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2014年5月29日 第4回長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会作業チーム議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成26年5月29日(木)10:00~12:30


○場所

厚生労働省 共用第8会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

伊澤構成員、伊藤構成員、岩上構成員、柏木構成員、城所敏英氏(倉橋構成員代理)
千葉構成員、野沢構成員、樋口構成員、広田構成員、山本構成員、良田構成員

○議題

1 関係者からのヒアリング
2 長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策の在り方について
3 その他


○議事

○北島精神・障害保健課長 

それでは、定刻となりましたので、ただいまより第4回長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会作業チームを開催いたします。構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。本作業チームは公開のため、作業チームでの審議内容は厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定ですので、あらかじめ御了承くださいますようお願いいたします。

 本日は、関係者からのヒアリングということで、医療法人心和会なごみの家櫛田紀子さんに御出席をいただいています。

 次に、本日は倉橋構成員代理、東京都福祉保健局東京都島しょ保健所所長城所敏英さんに御出席いただいています。また、葉梨構成員におかれましては、御都合により閉会前に御退席の予定とお伺いしています。大変失礼ながら、蒲原障害保健福祉部長は公務のため閉会前に退席をさせていただきます。それでは、ここからの議事は座長にお願い申し上げます。

 

○樋口座長 

おはようございます。それでは、本日の議事を早速進めたいと思います。今日は、冒頭に前回もアナウンスがありましたが、ヒアリングをさせていただこうということで予定されています。

 今回は、今までの議論の整理の関係上()()に分けています。()の中の2番、すなわち本人の意向に沿った移行支援に関連してヒアリングを予定をいたしました。千葉で宿泊型の自立訓練事業所等を運営し、精神障害者の地域移行を進めている櫛田さんからその取組と運営について、お手元の資料1に基づいて説明をお願いしたいと思います。それでは、櫛田さんどうぞよろしくお願いします。

 

○櫛田紀子氏 

千葉の八千代市という所で、宿泊型自立訓練事業所と併設で相談支援事業を運営している「なごみの家」という所と、病院敷地内に隣接して建っている、グループホーム、地域移行型ホーム「むつみ荘」の管理者を行っている櫛田と申します。

 併設してある病院は、昭和30年に開設して今の所に移ったのが昭和63年、422床の精神科単科の病院です。精神科療養病床がその病床の半数を占めており、そのほかには内科の病棟や身体介護を要する病棟と認知症の専門病棟等がある病院です。平成18年からは急性期病棟が加わり、現在の形をとっています。

 むつみ荘については、その敷地内に平成元年に福祉ホームとして開設されました。定員は10名で、現在も変わらず10名で運営をしています。

 その隣に、平成2年に援護寮、後に生活訓練施設、後に現在の形になり、最初から4人部屋の5部屋という形の定員20名で開設している施設です。実際平成18年に福祉ホームは、地域移行型ホームへ変更しまた。移行に際しては、官報が出てから慌てて地域移行型ホームという形で選択をさせてもらい、経済的な面は福祉ホームよりは良くなり、人為的には福祉ホームよりは多くなりという形で入所期限という問題はあるものの運用にはさして問題を感じず変更をしました。

 ところが、生活訓練施設は補助金が大きかった分、いろいろな形でどのようにしてよいのかは1番悩んだところで、5年を有しながら悩んでまいりました。実際的にはいろいろな方が利用している中で退所支援を行っていくわけですが、利用状況としては御覧いただければと思いますが、直近のなごみの家の退所、入所の様子を載せさせていただき、むつみ荘についても同じように載せさせてもらっています。

 入院期間の非常に長い人で、単身生活の経験がなく、社会経験、仕事などの職歴もアルバイト程度しかない人の支援というのは非常に時間が掛かるものです。同じ形態の施設だけで2年ないし3年という形で退所させていくには、かなり厳しいものを感じている。その中で、運営はかなり厳しいものの、利用者さんのことを考えるならばという形で生活訓練施設は宿泊型という選択をお金の問題だけではなく、利用者本意に考えたときに、そうせざるを得ないという答えに結びつきました。

 実際にいろいろ問題はありました。4人部屋という所で居室自体の環境を整えて、定員を減らすのか、定員を減らしてしまえば宿泊型自律訓練という運営ができなくなってしまうのでどうしたらよいのか。単身生活を目標で入って来た人たち、それは入所期間は少し長くなってはいるもののどうしたらいいものかということを悩み、考えた末、スタッフと法人とも相談をしながらこのような形を取りました。

 うちの施設は、平成2年の当時の開設基準でなっているので訓練スペースが確保できなかったので、最終的には宿泊型のみの運営しかできなかったというのが現状です。ただ、これに関しては、利用者のことを考えると施設の中で何でもできるというよりは、外に通所するというスタイルが本人たちの希望に沿った形が取れるという部分ではよかったのかとは思っています。

 実際、法人には資産は伝えていましたが、実際補助金がないということが平成24年になり、運営に関してはかなり厳しく指摘を受けました。施設は何のために必要なのか、職員は実際にこんなにいるのか、昼間の時間は職員は何をしているのか、専門職員の必要性とは何なのかということをいろいろ法人とも話し合いをしながら、やはり退所をさせるためには相談員自身の力量はかなり必要です。

 いろいろな説明を通して法人には伝えましたが、最終的には施設自体を残すかというところから協議が始まったもので、実際には施設は残しましょうということは理解をしてもらいましたが、運営を考えると専門職員を置いておけないというところを言われ、生活指導員はパート雇用に変更をしなければもう運営はやっていけないからと言われたのが現状です。

 やはり職員育成を考えると、退所支援で最初からできるわけではないので、それを考えると自分自身が経験年数があるものだから、給与体系上も少し多くなっていたりするので、もう違う若い人員で上手くやろうかなど、いろいろ考えましたが、今のところは現状で対応をしている次第です。

 退所支援は、物理的支援以上にメンタル的なサポートが大きくて、専門職員の配置は本当に不可欠だと常日頃から考えています。地域移行ホームについては、同じグループホームですが、入所期限があるのでやはり退所支援を同じようにやっていかなければいけないのですが、それには本当にパワーがいります。いわゆるグループホームを維持する人員でそれをやっていくというのはかなり厳しいと考えていて、実際居住系の施設から経験ある専門職員というのは現場としては減っているように感じています。

 本当に、日々の声かけから普段の状況を把握して、その中から病状の変化や環境の変化に我々が気が付き、入院をしないでもう1回訓練に戻っていくようなことを繰り返しながらやっていくという部分では、やはり資格を持つ者の意識の違いで取り組めるのではないかと思い、なおかつ職員自身の経験が加わり支援が濃くなっていくのではないかと感じています。

 利用者に関しては、後半に出てくる細かく載せてある利用者さん、一人ひとりの情報をちょっと見ていただけると1番分かりやすいかと思います。長期入院をした人が入って来るときに、本当に退院の目途も立たなかったような利用者の依頼もあり、病状悪化時の様子を把握し、入所をさせることに悩むこともあるぐらい不穏な状況があった経過を辿る方、いわゆる措置入院だとか、そのような経過を経ての方もいます。

 ほかの利用者様に迷惑をかけないか、病院の敷地内にあるから見られるだろうというところで入所を対応するという形を取っており、家族の方も病院で説明をしてもなかなか消極的な方もたくさんいる中で、やはり病院の隣にあるからというので入所に前向きになってくださるという方もおり、ここにある意味というのはあるのかと感じています。

 実際に、安定したなごみの家、むつみ荘で暮らしていくことにより、それによって家族の理解が生まれ、地域への退所へとつながっていくのかというふうには感じています。

 実際に、長期入院の方を何人かお伝えしていこうと思うのですが、5番目の方は7年くらい入院をして、発症が早い方です。お母様が同じ病気だったために、入院は7年ですが、いわゆる普通の環境で育ったのではないために、本当に1からスタートで支援をしなければらない様子だったというところで時間が掛かり、やっぱり発症も早かったために病状がかなり不安定なところもあり、少しずつ、少しずつという形で今やっています。集団生活にも馴染めないところもあり、うちの病院のデイケアがかなり大規模なもので、同じ敷地内にあるのだけれども、そちらには通えなくて、ちょっと規模の小さい地域活動支援センターに通所をするという形を取ったりしています。

 この方は、間もなく近隣の公団の内覧をし、ようやく病状安定がし始めたので単身に向けての具体的な支援を始めたところです。ただ、やはり兄弟からの理解はないので、保証人等の問題があり、お金をためて保証人がない形での入所が取れる公団へと移っていく予定になっています。

7番目の方は、この方はあまり入院期間は長くはないのですが、入院となごみの家を行き来をしていて、これで乗って行けるかなと思ってむつみ荘に1人で食事を作って、1人でという環境の所に移しただけで僅か1か月もたたずにかなりの病状悪化になってしまって、一旦は断念をしたという形でした。

 でも、御本人様自身が退院をしたい、出て行きたいという希望が強かったので改めて調整をして出て行ったという形。もう1回再入所をして訓練を始めているというところです。ただ、年をとるごとにおむつを使うようになってしまったりなど、そういう部分では少し手はかかるようになってはいますが、高齢者の支援も豊かになってくる中でこのような方の退所支援というのも必要なのかと思い、取り組んでいるところです。

8ページ目の所にある、退所をした人の様子として1番目の方で、この方も入院自体はあまり長くはないですが、やはり恐らく、もしこのままここに入らなかったら長期入院を経ているような方なのかなと思いながら入所をしてまいりました。

 生活指導など、若いときに家庭内暴力などがあり御家族のほうが全然受入れをしてくれないというところで、もう1つは御本人様自身が生活保護になりたくないという希望があって、就労をというのを先に望んだものなのでそちらを先に取り組みました。

 職員側からすると、就労は難しいと当初の段階から思っていても、御本人様が取り組みたいというのであれば遠回りをしてでもそのような形への支援を考えましたが、最終的には本人自身が納得してデイケアに通所をしながらアパートで、退所後に生活保護という形を取っています。

6番目の方、この方はものすごく入院が長くて、生活訓練の入所目的で入ったものの、環境の変化とか、ルールなどになかなか対応ができずというところで、わざわざ施設があるからと言って病院を転院してきたにも関わらず入所に尻込みをして、病院の中ではややボス的存在になってきてというところでは非常に難しく、小さな施設でボスになられてしまうとかなり大変だったので、少しずつ課題をステップアップさせながら本人に退所についても徐々に考えるように。

 ただ、年齢があるもので途中で疾患、胆のう炎だとか、ハプニングが起こるとまた気持ち的になかなか起き上がれなくなってしまうのを、もう一度振り立たせてという形で支援し、実際には同年代の方が近隣の公団に住んでいるので、そこのおうちを見に行って本人の中で暮らしたいという気持ちがようやく生まれて、最終的には一人暮らしへようやく結び付いたところです。

 むつみ荘に関しても、なごみからの入所の人が非常に多いのですが、やはり母子分離を目的として新規に入られる方もいたり、また少し長期入院だけではなく、長期入院の恐れがあるという形で入って来ているのかという方たちもいます。

 むつみ荘の入所の状況の中の5番目の方の入院歴を見ると分るように、本当に新しい利用者が入って来るだけで具合が悪くなりそうになったり、お母さんからの電話1本だけで具合が悪くなったりというところもあり、かなり不安定さは未だにある方ではあります。本人の居宅への希望がものすごく強いもので、本人と一緒に取り組んでいるところです。

 むつみ荘からの退所の人は、大体が近隣の公団へ出て行かれる方が多くて、ほとんどの方が近隣の公団に出て、ヘルパーさん等を受けながら暮らしていき、外来に来ては我々と顔を合わせて、声をかけ合いながらという形のスタイルを今もなお取っている人たちが全てに近いぐらい。これは長い歴史がある中で、やはりずっと続けているところでもあり、平成2年当時に入った人とかも、未だに顔を出してくれたりするような状況もあります。

 一応、こんな形で運営をしています。決して数字としては多い数ではないとは思っています。ただ、長期入院や長期入院が見込まれる方の支援を行っていると自分たちでは思っていて、施設入所後には入院をされる方もいますが、入院自体がなくなって病気の重さというよりは病状が安定しない方の支援は非常に難しくて、軽いけれど、ぶれがある人が非常に難しくて、一旦入院をしてしまうと、施設に入りたてで入院をしてしまうと単身生活への訓練の意欲を失ってしまうために、それを食い止めながら支援を行って様子を見ながらというのは非常に難しいところだと感じています。

 それぞれの施設が、入所期間だけではなかなか対処できない人もいて、先ほどもお伝えしたように社会経験、単身生活をしたことがない人、発症が早い人、義務教育の当時から不登校だったりして学校生活のグループ的な社会的な所に触れる機会が少なかった人などは、やはり非常に難しいところ。家族の背景に問題がある方というのは、母子分離が必要だったりなど、かなりのことを全てやってあげるようなところからの巣立ちというのは非常に難しいと思っています。

 ただ、しっかり訓練を終えて退所をして行かれる方は、地域で暮らす心も技術的なところも基盤ができた利用者たちは、一旦退所をすると入院をされる方というのは実際います。ただ、その後再びまた退院をして一人で暮らしていくだけの力がそのときには備わっていると思っています。

 退所者が安定した暮らしこそが、居住系施設が安定して続けていけるというところが居住施設のある意味なのかと強く感じているところです。以上です。

 

○樋口座長 

ありがとうございました。櫛田さんから、実際に施設、宿泊型自立訓練、相談支援等を実践されている具体的な中身について触れていただきました。御質問はあろうかと思いますが、この後は櫛田さん残っていただけるということで、この後の議論の際に御質問も含めてお伺いをできればと思います。

 なお、本日お手元に配られた資料1ですが、特に6ページ目以降が個人情報保護の観点から、この場限りのものとして取扱いには十分御注意いただきたいとお願いしたいと思います。

 それでは、本日の議事の2番目の長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策についてということで、これまでも議論を続けていますが、そこに入っていきたいと思います。これまでの議論などを整理していただき、資料26として本日まとめられています。まず、事務局から説明をお願いしたいと思います。

 

○尾崎課長補佐 

資料について御説明いたします。その前に、お手元に今の櫛田様のヒアリングに関連して、全国の退院支援施設及び地域移行型ホームの設置状況や退所者の状況等について参考資料1としてお配りしておりますので、御参照ください。

 資料2について説明いたします。資料2は前回の資料4のリバイス版になっております。将来像は大きく変わっておりませんが、主な修正点は、2つ目の四角の「不必要となった病床を削減し、併せてその資源を急性期病床だけでなく回復期病床や地域医療等必要な医療に集約する」ということで、「回復期」という言葉を加えております。

 下半分の<将来像実現のために必要な具体的方策>のほうは少し変わっております。マル1ですが、前回は「本人に対する支援」とさらっと書いておりましたが、将来像実現のために、マル1のところを何より優先して退院意欲の喚起、本人意向に沿った移行支援、地域生活支援を行うことを明確にするために、将来像実現の前提として、「これら支援を徹底して実施」という言葉を書いております。

 マル2は、前回、病院が病床削減できるための財政的な方策等ということを書いておりました。これが構造改革であることをマル2の後段に明記しております。また、目的が精神障害者の方が地域で暮らし続けたり、地域に戻っていったりするような医療の在り方、地域生活を支える医療の充実であることを明記するために、前段に、「地域生活を支える医療の充実を図るため」と書いております。※に、前回議論となった病院資源の活用方策も検討することを追記しております。資料2について、以上が前回からの修正点です。

 資料3です。まず、徹底して実施することとしている本人に対する支援策の具体的方策については、前回資料2として、今回は前回の資料2と同じものを参考資料2として配布しております。特段大きな御意見はなかったと思いましたので、前回の資料2の流れに沿ってポンチ絵として主な方策について整理しました。これについても前回お諮りしたところではありますが、引続き追加の御意見があれば後ほど御意見をいただければと思います。

 流れとして簡単に申し上げます。従来より退院支援については、急性期等と比べ入院医療の必要性の薄い場合には退院に向けた支援を行うことを前提とした上で、そのフェーズには()-1 退院に向けた意欲の喚起、()-2 本人の意向に沿った移行支援、()として地域生活の支援という段階があるということで、主な方策としてそれぞれ掲げている方策を実施していくべきと考えております。詳細は割愛いたします。

 資料4を御覧ください。こちらの上半分にある図は、先ほどの資料2の下半分の図と同じものです。左半分の緑色のところが、病院の病床です。こちらについて急性期でも、重度慢性でもない入院医療の必要性が薄い患者がいるという意味で、この緑の枠囲みのところが「生活の場」に近くなっている病床ということです。これを今後どうするべきかについて、たたき台として下半分の吹き出しに、事務局として生活の場に近い病床を患者の地域移行に向けてどうしていくべきかをまとめました。なお、この図については、先ほどの資料3の各種取組により、上の図のピンクのところの流れ、患者の地域移行の流れは当然に進めることを前提としております。その結果、患者が退院した病床、斜線の部分ですが、不必要となった病床について将来的に削減するということです。それまでの間、この斜線の部分の下に緑の部分があります。こちらが病床として残っている間、地域移行支援するための病床として機能を強化すべきではないかという方向性を書いております。

 具体的にどうするべきかということで、例えばとして2つほどポイントを挙げております。1つは、入院中から生活能力を向上させることが必要ではないか。もう1つが、意欲喚起にも資するものですが、地域生活により近い環境を緑の部分でも整備すべきではないかということです。それぞれ具体的に、例えば、上のポツでは訓練等ということで、医療サービスか、福祉サービスかで給付をしてはどうか。訓練等の実施場所は病院内、病院外いずれで行うべきか。訓練等行う人材はどういった人材が担うべきかなど、今後検討すべき事項として挙げています。地域生活により近い環境の整備としては、例えば外部との交流を原則自由とすることを検討すべきではないかとしております。以上、「生活の場」に近い病床について地域移行の機能強化に向けた策として挙げたものです。

 資料5です。冒頭で資料2について申し上げましたが、病院が病床削減を含む構造改革を実施した場合、ある病院がどのような体制になると考えられるかのイメージ図です。真ん中辺りの不必要となった病床がどんどん広がっていくことによって、不必要となった病床にいたマンパワーや、そこの設備等を黄色の矢印に沿ってそれぞれ左とか右に移行させていくべきではないか、移行するのが将来像ではないかと考えました。左側は、急性期・回復期・救急といったものが、不必要となった病床からの移行によって広がっていくイメージです。もう1つの右側の枠組みのところは、外来・デイケア、アウトリーチ、訪問診療・訪問看護部門といった実際訪問したり、通院したりする病院機能が充実されるのではないか。一番右は、地域生活を支えるための医療・福祉ということで、例えば精神科の診療所、宿泊型自立訓練やグループホームといったところに、不必要となった病床にいたマンパワー等が移っていくのではないか。これら黄色のところ、青のところが広がることによって、いずれも地域生活を支える医療にシフトしていくのが将来像ではないかということを書いております。

 不必要となった病床について、前回有効活用について検討が必要ではないかという御議論がありましたので、資料6として議論のためのペーパーを整理しました。不必要となった病床の有効活用については、いろいろな場合が考えられるかと思います。(1)医療等を提供する施設としての活用、例えば外来・デイケア、アウトリーチ、訪問診療・訪問看護等の医療系の施設とする場合です。(2)には(1)以外の場合で2つパターンがあり、()として居住の場にする場合、()として()以外の場とする場合が考えられます。(1)(2)()については余り御議論はないかと思います。

 今回、特に(2)()、居住の場について、以下で御議論いただいてはどうかということで整理しました。居住の場として活用する場合の前提として、そもそも地域生活ではどういったものが守られるべきか。これまでのヒアリングや本人からの意見聴取の際に、マル1自由について、マル2地域住民との交流等について、マル3プライバシーの確保について、地域生活において守られるべきものの代表例として挙げられております。これを前提に、先ほどの(2)()、居住の場として有効活用する場合どういった条件を設定することが適切かについて、下半分に書いております。全ての場合に共通の条件として、先ほどのオレンジの枠囲みの中の事項を担保するためにそれぞれ書いております。マル1自由の担保のためには、例えば許可を求めず、外出可能とするといった条件です。マル2地域社会との交流については、外部からの自由な訪問が可能であるといった条件です。マル3プライバシー尊重については、例えば電話のスペースについて独立した環境を掲げておりますが、これ以外にも必要な条件はどういったものがあるかについて御議論いただきたいと思います。マル1からマル3以外にも、その他条件があるか、例えば通過型としての位置付けなどもありましたので、一例として挙げております。これは、どういった場合にも共通の条件かと思います。

 前回の議論の中で、例えばNPO法人が運営する場合どうなのかといったように、運営者が誰か。場所は元病院であった建物を使うのか、元々の敷地内を使うのか。そうしたことによっても条件が違うのではないかということもありましたので、パターンAからパターンDに応じて、更に必要な条件がそれぞれあるのかどうなのかについて、今回御議論いただければと思います。資料2から資料6についての説明は以上です。

 資料の御紹介だけですが、前回、岡山の阪井さんがヒアリングの中で、訓練棟を岡山県精神科医療センターで設けられているというお話があって、これがどういったものかという御質問がありました。検討会の構成員でもあります中島構成員から、参考資料3の御提供をいただきましたので、配布資料としております。以上です。

 

○樋口座長 

本日の全体としては、特に資料4、資料5、資料6辺りが今回、そして恐らく次回開催を予定されると思いますが、そこでの議論の中心になろうかと思います。まず、前回大体意見交換をされている資料2、資料3について、改めてこういった点をという御意見があ

れば、それについて少し時間を使っておきたいと思います。そして、その中で今日の櫛田さんへの御質問等もあればお出しいただき、後半はできるだけ時間を確保して、資料4、資料5、資料6についての議論に進めていければと思います。それではどちらからでも結構です、資料2、資料3に関連して追加あるいは御意見等ありましたら、お願いいたします。

 

○伊澤構成員 

それでは櫛田さんに質問を差し上げたいと思います。御発表の中で、訓練という言葉が何回か登場して、それが実際どういうふうに行われているのかということと、それに対するある種評価といったことについてもお聞きします。

 あと、御利用されている皆さんが日中どう過ごされているのかという辺りは、もう少し詳しく教えていただければと思います。要するに、活動の範囲とか、時間の過ごし方の中身についてお聞かせ願いたい。

 これは意見に近いのですが、実は私の知り合いで旧生活訓練施設援護寮から宿泊型自立訓練に移りながら、四半世紀にわたってそういう実践をしている者が言っていたのですが、特に長期高齢の方が、いわゆる宿泊型の自立訓練などを使う場合には、トレーニングというよりは正にその方の対応力というか、生活力というか、それをしっかり精査するアセスメントと、外との調整力といいましょうか、次の展開を既に組んでいくようなマネジメント力、そこの2つが大事であって、トレーニングというのはどうなのだろうという疑義というか、投げ掛けを受けたりしたこともあります。その辺について、少しお考えをお聞かせいただければと思います。

 それと、今日いただいた資料の3、先ほど座長のほうからもありましたので、私、地域生活支援の担い手ですので、どうしても右のほうの○の地域というところがやはり大事だと思っております。地域移行・退院支援は、やはり居住の問題だし、住む場をどう確保するかという話だと思います。その中で、既存の制度をどう拡充するかという視点も、とても大事です。

 ここにありますグループホーム事業を拡充させる、量も質もと思っております。少し内情に入りますが、現在報酬体系の中で、要するに基準報酬と加算による積み上げという二重構造になっていて、それが細かい積み上げで全体報酬になっているわけなのですが、基本報酬部分が非常に弱いということの中で、体制整備が不十分である。現場は、絶えず1人体制。それも常勤換算という方式もありますので、非常勤体制でつないでいる。24時間対応型の宿泊であるにもかかわらず、そうだというところ辺りは大きく改めていただきたい。基本報酬部分をしっかりと、と思っております。それが1つです。

 もう1つは、防災対策の観点からも人体制を拡充するのが防災対策の基本と思っております。その観点からも、十分にその人が現場にいられるような体制整備をしていく報酬体系という視点が大事だと思っております。グループホームの話は一応そういうことです。障害を持った人たちが障害を持った人たち同士で暮らす。それを支えるという形ですから。

 ただ、前回阪井さんの登場で、目からうろこなのですが、やはり一般住戸の中に普通の暮らしを作っていく。これがやはり居住支援の本筋だと思うのです。そのためのシステムをしっかり立ち上げていく。阪井さんの話はとても刺激的でしたし、大きな参考にしていくべきです。ああいう実践を、居住サポートと安心賃貸、厚労省と国交省との間でブリッジでやっていますが、更に進化させたようなあの形を全国展開、あるいはモデル事業化して、居住の場を作っていくような方向をしっかりと打ち出すことがとても大事だと思っております。

 もう1つ、前回の資料で、この地域の中にサテライト型の利用ということも1つ入っていました。今回消えているのですが、要するに本体のグループホームから外出しをして、ある住宅の中に1つだけ部屋を作っていく。そこでタコ足のように広げながら、実質的な居住区を広げていく。この方式ですが、それはすごく良いと思うのです、ある種ゲリラ的ですが。実質的な居住空間が広がるといいと思うのです、数が増えるというところですね。

 ただ、そのときに消防法の関係、再三私申し上げておりますが、そこがやはり大きなハードルになっています。サテライト方式で、一般住戸の中に一室作ったとしても、それは建物全体を消防法が覆うような形になっております。そうすると、グループホームで使う部屋以外も全部、今の防災規定でカバーしなければならない。自火報を付けるとか、次年度以降はスプリンクラーを設置するみたいな話もあります。となりますと、やはり設備整備も含めて、あるいは大家さんとの兼ね合いも含めて、非常にまたハードルが高くなってしまう。増設とか拡充の方向が、ここで足踏みというか、ストップというようなことにもなりかねないところを非常に案じております。長くなりましたが、以上です。

 

○樋口座長 

櫛田さんにお答えいただきますが、その前に確認で、伊澤構成員の今の御指摘は、この中に具体的にはグループホームの活用のところに少し書き込みを加える、量あるいはその質の拡充といったものを書き加えるような格好が考えられるということでしょうか。

 

○伊澤構成員 

そのようにお願いしたいです。

 

○樋口座長 

では櫛田さん、お願いします。

 

○櫛田氏 

まず、訓練というところですが、本当に日常的な小さなことから全てが訓練なのです。買物をするということも、例えば病院の敷地内にあるので、病院の売店があります。そこだと高いのです。でも、生活保護費の中でやりくりして有意義に暮らしていくにはそこではなくて、町に出て買物しなければいけない。1回パターンで覚えてしまったこと、病院の中で暮らして、そこで買物することに慣れてしまったら、外で買物するということを一から教え直さなければいけない。

 お薬のこと、病院では訓練していますと言って来ます。でも、実際に飲む意識とかは理解せず、ただ作業的に飲むことを教わってくるだけなので、そこの意識とかを育てていくにはかなりの時間を掛けてやっていかなければならないと思っています。本当の小さな声かけから、本人の中で意識付けを徐々にしていく。いわゆる、マニュアルがあって、こうしてこうしてこうしてという形でできるものだけではないと考えていて、一番基盤となるのが、変な話、お金のところなのです。

 お金の管理、1月のお金のやりくりがどうやってできるのか、どういう仕組みでやっていくのか。1週間前半でもうお金を使って、後半は何もないみたいな暮らしを病院のお小遣いで渡している暮らしの人たちって、そういう暮らしの仕方をするのだけれども、地域で暮らしていると、そのお金が0円のときに何かあったらということの対応をしなくてはいけないために、そのお金を分散して暮らすということとか、些細なことを訓練の中で積み上げていくようにしているのが現状です。

 日中活動のところ、先ほど宿泊型でしか取れなかったというところで言ったように、うちは全員が基本通わなければならないという約束になっています。入所の時点で外に通ってくださいというお願いをしているので、どちらの施設も日中は基本いないようになっていて、デイケアや様々、地域活動支援センターに行く方もいらっしゃいます。就労の継続のB型というのが近隣でもできているので、B型の事業所に電車にかなり乗って、わざわざ通所していく方もいらっしゃって。生活の基盤を考えるときに、新しく通所先となっていた所の地域で、アパートで暮らしていくような退所支援みたいな形です。日中は基本、平日は週5回活動してくださいとお願いをしているので、ほとんどの方がそのような活動場所へ移動して行かれています。

 ただ、休んだときの対応が非常に大変です。いわゆる風邪で休んでいるときは、病院を受診するということ、病院の中で風邪をひけば、自動的に薬が出てくるという暮らしの中から、近隣の内科に行って、薬をもらって帰ってくる。薬局が別にあるとか、そういう所は何回か一緒に行って、風邪をひいたときが訓練のときと思いながら、宿泊型ではあるのですが、実際職員が足を運んで細かく対応していくような形を取っています。

 アセスメントとは、本当にそうだと思います。利用者さんをよく知るということ。それは、聴き取りの中から生まれてくることではなくて、訓練している中で、この人の具体的なところが分かってくるところを、また更にアセスメントの中に加えながら、支援の方法を変えていくスタイルを取っていく形なのかなと思っています。そんな形で運営しています。

 

 

○樋口座長 

よろしいですか。それでは、ほかに御質問を、では葉梨構成員から。

 

○葉梨構成員 

櫛田さんに質問させていただきたいのですが、見ていると、高齢の方も多いようですね。私も往診をしていて思うのですが、40歳、50歳になって体が重くなった障害者の人に対して、両親が70歳、80歳になると、もう身の回りの世話をすることはできないですね。そういう状態になっていったときに、誰がそういう方たちを地域で見るのでしょうか。恐らくこういった施設に時々帰ってくることになるだろうなという気はするのです。

 もう1つは、かなりの時間、期間を取らないと、その人の様子がよく分からないという状態で、スタッフの誰もが対応できるわけではないと思うのです。例えば、あなたが病気になって、1か月、2か月休んだときに、代わりの人がすぐ対応できるかというと、おそらく簡単ではないと思うのですね。ある程度ボランティア的なそういう人たちが周囲にいて、いつでも引き継げるような要素がないと対応できないだろうと思うのですが、その辺のことを教えてください。

 

○櫛田氏 

高齢の方という部分ではかなりの高齢の方がいらっしゃるのと、うちに入ってくる利用者さんというのは、いわゆる長期の人でも家族背景がないものだから、ほかの施設が利用できなかったりというところもあって。入ってくる人も、病院の中から来る場合はいらっしゃって。

 先ほど来お伝えしているのですが、公団で保証人がなくて入れるというような形で退所して、要は家族的な役割も施設がやっていたり、病院の相談員がやっていたりということです。私はなごみの家ができたときに採用されて入ってきたので、長年にわたってそういう形を取っているところです。

 職員の代わりがというところは、やはり生活訓練施設で補助金が豊かだったので、正直職員が育てられたのです。今も実際には私が相談支援で外に行くことが多くなったので、現場のほうを守る人がメインでいます。なおかつ、やはり生活訓練施設で育った職員が、隣りの地域移行型ホームにいて、ある程度経験のある者が何人か今はいるのです。ただ、今後そういう職員を育てられるかというと、育てられなくなってしまうのではないかというところで、非常に怖いと思っているところです。多分今の生活訓練施設の余波みたいなので運営しているところはあるのかなと思います。

 

○樋口座長 

では広田構成員。

 

○広田構成員 

私、見かけは若いですが、60代。社会保障制度使っている。かつては「低級国家公務員」とも名乗っていました。一番高級は、皇室で。この辺にいらっしゃる国家公務員はどのぐらいか分からないけど。

 現在、ここの謝金等含めて年収200万未満。だけど、一般的に「生活保護なのにすてきな洋服いっぱい持って・・・」というレベルの低い世間。現在、「日精協のアドバイザリーボードに入っている」と取材依頼攻勢。

5年前、厚生労働省で3つの不祥事のときも、取材が殺倒したのは私。「全家連の不祥事から全て知っている人」と、皆が紹介するから、どんどん来て。体調を崩したという経験もあります。あとで、意見を言いますが、「生活保護を望まないという人がいらっしゃる」と。望まない理由は何ですか。

 

○櫛田氏 

恐らくそういうふうに育った環境で考えられたのだと思います。ただ、実際にはその方、なごみの家で訓練していくうちに自分の状況等を把握しつつ、最終的にはアパートに退院して、生活保護を受けながら暮らしているという現状に至っているところです。

 

○広田構成員 

人間にとって、特に精神障害者は経済的な安定、生活する住環境、それが最大の精神安定剤だと思うのですよ。私自身、精神医療の被害者で、薬を飲んでも音がすると眠れない障害を持っています。この間の会議から今日までの間に又、2人の仲間が亡くなった。40代と50代です。

 そういう中で生活保護制度(中身については、社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会で発言していますが)、この国ぐらいの税制では世界一の制度だと思うけど、何度も言うけど、持たれているイメージはネガティブで「生活保護のくせに、あの人は・・・。生活保護なのに・・・」と言う。私は、生活困窮者の特別部会で“昭和かれすすき”を歌った。「貧しさに負けた、いえ、世間に負けた」と。

 そういうものの捉え方とか、さっきあなたが言ったボランティアさんですか、いますかと言ったところ、それは国民の合意と理解とかという話、私もずっと発言している。そうすると、「国民は関係ない」と、業界に近いマスコミの人まで口を出してくる。全体のところ、伊澤さんが「防災にはお金を」と言ったけど、人手じゃない、本人の判断力が重要です。大震災等の時を考えたら。

 生活訓練で。資料の22ページ目、住まい、施設ありますね。自宅って、親か誰かのところに帰るわけですよね。2番目が民間アパート・公営住宅・グループホーム、認知症対応型グループホームとくる、非常に選択肢が少ないですね。

 皆さん、どういう所に暮らしていますか。あなたはアパート、お母さんと一緒の自宅。空家が日本国中ある。空家も入れるべき。アパートメント、サンフランシスコで500戸借り上げて、精神障害者に貸し出していた。アパートメントも入れるべき。

 そこに生活保護制度とか、収入で足りない所は住宅施策を国及び地方自治体が打たなくては。横浜市は生活支援センターとか、日中活動の場って、専門家の好きなほうにお金流して、住宅施策全部切ってしまった。高齢者も障害者も。住宅施策入れることによって、社会的入院及び、家庭内の事件を防ぐため等の世帯分離含めて地域で暮らしている精神障害者の最大の精神安定剤なのに。

 そして、あの人は生活保護なのに、年金なのにという収入などの陰口、これ、最大のプライバシー。生活保護を使わない人より、生活保護で暮らしている人のほうがはるかに自殺率が高いということも報道されている。福祉事務所現場の問題もある。レベルの低い、他者の国籍、人種、性別、年齢等や収入源をうわさしたり、「あの人は○○○○なのに」という国民の意識が変わらない限り、社会的入院の仲間も地域の中で安心して暮らせない。

 「広田和子は、低級国家公務員です」と言ったとき、全国の仲間が「あの有名な広田和子さんが国家公務員、俺も」仲間が明るく情報を開示していた時があります。国の議事録で生活保護と情報を開示したときに、あっ、そうなんだ。あの広田和子さんも生活保護も使って、合計200万円未満で暮らしているのなら、私も日中活動と言われないで、広田さんみたいに、いろいろなもの整理して、一市民として着物でも縫って、彼と鎌倉にデートでも行こうと。そういう生き方、大事だと思う。精神障害者はみんな、日中活動の場っていう時代ではない。年間1150万ぐらいかかります、日中、一カ所通所しても。そういう生き方だけだったら、入院治療よりコストも掛かりすぎ、「エリート障害者」作り。それでいて満足できない。いろいろなバリエーションがある住宅施策及び生き方。寝るところは安心して暮らせるうちに来ていただければ分かるけど、ホテル並みの鏡がお風呂場に付いています。ここに住宅施策、空家、マンション、そしてシェアハウスも。下宿もあれば、いいと思います。ご当地ソングの。

 そういう形にしていただきたいことと、612日までやるこの図に、マンパワー財源の地域支援の転用って、私は要らないと思う。何度も言うけど、スタッフの脱精神病院で、患者の脱精神病院できてない。ここで入れるべきではない。将来的にはそうなってくるのかもしれないけど、現在人手も少なく、精神保健指定医も足りなくて、精神科救急も回ってないで、今晩も全国都道府県警の警察署の保護室、生活安全課の取り調べ室、ロビーで患者が保護され、警察官の負担も大変な現状のところへ、こんなものを先に入れてはいけない。

 それから小泉総理に総理官廷で会った10年前に、「アメリカのようなホームレスを生んではいけない」という話をした。財源を動かすかということも書かない方がいい。今の診療報酬は安いわけだから、上げなきゃいけない。そのバランスシートはもっと細かくしなくては。2つは、消したほうがいい。論争する争点を少なく、小異を捨てて大同に立って。地域派、日精協派、反目しない。日本社会を直視して、共依存はよくないけど、こういう所で公明正大に発言し合って、国民に向かって、一枚岩になって。「この国の拉致被害者の社会的入院の皆さん、受け入れてください。お願いします」って、田村さん、安倍さん、国会で国民に向けてのメッセージと共にお辞儀してほしい。

 

○樋口座長 

ありがとうございました。それでは葉梨構成員。

 

○葉梨構成員 

次の会議に出なければならないので最初に言わせていただきます。今、広田さんがおっしゃった中で、私もそうだなと思うのは、資料2に書いてある将来的に病床を削減とか、マンパワー・財源の地域支援への転用というのは、今急いで入れる必要があるのだろうかと思います。

 また、資料6に書いてありますが、この元病院の建物、敷地をどう活用するかというのは、病院が廃院になるということを前提にしているようにも読めますし、そこを何とか有効利用しようという考えだろうと思うのですが、例えば、ベルギーなどで廃院、ベッドを廃止するときに、国が1ベッドいくらで買い上げたというようなことを聞きました。こういった何らかの方策がないと、すぐ廃止なんていうことはできないです。

 また、地域移行に伴ってスタッフが足りないから持っていきたいという気持は分かるのですが、スタッフはぎりぎりで置いていますから、これも病院にとっては病床と同じような、対になったものです。一般病床に転用すると言っても、二次医療圏とか、そこはベッドがいっぱいだから駄目ですとか、そういった状態になります。

 それから外来に診療所を作ったり、地域生活において自ら選択する自由があることとか、こういう考えは非常に大事なことだろうと思うのですが、こういうものに転用することがすぐできるとは思えないです。例えば10ベッド廃止するとした場合、その減収分を外来で賄うということは事実上、不可能です。

 大量の外来患者を診なくてはいけないとか、さらに精神科の患者さんを診る場合には、先ほどの櫛田さんの話ではないですが、かなりの時間を持って診なければ不可能なことです。しかも、外来の人数は外来患者何人に対して医師が1人と決められていますから、そちらにも相当な医師や看護師を割かなくてはいけない。こういう状況を厚労省は知っていながら、簡単にこうやって記載してくるとは、なぜこんなことが出てくるのかという気がいたします。

 

○広田構成員 

帰る前に、いいですか。私、ここのマンパワー財源の地域支援の転用は消してと言ったけれど、将来的に病床削減だから。帰る前に、そういうお金の話して帰らない、千葉ちゃんも残っているんだから。

 

○葉梨構成員 

前の図では、病院を直ちに削減し、そのまま患者さんを入れないで廃止するというような図が書いてあったのです。将来的にとするならば、まだ受け入れられるものですが、それでもまだ、書き方によっては直ちに廃止するというように受けとられかねないと懸念しているのです。

 

○樋口座長 

それでは伊藤構成員どうぞ。

 

○伊藤構成員 

次の論点にも関連しますが、せっかくなので一言だけ。

 

○樋口座長 

今の資料2、資料3に関してのところでの御意見ですか、今のところはね。

 

○伊藤構成員 

日本の精神科病院というのは、民間病院が多いという背景もあって、御指摘されたのだろうと思います。今回、こういう形の構造変化を、民間の精神科病院の団体の皆様も同じテーブルで一緒に考えようとしています。私も葉梨構成員の御主張はもっともだと思っているのですが、民間病院の皆さんも一緒に、これからの方向性を何とか考えていこうとしているということは、是非御理解いただきたいと思います。

 

○葉梨構成員 

全体の流れについて、私たちはこのとおりだなと思っております。

 

○良田構成員 

今のこととは違うかもしれませんけれども、せっかく櫛田さんがいろいろお話してくださったので、その感想も含めながらです。1つの福祉施設から御本人を地域に住んでもらう、定着させるということは、大変なことだということを実感しました。再発する方も多いでしょうし、いろいろな方との問題もたくさんあると思います。先ほど服薬について、作業的には身に付いているけれども、全く理解していないで服薬をしているという話がありました。私たち家族も、例えば入院をさせますね。そのときは「嫌だ嫌だ。自分は病気じゃない」と言ってつらい思いをして入院をさせるわけですけれども、退院するときには、多分そこら辺はもう解決して帰ってくるだろうと思うわけです。ところが、本人は全然そうではないのです。「退院したらやめようと思って退院してきた」とか、「俺はやっぱり病気なんかじゃない。あいつら、ほかの者はみんな病気かもしれないけど、自分は違う」と言って帰ってくる。それが家族には本当に驚きなのです。せっかく入院費を払っていたにもかかわらず、全然そういうものを身に付けて帰ってこなかった。

 精神科の治療というのは、症状を治めるというのもあるかもしれないけれども、個人の病気についての認識を改めていく、ということも含まれるのではないかと思うわけです。それがために本当に不必要な再入院を何回も何回も繰り返しているという現実もあるのです。地域に移行するということは非常に大事なことです。病院の中では地域に移行するために単に気持ちを退院の方向に喚起するとか、向けるだけではなく、医療系についての様々な情報とか、自分がどういう病気にかかっているかとか、いろいろな情報を入院中にしっかりと把握できるような環境にあることが重要ではないかと思うのです。入院医療の問題が地域にそのまま持ち込まれてしまって、地域の人がすごく苦労してしまうということがたくさんありますので、そこら辺の改革なども考えたほうがいいのではないかと思います。

 

○千葉委員 

今の良田さんの話で一言、入院医療を提供している側からすると、意識をきちんと持たせるということが、一番大変な作業になるわけです。実際に接している人たちは皆、そう思っていると思います。ある所まで連れて行くことはできても、水を飲ませることはできないのです。飲むのは御本人ということになるわけですから。そこの部分をどのように意識付けしてもらうかです。

 もちろん疾病教育なり何なりはしているわけですが、その辺りになってくると、個々人の個人差が非常に大きくなります。もし、ちゃんと意識付けができるまで入院しておけということであれば、これまで同様に長期入院が繰り返されてしまうのではないか。その辺をどの時点でどちら側に引き継いでいくのかは、大変大きな問題です。100%病気を治してから退院させろということであれば、これまで旧態依然としてやってきた精神医療の形だろうと思いますし、それも善意だったのだろうと思います。

 ただ、入院しなければならない要件や状態があって入院してきていて、その要件が解消されたら、病状がある程度残っていても、あるいはその辺になってくると地域医療であったり、地域の支え方の問題だったりのバランスだとは思いますが、そこを強化していただいて、できるだけ早く退院できるようにするというのが、これからの医療の在り方だろうと思います。ですから御家族のお気持ちは分かりますけれども、そこまでやっていると、どこまで入院させておいたらいいのか、という話になってしまうのではないかと思います。この辺りは地域側のほうでも、地域に出たから全て治って、完全に回復して地域にいるのではないけれども、そこを支えるいろいろな形をつくっていくということが、これからは大切ではないかと思います。ちょっと逆らったような意見ですけれども、そういうように思っていました。

 

○樋口座長 

それでは、今度は前半の最後の質問として城所さん、簡潔にお願いいたします。

 

○城所氏(倉橋構成員代理)

櫛田さんの御報告に関係して伺いたいと思ったのです。どういう方が利用されるのかということで、他の施設を利用できない方というお答えが、先ほどの伊澤さんの御質問のときにあったと思うのです。私も雑ぱくなイメージで言えば、今ある福祉政策の中では、居住においてはグループホームといったサービスがあって、就労支援の関係での施設があってと。そういった中で櫛田さんの施設がある。名称は法改正の中で変わったようですけれども、今まで必要であったような中身が展開されているということです。これが逆に言うと既存というか、整理されたサービスでは利用できないというのはどういう部分ですか。それが必要であれば、そういったことを担保できるサービスがなければならないだろうと思うのです。ついでに言ってしまうと、それが今までの生活訓練施設などでやろうとしていたことの中身なのかもしれないと思い、その辺を御説明していただけたらと思います。

 

○櫛田氏 

他の施設をという部分では、いわゆるキーパーソンになる御家族などが代表になってくれて、直接支援だけではなく、本当に身寄りのいない人などは、なかなか施設が決まらないということで御依頼が出てくることがあって、そういう方がいらっしゃるという現状です。そういう部分で「他の施設では」というお伝え方をしたのです。あと、病気の部分で安定しない方が一旦病院に戻ってしまうと、なかなか再度利用できなかったりという部分では、継続して見守るという形が取れて、再入所という形だったり、入院した後も在籍をして様子を見たりという形が取れていたのが、これからは取れなくなっていくのだろう、経済的側面からも考えて、難しいだろうと思っているところです。

 

○樋口座長 

では、最後に岩上構成員からお願いします。

 

○岩上構成員 

櫛田さん、今日はどうもありがとうございました。とても良い実践をされていると思います。2年で必ず出しなさいという条件設定が現在でもあるわけですが、それがもっと厳しいといった場合には、どういう支援があればそれが実行できるのですか。座長少しやり取りをさせてください。

 

○櫛田氏 

2年だけというのは、私は基本的に1か所の施設だけでは厳しいという判断をしたので、2つの施設の基準の違うものを用意したのです。そうであればどうにかなるのではないかと踏んで、2つの施設を違う形で。こうやって法が変わっていくというのは、そのまま運営していってはいけないと思うのです。その中は変えていかなければならないと思っているので、今までよりも退所支援に対しては力を入れるようにしています。ただ1か所でというのは、かなり厳しいなとは思っています。

 

○岩上構成員 

疑問なのは、10年たって出られる人は、1年や2年でも出られるのではないかと思うのです。ただ、出た後の対応をもう少し手厚くするとか、すぐに入院にならないようにするとか、その辺りを手厚くするとか。あるいは公団を最初から借り上げておいて、そこに全ての人に退院していただくと。そこに櫛田さんたちがいらっしゃって、そこに最初から住んでいただいたうえでサポートすることは不可能なのでしょうか。

 

○櫛田氏 

病識の部分は、育ててからでないと難しいと思っています。そこが育っていれば、ある程度の方法を取れば対応できると思います。ただ、完全に分かるまでいかなくても、その病識が分かるというところ、ある程度の域に達するまでには、かなりの個人差があるのと、それぞれによって時間が違うところがあるかと思っています。

 

○岩上構成員 

それで御本人が望んでいる生活に近づいていくという、より良い支援をなさっていると思うのです。逆に、それが囲込みになっているという指摘を受けたとすると、どう反論されるかというのをお聞きしたいのです。

 

○櫛田氏 

反論ではなくて、一部は事実なのかなと思います。ただ、その生活を経なければ歩き出せない、本人たちの気持ちが病識という問題よりも、一人暮らしをしようという気持ちにいかないところが、一番大変なところなのです。そこは我々がもしオープンにしたとしても、その気持ちがなければ帰ってきてしまうだけだと思っています。

 

○岩上構成員 

分かりました。別に責め立てているわけではなく、現状で生活訓練施設とグループホームだけではできないところをやっていただいていると思うのです。ですから生活訓練施設の手厚くする部分と、グループホームで手厚くする部分と、あとは医療との連携の部分を手厚くしていくことによって、病識も含めて短期間の。病識がなくても暮らしている方はたくさんいらっしゃるので、「病識」という言葉もどうかという話なのですが、他できないところを今、全部引き受けてくれているところを少し分解して、それぞれの機能を強化するというのを、我々は考えていくべきかと思いました。

 

○櫛田氏 

ただ、地域支援に移行したときに、慣れない顔に変わったスタッフがサービスを提供してくれても、そこへの導入は、やはり慣れた職員が足を運んでというスタイルを取らなければ、実際に移行していくにしてもかなり厳しいと感じています。

 

○千葉構成員 

櫛田さんに一言だけいいですか。先ほどのデータを見させていただくと、ほとんどの方が入所利用の期限が切れそうになってくる状態ですよね。この期限がきたら、どうされるつもりですか。

 

○櫛田氏 

退所させる意向で、退所の見込みのない人は今いないと思っています。腰椎圧迫で骨折をして、トラブルがあった人に関しては、もうちょっと時間が必要だと思っているけれども、そのほかの人たちに対しては、本人たちにもかなりの意識付けがありますし、今回、契約書という形でできるようになり、利用者家族にもそういう形が取れたのでやろうと思っています。

 

○千葉構成員 

退所できる見込みになっているとよろしいのですけれども。精神保健法から自立支援に施設移行をして、期限がちょうど2年たって3年目に入ろうとして、全国の同じような施設で現在、いわゆる利用期限切れ、早い話が3年以降の報酬サービスになってしまうので、やっていけないというのが出てきているものですから。それでもなかなか難しい人たちを抱えていて、ぼやぼやするとその人たちが再入院になってしまう事態も懸念されるようになってきているものですから、大丈夫かな?、再入院になったりしないかな?・・ということをお聞きしたかっただけです。どうもありがとうございました。

 

○樋口座長 

まだあろうかと思いますけれども、今日のメインは特に資料46に、新しくまとめの整理のポンチ絵が出ておりますので、これについてこの後のディスカッションをしていただきたいと思います。回数も限られておりますからこれからの議論は、できるだけここはこうあるべき、こうすべき、ここは不適切だというものがありましたら、それをどう修正するなり、どういうように変えるなり、どう表現するなりという具体的なことも含めて御指摘いただきたいと思います。おおよそのところ、まずは資料4と資料5について、これから30分くらいの時間を取ってディスカッションをし、残りの30分で資料6というようにしたいと思います。いずれ次回も予定されると思いますから、不十分なところは次回に引き続きということにいたします。資料4の説明は先ほどありましたのでお分かりいただけていると思います。まずは資料4と資料5を中心に、御意見を頂ければと思います。いかがでしょうか。

 

○良田構成員 

最初に、千葉先生のお話についてです。私はいつも広田さんから、家族の本音で話せと言われていますので、今日は本音で話しますが、いろいろ医療が手を尽くしても病状が良くならない人は、入院の対象ではないのではないかというこの前のお話とか、いろいろな……はとても難しいから、治してからというか、理解が深まらないうちに退院することもあり得るのではないかという今のお話とか、いろいろ伺っていると、非常に不安になります。なぜかというと、そこで戻されても今の支援体制では、家族ではやっていけないからです。やっていけないのに「それは分かるよ。それじゃ頑張ってください」と言って渡されても、やはり家族はとても不安で、引き受けることに消極的になるのは仕方がないと思います。

 しかし、それを言っていると始まらないので、病院では「もうできない」と言っているのだから、これからどういうように地域でみんなを支えていくのか、そういう人たちを支えていくのかということも、真剣に考えていただかないと、私は非常に困ります。これは現実的に本音で思っていますので、是非皆さんにもそういうことを考えていただきたいと思います。

 

○山本構成員 

資料4の患者が退院した病床に関してです。生活の場に近い病床にするという御提案だと思うのですけれども、これはおかしいと思うのです。やはり病院の機能というのは治療をする場であって、本来、生活の場を提供する所ではないわけです。こういう形で病床を使っていくというのは、本来の病院の機能からするとおかしいと思います。したがって、生活訓練の場というのは、病院の外の地域で整備すべきであって、地域で整備した後に、例えば病院で入院中の人も、もっとそこを使えるという仕組みを考えていくべきであって、病院の中でこういうものをつくるというのは、本来の病院の機能に反します。それが社会的入院の維持あるいは増大につながっていくと思いますので、これは認めるべきではないというのが私の意見です。

 

○千葉構成員 

私のこの図の解釈は、「生活の場に近い病床にして、そこからどんどん患者さんを退院させていく、よって退院した病床が出てくる」・・という図と見ているのです。私の解釈はどうですか?この図の解釈を間違えたかと思ったのです。

 

○尾崎課長補佐 

この図は生活の場に近い病床にこれからすると言うより、急性期、回復期、重度かつ慢性は、入院医療が必要な方だと思うのですが、それ以外は入院医療の必要性が割と薄いという意味で、現状として生活の場になってしまっている所ですということを意味したものです。そこからピンクの所で、患者がどんどん地域に出ることによって、斜線部分が空いていきます。ただ、空いていく過渡期にはまだ「生活の場」に近い病床という所、緑の所が残っているという図のつもりです。

 

○蒲原障害保健福祉部長 

中できちんと議論をして、そういう意味です。私もそういうものとして、この資料で議論をしようと。もちろん、これは議論のたたき台ですから、こういうことで。

○山本構成員 

もう1回確認します。要するに、これは患者が退院した病床を生活訓練の場に使うということではないのですか。

 

○蒲原障害保健福祉部長 

今こうなっているということを。

 

○樋口座長 

現状を分析して、かつ、いま進行しているのは、急性期と回復期はいいわけですよね。これを急性期の病床として。

 

○山本構成員 

しかし「将来的に不必要な病床は削減するが、それまでの間、地域移行を支援するための病床として機能を強化する」と書いてあるじゃないですか。

 

○尾崎課長補佐 

病床として残っている間は、そこをどんどん出せるというか、退院していただけるように、機能強化をすべきではないかということです。

 

○山本構成員 

生活訓練の場として、これを強化のために使うということではないのですか。

 

○尾崎課長補佐 

当面はそうなるかと思います。

 

○山本構成員 

それがおかしいと言っているのです。

 

○千葉構成員 

いや、そうではなくて、現状ではそうなっている状態をもっと強化していき、もっと退院を促進していこうという意味だろうと思います。新たにそういう病棟をつくるのではなく、現状の状態では医療の必要度が薄くなって、生活障害の重度の方々にトレーニングをして、何とか出しているのが現状ですけれども、それをよりパワーアップさせるという意味で言っているのだろうと解釈しています。そうすると、退院して一旦病床が出て、その空き分については削減していこうと。最終的には生活の場に近い病床に強化したものが減っていく、なくなっていくというイメージなのです。恐らく言い方が「生活の場」に近い病床ではなく、「もっと強化したトレーニングをする病棟」・・だとすべきだと解釈していただくというか、そう書いていただいたほうがいいと思います。

 

○蒲原障害保健福祉部長 

正に今おっしゃいましたが、意味としては地域移行支援を強化する病棟というイメージです。地域移行支援強化という性格を持った病床ということです。そうすることによって人がどんどん。

 

○山本構成員 

そこで生活訓練をするわけではないのですか。

 

○蒲原障害保健福祉部長 

地域移行のための機能をどういうようにするかということは、いろいろな議論を御提案いただいたら。

 

○山本構成員 

要するに、これを生活訓練の場としての病床として使う。現在もこれを使っているのでしょう。それがそもそもおかしいと言っているわけです。それはやはり病院の機能に反するので、全部地域のほうに移行すべきです。現状もおかしいと言っているのに、更にそれを強化するというのはもっと。

 

○樋口座長 

強化すると言うよりは減らしていくためにという。

 

○蒲原障害保健福祉部長 

減らすための地域移行の強化なのです。

 

○伊澤委員 

今の山本構成員の話に更にという感じもあるのですが、資料6の「不必要になった病床の有効活用」では、居住の場として使う選択もありという書きぶりですよね。ですから山本構成員がおっしゃったように、医療としての役割から福祉目途に変える、しかし場所は一緒だという。

 

○山本構成員 

ここも含めて考えると、そういうようにしか理解できないわけです。

 

○伊澤委員 

ですから敷地の中で抱え込みながら、医療が包摂しながらという構図は変わらないように読めます。私も山本構成員がおっしゃることは、そのとおりだと思います。

 

○蒲原障害保健福祉部長 

私が意見を言うのではなく、全体の議論を整理するという意味で、一言だけ申します。今、実態的に生活の場に近くなっている病棟があるので、これはやはり変えたほうがいいだろうと。そのために今の生活の場に近い病棟については、より従来以上に地域に移行できるような機能を強化する。この機能強化の仕方を当該病床でやる場合もあるし、外のサービスでやる場合もある。そこは山本さんがおっしゃったように、議論があると思います。いずれにしても地域移行にどんどん力を入れることによって、だんだん人が減っていきますと病床が余っていきますよね。その余ってきている所を千葉先生がおっしゃったように、だんだん全体的に適正化をしていき、そこを削減していくと。

 今、伊澤構成員がおっしゃったのは、今度は削減していた部分のマンパワー及び設備をどう使っていくかです。これがこの図で言えば次の資料5です。余剰になって削減する部分の施設やマンパワーを急性期や地域医療、はたまた地域の福祉も含めて変えていきましょうということです。不必要になって削減した部分をどういう所に当てていくかというのが、正に最後の資料6で、生活の場の所は飽くまでも病床である段階の話です。資料6は、いわば削減される所をどういうように使うかという話です。

 

○広田委員 

蒲原さんも含めて、国民に分かるように。私はずっとマスコミ各社から、「精神の業界はうるさい」と聞いてきた。ここに見えている記者さんは理解のある方たちだけれど。業界に叩かれ、「謝罪のテロップを出したけれど、納得しない人たち」がいて、TBSから「スタッフ向け研修に出てください」と言われた。シンポジストで。私は「マスコミにクレームを付けたことはない、ましてやお宅の浦河ベテルのファンで有名な斎藤道雄さん(ディレクター)が、『「広田和子は進み過ぎているから、考え方も生き方も。テレビには出さない」と言っていたので』と断ったけれど、「「いや、広田和子さんしかいない」と斎藤も言っています。ぜひ」と言われて出ました。そして、TBSはそれを非常に丁寧に編集して30分の「TBSレビュー」で2003627日に放映した。今から話す話は、マスコミから見れば進み過ぎている広田和子、神奈川県警のお巡りさんたちから言わせれば、「アメリカンヨーロピアンの広田和子さん。」

 病床が減ったときに精神障害者に特化するような考え方をしているから、ここでギャーギャーやるわけです。又、精神病床の患者が退院したくなる気持ちの所に、やたらお金がかかることが書いてあります。むしろ今、日本国中に子供の遊び場がありません。だから空いた所を子供の遊び場にするとか。私は全国の病院を泊まり歩いています。日精協副会長だった長尾先生の所へ行ったときに「先生、あそこの先生が持っている空き地をスパにしたら。それで大浴場を造って運動すれば、患者も私みたいに薬が減るし、体重も落とせるし」と言いました。水素風呂でもやればシワもしみもなくなります。一昨日、680円の所に行ってきました。そうすることによって、そこには精神障害者だけでなく地域の疲れ果てている人、伊藤さんとか、私にギャーギャー言われる岩上君も、井上さんは少し痩せるかもしれない。野沢さんも。共生社会(インクルージョン)健康促進大作戦です。

 私は生活保護制度を使っているけど、交通事故の後遺障害のためにローンなど使ったりして、健康機具のような医療機具を買った。髪を自分で染めてカットしたりして、スーパー銭湯へも行って、そこでこういう所の話もしている。この前も言ったように、ロシアの人も抱きしめているし、子供たちともスーパー銭湯でも出会い仲良しに。そういう暮らしは悪いけれど、生活保護制度とグループホームで福祉のお金を使って更に日中活動の場でという、エリート障害者づくり、精神障害者福祉囲い込みでははい。

30年間、社会的入院をしてきた仲間が退院したときに、お昼に電話が掛かってきました。「今日寝れなかったらどうしたらいいんですか」、「今私は起きたところだから、寝る話は後にして」。夕方の6時に「今日寝れなかったら」、「まだ夕ご飯食べてないから」「あなたは」「食べないです」「食べて」。8時に掛かってきたから「8時っていうのは、精神病院では何してるの」「薬飲む時間です。薬飲みます」と言うから、「じゃあ、9時に寝てね」。最初はそれでいいのですよ。病識でも何でもない。何のために自分が薬を飲んでいるか、そこが重要。広田和子は、「何千万円も取れる」医療過誤体験者として、命かけて発言していれば叩かれる。だから仲間のみんなが同情して。「私は出られない、広田さんが叩かれているから」と言っています。

 広田和子は医療過誤の後遺障害で、薬を飲まなければ寝れない。薬を飲んでも音がすれば眠れないから、今、素敵な家に暮らしている。それは生活保護制度プラス、読売新聞の人とか、朝日新聞の人とか、NHKの記者とか、病院の院長とか、大学教官、PSW、元生活保護施設職員とか。1日のランチを節約して1か月1,000円、年間12,000円を広田和子がやっている社会貢献に「社会貢献してください」という方法を、福祉事務所が認めた。

 書いている人がいるけれど、日本の精神医療の被害者として日本の生活保護制度のモデルケースですから、外に出すときには私の了解を取ってください。福祉事務所に出す契約書と2つに分けて、そういうやり方も生活保護でOKだと。4年前に、かけこみ寺も、シェアハウスも、下宿もOK。「広田和子さんの横浜弁護士会でも表彰された。」「精神科救急の推進と、ショートステイの社会資源がない中で、自分の所でショートステイ、駆け込み寺を長年引き受けている等の社会貢献活動」、「その実績と実力」で福祉事務所が特例をして大英断した。特例は前例に。

 誰かと一緒に暮らしてもいいというわけだから、私の彼は今、大変な仕事で東北に行っていますが、私の所へ駆け込んで来てもOK。いろいろな生き方ができることを、福祉事務所が考えた。そういうふうに人はいろいろな生き方があることを。議事録が出るのだから、他者が伝える必要はない。

 製薬会社の社員も、問題意識を持ってカンパしてくれた。カンパは私の手に入らずに、通帳も会計団が管理しています。日精協からお預かりしたお金もその通帳に入れて、会計団から日精協の公認会計士の判断してもらって、送金した。これを前例とすれば、いろいろな生き方をして、私以上の能力があって、私以上の力量を発揮できる仲間はいっぱいいます。そういうことに足を引っ張り、早とちりして批判しない、問題があると感じたら本人に取材したり、話を聞く。

4月25日、第2回の作業チーム終了後、読売新聞の記者に、取材をされてアドバイスもいただきました。「国民に分かりやすく、丁寧に議事録を加筆修正した方がいいですよ」。また、他の記者の人たちも昔から、言っています。「広田和子さんは超マスコミ受けするキャラクターで、書きたい人。それに備えて暮らすように」と。備えて暮らしています。「いつでも記者会見」というように国の委員を担った時から想定して暮らしている。○○新聞は「いつでも、週刊誌を紹介しますよ」と。でも幸いにして一住民として普通に幸せを感じながら暮らしています。みなさんの参考までに私の生活ぶりの一端も披露しました。

 

○樋口座長 

ありがとうございました。それでは千葉構成員どうぞ。

 

○千葉構成員 

山本構成員のところで1つだけ申し上げます。精神医療の中に治療として、訓練は入っていないのかということになりますと、そこは大変はっきりときれいに、ここからが訓練で、ここからが治療だという話にはならないと思うのです。治療の一環として訓練がある。これは多分、携わっている方々は皆理解しているものだと思います。訓練の内容とやり方等が、福祉側でやるほうが望ましいのか、地域でやるのが望ましいのか、医療として行うのが望ましいのかというところで、実際に中ではSST等の訓練や作業療法の訓練等も活発に行っています。そこは連続線上なので、ポンとここでという話ではないということは、一言申し上げたいと思います。

 それから、不用になった病床の利用の考え方は、私はむしろもっと幅広いというか、一般的に考えています。つまり使わなくなった建物をどのように転用して、ビジネスをするのかと思っている部分です。病床が減ってくるということは建物が残る、残った建物は使われない、使われないまま放置しているというのは、まだ財産が残っているもの、あるいは借金が残っているものを放置しておくわけですから、それは余り得策な話ではないし、そうであれば、なかなか手を出していただけないし、そういうようにしてもらえない。そうであれば、そこの部分について建築上は「コンバージョン」という、用途転化という手法になるのだろうと思います。

 例えば少子化になり、子供がいなくなって廃校になった学校をどのように使うのかとか、どういうもので地域のそういう場に開放するとか、いろいろなやり方があるだろうと思います。もし使われなくなった病棟があるのであれば、その建物の利用方法として考えるべきだろうと。その中の1つに、住まいの場というのがあるということです。ですから精神障害者だけではなく、アパートにしようと高齢者の有料老人ホームにしようと、一般の方々に広くそのようにすることはどうなのだろうか、出来るのか出来ないのかということです。場合によってはグループホームなのか、最近はやりのシェアハウスにして入っていただくか。

 それは障害者の方でもその御本人がそこに入りたいと言うのであれば、それは本人との契約で行っていけば良いことであって、そこの部分にあまり線引きをしたり、そこだけ除外したりするのはそぐわない。むしろ、「そういうものであってはいけない」というネガティブリストと言ったらあれですか、こうでは駄目だということのほうをしっかりしていただくべきではないかと思っています。ですから、ここの部分が出てきていることに対しては、1つのこういう転用モデルがある、ビジネスモデルとしてこういうこともできるから、減っていったからといって抵抗感を幾らかでも減らせると言ったら何ですが、あればいいのかなと思って、歓迎してこれを見ていました。

 

○柏木構成員 

「生活の場」に近い病床というのは、私も勘違いをして捉えていました。要するに、もっと肯定的な意味かなと思っていたのです。実はそうではなくて、精神科病院の中では今の療養病棟などが、暮らしの場になってしまっているという意味だったというのが今分かりました。病院はやはり医療の場なので、生活の場であってはならないというのが基本だと思うのです。ただし、致し方なく暮らしてしまっている人たちがいるというところがあって、その人たちをどうするかというのが、ここの大きなメインのテーマだったと思います。

 今日の櫛田さんのお話をお伺いしながら、私も少し同じような考えを持っています。医療機関の中にあっての訓練というのは、とてもアンビバレンツ(両価的)な価値があって、一定量は必要です。というのは、櫛田さんの言葉をそのまま使わせていただきますと、病識もなかなか育っていないし、薬を飲むこと自体も習慣化されていないし、食事も何を食べていいかといったイメージもできない中で、宿泊型訓練に来られるわけですよね。それだったら、もっと精神科医療の中で細やかにやれることがあるのではないかと私は思うことがあります。もうちょっと看護師がたくさんいて、そこに関わる。そして地域の方たちも病院の中にいろいろ入ってきたり刺激を受けたりする中て、医療の部分である程度のものができていれば、宿泊型訓練がそこまで長期化せずに、一定のところで帰せるのではないかという思いがあります。

 ですから私は「生活の場」に近い病床というのを、もう少し言葉を変えていただきたいと思うのです。少なくとも訓練というのは千葉先生もおっしゃったように、とても微妙なものがあって、訓練をすればするほど入院は長期化します。私は自分の社会復帰のプログラムをやっていた中で、やればやるほどステップを踏んでいくことになるので、ここまでできないと駄目。ここまでできないと駄目などと言ってしまうと、入院が結構長引いてしまい、逆に何のために訓練をしているのかが分からないということを経験してきました。

 ですから、どなたかがおっしゃったように、本当にアセスメントが大事です。ある程度はアセスメントがしっかりしていれば、有期限で何とかしていくという方策を考えるべきだと思っています。今の療養病棟とか一般出来高病棟といった人員配置の中では、何もできません。退院意欲を育成することもできません。「できません」と言い切っていますけれども、できにくい状況にあると思います。機能分化をされたときに3か月未満、1年未満、1年以上というように分けられましたけれども、1年以上の長期入院の方たちのところに、もちろん有期限ということを念頭に入れて、是非人員配置をきちんとしていただきたいと思っています。

 失礼ながら、訓練というのも難しい問題だと思いますけれども、病院の医療の中でだけの訓練というのは、恐らく限界があると思います。入院中であっても外に行けるとか、病院の中のデイケアを利用できるとか、少なくとも地域で生活している人たちと交流することのできる訓練を、是非やっていただきたい。世の中の診療報酬でやれるのか、障害のほうでやれるのかは分かりませんが、そういう工夫が要るのではないかと思います。

 

○樋口座長 

それでは順番でいきましょう。伊藤構成員の次に、山本構成員からお願いします。

 

○伊藤構成員 

3つあります。1つは資料5です。今回の構造改革で大事な点は、外来・デイケア、アウトリーチ・訪問診療、訪問看護部門といったような医療の領域をどう体制強化するかという点だと思います。そういう意味で、本日の参考資料3で、岡山県精神科医療センターの生活訓練棟の運用という資料があり、これは大変勉強になります。こういう活動というのは県立病院だからできるわけですが、民間病院においてもこういうものが幅広くできるといいと思ってみておりましたところ、最後に「訓練棟運営上の課題」が書かれています。「診療報酬での評価がない」、「全額病院が負担して行っている」とあります。この辺りは可能であれば構成員でもある中島先生、若しくは関係の人に是非お話を伺いたいと思います。

 第2点は、資料6についてです。確認ですが、「地域生活において、守られるべきもの」で、マル1「自ら選択する自由がある、生活時間、居住地、同居する人、移動等」とあります。前回、山本さんが発表されたときに、食事の話をおっしゃっていました。いつでも食べられるという点はこの内容に入っていると理解でよろしいですね。

 第3点は、「全ての場合に共通の条件」で、123の次に※があります。例えば「通過型としての位置づけ」という点は大事だと思います。私は、政策、そして様々な立場の方が努力してきて今があると理解しています。その上で次の様々なステッップを提示していく必要がありますので、可能なものは、小さくてもモデル的に考えていく。もし抵抗・心配があるのであれば、どういうところが心配なのかという条件を一つ一つ詰めていく必要があるのではないかと思います。

 医療界は、自由開業制の下で、各方針は各医療機関に任されているわけです。精神科病院協会の千葉先生、そして河崎先生がお出になられて、次のステップは何かということを一緒に考えているわけです。医療の中でもかなり特出する構造改革ですから、是非これを進めていただきたいと思います。これは、海外で指摘されているように、知らないうちに予算がなくなるという現象がこういう時期には起きる危険があります。財政的な支援は、これだけ大きな改革を考えているわけですから、是非担保をしていただきたいです。現在予算要求の時期ですが、精神障害保健課の予算を、この構造改革ができるためにも、やはり大幅に確保していただきたいと思います。

 

○山本構成員 

先ほどの千葉先生からの御指摘なのですが、私も別に治療と訓練をそんなに確実に分けているわけではないのだけれども、ただ、病院でやる訓練と、地域生活での訓練は自ずから違うでしょうと。しかも、病院でやるための訓練というのは、退院に向けての訓練であって、入院を要するだけの訓練というのはあるのかどうか。入院をさせながらもしなければいけない訓練というのは、それは地域における生活の訓練とはちょっと違うものではないのだろうか、と思うのです。そこはきちんと区別した上で、病院でやるべき役割と、それから地域でやるべき役割ときちんと分けるべきではないかというのが私の主張の意味です。

○千葉構成員 

私の発言の意図も同じです。

 

○伊澤構成員 

今の山本構成員のお話はそのとおりだと思います。院内でその訓練・トレーニングを実施しようとするならば、先ほどの柏木構成員の議論にあったように、院内でのマンパワーを豊かにしていく、対応力を高めていく、そこなのではないかと思います。だから、差別的な特例は即刻廃止というのは強く強調しなければいけないのではないかということを、まず真っ先に申し上げておきます。

 それから資料6なのですが、上の波線の囲みの中で課題整理というか、議論の整理を非常に簡潔にされているので分かりやすいです。(2)()()の分かれ道は非常に大きいと思っています。()の方向でその下がずっと作られているのですけれども、やはり問題にすべきはというか、課題としては先ほど千葉構成員がおっしゃいましたけれども、空になった病床はどうするのだ、それをどう使っていくのだ。いや、転用はどんどんすべきですよ、それはもったいないもの。だけど、人の住まいは駄目ですという、ここの分かれ道だと思うのです。だから、(2)()の議論、()以外の場をどうするというところの議論をやはり活発にしていくべきだと思います。即効性がどうかとか、いろいろまたレスポンスがあると思うのですけれども、私は基本そうだと思います。ここの分かれ道の大きいのは120日批准の権利条約です。まだ4か月です。居住の場を院内、敷地内に仮に整備していく報告が出たら、これは国辱ものですよ。私は、本当に恥ずかしいと思います。そこを申し上げておきます。

 前回のお話の中で、例えば良田構成員もおっしゃっていたし、それから野沢構成員にも少し触れていただいたのですけれども、要するに()の「()以外の場面」の使い方に関して、公共施設か、あるいはこのエリアにとって何が必要か地元コミュニティからの声を聞く。そして自治体との協議で、施策的にこの自治体の中で何かをしようといったときにこれが活用できるのではないかみたいなことも含めて、そういう場をどんどん作っていく必要があります。どんどん意見募集をすればいいと思っています。大胆にビジネスモデルをどんどん入れていくのもそうだと思います。そのような方策を取りながら、(2)()の選択はないだろうと思っています。

 

○樋口座長 

伊澤構成員に1つ確認ですが、もしお考えがあれば伺います。()のほうに関しては、具体的にはどんなイメージのものをお考えですか。

 

○伊澤構成員 

少し話が出ておりますけれども、例えば公共施設として、地元の求めに応じながらと。それを割り出していくためにはリサーチなり、検討の場は当然必要になってくると思います。今申し上げたように、自治体の施策の中で何かということであれば、やはりそこの自治体として必要なものを、何かその場を使ってやることができないかどうかです。具体的に何とか事業というのは挙げることはできませんけれども、そういうことです。

 

○野沢構成員 

発言がデフォルメされて批判されるのもあれなので、順を追ってなのですけれども、この作業部会のメインの課題というのは、長期入院の方を地域へ戻すという当たり前のことですけれども、そうだと思うのです。ですから今回の資料でいうと、13がメインだと思います。これは、これまでもいろいろやってきたのですけれども、でも、長期入院の方がまだ滞留しています。

 もう1つは前回も話題になりましたけれども、病床がある限り、そこは長期入院の統合失調症の方が外に出ても、認知症の方がまた入ってくる、あるいは認知症を入れなくしても、今度は依存症だとか鬱だとか、あるいは行動障害のある知的・発達障害の方が入ってくる。何らかの困難さを抱えていて、家族も困りきっている人は世の中にはごまんといるわけで、そこは民間病院の病床がある限りやはり満たされていくだろうと思います。だから、これを何とかしようということで、今回の資料6の、今話題になっている(2)()とか()とか、こういう所を議論することになっているのだろうと思います。

 それを指摘した上で、これをなぜ議論しなければいけないのかと思うのです。1つは、その経営している方々の経営転換を促すためのいろいろな選択肢をここに具体的に想定していただくということ。もう1つは、これまで余り議論になっていませんでしたけれども、長期入院の方の何割かは高齢の方です。どちらかというと介護が必要だったりします。地域での単身生活モデルはメインでいいと思うのですが、これだけだと、やはり介護が必要な高齢の方は最後まで取り残されてしまいかねない。年間1万人ぐらい亡くなる。年間1万人というと、130人ぐらいです。今こういう議論をしている間にもあちこちで亡くなっている。この方たちを放っておいていいのだろうかと思うのです。それを考えたときに、現実的には何らかの介護施設のようなもの、グループホームみたいなものが望ましいと思いますけれども、そういうものを創造したほうがいいのではないかと思います。

 資料6の一番下の表ですけれども、パターンAからDまで、これは前回私があれこれ言ったのを受けて、事務局がシミュレーションしてくれたのだと思いますが、これをどう考えるかということです。結論から言うと、私はACは慎重に考えたほうがいいと思います。BDは積極的に考える価値があるのではないかと思います。その理由を言う前に聞いてほしいのですが、老健局の検討会で、認知症の方の精神病院への入院をどう考えるかみたいなことを話し合ったことがあります。そこで日精協の先生と議論になりました。余りにも病院の批判を皆がするものですから、多分いたたまれなくなったのでしょうね。それで地元かどうかは分からないのですが、地方のテレビ局が、精神病院の中の認知症の方の様子を取材したルポルタージュの番組をその場で流しました。これを見てくれと。いかに我々が大変な思いをしてやっているのかと。そこでは、認知症の方が廊下で奇声を発していると、看護師さんが来て上から怒鳴り付ける。「静かにしなさい。もう時間だから部屋に戻りなさい」と言っても、認知症のおばあちゃんは「嫌だ」と言って廊下の手摺りにつかまっていたら、強引に力で連れていこうとする。それでも「嫌だ」とつかまっていたら、今度はその指を一本ずつ折り曲げていました。

 何ともいたたまれなくなってしまいました。その番組が終わった後、「我々がいかに大変な思いをしているか分かったでしょうか」と言ったのです。皆さん黙っていたものですから、私はつい手を挙げて、「それを介護施設でやったら虐待になりませんか」と言ったら猛烈に怒られて、騒然となって議論にならなくなってしまいました。私は、別にその日精協の先生を批判するつもりも、その病院を落としめるつもりもないのです。なぜ、我々の感覚だと虐待に当たるような行為を、いかに大変なのかと皆にわざわざ見せるのか、その感性というかあれがよく分からなかったのです。

 しかも、映像の中で映っている看護師さんも、決して悪意でやっているようなつもりもなく、しかもカメラが回っていますからね。しかも、虐待しているつもりもなく、むしろ職務に忠実に働いているわけです。でも、なぜそれがこういうことになってしまうのだろうか。医療と福祉というのは連続性がありますけれども、やはり本質的な違いがそこにあるのではないかと思っています。悪意ではなくて、むしろ善意でやっていても、やはり医療の場でやられていることというのは、福祉というかその人の生活ということを考えたときにミスマッチが起きているのだろうと。だから、何としても福祉の側にそういう方たちを戻すというか移すしかないと思っています。

 それを指摘した上で、改めて資料6の下の図を見てほしいのです。この暮らしの場ですよね。暮らしって何かといったら、この上に書いてあるように、「自ら選択する自由がある」とか、「外部からの自由な訪問がある」とか、「プライバシーの尊重がある」というのは、基本的にはそこの場を運営している方のやり方が大きいのではないか。場所とか建物ももちろん大事ですけれども、やはり運営の在り方というのが一番大きいのではないかと思うのです。私は、BDをなぜ考えるべき価値があるのかというと、これは外部のNPOとか、福祉事業所が中に入っていって、そこで支援をするということです。これは、その方が入院している距離が、病棟からちょっと他に移るということではなくて本質は何かというと、入院患者から福祉サービスの利用者にするということだと思います。つまり、診療報酬で治療する対象から、介護保険や支援費で支援する対象に変えるということだと思うのです。

 これは後で教えてほしいのですが、岩上さんや伊澤さんのような地域でやっている方々はこれができないですか。入院患者の方々の海の中に、救命ボートで入っていって、取りあえず救命ボートに入れると。もし、そこで本人が、「やはり中では嫌だ。こんなのでは退院したことにはならない」と言うのであれば、それは福祉事業所を運営する側の裁量とか権限で外に出していけばいいのではないですか。医療とお医者さんのコントロールから解放するということなのではないのですか。これができないのかどうなのかを、是非教えていただきたいのです。

 ただ、本当にそんなことが実現可能なのかどうなのか。だって、経営する側から見ると、患者さんがどんどんそちらのほうへ流れていって、ただ家賃だけ入ってくるという、そんな奇特なことを考えてくれる経営者がいるのかどうなのかなのです。でも、経営よりも、長期入院している人を何とかしたいと思っている経営者がいたとして、こういうやり方があるとすれば、これは、それこそ地域でやってきた人の、本当の腕の見せどころというのはこの辺にあるのではないかと思います。外側から、中で囲い込んでいるだけでは駄目だと幾ら批判しても、やはり病床はなかなか減らないと思うのです。乗り込んでいって、むしろそこに地域の拠点を作って、そこを窓口にして外に出していくみたいな、そういうことは果たして実現できないのかどうなのかを、是非御意見を聞きたいと思います。

 

○城所氏(倉橋構成員代理)

話が資料6に行ってしまったのですが、資料4、資料5のところに戻ってというよりは、まだそこを話していたのではないかと思います。山本構成員が御指摘されたように、医療という問題で、そこの定義というかしっかりした中身のコンセンサスが必要なのだろうと。精神科医療について、今回の指針の検討の中で、精神科医療の標準化ということが出されていて、どこまでできるのかなと思いつつ、それは非常に画期的なことだろうと思っています。そこの中での医療の在り方の共通認識というか、そこが形成されないとそれでは話にならないのです。

 保健所のほうは、精神科病院等に対する監視指導ということもあり、今後退院支援へ向けて、そういう取組もできる範囲でやっていきたいとは思っています。そういうときに何が基本なのかとか、こういうやり方ではまずいのだ、というようなところが共通認識で持たれていないと進みにくいかなと。そういう意味で、医療としての基本的なところを、この機会というよりは別途しっかりと詰めていく必要があるのではないか。

 当然その中には、先ほどの御質問にあったような訓練的な話で、でも、医療で言えばリハビリテーションはリハビリテーション医療としてあるわけです。それが精神科におけるリハビリテーション医療がどの程度のどういったものなのか、その辺が整理されないといけない。

 最終的にそれは診療報酬につながっていくわけです。先ほど伊藤構成員が御指摘されたように、岡山の事例では、そこが診療報酬に反映されないような仕組であれば、医療として展開するのはサービスでやるしかなくなってしまうわけです。ただ、それを医療としてきちっとできるようにしていけば、先ほど厚労省のほうで説明された、生活の場に近い病床の今後の在り方が明らかになっていくのではないか。

 その上で資料5で、資料5というのは、いわゆる入院医療だけではなくて、今度は外来・デイケア・アウトリーチ、この辺は医療の枠の中でも、診療所であるとか、それらも含め、地域医療の領域での精神科医療の領域。この地域医療としての精神科医療というのはまだ十分取り組まれている領域ではないのです。更にその左の、地域生活を支えるための、多くは福祉なのですけれども、医療の中にここの中身が反映されていくのではないか。実際、その辺は地域での精神保健福祉関係の会議体、保健所などでも参加している会議体の中では、それぞれの地域で部分的には取り組まれているので、これが最終的に仕組みとしてできていけば、病床自体は、資料5にあるような形で、必要最低限の所になっていくのかと思います。

 

○広田構成員 

先ほどの野沢さんの話、私の母は86歳で亡くなり、大阪池田小学校児童殺傷事件の日がお通夜だった。前も言ってますが。12のマスコミが、なぜか大阪で起きたのに、広田和子に殺到した。厚労省の不祥事も広田和子に殺到した。24年マスコミに出ていますけれど、1人といった場合には20年間ぐらいは広田和子。出続けざるを得ない、皆が断っています。私が大尊敬していた大野さんも、「マスコミに叩かれた」という理由で、1993年日本病院地域精神医学会が名古屋の国際会議場で開かれた日の夕方6時のNHKニュースに出られなかった。大阪に振ったけれど、「大阪も出られない。」そして「NHKとしては最初から広田さんに出てほしいんですよ」と言われて、広田和子が出た。大野さんの存在を知ったのは、1992年頃、神奈川県精神保健センターで秋に開催される全国精神保健大会実行委員会の席上、県職員の口から「行政が恐れている精神障害者」と言った時、93417日、全精連大会で総合司会を担った私は大野さんから声をかけられ、私たちは「あの鍵と鉄格子の中の35万人の仲間を忘れてはいけない。」と手を取り合って泣いた。

それから7年後の1216日、横浜市西口にあった東急ホテル地下のお店で前に座った横浜市精神保健課長から「時間をかけてやろうとしている24時間精神科救急医療を市施策協議会で広田さんの発言を聞いている職員がすぐやりたくなくって困っている。立ち上げるケアマネージメント検討会から広田さんをはずして患者会長を入れた。横浜市は広田さんを恐れているから」と言われた。

その後、県から「広田さんは横浜市民だから、県精神保健福祉審議会に出ないで」と、又、会長に「電話があった」そして県の要望で会長に。2002年、製薬会社のイーライリリー社の委員として私が「精神分裂病という病名に一番偏見を持っているのは、精神科医・・・名称変更というけど」と発言したら、委員会終了後、外人さんの責任者が飛んできて「ユーアートラブルメーカー」と。そして、その年、横浜で開催された世界精神医学会でイーライリリー社のシンポジストも会長に・・・。発言する広田和子をはずし、変わりに入っていた会長。

行政などが患者会の中でのピアサポートを分断させるこのやり方は、人間としても相談員としても教訓に。一方、20011112日、横浜市教育文化センターで開催された、第9回日本精神科救急学会総会、ワークショップで新しい課長の大貫さんと私は並んで他の4人と今と同じ課題を本音で発言した。大貫さんは今春、区長を最後に勇退したが、改めて「どこも人だ」と思えた信頼関係がずっと続いた。

初めて国の委員に、日本病院、地域精神医学会評議委員に、精神科救急学会の評議員に、日本精神科病院協会のアドバイザリーボードに。そのことでのバッシングは、それ以前の様々な出会いや体験が防波堤の役割にもなっている。

1993年、国際会議場で私が発言したとき、「広田さんは医療ミスだ」ということを会場で言ってくださった先生がいた。それをNHKのニュースで言えた。ずっと叩かれ続けているけど、出続けざるを得ない広田和子が、母が亡くなったお通夜の日の池田小のことを思い出しました。母は、亡くなる前に転院をしています。それはなぜかというと、私の悪口を、私の相談者が母と電話で話しているものが録音されてしまって、母親はそれを自分で知ったときに、良心の呵責で垂れ流し状態になって入院しました。3か月がたったとき、病院から、「広田ゆきさんを転院させてもらいたい」という電話が私の所にありました。私は、「貧乏暇なしでその日は行けないんです」と言ったら、「あっ、いいんですよ、御家族は誰も付き添わなくても、どこどこ病院へうちのほうで搬送します」ということでした。それで転院したら、いわゆる環境変化だと思いますが、亡くなっています。

 その前に、私は政府広報のテレビにも出ていますが、それを母は見ました。「他人に好かれて良い子になって、落ちていくときには1人じゃないさ」っていつも歌っていました。そうですよね、「どんなに他人のために体を張ってやったって、結局は叩かれるのよ、落ちていくときには1人よ」って、いつも口癖のように歌っていた母がその政府広報を見て、「姉ちゃん立派だったわ」って言って、“この人は死ぬな”と私は感じ、亡くなりました。

 その時のことを思い出したのですけれど、環境変化ということを考えたときに、確かに精神病院で死なせてはいけないかもしれない。でも、あれだけ丈夫だった母、良心の呵責で入院していたけど、環境激変して亡くなったことを思い出したときに、改めて亡くなる人を想定した病棟転換ではない。病棟を転換して、つくればそこに次の人が必要になる。病床があるから、入院患者が減らなかったということを、柏木さんが言いづらそうに言う。私がしょっちゅう本音で本音でとけしかけて。だから、それはやめたほうがいい。

 仲間も言っていますよ。「国の委員の広田和子さん、2つある。1つは、俺たちは精神科救急も警察に行ってほしくない。救急車で行きたい」。これは警察もそうです。全国都道府県警が嫌がっています。単に法律で定められている自傷他害の精神科救急を必要としている人だけでなく、ものすごい状態で大変です。警察の多くは、110番通報受けたら多くを保護しなければならない状態、マスコミ報道を本来のジャーナリズムに変えない限り、家族も大変、警察も大変、場合によっては本人も入院又は警察署の中での保護という状態です。

 もう1つは、「なぜ国は65歳以上の社会的入院に目を付けているのか。年齢を問わず、出られそうな人から出すのが一般的な常識ではないの」と言っています。一般的な常識を考えれば、出てストレスを感じない人ほど、社会的入院でも家があってホームヘルパーが来て、買物に行ってご飯も作ってということです。アメリカだと、横浜のように人数を掛けすぎなくても、銀行の機能の付いた生活支援センターがありました。

 横浜は人をいっぱい付けて、役に立たない相談員だらけで、いろいろややこしくしている。ドラスティックに、社会全体も、医療も福祉も考えなければ。出られる人から退院したほうがいい。私は、ニートの時代に、母が外から「大丈夫」と電話してくるのが、とてもイヤでした。今の仲間たちもそうです。「大丈夫」というのは禁句です。業界関係者も「大丈夫、広田さんやせたけど」って。他の人は違います、「きれいになりましたね」という記者もいっぱいいます、お巡りさんも。そのぐらいこの業界はネガティブで心配症が多い。

 親の高齢化以前に本人が自立しなければいけないから、親に帰さない。下宿、シェアハウス、空家の所でいろいろなことを考えられます。またここで病床を転換してしまった、そこに入る人が必要になるから反対ということ含めて、日精協の資料は6万円自費で作りました。その200部を、厚生労働省の記者クラブに配る。前に障害者部会社保審に配った。ここに5日と12日、日精協のビジョンに対して座談会を開いたところの部分だけ、増す刷りした資料を出します。普通の暮らしができる可能性のある人から先に退院する。そして、千葉さんは、良田さんが命がけで本音を叱咤激励されたり、発言しているときに、すぐバババッと反論しないで、「確かにそうですね、精神病院という所は人手もお金もなかったりして、なかなか何のために薬が必要かということを御本人が十分理解できるまで説明できない実態もありますね」と言えばいいんですよ。

 小異ではなく、大同にたって元課長の福田さんが言うように、「皆がまとまらなければ厚生労働省はやれないのです」を終わりにしなければ。

 今回は業界がまとまって、この国の拉致被害者の社会的入院の仲間を国連の権利原則以前に、1人の国民として、市民として当たり前の、アメリカのオバマ大統領ではないけれど、日本の小学生でも分かる「幸せになる権利がある」その可能性を諦めない、ネバーギブアップでいきたい。私は日精協のアドバイザリーボードとしてもこの国の国民としても、この国の精神医療によって、被害者とされて、叩かれ続けてもここにいる精神医療サバイバーとしても反対。そんなことをしたら、また後の時代に厚生労働省のほうで税金を使って改革しなければいけない。

 資料3の「退院に向けた意欲の喚起」というのは失礼な話です。要するにいつも言っているようにお金はかからない。「お見舞いの受入れ」を入れてください。いろいろな人が他科と同じように「こんにちは」と言えるような面会者の受入れということを一言入れて。

 「ホームヘルパー」を文言として入れて下さい。アクトよりもホームヘルパーです。アクトが好きなのは家族です。

 

○樋口座長 

何人か手を挙げていらっしゃいますが、時間が迫ってきました。伊澤構成員、岩上構成員、千葉構成員という順番でいきましょう。できるだけ具体的に、コンパクトにお願いします。

 

○伊澤構成員 

野沢構成員から御質問があったので、それにお答えするような形を基本にしたいと思います。野沢構成員がおっしゃった後段の部分に私はすごく共鳴します。病院の中に入っていくという、そこのコンセプトというか、その考え方はとても大事です。現に今の地域移行というか、退院促進の活動は、院内に入り込みながら直接患者さんと接して、その方のニーズを聴き取りながら退院に誘うという活動なのです。それを更に推進していく方向が大事かと思っていて、もっともっと院内に入らせていただくような環境整備を進めていただくことが前提ではないかと思っております。

 だから施設整備ではなくて、我々がもっと院内に入り込みながら、個別のニーズをきっちり聴き取りながら、外とのパイプを使ってマネジメントしていくという流れを、もっともっと強く出したい。そのために、例えば院内に施設ではなくて、事務所とか相談室、我々が専有できるみたいな、そんな形があってもいいのかなと思ったりもしました。だから、施設整備は申し訳ないですけれどもNGです。

 それから、広田構成員からもお話がありましたけれども、この検討会のまとめをしていくときに、本日参考資料で出ている項目立てがありますが、これはどのように活用されるのかということ。ホームヘルプの話もこの中に出ていましたよね。居宅介護という言葉は出ていますか。それから目を引くのは、2枚目にある、()-2(2)の「地域移行に向けたステップとしての支援」の所の書きぶりで、精訓は話として出てきたし、本日は地域移行型ホームの実践報告もありましたから、そこはそれで素材になるかもしれませんけれども、退院支援施設とか老健については、この場とか本会でも議論になっていますか。私はそういう記憶がないのです。

 

○広田構成員 

何ですか。

 

○伊澤構成員 

資料の2枚目の()-2(2)の書きぶりがちょっと違和感を感じているのです。

 

 

○伊澤構成員 

そういうことです。

 

○樋口座長 

分かりました。岩上構成員どうぞ。

 

○岩上構成員 

これは、もともと1017日に私が発言させていただいたときに戻っていただきたいのです。私がその指針の検討会で発言したのは、地域移行支援を積極的に進め、それでもなお長期入院を余儀なくされている人に対して、本人の意向を最大限尊重して、その上で必要な資源があれば検討すべきではないかと発言しました。どうもこの間の議論を聞いていると、退院できる人まで止め置いているのではないか、そういう人たちのための病床の転換の施設をつくろうとしているのではないかというようなニュアンスで、あちこち聞えてくる話で、反対運動がなされています。

 私が考える状態像というのは、今後、退院支援、地域移行を強化して進むことができて、それでもなおかつ残ってしまった人たちが、そのまま病院にいていいのだろうか、という議論をしたつもりなのです。先ほど野沢構成員がおっしゃったように、本来必要なのは、介護的な支援が一番必要なのだと思います。それでもなおかつ退院できないという方に対して、本人の意向を尊重したうえで、必要な資源を考えるということです。まだ退院意欲まで至らないけれども、ということの手立ては、この委員会でかなり出していただいたので、それを進めれば地域移行は進むと思います。

 精神病院は「悪だ」みたいなニュアンスで長年来てしまったのだと思うのです。今回ここで出ている議論は、例えば生活保護の方を入院させておけばいいと、あるいは保健所が入れっぱなしにしている、そして介護の問題であるけれども精神病院に入院している。これは、障害保健福祉部だけの問題でないことが多数あるわけです。老健局と健康局と社会援護局がしっかりやってくれればいいはずだといったことを、ここではきちんと方向性として出してほしいと思います。そこでできなかった問題を、精神科に押し付けてきたのが、この国のやり方だったと思います。

 さきほどの、それでもなおかつという方に対してのもう1つの問題点は、病院はベッドが空いていれば入れざるを得ない、それは経営的に考えればやむを得ないことだと思います。それを政策誘導するための手立てをきちんと考えていく必要がある。それでなければ、幾ら良いことを考えても、空いていれば入っていただくということは柏木さんもおっしゃっていたことです。そのときの手立てをきちんと考えるに当たって、先ほど申し上げましたように、精神科病院が悪で、そうでない人が正義なのか何か分かりませんけれども、このような状況の中で、新しいことに厚生労働省として踏み込めないとすれば、全国的に5か所ぐらいで構わないので、モデル的に福祉と医療で連携して、より良い精神医療を作るための病床削減と、つまり、より良い精神医療を作ることと、病床削減をセットにしたような事業を是非やらせていただいきたい。その中で、例えば皆さんが反対しているような病床転換も含めてやらせていただく。きちんとやれるということを見ていただかないと、この議論は何も進まずに、私が正義よ、私が悪だという状況が今後も続くのではないでしょうか。私はそういうことを望んでいたのではなくて、もっと早い段階で手立てを打ってほしいと思ったわけです。もしそれができないとすれば、全国的なモデル事業をやっていただきたい。

 その中で、先ほど野沢さんがおっしゃったようなことはできる話だと思うのです。精神科病院だけに問題を考えていただいて、病床削減してより良い精神医療をめざすのではなく、その地域全体を捉えて、福祉と医療が連携して、あるいは診療所にも入っていただいて、新しいモデルを作る。そこに倣っていただく。そこに入れる福祉はたくさんあるはずです。反対されている方も、地元では病院と仲良くやっていらっしゃるわけですから、そういったことを今後考えていただきたい。先ほど野沢さんがおっしゃったように、130人亡くなっていくわけです。それでもいいとおっしゃるのだったら、少しモデル的な事業を考えていただければいいかと思います。

 

○樋口座長 

千葉構成員どうぞ。

 

○千葉構成員 

ずっと前から分からないのは、権利条約の話をされるときです。私が持っているイメージは、入りたくない人まで入れようという話はしていないのです。本人がアパートに入ってそのアパートを使いたいというような本人の自由意思。それはもう使わないというのなら出られるというような契約行為が当然あるべきだろうと。もちろんそれは現行の敷地外であろうと、グループホームであろうとみんなそういうものが必要なのだろうと思っています。それを完全にベースにした話をしているので、どうして条約に引っかかるのかどうかという話がよく分からないのです。むしろ、それがちゃんと自由意思で、きちんと本人が担保されていることを、どこかがちゃんとしなくてはいけないということはあると思うのです。私は、そこのところがずっと分からなかったことといいますか、そこをベースにして話を進めていくべきだと思っているので、何でもありだよねという話をしています。私は、それがここの守られるべきの中にきちんと明記される問題だろうと思っています。

 岩上構成員から出てきたモデル事業も大変結構だと思います。できたらそれは公費で。空いた病棟をお貸ししますので、幾何かの貸し賃を頂いて、そこで公的機関が、例えば保健所が・・・でも結構なのですが、そのような所におやりいただいても構わないと思っています。我々がやると大変赤字になってしまいそうな話なので、できたら公的な機関が、それをどんどんと進めてやっていただけることが1つの方法なのかと思います。

 

○野沢構成員 

皆さんのお話をいろいろ聞いて、やはり問題提起してよかったと思います。これまでずっとこのことには封印して、議論すら駄目だみたいなことだと、やはり深まっていかないと思っていました。駄目なら駄目でいいのです。私は、どうしてもこれを進めろと言っているつもりはなくて、先ほど言ったように条件付きだというのは、一度制度を作ってしまうと、当初の目的から離れて、何とかもうちょっと違うやり方をしようという人たちも出てきますが、一旦建物を造ってしまうと、なかなか壊せないこともあって、やはり慎重にしなければいけないのは事実だと思います。

 パターンBDにしても、伊澤さんや岩上さんたちのような所が入ってきてやるのだったら皆さん安心するかもしれませんけれども、中には病院の経営者が傀儡のNPOをつくってやるなどということだって十分考えられます。一方でACは慎重にと言いましたけれども、でもお医者さんの中にだって、暮らしのセンスを持っている人だって結構います。愛媛の長野先生の所へ私は何度か行きましたけれども、あれは素晴らしいと思いました。だから、一概にBDが良くて、ACは駄目とか、そんな議論をしているつもりはないです。具体的にいろいろやってみて、どうすれば実現できるのか、あるいはそれでも駄目なのかをとことん議論していきたいということなのです。

1つは、岩上さんが言われたモデル事業もいいと思います。実際にやるときに、前々回に来てもらいました山本深雪さんとか広田さんなど当事者に審査委員会に入ってもらって、実際に現場へ行ってもらって、これは駄目なのかどうなのか判断してもらう。ただ単に制度をやってくださいと言うのではなくて、具体的にやってみるというぐらいの検討はやってもいいと思っています。

 

○樋口座長 

そろそろ時間ですが、是非発言したいということであれば2分ぐらいでお願いします。

 

○広田構成員 

単純に、精神病院悪、地域医療善、地域福祉善ではないと昔から思っています。多くの病院、クリニック、福祉の現実を知った上。そして、「日精協が変わらなければ日本の精神科医療は変わらない」とアドバイザーリーボードを引き受けました。私は前に仲間に怒られたことがある。南高愛隣会というのが、長崎にありますが、そこの委員に入った。確か犯罪の被害者の。それで、私は防犯という重要な視点で参画した。そのときに叩かれた理由が、「九州長崎県のあんな山の中のコロニーのような施設をつくっている団体に、何で広田和子ともあろう人が入ったんだ」と怒られた。それも、今回叩かれたことで全部思い出しました。これも情報開示しておきます。私は、防犯のつもりで入ったのに、蓋を開けたら、犯罪者の仕事のハローワークに流れていってしまった。「だから俺たちが言っただろ」ということを仲間たちに言われたことも公開しておきます。そういうことも含めて、病棟転換は反対です。

 

○樋口座長 

最後に、千葉構成員から資料が出ております。本日これの議論はいたしませんが、説明だけしていただけますか。

 

○千葉構成員 

これは、私が所属しております日本精神科病院協会で、3年ほど前に行った調査の結果です。敷地内、敷地外の話をどうこうするために取ったということではなくて、都市計画法による用途地目のところで、大変建替えが難しくなってしまうケースが出てまいりました。第一種低層地域は病院が建てられない場所になっています。それは、決して望んだわけではなくて、だんだん周りに住居が建ってきて、いつの間にやら用途が変わってしまったということです。ある意味で「病院出ていけ運動」が出てきたり、偏見や蔑視を食らっています。「公聴会をして、地域住民に御理解を得なさい」というのが第一種低層地域の『ルール』なのですが、それをやると反対運動がいきなり起こってくる。そういうことは全国的にも困るということがあって、どんな所に病院があるのですか、というのを見た調査です。

 要は地目がどこにあるかということや、その病院の周りの状況です。そして、何よりもバス停までの距離、駅までの距離、目の前をどれぐらいの間隔でバスが動いていますかと。あるいは周りのコンビニとか商店、銀行まではどれぐらいですか、という調査を行いました。つまり「生活に関連したものがどの程度そばにありますか?」ということです。4ページの下のほうに、病院の敷地内に普通の方の通行・立入りをどのように制限しているかというようなこと。

5ページには、病院の敷地がどのように区分けされているのか。例えばフェンスがあるのか等々ということについて聴いています。それで、区分けされているという内容があったので、どういうもので区分けをしているのかをもう一度追加調査させていただいた結果が8ページと9ページにあります。どのようなというのはザッと見ていただければ分かりますが、要するに150センチメートル程度の普通の住宅にあるようなフェンスで囲んでいるというのが主でした。

10ページからは、逆にその医療法人が母体となってやっている福祉施設の状況も、同じような形で調べています。その福祉施設はどのような所にあるのか、どんな状況にあるのかということです。最後は、周囲の状況はどのような所かをお聴きしました。お役に立つかどうかはわかりませんけれども、参考に見ていただければと思います。

 

○樋口座長 

ありがとうございました。時間になりましたので、本日の議論はこれで終えたいと思います。本日の議論を踏まえ、当初は65日を予備日で取っておりましたが、これは開催することとし、本日の議論を更に深めていただきます。最後に事務局から今後の予定をお願いします。

 

○尾崎課長補佐 

今後の予定の前に1点、伊澤さんから参考資料2の扱いはどうなるのだというお話がありました。参考資料2のバージョンアップしたものを次回出したいと思っています。本日も資料3のポンチ絵についてもいろいろ御意見を頂きました。このポンチ絵はあくまで参考資料2の概要のイメージなので、セットでバージョンアップしていきたいと考えております。

 次回は65日の16時から18時まで、省内の専用第23会議室で開催いたします。

 

○北島精神・障害保健課長 

先ほどからの御議論で、ぜひ次回までに是非御検討いただきたいと思っておりますのは、資料4の、「生活の場に近い病床」というのはネーミングが悪いので、もう少し良い名前を付けたいと思っておりますので、ご検討ください。現在、「重度かつ慢性」の定義について検討しており、次回の診療報酬改定に向けて整理をしなければいけない点です。精神障害者の医療の指針においては、重度かつ慢性の方を除いて、1年以内に原則退院していただくことが記載されております。今年の4月以降は、重度かつ慢性以外、1年以上の長期入院の方が原則いないという世界が来ているはずです。

 そうすると、生活の場に近い病床に入っている方は、過去に入ってしまった方に限られているということになります。現状では、精神科療養病棟などに、重度かつ慢性の方と、それから1年以上の重度かつ慢性でない方が渾然一体と多分入院されているのだろうと思います。その定義付けをした暁には線引きがされるわけですけれども、病棟を分けていくのかどうかということはもちろん議論が必要だと思っています。分けていったときには、生活の場に近い、地域移行を必要とするための病床にいる方々の支援とか環境をどうしていくかを考えておかなければいけないということで、資料4を出させていただきました。ですから、この4月以前に入っている1年以上の長期入院となっている方々が地域移行するために何ができるのかというのが資料4ということです。是非この点について次回までにお考えいただけると有り難いと思います。

 資料6については、生活の場に近い病床から、徐々に支援によって退院者が増えた時に、空いたスペースをどうするのかという議論です。仮にモデル的に行うにしても、パターンAからD、又は千葉構成員のおっしゃったネガティブリストはきちっと議論すべき問題だと思います。全く駄目だというのも1つの意見ですが、もしモデル的に何かやってみようということであっても、条件整備が必要だと思いますので、この点については次回是非お考えを聞かせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 

○千葉構成員 

1年以内に退院できる仕組みを作るのですよね。退院させるではなくてですね。

 

○北島精神・障害保健課長 

はい。

 

○千葉構成員 

その仕組み作りが正しく今求められているのであって、そこのところは間違いのないようにしっかりよろしくお願いいたします。

 

○北島精神・障害保健課長 

はい。

 

○樋口座長 

長時間にわたって御議論いただきましてありがとうございました。これをもって第4回の長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会作業チームを閉会いたします。ありがとうございました。




(了)

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