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2014年5月16日 第18回 先進医療会議議事録

○日時

平成26年5月16日(金)16:02~16:47


○場所

全国町村議員会館 大会議室(2階)


○出席者

【構成員等】
猿田座長 五十嵐構成員 柴田構成員 中川構成員
福井構成員 山口構成員 山本構成員
【事務局】
医療課企画官 医療課専門官 薬剤管理官
医政局研究開発振興課長補佐 医政局先進医療専門官他

○議題

1 新規技術(4月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分け(案)について
  (先-1)
  (別紙1)(別紙2)(別紙3)
2 先進医療Bに係る新規技術の科学的評価等について
  (先-2)
(別紙4)(別紙5)
3 先進医療Bの取り下げについて
(先-3)
(先-3(参考))
4 第3項先進医療に係る継続審議案件の申請書の取り下げに
ついて
(先-4)
5 先進医療Bの総括報告書に関する評価について
(先-5-1)(先-5-2)(先-5-3)
(先-5(参考1)(参考2))

○議事

16:02開会






○猿田座長

 それでは、時間が参りましたので、第18回の「先進医療会議」を始めさせていただきます。今日は、学会その他のかかわり合いがあって、委員の先生方、遅れている人と欠席の方いらっしゃいますけれども、一応人数の上では足りているということで、始めさせていただきます。

構成員の先生方におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

 本日、欠席を前もって届けられた方は、北村座長代理と福田構成員と藤原構成員の3名でございまして、この3名の方からは委任状の提出がございます。よって、今5名の方出席で、山本先生はちょっと遅れておられますが、この会としては成立しておりますので、始めさせていただきたいと思います。

 それでは、事務局のほうから資料の確認その他をお願いいたします。

○医療課企画官

 では、資料の確認をさせていただきます。

まず、座席表でございます。それから、議事次第、一枚ものでございます。それから、委員名簿でございます。

 その次に、先進医療の新規の届出技術、先-1、一枚ものでございます。それから別紙1-1、これも一枚もの。それから、別紙1-2がホチキスどめのものでございます。別紙2-1、別紙2-2、別紙3-1も一枚ものでございます。別紙3-2、ホチキスどめのものでございます。そして、横の一枚もの、先-2、これは事前評価結果のものでございまして、別紙4、ホチキスどめの分厚いもの、それから別紙5、これもホチキスどめのものでございます。

 それから、先-3、「先進医療Bの取り下げについて」という一枚ものと、それの参考資料として先-3(参考)というホチキスどめのものでございます。そして、その次、先-4、これも取り下げのものでございまして、そして、先-5-1、これも一枚ものですが、先進医療B25の総括報告書の評価、それから、先-5-2がその総括報告の評価表、それから、先-5-3がその技術の概要でございます。それから、先-5(参考1)といたしまして、技術の報告と評価に関するものと、先-5(参考2)として、総括報告書の様式、最後に日程というものでございます。

 過不足等ございましたら、お申しつけください。

○猿田座長

 よろしいでしょうか。

もしよければ、御確認いただいたということで、次に、利益相反の確認をしておりますので、事務局のほうからよろしくお願いいたします。

○医療課企画官

 それでは、今回検討対象となっております技術等に関しましての利益相反について御報告いたします。

柴田構成員より、先進医療Bとして評価を行う整理番号61について報告がありました。利益相反についてはありませんが、所属組織・部署が関与している臨床試験であることから、先進医療会議運営細則第4条「構成員等は、自らが所属する保険医療機関からの届出に係る医療技術の場合は、当該医療技術に関する検討(議事の取りまとめを含む。)及び事前評価には加わらない。」の規定に基づき、当該技術に関する検討及び事前評価には加わらないことになります。

以上でございます。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。

 では、先生、その点、よろしくお願いいたします。

 そのほかは、委員の方、問題ありませんね。

 ありがとうございます。それでは、早速ですけれども、この議題に従いまして、まず最初は、新規技術(4月受理分)の先進医療A又は先進医療Bへの振り分けにつきまして、事務局のほうからお願いいたします。

○医療課企画官

 では、先-1をお願いいたします。横紙でございます。本日、振り分けを御審議いただくのは3つの技術でございます。

まず1つ目でございます。技術といたしましては、受理番号29、「炭素11標識メチオニンPET診断による放射線治療後の再発の検出」でございます。概要は別紙1-1にございます。これは脳腫瘍を適応症としたものでございまして、メチオニン合成装置を用い製造した炭素11標識メチオニンを用いたPET検査というものの関係する技術でございます。

 先進医療A又はBに関しましては、先進医療Bということで事務局案をさせていただいております。

2つ目の技術でございますが、受理番号030、「2-A期非小細胞肺がん完全切除症例を対象とするNKT細胞を用いた免疫療法」でございます。資料に関しましては、別紙2-1でございます。これは免疫療法でございますけれども、先進医療A、Bに関しましては、Bということで振り分け案をつくらせていただいております。

 続きまして3つ目でございますが、受理番号031、「腹膜偽粘液腫の減量切除術に対する周術期腹腔内化学療法」でございます。資料は、別紙3-1が技術の概要でございます。これは腹膜偽粘液腫というものに対する減量切除術を行った後の化学療法というものでございまして、これに関しましても、適応外のものを使うということもありまして、先進医療Bと振り分けさせていただいております。

 事務局からは以上でございます。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。今、029030031を挙げていただきましたが、別紙1、別紙2、別紙3に少し詳細がございますけれども、今お話ありましたようなことから、いずれも先進医療Bに振り分けるのが妥当であろうということでございます。御意見ございますか。大体そのとおりでいいのではないかと。よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○猿田座長

 それでは、こういう形で、全て、この3つとも、Bのほうへ振り分けさせていただきます。どうもありがとうございました。

 それでは続きまして、先進医療の、特に審査部会のほうで承認された新規技術に対する事前評価結果につきまして、山本先生がお見えになっていますので、整理番号61のほう、山本先生からよろしくお願いいたします。

 また、先ほど説明があったとおり、当該技術について、柴田構成員には御退席いただきます。

(柴田構成員退席)

○山本構成員

 済みません。遅れまして申しわけありませんでした。

別紙4と書かれている資料だと思いますけれども、ご覧ください。先進医療の名称は、「初発中枢神経系原発悪性リンパ腫に対する照射前大量メトトレキサート療法後のテモゾロミド併用放射線治療+テモゾロミド維持療法」ということでございます。

 社会的妥当性につきまして、臨床試験としてよく検討していただいておりまして、倫理的な問題等は解消していると考えております。

現時点での普及性ですけれども、もともとこの原疾患自体が、対象疾患がかなり少ないということもありまして、罹患率、有病率から勘案して、普及していないと考えました。

 効率性ですけれども、既に保険導入されている医療技術に比較して、「やや効率的」ではないかと考えております。

 将来の保険収載の必要性ですが、将来的に保険収載を行うことが妥当という「A」と判断いたしました。

なお、保険導入等の評価に際しては、以下の事項について検討する必要があるということで、本臨床試験において、本治療が対照となる標準治療に比較して、主要評価項目である全生存期間において有意に上回ること、これがこの臨床試験の目的というか、達成すべき内容になっておりますので、これが示されることが必要と考えております。

 総評ですが、総合判定は「適」とさせていただきました。当該疾患は、罹患数が非常に少なくて、現在の標準治療でも生命予後がよいとは言えません。かなり不良な状況であります。標準治療を超える有用性を示す新規治療の検討というのは必要性が高いと思います。当該先進医療は欧米でも適応外でありまして、国内外でのエビデンスの集積が乏しいため、先進医療Bとして国内でエビデンスを集積し、その結果を確認した上で保険導入が行われることが望ましいと考えました。

 以上でございます。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。今、御説明いただきましたけれども、別紙4のところで、技術会議のほうで議論させていただいた内容がついていると思いますけれども、これに関しましては主担当が大門先生、それから副担当、直江先生、佐藤先生ということで、非常に稀な疾患に対する治療ということで議論させていただいて、最初のところでは、治療その他に関して大きな問題はないけれども、やはり書類上の不備であるとか体制の不備とかそういうことがありまして、一回継続審議とさせていただいて、予定例数は130ということで、その後、この提出されてきた施設とのやりとりがございまして、その後のやりとりで、ここに載っているとおり、きちんと直されたということと対応がしっかりされたということで、最終的に審査部会のほうではこれでいいだろうという形で許可されまして本日ここへかかったということで、山本先生にもう一回見ていただいて、今お話ありましたように、大きな問題はないということです。ただ、罹患数が非常に少ない病気ですから、そういった点でしっかりとやるということでございますが、どなたか御質問ございますでしょうか。

 山口先生、何かございますか。

○山口構成員

 いいえ、特にありません。

○猿田座長

 大体このとおりで。

 もし特に問題なければ、それでは、今、山本先生が御説明してくださったとおり、総合判定、一応「適」ということで、保険に行くときの問題はございますけれども、この形でしっかりやっていただくということで認めたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○猿田座長

 ありがとうございました。それでは、お認めいただいたということにさせていただきます。

 それでは、柴田先生にお戻りいただいて。

(柴田構成員着席)

○猿田座長

 どうも済みませんでした。

 それでは、続きまして、整理番号62でございます。これに関しましては、「FDG-PET/CTの不明熱診断への応用」ということでございますけれども、福井先生のほうから御説明よろしくお願いいたします。

○福井構成員

 それでは、お手元の資料の別紙5、先進医療の名称は「FDG-PET/CTの不明熱診断への応用」です。資料の6枚目を見ていただければと思います。裏側の絵が入っているものですが、概略的には、上の不明熱と診断された患者さんを対象に、FDG-PET/CT検査とガリウムSPECT検査の両方を行い、両方とも匿名化画像について中央画像評価委員会でリーディングしたものを用いて確定診断を行います。そうして、両方の検査について感度と特異度を算出して、FDG-PET/CT検査がガリウムSPECT検査よりどれぐらい検査性能が高いかどうかを検証するというものであります。

 もう一枚めくっていただき、やはり裏側ですが、不明熱の診断につきましては、診断基準が実際かなり揺れている分野でもあり、この研究ではDurack & Streetという2人が提唱した診断基準の中の、この表の上、古典的不明熱とHIV感染者の不明熱の2つのグループを対象に、2つの検査方法の性能を見ようというものであります。

38.3℃というのが外国で使われますけれども、外国では舌下温を使うものですから、日本では腋窩温ということも考慮して、38℃以上の発熱患者さんで、現在の医療水準を考えて、2週間以上の発熱が継続した人を対象とするということです。

 その次のページをめくっていただき、下に16ページと書いてあるところの表の、4と書いてあるところに掲げたような一般的に行われる発熱患者での検査を全て行っても診断がつかない患者を対象とするということであります。

 1ページ目に戻っていただきますと、両検査とも適応は限られておりますが、既に臨床上用いられている検査で、安全性上の問題はないと思います。社会的妥当性としまして、「倫理的問題等はない」と判断いたしました。

現時点での普及性は、腫瘍を疑った患者さんでやるということはあり得ますが、現在は余り行われていないということです。効率性は、この申請書にありますデータから言いますと、「やや効率的」である可能性が高いと思います。

 将来の保険収載の必要性につきましては、本試験でガリウムSPECT検査に比べて検査性能が優れていることが証明されれば、保険収載を行うことが妥当と考えます。

私は、個人的には余りドラマチックな性能の差が出ないのではないかと予測しています。できましたら、ガリウムSPECTに比べてFDG-PET/CTの費用はどうなのかということも考慮して決めたほうが、国全体の立場からはいいのではないかと思っています。

 総評といたしましては、「適」と判断いたしました。

 以上です。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。確かに、余り安易にどんどんやられてしまってもということがありますね。これは技術会議のほうでは柴田先生が主担当で、伊藤先生、田島先生が副担当ということで、柴田先生、何か御意見ございますか。1回「条件付き適」なのですね。

○柴田構成員

 これは、1回「条件付き適」にはなっておりますが、医療技術の評価の計画ですとか臨床試験の実施体制等については丁寧に準備されているものでして、実施に当たって問題はないと判断いたしました。

○猿田座長

 以上のことでございますけれども、どなたか御質問ございますでしょうか。

 不明熱というのは結構多いですから、それにどう対応するかということは、余り安易にやられてもということと、今、福井先生がおっしゃったように、費用の面でちょっと気になるところがあったということですけれども、どなたか御意見ございますか。

○五十嵐構成員

 質問ですけれども、この2つの検査、12ページに絵があって、これが一番わかりやすいと思うのですが、これは同じ患者さんにこの2つの検査をやるわけですね。それは順番とか、どっちを先にやるとか、そういう決まりがあってやるのでしょうか。

○福井構成員

 私が読んだ範囲内では、順番については特に決めてなかったように思います。両方を行うという書き方をしていたように。

○五十嵐構成員

 ということは、同じ日にやると。

○猿田座長

 どうぞ、事務局のほうから。

○先進医療専門官

 先進医療専門官でございます。

このプロトコールを事務局で拝見させていただいた際は、どちらが先にやるかは、検査の日程によって、どちらでもよいというふうにされています。同じ日にやるかどうかについては、4日以内でどちらかをするということに規定されていたと思います。

 以上です。

○猿田座長

 同じ日に2つやるということはない?

○先進医療専門官

 ないです。

○福井構成員

 確かに、今、先生おっしゃったことは重要で、時間がたてば正しい診断が下る可能性は高くなりますので、遅くやったほうが勝ちになります。

○中川構成員

 素人っぽいことを聞きますけれども、熱あるときとないときと関係あるのですか。

○福井構成員

 全身的に代謝が亢進していても、恐らく、この検査では背景の取り込みを引き算して、ある部署に取り込みが多いかどうかを見ますので、全身的に代謝が少々亢進していても、その分を引き算しますから、余り検査の結果に影響はないのではないかと思います。

○猿田座長

 不明熱がかなりずうっと続くような方ばかりではなくて、上がったり下がったりという方もいますね。

○福井構成員

 そうですね。不明熱の診断上、ずうっと一日高いという人ばかりではございませんので、確かにそうだと思います。

○猿田座長

 ほかにどなたか御意見ございますでしょうか。

 昔、診断法がなかったときは困っていたのが、最近はCT検査でぱっと見つかるということが判明してきましたね。

 もしよろしければ、こういう形で一応認めるということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○猿田座長

 ありがとうございます。認めさせていただきます。福井先生、どうもありがとうございました。

 それでは、これで6162を認めていただいたということです。その次の、今度は先進医療Bの取り下げについて、事務局のほうからお願いします。

○事務局

 事務局でございます。

先進医療Bの取り下げでございますが、次の先-3(参考)「高知大学医学部附属病院における事案について」をご覧いただければと思います。

 こちら、「蛍光膀胱鏡を用いた5-アミノレブリン酸溶解液の経口投与又は経尿道投与による膀胱がんの光力学的診断」について、先進医療実施に係る違反があったところでございます。先-3(参考)の次のページの3.をご覧ください。

 まず、本技術におきましては、高知大学医学部附属病院の実施責任医師が、先進医療に承認された臨床研究とは別の臨床研究、当該先進医療の実施前から行っていた研究でございますが、この審査・承認手続をすることによって先進医療に承認された臨床研究の審査・承認手続が不要であると誤認していたこと。また、研究データの管理・解析方法について、試験実施計画に従っていなかったこと。具体的には(2)のマル1からマル5の5項目でございますが、これらが判明したところでございます。

 ただし、(3)のとおり、データのねつ造・改ざんなどは見られなかったというところでございます。

 4.でございますが、高知大学医学部附属病院で外部委員を含めた調査委員会が開かれ、こちらにおいて、実施計画書の遵守不十分により科学性を担保できないとして、先進医療の取り下げが妥当であると判断がなされ、今回、取り下げ書が提出されたこと、また、被験者へ説明・謝罪が行われたこと、原因の分析と、それに応じた再発防止策が講じられたことについて御報告をいただいたところです。

 3ページの後半から4ページ、5ページにかけては、その再発防止策について記載があるところでございます。

 先-3にお戻りいただきまして、当該技術につきましては、先ほど、先-3(参考)で述べさせていただきました理由から、取り下げということで御提示があって、こちらで取り下げをさせていただくところでございます。

 先-3につきましての御説明は以上でございます。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。今、御説明ありましたように、高知大学の、先進医療に対してもう少しちゃんと勉強してもらって出していただければよかったのですけれども、そういった点が十分にわかってなかったということでございます。ただ、ねつ造とか偽造とか、ちょっと特殊なものではなくて、そういう形でミスをしてしまったということで、当然許せないことなのですけれども、大学側としては全部調べ直して、それできっちりとした対応をするということで、今お話ありましたようなことで、その対策そのほかも書いてございますけれども、一応、今の時点では一回取り下げたほうがいいであろうと、もうかなりの症例数やられたわけでございますけれども、一応そういうことにしてはどうだろうかということでございますけれども、どなたか御意見ございますでしょうか。この施設はもう随分熱心にこういうことをやっていたのですけれども、細かいところまで配慮がいってなかったと。

 どうぞ、山口先生。

○山口構成員

 これはもう既に235例も行われて、ほかの施設でも同様に多数の症例が行われてしまったのでしょうか。

○先進医療専門官

 先進事務局でございます。

 実際、235例されていました。目標症例は100例で、他施設で行っていた状況です。235例まで実施してしまった理由なのですが、これは多施設でやっていて、患者さんが登録されれば、随時高知大学のほうに症例登録がありましたという旨を報告してもらうように実施計画を立てていました。協力医療機関のほうの体制整備が不十分で、症例が積み重なってから一度に登録するということが起こったようです。したがって、本来100例のところが多くなってしまったという現状でございます。

○山口構成員

 これはせっかくやったのですけれども、この症例の解析というのは結局行われるのでしょうか。

○先進医療専門官

 御指摘ありがとうございます。我々事務局と高知大学でお話しさせていただいて、技術審査部会で山本構成員の御指摘がありましたように、せっかく御登録いただいた患者さんの厚意が無にならないようにと御助言いただきましたので、高知大学で実施した95例のうち30例はしっかりと倫理審査委員会で承認した、いわゆる使えるデータといいましょうか、倫理指針のきちんとしたルールの中で行われていますので、それについてデータを活用できるように工夫すること、ということを助言させていただいたところです。

○猿田座長

 無駄をしては、非常に貴重な資料ですから。

 山本先生、どうぞ。

○山本構成員

 私はちょっと技術部会のときに申し上げたのですけれども、1つは、もちろん、手続上の問題は非常にあります。それから、研究倫理をきちっと守るというのは手続を守るということとほぼ同じなので、そういう意味では、倫理的に問題のある研究と言わざるを得ないと思います。

ただ、1つは、先ほどあったように、データねつ造等はなかった。それは非常に救われる部分であると思います。あと、本日見させていただいて、重篤な有害事象が少なくとも倫理委員会と効果安全性委員会では報告されて、そこでは人の目にとまっていますので、そういう意味では、被験者の直接の安全性を担保する最低限のところの機能は動いていたのだろうと。ただし、その後の厚生労働省への報告の義務が生じる報告がなされてなかったというのは手続違反だと思います。

 ここで一応、多分、違反にもいろいろランクがあると思いますが、被験者の方の安全性担保というところは部分的には保たれていたのかなと。あともう一つは、その後の対処としまして、被験者の方全員に説明と謝罪をしていただいていますので、ここは非常に重要なところだと思います。

 あとは、これはどの臨床研究も、学術的に公表するときにはこういう瑕疵のあったものは恐らくできないと思いますので、そういう意味での、この235人の方の厚意は無になったと。そこがすごくこの先生方の罪が重いと思うのですね。人の厚意を無にしているということ、そこは本当に罪は重いと思います。

 ただ、そのデータはもったいないなとすごく思うのですけれども、これについては恐らく、今おっしゃっていた数十例の例だけを何とかするのか、あるいはもう一度被験者の方のデータを使わせていただくという、例えば同意を再度とって回るとか、やはり何らかの手続がないとこれを使うことはできないだろうとは思います。

 ただ、この高知大の先生方には、そこまで努力はできるところまではしていただきたいなと個人的には思いますけれども、なかなか難しいと思いますし、あともう一つは、これにかかわらず、こういう問題にはなってないですけれども、研究を始めたけれども十分患者さんの症例が満了しないで終わっている研究というのもたくさんありまして、それも、その患者さんの厚意を無にしているという意味では同等なので、実際にはそういうことはほかでも行われていることだとは思いますけれども。

○猿田座長

 ありがとうございます。ともかく、せっかくやられて、患者さんからはそういう形でのしっかりした協力をいただいたわけなので、無駄にできないということ。それから、私には途中過程では情報が入ってきていて、診断的にはいい技術だということを、協力した施設からも連絡が入っていました。かなり有用な検査で、まさかそのときにそういうことがあるとは思わなかったのです。

大切なことは、今やられているものもそうですけれども、これからもそのあたりのところはしっかり制度というものをわかってもらってやっていただかないと、これから先どんどん新しい技術が出てきてますので、しっかりさせなければいけないと感じました。

 ほかに御意見ございますでしょうか。

○山口構成員

 これはこういう違反があっても、科学的な解析をする上で本当にまずい点がないのであれば、全然解析しないと、患者さんに対して大変失礼だと思います。患者さんにどういう説明をしているのでしょうか。どういう対応をしていくかということが非常に問題で、ある程度データを使えている患者さんはいいけれども、使えない人に対しては、非常にややこしい問題が含まれています。悪い前例になってはまずいので、ぜひそのあたり、特にせっかく協力してくれた患者さんに対する説明をきちっとしていただきたいと思います。

○先進医療専門官

 事務局でございます。

 今の山口先生のコメントをそのまま、高知大学と一度面談の機会を持ちまして、ぜひ活用できるように、どこまでが活用できて、活用できないか、患者さんの御協力、御厚意を無にしないように、もう一度面談の機会を持ちたいと思います。

○猿田座長

 そうですね。特に参加してくださった患者さんとの話し合いをしっかりしていただくということだと思います。

 ほかにございますでしょうか。

一応この時点では取り下げという形をとらざるを得ないと思いますけれども、それはよろしいですね。

どうぞ。

○福井構成員

 違反があったとしても非常に程度が軽いというお話ですけれども、こういう場合、研究された先生方、少なくとも責任者の方に何かペナルティを科すのでしょうか。

○先進医療専門官

 これは、高知大学の調査結果報告書の一番最後に、もうホームページで公開されている資料をちょっと読み上げさせていただきます。「当該研究責任者らの処分として、処分については国立大学法人高知大学職員就業規則に基づいて判断される」とされておりまして、何らかの処分があるということを伺っております。その結果はこれから報告を受けることになっております。

○福井構成員

 微妙な話ですが、もし処分を受けられた先生がこのデータを用いて科学論文を書くと、それが業績になるのでしょうか。私も、科学的な視点からはデータを生かしてほしいと思っていますけれども、何か複雑ですね。

○山本構成員

 科学的な業績になるような論文にはちょっとやはり上げられないと思うのですね。瑕疵の程度が、レベルを何ではかるかによりますので、これは最低限、被験者の直接のリスクが高まったということはあったとしてもそれほど高くはなかったのかなと。有害事象の取り扱い等はちゃんとされていたみたいですので。それでも、例えばモニタリングはちゃんとされてなかったですし、ですから、そういう手続論で言ったら、全くだめというか、罪は重いと思います。

 ですので、実質的に被験者側から見たときに、その一人一人の被験者さんが物すごくないがしろにされているかというと、それは余りなかったのかなと思ったということですので、この経緯を記載して載せてくれるジャーナルは絶対ないと思うので、だから、そのデータをどう扱うか。データを公表するとしても、通常の学術的な意味での公表は難しいのではないかなあと思いました。

○猿田座長

 いろんな形で役立てることは大切だと思うことと、それからもう一つ、一番重要なことは、これからこういうことは二度と起こさないということで、しっかり理解させなければいけない。これは私どものほうもいけなかったのかもしれませんが、やはりしっかりこの制度を理解していただくということだと思います。その点、また事務局のほうも受け付けるときによろしくお願いしたいと思います。

 もしよろしければ、ではそういう形で、これは一応取り下げという形にさせていただきます。どうもありがとうございました。

 それでは続きまして、第6番目の第3項先進医療に係る継続審議案件の申請の取り下げということでございますけれども、事務局のほうからお願いいたします。

○事務局

 先-4でございますが、こちらも先ほどの高知大学医学部附属病院の案件に関連してでございます。こちらの技術、「根治的前立腺全摘除術の外科的切除縁における残存癌検出を目指した5-アミノレブリン酸(5-ALA)による蛍光腹腔鏡を用いた術中光力学診断」ということで、平成2210月8日の高度医療評価会議でございますが、こちらで継続審議という形にされて、指摘事項に従った対応というのをいただいていたところでございます。

 ただ、今般の先進医療の実施に係る違反というのを踏まえまして、現行の実施体制ではこの実施が難しいという判断が高知大学医学部でなされたところでございまして、取り下げという申請をいただいているところでございます。

 なお、裏のページ、先-4(参考)でございますが、平成24年9月30日以前、先進医療の旧体制でございますが、こちら、申請のあった従前の第3項先進医療について審議の状況を示している図、そこに逐次の追記をしているものでございます。現時点でこの積み残しというのがなくなったということで参考までに提示させていただいているところでございます。

 以上でございます。

○猿田座長

 どうもありがとうございました。今のような形で取り下げということの説明でございますけれども、何か御質問ございますでしょうか。これも、こういう形でやむを得ないことかと思いますが。

 それでは、そういう形で、これもお認めいただいたということにさせていただきます。どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、先進医療Bの総括報告書に関する評価について、事務局のほうからお願いいたします。

○事務局

 事務局でございます。

 先-5-1からご覧いただければと思います。今回、先進医療Bで実施しておりました「生体内吸収性高分子担体を用いた塩基性線維芽細胞増殖因子による血管新生療法」につきまして、京都大学より提出された総括報告書を先進医療技術審査部会で、有効性、安全性に関して評価をいただきました。それを当会議に報告するということでございます。

 総括報告書の提示につきましては、現在の先進医療の体制では初めてということでございますので、位置づけを再度御説明させていただきます。

 先-5(参考1)をご覧ください。この2ページ目の3.の(3)総括報告でございます。先進医療Bの全ての技術につきまして、総括報告書を事務局に提出いただきます。その上で、薬事未承認の医薬品等を伴う技術につきましては、薬事承認申請の効率化に資するかどうか等につきまして技術的な評価を技術審査部会で行っていただいて、必要な助言等を行うというふうにされております。

 さらに、次のページでございますが、薬事未承認の医薬品等を伴う技術以外につきましては、保険収載の可否の評価に必要な結果が得られているか等につきまして、先進医療技術審査部会で技術的な評価を行っていただく。その上で、2年に1度の保険導入に向けた検討を本先進医療会議で行うこととされております。

 そしていずれも、先進医療技術審査部会での評価結果につきましては先進医療会議に御報告をいただくということになっております。

 今回の技術でございますが、bFGF、塩基性線維芽細胞増殖因子の適応外使用を含む技術であることから、先ほどの2ページの一番下でございますが、「薬事承認申請の効率化に資するかどうか等について、技術的な評価を行い必要な助言等を行う」ということについての御報告のみということになります。具体的な評価につきましては先-5-2をごらんいただければと思います。

 こちら、もう既に先進医療技術審査部会で御評価いただいているものでございますが、2ページ目の総合的なコメント欄におきましても、「有用性が期待できる可能性が示されている」とされ、薬事承認の取得のためには検証的な試験を必要とする可能性というところについても御指摘をいただいているところでございます。

 その次の先-5-3におきまして、裏面になりますが、ロードマップとして示されております。今後、本試験の結果を踏まえ新たな試験計画の作成へと進んでいくということで御報告をいただいているところでございます。

 事務局からは以上です。

○猿田座長

 ありがとうございました。ちょっと複雑ですけれども、要するに、末梢動脈の疾患に対するいろいろな治療があったのですけれども、これはたしか京都大学のほうで古くからトランスリサーチのものとしてやっていたという技術と思いますが。それで、ある程度の効果は認められたということと、それから、そういったことで出口をどこへ持っていこうかということで、高度先進という評価のほうへ持ってこられたという形で、結局、どんどん制度が変わってくるものですからそういった形での対応がなかなか難しかったけれども、今お話ありましたようなことでどうだろうかということですが。ちょっと複雑な経過なものですが、どなたか、御意見いただけますでしょうか。

○山本構成員

 私は実際この総括報告書を見させていただきましたのでちょっとコメントさせていただきますけれども、総括報告書はきちんと作っていただいておりました。結果は、このコメントにも書いておりますけれども、主要評価項目については統計的に有意な改善は見られておりました。

 ただ、これは全員にこの治療を投与しておりまして、比較試験ではないので、そういう意味で、コメントのところに、検証的な試験が必要になるのではないかと書いております。

 それともう一つは、ちょっと技術的なことですけれども、売っている外用剤を院内で製剤化して、それを筋肉内投与するという、投与経路も変えていますし、剤型も変更されていますので、今回の高度医療ではそういうことは求めていませんけれども、本当に薬事承認をとるということになりましたら、そのあたりの製剤の問題とか、投与経路を変えたときの、もうちょっと基礎的なデータとか、そういうのも恐らく必要になってくると思いますので、今回の結果だけもって、すぐにまた新しい承認がとれるという問題ではないだろうと思っています。

ですけれども、従来から、もともとの申請資料ではないけれども、非常にいい結果が例えば論文化されたとか、そういうものについて論文自体を評価の参考資料にされるということは、PMDAさんは従来からやっておられると思いますので、それが1つ。それと、今回、先に新しい試験をするときに、この今回の結果を上手に使っていただいて、効果的な次の試験を組んでいただけるのではないかということから、これが効率に資する結果となったという可能性はあるだろうと思って書かせていただいた次第です。

○猿田座長

 ありがとうございます。でも、これはかなり、注射を何回もするのですね。そこがちょっと気になっていたのですね。

○山本構成員

 ちょっと大変そうな。たしか山口先生でしたか、場所をちゃんと特定するのが難しいのではないかというお話もありましたし、そういう技術的なこととかありますので、本当に普及して、どこでやってもちゃんとできるのかとか、もうちょっと検証的な試験はやはり必要になってくるのかなあとは思いました。

○猿田座長

 一応今この時点ではこういう処理でいいということですか。

○山本構成員

 はい。

○猿田座長

 そういう治療法ですけれども、一応処置はこういう形をとらせていただくということでよろしいでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○猿田座長

 ありがとうございました。それでは、これもお認めいただいたということにさせていただきますと、今日はこれだけですかね。ちょっと時間早いですけれども、あと、事務局のほうから先のことの。

○事務局

 次回の開催でございますが、平成26年6月5日木曜日を予定いたしております。

○猿田座長

 先生方、本当にお忙しいのはわかるものですから、できるだけ時間の無駄のないように、きちんと詰めてやっていこうと思いますけれども、今日は、済みません。大分早く終わってしまいますけれども、御協力どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課医療係
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