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2014年7月30日 第1回厚生科学審議会がん登録部会(議事録)

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成26年7月30日(水)14:00~16:00


○場所

厚生労働省  専用第22会議室(18階)


○議題

(1)がん登録推進法に係る政令・省令等について
(2)その他

○議事

○江副がん対策推進官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第1回「がん登録部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本日は、部会長を選出いただくまでの間、議事の進行をさせていただきますがん対策推進官の江副でございます。よろしくお願いいたします。

 初めに、委員の御紹介をさせていただきたいと思います。資料1「がん登録部会委員名簿」に沿ってお名前を読み上げさせていただきますので、出席されている方におかれましては、恐縮ですが、御起立をいただければと思います。

まず、グループネクサス代表の天野慎介委員でございます。

帝京大学医学部緩和医療学講座教授の有賀悦子委員は、御欠席との御連絡をいただいております。

京都府立医科大学准教授の家原知子委員でございます。

慶應義塾大学大学院法務研究科教授の磯部哲委員は、若干おくれているようでございます。

東京慈恵会医科大学教授の薄井紀子委員でございます。

栃木県立がんセンター研究所疫学研究室特別研究員の大木いずみ委員でございます。

武蔵野大学人間科学部社会福祉学科准教授の小俣智子委員でございます。

日本薬剤師会理事の亀井美和子委員でございます。

日本看護協会理事の川本利恵子委員でございます。

京都大学大学院医学研究科教授の黒田知宏委員でございます。

川崎市医務監の坂元昇委員でございます。

日本歯科医師会常務理事の佐藤徹委員でございます。

愛知県一宮保健所長の澁谷いづみ委員は、欠席との御連絡をいただいております。

大阪大学大学院医学系研究科教授の祖父江友孝委員でございます。

東北大学大学院医学系研究科教授の辻一郎委員でございます。

全日本病院協会理事の永井庸次委員でございます。

九州大学大学院医学研究院教授の中西洋一委員でございます。

埼玉医科大学総合医療センター教授の名越澄子委員でございます。

札幌医科大学第一外科教授の平田公一委員でございます。

読売新聞東京本社社会保障部次長の本田麻由美委員でございます。

愛媛がんサポートおれんじの会の松本陽子委員でございます。

神戸大学大学院法学研究科教授の丸山英二委員でございます。

日本医師会常任理事の道永麻里委員でございます。

東京大学大学院医学系研究科医療経営政策講座特任准教授の山本隆一委員でございます。

それから、慶應大学大学院法務研究科教授の磯部哲委員が参りましたので、よろしくお願いします。

本日は、がん登録部会の委員の定数24名に対しまして、22名の委員の方に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会令第7条に定められております議事運営に必要な定足数に達していることを御報告申し上げます。

また、本日は、参考人として2名の方に御出席いただいております。

国立がん研究センターがん対策情報センターの西本寛様でございます。

同じくがん対策情報センターの柴田亜希子様でございます。

続きまして、事務局を紹介させていただきます。

健康局長の新村でございます。

がん対策・健康増進課長の正林でございます。

がん対策・健康増進課課長補佐の藤下でございます。

同じく課長補佐の小野でございます。

同じく課長補佐の宮田でございます。

同じく課長補佐の赤羽根でございます。

続きまして、資料の確認をさせていただきます。

座席表、議事次第に続きまして、資料1から10までございます。

資料1「がん登録部会委員名簿」

資料2「がん登録部会の設置について」

資料3「厚生科学審議会令関係規則(抄)」

資料4「厚生科学審議会がん登録部会運営細則(案)」

資料5「がん登録について」

資料6「今後のスケジュールについて」

資料7「がん登録推進法 政省令等検討シート 政令」

資料8「がん登録推進法 政省令等検討シート 省令」

資料9「(省令)別添2 全国がん登録届出項目(案)」

資料10「国立がん研究センター提出資料」

参考資料1から5はファイルにまとめてつづっておりますので、御確認いただければと思います。

また、参考資料6としまして「地域がん登録の手引き」という冊子をつけてございます。

資料の過不足等がございましたら、事務局までお申し出いただければと思います。よろしいでしょうか。

それでは、初めに新村健康局長から御挨拶をさせていただきます。

○新村健康局長 それでは、御挨拶を申し上げます。座ったままで失礼いたします。

本日は、御多忙の中、第1回「がん登録部会」に御参集いただきまして、まことにありがとうございます。

さて、昨年の12月にがん患者の経験者の方々、あるいは関係者の皆様の長年の悲願でございましたがん登録等の推進に関する法律が成立し、平成28年1月の施行に向けて厚生労働省としても準備を進めているところでございます。

中でも大きな仕事の一つが政省令や指針などの策定でございますが、がんの罹患情報というセンシティブな情報を扱うことから、こうした政省令等の策定に当たりましては、がん登録推進法の中で有識者の先生方の御意見を聞くように定められております。

このため、今年6月4日に厚生科学審議会にがん登録部会を設置することが承認されまして、有識者の皆様方に委員となっていただき、第1回「がん登録部会」を本日開催するに至ったところでございます。

本日は、事務局から今後のスケジュールや政省令に関する議論を行う上での論点等を御説明させていただきます。遠慮なく御質問、御意見等をいただきまして、御議論いただければありがたく存じます。

今後、法施行に向けて準備を進めてまいりますので、皆様方からお力添えを賜ればありがたいと思っております。

以上、簡単でございますけれども、御挨拶とさせていただきます。

本日はよろしくお願いいたします。

○江副がん対策推進官 続きまして、本日は委員の皆様が新たに選任されて最初の部会でございますので、まず1つ目の議題としまして、がん登録部会のその概要等について簡単に御説明させていただきます。

 まず、資料2を御確認ください。資料2「がん登録部会の設置について」という資料について簡単に御説明します。

まず、がん登録部会の設置の趣旨ですが、平成2512月に成立した「がん登録等の推進に関する法律」において、「審議会等で政令で定めるものの意見を聞かなければならない」とされた事項、その他がん登録等の推進に関する事項について調査審議するものであるとされております。

部会の検討事項としましては、

法律に基づく政省令、指針等

法律に基づくがん登録等の情報の提供

がん登録等の推進のために必要な事項

その他

となっております。

部会の構成につきましては、こちらにございますさまざまな立場の方々からおおむね25名程度の委員を参集することとされておりまして、以上につきまして、平成26年6月4日の厚生科学審議会において承認をされたところでございます。

おめくりいただきまして、2ページでございます。厚生科学審議会の各種部会等がございますけれども、この一番下に今回がん登録部会が位置づけられたということでございます。

続きまして、資料3を御説明いたします。

資料3の1ページに厚生労働省設置法としまして、厚生科学審議会の位置づけが書いてございます。

おめくりいただきますと、これに基づきます厚生科学審議会令ということで、より詳しい事項が政令として定められております。この中で特にがん登録部会に関係する事項としまして、3ページの第六条に部会の設置に関する規定がございます。

第七条にはその議事に関しての規定がございます。

おめくりいただきまして、4ページは厚生科学審議会運営規程ということで、基本的な、より詳しい会議の設置、会議の公開、議事録等の規定がございまして、第十条に雑則としまして、この規程に定めるもののほか、部会の運営に必要な事項は部会長が定めるということとされております。

資料4につきましては、まず部会長を選任した上で、後ほど御説明させていただきます。

それでは、本日の議題2「部会長の選任について」に移らせていただきます。

厚生科学審議会令、今、御確認いただいた政令の第六条第三項に「部会に部会長を置き、委員の互選により選任する」とございます。

部会長の選任につきましては、委員の互選によることとされておりますけれども、どなたか御推薦はございますでしょうか。お願いします。

○平田委員 辻一郎委員にお願いしたいと思います。

○江副がん対策推進官 辻委員の御推薦がございましたけれども、いかがでしょうか。

(拍手起こる)

○江副がん対策推進官 ありがとうございます。

 それでは、辻委員に本部会の部会長をお願いいたしたいと存じます。

辻委員、恐縮でございますが、部会長席のほうにお移りいただければと思います。

(辻委員、部会長席へ移動)

○辻部会長 ただいま本部会の会長を仰せつかりました辻でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

今回、政省令の審議も含めまして、さまざまな御議論をこれからいただくわけですけれども、がん登録推進法の適切な運用に向けてさまざまな御議論をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○江副がん対策推進官 ありがとうございます。

 続きまして、部会長の代理の指名についてでございます。先ほどの厚生科学審議会令第六条第五項に「部会長に事故があるときは、あらかじめ指名する委員がその職務を代理する」と定められております。

辻部会長におかれましては、部会長代理の指名をいただければと思います。

○辻部会長 それでは、部会長代理に祖父江委員を指名させていただきたいと思います。

 祖父江先生、どうぞよろしくお願いします。

○祖父江部会長代理 辻部会長をサポートし、役割を果たしたいと思います。よろしくお願いします。

○江副がん対策推進官 それでは、以後の議事進行を辻部会長によろしくお願いできればと思います。よろしくお願いします。

○辻部会長 それでは、1つ目の議題の残りといたしまして、資料4「厚生科学審議会がん登録部会運営細則」について、事務局から御説明をお願いします。

○江副がん対策推進官 それでは、資料4を御確認ください。

 先ほど厚生科学審議会運動規程の第十条に若干触れましたけれども、雑則を定めるということで、この細則を制定するということをお認めいただければと思います。

第一条から第七条につきましては、がん登録部会の下に委員会を設置する際の規定がございます。現状では特に委員会を設置する予定はございませんが、あらかじめ規定するものでございます。

特にこの部会に関連するものとしましては、第八条としまして部会の庶務について規定がございます。「部会の庶務は、厚生労働省健康局がん対策・健康増進課において総括し、処理する」とさせていただいております。

また、第九条としまして、「この細則に定めるもののほか、部会又は委員会の運営に必要な事項は、部会長又は委員長が定める」とさせていただいております。

資料4の説明は以上です。

○辻部会長 ただいま御説明いただきましたが、これにつきましては、特段御意見がなければ了承ということで、次に移らせていただいてもよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○辻部会長 それでは、御了承いただいたということで決定いたします。

では、議事を進めたいと思います。

3つ目の議題「がん登録について」と4つ目の議題「今後の進め方について」、この2つをまとめて事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、資料5「がん登録について」、御説明させていただきます。

まず、1枚おめくりいただきまして、がん登録とは、医療機関が、がん患者さんに関する情報、例えばがんの診断日、診断名、進行度、そういった情報を公的機関または院内で登録することにより、がんの罹患や生存の状況等を把握する仕組みでございます。

また、このがん登録によってがんの現状を把握し、がん対策の基礎となるデータを得ることは非常に大事なことでして、これでがんの患者さんに関する適切ながん医療の提供であったり、がん予防を行うために必要な情報を得るということができます。

次は3ページです。がん登録の現状といたしまして、主に地域がん登録、院内がん登録、そして臓器がん登録がありますが、臓器がん登録につきましては学会ベースで行われておりますので、地域がん登録と院内がん登録について、簡単に御説明させていただきます。

地域がん登録は、実施主体が都道府県でして、地域のがんの罹患や生存率等からがん対策の基礎となるデータを得るものでございます。

一方、院内がん登録におきましては、実施主体は各医療機関でございまして、各機関のがん診療の質の向上を図るために行っております。

続いて、4ページでございます。地域がん登録の標準登録票項目と院内がん登録の標準登録票項目を一覧でお載せしておりますが、院内がん登録は49項目あるのに対し、地域がん登録は25項目となっております。また、院内がん登録ではより詳細なデータを集めているということでございます。

続きまして、5ページでございます。これまで法制化に向けた議論を行ってきた結果、がん登録等の推進に関する法律ができ上がりましたが、それまでの経過について、簡単にお載せしております。

1枚おめくりいただきまして、6ページでございます。先ほども御説明がありましたとおり、昨年12月6日にがん登録等の推進に関する法律というのが成立いたしました。

これにつきましては、参考資料1と2に詳しく載っておりますので、そちらを御参照いただければと思います。

また、このがん登録等の推進に関する法律におきましては、基本理念といたしまして、全国がん登録では広範な情報収集により、罹患、診療、転帰等の状況をできる限り正確に把握することをうたっております。また、がん登録等に係る個人に関する情報を厳格に保護するということも書かれております。

全国がん登録におきましては、全ての病院が届け出の対象となりまして、診療所は手挙げ方式となっております。

がん罹患情報が複数ある場合は、罹患情報を都道府県の登録室におきまして突合作業を行い、それを国に上げていきます。それを国立がん研究センターのほうで突合、整理を行いまして、全国がん登録データベースに登録をするということでございます。

 また、死亡情報に関しましては、市町村から死亡者情報票というものが提出されまして、それに基づきまして罹患情報と突合を行い、追記をしていくということでございます。

 また、このデータの利用に関しましては、有識者の会議で意見聴取を行うことになっておりまして、皆様方にはこちらについても御議論いただければと思っております。

 このがん登録におきましては、情報の保護等につきましてもいろいろと定められておりまして、特に秘密漏示の罰則なども規定されております。

 がん登録につきましては以上でございます。

 続けて、今後のスケジュールについて御説明を差し上げたいと思います。資料6をごらんください。

本日7月30日に第1回「がん登録部会」を行い、第2回の「がん登録部会」が8月18日に開催されるところまで決まっております。

この中で政省令についての議論を行いまして、8月中を目途に政令案を取りまとめ、了承いただくような予定でおります。

また、9月中に第3回の「がん登録部会」を予定しております。

9月中を目途に省令案のほうも取りまとめ、了承いただくような予定でおりまして、平成27年からは運用に係るガイドラインの検討を行う予定にしております。

平成28年1月1日の法律施行に向けてこのような形でスケジュールを進めていきたいと考えております。

裏のページにつきましては、大まかなスケジュールを表にしたものですので、御参照いただければと思います。

以上でございます。

○辻部会長 それでは、御意見等につきましては、後ほどまとめていただくということにいたしまして、5つ目の議題「がん登録推進法に係る政令・省令等について」という議論に入りたいと思います。

事務局から御説明をお願いします。

○事務局 では、限られた時間ですので、簡単に御説明を申し上げたいと思います。

資料7をごらんいただけますでしょうか。こちらは政令について、おまとめしたものでございます。

 第二条第一項につきましては、「がんの定義」というものをこの政令で定めることになっておりまして、事務局の方針といたしましては1悪性新生物及び上皮内癌というところで、それ以外の2から4につきましては、悪性とそれ以外の区別が難しいものもありますため、このような形で記載をしております。

 続きまして、2ページでございます。第五条第二項につきましては、全国がん登録データベースに記録するものと保存するものの例外について記載したものでございます。

届け出をされました情報というのは、基本的には登録をされますが、あまりにも遅れて出てきたものに対して逐一データベースに登録するとなりますと、実務上煩雑となりますし、また、統計情報の報告というのもなかなか確定しないということがございますので、方針案といたしましては、「当該病院等における初回の診断が行われたときから5年を経過したものについては、これを全国がん登録データベースへの記録・保存の対象から除外する」ということで考えております。

 続きまして、3ページでございます。第十二条第二項につきましては、全国がん登録情報と死亡者情報票との照合についてでございます。

こちらにつきましては、生存と死亡の別を調査する期間というのを、多重がんの発症率を出すに当たって、成人のがんは15年と区切ってしまった場合は、それ以降の生死の別がわからないというところがあります。人の一生を追跡するのに十分な期間が必要ではないかという観点から、がんに係る調査研究のために、がんに罹患した者が生存しているか、死亡したかの別を調査する必要があると認められる期間を100年とさせていただきたいと思っております。

続きまして、4ページでございます。第十五条第一項は、全国がん登録データベースにどのぐらいの期間データを保存できるかというところでございます。

こちらにつきましては、どのぐらいの期間がんに罹患した者の識別ができる状態で保存するかということと、また、どのタイミングで匿名化するかということを定めるものでございまして、保存期間につきましては100年、匿名化する期間につきましては、当該期間を経過した後1年以内に匿名化を行わなければならないこととするということで、方針案を書かせていただいております。

 続きまして、5ページでございます。第二十二条第一項第一号につきましては、都道府県がんデータベースに記録できる情報はどういったものかというところでございます。

 こちらにつきましては、全国がん登録に類するものとして、健康増進法第16条に基づき実施されている現在の地域がん登録事業を意味しておりまして、そちらとしてはどうかというところで方針案を定めております。

続きまして、6ページでございます。第二十二条第一項第二号におきましては、同じように「都道府県がんデータベースに記録できる情報」について、実際にがんに係る調査研究における有用性が認められる情報を保有する者としてどういった機関があるかというものを定めるものでございます。

こちらにつきましては、方針案に掲げておりますように、「次に掲げる者とする」ということで、当該都道府県の区域内の病院等の管理者及び市町村ほか、こういった機関を考えてございます。

 理由につきましては、それぞれお書きしておりますので、別途ごらんいただければと思います。

 続きまして、8ページでございます。第二十二条第二項は、都道府県審議会等の意見聴取をせずに、どういったものを都道府県のがんデータベースに保有できるかというものを定めるものでございます。

 こちらにつきましては、「従来の地域がん登録情報において収集・保存されていた情報」とさせていただきたいと思っておりまして、これは後ろの別添2に参考資料としておつけしております。現在行われております地域がん登録におきましては、都道府県が実施主体でございますので、都道府県ごとに標準登録項目以外の項目を収集しているところがございます。そのため、届け出を現在行っているものについては収集を認めてはどうかということで、別添2にお載せしているような、それ以外の項目についても、こちらに記載しております。

 続きまして、9ページでございます。こちらは第二十四条第一項で、都道府県知事がどういったところに事務を委任できるかというものを定めるものでございます。

こちらにつきましては、方針案として、国立大学法人、公立大学法人、国立がん研究センター、都道府県医師会、放射線影響研究所、日本対がん協会、都道府県対がん協会としております。

現在行われております地域がん登録事業の委託先一覧というのが別添3にございますが、現在行われております地域がん登録の委任先というところをお認めするということで、このような案を書かせていただいているところでございます。

 続きまして、10ページの第二十七条は、「国等による全国がん登録情報等の保有等の制限」についてお書きしたものでございます。

 こちらは全国がん登録データベース及び都道府県がんデータベースにおいて保存するために用いた登録情報や死亡者情報をどのぐらいの期間保有できるかというものを定めるものでございます。

こちらにつきましては、「情報の利用又は提供の開始日から5年」、また、「審議会等が認める場合には100年とする」というふうに方針案を定めさせていただいております。

続きまして、11ページの第三十二条は「受領者による全国がん登録情報の保有等の制限」についてでございます。

先ほどの二十七条と少し関連しておりますけれども、これは情報提供を受けた者が実際にどれぐらいの期間情報を保有できるかというものでございます。

これにつきましても、「情報の利用又は提供の開始日から5年」、「審議会等が認める場合には100年」というふうにさせていただきたいと思っております。

続きまして、12ページでございます。第四十条第一項につきましては、「費用の補助」ということでお書きしております。

こちらは一定の予算措置を行うこととしておりまして、従来の経緯を踏まえつつ考えたいと思っております。

続きまして、13ページでございます。こちらは第四十一条第一項で、全国がん登録、また、匿名化された情報の提供を受ける者が、実際に提供を受ける際に手数料を国立がん研究センターに納めるということで、その手数料の額等を定めるものでございます。

こちらにつきましては、統計法の施行令第13条に準拠した形、実態に合わせた形で検討したいと思っております。

続きまして、16ページは附則第二条第一項「本人同意に係る経過措置」というところでございます。

こちらにつきましては、第二十一条第三項第四号におきまして、研究者ががん登録情報を使いたいという場合は、本人の同意を得ることが原則ですけれども、既に走っている研究につきまして、この原則を貫きますと研究に支障を及ぼすことが考えられますため、一定の経過措置を認めてはどうかというような条文でございます。

ここにつきましては、次回以降改めて考え方を整理してお諮りしたいと思っておりますので、方針案は検討中とさせていただいております。

政令につきましては以上です。

ちょっと申し遅れましたけれども、この政令と省令の検討シートにつきましては、審議会等の意見をお諮りするものにつきまして網かけをしております。また、そうでないものにつきましても、政令、省令で定めるとさせていただいておりますものだけ抜粋しているということで御解釈いただければと思います。

続きまして、省令について御説明させていただきます。資料8をごらんいただけますでしょうか。

まず、第五条、全国がん登録データベースについての話でございます。こちらはデータベースに登録される項目を定めたものでして、第六条は病院等が届け出る項目ということで、この2つは内容が重複している部分が多くございますので、第五条は説明を割愛させていただきまして、第六条に基づいて説明をさせていただきたいと思います。

12ページをお開きいただけますでしょうか。第六条は、先ほど申し上げましたとおり、病院等が届け出る項目についてでございます。

「病院等が届出に係る期間」ということで、「当該がんの自施設診断日として厚生労働省令で定める日の翌年末まで」とさせていただきたいと思っております。

続きまして、13ページは同じく第二号でございます。これは「届け出た病院等に関する事項」ということで、こちらにつきましては「病院等の名称、所在地、管理者名」とさせていただきたいと思っております。

続きまして、14ページでございます。こちらは「当該がんの診断日」ということで、同じく第三号になります。

こちらは、当該病院等が主体となって治療前の診断を行った場合には、その中で最も確かな検査が実施された日を「自施設診断日」とさせていただきたいと思っております。

また、他の病院等が主体となって治療前の診断を行った場合につきましては、最も確かな検査が他施設で診断されたという場合につきましては、当該病院等を初めて受診した日を「自施設診断日」とさせていただきたいと思っております。

続きまして、15ページでございます。同じく第四号は「当該がんの種類」を定めるものでございます。

こちらにつきましては、方針案は次のとおりといたしまして、原発部位であったり、また、側性のあるものについてはその側性、病理診断等についての内容もということでございます。

続きまして、16ページは同じく第五号で、「当該がんの進行度」ということで、進行度につきましては、従来の地域がん登録でも進展度というものをおとりしているような状況でして、全国がん登録におきましても、治療前の進展度と術後の病理学的進展度、この2つをとるということで考えております。

続きまして、17ページでございます。第六号におきましては、「当該がんの発見の経緯」ということでございます。

方針案の1つ目といたしましては、がんの早期発見、早期治療を目的として、発見されたか否か、つまり、健診や人間ドック、がん検診、そういった一連の検査において発見されたかどうかというところでございます。

それ以外の検査で偶然発見されたか否かというところと、剖検時に偶然発見されたか否か、こういったところで区分してはどうかと考えております。

続きまして、18ページでございます。同じく第七号におきましては、「がんの治療の内容」ということで、方針案といたしましては、下に記しております外科的治療であったり、内視鏡治療、放射線治療、そういったものを考えております。

こちらにつきましても、参考資料といたしまして別添2「全国がん登録届出項目」をごらんいただければと思います。

続きまして、19ページでございます。こちらは同じく第九号でございますが、「その他の事項」としてどういったものを集めるか、病院から届け出をしていただくかというところでございます。

方針案といたしましては、カナ氏名であったり、病院が個別に用いております患者のID、カルテ番号、診断根拠、診断施設、治療施設、そういったことを考えております。

この診断施設、治療施設等につきましては、後ほど詳しく国立がん研究センターから御説明いただきます。

続きまして、21ページでございます。第十条第一項につきましては、「都道府県整理情報の審査及び整理のための調査」ということです。

こちらの方針案といたしまして、法第6条第1項に規定する届出対象情報を考えてございます。

では、続きまして、22ページでございます。第十一条第一項につきましては、「死亡者情報票の作成」について記載したものでございます。

こちらは死亡者情報票と記しておりまして、どういったものを指すかといいますと、方針案といたしましては、人口動態細則と同様に規定したいと思っております。人口動態調査に基づく死亡票と同様のものと考えております。

では、続きまして、23ページでございます。第十三条第一項は、「死亡者情報票との照合のための調査」に用いる事項というものを定めるものでございます。

こちらにつきましては、氏名、性別、生年月日、住所、がんの種類、死亡日及びカナ氏名というふうに考えております。

続きまして、24ページでございます。第十四条は、死亡者新規がん情報について、どこの都道府県知事に調査を依頼するかというところを定めるものでございます。

こちらの方針案は次のとおりでございまして、死亡診断書の作成に係る病院や医師の住所の都道府県知事をまず1つ考えてございます。死亡者情報作成に係る病院に調査を行った結果、他県だった場合は、他の都道府県知事にまた依頼をするということになります。

死亡診断書の作成に係る病院等につきましては、そこに書いております死亡した人の住所であったり、傷害が発生したところ、そういったところも一つ情報源とさせていただきたいと思っております。

続きまして、26ページでございます。第十七条第一項第三号につきましては、「厚生労働大臣による全国がん登録情報等の提供できる範囲」を定めたものでございます。これはどういった者であれば本人同意が必要でないかというところを定めたものでして、方針案としては以下の3つを考えてございます。

理由等につきましては、それぞれお書きしておりますとおりでございます。

続きまして、27ページでございます。第二十条は、「病院等への提供」ということで、実際にどういった情報を病院へ提供できるかというものを定めるものでございます。

こちらにつきましては、方針案「当該がんに罹患した者の生存確認情報」と考えておりまして、これは第5条第1項第9号に掲げる事項として挙げられているものでございます。

省令につきましては以上でございます。

また、省令の中で全国がん登録届出項目(案)を資料9に一覧としてお載せしております。これの左側に地域がん登録の登録項目、それから全国がん登録と照らし合わせるような形でここにおまとめしておりますので、こちらも御参照いただければと思います。

なお、先ほど御説明いたしました政省令の検討シートにつきましては、委員の皆様方に事前にいただきました御意見をもとにまとめさせていただいたものでありますことをお伝えしておきます。

以上でございます。

○辻部会長 この補足といたしまして、診断施設、治療施設の考え方について、参考人の国立がん研究センターの西本参考人から御説明をお願いします。

○西本参考人 資料10をごらんいただきたいと思います。

 従来より院内がん登録、地域がん登録を連携して、どういうがん登録とするかということで、研究班等を中心に、厚生労働省の協力を得て進めてまいったところでございます。院内がん登録においては、アメリカで使われております「症例区分」という区分を使っておりますが、考え方自身が複数要素から成り、一度に決めにくいということもございまして、診断区分・診断施設あるいは治療方針というような3つに分けた形で、データ収集をしてまいりました。こうした背景のもと、全国がん登録の項目を検討するに当たって、診断施設と治療施設という2つの項目に分け、その状況を把握するという形にしてはどうかということで、研究班のほうで検討を進めてきました状況をお話しさせていただきたいと思います。

まず、今までアメリカで使われていたClass of Case、症例区分という考え方は、自施設で診断だけをして他施設に送ったケース、それから自施設で診断をして自施設でそのまま継続して治療を行ったケース、他の施設で診断がされた後、紹介を受けて治療そのものは自施設で行ったというケース、それから既に初回治療が行われて紹介されてきたケース。大きく分けるとこの4つに分けられます。

それぞれの要素を診断あるいは治療という部分に分けますと、4区分が、診断した施設が自分のところなのか、他施設なのかということ。それから治療に関しては、どういう治療を自施設で行った、あるいは自施設で行っていないという分け方をすれば、今の症例区分という形がつくれるのではないかということになります。

まず、診断施設につきましては、自施設、他施設となっておりますけれども、従来、院内がん登録の決め方というのは、資料10の1枚目の論点整理の中に、現行の院内がん登録で最も確からしい検査を行った施設を自施設とするということになっているわけですが、順番は基本的にアメリカで採用されている診断の確からしさといいますか、確実性という意味合いに基づいてつくられております。

しかしながら、今回の全国がん登録においては、その診断根拠に当たる部分が、アメリカ流のこういう細分化された形ではなく、下の箱でくくってある、組織診陽性、細胞診陽性、部位特異的な腫瘍マーカーの診断、臨床検査陽性(画像検査を含む)、臨床診断というふうに診断根拠が分かれておりまして、院内がん登録で考えてきた部分と一部異なる部分がございますので、ここを整理して、全国がん登録においては、検査の確からしさについては1から5に並んだ順番にしてはどうかということでございます。

従来、がんの診断というのは、組織診が一番確実なものとされておりますけれども、膵臓がん等を含めて、画像診断等で診断されるケースも当然ございます。ですので、そういうものも含めて診断とするという考え方であります。

このように、診断根拠の項目とこの診断施設の考え方をあわせて全国がん登録で整合をとってはいかがかということで論点を整理させていただきまして、提案をさせていただきます。

すなわち、自施設か他施設かということを診断に関して決めるのは、初回治療方針を決定する前に行われた検査の中で、一番確からしい検査を行ったタイミングが、自施設に受診する前に実施された場合は他施設診断になり、自施設に受診してからこうした一番確かな検査が行われて、がんと診断された場合には自施設診断とするというルールで定めてはどうかということでございます。

次いで、治療施設でございます。

治療施設の項目については、現行の院内がん登録で幾つか指摘をされた問題がございました。特に我が国においては医療連携の中で医療が行われていまして、2つの施設にまたがって初回治療が行われるような場合がしばしばございました。

今までの院内がん登録では、そこは機械的に、自施設に来たときにもう既に初回治療が行われていた場合は、「治療開始後」という形で扱っていたのですけれども、そういう形ですと、実際には連携して行われたという情報が非常につかみにくいという状況が起きておりました。

また、従来、症状緩和を行うような治療と、実際腫瘍を縮小切除するというような意図を持って行われた治療が混在して登録をされてきました。

例えば原発巣を取る手術、あるいはそれを外科的にする、内視鏡的にするというような形で本来は登録されるべきところに、プラスアルファ例えば外科的にバイパス手術をしました、人工肛門造設術をしましたというようなケースも外科手術として含まれてしまうということで、現場の混乱も含めて整理をしなければいけないだろうということは従来から言われてまいりました。もちろん、症状緩和の治療ががん治療ではないということではないのですが、がん登録でまず集めなければいけないのは、初回治療というのはがんを縮小する、あるいは切除して取ってしまうということを意図した治療というふうに限定して初回治療を集めようというほうが、現状でいろんなものが混在するという形よりはよいだろうと考える次第です。

緩和的な治療については、例えば院内がん登録、あるいは院内がん登録と合わせた形での病院からのより詳細な情報収集を今後していきますので、そういった詳細情報を集めるプロセスでカバーしてはどうかというふうに考えて、以下のように提案をさせていただく次第でございます。

治療施設に関しては、症例区分を、診断施設とあわせることで判定するようにということで、基本的に4つに分類をいたしました。

初回治療をせずに、他施設に紹介またはその後の経過が不明になったケース。

自施設で初回治療を開始したケース。

また、従来は4番の治療開始後に当たるところに入っていたのですが、他施設で初回治療を開始されたのだけれども、自施設でその治療を継続しているケース、このケースについては3番という形で別の選択肢として収集をしてはどうか。この部分が今までの院内がん登録と異なる点となります。

今後、院内がん登録の項目と全国がん登録の項目については、基本的には全国がん登録の項目というのは院内がん登録の項目のサブセット、いわゆる院内がん登録をしていれば、その項目を直接抜き出して出すことで全国がん登録に提供できるというような形にすることが混乱を避ける意味、あるいは施設の負担を軽減するという観点からも望ましいであろうというふうに考えまして、院内がん登録でもこの項目を採用して収集してはどうかということで検討してまいったところでございます。

4に関しましては、他施設で初回治療が終了した後、自施設を受診して、例えば緩和的な治療ですとか、あるいは一旦治療が終わった後、再発をしたようなケースを診た施設については、自施設での状況が4であるというような形で収集してはどうかということでございます。

初回治療の定義も非常に複雑でございますので、その部分については、これもアメリカの考え方を基本的には参考にしながら院内がん登録で今まで進めてきた考え方でございますけれども、4番の下の2行目、初回治療については、診療計画等に記載された当該腫瘍の縮小・切除を意図した治療とし、経過観察が計画された場合あるいは治療前に死亡された場合は経過観察という形で初回治療の中に含めて考えるというような考え方ではどうかということです。

それから、実際に治療の範囲が不明確な場合、当然いろんなケースがございますので、治療を進めている途中で病状が進行・再発した、あるいは時間を区切って4カ月以内に施行されたものについて初回治療とするということで、特に初回治療情報を迅速に集める体制がとれるようにしてはどうかということで提案をさせていただく次第でございます。

以上です。

○辻部会長 ありがとうございました。

 ただいま御説明いただきました内容について、委員の皆様方から御意見をいただくわけですけれども、本日は、全国がん登録データベースを構築するスケジュールの関係上、法の第五条第一項及び第六条第一項について、本日のうちにおおむね取りまとめる必要があるということですので、これにつきまして先に御議論をいただきたいと思います。

 それ以外につきましては、それがまとまり次第御意見をいただくということで、まずは資料8の省令のほうの第五条第一項の関係、1ページから20ページにつきまして御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 住所についての確認なのですが、この住所というのは、住民登録をしている場所という意味での住所なのか、はたまたときどき役所でも使う現住所、特に住民票と別に一致しなくても、実際そこに居住歴があればいいという意味での住所なのか、その辺をお教えいただきたいと思います。

○西本参考人 私から答えてよろしいですか。

○辻部会長 はい。

○西本参考人 従来から、病院からの届け出になりますので、住民票にどう記載されているかということについての確認作業というのは、極めて煩雑になるケースが予想されますので、基本的には診療記録に書かれている住所ということになるかと思います。

○辻部会長 よろしいでしょうか。どうぞ。

○坂元委員 そういう場合、死亡小票の取り扱いは住民票所在地の市町村の役所で取り扱われるので、場合によると突合わせができない場合が出てきてしまうのではないかという危険性があるので、その辺はどうお考えでしょうか。

○西本参考人 御指摘はごもっともだと思いますが、ただ、死亡小票自身が、実は既に登録されている住所とは違う住所に転居されて出てくるケースもございますので、そのあたりについては、住所がどれぐらい類似しているか等で判断するようなロジックを今、検討しているということでございます。

ただ、全然違う住所が死亡小票の段階で出てくる、いわゆる法に基づいて言いますと、死亡者情報票から出てくるケースがございます。もともとの診断は例えばA県であったけれども、亡くなられたときにはB県で亡くなられたというケースも当然ございますので、そういう場合には、名前、生年月日等で類似しているようなものを検討して、突合していくということになりますが、具体的なやり方については、検討中でございまして、実際には厚生労働省令で定める事項の調査ということで、あわせてこの方が以前どこに住んでおられたかということも含めて照合する場合もございます。いろんな形でできるだけ合わせていきたいというふうに今のところ考えております。

○辻部会長 よろしいですか。

○坂元委員 はい。

○辻部会長 ほかにどなたか御意見ございますか。黒田先生、どうぞ。

○黒田委員 10ページの9の方針案の2にございます「罹患した者の同一性等を容易に識別できるようにするために必要な符号等」というところの後に、具体的な内容が記載されている事項が幾つかございますが、患者個人を同定する番号として、患者登録番号、カナ氏名等々の情報がございますけれども、ここに例えば保険者番号のような一般的に個人を特定でき得る情報を登録するというようなことはお考えにならないのでしょうか。

○江副がん対策推進官 御質問ありがとうございます。その点についても、確かにこちらでも検討させていただいたところなのですけれども、保険者番号につきましては、例えば退職したり、転職したりするということで容易に変更されてしまうので、個人の識別をする番号としては運用上なかなか難しい面があるということで、全ての医療機関に義務づけるという観点等々を総合的に考えまして、原案ではそれは入れていないというような経緯でございます。

○辻部会長 よろしいですか。どうぞ。

○黒田委員 登録して、変更されるということについては、おっしゃるとおりだと思いますので、今後どんな形の登録番号が出てくるのかわかりませんが、基本的に病歴を継続して追えなければ、データが集まったときに情報として意味をなしませんので、某かの形で突合しやすい番号に当たるものを登録することを、今後の動向も踏まえながら検討していただければと考えておりますので、よろしくお願いします。

○辻部会長 ほかにどなたか御意見ありますでしょうか。祖父江委員、どうぞ。

○祖父江部会長代理 今回廃止するというか、内容を変更するなり、区分を変更するなりという提案が幾つかの項目についてされていますけれども、これについて、院内がん登録との整合性、完全に院内がん登録の項目を、コードも含めてサブセットとして抜き出す形で全国がん登録の項目が定義できているのかどうか、その辺についてもうちょっと追加して説明いただけますか。

○西本参考人 私のほうから説明いたします。実際今の院内がん登録の問題点は、先ほど診断施設、治療施設に関して申し上げたとおりでございますし、今後、全国がん登録の項目が決まり次第、院内がん登録のほうも合わせてこれに完全に整合する形で修正をし、実施される平成28年1月からについては、院内がん登録も同じような形の選択肢で登録をするということを前提に検討を進めております。

○辻部会長 よろしいですか。

○祖父江部会長代理 はい。

○辻部会長 小俣先生、手を挙げましたので、どうぞ。

○小俣委員 確認なのですけれども、第五条第一項第六号で発見経緯というのがございますが、小児がんの場合には乳児健診で見つかるなどということがあって、2番ということもあるかと思うのですが、それ以外が該当しませんので、この場合には9番ということになるのでよろしいのでしょうか。

○事務局 その他の8を考えております。不明ではないということでございます。

○辻部会長 ほかにどなたか御意見ありますでしょうか。どうぞ。

○坂元委員 ちょっと用語としてわからないのですけれども、省令のほうの18ページ、これは理由なのでいいかなとは思うのですが、全国がん登録の理由のところに「調査、観察すべき治療の範囲は古典的な治療」と書いてあって、「古典的」という言葉の意味がわからないので、お教えいただければと思います。

○事務局 従来、古くからといいますか、以前から行われてきた治療というような意味でございまして、書きぶりが確かに少し。

○坂元委員 保険収載されているか、または国が定める高度先端医療として指定されているかという意味で解釈してよろしいのでしょうか。それ以外の新しく導入されるものを新規という解釈でよろしいのでしょうか。

○江副がん対策推進官 そのあたりにつきましては、運用の中での取扱いにしていきたいと思っております。

○辻部会長 ほかにどなたか御質問、御意見ありますでしょうか。中西委員、どうぞ。

○中西委員 17ページ、先ほど発見の経緯の御質問があったところですけれども、これは最終的には「自覚症状」というのは消すということになるのでしょうか。理由の一番下の○に「国際的には一般に収集されていない」ということで、上の方針案1、2、3の中には自覚症状発見例、症状発見例というのがないですが、これがどこに行くのかということをお聞きしたいのです。

○事務局 省令の別添2のほうをごらんいただければと思います。これの3ページで、左側の地域がん登録でいきますと、項目番号10番、全国がん登録13番というところが発見経緯というところになりますが、こちらにおきまして、区分といたしましては、「がん検診等の発見」「他疾患の経過観察中」「剖検」「その他・不明」というふうな区分にさせていただいておりまして、「自覚症状」というのは、現時点では自覚症状の有無について確からしい情報を収集することが難しい。つまり、その自覚症状とその疾患が必ずしも結びつくわけではないということから、「その他」の中に含めることを考えております。

○中西委員 わかりました。私自身は臨床の場に身を置いておりますので、症状発見が非常に多いものですから、それがないのが本当にこういった統計に影響を与えないのかちょっと危惧をしたものですから、質問をさせていただきました。

○辻部会長 薄井先生、どうぞ。

○薄井委員 1つ確認なのでございますけれども、18ページの第六条第一項のところで治療の分け方ということなのですが、化学療法というのは、この中に例えば分子標的療法とかそういうものを入れるとするならば、「薬物療法」という名前のほうがいいのではないかと思うのです。従来「化学療法」ということでこうなると思うのですけれども。

○辻部会長 どうぞ。

○西本参考人 私からお答えさせていただきます。

従来、院内がん登録で区分されていた考え方では、先生御指摘のように、分子標的薬に関して、始まったころは若干混乱がございましたけれども、現状は化学療法に含めるという形で実際の登録が行われております。

実際私どもが集計をするときには、内分泌療法と合わせて集計をさせていただいているのですが、今は例えば乳がん等あるいは女性のがん、あるいは前立腺がん等に関しましては内分泌療法単独ということと、分子標的薬はともかく、いわゆる全身性の抗がん剤を使うケースは、やはり分けたほうがいいだろう。ただ、集計をする段階で例えば薬物療法というような認識をして実際の集計は行われているというふうに御理解いただければと思います。

○辻部会長 よろしいでしょうか。

○薄井委員 ありがとうございます。

○辻部会長 ほかに御意見ありませんでしょうか。どうぞ。

○永井委員 19ページのところなのですけれども、20ページの留意点のところで、診断施設と治療施設が分かれているという話なのですが、紹介元及び紹介先病院等の情報が、別途ガイドライン等々で取り扱いを明示するということでよろしいのですか。

○事務局 紹介元と紹介先病院につきましては、現在、いろんな医療機関を受診される方が非常に多いのと、あと、治療の内容によっては紹介元、紹介先の情報が混乱してしまって非常に実務が煩雑になってしまう可能性がございますので、これにつきましては、その取り扱いについてガイドライン等で検討したいというふうに考えております。

○辻部会長 よろしいでしょうか。

○永井委員 はい。

○辻部会長 ほかにいかがでしょうか。黒田先生、どうぞ。

○黒田委員 18ページのところで出てきますさまざまな治療がございますが、特に外科手術の場合は、治療前に化学療法が行われた等々の情報がございますけれども、そのあたりの情報については、院内がん登録を収集するところで突き合わせるという考え方で基本的によいということでしょうか。教えてください。

○西本参考人 一施設の情報に関しては院内がん登録で捉えることになると思います。今、検討を進めております、あるいは今までのケースに関して言いますと、その治療を開始した日付を院内がん登録側は収集しておりますので、一施設内での前後関係はそれでわかります。

複数の施設にまたがった場合は、院内がん登録というのは施設単位で考えますので、そこはリンクが今のところはできませんので、その部分については全国がん登録で。一施設で例えば化学療法と手術が行われて、次の施設で放射線が行われたというのは、現状ですと、自施設診断日に当たるところが、当該腫瘍初診日になったり、時系列で並べることが可能になります。ですから、まずA病院で診療がされた場合はA病院の診断日に当たるところ、B病院は、B病院に紹介された時点が診断日になります。順番がはっきりするというのがこの項目の構成でございますので、どの施設でどういうことが行われたか、施設単位の中で化学療法、手術が行われた後に例えば放射線が行われたということは、全国がん登録でわかる。それに対して、一施設の中での順番の詳細に関しては院内がん登録でわかるという形で情報の収集を図っていくということになると思います。

○辻部会長 よろしいですか。

○黒田委員 はい。

○辻部会長 ほかにいかがでしょうか。どうぞ。

○家原委員 1つお伺いしたいのですが、資料9の2ページ、治療施設のところに書いてございますが、セカンドオピニオンに関する取り扱いですが、セカンドオピニオンをされた施設からも届け出義務があるのかどうかについて、どのようにお考えかをお聞かせください。

○事務局 ありがとうございます。セカンドオピニオンにつきましては、いろんなセカンドオピニオンがございまして、中には診断までするようなところもございますが、やはり不確かな情報というのが結構多く含まれていると思われます。セカンドオピニオンの情報が確かなものかどうかというのは、なかなか難しいところでございますので、現時点ではセカンドオピニオンのみの診療というのは届け出の対象とはしないようには考えておりますが、皆様の御意見もいただければと思います。

○辻部会長 いかがでしょうか。

○家原委員 私個人的にも臨床の現場におりまして、セカンドオピニオンというのは不十分な情報が多うございますし、自施設で診断したということには至らないのではないかと考えますので、届け出の義務はないほうがよいのではないかと考えております。

○辻部会長 ありがとうございます。

ほかに御意見ございますでしょうか。中西先生、どうぞ。

○中西委員 18ページの治療の内容のことですけれども、これから薬事承認を受けた上での新しい免疫療法の薬が出てくると思うのですが、これから先かなり広く使われる。これは化学療法に置く予定なのか、それともそこに置かないのか。これは多分決めておかないと、かなり混乱するという気がします。

○辻部会長 そうですね。

どうぞ。

○西本参考人 今の御指摘は、恐らく今後ガイドライン等で定めなければいけない内容だと思いますが、当面は化学療法に含めて、薬物療法としての位置づけをしていくということになろうかと思います。将来的にこれを独立させるかどうかについては、別途例えば研究を行っていただいて、その結果に基づいてまた項目の変更をこういう部会で検討していただくということは将来的にあるのではないかというふうに考えます。

○中西委員 やはり薬事法に基づき開発され薬事承認を受けたものということであれば化学療法に置くというのは、私も賛成でございます。

○辻部会長 ありがとうございます。

ほかに御意見ありませんでしょうか。

 五条の第一項と六条の第一項に関する項目につきまして、委員の皆様からほかに御質問、御意見ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

 そうしますと、一応まとめさせていただきますと、幾つか御議論いただいた点につきましては、この省令の内容を変えるというよりは、むしろ具体的な方法等につきまして、運用のガイドラインで詳しく書き込んでいくということで御意見をいただいたのかなというふうに思っておりまして、それを踏まえまして、今回の資料8で出されました省令の第五条と第六条のそれぞれ一項の1ページから20ページまでにつきましては、この方針案どおりでお認めいただいたということでよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○辻部会長 ということで、よろしくお願いします。

 今日は、政令から省令その他につきまして事務局のほうから御説明いただきましたので、それにつきましても自由に御議論いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。

○江副がん対策推進官 事務局からですけれども、先ほどの冒頭のスケジュールにもございましたように、どちらかといえば、今回、この登録項目については別としまして、政令から順次御了承いただければと考えておりますので、もしできましたら、資料7の政令のシートから優先的に御議論いただければと考えております。

○辻部会長 ということですので、資料7の政令をごらんいただきまして、「がんの定義」から「生存と死亡の別を調査する期間」、データベースの内容とか、さまざまありますけれども、これにつきまして、委員の皆様方から御質問、御意見ありますでしょうか。どうぞ。

○薄井委員 11ページ等々にあるのですが、情報の保有期間についてなのでございますけれども、原則開始から5年ということで、必要があれば100年と。随分その間があいているような気がするのですが、それでよろしいのでしょうか。その間に、審議会が認めるのであれば、例えば50年とか、追加もするとかという形にしておかないと、5年で、その後、審議会が通ったらずっと保持していいというふうなことにならないか、ちょっと危惧されますが。

○西本参考人 規定としては「100年」と書かれているわけですけれども、これはほぼ特例に近いような形だというふうに私どもは考えておりまして、これは審議会が認めたという場合、それからどうしても長期間にわたるコホートが必要だということが社会的な意味、学術的な意味で非常に高いという、ごくごく限られたケースにおいて認められたケースと想定をして、その場合データ自身を100年追跡をしていくということを踏まえて「100年」という数字を出しているというふうに御理解いただければと。通常多くの調査研究に関しては5年というスタンスでいかがかということでございます。

○薄井委員 そうしますと、例外的にこういうこともあり得るという解釈でしょうか。こういう書き方をされると、つまり、審議会さえ通れば100年でも保持できるというふうに誤解をすることもあるかと思いましたものですから。

○西本参考人 はい。

○辻部会長 ほかに皆様から御質問、御意見ありますでしょうか。どうぞ。

○大木委員 政省令、特に都道府県の体制や予算等についての記載が詳細にありませんので、実施に当たって準備しなければならない事項については、公式な文書等で通知をしていただきたいという意見です。

○事務局 ある程度概算要求等々が決まりまして、しかるべき時期に皆様には情報提供していきたいと思っておりますので、段階的にまたお知らせしていくということでよろしいでしょうか。

○大木委員 はい。

○辻部会長 どうぞ。

○事務局 先ほど薄井委員から御指摘がありました表現の仕方について、誤解のないような表記に変えさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○辻部会長 平田先生、どうぞ。

○平田委員 がん対策基本法ができたときに、がんの検診を推奨すべく諮ったと思うのですけれども、なかなかうまくいかなくて、がん検診の意義ということに関しての論議がある中で、がん検診のデータベースとがん登録のデータベースというのは、システム上うまく検索できるようになっているのかどうかということと、もしなっていなければ、検診を行っていたのかどうか。

例えば先ほどの薬物療法の質問に関わる乳がんについて、欧州のほうでは乳がん検診をMRIでやるようなものも出てみたり、CTを推奨する、あるいは放射線を照射すると、毎年やっている方と2年置きにやっている方は統計上、発がん率が違うとかということで、国内でやっているがんの医療体系の成否というか、国際比較とかを行うときに、そういうことができるのかどうかというのがちょっと気になっていて、そういうのは大体2040年のスタディを行っているのです。今、期間の問題があったので。そうすると、そういう大規模的な長期間のコホート研究みたいな形のものをとれるようなシステムがなければ、登録に検診をやっていたかどうかという中で、院内がん登録の中からうまく詳しくとってもらうとかということもできるでしょうし、細かいファクターだと思えば、院内がん登録のほうで対応していただくような指示を出していただくということも可能かと思うのですが、その辺、もしお考えがあったら教えてもらえたらと思います。

○事務局 現時点でつながるようなシステムというのは、今のところないのですけれども、先ほどちょっと触れました発見経緯でがん検診か否か、検診発見の有無というのを確認するところがありますので、その項目から抽出して、あとは第十七条から十九条におきましては、国や都道府県、市町村と共同して研究を行う際に、全国がん登録のデータを利用して研究していくことが可能ですので、そういった研究機関というか、検診機関みたいなところが都道府県とかと協力するなりして研究を全国がん登録のデータとをつなげていくということでやることは可能だと思いますので、そういったことにつなげていただければというふうに思っております。

○平田委員 ありがとうございます。

もう一点は、がんセンターさんのほうが具体的に考えておられる部分があってのことでお聞きしたいのですけれども、登録する立場からしますと、先ほどから幾つか御質問がございまして、ここの中では専門家の論議だから、ある程度確認できますが、これがいざ現場で動き出しますと、幾らガイドラインをつくって公表されても、よりケアするというか、単純に選択ができるような登録システムということでは、今までの幾つかの班研究の中で、この登録についてうまくいかなかった点の学習効果から、システム上、イージーに選べる、かつ正確に選べるような方法というのはお考えいただいているということでよろしいでしょうか。

○西本参考人 今、院内がん登録をされているところは、院内がん登録のデータベースのシステムでそういう対応をしていただいていたり、あるいはがんセンターからも、これは研究班ベースでつくられたものですけれども、Hos-CanRというような院内がん登録のシステムを配付しておりますので、そこでエラーチェックもしながら登録ができる。

恐らく全国がん登録のデータの6~7割程度は院内がん登録のシステムから出てくるものだというふうに考えております。

残りの部分は、今後の検討ということにはなりますけれども、一つは、病院内で簡便なデータベースを持つという施設については、従来のシステムは院内がん登録に適合した形ですので、全国がん登録に適合したようなものを検討する。あるいは、私どもで検討を始めております、ウエブ上でデータを選択方式で入れる。項目間の照合で問題があったりする場合は、例えばヘルプが出てきたりというようなものを考えております。そういう形でデータを作っていただきまして、それをダウンロードして、その後、個人識別情報を付加する形で都道府県に出していただくような形等の仕組みを、検討を進めております。システムを用いて登録ができるようなことについて検討を進めております。

それから、登録をする人の問題もございますので、院内がん登録に関しては初級の研修を受けた方が4,500を超えておられますので、これを今後認定制度等に変更しながら、都道府県での研修も支援していって、現場で登録をされる方に対しての支援、あるいは資料の提供等は進めていくということになると思いますし、そのように考えて準備を進めているというところでございます。

○平田委員 ありがとうございました。大変勉強になります。

それで、入力したときに、人がやることですので、誤ったということで、修正したいときに消しゴムで消すというわけにはいかないので、システム上、後で追加したという形をとることになるのか、あるいは簡単に消せるのかということについては、非常にデータ上問題になろうかと思います。その辺、どうするとよろしいのか。あり方として、もし。

○西本参考人 施設で修正をされるケースをおっしゃっているのでございましたら、それについては、改めてまた出していただくということで、データベース側のほうを修正していくという段取りになると思います。データベース側は、いろんな修正をしましたら、その履歴はきちんと保持されるというような仕組みを検討しております。

○平田委員 私、ちょっと頭が悪いのかもしれない。実は院内がん登録をしますと、ここに掲げられている項目がオートマチックに情報センターのほうに抽出されて流れるというわけではなくて、また入れ直さなければいけないのですか。

○西本参考人 院内がん登録をしていただいている施設は、院内がん登録のデータベースが保持されるということになります。

 タイミングがあると思いますけれども、そのデータを全国がん登録として、あるタイミングで都道府県のほうに出していただくという形になります。

 今、院内と全国と2つ走っているものですから、そこがわかりにくいと思うのですけれども、施設別のデータを計算する部分については、今は匿名化した形で情報センターが全国集計をしている。これは今、御検討いただいている全国がん登録とは違う形で、施設のデータは院内がん登録として細かな情報を含んで集めて、集計・報告を私どもでいたします。

全国がん登録のほうは、病院の方でその中からデータを抜き出して、匿名化をしない情報として都道府県に出していただいて、そこで集約されたものが全国がん登録のデータベースのほうに集められる、2段階の構造になっているというふうに御理解いただければと思います。ただ、院内がん登録をしている施設については、院内がん登録をしていれば、その情報をあるタイミングで都道府県に出せば全国がん登録になるし、全国集計という院内がん登録側の集計にはほぼ全部のデータを匿名化して出していただくという形になります。

ですから、2回提出をしないといけないという点は確かにあるのですけれども、それは集め方、集める項目が違うものですから、車の両輪として、院内がん登録は施設別のデータ、それを支える罹患データがきちんととれる全国がん登録ということで進めていこうとしているというふうに御理解いただければと思います。

○平田委員 院内がん登録の必須項目に全国がん登録の項目を入れると、誰がどの段階で都道府県に届け出るかという形の中では、再度確認作業をしなくとも修正がきちっとなされていて、最終ファイルで、年度のお話が以前あったかと思いますけれども、オートマチックにぽんと動くようなシステムではまずい。それは予算上なかなか難しいということでしょうか。それともシステム上、いろいろと個人情報その他の関係で難しいということなのでしょうか。

○西本参考人 病院とつなぐという考え方というのは、今、私どももそれに近いデータベースを構築しつつありますが、実際にはかなり難しい。特に直接病院からデータをいただくというのは、やはり個人情報保護の問題等もありますので、国立がん研究センターとしても、個人情報保護についてはかなり厳しくしていかないといけないと考えております。一部報道にありましたような、いろんな形で(個人情報を含む)データをがん研究センターが一手に集めるということは研究ベースではあるかもしれませんが、それはもちろん倫理的な問題もクリアした上で行うことであって、がん研究センターとしては個人情報をかっちり守って、病院から直接(個人情報を含む大量データを自動的に)全部集めるという仕組みについては、今のところ検討はしていないというふうに御理解いただければと思います。

○平田委員 ありがとうございました。

○大木委員 付随しての整理なのですけれども、今、言っている院内がん登録というのは、拠点病院を中心とした2006年標準登録による院内がん登録のことを指していると思います。ここで言っている全国がん登録の中に入っている院内がん登録というのは、そこまで厳密な院内がん登録を指しているわけではなくて、院内のデータを全国に出すためだけの院内がん登録という意味として私は解釈しているのですが、そこら辺が全ての病院に今の拠点病院がやっている院内がん登録を課すということではないということを皆さんと一緒に理解したいと思っています。

 もし事務局や国立がん研究センターのほうから追加修正等がありましたら、お願いいたします。

○西本参考人 大木委員のおっしゃるとおりで、全部の病院で院内がん登録ということを考えているわけではございません。恐らく今の状況を考えますと、拠点病院、あるいは今、県から推薦していただいている病院もございますけれども、そういった病院で院内がん登録をされたものについては、院内がん登録として集める。

私たちの理解は、全国がん登録のデータベースを自分たちの病院内で持たれる施設も恐らくあるだろうから、これについては院内がん登録のように細かな項目までなくても、全国がん登録にだけ対応したデータベースを持たれる施設もあると思います。あるいは非常に登録数が少ないという病院については、データベースを保持すること自身のコストもかなりなりますので、そういう施設、例えば台帳管理をされるという施設も含めてデータは出てくるというふうに考えております。

ですから、全病院で院内がん登録ということではなくて、上を見ても1,000程度の病院で院内がん登録がされ、DPC病院を含めたプラスアルファの病院、2,000程度の病院では恐らくデータベースも保持してされるかもしれないし、さらに実際に台帳管理的にされるような形、これは病院にとって、全国がん登録については義務もあるわけですから、それはしていただく。

院内がん登録についてはできるように努めていただくという法の法文もございますので、それについては、私どももできるだけサポートをしていくということでございますけれども、全ての病院にというふうに考えているわけではないということでございます。

○辻部会長 どうぞ。

○天野委員 ありがとうございます。私から2点ございます。

まず、1点目は、資料9の1ページ目の医療機関名の項目についての確認でございます。収集目的ということで、管理項目であり、かつ統計項目であるということが書かれているかと思いまして、論点のほうを見ますと、「届出病院等と都道府県及び国の当該がん患者に関する連絡等で用いる」ということで、論点のほうだけを見ますと、いわゆる管理項目的な内容だけが書かれているかと思います。

全国がん登録の目的としましては、もちろんがんの罹患、生存、死亡に関することがまず第一でして、細かい治療内容等は院内がん登録のほうでカバーされるものと理解しておりますが、ただ、がんの患者さんに資する情報、治療選択等に資する情報を提供していくということがもし可能であれば、全国がん登録のほうで医療機関に関する情報が一定程度集まっているのであれば、これをぜひ公開していただきたい。何らかの形でどこの病院にどのがん種の患者さんがどれだけ受診されているのかという情報は、かなり有用な情報ではないかと思いますので、今後の運用の話になるかもしれませんが、ぜひ公開していただきたいというのがまず1点目でございます。

2点目でございますが、資料7の2ページ目になります。

方針案のほうで「初回の診断が行われたときから5年を経過したものについては、記録・保存の対象から除外する」というふうになっております。このとおりになりますと、5年以上前の診断日を有するものについては、いわゆる死亡情報は上がってくるけれども、届出票がない、これはいわゆるDCO症例ということになるという理解になるのでしょうか。ここのあたりが、がん登録の精度等に関して、基準から見てどうなのかということがあるかと思いましたので、確認させていただきたいと思い、質問いたします。

以上でございます。

○西本参考人 まず、1点目ございますけれども、病院等の情報を公開するということについては、これは運用上の問題でございますので、今後検討を進めさせていただきたいと思っております。ただ、個人情報の保護等の問題も含みながらですので、どういう形で公開するのがいいかということを含めて検討を進めていくということになろうかと。参考にさせていただきたいと考えております。

 2点目でございますけれども、5年以降についても全部出すという義務まで課しますと、データとしていただけるものについては、全国がん登録のデータの精度が上がっていくという部分も、もちろん御指摘のようにあるかと思いますが、ただ、それを識別する場合に非常に煩雑なことが起きることが想定されておりますし、逆に施設の側でこれはとにかく見つかったら全部登録するのだという話になって、またこれも負担をかけることにもなるかと思いますので、その辺を含めて一応「5年」という線を定めたところでございます。

この部分については、施設等からも疑義が上がってきた段階で、運用上どういうふうにしていくのか、後から出していただいた部分についてはどういう運用にするのかということについては検討を進めたいと思いますが、本体の基本原則としては5年ということで区切ったほうが施設としてはわかりやすいのではないかということでございます。

○天野委員 わかりました。

○辻部会長 どうぞ。

○黒田委員 3点ほど御質問がございます。

1つ目は、非常に軽微な内容ですけれども、資料7の14ページ、いわゆるメディアに関する問題ですが、フレキシブルディスクカートリッジ、光ディスクのような、近年使われていないようなものがここに費用リストとして挙がっていて、逆に近年使われているようなメディアというのは挙がっていないと思いますので、このあたりのところは御検討の中でぜひ考えていただければというのが指摘させていただきたい事項です。

あとの2点はどちらかというと法そのものというよりは運用に近いところになろうかと思います。

1つは、資料7の4ページにございます登録期間が100年間、その後1年以内に匿名化を行うということが記載されておりますが、先ほどから何度か議論がございましたとおり、全国がん登録のデータベースだけではなくて、それと類するものとして例えばNDBであるとか、先ほどのがん検診であるとか、いろんな形のデータベースがあろうかと思います。将来的にいろいろな統計研究に使うに当たって、そこで連結性というのを確保しておかないと、せっかくこれだけのエネルギーとお金をかけて集めていながら、データとしての価値を失うということになりますので、ここは運用に近いところだと思うのですけれども、連結可能性を残した形の匿名化というのをぜひ御検討いただければというのがここでの意見です。

同じような意味合いで、資料9になります。先ほど出てきました1の項目の「病院等の名称」に当たるところですが、病院名称についても、病院の名前というのは、それなりに機関が変わりますし、また、これは自施設の名前しか書かないので、それほど表記揺れというのは出ないだろうと思うのですが、それでも登録の際の表記の揺れというのはどうしても出てくるだろうと考えます。

こういったところは、確実にデータの質の担保のことを考えると、コードという形に落として、管理のレベルなのか、登録の段階なのか、そこの考え方の揺れはあろうかと思いますが、そのあたりのところはぜひ御検討いただければということを申し上げたいと思います。

以上、3点でございます。

○西本参考人 ありがとうございます。運用上の問題かと思いますので、今、黒田委員からの御指摘を踏まえて検討は進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○辻部会長 どうぞ。

○本田委員 すみません、素人の素朴な疑問で、教えていただきたいのですけれども、4ページの「がんに罹患した者の識別ができる」云々の期間の100年については、その前のページで確かに成人のがんは15年では多重がんとかも識別できないということで、意味はわかるのですが、100年というのは、死亡が確認された後もずっと全員100年調べて、その100年を過ぎないと匿名化にならないという意味なのでしょうか。読み方がわからないのですけれども。

○事務局 御指摘ありがとうございます。そのとおりの解釈でございます。

○本田委員 その場合に、亡くなった後も匿名化されずに100年間ずっと個人情報が保存されているということについては、不安に思う方もいらっしゃるかもしれないのですが、その必要性というものをぜひお教えいただきたいのですけれども。

○事務局 その理由につきましては、調査研究利用のためというふうに御理解いただければと思います。匿名化しないで保存しておくというのは、匿名化してしまいますと情報の活用が制限されてしまいますので、あくまでも顕名情報で持ち続けるというのが、期間として100年というふうに設けさせていただいているということでございます。

○事務局 すみません、補足をさせていただきますが、数十年たってから、化学物質だったり、発がん要因の可能性があるというような疑いが出てきたりということが時々あるのですけれども、そういう場合に、それが本当に発がんの原因だったのかどうかというのを確かめるためには、名前をキーとして突合できる状態で情報が残っていないと確認できないということがありますので、そういう意味で、時間がたってからさかのぼって調査するためには、お亡くなりになった方でも個人情報というか、お名前が残った形で情報が残っている必要があるということで、100年というのを設定させていただいております。そこは個人情報ですので、国民にもよく理解していただくようにしていく必要があると考えております。

○辻部会長 どうぞ。

○本田委員 その必要性について、社会のためにこういう意味で必要なのだということをわかるような形で何かしら今後出していっていただくほうが患者、国民の理解につながると思いますので、またそこの辺、御検討お願いします。

○事務局 ありがとうございます。

○辻部会長 どうぞ。

○天野委員 ありがとうございます。今の本田委員の質問にも関連してなのですが、研究のため、突合のために顕名情報が必要だということは、今の御説明で理解できたのですが、極めてセンシティブな個人情報ですので、個人情報の保護ということに関しては、従来のがん登録でも特段の配慮をしていただいているとは思いますが、新しく全国がん登録、ただいま既にデータベースを作っていただいていると思いますが、特段の配慮にも配慮を重ねるといったことが必要かと思うのです。今、個人情報の保護ということに関して、国立がんセンターのほうでどういった配慮をしていただいているかということ。

例えば個人情報保護に関しては、国内外の規格とか基準とかもあったりすると思うのですが、そういったものに準拠するとか、何らかの厳しい情報管理をしていただきたいと切に願っておりますが、そのあたりはいかがでしょうか。

○西本参考人 ありがとうございます。今、私どもは、セキュリティポリシーをきちんと確立して明示をしようということで、センター内の委員会等で検討をちょうど進めているところでございます。例えばISOの基準ですとか、あるいはプライバシーマーク等、認定の制度もいろいろございますので、認定を受けることも含めて検討を進めていこうと考えております。

個人情報保護に関しては、この法律においては極めて重要な事項だというふうに私どもも認識しておりますので、安易に出せるような状況にもしませんし、安全管理措置についても極めて高度なものを適用していくということを想定して、患者さんに対しても安心していただけるような個人情報保護体制を確立したいと考えております。

○辻部会長 どうぞ。

○坂元委員 政令の9ページのところなのですが、知事が事務を委任する云々で、方針案のとして以下の国立大学法人が書かれておりますが、これは私立の大学は入れないという方針なのでしょうか。それとも、とりあえずこう書いてあるけれども、今後検討の余地があるということなのか、そこをお教えいただきたいと思います。

○事務局 ありがとうございます。先ほどちょっと御説明いたしましたが、別添3に現在委託を受けている、中央登録室が属する組織名ということでお書きしておりますが、現在行われております地域がん登録におきましては、これら挙げられている医療機関、施設、大学等に委託をしているというところで、私立で請け負っているところがないという現状にございます。

 実際にそれ以外、例えば今やっているところから別に私立大学にお願いしたいというところがあれば、こういったのが固まる前に御意見をいただきたいと思っておりますが、現時点で考えていないというか、私立大学はだめというわけではなく、現時点で想定される実情に合わせた形でお書きをしておりますので、現時点で私立大学に委託しているところはないというところがありまして、こういった記載の仕方をしているということでございます。想定というか、この範囲内で一応どうだろうかというところで考えております。

○坂元委員 そうすると、仮にこう固めてしまうと、今後は受け入れる余地がないということになります。確かに現段階ではそうなのかもしれないですけれども、これを政令で規定してしまうと、もしどこかの私立大学が候補に出てきたときに、これは政令を変えないと無理になると思います。今後絶対に私立大学は出てこないという確固たるものがあればいいのですが、政令ですので、そこら辺のところはそれでいいのかなと思います。

○江副がん対策推進官 まさに当事者等の御意見等も伺って、ちょっと検討したいと思います。

○辻部会長 どうぞ。

○名越委員 1ページ目なのですけれども、「がんの定義」というところで、今回、悪性新生物と良性との鑑別が難しい疾患が入ったというのはとても望ましいことで、2が米国の院内がん登録との整合性。4が「『疾病、障害及び死因の統計分類」において」ということで、これは理由がちゃんとついているのですけれども、3は、入れていただいたのはとてもいいと思うのですが、「判断が病理学的根拠に依らず」云々と書いてありまして、これだけちょっと特別扱いという形になりますと、例えば産婦人科の先生からも言われたのですが、卵巣だけでなくて子宮にも、はっきりと悪性とは言えないけれども、入れたいものもあるというような話が出てきておりまして、子宮とかそれ以外の臓器のところのものはこういうものには全く入れないということで十分に議論がなされた結果なのかどうか。もしそうでなければ、4のところ、卵巣というのをとって、別表のほうで少しほかの臓器も入れていただくなり、そのあたりのことをお聞きしたいのです。よろしくお願いいたします。

○西本参考人 まず、「悪性新生物及び上皮内癌」という書きぶりで、私どもは、がん登録、従来から国際疾病分類の腫瘍学、ICD-Oというものに従って登録を進めております。その中で、上皮内癌というのは5桁目が2、悪性新生物に当たるものは5桁目が3と定められておりまして、これが基本的に国際的には悪性あるいは上皮内癌の範囲ということになっております。統計的に比較をする意味でもこの分類をまずは優先するということで、1があるわけです。

ただ、非常に生存を脅かすことが多いということで、中枢神経系の腫瘍については、髄膜腫等を含めて、良性なのだけれどもということで、欧米では既にそれも先行して集められている。ということで、これも登録の対象になるというのが2でございます。

3につきましては、UICC、国際対がん連合がTNM分類というのをつくっておりますして、2010年に採用された第7版では消化管間質腫瘍を悪性として扱って、そのステージ分類をするということになっているということを踏まえて追加をするということでございます。

4の部分は確かに非常に難しい部分で、従来この部分の登録というのが余りされていなかったといいますか、コードで言いますと5桁目が1になるものについては、全部登録しますと、非常に曖昧なものがいっぱい入ってくるということで、登録の対象としてこなかったわけでございます。ただ、ICDの腫瘍学の本体に当たるICD-10の中に、腫瘍学の第2版のこのコードの範囲については、境界悪性であっても悪性として統計的に分類するというふうに書かれているものに従ったということでございます。

基本的には統計で使われるルールに従って比較をしていくということでデータをつくっていくという範囲で定めてきたということでございます。

医学がいろいろ進歩してきますと、このあたりが動いてくることは将来的にあると思いますが、それは諸外国の状況も見定めて、統計として比較するのはどの範囲かということで決めていくというのが国際的な比較性も担保できるだろうということで、決めさせていただいいているということでございます。

○名越委員 そうしますと、今、腫瘍のほうは別にしましても、ICD-11の改定も始まっておりますので、そのあたりで変わったときには、この政令をまた少し変えていくということでよろしいのでしょうか。

○西本参考人 ICD-11に関しては、(わが国で)採用時期がいつになるかは今のところ定まっておりませんし、私どもは、罹患と死亡を比較するということでいろいろがん対策の評価をしていくということになりますので、先生がおっしゃるようなICDの改定があれば、今度はO3、今のICDの腫瘍学との整合を考えながら、修正が必要になれば対応していくということになると思います。

○名越委員 どうもありがとうございました。

○辻部会長 よろしいでしょうか。

大体予定された時間になりましたので、これくらいにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

それでは、これにつきましては、これまでというふうにしたいと思います。

では、事務局から連絡事項等ありますでしょうか。

○事務局 ありがとうございます。

次回第2回のがん登録部会は8月18日月曜日10時からを予定しております。場所については、また追って御連絡いたします。

次回の部会では、また早速で恐縮なのですけれども、政令案についておおむね取りまとめる必要がございます。ですので、今日も含めていただいた御意見、資料7、政令についてさらに追加の御意見等がございましたら、大変ショートで恐縮なのですが、来週8月5日火曜日の正午までに事務局のほうにお寄せいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○辻部会長 それでは、以上をもちまして本日の部会を終了したいと思います。委員の皆様におかれましては、長時間にわたりまして活発な御議論をいただきましたことに改めて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。


(了)

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