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2010年7月30日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録

○日時

平成22年7月30(金)14:00~16:36


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

委員

青木委員、生方委員、尾崎委員、大野委員(部会長)、加藤委員、佐々木委員、佐藤委員、志賀委員、豊田委員、永山委員、松田委員、山内委員、山添委員、吉池委員、鰐渕委員

事務局

森口基準審査課長、茂野課長補佐、猿田課長補佐、浦上専門官、土井専門官

関係省庁

農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課農薬対策室 池田専門官,農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課 今村係長

○議事

○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科
会農薬・動物用医薬品部会を開催させていただきます。
 本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。本日は、斉藤委
員、由田委員より御欠席なさる旨の御連絡をいただいておりますが、農薬・動物用医薬品部会の
委員17名中15名の御出席をいただいており、部会委員総数の過半数に達しておりますので、本
日の部会が成立しておりますことを御報告いたします。
 なお、志賀委員におかれましては15時半ごろ、生方委員におかれましては16時ごろ御退席さ
れるという御連絡をいただいておりますので、御報告させていただきます。
 また、本日の部会におきまして、新規の承認申請が出されております動物用医薬品アセトアミ
ノフェンの御審議をいただくこととさせていただいておりますけれども、この剤の申請者との利
害関係につきまして、各委員に対しまして事前に確認をさせていただきましたところ、青木委員、
生方委員、吉池委員が該当するという御回答をいただいております。これにつきまして、その関
与の内容を踏まえまして、アセトアミノフェンの審議の際には青木委員には御審議に御参加いた
だくものの議決から外れていただく、生方委員には一時御退席いただく、また、吉池委員につき
ましては、審議及び議決に加わっていただくという取扱いとさせていただくことを御報告させて
いただきます。
 また、本日付で事務局の人事異動がございましたので、この場をお借りいたしまして御紹介さ
せていただきたいと思います。基準審査課長の森口でございます。
○森口基準審査課長 基準審査課長の森口でございます。本日、基準審査課長を拝命いたしまし
た。前任の俵木同様よろしくお願いいたします。
 私は、食品衛生法の担当としましては、約20年前に食品添加物の関係を3年やっておりまして、
その後、在外公館や地方自治体等色々な部署をまわりました。今回久しぶりに戻ってきたという
感じでございます。昨日、俵木課長から事務の引き継ぎを受けておりますけれども、20年前と比
べて特に農薬のところが一番変わってきていると。ポジティブリスト化した後の暫定基準の処理
という大変な作業量が現在あるということを引き継ぎました。事務局としても引き続き頑張って
いきたいと思いますけれども、先生方におかれましてはよろしく御審議・御意見をお願いしたい
と思っております。
 本日も相当数の議題がかかっておりますけれども、よろしくお願いいたします。
○事務局 続きまして、衛生専門官の土井でございます。
○事務局(土井) 衛生専門官の土井でございます。残留農薬を担当させてもらいます。よろし
くお願いいたします。
○事務局 それでは、今後の御審議につきまして、大野部会長に議事の進行をお願いしたいと思
います。どうぞよろしくお願いいたします。
○大野部会長 それでは、議事に入らせていただきたいと思います。皆さん暑い中集まっていた
だき、どうもありがとうございます。
 では、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。
○事務局 資料の確認をさせていただきます。
 配付資料につきましては、議事次第の次の用紙でございますけれども、配付資料一覧にござい
ます。フルジオキソニル、農薬、こちらが資料1でございます。それから、豚アクチノバシラス・
プルロニューモニエ感染症・豚丹毒混合不活化ワクチン、こちらは資料10でございますけれども、
ここまでにつきましては、それぞれに1つ目として本部会の報告書案、2つ目としまして食品安全
委員会における食品健康影響評価結果がございます。
 それから、報告事項といたしまして、報告資料1「平成17年度~20年度 食品中の残留農薬の
一日摂取量調査結果について」。
 それから、机上配付1と書いてあるものがございますが、こちらは傍聴の方々にもお配りさせ
ていただいております。フルジオキソニルの訂正文です。
 また、委員の先生方のみの配付とさせていただいておりますが、机上配付資料2と書かれてい
るもの、それから、机上配付資料3と書かれているもの、それから、横長の1枚紙でございます
けれども、食品衛生分科会における確認事項というものがございます。
 配付資料の不足等がございましたら、事務局までお願いいたします。
○大野部会長 いかがでしょうか、よろしいですか。もし足りなかったら、そのときに御指摘く
ださるようお願いいたします。
 それでは、審議に入りたいと思います。今日は農薬について7剤、動物用医薬品3剤について
御審議いただく予定でございます。報告書の作成に当たりましては、先生方にあらかじめ資料を
お送りし、いろいろ御意見をいただいて、修正できるところは修正しているところでございます。
 それでは、議題1の食品中の残留農薬の基準値設定ということで、農薬のフルジオキソニルに
ついての審議をしていただきたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬1剤目、フルジオキソニルでございます。資料1-1をごらんください。
フルジオキソニルの部会報告書でございます。
 本剤に係る今般の残留基準値の検討につきましては、食品中の農薬等のポジティブリスト制度
導入時に新たに設定された基準値、いわゆる残留基準の見直しが対象となっております。
 本剤は、フェニルピロール系の非浸透移行性殺菌剤でございます。作用機序、化学名及び構造
式等につきましては、記載のとおりでございます。
 次に2番、適用の範囲及び使用方法でございますが、本剤は国内及び米国において使用が認め
られております。詳しい内容は2ページ以降の表をごらんください。
 次に「3.作物残留試験結果」でございます。7ページをごらんください。分析対象はフルジオ
キソニルでございます。構造式、分析法の概要等は記載のとおりでございます。
 試験成績結果といたしましては、11ページ以降の別紙1を御参照ください。まず国内、13ペー
ジからは海外、そして、21ページからは収穫後使用に係る作残試験、いわゆるポストハーベスト
の試験結果を記載しております。添加物部会報告書の内容を掲載しております。
 7ページにお戻りください。続きまして「4.家畜における残留試験」でございます。畜産物に
おいては分析対象は記載のとおり、フルジオキソニル及びその代謝物となっております。その分
析法につきましては記載のとおりでございます。
 次に、乳牛における残留試験でございますが、高用量群における乳牛で残留が認められました。
筋肉、脂肪、肝臓、腎臓では定量限界未満でした。詳しい結果につきましては、8ページの表1
を御参照ください。なお、肉牛、乳牛におけるMTDBはそれぞれ0.07ppm、0.06ppmと評価され
ております。
 続きまして、産卵鶏における代謝試験でございますが、9ページに89ppm投与群のデータを記
載しております。家禽におけるMTDBは0.07ppmと評価されております。
 続きまして「5.ADIの評価」でございますが、資料1-2の34ページ、4段落目をごらんくださ
い。各種毒性試験の結果から、フルジオキソニル投与における影響は主に肝臓、腎臓及び血液に
認められた。発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び生体において問題となる遺伝毒性は
認められなかったとのことです。
 35ページをごらんください。以上より、食品安全委員会は、イヌを用いた1年慢性毒性試験の
無毒性量を33.1mg/kg体重/日を根拠として、安全係数100で除した0.33mg/kg体重/日をADIと設
定いたしました。
 資料1-1の9ページをごらんください。それらの食品安全委員会の結果を踏まえ、ADIの評価が
なされております。ADI0.33mg/kg体重/dayとなっております。
 続きまして「6.諸外国における状況」ですが、国際基準は大豆、ブルーベリー等に設定されて
おります。このほか諸外国において記載のとおり基準値が設定されております。
 これまでの内容を踏まえました「7.基準値案」としまして、規制対象は農産物はフルジオキソ
ニルとし、畜産物はフルジオキソニル及び代謝物Kに変換されるベンゾピロール代謝物とすると
しております。具体的な基準値案に関しましては、33ページ以降の別紙2をごらんください。
 34ページの作物残留試験成績の真ん中より下になりますが、「収穫後使用に係る作残試験に基づ
き設定」というのは、ポストハーベストとしての試験結果に基づく基準値を記載しております。
このポストハーベストの残留基準値につきましては、当部会に先立ちまして平成21年6月24日
に添加物部会で審議されており、その値を記載しております。なお、ポストハーベストと農薬の
両方に適用がある場合は、基準値を統一するため、両方の基準値の高い方を設定した案を提案し
ております。
 これらを踏まえまして、暴露評価を行った結果を机上配付1の36~37ページにそのデータを記
載しております。本剤はTMDI試算を行っております。その結果、一番高い幼小児ではADI比は
14.7%という占有率になっております。
 資料1に戻っていただきまして、最後のページが答申案となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、早速審議していただきたいと思いま
す。まず、殺菌剤としての用途の後に書いてある機構についていかがでしょうか。尾崎先生、何
かコメントございますか、よろしいですか。ありがとうございます。
 では、その後の化学名とか物性、代謝、その辺で山添先生いかがでしょうか、よろしいですか。
 測定対象物質としましては、食物中にはほとんど親化合物として残っていまして、代謝物は少
ないので親化合物を測定対象物質としてよろしいかと思います。動物体内でできるのは、ほとん
どグルクロナイドとかそういう抱合体ですね。あと、硫酸とくっついたものもありますけれども、
特に毒性学的におかしいものができるという印象は持ちませんでした。
 対象物質としては親化合物を中心に代謝物Kに変換されるベンゾピロール代謝物を含むという
ことですけれども、後者は測定上の問題で加えたと思うんですが、後でそれについて御意見を伺
いたいと思います。先生方から御意見はありますか。よろしいでしょうか。
 それでは、測定方法について、いかがでしょうか。今日は斉藤先生はいらっしゃらないんです
ね。
 それでは、基準値について御意見ございますか。
○佐々木委員 34ページの基準値案ですが、米国の基準を参照する場合のけた数の件ですけれど
も、2行目のニンニクの場合、タマネギの0.20から0.20になっているんですが、20の「0」は必
要ないのではないでしょうか。
○事務局 先生のおっしゃるとおりです。修正をいたします。
○佐々木委員 その下のワケギとかナス科も同様でしょうか。
○事務局 はい、同様です。
○大野部会長 ありがとうございます。では、修正をお願いいたします。
 ほかに御意見ございますか。先ほどの畜産物での測定対象物質について代謝物Kに変換される
ベンゾピロール代謝物を入れたことについて何か御意見はございますか。
○山添委員 何も問題はないですが、要するにこれは酸化して、結局この代謝物にまとめてしま
うので、それでいいと思います。
○大野部会長 安全性評価上はこれで問題はないと私も思います。ありがとうございます。
 ほかの先生から全体を通して御意見はございますか。ADI比で幼小児で13.9%ということです。
それから、先ほど御説明がありましたように、ポストハーベストの関係も考慮した上で残留基準
値を設定したということです。それでも13.9%であるということです。
○志賀委員 ごくごくマイナーなことですが、7ページの下から3行目の代謝物Kの名前「-4-」
の次が開いていますね。そこは詰めておいてください。
○事務局 修正します。
○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますか。
 安全性のところで鰐渕委員、何かございますか。
○鰐渕委員 特に問題ないです。
○大野部会長 吉池先生、特に御意見ありませんか。ありがとうございます。
 ほかに御意見がないようでしたら、若干修正がございましたけれども、その上でこのフルジオ
キソニルの部会報告案をこの部会の報告としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、次の品目ジクロスラムについて、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬の2剤目、ジクロスラムでございます。資料2-1をごらんください。ジ
クロスラムの部会報告書案でございます。
 本剤に係る今般の残留基準値の検討につきましては、食品中の農薬等のポジティブリスト制度
導入時に新たに設定された基準値、いわゆる残留基準の見直しが対象となっております。
 本剤は、トリアゾロピリミジン環を有する除草剤でございます。作用機序、化学名及び構造式
につきましては、記載のとおりでございます。
 次に「2.適用の範囲及び使用方法」でございますが、本剤は国内では農薬登録がされておりま
せん。米国において84%の顆粒水和剤をらっかせい、大豆に対して用いております。詳しい内容
につきましては、2ページの表をごらんください。
 次に「3.作物残留試験」でございます。分析対象は、化合物ジクロスラムでございます。分析
法の概要は記載のとおりでございます。
 試験結果といたしましては、4ページの別紙1をごらんください。米国のデータでいずれも検出
限界未満でございます。
 続きまして「4.ADIの評価」でございますが、資料2-2の18ページ、4段落目をごらんくださ
い。各種毒性試験結果から、ジクロスラム投与による影響は、主に肝臓及び腎臓に認められた。
発がん性、繁殖能への影響、催奇形性及び生体にとって問題となる遺伝毒性は認められなかった
とのことです。
 食品安全委員会は、各試験で得られた無毒性量の最小値がラットを用いた2年間慢性毒性/発
がん性併合試験の5mg/kg体重/日であったことから、これを根拠として安全係数100で除した
0.05mg/kg体重/日を一日摂取許容量(ADI)と設定しました。
 資料2-1の2ページに戻っていただきまして、今お話ししましたADIについて記載されており
ます。
 次に「5.諸外国における状況」ですが、国際基準は設定されておりません。米国において大豆、
らっかせいに基準が設定されております。
 これらを踏まえた「6.基準値案」としまして、規制対象はジクロスラムとなっております。
 具体的な基準値案でございますが、5ページの別紙2をごらんください。米国の作残データを基
に、大豆、らっかせいに基準値0.02ppmを提案しております。
 これらの基準値案を踏まえまして暴露評価を行った結果を6ページの別紙3に記載させていた
だいております。本剤はTMDI試算を行っております。その結果、一番高い幼小児で0.1%の占有
率となっております。
 最後のページが答申案となります。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。それでは、早速ですけれども、この用途の最後
の表現について、尾崎先生何か御意見ございますか、よろしいですか。ありがとうございます。
 化学名、構造式、代謝、その辺で山添先生いかがでしょうか。
○山添委員 化学名のIUPACの英文表記にちょっとミスがあります。まずは、2と6のところに
「,」を入れなければならないということです。CASの方です。
 それから、「triazoro」の「ro」が「lo」じゃないかと思うんですけれども。そうすると、これは
下の方もトリアゾロは違っているかもしれません。御確認ください。
○事務局 先生の御指摘のとおりですので、修正をいたします。
○大野部会長 代謝の方はよろしいですか。
○山添委員 代謝は結構です。
○大野部会長 ありがとうございました。残留試験での代謝物については、幾つかシステインと
くっついたものとか、水酸化されたものとかがあるんですけれども、実際に測定してみるとらっ
かせいについては分布が少ないということが食品安全委員会の報告に書いてございます。そうい
うことでよろしいかなと思います。
 大豆にどのくらい分布しているのかとか、それについては書いていないんですけれども、食品
安全委員会の報告書には代謝物Dができているということですけれども、どのくらいできるとか、
そういうことは特に書いてございません。葉っぱでは結構残留しているということですけれども、
実の中でどのくらいあるかについては書いてございません。ただ、らっかせいでは少ないという
ことですので、それと同じと考えれば残留対象物質はジクロスラムだけでよろしいかなと思いま
す。
 その辺りについて、先生方から御意見ございますか。
 それでは、安全性の面で鰐渕先生から御意見ございますか。
○鰐渕委員 特にこのとおりで結構だと思います。
○大野部会長 ありがとうございました。
 分析法については御意見ございますか。
○永山委員 先ほどの概要のところで「0.1M」とありますが、「M」はモル規定の(M=mol/l)で
すので、今は(小文字の)「mol/L」を使うことが多いです。
 それから「含有アセトン」になっていますけれども、後ろが比率で入っていますので、あまり
含有というのはこの場合には使わないかもしれません。
 それから、「ph」の「h」は大文字になります。
 それから、これはたしか、リン酸緩衝液か何か使ってイソオクタンあるいはヘキサン辺りで脱
脂をしていると思うんですけれども、原本を今日持っていないのですが、その辺を御確認いただ
いて少し整理された方がよろしいかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○事務局 先生のおっしゃるとおり、こちらで確認して整理したものを後で部会報告書案として
出させていただきます。
○大野部会長 ありがとうございます。「Ph」は直してください。
 基準値のところはいかがでしょうか。残留試験成績で全部検出できなかったということで0.02
ということです。今回は「0.020」となっていますが、これでよろしいですか。
○佐々木委員 アメリカの基準は0.020ですが、それを参照した場合は0.02にすると、たしかなっ
ていたと思います。ですから、このとおりでよろしいのではないかと思います。
○大野部会長 すみません、古い報告案を見ていました。「0」はないということでよろしいです
ね。
 では、全体を通しまして先生方から御意見ございますか。
○佐々木委員 1ページの分子式が、「Cl2」が「C12」になってしまっています。
○事務局 修正いたします。
○大野部会長 ありがとうございます。気がつきませんでした。
 今気がついたんですけれども、水溶解度のところが「6mg/l」とありますが「l」でいいんですか、
「L」を使っていますよね。たしか表記が変わったんですよね。
○事務局 大文字に修正をいたします。
○大野部会長 ほかの報告書も、もし小文字で書いてありましたら、統一して修正してくださる
ようお願いいたします。
 ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、若干の修正と分析法については、もう一度確認していただいて修正していただくと
いうことで、それを踏まえてこの報告書案をこの部会の報告としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 それでは、次ですけれども、クロルエトキシホスについて事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、農薬3剤目のクロルエトキシホスについて御説明申し上げます。資料3-1
をごらんください。クロルエトキシホスの部会報告書案でございます。
 今般の残留基準の検討につきましては、いわゆる暫定基準の見直しとなっております。本剤は、
有機リン系の殺虫剤でございまして、コリンエステラーゼ活性阻害作用により殺虫作用を示すも
のと考えられております。化学名、構造式名等は記載のとおりでございます。
 「2.適用作物及び使用方法」でございますが、本剤は国内での農薬の登録はなされておりませ
ん。また、海外の使用方法として米国のものを記載しております。
 「3.ADIの評価」でございますが、資料3-2の食品安全委員会における食品健康影響評価書の
15ページをごらんください。クロルエトキシホス投与による影響は、主に赤血球及び脳のコリン
エステラーゼ活性阻害であった。発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性、遺伝毒性等は認め
られなかったとのことです。
 ADIの設定についてですが、イヌの1年間慢性毒性試験における無毒性量0.063mg/kg体重/日を
根拠といたしまして、安全係数100で除しまして、ADIは0.00063mg/kg体重/日と設定されてござ
います。
 部会報告書にお戻りいただきまして、「4.諸外国における状況」でございますが、国際基準は
設定されておりません。米国においても現在は基準値はございません。
 これらを踏まえまして基準値案といたしまして別紙のとおり、残留基準を設定しないこととす
る案としております。
 最終ページが答申案になります。本剤については、食品中の残留基準を設定しないことが適当
であるといたしました。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。
 日本でも使われていない、アメリカでも使われていない。主要国ではどこでも使われていない
ということですので、残留基準を設定しないということですけれども、そういうことになるとあ
まり詳しく審議しても仕方がないかなという気もしますが、報告書に誤りがあるといけませんの
で、確認してくださるようにお願いいたします。
 用途のところはよろしいですよね、ありがとうございます。
 化学名、構造式、物性のところはよろしいでしょうか。こちらの水溶解度の「L」は大文字になっ
ていますね。
○松田委員 大変つまらないことですけれども、2ページの「3.ADIの評価」の2行目「クロル
エトキシホスに係る」の「に」が抜けていると思います。
○事務局 訂正いたします。
○大野部会長 ありがとうございます。そのほか全体で何かございますか。
 では、この結論についてはよろしいですか。それでは、この部会報告案は若干修正がございま
したけれども、これをもってこの部会の報告としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。そのようにさせていただきます。
 それでは、次も農薬でチアゾピルについて御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願
いいたします。
○事務局 農薬4剤目のチアゾピルについて御説明いたします。
 本剤につきましては、先月30日に開催されました部会におきまして御審議をいただいたところ
ですが、本日は規制対象物質について御審議いただきたく存じます。資料4-1をごらんください。
チアゾピルの部会報告書案でございます。前回の部会から変更した箇所について御説明いたしま
す。
 3ページの6の(1)をごらんください。基準値を参照しました米国においては、AAまたはSAAに
変換を行い、測定を行っていることから、変換体AAまたはSAAに変換される化合物を含めて、
米国ではチアゾピルと代謝物が規制対象とされております。先月の部会では、米国と同様に「チ
アゾピル及び代謝物」と示しておりました。日本においては米国とは異なり、チアゾピルの親化
合物のみを測定する分析方法が行われております。これを踏まえまして、規制対象物質としてチ
アゾピルの親化合物のみと改めました案をお示ししております。
 審議の御参考としていただくため、日本の現行の分析方法を記載した資料を机上配付させてい
ただいております。
 事務局からの御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございます。
 前回は、分析法の都合上で代謝物を入れざるを得なかったということでしたけれども、今回は
日本独自に、チアゾピルを単独で測る方法があるということで、それに変わったということです。
いかがでしょうか。分析法の先生方、御意見ございますか。
 それでは、そこを変更したということで、チアゾピルの修正案をこの部会の報告としてよろし
いでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、前回の報告をこういう形で修正させていただ
きます。
 それでは、次にエトプロホスについて御審議をお願いいたします。事務局から資料の説明をお
願いいたします。
○事務局 農薬5剤目、エトプロホスでございます。本剤につきましては、6月の部会で御審議い
ただきましたが、米国で別名エトプロップとしての基準値が設定されており、作物残留試験デー
タが確認できたため、再度、暫定基準の見直しについて御審議をお願いするものでございます。
 前回と変わりましたところのみ御説明させていただきます。資料5-1の2ページをごらんくださ
い。「2.適用作物及び使用方法」でございますが、本剤は国内に農薬登録はありません。米国で
はミントについて使用されております。
 続きまして「3.作物残留試験結果」でございますが、分析対象の化合物はエトプロホスでござ
います。作物残留試験の結果は、米国のミントにつきまして別紙1に記載してございます。別紙1
は4ページについてございます。
 続きまして「5.諸外国における状況」でございますが、国際基準がばれいしょ、バナナ等に、
欧州連合においてばれいしょ、ピーマン等に、米国においてペパーミント及びスペアミントに基
準値が設定されております。
 「6.基準値案」でございますが、残留の規制対象をエトプロホスとさせていただきたいと思い
ます。食品安全委員会の食品健康影響評価におきましても、食品中の暴露評価対象物質をエトプ
ロホスと設定されております。
 基準値案は別紙2のとおりでございます。別紙2につきましては、5ページから記載してござい
ます。国際基準を参照とし、基準値案を設定し、また米国の基準値を参照として、その他のハー
ブに基準値を設定いたしました。
 3ページに戻っていただきまして、暴露評価でございますが、TMDI、ADI比で国民平均28.7%、
幼小児70.5%となっております。
 一番最後に答申案をつけてございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございました。
 前回、御検討いただいたものについて、米国の規制値が見つかったということで再度御審議を
お願いするところでございます。ミントのデータが見つかったということですが、これについて
御意見ございますか。
 それでは、全体を通して御意見ございますか。
 若干修正したということで、このエトプロホスの部会報告の修正案をお認めいただけますで
しょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そういう形で修正させていただきます。
 次に、トリブホスについて御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 農薬6剤目、トリブホスでございます。本剤につきましては、暫定基準の見直しにつ
いて御審議をお願いするものです。資料6-1をごらんください。
 本剤は、有機リン系植物成長調整剤で、植物体内のホルモンレベルを変えることにより器官離
脱、落葉等を引き起こし、成長調整作用を示すと考えられています。化学名、構造式、物性は記
載のとおりです。
 「2.適用の範囲及び使用方法」でございますが、本剤は国内に農薬登録はありません。米国で
綿実に使用されております。
 「3.作物残留試験」でございますが、分析対象の化合物はトリブホスです。作物残留試験結果
は、米国の綿実について別紙1にございます。別紙1は5ページに記載してございます。
 「4.乳牛における残留試験」につきましては、乳牛に対して飼料の摂取によって理論上動物が
暴露され得る量(1.5ppm)の6倍、22倍、80倍のトリブホスを含有するゼラチンカプセルを28
日間にわたり摂食させ、乳、脂肪、筋肉、肝臓及び腎臓中に含まれるトリブホス含量を測定した
結果を表1、表2に示してございます。
 「5.ADIの評価」でございますが、資料6-2の18ページをごらんください。食品安全委員会の
食品健康影響評価結果が記載されてございます。各試験結果より、農産物中の暴露量評価対象物
質をトリブホスと設定し、ラットの慢性毒性/発がん性併合試験の無毒性量0.2mg/kg体重/日に基
づき、ADIを0.002mg/kg体重/日と設定いただいております。
 資料6-1の報告書の4ページに戻らせていただきます。「6.諸外国における状況」ですが、国際
基準は設定されておらず、米国において綿実と畜産物に基準値が設定されております。
 「7.基準値案」でございますが、残留の規制対象をトリブホスといたしたいと思います。なお、
食品安全委員会の食品健康影響評価におきましても、食品中の暴露量評価対象物質をトリブホス
と設定されております。
 基準値案は別紙2のとおりでございます。別紙2は6ページにございます。米国の基準を参照
といたしまして、綿実と畜産物に基準値案を設定いたしました。
 4ページに戻っていただきまして暴露評価でございます。TMDI、ADI比で国民平均が2.8%、幼
小児9.6%となっております。
 最後のページが答申案となってございます。
 御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございました。
 それでは、最初のところの用途と作用について、尾崎先生いかがでしょうか、よろしいですか。
 これは、ちょっとわからなかったので調べてみたんですけれども、器官離脱って何だろうと思っ
たら、葉っぱが落ちるということですね。食品安全委員会の報告だと「わたの葉の器官の離脱」
という表現になっているんですね。単に「器官離脱」と言うより、「わたの葉の器官離脱を引き起
こす」と食品安全委員会の方は書いてありますので、そのようにした方がよろしいかと思うんで
すけれども。
○事務局 では、「わたの葉の器官離脱」と訂正させていただきます。
○大野部会長 それから、評価書みたいなものを読んでいたら、植物成長調整剤という言葉は使っ
ていなくて、defoliantという言葉を使っているんですね。植物成長調整剤というのは日本だけの
名前なんですかね。defoliantを辞書で調べると、枯れ葉剤とか落葉剤と。
○志賀委員 むしろ農水の方から教えていただいたらいいと思うんですけれども、日本でのこう
いう農薬のカテゴリーとして落葉剤も含めて成長調整剤というグルーピングが正式というか、決
まりの中にされているんじゃないかと理解したのですが。
○大野部会長 御意見いただけますでしょうか。
○農林水産省 この剤は国内登録がないので、正確にはわからないんですけれども、植物の成長
を抑制するとかそういったものでしたら、植物成長調整剤という言葉を日本では使っております。
○大野部会長 教科書を見ましたら、落葉剤という分類はなかったんですね。日本の教科書では、
植物成長調整剤の中に有機リン剤が入っていたんです。そのものはなかったんですけれども、多
分日本ではそういうふうに使われているのかなと。イメージが枯れ葉剤と言うと、私みたいに古
い人間にとっては気になってしまうところですけれども。
 では、用途は植物成長調整剤ということで、日本で一般的にそういう言葉が使われているのだっ
たら、よろしいですかね。
○志賀委員 特に行政的にと言っていいのかどうか知りませんけれども、殺虫剤とか農薬のカテ
ゴリーとして使われていると思いますので、それに従っておけばいいのだと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 ほかの先生、何か御意見ございますか。よろしいですか。それでは、化学名、構造式で御意見
ございますか、よろしいですか。
 代謝から残留物については、非常に単純な有機リン剤ですので。あまり毒性学的に意味のない
ものではないかと思いました。
 そのほかいかがでしょうか。それでは、安全性の面で鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 このとおりで問題ないと思います。
○大野部会長 ありがとうございました。
 それでは、分析方法、分析結果、基準値で御意見ございますか。
○山内委員 7ページの推定摂取量に綿実とあるんですけれども、綿の実からとった油で摂取す
るんですか。
○大野部会長 綿の実から油をとるわけですけれども、前の段階で綿の実で。変ですか。
○松田委員 綿実を食べるということがないので、綿実からの摂取量をどのように計算されたか
ということが知りたかったんです。
○大野部会長 いかがでしょうか。
○事務局 すみません、即答できないので調べて後ほど御報告させていただきます。
○大野部会長 それでは、しばらく先に進めさせてください。ほかに御意見ございますか。
 それでは、全体を通して御意見ございますか。
○志賀委員 ちょっと戻りますけれども、用途のところです。大野部会長からの御提案は「変え
ることによってわたの葉の器官離脱を引き起こし」ということでしたよね。それはそれで適切だ
と思うんですけれども、安全委員会の方にはこういう文字は入っていませんが、「引き起こし、成
長調整作用を示す」というところですね。これは削除して「離脱を引き起こす」と安全委員会の
方は言い切っていますよね。その形の方がいいと思うんです。と申しますのは、この落葉剤の用
途というのは、決して厳密な意味での成長調整ではないんじゃないかと。むしろ綿実の収穫のた
めに葉っぱが邪魔ですから、それをふるってしまうという薬のように思えるんです。そうします
と、成長調整作用まで言ってしまうのはちょっと。
 先ほどちょっと議論のありました用途の植物成長調整剤という言い方自体は、カテゴリーの問
題としてそのままでいいと思います。
○大野部会長 わかりました。私もその方がよろしいかと思いますけれども、ほかの先生はよろ
しいでしょうか。ありがとうございます。それでは「綿の葉の器官離脱を起こすと考えられてい
る」ということでよろしいですか。では、そのように修正をお願いいたします。
○加藤委員 7ページの陸棲哺乳類の肉類の基準値案が0.02になっているんですが、6ページの基
準値案の数字をずっと見てみますと0.020とありますが、0.15のミスではないかと思いますが。
○大野部会長 牛の脂肪、豚の脂肪、動物の脂肪0.15ですね。これはどうでしょうか。
○事務局 申し訳ございません。この肉類のところには一番高い値を入れることになっておりま
したので、0.15にさせていただいて暴露量を再度計算して、資料を直させていただきたいと思い
ます。
○大野部会長 0.15にすると暴露量はどのくらい増えるんですかね。この部分だけで単独で7倍
ぐらい。陸棲哺乳類の乳類が多いから、全体的にADI比で80%を超えてしまうということはない
ですね。
○事務局 計算して御報告させていただきたいと思います。
○大野部会長 わかりました。加藤先生、どうもありがとうございます。では、そこのところを
修正するということで、修正したとしてもADI比で70%を超えることはないと思いますので、安
全性上の懸念は特によろしいのではないかと思います。
 ほかに御意見ございますか。よろしいでしょうか。全体としてもよろしいですか。それでは、
薬理作用のところと、今の摂取量の基準値の値と計算の結果と修正がございましたけれども、計
算については、後で結果を修正していただくということで、この報告案をこの部会の報告として
よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、次の品目、これは新規です。スピネトラムについて事務局から説明をお願いいたし
ます。
○事務局 農薬7剤目、スピネトラムでございます。本剤につきましては、農薬取締法に基づく
新規の基準値設定依頼が農林水産省からなされたこと及び関連企業からグレープフルーツ、レモ
ン等に関するインポートトレランス申請がなされたことに伴い、基準値の設定について御審議を
お願いするものです。
 資料7-1をごらんください。本剤は、土壌放線菌が産生する活性物質(スピノシン)に由来する
マクロライド系殺虫剤で、スピネトラム-J及びスピネトラム-Lの混合物です。シナプス後膜に
存在するアセチルコリン受容体とγ-アミノ酪酸受容体のイオンチャンネルに作用し、神経の異
常興奮を引き起こすことにより、殺虫効果を示すものと考えられています。
 化学名、構造式及び物性は記載のとおりです。構造式のところで、中央下部のアグリコン部分
がスピネトラム-Jは飽和結合ですが、L体は不飽和結合になってございます。
 「2.適用の範囲及び使用方法」です。本剤は、国内に農薬登録はありません。今般、りんご、
なし、もも、トマト、キャベツ等に登録申請が出され、レモン、オレンジ、グレープフルーツ等
に係る残留基準の設定についてインポートトレランス申請がなされています。
 「3.作物残留試験」結果でございます。分析対象の化合物はスピネトラム-J、L。代謝物B、
C、D、Eでございます。分析法の概要は記載のとおりです。
 また、スピノサドの分析が行われております。スピノサドはスピネトラムと同じ土壌放線菌
(Saccharopolyspora spinosa)由来のマクロライド系殺虫剤で、りんご、オレンジ、グレープフ
ルーツ、レモンについて、スピノサドの作物残留試験結果が提出されております。
 スピノサドの作物残留試験結果をスピネトラムの作物残留の評価に用いることが適切かを検討
するために比較試験が実施されておりまして、りんご、てんさい、芝草、リーフレタス、オレン
ジ及びトマトにおけるスピネトラム、スピノサド及びそれらの代謝物の残留量が測定されており
ます。
 スピノサドはスピノシンAとDの混合物で、分析対象化合物はスピノシンA、D、代謝物スピ
ノシンB、K、代謝物Dimethyl Dです。
 スピノシンA、Dの構造式はごらんのとおりです。構造式の中央下部のアグリコン部分がスピ
ネトラム-L体と同様に不飽和結合になっています。スピネトラムとスピノシンA、Dの相違点は、
右上部の同置換基がスピネトラムがJ体、L体ともにエチル基なのに対し、スピノシンA、Dはメ
チル基になっているところです。
 分子量はスピノシンAが731.96、Dが746.0とスピネトラム-J、Lよりわずかに少ないものの、
ほとんど構造的に同じと考えられております。
 比較試験の結果につきましては、9ページの表のとおりでございます。総散布量の違いを考慮い
たしましても、スピネトラムとスピノサドの残留量はほぼ同様の傾向を示すと考えられ、スピノ
サドの残留試験結果をスピネトラムの作物残留の評価に利用することは可能であると考えられま
した。なお、食品安全委員会によって作成された食品健康影響評価においても、スピノサドの残
留試験結果をスピネトラムの作物残留の評価に利用することは可能と評価されております。また、
米国EPAでは、この比較試験をもって両剤を同等とみなし、スピノサドの基準値をそのままスピ
ネトラムに適用しております。
 作物残留試験の結果につきましては、国内については別紙1-1、海外については米国のりんご、
オレンジについて別紙1-2、スピノサドの作物残留試験データを別紙1-3に記載してございます。
 「4.ADIの評価」でございますが、資料7-2の44ページをごらんください。食品安全委員会の
食品健康影響評価結果が記載されております。各試験結果より、農産物中の暴露量評価対象物質
をスピネトラムと設定し、イヌの1年間慢性毒性試験の無毒性量2.49mg/kg体重/日に基づきまし
て、ADIを0.024mg/kg体重/日と設定いただいております。
 資料7-1、報告書の10ページをごらんください。「5.諸外国における状況」でございますが、
国際基準はレタス、トマト等に設定されておりまして、米国においてアスパラガス、バナナ等に、
カナダにおいてブロッコリー、りんご等に、オーストラリアにおいてりんご、すもも等に、ニュー
ジーランドにおいてりんご、なし等に基準値が設定されています。
 「6.基準値案」でございますが、残留の規制対象をスピネトラムとさせていただきたいと思い
ます。なお、コーデックスにおいては暴露対象をスピネトラム及び代謝物B、C、D、Eとしてい
ますが、規制対象をスピネトラムとしており、食品安全委員会の食品健康影響評価におきまして
も、農産物中の暴露対象評価物質としてスピネトラムが設定されております。
 基準値案につきましては、別紙2のとおりでございます。別紙2につきましては14ページにご
ざいます。国内、海外の作物残留試験データ、国際基準を参照し、基準値案を設定いたしました。
レモン、オレンジ、グレープフルーツにつきましては、米国スピノサドの作物残留試験結果が提
出されており、そのデータに基づく米国の基準値を参照いたしました。
 10ページに戻っていただきまして、暴露評価結果でございますが、TMDI/ADI比で、国民平均
11.6%、幼小児22.0%となってございます。
 最後のページに答申案を記載してございます。
 説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、御審議をお願いいたします。用途、作用について尾崎先生いかがでしょうか。
○尾崎委員 私は昆虫のことははっきりわからないのですけれども、下から2行目にアセチルコ
リン受容体とGABA受容体に作用するとあるのですが、アセチルコリンは興奮性の伝達物質で、
GABAは抑制性ですね。両方作用するとプラスマイナスゼロになってしまって、作用がなくなる
という印象を持ってしまいます。実際には、どちらかに強く効いて何かの反応が起こるのだろう
と解釈できますが、一番最後の行を「神経活動に異常を引き起こすことにより」と直せば、意味
は通るのではないかと感じました。
○大野部会長 ありがとうございます。
 これは構造から見て、イオノフォアみたいにして働いて通してしまうのかなと思っていたんで
すけれども。
○尾崎委員 穴を開けてしまうという意味ですか。
○大野部会長 そんな感じがしたんですけれども。調べたら、アセチルコリン受容体には作用す
るという文献はあったんですが、GABAに作用するという文献が見つからなかったんですね。企
業から出された資料を見させていただいたんですが、それにもGABA受容体に作用するという
データはなかったということで、「あれ?」と思ったんですけれども、PubMedで引いただけなの
で不十分なのかもしれないし、また、企業が内部データとして外に出していないのかもしれませ
んけれども、それは確認していただきたいと思いますが。
○事務局 確認させていただきます。
○尾崎委員 あと、もう一点、1行目でスピノシンが活性物質とあるのですが、この文章を見ると
原料となる物質と思われますが、スピノシン自体にも生理活性があると解釈してこう書いてある
と理解していいのでしょうか。
○事務局 そのように考えて記載いたしました。
○大野部会長 では、そのようにお願いいたします。
 ほかに御意見ございますか。
○志賀委員 今のところですけれども、(2)用途:殺虫剤の3行目ですが、虫のオーダーの名前が
幾つか出てきますけれども、2番目が「総羽目」になっていますが、これはやはり「翅」ですね。
 それから、私はこれだけでいいと思ったんですけれども、実は総翅目というのはアザミウマと
いうグループの虫でして、3ページの表を見ればわかりますけれども、ナスとかネギとかにアザミ
ウマというのがいるんですね。これでいいわけですが、そのほかに国外のものでキジラミという
のがいまして、半翅目でこの中に入っていないもの。そういう意味から言いますと、その次の双
翅目の後に「等」を入れておいたらいかがかなと思いました。何でそんなことまで細かく考えた
かといいますと、食品安全委員会の方ですからいいかと思ったんですけれども、双翅目と鱗翅目
の2つしかない上に、それはそれでいいんですが、ハモグリバエ類の害虫と書いてあるんですね。
ハモグリバエ類というのは実は双翅目の一員なんです。だから、安全委員会にそんなことでコメ
ントをつけることはないのかなと思いましたけれども、実は食品安全委員会の方の「及びハモグ
リバエ類の害虫」というのは要らない。含まれてしまっていますから、これは双翅目ですので。
「特に」とかいうならばそうですけれども、そのようでもないですから。それはちょっと余談で
す。
 いずれにしましても、こちらの方の部会報告につきましては、「総羽目」の「羽」を「翅」に直
して、双翅目の後に「等」を入れておけば十分かと思います。
○事務局 先生の御指摘のとおりに訂正させていただきます。
○大野部会長 ありがとうございます。
 そのほか、ここについて御意見ございますか。あと、代謝の面で山添先生、いかがでしょうか。
○山添委員 構造式も多分いいのだろうと思いますが、これ以上は言いません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 代謝物に関してはB、C、D、Eが植物体内でも生成します。場合によっては10%以上残留しま
すので、それについて申請者は、代謝を植物体内で測定してあります。実際に測定してみますと、
親化合物と比べて代謝物の量は相対的に低いものであって、親化合物をフォローすればこの農薬
の残留の評価という面ではいいのではないかというところで、食品安全委員会の考えと同じでご
ざいます。
 ただ、アメリカでは、スピノサドの食物残留試験結果で幾つかの食品について代用しています。
それは化学構造的に極めて類似していて、そういう考えもあるのかなと思っていますが、今まで
そういうことを、ほかの化合物、類似化合物の残留試験結果をもって本来の化合物の残留値を設
定したというのは記憶にないのですが、そういうことが今までもあったんでしょうか。ほかの残
留試験結果をもって本来のものの残留値を設定ということは、今まで行われたことはあるんです
か。
○事務局 今まではなかったかと思います。初めてのパターンかと思います。
○大野部会長 では、この場での判断ということですね。スピノサドのデータに基づいて今回、
基準値を設定したのは、レモンとオレンジですか。
○事務局 レモン、オレンジ、グレープフルーツにつきましてスピノサドのデータを用いてアメ
リカで基準値が設定されております。リンゴにつきましては、日本の作残データを用いまして0.5
と置かせていただいておりますけれども、マルメロ、その他の果実につきましては、アメリカの
基準値を参照とさせていただいております。
○大野部会長 わかりました。ちょっと思ったのは、りんごのデータについてはちゃんとスピネ
トラムのデータがあるのに、これをなぜ使わなかったのかなと思ったんですけれども、私の勘違
いでした。
 その辺りの先生の御意見はいかがでしょうか。非常に類似した構造であるということで、その
データをもって変えてもいいということについて。アメリカでそうしているということですけれ
ども。分子が小さなものについては、ちょっと構造が変わっただけでも大きな影響が出る可能性
もありますが、このものについては非常に大きな分子の化合物であって、基本的な構造は同じで、
官能基がちょっと変わっているだけというところです。全体的に比較してみると残留値は、この
ものよりもスピノサドの方が若干多いか同等であるというところで、そちらのデータを採用して
もよろしいのではないかということですけれども、この部会としてもそういうことで進めてよろ
しいでしょうか。では、そのようにさせていただきます。
 安全性の面で、鰐渕先生、御意見ございませんか。
○鰐渕委員 特にございません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、分析方法、基準値について御意見を伺いたいと思いますけれども、いかがでしょう
か。
○永山委員 1点ですけれども、スピノサドの試験法に検出限界を全部入れておりますが、これは
何か理由があって検出限界をお示しいただいているのでしょうか。ほかは大体、定量限界が多い
と思うのです。
○事務局 参考としましたレポートで検出限界が記載されていたので、そのように記載させてい
ただきました。
○永山委員 特に定量上必要であれば別ですけれども、ほかで入れていないものですから、これ
だけあるとちょっと目につくのですが、必要なければなくてもいいような気もいたしますが、い
かがでしょうか。
○事務局 わかりました。検出限界を削除させていただきます。
○大野部会長 よろしいでしょうか。では、そのようにさせていただきます。
 ほかに御意見ございますか。それでは、全体を通して御意見ございますか。
○事務局 暴露量評価のところでございますけれども、陸棲哺乳類の肉類のところで0.01の数値
を入れて計算してしまっておりまして、先ほどの御指摘のとおり一番高い0.2を入れて、再度、暴
露量を計算いたしましたところ、国民平均が12.4、幼小児が23.6、妊婦が11.6、高齢者が10.7と
いうことで暴露量が変わってきておりますので、今、差し替えのものを配らせていただいており
ますので、御確認をよろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございます。スピネトラムと先ほどの審議のトリブホスの2つの資料
が皆さんに配られておりますけれども、スピネトラムについては若干数値が多くなりましたが、
ADI比で最高でも23.6ということでございます。
 それでは、それを踏まえて全体として御意見ございますか。それでは、若干、薬理作用のとこ
ろと分析法のところ、最終的な摂取量のADI比で修正がございましたけれども、17ページの答申
案の数値も変わってくるんですか。
○事務局 答申案の数値は変わってございません。暴露量計算のところで脂肪が0.2となっており
まして、一番高い数値を暴露量計算に入れましたところ、後でお配りした暴露量になりましたと
いうことでございます。
○大野部会長 わかりました。では、17ページの答申案の数値は変わらないということでござい
ます。そういう修正を加えた上で、このスピネトラム案をこの部会の報告としてよろしいでしょ
うか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
○事務局 トリブホスにつきまして計算ができましたので、御報告させていただきます。トリブ
ホスの別紙3の訂正を配らせていただいたかと思いますけれども、陸棲哺乳類の肉類の基準値案
0.15を入れて暴露量を計算いたしましたところ、国民平均9.8、幼小児23.1、妊婦10.2、高齢者9.6
という数値になってございます。
 それから、先ほど御指摘がありました基準値案の綿実でございますが、アメリカも綿実種子の
基準なので、これを参照といたしまして、綿実種子の基準として基準値を置かせていただきたい
と思っております。
○大野部会長 綿実油については加工食品になるから、また別ということですね。よろしいでしょ
うか。
○松田委員 摂取量を計算するときは油の量なんですね。
○事務局 摂取量を計算するときには、綿実の基準値×綿実油で暴露評価を出しています。
○松田委員 そうすると、綿実油と綿実種子は同じ濃度だという根拠があるわけですね。ないと
思いますけれども。
○事務局 あくまで概算にはなるんですけれども、多めに暴露評価をしております。
○大野部会長 ありがとうございます。
 吉池先生、そのような考え方でよろしいでしょうか。
○吉池委員 ほかの農作物等でも直接的なデータがない場合、過大推計をしながら、恐らくこれ
は0.1g/dayということを当てはめているのだろう思います。このようなことはほかでもあります
ので、妥当な推計かと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、こういう形でトリブホスについて修正していただきました。これについてはお認め
いただけますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、農薬は終了いたしまして、次は動物用医薬品についての御審議をお願いいたします。
まず、アセトアミノフェンについて、事務局から説明をお願いいたします。
(生方委員 退席)
○事務局 それでは、動物用医薬品アセトアミノフェンの部会報告書について説明させていただ
きます。
 今般の残留基準の検討につきましては、本剤が動物用医薬品として製造販売の承認申請がなさ
れたことに伴いまして、食品安全委員会において食品健康影響評価がなされたことを踏まえ、御
審議いただくものでございます。
 まず、「1.概要」でございます。用途は、豚の解熱鎮痛薬でございまして、アセトアミノフェ
ンは塩基性非ステロイド性抗炎症薬というものでございます。他の非ステロイド性抗炎症薬と比
べて、消化性潰瘍や腎障害などの副作用が少ないという特徴を持つことから、解熱鎮痛を目的に
医療用及び一般用医薬品として広く用いられております。シクロオキシゲナーゼの作用を阻害す
ることで効果を示すと言われておりますけれども、その阻害作用は比較的弱く、したがって、抗
炎症作用は弱い。なお、解熱鎮痛作用はシクロオキシゲナーゼ阻害以外の作用機序による可能性
もあると言われているものでございます。
 動物用医薬品としましては、2003年にEUで豚の細菌性肺炎に伴う発熱に対する解熱鎮痛剤と
して承認販売されておりますけれども、日本では未承認であるというものでございます。
 なお、こちらの記載につきましては、事前に先生方にお送りした後に、尾崎委員から案をいた
だきまして修文し、このような形にさせていただいております。
 化学名と構造式及び物性につきましては、こちらに記載のとおりでございます。
 (5)適用方法及び用量で、アセトアミノフェンの使用対象動物及び使用方法等について記載して
おります。
 「2.対象動物における残留試験」。(1)分析の概要等をお示ししております。分析対象の化合物
としましてはアセトアミノフェン。分析法の概要は、試料からアセトニトリルで抽出し脱脂した
後に、高速液体クロマトグラフ/質量分析計で定量するというものでございます。
 (2)には残留試験結果をお示ししてございます。用法・用量に従いまして投与した結果、休薬期
間の後には定量限界未満ということになっております。
 「3.許容一日摂取量(ADI)評価」でございますけれども、食品安全委員会における評価の結
果で、ラットの混餌投与による104週の発がん性試験の結果、最小毒性量が30mg/kg体重/日とさ
れておりまして、安全係数1,000で除しましたADIが0.03mg/kg体重/日と評価されております。
 「4.諸外国における状況等」でございますけれども、JECFAにおいては現在まで評価はされて
おりません。米国、EU、欧州、カナダ、ニュージーランドについて調査をしたところ、いずれの
国においても基準値は設定されていないところでございます。
 「5.基準値案」でございますが、残留の規制対象としましては、動物体内における代謝物はグ
ルクロン酸抱合体、硫酸抱合体またはグルタチオン抱合体に代謝され、速やかに体内から排出さ
れることから、アセトアミノフェンを規制対象物質とさせていただきたいと考えております。
 (2)基準値案でございますけれども、4ページの別紙1の表でお示ししてございます。先ほど御
説明しました残留試験の結果に基づきまして、豚について表の基準値を設定する案としてござい
ます。
 (3)暴露評価でございますけれども、TMDIのADIに対する比というのが以下の表のとおりでご
ざいまして、かなり低い占有率となってございます。
 最後の7ページに答申案としてお示ししてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、用途と作用のところ、尾崎先生には修正していただいたということですけれども、
いかがでしょうか。ちょっと私が思ったのは「解熱鎮痛作用はCOX阻害以外の作用機序による可
能性もある」と書かれていますけれども、これでよろしいんですか。グッドマン・ギルマンの薬
理学書などを見るとCOX-1、COX-2の阻害は弱いけれども、それと比較して解熱作用が大きいと
いうことですから、中枢神経系にもしかしたらCOX-3があるのかもしれない。
○尾崎委員 そこは正確に調べたわけではないんですけれども、原文がそのようになっていたの
を少し文脈を変えたという程度です。
○大野部会長 原文というのは、いつごろの。
○尾崎委員 この元になる文章が、大元の文章を直訳したような感じがあったので、それを直さ
せていただいたので、中身まで踏み込んで調べておりません。
○大野部会長 私が思ったのは、グッドマン・ギルマンには、COX-3の作用はまだ不明確な感じ
で書いてあり、もしかしたらCOX阻害以外の作用もあるということかもしれない。可能性がある
ということですが、ここは書かない方がいいんじゃないかと思ったんですけれども。
○尾崎委員 例えば、アスピリンなどもCOX以外の作用で抗炎症作用を示すという話もあるので、
それほど不思議なことではないと思いますが、必要はない文章かもしれません。
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、削除するということでよろしいでしょうか。
 ほかの先生、御意見ございますか。次の化学名、構造、代謝の辺りで、山添先生、いかがでしょ
うか。
○山添委員 化学名のCASの名前が食品安全委員会と違っているんですよね。どっちでもいいん
ですが、今回の資料8-1に合わせるとすると「4’」の「’」はとらないといけない。アセトアニリ
ドとするならば。アセトアリニドの4ですから、4’ではないと思います。どちらがCASに載って
いるのか私も確認はしていないのでわからないですけれども、食品安全委員会ではアセトアミド
に4-ハイドロキシフェニルが入っているという形になっています。
○大野部会長 CASで2つ名前があるということはあるんでしょうか。
○山添委員 あることはあります。たまにありますけれども、どちらがどうなっているか、この
ものについては確認をしていないので。
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、確認していただけますでしょうか。両方載っ
ていればそれでよろしいですし、CASの4-ハイドロキシアセトアリニドの「4」に「’」がつい
ていなければ、とってくださるようにお願いいたします。
○事務局 確認させていただきます。
○大野部会長 代謝についてはよろしいでしょうか。
○佐々木委員 質問なんですけれども、用途のところの1873年というのは正しいんですか。百何
十年も前から使われている薬なんですか。
○大野部会長 これはチェックしていなかったですけれども、随分古い薬だとは頭では思ってい
たんですけれども。
○佐々木委員 1973の間違いではないということですね。
○大野部会長 1973年ということはないです。明治維新の後にいろいろ化学工業ができたころで
はないですかね。
○尾崎委員 少なくともアスピリンよりは新しいですね。アスピリンはどのくらいですかね、相
当古い薬ですよね。100年以上前だと思いますけれども。
○佐々木委員 わかりました。
○大野部会長 皆さん自信がないようですので、確認していただけますか。
○事務局 食品安全委員会の評価書の中にも記載はされておりますし、申請者からの資料にも
1873年に合成ということは記載されてございます。
○大野部会長 申請者がそう書いてあったらば間違いないのではないかと思いますけれども。
 それでは、先に進んでよろしいでしょうか。
○豊田委員 編集上の問題だけなんですけれども、今の化学名の順番はIUPACが先の方がいいと
思うんです。ほかのもそうされていますので。
○大野部会長 今までそうですね、ありがとうございました。
 ほかにございますか。では、分析対象物質ですけれども、豚においては半減期が非常に早くて、
どんどん代謝されてしまうということで、代謝の過程で非常に不安定なものができますけれども、
それをとらえて指定するということは不可能なので、親化合物のアセトアミノフェンそのものを
規制対象物質とするということは問題ないというより、そうせざるを得ないということですね。
よろしいでしょうか。
 それでは、安全性の面で鰐渕先生、いかがでしょうか。
○鰐渕委員 食品安全委員会の方でもかなり悩まれているみたいですけれども、理論的にはこれ
でいいと思います。
○大野部会長 安全係数を100から1,000にしてとっているということです。ありがとうございま
した。
 それでは、分析方法と基準値の設定について御意見ございますか。
○永山委員 内容には全くかかわらないところなんですが、用語は農薬の方と統一するのであれ
ば、分析法の概要の「高速液体クロマトグラフ/質量分析計」の「高速」をとっていただいて「液
体クロマトグラフ/質量分析計」。後ろに略語を入れるのであれば「(LC/MS)」としていただくと、
農薬の方と同じスタイルになろうかと思います。
○事務局 ありがとうございます。併せて修正させていただきます。
○大野部会長 ありがとうございます。ほかにございますか。基準値の方はよろしいですか。
 それでは、若干修正がございまして、あと確認するところもございますけれども、確認した上
で、この報告案を部会の報告としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。
(生方委員 着席)
○大野部会長 次は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染症不活化ワクチンについて御審
議をお願いいたします。事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは資料9-1に基づき、説明させていただきます。今般の残留基準の検討につきま
しては、薬事法に基づく再審査申請がなされたことに伴い、食品安全委員会において食品健康影
響評価がなされたことを踏まえまして御審議いただくものでございます。
 「1.概要」でございます。(1)品目名は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染症(カルボ
キシビニルポリマーアジュバント加)不活化ワクチン。
 (2)用途は、ブタのマイコプラズマ性肺炎による肺病変形成及び増体重抑制の軽減でございます。
マイコプラズマ性肺炎は、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染により引き起こされる豚の
慢性呼吸器病となります。主剤は不活化マイコプラズマ・ハイオニューモニエP-5722-3株でご
ざいます。また、アジュバントとしてカルボキシビニルポリマー、着色剤として食用赤色40号、
保存剤としてチメロサール及びエデト酸ナトリウム、溶剤として生理食塩液が使用されておりま
す。赤色40号は指定食品添加物として使用されており、不活化剤をはじめほかの添加物について
も過去に食品安全委員会で評価されております。
 (3)適用方法及び用量でございます。生後1~4週齢の子豚に本品2mLを2週間隔で2回、頚部
筋肉内に注射する。
 (4)諸外国における使用状況でございます。本剤は既に米国、カナダ、南米、アジア諸国等で承
認されております。
 「2.安全性試験結果」でございます。事前に確認していただいた報告書では、使用制限期間が
設定されていないため不要と考え、安全性試験を省略しておりましたが、報告書の記載内容の統
一を図るため、安全性試験を追記いたしました。適用方法に従いまして接種し、剖検所見により
ワクチンの残留を確認しております。その結果、1回目接種後28日目の剖検時において、肉眼的
に変化は認められなかったとされております。
 「3.食品健康影響評価」でございます。提出された資料の範囲において、承認時から再審査申
請時までの調査期間において、本製剤の安全性を懸念させる新たな知見の報告はないと考えられ
る。本製剤の主剤であるマイコプラズマ・ハイオニューモニエP-5722-3株は不活化されており、
病原性を示さないと考えられる。また、添加剤については、物質の使用状況、既存の毒性評価及
び本製剤の接種量を考慮すると、本製剤の含有成分の摂取によるヒトの健康に影響を与えるもの
とは考えられない。以上のことから、本製剤が適切に使用される限りにおいては、食品を通じて
ヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられるとなってございます。
 「4.残留基準の設定」でございます。食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準を
設定しないこととする案にさせていただきたいと考えております。
 4ページに答申案をお示ししております。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございました。
 それでは、この品目名、用途、用量について御意見を伺いたいと思いますけれども、生方先生、
いかがでしょうか。
○生方委員 不活化ワクチンであることと、たしかマイコプラズマ・ハイオニューモニエという
のは、ヒトには罹患しないマイコプラズマだったと思いますので、まず問題ないと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 青木先生、何か御意見ございますか。
○青木委員 特にございません。
○大野部会長 ありがとうございます。
 ほかの先生、いかがでしょうか。安全性試験結果、その辺は鰐渕先生、何か御意見ございます
か。
○鰐渕委員 特にございません。
○大野部会長 ありがとうございます。食品健康影響評価では、不活化されており、病原性を示
さないということで、ヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるということから残留基準は
設定しないということですけれども、何か全体を通して御意見ございますか。
○豊田委員 2ページ目の太字で書いてある文章の話だけですけれども、1行目に「調査期間」と
出ていて、2行目に再び同じ用語が出ているんですが、1行目と2行目で同じなのかなという疑問
が出てくるので、「6年次」というのは頭に持っていった方がいいんじゃないかと思うんですが、
いかがでしょうか。
○大野部会長 これは1つ目の文章と2つ目の文章が矛盾していますね。
○豊田委員 ちょっとここが理解できないということと、もう一点は「死亡が」と書いてあるん
ですけれども、何の死亡だか見てもわからないので、豚なら豚と記載すべきではないでしょうか。
元の評価書にはちゃんと豚の実験でと書いてあるんですが、ここは書いていないので、豚の死亡
例とか書いた方がいいのかなと。素人で申し訳ないんですけれども。
○大野部会長 ありがとうございます。この調査期間において安全性に関する報告が認められな
かったというのは、臨床で使っていて問題がなかったということですかね。2つ目の文章は、それ
とは別に実験をやったら死亡が出たということなんでしょうか。これは確認していただけますか。
○事務局 食品安全委員会に確認させていただきます。
○大野部会長 そうしないと、最初の文章と次の文章が矛盾することになってしまいますので。
○山内委員 食品安全委員会の評価書の5~6ページに、最終的に副作用報告が全部書いてあるん
ですけれども、ここは6ページの?Vのみ直接引用されているので、省略されている言葉があると
思いますから、5ページの3と6ページの?Vを全部通してわかるように若干言葉を加えられること
で、安全委員会と確認されればいいと思います。
○大野部会長 引用したところの周辺部分が抜けてしまったので矛盾しているように感じてしま
うということですので、食品安全委員会の報告を踏まえて矛盾がないように書き直していただけ
ますか。
○事務局 書き直させていただきます。
○大野部会長 ありがとうございます。
 そのほか先生方から御意見ございますか。それでは、書き直しについては、書き直していただ
いたものを私が確認させていただいて、問題なければそれで処理してよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、マイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染症不活化ワクチンについて、この報告を
修正があるということを前提にお認めいただけますでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。
 それでは、最後の品目ですけれども、豚アクチノバシラス・プルロニューモニエについて御審
議をお願いいたします。では、事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料10-1に基づき説明させていただきます。今般の残留基準の検討につき
ましては、本製剤が動物用医薬品として薬事法に基づく再審査申請がなされたことに伴い、食品
安全委員会において食品健康影響評価がなされたことを踏まえまして、御審議いただくものでご
ざいます。
 「1.概要」でございます。(1)品目名は、豚アクチノバシラス・プルロニューモニエ(1・2・5
型)感染症・豚丹毒混合(油性アジュバント加)不活化ワクチン。
 (2)用途は、豚丹毒及びアクチノバシラス・プルロニューモニエ血清型1、2、5型菌感染症の予
防でございます。豚丹毒はErysipelothrixの感染によって起こる豚の感染症で、症状の型として敗
血症、じんましん、関節炎等に分けられます。また、本菌はヒトにも豚を介して感染する人獣共
通感染症です。
 アクチノバシラス・プルロニューモニエ感染症は、ブタに線維素性胸膜肺炎を主な症状とする
呼吸器系感染症です。主剤は、豚丹毒菌Kyoto株NaOH抽出抗原、アクチノバシラス・プルロニュー
モニエY-1株(血清型1型)培養上清濃縮抗原、同じくアクチノバシラス・プルロニューモニエ
G-4株(血清型2型)培養上清濃縮抗原、同じくE-3株(血清型5a型)培養上清濃縮抗原となっ
ております。
 なお、本製剤の主剤であるこれらの菌株は、いずれもホルマリンで不活化されており、病原性
を有しておりません。また、保存剤としてホルマリン、アジュバントとして無水マンニトール・
オレイン酸エステル加スクワラン液が使用されております。これらの安全性については過去に食
品安全委員会で評価されております。
 (3)適用方法及び用量でございます。記載されてございますように、約30~50日齢豚の耳根部後
方頚部筋肉内に1mLを注射します。その後、90日齢までに約30~60日間隔で反対側の耳根部後
方頚部筋肉内に1mLを注射します。なお、使用上の注意として、と畜場出荷前90日間は使用し
ないこととされております。
 「2.安全性試験結果」でございます。注射液量の設定に関する試験において、30日齢の豚に常
用量を耳根部後方頚部筋肉内に注射し、局所反応について剖検を行っております。その結果、い
ずれの個体においても60日目において筋間脂肪織に粟粒大から米粒大の結節病変の散在が認め
られたものの、90日目においては注射の反応痕の消失が確認されております。
 また、安全性試験において30日齢の豚に常用量を注射し、剖検による注射部位の肉眼的観察を
行っております。この結果、注射後60日で3頭中1頭にのみ小結節を認めたが、注射後120日に
は著しい変化は認められなかった。以上によりまして、先ほど申し上げました、と畜場出荷前90
日間は使用しないことという使用制限期間が設定されております。
 「3.食品健康影響評価」でございます。提出された資料の範囲において、承認時から再審査申
請時までの調査期間において、本製剤の安全性を懸念させる新たな知見の報告はないと考えられ
た。本製剤の主剤である豚丹毒Kyoto株及びアクチノバシラス・プルロニューモニエ各血清型菌
は不活化されており、病原性は示さないとされている。また、添加剤については、物質の使用状
況、既存の毒性評価及び本製剤の接種量を考慮すると、本製剤の含有成分の摂取によるヒトの健
康に影響を与えるものとは考えられない。以上のことから、本製剤が適切に使用される限りにお
いては、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと考えられるとなって
ございます。
 「4.残留基準の設定」でございます。食品安全委員会における評価結果を踏まえ、残留基準を
設定しないこととする案にさせていただきたいと考えております。
 4ページに答申案をお示ししております。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○大野部会長 ありがとうございました。
 これは人獣共通感染症という御説明がございましたけれども、生方先生、御意見ございますか。
○生方委員 これは抗原抽出をした物質を抗原として用いていますので、アジュバントに関して
もまず問題はないと思うんですが、安全性試験のところで注射後60日で3頭中1頭に小結節を認
めたというのは、病理学的な記載というのはあったんでしょうか。病理学的にどういう状態なの
かという検査は行われておられるのでしょうか。その点が気になりましたが。
○大野部会長 いかがでしょうか。
○事務局 申請資料におきまして、肉眼的な観察のみされておりまして、一定の結合織中4×4×
0.cmの範囲で赤黄色の反応が認められたという結果になってございます。
○生方委員 病理は見ておられないんですよね。
○事務局 はい。肉眼的観察のみのようでございます。
○大野部会長 よろしいでしょうか。
○生方委員 ワクチンを接種してから60日後というのは2か月経っているわけですから、結構レ
ビューしているような気がするんですけれども。
○鰐渕委員 よろしいですか。多分、肉芽反応があって、それが吸収されていったんでしょうけ
れども、これは多分、安全性試験で見ているのは経過をずっと見ているのではなくて、肉眼的に
は見ていますけれども、剖検したと書いてありますが、何日目に剖検したかというデータやその
辺の記載が全然ないので何とも言えないんですけれども、最後には殺しているんだと思うんです、
剖検ですから。途中は肉眼所見しかとっていないということですよね。何日後かに殺して全身を
見ているのだと思うんですけれども、そのときには多分、何もなかったということだから、記載
がないのだと思います。
○大野部会長 そういうことはどこに書いてあるんですか。
○事務局 データは事前にお配りさせていただきましたメーカーの申請資料、ファイルの方にご
ざいますけれども、試験としましては2回注射をしているわけですが、実は3回打っていまして、
3回目はここに記載はございませんけれども、右臀部の筋肉内に打っています。その結果がここに
書いてある小結節を認めたということですが、その3回目の後60日目に剖検しているということ
でございます。そうしますと、1回目の注射部位は150日目に見ています、2回目の注射部位は注
射後120日目、3回目の注射部位につきましては注射後60日目ということで、1頭を最終的に剖
検したときに、60日目、120日目、150日目の結果が得られるわけでございますけれども、60日
目については3検体中1検体に先ほど申し上げた小結節があったということでございますが、1回
目、2回目に注射した、すなわち120日目、150日目の部位については、特に問題はなかったとい
う結果でございます。
○鰐渕委員 その60日目だった部分の結節とは言うものの、先ほど生方先生が聞かれたような病
理学的な所見はそれに書いてあるんですか。
○事務局 こちらにはございません。
○大野部会長 この報告書だと、第3回注射部位の注射後60日に筋間脂肪織2×3cmの範囲に淡
黄色の針の頭大の結節をわずかに認めると書いてありますね。1ドース投与群で第3回注射部位…
…。今すぐ読んだだけではよくわからないですね。1ドース投与群で第3回注射部位というのは3
回投与してあるんですか、それとも1回投与ですか。
○事務局 3回でございます。1回目は右頚部の筋肉内、2回目は左頚部の筋肉内、3回目は右臀
部の筋肉内でございます。この報告書の記載が3回目を書かずして60日目で小結節を認めたとい
うことになっていますので、少し文章が不足してございますので、そこは修正させていただきた
いと思います。
○大野部会長 生方先生、いかがでしょうか。
○生方委員 わかりました。病理はしていらっしゃらないみたいですけれども、まず問題はない
と思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 不活化ワクチンということですけれども、用途のところで主剤の説明に不活化したということ
が書いていないんですね。この前の品目については不活化したということが書いてあるんですけ
れども、それは書かないでよろしいのでしょうか。最後に保存剤としてホルマリンが0.04mL以下
含まれているということですけれども、その前に不活化しているわけですよね。思ったのは、「主
剤は」から始まる最初の文章で「培養上清濃縮抗原である。」となっていますけれども、この後に、
これらはホルマリンで不活化されているとか、そういう表現を入れた方がいいんじゃないかと
思ったんですけれども。どの段階で不活化したかというのがよくわからないんですね。どういう
表現にしたらいいかというのは、わからないんですけれども。
○事務局 製法を見ますと、最後に不活化をしているようでございます。培養液とか培養した後、
最終的にホルマリンを添加して不活化しているということかと思いますので、より明確にすると
いう意味で抗原をホルマリンで不活化したなど、必要であれば入れさせていただきたいと思いま
す。
○大野部会長 培養上清濃縮抗原で、その後にホルマリンで不活化されたものであるというのは
どうですか、矛盾していますか。
○生方委員 それでいいと思います。一番最後にホルマリンで不活化しているという製剤なので
はないかと思いますけれども。
○大野部会長 ありがとうございます。
 青木先生、何か御意見ございますか。
○青木委員 特にございません。
○大野部会長 ほかの先生、御意見ございますか。
○吉池委員 ゴシック体の記述ですが、注射部位の腫脹・硬結が3例とあって、そこで発現頻度
を問題にしているのですが、分母の記載がないとここの3例というのはほとんど意味がないと思
います。食品安全委員会の報告書では440頭を分母として3例にということがありますので、そ
の辺の頻度がわかるようにということ、あとは、「承認申請時に安全が確認されたものと統計学的
に同等」という記述がイメージしにくいので、食品安全委員会で安全性に問題がないと判断され
た際に検討された出現頻度と比べて多くないということだと思うので、その辺がわかるように記
載を改めていただければと思います。
○事務局 先ほどの剤で御指摘いただいきましたけれども、調査期間のところが不明確というこ
ともございますので、今の御指摘とともに修正させていただきたいと思います。
○大野部会長 ありがとうございます。
 それでは、先ほどの場合と同じようにゴシックのところに修正がございました。それから、主
剤も若干修正がございましたけれども、結論としては、これ自体食品規格を設定しないことが適
当であるということでございます。
○事務局 すみません、先ほどの不活化のところで農林水産省から補足していただけるというこ
となので、よろしいでしょうか。
○大野部会長 では、お願いいたします。
○農林水産省 農林水産省です。既に解決済みかもわかりませんけれども、原液の調整に当たっ
ては、ホルマリンでの不活化を行っております。
○大野部会長 ありがとうございます。今の豚アクチノバシラス・プルロニューモニエ感染症不
活化ワクチンについての修正部分については、修正した案を私が確認させていただくということ
でよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。
 そのほか御意見ございますか。それでは、若干修正した上で、この報告書案をこの部会の報告
としてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、確認した上で問題なければ、それを最終案と
させていただきます。
 では、本日の審議結果の分科会での取扱いについて、事務局から説明をお願いします。
○事務局 失礼いたします。分科会での取扱いにつきまして、事務局から説明させていただきま
す。本年3月3日に了解されました「食品衛生分科会における確認事項」に基づきまして、本日
の部会で審議いただきました農薬7剤、動物用医薬品3剤の食品衛生分科会での審議また報告の
取扱い案につきましては、僣越ながら事務局より原案を用意させていただきました。本日御審議
いただいた品目のうち、農薬スピネトラム、動物用医薬品アセトアミノフェンにつきましては、
新たに残留基準を設定するものであることから、区分1として分科会での取扱いは審議でいかが
でしょうか。
 農薬フルジオキソニル、ジクロスラム、クロルエトキシホス、チアゾピル、エトプロホス及び
トリブホスにつきましては、いずれも暫定基準等の既に設定されている残留基準の一部改正で、
区分4または5に該当しないことから、区分3として分科会での取扱いは報告でいかがでしょう
か。いずれも「ただし、その用途、毒性等から見て慎重に審議する必要がある」ということでは
ないと思われます。
 動物用医薬品、豚アクチノバシラス・プルロニューモニエ(1・2・5型)感染症・豚丹毒混合(油
性アジュバント加)不活化ワクチン及びマイコプラズマ・ハイオニューモニエ感染症(カルボキ
シビニルポリマーアジュバント加)不活化ワクチンにつきましては、いずれも食品安全委員会の
食品健康影響評価の結果から、食品中の残留基準を設定しないとすることから区分5として、分
科会での取扱いは文書配付による報告ではいかがでしょうか。
○大野部会長 ありがとうございました。今、事務局から御説明があったお話について、分科会
での取扱いについての案ですけれども、そういう取扱いについて御意見ございますか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。それでは今
後の手続きについて説明をお願いします。
○事務局 本日は、多数にわたる品目を御審議いただきまして、どうもありがとうございました。
本日御審議いただきました農薬7剤、動物用医薬品3剤につきましては、既に食品安全委員会か
らの通知を受けていることがございますので、御議論の中で出た修正部分は修正させていただい
た上で、部会報告書とさせていただきたいと思います。
 今後の手続でございますけれども、農薬フルジオキソニル、クロルエトキシホス、エトプロホ
ス、トリブホス、スピネトラム、それから、動物用医薬品のアセトアミノフェンにつきましては、
パブリックコメント、WTO通報、消費者庁協議等の必要な手続を進めさせていただく予定として
おります。
 また、残留基準値を変更しないことと御審議いただきました農薬ジクロスラム、チアゾピル、
動物用医薬品のワクチン2剤につきましては、本日の議決をもちまして審議会の答申とすること
で手続を進めさせていただきたいと考えております。
 以上でございます。
○大野部会長 ありがとうございます。
 ほかに議事はございますか。
○事務局 それでは、最後になりましたけれども、事務局より平成17~20年度、食品中の残留農
薬の一日摂取量調査結果について御報告申し上げます。お手元の報告資料1をごらんください。
 こちらは平成22年7月30日としておるものでございますが、1ページ目の「1.はじめに」に
ございますように、平成3年度より日常の食事を介して食品中に残留する農薬をどの程度摂取し
ているかを把握するため、国民健康・栄養調査を基礎としたマーケットバスケット方式による一
日摂取量調査を実施しており、平成17年度からは調査対象に動物用医薬品、飼料添加物を加えて
実施しております。このたび平成17~20年度の調査結果を取りまとめましたので御報告いたしま
す。
 「2.調査方法」につきましては、(1)調査機関は5ページにございますように、平成17年度は
17機関、平成18年度は13機関、平成19年度は17機関、平成20年度は18機関の御協力をいた
だきました。
 (2)調査対象農薬等につきましては、6~10ページの別紙2にお示ししておりますように、平成
16年度は57農薬だったのに比べまして、平成17年度は209、次年度以降は369、367、368農薬等
と大幅に増加しております。
 (3)実施方法でございますが、分析調査に当たりましては、?@モデル献立を設定して調査を実施
しております。11~17ページの国民健康・栄養調査の分類を参考に、第?T~?]?Wの食品群ごとに、
18~20ページの地域別集計による食品群別摂取量となるよう、各食品群から食品を選択して組み
合わせたものをモデル献立とし、調理を要するものは通常の調理方法に準じて調理を行いました。
 ?A平均一日摂取量の推定に当たりましては、分析の結果、いずれかの調査機関のいずれかの食
品群で農薬等が検出された場合には、検出された調査機関のその食品群については分析結果を当
該食品群中の濃度とし、検出されなかった他の食品群につきましては、各調査機関のそれぞれの
検出限界の20%を当該食品群中の濃度と仮定して、当該食品群の重量と濃度から食品群ごとのそ
の農薬等の摂取量を推定いたしました。第?T~?]?Wの各食品群における摂取量の総和を調査機関
ごとの一日摂取量とし、それらの平均値を平均一日摂取量と推定いたしました。
 こうして得られた平均一日摂取量について、これまでに我が国、JMPRまたはJECFAにおいて
設定された許容一日摂取量(ADI)に対する占有率、対ADI比を求めました。
 また、分析の結果、すべての調査機関でいずれの食品群からも検出されなかった農薬につきま
しては、各年度とも少なくとも4機関において分析が行われ、かつ、これまで我が国、JMPRま
たはJECFAにおいてADIが設定されているものに関して、各調査機関のそれぞれの検出限界の
20%の量が含まれているものと仮定して、上と同様に平均一日摂取量を推定しまして、その対ADI
比を求めました。
 「3.調査結果」でございますが、各年度において検出された農薬等は以下のとおりでございま
した。検出された農薬等の分析結果を21ページからの別表5-1~5-4にお示ししてございます。
 (2)平均一日摂取量の推定でございますが、?@検出された農薬等の平均一日摂取量につきまして
は、検出された農薬等について、それぞれの平均一日摂取量(μg/人/日)及び対ADI比(%)で
ございますが、こちらは平成3~16年度の結果と併せて別表6の24ページにお示ししてございま
す。
 ?A検出されなかった農薬等の平均一日摂取量につきましては、4機関以上で分析が行われ、いず
れの食品群からも検出されなかった農薬等のうち、先ほど申し上げましたが我が国、JMPRまた
はJECFAにおいて、ADIが設定されているものに関して、分析を行った調査機関における検出限
界の20%の量がすべての食品群に含まれているとの仮定に基づいて推定されたそれぞれの平均一
日摂取量(μg/人/日)及び対ADI比を平成3~16年度を併せて25~28ページの別表7にお示しし
てございます。
 「4.まとめ」でございますが、(1)平成17~20年度の調査において、28の農薬等がいずれかの
食品群において検出されておりますが、推定された平均一日摂取量の対ADI比は、0.02~2.94%の
範囲であり、国民が一生涯にわたって毎日摂取したとしても健康に影響を生じるおそれはないも
のと考えてございます。
 (2)上記28農薬等のうち、メタミドホス及びアセタミプリドにつきましては、食品安全委員会に
おいて参考情報として急性参照用量(ARfD)がそれぞれ0.003mg/kg体重/日、(体重50?sの場合、
150μg/人/日)、0.1mg/kg体重/日(同5,000μg/人/日)と示されてございます。
 これらの農薬が検出された食品群からの一日摂取量を別表5-2、5-3、21ページにございますが、
それぞれの分析結果に当該食品群の摂取量を乗じて求めた場合には、メタミドホスは第?Z群及び
第?[群から0.21μg/人/日、アセタミプリドは第?Z群から2.23μg/人/日であり、それぞれ上述の
ARfD相当の摂取量の700分の1及び2,200分の1程度と少ない量でございました。極端な多食者
等を想定していないマーケットバスケット調査方式による結果から評価を行うことは難しいもの
の、急性的な健康影響を生じるおそれはないものと考えられております。
 (3)平成17~20年度の各調査において、4機関以上で分析が行われ、いずれの食品群からも検出
されなかった農薬等のうち、これまでに我が国、JMPRまたはJECFAにおいてADIが設定されて
いるものに関して分析を行った調査機関における検出限界の20%の量がすべての食品群に含まれ
ていると仮定して、それぞれの平均一日摂取量(μg/人/日)を推定いたしましたところ、アルド
リン及びディルドリン以外についてはADIを十分に下回っており、健康に影響を生じるおそれは
ないものと考えられております。
 アルドリン及びディルドリンにつきましては、対ADI比が80%をわずかに超える年、こちらは
25ページに80.40%の数字がございますが、これは実際には検出されていないにもかかわらず、各
調査機関のそれぞれの検出限界の20%の量がすべての食品群に含まれているとの仮定に基づいた
ものでございまして、?@これらの農薬は「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」
(POPs条約)によって国際的に使用が禁止されている農薬でございまして、各食品群中に実際に
残留している可能性は低いと考えられ、また?AADIが比較的小さい値(5μg/人/日)でありながら、
一部の調査機関において分析機器等の関係から検出限界値が大きかったことにより計算上の摂取
量が多くなり、結果的に対ADI比の値が大きくなったものであり、実際の日常の食事を介して健
康影響を生じるおそれはないものと考えられております。
 (4)今後とも引き続き、地方公共団体の検査機関と連携し、より数多くの農薬等について調査を
行うことが可能となるよう、また、より微量分析が可能となるよう、試験法の検討・開発を進め
ること等により、調査内容の充実を図ることとしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○大野部会長 ありがとうございました。
 マーケットバスケット調査の結果からいろいろ検討するのは難しいかもしれませんけれども、
加藤先生から短期暴露評価についてコメントすることはございますか。
○加藤委員 短期暴露量ですから、一日当たりの極端な多食者での摂食量、それから、残留量の
分析の際に、個別で見た場合には、まとめて分析した場合よりもかなり高い値になるということ
を含めて評価しないといけませんので、マーケットバスケット調査のように長期暴露を目的とし
たものから直接すぐに導くことは非常に難しいと思うんですけれども、これまでに吉池先生たち
のグループでおやりになっている結果、つまり、長期暴露のときの平均的な摂取量と、短期暴露
の多食者の摂取量との比率等を考えて、このデータをざっと見ますと、ARfD相当の摂取量の700
分の1とか2,200分の1、これは先ほどのようなことを考えた場合でも、ARfDとの間に10倍以上
のマージンは恐らくとれるだろうと想定できますので、ここでの調査から見る限り、直接の目的
とした調査ではないんですけれども、ARfD、急性的な健康影響評価を生ずるおそれはかなり低い、
おそれはないと言っていいのではないかと考えます。
○大野部会長 ありがとうございます。
 アルドリン、ディルドリンについて80%を若干超えたということですけれども、その計算的に
は今、御説明がありましたように、検出限界値の20%が一律に残っているということを仮定して
摂取量を計算しているわけですけれども、その辺について松田先生から御意見ございますか。
○松田委員 WHOでこういう農薬の摂取量の評価のガイドラインがありますけれども、1つは、
合理的に考えて残留がないというときはゼロにしてもいいよというのもありますし、もう一つは、
たくさんLODが混在している場合に、全部ゼロ、全く検出がない場合には、一番低いLODの値
をとることが合理的ではあるというようなことも書かれておりますので、そのような計算をされ
た場合には80という値ではなくなると思います。
 それから、こういうこともありますから、調査をなさる前に、何も出ないのに80%になるよう
な検出限界の分析法というのは採用しないようにするということも考えられた方がいいと思いま
す。
○大野部会長 ありがとうございます。分析機関によっては、それぞれの感度が違うということ
ですかね。ある程度感度の高いところがあって、それであればもっときちんとした評価ができる
ことがあるかもしれないということですけれども。
 4ページの(4)のところでは「今後とも引き続き、地方公共団体の検査機関と連携し、より数多
くの農薬について調査を行うことが可能となるよう、また、より微量分析が可能となるよう、試
験法の検討・開発を進めること等により、調査内容の充実を図ることとしている」と、これが今、
松田先生の言われたことを反映していることかなと思いますけれども。
○松田委員 より微量にということですね。
○大野部会長 一応80%を超えているということになると、これがどこかで問題にされる可能性
もありますけれども、そういう事情があると。ただ、それをいつまでも放っておくわけではなく
て、こういう形でこれからまさに検討するということですよね。
 これらについて、御質問・御意見はございますか。よろしいですか。
 それでは、この報告については先生方に御了解していただいたと考えてよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○大野部会長 それでは、この部会として報告を了解したとさせていただきたいと思います。
 繰り返しになりますけれども、こういった実際の残留農薬の摂取量の状況について、こういっ
た大規模な調査が行われるということは、私たちの検討した基準設定の値が実際の摂取量にどう
反映されているかということが確認できること。また、国民の安全性がいかに確保されているか
を確認するという意味で非常に重要なことですので、引き続き調査が行われることを期待いたし
ます。
 ほかに議事はございますか。
○事務局 議事次第にはございませんが、机上配付させていただきました平成22年度食品健康影
響評価依頼物質につきまして、御報告させていただきます。
 食品中に残留する農薬、飼料添加物及び動物用医薬品に係るポジティブリスト制度の導入に伴
いまして、平成18年5月に暫定的に基準値を設定した758物質につきましては、年度ごとに計画
を立てて資料の収集ができたものから順次、食品安全委員会へ食品健康影響評価を依頼している
ところでございます。
 これまで758物質のうち313物質について評価を依頼しております。残る445物質につきまし
ては、今後、関係者の協力を得て評価に必要な資料の収集を進め、今後3年をめどに評価依頼を
終了することといたしたいと存じております。
 平成22年度につきましては、マーケットバスケット調査または検疫所、自治体の検査において
検出された農薬等を優先しつつ、評価に必要な資料の収集状況を勘案し、お配りいたしました通
知の別紙に記載してございます136物質について評価依頼をいたしましたので、御報告いたしま
す。
 以上でございます。
○大野部会長 ありがとうございました。
 これについて何か御質問ございますか。大変ですが、食品安全委員会によろしくお願いします
ということですね。御質問ございますか。よろしいですか。
 ほかに議事はございますか。
○山内委員 先ほどの残留農薬の摂取量調査結果は、分科会でも報告されますか。大野部会長の
おっしゃたように、この審議会で決定した基準がどのように現実に反映しているかということが
わかりますので、是非、広く関係の方にお知らせいただきたいと思います。また、厚生労働省の
ホームページなどでも公開されますか。
○事務局 ホームページでも公開をいたしますし、分科会の場でも御報告させていただきたいと
思います。
○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見も含めて御質問ございますか。よろしいで
すか。
 では、そのほかに議事はございますか。
○事務局 次回の本部会の開催日程につきまして、御連絡をさせていただきます。次回でござい
ますけれども、9月14日火曜日の午後を予定させていただいております。後日、先生方の日程に
つきまして確認をさせていただきたいと存じます。
 以上でございます。
○大野部会長 ありがとうございます。そのほかございますか。よろしいですか。
 それでは、以上をもちまして本日の部会を終了させていただきます。御協力どうもありがとう
ございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係
(03-5253-1111 内線4281,2487,2489)

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