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2014年6月18日 医師国家試験改善検討部会 議事録

医政局医事課試験免許室

○日時

平成26年6月18日(水) 13:00〜15:00


○場所

中央合同庁舎5号館 専用15・16会議室


○出席者

委員

赤木委員・井廻委員(部会長)・神野委員・小森委員・清水委員・高木委員
奈良委員・野上委員・伴委員・堀田委員・本橋委員・山口委員
袖山医学教育課長(文部科学省高等教育局)

事務局

原医政局長・北澤医事課長・田村医師臨床研修推進室長・中田課長補佐
古川試験免許室長・手島試験免許室長補佐・大渕試験免許室試験専門官 他

○議題

部会長の選出について
医師国家試験の評価と改善について
その他

○議事

○手島補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまより、平成26年度第1回医道審議会医師分科会医師国家試験改善検討部会を開会させていただきます。

 初めに、医政局長より挨拶を申し上げます。

○原医政局長 医政局長の原でございます。先生方には大変お忙しい中、今回、医師国家試験改善検討部会委員に御承認いただきまして、誠にありがとうございます。

 医師国家試験は、これは言わずもがなですけれども、医師としての第一歩を踏み出す上で、まずは知識や技能を問うものであるということで、この国家試験の果たす役割は、我が国の医療にとって非常に大きなところがあります。医師国家試験については、おおむね4年ごとに本部会を開催させていただいて、医学・医療の進歩を踏まえた上で、その出題の内容をどうするかということについて検討いただいております。

 思い起こせば、私は昭和56年の春に国家試験に受かりました。当時は2日間で250題ぐらいだったのですけれど、C問題がいわゆる実地的なもので、私達の時代では、CTがようやく国家試験に出てくるという時代で、ただそれも頭部だけのCTで、今から思い起こせば、ほとんどモザイクがかかっているようなCT画像でした。いわゆるマイナー科目は、2科目を前もって決めてあって、それをやるというような形でした。今は500問ということで、私達の時代からいうと想像を絶するわけでありますけれど、最近の若い方々にとっては、割とすいすいと解けるらしいです。そういう中で、時代とともにこの国家試験も変わってきております。

 前回の検討部会の報告書では留意点が残っておりまして、卒前教育、卒後臨床研修を含めた一連の医師の養成課程における医師国家試験の在り方について検討して、今後も引き続き、この流れでしっかり連携を密に取るべきとされていると考えております。

 現在、また医学部の中での教育、あるいはその中間段階における、いわゆる共用試験のCBTOSCEについても、一層充実させるというふうに聞いておりますので、それらの点も踏まえて、国家試験の在り方について御検討を頂けたらと思っております。本日から約1年程度になりますけれども、部会の中で検討いただくことになります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○手島補佐 医政局長におきましては、公務の関係上、ここで退席させていただきます。

 まず、試験免許室長より委員の先生方を御紹介いたします。

○古川試験免許室長 試験免許室長の古川でございます。それでは僭越ではございますが、第1回目の会議ですので、委員の皆様の御紹介をさせていただきます。まず、杏林大学教授の赤木委員、新百合ヶ丘総合病院消化器・肝臓病研究所所長の井廻委員、社会医療法人董仙会理事長の神野委員、日本医師会常任理事の小森委員、聖隷浜松病院副院長の清水委員、医療系大学間共用試験実施評価機構CBT担当理事の高木委員、東京医科歯科大学医歯学教育システム研究センターセンター長の奈良委員、教育測定研究所研究開発部研究員の野上委員、名古屋大学医学部附属病院総合診療科長の伴委員、国立がん研究センター理事長の堀田委員、京都府立医科大学特任教授の本橋委員、NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長の山口委員です。なお、千葉大学副学長の中谷委員は、本日欠席です。

 また、オブザーバーとして、文部科学省高等教育局医学教育課の袖山課長と、埼玉医科大学の別所学長のお二人にも御出席いただいております。

 引き続き、事務局の紹介をさせていただきます。医事課長の北澤、医師臨床研修推進室長の田村、医事課長補佐の中田、試験免許室長補佐の手島、試験免許室試験専門官の大渕です。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、続きまして、本部会の部会長を選任いただきたいと存じます。どなたか御推薦を頂けますでしょうか。

○小森委員 日本医師会の小森です。この分野に大変造詣の深い井廻道夫委員を御推薦申し上げます。

○古川試験免許室長 よろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし)

○古川試験免許室長 ありがとうございます。それでは、井廻委員には部会長の席にお移りいただきまして、以後の議事進行をよろしくお願いいたします。

○井廻部会長 ただいま御指名いただきました井廻でございます。余り慣れませんので、皆さんの御協力を得ながらやっていきたいと思います。

 前回の検討部会でも委員として参加させていただきまして、医政局長のお話がありましたように、幾つかの留意点が指摘されております。若い医師の養成課程において、一貫性を持って、そしてできるだけ、よりすばらしい医師が誕生できるように、この医師国家試験がどういう位置にあればいいか、どういうスタイルであればいいかというのを、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、まず始めに事務局から本部会の開催方法について説明をお願いします。

○古川試験免許室長 それでは、まず最初に医師国家試験改善検討部会の位置付けについて説明させていただきます。厚生労働省では、医師国家試験として、妥当な範囲と適切なレベルを保ち、医師の資質の向上を図るため、定期的に国家試験の改善に努めております。今回、医道審議会医師分科会の下に医師国家試験改善検討部会を開催し、現行の医師国家試験を評価するとともに、医師国家試験の改善事項について検討を行っていただきます。

 次に、審議会等に関して、平成114月に閣議決定されました「審議会等の整理合理化に関する基本的計画」において、会議及び議事録を原則、公開することとされております。しかし、医師国家試験の試験方法等に関する検討を行っていく中で、非公開としている医師国家試験の詳細に触れる場合には、会議、会議資料及び議事録については非公開の取扱いとするのがよろしいかと思っております。このような取扱いについて、委員の皆様の御了承を頂ければと考えております。よろしくお願いいたします。

○井廻部会長 ただいまの説明に関して、何か御質問はございますでしょうか。方針としては、それでよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし)

○井廻部会長 どうもありがとうございました。事務局の説明のとおりに行うこととします。

 次に、事務局から資料の確認をお願いいたします。

○手島補佐 それでは、お手元の資料について説明いたします。まず議事次第がありまして、その下に資料1「医師国家試験の現況」、資料2「これまでの対応状況及び今後の検討課題()等について」、資料3「共用試験実施機構と共用試験」、資料4「共用試験統一合格基準による医学生の質保証」、参考資料1「医道審議会医師分科会医師国家試験改善検討部会」、参考資料2「医師国家試験改善検討部会報告書」、参考資料3「これまでの対応状況及び今後の検討課題()等の現状」、参考資料4「第108回医師国家試験の実施状況」、参考資料5「医師養成についての日本医師会の提案」、参考資料6「要望書(平成26516日全国医学部長病院長会議)」があります。

 左手に「第108回医師国家試験問題」、「平成25年版医師国家試験出題基準」があります。青色の紙ファイルにつづられております中には「臨床研修の到達目標」、「医学教育モデル・コア・カリキュラム」、「共用試験CBT公開問題集」が入っております。落丁、乱丁はございませんか。ございましたら、事務局までお申し付けください。資料の確認は以上です。

○井廻部会長 よろしいでしょうか。資料は大丈夫でしょうか。

 それでは、議事に入らせていただきます。事務局から説明をお願いします。

○大渕専門官 事務局より資料1「医師国家試験の現況」の説明をさせていただきます。医師国家試験は、医師法第9条に基づき施行されておりますので、その流れについて簡単に御説明させていただきます。

 まず「医師国家試験の一年」ですが、おおむね4月頃、医道審議会医師分科会で方針決定がされ、その後、検討が進められた後、翌年2月頃に医師国家試験が実施され、3月に合格基準が決定されて、合格発表に至っております。

 下のスライドの「医師国家試験の出題内容」については、「臨床上必要な医学又は公衆衛生に関し、医師として具有すべき知識、技能について広く一般的実力を試し得るもの」とされておりまして、具体的な出題範囲は、お手元にあります「医師国家試験出題基準(ガイドライン)」に準拠して出題されております。そのほか、生命や臓器機能の廃絶に関わるような解答等については、禁忌肢が設定されており、出題形式は多肢選択式・マークシート方式で、現在500問が出題されております。試験問題については、必修問題、医学総論、医学各論の各分野に分かれ、さらに一般問題と臨床実地問題に分かれております。一般問題で250問、臨床実地問題で250問です。

 次のスライド「医師国家試験の合格基準」ですが、こちらは必修問題とそれ以外の問題とで合格基準を変えております。合否判定の方法については、医道審議会医師分科会医師国家試験KV部会で決定されています。

5枚目のスライド「医師国家試験の歴史」については、昭和21年に第1回医師国家試験が行われてから現在に至るまでの歴史を大まかに説明しております。平成13年より試験日数が3日間に変更され、出題数が320題から500題に変更されております。

 次のページの上のスライドは、特に「近年の医師国家試験の変遷」について記載しております。平成13年から問題の公募を開始しておりまして、平成18年から正答肢等の公表をしております。

 その次のスライドは、出題基準の概要です。

 次ページの「医師国家試験合格率等の推移」ですが、近年、医師国家試験の合格率は90%前後で推移しております。具体的な数字については次のスライドを御参照ください。

6ページのスライド10番、11番については、近年の合格者等の内訳の詳細です。

7ページが、「卒前・卒後の医師養成課程を巡る近年の動き」として、医学部教育から生涯教育までの近年の動きについて図表でお示ししております。平成13年にモデル・コア・カリキュラムが策定され、その後、モデル・コア・カリキュラムの改訂が行われ、かつ医師国家試験改善検討部会は4年に一度ごとに行われておりまして、現在は、平成26年度の医師国家試験改善検討部会で御議論いただいているところです。

 以降のスライドについては、医師国家試験を取り巻く現況について、制度若しくは御提言等について紹介しております。資料1については以上です。

 続きまして、資料2「これまでの対応状況及び今後の検討課題()等について」の御説明をさせていただきます。まずは、前回の平成236月に取りまとめていただいた報告書にあります主な課題への現在の対応状況について、簡単に御紹介をさせていただきます。

 まず、「医師国家試験の出題内容について」、前回報告書では、項目ごとの出題割合は、卒後臨床研修で対応が求められる頻度の高い疾患に重点を置く方向で見直すことが望ましい。また、問題作成時には、医学生が臨床実習に主体的に取り組んだ場合に経験可能な事項や、臨床研修で対応が求められる状況を想定することが重要である等の御指摘を頂いております。これを受けまして、平成23年度の医師国家試験出題基準改定部会において、特に「医学各論」の出題割合を変更し、試験委員の御裁量で頻度や緊急性の高い疾患を優先的に出題できるよう見直しを行いました。当該見直しについて、平成252月の第107回医師国家試験から適用しております。そのほかの御提言については、医師国家試験委員会において、改善検討部会報告書の趣旨を踏まえて、臨床実習や臨床研修の状況を想定した問題作成が行われております。

 前回報告書でのもう1つの主な課題は、「OSCE(客観的臨床能力試験)について」ですが、前回報告書においては、卒後臨床研修を開始する前にOSCEによる評価が必要であると認識されました。そのために、我が国において標準化が可能なOSCEの確立について段階的な検証が必要であり、日本語診療能力調査をパイロットとして、実践的な検討を行うべきとされました。これについては、標準化が可能なOSCEの検証について、研究班等も含めた検討を行っていただいておりまして、研究班からの御報告として「評価方法の標準化に関しては、実施方法、課題、課題数、シナリオ作成、評価者養成、模擬患者育成について、課題がある」とされました。また、全国医学部長病院長会議の調査によりますと、臨床実習終了時のOSCEについて、各大学では全国80の医学部中、54医学部で実施されているとのことでした。

 また、前回の報告書の課題として、「受験資格認定について」は、本試験認定について個々人の能力を問うことに重点化した審査としていくことが必要であり、予備試験や実地修練についても、受験者に求める水準や受験過程を含めて、整合性の観点から合理的に見直すことが望ましいとされました。これらについては、同じく日本語診療能力調査において診療能力の評価が可能となるように見直しを実施しました。また、医学教育課程との整合性を図る観点から、実地修練についてもモデル・コア・カリキュラムの臨床実習の部分を踏まえて実施するよう見直しを行いました。前回報告書に出された主な課題への対応については以上です。

 それを踏まえて、「今後の主な検討課題()について」として御提示させていただいております。まず「基本的な方針について」ですが、医師国家試験を卒前教育・卒後臨床研修・専門医制度を含めた一連の医師養成課程の中に位置付けた上で、近年の医学教育を巡る動向を踏まえつつ、その果たすべき役割を十分に発揮できるものとする必要があります。そうなりますと、医師国家試験を卒前教育・卒後臨床研修・専門医制度を含めた一連の医師養成課程の中に位置付けるに当たっては、それぞれの到達目標との整合性が必要となってまいります。ですので、卒後臨床研修の到達目標が平成32年度の見直しに向け検討が進められているところであり、また専門医についても、日本専門医機構が認定基準を策定して、平成29年度からの養成課程を目指して準備を進めていることも踏まえ、医師国家試験については、こうした動きも踏まえながら検討する必要があるのではないかと御提案申し上げます。

 また、2番目の「医師国家試験の出題数について」ですが、前回の報告書からの検討課題として、医師国家試験においては、基本的臨床能力を問う出題に重点化されることが望ましいとされております。前回報告書で具体的な方向性として「臨床実地問題」の出題を軸とし、現在250題が出題されている「一般問題」の出題数は再考する余地があるとされております。また、そのためには「医学部・医科大学において現在統一されていない共用試験の成績評価が、一定程度標準化されることが必要」とされました。それを踏まえて、まずは各医学部・医科大学における臨床実習開始前の共用試験の実施状況について評価をしてはどうか。また、共用試験の標準化について、共用試験の出題範囲、共用試験の実施方法、全医学部での実施可能性等についても検討してはどうかと考えております。

 続きまして、「OSCEについて」の課題です。国家試験としてOSCEを導入すべきかどうかについては、前回報告書において「医学部・医科大学における卒前OSCEの実施状況を見ながら引き続き議論すべき」とされました。合否判定を伴う医師国家試験としてOSCEを実施することが最適かどうか、御検討いただく必要があると考えております。

 一方で、我が国において標準化が可能なOSCEの手法の確立が必要であり、また標準模擬患者への参加を含めた一般市民の協力が不可欠となっております。このことを踏まえて、諸外国での効果や課題について情報収集した上で、医学部・医科大学における卒前OSCEの実施状況も踏まえ、検討してはどうかと考えております。

 主な検討課題の最後ですが、「医師国家試験受験資格認定について」は、医師法第11条第3号「外国の医学校を卒業し、又は外国で医師免許を得た者で、厚生労働大臣が前2号に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有し、かつ、適当と認定したもの」とされておりますが、こちらに基づいて、医師国家試験の受験資格を認めていることについては、近年、申請数が増加傾向にある背景があります。前回報告書では「近年、我が国の医師免許取得を目的として、我が国の大学医学部・歯科大学ではなく外国の医学校に進学する者が見受けられ、近年のこの傾向について懸念する意見もある」とされています。論点として、外国の医学校が多様化しており、医学教育の内容を確認することが困難な場合があります。近年の医学校の動向を踏まえて、第3号受験資格認定の在り方についても検討してはどうかと考えております。そのほか出題内容、合格基準、受験回数制限、試験問題の蓄積、コンピュータ制の導入、年間試験回数について等、今回の改善検討部会で御議論いただく検討課題と考えております。

5ページ目に、「今後のスケジュール」をお示ししております。今回の平成266月の第1回会議については、主な論点として、検討の方向性について大まかな御議論を頂いた上で、卒前教育における共用試験の標準化を踏まえた医師国家試験の出題数について御議論いただきます。その後、この第1回から第2回の間に、今回の御議論いただいた課題等について調整した結果を報告させていただいた上で、第2回で共用試験の標準化の方針を最終御評価いただき、かつ再度、出題数への御検討を頂いた上で、OSCEや医師国家試験受験資格認定の在り方など、その他の課題についても御検討いただきます。その結果、WGにおいて具体的に検討した後、第3回を平成27年前半をめどと考えておりますが、本WGでの検討結果を踏まえて、医師国家試験出題基準の見直し方針等として報告書を取りまとめていただくことを考えております。

6ページ以降については、卒前教育・卒後臨床研修・専門医制度から国家試験に向けて頂いております提言等です。資料2についての事務局からの説明は以上です。

○井廻部会長 今の説明に対して何か御質問、御意見等ございますでしょうか。よろしいですか。もし御質問があれば後からでもということで。それでは資料2の「3 今後のスケジュール」に沿いまして審議を進めていきたいと思います。

 まず、資料3「共用試験実施機構と共用試験」について、高木委員から御説明をお願いします。

○高木委員 それでは、資料3について、御説明させていただきます。「共用試験実施機構と共用試験」ということでして、1ページの下にあるような内容について、お話をさせていただきます。事務局のほうから「15分程度でまとめなさい」ということを申し遣っていますが、割と多くのスライドを作ってまいりましたので、詳細は後でじっくり御覧いただければと思っています。

 まず2ページ目の下です。「医療系大学間共用試験実施評価機構」、CATO(カトー)と言っていますが、これは今お話がありましたような、大学間の共用試験を実施するために作られた組織です。評価をすることも、当然ながらやっています。

 それから、3ページの「モデル・コア・カリキュラム」については、皆さん十分に御承知だと思いますが、医学生が卒業するまでに最低限履修すべき教育内容をまとめたものということでして、全カリキュラムの3分の2程度は全国の医学部で共通のカリキュラムとして、残りは各医学部独特のカリキュラムで教育をしてくださいということで、モデル・コア・カリキュラムが作られたわけです。経緯については、そこにあるような形でして、今は平成226月に作られた平成22年度改訂版、ver.3になりますが、それを公表しているわけです。

 次は4ページ、モデル・コア・カリキュラムの特徴です。これについては従前の医学部のカリキュラムと少し変わっています。構造と機能、統合型のカリキュラムにしましょう、症状・病態からのアプローチを重視しましょう、医の倫理、医療安全、課題探求・問題解決能力の重視をしましょう、知識量はminimum levelで結構、態度・技能にも言及しましょうというのが、モデル・コア・カリキュラムの特徴です。

 その下に具体的なものを、AからGまで書いてありますが、A.基本事項、B.医学一般、C.人体各器官の正常構造と機能、病態、診断、治療、D.全身に及ぶ生理的変化、病態、診断、治療、E.診療の基本、F.医学・医療と社会、G.臨床実習についても言及しているわけです。

5ページを見ていただきますと、平成22年版ではこのAからGが少し変わっていまして、「医学・医療と社会」がBの所に入りまして、BCに、CDになっているということです。これは「医学・医療と社会」が、公衆衛生学的な領域でありますので、Bのほうに移行させていただきました。

 それから6ページにいきますと、これは「共用試験は何のために行うか」をまとめたのですが、最終的な目標は、臨床実習を診療参加型(クリニカルクラークシップ)にするということです。そのためには、診療チームの一員として参加するために必要な知識と技能と態度、問題解決能力が、その学生に身についているかどうかを、社会に示さなくてはいけないだろうということでして、そのための試験、標準化された共用試験をしましょう。それについては「CBT」によって知識を、それから「OSCE」によって技能と態度を評価しまして、確かにこの学生は知識もあるし、技能、態度もしっかりしているという学生だけが、診療参加型(クリニカルクラークシップ)をすることができるとしたものです。

 このような「共用試験の実施方法」を7ページに書いてあります。これは当初は、国家試験と異なり、希望する大学によって実施する。今は、全ての医科大学で、これを実施しています。進級判定の材料に使用するかは、各大学が判断してくださいというのが当初の考えでした。ただ、ここに書きましたように医学部長病院長会議で、今年度IRTItem Response Theory;項目反応理論)標準スコア43を実習可能な判定基準にしましたが、決してこれにしなさいということではなくて、これを推奨しているということです。試験結果は大学を通じて本人に通知し、平均点、一般的な統計資料などを公表することになっています。

 今回は主にCBTの議論と思いますが、共用試験ではOSCEもしていますので、その「OSCE」についてまず御説明させていただきます。8ページを御覧ください。OSCEの優れている点は、筆記試験では知識は評価できますが、技能や態度については、十分な評価ができないということがあります。OSCEをすることによりまして、技能、学生の態度について評価しましょうということです。

 どのような形態、システムで共用試験のOSCEを行っているかの実際を例示しています。これは、昭和大学の共用試験OSCEですが、医療面接のステーションだけは、学生1人当たり10分間でやっていますので、全く別に行います。その右のほうに書いてあるのが、共用試験での共通の課題です。頭頸部の診察、胸部診察、腹部診察、神経学的な診察、それから基本的臨床手技、もしくは救急のステーション、このステーションがありまして、これらを1つずつグルグル回りながら試験をしております。

 この身体診察のステーションは5分間で行うことが決まっていますので、医療面接ステーションと、診察のステーションを混合するということが、なかなかうまくできませんでしたので、我々の所では医療面接のステーションと、診察のステーションを別にしています。

9ページの上を御覧ください。これが実際の写真です。内部評価者というのは、大学で選抜された評価者。それから外部評価者、これは共用試験実施評価機構から派遣されたモニターです。適正にOSCEが行われているか、もしくは評価がしっかりできているか、をモニターするために、外部評価者がステーション内で内部評価者と一緒に評価をしています。模擬患者さんを相手に学生が10分間で医療面接を行います。

 実際にどのような課題か、もしくは学習・評価をどうしているかということを、その下のスライドに示しました。これは医療面接ですが、「患者さんは佐藤花子さん、50歳、女性です。佐藤さんは初めて外来を受診されました。下記の項目の医療面接を行ってください」という課題です。そして、どういう項目を学習したらいいか、もしくは評価されているかということも、『臨床実習開始前の「共用試験」:医学・歯学系大学教職員と学生のために』という小冊子に記載して配布しています。医療面接ということで、診察時の配慮などが事細かに、ここに記載されていますので、学生は実際に試験を受ける前に、このことについて十分に理解をして、習得してから試験を受けることになっています。

 次の10ページを御覧ください。これが腹部診察です。医療面接だけではなくて、このような腹部診察についても、同様で、「佐藤太郎さん、50歳、男性。主訴は心窩部痛とタール便です。下記の項目の診察を仰臥位で行ってください」という課題が記載されており、腹部診察についての学習と評価項目が書いてありますので、これを学生は学習してOSCEに望みます。

 そのほかの項目の、頭頸部診察、胸部診察、神経診察、バイタルサイン、それから基本的臨床手技、救急につきましても、スライドのような形で課題が与えられ、学修・評価項目についても公開されています。これがOSCEでして、これを学生はほぼ1日かけて、試験をしています。

 次は「CBT」です。Computer-Based Testingのことで、単に試験用紙をコンピュータ画面に置き換えただけではなくて、コンピュータが持つ能力を利用したものであります。プールされた問題から、個人ごとに別のセットの試験問題を用意することができるので、カンニングができないというのが、大きな利点です。ただ問題なのが、受験生全員が一律の試験ではありませんので、この評価が難しいということです。評価は6段階の概略評価とIRT、項目反応理論からの能力値ということで評価をしているということです。

 実際の共用試験のCBTの手順を、13ページに書いています。「共用試験実施評価機構(CATO)」から各大学に作問の依頼を行います。平成26年については45問です。ピーク時には120設問をお願いしましたが、少しずつプール問題が集積してきましたので、各大学に現在では45問、それほど各大学にはストレスがかからない、負担がかからない程度の問題数になっています。依頼された各大学で問題を作成していただきまして、大学内でブラッシュアップをしていただきます。それを提出いただいて、今度はCATOにて、各大学から推薦された委員によって、集中ブラッシュアップを行います。今年も既に2回、1回につき2日ですが、全部で4回の集中ブラッシュアップを金土にかけて行います。次にプール化委員会でそれらブラッシュアップ問題をさらにブラッシュアップして、試行問題とします。そして、これら試行問題にすでにプールされている問題を加えて、複数組の問題セットを作成します。それから各大学に実施キットが送付されて、CBTを行っていただきます。このときにはCBTが適切に行われているかどうかも、共用試験実施評価機構のほうからモニター委員が参りましてモニターしています。解答がCATOに送られ、CATOで採点して、各大学に個人別成績表等、結果を送付します。そうしますと、各大学がこれら試験結果に基づいて合否判定を行うということです。

 各大学が試験を終了した後、出題問題の事後評価をしています。これは作られた問題、出題した問題が適正かどうかというのを評価するもので、これについては、試行問題は全てこの事後評価委員会にかけまして、いい問題だけがプール化をされていきます。非常に難しい問題で、正答率が悪い問題とか、何か体裁があまり良くない問題につきましては、もう一度集中ブラッシュアップに返却されて修正をされて、また新しい問題として学生に出題されるというステップになっています。14ページの上のスライドが、それについて具体的に図示したものです。

 共用試験CBTでは何を評価するか。先ほどから申し上げているように、臨床実習を開始する前に十分な医学的知識、生命科学から臨床医学の知識を習得しているかということを測る、ということです。それぞれの到達すべき学習目標については、今申し上げた「モデル・コア・カリキュラム-教育内容ガイドライン-」に示されています。

 それでは、実際にCBTがどのような構成になっているか申し上げますと、ブロック166ブロックに分かれています。ブロック14については各1時間でして、5肢択一問題で60設問です。ですから、全部で240設問になります。目標としますと、1分に1題。あまり難しい問題というか、長い問題は出題しないというのが基本です。

 それから、ブロック51時間で多選択肢2連問形式です。20セット、40設問を作ります。それからブロック6、これがCBTの特徴的な、非常に有意義な問題でして、これについては後で御説明させていただきます。全6時間で320題を解答します。プール問題については、今2万題を少し超えたくらいがプールされていまして、そこから選択をして、出題しています。

 「5肢択一問題」については、ワンベスト(one-best)の試験形式で、正解は唯一ですが、相対的に正しいというのが原則です。実際に依頼をさせていただくときには、その下に書いてありますように、これは2というのが正答肢です。2というのが正答肢に近い、少し間違ってもいいだろう。1というのが、間違ってもいいけれど、そこそこです。0は間違っては困るという選択肢です。それぞれの作問の先生に選択肢ごとに「適正度」も記入していただいています。

 実際の5肢択一のAタイプの問題について、16ページに示しています。これは、基本問題のA-1-(2)-3)というコア・カリキュラムの問題で、詳細は後でもう一度御確認をしていただければと思っています。この問題のモデル・コア・カリキュラムの内容は、「患者が自己決定できない場合の対処法を説明できる」というのが目標になっていまして、これについての問題は、「インフォームドコンセントについて正しいのはどれか」ということで、AからEまでの選択肢で、この問題ではEが正解ということです。

 それから、A-2-(1)-4)は、「医療安全性に関する情報を共有し、事後に役立てるための分析の重要性を説明できる」という目標で、このような写真を使った問題で、選択肢から正答を選び、この問題ではEが正答です。

 例題3B-1です。CBTでいいのは解像度の高い画像を示すことができる点です。この問題でも膀胱やその他の組織も、学生がきちんと分かるような形で提示できます。

 それから、例題4についてもこのような、これはC-8の腎臓も問題ですが、「腎の機能の全体像やネフロン各部の構造と機能を概説できる」という目標に対して、図を示しながらたくさんの部位を挙げて、それぞれの構造や機能についての設問を作成することができます。

 それから、例題4についてもこのような、これはC-8の腎臓の問題ですが、「腎の機能の全体像やネフロン各部の構造と機能を概説できる」という目標に対して、図を示しながらたくさんの部位を挙げて、それぞれの構造や機能についての設問を作成することができます。

 次の18ページがD-2、「腫瘍の定義を説明できる」という目標でも問題は、「悪性腫瘍の一般的特徴でないのはどれか」というような問題を出題しています。

 その次がブロック5の「EMI」と言われる、「多選択肢連問問題」です。5肢択一は選択肢が5つですが、この場合には6つ以上、共用試験では大体815選択肢を使いまして、その中の正答肢を1つ選ぶ問題としています。実際の問題は、19ページの症候EMI、「発熱」を来す疾患である選択肢がここにAからMまで書いてあります。このような疾患が、「発熱」を来す疾患ですので、それについて下に書いてあるように、「54歳の女性、日中持続する発熱のために来院した。・・・」という主訴や現病歴を書いて、考えられるのはどれかという設問として、AからMまでの選択肢から選択する問題です。

 これは連問になっていますので、「発熱」がもう1問出ます。次の試験は「22歳の女性、2か月前から・・・」と設問で、選択肢は前問と同様で、この問題の正解はリウマチ熱であります。

 それから、もう1つ特徴的なのは、病態EMIです。これは基礎医学的な内容を問うている問題です。モデル・コア・カリキュラムの領域では、C領域の「医学一般」と、E領域の「全身に及ぶ生理的な変化」に対しての問題です。病態EMIの例題は、「病態と細胞像」で、Bリンパ球、Tリンパ球、形質細胞などの血球を羅列して、「13歳の男子が、このような病態となった」ときに、「喀痰に多く認められる細胞はこのうちどれでしょう」かという設問にしています。

 病態EMIも症候EMIと同様に連問ですから、次の問題も選択肢は同じで、「48歳の男性です。昼食にカニを食べた15分後からかゆみの強い発疹が出現・・・」の病態に最も関係している細胞はどれかという設問で、肥満細胞を選択させる問題です。このEMIについては、国家試験でも採用されています。

 次がCBTのコンピュータを使った非常に素晴らしい問題形式の「順次解答4連問形式」です。これは、第1問を解答して第2問に移ると、第1問に戻れない形式です。このQ問題形式での出題を考えたのは、「医師は間違ったことをしてはいけない、その医行為によって患者さんが危篤・危険な状態になるかもしれない、しっかり考えて次のことを行いなさい、答えなさい」というコンセプトです。Aタイプの問題は1問が1分での解答ですが、Q問題では10症例40設問で60分ですから、1問が1.5分ですので、少し時間をかけて、しっかり考えてくださいということです。

 これは、臨床推論能力を評価するもので、Paper patientにより実際に診療している経過に従って出題していきます。例題は23ページで、まず設問1は「医療面接」です。「52歳の女性が午後4時頃に、右肋骨の下のほうが重苦しく、ときどき差し込むような痛みを感じて目覚めました、・・・と」の主訴と現病歴から、この患者にまず聞くことはAからEのどれでしょうか」という設問で、診療現場で医療面接をするときに、まず何を聞きますかという設問です。この患者では、主訴と現病歴、あるいは女性で小太りなどの情報から胆石や胆嚢炎が考えられますので、「昨夜脂っこい食事をとりましたか」が正答肢となります。

 その次の24ページの第2設問は「身体診察」です。その設問では第1設問の主訴と現病歴も記載されています。これは第2設問でも、1つの問題として成り立つようにしているためです。ただ、多少問題なのは、「嘔吐はない」という所まではいいのですが、「昨夜は中華料理を食べた」ということで第1設問の正解が記載されていることです。ですから、第1設問で「昨夜は中華料理を食べた」以外を正答とした学生さんはがっかりすることもあります。この第2設問では、身長152cm、体重65kgなどのバイタルサインなどを記載して、「予想される身体所見はどれでしょうか」としてAEの中から選ばせています。

 第3設問は「検査」に移ります。第2設問と同様に患者の主訴、現病歴のほか、第2設問での正答肢「痛みが増強する」、「Murphy徴候を認める」が記載されています。その前の正答はMurphy徴候なのだということが分かってしまいますが、それは致し方ありません。血液検査所見が追加されて、「まず行う検査はどれか」という設問で、正解は「腹部超音波をする」です。

 第4設問は「病態生理」です。これは診断をするということではなくて、病態生理を聞いています。第3設問の腹部超音波の画像が提示され、診断はつきます。この診断の患者で、「脂っこいものを食べた後に起こった腹痛の発生機序に関わるホルモンはどれか」という設問で、多少基礎的な内容、病態生理的なものをここで問うということになっています。医療現場で行われていることをステップごとに設問して、臨床推論能力を高めることも可能なことから、CBTにおいてはQ問題が最も有効ではないかと思っています。

 それから、「共用試験のCBTの内容と成績」です。今は平成19年度版、ver.2で出題していまして、基本事項が4.2%、医学一般が20.8%、など、ここに示した出題割合で出題しています。

実際、どのぐらいの点数かというのを、右に書いています。これはコア・カリA〜コア・カリFについて、それぞれ前期と後期に分けてあります。2015年の前期は平成2612月から平成273月、後期が平成276月から9月ですので、スライドの2014年は平成2512月から平成263月まで行った成績が、ここに書いてあります。コア・カリA85.2%、コア・カリB73.7%などで、コア・カリAの基本的事項は、医の原則、医療における安全性確保、コミュニケーションとチーム医療などの一般的事項も含んだ基本的設問であり、高い正答率です。

次に問題形式ごとの得点ですが、5肢択一の問題も77.3%ですので、かなり高い。一番高いのは多肢選択肢2連問、EMI84.2%です。Q問題は69.5%と低い得点ですが、これは医療面接の問題はなかなか作成技術が難しく、学生が十分に理解していなかったり、解答に難渋する設問もありまして、低くなっていると考えています。ちなみに2013年度についてもほとんど変わっていません。ですから、どの年もほぼ同じような成績になっていると考えていただいて結構です。

 その次のページがコア・カリ別の「採点対象問題の得点分布」です。コア・カリAについては非常に高い点ですが、先ほど申し上げたように「基本的事項」のためと考えています。その他では、非常に点が低いのはB-3-(3)で、これは医学一般で、「病因と病態」の「代謝障害」についてです。原因ははっきりしませんが、学生が苦手な分野とも考えられます。

 それから、A-3に移行した問題につきましては、これは腫瘍のコア・カリのチーム医療で、チーム医療はA-3にもチーム医療、もしくはコミュニケーションスキルという目標があり、そちらのほうに移しました。

 今回、恐らく一番問題になるのは、その次の「CBTにおける一般問題と臨床問題」です。共用試験では、臨床問題は「○○歳、男性、○○のために来院した」などと、年齢、性別、来院理由を記載されている設問に限定しました。そして、「一般問題」は「臨床問題」以外の設問です。CBTでの一般問題と臨床問題の比率ですが、タイプA174.765.3です。4.15は標準偏差ですので、ばらつきが小さいことがお分かりと思いますす。当然ながらEMIは、ほとんどが症候EMIですので臨床問題、タイプQは全部臨床問題です。全部合わせますと175145ぐらいのレベルになっています。

 それから、「モデル・コア・カリキュラム」については「*」、前は「△」になっていましたが、これが小項目の目標に書いてあります。これについては、「卒業時までに習得すべきレベルの内容を示すが、臨床実習開始後から卒業時までに習得させるべきとの意味ではなく、必要に応じて臨床実習開始前から学習すべき内容も含まれている」というのを強調しています。

 「*」の項目について、例えばどんなものがあるかを次に示しています。多少、これがどうして「*」になっているかということも、一応議論されるべきではないかと思っています。それから、29ページ以降はそれに関連するような問題について、それぞれのモデル・コア・カリキュラムを全部網羅していますし、「*」の項目がどのぐらいあるかということについても書いてあります。

 それから、35ページの一番下には、CBT問題作成から成績返却までの、先ほどお示ししましたが、共用試験機構で行っているようなブラッシュアップ、それから事後評価についてお示ししていますので、後で御覧になっていただければと思っています。以上です。

○井廻部会長 質問があるかと思いますが、続けて別所先生から「共用試験統一合格基準による医学生の質保証」についてお話をいただいてからにしたいと思います。

○別所埼玉医科大学学長(オブザーバー) 全国医学部長病院長会議は、国内にあります80の医科大学の医学部長と病院長からなる組織ですが、ここ何年間か臨床実習の充実に向けて、前提として、共用試験の統一合格基準による医学生の質保障について取り組んでまいりました。このことの背景を説明したいと思います。

 私たちが学生の頃は、教授が教室に現われ、御自分の専門のことを、医学的なこと、学問的なことを中心にお話をして帰っていくというような状況だったわけですが、最近は随分、医学教育も変わってまいりました。その背景には、医療安全、それから患者からの視点というものが医学教育の中に反映されるようになり、世界的な潮流となってきているということがあります。特に我が国では、医学生の卒業時の基本的な臨床能力が、他の国に比べて若干見劣りするということも指摘されてきました。そういったことで、医学部では卒業時点で基本的な臨床能力を修得できるような医学教育が、今、求められているわけです。

 これまで、医学教育の改革が随分行われてきたわけですが、それを簡単にまとめてみますと、2ページにある表になります。昭和62年から書いてありますが、臨床実習に「学生が診療に参加する」ということの重要性が指摘されております。その後、いろいろな経緯がありますが、平成13年に高久先生が座長をされた会議で、診療参加型臨床実習の必要性、またその必要条件として今お話のありました共用試験のシステム、それから各大学で教育すべき内容をまとめたモデル・コア・カリキュラムという全国統一的な基準を作ることが示されました。それらによる改革の実際をまとめますと、1つ目は、モデル・コア・カリキュラムです。これは、平成13年に提示され、平成19年、22年と改定が加えられております。それから、卒後臨床研修制度も平成16年から開始、共用試験の本格実施が平成17年から、そして、各大学では診療参加型臨床実習の推進が進められております。国家試験の改善については、今回のような形でおおむね4年ごとということで、右側の図を見ていただきますと、平成17年からは医学教育の大きな枠組みは、多くの大学ではこのような形になっております。入学から卒業までの6年間のうちの7割程度はコア・カリキュラム、残り3割が各大学の特色のあるカリキュラムで医学教育が行われます。6年間のうちの前3分の2は、臨床実習前の教育、あとの3分の1は臨床実習教育です。臨床実習教育も従来型、つまり見学中心あるいは模擬診療ではなく、診療に実際に参加するといったような診療参加型臨床実習に力を入れるようになっております。その臨床実習前教育と臨床実習の間に、共用試験があるわけです。

 今は、臨床研修が始まりましたので、6年生の夏頃になりますと、マッチングが行われ、卒業、国家試験ということになります。そういったような枠組みが、平成17年以降続いているわけですが、御承知のとおり平成16年の臨床研修制度が開始されたとほぼ同時期から、医師不足、それから診療科偏在といった様々な医療上のこ問題が指摘されるようになってまいりました。そういった背景からで、平成20年に厚生労働省で「安心と希望の医療確保ビジョン」という会議が立ち上げられ、その中間取りまとめに基づき、「臨床研修制度等に関する意見のとりまとめ」が平成21年に厚労・文科両省から出ました。これにより、臨床研修制度も平成22年に改定が行われたわけですが、この改定を受けて「臨床研修制度の見直し等を踏まえた医学教育の改善について」という提言が、文部科学省より平成2151日に出されております。

 次の4ページに、この提言のポイントをまとめたものが、1番から5番まであります。1番目が、基本的診療能力の確実な習得と将来のキャリアの明確化。2番目が、地域の医療を担う意欲、使命感の向上。3番目が研究マインドの涵養。4番目が評価システムの確立。5番目が指導体制の強化となっております。1番目の、基本的診療能力の確実な習得というところで、臨床実習を少なくとも1,500時間ぐらいは行う必要があるのではないかという、数字が初めて示された形になっております。

 これらの動きと前後して、世界基準の医学教育というものが、最近問題になってきているわけです。これは、ECFMGから「2023年より世界基準の医学教育を行っていると認証された大学の卒業生のみ受験可能とする」という宣言がなされたことに端を発します。現在、この認証を受けた大学は日本には1校もありません。これからは、医学教育の国際的基準に対応した認証が必要になってまいります。そのためにはどうすればいいかということですが、下の2つの項目になります。1つ目は、十分な期間と質を確保して臨床実習を行うこと。それから、Outcome-based Curriculumに則った医学教育の2点がポイントになってまいります。そういった背景がありまして、各大学ではカリキュラムの改革を進めてきているわけです。

 次に、「カリキュラムの改訂」をご覧ください。平成24年度以前が22校、平成21年度以降ここに示した大学でカリキュラムの改訂が進められました。つまり80大学ほとんど全てが平成25年までにカリキュラムの大改革を進めてきております。このカリキュラムについて、臨床実習関連のことだけを抜き出したのが、下の小さな図です。これは、全国医学部長病院長会議がまとめた「医学教育カリキュラムの現状(平成25年度版)」から抜粋したもので、平成25年度、23年度、21年度の調査です。一番左側の欄ですが、共用試験を進級判定に活用している大学の数が書いてあります。CBTについては現在80大学全てが活用しています。OSCEについては、1校が活用していないという回答なのですが、79校が活用しています。臨床実習については、臨床実習入門というような時間を取っている大学があり、これも平成23年度に比べて25年度は若干増加しております。また、臨床実習全体の平均時間も少しずつ増加してきております。「診療参加型」と書いてありますが、ここのカラムは間違っておりまして、「(時間)」と書いてありますが、これは「(週)」と直してください。平成23年度の44ですが、実際には37.6週ですので、これも数字の訂正をお願いいたします。平成25年度は39.0週が正しいので、こちらも修正をお願いしたいと思います。訂正したファイルは、あとでお届けしたいと思います。

 それから、「aOSCE」は、共用試験OSCEではなくて、臨床実習のあとのOSCE、または卒業時のOSCEで、こういったものを行っている大学も少しずつ増えてきています。それを、卒業の要件にしている大学も増えてきている現状があります。それに伴い、臨床技能の教育が大事になってきておりますので、そういった技能教育をする場であるスキルスラボも充実されてきています。充実状況の指標として面積を示しますが、広がってきていることがわかります。また、施設・備品の整備にかける予算も随分増えているのが分かります。

 次のページは、「診療参加型臨床実習の質的・量的充実のための取組」で、これは文部科学省が平成25年度のワークショップの際にまとめたものを引用させていただきましたが、各大学ではこの課題に取り組んでいます。その下も、学外実習、学内だけではなく、いろいろな関連施設での学外実習、それからリスク管理も行うようになっておりますし、他職種連携教育についても力を入れていることが分かります。

 ただ、右側を見ていただきますと、課題もあることがわかります。具体的には、各大学が掲げている目標と、実際に到達できたことを比べたものがここに書いてありますが、右側の2つの項目については、目標に比べてまだ到達度が低いということです。今後の課題としては、指導医の育成・確保が大事になっております。以上のように、カリキュラムの改訂が行われてきているのですが、今後の予定として、これからも改訂の予定があるかどうかを調査しますと、御覧のように予定している大学が63大学で、平成26年度以降順次、数が示してありますが、多くの大学で更にカリキュラムの改訂の予定があります。

 その内容について、どういうことが主な改訂点かといいますと、8ページの上を御覧ください。臨床実習時間を増やすという方向です。現在の週数が右のカラムにあり、52.9週が平均なのですが、68.1週を目指しています。6年間のうちの3分の2を丸々実習に使いますと72週となりますが、72週にはちょっと届かないのですが、それを目指して皆さん各大学で臨床実習の時間の確保に努めている現状が分かると思います。では、どの学年で臨床実習をしているかを示したのが下の図です。多くの大学では、5年生に集中的に行っております。6年生になりますと、むしろ減ってしまうのですね。本来、医学部教育から卒後臨床研修への継ぎ目のない一貫性のあることを考えますと、6年生でもっと増やさないといけないのですが、現実にはこのような状況になっているわけです。

 次のページを見ていただきますと、クリニカル・クラークシップ、これは診療参加型臨床実習です。これも、1校平均の週数を書いておりますが、5年生で多くて6年生で減ってしまっています。むしろ、これは6年生でもっと増やして、そのまま卒後臨床研修につないでいくというのが、一貫性のある医学教育だと思いますが、現状はこのようになっております。その大きな理由は、卒業判定とそのあとに続く国家試験ということになります。卒業判定の時期について調査したものをここに書いておりますが、6年生になると卒業判定、その後国家試験ということになりますが、そういうものが入ってくるために、6年生での臨床実習時間の確保が難しくなっているわけです。

10ページです。卒前教育と医師国家試験という観点から見ていただきますと、現行の医師国家試験で問われるのは、知識です。その知識の範囲も広く、難易度も様々です。したがって、合格するためには座学中心にどうしてもなりがちであり、また、座学が現行の国家試験では有効であるという現実もあります。ということで、6年生の後半を国家試験の受験準備に当てている大学も少なくない現状があります。一方では、中央のカラムにありますように、卒業時点で基本的な臨床能力が身につく医学教育が求められているわけです。また、国際基準に合致する医学教育も必要になってまいります。

 以上申し上げましたように、医師国家試験については、知識中心を是正して、臨床実習充実に資するような国家試験になってほしいと考えているわけです。卒前教育については、診療参加型を中心にした臨床実習の充実を、これから更に一層図る必要があると考えられます。

 平成21年に文科省から出ました「臨床研修制度の見直し等を踏まえた医学教育の改善について」という提言をもう1度見ていただきますと、4番目に「学習成果を生かす多面的な評価システムの確立」とあります。具体的にどういうものかを見ていただきますと、1つ目が、共用試験の位置付けの明確化、統一的な合格基準。2つ目は、共用試験合格者に一定の証明書を発行する。3つ目は、臨床実習内容の体系的な記録を蓄積していく。4つ目が、臨床能力を適切に評価できる国家試験。それらが、この提言の中に含まれております。

 全国医学部長病院長会議が出しております「医師養成のグランドデザイン」の中にも、共用試験による医学生の質保障をする、それによって、診療参加型実習を中心に臨床実習を充実させるということがうたわれております。一方で、国家試験については、知識中心を是正して、医学教育に資する試験に改善していただきたいという要望も書かれているわけです。

 そういった背景があり、各大学で実施可能な取組は、かなり進んでおります。Student Doctor証等の発行等、つまり共用試験に合格して臨床実習に進む学生に対して、あなたはもうそういった資格があるのだというような証明書の類を発行しているかどうかの調査ですが、発行している大学が29大学です。その名称については、Student Doctorであったり、臨床実習生であったり、SP(Student Physician)など、いろいろな名称がありますが、何らかの証明書は発行している。それを、臨床実習中に携帯させている大学もかなりあることが分かります。こういった臨床実習に進む学生について、認証式のようなセレモニーを行っているかどうかを聞いていますが、行っている大学が53大学ありました。

 次のページは、埼玉医科大学の例なのですが、平成22年度の写真を持ってまいりました。この時は、アルフォンス・デーケン先生に来学いただき、特別講演をしていただきました。医学生の自覚を促すといった目的で臨床医学生認定式(白衣式)を毎年行っています。アメリカの大学では、ほとんど全ての大学で行われているそうなのですが、日本でもだんだん広まってきております。先ほど見ていただきましたように、平成25年の調査では53大学で行っております。そういった称号を与えたことによって何らかの不都合な問題が起こっているかどうかも、アンケート調査いたしましたが、そういった問題があるという大学は1校もありませんでした。

 そういったような現状を踏まえて、全国医学部長病院長会議では、中谷先生を委員長として共用試験検討委員会を立ち上げ、「共用試験によるStudent Doctor認定システム」を開始いたしました。この目的は、臨床実習の更なる充実です。共用試験CBTOSCEによって学生の質を保証する、そして診療参加型臨床実習を充実させていくことが目的です。ではどのような統一基準を作るか、というのが次の問題です。こちらは共用試験実施機構から出ておりますデータですが、トライアルの年が4年あり、そのあと2006年から正式実施がされております。2006年の第1回目はちょっと低めなのですが、だんだん素点もIRTの標準スコアも上がってまいりまして、最近は安定した素点、スコアに落ち着いています。そこで、IRTの過去3年間の平均値マイナス1.5SDというところで合格ラインを切り、それ以上の得点を合格ラインといたしました。

 次のページです。共用試験CBTの統一合格水準については、過去3年の平均値からIRT43を推奨合格ラインといたしました。そして、これはCBTだけではなくて、各大学でOSCEをやっていただく。それから、共用試験というのは学生の能力のごく一部を見ているだけですので、各大学ではそれぞれ独自の進級試験も行われていますから、各大学の独自試験による学生評価も行われる。この3つのもので進級を判定していただく。その結果を、医学部長病院長会議に報告いただきますと、それに基づいて証明書を発行するというような取り組みをトライアルとして実施しています。平成25年度をトライアル年度として、平成26年度から本格運用という予定で、昨年の全国の医学部長病院長会議の総会で決議をしてスタートしました。その下が、どういう仕組みかということを図示したものです。大学から申請いただいて、医学部長病院長会議が発行するという流れです。

 次のページは、各大学から登録いただくデータです。これは、個人情報が含まれていますので、かなり神経を使い、個人情報の漏洩がないよう注意して行われております。「Student Doctor認定証」のサンプルを下に示しております。平成25年度はトライアルで行ったのですが、どういう状況かが18ページの上にあります。実際にやってみますと、いろいろな問題が見えてまいりました。といいますのは、試験の実施時期が大学によって随分異なるのです。また、独自の試験も行っていますから、そういうものを加味して進級判定をいたしますので、各大学の進級判定の時期がかなりバラついています。多くは、3月に進級判定をしているわけですが、それ以外の時期の大学もあることが分かりました。それから、去年の総会は5月に行われましたが、既に新学期が4月から始まっています。ということで、大学によっては合格基準を学則で決めている所がありますので、学則の変更が間に合わなかった大学があります。そこで、もう1年トライアルをすることにいたしました。したがって、平成25年、26年をトライアル年度として実施して、平成27年度から本格運用することを、今年の5月の全国医学部長病院長会議の定例総会で決議をいたしました。参考資料6を御覧いただきますと、全国医学部長病院長会議から医政局長宛てに、全国医学部長病院長会議の取り組み状況に鑑み、国家試験についてもこのような状況に合わせて改善してほしいという要望書を出させていただいております。

 ただ、まだ課題が幾つかあります。「Student Doctor」という呼称でいいのかという問題があり、これはまだ議論が少しあるところです。認定証については、全国医学部長病院長会議が出したのですが、有効期限を記載する必要であるという意見もあります。CBTは再試験を行っている大学もありますので、その取扱いをどうするか。それから、先ほど申しましたような進級判定の時間的なずれが大学ごとにあるという問題もあります。また、今回はホームページでの公表は差し控えたのですが、本格運用では公表していこうということになっております。

 まとめますと、卒前・卒後の連続性ある医学教育によって、社会から求められる医師を養成していくことが、今求められている喫緊の課題であると認識しています。特に卒前教育の中では卒業時点で一定レベルの基本的臨床能力を習得することが求められています。医学部・医科大学では、これに向けていろいろ努力をしているところですが、こういった医学部教育の改善・充実状況に呼応した医師国家試験の改善を是非お願いしたいと思います。

○井廻部会長 高木先生と別所先生から御説明いただきました。委員の皆さんから、何か御質問、御意見はありますか。

○神野委員 私が臨床研修部会の委員をさせていただいたときにもこの話が出たのですが、今、別所先生がお話になった海外との比較で、日本の実習時間が明らかに少なすぎるという話があるわけです。まず1つ目ですが、どれだけ必要なのかという話です。先ほど、2年間丸々やったら72週だとおっしゃいましたが、72週でも足らないのでしょうか。というのは、海外の医科大学卒業生、特に最近、例えば東ヨーロッパの大学卒業生がいますが、あちらはアメリカではオーケーだという話ですよね。そちらとの比較と、日本がそれほど見劣りするものかというのが、1点目の質問です。

 もう1点ですが、確かに今の医師国家試験が知識偏重で、国家試験のために6年生が実習どころではないという大学がたくさんあるわけです。そのときに、この実習を開始するときの4年目から5年目の今回の共用試験等を、今、共通化する動きが出ていますが、これに国家が関係すべきかどうか。大学のオートノミーでやるべきなのか、それとも、何らかの国家試験の前段階的試験だとするならば、国民が、この方はメスを持って人を傷つけても毒を飲ませてもいいということを認めるためには、やはり今の日本国家では、国家がこの共用試験というものに関与すべきかどうかを検討する必要があると思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

○別所埼玉医科大学学長 1点目の臨床実習の時間は、私よりも詳しい先生方がたくさんいらっしゃると思いますので、御回答いただければと思います。私の理解では、臨床実習の時間については、72週というのが独り歩きをしているわけで、時間数よりむしろアウトカムがきちんとできているかどうか、そのためには、どのぐらいの実習時間が必要なのか、という観点が重要だと思います。

 それから2番目ですが、やはりこれは国家の資格にしてしまいますと、競争といいますか、いろいろな問題が生じてきますので、私は必ずしもよくないのではないかと思います。医学部長病院長会議でも、診療参加型臨床実習と言うのは、医学生がメスを持って侵襲的医療行為をするということではなくて、基本的な診療能力を重視しています。つまり、患者さんから情報を集めて、身体診察をして、基本的な診断と診療の方針、検査計画を立てるということが大事であり、実際の医療行為についてはシミュレーターでも可としております。シミュレーター等で実際的な医療技術を身につけて、卒後臨床研修に進んでから実際の医療行為を行っていくというプロセスが大事ではないかと思います。私は国家の資格というよりは、大学の取組という方向で進むのがいいのではないかと考えております。

○井廻部会長 いかがでしょうか。

○堀田委員 共用試験CBTの導入が80大学でほとんど全て完成したということで、2万題のプール問題から出され、かなり標準化されてきたと思うのです。この実施時期が学部4年生になる前の3月に大体集中していると先ほど伺いましたが、実施時期をずらす、あるいは早く受ける大学の場合の成績にはばら付きがあるかどうかは、何か参考になるようなデータはありますか。実施時期がずれ、例えば早く受けると、成績が伸びないというようなことはあるものなのでしょうか。

○高木委員 御質問のように、実際、現在は、12月から次の9月までCBTの試験期間としています。どうしてそんなことになっているのかと言いますと、先ほど示したトライアル(試行問題)の評価をしなくてはいけないので、9月までに終了して、それから12月までは統計学的、若しくはいい問題かどうかをふるい分けるための時間が必要です。先生が御質問の、前期と後期で成績が違うかといいますと、ほとんど変わっておりません。後期CBTを受験する学生の多くは、4年生の前半にやります。前期のほうは、4年生の12月からやって、5年生で臨床実習に入る大学が多いのですが、その成績についてはほとんど変わっておりません。

○堀田委員 ということは、早くCBTをやる所はカリキュラムが早く消化されているという意味ですか。

○高木委員 そうだと思います。あとは、国家試験と同じで、学生がそれに対して対応して一生懸命勉強をして、そこそこの成績を取っているのと、先ほど議論になっていますように、もともとその大学で、うちの判定基準、合格基準はここですよと決めておられますので、それに合うように勉強しているのが現実だと思っています。

○堀田委員 もう1点は、共用試験CBTはどちらかというと知識を問うとか、一般問題が中心になるかと思うのですが、そこが十分に保証されれば、国家試験でそこを問う必要が基本的にないのかどうかということは、いかがでしょうか。

○高木委員 その点については、ここで議論していただきたいと思うのですが、共用試験実施機構といたしますと、先ほど示したように、全てが一般問題でやっているわけではなく、特にEMIという多選択肢、もう1つのQ問題については臨床問題ですので、一般問題は主に基本的なところ、基礎医学的なところを多く出題しておりますので、それについては一応臨床実習前には十分な知識があるだろう、若しくは病態生理学的、基礎医学的な物の考えができるだろうということは、こちらでは思っております。それが6年生で国家試験とどういう具合にリンクするかは、今のところまだデータ的には持ち合わせておりません。

○小森委員 私は、臨床研修の議論にも参加させていただきましたが、これはもうホームページに載っていますからオープンにしていいのだと思いますが、昨年、医師国家試験委員をしておりまして、実際に問題を作る非常に苦しい、ない頭を絞るという作業をしている現場にいました。先ほど、原局長からお話がありましたが、我々は似たような世代ですが、我々のときは260題でした。それから320題という時期があり、平成13年の報告書によって、「明らかに医学知識が膨大、また多岐にわたることから500題とする」、という報告書が出て、それに基づいて500題になりました。確かに、臨床実地問題が相当数増えるのですが、実際にはやはりこの臨床実地問題をしっかり作るという作業ですよね。そして、一般問題の中で今言われたような、保健医療の分野についてやはり一般問題とならざるを得ない部分が若干あります。どうしても、共用試験CBTとダブらない部分があるので、そこは残されてもいいのだろうと思うのですが、ここはやはり大幅な改革をすべきです。そして、先ほど別所先生あるいは神野先生などが全て共有している概念だと思いますが、全てとは申しませんが、明らかに多くの大学では医師国家試験に合格することは至上命題で、そのことによって、教育が歪められてしまっていることは、共通した認識としてあるのだろうと思います。そういう意味で、神野先生が、以前の議論でも、共用試験CBT80大学全てに実施されたのはすばらしいステップだと思っていますが、そこの質の担保はもう少し詰めないと、やはり、例えば医師国家試験の問題数は私は減らすべきであり、そして臨床実地問題は更に充実させるべきであると。CBTと共有できない一般問題についてのみ、そこを一般問題として問うという基本的な概念の中で、問題数は減らすべきだと思っております。そうなると、やはり国民にとってそれが安易、簡単になったというメッセージを送ることは大変問題であり、医学教育はこのような様々な条件の中で、医師国家試験として問うことは、更に臨床推論等に集中して行うと。ある意味、以前より難しいと、そして患者に寄り添う医療ということを実践するために行うというメッセージを出さないといけないと思いますので、別所先生の言われた共用試験CBTは飽くまでオートノミーでというのは、私は理解はできるのですが、オートノミーと言ってしまっていいのかどうか、そこの部分の国家管理とオートノミーとの微妙な落し所は少し探らないと、国民の方々の理解は難しい面も残されているかと思います。

○井廻部会長 それでは、赤木委員にお話していただいて、その後、この共用試験の信頼性等に関して、野上委員に御意見をお願いしたいと思います。

○赤木委員 技術的なことですが、IRTの標準スコアの算出をしたデータは、確か正式実施の第2回ぐらいのデータだと伺っていますが、これを見ますと、標準スコアの平均値が最初のうちは少し変化して、最近45年は安定してきていますので、安定してきた時期のデータをベースにして、もう一度IRTの標準スコアの基になるデータを作り直すことはされないのでしょうか。

○別所埼玉医科大学学長 IRTの御質問が出ましたので、追加で説明させていただいてよろしいですか。

○井廻部会長 どうぞ。

○別所埼玉医科大学学長 IRTそのものは、私も素人なので詳しくは分かりませんので、試験の専門の先生方に教えていただければと思います。私の理解に基づいて、説明させていただきます。その資料を用意してきましたので、見ていただければと思います。

IRTというのは、Item Response Theory、項目反応理論ということだそうで、共用試験実施機構から出ている冊子によると、試験の結果を問題の難易度、受験者の能力値に分離できる理論ということです。なぜ共用試験CBTIRTを使うかということですが、先ほど御説明がありましたように、CBTでは受験者ごとに問題のセットが異なるわけです。難易度が異なる問題を各学生が受けますので、素点では不公平が生じる可能性があるということで、IRTの能力値なら難易度による不公平を是正可能ではないかということです。

IRTはどうやって計算されるかということですが、こちらも私の理解なので間違っていたら訂正をお願いします。2006年のCBT正式実施第1回のデータを基準に、9,000問のプール問題の難易度を算出、これを基準集団として、試験問題の難易度を固定したということです。この難易度を基に、受験生の能力を、平均が50、標準偏差が10の標準値として算出した。これを基準に、翌年以降の学生の能力を示す値であるということです。

 その下が機構から出ている資料ですが、第1回は2006年から正式実施がされています。素点の平均は初めは低いのですが、徐々に上がってきまして、ここ何年間かは横ばい状態です。次の所を見ていただきますと、こちらはIRTです。こちらもほぼ横ばい状態です。

IRT43はどうやって決めたかです。これは直近の3年間のIRTから計算して、平均が58.9になります。標準偏差(SD)10.6ということです。1.5SDとしたわけですが、1.6ではまずいのかと言われると、根拠をもって答えることはできないのですが、1.5という切りのいいところで切りました。実際に計算しますと、43.06ということになります。

 なぜ、平均マイナス1.5SDなのかですが、試験の成績がほぼ正規分布としますと、1.5SDというのは、約7%が不合格になるという数字です。2SDにすると2%、1SDだと16%ということです。6年間の医学教育の中の4年目に受ける、連続的な医学教育の1つのプロセスの中の試験ですので、余りに難しすぎてもいけないのではないかと思いますので、1.5SD、約7%が不合格となるというような設定にしました。

 つまり、直近3年間の学生たちの能力を基準に、下位7%の学生を不合格とする基準ということになります。

 「IRT43」をまとめますと、共用試験CBTでは、受験者ごとに問題セットが異なるため、問題の難易度を調整した得点(IRT)が用いられています。IRT2006年を基準とした相対的な値であり、合格基準は相対値とならざるを得ない相対評価です。1.5SDは現在43です。これは相対的な値ですから競争試験にならないのかという指摘がありますが、これは過去の受験者のデータで設定していますので、今年の受験者とは違うわけです。ですから、今年の受験生は全員通るかもしれないということです。もちろん、その結果は保証できないわけですが、当該年度の受験生は全員合格できる可能性はあるわけです。そういう意味では、IRT43での合否は絶対評価ということになります。

 赤木先生からの質問には、3年間の平均を基にしましたというのが回答になります。

○赤木委員 第1回の解答を基にしIRTを算出したと言われましたが、まだこのときは安定していないように思うのです。学生の試験に対する姿勢もありますし、大学によっては、正式実施をしても進級判定には使わないというところもありましたので、言葉は悪いですが、かなりいい加減に対応している学生もいて、第1回、第2回辺りは、まだそういう感じなので、もう一度最近の何年間かのデータを基に、IRTを算出し直して、そしてそれを基にして合格基準を定めることにしたほうが、統計学的な意味合いなども明確になるのではないかと思うのです。

○別所埼玉医科大学学長 ありがとうございます。

○高木委員 ただいま赤木先生がおっしゃっているところは、今、実施機構でも論点になっております。ですから、おっしゃっているような第1回とか、そのところの基準個体、基準集団をそのまま持ってきていいのかどうかということです。

CBTを開始した最初のころは、6段階評価の21というのが、大体10数パーセントいたのです。今は21は、かなり数字的には落ちていますので、それをどうしようか。個体を今のところに合わせようかというのは、検討中です。CBT実施前のころが、先生がおっしゃるように、全く乱暴にやったわけではないと思っていますので、その成績からすると、今の学生はよくなってきているので、別所先生がおっしゃったように、ある面では絶対評価なのかなと。それをもう一回相対評価に戻すと、かなり高いところまででしなければいけないということになりますので、今のところどちらにしようかというのは、共用試験実施機構では検討しております。そのうちに皆さんにはお話をできるのではないかと思っています。

○山口委員 IRT43を推奨最低合格ラインに、平成27年度から本格的に導入ということでした。今までは大学によってかなり基準がばらばらだったと伺っていました。「43」を最低合格ラインということは、最低ですから、大学によって違いがあるということなのでしょうか。

 それから、確か共用試験CBTは再試があると思うのですが、不合格になって、再試の場合の合格基準も「43」が最低ラインということになっているのでしょうか。

 それからこれは別の質問ですが、スライド13の「大幅なカリキュラム改訂の予定」が、今のところ17大学が「予定していない」ということなのですが、この理由が何かあるのでしたら教えていただきたいと思います。

○別所埼玉医科大学学長 最後のご質問ですが、これは既にカリキュラム改革を済ませていると理解しています。

 再試験の問題ですが、再試験については、全国医学部長病院長会議では決まりは設けていません。各大学の判断に委ねていますので、再試験をしている大学もありますし、やっていない大学もあります。

 それから、「43」は全国共通でその数字を使っていただいているということですので、その最低ラインはクリアできているのではないかと思います。

 参考までに持って来たのですが、某大学の素点とIRTの分布の過去3年間のデータです。素点で見ますと、問題セットによって違ってきますので、100点満点でいうと、61点から64点ぐらい取っている学生が、IRT43をクリアできているということになります。多くの大学で合格点として60点を採用しているのではないかと思うのですが、60点より少し上ぐらいのところが、最低ラインになっていることを示す1つの例です。

○井廻部会長 野上委員の御意見はいかがでしょうか。

○野上委員 難しいところなのですが、まず、共用試験のCBTでトライアルを4年間で、問題のデータを集めて、項目パラメータなどを推定し、最初の年の受験者を基準として、2006年の受験者を基準として、スケールを定めたということですよね。

 ですから、それを基に評価をしていくと、当然、受験者の振る舞いは、トライアルのときと本番として使われるときとでは、若干違ってはきますが、だからスケールが全く信用ならないかというと、そういうことではないと思います。

 ただ、トライアルのときには余り出てこなかった能力の高いような答案が、本番の試験ではたくさん出てくるようになりますと、上のほうの人を細かく識別したりというのが、対応できないようなスケールになっている可能性はあるかと思いますので、受験者の振る舞いが安定してきた時点で見直して、許されることだったら、本番の試験で安定した何年か分の受験者を基準集団として、スケールを見直すということは、やれるのだったらやってもいいのではないかと思います。ただ、外部の人間ですので、なかなかそういうことを申し上げるのはおこがましいのですが。

 それで、「43」というスコアの意味ですが、現時点で、4年生の段階で下位の7%に相当する人ぐらいを不合格になるような基準ということで、現場でいろいろやってらっしゃる先生方にとって、各大学で、全国の下位7%に相当する方がどのぐらいの割合になるかというのは違うのかもしれませんけれども、このぐらいだったら、これで合格できない人は進級させなられないというので妥当かなと感じるスコアなのか、それとも、ちょっと甘すぎやしないのかとか、厳しすぎやしないかというようなことについて、その感覚を調査するということは、一度やってもいいのではないかと思います。

 それから、課題として「絶対基準を設けることができるか」というようなことが書いてありましたが、ある意味これは絶対基準ですので、「43」と決めました、そしたら、それと同じレベルをクリアしていれば、5年、10年たって全員が合格となったとしても、今だったら下位7%のぎりぎりの人に相当するよりも、みんなが能力が高くなっているということですので、それが将来的に全員がほぼ合格するような状態になったとしても、それは問題ないと思うのですが、「43」という数値で、どの程度の知識、あるいはスキルが身に付いている人なのかというところを、基準を示してほしいという希望が一般的な感覚からするとあるのではないかなと思うのです。

 それで、「43」というと、この程度の問題だったらきちんと答えることができるけれども、もう少しレベルの高い問題になると答えられないとか、43点ぐらいというと、大体このぐらいは習得できているけれども、これ以上は無理だということを、問題の内容から手掛かりを出すということができるのではないかと思っているのです。それぞれの問題に、項目パラメータが付いていますので、例えば「43」というようなスコアを持っている人は、この問題だったらほぼ確実に答えられます、この問題だったら、ほぼ答えられないというような、問題のサンプルを幾つか出すことができると思いますので、そういったものを検討して、43という基準で、これを超えていれば臨床実習に参加させてもいいかなということを、医療の専門の先生方にも御検討いただいて、43で問題ないかというような吟味はしたほうがいいのではないかなと思っています。

○井廻部会長 御質問、御意見はいかがでしょうか。

○伴委員 医学教育学会の伴でございます。今回、国家試験の検討部会ということで、共用試験との関連で、少し総論的になりますが、意見を申し上げたいと思います。

 共用試験というのは、日本の中でも試験管理という意味では、しっかりとした機構をもってやっているところだと思います。臨床実習前に社会的責任を果たすという意味でも、各大学がこぞって協力して、知識、技能、態度などの評価をしてから、実習に送り出しているというのは、世界で見ても、結構珍しい、オールジャパンでやっているシステムだと誇っていいシステムだと思います。

 それを国家試験に持っていくと、途端に知識の試験しかしていなくて、技能、態度は全然評価していないということになるので、大変見劣りがすると。同じ国家試験をするなら、共用試験レベルのことを国家試験でもやったほうがいいのではないかという話になると思います。

 それで、先ほど小森先生がおっしゃった、それを国家試験としてやるかどうかということは、イギリス圏のほうは国家試験がないものですから、各大学がそれぞれ責任をもって卒前教育をして、卒業したら送り出していく。戦前は日本もそうだったということになりますが、質保証のクオリティが大分違うということで、国家試験である程度担保しようということで、戦後に始まったと思います。

 私は前回の改善検討部会にも出ておりましたが、今のところ、何らかの形で技能、態度も担保したいというのは、皆さんの意見なのです。それをいかに費用対効果を考えながら、きちんとできるかというところが大きな問題で、その点、共用試験実施機構は、レベルはまだ卒前の中間ですが、しっかりした経験を積んできておられますので、例えばCBTにせよ、そういうものを国家試験に応用するとか、そうすると先ほど高木先生が力説されていた順次解答4連問という、非常に臨床能力を問いやすい試験もできるようになるし、そうすると先ほど小森先生がおっしゃっていた、より臨床に直結した問題で知識を問おうと。

 国家試験と共用試験は、同じ知識を問うといっても、全然深さが違うと思いますので、知識はそれなりに問うけれども、それは臨床的な知識を問うという形で実現していくということが必要なのではないかと思います。ですから、国家試験と共用試験がもっとよく連携して、いい試験にしていくと、日本は世界に冠たるクオリティを保証している国になれるのではないかなと思います。

○本橋委員 本橋と申します。共用試験CBTの話を聞かせていただいて、課題もあるのですが、私も以前に少し関わっていたときよりも標準化に向けた試みがなされているということで、大変心強く思っています。

 国家試験も共用試験も、どちらも教育の質保証というところだと思うのですが、まだ医学教育が充実してこなかった頃は、国がしっかりとした質保証をするということだったと思うのですが、今は医学部あるいは大学が、その自律性をもってある程度の質保証をしてきたということで、共用試験のところを国家試験化するかどうかというのは、私も微妙なところだと思います。私自身は医学部に関わってきた中で言えば、大学の自律性という中て、ここまでこのシステムを構築されてきたので、共用試験のところは国が関わるというよりは、大学が中心になってやられる今のシステムのほうがいいのではないかと、個人的には思っております。

 その際には、例えば80の大学があるわけですから、本当に統一的な基準でできているかどうかが、皆さんが心配されているところだと思いますので、これからトライアルもされるようですが、その辺の検証をしっかりとされるということを前提に、今後の医師国家試験の出題数の減少などに結び付けられるのではないかと思います。

 私自身は公衆衛生学が専門なものですから、どうしても国家試験のときには、基本的な臨床能力うんぬんが重視されて、それは大変重要なことだと思いますが、医師法にもあるように、臨床上必要な医学と公衆衛生のもの、これが重要であると思っています。例えば一般問題を減らしていくときに、保健医療総論あるいは公衆衛生に関わる問題というのは、例えば今で言えば、医療介護の総合的な推進法ができたり、地域医療ビジョンのことが議論になったりして、4年のときに学んだのと、6年で学んだときとで、かなり公衆衛生だとか、制度面ではいろいろな変革があり得るものですから、4年のときの知識と6年のときの知識で、必ずしもバージョンアップしていくというのは、ほかの分野でもそうなのでしょうけれども、実際にその地域の中、あるいは社会の中で医療を実践していくときの公衆衛生の重要性というところは是非担保していただいて、一般数を減らすときにも、そこのところは是非重視していただくことが望ましいと個人的には思っています。

○井廻部会長 そのほかにいかがでしょうか。

○堀田委員 共用試験CBTがかなり充実してきて、更に標準化をすることを前提にして、これと連動して国家試験を考えた場合に、重要な事項は深掘りをする一般問題として繰り返し出題されても構わないと思うのです。

 私は、この委員になるにあたて、事前に事務局から問題集を頂いて久し振りにやってみたのです。当然合格ラインには達しませんが、自分が国家試験を作っていた123年前に比べると随分いい問題が増えたという印象です。臨床問題が非常に充実して、視覚素材も豊富に使われているという印象です。これは正直言って、10数年振りに接して、かなり隔世の感があると思いました。

 しかし一方で、問題数がやたらに多くて、これを暇を見つけて解くのに1週間かかりました。やはり出題数の問題は学生には相当の負担になっているのではないかと思いました。

 それと、各論の一般問題で、細かい数値など「この中のどれか」と問われても、似たような数値のどれかを選ぶみたいなものは、当てずっぽうでも4分の1ぐらいは当たるという話になりますから、そういった問題というのは、基本的には国家試験レベルではないのではないかという気がしました。そういうことも含めて、全体の問題数、重要なものを残しながらある程度数を調整することは、結構踏み込める問題だと実感いたしました。

○小森委員 歴代の報告書も拝見しましたが、相当昔から「国家試験にOSCEの導入を検討すべきである」ということが、10数年続いて主張されています。だから、もう既にここでの議論は、そのことの重要性について議論する段階ではなくて、いつ踏み込むかという決断の時期なのだろうと思って、拝読をしてまいりました。

 ただ、共用試験CBTとの連動については、相当実績もできていますので、是非これは実現に向けたいと思いますが、OSCEはもう少しモデル的にでも導入できないかという時期にきているのではないか。大学の中での差異は、全国医学部長病院長会議、日本医師会は3か月に1回意見交換をして、基本的に同じスタンスでいると思っておりますが、相当これも標準化されてきたのですが、どうしても学校としてのポリシーというか、そういうことで差があって、いい部分はあるのだろうと思いますが、これも相当標準化されてきていて、一番課題である6年時に知識偏重の授業に戻ってしまっているという実態を何とかするためには、これは時期は待てないと。32年からのという議論をしているのであれば、これまでの実績と今後の進展を考えると、Advanced OSCEの導入をするためには一体何が課題で、何が駄目なのか。やるという前提というぐらいの議論を1回してもいいのではないかなと思って聞いておりました。

○井廻部会長 OSCEに関して、最後に議論をしたいと思っていたのですが、その前に、まず現在の共用試験CBTのほうで標準化は十分にいっているだろうと。そして、それを基にして、次は国家試験問題数を減らしていくという議論に持っていくと。そういうことに関しては、委員の皆さん、よろしいのでしょうか。

○伴委員 国家試験の知識に限定しての話ですよね。

○井廻部会長 そうです。

○伴委員 それをいい問題にするというのと、問題数を減らすというのとは、全く別個に考えないといけないと思うのです。問題数を減らしたら、それだけうっかりミスとか、ポカの影響は大きくなりますから、ある程度問題数が多いほうが学生に対するストレスが実は少ないことは考えておかないといけないと思います。

 問題数が減ったら勉強する量が減るかというと、そんなことはないです。卒業するときの目標は同じですから、そこからどのぐらい抽出して、それを解いてもらって合否を決めるわけです。分母の数が少なくなったら、それだけポカ、うっかりミスの影響が大きくなりますから、そういうことも考える必要はあると思います。

○井廻部会長 かつての必修問題で、優秀な人が落ちたという、問題数が少ないときがありましたので、そのことも考えて、どこまで必要なのか、どういう問題が必要なのかということで減らすことができるかどうかという議論になるかと思いますが、そういうことでよろしいでしょうか。

○山口委員 先ほど小森委員から、「国民の理解が得られるか」というお話がありました。野上委員がいらっしゃいますが専門家でいらっしゃるので、純粋な患者の立場は私1人なのかなと思い、発言致します。

 患者側から見て、医師国家試験の試験問題が多いほうが合格した医師は優秀という印象は持っておりません。むしろ、頭でっかちの状態で卒業し、学んだことは卒業と同時に忘れてしまってということになるのであれば、余り意味がないのかなと思います。

 患者の診療をするに当たって、どのようなことが大切なのかということを医師国家試験でむしろ問うていただきたい。もちろん基礎的な知識があってということですが、そうすると、この共用試験CBTをどう位置付けるのかだと思います。私は専門的なところは分かりませんが、数が多ければそれでよくて、少なくなると簡単で信用できないというような感覚ではないと思っております。

 先ほど、OSCEを本気で始める必要があるのではないかというお話がありました。私どものグループでは、22年前から模擬患者をやってきております。共用試験OSCEが始まってからも、複数の大学に模擬患者を派遣しておりまして、様々に経験をしてきております。

OSCEのことは次回が中心だという話でしたので、私が実際に模擬患者の養成・派遣をしている中で、模擬患者自体の養成の在り方、模擬患者の標準化、大学の運営の仕方、評価者の在り方、それを経験の中でいろいろと感じている問題もありまして、かなりの変革をしないと、医師国家試験の位置付けということはできないのではないかなと思っておりますので、また次回以降のところでもし時間があれば、養成の立場からお伝えできればと思っております。

○井廻部会長 次回というか、このディスカッションが終わったら、以前から奈良先生のほうでOSCEに関しては検討されていますので、先生から説明を頂きたいと思っていたのですが、よろしいですか。

○奈良委員 先ほど小森委員から、パイロットということで御提案いただきましたが、私どもは日本語診療能力調査という形で、外国の医学部出身者に対して、日本語で診療できるかどうか、「調査」を行います。

 私が委員長になってからOSCEの本格的導入を行い、外科系・内科系の医療面接と、小児科・産婦人科の医療面接、それプラス身体診察を含めた5ステーションで実施してきています。これはちょうどアメリカが現在の臨床能力試験(USMLE step2CS)を導入する前に、パイロットとして外国人医師を対象にCSAとして実施したことに似ていると思います。

この日本語診療能力調査でのOSCEの経験からしますと、課題としては、いいシナリオの作成、模擬患者役の、評価者の評価の標準化などがあげられます。

これらの課題の他に、現在は外国出身の人ですから、数十名と少規模ですので、1日で終了できますが、これを9,000人に広げると、機密保持の問題、外部評価者の確保、模擬患者の確保などがでてくると考えられます。

 私の私見ですが、国家試験としての全国規模でのOSCEを導入するより、まずは各大学でのOSCEを充実すべきではないかと思います。それは共用試験のOSCEではなく、臨床実習が終わった後に学生の臨床能力を適切に測定するOSCEの意味です。臨床実習後OSCEでは、患者や家族から医療情報が取れて、診察もできて、さらに臨床推論ができるかどうかを評価することになります。共用試験OSCEよりももっと踏み込んだ形で行い、臨床実習後の臨床能力を問うような評価を各大学できちんとやっていただければ良いのではないかと思うのです。さらに外部評価委員を交えて標準化すれば現実的になるのではないでしょうか。

 国家試験としてOSCEを実施しているのは、アメリカ、カナダ、韓国などがあります。国家試験として臨床能力試験を行うには経費、人員が相当に必要で、アメリカでは受験料を高くし、試験センターを6か所設け、SPStandardized Patient)の養成も、延べで2万人ぐらいは用意するなど、ものすごく投資をしているわけです。そこまで行う必要があるかどうかというのも含めて議論しないといけないと思います。例えば、ドイツでは費用対効果を考え、OSCEではなく、真の患者の診察を行ってその後に口頭試験を行うといった方式を採用しています。

 現実の問題として、各大学での臨床実習後の臨床能力評価を充実していくことを行い、それの合否を国家試験受験資格にする方式が、まず導入できることではないかなと思っています。

○井廻部会長 韓国の状況というのはどうなのですか。

○奈良委員 韓国は全くアメリカの小型版ということで行われています。韓国は学生数がちょうど日本の半分ぐらいです。10月ぐらいから始まって、OSCEセンターで全学生を対象にかなり厳格にやっています。診察手技、臨床推論を試験しています。導入当初は不合格者が訴訟を起こすのではないかという懸念があったのですが、実際にはほとんど問題になっていないようです。

 ただ、相当な経費がかかるのはアメリカと同様で、韓国では政府が相当の経済支援をし、かつ受験料もかなり高いみたいです。

○井廻部会長 ありがとうございました。何か、御意見、御質問等はありますでしょうか。

○野上委員 2点あります。まずは、問題数についてです。共用試験でカバーできているところについては、国家試験で減らすような方向でというような声も聞こえてきますが、共用試験のCBTと連携してやっていくということは必要だと思っています。ただ、こちらの共用試験の「43」というスコアで基準が統一されてきていて、基本的なところはそこで一旦評価をしたので、もっと深いところをというのは、基本的には賛成ですが、この「43」というところが国家試験では問う必要のないという能力を担保できているのかというところは、きちんと吟味すべきではないかと考えています。

2 点目です。Advanced OSCEの件です。素朴な疑問としては、共用試験でもOSCEをやっていて、それが一応全国的には統一された形でできているのに、なぜそれが国家試験ではできないのだろうかというのが、素朴な疑問です。ただ、いろいろな状況を見ていると、現実的にやれることと言えば、まずは各大学で卒業の基準として、OSCEのようなことをきちんとやっていくというのが現実的な路線なのだろうなと思うのですが、素朴な疑問として、共用試験では、advancedではないにしろ、同じようなOSCEを全国でやれているのに、国家試験でできていないのはどうしてなのかというのが、医療を専門としていない者からの疑問でして、一体どこに訴えれば、それをできるようになるのでしょうか。

○奈良委員 今のご質問では、2つとも共通した課題があると思います。まずは共用試験CBTと国家試験との間では問うている内容の深さがかなり違うことです。私は共用試験の出題をしていましたし、国家試験にも関わっていますが、共用試験の問題を作るときに、この内容であればむしろ国家試験で出題すべきと言うものは弾いています。6年間の中で勉強することと、4年生までに勉強することは深さが違いますので、例えば同じ一般問題でも深さが相当違うので、共用試験でやったからやる必要はないということにはならないと思います。

2つ目の、共用試験でOSCEができて、なぜ国家試験でできないかということです。先ほど高木先生からもお話がありましたが、共用試験の場合には、例えば医療面接は10分なのです。基本手技は5分です。アメリカの国家試験のOSCEを言いますと、1ステーションが25分なのです。つまり、15分できっちりと医療面接と身体診察をして、10分間でカルテ記載、そこには鑑別診断とか、どういう検査をするとか、治療指針、そこまで10分間で記載をする。しかも、25分を12ステーションやっているのです。ですから、1人の学生が8時間やほどかけています。

 共用試験OSCEの場合には1人当たりにすると、合計してもたかだが45分ぐらい。これで臨床能力を適正に評価することはできないと思います。共用試験の場合は各大学で行われ、大体1日で終わります。しかし、国家試験として実施するとなれば、ステーション数も、評価内容も相当に吟味すべきで、ぐに導入することはできず、しっかりとした準備が要求されます。もちろん大変だからという理由だけで、臨床能力を評価しないわけにはまいりません。現実的に可能な方策を検討する必要があると思います。○井廻部会長 いかがでしょうか。高木委員から何かありますか、あるいは別所先生、何か御意見ございますか。

○別所埼玉医科大学学長 資料45ページに、aOSCEの実態を示しているのですが、実施が80校中54校、29校で卒業要件となっています。これは各大学でも様々な実態ですので、これをそろえるというのはかなりハードルが高いのではないかと思います。

○高木委員 先ほどの一般問題についてですが、共用試験CBTについてはモデル・コア・カリキュラム、国家試験はここにあるような国家試験の出題基準がありまして、もしやるなら、モデル・コア・カリキュラムの項目とこの出題基準がどのぐらいマッチしているかを、全部検証しないと、本当にやっているかどうかはまだ分からないと思っています。これにはかなり労力が必要ではないかと思っています。

 今のここの議論ですと、いつかはやらなくてはいけない問題なのかと思っていますし、そうすると、この項目についてはこのレベルでいい、これで臨床実習に行って、少しは医師となってもいいだろうというレベルと、そうではないというレベルがあると思いますので、それはモデル・コア・カリキュラムとこちらのほうの検証をしなくてはいけないかなと思っています。

 もう1つは、共用試験CBTの復元本というのが出ていまして、そうすると、あるところから急に正答率が上がるのです。これは復元本のために上がるのですが、共用試験実施機構は、問題のレベルを保つために、そういうのを毎年プール化で、全部弾いていますので、1年間で2万題近くをもう1回見直しまして、今年急に正答率が上がったという問題は、全部削除しています。

 そういうこともありますので、先ほど申し上げたように、少し問題をブラッシュアップするための、プール化するための時間が少しほしいということで、1年間のサイクルでは、今のところは無理かなと思っております。

○赤木委員 学科の知識の試験もOSCEもそうですが、信頼性というのは非常に大事だと思うのです。私も試験委員の経験からすると、もちろん問題数は少ないほうが作るのは楽なのですが、どれぐらいの問題数が信頼性の確保のために必要なのかというのは、野上委員にお伺いしたいところで、小さなテーマですと、テストの本などを読むと、100問をちょっと超えると、5肢選択だと、2回やったときに相関係数が0.9を超えるというようなことが書いてありますが、医学みたいに非常に膨大な知識を問う場合には、とても100問、200問では足りないのではないかと思います。もちろん問題の質にも関係することだと思いますが、やはり信頼性が担保できる問題数というのは、どうしても必要なのではないかと思います。

OSCEの信頼性ということになると、奈良委員がおっしゃったように、アメリカはそれだけ時間をかけて12課題ですが、私どものところでも、卒業前のOSCEをやっていますが、たった2課題です。これを国家試験でやるとなると、どれぐらいの課題数が必要か。それを評価するのはやはり医学部の教員がやらないとしようがないので、例えばアメリカみたいに12課題やるとなると、今やっている6倍の負担が自分たちにかかってくるのかなと思いますと、これは非常に現実から離れていくような気がしますので、そこは大変かなというのが実感です。やはり臨床実習が充実して、その臨床実習の中で、その学生の臨床能力をきちんと評価することができれば、あえてOSCEという試験の形を取らなくても、大学がきちんとその評価をすれば、それで技能、態度に関してはOKであるという形に持っていってもいいのではないかと思います。

○井廻部会長 ほかにどなたか御意見はございますでしょうか。一通り委員の皆さんの御意見を伺うことができました。予定の時間を少し過ぎましたので、議論を終了させていただきます。

 今後の会議についてですが、本日、委員から御意見のあった点については、共用試験実施評価機構及び全国医学部長病院長会議で再度検討いただき、改めて部会で議論することとしたいと考えますが、よろしいでしょうか。

                                  ( 異議なし)

○井廻部会長 ありがとうございました。それでは、次回の部会で再度議論することとします。

 事務局から何かございますか。

○古川試験免許室長 次回の日程等につきましては、改めて御相談させていただきたいと思います。

○井廻部会長 それでは、本日の平成26年度第1回医道審議会医師分科会医師国家試験改善検討部会を終了いたします。お忙しいところ、どうもありがとうございました。


(了)

医政局医事課試験免許室

国家試験係: 03(5253)1111 内線2574

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