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2014年6月23日 第3回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WG

○日時

平成26年6月23日(月) 9:59~11:42


○場所

厚生労働省専用第13会議室(12階)


○出席者

高橋座長、菊池委員、堀田委員、山田委員

○議事

(以下、議事録)

○高橋座長

 第3回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WGを開催いたします。大変御多忙の折、御参集いただきましてありがとうございました。今日は梅田委員が御欠席です。

 今日の議題はお手元の議事次第にありますように、3つのテーマの実績評価についての議論です。今日の配布資料及び平成26年度に実施する政策評価についての進め方の説明をお願いいたします。

 

○政策評価官

 議事に先立ちまして自己紹介をさせていただきます。41日から政策評価官室にまいりました藤澤と申します。詳細は和田補佐から説明させますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 資料の確認を含めて、説明いたします。配布資料は、一番上から議事次第、座席表、参集者名簿、資料1-1「戦没者の遺骨収集帰還事業等を行うことにより、戦没者遺族を慰藉することの実績評価書」、資料1-2はその添付資料、資料2-1「企業年金等の健全な育成を図ることの実績評価書」、資料2-2がその添付資料、資料3-1「国立試験研究機関の適正かつ効果的な運営を確保することの実績評価書」、資料3-2がその添付資料です。参考資料1は政策評価実施予定表、参考資料2「平成26年度実績評価書に新設された項目」、参考資料3は有識者会議開催要綱、参考資料4は厚生労働省の第3期基本計画、参考資料5は昨年3月の有識者会議での御意見を踏まえて作成した資料1から資料3の事前分析表になります。不足等がありましたら、事務局までお知らせください。

 

○高橋座長

 よろしいですか。続いてお願いいたします。

 

○政策評価官室長補佐

 続いて、議事の進め方について説明いたします。議事次第を御覧ください。今回は、この2の(1)から(3)の順番で、テーマごとに担当課の入替えを行い、御議論いただきます。1テーマごとの時間は約30分程度を取っております。最初に担当官から15分程度の説明を行い、その後15分程度で御議論いただく形で進めさせていただきます。

 続いて、参考資料1の政策評価実施予定表を御覧ください。この予定表は、厚生労働省の72の政策目標を、どのワーキンググループで御議論いただくかを示したものです。参考資料4の第3期基本計画に基づき、平成24年度から平成28年度までの5か年の基本計画期間中に、少なくとも1度は政策目標の実績評価書を各ワーキンググループでお諮りすることとしており、5年間で全ての政策目標について御意見を頂く予定としています。

 赤枠内に「実績」と記載されているのが、本年度、各ワーキンググループで意見聴取をする政策目標になり、福祉・年金ワーキンググループの対象は、裏面の太枠内の3テーマです。なお、政策目標については、本年4月に一部改定をしており、本ワーキンググループの関連では、災害対策基本法の一部を改正する法律の施行に伴い、厚生労働省で所管していた災害救助法関係の政策が、昨年10月に内閣府に移管されたため、今回評価実施予定であったテーマのうち、「災害に際し応急的な支援を実施すること」というテーマが削除されました。このため、本日御議論いただくのは3テーマとなっております。

 参考資料2「平成26年度実績評価書に新設された項目」を御覧ください。こちらは、政策の重点化及び評価基準の標準化を図る観点から、昨年12月に総務省が作成した、目標管理型の政策評価の実施に関するガイドラインの内容を踏まえ、本年3月の有識者会議を経て、本年度より実績評価書に盛り込まれることとなった項目です。

 簡単に内容を説明しますと、最初の「主要な指標欄の新設」について、こちらは当該政策の測定指標のうち、主要な測定指標のところに担当部署が○を記載するというものですが、何をもって主要な指標と判断するかは各府省の裁量によるということで、総務省からはメルクマールが示されなかったため、当省としては昨年夏の実績評価を行うワーキンググループでの梅田委員の御発言を踏まえ、主要の判断基準として、ア、イ、ウの3つを設けております。

 ア「当該指標の達成に向けて、多くの予算・人員等が投入されているもの」。当然、そういった予算・人員が投入されたものというのは、主たる政策として判断しやすいというものがあります。

 イ「当該指標について、国民の関心が高く行政上も課題となったもの」。多くの予算・人員を投入していないとしても、国民的な視点による評価も重視されるべきだということで、そのようなものを取り入れています。

 ウ「その他、目標達成に向けて重要性が高いと判断するもの」です。こちらは、将来的に厚生労働行政を考えていくに当たって、重点的に推し進めていくべきだと判断されるものなどになります。

2番目の達成欄です。各測定指標ごとに達成欄を設け、目標を達成した場合は「○」、一部達成は「△」、未達成の場合は「×」、隔年ごとに実績を集計しているなどの理由により、当該年度実績値がなく、判定が不能という場合は「-」を付けるという4区分により、達成状況を記載することとしております。なお、この達成状況については、原則として評価対象年度、今回であれば前年度の25年度の目標に対する達成度により、判断することになります。

3番目が、「目標達成度合いの測定結果」です。各測定指標の達成状況と、そのうち主要な測定指標の達成状況に応じて、(1)から(5)の評価区分を記載するものになります。(1)が、全ての指標が○か△、達成か一部達成の評価で、達成されており、かつ主要な指標が目標を大幅に上回って達成した場合です。(2)は、同じく全ての指標で一部達成若しくは達成となっているのですが、主要な目標がもともとの目標を大幅には上回っていない場合です。(3)が、一部の測定指標で×が付いたが主要な測定指標は○ということで、それほど期間を要さずに目標が達成できるのではないかと判断されるものです。(4)は、主要な測定指標が△で目標を達成するには少し時間がかかるであろうというものです。(5)は、主要な測定指標に×が付き、かつ目標に向かっているとは言い難いものです。

 なお、これらの達成欄での各指標ごとの評価と、目標達成度合いの測定結果欄の評価区分については、各府省の統一的な基準として実施されるものになりますが、厚生労働省では更に総合判定欄を設けていまして、先ほどの測定結果に、その他外部要因等を加えた総合的な判断を加えることにより、A「目標達成」、B「達成に向けて進展あり」、C「達成に向けて進展がない」の3区分により、総合評価を実施する形にしております。

 本年度からは、こうした指標での判定を実施した上で、従前と同様に有効性、効率性、必要性の観点から、政策評価結果の分析を実施し、その結果を今後の施策の実施や次期目標の設定等に反映させていくという流れになります。事務局からは以上です。

 

○高橋座長

 何か御質問等はございますか。

 よろしければ、今日は平成25年度に実施する政策評価ということで、3件のヒアリングをさせていただきます。その1としては、「戦没者の遺骨収集帰還事業等を行うことにより、戦没者遺族を慰藉すること」という施策番号7-5-2について、担当課から15分程度で御説明をお願いします。説明される方は、所属と名前をおっしゃってから説明をお願いいたします。

 

○社会・援護局援護企画課外事室長

 社会・援護局援護企画課外事室長の望月と言います、どうぞよろしくお願いします。

 説明に入ります。まず、外事室ではどういう業務をしているかについて説明いたします。表題にもありますが、戦没者の遺骨収集帰還事業等を行うことにより御遺族の慰藉ということです。先の大戦で、全体では戦没者は310万人と言われております。そのうち海外では240万人の方が亡くなっております。我々は、海外で亡くなった240万人の方々の御遺骨を日本に送還し、身元が判明したものについては、御遺族にお渡しするという、遺骨収集帰還事業が、1つ大きな柱です。これについては、また後で説明いたします。

 この「遺骨収集帰還事業」という名称なのですが、何年かにわたりまして、名前が変わってきております。現在は「遺骨収集帰還事業」といっているのですが、昭和27年からこの事業を始めておりますが、当初は「遺骨収集事業」ということで、長年定着してきたのですが、「収集」という言葉が、御遺族の気持ちを考えるといかがなものかという御指摘もあり、その後「遺骨帰還事業」となりましたが、その後また関係団体の御意向を聞いたところ、長年定着していた「遺骨収集事業」にも愛着があるということで、現在は「遺骨収集帰還事業」という名前で事業を行っているということです。

 海外に240万の戦没者がいらっしゃるわけなのですが、そのうち海で亡くなった方、あるいは相手国の事情等で、現在、収容ができないという御遺骨を合わせますと、日本に送還することが可能な数字というのは、最大に見積もって60万柱ではないかと考えておりまして、現時点での我々の事業の対象は、この60万柱を1日も早く、1日も多く日本にお迎えをすることにあります。

2点目ですが、60万柱という数は必ずしも少なくない数で、現実的にいかがなものかというのはございます。御遺族は高齢化しているということで、御遺族の気持ちを考えた場合、身寄りの方、夫あるいは父が亡くなった地を訪れて、現地で慰霊をするという気持ちは非常に強いものがございます。これについても、昭和52年に慰霊巡拝事業ということで、御遺族を直接我々が現地にお連れをして、御案内し、縁の地で心ゆくまで慰霊をしていただくという事業を行ってきております。この「慰霊巡拝事業」が2点目です。

3点目の慰霊碑です。実際の事業としては、「遺骨収集帰還事業」「慰霊巡拝事業」というのを行っているのですが、それとは別に日本国政府として、慰霊巡拝事業以外にも、戦友会、遺族会等で独自に現地へ行かれる方がたくさんいらっしゃるのですが、行ったときにどこへ行っていいか分からないということで、シンボリックな形でもいいから、政府として、きちんと戦域ごとに慰霊碑をつくっていただけないかという要望がありました。戦域というのは国ごとではありませんで、戦った主な戦域ごとに、海外14か所、硫黄島を入れて15か所になりますが、慰霊碑を政府として建立してきています。御遺族なり関係者の方が現地に行ったときに、そこを訪れていただき、心ゆくまで慰霊をしていただくという3本目の柱です。

 最後に、ここの資料にはありませんが、4点目の大きな事業がございます。これは、日本に送還した御遺骨をどうするかということです。ロシアなどが分かりやすいのですが、ロシアについては戦後は、旧ソ連に抑留され、収容所で53,000人ほど亡くなっております。これらの方々は、おおむね収容所に隣接する場所に穴を掘りまして、日本人の抑留者の手で埋葬されたということで、一定程度埋葬地のような形になっておりますので、埋葬図面あるいは埋葬者の名簿がありますので、それに基づいて、発掘、送還作業をやっています。

 したがいまして、御遺族が比較的分かりやすいという条件があるのですが、御遺族を特定し、遺骨を御遺族にお渡しする。その際には、DNA鑑定が非常に有効に機能しておりますので、それらを活用しながらやっていくという事業を行っています。

 他方、多くの御遺骨の氏名は判明いたしません。南方地域は特にそうですが、これらの御遺骨については、千鳥ヶ淵にある国立の千鳥ヶ淵戦没者墓苑に、毎年5月の最終月曜日に拝礼式というセレモニーを、皇族の方に御臨席いただいて行っています。基本的には、前年1年間に海外から持ち帰った遺骨で、御遺族にお渡しできなかった御遺骨をそこにお納めするということでやっています。外事室の事業の概況はこのようになっています。

 個別の説明に入ります。遺骨収集帰還事業です。資料1-2を御覧ください。

1枚めくっていただきますと、国会の決議等が2ページにわたってあります。昭和27年から行っていますが、それぞれ衆参の国会の決議に基づき、この事業がスタートしたということです。現在は、法律的に厚生労働省が遺骨収集事業を行うべしという規定はされていませんが、厚生労働省の設置法の中に「戦没者の遺骨の収集に関すること」ということで、規定されています。

 次のページ、「戦没者の遺骨収集帰還について」です。先ほど言いましたように、海外戦没者は240万ということです。未収容が127万ありますが、海没あるいは相手国の事情等により困難なものを除くと、最大で60万柱は帰って来ていないことになります。

 これまでの事業の推移です。第1次、第2次、第3次、それ以降、昭和51年から平成17年、平成18年から現在までということで、5つの段階に区分しています。昭和27年は航空機等が発達していなかったこともあり、船で各戦域を回り、象徴的な御遺骨を集め、日本にお迎えしたということになっています。その後、一旦10年ほど事業は中断したのですが、昭和42年以降になり、航空機等の交通機関が発達し、現地を訪れる関係者が増えたということで、ここに遺骨がある、あそこに遺骨があるという情報がたくさんもたらされたことを踏まえ、本格的にやり始めたのが、昭和42年の第2次計画です。

 さらに、昭和48年以降の第3次です。これは御存じの方がいらっしゃると思うのですが、昭和48年に横井庄一さんがグアム島で見つかり、昭和49年に小野田さんがルバング島で見つかったことを踏まえ、国民の関心が戦没者の御遺骨に対してかなり高くなった時期です。そういうことを踏まえまして、昭和48年から第3次計画を3年計画でやってきました。

 さらに、昭和51年から平成17年まで、相手国の事情等で収容できなかったのですが、新たに収容可能になった地域等について、継続的に収集事業を実施してきました。具体的に言いますと、主に宗教的な関係で、イスラム教の国は基本的に土葬だそうで、土葬した遺骨を掘り返すのは、国民感情としていかがなものかというところもあり、これは旧ソ連もそういう国が多かったということです。あとは、埋蔵文化財的な、歴史的なものだと規定する国もあり、進まなかったことがあるのですが、近年、それが日本側との交渉の中で、可能になってきた状況です。

 現在、平成18年から引き続き行っているのですが、民間団体の協力を得て行っていると書いてありますが、近年は遺骨の情報が非常に少なくなってきている状況があるものですから、平成18年から民間団体にお願いし、現地に直接入っていただいて、現地の方々から直接情報を得るという事業を行っていまして、「海外未送還遺骨情報収集事業」と呼んでおります。そういう事業を開始し、海外に直接行っていただいた方々の情報を基に、政府の派遣団として、現地に行って御遺骨を収容するというスタイルに、現在は変わってきております。

 したがいまして、平成18年以降、収容数としては、年間約3,300柱平均ということで、それ以前の昭和51年以降に比べて、収容数は増えています。

3ページは、地域別の戦没者概見図です。線が引いてありますのは、戦域ごとの地図となっています。それぞれの線で囲っている中に、慰霊碑を14か所建てています。数字としては細かいのですが、我々が重点にしているのは4地域ありまして、この4地域は戦没者が多いにも関わらず、日本に帰ってきた数は少ない所です。フィリピン、東部ニューギニア、ビスマーク・ソロモン、インドネシアの4地域を重点的にやっております。地図を見ていただくと分かるのですが、中国本土は465,000人亡くなって、43万は帰ってきているのですが、ここは玉砕をした地域ではありませんので、たくさん帰ってきているのですが、現在は相手国の事情があって収容活動はできておりません。併せて、中国東北部は旧ソ連が、昭和2089日のソ連参戦により、戦闘があった地域ですが、4万柱しか戻ってきていないのですが、中国全体という形になりますので、手が付けられないという状況になっています。

 次のページです。先ほど私が言いましたように、上からフィリピン、東部ニューギニア、ビスマーク・ソロモン、インドネシア、この4地域は重点地域ということでやっています。それ以外にも、パラオ、沖縄、硫黄島等、引き続きやっていきたいと考えております。

 続いて、慰霊巡拝です。昭和51年度から戦没者の慰霊を目的とし、御遺族とともに現地へ向かい、現地で慰霊をするということで、慰霊巡拝事業を行ってきています。これは、基本的には旧主要戦域ごとに、計画的に行ってきております。御遺族の希望あるいは戦没者数によって、毎年行く所、2年置きあるいは3年置きという形でやってきています。ちなみに、これは昨年の実績ですが、310名の御遺族の参加を得まして、旧ソ連、中国、硫黄島、モンゴル、インドネシア、ビスマーク・ソロモン諸島、ミャンマー、フィリピン、東部ニューギニアと実施をしてきております。

 続いて、戦没者の慰霊碑の建立です。旧主要戦域ごとに1か所つくっているというお話をいたしましたが、現在、硫黄島を入れて15か所となっております。内訳については※に書いていますので、御覧になっていただければと思います。

 これは、つくって、つくりっ放しということではなくて、南の島々は熱帯性の気候ですので、劣化が非常に激しいですので、定期的に検査をし、必要であれば必要な補修を行う事業を行ってきています。これは、いわゆる「大規模な慰霊碑」と言っているのですが、旧ソ連地域については、広大な地域に抑留されたということがありますので、ハバロフスクに慰霊碑はありますが、それとは別にそれぞれの州単位で、小規模な慰霊碑をつくってほしいという要望が抑留経験者あるいは抑留中死亡者の御遺族からありまして、現在これも計画的に、13か所で進めています。

 次のページは、慰霊碑の建立状況、旧ソ連関係の小規模な慰霊碑の建立状況です。

 それでは、実績評価書の説明です。このような事業を行ってきており、測定指標について指標は3つあります。巡拝参加者関係で「満足」と答えた人の割合、遺骨収容、行った地域数、慰霊碑の維持管理と実施地域数。参考として、遺骨収集帰還事業の実施数、実際に日本に送還した柱数、慰霊巡拝の実施数です。

 指標1については、85%以上が年度ごとの目標値になっていて、我々は慰霊巡拝に行き、最終日に御遺族の方にアンケート用紙を渡しまして、アンケートを取らせていただいております。いずれも、平成25年度については85%ということで、目標値はクリアしたと考えております。

 指標2です。遺骨収容の地域数、これは過去3年間の平均ということです。平成25年度は12地域ということで、これも達成していると考えています。ただ、平成24年度は13地域ということで、1地域減っているという御指摘があろうかと思うのですが、相手国と交渉して行う事業ですので、我々が好きな時期に、好きな所に行くことはできません。あくまでも相手国に、こういうことをやりたいと計画をお示しし、了解を頂くということで、相手国との関係でできなくなるケースもないわけではないということですが、粘り強く交渉した結果、12地域ということは、達成できたのではないかと思っております。

 慰霊碑についても、年度ごとの目標値、昨年度は27となったのですが、昨年度の実績は28ということで、いずれも達成していると考えています。

 したがいまして、総合判定はAと考えています。指標2については、先ほど言いましたように、平成24年度は13でしたが、平均地域数はおおむね達成していると。また、指標3も着実に達成していると。指標1も毎年改善しているということで、目標は達成したと判断させていただいております。

 評価結果と今後の方向性です。施策の分析の部分ですが、有効性の評価については、まず遺骨収容については、相手国との関係がありまして、現在は協定や覚書等を結ぶ中で、遺骨の収容の促進に努めていること、あるいはNPO法人等の関係団体の協力を得て、情報収集を効率的に実施することで、政策目標の実現に有効であると考えています。

 効率性の評価については、遺骨収集帰還事業については、基本的には情報収集が肝であるということで、ロシア側については、ロシア側の公文書館が持っている資料の入手、それ以外の連合国については、アメリカ、オーストラリア等の公文書館の資料を入手することが、今の重要な課題と考えていまして、効率的に実施していっていると考えています。

3点目の現状分析です。戦没者の御遺族が非常に高齢化をしているということで、残された時間はほとんどないと考えています。したがいまして、与党の中でもいろいろな議論がされているようですが、こういう状況を踏まえまして、集中的な情報収集を行い、それに基づいて集中的に事業を推進していくのが大事だと考えています。また、戦没者の慰霊碑についても、戦没者を慰藉するという上で非常に重要なものであるということで、今後も適切に維持管理を行っていきたいと考えております。

 次期目標等への反映の方向性です。繰り返しにもなりますが、平成18年から行っている未送還遺骨の情報収集事業を基に、更に海外の公文書館等にある紙の情報をうまくリンクさせて、遺骨収容の促進を図っているということで、これは今後も進めていきたいと考えています。また、慰霊碑についても、同様に引き続き、適切な維持管理に努めていきたいと考えています。社会・援護局外事室からは以上です。

 

○高橋座長

 たまたまなのですが、昨日の毎日新聞の書評欄に東大の加藤陽子さんが書評した浜井和史さんの『海外戦没者の戦後史-遺骨帰還と慰霊』がかなり大きく扱われていて、それが大変いい書評で感銘深く読んでいたもので、そのようなこともあって、大変大事な仕事が、これは法律ではなく、設置法であること自身も私は初めて伺って、ある意味では驚いた次第なのですが、戦没者の遺骨の問題が、そのように扱われざるを得なかった歴史を考えざるを得ないなと思いつつ伺っておりました。

 私からコメントさせていただきましたが、いかがでございましょうか。

 

○社会・援護局援護企画課外事室長

 間違えて説明をいたしましたので、訂正させていただきます。厚生労働省の設置法は法律ですが、そこには規定をされておりません。設置法には社会・援護局の業務として、「旧陸海軍の残務の整理」ということだけが書かれておりまして、それを具体化した組織令です。そちらに「戦没者の遺骨の収集に関すること」と書かれておりますので、訂正させていただきます。

 それで、ただいま座長からお話のありましたことですが、実は与党の中でも議論されている、あるいは国民の関心も非常に高いということで、国会での質疑も、多うございます。来年は戦後70年になりますので、節目の年ということで、いつまでもこの仕事をやっているわけにはいかないということで、集中的にできるような方策を考えていく必要があるのだろうと考えております。

 

○高橋座長

 いかがでしょうか。

 

○堀田委員

2点ほど聞かせてください。1つは、いつこの事業が完了するのかということなのですが、遺族の方が亡くなられていって、慰藉の感情がなくなるという、その点を無視して遺族が望んでいる前提に立って、各地域で亡くなった概数が出ています。大体、それだけの数を全部収集帰還すれば完了するのでしょうけれども、そこまでは多分いかないですよね。

 しかし、ある程度帰ってくる、例えば半分帰ったとしても、帰った人の判別ができない方が多いだろうと思うのです。そうすると、御遺族の感情というのは、半分は帰ってきたけれども、半分は残っている。半分残っていると、まだ自分の求める遺骨は帰っていないかもしれない。結局全部帰ってこないと、帰ってきたような気持ちにならないのではないだろうか。

 そうすると、これは全部収容しないと、その面では終わらないということになるのではないかという感じがするのです。その点はどういうことなのか。そういう考え方なのか、何かいい方法があるのか。それが1点です。

 もう1点は、60万柱は分かっているが、あと半分ぐらいは帰れない、いろいろな事情で無理となると、その方の遺族の感情の慰藉と言いますか、それはどういう方策をお考えになっているのか。それについては自然に遺族の感情が消えるしかないということなのか、その辺りはどういうお考えなのか。その2点を聞かせてください。

 

○社会・援護局援護企画課外事室長

 堀田委員から御質問のありました点についてです。まず、いつ終わるのかということですが、大変申し訳ございませんが、「いつ終わります」とお答えできないのが率直なところです。

 ただ、先ほど申し上げましたように、いつまでも今のペースでやっていたら、100年経っても200年経っても終わらないだろうという御指摘は受けております。したがいまして、一定の年限を切って、人も予算も集中的に投入してやる必要があるのだろうと考えております。来年は戦後70年という節目の年でもありますので、そこをスタートにするか、その次にするかは別としまして、ある一定のスパンを区切ってやっていく必要があるとは考えて、予算要求の議論をしているところです。

 併せて、例えば10年、5年、20年という区切り方はあろうかと思うのですが、それが終わったら終わりなのかということは、我々は考えておりません。御遺骨の情報がある限り続けていくべきでしょうし、慰霊碑もそこで壊すわけではありませんので、これはずっと恒久平和を祈念するという意味合いからも適切な維持管理を続けていく必要があると思いますし、御遺族がいる限りは、慰霊巡拝事業も当分は終わらないと思っております。

2点目についてです。120万柱帰ってきていなくて、我々が収容可能なのは60万柱と考えている中で、残りの60万はどうなるのか、御遺族の気持ちはどうなるのかという点です。1つは海没遺骨で、海上の戦闘により撃沈された船とともに亡くなった方々ということになりますが、基本的な考え方としては、昔からの日本の伝統ですが、海の上で亡くなった方は水葬という考え方が一般的にございます。

 もう1つは、非常に深い海の底に眠っておりますので、技術的、物理的に、これを収容することができないということです。浅い所の場合については、何件かの収容作業をしたことがありますが、基本的にはできないということがあります。

 これらの御遺骨についてどうするのかということですが、我々は陸上で慰霊巡拝というものをしているのですが、毎年はできないのですが、定期的に洋上慰霊という事業も行っております。節目の年を捉えて、御遺族の方と船で回航し、それぞれ激戦のあった海を回って慰霊をする事業を行っていますし、地上の慰霊巡拝を行う場合でも、例えばフィリピンに行った場合は、ルソン島とかレイテ島をやるのですが、そこの港から船をチャーターしまして、沖に出て「あなたのお父さんは、この辺りのレイテ沖の海戦で亡くなっています」と船の上に祭壇を作って慰霊祭をしています。

 もう1つの相手国の事情です。一番大きなところは中国ですが、先生方御存じのとおり、こういう状況ですので、なかなか進展しない中で、機会を捉えて、何とか向こう側とこの問題について接触できないかということは常に考えております。なかなかうまくいかないところは大きいのですが、そうはいっても御遺族の気持ちを考えると何かしなければいけないというのは当然ありまして、我々は中国友好訪中団という事業を行っております。これは、日本政府の現役の職員が行くことは難しいのですが、OBの方などに御協力いただき、御遺族を連れて慰霊巡拝と同様の効果がある事業ですが、中国の東北地方、旧満州につきましては、そのような事業を行っています。

 それ以外の国については、例えば宗教上の関係で収集作業ができないという国については、慰霊巡拝等については特段の問題はありませんので、御遺族を御案内するということです。以上です。

 

○山田委員

 年度によって執行額の変動が大変大きいように見えるのですが、執行額の変動は何によってもたらされているのでしょうか。これが1点です。

2点目は、慰霊碑の維持管理の目標値に関してです。先ほどの御説明では、例えば南方では、高温多湿等の理由により維持管理等が大変だということなのですが、この執行額で回せているという御認識なのでしょうか。

 

○社会・援護局援護企画課外事室長

 予算と執行額の変動についてですが、我々も心苦しいところではあるのですが、平成22年が84%、平成23年が57%ということで、次が97%、94%ということできています。

 実は平成23年度は、震災や予定していた相手国の事情等でですが、中止になった面が大きいです。基本的には80%以上、90%以上の執行率を目指したいということで予算を組んでいますので、理想としては100%なのでしょうけれども。平成23年度が落ち込んでいますのは、極めてレアケースと御理解いただければ有り難いと思っております。

 慰霊碑の関係です。一般的には、5年ぐらい経って壊れているかどうかを見に行きます。それで修理する必要があれば、その翌年に修理をする形で、この間やってきてはおります。ただ、国の財政事情も厳しいということで、なかなか5年経ったら見に行く、6年目に直すとはなっておりません。現地の政府あるいは現地の公的団体に維持管理をお願いしておりまして、年間契約で管理をお願いしています。その中で、毎年報告書が上がってきますので、ここが壊れているという話は上がってきますので、必要に応じて弾力的にやろうということで、近年は予算も工夫をして、恒常的な予算という形ではないのですが、対応していきたいと考えております。

 現時点では、特段問題があるところはそう多くはありませんが、幾つか申し上げますと、台風がきて、かなり被害を受けた、あるいは現地の若者たちというか、心ない人たちによって、悪戯書きをされたり、火をつけられたりという所はないわけではありません。そういうところについては、本格的な修理というわけにはいかないのですが、まず応急的な修理をしようと。台風の被害があったのはパラオなのですが、これは今年度の予算が付いていますので、きちんと直そうということでやっているところです。

 

○菊池委員

 指標1で、目的がはっきりしていますので自ずと満足度は高いと思うのですが、85%をどう見るかというのはあると思います。逆に、必ずしも「満足した」と答えられなかった方の要因分析というか、なぜなのかという辺りは分析されておられるのでしょうか。それが、更にこれを高めていくことになると思うのです。

 

○社会・援護局援護企画課外事室長

15%程度の方が満足されていないということで、こちらに注目する必要があると思っていまして、議論はしております。

 大きく分けて3つほどあると考えております。1つは渡航費用の関係です。どうしても自己負担の分がありまして、全部国の予算というわけではありません。特に一般のツアーとは違い、普通のツアーでは行かないジャングルの中に入ったり、道路も舗装されていない所を行くということで、手配関係で割高になる部分がありますので、年金生活をされている方々にとっては、渡航費が高いという意見は聞いております。

2点目は日程の問題がありまして、行く場所によっては機中泊をしなくてはいけないとか、成田を夜に立って、現地に早朝に着いて、そこから行動するということで、着いた日から疲れてしまうので、何とかしてくれないかという御意見を伺ったことがあります。ただ、昼間の便もあるのですが、そうすると割高になってしまうということで、経費を取るか日程を取るかという、ジレンマの部分もあります。

 もう1つは心の問題ですが、激戦地には付きもので、自分の肉親が亡くなった場所に行けないケースが多いのです。「この辺りで亡くなっています」ということまでは言えるのですが、「ここで亡くなっています」というのはなかなかお示しできないということで、行程上の不満と言いますか、自分の思った所まで、縁の地まではどうしてもたどり着けなかった。全体行動をしていますので、今日は誰々の日です、今日は誰々さんの行動ですということでやっていますので、最初のほうにやった方々は、自分の分は終わって、次の方々に付いて行かないといけないのですが、あのときにあそこに行かれればという思いは、少なからずあるのかなということで、我々はそれは課題だと考えております。この3つが一番大きな要因ではないかと考えています。

 

○菊池委員

 その中で解決の方向に向かうとすれば、1番目だと思うのですが、自己負担が発生するのはやむを得ないのでしょうか。

 

○社会・援護局援護企画課外事室長

 そうですね。

 

○菊池委員

 国家補償的な性格のものですので、その点は公費でというのは世間的にも、そんなに反感を持たれないような部分ではあると思うのですが。

 

○社会・援護局援護企画課外事室長

 これは補助金の制度ということですので、10分の10というのは厳しいという部分がございます。仮に10分の10が出たとしても、実際の旅行費用は旅費法に基づく計算ですので、それに基づく計算以上取られる可能性が結構あります。我々も赤字の出張は結構あるのですが、そういうことがありますので、御遺族の負担はゼロで行っていただければ一番有り難いのですが、難しい状況かなと考えております。

 

○高橋座長

 遺骨収集の理念と現実の事務的な補助金制度との狭間で御苦労されていることがよく分かりました。先ほど少し紹介した本の中にも、「終わらないことの意味を問い続けること」という表現で書いていますが、このこと自身は講和条約、昭和27年以降に始まったということで、一番まだ残っているときには、それが不可能であったという事情と、継続的に、余りいい言葉ではないけれども「戦後処理」というのは永遠に続く、世の中的なことではない大変地味な、しかし一番日本人の戦後の在り方みたいなもので、大変大事なお仕事を継続的にされている。これが逆に言うと、閣議了解のレベルの話であるということが、これはいつも言っている大文字の政策論の話になるのですが、これ自身がやはり驚きで、きちんとした根拠と、国家がこういう遺骨をどう考えるかについて実は閣議了解のレベルでしかできなかったということの意味を我々は改めて勉強させていただいたような気がいたしまして、これからの作業については、今日の意見も参考にしていただきたいと思います。御報告を頂きましてありがとうございました。

 

○社会・援護局援護企画課外事室長

 ありがとうございます。

 

○山田委員

 事務局に質問なのですが、御報告は何分になっていますか。

 

○政策評価審議官

 基本的には15分ですが、今回は3つの項目になっていますので、多少延びても構わないとは思っています。というのは、全体の枠として2時間は取っていますので、全体で30分ぐらいを念頭に置いていますが。

 

○山田委員

 ただ、スケジュールがビハインドになっていると思いますし。

 

○高橋座長

  1040分までが前半で、5分ほど延びています。引き続き施策番号9-1-3「企業年金の健全な育成を図ること」について、15分程度で説明をよろしくお願いいたします。恐縮ですが、まず御所属と名前をお願いします。

 

○年金局企業年金国民年金基金課長

  年金局の企業年金国民年金基金課長の黒田でございます。御指示の時間の範囲内で簡潔に御説明申し上げたいと思います。先生方のお手元に実績評価書、資料2-1、資料2-2があると思います。主に資料2-1を、時々資料2-2を参照しながら御説明させていただきますのでよろしくお願いいたします。

  今回、先生方に御覧いただきます企業年金等については、政府が管掌する公的年金の仕組みとは異なります。企業年金については労使、それ以外の個人単位の仕組みについては個人の任意加入で仕組みが成り立っています。したがって、政策ツールも公的年金の側は、どちらかというと法律に根拠がある強制的なアクションです。つまり、強制的に徴収をするとか、強制的に云々とか。後は法律に基づいて、事細かに決められた個別法に基づくアクションがありますが、この仕組みについては任意の仕組みだということと表裏の関係です。ツールの主体は税制が中心ですし、強制的なアクションは比較的抑制的になされており、個別の労使あるいは個別の方々の加入に基づく保険の運営等がなされている点が特徴です。

  資料2-1の上から3番目の欄ですが、そういう仕組み、つまり労使の設立あるいは個人の加入についてです。これらの仕組みは上乗せ年金ですので、公的年金は賦課方式ですが、企業年金等の上乗せ年金は、加入をされる方々あるいは事業主の方々がファンドを積んで、それに運用で得られた果実を加えて年金としてお配りする、積立方式という方式を採っています。ただ、その積立方式に依っていた場合、受給権の保護、受給権の裏打ちになる原資がきちんと確保されるのかどうかという話もある関係で、上から3番目の欄にあるような個別法に基づいて必要な財政運営のルール、それから加入者の要件、設立をする際の意思決定の手続等々が法定されています。現在、根拠法令としては上から3番目の欄にあるように、厚生年金保険法、確定給付企業年金法、確定拠出年金法、国民年金法等です。後ほど御紹介しますが、その内一番上の厚生年金保険法については、途中で法改正が入っていますので、そちらも御説明いたします。

  施策の予算額・執行額等の欄ですが、この欄は非常に少額です。先ほど申し上げましたように、この仕組みの上乗せ年金は、基本的に原資を積んでいただく労使あるいは加入員の方々のファンドに基づいて、それを運用して得られた果実を年金で配るということですので、いわゆる3階、上乗せの部分については公費の投入は実質的にゼロです。ですので、ここの欄に挙げられている施策の予算額・執行額等の費目については、主に行政の側で必要な検討をするための経費やその運用が適正に行われているのかどうかということを確認するための経費等々に限定されていて、桁も千万オーダーということです。

  関連税制ですが、これらの仕組みを実施していただく際の誘因となるのが、加入をする個人に対する税制のインセンティブ、実施をしてくださる労使の方々に対するインセンティブです。関連して、ここの関連税制に挙げられていますが、運用段階で各年金制度で持っている積立金の持ち高に対して課税をされる特別法人税という税制があります。こちらについては、運用の環境が不安定であることとの兼ね合いで、平成11年度から課税停止されていますが、この課税停止の措置は3年間延長と決定されました。以上が最初の紙の上の欄です。

  続いて下の欄の測定指標の欄です。測定指標としては、企業年金との加入員数で把握しています。その加入員数の推移を御覧いただきますと、平成21年~平成24年度にかけて概ね増加傾向にあり、平成23年~24年にかけてフラットになっています。ということで、概ね増加をしています。ただ、年度毎の目標値については、こちらの水準にまでは達していないところがあって、達成のところには△を付しています。

  指標の2、持続可能な制度の構築です。この評価期間の間に、この根拠法令等の一番上の欄にありました、厚生年金保険法に基づく厚生年金基金の制度について、昨今の非常に上下の振れ幅が大きい資産運用市場の動向や、厚生年金基金を作ってくださっている中小企業の方々の成熟度の高まり、それから運営に関する課題等々が指摘されています。厚生年金基金の制度については、今後に向けて持続可能な制度とはなかなか言い難いというお話があった関係で、平成24年度の検討を経て、平成25年度に厚生年金基金制度は5年間の経過措置期間を入れて、原則的には他制度に移行、あるいは解散することが定められた法案が成立し、本年の4月から施行されています。ですので、これまでこういった分野の一翼を担ってきた厚生年金基金の制度は、今後5年間の期間の中に、原則的には他制度への移行、あるいは解散の道を選んでいただくという事情変更が生じました。

  その下の指標37ですが、参考指標3は現在、この上乗せ年金の最大の制度であります確定給付企業年金の加入者数です。この仕組みは主に税制適格年金からの移行の受皿としての位置付けが強く、平成23年度に適年からの移行が完了して、そこで大体プラトーに達しているというような状況です。また、厚生年金基金については、先ほど申し上げた法案が平成25年度に成立をし、平成264月から施行されています。それに至る段階でも基金が徐々に解散の動き、あるいは基金を作ってくださっている事業所で働く加入員の方々の減少等々に伴って、加入者数は減少の傾向が見られます。また、その下の国民年金基金の加入者数については、御覧いただいているとおりです。こちらも国民年金基金は1号被保険者の中で未納あるいは保険料免除等々の対象になっていない方が対象になる任意加入の仕組みです。1号被保険者数の減少傾向等々もあってこのような数値になっています。指標78については、プラン数ということで御参照いただきたいと思います。

  続いてその次のページ、評価結果と今後の方向性の関係です。総合判定のところについては、私どもの判定の理由は、改善のための措置というものも入れ、それから加入者数の動向も御覧いただいての動向であることから、御覧いただいているような書き振りを取りあえず御用意させていただきました。

  また、有効性、効率性、現状分析の部分ですが、有効性については法案の記述、それから税制改正の中身を記載しています。効率性の部分については、この分野は予算を担う部分が限定的だと申し上げましたけれども、それも一定の範囲内で概ね平行移動的な推移になっております。また、現状分析の部分ですが、これまでの延長線上の取組み、それから新たに法律によって解散等を進めるべしというお話を頂いた厚生年金基金の話ですが、これまでと違った事情が出てきました。それぞれ与えられた法律のフレームに沿って、適切にやっていきたいということです。その下の次期目標等への反映の方向性です。こちらについては、上と重なりますが、厚生年金基金については5年以内に解散あるいは他制度への移行等々進めるべしという話を頂きましたので、この制度は言ってみれば法律の本則の制度ではなくなったということです。これからの指標を考える上では、永続的な制度として位置付けられている制度をベースにしたものでいかがかということです。また、現在加入者数にウエイトを置いた形になっていますが、これから高齢化も進んでいき、加入者層の方々の人数も動いていくことを考えますと、加入者数で良いのか、あるいはその対象人口に対する加入率のような概念を考えたほうがよいのかという点はあるかと考えています。これらについても先生方の御意見を頂戴したいと思っています。

  なお、御参考までに資料2-2をかい摘んで御説明いたします。1枚目、法律の概要です。これが昨年の6月に成立をし、今年の4月に施行された厚生年金基金制度の見直しの概要です。厚生年金基金は厚生年金保険法に規定がありまして、設立の規定、認可の規定、それから意思決定のプロセス、財政ルール等々定められております。

  この仕組みの特徴は、その1枚後に年金制度の体系の図にありますように、企業年金としての性質と、公的年金の給付を一部代行する、代行部分を有している点の2点です。純粋な企業年金というよりは、両方の性格を合わせ持つハイブリッド型の仕組みです。この仕組みは代行部分を持って、いわば純粋な企業年金の部分よりも、資産額が大きくなります。その大きさが、ポジティブな方向に寄与した制度創設からバブル崩壊までの間には、これが制度普及の大きなエンジンになった部分があります。昨今の成熟度の高まり、それから資産運用市場の上下変動の拡大を考えると、この部分を持った大きい資産での年金制度の運営が母体企業にとってもかなり負担であり、また厚生年金本体にとっても財政上のリスク要因になっていることから、この厚生年金基金の運営に、区切りを付けていくために法案が提出されました。

  その1枚後に模式図がありますが、積立方式の年金ですので、企業年金部分も合わせた運営であれば、企業年金部分も含めたフルファンドを積んでないといけない。それまで積めている基金は法案審議の過程で約1割です。この1割の基金は今のような巡航速度の運営でもファンドを積めることになりますが、残りの9割の基金については代行割れをしている、あるいは代行水準は何とか確保しているけれども企業年金部分に相当の積立不足がある状況なので、制度としてお約束した給付を持続的に提供することはかなり困難である。しかも大きなロスが出た場合に、成熟度が高くて受給者に対する加入者の人数が少ないので、掛け金で取り返すことは非常に難しいということがあったものですから、今御覧いただいている図にありますように、代行部分はあるけれども、上乗せの資産が足りない基金については他制度への移行、あるいは残与財産を分配して解散。それから左側の代行割れをしている基金については、企業年金部分の原資がない、代行部分についても不足があるということで、こちらを厚生年金に不足額は返していただいて、返しやすいような制度的な工夫を講じた上で、厚生年金本体との公平を確保した上で別の道を選んでいただく、こういうやり方になっています。

    もし詳細について御質問があれば、更に御説明いたします。この分野の一翼を担ってきた厚生年金基金ですが、昨今の経済環境等々を考えれば今回の措置は妥当だろうと思っています。現在のところ、施行から約23か月経っていますが、概ね半分の基金から解散あるいは代行返上等の意向を固めて手続を進めたいという意思表明を頂いています。私からは以上です。

 

○高橋座長

  ありがとうございました。それでは御意見、御質問をどうぞ。

 

○菊池委員

  2点あります。1つは次期目標等への今後の方向性について。先ほど御説明の中で、今後の確定給付企業年金と確定拠出年金の加入者数の合計、あるいは率という話がありました。率を指標化していく話も出されましたが、結論的に私は、すぐに切り替えるのはどうなのだろうかという、やや疑問があります。というのは、厚年基金制度の改正をしたけれども、そこで各所から懸念が示されたのは基金加入者のその後の受皿がどうなのかという点でした。それはこれからの課題ですと収められたように思います。ということは、厚年基金が随時解散していくと、ひょっとするとその分企業年金の加入者数としては減る可能性があると思うのです。それをどう見るのかで、それはカウントしないということであれば、ある意味で企業年金の加入者数としてそこは見ないという、そういうメッセージになります。そうではなくて、やはり今まで加入していた人をどう他の企業年金が受皿で受けていくか、そこも課題として認識しているのだよというメッセージを示すためには当面の間、厚年基金の加入者数も含めた指標を、あるいは指標も残しておく必要があるのではないか、というのが私の意見です。

  もう1点は、これは行政評価をどう考えるかにもよるのですが、この施策が健全な育成を図る、もう1つ適正な執行という目標もありますが、それは健全な育成なので、正に厚年基金制度の在り方の問題になります。私が考えますと、例えば国民年金基金をどうするかとか、当然、健全な育成との関係で視野に入ってくるものはありますので。まだ審議会でも議論していないし、法案化の話も立法府から出ていない。それはそうだとしても、その所管庁、所管課として自分たちはこの辺りが問題だと思っているものがあれば、これは正に行政評価なのです。そういう審議会や立法府との関係を切り離して自分たちの問題意識を示していく。これは行政評価をどう考えるか、なのですけれども、それもあってもいいのではないかなと思います。その関連で、主要な指標を挙げるときに、その所管課自身が目標達成に向けて重要度が高いと判断したものも挙げることになっています。そうしないと、法案になったものの事後的な説明になっていますし、それはやっているほうも何か今一つ力が入らないだろうし、そういう意味で、もうちょっと積極的に、問題意識を発信するような部分があってもいいのかなという印象を持ちます。以上です。

 

○年金局企業年金国民年金基金課長

  ありがとうございます。2点頂いていまして、まず国民年金基金の扱いについては、すみません、これは私どもの資料の誤植でして、国民年金基金も恒常的な制度として引き続きあります。DB(確定給付)、確定拠出、国民年金法に基づく国民年金基金という辺りが、恒常的な制度だろうと考えます。その上で、厚年基金をどう扱うかという話ですが、これはそういう意味では恒常的に続く制度として、どれぐらいの加入者あるいは加入率にしていくのかという話です。立法府から与えられた大きいミッションだと思いますので、その辺で1つの固まりを作ることは、合理的なのかなと思います。

  厚年基金の話をどうトレースしていくかという話はもう1つの課題です。先ほど少し御覧いただいた資料にもありますが、資料2-2の一番最後のページに、この仕組みから移行する際の選択肢を広めに提供するというのが今回の仕組みの考え方です。そういう意味では、代行割れはしていないが上乗せの財産はあると。これをどうしていこうかという際に、他の企業年金制度に移して、それで形態を変えるけれども企業年金制度で継続するやり方もあります。後は企業年金制度ではないけれど、退職金の制度である中退共に移すやり方もありますし、あるいは残与財産を分配するやり方もあります。それを労使で御相談いただいた上で、決めていただくやり方です。ですので多様な選択肢を用意することに、ウエイトがあります。その中でどれぐらいの割合でやるのが適正かという定規は私どもとしても描き切れていません。

  また、代行割れしている基金については、よりその度合いが厳しいわけですが、選択肢を拡大するという観点からは施行の段階で代行割れをしていても、代行不足額を厚生年金本体に年賦払いでお返しをしつつ、今の負担の範囲内でもう少しコンパクトな上乗せをもう一回再建するやり方もできますよと。できますというのは、抽象的にではなく、掛け金の水準を具体的にお示しをした上で、そういう選択肢が現行の負担の範囲内では可能だというメッセージまでは、当方からお出ししています。それもテーブルに乗せていただいた上で、決めてほしいというやり方になっています。戻りますと、ベースになっているのは法律の本則で位置付けられたものをまずは基本に考えることだと思います。厚生年金基金のお話については指標化がなかなか難しい面がありますが、こちらの評価項目との関係で、何かメンションをしていくやり方があるかどうかについては工夫をしてみたいと思います。

  2点目ですが、国民年金基金制度の話があります。こちらは国民年金基金制度もそうですし、先ほど御覧いただいた確定給付、確定拠出も然りなのですが、今の仕組みよりももう少し改善なり改良したほうが取り組んでいただきやすい、あるいは加入していただきやすいのではないかという点が様々あります。社会保障審議会に企業年金部会という部会を立ち上げまして、そちらでそれぞれの本則に位置付けられた制度の改善についても検討していこうと、まずは企業年金をやりましょうと、関連制度も含めて考えましょうということになっています。一義的には、そちらでどんなアジェンダ設定にするのかも含めて、検討していくことになります。

 

○山田委員

  黒田課長から御説明のあった次期目標等への反映の方向性ですが、菊池委員からも疑問が挙がりましたが、やはり労働力人口が減っていく中で、加入者数よりは加入率のようなものを使用されたほうがいいと思います。その理由として、例えば今回お示ししていただいた指標1の加入者数ですが、これは年度毎の目標値から見ると全ての年度で下回っています。これが加入率としてはどうなのかが重要です。しかも、もし加入者数の指標1だけに基づくとすれば、全ての年度で下回っていることになるので、達成度は一部達成ではなくて、これは全て未達成になってしまう。その結果、主要な目標が未達成なので総合判定はAではないことになってしまいます。そうすると、加入率というものを使ったほうがいいかなと思います。本当にこれが△でいいのかどうか。これを正直に読み換えてしまうと、本当に△なのか私はちょっと疑問に思っています。指標は次期目標等で工夫されたほうがよろしいと思います。工夫の仕方としては、2点目として、いくつか加入率以外にも指標が必要だと思います。先ほど菊池委員が言われたように、解散した基金の加入者たち、かつての基金加入者が一体どのような制度に移行しているのか。こちらの「施策の背景・枠組み」にも、国民の老後の所得保障の多様なニーズということが書かれています。単に加入者数が増えたとか、そういうこと以外に、実際にどういう種類の企業年金の給付が得られるようになったのか、特に厚生年金の所得代替率も50%にまで引き下がっていく中で、企業年金の役割というのは重要になってきます。ゆくゆくはこちらでどれだけのレベルの給付水準が約束されているのかも、当然ながら指標として入っていくべきだと思いますので、御検討いただければと思います。私からは以上です。

 

○年金局企業年金国民年金基金課長

  2点先生から頂きました。1点目については、加入率の方向でこれからの話は考えていきたいと思います。制度的な話を細かく申しますと、先ほどの国民年金基金でも1号被保険者の方々が加入可能な仕組みにはなっていますが、その中で例えば免除対象者の方については入れないことになっている。免除の率が上がってくると、結局1号被保険者の母数に比べて、実際に加入可能な方々はそれの更に一部になってきたりということがありまして、やはり母数、これから全体の母数が減っていくので、そういうことも考えれば率のほうが合理的だろうと思います。その率を、今後どうするのかという話で考えていきたいと思います。

  それから2点目については、先ほどの菊池先生のお話と重なります。メインの指標という形がふさわしいかどうかはともかくとして、何らかトレースしていくことは必要だと思いますので、そちらについてはやり方を工夫して考えてみたいと思います。

 

○堀田委員

  これは評価の問題というよりも、難しい状況の中で、この政策をいかに柔軟に前を向いて進めていくかが、非常に基本的な問題だと思いますので、頑張ってください。それだけです。

 

○高橋座長

  年金というのはタイムスパンが長いのと、社会経済状況が制度設計のときから変化している。ある意味で言えば、今は縮小の中で制度をどうするかと、年金が真っ先にそういう議論の荒波にもまれている印象があります。そういう意味で、毎年の実績評価と同時に、長期的な政策の議論とのリンケージがいつも問題になって、その視点からの御質問もあったかと思います。今日の御指摘を受けて、行政の政策の実態を反映する上での評価指標ということで、いくつか示唆がありましたので是非御検討いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

○年金局企業年金国民年金基金課長

  どうもありがとうございました。

 

○高橋座長

 よろしいですか。それでは、施策番号11-1-1「国立試験研究機関の適正かつ効果的な運営を確保すること」について、担当課から15分程度で説明をお願いしたいと思います。まずは御所属、お名前をおっしゃってから説明をお願いします。

 

○厚生科学課長

 大臣官房厚生科学課長の宮嵜でございます。どうぞよろしくお願いいたします。国立試験研究機関の運営についてですが、「施策の概要」にありますように、本施策は4つの機関の運営です。国立医薬品食品衛生研究所、国立保健医療科学院、国立社会保障・人口問題研究所、国立感染症研究所の4つの研究所の適正かつ効果的な運営を確保することです。

 その下の「施策の背景・枠組み」の欄にそれぞれの研究所の目的及び事業の概要を掲げております。1つ目の医薬品食品衛生研究所は、特に医薬品・医療機器、食品、食品添加物、化学物質などについて、品質、有効性・安全性の評価、あるいは健康被害の防止の観点からの研究・試験・調査を行うほか、それぞれの物質の評価、分析法の確立などの研究を行っており、それを社会に還元していくというところです。

2つ目の保健医療科学院は保健医療、生活衛生あるいは社会福祉施策をするための専門技術等についての業務に携わる自治体の職員等に対する研修、これに関わる各種政策課題への対応や改善の科学的な根拠を示すための研究を実施しており、それを還元しております。

3つ目の社会保障・人口問題研究所は、人口の研究、社会保障の研究それぞれはもちろんですが、その人口と社会保障の間の関係についても調査研究を行っており、国の社会保障制度をはじめとする各種施策の立案の基礎資料として、将来人口推計や社会保障給付費の推移等の公表を行っております。それらのデータを社会に還元して、施策に反映しております。

4つ目の感染症研究所は、名前のとおり、感染症関係ですが、これらの病原や病因の検索あるいは予防治療方法の研究、細菌学的及び生物学的な試験研究などを行っております。また、生物学的製剤や抗菌性の製剤あるいは消毒剤、殺虫剤、殺鼠剤などの生物学的な検査も実施し、国民の福祉の向上に寄与するような取組を行っております。

4つとも国立の研究所ですので、それぞれの研究成果を社会に還元していくことが基本です。

 その次の欄は予算です。予算は毎年シーリングの関係もありまして、若干ずつではありますが、右肩下がりになっている状況です。これらの試験研究機関の取組についての評価ですが、測定指標として、指標の14まであり、それぞれの試験研究機関における研究課題の評価結果を指標として取り上げております。それぞれの研究評価結果が平均で3.5以上になることを目標として掲げております。ちなみに5点満点で3点は「良好」ですので、3.5点以上はそれ以上ということです。

1つ目の医薬品食品研究所については、平成25年度の数字で4.5点、保健医療科学院については平成25年度が4.1点、社会保障・人口問題研究所は平成25年度で4.1点、感染症研究所については平成25年度のデータがまだまとまっていなくて申し訳ないのですが、平成24年度で4.2点ということで、それぞれ目標値を達成しているという状況です。

 シートの裏側の「評価結果と今後の方向性」についてですが、目標達成度合いの測定結果としては(1)で、総合判定については、それぞれの測定指標が目標値である3.5点以上を上回っていることから、各試験研究機関での試験研究が有効かつ適切に行われているのではないかと考えており、判定結果はAとなっております。

 施策の分析の関係で、まず有効性の関係ですが、各試験研究機関においては、「厚生労働省の科学研究開発評価に関する指針」を踏まえて、外部有識者による評価委員会を設置して、研究課題の評価を行っているところです。実際には括弧内にありますように、新規課題についての採択の可否などの評価である「事前評価」、継続中の研究についての「中間評価」、終了した課題について、結果的にどうだったかを評価する「事後評価」を行っているところです。

2つ目の○ですが、研究課題評価においては、行政施策との適合性等との観点からも、各研究の有効性も含めて評価を行っているところで、毎年度3.5点以上の点数を獲得しており、研究の有効性が確認されているのではないかと考えております。具体的には薬剤耐性菌感染症に関する研究、危機管理に関する研究、国民の健康・安全を守り、ひいては国民の福祉の向上に寄与する観点から、意義のある研究成果が出ているのではないかと考えております。

3つ目の○にありますように、これまでの科学技術、その成果を人と社会に役立てるためのレギュラトリーサイエンスに関する研究や、社会保障関連の企画・立案に資するためのいろいろな推計値に関する研究などを行っており、これらの研究も国民の福祉の向上に寄与しているのではないか、こういう研究を着実に実施しているのではないかと考えております。

 次の欄の効率性の関係ですが、国の厳しい予算条件も踏まえて、各機関の予算が減少している中においては、研究の成果を着実に行政施策に反映できるように、より戦略的に、より効率的に研究を行う必要があろうかと思いますが、外部評価等を行い、そのようなものの結果等も踏まえて、「研究費等の研究開発資源の配分への適切な反映」と書いてありますが、しっかりやるところはしっかりやる、見直すところは見直すという配分を行っているということです。

 「現状分析」ですが、これまで述べましたとおり、外部有識者による評価においても、今回の評価期間の5年間を通して目標値以上の評価を得られており、施策の有効性、効率性が認められているのではないかと考えております。また、重なりますが、これまで申し上げました研究については、国としても引き続き着実に実施していくことが求められるのではないかと考えております。

 一番下の欄の「次期目標等への反映の方向性」ですが、今後とも外部評価を積極的に活用し、定期的な評価を進めていくとともに、評価結果に基づく事業の見直しや、予算要求への反映を行っていければと考えております。

 参考資料ですが、これは今申し上げたことを、それぞれの4試験研究機関について、上の欄に研究所の概要を、真ん中の欄に研究所の評価委員会のメンバーを掲げております。ここに記載されているメンバーでそれぞれの研究課題を事前、中間、事後で評価しています。下の欄には研究課題を記載しています。それぞれの研究機関で研究課題はたくさんありますが、主な研究を3つ程度、どの研究機関で、どんな研究をしているかというイメージが湧くような形で例示として記載させていただいております。説明は以上です。

 

○高橋座長

 ありがとうございました。それでは、御意見、御質問をよろしくお願いいたします。

 

○山田委員

 既に各研究所において、研究評価委員会メンバーでしっかり研究評価が行われていますので、私は執行額に関する懸念を申し上げたいと思います。平成2225年度までの間に、かなり執行額が減ってきています。率にすると15%とか2割ぐらいが削られています。これは全省庁的に予算が削られているからということなのかもしれませんが、研究所の機能を維持するためには一定程度の人員が必要ですし、また調査とかいろいろな薬品等、試薬等でそれなりに削れない所もありますので、そろそろ限界にきているのではないかと非常に懸念しています。

 非常に高いパフォーマンスを上げていますが、これ以上の予算削減のペースで行けば、研究のアウトプットにも何らかの支障が出てくるのではないかという強い懸念を覚えておりますので、学識経験者としてはそのことを強く申し上げたいと。一定割合でどんどん削っていけばいいというわけではない。最低限必要な予算というところに、そろそろ食い込み始めているのではないかということを、非常に懸念しています。私からは以上です。

 

○堀田委員

 これは研究評価委員会の評価が適切かどうか分からないので、何とも申し上げようがないのですが、この評価委員のメンバーを見ますと、全部その分野の専門家であり、大学等々の研究者です。研究者は確かにその専門分野では、専門機関と競合するような立場で判断できるのでしょうから、深い判断はできるとは思います。そのメンバーが主要メンバーであることは重要とは思いますが、もっと幅広い、特に成果とか研究結果を社会に生かすとか、その社会的意味を考えるとか、そういう点はその分野の専門家でない幅広い市民、国民の感覚を十分知っている面での専門家、そういう人が何名か、それぞれの研究機関に入っていないと、そちらの分野の仲間同士のなれ合いのようになってしまって、果たして広い視野からの評価ができるかどうかという点に疑問があります。これはそれぞれの研究委員会のメンバーについて言っているわけではなく、一般論です。4つとももう少し幅広い人たちを加える必要があるだろうと、肩書を見ての判断ですが、ここは一番基本になるところですので、私はそう感じます。

 

○菊池委員

 私はたまたま社人研に関わらせていただいておりますが、1つは先ほど山田先生から話がありましたように、シーリングとは言え、研究費そのものが圧縮されていくというのは、我々大学研究者も全く同じ状況なのですが、やはり限界があるだろうという感は強く持ちます。

 それとの関係で社人研も大学もそうですが、競争的資金を取ってきなさいというほうに、今はシフトしていて、これらの研究機関もそうだと思います。皆さん頑張って科研費などに申請されて、それが研究費の1つの柱になっていると思います。それは個人で持ってきたものです。研究を評価するに当たって、補助的なというか参考資料でもいいと思うのですが、多分その外部資金は伸びていると思います。それも間接的な研究機関の評価として参考にしていい資料だと思うので、そういったものもお出しいただけるとよろしいかと思います。

 

○山田委員

 ただ一方で、外部資金が伸びているからいいのかというのも、私としては注意深く見なくてはならないと思います。要するに外部資金を取るために、かなり内部のプロパーリソースを割いていることは確かですし、また外部資金で恒常的な研究員を雇えるかというと、期間が決まっているわけですから、なかなかそれは難しいということです。外部資金は代わりに伸びているからいいのではないかということには、もちろんならないと思いますので、その辺はそうではない恒常的な予算を確保する必要はあるのではないかと思っています。

 

○菊池委員 

 それは全くそのとおりです。

 

○厚生科学課長

 まず予算の関係ですが、御指摘のように、運営も含めて、かなり厳しい状況になっています。これまでも人件費や光熱・水道などの基本的な運営費の削減はもちろん取り組んできました。また、御指摘のように、研究資金についても競争的資金で確保できる部分については、競争的資金を積極的に獲得するようにという体制も採ってきましたが、何事にも努力の限界があると言うと、ちょっと言い過ぎかもしれませんが、そういうことがあるので、各研究所がどういうことをやっていくかというのは、我々のほうとも御相談しながら、適切に予算は確保していかなければいけないかと思っています。

 また、御指摘がありましたように、競争的資金の獲得というのは、ある面では重要な要素でもありますが、それが根本的な解決策ではないので、参考データとしては、予算が減っているから研究が先細っているというわけではなくて、競争的資金もこれだけ取っていて、研究所自体のパフォーマンスはちゃんとこのように上げていますということを、ある程度資料として準備できるものは準備できればと思っています。

 評価委員会の関係ですが、御指摘のとおりです。評価項目としてはそれぞれの行政的な施策への反映とか、社会的な貢献度という評価項目は作って、そういう視点で見ていただいているのですが、いかんせん御指摘のとおり、その分野の専門家が多いということなので、御指摘の視点も踏まえた評価が、もう少し充実してできるように、それぞれ委員の改選期に検討していきたいと思っております。 

 

○高橋座長

 ほかにありますか。

 では、御指摘を踏まえて整理をしていただくということであろうかと思います。そんなことでよろしいですか。

 

○厚生科学課長

 どうもありがとうございました。

 

○高橋座長

 それでは、一通り予定のものは終わりましたが、事務局のほうで何かありますか。

 

○政策評価審議官

 本日は長い時間ありがとうございました。項目としては3つだったので、余裕のある時間で、皆さん御議論いただけたのではないかと思います。御存じのように4月には消費税が増税になったとは言いつつ、意外と経済は堅調に推移しているというのが、大体今の見方でございまして、税収も結構いいと聞いています。また、今週中には成長戦略で骨太の方針とか、成長戦略の改訂版等々が決定されます。いろいろ既に報道等はされています。しかしながら、財政状況は依然として厳しいというのはあります。ですから、より一層効率的・効果的に使っていくことが、予算としては重要であり、そのためには国民に対しての説明責任ということを果たしていくことが重要です。その意味では政策評価というのは、今後とも引き続き重要性を増しています。

 その中で、厚生労働省の予算は全体で言いますと、一般会計総額96兆円のうちの31兆円で3分の1を占めています。ですから、更には国民の生活に直接関わってくるということで、先ほどから御議論がありましたように、自らで実施したものを効果があったかどうかを適切に検証して、次の施策に反映させていくことが重要であり、我々としましても、今日、明日と行う行政事業レビューとも引き続き連携を図りながら、より一層実効性のあるPDCAサイクルを回していきたいと思っています。

 本日賜りました御意見については、今後担当課において実績評価書に反映させていただくとともに、先ほどの最後の項に「学識経験を有する者の知見の活用」という欄がありますので、そこに記入したものを政策評価官室で取りまとめの上、総務省へ提出ということを考えています。また、併せて皆様には最終版を御送付させていただこうと思っています。

 今年はこれで一応終わることにはなると思いますが、年度としては来年の3月の総会のときに、今度はまた指標が一番重要でありまして、目標の議論をお願いしたいと思っています。

 最後に、委員の皆様には基本的に今申しましたように、3月の総会と67月ぐらいのこの評価の各内容について御議論いただくということで、2回お集まりいただいています。実際には日頃から当省の業務について、高い関心を持っていただいて、業務改善に向けた御意見を述べていただく、いろいろな所で発信もしていただく、あるいは我々にも言っていただければと思っております。また、それをまとめた形でこういう会のときに御発言いただければと思います。中身だけに限らず、御意見を頂ければと思います。今後とも引き続き御協力を賜りますよう、お願い申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。どうも本日はありがとうございました。

 

○高橋座長 
 それでは、今日は終了でございます。ありがとうございました。



(了)

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