ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 医療法人の事業展開等に関する検討会> 第5回医療法人の事業展開等に関する検討会(2014年6月27日)




2014年6月27日 第5回医療法人の事業展開等に関する検討会

医政局

○日時

平成26年6月27日(金)10:00~12:00


○場所

イイノホール&カンファレンスセンターRoom A(4階)


○出席者

田中座長 猪熊委員 今村委員 梶川委員 川原委員
鶴田委員 西澤委員 橋本委員 長谷川委員 日野委員
松原委員 山崎委員 笹井委員代理 浦野委員 太田委員

○議題

非営利ホールディングカンパニー型法人制度(仮称)の検討に当たっての主な論点等について

○議事

○田中座長 定刻になりましたので、第 5 回医療法人の事業展開等に関する検討会を開催いたします。

 議事に入ります前に、事務局より今回から新しく委員になった方々の紹介をお願いいたします。

○伊藤指導課長補佐 非営利ホールディングカンパニー型法人制度の具体的な制度設計等に関する議論を行うに当たり、幅広く御意見を取り入れるため、新たに、非営利ホールディングカンパニー型法人制度が議題となる場合に限って本検討会に御参加いただく委員の方々を御紹介いたします。

全国社会福祉法人経営者協議会総務委員長の浦野正男委員です。

全国老人福祉施設協議会総務・組織委員長の太田二郎委員です。

日本歯科医師会常務理事の瀬古口精良委員です。本日は御都合がつかなかったため、代理での御出席となります。

新しく委員となった方々の御紹介は以上です。

 また、本日は、社会福祉法人制度を所管しております友藤福祉基盤課長にもオブザーバーとして御参加いただいております。

 なお、大道委員、松井委員については欠席との御報告を頂いております。また、医政局長は所用のため途中で退席いたしますので、あらかじめ御了承願います。

○田中座長 議論の前に、事務局より資料の確認をお願いいたします。

○伊藤指導課長補佐 お手元の資料を御確認ください。本日の資料は、資料 1 「医療法人の事業展開等に関する検討会委員名簿」、資料 2 「非営利法ホールディングカンパニー型法人制度 ( 仮称 ) について」となっております。参考資料として、「今村委員提出資料」となっております。また、最後に「『日本再興戦略』改訂 2014 」のペーパーがございます。以上、資料の不備等がありましたら、事務局までお伝えください。

○田中座長 では、議事に入ります。「非営利ホールディングカンパニー型法人制度 ( 仮称 ) について」、事務局から説明してください。

○伊藤指導課長補佐 資料 2 「非営利ホールディングカンパニー型法人制度 ( 仮称 ) について」の資料に沿って説明いたします。今回の検討会では、事務局から論点をお示しした上で、それに沿って御議論いただきたいと思っています。

 1ページ目から4ページ目です。これらの資料はこれまでの検討会でも付けさせていただいた資料です。

1ページ目です。これは、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律第四条第四項第一号の二において、病床の機能の分化及び連携並びに在宅医療及び在宅介護を推進するために、大きな枠組みとして、医療法人間の合併及び権利の移転に関する制度等の見直しを行うことが定められております。

 また、昨年末の医療部会においても、医療法人間の合併及び権利の移転に関する制度等の見直しについては、地域の医療提供体制において医療法人間の横の連携を強化し、病床の機能の分化及び連携など地域医療の再構築を進める観点や、地域医療を提供できなくなるおそれのある医療法人を健全な形で再生するという観点から、当検討会において引き続き検討することが必要であるということで示されております。

2 ページ目です。これら大きな枠組みの中の一つとして、非営利ホールディングカンパニー型法人制度が提案されています。具体的には、昨年 8 月にまとめられました「社会保障制度改革国民会議 報告書」において、下線部にあるとおり、「医療法人制度・社会福祉法人制度について、非営利性や公共性の堅持を前提としつつ、機能の分化・連携の推進に資するよう、例えばホールディングカンパニーの枠組みのような法人間の合併や権利の移転等を速やかに行うことができる道を開くための制度改正を検討する必要がある」ということが示されております。

 また、本年 1 月に産業競争力会議でまとめられました「成長戦略進化のための今後の検討方針」においては、「複数の医療法人や社会福祉法人等を社員総会等を通じて統括し、一体的な経営を可能とする『非営利ホールディングカンパニー型法人制度 ( 仮称 ) 』を創設」と決められております。また、その具体的内容については、「平成 26 年中に結論を得て速やかに制度的措置を講じる」とされております。

 次に今回、追加でお示ししました 2 枚の資料、「『日本再興戦略』改訂 2014 」を御覧ください。「医療・介護等を一体的に提供する非営利ホールディングカンパニー型法人制度 ( 仮称 ) の創設」ということで、「地域内の医療・介護サービス提供者の機能分化や連携の推進等に向けた制度改革を進め、医療、介護サービスの効率化・高度化を図り、地域包括ケアを実現する」とされております。「このため、複数の医療法人や社会福祉法人等を社員総会等を通じて統括し、一体的な経営を可能とする『非営利ホールディングカンパニー型法人制度 ( 仮称 ) 』を創設する」ということで示されています。

 また、「その制度設計に当たっては、非営利ホールディングカンパニー型法人 ( 仮称 ) への多様な非営利法人の参画、意思決定方式に係る高い自由度の確保、グループ全体での円滑な資金調達や余裕資金の効率的活用、当該グループと地域包括ケアを担う医療介護事業等を行う営利法人との緊密な連携等を可能とするため、医療法人等の現行規制の緩和を含む措置について検討を進め、年内に結論を得るとともに」ということとされており、これに加えて「制度上の措置を来年中に講ずることを目指す」とされています。したがって、年内に結論を出した上で、来年中に必要な制度措置ということで、法案の提出等も含めた様々な対応が必要になってくることになっています。

 なお、「さらに、大学附属病院が担っている教育、研究、臨床機能を維持向上するための措置を講ずることを前提に、非営利ホールディングカンパニー型法人制度 ( 仮称 ) を活用した他の病院との一体的経営実現のために大学附属病院を大学から別法人化できるよう、大学附属病院の教育・研究・臨床機能を確保するための措置の具体的内容、別法人化に向けた必要な制度設計について、非営利ホールディングカンパニー型法人制度 ( 仮称 ) の検討内容等を踏まえつつ検討を進め、年度内に結論を得るとともに、制度上の措置を来年度中に講ずることを目指す。あわせて、自治体や独立行政法人等が設置する公的病院が非営利ホールディングカンパニー型法人制度 ( 仮称 ) に参画することができるよう、必要な制度措置等について検討する」。こちらは、大学病院については文科省、公的病院、いわゆる自治体の病院等については、主として総務省が検討を行うことになっています。

 次の 58 ページは、全体のスケジュールです。今申し上げたように、年内に非営利ホールディングカンパニー型法人制度について、制度の具体化を検討した上で、それ以降、所要の制度的措置を講ずることになっています。なお、大学附属病院等については年度末までに検討を行い、来年度以降に所要の制度的措置を講ずることとなっております。また、医療法人の分割、附帯業務の拡充、社会医療法人の認定要件の見直し等についても、年内を目途に検討を進めることとされております。

 資料に戻ります。 3 4 ページは、第 4 回の検討会でお示しした資料ですので、参考にしてください。

 次に、 5 ページ目以降に入ります。個別の論点に入る前に、制度創設の必要性をまとめましたので、御説明いたします。

6 ページ目です。この資料は「非営利ホールディングカンパニー型法人制度 ( 仮称 ) の創設の必要性について」であり、これまでの資料で申し上げたとおり、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律等を踏まえて、地域の医療提供体制において医療法人間の横の連携を強化し、病床の機能の分化及び連携など地域医療の再構築を進めていくことが必要であり、その際、医療法人等の横の連携の強化が 1 つのポイントになってきます。

 そこでまずは、現在、様々な形態で行われている連携の例と課題をまとめました。 1 つの連携の例としては、現在、事業資金を拠出した理事長と同族の者が社員又は理事の多くを占めるような医療法人等、いわゆる同族の医療法人や社会福祉法人等の間では、 1 つの意思決定の下、適宜、事務職の交流や医薬品等の一括購入など、その規模に応じて連携を進めながら、医療等の提供を進めているものもあります。しかし、今後の地域の課題を踏まえつつ、急性期から在宅医療・介護に至る医療・介護の提供体制を一体的に構築していくためには、こういった同族が占めるような一部の医療法人や社会福祉法人等に限った連携のみならず、設立の経緯や理事長等が異なるような、淵源が異なる医療法人等や社会福祉法人等の間でも、幅広く連携が進むようにしていくことが望ましいのではないかと考えています。

 また、広範な地域で展開している法人グループもありますが、これは、複数の地域に収益性が期待される規模や機能を有する医療機関を保有するとともに、経営規模の拡大を通じ、共同購入や人材活用等による業務の効率化を進めているものの、特定の地域、ある一定の地域を面的にカバーして、先ほど申し上げたような淵源の異なるような医療機関等の連携を図る仕組みとしては、正直なかなか期待しづらいものと考えています。

 さらに、地域連携パスなどを通じた診療面における医療機関 ( 医療法人 ) 間の連携も進みつつありますが、このような連携においては、意思決定を共有して、人材の交流を進めたり、資金調達を共同で行い、急性期から在宅医療・介護に至たる医療・介護の提供体制を構築していくに当たって弱い医療機能等を強化したり新設したりするような連携の取組、いわゆる診療面以外の組織面、運営面又は、資金面での連携の取組は、医療法第 54 条に定める剰余金の配当禁止など制度的な問題もあり、行われていないのが現状です。

7 ページ目です。そこで、現在の制度の下では、例えば、広範な地域で展開している法人グループが、収益性が期待される医療機関の買収等を行い事業規模を拡大していくことは可能であり、実際にこのような流れが進む一方で、個々の地域に根付いた比較的体力の乏しい中小法人等が互いに人材や資金面等で支えながら地域の医療提供体制等を守り育てていけるようにする枠組みがない。そこで、いわゆる社会保障制度改革国民会議等が想定しております、地域の医療機関等が競争より協調を進めることによって、病床の機能の分化・連携などを進めるとともに、共同購入や人材交流などによる事業の効率化を図りながら、連携して医療提供体制の構築等を行っていけるようにするための仕組みを、地域の選択肢として設けることが必要なのではないかと考えています。

 そこで、医療法人等が連携を進める仕組みとして、合併のように元々の法人が消滅してしまう仕組み以外に、例えば、地域の医療に貢献しようとする淵源の異なる医療法人等の自主的発意のもと、これらの医療法人等が消滅することなく、また、既存法人の独自性や経緯を一定程度保証しながら、個々の法人の収益だけでなく全体最適を追求することや、地域の民間医療法人等の健全育成と地域単位での協調・連携のための合意形成を進めることができるような仕組みを作っていってはどうかと考えています。

 また、その法人グループ内においては、特定の資金拠出者の意向ではなく、地域の関係者の合意に基づく意思決定を共有し、淵源の異なる医療法人等を一体的に運営するとともに、当該グループ内では事業運営に関する規制を一定程度緩和したり、補助金や政策融資の対象ともなり得るような仕組みを創設することが必要ではないかと考えております。  8 ページ目以降が、今回議論いただきたい論点です。

9 ページ目です。今回は、 7 つの論点をお示しいたしました。

1 つ目は「法人の在り方に関する論点」です。「1」社員法人の独自性を保証しつつ、非営利ホールディングカンパニー型法人の意思決定等を制度的に共有する仕組みをどのように作っていくか。「2」非営利ホールディングカンパニー型法人及び社員法人の間で、資金融通を行う仕組みをどのようにつくっていくか。「3」非営利ホールディングカンパニー型法人における、非営利性の確保等をどのように図っていくか。

2 つ目は「事業の在り方等に関する論点」です。「4」非営利ホールディングカンパニー型法人の地理的活動範囲を定める地域要件を設けるべきか。「5」非営利ホールディングカンパニー型法人が制度の目的等に従って設立・運営されることを確認するための仕組みとして、どのようなものが考えられるか。「6」比較的規模が大きくなる非営利ホールディングカンパニー型法人について、その透明性及び適正性の確保を図っていくべきではないか。「7」仮称とされている非営利ホールディングカンパニー型法人制度の正式名称について、どのようなものがよいか。

今回は、これらの論点について議論していただきつつ、更に深めるべき論点や、ほかにもこういった論点があるとの御指摘等があれば、それを前提に次回以降また更に議論を進めていきたいと思っております。

10 ページ目以降、個々の論点ごとに具体的に説明してまいります。

10 ページ目です。まずは 1 つ目の論点、非営利ホールディングカンパニー型法人の意思決定等を制度的に共有する仕組みについてです。「1理念の共有について」、社員法人が、非営利ホールディングカンパニー型法人の理念を共有するとともに、その職員に対して当該理念の浸透を図ることが必要であると考えております。そこで、社員法人が非営利ホールディングカンパニー型法人の理念を共有する旨の意思決定を行うことを非営利ホールディングカンパニー型法人に参加する際の要件とするとともに、職員に対して理念の浸透を図る旨の努力義務を整備してはどうか。

 「2意思決定の共有について」、ホールディングカンパニー型法人が行う意思決定の範囲についてです。非営利ホールディングカンパニー型法人については、社員法人が連携して地域医療・介護の提供体制を構築するための制度であること、また、合併とは異なり、社員法人の自主性を一定程度尊重すべきであることから、非営利ホールディングカンパニー型法人が行う意思決定に関しても、社員法人の運営の一つ一つに口を出すようなものではなく、地域の医療・介護の提供体制の構築を進めるための大きな方針を決定し、その範囲で社員法人が自主的に運営できるようなものとすべきではないかと考えております。

 その大きな方針等の例については、社員法人が有する医療機関等の機能分担や連携などに関する方針として、救急患者の受入れルールの設定や、退院支援・退院調整のルールの設定、また、中核病院等の機能・病床の制限と地域の協力等といったものがあるのではないかと考えています。その上で、このような連携等を進めるための施設整備や高額な医療機器等の整備に関する方針を決定したり、当該施設整備等を行うための資金調達に関する方針、職員の採用や研修など社員法人間における人事に関する方針を決定した上で、社員法人は非営利ホールディングカンパニー型法人が決定した方針に反しない範囲で個々の意思決定を行う。例えば、今でも各医師に委ねられております個々の患者に提供する医療内容の決定や、社員法人内における具体的な人事の決定、高額ではない医療機器等の整備に関する決定、非営利ホールディングカンパニー型法人の方針に反しない範囲での資金調達等が考えられます。

12 ページ目です。 2 つ目の論点としては、非営利ホールディングカンパニー型法人の社員総会における意思決定についてです。非営利ホールディングカンパニー型法人の意思決定としては、例えば、大きい法人は大きい債務、小さい法人は小さい債務というように、法人の規模に応じて債務を負担することや、一定の中核病院等の機能・病床を制限するなど、様々な意思決定が考えられます。したがって、非営利ホールディングカンパニー法人の意思決定について、今は、例えば医療法人であれば一社員一議決権となっておりますが、それは案件によって変えられるように、柔軟に行えるような仕組みを設けるべきかどうかという論点です。選択肢としては、例えば、今申し上げたように、あくまでも医療法人は一社員一議決権を堅持するものと、もう 1 つは、法人の案件によって自由に例外を定款等で決めることができるものと、その間のものとして、一社員一議決権を原則としつつ、一定の場合、例えば法律等で定める場合には自由に定められるということで、例外の案件を限定する方策もあると思いますが、これについても自由に御議論いただきたいと思っております。

3 つ目の論点としては、社員法人が共有すべき意思決定の範囲の明確化です。非営利ホールディングカンパニー型法人の意思決定は、理事会や社員総会など様々な場で行われます。このため、社員法人が共有すべき意思決定を明確にするとともに、社員法人が共有すべき意思決定の存在をそもそも把握できる仕組みが必要ではないかと考えています。そこで、非営利ホールディングカンパニー型法人は、当該法人が行う意思決定のうち、社員法人が共有すべきものを社員法人に対して通知する手続などを整備してはどうかと考えております。

13 ページ目です。 4 つ目の論点としては、社員法人が非営利ホールディングカンパニー型法人の意思決定に従って運営することの制度的な担保措置です。非営利ホールディングカンパニー型法人制度の重要な要素の 1 つとしては、非営利ホールディングカンパニー型法人の意思決定を社員法人が共有することにあります。したがって、社員法人が、非営利ホールディングカンパニー型法人が行う意思決定に従って運営する仕組みをどうやって制度的に担保するかが論点になっています。これに関しては、例えば産業競争力会議等で示されているのは、参加する社員法人の社員の過半数を非営利ホールディングカンパニー型法人又はその理事が占めることができれば、もし非営利ホールディングカンパニー型法人の方針と異なる意思決定を社員法人が行ったときも、社員総会を通じて歯止めがかけられるのではないか、そういう形で制度的に担保できるのではないかという考え方も 1 つ選択肢としてはあると思います。他に考えられる選択肢としては、今、医療法人や社会福祉法人等については、定款等に従って運営することが法律上求められておりますので、非営利ホールディングカンパニー型法人の定めた意思決定に従って運営するということを定款等に規定することによって、法律上、その定款等によって運営することが担保されることとなり、そういった形で制度的に担保することも可能ではないかと考えております。それらの選択肢の是非や、また、その他の仕組みも何かあれば、いろいろ御議論いただきたいと思っております。

5 つ目の論点としては、社員法人の非営利ホールディングカンパニー型法人からの脱退に係る仕組みの整備です。社員法人が独立した法人格を有するとともに、社員法人は、非営利ホールディングカンパニー型法人の意思決定に反しない限り、独自に運営を行うことができるというのが非営利ホールディングカンパニー型法人制度の基本コンセプトの一つです。したがって、社員法人の独自性を保証する仕組みとして、社員法人が社員総会等の決定によって、非営利ホールディングカンパニー法人からの脱退も行えるようにしてはどうかと考えております。

14 ページ目です。非営利ホールディングカンパニー型法人及び社員法人の間で、資金融通を行う仕組みについてです。 1 つ目の論点としては、資金融通の手段についてで、非営利ホールディングカンパニー型法人と社員法人の間及び社員法人同士の間の資金融通の手段としては、出資、融資、寄附及び債務保証という 4 つの手段としてはどうかと考えております。なお、非営利ホールディングカンパニー型法人は、社員法人に対する資金融通のみならず、介護事業を行う会社や、医薬品等の共同購入や、シーツのクリーニングを一括で行う会社を設立するための出資も可能とするということで考えております。また、現時点では出資、融資、寄附及び債務保証としておりますが、他に追加すべきものがあれば、個別に検討した上で追加してはどうかということで考えております。

2 つ目の論点としては、資金融通の対象となる社員法人の要件です。非営利ホールディングカンパニー型法人や社員法人は、同じく社員法人である医療法人等に対して資金融通をした結果、資金融通を受けた医療法人等の剰余金となり、また、それが最終的に個人に帰属してしまうことになっては本末転倒ですので、その法人の剰余金となり得るような寄附や、債務免除により法人の剰余金となり得る融資及び債務保証については、社員法人である持分あり医療法人に対しては行うことはできないとすべきではないかということで考えております。

3 つ目の論点としては、資金融通の目的です。例えば、医療法人や社会福祉法人等の剰余金が他の法人の収益事業に使われることなどのないように、資金融通の目的については、例えば「地域の医療又は介護の充実に関するもの」という形で限定することが必要ではないかと考えています。具体的に、「地域の医療又は介護」ということですので、当該非営利ホールディングカンパニー型法人がある地域における医療又は介護に関するものに限ることとし、したがって、当該地域以外の地域に関するものや、医療又は介護と関係のないような収益事業は対象外となると考えております。

 次に「充実」という文言からは、例えば、充実に当たるような増床やリハビリ室の整備、医療機器の購入などは対象となりますが、単なる赤字補填は対象外になると考えております。ここについては、「地域の医療又は介護の充実に関するもの」という限定でいいのかどうかも含めて、いろいろと御議論いただきたいと思っております。

15 ページ目です。非営利ホールディングカンパニー型法人における、非営利性の確保をどうやって図っていくかという論点です。 1 つ目の論点としては、非営利ホールディングカンパニー型法人自体が非営利性を確保することについてで、第 1 回の検討会の資料でも示したとおり、そもそも非営利性の確保とは、「営利を目的としない」こと、すなわち「法人の対外的活動による収益性を前提としてその利益を構成員に分配することを目的」としないこととされています。したがって、非営利ホールディングカンパニー型法人が、社員に剰余金又は残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは、その効力を有しないものとすべきではないかと考えております。

2 つ目の論点としては、非営利ホールディングカンパニー型法人の社員における権利・義務についてです。こちらも、第 1 回の検討会の資料にある記述ですが、「公益法人制度改革に関する有識者会議報告書」によりますと、社団形態の非営利法人の社員における権利・義務の内容については、「ア ) 出資義務を負わない、イ ) 利益 ( 剰余金 ) 分配請求権を有しない、ウ ) 残余財産分配請求権を有しない、エ ) 法人財産に対する持分を有しない」こととされております。このうち、イ ) とウ ) については、前の論点でカバーされておりますので、残る「ア ) 出資義務を負わない」ことと、「エ ) 法人財産に対する持分を有しない」についても、非営利ホールディングカンパニー型法人の社員における権利・義務の内容とすべきではないかと考えております。また、非営利ホールディングカンパニー型法人の社員には、医療法人と同様に、法人もなることができると考えておりますが、ただし、営利法人についてはホールディングカンパニー型法人の社員になることができないとすべきではないかと考えております。

3 つ目の論点としては、非営利ホールディングカンパニー型法人に参加する社員法人についてです。非営利ホールディングカンパニー型法人に参加する社員法人については、非営利法人のみとすべきではないかと考えております。なお、配当禁止が法定されている持分あり医療法人も非営利法人の 1 つですので、含むべきものと考えております。

16 ページ目です。非営利ホールディングカンパニー型法人の地理的活動範囲を定める地域要件を設けるべきかという論点です。非営利ホールディングカンパニー型法人は、医療法人や社会福祉法人等の間の連携を進め、病床の機能の分化・連携や在宅医療・介護の充実など、地域において効率的かつ質の高い医療提供体制等を構築するための制度です。したがって、非営利ホールディングカンパニー型法人については、一定の地域を念頭に組織されることになるため、非営利ホールディングカンパニー型法人及び社員法人が運営する施設、事務所等が一定の地域にあること、すなわち地域要件を設けることも考えられます。ただし、地域の医療提供体制に係る医療機関としては、資料の下に記載しているように、例えば都道府県単位を基本として整備されるものとしては、基幹災害拠点病院や、がん・難病の拠点病院などが挙げられます。また、三次医療圏単位を基本として整備されるものとしては、特定機能病院や三次救急の救命救急センターなどが挙げられます。また、二次医療圏単位を基本として整備される医療機関としては、地域医療支援病院や二次救急といったもの等が挙げられます。これら以外にも、都道府県独自の指定医療機関制度があり、また、県境をまたがって医療提供体制を構築する場合もあることや、また、都道府県が医療政策を進めるに当たって、この非営利ホールディングカンパニー型法人制度をどうやって活用していくかというような考え方の違いなどについて考慮すると、この地域を一定の範囲で明確に定めることはなかなか難しいのではないかと考えています。

 その上で、論点としては、そもそも非営利ホールディングカンパニー型法人に関して、地域要件を設けることについてどのように考えるか、また、地域要件を設けるとした場合、その地域の範囲についてどのように考えるかという論点があると考えています。この地域の範囲の定め方としては、例えば今、保育所の面積基準として、国が定めた基準を標準として都道府県が定めるという例があります。したがって、この地域要件についても、都道府県の単位を標準として都道府県が定めることも考えられるとは思いますが、そもそも地域要件を定めることの是非、及び、その地域の範囲をどうやって設定するかについては、いろいろ御議論いただきたいと思っております。

17 ページ目です。非営利ホールディングカンパニー型法人が制度の目的等に従って設立・運営されることを確認するための仕組みとして、どのようなものが考えられるかという論点です。非営利ホールディングカンパニー型法人については、一定の目的のもとに設けられる制度です。したがって、個々の非営利ホールディングカンパニー型法人が設立されるに当たっては、この目的等に従って設立・運営されることを確認する必要があると考えております。したがって、このような確認を行うための仕組みとして、どのようなものが考えられるかがこの論点です。ここも、例えば、現在、医療法人の設立については都道府県知事の認可となっており、また、その認可の際には都道府県医療審議会の意見を聞くこととなっています。したがって、非営利ホールディングカンパニー型法人の設立についても、都道府県知事の認可とするとともに、その認可の際には都道府県医療審議会などの第三者の意見を聞くことで確認してはどうかということが考えられます。いずれにしても、この論点についても各委員からいろいろと御議論いただきたいと考えております。

18 ページ目です。比較的規模が大きくなる非営利ホールディングカンパニー型法人について、その透明性及び適正性の確保を図っていくべきではないかという論点です。非営利ホールディングカンパニー型法人については、複数の医療法人等を統括する社会的に影響の大きい法人であることから、その運営の透明性を図るとともに、理事などが法人の業務の適正性を自律的に確保できるような内部統制の仕組み、いわゆるガバナンスなどの運営の適正性を図る仕組みが重要であると考えております。このため、一般社団法人の仕組みなどを参考に、必要な整備を行うべきではないかと考えております。

 具体的には、資料の下です。「運営の透明性」に関しては、貸借対照表等の官報やインターネット等による公告を義務付けてはどうかと考えております。また、公認会計士又は監査法人による外部監査も義務付けてはどうかと考えております。また、「運営の適正性」に関しては、監事の権限の明確化及び独立性の担保ということで、監事は、いつでも理事又は使用人に対して事業の報告を求め、又は法人の業務及び財産の状況の調査をすることができること、監事は、職務を行うために必要があるときは、社員法人に対して事業の報告を求め、又は社員法人の業務及び財産の状況の調査をすることができること、監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならないこと、また、理事が法令等に違反することを行った場合などにおいて、法人に著しい損害が生ずるおそれがあるときは、当該行為をやめることを請求することができることなどを法律上明示してはどうかと考えています。また、一定割合以上の社員の請求による業務の執行に関する監査役の選任や、社員による理事の行為の差止め、理事等の非営利ホールディングカンパニー型法人に対する損害賠償責任等の明確化、非営利ホールディングカンパニー型法人の組織に関する訴えなど、訴訟や和解及び非訟事件に関する手続の明確化などについて整備してはどうかと考えております。

19 ページ目です。仮称とされている非営利ホールディングカンパニー型法人制度の正式名称について、どのようなものがよいかという論点です。非営利ホールディングカンパニー型法人の正式名称については、今のところ仮称ですので、今後、各委員や関係団体等から御提案があれば、それを踏まえて決めていきたいと考えております。その際、 3 つの考慮しなければいけない点があるのではないかと考えております。 1 つ目は、名称から、社員法人を統括するという法人の性質が分かる必要があること、 2 つ目は、名称から、医療・介護分野に関する法人であることが分かることが必要であると考えております。 3 つ目は、少し些末ですが、例えば正式名称で○○法人▲▲会ということで、必ず法人名称が前置されることを考慮すると、最大でも 8 文字程度が妥当ではないかと考えております。

 論点については以上ですが、最後に参考ということで、例えば非営利ホールディングカンパニー型法人については、こんな形で活用できるのではないかということでまとめたイメージの例の資料です。 1 つ目は、自治体中心型ということで、都道府県や市町村がその区域内の医療法人、社会福祉法人等に呼び掛けて、非営利ホールディングカンパニー型法人を創設する。自治体が中心となって、医療法人等の横の連携を高めることで、地域医療構想や医療計画、介護保険事業計画などと整合性を持ちつつ、病床機能の再編、地域包括ケアシステムの構築等を円滑に進めることが期待できると考えております。さらに、必要に応じて、自治体がホールディングカンパニー型法人に出資したり、自治体の幹部を理事とするなど、適宜、関与することも可能であると考えております。

2 つ目は、中核病院中心型ということで、地域の社会医療法人など、急性期医療等を担う中核的な医療法人等が、回復期や在宅医療を担う医療法人や、介護を担う社会福祉法人に呼び掛けて、非営利ホールディングカンパニー型法人を創設する。地域の中核病院が中心となることで、回復期や在宅医療の基盤が弱い場合には、中核病院の信用力を元に資金を確保してそこに投資するなど、地域の効率的な医療提供体制を構築することが期待できると考えております。

 最後は、地域共同設立型ということで、例えば都道府県医師会や地区医師会などが中心となって、その区域内の医療法人、社会福祉法人等に呼び掛けて、非営利ホールディングカンパニー型法人を創設する。例えば、医師会が中心になることで、現在、医師会が中心的に進めているような在宅医療・介護の連携の更なる促進や、共同購入や医療機器の共同使用等による中小医療法人の経営の効率化、経営の厳しい医療法人の支援や受け皿といったような機能も期待できるだろう。さらに、これに自治体を巻き込むことによって、自治体からの出資などの支援を受けることも可能であるのではないかということで、参考の参考ということでお示ししたところです。資料の説明は以上です。

○田中座長 論点の材料をありがとうございました。非営利ホールディングカンパニーという名前、それから、これは略称で書いてある HD は、いずれも全く決まったものでも何でもなく、仮称であることを確認しておきたいと思います。特に非営利ホールディングカンパニーはミスリーディングな名前ですので、本日、それを含めて討議いただきます。

 論点ごとに議論を進めてまいりますが、その前に、今村委員より各論点をカバーした具体的な提案を書面で提出いただいています。今村委員、この資料について説明をお願いします。

○今村委員 非営利ホールディングカンパニー型法人に対し、日本医師会で検討していることについて、まだ今後議論すべき多くの論点があるのを承知していますが、現段階での考え方を披露します。

 御案内のように、非営利ホールディングカンパニー型法人の構想は、もともと 2 つの会議から提案されたと認識をしています。社会保障制度改革国民会議、産業競争力会議、この 2 つの会議ですが、読ませていただきますと、この 2 つの会議からの提案は、同じ名称を用いながら、かなりイメージの違ったものになっているという認識です。前回の検討会でも同床異夢という言い方をしましたが、そういう考えです。基本的には、社会保障制度改革国民会議から出ている提案については、地域医療の充実、あるいは非営利原則の堅持ということで、これには一定の評価がなされて然るべきだということがあります。

 それから、今、当局からの御説明にもありましたように、名称の問題もあります。非営利ホールディングカンパニー型法人は、いかにも株式会社のガバナンスを想起させるものでありまして、このこと自体、なかなか受け入れ難いというのもあります。

 ということで、私どもとしては「統括医療法人 ( 仮称 ) 」、こういうものを提案したいと思います。配布の資料にありますが、読みます。「 2014 年度から運用が始まる病床機能報告制度による情報を活用して、 2015 年度以降、地域医療構想 ( ビジョン ) を策定し、医療機能の分化・連携を推進する。日本の医療を担ってきた地域の医療機関が、地域包括ケアシステムの構築に向けて更にその機能を発揮できるよう、健全な育成を推進する。以上の実現に向けて、日本医師会は、非営利原則を堅持しつつ、地域の医療機関が有機的に連携できるよう『統括医療法人 ( 仮称 ) 』制度を提案する」。

 統括医療法人のイメージですが、あくまでも医療法に基づく医療法人の一類型であるとしたいと思います。先ほど、一般社団法人の制度を参考にしてというものがありましたが、そういうものを入れてしまうと、地域医療の充実、あるいは非営利性の原則がなかなか保てないと考えています。ということで、理事長は、原則として医師とします。そして、統括医療法人の社員は、参加法人、及び個人立病院・個人立診療所の開設者とします。参加法人は、医療法人又は社会福祉法人であること。なお、社会福祉法人は、病院、診療所又は介護老人保健施設を開設しているものとしています。

 次に、これも非常に大事なことだと思いますが、社員総会の議決権は、拠出・出資額、規模等にかかわらず一社員一票とする。これは現在の医療法に書かれていることですが、是非、このことは堅持していただきたいと思います。一社員一票のため、参加法人の関係者 ( 役職員、親族等 ) は社員になることはできない。特定の企業の影響下にある参加法人及び個人は、統括医療法人の社員になることはできない。統括医療法人は配当を行ってはならない。また、統括医療法人と参加法人との間、及び参加法人間で資金を融通する場合において、剰余金等の配当とみなされる行為を行ってはならない。統括医療法人は、地域医療ビジョン及び「協議の場」の結果に従い、また、そのカバーする範囲は、当該法人が立地する地域医療ビジョンの構想区域とする。これは地域医療の充実という面で、非常に大事な点だと思います。大学法人は統括医療法人を設立することはできない。また、国立病院機構や公的医療機関等が参加する場合には、本部機能から切り離す。

 次に、非営利性の確保です。統括医療法人の設立・拡大に当たりまして、外資を含む金融機関等が深く関与し、実質的に支配されることがないよう、行政、地域の関係者等が監視・評価できるシステムを設けていただきたい。また、医療機関の不動産等を担保とした資金調達により、統括医療法人の拡大戦略に走ることは、地域医療の安定的確保の観点から認められない。都道府県知事は、統括医療法人及びその参加法人が営利性の高い特定の者と関係が強いと認められる場合など、要件を満たさないときは設立を認可しない。都道府県知事は、統括医療法人及び参加法人が営利性の高い特定の者と関係を持つようになった場合、設立認可の取消しのほか、解散を要請することや、役員解任等の必要な措置をとることを命じることができる。さらに、それに従わない場合は業務停止命令等ができる。統括医療法人は、医療法人会計基準の「関連当事者」に関する規定の開示を行う。

 ここに言う関連当事者とは、関係法人 ( 当該医療法人の役員職員等が他の法人の意思決定機関の過半数を構成する場合の他の法人、他の法人の役員職員等が当該医療法人の意思決定機関の過半数を構成する場合の他の法人、当該医療法人と他の法人のいずれか一方が他方の資金調達額の過半の融資 ( 債務保証を含む。 ) を行っている場合の他の法人又は当該医療法人と他の法人のいずれか一方が他方の意思決定に関する重要な契約を有する場合の他の法人を言う。以下同じ。 ) 。また、当該医療法人と同一の関係法人を持つ法人。また、当該医療法人の役員及びその近親者 ( 配偶者及び二親等内の親族を言う。以下同じ。 ) 。また、当該医療法人の役員及びその近親者が支配している法人。これらが関連当事者と定義を付けます。

 統括医療法人は、株式会社を設立すること、株式会社の株主となることはできない。

 次に、適正な運営の確保についてです。統括医療法人の設立・合併・解散は、都道府県知事が認可する。知事は、認可・不認可の決定に当たり、都道府県医療審議会の意見聴取だけではなく、その審議結果及び「協議の場」の結果を最大限に尊重する。また、地域医療ビジョン、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律に基づく都道府県計画及び市町村計画も考慮する。地域の関係者で構成する委員会を設け、必要に応じて、その建議により医療審議会の審議事項とする仕組みを設けていただきたい。統括医療法人の設立後も、地域医療ビジョンの実現のため、地域医師会も参画する「協議の場」において統括医療法人の事業運営状況を評価する仕組みを設ける。また、統括医療法人には、事業運営に当たり、「協議の場」の協議結果の遵守を求めます。外部監査を義務付ける。地域住民等からの開示請求いかんにかかわらず、財務諸表や事業報告書等を、ホームページを含めて常時閲覧できるようにする。統括医療法人が財団の場合は、評議員に地域の関係者代表を加える。統括医療法人自体は、病院、診療所、介護老人保健施設を経営しない。

 裏に、私どもの統括医療法人 ( 仮称 ) のイメージを書きました。以上です。

○田中座長 これから論点ごとに委員の皆様から御意見を頂戴したいと思います。論点ごとより先に、もう少し大きい観点から何か意見はおありでしょうか。個別の論点に触れていただくときに、全体構成等についても御意見を述べていただいて結構です。一応、事務局が整理してくれた順番に議論してまいりましょう。厳密ではなく、ほかの論点に関わってしまっても結構です。

 まず、お手元の資料の「1」ですね。「法人の在り方に関する論点」のうちの「1」「社員法人の独自性を保証しつつ、非営利ホールディングカンパニー型法人の意思決定等を制度的に共有する仕組みをどのように作っていくか」。これについて御意見をお願いします。本日は何かを決定するものではなく、それぞれの論点に関する皆様のかっ達な御意見を頂戴して、また考えることにします。

○今村委員 今、私どもの提案の中でも述べましたが、意思決定に関する部分です。厚労省説明のパワーポイント 3 ページ、前回検討会資料の転載部分ですが、「2」「この理念を実現するために行われる、意思決定を共有すること」。この中で「医療法人等の社員総会又は評議員会の過半数を、非営利ホールディングカンパニー型法人やその理事又は社員が占める」と書かれています。しかしながら、こういうことでは、ホールディングカンパニー型法人が社員法人を支配するという構図にならざるを得ないと思います。昨年 12 月、社保審医療部会の意見書で、医療法人間の横の連携を強化し、地域医療の再構築を進めていく、とした趣旨に反するのではないかと考えます。この提案では、非営利ホールディングカンパニー型法人は、医療法人等が協力して理念を共有することを掲げていますが、非営利ホールディングカンパニー型法人が社員や理事の過半数を掌握して、社員法人を支配する考え方は、参加の社員法人が持っている医療又は介護の機能を一方的に処分、分割、再編することにつながりかねません。理念の共有、また、協調や横の連携といった考え方とは、相容れないものだと考えます。

 こういうものに承服できないということであれば、脱退すればいいという考え方もあるかもしれませんが、しかしながら、こういったときの社員総会の過半数を握っている状態になれば、理事の選任権を通じて理事会の運営まで握られてしまう、支配されてしまうことが十分に起こり得るということで、事実上の脱退も非常に困難になるのではないかと思います。厚労省の資料にある、「社員法人は、ホールディングカンパニー型法人の意思決定に反しない限り、独自に運営を行うことができる」ということとは相容れないことにならざるを得ません。ということで、この考え方については、是非撤回をお願いしたいと思います。

○田中座長 この考え方は例示だと思うのですが、このような例示については賛成し難いとの御意見でした。 10 13 ページにわたって、「1」の内容が載っています。それぞれ御意見を頂戴します。

○浦野委員 どのポイントについてということを明確に言い難いのですが、個々の、例えば社会福祉法人がここに参加をするといった場合、社会福祉法人には原則として評議員会が設置されると。現在のところ評議員会は諮問機関という位置付けですが、別途行われている社会福祉法人の在り方等検討会においては、評議員会の役割をもっと重視していこうと。しかもその評議員会には、地域の住民等の声が反映するような人選をしていこうという考え方が基本的にあります。

 そういった中でホールディングカンパニーに参加した社会福祉法人が、評議員会の意思とホールディング法人の意思とをどう調整していくのかと、ひとつ考えなければいけないところだと思います。そこは非常に難しい。実際の制度設計となると、相当細かいところまで詰めておかないといけないことになるのではないかと、そこを心配しています。

 もう 1 つは、この資料を拝見していると、ホールディングカンパニーが基本的に社団のイメージを読み取れるのですが、その場合の社員は基本的には、そのホールディングを構成する個々の医療法人等ということになると思います。その場合、社員総会を最高の議決機関とした場合に、社員の意思で物事が決まると。逆に言うと、このホールディングは地域単位でという話もしているところになると、かなり地域独占的な性格、場合によってはカルテルという話にもなりかねない。そのときに、ユーザーの利益をその組織の意思決定にどう反映するのか、地域住民の利益をこのホールディングの意思決定にどう反映するのかと。そうしないと、サプライヤーの都合のいいことばかり決められてしまうことにもなりかねないと。そこの点を詰めないと、なかなか問題があると感じています。以上、初めての参加ですので、これまでの議論を聞いた中での感想めいたことを申し上げました。

○田中座長 大変貴重な点で、子法人に評議員会があった場合の評議員会の意思と親法人との関係、地域住民の代表等を入れておかないでいいのかと、 2 つの論点を提示いただきました。

○今村委員 今の浦野委員の御指摘は、非常に大事なものだと思います。特に、理念の元々が地域医療の充実あるいは再構築ということで、地域医療が基盤にあるわけです。その中で地域住民の意向をどう反映していくのか。それ無しに法人構想の議論は成り立たないと思います。ということで、厚労省では地域医療ビジョンの中で「協議の場」を設けることになっています。この「協議の場」は、正に地域住民の意向をどう考えるかが基本的な考え方になると思いますので、その「協議の場」を十分に重視していただきたいのが私どもの意見です。

○田中座長 活発な御意見を頂かないと、事務局側に賛成していることになりかねませんので。

○山崎委員 意思決定についてですが、前の検討会のときか何かで、この決定について票決の権利は一社について一票という考え方と、出資額に応じて票の価値が増えるという提案があったような気がしたのですが、今回の資料にはそれは入っていないようですが、あの考え方は消えたのですか。社員法人が一票、一人一票ということになったのですか。

○田中座長  12 ページの 2 がそれに相当すると私は理解していますが、事務局、もう一度説明をお願いします。

○伊藤指導課長補佐 ご指摘については、例えば、非営利ホールディングカンパニー型法人が行う意思決定として、様々なものがあります。例えば、法人の規模に応じて債務を負担したりなど様々な意思決定がありますので、そこで意思決定の在り方についてどう考えるかも、論点として挙げています。その中で、今村委員等から御発言のありました一社員一議決権を堅持すべきという選択肢もあるし、もう 1 つ、その反対側の案としては、一社員一議決権を原則としつつ、例えば定款等で自由に定められるという案があると思います。その中間のものとして、一社員一議決権を原則としつつ、法律等で定める一定の場合には柔軟に定めることができるというものもあると思います。

 したがいまして、一社員一議決権の例外を認めたとき、その例外の内容としては、今、ご指摘のあった出資に応じてというのもあるとは思います。ただ、現時点で我々としてはそこを明確に言っているわけではなくて、そもそも一社員一議決権を堅持すべきか、それとも一社員一議決権の例外として定款で自由に定めるようにすべきか、それとも定款に定める場合を限定して認めるべきか。そもそもそこの議論からまずスタートしていただいて、一社員一議決権の例外を認めてもいいとなった段階で、それでは、どういう場合の例外を認めるのか、それとも自由に任せるのかといった議論に進むものと考えています。このため、今の時点では我々としては、考え方をお示ししていないということです。

○田中座長 今の説明のように我々の意見を求める段階だそうです。

○山崎委員 私は一法人一票にすべきだと思うのです。というのは、出資額に応じて決定権が増える形になると、株式会社と同じことになってしまいますので、そうすると出資の多い法人がその法人の意思決定をすることになってしまうと、本来のホールディングカンパニー法人をつくった趣旨自体が壊れてしまうと思うのと、あとは、法人がいろいろな法人の集合体という形ですから、それぞれ立ち位置が違うと思うのです。それが平等に発言できないことになると、非常に問題があると思います。

 もう 1 つ、地域の患者というか、地域のいろいろな要望をくみ取ることはいいことですが、今の社会保障制度を考えても、地域の言う人の要望を全部聞いていれば、これは財政的に持たなくなってしまう話です。だから、どの程度聞くのかを含めて、ある程度制限していかないと、ホールディングカンパニー法人を作ったはいいけれども、数年で破産状態になるモデルになってしまう気がしています。

○長谷川委員 出資について確認させてください。ご説明では社団のイメージに近いと考えられます。だから、ホールディングカンパニーといっても、親法人自体は、子法人に対する所有権は有していません。逆に、子法人も、出資を親法人にするという概念が成立するかどうかが不透明です。したがって、出資額に応じた議決権という議論が、そもそも成立するかどうかが、やや私の頭の中にはイメージすることが困難です。

 厚労省の提示された 3 つのパターンで、例えば「自治体が出資をする」という文言があるのですが、そうすると、どこに対して出資するのか。親法人に出資するのか、社団のイメージだとすると、これは考えにくい。さらに親法人の出資を受けて子法人を作るのかどうかですよね。子法人同士の資金融通は理解できるのです。ただ、出資という概念はどう整理したらいいのか、御説明をお願いします。

○伊藤指導課長補佐 そもそも株式会社等であれば、出資に応じて議決権は通常与えられるケースですので、ある社がある社に対して出資することはインセンティブがありますが、今回の非営利ホールディングカンパニー型法人については、今後の議論によりですが、もし一社員一議決権ということで堅持するとした場合に、その出資に応じて議決権が得られるものではないので、その面ではご指摘のとおりインセンティブは減るものとは思います。

 そもそも、我々としては資金融通の仕組みの姿勢は柔軟に設けたいと思っています。基本的に資金融通の仕組みとして想定されるものとしては、例えば参加する社員法人が債務保証をして、非営利ホールディングカンパニー型法人がその債務保証をベースにお金を借りて、その資金を元に弱い医療機能とか介護とかがあれば、そこを強化できるようにするというのが基本的なコンセプトの一つであると考えています。

 さらに出資という資金融通の仕組みが活躍する場面があるかというと、長谷川委員がおっしゃったように、インセンティヴの問題もあり、確かにかなり限定的だとは思います。ただ、手法として限定的であっても、柔軟にできるように認める余地があってもいいのではないかということで考えております。例えば、参加する社員法人がホールディングカンパニー型法人に出資して、出資したお金を活用して、例えばホールディングカンパニーが何らかをするというのもいろいろ考えられるでしょうし、そういった形で個々のホールディングカンパニーが今後運営していく中で、それぞれのケースに応じて必要な資金調達の仕組みを活用いただければということで思っています。

○長谷川委員 親法人に対する出資であるという理解でよろしいのですね。最初のほうは、ただの債務保証ですよね。

○伊藤指導課長補佐 その理解で結構です。

○長谷川委員 ただ、債務保証を元に親法人が調達した資金を子法人に貸付けするわけですか。

○伊藤指導課長補佐 貸付けというのもあると思います。

○長谷川委員 その融通が出資か貸付けか、性格によっていろいろ変わってきますので、そこの確認ですが。

○伊藤指導課長補佐 そこは得られた資金を社員法人に融通するときに、今のところは出資、寄附、融資又は債務保証という形で融通できる仕組みとしてはということで提案していますので、このうちどの手段をとるかは、非営利ホールディングカンパニー型法人内での議論によるのかということで思っています。

○今村委員 意思決定についての議論は、最も重要な論点だと思います。説明の中でも申し上げましたが、この構想は医療法人の中の一類型という位置付けにしていただきたいと思いますし、そういったいろいろなことから言いますと、一社員一票という根本的な考え方はどうしても譲れないものであって、出資額等に応じた議決権の付与については、是非やめていただきたいと思います。

○松原委員 ホールディングカンパニー法人の意思決定は、正にこの頭脳の部分で今村委員がおっしゃるように、最も重要なところだと思います。ここの意思決定で、出資に応じてだろうが債務保証に応じてだろうが、資本の論理を用いて資金を多く出したところがコントロールしていくという仕組みを作るということは、営利型、株式会社型の経営を導入してくるということになります。株式会社の効率化の方法を参考に学ぶなどとは全然レベルの違う話になってきてしまいます。非営利性を堅持するという前提が付くのであれば、当然一人一票ということにならざるを得ないと私は思います。そうではないのだよと、非営利性についても考えるとなるのであれば、また話は変わってきますが、今回はあくまで非営利性を堅持することが前提というお話で、前回の第 5 次医療法改正の流れを汲んで、それの延長で進んでいる話であれば、ここは一人一票ということだと思います。

○日野委員 ホールディングカンパニーへの出資にしろ、形態はどういう形になるのか分からないですが、非営利性の堅持をして、そこへ何らかの形で関与する。でも、関与することに関して、非営利である限りリターンはないですよね。果たして子会社と考えていいのか、よく分からないですが、管轄する医療法人なり社会福祉法人なりが自由気ままに動いて、それを統括するのは大変な作業だと思うのですが、それに対する評価というか、何らかの見返りが無ければ、出資する篤志家が出てくるのかどうか。

 この事業がよく見えない。医師会は、「協議の場」を医師会の管轄のものだという前提でものを言っておられますが、それは何も決まっていないですよね。だから、そのこととの関連もはっきりしていないし、後ほど出てくる「地域」は何を指すのかという具体的な範囲も分からないですよね。それで名前もいろいろなことで関係してまいりますが、名前もカンパニーということであれば、そこらの出資に対する利潤の追求は出資者の義務となってくるとなると、個人の篤志家というのが想定された時代とは今は違いますから、そこらの整理がないと何か納得できないです。できたら、もう少し具体的に分かるように説明できるように話を詰めていただけたら有り難いです。

○田中座長 まだよく分からない点が残ることは、確かですね。

○山崎委員 意思決定の所ですが、 11 ページの真ん中あたりに「中核病院等の機能・病床の制限と地域の協力等」とあって、「中核病院は病床削減をし、急性期病棟以外持たないなど」と書いてあるのですが、中核病院は何を意味しているのかということと、「中核病院等」の「等」は、何を想定して「等」を付けたのか、教えてください。

○伊藤指導課長補佐 中核病院という文言は、地域で核となる急性期医療等を担っている医療機関ということで、具体的にこういう定義だと決めて使っているわけではなくて、あくまでそのようなイメージとして使っています。「等」につきましても、網羅的かつ具体的に何かあるというわけではなくて、そういった中核病院と同様な病院というイメージで使ってるということです。

○山崎委員 そうすると、中核病院は急性期病棟しか持たないで、ホールディングカンパニーの中の介護機能を持っている所に、その介護の機能を持たせるということなのでしょうか。というのは、病院というのは、医療の中で急性期なら急性期を含めて、それほど急性期だけに限定して運営していることは少ないのであって、そこの範囲は非常にグレーゾーンみたいなものがあるわけですが、急性期病棟に限定するというように縛って、しかも、最初に病棟削減ありきみたいな文言が入るのがすごく不自然なのですが。

○伊藤指導課長補佐 ここはあくまで例示として書いたものですので、もし例示として不適当であれば、それは修正なり削除なりさせていただきます。

○山崎委員 少なくとも「病床の制限」とか、「病床削減」という文言は削るべきだと思いますが。

○田中座長 指導課長、お願いします。

○梶尾指導課長 いろいろと御意見ありがとうございます。今回のホールディングの議論については、冒頭のほうで「創設の必要性について」ということで、幾つかこういう課題があって、医療法人等が地域で連携を進めていく仕組みとして、こういうようなことができる枠組みが新たにできるようにしたらいいのではないかということで、そのためにどういう法人制度であればそういうことがやりやすいかということで御検討いただければと思っております。

 その際に、法人が集まって、それを包括する法人を作るとすると、そこが一体として機能していることを内部的にも、あるいは外から見ても分かる仕組みをどうしたらいいのかということが要るのだろうと思っています。

 それで幾つか御意見を頂きまして、一社員一議決権について、医療法人におけるルールをしっかり守るべきであろうという御意見がございました。出資額に応じてと言われると、出資額に応じてというのはいかがなものかということだと思うのですが、出資額に応じるだけではなく、事業内容等によっては、違うやり方もあり得るかどうか。そういうことも含めて、こういった内容だったらどうかとか、そういうこともあり得るのかないのか、こういうものについては定款で定めればいいとか、幅広く、より柔軟な仕事の仕方ができる、新たな法人グループがよりやりやすいやり方をするためには、「こういうことはできないようにするべきではないか」という御意見が多いのですが、このようなことができるようになると地域のためにいいのではないか、ということで提案いただけると有り難いと思っております。

 医療法に基づくということでの御提案が今村委員から出ておりますが、今回の医療サービス、介護サービスを含めた地域でのということですので、様々な選択肢をもった形で、現時点では考えていきたいと思っておりますので、ここは必ずしも医療法でということで考えているわけではなく、そこは幅広く、正に介護関係の委員の方々にも入っていただいていますが、医療サービス、介護サービスを含めた形で考えています。正にこれは今後の御議論だと思っております。

 資料の 3 ページの、社員総会等の過半を占めるようなやり方ですが、これは前回に株主総会の例に倣い過半を占めるという形で、一例として提示しました。それに対しては、支配の色が濃いということでしたが、先ほどの資料の説明の 13 ページの 4 で、大方針について法人で決め、個別の運営は社員法人がやるわけですが、全体の大きな意思決定に従って運営することを担保する仕組みということで、社員総会の過半というやり方でないのであれば、定款の中に、「ホールディング法人の大方針に従う」と規定することも、一例としてあり得ると申し上げました。

 「ある方法は駄目だ」ということも大事な御意見なのですが、「こういうやり方のほうがいいのではないか」というように御意見を頂けると、大変有り難いと思っています。

○田中座長 今村委員、どうぞ。

○今村委員 いろいろな意思決定を一般社団法人のように定款で定めることができるようにすると、歯止めが掛からなくなるということで、一般社団法人を参考としてというのも是非やめていただきたいと思います。

 それから、この構想というのは、先ほどの地域の考え方あるいは中核病院の考え方と関わってくるのですが、もともと地域に根差して医療を提供してきた医師や医療法人の横の連携を強化して、地域で医療が完結するシステムを作ろうということですので、そうすれば地域の概念というのは、地域医療ビジョンの構想区域というのが最も妥当な考え方ではないかと思います。

 それから、医療機関のうち国立病院、自治体病院、あるいは日赤、済生会、厚生連、こういったような医療機関というのは、もともと地域医療ビジョンを、その構想区域を越えた広域的な組織ということですので、本部の意思決定が、この地域医療ビジョンの考え方あるいは「協議の場」での考え方と、相容れないという部分も十分に考えられるということで、基本的には中核病院というのは、余り想定しないほうがいいのではないかと思います。

○田中座長 鶴田委員、お願いします。

○鶴田委員 医療法人の一類型として考えるのか、それとも医療・福祉推進のための組織ということで考えるのかで議論が違うと思うので、厚生労働省ではどう考えておられるのか、そこがまず 1 つです。

 もう 1 つは、資料 2 4 ページにイメージ図がありますが、これを現在あるもので考えると、例えば、大学病院等ではこの理事会に相当するのが文部科学省で、各法人が各大学です。国立病院機構で考えれば、本部が理事会で各病院が各法人です。国レベルで考えるとこの 2 つを統合し、社会福祉法人等が加わった 1 つの法人カンパニーというイメージで良いのか、都道府県のレベルで考えると、これに医療法人として都道府県の各病院が加わります。つまり、都道府県のレベルでは国立大学も、国立病院も、自治体病院も、民間病院も、プラス社会福祉法人も含まれます。これの統合体の理事会ができるというイメージで良いのでしょうか。

 現在、都道府県のレベルでどのように動いているかというと、言わば医療審議会、地域保健医療協議会という形で運営されています。医療審議会、地域保健医療協議会に出ている人たちが、それぞれの法人としてそれが法人格を持つというイメージで良いのか、よく分からないところがあります。今、言ったような形のホールディングカンパニーであれば、医療審議会等でこのようにしましょうと拘束力を持たせる方法も考えられますが、そこに関して、何か御意見があればお願いします。

○田中座長 単位が法人なのか、それとも現実に機能している病院単位なのか。病院が大きな組織、国立とか、自治体とか、日赤等に属している場合の話と、法人間の話を、もう少し分かるように説明してほしいとの御意見です。

○伊藤指導課長補佐 とりあえず今議論しているのは、あくまでも地域の医療法人と社会福祉法人をベースに考えていただければいいと思います。国立病院機構など他の法人類型については、プラスアルファとして、例えば今回の成長戦略の改訂にもありますが、独立行政法人等が設置する公的病院が、非営利ホールディングカンパニー法人に参画するときにどうするかということを議論する際に、本部機能との関係とか、例えば大きな法人である場合に、一定の地域に入るときにどうやって入るのか、医療機関として入るのか法人として入るのかということは論点として出てくると思いますので、その議論の際に考えていくのかと思います。

 ただ、現時点のイメージとしては、非営利ホールディングカンパニー型法人というのは、医療法人や社会福祉法人といった、法人を統括するというのが基本コンセプトですので、基本的には法人として参加することを想定して議論をしていくこととなると考えています。

○田中座長 山崎委員、お願いします。

○山崎委員 この法人の「地域」という考え方ですが、地域というのは県レベルなのか二次医療圏レベルなのでしょうか。これが 1 点です。

 それと、先の話なのでしょうけれども、 15 ページに、法人の社員資格については、「非営利法人のみとする」とありまして、経過措置型の持分のある医療法人というのは、これには入れないのですか。

○田中座長 論点が 3 4 に入っていますが、時間の関係もありますので、お答えください。

○伊藤指導課長補佐 地域の範囲については論点としてお示ししておりますので、そもそも地域要件を設定するのか、設定するとした場合、その地域の範囲をどうするかについても、ここで御議論いただければと思っています。

 非営利ホールディングカンパニー型法人に、医療法人が社員法人としてなれるかどうかについては、 15 ページの下に示しているとおり、「ホールディングカンパニー型法人の社員法人については、非営利法人のみ」としています。現在、持分あり医療法人も非営利法人の 1 つということで整理されていますから、社員法人になれることを想定しています。

○川原委員 議決権について再度お話しておきたいのですが、横の連携を強化して機能分化・連携を構築するということですが、いわゆるホールディングスの議論の前提だと思うのですが、そのときにホールディングというのは基本的には機能も異なれば、規模も異なります。それが連携して、どのような連携体制を構築していくかという話だと思いますので、規模や範囲が大きく左右してくるとなると、本当に小さな規模のところ、川下に当たるような機能を果たしている法人が入りにくい。そうなると、果たして制度がうまく回っていくのかという話にもつながりかねないと思いますので、規模、機能に関わりなく発言できるような、きちんとした意思決定ができるような仕組みが必要なのではないかと思います。

○梶川委員 理念系のほうにいってしまうかもしれませんが、私が説明をお聞きして、基本的に地域の医療・介護の充実という理念に基づいて構成される、ここでは社員法人と言われている方々が、自発的にこういう統合的な法人を作られる、任意にお作りになると。

 そのスタンスで考えると、もちろん一体的な運営に近づけば、各種の自分たちの思いの利益相反が起こるのは大前提なので、強制的にこういうものを作るという話と、自発的に作られるという話では、アプローチする道が全然違ってしまうと思うのです。最初には、自発的に参加されたいという方の全体最適に対する仕組み作りと考えますと、幾つか出てきていた議論も、また少し形が違うと。

 そういう意味でいえば、この統合的な組織が、皆さんの全体最適の思いをどう効率的に実現する意思決定組織を形成していくかということが前提になってくるという意味で、そういう意味でいえば、ある程度意思決定のある部分を統合組織に委託する形が、皆さんの信頼感の中で成立していることが前提で議論が進むことはあり得ると思うのです。

 そうなると、当面、今運営されている社員の方ないしはそれを理事という特定の運営者に、ある程度当面の運営の権限を委ねるという形は、十分に起こり得ることかなと思います。

 むしろ問題なのは、理事なりの選任のときのデュープロセスのようなものをどうお考えになるかだと思います。これは構成員がどのぐらい関与できるかということもありますし、私は非営利という概念が非常に重要だという意味で言えば、ないし地域の医療・介護の充実という国民が望むものという意味で言えば、マルチステイクホルダーである地域住民、行政など、多くの方が理事の選任に、選任という意味である種のコミットをされるという、地域委員の審議会ではないですが、そういうもので妥当な意思決定機関ができるようにしていくという仕組み作りの要素はすごくあると思います。

 営利というのは、所有権に基づいて意思決定するということですが、非営利はそれができないだけに、組織目的にかなう人選を、どのように地域社会も含んで行えるかという仕組みをお考えになっていただければと思います。

 事務局案の全部がこれでいいということではありませんが、ここに書かれている幾つかの部分は、それに沿ってはいるような気がするのですが、最初の前提の無理矢理ではないということは、議論を進める上での大前提にはなるかなという気がしています。

○田中座長 理念や目的を共有した人たちが自発的に作ることについては、異論がないと思うのです。

 最初に想定していましたとおり、「1」から「7」まで分ける議論にならないですね。名称だけは別として、「1」から「6」まで御自由にどうぞ。

○西澤委員  1 つ質問です。 13 ページのホールディングカンパニーの意思決定のところの社員法人の独自性を保証する仕組みについてです。前回の議事の 3 ページ、医療法人即ち社員法人ですが、その社員総会及び評議員会の過半数を、非営利ホールディングカンパニー型法人やその理事、社員が占めるとなっています。そうすると、過半数以上いるから、そこでホールディングカンパニーの意思決定ができますが、逆にそうすると、 13 ページの下の社員法人の脱退ということが、その場合に可能なのかどうか。

○伊藤指導課長補佐 非営利ホールディングカンパニー型法人が行う意思決定に従って社員法人が運営することを担保する仕組みとして、参加する社員法人の社員総会の過半数を、非営利ホールディングカンパニー型法人又はその理事が占めると仮定した場合に、脱退のときの意思決定をどう行うのかというご指摘だと思います。

 考えられる仕組みの1つとしては、参加する社員法人の社員総会の過半数は非営利ホールディングカンパニー型法人とその理事が占めるとした場合、脱退に係る意思決定を行うときだけ利益相反的なものと整理して、法的に、その場合は非営利ホールディングカンパニー型法人とその理事は議決権を有しないとすることも、選択肢としてあるのではないかと考えています。

○西澤委員 分かりました。そこに「利益相反」が入ってくると、恐らく脱退以外にも、いろいろ利益相反のものはあるはずなので、そうであれば利益相反になる事項を列記した資料を出していただければと思います。

○伊藤指導課長補佐 そこはおっしゃるとおりで、社員総会の過半数を占めた場合、脱退に係る意思決定以外にもこういう場合は議決権を持たないという整理もあると思いますので、いろいろと委員からも御意見を頂きながら、必要であれば、まとめるかどうかも含めて考えていきたいと思います。

○浦野委員 資金の融通のことです。今回、社会福祉法人も、この参加法人の一種として想定されています。その場合に、社会福祉法人の得ている収入の多くは税金を免除されて得ている収入です。一方、医療法人の場合は、かなりの部分は課税されている事業をやっていらっしゃいます。そうすると、非課税で得たお金を課税の事業に融通するということが、果たして社会的に受け入れてもらえるのかというところは、かなり難しいのではないかと思っています。社会福祉法人にも課税をしろという議論は一方ではあるのも承知ですが、それは次元の違う話として、そこの整理もきちんとしておかないといけないのだろうと思っています。

○田中座長 将来の課題をありがとうございます。日野委員、どうぞ。

○日野委員 話を元に戻します。非営利ホールディングカンパニーで、先ほど申し上げた地域ということは、たかだか都道府県単位で二次医療圏というのも候補に上がっていますが、それでは私は考えにくいのです。

 利益相反という話が出てきましたが、二次医療圏になるとかなりきつく出てくる。都道府県だとかなり緩いです。当初、この提案があった武田参事官の時代には、巨大医療法人として幾つかの医療法人が現存するということで、今回の論議からは、ああいう幾つかの都道府県をまたいでカンパニーというか、このホールディングカンパニーの考え方にピッタリだと思うのです。

 というのは、利益相反もないし、意思決定はそこのカリスマ理事長が行っているし、カバー範囲も急性期医療から医療・介護あるいは在宅までです。そういう人物が出てこないと、このホールディングカンパニー構想は想像できないのです。そういうことができる人というのは、日本中で限られた人しかいません。

 ああいう形態でやられていることが、今回出ていないというのは、都合の悪いところがたくさんあるのでしょうから、次回でも結構ですので、ああいうものは今回の構想とは相容れないという点を教えていただけたら有り難いと思います。

 中小医療法人においては、ああいう形で経営が弱体化すると飲み込まれてしまうという恐怖感が非常に大きいのですが、今度の構想のときにもそういう話がたくさん出てきました。その点も踏まえて、是非、説明を頂けたら有り難いと思います。よろしくお願いいたします。

○伊藤指導課長補佐 巨大医療法人というお話がありましたが、資料の 6 ページ目の上から 3 つ目の○を御覧ください。日野委員のイメージと、ここで言っているイメージが同じだと思うのですが、「広範な地域で展開している法人グループがある」ということで、県境などを越えて、「複数の地域に、収益性が期待される規模や機能を有する医療機関を保有するとともに、経営規模の拡大を通じ、共同購入や人材活用等による業務効率化を進めている」ということで、そういうものを指して巨大医療法人とおっしゃっていると思っています。

 これについて、今回は今村委員等もおっしゃっているように、地域の医療提供体制の再構築等を図っていくものということですので、ここに書いてあるように、「特定の地域を面的にカバーして淵源の異なる医療機関等の連携を図る仕組みとしては期待しにくい」ということであり、今回のホールディングカンパニー型法人についても、こういった広域な地域で展開している法人グループを前提として作った制度ということではないということです。

○日野委員 イメージの話ではなくて、現実にそれを今回の案から外してある理由があれば、教えていただきたいと思います。

○伊藤指導課長補佐 その法人グループを外した理由としては、今回は一定の地域の医療提供体制の再構築を図っていくためのものですから、特定の地域を面的にカバーして淵源の異なる医療機関の連携を図る仕組みとしては、巨大医療法人グループの仕組みは期待できない。したがって、非営利ホールディングカンパニー型法人制度はそういう考え方とは相容れないということで、ここで説明させていただいています。

○田中座長 課長からお願いします。

○梶尾指導課長 それを外して考えている理由は、国民会議でも、地域の医療・介護サービスのネットワーク化を図るための協調の仕組みが要るということがあり、医療部会でも、中小規模の医療法人を大規模化する目的ではなく、地域の医療提供体制において医療法人間の横の連携を強化することで考えるべきだということですので、地域でやりやすい仕組みということで提案をしておりまして、全国のものを提案しているわけではないということです。

○田中座長 私から質問です。子法人の社員の過半を占める方法もあり得るという例示がありました。その場合に、子法人の社員になる資格は、親法人はどういう論理に基づいて社員になるのでしょうか。子法人が親法人に出資等の何らかの理由で入って、親法人の社員になるとの説明は分かるのですが、その結果、親法人がどういう根拠で子法人の社員になれるのですか。

○伊藤指導課長補佐 そこは今回のホールディングカンパニー型法人 ( 仮称 ) については、一般企業の持株会社のように一定の株式を取得して議決権を握る形で法人を統括することができません。

 したがって、非営利ホールディングカンパニー型法人の意思決定に従って社員法人が運営することを担保するための仕組みとして、参加する医療法人等の社員法人の過半数を握ることとし、このような仕組みを必ず設けることを、非営利ホールディングカンパニー型法人の要件として盛り込むということです。

○田中座長 提案ですか、それとも、それはあり得るとの例示ですか。

○伊藤指導課長補佐 あくまでも 1 つの例として挙げただけで、制度的に保証する仕組みは定款で縛るとか、他にもいろいろあると思いますので、御提案もいただきながら、事務局として、どれか一番弊害も少なく効果も高いのかという観点から考えていきたいと思っております。

○田中座長 皆さん、お分かりになったと思いますが、参加法人に入ると、新たに設立される親法人の代表が下の法人の社員の過半を取るという、かなり強烈な提案だと思うのですが、そういうこともあり得るという御説明ですね。

○伊藤指導課長補佐 選択肢の 1 つとして考えられるのではないかということで、それをやろうというわけではなくて、弊害等も含めていろいろ御議論いただいていますので、引き続きいろいろ御意見をいただければと思っております。

○田中座長 最後に 10 分ぐらい名称について議論するとして、ほかに「1」から「6」についていかがでしょうか。

○橋本委員 よく分かっていないところがあるので質問になると思います。心として、地域包括支援システム的なものを作っていく上で、地域にある様々な関連施設が、資金の融通と事業統合をより自由に行えるシステムを作ることは、ここにいる委員のほぼ多数の方が賛同していることになると思いますが、今の議論を伺っていると、そのための手段として、括弧付き非営利ホールディングカンパニーが優れているかどうかに関して、まだ意見の一致が見えていないというか、多数の委員の先生がそれに関して不安を覚えているという印象を受けました。

 例えば資金融通に関しては、先ほど来、浦野先生、梶川先生などからもお話があったように、現行の法人間での様々な規制に関して、例えばそれを規制緩和するというような処置と、ホールディングカンパニーというものを導入するのとで、何がメリットとしてホールディングカンパニーに資金融通の自由度が高まるような要素が含まれているのかというのが見えていないのではないか。

 逆に現行制度との衝突。例えば先ほどの税制優遇の問題、あと議論の中に国立大学法人の大学病院を切り離すというのがありましたが、それをやるとなると、大学病院の医師の給料を大学法人に付けるのか、大学病院法人に付けるのかというような、かなり高度な話が出てくるような形になって、そういう障害を乗り越えてまで、資金の融通性がより高まるということに関して確信が持てないところがあるのではないか。それに関して、できれば、こういうことがあり得るのではないかというお話が聞ければ、より参考になると思います。

 第 2 番目として、事業統合を進めることに関して、これは先ほど鶴田先生からもお話がありましたが、必ずしも括弧付き非営利ホールディングカンパニーは医療法人の一型を作るのだという話より、もう少し広い概念で話が進んでいると私は認識していますが、そうすると、地域の中の様々な組織が、一つ一つ自分の経営主体としての発言権を持つことが大変重要になろうかと思います。

 その際に 1 つ気になったのですが、今日は代表の中に看護系の方がいらっしゃらないので、代理質問になるかと思うのですが、訪問看護ステーションみたいなものというのは、ここではどういう位置付けになるのでしょうか。地域の包括をやる上では重要な拠点になると思うのですが、いわゆる医療法人の下でやっている訪問看護ステーションはどんどん減っていて、株式会社系が非常に増えてきているのですが、現在見る限りでは、非営利は入れないほうがいいという御意見があったのですが、そうすると看護機能が抜けてしまうおそれがある気がしたのですが、この辺りのイメージはどうなっているのでしょうか。

○伊藤指導課長補佐  1 つ目の論点は非常に難しい論点ですので、正確に答えられるかは難しいのですが、今回のコンセプトは、地域の医療法人の横の連携を進めていくことです。横の連携の「連携」とは何かというと、診療面の連携のみならず、運営面、組織面又は資金面での連携を進めていこうというコンセプトです。

 この連携を進めるに当たっての仕組みとしては、透明性の高い組織的な連携の仕組みが必要だろうということで、これまで社会保障制度改革国民会議等においてこれまで議論した流れでは、このような透明性の高い仕組みとして、連携しようとする医療法人や社会福祉法人が集まって、非営利ホールディングカンパニー法人を設立して、そこで透明性を高めながら、診療面、組織面、運営面又は資金面での連携を強化していこうというコンセプトだと考えています。

 したがいまして、組織面の運用の仕方として、例えば議決権をどうするかとか、運営面の連携等として、意思決定をどうやって共有するかについては、これまでご指摘のあったとおり、いろいろと議論がありますので、そこは引き続き議論いただこうと思っています。

 また、浦野委員等がおっしゃった税制とか、現行制度との衝突、調整もあると思いますので、そこについては、このコンセプトを前提とした上で、各委員からも御議論なり御提案なり、こういうやり方もあるのではないかということを、非営利ホールディングカンパニー型法人制度を創設するという前提で御議論いただいた上で、税制や現行制度とも調整していきたいと思っております。

 個別の論点になりましたが、大学病院の関係については、様々な論点があります。今後、文科省を中心に検討していくと聞いていますので、そことの連携も踏まえつつ、考えていきたいと思っております。

 訪問看護ステーションをどうするかについては、射程に入っているのは医療法人、社会福祉法人ということで考えています。地域で介護を担う主体としては、ほかにも株式会社、 NPO が挙げられると思います。そういった中で、今回の非営利ホールディングカンパニー型法人制度のコンセプトとしては、そこに参加するのは非営利法人だけにすることによって、非営利性を保った事業体として、診療面、運営面、組織面又は資金面の連携を高めていこうということですので、社員法人については非営利法人に限定すべきだということで考えてはいますが、そこも含めて御意見があればいただきながら、総合的にどうするかを判断していきたいと考えています。

 その中で、訪問看護ステーションについても、医療法人、社会福祉法人以外の法人主体もあれば、 NPO も入ってきますので、今の段階から NPO も明示的に入れるべきだという議論があれば、その御意見もいただきながら、総合的に勘案していきたいと思っています。

○田中座長  NPO も非営利のうちという感じの答えでしたね。今村委員、どうぞ。

○今村委員 ただいま大学の問題が出ましたが、大学というのはもともと医師をはじめとする医療関係者の養成、あるいは高度な医療技術の提供・研究といったものが、大体の設立の趣旨だと思います。そういったような意味から言いますと、新たな仕組みの中で言われましたように、個々の地域に根付いた、比較的体力の乏しい中小法人等が、互いに人材や資金面を融通し合うという考え方とは、かなりイメージが違うというので、構想の中に大学病院が出てきていますが、これは外して考えたほうがいいのではないでしょうか。

○田中座長 鶴田委員、どうぞ。

○鶴田委員 資料 2 20 ページに示されている 20 ページの「非営利ホールディングカンパニー型法人の活用モデル等について」と、「日本再興戦略」改訂 2014 の資料の 2 枚目、 58 ページに付いているものを見比べていただきたい。先ほど大学病院の話は後でということだったので、自治体中心型のホールディングカンパニーの例について意見を言います。

 例えば都道府県の自治体病院、県立病院には、県からいろいろな資金を出しています。民間と民間の非営利ホールディングカンパニー型法人の話と、自治体と民間の非営利ホールディングカンパニー型法人では違うと思うので、こうした非営利ホールディングカンパニー型法人ができたときの具体的な課題が分かると、もっと意見を言いやすいという感じがしました。

○田中座長 今日は時間がないと思うのですが、次回以降に備えて、そういうことの資料を整理してほしいとの御意見ですね。

○梶尾指導課長  20 ページに自治体中心型として書いているのは、自治体が提案者となって、医療法人、社会福祉法人を集めた形の法人を作って、このような連携をしたらいいのではないかという提案主体としての自治体中心ということで、自治体病院がホールディングになることについては、この検討会の対象外で、総務省で検討いただくことです。

○太田委員 全国老祉協の太田です。この議論に初めて参加させていただき、これまでの話を聞かせていただいた中で、ホールディング法人の権限、意思決定の部分で、どうしてもそこの範囲が明確になっていないような気がいたします。ホールディング法人の権限が限定的なものなのか、それともホールディング法人内の事業運営に関わる全てのことに権限を有しているのか、また、社員法人の権限の範囲とはどこまでのことを認めていただけるのか、そこら辺がこれまでの議論で十分に消化できていないという思いです。

 また、ホールディング法人は、介護事業を行う会社に「出資も可能とする」という文言がありますが、営利法人は社会福祉法人となることができないとすべきということについて、ホールディング法人の外にある営利法人の規模や業種等に制限はないのかどうなのか、そこら辺も非常に気になるところということで、お話を聞かせていただきました。

 全体の流れとして思うことは、法人規模の規模ありきという議論の進め方というのはどうなのか、という思いを持っています。それと、経済成長という視点からのみで論じていくというのも、もう少し考えようがあるのではないか。拡大や目的、効果といったものを、まず明確にしていただく必要があるのではないかと思います。

 社会福祉法人同士の合併・連携について、議論が重ねられているところですが、そこへ持ってきて医療法人との連携ということであれば、もう少しメリット、デメリットを明確に打ち出していただけると有り難いと思いました。

○田中座長 たくさんの宿題を頂いていますが、最後に名称について何かございますか。 10 分間で決めるものではないと思いますが、「統括医療法人」なる案が出ていますが、それ以外に何かおありでしょうか。

 名称はいつ頃までに決めないといけないのですか。

○伊藤指導課長補佐 年内の取りまとめになっていますので、それまでには遅くとも決めたいと考えています。

○田中座長 是非、幾つか提案をお願いします。

○梶尾指導課長 名称は内容とセットですので、名称を決めたからこの名称の範囲でという、逆転した議論にならないようにお願いしたいと思います。

○田中座長 山崎委員、どうぞ。

○山崎委員 折衷案だと思うのですが、「非営利総括医療法人」でいいのではないですか。

○田中座長 提案であって、課長が言われたように、中身の議論があって、それにふさわしい名前が決まる。ゆえに最後に書いてあるのですね。名前から始める話ではないと思います。 1 つ頂きました。橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 これも引き続き議論だと思うのですが、医療法人の一型なのか、地域の医療・介護を作る体制を動かす新しい組織という認識にするのかによって、名称に「医療」を入れるか入れないかは決まってくるのかなという気がいたします。特に、今回社会福祉法人の先生方にも新たに委員として入っていただいていることを加味して、引き続き議論をさせていただけると有り難いと思います。

○田中座長 そのとおりですね。今村委員、お願いします。

○今村委員 今日、私ども「統括医療法人」を提案させていただいたのですが、日医の中の会内の議論でも、介護をどうするかというのは大きな問題になりました。ということで、「統括医療介護法人」としてはどうかという意見も出たことを、一応申し添えます。

○田中座長 情報をありがとうございます。まだ流動的ですよね。今後の議論の進め方はどのようなイメージになるのでしょうか。

○伊藤指導課長補佐 今回お示ししました「日本再興戦略」の改訂等を踏まえると、年内に結論を出すことになっていますので、原則的に月 1 回を基本としつつ、それだけでは時間が足りない場合には、月に 2 回、 3 回ということも考えていきたいと思いますので、各委員、お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。

 今回は非営利ホールディングカンパニー型法人の議論だけ行いましたが、それ以外にも前回の検討会でお示ししたように、一定規模以上の医療法人に対する透明化や、医療法人の分割、社会医療法人の認定要件の話もありますので、盛りだくさんですが、それも年内を目途に頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○田中座長 各委員、秋は会合が多くなるので覚悟せよと宣言されました。

 次回の会合の説明をお願いします。

○伊藤指導課長補佐 本日はありがとうございました。次回の開催日は追って連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○田中座長 まだまだ議論が始まったばかりで、今日何かの結論とは考えておりません。事務局に意見等があれば、各委員はそれぞれ提出していいわけですね。

○伊藤指導課長補佐 もし今回の検討会で言いきれなかった御意見、御質問等があれば、事務局に寄せていただければ適切に対応させていただきます。よろしくお願いいたします。

○田中座長 次回委員会を待たず、論点「1」から論点「7」について、何かお考えがあれば事務局に伝えて、委員で共有していきたいと存じます。

 それでは、本日の第 5 回医療法人の事業展開等に関する検討会を閉会いたします。委員の皆様、お忙しい中をお集まりいただきましてありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 医療法人の事業展開等に関する検討会> 第5回医療法人の事業展開等に関する検討会(2014年6月27日)

ページの先頭へ戻る