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2014年2月21日 第7回 地域の就労支援の在り方に関する研究会(第2次)

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成26年2月21日(金)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館
専用第19・20会議室(17階)


○出席者

【委員】

松爲座長、井口委員、石原委員、小川委員、金塚委員、菊池委員、鈴木委員、清家委員、高井委員、玉栄委員、成澤委員、眞保委員、岡元委員

【事務局】

内田高齢・障害者雇用対策部長、藤枝障害者雇用対策課長、金田地域就労支援室長、松永調査官、新井地域就労支援室長補佐、近藤地域就労支援室長補佐、竹中地域就労支援室長補佐

○議題

1.「地域の就労支援の在り方に関する研究会(第2次)報告書」(案)について

○議事

○松爲座長

 それでは、定刻より少し早いのですが、今日参集予定の委員の皆様は集まりましたので、第 7 回「地域の就労支援の在り方に関する研究会(第 2 次)」を開きたいと思います。ここでカメラ撮りは終了となります。それから、今日は中川委員が欠席になっております。毎回お話しさせていただきますとおり、前回同様、発言をされるときには手を挙げて名前を言っていただき、それから発言をするという手順でいきたいと思います。

 本日は、半年近くにわたって研究会に御参加いただきまして、いよいよ最後のまとまりというところで、報告書の案について議論することになると思います。それでは、事務局から報告書(案)について、御説明よろしくお願いします。

 

○近藤地域就労支援室長補佐

 事務局の近藤です。本日の資料は「地域の就労支援の在り方に関する研究会(第 2 次)報告書」の最終案です。これは第 6 回の研究会で御議論いただきました報告書(素案)について、頂いた御意見を踏まえて、加筆・修正させていただいた上で、各委員の皆様に再度御確認をお願いして、皆様から御了解を頂いたものとなっております。また、新たに参考という形で本研究会の開催要綱、参集者名簿、開催状況及びヒアリングの概要が付いております。ヒアリングの概要は、ヒアリングの際に御提出いただいた資料を取りまとめて、事前にヒアリングの御対応を頂いた各委員の皆様に内容の御確認を頂いて、御了解を頂いたものとなっております。

 それでは、報告書(案)について、前回からの修正点を御説明いたします。まず 1 ページの「はじめに」の最初の○の中ですが、前回、高井委員、石原委員等から就労支援機関等の送り出し機関の役割について、もっと記載できないかという御趣旨の発言を頂いたことを踏まえて、まず、ここに第 1 次の「地域の就労支援の在り方に関する研究会」において、就労支援機関等に求められる役割について、取りまとめていることを明記しております。

 続いて、 3 ページの一番下の○です。前回の地域の支援能力の向上のため、就労支援に係るスキルを地域障害者職業センターが積極的に提供していくことについての御意見がありましたので、その旨を追記しました。

 次に、 4 ページの最初の○ですが、前回、成澤委員から、企業が定着支援を利用したいと希望するのは就業時点に限ったことではないことを強調すべきという旨の御意見を頂きましたので、ここに追記しました。

 また、次の○の中ですが、「第一次的な相談窓口」という記述について、幅広に取られすぎないようにすべきとの御意見を石原委員、高井委員、清家委員、小川委員等から頂きましたので、これが企業が連絡先に迷う場合であることを明確にする修正を加えています。

 これと関連して 4 つ目の○として前回、井口委員より、職場定着を実施している機関に関する情報を取りまとめて、幅広に提供していくことも必要である旨の御意見を頂きましたので、これを加えております。 5 つ目の○についてですが、高井委員、石原委員等から頂いた送り出し機関の役割をもっと記載すべきとの御意見を踏まえ、これを詳しくしました。

5 ページの( 2 )医療機関との連携の項目の最初の○について、岡元委員から、企業にも医療機関の助言を要するようなニーズがあるということについて、御発言があったことを踏まえて、企業のニーズについて追記しております。

7 ページの 2 つ目の○ですが、前回、鈴木委員より発達障害、高次脳機能障害、難病等に関する記述を追記すべき、という御意見を頂きましたので、追記しております。こちらはジョブコーチについての項目で、後ほど同趣旨のナカポツセンターに関する修正があります。

 次に同じページの第 2 「企業のニーズへの対応」の 2 つ目の○についてですが、高井委員、石原委員等から、送り出し機関の役割をもっと打ち出すべきという御意見を踏まえて、その役割を 1 項目立てて明記しております。次の○については、第一次的相談窓口機能を障害者就業・生活支援センターが担うことについて、幅広に取られすぎないよう、企業が相談先が分からない場合であることを明確にする形で記載しております。また 8 ページの 2 つ目の○、第 2 の最後ですが、ハローワークが果たす役割も重要である旨の御発言を踏まえ、追記を行っております。

9 ページの 2 「企業内でのジョブコーチ活用促進」の 6 つ目の○ですが、玉栄委員、小川委員から、第 1 号ジョブコーチと第 2 号ジョブコーチの交流に関する御意見を頂きましたので、これを追記しました。

 続きまして、障害者就業・生活支援センターの項目です。まず 10 ページの第 1 「特定の障害への対応強化」の 2 つ目の○です。先ほど申し上げたとおり、前回、鈴木委員より、発達障害、高次脳機能障害、難病等について記述すべきと頂いたことについて、障害者就業・生活支援センター関係で追記している部分に当たります。

11 ページの第 3 「障害者就業・生活支援センターの支援水準の引上げ」の最後の○です。こちらは前回、高井委員より、委託費に関する記述が不足している旨の御発言があったことを踏まえて、追記しております。

13 ページの「おわりに」です。まず最初の○について、本研究会がジョブコーチ制度と、障害者就業・生活支援センターに関するものであることから、果たすべき役割に地域差が生じている機関について修正を加えております。また、 2 つ目の○ですが、障害者が必要とする支援だけでなく、企業が必要とする支援も迅速、かつ適切に提供されることを確保する必要があるということで「企業が」という言葉が追記されています。

4 つ目の○は、前回皆様から福祉から雇用への流れの重要性、労働行政と福祉行政の連携の重要性等について御意見を頂いたことを踏まえて、修正をしております。主な修正点は以上です。

 

○松爲座長

 ありがとうございました。一人一人の御発言の内容がかなり丁寧に盛り込まれているという感じです。この報告書について、御異議等々がありませんでしたら、これをもって最終的な報告書としますが、その前に、この報告書全般の字句修正等に関して、御指摘がありましたらお願いします。細かい字句の修正に関しては、私に全部一任していただくとして、中身、本文で、ここはどうしても必要だとか、付け加えるということが、あえてあるようでしたら、よろしく御発言ください。

 よろしいでしょうか。では、そういうことで最終版について、これをもって決定いたしたいと思います。なお、本当はこれで終わりなのですが、これだけ委員会を継続して、私が今まで委員会をした中でも、かなり皆さんのいろいろな自由な御意見があったような気がします。フリーディスカッションもさせていただいて、本当にありがとうございました。最後ですから、一人一人の委員の方々に発言していただくことにいたしましょうか。菊池委員からお願いします。

 

○菊池委員

 帝京平成大学の菊池です。この半年間、本当にありがとうございました。これからますます障害者就業・支援センターの役割が重要になってくるということですが、それはナカポツセンターがその役割を十分に果たせるように、医療機関も福祉機関も教育機関も、もちろんハローワークもですが、そういうものが本当に連携をしていくという、そこがなければ就業・センターが幾ら役割を果たそうと思っても難しいと思います。ですから、そういう意味では、医療機関の側も、逆に連携したくてもできないというか、診療報酬制度との絡みでなかなか外に出掛けられない、あるいは行きたくてもできないというようなところを解消する方策を講じながら、そして連携が本当に図れるよう省庁の連携を全部含めた仕組みづくりがあって、初めてナカポツセンターがその重要な機能を、今後果たしていけると思います。ということで、そこに対しての大きな期待を込めて、今日の最終の御挨拶とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 

○石原委員

 電機神奈川福祉センターの石原です。今回、報告書に私どもの発言もかなり取り上げていただいて感謝しております。この報告書を現場の担当者等が読んだときに、まだまだ食い足りないとか、もう 1 歩も 2 歩も進めてほしかったなとか、いろいろな思いがきっとあるだろうと思います。そういう意味で私自身が少し現状を理解し過ぎたのかなと反省もあります。

 しかし、一定の限界の下で、限られた資源の下で、障害者の雇用について、特にナカポツの立場で言えば、前進させていこうという課題も明らかになり、方向性も明らかになったのではないかと思います。

 食い足りないところや、残された課題に対して、我々がどう向かい合っていくかは、これからもいろいろ現場で事業を培いながら、また機会があればいろいろな場面で提言させていただきたいと思っています。ありがとうございました。以上です。

 

○清家委員

 ワーキング・トライの清家です。いろいろありがとうございました。多分こういう場があるのだろうと思って、考えてはきたのですが。まず 1 点目は、企業の皆さんから、私たちナカポツセンターに対して、かなり厳しい御指摘もありましたが、センターの必要性や、今後への期待について、たくさんお話を頂いたことは、うれしく、励まされる思いで聞かせていただきました。

 2点目として、今回の報告書の中で、企業が支援機関につなげたいとき、迷ったときの第一次的相談窓口として、ナカポツセンターを明確に位置付けるというところでは、私たちは当事者の方、企業の方、社会からのニーズに添いながら、この 10 年と少し業務を拡大させてきました。そして、この報告書からも、今後ますます自分たちの業務が拡大していくのだろうなと思っています。やっていけるのかとちょっと怖い部分もありますが、私たちは対人援助をする専門家という立場で、自分たちが持っている専門性を活かして、支援力、コーディネート力を高めて仕事をしていきたいと思っています。

3 点目は、この研究会の議題がナカポツセンターについてメインにしていただいたことをうれしく思っておりますが、今後、支援に関して私たちはこうしていこう、ああしていこうという思いで進めていけるのですが、委託に関する課題については、自分たちにはどうすることもできない部分です。この研究会の中で、何か解決の糸口が見付けられるのではないかと、期待して参加させていただいていましたが、委託に関する課題について解決していくことは厳しいものでした。しかし、今回の研究会を通じて、私たちがそういう大変な状況に置かれていることを理解してもらえたのではないかということと、この報告書の中の「今後に向けて」というところに少しありますが、今後も委託に係る課題に関しては、是非、検討のテーブルに乗せていただきたいと思いますし、私たちもそのようにできるように努力をしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 

○高井委員

 全国就業支援ネットワーク、並びに加古川障害者就業・生活支援センターの高井です。加古川は、田舎の地方都市でその代表と思って出席させていただきました。この中に参画させていただいて、大変ありがたく思っております。

 実は私は平成 18 年、 19 年の研究会にも参画させていただきました。そのときは福祉、教育から雇用へそれぞれの役割とネットワークの構築についてでした。ナカポツセンターの役割ということで、特に委託費の考え方の整理とかルール付けということも明確にしていただいて、職員配置等も充実していただいたことを覚えております。そのときはちょうど自立支援法ができて、移行支援事業が始まったばかりでした。それぞれの就労支援機関の役割がどうなっていくのかは、今後の展望ということだったと思いますが、それから時間が経過して、今回、第 2 次のこの研究会に参画させていただきました。

 そういう流れの中で、今回一番感じたことは、企業の皆さんからナカポツセンターを頼りにしている。でも、必要なときに動いてもらえないという状況で、頼りにしたいけれども、体制としては質・量ともにまだまだということを、改めて知らされたし、また企業の方たちが、私たちのほうに目を向けていただいて、ともに成長しようと言っていただいているのは、大変有り難いと感じました。

 このような研究会は多分 3 回続けてあったと思うのですが、それぞれの就労支援機関の役割について議論されてきました。けれども明確な役割はまだまだ不明確で、今回も玉虫色ではないかと思っております。ナカポツセンターの職員としては、やはりトータルコーディネーターという役割を果たしながらも、実際にはそれぞれの地域性を活かしながらあらゆる活動をしており、正直言うと仕事が増える、増え続けていることを実感せざるを得ないと思っております。

 そんな中で、国では厳しい財政状況の中でも、様々な努力をしていただいて、ナカポツの体制強化に取り組んでいただいているのも、承知しております。しかし、この研究会はこれで終わるのではなく、もう少し私たちの役割が、皆さんとともに明確にされて、ナカポツセンターがきちんと事業ができるような体制づくりがなければ、現場で働いている職員は、仕事が増えるばかりで 10 年間何も変わらない、いつも脆弱な体制の中では、誇りをもって仕事をしようという思いがなかなか維持できません。ですから、委託費という部分では、国の委託事業は他にもたくさんあるので、この事業だけを何とかということは難しいと思いますが、ナカポツセンターが、ナカポツセンターとして自立していけるような体制づくり、職員処遇もそうですし、財政的な基盤もしっかり付けていただけるように、是非お願いしたいと思っております。

 それから、今、全国 318 か所のセンターがあります。その中で胸を張って、ナカポツセンターの役割をしっかり果たしているセンターばかりかと言ったら、そうではないのかもしれません。この研究会のまとめの中でも、地域特性とか法人の成り立ち等も含めて、地域の要望を十分果たしていないという記述もありました。私たち自身が地域から当てにされるナカポツセンターに成長するために、もっともっと勉強をして支援力を高めていかなければならないと思いますし、今回この研究会で学ばせていただいたことを、全国就業支援ネットワークという組織としてナカポツのあり方や地域づくりや人材育成など研鑽し、継承していきたいと思っておりますので、どうぞ今後とも御支援のほど、よろしくお願いします。ありがとうございました。

 

○井口委員

 高齢・障害・求職者雇用支援機構の井口です。大変お世話になりまして、ありがとうございました。私どもに対して、御意見も頂戴いたしましたので、今後の地域障害者職業センターの課題なり、役割がより明確に見えてきたのではないかと考えております。

 私どもとすれば、今回の報告書に記載していただいた地域障害者職業センターの役割を、全国のセンターでしっかり果たせるように業務運営に取り組んでまいりたいと考えております。

 ジョブコーチ支援について 1 点だけ改めて PR をさせていただきますと、ヒアリングのときも申し上げましたように、平成 26 年度から平成 27 年度にかけて、大都市圏の 3 か所の地域センターで精神障害者の雇用促進、雇用継続支援のモデル事業をやろうと考えておりまして、その中で精神障害者のジョブコーチ支援の在り方、あるいは支援モデルをいろいろ検討していきたいと考えております。 2 年かけて検討した結果については、ナカポツセンターの方、 1 号ジョブコーチの方々にも御提供させていただきたいと思っております。

 今後とも、私ども機構、それから地域障害者職業センターをよろしくお願い申し上げます。

 

○成澤委員

 良品計画の成澤です。今回この研究会に参画させていただき、本当に感謝しております。まず、企業の立場からの様々な日々困っていること等を取り上げていただくのは、企業規模によってもいろいろな思いは随分違うと思いますが、当社の取組、困っていることについて、こうした場でお話ができたこと、それから、もう 1 つは、こうした機会でないと、なかなか企業側だけではなくて、ナカポツセンターやジョブコーチといった障害者を支えている側の方たちの御意見を生でお聞きすることができました。それぞれの思いは 1 つですが、ネットワークがうまくつながらないことによって、いろいろな問題点が起きていることもつくづく感じました。この研究会にたくさんのことを学ばせていただき感謝しております。特にこの研究会に参加して感じたことは、今回の報告書が皆さんのそれぞれの意見が取りまとめられており、素晴らしい報告書になっているということです。

 当社では全国で採用活動を行っており、雇用しております。様々な地方都市から大都市まであるのですが、その中で地域間の地域就労支援の在り方に大きな格差があるのを目の当たりにしております。先日行った所でも、親に障害者手帳を取ることすら認められなかった、やっと取れたという障害者から、そこの地域には就労支援機関がなく、ずっと悩んでいた、困っていたという話を聞いたりすると、全国にまだまだたくさんそういった方がいらっしゃるのを、 1 人でも多くの方が社会に出ていき就労ができる力を持っている方を引き上げていく、そういったところを企業もこれからは応援をしていきたいし、国もそういった施策をどんどん取り入れていただければと感じております。

 そして、企業というのは様々で、大きな企業はそれだけの力もあります。例えば社内ジョブコーチを設けるという話が今回も取り上げられましたが、 50 人以上が障害者を雇用しなければいけないという雇用義務制度がある中で、できることと、できないこともあります。そうした中で、様々な企業、特に雇用義務の課せられる企業が使いやすく、障害者を雇用することがとても素晴らしいことだということを多くの企業が感じていただくために、国の施策はもちろんですが、私たち企業も実際にやってみて学んだことを伝達していくことが、企業の務めにもなるのかと思っております。

 最後に、当社では精神障害の方を 150 名近く採用しておりますが、本研究会において、精神障害者の雇用は難しいというお話はされていますが、確かに、問題解決において、 150 人いたら 150 通り問題が違いますし、解決方法も違います。そうした中で、いろいろなマニュアルや本も出ていますが、解決ができるのは今回参加されている支援者の方々です。人が人を解決してくれるので、人を大事にしていくことが、とても重要な役割を担っていると思います。

 ジョブコーチ、障害者就業・生活支援センターの方、さらに様々な就労支援機関の方たちの助けを借りながら、 1 人でも多くの障害者が社会に出ていくことができるようそして企業がその方々を雇用していけるよう、また、皆さんで協力して、その方たちが長く働くことができるようにしていくためにも、この研究会で討議された内容というのは、今後の活動に役立つ立派な素晴らしいものになったことと思います。企業としても、今後も引き続き力になれるように頑張っていきたいと思っております。本当にどうもありがとうございました。

 

○岡元委員

 きものブレインの岡元です。今回の研究会に参加させていただきまして、まず御礼申し上げます。ありがとうございました。私も自分の個人的な社内でのことは詳しいですし、同じオーナー事業所との情報交換とか、全国重度障害者雇用事業所協会に属しており、その中でもだんだんオーナー企業が減っていき、特例子会社の比率が多くなっているのですが、そこでいろいろな情報交換、コミュニケーションを図ることによって、それぞれの会社の事例、生きた事例を常々学ばせていただいております。

 そういう中で、この委員会に参加して、それぞれの立場の方々のお話、課題をお聞きするにつけ、断片的な情報が、パズルがはまるように理解できたというところがかなりありまして、このような立場で、こんなところが課題で、このようなやり方で支援していただいているのかというのが非常に具体的に分かりました。

 その中で、私もナカポツセンターの役割はとても重要だとずっと思っており、私どももかなり頼りにしておりますし、第 1 次的窓口としての支援は最重要ではないかと考えております。だからと言って、企業はできれば余り依存度を高めないということも思います。基本的に中小企業のオーナーというのは方向性を決めたり、意思決定等は非常に早いわけです。いろいろな部門に諮ったり、上に稟議書を回さなくても、すぐ決断して、すぐ実行できるというところが強みでもあります。

 その中で、まず企業は障害者雇用について、自立しなければいけないと思います。自立するためにはどうするかというと、まず人材育成しかないと思います。もちろん企業理念は必要ですし、社内の仕組みづくりも必要です。最初は全て外部の機関に依存していきますが、依存度を上げるのではなく、今度はこの方法であれば我々でできるのではないかとか、そういう事例を積み重ねていけば自立の道をたどっていけるのではないかと思います。今は自立しているわけでもありませんし、他のいろいろな機関からお世話になっていますので、偉そうなことは言えないのですが、人材育成していくことが重要だと思います。それは障害者自身の就労に対するレベルアップ、スキルアップはもちろんですし、それに携わる支援者のスキルアップも加えて、全社員 250 人しかいませんので、全社員が同じベクトルに合わせて方向性を決めて、みんなで行こうと言っていけるレベルなのです。そういう中では、ある意味でモデル事例みたいなものを作っていきやすい部分でもありますので、私どもは 2 号ジョブコーチもおりますし、支援委員会という社内独特のネットワークもあります。この社内のネットワークがいろいろな場を使って社員啓発、社員教育の 1 つとして委員会活動をやっております。

 この前もお話ししましたが、障害者と直接関わる活動ですので、もちろん理論的な形での障害特性をもちろん勉強しなければいけないのですが、それとは別に感情とか共感とか何をすればいいのかというのは、関わることによって教科書がなくてもやれてしまうところがあるわけです。そういうところを積み重ねていくと、経験につながっていくのではないかと思うのです。ただ、難しい事例は専門家の力をお借りしなければいけないのは事実です。

 そういうことで、私のこれからの目標は、依存度をできるだけ少なくして、依存度を高めるより、低くするような方向性を持ちながら、しかも専門性を磨いてもっともっと生き生きとした会社を作り上げたいと思っております。

 障害者は採用して終わりではなくて、定着して幸せな職業生活を果たすまで見届けるのが企業の役目ですから、始めがあれば必ず終わりがあります。加齢とか、そういうものに伴う問題等も出てきますので、それも含めて長い支援が必要なことだなと思っています。

 ということでこの研究会で、私の一番ネックだった精神障害者等の支援の仕組みを作っていただきましたので、非常に感謝しております。以上です。大変ありがとうございました。

 

○玉栄委員

 トーマツチャレンジドの玉栄です。うちの会社は 8 年かかって、割といい形にできてきていると思っているのですが、その中で何が一番よかったかというと、設立時にナカポツセンターに多大な協力を頂き、ノウハウをいただいたことです。 WEL’S 東京さんに 1 か月間の座学と現場での実習、そして教える側の指導もしていただいてスタートできたことが、すごくよかったと思っています。また、ジョブコーチの資格を指導スタッフが随時取ってきたことも非常に定着率に貢献していると思っています。特段ではないにしろそれなりに良い方向にきたのかなと思っていました。そんな時にこの研究会に参加させていただき、うちの会社にとって大事だと思っていた 2 項目が盛り込まれていたので、やはり大事な 2 項目なんだと実感しました。

 ただし、私も企業側として一方向からしか見えていなかったので、ナカポツセンターがものすごく苦労している事や、大変ということがあまり実感として分かっておらず、困ったときはナカポツにお電話して何か意見を伺うとか、何かあればすぐ「今、よろしいですか」などと遠慮なく連絡をとり聞いていたというのが現実です。今回、参加して、本当にこんな少人数で、こんな大勢の障害者の方を見ておられるのだと思うと申し訳なく思いました。

 私どもの会社も、先ほど岡元委員がおっしゃっていましたが、自立の方向には進んできており、第 1 号とか、支援機関に頼らなくても自分たちの会社で業務指導に関してはできるようになってきています。ただ、先ほどおっしゃっていた障害者の方にとってライフステージの変化があったときに、どうやって対応していくか。障害者の方が定年まで働き続けるには企業が面倒を見られない生活部分の支援が非常に重要で、私が実感している中では、支援機関にもそういった支援に差があったりするのは残念だと思っています。支援機関に生活のほうをなかなか見ていただけないとなると、ナカポツにお願いするのですが、そういったところで不自由さを感じるときがたまにあります。障害者の方は非常に素直で純粋で、家庭での問題がすぐ仕事に響いてしまうところも大きく、その辺の支援は一生続くのかなと皆でよく話します。ですから、ジョブコーチとナカポツが連携を取ることが重要です。そういった連携を取る機関はハローワークなのか、いろいろな資源と調整していく機関が必要ではないかと思います。

 障害者に関しても、時代の流れによってというかよく分からないですが、うちがたまたま発達障害を採用していたとき、発達障害が採用されにくいと言われていましたが、障害に無知だったせいもあって発達障害が採用されにくいということを知らずに偶然多く採用していました。本人たちとの面談・実習を通して、事務系に非常に有効的だと思って採用したら、結果的にすごくよかったということがありました。今度は精神障害者に移行してきているのかなというところで、私が面接をしている限りでは、精神保健福祉手帳をお持ちの方が非常に増えていることを実感として感じています。その中で、その方たちが一番困っているのは年金がない、なおかつ、フルで働けないことで、自立ができにくいことだと思います。

 最近、私はコンサルティング的な業務も増えていて、特例子会社を設立したいけれども、是非、見学をさせてもらって、どういった所にどういうふうに相談したらいいかを、私のほうに相談に来る企業が非常に増えています。その中でグループ会社からの相談も受け、 12 月に 15 名の精神障害者を採用しました。スタートして 3 か月、何とか落ち着いてフルで働いています。先駆を切ってやるという意識はないのですが、成功すれば精神障害者の方にも新たな道が開けるのかなと思って、今、私の中では様々な機関の御協力を頂いてやっています。いずれ少しずつ落ち着いていったときに、弊社で精神障害者がフルで働けるノウハウを積んでいけたらいいなと思っていますので、そこは今後も挑戦をしていきたいと思っています。

 清家さんのように、今日は喋ることはあまり考えていなかったので、まとまりのない内容で申し訳ありません。障害者雇用というのは、世の中から見ればどちらかと言うと身分が低いイメージがありますけれども、有限責任監査法人トーマツの事務職から、是非、出向してチャレンジドで仕事をしたいという声を聞くと、会社の中で障害者が働いていることが認められてきているのだと実感し、着実な実践の積み上げはすごく大切であり、ジョブコーチの役割も非常に有効的に活用できていると自信を持って言いたいと思います。このような検討会に参加させていただき、誠にありがとうございました。

 

○金塚委員

 大阪精神障害者就労支援ネットワークの金塚です。今回、初めて研究会に参加させていただきました。ありがとうございます。実際にどういうふうに進めていくのか、ほとほと分からずに発言をさせてもらっていたのですが、実際、こういう報告書ができてきて、この報告書が具体的にどういうふうになっていくのか、とても楽しみにしています。本当に現場で私たちが日々、活動していること、困っていること、悩んでいることをお話しさせていただく中で、この報告書ができてきたのだと思っています。その悩んでいることをいかに解決していくかというのを、ひとつの施策として具体的に表わしていただければと思っています。

 私が今回、ここに入らせていただいたことのひとつには、第 1 号認定法人であるというところと、あと精神障害者の就労に特化をして支援をしているコトがあるかと思います。精神障害の方が雇用の義務化が決まった中で、この 5 年間というのはとても重要な時期だと思っています。先ほど企業の方々が御発言されていました。積極的に精神障害者の方を雇用してということですが、多くの企業を見ますと、決して精神障害の方に対するプラスイメージは持っていない。マイナスイメージのほうが強い現状を、いかに打破していくかというのは私たち現場で働いている者の仕事だと思っています。

 精神障害というのは、病気と障害を一体的に持ち合わせている。ということは、医療と福祉が一体的に支援をしていかなければならないということだと思います。そういう意味においては、まずもって私たち福祉側がもっと力を付けないといけない。医療に対しても企業に対してもしっかりと物が言える、実践を積んで体験を積んで、その体験を基に話ができるということが、とても大事かなというふうに思っています。

 後、最近、特に思うのは社会福祉と社会福祉事業という事です。今、いろいろな団体がこの就労支援に関わってきています。もともと社会福祉法人としてこの就労支援をしていた所だけでなく、私どもの法人のように NPO 法人であったり、株式会社と言われるような所もこの就労支援に関わってこられて、制度的に就職して 6 か月経ったら就業・生活支援センターに移行することに関しては何ら問題ないのですが、社会福祉が就労支援をするということは、企業の方が、今、正におっしゃっていましたが、雇用して彼らの幸せを考えるのだと、正に私たちもそうだと思います。送り出したらそれで終わりではなく、彼らの幸せを考えたときには 6 か月で「はい、さよなら」ではないはずなのです。そこをどういうふうに考えていくか、概念的な整理も含めて私たちがしっかりしていかないと、今まで社会福祉がやってきた就労支援という部分の思いみたいなものが、どんどん薄くなってきているのではないかと感じています。

 そういうことで言えば、もっと力を付けていかなければと先ほど言いましたが、今回の論点は就業・生活支援センターとジョブコーチということですが、まずもって就業・生活支援センターに関して言えば、私が知り得る限り、真面目に丁寧に就ポツの仕事をしてきた所の人たちがしんどくなっているし、就業・生活支援センターよりも就労移行をやりたい、もっとゆっくり彼らと関わりたいと思っている。どういうことかというと、就業・生活支援センターではゆっくりと彼らに関わっていられないと言っている就業・生活支援センターの方を、私、複数で聞いています。そう考えると、この就業・生活支援センターに関しては、今、正に転換期なのかなと思いますし、企業の方は就業・生活支援センターに期待されているので、より一層いいものにしていかなければならない。

 ジョブコーチに関して言えば、これはヒアリングの中でも何度かお話しさせていただきましたが、提案力、コンサル力をいかに付けていくかというのは、今後、このジョブコーチを発展させていくためにとても重要な部分なのかなと思います。先ほど玉栄委員がコンサル的な仕事をされていると言われましたが、そのような相談も本来、福祉側の私たちがしっかりと提案をしていく必要があるだろうと思っています。そういう意味において、この就業・生活支援センターとジョブコーチは正に定着の部分の二大柱と思っていますので、今後、これがより一層いいものになっていけるように、私たち自身もしっかりと努力をしていかなければならないと思っています。最後になりましたが、今回、この研究会に参加させていただきまして、ありがとうございました。

 

○鈴木委員

 くらしえん・しごとえんの鈴木です。まず最初に、今回、研究会に参加させてもらったことを本当に有り難く思っています。どうもありがとうございました。今回、私の立場としましては、養成研修機関連絡会を代表してという形になっていますけれども、この連絡会としましては 2 年間、様々な情報交換をさせていただいてやってきました。その中で、ジョブコーチ養成研修をやってきた機関として何をしてきたかというと、ジョブコーチの有用性です。ジョブコーチは非常に重要だということと、だからこそ、ではどんなジョブコーチを養成していくのかということ。それは養成研修機関が個々ばらばらにやっているときではないということで、この 2 年間やってきたということです。

 そういう意味で、今回の研究会の報告書の中でも特に 2 点、スキル向上研修をはじめとした更なる専門的な研修の創設と、もう 1 つは、ナカポツ配置の上級ジョブコーチの提言がされていること自体は、本当にこれから大事なところになってくるだろうと思います。先ほど金塚委員もおっしゃっていたように、就業・生活支援センターは転換期にきているのではないかということはあるかもしれませんが、本当にジョブコーチと障害者就業・生活支援センターがどういうふうに動いていくのか、大きな一歩を踏み出しているのではないか。そういう意味で、この 2 点をどう具体化していくかが本当に大事なところではないかと痛感しています。

 そういう養成研修機関としての側面と、私個人としては、私どもの法人第 1 号のジョブコーチとして、日々、活動しているわけですが、そこのところで言うと、特に私も日々、現場に入って精神障害者の支援が、今年度はものすごく増えています。先ほど企業の玉栄委員をはじめ、皆さんのように積極的に位置付けてくださる企業ばかりではありません。むしろ現場では本当に大変なところで難渋しているのが実態です。むしろ玉砕したりということも多かったり、それが雇用現場の最前線だと思っています。

 そういう意味で言うと、ジョブコーチの有用性については今回もいろいろ触れられていますけれども、ナカポツの支援員、また就労移行の支援員とは違って、ジョブコーチはジョブコーチだと私は本当に思います。そういう意味で、それこそどんなジョブコーチを養成していくのか。さらにその上のジョブコーチとして、どんなスーパージョブコーチを作っていくのか。そもそもジョブコーチとは何なのだろうということで、ひとつの方向性をもっともっと話し合って形作っていかないといけないと思っています。

 最後、ちょっと宣伝みたいになってしまうかもしれませんが、 4 機関の連絡会としてジョブコーチのカンファレンスを昨年開催しましたが、今年の 5 月にもまた開催したいと思っています。それは何かと言うと、今回の研究会を受けたテーマで、第 2 次の今後の就労支援の在り方を考えるということでやっていきます。答えはすぐに出ませんけれども、そういうことを 1 つずつ積み重ねていくことが大事だと思っています。以上をもちまして私の発言とさせていただきます。ありがとうございました。

 

○眞保委員

 高崎健康福祉大学の眞保です。私は年間、大体 30 40 社ぐらいの企業を拝見させていただき、キャリア形成、人材育成の仕組みを考えながら仕事をしてきたわけですけれども、そうした立場で今回、この研究会に参加させていただき、障害者雇用に関わるそれぞれの立場の方の課題、あるいは頑張っていらっしゃる事例を勉強させていただいたことは、私にとって大変有り難いことで御礼申し上げたいと思います。

 年間、 30 40 社見て歩いていると、小さい企業から大企業、特例子会社、いろいろな会社を見せていただくわけですが、そうした中で障害者を地域の中で当たり前に雇用されている企業というのは、必ず社内の中で障害者の方を戦力化しています。その戦力化している陰には、先ほど岡元委員、玉栄委員、成澤委員がおっしゃいましたが、必ず企業内に支援者と言っていいのか、地域の支援機関と連携しながら、障害者の方の戦力化に関わっている同僚と申し上げたらよろしいでしょうか、そういう人が必ずいます。そういう方を企業内でどうやって位置付けていくかが、すごく課題だと思っています。実際、この研究会に参加させていただいて企業側の委員のお話を伺うと、そうした方が必ずいらして、さらに先ほど玉栄委員がおっしゃいましたが、そうしたノウハウを、まだこれからという企業に波及させていく効果が出るまでになったと感じました。

 最後に、この研究会の報告書の「終わりに」の最後ですが、実際に戦力化している企業がいることも踏まえながら、障害者の方が仕事を通じてキャリアを形成していくことができる社会というビジョンが打ち出されたことが、私としてはすごく明るい、ある種の方向性が見える思いで大変成果があったと考えています。本日はありがとうございました。半年間、ありがとうございました。

 

○小川委員

 大妻女子大学の小川でございます。今回の研究会、大変丁寧に様々な意見を聞いていただきましてありがとうございました。前回の研究会も出席させていただきましたが、今回は第 2 次というふうに銘打たれていますけれども、前回の研究会からの流れが非常に分かりやすく、前回の研究会で今後の課題として抽出されたものを、すごく丁寧に今回の研究会で焦点を当てて具体的な方向性というか、どう解決するかということに導いてくださった。その構成の仕方に感謝申し上げたいと思います。

 今回、私はジョブコーチとナカポツ、特に立場的にはジョブコーチに焦点を当てていろいろ発言させていただきましたが、今回のテーマは精神障害のことは元より、前回の研究会からの流れで言うと、聴覚、視覚障害に対応できるジョブコーチをどうするかということ。それから地域の中で安定して仕事ができる専門性の高いジョブコーチをどうするか。この 2 点が今回の研究会で必ず成果を出さなければいけないことだと思って臨みました。そのために各地で数箇所、先ほど鈴木委員が触れましたが、職場適応援助者養成研修機関連絡会としてヒアリングを持たせていただき、改めて各地の 1 号ジョブコーチの意見を聞かせていただきました。特に印象に残っているのが、郡山、福島といった本当に地方の社会資源のない所でのジョブコーチの意見でした。結論的にはナカポツに経験豊富なジョブコーチを配置するという、本当に一歩踏み込んだ次のステージのジョブコーチについて、輪郭が示されたことは大きな成果だと思っています。

 ただ、一方で、地方の 1 号ジョブコーチの実態であるとか、地方で移行支援事業をやりながら何とか採算の合わないジョブコーチを回している、社会福祉法人や NPO 法人の実態をもう一度振り返ると、そこに対してどれだけの結論、成果を出せたかなというのは、今後の課題になる部分ではないかと感じています。

 それから今回、ジョブコーチに関してのもう 1 つの大きなポイントは、 2 号ジョブコーチというか企業内ジョブコーチの存在に焦点が当たり、 2 号ジョブコーチの研修ということでしょうか、そういったものをより発展させていく必要性について示されたというのは、とても大きなことであったのではないかと思っています。ジョブコーチというキーワードで最初は支援者の側が、ジョブコーチの方法論で送り出すことから始まりましたけれども、受け手の企業側がジョブコーチ的な専門性を持って受け止めるという、双方向の就労支援、障害者雇用の形が見えてきたというのが、今回の研究会でひとつの大きな成果であったと思っています。

 昔というか、ちょっと前のこういう研究会では、企業の方から「送り出す側は企業の事情が分かっていない」と、送り出す側は「企業は企業の視点でしか物事を考えない」と、そういうやり取りになりがちだったのですが、国の研究会の場面でも企業と送り出す側が双方の立場を理解しながら、どういうふうにしたらいいのか考えられる時代になったのだなと感じていました。

 今回、非常に成果の大きい研究会だったと思っていますが、飽くまで方向性が示された段階ですので、どういうふうに具体的制度、施策につなげていくのか。むしろ今後の課題というか、具体的なものだけに大変な課題が残っているのではないかと思います。ナカポツ配置のジョブコーチのことで言えば、経験豊富なということの基準をどうするか。あるいは地域の中での助言・指導体制を、一体どういう仕組みの中で作っていくのか。非常に難しい課題があると思いますが、こういうことについては現場も一緒に真摯に考えながら形作っていく必要があると思っています。

 最後に、また一歩進んだ制度の仕組みの輪郭が見えてきましたので、その次の課題は人材の問題だと思っています。それぞれ委員の皆様が既に指摘されていますが、自分の仕事について誇りを持って社会的にも認められ、それなりの処遇が得られる仕事でないと、この就労支援というのはなかなかモチベーションを保てない。続けられない大変な仕事だと思っています。制度や研修を支える仕組みは一歩一歩できてきてはいるのですが、まだまだ人が定着しないというのが現実ですので、そこをどういうふうに支えていくかという人材の問題が次の課題ではないかと思っています。

 いずれにしても、本当に今回の研究会は非常に具体的な成果を導き出すことができた研究会であったのではないかと感じています。松爲座長をはじめ、事務局の方々に感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 

○松爲座長

 ありがとうございました。最後ですから私も何か一言言わなければいけないのですが、皆さんの話を伺っていて、何てみんな話が止まらないのだろうと思いました。つまり、逆に言いますと、座長として非常に感謝したいのですが、そういった皆さんの積極的な発言が、今回の報告書に盛り込まれていると感じています。そういった意味で、まず最初に委員の皆さん方の積極的な発言、本当にありがとうございました。

 私、この第 2 次の研究会を引き受けるに当たって一番心配したのは、先ほど小川委員が言われた第 1 次と第 2 次の間に審議会がありましたが、あの審議会のときに最後の最後まで大もめにもめ、その中でようやく精神障害者を雇用率制度に入れて雇用義務化し、そして合理的配慮をとやってきた。あの審議会に委員としてずっと参加して一番感じたのは、これから先、どのように企業が頑張っていくか。この企業をどういう格好で医療・保健・福祉が支えていくか。それがない限り持ち堪えられないという感じがすごくしていたのです。

 今回、この研究会をやりまして、先ほど何人かの委員の方からお話がありましたように、受ける側の企業と送り出す側の連携です。本気になって具体的な話で連携していくことが目に見えてきたこと。もう 1 つは、企業自身が自立していかなければならないといった力強い発言があったこと。これが大きな成果だと思っています。

 そして小川委員がおっしゃったように、今まで第 1 次の研究会以前の段階で厚労省のいろいろ研究会のお手伝いをさせていただき、例えば人材の育成の委員会のときもそうですけれども、そういった長い間のいろいろな委員会に比べて、今回ほど極めて具体的な話につながっているのは多分ないと思います。それだけ委員の先生方が非常に具体的な話の中で問題提起をしてくださったお陰だと思っています。

 最後になりますが、こういったものをどういう格好で具体化していくか。これは事務局も含めて私も一緒に、みんなで頑張っていかなければならないということがすごくあります。ただ、そういった具体的な意味がある中で、逆に言うと、まだ残された課題がより明確になったかなというのがあると思います。小川委員の話もありますが、私が座長としてやってきた中で一番感じたのは、高井委員が話された予算、制度、システムの問題です。いろいろやっていく中でナカポツセンターが頑張れば頑張るほど、より制度的な限界が見えてくる。財政をバックアップしたら制度的限界が見えてくる。これをどういう格好でこの後考えていくかを、先ほどの鈴木委員の人材育成の話も含めた形の中で議論していかないと、これから 5 年先に精神を義務化し合理的配慮をやるといったときに、ナカポツセンターを含めてどこまで持ち堪えられるかということをすごく感じました。それと、更にそれを言っていくと、実は移行支援事業 A 型、 B 型が、もっと総合支援法の枠組みの中だけでなく、ナカポツを含めたこういったところにもっと広げた格好で全体システムを考えていかないと、持ち堪えられないのではないかという感じも実感したところです。いずれにしても、先生方に積極的に御発言いただきまして、いい報告書ができたと思っています。改めて厚く感謝いたします。ありがとうございました。

 一通り、皆さんから最後の御発言をいただきました。最後になりますが、終わりに当たり、高齢・障害者雇用対策部長から御挨拶がありますので、よろしくお願いいたします。

 

○内田高齢・障害者雇用対策部長

 高齢・障害者雇用対策部長の内田でございます。最後に一言、御礼の御挨拶をさせていただきたいと思います。昨年の 10 月以来、今回まで 7 回、ほぼ 1 か月に 1 回というペースで、大変に皆さんお忙しい中を御参集いただきまして、これまで幅広い観点から熱心に御議論いただきましたことを、まずもって心から厚く御礼申し上げます。

 今後、精神障害者の雇用の一層の増加が見込まれるわけで、地域の就労支援機関における精神障害者への支援能力の向上と、定着支援の充実の必要性が高まるといった状況に対応するために、本研究会では地域の就労支援機関の役割、特にジョブコーチ制度と障害者就業・生活支援センターについて、委員の皆様からのヒアリングも含めて御議論いただきました。今回、委員の皆様からは、例えば精神障害者の支援に当たって医療機関との連携が重要であること。また対応には専門的な知見が必要であるため研修の整備が必要であること。あるいはジョブコーチについて経験豊富な方が地域の中に継続的に配置され、地域の経験の浅いジョブコーチへの助言等を行うとともに、地域の企業ニーズに迅速に対応できるようにすることが有効であること。ジョブコーチの養成に当たっては、受講方法に工夫が必要であること。あるいは企業内でのジョブコーチ活用の促進策が必要であること。障害者就業・生活支援センターについては、研修の充実強化や地域の社会資源と連携したコーディネートを行うことが重要であること。増大する障害者支援ニーズに的確に対応するために体制整備が必要であること等、多くの提言をいただきました。

 座長の松爲先生をはじめ、委員の皆様方には、この報告書をまとめていただきましたことについて改めて感謝申し上げたいと思います。本報告書において御提言いただいた事項を踏まえ、行政として地域における様々な支援機関の有機的な連携の中で、障害者の方々の雇用が更に進んでいくよう施策の充実に努めてまいりたいと思います。もちろん、報告書の中に含まれなかった皆様のこの研究会での様々なお話は、我々もちゃんと心に置いていろいろな施策に取り組んでまいりたいと思います。財政状況を含めて、あるいは財政のシステムを含めて、決して容易な道ではないのですが、この報告書を是非、いろいろな形で具体化するために、私どもも努力してまいりたいと思いますので、これからも御支援を是非お願いしたいと思います。本日はありがとうございました。

 

○松爲座長

 ありがとうございました。本日の議事は以上です。なお、この研究会の報告書ですけれども、今後、公表を予定しています。正式な日程につきましては、事務局から追って委員の方々に御連絡がいくかと思います。これをもちまして合計 7 回の研究会を終わります。長い間、お務め御苦労さまでした。ありがとうございました。


(了)

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