ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会> 第5回 がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会議事録(2014年6月23日)




2014年6月23日 第5回 がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会議事録

健康局がん対策・健康増進課

○日時

平成26年6月23日(月) 16:00~18:00


○場所

航空会館 701~702会議室(7階)
(東京都港区新橋1-18-1)


○議題

(1)がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する報告書素案について
(2)その他

○議事

○江副がん対策推進官 それでは、定刻より若干早うございますが、皆様御出席ですので、ただいまより第5回「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 初めに、本日の構成員の出欠状況でございますが、冒頭申し上げたとおり全員御出席ということでございます。

 それでは、以後の進行は堀田座長にお願いいたします。よろしくお願いします。

○堀田座長 皆様こんにちは。

 本日も大変御多忙のところ、全員お集まりいただきまして、ありがとうございます。この検討会は、私が幾つか関与させていただいた検討会の中でも出席率が最もいい検討会の一つだと思っております。皆様方の熱い思いのもと非常にいい議論を今までしてきていただいたと感謝いたします。本日も、どうぞよろしくお願いします。

 それでは、まず、事務局から資料の確認をお願いします。

○江副がん対策推進官 それでは、資料の御確認をお願いいたします。

 座席表、議事次第。

 資料1 がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会報告書(案)

 資料2 がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会報告(案)におけるキャッチフレーズについてのご意見

 参考資料1 「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」開催要綱

 参考資料2 がん患者・経験者の就労や就労支援に関する現状と取組

 参考資料3 がん患者・経験者の就労支援について

 資料に不足・落丁等ございましたら、事務局までお申し出ください。

○堀田座長 よろしいでしょうか。

 それでは、早速ですが、本日の議題に入りたいと思います。

 これまで皆様方にさまざまな角度からいろいろな御意見をいただきまして、事務局で資料1の報告書案という素案を整理していただきました。最初は、たたき台という形で皆様のところに御意見を伺ったと思いますが、その意見を反映させた上で、今回このような形で整理させていただいております。今回は、さらに追加の御意見等をいただきますけれども、意見がもしまとまりそうであれば、きょうで一通りのまとめにしたいと考えます。まだ課題が残れば、もう一回ということもあり得ますが、できれば本日でまとめる形で議論を進めてまいりたいと思います。

 まず、事務局から資料1「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会報告書(案)」について、説明をお願いします。

○事務局 では、資料1を御確認ください。ただいま堀田座長から御説明がありましたとおり、この検討会に先立ちまして、たたき台を委員の皆様方からお出しいただきまして、大変短い間でございましたが、いただいた御意見を反映させていただいたものが、この報告書案になります。

 2ページを御確認ください。こちらは、この報告書案の目次でございます。全部で6章になっておりまして、1章が「はじめに」。

 2章が「がん患者・経験者とその家族の就労におけるニーズ・課題について」、こちらは項目立てとしまして、()()となっております。

 3章は「がん患者・経験者とその家族の就労支援の取組」、こちらも()()の項目に分けて記載をしております。

 それから、前回第4回の本検討会におきまして、小児がん経験者の就労支援につきましては集中的に御議論をいただきましたので、4章で「小児がん経験者の就労支援」ということで章を立てております。

 5章は「その他」ということで、こちらも()()を立てております。

 6章が「おわりに」という形でまとめさせていただいております。

 それでは、早速ですが、3ページ「1.はじめに」をごらんください。

 我が国では、毎年20歳から64歳までの約22万人ががんに罹患し、約7万人ががんで死亡していること。がん患者・経験者の中にも長期生存し、社会で活躍している者が増えつつあると。

 このような現状を踏まえ、平成24年6月に閣議決定された、がん対策推進基本計画では、全体目標に「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」が新たに加えられ、重点課題として「働く世代へのがん対策の充実」が位置づけられるとともに、がん以外の患者へも配慮しつつ、がん患者・経験者の就労に関するニーズや課題を3年以内に明らかにした上で、がんになっても安心して働き暮らせる社会の構築が目標とされております。

 こうしたことを踏まえ、平成26年2月、厚生労働省健康局に「がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会」を設置し、省内関係部局協力のもと、構成員や参考人によるヒアリングを行い、それぞれの側から見たニーズ・課題を整理し、今後取り組むべき方策についてとりまとめております。

 先ほど冒頭申し上げたとおり、小児がん経験者の就労支援については、章を改めてとりまとめております。

 4ページ、第2章です。こちらでは、これまでの検討会におきましていただいた御意見、さらに資料等の数値等を具体的に記載しております。

 1つ目では、男性が約60%、女性の約45%が生涯でがんにかかると。言いかえれば、国民の2人に1人ががんになる時代と。

 さらに、がんの早期発見と治療法の進歩とともに、我が国の全がんの5年相対生存率は53.2%から58.6%と確実に改善傾向にあるということを記載しております。

 4つ目ですが、厚生労働省においては、これまでがん患者等に対する主な就労支援施策として、職業安定局では、ハローワークにおいて提供している就職支援メニューのがん患者への活用の促進。健康局では、がん医療の均てん化を目指し整備された、がん診療連携拠点病院における就労相談。労働基準局安全衛生部では、事業場における就労継続支援に関する留意事項の作成。それから、労働基準局労災補償部では、がんに対する職場の理解やがん罹患勤労者に対する就労支援等の実態を明らかにするための産業医や主治医や企業等への実態把握調査等々を行ってきております。

 5ページをごらんください。今後さらに推進するために、まず、現状におけるニーズ・課題を明らかにする必要があると。

 検討会においては、1がん患者・経験者とその家族、2医療機関、3企業の大きく3つのステークホルダーの役割に主眼を置きまして、それぞれから見たニーズ・課題について既存の文献や検討会における意見をもとに整理を行っております。

 「()がん患者とその家族側からみたニーズ・課題について」ということで「ア 心身の状況に関すること」では、がんの種類や、その進行度によって症状はさまざまである。

 さらに、手術、放射線治療、薬物療法等々の治療法に伴う症状や、その影響の期間もさまざまであること。

 さらに、がんそのものによる症状に加えて、がんに対する治療に伴う身体的な問題や、がんにかかったことによって心理的な問題が生じると。

 さらに、所属企業の同僚に迷惑がかかり申しわけないといったことが挙げられております。

 「イ 情報・理解に関すること」では、そもそもがん患者は、がんになって初めてその病状や治療法について知ることが多い。がんの病床の進展や、今後の治療スケジュール、治療に起因する合併症等により自分の仕事にどのような影響が出るのか予想できないことが多い。就労への影響を含めた今後の見通しなどを容易に説明を受けにくい。

 さらに、病状を踏まえた就労に関する相談先がわからない。

 さらには、情報を受けたとしても、企業への伝え方がわからず、性急に仕事を辞めて治療に専念するという決断をしてしまうこともあるということが挙げられております。

 「ウ 医療に関すること」では、医療機関においては、就労に関する相談体制が整っていない場合や、そのような体制があっても相談支援を行う者の就労やがんに関する知識・理解が不足している場合がある。

 また、診療時間が平日昼間に限られる、医療の提供体制が、患者が治療を最優先することを前提としており、就労を犠牲にせざるを得ない状況になるといったことが挙げられております。

 「エ 企業に関すること」では、上司、同僚及び人事労務担当者の、がんやその治療に関する知識・理解が不足している。

 また、時間単位や半日単位の休暇制度、短時間勤務制度など利用可能な企業もあるが、一方で、そのような休暇制度、勤務制度の導入など、柔軟な雇用管理の取り組みが十分に普及していない企業もある。

 求職者も、採用やキャリア等への影響を懸念し、病名を正直に伝えられないことがあるということが挙げられております。

 「オ 社会経済的な課題」としましては、まず、就労形態の変化に伴い収入が低下をすること。

 また、傷病手当金などは、現在の治療形態に十分に対応していない。

 さらに、がん患者の看病に関して、育児・介護休業制度では、末期のがん患者の場合が対象とされており、家族が就労を続けるための制度としては十分とは言えないという点。

 また、雇用者の4割を占める非正規雇用労働者では、雇止めの不安があり、休暇制度の利用に消極的であることや、社内の関係する制度が正社員に比べ適用しにくいとの指摘もありました。

 以上が、がん患者とその家族側から見たニーズ・課題です。

 続きまして「()医療機関側からみたニーズ・課題について」です。

 がん患者の治療専念を最優先に考えることから、対応する十分な時間が確保することが困難な場合があると。さらに、患者の就労のニーズに気づけないことも多い。

 外来から入院治療及び治療後の通院中いったさまざまな場面において、就業のニーズを意識した治療方針の説明が行えていない。

 さらに、医療機関と患者の所属する企業等との情報共有の仕組みが不十分である。言いかえると、医療機関に対するカウンターパートが十分に確保されていないといった意見が指摘されております。

 「()企業側からみたニーズ・課題について」。

 「ア がんに対する認識」。がんは原則、私傷病であることから、業務上疾病と違って会社責任で手厚い対応をとることが難しい。

 「イ がん患者の就業上の取り扱い」では、がん患者を特別な扱いをすることは、企業としては難しい。具体的には、上司・同僚等の負担が増大する場合や、がん患者への配慮が不公平感を招く場合がある。

 さらに、企業や同僚の疾病に関する理解や配慮を得るための患者自身の姿勢やコミュニケーションが不十分な場合もあるといった指摘でございました。

 「ウ 相談・情報提供」では、人事労務担当者、上司、同僚など職場における「がん」に対する知識が不足している。また、がん患者のプライバシーの問題もあって、企業側が病名や病状等を把握することが難しい場合がある。

 患者のことを考えたつもりで「治るまでゆっくり休むよう」と伝えることが、治療中の患者から見ると、治療継続中には復帰できないと考える要因ともなっていることが指摘されております。

 また、他社の企業がどのような取り組みを行っているのか、先進的な事例についての情報共有が十分ではないといったことが挙げられております。

 「エ 産業保健スタッフによる相談支援体制」では、労働者の同意のもとに主治医から産業保健スタッフへの診療情報の提供がなされることが有効と考えられるが、十分な評価がないことや、その内容が不十分な場合があり、余り普及していないこと。

 さらに、産業保健スタッフの配置がない小規模の企業においては、どこに相談していいのかわからない状況といったことが挙げられております。

 「オ 企業経営的な負担」ということで、がん患者が治療のために休職した場合においても、企業側は社会保険料を負担し続けなければならず、がん患者の雇用継続に対して積極的になれない経営的な負担があるといったことが企業側から挙げられております。

 「()その他」です。

 「ア 国民のがんに対する認識」です。こちらでは、がんはまれに起こる病気で、治りにくい病気であると誤解されていることから、がん患者の就労の可能性が実際よりも低く評価される一因となっている。

 こうした要因としては、体系的にがんについて教育を受ける機会や、がんについて知識を得る機会が必ずしも十分ではないことが挙げられる。

 「イ 活用可能な制度の理解」ということで、既存のさまざまな制度がございますが、周知が不十分であり、十分に活用できていないとの意見がありました。

 ここまでがニーズ・課題についてです。

11ページ以降が「3.がん患者・経験者とその家族の就労支援の取組」ということで、かん患者・経験者を含め、さまざまな関係者が積極的に連携しつつ、取り組む必要があると。

 がん患者・経験者の治療と職業生活の両立を支えるための地域における3つの拠点として、1がん診療連携拠点病院、2がん患者・経験者を雇用する企業、3ハローワーク等雇用・労働関係機関を取り上げた。

 これらの関係者・機関が有機的かつ積極的な連携のもと、がん患者・経験者の就労支援に関する取り組みを牽引していくことが重要であると。

 関連する子育てと職業生活の両立支援、介護と職業生活の両立支援などとも連携を行い、官民の役割を生かし合った働きやすい社会風土の醸成が求められるといったことが挙げられております。

 そのほかに「()がん診療連携拠点病院」です。このがん診療連携拠点病院では、我が国のがん患者の約7割が診療を受けているということを踏まえまして、がん患者・経験者の就労支援の取り組みが積極的に行われることは非常に重要である。

 まず具体的には、「ア がん患者に伝える取組」としまして、患者は、がんの告知時等において仕事の継続が難しく、今すぐ辞めて治療に専念する必要があると考えてしまうこともあるため、主治医が病状を考慮した上で「今すぐに仕事を辞める必要はない」旨の一言を伝える必要がある。

 このため、問診票等の活用により、事前にがん患者の就労におけるニーズを確認した上で、患者の希望に応じて「勤務先の産業保健スタッフ、人事管理担当者、職場の上司と連絡をとることができる」旨を加えて伝えることも重要である。

 「イ がん患者等に治療や副作用の見通しを明確に伝える取り組み」としまして、今後の治療の見通し及び起こり得る副作用とその対応等を書面等を用いて明確に説明を行い、今後の仕事との両立について患者自身が把握し、企業等に対して自身で適切に説明できるようにすることも重要である。

 「ウ 就労に配慮したがん診療の取組」としまして、診療従事者の過度な業務負担にならないよう配慮し、地域の医療機関との連携や、医師のシフト勤務制の導入等の医療者の負担軽減策の試行と評価等を行いつつ、平日夜間あるいは定期的な土曜・休日における外来化学療法や放射線治療などの就労に配慮したがん医療の取り組みの実施が求められるといったことが挙げられております。

 「エ 就労に関する相談支援・情報提供体制の整備」としまして、2つ目ですが、がん拠点病院においては、就労に関する知識を有する専門家による相談対応を行っており、こういった相談体制を構築していく必要がある。

 さらに、拠点病院においては、相談支援センターの業務をがん患者及びその家族に対してわかりやすく伝えるように周知を徹底することが求められる。また、地域で活動しているがん患者会等との連携を行うことも重要であるとしております。

 「オ 治療による外見変化に対する対応」として、がんの治療による外見の変化は、就労意欲にも影響することから、外見支援の専門スタッフやウィッグ等の利用に関する支援が望まれる。

 「カ 診療従事者等の就労支援に関する知識・スキルの向上・研修会の実施」ということで、こういった取り組みを踏まえて人材育成、さらに、関係者が一堂に会して情報交換や課題及び好事例の共有等を行う場を整備し、それぞれのスキルの向上を図る必要があるとしております。

 「キ 国立がん研究センター等」で、国立がん研究センター中央病院及び東病院は、これまでがん医療提供の先駆的施設であることから、3の()のア~カの取り組みを積極的に行い、かつ、その内容を広く周知することが求められる。

 がん拠点病院以外の医療機関においても、がん拠点病院の取り組みを参考にしながら、地域の実情に応じた取り組みを行うことが望ましいとしております。

 ここまでが医療機関における取り組みです。

 「()がん患者・経験者を雇用する企業」についてです。

 「ア 企業において取り組む事項」の「()がん患者・経験者への基本認識」。がん患者・経験者の支援においては、企業における人材活用の視点を持ち、個々の能力及び経験を踏まえた対応を行うことが求められる。

 「()がん患者・経験者との今後の方針の共有」として、がん患者・経験者と情報を共有し、社内で何ができるのかを明確にすることが求められる。

 さらに、がん患者は医療機関から受けた情報を企業に説明し、自身の病状に応じて、自分ができることを明確に伝えることが求められる。

 治療や健診受診のため時間単位や半日単位の休暇制度、短時間勤務制度の導入等について検討を行うことが望ましいとしております。

 「()企業への「がん」についての普及啓発」ですが、こちらは企業において人事労務担当者、上司及び同僚など、がん患者・経験者が働く上で密接に関わる者に対して、がんについて正しい知識を身につけることを目的とした社内広報誌等の活用、研修や講演等を実施することが重要である。

 さらに、好事例の共有等を通して、企業に対する普及啓発をより一層進めていくことが求められるとしております。

 「()企業におけるがんの予防対策の推進」ですが、企業においてがん検診の受診を推奨し、受動喫煙防止対策に努めるなど、日ごろから従業員のがんの予防・早期発見に取り組む必要があるとしております。

 イとウは、産業医と産業保健スタッフが配置されている企業と配置されていない企業とでは取り組みが違うという御指摘を受けておりますので、分けて整理を行っております。

 まず、「イ 産業医等産業保健スタッフが配置されている企業」においては、産業保健スタッフが企業内におけるがん患者・経験者の就労上の相談を受け、本人が治療と仕事を両立できるよう本人及び関係者に対し、就業上配慮すべき事項に関する助言を行うことが求められる。

 その際には、産業保健スタッフは、情報の取り扱いについて十分配慮が必要であるということ。さらに、就業及び通勤上配慮が必要な事項について書面で連絡するなどが御意見としてありました。

 また、4つ目ですが、職場復帰後もフォローアップを行い、就業上配慮すべき事項の見直しなどを適宜、人事労務担当者に助言することが求められる。

 一方で「ウ 産業医等産業保健スタッフが配置されていない企業」におきましては、がん患者・経験者が企業において相談できるよう、産業保健総合支援センターの地域窓口である地域産業保健センターにおける相談支援体制の活用が求められるとしております。

 また、事業主や人事労務担当者は社員との面談を行うなどの顔の見える関係を構築することや、研修、講演等を通したがんに関する知識獲得、好事例の理解・吸収が求められる。

 こうした取り組みを推進するため、産業保健総合支援センター等における事業所からの相談への対応や情報提供とその周知が求められるとしております。

 「()ハローワーク等雇用・労働関係機関」です。

 「()長期にわたる治療等が必要な疾病をもつ求職者に対する就職支援モデル事業」ということで、平成25年度よりハローワークに就職支援ナビゲーターを配置しております。こちらも今後もがん患者等の就職支援をさらに推進するため、モデル事業のさらなる拡充が求められます。

 さらに、得られた就職支援に関するノウハウ・知見をもとに、がん患者・経験者等に対する就職支援を充実していくことが望まれます。

 「()就職支援メニューの活用」で、ハローワーク等では、小児がん経験者等の就職が困難な方が活用可能な就職支援メニュー(チーム支援、トライアル雇用奨励金、職場適応援助者(ジョブコーチ)支援制度、特定求職者雇用開発助成金等)があり、こういった制度の一層の活用が求められる。

 さらに「()ハローワーク等における取組の周知の強化」ということで、このようなハローワーク等での取り組みについても、より一層の周知が求められるとしております。

 「イ 独立行政法人労働者健康福祉機構」で、労災病院及び併設する職場復帰及び治療を行いながら就労を継続するための支援を行う治療就労両立支援センター、各都道府県に1カ所配置の産業保健総合支援センター、その地域窓口としての地域産業保健センターがある。

 このうち地域就労両立支援センターにおいては、医療機関向けの支援マニュアルを作成していくことと。

 各都道府県の産業保健総合支援センターでは、研修・相談により産業保健スタッフを支援すること。

 さらに、地域窓口としての地域産業保健センターでは、主に労働者数50人未満の事業場の支援として、相談対応、医師などによる職場巡視などの個別訪問指導、産業保健に関する情報提供等を行っているため、今後もこのような取り組みの周知をより強化し、産業保健スタッフの配置のない企業への支援をより積極的に行うことが求められるとしております。

18ページからは「4.小児がん経験者の就労支援」です。前回、御議論いただきましたとおり、小児がん経験者につきましては、成人発症のがんと異なる面があると。その中の一つとして、がんそのものからの影響や薬物療法、放射線治療などの治療によって生じる合併症である晩期合併症があるといったことが指摘されております。

 また、成長発達期に治療を受けることで、コミュニケーション力を身につける環境が十分でないこと、さらに、小児がん経験者に対する就労支援や就学支援が不十分であること。

 さらに、小児がん経験者の親が治療を通して保護すべき存在として過度に意識をすることが自立を阻害する一因となることがあるということ。

 また、小児がんの親世代においては、世代年齢が若いことから離職につながるケースがあり、家族の就労支援も必要であることが指摘されております。

19ページからは「()小児がん経験者への取組」としまして、まず「ア 小児がん拠点病院等」ということで、小児がん拠点病院における相談支援センターにおいて、がん患者及びその家族の療養上の悩みや心理的な支援等が求められている。

 また、小児がんの患者会等との連携により、小児がん経験者の就労支援を行うことが望ましいとしております。

 「イ 企業」では、小児がん経験者に対しても、成人発症のがんと異なる面に配慮し、3の()「がん患者・経験者を雇用する企業」の取り組みを行うことが求められる。

 「ウ ハローワーク」では、病状やニーズを踏まえた就職支援メニューや制度を活用するなどにより、企業とのマッチングを効果的に行うためのノウハウの蓄積や、これを円滑に行うための体制の整備が求められるとしております。

 「エ その他」として「()小児がんに関する普及啓発」「()障害者手帳の取得」ということで、障害者手帳を取得可能な小児がん患者及び経験者については、障害者手帳により受けられる福祉サービス等の利点をより一層周知し、制度を活用することが重要である。

 「()自立支援」では、本国会で成立した児童福祉法の一部を改正する法律において、新たに小児慢性特定疾病児童等自立支援事業が法定化されることから、こうした事業を活用して、相談支援や就職支援などの自立支援を強化していくことが求められる。

 また、患者会やNPO法人等と連携し、ピアサポートや試行的就業訓練、子どもの自立への妨げにならないような親の意識づけなどの取り組みを進めていくことが望ましいとしております。

 「5.その他」です。「()国民の理解」ということで、国民はがんについて正しく理解し、自身の適切な健康管理及びがん予防や早期発見につながる行動変容に努めることが重要である。そのため、例えば、がんに関する情報は、適宜更新された国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス等の信頼性の高いがんについての情報サイトや、がん関連の患者会及び各学会の市民公開講座を活用することが求められる。

 国民が、がんについて理解する取り組みを続けていくことにより、がんになっても病状や治療内容によっては、治療と両立しながら働くことができるといった社会風土の醸成が期待されるとしております。

 「()国の取組」としましては、がん対策推進基本計画に基づき、がん対策協議会等の御議論等も踏まえ、各施策を実施しております。

 その中で、国民への普及啓発に関しては、2期目のがん対策推進基本計画で新たに位置づけられたがん教育で、学校教育のあり方についての検討や、地域の実情を踏まえた事業の実施が求められています。

 また、がん患者・経験者の就労支援について積極的に取り組む企業を表彰すること。

 さらに、正規雇用・非正規雇用等も含めたがん患者の就労状況について、引き続き実態調査を行い、求められる方策に取り組むこと。

 さらに、がん患者・経験者が就労可能な状態かを評価し、適切な対応が行われるように、関係者の共同のもと評価や対応に当たってのツール等を研究・作成し、関係者間で活用することが望ましいとしております。

 「()関係者の連携の促進」ということで、これまでさまざまな取り組む主体が出てきておりますが、こういった関係者及び主体の連携により、がん患者を中心として就労支援をさらに推進していくことが求められるということ。

 さらに、公益社団法人日本医師会は、独立行政法人労働者健康福祉機構と連携を図り、産業保健総合支援センター等での産業医や保健師等の産業保健スタッフを対象とした研修、さらに、日本医師会認定産業医制度の産業医学研修会として開催できるようにすることにより、産業医への普及啓発に協力する。

 公益社団法人日本看護協会は、がん医療に携わる医療機関等の看護職を対象に研修を開催し、看護の質の向上を図っている。実態調査に基づく企業や産業保健総合支援センター等での支援体制の整備に向けた提言や、産業分野に携わる保健師のリーダー研修を実施する等、人材育成に取り組んでいると。こうした取り組みを引き続き行うことに加え、病院から在宅を含む地域全体まで医療機関の看護職と保健指導が連携し、切れ目なくがん患者・経験者の就労支援を行う仕組みづくりに向けた活動を推進することが求められます。

 また、がん患者・経験者に対する就労支援にかかわるノウハウの共有のために、関係者の一層の連携が求められるということ。

 さらに、主治医が治療上必要と認めた場合、がん患者・経験者の治療と職業生活の両立支援に関する産業保健スタッフへの情報提供を評価する体制の整備が必要である。

 また、関連する課題として、がん患者の介護を行う家族への支援も重要であり、例えば、末期がん患者の介護認定の迅速化等が行えるような対応が求められる。

 以上のような関係者間の連携が実効性あるものとなるよう、必要な人員・人材配置や連携の仕組みづくりが求められるとしております。

 「6.おわりに」ということで、がんは国民の2人に1人が生涯でかかる可能性がある病気である一方、その生存率も確実に改善してきていることから、がんを経験しながらも、いかに自分らしく誇りを持って働ける社会を構築できるかが問われています。

 検討会では、診療従事者や企業及びがん患者の有識者が、関連部局における横断的な事務局体制のもと、がん患者・経験者の就労支援について検討を行っています。

 がんを初めとした病気を抱える者が、新しい日常生活を発見し、いかに自分らしく生き生きと働くことができるかという課題は、本人や家族によって重要であることはもちろん、そのような働き方を受け入れ、活用することは企業にとっても意義がある。

 こうしたがん患者・経験者の就労支援対策を進めていくことにより、ひいては病気になっても安心して暮らせる社会の構築につなげていくことが期待されるとしております。

 これまでいただいた御意見を踏まえて、このように修文しております。また、追加等の御意見があれば、ぜひ御発表いただければと思います。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございます。

 このような形で事務局を中心に報告書の案をまとめていただきました。これまでの検討会でいろいろ議論したことが、ほぼ網羅されていると思いますけれども、改めて足りない部分や、あるいは修正すべきというような御意見がありましたら、ご指摘いただきまして、ブラッシュアップしたいと思います。

 議論の仕方といたしましては、全体のたてつけについてはこれでいいかどうかについて、まず御意見をいただいて、それから2つほどに区切って御意見を賜りたいのですが、全体の流れとしてはこれでいいでしょうか。まず、「はじめに」があって、ニーズ・課題があって、それに対する取り組みがあって、小児は別立てにしているといった大きなくくりにしてございますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○堀田座長 そうしますと、「1.はじめに」と「2.がん患者・経験者とその家族の就労におけるニーズ・課題について」「3.がん患者・経験者とその家族の就労支援の取組」について、まず御意見をいただきたいと思います。賛同の御意見でも構いませんが、何か気づかれるところがありましたら、よろしくお願いします。

 まず、皮切りにどなたか御発言いただけますか。桜井構成員どうぞ。

○桜井構成員 皮切りかどうかわからないですが、本当に細かいところまで拾っていただけて、ありがたいなと思っております。言い過ぎたかなというところまで全て書き込まれておりますので、ありがたいなと思っております。

 あと、細かいところとして、ニュアンスとして思うところが幾つかありますので、ページに準じて意見を言っていこうかなと思います。

 まず最初に、9ページの1つ目ですが、検討会の中でも議論になって、病状や病名等々をどういうふうに企業側と医療機関と患者が共有していくかというような部分になるかと思いますけれども、これは多分、病名や病状を企業側が入手したとしても、判断できる方というのが非常に少ないということも課題に挙がっております。大切なことというのは、病名や病状と同時に、「就労上配慮すべき事項を把握する」というようなことがとても大切なのではないかと思いますので、ぜひ「配慮事項を共有する」というような言葉を入れていただければいいなと思います。

 関連して、11ページの一番下ですけれども「このため、問診票等の活用により」の中も、多分必要なことというのは、連絡をとることと同時に職務上の配慮事項を共有するということが、病名を知ることよりも大切なのかなと私個人的には思っているところです。

 それから、13ページにいきまして「オ 治療による外見変化に対する対応」、アピアランスに関する部分ですけれども、これはウィッグ等の利用に関する支援だけではなくて、できれば「一時的な職務の変更」ということも場合によっては必要になるケースがございます。髪の毛よりも眉毛がなくなったり、まつげがなくなったりというほうが容姿がすごく変わるんです。それから、例えば、手足症候群とかですと爪や皮膚がというようなことが出てきて、営業やいわゆる接客業をされている方等々、その症状が出ている間はウィッグ等々の利用だけでは済まないケースもあり得ますので、ぜひ、できれば対応の中として「職務移行の相談」とかそういう言葉も入れていただけると非常にありがたいなと思います。

 それから「キ 国立がん研究センター等」がありますけれども、ここの部分で1つ目の丸印に関連して、国立がん研究センターがこういう情報発信をするのであれば、国がやるのか、国がんがやるのかわからないのですけれども、がん登録等々との連携ということも考えられていくのかなと思っております。

 ここにMEPSというものがあるのですけれども、きょう持ってきたのですけれども、これは米国でやっているものです。がん登録等と連携して、その人の社会的状況がどうなっているのかを全て法に守られた中でやっている登録資料になります。先々週行われたアメリカのASCO等々でも、ケモブレインと離職の話ですとか、手先のしびれと離職ですとか、通院頻度と離職といった臨床的な症状と、それから、就労の状況、収入の状況を客観的にエビデンスを出していくことは、がん研究においてすごく重要な部分だと思っています。サバイバーシップの「研究」という部門において、ぜひ、こういう将来的な法制度改正につながるようなデータをたくさん出していってほしい。学会でも日本の初のサバイバーシップ研究のデータをもっともっと出していってほしいと思っておりますので、何かビッグデータにつながるような登録も、国立がん研究センターで行うのであればぜひ盛り込んで、取り組んでいただきたいなと思います。

 米国ではペイシェントライクミーというようなネット上の取り組みもありますけれども、そのレベルにとどまらず、国が公費を投ずるのであればもっと深いところまでやっていただきたいなというのが一患者としての期待になります。

 それから、16ページ()のハローワークの部分になるのですけれども、病院の中にハローワークが入ってくるというのは本当に画期的な取り組みだなと私個人は思っております。今回の検討会の中でも課題になっていますが、今、本当に働き方が変わってきていて、4割は非正規雇用の方になっております。あと、個人事業主の方もいらっしゃるわけで、こういう方たちが救われるような支援、届ける支援を考えて行く上で、このハローワークの位置づけというのはかなり重要になってきますので、ぜひハローワークの部分では非正規雇用の方への相談支援や対応、それから、個人事業主の方は商工会議所等々もあるかと思いますけれども、こういったところも連携する労働関係機関として挙げていただけると助かるなと思います。

 また、昨今がん拠点病院等々でもピアサポーターが非常に活躍しておりますので、こういう企業内にピアサポーターがいたり、あるいは退職して一番最初に向かうような場所にピアサポーターというような方がいてもいいのかなということも感じているところです。

 3番までに関しては以上になります。ありがとうございます。

○堀田座長 ありがとうございました。貴重な御意見をいただきました。

 全国がん登録に関しましては、がん研究センターが行うのは、あくまでがんのデータベースをつくる事務作業の担当をしているのであって、これをどう活用するかはまた別のところで議論しなければいけないことではあります。御意見は十分に尊重して、今後せっかくのビッグデータをどう有効に使っていくのかということは議論の対象だと思います。

 そのほか御意見いかがでしょうか。宮本構成員お願いします。

○宮本構成員 非常によい報告書案になっているなと思って拝見しておりました。

11ページの一番下の「産業保健スタッフ、人事労務担当者、職場の上司と連絡をとることができる旨を伝える」という大変ありがたい書きぶりだなと思っております。このもとがどこに課題が出ているかなと思っていたのですが、ちょっとその課題の記載が弱いかなと思いました。8ページに書かれているように「医療機関に対するカウンターパートが十分に確保されていない」、これはそのとおりだと思いますし、9ページにも書いてあるように企業側も周知が足らないというのもあるかと思いますが、一方で、主治医の先生たちが産業医や保健師等の有無を聞いていない、あるいは上司等の支援の有無を聞いていないということもあるかと思いました。やんわりとでも結構なのですが、主治医側の先生たちもそういった既存のリソースを生かすようなことを、今時点では余りうまくできていないということを課題の部分の8ページの(2)の一番後ろに少し書いていただけるとよろしいかなと思った次第です。

○堀田座長 ありがとうございます。

 そのほか御意見ございますか。高橋構成員どうぞ。

○高橋構成員 たたき台を拝見しまして、私の意見は参考資料3にまとめて提出させていただいたのですが、とても細かいところまで御検討いただきまして、ありがとうございました。

12ページの「ウ 就労に配慮したがん診療の取組」というところですが、「平日夜間あるいは定期的な土曜・休日における外来化学療法や放射線治療などの就労に配慮したがん医療の取組の実施が求められる」、これも本当にそのとおりだと思います。ここは単なる時間拡大ではなくて、仕事のために夜しか来られない方向けであるということをきちんと明らかにしなくてはいけないと思います。さもないと、昼間に来られる方も夜来てしまって、本来夜しか来られない方の時間を奪ってしまうということもあり得ると思いました。

○堀田座長 確かにそうですね。夜間外来を使う人は基本的に就労者にしてほしいですよね。昼間来られるけれども、夜に涼しいから来るというのではなくて。

 ただ、一方で、聖路加国際病院の山内先生が土曜日に外来を開けた場合に、就労者に対して土曜日が開いているのだから、土曜日に通院するようにと言って、逆に不利な条件になるということも心配されていましたので、その辺も少し書きぶりの中にあるといいのかもしれないですね。これはあくまで就労者が自ら選択するオプションの一つであって、押しつけるものでは決してないということですね。

 いかがでしょうか。伊藤構成員どうぞ。

○伊藤構成員 これまでに私の申し上げたことや、その後、文書でも意見を出させていただいたことまで取り上げていただいて、およそ反映していただいたことに本当に感謝いたします。

 私はこの検討会で、7ページの「オ 社会経済的な課題」にあります非正規雇用労働者が増えているということについて、きちんと就業上の配慮措置などがとられて、非正規においても両立ができないといけないということを繰り返し述べさせていただいたつもりです。

 7ページのオの4つ目は、大分書き直していただいたとは思うのですが、依然として「雇用者の4割を占める非正規雇用労働者では、柔軟な働き方をしやすいとのメリットが考えられる」と、やはりポジティブな評価をされているのだと思います。そういう面があるということは否定しませんけれども、我々が問題視しているのは、不本意非正規という、自ら望んで非正規雇用となっている人ばかりでない、むしろ、そうでない人のほうが多いということをまず頭に置いた上での検討が必要だということです。そういう意味では、今の部分について、若干、不本意非正規の実情について書いていただくか、あるいは4ページの最初のところ、患者数や生存率、退職の状況について説明されている部分ですが、こういったところに雇用の状況が変わっているということや、今回の検討には自営業も入るのでしょうから、就労に係る今日的な状況について書いていただくということが重要だと考えます。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございました。

 このあたりは誤解を招かないように表現を確かにする必要があって、柔軟な働き方ができるので非正規雇用のほうがいいんだという口調ではないようににはしたいと思います。

 そのほか、いかがでしょうか。櫻井構成員どうぞ。

○櫻井構成員 私は、この検討会を「がん」という言葉をキーワードにして、人の雇用について非常に学ばせていただいた会だったなと個人的には思っています。従業員の雇用をどう守るかとか、雇用をどうつくるかということも含めて勉強させていただいたと思っています。

13ページの「キ 国立がん研究センター等」で挙げられております、これまでの支援では、がんとともに生きるサイトや、がんとともに働く・知る・伝えるという今度スタートされるホームページなども指していらっしゃるのかなと思って見させていただきました。

 あとは、17ページのあたりですが、産業保健総合支援センター、それから、産業保健スタッフ、そして地域産業保健センター、こういうふうに流れてくる支援してくださるこういった取り組みの流れも勉強させていただきました。でも、情報もここにあっていいものがあっても、あるいは支援もそこにあっていいものがあっても、私たち経営者が知ることがなければ本当に使うことができないわけで、私たち経営者が知ること、人事の人たちが知ることという取り組みについて、もっともっと深く考えて話し合っていきたいというのが私の感想です。

○堀田座長 ありがとうございました。

 私も、この会に出てから知ったことが結構あるんですね。制度や施策が実際にあってもそれがうまく活用されていないとか、周知されていないという部分が結構あるのです。せっかくのものをいかに国民の皆様に、あるいはがんになる前からある程度の情報がきちんと入っていないと、恐らくがんになって頭が真っ白になったときに、そういうことまではなかなか考えられなくて仕事も辞めてしまうということもあると思います。今の御指摘は大変重要だと思います。ありがとうございます。

 そのほかございますか。道永構成員どうぞ。

○道永構成員 全体的には非常によくまとまっておりましていいと思いますが、本当に細かいことで申しわけないのですけれども、「診療従事者」という言葉がちょっと気になりまして、普通は「医療従事者」ではないかと思っています。

 あと、5ページで心身の状況に関することの2つ目の○ですが、たたき台の中では「薬物療法」ではなく「化学療法」と書いてありました。ここが薬物療法に変わっておりまして、その後ずっと「外来化学療法」で、「薬物療法」という言葉がここしかないので、ちょっと違和感があるように思います。

 あとは、医療サイドから言って余りにもきついのかなと思ったところがありまして、7ページの下から5行目です「対応する十分な時間を確保することが困難な場合があり、患者の就労のニーズに気付けない」と断言しているので、「気付くことが難しい」ぐらいにしていただければと思います。

 あと8ページの1行目ですが、「就労に関わる情報を把握しておらず」ではなく、やはりここも「把握することが難しく」。

 あと、ずっと「就労」という言葉を使っているので、3行目は「就業」ではなく「就労」かなと思いました。

 あとは、「十分に行えていない」ではなく「状況がある」とか「現状がある」という表現にしていただければと思いました。

 本当に細かいことで申しわけないのですけれども、12ページの「イ がん患者等に治療や副作用の見通しを明確に伝える取り組み」の1行目です。「本人の希望に応じて職場を持った者としての観点」というのは「仕事」とか「職業」なのかなと思いました。4行目は「今後の仕事との両立について」となっているので、ここで合わせるのだったら「仕事」かと思います。

 あと、「エ 就労に関する相談支援・情報提供体制の整備」で、「就労の専門家」という言葉が、最後まで読めばわかるのですが、ちょっとわかりにくいと思います。2つ目の○の「がん拠点病院においては、就労に関する知識を有する専門家」と書いてあるので、ここに統一していただければと思います。

 あと、何カ所か同じような言い回しが出てくるので、そこは変えていただければと思いました。

 以上です。

○堀田座長 細部にわたって見ていただきまして、ありがとうございます。

 湯澤構成員、お願いします。

○湯澤構成員 本当によくおまとめいただいて、ありがとうございました。

 私どもでたたき台をいただいたときに、1つ追加していただきたいというところがありまして、14ページの「ア 企業において取り組む事項」の「()がん患者・経験者への基本認識」というところです。がん患者・経験者への治療支援であるとか、継続雇用というところはもちろんではあるのですが、企業としてもっと前向きにというか、人材活用と、企業の一員として働いていただくのだというような視点を持って、対応いただくということはとても重要かなと思ってつけ加えていただきました。やはり、お助けするとか保護するというよりは、社会全体としてその方の経験をぜひ生かしていただきたい。これは企業だけではなくてハローワークでもそうでしょうし、その方のこれまでの実績をぜひ見ていただきたいなと思っております。

○堀田座長 ありがとうございました。とても重要な視点だと思います。がんになって就労する人が保護されるというよりも、能力をどれだけ生かせるかという視点で、人材は宝だということは共有できることが大切だと思います。ありがとうございます。

 川本構成員お願いします。

○川本構成員 いろいろまとめていただいて、ありがとうございます。私ども事前に意見を述べさせていただいて、全ていろいろ御配慮いただきまして、ありがとうございます。

 私どもが1点気になっていることとして、産業保健師の数が足りないという意見を述べさせていただきました。15ページで産業保健スタッフが配属されている企業、配属されていない企業ということで、現実このような問題がありますので分けて書かれていると思います。いかに人材を充実させていくかが重要と考えています。産業保健総合支援センターという役割が非常に重要になってくると思いますが、そこに十分なスタッフ等がまだ整備されていない状況がございます。ここの充実を一層図っていただきたいということも、もし加えていただけるよう、お願いしたいと考えております。よろしくお願いします。

○堀田座長 この点は、先ほどの日本看護協会のところに直接書く必要がありますか。行政として産業保健支援活動に取り組んでいただいていますが、そこに配属する産業保健スタッフの人材育成、確保が必要だということですね。

○川本構成員 産業保健総合支援センターそのものの機能を強化していただくと、よりいいのではないかと考えております。

○堀田座長 ありがとうございます。

 砂原構成員、どちらかというと企業の立場で何かございますか。

○砂原構成員 この時点では特にありません。

○堀田座長 池田構成員からも特にございませんか。では、後ほどまた御意見をいただきたいと思います。

 では、伊藤構成員どうぞ。

○伊藤構成員 先ほど道永構成員から御指摘があった12ページの「就労の専門家」と「就労に関する知識を有する専門家」の部分なのですけれども、私も違和感がずっとあるところです。社会保険労務士を挙げながら「就労に関する知識を有する専門家」という表現でまとめてありますが、実際にがん拠点病院の相談支援センターに配置されている者というのはどういう人なのか。例示されているような社会保険労務士、産業カウンセラー、キャリコンというのが配置されているのか教えてもらいたいと思います。

○堀田座長 現状はわかりますか。どのくらい配置されているか。

○事務局 こちらの事業が平成25年度から始まった事業です。年度が変わりまして、実績報告等を報告いただくのですが、まだ手元に情報が来ておりませんので、そろい次第提供させていただくという形になると思います。

○堀田座長 がん拠点病院では毎年、実態調査をしております。今度7月4日に都道府県がん診療連携拠点病院協議会がありますので、そこでデータがある程度出てくるかもしれません。いずれにしても、全部の施設にまだ配属されてはいないと思います。平成25年に配属するという方針が出されたところで、国立がん研究センターでは社会保険労務士あるいは産業カウンセラーは配置していますが、キャリアコンサルタントはまだ入っていないです。ハローワークは中に入っていただいているという状況です。

○伊藤構成員 そうしましたら「就労に関する知識を有する専門家」という表現に統一することが妥当だということになるのかどうか、いまひとつわからないのですけれども、そういったところを踏まえて、「就労の専門家」というのは確かにそんな人がいるのかなというのもあるので、適切な表現をぜひ御検討いただければと思います。

○堀田座長 この辺は、事務局のほうで最終的に表現は調整させていただきたいと思います。

 それでは、桜井構成員、お願いします。

○桜井構成員 追加で2つですけれども、12ページのがん拠点病院が行う「エ 就労に関する相談支援・情報提供体制の整備」です。海外のリソースセンターでは、さまざまな患者教育プログラムが行われているのですけれども、すごく日本と違うなと思うのは、日本というのは禁忌事項の説明になっているんですね。生活上あれをしてはいけない、これをしてはいけない、これに注意しなさい、人混みはだめ、虫さされはだめ、日焼けはだめと。これだと社会的に生きられなくなってしまう。アメリカのサバイバーシップクリニックとかリソースセンターでは、「できること、対処方法」を伝えておりました。こういうことが起きる、だからこうしたらいいんだよという情報をいただけないと患者は動けないんですね。なので、できれば情報提供体制の中に対処方法について、今も書いてあると思いますけれども、もう少し強めに書いていただけると相談支援の内容も変わってくるのかなと思っております。

 それから、もう一つ13ページの「キ 国立がん研究センター等」の2つ目の○ですが、この検討会に関連して、幾つか地方の患者会やそういう方たちからもいろいろな意見をいただいております。中でもらうのは、「やはり中央・東京でやることと地方は違う」んだよということは必ず言われることです。産業構造も違いますし、企業の規模も全く違う。そもそも家庭の年収も違うということがありますので、2つ目に「地域の実情に応じた取組を行うことが望ましい」と書かれておりますが、これはぜひブロック単位でもいいですし、拠点病院単位でもいいので、重点的にやっていただきたいことだなと、地域密着型でやっていってほしいなと思うところです。

 以上、感想になりますけれども、よろしくお願いいたします。

○堀田座長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

 それでは、次に進ませていただきまして、4、5、6に入らせていただきます。「4.小児がん経験者の就労支援」「5.その他」「6.おわりに」になりますが、主に小児がんの経験者あるいはその他で御意見をいただければと思います。

 それでは、池田構成員、よろしくお願いします。

○池田構成員 小児がんについても大変よくまとまっているという感想を持っております。ありがとうございます。

 幾つか指摘させていただきたいと思うのですが、まず「()小児がん経験者の就労におけるニーズ・課題」です。いずれも決して誤りはないのですが、文章のニュアンスといいますか、いわゆるネガティブな事象がここに羅列されているわけで、そうしますと、医療を担っている当事者あるいは御家族・当事者にとっては、若干反感を持つような場合もあるのではないかということを危惧するところが何カ所かあります。

 例えば、晩期合併症の内容として「成長発達の障害や、てんかんや学習障害などの中枢神経系の障害」。これを知らない人が見ますと、小児がん=てんかん、あるいは小児がん=学習障害というようなことに短絡的に話が行ってしまう可能性があるものですから、例えば、なぜ、てんかんと学習障害だけが挙げられているのかということも疑問に上がるわけで、例えば、こういうところは「中枢神経系あるいは末梢神経系の障害」というようなことでひとくくりにまとめていただければ、それほど大きな問題はないのかなと思います。

 それから「コミュニケーション力を身につける環境が十分でなく、社会性が不足することがある」。これも全くそのとおりなのですけれども、これも表現としては「長期に及ぶ治療の結果として、本来身につけるべき社会性が欠如することがある」というような表現にしていただければ、家族にとっても心が痛くならないだろうと考えます。

 それから、その下の「小児がんについての説明が不十分であり」と、これも確かにおっしゃるとおりなのですが、実際には2歳、3歳のお子さんに、がんの状況を適切に説明するということはなかなか難しいわけで、医療側としてはどう説明したらいいかということは以前から悩んでいるところです。ですから、こういうことも「小児がんについての説明が難しいこともあり」というような表現に変えていただければありがたいと思います。

 それから「親が治療を通して保護すべき存在として過度に意識することが、自立を阻害する一因となることがある」とあります。これもそのとおりですが、親御さんとしては決して、したくてそうしているわけではないということにもなるものですから、ぜひ、この辺も「自立の不十分な場合がある」というような多少やわらかい表現に変えていただければありがたいかなと思います。

()に関しては、そういう感想があるものですから、多少文言の表現を変えていただければありがたいと思います。

 それから、後半の取り組みの点で、小児がん拠点病院がきちんと就労支援をする役割を担うということを明言されたことは、大変ありがたい、重要なことかなと思います。その表現の中で小児がん拠点病院は、子どもですので、就学から進学、就職というような継続的な支援をするということを強調していただけるとありがたいと思います。小児がん拠点病院の役割をきちんと明言したというのが、この検討会の報告書は大変重要な役割を担っていると考えます。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございました。小児科の先生ならではの、あるいは小児医療に携わっている方ならではの配慮というものを非常に感じます。書いてあることが事実だったとしても受け取り方というのもありますから、それは誤解のないような形で、先生の御意見もまたいただきながら、表現ぶりについてはきちんとしたものにしていきたいと思います。

 そのほかいかがですか。高橋構成員どうぞ。

○高橋構成員 今の池田構成員の御指摘と通じるのですけれども、参考資料3の冒頭にもまとめたのですが、成人も小児も多様性・個別性が高いということを、できればもう少し強調したほうがよいのではないかと思います。就労力に対する多様性もほぼフルに戻る方もいれば、ちょっと落ちるけれどもそこで安定する方、あるいは就労自体が非常に難しい状況になる方もおられます。さらに、雇用が安定している人も、危ない方も、一旦辞められて新規就労を希望する方もおられます。ですから、これは4~6だけに限らず、全体を通して状況に多様性が極めて高いのだということを前振りのところで確認していただければと思います。

 それと関連するのですが、20ページの一番上の小児がんについては、晩期合併症等について広く周知を行うことが重要で、正確な情報の普及が行われなくては、かえって体験者が就労困難者であるというレッテルを張られかねないということ、これはとても重要な指摘だと思います。実際、問題なく活躍されている小児がん経験者の方々は、問題にならないから表に出てこないわけで、私の同僚にも小児がん経験者はたくさんおりますけれども、今後は積極的に活躍例の共有もしたいと思います。今の池田構成員の御指摘のとおり、多様性があるのだということを報告書でももう少し強調できたらと思います。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございます。

 そのほか御意見いかがですか。桜井構成員どうぞ。

○桜井構成員 小児がんは、本当に成人がんと違って病状を持ちながらも生きていかなければいけないので、いろいろなサポートなり自立支援が必要になるとは思いますけれども、このページの中では、20ページに「()障害者手帳の取得」があり、「一層周知し、制度を活用することが重要である」と書いてあるのですが、たしか検討会のときには、この手帳の取得自体がかなり難しいということも指摘として挙がっていたので、その現状が課題として一言書かれていてもいいのかなと思いました。

 それから、「()自立支援」のところで「自立支援の充実」と言ったときに、就労・就学、引き続きというようなことも、池田構成員から御指摘があったとおり、関係各省庁との連携というのも物すごく大切だなと思っております。ですので、関係各課、省との連携というようなことも自立支援の充実とともにすべきことなのかなと思っております。

 あと、21ページに「()国の取組」があります。国も物すごく今回頑張っていると思います。いろいろな取り組みが発表されたかと思っております。検討会でも制度の問題、使いにくさということも課題に挙がっておりますので、それを受けて今後も制度の拡充や連携、それから、「企業の取り組みを後押ししていくんだよ」というような「国としての一言」というのも入るといいなと思っております。

 また、細かい話ですけれども、人事労務メールマガジンというのがあります。厚労省はいろいろなメールマガジンを出されているのですけれども、自分の省庁の中でのいろいろなツールも多分既存であるかと思いますので、ぜひ、このあたりも省内での連携をとっていただいて、後押しの一つの方策として取り組んでいただければなと思っております。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございます。

 確かに重要で、国あるいは行政が後押ししているという心強さが必要だと思います。逆に言うと、こういう検討会の報告書が自治体や国は頑張っているけれども、実は予算や人材の配置が難しいということに対しても、こちらの報告書からそういった部分を充実するようにということを書き加えてもいいのではないかと思っています。ありがとうございました。

 櫻井構成員どうぞ。

○櫻井構成員 議事録に残ることを期待して。今の障害者手帳のお話で、私も今回初めて知ったのですが、がんではなくて別の方を雇用するときに、手帳はないのだけれども支援が必要という方がいらしたんです。そのときに、トライアル雇用奨励金ですとかジョブコーチの支援制度ですとか、こちらの制度は手帳がなくても医師の意見書でできるというシステムがあるんですよと教えていただきました。私たち現場はこのシステムを知らないんです。ハローワークさんからすると、なぜ知らないのということになるかもしれないですけれども、現場は教えてもらわなければ知らないんです。なので、こういったところも使えるんだよ、実はこういう意見書でいけちゃうんだよということも、ぜひ世の中の皆さんに知っていただきたいなととても思いました。

 あと、20ページの「()国民の理解」のところで、元気なときであっても、国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス情報サイトを見てくださいということですとか、市民公開講座聞いてくださいということも書いていただいています。でも、もっと大事なのは、患者さんが元気で一緒に働けるんだよという姿を見ることのほうが、がんに対する認識を変える一番近道だと思っています。そういえば、どこにも表記がなかったかなと思ったので、患者さん自身が元気でいることがとても大事というところも、ぜひ加えていただければと思います。

○堀田座長 ありがとうございます。

 そのほか御意見ございますか。砂原構成員、全体を通しても結構ですが、御意見ありませんか。

○砂原構成員 周りにもいろいろ相談したのですが、いろいろな意見が出過ぎたので報告書全体について感じたところをお話しさせていただきたいと思います。

 事業主は、労働安全衛生法の第68条によって、病者を就業させることは原則禁じられております。病者を働かせると、その事業主は処罰されることになるわけです。休職したがん患者の方の復職に際し、まずは、がんが命にかかわる病気であることを認識して、従業員の方が就労可能なレベルまできちんと治療を受けていただくこと、セルフケアが基本であると考えております。

法令にのっとった対応ということを考えますと、原則従来どおりの業務を担当可能な状況になってから復職するというのが基本なのでしょうけれども、少なくとも従来どおりの業務を担当することができるようになりそうだと考えられる段階で、当該従業員の方が復職されることになると思います。

また、その際、主治医はもとより産業医などの意見を参考にしながら、どのようなステップでの復職が可能かを十分検討して、会社として実施可能な対応を行うことが求められているのだなということを感じました。

 しかしながら、その際に一点留意したことがあります。過去の検討会でも申し上げましたが、企業としてさまざまな対応をすることによって、コストが発生することも事実です。一方、企業は国際競争にさらされており、コストが過大にかかり過ぎると負担できなくなる可能性もあります。

また、がん患者・経験者のみに配慮するのではなくて、肝炎患者の方への配慮はどうするとか、メンタル不調者への配慮はどうするか、育児中の従業員のサポートは、介護休業者への配慮は、障害者雇用率も遵守しなければ、などなど、個別にそれぞれどのような対応が必要だと言われることになりますと、実効性のある対応をすることが困難になってしまう可能性すらあると思います。

 そう考えると、制度間、所管部局間の調整を踏まえて、病気や障害、育児、介護といったライフステージの出来事も含めて、総合的に配慮すべき内容について御議論いただくようなこともお願いできないかと考えるものです。

 企業は、一度雇用し、育ててきた従業員を大切にします。就業規則上、休職期間が満了となり、やむなく退職となるケースはあると思いますが、そのようなケースだけではないはずです。大切な従業員の方で、がんはもとより、いろいろな病気や障害、育児や介護など、さまざまな原因で就労に制限が出るようになった状況の方をどのような形でサポートすることができるのか。今後、十分議論していく必要があるということを感じました。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございました。

 実際問題、雇用をする立場で、従業員全体のバランスを考えたときに、がん患者さんだけではもちろんないわけで、この検討会もがんさえよければいいということではなくて、これが一つのモデルになって、そういった人たちの就労を続けられる環境を整えていく。その場合に、企業に一方的な負担をかけるという形ではなくてそれぞれの立場でやれることをみつけて行く、そこを議論したいというのがもともとの趣旨であります。今、非常に重要な視点を入れていただいたので、この点について、何か御意見がありましたら。

 高橋構成員どうぞ。

○高橋構成員 本当に御指摘のとおりだと思います。がんだからという特別扱いではなくて、がんも含めてこういう症状があって、こういう働きにくさがあるから、こういう配慮が必要だ、と発信する必要があります。その配慮が過渡のコスト負担がないものであってほしいということは、私が以前企業ヒアリングなどをさせていただいたときにも繰り返し伺っていたことでした。これはやはり、情報の発信側にも工夫がとても求められると思っておりまして、例えば、「何々がんだからこういう配慮」ではなくて、症状ベースで、こういう働き方のときにはこんな配慮が必要、のような、産業保健スタッフの方がいらっしゃらない職場でも応用しやすい方で情報発信をするということが、情報のつくり手に求められているのではないかと思います。

 がん当事者の方が職場に出たときに、その方だけに応用できるものではなくて、もっと広く使えるような情報を工夫して出していくことが求められるのだと思いました。

○堀田座長 その辺は、高橋構成員のサバイバーシップ支援研究部の大きなテーマとして今後課題を整理して、いろいろ調査研究もぜひお願いいたします。

 ほかによろしいでしょうか。全体の感想でも結構ですし、皆さん一言ずつは言っていただきましたが、特に事務局から何か、先ほどからの議論つけて何か答えておくべきこと、あるいはつけ加えることはありますか。

○江副がん対策推進官 まず、非常に建設的な御意見・御提言をいただきまして、本当にありがとうございます。具体的な修正の御意見、追加の御意見については、可能な限り事実関係を踏まえまして、調整して文言修正していきたいと考えております。

 また、全体的な大きな御意見についても可能な範囲で例えば、前段ですとか、「おわりに」もありますので、そういったところでもどのような形で盛り込むことができるかはちゃんと検討して、なるべくその趣旨を反映できるように今後調整していきたいと考えております。

○堀田座長 ありがとうございました。

 ひとあたり御意見もいただきましたので、今後の進め方につきましては、きょうの議論を踏まえてある程度修正のある部分は修正した上で、もう一回皆様に見ていただきますが、文言とか最終的なところは座長に一任していただけますでしょうか。その間にもまた皆様に御意見を賜ることになると思いますが、よろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○堀田座長 それでは、もう一つ課題がございます。この報告書の内容をわかりやすく国民の皆さんに一言で伝わるようなキャッチフレーズができたらどうかという話です。皆様のお手元に幾つかの案をいただいております。これは一つの案ですが、ほかにも今思いついたものでもいいですが、何か今までの議論を一言で表せるようなキャッチフレーズを御推薦いただきたいと思います。

 桜井構成員どうぞ。

○桜井構成員 こんなにいっぱいキャッチフレーズが出たんだと物すごくびっくりしています。皆さん、コピーライターのセンスがおありの方がたくさんいらっしゃるなと思ったのですが、患者目線で考えたときに幾つか意見を聞くと、やはり「がん」という言葉のとらえ方の違いがあります。先ほどのお話にも近いのですけれども、働く世代というのは多分子育てもしなくてはいけなし、介護もしなくてはいけないし、ひょっとしたらがん治療もしなくてはいけなくて、いろいろなことがあるわけで、がんから始めるというよりは、今は他の部門でやっている事業に乗っかって一緒に働き方を考えていったほうがいいのかなという思いがあります。患者目線でいろいろとがんに関するキャッチフレーズを考えると、必ずこれは嫌だ、あれは嫌だというのが出てくるのですけれども、それが幾つかあったので、これを提案した方には大変申しわけないのですが、誰が提案したのかは全然知らないということで客観的に申し上げさせていただきます。

 「向き合う」というのは、ちょっとしんどいなというのがあります。あと「がんとともに」というのも、うちのスタッフ等々はいつまでともに生きていかなくてはいけないのというような、いつまでそれを背負い込まなくてはいけないのというような意見を言われまして、私も「がんとともに」ということは考えたのですが、思いっきり反対されてしまいました。そんな患者によっては嫌な言葉が幾つかあるかなと思っています。

 これはいいかなと思うのは、「今わたしたちから作りはじめる多様な働き方」とか。「働く」というのは家でもいいし、再発していても、初期でも、その人らしく生きる言葉を入れたいよねということから、「らしく、生きる」とか、こういう言葉が全体としては当てはまるのかなと個人的には思っています。

 以上です。

○堀田座長 ありがとうございます。

 実際患者さんの身になると突き刺さる言葉というか、しんどい言葉というのもあるのかもしれませんね。そのほかに御意見どうですか。自分がつくっていただいたものの推薦でもいいし、それはこっそり隠しておいて別の話でも結構ですが、何かございませんか。

 「がんと就労の両立」などというのは、いかにもくさいですかね。ありきたり過ぎて。この検討会ずばりそのもののテーマという感じではあるけれども、もうちょっとイメージ的に印象的なものがあればいいですね。どうでしょうか。

 高橋構成員どうぞ。

○高橋構成員 私も、いろいろな場面で「治療と就労の両立」という言葉を随分頻繁に使っていたのですけれども、やはり両立というのは両方頑張らなくてはいけないという、結構肩に力が入る感じもあるのかなと思いました。今「調和」というのを拝見して、ちょっとほっとする印象を受けています。

 確かに、働くことも含まれた「生きる」、あと「らしく生きる」というのはいいのかなと思いました。

○堀田座長 確かに、両立というのは二律背反のものを何とかまとめて頑張るみたいな感じにはなりますよね。だから、そういう意味では寄り添うような形ではないという意味で、ずばりなんだけれども、感覚的には少しずれているかもしれませんね。

 櫻井構成員どうぞ。

○櫻井構成員 下から2番目で好きなのは「仕事と治療の調和に向けて、今、できること・すべきこと」と主体的な視点で語りかけがあるので、私はとても好きです。私がつくったのではありません。

○堀田座長 これは、ちょっと長めですけれども、短くするとどういうことになりますか。「仕事と治療の調和に向けて」ぐらいで止めてしまっても通じますか。

 これはきょう、どうしても決めなくてはいけないというものではないですが、せっかく皆さんの智恵が集まる間にやっておきたいと思います。

 池田構成員どうぞ。

○池田構成員 「らしく」の前は何ですか。「私らしく」ということですか。

○櫻井構成員 すみません、私ではないのですけれども、多分自分らしくでもあり、あなたらしくでもありということだと思います。働くことを支える側でもありという、そういう視点もあるのだと思います。私はそう解釈しました。

○池田構成員 自分を置いた方がいいかなと思うのですが。

○櫻井構成員 自分も大事なのですけれども、支える側の第二の視点もとても大事だと思います。あなたのためにではないですけれども。

○堀田座長 さて、どうしましょうか。道永構成員どうですか。

○道永構成員 難しいのですが、2つを合わせたような感じで、「らしく生きる~仕事と治療の調和に向けて~」というのでいいのかなと私は思いました。

 あと「あなたの復帰が社会の理解につながっていく」というのは、少し表現を変えていくと、がん患者さんだけでなく、いろいろと仕事に戻りたい方にいいのかなと。病気を持っていても自分が元に戻ればいろいろな意味で社会復帰でもあるし、現場に復帰ということもありますが、今はその風土をつくるということがありますので、社会の理解につながるみたいな、こちらもいいかなと思いました。

○堀田座長 自由に御発言いただきたいのですけれども、ほかにいかがですか。

 「らしく」の前に何もつけないほうが、かえってイメージ的にはいいですか。

○櫻井構成員 そんな気がします。

○池田構成員 よろしいですか。今回の検討会は小児も入っているものですから、小児も含めてキャッチフレーズの対象になるようなものを選んでいただきたいと思います。復帰がということになると、小児が外れてしまうものですから。

○堀田座長 どの辺でまとめましょうか。

○江副がん対策推進官 先ほど座長がおっしゃったように、きょう決定する必要はございませんので、また妙案があれば言っていただければと思いますが、とりあえず暫定的に今の御議論を拝聴していますと、一番言及が多かったのが「らしく生きる」ということにまつわる言葉のようでしたので、暫定的に「らしく生きる~仕事と治療の調和に向けて~」といったようなことを軸に考えつつ、また何かいいアイデアがありましたら、事務局にお寄せいただければと思います。

○堀田座長 皆さんいろいろまだまだイメージはあるのだろうと思いますけれども、今、事務局から指摘していただきましたように、この中の一番下「らしく生きる~仕事と治療の調和に向けて~」ということでまとめさせていただきます。この「らしく」というのは日本語としてどうなのかということを言う人もいるかもしれませんが、このあたりを軸に、また御意見をメールでもいいですから、いただければと思います。最終的にまとまれば、それにしたいと思います。

 全般を通じていかがでしょうか。きょうの議論ですと、もう一回この議論をやらなくても大体まとめられそうな気がしますけれども、それでよろしいですか。

(「異議なし」と声あり)

○堀田座長 ありがとうございます。

 そうしましたら、少し修正・追加等がございますが、それはまた直したところで皆さんに見ていただいて、最終的には「てにをは」や、最後の書きぶりについてはお任せいただければと思います。ありがとうございました。

 この会自体がこれで終了になりますけれども、何か最後に一言御発言がありましたら。よろいでしょうか。桜井構成員どうぞ。

○桜井構成員 せっかくいろいろな公費が投入されているので、この成果というのはずっと見ていかないといけないのかなと。アウトカムですね。それと、そこで現場に落としてみたらどうだったのかというのは修正していくという、それを私たち自身も継続していくことがすごく大切なのかなと思っています。今回は、厚労省にあるいろいろな検討会の中で、「厚生と労働という違う局が一緒になって1つのテーマを話し合う」という、本当に画期的なことだと思いますので、ぜひこういう場をまた継続して見守っていければと思っております。

 ありがとうございます。

○堀田座長 ありがとうございます。

 構成員の皆様のいろいろな立場から御意見もいただきましたし、私が一番うれしかったことと申しますのは、皆さん同じ方向を向いてアイデアを出し合い、意見を言いながらつくり上げてきたという気がいたします。そういう意味では、とても貴重な経験でありました。今後、桜井構成員がおっしゃったように、これで報告書を書いて終わりではなくて、この後どうこれが実践として成果としてつながっていくかを見守っていきたい。そういう意味では、また同窓会でも開かせていただくかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

 それでは、最後になりますけれども、きょうは佐藤健康局長に最後まで御臨席いただきましたので、一言御挨拶をいただきたいと思います。

○佐藤健康局長 本日は、第5回の検討会ということで、お忙しい中お集まりをいただきまして、ありがとうございます。

 振り返ってみますと、2月から比較的短い期間に5回と集中的に御検討いただいたのではないかと思います。本当にありがとうございます。それから、これまで堀田座長を初め、各構成員からもお話が出ましたけれども、多様な知識と経験を持つ方にお集まりいただきまきして、本当に多面的な御検討をいただいたのではないかと思います。これも繰り返しになりますので申し上げませんけれども、健康局はもとより基準局、安定局、それぞれの局・課からも集まってもらいまして、構成員の先生方のお話を聞くという形式をとらせていただきました。

 私自身の感想も交えて申しますと、感謝の言葉とともに、それなりにいろいろな部局・課で、現時点でも利用可能なサービスというのが転がっていると言うと言い方はよくないですけれども、利用可能なサービスや枠組みが存在する。今後は、それらをより有機的に連携して活用していくこと。そして、何よりもそれらを知っていただくような取り組みを引き続きやっていかなければいけないのかなということを強く思いました。

 いずれにしましても、ほぼとりまとめというような形で座長に整理していただきました。本当にありがとうございます。重ねて御礼を申し上げまして、挨拶にかえさせていただきます。ありがとうございました。

○堀田座長 ありがとうございました。

 それでは、事務局から何かお知らせはありますか。

○江副がん対策推進官 特にございませんけれども、もし、どうしてもこれだけはみたいな、きょうも言えなかったようなどうしてもというものがあれば、なるべく早く事務局にお寄せいただければ御相談させていただきたいと思います。

○堀田座長 ありがとうございました。

 それでは、皆様どうも貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。本日はこれで終了といたします。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 健康局が実施する検討会等> がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会> 第5回 がん患者・経験者の就労支援のあり方に関する検討会議事録(2014年6月23日)

ページの先頭へ戻る