ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(科学技術部会)> 第86回厚生科学審議会科学技術部会 議事録(2014年8月19日)




2014年8月19日 第86回厚生科学審議会科学技術部会 議事録

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成26年8月19日(火) 15:00~17:00


○場所

厚生労働省 省議室(中央合同庁舎第5号館 9階)


○出席者

永井部会長
相澤委員、大澤委員、川越委員、菊池委員
桐野委員、西島委員、野村委員、福井委員
宮田委員、門田委員、横川委員、渡邉委員

○議題

1.平成26年度厚生労働科学研究委託費の公募(第五次)について
2.厚生労働省の平成27年度研究事業に関する評価(案)(概算要求前の評価)について
3.ヒト幹細胞臨床研究について
4.その他

○配布資料

資料1 平成26年度 厚生労働科学研究委託費 公募要項(5次公募)(案)
資料2-1 平成27年度科学技術関係施策及びその重点事項の概要について
資料2-2 平成27年度厚生労働科学研究費補助金等研究事業に関する概算要求前評価(まとめ)(案)
資料2-3 厚生労働省の平成27年度研究事業に関する評価[概算要求前の評価](案)
資料3-1 ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請について
資料3-2 ヒト幹細胞臨床研究実施計画に係る意見について
資料4 遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について
参考資料1 厚生科学審議会科学技術部会委員名簿
参考資料2 ヒト幹細胞を用いる臨床研究実施計画の申請に関する参考資料
参考資料3 遺伝子治療臨床研究実施計画の申請及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する参考資料

○議事

○椎葉厚生科学課長

 それでは傍聴の皆様にお知らせします。傍聴に当たりましては、既にお配りしております注意事項をお守りくださいますようにお願いします。

 それでは定刻となりましたので、ただいまから「第86回厚生科学審議会科学技術部会」を開催いたします。委員の皆様には大変御多忙の折お集まりをいただき、御礼申し上げます。

 本日欠席の委員として、井伊委員、今村委員、江藤委員、塩見委員、玉腰委員、橋本委員、山口委員から御欠席の連絡を頂いております。また、川越委員は少し遅れるようです。出席の委員は過半数を超えておりますので、会議が成立いたしますことを御報告させていただきます。

 次に事務局において、725日付で、鈴木康裕が技術総括審議官に就任いたしましたので御紹介いたします。

○鈴木技術総括審議官

 技術総括審議官を拝命しました鈴木でございます。よろしくお願い申し上げます。

○椎葉厚生科学課長

 続きまして本日の会議資料の確認をお願いいたします。議事次第のほうに配布資料一覧が書いてあります。座席表、資料1「厚生労働科学研究委託費公募要項(5次公募)()」、資料2-1「平成27年度科学技術関係施策及びその重点事項の概要について」、資料2-2「平成27年度厚生労働科学研究費補助金等研究事業に関する概算要求前評価(まとめ)()」、資料2-3「厚生労働省の平成27年度研究事業に関する評価」、かなり分厚いものです。資料3-1「ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請について」、資料3-2「ヒト幹細胞臨床研究実施計画に係る意見について」、資料4「遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について」。

 参考資料1「委員名簿」、参考資料2「ヒト幹細胞を用いる臨床研究実施計画の申請に関する参考資料」、参考資料3「遺伝子治療臨床研究実施計画の申請及び遺伝子治療臨床研究に係る生物多様性影響評価に関する参考資料」です。また横書きの追加資料で、平成26年度厚生科学研究委託費の公募課題一覧、両面コピーのものを付けております。以上でございます。資料の欠落等がございましたらお申し出いただければと思います。よろしいですか。

 それでは永井部会長、議事の進行をよろしくお願いいたします。

○永井部会長

 それでは議事1に入ります。平成26年度厚生労働科学研究委託費の公募について、御審議をお願いいたします。事務局から説明をお願いします。

○椎葉厚生科学課長

 それでは資料1の説明をさせていただきます。先ほど追加資料と申しました、両面コピーの追加参考資料1も御参考いただければと思います。

 まず、追加参考資料126年度の厚生科学研究費委託費の公募課題一覧で第1次から第4次まで示しておりますが、この第4次については前回718日の部会において4次公募ということで説明をし、現在公募中です。今回の議題は、委託の5次公募という印を付けている認知症研究、新興・再興感染症に関する研究について公募させていただきたいものです。

 裏面には参考資料2と書いてありますが5次公募の一覧で、認知症研究と新興・再興感染症に関する研究事業で、認知症研究については2つの研究課題、認知症のケアにおけるグットプラクティスの収集などデータの収集法ならびに、データの蓄積、活用に関する手法の開発に関する研究。地域における認知症予防介入方法の開発に関する研究。2課題それぞれ1,500万円の予算で公募をしたい。また、新興・再興感染症については、沈降インフルエンザワクチンにおける交叉免疫性に関する研究について7,800万ほど。トータル1億ほどで、これについて公募させていただきたいものです。

 資料1は、実際この公募要項の案で、この中で具体的に33ページに認知症研究については公募の対象の(3)に研究課題の内容ということで、認知症の研究の一般公募で、ア「認知症のケアにおけるグットプラクティスの収集などデータ収集法ならびに、データの蓄積、活用に関する手法の開発に関する研究」。下のほうのイ「地域における認知症予防介入方法の開発に関する研究」です。次は34ページの(4)研究期間及び研究経費、(5)新規採択予定課題数等を記載しております。

35ページは新興・再興感染症に関する研究事業で、1番下の(3)で「一般公募型」ということで、交叉免疫性に関する研究の課題について公募をします。36ページは具体的な中身で、研究期間及び研究経費について、採択課題数もこのように公募をしたということです。以上です。

○永井部会長

 ありがとうございました。それでは御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがですか。

○宮田委員

 このH5N1沈降インフルエンザワクチンの交叉免疫性に関する研究はとても重要な感じがしますが、これは現在の国家備蓄の体制にこの研究結果がどんな影響を与えるか少し教えていただけますか。

○健康局 結核感染症課(岡主査)

 結核感染症課の岡です。お答えさせていただきます。現在4種類の株を備蓄しており、ベトナム、インドネシア、チンハイ、アンフィ株といって、それぞれのクレードに基づいて一番発生しやすいものを備蓄しております。その4株のうち最も効率のある株を、できれば縮小して選びたいと思っております。よって交叉免疫性を確認することで、最もほかの株に対して有効とされる株を選択したいと考えております。

○宮田委員

 要するに4株から備蓄、絞り込みたいということですか。

○健康局 結核感染症課(岡主査)

 そういう戦略が取れるかどうか、そういった科学的なエビデンスが得られるのであれば、絞ることも検討することとしております。

○宮田委員

 ありがとうございます。

○永井部会長

 ほかに。

○福井部会長代理

 新興・再興感染症のカテゴリーに、エボラ出血熱は入らないのでしょうか。

○健康局 結核感染症課(阿部主査)

 結核感染症課の阿部です。エボラ出血熱については、現在国際的な動向を見極めつつ、今後、研究が必要になるかどうかについても検討中という段階です。

○永井部会長

 その他いかがですか。よろしいでしょうか。認知症は非常に難しい問題だと思いますが、これまでこうした予防介入研究はされてこなかったのでしょうか。あるいは何か今は良い手段が見つかりつつあるか、状況を教えていただけますか。

○老健局 認知症・虐待防止対策推進室(新美専門官)

 認知症・虐待防止対策推進室の新美です。認知症の研究に関しては、今ここで挙げましたケアとか予防の内容については、ある程度先行的な研究はされております。このような例えばITを使うとか、地域での観点になる切口の研究はなかなか不足しており、実際に得られた成果を現実に移すときにこのようなことが必要ではないかということで、テーマとして挙げたものです。

○永井部会長

 いかがでしょうか。よろしいですか。もしよろしければ平成26年度厚生科学研究委託費の公募については資料のとおり進めることにしたいと思います。

                                   ( 異議なし)

○永井部会長

 はい、ありがとうございます。もし字句等の修正がある場合には、事務局にて行い、必要に応じて私のほうで確認した上で内容を確定したいと思います。

 次に議事2にまいります。「厚生労働省の平成27年度研究事業に関する評価()(概算要求前の評価)について」、御審議をお願いします。事務局から御説明をお願いします。

○椎葉厚生科学課長

 それでは資料2-12-22-3をもちまして御説明したいと思います。まず役所では毎年8月末に概算要求を行いますが、厚生労働科学研究費につきましては、概算要求前の評価をお願いするということです。それに当たり、国全体としての研究の推進の方針について、どのような状況になっているかを御説明させていただき、それを受けて、厚生労働省としては、厚生労働省科学研究費についてどのような方向性で進めていこうかと考えるかを御説明させていただきまして、それについて御了解いただきたいと思います。

 まず、資料2-1「平成27年度科学技術関係施策及びその重点事項の概要について」ということです。ページ番号1の「健康・医療に係る科学技術を巡る最近の動向」について整理をしています。まず、「法律について」は、2つの法律が成立をしています。「戦略について」は、健康・医療について「健康・医療戦略推進法」が722日に閣議決定をされております。「計画について」は、その戦略に即して、「医療分野研究開発推進計画」が722日付で本部決定をされています。これに伴い、「予算に関する方針」ということで、27年度医療分野の研究開発関連予算等の資源配分方針が成立しております。

 次ページです。健康・医療戦略推進法の概要です。これについては3ページを御覧ください。こちらに法の概要の骨格を示しています。真ん中に「健康・医療戦略推進本部」というのができています。マル1健康・医療戦略の案の作成や実施の推進ということです。健康・医療戦略ですが、(1)医療分野の研究開発とその環境整備・成果の普及などを図るということで、健康・医療戦略が閣議決定されていますが、この戦略に即しまして医療分野研究開発推進計画がこの戦略を受けた具体的な計画が設定されております。一番下のほうですが、新しくできました独立法人日本医療研究開発機構で、予算を各省庁のほうから財源措置をされまして、こちらのほうの機構に一括して集められて、こちらから研究費を配分するという骨格ができたわけです。

4ページです。この独立行政法人日本医療研究開発機構ですが、医療分野の研究開発とその関係で整備の実施、助成等の業務を行うということです。中身につきましては、括弧内に書いてありますが、施行期日は2771日を予定しているところです。

5ページが健康・医療戦略の概要です。1.総論の2)の所に健康・医療戦略の基本理念ということで、世界最高水準の技術を用いた医療を提供するということです。各論の(1)が、世界最高水準の医療の提供に資する医療分野の研究開発等に関する施策などをやっていくということです。下のほうに達成すべき成果目標を設定しています。

6ページ目からが「医療分野研究開発推進計画の概要」です。考え方のマル2にありますが、この計画の位置付けが、この健康・医療戦略に即して策定されたもので、今後10年程度を視野においた平成26年度からの5年間を対象とするというものです。

7ページからは具体的な方針、そして8ページから集中的かつ計画的に講ずべき医療分野ですが、こちらの2「基礎研究から実用化へ一貫してつなぐプロジェクトの実施」ということで、医薬品の創出、医療機器開発、革新的な医療技術創出拠点、再生医療、オーダーメード・ゲノム医療、がん、精神・神経疾患、新興・再興感染症、難病等の9分野を、重点的に取り組むべきものに設定しています。

9ページ、10ページは達成目標、11ページは日本再興戦略の概要をお示ししています。

12ページからが「平成27年度医療分野の研究開発関連予算等の資源配分方針(概要)」です。2の所で、「健康・医療戦略推進本部による総合的な予算要求配分の調整」ということで、内閣官房との間で推進計画の着実な実施の観点から必要な調整を行った上で、内閣官房と共同して医療分野の研究開発関連予算の概算要求を行うということで、厚労省単独ではなくて、関係省庁と連携して予算要求を行うということです。

14ページは再掲ですが、重点にすべき研究領域ということで、先ほど申しました9分野が設定されています。

15ページは、医療より大きい総合科学技術・イノベーション会議での総合戦略も6月に閣議決定されておりますが、IIの所に「国際社会の先駆けとなる健康長寿社会の実現」ということで、重点的に取り組む課題ということで、医療品・医療機器、臨床研究・治験の体制整備、最先端の医療の実現や疾患に対応した研究の強化などが決められております。

17ページ以降は資源配分方針です。19ページに先ほど御説明した重点化すべき研究領域ということで、(1)医薬品創出課題から、20ページ、医療機器の開発や革新的な医療技術の拠点など9つ並んでおりまして、いわゆる重点9領域となるわけです。24ページの真ん中辺りの「なお」と書いてありますが、この9分野に限らず、糖尿病や生活習慣病、脳卒中を含む循環器疾患や呼吸器疾患、筋骨格系、泌尿器、高齢者の生活の質を大きく低下させる疾患、小児、エイズ、肝炎などについて、患者や社会のニーズや医療上の経済上のニーズも意識しつつ、いろいろな研究開発を推進するという方針が掲げられています。以上が科学技術関係の周辺動向です。

 次に資料2-3を御覧ください。タイトルは「厚生労働省の平成27年度研究事業に関する評価[概算要求前の評価]」です。1ページ、「目的」です。厚労省が実施する研究事業につきましては、毎年夏の予算の概算要求に先立ち、行政施策との関連を保ちながら、研究開発の一層の効果的な実施を図り、優れた研究開発成果を国民、社会へ還元することを目的として、この技術部会において概算要求の評価を行うことになっております。

 「評価の方法」ですが、1)経緯は、平成15年度より毎年度この評価を行っています。2)の周辺動向は先ほど御説明したとおりです。対象となるのが厚生科学研究の各研究事業です。評価方法は、来年度実施予定の各研究事業について、各担当課、室から外部有識者等にお願いをしまして評価原案を作成し、この技術部会において審議をするということです。物差しとなるのが参考1から4まで挙げられております。この評価の中で4ページの6)と書いてありますが、各戦略や計画との整合性も評価していただくということで、健康・医療戦略が載っております。

7ページに推進計画などがありますが、こういったものを踏まえて、12ページと13ページを御覧ください。今回、評価の対象となるのが、厚生労働科学研究で、日本医療研究開発機構の対象となる経費、医療分野の研究開発に関する経費の研究事業がこちらです。13ページは、この対象外となる医療分野の研究開発以外の経費となります。これらの研究事業を一つ一つ評価しているわけです。

15ページです。この文書のスタイルについて御説明させていだたきます。上のほうに事業名と主管部局(課室名)を書いていただき、そのあと各研究事業の概要ということで、政策との連動性はきちんとしているか、推進分野の設定は確かか、各戦略との関係性は大丈夫かということで、関係性を評価していただき、16ページの3ですが、平成27年度の研究事業について、来年度の目玉となる事業はどういうものか、他府庁や厚生労働省の関係事業との役割分担はどうなっているか、具体的な予算額、平成23年度からの推移、ただ、平成27年度予算は概算要求前で未定ですが、これを記載していただきます。

 そして4からが評価で、この研究の必要性、効率性、有効性の3点から評価をしていただき、総合評価をしていただきます。以下後ろのほうは、それぞれの研究事業ごとに評価していたただいております。

 それを踏まえてまとめたものが資料2-2です。「平成27年度厚生労働科学研究費補助金等研究事業に関する概算要求前評価(まとめ)()」です。この厚生労働科学研究が行政施策との連携を保ちながら、研究開発の効率的な実施を図り、優れた研究開発成果を国民、社会へ還元できるよう、平成27年度の概算要求に先立ち、研究事業の方向性の評価を行ったということで、1で、これまで御説明した周辺動向について記載をしています。(1)の背景については、健康・医療戦略の「はじめに」を抜粋しております。(2)2つの法律について記載しております。(3)は健康・医療戦略について記載をしております。

 次ページの(4)が医療分野研究開発推進計画、(5)がイノベーション総合戦略、(6)で予算の方針についてということで、これまで御説明した内容を記載しております。

2は国の全体の方針について、厚生労働省としてどう臨むかという方向性を記載しております。1つ目の○ですが、資源配分方針では、重点化すべき研究分野として9分野を挙げております。このため、厚生労働科学研究の平成27年度概算要求におきましては、資源配分方針に従って重点化を図るということです。

 次の○は、このほかにも資源配分方針において言及されているとおり、糖尿病、循環器や呼吸器疾患、筋骨格系などについても、患者や社会のニーズ、医療上、経済上ニーズを十分に意識しつつ、研究開発を推進するということも十分に配慮する必要がある。

 一方、機構の対象となる研究費は、医薬品、医療機器、医療技術などの実用化に資する研究ですが、一方で医療分野の行政施策に資する研究や、健康危機管理、食品衛生分野、化学物質対策、労働衛生分野などの研究について、厚生労働行政の推進に重要な研究分野もある。これらは機構の対象となる研究と、言わば車の両輪となって進められるべきものだということです。各研究事業については、資源が限られているという条件があることから、施策課題との連動をより明確にするため、「推進分野」の具体的な設定にメリハリを付け、取組を進めるということです。

 今回の評価ですが、平成27年度の概算要求におきましては、資源配分方針の革新的医薬品・医療機器の創出、世界最先端の医療の実現に対応できるよう重点化しつつ、その他の疾患領域においても必要な研究を推進するのが適当である。一方で、資源配分方針の対象にならない厚労省の医療分野の行政施策に資する研究や、健康危機管理、食品、化学物質、労働衛生の分野など、厚生労働行政の推進に資する重要な分野の研究についても、その推進に十分な配慮を行うとともに、政府全体としての科学技術の全般の推進の中での位置付けに留意すべきである。また、各研究事業の推進分野として、具体的に設定された内容は、おおむね妥当であると案としてまとめたものです。これにつきまして御審議をお願いしたいと思います。

○永井部会長

 それでは御質問、御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○渡邉委員

 今回新しくできる独法を中心にして進める研究事業については、よく理解できたのですが、資料2-2の評価の所に、「一方」と書いてある先ほど読まれた所ですが、健康危機管理、食品衛生分野、化学物質等の推進の中の位置付けにも留意すべきであるという言葉でまとめられているわけですが、具体的にはどういう形としてこれが現われてくるのか、何かその辺の案などはあるのでしょうか。

○椎葉厚生科学課長

 実を言いますと、機構の対象になる研究費につきましては、かなり前向きな追い風が吹いているのですが、実際、厚労省で大事な健康危機管理や食品や化学物質、労働衛生、医薬品の研究開発と言えない研究ですが、本当に大事な研究がありますので、こちらにつきましては、正に車の両輪として進められるべきものだという理解がございまして、こういったものにも十分配慮してやってほしいというのをいろいろな方々からお聞きしましたので、今回こういう位置付けでまとめさせていただきました。

○野村委員

 私はこの細かい全ての中身を評価できる立場にないのですが、例えば、毎年、長年やられていることだとは思うのですが、これをやっていく中で、長寿と生活習慣病や様々な疾患と生活習慣病とか、もちろん検討されているとは思うのですが、評価した結果、横でそれぞれの研究ごとに何か連携をとったほうが有効な研究になるのではないかとか、途中の研究結果が出始めた頃から横との連携をとると有効になるのではないかという研究が出てきた場合というか、そういう見方をして評価をする仕方というのがあるのかということと、研究が始まった過程で、各研究ごとの横の連携をとったほうがより有効的な研究につながると分かった場合に、そういうことが可能なのかどうか教えてください。

○永井部会長

 いかがでしょうか。

○荒木主任科学技術調整官

 貴重な御意見ありがとうございます。各研究事業、研究の事前の評価、そして毎年の中間事後評価ということで中間評価もしております。今、委員御指摘のように、研究が進んだ段階において分野を越えてというか、事業を越えての連携が必要なもの、例えば研究開発振興の分野では、再生医療で進めたものをほかの疾患、難病に応用できるということであれば、難病の事業との連携ができないかということについては、部局は異なりますが同じ省ですので、情報を共有しつつ進めるということは可能だと考えます。貴重な御意見ですので、今後具体的に制度として生かせるか検討させていただきたいと思います。

○宮田委員

 先ほど椎葉さんから御説明いただいたように、2つの両輪として絶対バランスを取らないといけないと思うのですが、機構の対象になるかならないかというのは誰が決めるのでしょうか。それをまず教えていただきたいのですが。

○椎葉厚生科学課長

 資料2-3を御覧ください。12ページ、13ページ。

○宮田委員

 これは、厚労省と機構の協議によって決まっていくというプロセスを経るのでしょうか。向こうから出てきて、それが該当するのはこれであるというように厚労省が判断をして。

○椎葉厚生科学課長

 より臨床、実用化に近いものは該当して、そして13ページにありますが、政策科学研究のような統計とか、政策系、食品とか、化学物質とか、臨床とは関連性が少ないものについては対象とならないということで、健康・医療戦略室と協議をして決めています。

○宮田委員

 ですよね。そこに厚労省の意思は反映されるようにはちゃんとなっているということですよね。

○椎葉厚生科学課長

 かなり幅広に反映できるように、いろいろやっているところでございます。

○宮田委員

 分かりました。ありがとうございます。

○永井部会長

 例えば30ページに再生医療の予算が提示されていて、平成26年度は新独法の予算なのですか、それとも厚労省の厚労科研との関係で。この29億の中身で整理はどうなっているのですか。これは全部独法が新たに出すということで平成27年度は空欄になっているということですか。今の資料2-330ページ。

○荒木主任科学技術調整官

30ページを見ていただいて、永井部会長から御指摘ありましたが、H23からH25はいわゆる来年度、平成27年度から独法ができましたら、その対象経費になるものと、あるいは対象経費にならないものの合算、これは仮定ですね。H23H25は実際にできていませんので区分けできないはずですが、H23からH25についてもし区分けをするとすれば、対象経費と対象外経費の合算になっています。平成26年度については今年度予算でございまして、今年度予算につきましては、基本的には前半部分、厚生労働科学研究ということで、135ページまでのものについては来年度以降、日本医療研究開発機構で委託として実施されているものの予算のみを書いているという意味合いです。298,200万というのは、再生分野のものについては、医療研究開発機構を通じた予算に、平成26年度はこちらのほうで執行していますが、来年度以降は、この内容については新独法で移行してやられる分の予算という意味合いです。ですので、H25H26の間にH25は新独法経費のみならず、プラス厚労省が今後も補助金としてやるような内容の予算が加えられているということです。

○永井部会長

 平成27年度は新独法から概算要求が出ると、そういう整理ですか。

○荒木主任科学技術調整官

 前半は。

○永井部会長

 前半は全部そうなわけですね。

○荒木主任科学技術調整官

 もとのは、135ページ以降に事業名がいろいろありますが、そちらのほうに。

○永井部会長

 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。もしよろしければ、この件は了解したいと思います。もし追加でお気づきの点がありましたら、822()までに事務局へメール又はファックスでお送りいただきたいと思います。事務局においては、本日の当部会の意見及び後日の各委員の意見も踏まえまして修正を行っていただき、また修正内容につきましては、事務局より私が報告を受け最終的な成案として取りまとめたいと思います。そういう進め方でよろしいでしょうか。

                                  ( 異議なし)

○永井部会長

 ありがとうございます。それでは議事の3にまいります。ヒト幹細胞臨床研究実施計画の申請について、御審議をお願いいたします。名古屋大学ほか1件からの申請につきましては、77日に厚生労働大臣より諮問され、10日当部会に付議されております。事務局より説明をお願いいたします。

○一瀬研究開発振興課長

 資料3-13ページです。今回、2件の研究があり、1件目の研究課題は「骨髄由来間葉系細胞を用いた顎骨欠損に対する骨再生医療研究」です。実施施設は名古屋大学医学部附属病院、研究責任者は片桐渉さんです。対象疾患は、顎顔面外傷、顎骨腫瘍や顎骨嚢胞摘出術、抜歯等による顎骨欠損又は歯槽骨萎縮です。ヒト幹細胞の種類は、骨髄由来間葉系細胞。実施期間は厚生労働大臣意見発出日から56か月間、対象症例数は50症例となっています。

 治療研究の概要については4ページに図があります。局麻下で腸骨から骨髄を採取して幹細胞を得ます。その得た細胞を自己血清を用いて培養します。この細胞を、自己血から調製した多血小板血漿や人工骨などとともに顎骨欠損部位に移植します。十分な骨形成が得られたと判断された場合には、インプラントを埋植して、インプラント装着率などを主要評価項目とします。

2件目は21ページです。2件目の研究課題名は「自己歯髄由来幹細胞を用いた骨再生療法の開発」です。実施施設は愛知医科大学、研究責任者は山田陽一さんです。対象疾患は歯槽骨萎縮症。ヒト幹細胞の種類は自己歯髄幹細胞です。実施期間は大臣意見発出日から3年間、対象症例数は10症例です。

 治療研究の概要は22ページに図があります。親知らずなどで要らなくなった歯を抜いて、その歯から歯髄幹細胞を採取し、自己血清を用いて培養します。この細胞を自己血から調製した多血小板血漿とともに顎骨欠損部位に移植します。この研究は、安全性を主要評価項目としています。以上です。

○永井部会長

 御質問、御意見を頂きたいと思います。よろしいでしょうか。もし御意見がなければ、これらの申請は審査委員会で審査を行っていただき、検討結果が報告された時点で改めて総合的に判断したいと思います。

 続いて、ヒト幹細胞臨床研究実施計画に係る意見について御審議いただきます。大阪大学ほか4件からの申請です。国立国際医療研究センターの申請及び同研究センターが共同研究機関となっている山形大学について、当該研究センターの名誉総長である桐野委員、大阪大学の申請については、当該大学の名誉教授である門田委員は、該当するそれぞれの審議について御発言をお控えください。

 大阪大学ほか4件の申請について、審査委員会の検討結果を事務局より御説明ください。

○一瀬研究開発振興課長

1件目です。2ページを御覧ください。研究課題名は「重症家族性高コレステロール血症(主としてホモ接合体)に対する同種脂肪組織由来多系統前駆細胞移植療法の安全性の検討」です。実施施設は大阪大学医学部附属病院、研究責任者は山下静也さんです。対象疾患は、重症家族性高コレステロール血症(主としてホモ接合体)。ヒト幹細胞の種類は、同種脂肪組織由来多系統前駆細胞です。実施期間は大臣意見発出日から28か月間、対象症例数は4症例です。

 審査委員会における審議概要と主な変更内容を3ページに記載しています。第1回審議が平成26529日に行われ、門脈圧のモニタリングを行うよう意見が出され、申請者のほうから、モニタリングを行うことについて検討されました。第2回の審議は開催しておりませんが、適切な資料等が提出されたことから、当該計画を了承いたしました。

 検討結果は、本実施計画の内容が倫理的・科学的に妥当であるという判断に至っています。

2件目は58ページです。研究課題名は「低酸素プレコンディショニングによる単核球の機能増強と血管再生療法への応用に関する臨床研究(I相試験)」です。実施施設は山口大学医学部附属病院、研究責任者は濱野公一さんです。対象疾患は、末梢動脈閉塞性疾患(閉塞性動脈硬化症、Buerger)です。ヒト幹細胞の種類は末梢血単核球です。実施期間は意見発出日から4年間、対象症例数は7症例です。

59ページです。第1回審議が平成24229日に行われ、ウサギ以上の大きさの動物モデルにおいて有用性を示すよう意見が出され、ウサギを用いることについて検討されました。また、細胞培養加工施設における交差汚染防止について意見が出され、運用手順が明示されました。

 第2回審議は平成26529日に行われ、臨床研究保険への加入を検討するよう意見が出され、加入するとの回答を得ました。第3回審議は開催していませんが、適切な資料等が提出されたことから、当該計画を了承いたしました。

 検討結果は、本実施計画の内容が、倫理的・科学的に妥当であるという判断に至っています。

3件目は88ページです。研究課題名は「C型肝炎ウイルスに起因する肝硬変患者に対する自己骨髄細胞投与療法の有効性と安全性に関する研究」です。実施施設は国立国際医療研究センター、研究責任者は柳瀬幹雄さんです。対象疾患は、C型肝炎ウイルスに起因する肝硬変症です。ヒト幹細胞の種類は、自己骨髄細胞中に含まれると想定される幹細胞です。実施期間は意見発出日から3年間、対象症例数は、被験者群17症例、対照群17症例の34症例です。

89ページです。第1回審議は平成24919日に行われ、議事録を提出するよう意見が出され、議事録が提出されています。第2回審議は平成26529日に行われ、臨床研究保険の加入を検討するよう意見が出され、加入するとの回答を得ました。第3回審議は開催していませんが、適切な資料等が提出されたことから、当該計画を了承いたしました。

 検討結果は、本実施計画の内容が倫理的・科学的に妥当であるという判断に至っています。

4件目は120ページです。研究課題名は「C型肝炎ウイルスに起因する肝硬変患者に対する自己骨髄細胞投与療法の有効性と安全性に関する研究」です。実施施設は山形大学医学部、研究責任者は上野義之さんです。対象疾患は、C型肝炎ウイルスに起因する肝硬変症です。ヒト幹細胞の種類は、自己骨髄細胞中に含まれると想定される幹細胞です。実施期間は意見発出日から3年間、対象症例数は34症例です。

 次のページです。第1回審議が平成26529日に行われ、臨床研究保険への加入を検討するよう意見が出され、加入するとの回答を得ました。第2回審議は開催していませんが、適切な資料等が提出されたことから、当該計画を了承しております。

 検討結果は、本実施計画の内容が倫理的・科学的に妥当であるという判断に至っています。

5件目は156ページです。研究課題名は「維持透析療法中の慢性重症下肢虚血患者を対象とした自家末梢血CD34陽性細胞移植による下肢血管再生療法」です。実施施設は湘南鎌倉総合病院、研究責任者は小林修三さんです。対象疾患は、維持透析療法中の慢性重症下肢虚血です。ヒト幹細胞の種類は、ヒト末梢血CD34陽性細胞です。実施期間は大臣意見発出日から3年間、対象症例数は10症例です。

157ページです。第1回審議が平成251127日に行われ、倫理委員会の委員を再考し、再度、倫理委員会を開催するよう意見が出されました。第2回審議が平成26529日に行われ、委員を再考した後に再度開催された倫理委員会に関する報告がなされました。第3回審議は平成26730日に行われ、透析患者に対する安全性を示すよう意見が出され、透析患者において重篤な有害事象が発生していないこと等が報告されました。また、細胞の品質について、出荷判定基準を示すよう意見が出され、エンドトキシン検査等について示されました。

 検討結果は、本実施計画の内容が倫理的・科学的に妥当であるという判断に至っています。以上です。

○永井部会長

 いかがでしょうか。最後の件は、徳洲会湘南鎌倉総合病院です。これは社会的事件があったということで、倫理委員会が適正であるかどうか、そもそも施設として適切かということで、一度、ヒト幹審査委員会のほうに戻され、そちらでもう一度、病院側に照会をして体制を作り直していただいた件です。いわゆる選挙違反事件に関わった方々には倫理委員会に含まれないようにしていただいて、改めて審査をした上で、今回、申請が上がってきたということです。この件について、今村委員から意見が届いていないでしょうか。

○椎葉厚生科学課長

 電話で意見が出てきています。前回この審査に上がったときに、徳洲会病院の法人としての適格性に問題があるということで、反対であるという御意見を頂いております。

○永井部会長

 この件について、何か御意見がある方はいらっしゃいますか。

○門田委員

 今の御意見は、今の段階で今村先生は反対だという表現だったのですか。

○椎葉厚生科学課長

 今も反対だそうです。

○門田委員

 今も反対だということですか。あのとき今村委員が発言されたときに私が思ったのが、あれは確か新しく受け付けて、それをヒト幹審査委員会に回すか、回さないかというディスカッションのときだったと思うのです。そのときに、科技部会で、審議会から下りてきて付議されてきたときに、最初に何をどうするのが我々のミッションなのですかという意味での質問も一緒にさせていただいたのです。

 ですから、この内容的な、科学的なものについては審査委員会のほうでディスカッションするのはよく分かるのだけれども、それを外れた、そうでない、倫理的あるいは社会的な課題について、どうなのでしょうかということを、もしここが付議されたときに意見を言うとするならば、そのときではないのかということを申し上げました。

 しかし、それについては今の時点でいろいろとディスカッションされて、この間の報告を聞いたときも、倫理委員会そのほかにも幾つかの問題のある方が参加していたという辺りのことを全部クリアされて、あえて科学的な処理をして、ここまで上がってきたということだとお聞きしました。そういう段階からすれば、あのときとは意味が違うので、私は、これは受けていいのではないかという意見です。

○永井部会長

 ありがとうございます。ヒト幹審査委員会もそういう意見でまとまったわけです。

○相澤委員

 法人そのものの問題は、医療法人の監督に関する問題です。医療法で複数の県にまたがる医療法人である場合には厚生労働省が管轄をすることになっています。そして、社会保障審議会で取り扱われるべき問題とされているので、法人の監督上の問題は、この審議会の審議の対象ではないと思います。

 ただし、永井会長が御指摘のように、当審議会で審議の対象としている研究の倫理等に関わる問題については、この審議会で審議することができると思います。いいかえれば、臨床研究に影響を与えるものがあれば、この審議会で議論することができると思います。

 この審議会では、臨床研究に問題があるということになれば、承認しないという理由になると思いますが、法人そのものの問題は、ここで審査されるべき対象ではないと理解しています。

○門田委員

 今の段階よりも、その前の段階に遡っての意見になりますが、もしそれが、今、先生がおっしゃられるような形だとすれば、では、どこでこういうものをチェックするのか。法律的には別なものなので、というのは分かるのですが、我々は少なくともここで審議している内容は、こういう新しい医療をやっていく上で、国民に対して、それが信頼性があるかどうか、疑念を持つことはないかというために我々はやっているという理解なのです。そうだとすれば、どこかに何か問題があるとすれば、やはりこの研究そのものも、意見を言わなければ素通りしてしまう危険性があるのではないかという感じもするのです。

○相澤委員

 臨床研究実施計画に影響があるような問題であれば、審議することはできます。審査委員会で、倫理委員会の構成等の是正を求められたということは、そこに影響があるのではないかという懸念があったので、そこを是正していただいたということではないかと理解をしております。

 審査委員会では、そこをきちんとすれば、科学的に大丈夫だと報告されていますので、よろしいのではないかと思います。

○永井部会長

 いかがでしょうか。この湘南鎌倉総合病院の件は了解ということでまとめたいと思いますがよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし)

○永井部会長

 ありがとうございます。そのほかの件はいかがでしょうか。

○川越委員

3つ目の研究と4つ目の研究は全く同じではないかと思うのですが、これは何か相関があるのでしょうか。説明を聞き漏らしたかもしれないのですが。

○一瀬研究開発振興課長

 正におっしゃるとおり同じ研究です。研究機関が異なるということで、それぞれ申請が上がってきているものです。

○川越委員

 内容は同じなのですか。

○一瀬研究開発振興課長

 そうです。共同してやる研究です。

○門田委員

 同じく今のC型肝炎ウイルスの肝硬変の治療ですが、まだ全部に目を通していないのですが、ウイルスの状態がクリアではなくて、これはウイルスがポジティブという前提の患者さんなのでしょうか。その辺りはどういうふうになっているのでしょうか。

○一瀬研究開発振興課長

 今調べておりますが、設定の中には特段の記載がなかったと思います。ウイルスに起因するというものだけであって、ウイルスが排除されたかどうかというのは書かれていません。

○門田委員

 治療されて、ウイルスはネガティブになっているけれども、肝硬変があればそのまま対象になる場合もあれば、ポジティブも一緒に混ざったままで研究を進行するということになるのですか。

○一瀬研究開発振興課長

 そのようになります。ウイルスが残っていても、全部排除されていても、対象になるということです。

○永井部会長

 よろしいでしょうか。ほかに御意見はありませんか。もしよろしければ、この審査委員会からの報告については、科学技術部会として了承し、厚生科学審議会へ報告としたいと思います。ありがとうございます。

 議事5に移ります。「遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について」です。事務局より御報告をお願いします。

○椎葉厚生科学課長

 資料4です。遺伝子治療臨床研究に関する実施施設からの報告について、何件か報告事例がありますので説明いたします。

 資料41番目です。九州大学病院から、網膜色素変性に関する治療・臨床研究について、変更申請書と変更報告書が来ています。変更申請書の3ページを御覧ください。下から3つ目の「変更内容」です。実施計画書における事項ということで、総括責任者が変更になっています。具体的には5ページです。修正前と修正後ということで、石橋先生から池田先生に修正されています。それが1点目です。

 計画の変更報告のほうですが、10ページです。上から2番目に、「変更内容」があります。実施計画書における事項ということで3つあります。「研究協力者の変更」「予想される副作用の追加」「治療高用量群へのステージアップに関する記載の整備」です。理由の1つ目は、研究協力者の異動と役職の変更、2番目の副作用の追加については、低用量群で発生した有害事象、後発白内障があるので、これを追加したということ。3つ目は、低用量群で5症例の投与が完了し、委員会のほうでステージアップが可能と決議されたことによる変更ということです。

 具体的な変更箇所は11ページです。下から2番目の「修正後」の所に「後発白内障」と記載されています。12ページです。副作用については一番下の欄ですが、後発白内障ということで、低い濃度の治療用ベクターを投与した5名について後発白内障を生じました。白内障手術に伴い、後発白内障が1020%生じると報告されていますが、より高確率で生じると考えられる。もし発症した場合には、外来でのレーザー治療を行うという記載を修正しています。

 上のほうに下線を引いていますが、ステージアップのためということで、低い濃度で5名やっていますが、20133月、低い濃度の治療用ベクターの投与を開始し、5名の患者さんに投与が完了した。この5名について安全性を評価した結果、問題がないと判断され、治療効果が高いと考えられる高い濃度の治療用ベクターの投与を開始することが適切と認められるということで、そういう投与をしますというステージアップについての記載を出したのが変更点です。

 次の自治医科大学のものです。これについては悪性リンパ腫に関する遺伝子治療で、重大事態等報告書が出ています。具体的には18ページです。アメリカのメモリアル・スローン・ケタリング癌センターで行っている遺伝子治療との関連性が否定できない2例の死亡例が報告されました。この報告は、研究の実施に影響を及ぼすおそれのある情報を得た場合に該当するということです。

 それについて詳細な情報を得ていまして、真ん中辺りですが、2例の死亡事例について、1例目は心合併症により死亡した。本例は、心不全の既往があった。2例目については、痙攣の後に死亡した。それから、高サイトカイン血症を伴う痙攣が発生して、最後は亡くなったということが書いてあります。

 それについての対応状況は19ページです。この2例の死亡を踏まえて、ケタリング癌センターにおいては、プロトコールを修正してFDAに諮問しています。まず1つ目が、心疾患を有する患者は選択基準から除外する。2つ目が、中枢神経にかかる有害事象の出現を認めた患者さんには、療法を行わない。それから、輸注量を減量するという3点について諮問し、許可を得られています。その後の状況によると、再開後の症例では、重篤な有害事象を認めていないということです。

 また、自治医大での臨床研究については、まず、登録基準では重篤な心疾患を併発している患者さんを除外している。また、輸注量は適正である。高サイトカイン血症についても対応しているということで、そういう対応状況でした。

 最後に、三重大学からの、抵抗性食道癌に対する遺伝子治療研究についてのものです。これも重大事態等の報告が出ています。25ページです。被験者が亡くなられました。肺炎による急性呼吸器不全ということで、経過がいろいろ書いてあります。

26ページです。遺伝子治療との関連ということです。治療実施後14か月後の転移食道癌に合併した肺炎、急性呼吸不全による死亡である。臨床研究期間において遺伝子導入Tリンパ球による関連有害事象は観察されていなかった。また、増殖性レトロウイルスは観察されていなかった。こういったことから、遺伝子治療との関連はないものと考えるということ。10例については終了したということです。

 以上、大きく3つの実施機関から報告がありました。

○永井部会長

 御質問、御意見を頂きたいと思います。

○相澤委員

 この実施計画を変更するときには、変更の内容については、審査委員会には逐次諮らなくてよいという手続であるという理解でよろしいでしょうか。

○大臣官房厚生科学課(藤井専門官)

 変更申請については、審査委員会を正式に通しているわけではありませんが、委員の皆様方からコメントを頂いていまして、これについては問題がないということなので、変更申請として受理している状況です。

○相澤委員

 これまでもそういう手続で行ってきたという理解でよろしいですか。

○大臣官房厚生科学課(藤井専門官)

 そうです。

○相澤委員

 了解しました。

○永井部会長

 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。よろしければ、この件は了解としたいと思います。

 本日の議事は以上です。その他、委員の皆様から御発言はありますか。よろしいでしょうか。よろしければ、事務局から連絡事項をお願いいたします。

○椎葉厚生科学課長

 次回の日程については、委員の皆様方には改めて日程、開催場所等について御連絡したいと思います。事務局からは以上です。

○永井部会長

 本日はこれで終了といたします。どうもありがとうございました。


(了)

【問い合わせ先】
 厚生労働省大臣官房厚生科学課
 担当:情報企画係(内線3808)
 電話:(代表)03-5253-1111
     (直通)03-3595-2171

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