ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(地域保健健康増進栄養部会)> 第38回 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会(議事録)(2014年6月3日)




2014年6月3日 第38回 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会(議事録)

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成26年6月3日(火)15:00~17:00


○場所

厚生労働省 18階 専用第22会議室


○出席者

委員(50音順 敬称略)

井伊 久美子 (公益社団法人日本看護協会専務理事)
磯部 哲 (慶應義塾大学大学院法務研究科教授)
市原 健一 (全国市長会理事・茨城県つくば市長)
上谷 律子 (一般財団法人日本食生活協会会長)
鎌田 久美子 (全国保健師長会会長)
春日 雅人 (独立行政法人国立国際医療研究センター理事長・総長)
古野 純典 (独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長)
小松 龍史 (公益社団法人日本栄養士会会長)
佐藤 徹 (公益社団法人日本歯科医師会常務理事)
澁谷 いづみ (愛知県一宮保健所長)
下光 輝一 (健康日本21推進全国連絡協議会会長)
武見 ゆかり (女子栄養大学教授)
谷川 武 (順天堂大学大学院医学研究科教授)
辻 一郎 (東北大学大学院医学系研究科教授)
永井 良三 (自治医科大学学長)
樋口 輝彦 (独立行政法人国立精神・神経医療研究センター理事長・総長)
藤原 英憲 (公益社団法人日本薬剤師会常務理事)
松田 晋哉 (産業医科大学医学部公衆衛生学教授)
三浦 宏子 (国立保健医療科学院国際協力研究部部長)

○議題

〈審議事項〉
(1)健康日本21(第二次)の推進について
(2)健康日本21(第二次)推進専門委員会(仮称)の設置について

〈報告事項〉
(1)健康増進関係の報告
(2)栄養関係の報告
(3)地域保健・保健指導関係の報告
(4)がん対策関係の報告
(5)その他

○配布資料

資料1-1 健康日本21(第二次)の推進について
資料1-2 健康日本21(第二次)推進専門委員会(仮称)の設置について
資料1-3 健康日本21(第二次)における目標項目と現状値について
資料1-4 健康日本21(第二次)の厚生労働省ホームページの掲載状況
資料1-5 健康づくり推進本部の設置及び開催状況
参考1-1 健康寿命の現状
参考1-2 「健康日本21(第二次)」英語版
資料2 スマート・ライフ・プロジェクト
資料3 健康づくりのための睡眠指針2014
参考3-1 「健康づくりのための睡眠指針2014」について(平成26年3月31日厚生労働省健康局長通知)
資料4-1 たばこの健康影響評価専門委員会の設置及び開催状況
資料4-2 たばこの健康影響評価専門委員会の設置について(平成25年3月27日厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会了承)
資料4-3 無煙たばこ・スヌースの健康影響について(平成25年10月28日厚生労働省健康局がん対策・健康増進課長通知)
資料4-4 禁煙支援マニュアル(第二版)の発行について(平成25年8月23日厚生労働省健康局がん対策・健康増進課事務連絡)
資料5 調理師法施行規則の一部改正について
参考5-1~5-3 調理師養成施設指導要領について(平成26年2月21日厚生労働省健康局長通知) 等
資料6-1 日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会報告書について
資料6-2 日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要
資料7 国民健康・栄養調査について
資料8 日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方に関する検討会について
資料9 地域における行政栄養士による健康づくり及び栄養・食生活の改善について
参考9-1~9-4 地域における行政栄養士による健康づくり及び栄養・食生活の改善について(平成25年3月29日厚生労働省健康局長通知) 等
資料10 特定健診・がん検診受診率向上に役立つ好事例集
資料11 生活習慣病重症化予防のための戦略研究
資料12 厚生労働省における熱中症対策について
資料13 被災地健康支援事業

○議事

○古賀課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第38回「厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会」を開催いたします。

 厚生労働省健康局がん対策・健康増進課の古賀でございます。よろしくお願いいたします。

 委員の皆様には、御多忙の折、お集まりいただき、御礼申し上げます。

 初めに、委員の改選がございましたので、新しく当部会に御就任いただきました委員を紹介させていただきます。

 全国保健師長会会長、鎌田久美子委員。

 独立行政法人国立健康・栄養研究所理事長、古野純典委員。

 順天堂大学大学院医学研究科教授、谷川武委員。

 続きまして、本日の出欠状況について御報告させていだたきます。

 本日は、飯山委員、岡本委員、田端委員、戸田委員、橋本委員、樋口進委員、福田委員、本田委員、道永委員の9名の委員から欠席されるとの御連絡を受けております。

 委員定数は28名で、現在19名の委員の御出席を得ておりますので、出席委員は過半数に達しております。会議は成立しておりますことを御報告いたします。

 次に、配付資料の確認をいたします。

 議事次第、部会委員名簿、座席表のほかに、審議事項の資料といたしまして、資料1-1~資料1-5が一まとめになっております。

 次に、報告事項の資料で、健康増進関係といたしまして資料2~資料4-4。

 栄養関係といたしまして資料5~資料9。

 地域保健・保健指導関係といたしまして資料10~資料13

 そのほかに高く積んでございますが「禁煙支援マニュアル(第二版)」、「健康づくりのための睡眠指針2014」、「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会報告書」、「国民健康・栄養調査報告」、「『地域における行政栄養士による健康づくり及び栄養・食生活の改善の基本指針』を実践するための資料集」、「特定健診・がん検診受診率向上に役立つ好事例集」の冊子等を配付しております。

 資料は、以上です。資料が大変多いため、簡単に紹介させていただきました。不足、落丁等ございましたら、事務局までお申しつけください。

 なお、本日お配りしました冊子の資料につきましては、希望される方には郵送いたします。また、袋を用意しておりますので、お帰りの際、受付へ申しつけいただければ、お渡しいたします。

 また、正面に張ってございます、スマートライフ応援団のポスターも用意しておりますので、希望される方にはお渡しします。受付にてお申しつけください。よろしくお願いします。

 本日、発言の際にはお手元のトークボタンを押していただいて、赤いランプがつきますので、その後に御発言願います。よろしくお願いいたします。

 撮影の方はここまででよろしいですね。

 それでは、以後の議事進行につきましては、永井部会長にお願いいたします。

○永井部会長 では、議題に入ります。

 まず、審議事項ですけれども「健康日本21(第二次)の推進について」を事務局から御説明をお願いいたします。

○野田たばこ対策専門官 では、事務局のたばこ対策専門官、野田より説明をさせていただきます。資料1-1~1-5までを御用意ください。

 資料1-1「健康日本21(第二次)の推進について」という資料になっておりますけれども、平成25年度より健康日本21の第二次を開始させていただいております。

 その進捗状況の管理につきまして、資料1-3にお示しをしております。この健康日本21(第二次)につきましては、目標項目が多数ございまして、その進捗管理を十分に行っていくことが、この推進に向けての重要な課題となっているところがございますので、この推進のために「健康日本21(第二次)推進専門委員会」というものを設置していただきたいと思っておりまして、その審議をお願いいたしたいというところでございます。

 現状、普及の推進の状況といたしましては、平成25年度の開始時点で、厚生労働省のホームページを開設しておりまして、その中で健康日本21(第二次)に関する大臣告示や局長通知、参考資料等を掲載するとともに、普及啓発用のスライド用に作成をいたしましたパワーポイントなども掲載をさせていただいております。現在、4月末の状況ではございますけれども、71万件のアクセスがある状況になっております。

 また、健康日本21とは直接関係があるわけではございませんが、並行した動きといたしまして、省内に健康づくりを推進するための部局横断的な連携を図る「健康づくり推進本部」というものを設置させていただいております。これにつきましても、資料に沿って御説明をさせていただきます。

 1枚おめくりください。まず「健康日本21(第二次)推進専門委員会(仮称)の設置について(案)」の資料でございます。

 背景といたしましては、生活習慣病の疾病負荷が高まりを見せている中、健康日本21を平成12年より開始をしております。また、平成25年度より健康日本21(第二次)を開始しておりまして、目標設定後、5年をめどに全ての目標について中間報告を行うこととされております。

 この健康日本21(第二次)の進捗を確認し、着実に推進することを目的として「厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会」に「健康日本21(第二次)推進専門委員会」を設置することを考えております。

 この専門委員会の検討事項でございますが「健康日本21(第二次)の進捗確認や目標の在り方等に関する事項」、また「その他『健康日本21(第二次)』の推進に関する事項」について、科学的知見に基づき検討することとしております。

 「3.構成」でございますが、委員の構成につきましては、この専門委員会が設置をお認めいただいた後に、事務局のほうで部会長と相談させていただきながら検討することになっております。任期につきましては、健康日本21(第二次)の中間報告までとさせていただきたいと考えております。また、委員長につきましては、専門委員会委員の中から部会長が指名することにしております。

 「4.委員会の運営等」でございますけれども、委員会につきましては、専門委員会は委員長が招集することになっております。また、専門委員会の下に作業部会を置くということで、具体的な作業が発生した場合には対応できるようにしております。この専門委員会の議事につきましては、公開としておりまして、庶務につきましては、健康局がん対策・健康増進課で総括し、処理することにしております。

 1ページおめくりいただきまして、ちょっと資料が多いので、参考までに見ていただきたいと思いますけれども、数ページにわたりますが、この状況が「健康日本21(第二次)における目標項目と現状値について」でございます。

 項目といたしまして、左のほうから「項目」「策定時の現状」「データソース」「現状値(H26年5月現在)」「目標」となっておりまして、具体的には、この専門委員会のところでは「現状値(H26年5月現在)」のところの数値のアップデートの状況を確認しながら、適宜必要なことについて議論をしていくことになると考えております。

 次の資料1-4をごらんください。健康日本21に関しましては、先ほど申しましたように、平成25年度開始当初よりホームページを作成させていただいておりまして、その中でいろいろな普及啓発を行っております。

 具体的に「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」は告示の内容ですけれども、その件ですとか、あと前回の部会で委員より御指摘のございました英語版についても、このホームページ上で掲載をさせていただいておりますので、御紹介をさせていただきます。

 次のページをごらんください。資料1-5でございます。これは健康日本21と直接関係する話ではございませんけれども、厚生労働省といたしましては、健康づくりをより積極的に進めていくために、健康づくり推進本部というものを昨年9月13日付で設置をしております。

 現状、第1回を9月18日に開催以降、4月8日までに3回開催をしております。この健康づくり推進本部につきましては、本部長を厚生労働大臣としておりまして、各局局長級のメンバーで構成をしているものになっております。

 この健康づくり推進本部につきましては、各部局が連携をして対策を行っていくことになっておりまして、現状では工程表の案が出されてきたという状況になっておりまして、今後、引き続き検討を行い、健康づくりを部局横断的に行っていくことにしております。

 次のページ以降は参考資料になります。まず、健康日本21の最終的な目標の1つ、健康寿命の延伸というものがございますので、最新版の2010年の全国都道府県別、政令指定都市別の健康寿命について掲載をさせていただいております。

 参考1-2をごらんください。この資料につきましては、先ほど申しました、健康日本21(第二次)の英語の仮訳になっております。これにつきましてもホームページ上で掲載をさせていただいております。

 事務局からは、簡単ではございますが、以上でございます。

○永井部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に御質問、御意見をお受けしたいと思います。いかがでしょうか。

 具体的には、どういう仕事が行われるのでしょうか。

○野田たばこ対策専門官 具体的には、先ほど初めのほうのページでお示ししましたように、まず、現状値はモニタリングしていくというところがございますので、現状値は毎年何かしらのデータは出てまいりますので、その状況を確認しながら、足りない部分については、その対策などを検討いただくというところになっております。

 また、数値目標につきまして、一部参考値にとどまっているところもございますので、そこにつきましてもよりよい数値がありましたら、そこについては置きかえていく作業も発生すると考えております。

 具体的なスケジュールとしては、大体年に3、4回ぐらい議論をいただきまして、最終的には、平成29年度に予定をされております、中間評価に向けて一歩一歩着実に推進し、モニタリングを行いながら詰めていき、平成29年度あたりでは、中間評価について十分に御議論をいただくことになると思っております。

○永井部会長 いかがでしょうか。御意見はございませんでしょうか。

 構成員は何人ぐらいになるのでしょうか。

○野田たばこ対策専門官 やはりできるだけ機動的な委員会としたいと考えておりますので、大体1015人ぐらいのメンバーであろうかと事務局としては考えております。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 御質問、御異議はないようでございますので、事務局から提案のありました「健康日本21(第二次)推進専門委員会(仮称)の設置について」は、了承ということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○永井部会長 ありがとうございます。

 では、そのように進めさせていただきます。なお、専門委員会の構成につきましては、指名をさせていただくよう、部会長のほうに御一任いただくということでお願いしたいと思います。ありがとうございます。

 では、報告事項にまいります。最初の「健康増進関係の報告」につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○野田たばこ対策専門官 資料の2~資料4-4まで、たばこ対策専門官、野田より説明をさせていただきます。

 まず、資料2「スマート・ライフ・プロジェクト」というものでございます。

 平成23年度よりスマート・ライフ・プロジェクトを開始しております。これは、健康日本21の推進に際して、国民運動を進めていく上では、企業・団体・自治体の総合的な支援が必要だというところがございましたので、開始をさせていただいたものでございます。

 具体的には、企業等の社会貢献と広報効果や、社員・住民の問題意識の向上と、団体や企業、自治体などに参加をいただきまして、それらの動きを国としてバックアップしていくという形で、社会全体としての国民運動へ広げていくことを図るものでございます。

 現状の「スマート・ライフ・プロジェクトの参画登録状況」でございますけれども、平成25年度末現在で1,981の参画がある状況になっております。

 裏のページをごらんください。「平成25年度 スマート・ライフ・プロジェクト」の現状の企画のことをお示ししております。具体的には、健康普及月間でポスターの作成、配布をしたりとか、いきいき健康大使の任命なども、昨年、行わせていただいております。

 また、イベントとしましても、昨年度は5月31日に世界禁煙デーのイベントを行い、さらに「健康づくり佐久市民のつどい」につきましても、厚生労働省といたましても参画をいたしまして、普及啓発を行ったと。さらに2月17日には「ふじのくに健康長寿サミット」、3月6日には「女性の健康週間イベント」というものを厚生労働省としても開催をさせていただいております。

 また、アワードというものにつきまして、1111日に大臣表彰という形の「第2回 健康寿命をのばそう!アワード」というものを開催させていただきまして、大臣表彰を行わせていただいております。

 大臣表彰につきましては、下のほうをごらんください。昨年「第2回 健康寿命をのばそう!アワード」というものを1111日に行いまして、最優秀賞をタニタ株式会社が受賞をしております。

 また「女性の健康週間イベント」につきましては、平成26年3月6日にあいち健康プラザで開催をいたしまして、いきいき健康大使の有森裕子さんや、あいち健康の森の津下先生などに御講演をいただいたということになっております。

 また、世界禁煙デーのイベントは今年度の動きになりますけれども、先週末、5月31日の土曜日に、東京ミッドタウンでイベントを開催させていただきました。具体的には、座長の後ろにポスターも張らせていただいておりますが、安藤美姫さんに禁煙大使になっていただきまして、ミニトークショーなどを行わせていただきました。

 スマート・ライフ・プロジェクト関係につきましては、以上でございます。

 続きまして、資料3をごらんください。「健康づくりのための睡眠指針2014」でございます。

 こちらにつきましては、健康日本21(第二次)が開始いたしまして、睡眠につきましても対策を十分に進めていく必要性がございました。

 また、睡眠につきましては、一番初めの健康づくりのための睡眠指針が出されて10年以上たったという状況で、なおかつ科学的知見も随分蓄積をされてきたということがございましたので、有識者の検討会を開きまして、平成26年3月31日付で「健康づくりのための睡眠指針2014」ということで、新しい睡眠指針を公表させていただきました。

 この指針は「睡眠12箇条」ということで、12個のメッセージを出させていただいております。この指針につきましては、睡眠について正しい知識を身につけ、定期的にみずからの睡眠を見直す。そして、適切な量の睡眠の確保や睡眠の質の改善、睡眠障害への早期からの対応によって、事故の防止とともに、体と心の健康づくりを目指すことを目的として作成をさせていただきました。

 1枚おめくりください。この「健康づくりのための睡眠指針2014」につきましては、26年3月31日付で厚生労働省の健康局長の名前で、各都道府県知事、保健所設置市市長、特別区区長宛てに通知を出させていただきまして、普及を図っているところでございます。

 また、この睡眠指針につきましては、まず、骨格となるエビデンスの文章となっているところでございますので、さらにこの普及を進めていくために、現在、厚生労働科学研究の補助金で行われております研究班で、睡眠指針を推進していくための普及啓発のツールを作成することにもなっておりますので、引き続き、そのようなツールも含めまして作成を行い、普及に努めてまいりたいと考えております。

 睡眠指針につきましては、以上でございます。

 続きまして、資料4-1をごらんください。たばこ対策の関係でございます。

 「たばこの健康影響評価専門委員会」というものを、前回部会で設置を御了承いただきまして、3月27日付で設置をしております。「たばこの健康影響評価専門委員会」につきましては、4月11日に第1回を開催いたしまして、第2回、第3回、第4回と合計4回、昨年1212日までに行わせていただいております。

 具体的な内容といたしましては、たばこの健康影響評価の方法につきまして、特にたばこのどのような成分に害があるかというところの検討を開始し、さらにそのような形で検討を行っていくというところを初めの2回で検討させていただきました。

 さらに、第3回以降につきましては、新しく問題として出てまいりました、嗅ぎたばこ、具体的にはスヌースという製品が出てまいりましたので、そのスヌースについての健康影響についてとか、さらにたばこ自体の健康影響についても、今後、具体的な議論を深めていくことになっております。

 1枚おめくりいただきまして、4-2につきましては、前回の部会で御議論いただきまして了承いただいて(案)がとれたものになっております。

 この検討会につきましては、御承知のように「たばこの成分分析の実施等に関すること」「たばこ及びたばこ成分の健康影響評価(リスク評価)に関すること」「健康影響評価に基づき、健康影響を減じるための施策に関すること」「その他、たばこ対策に必要な事項」について、科学的な知見に基づき、客観的かつ中立公正に検討することに、検討事項としてはなっております。

 現在、この委員会につきましては、谷川委員に委員長をお願いしておりまして、検討を進めている状況でございます

 続きまして、1枚おめくりいただきまして、資料4-3をごらんください。

 先ほど申しました、新しいたばこといたしまして、スヌースというものが出てまいりました。具体的に、このスヌースにつきましては、昨年JTが大阪などで部分的に販売を開始したものでございまして、新しい害の可能性があることが日本学術会議からも緊急提言というものが出ておりましたので、それにつきましては、厚生労働省といたしましても早急に対策をまず一歩として打たせていただきました。

 具体的には、平成251028日付で、厚生労働省健康局がん対策・健康増進課長の名前で、都道府県、保健所設置市、特別区の衛生主管部(局)長宛てで事務連絡を出させていただいております。

 具体的には、学術会議で緊急提言が出されたということ、さらにこの無煙たばこにつきまして、害のある可能性があるということ、さらに過去の製品の無煙たばこにつきましては、人に対する発がん性のある「グループ1の発がん物質」に分類されることがIARCで出されていることなどにつきまして、情報を普及させていただきました。

 ちなみにこのスヌースに対する取り組みといたしましては、8月30日の段階で厚生労働省のホームページ内でもスヌースの健康影響について掲載をさせていただきまして、注意喚起をさせていただきました。

 続きまして、資料4-4をごらんください。たばこ対策につきましては、特に市町村、職場などの保健師さん、栄養士さんなどの対策が必要になってくるところがございますので「禁煙支援マニュアル」というものを以前よりつくらせていただいておりましたが、内容につきまして幾分古くなってきたところもございましたので「禁煙支援マニュアル(第二版)」というものを平成25年4月1日時点で公表をさせていただいております。

 この資料4-4につきましては「禁煙支援マニュアル(第二版)」の製本をつくった段階で、各都道府県、保健所設置市、特別区のたばこ対策担当課に事務連絡を出させていただいておりますので、その内容になっております。

 ちなみにこの「禁煙支援マニュアル」につきましては、ホームページ上からもダウンロードできるようにしておりますので、御参照いただければと思います。なお、委員につきましては、本日、テーブルの上に「禁煙支援マニュアル(第二版)」という形で配付をさせていただいておりますので、お持ち帰りいただければと思います。

 事務局からは、以上でございます。

○永井部会長 いかがでしょうか。ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見をいただきたいと思います。

 春日委員、どうぞ。

○春日委員 スマート・ライフ・プロジェクトに参加した企業とか、団体、自治体でどういう効果があったかあるいはあるかという評価は、どういうふうにされるのでしょうか。

○野田たばこ対策専門官 スマート・ライフ・プロジェクトにつきましては、どちらかというと緩やかな、厚生労働省の理念に賛同いただいた企業に参加していただくというところで、各企業が具体的にどれだけメリットを受けたというところまでは、なかなか調査をしにくいものではございます。

 ただ、具体的にスーパーなどで見ていただくと、ときどきスマート・ライフ・プロジェクトのマークが野菜ジュースなどについていたりとか、そういうところが散見されるかとは思いますので、効果としてはなかなか数値的にお示しすることは難しいのですけれども、そのような形で目に入ってくるところはあるかもしれません。

 また、効果の測定につきましては、認知度という形で、アンケート調査という形にはなるのですけれども、そのような形で効果の測定について行っていくことは考えております。

○春日委員 なかなか難しいと思いますけれども、こういうプロジェクトに参加されたところと参加されないところで、どのぐらいの差が出たかという評価ができれば、非常にいいとちょっと思いましたので。

○永井部会長 このアワードのほうは、私が審査員長を仰せつかっていまして、そういうデータが出ている企業とか自治体を優先的に表彰するようにしていまして、やはり一定の効果はあるように思います。

 長期的に重大な事象の防止はなかなか評価が難しいですけれども、代わりに、検査の数字がよくなっているとか、健康意識が高まっているとか、そういう視点からの評価はかなり現場で取り組まれているように思います。

 どうぞ。

○井伊委員 2点で、1つは今のスマート・ライフ・プロジェクトに関する予算なのですけれども、平成25年度が8,000万円ですか。26年度が1億2.000万で4,000万のプラスで、何を事業としては加えてなさるのかということが1つです。

 もう一つは「たばこの健康影響評価専門委員会」の設置自体は、これは決まっていることでよろしいのですけれども、実は、日本看護協会で昨年度、看護職のたばこ実態調査をいたしまして、きょうニュースリリースで出すところなのですが、看護職でもたばこの害に関する認識が期待したほどでなかったというのがあります。

 呼吸器系については、7~9割ぐらいは理解しているのですけれども、例えば胃潰瘍とか、歯周病とか、その他の害についてはちょっと認識が低かったのです。

 この支援マニュアルを見ますと、余りたばこの害に関する基本的なところが何か弱いように見えるのですけれども、そのあたりは何か検討されているのかどうかを伺いたいと思います。

○野田たばこ対策専門官 ありがとうございます。まず、後者の部分、たばこのほうから御説明させていただきたいと思います。

 たばこにつきましては、やはり害があるというところは、厚生労働省としてもどんどん広めていかないといけないというところは、認識をしているところではございますけれども、実際そこもありまして「禁煙支援マニュアル」の中でも初めのほうのページで幾つか御紹介はさせていただいているところはございますけれども、もちろん、委員のおっしゃるように、ちょっとそこが弱いというところでございましたら、やはりそこのところは特にてこ入れをしていかないといけないところはございますので、害につきましては、各種いろいろな方面から普及啓発活動を行っていく必要があると考えておりまして、例えば、その一例といたしましては、先ほども御紹介いたしましたように、世界禁煙デーのイベントの中で、まだまだたばこの具体的な害について知らない人に対してアプローチしていくというところですとか、都道府県を通して普及啓発活動をしていくということ。

 さらに、より深い専門的な内容につきましては「たばこの健康影響評価専門委員会」の中で、具体的な新しいエビデンスなども加えながら、どのような普及啓発について行っていくかというところも検討していくものだと考えておりますので、先生におかれましても、引き続き御支援をいただければと考えております。

 続きまして、初めに御質問がございました、スマート・ライフ・プロジェクトの予算がふえた4,000万円分をどういうことでやっているかというところでございますけれども、スマート・ライフ・プロジェクトにつきましては、昨年度までは、大きく言いますと3つの柱でやってきたところがございます。

 それは、座長の後ろに掲げております、運動と栄養と禁煙というところの3つの柱でやってきたところではございますけれども、今年度からその3つの柱に加えまして、プラス1という形で健診の受診率というものにつきましても、より強化をしていくことにしております。

 こういうわけで、特に普及啓発の強化といたしまして、今までの3つの柱にプラス1して、健診の受診率向上を行っていくところが、1つ大きく変わったところでございます。

 さらに変わったところといたしましては、地方のイベントをふやしていくというところで、地方での認知度を強化していくことを考えておりますので、さらにイベントを行う際の費用がかかるということで、予算規模が大きくなっているところがございます。

 さらに、これは永井部会長にも関係しているところでございますけれども、アワードというものにつきまして行っているところを先ほど御説明をいたしましたが、この「健康寿命をのばそう!アワード」につきまして、その分野を高齢者の分野というものも拡張して、さらによい取り組みを横展開していきたいと考えておりますので、そのような各種取り組みを大きくしていくところで、予算規模も大きくなったところでございます。

 以上でございます。

○永井部会長 よろしいですか。

 どうぞ。

○上谷委員 2つお尋ねいたします。

 スマート・ライフ・プロジェクトの中の、今、ポスターの御説明があったのですが、私は、これか発表されたころからなのですが、住民の方にこれを見せると、よくわからないと皆さんおっしゃるのです。

 また同じようなポスターでいくのかどうか、お聞きしたいと思いますし、ひょっとして増し刷りなのかというところら辺もお尋ねしたいと思います。

 それから、社員と住民の健康づくりのためという形になったときに、今、高齢者の方たちを強化していくというお話がありましたけれども、ただ、これはスマート・ライフ・プロジェクトが最初に立ち上がったときには、企業に対してプッシュしていくことが主だったような気がするのですが、そのようなことから、この比率です。企業体向けと住民向けと、どのような形ぐらいのバランスで、スマート・ライフの中で取り組んでいらっしゃるのかをお尋ねしたいと思います。

 もう一つ、たばこのことですが、無煙たばこについて、無煙ということは大変結構なことだと、分煙を考えると思ったのですけれども、普通のたばこと無煙たばことの害はどう違うのか、ちょっと教えていただければと思っております。

 以上です。

○野田たばこ対策専門官 では、御説明をさせていただきます。

 まず、一番最後の無煙たばこの害でございますけれども、具体的には、無煙たばこというものは昔からあるものではございまして、その中の健康影響というところでは、具体的には口腔がんなどの影響が大きいところが言われております。

 ですので、特に口腔がんなどの口腔の疾病につきましては、その害がより強く出る可能性がございますので、その対策を強化していかなければならないところが1つございます。

 また、特に未成年者の関係でいいますと、無煙たばこにつきましては、煙が出ていないというところがございますので、使っているかどうか、なかなか外から見てわかりにくいという問題もございます。そういう意味で言うと、未成年者が隠れてたばこを使っているところが、より発見できにくくなる問題も1つございます。

 そういう観点から、やはりこの無煙たばこの対策については、より十分な対策を行っていかなければならないと考えているところでございます。

 続きまして、毎年このポスターにつきましては、新しいものを出させていただいておりますので、今年度も新しいポスターをつくらせていただきたいと考えております。それにつきましては、またいろいろと御支援をいただければと考えております。

 続きまして、一番初めの質問、自治体と企業の割合というところでございます。現状、委員のおっしゃるように、このスマート・ライフ・プロジェクトを始めた目的という部分については、やはり企業というものの巻き込みが足りないところがあって立ち上げたという背景がございます。

 そういうところで、やはり企業というものをより積極的に取り込んでいこうという思いもありましたので、どちらかというと、現状の状況といたしましては、企業が参加している割合のほうが多い状況になっております。

 ただ、一方で自治体という部分でいうと、比較という部分があるのですけれども、入っている自治体数が相当少ないところもございましたので、目的という部分でいうと企業というものを巻き込んでいくというところがあったのですが、やはり一方で自治体の巻き込みが余りにも少なかったところもありましたので、引き続きより企業についても巻き込んでいくというところを考えてございます。

 スマート・ライフ・プロジェクトにつきましては、やはり1つ大きい新しい切り口といたしましては、企業を巻き込んでいくというところがありましたので、そこはもちろん、引き続き変わらずやっていきたいと思っておりますけれども、それと同時に、いろいろなステークホルダーについても適宜巻き込んで、より相乗効果が出るような形で行っていきたいと考えております。

○永井部会長 どうぞ。

○上谷委員 実は、26年度は介護予防、高齢者生活支援という形も一緒に入れていくと。これはアワードの問題かもわかりませんが、活動実施を決めたときに、やはりこういう対象者というのは企業にはいなくなると思いますので、そういうことから考えると、自治体と企業との連携とかというところの話題がこちらに入ってくるのではないかなと思うのですけれども、その事からすると、住民サイドのほうが多くなれば、今やっている自治体のほうの普通の啓発、普及活動との兼ね合いをどうとっていくのかというのをお尋ねしたいと思います。

○野田たばこ対策専門官 ありがとうございます。

 まさに委員のおっしゃるところは十分わかる部分でございまして、やはりどうしてもスマート・ライフ・プロジェクト、健康日本21を進めていくためには、企業だけまたは自治体だけという部分ではどうしても力不足という形になりますので、スマート・ライフ・プロジェクトというものを始めた理由は、企業を巻き込んでいきたい。では、企業を何で巻き込んでいきたいかというところで言うと、それは自治体だけではやはり不足だというところがございます。

 そういうところから考えていくと、スマート・ライフ・プロジェクトの目指していくものは、企業も入っていただいて、自治体も入っていただく。そのほかは介護関係とかそういうところも入っていただいて、そこがそれぞれ情報を交換していき、協力できるところから協力をしていくというところで、シナジー効果を出していくというところが最終的な形だと思いますので、そういう意味で、企業が多くなった、また、自治体をふやしたから自治体だけになるとか、そういう話ではなくて、それぞれ参加数をふやしていって、そこは協力できるような体制をしていきたいと考えています。

 実際にスマート・ライフ・プロジェクトにつきましては、企業や自治体などがお見合いみたいな形で各取り組みをそれぞれ情報交換して、協力できるところについては協力できるようなサロンというものも随時開催をしておりますので、そのようなところを通して、各企業と自治体、介護関係の部門などがいろいろな協力をして、より新しいものをつくっていけるような形にしていきたいと考えております。

○永井部会長 藤原委員、続いて澁谷委員、どうぞ。

○藤原委員 私のほうからもスマート・ライフ・プロジェクトについてお聞きしたいのですが、先ほど御説明がありましたように、民間企業や、いろいろな団体等が、行政とも連携して進めていくという話ですが、スマート・ライフ・プロジェクトの場合は、企業の取り組みが非常に多いのですが、先ほど企業内の健診の受診率を上げるという目標を今度掲げていくという話がありました。まさにこれは企業内だけではなくて、企業が何か努力することによって、もちろん、団体も含めて努力することで、全体の健診率を上げる。そういうことを念頭に入れていらっしゃるかということを確認させていただきたいと思います。

 実は、ご存知のように薬局でも、規制改革会議がグレーゾーンを取り除きまして、ヘモグロビンA1c等の簡易な検査を行えるようになり、厚労省からガイドラインも出されております。

 そういうことも含めて、具体的にそういうことを推進していくときに、行政も本当にそこの部分を理解してもらった上で進めていくということを一応確認したいのですが。

○野田たばこ対策専門官 ありがとうございます。

 委員の今おっしゃいました簡易検査の問題という部分は、そこも健診につなげていくという部分では重要なものだと厚生労働省としても認識をしておりまして、特にそういう薬局ですとかも含めて、例えば健診につなげていく、いろいろな方法があるのだろうと考えております。

 例えば昨年、新聞などに載りました、あるコンビニエンスストアが自治体と協力をして健診をやりやすくするという取り組みもいろいろと出ておりましたし、例えば、企業と自治体の協力体制、薬局や医療機関や自治体、そして企業という協力体制というものは、本当にいろいろなやり方があると思いますので、スマート・ライフ・プロジェクトを進めていく中では、いろいろな創意工夫が出てきて、いい取り組みはほかのところがまねしていく形になっていければいいかと考えておりますので、国としても、いろいろないい取り組みを発見して、それを世に広めていくということをやりたいと考えております。

○永井部会長 澁谷委員、どうぞ。

○澁谷委員 「健康づくりのための睡眠指針」について教えていただきたいのですが、この指針は、前回から今回の改定は、快適な睡眠から健康づくりに資する睡眠へということで、質を問うような形で指針がつくられています。それで、健康日本21の二次計画の中では、睡眠による休養を十分にとれていない者の割合を減らすというのが指標になっております。

 それはわかりますが、せっかくこの指針の中でかなり細やかにいろいろな問題提起をされておりますので、この指針の評価というのを今後どのようにされるのか。例えば、国民健康・栄養調査のときに何か睡眠に関するアンケートをとっていくとか、何かお考えがあれば、この睡眠の指針の評価を今後どうしていくのかということをお聞かせいただければと思います。

○野田たばこ対策専門官 ありがとうございます。

 まず、睡眠の指針の評価につきましては、一番この睡眠指針を出していく目的は何かといいますと、1つ、数値目標ではかれるものとしては、委員が今おっしゃいました、健康日本21の数値目標をいかにして改善していくかというところが1つあると思いますので、アウトカムの評価として、やこの健康日本21で掲げられている睡眠に関連する項目が改善したかどうかというところが、一番強いところだと考えております。

 もちろん、プロセス評価という部分についても重要だと考えておりますので、それについては、適宜、先ほど設置を御了承いただきました「健康日本21(第二次)推進専門委員会」の中で議論をされていく内容だと考えております。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 よろしければ、次の議題にまいります。

 続きまして、報告事項2番目の「栄養関係の報告」についてであります。これも事務局から御説明をお願いいたします。

○河野栄養指導室長 栄養指導室長の河野でございます。

 私からは資料5~9まで、栄養対策に関する5つの事項につきまして御報告させていただきます。

 資料5、下に通し番号で59ページとありますが「調理師法施行規則の一部改正等について」につきましては、前回の部会で報告しました「調理師の養成のあり方等に関する検討会」の報告書をもとに、調理師法施行規則の一部改正の手続を進めまして、改正省令を平成251226日付で公布しております。

 具体的な改正の概要としましては「2 改正の概要」として、この中でも主要な点は「(1)教育内容及び授業時間数について」ということで、これまで科目の明記だったものを教育内容による表記に変更しておりまして、それに伴い、授業時間数を見直しております。

 また「(2) 専任教員及び教員の資格要件について」の部分では、丸1にありますとおり「専任教員のうち一人以上は、専門調理師又は一定の条件を満たす調理師であること」ということで、調理師の上位資格である専門調理師についても、資格要件としての記述を設けております。

 さらに「(4)施設・設備について」は、丸3にあります、調理実習室及び総合調理実習室に備える器具や備品について、従来はかなり細かい具体的な名称を盛り込んでおりましたが、必要な機能や用途による表記に見直すことでの手当を行っております。

 また、これらに関連しまして、次のページになりますが、60ページ「3 関連する告示、通知の改正」もあわせて行っております。

 「(1)調理師養成施設関係」ですと、調理師養成施設の指導要領並びに調理師養成施設における校外実習の通知について、平成26年2月21日付で通知を発出しております。

 また、今般の養成カリキュラムの見直しに伴いまして「(2)調理試験関係」の試験科目についても一部見直しを行いましたので、これに伴うものとして調理師試験基準の一部を改正する告示並びに調理師試験の実施についての局長通知を、平成26年3月31日付でお出ししております。

 また、これらの周知につきましては、平成26年度2月に都道府県及び地方厚生局の担当者を対象に説明会を開催するとともに、26年4月には公益社団法人全国調理師養成施設協会主催で、各調理師養成施設を対象に研修・説明会を行っております。

 また、これらの通知につきましては、61ページ以降、72ページまで、参考5-1~5-3までにおつけしておりますので、後ほどごらんいただければと思います。

 続きまして、2点目として資料6-1に移らせていただきます。

 こちらも前回の部会で、検討会の立ち上げについて御報告させていただいたものです。26年3月28日に検討会報告書を取りまとめ、公表しております。平成26年度中に大臣告示をする予定となっておりまして、使用期間は中ほどの2にございますとおり「平成272015)年度から平成312019)年度の5年間」となっております。

 今般の主な改定のポイントを3としてお示ししております。3点ほどございますが「1)策定目的に、生活習慣病の発症予防とともに『重症化予防』を加えたこと」であります。

 このため、エネルギー・栄養素と生活習慣病、具体的には、高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病の発症予防・重症化予防の関連について、関係学会の先生方の御協力もいただきながら、レビューを行い、検討を行っております。

 また、2)としましては、エネルギーについてこれまでは性、年齢別にかなり細かい数値を画一的に御提示しておりましたが、今回は体格(BMI)を採用しております。

 この背景としましては、エネルギーの摂取量及び消費量ともに推定することは非常に困難ですので、そのバランスの結果、維持を示す指標として、今回、新たに体格(BMI)を採用しております。

 具体的には、成人期を3つの区分に分け、目標とするBMIの範囲を提示しております。具体的な内容について申し上げますと、下に振っています通し番号のページで81ページ、2つページが振ってあって申しわけないのですが、概要でいうと7ページの上に「目標とするBMIの範囲(18歳以上)」というものがあります。これが今回新たな提示を行ったもので、3区分ごとということで、年齢1849歳の場合、目標とするBMI18.524.95069歳の場合、20.024.970歳以上は21.524.9ということで、特に70歳以上の高齢者においては、肥満とともに虚弱の予防を重視していく形の提案になっております。

 資料6-1の1枚目、73ページに戻っていただきまして「3)生活習慣病の予防を目的とした『目標量』を充実したこと」ということで、ナトリウム(食塩相当量)につきましては、高血圧予防の観点から、男女とも値を低めに変更ということで、具体的には18歳以上男性で、前回が9.0グラムから今回の2015年版では8.0グラム、また女性については、7.5グラムから7.0グラムと少な目の方向に変更をしております。

 また、小児期からの生活習慣予防のため、食物繊維とカリウムについて、新たに6~17歳という、小児における目標量も設定をしております。

 また、指標及び栄養素につきましては、76ページ、77ページに提示しております。エネルギーと栄養素の指標を設定しておりまして、栄養素につきましては、図2に示すように「摂取不足の回避」「過剰摂取による健康障害の回避」「生活習慣病の予防」の観点から、それぞれの指標を設定しております。

 また、次のページの「表1 基準を策定した栄養素と設定した指標(1歳以上)」の一覧をお載せしておりますが、エネルギーのほか、今回は栄養素として35種類について指標を設定しております。

 なお、報告書のほうにつきましては、今回お手元にお配りしております、440ページに上る膨大な資料ということで、報告書のほうを置かせていただきますので、関心のある事項がございましたら、後ほどお目通しいただければと思います。

 続きまして、資料7に移らせていただきます。

 「国民健康・栄養調査について」ですが、先ほども国民・健康栄養調査について話題になりましたが、今後の国民・健康栄養調査の方針については、従来は毎年調査設計を行っておりましたが、それでは調査項目ごとの周期が安定しないこともありまして、健康日本21(第二次)の中間評価までの間の方針を、25年4月に開催しました「国民・健康栄養調査企画解析検討会」において、下記のとおり了承いただきました。

 具体的には「(1) 調査のねらいについて」は、特に健康日本21(第二次)との関連で申し上げると、2ポツ目、3ポツ目になりますが、健康日本21(第二次)の指標となっている項目のモニタリングを行うこと。

 また、健康日本21(第二次)の推進に向け、新たな方向性として示された地域や所得等による「健康格差の縮小」及び「社会環境の整備」に関する基本データの収集・分析を行うこと。

 「(2) 調査の企画の考え方について」も、2ポツ目以降になりますが、健康日本21(第二次)の指標となっている項目については、毎年もしくは周期的に把握できるようにすること。

 また、健康日本21(第二次)の推進に合わせて、地域間の格差の把握をするために、既に平成24年に初めて拡大調査を実施しましたので、今後も中間評価、最終評価に合わせて平成28年と32年に大規模調査を実施すること。

 さらにこのほか、所得格差や社会環境についても、調査テーマを設定し、必要な項目の把握や分析が行えるようにすること。

 「(3) 平成25年から28年の調査項目について」とありますが、1ページおめくりいただきまして、118ページ、119ページのところに25年~28年までの中間評価までのテーマと、あわせて身体状況、生活習慣状況の各項目が毎年あるいは一定の周期をもって把握ができるような形の制度設計を行っております。

 続きまして、1枚おめくりいただきまして120ページ「2.平成24年国民・健康栄養調査の結果の概要について」は、毎年の結果発表の最新版のものでございます。

 こちらは、平成251219日に発表しておりまして、24年の重点項目としては、1つは、平成9年以降、5年ごとに行っている、糖尿病有病者等の推計人数をお出しすること、もう一つは、初めて拡大調査を行いましたので、体格や生活習慣に関する地域格差を把握することとしておりました。

 調査結果のポイントとしましては「(1)糖尿病に関する状況」としては、糖尿病が強く疑われる者が約950万人、可能性を否定できない者が約1,100万人ということで、グラフを見ていただけると、この両者を合わせて約2,050万人と推定され、平成9年以降、増加の一途をたどっておりましたが、平成19年の約2,210万人から初めて減少に転じたというのが、今回の結果のポイントでございます。

 また、糖尿病が強く疑われる者のうち、現在治療を受けている者の割合も男女ともに増加をしていますが、一方でほとんど治療を受けたことがないという方々も3割程度いらっしゃる状況です。

 続きまして「(2)体格及び生活習慣に関する都道府県の状況」につきましては、都道府県別に年齢調整を行いまして、高いほうから低いほうに4区分に分け、上位群と下位群という形で比較した結果を出しております。

 下に表がございますが、例えば「2.野菜摂取量の平均値(g/日)」ですと、男性の場合、全国平均が297グラム、都道府県の状況で申し上げますと、上位群は332グラム、下位群は264グラムで、その差は約70グラムあることになります。

 また、次のページには、野菜摂取量の平均値で、具体的に、概要の中ではこういった各都道府県ごとにお並べをした表ということで、結果を提示させていただいております。

 続きまして、資料8に移らせていただきます。

 こちらは、現在、検討を行っている「日本人の長寿を支える『健康な食事』のあり方に関する検討会について」の概要でございます。

 こちらは、平成25年6月に閣議決定されました日本再興戦略のアクションプランの1つに、国民健康寿命の延伸をテーマとしての主要施策に「疾病予防効果のエビデンスに基づく健康な食事の基準を策定する」ことが位置づけられておりますとともに、健康日本21(第二次)では、生活習慣病の予防あるいは身体機能・生活機能の維持ということがありますので、その基盤となる「健康な食事」についてを明らかにし、国民や社会の「健康な食事」の理解を深め、そうしたことに取り組みやすい環境の整備を図ることということで、検討会を立ち上げております。

 検討会につきましては、栄養学や医学の専門家とともに、食品や調理、食文化、あるいは生産流通など多領域の専門家や実務者の方々に参集をいただきまして、厚生労働省健康局長が開催する検討会として開催をしております。

 現在、26年5月までに8回開催をしております。

 検討内容につきましては、大きく2つございまして、1つは、日本人の長寿を支える「健康な食事」の概念の整理、2つ目としてですが、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等で販売される惣菜等、すなわち手軽に入手できる食事に適用する「健康な食事」の基準の策定を行うこととしております。

 1枚おめくりいただきまして、構成員につきましては、食に関するいろいろな分野の先生方、21名に参画いただいております。座長は中村丁次先生、副座長は武見ゆかり先生にお願いをしております。

 また、次の125ページのほうに、これまでの開催状況についての検討内容をお示ししております。

 開催状況については、以上でございます。

 続きまして、5点目の報告事項として資料9「地域における行政栄養士による健康づくり及び栄養・食生活の改善について」は、行政栄養士業務指針に該当する通知を平成25年3月29日付で発出しております。

 <参考>に書いてありますとおり、2210月から5年ぶりの改正ということになりますが、内容としましては、健康日本21(第二次)の基本的な5つの方向性に準じる形で、基本指針の構成を組んでおります。

 また、基盤になるものとして「(1)組織体制の整備」「(2)健康・栄養課題の明確化とPDCAサイクルに基づく施策の推進」についての事項も盛り込んでおります。

 また、この通知にあわせまして「2.行政栄養士業務指針を実施するための資料集」ということで、平成25年4月に各自治体に情報提供を行っております。

 お手元のほうに、下のほうになるのですけれども、コピーで印刷したものをきょうはおつけをしております。参考資料ということで「—成果のみえる施策に取り組むために、地域社会・食・身体の構造をみる—」という副題がついております。

 具体的には、1ページのところをごらんいただくとおわかりになると思うのですが「人口の構造と変化をみる」というところで、下に新たな自治体はということで空欄をおつけしているように、ワークシートで各自治体が人口のことから、最終的には健康、食事のことまで網羅できるような形の参考資料集としておつくりをして、各自治体のほうに配布して、自治体のほうではこれを活用して、県外あるいは市町村とともにということで取り組みを推進していただいている状況です。

 また、資料9のほうに戻らせていただきまして、1枚おめくりいただきまして、128ページのところの「3.特定給食施設における栄養管理に関する指導及び支援」ということで、健康増進法に基づき、特定給食施設の栄養管理の指導は自治事務で行われているところではございますが、今回、健康日本21(第二次)で特定給食施設に係る目標項目として、利用者に応じた食事の計画、調理及び栄養の評価、改善を実施している特定給食施設の割合の増加ということで掲げましたので、これに関連してくる評価指標を把握していくということで、この通知の中で評価基準を示して、具体的には健康増進を目的とする施設に対して、肥満及びやせに該当する者の割合がふえているのか、維持しているのかというところの変化の状況を評価する形での通知の改正を行っております。

 これに関しまして、通知の関連は129ページ、参考9-1の資料以降、通知の全文をおつけしております。

 私のほうからの説明は、以上でございます。

○永井部会長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御説明に御質問をお願いいたしたいと思います。

 どうぞ。

○鎌田委員 資料7でございますが、国民健康・栄養調査等においてモニタリングを行う。非常に重要なことかと思いますが、その中で「『社会環境の整備』に関する基本データの収集」とありますけれども、具体的に社会環境をどのように評価されるのかということをお尋ねします。

○永井部会長 事務局、いかがでしょうか。

○河野栄養指導室長 具体的には、資料7の118ページ、119ページに項目をお示ししておりまして、例えば、平成27年が「社会環境」のテーマになっておりますが、このときに具体的に加える項目として想定されているものが「栄養・食生活」ですと「栄養成分表示の利用状況及びニーズに関すること」、「身体活動・運動」に関することですと「運動できる場所の利用状況及びニーズに関すること」、また「休養」ですと「適正な休養確保のための支援状況とニーズに関すること」といったように、このほか「喫煙」についても同じように「受動喫煙の状況」「受動喫煙防止のためのニーズに関すること」ということで、こうした環境の整備の部分を具体的な項目としておとりする予定になっております。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

○鎌田委員 例えば、その下の項目の「喫煙」を見たときに「1日の喫煙本数」で、所得格差と社会環境がありますが、社会環境の考え方というか、そこのところがわかりにくいのです。119ページの喫煙のところの「喫煙の状況」を所得格差と社会環境で見ると書いてあるのですが、社会環境は何をもってどのような指標でこれを評価されるのかなと。

○河野栄養指導室長 今の御質問に関しまして「所得格差」「社会環境」というのは、それぞれの調査年でのテーマとなります。

 中間評価までのものを一括して、今、お示しをしておりますので「所得格差」については平成26年、「社会環境」については平成27年のテーマとしておとりをするのですが、若干項目が見にくいのは、健康日本21に関して、毎年把握していく項目、例えば今の喫煙率のようなものがありますから「社会環境」については、むしろ「新規」となっているものが「社会環境の整備」ということで、この年に追加する項目だということでごらんいただければと思います。

○鎌田委員 わかりました。

○永井部会長 下光委員、どうぞ。

○下光委員 関連した質問ですが、前の健康日本21と新しい健康日本21(第二次)の大きな違いは「社会環境の整備」が、個人の努力による生活習慣の改善と並列して入ってきたことにあると思うのです。

 先ほど御質問がありました国民・健康栄養調査も「社会環境の整備」に関する各項目についてもう少し突っ込んだ内容で、食塩摂取量とか歩数などの項目などに匹敵するぐらいの内容で調査をきちんとしていただければと思います。これは要望です。よろしくお願いいたします。

○永井部会長 事務局、どうぞ。

○河野栄養指導室長 今の質問に関しまして、ここでは項目を挙げているだけで、実際にどういった問いあるいは選択肢でお聞きするのかというのは、27年の調査設計のときに行いますので、今の御指摘も踏まえて検討させていただきたいということがあります。

 また、先ほど澁谷委員から「休養」のことに関して御質問があったのですが、非常に「睡眠の質の状況」というのは把握がしにくい状況にありまして、平成25年に初めて質をこういった形でとったらいいのではないかということで、構成員の先生から御意見をいただきまして、25年では、質を評価する方法を初めて新たに入れたという経緯もございます。

 ですので「社会環境」も含めまして指標が研究ベースで整っていないと、なかなかこういった承認統計でいきなり国の調査で入れるところは難しい状況もありますので、そのあたりは先生方からお出しいただく研究の成果も踏まえまして検討させていただきたいと思います。

○永井部会長 では、小松委員。続いて、上谷委員、どうぞ。

○小松委員 小松でございます。

 日本人の食事摂取基準のことでお尋ねしたいと思いますけれども、今回、いわゆる生活習慣病とかの発症予防あるいは重症化予防等についての考え方も、関連学会との協力で入ったという御説明だったのですけれども、各学会等で年々いろいろな栄養素に関する、診療とか、予防とか、いろいろな名称がついているのですけれども、ガイドラインがよく出てきます。

 そのあたりの関連学会のガイドラインと、食事摂取基準でダブルスタンダードみたいなことは起こらないのかどうか、そこら辺の予防みたいなものは何か検討されたのでしょうかというのが1つと、もう一つは、日本人の長寿を支える「健康な食事」のあり方のほうで、最後のほうの予定のところで「健康な食事」の基準等を考えられることになっているのですけれども、このあたりはひょっとして、例えば、一定の基準を満たしたことに対する認証であるとか、何かいろいろ評価するようなことをお考えなのかどうかというのを少しお尋ねしたいと思います。

○河野栄養指導室長 1点目の食事摂取基準に関しましては、今回は関係学会のガイドラインを策定している先生方、もしくは学会をつかさどっている長の方々に参画をいただきまして、こちらは健康の保持、増進から数値を決めていくのですけれども、なるべく治療の側のガイドラインともそごのないようにということでは、十分配慮して整理をさせていただきました。

 また、そういう意味では、健康の保持、増進の健康分野の栄養の先生方と治療に携わるガイドラインの先生方が1つのテーブルについたのも今回が初めてですので、こういった情報を日本人の食事摂取基準を御理解いただくことで、それぞれのガイドラインの中に、こういった策定をしている栄養の先生が今度そちらにも参画いただくようなことも、将来的には見通してということで整理をさせていただいております。

 また、2点目の「健康な食事」のあり方に関する部分につきましては、今、基準の議論をしておりますので、認証といいますか、基準を満たすものにわかりやすいマークを提示するような形での検討は行っております。

○小松委員 どうもありがとうございました。

○永井部会長 どうぞ。

○上谷委員 3つお尋ねします。

 国民・健康栄養調査の中で、121ページに野菜摂取量、食塩摂取量の平均値、全国平均等々が入っておりますけれども、これは調査日程というのは、多分、今、栄養調査は1日だと思うのですが、これで数値として読めるのか。統計的なところをお尋ねします。

 それと「健康な食事」のあり方について、この123ページの図表を見ますと、本当に「健康な食事」とは何かと、そのとおりだと思うのですが、その中で今まで使っていました、食事バランスガイドや食生活指針はこの中にどのように関係があるのか。そして、それらを今後見直していくのか伺います。

 それから、今、御説明があった、何かのシールとかそういうものを貼るということですが、健康という解釈はとり方によっていろいろあると思うので、一体どこからどこまでを健康という形でシール化するのか。それもお尋ねしたいと思います。

 もう一つ、行政栄養士による健康づくりの指針をお出しになったのですが、保健所における業務指針と市町村における業務指針で全く言葉が一緒なのです。それは活動が同じことをするということなのか、お聞きしたいと思います。134ページの「丸2高齢者の健康」について、健康局と老健局との関係について、高齢者がだんだん多くなってまいりますが、介護の問題とかいろいろな介護保険の問題まで入っていますけれども、これをどのような形で皆さんに通知していくのか。この事もお尋ねしたいと思います。

○河野栄養指導室長 まず、1点目の国民・健康栄養調査については、食事の部分については1日の調査の結果となります。

 ただ、そういった限界も踏まえた上で、統計学的にはこういった形で公表できることを確認した上での公表となっていますが、もちろん、今、御指摘があったように、1日の調査であるという限界も事実ですので、そのあたりについては、調査票の方法に調査の実施の内容については記述する形で行っております。

 もう1点「健康な食事」のところで御質問が2点ありまして、食事バランスガイド、食生活指針については、関係省庁との策定となっておりますので、かなり策定から年数もたっておりますから、この検討が終わりましたらば、関係省とも調整をさせていただいて、見直しについてどういうふうにしていくかということを進めてまいりたいと思っております。

 また、先ほどのシールの話も、非常に「健康な食事」の今の議論になっているのは、食文化のよさを引き継いで、栄養バランスを基本とすることに整理されているのですが、そういった栄養バランスを基本とするというものを、食事摂取基準が今般新たに出てきましたので、そういったものも踏まえて、今、検証しているところですので、恐らく次回かその次の検討会のところでは、おおよその方向性とか目安は出てくることになると思っております。

 資料9のところにつきまして、構成としましては、131ページの1が都道府県、133ページの2が、今、お話にあった保健所設置市及び特別区であって。

○上谷委員 135ページの市町村は。

○河野栄養指導室長 市町村は市町村ですので、基本的には、例えば1の都道府県には、今般保健所も含まれております。

 ですので、都道府県のところですと、例えば「(5) 食を通じた社会整備の促進」ということで、132ページのところに出てきているのですが、市町村のほうでは、むしろそこの部分よりも「(4) 社会生活を自律的に営むために必要な機能の維持及び向上のための施策の推進」のところが内容的には丁寧に書かれる形になっていて、具体的には、例えば132ページの(4)ですと、都道府県の場合には、市町村の各種健診とか調査結果等の情報を収集して、市町村の状況の差に関する情報について還元する仕組みを与えるといった書きぶりになっているのに対し、まさに市町村のほうは高齢者の健康、住民を直接的に対応する形になりますので、136ページの市町村の高齢者の健康のところでは、具体的に支援を行うような内容に関する記述を書き込んでいるように、書きぶりを変えて整理をしております。

○上谷委員 役目の区分がされていればよろしいのですけれども、134ページと136ページの「丸2高齢者の健康」はそういう分担できていないのではないかと思いましたので。

 ひとつ提案ですが、先ほど健康のシールという話がありましたが、食事バランスガイドを食事バランスプレートという形で、それをシール化して表示していけばいいのではないかと思いました。

 これの食べ物にはこれは入っていますよみたいに、その様にされると、シールは健康という枠ではなく食事バランスガイドの中で判断できてわかりやすくなると思います。

 意外と専門の方が思っているほど、一般の方は知識がありません。そこはやはりわかっていると思ってつくられると、全く進まないと思います。特に関心のない男性の人たちに見てもらったりすることは大事だと思います。

○武見委員 今の食生活指針と食事バランスガイドの関連に関して、食生活指針、例えば、諸外国では、アメリカは5年ごとに改定していますし、オーストラリアも2003年に出したものを2013年の10年間で改定しています。

 そのときに、みんないわゆる食と健康に関する、広い意味でのエビデンスの整理はされているのですけれども、今、こうして御報告いただいたものを聞くと、食事摂取基準のところで栄養素、エネルギーということについては、それが十分に整理されていると思いますし、健康日本21のときに食行動とか、食環境とか、そういうことも整理されたと思います。

 今の「健康な食事」のほうは私も関係しているのですけれども、あそこではさらに広く食物の生産、流通とか、食文化も含めていろいろ整理してきているので、かなりそうした知見が整理されてきた段階かなと思います。

 そういう意味でも、2000年から既に14年、来年は15年に入りますので、ぜひ早急な検討を関係省庁と連携しながら進めていただきたいと思います。

 それのもう一つの理由は、内閣府のほうの食育推進基本計画が3次に入るのが28年度からです。ということは、あちらもという言い方は悪いのでしょうか、あちらも27年に3次計画が進むタイミングですので、ぜひこの点については早急に検討していただきたいし、食生活指針の検討が行われた上で、当然それを具体化するという意味で、今の御意見のあった食事バランスガイドの見直しということもつなげて、ぜひやっていただきたいという要望です。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 最後に、どうぞ。

○谷川委員 資料7の120ページで教えていただきたいのですけれども「糖尿病の可能性を否定できない者」が200万人ほど減っておりますが、これはヘモグロビンA1cの測定の方法が変わったときに、リグレッションをとった際に少し下のほうの値が割と違うように出たとか、そういう可能性はないのでしょうか。健康的な栄養とか運動の指導をしてこうなったのか。どうなのでしょうか。

○河野栄養指導室長 基本的に、ヘモグロビンA1cの表記の変更による影響は、検証した上でないということで数字をお出ししております。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 それでは、次の報告事項「地域保健・保健指導関係の報告」について、御説明をお願いします。

○山田保健指導室長 保健指導室長の山田でございます。

 私からは、資料10~資料13を用いて御説明をさせていただきます。

 まず、資料10でございます。カラー刷りの資料「特定健診・がん検診受診率向上に役立つ好事例集」についてでございます。

 これにつきましては、昨年9月から、厚生労働省として「健康づくり大キャンペーン」に取り組む一貫として、省内横断的な取り組みについて検討していくための組織として「健康づくり推進本部」が設置をされたところでございます。

 この推進本部の中に5つのワーキングチームが設置されまして、そのうちのワーキングチームの丸3として「地域・職域連携の推進等による特定健診・がん検診の受診率向上」のチームが設置されたところでございまして、その取り組みの一環で、自治体その他、保険者の取り組みの中で効果的な取り組みをなされているところをいろいろ抽出してヒアリングし、報告としてまとめさせていただいたところでございます。

 事例といたしましては丸1~丸6までということで、いわゆる市町村が3つ、協会けんぽの支部が1つ、都道府県が2つという形になっております。

 まず、145ページの下のところ、事例1山梨県甲州市でございます。ここは特定健診受診率向上に非常に顕著な成果を上げておりまして、平成20年度以降、連続増加をして、平成24年度には約50%に迫る高さまで持ってきているところでございます。

 取り組みの特徴といたしましては【主な取組】にありますとおり、アンケートをして、未受診の理由にはここ1年、2年で一度受けましたとか、あるいは仕事が忙しいからとか、いろいろあるのですけれども、そういったなかなか受診につながってこない方のそれぞれの動機ごとに、受診勧奨のリーフレットを作成するといったことをやっております。

 それから、地元の医師会との連携の中で、受診場所の拡大ですとか、情報提供事業その他の取り組みもなされております。

 また、各地区において保健環境委員、保健環境推進員、主にはごみの関係とかそのあたりについてやられていたようですけれども、そういったいわゆるソーシャルキャピタルを育成していく中で、こういった特定健診の受診についてもお力添えをいただくといった取り組みによって、健診受診率を高めていくという取り組みがなされております。

 次に1枚おめくりいただきまして、146ページ、上の段の福井県高浜町でございます。

 ここは、特定健診、がん検診両方の受診率について、平成20年度以降、連続して増加をしております。

 ここの一番の特徴は、KAP調査と書いておりますけれども、人間の認識、態度、それが行動にどのように影響するのかという科学的な知見に基づく一定の調査をして、その結果に基づいてパンフレットなどを作成し、健診の受診を勧奨していく取り組みをやっていただいているところでございます。

 下の段の事例3は、北海道の函館市でございます。

 ここも平成22年度以降、連続して特定健診の受診率が増加をしております。

 特徴は、自治体の規模としては比較的大きいところでございますが、諸般の事情で特定健診、特定保健指導を実施していく体制がなかなか十分ではなく、財政的に非常に厳しい中で、どのような工夫をしていくかが大きな課題でした。

 結論としては、はがきによる受診勧奨をやっていくことを選択しました。はがきの中身にこだわって、先ほど山梨県甲州市の取り組みにもありましたけれども、当初は何となく受診しましょうというものだったのですが、受診しない理由も加味して、目に触れるようなはがきの中身に変えていくことで受診率の向上、特に平成20年度以降、一度も受けたことがない人についても、一定の成果を上げているところでございます。

 次、147ページですが、事例4では協会けんぽ滋賀支部を取り上げさせていただいております。

 ここにつきましては、いわゆる被扶養者、これは特定健診の受診率向上に関して、非常に大きな課題でございますが、そこに大きな焦点を当てた取り組みがなされております。

 取り組みといたしましては、被扶養者個人宛ての案内の送付を徹底する、女性をターゲットに、健診項目についてもいろいろ工夫するなど、会場の設定もショッピングセンターを活用するといった取り組みがなされてございます。

 次にその下の事例5、その次のページの事例6神奈川県、静岡県ということで県の取り組みでございます。

 御承知のとおり、県につきましては、特定健診、がん検診いずれも法律上は実施の主体ではございません。

 しかしながら、広域自治体としての特性を生かして、例えば、神奈川県においては、ほかの自治体において実施されている健診受診率の向上に役立つ取り組みについて県みずから調査したり、あるいはその結果に基づき、企業とも連携して受診率を向上させるためのモデル事業を立ち上げ、管内の市町村にいろいろ普及させたりして、一定の成果を上げているという取り組みでございます。

 一番後ろの148ページは静岡県でございますが、ここは県が主体となりまして、健診データを分析して、各市町村がいろいろな健診項目ごとにどういう状況になっているかをわかりやすく色刷りにして見やすくし、それぞれの管内の自治体の課題がわかるような形で取り組みがなされております。

 また、県が主体となって企業との連携によってさまざまな啓発活動が展開されているところでございます。

 この報告書につきましては、先生方のお手元の一番下のところに、好事例集のカラー刷りのものを用意させていただいており、これにつきましては、関係する自治体等に配布をしてございます。

 なかなか現場では皆様お忙しいということもありまして、お読みいただく時間もなかなかないということもございますので、例えば、保健師その他、地域保健にかかわる方向けの研修等、私が直接出かけていって、この事例集のエッセンスについて御説明をさせていただいております。

 以上が、資料10でございます。

 続きまして、資料11「生活習慣病重症化予防のための戦略研究」でございます。

 健康日本21(第二次)が昨年度からスタートしておりますが、この新しい国民健康づくり運動の中では、生活習慣病の重症化を防止することを1つの柱として組み入れているところでございます。

 こういった考え方も踏まえまして、平成25年度から5カ年間の大規模な研究を実施しているところでございます。

 戦略研究につきましては、政策研究大学院大学の黒川清教授に座長を務めていただいております「戦略研究企画・調査専門検討会」で、具体的な研究プロトコル等を平成24年度に検討され、実際の研究は、平成25年度から実施しているところでございます。

149ページの下の段に「研究の背景及び研究目的」が書いてございますが、この課題名にありますとおり、自治体における生活習慣病重症化予防のための受療行動促進モデルによる保健指導プログラムを行い、本当に効果があるものかどうかを検証する研究でございます。

 1枚おめくりをいただきまして、150ページでございます。研究デザインについて簡単にまとめてございます。

 「研究対象」でございますが、国民健康保険の特定健診、特に集団健診で実施されたものに焦点を当て、ここで把握をされました4074歳の男女の重症化ハイリスク者で健診時に医療機関を受療していなかった方を研究対象としております。

 研究方法は、研究の対象自治体を全国から公募をいたしまして、研究班で策定している受療行動促進モデルに基づく保健指導プログラムを実際に試してみる介入自治体と、従来の保健指導に基づいて実施する対照自治体に割りつけて研究を行います。

 研究の実施につきましては、大阪大学に組織として受託をしていただいて、専門の先生方に多数お集まりいただいて研究を続けることになっております。

 下の段に「研究デザイン丸2」がございます。現在、介入自治体と対照自治体につきましては、全国からの公募に基づいて、それぞれ14自治体ずつ実施することが予定されてございます。

 介入自治体の14自治体につきましては、重症化ハイリスク者で健診時に受療をしていなかった者について、この受療行動促進モデルに基づいて保健指導を行っていきます。

 この重症化ハイリスク者とは、スライド右側の点線中にございます検査結果の方です。 なお、現在、第2次の自治体の募集をしてございます。戦略研究企画・調査専門検討会にて、あと18自治体追加する御承認をいだたいておりますので、現在、大阪大学、厚生労働省のほうもお力添えをさせていただいて、募集を続けているところでございます。

151ページ「保健指導プログラムの概要」ですが、介入自治体の研究対象者に対して、医療機関への受療勧奨を行います。

 対象者が実際に医療機関を受療されたかどうかにつきましては、レセプトに基づいて確認いたします。受療されていれば、さらに今後も継続して受療を続けるように働きかけをします。未受療の場合には受療勧奨をし、またその後も継続的に受療されているかどうか、レセプト等に基づいて確認していきます。

 下の段に「評価項目」がございますが、平成29年度までの正味4年間の中で、これらの評価項目に基づいてこの保健指導プログラムが効果的なものであるかどうか検証していくことになってございます。

 続きまして、資料12「厚生労働省における熱中症対策について」でございます。

 ここのところ、非常に暑い日が続いておりまして、厚生労働省におきましても今年度また熱中症対策について力を入れていく必要があると考えております。

 現在、取り組むと予定しております対策は、こちらにあるとおりでございます。まずは事務連絡を通して普及啓発・注意喚起を行う。

 それから、高齢者あるいは障害者を対象とした熱中症対策というところに力を入れる。

 また「3.職場における熱中症対策」「4.『健康のため水を飲もう』推進運動の支援」ということで、文部科学省あるいは都道府県の水道関係部局等の御協力をいただいて、実施をしていくことを予定しております。

 また「5.保健師を対象とした普及啓発」、裏側でございますが「6.熱中症発生状況等に係る情報の提供」あるいは調査研究についても、引き続き実施をしてまいりたいと思っております。

 これらの取り組みにつきましては、平成19年度から関係省庁におきまして「熱中症関係省庁連絡会議」を開催して、連携して取り組んでいくということでございます。具体的には、消防庁、文部科学省、農林水産省、気象庁、環境省、厚生労働省の部局長による会議に基づいて情報交換、効果的な対策について意見交換を行っております。

 また、平成25年度、昨年度から毎年7月1~31日までの1カ月間を熱中症予防強化月間と定めまして、国民、関係機関に周知を行うことで、熱中症の発生を大幅に減らすという取り組みをやっております。

 今年度も関係省庁と連携を図って、熱中症対策の推進に努めてまいります。

 資料13「被災地健康支援事業」ということでございます。

 平成23年の東日本大震災におきまして、非常に大きな被害があったわけでございます。そういった地域における健康をどのように確保していくのかということが、なお、大きな課題になっております。

 これにつきましては、平成23年度の第3次補正予算によりまして基金を設けまして、仮設住宅等で生活を余儀なくされた被災者について、健康状態の悪化を防ぐため、保健師による巡回保健指導などの各種健康支援活動、それらを担う専門人材の確保、非常に幅広く使っていただける基金として御用意をさせていただいておりまして、平成26年度におきましては、さらに10億円の基金の積み増しをさせていただいてございます。

 保健指導の確保状況あるいは具体的な取り組みにつきましては、こちらの資料に書いているところでございます。

 なお、交付要綱上は、対象となる経費といたしまして、職員の手当等あるいは旅費といったところも含まれておりますので、人材確保に当たって、例えば、引っ越し代ですとか、あるいは住居の支援といったところもカバーできるような設計になってございます。

 下のところでございますが、こういった形で、ほかにも総務省あるいは復興庁のさまざまなスキームによりまして、自治体での雇い入れですとか、あるいは都道府県その他からの派遣といった形で取り組んでいるところでございますが、なお被災自治体からは保健師の派遣要望が寄せられているところでございます。

 こうした声を踏まえまして、被災自治体における保健師の確保に向けた取り組みに係る協力依頼を、ことし3月末に復興庁と連名で、関係団体は、下にございますとおり、日本看護協会、全国保険師長会、日本看護系大学協議会、それから、全国自治体宛てに通知を発出させていただいております。関係機関におかれましては、大変御協力いただいておることにつきまして、この場をお借りして感謝を申し上げます。

 なお、今後さらに私どもとしても復興庁などと協議をいたしまして、自治体における保健師等の確保について、どのような対策が可能かということについて、十分詰めて、必要な対策をさらに打ち出していきたいと考えてございます。

 私からは、以上でございます。

○永井部会長 ありがとうございます。

 それでは、御質問をお願いいたします。

 辻委員、どうぞ。

○辻委員 2点、申し上げたいと思います。

 1つは、資料13「被災地健康支援事業」ですけれども、私ども東北大学でも、宮城県で被災地の健康調査などをやっておりますけれども、恐らく今年度が1つの大きな山ではないかなと思うのです。と申しますのは、今、仮設住宅から復興公営住宅に移行する時期になっておりまして、今、現実に起こっていることは、復興公営住宅に入居されたばかりの方々の中の人間関係がなかなかつくれなくて、閉じこもりの方が増えてきて、地域づくりあるいはそれを通じた健康づくりがなかなか進んでいないという問題があります。

 片やプレハブ仮設住宅の方々におかれましても、だんだん人が抜けていく中で人間関係が疎遠になってきて、置いてきぼり感が非常に強まっている、孤立の問題が非常に強まっているということがあります。したがいまして、現実には、昨年度と比べまして、今年度、プレハブ仮設から公営住宅への移行を円滑に行うには、地域づくりや健康づくりのスタッフがこれまでの2倍必要なのです。プレハブ部分と復興公営住宅の部分と2セットが必要なのです。そこで非常に自治体は困っております。一方、この3月の年度末を契機に引き上げた自治体もかなりありますので、私からもぜひこれにつきましては、御協力をお願いしたいということを、被災地の人間として申し上げたいというのが1つあります。

 もう一つ、質問なのですが、資料11ですけれども、この戦略研究は非常にいいと思うのですが、私は若干混乱しているのですが、行う保健指導の内容をレセプトでちゃんと医療機関を受診しているかどうかを確認して、していない方に指導して、その後もレセプトで受診状況を確認するという一連の流れというのは、私の理解が間違っていなければ、保険局が今やっているデータヘルスとほとんど同じなのではないかと思うのですが、片や保険局は事業として行っており、こちらのほうはランダム化比較研究ということですので、恐らくこれはエビデンスがないという立場でされているのかなと理解するのですけれども、の保険局のデータヘルスと今回の戦略研究の関係がどのようになっているかということについて、教えていただきたいと思います。

○永井部会長 いかがでしょうか。

○山田保健指導室長 お答えいたします。

 まず、被災地での健康づくりあるいは地域づくりについて、今年度が大きな山であるという御指摘をいただいたところでございます。

 私どももそういった認識を持って、今後、取り組みをやっていく必要があると思っておりまして、現在、例えば、復興庁、また、私どももそうですけれども、機会を捉えて直接現地のほうに足を運ばせていただいて、どのような人材が必要かということについて、直接ヒアリング等を行っております。

 それから、それぞれの自治体から、どのような人材、どれぐらいの人数が必要かということについても聴取をしてございますので、そういった意向も踏まえて、十分な対応を図っていきたいと考えております。

 2点目でございますが、重症化予防の戦略研究と保険局における事業との関連でございます。

 保険局において行われている事業は「保険者による糖尿病性腎症の重症化予防事業」という保健指導プログラムでございますが、これは主治医と連携して生活習慣そのものについて介入していくという内容になっております。これに対して生活習慣病重症化予防の戦略研究は、まず、重症化ハイリスク者に生活習慣病について基本的なところを御理解いただき、重症化し、早く医療機関に受診していただいてほうがいい方に対して受療勧奨をしていく。その後も重症化ハイリスク者が受療継続しているか確認するという点に絞ってつくり込まれた保健指導プログラムのドキュメントでございます。

 これは大阪大学でつくっていただいておりますので、こちらの成果を科学的に実証するものでございます。

○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。

 春日委員、どうぞ。

○春日委員 ただいま御質問があった「生活習慣病重症化予防のための戦略研究」ですけれども、ちょっと私が誤解しているのかもしれないのですが、一般的な保健指導というのは、具体的にはどういうことをするのでしょうか。

○山田保健指導室長 お答えいたします。

 通常、特定健診に基づいて一定の項目、まず、腹囲基準に当たるかどうか、血圧、血糖値、脂質、あるいは喫煙の有無等に基づいてスクリーニングをして、一定の保健指導が必要な方に保健指導をしていくということであります。

 そこで言う特定保健指導につきましては、いわば生活の習慣そのものを変えていただく。そういった行動変容を促すための保健指導を行っております。

 ですから、生活習慣自体を改善していくための取り組みの一環として、例えば、大体3~6カ月ぐらいの期間にわたって具体的な行動計画といったものを、医師、保健師、あるいは管理栄養士との実際の対面の中でつくり上げて、それをきちんと実施していくということをやっております。

 今回、この戦略研究プロトコルに基づく重症化予防でございますけれども、これはいわゆる特定健診の中での特定保健指導よりも、もはや受療していただいたほうがよい、医療機関におけるコントロールに早く入っていただいたほうがよいという方に絞り込みます。

ただ、実際は数値が高くても自覚症状等がないということもありましてなかなか受療に結びつかない。

 結果として、症状が非常に悪化してしまって、例えば、糖尿病性腎症による人口る透析のように、御本人の負担等が非常に重くなっている。

こういったものを防止するために、受療行動に結びつける指導に焦点を絞っているといった内容でございます。

○春日委員 ちょっと私はまだ誤解しているかもしれないのですが、この一般的な保健指導を受けた方は、薬物療法とかそういうものは受けるのですか。

 といいますのは、この重症化ハイリスク者というのは、常識的に言えば、薬物療法をして血圧なり血糖値なり下げないといけない人ですね。こういう人をいわゆる保健指導だけで放置しておくというのは、非常に問題ではないかなと思うのです。

○山田保健指導室長 この点につきましては、標準的な健診・保健指導プログラムというものをお示ししておりまして、基本的にスクリーニングの基準に当たる方については、特定健診に入っていただいて保健指導を行う。既に受療されていて、医療機関の指導のもと服薬をされている方は、特定保健指導の対象になります。しかし、まだ受療していないけれども、一定程度数値が高く、こういった方は受療したほうがいいのではないかという、数値の表を実は示させていただいております。そういう方につきましては、この保健指導の中でそれぞれの保険者の御判断で受療のほうに勧奨していただく形になっております。

 今回の戦略研究につきましては、実際に受療を勧奨していくツールとして手順をお示しし、それが実際に受療につながるかどうか。そして、受療につながった結果、さまざまな数値、最終的には医療費も含めてどういった効果が出てくるかといったところを検証していくものでございます。

○春日委員 そうすると、期間の差はあるにせよ、どちらでも最終的には医療機関を受診して、必要な治療を受ける、薬物療法等を受けられるということですね。

○山田保健指導室長 はい。受診勧奨の場合は、基準に当たる方は基本的には受療のほうに行っていただきます。

 実際には、現場では一定の受療勧奨はやっているわけですけれども、例えば、レセプトを確認してまで受療をしたかどうかを確認しているかというと、なかなか現場ではそこまでは徹底していないという現状もございます。

 そういったことも踏まえて、しっかり受療勧奨ができるかどうかということを、この研究の中で検証していくことになっております。

○春日委員 そうすると、受療行動促進モデルと一般的な保健指導では、多分、医療機関を受診する時期的な問題とか、あるいはそれが非常に確実にずっと行われるかどうかが違うだけだということですか。

○山田保健指導室長 この受療行動促進モデルに基づいて、確実に受療につなげていくことを目指しております。

○春日委員 もう一つ、そういうふうなことでもし違いが出た場合に、例えば、ヘモグロビンA1cが1%、4年間下がったら、どのぐらいアウトカムが違うかとか、そういうデータに基づいてこのデザインはなされているのでしょうか。

 基本的には、4年間でそういうものに有意差が出るかどうか、非常に難しいのではないかと思うのです。

○山田保健指導室長 まさに先生の御指摘のとおりで、一定の推計をし、統計的に有意な差が出るかどうか検討し、4年間で有意な差が出るような研究デザインを組んでおります。

 現在は、28自治体に御参加をいただいておりますが、先だって開催された「戦略研究企画・調査専門検討会」におきまして、あと18自治体追加募集する承認をいただきました。統計的に有意な差が研究の成果として出せるためには、それだけのサンプルを追加する必要があるということで、現在、追加の募集中でございます。

○永井部会長 高血圧の方などは、結構効果が出るのだと思うのです。そういう未治療の重症高血圧の方がどのくらい含まれているかというときに。

○春日委員 高血圧はまだ可能性があると思うのですけれども、糖尿病に関しては。

○永井部会長 なかなか4年では難しいだろうということですね。

 井伊委員、どうぞ。

○井伊委員 今の「生活習慣病重症化予防のための戦略研究」については、4年間走らせっ放しで、間で中間評価等をされるのかどうか。もしされるとしたら、ぜひ公表していただきたい。これは意見です。そういうことが1つ。

 もう一点「被災地健康支援事業」なのですが、東日本大震災の発生の年に日本看護協会で被災地で支援をする保健師のマッチングをナースセンターを使って実施をいたしました。

 行こうと思っても、現地の状況がどうなのかということを聞きたい。今度は来てほしい側は、いちいちそんなことを説明したり、問い合わせを受けている場合ではないということで、タイミングを逃すとマッチングができないという事実がありまして、今の保健指導室長のお話ですと、今回はこの「被災地健康支援事業」は、保健指導室がその間でマッチングをとっていただけるという御説明だったと理解してよろしいでしょうか。

○山田保健指導室長 まず「被災地健康支援事業」についてお答えいたします。

 現在「被災地健康支援事業」につきましては、各都道府県に基金を積んでおりまして、それに基づいて、また市町村のほうから必要だということがあれば、都道府県のほうから交付されるということでございます。

 現在、それぞれの市町村、自治体のほうから募集がされているところでございますけれども、実際、これ以外も含めていろいろなスキームがあるのですが、自治体が欲しいと思っている人材と、それに合うような人材があるかどうかということにつきまして、まだまだ十分なマッチングがなされていないという状況でございますので、そのマッチングのあり方、実際の一定のマンパワーをどうやって確保していくかということにつきましては、復興庁とも十分連携をしてやり方等を今後、工夫していきたいと考えております。

 最初に指摘のございました「生活習慣病重症化予防のための戦略研究」でございますが、これにつきましては、毎年状況についてモニタリングをすることになってございます。非常に長期にわたる研究でございますので、例えば、介入をするとなった自治体が、そのモデルに基づいてきちんと行っているかどうかということも含めて、きちんと評価をしていく必要がございます。

 そのため、大阪大学の研究班の中には、別途モニタリングチームというものも設け、きちんとこの戦略研究のプロトコルに基づいて実施されているかどうか、評価をしていくことを予定してございます。

○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。

 小松委員、どうぞ。

○小松委員 被災地健康支援のことで、人材確保ということで非常に重要なお話だと思っています。

 ただ、私は栄養士ですので、被災地でどういう人材が必要なのかということについて、保健師さんがもちろん必要なことは我々も重々わかっているのですけれども、例えば、管理栄養士であるとか、歯科衛生士さんとか、そういう人たちのことについての人材活用というか、そういうことについてどういう取り組みがされているのか、ちょっとお願いしたいのです。

○山田保健指導室長 「被災地健康支援事業」でございますが、基本的なキーワードといたしましては、これにありますような仮設住宅等での生活を余儀なくされている被災者の健康状況の悪化を防ぐということでして、事業とそれを担う専門人材の確保ということになっております。

 多くの自治体では、保健師を要望するケースがあるのですけれども、中には、管理栄養士といったほかの専門的な職種についても募集等をしておりますので、そういった幅広いマンパワーの確保が可能という形になっております。

 仕組みとして要綱上、保健師に限らず、その他の、要するにこの健康支援、健康状況の悪化を防ぐことに資する専門的な人材であれば、この基金の中で賄うことが可能であるという設計になってございます。

○永井部会長 よろしいでしょうか。

 それでは、もう1項目ございますので、進みたいと思います。

 4番目が「がん対策関係の報告」です。これも事務局から御説明をお願いいたします。

○江副がん対策推進官 がん対策推進官の江副と申します。

 私のほうは、特に資料はございませんけれども、特にがん対策の中で最近動きがございます、がん登録について絞って状況を簡単に御報告したいと思います。

 がん対策全体につきましては、平成18年のがん対策基本法が成立しまして、がん対策推進協議会で適宜御審議をいただきながら進めているところでございます。

 現在のがん対策推進基本計画というものの中に、がん登録というものが位置づけられておりまして、その法的な位置づけを含め、検討することとなっておりました。

 がん登録は、この中でもよく御存じの方も多々いらっしゃるかと思いますけれども、より適切ながん対策に資するということで、がんの罹患等に関する情報を収集するものであります。

 我が国では、宮城県で始まって六十数年の歴史がございますけれども、なかなかこれまでは努力義務ということでしたので、都道府県によってかなり対策の状況が違うということで、より正確な把握が必要だということで法制化が求められておりました。

 こうした背景に基づきまして、昨年12月に議員立法としまして、がん登録等の推進に関する法律というものが成立いたしました。この法律が成立しまして、施行としましては、平成28年1月1日を目指して、現在、準備を進めようとしているところであります。

 政省令の策定に当たりましては、審議会等の場で意見をちゃんと聞くということと、法律の中でもなっておりますので、その審議の場としまして、厚生科学審議会のもとでがん登録部会を設置するという方向で、現在、調整を進めているところでございます。

 厚生科学審議会の関係ということもございますので、近日中に部会の設置に関しての議論が行われることが予定されておりますので、こちらの部会のほうでも御報告をさせていただく次第であります。

 簡単ですけれども、御説明は以上になります。

○永井部会長 ありがとうございます。

 何か御質問はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 よろしければ、報告事項は以上でございます。議事も全て終了でございますが、連絡事項等は事務局からございますでしょうか。

○古賀課長補佐 次回の地域保健健康増進栄養部会の開催につきましては、また改めて御連絡させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○永井部会長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(地域保健健康増進栄養部会)> 第38回 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会(議事録)(2014年6月3日)

ページの先頭へ戻る