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2014年2月24日 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録

○日時

平成26年2月24日(月)15:00~



○場所

厚生労働省専用第23会議室


○出席者

出席委員(13名) 五十音順

奥 田 晴 宏、 加 藤 総 夫、 神 田 敏 子、  佐 藤 田鶴子、
鈴 木 邦 彦、 手 島 玲 子、 豊 見 雅 文、  野 田  光 彦、
林    邦 彦、 古 川   漸、◎松 井    陽、○松 木  則 夫、
山 田 清 文
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(8名)

小 川    聡、 木 村   剛、 佐 藤 雄一郎、 武 田 正 之、
平 石 秀 幸、 増 井   徹、 村 田  美 穂、 本 橋 伸 高

行政機関出席者

今別府 敏 雄 (医薬食品局長)
成 田  昌 稔 (大臣官房審議官)
佐 藤  岳 幸 (審査管理課長)
森 口    裕 (安全対策課長)
矢 守  隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
山 本  弘 史 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)
山 田  雅 信 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)
中 野    惠 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので「薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会」を開催いたします。本日はお忙しい中を御参集いただき、ありがとうございます。また、本日は非常に審議品目が多く、先生方には多数の品目を事前に御確認いただき、今日も長時間にわたって御審議いただくことになろうかと思います。よろしくお願いいたします。

 本日の委員の御出席ですが、小川委員、木村委員、佐藤雄一郎委員、武田委員、平石委員、増井委員、村田委員、本橋委員より欠席との御連絡をいただいております。加えて、佐藤田鶴子委員より30分ほど遅れていらっしゃるという御連絡を事前にいただいております。現在のところ、当部会委員数21名のうち、12名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 なお、松井部会長から遅れていらっしゃるという御連絡を事前にいただきましたので、本日につきましては松木部会長代理に進行をお願いする予定です。松木先生、以降の進行をよろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 本日の審議に入ります。まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて報告を行ってください。

○事務局 資料の確認をいたします。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1~14をあらかじめお送りしています。このほか資料15、「審議品目の薬事分科会における取扱い等()」、資料16で「専門委員リスト」、資料17「競合品目・競合企業リスト」を配布しております。

 また、資料番号を振っておりませんが、追加資料1-10、「毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ」、こちらはタイサブリに関する追加資料ですが、そちらの一括りを配布しております。

 続きまして、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リスト、資料17について御報告します。各品目の競合品目選定理由については次のとおりです。

 資料17の1ページを御覧ください。アテディオ配合錠です。本品目は「高血圧症」を予定効能・効果としており、同様の効能効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 2ページを御覧ください。ラジムロ配合錠LD及び同配合錠HDです。本品目は「高血圧症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 3ページを御覧ください。タペンタ錠25mgほか2規格です。本品目は「各種がんにおける鎮痛」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 4ページを御覧ください。ルセフィ錠2.5mg及び同錠5mgです。本品目は「2型糖尿病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 5ページを御覧ください。ザクラス配合錠LD及び同配合錠HDです。本品目は「高血圧症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 6ページを御覧ください。トレプロスト注射液20mgほか3規格です。本品目は「肺動脈性肺高血圧症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 7ページを御覧ください。デベルザ錠20mg及びアプルウェイ錠20mgです。本品目は「2型糖尿病」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 8ページを御覧ください。グラッシュビスタ外用液剤0.03%3mL、同外用液剤0.03%5mLです。本品目は「睫毛貧毛症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目は「なし」としております。

 9ページを御覧ください、サムスカ錠7.5mgほか2規格です。本品目は「常染色体優性多発性嚢胞腎」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤はないことから競合品目は「なし」としております。

10ページを御覧ください。タイサブリ点滴静注300mgです。本品目は「多発性硬化症」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

11ページを御覧ください。エフィエント錠3.75mg、同錠5mgです。本品目は「経皮的冠動脈形成術が適用される虚血性心疾患」を予定効能・効果としており、同様の効能・効果を有する薬剤として資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。以上です。

○松木部会長代理 ただ今の事務局からの説明に御意見のある方はいらっしゃいますか、よろしいでしょうか。それでは、本部会の審議事項に関する競合品目と競合企業リストについては皆さんの了解を得たものとします。委員からの申出状況について報告してください。

○事務局 各委員からの申出状況については次のとおりです。

 議題1「アテディオ配合錠」、退室委員なし、議決には参加しない委員は加藤委員、野田委員、山田委員です。

 議題2「ラジムロ配合錠」、退室委員なし、議決には参加しない委員は野田委員、山田委員です。

 議題3「タペンタ錠」、退室委員なし、議決には参加しない委員は加藤委員です。

 議題4「ルセフィ錠」、退室委員は野田委員、議決には参加しない委員は林委員、山田委員です。

 議題5「ザクラス配合錠」、退室委員なし、議決には参加しない委員は野田委員、山田委員です。

 議題6「トレプロスト注射液」、退室委員なし、議決には参加しない委員は加藤委員です。

 議題7「デベルザ錠及びアプルウェイ錠」、退室委員なし、議決には参加しない委員は野田委員、林委員、山田委員です。

 議題8「グラッシュビスタ外用液剤」、退室委員なし、議決には参加しない委員なし。議題9「サムスカ錠」、退室委員なし、議決には参加しない委員は山田委員です。

 議題10「タイサブリ点滴静注」、退室委員なし、議決には参加しない委員は野田委員です。

 議題11「エフィエント錠」、退室委員なし、議決には参加しない委員は野田委員、山田

委員です。以上です。

○松木部会長代理 よろしいでしょうか。本日は審議事項が11議題、報告事項が2議題、その他が1議題となっています。議題数が大変多いので、円滑な議事の進行のため類薬は連続させるなど、審議の順序を入れ替えて、議題10、8、7、4、3、9、11、6、1、2、5とします。まず、議題10に入ります。医薬品機構から概要を説明してください。

○機構 審議事項議題10、資料10「医薬品タイサブリ点滴静注300mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。

 本剤の有効成分であるナタリズマブ(遺伝子組換え)は、米国Biogen Idec社及びアイルランドのElan社により開発されたヒトアルファ4インテグリンに対する遺伝子組換え型ヒト化IgG4モノクローナル抗体です。海外においては200411月に米国で多発性硬化症(以下「MS」と略)に関する効能・効果で承認されたあと、臨床試験における進行性多巣性白質脳症(以下「PML」と略)の発現を受けて、2005年2月から販売が自主的に中止されました。その後、PMLのリスク管理のための方策が講じられた上で、2006年6月から販売が再開され、同時期に欧州主要国においても承認されています。本邦においては、2010年4月から臨床試験が開始され、今般、日本人における本剤の「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」に対する有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認が行われたものです。

 本申請の専門委員としては、資料16に記載されております10名の委員を指名しております。

 審査内容について、臨床成績を中心に説明させていただきます。まず有効性についてですが、審査報告書44ページ一番下の行を御覧ください。国内第II相試験はMRI検査における24週間の新規活動性病巣の発生率を主要評価項目として実施され、プラセボ群0.352、本剤群0.058、群間差は0.29395%信頼区間は0.1260.460であり、プラセボ群と比較して本剤群で統計学的に有意に低い結果が得られました。更に、審査報告書46ページ表1747ページの表18を御覧ください。海外第II相試験はMRI検査、海外第III相試験は年間再発率及び持続的障害進行開始までの期間を主要評価項目として実施され、いずれにおいても統計学的な有意差が示されていることから、本剤のMSの再発予防及び身体的障害の進行抑制に対する有効性は本邦においても期待できるものと判断しております。

 次に、安全性についてですが、審査報告書55ページ下から7行目の「1)PMLについて」の項を御覧ください。PMLはJCウイルスが脳のオリゴデンドロサイトに感染し、多巣性の脱髄病変を呈する感染性の中枢神経脱髄疾患であり、免疫不全の患者で発症しやすいことが知られています。海外製造販売後のデータから、本剤によるPML発症のリスク因子として、抗JCウイルス抗体陽性、免疫抑制療法による治療歴、長期間の投与(特に2年を超える投与)が同定されております。審査報告書58ページの表27を御覧ください。現時点で得られている情報から推定したリスク因子別のPMLの発症率はこちらの表のとおりとなっています。その上で、審査報告書79ページ表47の「日本(J-RMP)」の列を御覧ください。申請者よりPMLのリスク管理のためにこちらの表に示した方策を実施すると説明されております。機構としては、PMLの発症リスクは極めて重要な特定されたリスクであると考えておりますが、現時点でMSに対する治療薬の種類は限られており、既存の治療薬で十分な効果が得られない患者等に対する有効性の高い治療薬が必要とされていること、これまでの海外データの蓄積から、三つのPML発症のリスク因子が特定されており、個々の患者ごとに発症リスクの大きさを考慮した本剤の投与開始及び継続の判断が可能であることを踏まえますと、審査報告書84ページの上から9行目を御覧ください。添付文書の警告欄において、こちらに示したようにPMLの発症リスクについて注意喚起するとともに、適切かつ十分な安全監視活動及びリスク最小化活動が実施されることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しております。

 なお、承認申請書の標準物質の規格及び試験方法につきまして、資料搬入後に審査の過程で発生した修正が反映されていない部分が見つかりましたので、本部会終了後に速やかに修正させていただきます。審査報告書は修正後の規格及び試験方法に基づき作成されており、審査内容への影響はございません。

 また、冒頭でも御説明しましたが、事前に送付させていただいた資料に「生物由来製品又は特定生物由来製品の指定審査資料のまとめ」が含まれておりませんでしたので、当日資料として別途、机上に配布させていただいています。

 以上の審査を踏まえ、製造販売後の全投与症例を対象とした使用成績調査の実施及びPMLに係るリスク管理体制の構築を承認条件として付した上で、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は希少疾病用医薬品に指定されていることから再審査期間は10年、原体及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品に該当すると判断しております。

 なお、薬事分科会には報告を予定しております。以上です。よろしく御審議のほど、お願いいたします。

○松木部会長代理 MSの治療薬でPMLの発症に注意しながら承認をするということです。いかがでしょうか、委員の先生方、御意見等はございませんでしょうか。

  それでは、議決に入ります。なお、野田委員におかれましては利益相反に関する申し出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので承認「可」とし、薬事分科会に報告させていただきます。

 次は議題8になります。機構より説明をお願いします。

○機構 審議事項議題8、資料8「医薬品グラッシュビスタ外用液剤0.03%3mL及び同外用液剤0.03%5mLの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、機構より御説明申し上げます。

 ビマトプロスト(以下、「本薬」)は、内因性の生理活性物質であるプロスタグランジンF2アルファに類似した構造を有するプロスタマイド誘導体であり、眼圧下降作用を有し、本邦では点眼剤として「ルミガン点眼液0.03%」が平成21年7月に「緑内障、高眼圧症」の効能・効果で承認されています。

 緑内障及び高眼圧症患者を対象とした臨床試験において、有害事象として睫毛の成長が多く認められたことから、海外において本薬0.03%を含有する外用液剤(以下、「本剤」)が開発され、2008年に米国で睫毛貧毛症の効能・効果で承認されたのをはじめ、201310月現在、23の国又は地域で承認されています。

 申請者は、本邦で2011年3月より臨床試験を開始し、今般、本剤の製造販売承認申請を行うに至りました。本品目の専門協議では、本日の配布資料16に示します専門委員を指名いたしました。

 以下、本剤の有効性・安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。主な臨床試験成績として国内第III相試験の成績が提出されています。

 有効性に関してですが、審査報告書11ページの表10を御覧ください。特発性睫毛貧毛症患者を対象に第III相試験が実施された結果、睫毛の全般的な際立ち度を評価するためのGEA-Jスコアを用いた主要評価項目である「4か月後のGEA-Jスコアがベースラインから1以上改善した被験者の割合」において、本剤群とプラセボ群の間に統計学的に有意な差が認められました。

 次のページ(12ページ)の表12を御覧ください。がん化学療法による睫毛貧毛症患者を対象に実施された試験においても、本剤群とプラセボ群の間に統計学的に有意な差が認められました。以上より、睫毛貧毛症に対する本剤の有効性は示されたと機構は考えました。

 安全性に関してですが、審査報告書17ページを御覧ください。既承認の本薬含有点眼剤の臨床試験においても認められている眼及び眼周囲の有害事象に注意する必要はありますが、点眼時と比較して上眼瞼塗布時で特異的な事象、発現割合が高い傾向にある事象等は見出されておらず、睫毛貧毛症患者に対する本剤の安全性は許容可能と考えました。ただし、本剤長期投与時の安全性に関する情報は限られていることから、特に眼瞼及び眼瞼周囲の色素過剰及び虹彩色素過剰については製造販売後調査等において引き続き情報収集し、また、患者への情報提供を適切に行う必要があると考えました。

 以上、機構での審査の結果、睫毛貧毛症に対する本剤の有効性は示され、安全性は許容可能と考えられたことから、本剤を承認して差し支えないと判断し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。

 なお、本剤は新投与経路医薬品であるため、再審査期間は6年間、製剤は毒薬及び劇薬のいずれにも該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。御審議、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○松木部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方、御質問や御意見をお願いいたします。点眼ではなくて睫毛に塗るという、新しい投与方法で、がん患者にとっては大変なことかもしれませんが、医薬品化については少し議論があるかと思います。いかがでしょうか。

○神田委員 特発性とがん化学療法による睫毛貧毛症に対する有効性があるという御説明だったかと思います。審査の結果の方ですと効能・効果が「睫毛貧毛症」となっています。睫毛貧毛症というのは分からないのですが、先ほど言った2点以外にも含まれるのではないかと思います。こういった効能・効果が睫毛貧毛症という、もう少し広い意味に取られるのかと思ったのですがそれでよろしいのでしょうか。添付資料にも特発性とがん化学療法以外には有効性は確立されていないとなっていますので、もう少し正確に書く方がいいのではないかと思ったものですからお聞きしたいと思います。

○松木部会長代理 いかがでしょうか。

○機構 機構より御説明申し上げます。審査報告書の24ページを御覧ください。先ほど申し上げたとおり、試験では特発性とがん化学療法による睫毛貧毛症の患者が対象になったのですが、ここに書いておりますようなその他の原因、甲状腺疾患、膠原病、放射線療法等による睫毛貧毛症につきましても、本薬の作用機序を考えますと効果が期待できますので、それらの対象も効能・効果に含めてよいと判断し、効能・効果は睫毛貧毛症としました。

 ただし、これらの対象については、添付文書上では試験で実施されていないことが分かるように、試験ではあくまでも特発性とがん化学療法に対してされたという意味で注意喚起をしたという経緯があります。

○松木部会長代理 よろしいでしょうか。

○神田委員 分かりましたけれども、例えばインターネットで個人輸入したりとか、あるいは今クリニック等で行われている物については、美容的に使われているという物もございました。そういう意味も含めて睫毛貧毛症と受け止めてしまうのではないかというか、それも対象になるのかどうかをお聞きしたかったわけです。

○機構 機構より御説明申し上げます。今、先生がおっしゃられたような人は睫毛貧毛症患者ではありませんので、我々も対象とは考えておりません。

○神田委員 分かりました。ただ、ネットなどで見ると、そういうような物も睫毛貧毛症という表現になっておりましたので、分かりにくいかと思ったのです。

○松木部会長代理 対象は治療を要する人ということですね、化粧品代わりに使われては困るということでしょう。ほかにいかがでしょうか。

○鈴木委員 今のお話でいきますと、美容目的の使用を防ぐということであれば、何らかの制限が必要ではないかという気がしますがいかがでしょうか。それと、「男性及び65歳以上の高齢者に対する有効性について」がまだはっきりしていないようですが、実際、非常に漠然とした病名ですので、何に使っていただくのかをもう少しはっきりさせるために、どういった方は余り使うべきではないとか、もう少し踏み込んだ表現が必要ではないかと考えます。

○松木部会長代理 重要な点だと思います、いかがでしょうか。

○機構 機構より御説明申し上げます。先ほども申し上げたとおり、私どもも患者でない者に対しての投与はするべきではないと考えております。医療従事者向けの資材の中で、睫毛貧毛症というのは睫毛が不十分、あるいは物足りない状態であるというようなことを記載しており、研修を十分に積んだMRが医師に対して資材を用いて説明を徹底する、と申請者より説明を受けています。

○松木部会長代理 よろしいでしょうか、今の説明で。

○鈴木委員 今の御説明だと事実上自由に使えるので、そういう制限だけでは意味がないのではないかと思います。

○機構 処方に当たりましては、ただ単に薬だけを渡すということではなくて、医師が必ず対面で行う。しかも、その医師に対しても、どういったものが睫毛貧毛症であるのかということをきちんと納入の時に説明させていただく。それも写真などを用い、特に今回の試験などで使いました写真を用いて説明をして、どういったものが睫毛貧毛症に当たるのかということを説明した上で処方していただくという手はずを整えております。

○神田委員 分かりましたとは言ったのですが、実際に美容外科など、医師が輸入した薬を、薄いとかで、眼の治療やあとの治療ということではなく、実際に薄いとか短いということで使われている現状がある。そういうことと混同してしまったらいけないのではないか、混同されないような表現をしておくべきではないか。そういう意味では、申請にあったような効能・効果の表現をしておくべきではないかと思ったものですから。

○加藤委員 報告書の35ページ、上から15行目ぐらいですか、専門委員会の考慮のポイントがあります。そこの一番下の所、「本剤を中止すると睫毛の成長は投与前の状態に戻ることについて情報提供すること、この点を考慮して患者向けに資材を」ということが書いてあります。私が見た範囲で、投与を中止すると投与前の状態に戻るということについてのエビデンスがあるのかどうか分からなかったので、それを教えていただきたいと思います。可逆性についてのエビデンスが取れているのかどうか、というのが分からなかったものですから。

○機構 先生方のお手元の資料には付いていないのですが、臨床的有効性を記載した2.7.3項には、海外で6か月本剤を投与したあと、プラセボに切り替えて6か月そのプラセボを投与した結果、切り替えて4週~6週後に元の状態に戻るというデータが提示されています。

○加藤委員 そうすると、それは資材で情報提供していいような情報であるということですか、それとも一つの結果があるという情報なのでしょうか。どちらにしても、そういうものがあるのであればその範囲において、ということを明確に伝えるべきだと思いますし、日本での販売後調査でも、そういう症例がどれだけあるか分からないですが検討していくべきではないかと思います。いかがでしょうか。

○機構 御意見、ありがとうございます。

○松木部会長代理 ほかにいかがでしょうか、よろしいですか。

○奥田委員 一点だけ確認です。加藤委員の御質問にからむのですが、そうすると、元の状態に戻るということについて情報提供するということは、基本的な薬の使われ方というのはずっと使われることを前提に開発された薬なのでしょうか、それともそうではなくてある時期だけ使う薬ということでしょうか。

○機構 機構より御説明申し上げます。がん化学療法による患者の場合、抗がん剤によって一時的に貧毛になっているという場合もあり得ます。そういった患者では元の状態に戻るのを早める時だけ本剤を使用して、その後使用しなくていいという可能性はございます。一方で特発性の患者の場合、それを根本的に治すような薬ではありませんので、定期的に使い続ける必要がある薬だと考えます。

○奥田委員 ありがとうございます。

○松木部会長代理 ほかによろしいでしょうか、それでは議決に入ります。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

  本議題について御異議がないようですので承認「可」として、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 次が議題7、その次が議題4、3という順で進めます。機構から概要を説明してください。

○機構 審議事項議題7、資料7「医薬品デベルザ錠20mg及びアプルウェイ錠20mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、機構より御説明申し上げます。

 本剤は、中外製薬株式会社により開発された、Na⁺/グルコース共輸送担体(以下、「SGLT」)2の選択的阻害薬であるトホグリフロジン水和物を有効成分とする糖尿病治療薬です。201311月現在、本剤は海外のいずれの国・地域においても承認されていません。本品目の専門協議では資料16に示す先生方を専門委員として指名させていただいております。

 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に説明させていただきます。有効性については、本剤単独療法に関して、第II/III相試験が実施され、審査報告書53ページ表37に示しましたように、主要評価項目とされたベースラインから投与24週時のHbA1c変化量において、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されています。また、単独療法の長期投与試験が実施され、55ページの図2に示しましたように、効果の持続性も示されています。さらに、本剤とスルホニルウレア薬、速効型インスリン分泌促進薬、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬及びDPP-4阻害薬との併用療法の長期投与試験も実施され、58ページの図3に示しましたように各併用療法の効果の持続性が確認されています。

 安全性については63ページ~70ページの「()安全性について」の項に記載しましたように、低血糖、尿路感染症及び性器感染症関連の有害事象、多尿症関連の有害事象等の個別の事象について検討した結果、適切な注意喚起等がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しました。

 製造販売後調査については8283ページ「()医薬品リスク管理計画()について」の項に記載しましたように、3年経過症例数として3,000例、観察期間3年間の長期特定使用成績調査と発売開始時から3か月以内に本剤の投与が開始された高齢者を対象とした特定使用成績調査が計画されており、83ページの表60及び61に示した検討事項に関して情報収集される予定です。

 以上のとおり、機構での審査の結果、本剤は承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年が適当であると判断しております。なお、原体及び製剤はいずれも毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。

○松木部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。SGLT2の阻害薬ということで今後もいくつかあるかと思います。もしないようでしたら議決に入ってよろしいでしょうか。

 それでは議決に入ります。なお野田委員、林委員、山田委員におかれましては利益相反に関する申し出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので承認「可」とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題4に移ります。野田委員におかれましては利益相反に関する申し出に基づき、議題4の審議の間、別室で御待機いただくことといたします。よろしくお願いいたします。

                             ── 野田委員退室 ──

○松木部会長代理 次が議題4、その次が議題3、議題9、議題11の順でいきます。

○機構 審議事項議題4、資料4「医薬品ルセフィ錠2.5mg及び同錠5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、機構より御説明します。本剤は、大正製薬株式会社により開発された、議題7と同様のSGLT2の選択的阻害薬であるルセオグリフロジン水和物を有効成分とする糖尿病治療薬です。SGLT2は、腎臓の近位尿細管におけるグルコース再吸収を担っており、SGLT2を阻害することで尿糖排泄を促進し、インスリン非依存性に血糖降下作用を示します。201311月現在、本剤は海外のいずれの国・地域においても、開発及び承認されていません。本品目の専門協議では、資料16に示す先生方を専門委員として指名しております。

 以下、本剤の有効性及び安全性について、臨床試験成績を中心に御説明します。有効性については、本剤単独療法に関して第III相試験が実施され、審査報告書51ページ、表21に示したように、主要評価項目とされたベースラインから投与24週時のHbA1c変化量において、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されています。また、単独療法の長期投与試験が実施され、53ページ、図1に示したように、効果の持続性も示されています。さらに、本剤とスルホニルウレア薬、ビグアナイド薬、アルファ-グルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬、DPP-4阻害薬、速効型インスリン分泌促進薬との併用療法の長期投与試験も実施され、スルホニルウレア薬との併用療法については55ページの図2、その他の併用療法については59ページ、図3に示したように、各併用療法の効果の持続性が確認されています。安全性については、6878ページの「()安全性について」の項に記載したように、低血糖、尿路感染症及び生殖器感染症に関連する有害事象、頻尿及び多尿に関連する有害事象等の個別の事象について検討した結果、適切な注意喚起がなされることを前提とすれば、本剤の安全性は許容可能と判断しました。

 製造販売後の調査については、9394ページ、「()医薬品リスク管理計画()について」の項に記載したように、3年間投与の評価症例として3,000例、観察期間3年間の特定使用成績調査と販売後3か月間に本剤の投与が開始された高齢者を対象とした特定使用成績調査が計画されており、94ページ、表54及び55に示した検討事項に関して情報収集される予定です。

 以上のとおり、機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが適当と判断しました。本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年が適当であると判断しております。なお、原体及び製剤はいずれも毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。

 なお、佐藤委員より事前に御質問を頂いております。「HbA1cの改善効果が小さい割に、感染症の発現が多いと思われることから、患者にとって真のベネフィットがあるのか」という御質問です。この点については、国内第III相単独療法試験において、主要評価項目とされたベースラインから投与24週時のHbA1c変化量について、プラセボ群との群間差は-0.75%であり、また、空腹時血糖値の群間差は-27.5mg/dL、食後2時間血糖値の群間差は-56.8mg/dLであったことなどから、これまでに承認された経口血糖降下薬の臨床試験成績と比べても遜色はなく、本剤の有効性は示されていると判断しております。

 尿路感染症に関連する有害事象については、プラセボ対照単独投与試験併合集団での発現割合は、プラセボ群と本剤2.5mg群のいずれも0.5%であるなど、大きな問題は見られていないと判断しております。ただし、本剤の作用機序やリスクベネフィットの観点を踏まえ、重度の腎機能障害のある患者では本剤の効果が期待できないため投与しないこと、中等度の腎機能障害のある患者では本剤の効果が十分に得られない可能性があるので、投与の必要性を慎重に判断することを、添付文書の「効能・効果に関連する使用上の注意」の項で注意喚起しております。また、尿路感染症、性器感染症について、製造販売後調査で情報収集する計画となっております。以上の内容について佐藤委員に事前に説明し、御了解を頂いております。以上です。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○松木部会長代理 佐藤委員はそれでよろしいでしょうか。

○佐藤()委員 はい。

○松木部会長代理 それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。これもSGLT2の阻害薬ということですが、いかがでしょうか。

 よろしければ、議決に入ります。なお、林委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題について承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただきます。待機されている野田委員、御入室ください。

── 野田委員入室 ──

○松木部会長代理 次に議題3、その次が議題9、議題11、議題6、議題1という順になります。機構から説明してください。

○機構 審議事項議題3、資料3「医薬品タペンタ錠25mg、同錠50mg及び同錠100mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明します。本剤は、μオピオイド受容体作動作用とノルアドレナリン再取込阻害作用を有するタペンタドール塩酸塩を有効成分とする経口徐放性製剤です。本邦においては、200811月より臨床試験が開始され、今般、中等度から高度の疼痛を伴う各種がんにおける鎮痛に対する本剤の有効性及び安全性が確認されたとして、製造販売承認申請が行われました。海外において、本剤は201311月現在、37か国で承認されております。本申請の専門委員としては、資料16に記載されている9名の委員を指名しました。

 審査内容について、臨床試験成績を中心に説明します。有効性について、審査報告書46ページ、表29を御覧ください。オピオイド鎮痛剤以外の薬物療法では十分な除痛が得られない日本人及び韓国人がん性疼痛患者を対象としたKAJ-C02試験において、主要評価項目とされた投与最終3日間における平均疼痛強度スコアのベースライン間の変化量は、本剤群で-2.69プラスマイナス2.22、オキシコドンCR群で-2.57プラスマイナス2.03であり、本剤群のオキシコドンCR群に対する非劣性が検証されました。

 安全性について、審査報告書55ページ、表38を御覧ください。表38では、KAJ-C02試験とオピオイド鎮痛剤の定時投与により十分な除痛が得られている日本人がん性疼痛患者を対象としたJPN-C03試験における有害事象発現状況を示しています。他のオピオイド鎮痛剤を定時投与している患者を対象としたJPN-C03試験と比較して、オピオイド鎮痛剤未使用の患者を対象としたKAJ-C02試験では、オピオイドに特徴的な有害事象の発現割合が高い傾向が認められました。しかしながら、いずれの試験においても対照群とされたオキシコドンCR群又はモルヒネSR群と比較して、本剤群における有害事象の発現割合が明らかに高い傾向は認められておらず、認められた事象に大きな違いはありませんでした。

 以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断しました。本申請は、新有効成分含有医薬品に該当し、再審査期間は8年、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会には報告を予定しております。

 なお、佐藤田鶴子委員より事前質問を頂いております。資料タブ1.7、同種同効品一覧表1617ページ、「6、妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項を御覧ください。16ページの本剤に関する2)分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制が現れることがあるとの注意喚起について、「少々違和感を感じます。多分、この例はがん患者で、本薬を必要としている場合の出産を経験したわけではないと思います。憶測ですが、本薬を無痛分娩に使用例があったので、ここに記載されたのでしょうか。もし、そうであれば、不適切な記載ではないかと思います」との御指摘を頂きました。御指摘の注意喚起は、本剤投与時にヒトにおいて認められた内容ではなく、本薬が胎盤通過性を有し、モルヒネ、オキシコドン等の他のオピオイド鎮痛剤と同様に、妊婦に投与することにより新生児に対し影響を及ぼすと考えられることから、オピオイド鎮痛剤の一般的な注意喚起として類薬と同様に記載しております。ただし、本剤の添付文書()では、モルヒネ及びオキシコドンにおける()分娩前に投与した場合、出産・出生後新生児に退薬症候が現れることがあるとの注意喚起に該当する注意喚起が記載されていないことから、当該注意喚起についても追記したいと考えております。説明は以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。

○松木部会長代理 佐藤委員、ほかの類薬と説明をそろえるということですが、よろしいでしょうか。

○佐藤()委員 はい。

○松木部会長代理 それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。

○山田委員 自動車の運転に関する注意についてお伺いします。最近、多くの薬剤の自動車運転に関する注意で、運転をさせないようにとなっているかと思います。本剤についても「自動車運転等危険を伴う機械の操作に従事させないように注意すること」とありますが、鎮痛剤はがん治療の末期だけではなくて、痛みがあれば初期から始めるということで、まだ初期の患者に投与した場合には、運転ができなくなると、痛みがあって社会生活が困難であったのが、せっかく痛みが取れたのに、逆に運転が制限されるという問題がいろいろな所で起きているのではないかと思います。この場合も「運転に注意をすること」ではなくて、「従事させないように注意すること」とする必要があるのでしょうか。

○機構 こちらについては、類薬でもランクによって注意喚起を分けており、本薬と同様の作用を有する類薬を見ると同じような注意喚起になるので、本品目のみ注意喚起を軽くしてもいいというエビデンスがない以上、今の注意喚起になってしまうということです。

○山田委員 類薬との関連からそういうことになるのかと思いますが、実際を考えると、まだ社会に出て働きたい方もこの薬を飲まれるのではないかと思うのです。これだけをということは難しいのかもしれませんが、少し御検討いただければと思います。

○機構 本品目だけで考えていくことは難しいと思いますので、類薬も含めた検討課題としたいと思います。

○加藤委員 1.8の添付文書()の2ページの併用注意について伺います。これは非常に新しいというか、オピオイドそのものは古典的で、オピオイドに対していろいろなものがあると思いますが、併用注意の中にSSRIが出ています。最近、特に慢性疼痛で、適用はがん性ではないかもしれませんが、SNRI、ノルアドレナリンのトランスポーターに対するインヒビターが実際に鎮痛作用があるという意味で、この薬はそういう作用機序も盛り込んでいることになりますが、今、SNRIが実際に臨床でかなり使われていると思います。それとの併用注意について書かなくていいのか、いかがでしょうか。

○機構 こちらはノルアドレナリンの再取込阻害作用を有しますが、今のところ、ほかのSNRIと併用した場合に問題が挙がってきているわけではないので、今回は記載していない状況です。セロトニンについては、本剤はセロトニンの再取込阻害作用も弱いながら有するということで、海外でも記載をしているので、本邦においても注意喚起をするとされております。SNRIについては、今後、海外も含めて製販後調査等で検討をしていくことになるかと思います。

○加藤委員 要するに、まだエビデンスを取っていないので書いていないということでしょうか。作用機序から考えると、当然相加作用的なものがあるのではないかという想像はされ得ると思いますが、いかがでしょうか。

○松木部会長代理 むしろ効果が強く出るということですか。

○機構 今回、ノルアドレナリン再取込阻害作用に特徴的な有害事象が出るかどうかを検討しているのですが、そういった作用を有さないオキシコドンと比較しても、特段何か問題があるといったことがなかったので、明らかにできていない状況です。製販後調査において、そういったところも含めて併用薬の影響を検討していきたいと思います。

○松木部会長代理 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、議決に入ります。なお、加藤委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 次に、議題9について機構より概要を説明してください。

○機構 審議事項議題9、資料9「医薬品サムスカ錠7.5mgほかの製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について、並びにサムスカ錠30mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より御説明します。なお、審査報告書の主な引用箇所を提示した資料について、1枚紙を机上に配布し、差し替えております。御確認をお願いします。

 審査報告書4ページ、下を御覧ください。本剤の有効成分であるトルバプタンは、大塚製薬株式会社が合成した非ペプチド性のバソプレシンV-受容体拮抗薬であり、多発性嚢胞腎においてバソプレシンによる細胞内サイクリックAMPの上昇を抑制することで腎嚢胞の増大を抑制します。本邦では、本剤15mg錠が心不全における体液貯溜に係る効能・効果で201010月に承認され、後に剤形追加された本剤7.5mg錠に肝硬変における体液貯溜に係る効能・効果が2013年9月に追加で承認されております。なお、米国では2009年5月に、欧州では2009年8月に「抗利尿ホルモン不適合分泌症候群による低Na血症」等の効能・効果で承認されております。今般、常染色体多発性嚢胞腎(以下、「ADPKD」)患者を対象とした国際共同治験の臨床試験成績等に基づき承認申請がなされました。なお、本邦において、トルバプタンは「多発性嚢胞腎の進行抑制」を予定される効能・効果として、平成18年8月に希少疾病用医薬品に指定されております。本品目の審査に関して、専門委員として資料16に記載されている委員が指名されました。

 本品目の審査の概略について、臨床試験成績を中心に御説明します。有効性について、審査報告書27ページ、「国際共同第III相試験(TEMPO)」の項を御覧ください。クレアチニンクリアランスが60mL/min以上であり、無作為化割付時のMRIにて、両側腎容積が750mL以上で、腎容積の増加割合が速いと推定されるADPKD患者を対象として、本薬の腎容積増大抑制効果をプラセボと比較する臨床試験が実施されました。

 審査報告書28ページを御覧ください。有効性の主要評価項目であるベースラインからの両側腎容積の変化率は、本薬群2.8/年、プラセボ群5.51/年であり、プラセボに対する本剤の優越性が示されました。また、有効性の副次評価項目である臨床症状の複合エンドポイントの発現数、腎機能の評価等でも、プラセボに対する本薬の優越性が示されました。

 安全性について、審査報告書31ページ、表10を御覧ください。本薬群で口渇、多尿、頻尿等、本薬の利尿作用に起因すると考えられる有害事象が多く認められましたが、これらの利尿作用に起因すると考えられる有害事象は、いずれも適切に患者に対する指導を行うこと等により、大きな問題となることはないと判断しております。

 審査報告書32ページ、表11を御覧ください。本薬には、重篤な肝機能障害を生じるリスクがあることが示唆されており、肝機能障害についてはきめ細かくモニターする必要があると判断しております。本薬には、利尿作用に起因する高ナトリウム血症の発現リスクがある上に、既承認効能・効果と比較するとADPKDでの用量が大きく上回ることから、重篤な肝機能障害の発現リスクに関する懸念は小さくありませんが、現時点ではADPKDの根治的な治療法はないこと、ADPKDは進行性の疾患であり、末期腎不全や透析に至る場合があることなどを考慮すると、ADPKD患者を対象とした国際共同第III相試験において、腎容積の増大を抑制し、腎機能低下の進行を遅らせ得ることが示された本薬を臨床現場に提供することには意義があるものと判断しました。

 しかしながら、以上のような、本薬によるベネフィットとリスクを踏まえると、ADPKD患者のうちTEMPO試験の対象となったような患者、すなわち腎機能は残存しているものの、腎容積が既に増大しており、かつ腎容積の増大速度が速い患者に本薬の投与対象を限定し、添付文書で肝機能及び血清ナトリウム濃度について注意深いモニタリングを行うことを規定する必要があると判断しました。

 なお、ADPKD患者には、病態の進行が遅く、本薬の投与なしでも生涯腎不全には至らない患者もおり、そのような患者では重篤な肝障害等のリスクがベネフィットを上回るとも考えられます。したがって、本薬はADPKDの治療及び本剤のリスクについて十分理解し、投与対象の選択や、肝機能や血清ナトリウム濃度の定期的な検査を初めとする本剤の適正使用が可能な医師のみによって処方される必要があると判断し、当該事項について審査報告書3ページのとおり、承認条件とすることが適切と判断しております。

 審査報告書61ページ、「米国における承認審査の経緯について」の項を御覧ください。米国では、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、承認が保留されております。しかしながら、国際共同第III相試験の対象においては、プラセボに比し、有意な本薬の腎機能低下抑制効果が示されており、少なくとも国際共同第III相試験の対象と同様の病態の進行が速い患者には、ほかに治療法のないADPKDの治療選択肢として本薬を提供する意義があるものと判断し、添付文書の効能・効果に関連する使用上の注意に本薬の対象となる患者の腎容積等を明記しました。

 製造販売後調査について、審査報告書100ページ、表19を御覧ください。本薬は、重篤な肝障害発現リスクを有することから、承認後、早期に十分なデータを収集する必要があり、臨床試験での投与期間である3年を超える長期投与時の安全性及び有効性は検討されていないことを踏まえ、承認販売後には承認条件として観察期間最長8年の全例調査を実施することが適切と判断しております。また、承認後早期から収集されたデータに基づき、本剤の適正使用に必要な措置を講じることを承認条件としております。

 以上のような検討を行った結果、前述の承認条件を付した上で、本剤を「腎容積が既に増大しており、かつ、腎容積の増大速度が速い常染色体優性多発性嚢胞腎の進行抑制」の効能・効果で承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。再審査期間は、本剤は多発性嚢胞腎に係る効能・効果について希少疾病用医薬品に指定されていることから、10年と指定することが適切であると判断しております。また、本剤30mg錠について、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 それでは、委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。

○鈴木委員 この薬は、ADPKDの進行抑制で効能追加ということですが、一方でFDAでは非承認になっているということです。アメリカでは承認されていないのに、本邦では承認をしたいということのようですが、アメリカで指摘されるような点は日本では問題にならないのかどうか。腎容積の減少が進行抑制にどのように結び付くのか、今回の効能・効果は追加ですから、現行の算定方式でこういった投与量を投与した場合の薬価が推定されるわけですが、そういったものについて教えていただきたいと思います。

 確かに類薬がないということもあるとは思いますが、効果が限定的であることと、服用の場合は非常に長期間にわたって服用されると。今お話がありましたが、どの程度の進行のスピードの速い方に用いるのか、具体的な定量的な評価の基準もないということで、主観的な判断だと曖昧なまま使われるのではないかと。また、薬価の問題は、ここはそういうことを検討する場ではありませんが、こういった薬が先々中央社会保険医療協議会の総会等に出てきた場合、現在、中央社会保険医療協議会の総会は事実上appraisalの場となっているので、そこで否定される可能性もあることを踏まえると、もう少し有効性あるいは費用対効果の観点から、価格の問題を含めた検討がなされたのかどうかについて御説明を頂きたいと思います。

○松木部会長代理 幾つか問題点が指摘されましたが、いかがでしょうか。

○機構 1点目として、腎容積については有効性が示されたと。ただ、腎機能低下に対してはその辺りが懐疑的ではないかという御指摘があったと理解しております。このTEMPO試験という国際共同第III相試験は、確かにプライマリ・エンドポイント、主要評価項目としては腎容積に関するものが設定されました。ただし、副次評価項目として腎機能が評価されております。この試験は3年間という限られた期間ではありますが、その3年間においては腎機能の低下抑制率30%の腎機能低下抑制効果が示されております。このようなADPKD治療の真のエンドポイントは、末期腎不全の移行抑制、つまり透析の回避とも考えられますが、このADPKDという病気は非常に長い経緯をたどる疾患なので、そのような真のエンドポイントを見る評価をする臨床試験は実施困難であると考えられることから、代替エンドポイントを使用せざるを得ない状況であったことは理解でき、この国際共同第III相試験の主要評価項目を腎容積に関するものとしたことは理解できます。ただ、御指摘のとおり、それだけでは有効性の説明として不十分な点もあるので、先ほど申し上げたとおり、副次評価項目、腎機能の低下抑制、腎臓痛などの複合エンドポイントといったものの評価もして、包括的な有効性の評価をしました。その結果、主要評価項目であった腎容積だけではなく、副次評価項目の腎機能低下抑制などについても本薬の有効性を示唆する成績が得られているので、TEMPO試験の対象となった患者においては本薬の有効性を期待できると判断しました。

 続いて、対象となる患者の「腎容積が既に増大しており、かつ、腎容積の増大速度が速い」と推測されるということは曖昧であり、主観的であるのではないかという御指摘を頂いたと思います。効能・効果では確かにそのような記載となっていますが、資料1.8、添付文書案の2ページに効能・効果に関連する使用上の注意の記載があります。II.「常染色体多発性嚢胞腎の場合」に、「以下のいずれにも該当する場合に適用すること」とあり、1.両側総腎容積が750mL以上であること、2.腎容積増大速度がおおむね5%/年以上であることと、具体的な数字を記載しております。このような具体的な数字を提示することで、投与対象の適切な選定がなされるものと考えております。

 この3年の試験で有効性が確認されておりますが、御指摘いただいたように、この病気に対する薬物治療がなされる場合、非常に長期間にわたって本薬が投与されることが想定されています。本薬の製造販売後調査については、全例調査として最長8年の観察期間を設け、安全性・有効性を製販後に確認する予定となっております。

○松木部会長代理 今の説明でよろしいでしょうか。

○鈴木委員 750mLというのは、どういう根拠がある数字なのか教えていただきたいということと、現行の算定方式から言うと、この場合の薬価はどの程度になることが想定されるかを教えていただけますか。

○事務局 現行は7.5mg錠と15mg錠が承認されており、15mg錠の方が1mg当たり安いので、こちらで計算しております。15mg錠は、1錠約2,525円です。通常、90mg/dayでは1万5,150円ほどになります。また、120mg/dayでは2万200円程度となります。

○鈴木委員 そうすると、1日2万円の薬を何十年も飲むことになるので、1年間に730万円ほどになります。10年で7,300万円と、日数を掛ければどんどん大きな数字が出ますが、それに見合った効果があると言えるかどうかは、少なくとも今後は慎重に検討する必要があるのではないかと思います。以前、1か月の薬価が300万円ぐらいの薬がありましたが、その場合は飲まないと亡くなるような方が、その薬を飲むことによってほぼ正常な社会生活を送れるという効能・効果があって、中央社会保険医療協議会、すなわち中医協でも認められました。この薬の場合はそこまでは言い切れないと思いますので、この場で議論することではないことは理解しておりますが、先に行って必ずそれが問題になると思いますので、費用対効果のデータを今後中医協に出すという話もありますから、企業としてはしっかり、そういったものも準備しておかないと議論に耐えられないのではないかと思います。

 また、海外では、用量にかかわらず薬価が一定の国もありますので、用量が増えると価格がどんどん上がるという今の仕組みにも問題があると思いますので、そういった問題点の指摘があったことを文書の中に入れておかないと、中医協的に言うと薬事・食品衛生審議会は何をやっていたのだという話になるのです。それは縦割りということではあるのでしょうけれども、審議は継続していきますので、今後はそういった検討も必要ではないかと思います。

○審査管理課長 御指摘ありがとうございます。この薬事・食品衛生審議会の場で薬価の話を直接議論するのは非常に難しくて、なかなかクリア化というのはお応えできないところは申し訳ないと思っております。先生の御指摘については、公式に薬事承認に際してどうだという話はし辛いところがありますが、将来に当たってのアドバイスということで、企業にもお伝えしたいと思います。一方で、再審査期間もありますので、その間で長期間の本剤の投与について概要がだんだんと分かってきますので、その再審査の過程でも使い方について評価が予想されると思っております。

○鈴木委員 そういうことになるのでしょうが、FDAでは□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□。長い観察期間を置くのであれば、この疾患は希少疾病にしては患者数は比較的多いと思いますので、例えば投薬期間を短縮して効果を上げることができないかということは、必ず見ておくべきではないかと思います。要するに、もっと若い段階でどのような方に進行の抑制効果があるのか、あるいはある程度進んだ段階で投与した場合でも、どの程度からだったら有効なのか、もう少し細かく見ておく必要があるのではないかということです。できるだけ必要な服薬期間を短縮する努力がないと、中医協のいわゆるアプレイザルの場で厳しい評価となる可能性があると思いますので、そういった検討もしておかれたらよろしいのではないかと思います。

○松木部会長代理 重要な点だと思いますので、よろしくお願いします。最初の質問の750mLの根拠をお願いします。

○機構 この750mLというのは、先ほどから出ている国際共同第III相試験の組入れ基準として用いられた数字となっております。

○豊見委員 3ページの流通管理の問題ですが、非常に分かりにくい流通管理ですね。先日来いろいろ話はしているのですが、一番これが分かりにくい流通管理になろうかと思います。資格のある医師以外処方してはならないと書いてありますが、これは効能によってそうなるようなことですね。全てのミリ数に、つまり錠剤によってなるのではなくて、適応症によってなると考えられるのです。それを処方箋によって判断するのは非常に厄介ですし、添付文書にも流通管理に関してははっきりと書かれていない。

 ほかの流通管理をしている薬剤でも、資格のないドクターによる処方箋がもう出てきているわけで、どこにどういう責任があるのかもはっきりしない状況が、今、起こっているのです。要するに、これは薬剤師がホームページによってドクターにその資格があるかどうかを見なさいという話ですね。そのことはメーカーがきちんと言うということになっているのですが、非常に分かりにくいことが起こってくるだろうと思います。

○機構 冒頭に御指摘があった点については、この薬は既に心不全に係るものと肝硬変に係るもので効能・効果を持っており、既に剤としてある状況で、そこに対する効追の部分だけ流通管理をするところの難しさを御指摘いただいたと理解しております。そこについては、薬剤師の先生方の登録医師の確認の仕方から御説明しますが、登録医師が処方箋と一緒に患者カードを患者に渡します。こちらが処方箋と一緒に提示された場合には、Webページでの確認や電話での照会等の確認なしに、そのまま処方していただけます。

 また、確かに既に他効能がある状況で難しいところはありますが、用法・用量が既承認と今回で大きく異なっております。具体的には、既承認効能は1日1回投与、本効能においては1日2回投与が基本となっております。用量についても、既承認効能の最大用量が15mgとなっているのに対して、本効能での開始用量は60mgとなっております。ある程度用法・用量を確認していただくこと、かつ登録カード、登録医師が患者にお渡しするもので薬剤師の先生方の確認作業における労力が軽減できるのではないかと考え、本システムを構築することを予定しております。

○松木部会長代理 よろしいでしょうか。

○豊見委員 はい。

○松木部会長代理 ほかにいかがですか。

 なければ、議決に入ります。なお、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。

 本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異議

がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 次に、議題11について説明をお願いします。

○機構 審議事項議題11、資料11「医薬品エフィエント錠3.75mg及び同錠5mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明申し上げます。審査報告書3ページ、下を御覧ください。本品目の有効成分であるプラスグレル塩酸塩は、宇部興産株式会社及び第一三共株式会社により開発されたチエノピリジン系の抗血小板薬です。

 本邦では、20 年より本薬の臨床開発が開始され、今般、国内臨床試験の成績等に基づき製造販売承認申請されました。なお、海外では、「PCI施行予定の急性冠症候群患者におけるアテローム血栓性イベントの予防」などの効能・効果で、欧米を含む70以上の国又は地域で承認されています。本品目の審査に関して、専門委員として資料16に記載されている委員が指名されました。

 審査の概略について、主な臨床試験成績を説明いたします。本品目の最も大きなエビデンスは、海外で実施された国際共同試験で得られました。この試験には、経皮的冠動脈形成術(PCI)を施行予定後の急性冠症候群(ACS)の患者約1万3,000例が組み入れられ、主要評価項目とされた治験終了時までに認められた心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合エンドポイントの抑制効果について、国内外における標準薬であるクロピドグレルに対する本薬の優越性が検証され、先述のように海外各国で承認されました。

 国内では、国内用量設定試験の成績から、海外の初回負荷用量60mg、維持用量10mgより低用量の初回負荷用量20mg、維持用量3.75mgが検討用量とされ、国内で実施可能な規模で国内第III相試験が2試験実施されました。

 初めに、1試験目について説明いたします。審査報告書63ページ、下を御覧ください。こちらの試験では、PCIを施行予定のACS患者が対象とされました。治験薬投与中は、アスピリンが併用されました。

 有効性について説明いたします。審査報告書65ページ、図3を御覧ください。有効性の主要評価項目とされた、治験薬投与開始から治験薬投与開始24週後までに認められた主要心血管イベントの発現割合は、本薬群で9.3%、対照薬とされたクロピドグレル群で11.8%でした。

 安全性について説明いたします。審査報告書66ページ、表19を御覧ください。こちらは本薬の薬理作用に起因する有害事象である出血性イベントの発現割合を示しており、大出血が本薬群1.9%、クロピドグレル群2.2%など、両群で同様の結果でした。

 2試験目について説明いたします。審査報告書69ページを御覧ください。こちらの試験では、待機的冠動脈内ステント治療を要する安定狭心症などの冠動脈疾患患者が対象とされました。

 有効性について説明いたします。審査報告書70ページ、図4を御覧ください。有効性の主要評価項目は1試験目と同様で、治験薬投与開始から治験薬投与開始24週後までに認められた主要心血管イベントの発現割合とされ、その割合は本薬群で4.1%、参照群とされたクロピドグレル群で6.7%でした。

 安全性について説明いたします。審査報告書71ページ、表23を御覧ください。出血性イベントの発現割合は、大出血が本薬群0%、クロピドグレル群2.2%など、こちらも両群で同様の結果でした。

 以上の成績より、国内の第III相試験は、いずれも有効性の検証には十分ではない規模ではあったものの、主要評価項目をはじめとする全ての有効性及び安全性の結果から、海外で検証された本薬の有効性及び安全性は、国内でも得ることが期待できるものと判断し、PCIが適用される虚血性心疾患患者に投与する抗血小板薬として、本剤を臨床現場に提供する意義があると判断しました。

 製造販売後調査について、審査報告書129ページ、表34及び表35を御覧ください。PCIが適用されるACS患者500例を対象に、本剤の投与初期の安全性及び有効性を早期に把握するための特定使用成績調査と、PCIが適用されるACS患者、安定狭心症患者、陳旧性心筋梗塞患者4,000例を対象に、本剤の長期使用での安全性及び有効性を検討する特定使用成績調査の二つの調査が計画されており、表34及び表35に示した検討事項に関して情報収集される予定となっています。

 以上のような検討を行った結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが妥当と判断いたしました。本剤の再審査期間は、8年とすることが適当であると判断しております。また、原体及び製剤は、毒薬又は劇薬に該当せず、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では、報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 委員の先生方から御質問、御意見をお願いします。いかがでしょうか。

○佐藤()委員 添付文書の2ページです。左列の一番上に「本剤による血小板凝集抑制が問題となるような手術の場合」と書いてありますが、14日間、今までのようなアスピリン等ですと、それほど長い期間、投与を中止しなくてもよかったように思うのですが、要するに、かなり効果が続いているということで、こういう患者、例えば、私は歯科ですので、抜歯等を行うことがあらかじめ分かっている場合には、この検査では、()に書いてあるような血小板の機能だけの検査で2週間ぐらい前から止めて処置をするという必要が出てくるわけですね。

 そうすると、これは割合と、例えばほかの科もあるかもしれませんが、予測して何か観血的な処置をする必要があるものについては、注意書きはこの細字の線でいいのでしょうか、それとももう少し注意を喚起するような、この添付文書に、類薬はそうだと言われるとそのとおりかもしれませんが、よろしいのでしょうか。

○機構 こちらの注意喚起については出血が副作用の中でも特に懸念される事項でありまして、既に市販されているクロピドグレル、プラビックス錠と似た注意喚起となっています。こちらについて添付文書ではこのような記載にはなっているのですが、現場に提供する情報提供資材等も作成していまして、そちらでも患者へ、例えば指示といいますか、こういったことに注意してほしいというところに、出血したら、すぐ先生に相談するようにといったことについて情報提供するようにしていますし、実際に処方されている先生にもそういった資材がありますので、その中で十分な注意喚起をしていくように考えています。

○佐藤()委員 確かにそれは分かるのですが、現実にむしろ患者は今までも出たものに対してカードに書いて、持たされたりしているのですが、逆にもう少し一般の現場サイドの人に情報提供をするのは、添付文書になろうかと思うので、この薬が出ましたと、投与する側には来るかもしれませんが、そうでない機会が少ないので、やはり添付文書は非常に重要なことかと思います。観血的処置があると考えられる、大体すごく広いですが、そういう所にもう少し注意喚起する方策を考えていただくと、深謀遠慮かもしれませんが、常々そう思うのですが、いかがでしょうか。

○機構 今、御指摘いただいた点は大変重要な点だと思いますので、申請者にも伝えて、どのように、処方される先生や、患者が他科に行く場合とか、そういった情報提供がうまくいくような形で何とかできないかということを申請者にも伝えて、対策を考えていきたいと思います。

○松木部会長代理 ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。なお、野田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を「可」としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認は「可」とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 次に議題6、その次は議題1と続きます。よろしいですか。医薬品機構から説明をお願いします。

○機構 審議事項議題6、資料6「医薬品トレプロスト注射液20mg、同注射液50mg、同注射液100mg及び同注射液200mgの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。起源と開発経緯について、審査報告書の3ページ、下段を御覧ください。本剤は、プロスタグランジンI₂誘導体であるトレプロスチニルを有効成分とする肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療薬です。本剤の投与経路は持続皮下投与と持続静脈内投与があり、2013年9月現在、海外においては皮下投与は39か国、静脈内投与では33か国で承認されています。

 本邦では、本剤は医療上の必要性が高い未承認薬・適応外薬検討会議において医療上の必要性が高いと評価され、開発要請がなされており、今般、国内外の臨床試験成績を基に、「肺動脈性肺高血圧症」を申請効能・効果として申請がなされました。本品目の審査に関しまして、専門委員として資料16に記載されています委員を指名しました。

 本品目の審査の概略について、国内試験の成績を中心に説明いたします。審査報告書38ページ、下段からの国内第II/III相試験の項を御覧ください。本試験は非盲検非対照試験とされ、本剤の類薬で静脈内投与注射剤であるエポプロステノールを未使用の患者、及びエポプロステノールを使用しており、そこから本剤へ切り替えを行う患者の二つの集団を対象に、持続皮下投与又は持続静脈内投与で本剤の投与が開始されました。

 本試験の有効性の結果は、審査報告書41ページ、表7に示しています。エポプロステノール未使用例では、PAHの治験で用いられる主な評価項目のうち、6分間歩行距離では、投与前と比較して改善が認められましたが、肺血行動態の指標である、肺血管抵抗係数では投与前後で改善が認められませんでした。また、エポプロステノール切り替え例では、いずれの評価項目でも本剤による改善が認められませんでした。

 このように本試験では、海外試験で認められた本剤の有効性が明確に示されなかったため、その原因が申請者により考察されました。複数のPAH治療薬が承認された後に実施された国内第II/III相試験では、海外で有効性を検証した試験実施時にはなかった経口PAH治療薬の併用が可能という規定となっており、複数のPAH治療薬が併用されている患者では、本剤のより積極的な増量と高用量までの投与が必要と考えられましたが、その一方で国内第II/III相試験では増量速度の上限が規定されており、高用量まで投与することができなかったことに有効性が示されなかった原因があると申請者は考え、米国の最新の用法・用量を参考に、高用量投与も可能な用法・用量を設定した国内追加試験が実施されました。

 本試験の概略は審査報告書45ページから記載しており、エポプロステノール未使用例のみを対象に、静脈内投与で実施されました。有効性については、審査報告書46ページ、表10にお示ししています。6分間歩行距離及び肺血管抵抗係数のいずれにおいても、投与前と比較して投与後に改善が認められました。以上の成績から、海外試験で検証された本剤の有効性は、国内追加試験で設定された使用法に沿えば日本人でも期待でき、また、本剤の薬物動態が皮下投与と静脈内投与で同等と考えられることから、皮下投与でも同様に増量が可能な患者では有効性が期待できると判断しました。

 安全性について説明します。審査報告書42ページの表8及び60ページの表17の2か所でお示ししますように、本剤の持続皮下投与では、注入部位疼痛などの局所反応が海外試験よりも高頻度に認められ、持続皮下投与例のうち約半数の被験者は投与中止又は静脈内投与への投与経路の変更が行われました。このように日本人での皮下投与の忍容性は良好とは言えないものの、皮下投与の継続が可能であった症例も認められたこと、皮下投与では静脈内投与で問題となる中心静脈カテーテル留置による患者負担や血流感染のような重篤なリスク回避ができるというメリットもあることなどを勘案し、添付文書や情報提供資材で適切な注意喚起と情報提供を行った上で、皮下投与も承認用法に含めることが可能であると判断しました。

 また、そのほかのリスクとして、静脈内投与時のカテーテル感染や、本薬の薬理作用に基づく低血圧や出血リスクが示唆されましたが、類薬であるエポプロステノールでも認められている事象であり、適切な注意喚起と指導を医療従事者及び患者に行うことで、管理可能と判断しました。

 製造販売後調査について、審査報告書8182ページ、「医薬品リスク管理計画()について」の項に記載しましたように、目標調査症例数253例、観察期間最長5年間の使用成績調査が計画されており、82ページの表24に示した調査項目について、情報収集を行う予定です。なお、皮下投与時のデータを含め国内での治験症例が限られていることから、本調査は全例調査とし、使用患者の背景情報の把握と、安全性・有効性に関するデータの早期収集を行い、本剤の適正使用に必要な措置を講じることを承認条件とすることが適切と判断しています。

 以上のような審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断しました。本剤の再審査期間は8年、原薬及び製剤はいずれも劇薬に該当し、生物由来製品又は特定由来生物製品いずれにも該当しないと判断しています。薬事分科会では報告を予定しています。

 なお、事前に佐藤委員より御質問を頂いていますので、併せてそちらについてもこの場で説明させていただきたいと思います。御質問1点目、「肺動脈性肺高血圧症に適応のようで、難病指定の患者が適応になるのでしょうか。」との点については、御指摘のとおり、難病指定疾患が適応症となり、特にその中でも経口治療薬では十分に効果が得られないといった重症度の高い患者が、本剤の投与対象となります。

 2点目、「本剤を投与して、どの程度、効果が見込まれるのか。また、治癒は望めないのでしょうが、どのぐらいの期間投与すれば、何とかなるのでしょうか。」という御質問について、本剤の試験成績からは運動耐容能の改善、これは6分間の歩行距離を指標にしていますが、こちらは中央値での変化量としては72mの延長という効果が示されています。また、肺血管抵抗の改善も併せて示されており、改善の程度としては、他のPAH治療薬と大きく異ならないと考えられます。なお、PAHの治療の真のエンドポイントは、病態・症状の悪化を抑制し、生命予後を改善させることであり、先ほど述べた評価項目が改善することによって症状の悪化が抑制され、予後が改善されることが期待されます。

 ただし、御指摘のとおり、本剤も含めて現在までに承認されているPAH治療薬は、いずれも症状の改善や進行の抑制を目的とするもので、治癒が見込める薬剤はありません。また、肺移植によっては完治する可能性がありますが、移植の適応は限られています。したがって、本剤の投与期間という点については、基本的には永続的に投与することとなります。

 最後の、「ほかに薬剤か何か効果の見込まれる治療法が予想できるのでしょうか」という御質問については、先ほども御説明したように、本剤と同様の重症例に使用される薬剤としてエポプロステノールが既存薬としてありますが、現在、開発中の薬剤も含めて薬物治療での根治は現在では困難と考えています。

 ただし、ここ数年で複数の治療薬が承認されたことで治療薬の選択肢が増え、患者の予後はかなり改善している状況にあり、現在は作用機序の異なる複数の薬剤を併用することによって、可能な限り病状の進行を抑制し、予後を延長するという治療方針がとられています。以上となります。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 佐藤委員、今の御説明でよろしいでしょうか。

○佐藤()委員 はい。

○松木部会長代理 そのほかの委員の先生方から、御質問、御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

 御意見がないようでしたら、議決に入ります。なお、加藤委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を「可」としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を「可」とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 次は議題1、その次が議題2、議題5ですか。

○機構 審議事項議題1、資料1「医薬品アテディオ配合錠の生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。審査報告書3ページを御覧ください。本剤は既承認のアンジオテンシンII受容体拮抗薬「ARB」であるバルサルタンとカルシウム拮抗薬であるシルニジピンを有効成分とする配合剤です。これら二つの有効成分は、いずれも降圧剤として承認されています。

 本剤の開発は、2009年から味の素製薬株式会社により開始され、今般、国内臨床試験成績等を基に、バルサルタン80mg及びシルニジピン10mgの配合錠の医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、バルサルタン及びシルニジピンの配合剤は、海外では開発承認がされていません。本品目の審査に関しまして、専門委員として資料16に記載されています委員を指名しました。

 本品目の審査の概略について、説明させていただきます。なお、審査報告()の確定後、申請者より、治験の信頼性に関する自主点検及び機構による追加のGCP調査の結果を踏まえ、第III相試験の2施設で組み入れられた症例のデータを、信頼性が確保されていないと判断し、申請資料中から自主的に削除するとの申出がありました。機構は、2施設の症例削除後の資料に基づき審査を行うことが適当と判断しました。症例削除後のデータは、審査報告書30ページ以降に別紙として記載しています。

 有効性については、審査報告書31ページの表6及び表7を御覧ください。なお、審査報告書において、バルサルタン80mg及びシルニジピン10mgの配合錠をV80/C10mgと表記しています。国内第III相試験として、本態性高血圧症患者を対象に、バルサルタン80mg単剤、シルニジピン10mg単剤又は本剤を投与する無作為化二重盲検並行群間比較試験が実施され、有効性の主要評価項目であるトラフ時坐位拡張期血圧とトラフ時坐位収縮期血圧のベースラインからの変化量について、本剤投与群では、各単剤投与群と比べ有意な血圧低下が認められました。

 安全性については、審査報告書32ページの表8を御覧ください。国内第III相試験において、本剤投与において各単剤投与時と比較して、著明に発現リスクの高まる有害事象は認められず、また、各単剤で懸念される副作用が両剤を併用することで増悪する傾向も認められませんでした。したがって、現時点では各単剤の添付文書と同様の注意喚起とすることで差し支えなく、本剤の承認の可否に影響するような安全性に関する重大な懸念は認められないと判断しました。

 本剤の配合意義について説明します。審査報告書17ページ下段を御覧ください。バルサルタン80mgとシルニジピン10mgを配合する意義に関して、本剤は各単剤より高い降圧効果が期待できること、安全性について大きな懸念を示すデータはないことから、両剤を同時投与することに科学的合理性が認められ、国内外の高血圧治療ガイドラインで推奨されているARBとカルシウム拮抗薬の併用療法の選択肢を配合剤という形で提供することには意義があると判断しました。

 以上のような審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤の再審査期間は4年、製剤は毒薬又は劇薬に該当せず、また、生物由来製品又は特定生物由来製品にも該当しないと判断しています。薬事分科会では、報告を予定しています。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 委員の先生方から、御質問、御意見をお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。

○豊見委員 私は薬剤師でありながらよく分からないのですが、これは元がディオバンですね。

○機構 はい。

○豊見委員 ディオバンのジェネリックが出ていなくて、配合錠が味の素から出るということですね。ジェネリックではないというのが、非常に不思議な感じがします。ノバルティスが今までディオバンだけで売っていた薬の配合錠が、味の素さんということですね。

○機構 ディオバンについては、再審査期間も切れていますし、今回、味の素製薬がシルニジピンの配合剤のもう一つ上乗せして、より降圧効果が認められる組合せとしてバルサルタンを選択したということです。

○鈴木委員 12ページの表の2、3を見ますと、バルサルタン80mgとシルニジピン5mgの組合せの方が降圧効果があるように見えるのですが、それについてどのように解釈されたのかということと、13ページの表5ですが、これはシルニジピン10mgの方が5mgよりも副作用も多いように見えるのですが、そうすると、降圧効果が低くて副作用が多い方の組合せを選んだような感じにも見えるのですが、この辺はどのように解釈されたのか説明していただけますでしょうか。

○機構 この試験の結果ですが、第II相試験は探索的なものとして症例数は各群30例程度の規模で実施されていまして、検討には限りがある規模となっています。また、その有効性についてですが、審査報告書の18ページも御覧いただければと思います。第II相試験で、確かに御指摘のとおり表の数値的にはバルサルタン80mg、シルニジピン10mgの組合せで最もよい降圧効果にはなっていませんが、副次的な解析といたしまして、用量-反応関係等も検討する目的で応答曲面モデルを用いた解析が実施され、その結果、一番降圧効果が高い組合せだろうというのが、特に収縮期血圧の変化量ですが、その組合せはバルサルタン80mgとシルニジピン10mgの結果であったという申請者の説明があります。

 また、こちらの判断といたしましても、バルサルタン80mg、シルニジピン10mgで、ほかの用量と大きく違いが出るような結果でもありませんし、安全性の御指摘はありましたが、各群30例程度の規模で実施されていますので、その規模から考えるとそれほど大きな問題はないと考えています。したがいまして、用量につきましてはバルサルタン80mg、シルニジピン10mgが選択され、また、その結果が第III相試験でその用量で各単剤を上回る降圧効果も示されましたので、配合剤の用量としてはこの用量で問題ないと判断しております。

○鈴木委員 それは了解しましたが、そもそもディオバンは、現在、非常に問題になっていて、捜査も入っているし、その結果によっては厳しい処分も想定されるわけですが、この薬の製造元は味の素ではないですね。

○松木部会長代理 ノバルティスですね。

○鈴木委員 どういう関係で、味の素はそのようなことをやっているのかという気もするのですけれども、どのような経緯でこういう形になったのでしょうか。

○機構 今回、味の素製薬が開発したというのは、シルニジピン単剤を味の素がアテレック錠として製造販売していることがあります。バルサルタンを選択した理由ですが、シルニジピンの市販後調査の結果等から、シルニジピンと一番多いARBの組合せがまずバルサルタンであったということです。また、そのほか、申請者の諸々の事情はあると思いますが。

 シルニジピンはそうですが、また、バルサルタンについては、今回のバルサルタンは、□□□□□□□□□□□□□□□□という□□□の会社によりMF登録、原薬の製造の登録がされていることになります。簡潔に申し上げると、この開発にノバルティスファーマは関与しておらずに、申請者である味の素製薬が原薬のバルサルタンを、MFを利用してそのまま製剤の製造も行っているということです。

○鈴木委員 分かりました。うがった見方をすれば、先々の処分を考えてこういう別ルートもつくっておこうというようなことを考えていたのかという気もしないでもなかったのですが、そういうことではないということが分かったということで了解しますが、その辺はこれだけ問題になっているので、少し説明を入れておいた方がよろしいのではないでしょうか。

○松木部会長代理 ほか、いかがでしょうか。配合剤でいつも聞くことですが、単剤よりも効果があるのは当たり前ですね。ですが、配合で処方している理由はそこにあるわけで、ですから、なぜそこを配合剤で、ARBとカルシウムブロッカーだったら、理論的にいっぱい組合せができるわけです。それが単剤よりも強いから、副作用もそれほど重篤なものがないからということで、これからもずっと許可していくわけですか、認可していくわけですか。メリットとしては、2回飲まなくて1回で済むことぐらいしかないと思うのですが。

○審査管理課長 配合剤についてはいろいろな組合せもありますし、それなりの特性とかもありますので、一概に駄目とか良いというのは、まだ結論がなかなか出しにくいと、難しいところがあるかと思います。今後も幾つかいろいろな事例を重ねながら、今、先生の御指摘の在り方は勉強させていただければと思っています。一方、基本的に我が国の薬事法の場合には申請主義ですので、企業側がこれで、となりますと、我々は申請を拒否することは、承認拒否事由に明らかに該当がされるもの以外はなかなか難しい状況もありますので、先ほど申し上げましたように少し時間を頂きながら在り方は考えさせていただければ、勉強させていただければと思います。

○松木部会長代理 少し薬物動態を変えるとか、それで両方が一緒になる製剤的な工夫をするとか、そういうところだったらメリットを感じるのですが、そうでなければ、今のように単剤よりも強いというだけで認可することではなくて、もう少しほかのメリットも申請者に要求していく姿勢が重要ではないかと思います。というのは、配合剤の議論はこの部会でもずっと続いているわけです。その度にどんどん既成事実が積み重なっていって、ますます元に戻れなくなることがあるので、是非、早急に検討していただきたいと思います。

 ほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入ります。なお、加藤委員、野田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づいて、議決への参加を御遠慮いただくこととします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。

 議題2に移ります。その次は議題5です。よろしいですか。機構より御説明をお願いし

ます。

○機構 審議事項議題2、資料2「医薬品ラジムロ配合錠LD及び同配合錠HDの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。

 審査報告書3ページを御覧ください。本剤は、既承認の直接的レニン阻害薬であるアリスキレンフマル酸塩とカルシウム拮抗薬であるアムロジピンベシル酸塩を有効成分とする降圧配合剤です。本剤の開発は、2007年からノバルティスファーマ株式会社より開始され、今般、国内臨床試験成績を基に、アリスキレン150mg/アムロジピン2.5mgを含有するLD及びアリスキレン150mg/アムロジピン5mgを含有するHDの製造販売承認申請がなされました。現在、アリスキレンとアムロジピンの配合剤は、海外では欧米を含む45か国で承認され、アリスキレン150mg又は300mgと、アムロジピン5mg又は10mgとを組み合わせた製剤が市販されています。審査報告書3ページでは49か国と記載しておりますが、より最新の情報に基づきまして、現在、45か国となっております。本品目の審査につきましては、専門委員として資料16に記載されております委員を指名しました。

 本品目の審査の概略について説明させていただきます。有効性については、審査報告書13ページ表3及び14ページ表4を御覧ください。本態性高血圧症患者を対象に、表3に示すような各用量の単剤及び配合剤を8週間経口投与する要因試験が実施されました。有効性の主要評価項目である平均坐位拡張期血圧と副次評価項目である平均坐位収縮期血圧のベースラインからの変化量は表3にお示ししたとおりであり、また、表4に示されるように、いずれの用量の配合剤群においても、対応する各単剤群との間に血圧変化量に有意差が認められました。

 安全性については、審査報告書14ページ表5に示しますように、要因試験において本剤群で特に発現率が高くなり、有害事象は認められず、また、各単剤で懸念される副作用が増悪する傾向も認められませんでした。したがって、現時点では各単剤の添付文書と同様の注意喚起とすることで差し支えなく、承認の可否に影響するような安全性に関する問題は認められないと判断しました。

 次に、本剤の配合意義と臨床的位置付けについて御説明します。審査報告書17ページを御覧ください。本剤の有効成分であるアリスキレンは2009年に承認されており、既承認の降圧配合剤の有効成分としても使用されているARBと比べると、承認されてからの年月もそれほど長くなく、臨床的位置付けが十分に確立しているとは言い難く、また、薬物動態の個体内あるいは個体間変動が大きい、及び食事の影響が大きいといった注意すべき特徴があります。一方で臨床試験では、先ほど御説明したように、各単剤を上回る降圧効果が確認されたこと、本邦の臨床現場でアリスキレンとアムロジピンを併用している患者が一定数認められているという使用実態があること、レニン-アンジオテンシン系阻害薬とカルシウム拮抗薬を併用し、異なる作用機序により高血圧症の治療効果を高めるという考え方は妥当と判断できることから、アリスキレンとアムロジピンの併用に科学的合理性があり、両薬剤を併用している患者、あるいはいずれか一方で効果不十分な患者に対する治療選択肢の一つとして本剤を提供することは可能と判断しました。

 ただし、資料タグ1.8、添付文書()の「用法・用量に関連する使用上の注意」、こちらは1.8の1ページ目の右下辺りになります、こちらに記載しているとおり、本剤がアリスキレンを含有する製剤であるということを明記した上で、アリスキレン単剤と同様に、本剤の投与に際しては患者ごとの背景を十分に考慮し、本剤適用の可否を慎重に判断する必要がある旨注意喚起する必要があると考えます。

 以上のような審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤の再審査期間は4年、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品には該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願いします。

○松木部会長代理 また配合剤ですが、いかがでしょうか。

○鈴木委員 報告書27ページの下から三つ目のポツの所を見ますと、現時点では配合剤として臨床現場に提供するほど両剤の併用に有用性があるのかは不明であるというようなことが書いてあります。このようなことを書いておきながら最終的には承認というのはどのような経過があったのか、説明していただけますでしょうか。

○機構 総合機構より御説明いたします。ここに列記されている意見は、いずれも専門協議において医学専門家より寄せられた御意見となります。その中の一部には、御指摘のように、有用性について疑問があるという厳しい御意見もございます。また一方で、一定以上のアリスキレンとアムロジピンの使用実態もあるということで、先ほど御説明したように、この薬剤の位置付けとしては、アムロジピンアリスキレンを併用している、あるいはアリスキレンかアムロジピンで効果不十分な場合に、基本的にアリスキレンが必要と判断されている患者さんに対して二剤併用の選択肢を提供するということであれば、そうした選択肢の一つとして提供すること自体は可能という御意見もあり、これらの意見を踏まえてその下の段落、28ページの2段落目になりますが、御意見を踏まえて機構としての判断は、本剤を配合剤としての承認は可能という結論に至ったものです。

○松木部会長代理 鈴木委員、よろしいでしょうか。

○鈴木委員 配合剤については中医協でもかなり議論がありました。単剤を合わせた場合には、薬価を下げることにしたらこれだけ出てくるかどうか分かりませんが、何かそうした対策でも考えないと、組合せは無限にあるような気もしますし、そういうものが全部新薬として承認されていいのかという疑問もありますので、ここでは多分難しい話だとは思いますが、どこかで何らかの歯止めをかける必要があるのではないかと思います。

○松木部会長代理 恐らく各委員の共通の意見だと思いますので、是非とも考慮いただきたいと思います。ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは議決に入ります。野田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、承認を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは議題5に移ります。

○機構 審議事項議題5、資料5「医薬品ザクラス配合錠LD及び同配合錠HDの生物由来製品及び特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、再審査期間の指定並びに毒薬又は劇薬の指定の要否について」、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。

 審査報告書3ページを御覧ください。本剤は、既承認のアンジオテンシンII受容体拮抗薬であるアジルサルタンとカルシウム拮抗薬であるアムロジピンベシル酸塩を有効成分とする配合剤です。本剤の開発は、□□年に武田薬品工業株式会社により開始され、今般、国内臨床試験成績等を基に、アジルサルタン20mg/アムロジピン2.5mgを含有するLD錠及びアジルサルタン20mg/アムロジピン5mgを含有するHD錠の医薬品製造販売承認申請がなされました。なお、本剤は外国において開発・承認されておりません。本品目の審査に関しまして、専門委員として資料16に記載されております委員を指名しました。

 本品目の審査の概略について説明させていただきます。有効性については、審査報告書15ページ表5及び16ページ表6を御覧ください。本態性高血圧患者を対象に、表5に示すような各用量の単剤及び配合剤を8週間経口投与する二重盲検並行群間比較試験が実施されました。その結果、有効性の主要評価項目である平均坐位拡張期血圧と副次評価項目である平均坐位収縮期血圧のベースラインからの変化量について、いずれの用量の配合剤群においても対応する用量の各単剤を有意に上回る降圧効果が示され、また、HD錠の降圧効果はLD錠の降圧効果を上回ることが示されました。

 安全性については審査報告書17ページ表7を御覧ください。二重盲検並行群間比較試験において、各配合剤群で単剤と比べ特に発現率が高くなる有害事象は認められず、また、各単剤で懸念される副作用が両剤を併用することで増悪する傾向も認められませんでした。したがって、安全性上、特段の問題は認められなかったことから、現時点では、各単剤の添付文書と同様の注意喚起とすることで差し支えなく、本剤の承認の可否に影響するような安全性に関する重大な懸念は認められないと判断しました。

 次に、本剤の配合意義及び臨床的位置付けについて御説明します。審査報告書21ページを御覧ください。ARBとカルシウム拮抗薬の併用投与は、高血圧治療ガイドラインにおいて推奨される治療選択肢の一つであり、本剤の配合用量は、臨床現場で両薬剤を併用する場合の使用頻度が高い用量の組合せとされました。また、臨床試験において本剤はいずれも対応する用量の各単剤を有意に上回る降圧効果を示したことから、アジルサルタンとアムロジピンの同時投与には科学的合理性が認められ、アジルサルタンとアムロジピンの併用療法の選択肢を配合剤という形で提供することは可能と判断しました。

 以上のような審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。本剤の再審査期間は4年、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品又は特定生物由来製品には該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 また同じ組合せですが、いかがでしょうか。基本的には今までの議論と同じということで、この薬が特別問題なくすんなり通ったということではないということです。わざわざ繰り返すまでもないということだと思うのですが。ほかの先生方、御意見はよろしいでしょうか。

 それでは議決に入ります。なお、野田委員、山田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づき、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。承認を可とし薬事分科会に報告とさせていただきます。

 それでは審議事項を終わりまして、報告事項に移ります。報告事項について説明をお願いいたします。

○事務局 それでは事務局より御説明いたします。報告事項議題1、資料12「エネーボ配合経腸用液の製造販売承認について」、報告いたします。本剤は、既存の半消化態経腸栄養剤に配合されている有効成分に加えて、市販の流動食等の医療食に配合されている実態もある微量元素のセレン、クロム、モリブデン等を配合した類似処方医療用配合剤です。今般、十分な経口的食事摂取が困難で経管栄養補給を必要とする患者を対象とした臨床試験成績に基づき製造販売承認の申請がなされました。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、既存の半消化態経腸栄養剤と同様に、手術後患者の栄養保持、特に長期にわたり経口的食事摂取が困難な場合の経管栄養補給に関する効能・効果で本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。

 報告事項議題2、資料13-1~資料13-10「医療用医薬品の再審査結果について」、報告いたします。資料はいずれも「医薬品再審査確認等結果通知書」です。資料13-1は、一般的名称は「リセドロン酸ナトリウム水和物」、販売名は「アクトネル錠17.5mg及びベネット錠17.5mg」。資料13-2は、一般的名称は「ゾニサミド」、販売名は「トレリーフ錠25mg」。資料13-3は、一般的名称は「プラルモレリン塩酸塩」、販売名は「注射用GHRP科研100」。資料13-4は、一般的名称は「デクスメデトミジン塩酸塩」、販売名は「プレセデックス静注液200μg『ホスピーラ』及びプレセデックス静注液200μg『マルイシ』」。資料13-5は、一般的名称は「ニコランジル」、販売名は「シグマート注2mg、同注12mg及び同注48mg」。資料13-6は、一般的名称は「バシリキシマブ(遺伝子組換え)」、販売名は「シムレクト静注用20mg及び同小児用静注用10mg」。資料13-7は、一般的名称は「ラモセトロン塩酸塩」、販売名は「イリボー錠2.5μg及び同錠5μg」。資料13-8は、一般的名称は「ソマトロピン(遺伝子組換え)」、販売名は「ジェノトロピンTC注用5.3mg及び同TC注用12mg」。資料13-9は、一般的名称は「ソマトロピン(遺伝子組換え)」、販売名は「ノルディトロピンS注10mg」。資料13-10は、一般的名称は「ソマトロピン(遺伝子組換え)」、販売名は「グロウジェクト注射用1.33mg、同注射用8mg及び同BC注射用8mg」に係るものです。

 これらの品目につきまして、製造販売後の使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第1項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はないカテゴリー1と判定したものです。報告事項は以上です。

○松木部会長代理 ただ今の報告事項について御質問等はありますでしょうか。ないようでしたら、報告事項については御確認いただいたものといたします。それでは、その他の事項について説明をお願いいたします。

○事務局 その他議題1、資料14「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議において公知申請を行うことが適当と判断された適応外薬の事前評価」について御説明いたします。1ページを御覧ください。日本産科婦人科学会よりレボノルゲストレルの過多月経に対する適応追加の要望が提出されております。本剤の医療上の必要性について御説明いたします。

 要望効能・効果は、一定以上の月経出血がある場合を指し、過多月経がQuality of Life(QOL)に大きな影響を及ぼし、日常活動を制限することは多くの文献で指摘されていることから、適応疾患の重篤性は「ウ:その他日常生活に著しい影響を及ぼす疾患」に該当すると判断されました。要望された製剤は黄体ホルモンであるレボノルゲストレルを子宮内避妊用具に薬剤放出部を付加した製剤であり、国内外で避妊の効能・効果で承認されています。要望内容については、米国、欧州等6か国において承認されており、国内外のガイドライン等において過多月経に関する治療方法に大きな違いはなく、本剤の投与が推奨されていることから、医療上の有用性は「ウ:欧米等において標準的療法に位置付けられており、国内外の医療環境の違い等を踏まえても国内における有用性が期待できると考えられる」に該当すると判断されました。

 次に、本剤の公知該当性について御説明いたします。資料24ページ~25ページを御覧ください。本剤の過多月経に対する有効性については海外において多くのエビデンスが蓄積されており、特に米国を中心に近年実施された臨床試験においては、月経血量の変化量及び治療が有効であった被験者の割合について、過多月経の標準治療薬である酢酸メドロキシプロゲステロンに対する本剤の優越性が示されております。国内においては、少数例での検討ではありますが、本剤が過多月経の治療、月経血量の改善に有効であることを示唆することが報告されております。また、過多月経に本剤が使用されている実態も示されております。本剤は海外において過多月経の効能・効果に対して既に承認されており、国内外の各種診療ガイドライン、教科書及び総説等において本剤の過多月経に対する使用が推奨されていることを踏まえ、本剤の要望効能・効果に対する有効性及び安全性は医学・薬学上公知であると判断しました。

 効能・効果につきましては、26ページになりますが、海外で承認されている効能・効果と同様に過多月経といったものとすることが適切と考えました。ただし、器質性疾患に伴う過多月経については原疾患の治療が優先されるべきであることから、添付文書において、器質性過多月経では、原疾患が特定できる場合、その原疾患の治療を優先する旨注意喚起する必要があるものと考えます。

 用法・用量については、海外で実施された臨床試験や、ガイドラインに記載された本剤の過多月経に対する有効性及び安全性は、本剤52mg1個を子宮内に投与して得られた情報であり、過多月経に対してほかの用法・用量で本剤を投与した場合の有効性及び安全性に関する情報は得られておりません。また、一般的にホルモン剤使用中の妊娠はできる限り避けるべきであると考えられており、本剤投与中に妊娠が起こった場合の胎児への影響は否定されていないことから、過多月経の治療として本剤を装着している患者における妊娠の可能性を最小限に抑えるために、十分な避妊効果が確認されている本剤の用法・用量である本剤1個を子宮腔内に装着するといった用法・用量とすることが妥当であると判断しました。

 以上、要望の内容につきましては、検討の結果、申し上げました効能・効果及び用法・用量について、本邦において公知申請を行うことが適当と判断されております。御説明は以上です。

○松木部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方から何か御質問はありますでしょうか。それでは、本議題については御確認いただいたものといたします。本日の議題は以上ですが、事務局から何か報告はありますか。

○松井部会長 今日も配合剤の問題が、3題出たと思うのですが。松木先生、司会者でなかったらもっと発言されたのではないかと思うのです、やはり何か我々、もしかしたら合理的でないことをやっているかもしれないので。ここ何年かの間に議題として出された配合剤の問題を表にして、何と何を何対何に配合したというようなことが一目で分かるような表にしないと、ほかの方々にこのことを説明しても分かっていただけないのではないかと。いかがでしょうか。

○審査管理課長 御意見、ありがとうございます。どういう形のものがいいのかを含めまして、PMDAの実際の作業等、あるいは私どもの作業等をどうやっていくのかを含めて作業はさせていただきたいと思いますが、若干お時間は頂きたいと思いますし、先ほど申し上げましたように、在り方等に関しまして私どもも少し勉強させていただきながら、ほかとの関係も含めて整理させていただいた上でしかるべき所で御議論いただくというようにさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○豊見委員 配合剤の話ではなくて、一つ、薬の名前の話ですが。ジェネリックでは今、強力に指導をいただいて医療安全のための名称変更がたくさん行われていて、一般名と用量というように整理されつつあるのですが、新薬がこうやって、この間からよく、併売といいますか、今日も議題7で同じ薬が二つの名前で。経済的な理由だけであろうと思われるのです、メーカーが違うから名前が違うという。あれは、1物2名称が新薬の方で出て、ジェネリックの方はどんどん整理されていくのにこうなってくると、何か違うのではないかと思うのです。もう一つ指導をしていただいて、新薬のほうも1物2名称を避けるようなことはできないものでしょうかと、これはお願いです。

○野田委員 実は私も同じことを申し上げようと思っておりました。SGLT2阻害薬が今日までで4剤出て、今、申請中のものもあると思うのですが、同効能のお薬が次々に出てくるということはそうでなくても大変なわけですが、更に、一つの一般名に対して販売名が二つあるということはやはり現場での複雑さが増すのではないかと思いますので、同じことを申し上げさせていただこうと思っていたところでした。

○松木部会長代理 現時点でそれに対するコメントが何かありますでしょうか。承っていただいたということですか。

○審査管理課長 検討させていただきます。やはり販売名は申請主義ですので、ある意味、表現のことと、それから安全対策上のバランスということでこれまでもいろいろとやらせていただきましたが、一気にそこまでというのはなかなか難しい面もありますので、勉強させていただくということで今回は容赦いただければと思います。

○松木部会長代理 よろしいですか。では事務局から報告をお願いいたします。

○事務局 まず、先ほどのタペンタ錠の審議において加藤委員から御指摘がありました併用注意の薬剤の検討につきまして機構から説明いたします。

○機構 議題3、タペンタ錠につきまして先ほど御質問いただきましたSNRIとの併用の注意喚起について足りていない部分がありましたので、追加で説明させていただきたいと思います。

 先ほど、ノルアドレナリン再取込み阻害作用について副作用のところをお話させていただいたわけですが、セロトニン症候群につきましては、やはりSNRIであってもSSRIと同様に注意喚起すべきと考えますので、現在、併用注意の2番目に「選択的セロトニン再取込み阻害剤」と書いてある所を「セロトニン作用薬」として、SNRIも含めて注意喚起させていただきたいと思います。

○松木部会長代理 よろしいですか。ではそのほかには。

○事務局 前回の部会にて2点、委員の先生方から御指摘、御質問を頂いた点につきまして、この場をお借りして御報告させていただきたいと思います。

○機構 先月の第一部会における医薬品フォシーガ錠5mg及び同錠10mgの審議の際に野田委員から頂きました質問と、それに対する検討結果について機構より御報告いたします。

 野田委員の質問は、添付文書の「重大な副作用」の項において用いられている「低血糖症」と「低血糖症状」が使い分けられているのかという内容でした。当日、機構から、安全部とも協議の上、類薬も含めて該当箇所の記載を検討する旨を説明し、検討結果を当部会で報告することとなりました。機構において低血糖に関する記載のある他の添付文書、ガイドライン等を含め検討した結果、「使用上の注意」の項において低血糖のリスクや発現について注意喚起する場合は「低血糖」を用い、例えば、冷汗、振戦等の低血糖症状が発現した場合の対処方法等について注意喚起する場合は「低血糖症状」を使用することといたしました。

 上記方針を野田委員に事前に御説明し、御了解を頂きました。既承認薬についても、上記方針で対応させていただきます。

○事務局 もう1点、先月の部会の議題5「医薬品アドシルカ錠20mgの再審査期間延長の可否について」に関して加藤委員より御質問を頂きました。現在実施されている小児を対象とした国際第III相試験について、資料中で主要な目的では6歳以上18歳未満の被験者に対し、6分間歩行距離の変化量を指標とされている一方で、試験の対象者は6か月以上とされていたため、6か月以上6歳未満の被験者の評価をどのようにするのかという御指摘だったと理解しております。

 こちらについて、日本イーライリリー株式会社に確認したところ、有効性の主要評価項目は6歳以上を対象とした6分間歩行距離の変化量とはしておりますが、例えば、有効性の副次的評価項目として6歳未満も含めて臨床症状の悪化が発生するまでの期間等が設定されております。このように、本試験では6歳以上の被験者だけではなく、6か月以上6歳未満の被験者においても有効性・安全性等に係る情報を収集し、その評価を行うことも重要な目的に位置付けされているところです。以上2点、簡単ではありますが御報告させていただきます。

○松木部会長代理 加藤委員はよろしいですか。先ほどの「低血糖症」と「低血糖」の使い分けは、本日審議いただいた2品目についても既に適用されているということです。そのほかに何か御意見はありますでしょうか。よろしいですか。それでは、事務局の報告については御確認いただいたものといたします。事務局も何かありますでしょうか。

○事務局 次回の部会は4月25()午後5時から開催させていただく予定ですので、よろしくお願いいたします。

○松木部会長代理 本日は長時間にわたり、どうもありがとうございました。これにて終わりにいたします。


(了)

備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 井本(内線2746)

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