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2014年3月25日 第9回改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会 議事録

職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課

○日時

平成26年3月25日(火)
15時00分~17時00分


○場所

厚生労働省共用第8会議室


○出席者

【委員】山川座長、阿部(一)委員、市川委員、伊藤委員、北野委員、栗原委員、小出委員、塩野委員、武石委員、田中委員、富永委員、本郷委員

【事務局】内田高齢・障害者雇用対策部長、藤枝障害者雇用対策課長、松永調査官、田窪主任障害者雇用専門官、境障害者雇用対策課長補佐、寺岡障害者雇用専門官

○議題

1.合理的配慮指針について3
2.その他

○議事

○山川座長

ただいまから、「第 9 回改正障害者雇用促進法に基づく差別禁止・合理的配慮の提供の指針の在り方に関する研究会」を開催します。本日は、阿部正浩委員が御都合により欠席となっています。伊藤委員は、今、お見えになりました。市川委員も、間もなくお見えになると思います。毎回お願いしていますが、御発言の際は、手を挙げて、お名前を言っていただいて、発言をお願いします。本日は、議事次第にありますように、第 7 回、第 8 回に引き続きまして、合理的配慮指針について御議論いただく予定になっております。第 7 回、 8 回で提出された資料を、事務局で修正した資料が提出されています。事務局から御説明をお願いします。境課長補佐、どうぞ。

○障害者雇用対策課長補佐

お手元の資料に沿って説明させていただきます。資料 1 を御覧ください。前回と前々回の研究会において御議論いただいた資料について、それぞれの回の御意見を踏まえまして修正したものとなります。修正箇所には波線を引いてございます。順次、御説明いたします。

1 の「指針の構成について」です。ここでは北野委員から、「合理的配慮の手続」をどこに入れるのかという御質問がありましたことを踏まえまして、「基本的考え方」と「合理的配慮の内容」の間に入れてはどうかと考えております。

4 ページをお願いいたします。「合理的配慮の手続について」です。伊藤委員から、「合理的配慮に係る措置の内容によっては、一定の時間がかかる場合がある」とあるが、具体的なイメージがしにくいとの御意見。田中委員、北野委員から、障害者と事業主における協議が整わない場合の記載が必要ではないかとの御意見。これに対し富永委員からは、任意で外部の第三者の知恵を借りることは差し支えないが、指針への記載は必要ないのではないかとの御意見。武石委員からは、紛争解決について、別途法律の規定があるので、指針に記載するのはどうかとの御意見がありました。

以上を踏まえまして、下の四角の中の (1) の一番目のポツの 3 段落目ですが、合理的配慮にかかる措置の内容によっては一定の時間がかかる場合があることから、障害者は、面接日等までの間に十分な時間的余裕をもって事業主に申し出ることが求められることとしてはどうかと考えております。

次に 7 ページをお願いいたします。下から 4 つ目の○です。田中委員から、別紙 3 の「本人のプライバシーに配慮した上で、他の社員に対し、障害の内容等を説明すること」とあるが、「必要な配慮の説明も行う」という記載にすべきとの御意見。また、田中委員、北野委員から、別紙 3 に勤務時間を短くすることなど中途障害への対応を記載すべきとの御意見。塩野委員から、別紙 3 の「出退勤時間を柔軟に設定する」について、ライン業務に従事する場合などもあり、多くの事業主が対応できる典型例としてはふさわしくないのではないかとの御意見。これに対し伊藤委員から、現に就いている仕事の状況等に応じてどのような配慮が可能かを本人の意向を踏まえて検討することが必要であり、記載を残すべきとの御意見。また、北野委員、伊藤委員から、別紙 3 について、共通的なものは共通事項として記載してはどうかとの御意見。これに対し富永委員から、共通事項として記載すると分かりにくくなるのではないかとの御意見。

さらに、阿部正浩委員から、別紙 3 について、募集及び採用時と採用後を時系列順に並べる方法もあるのではないか。中途障害は、採用後のところを参照すればよいという見せ方もあるのではないかとの御意見。田中委員、森代理委員から、別紙 3 の視覚障害について、試験時間の延長も例示すべきとの御意見。田中委員、森代理委員、市川委員、北野委員から、別紙 3 の家族等の同席を認めることについて、就労支援機関の職員を例示とすべきとの御意見。北野委員から、合理的配慮の位置付けについて、法律の規定を引用すべきとの御意見。同じく北野委員から、「あらゆる企業が必ず実施すべきものではない」を「あらゆる企業が必ずしも実施するものではない」と修正すべきとの御意見。小林代理委員からは、別紙 3 について、若干の修正は必要と思われるが、例示の量としてはこれぐらいがちょうどよいのではないかとの御意見。塩野委員から、指針に載せる事例としては、おおむねこの程度が適切との御意見。武石委員から、中小企業でも対応できるようなレベル感ということで、このレベルでの事例の提示になるのではないかとの御意見。本郷委員から、指針には多くの事業主が対応できる事例を記載すべきとの御意見。また、武石委員から、別紙 3 について、「障害の内容に応じて」とあるのは削るべきとの御意見がありました。

以上の御意見を踏まえ、 9 ページになりますが、合理的配慮の位置付けについて、法律の規定を引用し、合理的配慮とは、マル1募集及び採用時については、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するための必要な措置。マル2採用後については、障害者である労働者について、障害者でない者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための必要な措置であると修正してはどうかと考えております。さらに、一番下の○ですが、「あらゆる企業が必ずしも実施するものではない」と修正してはどうかと考えております。

別紙 3 を御覧ください。別紙 3 の様式ですが、「募集及び採用時」と「採用後」をこれまでは横に並べておりましたが、まず縦に並べるという修正。また、※といたしまして、資料 1 と同様に「あらゆる企業が必ずしも実施するものではない」と修正するとともに、採用後の事例は、「中途障害によるものを含むこと」と追記してはどうかと考えております。

視覚障害の募集及び採用時の 2 つ目の○についてですが、試験時間の延長の追記をしてはどうかと考えております。さらに、採用後の 3 つ目の○ですが、「出退勤時刻・休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること」としてはどうかと考えております。なお、聴覚障害についても、同様の修正を加えております。また、一番下の○になりますが、「必要な配慮」を追記してはどうかと考えております。これは、ほかの障害類型においても同様の修正を加えております。

2 ページを御覧ください。聴覚・言語障害について、募集及び採用時の一番目の○ですが、家族の例示を「就労支援機関の職員」に修正してはどうかと考えております。知的・精神・発達・高次脳についても、同様の修正を加えております。

6 ページをお開き願います。精神障害について、採用後の 2 つ目の○ですが、「障害の内容に応じて」を削除してはどうかと考えております。発達・高次脳についても、同様の修正を加えております。

ここで、恐縮ですが、資料 1 にお戻り願います。資料 1 10 ページを御覧願います。 4 「過重な負担について」です。下から 3 つ目の○です。田中委員、伊藤委員から、「事業運営への支障」の「支障」という表現を改めるべきではないかとの御意見。塩野委員から、労務管理上の必要性、職務遂行への影響、企業の経営方針は「事業運営への支障の程度」に含まれるという考えだと思うが、それぞれの趣旨が曖昧になってしまうのではないかとの御意見。本郷委員から、事業所の構造上の問題なども、実現可能性に含まれることを明確にすべきとの御意見。阿部正浩委員からは、「企業の経営状況」とあるが、これを「財政状況」としてはどうかとの御意見。伊藤委員からは、過重な負担の判断要素を、もう少し重複がないように整理できないかとの御意見。

これに対し、富永委員からは、重複はやむを得ないのではないかとの御意見。また、伊藤委員から、実現可能性について、対応の時間軸という観点からも検討が必要との御意見。北野委員から、過重な負担の判断要素は、企業規模、企業の財政状況、企業設備の所有形態、公的支援の有無を基本に考えるべき。また、過重な負担の判断要素を踏まえて、総合的に判断することを明確にすべきとの御意見。塩野委員から、雇用実績や合理的配慮の取組状況なども重要ではないかとの御意見。北野委員から、過重な負担の判断要素は、明確に合理的な根拠があるもの以外は盛り込むべきではないとの御意見がありました。

以上の御意見を踏まえまして、 11 ページの四角の中になりますが、マル1について、「事業運営への影響の程度」といたしまして、「当該措置を講ずることによる職務遂行への影響その他の企業の事業運営への影響の程度が過重な負担の判断要素となる」と修正してはどうかと考えております。マル2について、施設の所有形態と設備の整備を例示に追記してはどうかと考えております。マル4について、「企業の財務状況」としてはどうかと考えております。

12 ページの一番最後ですが、以上を踏まえ、過重な負担については、事業運営への影響の程度、実現可能性、企業規模、企業の財務状況、費用・負担の程度、公的支援の有無といった判断要素を踏まえ、総合的に勘案しながら、事業主が個別に判断することを指針に記載してはどうか、という修正をしてはどうかと考えております。

13 ページの 5 「相談体制の整備等」についてです。下から 2 つ目の○ですが、北野委員から、相談窓口の担当者が適切に対応できるようにすることの例示として、研修の実施等を記載してはどうかとの御意見。これに対し栗原委員からは、企業に体力の違いがある中、細部に立ち入るのはどうかとの御意見がありました。以上の御意見を踏まえまして、 14 ページ、マル1の 2 つ目のポツになりますが、「マニュアルの作成その他の必要な措置を講ずること」という修正をしてはどうかと考えております。事務局からは以上です。

○山川座長

ありがとうございました。ただいま事務局から御説明を頂きました。資料 1 及び別紙 3 について、幾つか御意見を踏まえまして、修正がなされたところです。この点について、御質問、御意見はありませんか。

○栗原委員

栗原です。前回、欠席をしまして、つながらない部分があるのですが、ただいまの事務局のお話を頂きまして、修正文は、おおむねそれでよろしいのではないかという感じはします。企業の雇用の意欲をなくすような文言は避けるべきではないでしょうか。根底にあるのは、障害を持たれている方の就労を増やすのが大前提にあると思うのです。ですから、あまり企業を縛るような、まして中小企業を縛るような内容にしますと、これから増やしていかなくてはいけない層の意欲を減退させることにつながりますので、その辺の御配慮も皆さん方にしていただきたいのが私のお願いです。

○田中委員

日本盲人会連合の田中です。いろいろと修正していただきまして、ありがとうございました。私からは、「合理的配慮の手続」の記載について、 2 点ほど意見を申し上げたいと思います。「合理的配慮の手続」ですが、募集、採用後の配慮と職場における配慮ということで、それぞれ記載がされています。その中で「合理的配慮の確定」という項目があります。その第 2 文に、障害者からの問合せがあった場合には、当該措置を講じることにした理由、あるいは、過重な負担という場合にはその理由も含むとされた上で、それを説明することという記載があります。

私はこの説明は非常に大事だと思っていまして、このままの記載でもいいのかもしれないのですが、障害者側としては、障害者が理解できる説明をしていただいたほうが、より一層この理解でいいだろうと。もし、言葉足らずで説明が不十分だった場合には、紛争にならないものも紛争になってしまう危険性もあるのかと。

私も先ほど栗原委員が言われたように、できる限り当事者間の相互理解を前提として、労働局長等への申出が極力少なくあるべきだと。当事者間で、ある話合いが整えば、それが一番いいと思っています。そのためにも、説明という部分に、「分かりやすい」とか、「理解可能な程度に」という修飾語を付けていただけたらどうかと。この点は事業主側の御意見もあるかと思いますので、また御意見を聞かせていただけたらと思っています。

2 点目ですが、同じく「合理的配慮の手続」の一番最後に、なお書きがありまして、「なお、合理的配慮の手続において、障害者の意向を確認することが困難な場合には、家族と障害者を補佐することを求めても差し支えないこと」という表現があります。ここにも「家族等」という表現がありまして、いろいろなことを考えますと、先ほど事務局からの御説明で、別紙 3 で、「家族等」という表現が「就労支援機関の職員等」と変わりましたので、ここの「家族等」の記載も、「就労支援機関の職員等」という表現に改めたほうがよりよいのかという印象を持っています。この点を是非御検討いただきたいと思っています。

○山川座長

ありがとうございました。 2 点御意見がありまして、 1 つ目の説明については、事業主側あるいはほかの方々も含めてかと思いますが、御意見もあればという御発言でもありましたが。

○小出委員

育成会の小出です。今、田中委員から言われました 2 点目、私ども知的障害者の保護者会ということで、家族・親ということですが、働くということになりますと、自立につながってくるということで、私も田中委員の言われるように、「家族」は「支援者等」ということで置き換えてもいいと思っています。

もう 1 点、その中の手続のところで、 (1) の波線があります「障害者は面接日等までの間に」という前に、私どもの会でもここは議論になりまして、「合理的配慮に係る措置の内容によっては、一定の時間がかかる」と。「措置の内容によっては一定の時間」と、何に時間がかかるのだというところは、そうする措置のための準備というところに当たると思うので、「措置の内容によっては、その準備に一定の時間がかかる場合」ということで付け足したら、はっきりしてくるのではないかという意見がありました。以上です。

○山川座長

ありがとうございました。今、新たな視点の御意見もあり、先ほどの田中委員の 2 点目についての御意見もありました。新たな点の御意見については、内容の明確化に関わることかと思います。一定の時間がかかるということの趣旨については明確化に関わるもので、これは事務局のほうで御説明、ないし何かあればお願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

事務局の境です。今、御指摘いただきました「措置の内容によって一定の時間がかかる」ですが、これは、場合によっては準備を要するものがあるだろうという考え方に基づいて記載をしたつもりでした。表現としてどのように表現するかを御議論いただければと思いますが、趣旨といたしましては、準備に一定の時間がかかることを念頭に置いた記載です。

○山川座長

ありがとうございました。そういう確認は得られていると思いますが、よろしいでしょうか。また、具体的にどうするかについては、更に御意見があれば伺いたいと思います。ほかの点でも結構です。

○伊藤委員

伊藤です。今のお二人、田中委員と小出委員の御発言に関連することですが、意見を言わせていただきたいと思います。「合理的配慮の確定」のところに出てくる「説明すること」という点については、今、田中委員がおっしゃったように、障害者側が理解をできることをもってして、その説明の意味を持つと思っています。また、「合理的配慮」については、障害者のそれぞれ個別の事情に応じた対応になるわけですので、その多様性を踏まえて十分理解がされるという前提で説明がされることが意味を持つということに、十分配慮をした記述にしていく必要があると思います。

もう 1 つ、今度は小出委員に関連するところですが、「募集及び採用時における合理的配慮の提供」の「十分な時間的余裕」の所です。私が前回までに意見を言ったということで、これに対応する修文のようにも見えるのですが、私が申し上げたのは、「十分な時間をもって事業主に申し出ることが求められる」ということになると、どれだけ十分な時間的余裕を持たないといけないのか、それによって事実上の門前払いにならないのかということを懸念しての発言でした。

今回、このように修文されたものを改めて見ますと、試験が公示されて、面接日までの一定期間について十分な時間的余裕を持って申し出ることになりますと、これは事業主側の事情に配慮した書きぶりだとは思うのですが、一方で障害者側の事情、つまり、この会社で実際に頑張って働いてみようという、合理的配慮の申入れとは別の、チャレンジしてみようということについての判断などに必要な時間などもあるわけでして、障害者側の事情にも配慮し、バランスをとった記述にする必要があると思います。具体的に考えてみますと、「十分な」という文言を削除することも 1 つの考え方かと思います。

○塩野委員

塩野です。「合理的配慮の手続」について、 1 点質問をさせていただきます。 5 ページの (2) 「職業における合理的配慮の提供について」です。障害の状態や職場の状況の変化に伴って、「必要に応じて定期的に職場の支障となっている事情の有無を確認すること」と記載されていますが、「定期的」というのは、例えば、健康診断の実施日に、あるいは労働契約の更新時などといったように、事業所内でルール化すればよいという理解でよろしいでしょうか。

○山川座長

ありがとうございました。先ほど伊藤委員から御質問と御提案がありましたが、今の塩野委員の御発言は、趣旨に関する質問ですので、この点は事務局でお答えが可能でしたら、お願いできますか。

○障害者雇用対策課長補佐

今、塩野委員から御指摘いただきました箇所については、必要に応じて行っていただく、現場で実態に応じて行っていただくことを考えておりす。基本的には、障害者の方々も状況の変化があることもありますでしょうから、実態に即し、状況に応じて御確認いただければという趣旨です。

○山川座長

御意見に関わる点としては、更に御議論いただく点が 2 つあるでしょうか。 1 つは 5 ページの説明という点についであろうかと思います。理解できる、あるいは、その多様性を踏まえて理解ができるようなということです。個人的には、理解できない説明は、説明とは言えないのではないかという感じもしなくもないところではありますが。もう 1 つは、先ほどの時間的余裕をもってというところに関する御意見がありました。この点は、ほかの委員の方々の御意見も伺いたいと思いますが。北野委員、どうぞ。

○北野委員

皆さんはもうおっしゃっていただきましたので、小出委員や田中委員と全く同じですが、 1 つは、 6 ページの一番最後の所、「家族」という表記をどうするかと。今回、「家族」という所も大事な役割を担っておられるのですが、一般的に「支援者」という表現で書くのか、それとも「就労支援機関の職員等」と書くのか、あるいは、「支援者・家族」とするのか、その辺は微妙ですが、「支援者」という表記をどこかで入れてほしいと思います。

もう 1 つは、「合理的配慮の手続において」と書いてありますから、ここは「手続」の中で障害者の意向の確認をすることが困難な場合だけと考えるべきか、それとも表現として、例えば、「なお、合理的配慮の手続において、障害者の意向を確認することが困難な場合は、支援者・家族等に障害者を補佐することを求めても差し支えないこと」と、また、「一連の手続において必要に応じて就労支援機関の職員等の支援であるとか、アドバイス等を活用することも考えられる」と。つまり、第三者から双方がアドバイスなり意見をもらうことは当たり前でしょうが、それは前提にされていると思いますが、そこを少し表記されたらどうかと思いました。

○阿部 ( ) 委員

日身連の阿部です。今話になっています「家族等」を「就労支援機関の職員等」ということは、本当に大事なことだと思います。その場合、就労支援機関のアフターフォローというかフォローアップが、ともすると 6 か月と解釈されているところがあるのではないかということなので、言ってみれば、働いている中で 2 次障害が生じたり、働いている中で年齢とともに配慮が必要になったりすることもあります。もちろん、「就労支援機関の職員等」という文言はいいのですが、就労支援機関にそのようなことも職務なのだということをしっかり伝わる配慮といいますか、そのようにしていただきたいと思います。就労移行支援事業所とか、様々な事業所は 6 か月間のフォローアップとなっているのではないかを考えましたので、その定着支援に関しては、役割が大きいことについて、もっと明確にしていただければと思ってお話させていただきました。

○山川座長

資料 1 6 ページの「支援」に関して御発言が集中しましたが、若干、行政の運用に関わる点もありましたので、境課長補佐、お願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

御意見を頂いている箇所について、具体的に念頭に置いていましたのは、知的障害の方は、自らどういう措置をしてほしいのかということを御自分で説明するのはなかなか難しいのではないかという問題意識の下、また、一方で、これは採用後のことですので、基本的には労使の当事者同士で話すことであり、それらを総合的に勘案しまして、このような形の文章にしたということです。「家族」という表現については、別紙 3 では確かに「就労支援機関の職員」と修正していますので、並びを取るという考え方もあると思います。

現在は就労支援機関のフォローが 6 か月という点について、これは恐らく助成金との関係などもあると思いますが、当課においては、研究会をもう 1 つ立ち上げていまして、 3 月の頭に、地域の就労支援の在り方について報告書をまとめています。その中でも、今まで障害者雇用対策は雇入れが重視されてきましたが、やはり、これだけ精神障害の方の雇用も増えてきていて、障害を持っている方の状況も様々であり、また、加齢によって状態の変化もあるとなると、もちろん雇入れの施策も重要ですが、これからは定着支援にもっと力点を置く必要があるのではないかという御意見を頂いています。その際に、例えば、ナカポツセンターなどの役割の強化、また、特別支援学校や就労移行支援事業所のような送り出し機関が、障害者の方が企業に雇われた後も引き続き企業と連携して必要な支援を行っていくべきではないか、というようなことをまとめています。そのような考え方を頂いて、厚生労働省としても、就労支援機関の定着支援の重要さを周知していくとともに、体制の充実・整備を検討していかなければならないと考えています。

○山川座長

よろしいでしょうか。就労支援に関する第 2 次研究会の報告書は、時間的なこともあって、この研究会ではまだ紹介されていませんでしたでしょうか。今言われたようなものでした。

○障害者雇用対策課長

課長の藤枝です。ただいま境から申し上げたとおりですが、地域の就労支援の在り方に関する研究会という形で、別途、ナカポツセンターやジョブコーチの在り方について御検討いただきました。その中で、定着支援が大事だという話が出ていますので、この研究会の場にも報告書をお配りしたいと思います。

それから、先ほど阿部委員がおっしゃった「 6 か月」というのは、就労移行支援事業所の定着支援期間のことだと思います。就労支援の研究会では、就労移行支援事業所もナカポツセンターも含めて、いろいろな機関がネットワークを組んで定着支援をしていくべきだという話になっています。また、就労移行支援事業所の在り方そのものについては、御案内のように、今後、総合支援法の見直しをしていく中で議論になってくると思います。そちらの議論も待つ必要があるのではないかと思っています。

○山川座長

また機会があれば、就労支援の研究会の報告書もよろしくお願いします。では、 6 ページの点について、表現ぶりを検討していただくことでよろしいでしょうか。そのほか、募集、採用時における時間的余裕の点についても御意見を伺いましたが。

○富永委員

富永です。募集、採用の十分な時間的な余裕の所については、やはり準備に時間が必要であれば、その分の時間を取って申し込むのは当然ではないかと思っていました。「余裕」とありますので、「十分な」があるかないかでは大きく変わらないと思いますし、あっても別にこれで意欲を削がれるということはないのではないかと思いますが。私はよく実態は分かりませんが、それほど大したことなのかという気がします。

もう 1 点、説明の所ですが、これはもう、私も、分からない説明は説明でないのは当たり前だと思います。ここだけに「分かりやすい」を入れると、ほかの所は全部分かりにくい説明でいいのかということにとられてしまいかねないし、それもおかしいと思いますので、ここは「説明」でいいのではないでしょうか。私の個人的意見ですが、そう思いました。

○山川座長

ありがとうございました。境課長補佐、どうぞ。

○障害者雇用対策課長補佐

先ほどからの「十分な時間的余裕を持って」という所について、この書きぶりについては御議論いただきたいと思っておりますが、ここの趣旨をもう一度確認させていただきたいと思います。ここは、障害者の方にとってこういうことが必要ではないかということで、言葉が適切かどうか分かりませんが、注意喚起のような意味合いがあると思っておりました。どうしても合理的配慮の措置の内容によっては、準備に時間が掛かることもあると思います。直前に申し出たがゆえに、なかなかできないということになって機会を失うというようなことがあるかもしれない。もちろん、応募するかどうかの検討に時間を要するというのは、そのとおりだと思っておりますが、そういったことも踏まえつつ、もし早めに言うことができるのであれば、早くおっしゃっていただく。合理的配慮が時間的な制約によって提供できないというのは、障害者御本人にとっても不利益なことだと思っておりますので、ここはそういう事態を防ぐ意味で書いています。この趣旨だけは確認させていただきたいと思います。

○山川座長

ありがとうございました。この点について、ほかに御意見は特にございませんでしょうか。時間が掛かるというのは準備に時間が掛かるということでしたが、それを明確化するということはあるだろうと思います。また、今の趣旨では、いわば障害者側での対応にかかることなので、「求められる」という表現ぶりも含めて、更に検討する余地はあるかもしれないという感じがしています。

先ほど、富永委員から、実態について必ずしも御存じないということもありましたので、障害者側で、この点について実態を踏まえた御意見、御感想があればお伺いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。では、後ほど話があると思いますが、報告書 ( ) を考えるプロセスに入っていくことになりますので、この点については、先ほどの御意見も踏まえて更に検討してはいかがかと思います。

ほかに、これまで幾つか問題提起を頂きましたが、それ以外の点、または、追加の点も含めて、何かございましたらお願いします。

○田中委員

日本盲人会連合の田中です。別紙 3 の合理的配慮の内容について、 2 点ほど申し上げたいと思っています。私も別紙 3 の内容におおむね賛成であります。追加をお願いしたい項目がありまして、 1 点目は、聴覚障害についてです。募集、採用時の所になると思いますが、障害当事者の方のお話を伺っていますと、募集案内等の問合せ先に電話番号だけではなくファックス番号やメールアドレスを記載していただけると安心感があるということなので、その記載を追加してはいかがかと思います。これは事業主側に過重な負担を強いるものでもありませんし、むしろ、そういうことで合理的配慮になるという周知を図る意味でも、ガイドラインに記載する意味はあると思います。この点を御検討いただきたいと思っています。

もう 1 点は、難病について、これも募集、採用時の部分です。難病の所では「就労支援機関の職員等の同席」という記載がありません。よくよく考えてみると、難病というのは非常に種類も多く個人差もあります。御本人だけでうまく説明できるのかどうか。各都道府県だったと思いますが、難病相談支援センターというものもありますし、そういった就労支援機関の職員等の立会いを 1 つの例示として出して説明を行うほうが、事業主にとっても分かりやすいし、より良いのではないかと思っています。その点の追加の記載を御検討いただきたいと思います。以上です。

○山川座長

ありがとうございました。別紙 3 に関する具体的な御提案がありました。検討いただきたいということですが、この場でも御意見等があれば伺っておきたいと思います。いかがでしょうか。栗原委員、どうぞ。

○栗原委員

田中委員の言われることはごもっともだと思います。しかし、現在募集をする企業において、担当者の名前やメールアドレスやファックス番号というのは当然記載されているのではないかと思います。電話番号だけ書いてある企業など私は見たことがありません。そこまで細かく入れるのはどうかという気もしますが、私は当然のことではないかと思います。

○山川座長

ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。北野委員、どうぞ。

○北野委員

私の意見を入れていただいていますので言いにくいのですが、この、「あらゆる企業が必ず実施すべきものではない」という表現について、私は、「あらゆる企業が必ずしも実施するものではない」だとは発言していません。細かく見ていただきますと、こう書いたのです。「あらゆる企業が必ずしもそのとおり実施すべきものではない」と、「そのとおり」という言葉を入れています。ここは非常に微妙ですが、どういうことかと言うと、今回の事例は簡潔に書いていただいていて、この 4 つか 5 つのものは基本的に実施していただきたい。しかし、必ずしもそのとおり実施すべきものではなく、これに応用を利かせていただきたいという意味です。この項目のうちのどれかはしなくてもいいということではなくて、「あらゆる企業は必ずしもそのとおり実施すべきものではない」と発言したと思います。「そのとおり」というのは、この項目はできるだけ生かしていただきたいけれども、これをこのまま、この文言どおりではなく、応用を利かしてやっていただきたいという意味で発言をしました。ここは、必ずしもそのとおり実施すべきではないという思いを汲んでいただけるような表現をしていただきたいと思います。

それから、別紙 3 の、精神のほうの中身についてです。かなり書いていただいているので、これで読み込めると思います。厚生労働省の障害者職業総合センターの主任研究員による「通常よく行われる精神障害者に対する合理的配慮」という論文がありまして、それを参考にして、こういう表現、書きぶりも可能ではないかということを申し上げたいと思います。

まず、一番下の部分ですが、「本人のプライバシーに配慮した上で、他の社員に対し、障害の内容や必要な配慮等を説明すること」とあります。「必要な配慮」というのを入れていただいたことは非常に有り難いと思います。一方で、プライバシーに配慮して、障害の内容を話すというのはなかなか難しい問題です。私としては、「本人のプライバシーに配慮した上で」という表現は生かして、「他の社員と本人に必要な理解や配慮等を話し合うこと」と、つまり、御本人のことについて、きちんと皆で話し合っていこうということで、他人行儀に説明するというのではなくですね。「障害の内容」と、障害のことをわざわざ強調する必要はないと思うのです。ここは配慮の問題ですので、本人に必要な理解や配慮等を話し合うというような表現にしていただいたほうが、しっくりくるのではないかと思います。

次に、先ほどの参考文献でも、精神の場合に一番出てくるのは、上司や同僚とのコミュニケーションを円滑化するということです。このことを丸ポツの中のどこで読み取るべきかを悩んでいたのです。「業務指導や相談に関し、担当者を定める」という、ここで、上司や同僚とのコミュニケーションの円滑化を図ることを読むのか、それとも、一番下の「プライバシーに配慮した上で、他の社員」という所で読むのか。上司や同僚とのコミュニケーションの円滑化を図るということをどこで読み取ったらいいのかと思いました。

もう 1 つ、丸ポツの 2 つ目に「業務指示を明確にし、 1 つずつ作業手順について図等を活用したマニュアルを作成する等の対応を行う」とあります。これは発達障害の方にとっては非常に有効な項目です。精神の場合には手帳には発達障害も入っていますが、発達障害は別の項目で起こしてもらっていますので、ここでは、例えば統合失調症とか、躁うつとか、不安神経症などのことを考えると、業務指示を明確にし、主要な業務の優先順位、あるいは、どこまでやらなければいけないかのゴール設定に関するマニュアルのほうが精神障害の方の場合にはむしろフィットする表現だと思います。発達障害の方の表記は発達障害のほうに置いていただいて、精神のほうは「主要な業務の優先順位やゴール設定等に関するマニュアルを作成する等の対応」という表現で、精神障害に特化した表現にしていただきたいと思いました。

しかし、それが非常に細か過ぎて大変だというのであれば、また表記は変えていただいてもいいのですが、思いとしては、そういう思いを持っています。以上です。

○山川座長

ありがとうございました。主として精神障害に関わる別紙 3 の記述について 3 点ほど御発言を頂きました。基本的には表記に関わるものだったと感じましたが、若干、内容に関する部分、特に作業手順についての図等の活用についてもあったと思います。また、趣旨として御質問が含まれているものもあったと思います。コミュニケーションを図るという点をどこで読むのかということですが、これについて事務局から何かありますか。境課長補佐、お願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

まず、「そのとおり」が落ちているということに関しては、申し訳ありませんでした。前後で、必ずやるべきではないと読まれてしまうという御発言と一緒でしたので、このように解釈していました。この注意書きの趣旨をもう一度確認しますと、ここはあくまでも例示であることを強調していますので、それを踏まえて、北野委員がおっしゃったことはここで読めています。「あらゆる企業が必ずしも実施すべきものではない」というのは、ここに書いてあるものについては、あらゆる企業がどういう事情があっても絶対にやらなければいけないというものではない。個別性がある中で、どうしてもできない場合があるのではないかという注意です。また、その後に、「ここに記載されている事例以外であっても合理的配慮に該当するものがあること」として、逆に言うと、ここに書いてあるものに尽きているものではないということを明らかにしています。おっしゃっていただいた御趣旨であれば、例示などで十分に読めるのではないかと考えています。

コミュニケーションの所については、少なくとも「業務指導や相談に関し、担当者を定める」ということは、職場におけるコミュニケーションを円滑にするという観点から入ってきた項目だと理解していますので、基本的にはここで読んでいただくことになるのではないかと考えています。

また、確かに、他の社員に対し、障害の内容を説明するときには、例えば精神のある特定の方にコミュニケーションが苦手だというようなことがあれば、そういったことがあるという説明をしていただくという意味で、そういう点についてはここでも読むことができると考えています。ただ、基本的には、職場における円滑なコミュニケーションという意味では、「担当者を定める」という所で読めるのではないかと我々は考えていました。

○山川座長

ありがとうございました。先ほど 3 点と言いましたが、頭書きの点も含めて 4 点でした。失礼しました。よろしいでしょうか。ほかに御意見ございますか。

○塩野委員

別紙 3 の内容の質問でもよろしいでしょうか。

○山川座長

どうぞ。

○塩野委員

先ほど北野委員から精神障害者の方の作業手順の表記について御意見がありましたが、それも含めて、質問を 2 点させていただきます。作業手順を分かりやすく示すという趣旨では、精神障害以外にも、知的障害、発達障害、高次脳機能障害の所にそれぞれ表記がありますが、微妙に書き方が違っています。先ほどの御意見では、それぞれの障害に応じた書き方になっているのだと思いますが、実際にその背景はどういったものなのでしょうか。例えば、書き方を統一することはできないのでしょうか。

もう 1 点は、今回の合理的配慮の事例として、「出退勤時刻、休暇・休憩に関し、通院・体調に配慮すること」、また、「業務量等を調整すること」などが例示されています。この場合、仕事をしていない時間については、「 No work,No pay 」という原則の下で、これは障害者の方に限ったことではありませんが、障害者でない方と同様に無給の取扱いをしてもいいのかどうか確認させていただきたいと思います。

○山川座長

ありがとうございました。御質問なので、事務局の境課長補佐、お願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

事務局の境です。まず、 1 点目です。確かに説明は書き分けています。これは意識したものです。例えば高次脳であれば「メモを取る」ということをあえて入れています。高次脳の方は記憶障害がある場合があるということなので、ある程度そういった障害特性との絡みで分かりやすくしたほうがいいのではないかということで書いたものです。ただし、この目的とするものは、業務指示が明確に御本人との間で齟齬がなく通じるということです。事務局としては障害特性にある程度目を配ったつもりですが、この研究会の御議論で表現として統一したほうがよいということであれば、そこは統一することはあると思っています。ただ、我々としては、それぞれの障害特性を意識したつもりでした。

2 点目の、「 No work,No pay の原則」については、賃金請求権は労務の給付と対価関係にあるということですので、労務の給付が労働者の意思によってなされない場合は、反対給付たる賃金も支払われないというものが「 No work,No pay の原則」と呼ばれていると理解しています。今回、この原則自体は合理的配慮の義務によって影響を受けるものではないと考えています。以上です。

○山川座長

ありがとうございました。今の御質問に関しては、よろしいでしょうか。マニュアルを作成する等の業務指示に関わる点については、幾つかの御意見を頂きましたが、この点について、ほかにございますか。小出委員、どうぞ。

○小出委員

育成会の小出です。先ほど塩野委員から、表記について統一という御意見がありました。その中で、例えば精神障害、発達障害、また、知的障害は同じような項目ではありますが、書きぶり、書き方、内容が異なっています。作業手順や図等を活用するということで、使う物は同じようなものかもしれませんが、精神障害、発達障害、知的障害の違いで、知的障害では「図等を活用した業務マニュアルを作成する、業務指示は内容を明確にし、 1 つずつ行う等作業手順を分かりやすくすること」という書きぶりで、視覚的にということで、使うものは一緒です。精神障害では、作業量については、そのときの状況を見ながら業務量等の調整をする。知的の場合には、習熟度によってだんだん作業量が多くなるという特性があります。この辺については、これだけ微妙な違いがあるということです。知的障害も本来で言えば精神障害に分類されるという特性がありますが、実は、知的障害の中にもいろいろな名前が付いた障害があります。例えば、プラダー・ウィリーとか、アンジェルマンなど、そういうものがあります。それは診断のときに言われます。でも、一括りで「知的障害」になります。私のところに、よくお母さん方が言われますが、医師の診断で名前が付けられたけれども知的障害の中にも特性がある。でも、診断はそういう形で付けられるという、そのよりどころになっているのです。どう育てるかはまた別ですが、そのように私たちは捉えているので、微妙に違うということも、この中に配慮があると、そのように私どもは今回感じていますので、御理解をお願いしたいと思います。

○山川座長

ありがとうございました。一方で障害の類型があって、その各類型の中にいろいろと細かい点がある、更に、この指針としては例示であるという、その 3 点を微妙にバランスを取っていくことになると思います。御意見を踏まえて、何か工夫があるかどうかも含めて検討してください。市川委員、どうぞ。

○市川委員

遅れて来て申し訳ありません。今の話にあったように、似て非なるものと言うか、おっしゃるとおりで、例示すればこういうことになりますが、実際に目の前にいる方は、例えば発達障害と知的障害が重なっている方がいたり、発達障害だったのだけれど二次的に精神障害になっている方とか、いろいろと重なっています。あくまでもこれは例示だということで考えていただきたいと思います。

それから、出退勤時間、休暇・休憩に関してなどは、発達障害は基本的に体調ではなく特性でうまくいかないのです。つまり、スケジュールを覚えられないとか、そういう問題がありますので、これも「体調等」などにしてもらったほうが現実的ではないかと思います。そのように思いましたが、基本的には座長がおっしゃったとおりだと思います。

○山川座長

ありがとうございました。今の点も含めて、更に検討してください。武石委員、どうぞ。

○武石委員

細かい所で、今の議論とも少し関連しますが、 5 ページの、知的障害の 2 つ目の○に、「本人の理解度に応じて業務量を徐々に増やしていくこと」とあります。全体にこれだけが合理的配慮的な書き方ではなくて。理解度に応じて徐々に増やしていくというのは分かるのですが、合理的配慮的に書くとすると、「理解度が十分でないときには、それに応じて業務量を減らす」というのが配慮としての書き方なのではないかという気がします。ここの表現だけ違和感がありましたので、全体の整合性の中で検討していただきたいと思います。

○山川座長

ありがとうございました。同じプロセスをどちらから見るかの違いではないかという感じもしますが、ほかに、この点について御意見ございますでしょうか。先ほどの小出委員の御発言では、むしろ徐々に増やしていくというような発想に。

○小出委員

育成会の小出です。この「理解度」というのは、知的障害の場合、理解がどれだけされるのか。幾ら時間を掛けても理解ができないというのが知的障害の障害ゆえの特性です。習熟するというような、理解を深めていくと言うよりも、これに慣れる、習熟するという意味でのことになってきます。どんな方も、それに慣れていないときは作業量は当然少ない。だんだん増やしていくというようなことがあると思います。私も「本人の理解度」という所について、一般の方が言う「理解度」と知的障害に対する「理解度」というのは少し違うのではないかとも思っています。

○山川座長

ありがとうございました。事務局から、藤枝課長、お願いします。

○障害者雇用対策課長

課長の藤枝です。具体的な例示の書き方について、それぞれの障害特性のニュアンスがあって、今、これでいいかという御議論になっていると思います。我々としては、各障害で比較的特徴的と思われることをなるべく分かっていただく例示の仕方がいいのではないかと思って、こういう表現で案を作っています。こういった事例としての配慮の趣旨は、この委員会でほぼ合意いただいているように思いますので、具体的な表現ぶりについて、それぞれ御指摘があれば、障害者団体の代表の方と相談させていただきまして、次回、改めて御提示させていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山川座長

そういう方向で、次回に向けて作業を更に進めていただくことでよろしいでしょうか。境課長補佐からも手が挙がりましたが、同じ趣旨でしょうか。

○障害者雇用対策課長補佐

はい。

○山川座長

伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

伊藤です。 1 点、確認をさせていただきたいのですが、別紙 3 に関してです。前回、障害種別ごとに書かないで、共通項目のようなものを作ったらどうかという意見を申し上げたのですが、その中で重複障害にも言及したつもりです。なぜこういうことを申し上げるかと言いますと、企業は比較的障害者雇用率に関心が高く、雇用率は障害認定ベースということです。それぞれの申出に対して必要な合理的配慮に対応するということについては、今までの雇用率に対する企業側のアプローチを変える必要があると思っています。重複障害で幾つかの障害を合わせ持つ場合に、十分な対応が取られないということがないようにしないといけない。そういう問題意識を持ったからなのですが、今回、障害種別ごとに書き分けていますが、当然に障害が複数ある場合は、それぞれの事例に即した形での対応が考えられるということでよろしいのかどうかということについて確認させていただきたいと思います。

○山川座長

御確認的な御質問ですので、境課長補佐、お願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

事務局の境です。今、御指摘いただきましたとおり、確かに障害者の方によっては、いわゆる重複障害と言われて知的と発達と両方あるとか、そういうことがあろうかと思います。我々、これは障害種別に書いてございますが、その人の障害の特性に応じて、どのような配慮が必要になってくるのかということも意識して書いてございますので、ある特定の方から、実は自分はこういう障害がある、と御説明いただいたときには、それぞれの障害領域のところを御参照いただき、お互いに話をしながら必要な措置を確定していくと考えています。当然、それぞれの障害特性に応じて、この表を御活用いただくことを想定していました。

○山川座長

ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、ほかの点も含めまして御質問、御意見がありましたらお願いいたします。田中委員、どうぞ。

○田中委員

日本盲人会連合の田中です。過重な負担の部分について 1 点、意見を申し上げたいと思っています。前回に引き続いて、事務局のほうから 6 つの要素の御提示があります。第 1 点目の要素ですけれども、事業運営への影響という部分です。この部分を前回からいろいろ頭を悩ませながら考えてみたのですが、どうも幅が広くて障害者を雇用する場合、何らかの影響があるだろうなというのは障害当事者自身も分かるのです。したがって、こういう要素が過重な負担の要素に入っていると、何か目の前に巨大な壁が立ち塞がって、どうも乗り越えられないようなイメージを持ってしまうのです。

そこで、例えば「事業運営への影響」という記載ではなく、「事業運営の本質的部分への影響」というような言葉にならないのかなという思いがあります。前回、確か富永委員が、 1 つ分かりやすい例を示してくださいました。例えば暗いバーの中で仕事をする場合に、視覚障害を雇って明るくしてしまうと、店の雰囲気自体が根本から覆ってしまう。そういうのは過重な負担ではないかという例だったと思います。それは私もそのとおりだと思います。そういう例をフォローするという意味では、本質的部分への影響という言葉にならないのかなと思うのですが、この点、ほかの委員の方からの意見を伺いたいと思います。

○山川座長

ありがとうございます。本質的部分への影響といったような書き方ではどうかという御提案ですけれども、ほかの委員の方々、いかがですか。伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

伊藤です。 10 ページの下から 3 つ目の前回までの意見として、「事業運営への支障」という表現を改めるべきではないかということで、私の名前も田中委員と並んで書いていただいていますが、私の趣旨は、「事業運営への支障」のところを直していただくという趣旨で言ったのではなく、事業運営というものと、経営状態や費用負担の程度といったものとの違いが分かりにくいということを申し上げたつもりです。今回、その事業運営について職務遂行への影響というものが具体的に例示され、この点については経営全体を指すものではないと感じました。「支障」というところを「影響」に直していただきたいという意味で発言したことではないということは申し上げておきたいと思います。私も「影響」と言うと非常に広くなると感じています。

○山川座長

ありがとうございました。恐らく 11 ページの 2 つ目の○で、「重複のないような形で」という御発言として整理し、その点とも多少関わりのあることかなと思いましたけれども、そういう点についてもこの場で御確認して、今の伊藤委員の御発言の趣旨は御確認していただけるのではないかと思います。富永委員、どうぞ。

○富永委員

富永でございます。マル1の事業運営への影響についてですが、事業の運営については、本質性がどこにあるかどうかというのは、それ自体、ちょっと難しいのかなと思います。仕事を非常にブレークダウンしていって、その中のすごく狭い範囲の業務では、何がその業務の本質かというのは分かるかもしれませんけれども、その事業所全体の仕事の中でどれが事業の本質か、というのはちょっと分かりにくい。これは大きなバーになるかどうかという話ですが、もちろん影響には小さい影響も大きい影響もあって、大きい影響というのはその分、またいろいろな余波があり得る。だから結構、大きな影響に対しては措置を講ずることは難しいかもしれない。でも小さい影響だったら、「そのぐらいは我慢してください」、「それぐらいはやりましょう」となると思いますので、そんな大きなバーにはならないのではないかと個人的には思っています。

○山川座長

ありがとうございます。今、おっしゃった大きなバーというのは、差し支えと言いますか、妨げにはならないと。

○富永委員

もちろん、できる場合もあるし、できない場合もありますが、その事業所として本質的なものというのは、かなり線引きが難しいのではないか。個人の仕事レベルに持っていけば本質的だというのはあるかもしれませんが、そこでも日本企業だと本質的な仕事というのはなかなか決まっていないことが多いのではないかと思います。そこは量的に大きい、小さい、中くらいといろいろありますので、そこは「事業への影響」でいいのではないかと個人的には思っています。

○山川座長

程度というのが入っているので、大きい、小さいとおっしゃったのは程度というところで読んでいくことができると、そういう趣旨でしょうかね。ほかに御意見はございますか。塩野委員、どうぞ。

○塩野委員

ただいまの事業運営への影響の程度についてと、併せて、ほかの要素についても意見を述べさせていただいてもよろしいでしょうか。まず「事業運営への影響の程度」については、企業の事業運営と言うと会社全体のイメージが強く、事業所とか職場レベルでの影響を考える必要があるのではないかと思っています。例えば、ライン業務に従事する中で、仮に、個別の事情に応じて時差出勤やフレックスといった労務管理上の措置を行うならば、当該職務の遂行が難しい場合もあるのではないかと思っています。その際、同じ企業内であっても、各事業所の事情によって必ずしも配置転換とか職務変更ができない場合もあると思います。従事している職務の本質的な部分を変えるような措置の場合には、過重な負担があると考えます。そういう意味で言うと、この項目に「職務遂行への影響」と追記していただいていますけれども、この項目については別項目にすべきではないかと思います。

2 つ目は、「実現可能性」についてです。当該措置の実現に向けた技術的、時間的、金銭的といった実現困難度に加えて、例えば、弊社もそうですが、多数の障害者を雇用している場合は、その優先度合いといった視点も加える必要があると思います。

3 点目は、「障害者の雇用実績」という点についてです。障害者雇用の際、よく指摘されるように、 1 人目の負担の重さだけを議論するのではなく、例えば、職場定着に向けて苦労したこと、あるいは諸事情によって結果として合理的配慮ができなかったことなど過去の取組状況なども含めて、判断要素として追加していく必要があると考えます。

○山川座長

ありがとうございました。 3 点ほど追加してはどうかという御提案でしょうか。確認ですが、マル1の部分については、「職務遂行への影響」というものを独立させたほうがいいという御意見でしょうか。「事業運営への影響の程度」はそのままにした上でと、そういう御意見でしょうか。

○塩野委員

はい。

○山川座長

ありがとうございました。内容について御意見を頂きましたので、ほかの委員の方々から御意見があればお伺いしたいと思います。北野委員、どうぞ。

○北野委員

過重な負担というのは、これから障害者の雇用を促進していただく雇用促進法の中で、ある種、全体の展開をするときにこの事はということですので、田中委員がおっしゃったように、前向きな方向での表記にしていただきたいということは、そのとおりだと思います。そのときに 1 点引っ掛かっているのは、 12 ページで過重な負担について 6 つ挙げていただいて、「といった判断要素を踏まえ、総合的に勘案しながら、事業主が個別に判断することを指針に記載してはどうか」とありますが、ここの「個別に」という言葉です。

この「個別に」というのはいろいろな意味に取れるのです。 1 つは、個別にという言葉の意味は、つまり「個別の企業が」ということです。各企業は確かに今言ったように、 6 つのそれぞれの状況があるという形で、個別の企業という意味で個別にというふうに取ることもできますし、あるいは個々の障害のある労働者ごとに個別にと読むこともできます。その場合、個々の障害のある労働者ごとに個別にと考えると、当然、 6 つ全体は当てはまらなくて、例えば企業規模、企業の財政、経営上の状況というのは、別に障害者の方がいても影響は受けませんので、後者で影響を受けるのは御本人の事業運営における基本的な影響の部分と、実現可能性と、その方にかかる費用の問題と、その方に対する公的支援の 4 つ以外は影響を受けないということですから、この「個別に」というのが何に掛かる部分かというのが気になります。ここは、個別に企業が判断する裁量権を持っていると。個々の企業が自由に判断、裁量できるという筋のものではありません。これはあくまで企業が雇用を促進するための政策として打つのですから、ここは胸を張って事業主が公正に判断すると。「公正」という言葉にしていただいたほうがいいと思います。個別ではなく、「勘案しながら、事業主が公正に判断する」という表記にしていただいたらどうかと思いました。

○山川座長

ありがとうございます。個別と公正という表記を超えて、やや内容に関わるかと思います。

○北野委員

当然、公正にされるわけですから、個別というのでなく、公正にされるという表現でどうかなと思ったのです。

○山川座長

境課長補佐、どうぞ。

○障害者雇用対策課長補佐

事務局の境です。この「個別に」のニュアンスが多義的ではないかという御趣旨だと思います。今、御指摘がありましたとおり、ここは個々の障害者ごとに、合理的配慮というのは個別ケースですから、それぞれの対応の際に過重な負担であるかどうかを判断することになります。ここの意味は、個別のケースごとに、という意味ですので、例えば個別の障害者ごとにとか、そう言うほうがニュアンスとしては通じるのではないかと考えているところです。

○山川座長

ありがとうございます。今の点、あるいは先ほどの塩野委員の御意見に関する点等も含めて御意見はありますか。本郷委員、どうぞ。

○本郷委員

本郷です。今の話とちょっと違うのですが、実現可能性の部分に対して、前回、私が意見を申し上げて、それを踏まえて修正していただいてありがとうございます。これについて質問させていただきます。前回、私からは、事業所の構造上の問題などによって手すりやスロープなどの設置が困難なケースもあるというお話をさせていただきました。今回修正した文言の中には構造上の問題ということは明記されておりませんが、これは「所有形態等」というところに含まれているという理解でよろしいですか。

○山川座長

境課長補佐、お願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

今、御指摘いただいた点ですが、ここは北野委員からも「企業説明の所有形態」という表現がありましたので、こちらを例示とさせていただいたところです。おっしゃるとおり、このトーンには今言われた構造上の問題も含まれると考えています。あと、事業運営への影響のほうですが、こちらは分かりにくいということがあったのかなと思っています。これは生産活動に何らかの影響を及ぼすとか、そういった企業全体ということというよりも、その事業所のまさしく作業とか、そういった事業所における職務遂行あるいは作業の生産活動に影響を及ぼす、という意味合いで書いているつもりでしたが、ここはこちらの書きぶりが不明確であったのかなと思っています。

○山川座長

ありがとうございます。もし何か書きぶりとして、より分かりやすいものがあったら更に検討される可能性があるということでしょうかね。過重な負担につきまして幾つか御意見を頂いていますが、ほかにございませんか。あと相談体制の整備、 13 ページ以降もございますけれども、何か御質問、御意見がありましたらお願いします。本郷委員、どうぞ。

○本郷委員

ここのマル1の 2 つ目のポツで、「相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や相談者の状況に応じ適切に対応できるようマニュアルの作成その他の必要な措置を講ずること」とありますが、このマニュアルというのはどのようなことを意味しているのでしょうか。

○山川座長

御質問ですので、事務局から境課長補佐、お願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

ここで想定していたのは、相談窓口に何らかの相談が来るとなったときに、当然、その相談窓口から当該事業所における障害者の状況の確認、あるいは何らかの措置をするとなれば、そういった措置をすることを決定する組織に話を通していくことが必要になってくるかと思います。要するに相談を受けて、そのままではいけないわけですから、相談を受けて何らかのアクションをしていくための手順をイメージしているところです。

○山川座長

よろしいですか。本郷委員、どうぞ。

○本郷委員

本郷です。分かりました。ただ、ここで「マニュアルの作成」と書かれますと中小企業にはハードルが高いという印象を持たれますので、できれば「手順の確認」とか、そのような言葉に書き替えていただけると、抵抗が少ないのではないかと思います。

○山川座長

境課長補佐、どうぞ。

○障害者雇用対策課長補佐

事務局の境です。実際に事業所において障害者の方から合理的配慮の相談があったときに、どのような行動をするか意識の共有がされていることが重要ですので、手順の確認と言いますか、手順というものがその組織において共有されていることが重要であろうと思っています。その上で、今、いただいた表現ぶりについては研究会の御議論ですけれども、検討させていただければと思います。

○山川座長

ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。塩野委員、どうぞ。

○塩野委員

塩野です。相談への対応のための窓口について 1 点、質問させていただきます。ここに「相談に対応するための制度」という表記がありますけれども、必ずしも対応するための制度を持つのではなく、例えば、総務部など関連部署を特定するところに留まるということでもよいという理解でよろしいでしょうか。また、関連して意見を述べさせていただきますと、マル4のところで「解雇その他の不利益取扱いを行ってはならない旨」は周知・啓発すればいいのであって、「その旨を定める」という記述は必要ないのではないかと考えます。

○山川座長

御意見が 1 点と御質問が 1 点ですので、境課長補佐、お願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

事務局の境です。今の 1 点目の内容ですが、おっしゃるとおり、相談の部署を定めるということも、この対応するための制度で読めるものと考えていますが、確かに、制度というよりも相談部署と言うほうが、表現としては分かりやすいのではないかということもあろうかと思います。ここは御議論もいただきながら、必要があれば修正を検討させていただきたいと思います。いずれにせよ、担当部署を定めるというのはここで読めるという理解の下でした。

2 点目ですが、そういう意味では確かに結論においては周知・啓発することです。要するに合理的配慮に関して相談したことを理由として、解雇などの不利益な取扱いを受けないということを、正しく障害者の方に認識していただくことが重要ですので、不利益な取扱いを受けないということを周知・啓発していただくことがゴールであると思っています。その上で、このような書き方がいいのかどうかについては、また御議論いただきたいと思っています。

○山川座長

富永委員、どうぞ。

○富永委員

戻りますが、過重な負担の判断要素ですけれども、例えば職務遂行のところを独立させたらとかあったと思います。マル1で「職務遂行への影響その他」と書いてありますし、日本の企業では職務が厳密に決まっていないので、その他という形で独立してやるよりも、事業運営の中の影響の 1 つとして捉えても、それほど支障はないのではないかと思います。それが 1 点です。

あと、障害者の方の雇用実績についてダイレクトに考慮する、判断要素に明示するというのは、ちょっと避けた方がいいのかなと思います。要するに今まで、例えばドライバーの方に視力障害者の方を雇っていないと、それはほかのところで読めるわけです。事業運営の支障、つまり仕事ができるかどうかといったところで読めるわけで、直接にこれを判断要素とするようなものではないと思っています。

○山川座長

ありがとうございました。今の御発言は過重な負担についてですが、その点も含めても差し支えないと思いますので、御意見等がありましたらよろしくお願いします。伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

伊藤です。 11 ページの上から 4 つ目の○で、前回までの発言を書いていただいています。「『実現可能性』については、対応の時間軸という観点からも検討が必要である」と書いていますが、今回の過重な負担の判断要素の中に入るかどうかというところは、議論があるところかと思いますので、今後検討していければと思います。先ほど手続の募集、採用時のところで、合理的配慮を求めるのだったら、十分な時間的余裕を持って申し出なさいということがありました。こういった時間軸という概念を持って事業主から求めがあることもありますし、こういう説明を事業主がする際に、今直ちにはできないとしても、これぐらい時間が必要ですということはあり得ると思います。

あと雇う、雇わないという単純なオール・オア・ナッシングの議論ではなく、今だったら、うちの会社ではこういう仕事しかやってもらうことはできないけれども、もう少し時間を頂ければこういう対応ができるから、こういう仕事もやってもらえるようになると思いますとか、そういうことだってあると思います。必ずしも 0 1 かという考え方ではないと思いますし、こういった時間軸の考え方は必要だと思っていますので、今後の検討に生かしていただければと思います。

○山川座長

ありがとうございます。恐らく今後の検討となりますけれども、過重な負担のほうで考えていくのか、あるいは手続の中の問題として位置付けていくのか、そのあたりも含めて検討を進めていくことかなと感じています。境課長補佐、お願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

今の点に関して整理させていただきたいのですが、過重な負担の判断というのは、今、障害者の方から、こういうことができませんか、という話があったときに、それが今できるかどうかの判断というところで入ってくる要素です。そうなったときに、これは時間がかかるから今はできないということで、確かに時間的な要因でできないということもあろうかと思います。それは結局、過重な負担に当たるからできないとなるわけです。今回、合理的配慮の手続を定めていますけれども、そういった中でも過重な負担によってこれができないといったときには、どうしてそれが過重な負担になったのか理由を含めて説明するという案になっています。そういう意味では、今、おっしゃっていたような時間軸の観点の説明というものは、手続のほうである程度カバーできているとも考えられるのではないかと考えています。

○山川座長

ありがとうございました。ほかに何かございますか。北野委員、どうぞ。

○北野委員

この最後の「相談」のところですが、私が担当窓口の方に研修の実施等の記載をお願いしたところ、こういう表記で「マニュアルの作成その他必要な措置を講ずる」という表現をきっちり入れていただきました。今、本郷委員から、マニュアルがどういうものかについて質問がありました。これは分かりにくいということもあって、これからいろいろ、こういうことは議論していかないといけないところでしょうから、私のほうは「研修」という言葉は入れたのですが、「マニュアルの作成」と「その他」という言葉も取っていただき、「適切な対応ができるよう、必要な措置を講じる」として、その中身についてはまたどこかでいろいろ検討していくという方向で、議論していただけたらどうかなと思いました。

○山川座長

ありがとうございます。むしろ取ってしまおうと。

○北野委員

そういうことです。これから一緒に考えていこうと。

○山川座長

そういう御提案もございましたが、何か御意見等ありましたらお願いいたします。田中委員、どうぞ。

○田中委員

日本盲人会連合の田中です。事務局に 1 点、質問です。相談窓口のところのマル1でしょうか、「相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」という項目の中に「外部機関への委託など」という記載が出てきます。これはどういったものを想定しているのか。現時点で念頭に置かれているものがあれば御教示いただきたいと思います。

○山川座長

境課長補佐、お願いします。

○障害者雇用対策課長補佐

ここは、まず窓口を定めるに当たっては必ず自前でなければいけないということではないと考え、外部への委託もあり得るのではないかと考えたところです。具体例としては、実際には事業主がどのように判断するかになろうかと思いますが、例えば弁護士の方にお願いするとか、そういったことも場合によってはあるのではないかと考えているところです。

○山川座長

よろしいでしょうか。恐らくハラスメント関係の手続においても、このような例があるということがひとつの背景かなと推察したところです。伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

伊藤です。先ほど 14 ページの一番最後のところ、「解雇その他の不利益な取扱いを行ってはならない旨を定める」を削除すべきという意見がありました。それについては、安心して相談できるための担保として、こういった不利益取扱いはないということを、きちんと周知・啓発していただくことは重要だと思いますので、私としては残していただきたいと思います。

○山川座長

ありがとうございます。先ほどの塩野委員の御発言も、周知・啓発自体は削除せよという趣旨ではなかったですね。

○塩野委員

きちんとやって、「定める」という言葉があえて必要ないのではないかと申し上げました。

○山川座長

伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員

伊藤です。分かりました。「定め」というところまでは必要ないのではないかという御意見だったということですが、そこは明確に定めていただいて、それを周知・啓発するということが相談者の安心を担保するものだと思いますので、このような形で記述していただきたいと思います。

○山川座長

ほかに、いかがでしょうか。阿部一彦委員、どうぞ。

○阿部 ( ) 委員

日身連の阿部です。確認ですが、この相談体制のところも、それから話がすごく戻ってしまうのですけれども、合理的配慮の手続などについて「就労支援機関の職員等」というのもそのとおりで、「等」に入るのだと思って理解していたのですが、聴覚障害の方に関してのコミュニケーション支援という意味で、必ずしも筆記だけで理解が進まない場合、聴覚障害の方が、いつの時点で聴覚障害になったかによってまた違うと思います。つまり日本語文法が分かっていれば筆談でもできますけれども、手話の文化でずっときた方については、それも厳しいこともあると思います。この相談のところに手話通訳の人が入ることで、企業のいろいろな業務について情報が漏れるとか、そういうことはあり得るという想定になっているのかどうか。その辺のところを確認したいと思いました。

そもそもなのですが、この手話通訳の派遣が雇用制度の中でできるのか、できないのかも私はよく分かりません。ただし、所定の申請をすれば手話通訳の派遣ができるという事例に接したこともあるのですが、手話通訳、つまり聴覚障害の方のコミュニケーション支援については、最初のうちはすごく大事だという議論があって、今、この辺を思い返してみると、相談の場にも外部からの手話通訳者の派遣ができるものなのかどうなのか。より良いコミュニケーションを図るという意味でなのですが、確認ということで発言させていただきました。

○山川座長

ありがとうございます。この記載そのものというより、この内容に含まれるものとしての手話通訳の方の取扱いで、派遣とおっしゃったのは労働者派遣制度でそのようなものが可能かということでしょうか。

○阿部 ( ) 委員

派遣というのは、福祉の領域では派遣を持っていますけれども、ただし、これに関して福祉の領域では、その方が申請すれば派遣費用が発生しなくてできますけれども、就労の場合はそうではないわけで、恐らく手話通訳派遣事業所に会社から依頼があった場合の取扱いが違うのかどうかというのもありますから、確認を含めてお願いいたします。そして私がお聞きしたかったのは、そういう手話通訳の方のような外部の方が入ることにより、企業にとっては困ることが生ずるものなのかどうか。内容によっても違うと思うのですが、その辺のところで確認したいと思いました。

○山川座長

ありがとうございます。この点は個別の論点的なことになりますけれども、事務局のほうでもし何かありましたら、あるいは事業主側で何か情報がありましたら教えていただければと思います。その点も含めて何かございますか。栗原委員、どうぞ。

○栗原委員

今のお話の件で、込み入った場合に外部の方の援助を仰ぐというのはひとつかも分からないですが、日常の作業においては、分かる方が企業にも当然いらっしゃると思います。ですから、その方が当然指導し、指示をするということで動いているわけですから、私はそれほど問題にならないのではないかと思います。もし、どうしてもその辺で込み入った話になってきた場合には、外部の方にお願いするというのもひとつかもしれませんが、常時外部援助を定例化するのはどうなのかなという感じがいたします。内容によって必要な場合は、それもあり得ることだと考えます。

○山川座長

どう処理したら。

○栗原委員

栗原です。必要な場合というのは、こじれた場合と言ったほうが良いのかもしれません。そういうことがもしあったらということです。これはあくまでも想定の範囲内ですから、こじれる場合があるという前提で考えるべきではないと私は思っています。

○山川座長

ありがとうございました。事務局はよろしいですか。境課長補佐、どうぞ。

○障害者雇用対策課長補佐

事務局の境です。今、おっしゃっておられた事業主のほうで手話通訳者の方を委嘱したり、そういった場合のことであろうかと思いますが、今、現行では手話通訳担当者の委嘱助成金はメニューとしてありますので、そのメニューがあるということだけ、今回、御紹介させていただきます。

○山川座長

阿部一彦委員、どうぞ。

○阿部 ( ) 委員

そういうメニューがあることの確認は大事なことだと思います。私が関わった事例では、資格を取るための研修を受けるときに、そのような制度が活用できました。ただ、それがあまり知られていないような気がしましたので確認いたしました。また、通常はそのような事例ということで、例えば働いている方が手話を覚えたりすることも含めて、職場内での従業員間の配慮の事例も知っていますけれども、込み入った場合はなかなか難しいことになるのかなと思いましたので、確認させていただきました。制度はあるということですね。ありがとうございます。

○山川座長

よろしいでしょうか。ほかに何かございますか。それでは、おおむね各項目につきまして御議論いただいたと思います。非常に有益な御意見、御質問等を頂きました。特にほかにございませんようでしたら、本日はこのあたりで終了としたいと思います。今回までで差別禁止と合理的配慮の主な論点について、一通り御議論を頂きました。先ほども少し申し上げましたけれども、次回以降、報告書の取りまとめの段階に入りたいと思っております。その中で、これまで様々な御意見を頂きましたので、それを踏まえて、どういう形にしていくかという点も含めて御議論いただくことになるかと思います。では、次回の日程等につきまして、事務局から説明をお願いいたします。境課長補佐、どうぞ。

○障害者雇用対策課長補佐

事務局です。次回は、 4 25 ( ) 16 時~ 18 時の開催になります。場所は本日と同じく共用第 8 会議室を予定しています。以上です。

○山川座長

それでは、これをもちまして本日の研究会は終了いたします。お忙しい中、どうもありがとうございました。


(了)

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