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2014年7月15日 平成26年度第2回化学物質のリスク評価検討会 議事録

労働基準局安全衛生部化学物質対策課化学物質評価室

○日時

平成26年7月15日(火) 15:30~


○場所

中央合同庁舎4号館1階108会議室


○議事

○岸化学物質評価室長補佐 本日は大変お忙しい中、またお暑い中御参集いただきまして誠にありがとうございます。定刻となりましたので、ただいまより「第2回化学物質のリスク評価検討会」を開催いたします。本日は池田委員が所用により御欠席です。それでは、以下の議事進行を名古屋先生にお願いいたします。

○名古屋座長 事務局から資料の確認をよろしくお願いいたします。

○岸化学物質評価室長補佐 議事次第を御覧ください。本日の議事としては3つありまして、まずは「平成25年度ばく露実態調査対象物質の詳細リスク評価について」、2つ目は、「がん原性試験結果の評価」で、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの(吸入、投与)試験に関することについて、3つ目は、「その他」です。裏面に配付資料一覧があります。資料1、酸化チタン(ナノ)の詳細リスク評価書()1ページからです。資料2、ナフタレンの詳細リスク評価書()101ページからです。資料3、リフラクトリーセラミックファイバー詳細リスク評価書()127ページからです。資料4、がん原性試験結果の評価については167ページからです。なお、資料44-14-24-3と分かれておりますが、4-24-3については机上配付で委員の先生のみの配付です。資料5、今後の予定です。参考資料は、参考資料1、化学物質リスク評価検討会開催要項・参集者名簿は1ページからです。参考資料2、平成26年度リスク評価(有害性評価)の実施予定については5ページからです。参考資料3、これまでのリスク評価進捗状況は7ページからです。13ページからの参考資料4、労働者の有害物によるばく露評価ガイドラインは机上のみの配付です。55ページからの参考資料5、平成25年度ばく露実態調査の結果は机上のみの配付です。参考資料6、国が実施する発がん性試験については65ページからです。資料については以上です。

○名古屋座長 ありがとうございました。本日の議事に入りたいと思います。平成25年度ばく露実態調査対象物質の詳細リスク評価についてですが、多分みなさんの資料ですと123で酸化チタン、ナフタレン、リフラクトになっていますが、議論の過程で少し時間をほしいのが酸化チタンですので、できましたら資料2のナフタレンから始めてリフラクトリーセラミック、最後に酸化チタンということで事務局よろしくお願いいたします。

○角田化学物質評価室長 それでは、ナフタレンから御説明いたします。資料2を御覧ください。ナフタレンは昨年、初期リスク評価書でを取りまとめておりますので、今回、詳細リスク評価書を取りまとめております。102ページです、物理化学的性質です。化学物質の基本情報、ナフタレン、別名はナフタリンなどです。化学式はC10H8 、構造式は御覧のとおりです。分子量128.18CAS番号が91-20-3です。労働安全衛生法施行令の別表9で名称を通知すべき有害物になっております。物理的化学的性状ですが、外観は特徴的な臭気のある白色個体で、密度1.16g/cm3 、沸点は218℃、蒸気圧は11Pa、蒸気密度は空気を1としたときに4.42、融点は80℃です。以下、引火点、発火点等参考情報を右に整理しております。

 生産・輸入量、使用量、用途ですが、生産量は177,482トン(2011)です。輸入量は110万トン未満、これは製造・輸入量で整理されております。用途は染料中間物、合成樹脂、爆薬、防虫剤、有機顔料、テトラリン、デカリン、ナフチルアミン、無水フタル酸、滅菌剤等、燃料、色素(塗料・顔料)です。

2番、有害性評価の結果です。(1)発がん性、ヒトに対する発がん性が疑われるということで根拠としては、スペルが違っておりすみません、アイアーク、IARCですが、IARCはヒトに対する証拠は不十分であるが、動物実験で発がん性の十分な証拠があったとして2B(ヒトに対して発がんの可能性がある)に分類しているためです。各評価区分ですが、今のIARCのほか産衛学会は情報なし。EUは発がんカテゴリーが3NTPR(合理的にヒト発がん物質と予測される)ACGIHですが訂正があります、A4と書いておりますがA3でして、2013年に動物実験では発がん性が確認されましたが、ヒトとの発がん性との関係は未知ということで、A3にランク付けされております。

 閾値の有無の判断ですが、判断できないということで、根拠ですが、In vitro遺伝毒性試験の結果は哺乳類、動物細胞を用いる染色体異常試験では陽性ですが、ネズミチフス菌を用いる復帰試験では陰性でした。In vivoでは遺伝毒性試験(ラット肝を用いる一本鎖DNA切断試験)で陰性、ショウジョウバエを用いる特定座位試験では陽性でした。このように遺伝毒性試験の結果が陽性、陰性に分かれており、その有無が判断できないということで閾値の有無は判断できないとしております。

(2)発がん性以外の有害性です。急性毒性の吸入毒性はLC5065ppm/1H100ppm/8Hを超える値で、これはラットです。経口毒性はLD50490-9,430mg/kg体重これもラットです。吸入毒性は、マウスではLC50のデータが無しです。経口毒性はLD50350710mg/kg体重これはマウスです。以下、経皮毒性が御覧のとおり確認されております。ヒトへの影響ですが、化学工場におけるナフタレン粉末機の修理作業における高濃度のナフタレンの粉塵吸入による急性毒性の例があり、頭痛、悪心、嘔吐の症状、さらに赤血球減少、ウロビリノーゲン尿、尿潜血反応陽性、肝臓の腫大、溶血性貧血などが見られております。

 皮膚刺激性/腐食性は有り。眼に対する重篤な損傷性、刺激性も有りです。皮膚感作性、呼吸器感作性については報告は無しです。反復投与毒性ですが、LOAEL10ppmということで、B6C3F1マウス雄雌各75150匹を群とし、01030ppm104週間吸入させた結果、鼻の慢性炎症、嗅上皮の化生、呼吸上皮の過形成が10ppm以上の群の雄の9699%、雌の100%に見られました。生殖毒性は無しです。許容濃度ですが、ACGIHTWA10ppmで設定されておりまして、経皮吸収となっております。STEL短期間ばく露限界ですが、15ppmです。根拠として、これらの値は眼及び呼吸器系の刺激、眼毒性(白内障、視神経レンズの混濁、網膜変性)の可能性を最小限にすることを意図しています。

 ナフタレンの有害性には、頭痛、食欲不振、吐き気、溶血性貧血、ヘモグロビン尿などの血液疾患を含みます。産衛学会は情報無しです。NIOSHOSHAについては、御覧のとおりの設定がなされております。参考ということで、ナフタレンについては、2010年にWHOで室内空気質のガイドライン値、これは動物実験のLOAELから算定した0.01mg/m3(年平均濃度)ですが、設定されております。

(4)評価値ですが、一次評価値は評価値無しということで、発がん性の閾値の有無が判断できないためです。二次評価値は10ppmで、これは先ほどのACGIHが提言しているばく露限界値を二次評価値としています。

3のばく露実態評価です。(1)有害性ばく露作業報告の提出状況ですが、詳細は別添の3に添付されておりますが、平成21年におけるナフタレンの有害物ばく露作業報告は、合計で152事業所から505作業についてなされ、作業従事労働者数の合計は延べ9,151人です。また、対象物質の取扱量の合計は、延べ約45302,000トンです。主な用途ですが、「他の製剤等の原料として使用」、「顔料、染料、塗料又は印刷インキとして使用」等であり、主な作業は「計量、配合、注入、投入又は小分けの作業」、「サンプリング、分析、試験又は研究の作業」等でした。505作業のうち作業時間が月当たり20時間以下の作業が61%、局所排気装置の設置がなされている作業が56%、保護手袋を使用しての作業は88%、防毒マスクの着用がなされている作業が50%、保護眼鏡の着用も71%でした。

 ばく露実態調査結果です。有害物ばく露作業報告のあったナフタレンを製造し又は取扱っている事業場から、「労働者の有害物によるばく露評価ガイドライン」に基づき、ばく露予測モデル(コントロールバンディング)を用いて、ばく露レベルが高いと推定される7事業場を選定しました。平成24年度において作業実態の聞き取り調査を行った上で、特定の作業に従事する30人の労働者に対する個人ばく露測定を行うとともに、1単位作業場において作業環境測定基準に基づくA測定を行いまして、更に45地点についてスポット測定を実施しました。この結果、個人ばく露測定結果の8時間加重平均濃度(8時間TWA)の最大値は7.55ppm(充填作業)となり、二次評価値10ppmを下回りましたが、全データを用いて信頼率90%で区間推定した上限値(上側5)14.6ppmと二次評価値を上回っておりましたので、更に詳細なリスク評価が必要とされたところです。

 詳細リスク評価は、ナフタレンを取扱う作業、特に当該物質の充填・梱包作業を行う事業に対して当該作業に係る追跡調査を行い、当該作業工程に共通した問題かをより詳細に分析することとされました。平成25年度の調査ですが、ナフタレンを原料とした化学製品を製造する事業場(F)、対象物質(原体)を原料として防虫剤を製造する2事業場(GH)の計3事業場で10名の作業者について個人ばく露測定を実施しました。Fでは原料仕込み、サンプリング(製品検査)、充填の工程における各作業について、GHでは原料投入、打錠又は充填・梱包の工程における各作業について個人ばく露測定を実施しました。また、それぞれの事業場の作業者が担当するばく露作業のうち、可能な作業についてスポット測定とA測定を実施しました。なお、平成25年度に追加調査を行った3事業場のうち、1事業場については平成24年度のばく露実態調査対象事業場と同じ事業場であります。

 測定分析法ですが、詳細な測定分析法は別添4ということで添付してありますが、概要は、次のとおりです。個人ばく露測定については、スチレンジビニルベンゼン捕集管により捕集しました。個人ばく露測定は呼吸域でのばく露条件下でのサンプリングです。作業環境測定、スポット測定については、捕集剤にポンプを接続して捕集しました。分析法については、ガスクロマトグラフ法です。

 対象作業事業場における作業の概要です。ナフタレンの用途は、「当該物質を小口包装し防虫剤とする」、「ナフサ分解ボトム(タール状で副生する当該物質を含有する)から軽質分を分留し重油燃料を回収する」、「タール分をカーボンブラック原料として燃焼する」、「コールタールから分留精製して当該物質を製造する」、「当該物質を95%含有する粗油を反応原料とした他物質を製造する」、「活性炭の製造原料として当該物質を含有する石油ピッチを取り扱う」、「コークス炉ガスから得られるタール分を蒸留して軽油を製造する工程で副生する当該物質を40%以上含有する溜分を取り扱う」等でした。ナフタレンのばく露の可能性のある主な作業は、「梱包」、「充填」で、また、一部は局所排気装置が設置されていない屋内で行われておりました。

 測定結果ですが、平成25年度の個人ばく露測定の最大TWA3.2ppmでして、これは二次評価値の10ppmを下回りました。平成2425年度の2年間のばく露実態調査の結果ですが、個人ばく露TWAは、全て二次評価値を下回っており、その最大値は7.55ppmでした。一方、平成24及び25年度の全測定データ、これは定量下限値を下回ったものを除いておりますが、それから統計手法による区間推定上側限界値を求めましたところ、17.3ppmとなりましたため、ばく露評価ガイドラインの規定、これは個人ばく露TWA8時間実測最大値と区間推定上側限界値のいずれか大きいほうを最大値とするという規定ですが、この規定に基づいて最大ばく露濃度は17.3ppmとなりました。また、2年間で56地点についてスポット測定を実施しましたが、他の製剤の原料として使用している事業場における梱包・充填作業について9.24ppmと最大となり個人ばく露測定と同様に高い水準となりました。

4番のリスクの判定及び今後の対応です。ナフタレンの製造・取扱事業場におけるばく露最大値は17.3ppmとなりまして、二次評価値を超える水準となりました。また、スポット測定においても9.24ppmと二次評価値10ppmに近い水準が確認されました。このことからナフタレンの製造・取扱事業場においては、労働者の健康障害に係るリスクが高いと考えられます。この場合、作業別に見ますとナフタレンを含有する製剤の包装・充填作業において比較的高いばく露が確認されていますが、ここの所は上に個人ばく露測定結果の棒グラフが載っておりますので、これを御確認いただければと思いますが、一番右の所に、これは8時間TWAの全22データですが、24a124a2が一番高いグループになっておりまして、24というのは平成24年度の調査、aは事業場の番号、12は作業者の方と理解していただければと思いますが、24a、これは四角枠の中で注書きを書いておりますが、ナフタレンを主成分とする製剤を包装する作業です。

 少し下に下りまして、3ppm代のものがいくつか並んできておりますが、24a324a4、それからその隣に3.20ということで25H1になっておりますが、これらも包装の作業です。2.002.50ということで25H325H2となっておりますが、これも包装の作業です。先ほどの4番の第2パラグラフに戻りまして、このように包装・充填作業において比較的高いばく露が確認されておりますが、原料投入、清掃等、他の作業も含むデータですので、こうしたデータによる区間推定により得られたばく露最大値を高いリスクと判定していることから、包装、充填以外の作業も含めて健康障害措置を検討する必要があるという整理です。また、ナフタレンについては、経皮毒性、皮膚刺激性がありヒトに皮膚炎を起こす場合もありますので、健康障害防止措置の検討に当たっては皮膚の保護等の措置を併せて検討する必要があります。

 ばく露実態調査集計表です。個人ばく露測定結果がありますが、一番下の計の所で7.55というのが個人ばく露の最大値です。スポット測定の結果も一番下の行で、最大値が9.24です。作業環境測定結果、A測定の所も最大値4.8で整理しております。123ページには、ばく露作業報告集計表が掲載されております。細かいですから、これから引用して先ほどの文章編に整理しております。別添4については、125ページですが、標準測定分析法を添付しております。ナフタレンの評価関係の資料については、以上です。

○名古屋座長 ありがとうございました。本来的にはばく露濃度最大値が10ppmを超えていませんが、区間推定値が10を超えていますので、ここに書かれていますように健康障害防止措置の検討会に送って検討していただくことになりますが、何か質問等ありますか。

○花井委員 教えてほしいのですが、3ページの参考データとしてWHOの値が出ているのですが、これは年平均濃度で0.01というのですが、上のTWAとか、それと比べると5,000倍ぐらいの違いがありますが、大体このWHOのガイドラインというのは、そのくらいのレベルのものなのですか。

○角田化学物質評価室長 これについては、昨年のリスク評価の検討会で議論しましたときに、こういうデータもあるので、これについても言及したらどうかということになったため、整理いたしました。今の御質問の件ですが、これは当然労働環境とは違うものですので、1日丸々という形でありますとか、それからいろいろな人の個人差を考慮してこの数字が計算されています。元の使っているデータ自体は動物実験のデータを踏まえているのですが、例えば時間補正、日数補正の関係や不確実係数で個人差のデータを10として設定するという形で見ている結果、この0.01mg/m3 になっております。

 これについては、国内規制の関係ですとシックハウスの問題とも関わってきますので、同じ厚労省なのですが医薬食品局でシックハウスの検討をやっております。そちらで、国内で室内の濃度指針値を設定している物質というものもいくつかあるのですが、ナフタレンについては、まだ検討されておりません。

○花井委員 それはないのですか。

○角田化学物質評価室長 ベンゼンなどと同じように、これから検討していくことになっているようです。。

○名古屋座長 よろしいですか。

○花井委員 はい。

○名古屋座長 ほかにありますか。

○西川委員 本質的なことではないのですが、通しの109ページ、反復投与毒性有りと書いてあるのは、これはやめていただくことになったと思いますので、削除をお願いします。

○角田化学物質評価室長 大変失礼しました。去年のバージョンがベースでしたものですから。

○名古屋座長 では、修正お願いします。

○角田化学物質評価室長 LOAELから記載したいと思います。

○名古屋座長 よろしくお願いいたします。先ほどの結論のように、これは詳細リスク評価から健康障害防止措置委員会に検討する必要があるという形でまとめたいと思います。どうもありがとうございました。そうしましたら、資料3のリフラクトリーセラミックファイバーについて、よろしくお願いいたします。

○岸化学物質評価室長補佐 資料3127ページからが、リフラクトリーセラミックファイバーです。本文を中心に説明いたします。128ページを御覧ください。物理化学的性質。(1)化学物質の基本情報。名称はリフラクトリーセラミックファイバーで、アルミナとシリカを主成分とした非晶質の人造鉱物繊維である。一般的なリフラクトリーセラミックファイバーの化学組成は、酸化アルミニウムが3060重量%、二酸化ケイ素が4060重量%、それからジルコニウム又はクロムの酸化物が020%です。広義のセラミックファイバーと区別するために、リフラクトリーセラミックファイバーという呼称が用いられています。別名は、セラミック繊維又はRCFと呼ばれています。

 化学式、分子番号、CAS番号は記載のとおりです。また、労働安全衛生法施行令別表9で、名称を通知すべき有害物として指定されております。この314号というのは、人造鉱物繊維という名称で規定されております。

(2)物理化学的性状としては、外観は無臭の繊維状の固体で、1,000℃を超えると結晶性の物質、クリストバライトになります。物理的状態は、ウール状の繊維で、色は白色です。平均繊維径は、2から4μm。発火点は不燃性。溶解性は、水、有機溶剤には不溶ということです。

 次に、生産・輸入量、使用量、用途です。生産量は、平成17年度の実績で、輸入量も含め16,000トン以上です。用途は、炉のライニング材、防火壁の保護材、高温用のガスケット・シール材、タービン、絶縁保護材、伸縮継手への耐熱性充填材、炉の絶縁材、熱遮蔽板、耐熱材、熱によるひび、割れ目のつぎあて、炉・熔接+熔接場のカーテンなどで使われています。

 次に、有害性評価の結果です。まず、発がん性ですが、ヒトに対して発がん性の可能性があると評価したところです。IARCにおいては、2Bということで、ヒトに対する発がん性の可能性があるということです。勧告の根拠としては、ヒトでの証拠については、米国におけるRCFの労働者の死因分析による疫学研究の中間集計の報告があります。しかし、このデータからは、RCFへのばく露による発がんリスクを十分に評価できないため、ヒトでの証拠は不十分とした。実験動物での証拠については、適切にデザインされたラットを用いたRCFの長期吸入試験で、肺腫瘍の統計学的に有意な発生増加及び少数の中皮腫の発生、又は適切にデザインされたハムスターを用いたRCFの長期吸入試験で有意な中皮腫の発生増加が示されている。ラットとハムスターを用いた腹腔内投与では、中皮腫の発生は繊維の長さと用量に相関が見られた。これらの結果から、RCFの実験動物での発がん性の証拠は十分とした。よって、RCFのヒトに対する発がん性の総合評価を、グループ2B(ヒトに対する発がん性の可能性がある)とした、ということです。

 その他の機関では、産衛学会が第2Bということで、人造鉱物繊維、セラミック繊維、ガラス微細繊維としての評価があります。また、EUAnnexローマ数字6では、カルシノゲンでカテゴリーローマ数字2、またカルシノゲン、1Bと評価されています。また、NTPでは設定なし、ACGIHではA2と評価されているところです。

 次に閾値の有無の判断ですが、有りとしております。根拠としては、2つの試験結果、第1の試験としては、ラットへの2年間の吸入ばく露試験において、NOAEL30mg、最大容量で発がん性を示すこと。それから、第2の試験としては、016mg/m3 のばく露試験で、16mgの部分でも有意な増加が見られなかったため、NOAELとして16mgを設定したところです。これらから導いて、労働補正、不確実係数を掛けて、評価レベルとして0.12mg/m3 、ファイバー数で言いますと0.9WHOf/cm3 設定したところです。

 なお、遺伝毒性については、その発現のメカニズムとして、炎症性細胞から持続的かつ長期にわたって発生する活性酸素種(ROS)が、DNA傷害に重要な役割を担うと考えられ、遺伝毒性は一次的ではなく、二次的なものと見なすことができるということです。

 続いて、発がん性以外の有害性ですが、ここではヒトに対するものについて記述しております。急性毒性については、調査した範囲では報告は得られていません。刺激性/腐食性については有りということで、呼吸器への刺激性として、喘鳴や息切れについても、ばく露濃度の増加とともに増加する傾向が認められた。感作性については、調査した範囲内では報告は得られていない。反復ばく露毒性については、肺機能については米国とヨーロッパのコホート研究では、セラミックファイバーの吸入ばく露により肺機能障害が生じることが報告されている。じん肺においては、米国とヨーロッパにおけるコホート研究により、相異なる結果が報告されている。胸膜肥厚斑については、ヨーロッパのセラミックファイバー製造作業において、胸膜肥厚斑の過度の出現を認めている。滞留性については、米国とヨーロッパからそれぞれ1報ずつケースレポートが報告されている。神経毒性については、中枢、末梢神経への影響は報告されていない。生殖毒性については、調査した範囲内で報告は得られていない。遺伝毒性については、有りとなっております。

 許容濃度等ですが、まずACGIHにおいては、TLV-TWAでは0.2f/ccということで、吸入性繊維として2001年に設定されております。根拠としては、RCF1970年代から普及されてきたに過ぎず、ヒトへのばく露は比較的短い。疫学的報告に関して、悪性疾患や肺の線維化を評価するためには、潜伏期間が2030年必要である。これらの線維の長期ばく露について、観察期間が短く、ばく露された集団での評価は十分ではない。ラットへの長期のばく露では、肺の線維化、胸膜肥厚及び肺がんと中皮腫が誘発されることが示された。疫学的な研究は進んでいない。RCFにばく露されるほとんどの労働者のばく露期間が短いため、現在の研究結果から悪性腫瘍や線維化の発生増加について予測することは、非現実的である。しかし、胸膜肥厚の潜伏期間は短く、RCFの製造工程の労働者に発生が認められている。加えて、喫煙している労働者では、RCFばく露と肺機能の変化の関連が認められている。RCFは、他のSVFs、これは人造鉱物繊維のことですが、これよりも溶解性が低く、RCFは主に吸入可能なサイズの繊維であることから、これらの観察は難しい問題をはらんでいる。

 以上のことから、RCFの毒性は、他のSVFsとアスベストとの中間に位置するものと考えられ、更にヒトへの毒性はアスベストに近いものと考えられる。したがって、RCFTLV-TWAは他のSVFsより低く、ヒト発がん物質の疑いを付した0.2f/ccと設定する。利用できるデータは乏しいが、0.2f/ccはばく露を受ける個人の発がん及び非発がん性の健康影響から十分に保護するものと考えられるということです。

 また、日本産衛学会においては情報なし。NIOSHにおいては、週40時間、110時間労働で0.5f/cm3 を勧告。DFG MAKでは、設定なし。UKでは、1fiber/mlです。また、その他の欧米の国におけるOEL、つまり職業性ばく露限界値は、表の記載のとおりです。以上のことから、評価値については、一次評価値は評価値なしということで、動物試験より導き出された値が二次評価値を超えるため、設定なしとしております。また、二次評価値については、0.2f/cm3 で、これについてはACGIH値が提言しているばく露限界値TLV-TWAを二次評価値としたところです。

 次に、ばく露評価の結果です。まず、主なばく露作業として、有害物ばく露作業報告の関係です。平成23年におけるリフラクトリーセラミックファイバーの有害物ばく露作業報告は、合計398の事業場から850の作業についてなされ、作業従事労働者の合計は延べ826人でした。主な用途は、「他の製材等の原料として使用」、「対象物の製造」等であり、主な作業は「成型、加工又は発泡の作業」、「保守、点検、分解、組立又は修理の作業」等でした。成型、加工又は発泡の作業のうち、作業時間が月20時間以上の作業が79%、局所排気装置の設置がなされている作業が54%、全体換気装置の設置がなされている作業が16%でした。リフラクトリーセラミックファイバーの製造取扱作業の概要が、下の図として表しています。リフラクトリーセラミックファイバーの製造工程では、まず素材から溶融・繊維化をした上で、切断し、巻取り・梱包するという工程。リフラクトリーセラミックファイバーの製造を用いた他製品の製造においては、RCFを投入し、成形、切断・研磨、梱包・包装をした上で、巻取り、更に梱包・包装をするという工程です。

 次に、ばく露実態調査結果の概要です。まず、平成24年度ですが、この年度のばく露実態調査においては、有害物ばく露作業報告のあったリフラクトリーセラミックファイバーを製造し、また取り扱っている事業場から、ばく露評価のガイドラインに基づき、コントロールバンディングを用いて、ばく露レベルが高いと推定される8事業場を選定したところです。対象事業場においては、作業実態の聞き取り調査を行った上で、特定の作業に従事する40人の労働者に対する個人ばく露測定を行うとともに、20の地点についてのスポット測定を実施しました。また、個人ばく露測定結果については、ガイドラインに基づき、8時間の加重平均濃度、つまり8時間TWAを算定するとともに、統計的手法を用い、最大値の推定を行い、実測値の最大値と当該推定値のいずれか大きいほうを最大値としたところです。

 平成24年度のばく露実態調査事業場におけるリフラクトリーセラミックファイバーの用途は、「耐熱接着材料を製造する事業場」、「超高温用無機繊維断熱材を製造する事業場」、「対象物質を材料とした他製品を製造する事業場(2事業場)」、「対象物質を含有する製品を製造する事業場」、「対象物質を製造する事業場」、「他の製剤その他の物の製造を目的とした原料として使用する事業場(2事業場)」の計8事業場でした。リフラクトリーセラミックファイバーのばく露の可能性のある主な作業は、「秤量」、「投入」、「研磨」、「切断」、「梱包」、「巻取り」等の作業でした。初期評価の結果、8事業場の16名について二次評価値を上回るばく露が確認されました。また、スポット測定を行った5事業場のうち、4事業場においては、一部の作業場においてスポット測定で二次評価値0.2f/cm3 を超える高い測定値が見られました。

 次に、平成25年度においては、RCFを取扱う作業、特に「秤量」、「投入」、「研磨」、「切断」、「梱包」、「巻取り」作業工程に共通した問題か詳細に分析を行うため、「対象物質の製造事業場(2事業場)」、「対象物質を材料とした製品の製造事業場(2事業場)」に対して、追加調査を行い、対象物質の製造取扱いを行う11人の労働者に対して、個人ばく露測定を行うとともに、6つの単位作業場所における作業環境測定基準に基づく測定を行い、3地点においてスポット測定を実施しました。その結果、2事業場の4名の労働者について、二次評価値を上回るばく露が確認されました。個人ばく露測定結果については、同ガイドラインに基づき、8時間加重平均濃度(8時間TWA)を算定するとともに、統計学的手法を用い、最大値の推定を行い、実測値の最大値と当該推定値のいずれか大きいほうを最大値としたところです。

 測定結果ですが、測定は51人の労働者に対して実施し、個人ばく露測定の結果から8時間TWAの最大値は1.84f/cm3 でした。これは、切断作業でした。全データを用いて、信頼率90%で区間推定した上限値(上側5)は、1.60f/cm3 でした。このことから、推定ばく露最大値は1.84f/cm3 となったところです。

 発散抑制措置については、屋内の作業場では42%の作業で局所排気装置が設置され、また66%の作業においては防塵マスクが着用されていました。スポット測定結果においては、対象物質を含有する製品を製造する事業場で、原料の投入作業で最大値が1.84f/cm3 となっており、作業時間が1140分間でした。

 ばく露測定の結果、8時間TWAの最大値が二次評価値を上回っており、区間推定上側限界値も二次評価値を上回っていたところです。測定分析法については、別添4にあります。まず、個人ばく露測定については、ろ過捕集装置により捕集したところです。また、スポット測定については、ろ過捕集装置により捕集し、また分析法については位相差顕微鏡を用いた計数法により計数したところです。この計数方法については、別添4にも記載しておりますが、計数においては長さ5μm以上で、長さと幅(直径)の比が31以上で、幅が3μm未満の繊維を計数する方法を取っております。

 次に、測定結果です。2年間のばく露実態調査における12の事業場、51人の個人ばく露測定の結果、8時間TWAの最大値及び対数変換データを用いた信頼率90%で区間推定した上側限界値の上限値は、次のようになりました。最大値の推定は、測定値の最大は1.84f/cm3 、全データの区間推定上側限界値は1.60f/cm3 です。ばく露の高い作業としては、2年間のばく露実態調査の結果、8時間TWAの値が二次評価値を超えたのは、平成24年度の7事業場で13名、平成25年度の2事業場4名であり、最大1.84f/cm3 のばく露が確認されました。これらの事業場のリフラクトリーセラミックファイバーの用途は、「対象物質の製造」、「対象物質を含有する製品の原料としての使用」でした。平成24年度の7事業場については、8時間TWAの値が二次評価値を超えた労働者の主な作業は、「投入」、「秤量」、「研削・研磨」、「切断」、「梱包」、「巻取り」の作業でした。これらの事業場のうち、4事業場13の地点において、スポット測定の結果、二次評価値を上回っていました。8時間TWA1.841.661.651.5f/cm3 を超える3名の作業者が行っていた作業が、全て同一事業場における作業で、それぞれ切断、成形・投入、研磨、ちり払いでした。平成25年度の2事業場においては、8時間TWAの値が二次評価値を超えた労働者の作業は、旋盤による加工・ハンドソーによる加工、微粉状等の対象物質の梱包作業でした。これらの事業場のうち、3事業場、6作業場所においてA測定を実施したところ、その最大値は3.22f/cm3 となり、二次評価値を上回っておりました。また、これらのA測定の幾何平均値は0.327f/cm3 となり、二次評価値を上回っていたものです。

 リスク評価の詳細です。評価値の関係ですが、リフラクトリーセラミックファイバーを製造し、また取扱う個人ばく露測定の結果、測定を実施した延べ51人中、20人のばく露濃度が二次評価値0.2f/cm3 を超える結果となりました。これら17人の作業者が行っていた作業は、主に「梱包」、「加工」、「秤量」、「投入」、「研削・研磨」、「切断」、「巻取り」であり、ばく露作業報告のあった主な作業のほぼ全ての作業が含まれる結果となりました。判定の結果を表にしたものが、次の所です。全体としては、5120が二次評価値を超えていて、8時間TWAの最大値は1.84でした。以下、作業ごとに分類していますが、対象物質の製造、対象物質を含有する製材、製品を原料として使用する、とそれぞれ作業ごとに分けておりますが、それぞれが二次評価値を超えるものがあり、それぞれ判定は要措置としております。

 ばく露要因の解析としては、リフラクトリーセラミックファイバーはその物性の特徴から、取扱い時に飛散しやすいと考えられ、当該物質の製造取扱い全般について、当該物質を吸入するおそれがあることが示唆されております。ばく露リスクが高かった作業については、リフラクトリーセラミックファイバー及びそれらを含有する製剤、その他のものを手作業で取扱う作業があることから、作業工程に共通するリスクがあると考えられます。以上のことから、リフラクトリーセラミックファイバーについて、ばく露の高い作業については、健康障害防止措置の導入が考慮されるべきであるということです。

 結論としては、ばく露の高い作業の詳細とその要因解析の結果、リスクが高い作業としてリフラクトリーセラミックファイバーの製造作業、リフラクトリーセラミックファイバーを含む製材その他の製造作業が確認されたところです。当該作業のばく露レベルは、二次評価値を大きく超えるものであり、その要因を解析したところ、いずれも作業工程に共通する問題が考えられ、当該作業工程については、健康障害防止措置の導入が必要とされたところです。各作業についてのグラフは、下に示したとおりです。

 それから、ばく露実態調査の集計表を次のページに作業ごとに表として載せています。添付資料としては、別添1として有害性総合評価表が検討されており、別添2として有害性評価書、別添3としてばく露作業報告の集計表、別添4としてリフラクトリーセラミックファイバーの標準測定分析表を添付しております。説明は以上です。

○角田化学物質評価室長 すみません、ちょっと訂正があります。先ほど御指摘いただきました有害性総合評価表の139ページですが、ここも反復投与毒性の所で、「反復投与毒性有り」と書いてありますが、これを削除してください。よろしくお願いします。

○名古屋座長 修正をお願いします。ここに書かれていますように、今回の場合はばく露濃度そのもの自体がかなりのところで二次評価値を超えていることと、作業工程も共通性が高いということで、当該作業工程についても、健康障害防止措置の導入が必要だという結論にしたいと思いますが、何か御質問等はありますか。

○花井委員 粒子がこういう扱いになると、どうしてもサイズが気になるのですが、別添4の標準測定分析法の中で、サンプラーにポアサイズが0.8μm等がある、と書いてあるのですが、これはどういうものでもいいということになるのですか。それとも、これこれであることが望ましいとか、なければならないとか、何か限定はあるのですか。

○名古屋座長 一般的には、0.8を使っていますが。

○花井委員 0.8を使うのが普通なのですか。

名古屋座長 アスベストの場合。

○花井委員 この場合、計数規則で長さや幅はかなり詳しく規定していますよね。それとの関係で、ポアサイズも何か言及があってもいいのではないかという気がしますが、どうなのでしょうか。

○名古屋座長 これは、中災防さんで書かれたときに、例えばアメリカの所の人造繊維でいうと、若干ポアサイズは違いますよね。しかし、日本は0.8でしょうね。

○中災防東久保氏 そうですね。アスベストの所に合わせてこれを書いたということになっています。

○名古屋座長 「等」がなくても大丈夫でしょ。この「等」の所が、今問題になっているのです。ほかのサイズでもいいかどうかという話で、多分取ってくるのに漏れるとか漏れないは全然関係ないのですが、ポアサイズはまだほかに小さいものもありますよね。

○中災防東久保氏 はい。

○名古屋座長 現実に規定しないでいいのか。

○中災防東久保氏 捕集の際にはポアサイズが小さいほどより微細な粉じんを捕集できますがポアサイズ0.8μmで捕集対象物質のサイズ的には問題ありません。ただ、ポアサイズが小さくなると圧損が大きくなりポンプが止まる可能性があるということで、今回は0.8を使っています。

○名古屋座長 一般的には0.8を使っていて、「等」を書いても余り問題はないと思うのですが、余程のことからない限り。でも、「等」は取ったほうがいいですか。

○花井委員 0.2ミクロンとか0.3ミクロンでもいいという話なのか、そうではないのかというのは、やはりその辺りはちょっと書いておいたほうがいいのではないですか。

○名古屋座長 どうしますか。

○花井委員 そんなの常識だよということであればいいのですが。

○名古屋座長 一般的にアスベストと繊維をしている人にとっては、余り問題ではないのですが、一般の人が見たときに「等」が書いてあるので、もっと大きなサイズの物を使っては困りますよという形で、きちんとしたほうがいいですよということですよね。では、規定しなくてはいけない何か理由はありますか。

○中災防東久保氏 いいえ、ありません。

○名古屋座長 では、「等」を取りましょうか。

○中災防東久保氏 はい。

○名古屋座長 分かりました。では、そういう形で大丈夫だと思います。また、もし措置の所で何かありましたら、そのときに理由があれば提案しておきますが、今のところは「等」を取るという形でよろしいでしょうか。ほかにありますか。

○内山委員 教えていただきたいのですが、アスベスト、石綿は同じような作用で肺がん、中皮腫を起こすのに、閾値はないと普通は考えられていると思いますが、このリフラトリーセラミックファイバーは、閾値有りという判断をしているのですが、その違いは何かお分かりでしたら、教えていただきたいのですが。

○名古屋座長 大前先生、お願いします。

○大前委員 148ページの遺伝毒性の所の166行目からの記述なのですが、「繊維状物質による遺伝毒性発現メカニズムとして」という所で、長期にわたって発生するROSDNA損害に重要な役割を担うと考えられ、という所ですが、ではこれとアスベストはどう違うのと言われると、それはちょっと。この場合は、そういう意味でセカンダリーだということで閾値有りとやったのですが、アスベストも本来閾値有りなのですかね、メカニズム的にはそうかもしれませんね。

○内山委員 下のほうが、多分使い始めてから歴史も短いので、この疫学調査もまだ十分でないというのはここに書いてあるので、そこは分かるようにしていただけると。それから、太さも、多分こちらのアスベストよりは太いのですよね。

○大前委員 太さですか。これは、余り変わらないと思いますね。

○内山委員 径が2から4ミクロンと書いてあるのですよね。平均繊維径が2から4ミクロン。これが、もう製品としてこういうものを作っているということですね。数えるときは、アスペクト比で取っていらっしゃるのですね。

○名古屋座長 比較的、製造したときにはその成型なのですが、現場で壊されたりすると結構小さくなっているので、もっと生体に入りやすくなっているのと、太いものがあるのではないかと。一応、製造の所の物理的としての値でして、現場は若干違うかもしれませんね、切ったりとかしますので。そのときは、やはり計測はアスベストと同じ計測をしています。

○西川委員 たまたま同じ所なのですが、148ページの特に169行目、この遺伝毒性が二次的なものである、という根拠の論文等が引用されていますが、26番がECの考え方でこれは問題ないのですが、34番の文献をパブメドで調べようとしたら出てこないのですよ。どうしたことかと思って、ジャーナルから当たってみると、どうもファーストオーサーが違う人なのです。ですから、これは確認の上、訂正をお願いできればと思います。

○名古屋座長 文献ですね。34の文献、163の文献がちょっと違うのではないかということです。

○角田化学物質評価室長 確認いたします。

○名古屋座長 よろしくお願いします。

○津田委員 質問です。ここに書いてある所でちょっと気になっていましたが、遺伝毒性は一次的でなく二次的であるというのは、どういう意味ですか。

○西川委員 EC等では、活性酸素を経由した二次的な遺伝毒性のメカニズムなので、閾値が想定できるという考え方をしているようです。

○津田委員 区別しているわけですか。

○清水委員 はい。

○津田委員 それ自体が起こすものと、いわゆるダイレクトカルシノゲンとインダイレクトカルシノゲンみたいにするということですか。

○清水委員 はい。

○津田委員 だけど、発がんすることには変わらないのですね。

○清水委員 起こすことには変わらないです。結果的には。

○津田委員 それで区別するのですか。私は行政は余りよく知らないので、このことはよく理解できないのですが。

○清水委員 最近、活性酸素を測定した結果が報告されるようになり、それでそういう判定の仕方をしてきているのですね。

○津田委員 行政上違ってくるのですか。

○清水委員 結果的には、遺伝毒性有りと判定しますから。

○津田委員 ということには変わないと。

○清水委員 結果には変わらないです。

○津田委員 一般にこれも含めて、異物による障害というのは、ほとんどここに書いてあるラジカルが出るか、あるいはマクロフロァージがサイトカインを出すか、この2つの方法で、多くの異物に当てはまるわけですね。繊維であろうと、金属のような不溶性の二酸化チタニウムであろうと。ですから、その辺りでは変わらないと思っています。

○名古屋座長 よろしいですか。そうしましたら、リフラトリーセラミックスに関しても、健康障害措置検討会にお送りするという形でまとめたいと思います。どうもありがとうございました。

 続いて、資料1、酸化チタン、ナノ粒子について、事務局から説明をお願いいたします。

○岸化学物質評価室長補佐 次は資料1、酸化チタン(ナノ粒子)です。本文を中心に御説明いたします。1枚めくっていただき、物理化学的性状、化学物質の基本情報ということで、酸化チタン(ローマ数字4)としての情報です。名称は酸化チタン(ローマ数字4)、別名二酸化チタンです。化学式、分子量、CAS番号等は記載のとおりです。また、労働安全衛生法施行令別表9で、名称を通知すべき有害物として指定されています。

 物理化学的性状は、酸化チタン(ローマ数字4)の外観は、無色から白色の結晶性粉末、密度は3.94.3g/cm3 、融点は1,855℃、溶解性は水に溶けないということです。

 生産量・輸入量、使用量、用途です。ナノ粒子について示しています。生産量は、ルチル型、アナターゼ型の合計で13,490トン、平成20年度の実積です。用途は、ルチル型は化粧品、塗料、トナー外添剤、ゴム充填材、反射防止膜として使用され、アナターゼ型は光触媒、工業用触媒担体塗料です。ルチル型とアナターゼ型の合計生産量の年度別推移は、下に記載しているとおりです。

 有害性評価です。発がん性、これは酸化チタン(ローマ数字4)の全ての粒子についてですが、ヒトに対しての発がん性の可能性があるということです。根拠は、IARCはヒトに対する証拠は不十分であるが、動物実験での発がん性の十分な証拠があったとして、2B(ヒトに対して発がん性の可能性がある)と分類しています。中身は、疫学的研究では不十分、1報告で僅かに肺がんの発症が増加、2報告では有意な発症は認めない。動物実験においては十分な証拠がある。メカニズムは、酸化チタン(ローマ数字4)又は難溶性粒子は肺腫瘍を引き起こすかもしれないということで、以上より疫学研究においては不十分な証拠、動物試験では十分な証拠であること、腫瘍発生の機序として証拠は強くないことから、グループ2Bと判断したということです。

 その他の機関の評価は、日本産衛学会は情報なし、EUは情報なし、NTPは情報なし、ACGIHA4DFG MAKでは3Aとしているところです。閾値は有りということでて、根拠は遺伝毒性試験ではin vitro及びin vivoで、陽性反応が得られているが、二次的な遺伝毒性と考えられるということです。

 発がん性以外の有害性、ナノ粒子に関する情報です。急性毒性は、経口毒性がLD505,000mg/kgbw以上ということで、ラットで出ています。ヒトへの影響は、調査した範囲内では報告が得られていません。皮膚刺激性/腐食性、目に対する重篤な損傷性、刺激性、皮膚感作性や呼吸器感作性については、いずれも報告なしです。

 反復投与毒性は、NOAEL2mg/m3 です。根拠は、酸化チタン(ナノ粒子)を用いて、雌ラット、マウスに対して、0.5210mg/m3 の重量濃度で、13週間の吸入ばく露試験を行い、10mg/m3 では肺炎症を認めたが、2mg/m3 の気中濃度ではほとんど影響が認められなかった。さらに、2mg/m3 では、肺内のクリアランスも遅延していない。0.5mg/m3 では肺への影響が認められず、肺内のクリアランスも遅延していない。本評価書では、2mg/m3 群のラットの13週ばく露終了直後に見られたBrdUのラベル肺胞細胞の有意な増加は一過性とみなし、炎症性反応は10mg/m3 群で明らかに認められ、かつ酸化チタン(ナノ粒子)ばく露に関連した肺反応であることから、NOAEL2.0mg/m3 であると判断したということです。

 なお、このデータから評価レベルを計算するに当たっては、不確実係数を10とし、これから下にある計算式に基づき、評価レベルは0.15mg/m3 としたところです。生殖毒性については判断できない、遺伝毒性は有りということで、複数のin vitro小核試験、in vivoの小核試験及び遺伝子欠失試験で陽性を認めるもので、遺伝子毒性は有りと考えられます。ただし、酸化チタンのように難溶解性の粒子における遺伝毒性は、核に対する直接作用よりはフリーラジカルが引き起こす間接的な遺伝毒性が関与するということです。

 許容濃度等は、ACGIHTLV-TWA10mg/m3 ということで、これは酸化チタン(ローマ数字4)全体を対象として、1992年に設定されたものです。また、発がん性の分類はA4です。根拠は、ラットに酸化チタン(ローマ数字4)の粉末を01050250mg/m3 の濃度で吸入ばく露させた実験において、250mg/m3 投与群で、肺への炎症及び扁平上皮がんの形成を認めた。なお、10mg/m3 の投与群では、肺の既存の構築は保たれており、線維化の進行や不可逆的な病変も認められない。疫学的調査では、酸化チタン(ローマ数字4)のばく露と呼吸器疾患の間には関連性がなかったと報告されています。さらに、酸化チタン(ローマ数字4)への職業ばく露と肺の線維化、発がん若しくは他の健康影響との関連を示す確実な証拠はない。以上のことから、TLV-TWA値は10mg/m3 を勧告する。酸化チタン(ローマ数字4)の発がん性を調べた動物実験は陰性若しくは結論に達していないことから、これらの結果を基に酸化チタン(ローマ数字4)A4と分類するということです。

 また、ナノ粒子に関する情報は、日本産衛学会が2013年に、0.3mg/m3 を設定し、今年確定したところです。根拠は、二酸化チタン(ナノ粒子)に関する疫学的報告はない。動物ばく露試験では、10mg/m3 の長期吸入ばく露により、ラットでは肺腫瘍の発生が増加したが、マウスでは増加しなかったことから、ラットにおける発がんはoverloadにより慢性炎症から上皮化生を由来するラット特有のものであると考えられるので、採用しない。Bermudezらの亜慢性試験(13週間)においては、2mg/m3 のばく露濃度はoverloadではないこと、肺にほとんど影響がないことからNOAELと考えた。Workshop reportに基づいて種差の不確実係数を3としたこと、さらにばく露期間が短いことによる不確実係数を2とすると、ヒトに影響を及ぼさないばく露濃度は0.33mg/m3 と推定される。以上の疫学的研究や動物ばく露研究から総合的に判断して、二酸化チタン(ナノ粒子)の許容濃度は0.3mg/m3 と設定するというものです。そのほか、NEDOのプロジェクトでは、許容ばく露濃度は0.6mg/m3 NIOSHRELでは0.3mg/m3 ECDNEL0.017mg/m3 です。

 評価値は、酸化チタン(ナノ粒子)は一次評価値はなし、二次評価値は0.15mg/m3 としております。根拠は、ラット、マウス、ハムスターの13週間吸入ばく露試験により、試験の気中重量濃度によるNOAELをヒトのばく露濃度に換算した値を、二次評価値としたところです。

 次に、ばく露実態評価の結果です。ナノ粒子に関するものです。有害物ばく露作業報告の提出状況ですが、これはナノ粒子に限らず全粒子について、報告を求めています。平成21年の酸化チタン(ローマ数字4)の有害物質ばく露報告は合計920の事業場から、4,123の作業についてなされ、作業従事労働者数は合計で、延べ57,637人でした。また、対象物質の取扱量は、合計で約101万トンです。主な用途は、「顔料、染料、塗料又は印刷インキとしての使用」、「他の製剤等の製造を目的とした原料としての使用」です。主な作業の種類は、「計量、配合、注入、投入、小分けの作業」、「吹付塗装以外の塗装又は塗布の作業」、「吹付けの作業」、「ろ過、混合、攪拌、混錬又は加熱の作業」等でした。

 次に、ばく露実態調査の結果です。平成22年度に、有害物ばく露作業報告を基に、コントロールバンディング等により、酸化チタン(ローマ数字4)のばく露レベルが高いと推定される事業場を選定し、ばく露実態調査を行った結果、以下の作業で高いばく露が見られました。

1つ目は、酸化チタン(ローマ数字4)を塗料として使用する、粉体塗装です。2つ目は、酸化チタン(ナノ粒子)を製造する事業場で臨時に行われた篩い分けの作業です。このため、関係業界団体からヒアリングをし、酸化チタン(ナノ粒子)を製造又は取り扱っている事業場から、ばく露評価のガイドラインに基づき、平成24年度に9の事業場を選定し、ばく露実態調査を実施したところです。対象事業場においては、酸化チタン(ナノ粒子)を製造又は取り扱う作業に従事する25人について、個人ばく露測定を行うとともに、1単位作業場所において作業環境測定基準に基づくA測定を行い、26地点においてスポット測定を実施しました。

 また、25年度においては、初期リスク評価でリスクが高いとされたナノ粒子を取り扱う作業、特に当該物質の製造工程における充填、梱包を行う6事業場に対して、当該作業に係る追加調査を行い、製造・取扱作業に従事する21人について、個人ばく露測定を行うとともに、2単位作業場所について作業環境測定のA測定、28の地点についてのスポット測定を実施しました。

 なお、平成25年度に追加調査を行った6事業場のうち、5事業場については、平成24年度の初期リスク評価での測定対象事業場と同一の事業場を選定したところです。

 個人ばく露測定結果については、ガイドラインに基づき、8時間TWAを算定するとともに、統計的手法を用い、最大値の推定を行い、実測値の最大値と当該推定値のいずれか大きな方を最大値としたところです。

 測定の分析方法については、サンプリングはメンブランフィルターを用いたろ過捕集、分析法は黒鉛炉原子吸光法を用いました。また、前処理は酸化チタン表面にコーティングが施されているものについては、ふっ化水素酸と熱硫酸による溶解処理を行ったところです。

 対象事業場における作業の概要です。対象事業場における酸化チタン(ナノ粒子)の用途は、「他の製剤の製造原料としての使用」、「対象物質の製造」でした。酸化チタン(ナノ粒子)のばく露の可能性のある主な作業としては、「袋詰め」、「分取・微調整」、「梱包」、「充填」、「投入」等の作業で、1回当たり約12時間の作業を1日に数回繰り返します。また、作業環境は、全ての作業が屋内で行われ、ばく露防止対策は84%の作業で局所排気装置が設置され、また全ての作業で呼吸用保護具、防じんマスクが使用されておりました。

 測定結果については、追加調査での個人ばく露測定の最大値は、酸化チタン(ナノ粒子)を製造している事業場における分取・微調整作業で、1.502mg/m3 でした。2年間のばく露実態調査の結果、8時間TWAが二次評価値を超えたのは平成24年度の4事業場で10名、平成25年度の1事業場で3名であり、全体での個人ばく露測定の最大値は、酸化チタン(ナノ粒子)の製造をしている事業場の包装作業場での袋パレット積み作業で、1.644mg/m3 でした。2年間の全データを用いた、信頼率90%で区間推定した上側5%上限値は、1.353mg/m3 でした。スポット測定結果においては、追加調査では酸化チタン(ナノ粒子)を製造している事業場における袋詰め作業で、0.509mg/m3 が最大であったが、2年間の全データでの酸化チタン(ナノ粒子)の製造事業場で、粉砕後製品の袋詰め作業で最大値が0.733mg/m3 となっており、作業時間は1回当たり40分間でした。ばく露測定の結果、8時間TWA最大値が二次評価値を上回っていました。

 リスク評価の判定と今後の対応です。ばく露の高い作業の詳細と、その要因解析の結果、リスクの高い作業は、酸化チタン(ナノ粒子)を製造している事業場における充填又は袋詰め業務が確認されました。当該業務のばく露レベルは二次評価値の0.15mg/m3 を超えるものでした。また、その要因を解析したところ、酸化チタン(ナノ粒子)の持つ物性や作業の対応から、酸化チタン(ナノ粒子)を製造している事業場における充填、袋詰め業務については、作業工程に共通する問題とされました。

 一方、平成24年度に公表した「酸化チタン(ローマ数字4)に係る平成23年度ばく露実態調査対象物質についてのリスク評価中間報告」に基づき、今後今回のリスク評価結果と中間報告で取りまとめた結果を併せ、両者の整合を図りながら、粒子の大きさと労働者の健康障害リスクの関係を踏まえた対応を検討することとします。

 平成23年度のばく露実態調査対象物質に係るリスク評価のばく露実態調査において、高いばく露が見られた作業、総粉じん又は吸入性粉じん、レスピラブル粒子については、粒子の大きさと有害性との関連を踏まえて評価値を再検討した上でリスク評価を実施し、対応を検討することとする。このうち、粉体塗装の作業については、評価値の再検討と並行して当該作業の実態を把握し、必要な場合には適切な発散抑制措置を検討することとするということです。

 その後は、ばく露実態調査の調査結果を作業ごとに掲載しています。また、別添1は「有害性総合評価表」、別添2が「有害性評価書」です。別添3が「ばく露作業報告の集計表」、別添4が「ナノ粒子、酸化チタン標準分析法」です。その後に、以前に中間報告として取りまとめられた酸化チタン(ローマ数字4)のリスク評価書が添付されています。

○名古屋座長 ナノ酸化チタンの場合だけですと、本来的にはばく露濃度が超えているので、そのまま健康障害防止措置委員会という形になるのですが、ここに書いてあるように、まだ粉体塗装の作業が終わっていないので、それを合わせて評価しなさいということで、並行的に測定する形になるのだと思います。

 もう1つは、平成23年度の総粉じんと吸入性粉じんのデータがあるので、その粒子の大きさの所の有害性の関係を踏まえた評価の再検討が必要だという形で、それと併せてナノを扱いましょうという形なので、まだそこのところは決まっていないので、今日は結論を出すのではなく、これから吸入性粉じんと総粉じんを測ったところと、ナノと併せて、どのような形でまとめていったらいいかの意見を聞く形で本日は、止めたいと思います。忌憚のない意見をお聞かせいただければ有り難いと思います。

○津田委員 御説明いただいたのはルチルかアナターゼか、どちらでしょうか。使い方が違うと思うのですが。

○岸化学物質評価室長補佐 ルチルです。

○津田委員 ということは、曝露吸入のみはないですね。製造現場とpacking siteだけですね。

○岸化学物質評価室長補佐 はい。

○津田委員 2つあるのですが、1つは製造現場と混合粉体塗装ということだったのですが、例えばナノ物質の場合には余り使われていないのかもしれないのですが、樹脂とかゴムの充填作業は、当然袋に詰めれば袋から出して投入するような所で、粉そのもののばく露としては、非常に経験上高いということがあるのですが、これが対象になっていないというのは、ナノの二酸化チタンに関しては、そういった使われ方が余り見られないということなのかということが1つあります。

 もう1つは、総粉じんか吸入性かということについて、これと粉体を調べる順番というのはどうなっているのか。粉体は粉体を多量にばく露すると思うのですが、粉体そのものの粒というのは、二酸化チタンの粒そのものではなくて、粉体塗料になった時点で、20μとか結構大きいので、respirableだけを対象とする場合は、粉じんとしてはばく露は高いけれども、そんなに高くないような気もするのです。ただ、総粉じんでもリスクを考えなくてはいけないということになると、当然このばく露も考えなくてはいけないので順番がどちらになるのかを教えていただければと思います。

○名古屋座長 ここで検討したいのは、総粉じんと吸入性粉じんなのか、インハラブルと吸入性粉じんなのかということによって、平成23年度のときに評価値が10と高かったですよね。粉じんに比べると、はるかに高い。それでいいのかなということで、評価値も再検討をお願いしましょう。それと併せて、総粉じん、インハラブル、吸入性粉じんと粒子径に対応した評価値を併せて検討していただければと。

 例えばインハラブルで測定するならインハラブルとしての評価値が出てくるだろうと。吸入性粉じんだと、ナノも吸入性粉じんで測って、ナノの評価値を使うか。そうすると、それほどサンプリングを分けなくても統一してできるという。でも、粒径に対応して分けるとなると、それで使い分けをしなければいけない部分があるので、そこのところで、ここに書かれているように、粒子の大きさと有害性の関係を踏まえた評価の再検討が出てくると、測定する方法としては一番楽なのかなと。そこがまだきちんとされていないので、これからそこが出てくるのかなということだと思います。

○鷹屋委員 ユーザーが粉体を投入するような所はリストアップされていないのですが、リスクが高いような気がするのですが。

○中災防荒木氏 リストに上がってこなかったのは、1つはナノの使用料が非常に高いのです。製造している所は、割と量を使っているので、500kgというしばりが出てくるのですが、買って使っている所は、そんなに大量に使っているわけではないので、上がってきたところは事業場数が少ないというのはあります。

○鷹屋委員 二酸化チタンは使われているけれども、ナノの二酸化チタンをそういう使い方をしている所は、今のところは余りないだろうということなのですか。

○中災防荒木氏 ナノに関してはほんの一部だけだと思うのです。だから、化粧品とか、そんなに大量に使っていない。

○名古屋座長 顔料は大きいほうを使うから、粒径は多いですよね。これはまた大前先生の所にお聞きしなければいけませんが、この辺はこれから議論されるという形でしょうか。

○大前委員 いや、これはまだどうするのか、私も聞いていないのですが。今日、これを初めて見ましたので、これからどうやるのだろうなという状況です。

○名古屋座長 総粉じんでの評価になると難しいですよね。

○大前委員 実際に売ってるのはナノではないですからね。

○名古屋座長 1つネックがあって、総粉じんとなっていて粉じんの定義で、捕集器の入口における流速を5080cmsecで、インハラブルになってくると、10マイクロm、50%カットでIOMのサンプラーを使用するように測定対象によって違うし、そうすると濃度が同じでいいのかという形になります。現場を考えたときに、インハラブルでなくても吸入性粉じんでいいとなると、吸入性粉じんの評価値を考えなければならないとなります。粒径が、ナノは比較的うまくまとまっているのですが、大きな所の粒子は、一番最初は総粉じんで測っていて、それから吸入性粉じんで測っていますよね。そこをどうとっていくのか。二段構えでいくのか、1つの考え方で、吸入性粉じんを測っていって、例えばナノを扱っているのであったら、ナノで評価するし、吸入性粉じんを扱っているなら吸入性粉じんで評価するというやり方もあるのかな。そこをはっきりしないと、流れが使えないということになると思います。

○大前委員 この間決まったITOの場合は、動物実験自体がレスピラブルのものでしたので、それで問題なかったのです。今回の場合はそうではないですからね。

○名古屋座長 諸外国を見ても、インハラブルのところ。日本は総粉じんと、吸入性粉じんで、粉じんだと産衛では吸入性粉じんでは1mgm で、総粉じんだと4mgm で出ていますが、産衛では発がん性でいくと、ナノが0.3 mgm となっています。一つ一つによって許容濃度が違ってきて、従来のところは余りがんを考えずに、粉じんできている部分が多いのです。リスクは発がんできているので、発がんの評価になってくると、その辺は粒径と評価できちんとしておかないと、測定の現場にきたときに困るかなと思います。

 ほかに議論しておきたいことはございますか。

○西川委員 通しの3ページの65から67に、遺伝毒性試験は陽性であるが二次的なものであるので、閾値有りという判断がなされています。

 この判断が何に基づくかについて、資料を見てみたのですが、先ほどのセラミックファイバーと違って、特にECの考え方を採用したのではなく、唯一通しの30ページに、free radicalな産生に関する論文はこのようなものがあるという記載がありますが、全てin vitroの培養細胞を用いたもののようです。

 したがって、この閾値有りの判断は、この検討会でこれらのデータに基づいて判断したと考えるべきなのですか。

○大前委員 おっしゃるとおりです。30ページの幾つかのfree radical産生に関する論文を見て、これは二次的な変異原性であろうと判断したということです。

○西川委員 そうすると、この検討会、私を含めてこのデータに基づいて、遺伝毒性は全て二次的なものという判断をしたということになりますか。これが確定したとすればですね。その辺り、先ほどと少し違うので、慎重に取り扱っていただきたいと思います。

○名古屋座長 もう一度粒径と評価値を考えるときに、そこをもう一度検討していただければということでよろしいでしょうか。

 ほかに議論しておくことはありますか。

○江馬委員 今の場合はセラミックファイバーで引用している文献を載せられるのではないですか。セラミックファイバーの遺伝毒性で出ている、26番と34番は、セラミックファイバーに関する論文ではなく、遺伝毒性をどう考えるかという論文だと思うので、それはナノにも引用できるのではないでしょうか。

○西川委員 それができれば、一番早いと思いますが、本当にそうかどうかを確認した上でやったほうがよろしいかと思います。

○名古屋座長 よろしくお願いいたします。ほかに何かありますか。

○花井委員 細かい話ですが、資料1の表紙に「初期リスク評価」と書いてあるのは、「詳細」ですか、これでいいのですか。

○名古屋座長 そうですね。

○花井委員 サイズを考えて続けて検討する。

○名古屋座長 初期が終わって、詳細リスク評価にきたのですが、ナノでいうと、ある程度はきちんとした方向は出ているのです。ただ、それと同時にもう1つ平成23年度に実施した、総粉じんと吸入性粉じん併せて、粒径を加味して酸化チタンをどうしたらいいかという話をしましょうということで、ナノとしてはこれでまとまっているのだと思うのです。ただ、ナノだけでやるのか、それを分けてやるのかという形は決まっていないので、粒径の議論と評価値を併せていって、これからもう一度議論をしましょうということです。今日はそのたたき台をと。報告としては、酸化チタン、ナノ粒子は、詳細リスクはこういう結果でしたと。

 本来的には酸化チタンの扱いはこれで終わるのですが、平成23年度は何も検討していませんので、粒径を併せて評価しましょうという形になったと思います。

○宮川委員 先ほどの遺伝毒性の部分についてですが、ナノのチタンに関しては、少なくとも、一次評価値、二次評価値を決定したときには、発がんのデータは使っていないので、遺伝毒性とは関係なしに吸入ばく露試験のNOAELから計算しているので、先ほど問題になったところは、結論が付いてこのままでいくということではなく今後検討をするということであっても、それでも現在の一次評価値、二次評価値については、それとは関係なしに決まっているということですので、一応はOKと考えていただくということでよろしいでしょうか。

○名古屋座長 はい。

○宮川委員 それから、粒径と実際のリスクの評価の場合ですが、ナノの二酸化チタンを含め二酸化チタンについてどうするかを考えるのか、それとも、今後そのほかのものにもナノの粒子がいろいろ出てくるので、そこの全体的なフレームを決めた上で議論するのか、取りあえずこの物質についてやるのか、現実に可能かどうかを考えた上で判断をしないと混乱する可能性がある。結構難しい問題だと思います。

○名古屋座長 もう1つあるのは、粉体塗装のところの問題で、そこがどうなってくるのか。

 それから、平成23年度のときの報告では、粒径は別にいくのか、粒径で併せたらいいのかが決まっていないので、これからなのだと思います。その次のところでどう持っていくかを決めていきたいと思います。

○圓藤委員 7ページの表の個人ばく露測定結果の二次評価値に、ACGIHTLV-TWA0.15とあるのですが、ACGIHは提案はしていないですね。

○岸化学物質評価室長補佐 ここは違います。動物試験の結果から二次評価値を0.15と算出しています。

○圓藤委員 その後に産衛が0.3というのを出したのですが、それは使うことになるのですか。

○岸化学物質評価室長補佐 基本的には、根拠とした動物試験データが一緒で、あとは不確実係数の捉え方が違うということで、不確実係数の捉え方はうちの委員会でのルールに基づいて計算したところ、0.15になったということなので、0.15でいいのではないかという考え方で取りまとめています。

○名古屋座長 それが動くと、ばく露を超えない作業場も出てくるので、随分大きく違うので。

○圓藤委員 ただ、こちらの二次評価値は産衛の許容濃度より先に決めたのですよね。

○岸化学物質評価室長補佐 そうです。そこでもう一度考え直すということであれば、そこは。

○圓藤委員 そうすると、二次評価値はACGIHの許容濃度又は産衛の許容濃度を使うみたいに書いてありましたよね。

○岸化学物質評価室長補佐 はい。

○圓藤委員 そうすると、次に見た方が齟齬があると思うのかしらと思ったのです。

○大前委員 ルールブック上はACGIH若しくは産衛なのです。ただ、今回は時間がずれているので0.153が逆のギャップができてしまったということなので、それをルールブックに戻すのか、あるいは先に決めたことだからこのままにしておくのかだと思うのです。いずれにしても、0.3にしても0.15にしても、高い濃度であるので、そこは変わらないと思うのです。

○名古屋座長 先ほど言った粒径別の評価値をどうしてくれるか。我々は評価値が決まらないと、リスクが大きいかどうか分からないので、大前先生の委員会の中で、どのような動物実験に基づいて、どういう粒子に対して、どういう濃度で評価したと決めていただけると、そこから後は我々のところにくるという形になるので、そこのところに出ていただいてから進めていこうかと考えています。

○圓藤委員 産衛の場合は、リスクアセスメントでマネジメントはやっていないので、実際にはどのように測るのかは落ちているところがあるのです。

○宮川委員 少なくとも6ページのグラフを見る限りは、0.150.32倍になっても事実上は余り関係ないのかなと。

 余り細かいことを言うぐらいだと、まだ一部では吸入試験をしている、発がんも含めてあるようですので、それぞれが出てきてからのほうが正確なリスク評価ができるような気がしますので。

○櫻井委員 粒径の問題ですが、22ページの下半分より少し低いぐらいの所が根拠になっているデータです。4行目に、空気力学的直径が1.29から1.44μm。これを使っているのですね。90日間でしたか。それで、2mg/m3 NOAELとしているわけですね。

 だから、この濃度はある程度凝集していますね。この粒径は。これと日本の現場で測定したときの粒径の違いというのが、どのぐらいあるのかというのが、1つの問題だとは思いますが。

○名古屋座長 中災防さんもやられたと思うのですが、小さなナノを対象にしたところにいっていても、ほとんど現場では凝集体が多くて、かなり大きな粒子でいくということで、ナノ粒子についてもナノサンプラーを使うのではなく、リスク評価を細かくするのではなく、吸入性粉じんで評価しましょうと。評価値はナノの評価値を使うという形で、ナノの検討委員会できているので、ほとんど凝集体だと思います。それも作業の状況によっても違うので、一概にはどういう分布をしているかは分かりませんが、間違いなく凝集体のほうが圧倒的に多いと思います。

○櫻井委員 そうでしょうね。ただ、肺に入ってからバラバラになるということですね。

○名古屋座長 そうなのです。もう1つ難しいのは、動物実験と現場の酸化チタンが違うということが大きいのではないでしょうか。動物実験は加工していないものを使っていますが、現場はコーティングしていますから、本当に酸化チタンの活性がそのままきているのか、ガラスコーティングしているものがそのままきているというのは、少し違うかもしれません。だから、かなり現場よりは過剰に濃度が評価されている部分は無きにしも非ずだけれども、それはなかなか難しいことだと思います。そうすると、個人的には0.15より0.3でいいのかなと思わないでもないですが、それは先生方にお任せしようかなと思っています。

 今の意見を踏まえて、大前先生たちの委員会の中で、粒径と濃度の関係をよろしくお願いします。このような形でまとめてよろしいでしょうか。

○西川委員 通しの5ページに産衛学会のラットの試験を使わない理由が書いてあるのですが、「ラットでは肺腫瘍の発生が増加したがマウスでは増加しなかったことから、ラットにおける発がんは慢性炎症から上皮の活性を経由するラット特有なものであると考えられるので」と。これは受け入れ難いような記載なので、この評価書に加えるかどうかは慎重に検討してから決めたほうがよろしいかと思います。

○名古屋座長 分かりました。最終的なところは検討してみようと思います。

 そうしましたら、先ほどお話しましたように、粒径のところ、一番は粉体塗装が出てきてから再検討するということを併せるとともに、粒径と濃度の関係については大前先生のところで考えていただいて、検討した結果が出てきたら現場と合わせて再評価する形でよろしいでしょうか。

(異議なし)

○名古屋座長 そういう形でまとめさせてもらいます。

○岸化学物質評価室長補佐 そうしましたら、この酸化チタン(ナノ粒子)としてのリスク評価書については、確定ではなく、引き続き検討するということでよろしいでしょうか。

○名古屋座長 検討しましょう。先ほど表現などいろいろありましたので、直してからとしましょう。

○岸化学物質評価室長補佐 そうしましたら、近々またリスク評価書の結果を公表する手続があるのですが、その際には確定版としては出さないということでよろしいでしょうか。

○名古屋座長 はい。

○津田委員 質問です。先ほど無コーティングとコーティングの話が出ましたが、実際に製造して製品として出す、そして使う所で、どの辺で無コーティングで、どの辺がコーティングで使うのでしょうか。

○西川委員 そのまま二酸化チタンを袋詰めしているのは、更に加工する所に売るということです。ユーザーの所に行くには、塗料にしても化粧品にしても、油に浮かせなくてはいけないので、金属石鹸を付けたり、ガラスでしたりという加工をしていくということで、ユーザーの所に行くのは結構加工されていますが、最初の根の所で、無加工のものを袋詰め作業はどうしてもあるので、無加工のものでばく露されている労働者も相当数いらっしゃって、この測定データの中でも両方あると思います。

○名古屋座長 それが分析にかかってきていて、川下の現場に行くとコーティングされているので、ふっ素を使ってコーティングを外してから、二酸化チタンを分析しましょうという分析方法を中災防さんは開発しています。

○津田委員 凝集を防ぐためにシリコンコーティングするということもあると、粒径が全体としては小さくなるとか、そういう難しいことも入ってくると思いますので、今後はリスク評価にそういう要素も入れる必要もあるのではないかと思います。

○櫻井委員 500kgという足切りがあるために、小規模の事業場で袋詰めされたものを出して使うような所でのばく露の評価ができていないのです。それのほうが、ばく露レベルが高い可能性があると考えたら、このケースの場合には500kgではなくて、もう少し低めの足切りに変更して調査したほうがいいのかもしれないという気もするのです。そういうことも必要ならやろうという話があったような気がします。

○岸化学物質評価室長補佐 このナノの測定に当たっては、ばく露作業報告では分けることができなかったので、業界団体を通じて、事業場の方に実態を聞き取った上で、対象事業場を選定しておりますので、その辺りの調査は一通りした上での調査をしています。

○櫻井委員 分かりました。

○名古屋座長 そうしましたら、先ほどのような形で、今日のところはこの議論で終わりたいと思います。次回以降、またお願いいたします。

○江馬委員 ナフタレンの生殖毒性は「なし」と書いてあるのですが、データは「判断できない」のほうがいいのではないでしょうか。吸入毒性が1つで、あとは経口投与のデータなので、判断できないということになるのではないでしょうか。

○名古屋座長 そのように書き換えてもよろしいですか。

○江馬委員 そう思います。

○名古屋座長 そういう形で修正をお願いいたします。

 残り時間が少ないのを大前先生に渡すのも申し訳ないのですが、4-1を大前先生からお願いいたします。

○大前委員 議事2は、大前が司会をやりなさいということですので、がん原性試験の結果の評価ということで、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートの吸入実験が終わりまして、その結果が出ておりましたので、事務局から説明をお願いしたいと思います。最終的なゴールというのは、これを告示をする必要があるかどうかというところを最終ゴールですので、その辺を考えながらお聞きいただきたいと思います。事務局、よろしくお願いします。

○北村有害性調査機関査察官 資料4、通しページは167ページからの資料となります。まず、事務局から簡単に説明をさせていただきまして、その後、試験の詳細の説明については、バイオアッセイ研究センターからしていただきます。

 まず被験物質については、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートです。構造式は1-2に記載しているとおりです。物理化学的性状としては、外観は無色透明の液体。比重は20℃で0.975。沸点は156.4℃。蒸気圧は20℃で1.2torr。水に溶解し、芳香族炭化水素と混和するということです。製造量・輸入量については、2012年度で1,000t未満。2011年度に3,000tというデータとなっております。製造業者については記載しているとおりです。

 用途については、触媒、自動車の塗料、印刷インキ、電子材料(レジストインキ用)溶剤です。

 次に許容濃度については、この物質は第2種有機溶剤ということで、管理濃度は5ppmとなっております。許容濃度については、日本産業衛生学会で5ppmACGIHTWA5ppmとなっております。このほか、安衛法の規制としては、表示対象物質であることと、通知対象物質SDSの交付対象物質となっております。

1-7の遺伝毒性については、日本バイオアッセイセンターで実施した微生物を用いた変異原性試験については、試験菌株にネズミチフス菌TA98TA100等において、代謝活性化の有無に関わらず、いずれの菌株においても陰性という結果となっております。このほかの文献としては、微生物を用いた変異原性試験、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いたHGPRT遺伝子変異試験、CHO細胞を用いた姉妹染色分体交換(SCE試験)Swiss-Websterマウスの腹腔内に投与した末梢血小核試験の結果はそれぞれ陰性という結果でしたが、CHO細胞を用いた染色体異常試験は陽性の結果となっております。代謝活性化による場合で強く、代謝活性化によらない場合で弱かったという報告となっております。事務局からの説明は以上です。以下はバイオアッセイ研究センターからお願いします。

○日本バイオアッセイ研究センター斉藤氏 試験結果について御報告いたします。日本バイオアッセイ研究センターでは、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートのがん原性を検索する目的で、ラットとマウスを用いた吸入による長期試験を実施いたしました。

 試験は、ラットとマウスを用いて、被験物質投与群3群と対照群1群の計4群の構成で、各群とも雌雄50匹とし、合計ラット400匹、マウス400匹を使用しました。

 被験物質の投与は、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを16時間、15日間、104週間、動物に全身ばく露することにより行いました。投与濃度は、ラットは雌雄とも01250200の公比44段階とし、マウスは雌雄とも01166400の公比64段階としました。観察・検査項目として、一般状態の観察、体重と摂餌量の測定、血液学的検査、血液生化学的検査、尿検査、剖検、臓器重量測定、病理組織学的検査を実施しました。

 それではラットの試験結果から報告いたします。資料の174ページを御覧ください。がん原性試験における生存率のグラフをお示しております。生存率に関しては、雌雄共に対照群と投与群に差は見られませんでした。次に図2を御覧ください。こちらはがん原性試験における2年間の体重推移です。雌雄ともに200ppm群で、投与期間を通じて体重増加の抑制が見られました。

168ページ、一般状態の観察についても、被験物質の投与による影響と思われる症状は観察されませんでした。また、摂餌量についても、雄の200ppm群では、ほぼ投与期間を通じて低値を示し、雌の200ppm群でもやや低値で推移しました。

 剖検では、被験物質の影響と思われる所見の増加は認められませんでした。臓器重量では、雄の200ppm群で精巣の実重量と体重比の高値が見られ、雌では肝臓の実重量の低値が200ppm群。また、肝臓の実重量の低値が50ppm群で見られました。その他、対照群との間に差があった臓器はありましたが、搬出時体重の低値によるものあるいは投与濃度に対応していない変化でした。

 それでは、病理組織学的検査の結果です。まず、雄の結果は、172ページの表1、がん原性試験における主な腫瘍発生の表を示しております。御覧のように、腫瘍性病変に関して、被験物質の投与による腫瘍の発生増加は見られませんでした。169ページ、非腫瘍性病変については、鼻腔で呼吸上皮、嗅上皮に病変の増加が観察されました。呼吸上皮には、エオジン好性変化の発生匹数の増加が200ppm群で認められましたが、病変の程度はいずれも軽度でした。嗅上皮には上皮の萎縮の発生匹数の増加が200ppm群で認められましたが、この病変の程度もいずれも軽度でした。また、エオジン好性変化の発生匹数の増加と程度の増強が200ppm群で認められました。

 続きまして、雌の結果です。172ページ、腫瘍性病変に関して、被験物質の投与による腫瘍の発生増加は見られませんでした。 169ページ、非腫瘍性病変では雄と同様、鼻腔で呼吸上皮、嗅上皮に病変の増加が観察されました。呼吸上皮には、エオジン好性変化の発生匹数の増加が200ppm群で認められましたが、病変の程度はいずれも軽度でした。嗅上皮には上皮の萎縮の発生匹数が200ppm群で認められたものの、この病変の程度もいずれも軽軽度でした。また、エオジン好性変化の程度の増強が200ppm群で認められました。ラットに関しては以上です。

 引き続きマウスの結果について御報告いたします。176ページを御覧ください。がん原性試験におけるマウスの生存率を示しております。雄の投与群の生存率がやや低値になりました。グラフのポイントの○がコントロール群0ppm群になります。投与群の生存率がやや低値になりましたが、特定の死因は認められませんでした。雌では、生存率に少々ばらつきが見られましたが、大きな差は見られませんでした。

 次に図4を御覧ください。体重値は雄では400ppm群で、特に投与前半に増加の抑制が見られましたが、それ以降も対照群に比べやや低値で推移しました。雌でも400ppm群は、グラフでは少し分かりにくいのですが、対照群に比べやや低値であることが見られました。

170ページ、一般状態の観察については、被験物質の投与による影響と思われる症状は観察されませんでした。また、摂餌量でもやや低値が見られるようなことがありました。剖検では、被験物質の影響と思われる所見の増加は認められませんでした。臓器重量では、被験物質の影響と思われる影響は変化はありませんでしたが、対照群との間に差があった臓器がありましたが、搬出時体重の低値によるもの、あるいは投与濃度に対応していない変化でした。

 それでは病理組織学的変化です。まず、雄の結果については173ページの表3を御覧ください。腫瘍性病変に関して、被験物質の投与による腫瘍の発生増加は見られませんでした。なお、肝細胞腺腫と肝細胞癌を合わせた発生の増加が66ppm群で見られましたが、投与濃度に対応した発生を示さず、66ppm群で見られた肝細胞腺腫と肝細胞癌を合わせた発生は、ヒストリカルコントロールデータの範囲内であったことから、投与の影響とは考えませんでした。

170ページ、非腫瘍性病変については、鼻腔で嗅上皮と、その固有層の腺に病変の増加が観察されました。嗅上皮には、上皮の呼吸上皮化生と萎縮の発生匹数の増加が66ppm以上の群で認められました。また、固有層にある腺の呼吸上皮化生の発生匹数の増加が400ppm群で認められました。これらの病変のうち、嗅上皮と腺の呼吸上皮化生は400ppm群で程度の増強も見られました。

 次に雌の結果については173ページの表4を御覧ください。被験物質の投与による腫瘍の発生増加は見られませんでした。なお、肝臓の血管腫と血管肉腫を合わせた発生が、Peto検定で増加傾向が見られましたが、血管腫と血管肉腫を合わせた発生は、いずれもヒストリカルコントロールデータの範囲以内であったことから、投与の影響とは考えませんでした。

170ページ、非腫瘍性病変については、鼻腔で呼吸上皮、嗅上皮及びその固有層の腺に病変の増加が観察されました。嗅上皮には、上皮の呼吸上皮化生と萎縮の増加。また、固有層の腺には、呼吸上皮化生の増加が、それぞれ66ppm以上群で認められました。さらに呼吸上皮には、エオジン好性変化の発生匹数の増加が66ppm以上の群で認められました。これらの病変は、雄と同様でした。これらの病変のうち、嗅上皮と腺の呼吸上皮化生は400ppm群では程度の増強も見られました。以上のように、マウス、ラットの雌雄とも腫瘍の発生増加は認められず、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートのラット、マウスに対するがん原性はありませんでした。試験結果に関しては以上です。

○大前委員 どうもありがとうございました。こういう結果ですが、いかがですか。まとめの結論がマウス、ラットに対して腫瘍増加は認められなかったと、発がん性はなかったという結論ですが、いかがですか。

○西川委員 それで、いいと思います。1つ確認です。通しの169ページの真ん中辺りに、レベル2、ほかにもあったのですが、これは何を意味するのですか。

○梅田氏 病理の梅田です。このレベルの説明はこの中にはありませんが、レベル1が鼻腔の前方になります。2番目、3番目と3か所を切り出しており、その位置を示しております。

○西川委員 ですから、何か分かるような記載、追加をしないといけないのかなと思いました。

○大前委員 レベル2というのは、真ん中辺ということですね。

○梅田氏 そうです。ラット、マウスの鼻は長くなっていますので、前方から3か所切り出しております。表現の仕方、出し方を今後検討したいと思います。

○大前委員 ここは少し表現を変えてよろしくお願いします。

○梅田氏 はい。

○大前委員 そのほかはいかがですか。

○内山委員 がん原性については、全くこのとおりでいいと思います。少し教えていただきたいのですが、ラットでもマウスでも一番低い11ppm12ppmで、副腎や甲状腺、あるいは卵巣に多少重量比とか組織の変化が出て、ただこれを濃度依存性ではなかったと結論付けておりますが、少し気になるのは、いずれも内分泌系の臓器ということなので、これが意味があるのかどうか、どういうふうに考えたらいいのか、もし分かれば教えてください。

○大前委員 いかがでしょうか。内分泌系ということで一致しているということですが。

○梅田氏 この系統のネズミは比較的内分泌系の腫瘍も多く出まして、もともとコントロールでもばらつきが多いものですから、今回の結果の中で投与の影響とはっきり分かるものはありませんでした。

○内山委員 重量比だから、腫瘍とは関係ないのですか。重量比や甲状腺の細胞形成とか、これがちょっと腫瘍に関係がないのかもしれませんが、そういうことは全く無視していいと。投与依存性はないと。

○梅田氏 はい。今回は投与の影響と思われるものはありませんでした。

○大前委員 そのほかよろしいですか。そうしましたら、この物質に関しては、がん原性、発がん性は特にないということで、指針等公表するまでに至らないという結論でよろしいですか。

(異議なし)

○大前委員 ありがとうございました。それでは、また先生にお戻しします。

○名古屋座長 どうもありがとうございました。本当に申し訳ありません。議事進行が悪くて時間が過ぎてしまいましたが、資料5で今後の予定を事務局からよろしくお願いします。

○岸化学物質評価室長補佐 最後に「その他」、今後の予定については、資料5を御覧ください。次回のリスク評価検討会の合同部会については、11月ごろに第3回、12月ごろに第4回を予定しております。これは今年度よりリスク評価を前期、後期、年2回に分けて行います。これはばく露実態調査を年間を通じて行って、より効率よく数多くリスク評価をしたいということから行っているわけですが、そういう形でやり方を変えておりますので、次回は11月ごろにしたいと思います。また、近づきましたら日程調整の御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。

○名古屋座長 その前に、それぞれで小検討会がありますので、合同はこれです。またその辺のところもよろしくお願いいたします。時間が超過して申し訳ありませんでした。以上で、本日のリスク評価検討会を閉会させていただきます。どうもお疲れ様でした。ありがとうございました。

 


(了)

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