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2010年6月30日 第2回肺移植の基準等に関する作業班議事録

健康局疾病対策課臓器移植対策室

○日時

平成22年6月30日(水)
17:00~


○場所

経済産業省別館1014号会議室


○議題

(1) レシピエント選択基準について
(2) その他

○議事

○大竹補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「第2回肺移植の基準等に関する作業班」を開催いたします。
 班員の先生方におかれましては、お忙しいところ、またお暑い中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、河野先生、佐多先生、巽先生から事前に御欠席の御連絡をいただいております。
 また、本日はオブザーバーといたしまして、心臓移植の基準等に関する作業班から、国立循環器病研究センターの北村惣一郎先生、大阪大学の福嶌教偉先生にも御出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、事務局の人事に異動がございましたので、辺見室長からご挨拶をさせていただきます。
○辺見室長 大分時間がたちましたが、1月1日付で臓器移植対策室長になりました辺見でございます。今後ともよろしくお願いいたします。
○大竹補佐 それでは、これより以降の進行を久保班長にお願いいたします。報道のカメラの方は、退席をお願いいたします。
○久保班長 久保でございます。今日は、具体的なレシピエントの基準等の審議に入りますので、よろしくお願いします。
 では、最初に事務局から資料の確認をお願いいたします。
○大竹補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 まず頭に、肺移植の基準等に関する作業班という1枚紙がございまして、そこに議事が記載されてございます。班長よりお話がありましたとおり、レシピエント選択基準についてということで本日の議事をお願いいたします。
 また、配付資料につきまして、資料1-1「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律の概要」ということで、法律概要の1枚紙でございます。
 そして、1-2「臓器の移植に関する法律施行規則の一部を改正する省令について(概要)」がございます。
 また、資料1-3「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針(ガイドライン)の一部改正について(概要)」がございます。
 また、資料2-1「肺移植希望者選択基準(案)」、資料2-2「心肺同時移植希望者選択基準(案)」がございます。
 また、参考資料1から6ということで、本日の議論の中で参考としていただく資料を御用意させていただきました。
 乱丁、また落丁等ございましたら、途中でも構いませんので、事務局までお申し付けいただければと思います。
○久保班長 どうもありがとうございました。資料はよろしいでしょうか。では、早速議事に入りたいと思います。
 前回の第1回の会議では、親族優先に関します事項を中心に議論をいただきました。今回は、小児からの臓器提供の際の一番問題になります肺の大きさの評価などについて御議論いただきたいと思います。
 まずは、このたび改正されました資料1でしょうか、省令・ガイドラインの内容について事務局から説明をお願いします。
○辺見室長 それでは、私の方から資料1-1、1-2、1-3の3つの資料によりまして御説明させていただきます。
 資料1-1は、改正法の概要でございまして、前回御説明させていただいているものと重複する部分があるかと思いますけれども、改めて御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料1-1を御覧いただきたいと思います。
 昨年成立いたしました臓器移植法の一部改正の概要でございます。ポイントとして、1、2、3、4、5と大きくございますけれども、このうち3番の親族への優先提供の部分が既に本年1月17日に施行となっております。残る1、2、4、5がこの7月17日から施行となる部分でございます。
 上から御説明させていただきますけれども、まず第1に臓器摘出の要件の改正ということでございます。
 移植術に使用するために臓器を摘出することができる場合を次の?@または?Aのいずれかの場合とするということで、?@は現行法での要件、つまり本人の書面による臓器提供の意思表示があった場合であって、遺族がこれを拒まないとき、または遺族がないときでございます。
 これに、今回の法改正によって?Aを加えているということでございます。本人の臓器提供の意思が不明の場合であって、遺族がこれを書面により承諾するときということでございます。
 また、臓器提出に係る脳死判定の要件の改正というものも行われております。これが2番でございますけれども、移植に係る脳死判定を行うことができる場合を次の?@または?Aのいずれかの場合とするということでございます。
 本人が書面により臓器提供の意思表示をし、かつ脳死判定の拒否の意思表示をしている場合以外の場合であって、家族が脳死判定を拒まないとき、または家族がいないときです。
 ?Aですけれども、本人について臓器提供の意思が不明であり、かつ脳死判定の拒否の意思表示をしている場合以外の場合であって、家族が脳死判定を行うことを書面により承諾するときということでございます。
 ある程度わかりやすく申し上げますと、本人の意思が不明の場合、家族の承諾により臓器提供、脳死判定というものが可能となったということでございます。これに伴いまして、従来ですと本人の意思表示というものが要件になったわけですけれども、意思表示をできる年齢というものを、民法を参考にいたしまして15歳以上としていたところでございますが、15歳未満の方についても、家族の承諾により臓器提供が可能となったということでございます。
 3番は、親族への優先提供ということでございますけれども、臓器提供の意思にあわせて、書面により親族への臓器の優先提供の意思を表示することができるという規定でございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたように、1月から既に施行となってございますけれども、ガイドラインの改正等を行いまして、親族については一親等または配偶者の父母または子どもまたは配偶者といった内容のガイドラインを既に発出させていただいているところでございます。
 4番目は、普及・啓発にかかる事項でございます。国及び地方公共団体はとございますけれども、意思表示、意思の有無を運転免許証や保険証に記載することができるなどの、移植医療にかかる啓発及び知識の普及に必要な施策を講ずるものとするということでございます。これに従いまして、免許証につきましては道路交通法施行規則、医療保険の保険証につきましては保険関係各法の厚生労働省令等、共済等もありますけれども、これによって意思表示欄をそれぞれ運転免許証や保険証に設ける。7月17日以降施行ということで、それぞれの改正が行われております。
 ただ、保険証等、実際にその日から全部切り替わるかというと、そういうわけではございません。実際に今使っている保険証は有効ですので、保険証の切り替えのときに次のものに変わっていくということでございますので、若干タイムラグがございますし、運転免許証も然りで、更新時期等に書きかえていくということでございます。いずれにしても、省令等の措置は既に行われているということでございます。
 5 検討と書いてございますが、虐待を受けた児童に関する事項でございます。政府は、虐待を受けた児童が死亡した場合に、当該児童から臓器が提供されることのないよう、移植医療に従事する者が児童に対し、虐待が行われた疑いがあるかどうかを確認し、及びその疑いがある場合に適切に対応するための方策に関し、検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとするということでございます。
 この点につきまして、後に説明いたしますガイドラインに関係してくるところでございますので、そちらで御説明させていただきます。
 資料1-2でございますが、この法律改正を踏まえまして、7月17日施行で、まず厚生労働省令改正を行っております。
 省令の内容といたしましては、資料1-2の1の?@に書いてございますけれども、先ほど申し上げましたように、15歳未満の方からの臓器提供が可能となるわけでございますが、現行の脳死判定基準は6歳以上の場合、実際には意思表示との関係で15歳以上でないと行われていないわけですけれども、6歳以上の場合の基準として設けられていたところですけれども、これについて、6歳未満の場合についての基準を定めております。
 具体的には、週齢12週未満の場合には脳死判定は行わないということですとか、脳死判定の間隔について、6歳以上ですと6時間のところ、6歳未満の場合は24時間にするといった内容でございます。
 その他、省令上、必要な記録に関する事項等について、法改正の内容に従って所要の改正を行っているところでございます。
 続きまして、資料1-3でございます。
 こちらはガイドラインの一部改正ということでございます。こちらも7月17日から施行ということですが、これは先ほどの省令と一緒ですけれども、6月25日に省令が公布され、ガイドラインについては健康局長通知ということで発出しているところでございます。
 概要を御紹介させていただきますけれども、1番、臓器提供に係る意思表示等に関する事項ということで、意思表示に係る大きな問題として2つございまして、1つは臓器を提供したくないという拒否の意思表示について、どう考えるか。提供したいという意思表示について、年齢は従来どおり、民法の遺言の考え方を準用いたしまして、15歳以上でよいでしょうということですが、したくないということはもう少し若年であっても意思表示が可能であろうと。では、その場合に何歳以上といった基準を設けるべきかというご議論がございます。
 結論的には、これは年齢に関わらず、臓器を提供する意思がないということを表示した場合、提供したくない、もしくは脳死判定に従う意思がないということを表示した場合には、これは嫌だという意思表示をしているということで、臓器提供や脳死判定は行わないということでございます。
 2番目は、知的障害者の意思表示の取扱いでございますけれども、こちらにつきましては、この法律の制定過程における国会の議論において、従来どおり知的障害者の意思表示について、知的障害者については当面、その者からの臓器摘出は見合わせるというご議論がございましたので、それに沿った形でのガイドライン改正をさせていただいているところでございます。
 2番、承諾を得る家族及び遺族の範囲についてということでございます。
 基本的には、従来、本人が意思表示をしていて、確認する家族の範囲というのもガイドラインに示されていたわけでございますけれども、では、本人意思不明の場合に承諾を求める家族・遺族の範囲はどうするかということで、これについては基本的には従来と同じということなのですけれども、今後については、いわゆる子どもが入ってくるということで、未成年者である場合には、特に父母の意向というものを慎重かつ丁寧に把握することということをガイドラインに記載させていただいているところでございます。
 3番、小児からの臓器提供に関する事項ということで、小児からの臓器提供につきましては、その施設の要件として2つの点を定めさせていただいているところでございます。
 まず、これは脳死下での提供ということでございますけれども、従来、救急医療等の関連分野において、高度の医療を行う施設であることということで、大きく4類型の施設が位置付けられていたところですけれども、ここに日本小児総合医療施設協議会の会員施設を加えております。具体的には、現在の4類型ですと、自治体が置いております県立の子ども病院や国立成育医療センターといったところが入ってこないものが多いわけですけれども、これを対象としているということでございます。
 ?Aでございますけれども、虐待防止委員会等の虐待を受けた児童への対応のための必要な院内体制が整備されていること。これは、先ほどの資料1-1の5で虐待の関係の規定がございましたけれども、それに対応した形でこのような要件を設けているということでございます。
 4番、虐待を受けた児童への対応等に関する事項ということでございます。これが先ほどの法改正の一番最後の部分に加わったところですけれども、虐待を受けた児童への対応について、まず施設として院内体制が整備されていること。
 次に、マニュアル等が整備されていること。考え方としては、先ほどの法律の規定があるわけですけれども、移植の場面になって虐待が行われていたのかどうかということを確認するということではなくて、元々子どもさんが病院に入院ないし治療を受けられる段階で虐待に対しての対応ができている。その子どもが死亡に至るかどうかはわからないし、更には臓器提供に至るかどうかわからない状態であったとしても、ちゃんと虐待の対応はできるというところが、まず施設としての前提であるといった趣旨でございます。そのための院内体制、マニュアルが整備されている。更に、主治医任せにはしないという考え方でございます。
 それで、具体的な手順が(2)以降でございますけれども、虐待の徴候が確認された場合には、院内体制のもとで確認し、次のページでございますが、?A虐待が行われた疑いがある場合には、児童相談所等に通告する。また、犯罪の疑いがある場合は警察へ連絡するなど、関係機関とも連携して対応を行う。その後、医学的な理由によって虐待が行われたという疑いが否定された場合については、関係機関に連絡して虐待対応の継続を検討する。
 そうした上で臓器提供ということになった場合には、?@主治医が家族に対して臓器提供の機会があることを告げようとする場合には、事前に虐待防止委員会の委員等との情報共有を図り、どういうふうに対応すべきかといった相談をすること。
 ?A摘出を行う場合には、施設内の倫理委員会等の委員会において、こういった手続が行われたことを確認すること。
 ?B倫理委員会等で可能と判断した場合であっても、検視などの刑事的な手続が行われる場合には、捜査機関との連携を十分に図ることといったことを規定させていただいているところでございます。
 5番、脳死した者の身体から臓器を摘出する場合の脳死判定を行うまでの標準的な手順ということですが、端的に申しますと、従来、臨床的脳死と言われるものについて、まず臨床的脳死という呼び方の問題が課題として問われていたことが1つと、臨床的脳死というものを判断する場合に、無呼吸であることが必須の条件なのかどうかということが問われていたという2つの課題があったのですけれども、1つ目の臨床的脳死と法的脳死と、いろいろな脳死があるという考え方はわかりにくいということもあり、このガイドラインの表現としては、法に規定する脳死判定を行ったとしたならば、脳死とされうる状態と判断した場合だということ、しっかりとどういう場合なのかを書くこととしたということでございます。
 また、無呼吸の状態につきましては、従来ですと、無呼吸テストは除くといった規定が書いてあって、それがゆえに無呼吸である必要がないのではないかという議論を呼んでいたところですけれども、脳死判定を行う前提条件として無呼吸が必要だということが省令上、書いてございます。これは当初の竹内先生の調査からずっと出ている話でございますので、前提条件としての無呼吸というのは求められるのだ。これ自体は、臨床的な場面において無呼吸であることが確認されるということであって、テストを行えということではないということも書いてございますので、その旨を示させていただいております。
 6番は、判定に関しての手続上、これまで課題だったところでございますが、それに関連いたしまして、鼓膜損傷がある場合、脳死判定が可能だということで、所要の記載をさせていただいております。
 以上、概略でございますけれども、ガイドラインを説明させていただきました。以上でございます。
○久保班長 どうもありがとうございました。
 今の資料1-1、1-2、1-3について、何か御質問等ございますでしょうか。資料1-1は概要で、1-2はそれに基づいて改正した省令、1-3が指針、法律の運用に関するガイドラインになっておりますけれども、よろしいでしょうか。
○佐地班員 よろしいですか。
○久保班長 どうぞ。
○佐地班員 1ページの4番、(2)の?A児童相談所へ通告するとともにというところですけれども、たしか日本医師会が出している平成14年の虐待のガイドラインには、「警察署」という表現より「公安委員会」という表現だったと思います。用語的には「警察署」ということで、そちらの方が適切かどうか確認をお願いしたい。
○辺見室長 ここは、医師会の先生が出された通知については若干不勉強でございますけれども、むしろ連絡先の実態に合わせて、このような表現とさせていただいております。
 その前の「児童相談所等」でございますけれども、虐待防止法というものが別途ございまして、こちらの法律で、医療機関も含めて、関係者の方が虐待があると思われる児童を見つけた場合には、児童相談所等に通告することという義務がありますので、それに沿った形で書いてございます。ひっくり返していえば、虐待防止法に基づいて児童相談所に通告するような場合は、この対象としないという考え方もできるということでございます。
○佐地班員 現場では反応が鈍いといいますか、判定で何日も要することもありますし、公安委員会みたいな判定がなかなか出にくくて、待っている間に兄弟もやられてしまうということが結構あり、対応が優し過ぎることがあります。最初から疑ってかからないような、なだめるような感じの対応もあるものですから、結構何日もかかって、判定がだらだらとしたこともあります。私たちは、必ず公安委員会の方にも同時に届けるようなことにしています。
○北村参考人 参考人が聞いてよろしいですか。この文書を御説明いただく中で、年齢の問題で確認ですが、児童というのは何歳で、児童虐待防止法で年齢はどこからどこまでと決められたものですか。
 それと、未成年という言葉も出てきますが、未成年というのは20歳未満ということですか。それから、6歳以下と括弧を付けて小児という言葉が出てきますね。小児というのは何歳未満なのか。数字が出てこないのですけれども、言葉としては小児、児童、未成年が出てくるのですけれども、お教え願いたい。
○辺見室長 まず、児童に関しましては、先生御指摘のとおり、虐待防止法で対象となっている児童は18歳未満でございますので、ガイドライン上も18歳未満と明記させていただいております。
 未成年については、あえて書いてございませんが、これは慎重かつ丁寧に説明することというところで書いているところですけれども、父母と子どもの関係ということで未成年と書いてございますけれども、あえて定義を求められれば、これは20歳未満ということになります。
 先生がおっしゃられた6歳の小児については、資料1-2の脳死判定の基準で、「小児(6歳未満の者)に係る」と書いてございますが、実はこのような書き方をしておりますけれども、ここで小児を定義したわけではございません。むしろ、捉え方としては、小児という言葉を抜いてしまって、「6歳未満の者に係る脳死判定基準を定めた」と書いた方が、本当はよかったのかもしれません。小児という言葉については、別途定義があるわけでもございませんし、この文脈の中でも定義しているわけではございません。
○北村参考人 上が「15歳未満の者から」の次だったら、「6歳未満の者に係る」方がいいかもしれない。小児、児童、未成年と、15歳という数字が入ってくる。
○福嶌参考人 6月にこの文書はもう出てしまっていますね。
○辺見室長 概要の資料ですので。
○福嶌参考人 でも、この文書が付いてきました。
○久保班長 ほか、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○久保班長 なければ、次のメインテーマといいますか、移植希望者の選択基準における肺の大きさ等の評価について議論したいと思います。
 では、事務局の方から資料の説明をお願いします。
○井原主査 それでは、資料2-1、2-2につきまして御説明をさせていただきます。いずれも、今回御議論いただくための素案という形で、久保先生、近藤先生の御指導のもと、事務局の方で作成させていただきました。
 赤字、下線が書いてある点が変更点になります。いずれも、前回作業班で御指摘いただきました、小さいお子さんからの臓器提供があった場合の肺の大きさの評価をどうするかという点を変更したものになります。
 まず、資料2-1、肺移植希望者(レシピエント)選択基準(案)について御説明させていただきます。
 肺の大きさの評価、1.適合条件の(2)ですが、従前は、すべての年齢の方に対して、予測肺活量の計算式で行っておりました。この点を、ドナー、レシピエント、いずれもが18歳以上の場合、ドナー、レシピエント、いずれもが18歳未満の場合、ドナーとレシピエントがそれぞれ異なる年齢区分にいる場合。例えば、ドナーの方が30歳、レシピエントの方が10歳といった年齢区分をまたぐ場合に場合分けをして定義しております。
 (2)肺の大きさ、1)いずれも18歳以上の場合というのは、肺の大きさの評価を、片肺の場合は70~130%、両肺の場合は70~130%。従来と変更はないのですが、予測肺活量の式に関しましては、これまではBaldwinという式を用いていたのですけれども、これが外国の方のデータを基にしているということで、今回は参考資料1、両面印刷の日本呼吸器学会肺生理専門委員会から御報告されている資料なのですが、日本人の健常人のデータを基に予測肺活量の計算式を示したものになります。
 こちらの11ページ、右下のところに記載があるのですが、スパイログラムに関しては、性、身長、年齢の寄与率が高く、y=a×身長+b×年齢+定数で求められる。それぞれ定数に関しましては、16ページの表4の定数を用いて計算式として示されるという御提言がございました。こちらの方が日本人の体格を考慮した場合、よりふさわしいのではないかということで、肺活量の計算式自体を変更しております。
 続きまして、ドナーとレシピエント、いずれもが18歳未満の場合には、これまでの生体間での肺移植の実績を基に、ドナーとレシピエントの身長差、パーセントで判断することにしております。こちらは、両肺移植、片肺移植、いずれの場合もマイナス12%から12%の身長差である場合に適合者として選択することにしております。
 また、年齢区分をまたいでしまう場合には、一方の方が予測肺活量の式、一方の方が身長になってしまいますので、こちらは適合者を判断する場合には身長差で判断するということで規定を設けております。
 次に、資料2-1、2ページ目に入りますが、年齢区分に応じて肺の大きさを評価したものを、どのように優先順位の中で反映させるかという点ですが、肺移植の場合、待機期間が長い方、待機中に亡くなる方が多い状況を鑑みまして、優先順位付けの中では、まず親族の方が法律上の規定ですので、優先順位1番。次に、血液型で一致する方を優先し、次に待機期間の長い方を優先する。
 次に、肺の大きさの評価に関しては、同じ肺活量、18歳以上であれば、肺活量の計算式で評価した方を優先する。逆に、ドナーの方の年齢が18歳未満の場合は、身長差で考慮された方の方が、よりレシピエントにとって有利だということから、同じ年齢区分で評価した方を優先するという形にしております。
 その後、術式の選択に関しては変更点はございません。
 また、3ページの3.その他ですが、6歳以上18歳未満の場合に関しても、予測肺活量の式というものが学会から提言がなされているということになります。
 参考資料2に、日本人小児スパイログラム基準値(6~18歳)というものをお示ししておりますが、こちらの方で小児についての肺活量が計算できるということですので、6歳から18歳未満のドナーの場合には、この計算式で求められた肺活量というのも一つの参考として、それぞれ情報を共有する形で位置付けております。
 以上が肺の大きさを取り入れた選択基準の変更案になります。
 あわせて、今回、2ヶ所変更させていただいております。
 1つは、参考資料3の3ページを御覧いただきたいのですが、これまで(注1)、(注2)として、術式にかかる選択の注意書きが選択基準の一番最後に記載されておりました。参考資料3の3ページにある(注1)、(注2)は、いずれも参考資料3の2ページの一番下に注がございますので、その位置に移動いたしました。その変更が1つでございます。
 また、資料2-1の3ページに戻りますが、中ほどになります。ドナーから両肺の提供があった場合の注意書きですが、レシピエント側の順位付けというのは、血液型が一致する方、そして待機期間の順に優先順位付けをします。その後、術式において選択するのですが、第1位に来た方が片肺移植を希望していて、第1術式、第2術式を考慮しても片肺移植を希望する方がほかにいなかった場合は、提供いただいた肺をより有効に活用するために、両肺移植で待たれている1番の方に提供するということが、?Bの2つ目の丸に書いてあります。
 この場合には、両肺の方が片肺の方を飛び越して移植を受けますということが記載されているのですが、この片肺の方が親族である場合は、法律上、親族優先というものが盛り込まれていますので、逆転することはないということを、前回も改正の際に但書きとして記載しておいた方がよかったのではないかということで、今回、追加で記載させていただいております。
 以上が資料2-1、肺移植希望者選択基準の変更(案)になります。
 続きまして、資料2-2、心肺同時移植希望者(レシピエント)選択基準(案)についてですが、1ページ目、1.適合条件、(3)肺の大きさの評価方法を、ただいま御説明させていただきました肺移植希望者(レシピエント)選択基準(案)のものをそのまま引用している形になります。
 こちらに関しましては、優先順位付け等で変更しているものではございません。ですので、今回御議論いただきたい点といたしましては、前回の作業班でも御指摘いただきました、年齢によって肺の大きさをどのように評価するかという点になろうかと思います。
 以上で説明を終わらせていただきます。
○久保班長 どうもありがとうございました。
 では、資料2-1から順番に御議論いただきたいと思います。
 まず、肺の大きさですが、18歳以上の場合を、これは前と同じですが、予測肺活量の計算式を使う。ただし、呼吸器学会肺生理専門委員会から出た日本人のデータに基づいた予測式に変えたいということでありますけれども、これについてはいかがでしょうか。
 これは、Baldwinの式というのは呼吸器学会でもかなり問題になっていまして、これは外国人で測定した式になりますし、日本人とはかなり違いますので、せっかく呼吸器学会の方が日本人の健常人のデータをたくさん集めてつくっていただいた式にした方が無難であろうということです。これはこれでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○久保班長 特に御異論なければ、適合条件の(2)肺の大きさの1)は、これでよろしいということにさせていただきます。
 問題は、2)と3)ですけれども、2)は、ドナー及びレシピエントがいずれも18歳未満の場合ですけれども、ドナーとレシピエントの身長差、しかもパーセントで判断したい。両肺移植の場合がマイナス12からプラス12%、片肺の場合も同じでマイナス12%からプラス12%。身長差で、しかもパーセントで判断したいということですけれども、いかがでしょうか。一番議論のあるところだと思いますけれども。
○奥村班員 両肺移植の場合、マイナス12から12%というのはちょうどいい数字かと思いますけれども、片肺移植の場合、少し大きめの肺を入れたいという要求というのは結構あると思うので、マイナス12%から12%の上限のところを少し大き目にする方が、現実的には適応を非常にたくさんの人に広げられて、結果としていいということになるのではないかと思います。
○久保班長 今の御意見は、両肺の場合はマイナス12からプラス12%でいいけれども、片肺移植の場合はマイナス12から15%ぐらいということですか。
○奥村班員 そうですね。
○久保班長 15%という数字が出てきましたけれども、いかがでしょうか。近藤先生、実際に移植をやられていて。
○近藤班員 子どもはなかなか経験がありませんので、何とも言えないところです。12というのは中途半端な数字なのですが、小児の予測式で、18歳未満と言いましても、18歳もあれば、10歳もあれば、6歳もあり、体格に相当開きがあるので、例えば18歳でうんと小さい人と、12歳で大きい人が同じライン上に乗るかどうかという問題もあって、厳密にはなかなか難しいところですが、概ね今までの基準でプラスマイナス30%というのを当てはめると、小児の場合はプラスマイナス12%程度になるのではないかという程度の根拠であります。それ以上のことはよくわかりません。
○久保班長 小児の肺機能の予測式をつくられた日本小児呼吸器疾患学会の肺機能委員会の委員長をやっています、日本医科大学の高橋先生が小児の生体部分肺移植のお子さんのデータが、6歳、10歳、14歳、18歳というのがありまして、その実際の身長差とか、そのほかいろいろ計算していただくと、片肺移植、両肺移植、70から130%というボリュームで計算していくと、身長差プラスマイナス12%ぐらいが無難かという話なのです。12というのは、そんな厳密な意味ではなくて来ているのですけれども。
○近藤班員 たしか福岡大学で生体肺移植をやった小さい子、5歳か6歳の子で片肺のみの移植でしたが、かなり大きい肺を入れてどうかなと思ったけれども、それは実際うまくいったということもあるので、確かな上限はよくわかりませんが、子どもの胸郭はかなり柔らかく比較的大きい肺を移植できる可能性はあると思います。
○久保班長 大きいのを入れても、何とかなるということですね。
○近藤班員 入れられるという意見もあります。絶対的なことはなかなか言えませんが、もう少し大きくしてもよいという意見は奥村先生以外にもあると思います。
○久保班長 いかがですか。片肺移植の場合はマイナス12から15%と、少し大きめのものもいいようにしておこうという意見ですが。
○近藤班員 もう一つ、実際にそういう基準で選択はするけれども、先ほどの予測式の計算が絶対とは言えないにしても、比較的参考になる可能性もあるので、この値も参考値として付ける。その中で自分の施設の希望者の体格などを勘案しながら、肺移植を実施するかどうか、施設が判断して決める。その範囲内に入っていれば何が何でもやるということではなくて、予測式による参考値も参考にして決めるという方式にすることで、少し緩めにしても構わないと考えます。
○久保班長 いかがでしょうか。
○福嶌参考人 心臓の方であれですけれども、これまでも両肺移植などで体の大きさで年齢が決まっていましたから、大きなドナーが優先候補として挙がってくる場合もあったわけですけれども、その場合も移植施設がその患者に合ったということでやめることもありましたので、ちょっと余裕を持たせて選定のタイミングを増やしてあげるということは、その患者さんにとってはいいことではないか。
○久保班長 では、片肺マイナス12%からプラス15%。両肺はプラ・マイ12%でいいですか。
○奥村班員 はい。
○久保班長 2)につきまして、両肺移植の場合は、マイナス12からプラス12、片肺の場合は少し大き目でも何とか可能ではないか。マイナス12からプラス15%ということにしたい。
○金子班員 よろしいですか。
○久保班長 どうぞ。
○金子班員 この数値は、12%というのは絶対的なものになってしまうのでしょうか。今、近藤先生のお話にあったように、福岡大学で実際にかなり大きさの違う小児の肺移植がうまくいっているという事例が、たった1例ですけれどもありますので、数字が明記されていると、絶対的なことになりはしないかということで。
○久保班長 ただ、数字を明記しないことには、ちょっと話が進まない。
○金子班員 ですから、ほかの条件も勘案するということもある程度付け加えておいていただいた方がいいのかなと思います。
○近藤班員 生体肺移植と一緒には考えられないと思います。生体移植は、リスクをお互い承知の上でやるということですが、脳死移植の場合は、一か八かといったことは許されないと思うので、ある程度納得できる範囲の数字は出しておく必要があるでしょう。生体移植でいろいろな経験が増えてきて、もっと大きい肺でも行けるのではないかということであれば、そのときにまた基準を直せばよろしいのではないでしょうか。
○川合班員 これは、レシピエントの選定基準ですから、基本的に12%だからその人にすると。そうすると、次の2位の人はもらえないわけです。ですから、命に関わることなので、厳密に運用しないと不公平ということになってしまうので、近藤先生もおっしゃいましたけれども、脳死の場合にはきっちり数字を守らないと。
○奥村班員 片肺の場合も、あまり大きなものを入れ過ぎて無理してやってしまうと、実際、京都大学でやった先生が、生体で1lungだけ入れて大き過ぎて、反対側の肺も摘出せざるを得なくなったという症例がやったがありますので、それはもともと生体で、そこまで考えた上でのことですけれども、脳死下の移植ではそういうことをやってはならないと思いますので、余り大き過ぎるのまで許容してしまうというのは問題。ですけれども、ほんの少しぐらいは許容範囲を上げていただいた方がいいのではないかと思います。
○北村参考人 ここに出てきます、ドナー、レシピエント、いずれも18歳未満と18歳以上。この18歳というのは、バイタルキャパシティーの計算式が適用できるということで来ていて、児童虐待法の18歳とは全く関係ないですよね。
○久保班長 おっしゃるとおりです。この予測式が18歳以上となっていますので。
○北村参考人 そうしますと、このドナー、レシピエント、いずれも18歳未満の場合で、この式を用いて優先順位を決める場合、15歳以下の提供者の場合、18歳未満ですから、小児から小児、15歳未満から15歳未満へ、年齢は難しいですけれども、そこに行きやすさというのは変わるのですか。前はなかったからですけれども、行きやすいという結果になることが期待されますか。
○久保班長 行きやすいというのが、私、よく理解できないですけれども、多分移植の先生方は。
○北村参考人 子どもから子どもへの優先が、ある程度これで適用していけば生じるということと理解していいのでしょうか。
○近藤班員 これは盛り込んでいます。
○井原主査 適合条件というのは、あくまでもドナーの方の条件に合わせて、移植を受けたときにある程度の成績が期待される方というのを選んだ上で、あとは近藤先生からも御指摘がありましたが、脳死下での提供をいただいた場合に、いかにレシピエントの方にとって有益な方を選ぶかという基準になりますので、そういった意味で緊急度を考えた場合、待機期間の次に肺の大きさを同じ条件で勘案できた方の方が、優先順位としては上に上がるだろうということで、4番目に肺の大きさというのを書かせていただいております。
○福嶌参考人 ちょうどそこを私も質問させていただこうと思ったのですが、(4)を(3)の前にしますと、子どもから子どもが優先される形になるのですが、(3)を前にしますと、大人で先に待っている人が優先される可能性が出てきますね。
○久保班長 先生、優先順位は、ちょっと先の方にしますので、とりあえず肺の大きさだけ決めたいと思います。
 では、2)の場合は、両肺がマイナス12からプラス12、片肺がマイナス12からプラス15でよろしいでしょうか。
○井原主査 1点だけ確認なのですが、1)の場合、計算式、70から130というのが、レシピエントが分母で、ドナーが分子に来ているのですが、先生方の御指摘の片肺の場合、15%に上げるというのは、ドナーが分母でレシピエントの方が大きいという理解でよろしいのでしょうか。2)の?Aのマイナス12から15という場合、レシピエントとドナー、どちらが分母になるのでしょうか。
○近藤班員 レシピエントが基準ですから。
○久保班長 同じですね。
 3)の年齢が1または2、どちらかが18歳以上の場合も、片肺が15になるかですけれども、これは難しいと思います。3)の場合はどうしましょうか。これは非常にややこしくなりますね。18歳以上の場合、私もよく理解できないですけれども。
○近藤班員 あまりいろいろな場合分けがあると、ややこしくなり過ぎる。だから、15にして、こっちも15でいいのではないでしょうか。
○久保班長 では、18歳未満の場合は、レシピエントが18歳未満ということですから、それで行くと。同じ条件で行くということでよろしいでしょうか。
○福嶌参考人 書き方の問題なのですが、1)は片肺移植の次に両肺移植ですね。2)と3)は両肺移植の後、片肺移植なので、統一した方が間違いが少ないかなというのと。
 もう一つは、片方はマイナスパーセント、プラスパーセントで、70と30なので、これはマイナス30、プラス30ではだめなのですか。同じ表記にした方が間違いが少ないと思うのですけれども。
○久保班長 1)、マイナス30からプラス30にした方がわかりやすいですね。その方が確かに。
○福嶌参考人 同じ文書にした方が。
○久保班長 片肺と両肺、1)、2)、3)を合わせてもらって。ただ、1)はボリュームなのです。
○福嶌参考人 勿論、そういうことなのですけれども、パーセントを指標にしているという意味では同じかと。
○久保班長 おっしゃるとおりです。では、細かい文言の表現は私の方に一任させてもらってよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○久保班長 では、次のページの2.優先順位ですけれども、肺の大きさをどこへ持ってくるかということです。
 こちら側の案としましては、(1)が親族、その次がABO式血液型、(3)が待機期間です。その次に肺の大きさというものを持ってきましたが、いかがでしょうか。
○福嶌参考人 先ほどもちょっとお話させていただきましたが、子どものドナーから子どもへというものを考えているものですから、その場合、2)の場合を最優先にしていただけないか。18歳未満の場合は、待機期間よりもそちらを優先していただかないと、そういうことにはならないものですから、その辺のことを御検討いただけないか。要するに、待機順序で決めてしまいますと、長く待っている小さな体の大人の人に行ってしまう可能性がありますね。勿論、それも一つの考えなのですけれども。
○久保班長 先生の御意見は、待機期間の上に持っていくということですね。(2)と(3)の間に。
○福嶌参考人 ただ、そうすると、大人で、待機期間で、大きさで決まってしまうというのも。(2)と(3)で、子どもの方に先に行っていただければ、多分優先される格好になるかなという気がします。
○近藤班員 (3)と(4)を入れ換える。
○川合班員 小児を優先させるという根拠はどこにあるのでしょう。
○福嶌参考人 それは、あまり医学的なことではないかもしれない。医学的な意味合いでいいますと、子どもから子どもの方が生命予後という意味では長いというのと、年齢で予後が変わるので、子どもに移植するときには、将来長くもつ臓器を移植した方がいい。
 もう一つは、臓器移植関連学会協議会から出させていただいているのですが、特に小児科学会からの希望ですけれども、臓器提供をする親の心情を考えた場合に、子どもに提供したいと考えているだろうという意見から、子どもから子どもを優先していただきたいという2つです。
○久保班長 大人の場合は、間質性肺炎が多くなってくるので、この待機期間というのは非常に大きいと思いますけれども、子どもさんの場合は、ほとんど原発性の肺高血圧症が多くなってきますね。待機時間はあまり関係ないのかなという感じもしないでもないですけれども、いかがでしょうか。
○近藤班員 大きさは、こういう3つの場合分けがしてありますので、これを3番目に持ってきたからといって、待機期間の長い大人の人が今まで以上の不利をこうむることはない。先生がおっしゃったように入れかえても不利はないかもしれませんね。
○福嶌参考人 そういう意味ですね。
○川合班員 ただ、小児を優先するというのは今のところ誰もうたっていないですよね。親族を優先というのはうたっているけれども、そこがどういうふうに法律もなしに担保されていくかということですね。難しいですね。気持ちはよくわかるのですが、そうしたいという気持ちもあるのですが。
○福嶌参考人 勿論法律はないのですけれども、30なりの学会が提言を出していることだということを御理解いただきたい。個人の意見ではありませんので。
○川合班員 勿論わかります。
○北村参考人 おっしゃるとおり、心臓移植の部門では、それが非常に強い要望であって、学会の方から厚生労働省にも陳情書といいますか、嘆願書のような形も出ていまして。肺の方がこういう計算式をもって医学的に選んでいけば、自然とそういう形態、子どもから子どもの優先型になるのですということが社会に対して言えるのか、あるいはそれはわからない状態なのか。私ども心臓の方は、まだこういう委員会は開かれていないのですけれども、その陳情書も踏まえてどうするかというのが1つ、難問としてあるのです。
 だから、こういう計算式から持っていくと、結果的には小児から小児が優先されることになると言えたらいいかなと思いますが、その辺りはどうか、もしわかるのであれば、ちょっと教えていただいた方が参考になるような気がいたしております。
○福嶌参考人 もう一つは、この法律ができるまで、18歳というのは別にして、10歳未満の肺移植を必要とする患者さんは、ドナーというものがなかったので登録ができなかったわけです。ですから、そういった人が移植のチャンスで待機期間もゼロから始まりますので、そういった人に当たる可能性を増やしてあげてほしいということになります。
○近藤班員 最初は、15歳ということで考えたのですが、18歳が境目になりました。15歳というと、そういう意図が前面に出てしまいますが、肺の場合は18歳を境にして評価の仕方が違うことになりますので、同じ評価の範囲内同士での移植実施を優先する形に持っていくことは、あながち無理なことではないような気がします。先生がおっしゃっているのは15歳未満なので、そこら辺にちょっとずれがありますけれども、比較的若年者は若年者に行くような形にはなると思います。
○辺見室長 事務局から申し訳ございません。(3)と(4)の順番のお話なのですけれども、(4)は特定年齢層を優先するということよりも、年齢階層的に同じである場合に同じ層での組み合わせを優先するような考え方とお見受けしております。どちらかというと、若年層優先というよりも、エイジマッチングといいますか、年齢が合う人をということになりますと、ラインよりも上の人が多いのか、下の方が多いのかによって、ラインをまたぐケースがどうかという考え方が出てきます。
 まず前提として、同じ層にいる方が優先されます。またぐ方は、その次の順位になりますとなると、それは若年層優先という考え方から来る話なのかどうなのかということについて、正直言ってちょっと疑問があります。この仕組みをもって、若年層優先だと説明することが可能なのかどうかということについて、ちょっと疑問があります。
 もう一つは、川合先生からも御指摘ございましたけれども、親族優先というのは法律に書かれた話でございます。若年層という話はそうでないところがあって、これについてどう考えるかというのは非常に重要な話でございます。私ども、先ほど法律の説明をさせていただいた、親族優先の規定が1月から施行になっておりますので、これまでの間、1例角膜の移植で事例がございました。1例目ということで、角膜移植は通常公表しないのですけれども、アイバンクの方から公表いたしました。
 一番質問があるところは、何人順番が変わったのですか。どういう状態の人なのですか。より深刻な人なのですかという話かと思います。それに対して答えを与えられるだけのエビデンスというか、要素がないと、説明が求められたときに、親族優先はある意味説明はシンプルで、法律で決まりましたと説明いたします。それ以外の場合でございますので、例えばこういう移植実績が本当にいいというデータがあって、それに基づいてというものなのかどうかということが、結構厳しいかと思っております。
 後ろが長くなってしまったのですけれども、2つの点を御指摘させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○久保班長 ということは、待機期間の長い方の方が悩んでおられる期間が長いから、そちらを優先するという方が厚労省としては説明しやすいということでしょうか、簡単に言うと。
○井原主査 基本的に今回、この位置付けにしたというのは2点ございます。
 1つ目は、福嶌先生の方から、今までレシピエント登録ができなかった10歳未満のお子さんが今後できるようになるというお話がございました。そういう観点からいきますと、恐らく18歳未満を身長でやった場合に、その年齢同士である程度マッチングするのではないか。そういう意味で、年齢区分で肺の大きさを評価することで、一定程度のエイジマッチングというのは可能になるだろうというのが1点でございます。
 2点目としては、これは少し古いデータなのですが、2007年の日本臓器移植ネットワークのデータブックによりますと、肺移植を待っている方で待機期間中に1年未満で60%以上の方が亡くなっている。こういった状況の中で、待機期間を飛び越して本当にいいのだろうかという疑問はございます。もし小さいお子さんが待機することが、より成人の方に比べて難しいということであれば、それは移植を受ける緊急度が高いのではないか。そういう意味では、待機日数などで一定の考慮をしてあげることの方が、むしろドナーの方の肺の大きさに合ったレシピエントを選ぶという意味ではいいのではないかと考えております。
 このレシピエント選択基準というのは、ドナーの方が発生した場合に、医学的観点から移植機会の公平性・有効性ということを具現化した基準になりますので、そういった意味で、この基準によって移植を待っている方の優先順位が決まるわけですから、今、全国で待たれている方がある程度納得する理由をもって、優先順位付けというのは決めていきたいと考えております。
○久保班長 肺の場合は、待機期間中に亡くなることが結構多いということですので、(3)を(3)にしたい。どうですか。
○福嶌参考人 肺ということではなくて、心肺の肺を選ぶときもここで決まることですので、決して肺だけのことではないということでお話させていただいているつもりです。もし、医学的緊急度に腎臓のように子どもの加点が加わってくるのであれば、私は何もお話はないのですけれども、医学的緊急度を今まで肺は入れないということだったので、これからもわからないですね。と私が理解していたことがありまして、そこも入ってくると。
○久保班長 心肺の方は、優先順位を見てみますと、肺の大きさは入っていない。
○福嶌参考人 入っていないです。肺で1番になったらということですので。それで、実は心肺の場合に、心臓は強心剤が付いてしまった場合、とても待てないので、多くは肺の1番で当たってくるのですね。そのときの肺の1番がここで大きく作用してきますので、一応お話はさせていただきたいということです。
○久保班長 どうでしょうか。実際に肺の移植をやっている先生方の方がいいかと。(3)と(4)を入れかえるかどうか、かなり大事な問題だと思いますけれども、川合先生、いかがですか。
○川合班員 今、システムを小児優先にしましたということが、心情的に理解する人は多いと思いますが、果たして、それに対して実際に待っている人、当事者が納得してくれるか。関係ない人に対しては訴求力はあると思いますけれども、関係者にとってはどうなっているのだということになりかねないところが心配ですね。実際待っている方、飛び越えられる方。その彼らの権利をどう守るかということですね。
○福嶌参考人 腎臓も同じですか。小児で加点があるわけですから。
○川合班員 ですから、そういった形でのやり方であればよろしいかと思います。待機期間をボーナスを与えるような、アメリカのように、IPFに対しては、3ヶ月以上のときに、最初から待った形にするとか、そういった形での補正は可能だと思います。
○近藤班員 先ほどの室長からのお話のように、小児優先では決してないですね。逆にいえば、18歳以上は18歳以上で優先されるわけですから。だから、この基準をもって、別に小児優先の基準というわけではない。
○川合班員 エイジマッチングということですよね。小児に対しても、大人に対しても。
○近藤班員 結局変わらないような気もするのですけれども、どうでしょうか。
○久保班長 現実的には、この肺の大きさで決めれば、子どもは子どもへとなるような気もするのです。
○近藤班員 いや、子どもは子どもへですけれども、その逆もあります。18歳以上は18歳以上に行きますが、現実的に多分提供者は18歳以上が結構多いのではないでしょうか。どうでしょうか。子どもの提供者はそんなに多いでしょうか。
○福嶌参考人 少ないから余計に言っているわけです。少ないから子どもに行かないかという話を言っているわけで。
○近藤班員 子どもの提供者が少ないとすれば、むしろ子どもにとっては、18歳以上からもらえた方がいいわけですよね。ところが、これはどちらかというと、18歳を区切りにして上下で基準が違い、どちらかにマッチするようにしていますから、小児提供者が少ないだろうと考えれば、むしろ大人優先の基準と言ってもいいかもしれない。
○佐地班員 実際、例えばこういう疾患を持っている呼吸不全とか心不全が絡んだ子というのは、極めて体格が小さいのです。15歳ぐらいでも成長期の前でとまってしまって、10歳ぐらいの体重のことも多い。そうすると、小児から小児へといっても、15歳のドナーの成長が15歳の病気の子には合わないこともある。多分10%プラスマイナスには全く入らない場合もあり、15歳の小児から成人に行くという逆のドネーションも十分あるのではないか。ほとんどの子は小さいままで待っています。
○久保班長 先生はこれでもいいということですか。
○佐地班員 現実には、子どもは少ないと思います。乳幼児でないと、成長期の前と後からは、まず行かないと思います。
○久保班長 では、このままでもよろしいのではないかということですか。
○佐地班員 私も心肺のWGに入っているのですけれども、心肺になるとちょっと難しい。
○久保班長 どうしましょうか。
○福嶌参考人 確かに(4)を上にあげてしまうと、大人から子どもに回ってこなくなる可能性があるわけですね。
○川合班員 待機期間1年間で60%亡くなっているという現実を考えると、今回の登録時点での公平というのは、2年か3年後には正直言って残念ながら亡くなってしまうというのが現状かもしれない。
○福嶌参考人 両肺、片肺で多分違うとは思いますけれども、疾患も違いますので。だから、子どもの疾患群で言うと、長生きする大人の群の人たちとの関係だとは思います。
○久保班長 肺の方なので、待機期間を3)で、肺の大きさを(4)ということで、このままの状態で行かしてもらえればと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○久保班長 では、そうさせていただきます。
 あとは、3ページの(注1)と(注2)ですけれども、これは私の認識では、前の古い参考資料3をここへ持ってきたというだけのことですね。だから、内容は同じです。これでよろしいのではないかと思いますけれども。
 その他に、先ほど近藤先生から質疑がありましたように、小児の予測式を是非参考に入れてほしいということでありますが。
 全体を通して、資料2-1につきまして、これでよろしければ、こういう形にしたいと思います。
(「異議なし」と声あり)
○久保班長 特に御異論がないようですので、そうさせていただきます。
 続きまして、資料2-2、心肺同時移植希望者選択基準(案)は、細かい記載の方法等は先ほどの肺の方に一致しますけれども、何かございましょうか。どうぞ。
○福嶌参考人 これも15にしていただけるのですね。
○久保班長 はい。
○福嶌参考人 それであれば問題はない。心臓と片肺というのは珍しいですけれども。
○奥村班員 確認させていただきたかったのです。要するに、心臓と片肺の移植ということを想定してですね。
○福嶌参考人 片方ができない場合、片肺との心臓移植というのはあり得ること。症例は少ないですけれども、世界で報告がありますので。
○久保班長 そこだけ15%に変えていただいて、肺移植の方で変えるということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○久保班長 何とかうまくまとめていただきまして、感謝申し上げます。
 では、全体につきまして何か御意見等がなければ、今後の進め方ということを説明していただいて終わりにしたいと思います。お願いします。
○大竹補佐 先生方、御議論いただきましてありがとうございました。
 それでは、本日の御指摘を踏まえまして、何点かいただいた点を改正案とし、反映いたしまして、その後、臓器移植委員会に報告の後、新たな基準とさせていただきます。
 また、今後の運用状況等も踏まえまして、御議論いただくこともあろうかと思います。その際には、改めて私どもから日程調整等をさせていただきますので、御協力のほど、どうかよろしくお願いいたします。
○久保班長 では、特になければ、これで終わります。
○北村参考人 1つだけ。
○久保班長 どうぞ。
○北村参考人 このシステムに変わった場合、日本臓器移植ネットワークの方が選択する場合に、大幅なコンピュータシステムの変更は要るのですか。というのは、もしも7月17日から始まってすぐに、子どもさんからの提供が出たというときに、マッチングができないということになると、また大きな社会的問題になる。ですので、それがあまり変更なしで、すっと行けるものなのか。一刻も早く変更させるようにしたいと厚労省は考えているのか、その辺を教えてください。
○井原主査 基本的にこのレシピエント選択基準の手続といたしまして、作業班で先生方に御議論いただいたものを臓器移植委員会に報告して、再度ご議論いただいたものをネットワークに通達して変更することにしております。今回、御議論いただいて修正すべき点は修正して、できる限り早く臓器移植委員会の方で議論いただいて変更したいと思っています。先生御指摘のとおり、7月17日から法律が変わりますが、その後というのはあり得るかもしれません。できる限り早く変えていきたいと思っております。
○北村参考人 あまり変更なしで行けそうなのですか。ネットワークに聞かないとわからないか。
○井原主査 システム自体は、基準を変える度に改修が必要になりますので、コンピュータ上の操作というのは必要かと思います。
○久保班長 間に合うのですよね。
○辺見室長 7月17日に間に合うかという観点からいくと、ほかの臓器も含めて、今後基準を見直してということですので、7月17日に間に合わすということでは元々ございません。改正を契機に基準を見直して、その見直された基準をできるだけ早くということでございます。これまでも何度かレシピエント選択基準の見直しが行われておりますけれども、そういった条件整備をした上で、混乱なく始められるタイミングで実施ということになります。
○北村参考人 では、20日に10歳の提供がもしもあった場合は。
○久保班長 手計算ですね。
○福嶌参考人 今までのルールということですね。
○辺見室長 先ほども申し上げましたように、臓器移植委員会に報告した上で実施ということですので、そのタイミングとの前後です。20日時点で、まだ了解が得られていないという状況であれば、改正前のルールで選択が行われるということになります。
○北村参考人 そういう場合が起こることを我々は期待しないといけないかもしれない。
○福嶌参考人 3日間の間に出る可能性はありますね。
○北村参考人 そういうことを期待する立場で、新システムの構築ができていないということで、遅いではないかという社会の非難がないように、長い時間をかけて検討するという一面もあるかと思いますけれども、ある程度整備した形で新しい法律の発効を待ったという姿勢は要ると思います。
○久保班長 特に肺の場合は大きさがあるわけですから、ほかの腎臓等とは違っていると思いますので、これは少し早くしてもらった方がいいのかなと思います。
○辺見室長 おっしゃるとおり、何か不手際があって遅れたということがないように、早く進めなければいけないと思います。
○福嶌参考人 コメントなのですけれども、子どもの身長になりますので、伸びるのは少ないですけれども、身長が変わるたびにきっちり登録し忘れないように施設がするということだけしておかないと、大変なことになりますので。自分のところも含めてですけれども、よろしくお願いします。これまで、あまり大きさは変わらなかったですから。
○久保班長 では、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室
代表 : 03(5253)1111
内線 : 2366 ・ 2365

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