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2014年3月4日 薬事・食品衛生審議会 血液事業部会 議事録

○日時

平成26年3月4日(火)16:00~


○場所

厚生労働省専用第15・16会議室


○出席者

出席委員(16名) 五十音順

稲 田  英 一、  大 平 勝 美、 岡 田 義 昭、 小 幡 純 子、
嶋    緑 倫、  千 堂 年 昭、 田 崎 哲 典、 花 井 十 伍、
前 野 一 雄、 ○濱 口    功、◎半 田   誠、 牧 野 茂 義、
三 谷 絹 子、  三 村  優美子、 吉 澤 浩 司、 渡 邉 治 雄
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(5名) 五十音順

朝 倉 正 博、 大 戸   斉、 鈴 木 邦 彦、 益 子 邦 洋、
山 口 照 英

日本赤十字社

田所経営会議委員、碓井総括副本部
江口副本部長、西田副本部長
庄野財務課長、井上献血推進課長

行政機関出席者

成 田  昌 稔 (大臣官房審議官)
浅 沼  一 成 (血液対策課長)
野 村 由美子 (血液対策企画官)

○議事

○血液対策課長 平成25年度第3回薬事・食品衛生審議会血液事業部会を開催いたします。なお、本日は公開で行うこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。

 本日は朝倉委員、大戸委員、鈴木委員、益子委員、山口委員から御欠席との御連絡を頂いております。全委員21名中16名の出席を頂き、定足数に達しましたので、薬事・食品衛生審議会令第9条により、本部会が成立したことを御報告申し上げます。

 また、本日は日本赤十字社血液事業本部から田所経営会議委員、碓井総括副本部長、江口副本部長、西田副本部長、庄野財務課長、井上献血推進課長にお越しいただいております。

 議事に入ります前に、本日の部会は血液法に基づく審議・議決事項があることから、「薬事分科会審議参加規程」に基づいて利益相反の確認を行ったところ、「退室委員及び議決に参加しない委員は、ともになし」となっておりますことを申し上げます。なお、日本赤十字社の方々は、審議・議決には参加できませんので御承知置きください。カメラ撮りはここまでとさせていただきます。

 この後の進行につきましては、半田部会長からお願い申し上げます。

○半田部会長 それでは早速、事務局より資料の確認をお願いしたいと思います。

○血液対策課長 議事次第、座席表、委員名簿、資料1-1「平成26年度の献血の推進に関する計画()について」、資料1-2「平成26年度の献血の推進に関する計画()に対する意見募集結果について」、資料2「平成26年度の献血の受入に関する計画()の認可について」、資料3「平成26年度の血液製剤の安定供給に関する計画()について」です。不足などがあれば事務局までお申し付けください。

○半田部会長 それでは議題1に入ります。「平成26年度の献血の推進に関する計画()について」です。血液法の規定により、この計画の策定に当たっては厚生労働大臣の諮問を受けて、当部会で審議をして答申することになっております。委員の皆様には昨年12月の前回の部会において、当該計画案について御議論いただいたところです。その後、パブリックコメントの募集が行われ、意見が提出されております。したがって本日、改めてこの場で皆さんに意見を伺って、部会としての意見をまとめて答申したいと思います。それでは事務局から資料1についての御説明、よろしくお願いします。

○事務局 資料1-1について御説明します。1ページは、最新の年代別の献血者数の推移表です。直近の平成25年度の実績を、速報値として追加でお示ししております。平成25年度においては全体の献血者数は延べ521万人と、前年より6万人減少しておりますが、必要な献血量の確保はできております。10代の献血者数は前年を上回っておりますが、20代、30代については減少しております。この点の詳細な実績・検証については年度ベースの献血者数、献血率が確定した段階で調査会、血液事業部会に御報告させていただきたいと思います。

 2ページは血液法第10条第3項の規定により、審議会の御意見を聴くことになっておりますので、厚生労働大臣から薬事分科会長への諮問書を添付しています。この献血推進計画()については、本日の部会で御了解を頂いた後、薬事分科会に御報告させていただくことになっております。

 3ページ以降が平成26年度の献血推進計画()です。昨年1225日に開催された血液事業部会で御審議いただき、その後にパブリックコメントを実施しました。12月の御審議以降、献血推進計画()に修正箇所はありませんが、本日改めて最終的な御審議を頂ければと思っております。

 平成25年度の献血推進計画からの主な修正箇所について、再度簡単に御説明申し上げます。まず、通し番号の6ページの上から10行目の「さらに」から始まる行の下に、「HIV等の感染症の検査を目的とした献血を行わないよう」とあります。こちらに「HIV等の」と具体的に追加しました。これは昨年11月に輸血感染が発生したことも踏まえ、新たに追加しました。

 6ページの下から3行目の「また」から始まる段には、「SNS等」と記載しました。SNS(Social Network System)は、世代に合わせた効果的な広報活動を行うに当たり、今の若者はSNSの利用度が高いということから、今回新たに追加しました。

 7ページの上から8行目の中ほどに、「次世代の献血者を育てていくために」と追加しました。上から11行目に、「親子が献血に触れ合う機会や利用しやすい環境」と具体的に追加しました。これは親子献血、ファミリー献血を推進し、幼少期から献血に触れ合う機会を作るべきという御意見を頂いて追加したものです。

 そこから2行下に「関係省庁と連携しながら」とありますが、こちらも新たに追加しております。これは文科省が主ですが、それ以外の各省庁ともっと連携を図って推進していくべきという御意見を頂いたために追加したものです。

 7ページの中段にある2ポツ目は、「採血事業者が実施する『献血セミナー』や血液センター等での体験学習を、積極的に活用してもらえるよう学校等に」というのを追加しました。このフレームは、都道府県及び市町村が実際にどのようなことを行えばいいかということを、具体的に記載したほうがよろしいという御意見を基に追加しました。

10ページの一番上の3.の1ポツ目の3行目も先ほどと同じように、具体的に「HIV等」という文言を追加しました。資料1-1の説明、平成26年度の推進計画()の平成25年度との比較においては以上です。

 続いて、資料1-2についても御説明します。こちらは献血推進計画()に関するパブリックコメントの結果です。任意の意見募集として本年1月20日から2月18日の間、意見を募集しました。9名の方から御意見を頂いております。2ページ以降の表の左側が頂いた御意見の概要、右側が御意見に対する厚生労働省の考え方です。御意見を頂いた御本人に対し直接回答はしませんが、厚生労働省のホームページ上で公開する予定となっており、パブコメ募集時にもそのように事前に御説明しております。

 頂いた御意見ですが、1番、2番、3番の御意見については、献血ルームに関する御意見でした。御意見の内容ですが、1番は2フレーム目にありますように、ひと昔前の狭くて暗いイメージのあった献血ルームも、近年は次々と新設や改装が進み、広く快適に、そして室内装飾や照明により、明るく華やかに様変わりしたと感じます。一方で、人工物の無機質さゆえ、どことなく寒々とした印象を与える献血ルームも散見いたします。献血者の中には、緊張したり不安感を覚える人もおられます。ドナー獲得のため、スタッフさんの街頭での呼び掛け活動も大事なことではありますが、訪れた方が「また来たい」と思っていただけるような安心感を与える会場づくりもまた同様に、リピーターを増やすためには大事なことではないでしょうか。献血ルームの待合・休憩室に室内でも育てられる観葉植物を置いたり、時にはその地域や季節感を感じられる草花を花瓶に生けて飾り、緑が持つ効用を生かした演出をしてはいかがでしょうか、という御意見を頂きました。

 2番は、従来の献血ルームは施設面積が狭かったり、古かったりなどデメリットはありましたが、職員の方が待合室内に季節感あふれる飾り付けを施してくださり、訪れる度に変化があり、「今度はどんな感じになっているだろうか」と期待をしながら行っていた。ところが最近はおしゃれで豪華な献血ルームが増え、施設が立派になった一方で、そうした楽しみに欠ける献血ルームが減ってきたように感じますということで、1番、2番は同じような内容でした。

 3番が、血液事業・献血に関して、献血予定者・ドナーに理解・納得の上で協力していただかなくてはならないと思っております。全ての方がネット閲覧環境にあるわけではありません。また、必ずしも献血予定者・ドナー全てが、自ら情報を求め自発的に調べているわけではありません。「詳しくは、ホームページを御覧ください」というスタンスだけではなく、やはり来所者にペーパーベースで情報開示をすべきではないでしょうかという御意見で、常設会場の献血ルームの一角に「赤十字コーナー」を設けて、赤十字や献血に関する情報を開示して欲しいです。具体的には「赤十字NEWS」を初め、そのバックナンバーをファイリングして棚に設置していただいてはどうか、という御意見でした。

 4番と5番は、献血をした際に頂ける記念品についての御意見でした。4番は、献血に協力すると粗品を頂けることがありますが、県境を越えて他の都道府県の献血会場で献血したところ、ほかの来所者はたくさんもらえているにもかかわらず、何も頂けませんでした。こういうことがあったので、献血に協力したドナー全員が不愉快に感じることなく、「次回も献血をしたい」と思えるような接遇を強く望みます、という御意見です。

 5番が、平日限定、平日午前中限定、複数回献血クラブの会員限定、血液センターあるいは献血ルームのポイントカードを持っている人限定などで、特典として配布される処遇品が異なるのはいかがなものか。献血をして血液が製品化され、患者さんの元に届けられる血液は、曜日や時間で価値が変わるわけではないと思います。我々ドナーを差別せず、ドナー全員を同等に処遇してください、という御意見を頂いております。

 右の欄にこれらの御意見に対する考え方があります。「平成26年度の献血推進計画に関する計画()」の中で、資料1-1の9ページに「献血者が安心して献血できる環境整備」として記載させていただいております。日本赤十字社では献血者が安心を感じ、献血にまた来たいと思える採血所にするため日々努力をしております。頂いた御意見につきましては、献血者がより利用しやすい採血所になるように、今後の検討の際の参考にさせていただきたいと考えております、という回答としております。

 次ページの6番、7番、8番は、昨年度11月に発生した輸血によるHIV感染に関して頂いている御意見と考えました。6番が、HIV感染問題など重大な献血問題が出ているのに、従来どおりを繰り返しているのは怠慢であろう。そもそも採血した血液は不確実な検査しかできないという事実があるのに、さも完全な選別検査ができるとして、不特定多数の無差別採血という献血制度自体が間違っているのではないか。不特定多数の無差別採血の時代は終わりにすべき時期がきているのだと思うのだが、という御意見です。

 7番が、昨年、輸血からHIV感染するという事故がありました。その際ニュースで、数十人分の血液を混ぜて一度に検査をするということを、恥ずかしながら初めて知りました。また、具体的な採血基準を知らないという方が多い。それが現状である。自分もこのパブリックコメントを送るに当っていろいろ調べた末に、その基準が分かりました。この基準を知れば、自分にもできると献血に行く意欲にもつながると思いますので、その辺りの広報を、体重が50kgぐらいの芸能人をCMに起用してはどうかという御意見です。

 8番が、血液製剤の半分近くを輸入に頼っている実態の改善が見込めないままの献血制度に反対する。輸血由来のHIV感染の防止は献血制度では構築できない。健康と安全を管理した売血制度を構築すべき、という御意見でした。

 これらの意見については、我が国の献血制度が皆様の善意に支えられているものであり、これから少子高齢化による献血可能人口の減少が進む中で、将来の献血基盤となる若年層への献血普及活動を推進しているところであること、輸血によるHIV感染事例については、今後このようなことが起こらないよう、HIVの検査目的で献血をしないように周知徹底を図るとともに、NAT検査について検体を1人ずつの検査に変更し、検査精度の向上を図ることを検討していること、採血基準の周知については、若年層に対していかに献血に興味を持ち、理解をいただけるかということを検討していきたい旨回答しております。

 最後に、9番は三つあります。一つは、献血者は、献血が日本赤十字社によって輸血用血液製剤として製造販売されているだけではなく、献血の一部は民間製薬企業で血漿分画製剤という医薬品に加工され、難病を含むいろいろな疾患の治療に使用されているというところの認識が不足しているということが確認されたので、こちらのほうにも正確な情報提供していく必要があるのではないか、ということです。

 それから現在、中長期的活動目標として実施している「献血推進2014」についてそろそろ次期中長期の献血推進についての議論を開始する必要があるのではないか。その際には日本赤十字社が議論に参加するだけではなく、血漿分画製剤事業者団体等にもこの議論に参加することで、更に広い視点から血液事業全体に関わる政策の推進に貢献できると考えている、という御意見です。

 また献血制度については、献血制度は日本でも欧州でも同様に行っていることであるから、海外の献血体制を参考にしながら、日本独自の安定的な献血体制の構築に向けて、国民献血者と議論を行うことは重要であり、将来の献血体制を担う若年者層の観点を政策に反映する努力が必要であり、そのためには献血推進調査会の委員等が欧州の献血施設を視察して、現地で直接意見交換をする機会を設けてはいかがか、という御意見を頂きました。これらについても貴重な御意見として、今後の検討の際の参考にさせていただきたいということで、事務局としてはまとめました。

 以上のように、9点のパブリックコメントを頂きましたが、いずれも貴重な御意見として、今後の参考にしていきたいということです。先ほども説明しましたとおり、必要な部分については今回の献血推進計画にもう含まれていると判断しましたので、献血推進計画には特に変更がないという形になっております。

○半田部会長 それでは御討議をお願いしたいと思います。ただいまの説明に関して、御質問あるいは御意見をよろしくお願いします。

○小幡委員 計画実施については、これでよろしいかと思います。パブリックコメントのところですが、この中には実際に献血なさっている方から非常に貴重な、そういう体験をした方でないと、このような意見表明ができないというものが含まれております。取りあえず答え方として厚労省としては、貴重な意見で参考にさせていただきますというコメントにならざるを得ないと思うのですが、日赤さんのほうでも品物の渡し方とか、そこで不服あるいは、不満といいますか、アンケートを取っていらっしゃるかどうかは分からないのですが、こういうことを現場で認識していらっしゃったかということを伺いたいと思います。恐らくここに意見として出てくるようなことなので、たぶん献血現場でも認識はあるかと思いますが。

○半田部会長 では、日本赤十字社のほうからお願いします。

○日本赤十字社井上献血推進課長 パブリックコメントの4番・5番で、処遇品の御質問を頂いています。平日限定とか平日の午前中限定、複数回献血クラブの会員限定の方に記念品が渡されているが、それ以外の方には渡されていなかったといったことについては、地域差がありますが事実でございます。各都道府県の献血受入れの中において、平日、特に平日の午前中というのは、献血の御来場が少ない時間帯です。そういったところに焦点を絞って、御来場いただいたときに特典化を図るという処遇です。複数回献血についても、やはり年間の平均献血回数を1回でも多く増やしていただきたいということで、こちらも地域差がありますが特典化を図る処遇が取られております。

 広域運営体制に入って2年目になりましたが、まだ従来の形で地域ごとの処遇が行われています。こういった御意見を踏まえて、広域運営体制・ブロック体制化が図られておりますので、現在の処遇についても再度、国の献血推進計画にあるように「献血者が安心して献血できる環境整備」を基に御意見に対して真摯に努めてまいりたいと考えております。

○小幡委員 いろいろ工夫なさっていて、複数回献血を奨励していくことは必要だと思うのですが、はた目で見ていた方が自分もそうなりたいと思ってくだされば良い話ですので、渡し方なども含めて、そこのところ、どのように持っていくかということも、更にもう少し工夫していただければと思います。

○半田部会長 ほかにいかがでしょうか。

○大平委員 パブリックコメントの意見で、景品の問題というのは献血の取組として公平性を期するというのが大原則ではないかと思います。そこは地域の活性化の問題とか、いろいろあるとは思うのです。日赤で直接配布するというより、地域の献血支援団体などからのお礼という形で提供するほうが健全ではないかと思います。それがどのようにできるかというのは、また日赤内で検討していただければ有り難いかと思います。直接的な経費でそれが段々かさんでくるとか、競争になってくるというのは、余り好ましいことではないと思います。

 ほかのところでは、HIVの感染の問題から患者などが少し疑心暗鬼になっているところが見受けられるので、これは早くいろいろな対策で、皆さんの不安がないようにしていただけるように、国や日赤のほうでも広報などを使って、不安を打ち消すような形でできればお願いしたいと思っています。

 9番の国内需給体制というのは、やはり日本では大変重要なテーマなので、営利本意に走らないようなことへの、きちんとした歯止めは必要かなと感じます。その点を重々気を付けていただければいいのかなと思います。

○田崎委員 1ページの図がよく引用されて、講義などでもよくこれを使うのですが、これは世界的な傾向なのでしょうか。若い方の献血がだんだん少なくなって、40代、50代の方が増えているという形ですけれども。我が国だけの特徴なのか、世界的な問題なのか、あるいは人口構成のようなものが背景にあってこういう形になってしまうのか。もしその辺の比較と理由が日赤の方でお分かりであれば、教えていただきたいと思います。

○日本赤十字社田所経営会議委員 先進国では、おおむね少子高齢化が進んでおります。そういう国ではほとんど状況は同じです。献血する平均年齢もヨーロッパ等と比べると、日本と欧米はほぼ同じ状況にあります。もちろんアジアの開発途上国等では若い人が非常に多かったり、徴兵を機に献血をしているような国では、本当に若い人の比率が多いというのはありますけれども、いわゆる発達した先進国での少子高齢化が進んだ国では、ほぼ同じという状況にあります。

○濱口部会長代理 関連して。このグラフを見る限りでは、10代の方の献血というのが底を打って、これからちょっと増えてくるのではないかという予感がします。これには何が功を奏しているのかという詳しい解析が必要だろうと思います。

資料2の参考資料に、各県の血液センターでやられている取組の中で、例えば高校生や中学生に対しての活動というのが書いてあります。それを見る限りでは、県によってばら付きがあるなと思います。

 そうしたときに、底を打って少し上がり始めたのが、どこで有効に効き始めているのかという詳しい解析が必要だと思います。例えば県ごとの人口にしめる10代で献血する予定の何パーセントぐらいの人が実際に献血しているのかという具体的な数字を出してみてはいかがですか。また、どのセンターが非常に有効な活動をやっているのかという、もう少し踏み込んだ分析は、多分されているのだろうと思いますけれども、この資料の中では、なかなかそれを読み取ることができません。具体的に何かいい方策をもう既に日赤のほうで見つけているのであれば、こういったことは非常に有効だろうという事例を紹介していただけると、非常に有り難いと思います。そこはいかがでしょうか。

○日本赤十字社井上献血推進課長 これは献血推進調査会のほうで昨年9月、11月に報告させていただいております。まず、1点目は献血セミナーという、高校を中心とした学校教育の中に日本赤十字社の職員が出向いて、献血の大切さ、命の大切さというものをお伝えしてきたということで、高校生の学内での高校献血が復活してきたという傾向があります。近年ではやはり献血ルームが大都市圏を中心に、整備されてきておりますので、献血セミナーを受講していただいた高校生が、献血ルームに出向いていただいたことで、平成23年度に比べて平成24年度は、高校生が約1万1,000人の献血者増となっており、10代の献血者の増加につながったということが、まず1点目としてあろうかと思います。

 また、平成21年から継続して行われているLOVE in Actionプロジェクトという、若年層に対する献血推進啓発プロジェクトが、徐々に国民の各層、特に10代の方々に浸透しつつあるのではないかという点があります。やはり献血啓発に関する広報活動は、今後も継続して行っていく必要があるのではないかと考えております。

○花井委員 今の話に関連します。資料2の後ろのほうに、県別の4月から12月の献血一覧が出ています。都市部でということで、全体として10代の献血者を平均すると5.8%ぐらいになると思うのですけれども、年齢分布があるので、そこは若干修正を必要として、東京都は平均を上回っているようです。今ザッと計算して6%ぐらいですか。大阪などは3.8%になっています。そういう意味では、都市部でも大阪と東京では傾向が違うと思うのです。これは単年度の輪切りで時期を限っていますので、推移と各県の人口構成を差引きしつつ、もう少し踏み込んだ分析を頂ければよりいいかと思います。東京と大阪で差があるようですけれども、10代の献血者の割合比率について、何か分かるのですか。

○日本赤十字社井上献血推進課長 詳細をこの場でお話することはできないのですが、献血ルームの設置場所というのは、東京も大阪も環状線を中心として多く設置されております。しかし行政との関係もあろうかと思います。高校の献血が実施できている所、また献血セミナーを学校教育の中に入り込めていけるかといったところで、都道府県ごとの行政と血液センターとの関係に、正直申し上げて温度差があるというのが実態です。決して大阪の関係が悪いということを、ここで申し上げるわけではないのですが、やはり地方公共団体との連携が、非常に大きく影響しているというのも実態です。

○花井委員 分かりました。そういうこともあろうかと思うので、国としてもその辺もうまく考えていただけたらと思います。

○岡田委員 1ページのグラフは総数で書いてありますが、10代を構成する人口がどの程度いるかというところで、頻度で計算したほうが。10代の人口が減ったために自然に献血者が減るのか、それとも献血する人の割合が低下したために献血者が減ったのかというのを、各世代で計算してもらうと分かりやすいというか、実態を反映しているというか、実態を理解しやすいのではないかと思うのです。

 例えば、20代が若干増えていますけれども、10代の人口がそれ以上に減っていれば、10代からすれば献血者の割合は増加している。それは啓発運動が効果を表しているという判断にもつながるだろうし、40代、50代が非常に多いけれども、実は人口構成からすると、その世代の人口が多いので、献血をしていただける人口比が減っていてもそれが献血者数には余り表れてこないとか、そういうことが今後献血される方を確保する上で重要な情報になると思うのです。そういう点からも計算していただきたいと思います。

○半田部会長 いろいろと貴重な御意見を頂きましたけれども、当該献血推進計画()に関しては、今回のパブリックコメントの結果に特に修正はないということです。貴重な御意見は、最終的にまた調査会等々で分析していただくということでよろしいでしょうか。それでは議決に入りたいと思います。当該献血推進計画()について、お認めいただけますか。

○半田部会長 ありがとうございました。それでは御了承されたということで、今後は当該計画案を告示にするに当たり、厚生労働省のほうで法令的な観点から形式的な修正がある場合があります。その場合は私、部会長に御一任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○半田部会長 ありがとうございました。それでは次に議題2「平成26年度の献血の受入れに関する計画()の認可について」です。採血事業者が作成する献血受入計画については、血液法の規定により、厚生労働大臣の認可を受けることになっております。認可に当たっては審議会の意見を聴くこととなっており、本日計画案について審議し、答申したいと思います。採血事業者である日本赤十字社から提出された資料について、皆様の御意見を伺いたいと思います。それでは日本赤十字社から、資料の説明をよろしくお願いします。

○日本赤十字社井上献血推進課長 日本赤十字社血液事業本部の井上です。委員の皆様、先生方には日頃から血液事業について大変御理解と御指導を賜りまして、この場をお借りいたしまして厚く御礼申し上げます。どうぞ、よろしくお願いいたします。なお、本日は時間の関係もありますので、平成26年度献血受入計画の要点を中心に御説明させていただきますことをあらかじめ御了解をお願いいたします。

 資料2「平成26年度の献血の受入れに関する計画()の認可について」の3ページを御覧ください。1番の「平成26年度に献血により受け入れる血液の目標量」についてです。平成26年度に献血により受け入れる血液の目標量については、平成19年度以降3、4%程度の増加傾向にありました輸血用血液製剤の供給量が、平成23年度以降は鈍化しつつあることを踏まえ、全血献血は143万リットル、血漿成分献血は26万リットル、血小板成分献血は36万リットルとし、合計205万リットルを受け入れることとしております。これを献血者数に換算すると約520万人を受け入れる計画です。

 2番目は「前項の目標量を確保するために必要な措置に関する事項」です。()献血受入れの基本方針についてです。1.「目標量の確保」については、各都道府県の需要に見合った血液を確保するため、400mL献血及び成分献血を中心とした献血者の受入れを行い、平成26年度の目標量である205万リットルを確保する計画です。

 2.「献血受入体制の整備」として、献血者の安全性と利便性に配慮し、立地条件等を考慮した採血所の設置や、献血者に配慮した献血受入時間帯の設定をするなど、受入体制を充実させていくとともに、採血所における休憩スペースの十分な確保や、地域の特性に合わせたイメージづくり等の環境整備に努め、一層のイメージアップを図ることとしております。

 4ページ3.「献血者対応の充実」です。献血者が安心して献血できるように、これまでも献血者に対して感謝の気持ちを持って、丁寧な対応に心掛けて、引き続き職員の教育訓練を充実強化し、更なる改善に努めてまいります。

 4.「初回献血者等への対応」です。初めて献血される方の不安を払拭することはもとより、献血の都度、献血の手順や、献血後に十分な休息を取る必要性、気分が悪くなった場合の対処方法等については、事前説明を十分に行うとともに、特に初回献血者の多い学校献血会場において、採血後の献血者をケアする者を配置し、採血副作用の防止に努めます。

 5.「検査サービス等の実施」です。献血者の健康管理に役立てていただくことを目的として、引き続き生化学検査成績、血球計数検査成績をお知らせさせていただきます。また、ヘモグロビン濃度が低いことにより、献血に御協力をいただけなかった方に対しては、健康相談等について有効性等を検証しながら進めることとしております。

()献血者の確保対策です。将来にわたり、需要に見合った安定供給を確保するため、若年層、企業、団体及び複数回献血者の募集を重点的に行うとともに、健康な高齢者層の献血受入れも推進していきます。特に、若年層の献血者確保対策については、本年度の期中においても、全国血液センター所長・部長会議を開催し、キャンペーン等の具体的な確保対策に重点的に取り組むよう指示を出しており、現在10代の献血者は本年も増加に転じています。平成26年度も更なる確保を図るよう、引き続き重点的に取り組んでまいります。また、病気や怪我のために輸血を受けた患者さんや、その御家族の声を伝えることにより、血液製剤が患者さんへの医療に欠くことのできない善意による貴重なものであることを含めた、献血思想の普及啓発を図ってまいります。

 5ページ1.「若年層を対象とした対策」として、若年層全体に対する広報等を実施するとともに、ターゲットとする年代を明確にした対策を展開したいと考えております。将来の献血者となってもらうべく、小・中学生を対象として、学校へ出向いての献血セミナーや、血液センター等での体験学習を積極的に行い、正しい知識の普及啓発に努めます。

 高校生については、「高等学校学習指導要領解説 保健体育編」に、献血に関する内容が盛り込まれたことや、厚生労働省を通じ文部科学省から各都道府県教育委員会宛に、献血に触れ合う機会の受入れに係る協力に関する通知を2年間続けて発出していただいていることから、献血のみならず赤十字活動全体を含めた命の大切さ等について、献血セミナーを学校へ出向いて実施したいと考えております。

 大学生については、学生献血推進ボランティア組織との更なる連携を図ることや、特に将来の医療の担い手となる、医療・薬学系の学生等に対し、国民の献血によって医療が支えられている事実や、血液製剤の適正使用の重要性への理解を深めてもらうための取組を行ってまいりたいと考えております。

 次は、「献血者の年齢層に応じた献血推進対策」です。20代後半から30代を対象とした対策として、出産あるいは子育てに忙しいという理由により、献血への機会が減少しているものと考えられることから、この方々に対して、安心して献血していただけるよう献血ルームにキッズスペースを整備する等の受入体制を整え、親子が献血に触れ合う機会を利用しやすい環境を設けるよう努めてまいります。

 6ページで、40歳から50歳代を対象とした対策として、企業や団体の中心的な存在であるこの年代に対し、相互扶助の観点からの啓発を行い、献血の推進を図りたいと考えております。

60歳以上の方々を対象とした対策として、特に60歳を超えたところで献血者数の割合が急激に減少しています。その理由としては、定年退職したことにより、献血に関する情報に触れる機会が減ってしまう等が要因として考えられることから、定年退職後も引き続き献血に御協力していただけるよう、情報伝達の方法を工夫するなど、献血者の増加を促進するよう努めてまいります。

 3.「企業等における献血の推進対策」です。献血に協賛していただける献血サポーターを引き続き募集し続け、団体献血の推進に更に努めてまいりたいと考えております。

 4.「複数回献血協力者の確保」です。複数回献血者に血液の需要に応じて協力していただくことは、今後の安定的・効率的な献血を実施していく上では不可欠です。平成17年度から始めている複数回献血クラブの会員数は、現在60万人を超えておりますが、更なる会員の増加を図ってまいります。平成26年度については、複数回献血クラブへのより一層の加入促進、インセンティブとなる同クラブ会員を対象としたイベントの開催等を積極的に実施するとともに、複数回献血クラブ会員の献血履歴を適切に管理し、必要なときに必要な献血を依頼できるような管理システムの改修に取り組んでまいります。

 以上の確保対策の効果を更に上げていくために5.「献血推進キャンペーン」等を実施してまいりたいと考えております。平成26年度についても、平成2110月から通年で実施している若年層をターゲットとしたLOVE in Actionプロジェクトを基軸として、各種キャンペーンを連動させながら広報を展開してまいります。また、全国統一的に実施しているキャンペーンに合わせ、献血実施時に学生ボランティアが主体となり、同世代の学生たちに献血を呼び掛けたり、医学・薬学系の学生を集めて献血セミナーを実施するなど、各都道府県の自主的な取組を計画しております。各都道府県の取組については、本日の参考資料として付けさせていただいておりますので、後ほど御覧いただければと思います。

 7ページの3「その他献血の受入れに関する重要事項」の()200mL全血献血のあり方についてです。献血を推進する上で、血液製剤の安全性、医療機関の需要等の観点から、400mL全血献血を基本といたしますが、併せて将来の献血推進の基盤となる若年層に対する献血推進が重要であることから、400mL献血ができない若年層に対し、国、都道府県及び学校と連携して「献血セミナー」を実施するなど、献血の知識について啓発する取組を行うとともに、特に高校生等の献血時においては、400mL全血献血に不安がある場合は200mL全血献血を推進するなど、できる限り献血を経験していただくよう努めてまいりたいと、平成26年度も考えております。

()災害時等における危機管理として、3年前の平成23年3月の東日本大震災における全国からの血液製剤の支援実績や教訓を踏まえ、今後も災害時においての献血血液の確保に支障を来たさないよう、広域的な需給管理体制の下、国、都道府県及び市町村と協力し、継続的に全国的な献血の推進を図り、円滑な血液供給に努めてまいります。また、献血血液の製剤化についても災害時等において支障を来たさないよう、国と協議をさせていただきながら、必要な設備等の整備を進めることとしております。

 以上が平成26年度の献血受入計画の概要です。今後とも国及び各都道府県、各市町村、献血協力団体、ボランティアの方々の御理解と御協力を頂きながら、安定的な献血者の確保と安定供給に努めていく所存ですので、今後とも御指導のほどよろしくお願い申し上げます。

○半田部会長 審議に入ります。ただいまの説明に対し、御質問あるいは御意見をお願いいたします。

○三村委員 御説明ありがとうございました。先ほどあった質問と若干関係するのですが、各都道府県の対応を興味深く拝見させていただきました。昨年も同じ印象を持ったのですが、ばらつきが大きいという言い方ができる一方で、そうではなくて非常に進んだやり方をしている所がある。私はマーケティングコミュニケーションに若干関係している人間なのですが、やはり、その場の設定とかコミュニケーションの工夫を非常によくおやりになっている県があるという感じがいたしました。

 ばらつきがあっても、それを平均値化する必要はなくて、むしろそのような優れた事例に向けて、全体としてもっとどういう工夫があるかを共有していただく方向でやっていただくのがいいのではないか。先ほどありましたように、都道府県が競い合うこともいいと思いますし、お互いに刺激を与えあうのがいいのではないかと思います。

 その過程の中で一つ感じたのは、都道府県の熱心さ、それ以上に各地域における現場の担当者や企画の担当者が相当に工夫されているという感じがいたしました。特にメディアの使い方、例えばローカルメディア、SNSも当然有効なのですが、相当にローカルメディアが有効であるようにみえます。それと同時に、例えばイベントをどのように展開していくか。また、献血する場所を設定するときに、相当に工夫されている感じがいたしました。接点をどのように広げていくかが大事ですので、その点については是非、日本赤十字社全体として御検討いただき、良い事例をいろいろな形で広げていただくことがいいのではないかと思います。

 その話と関連するのですが、例えば企業ということで、これは6ページで2行ほど出てきております。企業という捉え方も、大企業もあれば、工場全体でという話もあります。また、地域の様々な中小企業団体であったり、あるいは商工会議所であったり、商店街であったり、いろいろな場の設定の仕方があります。また、企業も地域貢献という形の中で、これに積極的に取り組んで、きちんと公表していくことも企業の活動として有効ですので、企業という捉え方のところを、もう少しいろいろな形で御検討いただければと思います。戦略的広報というのは大変大事だと思いますので、この点についてより積極的な御検討をお願いいたします。

○半田部会長 三村委員の御意見について、日本赤十字社からコメント等はありますか。

○日本赤十字社碓井総括副本部長 貴重な御意見ありがとうございました。良い事例があればどんどん広めようというお話がありました。日本赤十字社としてもいろいろな研修会、所長会議などを通じて、成功した事例があれば体験発表してもらっています。良いものはどんどん取り入れていきましょうという姿勢でやっています。

 企業献血についても、厚生労働省のバックアップもあり、経済同友会にも足を運んでいる状況です。今後、企業の献血を重点的にやって、先ほどのグラフのように20代、30代は献血率が下がっておりますので、その辺にターゲットを絞ってやっていきたいと考えております。

○大平委員 6ページにある40代、50代を対象とした対策の中で、ここが「企業や団体の中心的な存在であるこの年代に対して」と書いてあります。企業献血の問題で、そこの底上げをするにしても40代、50代の人たちが、本当にそこに集中しているのかどうか。最初のグラフに書いてあった10代の人たちが少しずつ歩留まりしているというところがありました。20代、30代は極端に下がっていると。これは労働環境の問題とか、献血会場に行けないというような制約がいろいろあるのではないかと思うのです。そこを何とか企業などに社会貢献活動としてのポイントを考えていただくか、提案していただく。せっかく10代の人たちの献血意識が高まって、その人たちが20代に移行していく中で、その人たちの意識が仕事をすることによって低下していってしまうことのないように、できる限りそこをカバーしていく仕組みが必要なのではないかと思うのです。

 企業・団体の献血の中でも、20代、30代の方が本当は率先してやっていただけると、その後の献血の需給率も心配なくいくのではないかというように考えます。その点について、日赤としてはいかがでしょうか。

○日本赤十字社井上献血推進課長 貴重な御意見をありがとうございます。日本赤十字社も全くそのとおりだと考えております。10代は微増傾向に入りましたが、20代、30代の減少が、先ほどのグラフを御覧いただきましても、止まらないということが続いております。各都道府県との連携も必要ですので、各地域の地元の商工会議所などに出向いていろいろな企業献血、あるいは実態をお伝えはしてはいますが、仕事の時間内、就業時間内に、献血にお見えいただけるという献血環境が十分に整えられていないことも散見されているのが実態です。

 先般1月、2月と厚生労働省の方々と、経済同友会と日本商工会議所にお伺いし、20代、30代の減少傾向であるという実態も踏まえた情報の提供をさせていただき、企業献血の在り方であるとか、20代、30代をもっと献血に参加できるような献血環境の設定をお願いできないだろうかということを始めさせていただきました。企業に出向いていく場合は日本赤十字社の移動採血が中心ですので、この中で献血のできる環境というものを、献血団体の皆様方が実態を御理解いただき、その中で献血のできる環境を整えていただけるようなお願いを続けてまいりたいと思っております。引き続き各委員の先生方のお力添えを頂きながら、20代、30代の回復にも努めてまいりたいと思っております。

○花井委員 7ページの3.()の「200mL全血献血のあり方について」の文章なのですが、これは以前もかなり議論をしたところだと思います。ちょっと気になるのは、下から3行目の「特に高校生等の献血時には、400mL全血献血に不安がある場合は200mL全血献血を推進」と書いてあって、不安があるのはドナーかな。それで、推進するのは推進するほうだと。400mLは不安がある場合だけではなくて、そもそも200mLしかできない場合があるので、文章として微妙に文意が分かりにくいのではないかと思うのです。

 趣旨からいくと、3行目から、400mL献血ができない若年層に対して、献血の知識、啓発の取組を積極的に行うというのはいいです。次に実際に体験する場合が書いてあると思うのです。良いかどうか検討していただきたいのですが、「400mL全血献血に不安がある場合は」は外して、「必要に応じ200mL全血献血を推進するなど」ではまずいのですか。これは、文意が変わるかどうかちょっと。

○半田部会長 採血基準もあると思うのですが、確かにこの文章は「全血献血に不安がある」というのは献血者に不安があるのか、採血する側なのかがはっきりしないということですが、この点はいかがでしょうか。

○事務局 花井委員のお話なのですけれども、この部会でも議論いただいておりますが、資料1-110ページに推進計画があります。6.に「200ミリリットル全血採血の在り方について」とあります。そこの2ポツの最後の3行で、「特に高校生等の献血時には、400ミリリットル全血採血に献血者が不安がある場合は」というように、以前に修正をしていただいております。そういう意味だと、今回の受入計画には、この「献血者が」というのが抜けているので、推進計画と同様に修正したいと考えるのですが、いかがでしょうか。

○花井委員 それでよろしいと思います。

○三谷委員 私も、200mLの全血採血に関する質問です。もちろんこれは献血の推進、特に高校生等の若年者の推進のために必要なことだろうと思うのです。実際に200mLの採血をするということは、需要と供給のバランスがどのぐらい保たれているのか、あるいは収支のバランスがどうなのかを日頃から少し疑問に思っています。200mL製剤というのは、恐らく小児の患者さんでもないと余り必要性がないので、うちの施設の輸血部では、200mL製剤の在庫は置かない等の対応をしています。もちろん最終的に採取されたものは400mL製剤の代わりに200mL製剤を2本ということで使われるのだと思うのです。これの収支のバランス等はいかがなものなのでしょうか。400mLを1回採るよりは、200mLを2回採るほうがコストもかかるのだろうと思うのですが、その辺りはいかがですか。

○日本赤十字社江口副本部長 コストのお話ですけれども、200mL400mLもほとんど変わりません。バッグの値段が変わるだけですが、バッグの値段もそれほど変わるわけではありません。同一の検査、同一の処遇をしていますので、コストについてはほとんど変わらないのが実態です。

○三谷委員 もちろん一回一回の採血に関してはそうだと思うのですけれども、200mL製剤を作ると、400mL製剤を基準に考えると2倍のコストがかかるわけです。もちろん若年者の献血推進のために必要な採血、あるいは献血ではないかと思うのですけれども、2倍のコストがかかるということと、献血の推進のために必要ということで、どのぐらいバランスが取れていることなのかと思って質問させていただきました。

○岡田委員 高校生の200mL採血というのは、次世代の献血者を確保するということで、育てるという意味で、ある程度コストは無視してもいいのではないかと思うのです。高校生のときに献血に接することがあれば、大学生とか社会人になってからも献血に行くときに敷居が低くなるのではないかと思うのです。それが全く経験がなくて、いきなりというのは厳しいかと思うのです。次世代の献血者を育てるということで、高校生のときに接するのはいいのではないかと思います。

 前回の会議のときに、高校に献血車が行くという、その高校の割合のデータが出たと思うのです。それが、都道府県ですごく差があってびっくりするようなデータでした。そこで、ほとんどゼロに近いような都道府県と、90%を超えているような都道府県がありました。これは、恐らくその受入側にその差の原因があると思うのです。献血ルームというのは県にいっぱいあるわけではないので、どうしても高校生が接するとなれば献血車になると思うのです。そういう面では、ほとんど高校に献血車が行かないような都道府県の原因を調べて、その割合を高めることで、高校生が献血に触れる機会が増えるのではないかと思います。それが、数年後には400mLの採血のほうにつながるのではないかと思われます。高校生の献血者をいかに育てるのか、ということを考える必要があるのではないかと思います。

○半田部会長 今のコメントに対して、日本赤十字社のほうから何かありますか。

○日本赤十字社田所経営会議委員 前から議論されていますけれども、実際の400mLの需要にはまだ応じきれていません。93%ぐらいの400mLの需要があるわけですけれども、現実に確保できているのは89%ぐらいから88%ぐらいですので、病院が400mLを欲しいと言っても、400mLを出せない状況にあります。実際にそうだとすると、望まないものを使っていただかなくてはいけないか、廃棄するしかないことになりますので、基本的には需要に合わせた採血をするというのが、この方針の中でも基本になっています。

 ですから、高校生に対しても、基本的には400mLの採血ができる人を中心に積極的に推進する方向で今は取り組んでいます。将来的にも、例えば200mLしか絶対に採れないような人を積極的に採っていただく、経験していただくというのが、将来から見てそれが望ましいかというと、必ずしもそれはそうではないので、将来400mLも可能な人を確保していく。そういう人が最初不安なら200mLでも構わない、というぐらいの構えでやっていく必要があるかとは思っています。

○半田部会長 一つ確認ですが、200mLの献血を行った高校生が成人して、400mL献血なりのリピーターになる可能性が非常に高いということで、高校生献血を積極的に推進する一つの理由であったかと思うのです。実際にそういうデータはあるのですか。はっきり言うと、こういう施策が施行されてから随分時間がたっていますが、実際に200mLを献血した高校生が、その後また献血をする可能性は高まったというデータはお持ちですか。つまり検証結果です。

○日本赤十字社井上献血推進課長 数年前に献血推進調査会でも資料を出させていただきました。16歳で初めて献血された方が、17歳になって献血をしたリピーター率は約50%でした。年齢が上がると、再来率が翌年は下がるデータが出ております。定期的にこのデータを取り続けていこうかと思っておりますけれども、若いうちに献血を経験していただけると、再来率は上がるのだというデータがありますので、引き続きそういう検証を行い、若年層の献血推進のために、またお示しできるようにしてまいりたいと思います。

○半田部会長 ありがとうございます。今回の受入計画案については、1か所、7ページにある「その他の献血の受入れに関する重要事項」の()の下から3行目の「400mL全血献血に献血者が不安がある場合は」ということで、「献血者」という言葉をこの中に入れるということで修正をお願いします。それ以外は大きな修正点はないと思いますが、当該受入計画案について議決したいと思いますが、御了承願えますか。

○半田部会長 ありがとうございました。それでは、事務局においてはただいまの御意見を踏まえて認可の手続を取っていただいて、日本赤十字社においては当該受入計画案に基づいて、献血の受入れの円滑な実施に努めていただきますようお願いいたします。

 最後の議題の「平成26年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)()」についてです。これも、血液法の規定により、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて策定されるものです。委員の皆様には、既に昨年の部会において、本計画案について御議論いただき、原料血漿の確保、目標量と需給見込み、それから製造目標量等々については事務局案を暫定的に了承していただきました。

 今回は、原料血漿の配分価格です。三谷委員が御意見を出されたと思うのですが、最終的に部会で審議をして答申したいと思いますので、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは議題3「平成26年度の血液製剤の安定供給に関する計画(需給計画)()について」説明します。資料3です。平成26年度の需給計画()に関しましては、血液法第25条第5項の規定によって、本日の部会で御審議いただくものです。既に、昨年12月に開催した血液事業部会におきまして、原料血漿の確保目標量、日本赤十字社から国内事業者への原料血漿の配分量については御審議いただいて、暫定的に御了承いただいておりますが、今回はそれに原料血漿の標準価格を加えた案となっております。

 1ページが諮問書です。2~7ページが需給計画()の本体です。3ページの第3「平成26年度に確保されるべき原料血漿の量の目標」につきましては、昨年12月の部会で御了承いただいた92万リットルとしています。なお、5、6ページの別表第1と別表第2につきましては、昨年12月以降、製造業者の製造計画に一部変更があった関係で、需要見込量と製造・輸入目標量の数値が若干修正となっておりますが、原料血漿確保目標量に影響はありません。

 それでは「平成26年度に配分される原料血漿の標準価格の考え方」につきまして、9ページを御覧ください。標準価格の算定の基本的な考え方については、これまでの考え方と同様です。日本赤十字社では、輸血用血液の確保と原料血漿の確保が並行して行われているため、人員や装置などが兼用されていることになります。それによって、明確に切り分けることが困難である中で、原料血漿の確保のために必要と考えられる部分について費用を積算し、価格を計算しております。

 血漿成分採血につきましては、献血全般に共通する事項とサービスにかかる経費は除いて、必要経費を積算しております。また、全血採血及び血小板成分採血につきましては、輸血用の血液製剤の製造が主たる目的であることから、原料血漿の確保にかかる費用については一部に限定して積算しています。ただし平成19年度より、赤血球製剤の白血球除去の導入によって原料血漿の製造に生じた費用を、僅かですが含めています。

 積算につきましては、これまでの年度と同様に、まず、凝固因子製剤用の原料血漿について経費の積算を行っております。確保目標量の合計が92万リットルですので、原料血漿の確保から供給までに必要な経費を積み上げて、1リットル当たりの単価を算出しております。この積上げに用いる経費につきましては、日本赤十字社の直近2年間である、平成23年度及び平成24年度の実績の平均の数値を使用しています。

 費用の内訳については10ページの表を御覧ください。費用は、採血から原料血漿を製造、保管するまでに必要な、材料費、人件費、原料血漿の凍結・一時保管費用等の経費、及び、原料血漿輸送・貯留保管経費の管理供給費で構成されております。採血種別ごとに積算する費用として、全血採血と血小板成分採血につきましては、材料費については、血液バック代と製品表示ラベル代。人件費については、原料血漿の凍結・一時保管にかかる製造職員費。経費につきましては、凍結・保管費にかかる経費に加えて、全血採血におきましては、先ほど申し上げた、白血球除去の導入に伴ない生じた経費を一部加算しております。管理供給費については、原料血漿輸送・貯留保管経費を積算しております。

 血漿成分採血については、材料費は全額。人件費については、原料血漿の凍結・一時保管費にかかる製造職員費、及び、検診や検査などにかかる医師、看護師等の必要経費。経費につきましては、凍結・保管費のほかに成分献血登録者に対する依頼経費、処遇費、検査機器等の保守関連経費など。それから、管理供給費につきましては、原料血漿輸送・貯留保管経費を積算しております。

 採血方法別の原料血漿の配分量につきましては、13ページにあるように、献血推進計画にのっとりまして日本赤十字社が策定した、平成26年度の事業計画に基づいて設定しております。

 以上の内容を一覧表にしたものが11ページになります。今申し上げた方法によりまして、表の真ん中辺りですが、1採血当たりに積算された単価を1リットル当たりの単価に換算した1.に、それぞれ採血別に原料血漿確保見込量2.を乗じて、採血別の確保費用を算出して、その総額3.を、確保目標量である92万リットルで除し、消費税を乗じて、1リットル当たりの凝固因子製剤価格を算出しております。この計算によりまして、凝固因子製剤価格は11,310円となっています。

 その他の分画用原料血漿につきましては、従来と同様に、凝固因子製剤用の価格改定率を用いて比例計算で算出した結果10,340円となりました。以上が、従来どおりの基本的な考え方に基づき算出した結果となります。

12ページを御覧ください。今申し上げました、従来の原価計算方式に基づく価格については、一番上の所に、凝固因子製剤用11,310円、その他の製剤用10,340円と示しております。

 原料血漿価格につきましては、血液法の第9条に基づいて、基本方針を5年ごとに変更することとされておりまして、基本方針については昨年5月の同部会でも御審議いただきましたが、昨年7月に改正されまして、国内の献血由来の製剤の販売量を伸ばすためには、輸入製剤と価格競争ができるように努力する必要がある。そのためには、原料血漿価格の低減などに取り組むことが重要であるという内容が盛り込まれています。

 このようなことを踏まえまして、平成25年度と同様に、日本赤十字社の血液事業の運営に支障をきたさないように、従来の算定方法に算出した価格から5%減としまして、凝固因子製剤用については10,750円、その他の分画製剤用については9,830円としました。平成25年度に比べて110円アップとなっていますが、これは消費税率引上げを踏まえた結果となっております。なお、平成24年の米国の原料血漿価格についても記載しておりますが、リッター当たり11,172円となっており、その価格に比べ、平成26年度標準価格は低くしています。日米の原料血漿価格の推移については、18ページに資料を添付しています。

14ページ以降の参考資料につきましては、主に12月の本部会で添付した資料のリバイスとなっておりますので、後ほど御覧いただければと存じます。以上が資料の説明です。御審議のほどをよろしくお願いします。

○半田部会長 ありがとうございました。当該需給計画()については、昨年度に一度、暫定的に了承を頂いたのですが、今回は価格の設定の根拠について詳細に説明いただきました。

 それでは、審議に入ります。ただいまの説明に関しまして、御質問あるいは御意見、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

12ページにあるように、米国の原料血漿価格と比較しても少し安く設定されているのですね。これは、昨年に承認されました血液法の基本方針にのっとって、原料血漿の価格を5%ほど減じたのですね。消費増税の影響等も考慮されているのですが、いかがでしょうか。

○濱口部会長代理 日米の原料血漿の価格の推移があるのですが、為替レートとも少し関連があるのかと思います。例えば、平成24年のときの為替レートは一応80円と計算されているのですが、現状からするとかなり違っていまして、ここら辺のところも踏まえて、日本とアメリカの血漿の価格がどんな状況になっているのか、教えていただければと思います。

○事務局 現状では、米国の原料血漿の平成24年の算定価格が140ドルと公表されております。その際、平成24年の為替レートもIMFの指標を用いまして、1ドル当たり79.8円と算定されております。実際、もっと直近の数値となると円安になっていると思いますが、今回の議論では、直近の確定値である平成24年の数値を用いて算出しています。また、来年度は、こういったことでの計算に当たっては、直近の数値を参考として示させていただくことになるかと思います。

○半田部会長 よろしいでしょうか。

○田崎委員 11ページの人件費なのですが。全血200mLと全血400mLと、何故こんな倍の差が出るのでしょうか。

○事務局 これは、もともと原料血漿につきましては、全血由来あるいは血小板由来の場合は、ここでこれを目的に採るわけではありませんので、全血採血及び血小板採血で作るときに出てくる副産物という考えで従来から整理されております。人件費について申し上げますと、全血採血及び血小板採血については原料血漿の凍結に関する費用のみで、それ以外の人件費は含まれていません。

○半田部会長 いかがでしょうか。今回は価格に関しまして詳細なデータを頂いて、今後また、来年度、再来年度といくわけなので、この辺のところは今の御意見を踏まえてまた改定していただければと思います。

 それでは、特に御意見がないようですので、当該需給計画()について議決をしたいと思いますが、お認めいただけますか。

○半田部会長 ありがとうございました。それでは、今回の需給計画()も、告示するに当たりまして、厚生労働省のほうから、法的な観点から形式的な修正が入ると思います。そういう場合は、確認に関しては私に一任させていただければと思いますが、よろしいでしょうか。

○半田部会長 ありがとうございました。それでは、本日の議題は以上ですが、血液事業に関してほかに何か御意見等はありますか。特によろしいですか。

 ありがとうございました。それでは、次回の日程についてはまた後日、事務局から御連絡をお願いしたいと思います。本日はどうもありがとうございました。


(了)

備考
 本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 血液対策課 課長補佐 亀田(内線2905)

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