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2014年5月20日 第3回長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会作業チーム議事録

社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課

○日時

平成26年5月20日(火)17:00~19:30


○場所

厚生労働省 専用第22会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)


○出席者

伊澤構成員、伊藤構成員、岩上構成員、柏木構成員、城所敏英氏(倉橋構成員代理)
千葉構成員、葉梨構成員、樋口構成員、広田構成員、山本構成員、良田構成員

○議題

1 精神障害者の入居支援についてヒアリング
2 長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策について(これまでの議論の整理)
3 その他

○議事

○北島精神・障害保健課長 

定刻となりましたので、ただいまより第3回長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策に係る検討会作業チームを開催します。

 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。本作業チームは公開のため、作業チームでの審議内容は厚生労働省のホームページに議事録として掲載される予定ですので、あらかじめ御了承ください。

 本日は関係者からのヒアリングということで、阪井土地開発株式会社代表取締役の阪井ひとみさんに御出席いただいています。どうぞよろしくお願いします。

 次に、本日は倉橋構成員の代理として、東京都福祉保健局東京都島しょ保健所所長の城所敏英さんに御出席をいただいております。また、山本構成員は遅れて御出席との御連絡です。野沢構成員は御出席の予定ですが、やや遅れているようです。野沢構成員におかれては、御都合により閉会前に退席の予定ともお伺いしています。それでは、ここからの議事は座長にお願い申し上げます。

 

○樋口座長 

それでは、本日は第3回の作業チーム検討会です。早速、議事を進めていきたいと思います。本日は、先ほど御案内がありましたが最初に関係者からのヒアリングを行いたいと思います。

 前回の検討会においては、退院意欲の喚起であるとか、本人の意向に沿った移行支援に関連したヒアリングを行ったので、今回はイ「地域生活の支援」に関連したヒヤリングを予定しています。岡山で精神障害者の入居支援を行っている阪井代表取締役から、その取組についてお手元の資料1に基づいて説明をお願いすることになっています。それでは阪井さんよろしくお願いします。

 

○阪井ひとみ氏(阪井土地開発株式会社代表取締役)

阪井と申します。今日はどうぞよろしくお願いします。このような場所でお話をさせていただくことを本当に感謝しています。私は、精神の障害、刑余者の方、精神の病気を持つDVの方、高齢者、痴呆の病気をお持ちの方など現在、社会的弱者という方を約500人弱、うちの管理物件で住んでいただいています。私の本業は不動産屋なので、お住まいになっていただいています。

 私はもともと、建築の勉強をした人間です。建築の勉強の「はじめに」という前書きの所に、「人間は衣食住が大事である」ということが書かれてあります。私は、建築の勉強をしていたときにはその言葉を当たり前のことだと考えていましたが、18年ほど前に精神障害者の方に、たまたまうちの入居者の方で、一般の方と言うと変な言い方ですが、健常者の方が突如としてアルコール依存症と統合失調症になったというのが私のきっかけです。その方をたまたま御家族や保証人になられる方にお話をさせていただいたところ、雲行きがかなり怪しくなり、本人の支援どころか保証人までやめる。「保証人をやめる」ということで、何でこういうことになるというのが私のきっかけでした。

支援者のいなくなった入居者と一緒に、当時から岡山県立岡山病院という精神科の病院に行ったところ、たくさんの方々が退院を希望されているが、「入居ができなくて困っている」という。10年ぐらい前に入院をしてからは、身内からも疎遠になられて住む所もなく、どうしたらいいか分からない。そのような(長期入院をしておられる)方が社会に出たいというときに、保証人がいないので病院のワーカーさんたちが保証人になったりしている事実も聞きました。私はこのままではいけないということで、精神の方が社会で暮らすためにはどのような生活を送られているかということを少しだけ調べて現在に至りました。長期入院の方、釈迦に説法だとは思いますが、家族の受入れができないために社会的入院をされている方、家が探せないから入院をされている方、本当はもっと早く治療を受けると長期入院にならなかっただろうという方、入院が3040年たってしまったために高齢者になって外に出られなくなったということがほとんどの方だと私は理解をしました。

 その中で、外へ出て暮らしたいが何らかの形で支援がないから外へ出られないという方を、私は月に1人ずつぐらい支援を始めました。考えていったのが、今日の資料の中にも入っているフェイスシートを利用して本人に考えてもらいながら、どうやって生活をしていくか、1人の人をたくさんの人で支えようというのが私の考えになりました。

今、私が会社で使っているのは、地域で住むには何がその人に必要かをまず御本人と話をします。

 御本人が退院をしたいという強い意思を持たれているということが大事なことと、本人が退院をしたときに周りで支える方が何人いるだろう、ということの確認をさせていただきました。一番大事な、本人が住みたい場所に住みたいように自分の自由を持って住むことができたらいいのではないかというのが私の考えでした。

 そういった中で、社会に出られるときに、まず自分の希望をいろいろ私は聞きました。その御本人に対してまずキーマンとなる方を探します。今、一番うちの入居者で多いのはPSWの方がキーマンになることが多いです。申込者(当事者)が社会に出たら御本人は誰の手が必要だろうということこの絵を基に、考えます。その人が社会で住むためにお金を管理する人は誰だろう、生活をするには、ヘルパーさんが必要なのか、訪問介護ステーションが必要なのか、それとも地域の民生員が必要なのか、刑余者の方には保護司の先生が必要なのだろうかというところを、その人、その人が必要なことをそれぞれの方のケースに合わせ、ケアについての入居申込書をつくります。一般の書面での申込書もあります。それ以外にも御本人が社会に出るためには(どうしてもその部屋に住みたいという強い希望がある場合)必要なことだと思っていることは、自己アピールをして大家さんに理解してもらう意味でも特別な入居申込書を書いていただいています。

本人を、支えるためのチームとして、医療関係者の名前、地域で過ごす人の名前、その他家族がいる方には家族の名前を記入し、家族の方もチームの1人になっていただき、月に一度ぐらいケース会議を開き、顔を合わせていただくということも考えています。

 今、現実1人で住んでいる方が450以上います。入居者の中には、家族との関係が疎遠になられたり、お父さん、お母さんが亡くなっている方。御本人がお金の管理が不得意というときには、権利擁護の制度を利用し、補助人、補佐人、後見人の方に金銭管理をお願いすることもあります。その他、社会福祉協議会で金銭管理をしていただいている方もいます。そのような御本人の不得意なところをこちらがカバーをするだけで、御本人が社会で暮らせています。長期入院の方に対し、岡山県精神科医療センターと相談をさせていただき、訓練棟という名前で退院をする練習をする部屋を1つ考えました。退院をするために一度、外へ出る練習ということは、必要だと思います。お金をお持ちの方は、前もって部屋を借りてそこで練習をすることはできますが、お金がない方はそのようなこともできないということでは、やはり退院の促進のつながらないのではないかということもあり、退院に向けての練習の部屋を作っていただきました。そこで最初は1日、1泊、2泊、3泊と少しずつ訓練をしながら、退院されている方もいます。

 病院の職員さんも退院に向け頑張ってくださっているので、私も頑張らないといけないということで地域に出たときに本人が困らないようにみんなでサポートできる仕組みを考えました。

 

退院したときにやはり本人が一番不安なわけです。そのときに、どうやったら不安じゃないかという話を、私も入居者と話をしました。そうすると、いつでも入居者が話せる場所があるといいのではないか。今お配りした(S)というブルーのパンフレットのマンションは、1階にみんなが過ごせる場所、ソファーを置いて、自分が寂しくなったらそこへ来れば誰かに話ができる。自分のことも話をする。うちの入居者は自分のことは、みんな自分の病気のことも話をします。病気を隠して入られる方はいません。

 元に戻りますが、私は入居の際に病気のことを聞くので、御本人があらかじめ自分のことはきっちり話してくださる。自分のことについて話ができるということは、それなりに自信を持っている方だと私は思っています。

入居中に本人の体調が悪くなって救急車を呼んだり、警察を呼んだりすることがあると思います。そのとき、私はこの紙(フェイスシート)を貼ってもいいという人は、ドアの内側に貼ってあります。そうすると救急車とか警察の方が来られても、この人はどこにつながっているというのが一目で分かるので、警察や救急車の方もその各方面に連絡を取って対応がスムーズにできるので、それぞれの入居者の方が不安がないのです。病気の一番の敵は寂しさと不安だと私は思っているので、まず御本人の不安を取り除くというところが大事かと思い入居を勧めています。

 私たち不動産屋は何を考えるかというと、アパートに入居していただくときに、お客様がどうやったら入居率が上がるかというのが一般的な考えです。私はそれをなぜ精神の方に使わないのかと、勝手に思いました。

 私は長期入院のアパートに、Tという名前を付けて新築を建てました(アーティストがたくさん輩出た物件をまねてつけました)。Tには、長期入院の方が多く受け入れようと考えました。入居者の中には、煮炊きをするものを持っていっても使わない方もいます。毎日、お弁当を食べて食事を済ませる方がいたり、中にはヘルパーさんが入ることができない対人恐怖症の方がいたりすると、煮炊きをすることはまずないと思います。そのようなときに、私は流し台の上にコンロを置きません。コンロは私たちがあるのが普通と思っているかもしれないが、その人のニーズがなければコンロだって使わないと思います。

食事を弁当や外食で済ます大学生も使わない。それと同じ考えで、私はその方が使うものを、コンロの代わりに電子レンジを置いたり、中にはオーブントースターだったり、ポットだったり、ヘルパーさんが入れる方はIHの調理器具を置きました。そのように私が入居者のニーズに合わせたことで、入居者は外で住むことができました。

 もう1つ、そのアパートの特徴は、普通は給湯器に温度設定が付いています。給湯器の温度設定が1つだけだと火傷をするかもしれない。温度設定を45度や40度にしておけば危なくないけれども、本人が知らない間に手が触って、もしかしたら50度や55度、60度になってくると本人が火傷をするかもしれません。お風呂の浴槽の中に入るときにも火傷をすることを考ました。火傷を防ぐために、サーモスタット付きの蛇口にしました。サーモが付くことで、もとの給湯器の温度設定と蛇口の所で温度設定を行うことで、やけどの危険を二重のブロックできます。火傷の心配がないのではないかと思い、私はサーモ式の蛇口を付けました。

 アパートは一般的に、掃出しの窓で外へ出られるようになってますが、精神科医療センターのワーカーさんと話をして、本当に掃出しがいいのかどうなのか考えました。私の管理する物件は岡山市内の中心部で、一歩外へ出ると車の通りが多い所でした。もし建築基準法上問題がなかったら、中連の小さい窓でもいいのかという話をさせていただいたら、薬の調整で、外に飛び出ることがあるかもわからない、そういったときに、掃出しの窓で外へ飛び出すことがないほうがいいという話がありました。このアパートに、入居する予定の入居者に尋ねた。「中連の窓でも大丈夫か?」という話を重ねたところ、別に掃出しの窓だろうが中連だろうが窓がありさえすればいいという入居予定者の話もあったので、そういった工夫をさせていただきました。

Tというアパートは16戸中、長期入院の方が14戸入られています。長期入院があったことをものの1月もするかしないかの間に、通院と入院が繰り返される方とほぼ変わらないような状態になってきます。TアパートにもSアパートと同じように、みんなが座って話をできるスペースを作りました。そういったことで本人が困っていること、人に話すことで自分のできないことを他の人が教えてくれる、他の人が助けてくれる。そこが1つの町というか、コミュニティーになって、アパートの人たちは皆さんお住まいになっています。

 長期入院というのは、部屋がないから・・・。グループホームとか、部屋がないから何かというようなことではなく、社会に戻ることができるのであれば、みんな社会に戻りたいのではないかということを私は今も感じています。

 実は私は、16歳で発症し50年長期入院をされていた方を預かりました。その方は、「何で50年入院をしたの」という話をすると、周りの方が「外へ出ると危ない、危ないという話をしたので、私は外へ出ることをやはりやめようと思いました。」ということでした。

 うちのアパートに来られて「一番楽しかったことは何」と言って話をすると、「ありがとうございます。」という言葉が嬉しかったという言葉をもらいました。私はショックでした。どうしてかというと、買物に行くと、コンビニでもスーパーでもホームセンターでもお金を払うとき「ありがとうございました」という言葉をもらう。自分はいつも人にありがとうございましたという言葉は言ったことはあるけれど、自分はありがとうございましたという言葉をもらったことは実はなかったという言葉、私は本当にショックでした。その方が1か月ぐらい、1つずつ物を買いに行かれて、1つずつレジで「ありがとうございました」と言われると、同じように「ありがとうございました」と言って帰って来られました。本当に私はそのとき涙が出そうな気持ちでした。

 そういった方が、やはり外に出たいけれども、何か周りの環境で外に出られないということもたくさんあるのだなと。その方が出るきっかけになったのも、実はうちの入居者が隣のベッドに入院していたからです。隣にいた入居者が「はよう帰らんと、はよう帰らんと。みんなのところにおらんと楽しゅうないから、はよう帰らんといかん」と言った。その言葉が彼女には「何で外がそんなに楽しんじゃ、怖いだけじゃろう」っていう話をしたら、「何を言うとん、外は楽しいが」という話をその子がしてくれたおかげで、その人は外に出るきっかけができたのです。外は楽しいということや、生活には不安はない、ちゃんと仕組みさえみんなで作ればできるのではないかと、私は今も思って毎日頑張っています。

 入居者の中には、結婚をされて子供もできた方も、1つの家族を作ることもできました。地域の方も最初は拒んでいる方もいました。でも、今は地域の川掃除など、うちの入居者が川の中まで入って、頑張っています。岡山は田舎だから年に2回川掃除があります。旭川から流れてくる川の水を田んぼに入れる用水があるのです。その川を、うちの入居者が川に入り、空き缶を拾います。Sアパートの町内はもう高齢化しているので、うちの入居者がいないと川掃除ができないのです。入居者の皆さんは、地域の人となって皆さん住んでいます。地域の理解が少しずつ今芽生えてきていると思います。みんなが頑張ればコミュニティーになって、1つの町ができるのではないかと思っています。どうもありがとうございました。

 

○樋口座長 

どうもありがとうございました。大変ビビッドな、生き生きとした中身が伝わってくるようなお話を頂きました。阪井さんにはこの後も残っていただけるということですので、この後の質疑の中で阪井さんへの御質問も含めて頂ければと思います。

 それでは、本日の議事の2番目として「長期入院精神障害者の地域移行に向けた具体的方策について」に入ります。本日は、これまでの議論を少し整理するということで進めてまいりますが、これまでの議論を資料2でまとめております。関連資料として資料34。参考資料をまとめております。まず事務局から説明をお願いします。

 

 

○尾崎課長補佐 

資料234が、これまでの議論を整理したものです。参考資料12については、前回の作業チームで構成員の方から御質問のあった点についてまとめたものです。

 資料2は、今回、御検討いただいている具体的方策について、これまでの議論を整理したものです。まず「総論」ということでタイトルだけ書いています。地域移行と医療の現状と将来像です。これについては資料3と資料4で、図で代替して御説明します。「精神科入院医療のこれまでと今後」ということ。更に言うと、将来像はどうなっていくのかということについての考え方を、これまでの議論から出てきたものを整理してみました。

 資料3ですが、青い枠がこれまでの話です。具体的には精神科医療においては一般病床よりも薄い人員配置で、医師が一般病床の3分の1という形となっているということです。それから、これまでの現況として、入院患者全体は日本全国で約30万人いますが、その中で1年以上の長期入院患者は20万人いらっしゃるということです。この長期入院患者はここ10年で減少傾向ではありますが、第1回の検討会でも資料を出して御説明しましたが、高齢化が進んでおり、高齢者の長期入院患者は増加傾向にあり、現在、大体全体の過半数となっています。それに伴って、死亡による退院も増加傾向にあり、入院期間にかかわらない全体で言えば毎年2万人超、それから、1年以上の長期入院患者で言えば1万人超の方が死亡として退院という形になっています。精神病床の数を見ると、減少傾向ではありますが、入院患者の減少幅に比べて小さい状況になっています。

 右側ですが、これらの状況を踏まえ、特に今回、先の通常国会で成立した改正精神保健福祉法に基づくいろいろな退院促進措置等を行っているということです。一番上は、退院促進というか、手厚い医療を提供するということで、急性期は手厚く密度の高い医療の提供が必要ということで、医師等の配置を一般病床と同等とすることを目指すことにしております。

 次の四角の中ですが、今回の法改正に基づいて大臣として定めた指針の中で、新しい入院患者は原則1年未満で退院する仕組みを作ることを目指すとしております。法律の改正事項の中で、精神科病院の管理者に医療保護入院者を中心とした退院促進のための取組を義務付けております。

 一番下の四角ですが、第4期障害福祉計画に係る国の基本指針の中で、1年以上の長期在院者数に係る減少目標等を設定しているということで、左の所で精神科入院医療については人員配置が薄い、長期入院患者が多い、病床が多いという現状でしたが、最近の動向として、手厚い医療を提供できる体制を作り、地域移行を進めるといった方向で取り組んでいます。

 そして、これらを踏まえて、どういった形の将来像を目指すのかということで、これまでの議論を集約すると、長期入院精神障害者の地域移行をより進めることによって、精神病床を適正化し、不必要となる病床を削減することが1点目。それに併せて、その資源を急性期病床や地域医療といった必要な医療に集約することによって、良質かつ適切な医療の体制を実現することが将来像であろうかということでまとめさせていただきました。

 資料4です。枠囲みの一番上にある「将来像」は、今申し上げた資料3の一番右と同じことを書いておりますが、その将来像実現のために必要な具体的方策は何かということを整理しました。

1点目は、本人を中心に考えた場合の支援です。具体的には、これまでア-1、ア-2、イといった形で、退院意欲の喚起、本人の意向に沿った移行支援、地域生活の支援といったフェーズがあるということで議論いただきましたが、そういった本人を中心に考えた場合の支援が必要ということです。もう1点が、病院が病床削減できるための方策を考えるべきではないかといった点があったかと思います。

  以上を踏まえ、マル1マル2を下のほうにイメージ図として図示しました。左側にあるのが、病院です。病床としては、急性期、重度かつ慢性の所、それ以外の所は生活の場に近い病床になっているのではないか、ということで整理しました。ここで、先ほどの本人を中心に考えた支援をいろいろ行うことによって、上のピンクの所ですが、そこで入院しておられた患者さんが地域移行をする。移行先としては、住まい・施設といったものがありますし、その過程では、宿泊型自立訓練を使って地域に移行するといった形があるかと思います。

 それによって、斜線が引いてありますが、患者が退院した病床ができてくるということです。ここで働いていたスタッフをどうするのかということで、必要な医療へのスタッフの集約ということで、左側に黄色の矢印が出ていますが、重度かつ慢性、急性期、それから右下に矢印が出ていますが、地域生活を支えるための医療・福祉といったところ、必要なところにスタッフを集約したり、地域移行させたりするといった流れが想定できるかと思います。そこにあった病床を削減し、そこに新たに患者を埋めないといった観点も大事ではないかということで、そこがどうなるのかはまだ御議論がなかったので、そこについては、病床を削減し埋めないという考え方だけ示しております。

 以上の論点をまとめると、一番下にありますが、前回の検討会でもありましたが、生活の場に近い病床や、患者が退院した病床をどうするのかという論点が1点。急性期等必要な医療に、その資源としてスタッフ等を集中するためにどうするのかといった点が2点目。右側に、住まいとして、自宅、アパート・公営住宅、グループホームなどがいろいろありますが、こういった所に長期入院の精神障害者が住まいを確保できないのはなぜなのか、といった点が論点としてあると整理させていただきました。以上が、資料2の冒頭にあるような、今回御議論いただいた「総論」を整理したものです。

 具体的方策については、いろいろと構成員の皆様から課題やそれに対する対応策を考えていただきましたので、それをア-1、ア-2、イ、更にその中でグループ分けして整理したものが資料2です。簡単に御説明すると、ア-1「退院に向けた意欲の喚起」というフェーズでは、大きく分けて3つがあるのではないかと整理しました。

 前回、退院支援意欲の喚起というお話もありましたが、(1)は「病院スタッフからの働きかけの促進」として、マル1病院スタッフへの地域生活への理解の増進といったことで、例えば、病院スタッフに研修を行ったり、病院スタッフが体験する機会を設けたり、それから、教育について在り方を検討すべきではないかといった点がありました。マル2ですが、その退院意欲の喚起を行える環境の整備です。こちらが先ほどの構造的な面も含まれますが、経営モデルとしてどうあるべきか。それから、医療職が地域移行するためにどうすべきかといった点であったかと思います。

(2)は「外部支援者等との関わりの確保」ということで、大きく分けて2つです。マル1はピアサポート等の更なる活用、交流機会の増加等が考えられると思います。マル2として、地域の障害福祉事業者等の更なる活用ということで、これについても地域移行支援の更なる活用というか、退院の意思が明確でない状態からの支援の検討、精神科病院の開放的環境の整備推進などが考えられると思います。

(3)は「その他」として、家族に対する、家族が精神障害者の退院を受け入れやすい環境の整備といった点も、ア-1の「退院に向けた本人の意欲喚起」のバックグラウンドとして必要ではないかということでした。

 以上、(1)から(3)共通で進めるべき話として、都道府県、保健所、市町村の役割の検討や人材育成といった包括的な支援を実施するための体制整備。それから、行政が入院患者の実態把握を進めるといった方向性もあったかと思いますのでまとめております。

 続いてア-2のフェーズです。「本人の意向に沿った移行支援」ということで、言い換えれば本人の状況に応じて移行先に適切に「つなぎ」「振り分け」する機能の強化が重要であろうという方向性が合意されたかと思います。大きく分けて2つの点があるかと思います。

(1)は「地域移行後の生活準備に向けた支援」ということで、例えば2つ目の点ですが、入院中からの介護保険サービスや障害福祉サービス利用の検討と準備。3つ目の、地域生活の体験機会の確保といった点が挙げられたかと思います。

(2)として、宿泊型自立訓練といった生活訓練の更なる活用といった形の「地域移行に向けたステップとしての支援」があるという整理をさせていただきました。これら2つについても、行政の役割、人材育成といった包括的な支援を実施するための体制整備が併せて必要と考えております。

 イの「地域生活の支援」については、(1)「居住の場の確保」が重要な論点かと思います。マル1~マル3に挙げたような居住先がいろいろ考えられますが、それぞれについて長期入院。高齢の精神障害者の受入れに係る課題の解消に向けた検討が必要であるということで見出しを付けております。

(2)は「地域生活を支えるサービスの確保」です。先ほどは住まいの話でしたが、その住まいに住んでいるときの地域生活を支えるサービスとして、医療サービス、福祉サービスなど様々ありますが、これらの充実や既存施策の更なる活用といったものが考えられるかと思います。

(3)は「その他」ということで、緊急時における家族の相談を受ける拠点となる機関の検討も重要な点かと思います。

 以上が、これまでの具体的方策として御議論いただいたものを整理させていただいたものです。

 続いて参考資料12について簡単に説明させていただきます。前回、作業チームで構成員の方から質問がありました。医療法人がどういう業務をできるのか、病院内にどういうものが置けるのかといった質問でしたが、既存の医療法上の整理を示したものとして参考資料1を作成いたしました。順序が逆になるのですが、「2.病院内で行うことができる業務」を御覧ください。その下に医療法の規定を書いていますが、病院とは医業を行う場所ということで、この目的の範囲内に限定されているということで、病院として許可を受けた部分には、原則として社会福祉施設等を設置することはできないこととされています。

 その上で、左側の「1.医療法人が行うことができる業務」です。医療法人は、先ほどの「医業」を行いますが、そのほかに、医療法の42条に掲げるような、保健衛生、社会福祉等に関する附帯業務を行うことができることになっています。例えばですが、医療法人が自ら所有する土地等を利用して、保健衛生に関する業務として介護予防サービスやサ高住の設置を行うことができるということになっています。また、普通の医療法人はできないのですが、社会医療法人の認定を受けた医療法人については、収益業務を行うことができ、この中で、例えば賃貸業といったものを行うことが可能ということになっています。以上が現行の医療法上の整理です。

 関連して、参考資料2です。「障害福祉サービス事業所等の病院敷地内の設置について」どうなっているかということです。上の段の「グループホーム」ですが、グループホームについては、右側の「国が定める基準」、これは省令で定めていますが、各自治体が参酌すべき基準も規定しています。その中でグループホームについては、まず1点目として、住宅地又は住宅地と同程度に利用者の家族や地域住民との交流の機会が確保される地域にあることというのがあり、かつ、2点目として、入所施設又は病院の敷地外にあるようにしなければならないといったことになっています。2点目については、医療法の規制と同じということですが、前段の条件があるということです。

 グループホーム以外の「その他のサービス」については、設置の可否について特に定めはないということで、医療法の規制と一緒ということです。※にありますが、この参酌すべき基準については、各自治体が地域の実情に応じて、条例において別の定めをすることができることとなっています。ちなみに、次のページには参考に、グループホームのサテライト型に関する資料を付けておりますので、適宜御参照いただければと思います。以上です。

 

○樋口座長 

それでは意見の交換に入りたいと思います。今の説明にもありましたが、これまでどちらかと言えば、ア-1、ア-2を中心に前回御議論を頂いたと思っております。本日は、イの「地域生活の支援」について最初に取り上げて、後半にア-1、ア-2に戻って、これまでの御議論に追加する御議論を頂ければと思います。もちろん、前回に申し上げましたが、相互に関連するところもありますので、厳密にそこを守っていただく必要はないと思いますが、一応、そういう仕分けにしていきたいと思います。イの「地域生活の支援」に関しては、先ほどお話を賜わった阪井代表に対する御質問等も含めて御質疑を頂ければと思います。それでは、御質問をお願いいたします。

 

○千葉構成員 

尾崎補佐の説明で確認をしたいのですが、参考資料1の「医療法人が行うことができる業務」の説明ですが、医療法人の附帯業務についての社会福祉等に関する附帯業務のところは、第2種社会福祉事業が可能ということで、更正施設であるなどといった第1種ではなくて第2種、つまり、グループホーム及び自立支援云々というところについては可能であるということでよろしいのですよね。

 

○尾崎課長補佐 

はい。おっしゃるとおりです。

 

○柏木構成員 

阪井さんに質問をさせていただきます。まず1つは、グループホームは余りテリトリーの中にないということですよね。その理由をもう一度確認させていただきたいということです。

 もう1つは、地域で長く住んでいらっしゃったら、徐々に高齢化されていく方もいらっしゃると思うのですが、民間の賃貸住宅等になりますよね。そうすると、TSといったような、あらかじめ整えられた所ではなく、民間の住宅だとかなりバリアの問題などが様々出てくると思うのです。そういった場合どのような、例えば住替えなどをされていらっしゃるのか、あるいは特養等に申込みをされるといったことまで想定されているのでしょうか。細かくて申し訳ないです。

 

 

○阪井ひとみ氏 

私はグループホームというのが2種類あるような気がするのです。理解不足かもしれないのですが、1つは、病院が経営されているとか、施設が中心となさっておられるような所です。グループホームと言えるかどうか分からないのですが、そういう所は御本人の気持ちが中心ではなくて、支援者の気持ちが中心という所が多い気がします。私が何度かお邪魔をしたときに感じたのが、朝御飯は8時から、お昼御飯は12時から、晩御飯は3時半、4時から。それはなぜかというと、そこに働く職員が5時には帰りたいからなどというような所が、岡山だけではなく、ほかの県の施設もあったのです。それだと、御本人の希望が中心ではなくて、支援者の気持ちが中心だし、それから、やはり本人が生きたいように生きるというのが健全な生き方ではないかと私は感じているので、できるだけ、社会に出て、自分らしく、自分の買いたい物を自分で買う。

 私も高齢の祖母を持っておりましたので、スーパーに一緒に連れていくとか、自分がやりたいことをさせると、人から与えられるのではなくて、やはり自分でやることで、今まで不得意だった部分がちゃんとできるようになったりするのです。ですから、そういうふうに、自分の意思で自分の思うようにさせてあげたいというのが私の思いなので、グループホームというのは私のテリトリーの中には入っていません。

 グループホームでも今は自由にアパート型のものがあり、それは受け入れたいとは思っているのですが、私は箱屋ですので、中のハートを入れるのは私の仕事ではありません。ハートは福祉職の方が皆さん頑張っていただけるというところで、私は、箱を用意するのが私の仕事だと思っていますので、そのことに専念できればと思っています。

 それから、もう1つ、高齢者になったらどうなのだろうというところがありますが、今、国交省で大家さんに対する改修工事の助成金が出ていますので、そういったものを活用していただいたり、マンションなどになってくると、大学生が使っっているマンションみたいなものはほとんどバリアフリーです。ここ20年ぐらい作られている物件は、高層になると岡山の場合は3階以上の建物は、エレベーターが付いていますし、ある程度、福祉のワーカーさんやケアマネージャーさんなどが、医療器具メーカーさんを呼んでこられて、きちんと手すりを付けられたりされることが多いのです。今のところそれで困っているというよりは、最後まで部屋に住んで、部屋で亡くなりたいと言われる方は、私は、お部屋で亡くなられるのも受け入れています。

 

○柏木構成員 

ありがとうございます。

 

○伊藤構成員 

恐縮ですが、少し長くなります。箱屋とすごく控え目におっしゃられましたが、大変立派なお仕事で、感銘を受けました。質問ではないのですが3つあります。

1つは、御発表の中で、岡山県の精神医療センターに練習棟・訓練のお部屋があるとうかがいました。中島構成員がこの会の委員でもありますので、後日でいいですので、詳しく内容を是非教えていただきたいです。事務局によろしくお願いします。また、いろいろと調べていただきありがとうございました。これが1点です。

2つ目、3つ目は、取りまとめの段階で加えていただくことを検討いただきたいことです。2つ目が、資料3で「精神科入院医療のこれまでと今後」をまとめていただき、整理が付きました。できれば、加えていただきたい点が1つあります。今まで政策的に様々な取組を行ってきたということを是非、加えていただきたいと思います。具体的には、1996年に精神科の急性期治療病棟をはじめ、入院医療の急性期化を国としても進めてきました。また、外来医療もどんどんできるように進めてきている。さらに、社会復帰施設のいろいろな取組・枠組みも作ってきて、いろいろな試みや工夫を今までしてきたのです。重要なのは、これまで努力してきたのに、病床数は変わっていないということを、現状認識として理解したいという点です。これまでの経緯に加えて、次に何をしなくてはいけないのかというのが、現在この検討会で議論されているという点です。これが2つ目です。

3つ目は予算面です。資料4を作っていただき、大変踏み込んだ資料で、大賛成であります。1つ加えると「将来像実現のために必要な具体的方策」のマル2の「病院が病床削減できるための財政的な方策等」の点です。必要なお金という側面がありますので、少し学術的な話をします。数年前に「世界精神医学会」という学術団体に精神保健医療の在り方を考える委員会ができ、報告がなされています。興味深い点の1つは、今までの各国の精神科医療の在り方の政策の中で、やはり変わるために移行するコストが必要になってくるという点です。特に日本は民間医療が多いのですから、変わることを促進する経済的なインセンティブが必要であることを示唆しています。興味深いもう1つは、今まで入院にいた方が地域で支援をしていくということは、結局、メニューがそれぞれ個別化していくという点です。サービスもいろいろ作らなくてはいけませんし、それを患者それぞれで個別に組み合わせる必要があります。これには費用も必要になってくる。つまり、病床削減イコール予算の削減ではないのです。逆に、必要な予算がいろいろ出てくることが予想できます。病床削減と医療費削減は別の議論であること、本検討会ではこれからの日本のあるべき精神科医療施設の仕組みを考えるために議論しているということを是非加えていただきたいと思います。長くて申し訳ありません。以上3点お願いいたします。

 

○伊澤構成員 

先週の本委員会と、このワーキングの落差がすごくあります。基本的な、理念的なところを前回大きく確認をしました。精神医療の基盤整備をしていくときに、ほかの診療科目との格差を是正していく、これをなくしていく、そして病床をまず減らしていくことを前提に考えていく、そういうことが議論としてたくさん出て、そこは大きく確認をされたという気が私はすごくしていて、本日のワーキングはそこを土台にして話されるのではないかと思っていました。細目というか各論についていろいろと資料を出していただいて、特に参考資料1や参考資料2は、本日初めてお目に掛かるというか、事前には頂けなかった資料で、違和感を感じております。

 病棟を転換して施設を作っていくという流れが、この検討会の議論の流れの中で、出ては消え、出ては消えというか、本格的な話にはなっていなかった。いよいよここで大きく舵を切るというか、その方向を追求していくのかなというところでの資料出しなのではないかとも思われて。

 参考資料1に関しては、医療法人ができ得る社会福祉事業ということで、先ほど千葉構成員から御質問もありましたが、これは、第2種社会福祉事業のグループホームも実施ができるというお話でもあります。そうなると参考資料2にあるグループホームに関しては、参酌すべき基準として院内では行わないということも、囲みの外にある、要するに自治体の裁量で条令によって、そこはしていくこともできるというようなことで。こういう情報がいろいろ集まってくると、流れとしては、もう、していくような方向なのだろうか。そういう形で展開していくのだろうか。私は立場的には非常に危惧を強く持っていたりもしています。院内の施設整備については、基本的に反対の立場をとらせていただきたいと思います。

 

○広田構成員 

何の危惧。

 

○伊澤構成員 

病棟転換しての施設整備です。居住型の施設を整備していくという方向については、反対の意を唱えさせていただきたいと思っておりますし、そういう意味では、今回のこの流れは、ちょっと自分の中では非常に大きなショックを覚えています。

 

○樋口座長 

よろしいですか。

 

○伊澤構成員 

一旦切ります。

 

○尾崎課長補佐 

参考資料12については、以前の作業チームで構成員の方から宿題として頂きましたので、それの現状の規制等がどうなっているのかを事務的に整理させていただいたものです。

 

○伊藤構成員 

私が質問した資料です。

 

○樋口座長 

そうでしたね。それに対する返事ということですね。

 

○伊澤構成員 

事前に配信いただけていなかったところもあり、唐突感を否めないと申し上げたかったのです。

 

○良田構成員 

前回の検討会は、私自身すごく悩んでしまって何も言えなかったのですが、やはり、今、阪井さんがおっしゃった言葉の中に、幾つかとても心に響いた言葉があったと思います。その中でも私は、やはり皆、社会に戻りたいと思っているということや、皆がだんだん地域の人になっていくということに、とても気持ちを動かされました。

 前回のヒアリングや調査の報告でも、うんと素朴に考えると、やはり多くの入院者の方は病院から退院したいと思っているし、病院の外で暮らしたいとも思っているし、また、安心して生活したいとも思っていらっしゃるのだなということを素朴に感じたわけです。そのためのヒアリングだったのかなと私は考えています。

 そのときに1つだけとても驚いたのは、とても細かいことなのですが、長期入院者の方の障害年金の受給率がすごく低いことです。家族会で障害年金の調査をすると、約8割以上の方が障害年金をもらっています。ですがここでは45割の方が未受給だったと思います。家族会で年金をもらっていない方は、もう、どうにもこうにも、工夫しても無年金にならざるを得ない方なのですが、病院の方は、どうしてそんなに障害年金をもらっていないのかなと思ったわけです。そのときに、ほかのこととも合わせて、やはり職員の目が、何というか、余り長期入院者の方に向いていないのではないかと。一人ひとりのいろいろな可能性や思いということに向いていないなと感じたわけです。ア-1(1)にも関係するのですが。ですから、私はやはり、もう少し病棟内の方が、患者さん一人ひとりに目を向けるようにしていくことによって、地域移行はもっと進むのではないかと思いました。

 私が、ある県の家族会の総会に行ったときに、県の福祉部長さんが、この県では地域移行にお金が出せるのに1件もないのはなぜですかと質問されて、ちょっとどぎまぎしてしまったことがありました。どうしてだろうかと。病院がそういう方向性にないのか、それとも、地域の人がそれを受けとめようとしないのか分かりませんが、1件もないと。「1件もですか」と言ったら「1件もないんです。もったいなくて仕様がない」とおっしゃっていたのです。ですから、私は、関係者の方がもっと努力をしていくことができるのではないかと思っています。

 単に病床を、例えば仮にグループホームにしても、僅かな人数だと思うのです。その人たちを病院に残すということだけで何かが解決するとはとても思えないので、やはりここは、しっかり地域移行をそれぞれの病院の中で、あるいは地域の人たちが手を結んで一生懸命頑張ることではないかと。非常に素朴な意見かもしれませんが、そう思いました。

 空き病床をどうするのかということも確かにあるのですが、やはり、前回の検討会でも出たように、入院費はもっと上げて、病院全体がきちんと良い経営をしやすいようにすることが大事ですし、それから、病院の中に、まだまだ、例えば休息入院したいのに救急病棟に入ったなどということはよくあるわけです。そういうのではなくて、休息できるような病床なのかスペースなのか分かりませんが、あるいは入院患者さんが学習できるような学習室とか、あるいは運動ができるような体育館とか、もう少し施設のいろいろな活用方法を皆で考えてみたらどうだろうかと思いました。家族としての本当の素朴な気持ちなのですが、病床を何とかするなどというよりも、何とか今の地域移行を活発にやる方向で考えていけないかと思ったことをお伝えしたいと思います。

 

○樋口座長 

ありがとうございました。

 

○広田構成員 

今日、坂井さん来ていただいてありがとうございます。私ずっと、「この国の精神障害者の社会的入院を含めた精神障害者の課題は、1に住宅。住宅だから、所管の厚生労働省と内閣府と国土交通省と連携してやってください」と発言していたのです。

それで今日は、下でストップ精神科病棟転換型居住系施設というのを、私の仲間を含めてみんながチラシを配ってマイクで話されていた。423日から私はまたマスコミのスポットライト浴びている。たまたま25日にこの作業チームがあって、24日の晩、マスコミ関係者と電話で話していたら、「広田さんが攻撃されている」、「メールなどで」。でも私の所には一切来ていませんが。「広田さんから見て、一般的に名誉毀損で訴えるような内容」ということで、翌日ここへ来たんですね。そうしたら記者さん達が来て、取材を受けました。

この間、私は休息入院を何度も繰り返しています。国及び地方自治体の委員会に出ていて、関係者にたたかれる。そうすると、この業界に近い記者は「国民は関係ない」となってしまう。そうではない親しくなり信頼関係のある普通の感覚を持ったマスコミ関係者たちに、「日精協のアドバイザーになったことも含めて、謝金もちゃんと公表する。国の議事録に向かって、国民に向かってわかりやすく」と、アドバイスされている。

 それでここで言っておかなければいけないのは、何度も言っています。私が厚生労働省の委員になって、12年したときに、「厚生労働省は厚生省の時代から、精神障害者当事者を委員に入れたいと思ってきた、ずっと前から。」恐らく私が厚生省に来始めた21年前からでしょうね。「でも、結局誰を入れても関係者につぶされちゃうから、入れちゃいけないと医者や関係者がずっと言ってきた」とヤドカリの里の谷中さんに言われた。

200168日、池田小学校児童殺傷事件は、大阪の事件だったけれど、なぜか関東の私に取材が殺到して、毎日放送という大阪の放送局には、「大阪で頑張っている山本深雪さん」を紹介した。赤旗も私は読んでいないから、神奈川の患者会会長の小坂功さんを紹介した。スパという週刊誌はお断りしましたが、あとは全部対応した。それは母が亡くなったお通夜の打ち合わせをしているところから始まった。そのときがあるから今乗り越えている。

 もう1つ次の山場は、厚生労働省の3つの不祥事。これも私に取材が殺到した。家まで、「厚生労働省の現役の」官僚たちの写真を探しに来た記者たちもいた。私は3つとも一切話していません。あの時、障害者の団体にも迷惑がかかった。第3種郵便のことで郵政事業者から私たちは呼ばれて、「こうせい、ああせい」と言われたから、私は「厚労省の不祥事で私たちとは関係ない」と反論したけど、厚生労働省がきちんと話をするべきだとずっと思っています。

 次が今回で、私は何でたたかれているのか分からない。私の家に子どもを連れた精神障害者が泊まりにきますが、近所の子どもと遊んでいるとき、近所の子供が泣きながら、家に泊まりに来た男の子をたたいたんです。私も周りの人も何でたたいているか、たたかれているか分かんない。たたかれている子供本人も分からなかった、泣いているだけで。あとでたたいた5歳児にゆっくり聞いたら、「寂しかった」。「一緒に遊びたかったのに何々ちゃんがあっちに行っちゃった。」今回のこともたたいてる側から何の説明もないから、分かりません。

 たたいているメールもたたいている文書も傍聴人に渡されて読みました。423日からたたかれ始めたけれど、その前の国の議事録を読んでいただけば病床転換のことで私をたたくのは的外れということです。

 私は、今でも分からない。例えば保岡さんという後に法務大臣になった自民党議員の個人的な勉強会、元朝日新聞論説委員の大熊由紀子さんも来ていた。重大な犯罪を起こした精神障害者の処偶に関する勉強会に招かれた時。イーライリリー社のアンチスティグマ拡大実行委員会の実行委員もやっていた。古くは神奈川新聞の地域モニターを神奈川新聞から頼まれた。それから厚生労働省も神奈川県も横浜市も内閣府も謝金をもらう形で言うべきことを発言をしてきた。そういう形でサバイバーになる前からやっているので、何で日本精神科病院協会のアドバイザーリーボードだけたたかれているのか分からない。ただ、谷中さんが言ったところの意味がすごくよく分かります。「誰が出てもつぶされちゃうから、入れるなと我々関係者や医者たちが言ってきたこと」が明確にわかった。中谷さんは、その時「でも、あなたなら大丈夫」と言っていましたが、今は亡き人で、「生前、広田さんのことをよく話されていたので来て下さい」と昨年も言われています。

 それで、この精神の業界に近しい記者って何人かいらっしゃいますが、それ以外の記者は何かあれば、「精神の業界はおかしいからね、広田さん」と言っていた。そういうことがないように、今日お出で下さった坂井さんも含めて、国民の一員としてここに出ているみんな、座長、厚生労働省の事務方含めて、誰もが、安心して民主主義の中で異論を述べ合って、喧嘩同然になるまで述べ合える安心した場の保証が必要だということを冒頭に申し上げて、これから意見です。いいですか。

 

○樋口座長 

どうぞ。

 

○広田構成員 

1つ、資料4です。さっき伊藤さんは賛成しました。私は、いわゆる患者が退院した病床、病床の削減のここは、いろんな全国の精神科病院泊り歩いてますが、スタッフの地域移行という斜めは要りません。既に、患者の脱精神病院ではなくて、医者やスタッフの脱精神病院化がずっと続いていて、精神保健指定医が不足して、精神科救急ができず、今晩も全国都道府県警察の現場、保護室、生活安全課の取調室、ロビーに精神科救急等を必要としている人が警察官の負担を増やしている。本人の人道上の問題。スタッフの地域移行は、厚労省としてやるべきでない。スタッフの脱精神科病院が問題を起こしている。

 それで、日精協さんのことは、たたかれることが想定内で、日本精神科病院協会アサバイザリーボード、社会保障審議会障害者部会で既に配ってます。1300円、200円、年収200万の髪も自分でカットしている私が自費で作りました。報道各社等に今後もお渡ししますが、最後の所を読みます。

 これでたたかれたら誰も出られない。当事者も誰も出られません。引用部分です。河崎副会長が。「ではやっぱり最後の大トリは」って、私のことですね。「大トリも何もない。私が何度も言いますが、肩を寄せあったり相互支援してそれでいて自律している。自律できる人ももたれ合っているのが現実ですが、どんな病気や障害があっても許容される愛のある社会があって、そして教育に入れるのは絶対反対。ほかのそういう古い考え方もなくして、新しい時代に誰もが寝ないと大変なことになりますよ。寝て食べて本音を語りましょうぐらいにしておくこと。

 是非、山崎先生にはWHOで世界同時多発認知症予防、うつ予防をやっていただきたいということ。サッチャーもレーガンも認知症。うつで国家的にも大損失ですから。それから世間に向かって厚生労働省とかマスコミと言われるときに、日精協自身も反省していますという言葉を明確に入れることが見識だと思います。私は20011219日、社会保障審議会障害者部会の臨時委員になったときから、日精協の責任も公式に発言してきました。

 病棟転換は何度聞いても反対で、そこにソファーを置いたり、素敵なカーテンを付けたり、机を置いてお花を飾ったりするほうが退院に向かう。山崎先生が「最後はそこに進むんですがね」といったところに、私が「それは病棟転換とは言いません。アミニティーを広くします。」それで入院している患者さんが65歳以上5年未満だけじゃなくて、みんなどんどんお見舞いに来てもらって、入院中に本人がリスクを覚えることは大事なことなんですよ。いわゆる温室状態の中にいる患者を退院させて、それで世間に出ていったら大変な状態になる。そうすると再入院ですから。リスクを受け止められる看護師も必要になります。看護師の質も求められるんです。そういうふうな柔軟性を持つスタッフであって、プライドを持ち、お仕事をする。スタッフがブライドを持たないと患者もプライドを持てない。国民のための当たり前の医療にしていく。

 精神科医療の拡張でなく改革を。そのためにも国内の拉致被害者ともいえる社会的入院者の解放、病床削減、手厚いマンパワー、きちんとした診療報酬、住宅施策の充実、安心して24時間利用できる精神科医療、ホームヘルパー、そして地域の愛ということです。子供も高齢者もそして障害者も、誰もが安心して買物ができたり、会話のできる商店や商店街が栄えるといいと思います。そうすれば、今流行の相談支援に依存しなくなる。人間が生きていく上で大事なのは、相談でなく会話だと思います。」ここで河崎先生が「ちょうどお時間です」ということになります。

 精神障害者のコロニーのような、精神医療と精神障害者福祉に特化しないで、私の家には、立場のある人も含めた、多くの人や子供も来ました。商店街が近くにある、近隣のいろんな人間模様もあると思います。ただ、ラッキーにも私は忙し過ぎたり、第三者の話には若い頃から関心がない性格なので、お花の話がメーンで近くのスーパー銭湯で多くの人と交流したり、行く先々で社会を学びながら暮らしている。さっき坂井さんが言った、みんな寂しくて不安なんですよ。それは何も精神障害者だけではなくて、かもちゃんも不安だし。安倍さんだっていつたたかれるんじゃないかと、ちょっと今あの顔では不安じゃないみたいだけど、たたかれたら不安になると思いますよ。そういうふうに誰もがあの精神病棟に何十年もいたらそうだろうと想定をして、我がことのように考える。良田さんも自分を責めないで、家族だからといって。私が何度も言っているように、厚生労働省が隔離収容施策を謝罪して、ひとりひとりお金を付けるのではなくて、国民の理解と合意と国民の愛ですよ。それが大事だと思う。

 この間、会場にいた読売新聞の原記者が、「国民のことなんか関係ない」と言っていたけど、「この業界に深入りし過ぎちゃっている」ということを、ほかの社の記者が前に言っていました。「何て言ったってPSWという資格を持っているから、原さんは別格です、広田さん。」と言っていました。誰もが安心して暮らせるようになれば、私はめでたく日精協のアドバイザリーボードを引けます。入らざるを得ない状況の精神科医療。私のような若い頃からのいろいろな体験があって大らかな許容ある人柄でないと今は入れない。国や地方自治体の委員に入ったり講演や患者会活動やって自死されたり、関係者につぶされてしまった仲間が多勢いる。

1日も早く私が日精協のアドバイザリーボードを引けるように、国民の精神科医療にしたい。皆さんよろしくお願いします。病棟転換はこの中で言うまでもなく、もう10年以上前からずっと反対しています。それから、去年830日、総理官邸での消費増税、その時も社会的入院の話も言ってます。「34万人入院しているうちの20万人は社会的入院。」と話をしています。

24年間精神医療の被害者になった私は記者から取材を受けていますが、今度のような本人には何の話もせず、いきなりたたき始めることはやめるべきです。厚労省委員はお笑いタレントでも女優でも政治家でもない。ワイドショーみたいなことはやめるべきです。ここで記者の皆さん、現在取材を申し込まれている方もいらっしゃるけれど、来ていたらごめんなさい。今、私10の役職を引いている最中で、貧乏多忙で、その取材にお答えできてないんですけど、今後も個別には答えますが、私が必要と感じたときには、厚生労働省の2階講堂で、内外の記者、週刊誌、夕刊誌も私は消費増税で出ています。各社に親しい人がたくさんいる。言わなければいけないと私が判断したときは記者会見をやる気構えで国の委員を担ってますけど、そういう騒ぎにせずに、誰もがお互いを信頼して、ヒューマンという愛を持って私は一住民としての立場と精神医療サバイバーの視点で公明正大にやっていきたいと思います。以上です。

 

○樋口座長 

どうもありがとうございました。

 

○野沢構成員 

病床転換や病棟転換というのは異常に批判が強くて、「びょ」っと言っただけでもう議論ができないような状況になりそうなのですが。私は前から言っているのですが、定義がみんなそれぞれ違いながら言っているのではないかなという気がして。病棟を模様替えして看板を変える。これは典型的な病棟転換だと思っていて、これは明確に私も反対なのですが、では医療法人が、病院の敷地外にグループホームやサ高住を作るのはどうなのかとか。これはいくら反対しても、今の法律では認められているわけですよね。あるいは空いている敷地内、結構一等地もあったりするものですから、もったいないということで、病院が経営するのは駄目だけれども、せっかく空いている敷地内で良い所であれば、地域で困っているNPOがそこの土地を借りて、グループホーム等を作るのはどうなのかとか。あるいは病院がグループホームや何らかのものを作るとして、入院している人は地域に出して、地域で行き場がなくて困っている人をそこに迎えるのはどうなのかとか。いろいろなことを具体的に考えて検討したほうがいいのではないかと思っています。それが1つです。

 前回の親会議で田尾さんが、何としても病床を減らさなければいけないと言ったのは、私は全くそのとおりだと思っていて、やはり経営者の合理的な判断があれば、病床があれば埋めますよね、合理的な経営のことを考えれば。非常に患者さんのことを考えればそうしないと思いますけれども。では病床をどのように削減できるのかということを考えなければいけなくて、例えば公的な病院だったら削減できるのだろうと思うのです。これは国や自治体の政策によって。ところが民間の病院はどのように削減できるのだろうかというところで、私は考えてもなかなか明確な答えが出てこなくて。イタリアはどうも公的な病院だし、フランスに行っても公的な病院は削減できるけれども、民間は削減できないのですよ。

 実際そこに市場原理が働けば、そういうのが淘汰されていくものなのでしょうけれども、やはり何らかの精神症状があって、生活が困窮していたり、家族が困っている人は今は地域にたくさんいらっしゃいますよね。そこでお医者さんが入院が必要だと言って、家族や福祉施設が、もううちは見切れませんということですが、今いる統合失調症の方は外に出てもそれを認知症が埋めていくし、今度は労健局で認知症を入れないようにしようとやっていますが、認知症が入ってこなければ次は鬱の人たちが入ってくる。実際に入れている病院はあると言われています。あるいは行動障害のある知的障害、発達症害の方はどこでも困っているわけですよね。今度そういう人たちが埋めてくる。やはりこれは、病床を減らす以外にないというように思うのです。民間の病床をどのように減らせるのかというのを、是非教えていただきたいです。

 もし減らせないのであれば、この資料4のマル2「病院が病床を削減できるための財政的な方策等」を考えざるを得ないと思います。これを考えたときに、結構反対する人はいると思います。病院へお金出してどうするんだというようなことを思いますが、病院を経営する人のためではなくて、新たな入院患者をつくらせないためにこういう財政措置をするというのは、それはそれで私は合理的な考えかもしれないなと思います。お金を出して1病床いくらで減らしてくれと。これがいいのかどうなのか。あるいはそんなお金を出すのはもったいないというのであれば、病床を減らした分、病院が経営を変えて別のもので経営をする。それを後押しするというのは、それはそれで考える価値はあるのではないでしょうか。

 そこまで話がきた上で現実的に考えたときに、真新しい病棟を潰していく、これは抵抗があるし、もったいないような気がするのです。それよりも、古くて建替え期にきている病床というのは、どこにどのくらいあるのかというのを是非知りたいと思います。できればそういう所を具体的に課題に挙げながら、その地域で何が足りないのか、あるいは経営している人たちの意向を聞きながら削減していく。少なくとも建て替えさせない、あるいは建て替えても必要最小限のものにするとか、個別具体的に決めていくということは、やはり考えるべきだろうと思います。そのときに、具体的に削減することによって浮く資源、人でありお金であり場所であり、そういう資源をどういうふうに別の経営にできるのか。そのときにやってはいけないこと、やっていいこと、やるべきことの選択肢を具体的に挙げながら、その土地土地にあったものを考えていく。それなしにただ単に病床転換、病棟転換と言っても誰もきちんとした定義がないまま空中戦を続けても、何か余り意味がないのではないかと私は思います。以上です。

 

○樋口座長 

ありがとうございました。

 

○千葉構成員 

病院の立場から発言させていただくことが、私がここに出ている役目なのかなというところもありますので、少しお時間を頂いて、ちょっとゆっくりと聞いていただきたいと思います。

 野沢構成員がおっしゃったとおりで、また、前回のヒアリングで来ていただいた山本さんにお話を頂いたとおりで、どうして精神科の医療費を上げるように病院や病院団体が言わないのかというお話を頂きました。散々交渉もし、散々言ってきたつもりですが、なかなか精神科の医療費を上げず、一般の2分の1とか、2.5分の1とかいうような医療費に甘んじてきているというところも大きいかと思います。俗に、「安かろう悪かろう」と言われてやってきたというところもあるのではないかと思います。

 昨年度のいろいろな検討会の結果をもって、「機能の構造を変えていくのだ」、「質を向上させるのだ」ということで、例えば今回の精神科の急性期病棟には、お医者さんが一般医療なみの161を加算できるということで、それを付けていただきましたが、あれを取るためには、そこのあとにいろいろな条件がずらずらと付いており、その条件をクリアしないと駄目なんです。恐らく多くの病院ではあきらめざるを得ない、そういったブレーキをいっぱい付けていただいた。

 こういうことを考えますと、これまでの精神科医療の長期入院であったり、今の形を作ってきた原因の主なものは、厚生労働省の保険局の医療課なのではないかなと。また、それをコントロールをしない、国民のあるべき医療をきちんと話し合うべき中医協ではないか。また、それらを財政の下に圧迫してきた財務省ではないか。ある意味、それはコントロールした各内閣ではないかということになろうかと思います。

 我々もそういったような部分のところを、今までの中での内ゲバと言ったら何ですけれども、「医療が悪い・・・のなんの・・」と言いながらやり合っていることの時代を超えて、本当に病床を財政的にもきちんと削減できるようにやっていけるということの方策として要求することを、一本化していかなければならない。ですから、この検討会の報告書には、是非、その財政問題と今までの経過、「どこが圧迫をしてきて、どこがこの結果を作ってきたのか」については、是非、記載をしていただきたいと要求したいと思います。

 一般医療並みになれば、病床は多くなくても十分やっていけるということになるわけですから、そこが肝要なので、それがそっちへ向かおうとすると、いっぱいブロックを作ってくれる。またブロックを積み上げてきたというような、「極めて悪意のある精神医療いじめをこれ以上やめてくれ!」ということを、ここの全ての法に関わる一同が声を上げないといけないのだろうな・・・と感じています。

 もう1つ、私から皆さんのお手元に、1枚紙の表をお配りしました。前から思っていたことなのですが、「病棟転換とかいう言葉の意味が何なのだ」という曖昧さは、私も指摘していることですが、「本当に精神科病院が単純に病棟転換をして、グループホームにするとお思いになっていらっしゃるのだろうか?」というところを、数字的に追わせていただきました。「精神療養病棟VSグループホーム」というように見ていただければと思います。

 もし、病棟を変えると、そういったようなグループホームにするといった場合には、当然、個室化は必要なことですから、4床のお部屋を2部屋取るのがやっとだと思います。そういう改装をしたとすれば、60床の精神療養の病棟は、30人が入居できる施設になるというのがベースだと思います。それを推奨しているわけではありません。ただ、試算として見ていただきたいと思います。

 その場合、表の左側のほうは精神療養病棟60床の場合の収入、支出、その差益分の収益です。収入はそこにありますように、ざっと荒々ですけれども28,325万程度。支出のほうが25,545万程度。人件費の見込みは下のとおりです。税引き前の収益としますと、2,779万ほど残る。これから様々な税金を支払って手元に残った分で次の設備投資等への準備を行うというのが現在の療養病棟の会計です。これをグループホームにした場合、施設サービス費ローマ数字1、つまり41で世話人を付けるとした場合です。これは満杯に30人おられた場合。ただ30人でやりますと、大規模施設減算ということで、7%ほどの減額をされることになります。

 区分によって少し費用が違いますので、区分3から区分5のやや中程度から重度の方々を10人ずつというように振って見てみました。あとは、個々人から入居料を、これは青森県の生活保護額で出すアパート代です。これに対して1万円ほどの本人への補助がありますので、実際には本人たちは6,800円を出して済むだけなのです。それと本人たちが使う光熱費の収入ということで見ますと、年間に5,418万程度というのが収入になります。

 逆に今度は年間の支出ですが、頂いた光熱費でまた光熱費を払い、そしてそのほかの共有部分等の光熱費を払い、その他の諸経費は概算で月30万。ここをいかに抑さえるかが大変なのですけれども。人件費は、非常に年間の給与が低い人しか雇えない。この額で雇っても支出5,439万、よって差引き額は税引き前でマイナス20万程度、黒字にはなりません。ですから、いかにその他の経費を抑えないと黒字にならない。ただ、これは下の欄に書いてありますとおり、原価償却費を入れておりません。病棟のほうには入れてあります。もしこれを病床転換で病棟を使うことになりますと、病棟の原価償却費は大体年に1,000万ぐらいですが、これがかぶってくる。よって1,000万以上の赤字を出すことになります。

 人員配置のほうはどういう基準になっているかは、下を御覧ください。法定基準はそうですが、実際には療養病棟はこれだと夜勤が回りませんので、本来であれば大体平均的には25名ぐらいで、過配と呼ばれるように配置が多くなっております。グループホームのほうは、宿直若しくは無しでいいということになっていますから、この金額になります。

 これは御存じのとおり、青森県という日本でも辺地なほうの1病院のデータを基にしていますから、そういった意味では個別の特異性がだいぶ入っているデータになる・・・と、特に支出の部分については、むしろ逆に地方なので人件費等が安い等の問題からすれば、支出の出が少ないほうだと思っていただいていいかと思います。できればこれらの数字は、事務局のほうで調べようと思えば、あるいは試算しようと思えばもっといろいろな平均値から追いかけられるはずですので、より精度の高い資料として作ることができるだろうと思います。

 グループホーム30人のほうは、病棟の原価償却費を除いても、つまり敷地外にグループホームを建てた、そこで運用したとしても、この金額になる。つまり、長期入院の方々を施設を作って地域移行させる、病床を減らすということは、「ほとんどの病院にとっては会計上マイナスになる」。ですが、皆さん、ここを全く論議に入れない、頭に入っていない。どこかの某新聞社が記事にされたようですけれども、どうもそういうような具体性がきちんと審査されない。多少、「知性がない」と、・・・言わばそうですけれども。こういった収支の中を見ていただければ、「多くの病院が本当に病棟転換に喜んで向かうと思うのか?」と。

 では、どういったところがこういった赤字になることを覚悟してまで、病棟転換ではないにしても、グループホームや地域移行するのか?、そういうのはどういう病院の種類なのか?・・・お考えいただければいいと思います。それはただ稼ぐだけだったら、いかないほうがいいに決まっています。かなりの痛手を負いながらそちらに向かっていくというのは、『相応に精神医療の改革を意識して、こうあるべきと思って取り組んでいる良質な病院ではないのか?』・・・と思うのです。そういった病院が困らないように、そこの療養病棟が減ったとしても、急性期やそちらにシフトして、きちんと救急もやって、そういう病院になりたいと言っているところが、ちゃんと病床を減らしても食べていけるように、きちんとしていただくことが裏付けとしなければ、一緒にこの地域移行のお話は両輪としてうまく回っていかないと思います。

 病床転換やそういった危惧をされているところは、お気持ちとしては分からなくはないと思うのですが、ある意味、そこの部分を一生懸命反対をしていただいて潰すつもりでやっている方々も多いと存じますが、それは逆に言えば、長期入院者の行き所がないのだから、そのまま長期入院を続けて、療養病棟でこの分の費用を頂けるということを引きずることにもつながるという逆説的な見方もあろうかなと思います。

 お金のことをちゃんと考えていただかないと、精神医療改革は進められないと思います。私は前回の検討会では、敷地内外の話をさせていただきました。ハードの話ではなくて、『そこでどういうことが行われるべきなのか』ということが、プライバシーがきちんと守られるかとか、自由度をちゃんと確保できるのかとか、人権の擁護をちゃんとできるのか、そういったようなことが大切なことであって、『どこに作ったからどうだという話ではない』と思っております。以上、私のほうで今日は資料を提示させていただきました。

 

○樋口座長 

ありがとうございました。いかがでしょうか。あと発言されていない方、よろしいですか。今ほとんど、今回はイの所に焦点を当てて、地域生活の支援という所に焦点を当てて発言をお願いしていたのですが、残る時間が十分ございません。もしア-1、ア-2という前回の続きのところで、特にこれまでの議論の整理をしております。これが次回もう一度このワーキングで詰めて、それが最後になります。その次は検討会になります。そのときはこのワーキングから論点整理を提示して、検討会で検討していただくわけですから、そういう意味では中身がこれでいいかどうか、更に必要なことがあるのではないか。次回もまだ時間がございますから、それを含めていただいて結構ですけれども、是非この中も目を通して過不足についてのお話も頂きたいと思います。今の段階でそういうことも含めて御発言がもしおありでしたら、どうぞ。

 

○岩上構成員 

今、座長からもう少し細かい所もちゃんと見てくださいというお話でしたが、私の関心事は将来像と具体的方策を、是非進めていかなければいけないと。病床削減について、ここまで議論ができるようになってきたというのは、とても喜ばしいことだと思います。病床削減と手厚い医療にしていく、そこはここの中作業チームでは合意が図れるのではなかろうかと思うわけです。ですから、そこを強く打ち出していく。

 一方で、病床削減ができるための施策を考えるときに、野沢さんがおっしゃったようなことを、今後もう少し細かく考えていかなければいけないと思います。伊澤さんにお聞きしたいのですが、伊澤さんは病床転換を強く反対されているわけで、私も進めてくれと言った覚えはないのですが、この20万人が退院してきたときに、その支援がもうできる状況にあるのかどうかです。

 もう1つは、ここで何度も議論されているように、病床が削減されない限り、入院を勧奨していくことになります。これは柏木構成員もおっしゃっていたとおりです。そのために、先ほど合意が取れるであろうと言った手厚い医療にしていくということだけで、病床削減が図れるものなのかどうか。この2点について、是非、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

 

○伊澤構成員 

地域生活支援の体制は確かにまだまだ脆弱で、とても弱いと思います。ですから、今の岩上構成員の20万人の方々が退院をしていく、具体的に町で暮らしをしていくときの受止めは、正直、今はまだ厳しいと思います。したがって、地域生活支援の諸制度の拡充や受け止める力を増やしていく。今日のお話にありましたように、居住サポートを含めたそういう住まいの提供を中心とした、あるいはそのソフトの支援を増強していくような、総合的な包括的な地域生活支援体制をしっかり作っていくことがものすごく大事だと思います。

 そのためには財源の問題という話に当然なるでしょう。そこは数年前に総合福祉部会で骨格提言を出しました。そこではOECD諸国の平均並みの社会保障費をしっかり確保する。障害福祉予算についても、今の倍額を確保していく。ある意味では瞬間最大風速を強く吹かせるという財政処置が、非常に必要なのではないかと思っています。

 併せて、基盤整備の10か年戦略も一応提言としては掲げたわけです。そこで提唱した部分はとても重要ではないかと私は思っています。2点目は何ですか。

 

○岩上構成員 

病床削減のための手立てが、診療報酬を手厚くすることだけで政策的に誘導できるのかどうかです。

 

○伊澤構成員 

賃金報酬を上げるだけの方策では、なかなか厳しい面があると思います。それをどのように切り返していくのかというところは、もう少し研究なり、何なりが必要かとも思います。

 それと、発言の機会を頂いたので申し上げます。先ほど千葉構成員からお話がありました試算ですが、これが自立訓練の主管方でやってみた場合にはどうなるのかという辺りも伺いたいという感じがします。グループホームの試算が今日出されましたが、ほかと事業類型でやった場合にはどうなるのか。つまり、赤字を抱えながらも運営していくという姿、形が、ほかの事業類型でやった場合にもそうなのかどうなのかというところは伺いたいと思います。

 もう1つは、院内で施設整備をしていくという不思議さというか、病院の中に退院していくというのは現象的におかしいし、日本語的にも成立していないという気がとてもしていて。病院の敷地の中は、医療を致す方とそれを受ける側の論理が働くし、ある意味では指示・指導が横行する。いわゆるそういう主従の関係、言うならば支配構造みたいなことにもなるわけで、そういう構造の中に人の暮らしを置いていいのかと、すごく感じています。

 年明けに権利条約が批准されて、14条の自由の保障、19条の特定の生活様式を強要されない。更に25条の関連で言いますと、これは精神医療と他の科目との格差を追求していく非常に大きな条項になるのではないかと思います。つまり、一般の市民の方々が受けている医療と同等の医療を、しっかり障害を持った方々が確保していく。これを押し出していくわけですから、25条はある意味では特例の廃止の論拠の1つになるのではないかと思っています。

 

○千葉構成員 

簡略にということかと思います。グループホームのほうが安定していると思います。その辺は、あとでもっとたくさんおやりになっている柏木構成員からも発言があるかと思います。

 グループホームに入ると、何年かはずっとおられますが、自立訓練等の場合には期間がありますので、コロコロと利用者の増減がされます。要は何人を見て幾らの体制になっていますので、かなり不安定ですが、雇っている人たちはそれに合わせてコロコロと人を変えるわけにはいきませんので、一定数、最大利用数の一定数の人が見られるだけの人を置いておきつつ、入ってくる利用者たちが変動するということで、もっと大変になるかと思います。

 実際に私の所でやっているのは自立訓練施設と、旧来の福祉ホームをしたケアホーム(グループホーム)、あとは小さいグループホーム3つ、地活センターといったところをやっていますが、年間1,000万円ずつ赤字を出しています。まず、そこを1つ申し上げます。

 例えば、何とか、病床転換であろうと使わなくなった病棟を利用して、新たにそこの訓練施設みたいなものを。私がイメージしているのは、グループホームではなくて宿泊型訓練施設。むしろ退院支援施設であったり、移行ホームであったりという、そこにずっととどまってということではなくて、そこから次のステップに行くためのプラットホームというか、助走をつけてずっと駆けていっていただくための場所としての施設的なことを、私の頭の中では考えています。

 ですから、そこを終の棲家にするのではなくて。なかなか落差がある、一気にグループホーム等へ行けない。そのためにこぼれ落ちて、また戻ってくる方々がないわけではない。   我々はそれを非常に頻繁に経験するし、それが「いいのだ悪いのだ」と揺れます。そういう所は、じっくりと退院に向けてのトレーニングをする場は別に入院していなくてもいいのではないかというところです。

 ですから、今のところは入院でじっくり掛けてやっている部分を切り取って、それは出ていくための施設としてしっかりしたものを作っていき、もっと社会に近く、もっと制限やいろいろなものを外しつつ、そういうものにしていき、そこでトレーニングをしながら、そこからまた飛び立っていってほしいという思いを持っています。そういう施設であるなら敷地内でもいいのではないかと考えています。

 

○柏木構成員 

私ども浅香山病院でやっている宿泊型自立訓練のことですが、先生の所と同じで赤字経営です。ただ、理念的には、うちの宿泊型自立訓練は一番素晴らしいのではないかと思っているのは、少なくとも宿泊型自立訓練と日中活動をセットにして、丸抱えにして、ほかの所には利用させないということではなくて、御本人が希望するようにデイケアに行ったらデイケア、よその作業所へ行ったらよその作業所に行くことを認めており、宿泊型だけだったら、夜間の対応もできないようなお金しかもらえていないので、赤字になっているわけです。その中で入退院を繰り返されるかなり厳しい方たちもいらっしゃるので、その人たちが入院してしまうと個別報酬ですから、当然お金が入ってきません。でも、帰ってくる先として置いておかなければならない。更に経営を圧迫するという状態です。

 理念としては、この2年間に3年になる人はなく、2年で地域に移行させているのですが、地域に移行させると次の人が入ってくるまでの間は空白があるので、これも経営を圧迫しますが、私は経営的なことさえ考えなければ、本当に理想的な宿泊型自立訓練の形ではないかと自負しているわけですが、そんなことを許してくれるような経営状況ではないので、散々上からもやかましく言われています。

 もう少し宿泊型自立訓練を延長しろというお話もあったかと思いますが、延長の必要性は余りあるとは思いません。宿泊型自立訓練であっても、地域へ移行させるという明白な意識を持ってやっておられる所に加算的なものを付けてもらって、どれだけ地域移行したかということに対して、いわゆる加算みたいな形で補えるようなやり方をしていただきたいと、自立訓練施設の職員から言われてきました。

 そして、夜間に対応することができないとなると限界がありますので、宿泊型にそのまま行けない高齢者とか、ちょっとADLが落ちてきた人たちは、当然、サ高住みたいな所に行かざるを得ません。ついでですが、住まいということについて言わせていただきますと、宿泊型自立訓練を経過しなくても、住まいと施設が、阪井さんのような不動産屋さんがおられて、たくさんの物件を持っていれば、退院させて民間アパート、公営住宅等で様々な支援グループを導入すれば、今もたくさんの人がそこで支えられると思います。

 これは大阪の状況かもしれませんが、特別養護老人ホームには、とても入れるような隙はありません。私どもの特養も500人待ちという状況です。精神障害があるとか、ないとか関係なく、すぐ入所できるような施設ではありません。認知症対応型グループホームも同じです。あと認知症グループホームにしても、サ高住にしても経済的な問題があって、これも地域差がありますから、恐らく15万前後です。精神障害者の障害基礎年金ぐらいしかもらっていないような世帯では、到底入所は難しいという状況があります。それでも、やはりこういう所に退院できる層はまだたくさんいらっしゃると思います。

 この前、山本深雪さんは「精神科の病院は、まだ万策を尽くしていない」とおっしゃったと思います。確かに万策を尽くしていない所も中にはあると思います。万策を尽くしても、なおかつ、本当に厳しい人たちをどうするのかというところ。別に私は病床転換をしろと言っているわけではなくて、病床転換ではなく、それに代わるものはどういうサービスがあれば行けるのかということが1つです。

 それから、病床転換ではなく、生活の場に近い病床と書かれている中身が分からないので後で説明していただきたいと思いますが、病院が生活の場になるということに対しては、余り賛成できません。訓練の場というのも、私は余り賛成できません。それはいたずらに入院を長期化させるだけではないかと思っています。いずれにしても、急性期と同じように回復期であったとしても、期限付きでなければ、次の地域移行に向けての取組をするということがない限りは、そういうのは認めるべきではないのではないかと思っています。

 言いたいことが分かりませんでした。すみません。とにかく受け皿の側が、伊澤構成員に岩上さんがおっしゃったように、どれだけ受けられるのかという体制が整っているのかということが1つ。そこに行くまでに、何遍も何遍も申し上げますが、出すということを後押しする仕組みがないと、誰も出してくれません。私の所も別に何の努力もせずに療養病棟にいる人は次々と死んでいっているわけです。手をこまねいていても、療養病棟に入っている長期入院の人たちは死んでいっています。でも、病床は減らない。なぜ減らないかというと、そこに新たな人を入れる仕組みになっているからです。

 これから先は認知症の人たちを積極的に受けて、残念ですが、その人たちを長期で入院せざるを得ないようなところで見ていくしかないみたいなことが、病院の中で。これは言うと病院の人に怒られてしまうかもしれませんが、そういうことで現実に起こっています。これは別にうちの特殊的なことではなくて、どこでも起こっていることではないかと思っています。

 先ほどから何遍も皆さんがおっしゃっているように、病床を削減するためにどうするのかを考えていただきたいと思います。ですから、出しても出しても空いていたら入れるというのは当たり前のことなのです。何遍も同じように言っているのですが、病床を削減するためにはどうしたらいいかということを、やっていただきたいということを言いたいだけです。

 

○葉梨構成員 

阪井さんがいろいろ生活の援助のことを話されたのは、とても参考になりました。

 この前、患者のアンケートを取った中でも、自由が欲しいという希望が非常に多かったように思います。そういう中で1人だけで住んでいれば自由かというと、いろいろな問題が起こります。阪井さんの話の中でもございましたが、共同で利用する部屋とか、誰かが相談に乗るといったことが危険を未然に防ぐとか、そういったことが必要なのだろうと思います。

 私も医療機関をやっていますが、民間の病院の病床削減というのは、かなり不可能に近いことです。と言いますのは、今の診療報酬体系は出来高払いが主体だからです。これは病室を埋めなければお金にならないし、借金も返せない、人件費も払えない。ですから、不用意に病床を削減した場合、入院させている限りは、例えば内臓外科の場合なども、なるべく検査をやって収入を上げなければいけないという動きが必ず起こります。

 イギリスの家庭医の制度みたいな、どういう生活をしていても、本人に対して負担させない、あるいは費用については医師も看護師も保障するとか、1つの国なり、そういう社会保険のシステムなり、新しいモデルが必要なのではないか。本人の状態によっては病院に入れるし、状態によってはある程度そういう共同生活とか自由な生活を保証してあげる。病院などは人件費も、人が何人、どういう職種がいなければいけないというのは施設基準として決められているわけです。それを賄うため、ベッドが空けば必ず赤字になってくるという思いがあります。ベッドを潰して幾らかというのは、中小病院などはかなり経営が難しくて、そういう新しいモデルを作れば需要がある可能性があります。大きな所や新しい所、私は神奈川県ですが、横浜市のみなと赤十字病院などは1ベッドを作るのに8,000万円掛かりました。それだけのいろいろな費用を掛けて、それをすぐに廃止しろというのは無理なことです。

 そうではなくて、そういう可能性のあるところに新しいモデルを提案したほうが現実的だろうと思います。新しい収入なり施策を組み立てて、医政局ですから、そういうのは一番やる所だと思います。今の診療報酬は、いろいろな科の病院から診療所まで賄いますから、精神科のこういう理由だから、ここだけ特別に診療報酬を上げろというのは、2年に1回の改定でもまず不可能です。ですから、もう少し現実味のあるのは、患者さんが自由に活動できるような、入院していても外へ出て行ってもいいような仕組みはできないものかと考えました。

 

○樋口座長 

それでは、ほかに御発言はありませんか。

 

○岩上構成員 

先ほど私が質問した件について、伊澤さんにお答えいただいて、私も地域の立場なので、それを用意できないというのは反省すべきことではないかと思います。退院支援施設を67年前に反対して、そのあとそこで終わってしまったと。骨格提言は出していただいたにしても、地域でそれだけの準備をしてこなかった責任は重いと思います。

 だとすると、今回も病院に変わってもらおうとしたことに対して、ずっと反対し続けている間に、もう少し検討しなければいけないとか、研究しなければいけないというお話でしたが、それは6年前からしておかなければいけなかったことを、やってこなかった人がたくさんいらっしゃるということだと思います。

今回はもう1つの質問に対して、診療報酬だけの問題で解決できるか分からないというお話でした。そこは手厚くするにしても、病床に変わってもらうということについて、この時期に考えなければ、また6年後に同じ議論を繰り返して、広田さんにしてみれば十何年ですから、6年ということは関係ありませんが。受け皿の問題も当然ありますが、それもうまく作られてこなかったということもあるわけです。野沢さんがおっしゃったように、ここまではできて、ここまではできないといった議論に次回は進めるべきだと思います。

 

○城所氏(倉橋構成員代理)

保健所の立場で何も言わないというわけにもいきませんので。病床問題について、今ここで私のほうではお話できることはありません。この議論の全体の中ではアとイを中心にお話していて、いわゆる精神科病院にいらっしゃる患者さんに言えるのは、アプローチということで退院へ向けた意欲の喚起あるいは移行支援ということで、そのためにはどうしたらいいかということまで出てきているわけです。

 一方では、地域生活の支援という形で、保健所としては直接的に地域に出てこられる方について、いわゆる市町村での行政サービスが中心になり、保健所が直接ということではありませんが、そこを円滑に進むように関与するのかというのは保健所の仕事だと意識しています。

 今日の阪井さんのお話の中でも、退院される方を受け入れるときに、申込書の中に、その方を取り巻くいろいろな社会資源などをしっかりチェックしていく。これがどこまで完備されていると退院できるとか。

 

○阪井ひとみ氏 

本人が一番安心されるのです。その人を面と考えて、皆さんが支える。支えるほうも1人が支えていると重いのですが、たくさんの方で支えることになるので。急に体調が悪くなって、本来はワーカーかも分からなかった。でもそこへ訪看さんが代わりをするとか、その人がちょっと補わなければいけない。その日は待ったなしだと思うのです。そのときにその人以外の専門職の方、同じアパートに入居している方も家族として考えているので、その辺りは専門職ばかりが全部要るのかというと、そうでもないし、その人が、朝、顔色が悪かったら「ちょっと顔色が悪いから、病院へ行ってきなさいよ」と言って、夕方までに薬の調整もして帰ってこられたりするので、やはり安心という部分というか、自分の不安が話せるというところが一番大事ではないかと思ったのです。口を挟みました。申し訳ありません。

 

○城所氏(倉橋構成員代理)

そういう意味では、我々も個々の事例を重ねる中で、必要なサービスを。受け止めていく市町村や自治体は、それを経験することで必要な社会資源を整備せざるを得ないので、やっていくことになるかなと思います。

 それを進める上で、今回、長期入院者の退院に焦点を当ててはいるのですが、今回の精神保健福祉法の改正の中で、医療保護入院といった方たちについて、退院への地域移行についての仕組みは、結構厳しく出てきていますので、そういったことをやっていけば、長期の方だけではなくて、現在の退院してくる方々を受け止めていく地域づくりが必然的に必要になっているわけです。それと長期入院の方を、退院促進に向けていく。私の感覚としては、そこがうまくリンクしていけば、必要な社会資源を提供していけるのかなと。今いろいろ議論されているように、それはまだまだ不十分だと言えば、そうなのでしょうが、そういう意味では行政の責任としてやれる範囲ははっきりしていけるかなと思います。

 

○樋口座長 

それでは、お待たせいたしました。広田さん、どうぞ。

 

○広田構成員 

私は皆さんに恥ずかしくないのですかって。阪井さんが岡山から来てくれた。阪井さんの話を聞いて、千葉さんも柏木さんも岩上さんも、みんな話をしているの。海外などに行ったら、まずは来てくれたゲストに対してコメントしたり、質問するのが礼儀です。そこからまた何か進化する発言をする。

 たとえ話ですが、ずっと前から、「話が分かりやすいので、朝まで生テレビに出たほうがいい」と言われ、NHKも「『人間ドキュメント』に出てください」と前の家にディレクターが6時間もいました。「有名になりたくないから。」とお断りですが、悪いけど、今日のみんなの話は全然分からない。今日は画期的。私は国の委員になって13年。初めて不動産屋さんが来てくれた。PSWばかりいるから、PSWのハローワークと思っていた。不動産屋さん関係の話が全然出ないから。

 私は厚生労働省に提案、65日が予備日。私はこの検討会の名前が変わる前に、確か熱を38度出して、記者たちに電話したら「そんな無理して行かないで寝ていたほうがいい。自分の体が大事。広田さん、この国の精神医療も大事だけど」と言われた。この検討会65日もやって下さい。今日、この侃々諤々。国民から聞いたら、訳が分からないけど、これだけみんなの言いたいことあるわけだから。この検討会を65日もやっていただきたいということと、その間に是非、みんな精神病院に行って。私が入院したときに「いつ帰るの」と聞かれます。「明日」とか「明後日」と言うと、「いいわねえ、私なんか・・・」って。こういうのを聞いてきてください。それで御本人の可能性を信じる。

 広田和子はこの間、パニック障害の人とバンドの代表を引くので12日のお別れ旅に行ってきた。飛行機のダッチロールのような感じでした。新幹線の中、ホテル、レストラン、ものすごい言動で、いつ110番通報されても不思議ではなかった。でも、その人が持ち堪えたのは病状を上回る広田和子にノーと言えた信頼関係。そして、ものすごくよく効いたのは頓服です。こうして本人は持ちこたえた。

 阪井さんのお話は分かりやすい話でしたが、私は阪井さんほど専門家、関係者を集めなくてもできると思う。あそこまで重装備にせず、全国の不動産屋はちょっと暇です。空家もいっぱいあります。不動産屋さんが「よしっ、じゃあ、精神障害者の社会的入院ために一丁協力するか」と。広田和子が精神障害者の住替え住宅制度を使ったことによって、不動産屋さんが「うつの人を入れたからあなたが相談相手になってね」と。うまくいったから、どんどん入れたのですよ。病名なんかどうでもいい。そのように「不動産屋さんは、やろうぞ」と彼女は言ったわけ。こちら側の人でない、箱物を用意する人です。5日までにみんな行ってきて、原点に帰って「何のためにPSWになったの」と、私が聞きたい。

 私のような精神医療の被害者だって、現在、自分の幸せをこっちに置いて、たたかれながら死に物狂いですよ。バッシングか、激励か考える暇もない、スーパー銭湯へ行っても、一般的な話している。業界づくしの中に入れるコロニー式の精神障害者の暮らしではなく、今、私がこの局面でも入院を回避できている、この国の委員をやっているからいつでもということで、ホームヘルパー制度をキープしている。1年ぐらい来てもらってないけど。

 それから、最も大事な住居、千葉ちゃん!山崎先生と河崎先生にうちを見てもらったから、うちに来て。「3万円不足を駆け込み寺でも」、「誰かと住んでも」、「下宿人おいてもいい」という形の、モデルケースの素敵な家です。お花もいっぱい植えています。通る人に誉められています。いつでもホームヘルパーを使えるという安心感、記者たちが「分かりやすい広田さん」と言っている応援、今の彼の存在、仲間たちの声、それから精神科病院でこの瞬間、あと1時間何分で寝かされる20万人の社会的入院仲間のこと。だからたたかれても「ピンチはチャンス!」とヒューマンな愛で切り返せる私は幸せに満ちている。

 住宅ナンバー1で、ナンバー2にホームヘルパー。「社会資源」とすごく騒ぐけど、年間1人何百万円も掛けて卒業できない人がいっぱいいる。必要なのは地域の愛だし、社会の愛だし、協力ですよ。日本社会が生んだ社会的入院ですよ。国内の拉致被害者。そこのところを、国民に訴えるチャンスではないですか。日本国が沈没しそうだもの、日本のマスコミによって。男を教師を警察官をたたいて。課題は各職場、全部うつ。そういう中で野沢さんだって、ここにいて、いい気持ちはしないわけよ。いつも広田和子のマスコミ批判かって思うかもしれないし、応援と思うかもしれないけど。

 御自分がこの職業を選んだ原点に立ち返り、そして身分を明かさずに病院に泊るというか入院して、ここにもう一回立ち戻って、場合によっては阪井さんに、お金がなかったらこの中で私以外がカンパして。私は年収200万円の超貧乏ですから。来ていただいて、ちゃんとやらなきゃ。こんな形でお茶を濁して、また次で、その次に出しますと、そういうのはやめたほうがいい。

 北島さんだって、素敵な服を着て腹をくくっているでしょう。女のほうが今は腹をくくる時代。尾崎さんもそう。カモちゃん、そうよね。ちゃんとやるわよね、井上さんも。辺見さんもそうよね。厚労省、腹くくって。国の施策の付けですから、マスコミが煽ったときの。正に隔離収容施策。今も、野村沙知代さんに浅香光代さんがかみついた、ミッチー・サッチー騒動時代。密告社会ですよ。「生活保護のくせに、パチンコ」、「あの人が○○行っている」、そんな陰口をいろんな所で言っているこの時代。そういうものをドラスティックに変えていく、社会的入院者、この国の拉致被害者のことを討議する尊い時間だから、次回までに病院に行ってきてください。

 

○樋口座長 

ありがとうございました。山本構成員。

 

○山本構成員 

今日は阪井さんのお話は聞かなかったので、別のことです。いろいろな方の意見を聞いていて、地域移行をするためには病床削減のコンセンサスを得られるかどうかがキーポイントではないかと思います。この作業部会でそういう方向性を打ち出せるかどうか。もし打ち出した場合に、病床を削減した場合に、病院関係の方に聞いてみると、それが地域移行のために効果的であるということは認めておられるが、そのときに経営をどうするのですかという問題があるので、そこをどのように我々で方策を打ち出せるかということが問題です。そのときに私は100点を取るのは難しいと思いますので、病床転換はある程度一時的に認める。それによって経営を圧迫しないようにして、ある程度の期間を定めて、更に病床転換したものを削減していくという段階を、ここで議論すべきではないかと思います。まず病床削減うんぬんのコンセンサスが得られるかどうかを議論していただければと思います。

 

○樋口座長 

次回、この会を含めて検討内容について整理させていただきます。それから、広田さんの御提案もありましたし、65日までにどう設定ができるかは事務局と私で相談をさせていただきます。

 大分時間がたちました。どうしてもこれだけは発言したい、あるいは阪井さん、今日の感想を含めて、最後に何かありましたらお願いします。

 

○阪井ひとみ氏 

感想というか、感想を入れてもらいたくないのですが、今お聞きしていて、私がちょっと思ったことは、病院のベッド数を減らすということで、私は海外で少し学んだことですが、なくした所を学校だったり、職業訓練の場所に使ったり、博物館にされたり、地域のコミュニティーの場所になさった国もあります。そういうことがもしできるのであれば、それも1つなのかと。

 もう1つ、私は箱物屋として聞いていて、千葉先生には申し訳ないことかも分からないのですが、アパートの大家も同じことなのです。人が入らないと、そこは空家のままで、でも大家は頑張ってやっています。何とかして同じ箱です。大家はちゃんとそれをうまく、いろいろなことに活用してやり替えています。だから、絶対できないということはないのではないかと、今お話を聞いていて思いました。

 確かに皆さん経営のこともあるのですが、できないということではなくて、やる気になれば何とかなるのではないか。私みたいな者でもやっているので、お偉い先生方ですので、何か新しいことを。ピンチはチャンスと私たちはよく言うのですが、不動産というのは、本当に生き物なのです。だから入れないと、人が入らないと、入らないのだったらどうするということを、大家さんと一生懸命コンサルするのです。

 福祉の分野だから、建物の国交省の関係の建築関係とはちょっと違うから、そこは分からないと言われるかもしれません。現実に私も1人の人間を支えるために法務省的な法律家が携わって、それからケアのところは厚労省関係の方が携わって、私のような箱物屋は国交省というような感じだと思うので、もう少し横のつながりを考えながらやっていけば、先ほどの話ではありませんが「部屋がバリアフリーではなかったらどうしますか」と言われたときに、「国交省でそういうお金を出してますよ」というところもあるわけですから、縦、横、斜めがつながれば、もう少し住みやすいのではないかと勝手に思いました。ありがとうございました。

 

○樋口座長 

ありがとうございました。それでは、まだいろいろあろうかと思いますが、この辺で今日は閉めさせていただきます。次回は全体の取りまとめに関する議論をさせていただきたいと思っております。事務局から連絡事項がありましたらお願いします。

 

○尾崎課長補佐 

構成員の皆様、そして阪井様、ありがとうございました。今、座長からございましたとおり、検討会作業チームの次回は、529日木曜日の午前10時から12時半まで、場所は省内共用第8会議室を予定しております。

 

○樋口座長 

それでは、以上で本日の作業チームの検討会を終わらせていただきます。お疲れさまでした。


(了)

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