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2014年1月31日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

○日時

平成26年1月31日(金)16:00~


○場所

厚生労働省専用第22会議室


○出席者

出席委員(16名) 五十音順

○荒 井 保 明、  荒 川 義 弘、 今 井 聡 美、 梅 津 光 生、
  川 上 正 舒、◎笠 貫    宏、 齋 藤 知 行、 塩 川 芳 昭、
  正 田 良 介、  鈴 木 邦 彦、 田 島 優 子、 中 谷 武 嗣、
  濱 口    功、  菱 田 和 己、 村 上 輝 夫、 桃 井 保 子
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人2名

欠席委員(7名) 五十音順

石 井 明 子、 木 村    剛、 武 谷 雄 二、 千 葉 敏 雄、
寺 崎 浩 子、 新 見 伸 吾、 西 田 幸 二

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
佐 藤 岳 幸 (審査管理課長)
森 口    裕 (安全対策課長)
古 元 重 和 (医療機器審査管理室長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)
梅 澤 明 弘 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)
佐久間 一 郎 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構副審査センター長)

○議事

○医療機器審査管理室長 それでは、定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会」を開催させていただきます。

 本日は、御多忙の折、御出席いただきましてありがとうございます。本日は本部会員23名のうち16名の御出席をいただいておりますので、薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしておりますことを御報告させていただきます。

 続きまして本部会の公開、非公開の取扱いについて御説明申し上げます。平成13年1月23日付けの薬事・食品衛生審議会決議に基づきまして、本日の議題については医療機器の承認審査に関する議題であり、企業情報に関する内容等が含まれますため非公開とさせていただきます。それでは以降の進行につきまして、笠貫部会長、よろしくお願い申し上げます。

○笠貫部会長 それでは最初に事務局から、配布資料の説明と確認をお願いいたします。

○医療機器審査管理室長 それでは机上資料の御説明をさせていただきます。まず資料1です。「冷凍アブレーションカテーテル」に関する諮問書というのが表紙についております。続きまして資料2、同じく諮問書です。資料3、こちらも諮問書で、「ヒトトロンビンを含有する医療機器の生物由来製品」と記載しております。続きまして資料4-14-24-3、資料5、こちらは医療機器再審査確認等結果通知表です。資料6は「競合品目・競合企業リスト」、そして参考資料1、参考資料2があります。加えまして当日配布の資料として当日配布資料1、そして横表になりますが当日配布資料2です。不足等ございましたら、会議途中でも結構ですので、お声かけいただければと存じます。

○笠貫部会長 資料はお揃いでしょうか。

 よろしければ、これから議題に入らせていただきます。本日の審議事項に関与されました委員の方々と利益相反に関する申出状況について、事務局から報告をお願いいたします。

○事務局 本日の審議事項に関する影響企業の調査について御報告させていただきます。資料6と参考資料1を御覧ください。これらの報告については、平成201219日付けの薬事分科会で決定された薬事分科会審議参加規程に基づくものです。皆さまから毎回御報告いただいておりますので概要は御存じかと思いますが、過去3年度に渡り寄附金・契約金等の額について競合企業及び申請企業から申告をいただき、その結果に応じ審議不参加、もしくは議決の不参加という形を審議会規程として定めております。

 資料6の「競合品目・競合企業リスト」を御覧ください。議題1「Arctic Front Advance冷凍アブレーションカテーテル、Freezor MAX冷凍アブレーションカテーテル、メドトロニックCryoConsole」です。申請者は日本メドトロニック株式会社です。競合品目として、本品と同一の対象患者群である発作性心房細動の治療を目的に使用されるものであること等の理由から2品目が申告されております。

 議題2「クーデックアイクール」です。申請者は大研医器株式会社です。競合品目として体温を低下させるなど、本品と使用目的が同等であるという理由から3品目が申告されております。

 本日の審議事項に関する影響企業について、委員の皆さまから寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第12条の審議不参加の基準、又は第13条の議決不参加の基準に基づき、御退室いただく委員、議決に御参加いただけない委員はございません。以上、御報告いたします。

○笠貫部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの御説明について、特段の御意見はございますでしょうか。

 よろしければ、皆さまの了解を得たものとして議題に入ります。

 それでは、議題1「医療機器『Arctic Front Advance冷凍アブレーションカテーテル』、『Freezor MAX冷凍アブレーションカテーテル』及び『メドトロニックCryoConsole』の製造販売承認の可否等について」、審議を行います。本議題の審議に当たりましては、参考人として、東京慈恵会医科大学循環器内科准教授の山根禎一先生にお出でいただいております。よろしくお願いいたします。それでは審議品目の概要につきまして、事務局から説明をお願いします。

○事務局 議題1につきまして、事務局から御説明いたします。本議題では、医療機器「Arctic Front Advance冷凍アブレーションカテーテル」、「Freezor MAX冷凍アブレーションカテーテル」及び「メドトロニックCryoConsole」の全3品目に関する製造販売承認の可否等について、御審議いただきます。審査報告書は3品目についてまとめて記載されております。

 左上に資料1と書かれた資料を御覧ください。1枚目が諮問書になります。具体的な品目の概要につきましては、審査報告書1ページになります。販売名「Arctic Front Advance冷凍アブレーションカテーテル」(以下「本品1」と言います)、「Freezor MAX冷凍アブレーションカテーテル」(以下「本品2」と言います)の一般的名称は、アブレーション向け循環器用カテーテルです。販売名「メドトロニックCryoConsole(以下「本品3」と言います)の一般的名称は、汎用冷凍手術ユニットです。申請者は日本メドトロニック株式会社です。

 審査報告書6ページ、7ページの審議品目の概要を御覧ください。図1に本品1の外観写真、図2に本品2の外観写真が示されております。本品1及び本品2は7ページにあります本品3、汎用冷凍手術装置と接続して使用されます。8ページを御覧下さい。こちらは本品1と本品3を接続した場合のシステム図です。本品1は経皮的に血管内に挿入される柔軟なオーバーザワイヤ型のバルーンカテーテルで、心臓組織を冷凍壊死させることにより、発作性心房細動を治療するという目的で使用されます。本品2は先端部がチップ電極になっていて、発作性心房細動を補完的に治療する目的等で使用されます。

 使用目的及び承認条件につきましては、3ページ、4ページを御覧ください。本品1の使用目的につきましては、心臓組織の冷凍アブレーション手技に用いるバルーンカテーテルであり、薬剤抵抗性を有する再発性症候性の発作性心房細動を治療する際に使用する。本品2の使用目的につきましては、薬剤抵抗性を有する再発性症候性の発作性心房細動患者に対して冷凍アブレーション手技に用いるバルーンカテーテルを使用する際に、必要に応じて肺静脈の電気的隔離を補完するために行うギャップ冷凍アブレーション等の目的で使用するとなっております。承認条件につきましては、次のページに記載がありますとおり、3項目からなる承認条件が付されております。なお本品につきましては日本不整脈学会及び日本小児循環器学会からの要望に基づき、平成24年7月に開催された「第19回医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」にて早期導入品目に選定され、平成25年9月に優先審査の対象品目として指定しております。詳細につきましては、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。

○機構 審議事項議題1、資料1「医療機器『Arctic Front Advance冷凍アブレーションカテーテル』、『Freezor MAX冷凍アブレーションカテーテル』及び『メドトロニックCryoConsole』の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。

 本審査に当たり、当日配布資料1に示す5名の専門委員の御意見をいただきました。本品目の概要について説明します。審査報告書5ページを御覧ください。本品は日本メドトロニック株式会社より申請された、アブレーションカテーテルとその駆動装置です。図1に示すようにArctic Front Advance冷凍アブレーションカテーテルは薬剤抵抗性を有する再発性症候性の発作性心房細動を治療する目的で、経皮的に血管内に挿入されるバルーンカテーテルです。審査報告書8ページの図5に示すように、バルーンを肺静脈入口部に当てて、メドトロニックCryoConsoleから高圧笑気ガスを圧縮した液体をバルーンに注入し気化させることで、バルーンと接触している心臓組織を冷凍壊死させ、肺静脈の電気的隔離を行います。Freezor MAX冷凍アブレーションカテーテルは図2に示しますように先端部がチップ電極になっており、バルーンカテーテルであるArctic Front Advanceと併用して、発作性心房細動を補完的に治療する目的で使用されます。Freezor MAXについては肺静脈の電気的隔離目的以外にも心房粗動の治療目的とした下大静脈及び三尖弁間におけるアブレーションも使用目的として挙げられています。メドトロニックCryoConsoleは図3、4に示すように、これらのカテーテルと接続して冷凍アブレーション手技を制御及び記録するための装置です。なお本システムは、「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」において早期導入対象品目に選定されております。

 次に開発の経緯を御説明します。審査報告書8ページから御覧ください。不整脈に対するカテーテルアブレーション術は、本邦でも普及しておりますが、本邦では高周波電流を用いた方法が行われています。欧米では高周波カテーテルアブレーション以外の方法として冷凍カテーテルアブレーションが臨床使用されており、米国において本品の前世代品であるArctic Front冷凍アブレーションカテーテルが開発され、米国で承認されました。その後バルーン表面でのより均一な冷却効果を得るなどの理由で、審査報告書9ページ下から10ページ上までの7点の変更が行われ、Arctic Front Advance冷凍アブレーションカテーテルとして承認申請が行われました。

 続いて外国における使用状況を御説明します。審査報告書10ページを御覧ください。本品は前世代品であるArctic Front を含めて欧米では既に認証、承認を取得されており、昨年の9月末時点でArctic Front □□本、Arctic Front Advance□□本、Freezor MAX□□本、メドトロニックCryoConsole□□台出荷されております。また不具合報告については本品3品目ともに報告されていませんでした。

 次に非臨床試験成績について御説明します。概略は審査報告書11ページから記載しております。バルーンの温度、1回の冷凍治療時間については、イヌを使った非臨床試験や後で述べる臨床試験成績も踏まえて審査した結果、受入れ可能な仕様が設定されており、アブレーションカテーテルとしての有効性及び安全性は確認できたと判断しました。

 続いて臨床試験成績に関して御説明します。審査報告書19ページから御覧ください。STOP AF主要臨床試験はArctic FrontFreezor MAX及びCryoConsoleから構成されるシステムの安全性及び有効性を評価することを目的に、1種類以上の心房細動治療薬が有効ではなかった発作性心房細動患者を対象として、米国及びカナダの26施設で行われた前向き無作為化比較試験です。審査報告書21ページ下から6行目には、2:1に無作為化割り付けされた治験群163例、対照群82例の合計245例が治療を受け、有効性及び安全性の解析対象とされました。また対照群82例中65例がクロスオーバーとして冷凍アブレーション治療を受け、安全性の解析対象とされました。審査報告書25ページ10行目、主要有効性評価項目である治療の成功は、治験群は69.9%、対照群は7.3%で、治験群の対照群に対する優越性が示されました。また同じく25ページ18行目、Arctic Frontを用いた肺静脈電気的隔離に続いて、担当医の判断によって、Freezor MAXを用いた補完的なアブレーションを行った症例が47.9%存在し、ギャップアブレーションの急性期治療成功率は100%、治療の成功は70.3%でした。心房粗動治療目的の大静脈三尖弁輪間峡部アブレーションの急性期的手技は成功率97.0%を示しました。安全性の主要評価項目は、治験群における冷凍アブレーション手技事象が発生していない安全性解析対象例の割合、各群の12か月フォローアップ来院時に重大な心房細動事象がない安全性解析対象例の割合の二つがあり、それぞれ予め設定した基準を満たしておりました。その他、カテーテルアブレーション手技で特に注目される有害事象として、27ページ11行目に肺静脈狭窄3.1%、16行目に食道潰瘍0.6%、23行目に手技終了時までに解消されなかった横隔神経麻痺は11.2%が認められました。

 以上の非臨床試験及び臨床試験成績を踏まえ、本品の審査における主要な論点について御説明します。審査報告書40ページ、総合評価を御覧ください。一つ目の論点は前世代品を用いた海外臨床試験から本品の有効性及び安全性を評価することの妥当性です。本品1、Arctic Front AdvanceSTOP AF主要臨床試験で使用された、前世代品Arctic Frontから変更がなされました。有効性については非臨床試験での評価から本品の冷却性能は前世代品と比較してバルーン表面をより冷却できると考えられること。本品を使用した場合の心房細動アブレーションの急性期治療成功率が、前世代品を上回るとの文献報告もあること等から、本品でも前世代品に劣らない有効性が期待できると考えました。安全性については、構造上の変更及び非臨床試験結果から、本品の過冷却に伴うリスクはArctic Frontよりも増加している可能性は完全には否定できません。一方で、バルーン内部の冷却性能については非臨床試験にて大きく変わらない結果が示されており、バルーン表面の冷却性能の向上について臨床成績に基づく合併症発現率に関する十分な比較は行われておらず、臨床的に意味のあるリスクの増加をもたらしているとも判断できません。

 以上より非臨床試験の比較を踏まえると、主たる試験としてSTOP AF主要臨床試験により、本品の有効性及び安全性について評価を行うことは可能であるが、本品への改良に伴う冷却性能の向上については、安全面での十分な注意が必要と判断しました。

 二つ目の論点は、本品の臨床的位置づけ及び有効性についてです。本品は従来行われてきた心房細動に対するアブレーション治療について、肺静脈隔離術を高周波電流ではなく冷却したバルーンという、新しい手法を用いてアブレーション治療を行うことを可能とする新しい機器であります。申請者が主張する少ない操作で治療ができる可能性、血栓やスチームポップのリスクが減る可能性等は臨床試験では明らかにされず、現時点では臨床的なベネフィットをもたらすとはいえません。しかしながら従来の高周波アブレーション治療と比べて、有効性及び安全性が大きく劣らず、臨床的に許容可能な有効性及び安全性が認められれば、本邦の臨床現場に治療の一選択肢として提供することに意義はあると判断しました。本品の有効性は、薬剤治療の継続よりも有効であることが臨床試験の成績で示されており、本邦における既承認の機器である高周波アブレーション用カテーテルとの比較においては厳密な有効性の比較はされていませんが、文献等から総合的に評価して、現時点で本品の有効性が高周波アブレーションカテーテルを用いた治療に大きく劣るとは考えにくく、臨床的に許容可能と判断しました。なお臨床試験は前世代品を用いたものであること、バルーン形状やアブレーションのためのエネルギーが既存の高周波アブレーションカテーテルとは異なること、国内の臨床成績がないことから、製造販売後に適切に情報収集する必要があると考えます。

 三つ目の論点は、本品の安全性及び市販後安全対策についてです。本品使用に際して想定される主なリスクとして肺静脈狭窄、食道損傷及び心房食道ろう、横隔神経麻痺等があると考えられました。これらの多くは本品特有の有害事象とはいえず、臨床上許容できないとまではいえないと判断しました。ただし肺静脈狭窄及び横隔神経麻痺については、臨床試験成績を踏まえると高周波アブレーションと比較してリスクが高まる可能性が否定できないため、事前に本品の特徴を踏まえた手技上の注意点などについて十分なトレーニングを行う必要があります。加えて食道損傷、心房食道ろう、心穿孔、心タンポナーデ、脳卒中及び一過性脳虚血発作に関しては重篤な有害事象であり、十分な予防策を講じた上で手技の安全性を担保し、事象が発症した際には適切な対応を取る体制を確保する必要があると考えました。

 以上の点を踏まえ、承認条件1及び2を付すことが妥当と判断しました。本品は従来行われてきた心房細動に対するアブレーション治療における、治療法の一つの選択肢とはなり得ますが、本品を安全に使用するためには、本品のリスクを適切に把握したうえで手技の安全性を担保する必要があると考えました。国内における使用経験がないことを考慮し、申請者が予定している導入プログラムは概ね妥当であると判断しました。また製造販売後調査においても、一定症例数に達するまでは本品を使用した全症例の情報を収集し、安全性及び有効性を確認し、必要に応じ適切な措置を講ずる必要があると考え、承認条件3を付すことが妥当と判断しました。

 以上の審査を踏まえ、機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。新性能医療機器であることから再審査期間は3年とし、一定症例数に達するまでは本品を使用した全症例の使用成績調査を行うことが適当と判断しました。また生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しました。なお薬事分科会では報告を予定しております。

 最後に事前に武谷委員から御意見、御質問をいただいておりますので紹介させていただきます。武谷委員は本日御欠席ですので、既に御説明しております。質問は「資料1の3ページ、上から11行目の対照群7.3%は73%の間違いですか。もし、そうだとしたら治験群の優越性はどうなるのか」という内容でした。回答として、対照群の治療成功率は7.3%で間違いございません。治療対象は少なくとも1種類以上の心房細動治療薬を服用しても効果がなかった、薬剤抵抗性の発作性心房細動患者ですので、薬剤治療の対照群が低い治療成功率を示したものと考えられます。機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○笠貫部会長 ありがとうございました。参考人の山根先生から、何か付け加えることはありますか。

○山根参考人 慈恵医大の山根と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。本日、Arctic Front AdvanceFreezor MAX、そしてその両者に接続して冷凍凝固を行うためのConsoleの3点が議題に上がっていると思います。今、機構から御紹介がありましたとおり、これは現在国内で使用されています不整脈治療の機械とは大きく異なるものになります。といいますのは、現時点で、日本国内で使用されているものは、高周波という電流をカテーテルの先端と、患者の背中に貼ってありますパッチとの間に電流を流すことによって、目的としている心臓の組織、つまりこれは不整脈の原因の場所を、一言で言えば焼いて治すことになります。それに対して、本日御紹介しております冷凍凝固アブレーションというものは、これは完全に逆で、目的としています心臓の組織を冷凍凝固することによって、そこの部分の組織を破壊、破壊という言葉が適切かどうか分からないのですが、つまりそこの部分を変質させて治療をするという、熱するのとは逆の、冷凍させるという治療方法になります。更に、これまで国内で使用が認められております機械は、先端が4mm程度のカテーテルを用いて、局所的な治療を行うというものでしたが、ここで御紹介しておりますArctic Front Advanceというものは、先ほどから写真、実物を御覧になっていらっしゃいますように、先端のバルーンを開いて、主に肺静脈といわれる左心房の隔壁に開いている血管の入口に当てて、そしてその入口全体を一気に冷凍凝固して変性させる機械になります。そういう意味で、エネルギーが異なること、そして治療法が大きく異なるということで、今までとはギャップが大きいと思われる委員の先生もたくさんいらっしゃると思います。しかし、御紹介がありましたように、欧米では広く使用されているもので、これまでの高周波のアブレーションと比べて、幾つかの大きなメリットもあります。少しお話しますと、心臓の中を焼いて治す場合には、焼いた場所に、焼いたことによる組織のかすといいますか、炭といいますか、血栓を作成してしまう可能性が十分あります。それが、血流に乗りまして、例えば脳に飛んでいった場合には、治療することによって脳梗塞などを起こすことがあり得るわけですが、冷凍凝固に関してはそういう血栓をつくることがないものですから、この治療法は特に左心系でその後全身に流れていく血流系で治療をする上では、大きなメリットをもっているということがあります。今後、この治療機器が国内においても大きなシェアと、治療をして患者のために福音になることは間違いないのではないかと、私たち臨床現場の者は信じております。御報告は以上です。

○笠貫部会長 ありがとうございます。それでは、各委員の先生方から御意見、御質問はありますか。

○齋藤委員 挿入部位の出血が、対照群と比較しますと、2倍ぐらいの頻度で高いのです。これは手技時間が平均して6時間以上かかっていますが、手技時間が長いことに関連しているのでしょうか。

○機構 こちらは、カテーテルがバルーン形状ということもありまして、少々従来の高周波カテーテルと比べて太い物となっております。ですので、どうしても血管に対する負荷は増えてしまう可能性はあるかと思います。これまでの臨床試験の結果からは、少し多い傾向は見られるのですが、ただ高周波対照群については、割合が多少違っています。この原因としては、対照群に関しては、すべての症例にアブレーションが行われたわけではなく、クロスオーバーといいまして、一度対照群で不整脈が再発してしまった患者に対して、クロスオーバーで治療を行った場合の発生率ということで、それはすべてアブレーションが行われた症例の結果です。それから、ほかの高周波アブレーションのこれまでの文献等によっても、本品が特に臨床的に問題になるほど多いというようなことは報告されておりません。参考人の山根先生、補足をお願いします。

○山根参考人 少しだけ補足いたします。この場合の対照群は、今ありましたように、はっきりさせますが、このArctic Front Advanceに対しての対照群は、保存的治療の対照群だと思います。つまり、こういう手術をした患者ではなく、薬物治療の患者が主なのだと考えられます。そして、手技時間の件ですが、STOP AFスタディーは先ほど御紹介がありましたように、本品の前世代品のArctic Front、これはAdvanceという名前が付いていない前世代品ですが、それが使用されることになって始まったスタディーだったものですから、欧米の施設でもこのバルーンによるカテーテルの治療がまだ慣れていなかった時代で、そのことをどう考慮するのかはいろいろと議論があるかもしれません。現時点で、このArctic Front Advanceを用いた欧米での通常での手技時間は、やはり通常の高周波と同様に、大体2、3時間といわれております。私も、欧米で実際に手技を見てまいりました。長いというよりは、先ほど御紹介しましたように、肺静脈の入口部を一気に冷凍凝固するものですから、どちらかというと手技的には短い手技になると思います。

○齋藤委員 果たしてコントロールになっているのかどうかはわかりませんが、もう一つ焼灼の場合には結構ピンポイントでやられるわけですね。これは、何か疑わしい所は一気に冷凍してしまうという、その辺りの治療上の問題点はないのですか。

○山根参考人 簡単にお答えいたします。今、このバルーンのカテーテルを肺静脈の入口に当てて、当てた所をすべて焼灼すると御紹介いたしましたが、実は現時点で日本でも行われています高周波のカテーテルではどういうことをやっているかといいますと、先ほどお話ししましたように、先端が4mmほどの小さなカテーテルを用いて、その全周を全部焼いている施設が多いのです。ですから、これは実はもう少し細かいことを言いますと、全部焼く必要があるのかないのかという議論はまだ残ってはいるのですが、多くの施設では全周をくまなく焼いている施設が多いのです。そうなりますと、小さなカテーテルで全部を焼くということは、かなりの時間、そして焼灼回数を考えますと、このバルーンを使い、一気にその部分を冷凍凝固することは、効率という意味ではかなりよくなるということです。

○笠貫部会長 私から少しお聞きしたいのですが、今までの高周波に比べて冷凍アブレーションの良さは、今、先生の御説明にあったことは理解できます。まず、このSTOP AFというのは薬剤との比較なので、これはもう冷凍アブレーションであろうと高周波アブレーションであろうと、薬が効かないものに対しては有効性が高いことは、自明の理なので、有効性を見たものとしては、私はそういう意味では対象にならない、コントロール群にならないだろうと思います。そうすると、問題は高周波アブレーションに比べて、この冷凍アブレーションが、有効性がどうなのかが本来ならば検証されなければいけない。それから、安全性について、まず前世代のArctic Frontと高周波アブレーションの安全性がどうかを比較しないといけない。更に、その次にArctic FrontArctic Front Advanceの安全性の比較をしないといけないというプロセスが必要なのだと思います。これは高周波アブレーションと前世代の有効性、安全性の比較はしていないのですが、これについてきちんと文献的に、先ほど言葉では説明いただいたのですが、いわゆる高周波アブレーションでの全周焼灼の有効性について、本品での有効性は同等と考えるのか、より高いと考えられるのか。それから、安全性が大きく異なるとは考えにくいというのは、可能性が大きく異なるとは考えにくいとは、これは言葉として科学的には分かりにくいというか、その辺りのところはどの程度評価をしているのか、説明いただきたいと思います。

○機構 まず、STOP AF試験で、薬剤治療を対照群として組み込まれた理由についてですが、このSTOP AF主要臨床試験が行われた当時は、米国において高周波アブレーションカテーテルが心房細動の適用がなかったため、従来治療として薬剤治療が対象とされた経緯があります。現在、日本では確かにおっしゃるとおり、心房細動に対する高周波アブレーションは広く行われていますので、導入に際しては、高周波アブレーションと比較することが重要であると考えております。

 それから、審査報告書29ページの「()有効性について」ですが、本品の成功率は69.9%で、高周波アブレーションは文献のデータでは、治療成功率66%という報告があり、大きく劣ることはないと考えております。

 続いて、安全性についてですが、Arctic FrontArctic Front Advanceについてどのように検証しているかを、審査報告書37ページで検証した結果を記載しております。まず、物としての評価をしており、同等の冷凍温度を示していることを確認しております。また、冷凍アブレーション手技後30日におけるイヌの肺静脈のアブレーション部位を評価する目的で、イヌ10頭を用いた試験を実施しております。こちらでは、Arctic Front Advanceでは、9頭中8頭で急性期の肺静脈隔離が成功し、前世代品であるArctic Frontは9頭中6頭で成功しているということです。また、これのアブレーション後の解剖及び組織学的所見では、貫壁性のアブレーション部位がArctic Front Advance10頭中10頭認め、Arctic Front10頭中6頭認めており、かつ手技30日後のCTで評価した肺静脈断面積の変化については、Arctic Front Advanceではマイナス17%、前世代品ではマイナス9%で、ほぼ同等であると申請者は考察しております。いずれの機器でも、ベースラインからマイナス50%を超える縮小を認めた例がないことから、両モデルの安全性が異なることは示唆されていないと申請者は考察しています。

 また、臨床試験においても、こちらは文献で比較した報告例があるのですが、1回の操作で肺静脈が隔離された肺静脈数の割合が、こちらは有効性の話とかぶっているのですが、Advanceでは84%、Arctic Frontでは51%でした。それから、合併症の話でいきますと、Arctic Front Advanceでは横隔神経麻痺1件、前世代品では横隔神経麻痺及び鼠径部仮性動脈瘤1件ずつが報告されております。また、諸外国におけるArctic Front Advance及びArctic Frontについての製造元への報告も、肺静脈狭窄の発生については、Arctic Front Advance0.004%、Arctic Frontでも0.007%で、両者で大きな差がなかったことから、安全性についても同等であると申請者は説明しております。

○荒井部会長代理 医薬品と異なり機器の場合には、必ずしも優越性や非劣性が証明されたから承認ということではなく、「臨床現場における選択肢を増やす」ということも承認における重要な要件だと考えています。今の御説明ですと、優越性でも非劣性でもないことが前面に出ているため、かえって承認を必要とする理由が分かりにくくなっているように思われます。原理からいくと、高周波に比べガスを使っているので、値段的には大分こちらが高くなるのだろうと思われますが、そういったことも踏まえても、例えば、臨床現場での使い勝手の良さや海外ではCryoの方にシフトしている、あるいは、技術的にこちらの方がより簡便にできるという点等を山根先生が感じておられるのだとすれば、それは十分に尊重されるべき理由になるのではないかと思います。術者がすごく熟練していなくても、安全にできるとすれば、それはすばらしいメリットです。ここは機器の承認を議論している場ですので、「ただ単に安全性や有効性のみに着目して、特に劣ってないから、だからもっと数を増やして調べましょう」というのは、話の筋としておかしいのではないかと思います。山根先生、これは将来的な展望としては、広がっていくと予測してよろしいものなのでしょうか。

○山根参考人 先生の御指摘のとおりで、このArctic Front Advance、そして現行の高周波カテーテルアブレーションと前向きのスタディーで、何か直接比較したというものは、今のところないのが現状です。そこが、多分皆さんの疑問としても残ってしまうのが、これは当然のことなのかもしれません。ただ、高周波のカテーテルアブレーションは、今、本当に国内でも広く行われており、そしてその効果も決して悪いものではないと。これを、後発品のArctic Front Advanceと直接比較して、何か有意差が出るのかといいますと、そこで有意差が出ることは、実際のスタディーがないので何とも言えませんが、その有意差を出すスタディーというのは不可能なのではないかと思います。これは、世界中でも言われております。では、何がメリットなのかといいますと、今、荒井先生からも御指摘がありましたように、これはこの治療の裾野を大きく広げるだろうと期待されています。心房細動の患者は、今、日本国内でも、既に罹患率が1%を超えて、コモンディジーズの一つに数えられています。その一方で、国内でも治療可能な施設、術者がやはりまだまだ限られていまして、きちんとした治療を受けられる患者が少ないのも、また事実です。何とか、この治療、心房細動の根治術を特別な、もちろん熟練していない人間がやっていいということとはまた話が違いますが、特別な名人芸ではなく、比較的どこでも、現在心臓ですと、冠動脈を広げて治療をするPCIの治療法のように、特別な職人芸ではなく、もう少し基礎を押さえながらも裾野を広げることが循環器の分野の中でも大きな課題となっています。このバルーンを用いたカテーテル手技は、そういう多くの患者を治療できるということで、術者を増やす意味でも、大きな役に立つのではないかということは期待されている商品です。

○村上委員 有効性と安全性に関することなのですが、メカニズム的に少し定量的にといいますか、組織の壊死を起こすために必要な温度は、マイナス50度付近と書かれていたと思うのです。ですから、有効性というのは、それよりも下げてやることが必要ですね。ただ、今度は下がり過ぎたら、いろいろな障害が出てくるということで、それはマイナス70度、表面で下がり過ぎない基準で評価されていたと思いますが、そういう考えでよろしいでしょうか。

○機構 先生がおっしゃったように、どのぐらいの温度よりも下げれば効果が出るかというところは、動物試験の過去の研究等から分かっており、それを参考に作ったという説明が企業からされております。下がり過ぎてはいけない点については、実のところ、どこまで下がったら危ないかについては、十分なデータは正直なところありません。ただ、50度よりも下げて、ある程度安定して温度が保てる範囲を企業が決めて、その上で各種検証試験等を行い、その結果、臨床試験でも大きな問題が起きない温度であったことは説明されております。ですから、今回のものに関しては、70度よりも下がらないことが大切なところと認識しております。

○村上委員 それで、前世代品と今回のヒトの比較で、添付資料の概要に割と分かりやすい図が付いていたのですが、2機種の比較がなされています。STEDとういうピンクのタブの80ページですね。ここに、バルーンの温度分布といいますか、中程のバルーンの図で、白い所が、冷却効果がある部分と記載があったのですが、これは温度域としてはどのぐらいの所を効果がある領域として示されているのでしょうか。先ほどの50度以下ぐらいになるといいますか、実際には熱伝導で温度の上がり方は変わると思いますが、表面の温度でその付近の所を示してあるということでしょうか。

○機構 この図は、表面の温度を、円周各点を取って、そこから模擬的にこのような冷え方になるだろうという、あくまで想像図ではありますが、冷却効果が得られる範囲としては、先ほどから先生にもお話いただいているように、マイナス50度ということで認識しております。その部分に関して、過去の前世代品のArctic Frontは、この白くなっている辺りがマイナス50度まで確実に下がるのですが、前のものは、ほかの所は冷えが甘い所があったということで、改良しますと、より広い範囲がマイナス50度以下に下がることが、実験結果から示されております。

○村上委員 一番下の肺静脈の所、入口の接触の図がありますが、その状態からしますと、今度のAdvanceタイプは、ある意味で期待できるといいますか、均等に冷却できると。ただ、今度は冷え過ぎるかもしれない危険性もあるわけですね。ですから、その辺りをこれから評価されながら使われたらいいのかと思います。

○機構 御意見をありがとうございます。おっしゃるとおりで今回のもので、これはあくまで想像図ではあるのですが、しっかりと接触することが期待されると申請者は説明しており、今後市販後調査等でこの安全性についても評価がされていくものと考えております。

○中谷委員 最近は外科的に直視下で冷凍アブレーション法を用いて電気的隔離を行うCryomaze法が行われます。プローブにより線状に冷凍する方法です。高周波だと点でやらなければいけませんが、このCryomaze法では面として行え、効果も高周波法に劣らないということで用いられるようになっています。そういう意味からいいますと、カテーテルにより冷凍アブレーション法による電気的隔離が行えるようになれば、特に温度コントロールがきちんとやれれば、その効果も確実なものになり得ます。そうなると先生が言われましたように、習熟すれば確立した手技になるのではないかと思っています。これまでの議論にあったように、どちらが有効かということだけではなく、手技的なやりやすさも重要で、同等レベルでできるのであれば、当然今回導入しようとしているシステムが広く用いられるようになると思っています。問題は、この方法が日本で1例もされていないところで承認しようとしていることで、こちらの方が問題であり、それをいかにうまくやっていくのかということです。それなりの成績が出そうだからと安易に導入され、安全性が担保できなくなるのが、私は問題だと思っています。どのように導入するのかの議論が全くされていない気がして仕方がないのです。従来の方法とほぼ同等の効果が得られることは一応検討されたと思われます。それであるならば、どのように日本に導入するかも踏まえて、承認するか検討することが重要と考えます。医療ニーズの高い医療機器の早期導入に関する検討会では、確かそのような形で議論されたように記憶しているのですが、やはりそこが一番大事ではないかと思うのです。

○機構 御指摘ありがとうございます。本品は、冒頭に御説明しましたとおり、日本不整脈学会からニーズの高い医療機器の早期導入の要望書が提出されております。それも踏まえ、本品について先生が御指摘いただきましたように、国内で使われていないことは、機構においても重要な懸念と考えております。その点については、申請者及び学会と話をさせていただいております。申請者から学会に相談に行ってもらっているのですが、まず審査報告書39ページを御覧ください。「()製造販売後調査及び製造販売後の安全対策」について、機構の考えを記載していただいておりますが、ここの1)の「総合機構は、以下のように考える。」という所に書いておりますが、本品のリスクを適切に把握した上で、慎重に使用する必要があると考えており、本品を使用する条件として、この不整脈に対するアブレーション術に対する十分な経験のある医師が、適切な研修を受けた上で、合併症に対応可能な施設において使用することが適切であると考えており、承認条件としてそのようなものを企業に課したいと考えております。それを踏まえて、企業としては、学会と連携して、段階的にこの物を国内に導入していくことを考えております。今、冷凍バルーンアブレーションの実施施設、実施基準の案を学会に作成していただいております。その中には、心房細動アブレーションの経験についてや、講習をしっかり受けることといったことが規定されており、学会が中心となってその管理をしていただくこととされております。これは、申請時から学会の先生方も協力をしていただけるということで、お話をいただいております。

 なお、当初、導入施設を絞っていくことを申請者及び学会から説明を受けており、大体今のところ□□施設程度を予定していると聞いております。

○笠貫部会長 そういうことで、承認条件で厳しく書いてあります。先ほどは、少し未来の話、展望の話とは全然違う話なので、ここでは先ほど言いましたような、ここに出てきているデータからどう判断するかということからいったら、この承認条件をきちんと守っていただきたいということで、今、PMDAからお話があったのだと思います。それから、私は大きく異なるとは考えにくいとか、どうしてもこの医療機器の場合には、ランダマイズや対象試験ができないときに、RFのここではサーモクールと、先ほどの66%という文献との比較ですね。医療機器の場合には文献上の比較でしかできない場合は多いと思います。そのときに、引いてくる文献を、どういう対象であったのかをきちんとこの中にも示して、異ならないというサーモクールという試験についても、きちんと表を出していただいて、これだけRFとこれとは有効性、安全性については劣るものではないですよということを示していただければ、それで納得いくと思います。そうすれば、こんなに複雑怪奇な表現をしなくても、大きく異なるとは考えにくい。これは許容できるという言葉は文学的表現になるので、ここは表としてきちんと表してみて、これでこうですよとしていただければ、医療機器の場合には文献的なものとの比較できちんとここで判断することにしておりますから、表現の仕方はそのようにしていただければと思います。そういう意味では、これからの焼灼からCryoということで新たなテクニックとして、将来が期待されると。ただし、今のデータからは承認条件をかなり学会と関連を密にして、これを進めていただいているということだと思います。

 ほかに、これ以上、特に御意見がなければ、議決に入ります。よろしいでしょうか。

 それでは、医療機器「Arctic Front Advance冷凍アブレーションカテーテル」、「Freezor MAX冷凍アブレーションカテーテル」及び、「メドトロニックCryoConsole」については、本部会として承認を与えて差し支えないものとして、再審査期間は3年間とし、また生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要ということで、よろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、議決させていただきます。この審議結果については、次回の薬事分科会において報告することにいたします。ありがとうございました。これで、議題1は終了いたします。議題1が終了しましたので、参考人の山根先生におかれましては、御退室いただいても結構です。あるいは、引き続きお聞きいただいても結構です。

○山根参考人 どうもありがとうございました。

—— 山根参考人退室 ——

○笠貫部会長 それでは、議題2に移ります。「医療機器『クーデックアイクール』の製造販売承認の可否等について」、審議を行います。本議題の審議にあたりましては、参考人として、千葉県救急医療センター病院長の小林繁樹先生にお出でいただいております。よろしくお願いいたします。それでは、まず審議品目の概要について、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 議題2につきまして、事務局から御説明いたします。資料2を御用意ください。

 1枚目が諮問書です。審査報告書1ページを御覧ください。販売名は「クーデックアイクール」、申請者は大研医器株式会社です。一般的名称については、既存の一般的名称のいずれにも該当しないことから、「体温調節装置システム」を新設したいと考えています。

 4ページです。審議品目の概要です。本品は、心停止後に低体温療法が必要な患者に対し、脳温を低下させるために使用する咽頭冷却装置です。挿管されている気管チューブ等に這わせるように口腔内から冷却カフを挿入して、咽頭及び食道に接触させた冷却カフ内に冷却水を循環させて、その近傍の総頸動脈を冷却することによって患者の脳温を低下させます。なお、本品の使用時間は2時間とされています。7ページの図5に、カフ挿入時のイメージが示されています。

 次に、3ページの、本品の使用目的について御説明します。使用目的は、「心停止後に低体温療法が必要な患者に対し、冷却された生理食塩水等が循環するカフを咽頭及び食道部に接触させることにより、脳温を低下させることを目的として使用する」となっています。詳細につきましては、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。

○機構 審議事項議題2、資料2「医療機器『クーデックアイクール』の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定、生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び再審査期間の指定について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。

 当日配付資料1の2ページ、本品目の専門協議委員を御覧ください。本審査に当たり、資料にお示しする3名の専門委員の御意見を頂いています。

 品目の概要について、審査報告書4ページです。本品は、心停止後に低体温療法が必要な患者に対し、全身冷却に先立ち脳温を低下させることを目的として使用する冷却装置です。5ページに示した機器本体と6ページに示した冷却カフを接続し、冷却した生理食塩水を患者の咽頭及び食道部に挿入した冷却カフに循環させることにより、咽頭部近傍の総頸動脈を冷却し、患者の脳温を低下させます。使用時間は2時間としています。

 開発の経緯について御説明いたします。7ページを御覧ください。現在、心停止後、自己心拍再開後の患者に対し、脳及びその他の臓器の保護を目的として実施される低体温療法は、冷却した生理食塩水を点滴注射する冷却法や、氷嚢を用いた体表面の冷却法といった全身冷却法が用いられています。これらの方法は、不整脈等の合併症発生の懸念から、循環動態が不安定な状態では行いにくく、各種の検査を実施後初めて患者への実施が可能となるため、冷却開始までに時間を要するのが欠点とされてきました。心停止後、自己心拍再開後に生じる脳機能障害は、主として脳内のグルタミン酸濃度の上昇によるものと言われており、全身冷却に先立ち、より早期に脳温の低下を行うことができれば、組織内の代謝活性が抑制され、脳機能障害が発生しにくくなると想定されています。

 岡山大学森田らのグループは、2004年、咽頭及び食道部の冷却により早期に脳温の低下が可能になることを発見し、申請者である大研医器株式会社は、咽頭及び食道部を冷却することで早期の脳温低下が期待できる装置を開発しました。なお、本品は外国において製造・販売はされていません。

 提出された非臨床試験成績について御説明いたします。概略については10ページから記載しています「物理的・化学的特性」、「電気的安全性及び電磁両立性」、11ページは「生物学的安全性」、12ページは「性能を裏付ける試験」、並びに13ページは「使用方法を裏付ける試験」の成績が提出され、審査の結果、非臨床試験で確認できる範囲において冷却装置としての有効性及び安全性は確認できたと判断いたしました。

14ページを御覧ください。2011年に実施された国内治験は、本品を用いた咽頭冷却により早期に脳温が低下すること及びリスクが許容できるものであることを確認する目的で、国内3施設で実施された前向きの単群試験です。外傷性心停止を除く心停止後の患者が対象とされ、24例の登録を目標として実施されました。各施設で通常実施される低体温療法が行われ、咽頭冷却は気管挿管直後に開始されることとされました。なお、脳温の変化は鼓膜温の変化を用いて評価されました。

 有効性の主要評価項目は、病院到着後2時間後における鼓膜温の変化量とされ、参考資料として提出された臨床研究の対照群の鼓膜温変化量と比較し、国内治験群の鼓膜温変化量が大きいことが確認できれば本品が有効であると判定することとされました。臨床研究の対照群は、従来の低体温療法のみが行われた群でした。

 治験の結果、10例の解析有効患者において、鼓膜温の変化量は平均で-1.14℃であり、この結果を臨床研究の対照群の平均値-0.32℃と比較した結果、統計学的に有意な差を認めたことから、本品により脳温が低下したと判定されました。

 死亡例は、神経学的転帰が評価された7日までに14例報告されました。審査報告書の19ページの表5に、死亡例の経過を示します。治験担当医師により、いずれの死亡例も本品との関連性はなしと判断されました。表6に、死亡のほか報告された有害事象を示します。全身性炎症反応症候群又は急性肺障害を発症した患者が6名報告されました。

 以上の非臨床試験及び臨床試験成績を踏まえ、本品の審査における主要な論点について御説明いたします。一つ目の論点は、本品使用の臨床的意義についてです。審査報告書の22ページを御覧ください。機構は、心停止後の低体温療法については、ガイドライン等でも推奨されており、臨床現場でも通常行われている治療手技と考えます。心停止後に低体温療法が必要な患者に対し、全身冷却に先立ち、脳温を低下させる臨床的意義については、本品の原理、文献及び専門協議での議論を踏まえ、結果として脳機能障害を抑制する可能性があると考えます。対象疾患の重篤性に鑑み、本品使用によるリスクが許容可能であれば、本品を臨床現場へ提供する意義はあると判断いたしました。

 二つ目の論点は、本品の有効性についてです。本品の有効性評価は、原則として、本品の使用により脳機能障害が抑制されることをもって示されるべきと考えます。しかしながら、治験実施可能性に乏しいこと等を考慮し、低体温療法に関する文献も踏まえ、低体温療法が推奨されている範囲内であれば脳温を低下させる性能をもって本品の有効性を評価することはやむを得ないと判断いたしました。国内治験において、本品使用による脳温低下を鼓膜温によって評価していることは、直接脳温を測定する方法に比べ正確性に劣るものと考えます。しかしながら、国内治験において鼓膜温と脳温の相関が示唆された頸静脈血液温を測定した症例における成績、動物試験成績及び参考資料として提出された文献を考慮しますと、鼓膜温の変化を脳温の変化の評価指標として用いることはやむを得ないと判断いたしました。

 本品を使用した際、通常の低体温療法に比べ、より早期に脳温低下が可能であるかについては、参考資料として提出された臨床研究の成績より、その可能性はあると考えます。一方、国内治験は症例数が限られた単群試験であることから、別途行われた臨床研究の対照群とこの結果を比較し、本品が脳温をより早期に低下させたと結論付けることは、対象患者が同等とはいえ適切ではないと考えます。しかしながら、脳温を低下させる本品の性能は動物試験においても確認されており、国内治験においても、様々な要因は否定できないものの、鼓膜温は低下していることから、心停止後の患者の脳温を低下させる本品の性能を否定するものではないと判断いたしました。

 三つ目の論点は、本品の安全性についてです。審査報告書24ページを御覧ください。国内治験における死亡症例につきましては、死亡の原因が特定できない症例が見られました。本品と死亡原因の関係については完全には否定できないと考えますが、心停止後患者の死亡率を反映している可能性が高いと考えます。また、冷却カフの接触部位における低温障害のリスクに関しては、動物試験において、食道の一部に浮腫を認めていること、動物実験の検体数が限られていること、本品は海外を含めて市販後の使用実績がないこと等から、低温障害のリスクが十分に低いとする根拠は少ないと考えます。一方、限られた症例数ではありますが、国内治験成績から低温障害を積極的に示唆する有害事象報告は得られていません。低温障害のリスクがあり得ることを添付文書に記載し、十分な注意喚起を行うのであれば、リスクは許容可能と判断いたしました。低体温療法に伴う合併症を増加させるリスクに関しては、本品の使用時間は2時間に限られていること、国内治験成績から本品特有の有害事象は示されていないことから、現時点において本品が従来の低体温療法におけるリスクを上昇させるおそれは少ないものと考えます。なお、本品の安全性は2時間までしか確認されていないことについては、添付文書で注意喚起する必要があると判断いたしました。

 以上の審査を踏まえ、機構は本品を承認して差し支えないとの結論に達し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は3年と判断しています。生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しました。薬事分科会では報告を予定しています。

 なお、本日御欠席の武谷委員から、「全身冷却と本品による咽頭冷却は同時に行うのか。」という質問を受けました。この点につきましては、「通常、全身冷却は冷却開始までに時間を要することが多いため、本品が先に使用されることが想定され、本品使用中に全身冷却の開始が可能な場合は同時に使用されることが想定されます。」と回答いたしました。

 機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○笠貫部会長 ありがとうございました。参考人の小林先生から、何かございますでしょうか。

○小林参考人 機構からかなり詳細な報告がありましたが、特に臨床的なエビデンスという意味に関しては、大変厳しい部分があります。脳温が下がることは証明できたのですが、それによって治療成績が変わるかという部分に関しての臨床的なエビデンスは、はっきり言えば無い状況です。ただ、全身の中でもより虚血耐性の低い脳に対して、より早期に、また、より強力に冷却を付加できることについては、意義があるのではないか。安全性上の大きな問題がなければ、こういう機器が臨床で使われることには意義があるのではないかと最終的に判断させていただきました。以上です。

○笠貫部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御質問、御意見はございますでしょうか。

○鈴木委員 今の小林先生のお話を伺っても、非常に消極的な支持のような気がします。脳温が下がるのは確かなのでしょうが、この報告書を読むと、かなり間接的な測定です。しかも結果も微妙な感じで、臨床的に効果があったというエビデンスはないということなので、非常に薄いエビデンスです。脳温の低下すらも疑わしいとまでは言いませんが、間接的な測定であって、そういう意味では、使わないよりは少し良いかもしれないというか、使ってもいいですよ、害はないですよという、非常に消極的な感じがします。それらを考えると、こういうものを承認していいのかという気がします。費用対効果も中医協で言われていますので、先々、そういう話が出てくるかもしれないという気がしますが、現状では、現時点でそれ以上、これをどうこう言うのは難しいのではないかとも思います。さらに、エビデンスの乏しい割には非常に大掛かりな機械のような気がしますので、その辺も気になります。それらの点について、ほかの先生がどう考えていらっしゃるのか、御意見を伺いたいと思います。私は中医協にも出ていますが、こういうものが出てくると費用対効果の観点からいかがなものかという意見が出てくるような時代になってきています。中医協の皆さんの御意見として、じゃあ薬食審ではどうだったのかという意見と、なぜ薬食審が通したのかという意見が必ず出てくるので、これからは薬食審としての責任も伴うと思います。少しでも良ければ何でも通すという今のやり方でいつまでもいいのかという気がします。その辺についても、ほかの委員の先生のお考えも参考に聞かせていただきたいと思います。以上です。

○笠貫部会長 ほかの委員の先生方の御意見を先にお聞きしましょう。

○塩川委員 私は脳外科をやっています。重症脳損傷全般についての低体温療法というのは、先ほど小林先生が言われたように、明らかなエビデンスはありません。ただ、8ページにもありますが、心停止後のいろいろな処置療法という点では評価されている意見もあります。ですから、効くのか効かないのか、はっきりしないというよりは、院外での心停止後の一連の治療の中では、それなりの意味はあるのではないか。そういう認識を個人的には持っています。

○荒井部会長代理 本当に評価が難しく、こういう患者には無いよりはあった方がいいのかもしれませんが、これが20年後も使われているかというと、それは誰にも判りません。そういう領域の話です。でも否定する根拠もありませんし、また、極めて緊急性の高い生命に直結する状況で使用される機器です。こういう場合には「間違って有効な治療を否定するリスクよりも、間違って有効でない治療を肯定するリスクをとる」ことが基本姿勢であると思います。すなわち、取りあえずは通しておき、きちんとしたデータ、もちろんRCTなどはできないでしょうが、レトロとの比較でも構わないので、そういうデータを学会に出してもらうよう要望する姿勢が基本ではないかと思います。

○笠貫部会長 私も、JRC(日本蘇生協議会)の役員をしている立場から申し上げますと、院外心停止の人をどう救うか、これはAEDを含めて現在全国展開しているのですが、心肺停止後の脳障害をどのように防ぐのかということが、学会全体としても極めて大きなテーマになっています。低体温療法が良いということは世界でも認められている治療法だと思いますが、本品のカフを通して冷やすという方法について、これは日本発の機器なので、今年4月、5月にILCOR(国際蘇生連絡協議会)があり、そこにこれを提案されるはずなのです。心停止後の脳障害の低体温療法は、より早期に、より強力にという基本的な考え方から言うと、本品の意義は、そういう評価をしなければいけないのではないかと思います。これが本当に臨床的にどうかというのは、バックグラウンドにはいろいろなものがあって、心停止から病院に来るまでの時間の問題が一番効いてきます。これを24例やって、効果が評価されることはありません。ただ、医学的な動物実験を含めて世界の流れでいって、それから、日本発であることからいうと、私は、リスク・ベネフィットの上からは、臨床の現場に提供する価値のある機器ではないかと思います。現在、心停止後症候群に対して、いろいろな学会がこれに取り組んでいますから、市販後なり、そのデータをどのように収集していくかということは、承認条件として付けてもいいのではないかという感じがします。

 それから、鈴木先生の御指摘の、コスト・ベネフィットとリスク・ベネフィットをここでどう議論するかという点は、この前もそういったケースがあったと思いますので、次に先生が中医協に出られたときの先生のお立場として、これをどう評価するか。ここではコスト・ベネフィットよりも、まずリスク・ベネフィットとしてどうかということを判断して、それを基にして、中医協ではコスト・ベネフィットの形で判断していただくことになるのではないかと私は思います。

 院外で心停止して、重症で、心拍が再開した、その最先端の治療をどうするのかというところでは、私は、ベネフィットというか、ニーズからいうと、ここの会ではこれを認める、承認でもよろしいのではないかと思います。これは臨床的なエビデンスということが非常に難しいケースです。ほかに皆さんの御意見がございましたら、お願いします。

○中谷委員 私として気になるのは、今まで使われたのは非常に慣れた施設で慎重に行われている。しかし、今後どのような施設でこれを使うのかということが本日の説明ではよく分かりませんでした。いたずらに広がって使われて、効果がないとなってしまう可能性も十分あるのではないかと思います。カテーテルの挿入は簡単とはいえ、その操作においては、経験がない所ではいろいろなトラブルが起こり得る可能性があると思われます。そういう意味で、使い方などの規定が全く書かれていないように思います。そこのところは、しっかりとした上で認可しないと、無茶苦茶に使われて結果が悪かったから駄目だったとなってしまうとそれこそ目も当てられません。今日の審議における議論の一番心配していることになってしまうと思います。そこのところは、もう少し明確に、それほど難しいものではないと思いますので、きちんと使用する施設や使用法を決め、それらに従うようにしないと、温度の関することで笠貫先生が言われていることも実証できないのではないかと思います。そこが気になるところです。

○小林参考人 先ほど低温障害について細かく報告がありましたが、専門協議でも、やはり、気管内挿管がされて、まだ全身状態が不安定で、場合によってはすぐまた心臓マッサージをやるような状況で、もう一つ口腔内に物を入れて、それを固定する、それから、機械につなぐことについては、誤抜管されるリスクなどがあるのではないかということはディスカッションされました。その部分に関しては添付文書なりでかなり強調しておくべきことだということで、先ほどの低温障害のみならず、実際には非常にざわざわした環境の中で使われる道具だということを考えると、そういうリスクが大きいといことは強調すべきだというディスカッションになりました。

 ベネフィットについては、心停止後と少し話が変わるかもしれませんが、脳の低温療法については、重症頭部外傷などいろいろなところでやられています。動物実験では、あれほどきれいに有効のエビデンスが出るのに、どうして臨床では有効のエビデンスが出ないのかという部分が非常に大きいと思います。実験では、分単位で冷却に持っていくことができるわけですが、臨床では、どうしても何十分、何時間という、その時間の問題が非常に大きいだろうということです。その中で、この道具が少しでも脳の温度を下げる時間を短縮できるのであれば、そこにはベネフィットを期待はできるという部分があります。それをエビデンスにできるかどうかは、確かに今後の問題ではないかと思います。

○中谷委員 その点はいいと思いますが、それだけに、使用法などに関して、もう少しきちんと注意喚起した上で認可することが必要だと思います。理論的には、先生が言われたように、可能性は十分に秘めている。また、できるだけ早くという意味でも、機械は大掛かりになっていますが最も手軽なものと思われますので、効果が得られる可能性は秘めていると思います。ですから、効果が期待できる状態で使いなさいということをもっと明確にしておくことが求められます。そうでなければ、費用対効果の点からも無茶苦茶な使い方になってしまいかねないのではないかと危惧するのです。こういう使い方をすることで、このような効果を期待するものであるということを明確にしておくことが重要と思います。これまでの説明でこの点がはっきりしなかったので気になりました。

○笠貫部会長 機構から、どうぞ。

○機構 御意見ありがとうございました。誤抜管のリスク等については御指摘のとおりで、添付文書に一応の記載はあるのですが、そこが目立たないので、警告等に入れます。それから、使用方法に関しても、まずは、心停止後の低体温療法に慣れている、そこの十分な知識があって使うというのが基本です。企業の方はトレーニングを行うと言っていますので、そのトレーニングプログラムの中で使用方法と対象患者等について十分に皆様に周知して、適正使用を図っていきたいと思います。

○笠貫部会長 これは、致死的な重篤な患者だということと、早期に脳温度を下げるという代替品がないということで、私はベネフィットとしてはそれでいいと思います。御指摘があったリスクに関しては、施設、トレーニング、それから、使用調査の話が出ましたが、それだともう添付文書の話ではなくて、承認条件として付けてそれを評価していただく方が、より安全で、また中医協でも、コスト・ベネフィットを論じるときに、リスク・ベネフィットを十分に考慮したということになります。承認条件に入れることは可能ですか。検討できますか。

○機構 これらの疾患に対する重篤性を十分に理解した医師がトレーニングを受けて適切に使用する、という承認条件ということでしょうか。

○笠貫部会長 ということと、それから、先ほどの市販後の調査、これはそれほど厳しいものではなくてもいいと思いますが、調査を入れることを付けていただきたいということです。

○機構 御指摘ありがとうございます。使用成績調査に関して、資料2の「使用成績調査」を御覧ください。1ページに、調査の計画の概要が書かれています。予定症例数としては、100例を調査する予定としています。3ページに、観察のスケジュール等を記載していますが、調査項目としては、温度や神経学的転機のほか、有害事象などについても観察することとしています。

○笠貫部会長 それはもう見ています。そういうことではなくて、このようにリスク・ベネフィット、コスト・ベネフィットが非常にデリケートなケースの場合には、承認条件の所にきちんと書いておく方がよろしいのではないかということを、意見として御検討いただきたいということです。

○機構 分かりました。文言に関しては持ち帰ります。部会長のおっしゃるとおり、承認条件を付ける方向で検討したいと思います。

○齋藤委員 通常、こういう装置は、ある一定の温度、例えば33℃まで下げる必要があるなど、そういう考えがあるはずではないでしょうか。この結果を見ますと、30.534.5℃ぐらいの間にバラつきがありますね。また、搬送された時の鼓膜温に依存して下がるような感じがします。おのずとして、適用と限界の要件が、このグラフから見えるのですが、そういったものは全く考えずに、ただ下がるからいいということでよいのでしょうか。

○機構 まず、機構から御説明いたします。御質問ありがとうございます。先生がおっしゃったのは、16ページの図7のグラフでしょうか。救急搬送された患者の中で低体温療法が必要だとそこで判断された患者がエンロールされています。それが、心停止からの時間や搬送の状態などに左右されてバラつきが見られるといった点で、まず、個人差があります。低体温療法が必要で、この機器が先に使われるということで、その変化量をベースラインから見たということになっています。

○齋藤委員 そこに有効の温度というのがあるのではないかと思います。機械の場合には、仮に33℃に設定されるとなれば、この装置を使って全員が33℃以下になる必要があるという条件が出てくるのではないかと思うのです。その辺はどうなのでしょうか。

○機構 この装置は、鼓膜温以外に深部温も測ることができるようになっていて、同時にモニターしています。ガイドラインで推奨されていますのは、3234℃の間を目指して低温に導入すると言われていまして、この場合も必ず深部温をモニターして、その条件に合うように施行したということになっています。こちらは鼓膜温なので、深部温よりは少し低めの温度を示しています。

○笠貫部会長 そういうことよりも、全身冷却するまでに非常に時間が掛かるので、小林先生がおっしゃったように、より早期に冷やす方法はないだろうかということで、これが出てきたのだろうと推測していますが、そういう意味では、全部これで下げるというのではなくて、全身冷却が早くできるものとして、まずこれでやる。後は、これは2時間までしかやらないので、その間に全身冷却をどういう方法でするかを考えてくださいという、小林先生、そういう理解でよろしいのですね。

○小林参考人 はい。基本的にはそういうことだと思います。その先には、またいろいろな使い方が出てくる可能性はあります。それから、細かいことを言えば、咽頭冷却をするだけで、全身を冷やさないでここを冷やすだけで、どれだけ脳温が下がるかという点にはまだ問題があるかもしれませんが、少なくとも、より早く、上乗せ効果的な意味では十分に期待できるのではないかということです。

○齋藤委員 そうすると、体温は徐々に上がっていくのですか。

○小林参考人 心肺停止の患者の場合、むしろ少し下がった状態で搬送されてくることの方が経験的には多いです。

○齋藤委員 これは1℃ぐらいの差しかないので、本当の効果なのかという感じがするのですが。

○小林参考人 その辺のエビデンスが非常に難しいところで、何度まで下げるのが一番いいのかといったようなことについては、まだ明確なものはないと思います。

○梅津委員 エンジニアリングの立場から考えると、とにかく、こういう温度を下げるというテクノロジーがあるという、選択肢があるということが今の医療にとってとても大事なことなのではないかと思っています。今はこの効果が分からないから、これはやめましょうというよりは、これを使って、その後の様子を見る方が、医療のベネフィットとしては大きいと考えています。

○荒川委員 添付文書を見ると、全身冷却の補助的な使い方とは、必ずしも読めません。心拍再開して戻ってくるときに、一気に脳温が上がるようでは困ると思います。ですから、やはり、まずは補助的なものであるということをきちんとした方がいい。それから、予後の調査をきちんとしていただきたいという気がします。それで、全身冷却だけとの何らかの比較を、いずれデータとしてそろえていただきたいと思います。

○機構 御指摘ありがとうございます。最初におっしゃった、補助的な位置付けという点に関しては、機構の審査の中でもかなり論点になりまして、検討しているところです。本品が脳を冷やすものであって、全身冷却とは異なる。全身冷却に先立って使うものであるということに関して、その位置付けを明確にしておくべきだと考えています。添付文書2ページの右の「使用目的、効能又は効果」の欄の下に、使用上の注意として「全身冷却を目的とした装置とは異なる」といったことを注意書きしています。さらに、使うタイミングとして、全身冷却そのものに代わるものではなく、先立ち、あるいは、開始の導入期に、使用される部位も異なりますので「先立ち使用すること」ということを注意書きしまして、注意喚起を行っています。

○笠貫部会長 御指摘は大事な問題で、この機器の位置付けが、添付文書を細かく見ないと分からないというのは非常に困るのです。最初に鈴木委員から御指摘があったように、ここはコストではないけれども、リスク・ベネフィットには十分考慮して検討したという意味で、承認の方向ということでは皆さんにある程度は御理解いただいたと思いますが、やはり承認条件をきちんともう一度見直していただきまして、その詳細について、私、座長に一任していただいて、本日この後、承認という方向でよろしければ、承認とさせていただきまして、その承認条件については、次回の部会で報告させていただいて、そこで皆さんに御了解いただくということで、まとめたいと思います。

○川上委員 これは効果というのは分かるのでしょうか。こういうことをやった方がいいか、悪いかという効果、指標と言いますか、専門の先生方であればお分かりになるのでしょうか。

○小林参考人 蘇生後の状態に限定した場合ですが、よほど多くの数で調査をしないと、今の段階では難しいかもしれません。一定の方向性など、もう少しコアの部分が見えてくれば、評価がもう少し楽になるかもしれませんが、正直申し上げますと、現状では、それなりの数を経験しないと効果についての判定は難しいのではないかと思います。

○上席審議役 市販後に情報を集めることは重要で、先ほど読み上げましたが、市販後調査を企業にも指示する予定にしています。先ほどの荒川先生の御指摘にもありましたように、これを使わなかった群との比較での有効性を見る、しかも、それは脳温が下がるということだけではなくて、臨床的なアウトプットとして脳機能がどれだけ保護できたのかというデータをきちんと取るべきだという御指摘だと思いますが、恐らくそれは非常に難しいです。一人一人の患者が運び込まれる時間も違いますし、心停止を起こした原因も違うことから、有効性の比較のデータを企業に義務付けるのは非常に厳しいと考えています。長い時間が掛かるかもしれませんが、将来的にこれが導入されたことで医療のアウトプットがどれだけ良くなったかをどういう形で出せるのか、学会とも御相談させていただいて対応したいと思います。よろしいでしょうか。

○荒川委員 こういうものこそ市販後のレジストリーをしっかりとやっていただいて、簡便に症例追跡をしていただけると良いと思います。

○笠貫部会長 小林参考人は大変遠慮深くお話されていると思いますが、私は循環器の医師として、心肺停止で、救急で集中治療室に運んだときに、それが本当に脳障害を起こさないで退院できるかどうかという、そういう緊急の現場での、少しでもそれが進歩するかということが、現在その専門領域の最大のトピックスになっているのです。また、日本蘇生協議会として、次回のILCOR(国際蘇生連絡協議会)にはこれが日本発の医療機器だと報告する予定になっていると聞いていますので、そのことも含めて、次回あるいは次々回、その経過について報告させていただくようにいたします。

 時間が経過しましたので、本日の御議論の中で承認条件については一任とさせていただくということで、よろしければ議決に入ります。

 それでは、医療機器「クーデックアイクール」については、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、再審査期間は3年間とし、管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定し、生物由来製品及び特定生物由来製品への指定は不要ということでよろしいでしょうか。

 御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この結果につきましては、次回の薬事分科会で報告することにいたします。これで、議題2は終了です。参考人の小林先生におかれましては、御退出していただいても結構です。どうもありがとうございました。

—— 小林参考人退室 ——

○笠貫部会長 それでは、議題3「ヒトトロンビンを含有する医療機器の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の可否について」、並びに、議題4「新たに追加する医療機器の一般名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器の指定について」のうち、「ヒトトロンビン含有ゼラチン使用吸収性局所止血材について」、併せて審議を行います。概要について、事務局から報告をお願いします。

○事務局 審議事項議題3、資料3「ヒトトロンビンを含有する医療機器の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定について」、事務局から御説明いたします。本件については、議題4「新たに追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器の指定について」のうち、ヒトトロンビン含有ゼラチン使用吸収性局所止血材に関連いたしますので、資料3と資料4-1を用いて併せて御説明いたします。

 まず、資料4-1から御説明します。1枚目が諮問書です。これは毎回御審議を諮っていますが、高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器への分類に関して御審議をお諮りしているものです。資料4-1の1ページ、ヒトトロンビン含有ゼラチン使用吸収性局所止血材について記載しております。「止血のために、外科切開口、皮膚創傷又は内部構造に適用する、身体に吸収される素材からなるヒトトロンビン含有のゼラチン使用器具をいう。」ということでして、既存の一般的名称のいずれにも該当しないということで今回一般的名称を新設し、高度管理医療機器として新たに指定することが必要ではないかということで御審議いただくものです。具体的な品目の概要について、最終ページに記載しているとおり、今回この一般的名称が付される予定の品目は、こちらのゼラチンと乾燥ヒト由来トロンビンと溶解液から構成されて、これを用時調製して用いる吸収性の局所止血材です。こちらについて、まず高度管理医療機器として新たに指定するということ、特定保守管理医療機器としての指定はしないということに関しての御説明です。

 続いて、資料3、議題3に移ります。1ページが諮問書で、このヒトトロンビンを含有する医療機器の生物由来製品と特定生物由来製品の指定の可否についてお諮りするものです。1ページの裏の概要ですが、今般申請がありました「フロシール」というヒトトロンビンを含有する医療機器についての指定を行うというもので、2.と3.の生物由来製品及び特定生物由来製品の該当性ということで、既にヒトに由来するトロンビンについては、医薬品の方でその製剤の感染リスクを判断して、特定生物由来製品に指定されているものがあります。これらと同じように同様の感染リスクに相当すると判断されることから、特定生物由来製品に該当すると考えられます。この審査の概要については、機構から御説明いたします。

○機構 審議事項議題3、資料3「ヒトトロンビンを含有する医療機器の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定について」、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。なお、審査報告書1枚目の記載のとおり、本件は改良医療機器に該当し、当部会での品目の審議は必要とされないものなのですが、特定生物由来製品への指定について当部会での審議をお願いするものです。

 本品の特定生物由来製品の指定に係る専門協議に御参加いただいた専門委員は、資料の当日配布1にお示しした2名の専門委員の先生方にお願いいたしました。

 それでは、まず本品の概要について簡単に御説明します。審査報告書3~4ページを御覧ください。本品は4ページの図1に示すように、ゼラチンセット、針付シリンジ、トロンビンバイアル等から構成され、これらを用時調製して用いる吸収性止血材です。本品は血液に接触することにより膨張し、タンポナーデ効果により出血を減少させるとともに、トロンビンにより本品内部におけるフィブリン形成が促進され、出血部位の閉塞を補助することにより止血が達成されます。

 機構における特定生物由来製品の指定に係る審査について、審査報告書5~6ページを御覧ください。本品の製造には、乾燥ヒトトロンビン及びウシ真皮由来ゼラチンが使用され、乾燥ヒトトロンビンの製造工程では、ヒト血清アルブミン及びブタ由来ヘパリンナトリウムが使用されていますが、いずれの原材料についても、適切なドナースクリーニングが実施されていること、トレーサビリティーが確保されていること、及び製造工程中のウイルス不活化工程等により、感染性物質に対して一定の安全性が確保されていることから、本品の製造に使用される生物由来原材料は、いずれも生物由来原料基準に適合していると判断いたしました。

 次に、本品の特定生物由来製品の指定の要否について御説明いたします。医薬品においては、ヒトトロンビンを含有する製剤は、生物由来原料基準に適合する場合であっても、感染症が直接伝播し得るヒト血液を原材料にしており、不特定多数のドナーに由来する感染因子の混入が完全には否定できないことから、「特定生物由来製品」に指定されています。本品の製造に使用される乾燥ヒトトロンビンについても、不特定多数のドナーに由来するヒト血液を用いて製造されており、製造工程においてウイルスの不活化及び除去処理が施されているものの、感染因子を内在するリスクは完全には否定できないこと、及び本品は各種手術時の出血における補完処置的な止血に使用されるため、血液と接触することから本品は特定生物由来製品に指定されている医薬品のヒトトロンビンを含有する製剤と同程度のリスクを有すると判断いたしました。以上を踏まえて、ヒトトロンビンを含む本品については、特定生物由来製品に指定することが妥当と判断いたしました。

 最後に、本日御欠席の石井委員より、事前に「このようなヒト血液を原材料とする製品については、より高い安全性を確保することが重要と考えるため、製造工程の改善等、今後もウイルス安全性の向上に努めていただきたい。」という旨の御意見を頂きました。本品に限った御意見ではないと考えますが、申請者に対して、ウイルス安全性について継続的に検討するよう指導してまいります。また、添付資料概要のウイルス安全性に関する記載について誤記等の御指摘を頂きましたので、資料の当日配布2にお示しした正誤表のとおりに記載を整備いたします。機構からの報告は以上です。本品の特定生物由来製品への指定について、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○笠貫部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御意見、御質問はございますでしょうか。

○濱口委員 先ほど、ウイルス安全性というところで非常に重要だというコメントだったのですが、添付文書()の中の、具体的に言いますと、2/4ページです。「使用上の注意」の中の「1.重要な基本的注意」の()に、ウイルスに関してのいろいろな安全性についてのコメントがあって、その下に1)と2)という形で幾つかのウイルスについてこういうコメントがなされています。これを見て思ったのが、パルボウイルスやクロイツフェルト・ヤコブ病に関してのコメントはあるのですが、実は国内で売られているトロンビン末については、肝炎ウイルスについてのコメントがこの間に一応入っている一方で本製剤ではこれが抜けて、若しくは抜かしたという理由がよく分かりません。できれば、やはり肝炎ウイルスに関しては、先ほどありましたように完全に制御されているわけではないというところもありますので、入れていただきたいという気があるのですが、いかがでしょうか。

○機構 御指摘いただきましてありがとうございます。御指摘の点に関しては、申請者とも相談の上、添付文書に関しては記載の整備をさせていただきたいと思います。

○笠貫部会長 ほかにはございますでしょうか。特に御異議がないようでしたら、議決に入ります。

 まず議題3の「ヒトトロンビンを含有する医療機器」については、特定生物由来製品に指定してよろしいでしょうか。

 それではそのように議決させていただきます。また、議題4の「ヒトトロンビン含有ゼラチン使用吸収性局所止血材」については、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器への指定は不要ということでよろしいでしょうか。

 それでは、御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この結果については、次回の薬事分科会において報告することにいたします。ありがとうございました。

 次の議題に移らせていただきます。「新たに追加する医療機器の一般名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器の指定について」、審議を行います。先ほど審議いたしました「ヒトトロンビン含有ゼラチン使用吸収性局所止血材」のほかに2件ございますので、審議品目の概要について、事務局よりまとめて御説明をお願いいたします。

○事務局 審議事項議題4、資料4-2及び資料4-3「新たに追加する医療機器の一般的名称に係るクラス分類及び特定保守管理医療機器等の指定について」、事務局より御説明いたします。

 医療機器に関しては、一般的名称と呼ばれる区分がないものについて、高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器のいずれかであるなどについて、薬事法第2条第5項から第8項の規定に基づき、審議会の意見を伺った上で定めることとなっております。

 資料4-2を御覧ください。1枚目が諮問書です。1ページは今回新設しようとしております一般的名称「ウマ心のう膜弁」の概要について示しております。次ページの新設する一般的名称()についての中段の、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと考える理由にありますように、ウマ心のう膜弁に関しては、ウシ心のう膜弁やブタ心のう膜弁など、既存の人工心臓弁と同一の使用目的ではあるのですが、ウマの組織を使用した人工弁であることから、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと判断しております。

 新しい一般的名称が付される予定の品目の概要については、最後のページにあるとおりとなっております。高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の分類についてですが、本名称に関しては、副作用又は機能の障害が生じた場合において、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、その適切な管理が必要なものと考えられるため、高度管理医療機器としてはどうかと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については不要と考えております。

 次に資料4-3を御覧ください。申請しようとしております一般的名称は、「患者適合型体内固定用プレート」です。2ページを御覧ください。患者適合型体内固定用プレートについては、既存の「体内固定用プレート」という一般的名称と同一の使用目的となっておりますが、個々の患者に適合するよう製造された器具であることから、既存の一般的名称のいずれにも該当しないと判断しております。新しく一般的名称が付される予定の品目の概要については、最後のページに示してあるとおりとなっております。こちらに関しても、分類についてですが、副作用又は機能の障害が生じた場合において、人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあることから、その適切な管理が必要であると考えられるため、高度管理医療機器としてはどうかと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については不要と考えております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○笠貫部会長 ありがとうございます。それでは、本件について御意見、御質問ございますでしょうか。

 よろしいでしょうか。よろしければ議決に入ります。

 まず1件目ですが、「ウマ心のう膜弁」については、本部会として、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器への指定は不要ということでよろしいでしょうか。

 それでは、御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。

 次に2件目ですが、「患者適合型体内固定用プレート」については、本部会として、高度管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器への指定は不要ということでよろしいでしょうか。

 それでは、御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。この結果については次回の薬事分科会において報告することにいたします。これで議題4は終了になります。

 次に議題5ですが、「医療機器再審査の結果について」、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 報告事項議題5、資料5「医療機器の再審査結果について」、事務局より御報告いたします。再審査については、薬事法第14条の4に基づき、原則新しい医療機器などについて再審査期間を定め、承認後の使用成績などの調査を行い、その資料に基づき有効性、安全性などの再確認を行うことを目的とした制度です。

 1枚目が医療機器の再審査確認等結果通知書です。品目については、日本アルコン株式会社のOオプティクスで、平成16年8月24日に承認された品目です。本品は、近視及び遠視の視力補正を目的とした、1か月ごとに新しいレンズに交換する使用目的による終日装用及び最長1か月間の連続装用が可能な酸素透過性の高いソフトコンタクトレンズです。医療機器の使用実態下における不具合発生状況、安全性、有効性等を確認することを目的とし、平成20年1月~平成23年1月まで再審査が実施されております。今回お配りしている資料については、事前に委員の先生方へお送りしておりますので、簡単な説明とさせていただきますが、安全性、有効性について、ともに特段の問題がないと判断されております。

 以上のことから、薬事法第14条第2項各号のいずれにも該当しないこと、すなわち再審査結果の区分を効能、効果、用法、用量などの承認事項について変更の必要がない「カテゴリー1」と判断しております。以上、御報告いたします。

○笠貫部会長 ありがとうございました。それでは本件について御意見、御質問ございますでしょうか。

 特に御意見がございませんでしたら、これで本日の予定されました議題はすべて終了になります。それでは事務局の方から、その他として何かございましたらお願いします。

○鈴木委員 少しいいですか。議題1の「冷凍アブレーションカテーテル」の審査報告書39ページを見ると、「1)本品の本邦臨床現場への導入方法について」という所で、初期導入施設への集中研修では、経験豊富な国外の指導医を招聘し研修を行う。各施設最初の症例では、国外の指導医の立会いを予定するとあるのですが、こういった例は今まであったのでしょうか。教えていただきたいと思います。

○機構 こちらは申請者が予定している研修でして、国内で使用したものがございませんので、経験ある海外の先生に来ていただいて指導をお願いするということで、これまでもほかの品目でもされていることでございます。

○鈴木委員 そうですか。今、医療法改正で論議される予定の、いわゆる外国人医師の臨床の従事の拡大とは関係ないということで理解してよろしいのですね。分かりました。ありがとうございます。

○笠貫部会長 それでは、事務局の方お願いいたします。

○医療機器審査管理室長 長時間にわたり御議論いただきまして本当にありがとうございました。次回の部会については、既に御連絡しておりますとおり3月5日()を予定しております。連絡事項としては以上です。よろしければ、これをもちまして本日の「医療機器・体外診断薬部会」を閉会させていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。


(了)

備考
 この会議は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 安川(内線4226)

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