ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(年金部会)> 第22回社会保障審議会年金部会議事録(2014年6月27日)




2014年6月27日 第22回社会保障審議会年金部会議事録

年金局

○日時

平成26年6月27日(金)13:30~15:30


○場所

農林水産省共済組合南青山会館 新館2階 大会議室
(東京都港区南青山5-7-10)


○出席者

神 野 直 彦 (部会長)
小 塩 隆 士 (委員)
柿 木 厚 司 (委員)
菊 池 馨 実 (委員)
駒 村 康 平 (委員)
武 田 洋 子(委員)
出 口  治 明(委員)
花 井 圭 子 (委員)
原 佳 奈 子 (委員)
森 戸 英 幸 (委員)
山 口  修 (委員)
山 本 たい 人 (委員)
吉 野 直 行(委員)

○議題

平成26年財政検証とオプション試算の結果について(追加報告)

○議事

○神野部会長 それでは、定刻ちょっと前でございますけれども、委員の皆様方おそろいでございますので、ただいまから第22回の年金部会を開催させていただきます。

 委員の皆様方には、大変お忙しいところを、また天候不順というよりも天候異常にもかかわらず御参集いただきまして本当にありがとうございます。復して御礼を申し上げる次第でございます。

 本日の委員の皆様方の出欠状況でございますが、植田委員、小室委員、小山委員、佐藤委員、藤沢委員、宮本委員、諸星委員、米澤委員から御欠席の御連絡を頂戴いたしております。

 なお、御出席いただきました委員の方々が3分の1を超えておりますので、会議は成立していることを御報告申し上げておきたいと思います。

 さらに、事務局の出席者の方々でございますけれども、お手元に座席図が配付されているかと思います。その座席図をもちまして御紹介にかえさせていただきます。

 まず、議事に入ります前に、資料の確認をさせていただきたいと思います。事務局からよろしくお願いいたします。

○八神総務課長 それでは、お手元の資料について確認をさせていただきます。

 本日は、配付資料といたしまして、

 資料    平成26年財政検証関連資料

 参考資料1 国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通し

       -平成26年財政検証結果-

 参考資料2 国民年金及び厚生年金に係る財政の現況及び見通しの関連試算

オプション試算結果

を配付させていただいております。

 不足がある場合には事務局にお申しつけをください。よろしく御確認をいただきたいと思います。

○神野部会長 よろしいでしょうか。

 それでは、カメラの方がいらっしゃるようでしたら、御退室につき御協力をいただければと思います。

(報道関係者退室)

○神野部会長 それでは、議事に入らせていただきます。

 お手元に議事次第を配付しているかと思いますが、その議事のところを見ていただきますと、「平成26年財政検証とオプション試算の結果について(追加報告)」という議事になっております。前回のこの部会で平成26年の財政検証とオプション試算の結果につきまして、厚生労働省から御報告をいただいたところでございますけれども、その議事次第にございますように、財政検証の結果について、委員の皆様方から頂戴いたしました御意見等々を含めて追加の御報告があるということでございますので、前回に引き続いて、その追加の報告を含めて、前回御説明いただいた財政検証及びオプションを素材にしながら、今回も議論を深めていきたいと考えております。

 それでは、事務局から追加報告について御報告を頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。

○山崎数理課長 数理課長の山崎でございます。

 お手元の資料「平成26年財政検証関連資料」に何点か追加の御報告事項を取りまとめてございますので、こちらにつきまして簡単に御説明申し上げます。

 おめくりいただきまして、まず最初の報告事項でございますが、「実質的な運用利回り(スプレッド)の一時的な変動が年金財政に与える影響試算」ということでございまして、前回の部会で御要請があったことに答えるものということで準備させていただいたところでございます。

 最初に考え方でございますが、現行の公的年金制度は、原則といたしまして、現役世代の名目賃金変動率を用いまして、新規裁定者の年金額が改定される仕組みということでございまして、現役の賃金が上昇した場合には、新規裁定者の年金額が増加する仕組みでございます。

 一方、既裁定の方の年金額は、原則として、物価に応じて改定される仕組みでございますが、新規裁定者の年金額が名目賃金上昇率に応じて改定される仕組みのもとでは、既裁定が物価スライドということでございましても、長期的に見ますと給付費の総額は賃金上昇率に連動して増加するということでございます。

 これは御案内かと存じますが、次の3ページの絵でもう一回確認させていただきますと、左側、65歳ということで新規裁定された年金が、これは5年後ということでとってございますが、その同じ方は5年後には70歳になっているということで、斜めの矢印がございまして、その方につきましては物価スライドということで、その5年分の物価スライドがかかっているということで、これだけ見ますと給付費は物価でふえるのではないかと見えるわけでございますが、実のところ、新たに65歳になられた方は賃金で増加した分だけふえて入ってこられる。以後ずっと順送りになりまして、最後、上のほうの年齢のところでは、一斉にある年齢でお亡くなりになるわけではございませんが、亡くなられる方があるということで、人が入れかわっているということでございます。そういう意味で、5年前の65歳と新たに入ってきた65歳を比べますと、賃金上昇率分だけ給付費はふえているということで、このように横に比べますと、それぞれ賃金上昇率分だけ給付費はふえているということで、マクロに見ますと基本的に裁定後は物価スライドという状況でございましても、給付費は賃金に連動してふえていく仕組みになっているということでございます。

 2ページへ返っていただきますと、給付も負担も賃金に連動するということでございますから、運用収入のうちの賃金上昇率を上回る分が、年金財政上の実質的な収益となるということでございまして、年金財政におきましては、名目運用利回りから名目賃金上昇率を差し引きました「実質的な運用利回り(スプレッド)」が重要であるということでございます。

 この実質的な運用利回り(スプレッド)が年金財政に与える影響を定量的に分析するということで、平成26年財政検証をもとといたしまして、このスプレッドを5年間機械的に変化させた場合の試算を行ったところでございます。

 具体的には、4ページに行っていただきまして、【試算の前提】でございますが、今回の財政検証に用いました平成36年度以降の長期の経済前提をA~Hまで下に掲げてございまして、運用利回り(スプレッド)といたしましては、一番右の欄、「運用利回り」の「スプレッド」がケースAですと1.1%、以下、ケースEで1.7%となっていて、その後、順次下がってケースHで1.0%となっているところでございます。これはもともと専門委員会における検討結果の報告の中では、下の括弧書きにございますような幅で示していただいたものの中央値をとるということで財政検証はやらせていただいておりますが、この幅というものを参考にいたしまして、この幅の上限または下限の値をとった場合に、5年間そういう形で変動した場合に年金財政に与える影響ということで、最終の所得代替率がどのぐらい変動するかということで今回試算をいたしたところでございます。

 ケースがいろいろございますが、今回、所得代替率が一番高くなりますケースC、その中間でございますケースE、下のほうではケースGと、この3ケースにつきまして試算を行った、その結果が5ページということでございます。

 これを見ていただきますと、まずケースC、一番真ん中がスプレッド1.4%という、幅の真ん中をとった標準の結果でございますが、そのとき最終所得代替率が51.0%、2043年度に到達ということでございますが、左側、5年間スプレッドの幅の下限をとった場合どうなるかということで、4ページを見ていただきますと、ケースCでございますので、0.91.9%でプラスマイナス0.5%の幅がとられているということでございます。左側が下限でございまして、スプレッド0.9%で5年間推移した場合ということで見ていただきますと、結果は最終所得代替率が50.8%で、真ん中のケースよりは0.2%下回ることになります。逆に右側を見ていただきますと、スプレッド1.9%で5年間推移した場合ということで、最終所得代替率が51.2%、到達年度は1年早まって2042年度となります。こちらのほうも、0.5%スプレッドが持ち上がって5年間推移いたしますと最終所得代替率が0.2%上がる。このぐらいの影響度になっているということでございます。

 中段、ケースEでございますが、これが50.6%という最終所得代替率でスプレッドが1.7%でございましたが、こちらもスプレッドの幅がプラスマイナス0.5%ということでございまして、左側、下限の1.2%で5年間推移しました場合には所得代替率が0.3%下がりまして50.3%、右側、スプレッドが0.5%高い上限の2.2%で5年間推移しました場合は最終所得代替率が0.2%高い50.8%、こういう数字になるという試算結果でございます。

 一番下のケースGにつきましては、( ※)にございますように、機械的に給付水準調整を進めて50%を割り込んで調整した場合、42.0%という中央値に対しまして、この場合スプレッドが1.01.5%でちょっと幅が狭いということがございまして、左側の下限の場合が所得代替率41.9%ということで0.1%マイナス、右側がスプレッド1.5%のケースでございますが、42.2%ということで0.2%のプラス、このぐらいの影響度となっているところでございます。

 続きまして、次の追加報告でございますが、こちらは「生年度別に見た年金受給後の年金額の見通し」でございまして、前回の財政検証あるいは16年の財政再計算のときにもこういうことで数字をお出ししているものの、今回、更新版ということでございます。

 6ページでございますけれども、御案内のように、新規裁定、65歳のときの年金額につきましては、日本経済の再生や労働市場への参加が進みますと、将来的に50%以上の給付水準を確保していけると、A~Eのケースでございますが、そういうことが確認されているところでございます。

 一方、年金を受け取り始めた年以降の年金額(既裁定の年金額)は、マクロ経済スライドの終了後を考えますと、物価の上昇に応じて改定されるということでございまして、その暁には購買力が維持されているという仕組みでございますが、通常、物価上昇率よりも賃金上昇率のほうが大きいということでございますので、裁定後、時を経るにつれまして、その時々の現役世代の手取り収入に対する比率をあえて計算いたしますと、それは緩やかに低下していくということがあるわけでございます。

 さらに、給付水準調整期間、マクロスライドをかけている最中におきましては、新たに年金を受け取り始める方だけではなくて、既に年金を受けられている方につきましても年金改定が緩やかに抑制されると、物価上昇率マイナスアルファでスライドがなされるということで、それもあわせまして年金額の現役世代の手取り収入に対する比率は低下することになります。

 以下の資料におきましては、ケースC、ケースE、ケースGの3ケースにつきまして、生年度別に見た年金受給後の年金額の見通しとして、物価で26年度に割り戻した額、及び、厚生年金につきまして、その時々の現役世代の手取り収入に対する比率をお示ししているところでございます。

 細かい字で恐縮ですが、7ページがケースCの場合でございまして、これを見ていただきますと、一番上の段に「現役男子の平均賃金(手取り)」を掲げてございまして、ケースCでございますので将来に向けて実質賃金上昇率1.8%で上昇していくというものを記載してございます。

 枠囲いしてありますところが65歳での新規裁定のところでございまして、そのときの現役男子の平均賃金に対する年金額の比率が枠囲いで、これは所得代替率ということでございまして、当初のところで62.7%の数字が、斜め下におりていっていただきますと、「基礎年金の調整終了(平成55年度)」の太線がございますが、その終了後の1979年度生まれのところを見ていただきますと51.0%ということで、ここでマクロスライド終了後の最終的な所得代替率に到達しているということで、以後は、その斜め下を見ていただいても、この所得代替率が維持されることになっているわけでございます。

 所得代替率と申しますのは、当然のことながら、現役生活から年金生活に入る境目の年齢が65歳でございますので、そのときにどれだけ現役時代の賃金水準に対してリプレースされるかということで65歳のところではかられる数字でございますが、その後は基本的には物価スライドで年金額が改定されるということでございまして、マクロ経済スライドが終わったところで見ていただくと見やすいのでございますが、一番下の30歳を見ていただきますと、平成61年度のスタートのときに65歳で29.9万円、これは物価で割り戻した足元の価格に調整した年金額でございます。これが平成66年度、5年たったところでもやはり29.9万円で、次も29.9万円と、これはもうマクロスライドが終了してございますので、物価スライドで上がっていった年金を物価で割り戻すことで、もとと同じ金額になるということで、このように金額は購買力を維持することになるわけでございます。

 一方、一番上の段を見ていただきますと、現役男子の平均手取り賃金は伸びてまいりますので、これとの対比ということで見ますと、一番下の欄、51.0%という枠囲いの右隣、山括弧をつけてございますが、70歳、75歳となるにつれまして、そのときの現役の平均手取り賃金との対比で見ますと徐々に比率は下がっていく、こういう計算になるということでございます。

 もう一つ右に見ていただきますと、80歳のところで31.1万円と少し数字が上がってございますけれども、こちらは(注5)を見ていただきたいのですが、既裁定の年金と申しますのは、物価上昇率による改定を基準としているところでございますが、そうしてまいりますと、その時々の新規裁定者の年金水準、これはそのときの現役の賃金に準拠してまいりますので、それと比べてだんだん賃金と物価の差によって相対的には比率は下がっていくということでございますが、この乖離幅が2割となった場合には、新規裁定者の年金と同じく賃金上昇率により改定することといたしまして、この乖離幅が2割を超えないようにするという方針が、平成12年の改正で既裁定が物価スライドということが導入されましたときに、このような方針が定められておりまして、その後の財政再計算または財政検証は、その方針に準拠して行われているところでございます。こちらで見ていただきますように、このケースでございますと80歳のところで乖離が2割を超えないようにということで31.1万円と、これは賃金スライドが入ることによって29.9万円が持ち上がっている。これを見ていただきますと、割合は40.8%となっておりますが、これは51.0%のちょうど8掛けの数字になってございまして、85歳のところでも、やはり賃金スライドによって40.8%が維持され、34万円という物価で割り引いた場合の年金額になるということで、財政検証はこのような、ある意味下支えと申しますか、そういうことを行うためのコストも見込んだ上で財政検証がなされているところでございます。

 続きまして、8ページは、この同じ状況のもとでの基礎年金の1人分の金額を表示したものでございます。

 以下、9ページがケースEの場合にこの計数を並べたものでございまして、10ページがそのときの基礎年金の数字。

11ページはケースGでございますが、こちらにつきましては機械的な試算ということで、50%を割り込んだ場合も、最終的に収支が均衡するところまで機械的にマクロスライドをかけていくとした場合の数字を掲げてございます。

12ページは、その前提のもとでの基礎年金の1人当たりの数字ということでございます。

 こちらの資料の御説明は以上でございまして、次でございますが、「公的年金の負担と給付の構造(世帯類型との関係)」でございます。

13ページをよろしいでしょうか。これは御案内のことでございますけれども、そもそも賃金水準(1人当たり)が同じ世帯では、公的年金の負担と給付は基本的に同じとなるということを図示しているところでございまして、一番上の段が夫のみ就労の世帯で、賃金が夫は40万円、妻はゼロということで第3号被保険者という状況。そのときの年金給付がどうなっているかといいますと、右にございますように、妻は基礎年金のみ、夫は基礎年金の上に40万円に相当する報酬比例年金が乗るという構造になっているところでございます。

 真ん中に夫婦共働き世帯で2人合わせると同じ40万円の賃金という方について、どういう給付の絵柄になるかと申しますと、右にございますように、基礎年金がそれぞれ1人分ずつ、厚生年金はそれぞれ20万円に対応する厚生年金が出てまいりますので、これは結局、賃金を2人足したものは一番上の夫のみ就労の世帯とイコールと、給付につきましても、2人足せばイコールという仕掛けになっているということでございます。

 単身につきましては、この場合どういう人と等しくなるかといいますと、1人当たり20万円ということでございますので、単身で20万円の賃金を得ておられる方は、ちょうど夫婦共働き世帯の夫と妻が同じ20万円というものの1人分と同じでございますので、こういう方と同じになるということでございまして、単身と夫婦という違いがございましても、1人当たりの賃金水準が同じ世帯で比較すれば、同じ給付になっている。

 このとき、当然、負担も同じということでございまして、次の14ページを見ていただきますと、これは今、絵に描いたことを文字に落としただけのものでございますが、真ん中の欄に「保険料負担」とございまして、夫40万円に対応する厚生年金保険料と、夫婦共働きの場合、夫20万円、妻20万円、それぞれに対応する保険料を足したものは同じで、年金給付も足して同じになる。それぞれ半分、半分、半分にしたものと同じということでございますので、単身世帯につきましても、1人当たりの賃金が同じということであれば、同じ保険料負担を出して、同じ年金給付が1人当たりで出る構造になっているということでございます。

 続きまして、15ページでございますが、このような状況をそもそも踏まえまして、「賃金水準(1人あたり)別の年金月額及び所得代替率」ということで、足元の平成26年度でございますが、1人当たりの賃金水準が同じであれば、どの世帯類型でも年金月額、所得代替率は同じでございまして、賃金水準が変われば当然年金額は変わり、所得代替率は変わってくるということで、世帯類型の違いで代替率が変わってくるのではなくて、まさに1人当たりの賃金水準がどこかということによって代替率が変わってくるというあたりをグラフで示したのがこちらでございます。

 財政検証を最初にお出ししたときの資料は夫婦2人の世帯について表示したものでございますが、それを2で割った形でこちらは表示してございまして、真ん中のところ、「厚生年金の現役男子の平均額を2で除した額」として手取り賃金17.4万円、こちらに対応する所得代替率が62.7%、このとき年金額は1人当たりで10.9万円という姿になっている。

 賃金が高い場合、ちょっと半端な感じで見えますが、22.5万円というのは、世帯で45万円というところを前回の資料で表示してございましたので、その半分をとってございますが、22.5万円という世界ですと、1人当たり12.2万円の年金額で、その所得代替率が54.4%と。

 もっと高いところで見ますと49.2%という数字になりますし、左側、逆に賃金が低いところでは、年金額は低く、一方で所得代替率は高いという関係になっているということでございます。

 次の16ページでございますが、こちらは改めて、世帯の類型が違っても同じ賃金であれば同じ年金給付で同じ所得代替率ということを表現するために、同じ数字が並ぶものでございますけれども、あえてこちらに表として整理させていただきました。一番真ん中の1人当たりの賃金17.4万円であれば、夫のみ就労の世帯で10.9万円、62.7%というのが、夫婦共働き世帯であっても、夫婦を足して2で割った1人当たりが17.4万円であれば全く同じ年金額と代替率、単身については1人分で全く同じということで、その場合、10万円、15万円、あるいは20万円、30万円というところで、それぞれどういう所得代替率と1人当たりの年金額になるかというものを表で整理したところでございます。

 この構造を保ちましたまま、将来どうなるかということでございまして、17ページ、ケースCを見ていただきますと、最初のときの62.7%が51.0%に下がるということでございまして、これはマクロ経済スライドによりまして、いわゆる標準世帯で下がるということでございますが、そのとき、例えば一番左の2014年の水準で1人当たり7.5万円の賃金水準の方が111.4%だった代替率が85.4%に下がる。高いほうのところ、49.2%だった27.5万円の1人当たり手取り賃金水準の方は41.4%に下がる。全体で一様に下がるということで、このような構造を踏まえまして標準世帯につきまして所得代替率を見ると、それが50%を切らないように法律で定められているということでございます。

 一方で、物価で割り引いた年金額の水準は、将来、経済成長に伴って持ち上がるということで、上の矢印がついていまして、右肩上がりの点線が将来の年金額の水準ということでございます。

 続きまして、2050年度の数字を具体的に掲げたのが18ページでございまして、やや半端な金額が並んでおりますが、これは2014年度のところで当初掲げておりました、真ん中が17.4万円、左右に10万円、15万円、20万円、30万円を2050年の物価で割り戻した賃金が幾らになっているかということを表示したので、ちょっと半端な数字になってございますが、そのときの年金額と所得代替率をそれぞれ表示してございまして、これは世帯類型のいかんによらず、同じ1人当たり賃金であれば同じ年金額、同じ所得代替率になるということを表示してございます。

19ページはケースEについて同じことをやったものでございまして、20ページもやはりケースEにつきまして、同じように表で整理したものでございます。

 駆け足で恐縮でございましたが、追加資料の説明は以上でございます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。前回、委員の皆様方から頂戴いたしました御議論を念頭に置いて追加資料を作成していただき、御説明をしていただきました。

 それでは、御議論を頂戴したいと思いますが、冒頭にも申し上げましたけれども、今、御説明いただいた追加の資料についての御意見、御質問はもちろんのことでございますけれども、前回の御議論で十分に意を尽くせなかったところがあるかと思います。さらにまた、御欠席の委員もいらっしゃいましたので、本日は、前回御説明いただいた資料を含めて、財政検証全般にわたる御議論を頂戴できればと思っております。いかがでございましょうか。

 では、前回御欠席で、かつ、早く御退出されるという山本委員からお願いできればと思います。

○山本委員 それでは、御指名をいただきまして、ありがとうございます。山本でございます。

 5年ごとの財政検証の結果が出て、そして、将来的に経済成長と労働参加の促進が相まっていけば、いいケースで見ると所得代替率は50%を上回るだろうというビジョンが示され、これは一つのモデルが提示されたということであり、若い人たちにとっても一つの目標づけにはなるだろうと思います。いずれにしても財政検証の将来の見通しというのは、これから中核となって働く労働者の方々にとってみると、これは非常に大きな心の支えにもなるので、そのことが結果的に日ごろの経済活動であったり、消費活動であったり、あらゆることに、財布といいましょうか、心を開いていくもとになるのは、やはり将来の年金の安定性だと思いますので、その点では、所得代替率50%を維持できる道はあるということが表現されたのはとてもよかったのではないか。

 ただ、これはいろいろな方々、有識者、学識経験者の御意見からいくと、必ずしもそのとおり行かないかもしれないから、そこはこれだけのことにとどまらず、さらにもう一手、二手、オプショナルの案もあると思いますが、打っていく必要があろうということで、恐らくこれからの議論が進んでいくのだろうと思います。

 確かに、厚生年金の適用範囲について、より広範に網の目をかけていくことによって、かなりの年金財政の改善は見込めるというようなオプショナルもございますし、また、女性の就労率の問題もございます。それから、受給年齢を上げるということもございまして、数字的に見ると非常に手が出そうなプランのように見えます。私が思いましたのは、これらを今すぐに実施するのではないでしょうが、将来的に実施をする場合に、いわゆる日常の民間活動、企業活動など経済の推進と社会保障は、やはり両輪となっていかないといけないものですから、基本的に企業活動が低下してはいけないと考えたときに、例えば非正規雇用者の方々に一律に網の目のように厚生年金を適用していくということは企業の負担増の問題に一気に絡んでくるわけですね。

 それから、先ほどの受給年齢が上がることによって、今の企業における定年とのギャップは一体どう埋めるのかということになったときにも、恐らくこれも企業負担につながるであろうと思われますので、その辺の議論の熟成を十分図っていただいた上で、そのことが十分社会に浸透する状況をつくって、その上で推進するというように、もしやるとしたらそういう道のりを丹念にとっていかないと、数字上だけの問題ではなかなか済まないのではないかと、こんなことを思いました。

 恐らくそこには雇用形態の変化などもかなり幅広くこれからは議論していかないと、単純にパートタイマー、臨時雇用者という物の言い方だけで済むものではない。まだ余り一般化しておりませんけれども、例えば短時間正社員という言葉もあります。そういうことによって、企業のほうで雇用を固定化できる人とそうでない人を、もっと区別できるような仕組みをより醸成していくとか、そのようなことによって一気に負担が企業に向かわないような、ある意味ではなだらかに、これからの方向性に対する企業側の従業員への厚生年金の適用のありようが進められるような環境づくりをぜひやっていただく必要があるのではないかと感じまして、冒頭ですが、意見として申し上げます。

○神野部会長 どうもありがとうございました。今後の課題を含めて展望していただきました。

 ほかに御意見、御質問はいかがでございましょうか。

 武田委員、どうぞ。

○武田委員 御説明いただき、どうもありがとうございました。

 私も前回欠席いたしましたので、前回分も含めて意見を2点申し上げたいと思います。それから、資料へのコメントも1点述べさせていただきます。

 まず1点目でございますが、今回の参考資料1の11ページに提示されていますけれども、A~Hまで高成長ケースと低成長ケースそれぞれの所得代替率を出していただいておりまして、高成長ケースでは、今、山本委員からも御指摘ございましたとおり、所得代替率が50%を上回る結果になっています。

 これらのケースについては、どれがもっともらしいかといった議論や上位のシナリオは成長率が高過ぎるのではないかといったような議論を耳に致しますが、私が重要だと思いますのは、低いケース、すなわちここで提示されている低成長ケースのF~Hの経済状況になった場合でも、年金財政の持続可能性が担保されるように今後の制度改革に着手していくことではないかと、この結果を受けとめましたので意見として述べさせていただきます。

 2点目でございますが、こちらは11ページを見て感じたことですけれども、年金財政上、以前からこの委員会で申し上げてきた点ではあるのですが、労働市場への参加が進むケースと労働市場への参加が進まないケースでかなり差が出ているように感じました。つまり、非常に重要なのは、支え手をふやし、労働市場と年金の好循環が生まれるような制度設計を行っていくことであり、これが結果的に成長力の底上げと年金財政の持続可能性、さらには先ほど山本委員からも御指摘ありましたけれども、若い人たちが将来に自信を取り戻し、安心して暮らせるかどうかの点での鍵ともなります。つまり、労働市場への参加を進めることが、間接的ではありますけれども、若者の将来不安にも経済成長にも関係しており、それが相互に影響を及ぼし好循環につながっていく、という認識を持って年金制度の改革につなげていくことが重要ではないかと感じた次第です。

 最後に、資料へのコメントを1点述べさせていただきたいと思います。本日の資料の13ページでございます。本質的なことではございませんが、「賃金水準(1人あたり)」とあるのですが、夫のみ就労の世帯は夫が40万円稼げるようになっており、夫婦共働きだとなぜか夫はその半分の20万円ということで、夫のみ就労していると夫は2倍稼げることになっています。この点については少し違和感がございましたので、コメントとして述べさせていただきました。

 以上です。

○神野部会長 これは事務局からいいですか。

○度山年金課長 きょうの13ページの資料ですけれども、この資料を御説明したことの意味だけ確認させていただきたいのですが、これは古くは2001年に「女性と年金検討会」をやったときの報告の仕方がちょっと悪かったのかもしれませんけれども、今回の報道でもそうですし、5年前の財政検証の報道でもそうなのですが、要は所得代替率50%を確保できるのは片働きの世帯だけで、共働きだとか単身の世帯は50%を割り込むことになるのだという解説が時々付されることがあります。今回の財政検証に当たってもそういう解説があったと思います。

 ここで言いたいのは、世帯の類型によって50%が確保されるか、されないかということではなくて、特に厚生年金の場合には、基礎年金額は所得が高くても低くても一定なものですから、いわゆる再分配効果があって、結果的に言うと、給料で生活をしている人の1人当たりの収入額が同じであれば、たとえ共働きであっても、単身の方であっても、給付と負担の関係は同じ関係に立っているのだよということだけを説明するための資料でございます。

 なので、例えば一番上に40万円の片働きの世帯を載せていて、その次に20万円同士の共働きの世帯を載せているのですが、これが標準的な姿だということで言っているのではなくて、要は1人当たりの収入が同じ世帯としての一つの例として挙げていると御理解をいただきたいと思います。

 なので、何もこの資料をもって何か今の制度の合理性を説明しているとか、そういうことではなくて、単に世帯類型の問題ではなくて所得水準の問題で確保される所得代替率が変わってくるのだよという説明のための資料ということで御理解いただければと思います。

 何をもって合理的かということに関してましては、私も社会保障のいろいろなテキストを読みましたけれども、こういう図でもって、だから今の仕組みは合理的だと説明していらっしゃる先生もいらっしゃいますし、逆に言うと、40万円の片働きと夫婦ともに40万円稼ぐ共働きの世帯を同じように比べて、そうしますと負担と給付の関係が変わるので、これは不公平ではないかとおっしゃる先生もいらっしゃいますし、どこに軸足を置くかで見方は変わってくるのだろうと思います。また、このことに関しましては、例の女性の活躍の促進ですとか130万円の壁の問題もございますので、また議論する機会を設けていただければと思っております。

○神野部会長 よろしいですか。

 出口委員、どうぞ。

○出口委員 私も前回欠席させていただきましたので一言申し上げます。この13ページの今の議論は、多分、厚生労働省様がつくられる資料としては、「夫のみ就労の世帯」というところを、「夫もしくは妻のみ就労の世帯」と、そのように書かれるのがフェアだという、こういう社会常識の問題を変えていかないとしんどいねということを武田委員は言われたかったのではないかと思います。

 それと離れて、私も3点だけ申し上げたいと思いますが、この前休ませていただいて、新聞を幾つか拝見したのですけれども、やはりメディアの書き方がすごくおかしいと思ったのは、私の理解では、財政検証というのは、こういう前提を置けばこうなるということを示したにすぎないのであって、しかも、グローバルに見たらこんなに細かいことをやっている国はないのです。そうであれば、メディアはもうちょっと、こんな細かいことまで貴重な経営資源を使ってやらせないでもいいではないかと書くべきだと。しかも、メディアの中には、どれが正しいかわからないとか書いてあったのですけれども、やはりそういうところをもう少しきちんとPRして、財政検証というのは、こういう前提を置けばこうなるという単にその変化率を見るものだということをもう少し強く打ち出されたほうが正しい理解になるのではないかと私自身は新聞を読んで思いました。

 第2点は、50%を割るか割らないかということについて神経質に書いているメディアがすごく多かった。これは法律ではたしか50%を割ったらもう一回見直すことになっているはずですし、そのようになっている以上、成長が低ければ50%を割るのは当たり前で、極論すれば、こんなものはどうでもいい話だと私は思うのです。ニコラス・バーが言っているように、国民負担を上げないとすれば、年金を保つ方法というのは、成長と分配をもっと上手にしていくことしかないので、こんなことはわかり切っているので、低成長のときに40%を割るのが大変だとか、そんなことを本当は議論するものではないので、これもやはり私自身は、財政検証の意味と同時に、この50%の意味をもう少しきちんとメディアの方にはPRすべきではないのかと思いました。

 3点目は、実は今回のオプションを見せていただいて、オプションがたしか1、2、3と、2が2つあって4ケースのオプションを資料で出されていたと思いますけれども、このオプションを見たら、どんなことをやれば効果があるのかが物すごくよくわかるようになっていて、これからの年金をサスティナブルにしていくためには、どういう方向で議論すればいいかというすごく大きなヒントがあるように思って、これはこれからの建設的な意見にすごく資するのではないかなと。本当にいい資料をつくっていただいたと。どんなことをやればどれぐらいの効果が上がるかということが相対感で数字でわかりますので、すごく意味があることだなと感じました。

 それから、私も赤字の本当に小さいベンチャー企業の経営者ですけれども、基本的には企業負担がふえることは好ましくないとは思います。ただ、合成の誤謬というのがあって、例えばドイツのようにシュレーダーのアジェンダで一見企業負担がふえても、社会全体が活性化すれば、トータルで企業の業績も向上し、全体がうまく回りますので、ここは合成の誤謬という問題をちゃんと考えなければいけない。

 例えば被保険者の適用を拡大することで、一見企業負担がふえるかもしれませんが、それは社会全体として年金がサスティナブルになり、社会全体のコストが下がり、さらに経済が活況化すれば、それは企業に返ってくるわけですから、ここは議論するときにはミクロの問題とマクロ全体の問題、合成の誤謬を無視して、単に企業負担がふえるからあかんとか、そういった短絡的な議論はあかんのではないかなと。私も負担がふえるのは嫌ですけれども、そういうことを思いましたので、意見を述べさせていただきます。

○神野部会長 事務局のほうからコメントはありますか。いいですか。よろしいですか。

 ありがとうございます。

 それでは、ほかはいかがでございましょうか。前回御欠席だった方で申し上げると、吉野委員はおくれてか。まだですね。そうすると、一応御欠席の委員の方々には本日、御意見を頂戴したことになっておりますので、駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 きょうの資料、いろいろ前回の続きで、はっきりしなかったところがわかってきたので、非常に価値のある資料をいただけたと思います。前回の続きにもなりますけれども、幾つかコメントしたいと思います。

 今、議論がありましたように、50%の代替率を維持できるケースとそうではないケースがあるわけですけれども、前回も少し、私も含めて何人かの委員から議論がありましたが、仮に50%が維持できたとしても、基礎年金の劣化についてどう考えるのかという話が重要である。例えばEで見れば36.8%が26%ですから、代替率で見ればかなり下がるという見方もできる。

 きょうの資料の10ページを見ますと、これは物価での割引した基礎年金額の落ち方を見ているわけですけれども、これは物価で割り引いていますので対賃金比になる代替率よりは少しマイルドになっていて、6万4,000円が新規裁定でミニマム6.1万円と。ただ、既裁定だと5.1万円まで下がるというので、これもまた20%ぐらいは下がるという見方もある。

 したがって、50%の代替率が維持できるかどうかとは別に、基礎年金は劣化していくという点で、何で割り引いて評価するかは、幾つかの見方はあるとしても、程度の幅はあるとしても、やはり劣化というのは何かをしなければいけないことになるのではないかと思います。

 そういう意味でオプション推計が出てくるわけでありますけれども、オプション推計の2で適用拡大、これは仮にこのぐらいまで基礎年金が劣化していくことになると、年金体制の魅力が落ちるわけですから、それはやはり自主納付というか、1号の方たちが多くて、みずから納付される方が多ければ、その分だけ未納率も上がってしまいますので、それを抑えるという意味でも、マクロ経済スライドがこれだけ厳しいということを踏まえても、やはりきちんと適用拡大はきちんとしなければいけないのではないかと思います。

 それから、オプション3の45年加入ですけれども、これもマクロ経済、基礎年金の劣化をとめるためには非常に有効であるわけですけれども、同時に、適用拡大をしないで45年加入してしまうと、60-65歳までの期間も3号の期間になってしまうことになるのではないかと思います。今まで3号は40年だったのが45年になってしまうわけですから、3号の対象者を絞るためにも、 の適用拡大をより強くやらなければいけない。ある意味では、このオプションはセットで考えておくべきことではないかと思います。

 前回の資料でも質問し損なったところで確認したいところがありますが、オプション で代替率が回復しますけれども、これは普通に考えると、代替率の分母は男子の手取り賃金ですが、これは正確に言うと正規労働者の男性の手取り賃金の平均額というのが正確だと思うのです。この分母に1,200万人適用拡大して低賃金の人がまざってきて、その結果、分母が下がって代替率が上がったという効果がまざっているのか、まざっていないのかというのを確認させてもらいたい。

 もう一つは、そもそも手取り賃金を計算するに際して、各時点の税・社会保険料がどのように想定を置かれているかという点も確認させていただきたいと思います。

 2点、質問をお願いします。

○神野部会長 今の御質問2点についていかがですか。よろしくお願いします。

○山崎数理課長 ただいまの御質問にお答え申し上げます。

 まず第1点でございますが、適用拡大のオプションにおきまして、適用拡大を行いますと、賃金の低い男性も含めて入ってきて、それによりまして、その所得代替率、厚生年金の男子の被保険者の平均賃金ということで見ますと、そこが下がって、下がれば当然それによるある種見かけ上の所得代替率の上昇があるのではないかと、その計算も入っているのかいないのかということでの御質問と理解いたしました。

 現実には、そのときどうなるかということはあるのですけれども、少なくともこの試算の計算上は、それによってある種物差しが変わって見かけ上変化するというものを入れますとわかりにくくなりますので、当初に考えました例の一元化モデルと書いてあります、現状の正規労働者の平均賃金ベースの物差しは変わらないという前提での表示ということでございます。1点目に関しましては、こういうお答えでございます。

 2点目の税・社会保険料をどのように見ているかということでございますが、まず足元のところは、平成25年度の家計調査に基づきます可処分所得割合を用いまして、これが81.4%という数字でございますが、これでスタートいたしまして、将来に向けましては、厚生年金の保険料が上がってまいりますので、それの本人負担分だけの上昇と、こちらのほうは反映するという形で、もう間もなく上限に到達いたしますが、そこのところまでは可処分所得割合が下がる効果を反映させるということで算定しているところでございます。

○神野部会長 よろしいですか。

○駒村委員 では、健康保険とか税金のほうは考えないということですね。

○山崎数理課長 そちらのほうは将来確たる見込みがございませんので、足元、平成25年度の可処分所得に反映しているところまでを反映させて、将来に関しては中立ということで見ているところでございます。

○神野部会長 ほかは。

 どうぞ。

○森戸委員 前回もいたのですけれども、しゃべらなかったので、給料泥棒と言われるとあれなので、感想みたいなことで申しわけないのですが、前回のも含めて一言コメントさせていただきます。

 私、数字の面とかを素人なりに今回の結果を拝見して、結局、公的年金の財政検証を突き詰めて一生懸命細かくやっていただいた結果、わかったことは、公的年金の枠の中だけで考えていてはどうにもならないということが明らかになったのかなと私なりには捉えております。先ほど出口委員から、オプションのほうで何をやればいいか、そういうものがわかるというお話がありましたけれども、あれも結局、公的年金の制度だけをいじってどうにかなるものではないというのが非常にこの結果から明らかに出ていると思いました。

 これは山本委員とか武田委員も先ほどおっしゃっていましたけれども、結局公的年金の数字の話なので、経済が成長すれば、あるいは労働市場に参加が順調にいけば、あるいは経済がこうなればこうなるという数字の見通しで全体として見ると、やはり高齢者、女性にもっと働いてもらう、それから、適用拡大ということになれば、非正規の人もどうやってちゃんと働いていただくか、正規、非正規のいわゆる格差の問題とかも含め、結局、公的年金がちゃんと今後持続的にやっていくためには、労働市場政策なり労働法政策のほうにいろいろな課題がありますねということが非常に明らかになったのではないかと思います。

 それから、どんなにうまくいっても公的年金の代替率は下がっていくので、そうすると、老後の所得保障をどうするかというのは恐らく公的年金だけで考えていてもしようがなくて、私的年金なり企業年金なり老後所得保障全体の政策をどうやって考えるかということも考えなければいけないねということも明らかになったかと思います。

 結局まとめると、公的年金の話は公的年金以外の部分も一緒にちゃんとやらないとだめなのですねと。逆に、そのほかの労働市場なり私的年金なり老後所得保障の政策全体としてうまくやっていけば、公的年金も含めて社会の制度がうまく動いていくということが明らかになったのかと思います。

 労働市場政策なり私的年金を考える場所は、もちろんほかに厚労省にもあるわけですけれども、ぜひこの結果を受けて年金部会のほう、公的年金施策の担当部門からも、ほかの施策の部門に宿題ではないですけれども、こういう問題をやるべきではないか、労働市場政策として、労働法政策として、あるいは私的年金政策としてこういう問題をやらないといけないのではないかというメッセージを投げかけるようなことを、役所の越権になってはいけないのかもしれないですけれども、ほかの担当、セクションに、こういう問題が公的年金からすると出てくるので、こういうことが必要だというようなことを、もちろんどのセクションの方もわかっている話だと思いますが、何か投げかけることで世間的にも政策のつながりの重要性もわかると思いますし、政策として調和的に、統合的にやっていただくことにもつながるかと思うので、そういうことを検討していただけたらいいかと思いました。

 ちょっと感想みたいな話で申しわけないですけれども、以上です。

○神野部会長 では、山口委員、お願いできますか。

○山口委員 新しい資料をつくっていただきまして、ありがとうございます。

 今回の財政検証を評価していく上で、きょうの資料の5ページの表、これは中心にケースEがありまして、8つのケースを比較している表ですけれども、これが非常に示唆に富んでいるように思います。この表は、賃金に対するスプレッドが上下した場合に所得代替率への影響を見たものですが、ケースEが対賃金のスプレッドが一番大きいので、GPIFの基本ポートフォリオを考えていく際に、年金財政への影響を考慮するに当たって、これは必ず抑えるべき中心的なケースになると思いました。

 前回も少し申し上げたのですけれども、今回の財政検証では基本ケースが示されていなかったということでありまして、そういう中での議論になっております。そうなると、まず前回との比較で財政検証結果をどう見るのかというような視点と、それから、もう一つ将来の見通しの視点、これはいろいろと議論されておりますけれども、将来の見通しとして経済前提はどのケースが妥当かといった判断をする視点の両方がありまして、それらが余り区分されないで議論がされているように私としては感じております。

 私は、前回の2009年の財政検証に比べて年金財政が果たしてよくなっているのか、あるいは悪くなっているのかということ。そして、その変化の要因は果たして何なのかといったようなことを当部会としてもある程度共通の認識としてまず把握しておくことが大事ではないかと思っております。

 そのためには、同じような基準でまず比較する必要がありますが、そういう意味でも、この表にありますような全体の中央値にも近いケースEと前回の基本ケースを比較して、年金財政は少なくとも前回との比較において悪くなってはいないのだということ、そしてその主な要因は、出生率の改善効果が恐らく反映されているためであろうと考えておりますけれども、そういった認識が必要であろうかと思います。

 それから、ここで運用の利回りの話が出ておりますので、それとの関係で少し申し上げますと、今回の財政検証と整合する形で今後、GPIFのほうで基本ポートフォリオを作ることになると思いますが、恐らく対賃金のスプレッドを1.7%確保するということになれば、株式等のリスク資産への運用比率を拡大する場面が出てくることが予想されます。

 先日、GPIFでは日本版スチュワードシップ・コードの受け入れを決められ、株式の議決権行使について、受託者責任の観点から株主行動を実施することになったわけであります。ついては、先ほど来の議論にもありました被用者年金の拡大、オプション で取り上げられた被用者年金の拡大に対して、企業の中にはいろいろなお考えの企業があると承知しておりますが、そういった被用者年金の拡大に対して明確に反対の立場を示しておられるような公開企業がもしあれば、そういう企業の株式をアクティブファンドで保有するのかどうかといったことにつきまして、これは社会的責任の観点から慎重に判断するといったことも、既婚女性の労働力率の向上をサポートしていく手段の一つとして、今後ぜひ検討していただきたい、そういう期待をしております。

 最後にもう一つ、参考資料2の12ページ、これは67歳から受給開始をするというパターンについて書いていただいているモデルです。これは非常に参考になるところなのですけれども、67歳からの受給で年金額は確かに増加をする、繰り下げをすると増加するわけですけれども、一方で、これは受給期間が短縮するわけですので、長さ掛ける高さといいますか、年金受給総額は長方形の面積みたいなものですので、受給総額についての損益分岐点といいますか、何歳以上長生きすれば繰り下げを選択しても損をしないのかといったようなことがあると思います。いろいろなケースがあると思うのですけれども、このような議論の際にはぜひそういった情報提供をしていただきたい。

 今後、受給開始年齢は、ある意味でそれぞれの個人の選択の問題という形にしていくとことになるとすれば、選択肢を多様化するというのは、それはそれで結構なのですが、選択するための情報提供、今のは一つの例ですけれども、情報提供とセットで考えていくべきものだと思います。したがって、今後、選択肢の多様化を推進する支給開始年齢ではなく受給開始年齢という考え方に立つのであれば、受給者に対してそういった情報の提供をぜひよろしくお願いしたいと思っております。

 以上です。

○神野部会長 今後、検討していく上での試算にいろいろ御意見をいただきまして、ありがとうございます。

 小塩委員、どうぞ。

○小塩委員 私からは、マイナーなコメントを1つとメジャーなコメントを2つ申し上げます。

 1つは、既に議論に出ていましたが、世帯類型と所得代替率の関係です。これについては、先ほど年金課長が説明されたように、現行制度を必ずしも正当化する材料として出したのではありませんということで、私は結構だと思います、13ページ以降の説明も、それ自体として正しいと思います。

 ただ、1人当たりの所得が同じであったら、所得代替率、あるいは給付も負担もみんな一緒になるからいいですよとまでは言えないと思うのです。というのは、経済学的に考えると、人々の幸せや効用が所得だけで決まるのだったらいいのですが、働くということも効用に入りますから、やはり片稼ぎの専業主婦と共稼ぎの主婦では差があります。極端なことを言えば、共稼ぎの場合のほうが代替率を低くしたほうがいいということになります。これは極論なので、そこまで言いませんが、ちょっと注意しないといけないということだけ申し上げておきます。これはマイナーなコメントですし、今日はそのテーマを議論する場ではありませんので、これ以上言いません。

 メジャーなコメントを2つ申し上げます。

 1つは、前回の会合以降、メディアでもいろいろ議論があったと思うのですが、やはり利回りの想定が甘いのではないかという点が大きなポイントだと思うのです。今回は、名目の運用利回りよりもむしろスプレッドを注目してくださいということで、非常に丁寧な資料を出していただきました。なるほどなと私も思ったのですが、先ほども御指摘がありましたように、5ページの表がやはりポイントになると思うのです。いろいろなケースが想定されて、数字が出ています。

 そこで、例えばケースEの真ん中にあるベースのケースを見ると、ここではスプレッド1.7%となっておりますね。その右と左にプラスマイナス0.5%変えたところがあるのですけれども、これは2024年から5年間に限ってということですので、恐らく所得代替率の影響は、ここに書いてあるものよりももう少し大きくなるのではないかと思うのです。まず、それをお答えいただけますか。ずっとスプレッドを変えていくということになりますと、やはり影響は大きくなると理解してよろしいですか。それだけまずお聞きしたいのですが。

○山崎数理課長 当然、5年間変えたことでの影響がこれだけですから、もし仮に5年ではなくてずっと最後までということであればもちろん影響は大きくなりますが、基本的に5年ごとで財政検証をやって、また次のステージに入るということで、今回は5年間ずっと上限あるいは下限だったらということで計算させていただきました。

○小塩委員 それを念頭に置いた上で御質問したいと思います。私は前回もちょっと申し上げたのですが、スプレッドが重要だというのはよくわかりました。それが年金財政に影響を及ぼすというのはよくわかるのですが、スプレッドの影響だけが問題であって、ほかのパラメーターはあまり見なくていいのかという疑問を持っております。つまり、名目の利回りが低くてもスプレッドが確保されていたら年金財政はうまくいくのか、非常に素朴な疑問として残るのです。

 それで、きょう出していただいた資料が私の疑問に答えていただいているか考えてみたのですが、例えばケースEで見ますと、左にスプレッドを1.2%にしたものがございますね。そのときの所得代替率は、50.3%です。これは5年間に限っておりますので、もう少し効果は大きくなるかもしれませんが、所得代替率が50.3%に低下するということになりますね。

 そこで、スプレッドが1.2%になるケースがほかにあるかと思って、1つ前の4ページを見ると、ケースBというのが上から2つ目にあって、そのスプレッドが1.2%となっています。ですから、スプレッドを同じ1.2%にしたときに、所得代替率がどう違うかという比較が、非常に荒っぽい形ですができるわけです。このケースBの所得代替率は、きょうも資料として出していただいておりますが、前回示していただいた資料でも50.9%となっています。

 そこで、5ページに戻っていただきますと、ケースEのスプレッドを1.2%にしたときの所得代替率は50.3%です。しかも、実際の所得代替率はこれを下回るであろうということになりますと、やはりほかの想定が物を言うのではという気がしてならないのです。

 さらに言いますと、ケースGはスプレッドが1.2%で所得代替率が42.0%ということですので、かなり低くなるわけです。そういうことを考えると、スプレッドだけに注目するというのはやはり危険であって、ほかのパラメーターも見ておく必要があるというのが私の認識です。そういうことを考えると、できるだけ低目の数字を見ておいたほうがいいのではないか。スプレッドを見るだけでは、ちょっと危ないぞという気がしてなりません。これが1つ目のポイントです。レスポンスがあれば、ぜひお願いしたいと思います。

 なぜそんなことを言うかというと、積立金をこれから削っていくわけですので、あまりスプレッドに期待すると長期的には無理が来るのではないかなという認識があるからです。

 2つ目のコメントは、所得代替率についてなのですけれども、今までもいろいろ御議論がありましたが、私も所得代替率50%に注目し過ぎるのはよくないという気がします。ただ、その理由がちょっと違います。今回出していただいた資料で改めて認識したのですが、50%云々と言っている場合、普通は新規裁定のときの水準ですね。きょう出していただいた資料を見たら、新規裁定の時点では50%をクリアしているものの、後はどんどん削られてしまうような状況です。現在は62%を超えているということですから、これから若い人たちが直面する公的年金と今の高齢者の人たちが受けている年金の姿はかなり違ってくると思うのです。仮に例えばケースE、あるいはそれよりもいいケースが実現したとしても、年金は今後かなりシャビーなものになってしまうということをやはり認識しておいたほうがいいと思います。

 それではどうしたらいいかということになりますが、現行の賦課方式を前提として、少子高齢化を想定したらこれは自然な姿だと思うのです。数字としては非常にもっともな姿だと思うのです。ただ、所得代替率が30%、40%ということになってしまうと、やはり制度を改めないといけないというところまで来るのではないかと思うのです。2004年改正のときは、積立金を削っていきましょうという大なたを振るったと思います。これは非常にいい手段だと思うのですけれども、さらにもう一つ何か大きな手段をここで考えないと無理ではないかなという気がします。

 その候補が、これは非常に反論があって言いにくいのですけれども、支給開始年齢を引き上げて、若い人、60歳代後半の人は我慢していただいて、70歳以降の人の所得をしっかりと守るという方向に政策を切りかえても私はいいと思うのです。

 もう一つは、コアの賦課方式の年金を補完するような別の仕組みがあっていいのではないかと思います。ドイツもスウェーデンもコアの賦課方式の年金だけでは足りないので、付加的な部分で積み立てを入れています。それで、ようやく日本流の所得代替率を維持するという方針を出していると思うのです。これだけ少子高齢化が進むと、そういう今までと違う仕組みで現行の一番コアになる制度を補完するようなことを考えないと、高齢時の所得保障がしんどくなると思います。

 さらに、先ほど駒村先生からも議論がありましたけれども、国民年金が劣化しているということもあります、私たちがこれから迎える高齢時の所得保障をどうするのかというのは、もうちょっと真剣に考えたほうがいいのではないかという気がしてなりません。

 以上です。

○神野部会長 事務局のほうからスプレッドの問題について。

○山崎数理課長 今、御質問がございまして、スプレッド1.2%という同じスプレッドでも、ケースEの今回のバリエーションケースと財政検証のケースBがたまたまスプレッド1.2%で同じだけれども、最終の所得代替率は50.9%と50.3%で違いがあるということで、スプレッドだけで全てが決まるわけではないのではないかと、まさにおっしゃるとおりでございます。

 要因といたしまして、一つは、実質賃金上昇率が高いと、今回御説明申し上げましたように既裁定は物価スライドでございますので、同じ代替率であっても、既裁定の方が賃金スライドの場合と比べて物価スライドのみでありますと賃金との差が開いていきますので、より実質賃金上昇率が高いほうが年金財政的には楽になるという要素はもちろんございます。

 もう一点、名目という意味で申しますと、これはマクロ経済スライドが名目額下限になっているということがございますので、名目値が低いと、そのマクロ経済スライドが十分に働かないということで、それは給付水準調整が先送りになることによって将来の所得代替率が下がるという要素がございますので、最終的な所得代替率が幾つになるかはもちろん運用のスプレッドだけでは決まらないということはそのとおりでございます。

 ただ、運用がどのぐらい年金財政に寄与しているのかというのを見るメルクマールとしては、スプレッドという見方が有効だということでございまして、基本的に将来の年金の給付も、あるいは保険料収入のほうも賃金に連動して大きくなっていくので、それに対して運用がどれだけ寄与するかというのを見る上では、スプレッドという概念が有効だと申し上げているところでございます。

○神野部会長 では、花井委員、どうぞ。

○花井委員  前回たくさん話しましたので、きょうは短くしたいと思います。

 それでも3点の意見と2つの質問をお願いしたいと思います。

 意見の1つ目は、オプション試算で示していただいた適用拡大1,200万人が容易などとはとても考えていませんが、それにしても適用拡大が年金財政に与える影響が大きいということが明らかになっているとすれば、やはりもう少し踏み込むべきではないでしょうか。前回、201610月の施行前倒しは難しいという答弁はいただいておりますが、本当に真剣に考える必要があるのではないかということが1点です。

 それから、先ほど来出ております基礎年金の劣化ということが、基礎年金しかない方にとっては大きな将来の不安につながっていくわけです。したがいまして、マクロ経済スライドを基礎年金部分にもかけるということは、やはり慎重であるべきではないかという、これも意見です。

 3点目は、本日の資料の13ページです。これはこういうものだと考えるしかないとは思うのですが、やはり夫が片働きで妻が専業主婦というモデルで本当にいつまでもいいのか、今回の試算でM字カーブが解消されるということが前提とされているとすれば、時間がかかるとは思いますが、モデルというのは何なのかということと、女性が今後社会進出してきちんと自分で生活していける経済力を持った場合はどうなるのかということも射程に置いて考えていく必要があるのではないかという、これも意見です。

 そして、本日の資料に対して2点質問したいと思います。資料の4ページに「スプレッド<対賃金>が( )に示す幅の上限または下限の値をとった場合に年金財政に与える影響を試算した」とあるわけですが、今回の財政検証は今後の年金財政がどうかということをまさに検証したということと、もう一つ、積立金の運用についてどうするかということもあろうかと思います。次期中期目標に示される数字が、まだ明確には示されておりませんが、おそらく1.7%ではないかと思っているわけですが、ここで今回このような資料が出されたということは、1.22.2%と幅を持ってGPIFに目標を示していくということなのでしょうか。考え過ぎかどうかわかりませんが、それが質問の1つです。

 2つ目の質問は、前回の年金部会を経まして財政検証結果が公表されたわけですが、それを受けまして、厚労大臣がGPIFに対して基本ポートフォリオの見直し作業の前倒しを要請したということが報道されました。それはあくまでも作業を前倒しするということなのか、あるいは基本ポートフォリオの見直し自体を前倒しするということなのか、その辺がどちらなのか教えていただければと思います。

 以上です。

○森大臣官房参事官 運用を担当します森でございます。

 御質問いただきました。まず、スプレッドにつきましては、以前、私の説明がまずかったかもしれませんけれども、GPIFに示すスプレッドにつきましては、名目値ではございませんで名目賃金上昇率プラス1.7%ということでお示ししたいと年金部会のほうで御説明さしあげたかと存じます。これは、全要素生産性につきましては、事前にどのようになるかわかりませんので、あらゆるケースにおきまして対応できるということで1.7%という形で示させていただいたところでございまして、これを踏まえましてGPIFのほうでは作業をしております。これが1点目でございます。

 2点目でございますけれども、今回6月3日の年金部会で財政検証については公表させていただいたところでございまして、それを受けまして、必要とされます資金のフローとか積立金の額等があわせて開示されましたので、本格的に基本ポートフォリオの作業ができることになりましたけれども、先ほど御紹介いただきましたように、うちの大臣のほうからは、今、長期的な運用環境とか経済前提が変わりつつございますので、GPIFは、国の官庁もそうなのですけれども、年度で動いていますけれども、できましたら年度ということにとらわれず、経済環境とか運用環境に適切に対応して、しっかりしたポートフォリオでなければいけませんけれども、できるだけ早くということでGPIFに要請したところでございます。

 なので、しっかりしたポートフォリオができましたら適切にその段階で変更していくことが重要だと考えていますので、そのようにお願いしたところでございます。

○花井委員  そうしますと、私の認識が違っていたのか、基本ポートフォリオの見直しというのは今回の財政検証を踏まえてやるものかと。当然、次の財政検証まで5年間あるわけですから、途中で見直しということもあり得るとは思うのですが、今回の財政検証は来年4月からの基本ポートフォリオの見直しのためなのかと思っていたのです。そうしますと、去年も見直して今回もというと、短期間の間に何回も経済情勢を見ながら基本ポートフォリオを見直すことがあり得るということでよろしいのでしょうか。

○香取年金局長 年金局長ですが、GPIFの運用の話ですけれども、2つの局面に分けて考える必要があって、年金制度の側から、先ほどのきょうの資料説明もそうですが、一定の運用目標を与えるわけです。その運用目標を与えて、それが安全、確実、効率的に達成できるような運用をしてくださいと。具体の運用をどうするかということについては、専門組織であるGPIFにおいて決定してくださいとなっているわけです。

 年金は長期の資金を扱いますので、GPIF側もそういう意味で言うと日々のお金の出入りということではなくて、長期の運用を考えて運用のポートフォリオを組んでいる。そのポートフォリオ自身も、市場の環境に対して変動できるように一定の乖離許容幅を与えて自分たちで設定して運用しているわけです。

 年金の側からすると、要は必要な運用利回りを確実にとることができるような運用をすることになるわけですから、その意味で言えば、いわばフィールドの状況が変われば、それに合わせて運用のスタンスを変えないと必要な運用利回りがとれないということになりますから、むしろその意味で言えば、機動的にポートフォリオなり乖離許容幅を動かす、あるいは乖離許容幅の中でポジションを変えるというのはある意味必要なことで、環境が変わっているのに環境に合わせたポートフォリオを動かせないと、逆に運用負けをするということになりますから、その意味で言えば、機動的な見直しをするということはもちろん実は必要ということなのだと思います。

 でも、他方で、別に日々お金のトレードをしているわけではありませんので、ある程度中長期的に運用するということもありますから、その意味で言えば、一定期間、ある程度ポートフォリオをもって運用する。

 現状はどうかということで言うと、御案内のように20年間のデフレを脱却して、かなり運用環境も変わりつつありますし、これからインフレ基調に入る中で、国際の長期金利も変動していくでしょうしという状況がありますので、それを踏まえて機動的に対応できるように準備をしてくださいということを大臣から申し上げたということです。

 なので、例えば見直す、見直さないもありますけれども、いつどのように見直すかというのはまさに市場との関係で運用のプロであるGPIFが御判断をすることになるので、そういう意味で言うと、GPIFも市場でのプレーヤーの一人ですから、111兆円を運用しているわけですから、例えばいつどのように変えますということをあらかじめ言うことはある意味あり得ないことなのです。そういう意味で言えば、やるのか、やらないのか、いつやるのかということは、我々もGPIFも当然答えないと思いますが、考え方としては、我々は年金に必要な運用利回りをその時々の市場の環境の中で確実にとるようにプレーヤーとして最適の行動をとってもらう。

 もちろんその前提として、資金の性格なり何なりによって一つの枠組みになるわけですけれども、その枠組の中で、専門家である、プロであるGPIFが機動的に運用していただくと、基本的にはそういう趣旨で大臣は申し上げていると理解しています。

○神野部会長 どうもありがとうございます。

 出口委員、どうぞ。

○出口委員 小塩委員のお話を聞いていて思ったのですけれども、負担を上げなければ、年金をしっかり保っていくためには、成長と、よい政府をつくるしか方法がないわけですね。成長というのが、多分A、B、C、D、Eぐらいの上のほうのケースで、オプションで得られたいろいろな改善方法というのは、多分よい政府、もっと分配を効率的にしようというアプローチだと思いますね、負担を上げないのであれば。

 その中では、オプションであった 2とか3の組み合わせは大変魅力的だと思いますし、小塩委員のほうから支給年齢をもっと引き上げたらどうだというお話もあって、それも有力なオプションに十分なると思いますけれども、そのときにちょっと思ったのは、これから年齢を考えるときに本当に男女一律の65歳とか70歳というのがいいのだろうかと。考え方によっては、女性のほうが長生きしますから、平均寿命から例えば5歳を引くとか、10歳を引くとか、健康寿命を考えて男女の支給年齢が違うという選択肢もあるのではないかと。

 これは何を言いたいかといえば、例えばそのように考えれば、女性は赤ちゃんを産むために2~3年休んだとしても何のハンデにもならないと思うのです、同じ期間だけ働けるのですよと。社会に貢献することにもなるので、厚生労働省さんであれば、やはり男女の問題というのは、そのように年齢を考えるときには、そういう考え方も頭の端にとめておいていただいていいのではないかと。本当に男性と女性が何歳まで生きるか、何歳まで健康かということを考えて制度設計をすることがあってもいいのではないかと思いました。

 もう一つは、マイナンバーができたわけですから、私自身はこれからの社会保障の理念は、生意気を言わせていただければ、年齢フリーにあると思っているのです。そうであれば、サスティナブルにするためには年齢を引き上げるのもありますけれども、マイナンバーをしっかり管理して、ある意味では資産とか所得を把握して、要するに年金の発動要件を自然年齢だけではなくて、年齢プラス資産、所得の関数で考えるということも将来は考えてもいいのではないかと思います。

 よい政府、よい分配をするためには、原資は限られているわけですから、どのように分けていくのが一番いいかということを考えるのが多分サスティナブルを考える一番の始点にあっていいので、そのときには資産や取得が潤沢にあって困っていない高齢者、イメージで言えばナベツネさんみたいなイメージになるのかどうかわからないですけれども、お元気で働いておられて、そういう方には本当に年金が要るのだろうかということは、もっと考えてもいいのではないだろうか。

 そういう意味では小塩先生の言われたことに全面的に賛成なのですが、積立金をやるという考え方は、私は慎重にやるべきだと思います。120兆の GPIF でも本当に運用は難しいので、実は政府が積立金を持つことはリスクであるという考え方をもっと持つべきであって、私はやはり理想は、基本は賦課方式であって、積立金というのはもっともっと慎重に。ついつい我々は、運用というのは、リスクアピタイトの部分を明確にして指示をすれば誰でもできるような錯覚を持ちますけれども、運用はマーケットがあって本当に難しいものだと思うので、積立金というのは私はこれ以上持つべきではないと個人的には思っています。

○神野部会長 ありがとうございます。

 菊池委員、どうぞ。

○菊池委員 私からは、やや現実的なコメントとお願いを申し上げたいと思います。

 ケースA~Hのどこに立つのか、Eなのか、EとFの間なのかと、いろいろ考え方はあるでしょうけれども、特定の前提に立たなければ制度改正ができないという性格のものでは恐らくないのだと思います。こちらの部会でさまざま多くの委員の方々から御意見がありましたように、いずれにしましても経済前提は楽観的にではなく堅めに捉えていく、その上で必要な制度改正は早目に行っていくという点は最低限言えるのではないかと思います。

 その中で、これまでもこの部会でさまざまな制度改正の案を議論してきたわけですが、例えば高所得者の年金額の調整ですとか、第3号被保険者問題ですとか、あるいは先ほども出ました支給開始年齢の引き上げですとか、その中で多分、恐らくこのオプション試算で出ている3点というのは、現実的な解決策として今後議論されていくのかなと思うわけです。

 その際に、ちょっとお願いとややコメントですけれども、マクロ経済スライドにこれをフルに発動するということについては、受給者の年金が実額で減ることをどう見るのかというのが最大の課題だと思いますが、生活保護の保護基準も実額で下がっている。あれは憲法25条の生存権との関係でどう考えるかということですが、年金の場合は、25条に関係はしますけれども、むしろ29条の財産権保障の問題がより論点になる。

 私としては、世代間公平の観点もありますし、実質賦課方式化しているということもありますし、憲法規範との関係で一切減額は許されないということにはならないと思っています。ただ、そういった論点はありますので、ぜひこれを議論する際には、年金受給権の性格などについて丁寧な説明をお願いしたいと思っています。

 それから、被用者保険の適用拡大については2つの側面があって、1つは、非正規、不安定雇用従事者の雇用の二極化、格差の問題が社会保障の制度まで持ち込まれてしまうという、いわば二重の格差の問題をどう考えるかという側面が一つ。もう一つは、第3号被保険者制度問題を部分的にでも解決していくという側面と2つあると思うのですが、これを議論する際にも、その位置づけというか、この両面を意識しながら2つの側面の位置づけを明確にして議論をしていただきたいというのがございます。

 最後、拠出期間の延長については恐らく支給開始年齢引き上げに至るまでの何ができるかという筋道のところで考えられるという位置づけだと思いますけれども、先ほど駒村委員からありましたように、やはり基礎年金の劣化というのは長期的には非常に大きな問題で、これをどう考えていくのか。低年金者の問題をどう考えていくのかというのは、年金制度の中で考えるか、外で考えるのかも含めて重要な課題だと思いますが、そういう視点で考えていくと、例えばこれを任意加入にすると、そういった問題をさらに助長する可能性があると思いますので、そういった点を意識した議論をしていきたいなと、これはお願いというよりはコメントであります。

 最後に、年金の水準の議論をするに当たっては、医療保険や介護保険の保険料負担、一部負担金ですとか、あるいは私的年金、公私の年金の役割分担の議論、水準の議論がかかわってきますので、ほかの部会などでそういった議論や資料などがあれば、随時こちらのほうに提供をお願いしたいということをお願いしておきます。

 以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございました。

 柿木委員、お願いいたします。

柿木委員 先日、財政検証結果につきまして意見を言わせていただきましたので、本来ちょっと本筋と関係ないのですけれども、資料を見ていて思ったことを1つだけお話しさせていただきます。

 オプション試算のほうの資料の8ページですが、ここを見ていますと、適用拡大の対象者でフルタイムの人が600万人いる。この数字は今回法改正で25万人つけ加えるわけですけれども、 やはり我々の感覚からいくと 余りにも数が多い。先回、事務局のほうから、厚生年金法の中で、5人未満の事業所がこの中に多く含まれるという説明がありましたけれども、もちろんそれだけではないだろうということで、2012年に日本年金機構評価部会に提出された資料を見ますと、当該年度で未適用の50人以上の事業所は2万3,000強あるのです。これに加入指導したわけですけれども、加入に結びついたのは5,700しかない。そうすると、1万7,000以上未加入が残っているということになるわけです。仮に全部50人の事業所だとしても、88万人を超える人が未加入だということになるわけで、これが今回の制度改正の25万人と比べてもいかに膨大な数字であるかということだと思うのです。

 本来は厚生年金の対象の雇用者である人が、雇用者の意図というかどうか、それで対象外になっているということでありまして、例えばこういう人が国民年金に加入しているとしても、年金保険料天引きではないわけですから、納付率が一体どうなっているのか、恐らく納付率の低下の一因になっているのではないかということも懸念されますし、さらに、適用を逃れた事業所に勤務する雇用者の老後の所得の不安定の要因にも当然なっているでしょう。

 それから、我々事業主からいうと、こういったまじめに加入している事業主と加入していない事業主との競争の問題もあると思うので、これは財政検証とは関係ないのですが、先日、私はこの資料を見ていまして、やはりこの部分にも今後十分注力していっていただきたいと思いました。厚生年金の適正な適用を拡大するというような文章が今回いろいろな文書に出ているのですけれども、この面にぜひ力を入れていただきたいなという意見です。

○神野部会長 ありがとうございます。

 では、原委員、お願いいたします。

○原委員 前回に引き続きありがとうございました。

 私からは、大きく2つだけコメントさせていただきます。

 やはり年金制度の持続性というものは、年金財政の話というのはもちろんですが、何よりも大切なのは、制度を支える国民の信頼感というものを維持することかと思っております。そのためにも、よりわかりやすい情報発信、メッセージ発信を引き続きお願いしたいと思っております。ホームページ等も改善され、わかりやすいホームページを作成されていらっしゃいますが、ぜひ財政検証についてもわかりやすいメッセージ発信をお願いしたいと思います。

 といいますのも、私自身も企業の方ですとか20代の方と直接、年金についての話をすることがあるのですが、今いろいろな報道がなされているということで、「年金制度は本当に大丈夫なのか」と、私から話をする前はそのような感想を持っている方が多いようです。ただ、一つ一つのテーマ、例えば年金制度の理念ですとか年金制度の役割、リスクへの対応、社会的扶養といったことを丁寧に説明すると、最後には、「年金制度は、やはり自分のため、社会のための支え合いの制度なのだ」という自分なりの納得した理由を何か受け入れてプラスの感想になっていくということが多いように思います。やはり丁寧に説明するということでわかってもらえるのだなと実感しております。

 したがいまして、受給者の方はもちろんですけれども、制度を支える現役世代の方、若い方々に対して財政検証の結果を説明するときに、年金だけではないと思いますけれども、経済とか雇用なども含めてかと思いますが、よりはっきりとこういう想定のもとに、あるいはこういう社会を目指していけば、このようになりますので、年金制度は大丈夫ですというようなことが言えるといいかなと思っています。

 ただ、そうはいっても「こういう事態を想定して、また、そういう事態に備えて、今後、制度改定を検討していきます」といったようなわかりやすいメッセージ発信が必要かと思っております。

 もう一つ、これも関連したことなのですけれども、生年度別の既裁定者の方の年金額の見通しが出ていましたけれども、やはり物価スライドだけで改定していった場合に、平成12年改正の賃金スライド等を行ったとした場合の年金額との乖離が過大とならないよう、必要に応じて賃金スライド等を実施するという、いわゆる2割ルールにより一応は下げどまるということですけれども、ただ、やはり厚生年金の標準世帯の代替率は下がっていくのだなというのがよくわかりました。このことから、今後、老後というものを考えるときに、公的年金はもちろんですけれども、企業年金ですとか個人年金、私的年金との組み合わせを個々人が考える時代がますますやってくるのだということを一般の方にも理解していただき、認識してもらう必要があると思います。

 そのためにも、それと同時に、公私の役割分担ですとか、制度の違いですとか、それぞれの特徴といったことも明確にして伝えていかないと、混同しているような方もいらっしゃるかと思います。公私の役割分担を明確にした上で、これは私自身の課題でもありますけれども、一般の方に対して、正しく伝えていく必要があると思っております。

 以上です。

○神野部会長 ありがとうございます。

 ほかに。

 駒村委員、どうぞ。

○駒村委員 何人かの委員から私的年金を公的年金の補完措置として強化していくべきだというお話があって、これは国民会議でも言及されている部分ですので、当然そうだろうと思います。

2004年改正のときには、マクロ経済スライドは基礎年金と厚生年金にほぼパラレルにきいていったわけですので、そういう形での補完措置も有効であろうと思っていたわけですけれども、今回の検証で明らかになった課題は、私的年金に入る余裕のある高所得層は私的年金を支援する制度で対応してもらえばいいのですけれども、問題は、基礎年金の低下が私的年金ではなかなか補えないというところをどう考えるかであります。

 そこで、オプション2とかオプション3が出てきて、何とかここで下支えをしようということであろうかと思います。

 基礎年金というのは、当然のことながら所得保障制度の背骨でありまして、これが傷んでいくのは問題です。マクロ経済スライドは障害基礎年金も道連れになっていきます。私は障害者部会のほうもかかわっていますので、障害基礎年金まで道連れになって落ちていくということの影響をどう考えるか。あるいは生活保護のほうから見れば、国民年金しかなく、なおかつ自営業でもないような人たち、つまり資産が不十分でミーンズテストが余り有効ではないような人たちがふえて、そういう人たちの年金が減っていくということは、当然生活保護制度に対する負荷がかかっていくことになります。

 アメリカなどは別にして諸外国、先進国を見れば、日本のように生活保護にのみに最後のセーフティーネットを依存している国は少数でありまして、ドイツを見ても基礎的保障制度があるわけで、イギリスにも別途の制度が用意されていると考えますと、ほかの国ではいわゆる対象者別のミニマム所得保障は別途用意されているというのが普通の先進国の状態だろうと思います。

 したがって、この基礎年金をどこまで下げて、どこで劣化を食い止めるかという話は、年金だけの中で考えていくのか。2012年に導入された年金生活者支援給付金の年金テストつき、所得テストつきの給付で、何とか基礎年金につっかえ棒を与えているようなものである。年金とは違うまた別途の特別な仕組みを考えて下支えをしていくのか、その辺を用意するのか、用意しないのかによって基礎年金が落ちていくのをどのように食い止るのかという議論にかかわってくるのではないかと思います。

 以上です。

○神野部会長 どうもありがとうございます。

 ほかはいかがでございますか。

 小塩委員、どうぞ。

○小塩委員 追加で1つだけ申し上げますと、前回出された財政検証の数字を見ても、ケースA~Eだと何とか現行制度を維持できますということなのですが、F、G、Hになりますと、ちょっとあやしいなという姿がはっきりしました。それは裏返しますと、政府が実現しようとしている経済再生シナリオがうまくいったら今の年金制度は維持できますが、うまくいかなかったらちょっと危ないですよというメッセージだと思うのです。

 うまくいったらいいのですけれども、将来の私たちの老後の生活保障にかかわる大きなテーマですから、経済再生がうまくいかなかったときどうするのかということも考えておいたほうがいいと思うのです。うまくいかなかったらこういう政策がどうしても必要になりますよということをどこかで言っていかないといけません。明るい数字だけ見せて、後でうまくいきませんでしたというのは非常に責任のとり方としてまずいです。また、内閣府の政策が悪かったので、私たちはちゃんとやっていたので責任ありませんというのはあり得ない説明の仕方ですから、できるだけ下振れリスクを慎重に、数字を絞っていっていただきたいと思います。

 以上です。

○神野部会長 ほかはいかがでございますか。よろしいでしょうか。

 どうぞ、武田委員。

○武田委員 1点だけ意見として述べさせていただきたいと思います。

 私も冒頭に申し上げたとおり、経済前提がいろいろある中で、低い前提でも年金財政がきっちり安定的に、持続性が確保できるような形に制度改正していくべきだということは冒頭申し上げたとおりです。

 その際に、1点、制度改正の上で重要な視点としては、世代間格差の観点というのは、やはりしっかり見ていっていただきたいなと考えております。今回御提示いただいた幾つかのケースの中で、何年生まれ、何年生まれという形で時系列にかなり詳しく載せていただいて大変わかりやすかったと思うのですけれども、どのケースであっても、今の65歳の方と1984年度生まれの30歳の方では、幾つかのシナリオを見ても、もう既に差があるわけです。果たして今後、制度改正をしていったときに、これがさらにどうなるのかといった視点も踏まえてどんな制度改革が必要なのかということをぜひ念頭に置いて改革を進めていけたらいいのではないかと考えましたので、1点追加でコメントさせていただきました。

 以上です。

○神野部会長 ありがとうございます。

 ほかはよろしいですか。

 それでは、そろそろ予定の時刻となりましたので、この辺で会を閉じさせていただきます。本日は、最後まで御熱心に御議論頂戴いたしまして本当にありがとうございます。

 私が前回も申し上げましたけれども、次回以降も財政検証とオプション試算の結果を素材にしながら、かつ、国民会議のほうで投げ掛けられている政策課題を念頭に置きながら御議論をしていただきたいと思います。

 本日多くの御意見を頂戴いたしましたので、しかも、基礎年金の劣化問題等々、現状での問題点の指摘等々もございましたので、そうしたことを事務局と相談して整理しつつ、次回どのように議論を設定して深めていくのか考えながら運営していきたいと思っておりますので、次回以降も財政検証とオプション試算の結果を素材にした議論を続けさせていただきたいと考えております。

 事務局から連絡事項がございましたらお願いします。

○八神総務課長 それでは、次回の開催日時につきましては、また追って連絡をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。

○神野部会長 それでは、本日の部会はこれにて終了させていただきます。最後まで御熱心に、また、生産的な御議論を頂戴したことを深く感謝申し上げる次第でございます。

 どうもありがとうございました。


(了)

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