ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会)> 第7回遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会議事録(2014年2月28日)




2014年2月28日 第7回遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成26年2月28日(金) 10:00~12:00


○場所

三田共用会議所 大会議室C~E


○出席者

(委員)

山口委員長 谷委員長代理
伊藤委員 今村委員 小野寺委員
中畑委員 中村委員 那須委員

(事務局)

厚生労働省:三浦技術総括審議官 宮嵜課長 中山研究企画官 許斐課長補佐 松倉専門官
文部科学省:伊藤安全対策官

○議題

1.前回(第6回)委員会での主な議論について
2.遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直し案について
3.その他

○配布資料

資料1 第6回専門委員会での遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しにおける検討すべき事項の主な議論
資料2 遺伝子治療臨床研究に関する指針の構成案と現行指針の構成との比較
資料3 遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直し案の各章のポイント
資料4 その他
参考資料1 「人を対象とした医学系研究」(仮称)に関する倫理指針(草案)
参考資料2 品質及び安全性に関する評価項目
参考資料3 第3回、第4回及び第5回専門委員会での遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しにおける検討すべき事項の主な議論

○議事

○中山研究企画官 

 それでは、定刻となりましたので、第7回「遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直しに関する専門委員会」を始めさせていただきます。本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。

 本日の委員会ですが、位田委員、梅澤委員、辰井委員、本田委員から御欠席の連絡をいただいております。次に、配布資料を確認させていただきます。議事次第、座席表、委員名簿、その後に、資料1から234まであります。さらに、参考資料として123となっております。あと、いつもの青いファイルがありますが、これは毎回使用する資料ですので、お帰りの際にはこのまま置いておいていただければと思います。過不足ありましたらお知らせいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、山口委員長お願いいたします。 

○山口委員長 

本日はお忙しい中、本会議に参集いただきましてありがとうございます。

 それでは、早速、議題に入りたいと思います。まず、議題1の前回委員会の議事内容につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。

○許斐課長補佐 

では、前回の専門委員会での検討すべき事項の主な議論のまとめです。 まず、11の「記録の保存について」です。遺伝子治療臨床研究において治療終了後、長期間経過してから有害事象等が発症することも想定し、現行の指針で想定されている記録の保存期間を変更する必要はないかという事項についてです。

 現状は、現行の指針では、実施施設の長は、遺伝子治療臨床研究に関する記録に関し、研究終了後少なくとも5年間保存しなければならないとなっています。一方、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針では、研究責任者は、ヒト幹細胞臨床研究に関する記録等を適切な管理下で、総括報告書を提出した日から少なくとも10年以上保存しなければならないとなっています。さらに、研究機関の長は、ヒト幹細胞臨床研究に関する記録等を、研究責任者が適切な管理の下で保存できるよう必要な体制を整えなければならないとされていました。

 ここでの議論です。まず、保存期間については、保存期間は一定の期間で区切る必要があるが、5年間では短い。10年間あるいは20年間といった期間が適当ではないか。全ての遺伝子治療で同一期間、記録を保存するということではなく、リスクに応じた分類もあり得るのではないか。記録の保存以外に、使用したベクターや遺伝子導入した細胞そのものの保存期間についても考える必要があるというものがありました。記録の保存の責任については、記録の保存の責任者を明らかにしておくとよい。保存の責任の所在は研究機関あるいは研究機関の長が妥当ではないか。治療を受けた被験者本人も記録を管理するのもよいのではないかというのがありました。

 まとめです。遺伝子治療臨床研究においては治療後、長期間経過してから有害事象等が発症することを想定し、現行の指針で規定している5年間より長期間にわたり責任を明確にして記録を保存することとする。保存期間は一律とせず、研究に用いるベクターの性質の違いも考慮することとする。保存の期間は、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針のように少なくとも10年間とするかとしました。

 また、以下は参考です。再生医療新法の政省令で書かれる案としては、こちらに示してありますが、「再生医療等提供機関における記録・保存」について、保存期間として、一部※の特定細胞、※は医薬品医療機器等の指定再生医療等製品と同様の原材料からなるものを想定(他家由来、原料に動物の血清を用いる場合など)となっていますが、これらの特定細胞加工物を用いた再生医療を提供した場合は30年間。マル2それ以外の特定細胞加工物を用いた再生医療を提供した場合は10年間となっています。

12、「個人情報の保護に関する措置について」です。現行の指針では、個人情報の保護に関する措置について、疫学研究に関する倫理指針とほぼ同様の記載がなされていると。疫学及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに合わせ整理することは可能かとしました。

 現状は、現行の指針では、個人情報の保護に関する措置について、疫学研究に関する倫理指針とほぼ同様の記載がされていまして、本指針特有の規定はありません。

 ここでの議論です。個人情報の保護については厳格に対応し、かつ研究の進歩が妨げられることがないよう対応が求められている。個人情報の保護も含め、遺伝子治療臨床研究の中でゲノム解析を行う場合には、ゲノム解析についてはゲノム指針が適用され、その他の部分は遺伝子治療臨床研究が適用される。どちらか1つの指針のみが適用されるわけではないというものもありました。

 まとめです。遺伝子治療臨床研究は臨床研究の一分野であり、個人情報の保護に関する措置についての規定は、今後統合予定である疫学及び臨床研究に関する倫理指針で規定される事項に準ずることとするとしました。

13、「人権保護に関する事項について」です。現行の指針では、未成年者に係るいわゆるインフォームド・アセントについて特に規定を設けていない。小児の遺伝病患者に対する遺伝子治療臨床研究も踏まえ、新たにインフォームド・アセントについて規定する必要はないかというものでした。

 現状です。現行の指針では、未成年者に係るインフォームド・アセントについて、規定を設けていませんでした。疫学及び臨床研究に関する倫理指針やヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針では、インフォームド・アセントの定義はなく、前回見ていただきましたが、そのような記載がされていました。一方、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針では、いわゆるインフォームド・アセントについて記載されているというものでした。

 ここでの議論です。ヘルシンキ宣言でも、弱者に対する保護や配慮について書かれており、インフォームド・アセントはそこに含まれている。疫学研究及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議でも、インフォームド・アセントについては議論されており、本指針でも同様のものが求められる。欧米では、インフォームド・アセントという用語は被験者が未成年者の場合に用いられている。インフォームド・アセントという言葉はわが国にはまだ馴染みがない。全ての指針において、インフォームド・アセントの定義については整理しておく必要があるというものがありました。

 まとめです。疫学及び臨床研究に関する指針の見直しに合わせて、新たにインフォームド・アセントを用語として定義し、指針内に記載することとしました。

 最後のページです。14、「その他」です。ここでは、安全性及び有効性の確保の観点から、治療による効果及び副作用について、遺伝子治療臨床研究終了後の追跡調査その他の必要な措置について、指針に規定する必要はないかという検討事項でした。

 現状です。現行の指針では、安全性及び有効性の確保の観点から、治療による効果及び副作用について、遺伝子治療臨床研究終了後の追跡調査その他の必要な措置についての規定はありませんでした。ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針では、研究責任者は、ヒト幹細胞臨床研究終了後においても、安全性及び有効性の確保の観点から、治療による効果及び副作用について適当な期間の追跡調査その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないと規定されていました。

 ここでの議論です。適当な期間というのはどのくらいの目安なのか。FDAのガイドラインでは、レトロウイルスのように挿入変異のリスクのあるベクターを用いた治療では15年の経過観察の期間を求めている。一方で、挿入変異のリスクのないウイルス・プラスミドベクターを用いた場合は15年間求めていない。リスクベースで期間を想定しようという考え方ではないか。疾患別若しくはベクター別に経過観察の期間について、一定の基準があってもよいのではないかというものがありました。

 まとめです。遺伝子治療臨床研究終了後においても、安全性及び有効性の確保の観点から、治療による効果及び副作用について適当な期間の追跡調査その他の必要な措置を講ずるよう、FDAEMAの規定及び再生医療等の安全性の確保等の法律等とも整合性を図りながら規定することとする。治療に用いるベクターの種類によって、リスクが異なることを配慮することとするとしました。以上です。

○山口委員長 

ありがとうございました。4項目について御説明いただきました。それぞれ、各項目ごとに議論をしたいと思います。まず、記録の保存に関してです。現行では5年間の記録を保存するとなっているのですが、記録を保存する場合に責任を明確にするべきとの意見もありました。ベクターの種類、リスク等も踏まえた保存期間の在り方についても考えるべきであるという御意見も頂いています。事務局にまとめていただいた、5年より長期にわたって責任を明確にして記録を保存すると、この辺の考え方について、治療に合ったベクター細胞自体の保存について前回少し意見がありましたが、追加事項などがありましたら御意見をお願いします。細胞治療のほうでは10年となっていることで、基本的には10年間とするというのも1つの考え方であるかと思いますが。

○今村委員 

議論の中で、記録の保存を、治療を受けた本人も保存に関わるという議論が出ていました。これについては結局どういうふうにするのか。これは、ほかの治療、再生医療等との関わりから、ここだけ認めてほかのは違うとなると、そこの整合があるので、ここだけ突出して規定するというのはちょっと違和感がある感じがするのですが。

○山口委員長 

事務局、ありますか。多分、再生医療新法との整合性とかそういう所かなという気がするのですが。

○許斐課長補佐 

今の御意見のように、特にこちらだけそういう規定を設けるつもりはありませんで、頂いた御意見として議論の所で挙げているのが現状です。

○小野寺委員 

記録保管の期間を10年以上にするというのはそれで結構だと思うのですが、先ほどのフォローアップ期間は15年ですから、ベクターの種類によりその期間を区別する・しないは別として、記録保管とフォローアップの期間を一致させておいたほうがいいと思います。

○山口委員長 

ひょっとすると、そうすると考え方としては、一応10年を基準にして、例えば長期にわたるフォローアップの場合には保管を延ばすという。それで、例えば挿入変異が少ないようなケースに関しては10年、あるいはそれよりも短くても。一応、基本は10年という形でしょうか。

○中山研究企画官 

基本的にそれでよろしいと思っています。あと、ベクターの違いによる年限の区別をするかどうかの所は、1つポイントだと思います。

○山口委員長 

これをもう具体的に書くのか、それとも、審査の中で個別のケースバイケースで判断していくという。それぞれのベクターも一律に規定する必要があるのか、その辺についてもし御意見があれば。

○谷委員長代理 

各ベクターで個別に検討していくべきだと思います。例えば一般に、アデノウイルスベクターは安全性が高いと考えられているとは思いますが、新たな遺伝子改変が加わった場合にはその改変内容によって状況が大きく変わる可能性があります。したがって、個別で判断していくことがよろしいのではないでしょうか。

○山口委員長 

ありがとうございます。谷先生にまとめていただいたように、それぞれ審査の中で、個別というのは多分審査の中で判断をしていくという、申請された先生方のどういうベクターであるかの御説明という、議論の中で決めていくということかと思いますが。よろしいでしょうか、ほかに。では、そのようにいたしたいと思います。

 ほかにありますでしょうか。御意見がありませんでしたら事務局の案で。先ほどちょっと、10年の前後の触れる所というか、長期にわたるときなどはケースバイケースで少し判断をするという、そういう考え方でいかせていただければと思います。

 次に、検討事項12の「個人情報の保護に関する措置について」です。

 まとめです。個人情報の保護については、遺伝子治療臨床研究が臨床研究の一分野であるということで、それに統合指針では事項に準ずることになりますが、これについては何か追加で御意見等がありますか。特にないようでしたら、今、事務局でまとめていただいた案のままでいきたいと思います。

 検討事項の13です。「人権保護に関する事項について」議論をいただいています。現行指針ではインフォームド・アセントの規定がないということで、このインフォームド・アセントの統合指針で今度新たに提起されていることを踏まえて、本指針の見直しにインフォームド・アセントを提起してはどうかということです。特にこれは、前回もこういう形で御異論はなかったように思うのですが、もし何か追加で御意見があれば。よろしければ、事務局にまとめていただいた案のままで進めさせていただければと思います。

 検討事項14の「その他」です。現行指針では、安全性、有効性の確保の観点から、治療効果、副作用について、遺伝子治療研究の終了後追跡調査その他の必要な措置にすることの規定がないために、ヒト幹細胞に用いる遺伝子治療臨床研究に関する指針等と同様に、適当な期間の追跡調査その他必要な措置を講じてはどうかということで、この中では、治療に用いるウイルスベクターごとに、先ほどの最初の議論にもありましたが、ベクターの種類によってリスクが異なることや、レトロウイルスの挿入変異のリスクがあったベクターについてはFDAなどは15年を求めている。それ以外のベクター、リスクの少ないベクターの場合には、追跡調査をもう少し短くてもよいという規定があります。

 そういうことも勘案して、事務局からは、遺伝子治療臨床研究終了後においても安全性、有効性の確保の観点から、治療による効果及び副作用について適当な期間の追跡調査その他必要な措置を講ずるように、海外の規制当局の動向、あるいは再生医療等の安全性確保の法律等とも整合性を図りながら規制するとまとめていただいています。治療に用いるベクターの種類によってリスクが異なることを配慮することとして、そういうフォローアップの期間を設けることにしています。

 これについては何か御意見ありますか。これについては、先ほど議論して谷先生にまとめていただいたような形でよろしいのかなと思っていますが、よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし)

○山口委員長 

ありがとうございます。これで資料1の議題が終わりまして、次に資料2の議題に移ります。資料2について事務局から御説明をお願いします。

○許斐課長補佐 

資料2を御覧ください。「遺伝子治療臨床研究に関する指針の構成案と現行指針の構成との比較」です。左側のカラムが現行指針の構成、右側が見直し指針の構成案です。基本的に現行指針を踏襲する構成となっています。

 まず、名称です。今回、予防を含めたため、「遺伝子治療等臨床研究に関する指針」としています。

 第一章、総則です。第三として「適用範囲」を追加しました。これは、統合指針草案やその他の指針の構成と整合性を図り、適用範囲を明確化しています。適用除外については現行指針の第七章にありましたが、これはこちらに移行する予定です。それから、また、統合指針と共通する部分については、統合指針の規定を適用できるような方向で現在検討中です。それから、第十「情報の公開」、こちらを新たに置きました。これは、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針と同様の構成で、情報の公開の必要性を明確化しています。現行の指針ですと第七章の雑則にありましたが、それを第一章の総則にもってきたということです。

 第二章です。第二の「被験者の同意」を統合指針草案等との整合性を図り、「インフォームド・コンセント」としました。

 第三章、研究及び審査の体制です。こちらは文言の修正ということで、統合指針草案との整合性を図っています。

 第四章です。こちらは基本的な変更はありませんが、第二の「研究計画の記載事項」というのは、これはもともと第一の「研究の開始の手続」の中に入っていましたが、これを第一から独立させて明確にしました。

 第五章、厚生労働大臣の意見等は、第二の文言を統合指針草案と是正をさせました。具体的には、「重大な事態」を「重篤な有害事象」としています。

 第六章、個人情報の保護に関する措置については、統合指針草案と整合性を図って、「個人情報等」としています。統合指針草案では、左記の、この第一、第二、第三という3項目について記載がされています。その他の項目の位置付けについては、そちらの指針の見直しに係る合同会議で検討中としています。

 第七章、重篤な有害事象への対応。こちらは、統合指針草案の構成と整合させ、新たに独立した章として規定予定です。現行指針の雑則は、新たな章が2つ入ったので第九章のほうに移行しています。

 第八章、研究成果の信頼性確保。こちらは、統合指針草案の構成と整合させ、新たに独立した章として規定予定です。記録の保存についてはこちらの章の中に規定する方向です。

 第九章、雑則。現行指針(第七章雑則)はこちらに移って、第七章雑則にあった「記録の保存」は、今お話したような新しい指針の構成案では第八章、もともと第二章にあった「秘密の保護」、研究者等や倫理審査委員会の委員の責務に記載したため、こちらは削除の予定です。それから第三の「情報の公開」は第一章、第五の「適用除外」は第一章、残った部分をこちらのほうに記載しています。

 第六章から第八章について、基本的な部分は統合指針の内容を適用していただき、本指針の特有な部分についてはこちらの規定を適用していただくような整理にしたいと考えています。以上です。

○山口委員長 

ありがとうございます。これまでずっと議論してきましたことを踏まえて、指針の総則の構成をこのように。

○中山研究企画官 

1 つ付け加えさせていただきますと、一応、この遺伝子治療臨床研究に関する指針と、あと統合指針というのがあって、統合指針というのは全体に係るものなので、そういう全体に係るものについて、ここで繰り返してまた書くのかとか、全く重複する所は統合指針に従うということでこちらからは除くかとか、いずれにしても係ることは間違いないのですが、そこの整理というのは最終的にはしたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

○山口委員長 

分かりました。ありがとうございます。統合指針との関係は、今、事務局に説明いただいたとおりです。先ほど申したように、全体の構成をこのように議論を踏まえて整理していただきました。前後に行ったり、例えば記録の保管などをより明確な形にしていただいていると思います。これを受けて下の細則等を決めていくことになると思うのですが、何か御意見等ありますか。

○中村委員 

すみません、内容ではなくて形式の話なのですが、2点です。そういう意味では、一番最後にしようかなと思ったのですが、どなたからも出ないので。まず、名称を今の「遺伝子治療臨床研究」という言葉は、なるほどそういうのがあるのかなとピンときますが、そこに「等」が入ると何かちょっと日本語として変な感じがして、やはり、「遺伝子治療研究等の臨床研究に関する」ではないのかなという気がしています。

○山口委員長 

遺伝子治療臨床研究等で、臨床の。

○中村委員 

ああそうですか、両方、臨床研究等ですか。それだったらまだ。

○山口委員長 

そうですね。

○中村委員 

ここに「等」が入るのはちょっと「えっ」という感じがするので、御検討ください。

○山口委員長 

ああそうですか、遺伝子治療以外もいっぱい入ってくるという、そういうニュアンスになってしまう。

○中村委員 

いや、日本語の問題として。

○山口委員長 

そうですか、臨床研究が「等」であるということですか。

○中村委員 

遺伝子治療臨床研究等ですか。予防が入るとすれば。ちょっとなかなか難しい。

○中山研究企画官 

役所の一定の何かこう、そういう記載の仕方というのもあって、一応、これはそういう役所でも法令系の人とも若干相談しながら書いたつもりなのですが、ちょっとそこは検討させていただきたいと思います。

○山口委員長 

何か、意図として入るのが遺伝子治療と予防の、遺伝子治療的なベクターを使ってその予防に入るものも含めて、それを入れたときにどういう記載が最適なのか。これは多分、法令用語に最後きちんとチェックが入るという所になるのですか。

○中山研究企画官 

はい、そのとおりです。中村先生の御意見も踏まえて検討したいと思います。

○中村委員 

趣旨はよく分かりますし、あくまでも日本語の語感の問題だけなので、法律用語はこうだということであれば、それはそれでそちらの方言に従わざるを得ないと思います。

 もう1つは、これは統合指針のときにもちょっと私は言ったのですが、今の構成案の所で、それぞれの章で第一から順番になっていますが、これは、例えば法律とか契約書は第何条という形で出てきていると。これは、実は、法学関係の研究者から指摘されたのですが、要するに、第何条ということで、一条から後ろまで続けて書くことによってどこの部分かがお互いに明確になるようにということで、それはそれまでの知恵であるという話だったのです。統合指針も、今日の参考資料1に草案がありますが、ここでもそういうのをどうかという話をしたのですが、何条というのは法律だからということで、そういう意味では、この統合指針のほうでは第一、第二というのが、要するに法律でいうところの「条」に該当するのかなと。そういう意味ではこれは通し番号になっています、章を超えて。今のような形ですと、第一章の第何に基づいてみたいな話になって非常に分かりにくいので、ここの所は統合指針のように通し番号のほうがいいのではないかと思っていますので、御検討をお願いします。

○中山研究企画官 

基本的にその方向で整理したいと思います。ありがとうございます。

○山口委員長 

それ以外に、もしよろしければ、全体の構成としては多分御異論がないような気がしますが、この構成の形で進めていただければと思います。この構成の上に下のほうのを詰めていくことになるかと思います。ありがとうございました。

 それでは、続いて、資料3について御説明をお願いします。資料3については、各章ごとに少しずつ分けて議論したほうがいいかと思っています。

○許斐課長補佐 

では、資料3を御覧ください。「遺伝子治療臨床研究に関する指針の見直し案の各章のポイント」について、項目が多いのでいくつかに分けて御説明します。これまでに御検討いただいた事項に該当する項目のみを記載しています。

 まず、第一章の総則の部分です。これまでの議論のまとめを○印で、指針での記載方法を三角のような形の印で示しています。第一章第二の定義の部分ですが、検討事項1の「遺伝子治療の定義及び適用範囲について」が対応しています。

 まとめです。治療だけでなく、予防(いわゆる一次予防)も適用範囲に含め、その際、遺伝子治療等とはヒトへの遺伝子導入により疾病の治療や予防であることを明記してはどうかとあったので、指針内に新たに予防を含めて規定しました。現行の指針は第二の定義の所で、このカラムの中の左部分ですが、「この指針において『遺伝子治療』とは、疾病の治療を目的として遺伝子又は遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与すること」となっていましたが、見直し案では、「この指針において『遺伝子治療等』とは、疾病の治療や予防を目的として遺伝子又は遺伝子を導入した細胞を人の体内に投与すること」としました。

 検討事項7「多施設共同研究について」に対応する部分です。

 まとめでは、多施設共同研究といった複数の研究機関で共同研究を行う場合、共同研究(全体)に係る業務を総括する者について、新たに定義を設ける方向で検討する。この場合、現在見直し中の「疫学及び臨床研究に関する倫理指針」(以下、「統合指針」という)との整合性を図ることとするとしたので、こちらのほうでは、ヒト幹細胞を用いる臨床研究に関する指針(以下、「ヒト幹指針」という)の第1章第2、用語の定義等の規定と同様に、共同研究(全体)に係る業務を総括する者について、総括責任者と定義しました。現行指針では定義はありませんでしたが、見直し案では定義として、「この指針において『総括責任者』とは、複数の機関で実施する遺伝子治療等臨床研究において、研究者及び研究責任者に必要な指示を行うほか、当該研究に係る業務を総括する研究責任者をいう」としました。

 検討事項13、「人権の保護に関する事項について」に対応する部分です。

 まとめでは、疫学及び臨床研究に関する指針の見直しに合わせて、新たにいわゆるインフォームド・アセントを用語として定義し、指針内に記載することとするとなりましたので、先ほど御議論をいただいた部分ですが、統合指針、こちらは草案第1章第3、用語の定義と同様、インフォームド・アセントを用語として定義と。インフォームド・アセントの具体的な手続については、こちらの指針では第二章第二、インフォームド・コンセントの中に規定としました。現行指針には定義はありませんが、見直し案では、定義として「この指針において『インフォームド・アセント』とは、インフォームド・コンセントを与える能力がない被験者が、実施又は継続されようとする研究に関して、その理解力に応じた分かりやすい言葉で説明を受け、当該研究を実施又は継続の決定を理解し、賛意を表することをいう」としています。

 第三、適用範囲に関する検討事項として、検討事項1の「遺伝子治療の定義及び適用範囲について」の2つ目があります。

 まとめです。自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスによる治療は現行の遺伝子治療臨床研究に関する指針の対象には含まれない。一方で、国による評価を行うべきとの観点もあるため、当該ウイルスを用いた臨床研究は本指針の対象には含まれないが、各施設のIRB等の要請により、国において当該臨床研究の安全性等の評価ができることにしてはどうかというまとめに対応して、自然変異型の腫瘍溶解性ウイルスによる治療については指針の対象には含まれないが、その取扱いについては通知等で下記のごとく記載予定ですとしていて、その内容は今と同様に考えています。「自然変異型腫瘍溶解性ウイルスを用いた臨床研究は本指針の対象には含まれないが、各施設の倫理審査委員会の意見も踏まえ、研究機関の長からの要請により、国において当該臨床研究の安全性等の評価を行うことは可能である」としました。

 検討事項3、「iPS細胞を用いた臨床研究の取扱いについて」です。

 まとめです。iPS細胞だけでなく、遺伝子導入を行ったヒト幹細胞を用いた臨床研究については、特定認定再生医療等委員会で審査することとし、遺伝子治療の専門家が審査委員として加わることを明確化するよう調整することに対して、こちらは現在省内にて調整中です。

 第四の対象疾患です。ここは、検討事項2の「対象疾患について」に対応します。

 要件1について、重篤な遺伝性疾患、がん、後天性免疫不全症候群その他の生命を脅かす疾患又は身体の機能を著しく損なう疾患であることとなっていますが、慢性疾患への対応等も考慮して疾患を限定する必要はないのではないかということでしたので、要件1は今回削除しました。要件2については、遺伝子治療臨床研究による治療効果が、現在可能な他の方法と比較して、これまでは優れている必要がありましたが、今回、同等以上であることが十分に予測されるものであることとしてはどうかとしたので、議論のまとめのとおりに変更して規定しています。要件3については、治療については被験者にとって遺伝子治療臨床研究により得られる利益が、不利益を上回ることが十分予測されるものであること、また、予防については利益が不利益を大きく上回ることが十分予測されるものであることとしてはどうかとあったので、議論のまとめのとおり変更して規定しています。

 内容については今お話したとおりなので、カラムの中は省略します。

 第五の有効性及び安全性の確保と第六の品質等の確認です。ここは、検討事項4「ベクターの品質・安全性に関する基準について」、5「臨床研究と治験の整合性について」、6「海外の規制との整合性について」に対応しています。

 まとめです。遺伝子治療臨床研究に関する指針の品質・安全性に関する基準については、臨床研究の質を担保できるよう、遺伝子治療用医薬品の指針の見直しと合わせて当該指針における基準と同程度に定めることとする。海外の規制とも整合性を図り、国際共同研究を推進していくために必要と考えられる事項については海外の規制と齟齬のないよう、留意しながら作成するとしましたが、現行指針の第四、有効性及び安全性、第五、品質等の確認については見直し案でも変更せずに規定して、具体的な項目等についてはサブグループにて現在検討中で、その項目等については、第四章第二、研究計画の記載事項に規定する予定です。

 第十、情報の公開です。こちらは、検討事項10「情報の公開について」に対応しています。

 まとめです。遺伝子治療臨床研究は侵襲性を要する介入研究であり、その情報の公開については臨床研究に関する倫理指針の規定に沿って、これまでと同様に登録することとなるが、遺伝子治療臨床研究に関する指針においても情報公開の規定を明記するとしており、見直し案では、現行指針の第七章雑則から第一章総則に移動し、ヒト幹指針第1章第66の規定と同様に情報の公開について明確化と。なお、こちらの見直し案の第四章第一、研究の開始の手続において、公開すべきデータベース等については規定する予定です。

 現行指針では、第三、情報の公開については、実施施設の長は、計画又は実施している遺伝子治療臨床研究に関する情報の適切かつ正確な公開に努めるものとなっていますが、見直し案では、情報の公開として、「遺伝子治療等臨床研究は、第四章第一の六に規定されるデータベースに登録され、その情報は適切かつ正確に公開されなければならない」としています。以上です。

○山口委員長 

ありがとうございました。第一章総則の所についてかなり詳しく御説明いただきました。それでは、それぞれの項目ごとに少し議論をいただければと思います。

 まず、第二の定義の所で、検討事項1を反映していただき、今回、遺伝子治療臨床研究の指針に改めて含めるものとして「予防」を入れていただきました。これについて、追加等の御意見はありますか。そこに書いてあるように、見直しの定義の所の部分に、「治療や予防」という言葉を入れていただきました。これについては、かなり議論が尽くされてきているかと思いますので、このままで進めさせていただければと思います。よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし)

○山口委員長 

ありがとうございます。続いて、検討事項7の「多施設共同研究について」。今回、新たに共同研究全体を総括する者の総括責任者を定義する予定ですが、これについては、資料31ページの所の括弧の中に規定されている研究総括者の規定として必要な指導を行う、あるいは業務を総括するという、こういう権限というか、そういう機能をもたせている記載になっています。これについて何か御意見ありますか。研究者は今までいなくて、臨床研究の審査のときでも、いかに統一した総括責任者を置くかという議論があったところです。これは、新たに明確にそういう機能を付与した総括責任者を置くことになります。よろしいでしょうか。

 次に、検討事項1の遺伝子治療の定義及び適用範囲について。これまで、自然変異型、あるいは自然に弱同化した腫瘍溶解性ウイルスについては遺伝子治療に含めていなかったのですが、安全性の観点から、遺伝子治療の中で議論するべきという御意見がありました。ただし、海外でもこれは遺伝子治療に含めていないところがあります。そういうことから踏まえて、定義としては遺伝子治療とはしないのですが、各IRBの要請に応じて、遺伝子治療の審査会の所で評価をすることにさせていただいています。これについてはいかがですか。よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし)

○山口委員長 

はい。よろしければそういう形にさせていただければと思います。

 次に、検討事項3iPS細胞を用いた臨床研究の取扱いについてです。これについては、再生医療新法のほうで規定されることになります。これは関係部局で調整していただくことでよいかと思いますが、何か御意見、追加の付帯事項等がありましたらお願いします。多分、もう制度的にはそのように、再生医療新法のほうに係ることになるのですが、御懸念があるのは審査体制のほうかと思うので、この辺は事務局に、その適切な審査体制ができるような形を要望することかと思いますが、よろしいでしょうか。

○中山研究企画官 

現在、研究開発振興課が担当ですが、同様の審査がしっかりできるようにと調整はしていますので、その結果については、また次回になるかもしれませんが、御報告はさせていただきたいと思います。

○山口委員長 

ありがとうございます。よろしいでしょうか。はい。

 次は、第四の対象疾患です。ここは、検討事項2に対応しています。

 まとめでは、現行の指針の要件1については、今回新たな指針から削除する。要件2の治療効果については、今までは「より以上の」という言葉が入っていたのですが、「優れている」という記載ぶりから「同等以上」でいいのではないかと、世界的な遺伝子治療の動向、安全性の確保がかなりできてきていることも踏まえて、同等以上でいいのではないかと。第三の要件3の利益、不利益に関しては、治療については利益が不利益を上回ることが十分予測されるということですが、今回、新たに加わる予防については、利益が不利益を大きく上回ると予測されると。要するに、健常人に予防の場合には投与されることからそういう記載にしてはいかがかと整理していただきました。御意見等がありますか。

 再生医療などでは非常によく比較されるのですが、遺伝子治療は予防ということが結構遺伝子治療ベクターを使うようなものであるということで、その辺がちょっと大きく違う所かなと思います。もしよろしければ。

○中村委員 

これも内容については全くこのままで結構だと思いますが、やはり、日本語の問題なのですが。4ページの新しい2番の下線の部分です。冒頭の所、「当該研究が予防の場合には」というのは、この言い方だと研究イコール予防となっていて、何となく釈然としないのです。「当該研究が予防に関する場合は」とか、そういうものなのかなという気がしたので、ちょっと御検討をください。

○山口委員長 

予防を目的としたというふうに。

○中村委員 

でも構わないと思います。

○山口委員長 

そうですか。

○中山研究企画官 

検討します。

○山口委員長 

最終的には事務局のほうで検討いただければと思います。ありがとうございます。

 次は、第五、有効性及び安全性の確保と第六、品質等の確認についてです。ここでは、検討事項456を反映するところですが、細かい基準などは第四章第二の研究計画の記載事項に規定していただき、本省では現行の指針の内容を変更せずに記載することとなっています。サブグループですと、詳細についてはまた検討していただくとなっていますが、これについてはいかがですか。よろしければ、はい。

 次に、情報の公開についてです。情報の公開については、現行指針の第七章雑則から、新たな指針では第一章の総則に移動して、ヒト幹指針と同様の規定をする予定です。これについてはいかがでしょうか。多分、大きな問題点はないと思うのですが。より明確に上位のほうに移していることかと思います。

○中山研究企画官 

いいです。

○山口委員長 

分かりました。では、今まで事務局に説明していただいた所までについてはそのようにさせていただきます。

 次に、第二章、第三章についての説明を事務局からお願いします。

○許斐課長補佐 

続きまして、第二章、被験者の人権保護です。第二のインフォームド・コンセントには、検討項目13「人権保護に関する事項について」の部分が対応しております。先ほど第1章で定義した、インフォームド・アセントの手続について、統合指針草案の第五章第132、インフォームド・アセントを得る場合の手続等と同様に、ここで規定予定です。現行指針には規定はないですが、見直し案としましては、インフォームド・アセントを得る場合の手続等として、研究者等は、代諾者からインフォームド・コンセントを受けた場合であって、被験者、括弧の中は被験者が未成年で義務教育の課程を修了しており、又は16歳以上で、かつ、研究を実施されることに関して十分な判断能力を有すると判断される場合を除いて、研究を実施されることの決定に自ら意向を表することができると判断されるときは、インフォームド・アセントを得るよう努めなければならない。研究責任者は、1)の規定によるインフォームド・アセントを得ることが予測される研究を実施しようとする場合には、あらかじめ被験者への説明事項及び説明方法を研究計画書に記載しなければならない。

3)研究者等は、1)の規定によるインフォームド・アセントについて、被験者が研究を実施されることに不同意の意思を表した場合には、その意思を尊重するよう努めなければなない。ただし、当該研究を実施されることにより被験者に直接の健康上の利益が期待され、かつ、代諾者が当該研究の実施に同意するときはこの限りではないと。統合指針草案をこちらに規定するというものです。

 続きまして、第三章、研究及び審査の体制等についてです。第二の研究責任者のところですが、検討事項14、「その他 研究終了後の追跡調査等について」が対応しています。こちらは先ほどのまとめの所に相当しますが、遺伝子治療臨床研究終了後においても、安全性及び有効性の確保の観点から、治療による効果及び副作用について、適当な期間の追跡調査、その他の必要な措置を講ずるよう、FDAEMAの規定及び再生医療等の安全性の確保等の法律等とも整合性を図りながら規定する。この際、用いるベクターの種類によるリスクの違いについても配慮することとしましたので、こちらについては、ヒト幹指針第2章第13、研究責任者の責務と同様に規定予定です。現行の指針には規定はありませんが、見直し案としましては、第二、研究責任者の責務なのですが、研究責任者は研究終了後においても、安全性及び有効性の確保の観点から、治療による効果及び副作用について適当な期間の追跡調査その他の必要な措置を講ずるように努めなければなならい。また、その結果については、所属する研究機関の長及び総括責任者に報告しなければならないとしています。用いるべきベクターの種類によるリスクの違いを配慮して、通知などでは具体的な年数を記載できるものは記載するというようなことも考えています。

 第四、研究機関の長については、検討事項9「実施施設から厚生労働大臣への各種報告について」に対応しています。まとめで、遺伝子治療臨床研究の質及び安全性の担保のために、研究機関の長は研究責任者から定期的に報告を受け、必要に応じ、厚生労働大臣に報告することとするが、他の指針との整合性も図ることとするとしましたので、こちらでは、研究機関の長の責務として、研究責任者より進行状況についてはヒト幹指針の規定と同様に、少なくとも年1回報告を受け、必要に応じ、厚生労働大臣に報告することを規定予定です。見直し案としては、研究の進行状況については、少なくとも年1回、また結果について、研究責任者又は倫理審査委員会から報告又は意見を受け、必要に応じ、研究責任者に対し、その留意事項、改善事項等に関して指示を与えるとともに、厚生労働大臣に対し報告を行わなければならないとしております。

 また、まとめで、同様に、重大な事態等について、他の指針等との整合性を図りつつ速やかに厚生労働大臣に報告することといたしましたので、文言を整理しまして、今回の見直しの法の指針では、重篤な有害事象が発生した場合や、研究の実施に影響を及ぼすおそれがある情報について報告された場合には、現行の指針と同様、速やかに厚生労働大臣に報告。また、統合指針草案第2章第64、大臣への報告等と整合する。現状では審査の過程で、研究計画書に72時間以内に第一報を行うよう記載されておりますが、報告期限については、他の指針等と整合としました。

 見直し案のところですが、研究機関の長は、研究の実施に際して、重篤な有害事象が発生した場合や、研究の実施に影響を及ぼすおそれがある情報について報告された場合には、手順書に従って速やかに厚生労働大臣に報告するとともに、速やかに必要な対応を行うとともに、倫理審査委員会に意見を聴き、必要な措置を講じなければならない。

 再生医療新法の方向性ですが、こちらはまだ案ですが、参考の所には、医療機関からの有害事象報告の概要として、7日以内に報告するものですとか、次のページのように15日以内に報告する事項があるという状況です。

 続きまして第五、倫理審査委員会について、検討事項8、「審査について」の対応部分です。まとめでは、倫理審査委員会の質を担保するため、委員の教育・研修については委員の負担も考慮して、他の指針と整合性を図りながら規定することとしましたので、こちらの指針のほうでは統合指針草案第4章第102、倫理審査委員会の設置者等や、第4章第11倫理審査委員会の役割・責務及び構成と同様に規定予定と考えています。現行指針では規定はありませんが、見直し案のほうでは、倫理審査委員会の設置者は、当該倫理審査委員会の委員及びその業務に従事する者が審査及び関連する業務に関する教育・研修を受けることを確保するため必要な措置を講じなければならないということ。倫理審査委員会の委員及びその業務に従事する者は、初めて審査及び関連する業務に従事する場合には、あらかじめ倫理的観点及び科学的観点からの審査等に必要な知識を習得するための教育・研修を受けなければならない。また、継続して適宜教育・研修を受けなければならないとしています。以上です。

○山口委員長 

項目ごとに分けて議論をさせていただきたいと思います。まず、第2章の被験者の人権保護ですが、インフォームド・コンセントの所で、先ほど定義しました、インフォームド・アセントについて、その実際の手続について規定する予定です。この内容については、統合指針の第5132にインフォームド・アセントを得る場合の手続と同様に規定することになっていますが、これについて見直し案に書いていただいたような形で記載してはどうかと提案いただいております。これについてはいかがですか。

○今村委員 

インフォームド・アセントというのは、まだ社会的に十分認知された用語ではないというように思います。そういうこともあり、欧米では一般的に未成年者を指すけれども、この指針においてはそれに加えて、いわゆる社会的弱者を加えると定義しています。こちらの定義は妥当だなと思います。このインフォームド・アセントというものをできるだけ日本の定義に近付けるようにというか、そういうような努力も日本の当局並びに関係者、日本医師会も例えば世界医師会を通じてそういうものを主張していくということですが、インフォームド・アセントを、このような基準に従って国際標準にしていただきたいと思います。

○山口委員長 

ありがとうございます。そのとおりかと思いますが、多分これはいろいろな形で。ほかの統合指針のほうでもやられることだろうと思うのですが、アセントという言葉を社会的に認知していただくというところが一番重要かなという御意見だったと思います。ほかにございますでしょうか。ないようですので、このとおりだと思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に第三章第二の「研究責任者」の所では、検討事項14「その他 研究終了後の追跡調査等について」に対応する部分となります。先ほどの検討事項の部分でも御意見を頂きましたが、基本的には追跡調査については適当な期間行うとして、用いるベクターの種類によってリスクも配慮しながら、海外の規制当局との整合性も図る。また、再生医療等新法との整合性についても図って規制するとしています。これについてはいかがでしょうか。

 先ほど議論しましたように、それぞれの実際の設定すべき追跡調査の期間は審査の中で決定していくことになろうかと思います。よろしければ次にいきます。

 続きまして、「研究機関の長」のところですが、検討事項は、「実施施設から厚生労働大臣への各種報告について」に関してですが、現行指針では、研究の進捗状況について、研究機関の長が研究責任者や倫理委員会からの報告を受ける頻度についての規定がありません。今回については、少なくとも年1回報告を受けるという規定にしておりますが、これについてはいかがでしょうか。多分、頻度としてはそのぐらいが妥当なところだと思うのですが。特に御異論なければ、これはそのままの形にさせていただければと思います。

 次に、重大な事態についての厚生労働大臣への報告ですが、これについては文言を「重篤な有害事象」と変えていただいています。現行の指針と同様、速やかに報告することとしておりますが、具体的な報告期限については、再生医療新法等の整合をさせるためとしています。再生医療等新法の医療機関からの有害事象の報告の概要というのが、9ページの下のほうに、まだ最終決定ではないのですが、このような検討がなされているということです。この点について何か御意見等ございますでしょうか。

 ちょっと私のほうから。死亡などは前は3日以内になっていたのが7日以内に変えようとしていると。この辺の議論というのは何かあるのでしょうか。

○許斐課長補佐 

細かな議論の内容について、担当は原発課なので一応確認はしてみたいと思います。現状では詳しいことはこちらでは把握しておりません。

○谷委員長代理 

別件ですが、「重篤な有害事象等の報告」については記載されていますが、全体の研究が終了した際の、例えばフォローアップ期間も含めて、報告する旨を明確にしておいたほうがよろしいのではないでしょうか。研究終了の際のみならず、フォローアップ終了後も総括責任者から研究機関の長へ、そしてその研究機関の長から厚生労働大臣への報告義務を入れるべきだと思うのですが。

○山口委員長 

研究終了時の報告については、今出されることになっているという理解でしょうか。

○松倉バイオテクノロジー専門官 

そのとおりです。

○山口委員長 

谷先生が御質問になった意味は、15年のフォローアップの所、研究そのものはその前に終了するわけです。そのあとフォローアップをして、例えば15年でフォローアップを終了したときというのは、研究終了とはちょっと時間軸がずれているというか、そういうところが気になるところかなと思います。

○谷委員長代理 

例えば文書保管に関しても、どの段階で必要ないと判断すべきか等、保管などの義務も、明確に示しておいた方が良いと思います。

○許斐課長補佐 

今おっしゃっているのは、研究自体は終了して、そのあと経過観察をして、一定の記録等も保存しながら経過観察した場合においての、その最後の所の報告をするかどうかという御意見でございましょうか。

○谷委員長代理 

そういうことです。

○中山研究企画官 

恐らく少なくとも何年はしっかり保存しなければいけないという規定になると思いますので、そこはそれ以上可能な限り保存なり経過観察をするということはできればするということだと思うので、そこは終了しましたという報告というのは受ける形にはしないのだと思います。

○山口委員長 

あるいは、ユーミンとかそういう所に登録していれば、最終的にそこに書き込んでいただくというのも、そこは無理なのですかね。

○中山研究企画官 

研究自体が終わったということはそうかもしれませんが、記録とか計画のこと自体は違うのではないかと思います。

○山口委員長 

例えば15年として、15年間何も有害事象が発生しなかったというような情報かなとちょっと思ったのですが、どのぐらいの期間観察をして、挿入変異がなかったのかというのは。これは逆にいうと、挿入変異があるウイルスベクター、特に懸念されるところで、努力義務というか、義務化すると何となくそぐわないような気がするのですが、そういう所に情報提供していただくというのは、今後の安全性確保の上で非常に有用かなという気がしたのですが。

○谷委員長代理 

その点に関してはどのようにお考えになるかだと思うのですが。

○中山研究企画官 

当然のことながら、何かあれば報告してもらうというのは当然の義務なので、それがないということは、基本的なそれがなかったという、結果報告をしているという形を取るということかと思います。

○谷委員長代理 

消極的な報告なのか、それとも積極的な報告なのかということだろうと思います。

○中山研究企画官 

何かあれば積極的にしっかり、それは義務として報告してもらわなければいけないと思います。

○谷委員長代理 

何もなかったという報告も重要であり、ある意味では積極的な報告として考えられますし、そこをどのように扱うかということだろうと思います。

○山口委員長 

多分それは、もう1つは、再生医療新法等でも多分記録の保存や検体の保管とかそういうのもありますし、その辺もどのように廃棄するかという。多分廃棄の話も含めてだろうと思うので、それを整合させていただくのがいいのかなと思います。

○中山研究企画官 

1つあるのは、全くないことを報告するということは、非常に難しいところもあるだろうと思います。ただ、ほかの考え方とも整合させてやりたいと思います。

○山口委員長 

ありがとうございます。ほかにございますか。

○伊藤委員 

何か今の話を聞いていてよく分からないのですが、一般国民のほうからは積極的に情報を取るということは余りないと思うので、谷先生がおっしゃったように、一定の年限が来て、そういうことがなかったなら、なかったという報告をきちんとするということは、安全性確保と信頼性においてすごく大事なのではないかと今のお話を聞いていて思いました。何もなかったからなかったのだろうというのだったら、そんな規制しなくてもいいことになるわけですし、何か腑に落ちないという気がしています。

○中山研究企画官 

分かりました。検討させていただきたいと思います。

○山口委員長 

ありがとうございます。

 最後に倫理審査委員会の所ですが、検討事項の8の「審査について」に対応する部分です。倫理委員会の質の担保ということで、倫理委員会の委員、あるいは事務をされる方への教育についての記載をしていただいています。これについて御意見等はございますでしょうか。

○那須委員 

内容ではなくて、今まで審査委員会という名称だったのが、今回初めて倫理審査委員会という名称になったということで、以前、島田先生と見直しをやったときも、あえて施設内審査委員会という名称にして、国の二段階審査とあえて分けていたということで、実際運用の現場でこの審査委員会という名称が指針にあったものですから、なぜか学内でも、遺伝子治療のものだけ倫理審査というのを倫理を外して審査委員会と。現場ではどうして倫理ではないのですかというようなことで、いや指針に書いてあるからというようなことで少し現場で。ただ、私、国の審査をさせていただいていると、どうも大学によっては倫理審査というような名称を付けている所もありまして、今回、こういう意味では倫理を付けたというのは妥当かと思いました。

○山口委員長 

ありがとうございました。

○伊藤委員 

余り詳しく分からないので、特にこの内容や文言ということでどうということではなくて、この間いろいろ考えていて、倫理審査委員会、特に倫理というものが付いている中で、どういう形で選んで、どういう人が就任するのだろうかということをいろいろ考えると、専門の方々、法律にしろ、技術にしろ、そういう方々はいいとしても、第三者性を担保する倫理審査委員会でなければ、本来の目的を果たせないわけです。ただ、そういう人をどうやって捜すかといっても、結局、研究者の方々が知っている方から捜すしかないと。厚生労働省のほうでやるのは別だとして、一般的にはなかなか捜せない。結局、みんな身内でやることになってしまうわけです。それが悪いとは言わないのですが、そこから初めて教育・研修を受けるわけです。それからまた仕事に入っていくと、ものすごく時間もかかりますし、負担も大きいわけですし、やはり審査委員のばらつきというものも、どうしても起きてくると思うのです。今ここに何かを入れろという話ではないのですが、私は、やはり今後こういう研究がどんどん盛んになっていくとすれば、一定程度の専門性を持った、倫理審査ということでの専門性を持った集団というのを、どこかが教育・研修して、ストックしておいて、そこから要望があったら派遣するという仕組みをもう少し見えやすい形で、行われなければならないのではないか。

 例えばそれが研究機関に直結したり、行政と直結しているのであれば、それは余り第三者性を確保できないわけですから、例えば法律の専門家集団であり、勝手に名前を出してしまって悪いのですが、日弁連みたいな所とか、あるいは日本医師会というような所が、あらかじめ将来の需要に備えて集団で研修、教育をした人を抱えておいて、要請があればそこに派遣していくという、プロフェッションなグループというのがこれから必要になるのではないかという気がしています。特に患者の側から見れば、倫理審査委員会があるというのは、1つの心の安らぎというか、そういうものになる可能性もある中で、誰がどこでどうしたか分からないと、付焼刃で教育・研修を受けたという人がいたって、それは信用できないというようなことになりかねませんので、何かの折り、倫理審査委員会の提供体制のあり方のようなことも、どこかで御議論いただければと思います。

○山口委員長 

多分、2つの側面があるのかなと思います。国としてそういうものをどのように担保するのかというのを養成していく話と、各大学でどのような体制をもっていくか、そのために実際に研究専門家だけではなくて、外部委員というのは多分法律の専門家、倫理の専門家、それと一般的な目線の方々がいらっしゃるのだろうと思うのですが、その辺について。

○中村委員 

今の伊藤委員の御指摘のとおりだと私も思っています。施設内倫理審査委員会というのは、かなり無理がきているのではなかろうか。1つは第三者性ということがありますが、この点については専門知識を持った人間が必要だということで、ある程度仕方がないのかなという気がします。ただ、現実問題としては、委員に負担がかかっていてどうしようもない。そういう意味では、例えば都道府県単位で審査を専門に行う組織を作って、専任の審査委員をそこに設置して、この都道府県内の全ての研究については、そこで審査をしてお返しするというようなこともどうかなということは、裏のほうでは話をしています。ただ、そのためにはお金が随分かかるのと、実際そういうことをする人間がいるのかという問題も現実問題としてあります。

 しかしながら、そういう方向で検討していかないと、今のままでは破綻するなと思っているのは、これは見直しの方向性としては委員の負担も考慮してというのはあるのですが、これは私がずっと言い続けているのですが、特に学内委員は何もありません、ありませんとはどういうことかというと、完全な持ち出しといいますか、手当もなければ何もない、ボランティアです。こんなところで愚痴をこぼしても申し訳ないのですが、今月のうちの大学の疫学倫理審査委員会の後、各申請者に対して報告書を作るわけです。一応原案を作るのは委員長の仕事なので、3時間ぐらいかけて書いていたのですが、だんだん腹が立ってきまして、何でこんなことをしなければいけないのか。実はその後に、私の研究でもっと手間がかかるのがあるのです。それはこれでもやることによって研究費を頂いて、少しは財政的な、研究の役に立つからこれはしょうがないよねと。倫理審査委員会の仕事って何なのかと。私の研究には全然関係ないではないかというようなことでだんだん腹が立ってきたのですけれども、そういう形でかなり。ここの文言についてはしょうがないと。これでないと世間は許してくれないだろうなと思うけれども、ただで、ボランティアでそんなのをやる人は現実問題としていませんよという話だと思います。そういう意味では、将来的な方向性としては、繰り返しになりますが、都道府県単位で、専門的な倫理審査を行う外部組織を作るといった方向性に向かわないと、これは破綻するなと思っています。

○山口委員長 

多分これ、いまおっしゃったのは、都道府県単位の中央審査とかいう話かと思います。

○中村委員 

遺伝子治療だけではなくて、ほかの倫理審査も全部含めての話だと思います。

○小野寺委員 

私も本当にそう思います。通常、各大学には臨床研究のための倫理審査委員会があり、遺伝子治療を行っていれば遺伝子治療のための委員会があり、再生とか幹細胞の臨床研究を行っていればヒト幹細胞のための委員会がありと、一つの大学に委員会が3つも4つもあり、それを重複していろいろな先生が担当しているわけです。今、学内の遺伝子治療委員会で一番問題となるのは、専門性の問題で、新規ベクター等が出てきた場合論議が非常に難しくなってしまうということがあります。逆な言い方をすれば、先に特殊性を論議し、それを各大学のIRBに戻したほうが審議はしやすくなるし、各大学も1つの倫理委員会で済んでしまう気がします。ただ、その代わり、中央の作業委員会のほうが非常に忙しくなるとは思うのですが、そういったことをしないと、今後、専門性に関する教育・研修に関する体制を各大学等に作るのは困難でしょうし、中央審査の導入は1つの提案かなと思っています。

○山口委員長 

多分、ここの議論を超えた議論になっているような気がいたします。この辺については事務局で参考にしていただいて、もし何かそういう機会がありましたら、関係部局に御提案をいただけると有り難いなという気がいたします。

○中山研究企画官 

はい、そういたします。

○山口委員長 

よろしいでしょうか。それでは、倫理委員会の審査のところについてはこの記載ということで、幾つか出た御意見につきましては、関係部局のほうに御提案、あるいは要望を出していただければと思います。ありがとうございました。

 次に4章、5章についてです。事務局から御説明いただけますでしょうか。

○許斐課長補佐 

次に第4章研究実施の手続です。第一、研究の開始の手続。検討項目10、先ほどの情報公開については対応しております。第一章の総則の所で簡単に情報の公開について記載した後に、こちらのほうで公開すべきデータベース、研究の進捗状況や結果についての登録を、統合指針草案第3章第9、研究に関する登録・公表と同様に規定する予定です。現行の指針では、研究の開始の手続の所に、この公開の概要についての規定はありませんが、今回の見直し案では、研究の開始の手続として、研究の概要等の登録ということで、こちらにお示しした文章ですが、研究責任者(共同研究の場合は、総括責任者又は研究責任者)は、臨床研究について、当該研究の実施に先立って大臣の指定する公開データベースに、当該研究の概要を登録し、研究計画の変更及び研究の進捗に応じて適宜更新するとともに、研究結果を登録しなければならない。ただし、被験者の人権、知的財産権の保護のため非公開とすることが必要な事項、個人情報等の保護の問題により研究の実施に著しく支障が生じるものとして、倫理審査委員会の意見を受けて、研究機関の長が許可した事項については、この限りではないということを規定する予定です。

 第二、研究計画の記載事項に、先ほどの検討事項の4「ベクターの品質・安全性に関する基準について」、5「臨床研究と治験の整合性について」、6「海外の規制との整合性について」に対応しています。第1章の総則で、有効性及び安全性の確保、品質等の確保の規定がありましたが、ここでは研究計画の記載事項にサブグループでの検討の結果を踏まえ、遺伝子治療用医薬品の指針の見直しと合わせて、当該指針における基準ですとか、海外の規制との整合性を図る規制として、これについてサブグループで検討中です。検討している項目については参考資料2を御覧ください。本日は参考資料2について細かな議論をする予定はありません。現行指針では、研究の開始の手続の中に、1の研究実施計画書には次の事項を記載しなければならないとなっている中で、6に「遺伝子の種類及びその導入方法」、7に「安全性についての評価」という項目があります。見直し案では、今のところ同様に「研究計画書には次の事項を記載しなければならない」とし「遺伝子の種類及びその導入方法」「被験者に投与する最終産物の変質及び安全性についての評価」「非臨床試験」などの項目が挙がっています。

 次は、第五章、厚生労働大臣の意見等です。こちらは検討事項8「審査について」の8-2、遺伝子治療臨床研究の新規性の判断の要件の見直す必要性について対応しております。まとめでは、遺伝子の治療臨床研究の新規性の判断の要件は、現行の指針と同様に規定することとするといたしましたので、今回、現行の指針の要件から変更せずに記載予定です。以上です。

○山口委員長 

4 章の研究開始の手続の所ですが、ここでは検討事項10「情報の公開について」の対応部分として、第1章、第2章で情報の公開を受けてどのように具体化するかを書いております。実際、当該実施に当たっては、大臣の指定する公開データベースと、あるいは当該研究概要を登録するようなことを求めております。これにつきまして、御意見等ございますでしょうか。

○中村委員 

見直し案のただし書きのすぐあとなのですが、「被験者の人権、知的財産権の保護のため」とあるのですけれども、被験者のというのは人権までにしかかからないですよね。

○山口委員長 

そうですね。

○中村委員 

というか、この5章だとそこのところが明確ではないなという気がしたので。

○山口委員長 

そうすると、被験者の人権の保護及び研究における知的財産権の保護という2つが重なる。

○中村委員 

そういうふうにきちんと分ければ誤解は生じないと思いますが。

○山口委員長 

文章のほうは事務局のほうでと思うのですが。

○許斐課長補佐 

検討させていただきます。基本的に統合指針と横並びにする予定ですので、そちらのほうも併せて、もしも文言がずれているといけないので、確認等しながら、きちんとやりたいと思います。

○中村委員 

すみませんと申し上げるしかないな。

○山口委員長 

もしあれでしたら、そちらのほうでも御意見を頂けると有り難いなと思います。情報公開についてはよろしいでしょうか。ありがとうございます。では、そのようにさせていただければと思います。

 第二、研究計画の記載事項です。ここでは、ベクターの品質・安全性に関する基準、臨床研究と治験の整合性、海外規制当局との整合性についてに対応する部分で、具体的にはそのグループで今検討させていただいていますが、遺伝子治療用医薬品の指針の見直しに合わせて、当該指針における基準や海外の規制とも整合性を図った上での規定とさせていただいております。これにつきましては、参考資料の2を御覧ください。これはまだ最終的な形ではなくて、このような議論をしているということで、これに基づいて、各先生方から意見を様々頂いています。メールベースで今議論をしています。これについて1枚目と2枚目は評価項目、これを最初にフィックスする形で、その後のほうの *の入っている所が具体的な実施項目です。全体を合わせてサブグループで議論をしておりますが、まだサブグループの検討が終了しておりませんので、具体的内容についてはまとまり次第、これを具体的な内容として、皆様の前にお示しをして、議論をさせていただければと思います。

 内容につきましては、全体を通して御意見等はありますでしょうか。よろしいでしょうか。特にございませんでしたら、まだこれはフィックスしたものではなくて、検討中のものですので、検討が終わり次第、こちらに提出させていただきますので、そこでもう一度議論させていただくことになると思いますので、よろしくお願いいたします。

 次に、新規制の判断の問題で、第一厚生労働大臣の意見書、検討事項8「審査について」で、遺伝子治療臨床研究の新規性の判断の要件について、実際の運用としては、ケースバイケースで判断し、基本的なところは、新規のベクターとかそういうものは新規性ありなのですが、今まで使われたベクターで、対象疾患が変わる場合、その都度、作業委員会で検討している。それで新規制を判断している。こういう運用状況を見た上で、ここについては改正する必要はないのではないかとまとめていただいております。よろしいでしょうか。では、その点についてはこのままとさせていただければと思います。

 では、第六章から第八章までを説明してください。

○許斐課長補佐 

第六章、個人情報等では、検討事項12、「個人情報の保護に関する措置について」が対応部分です。こちらは、先ほどまとめていただきましたように、遺伝子治療臨床研究は臨床研究の1分野であるので、個人情報の保護に関する措置についての規定は、今後統合予定である疫学及び臨床研究に関する倫理指針で規定される事項に準ずることとするとし、統合指針草案第六章、個人情報等の部分を適用したいと考えております。

 第七章は、重篤な有害事象への対応です。ここは新たな章ですが、検討事項9「実施施設から厚生労働大臣への各種報告について」に対応し、まとめとして、重大な事態等については、他の指針との整合性を図りつつ、速やかに厚生労働大臣に報告することといたしました。ここでは、統合指針草案第7章、重篤な有害事象への対応を適用する予定ですが、そちらの上乗せ部分として、本指針では研究に関連する重篤な有害事象が発生した場合には、研究機関の長が速やかに厚生労働大臣へ報告する旨を現行指針と同様に規定する予定です。統合指針草案では研究に関する予測できない重篤な有害事象のみ、厚生労働大臣へ報告となっています。

 第八章は、研究成果の信頼性確保です。第二の研究に係る記録の保存及び信頼性確保が、検討事項11「記録の保存について」に対応いたします。こちらも、先ほど議論いただいた部分ですが、遺伝子治療臨床研究においては治療後、長期間経過してから有害事象等が発症することを想定して、現行の指針の5年より長期間にわたり責任を明確にして記録を保存することとする。保存期間は一律とせず、研究に用いるベクターの性質の違いも考慮することとする、としておりましたので、記録の保存についての責任者及び管理の手順等は、統合指針草案第8章第19、研究に係る試料及び情報等の保存に準じて規定。また、保存期間は再生医療等の安全性の確保等に関する法律等と整合させる予定です。

 四角の中が見直し案ですが、現行指針では、記録の保存として、「実施施設の長は、遺伝子治療臨床研究に関する記録に関し、保管管理者を定め、適切な状態の下で、研究終了後少なくとも五年間保存しなければならないものとする」となっております。見直し案としては、「研究機関の長は、記録の保存及び管理に関する手順書を作成し、当該手順書に従って、当該研究機関が実施する研究に係る記録を、総括報告書が提出された日から少なくとも10年間保存し、必要な管理を行わなければならない」という予定で記載しております。

 参考ですが、こちらは再生医療新法の政省令での記録、保存に関する方向性で、先ほど示した内容を記載しております。以上です。

○山口委員長 

では、第六章の個人情報の保護ですが、これは先ほどまとめていただいたように、前回の検討事項の部分で、遺伝子治療臨床研究の1分野でありますので、個人情報保護の措置については、今後の統合予定である疫学臨床研究に関する倫理指針で規定される事項を適用することになります。これについては、多分異論がなかったのかなと思いますが、よろしいでしょうか。

○中村委員 

これは、適用すると書き込むのですか。それとも、そのままコピペでもってくるのですか。

○中山研究企画官 

その辺りの書き方をどうするかも含めて、整理させていただきたいと思います。

○中村委員 

個人的には、適用すると一言書くと、向こうが変わったときにこちらもまた変えなければいけないという煩雑な手間が省けるのかなと思っていますので、御検討ください。

○中山研究企画官 

はい、ありがとうございます。

○山口委員長 

よろしいでしょうか。次の第七章は、重篤な有害事象への対応ですが、「実施施設から厚生労働大臣への各種報告について」に対応する部分で、今回新たに独立した章として規定されますが、基本的な部分は、「統合指針第七章、重篤な有害事象への対応」を準用する予定となっております。ただし、統合指針では「研究に関する予測できない重篤な有害事象のみ」となっていたのですが、本指針では、研究に関連する重篤な有害事象が発生した場合は、研究機関の長が速やかに厚生労働大臣に報告する旨を、現行指針と同様な規定とすることにしております。そういう意味では、少し書きぶりの差異が出てくるかと思います。これについては、何か御意見はありますか。多分、問題はないかと思うのですが。はい、ではそのようにさせていただきます。

 最後は、第八章、研究成果の信頼性確保です。特に、「記録の保存について」に対応するところで、治療後長期間経過してから有害事象が発生することを想定して、「現行の指針で規定されている5年間より長期にわたって責任を明確にして記録を保存することとする」といたしました。この際、責任者及び管理の手順等は、統合指針第8章第19、研究に係る試料及び情報の保存に準じて規定すると。その保存期間については、再生医療等の安全性確保に関する法律等と整合性を図る形で、特に記録の保管に関しては、10年間保存するという倍の時間に延長するような規定になっております。この辺りについて、もし追加で御意見等がありましたら、お願いいたします。

○那須委員 

これは、中村先生に確認していただきたいのですが、信頼性確保の第8章ですが、文言の使い方で、参考資料1の統合指針の36ページに第8章の記載があります。ここに「研究結果の信頼性確保」という言葉があります。私たちがよく使うのが、研究の信頼性確保という言葉です。研究全体の信頼性確保の中には、この3つの利益相反及び試料の保存、トレーサビリティー等ですが、それにこの監査、モニタリングがあり、モニタリング、監査というのは、むしろ結果というよりは、研究をすること自体のプロセスについて述べております。ここは、研究の信頼性確保かなという気がします。最近、国立大学病院長会議からも、これに対して提言をしたのですが、それは研究の信頼性確保としておりますので、その辺りの議論があったのかなと思いました。

○中村委員 

特に私の記憶では、議論までいっていないと思うのです。ただ、今御指摘のように、統合指針案の第8章、研究の信頼性確保のほうが、意味が広くなると言いますし、内容的には今御指摘のとおりだと思いますので、検討させていただきたいと思います。伊藤さん、何かありますか。

○伊藤安全対策官 

この統合指針の所については、研究の信頼性、実施中の信頼性の確保と言っても、結局研究は何らかの結果を出すために行うものでありますので、実施中のものでも、結果という所に最後つながっていくと読めるのではないかということで、今、書かせていただいているという整理です。

○中村委員 

ちょっと、その点は、また検討ということでよろしいですか。

○山口委員長 

私は、事務局の確認というか、見直し案で、前からの議論なのですが、記録の保存の責任者は機関の長になっているので、これは実際に臨床研究をやるときには、教授が主体となって研究をやるのですが、記録、保存の責任者は機関の長になると。ですから、もし教授が辞められたときでも、あとは機関として記録の保管などを担保するという趣旨でよろしいのですよね。

○中山研究企画官 

はい、それで結構です。

○山口委員長 

再生医療のほうでも、実際にやっている所が小さな病院であったりすると、その記録の保管がどう担保できるのかという辺りの議論があったもので。よろしいでしょうか。では、記録の保管に関しては、ここに書いてあるような文言にさせていただければと思います。

 それでは、最後の資料4について、事務局から説明をお願いします。

○許斐課長補佐 

資料4、「その他」について説明いたします。統合指針や再生医療新法の政省令で規定されることに合わせて本指針でも検討すべきこととして、新たに追加した検討事項です。まず15、「多施設共同研究における審査体制について」です。多施設共同研究における審査体制について、新たに規定すべき、あるいは留意すべき事項はあるかといたしました。

 現状ですが、現行の指針では多施設共同研究における審査体制については、特に規定がありません。一方、統合指針草案では、研究機関の長は、他の研究機関と協同して研究を実施しようとする場合には、倫理審査委員会に対し、共同研究機関に係る研究計画を一括して審査するよう求めることができる、と今回記載されております。

 そこで検討のポイントですが、本指針も多施設共同研究を行う場合、総括責任者が所属する研究機関の長が倫理審査委員会に対し、共同研究機関に係る研究計画を一括して審査するよう、更に厚生労働大臣への意見も一括して求めることを可能とするか。一方、現行の指針は変更せず、施設ごとで研究計画を作成し、研究機関の長が各々の施設内倫理審査委員会に意見を求めるものとするか、といたしました。以上です。

○山口委員長 

これは、実際の審査の中で、このようなときに直面した経験がある先生もいらっしゃると思うので、もしこの点について御意見等がありましたら。各研究機関が4施設、5施設あったときに、それぞれの研究機関でそれぞれ倫理委員会にかけないといけないのか、それとも一括して総括責任者がいる所で倫理委員会にかけて済むのかという点で、かなり大学としての自立性なども含んでくる話になるかと思いますので、もし御意見等がありましたらお願いします。

○小野寺委員 

最初の案で、1つの倫理委員会で済む点は、非常に簡便でよいと思います。問題は、先ほどありましたように、結局、最終的に臨床研究をやった場合、その機関の責任者は機関長となりますから、審査する倫理委員会に対し、その機関()が何らかの形で委託することを明確に示すことが重要かと思います。もし、それがないと各々が個別に、独立して行う必要があると思います。

○谷委員長代理 

特に重篤な有害事象が起こったときに、誰が責任を持つかというと、現行では遺伝子治療臨床研究に対して保証の制度はなく、やはり各病院の責任者が持たざるを得ません。そうなりますと、そこでの責任を持つためには各施設の倫理委員会で議論し、きちんとそこの施設長が承認したとの保証がどうしても必要となると思います。二重の審査制度となるため、主たる研究機関での議論を参考に、共同研究機関内倫理委員会での議論は、臨床試験実施の円滑化の観点から、通常案件よりも簡素化することは可能だと思います。同じものを複数箇所で実施するのはかなり無駄かとは思いますが、責任体制はしっかりしておくべきだと思います。

○山口委員長 

多分、審査と責任体制の辺りをどう按配するか、という話かとは思うのですが。保証の問題や有害事象が起きたときの問題の点も含めて、ほかに御意見等はありますか。小野寺先生と谷先生の御意見を入れると、例えば審査を1つの審査でやり責任体制をもしやる場合には付議できるとしないと、難しいのかなという気がします。一度5施設のうちの1つで審査をした上で各倫理委員会に戻す形であれば、いけるのかなという気がしたのですが。そこで、それを確認していただければ、統合した審査の上で責任体制の問題については、各施設が確認をするという話になるかなという気がします。

○谷委員長代理 

そうですね。

○小野寺委員 

遺伝子治療ではないとしても多施設臨床研究を行う場合、例えば抗がん剤に関する臨床研究を行う場合、まずは研究代表者が自分の所の倫理委員会にかけて臨床研究の承認を得る。次にその承認書をもって成育で倫理委員会に掛けることになります。まあ、その場合、審査は比較的簡便にはなりますが。ただ、問題は、どうしても子どもに関して特殊な案件があり、ただ、それを全体的なプロトコルの中に盛り込むことは難しい場合です。例えば同意書とか、先ほどのアセントの問題がそうです。その意味で各々の機関が特別な案件を議論する必要があると思い、また、そこでの承認は必要になってくるかと思います。

○山口委員長 

ですから、考え方としては統一な審査をしてもいいのだけれども、最終的には各倫理委員会の確認が必要になるかなと。それから、もう1つ別件として、厚労省に出すときは1本でいいのか、各施設ごとに出すのでしょうか。

○谷委員長代理 

やはり、それは1本でいいと私は思います。

○中山研究企画官 

先ほどの審査の件ですが、基本的には機関の長が最終的に責任をもつということは、もう揺るがないと。ただ、その中で共通する部分については、一括してやってもいいよということだけを規定するということで、その他の部分でもしあるならば、最終的に機関の長が責任を取る中でどういうやり方をするかは、それぞれの機関としてやならければいけないということだと思います。そのやり方は、それぞれのケースに応じるということだと思います。

○山口委員長 

ほかにございませんか。よろしいでしょうか。

○中山研究企画官 

今、統合指針でも倫理審査委員会についての規定として、審査の対象となる研究の実施体制について、十分に把握するとか倫理審査委員会に対して求める事項もいろいろと検討されているようですので、各施設ごとに何かそれぞれの場合があるにせよ、その倫理審査委員会は基本的にはまとめてやるならば、そういった事情も全て把握した上でやらなければいけないということもありますので、それについては統合指針の検討の中でもいろいろと検討されていくことだと思いますので、少し補足いたしました。

○山口委員長 

分かりました。統合指針を横目で見ながら、最終的にはこう決めていくという方向でさせていただければと思います。ほかにありませんか。全体として、今日の主として議論すべきところは終わりました。最後に、16についてお願いします。

○許斐課長補佐 

16 、裏ページになりますが、「倫理審査委員会の研究機関内設置について」です。現行の指針では実施施設(研究機関)の要件として、施設内審査委員会の設置が規定されております。その施設外の倫理審査委員会の付議を可能とするかといたしました。現状では、現行の指針では実施施設の要件として、施設内審査委員会の設置が規定されております。一方、統合指針草案では、倫理審査委員会の設置について研究機関内に必ずしも求めておりません。また、再生医療等の安全性の確保等に関する法律における第一種再生医療等の提供、例えばex vivo遺伝子治療が該当しますが、その提供の場合でも、施設内倫理審査委員会による審査は求めておらず、特定認定再生医療等委員会に付議することとなっております。

 そこで検討のポイントですが、本指針においても統合指針草案等との整合性を図り、施設内倫理審査委員会の設置を求めないこととするかといたしました。以上です。

○山口委員長 

何か質問もあるかと思いますので、御意見を頂ければと思います。

○中村委員 

統合指針で、必ずしも施設内に求めていないというのは背景がありまして、そもそも疫学の倫理指針ができたときに、施設内の倫理審査委員会しかなかったわけなのです。ところが、実際に疫学研究というのは、例えば保健所などの行政機関、あるいは福祉施設などでも行われる。そういう所に、国の指針に合致した倫理審査委員会を設置できるかという話になります。実態としては、共同研究をやるときの大学のような共同研究機関の倫理審査委員会がオーケーすればいいだろうというようなことでやってまいりました。

 前回の大幅改定のときに、それをきちんと明文化しようということで、施設の長が別の施設の倫理審査委員会にお願いすることができることになっています。臨床研究も同様で、例えば診療所レベルで行う臨床研究もあります。これが、やはり診療所で国の指針に合致した審査委員会を設置できるわけがないということで、現状としては、よその機関でも構いませんということになっていて、それが統合指針でもそのまま踏襲されたと、私自身は理解しております。

 翻って、遺伝子治療臨床研究となったときに、施設内の倫理審査委員会もないような所でやるのですかという話が出てきまして、そこのところも私自身疑問ですし、もし例えば診療所レベルでやるのですかという話になると思うのですが、そういうことがないとすれば、何も統合指針との整合性を図る必要はないのかなという気もしておりますが、いかがでしょうか。

○山口委員長 

私自身も分からないのですが、今、検討中のというか、第一種再生医療等の提供、iPSなどが入ると思うのですが、そこでは施設内倫理審査委員会の審査は求めていないということで、今、動いているのでしょうか。

○許斐課長補佐 特にあちらの法律では、そちらに関しては規定がないので、別に施設内に倫理審査委員会で審査しても、それは構わないということだと思います。

○山口委員長 

法律上書いていないだけで、例えばここに再生医療等のものができると、そこに皆申請してくるのですが、その前に施設内で倫理委員会で審査をされているものしか受け付けない可能性もあるわけですか。

○許斐課長補佐 

その辺りのことは、まだ書き込まれていない部分なので、確認したいとは思います。

○山口委員長 

分かりました。

○谷委員長代理 

遺伝子治療学会にときどき情報が入ってきますが、海外で実施されている遺伝子治療が日本国内においても、医師の裁量権をもとに複数のクリニックレベルで実施されている様です。そこでの倫理問題を、どのように考えるべきか。ご記憶に新しいと思いますが、数年前医師の裁量権のもとフィリピンで臨床試験が実施されていたベクターを国内に輸入して民間クリニックで患者さんに投与した案件がありました。当時取り締まる法律がないということで、カルタヘナ法だけで一定期間輸入規制をしていただきましたが、最終的には投与がなされたと記憶しています。重要な点は、未承認遺伝子治療薬も日本では比較的容易に患者さんに投与可能な状況です。

 今回の再生医療法においては、細胞療法においてはこのような不測の自体を回避し、治療のレベルをアップしていこうという方針が定まってきているのではないかと思います。遺伝子治療のほうでも、施設外の倫理委員会を少なくとも設置していただき、議論をきちんとしていただいて、医師の裁量権の名の下に無責任な医療が野放しにならないようにすることが重要だと思います。

○山口委員長 

もう1つは、検討のポイントとして挙げていただいたのは、統合指針との整合性を図るというのは、中村先生の御説明ですと、必ずしも遺伝子治療で当てはめるべき話ではないところがあるというような話かと理解しました。ただもう1つは、施設内でないといけないのか、それとも中央審査、あるいは同県とか県レベルのものがあり、更に中央審査がありうるのかなと思ったのですが。学外審査みたいな形で。

○中村委員 

施設外できちんとした所があればというのは、これは先ほど将来的にと申し上げましたが、現状としてはそういう所は今のところないのが実態ですし、少し先の話かなという気がします。それともう1点、谷先生の発言に関して質問なのですが、私も野放しは絶対にいけないと思います。そのときに、そういうことでやるのなら施設できちんと倫理審査委員会を国の指針に従ったものを置きなさいというほうが野放しにならないのか、それともよその施設の倫理審査委員会にお願いしてやりなさいというほうが野放しにならないと。どちらのほうがいいのですか。

○谷委員長代理 

現行では、今まではアカデミアではこれだけ遺伝子治療に関する議論を慎重に行ってきているのに、民間での医師の裁量権にもとづく遺伝子治療に関しては縛りをかけられないというのが、当時の厚労省のスタンスでした。今回再生医療法の施行に伴う委員会の設置により、いずれかの委員会で検討すべきであるとの方針がだされることも1つの手だと思います。これにより、民間のクリニックにおいても倫理性をきちんと担保して遺伝子治療を含む新規治療が実施されていくことが重要だと思います。

○伊藤安全対策官 

御参考までに、統合指針での倫理審査委員会の考え方なのですが、疫学では自機関内設置を原則としており、臨床では外部の機関でも求めることができるとなっております。これを統合するに当たって、基本的には外部の機関でもできるようにする中で、方向性が今整理されて、議論されているところです。ただ、その場合でも、ではどんな倫理審査委員会でもいいのかは、やはり問題になっており、この統合指針案の参考資料118ページを御覧いただきますと、最初に倫理審査委員会の要件、第101の「設置の要件」ということで、マル1から3の要件は少なくとも満たした所でないと、倫理審査委員会としてはやはりやってはいけないのではないかと書いております。

 今後、疫学研究を行うような所、特に大学のような所については、やはり自機関で倫理審査委員会を設けてやる所が多いのではないかとは思っています。仮に、遺伝子治療で特別な専門的治験などが倫理審査委員会に求められるのであれば、これに加えて更に要件も厳しくして外部に認めるというような議論もあるのかなと思います。

○山口委員長 

多分、遺伝子治療の特殊性から考えた場合に、これにプラス、今おっしゃられたような遺伝子治療のこういう専門性がある審査員が必要という話になるような気がしますが。……としては、先ほど中村先生がおっしゃられたように、遺伝子治療臨床研究の審査を外部審査でやれるような所が今現実にあるかといわれると、多分そのような社会的整備はないということかなという気がするのですが。審査そのものが、遺伝子治療の専門性を持った形で必要、もちろん二重審査にはなっているのですが、審査が必要であれば、御提案をいただいているような「統合指針との整合性を図り」というところは、まずそぐわないのかなと、学内であっていいのかなという気がしたのですが、その辺りはいかがでしょうか。

○伊藤委員 

中村先生がおっしゃるように、ではあれば全部それでクリアされるのかというのも困る話ですが、実は私も似たような話に関わったのですが、再生医療の安全性確保の委員会でもそういう議論が初めからずっとありまして、こういう検討会に出てこられる先生方は皆真剣に議論しているわけですが、そうでない所はそんなことは余り関係なく進みます。

 では、どういう具合に巷では再生医療が行われているのかをお聞きしたのですが、多分そんな技術はないだろうみたいな話でした。実際には、調べると、本当にクリニックでたくさん再生医療センターという名前を付けてやっている所が分かってきました。しかも、それはどういう状況も確認する手段も厚生労働省は持っていないことも分かり、そこから医療法上の標榜化のことに引っ掛けていろいろな規制をしたようです。

 やはり、一定の技術が手に入る、あるいはそれが非常に魅力的なネーミングであればあるほど、それを法の目をかいくぐってというよりも、それを規制する法律がなければ、どんどんやってしまう所はあるのだと思うのですね。そのようなことになるということを、何か私たちは少し懸念するというか、本当に真面目に一生懸命やっている所、あるいは優れた規制の下で優れた先生方が集まって研究するのを制限するのではなく、必ずかいくぐって何かが行われるとすれば、そこがやはり国民に対しての健康被害の元凶にもなり兼ねないところが問題なのかなと思いますので、ここは性善説、性悪説というわけではありませんが、もう少し現実に巷で行われるであろうことを配慮して、何らかの方法を取られたらいかがかなというような希望があります。

○山口委員長 

多分、今、伊藤先生がおっしゃられたことを対応するために、海外からもいろいろな規制当局の意見もあり、再生医療等新法ができたと、私も一部はそういう目的があったのだろうと思います。今回、いろいろな所の話が出てしまっているのですが、この施設内倫理審査委員会の点だけフォーカスを当てれば、多分今はそれほど必要ないのかと。施設内外に求めないことでもいいとは余りならないのかなという気がしましたが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

○伊藤委員 

何らかのことをしなければならないというような規定がないとしたら、厚生労働省では民間で正規の研究施設でもないような所でいろいろ研究をされたり、あるいは治療にまでそれを適用している所はあるという噂があったとして、それを正確に把握する手段は、何かお持ちなのでしょうか。

○中山研究企画官 

遺伝子治療臨床研究としてやるものについては、基本的にはまず倫理審査をし、更に国で今、正に審査をやるというシステムがあるわけです。研究以外として、いわゆる医療としてやられるような場合がある可能性はあると思います。ですから、そこを再生医療では一定の把握をするという観点から、新たな法律を作るという形になったわけで、対応することになろうかと思います。

○伊藤委員 

遺伝子のほうでも、それは。

○中山研究企画官 

実は、遺伝子のほうでも、細かい話ですが、ex vivoという言葉で言いますが、そういったものは再生医療の範疇として扱われるということですので、それは対応されます。ただ、遺伝子そのものを打ち込むような場合の遺伝子治療は、再生医療法の対象にはなっていないので、一部そういったものは医療として行われる場合はありうるということになろうかと思います。そういったものが、世の中で今実際に行われているかという話になれば、そういった実態は私どもは把握していないと思います。

○谷委員長代理 

それがあるのです。

○中山研究企画官 すみません、あります。

○谷委員長代理 

例の再生医療の話と非常にかぶっているわけですから、恐らくインターネット等で見ていただくと、そのような医療を標榜しているクリニック等があることがお分かりになると思います。○中村委員 

この議論については、そもそも論に帰るのですが、これは飽くまでも国の出す指針ということで、いわゆる行政指導の範疇なわけですよね。したがって、これに従わなくても何にも制裁はないような状況です。ただ1つあるとすれば、本日本田委員は欠席ですが、やはりマスコミ、プレスのほうで、やはりそういうものはけしからんということで、きちんと出していただくのか、それともこちらの指針のほうがけしからんという話になるのか、その辺りの社会からの批判にいかざるを得ないのかなとは思っています。

○山口委員長 

多分、これは医師法などにも絡む話かなと思います。

○中山研究官 

ここでの議論といいますか、我々厚生科学課として対応できるところは、飽くまで遺伝子治療の臨床研究として行われるものの範疇であり、そもそも医療行為としてどうあるべきかという話は、またそれは申し訳ありませんが、部局として違う医政局でやる話です。そこに、再生医療という視点で、一定の法律規制をかけるのだということが1歩進んだというような状況です。確かに、in vivoの遺伝子治療を医療行為として行う場合は残っているのは現実としてありますが、それをどうするかは、また医政局で考えるべきことなので、そういう御指摘があったこと自体はしっかり伝えたいと思います。

○山口委員長 

多分、研究指針の中で縛られるところと、実際の医療行為との差違があるのだろうと思います。指針でやれるところは、きちんとやるとして、そういうところについてはまた厚生労働省として対応していただければと思います。よろしいでしょうか。

 それでは、先ほどの施設内倫理審査委員会の設置を求めないとすることについては、多分それほど肯定的な御意見ではなかったように思いますので、そのようにまとめさせていただければと思います。議論としては、本日はこれで終了したいと思います。事務局から何かありますか。

○中山研究企画官 

議事録については、作成次第確認をさせていただきたいと思っております。それから、大体ポイントの議論は全て終わったと思いますので、あとは、案文というかその作成を進めることと、品質に関係する部分のサブのワーキンググループの検討を進めることがありますので、次回は328日は確保したのですが、そこはなしということで、4月以降に案文も含めていろいろ報告し、御意見をいただく形にしたいと思いますので、また日程調整をいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山口委員長 

ですから、328日のワーキンググループで、できるだけ最終原案をまとめるような形にして、次回に皆様方に議論をしていただければと思います。本日は、長時間にわたり、ありがとうございました。


(了)
<問い合わせ先>

 厚生労働省大臣官房厚生科学課
 担当:情報企画係(内線3808)
 電話:(代表)03-5253-1111
     (直通)03-3595-2171

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