思っております。

○岩村座長
 政務官、どうもありがとうございました。
 すみません。目に入った順番になってしまいますが、横尾委員お願いいたします。

○横尾委員
 政務官ありがとうございました。実はそのことも踏まえて、是非都道府県にも入っていただきたいという吉岡課長と同じような趣旨で申し上げたところです。
 意見を申し上げます。「I はじめに」のところですが、私が問題提起をした行きがかり上、その原案的なものを出させていただいたのですが、1ページでいいますと、例えば下から3行目「年齢による差別的な扱い」とあるのですが、恐らく現在の後期高齢者医療制度は、何も差別的にやろうとしてスタートしたわけではないと思います。そういう意味からしますと、「年齢による区分」とか「区別」ということで十分ではないかと思います。
 また、4つ上に上がりまして、「国会の議決」によりこれが始まったということを是非明記していただきいと思っています。広域連合もその制度でスタートしたと思っております。
 本文の方でございますが「III 新たな制度の基本骨格」についてでありますけれども、公聴会でも意見が出ているようでありますが、被用者保険に移った場合、保険料の負担がなくなるということが発生していくわけです。勿論軽減としてはいいことなのですけれども、一般の方々も意見を言われていますが、「公平性の観点で問題がないか」というご指摘もあるようでございますので、その辺はきっちりした説明も必要ではないかと感じます。あるいはそれらを踏まえても、なお現実的な対応をするという意味で今回のような方向性であれば、ある意味でやむを得ず選択をしたという経緯もあるかと思いますので、その辺の加筆をすべきではないかということを感じているのが1点目です。
 2点目は4ページ目の下段の方ですが「現行の独立した制度では」という記述のところの後段に「世帯全体で軽減判定が行われることにより、負担の増加が解消される」とあるのですけれども、必ずしもそうとは言い切れない場面もあるのではないかと想像されますので、表現はやや工夫をした方がいいのではないかと感じております。あるいは逆に「そうではないんだ、全く解消されるんだ」ということであれば、是非検証の資料を出していただくとありがたいと思います。
 次に5ページ目のところです。新制度の移行に関しての心配から記述がされている「新制度の移行に際して」というところですが、この中に「周知をより徹底すべきだ」とございますが、現場の感覚からしますと、被用者保険に移られる場合に若干の手続が必要ということであれば、これを漏れなくきちっとやらないと「無保険者」も発生しかねませんので、極端にいうと「法制化」的なものまで踏み込んで制度をきちっとすべきではないかということを感じております。
 7ページでございますが、「具体的な仕組み」ということでポツを並べながら運営主体についてのことが書かれております。今回スタートしている現状の後期高齢者医療制度で感じることは、やはり被保険者全員が自分自身で自分の保険料を払うという、ある意味で画期的な意識改革も同時に進んでいるように感じるところがございますが、片方では保険料の滞納になるのではないかという心配もあります。仮に世帯で合算して入れることになりますと、現在、後期高齢者の方々は大変高い収納率、納付率で納付をされておりますけれども、逆にそうではない世帯の方と合算しますと、ともすると、その収納率が低下するのではないかという懸念もあります。事務手続上、現在は年齢別にそれぞれに保険料を積算しておりますので、できれば現役の分と高齢者の分、原則2本立てで保険料率などを明記することができれば、現役分あるいは高齢者分ということで分けて出せば現状把握も対策もしやすくなると思いますし、その辺も明瞭になるのではないかと思います。特に「納付してもいい」という高齢者がいらっしゃっても、逆に「世帯合算だから待って」ということで納付が滞ってしまいますと、全体の財政も大変なことになるのではないかと懸念しています。
 10ページですけれども、「高齢者の保険料」の記述がございます。ここには「国保に加入する75歳以上の方の保険料については、同じ都道府県で同じ所得であれば、原則として同じ保険料とし」と言い切り調で書いてあるわけでございまして、こうであれば大変すっきりとわかりやすいと思うところでありますが、市町村によっては標準あるいは基準の保険料によって変化が出るという想定になっておりますので、変化が出てきますから、その辺は「違うこともある」ということも誤解のないような記述にしていかないと、誤解を招いてしまってはよくないと感じているところでございます。
 最後の方で、12ページでございますが、高齢者の医療費の増加等に伴って公費のことが書いてありますが、後段に「負担能力に応じた適切な負担にとどめることを基本とする」とございます。できれば今の1割、3割の問題ですとか、今後さまざまなことが検討されると思いますので、例えばここの文言は「負担能力に応じた適切な負担にとどめることを基本として、その在り方について引き続き検討する」のように、全体的に「検討する」が多いのですけれども、そういうふうに明記した方がかえって誤解を招かないのではないかと感じているところであります。
 ほかにも幾つかありますけれども、余り多くてもいけませんので、以上を意見とさせていただきます。

○岩村座長
 貴重なご指摘をありがとうございました。
 そのほかにございますか。阿部委員、その次に藤原委員ということで、そこまでまずお願いいたします。

○阿部委員
 横尾委員から1ページの「差別的な扱い」についてのご指摘がありましたけれども、これは当時法律をつくったときにそう思っていたかどうかは別として、結果として診療において差別を受けていますから、この表現でいいのではないかと思います。反省すべき点は反省するという意味ですから、そう思います。
 それから「(1)財政運営単位」のところですが、私どもはこれまでも申し上げてきましたように、高齢者を年齢で区別することなく、新しい制度への移行時から全年齢を対象にしていくべきだと主張してきました。しかし、中間とりまとめではやはり75歳以上を切り離すという記述になっているわけでありまして、これにつきましては本日においても賛成いたしかねます。
 賛成できませんけれども、話を前に進めるということで、次のことについて申し上げたいと思います。それは資料1-1の6ページの後段に追加された事項がございます。「当面、国保の中に都道府県単位と市町村単位の財政運営が併存することはやむを得ないが、早期に全年齢を対象とした都道府県単位化を図りたい」という事項です。早期に全年齢を対象とした都道府県単位化を図りたいとしながら、当面は年齢を区分しなければならないという大きな要素として、市町村の間の保険料の格差が大きいということを挙げているわけですが、それは理解できます。
 しかし、75歳以上の高齢者は、本日の資料にもありますように、国民健康保険4,800万人の4分の1、1,200万人です。そこは一応5倍の格差から2倍まで圧縮されたとなっているわけです。現実にそうなっているわけですが、4分の3の圧倒的多くは5倍の格差で現在も推移しているわけです。つまり74歳以下の皆さんの保険料格差をできるだけ早期にどうやって解消するか、あるいは縮小するか。そうしないと全年齢を対象とした都道府県単位化には乗り移れないということにもなりますので、ここのところにかなり力を入れて、その解消あるいは縮小に努めるべきではないかと思います。これは大事業だと思いますけれども、関係者の皆さんの努力の中で是非早期に解決するようにしてもらいたいと思います。
 以上です。

○岩村座長
 貴重なご指摘だと思います。ありがとうございました。
 それでは、藤原委員お願いいたします。

○藤原委員
 今回の中間とりまとめでは多くの事項が先送りにされているわけであります。今後具体的な検討を行うに当たりまして、本当に限られた時間でありますが、幾つかの点について議論していただきたいと思います。
 1つは年末に最終とりまとめということで、わずかな時間しかないわけでありますが、この限られた時間の中で再び混乱を起こさないように、幅広い理解と納得を得るべく、くれぐれも性急に結論を出さず、慎重に検討をしていただきたいということです。
 また、大半の高齢者が国保に戻ってくるという改革を行った結果、市町村に大きな事務負担が生じたり、収納率というものが落ちるということになってしまいますと、現行制度から大分後退してしまうわけであります。そうなったときに市町村は納得し難いということになりますので、この点も十分に具体策としてしっかり検討していただきたいと思います。
 先ほどの神田知事の意見書でも多少触れられておりましたが、運営については市町村が一定の実務を担うということはやぶさかではありません。しかし、制度運営の責任は都道府県が担っていくべきであると思っております。そのためにも国としての最終的な財政責任を示していただきまして、一般会計からの赤字の繰り入れなど国保の構造的な問題の解決を図っていくようなことも同時に考えていただかなければいけないと思います。
 なお、提示されている共同運営については、都道府県と市町村の責任と役割分担が明確になっていないわけでありまして、特に保険料の算定や保険料の賦課・徴収については慎重な検討を一層掘り下げて議論していただければと思っています。よろしくお願いいたします。

○岩村座長
 この後の中間とりまとめ以降のご意見ということで承りたいと思います。
 そうしますと、こちら側に先に目がつきましたので、まだご発言いただいていない樋口委員お願いします。

○樋口委員
 ありがとうございます。
 大変難しい問題をおとりまとめいただいて、ありがとうございました。前もって見せていただいておりますので、今更文言の修正をとまで強く言う気はございませんが、議論全体に関して何か違う、及び腰で議論が始まり、また及び腰のまま引き継がれているような気がいたしております。というのは、今、いみじくも横尾委員が言われましたけれども、後期高齢者医療制度改革の議論が国会の議決に基づいて行われているということが余り共有されていない。ですから、公聴会でも繰り返し議論が出ているように、現行法が大体定着しているから微調整でいいのではないかという議論が大変多い。私は初めからこの制度には反対でございましたけれども、反対を言うものが事を荒立てているように思われたり、定着しているからもういいのではないかとか、そういう会議内世論に押されそうだとずっとはらはらしておりました。4回目か5回目のときに、とにかく後期高齢者医療制度は廃止という方向で文言をまとめるということでほっとしたのを覚えております。
 今のねじれ国会というのはいろんな方の意見が入って、私はむしろ結構なことだと思っておりますけれども、今回圧倒的多数からねじれ国会になったのだから、現後期高齢者医療制度を生かす形でまた議論をし直すという議決をなさるというならば、これはこれでまた考え直しようがあると思っておりますが、その辺のところを大変及び腰で始められたように受け取れましたので、今後またずるずる当分の間この制度でということはございませんように、きちんとしていただきたいと思います。この前、宮武委員も言われましたけれども、たまたま後期高齢者医療という問題点から出発しているけれども、今、日本には少子高齢化の社会保障をどうするかという黒船が来てしまっているんですから、黒船を前にして具体的な制度が変わっていくような議論にお進みいただけたらと思っております。
 つけ加えますと、例えば3ページの上から3つ目の○でございますが、後期高齢者医療制度の最大の問題点は云々と書いてございまして、これもみんな正しいと思います。先ほど阿部委員も言われました差別的にするか、年齢の区別にするか、表現はお任せいたしますが、後期高齢者医療制度で私が一番差別的だと思ったのは診療の受診の方法でございます。
 例えば終末期相談支援料は完全に廃止しましたか。

○岩村座長
 はい。

○樋口委員
 それも75歳以上に限るのは差別だと思いました。かかりつけ医というのはうまく運営されれば、例えば鎌田先生がご実践のように重複の受診や投薬がなくて済むいい制度だとは思っております。高齢者も含めて日本の国全体によりよいかかりつけ医制度を普及させてほしいのですが、明らかに後期高齢者に限って受診抑制を目的としたようなかかりつけ医制度が出されたことに、私はびっくりいたしました。差別的だと思ったことは保険料等よりもむしろそちらの点でございました。だから、最大の問題点はと言われるとするならば、医療サービスの供給の面で大きな問題点があった。阿部委員が言われたことはそのことだろうと思っております。
 その上で今このように意見がまとまってきております。今、落ち着いているということもそのとおりだと思います。今のままで何が悪いのかと今だけだったら思います。だから、是非この制度の年表を付していただきたい。後期高齢者医療制度が発足して、例えば何月何日に相談支援料を廃止しました、何月何日に納付方法は天引きでもどちらでも使えるようにいたしました、何月何日に保険料が上がる方に関してはそれを元へ戻すことにいたしました、など。診療面で、保険料の徴収の面で幾つもの凍結というか変更がなされたことか。その結果、今ようやく収まっているのでありまして、もしこのままでもいいのではないかというのだったら、今、凍結されている財政の面だけでもいいですので、このままいったらどれだけ赤字が累積するか、その辺も試算した上でおっしゃっていただきたいと思っております。
 その意味で、今日はメディアの方もたくさんいらっしゃると思いますけれども、最近の論説の中で、定着しているからもういいではないかとありますが、実は最初の後期高齢者医療制度で定めたことは診療面をはじめ機能しないで、廃止されたり、凍結されているからだということを是非ご認識いただきいと思っております。ありがとうございました。

○岩村座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、岡崎委員、久保田代理ということでお願いいたします。

○岡崎委員
 ありがとうございます。
 具体的なことを幾つか意見として申し上げたと思いますが、1つは国保広域化の下で財政運営が非常に重要になります。例えばとりまとめの中の10ページ辺りからも出てまいりますが、今後の継続的な国保を広域化した上で、財政安定化基金の役割というのは非常に重要になると思っております。介護保険も財政運営のための基金がありますし、後期高齢者医療制度でも基金制度があって、単年度で赤字が出た場合にはその基金から取り崩したり、借り入れたりして調整をしておりますので、ここを確認しておきたいと思います。報告書の10ページの上にあります財政安定化基金の財源内訳の区分の問題と、どういう期間設定をしていくのかということは確認をしておきたいと思います。
 もう一つは6ページになりますが、先ほど阿部委員も少しおっしゃっておりましたが、今回の中間とりまとめの案というのは非常にわかりにくく、かつある意味で中途半端な部分での制度設計になります。暫定期間なので仕方がないと思っておりますが、6ページの赤字のところにもありますように、早期に全年齢を対象とした都道府県単位化を図るということが非常に重要であります。これは地域保険を目指すということがこの会の中の大きな目的になっていますが、地域保険について、わかりやすくいうと1県2制度が混在すると現場も混乱しますし、被保険者もわかりにくい。もし仮に訴訟になったときに、訴えなければならない訴訟人がだれを訴えていいかわからない。損害賠償責任もだれが負うのかわからないということになるので、やはり暫定的なわかりにくい制度は早期に解決して一本化するのが非常に重要になると思います。そういう意味で、早期に全年齢を対象とした都道府県化については、最終の年次を限ってこの時点から一本化するということを入れ込んだ方がいいということを一貫してずっと申し上げておりますが、できればそれを法案に書いた方がいい。法案に書ききれなくても、政策的にきちんと決めておいた方がいいということが非常に重要になろうかと思いますので、重ねて申し上げておきます。
 それと、国保も預かっておりますので確認をしておきたいんですが、資料2の4ページの部分です。これは前回も少し質問申し上げましたが、記述が変わっております。資料2の4ページの右の中ほどです。世帯全体で保険料を選定することによって、保険料が安くなる世帯があるということで、どのぐらいでどのぐらいの財源になって、だれがその財源を見るのかというご質問しておりましたが、52万程度が対象となって、約50億円程度の保険料が負担軽減になるということですが、50億円保険料が減った部分をどこの責任で持つのかということはここには記述がないので、それをまずご確認しておきたいということです。
 4ページの同じ段の下側にも50億以上の軽減がある。自己負担限度額を見直すことによって、50億円以上を軽減するということがあります。ここを解説いただきたいということです。
 それから、国保と被用者保険との関係で、10ページに75歳以上の方々については一番大きい部分で後期5兆5,000億円と、右の方に6,000億円、3,000億円とそれぞれ入っておりますが、これは国保に約1,200万人、被用者保険に200万人です。大体それで数字はあっているんでしょうか。1,200万人と200万人に分かれているわけですが、ということは公費も分かれていく計算になると思いますが、我々地方公共団体は被用者保険にはタッチしていないので、そこに地方負担が発生するということはおかしい。被用者保険に対して地方側は指導権限も何も持っていないので、そこに地方負担が発生しないようにしていただきたいというのが要望でございます。
 以上でございます。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 それでは、4点ほどご質問やご要望がありましたので、事務局からお答えいただきたいと思います。

○吉岡課長
 まず各都道府県に設置をします財政安定化基金についてのご指摘がございました。今回のとりまとめ案の8ページの一番下のところでございますが、「財政安定化基金の規模、負担割合、活用方法等、より具体的な制度設計については、引き続き検討する」とさせていただいております。
 現在の後期高齢者医療制度あるいは介護保険につきましても、同様な財政安定化基金というものがあり、その財源につきましては、3分の1が国、3分の1が都道府県、3分の1が高齢者の保険料という財源構成になっております。具体的なことは、これから各関係者と調整しなければならないことでございますけれども、基本的にはこれらと同じような仕組みにすることが適当ではないかと思っております。
 また、規模につきましては、今の後期高齢者医療制度ですと、制度が始まって6年間で全国規模で約2,000億円の基金を積み立てるということで進めているところでございます。今回の基金につきましては、高齢者の保険料の増加抑制にも活用できるようにするということでありますので、そうした点も加味した上でどのぐらいの規模にすべきかということも今後の課題としてご相談させていただきたいと思っております。
 2点目のご質問で、資料2の4ページのところがございました。保険料の軽減判定を世帯全体で行うことによって、保険料負担の増加が解消される方につきましては、50万人程度が対象となって、50億円程度の保険料負担減になります。保険料の軽減の部分の負担につきましては、現在も地方負担であり、地方財政措置が講じられておりますので、当然ながらここの部分の負担が増えれば、その分地方財政措置を講じるということになるわけであります。
 もう一点、一番下の高額療養費につきましても、自己負担限度額が世帯全体で適用されることによって、世帯の負担が軽減される場合があるわけでございます。最大で約350万世帯がこうした合算対象になり得るわけですが、この中から実際に高額療養費の対象になる方はもう少し少なくなります。全体の患者負担は大まかな推計で被用者保険と国保を合わせて、50億円以上減少すると見込んでおります。したがって、患者負担が減る分というのは医療給付費がその分増加することになります。したがって、各公費や現役世代の負担が増えていくということになります。
 なお、ここの国保の部分につきましては、2人世帯までは推計ができるのですが、3人以上世帯というのはなかなか推計が困難なものですので、その点は含めていないということをご理解いただきいと思います。
 もう一点、今75歳以上の給付費に約5割の公費を投入しているわけでございますけれども、新しい制度の下では国保と被用者保険に分かれますが、それぞれ約5割の公費を入れるということを今回のまとめでも基本にされているわけでございます。そうはいっても、今、ご指摘のように、被用者保険の方に地方からの負担が入れられるかという問題はかつてもご指摘いただいたかと思います。したがって、例えばそのようなご指摘であれば、被用者保険の部分は地方負担のかわりに国が負担し、そこで国が負担した分を国保の方では同じ分だけ地方の方に多く負担していただくといった形で、いずれにしても全体としては今と同じ負担割合で国と地方が持ち合うという形での調整が最後は必要になるのではないかと思っております。そうした点も含めて、公費の在り方について、今後議論し、調整していきたいと思っておりございます。

○岩村座長
 それでは、先に手が挙がっていた久保田専務理事、その後に齊藤理事ということでお願いいたします。

○久保田専務理事(齊藤委員代理)
 ありがとうございます。
 私どもがいろいろ主張した点は幾つか盛り込んでいただきまして、ありがとうございます。
 私どもから今日は3点申し上げたいと思います。
 1つは、資料1-1に基づいてでございますけれども、3ページの赤丸を含めて4番目の○の「このほか」というところに関わる問題でございます。高齢者医療への支援を現役世代の保険料の形でこれ以上負担することについては納得が得られないと考えておりまして、本文でも高齢者の医療費に係る現役世代からの支援金、納付金の在り方についてはさまざまな問題点が指摘されているとなっておりますけれども、もう少し明確に支援金、負担金によって各保険者の財政状況が厳しいものになっていると書き込んでいただければありがたいというのが1点目でございます。
 2点目は少し飛びまして、10ページのところでございます。最初の赤丸の「新たな制度においても」というところに関わることでございますけれども、税と保険者の役割分担を踏まえますと、高齢者医療の支援は税で対応していくというのが相当だと考えておりまして、歳入改革のめどが立たない中で高齢者医療制度の改革だけが先行していくということについては非常に疑問を感じております。ここの本文の「公費については」というところでも、充実させていくことが必要であると書いてございます。そのためには歳入改革が不可欠であると思います。歳入改革の必要性を明記していただければと思っております。
 3点目は具体的な修正文章ではございませんけれども、10ページ、12ページにあります「(3)高齢者の保険料」「(5)高齢者の患者負担」のところでございます。高齢者が一律に弱者であるという発想ではなく、高齢者についても負担能力に応じた適切な負担を求めることが重要だと考えておりまして、そういった点が含まれればありがたいと思っております。
 以上でございます。

○岩村座長
 ありがとうございます。
 それでは、事務局の方で簡単にお答えいただければと思います。

○吉岡課長
 現役世代の負担の問題につきましてはご指摘をいただきまして、随所で文章の修文をさせていただいたところでございます。ただ、一方でさまざまなご意見もあったわけでございまして、例えば健保組合を見ますと、保険料が3%台のところもあるという中で、一律に皆さん厳しいといったような記述をするのはいかがかということもあろうかと思います。そうした中で、例えば9ページのところでは「各保険者の財政状況が厳しいものとなっている」ということを具体的に記述させていただいておりますので、その点でご理解をいただければと思っております。
 また、歳入改革というご指摘がございました。記述する、しないにかかわらず、財源の問題につきましては、当然ながら政府全体として考えていかなければならないと認識しているところでございます。
 高齢者の患者負担の問題についてのご指摘がございました。先ほど横尾委員からもご指摘がございましたので、「負担能力に応じた適切な負担にとどめることを基本として、引き続き検討していく」といった表現ぶりで、具体的な修文の調整をさせていただければと思っております。

○岩村座長
 お待たせしました。齊藤理事、どうぞ。

○齊藤理事(見坊委員代理)
 ありがとうございます。
 今回の中間とりまとめで一番インパクトがありますのは、国保の広域化であろうと思います。高齢者の皆様の意見が必ずしも1つの意見に集約しているとは思いません。アンケート調査の結果でありますとか、公聴会に伺っておりますと、実に多種多様な意見でございます。
 私の認識でありますが、その中で過日のグループ討議方式の公聴会に参加をさせていただいた私どもの複数のメンバーの人たちに共通しております点は、広域連合に対する評価に関してはかなり共通しております。よくわからないということが第一印象であります。広域連合にお話をしていいのか、市町村にお話をしていいのか、利用される方々がそこに戸惑っておられるというのは制度が周知していないということもあるかと思いますけれども、正直なご意見だと思っております。
 個々の広域化の議論を進めていきますときに、とりあえず暫定的に75歳という区切りをしておりまして、近い将来に全年齢をという狭間の中に、言わば高齢の前期という対象もいらっしゃるわけであります。こういうことからいたしますと、恐らく広域連合に対する理解というのは、今の75歳以上の高齢者が理解しにくいのと同じようなことが全年齢にまたがっていく可能性があるのではないかというところに最大の懸念をいたしております。そういう意味では、基礎的自治体である市町村、都道府県、国の役割というものがしっかりとわかるように説明していただく必要がある。とりわけ都道府県のお立場の方々には、少なくともしっかりと地域住民に向き合っていただくという姿勢が不可欠ではないかと思っております。
 どの制度をとりましても完璧なものは難しいわけでありますが、この改革会議の議論を通じましても、やはりわかりやすさということは大変大きなキーワードであったと思いますので、広域連合のこれまでのご努力が更に発展をして、都道府県段階で磨きをかけて、多くの方々が共有できるシステムはどうしても必要だろうと思っております。法律上の保険者は市町村だ、事務代行としての広域連合だということでは、どう理解していいのかわからない。保険証には広域連合は保険者と書いてあるけれども、一体どちらなんですかということが現場では間々あるということですので、私は本質的な議論だろうと思っております。
 先ほど神田知事の代理の方からお話がありましたように、すべて県に移ると解決するということは全くないわけでありまして、広域連合にいっても同じ問題を抱えるわけであります。課題は同じだと思います。その課題をどう共有しながら役割を分担していくのか。まさにこれまでの宿題を大きく整理する段階にあろうかと思いますので、これから12月までのご議論の中で、是非都道府県の皆様の強いご理解をいただくようにお願いしたいと思います。
 以上でございます。

○岩村座長
 今後の議論について、大変貴重なご意見をありがとうございました。
 それでは、白川委員にお願いして、その後に池上委員ということでお願いします。

○白川委員
 ありがとうございます。
 今回の中間とりまとめ案は、簡単に言うとうまくまとめていただきまして、ありがとうございました。この中間とりまとめは細かいところ幾つか指摘したい点もございますが、全体としてはうまくまとめていただけたと思っております。
 ただ、一方でこれで満足とはなかなかいかないのが委員の方々です。少しずつ不満があるということだと思いますが、その最大の問題は財源とか財政あるいは将来推計がまだないためです。中間報告の段階ですからやむを得ないとは思いますが、100%満足できないということではないかと思います。私自身はそういうふうに考えております。秋には将来推計を出されると伺っておりますので、期間が限られているものですから、なるべく早い段階で出していただいて、それをベースに更に深い議論をするというスケジュール化を事務局にお願いしたいと思います。それが1点目でございます。
 2つ目は、資料3「中間とりまとめ後に残される課題」ということでおまとめいただいておりまして、これはほとんどそのとおりなんですが、1点ございます。それはこの改革会議でやるべきかどうかは別にして、何人かの委員の方々から現在の後期高齢者医療制度は差別的で、医療サービスの面でいろんな差別的なことがあったんだというご指摘がございました。私自身は参画しておりませんが、そういう制度をつくったときは、高齢者の方々の身体の特性に応じた新たな診療報酬項目でありますとか、そういったものをつくろうという考えの下に後期高齢者の方々だけに適用される診療報酬項目などもたしか設定されたと思います。それはいろんなこともありまして、今は廃止されましたけれども、これは後期の方々だけではなくて、高齢者の方々の身体の特性に応じた診療報酬項目でありますとか、あるいはここでは健診を挙げられていらっしゃいますけれども、そういった広い意味での保健、医療といったことはどこかの部門で検討していく必要があると思います。
 先ほど申し上げたとおり、これは改革会議ではなくて社会保障審議会とか中医協などの場かもしれませんが、そういうことは是非並行して保険局の方で工夫をしていただきたいというのが2点目でございます。
 3つ目は地方公聴会の件でございます。私はある公聴会をのぞかせていただきましたけれども、制度が難しいためにかなり説明に時間がとられまして、2時間のうち1時間半が説明ということで、会場からは説明会ではないというやじが飛んだのが印象的だったんですが、是非意見発表を多くするような工夫をお願いしたいということと、2回目の地方公聴会が10月に実施されますけれども、今お示しできるのは中間とりまとめの案がとれたものしかないと思いますが、それですとこれ以上の議論の発展はない。1回目と余り変わらないと思いますので、私の希望としては、例えば将来推計みたいなものを示して、将来はこんな形になるんだといった先が見える資料を準備していただいて、地方公聴会でご説明いただくといった工夫を是非ともお願いしたいと思います。
 3点とも事務局に対する要望でございます。以上でございます。

○岩村座長
 3点目については、私も地方公聴会に全部出ましたけれども、説明が1時間で、事前に伺っていたご意見の紹介が大体20分、あと会場から出していただいた中から5~6名の方にお話をいただいてご意見を伺うというスタイルでやっていました。先ほど大臣からも説明がありましたように、実は各会場とも大変に多くの数の質問が出たので、時間の使い方については別の考え方もあろうかと思いますが、多分皆さんの意見を聞くというやり方としてはあれ以上のものはなかなか難しいと感じているところであります。
 2順目についてどうするかというのは、今、ご意見もありましたので、また事務局とも相談しながら考えてまいりたいと思います。
 特に第1点目はスケジュール感の話で、既に神田委員の意見書のところでもご議論いただきましたので、保険、医療のところについて事務局から何かありましたら、お話いただければと思います。

○唐澤審議官
 全体として少子高齢化が進んでまいりますで、どのような保険、医療サービスが必要なのか、健康づくりも含めて広い意味でということでは、医療保険部会でもご検討いただければと思っております。
 それから、特に2年後は同時改定になりますので、医療、介護連携をどうしていくかという点につきましては、足立政務官の下で私どもが指示を受けまして、今、中で検討しております。そういうものを進めてまいりたいと考えております。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。池上委員、どうぞ。

○池上委員
 高齢者の保険料についてであります。中間報告において「国保に加入する75歳以上の方の保険料については、同じ都道府県で同じ所得であれば、原則として同じ保険料とし」と記載があります。
 資料2の「新たな制度に関する基本資料」の8ページをご覧いただければと存じます。資料2の8ページに「保険料の賦課・徴収の仕組み」と書いてございます。よろしいでしょうか。8ページです。これによりますと、青字で説明してある「都道府県単位の運営主体」のところで、新たに75歳上の高齢者は国保に加入することになりますので、保険者が都道府県の運営主体に納付するべき額については、上にありますように高齢者の給付に関する費用から均等割と所得割の2方式で標準(基準)保険料を定めるという形で、納付額はどこに住んでいても同じになるんですけれども、実際に徴収される額というのは、当該市町村が4方式であれば4方式を踏襲してもよろしいわけですし、また一般会計から繰り入れているなら、繰り入れることを継続してもいいということであります。
 2つの選択肢があって、1つは75歳を境に同じ保険料で同じ保険証であるが、保険料は変わる。あるいは75歳になってもそれ以前と同じ保険料を払う。そのいずれかになるかと思うんですけれども、もし75歳になったら同じ国保でも保険料が変わるとすれば、ここの目的にありますように、同じ都道府県で同じ所得であれば、同じ保険料になることが可能なんです。その見解は附属資料3の留意点においても必ずしも明確に記載されていなかったものですから、ご見解を伺いたいと存じます。

○岩村座長
 事務局お願いします。

○吉岡課長
 まず75歳以上の方の保険料につきましては、現在、各都道府県ごとに広域連合で定めて県内統一の水準になっております。これが新しい仕組みになって、最終的に各市町村が決めることになっても、今おっしゃったようにまた4方式に戻すということは適当でないと思っております。
 ただ、各市町村の収納状況によって若干、保険料に差が出ることは考えられますので、そういう意味で「原則として」同じ保険料になるということを中間とりまとめの案では記載をさせていただいております。

○岩村座長
 それは先ほど横尾委員からもご指摘があったところだと思います。

○横尾委員
 よろしいですか。

○岩村座長
 どうぞ。

○横尾委員
 関連でございます。保険料のところで先ほど1つ落としていたのですが、現場サイドからすると非常に気になり、また財政面からも気になるのが収納率の問題でございまして、原案では「希望する方は引き続き年金から天引き、いわゆる特別徴収もできるように」となっているのですけれども、先ほどご紹介いただいた99%と88%という点が資料2の8ページにも出ていますけれども、確実に低下するのではないかという懸念がされるのです。この辺については、どのようにご覧になっていますでしょうか。

○岩村座長
 事務局いかがでしょうか。

○吉岡課長
 これは各現場の皆さん方の声を十分にお伺いした上で考えていかなければならないと思っており、既に公聴会でも収納率低下への懸念の声はいろいろとお聞きしております。したがって、今回の中間とりまとめ案の中でも11ページのところに、「世帯主が納付することを基本とする」という表現ぶり、あるいは「収納率低下の防止等の観点からの措置を講じる」ということを併せて明記させていただきました。
 今月末から来月初めにかけまして、全国でブロック会議を開催して、各広域連合あるいは各都道府県の皆さん方との意見交換も行うことにしておりますので、そういった場でもいろいろなご意見をいただきながら、どういった方策が考えられるのか、改めて検討していきたいと思っております。

○岩村座長
 お手が挙がっています方が5人いらっしゃいますので、時間的にはかなりタイトでございますけれども、三上委員から始めて順番に回していただくということでお願いしたいと思います。
 それでは、三上委員お願いいたします。

○三上委員
 この中間とりまとめに大きな不満というのはないわけですけれども、我々の周りの人間から中間とりまとめの案についての意見を聞きますと、余りインパクトがなくて変わっていない、大胆でないということがあります。というのは、当初出されました長妻大臣の6原則からかなり後退したというか、それを十分に踏まえていない部分が多いのではないか。
 例えば地域保険としての一元的運用の中でも、今回できることは基本的に国保の広域化だけであるということもありますので、インパクトがない。ですから、新たな制度の基本骨格の中にも、できたこととできないこと、これからやることを明確に書いておくことが必要ではないかと思います。
 今まで問題点としては、給付の問題と負担の問題で差別化があったのではないかということですが、給付につきましては今回の診療報酬の改定の中でも後期高齢者という文言が全部廃止されましたので、そういった面で給付に関しては公平化が図られる。
 負担については被用者保険と国保の両方に入るわけですけれども、被用者保険の方は今回は余り公平化というのは検討の中には入ってきていない。引き続き検討するという形になっているわけですけれども、その辺のところの書きぶりをきちっとしていただければいいのではないかと思います。
 特に10ページ、11ページ、12ページの被用者保険の部分が書いてありますが、ここでも公平で納得のいく支え合いの仕組みという部分について、どのようなものなのか。現在行われているものでどの程度いって、今後はどういうことをするんだということも書き加えると、比較的どこまでできて、これからの課題はどこが残っているのかということがわかるのではないかと思います。
 以上です。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 それでは、堂本委員お願いいたします。

○堂本委員
 大変難しい作業をおまとめていただいて、ありがとうございました。
 タイトルとしては「高齢者のための新たな医療制度等について」となっていますが、国保全体の問題に及ばざるを得ないということで、結果としては大変大きな変化が起こるような内容になっているわけです。そのことについて知事会の方からのご不満がある。将来設計のための統計といったものはこれからやるということなんですけれども、実際に運用を担当する都道府県にしてみれば、先に調査があって、その上で実際に制度設計があるのが当然ではないかと考えておられるんだろうと思います。私もそこのところは本当に大丈夫なのだろうか、と思います。都道府県の心配は赤字だと思いますが、財政的にはすべて国の方にご負担いただくということで説明を受けているわけです。しかし実際に運用した場合、赤字は出ないでしょうか、いささか不安を感じないわけではありません。全体を都道府県にもっていくということになって、結果としては、全体の抜本的なシステム改革が今回のまとめに盛られているわけです。
 2つだけ申し上げると、果たしてこれで本当に公平性が担保できるのかというと。必ずしもそうではないと思います。どのレベルの方にとっても、どの年齢の人にとってももっとわかりやすくて、公平性が担保されているということがきちっとわかる制度設計にすべきだと思います。これからになるんだと思うんですけれども、秋以降実際に調査が行われて、もう少しはっきりした構図が示されるんだろうと思いますが、公平性についても踏まえていただきいという気がいたします。
 不安であることのもう一つの理由は、高齢者医療システム検討会に知事会が参加しないという態度をとっていらっしゃるということです。知事さんたちがいらっしゃらなくてもできるのかもしれませんけれども、知事会が一番大きな役を担うときに、やはり知事会がここに参加しないで仕事をするというのはいかがなものかと思っています。
 先ほどの知事会のペーパーに対してのところで意見を言うべきだったのかもしれませんけれども、最初にミッションがあったんだ、全体をやることになっていたんだと課長は答えられたんですが、最初は高齢者のための医療制度のつもりでとりかかった。そして、それがずっと議論されてきたということがあると思いますけれども、それをするためには全体のシステムをつくり直さないとできないというのが本当のところですから、全体を考えながらやってきた。そこのところは抜本的な改革を大胆にやることによって、もう少し前進できると思います。これから可能なのかどうかわかりませんけれども、実際に統計をおとりになった上で、実際に行政として担当する都道府県が阻害されて、この会議に入らないような事態にならないように是非努力をしていただきたいということをお願いしたいと思います。

○岩村座長
 今の2番目のご発言は、私どもにとっても大変心強いご発言でございます。事務局も堂本委員のご発言を踏まえて、知事会とまたお話をいただければと思います。
 高尾副知事、どうぞ。

○高尾愛知県副知事(神田委員代理)
 システム検討会の参加のご指摘をいただいていますけれども、お話は確かにいただきまして、私どもも中でいろいろ議論し、会長にも相談をしております。勿論一定の方向が決まれば、準備に向けて関係者が協力するというのは当然でございますけれども、今日の中間とりまとめの案にもございますが、今の時点では運営主体とか共同運営方式の中身を含めて、具体的な制度の内容がまだ十分に固まっていない状況ではないかと認識しております。そういう中で電算システム等の具体的な検討ということは、どのぐらい実のある形で作業ができるのかということもございます。そういう意味で、今の時点では参加を見合わせたいということでご返事を申し上げました。参加できる条件が整うのであれば、またそのときに検討させていただきたいと思います。

○岩村座長
 ありがとうございます。
 それでは、近藤委員、お待たせしました。

○近藤委員
 多様な意見を非常にうまくバランスよくまとめてあると感じておりますので、秋に行う世論調査についての要望を1点述べさせていただきます。
 注意深く書いてあると感じた1つの例は、12ページの「(5)高齢者の患者負担」のところです。全体の論調としては、あちこちで負担を増やしませんと言っているように感じるんですけれども、ここにしっかりと「公費、保険料いずれも増加せざるを得ない」と明記されております。新聞の論調を見ても財源がはっきりしないということに対する批判的な論調が多いのに対して、この中のどれかを選択しますということが書かれているところに、うまく書いてあると感じたわけです。ただ、実際にこの中のどれを重視してやっていくのかということについて、国民がどう考えているのかということを是非把握していただきたいというのが秋の世論調査についての要望です。
 といいますのは、公聴会の資料を見ますと、4ページの一番上に費用負担があるんですけれども、私がさっと見た中ではこれが23件で最も多い意見でして、「公費負担を拡充すべきだ」ということなんです。この会議の論調でもこの声が多かったんですけれども、これを国民の立場から見ますと、まさか今更赤字国債ということではないでしょうから、増税を意味します。「増税です」と言ったときに、それでも公費負担を増やすべきだという意見が本当に多いのかどうか。この前の参院選の結果などを見ていて、公費負担という言葉と増税ということがくっ付いていない方が結構いらっしゃるのではないかという不安があります。「公費負担を増やすというんだったら増税です。」「それが嫌だというんだったら、医療を充実、守るための保険料ということになります」ということをわかる形にして、その上でどちらを望む国民が多いのかということを是非把握していただきたいというのが要望です。

○岩村座長
 ありがとうございます。そういう形で質問票がうまく組めるかどうかわかりませんけれども、貴重なご意見として承りたいと思います。
 小林委員、どうぞ。

○小林委員
 この中間とりまとめ案につきましては、これまでの会議でいろいろと申し上げてきたことが盛り込まれており、これはこれでよろしいのではないかと思います。ただ、これからいろいろと制度を組み上げていく中で、繰り返しになるかもしれませんが、2点だけ意見として申し上げたいと思います。
 12ページの「(4)現役世代の保険料による支援」に関して、3ページの最初の○に現行の高齢者医療制度の給付費の約4割は現役世代からの支援金によるとされており、12ページでは「税と保険料の役割分担等に配慮しつつ、一定割合を現役世代の保険料で支えることが必要である」とされております。各保険者はいずれも財政状況は厳しいわけでありますが、私ども協会けんぽでも21年度の支出の43%が高齢者関係の拠出金等に充てられており、現役世代による支援金負担はほぼ限界にあると考えておりますので、これ以上の負担増加につながるような仕組みにはしないでいただきたい。これを超えるような部分については、今、近藤委員からお話がありましたが、公費の投入で対応していただきたいと考えておりますので、意見として申し上げたいと思います。
 もう一点、14ページの最後の○でありますが、ここに「国民に対する丁寧で分かりやすい広報の実施」と挙げられておりますのは、平成20年度からの現行の後期高齢者医療制度が導入されたときの経緯を踏まえてのことだと思いますし、費用負担をしていただいております加入者、事業主の皆さんに保険者としても丁寧でわかりやすい説明をしていきたいと思います。
 一方で、後期高齢者医療制度創設時の広報の反省とか地方公聴会、アンケートにおける高齢者の方々の声といったものについて、国で把握されております情報を踏まえて、制度の対象となる方々への不安感を抱かせないように、制度設計者であります国が率先して国民に呼びかけ、安心してもらうという姿勢を伝えていただきたいと思いますので、これも一言申し上げておきたいと思います。
 以上です。

○岩村座長
 ありがとうございました。
 鎌田委員、どうぞ。

○鎌田委員
 なぜ老人保健制度ではないのか、あるいはなぜ後期高齢者医療制度ではないのか、この1~2年のうちになぜ新しい制度が必要なのかというのは、やはりわかりやすさと国民皆保険制度をどう守るかということと、ここで3つ目として余り語られていなかったのは、医療供給体制が日本はずたずたになり出しているのではないか。県が保険者になることによって、医療供給体制で福祉や介護の供給をしていくのは市町村単位ぐらいがまともなわけですけれども、三次救急や高度医療まで含めた生活圏の中で医療体制を考えたときには、県というのが一番広さではまっとうで、県が保険者になることによって医療供給体制が非常にシステマティックになって、無駄を少し減らすことができるのではないか。それぞれの生活している地盤の近いところで、いい医療が受けられるということを明確にしていくことによって、国民にとって単に保険制度を守るだけではないんだということをわかりやすく説明した方がいいのではないかと思っています。
 国保連合会というのは、実は非常に足腰のしっかりしているものが県庁のそばに大概あるんです。つまり75歳以上の人がまず国保に戻ってくることによって、その後、国保は県が保険者になっていって、国保連合会は県と連携をもっていくことになると、私の諏訪中央病院は国保の病院の1つですけれども、全国に約1,000の診療所だとか地域医療をやっている病院があって、県立の病院があると同時に、今度は国保の病院が県の保険者になれば、連携をもって県民の生活や医療、今後介護と保険の問題という議論がまた別のところでされていくと思いますけれども、医療と介護を通しながら、日本全体の国民の生活を守る一歩になるんだという長期的なスパンで考えないと、お荷物みたいなものをみんなが嫌がって投げ出して持たせる、という議論ではない前向きな議論を国民にメッセージとしてきちっと送っていかないと、また老人保健制度に戻せばいいのではないかという意見も9人もいたというような状況を乗り越えられないのではないかと思っているので、もうちょっと魅力というものをつけ加えておいた方がいいのではないかと思っています。
 現在ある広域連合は、場合によっては県を支えるために必要かもしれませんけれども、国保連合会の能力をちょっとアップすれば、県との連携の中で結構な保険者になって、医療だけではなくて健康づくり運動なども県単位でシステマティックに行われていけば、医療が崩壊しないために、医療費をこれ以上上がらないためにどうしたらいいかということも一緒に考えていけるのではないか。だから、そういうことを考えると、この方法しかないのではないかと思います。このままだったら当然国民皆保険制度は破産していくわけですから、そのことを国民にわかってもらうメッセージがどこかに必要なのではないかと思いました。

○岩村座長
 ありがとうございます。今、ご指摘いただいたことは私も共感するところが多いんですが、今後のとりまとめに向けての議論の中で反映できるかどうかという形で検討させていただければと思います。
 時間も終わりが大分近くなっております。今日ご意見を伺った限りでは、神田委員の意見書はございましたけれども、委員の皆様の意見の大勢はこの中間とりまとめでよろしいと私としては受け止めたところでございます。
 ただ、委員の皆様方から今日もいろいろとご意見をいただきまして、それらをうけて、若干修文が必要かもしれないと思います。従いまして、必要なものにつきましては、個別に委員の方に事務局から接触させていただいて、文案の修正について検討させていただき、その上で最終的な文案につきましては、座長の私にご一任いただくということでご了解いただきいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○岩村座長
 それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
 恐縮ですけれども、最終的な調整につきましては、引き続き事務局からお尋ね等があろうかと思いますので、ご協力のほどお願いしたいと思います。
 それでは、ここで政務官から一言お願いできればと思います。

○足立政務官
 すみません。その前に1点だけ質問がございます。これは三上委員と鎌田委員、池上委員の話の中で、保険者というものとそれがカバーする保険のエリアというものを同一に保つべきではないかという議論の中で、地域保険だけはそれにするけれども、被用者はどうするんだ。池上先生の案は、有識者の中では最も評価が高かったということもございました。私の認識としては、そして、また昨年の選挙の際の話の中では、高齢者医療制度の改革案を将来の「地域保険としての一元的運用」の第一段階に位置づけるという表現をさせていただいているんです。
 そこで、まず池上先生にお聞きしたいと思います。先生の案に対して、今回の中間とりまとめの形というのは、1段階目あるいは初期段階としての位置づけが可能なものであるかどうかということについては、先生はどうお考えになっていますか。

○池上委員
 政務官からご指名でありますので、お答えいたします。
 第1段階目になり得ますけれども、中間報告の文面にはそういうことを想起させるものは一文も入っていないというのが私の印象です。

○足立政務官
 わかりました。
 皆さんありがとうございました。昨年政権が変わった後に、先ほど6原則というお話がありましたけれども、この中で強いて大原則を挙げれば何かというと、後期高齢者医療制度を廃止するということと市町村国保は広域化を図って国民皆保険を守る。この2点だったわけです。その流れの中で、今、進んできた。
 もう一つ大事なことは、政権が変わったことによって会議の在り方が変わってきている。会議の在り方の認識が実は委員の中にもまだしっかり認識されていない部分があるのではないかと思います。それが中間とりまとめの段階で拙速過ぎるとか、あるいはもっと十分に議論すべきだということは当たり前のことなんですが、時間的要因として早過ぎるという表現が出てくる。ただ、今の段階でここまでまとめています、骨格づくりに入りました、これから更に各論に入っていって、もっと議論は加速度的に増えていくんだということを国民の皆さんに全部お示しして議論に参加していただいている。このまとめが出た時点で結論が出て、この結論では足りないのではないかという表現は、我々が今までとってきた会議の在り方とは違う評価になっているということが一番気になるところです。我々が一歩ずつ進んでいて、今、骨格をつくっていただいている。これに基づいてこれから更に議論が進む。
 そんな中で、ご案内のように、資料7-2の最後の方にありますけれども、これから秋に向けて財政影響試算をやる中でもこれだけの議論が必要になってくる。それがなければできないんだということも皆さんは共通に認識していらっしゃると思います。
 先ほど白川委員から公聴会を秋に開いたときに、今の内容と変わらないのではないかというご意見がございましたけれども、次回は最終とりまとめの案に対して皆さんの意見を求める。これから皆様方の議論が更に進んで、更に熟したものの案を提示するということで、1段階あるいはもっと違った案が出てくる、進んだ案が出てくるという認識だと思います。そのことも含めて、この会議の在り方そのものを国民の皆さんに見ていただいているということが極めて大きな変化だと思っておりますので、これからますます委員の先生方は忙しくなられると思います。詰めなければいけないことが山のようにあると思いますけれども、私もしっかりそこは把握しながら、事務方とともに皆さんの議論の参考、そして、加速度的にお助けになるように取り組んでいきたいと思います。
 本日はどうもありがとうございました。

○岩村座長
 政務官、どうもありがとうございました。
 この前の会議でも申し上げたところでありますけれども、中間とりまとめというのは、これから秋以降に第2ラウンドを始めるに当たっての言わば出発点となる新しい制度のための議論の大枠というものを設定したという意味がございます。したがって、当然のことながら、これから詰めて議論しなければいけない点がございます。今、政務官がご指摘になりました財政の在り方の問題等も含めて、今後更に議論をしていただかなければいけませんし、それに先立って秋に公聴会の第2ラウンドを行うということでございますので、そこでのご意見というものも踏まえた上で、今後議論を詰めていくことになります。
 具体的には、今日事務局に示していただいた資料3「中間とりまとめの後に残されている課題」というものをこれから議論していくことになります。政務官がおっしゃいましたように、次回の第10回以降のこの改革会議では、かなりタイトなスケジュールの中で、今までやってきたよりもひょっとすると難しい議論をしなければいけないことになるかもしれませんけれども、皆さんお忙しい中大変恐縮ではございますけれども、会議の議論を深めていくことに是非ご協力をいただければと存じます。
 次回の日程でございますけれども、9月27日の月曜日を予定しております。詳しいことにつきましては、事務局から改めてご案内を差し上げることになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、今日は長時間にわたりまして、どうもありがとうございました。


(了)
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