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2010年4月5日 第32回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会議事録

健康局疾病対策課臓器移植対策室

○日時

平成22年4月5日(月)
13:00〜


○場所

厚生労働省 省議室


○議題

(1) 改正臓器移植法の施行に係る制度面からの検討について
(2) 虐待を受けた児童からの臓器提供を防ぐ方策について
(3) 小児の脳死判定基準について

○議事

○長岡補佐 定刻を数分超過しましたが、ただいまより第32回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会を開催いたします。本日は木下茂委員、松原委員、山勢委員から欠席のご連絡をいただいておりますが、定足数を満たす13名の出席を賜っておりますので、ここでご報告させていただきます。また、本日は参考人として、臓器提供に係る意思表示・小児からの臓器提供等に関する作業班の新美育文先生、小児の脳死判定及び臓器提供等に関する調査研究班の山田不二子先生と日下康子先生にご出席を賜っております。各先生方、どうぞよろしくお願い申し上げます。また、事務局に人事異動がありましたのでご紹介します。4月1日付けで臓器移植対策室室長補佐に就任しました秋本です。続きまして資料の確認をさせていただきます。議事次第に沿って確認しますので、よろしくお願いいたします。
 まず、配付資料の資料1-1「改正臓器移植法の施行に係る論点について(概要)」と書かれた横長の紙で1枚のものです。資料1-2「改正臓器移植法の施行に係る論点について」という6頁の資料です。資料2「小児の脳死判定及び臓器提供等に関する調査研究(脳死下臓器提供者から被虐待児を除外するマニュアルに関する研究部分)」です。山田先生からご提出いただいた7頁の資料です。資料3「小児の脳死判定及び臓器提供に関する調査研究(小児脳死判定基準に関する研究部分)」です。日下先生から提出いただいた10頁の資料です。
 続きまして参考資料1「小児法的脳死判定基準(案)」が1枚です。参考資料2は平成18年度厚生科学研究班における小児法的脳死判定基準(案)で1枚です。参考資料3「脳死判定基準概要」で「法的脳死判定マニュアル(平成11年度、厚生科学研究費「脳死判定手順に関する研究班」)より抜粋したもので、これが1枚です。最後が参考資料4「臓器移植法に基づく虐待を受けた児童への対応について(案)」で、これも1枚です。
 以上が資料です。不備等がありましたら、事務局までお知らせいただければと思います。お揃いでしょうか。それでは、以後の議事進行は永井委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○永井委員長 ありがとうございます。前回の委員会では、臓器提供意思表示カードの様式について、また小児からの脳死下での提供施設の要件についてご議論をいただきました。本日は、法律面の課題について検討をお願いしております作業班、被虐待児への対応方策あるいは小児脳死判定基準について検討をお願いしてまいりました研究班、それぞれから検討状況について報告いただいて、当委員会として検討したいと考えております。
 早速、議事に入りますが、まず法改正に伴う今後の意思表示方法についてです。臓器提供に係る意思表示、小児からの臓器提供に関する作業班、新美班長から検討状況のご報告をお願いしたいと思います。
○新美参考人 それでは作業班の検討結果についてご報告申し上げます。先ほど事務局から紹介がありました資料1-1、1-2が我々作業班の検討結果です。今日の報告は資料1-1の概要に基づいて報告申し上げたいと存じます。我々作業班に対して概要にある5つの点について検討せよということでTORが設定されています。それぞれの事項に従って基本的な考え方と結論について紹介します。
 第1点目ですが、「遺族及び家族の範囲」に関する事項について結論を出せということです。基本的な考え方として現行ガイドラインにおいては、臓器提供を拒否する意思があった可能性をできる限り拾い上げること等のために、広い範囲を親族として設定しております。臓器移植法では、小児からの臓器提供について承諾する者と成人からの臓器提供について承諾する者を区別せず、「遺族」と規定しております。臓器提供者が未成年者である場合には、特に父母の意向は重視すべきである、そういう考え方で議論をいたしました。結論としては、遺族及び家族の範囲については、現時点では、現行ガイドラインで定める範囲を踏襲することが妥当である。それから2番目に死亡した者が未成年者であった場合は、父母それぞれの意向を慎重かつ丁寧に把握することが必要である。その際には、夫婦間の関係等に十分な配慮をしたうえでそれぞれの意向を適切に把握することが求められる、これが結論です。
 第2点ですが、「小児が表示する臓器を提供しない意思に関する事項」です。年少の児童にあっては、意思表示と捉えることのできない“気持ちの現れ”としての表現がなされる場合もありますが、有効に意思を表示できる能力につきまして、一律に年齢で区切ることは困難であろうという考え方を採択しました。その結果、臓器を提供する意思がないこと又は法に基づく脳死判定に従う意思がないことの表示があった場合には、年齢にかかわらず、臓器提供等は行わないことが妥当という結論を採るべきだということにしました。
 3点目ですが、「知的障害者等の意思表示の取扱いに関する事項」です。改正法に係る国会審議の過程で、拒否の意思があったことを否定しきれないことから、知的障害者等に対する脳死判定は引き続き見合わせる旨の考えを提案者が表示しております。この観点からは、脳死判定だけではなく、臓器摘出も見合わせることを明確にする必要があるという考え方にしました。そこから出た結論としては、知的障害者等の臓器提供に関する有効な意思表示が困難となる障害を有する者については、年齢にかかわらず、当面、法に基づく脳死判定及びその者からの臓器摘出は行わないことが妥当であるが、この運用については、今後さらに検討が必要であるということになりました。
 4点目ですが、「臓器を提供する意思・脳死判定に従う意思がないことの確認に関する事項」です。臓器を提供する意思がないことの表示又は脳死判定に従う意思のないことの表示の確認については、考え得る表示方法に照らして判断することが妥当であるという考え方に立ちました。その結果、まず臓器提供意思表示カードの記載の確認、臓器提供意思登録システムへの登録状況の確認、臓器提供について承諾する範囲の家族への確認、この3点が必要であるということで結論付けております。
 第5点で、「虐待を受けた児童への対応について」です。改正法附則第5項の趣旨は、児童虐待の防止という点ではなく、証拠隠滅を防ぐこと等であり、また、その求めるところは、虐待が児童の死亡に深く関与していた場合に、臓器提供の対象としないことと考えて議論を進めました。ただ、実際には、虐待の存否の確定や、その死への関与の程度について、医療機関が判断することは困難である。また他方、臓器提供を申し出た親の心情を鑑みれば、虐待の疑いについて、慎重な判断が必要となる。このような考え方に基づき、次のような結論が得られたところです。
 まず医療機関においては、担当医だけで虐待の有無を判断せず、ソーシャルワーカー等を交えた院内体制の下で行われる虐待診療を通じ、その判断を行うことが必要である。第2点として、院内体制の下で虐待の疑いがあると判断した場合には、臓器提供は行わないことが妥当である。ただし、虐待が児童の死亡に関与していた疑いや虐待を受けた疑い、それ自体が否定された場合には、臓器提供は可能である、このような結論に至った次第です。
 以上、法律、制度等の我々の作業班の考え方と結論について報告申し上げました。
○永井委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの報告に関してご質問、ご意見等ありましたら、よろしくお願いいたします。
○奥山委員 2つほど質問させていただきたいと思うのですが、1つは知的障害者等の意思表示というところですが、結論に知的障害者等の臓器提供に関する有効な意思表示が困難となる障害を有するものと書かれております。子どもの場合、ここをどう適応していくのかが、現場としては難しくなるだろうと非常に危惧します。例えばIQ50の6歳の子というのは大体3歳ぐらいの精神年齢がある。3歳の年齢のお子さんだから意思表示ができないとなったら、3歳のお子さんの臓器提供というのは本来できないことになってしまう。そこがどうも矛盾を感じるし、それから現場として、一体どういう障害があれば臓器提供ができないのかという判断が、非常に困るのではないかと思われる点が1つです。この結論に至った理由が知りたいことと、本来であれば親が子の最善の利益、ベスト・インタレストを代弁するということが、一般的に考えられているから代諾権があるのであって、官報の10頁にも、親の子どもの意思表示と親の代諾について、子どもの年齢に応じたきめ細やかな対応が図られるというような書き方になっていて、やはり代諾という考え方は、非常に重要だと思います。親が子のベスト・インタレストを代弁できる、代諾できることを考えれば本来は低年齢のお子さんに対しては意思表示ができなくても代諾できるわけですから、知的障害のあるお子さんに関しても代諾できると考えるのが、素直ではないかと私は思うのですが、その点はいかがでしょうか。それから虐待を受けた児童への対応についてというところで、その求めるところは虐待が児童の死亡に深く関与していた場合という、この深く関与というのをどの程度と取るべきなのか、あるいはなぜ深く関与と考えられたのかを含めて、もう少し説明いただければありがたいと思います。
○永井委員長 いかがでしょうか。
○新美参考人 いまの2点についてです。第1点の知的障害者等についての扱いですが、おっしゃられるような15歳未満の者との扱いについて、論理的な整合性があるかないかに関しては、我々作業班も十分認識したうえで議論したところです。ただ、ここでは、国会の審議過程において、知的障害者に対する脳死判定は従前どおり引き続き見合わせるという提案をしておりますので、これを覆すことは我々の作業の過程では難しかろうということで、提案者の指示に従った処理をしていることです。この点につきましてそういうこともあり、その提案を本当に継続していいかどうかも含めて、今後の検討が必要であるという留保を付けたところです。
○奥山委員 従前どおり見合わせるということは、従前あった大人に関してはそのとおりだと思いますが、従前なかった子どもに関しても、従前どおりになるというのはどういう意味なのか、その辺がよくわからなかったのです。
○新美参考人 我々は、これはあくまでも知的障害者ということのカテゴリーの中で、年齢にかかわらず知的障害というものが、定義できるのだということを伺っておりましたので、知的障害である、その他障害によって意思表示ができない、あるいは困難であるという者については、カテゴリカルにここで対象から外すことを結論付けたわけです。
○奥山委員 年齢によって意思表示が困難なのか、知的障害によって意思表示が困難なのかはどのように判断したらよろしいでしょうか。
○新美参考人 我々としては知的障害というのが判断可能だと伺ったので、その点についてどのように区別するかは、我々としては議論していません。
○奥山委員 つまり意思表示が困難な障害者ということですよね。
○新美参考人 はい、そういうことです。
○奥山委員 子どもは元々意思表示が困難ですから、障害がなくても意思表示困難で、軽い障害でも意思表示困難、重い障害でも意思表示困難となったら、軽い障害から重い障害のどこで区切るのか。大人の場合は、例えば知的障害があるとしても意思表示が困難なのかできるのかで区別できるかもしれませんが、子どもの場合、それができないということになりますよね。どのように現場で判断すればいいのか、そこを教えていただきたい。
○新美参考人 我々法律班ではその作業はできませんので、それは医学的な判断でお願いする。障害があるかないかの問題です。
○永井委員長 いまの点、いかがでしょうか。
○貫井委員 障害児の問題はいいのですが、その後に臓器提供に関する拒否の意思を表示することが困難な障害を有する者、これは具体的にはどういう状態を指すのでしょうか。知的障害者等という等に関して説明されているのだと思うのですが、このように書かれても具体的に何なのだろうと頭に浮かばないのですが。
○新美参考人 我々作業班の中で議論したのは、いわゆるロックトインされたような障害を受けて意思は形成できるが伝達できないような人があるのではないか、そういうことも含めて障害という概念を用いています。
○永井委員長 他にいかがでしょうか。
○宮坂委員 意思表示と子どものことで、先ほど奥山委員から発言があったことですが、全く奥山委員の言うとおりだと思います。それで確認したいのは国会での意思表示、提案者がこういうことを言ったからということが理由になっているみたいですが、もう1回そこをご説明いただけますでしょうか。
○辺見室長 国会での議論についてのところですが、知的障害者について、引き続き従来の取扱いをするという前提として、拒否の意思表示を表明することについて困難があるという観点からという議論があったということが1つあります。拒否の意思表示については、15歳かどうかということについてまた別途議論がある、より若年においても拒否の意思表示はできるだろうという話がありますので、そういったところと絡めて検討する必要があるだろうということかと思います。
○宮坂委員 そうすると先ほど奥山委員も言っていましたが、従来の6歳以上の患者さんについて知的障害者を除くということは、一応そのとおりという形で理解できるのかもしれませんが、子どもはそれを必ずしも当てはめなくてもいい、つまり子どもは本来意思表示が困難なものが入っているので代諾ということがあるわけですから、小児に関しては、これは特に言わなくてもいまの提案者の発言と矛盾しないことになりますか。
○辺見室長 厳密には年齢に着目した議論よりも、知的障害者について引き続きの取扱いをする際に、拒否の意思表示ができないということに着目してということですので、そこの辺りをどう解きほぐすかということかと思います。
○宮坂委員 やはり小児の代諾というのをここの中でまた2つに分けると、ほとんど現場は判断できなくなってしまうのではないかなという気がします。
○町野委員 諸先生がおっしゃることは非常にもっともなのですが、皆さんのお手許にありますガイドラインの第1の第2段落のところが、そもそもの発端にして、当時はこの旧法時ですから、そのときは本人のオプトインと言いますか、脳死の場合、承諾していたときに初めて臓器の提供ができるということになっていたので、そのときに、知的障害者等が承諾の意思を表示していたとしても、やはりこのときは提供を受けるのは好ましくないだろうということで、このようなガイドラインができているという話です。
 ところが、今度臓器移植法が変わったところで、本人のオプトインがなくても、提供を受けることができるようになったわけです。遺族のオプトインで大丈夫だということになったと。そうなってくると、この説明をそのまま取るわけにはいかないという話になっている。
 ところが、国会では従来からのガイドラインの取扱いですから、これは必ずしも法律ではないのですが、これはどうなるのかという質問があったのに対して、これまでどおりという返事が提案者側からされております。そのときの説明の仕方が、今度は拒絶の意思を持っていたかもしれないのに、それが表示できなかったということに着目して、そういう取扱いをすべきだということになっている。そこのところで根拠づけが、従来の承諾意思の有効性、無効性の問題ではなくて、今度は拒絶意思の表示ができるかできないかというところに考え方が移っている。同時に、前は脳死の場合だけオプトインが必要だということで作られていたものだったのですが、今度は脳死も心臓死も扱いが基本的に同じになりましたから、前は脳死だけを言っていたわけですが、これでも駄目だろうということになって、先ほどご説明がありましたとおり、脳死判定ばかりではなくて、臓器の提供を心臓死も脳死の場合も含む、そちらについても駄目だということにしなければ、筋道が通らないだろうということになったわけです。そして、結局小児が障害者等である場合どうするのかということが問題なのですが、カテゴリーからみて、おそらく我々の理解としましては、知的障害であれば、そのときは小児であっても、臓器の提供をしないということになったわけです。それはどのように判断するのかというのは、非常に困難であることはわかっておりますが、いまのような状況の中でこれが作られているということを、ご理解いただくことにならざるを得ないだろうと思います。
○奥山委員 先ほどから出ている、従前どおりというのは、子どもは入っていなかったわけですよね。取り扱うとしたら、大人にだけ当てはめてどうしていけないのですか。15歳未満の場合には、親の代諾権をきちんと優先させるということにしてはどうしていけないのかということを教えていただきたいのですが。
○町野委員 まず年齢で区切るかどうかというのも1つありますが、このいわばガイドラインの扱いは、知的障害者等については、臓器をできるだけもらいたくないと。それを避けるべきだということからスタートしているというところがあるわけです。その意味では知的障害者の権利の侵害になるだろうと、臓器提供を認めることは。国会答弁を最初から見ていると、そういう考え方からそもそもきていると言わざるを得ないだろうと思います。
○奥山委員 ということは、拒否できるかできないかではないということですね。
○町野委員 はっきり申し上げて、おそらく理屈として私は通らないと思います。幼児についてもおっしゃられるとおり、拒否の意思表示ができないときがあるわけです。そのときに提供できるのに対して、こちらの場合はどうしてできないのかということを言われると、これはかなり矛盾していると思います。先ほど新美班長がおっしゃられたとおりで、これはかなり矛盾している。しかし、いまのような作られたときの国会での答弁は非常にカテゴリカルに、先ほど言いましたとおり、こういう障害を持っている人については、臓器の提供を見合わせるべきだということからスタートしておりますから、このようにならざるを得なかったということです。
○奥山委員 そこなのですが、例えば大人の知的障害者は、法的な後見人がいたとしても、それほどその方と密接な関係がないときが多くて、やはり拒否の意思表示ということに関して問題がある可能性が十分あると思うのです。ですから、大人の方に関して、拒否の意思表示ができない知的障害の方、もしくはその他の障害の方というのはわかるのですが、子どもの場合にまで、それをどうして当てはめなければならないのか。つまり子どもには親権者という普段から一緒に生活をしていて、子どもの代諾をできるというように、常識的に考えられている親がいるわけですよね。そこの違いをどうして考えてはいけないのですか。
○新美参考人 その点について申し上げますと、成人と未成年者との間で、そんなに明確なボーダーラインは引けないわけです。後見人といえどもピンからキリまでありますので、まさに非常に近しい親族がなっている場合もあるし、そういう例のほうが多いかもしれません。
 子どもの場合でも、養子に出されている場合はどうするのかという問題もあります。ですからベスト・インタレストを判断する者がいるかいないかという観点からいきますと、未成年者も成人も程度の差ということになります。
○奥山委員 それだと、論理的には子どもはノーという意思表示ができないので、小さい子はできないということになってしまうのではないですか。
○新美参考人 ですから、初めからこの扱いは論理的な矛盾があるということは申し上げています。小児を入れた、小児からの摘出を認めたにもかかわらず、知的障害者から取らないということを言ったこと自体が、非常に大きな論理的な整合性に欠けるところがあるということです。
○奥山委員 少しでも論理的にと考えたときに、大人のことはわかるのです。ある程度論理的に拒否の意思表示ができない可能性が、高いということではわかると思うのですが、子どもの場合は、先ほど言いましたように、子どもであるから意思表示ができないのか、障害が重いから意思表示できないか、障害が軽いけれども子どもであるから意思表示ができないのか、全くそれは同じになってしまって、区別は付かないと思うのですが。
○宮坂委員 全く奥山委員の言うとおりだと思います。先ほど町野委員からお話がありましたように、障害者に関してもベースとして、基本的に障害者から臓器提供をした場合に、それが権利の侵害になる。むしろ臓器提供自体が権利だとも言えるわけですので、どちらにベースがあるかですよね。それがぶれているという背景のご説明がありましたので、もしできることであれば、少なくとも子どもに関しては、代諾でいいという形で通さないと、現場は本当に区別がつかないと思います。
○永井委員長 知的障害があっても、代諾でよろしいということですか。
○宮坂委員 基本的にはそういう形がいいと思います。
○永井委員長 いかがでしょうか。
○新美参考人 親権者ということになりますと、二十歳未満の者には親権者が付いていますので、代諾権があるわけです。15歳以上二十歳までの間をどうするかということも、ご判断の中に入れていただかないとまずいのではないかと思います。
○貫井委員 国会の議論とか経過、あるいは理屈に合わないことを皆さんはよくわかっていると思うのですが、こういう議論をガイドラインの中に出す手順というのは、厚生労働省はどう考えているのですか。ここで議論しても、皆さんはわかっていると思うのです。小児の移植を認めて知的障害者は認めない。これは最初から矛盾があるというのはわかっているわけです。いまの議論はまさにそのとおりなのですが、どんな筋道でここにも「検討する」と書いてありますが、どんなに議論をしても、あとが何もならないのではしょうがないので、国会で提出者が言ったことを、やはりこれは違うよというように変えられる道筋があるのかどうか教えていただきたい。
○永井委員長 事務局、いかがでしょうか。
○辺見室長 まずご質問の点ですが、国会で明示的に議論されたものについて、変えられる道筋があるのかというのは、おそらく国会での議論の内容によるのだと思います。基本的には議員立法として議論された法律ですので、国会での議論は、基本的に今後進める上でのベースになる話だと思います。
 そうした場合に、知的障害者に関して申し上げますと、知的障害者について見合わせるという規定については、維持するというご議論があったわけで、その点について「知的障害者について」と言っているものの中に、年齢に区切りを付けるのか付けないのかというのは、ご議論がなかったところですから、なかったというように考えるのか、それとも知的障害者と言っている方について、年齢を区切るという意識がなかったのか、ここは明確にはわからないところです。
 一方、ではどういった形でガイドライン化をしていくのかということですが、ここはご議論をいただいた上で、素案を作成させていただきたいと思いますが、もともと維持する前の、現在の本件についてのガイドラインがどうなっているかという点については、お手許の紙ファイルの資料のガイドラインの3番の中の1頁の第1のところに、知的障害者に関してのことが書いてあります。知的障害者等の意思表示については、「今後さらに検討をするものであることから」とした上で、このパラグラフの最後ですが「当面、法律に基づく脳死判定は見合わせること」ということで、検討すべきことがあるとした上で、当面と書いていますので、確定的にこうすべきというか、さらに検討すべきといったような書き方で、現在のガイドラインで書かれているところですので、今後のガイドライン化の仕方としては、こういった記載ぶりに準じた形での記載はあり得ると考えております。
○永井委員長 いかがですか。
○奥山委員 「従前どおり」という話だったとのことですが、先ほど宮坂委員のご質問にあった、議事どおりではどんな質問があって、どんなお答えになっていたのか教えていただいたほうがよろしいかと思うのですが。それに反してはいけないわけですよね。ですからそこのところをもう一度教えていただきたいということです。
 もう1つですが、先ほど新美先生が「親権者は二十歳までいるから」というようにおっしゃったのですが、前回、この法律を作るときから、今回の親族優先の件に関しても、15歳以上は、自分の意思がきちんと表示できるという判断の下に、この法律の中では議論がなされてきているのではないかと思っていたのです。だとしたら、15歳以上はご自身の意見を聞きましょうと。だけれども、それ以下は親権者の代諾、そしてある意味アセントはきちんと取らないといけないでしょうから、子どもにもきちんとした年齢に応じた説明は、絶対必要なことだろうと思うのです。それに関してやはり親権者の代諾の重要性を考えるべきだと思いますし、それは虐待の防止にも関連していることだと思うのです。そこに対して、子どものベスト・インタレストを代諾できるだけの能力がない、つまり権利を侵害してしまっている親に、それができるのかということを考えるべきなのではないかと思います。
○辺見室長 国会での答弁についてということで長くなりますが、いま手許にあるものを読み上げさせていただきます。21年7月7日参議院厚生労働委員会における共産党小池晃議員と公明党福島豊議員のA案の提案についてのやり取りです。まず質問ですが、「現行は本人同意が原則だから、知的障害者の有効性については検討事項となって、ガイドラインでは除外されてきたわけです。ところがA案というのは、先日の答弁では「これは現行法と何ら変わらないし、障害者などの意思表示ができない方であることが判明した場合には、法的脳死判定は行われない」と答弁されているのですけれど、しかしそのA案というのは本人の意思表示がなくても、脳死判定、臓器摘出ができるわけですから、現行法のように障害者に対しては除外するという根拠はなくなるということになるんじゃないですか」という質問に対して答弁、「委員がご指摘ありましたように、一律脳死を人の死として、前提として脳死判定、臓器提供に行く、いわゆるオプトアウトという考え方で構成されているというわけではありませんで、これはオプトインの、基本的にその意思表示、これは本人の意思表示か家族の同意か、ここのところに差があるわけですが、そういうことを前提としているわけでありまして、ですからいま委員がおっしゃられたように、本人の意思と関係なくやるのだから、それはここのところを見直してもいいのではないかということではないというふうに私は思っております。知的障害者の方々についてのお取扱いについてのガイドライン、これは今後も維持すべきだというふうに思っております。そしてなぜかと言えば、この拒否の思いがあられるかもしれないと。しかし、その拒否の思いそのものが、適切にご本人が表示することができないかもしれないと、こういうことを考えると、私は現在知的障害者の方々の取扱いについて慎重であるというガイドラインは引き続き重要だというふうに思っております。」質問ですが、「拒否の思いがあるかもしれないと。だから除外するというのであれば、それは障害者だけに限られる話ではなく、それは障害者でない人も含めてそういう考え方になるんじゃないですか。そうすると、いまの説明だと、A案の根拠がちょっと私は崩れるような気がするのですがいかがでしょうか。」答弁、「A案の根拠は私は崩れるとは思っておりませんで、A案にしましても、本人が拒否するという場合には、当然これは対象にならないわけであります。本人の意思を大事にするという考え方は前提であるわけであります。そして知的障害者等の、知的障害のある方々について、どうするかと。家族の承諾によって脳死判定や臓器摘出を行うということについて、これは先ほどからも申し上げておりますけれども、当面見合わせるということをガイドラインに明記すべきであるというふうに考えております。」以上でございます。
○永井委員長 なかなかややこしい論理ですぐに頭に入らないですね。
○町野委員 もちろんこのガイドラインのいまの点は別に法律ではないですから、法律の中には何も書いていないですから、どのようにするかということは、一応それで構わないという話だろうと思います。ただ、やはり国会で変わらないと言っているのに、ここで変えてしまっていいのかということはできない。当面の間なのですが、変わらないという返事をしておりますから、そうするとそれをむげにここでやるわけにいかない。もう1回、国会のほうでこれを議論してもらわざるを得ないということだろうと思います。
 そして、子どもが知的障害だったとき、一体どうなるのかという話ですけれども、経緯からしますと、基本的に知的障害とかそういう障害を持っている人からの臓器の提供をさせるのは、差別に当たるという考え方が、おそらく背景にあったのだろうと思います。そうなりますと、子どもであろうと、大人であろうと同じに扱わざるを得ないという考え方でおそらく出来上がっているのではないかと私は思います。もちろんこれについてはいろいろな議論がありますし、我々作業班の中でも、新美班長の下で、これはどうもなかなかうまく説明できないことがあって、ある意味、これは逆差別なのではないだろうかという議論もかなり強くて、法律の人は皆そう思ったわけです。しかし、これは重みといっていいかわかりませんが、とにかくいまのような、国会で明確に言っていることを、すぐ後で覆すということは、法律にはそんなことは何も書いていないし、構わないのだというわけには、なかなかいかないというところがあるだろうと思います。
 したがいまして、いずれガイドラインはもうちょっと議論をして変える必要があると思いますが、国会の中でもう1回議論していただくということが、私は筋道ではないかと思います。行政のほうで勝手に変えるということは、ルールとして好ましいかどうかわからないです。ルールがおかしいのだという議論はもちろんあり得ますが、だからこういってこれをこちらでやってしまって構わないかというと、なかなかできないなというのが正直なところです。
○山本委員 ちょっといいですか。質問と回答との違い。
○永井委員長 ちょっといまの点を1回整理したほうがいいと思いますが、要するに町野委員のご説明は、知的障害者の場合は前提として除外しておくということですね。その上で後の対応を考えるという整理だと思いますが、その大前提を変えるのであれば、もう少し国会での議論が必要であろう。そこをどう考えるかですが、そういう整理でよろしいかどうかということですが。
○貫井委員 先ほどの議論を聞いていると、年齢のことは全く言っていないですね。もうゴチャゴチャになっているという感じがします。やはり小児の脳死や臓器移植を認めたという事実の中で、意思表示が小児が入ってきたわけだから、知的障害者とどこが違うのか。つまり従来どおり15歳以上を除外するととるのか。前提として知的障害者から臓器をいただかないというお話ですが、本当にそうなのか。そこら辺を国会で議論するときも、ちゃんとしていただかないと結着がつきませんね。みんなそう思っているのですよね。矛盾しているよと思っていますので、現場では本当に困ると思います。どうしたらいいのと。知的障害の程度、どこまで除外するのとか、現場は本当に困ると思うのですが。
○大久保委員 おそらく大人の方というか、15歳以上の方については、知的障害者としての認定だとか、いろいろなことが公的な部分として、ある程度ある可能性はありますよね。ただ、それこそ本当に今回のものは12週以降のお子さんを提供するのに、12週以後の1歳だとか2歳でも、それが実際に知的障害があるかどうかとか、誰が認定をするのだという。子どもについてわかるのかなというのが素朴な疑問なのです。知的障害者として誰か医者が、この人は知的にちょっと障害がありますよと言っていたというだけでそれを決めるのか、公的に知的障害者としての認定を受けているというのが正しいのか、小さい子どもについてはそう受けていないわけだから、その辺の分けるところが、子どもについてはどのように分けるのか、本当に素朴な疑問なのですが、先生方はどう考えるのかなと思って。とてもここは難しいのではないかなと思うのです。
○山本委員 それゆえにこういう議論の前に、事務局と委員長がある程度このラインが事務局の案だというのがあって、私は然るべきだと思うのです。もちろんそれがなくてこのようにフリーでいくのも時にはいいのかもしれませんが、平行線でずっといっても、もう少し考えていったほうがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○永井委員長 委員長の意見をということであれば、作業委員会の意見でまとめたらどうかと思います。現場は現実にはなかなか判断が難しいと思うのですが、まず前提としては、知的障害者への差別が起こらないようにするという基本的な考え方があったと思います。そしてそれはいまも生きているのであって、成人であろうと小児であろうと尊重されなければならない。おそらく作業委員会は、それを前提にして議論を組み立てられたのだと思います。もし知的障害者の判定が難しいということであれば、それは知的障害がないというように考えざるを得ないのだろうと思いますが、いかがでしょうか。
○奥山委員 そうすると、例えば先天異常でこの先天異常の場合は、将来知的障害になる確率が高いという場合は、なしということになると考えるのですか。
○永井委員長 その時点ではないわけですから。
○奥山委員 その時点では、ほとんどの方がこの先天異常であれば、一命を取り留めるというか、生きて大人になれたとしても知的障害があるという障害の方が、何歳かで亡くなったということになって、例えば7カ月で亡くなったが、7カ月の時点では知的障害があるかどうかわからないというような場合は、どちらに取るのですか。
○新美参考人 申し上げますと、これは我々法律家の中でも議論があったところですが、知的障害など判断能力があるかないかというのは、基本的には人の成長段階に合わせて、相当程度その成長段階、あるべき判断能力から欠けている場合に、障害があるということで意思能力がないという判断をするわけですが、知的障害者であるかどうかというのは、実は正面切っての定義は法律の中にはないのです。ですから、その意味でこの判断というのは、いまおっしゃられたように、何をもって、現在判断できないじゃないか、将来判断能力が欠けることになるだろうという場合でも、それは知的障害があるというようにするかしないかというと、我々には決定権限といいますか、決めることはできかねるということだと思います。
○奥山委員 先ほど町野委員がおっしゃった、障害者の権利を守るということをおっしゃられると、我々としては、では障害を知らずに臓器提供を行ったら権利侵害かということになるわけです。権利侵害というのはすごく重いことです。それがいい加減な判断でよろしいのか。
○町野委員 私がそう言っているわけではなくて、そういう考え方があるということで、おっしゃられるとおりです。ですから、これを慎重にということであるならば、もう1本ガイドラインを作れという話になるわけです。虐待児からの臓器の提供を避けるための、あれだけのものを作れという話になるのですが、そうしなくても大丈夫ではないかなというのが、法律家のほうのあれでございまして、迷ったときはおそらく提供しないというほうになるのではないかと考えておりますが、もし依然としてその点が不安があるということであるならば、新しくもう1本ガイドラインをこれから作るか、あるいはこのガイドラインの提案を国会の答弁の趣旨に反して全部削除するか、そういう話にならざるを得ないだろうと思います。
○奥山委員 全部削除というのは、大人の分も削除することになるということですか。
○町野委員 そうです。
○奥山委員 大人と子どもを分ける論理は通用しないということですか。
○町野委員 私はそれはないだろうと思います。代諾ということは、私はそういう考え方ではないと思います。本人の意思表示がないときについて、どうして提供できるかというと、本人の意思を代諾しているということではなくて、本人の意思にこれは反しないだろうということはもちろん考慮しますが、意思表示の代行ではないわけです。つまりもう、その人は脳死にしろ心臓死にしろ死亡しているわけですから、そこのところで意思表示の代行ということはあり得ない。生前の意思はどのようなものであったかということを考慮しながらやるというのが、代諾という言葉を使うのは自由ですけれども、意味としては、例えば私は生きていて、いま何かをお願いするときに、私の意思能力が欠けているので、誰かが代行するというのとは、ちょっと話が違うだろうと思います。ですから大人と子ども、15歳とかそういうこととは、直接には関係はないだろうと思います。これはこれ以上やりますとかなり大変なので。
○永井委員長 どうしましょうか。前にも決を取ったことがありますが、これはそれぞれの考え方によるのではないかと思いますが、この条項について、お一人ずつ意見を言っていただきましょうか。
○佐野委員 私も現場としては奥山先生のほうが正しいと思います。
○小中委員 言葉というか考え方的にはよく理解できるのですが、実際に運用していくときのことを考えて、主治医にはご負担がかかるかとは思うのですが、そのときの主治医の判断で運用しておりますので、いまの段階ではこのように決めるしかないかというように私自身は思います。
○奥山委員 いままで言ったとおりです。
○大島委員 国会で議論された内容と、この委員会の役割がどうなのかというのが、区別がつかなくなったということがあって、国会での議論は優先されるべきであるという前提に立った話であれば、これはある部分、議論の余地がないのかなという感じがしたのが1つです。
 どちらか判断しろと言われると現時点では保留というのが、いまの議論を聞いていた私自身の結論です。
○永井委員長 どちらですか。
○大島委員 どちらとも判断がつかないです。
○大久保委員 私は先ほどお話された奥山委員の、子どもまで含めてやるということは、少し無理があるのではないかと思います。従来どおりというように、答弁されたのは、おそらくいわゆる大人の知的障害者を頭に浮かべられて答弁をされたのではないかなと思います。子どもさん、それこそ幼児も含めた形で福島豊先生がイメージして答弁されていないような気がするのですが。ですから私は子どもは除外してもいいのではないかと思います。
○永井委員長 親の代諾に任せてよろしいということですか。
○大久保委員 はい。
○相川(直)委員 私も実は最初そう思っていたのですが、先ほどの国会の質疑応答の具体的なことを聞いた上で、いま横書きの右側の「結論」の3番目、これは妥当ではないかと思うのです。なぜならば2行目に「困難となる障害者については」と断定しているわけです。わからない者については何も言っていないわけですよ。そうではない者は、もちろん除外されるわけです。ここに書いてあること自身は、確かに問題はありますよ。ですけれども、いわゆるガイドラインを作るこの現場で、先ほど国会の質疑と違うようなところを作っていくには、もう1つステップが必要だと。結論からいきますと、最初に提案されたのでよろしいのではないかと思います。
○相川(厚)委員 作業班で決められたことに私も賛成です。やはり確かに矛盾はあるとは思いますが、知的障害者から臓器提供をやるということに関しては、相当な反対が実際移植法ができる前にあったわけです。これから臓器移植を推進していく上においても、矛盾はあるとは思いますが、それを通すわけにはいかないと私自身は考えています。
○貫井委員 この経過からいって、今回は仕方がないかなと思います。矛盾がたくさんある。ただし、ここに書いてありますように、「今後検討が必要」ということがありますので、実際にどんな筋道でどんな過程を経て、方法をもって検討するのか、これを決めておいていただかないと、国会で議論があったから、それに従わざるを得ない。非常に間違ったことが出てきても、何もできないという例になってしまうと困るというのが1つです。
 町野委員がおっしゃるように、すぐには変えられないかもしれないけれども、何か変える方法を検討する筋道を付けてほしいと思いますし、先ほどもお聞きしましたが、臓器提供に係る有効な意思表示が困難となる。交通事故で意識障害の子どもが運ばれたらどうするか、非常に困る問題も出てくるので、その辺も後で検討していただければよろしいかなと思います。
○白倉委員 知的障害者の権利が侵害されるから、知的障害者は省くべきであるという議論をするのであれば、提供したいという意思も無視する形になるわけです。提供したいという障害者の権利を侵害する可能性もあるわけであって、今回の法律は前と違って、本人の書面による意思表示がない場合、それは忖度するといいますか、考えるわけですよね。ですから、権利は両方認めていると思うのです。したくないという権利としたいという権利をどちらも否定していないと思いますので、これは自己矛盾以外に何もないと思います。ですから、ここで変えられない、だから仕方がないという議論は、この委員会は何のためにあるのかなと思いますので、やはり早急に議論していただく。ここでできないのであれば、決断が下せるところで議論をしていただくという提案です。時限を切ってすべきではないかなと思います。私自身は当然変えるべきだと思います。国会の答弁に反してでも、適正なガイドラインにすべきだと思います。
○宮坂委員 基本的には奥山委員と同じなのですが、この委員会から出てきた知的障害者等の文書に、例えば「障害により臓器提供に係る有効な意思表示が困難な者」となれば、子どもは障害ではなくて、「正常な意思表示が困難」ということで逃げることができるのかなと思ったのですが、本当に現場はこのままでは進めないと思います。法律的にそうなのかもしれませんが、15歳未満はこれを適応しないという形にすべきだと思います。
○相川(直)委員 ちょっといいですか。いまの文章の読み替えですが、「障害により意思表示が困難」とすればいいということですが、1行目から読むと同じことを言っているのではないですか。「有効な意思表示が困難となる障害を有する」ということは、「障害により意思表示が困難」ということなのではないかと、私は読んだのですが。
○宮坂委員 ということは、例えば障害のない子どもの場合は入らないということですか。
○相川(直)委員 ですから子どもは障害はないわけですから。
○宮坂委員 障害がなくて意思表示が困難。
○相川(直)委員 そうでしょう。
○宮坂委員 それは入らない。
○相川(直)委員 子どもは障害じゃないですから、普通の正常の子ども。
○宮坂委員 そのように読めればそれはいいです。
○相川(直)委員 そうです。有効な意思表示が困難となる障害を有するであって、障害がない普通の子どもは困難となる障害によって意思表示ができないわけではないですから。
○宮坂委員 そういう解釈にすればできるのかなという。
○相川(直)委員 私はそのように解釈したので、そう思ったのですが。
○永井委員長 事務局、いまの点いかがですか。
○宮坂委員 つまり子どもは外さないように読めるかなと思ったのですが。
○辺見室長 年齢により意思表示の能力の違いの話をすると、典型的な話として、3歳ぐらいの非常に意思表示能力が低い方のお話をされていたと思うのですが、15歳よりちょっと下の13歳、14歳の場合、新美先生が途中でご指摘された、15歳以上20歳未満の場合についても、併せてどうするのか結論が出ないとたぶん非常に困るかなと思っておりますが、いまの宮坂委員の話でいきますと、そういったような点で障害があるかどうかというのは、障害を診断するという観点からご覧いただければいいと思いますが、障害によって意思表示が困難なのか、別の理由で意思表示が困難なのかという話は、いろいろなものの要素のかけ比べが出てくると思いますので、申し訳ございませんが、私どももどのようにしたらいいのかということについて、お答え申し上げにくいところでございます。
○宮坂委員 直接は関係ないかもしれませんが、例えば身体障害の申請のときに、全介助が必要、トイレも手伝いが必要、寝たきり何とかというと、全員1級になってしまう。でも赤ちゃんだったら当たり前ですよね。ですから年齢を考慮して判断するということがあるので、それと同じように解釈することが可能かなと。先ほどの相川委員のような解釈が可能かなと思ったのですが。
○永井委員長 そうであれば委員のご判断はどうですか。
○宮坂委員 そういう解釈ができるという議論にのっていれば、このままでいいと思います。
○山本委員 私は現場で働いている者の一人として、こういうところでディスカッションしている中には、現場で一生懸命働いている主治医の考えというのも、現場に行けば当然出てくるわけです。それは主治医が一生懸命やってくれているわけですから、主治医の意見を考えると、やはり先生方の意見プラス主治医なんだよと。この現行の委員会の知的障害のところは、これで私はいいのではないかと思います。フィルターがもう1つかかるのですよという意味です。
○永井委員長 やや現行のままでいいだろうというご意見でしたが、ただ、今後これに関してもう少し明確化していただきたいという要望を付けて、どこで行えばよろしいのか、その道筋を明記して、現行のまま当面この提案のままでいこうという、その辺がまとめるポイントかと思うのですが、いかがでしょうか。今後の検討のあり方、再検討のあり方についての道筋について、事務局からお願いします。
○辺見室長 いま考えての答弁ですので、よく考えてみたいところですが、最終的にガイドラインの訂正というところにかかわるものであれば、改めて臓器移植委員会にご議論いただいた上で、ガイドラインの案も含めて、ご議論いただいて変えていくということだと思いますが、そこに至るまでの間、臓器移植委員会で議論を開始するのか、それとも何らかの形で研究などを行うということなのか、そこの事前のところというのは、少しやり方があるのかなというように思います。いま、具体案が出なくて申し訳ございません。
○永井委員長 今後も見直しを考えていく、というところまでは議事録に明記してもよろしいわけですね。
○辺見室長 それはご議論の方向からすれば必要なことかと思います。意思表示作業班の結論も、そういったご趣旨だったと思います。
○永井委員長 ということでよろしいでしょうか。
○町野委員 私はそれで結構だと思います。これは座長の判断ですが、この問題はご議論からもわかるとおり、かなりいろいろな問題が入っています。つまり、15歳で区切れるというのは違う話なのです。15歳というのは、承諾意思能力の問題で、ここで問題になるのは拒絶の意思です。この中の2番目にあるとおり、拒絶の意思能力というのは、年齢にかかわりなく尊重されるということですから、これは別の問題で、15歳で区切れるかどうかという問題ではないのです。
 このように、議論がもつれてややこしくなっているのは、臓器移植法が変わって、オプトインは不要になったということの意味をどう理解するかと、非常に密接に関係しているので、私はこれは明確だと思うのですが、多くの人にいろいろな思いがありますから、それが1つこの中に出てきたと私は思います。
 そのこともありますので、きちんとした研究グループか何かを組織して議論して、最終的にここでもう1回やることになるのだろうと思います。
○永井委員長 というご提案です。
○相川(直)委員 この委員会に私は長くいて、前のオプトインを作ったときからいました。まさにいま町野委員がおっしゃられたことというのは、この底流に流れていることだと思いますので、委員会やワーキンググループを作るかは別にして、その辺はしっかりと検討していただかないといけないと思います。賛成です。
○永井委員長 ということで、いまの件は整理したいと思います。そのほかにいかがですか。
○山本委員 この考え方の5番の結論の「虐待を受けた児童への対応」の「ただし」のところに、虐待児童の死亡に関与していた疑い、それ自体が否定された場合には臓器提供は可能と見ると、「疑い自身が否定される」というところは、どこまでが疑いなのか、その辺については作業班としてはどのように考えたのでしょうか。
○新美参考人 先ほどのご質問と絡むところで、併せてお答えします。知的障害等と同じように、なぜ虐待を受けた児童について提供ができないのか、その趣旨はどこなのかを我々も探りまして、議論をしました。附則第5項等には出てきておりませんが、基本的には虐待死に陥った児童からの臓器提供は避けるべきだということが、1つの考え方にあります。
 その理由としては、証拠保全と、虐待をして児童を死に至らしめた親等の代諾による提供は好ましくない。その2つに大きな理由があるだろうと考えていたわけです。
 そういうところから、虐待死だけを除外すればいいかというと、そうでもありません。虐待というのはいろいろとプロセスがありますので、虐待が関与した死亡もあるだろうということで、虐待を受けた児童の絡む臓器提供を回避することの意味をどこに求めるかの議論を行いましたが、基本的には、これは附則に書かれているので尊重しなければいけないということで議論をしましたが、考え方としては、虐待があっても適切な死因究明ができる体制、虐待をした本人の代諾権を剥奪し、その他の者の代諾もあり得るだろうということから、白から黒まで濃淡がいろいろあることを踏まえた上で、どこが除外できるのかということで、少なくとも虐待死でない場合、虐待が深く関与しているかどうかを基準にして、臓器提供の回避をすべきかどうかを議論しました。
 そこで、虐待が死に非常に関与していた場合だけを臓器提供から回避するという判断をしたわけです。その意味で但書のところは、虐待死だけではなく、虐待が死亡に深く関与している疑いがある場合ということで、この疑いの濃淡もいろいろとあると思いますが、単なる可能性でいいのかという議論もありますが、我々としては、まさにプロバブル、蓋然性があるという判断で、この「疑い」という言葉を使っています。ポシビリティだけではないだろうということで、我々の作業班ではそのようなことを前提にしています。
 あと、それが究極のところですが、臨床の現場では虐待防止の対応も要請されているところですので、1つの医療機関で虐待防止のための対応と、臓器移植のための対応を2つ分けて判断することは非常に困難だろうということから、虐待の疑いがあるかどうかの判断は院内体制で、虐待診療、虐待対応する判断を尊重して、臓器の提供からは外すと。しかし、それがあとで疑いが否定されたときには、臓器の提供は可能にしましょうとしたわけです。
 ご質問に答えたかどうかではありますが、深く関与している疑いがあるかないかというのは、まさに虐待診療の中でご判断いただく、あるいは院内体制でのご判断にお任せすることになります。
○奥山委員 この法律の附則を読んでみると、主語は「政府は」なのです。政府が病院で移植医療の業務に従事する者が、そのような疑いがあるかどうかを確認し、その疑いがある場合に適切に対応するための方策に対し検討を加え、措置を講じると。これは医療がどうするというよりも、そういうことを医療機関ができるように、政府が措置を講じてくださいということが書かれているわけですよね。ですから、ここで定めなければならないのは、きちんとこれを医療機関ができるような措置を政府が、どのように講じるかだと考えてよろしいわけですよね。
○新美参考人 まさにそのとおりです。この虐待に関してはマニュアルを作るということで、他の作業班が進めていると理解しています。
○奥山委員 ただ、先ほどの先生のお話を伺うと、医療の現場でそれがどの程度かかわったかとか、その辺は医療の現場で判断しろというようなお話だったので、現場で判断するチェックリストのようなものだけで、本当に判断できるようになるのか、本当に政府がその措置を講じていると言えるのか、その辺はどのようにお考えでしょうか。
○新美参考人 それは私の答えるべきものではないかもしれませんが、政府が対応するというときにはさまざまなものがあって、1つのシステムを用意するというところから、マニュアルを明確に示して、それで専門家である医療機関に中身の判断をお任せするということも、対応としてはあり得ることだろうと私は考えています。
○永井委員長 事務局はいかがですか。
○辺見室長 附則の主語は2つありまして、「政府は」ということがありまして、虐待を受けた児童が亡くなった場合に、臓器提供されることはないとしたあとで、「移植医療に係る業務に従事する者が虐待の疑いがあるかどうかを確認し」という形で書いてあるところです。「政府は」というのは当然全体にかかっていますので、誰がどこで確認をするのかまで含めて、全部「政府は」に入っているわけではないのですが、政府としては、全体としての仕組を検討するということで書いてある文書だと思いますので、どのような仕掛けで、誰がどのようにやっていくのかは、いわゆる検討の中身だと思うので、一義的にこの文書からくるものではないと思います。
○大島委員 初めて聞いたのですが、この「虐待診療」という言葉はあるのですか。あるとすれば、どのような診療が虐待診療になっているのかをお伺いします。
○辺見室長 言葉の定義ですので、私から説明させていただきます。特別な定義で「虐待診療」というものがあるわけではなく、虐待児に対して、診療過程において医療機関が行う対応という趣旨で用いています。
○大島委員 もう1つです。いま臓器提供との絡みで、虐待が非常に大きな議論になっていますが、もともと臓器提供と虐待は全然別の話だと私は理解していまして、虐待対応についてどうするのかということの枠組みを決めるのは、この委員会のワーキングで決めるような話だったのですか。ほかでは虐待の対応について議論をしていたり、具体的に考えている場はないのでしょうか。
○永井委員長 これはこのあとご説明をお伺いしますが、併せて説明をお聞きして、もう一度この問題を一緒にご議論していただいたほうがいいのではないかと思いますが。
○奥山委員 いまおっしゃったように、我々が虐待に関して見逃がさないようにする医療的な対応は、従前からしておりますし、していかなければならないものなのですが、その大きな目的というのは、子どもを虐待から守り、保護することです。ですから、臓器移植だ、だから虐待があったかどうかを判断するというようなことをやってきているわけではございません。子どもを安全に守ることが私たちの命題であって、虐待があったかなかったかがはっきりしなくても、子どもを守るという方向にいきます。
 それが私たちの虐待対応のいちばん重要な目的になります。この場合、ある意味で目的が異なるわけです。子どもを保護するというよりも、臓器を提供をさせないように、虐待があったかなかったかを判断しろというのは、普段私たちがやっている虐待対応とは少し異なることが入ってくる、とお考えいただいたほうがよろしいのではないかと思います。
○永井委員長 それでは、次に虐待を受けた児童から臓器が提供されないような方策について、ワーキンググループでご検討いただいている山田内科胃腸科クリニックの山田先生にご出席いただいておりますので、研究班の検討結果のご報告をお願いします。
○山田参考人 資料2です。我々は貫井先生を研究代表者とし、「小児法的脳死判定基準に関する検討」という分担研究班で検討してきました。後ほど、小児の法的脳死判定基準については、同じ研究班の日下康子先生からご報告いただきます。まず私からは、脳死下臓器提供者から被虐待児を除外するマニュアルについてご報告させていただきます。
 いまの新美先生のご報告を伺っていて、法的な方面での作業班での議論の行方を私どもはほとんど存じ上げていませんでしたので、やや齟齬があることを感じています。それも含めてご報告します。
 2頁をご覧ください。「小児の観点から見た改正臓器移植法の要点」と「マニュアルの必要性」という2枚のスライドがありますが、両方とも下の部分だけをお読みします。「虐待による死亡事例は、臓器提供者から除外することとなった」。また下のスライドの後半ですが、「これに対応するため、当分担研究において、小児脳死判定基準を検討するに際し、被虐待児を臓器提供者としないための検討も加えることとした」ということで、我々の活動が昨年9月から始まったわけです。
 先ほどから議論になっていますが、法律についてもう一度振り返ってみますと、臓器の移植に関する法律の改正に際して附則に「(検討)5政府は虐待を受けた児童が死亡した場合に当該児童から臓器が提供されることのないよう、移植医療に係る業務に従事する者が、その業務に係る児童について虐待が行われた疑いがあるかどうかを確認し、及びその疑いがある場合に適切に対応するための方策に関し検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」と規定されました。つまり、虐待を受けた児童が死亡した場合に、当該児童から臓器が提供されてはならないと規定されたわけです。この大きな目的のために、我々移植医療に係る業務に従事する者が、その業務に係る児童について虐待が行われた疑いがあるかどうかを確認し、及びその疑いがある場合に適切に対応するとされまして、そこに「政府は、当該児童について虐待が行われた疑いがある場合に、適切に対応するための方策に関し検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」となったわけです。
 したがいまして、移植医療の業務に係る児童について、虐待が行われた疑いがある場合に、適切に対応するための方策に関して、政府が検討を加えてくださり、その結果に基づいて必要な措置を講じたあとであれば、政府によって構築された虐待診断システムの下、医療従事者が当該児童について、虐待が行われた疑いがあるかどうかを確認することも可能になろうとは思います。
 しかし、先ほど被虐待児から臓器提供されてはならない理由は、死因に虐待が深く関与していて、死因の究明等に問題が生じるとのお話でしたが、今回の移植法の附則の検討を純粋に読むと、そう読んでいいのかどうかということが、まず我々の研究班では疑問があると思いました。これを素直に読むと、虐待が行われた疑いがあるかどうかを確認しろということで、虐待の定義は、あくまでも児童虐待の防止等に関する法律の定義に従うべきということで、研究班では検討してまいりました。
 児童虐待防止等に関する法律の第2条に、児童虐待が定義されていますが、そこには身体的虐待、性虐待、ネグレクト、心理的虐待という内容について、規定がされています。
 それらが行われた場合には、臓器提供しないということであるとするならば、例えば児童虐待防止法第2条第3号にネグレクトの中の1つの例として、長時間の放置がありますし、第4号には心理的虐待として、DVなど配偶者暴力がその家庭にあったことなども含まれてしまっています。それを医療情報だけから疑うことは非常に難しいわけです。
 ですので、通常我々が通常の診療において、医療者は問診、身体所見、検査所見等から、児童虐待を疑った場合は、児童福祉法や児童虐待防止法に基づいて、市町村もしくは児童相談所に通告をしているわけですが、先ほど奥山委員からご指摘があったとおり、この改正臓器移植法では、医療従事者が虐待が行われた疑いがあるかどうかを確認しろと、及びその疑いがある場合に適切に対応するようにという、いままでの児童福祉法や児童虐待防止法で要求されている以上のことが課せられているわけです。
 ところが、報告書の16頁に書きましたが、「現在の日本においては、医療、保健、児童福祉、警察、検察、教育等の関係機関間の連携が制度として確立されておらず、虐待が行われた疑いのある場合に対応するためのシステムが十分構築されているとは言い難い状況にあります」。
 資料の次の頁のスライドをご覧ください。先ほど申し上げましたとおり、児童虐待というものを判断、診断する上において、医療情報だけから診断できないものも含まれている以上、医療機関だけで児童虐待を診断することは決して容易ではありません。
 3頁目の下のスライドです。そこにも書きましたが、虐待を受けた児童が死亡した場合に、当該児童から臓器が提供されることのないようにという、今回の改正臓器移植法に抵触する事態の発生を避けるため、我々の研究班では脳死下臓器提供者から、虐待を受けた疑いのある児童を除外することに主眼を置いたマニュアルの作成を試みました。
 報告書の18頁にも書きましたが、このマニュアルは被虐待児を診断するマニュアルではなく、脳死下臓器提供者から被虐待児を除外するマニュアルであり、被虐待児ではないと確実に判断される児童を選び出すものを主眼として作成したものでございます。
 次の頁のスライド7枚目です。このマニュアルがどのように構成されているかですが、マニュアルの対象者、マニュアルで特に定義を必要とする用語の定義及びその説明、それから脳死下臓器提供者から被虐待児を除外する手順を本文に記載しました。それをまたフローチャートにもまとめ直しています。後ほどフローチャートについてはご説明します。
 ここで1つ申し上げておきたいのですが、4頁のスライドの上の「虐待の可能性による除外」です。後ほど日下先生からご説明いただく小児法的脳死判定基準は15歳未満の小児を対象としていますが、今回の被虐待児を除外するマニュアルにおいては、児童福祉法の児童の定義に従い、対象児童を18歳未満としています。
 スライド8で「脳死下臓器提供者から被虐待児を除外する具体的な手順」として、最初に被虐待児である可能性を否定できない症例として、1つ乳幼児突然死症候群が疑われる児童及び原疾患の診断が確定していない児童を除外することとします。次いで、被虐待児ではないと確実に診断できる症例を選び出します。これは主に、外因と内因を分けて診断するようになっておりますが、器質的脳障害の原疾患として外因が疑われる場合に、被虐待児ではないと確実に診断する症例としては、家庭外で発生した事故であって、第三者による信頼に足る目撃証言が得られており、受傷機転と外傷所見との因果関係が合理的に説明できるもの、2つ目として、第三者による目撃証言は得られていないが、器質的脳障害の原疾患は当該児童が自動車等の乗り物に乗車中の交通事故外傷であることが明らかであるもの、3番目として、窒息事故であって、その原因が誤嚥であることが気管支鏡等の検査によって明白であり、第三者による信頼に足る目撃証言が得られているものとしました。
 内因のほうですが、器質的脳障害の原疾患として内因が疑われるもののうち、確実に被虐待児ではないと診断できるものとして、原疾患が先天奇形もしくは明らかに疾病であることが確実であり、病態の悪化に対して外因の関与がないか、関与があったとしてもその外因は不慮の事故であることが明らかである場合に限りました。
 このように、被虐待児である可能性を否定できない症例をまず除外し、次いで被虐待児ではないと確実に診断できる症例を選び出すという手順に従って、脳死判定へと進んでいただくわけですが、どちらに該当するのかが明らかではない、もしくはどちらにも当てはまらないという場合に、チェックリストを活用していただくこととなります。
 次の頁のスライド9枚目です。ここまでをもう一度フローチャートで見ていただきますと、上の半分に四角が3つあります。いちばん左が1)「被虐待児の可能性を否定できない」として、1つ目が乳幼児突然死症候群、2つ目が原疾患の診断が未確定な場合です。1)の場合、臓器提供の対象からこれらの児童は除外します。
 右側の2)「被虐待児ではないことが確実な症例」として、先ほどご説明したとおり、外因の場合は、第三者目撃者のある家庭外事故で、受傷機転に不審な点がないものです。?A乗り物乗車中の交通事故、?B誤嚥による窒息事故で第三者目撃がある場です。(2)原疾患が内因性である場合は、?@疾患が先天奇形あるいは明らかな疾患で不審なところがない場合です。これらにおいては、臓器提供の対象とすることができるとなっています。
 1)でも2)でもない場合、もしくは1).2)のどちらに該当するか明確でない場合は、チェックリストを使っていただきます。特に、(1)家庭内事故、(2)第三者目撃のない家庭外事故においては、このチェックリストを使うことが望まれます。
 チェックリストの構成についてご説明します。資料2-別添としてチェックリストが配られていると思います。このチェックリストは5つのカテゴリーに分かれております。1)として、1つでも該当する項目があれば、虐待が強く疑われる所見のリストです。
 2)は、2歳未満の乳幼児の場合に特に注意して実施していただきたい検査のリストを挙げました。この2番目の右側の欄に記載したような異常所見が見つかった場合は、虐待による頭部外傷や被虐待児症候群の可能性があるので、慎重に判断していただきたいと思います。
 3)として、虐待・ネグレクトを疑わせる情報をリストアップしています。これらに該当する項目が1つでもある場合は、児童虐待がないと確信できない限り、その児童からは臓器提供はしないことといたしました。
 4)も虐待・ネグレクトを疑わせる情報のリストですが、ここに挙げられた項目のうち、たった1つでもあれば、それだけで児童虐待を強く疑わなければならないというような情報ではありません。ですので、児童虐待の調査や判断を職務としている児童相談所等との連携をとおして、総合的に判断し、児童虐待がないことを確信できる場合にのみ、その児童から臓器提供することができるものとします。 
 5)は、通常の検査では原因が特定できないような神経学的症状を認めた場合、その児童に実質的検査項目を提示しました。
 先ほどのスライドに戻ります。資料の6頁のスライドの11です。以上をまとめると、本マニュアルは「脳死下臓器提供者から被虐待児を除外するマニュアル」であって、「被虐待児を診断するマニュアル」ではなく、「被虐待児ではないと確実に診断できる児童を選び出すマニュアル」となっています。したがって、本マニュアルによって臓器提供の対象者から除外されたからといって、必ずしも、その児童が被虐待児であるということを意味いたしません。つまり、脳死下臓器提供者から除外された児童の中に、被虐待児でない症例が含まれる可能性が存在します。
 次の下のスライドです。小児への臓器提供を推進するという観点から見ますと、脳死下臓器提供者から除外された児童の中に、被虐待児ではない症例が含まれ得ることは好ましくないとも考えられますが、改正法の附則に「(検討)5虐待を受けた児童が死亡した場合に当該児童から臓器が提供されることのないよう、移植医療に係る業務に従事する者が、その業務に係る児童について虐待が行われた疑いがあるかどうかを確認し、及びその疑いがある場合に適切に対応する」と規定されました以上、多機関連携による虐待対応が制度化されていない日本の現状において、法を遵守するためには致し方のないことと判断いたしました。
 最後のスライドです。本マニュアルは心停止下臓器提供の場合にも、基本的には適用できると考えますが、「被虐待児」である可能性を否定できない場合に、心停止後に血液検査や放射線学的検査を行うことは事実上不可能ですので、心停止前に「被虐待児でないこと」が本マニュアルに基づいて確認できた場合にのみ、臓器提供が可能であると判断するものとしました。以上です。
○永井委員長 ただいまのご説明に対して、ご質問、ご意見はございますか。
○宮坂委員 5頁のスライドの9枚目の「1)被虐待児の可能性を否定できない」というところに、乳幼児突然死症候群ということが書いてあって、これはまずいと思います。これはちゃんとした病気ですし、ここにこのように組み入れると、相当大きな社会的な反発が起きるという気がします。
 もう1つは、結構現場と乖離していると思います。実際の虐待診断のときに、今日ここに示されたマニュアルを全部チェックしているところはどこもないと思います。
 これはこのまま通っていくわけではないと思いますが、例えばチェックリストの1頁で、1つでもあったらと言ったら、大変なことになる可能性がありますから、あくまでもこれは参考だというぐらいの資料にしないと、現場はついていけないという気がします。
○永井委員長 「虐待の可能性が否定できない」のところに乳幼児突然死症候群が入っているのは問題だということですね。
○貫井委員 乳幼児突然死症候群の原因はまだはっきりわかっていないです。診断名です。ですから、臓器移植の前提は、原疾患が確実に診断されているものとなっていますので、突然死症候群はいろいろな問題を含んでいます。症候群ですから、原疾患がわかっていれば症候群と呼ばないわけですから、一応そういうことから、突然死の原因がはっきりわかっているならこのように症候群にはならないということで、入っています。
 それから、1つでも当てはまるということについては、特にチェックリストの1)ですが、右側の所見から、虐待に特徴的な所見であると主治医の判断が間に入るわけです。主治医が判断すれば、1つでもあれば虐待を強く疑わざるを得ないという観点でまとめてあるのです。これは班の検討結果ですから、このままマニュアルになるかどうかは議論が要りますが、どこがどう矛盾しているのかとか、その辺が入ってこないと、これはものすごく時間をかけてやっとまとまったという実情なので、具体的に言っていただかないと非常に困ると思います。
○宮坂委員 まず初めの乳幼児突然死症候群に関してですが、ご存じかと思いますが、これは非常に悲惨な病気でして、実際にこれが疑われた段階で警察が入ってきたり、解剖したり、いろいろな経緯を経て、実際にこれで子どもを失った母親たちは相当傷つくわけです。そういうことを経て、実際に乳幼児突然死症候群という診断名が付くわけですので、それはどちらかというと、虐待はもちろん除外されるわけですから、ここに入れておくのはやはり適当ではないのではないかと思います。
 チェックリストについてですが、例えば各病院でこういうことを参考に考えるという程度だったら、私も反対はありません。例えば保護者の説明と矛盾する外傷というものを1つ取っても、言い方としてはマニュアルとして非常に曖昧です。マニュアルというのは、何かあったらみんなが同じ判断ができるとか、そのようなものだと思いますので、具体的に言ったら、これはあくまでも流れとしては参考にはできますが、これを基に全国の病院でやりましょうとはすべきではない、その程度の意見です。
○辺見室長 私から1点説明します。参考資料4、院内体制との関係についてです。先ほどの意思表示作業班のご報告等も踏まえまして、虐待対応の全体の流れを模式化したものです。
 【対応案】の図をご覧ください。「医療機関へ患者が入院」してきた場合に、まず左側の矢印で、医療の提供が基本的に流れていきます。それに平行して虐待への対応が行われます。順番としては、医師、看護師、その他の医療スタッフの気づきを踏まえて、院内体制においての判断があり、その下に「児童相談所等への通告の必要性」とありますが、虐待防止法上、虐待が疑われた場合に、児童相談所に通告することになっていますので、これによって虐待の疑いがある場合、ない場合と振分けが行われます。
 それから下において、医療的に言えば、重篤な状態になる場合もあるということですし、その場合には臓器移植を検討する必要が出てくるわけですが、一方、虐待の疑いについて、継続的に対応されると思いますので、否定される場合もあるので矢印がいくつか付いていますが、最終的に重篤な状態になった場合に、こういった疑いがある場合は臓器移植の対象から除外し、そうでない場合は手続に従って対応となっています。
 先ほどの宮坂先生、貫井先生のご判断のタイミングですが、こういった流れの中で、どこで判断するのかという観点からも、このフローをご活用いただければと思います。
○貫井委員 先ほどから話が出ていますが、被虐待児を臓器提供者から除外するということですが、先ほど山田先生も奥山先生もおっしゃっていましたが、日本で被虐待児の診断体制が確立されていません。誰が確立するのかといったら問題なのですが。
 ただ、そういう状況の中で、ある程度統一されたチェックリストがないと、現場は非常に困るということがあるのです。当然、主治医、ソーシャルワーカーを含めた体制の中でチェックリストを見ながら判断します。しかも、ここに13から16とか、小さな字で文献が付いています。全部文献を解説してというとチェックリストになりませんので、被虐待児の専門家の先生、山田先生が代表で班に入っていましたが、それ以外の方々に相談して作っていただいて、それをまた班で検討して作ったものです。あまり詳しいとチェックリストにならないので、取り上げ方の問題はありますが、内容が簡単すぎて統一されないというのは、これから解説をしていけばいいと私は思っています。
 チェックリストがないと、前提としては、日本の医療現場では被虐待児の診断は簡単ではない状況があるというのが、被虐待児を扱っている専門家のご意見でしたので、何とか現場の負担をできるだけ少なくしたい。迷いのないようにということですが、これはどうしたって主治医の判断というのは入るのです。入るのですが、できるだけ客観性をもってやっていただきたいという趣旨で作りました。これは1つの目標というか、今後どうマニュアル化していくかはあるわけですが、私はないと困るのではないかという気がしているのです。
○永井委員長 マニュアルが必要というところはよろしいですね。今日は時間の関係がありますので、マニュアルの詳細については、また改めて検討したいと思いますが、基本的な考え方についてお願いします。
○奥山委員 参考資料4について意見を述べさせていただきます。先ほどの貫井先生のお話を聞いても、主治医が1人で対応して、虐待の疑いがあったらチームに相談するというような感じの書きぶりなのですが、本来は病院の中できちんと脳死判定の対応チーム、チーム医療をきちんとしていただいて、その中に虐待に対応する人たちも入った形で構成していただいて、そこからスタートしないと、バラバラでいくというのは決していいことではないのではないかと思います。
○貫井委員 バラバラという考えは全くありませんで、施設要件の中には虐待児の診断をする委員会もできます。それから、脳死を判定するための委員会というのは、倫理委員会とか、そういうものがあるのです。独立してやるというのは、現実に考えられないです。同じ病院の中に、脳死判断をする許可をするところ、脳死を判定するチームがありますが、全部一緒になるはずです。
 ただ、現場では、例えば皮膚所見が虐待に当たるという判断は、主治医なり、そのチームがやります。これは私は常識だと思っています。脳死の判断というのは施設が請け負っているので、個人が請け負っているわけではないのです。ただ、主治医の判断権というのはあるわけですから、それはそれとして、脳死診断あるいは臓器提供は、施設が責任をもって行うというのが基本理念ですから、先生が心配されるようにバラバラということはありません。
○奥山委員 確認させていただきました。
○山田参考人 ここのマニュアルで、乳幼児突然死症候群を最初に除外する子どもの中に入れているのですが、乳幼児突然死症候群の診断は日本手術学会の手引等を見ましても、きっちりと虐待を除外すること、そして司法解剖によってほかに死因が認められないこととなっていますので、基本的には臓器提供に回ることはないのではないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
○宮坂委員 まずSIDSの診断そのものに虐待を除外されるメカニズムが入っているので、ここに入るのはおかしいと思います。
○相川(直)委員 これははっきり確認したほうがいいのですが、いま山田先生がおっしゃったように、フローチャートの左上に書いておく必要はないのです。つまり、亡くなったお子さんが来て、いろいろと検討して、死因もわからないとなると、通常は警察などに通報して、司法解剖などを行った上で、乳幼児突然死症候群という症候群名が付くわけです。それはもう脳死の対象になるはずはないのです。ですから、「被虐待児の可能性を否定できない」というところに、乳幼児突然死症候群を入れると、そのような司法解剖などを経た上で、犯罪性や虐待がないことはクリアされているにもかかわらず、症候群というのは被虐待児の可能性を否定できないということになってしまいます。
 そのような病名を付けられた方の親御さんが、被虐待児の可能性は否定できなかったのかというのは、非常におかしいことになるので、フローチャートの左上の1)の(1)は除いたほうがいいと思います。
○永井委員長 その点を含めて、マニュアルについては引き続き検討したいと思います。小児脳死判定基準について、厚生労働科学研究班でご研究いただいた、東京慈恵会医科大学の日下先生に、検討結果についてのご報告をお願いします。
○日下参考人 資料3に、今回検討したことをスライド形式で書いてありますが、いちばん最後のあとの参考資料1、参考資料2に、まとめて箇条書きになっています。参考資料2に、平成18年度の厚生労働科学研究費補助金研究班で、既にあった小児脳死判定基準に関しては、これまでの研究成果として、1.から5.までのことが研究結果として挙がっていたわけです。今回は、いろいろと検討した結果、当班での研究結果としては、参考資料1の「小児法的脳死判定基準(案)」としてまとめました。
 大まかには、診断基準、判定基準の項目として変わったところはありませんが、先ほどありましたように、4)の「虐待の可能性による除外」が新しく加わりました。そのほかに消したものはありません。ただ、下線を引いた部分ですが、小児ということで実際に不適切な診断基準などが、変わったところになります。それについては各々スライドにまとめましたので、資料3の1頁に戻ります。
 下のスライドにありますが、「15歳未満の小児の法的脳死判定及び臓器提供への途が開かれた」ということで、2頁にいきます。2頁の上下のスライドは、いまお話にあったようなことなので割愛します。
 3頁です。大きな調査研究班としては、1つありまして、そのうち3つに分かれた中で、我々が検討したのはいちばん左端の判定基準の検討です。医学的妥当性、運用に関しての課題なども含めて、判定基準を作成して、マニュアル化についても検討しました。
 まず下のスライドで、1)「医学的妥当性」です。先ほどの資料2にありましたような、過去の研究結果を基に検討させていただきました。2)「運用に関しての課題の検討」では、適応年齢、除外例、判定上の留意点、判定上の必須項目、判定間隔、小児特有の「長期脳死」についてに関しては、年齢が低くなった分、より慎重に検討しました。3)虐待に関しては、先ほど山田先生が述べたとおりです。
 4頁目の「検討結果」です。下のスライドです。「小児脳死判定基準の適応年齢」ですが、過去の検討結果から、6歳以上は身体的にも、竹内基準でいいだろうということで、成人とほぼ同様としています。今回新たに検討しなくてはいけないのは、6歳未満の小児に関してということで、今回提示しました小児脳死判定基準というのは、6歳未満に関してはこちらでいきましょうということです。
 5頁の上のスライドです。1.対象例は、器質的脳障害により深昏睡・無呼吸を来して人工呼吸を必要とする症例です。原疾患の診断に関しては、現状に即して、「MRI検査」というものを、あえて明記して追加しました。
 年齢に関しての詳細な検討ですが、下のスライドにあるように、修正齢を12週未満あるいは週齢12週未満ということで、年齢の補正に関しては、グラフにあるとおりです。いずれにしても、いわゆる12週未満の症例は除外です。体温、薬物に関しては、35℃未満が妥当だろうということに結論をしました。6歳以上15歳未満、15歳以上に関しても、いままで32℃未満とあったのですが、35℃未満に統一してはどうかというのが、今回当班からの提案です。急性薬物中毒に関しては、同様です。
 6頁です。2.除外例は、(3)疾患による除外、代謝異常、内分泌疾患は同様ですが、眼球損傷、内耳損傷、高位脊髄損傷のために脳幹反射の一部や無呼吸テストが実施できないときは、これまでどおり当面は法的脳死判定の対象としない。この「当面は」という理由ですが、さまざまな補助検査を加えて、総合的に脳死判定できる可能性が広がりつつありますので、それについてはそれらの検討結果を踏まえて、今後も検討していくべき課題と考えています。下のスライドです。これはいま山田先生がお話をしたとおりです。
 7頁です。12週以上で6歳未満の小児の血圧ですが、これは細かく年齢で区切っていくべきだろうということで、文献を参考にしまして、1歳未満は血圧65mmHg未満を除外です。1歳から12歳にかけては、年齢掛ける2mmHgに65mmHgを加えた数値を適正血圧とし、それ未満のものは除外です。13歳以上は、すべて90未満を除外血圧としました。
 次に下のスライドの3.判定上の留意点です。?A中枢神経抑制薬・筋弛緩薬の影響に関しては、これまでの検討結果と同様で、特に変更はありません。
 8頁の4.必須項目です。判定基準の必須項目としては、?@深昏睡です。?A瞳孔に関しては、両側とも固定であること、瞳孔径が左右とも原則4mm以上に拡大していることとしました。?B脳幹反射の消失については、対光反射、角膜反射、毛様脊髄反射、眼球頭反射、前庭反射、咽頭反射、咳反射の消失とありますが、「前庭反射の消失」に関しては、下のスライドに少し細かく書きました。実際には、鼓膜損傷があっても前庭反射の検査は安全に行い得ることが、平成11年度に既に報告されていますので、ここはあえて、鼓膜損傷があっても可能としました。小児ですので、6歳未満の乳幼児では、氷水の注入量は成人と異なって少なくして、25mLとしてあります。
 9頁です。脳波でいちばん困るのは、小児は頭が小さいことでしたので、下のスライドにありますが、1)「電極間距離」は乳児では5cm以上あればいいことにしてあります。もう一度上のスライドですが、下のほうにある基準感度で、10μV/mmの記録と、部分的に感度を上げて、より詳細な記録も必ず行うと明記しました。それについて、下のスライドの2)にも書いています。近年はデジタル脳波計が主流になってきていますので、その文章を加えて、アーチファクトの鑑別が困難な場合など、デジタル脳波計に特有なことに関しては、フィルターの選択で考慮できるとしています。3)、4)、5)に関しては、特に変更点はありません。
 10頁です。無呼吸テストに関してですが、これもいろいろと小児で言われていますが、文献等を詳細に検討した結果、上のスライドの4点でまとめました。1)テスト前の望ましい条件としては、体温35℃以上、PaO2が200mmHg以上、PaCO2が35〜45mmHgの間です。2)血圧、心電図、SpO2のモニターを必ずする3)100%酸素の投与下で10分以上の人工換気後にT-ピースでの100%酸素投与に切り替えて行う。マニュアル等に、そのほかのいろいろな方法もあることは付け加えるということで、判定基準案という1頁でまとめることに関しては、3)だけの記載としました。4)判定方法ですが、胸部聴診と呼吸音の聴取で、呼吸の有無を観察すればよいということで統一しました。PaCO^2が60mmHg以上になった時点で観察は終了です。その時点まで呼吸が観察されない場合を、“自発呼吸の消失、即ちテスト結果陽性”とします。血液ガス分析の時間については、小児であることなど、実際のベッドサイドでのことを踏まえて、テスト開始3〜5分後の間に初回が行われればよいと、少し緩やかになっています。
 下のスライドですが、5.判定間隔はこれまでと同じで、24時間以上としました。
 小児に多いとされている「長期脳死」についてですが、これまでも種々論議されていて、さまざまな研究結果も報告されています。いろいろ文献も当たったのですが、適切な診断根拠、脳死判定を踏まえた、臓器提供を踏まえた脳死判定ということが、今回の法令ということで、診断根拠と考えますと、適切な診断根拠に基づいて脳死とされたあとでの、人工呼吸器からの離脱や意識の回復ということでは、明確な報告はあまりないのです。判定基準が曖昧だったりということで、臓器提供を踏まえた正確な脳死診断という意味では、あまり詳細な報告がないというのが実情でした。したがって、今回の臓器提供を前提とした診断基準に関しては、これまで報告されている長期脳死の存在はそれほど影響を与えるものではないとして、実際の医療現場においては、長期脳死に関しての考慮はもちろん必要であるのですが、医療者側が、家族に対して、それに関する十分な説明を行い、その説明を受けてどう判断するかは家族に委ねるのが妥当であると考えられると結論づけました。以上です。
○永井委員長 ありがとうございました。
○相川(直)委員 学会で京都まで行かなければいけないので、退席させていただく前に一言お願いです。いまの発表で、5頁の下のスライドの(2)の?@の「さらに15歳以上も35℃未満に統一してはどうか」というご提案があります。今回は小児の判定基準を検討していただいて、それに付随して15歳以上へのご提案ですが、また、脳低温療法など、いろいろな状況で、いままでは32℃未満なのですが、「以下」と書いてあって、それも困った表現で、本当は「未満」にしてほしいと思います。いずれにしても、「15歳以上も35℃未満に統一してはどうか」というのは、エビデンスなどを基に、もう一回検討していただければありがたいと思います。今回の目的から付随的なものだと解釈します。よろしくお願いします。
○永井委員長 6歳未満については35℃でよろしいですか。
○相川(直)委員 はい。
○永井委員長 ほかにございますか。
○宮坂委員 全体に非常にいいと思います。10頁の?D自発呼吸消失の方法のところで、マニュアルで別途細かなこととはおっしゃられたのですが、このままですとT-ピースでの100%酸素6mLと決まってしまうように読み取れるので、できればこれを「等」として、6mL/minを省いたらどうか、入れるなら「それ以上」と書いたらいいと思います。
 というのは、実際に人工呼吸器に付けておいて、ピープを付けてやらないと、私は多くの脳死判断の症例を経験していますが、2〜3分で一気にディサツュエーションになってしまいますので、現場はピープをかけることになります。それを否定しているわけではないと思いますので、表現をちょっと考えていただいたらと思います。
○永井委員長 先ほどの大人の件ですが、8頁の鼓膜損傷も大人も含めて、鼓膜損傷の検査は可能ということになるのですか。
○宮坂委員 これはいいと思います。
○永井委員長 そのほかにいかがですか。
○貫井委員 自発呼吸のこれは改めて報告書を出すのですが、マニュアルを作るときに、ちゃんとT-ピースで、子どもだとカテーテルで酸素を与えるのは実際的ではないのです。ですから、人工呼吸を付けたままとか、そういうことは必ず記入することにしています。今回はまだ出していません。
○宮坂委員 そうだと思います。この文書だとその可能性がなくなってしまうかなと思って発言しました。
○貫井委員 それは考慮しています。それから、大人の場合がいくつか関与してきまして、先ほどの前庭反射もそうで、大人と子どもの前庭反射は一緒です。大人の場合もこういうふうにしたらどうかと考えています。
 それから体温についてですが、成人の場合も32℃以下、無呼吸テストの場合は35℃以上となっていて、統一されていないのです。ですから、そこをこういう場で議論していただいて、33℃、34℃というのは、軽度の低体温に含まれる可能性がありますので、低体温の影響を除くという意味でも統一したらどうかという提案で、ここで検討していただこうと思っております。
○小中委員 先ほどの体温についてはご検討いただけるということで、私もこの大人についてはご検討いただきたいと思います。
 それともう1つは、前庭反射の鼓膜損傷があっても可能というのを、今回検討していただいて非常にありがたいと思うのですが、例えば前庭反射にしても、対光反射等にしても、事故の場合等に片方の損傷がある場合があるのですが、これについては片方で可能かどうかのご検討をしていただくことは難しいのでしょうか。
○貫井委員 これは施行規則がガイドラインで決まっていますので、例えば報告書の中には書いたのですが、脊髄毛様反射というのも本当はいまは必要ないと。脊髄毛様反射であって脳幹はあまり関係ないというのがあるのですが、施行規則、ガイドラインを変えるのは非常に大変なので、患者さんにとって害でないので、脊髄毛様反射は入っているのです。1つにしろという議論もあるのですが、やるのならここでやっていただければいいのですが、大変な作業です。
○奥山委員 教えていただきたいのですが、小児の場合に、長期脳死ということが議論になっていたかと思いますが、例えば親御さんに説明するときに、「頻度が高く」というのをどのくらいと考えたらいいのかということです。
 それと、ICUでほとんど脳死となって、無呼吸テストだけができていないケースもあるのですが、ほとんど全部の検査をして脳死となって、看取りがどうかという話になっていながら、1年は生きている方は結構おられるのですが、無呼吸検査までをやれば、ほとんど長期脳死というのはなくなると考えていいのか、やはり残るものなのでしょうか。
○宮坂委員 無呼吸テストをしても、長いこと心臓が止まらないという症例はあります。随分といっても1%とかのオーダーだと思いますが、ただ心臓が止まっていないということだけを取ればですね。
○奥山委員 要するに成人と違って多臓器の合併症がないので、小児のほうが脳死判定を受けても長期生存例の報告が多いということになっているわけですけれども、いまの医療を一生懸命やれば、もちろん脳死判定を受けても長期生存する例は、今後むしろ増えてくる可能性があります。ですから、脳死判定を受けたあとでも、長期の脳死例があることを否定するわけではないのですが、今回の年齢制限がなくなって臓器移植が可能になったということをある判定基準をもって進めていく上で、そういった症例があるから脳死判定ができませんとは言えないことになってしまうので、このような結論になっています。
○貫井委員 長期脳死で、生きている死んでいるという話になるとあれなので、心臓が動いている、あるいは脳以外の器官が働いていると。これはアメリカで問題になっていまして、脳死になれば体全体の統合が失われるから、早期に心臓が止まるはずだというのが、医療の発達によって止まらなくなったのです。ですから、その辺はいま日下先生が言うように増えてくると思います。心臓が動いて、成長もしてということはあると思います。
 それと、いままでの報告例では、人工呼吸器が外れたり、意識が戻る例はありません。どこに視点を置いて見るかで、相当違うのではないかと思います。
○相川(厚)委員 資料3の6頁の上のスライドで、現行のガイドラインはこのようになっていますが、「眼球損傷、内耳損傷、高位脊髄損傷のために脳幹反射の一部が消えた人は実施できないと、これまでどおり当面は法的脳死判定の対象としない」とあります。これは臓器移植関連学会協議会で提言は出ていますが、この下に書いてある補助診断を参考にしてできる可能性があるのではないかということです。実際に、できないと言っているのは日本だけです。眼球の損傷があったから脳死判定ができない、内耳の損傷があってテストができないから脳死判定ができないと言っているのは、日本だけです。ここに「今後の検討すべき課題と考える」と書いてありますが、いまが検討する時期なのではないでしょうか。この点について、あまりにも外国と違いすぎますよね。いかがでしょうか。
○貫井委員 以前にも竹内一夫先生を研究代表者にして、補完検査として、生理学的検査、脳循環検査を検討班としてやったことがあるのです。結論として出たのは、今日ここに提案した、前庭反射だけを救えると。鼓膜損傷があっても前庭反射はできるという結論しか出なかったのです。
 なぜかというと、例えば血流検査に関して、厳密に条件を一定にして、どれくらいの能力があるかを検討した報告は、全世界にないのです。それから、脳死の症例で血流をちゃんと測ってというものもないのです。
 それに関して、血流検討班でやりました。これはまたあとで、全体で補完検査をどうするかを検討していただく中で、またそういう結果を出していきたいと思いますが、そういうものはどこでやるのか。ここでやるのだったらいいのですが。
○相川(厚)委員 日本だけが、唯一これがあるからできないというのは、あまりにも違いすぎるような気がしてしようがないのです。確かに脳死判定は厳格にやらなければいけないものだと思いますが、日本だけが独自にこういうものを主張しているというのは、どうなのかなと私は思うのです。そうすると、外国でやっている脳死判定は、眼球損傷でも内耳損傷でも、実際にやっているわけですから、それは全部違うということがはっきりと言えるかです。
○貫井委員 それはそういう議論ではないと思います。考え方の問題です。日本は世界でいちばん厳しい脳死判定基準を使っています。これは事実ですが、だからほかがいい加減だという話ではありません。そこは先生方のお立場で、判定を緩くしろと捉えがちなのです。ほかの人たちにとってです。私たちはどちらでも、正確にやればいいです。
 そういう意味で、確かに脳死判定基準は日本がいちばん厳しいのですが、ベッドサイドでできるというのを基準にしてきました。それに何かを加えるとなると、いろいろな仕掛けが必要、議論が必要で、外国と比べてどうのこうのという議論よりも、ちゃんとした手段があるのだから、それを利用したらどうかというほうがいいのではないでしょうか。それが正しいと私は思います。ただ、この議論はどこかでしていただいたほうがいいと思っています。
○大久保委員 脳死判定基準をどうするかは、結果的にはここでしか結論を出せないですね。先生のおっしゃるような検討班みたいなものをつくって、そこでどのような形で代替のものを何をやるかとか、どういう検査をするかを決めていただいて、それをこちらに出していただいて、ここでもう1回議論をすると。
○貫井委員 すみません、時間がないので。3つ目の案で、血流検査に関しては、その検査がどのくらいの精度を持っているかは出しました。あとで厚生労働省に報告書も出しますし、この検討会の中で配られると思います。ただ、それをどう活かすかというのは、また別の問題なので、むしろ精密に脳循環のわかる人たちが入った班でもつくらないとと思うのですが、そこら辺はあとで出てきます。
○永井委員長 それはお任せします。
 いろいろとご議論はあるかと思いますが、そろそろ時間です。少なくとも、いまの議論の中で、低体温については、6歳未満のところでは35℃未満とさせていただきます。それから、鼓膜損傷の取扱いについては、大人も含めて鼓膜損傷があっても検査可能ということです。その2点はご確認させていただきます。その他の点については、いまいただきましたご議論を基に、事務局でガイドラインの素案を作っていただいて、さらに議論を深めたいと思います。
○大島委員 元に戻るのですが、参考資料4の虐待の問題です。「虐待を受けたとの疑いが否定された場合」ということで、「否定された場合」とあるのですが、虐待がないということを証明するのは非常に難しいと思っています。しかし、かと言って虐待があるという根拠がないということでいいのかどうかという議論は、大変大事なことを決めようとしています。ここは1度議論をしておいたほうがいいと思います。
○永井委員長 その点も含めて、次回に議論を深めたいと思います。事務局から連絡事項をお願いします。
○長岡補佐 本日は活発なご議論をいただきまして、ありがとうございました。7月17日の改正法の施行に向けたガイドライン案については、本日ご議論いただいた内容も踏まえながら、事務局で素案作りの作業を進めさせていただき、次回以降にこちらの委員会でご議論をお願いします。よろしくお願いします。次回は日程調整をし、近日中にご案内文書を正式にお届けできるかと思います。以上です。
○永井委員長 今日は長時間ありがとうございました。これで終了させていただきます。


(了)
<照会先>

厚生労働省健康局疾病対策課臓器移植対策室
代表 : 03(5253)1111
内線 : 2366 ・ 2365

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