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2010年4月19日 第33回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会議事録

健康局疾病対策課臓器移植対策室

○日時

平成22年4月19日(月)
17:00~


○場所

厚生労働省 省議室


○議題

(1) 省令及びガイドライン(案)について
(2) その他

○議事

○長岡補佐 ただいまより、第33回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会を開催いたします。本日は佐野委員、宮坂委員、山勢委員から欠席のご連絡をいただいておりますが、定足数を満たす13名のご出席を賜っておりますので、ここで報告させていただきます。
 次に、議事次第に沿って資料の確認をいたします。配布資料1-1、「『臓器の移植に関する法律施行規則』一部改正(案)の概要」が1枚です。資料1-2、「『臓器の移植に関する法律施行規則』一部改正(案)新旧対照表」が9頁まであります。資料2-1、「『臓器の移植に関する法律の運用に関する指針(ガイドライン)』一部改正(案)のポイント」が2頁まであります。資料2-2、「『臓器の移植に関する法律の運用に関する指針(ガイドライン)』一部改正(案)新旧対照表」が11頁まであります。資料2-3、「『臓器の移植に関する法律』の運用に関する指針(ガイドライン)第5の1(2)について」が1枚です。最後に参考資料1、「ガイドラインにおける『臨床的に脳死と判断した場合』の規定について」と題したものが2頁です。
 また、机の上に紙ファイルを2種類用意しております。1つが現行の法令・ガイドラインをまとめたものです。もう1つが前回と前々回の委員会で、各作業班、研究班よりご報告いただいた資料です。この2種類の紙ファイルを、議論の際に参考にしていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 以後の議事進行は、永井委員長にお願いしたいと思います。こちらに報道のカメラの方がいらっしゃれば、ご退室をお願いします。
○永井委員長 前回の委員会では制度面から検討を行った作業班から、また小児脳死判定基準等の検討を行った作業班、研究班から、それぞれご報告をいただいて議論をいたしました。今回からはこの委員会におけるこれまでの議論を踏まえて、今年7月の改正法施行に必要となる省令・ガイドラインについて、事務局が案文を作成されていますので、それを基にご議論いただきます。省令・ガイドラインの改正(案)は、5月にパブリックコメントを予定しておりますので、今日はそれに向けてご議論をお願いします。まず事務局より、資料の説明をお願いいたします。
○辺見室長 資料1-1及び資料1-2をご覧ください。「臓器の移植に関する法律施行規則」の一部改正についてです。資料1-1に概要をお示ししておりますので、こちらに沿ってご説明をさせていただきます。
 まず1番です。前回、小児の脳死判定基準について研究班よりご報告をいただいたところです。それを踏まえて、前回の委員会でご議論いただきましたが、その内容に沿って省令案を規定しています。概要には4ポイントあります。1つ目が、年齢による除外です。現行の判定基準では、6歳未満の者については除外していますけれども、改正(案)として「生後12週間未満の者を除く」という規定とします。2つ目が体温による除外です。現行では直腸温32度以下の者としているのを原則としながら、6歳未満の場合について35度以下とします。3つ目が判定間隔です。現行6時間以上としているところを、6歳未満の場合については24時間以上とします。血圧については現行90水銀柱ミリメートル以上としているところを、年齢に応じて1歳未満と、1歳以上13歳未満について、それぞれ規定を置きます。
 脳死判定基準については以上ですが、2番、3番は、脳死判定・臓器摘出の要件変更に伴い、記録等について所要の規定の整理をさせていただきます。省令の概要については以上です。
 資料1-2に、省令案の改正後と現行規定の新旧対照表を用意しております。いまご説明した内容で条文を書きくだしたものです。なお、こちらについては今後、官房の法令審査を受けることになりますので、若干表現ぶりが変わる可能性はありますけれども、基本的な線は今、概要としてご説明させていただいたとおりです。
○永井委員長 ただいまご説明いただいた省令の改正(案)について、ご意見、ご質問等がおありの方は、ご発言をお願いします。
○貫井委員 最初の年齢による除外で、生後12週ということについて、小児科の先生にお聞したいと思います。医学的には、例えば「修正齢12週未満」という書き方がしてあったのですが、これはそれで正しいのでしょうか。2つあって、修正齢12週未満と週齢12週未満というように分けてあるのです。これを読むと正しいとは思うのですが、一応確認しておかないと。要するに、予定日よりも遅れて生まれた子どもでも12週経たないとできないと。修正齢というのは未熟児で生まれた場合に、予定日から12週未満です。たぶん、これで合っているのだろうとは思うのですが。
○辺見室長 本日ご欠席である宮坂委員には事前に、案文について現在の書きぶりでご覧いただいて、このような書きぶりでよろしいというご意見をいただいているところです。
○奥山委員 おっしゃるとおり、生後12週齢というのはどこかで見たことがあるのですけれども、生後12週間未満というのは、確かにあまり聞いたことがないような気がすると思って、いま読んでいたのです。資料1-2の改正後の所です。そちらは修正齢でもどちらでもいいのではないかと思うのですけれども、これはそういう書き方ではなく、「生後12週間未満の者」という書き方になっているのです。「間」というのを入れるのは普通、あまり聞いたことがないという気がします。
○永井委員長 「12週未満」という表現のほうがよろしいということですね。
○奥山委員 一般的にはそのほうが多いのではないかという感じです。
○相川(直)委員 医師国家試験のガイドラインでも「間」は付けません。
○永井委員長 よろしいでしょうか。
○相川(直)委員 「体温による除外」の所です。今回の改正後の6歳未満は35度未満というのを、先ほど「35度以下」とお読みになったのですけれども、読み違いで「未満」ということでよろしいですね。
○辺見室長 35度未満ということです。
○相川(直)委員 では、それはそのようにしてください。今回は現行に沿って、6歳未満以外の者に関しては現行どおり、「直腸温32度以下の者」となっているのですが、正数で区切りを付けるときには「以上」と「未満」で区切りを付けていただきませんと、解釈に大変問題が起こります。現行でも「直腸温32度以下」となってしまっているのですが、32度以下と正数になっていますと、32.1度の人をどちらに入れるかということで、非常に混乱が起こります。日本語での「以下」というのは、32度も含めるわけです。今回、6歳未満は「35度未満」と表現されているので、これを「直腸温32度未満の者」というように、「以下」を「未満」に変えていただきたいと思います。そうすれば32.0度とか32.4度の人が出た場合に現場での混乱がなくなると思います。
○永井委員長 事務局、いかがでしょうか。
○辺見室長 表現上の問題点については理解いたしました。32度の区切りの部分をどちらに入れるかについては、これまでの事例等もありますので、その関係も含めて、一旦検討させていただいてご相談の上、案を改めてお示しするということでいかがでしょうか。
○相川(直)委員 前回はちょうど終了予定時間だったものですから、6歳未満という年齢のことは了解したのです。そのときにも「以下」という言葉には解釈があって、現場では非常に困るということを少し申し上げたのです。おそらく現行の規則、平成9年のものでも意図するところは、直腸温が摂氏32度未満という意図の上で、「32度以下」という言葉遣いになったのだと私は忖度いたします。数学的には「以下」ですと、現場では非常に困るのです。その辺もあって是非是非ご検討いただいた上で、今回の改正で「未満」というように改めていただくと、6歳以上の者においてもすっきりすると思います。よろしくお願いします。
○貫井委員 それを検討する際に、いま32度以下になっていますが、6歳以上の数字が問題だろうということは報告書にも書きました。無呼吸テスト35度以上で、それ以外のときは32度以下でいいと書いてありますが、情勢が変わっておりますので、いま相川先生のおっしゃった言葉遣いの問題も含めて、何度というのを検討する機会をつくっていただければいいのではないかと思っております。
○相川(直)委員 私の発言の意図は、確かにいま貫井先生がおっしゃったように、さらに医学的な検討をもって6歳以上の者について、直腸温32度にするのか、34度にするのか、35度にするのかという検討の前に、表現上の問題として今回改訂するときには、この「以下」という言葉を「未満」にしていただかないと、現場の混乱が起こるということで言ったわけです。しかし、いま貫井先生がおっしゃったように、6歳以上の者に関して32度未満でいいのか、34度にするのか、35度にするのかということは、また別のことであると思います。
○永井委員長 何かご提案はありますか。特に33度がいいとか、そういうことではなくて。
○相川(直)委員 私はそれを提案したのではなく、「以下」を「未満」にしていただきたいということを提案したわけです。
○永井委員長 貫井先生、いかがでしょうか。
○貫井委員 35度未満に統一したらどうかという提案は、前にも報告書の中でしております。ただ、虐待はちょっと違いますが、今回は6歳未満の小児の脳死判定基準の研究班でしたので、提案だけをして、どこかで検討していただけないかということです。統一したほうがいいというのが一応検討班の意見になっております。
○相川(直)委員 その提案には賛成です。
○永井委員長 しかし、それを今から委員会で行うことは時間的に難しいので、どういたしましょうか。
○山本委員 いまの関連質問ではありませんので、少し時間を置きます。
○永井委員長 いかがでしょうか。いま数字の見直しに入るのか。それは少し先に検討すべき事項ということでよろしいでしょうか。とりあえずは32度未満、6歳未満は35度未満という記述がよろしいだろうということで取りまとめさせていただきます。そのほかに、山本委員、どうぞ。
○山本委員 これはもうディスカッションしてあるのかどうかはわかりません。「直腸温」という表現ですけれども、最近はICUあるいは救命センターの現場では留置カテーテル、膀胱内温度あるいは胃管で胃内の温度等です。直腸温というのは院内感染、その他のところで多少問題があるだろうと言われているところですので、いつまでも直腸温ではなく、やはり深部体温とか、一般的なところに行ったほうが私はいいのではないかと思います。これがここでの提案でいいのかどうかというのは分かりません。何かの折に検討したほうがいいのではないかということを提案させていただきます。
○永井委員長 部位によっては直腸と膀胱とで、それほど違わないのでしょうか。
○山本委員 深部体温はどこで流れがあるわけですか。
○貫井委員 現実にはマニュアルでも深部体温になっております。直腸温、膀胱温、血管温、血液温ですか。「深部体温」という表現になっていて、たぶんこのガイドラインだけが直っていないのです。ですから深部体温でいいのではないかと思います。
○永井委員長 いかがでしょうか。
○相川(直)委員 山本先生のご意見には賛成なのですが、例えば今ご発言のあった、スワン・ガンツカテーテルを入れたときの血液温と直腸温には、多少の差があることもあります。除外ですから、例えば「直腸温あるいは膀胱温」というようにはっきりと。もし「深部体温」と書くならば括弧書きなりにして、血液温でもいいですけれども、「直腸温あるいは膀胱温のいずれかのいちばん低い温度が」というようにしませんと、都合のいいように使われる可能性が出てくる危険はあるのではないかと思うのです。
○山本委員 我々もその辺をチェックしたことがあります。やはり心臓に近い所は、多少温度が高いということがあるわけですけれども、あとの所はそれほど差はないのではないかというのは、貫井先生のどこかにも出ていたと思います。
○永井委員長 現場はそれで困ること、混乱することはないということですか。そうしたら、ここは深部体温で統一させていただくということでよろしいですか。
○相川(直)委員 その場合には、心臓に近い所の温度と直腸温とで差が出てくることもあって、それを都合のいいように使われないようにするためには、やはり「深部体温」として、その中の括弧書きでそれをどのように扱うかを、ガイドラインでもどこでもいいのでしっかり書いておいていただかないと、いちばん都合のいいように使ってしまうということは避けられないと思います。
○永井委員長 具体的には「直腸温、膀胱温あるいは血液温など」と書きますか。
○相川(直)委員 32度あるいは35度のすれすれのときに差が出た場合に、何を採用するのかということもはっきりしませんと、やはり恣意的に使われてしまうことがあり得ると思います。その辺のところは規則に書く必要はないと思いますけれども、ガイドライン等ではしっかりと決めておく必要があると思います。
○永井委員長 よろしいでしょうか。そうしますと一応規則では「深部体温」として、「直腸温、膀胱温、血液温など」というように書いておいて、あとは施行規則の中で少し細かく、ガイドラインのほうで細かく書くということで、事務局はいかがでしょうか。
○辺見室長 相川先生がご指摘になられた「都合がよく」というのは、あれかもしれませんけれども、こちらは省令の規定ですので、省令の規定の意味するところが従来に比べて不明確になるということは、おそらく法令審査上も審査されるところであると思います。そこのところを不明確にさせない根拠と書きぶりがあれば、改正は可能だと思いますけれども、そこが現時点でいまだ難しいということであるならば、場合によっては今回ではなく、時期を改めてということも含めてご相談させていただければと思いますが、いかがでしょうか。
○相川(直)委員 いまの事務局の意見に賛成です。「など」と書きますと、ここにセンサーを付けて深部体温を計るという方法もあり、やはり不明確になる可能性があると思います。現時点では直腸温で行って、さらにいろいろな医学的根拠、あるいはいくつかの測定方法による差異なども検討した上で、直腸温で複数の測定値が出た場合には、どの値、例えば最高値と最低値のどれを採用するかということも含めて、はっきり示しませんと、現場は混乱すると思います。
○永井委員長 そのほかにご意見はいかがでしょうか。
○小中委員 いまの深部温のことです。「脳死判定臓器移植マニュアル」のQ&Aの所に、「深部温であれば血液温、直腸温又は膀胱温のいずれも可能である。ただし同じ測定法で整合させることが望ましい」という表現が入っておりますので、ここに直腸温だけとなれば。今までもこれできているものではあるのですけれども、表現的にもう少し幅を広げる形にしていただくほうが、現場としてはよろしいかと思います。いかがでしょうか。
○永井委員長 事務局、いかがでしょうか。
○辺見室長 経緯も含めて、一度検討させていただきたいと思います。
○永井委員長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。もしご意見がありませんでしたら、この省令改正(案)については本日のご意見を踏まえて、先ほどの直腸温の書きぶりは、事務局からこちらにもう一度案を提示していただいて、その上でパブリックコメントを行うことにしたいと思います。
 続いて、ガイドラインの改正(案)にまいります。まず事務局より、資料のご説明をお願いいたします。
○辺見室長 いくつか資料がありますけれども、資料2-1と資料2-2の双方をご覧いただきながら、説明を進めたいと思います。
 まず資料2-1の1番です。「臓器提供に係る意思表示等に関する事項」と書いてあります。実は、ここにはガイドラインのタイトルの変更があります。改正(案)をご覧いただきますと、第1の所、現行で「書面による意思表示ができる年齢等に関する事項」と書いてありますけれども、臓器の提供をしたくない意思表示に関する部分も記載の中に入ってまいりますので、タイトルを変更して、「臓器提供に係る意思表示等に関する事項」とするというのが1つです。
 続いて、1の(1)「臓器を提供しない意思表示等について」です。こちらは前回の意思表示班の報告において、年齢に関わらずということでご報告をいただきましたので、改正(案)の第1の中段、2段落目に「年齢に関わらず拒否の意思表示を行った者に対する法に基づく脳死判定及びその者からの臓器摘出は行わない」ということを規定しています。
 次に、(2)「知的障害者等の意思表示」です。こちらについては改正(案)第1の3パラグラフ目に、「知的障害者等の臓器提供に関する有効な意思表示が困難となる障害を有する者については、その意思表示等の取扱いについて、今後さらに検討すべきものであることから、主治医等が家族等に対して病状や治療方針の説明を行う中で、患者が知的障害者等の臓器提供に関する有効な意思表示が困難となる障害を有する者であることが判明した場合においては、年齢に関わらず、当面、法に基づく脳死判定及びその者からの臓器摘出は見合わせること」と規定させていただいております。
 ガイドラインの第2は変更がなく、2番目の「遺族及び家族の範囲に関する事項」です。ガイドライン改正(案)の2頁をご覧ください。まず、ここにおいてポイントとなったのは、現行の「本人の意思表示があった場合に、家族・遺族の拒否がない場合に臓器移植が可能となる」といったときの家族・遺族と、改正後の「本人の意思が不明の場合に、家族・遺族の同意によって臓器移植が可能となる」といったときの、家族・遺族の範囲についてどうかということです。これは結論的に同じでしたので、その趣旨に沿って書いてあります。しかし「死亡した者が未成年者であった場合には、特に父母それぞれの意向を慎重かつ丁寧に把握すること」ということでしたので、その旨をガイドラインの第3の1の最後の2行に、尚書きで記載しております。
 その尚書きの少し上の所になりますが、現在、家族・遺族の意見を取りまとめる者ということで、「喪主又は祭祀主宰となるべき者」と規定されております。ここに関して意思表示班の議論の中では特にありませんでしたけれども、これまでの臓器移植委員会における議論の中では、この表現が適当かというご意見もあったことを踏まえて、案として「これらの者の代表となるべき者において」ということで、「喪主又は祭祀主宰者となるべき者」という表現を改めることを提案させていただきたいということです。
 続いて資料2-1の3番、「小児からの臓器提供施設に関する事項」については前々回、3月の臓器移植委員会において研究班よりご報告のあったところです。こちらにありますように、要件としては大きく、「救急医療等の関連分野において、高度の医療を行う施設であること」というのが1点です。もう1点は、「虐待防止委員会等の虐待を受けた児童への対応のための院内体制が整備されていること」というのが2点目です。また、小児に対しての救急医療を行う施設ということで、現行ガイドラインの4類型のほかに、日本小児総合医療施設協議会の会員施設を加えるというご提案がありました。この内容のうち、虐待に関することは項を改めて、第5のほうで規定をしておりますが、救急等の高度な医療を行う施設であることと、協議会の会員施設を加えるということを合わせて、ガイドラインの第4ですが、横表の2頁から3頁に移る所に、4つの類型の下に、日本小児総合医療施設協議会の会員施設というのを追記させていただく案としております。
 縦長の資料の4番目、「虐待を受けた児童への対応等に関する事項」です。こちらは横長の資料の3頁の第5に記載しております。前段として法の趣旨というか、法の規定ぶりを書いております。「附則第5項において、虐待を受けた児童が死亡した場合に当該児童から臓器が提供されることのないよう、関係者が疑いがあるかを確認して、その疑いがある場合には適切に対応する必要があると規定されていること」を記載させていただいた上で、この規定については脳死・心臓死の別に関わらず適用されるものであるということと、児童については括弧書きで、「18歳未満の者をいう」ということで、児童についての定義を置いています。
 次に、中ほどの1以降です。「児童からの臓器提供を行う施設の体制について」ということで、(1)と(2)の2つの要件が書いてあります。(1)は「虐待防止委員会等の院内体制が設けられていること」、(2)は「マニュアルが整備されていること」です。また、このマニュアルについては、「新たな知見の集積により更新される必要があること」と書いております。
 次に2番、「虐待の有無についての確認」です。(1)が「児童の診療に従事する者は」ということで、「臓器提供に至る可能性があるか否かに関わらず、その徴候の有無を確認し、また徴候が確認された場合には、院内体制の下で、虐待が行われた疑いがあるかどうかを確認すること」というのを記載しております。横長の資料の4頁ですが、「この結果」として「児童の虐待防止法において虐待があると思われた場合には、児童相談所等へ通告する」という規定がありますので、これに基づいて「院内体制において虐待が行われていた疑いがあると判断した場合には、児童相談所等に通告するとともに、院内体制の下で虐待を受けた児童への対応を継続する」ということを記載しております。
 3番が臓器移植に関わる部分です。「具体的対応」ということで、(1)「主治医等が家族に対して臓器提供の機会があるということを告げようとする場合には、事前に委員会の委員に経過を話し、必要に応じて助言を得るという手続を経る」とともに、(2)にありますように、「摘出を行う際には施設内の倫理委員会に諮る。これによって手続が行われていたことを確認する」ということです。
 (3)ですけれども、「虐待が行われていた疑いがある児童が死亡した場合には、臓器の摘出は行わない」ということです。また「虐待が行われていた疑いがある児童について児童相談所等に通告している場合には、それらを児童相談所等に改めて確認する」という趣旨を記載しております。なお、ここについては実際に虐待に関して疑われた場合に、警察等の司法機関に連絡をする可能性もあるわけですけれども、警察等に連絡をした場合の書きぶりについては、警察や法務省等に相談をしている途中です。ですから具体的な書きぶりについて、今日の時点でお示しすることはできておりません。基本的には警察に連絡し、その後の対応等についても記載できればと思っているところですが、その点については改めて調整した上でご提示させていただきたいと思っております。
 併せて3の(3)に少し太い括弧で、【P】と書いてあります。このPの部分は意思表示班の報告において、「虐待が行われていた疑いがある児童については、臓器の摘出は行わない」という原則の後に但書きとして、「死因が虐待に関与したものでない場合」とか、「虐待の疑いが否定されたような場合には、臓器の摘出は可能」というように指摘されており、その旨記載するということを検討しているところです。こちらも司法当局に連絡をした後の取扱いについて、記載ぶりが難しいものですから、現時点ではペンディングとさせていただいております。
 ガイドラインの規定ぶりについては以上ですが、ここの部分は資料2-3を用意しております。「マニュアルを設置すること」と書いている所です。その点については別途、通知でお示しすることとしたいと考えて用意させていただいたものです。
 1が「マニュアルの整備について」です。(1)このマニュアルは「臓器提供に関係するか否かに関わらず、当該施設の患者である児童について虐待の疑いがあるかどうかを確認して、その場合の手順について示すものである」という大原則を書かせていただいた上で、(2)にありますように、このマニュアル作成に当たっては、前回ご紹介いただいた研究班のマニュアルとか、日本小児科学会がホームページ上にもアップしている、「子ども虐待診療手引き」といったものを紹介しております。そのほかに行政機関等において作成された指針などがありましたら、これらを参照し、医療機関において虐待対応マニュアルを整備いたします。また、その場合に参照した指針などはマニュアルに明記しておくことを求めています。これは本則のほうに、「新たな知見により改めること」と書いてありますので、当然(2)によりまた新しいものが出てくれば、それに従って改めていただくということを念頭に置いているものです。
 このマニュアルの取扱いですけれども、2(1)以下にありますように、提供施設においては主治医等がマニュアルを使って、臓器提供に関係するか否かに関わらず、所見の有無を確認するというのが原則です。その結果、虐待を疑う所見があった場合には、その児童について虐待が行われた疑いがあるかどうかを、虐待防止委員会などの院内体制の下で総合的に確認していただくように書いてあります。そして、それらが疑われた場合には児相への通告など、必要な対応を行うことというのを入念的に書いています。ガイドラインの規定と併せてご検討いただければと思います。
 戻って資料2-1と資料2-2をご覧ください。資料2-1の2頁の5番です。ここももう1つの別資料をご覧いただきたいと思います。参考資料1というのを、資料2-3の次に用意しております。現行ガイドラインの5に、「脳死した者の身体から臓器を摘出する場合の脳死判定を行うまでの標準的な手順に関する事項」が定められています。「主治医等が臨床的に脳死と判断した場合」ということで、「ご家族について説明をし」云々と書いてあります。
 この規定については、種々のご議論のあるところです。臨床的に脳死と判断した場合については括弧書きで、どういう場合かということが書いてあります。省令と言いますか、「臓器の移植に関する法律施行規則第2条第2項各号の項目のうち第5号の『自発呼吸の消失』を除く、第1号から第4号までの項目のいずれもが確認された場合」と書かれております。この点について大きく言いますと、2つほどご議論のあるところです。1つ目は大きな四角の下に、「検討の視点」と書いてあります。改正法の審議過程において、「脳死」についてはさまざまな議論がされましたが、「法律に基づく脳死判定」とか「臨床的な脳死の判断」というように、「脳死」という言葉がさまざまな場面で用いられています。この点で呼び名の変更も含めて、どのように考えるかということが1つです。
 もう1つの点は「自発呼吸の消失を除く」という部分です。「検討の視点」の2つ目の○にありますように、もともとこの規定は、主治医が家族に説明・確認を行うタイミングを示した規定ですけれども、確認項目に関しての記載が先ほどご紹介したようになっているものですから、臨床的脳死判断に際しては、自発的呼吸の消失の確認が必要ではないといった誤解が生じています。しかしながら脳死については前提条件として、自発的呼吸の消失が必要となっているので、これは基本的に前提としてあるということだと思います。
 ただし一方で、ガイドラインの規定の運用について、臓器提供施設マニュアルにおいて、「法的脳死判定を行うことを前提に臨床的脳死判断を行う場合には、必ずしも無呼吸テストを行う必要はない」と書いてあります。そのテストのやり方の問題を記載する趣旨と混同したことになっているので、その点については整理をする必要があるのではないかというのが、もう1つの検討の視点です。この点については本来、資料2-1にガイドラインの改正(案)を示しているのですが、今回、具体的な案については提示しておりません。委員の皆様のご意見をいただければと考えております。
 そのほかに横長の資料を順にめくっていただきますと、大きい所としては8頁があります。脳幹反射の消失において、鼓膜損傷がある場合の規定をこちらのほうにしております。要は、鼓膜損傷がある場合についても、前回ご報告があった研究報告に定める方法で行うことで構わないということです。その他、関連部分の修正がありますが、主な所は以上です。
○永井委員長 大変量が多く、論点も多いのですが、いかがでしょうか。どこからでも結構です。
○相川(直)委員 今までうっかりしていたので、私は今気が付きました。横長資料2-2の2頁から3頁にかけてです。3頁の上から3行目に、日本小児総合医療施設協議会の会員施設が加えられました。これは小児からの臓器提供には非常に大事なところだと思うのですが、確認いたします。第4項の改正(案)ですと、この協議会の会員施設で、小児ではない脳死した者が出た場合でも提供できるというように読めてしまうのです。それでよろしいのでしょうか。いずれかということですので、小児でない脳死者がこの協議会の会員施設から出た場合でも、そこから提供できるということでいいのですか。
○辺見室長 結論的にはそのように考えております。逆にそれ以外の施設において小児の提供が出た場合に、どのように考えるかということについても、同様にあろうかと思います。基本的に小児の脳死判定基準やその他の条件が、子どもの場合と大人の場合とで違うところがあります。このガイドラインが規定されましたら、いずれかの段階で大人の場合に提供が可能な4類型のうち、脳死下での臓器提供が可能な施設ということを、従前より調査させていただいております。その際に子どもの関係と大人の関係と分けた形で調査させていただいて、そこで区別をしていくことが必要かと考えているところです。
○相川(直)委員 わかりました。それもよろしいかと思うのですが、今度の改正(案)がそのように行った場合に、具体的に大人に関しての脳死の提供というのが、この類型の4施設以外にも拡大されたというようになっています。小児の協議会の会員施設ではほぼこの類型の4施設、大学附属病院、救急医学会の指導医指定施設、脳神経外科学会の専門医訓練施設、救命救急センターとして認定された施設と同様の機能を、成人の脳死の患者についても持っているという判断の下に、そうなっているということでしょうか。気が付いたので、これもやはりはっきりしておかないといけないと思います。
○辺見室長 こちらの改訂部分は、主として子どもについての救急医療をしっかりやる施設ということを念頭に置いて記載しています。もともとこちらの4類型についてはその前提条件として、臓器摘出の場を提供するために必要な体制が確保されており合意が得られているといった規定とか、適正な脳死判定を行う体制があることという規定のあるところですので、少なくともこの部分については、こちらの施設についても同様に限定がかかってくると考えております。
○大久保委員 いまの件で確認します。今度5類型になるわけですけれども、基本的にこの4類型で、各病院が大人についての臓器提供ができる、もしくは子どもについてもできる、両方できるといった形で、1つずつの施設について、その施設が何ができるということをきちんと表明したところにおいてやれるということですか。これは手挙げ方式ですよね。
○辺見室長 そうです。
○貫井委員 一応研究班で検討したのは、いま大久保委員がおっしゃったように、小児の専門医療施設だと大人は難しいだろうから、小児の脳死判定あるいは臓器提供をやる施設と、小児は大変だという所もありますし、成人も小児もできる所もありますから、そういう形で申請をしたらどうかという提案はしております。ただ、それをこれからどうしていくかというのは、研究班ではわからないのですが、提案としてはそういう形です。小児の医療協議会の会員施設は、基本的に小児の脳死判定、臓器提供を考えて加えました。ただ委員の先生の中には、「小児で入院していて、成人になってから亡くなる方もおられるので、そういう特殊な例もありますよ」とは言っておられました。ですから、どういう形になるかはわかりませんけれども、両方を申請して、成人の脳死判定、臓器提供もできるだろうと。ただ患者さんの大部分が小児ですから、特に成人の臓器提供施設を増やしたということではないというように、研究班では解釈しておりました。
○相川(直)委員 質問です。この協議会の会員施設というのは、会員施設になっているけれども小児専門ではなく、さらに総合病院が会員施設になっている所もあるのですか。
○貫井委員 ここに青い「研究班・作業班報告資料」というのがあります。そこに一覧表が出ておりますが、みんな小児の専門病院です。2-2です。前回も説明いたしましたが、国立小児病院ができたのをきっかけに、各自治体あるいは大学で小児専門医療施設をつくったのが、この一群です。ですから救命救急センターの中にあっても、小児専門施設になっておりますので、基本的には小児の高度救命救急医療を行う施設ということです。
○相川(直)委員 そうすると、例えば独立行政法人の国立病院機構の三重病院には、大人の脳死患者が入ることはないのでしょうか。いくつか小児以外の患者さんが入る、あるいは母子総合医療センターになると、お母さんが入って、その方が脳死になるということもあり得るかと思うのです。
○貫井委員 それはあり得ると思います。この小児総合医療施設協議会というのは、小児の高度医療を目的とする施設が会員施設の資格です。さらに教育研究施設も備えている。ですから本来の目的は、小児の高度医療ということになっております。現状ではそこまであれしませんでしたけれども、お母さんとか。
○永井委員長 では、もうちょっと明確に規定しますか。
○相川(直)委員 確かに小児の協議会を入れるということは賛成です。特に小児からの臓器提供に関しては。私が危惧しているのは、その施設で扱っている可能性のある成人の脳死の患者さんも、この類型に入っていればいいのかどうかということです。但書きで、例えばこの5類型の場合には、最後の場合は小児に限定するのかどうかということを、ここで明確にしていただいたほうがよろしいと思うのです。
○永井委員長 趣旨からすると、小児の脳死判定だろうと思うのですが、いかがでしょうか。
○相川(直)委員 しかし改正(案)の第5項から読み取ると、成人でもいけないことはないと読み取れる可能性があるのです。ですから但書きなり何なりで、はっきりとさせていく必要があるのかと思って、いま気が付いてご質問しました。
○町野委員 私は、これは完全にわからないのです。いま言われたとおり、この書き方だと成人が出てもできるという話ですよね。成人を除外する理由があるように今おっしゃいましたけれども、その判断次第だろうと思います。小児の脳死判定のできる所でも、成人はできませんということがあるのかというのが、私はちょっと分からないのです。
○貫井委員 基本的には先ほども言いましたように、小児の脳死判定、臓器提供の施設ということで検討いたしましたが、委員の中には、小児が成人になってから亡くなる、入院中に亡くなる方もおられると。その歯止めは、小児も成人も脳死判定ができますというように手を挙げるか、小児だけに限定するかです。申請は手挙げ方式ですから、これからそれらの形を採るかどうかです。そこら辺は提案しておりますが、まだ固まっていないのではないかと思います。よくわかりません。研究班としては3つ、成人だけ、小児だけ、成人と小児という形で、手挙げ方式でやられたらどうかという報告書を出しております。これは厚生労働省のほうに聞いたほうがいいかもしれませんけれども、どこまでそれが進んでいるのか。
○永井委員長 事務局、いかがでしょうか。少し整理をして、それぞれのミッションを明確にしておくということですね。
○辺見室長 先ほどお話したつもりだったのですけれども、不十分だったのかもしれません。申請方式というか、現行においても4類型470施設のうち、何施設において脳死判定ができるかということを調査しているわけです。今般のガイドラインの制定後、子どもと大人と両方できる場合、子どもだけできる場合、大人だけできる場合といったように、分けて調査をさせていただきます。「申請」という言葉は当たらないと思いますけれども、調査を行う際にそのような形でさせていただくというように考えております。
○永井委員長 調査の結果を踏まえてどうしますか。
○辺見室長 調査というのは、「脳死判定ができる」と言っている施設がいくつあるかということです。現行においても470施設のうち、330施設余りができるということを調査した上で、その中で名称を公表しても差し支えない所について、名称を公表するという取扱いをさせていただいておりますので、同じような形を考えております。
○永井委員長 つまり調査をして、それぞれの病院ごとにどこまでできるかということを明確化しておくという方針ですか。
○辺見室長 まず調査の段階では、病院ごとにどこまでやる体制をとっているのかということを把握させていただきます。併せて、その調査結果を公表することについて同意をいただける所については、公表させていただきます。
○永井委員長 そういうことでよろしいでしょうか。
○町野委員 確認です。このガイドラインの書き方はこのままであるということですか。要するに、手を挙げて「自分の所は小児についてもやりますよ」と言う所があれば、そこが本当にできるのかということを厚労省のほうで調べた上で、それが妥当だったらそちらも認めると。そういう話になるから、まずは手挙げ方式プラスという話になるわけですか。そうすると、ここの所で何も書く必要はないという話ですよね。そういうことでよろしいでしょうか。
○辺見室長 いま私がお話した前提としては、ここの所には書かないけれども、調査において分けるということです。
○大島委員 調査をするということは、資格があるかどうかを判定することになりますよね。ということは、その判定する基準が、前はここに4類型に分類してあったということは、4類型に該当する施設は十分に脳死判定ができる施設であるというのが前提になっていたような感じがするのです。したがって、手を挙げたら無条件に十分できる施設であるということで認定をしていた。
 実際にはその調査というのか、何かを調べて基準に合致しているかどうかというところまではチェックしていなかったですよね。これからそれを改めて、日本小児総合医療施設協議会についてのみそれをやるのか。やるのかというのは、ある一定の判定基準のようなものを決めて調査をするのかという話になるのですけれども、そういう意味ですか。
○辺見室長 現在のガイドラインに定められております、例えば適正な脳死判定を行う体制があることといったようなことは当然かかってきます。それ以上別途の基準を定めて判定をするということではなくて、あくまで基本的にこのガイドライン第4-1及び2に該当し、3に該当するということであれば、あとは脳死下での臓器提供施設として、どういう意向を持っているかということについてご回答をいただくということです。それ以上詳しく基準を定めて判定をするということで考えているわけではありません。
○永井委員長 各施設の意思に任せることになりますが、そういうことでよろしいでしょうか。
○奥山委員 ここでいう小児というのは、結局15歳未満という形になるわけですね。いままでなかったのが、新しくということであれば。そうなってくると、先ほど貫井先生がおっしゃったように、慢性疾患であるという方々は大体20歳過ぎまでは大抵診ているわけです。そういう方が脳死になったときにはできないということになってしまうので、その辺はあまりきちんと15歳未満だけですと言ってしまうのもいかがなものかという気はいたします。
○山本委員 私は、これと同じような趣旨で前々回質問をさせていただきました。そのときに貫井先生も18歳以上で診ている患者さんがそうなった場合には、やはり脳死判定をしてもいいのではないのかということが私の記憶では出ておりましたが、それはそこでもう既に終わっていたのではないのかと思っていま聞いていました。議事録を見たらわかります。
○永井委員長 もう一度明確化するという意味でも、ここのところはよく詰めておきたいと思います。
○山本委員 15歳ではないということは、小児という場合なら18歳というのが当然だと思います。
○永井委員長 事務局はいかがですか。
○辺見室長 年齢のところだけですが、いまのガイドライン案を前提とさせていただけるのであれば、具体的に基準が変わるところというのは18歳のところで虐待の体制のところは変わってまいりますので、線引きとしてはここがよろしいのかと考えております。
○永井委員長 そうすると、20歳はできないということになるわけですね。18歳以下といえば、いままでケアをしていた患者さんが20歳になった場合には対象にならないと。
○大久保委員 だから、病院自体は別に年齢を問わずにできるという。
○永井委員長 していればいいのですけれども。
○大久保委員 自分の所は小児もできるし、それより大きくなった人もできるというふうに、そこが表明されればそれでできるという。
○永井委員長 そうなのですが。
○大久保委員 18歳以下しか絶対にできませんと言われればそれしかしようがないです。
○永井委員長 そこをよく説明して、各病院に表明していただくことにいたしましょうか。ここに文章としては書かない、しかし実際の運用上は厚労省のほうから各病院に方針を表明していただくという整理にしたいと思います。
○相川(直)委員 確認ですが、先ほど私が言った趣旨で、例えば60歳の患者さんがこの協議会の会員施設に救急で運ばれてくるというのは、三重病院とか何とかでは必ずしも小児だけに限定していませんからあり得るわけですよね。そこで脳死になった場合でも、自分の施設で判定ができると手挙げをした施設ならば前の4類型、つまり大学附属病院でもなく、指導医指定施設でもなく、脳神経外科のA項でもなく、救命センターでもなくても、小児の協議会の病院であれば臓器提供していいというふうに読んでよろしいということですね。これは確認ですけれども、そういうことでいくということでよろしいのですね。
○永井委員長 よろしいですか。
○辺見室長 そのような案で考えておりますけれども、先ほど貫井先生がおっしゃられましたように、基本的にこれらの病院の多くの所では小児が前提になっているという前提で、このような案でいかがでしょうかということです。
○相川(直)委員 それはいいのですけれども、成人が入った場合でも、この協議会の指定施設で、自分の所で手挙げをしていればよろしいということでいいのですね。ガイドラインの読み方としては。
○永井委員長 救急で担ぎ込まれたときです。
○相川(直)委員 子どものときから診ていて、だんだん年を取ったと。私の質問の趣旨はそういう例ではないのです。最初から成人の脳死対象患者がこの施設に、施設というのはその部門の小児科部門という解釈ではなくて、施設となればその病院ということになりますので、その病院に入った場合でも、前の4類型には該当しないけれども、成人もその施設が手挙げをしていればここでやっていいというふうに読んでよろしいというのか、それを確認したのです。
○貫井委員 いま先生がおっしゃっている施設、特殊な施設はたぶんほとんどが4類型に入っている施設なのです。小児に特殊な施設以外は、救急医療をやっている施設です。確認はしなければいけませんけれども、いままでの4類型に入っているのです。だからダブルになっています。
○相川(直)委員 4類型に入っているのならば、あえて書く必要はないのではないですか。
○貫井委員 いやいや、小児だけの施設はいままでの4類型の中に入っていませんので入れたのです。入れた中に、既に4類型に入っている施設も入っています。ですから、国立病院機構はたぶん、例えば脳神経外科A項施設に入っていると思います。そういう事情もあります。
○相川(直)委員 それでは確認をしていただくとか。
○貫井委員 特に小児だけとここに書いてあります、例えば宮城県立こども病院などはいままでの4類型には入っていません。特に、小児の高度救急医療をやっている病院ですから、個々の病院を入れるわけにはいきませんので、ある塊として入っていただいた。それは4類型でも、国立法人病院は救急も入っていますし、脳外科も入っていますから、同じことがたぶん起こっているだろうと。ですから、先生がご心配になっている病院は、既に4類型に入っている病院がほとんどだと。
○永井委員長 でも、例外があって混乱が起こるといけませんから。
○相川(直)委員 私はそれを言っているので、「たぶん」というところを確認していただければ。
○永井委員長 そこをちょっと。
○相川(厚)委員 大阪の母子保健センターとか、聖マリアンナ病院の母子総合医療センターは、出産の場合にお母さまが脳死になることもあり得るわけですから、その辺もよく考慮していただいたほうがよろしいと思います。ここはまず4類型に入っていないと思います。
○永井委員長 事務局のほうでは、それを各施設にきちんと表明していただくと、この情報を求めるということでよろしいですね。ですから小児でなくても、アダルトで脳死の状態になり得ると。そこも対応しますと言った所は対応できるということですよね。そういうことでよろしいですか。
○辺見室長 基本的にこの原案の考え方は先ほど申し上げましたとおりですけれども、最終的にこの考え方として、18歳未満のところで制限を付けるのかどうかということが論点ということです。いまの私どもの原案でご了承がいただけるようであれば、それで進めたいと思いますし、もし18歳未満ということで限定を付ける必要があるのであれば、そのような修正も考える必要があると思います。
○永井委員長 もう一度明確に。例えばお母さんが脳死になったときにも対象とするかどうかは表明次第だということでよろしいのですか。
○辺見室長 現在の私どもの案はそのように考えた案というふうにしているところですので、それを前提にご議論いただければと思います。
○奥山委員 その表明のときに、それぞれの施設の特徴といいますか、事情があるのではないかと思うのです。いま18歳で一律切ってしまうと、例えばいままでの施設でも、子どもに関しては6歳未満はちょっとと。でも6歳以上だったらできる、18歳まではという施設もある可能性があるのではないかと思うのです。それを一律18歳でやりますか、やりませんかと切って表明させるというのは、ちょっと施設に合わない可能性が出てこないかなと危惧するのです。
○永井委員長 そうすると、もっと細かい表明の仕方があってもいいということですか。
○奥山委員 あるいは、表明はもっと大雑把にしておいて、事実上どういうふうにそれぞれの所が運営していくのかでいいのか、その辺は私の判断には難しいです。
○小中委員 体制が整備されていれば、脳死臓器提供が可能であるというところから考えますと、成人の場合はいままでの法的脳死判定ができる体制があるということが1つだったのですが、今回は虐待防止委員会のこういう院内体制ができている。虐待に関しては、18歳未満ということが明確にされておりますので、その両方の体制が整っていれば、すべての方ができるし、虐待の体制ができていなければ、それと小児の脳死判定ができなければ、成人しかできないという体制の整い方によって分けることが可能だと思います。ですから、ここのガイドラインはこのままお書きいただいて、なおかつその病院で整っている体制に応じて提供できる、できないということでよろしいのではないかと思うのです。
○永井委員長 それが、いちばん現実的な対応ですかね。文章については事務局でまとめていただきたいと思います。第4については、一応いまのような取りまとめでご了解いただいたということで、第1に戻りましょうか。1から順番にご意見をいただきたいと思います。
○山本委員 1の(1)のところですけれども、脳死の判定というのが、法に基づく脳死判定というのが1の(1)には出ています。
○永井委員長 資料2-2の1です。
○山本委員 すみません、大体同じようなところだと思います。いま私は2-1の(1)の概略のところでご容赦いただきたいと思います。「法に基づく脳死判定及びその者からの臓器摘出は行わない」というところの、最後の「臓器摘出は行わない」のところは、もちろん脳死だけではなく、心臓死のところも臓器移植は行わないというふうに解釈してよろしいのでしょうか。ここのところはどのように見ているでしょうか。
○辺見室長 ご指摘のとおり、心臓死も含めてということです。
○山本委員 両方を含めてということで。その辺のところが、全体を通して脳死という概念が、臨床的脳死というのもあるし、途中で法に基づくというのがなくなった脳死判定というのもある。法に基づくというのと、法的というのもある。私は、結論的には臨床的も何もなく1つでいいのではないのかという意向であります。
○永井委員長 臨床的でなくというのはどういうことでしょうか。
○山本委員 臨床的脳死の判定あるいは判断というのは、自発呼吸がないときの1つの過程で我々は現場ではやっているわけです。もちろんそこで終わる患者さんもいるし、自発呼吸の消失というところまでやらなければいけない患者さんもいますし、その流れの1つであると考えれば、この際脳死の判定というのはさっぱりしてもいいのではないのか。これが事務局の腹案でもあるのかもしれないと考えながら話をしています。
○永井委員長 具体的にどの文章が問題になってくるかということなのです。
○山本委員 問題というのは、全体の流れの中で具体的なところをお話させていただくと、例えば資料2-1の5、2頁目の5というのは「脳死した者からの」という、この「脳死した」というのは法的な脳死の話をしているのだろうと思います。
○永井委員長 資料2-1の2枚目の5ですね。
○山本委員 はい。あるいは6の脳死判定というのはどこまでを言っているのか。
○町野委員 先ほどの「脳死判定及びその者からの」云々のところに限って言いますと、いまのご意見ですと、要するに臓器提供はこういう人からはやってはいけないということなのだから、脳死判定も書く必要がないと。おそらく心臓死だろうと何だろうと臓器提供を見合わせる。それがあれば、脳死の人だって脳死判定しないわけですから同じで、前のところは要らないということで書くと。ところが、それが書いてあって、「その者から」と書いてあるから、日本語の意味として脳死判定を受けた者からとしか読めない。それで混乱が生じているのだろうと思います。
 事務局の意向だし、法律のほうの作業班の考え方は、とにかく脳死だろうと心臓死だろうと、とにかくこれはしないということなのだということで一致しておりますので、そのように書き直していただいたほうがいいのではないかという具合に思います。
○山本委員 なるほど。
○奥山委員 質問なのですが、例えば私は心臓が動いているうちに取り出されるのはいやだな、でも心臓が止まったらいくらでもあげてもいいなという人がいた場合にはどうなるのですか。
○町野委員 知的障害者については、そのときにもやらないという話だろうと思います。
○奥山委員 知的障害ではなくてです。
○町野委員 それは、いまのところ本人の意思を尊重することになっております。
○奥山委員 脳死判定はしないけれども、心臓死後の臓器移植はということですね。
○町野委員 はい。
○奥山委員 これを読むと「又は」が上にあって、下が「及び」になっているので、両方できなくなってしまうかなという気がするのです。
○町野委員 知的障害者については両方できないと。
○奥山委員 知的障害ではなくてです。資料2-2の第1の2項目です。
○町野委員 私が問題にしていたのは3項目でした、失礼しました。
○永井委員長 3項目はこの前もだいぶ議論して合意が得られていると思うのですが、2項目のところを明確化していただけますか。
○町野委員 3項目のところは先ほどのようなあれでよろしいのでしょうか。私は、ずっと3項目のことを問題にしていました。要するに心臓死だろうと、脳死だろうと臓器提供は知的障害からは認めないということだと、脳死判定だとかそういうものは要らないので取ってしまったらどうかという意見だったのです。この点はそれで決着がついたのでしょうか。2項目のほうはまたちょっと。
○奥山委員 山本委員がおっしゃっていたのも2項目だと思うのです。
○永井委員長 そうです、山本委員は2項目のことを言っていたのです。
○町野委員 それは失礼しました。
○永井委員長 2項目からいきましょう。2項目はここをどのように書くか。「脳死判定及びその者からの脳死下での臓器摘出は行わない」、あるいは「心臓死後も行わない」と書くのか。2項目の最後のところですが、「その者からの臓器摘出は行わない」というのは、どこまでをカバーするのかということだと思うのですが。
○辺見室長 精査いたしたいと思いますけれども、1つの提案といたしましては、先ほどの「これらの意思表示を行った者に対する法に基づく」の後ですけれども、「法に基づく脳死判定又は臓器摘出は行わない」ということで短くして「又は」でつないでしまうというのも1つの表現かと思います。
○永井委員長 「脳死判定又は」。
○大島委員 「臓器摘出は行わない」だけではいけないのですか。脳死判定しようが、しなかろうが関係ない話ですから。「これらの意思表示を行った者に対しては臓器摘出は行わない」。
○大久保委員 臓器摘出するための脳死判定。脳死の場合は脳死判定しなければいけないわけだから。
○相川(直)委員 臓器摘出を行わないのだから、脳死判定する必要はないです。
○奥山委員 それが私の質問だったのですけれども、脳死下ではいやだ、でも心臓死下では臓器摘出はしてもいいというようなことが意思表示されていた場合に、「臓器摘出は行わない」となってしまうと、心臓死でも摘出は行わないということになりませんか。
○大島委員 もしそれを入れるとすれば、これは初めから全然違ってくる話になってしまいます。要するに「臓器を提供する意思がないこと」と書いてありますから。
○奥山委員 「又は」なので、「又は法に基づく脳死判定に従う意思がないこと」というどっちかという意味ですよね。「or」ですから。
○大島委員 ああそうか。
○貫井委員 わざわざ「法に基づく脳死判定に従う意思がないこと」と書いてあるのは、臓器提供の意思がないことだけでは駄目なのですか、その意図がちょっと。脳死判定の意思、これは臓器提供を前提にした問題ですから、臓器提供しないと言えば、脳死判定の意思はもう関係ないのだと思うのです。
○町野委員 奥山委員の言われるのは、先ほどのようなことで、脳死でない心臓死のときの臓器の提供はいいけれども、脳死臓器移植はいやだという人がいると、それも尊重されるべきだということで、それは皆さんそうだろうと思いますので、そのような書きぶりになればよろしいということですよね。だから、これは2項の前のほうが「臓器提供する意思がない」というので一般的に書いてあって、次に「脳死判定」云々で、後のほうになると今度は脳死判定が先になって、臓器提供が後になっているので非常にわからないというだけなのです。いまの奥山委員の意見のようなことで大体了解はされているわけですから、書き様をいまのことをはっきりさせるということでいいのではないかと思うのです。
 もう1つは脳死判定のことを書くのではなくて、現行臓器提供のことだけ書けばいいではないか。例えば、脳死臓器提供は拒否するということでもいいのではないかというのですけれども、今度できた法律でも、一応脳死判定拒否権だとか、そういうことを軸に脳死の臓器移植が組み立てられておりますので、それでこういう書き方になっているのだろうと思います。確かに、それでだんだんわからなくなってきているということです。意図は、奥山先生の言われるとおりだろうと思います。
○永井委員長 A or Bでないというのはなかなかわかりにくい表現です。ですから、そこはもっと明確に、何ができるのかというふうに書いたほうがいいと思うのです。あるいは何ができないのかということを、それぞれ1つずつ。ですから、まずは脳死判定及びその脳死下での臓器摘出は行わないというのが1つあって、しかし心臓死後の移植については、その人の意思に従うということですよね。
○町野委員 もう1つ、「いかなる状態でも提供しない」という意思も尊重されるという話ですよね。
○永井委員長 そういう意思もあるわけですね。それを1つずつ分けて明確に書いたほうがよろしいと思います。
○長岡補佐 ご指摘のとおりでして、いまの書きぶりは、脳死下でも心停止下でも提供したくないとか、心停止下であれば提供したいけれども、脳死下では提供したくないとか、そういうものもすべて読み込むような形で記載しております。それがわかりにくいというご指摘だと思いますので、表現ぶりをわかりやすくする形で検討したいと思います。検討後の案文は次回にお見せできるかと思いますのでよろしくお願いいたします。
○永井委員長 第2項についてはそういう整理にいたします。第3項については、先ほど町野委員からご意見がありましたが、これについてはいかがですか。
○町野委員 先ほど誤解した意見をごちゃ混ぜにしてしまって申し訳ありませんでした。第3項については、まさに知的障害者についてはどのような状態でも臓器の提供はしないということに決めたということですから、いちいち脳死判定だとかそれを書く必要はないのではないかというのが先ほどの意見で、非常に短くなりましたので、かえって現在はややこしくなっているように思います。
○永井委員長 この書きぶりで、そこは十分に伝わりますでしょうか。
○町野委員 いいえ、先ほど申しましたとおり、後半のほうはもっと短くなるだろうと。要するに「知的障害者等からは臓器の提供は一切認めない」という書き方で、非常に短い文章になる。
○大久保委員 ここの「法に基づく脳死判定及び」が要らないわけでしょう。基本的には「年齢に関わらず、当面その者からの臓器摘出は見合わせる」ということでいいわけですよね。
○町野委員 私はそう思います。
○大久保委員 そうですよね、私もそう思います。
○町野委員 ただ、「脳死判定」という言葉が、かなり中のほうで現行使われているので、それにおそらく配慮した書き方になっているのだろうと思います。
○大久保委員 いちばん最後のところだけポコッと「脳死判定」が出てくるから、非常に奇異な感じがします。この部分を取ると、明確に心停止であろうと、脳死であろうと臓器提供しないということがはっきりします。
○辺見室長 おそらく町野先生のご指摘は、最後の「当面」の後の「当面その者からの臓器摘出は見合わせること」と短くするという趣旨かと思います。右側に現行が「法に基づく脳死判定は見合わせること」とありまして、ここに臓器摘出も含まれるということを追加して書いてあるというのが経緯です。趣旨的には「臓器摘出は見合わせること」と書けば全部包含されているということで修文するように考えたいと思います。
○永井委員長 そういうことにしたいと思います。
○奥山委員 こだわらないのでこのままでいいのですけれども、正確には「知的障害者等の臓器提供の拒否に関する有効な意思表示」ではないかと思ったのです。
○永井委員長 そこに「拒否」という言葉を入れるかどうかです。
○奥山委員 無理しなくてもいいかもしれません。
○貫井委員 拒否でも、現在の場合は知的障害者が出したいと言っても出せないという状況にあるので、拒否だけではないのではないでしょうか。臓器提供したいと言っても駄目なわけですから、これでいいのではないですか。
○永井委員長 そういうことで第1は整理させていただきます。第2についてはいかがですか。
○長岡補佐 第2は親族優先の部分ですので、今回の改正はありませんので、第3のほうに行っていただければと思います。
○永井委員長 はい、第3の論点のポイントをご覧になりながらご意見を伺いたいと思います。「喪主又は祭祀主催者となるべき者」というところが、「これらの者の代表となるべき者において」ということですが、この書きぶりでよろしいでしょうか。それから「なお死亡した者が未成年だった場合には、特に父母それぞれの意向を慎重かつ丁寧に把握すること」を追記していますが、これもよろしいでしょうか。そういたしますと、第3についてはこの提案のとおりとさせていただきます。
 第4については、既に先ほどご議論いたしましたので第5にまいります。
○山本委員 4頁目の(2)のところで「児童相談所等へ通告するとともに」の「等」というのが、先ほど事務局がお話の、警察とかあとはどこかわかりませんが、それを言っているのでしょうか。私は「等」は要らないのではないかと思いましたが、いかがでしょうか。
○辺見室長 4頁の上段の(2)ですが、「児童虐待防止法第6条第1項の規定により」というところでかかっております。児童虐待防止法第6条第1項は児童相談所のほかに福祉事務所等を規定しておりますので、こういう所が入るという意味で「等」ということです。「等」の内容は、虐待防止法に遡って確認されるということです。
○山本委員 ここに警察などが入っているわけではないですよね。福祉事務所はわかりますが。
○辺見室長 答弁が漏れましたが、警察は入っておりません。
○木下(茂)委員 温度差があると思うのですけれども、現実に大学附属病院の病院長とかをして対応しているときには、虐待の可能性があるとか、虐待が非常に疑わしいという場合は自動的にというか、いままでは警察に報告してきています。そして、そこで法医が関係してきて、非常に犯罪的な意味合いのところを否定しきれないところがあります。温度差があるので、すべての施設がどうかはわかりませんけれども、児童相談所へ報告するというよりは、警察は自動的に関与してくる、あるいはそこを外すことはできないような状況で対応していたのですが、それはどうでしょうか。
○永井委員長 それは警察の関与。
○奥山委員 それは、死亡事例ですか。
○木下(茂)委員 死亡事例でなくても、極めて虐待が直接に関係している場合です。
○奥山委員 虐待の通告先は児童相談所もしくは福祉事務所なので、そこにまず通告することが我々の義務なのです。警察へ通告してもいいのですけれども、要するに事件性のない虐待というのは山のようにあるわけです。
○木下(茂)委員 それはそうです。
○奥山委員 我々の所でいうと、警察に通報するというのは死亡に近いもので。
○木下(茂)委員 ここで話になっているところの、虐待には2種類のものがあると思うのです。虐待が生命に関わるような、これは脳死の判定のところにかかってくる虐待の話と、そうではなくて虐待もあったという話と事象として2つが混ざっていると思うのです。
○奥山委員 それでは両方必要なのだと思います。子どもたちをそのまま置いておいて、子どもの火遊びで火事になったというのはネグレクトです。直接的にかなりのあれで死に関わるということになりますので、その場合に警察に行っても事件になるかどうかはわからないのですが、そういうのも虐待は虐待だと思います。
○木下(茂)委員 ここは2つのことが混ざっているように思いますので、そこのところはある程度明確にする。事件性があるというか、警察が関与する話の虐待とそうでない虐待が混ざっているのが1つに記載されているように思えるのです。
○町野委員 法律のほうの作業部会にいた立場から申し上げますと、1と2は児童虐待の防止についての一般的なことを言っています。この程度のことをしておかないところではまず駄目だということを言っているので、そのために先ほど2の(2)のところで、通知についても児童虐待防止法の体制においてはこういうことになっていて、警察への通報は義務づけられていないから書いていないだけで、実際上はそういうことがあるということです。
 つまりここの書き方として、臓器の提供をするから児童虐待のことを発見しなさいということは言ってはいけない話です。すべての場合にこれはなければいけない話ですから、その体制をまず確立しなさいということをここで言っていて、そして問題はこの体制に乗ったとき、つまり虐待として通報のほうに行った、あるいはそこまで行かなかった。その後の流れが3のところにあるわけですから、1と2のほうは臓器提供とは直接の関係はないということでご理解をいただいたほうがいいように思います。
○木下(茂)委員 ですから、私は先ほどの「等」も含めて1と2のところについてはあまり異論はないのですけれども、3の具体的対応のところの書きぶりです。どう書いていいかわからないですし、法務との関係のことで書きぶりが変わるということを言っておられますけれども、ここには2つのことが混ざっているのではないかと。
○永井委員長 そうしますと2の(1)(2)はとりあえずこのままでもよろしいと。むしろ3が議論になるということですが、そういう理解で3についてはいかがでしょうか。
○大島委員 確認なのですが、1と2が仮にないような救急病院で、前の4類型の中に入っているような所で、明らかに交通事故のような、虐待とは全く無関係のような形で小児が運ばれたケースがあった場合にはできないわけですね。そこには虐待防止委員会等のあれはないというようなケースの場合は、臓器提供に結び付くということはあり得ないと判断してよろしいわけですね。
○永井委員長 そういうことですね。
○辺見室長 18歳以下の児童についてはそのとおりだという案です。
○相川(直)委員 全く素人の質問で恐縮なのですが、児童相談所というのは、24時間365日受付及び対応可能なのでしょうか。
○奥山委員 昔、委員会で24時間365日対応するようにということで、そちらの方向に向けて努力がなされていて、ほとんどの場所で大丈夫になっていると私は認識しています。児童相談所そのものが受けるのではなくて、例えば一時保護所で話を受けて、児童相談所の人に電話でつなぐというような形での対応があったり、対応はいろいろですが、窓口には通じることになっていると思います。
○相川(直)委員 お聞きした理由は、通じたのですけれども、翌日に対応しようとしていたら死亡したという事例もつい最近あったように思います。
○奥山委員 それは結構あると思います。もう1つ、いまは共通ダイヤルを作り、そちらにかけていただいて、地域の児童相談所にというような方向でも整備がされてきていると思います。これから整備をもうちょっと進めなければいけないと思います。
○相川(直)委員 この件はこれで結構です、ありがとうございました。
○大島委員 こだわりたいのですが、いままで心臓死で小児から提供されていたというようなケースは、これからはどうなるのですか。
○辺見室長 現在案としてお示ししておりますのは、この7月に施行される改正法の附則第5項の具体的な対応方策ということです。したがって、改正法施行後、このガイドラインに沿ったような形で運用するということで案を作成させていただいております。これまではということについては、これまでは適用がないということです。これまでできたようなものが今後どうなるかということについては、逆にお話をすれば、これまではこういった虐待に関しての規定がないわけですので、それがいきなり問題になるというわけではないということです。
○大島委員 虐待があるかどうかということについては、いままでそれを議論しなかったというだけで、脳死であろうが心臓死であろうが、その状況については関係ないですよね。脳死の場合だけこういう委員会がなければ駄目で、心臓死の場合は委員会がなくてもいいのですよというような解釈の仕方で通るとはとても思えないのです。
○辺見室長 その点については、横長の改正案の第5の1と書いてある上ですが、「脳死・心臓死に関わらず」ということで記載をさせていただいております。条文の趣旨からいっても、両方関わるということです。
○大島委員 そうすると、いままでに比べて随分臓器提供が減ることが想定されると思いますが、そういうことですよね。
○永井委員長 新しいこのガイドラインに従ってやっていただくしかないですね。
○町野委員 確かにそういうことだろうと思います。こういうちゃんとした制度というか、それを備えていない施設では、腎臓の提供などは小児からはできないということだろうと思います。おそらく虐待死した児童からの臓器の提供を認めないという趣旨だとする、というのは法律ですから、そうすると大島先生がおっしゃられたように、脳死だろうと心臓死だろうとその区別はないはずです。これを区別することはできない。
 ただ議論の過程で、小児脳死臓器移植に対する反対はかなり強かった。そのために脳死のことが引っ張ってこられて、最初は脳死だけの問題だというような受取り方がされたのですけれども、それはおそらく誤りだったということだろうと思います。これをやる以上は、この点まで覚悟して、臓器の提供は減るだろうということは覚悟せざるを得ないということはそのとおりだろうと思います。
○大久保委員 眼球もそうですよね。これは眼球も入りますね。要するに18歳未満については、眼球の提供も全部同じそういう施設でなければ駄目だということになりますね。
○永井委員長 その他いかがでしょうか。
○奥山委員 できれば、3の具体的対応の最後のほうに、一度疑われて除外されても、その後さらに検討がなされて、虐待でなかったということになったときにはできる、というようなことを少し入れておいていただいたほうがいいのではないかと思います。
○永井委員長 どういう状況を想定されているのでしょうか。
○奥山委員 例えば、頭蓋内出血があって、これは虐待ではないかということが疑われた。例えば身体にちょっと痣があってですね。ところがしばらくして、身体の痣のほうは何らか体質の問題があったというようなことで、これは虐待ではなくて、実際に本当にここから落ちたという所がかなり高い所から落ちればこういうことがあり得たということがわかれば、疑いで一旦は除外しても、また元へ戻るということはあると思いますので、そこはきちんと検討していって、そうでなければ対象になるのだということを入れておいていただいたほうがよろしいのではないかと思います。
○貫井委員 それは3の(4)に書いてあることではないのですか。疑ったけれども、臓器提供を考慮する状況になった場合には、もう一度児童相談所に説明しなさいと書いてある。わかりづらい文章ですけれども、たぶんそういう意図だと私は思います。
○奥山委員 そうなのですけれども、児童相談所だけで決まるものでもないかなと思ったのです。
○辺見室長 両先生ご指摘の点ですが、両方ともそのとおりです。(4)を書いた理由は、そうした事実がないというような場合を確認するための手続の一環です。奥山先生がおっしゃられたのは、実は児相に聞かないでも、医療機関の中でわかるようなケースかもしれませんが、そのようなことも念頭に書いたものであることは確かです。
 (3)の後に【P】と書いてありますのは、意思表示班の報告の中で、既に虐待が児童の死亡に関与していた疑いや、虐待を受けた疑い自体が否定された場合には、臓器提供可能というようなご指摘がされておりまして、できればこのような書きぶりをしたいと考えております。この点につきましては、先ほど私が早口で申し上げたので説明不十分だったかもしれませんが、法務省や警察当局とどういう書きぶりが可能かということについて調整をさせていただいているところですので、可能な限り何か書くような方向で検討していきたいと思っております。
○大久保委員 1のいちばん最初のところに、「虐待防止委員会等の、虐待を受けた児童への対応のために必要な院内体制が整備されていること」の「等」というのは、この委員会でなくてもいいということですか。この「等」は何を想定しているのですか。
○貫井委員 いろいろな呼び名があります。ですから、被虐待児を除外できるというか、そういう機能を持った委員会という意味だと思います。いろいろな呼び名があって統一できないので「虐待防止委員会等」としたのだと思うのです。
○辺見室長 そのとおりです。
○大久保委員 ということは、それに準じる委員会があるということですね。それがあることということですね。
○辺見室長 はい。
○永井委員長 第5についてはよろしいでしょうか。
○相川(厚)委員 木下先生がおっしゃいましたように、臓器移植関連学会協議会でも、被虐待児の対応については、警察に一応通告したほうがいいのではないかということが出ておりますが、この文言の中には一切そういうものがないですね。
○辺見室長 大量に説明をした中で流れてしまった可能性があるのですけれども、警察等への連絡というのも実際あり得るところですので、何らかの規定ができればと考えております。いまのご議論の過程で出たところでもありますが、虐待防止法は義務の規定があるのですが、警察についてはどういう場合に通報するのだというような義務規定がないのです。
○相川(厚)委員 それは、被虐待児を保護するための法律であって、犯罪を見つけるための法律ではないのですね。
○辺見室長 はい。
○相川(厚)委員 だから、そのように議論が噛み合わないことになってしまうと。
○辺見室長 警察についてはどういう場合に通報をどのようにして、その後の対応はどうするかということについて、警察及び法務省と調整をさせていただいているところですので、その上で規定ぶりを考えさせていただきたいということです。
○町野委員 この3以下のところは次のような理解だろうと思うのです。子どもが運び込まれてきたときに診て、それで虐待の可能性があるというときについては何か対応をとるだろう、あるいはとらなければいけない。そのときに、ここには書かれていないけれども警察へ通報というのもあるだろうと。これは児相だけでは足りなくて、最初から捜査をして何かしなければいけないと思われる事例があるときには通報する。
 いずれにせよ、このようなアクションがとられたときについては、虐待が存在する疑いがかなり強いということになりますから、そこから児童が死亡したときについては、これは基本的に摘出を見合わせる。それが否定されて、いや実は全然関係なかったということがわかったときについてはもちろんできますよということだろうと思うのです。その仮定で書かれておりますから、そのために前の1と2のところで、虐待一般についての対応の仕方を書き、それで3のほうでそれを具体的に適用するとどうなりますかという書き方になっているということだと思います。
 中で難しいのは家族への対応をどのようにするかという話です。通報がなされるときについてもそうです。これは臓器提供とは無関係に、とにかく通報がなされるときについても、ご両親との関係というのは考えなければいけないので、医療機関はかなり大変なことになると思います。
 他方、臓器の提供があったときについては、全部虐待を疑ってかかれということになりますと、これは到底立ち行かない制度になります。そのために苦労して、ここのところで3の(1)のような非常に苦労した書き方になっているということです。私は基本的にこのような行き方でやるしかないのではないかと思います。
○奥山委員 おっしゃるとおりだと思うのですけれども、(1)に関しては臨床でお子さんの生命を助けようとするときには、例えば4カ月の子どもが、ベッドのほうでドスンというすごい音がしたので行ってみたら状態が悪くなっていたとお母さんがおっしゃる。そのときに、例えば4カ月の子をどこに寝かせていたのか、床は何だったのか、寝返りはする子なのかしない子なのかというところまできちんと聞いていないことが結構多いのです。とにかく生命を助けることが最優先なので、治療に対しての情報しか集めていないのです。
 ですから、院内の委員会に、こんな子がいるのですと言っていただければ、そのときのベッドの高さはどうだったのですか、床はどうだったのかしらというようなことをもう一度聞いてもらったりしないと、その情報が集まらないことがあります。そういう意味で相談をしてほしいというようなことで、直接その委員会が親御さんから話を聞かなくても、主治医がそのときの状況をもう一度聞くことで用が足りる部分はあるのではないかと思います。
○永井委員長 その辺の書きぶりも、次回事務局からご提案いただくことにいたします。最後に第6についてご意見をいただきます。
○相川(厚)委員 参考資料1の検討の視点の2番目の○なのですが、「自発呼吸の消失」というのは、文脈から見れば当然無呼吸テストをやらなくてもいいということだと思うのです。これだけ見ると、呼吸していても臨床的な脳死を診断してもいいというふうな誤解を非常に受けると思います。これは、書いてあるとおりだと思います。
 実際にテレビの報道で子どもたちが出ていましたけれども、見ますと呼吸器を付けていなかった子どももいたように思います。テレビではその子どもが脳死だということで随分報道し、非常にキャンペーンを張っていたことがあります。マスコミは、場合によってはこのように誤解している可能性があるのではないかと感じています。この書きぶりをきちんとした形で書いていただかないと、また世間に非常に誤解を呼ぶことになるので、無呼吸テストはやる必要がないということの趣旨を含めもう少し詳しく記載することを考慮していただきたいと思います。
○永井委員長 これはガイドライン改正案の何頁に相当しますか。
○貫井委員 第6の1の(1)です。
○永井委員長 何頁ですか。
○貫井委員 4頁の下から5頁の上のほうに、「臨床的に自発呼吸の消失を除く、第1号から第4号までの項目のいずれかが確認された場合」と書いてあります。これは参考資料の中には「臨床的な脳死」という言葉と、「自発呼吸の消失」というのが問題になっていて、これは後で議論すると言われましたよね。
○永井委員長 はい。
○貫井委員 これは本格的に後で。ここにも出てくるものですから、相川先生がおっしゃったようにここに出てくるので、後でここで議論するのならばちゃんとしていただければと思います。
○辺見室長 資料としては横長の資料2-2の4頁から5頁で、併せてお配りしました参考資料1に論点が書いてあります。相川先生がいまお読みになられたところは、参考資料1の下の部分です。
○貫井委員 いま、ここでそれをディスカッションしていいのですか。
○辺見室長 できれば今回のガイドラインの改訂に合わせてということで、今回ご議論いただければと考えているところです。
○貫井委員 ここに書いてあるような論点が2つあります。1つは臨床的に脳死を判断した場合、これは臨床脳死とつづめて呼ばれて、法的脳死と、それから関係のない脳死と3種類あるというので混乱を起こしています。ですから、「臨床的に脳死と判断した場合」の文言をどうにかうまい言葉で変えなければいけないのではないか。脳死というのは臨床的なもので理論的に矛盾があります。ただ、この規定はどうも最初のころ、法的脳死判定をするためのきっかけとして作られた規定だと解釈していますけれども、これが必要なのかどうか。
 もう1点は、臨床的に脳死と判断する際に、自発呼吸の消失を確認する無呼吸テスト。要するに無呼吸テストは要らないと書いてあるので、先ほどのように自発呼吸があってもいいのかという人が、びっくりしますけれどもおられるということで、この辺の文章の整理をもし必要ならばやらなければいけないということになると思います。
 実際に臨床的に脳死と判断した場合というのは変えたほうがいいと思い、私もいろいろ考えたのですが、文言とすると「法的脳死判定の前段階としての予備的脳死判断」とか、これはちょっと長いのですが、いろいろな言い方があるのではないか。臨床的な脳死というのは理論的矛盾がありますから、とにかく変えてほしい。
 それから無呼吸テストに関しては、自発呼吸の消失を臨床的に確認すればよくて、無呼吸テストによる自発呼吸の消失は要らないというような文章にしないと。救急医も脳外科医も、まさかこの文章で自発呼吸があってもいいよねという意見が出るとは全く思っていないのですけれども、現場の感覚とすると。でも、そういう方がおられるという話を聞きましたので、正確に書いたほうがいい。当然無呼吸であるというのを前提でやっていると私たちは思っているわけです。何か誤解があるのなら変えたほうがいいと思っています。
○山本委員 私もこの議論というのは、家族がどのぐらい理解しているか、そこのところがとても大事なところだろうと思います。アンケートでも何でもいいですけれども、臨床的な脳死、法的脳死、あるいはその他の脳死をわかっている、あるいは理解したというところはいかがなのでしょうか。
○辺見室長 大変申し訳ありませんが、この言葉の意味についての理解の度合いということについては思い当たる調査はありません。
○永井委員長 この際「臨床的に脳死と判断した場合」というのをもう少し明確に書いたほうがいいというのが貫井委員のご意見です。
○山本委員 先ほど私がお話をさせていただきましたが、「臨床的脳死」という言葉をやめてしまうというのも1つの手だろうと思います。
○永井委員長 単に「脳死と判断した場合」と。
○貫井委員 たぶん前段階としての脳死の判断は要らないのではないかという意見は前からあります。法的脳死判定に理解があればいいではないかという意見はあります。ただ、それをいま突然にはできないのかとは思います。
○相川(直)委員 確かに臨床的脳死という言葉は非常に紛らわしく、一般の方には理解しにくいと思います。いままでこのような用語を使って、かなりの症例の脳死の診断がされてきたわけですので、私はこの機にもし臨床的脳死という言葉を、いま貫井先生がおっしゃった言葉はまさに適切な言葉だと思うのですけれども、非常に長い言葉ですけれども、実態を現している言葉なるも、この段階で臨床的脳死という言葉を別の言葉に言い換えるということをして、短期間でいろいろな施設にそれが周知徹底できるかということも含めますと、今回のガイドラインの改正では、確かにこれは将来的にはもっと検討して良い言葉を作り、周知徹底する必要はあるけれども、現時点では無理なのではないかと思います。かえって現場を混乱させると思います。
 その点と、先ほど相川厚委員が発言した件については、やはり一般のところでかなりの誤解がありますので、そのところは検討していただければと思います。
○永井委員長 その辺も事務局で文案を作っていただいて、次回さらに検討ということにさせていただきます。
○町野委員 もちろんそのようなことになると思いますけれども、ややっこしいのは現行法は依然として脳死判定拒否権を認めていますから、脳死判定をする前に、そのことを持ちかけるかどうかという、それはどこかで決めておかなければいけない話なのです。
 もう1つは、脳死臓器移植の場合だけについての手続なのであって、これによらなければ脳死判定をしてはいけないという話ではない。例えば延命医療の中断とか、脳死の段階では止められるということは誰でも認めているわけですから、その判断をするためにもしてはいけないのかという誤解が生じているところがあるわけです。いまのようなことを理解した上での書きぶりになれば、混乱も防げるのではないかと思います。
○永井委員長 第6についてほかにご意見はありますか。
○貫井委員 お聞きしますけれども、先ほどの議論で、臨床的な脳死の判断を変えるとしたらここでやるしかない。時期の問題はあるかもしれませんが、いま脳外科学会も救急医学会もすべて、臨床的脳死診断を問題にしているのです。前から問題にしているのでどこかで変えなければいけない。相川先生はおっしゃいますけれども、タイミングの問題もあるかもしれませんが、特に脳死の患者さんをケアしている学会でもいままでいろいろ問題になっています。
 これを変えてしまうというのは法律上なかなか難しいにしても、言葉遣いは正しい方向に変えていかないといけない。あるいは移植学会のほうでもこの名前を変えたらどうかという提案もされているようです。世の中がそのように動いていますから、今回のようなときでないと変えられない。また改めて変えるとなると、どういうタイミングなのかわかりませんけれども、その辺よくわかりませんが変えてもいいのではないかという気がするのです。ほとんどの学会が、臨床的脳死、法的脳死、臓器移植にかかわらない脳死の診断というのはどうにかしてくれというのが大きな声になっていると思っています。
○相川(直)委員 私もそれを見直すことには賛成です。ただし、いまのタイムスケジュール、タイムラインからこれを適切な言葉を選んで周知徹底して、これから実際に法律が施行されるまでに、その言葉を周知徹底するタイミングが間に合うかということを申し上げています。
○永井委員長 新しい言葉を使うのではなくて、わかりやすくすると。何々など臨床的に脳死と考えられた場合とか、そういう形で少し追加をしたらどうなのでしょうか。
○貫井委員 臨床的な脳死診断というのが独り歩きしていて、「な」が入っているのに臨床脳死、臨床的脳死というので「な」が抜けてしまったりそれが問題なのです。だから言葉自体が問題で、定着している言葉がおかしいというのが議論になっています。移植学会の先生で、予備的脳死診断というのがいいのではないかとか、いくつかの案があることはあるのです。言葉を置き換えるだけで、中身は。あと無呼吸テストのところも工夫しなければいけませんけれども、その中身を変えるわけではないのだと私は思っているのですが、いい機会なので、先ほどの無呼吸テストは要らないとすると、自発呼吸があってもいいのかという議論もあるそうですから、それも含めてこの場で検討して修正してもいいのではないかと思うのです。
○相川(直)委員 それは先ほど町野委員がおっしゃったのですが、予備的脳死判断というと、これは脳死体からの臓器移植を考えた上での脳死の判断です。ほかに脳死状態が問題になることがあるわけです。尊厳死とかいろいろな状況、あるいは家族が臓器移植とは関係はないけれども、いまの状態はどうなっているのかというところにも、法的な脳死、つまり臓器移植対象の脳死ではないけれども、生物学的、あるいは臨床的には脳死状態だという判断をするという言葉も生きていなければいけないことがあるので、臨床的脳死を予備的に移行するだけでは解決しないのではないか。
○貫井委員 第7条に前から法律にあるのですけれども、これは法的脳死判定をするための前段階の判断ですと書いてあるのです。それ以外の脳死判断に関しては、こういう規定は一切関係ないですよと。ここにもありますけれども、7頁にそういう規定が既にあるのです。今回のディスカッションは、臨床的な脳死判断というのは、法的脳死判定をするための前段階として位置づけられていますから、別に「予備的脳死判定」とこだわってはいませんけれども、そのようにしても構わないのです。
 それ以外の脳死判定は、別にこの規定に関係なくやっていただいて結構ですというのが規定として出ています。別に予備的脳死診断が良い、絶対にそうだとは思いませんけれども、先生のおっしゃるのはちょっと違うのかなと。臓器移植を前提とした、脳死判断の前段階としてまずやって、法的脳死判定をやりますよという中の議論ですから、ほかの脳死下の臓器移植以外の脳死判定は自由にできるというふうに前々から出ています。名称は何でもいいですけれどもそのように思います。
○永井委員長 本日はだいぶ時間もオーバーしましたので、提案を事務局のほうにお寄せいただけますでしょうか。そして次回以降も続けて検討ということにしたいと思います。
○辺見室長 委員長のご指示のとおりにしたいと思います。1つの視点としては、実際にこれが医療の現場において、患者、ご家族に対してどういう流れの中で、どういう言葉を持ってご説明されているのかというのが1つ参考になると思いますので、大変申し訳ないのですが、案を作成する段階でマニュアルとお知恵を拝借させていただきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
○永井委員長 本日の議事はここまでということにして、次回に継続して議論したいと思います。事務局から連絡事項をお願いいたします。
○長岡補佐 本日は長時間にわたりご議論をいただきましてどうもありがとうございました。本日いただいたご指摘を踏まえた修正案を作成し、次回以降ここでまたご議論いただければと思いますのでよろしくお願い申し上げます。次回は連休前後の開催を予定しております。早急に開催案内を、日程を確定した上でお送りしますのでよろしくお願い申し上げます。
○永井委員長 本日はここで終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

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代表 : 03(5253)1111
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