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2014年3月25日 薬事・食品衛生審議会 指定薬物部会 議事録

○日時

平成26年3月25日(火)16:00~


○場所

厚生労働省専用第20会議室


○出席者

出席委員(10名) 五十音順

石郷岡   純、◎鈴 木   勉、 関 野 祐 子、 妹 尾 栄 一、
曽 良 一 郎、 鍋 島 俊 隆、 成 瀬 暢 也、 花 尻 瑠 理、
宮 田 直 樹、○和 田   清
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人1名

欠席委員(2名) 五十音順

桐 井 義 則、 藤 岡 淳 子

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
赤 川 治 郎 (監視指導・麻薬対策課長)
稲 川 武 宣 (監視指導室長・麻薬対策企画官)

○議事

○監視指導・麻薬対策課長 定刻となりましたので、ただ今より「薬事・食品衛生審議会指定薬物部会」を開催させていただきます。本日は大変お忙しい中、委員の先生方には御出席頂き、誠にありがとうございます。

 本日は、桐井委員、藤岡委員から欠席の御連絡を頂いております。現在のところ当部会の委員数12名のうち、10名の御出席を頂いておりますので、定足数に達しておりますことを御報告いたします。

 なお、本日は所用により審議官が外しておりますが、業務が終わり次第駆けつける予定となっております。

 本部会の公開・非公開の取扱いについては、総会における議論の結果、会議を公開することにより、委員の自由な発言が制限され、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがあると判断されたことから非公開とされています。

 また、会議の議事録の公開については、発言者氏名を公にすることで発言者等に対して外部からの圧力や干渉、危害が及ぶ恐れが生じることから、発言者氏名を除いた議事録を公開することとされておりますので、予め御了承頂きたいと存じます。

 それでは以後の議事進行は、鈴木部会長にお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは最初に、事務局より資料の確認をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をいたします。本日の資料は、資料が1と2、参考資料が1~3、参考文献は1~11です。なお、事前に送付しておりました資料のほかに、参考資料1は本日配布致しております。以上となります。

○鈴木部会長 ありがとうございます。資料がお手元にない場合には、お知らせください。よろしいですか。

 本日の議題は、「指定薬物の指定について」です。審議物質について、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 今回、御審議頂きたい物質については、国や都道府県で試買調査をして製品の分析を行った結果、国内で流通実態が認められた物質、海外では流通が認められたものの、国内では未だ流通実態が確認されていない物質となります。

 資料1は各物質の名称、別名、構造式を1~8までそれぞれ記載しております。これらの物質について、指定薬物としての指定をし、規制対象とする必要があるか否かについて御審議を頂きたいと思っております。

 資料2は、各物質について行われた、国内外の各種動物実験や基礎研究等のうち、中枢神経系への影響を中心として取りまとめたものとなります。

 資料1の物質1~5までを説明させていただきます。合成カンナビノイド類となります。資料2-1で、通称XLR-12と呼ばれているものです。こちらは構造物質として、麻薬であるXLR-11、UR-144と構造が類似する物質となります。こちらの物質について、チャイニーズハムスターの卵巣細胞に発現させたヒトCB1受容体との親和性をCP-55940との競合置換反応で計算しております。そうするとKi値が15nMと算出されたという文献がありました。これはΔ9-THCのKi値である4e1nMの約2.7倍の親和性を有することを示しております。

 また、運動活性に対する影響を□□□□□□□□□□□□で調べております。こちらの方は、マウスに5mg/kgの量を腹腔内投与したところ、陽性対照としたJWH-018、こちら麻薬になりますが、これより弱いものの有意に自発運動量の減少が認められております。なお、下段、合計自発運動量のグラフには、資料2-12-5までの5物質、それぞれのものが記載されておりますが、これらの物質について同様に□□□□□□□□□□□□で試験をした結果となっております。

 引き続き、資料2-2の説明をします。こちらの物質は、5-Fluoro-MN-18あるいは、5-Fluoro NNE1 indazole analogと呼ばれるものです。こちらの物質、NNE1 indazole analogは指定薬物となります。あるいは5F-NNE1、こういったものと構造が類似する化合物となっております。こちらの物質については、CB1受容体との親和性を、陽性対照としては(R)-()-WIN55212-2を用いてdose-response curveを作成し算出しております。そうしたところIC50の値は5.21nMと計算されております。また、先ほどと同様、運動活性に対する影響も検討しており、こちらの方でもJWH-018と同等、あるいはそれ以上の自発運動量の有意な減少が見られております。

 資料2-3は通称ADB-PINACAと呼ばれている物質です。構造類似物質としては、指定薬物であるAB-PINACAあるいはADB-FUBINACAと呼ばれる物質と構造が類似しております。こちらの物質も同じように運動活性に対する影響を調べておりますが、この結果、JWH-018と同等、あるいはそれ以上の自発運動量の減少が見られております。また、この物質については、アメリカで健康被害が報告されており、昨年の8月以降で健康被害、約40件報告されております。また、今年の2月に米国で同様にスケジュールIに指定されております。なお、この物質について、東京都の知事指定薬物として指定されております。

 次に資料2-4です。通称で5-Fluoro-AB-PINACAと呼ばれる物質となりますが、先ほどのADB-PINACA同様、指定薬物であるAB-PINACAあるいはAB-FUBINACA、こういったものと構造が類似する化合物となります。こちらの物質もCB1受容体との親和性を、先ほど説明した5-Fluoro-MN-18と同様の計算をしたところ、IC50の値が4.1nMと計算されております。また、運動活性についても同様に検討されており、投与後6時間程度まで自発運動量の有意な減少が認められているところです。

 資料2-5です。通称FUB-PB-22と呼ばれる物質となります。こちらの物質は、指定薬物である、QUCHIC、BB-22と呼ばれる物質、あるいはAB-FUBINACAと呼ばれる物質と構造が類似する化合物となります。こちらも先ほどと同様にIC50の値を計算したところ1.15nMとなっております。また、運動活性についても投与後6時間程度まで自発運動量の有意な低下が見られている物質となります。

 以上の5物質について、指定薬物として指定して差し支えないと考えておりますが、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。事務局より説明のありました5物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがですか、□□委員お願いします。

□□委員 紹介されました全ての化合物、既存の麻薬だとか、指定薬物と構造類似体であり、カンナビノイドのCB1受容体に親和性を持っていますし、□□さんがやられた行動活性ですか、それでは行動抑制作用が全て認められておりますので、指定していいと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございます。□□委員、流通実態はいかがですか。

□□委員 □□□□で行われました流通実態調査の結果について、簡単に御報告させていただきます。

 まず、資料2-1の物質XLR-12ですが、調査の結果、10製品から検出されています。内訳としては、粉末3製品、その他乾燥植物細片7製品です。そのうちの1製品は、このXLR-12を単独で含有していた製品でした。

 次の資料2-25-Fluoro-MN-18については、全部で49製品から検出されておりまして、その内訳として粉末4、液体1、その他乾燥植物細片となっております。ただし、この49製品においては、単独でこの化合物が入っていた製品はありませんでした。

 資料2-3ADB-PINACAに関しては、私どもの買上げ調査では検出はされていません。

 資料2-45-Fluoro-AB-PINACAはかなりの製品から検出されており、全部で64製品から検出されております。これらは全て乾燥植物細片の製品で、そのうち、単独で本化合物が入っていた製品は33製品ありました。

 資料2-5、FUB-PB-22も非常に多く流通している化合物で、全部で86製品から検出されております。内訳として、粉末が4製品、その他は乾燥植物細片として流通し、86製品のうち14製品に関しては本化合物が単独で入っておりました。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。1製品、流通実態はありませんが、CB1受容体への親和性、あるいは行動量の変化ということで出ておりますが、よろしいでしょうか。

□□委員 今の検出の話で教えてください。単独でというのが今回結構ありましたが、単独というのは今までなかったような気がしますが、増えておりますか。

□□委員 いえ、今までも、製品によっては、単独で入っていたものもありますし、合成カンナビノイドが何種類か含まれていたものもあります。また、合成カンナビノイド+カチノン系ですとか、他の薬理作用を持つ化合物が含まれていたものもあります。必ずしも、今回、化合物を単独で含有している製品が増えているわけではないと考えております。

□□委員 単独というのは、この物質だけしか検出されなかったということですか。

□□委員 それだけしか検出されなかったという製品です。

□□委員 はい、分かりました。

○鈴木部会長 ほかによろしいでしょうか。それでは、御審議頂きました5物質は、いずれも薬事法第2条第14項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。引き続き、事務局より説明をお願いいたします。

○事務局 それでは、残りの3物質について説明させていただきます。資料2-6、通称2C-Nと呼ばれる物質になっておりますが、構造類似物質としては、麻薬である2C-I等があります。こちらの物質は、国内では流通が見られておりませんが、2012年、ポーランドにおいて2C-Nの流通が報告されております。また、海外では、アメリカでスケジュールI、イギリスでクラスAという規制になっております。

 この物質について、ホスホリパーゼC経路と同A2経路の活性化を、それぞれイノシトールリン酸の蓄積とアラキドン酸の放出の量で評価した文献があり、それによると5-HT2C受容体では、アラキドン酸の放出、イノシトールリン酸の蓄積とも、セロトニンに対して5割程度の量ではありますが、麻薬である2C-Iと同程度のシグナル伝達の活性化が見られております。また、5-HT2A受容体の方で、PLA2経路のみの活性化ではありますが、やはり2C-Iと同程度の活性化が見られております。また、その作用を示したpEC50については、下表のとおりの数字となっております。なお、この物質について、東京都の知事指定薬物となっております。

 資料2-7です。通称1-(3-Methylbenzyl)piperazineと呼ばれている物質であります。構造類似物質として、麻薬でありますBZP等がございます。この物質について、□□□□□□□□□□□□□によって試験が行われており、中枢・自律神経症状観察についてはそれぞれ2mg/kg20mg/kg100mg/kgの各濃度を経口投与で検討されており、その結果、いずれの濃度でも瞳孔散大、耳介反応、角膜反射の亢進などが確認されております。また、20mg及び100mgの濃度では、自発運動量の低下も観察されており、100mg/kg投与では異常姿勢の観察もなされております。中枢神経作用判定試験では、2mg/kg20mg/kg40mg/kgでそれぞれ経口投与をし、線条体内のシナプス間隙のモノアミン量を調べております。こちらの方は2mg/kgの投与において、Dopamineの有意な増加は見られなかったものの、その他の伝達物質、あるいは20mg/kg40mg/kgでは全ての神経伝達物質、各モノアミンの有意な増加が見られております。

 また、トランスポーターの阻害作用の確認として、HEK293細胞を用いモノアミンの取込阻害作用を検討していて、そちらの結果については下表のとおりとなりますが、IC50の値がDAの方で2.1×10-5、5-HTの方では3.5×10-5という値となっております。この数字はコカインとの比較では、DAの方では約70倍、5-HTでは約7倍の数字が出ております。また、この物質についての海外の流通状況ですが、2012年スウェーデンの方で報告されております。また、この物質についても東京都の知事指定薬物として指定されております。

 最後に資料2-8です。通称としてAcetylfentanylと呼ばれる物質です。麻薬であるfentanylAcetyl-α-fentanylと構造が類似する化合物となります。この物質に関連すると思われる死亡事例が、アメリカにおいて昨年3月~5月の間で14件報告されております。また、この物質の効果についてAcetylfentanylMorphineFentanylの比較をした文献というのがございます。この文献によると、Acetylfentanylの鎮痛効果についてはMorphineよりも強力な数字を得られておりますが、それ以上にLD50の方が小さく、安全域が非常に小さい数字が確認されております。以上の3物質について指定薬物として指定して差し支えないと考えておりますが、御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 ありがとうございます。事務局より説明のありました3物質について、委員の先生方から御意見を頂きたいと思います。いかがでしょうか。□□委員お願いいたします。

□□委員 □□□□の方で買上げ調査を行い、流通実態を検討しましたが、その結果、3化合物の中で、実際に過去5年間で検出、流通が認められたのはAcetylfentanylでした。本化合物については1製品しか私どものところでは検出していないのですが、それは粉末で、合成カンナビノイドとの混合物でした。2C-Nに関しては、過去5年間では検出は認められなかったのですが、以前2C-Iまた2C--7など、いわゆる2Cシリーズの幻覚剤が流行していた頃に、流通が認められておりました。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。□□委員、お願いします。

□□委員 6番目です。これは各国でも、もう既に乱用報告があります。2C-IとかDON等、過去に指定された薬物と構造類似体であるということ。反応性ですね、セロトニン受容体活性化以後の。それも麻薬指定されたものより強いような作用なので指定していいかと思います。7番目は、やはり過去指定されたものと構造類似体であることと、中枢作用は、モノアミンの遊離を三つ見ていますが、どれも遊離が増えています。コカインよりは10分の1ぐらい作用は弱いのですが、やはりこれもスウェーデンで流通されているとのことなので、従来の指定の基準に合致していると思います。

 8番目は、同じような理由で、実際に使われているFentanyl構造類似体で、Fentanylよりは3分の1ぐらいしか活性はないのですが、FentanylMorphineと比べたら非常に大きい活性を持っていますから、AcetylfentanylMorphineと比べると15.7倍というような作用がありますので、指定することでいいのではないかと思います。

○鈴木部会長 ありがとうございます。□□委員、お願いします。

□□委員 8番の化合物の化学名のことです。実は私、事務局から事前に相談を受けていまして、これでいいですと返事をしましたが、見ていただくと、1-フェネチルという名前の付け方をしており、フェネチルというのは私の世代でも非常になじみ深くて、見過ごしたような気がしますが、少し戻って、6番の化合物で、これもフェネチルアミンなのですが、フェネチルという名前は使わずにフェニルエタンアミンなのです。6番の方は、今日の参考資料3の過去の指定薬物一覧の中でも同種の化合物はたくさんあり、それらは全て、例えば参考資料3の2ページの18番の化合物、3ページの31番の化合物。みんなフェニルエタンアミンになっています。置換基が付いているものは、フェニルエタンアミンなのですが、置換基の付いてない例はないか、この中で探しましたが、出てきませんでした。

 厳密に言うと、IUPAC1993年のレコメンデーションで、置換基の有る無しに関わらずフェネチルという名前を使うのは避けましょうと。駄目だとは言っておりません、避けましょうというスタンスです。それを厳密に適用して、この化合物8を、1-フェネチルではなく1-フェニルエチルピペリジンという形にするのかどうかというのは、少し検討していただく必要があると思います。

 特にフェネチルというのは非常にポピュラーな名前ですので、多分、皆さん全然、違和感は持っていらっしゃらないと思いますが、これでいいよということでしたら、これでもいいと思います。

○鈴木部会長 それでは、事務局からいかがでしょうか。

○事務局 この件については後日、こちらの方から、その他の先生方とも御相談してから、正式に省令を改正するまでに決めさせていただきたいと思います。ありがとうございます。

□□委員 それで思い出しましたが、資料2-1の中枢神経系への作用等の所で、()の2行目、「チャイニーズハムスター卵巣細胞」と書いてありますが、「卵母細胞」の間違いではないですか。文献1を見ましたが、どこにそれが書かれているか分からなかったので。卵母ですね。卵巣細胞というのは聞いたことがないので、そこは直しておいてください。

○事務局 はい。

○鈴木部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。それでは審議をまとめます。

 御審議いただいた3物質は、いずれも薬事法第2条第14項に規定する指定薬物として指定することが適当であると決議してよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。それでは、事務局より本件に係る今後の手続、スケジュール等について説明をお願いいたします。

○事務局 今後のスケジュール等について御説明させていただきます。本件の結果については、次回開催の薬事分科会で報告させて頂く予定となっております。本日の結果を受け、パブリックコメント、WTO通報等の必要な手続を行い、指定薬物を指定するための省令改正の手続を進める予定です。

 また、いわゆる正規用途については、今のところ、今回審議していただいた8物質のうち、7番の1-[(3-メチルフェニル)メチル]ピペラジンの方に、化学合成用途での有用性があるとの情報を確認いたしております。

 いずれにしましても、パブリックコメントの結果を受けて、可能な限り適正使用に支障を来さないように対応する所存であります。

○鈴木部会長 ありがとうございました。本日の議題は以上です。それでは事務局からその他の連絡事項があればお願いいたします。

○事務局 次回のこの部会の日程については、また調整の上、決まり次第、御連絡させていただきます。また、本部会の資料については、回収させて頂きますので、そのまま机上に置いておいて頂ければと思います。以上となります。

○鈴木部会長 委員の先生方、本日は御審議ありがとうございました。以上をもちまして平成25年度第5回指定薬物部会を閉会いたします。ありがとうございました。


(了)

備考
 本部会は、公開することにより、委員の自由な発言が制限され公正かつ中立な審議に著しい支障をおよぼすおそれがあるため、非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 渕岡(内線2779)

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