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2014年8月18日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会議事録

食品安全部基準審査課

○日時

平成26年8月18日(月)
14:00〜16:00


○場所

三田共用会議所3階 大会議室
(東京都港区三田2−1−8)


○出席者

委員

山本委員(部会長)、石川委員、石田委員、甲斐委員、木村委員、小西委員、河野委員、鈴木委員、寺嶋委員、西渕委員、野田委員、林谷委員、堀江委員、松田委員、丸山委員、山下委員

事務局

三宅食品安全部長、國分企画情報課長、山本基準審査課長、滝本監視安全課長、西村食中毒被害情報管理室長、梅田補佐、黒羽補佐、先崎補佐、仲川専門官、小西専門官、井河係員

○議題

(1)豚の食肉等に係る規格基準の設定について
(2)二枚貝の下痢性貝毒について
(3)その他

○議事

○事務局 それでは、定刻となりましたので「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会乳肉水産食品部会」を開催させていただきます。

 本日は、御多忙のところ御参集いただき、誠にありがとうございます。

 本日、山下委員からは御欠席される旨の連絡は受けておりませんけれども、現時点で乳肉水産食品部会委員16名中15名の委員の先生方に御出席いただいておりますので、本日の部会が成立することを御報告いたします。

 続きまして、本年711日付で事務局に人事異動があり、食品安全部長は、新村にかわりまして三宅が着任いたしました。初の部会出席となりますので、三宅食品安全部長より御挨拶申し上げます。

○食品安全部長 本年711日より食品安全部長に着任いたしました三宅でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 委員の皆様方におかれましては、今日も大変暑い中を薬事・食品衛生審議会乳肉水産食品部会に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。

 また、皆様方には、日ごろより食品衛生行政に格別のお力添えをいただいておりますことをこの場をかりまして改めてお礼を申し上げます。

 食は全ての人々にとって毎日の暮らしに欠かせないものでございますし、食品の安全性の確保につきましては、国民の健康に直結するということで、大変大事な分野であると考えておりますし、また国民も非常に強い関心を持って食品安全を見ていると感じております。

 私は、着任する前は成田空港の検疫所におりまして、時々職員と一緒に食品のモニタリングや、いろんな検査の関係で収去に行ったりということもございました。実に世界中さまざまなところから多種多様な食品が集まってまいります。また、加工に関しても大変多種多様なものが増えてきております。厚生労働省では、そういう意味で、食品の安全性の確保に向けて科学的知見に基づいてさまざまな施策を展開しているところでございます。

 本日は「豚の食肉等に係る規格基準の設定について」と「二枚貝の下痢性貝毒について」という2つの議題について御議論いただくことになっておりますが、食中毒を未然に防ぐ観点から常に重要な事項と考えております。それぞれの専門的なお立場から忌憚のない御意見をいただきまして、議論を尽くしていただければと思っております。

 簡単ではございますけれども、冒頭に際しまして御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 ありがとうございました。

 また、81日付で基準審査課長は、長谷部にかわりまして山本が着任いたしました。

○基準審査課長 81日付で基準審査課長に着任いたしました山本と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 ありがとうございました。

 それでは、山本部会長に議事の進行をお願いしたいと思います。

○山本部会長 それでは、最初に配付資料の確認を事務局よりお願いします。

○事務局 本日の配布資料は、議事次第が1枚、委員名簿と会場配置の両面刷りが1枚、ホッチキス止めで資料1、資料2、資料3がございます。また、参考資料をクリップ止めで用意しております。

本日お手元にお配りしております資料は以上でございます。不足や落丁等ございましたら、お気付きの際に事務局までお申し出いただきますよう、よろしくお願いします。

○山本部会長 よろしいでしょうか。

 審議に入る前に、事務局から本日の部会の審議品目に関する利益相反の確認結果について報告をお願いします。

○事務局 本日の部会においては利益相反の対象となる議題はありません。

○山本部会長 ありがとうございます。

 それでは、審議に入りたいと思います。

食肉等の生食については昨年82日に開催いたしました本部会で御議論いただきましたが、いろいろな観点から検討する必要があると考えまして、本部会の下に食肉等の生食に関する調査会を設け、専門家や消費者の代表に加えて食肉事業等の知見を有する方々にも加わっていただき、計4回議論いたしました。本調査会においては、検討の進め方、危害要因に関するデータや流通実態、事業者団体等の取り組みなどについて検討し、リスクに応じた検討の優先順位や対応方針を取りまとめた報告書を作成しております。

まず、この報告書について事務局から説明をお願いします。

○事務局 それでは、食肉等の生食に関する調査会の報告について御説明させていただきます。

○山本部会長 資料1ですね。

○事務局 失礼しました。資料1です。全体的な説明をさせていただきます。

生食用として提供される牛及び馬の食肉及び肝臓につきましては、平成10年にガイドラインを定め、関係業者に適切な衛生管理を指導してきたところですが、平成234月に腸管出血性大腸菌を原因といたします食中毒事件が発生したことから、牛肉の生食用食肉につきましては、平成2310月に食品衛生法に基づく強制力のある規格基準を策定しております。

また、牛の肝臓につきましても、その内部から腸管出血性大腸菌が検出されたことから食中毒を防ぐ方法につきまして検討いたしましたが、食中毒のおそれを排除できないことから平成247月に生食用としての販売を禁止したところでございます。

 このように牛肉及び肝臓の食中毒の防止を図る一方で、一部地域では豚の肝臓が生食用として提供されている実態が認められていることから、豚の肝臓は加熱して提供するよう関係事業者への注意喚起を行ってきたところですが、行政指導による監視指導の効果にも限界があると監視主体から指摘されているところでございます。

このため、昨年8月、本部会におきまして、生食用として提供される食肉等の種類ごとにその対応について順次検討を進めていくこととされまして、食肉等の生食に関する調査会を設置いたしまして検討を進めてきたところでございます。

これまで本調査会を4回開催いたしまして、620日に「食肉等の生食に関する対応について」を作成したところでございます。資料1がその報告書になりますので、御覧いただければと思います。

1ページ目の「1.経緯」ですが、先ほど御説明したとおり、食品衛生法の規格基準やガイドラインの対象となっていない食肉につきまして、科学的知見に加え、消費者の認識や食肉等の関連業者の取り組み等も踏まえつつ、公衆衛生上のリスクに応じた規制のあり方について検討いただいたものでございます。本調査会の委員の名簿につきましては、14ページ目の後ろに付けさせていただいております。

2.基本的な考え方」でございますが、これまで既に検討がなされました牛の食肉・肝臓や馬肉以外の豚、鶏、その他鹿、猪といった野生動物の食肉等につきまして、牛及び馬の食肉・肝臓の場合と同様に、食肉等の種類ごとの危害要因を踏まえた公衆衛生上のリスクの大きさを考慮しつつ検討を行うこととしております。

(2)公衆衛生上のリスクの大きさに応じた規制の必要性」についてですが、食品の安全性確保のためには、その提供者である食品等事業者による自主的な取り組みが第一義的に重要であり、食品安全基本法や食品衛生法においてもその旨が記載されているところでございます。関係業界におきましても、牛肉の生食用食肉の規格基準を遵守するための衛生マニュアルの作成や、会員に対する講習会の実施など、食品衛生水準の向上のための取り組みが行われているところでございます。

2ページ目に参りまして、1つ目の丸でございますが、食の安全の確保のためには消費者である国民の理解の向上も重要です。食肉等の生食については、これまでも自治体による食品等事業者に対する監視指導と併せて、生食を避けるようホームページ、パンフレットなどによる注意喚起を行ってきたところです。

2つ目の丸ですが、一方、食品衛生法においては公衆衛生の確保のために必要な場合には食品等の規格基準を定めることができ、その違反は刑事罰の対象となっております。

3ページ目に参ります。以上を踏まえると、食肉等の生食は一般的に食中毒のリスクを伴うものであり、推奨されるものではないが、食の安全は食品等事業者による自主的な取り組みによることが基本であり、また消費者がリスクを確認することや、食品等事業者がリスクに対処する取り組みを進めることが食中毒の発生の防止に有効であることを鑑み、一律に法規制するものではなく、そのリスクの大きさによってさまざまな対応を検討することが必要である。

2つ目の丸ですが、食の選択は基本的に消費者による選択の自由が認められるべきものであり、公衆衛生上のリスクが高くないと考えられる場合には、食品等事業者による衛生水準の向上とともに、リスクコミュニケーションを充実させることが望まれる。

3つ目の丸でございますが、一方、自治体においては、食品衛生法に基づく規格基準がないものについては監視指導の効果に限界があるとの指摘がある。また、消費者にとっては飲食店で提供されるものは安全という認識もあり、消費者が食肉等の生食によるリスクについて必ずしも正しく認識しているとは言えない。このため、飲食に起因する生命そのものにかかわるような公衆衛生上のリスクが高いものについては、消費者によるリスク回避のみに食中毒の発生防止を委ねることは適切ではなく、食品衛生法に基づく規格基準を検討することが必要と考えられる。これらを踏まえ、食肉等の種別ごとに公衆衛生上のリスクの大きさを考慮しつつ、リスクが大きいと評価されるものについては加熱義務や加工基準の策定を検討する。

続きまして「(3)公衆衛生上のリスクの大きさの考え方」です。

「1危害要因の性質等」においては、公衆衛生は国民の健康の保護を図ることであることから、公衆衛生上のリスクの大きさを検討する上でまず考慮すべきことは、食肉等を汚染し得る病原体が引き起こす症状の重篤性や二次感染の有無であると考えられる。生命にかかわるような重篤な症状を起こさない病原体であれば、注意喚起等の対応で可能かどうかを含めて検討すべきである。一方で、飲食をすることで生命にかかわる重篤な症状を起こすものについて消費者の選択に全てを委ねることは適切ではない。

続きまして、4ページ目に参ります。「2流通量」ですが、次に、消費者がどれだけその病原体に暴露され得るかということによってもリスクの大きさは変わってくる。飲食店等による提供実態について調査し、生食用として提供されている食肉等の流通状況について把握する必要がある。危害要因が認められるものの、流通量が極めて限定的であるものについては、法的に規制するのではなく、自治体による監視指導や国民に周知徹底すること等により対応することも考えられる。

「3リスク低減策」では、危害要因を低減させる加工処理方法等があれば公衆衛生上のリスクは低減される。危害要因、流通実態が認められることをもって直ちに生食用として提供禁止とするのではなく、リスク低減策として加工処理方法等に反映できる方法があるかどうかについて検討し、その上で対応が見出せるものについては、その方法を規格基準やガイドラインに規定することを検討すべきである。

「4既存の規制手法以外の手法も含めた対応策の検討」では、1つ目の丸ですが、これまでの記載のとおり、公衆衛生上のリスクが高いと考えられるものについては、国民の健康被害を未然に防止する観点から加熱義務や加工基準等を規定するなどの措置を検討する。

2つ目の丸ですが、一方で、相対的に公衆衛生上のリスクが高くないと考えられるものについては、提供に当たって必要となるリスク低減策を検討し、それを徹底するとともに、対象となる食肉等のリスクや消費者の認識、行動等を勘案した上で、食品自体のリスク低減措置以外に有効な新たな行政手法についても検討すべきである。具体的には、監視指導を適切に行うために事業者をあらかじめ把握する方策、消費者が理解した上で選択できるよう食中毒のリスクに対する警告表示、食肉等の生食に関する国民的理解の向上のための方策を検討することが考えられるとしております。

5ページ目に参りまして「3.食肉等の種別ごとの公衆衛生上のリスクの大きさの分析」でございます。

(1)食肉等の種別ごとの危害要因の整理」では、食中毒の原因となる危害要因はさまざまであるが、畜種によって検出率が高い細菌やウイルスがあり、寄生虫は宿主特異的であることから、食肉等の種別ごとに特に注意すべき危害要因を選別し、その危害要因による危害の重篤さを分析しております。

その結果につきましては、10ページ目と11ページ目に表1として危害要因の性質等を細菌とウイルスについてまとめてございます。

また、12ページ目には表2として危害要因の性質等を寄生虫について取りまとめたものでございます。危害の大きさにつきましては、この表の一番右側のカラムに注意を要するものから順にAからDに分類しております。

10ページ目の一番上でございますが、腸管出血性大腸菌につきましては、重篤になりますと溶血性尿毒症症候群や脳症で死に至ることがあること、11ページ目の一番下のE型肝炎ウイルスについては、劇症化し、死に至ることがあることからAとされております。

また、文献等の汚染実態調査及び食中毒の発生状況を踏まえ、畜種ごとに危害要因としての検討を行いまして、13ページ目に表3として危害要因の性質等について取りまとめております。

6ページ目にお戻りいただきまして「(2)食肉等の生食用としての流通実態調査」でございます。行政が積極的に関与する必要性が認められる程度の流通量があるかどうかを検討するため、自治体が監視指導の中で把握している飲食店等における提供実態に関する調査と関係業界団体からのヒアリングを実施しております。

1の1つ目の丸でございますが、馬及び鶏は全国的に一定量が飲食店で提供されており、筋肉以外でも、胃、心臓、肝臓等が提供されております。

2つ目の丸でございますが、牛は胃や心臓を中心に飲食店で提供されており、その他の部位についても提供されております。

4つ目の丸でございますが、羊・山羊、その他の獣畜・食鳥の流通量は少なく、5つ目の丸ですが、小売店で販売されているものは主に馬と鶏とされております。

(3)食肉等の種別ごとのリスク低減策等」では、現在進めている食肉等に関する研究について取りまとめたものでございます。

「1牛の内臓肉の衛生管理に関する研究」や7ページ目の「2猪、鹿及び豚のE型肝炎ウイルスに関する調査」などが行われております。

7ページの一番下に参りまして「4.生食に係る食肉等の種別ごとの対応方針」でございます。これまで説明いたしました危害要因の性質、流通実態及びリスク低減策等の有無により公衆衛生上のリスクの大きさを検討し、優先順位をつけて、14ページ目に表4として食肉等の生食の公衆衛生上のリスクの大きさについて取りまとめております。

これをもとにいたしまして、8ページ目の「(2)食肉等の種別ごとの対応方針」でございます。生食による公衆衛生上のリスクが高く、検討の優先順位が高いものとして、まず豚の食肉・内臓につきましては、主な危害要因はE型肝炎ウイルスでございまして、健康被害の重篤性が大きく、ウイルスが血液や筋肉から検出されており、内部汚染であること、これまでは社会的通念として生食すべきではないことは認識されておりましたが、飲食店等において提供実態があること、豚は寄生虫による危害も考えられるとしていることから、法的に生食用としての提供を禁止する。具体的には、豚の食肉・内臓は中心部まで加熱が必要である旨の規格基準を設定することとしております。

続いて、規格基準の設定されている牛の肝臓以外の内臓、これは胃や腸、ハラミなどが含まれますが、それらにつきましては、主な危害要因は腸管出血性大腸菌で、健康被害の重篤性が大きいが、表面汚染であること、飲食店等において提供実態があること、胃や腸などは一般的に湯引き処理が行われているが、いわゆるハラミなどの内臓に分類されるものがユッケとして生で提供されている実態があること、現時点では腸管出血性大腸菌について、生食できるほど安全なレベルにまでリスクを低減する手法が認められないことから、内臓表面からの腸管出血性大腸菌の内部浸潤に係る研究を行い、表面付近の加熱等により十分リスクが低減されることが明らかになれば、それを踏まえたリスク低減策を検討し、牛内臓の部位のリスクに応じた衛生管理手法を策定することとしております。また、内臓に分類されるハラミなどがユッケとして生で提供されている実態があることから、研究成果を踏まえ、これらについて生食用食肉の規格基準の対象となることを明らかにすることを検討することとしております。

続いて、羊・山羊、鹿、猪、その他野生鳥獣ですが、流通量は限定的で公衆衛生全体に与える影響は潜在的であるが、食中毒の危険性は高い。特に、野生鳥獣は狩猟前にどのような病原体等を保有していたか不明であることから生食すべきでない。このため、食品事業者に対して監視指導するとともに、生食すべきでない旨を改めて周知徹底すべきである。

9ページ目「2引き続き、リスク低減策について検討を行うもの」でございます。鶏の食肉・内臓につきましては、現在検討されているリスク低減策に関する研究成果を踏まえ、具体的な対応策を検討する。

次に、馬の内臓についてですが、検討すべき危害要因を含め、対応策について検討すると整理しております。

最後に「5.今後行うべきリスクコミュニケーション、その他留意すべき事項」についてです。食肉等の生食は、食中毒の危険性があることから基本的に避けるべきである。特に、子供や高齢者、免疫の低下している方は生食を避けるべきであることは引き続き周知する。

法的規制の導入により、逆に規制されていないものはリスクが小さいとのメッセージを与えてしまわないように注意が必要である。

既に規格基準が設定されている牛肝臓については、現在実施されている放射線照射による殺菌の研究で有効性、安全性の検討を引き続き行うことが重要である。

生食に係る対応に加えて、人や調理器具を介して食品・食器が汚染され、食中毒が発生することがないよう取り組みが必要である。

食品等事業者だけでなく一般消費者に分かりやすいリーフレットを作成する等、自治体や関係団体等とともに幅広くリスクコミュニケーションを推進することが重要である等、取りまとめております。

リスクコミュニケーションにつきましては、本指摘を踏まえて、参考1-12ですが、今回厚生労働省のホームページに生食の注意についてまとめたページを新たに整理いたしまして作成しております。また「豚肉や豚レバーを生で食べないで!」というリーフレットを作成して公表しているところでございます。

食肉等の生食に関する調査会の報告については以上でございます。

○山本部会長 ありがとうございました。

 この調査会に参加された部会の先生は私を含め3名なのですが、それ以外の方はこの報告書を初めて見ることになるかと思います。いろいろなことを書き込みましたけれども、基本的には、リスクをベースとした対応が今後考えていかなければいけない方法論としてある。その中で浮かび上がってきたのは、やはり豚のリスクが大きいという話で、それ以外のものももちろんあるのですけれども、ある程度優先順位をつけて検討していって、規制の方法についても、単に規格基準で対応するだけではなく、さまざまな柔軟性を持った対応ができるのではないかという議論がされたということでございます。

 この調査会報告に関しまして御質問、御意見がございましたらお願いしたいと思うのですが、調査会報告書そのものはこの議論によって変更するというものでではなく、次の検討課題の資料2の部分に反映させていくことになるかと思いますので、まずは、御意見、御質問をお願いいたします。

 山下委員、どうぞ。

○山下委員 表1の一覧表で、危険の影響の大きさということでABCDのランク分けがされていて、多分こういう見解というのは新しいものだと思うのですけれども、根拠というのはこの調査会の検討結果というふうに考えればよろしいのですか。

○山本部会長 注意書きのところに、ABCDの根拠が示されていたと思うのですけれども、最終的には調査会によってそれを判断したという形にはなっております。

根拠としては、ランクづけでその病原体の危害要因としてのリスクの大きさとか、それが食肉としての流通実態はどの程度あるのかということ、それをベースに判断されたということになります。事務局、いいですか。

他に、どうぞ。

○河野委員 一昨年、牛のレバーの生食が禁止されて、その後の報道等、それから実際の飲食店等の提供等を考えますと、前回の規制は、消費者側から見るとしっかりと保護していただいているのだなと効果を感じるところであります。

今回は、牛レバーの生食が禁止されたから豚のレバー等内臓を含めて生食をしているみたいな報道もありますけれども、やはり今回のリスクの分析、それも報告書に書かれているようなさまざまな視点から検討を加えて、では具体的に管理措置としてどういう形におろしていくかというところは、この報告書の内容はストレートにこのような評価なのだなと受け取れるところです。

最初に書かれていたように、基本的には私も、肉の関係業界の方が率先して自主的な規制をかけるべきだと思います。ただ、提供されるお店も、昨年末の実態調査、それから今回2回公表された飲食店の提供の状況等も見ますと、少しも減っていない。消費者に安全なものをおいしく提供しようというよりは差別化を図って変わったものを提供しようというところから、先に進んでいないということもございます。

私の世代は、豚は寄生虫等がいるので、よく焼いて食べる、他の食肉よりも完全に色が変わるまで加熱して食べるというのが家庭の常識でしたし、社会的なコンセンサスも得られていましたけれども、今はそういった消費者教育の部分も弱いところがあるということで、今回、検討結果を踏まえて、自浄作用というか、自主規制が働かないなら法律で規制して、少なくとも高齢者や子供、さまざまな健康的な問題を抱えている方を守るという方向性は理解できるというふうに申し上げたいと思います。

○山本部会長 どうも御意見ありがとうございました。

他の先生方、石川先生。

○石川委員 最後のところのリスクコミュニケーションですが、今回、分かりやすいリスクの影響の大きさだとか、そういったものをやっていただいて大変よかったと思います。ABCDまで4段階ということになっています。普通の多くの知識を持っていない方にも危険の度合いが分かりやすい方がいいということで、星印だとか、いろんな表記の仕方はあると思うのですけれども、結果的にはABCDとなったと記憶しています。一番大事なことは、せっかくこうやって論議してきて、こういう国の文書としても出ていくとするならば、これをぜひ次の文化として子供たちに伝えたい。特に私など学校保健をやっていますので、学校保健の場で次の世代に適切に伝えるということが大事なことではないかと思います。ですから、この中に一文でも、例えば文科省のスポーツ青少年の方たち、そこのところを動かすためにもわかりやすい段階表示をしたというような記述があったらよかったかなと考えました。よろしくお願いします。

○山本部会長 事務局、何かありますか。

○事務局 今回、部会長からもありましたように、この報告書については一旦取りまとめられたというものなのですが、引き続き文科省とどういったことが協力できるかということは検討していきたいと思っています。

○山本部会長 リスコミを厚生労働省だけでやるのではなくて全体に広げていくという方向で国民に周知させるということにしていきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 他にございますか。西渕委員。

○西渕委員 大変多岐にわたる、しかも膨大な情報をよくまとめられたと思っておりますが、質問させていただきたいことが2つあります。

1つは、リスクの大きさということを評価されておりますが、この大きさというのは、この文章から判断して個人の生死というか、そういうものを重視する立場からということでいいのでしょうか。例えばカンピロバクターなどは患者数でいけば物すごく大きいのですが、それよりもやはり生死ということは非常に大事である。それがリスクの大きさというふうに判断してよろしいかということです。

○山本部会長 1つずつお答えしますか。

○西渕委員 はい。

○山本部会長 基本的に、食品のリスクは危害の重篤性と頻度ということの掛け算になるわけですけれども、確かにカンピロバクターを見ますとかなりの部分で頻度は物すごく高くなって、細菌性食中毒の第1番目ということになりますが、重篤性の部分からいくとそこまでのものではない。やはり食することによって死亡者が出るということが最も重篤性の高いものだと感じますので、そこのところの考え方を中心にしていったと判断しました。

○西渕委員 よく分かりました。

2点は、9ページの最後の「今後行うべきリスクコミュニケーション、その他留意すべき事項」を拝見いたしまして、特に新たな科学的知見に応じて必要な見直しについての検討を行うという非常に前向きな姿勢が示されておりましたので、これもいいことだと思います。この点に関して、具体的にどのような科学的知見に関してお話が出たのかということをもしわかれば聞かせていただきたい。

○山本部会長 どの部分ですか。

○西渕委員 9ページの9行目から10行目、なおのパラグラフの2行目です。

○山本部会長 現在、牛の肝臓については生食での提供が禁止されているという状況です。そういう禁止の状態にあるもの、もしくは規格基準を設定してあるものにつきましても、新たな科学的な根拠が出てくれば、例えば牛の肝臓についても生で食べる方策があるものであれば見直しをしていくことは今後考えなくてはいけないだろうという議論はしております。よろしいですか。

○西渕委員 はい。

○山本部会長 ということで、豚についてそういう禁止をかけていった後、知見が出てきてどうなるかということなのですけれども、豚等食肉に関して全くリスクとなるような危害要因がないという状況が達成されれば、それはそれで構わないということになろうかと思いますが、そこまでいくにはなかなか時間がかかるかなと思います。そういうことを全て考慮しながら、見直しもやぶさかではないということで議論いたしました。

○甲斐委員 ただ今の西渕委員の質問とも関連するのですけれども、10ページ、11ページの表の危害要因の影響の大きさというところで、リスクの大きさを臨床症状の重篤性と頻度で考えるということでありました。2番目の病原性大腸菌は、最少発症菌数が106乗から8乗ぐらいのもので危害要因Bになっています。カンピロバクターの場合は非常に少ない菌量で発症する。ここでは500個となっていますが、カンピロバクターがCで病原性大腸菌がBというのは少しどうなのかなという気がします。その辺についてコメントがありましたら、教えてください。

○山本部会長 甲斐委員の印象では、カンピロバクターはCよりも上にあると考えておられる、そういう理解でよろしいですか。

○甲斐委員 そうです。カンピロバクター食中毒は、今、細菌性食中毒で最も多いものですし、重篤性ということではギラン・バレー症候群やフィッシャー症候群を起こす場合もありますので、他のBに比べまして、特に病原性大腸菌に比べてカンピロバクターの方が低いというのはどうなのかなと思いました。

○山本部会長 確かにカンピロバクターの場合は、牛、豚、鶏と全部あるということですけれども、まず牛の規格基準ができたのと生レバーが禁止されたというので、その部分が減っているということが1点。それから、ギラン・バレー症候群が出るとはいいながら、ある特定の血清型のものだけであるということで、その部分の重篤性はそこまで考えなくてよろしいのではないかということ。頻度は最高に多いので、そこをどう考えるかということですけれども、都市部でも確かに鶏を生で提供するというのが出ているのですけれども、基本的には地方でのそういう習慣としての生食が都市部に広がってきているというところかなということも踏まえた上で、カンピロバクターの場合は少し落としてあるということです。

病原性大腸菌の問題は、腸管出血性大腸菌が特に問題視されていますけれども、その他の大腸菌を含めた制御というのがやはり肉の場合に必要となってくるであろうということで、ランクを上げて大腸菌としての全体の制御をしていかなければいけないと判断でこのランクづけができております。

○事務局 事務局から1点補足させていただきたいのですけれども、表1の危害要因の性質等につきましては、部会長がおっしゃったように、ヒトの主な症状で重篤性があり、死に至るおそれのあるものを特に影響が大きいとしています。食中毒につきましては、食中毒の発生状況を踏まえてどういった微生物に注目して対応を検討すればいいのかということは表3で反映しています。表1につきましては、食中毒が多いか少ないかというよりは微生物自体が死に至るような危険なものかどうかということで御理解いただければと思います。

○山本部会長 よろしいでしょうか。

甲斐委員、どうぞ。

○甲斐委員 先ほど鶏肉の生食というには九州地方に多くて都市部ではというようなお話がありましたし、この中にも文言として入っていたかと思いますけれども、例えば、今日配られております参考1-4の裏側に日本地図があって、上の方の生食用食肉等の提供に関するアンケート結果というところで、鶏は6番目のバーになると思いますので、必ずしも九州地方で多く提供されているわけではなくて、近畿、関東でも非常に多いのではないかと思っております。

○山本部会長 ありがとうございます。

確かに最近、近畿、関東での提供実態が増えてきているという現象は把握しておりますので、対策をとるべき順位としてはかなり上がってきているということです。より重篤なものを先にやるという観点からこのようなこと、それから病原体そのものの危害ということでのランクづけは、流通実態を次に考えたときの掛け算の対象となるもの、流通実態がすごく多いということになればリスク自体は上がってくると考えてよろしいかと思いますので、そのような形で今後の検討対象には上がってきているということになろうかと思います。

木村委員。

○木村委員 いま一度、表1の見方の確認なのですが、危害要因の大きさをざっと見せていただいて、例えばリステリアがBになっている。恐らく生の肉に関しては106乗というようなことはまず考えられないので、この発症菌数も含めて、それとあり得る汚染実態を含めて見た場合にはBもしくはCでもいいのかなぐらいで見ていたのですが、先ほどからの御説明を聞いていると、単純に菌のヒトに対する重篤性だけだという御説明だとかえって誤解を生じる。リステリアの場合は、前々回の議論でもありましたように、食品によっては105乗、6乗になりますと、免疫弱者が対象ですが、発症したら5人に1人は亡くなる。むしろO-157よりも致死率は高いというぐらいのものですから、単純に重篤性だけというよりは、表1の見方というのは、概要のところの2行目に説明があった「それぞれについてヒトの主な症状等を踏まえ」というところに関しては「それぞれについて生の食肉での汚染レベルの実態及びヒトの症状等を踏まえ」とした方が理解しやすいかなと思って聞いていたのですが、それではよろしくないということでしょうか。

○事務局 先生のおっしゃるとおりで、補足しますと、今回、危害要因として挙げておりますのは、食肉等の生食が要因となって食中毒の原因となる微生物で、その観点ではリステリアというものは生で食べるものよりは冷蔵庫で長期間保存するものの方が危険性は高いと整理しています。

○木村委員 この資料の扱われ方が分からないのですが、消費者へこのまま出て、ABCというランクがひとり歩きするとかえって誤解を招くので発言させていただきました。

○事務局 それは石川委員からも何回か御指摘をいただいているところですので、誤解のないように消費者向けに対しては適切に対応したいと考えております。

○山本部会長 他に。小西委員、どうぞ。

○小西委員 表1から表3まで非常に詳しくまとめてあると思うのですけれども、寄生虫について御質問させていただいてよろしいでしょうか。

○山本部会長 どうぞ。

○小西委員 表3には危害要因の性質等のまとめということで、表1と表2をまとめられていらっしゃるのですが、その中で寄生虫は入っていないというのが、星印1で「寄生虫は、上記品目で食中毒事例は稀で、汚染実態から見てヒトへの影響は大きくないと考えられるが、ほ乳類と鳥類の生体に広く寄生する種類のものもある」というのが理由なのか、ここに寄生虫が載っていない理由として星印1というのが書いてあるのかどうかというところが分からなかったのです。表3の中に寄生虫が1つも入っていない理由というのが何か他にあるのか、これが理由なのかを教えていただきたい。

○事務局 小西先生のおっしゃるとおりでありまして、現在、農場で飼育されているような家畜におきましては、食中毒事例として寄生虫というのはほとんど挙がってこないので、そういった観点から特に注意を有するものではないと考えられます。ただ、野生鳥獣や、他の鳥獣につきましては、何を食べているのか分からないということも踏まえて、寄生虫については、引き続き念頭に置いておく必要があるのではないかと考えております。

○小西委員 特にジビエと言われる猪とか鹿に関しては寄生虫というのは相当大きな要因になると思うので、牛、豚、鶏の家畜化されているものはなくてもよろしいかと思いますが、その他の鹿と猪、鳥獣に関しては何か一つ言葉があった方がよろしいかなと思いました。

 関連ですが、表2の下から3行目に肉胞子虫がございます。牛と豚の肉胞子虫に関しましては、ヒトに感染するものですけれども、馬に関してはヒトに感染しないものです。それが一緒になってしまうと誤解を生じるかなと思います。馬が書いてあるのであれば、同じくくりで鹿も食中毒事例が1つ出ていますので、入れた方がいいし、牛と豚、馬と鹿の肉胞子虫というのは全然性質が違うと思っております。御検討いただければと思います。

○事務局 御指摘ありがとうございます。肉胞子虫につきましては、畜種特異的に種ごとではなく、属としての記載になってしまっております。これにつきましては、別の形でホームページ等で公表する際は御指摘を踏まえて対応を考えたいと思います。

 あと1点、表3で御指摘いただきました野生鳥獣について寄生虫は大きな危害になるのではないかということですが、野生鳥獣につきましては、危害要因分析の対象のところで三角としていて、米印2の注意書きを示しております。やはり生で食べるということがほとんどない状況ですので、あまりデータがないというのが現状でございます。野生鳥獣につきましては、実態調査をやっているので、そのようなことも踏まえながら、引き続き把握に努めつつ、対応していきたいと考えております。

○山本部会長 どうぞ。

○事務局 1点補足ですけれども、野生鳥獣の関係につきましては、本文の8ページ、9ページに記載しております。表は、先ほど事務局から申し上げたようにデータの関係等も踏まえた記載になっていますが、8ページの下のあたりに、羊・山羊の食肉・内臓あるいは野生鳥獣の食肉・内臓については食中毒菌や寄生虫感染の危険性が極めて高いという形で記載しており、委員御指摘の点も踏まえて記載させていただいているところです。

○山本部会長 他に御意見ございませんか。西渕委員。

○西渕委員 寄生虫の件ですけれども、この評価の場合には人の命がかかっているかどうかというような概念、死亡率は特に導入されてはいなかったのですか。統合して表3にまとめるときに、腸管出血性大腸菌など命にかかわるというのでAランクと理解したのですけれども、寄生虫の場合は長期にわたる慢性の疾患だと思いますが、別に命にかかわるようなものがなければランクは下がるかなという気もしました。

○小西委員 トキソプラズマなどは死に至るので、要因としてはBに入っていますね。トリヒナも致死率は低いですけれども、あります。

○事務局 寄生虫につきましては、診断の早い段階で寄生虫感染しているということであれば適切な治療等を受けることができて、微生物とは若干違うので、同じ尺度で比較するというのは適切ではないかもしれないのですが、今回、生食される食肉の検討をするに当たって比べられるようにということでこういった危害要因の影響の大きさということで同じ尺度で検討しています。小西先生がおっしゃるように、死に至るような寄生虫もあります。ただ、それがAランクになっていないのは、その前の段階で診断・治療という方法があること、国内に寄生虫で死に至っている人はほとんどいないということを踏まえてこういった影響の大きさにしているところです。

○山本部会長 よろしいですか。

 他に御意見ございませんか。

 少し時間が延びておりますけれども、一通り御意見をいただいたようですので、現在、食品衛生法に基づく規格基準やガイドラインの対象になっていない食肉等に関する対応につきましては、資料17ページ目の「4.生食に係る食肉等の種別ごとの対応方針」ということで対応していきたいと思いますが、それでよろしいですか。

 それでは、この対応方針に基づきまして、豚の食肉等に係る規格基準の設定について審議を行っていきたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料2及び参考1-1から参考1-12に沿って説明させていただきます。

 先ほど資料1でも説明があったように、牛の生食用食肉及び肝臓の規格基準策定後、一部の地域で豚の肝臓が生食用として提供されている実態があったことから、既に検討がなされた牛肉や馬肉以外で生食用として提供される食肉等について、当部会のもとに設置した食肉等の生食に関する調査会において食肉の種別ごとに危害要因やリスク等を整理し、先ほど了承していただいたところです。

 資料2については、公衆衛生上のリスクが高いとされた豚の食肉等に係る規格基準の設定について検討を行ったものです。なお、厚生労働大臣から薬事・食品衛生審議会長宛てに811日付で諮問されております。

 まず、これまでの対応状況についてです。

 我が国においては豚の食肉等は寄生虫の感染や食中毒菌による食中毒の危険性があることから、中心部までの十分な加熱を行うことが一般的でした。しかし、近年、豚の生食に起因すると考えられる食中毒の発生事例を踏まえ、以下の対応を行ってきました。

 平成15年に鹿肉の生食を原因とするE型肝炎の発生事例が報告されたことを踏まえ、各自治体宛てに注意喚起するよう通知し、厚生労働省のホームページにてE型肝炎に関するQAを載せております。これは参考1-1に資料を載せております。

 また、平成2410月には、豚の肝臓を生食することについて関係事業者への監視指導の強化並びに消費者への注意喚起を促す旨、自治体宛て通知しております。これは参考1-2に資料を載せております。

 次に、食肉等の生食用としての提供実態を把握するために調査を行っておりますので、報告させていただきます。

まず、豚の食肉等の生食用としての提供実態を把握するための調査ですが、自治体が食肉等の事業者に集中的に立入監視を行う「食品、添加物等の夏期・年末一斉取締り」の実施結果によりますと、生食用として豚の肝臓等を提供している食品等事業者は平成24年度の年末一斉では全国で80施設、平成25年度の夏期一斉取り締まりでは190施設の指導結果となっております。これは参考1-3に資料を載せております。

 また、厚生労働省が都道府県等に対して行った「生食用食肉の提供に関する自治体調査」によりますと、豚の肝臓や胃を中心に主に関東地方の飲食店で生食用として提供されている実態があることが報告されています。これは参考1-4に資料を載せております。

 なお、参考1-4は第2回の調査会にて報告したものになりますが、参考1-41ページ目の結果の3ポツ目、2ページ目の飲食店営業の2の豚のところを見てみますと関東地方にて提供施設が多いという報告がございます。

 次に、豚の食肉等の生食に係る主な食中毒原因微生物についてですが、調査会において取りまとめられた主な微生物の性質は表のとおりです。資料1の表1に記載がございますので、詳細な説明は割愛させていただきます。

 主な危害要因となり得る病原体はE型肝炎ウイルス、食中毒菌としてサルモネラ属菌とカンピロバクター、寄生虫として有鉤条虫、トキソプラズマ、旋毛虫が挙げられます。特に重症例となり得るものについてはE型肝炎ウイルスとサルモネラ属菌であり、寄生虫については日本での汚染実態はほとんどないと思われますが、世界的には有鉤条虫やトキソプラズマ等も重症例となり得るものです。

 続きまして、3ページ目は、それぞれの危害要因の食中毒状況についてですが、まずE型肝炎について食中毒統計による報告はありませんが、これは摂食から発症までの期間が平均6週間と長く、原因食品の特定が困難であるためと推察されます。しかし、E型肝炎は、いわゆる感染症法の4類感染症に指定されており、医師からの届出について感染原因を取りまとめた感染症発生動向調査によりますと、推定感染経路の記載のある国内250例中、豚の食肉等を原因としている事例については88例、全体の35%に上ります。これは参考1-52ページ目に記載がございます。

 また、E型肝炎を発症した患者と同じ飲食店を利用した者のうち6名がE型肝炎ウイルスに感染していたことが確認された事例がありまして、感染原因が特定できなかったものの、豚の肝臓等を十分に加熱しないで喫食した可能性があるという研究報告もございます。 これは、戻っていただいて参考1-13枚目になりますが、Q11A3段落目に記載がございます。

 次に、食中毒菌についてですが、平成16年から25年までの食中毒統計として豚の食肉等を原因とする食中毒の件数は延べ10件、患者数72人となっており、死者は報告されておりません。

 また、寄生虫についてですが、現在、農場の衛生管理の徹底等により国内の獣畜の寄生虫の感染割合は低くなっており、また、と畜場法に基づいたと畜検査の実施により食中毒統計に豚を原因とする寄生虫感染は報告されておりません。しかし、豚を原因とする寄生虫感染報告としてはアジア条虫というものが報告されております。この感染報告については参考1-6に載せております。アジア条虫については重症例になることはなく、下痢と不快感にとどまると考えられております。しかし、国際的には豚が感染源となるものは、有鉤条虫、トキソプラズマ及び旋毛虫が特にヒトへの健康影響が大きいとしてFAO/WHOが公表しております。

 次に、4ページ、豚の食肉等の汚染状況について説明させていただきます。まず、E型肝炎については、厚生労働科学研究として行った国内のと畜場における豚のE型肝炎ウイルスの汚染実態調査の結果、肝臓及び血液からE型肝炎ウイルスの遺伝子が全体の0.9%から検出されております。また、豚の抗体保有率については全体の71.9%となり、豚舎間で0100%と大きな差が見られております。これについては参考1-7に記載がございます。

 また、国外のE型肝炎ウイルスの汚染状況についてですが、糞便及び肝臓だけでなく、筋肉から06%と遺伝子が検出されております。こちらは、委員のみの配付となっております参考1-83ページ目の表に記載がございます。

 さらに、市販されている豚肝臓についてですが、遺伝子検出状況は表のとおりとなっており、国内外問わず検出されていることが分かります。

 次に、食中毒菌についてですが、平成20年度から24年度に厚生労働省が実施した調査の結果において食中毒菌の陽性率は、E.coli、いわゆる糞便性大腸菌群は71.9%、サルモネラ属菌は2.4%、カンピロバクターは0.1%となっております。なお、腸管出血性大腸菌については全て陰性でした。

 その他食中毒菌の汚染実態の調査は多数文献がございまして、委員のみ配付しました参考1-92ページ目の表に記載があるように、ある自治体の調査においても同様の傾向が見られております。

 続いて寄生虫についてですが、家畜伝染病予防法にも、と畜場法の検査対象疾病にも指定されておりますトキソプラズマ病の発生状況については表のとおりになっております。平成24年度の豚のと畜頭数は約1,675万頭ということを踏まえますと発生割合自体は極めて低いと考えられます。

 それでは、これまでのまとめとしまして、規格基準の検討について整理いたします。

 まず、E型肝炎ウイルスについては、豚のウイルス感染は13カ月齢に集中して糞便を介した水平感染が起こるが、出荷月齢である6カ月齢の個体については高率にウイルス抗体を保有しているため、E型肝炎ウイルスの保有自体は少ないと考えられております。しかしながら、厚生労働科学研究によりますと、と畜場に出荷された豚の肝臓及び血液からE型肝炎ウイルス遺伝子が検出されております。また、文献調査においても肝臓及び筋肉から遺伝子が検出されております。E型肝炎ウイルスの性質上、肝臓で増殖して血中を介して糞便に排出されることから、特に肝臓のウイルス汚染リスクは高いと考えられます。

E型肝炎ウイルスの不活化条件についてですが、厚生労働科学研究によりますと、60度で15分以上または65度で10分以上の熱処理が有効とされております。これについては参考1-107ページに記載がございます。このことから、現在規定されている牛の肝臓の規格基準と同様の6330分間またはそれと同等の加熱条件であればE型肝炎ウイルスのリスクは低減できると考えられます。

 次に、食中毒菌についてですが、食中毒統計においてサルモネラ属菌及びカンピロバクターを原因物質として食中毒事例があり、また汚染実態調査も多数報告されております。食中毒菌の不活化条件については、既に検討がなされております加熱食肉製品の条件である中心部を6330分間加熱する方法またはこれと同等の加熱条件を行うことにより、食中毒菌を十分死滅させることができると言えます。

 続きまして、寄生虫についてですが、我が国では飼養環境の向上等により豚の寄生虫感染割合は低くなっており、全国的な汚染状況を把握できるデータがないものの、国際的には豚はヒトに重篤な影響を及ぼす可能性のある寄生虫感染源として知られており、引き続き生食することについては注意が必要と考えられます。寄生虫は、腸管部のみならず、筋肉内部まで寄生するものもありますが、一般的に加熱に弱いことから、6330分間またはこれと同等以上の加熱条件であれば十分に死滅させることができます。

 以上を踏まえますと、豚の食肉等の生食については、E型肝炎ウイルス、食中毒菌及び寄生虫による危害要因があり、公衆衛生上リスクが高いと考えられます。このため、国民の健康保護の観点から食品衛生法第11条第1項に基づく以下の規格基準を設定することが適切と考えます。

1つ目としては、豚の食肉等は、飲食に供する際に加熱を要するものとして販売に供さなければならない旨、2つ目として、販売者は、直接一般消費者に販売することを目的に豚の食肉等を使用して食品を製造、加工または調理する場合には、中心部を6330分間以上の加熱またはそれと同等の加熱殺菌が必要である旨です。なお、この記載については牛の肝臓の規格基準と同様となっております。

 また、今後の対応方針についてですが、前述した規格基準を設定することについて食品安全委員会に諮問し、所要の手続を進めるとともに、一般消費者や食品関係事業者に対して生食についてリスクコミュニケーションを今後とも実施していきたいと考えております。

 事務局からは以上です。

○山本部会長 ありがとうございました。

 議論に入る前に確認をしておきたいのですが、4ページ、5ページにイタリックでE.coliと書いてあります。先ほどの説明の中では糞便系大腸菌とおっしゃいましたね。規格基準にあるE.coliという意味であれば、これはゴシック体に直しておいていただけますか。イタリックで書くと分類学上の大腸菌になってしまうので、よろしくお願いします。

 それでは、規格基準の設定についての資料2について御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。特に御意見ございませんでしょうか。

 先ほどの調査会報告で豚のリスクについてある程度ランクづけをしたということがございますが、それに基づいてどういう対応をしていくかということになるわけです。生で食べるのは非常識だということを周知徹底することは当然ですが、それだけでおさまらないということになれば何らかの別の策を考えなければいけないということで、豚についても生食での提供を禁止するような方向に規格基準設定してはどうかという提案になるわけですね。

牛のときは、肉を表面から1cmのところで602分間加熱することによって、中の生になっている部分を提供することが可能という規格基準をつくりました。レバーについてはその方策がないので、やはり生食として提供することは禁止せざるを得ないということ、リスクの大きさも考えた上でのことですけれども、そういう規格基準となっております。

豚について、肉の部分、レバー、両方ともE型肝炎のリスクを考えたときにはどうしても生で提供するということはリスクが大きくなりますので、加熱して提供するという方向で規格基準を設定してはいかがでしょうかということです。

 河野委員、どうぞ。 

○河野委員 今、山本部会長がおっしゃったとおりで理解していますし、そういう管理措置をとっていただきたいと思います。

 飲食店等で提供されてしまうと消費者が誤解してしまうというところがあります。先ほどからリスクコミュニケーションと消費者教育の重要性というのがすごく言われていまして、そのあたりも非常に大事な部分だと思いますが、消費者が幾つか誤解してしまうところがあって、新鮮であるから安全であるとか、例えば先ほどから出ている幾つかの食中毒菌は新鮮であればあるほどたくさんついているという可能性もあると聞いていますし、飼育場所の衛生管理が行き届いているから昔のように寄生虫はいないのだということとか、物が腐るということに対して、コールドチェーンもかなり発達していますし、見かけ上さまざまな形で商品管理のやり方が向上しているということがありますが、そのことと食品安全性が確保されているということは全く違うもので、そのあたりも消費者は少し誤解してしまっています。

そのあたりも全部含めて社会的にこういう規制がかかれば、事業者の皆さん、消費者もみんな、豚肉はやはり中まで加熱して食べないとよくないのだと、こういう法規制の形で私たちが知るということがベストな方法かどうかは私自身も悩むところですが、現状で言えば、どこかで自浄作用が働かない限り、こういう形でまずみんなが知ることというところで今回の管理措置はぜひ進めていただければと思います。

○山本部会長 ありがとうございました。

 他に御意見ございませんか。石田委員、どうぞ。

○石田委員 この加熱条件ですけれども、63度で30分間というのが通常の調理を考えると考えにくいという状況です。この点についてもう少し詳しく教えていただけますでしょうか。

○事務局 中心部63度で30分間以上の加熱または同等以上の殺菌効果ということで、法令的に63度で30分と記載しておりますが、リスコミ等では75度で1分などと周知しているところです。必ずしも63度で30分でなければならないというわけではなくて、温度が高ければもちろん時間は短くても同等以上の殺菌効果が得られるので、全て読める形にしています。

○山本部会長 よろしいでしょうか。

 それでは、特に他に御意見がないようでしたら、豚の食肉等の生食については食品衛生法第11条第1項に基づく規格基準を定めるための所要の手続を進めるということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山本部会長 ありがとうございました。

 それでは、事務局、よろしくお願いいたします。

 では、議題2に移りたいと思います。「二枚貝の下痢性貝毒について」事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 資料3に基づきまして説明させていただきます。

 二枚貝の下痢性貝毒についてですが、我が国では昭和557月に規制値を設けてマウス試験法による対応を行っているところです。そのため、市販されている貝類による食中毒は報告されておりません。一方で、国際的には機器分析法の導入が進められておりますので、我が国においても下痢性貝毒については機器分析法への移行、及びそれに対応した基準値の設定について検討する必要があると考えており、昨年の本部会において二枚貝の下痢性貝毒としてオカダ酸群にコーデックス基準を導入することについて御議論いただいたところです。今般、食品安全委員会から食品健康影響評価結果が通知されましたので、これに基づく下痢性貝毒の対応について報告させていただくものです。

2番目の下痢性貝毒についての概要ですが、有毒プランクトンを食べた貝の中腸腺に毒が蓄積され、それをヒトが摂取すると中毒症状を起こし、その症状によって下痢性貝毒、麻痺性貝毒などと呼ばれております。下痢性貝毒の主な症状は、下痢や嘔吐などで通常3日以内に回復するものです。下痢性貝毒は、化学的性状から脂溶性貝毒とも呼ばれておりまして、脂溶性貝毒には、オカダ酸群、ペクテノトキシン群、エッソトキシン群などの毒性成分が含まれております。

我が国で現在行われているマウス試験法では、オカダ酸群、ペクテノトキシン群及びエッソトキシン群というものがマウスの腹腔内毒性を示すということで検出可能となっております。ただし、オカダ酸群はヒトへの下痢原性が確認されておりますが、その他の2つ、ペクテノトキシン群及びエッソトキシン群についてはヒトへの下痢原性は認められていないということ、また下痢を主徴とする食中毒が多発したことを背景に規制値が設定された当初もオカダ酸群を対象としていたと考えられます。そのため、昨年の部会におきましては、下痢性貝毒としてオカダ酸群に規制値を設けることとされたところでございます。

3番目の下痢性貝毒に係る現在の規制状況ですが、規制値0.05MU/g、検査法としてマウス試験法を定め、規制値を超えて検出された場合は食品衛生法第6条の違反として取り扱っております。

2ページ目に行っていただきまして、農林水産省でも対応を行っていただいております。原因プランクトンや貝類中の毒量のモニタリングが行われておりまして、必要に応じて自主規制が実施されているところです。

4番目の我が国における下痢性貝毒の汚染実態は、現在、先ほども申し上げましたが、市販されている貝類による食中毒事例というのは報告されておりませんが、実際には生産段階のモニタリングで規制値を超える貝毒が検出されております。平成24年では5件、平成25年では33件、出荷自主規制がとられております。

2ポツ目ですが、全国的なデータというものではないですが、青森県における研究用監視定点におけるホタテガイのオカダ酸群の毒量の推移を下のグラフで示しております。季節によって毒量が増えることが知られておりまして、オカダ酸群についてはコーデックスで設定されている基準値を大きく下回っているという状況でございます。

3ページ目の諸外国の下痢性貝毒の基準値と試験法ですが、コーデックスではオカダ酸群0.16という基準値、検査法として機器分析というところで対応されております。

6番目の食品健康影響評価の結果ですが、食品安全委員会の評価の対象となっているのはヒトへの下痢原性が認められているオカダ酸群であって、オカダ酸群の中にはオカダ酸とその誘導体であるジノフィシストキシンというものがありまして、DTX1DTX2DTX3が含まれておりますので、それらを評価対象としています。

オカダ酸群の急性参照用量ということですが、下痢性貝毒は、ヒトに認められる健康影響は下痢になるかどうかという急性毒性なので、急性参照用量というものが設定されて、それが0.3μgOA当量/kg体重ということになっております。

7番目の規制値設定の考え方ですが、摂食量を踏まえて急性参照用量を超えないような値を検討する必要がありまして、国際的にはどうなっているかということを表にまとめております。FAO/IOC/WHOは貝毒について検討を行った国際的な専門家会合で、EFSAEUのリスク評価機関になっております。その2つの評価結果でも、今回、食品安全委員会から示された急性参照用量と同じような値として0.3μgOA当量/kg体重というものが示されております。

この急性参照用量をもとに体重や1食当たりの摂食量を踏まえてどの程度の汚染濃度であれば大丈夫かということを計算するのですが、結論からいいますと、例えばARfDを超えない汚染濃度というところを見ていただければ分かりますが、例えば1として0.2mgOA当量と示しておりますが、これは高濃度に汚染されていたとしても食べる量が少なければ大丈夫で、一方で3のようにたくさん食べる人がいる場合は低濃度に汚染されているものであっても急性参照用量を超えてしまうという計算になっております。

国際的にリスク評価の前から諸外国で用いられた0.16という規制値が十分に消費者を保護できているという観点から、実際はコーデックスでは0.16mgOA当量という規制値が設定されたという背景があります。

続きまして、4ページ目、我が国における二枚貝の摂取量を踏まえた計算ですが、平成17年から19年に実施した摂取量調査から、二枚貝で関係があるホタテガイとアサリの摂取量のデータを用いて計算したものが下の表です。

まず、アサリのところを見ていただければと思いますが、摂取量の平均値が29.9g97.5パーセントタイルでたくさん食べる人でも87.1gということで、例えばコーデックス基準を設定していたとしても全ての摂取者に対して十分に安全であると考えられます。

一方、ホタテガイですが、平均的に食べる人が49.8gということで、平均的に食べる人であればコーデックス基準である0.16という規制値を設けたとしても十分に安全であると言えますが、95及び97.5パーセントタイル値の摂取量を用いると急性参照用量を若干超えてしまう可能性があるという計算結果になっております。

8番目の規制のあり方ですが、規制値につきましては、貝の可食部1kg当たりコーデックス基準である0.16mgのオカダ酸群が含まれている二枚貝を想定して試算すると、中腸腺を除去せずに103gを超えて摂取する場合はARfDを超えることになってしまいます。しかしながら、食品安全委員会の評価書において、貝毒は中腸腺に蓄積することが示されており、仮に二枚貝に貝毒が蓄積していたとしても、中腸腺を除去することによりヒトへの健康影響は低くなると考えられるとされています。

また、現行の規制値0.05MU/gは、オカダ酸群が0.16mgOA当量を超えて存在していると推定されております。また、評価書においては、諸外国が0.16mgOA当量の規制値を導入して機器分析法へ既に移行している状況、また機器分析法ではオカダ酸群をより特異的に高感度で測定できることなどを踏まえれば、現行のリスク管理から機器分析法によるリスク管理に移行したとしても下痢性貝毒の中毒が発生するリスクが上昇するとは考えにくいとされております。なお、諸外国における1食当たりの摂取量は我が国と同程度以上と考えられます。

上記を踏まえまして、現行のリスク管理措置を引き続き行うことを前提に、下痢性貝毒についてはオカダ酸群の規制値をコーデックスと同じ可食部1kg当たりにつき0.16mgOA当量としたいと考えております。

その他のリスク管理措置ですが、食品安全委員会の評価書においては、貝毒は中腸腺に蓄積することが示されており、中腸腺を除去することによりヒトへの健康影響は低くなると考えられておりますので、現行どおり中腸腺などの有毒部分の除去等の処理により、その可食部が規制値以下になることが明らかになれば販売等しても差し支えないこととしたいと考えております。

また、現行の規制では市販品で食中毒は発生しておりませんので、引き続き同じような対応を行っていきたいと考えております。農林水産省と連携して生産地または出荷地たる都道府県に対して必要な対策を講ずるよう依頼することとしたいと思います。

上記を踏まえまして、現在と同じように食品衛生法第6条第2項に基づいて下痢性貝毒を規制していきたいと考えております。

9番目は補足になりますが、オカダ酸群の毒性等価係数についてです。オカダ酸群については、オカダ酸とその誘導体であるDTXというものが含まれ、それぞれ毒性が異なっております。そのため、総毒量を算出するためには各毒成分ごとにオカダ酸と比較して毒性を加味する必要がありまして、そのときに用いる毒性等価係数というものを以下に示しております。

TEFは、マウス毒性試験に基づくLD50や致死量によって国際的には以下のような値が使われておりますので、我が国においてもコーデックスと同じTEFを用いてオカダ酸群の総毒量として0.16mgOA当量/kgを超えないように管理していくこととしたいと考えております。

10番目、今後の対応としましては、所要の手続を進めたいと考えております。

事務局からは以上になります。

○山本部会長 ありがとうございました。

 貝毒の専門家でいらっしゃる鈴木委員から何か補足があればお願いいたします。

○鈴木委員 それでは、資料3の部分について補足させていただきます。

 私は、2004年のFAO/IOC/WHOの専門家会議から下痢性貝毒を含めた貝毒の基準値の検討にはかかわってきました。こうした専門家会議の経緯も踏まえて資料3について若干補足の説明をさせていただきたいと思います。

 まず、我が国の貝毒の規制値は、1ページ目に0.05MU/gとございます。この規制値とEU基準値あるいはコーデックス基準値との関係、これは直接比較できるものではございません。しかしながら、我が国の0.05MU/gというのは下痢性貝毒の基準値として一番最初にできた基準値です。その後、EUの基準値である0.16mg/kgというものができたのですけれども、この基準値は我が国の基準値であります0.05MU/gを参考にして設定されたものであると考えることができます。つまり、オカダ酸群でありますDTX1の最低致死用量が3.2μgということになります。これがマウス毒性、MUに換算しますと1MUに相当することになります。

3ページ目の諸外国の下痢性貝毒の基準値及び試験法というところを見ていただきたいのですけれども、コーデックスの基準値が0.16mgOA当量/kgEU160μgOA当量/kg、これはコーデックス基準値と同じ値になります。EUの基準値ができたときに日本の0.05MU/gという基準値があったのですけれども、このときに参考にしたのがOA及びDTX1の最低致死用量です。つまり、オカダ酸の類縁体のDTX1の最低致死用量が3.2μg、これが1MUに相当しますので、0.05MUをオカダ酸当たりに換算すると0.16μg/gということになり、これは0.16mg/kgに相当することになります。

また、オカダ酸の場合ですと1MU4μgに相当しますので、0.05MU/gをオカダ酸のμgに換算しますと0.2μg/g、これは0.2mg/kg、カナダの基準値にほぼ相当します。

こうしたことから、我が国の0.05MU/gというのは、国際的な基準値でありますコーデックス基準値0.16mg/kgあるいはEUの基準値とほぼ同じものと考えることができると思います。

また、FAO/IOC/WHOの専門家会議においてコーデックス基準値を検討したときには、ARfDを踏まえた基準値についても検討しました。そのときの議論では、ARfD0.333ページ目の「7.規制値設定の考え方について」というところにありますが、0.33μgOA当量となっております。リスク評価に用いられる標準的な摂食量であります100gを用いて検討した結果、0.2mg/kgとなり、その当時の既存の基準値であります日本の規制値0.05MU/gあるいはEUの基準値に非常に近いものになったのですが、この整合性も踏まえて、当時のコーデックスの規格、FAO/IOC/WHOでの実際に設定した基準値は0.16mgOA当量/kgとなりました。

先ほども厚労省の仲川さんからホタテガイの説明があったのですが、4ページ目を見ていただいて97.5パーセントタイルと比較するとホタテガイの場合、0.111になります。0.16というのはこれと比較すると若干高いものです。しかし、国際規格との整合性、並びにオカダ酸群というのは中腸腺に局在しており、現在行われているリスク管理措置では中腸腺を除去して流通あるいは食べているということに鑑みても、下痢性貝毒による中毒は0.16mg/kgという基準値を設定することによって十分に抑え込むことができると思われます。

次に、5ページの毒性等価係数(TEF)について若干補足説明させていただきます。我が国の二枚貝の主要な毒はDTX1DTX3であります。DTX3というのはDTX17位の水酸基に脂肪酸がエステル結合したものです。機器分析等で分析するときにはDTX3は加水分解してDTX1に戻してやって、DTX1として評価されることになります。一方、DTX2は我が国の二枚貝から検出された事例はありません。

以上の状況を含めて考えますと、今回厚労省さんから出されている規制値案0.16mg/kgというのはリスク管理上極めて妥当な案と考えることができます。また、コーデックス規格にも沿った基準値でありますので、国際規格との整合性というところを考えても妥当な基準値と考えることができると思います。

以上です。

○山本部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただ今御説明のあった点に関しまして、御意見、御質問等いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 鈴木委員に確認しておきたいのですが、オカダ酸の耐熱性はどうなっていますか。

○鈴木委員 極めて安定です。缶詰を加工するような状況においても恐らく1割、2割ぐらいしか壊れない、そのぐらい安定な化合物です。

○山本部会長 小西委員、どうぞ。

○小西委員 今の御説明で幾つか教えていただきたいのですが、まず、規制をつくるということに関しては妥当だと思いますし、賛成でございます。

その基準値、規制値ですが、将来的には機器分析法に移行することになりますと0.16というのが測定可能な範囲に入っていると考えてよろしいのでしょうか。

○鈴木委員 定量限界(LOQ)という点で考えますと、今の標準的な質量分析計では基準値の10分の1ぐらいまで測定することができます。また、最新の装置を使えば100分の1ぐらいまでは測定が可能ということで、0.16というのは定量限界という点で考えた場合に十分に定量できる値であると考えております。

○小西委員 ホタテガイ及びアサリ1食当たりの摂食量、4ページのところで97.5パーセントタイル値では0.16よりも超えてしまう濃度が出てくるわけですね。0.1にしてしまうという考え方は、測定上は可能ではないかと思いますが、あえて0.16という、言ってみれば中途半端な数字にするというのは何か理由がございますか。

○鈴木委員 やはりコーデックス規格やEUの基準値、諸外国の基準値との整合性を考えたときに0.16が一番座りがいいというか、おさまりがいいのではないかと思いますが、厚労省さんに詳細に聞いていただきたいと思います。

○事務局 今の規制、0.05MUで規制をしていて現段階では食中毒は発生していないという話と、先ほどの鈴木先生のお話にもありましたように、0.16mgOA当量というものが現在の日本の規制値をもとに計算された値ということを踏まえれば、規制値としては0.16とするのが国際的な整合性からも妥当かと考えております。

 ただ、検査方法につきましては、技術的な話にもなってしまいますので、引き続き検査方法を検討していただいている先生たちと相談しながら対応は考えていきたいと思います。

○小西委員 厚労省の考え方も分かるのですが、時期的には、97.5パーセントタイル値や急性参照用量などがあって0.05MUを決めていたのだと考えてよろしいのでしょうか。リスク評価というのはどんどん新しいデータが出てくるとそのたびに考え直していくというのが正当な方法だと思いますが。

○山本部会長 鈴木委員、いかがですか。

○鈴木委員 0.05MUは今から約30年前につくられた基準値ですけれども、その当時は97.5パーセントタイルとか、そういうものは検討していなかったと思います。この値は、恐らくマウス毒性試験の検出限界、当時の検出技術で一番低い値を設定した。その結果、市場に流通した二枚貝では食中毒が全く起きなかった。ある意味、ヒューマンバイオアッセイをしている実績のある基準値と考えることができます。その当時、97.5パーセントタイルとか、そういう発想で設定された基準値ではないというのは確かだと思います。

○小西委員 そうしますと鈴木先生としては、新しい情報よりも今までやってきた経験値という方がここのリスク評価にはふさわしいと判断されたということですか。

○鈴木委員 一つは、ここに出ているデータの信用性、疫学的な調査の数、そういうものが極めて限られます。計算するとこういう数字が出るのですけれども、それに対する信頼性というところを考えますと、0.11とか、そういうところまで踏み切るには十分なデータがまだそろっていません。将来的にはデータを蓄積した上で新たにまた検討することは十分あることだと思いますけれども、現時点ではデータの信頼性などに鑑みてコーデックス国際規格にするのが一番いいのではないかと、これは私の個人的な意見ですが、考えております。

○小西委員 ありがとうございます。

○山本部会長 ありがとうございました。

 日本独自に厳しい規格を設けるというときには何らかの根拠を持ってそれを設定しないと、国際的な規格より厳しい規格を設定する理由が見つからないというところがあります。97.5パーセントタイル値をもとにするというだけでは不十分な部分があるのではないかということもありまして、今のところ、国際整合性も考えた上と、経験値というのは必要ではあるのですが、それだけに頼るのは怖いところもありますけれども、これまでやってきた中で食中毒の事例はなかったということで、自主規制として出荷を規制する上での十分な値になっていたのではないかという判断のもとでこれを設定したということになろうかと思います。

 他に、丸山委員。

○丸山委員 マウスを使ったバイオアッセイなどは非常にばらつきが多くて判定するのが難しかったり、今、マウス等の実験動物を使う傾向が少なくなってきたとか、あるいは動物に与える苦痛を出来るだけ少なくするという傾向がある中で、機器分析を使うというのは非常に良いことだと思います。

機器分析もいろいろあると思いますが、ここで考えていらっしゃる機器分析法はどういった方法なのかということと、貝毒は脂溶性ですが、その抽出方法なども、例えばどういった溶媒を使うであるとか、その辺の統一した方法というのはある程度確立というか、考えられているのでしょうか。

○鈴木委員 まず、機器分析法としてどういうメソッドがいいのかということですけれども、LC/MS法であるとか、LC/MS/MS法といった質量分析法が世界的に一番使われている信頼の置ける方法だと思います。あと、蛍光HPLC法とか、あるいは簡易測定法としては酵素阻害法、これはELISA法とは違ってかなりきちっとした定量分析法ですので、こうした方法も考えられると思います。ただ、当面、厚労省で公定法といったものを検討される場合には、LC/MS法あるいはLC/MS/MS法、この辺が一番妥当なところではないかと思います。

 抽出方法ですが、かなり古くから下痢性脂溶性貝毒の抽出溶媒としては含水メタノール(90%メタノール)あるいは100%メタノール、こうしたものが抽出効率が非常にいいということがわかっております。EUではスタンダード・オペレーティング・プロシージャー(SOP)という分析マニュアルのようなものをつくっていますが、そこで用いている溶媒がメタノールです。したがって、含水メタノールを使う理由は、場合によって乾燥品とかそういったものがありますので、そうしたものも含めた抽出溶媒を考えた場合にはむしろメタノールよりも含水メタノールの方がいいだろうということで、恐らく含水メタノールかメタノール、この辺がベストの抽出溶媒であると思います。

○山本部会長 試験法について事務局から補足をお願いします。

○事務局 現在、試験法については検討を行っているところですので、丸山委員から御指摘のありました分析法や抽出方法などにつきましては、後日通知で示したいと考えております。

○山本部会長 よろしくお願いします。

 他に御意見ございますか。

 山下委員。

○山下委員 この規制案は二枚貝を対象ということですが、他の生き物は考慮しなくていいのかということと、加工品についても同様の規制対象になるということでしょうか。

○山本部会長 事務局、いかがですか。

○事務局 下痢性貝毒につきましては、今のところ二枚貝での発生ということなので、規制としては二枚貝ということになります。今回、食品衛生法第6条の対象になりますので、基本的には検査して出たら法第6条の対象となり得ますが、主にリスクの高い二枚貝に検査を重点的に行っていただくということで理解いただければと思います。

○山本部会長 結局、加工品についても、もし検査して出れば6条違反の対象ということになります。

○山下委員 もう一点、加工品の場合、加工の際に除去処理など工夫すればこの規制から逃れられる可能性があるということですか。

○山本部会長 理論的にはそういうことになるのですけれども、例えば二枚貝を出荷する段階でのモニタリングをこれからも農林水産省の協力のもとでやっていくという考え方でいけば、原材料がまずは規制されているということで、加工品にまで入ってくるとか、違反品を中腸腺を除くことによって加工品に回すという可能性、それもないことはないでしょうけれども、事務局として判断はどうですか。

○鈴木委員 現在でも下痢性貝毒に関しては、脂溶性貝毒ですので、中腸腺を除いて残りの可食部が基準値以下であれば出荷していい、そういう衛生管理手順というのはありますので、恐らくそれはそのまま踏襲されていくということですね。

○山本部会長 失礼しました。では、事務局もう少し。

○事務局 補足ですが、資料35ページ目の「(2)その他のリスク管理措置」ですが、現在でも中腸腺を除去して残りの可食部が規制値以下であれば出荷してもいいということになっておりまして、食品安全委員会の評価書においても、貝毒は中腸腺に蓄積するので、中腸腺を適切に除去すれば残りのものを食べてもヒトへの健康影響は低くなると言われていますので、引き続きそういった対応にしたいと考えています。

○山本部会長 よろしいでしょうか。他に御意見ございますか。

 それでは、御意見を一通りいただきましたので、本件につきましては、報告事項でありますが、資料3に示されている対応の5ページ目、下痢性貝毒については引き続き食品衛生法第6条第2項に基づき規制するということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○山本部会長 ありがとうございました。

 それでは、議題3「その他」は、何か事務局からございますか。

○事務局 特にございません。

○山本部会長 ありがとうございました。

 それでは、次回の予定について事務局より説明をお願いします。

○事務局 次回の本部会の日程については、御審議いただく項目がまとまり次第、改めて調整させていただきますので、よろしくお願いします。

○山本部会長 ありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして本日の部会を終了いたします。どうもありがとうございました。 


(了)
医薬食品局食品安全部基準審査課乳肉水産基準係 仲川: (03-5253-1111 内線2488)

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