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2014年7月10日 第19回先進医療技術審査部会

(了)


第19回先進医療技術審査部会

(1) 日 時:平成26年7月10日(木) 16:00~16:55
(2) 場 所:航空会館501+502 会議室(5階)
         (東京都港区新橋1-18-1)
(3) 出席者:
猿田座長、山口座長代理、石川構成員、一色構成員、
伊藤構成員、関原構成員、竹内構成員、田島構成員、
直江構成員、山中構成員、山本構成員
  (事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
保険局医療課 専門官
医薬食品局審査管理課 課長補佐

議 題:
1. 継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
2. 試験実施計画の変更について
3. 協力医療機関の追加について
4. 先進医療会議の審査結果について(報告事項)
5. その他

議事録:
○猿田座長
 第19回先進医療技術審査部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては大変天候の悪いところ、またお忙しいところをお集まりいただき、どうもありがとうございます。
 本日の構成員の出欠状況です。金子構成員、佐藤構成員、柴田構成員、大門構成員、藤原構成員が御欠席です。構成員16名のうち11名の方にお集まりいただいておりますので、本会議は成立しております。
 今回から、事務局のメンバーが一部交代しておりますので、事務局からよろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 7月より中谷専門官の後任で配属された真田と申します。皆さん、よろしくお願いいたします。
○猿田座長
 まず配布資料の確認をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 議事次第、座席表、開催要綱、構成員及び技術委員名簿です。次に、継続審議の評価を受けた技術の再評価結果として、資料1-1~資料1-6がございます。次に、試験実施計画の変更についてとして、資料2です。次に、協力医療機関の追加についてとして、資料3-1及び資料3-2です。次に、先新医療会議の審査結果についてとして、資料4があります。最後に参考資料です。会議資料の最終ページは182です。本日の資料は以上です。乱丁、落丁等がございましたら、事務局までお知らせください。
 利益相反についてです。対象となる医薬品及び医療機器の企業等について、資料1-1の11ページの「医薬品・医療機器情報」を御覧ください。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業に関して事前に確認しております。今回は、いずれの構成員からも事前の届出はございませんでした。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。該当なしということでよろしいでしょうか。
 また、今回もタブレットを使用していただきたいと思います。届出書類等については、タブレットから閲覧していただきます。会議資料に基づき発言される場合、発言される方は会議資料の何某ページ又はタブレットの何某ページと、あらかじめ御発言を頂けますと議事進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
○猿田座長
 議事に入ります。最初は、継続審議の評価を受けた技術の再評価結果についてです。事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 撮影されている傍聴者の方は、ここまでとさせていただきます。
 資料1-1、11ページです。今回、先進医療Bとして再評価していただく技術は、整理番号026「内視鏡手術支援ロボット(da Vinci Surgical System)による胃手術」です。適応症は胃悪性疾患です。申請医療機関は藤田保健衛生大学病院です。審査担当構成員は、主担当を山口構成員、副担当を柴田構成員及び佐藤構成員にお願いしております。
 資料1-6、35ページです。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について御説明いたします。
 1「実施責任医師の要件」とし、診療科は外科、資格は消化器外科学会専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、DVSS Certificate取得医となっています。当該診療科の経験年数は5年以上が必要。当該技術の経験年数は1年以上が必要。当該技術の経験症例数は術者として10例以上が必要。その他、1例以上のロボット支援胃全摘施行経験を要します。
 2「医療機関の要件」としては、診療科は外科。実施診療科の医師数は、日本消化器外科学会指導医の常勤医師1名以上及び日本内視鏡外科学会技術認定取得医の常勤医師が1名以上必要となっています。他の診療科の医師数は、麻酔科常勤医師1名以上。その他医療従事者の配置は、常勤臨床工学技士1名以上が必要です。病床数は100床以上です。看護配置は不要です。当直体制は、外科と麻酔科が必要です。緊急手術の実施体制が必要で、24時間実施体制の院内検査も必要です。他の医療機関との連携体制は不要ですが、医療機器の保守管理体制、倫理審査委員会による審査体制、医療安全管理委員会の設置が全て必要です。医療機関としての当該技術の実施症例数は20例以上。その他5例以上のロボット支援胃全摘実施経験を要し、過去4年間の腹腔鏡下胃切除術が50例以上、全合併症率がClavien-Dindo分類Grade3以上で、12%以下であることが必要となっています。
○猿田座長
 これに関して、どなたか御意見はございますか。よろしければ、この機関の要件はいいということにさせていただきます。早速ですが、今度の評価の結果について、主担当の山口先生から概要の説明をお願いいたします。
○山口構成員
 簡単な説明がありましたが、もう1回まとめますと、これは藤田保健衛生大学病院をはじめ3つの大学から出されたda Vinci Surgical Systemを用いた胃切除支援手術の安全性、有効性、経済性に関する試験です。
 本技術はda VinciというSurgical Systemを使うわけですが、長所としては拡大視ができる、大きくして見られる、3Dで立体視できる、手ぶれが非常に少ないなどがあげられています。本来、この技術は遠隔操作ができることが大きなメリットで、例えば名医が遠くにいて、名医がいない所でも手術が受けられる、あるいは戦争をしている所でも手術ができるということが目的だったわけですが、今は狭い手術室の中だけでやるので、遠隔操作は余り意味がないと思います。
 また、拡大視とか3D画像は別にロボット手術に限ったことではなく、今は腹腔鏡手術でも随分用いられてきているので、これがこの技術の直ちに得意なところではないと思います。ただ、手ぶれが少ないということ、操作が非常にしやすい点が大きなメリットで、その辺りが期待されるところだと思います。
 一方で短所は、やはり触覚がないことで何回も指摘されているところです。腹腔鏡だと、まだ鉗子を通しての触診ができるのですが、ロボットの場合にはパワーも強いですし危険な場合があるということです。実際に名古屋大学で胃がんの手術で、膵臓を損傷した死亡例が出ています。これは、柔らかい膵臓は傷付けやすいということで、操作を誤ると危ないという点もございます。
 それから、腹腔鏡手術には、今はいろいろなデバイスが使われていますが、その中に、ロボットでは使えないものがかなりあるというデメリットもあります。そして、ロボット専用のものではないと使えないという事情があって、コストが高いということもあります。先般の議論で、コストのことは今回はよろしいということでしたので、これ以上申し上げません。
 ほかには、準備の時間も含めて時間がかかるということがあります。必ずしも、このロボットを使えばスムーズに、1日に2件、3件できるわけではなくて、2件やっていたところが1件しかできないという事態も起きるということです。ただ、操作性の良さというのは、術者から多数そういう意見が聞かれるということで、そういう点に将来の可能性を期待するということです。 今回は何を評価指標として入れるべきかと迷ったのですが、膵液漏などの合併症としました。膵臓を傷付け膵液が漏れてくるということは、消化液が漏れてくるわけで、非常に厄介な合併症の1つで、退院が延びたりします。この発生頻度が、申請機関では、膵液漏が非常に少ないという素晴らしいデータが出たので、私としては、そういうところにこの技術の価値があるのかもしれないという、メリットの可能性を認めたということです。
 合併症の発生率というのは、なかなか難しい問題があります。というのは、術者によって違います。実際に、この3つの施設でも術者によって、全然合併症の発生率が違います。それから、施設によっても違います。例えば前にJCOGで2008年に終了した試験で、腹腔鏡の試験ですが、極めてセレクトされた施設でやりましたが、そのときの合併症の発生率はわずか1.7%と極めて低いものであったり、全国で調べるとその何倍かであったり、なかなか難しいのです。この点が、薬剤の評価と違うところかと思います。薬剤であれば、私がこれを使用しようが、他のどの外科医がこれを使用しようが、副作用は同じように出てくるわけです。しかし、機器の場合には使い方によっては全然合併症の出方が違うということになります。
 もう1つは、機器は使わなければ進歩しないということです。薬もそうかもしれません。薬でも上手に使わないと、たとえば副作用対策が十分にできなくて、下手な使い方になってしまうことがあるのだと思うのです。こういう機器に関しては更にそういう点が著明であって、最初に使い始めて悪いからといって見捨ててしまうと、その技術が伸びていかないうちに駄目になってしまうという可能性があります。そこが難しい点だと思います。そういうことは、腹腔鏡の手術の流れを見ていますと実際に起きています。開発当初は非常に合併症も多かったのが、だんだん症例を重なるごとにどの施設でも少なくなってきて、均てん化されるという傾向もあります。
 概要はそういうことなのですが、今すごく画期的なエビデンスがあるわけではないのですが、今のような点を勘案すると、ある程度先進医療で試みて、この技術を育てていくという視点も大事だと思います。その大きな背景として、症例数は少ないのですが、合併症が少ないというエビデンスもありますので、全般としは認めてよいという結果になったかと思います。
 評価表の1-2を見ていただきますと、技術委員の方も、実施体制についても「適」ですし、効果についても「適」ということです。一応、全体としては「適」になっています。
○猿田座長
 ありがとうございました。もう1回各委員の意見を説明させていただいた後に、まとめていただきます。
 本日御欠席ですが、倫理的な観点から、佐藤構成員から御意見を頂いておりますので、事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 佐藤構成員の意見に関し、資料1-2、14ページを御覧ください。倫理観点に関しては適切に対応されており、「適」との御判断です。
 資料1-5、33ページに佐藤構成員からの書面によるコメントがございます。「説明事項については、前回(第14回)の事前評価の際の評価者とのやり取りと、前回の技術審査部会の際の先生方からの御意見とを適切に反映したものになっており、それ以外の倫理的な点は前回同様、特に問題はないかと思います」とのことです。
○猿田座長
 ただいま説明いただいたとおりのことで、佐藤構成員から問題はないということです。
 続いて、やはり今日は御欠席ですが、柴田構成員の評価内容についても、事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料1-2、14ページです。柴田構成員から、試験の実施計画書等に関し、改定された方針に対し一定の理解は可能であることから、全て「適」と御判断いただいております。ただし、同時にコメントとして、「統計学的な有意差が臨床的に意義のある差であるとは限らず、本試験で検出しようとしている差の意義・価値に対して様々な観点から議論しておくことが望ましい」という参考意見を頂いております。
○猿田座長
 柴田先生からも、コメントでは、今言ったような形で、実際に統計的な面と臨床的な面との両方からよく考えていただきたいということですが、いずれにしても、皆様方は「適」ということで。全体的にもう1回山口先生総括していただけますでしょうか。
○山口構成員
 皆さんの資料の17ページ以降に、いろいろと細かいやり取りがあります。非常に真剣に答えていただいて、多くの部分は既に補正されたと考えます。しかし、それだけ多くの見解があるぐらい、なかなか難しい面があったということも事実だと思います。
 全体の評価としては「適」ということなのですが、ただ1つ、ステージ1から3ということになっています。現在、腹腔鏡手術でさえ、胃がん治療ガイドラインでは標準治療としては認められていないのです。腹腔鏡治療の分野では、安全性は確認されました。しかし遠隔成績については、早期がんの場合には5年生存率が95%以上ですから問題はないのですが、ステージ2、3になってくると、4割、5割の方は再発するわけです。
 ですから、そこで安全性の問題もあるのですが、問題は遠隔成績を悪くする可能性に関してはデータはありません。例えば腹腔鏡手術も、まだ進行胃がんに関してはきちんとしたデータが全くありません。つまり、胃癌手術で日本は世界一の遠隔成績を出していますが、腹腔鏡下手術やロボット手術にすることで、成績が落ちないかどうかということに対しては十分検証されていないのです。
 今、例えば術後の合併症を防ぐ目的で、比較的早期の症例を対象にやるとしたら良いのですが、そもそも遠隔成績はまだ悪い進行した例に関して使うことには、少し疑問を感じます。例えばステージ1、2に限ったとしても、それでも恐らく症例の75%は1、2に入ると思いますので、これを遂行するのは余り大きな問題にならないので、やはりステージ3は外したほうが良いのではないかと思います。今の日本の学会などの見解から考慮しても、かなり進行した胃がんを対象とすることを良しとする人は少ないのではないかと思います。
 ただ、この施設は3つとも、なかなか技術的にはいいと思うので、安全性は担保されると思いますが、ステージ1、2の辺りで更にいいメリットが見付かれば、次の保険収載を目指すステップとして、そういうことが検討されるべきかと思います。そのときにはもう1つ、cost-benefitという意味で、例えば出血が10cc少なくなるために50万円出すかどうかということは議論の余地があります。「適」としましたが、条件付きの適としたいと思います。
○猿田座長
 細かく説明いただきました。全体的な技術面、倫理的な面で特に問題はないだろうということで、総合的にはいいだろうということなのですが、先生方から御意見を頂きたいと思うのですが、どうぞご意見を。伊藤先生、いかがですか。
○伊藤構成員
 この技術そのものについては問題がなく、やる施設ですね。新しく参加する施設のハードルというのは、そこそこ高そうな気がするのですが、そのハードルを越えるまでの過程というのは、例えばどのように皆さんお考えなのかなというのが第一。具体的に先進医療をやられている所に……者が行くのか。da Vinciを購入した施設はどうすればこの稼働。数字が、例えば自由診療で20例なら20例をやってクリアしていくのか。そこら辺の道筋が見えない、見にくいなと思うので、教えていただければと思います。
○山口構成員
 おっしゃるとおりで、腹腔鏡の場合もそうです。理屈ではよさそうと分かっても、なかなか技術が普及するまでに時間がかかるということです。今、胃がん関係全体の感じとしては、早期胃がんでやってみて、きちんとレベルをアップしてから進行性胃がんにいこうという流れがあります。
 今回の施設基準も結構厳しいものになっていて、まだ技術的に達していない所が入れない仕組みができているので、そういう点ではいいのではないかと思います。ハードルは高くて、ちょっとやってみようということではできないようになっていますので、その点はしっかりしていると思います。
 この3つの施設は、いずれも腹腔鏡でも非常に経験を積んでいる施設ですので、それが大前提だと思います。腹腔鏡ができない施設が、これを使えばできるというのは大きな間違いで、それは誤っていると思います。そこを間違えると技術的に未熟な所が参入してきて、危険だと思います。やってみようかというスタイルではなくて術式。腹腔鏡でしっかりした技術があって、その技術を更にブラッシュアップするという形で導入されれば、評価はできると思います。
○猿田座長
 山口先生がおっしゃったように、今のこの3施設は、成績を見ると非常に安定した形ですね。石川先生、医師会の立場からどうですか。
○石川構成員
 日本医師会もそうですが、県の若い先生方のキャリアアップのことについてずっとやっているのですが、外科の医者のキャリアアップというのは、こういうda Vinciだとか、ずっと話を聞いていますと、今後はどうなっていくのだろうと。つまり、昔は何人も顔を寄せて、腹腔の中を見ていて、いろいろと臓器の位置、リンパの位置を見て、感触で「このリンパはどうだとか」ということをやっていたのだと思うのです。そういうことがなくなって、今回は20例を10例にして、広めようという操作はあるのですが、そこら辺のところが、今後どうなっていくのかというのが私などには見えない。今後は大変だなと思います。
○猿田座長
 ほかにどなたか御意見はございませんか。
○関原構成員
 幾つかあります。最初にコストの話をするなということだったのですが、同意書を認めるというのは、同意書にコストのことが書いてあるのです。これは極めて患者にとって大事なことをこの場でOKし、後で何か指摘されたら意味ないので、必要な議論は構わないと思います。
 それから、本件は先ほど山口先生がいろいろおっしゃったような問題もあるが、格別同意書にそういう問題は書いてあるわけではないわけです。つまり、これは説明する医師如何だと私は思います。同意書には、まず主治医が患者に説明するわけなので、そのときによさそうに言えば、患者というのは、医者がそういうならお金がかかってもやりますというのが、患者の心理ですよ。だから、本件が非常に難しいのは、先ほどの合併症が生じても、深刻な辛い合併症とは思えません。その辺の説明の仕方如何によって、紙に書けばこういうことなのだけれども、やりたい先生が説明されれば、患者を受け入れるはずで、その辺りをどう考えるかが難しいです。
 それから、伊藤先生がおっしゃったのは、実は日本というのは保険で認められる、あるいは先進医療として承認される前に、既に、世界でアメリカに次ぐ導入国になっているのです。使い方も難しく、適用もかぎられるので導入しようかという話ではなく、認められる前から既に百数十台も入っているわけです。従って医療機関の経営としては、当然何億も使って導入したのだから、どんどん使う、医師達に勉強して積極的に使え、というのは、私は病院の経営者としては、当然ですよ。もっと稼働率を上げろと。山口先生だって導入済みならがん研の消化器の稼働率を上げたい、ということになりますよ。
 そういう意味で本件の扱いというのは、これからいろいろハードルは高くて大変だけれども、やりましょうという話ではなくて、既に一流大学にはほとんど入ってしまっているから、どんどん先進医療として出てくるのではないかと思うだけに、その辺も含めて、よくウォッチしていかないといけない感じがします。
○猿田座長
 特に、今、関原構成員がおっしゃったように、最初のときに前立腺の手術が承認されましたね。あのときにも随分議論をして通って、それから急速に前立腺への適応は増えています。世界的にもそうですが、日本でも……。今度は違う問題ですが、どこから入っていくか。
 1つ大きな問題は、山口先生がおっしゃったように、ステージの問題を考えながら、それから、当然、今お話がありましたように、医療費の問題というのは重要な問題ですので、それも十分に考慮に入れながらということで。これに関しては、また今度先進医療会議へまわったときに、そこでもう1回議論をしていただきたいと思っています。
○関原構成員
 私は入院を何回もしてよく分かっていますので、医療機関というのは患者に入院計画書と一緒に費用は概算幾らかかりますという、所謂見積書は出さないわけです。だから、患者は退院時まで費用は本当は分からなくて、結局、胃がんだといっても、保険でカバーされて、高額医療費制度を利用できるから、8万円とか10万円なのです。だから、先進医療として80万円を追加請求するということは、実は普通の保険治療よりも8倍とか、10倍のお金がかかるのですと言うと、そんなにかかるのかとなるはずです。ただ80万円ですとさらっと書いてあって、普通の保険治療ならは幾らとは書いていないため、患者には費用の負担感が判らないわけです。

○猿田座長
 そこは必要な重要な点かと思います。
○山口構成員
 これは190万ぐらいかかるのですが、そのうちの130万は本人なのですけれども、恐らくメーカーで50万出すということです。
○猿田座長
 80万と50万と書いていますね。
○猿田座長
 ほかにいかがでしょうか。
○直江構成員
 高度先進医療あるいは先進医療という中で、山口先生がおっしゃったように、高度技術の場合に、どうしても術者とか施設の問題が入ってくるので、大変難しいです。ここの部分を改めて読んでいて、27ページ、施設間あるいは術者間の合併症発生率のロボットのところですが、過去のヒストリカルな腹腔鏡とロボット支援を比較するという中で、例えば術者間、施設間がもし出てきたら、これからしていく。それをどのように解釈していくのかということも含めて、それからまた既に議論になったように、技術の継承とか、スキルの担保というものは、薬物と比べるとなかなか難しいなという印象で、その中で、これが本格的に医療になった後が、実は難しいのではないか思っております。
 1つだけ、事務局に字句の確認です。5ページに「先進医療の実施計画」という所がありますが、この中でda Vinci Surgical Systemは一番右側を見ますと、薬事法上の適応外使用の該当ということで言いますと、これは適応外なのか適応内なのかでいうと、胃がんに対しては適応外だと認識しているのですが、これは適応内で書いてあるのですが、これは書きぶりとしていいのでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官
 このSurgical Systemに関しましては、薬事法上の適応という意味では適応内となりますが、その背景としては資料の11ページの下のただし書きに書いてありますが、この技術による胃の手術というのは、「未承認の医薬品若しくは医療機器の使用又は医薬品若しくは医療機器の適応外使用を伴わない医療技術であって、当該医療技術の安全性、有効性に鑑み、その実施に係り、実施環境、技術の効果等について特に重点的な観察評価を要する」ということで、先進Bに振り分けられたという背景がありますので、薬事法の上では適応内という解釈になっております。
 タブレットの211ページからda Vinci Surgical Systemの添付文書があります。適応症の所に既に記載があります。212ページの左側の真ん中辺りの「効能・効果」の所に、「本品は一般消化器外科、胸部外科、心臓外科を除くうんぬん」と書いていますので、効能上は適応内ということになります。
○直江構成員
 機具としては保険の適用とは少し違うという位置付けなのですね。分かりました。
○猿田座長
 それから、もう1つ先生が御指摘になりました、高度先進医療を始める所では、技術面と、もう1つは施設面もしっかりして、両方委員を分けて検討していました。そういったことですから、施設は非常に重要ということです。
○直江構成員
 分かりました。
○猿田座長
 ほかに御意見はございますか。
○山本構成員
 薬品のときと違って医療機器となりますと、必ず操作者の習熟度が必ず問題になってきて、それは逃れられない。医療機器の開発、それから認証の評価ポイントから逃れられないところなのですが、本当はもっと、例えばアメリカなどだと、そもそも各病院の各技術の成功率がもっとオープンに公開されている背景があって、その上にこういう新しい機器の使用が乗ってくるということだと思うのです。
 残念ながら、まだ日本の医療事情というか、一般的な情報として各医療機関の外科手術の成功率というか、そういうデータが公開されていないので、こういう公開の場で特定の医療技術の話をするときにだけ、そういう話が出てしまうという状況がありまして。本当は一般的な、例えば山口先生がおっしゃった、この施設は腹腔鏡の技術はどのぐらいの症例をやっていて、どのぐらいの率で成功しているとか、そういうものがまずあった上で、こういう話をすると、もっと我々も話がしやすいし、恐らく一般市民の中でも、分かりやすい話になると思います。
 でも、これは今どうしようもないことなので、むしろもっとこういう議論が公開の場でされて、こういう医療機器の新しいものを今の医療の中に乗せていくためには、もっと背景となる医療情報がもっと公開されていないと、市民の側も正しくそれを認識することができない。
 結局、その医療の中での成功率とか失敗率というのは、背景情報があった上で相対的に評価するものなので、これだけが何パーセントというのは、高いか低いかという絶対評価はできませんから。ただ、こういうことが議論される中で、それがプレッシャーになって、医療技術のいろいろな背景情報がより公開されていくということが望ましいのではないかと。こういう議論をこういう場でするのは、非常に重要なことだなと思います。
○猿田座長
 先生が御指摘のことは、以前から言われていることで、これはできるだけ早く進めていかなければいけないということで、そこが一番日本で欠けているところです。
○山中構成員
 今、山本先生がおっしゃったのは全くそのとおりです。日本の外科領域でも今、National Clinical Databaseというのが進んでおり、そこで専門医を持った人がやったら、本当にいいのか悪いのかなど、そういうところから、そういうデータを引っ張ってきて評価することも可能になる時代がもう来るのではないかと思います。
○猿田座長
 外科のほうは、割と早く進んでいるけれども、内科系はまだ遅れています。とにかく、そういう方向できていますので、全体のところはお分かりいただけるかと思います。
○山口構成員
 この機械は、この機械が生きるところで使わなければ駄目だと思うのです。例えば、これで胆嚢摘出術をやると。2008年ぐらいに、既に米国でやっても意味がないというデータが出ています。是非つまらないことに使わないで、例えば食道とか、恐らく前立腺なども尿道の吻合とか、ものすごく深い所で細かな操作が必要だと。そういうものが生きる所に限るのだということをよく理解していただきたいと思います。技術的には胃がファジーなところで……全然易しくはないが、超難しくはないかもしれないということが問題なので。
 今後、これに便乗して何でもかんでも出すということはないように、是非ここは歯止めが必要だと思います。
○猿田座長
 おっしゃるとおりで、前立腺のときも随分議論をしていて、やっと今ここまできました。アメリカはもう85%ぐらいにいきました。胃がんに関してもですね。ですから、問題は山口先生がおっしゃったステージの問題だけは十分に注意してやっていくということと、先ほど各委員の先生からは、今の状態で「適」であるということと、将来性のことを考えた場合に、日本のこれからの医療がどうかというメリットがありますから、私は皆さん方の御意見で、注意事項をしっかり守っていただいて、「適」とする方向に持っていくのがいいのではないかと思うのですが、先生方、最終的によろしいでしょうか。
(異議なし)
○猿田座長
 それでは、「適」とさせていただきます。ただ、先ほど山口先生がおっしゃった条件のところだけはしっかりとしていただく。今やっている3つの施設はしっかり分かっていますので、それをまず基本として、新しい施設のときは十分に考えていくということで、ありがとうございました。
○医政局研究開発振興課専門官
 確認させてください。「条件付き適」ということで、その条件として、ステージ3を除外するということでよろしいでしょうか。
○猿田座長
 はい。
○医政局研究開発振興課専門官
 ありがとうございました。
○猿田座長
 これも先にいって、いろいろな状況が起こってくれば変わってくると思いますが、現時点においてはそういう形です。ありがとうございました。それでは、この問題はそういう形で、ここの条件のところは条件を入れて「条件付き適」ということにさせていただきます。
 次が、試験実施計画の変更についてです。事務局から説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料2、37ページです。「先進医療Bの試験実施計画の変更について」、今回1件の申請があります。大臣告知番号10「十二種類の腫瘍抗原ペプチドによるテーラーメイドのがんワクチン療法」です。平成22年6月1日から本年5月31日までの4年間の登録期間で、目標症例数がワクチン群55例、対照群36例の計91例であったのに対し、本登録症例数がワクチン群33例、対照群5例の計38種類にとどまりますため、本年6月1日より更に3年間の登録期間延長を申請されています。ちなみに参考資料として、39ページのグラフが現在までの登録症例の集積状況です。こちらの御審議をお願いいたします。
○猿田座長
 今、説明があったとおりで、39ページの表を見ていただきますと分かるとおり、この技術に関しては、平成22年6月1日から始まって4年間たっています。最初のうちはかなり進んだのですが、その後少し鈍ってしまったということですが、もう少し目標とした症例数に達していないということで、3年間の延長をお願いしたいということです。これはどなたか御意見ございますか。
○山本構成員
 これのプロトコールを覚えていないのですが、38ページでワクチン群ですが、取得数はかなり取られているけれども、脱落が多いのでなかなか症例数が集積できないということのようですが、これはプロトコール上致し方ないということなのですかね。だから同意を取って、その後に調べた検査で適格基準から外れる例が多いのは、これはプロトコール上致し方ないということで、直江先生、よろしいのですね。
○直江構成員
 39ページに書いてあるように、本登録前に同意を取得した後、HLAを調べてAの24があるかないか。24があった場合に改めて同意を取得してランダム化する。確かそういうデザインで伊藤先生たちはやっていらっしゃったと思います。確かに書いてあるように、3分の1ですか、ベストサポーティブケアというということで、コントロールは何も治療をしないということで、……私も聞きましたけれども。
○医政局研究開発振興課専門官
 今、御指摘がありました項目に関して、事務局で確認しました。タブレットお持ちの資料295ページ、この試験群のプロトコールの対照症例、選択基準があります。今、山本先生、直江先生がおっしゃっていただいたように、対照症例はこちらにある1から9までの全ての項目を満たした方となりますので、仮登録から本登録に至るまでの間に脱落の可能性は少なくないものと思われます。
○山中構成員
 HLA陰性の割合に依存するというのは分かるのですが、それを差し引いても、今、2013年の1月くらいに31例で、1年半たっても2例しか登録されていないわけです。対照としてのBSC群のほうが登録されにくいというのは、ワクチンを受けられない、治療は受けないのにHLAの検査などいろいろ免疫の機能の検査などを受けなくてはいけないというので、同意説明がうまくいかないというのは分かるのですが、2例しか登録が進んでいないという辺りは、試験の進行上は少し問題かなという気はしています。
○医政局研究開発振興課専門官
 私ども事務局としましては、そちらの進行状況を鑑みた延長申請に関しては、是非、委員の先生方で御議論いただきたいところでございます。
○山本構成員
 症例が集積しないときは、やることは2つしかなく、期間を延ばす、それから施設を増やす。それしかありませんので、まずは期間を延ばしていただくのは順当だと思います。なかなか登録施設を増やすのもどうも難しいようですので、まずは今やっていらっしゃる所で頑張って登録期間を延ばして、もう少し集積を固めていただきたいですが、山中先生が御指摘になったように、この施設だけではかなり頭打ちにはなっていらっしゃるようなので、プロトコールの中でほかにハードルになっている部分で変更できる部分を検出していただくとか。ただ、期間延長はもちろん認めざるを得ないと思いますけれども、それ以外にも集積ができるだけできるように努力していただきたいという程度の、参考意見を付けておけばよろしいかと思います。
○医政局研究開発振興課専門官
 先生方にただいま頂きました御指摘を踏まえ、私ども事務局でもただいまの実施施設に対して、更なる症例の集積努力を促すよう指導いたします。その結果を踏まえて、登録症例数が上昇した場合はそれでよしということですし、私どももそのようにいたします。
○猿田座長
 確かに非常に優れた技術だということでスタートして、スタート時には急速に増えたのです。しかし、その後は症例数が大変少なくなってしまったということもあるので、そういうことを考えると施設も少し増やしていくということが大切だと思います。私たちも最初にこれが認められたときは、非常にうまくいく、もっともっと早く進むかなと思いましたが、少し遅くなったということで、できれば施設を少し増やすことかなと思います。
○関原構成員
 私もこの話はいろいろなところから聞きまして、結局これは久留米まで行かなければいけないわけです。だから東京にペプチドワクチンの検査、要するに白血球の型とか何とかというそのセンターでもあれば、そこで統括すれば行けばいいけれど、臓器別に全国に散らばっているわけです。ある人は茨城県に住んでいるのだけれども、東京のどこかの大学は駄目だから、例えば滋賀大学まで通わなければいかんと。そういう話になっている。だからこれ、本当に国としてある期間でもって成果を確認しようということであれば、東京、大阪などに検診センターなどを置いて、そこで必要な検査はして、合格したら久留米に行ってもいいし。それがないから大変なのです。
○医政局研究開発振興課専門官
 ただいまの議論も踏まえて、私どもも登録施設数を増加することも含めて、実施施設に対して指導を加えてまいりますので、そのように申し伝えます。
○猿田座長
 とにかく、できるだけ早くするようにしていただくのが大切ですので、よろしくお願いします。
○山口構成員
 これ、38ページのデータを見ていると、ワクチン群はコントロールから脱落しているのが多いですね。対照群はコントロールから脱落しているのは1例だけです。その理由がよく分からないです。先ほどここに書いてあるのは、何かコントロール群にはいるので嫌がるのだということだったのに、割とコントロール群ではきちんといっている。しかもこの数字から、このペースでいって、3年間延ばしてもできると思えないのです。何か特別な手当てをしないと、このままでは絶対無理でないかと思います。
○医政局研究開発振興課専門官
 事務局としてもその点を踏まえて、先ほども施設を増やせばどうかという議論もございましたので、その点も含めて指導してまいりたいと思います。
○猿田座長
 ただ期間だけのばしても問題ですから、施設を増やしていただくということがよいと思います。ほかに御意見がなければ、一応そういう形でこの事務局の提案を認めていただけますでしょうか。
 それではこの点をお認めいただいたことにいたします。どうもありがとうございます。続いて先進医療会議の結果について、事務局から報告をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 まず、医療機関の追加について御議論させていただいてよろしいでしょうか。
○猿田座長
 はい。
○医政局研究開発振興課専門官
 まず協力医療機関の追加について、事務局から御説明を加えさせていただきます。資料3-1、41、42ページです。これまでに大臣告示されております7技術について、合計15施設につき協力医療機関としての追加申請があります。この資料に先進医療名、適応症、申請医療機関、追加協力医療機関について記載しております。
 次に資料3-2、43~49ページです。事務局において協力医療機関として提出があった先進医療実施届出書等を確認した結果、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしておりますことから、協力医療機関としての追加としてこれらを御了承いただきたいと存じます。特に御意見がなければ、追加の手続を進めたいと思いますが、いかがでしょうか。
○猿田座長
 今、説明がありましたお手元の資料、各技術に対する追加協力機関を見ていただくと、いずれもしっかりとした協力機関だと思います。先ほどから出ているように、そういった機関の条件は非常に重要ですので、そういう形で書いてあるとおりですが、よろしいでしょうか。ざっと見たところではどの施設もきちんとしていることであり、大丈夫ではないかと思います。よろしいでしょうか。それではこれはお認めいただきます。
○医政局研究開発振興課専門官
 ありがとうございます。引き続いて「先進医療会議の結果について」、事務局より御説明いたします。資料4の51、52ページです。御覧のように今回は継続審議案件が1件、次のページに新規の案件が2件ございました。そのうち整理番号064「SLEへの新規ステロイド投与に際する大腿骨頭壊死予防のための3剤併用療法」に関しては、初期的な安全性に関する評価ポイントのほかに、3剤の併用療法に関する有効中止及び無効中止を判定するための中間解析ポイントを設けること。及びワルファリンからクロピドグレルに対象薬剤を変更した過程を説明した患者説明文書の記述内容に絡み、誤解を生じないよう修正を求められたこと、以上2点の「条件付き適」となりましたが、ほかの2件に関しては、指摘事項がなく「適」とされました。以上でございます。
○猿田座長
 保険局、何か御意見ございますか。
○保険局医療課専門官
 ただいま事務局から御説明がありましたとおり、「SLEの新規ステロイド投与に際する大腿骨頭壊死予防のための3剤併用療法」については、審議の中で条件について2つ頂いたところです。現在、1申請医療機関とやり取りをしておりますが、基本的には「条件付き適」という形で頂いておりますので、御報告いたします。
○猿田座長
 今の説明のとおりですが、これに関してどなたか御意見がありましたらどうぞ。骨頭壊死の予防法はなかなかいいものがなく、この3つの形でやれるということで議論していただきまして、今の形で認めるということです。どなたか御意見ございますか。もしなければ、それではこれはこういう形で認められたということで、よろしくお願いします。事務局からはいかがですか。
○医政局研究開発振興課専門官
 次回の日程を申し上げます。当初は8月6日でお知らせしておりましたが、先進医療会議が開催されることになりましたので、当初の予備日としてお伝えしておりました21日(木)16~18時とさせていただきます。場所については別途、改めて御連絡いたします。また本日の議事録は作成次第、先生方に御確認をお願いして、その後、公開いたしますので、併せてよろしくお願いします。
○猿田座長
 今、説明がありましたが、少しでも早く先進医療を進めていただきたいこともありますので、当初は8月の第1週の予定でしたが、少しずらして予備に取っていただいた第3週の8月21日にこの先進医療技術審査部会を入れていただきたいということですが、先生方、暑いときでいろいろ大変かと思いますが、よろしく御協力をお願いします。
 今日、議論することは以上ですが、折角ですので、構成員の方々、何か御意見ございますれば、よろしくお願いいたします。何かございますか。もしなければこれで、第19回先進医療技術審査部会を終了いたします。御協力どうもありがとうございました。


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