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2014年6月18日 第8回障害児支援の在り方に関する検討会(議事録)

社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室

○日時

平成26年6月18日(水)
10:00~12:00


○場所

中央労働委員会 講堂(7階)


○出席者

【構成員】

加藤構成員  宮田構成員  田中 齋構成員  朝貝構成員  岡田構成員  片桐構成員  田中 正博構成員  石橋構成員  市川構成員  柏女構成員  大塚構成員  渡辺構成員  佐藤構成員  辻井構成員  大濱構成員  田畑構成員  大南構成員

○議題

・報告書案について 等

○議事

【障害児支援の在り方に関する検討会(第8回)】

○柏女座長 皆さんおはようございます。少し早いのですが、遅れて見えるお二人の方は少し時間を過ぎてからお見えになるということで、それ以外の方は全員おそろいですので、これから「第 8 回障害児支援の在り方に関する検討会」を開催させていただきたいと思います。

 構成員の皆様方におかれましては御多忙のところを御出席いただきましてありがとうございます。もしかしたら道を間違える方がいらっしゃるかなとも思ったのですが、私が一番間違えそうで、少し迷ってしまいましたが無事にたどり着くことができました。どうぞよろしくお願いいたします。

 最初に、事務局から本日の構成員の出欠状況、資料の確認をお願いいたします。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 おはようございます。まず、本日の構成員の出席ですが、高木構成員及び柘植構成員から御欠席の連絡を頂いております。また、高木構成員の代理として宇佐美参考人に御出席いただいておりますのでよろしくお願いいたします。また、佐藤構成員及び渡辺構成員におかれては 10 15 分ほど遅れて出席されるとの御連絡を頂いています。

 なお、本日、障害保健福祉部長の蒲原などについては、国会で呼ばれておりまして、その関係で遅れての出席となりますのでよろしくお願いいたします。また、前回と同様に、当省の雇用均等・児童家庭局及び文部科学省の担当の方にも来ていただいて、事務局の席に座ってもらっていますので、関連の事項で御質問等ありましたらよろしくお願いいたします。

 また、恐縮ですが、本日は人数分のマイクの数が足りないと思います。録音専用と書いてあるものは録音のみということで使えませんので、それ以外のワイヤレスのマイクを適宜、共有してお使いいただければと思いますのでよろしくお願いいたします。

 続いて、資料の確認です。本日は資料 1 から資料 4 までお配りしております。資料 1 が報告書案のたたき台です。資料 2 が「報告書案参考資料」で、参考資料 1 3 を付けております。参考資料 1 が「障害児が利用できる福祉サービスの体系」、参考資料 2 が「地域における『縦横連携』のイメージ」、参考資料 3 が「障害児の地域支援体制の整備の方向性のイメージです。今後、事務局の想定としては参考資料 4 と参考資料 5 を報告書案には添付したいと考えておりますが、本日は提出の準備が整っておりませんので、次回の検討会において提出させていただければと思っております。

 また、資料 3 は、田畑構成員から御提出いただいている資料です。資料 4 については、「事務局が個別に意見聴取を行った 3 団体からの提出されている資料」を添付させていただいております。資料は以上ですが、不足等ありましたら申し付けていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○柏女座長 大丈夫でしょうか。また、毎回のとおり、途中で落丁等が見つかりましたら事務局のほうに御連絡を頂ければと思います。

 今、資料の説明がありましたが、実は昨日、私のゼミで 3 年生が「視覚障害児の学習支援の今後の在り方」ということでゼミレポートを発表しまして、ちょうど本日配られる資料 4 の中に、日本盲人会連合のヒアリングの意見書がありましたので、もちろん資料はお配りしませんでしたが、少しその中身を使って「こんな要望が今あるんだよ」ということを学生たちに説明させていただき、ディスカッションもさせていただきました。障害を持った子どもたちの様々な類型がありますが、その類型ごとに一つ一つを丁寧に議論して、この報告書の中に埋め込んでいきたいと考えております。どうぞ、皆様方の御協力をよろしくお願いいたします。

 それでは早速ですが、議事に入りたいと思います。本日は、たたき台についての議論ということになります。まず、資料 1 の報告書案及び資料 2 の参考資料について御説明を頂きます。本日の流れですが、時間的な問題もありますので、前半と後半に分けます。前半部分については、前回、御議論いただいたものを修正した上で、本日出していただいておりますので、それの 2 回目の議論という形になります。これが、できれば 30 分ぐらいにさせていただければと思っております。後半のほうは、本日初めてお目見えの文書ですので、資料 3 4 については本日が 1 回目ということになります。もちろん本日頂いた御意見を修正した上で、次回は検討するという形になりますが、本日は 1 時間弱、 50 分ぐらい時間を取って 1 回目の議論をしていきたいと、このような時間的な配分で考えておりますので、どうぞ御協力をお願いいたします。

 それでは、事務局から御説明をお願いいたします。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 まず、資料 1 です。先ほど座長からおっしゃっていただいたように、前回の検討会において、目次、また、前半部分の文章案をお示しして御議論を頂いたところです。前半部分については、御議論や意見を踏まえて修正をした部分について朱書きで記載させていただいております。また、後半部分の提言の部分については、前回は項目のみをお示ししたところです。今回は文章案を記載しております。

 前半部分の修正部分について御説明します。まず表紙ですが、 ( 議論の整理 ) としていたところを、(報告書)という形に直しております。次のページですが、目次については前回と同じで修正はありません。 3 ページの「はじめに」という所で、前回は項目だけでしたが、今回は全文を記載しております。今回の検討会の開催の趣旨又は議論の概括的な結論等について記載しております。注釈も新たに入れており、 1 として、発達支援の定義を記載しているところ、また、 2 として、各団体からのヒアリング資料について厚生労働省のホームページに全て掲載しておりますので、そのアドレスを記載することとしておりますので、その旨、注釈を入れております。

 大きな項目の 1 「平成 24 年度からの新しい障害児支援制度への移行とその後の状況等」です。 (1) の○の 1 つ目、法律の法令番号を括弧書きで追記しております。このページ以降は、同様に法律名のあとには法令番号を記載しています。中段から下の (2) ですが、直近の国保連データとして、平成 25 12 月データを平成 26 年の 1 月時点のデータに更新しております。 (3) の注釈 4 ですが、障害児が利用できる福祉サービスの体系は、別に付けている資料 2 の参考資料 1-1 、参考資料 1-2 として、「障害児が利用できる福祉サービスの体系」に、サービス名、利用者数等を整理した資料を付けております。

5 ページについてです。先ほどと同様、直近のデータに置き換えをしています。2の「保育所等訪問支援」の所で、訪問先に「認定子ども園」を追加しております。なお、 1 つ目の○で、児童発達支援と放課後等デイサービスの施設数と利用者数について、それぞれ列記している形になっているのですが、少々分かりづらいこともありましたので、次の検討会には、もう少し丁寧な書きぶりに修正させていただきたいと思っております。また、これに限らず、ほかの部分についても、より丁寧な書きぶりにすべき所については、事務局でもう一度確認して修正させていただきたいと思っております。

6 ページです。一番上ですが、障害児の入所施設の施設入所児童数において、契約だけではなくて措置入所者数についても数を記載しております。また、中段の 2 つ目の○ですが、障害児のいる世帯への所得保障という観点から、「特別児童扶養手当」と「障害児福祉手当」について記載を加えております。

7 ページです。 (4) の1です。「共生社会」の実現に向けた国の取組について、「障害者権利条約」以前のことについても記載すべきという御意見を頂きましたので、その取組を追記しています。

8 ページの○の 1 つ目です。子ども・子育て支援制度の障害児支援につながる取組について、 (a) (e) を記載しておりますが、 (d) の「利用者支援事業」について、「本格施行に先立ち、既に実施されている」というところが抜けていましたので、その旨を注釈として付けております。3の「学校教育法施行令の改正」です。こちらについては、次のページになりますが、「同令の第 22 条の 3 の表に規定する程度の障害のある児童生徒」といった書きぶりに修正することと、表の注釈を書き加えて、より適切な表現に修正したというものです。4の障害福祉計画については、第 4 期障害福祉計画の基本指針告示で障害児支援の計画作成については、義務規定ではなくて努力規定ですので、その旨を修正しております。5の一番下の○ですが、前回の検討会において、少年院法案の概要資料を添付して御説明しましたが、先般成立しました新少年院法についての記載を追記しています。

11 ページです。大きな項目の 2 (1) の2です。 1 つ目の○ですが、前回の文章案においては、「障害児を障害のある子どもと捉え」と記載していたのですが、もう少し分かりやすい記載とすべきという御意見を頂きましたので、書きぶりを修正しています。3の 2 つ目の○ですが、 ICF に加えて、児童期用の ICF-CY についても書き加えるという修正をしております。

12 ページです。4「家族支援の重視」ですが、○の 1 つ目、支援の考え方として箇条書きでポツが 3 つあります。その 1 つ目「保護者等のレスパイト」のあとに、前回の報告書では、一時的休息と記載していましたが、前回の検討会において、単に一時的休息では狭い捉え方になるのではないか、また、保護者が必要な時間の保障ということで、きょうだいに時間を割いていくということも含めての関わりを家族支援として重視すべきといった御意見を頂きましたので、一時的休息という言葉を削除して、レスパイトの注釈を付けました。さらに、次の○の「なお書き」になりますが、「きょうだい支援」について、この○で項目立てをして新たに記載したところです。 3 つ目の○については、保護者の就業保障について、子どもの障害が有る無しにかかわらず、大きな課題となっているといった御意見を頂きましたので、それを踏まえて、障害児支援においても基本的には拡充すべきといった内容に修正するということと、所得保障という観点から特別児童扶養手当といったところにも触れています。

13 ページです。グランドデザインのところですが、注釈 8 としてグランドデザインの全体のイメージの図を付けております。資料 2 の参考資料 2 を御覧いただければと思います。「縦横連携」のイメージ図については、前回の検討会で案を示して御意見を頂いたのですが、地域の概念が見えてこない、また、分かりにくい、「気づきの段階」からの支援は大きくスペースを取ってアピールすべきといった御意見を頂きましたので、それらの御意見を踏まえて修正したイメージ図になっています。具体的には、真ん中に矢印で示しておりますが、関係者をつないで障害児・家族への支援をライフステージに沿って進めるに当たって中心になるのが障害児相談支援や計画相談支援であり、本人・家族に寄り添った形のイメージとして矢印でお示ししています。また、ライフステージを、下から「乳幼児期」「学齢期」「成年期」の 3 つに分けておりますが、各ライフステージごとの地域での連携と横の連携を表わすために 3D で立体化した図に修正しております。また、各ライフステージの赤の楕円型の所ですが、保健、医療、福祉、教育、就労支援といった連携、また、関係者のチームとなっての支援について示したものになっています。さらに、一番下にありますが、「『気づきの段階』からの支援」、右上にある「関係者間の共通理解・情報共有→途切れない支援の調整」といった重要なキーワードについては吹き出しで強調して記載しています。

 本文に戻ります。 15 ページです。4の「障害児相談支援の推進」の項目です。前回の文章案については、障害児支援利用計画について、「障害児の利用する障害児通所支援の種類・内容等を定めることが目的」といった形でお示ししていましたが、フォーマルサービス利用のための計画というイメージが強すぎるといった御意見を頂きましたので、その文言を削除して適切な表現に直したところです。

16 ページの6は、前半部分の最後です。養育困難又は児童虐待等により措置により入所している障害児の支援の在り方について検討をすることが重要であるといった御意見を踏まえて、新たに「障害児入所施設に措置により入所した障害児の支援の在り方等」といった項目を立てました。内容としては中段に書いていますが、児相と入所施設との情報共有、役割分担を踏まえた連携のあり方について検討が必要であるということ。また、乳児院、児童養護施設等の社会的養護の下で暮らす障害児について、障害児支援の観点から何らかの支援ができないかについても併せて検討を進めるべきといったところを記載しております。以上が、前回お示しした文章に修正を加えたところです。

 続いて、 16 ページの大きな項目 3 の提言部分です。こちらについては冒頭に申し上げたとおり、項目の変更はありません。 (1) 地域における「縦横連携」を進めるための体制づくりとして項目を 6 つ挙げております。まず、1の「児童発達支援センター等を中心とした地域支援の推進」ですが、 1 つ目の○で、都道府県全域、障害保健福祉圏域、市町村域等といった形で区域を分けて、障害児入所施設や発達障害者支援センター等の関係施設の役割分担を明確にした上で十分な連携を図ること。また、重層的な支援体制を構築する必要があることを記載しております。この地域体制の方向性のイメージ図については、資料 2 の中の参考資料 3 にありますので、そちらを御覧いただければと思います。

 こちらの図については、市町村、都道府県において重層的な障害児の地域支援体制を整備するに当たって参考になるようイメージ図を作成したものです。先ほど申し上げた報告書案にあるように、都道府県全域、障害保健福祉圏域、市町村域の 3 つに区域を分けて整理しております。児童発達支援センターが地域における障害児支援の中核としての役割を担うことが求められていることから、児童発達支援センターを図の中心に置いているところです。

 図の下の部分ですが、児童発達支援センターについては、下に矢印を引いていますが、障害児・家族への直接支援を行いつつ、アウトリーチ型のサービスである保育所等訪問支援により、保育所又は学校での集団生活への適応等を支援するといった役割、また、右側の矢印になりますが、障害児の相談支援などにより、サービスの利用援助を行うものということで関係機関等の連携については、黄色の輪で示しております。

 この図の上段部分ですが、児童発達支援センターが協力を求めるといった連携については、図の上段の黄色の輪で示しております。都道府県全域においては、障害者発達支援センター、又は子どもの心の診療ネットワーク等の拠点病院や児童相談所と。障害保健福祉圏域については、医療機関、障害児入所施設、保健所といった関係機関等との連携を図として示しております。なお、児童発達支援センターの上に※で記載しておりますが、児童発達支援センターをどのぐらい設置すればいいのかといったことについて、人口規模に応じて各圏域に複数の拠点が必要といった形で記載しております。

 本分に戻って、 17 ページの○の 1 つ目です。児童発達支援センターの中核施設としての役割が求められるといったことと、保育所等訪問支援、障害児相談支援の指定を受けることが必要であるということ。また、厚労省においては、各センターが指定を受けることを促進するための具体的な措置を検討すべきであることを記載しております。また、 17 ページの 3 つ目の○ですが、「気になる段階」からの支援にも関与できるよう、保育所等訪問支援と併せて、障害児等の療育支援事業等の予算事業を受託し、実施することが望ましいというところ。また、少なくとも就学前の段階の障害児については、一体的な支援が可能となるように、障害者相談支援事業所の指定を受けることが望ましいといったことを記載しております。一番下の○については、保育所等訪問支援の訪問対象先の拡大や実施主体の多様化について記載しています。

18 ページです。2「入所施設の機能の活用」のところです。担うべき機能として、「発達支援機能」「自立支援機能」「社会的養護機能」「地域支援機能」の 4 つが考えられ、それを基本として、今後の在り方について検討すべきであるということを記載しております。下の3「障害児相談支援の役割と拡充の方向性」というところで、障害児相談支援は、地域における「縦横連携」の要として、今後更なる体制整備を図っていく必要があるということを記載しております。

19 ページです。○の 2 つ目、「気になる」段階から保護者に対して寄り添う支援を行うことが重要であるということ。また、各種の相談に対して可能な限りワンストップでの対応を進めることを目指して、子ども・子育て支援新制度の利用者支援事業とも連携するべきといったところを書いております。また、 3 つ目の○については、障害という名前が付いているということで、抵抗感又は「敷居」の高さを感じさせる要素になっているというところから、用語の使い方の見直しも進めるべきといったところを記載しております。4「支援者ごとの専門性を活かすための協働・連携の推進」としては、個々の障害児の発達支援、療育を行うために、通所支援、入所支援に携わる支援者の専門性が発揮できるような環境づくりが必要であるといったことを記載しております。

20 ページです。5の 1 つ目の○ですが、支援内容を共有化の上、一貫した切れ目のない支援を行うなど、地域の実情に応じた縦の連携を展開していくことが重要であるといったところ。また、 3 つ目の○ですが、協議会の活性化を通じた地域のネットワークの強化のための具体策を検討するべきと記載しております。

20 ページの一番下の○の「さらに」という所は、次のページにかけまして「サポートファイル ( 仮称 ) 」の活用といった関係者間の情報共有の重要性を記載しております。また、厚生労働省において、共通の様式の作成など具体的な方策について検討すべきといったところを記載しております。6です。 2 つ目の○で、市町村について、児童入所施設から障害者施策への円滑な移行との観点から、入所者について継続的に一定の関与を行うことが可能となるシステムの構築について検討すべきであるといったこと。次の○で、障害児通所支援、入所支援について、障害福祉計画への記載を法的義務とすべきといったところを記載しております。

21 ページの一番下の (2) の「『縦横連携』による個別の支援の充実を図るための方策」です。こちらについては1から4まで項目立てをしておりますが、各ライフステージごとに整理しています。1の乳幼児期の支援については、 1 つ目の○で、各市町村の母子保健部門から適時適切に障害児支援部門に情報提供できるような体制を作ることが必要であるといったこと。また、○の 4 つ目ですが、保護者への対応等も含めて、保育と療育の関係者の水平的な協力関係を築いていくことの重要性を記載しております。2の小学校入学前の障害児の支援については、 1 つ目の○で、学校教育法の施行令が一部改正されたこと、また、早期からの一貫した支援のためには、児童生徒の成長記録や指導内容等に関する情報を必要に応じて関係機関が共有して活用すべきといったこと。また、 2 つ目の○ですが、この施行令の改正に合わせて改正された「教育支援資料」の現場への普及、また、教育関係者と障害児支援関係者の連携を図る体制の構築を促していくべきといったことを記載しております。3については、学校と障害児通所支援事業所などの緊密な連携を図ることを積極的に進めるべきといったことを記載しております。

24 ページです。 1 つ目の○で、放課後等デイサービスなど、学齢期の児童に対する障害児通所支援の在り方の問題として、今後どのような対応が可能かを検討すべきであるといったこと。 3 つ目の○は、新少年院法の成立との関係ですが、障害のある児童の少年院出院後の支援について、矯正教育、障害児福祉、特別支援教育の分野が連携した支援体制の構築を進めるべきといったところを記載しております。4については、ライフステージに応じた切れ目のない支援を行う上で、学校卒業後も見据えた情報の引き継ぎが大切だといったところを記載しております。

25 ページです。 (3) 「特段の支援が必要なケースのために医療等との連携を進める方策」です。こちらについては、1の発達障害児の支援、2の重症心身障害児者等の医療的ケアが必要な障害児の支援といった形で、特別な支援が必要なケースについて 2 つの項目を立てております。内容については、医療分野等における専門家の一層の連携の拡充又は適切な対応ができる人材育成を図ることが重要であるといったことを記載しております。

27 ページ、 (4) 「家族支援の強化策」です。まず、1の短期入所等のレスパイト支援の拡充については、障害児を育てる親や、きょうだいを含めた家族に対する総合的支援が身近な地域で受けられるようにすることが重要であるといったことを記載しております。2は、家族支援に当たっては、発達段階に応じて丁寧に、また、早い段階での支援が必要であるといったこと。また、家族自身に自己肯定感を持たせるための支援が必要であることを記載しております。3については、保護者の「子育て力」を引き出すことが、ひいては障害児本人への支援に良い影響を及ぼすといったことを記載しております。4保護者の就労のための支援についてです。家族機能を壊すような必要以上の預かり等を希望する保護者に対しては、子どもの最善の利益の保障の観点から、子どもの発達の理解を促す支援を行う必要があるといったこと。また、一般施策において対応が難しいというような濃密な支援を要する場合については、保護者の就労のための支援という観点も含めて一体的な対応を進めることが必要であると書いております。5については、障害児の「きょうだい支援」の重要性、また、家族会の活用の支援について記載しております。

29 ページ、 (5) 「個々のサービスの質のさらなる確保策」です。1一元化を踏まえた職員配置、専門職の確保等の 1 つ目の○ですが、今後、障害種別ごとの専門性を維持することにも配慮した上で、人員配置基準や報酬体系の一元化についても、更に進めるべきである。 2 つ目の○は、児童発達支援事業所や放課後等デイサービスに配置される者を「指導員」とするか「児童指導員」とするかについてですが、就学前と学齢期に提供する支援内容が異なることなどを踏まえて検討することが必要である。例としては、 3 つ目の○ですが、各事業所の従業者のうち一定割合は児童指導員の配置を義務化すること等も考えられると書いております。 29 ページの一番下の 4 つ目の○ですが、障害児への支援の基本的事項を定めたガイドラインの策定が必要ではないか。また、特に放課後デイサービスについては、早期のガイドラインの策定が望まれるといったところを記載しております。

30 ページ、2の入所施設の生活環境の改善等です。 1 つ目の○ですが、障害児入所支援については、子どもの育ち、発達に係る基本的な観点から、より家庭に近い生活環境、少人数の生活の場、普通の暮らしの環境、個々に配慮した生活環境とすべきであるといったこと。 2 つ目の○ですが、重症心身障害児者への入所支援については、児者一貫した支援が望ましいという特性から、障害児の入所施設と療養介護が一体的に実施できる事業所指定の特例措置を恒久的な制度化にする必要があるのではないかといったところを記載しております。 3 つ目の○としては、障害児入所施設、社会的養護機能の充実を図っていく必要性について記載しております。

 3障害児が利用できる障害福祉サービス等の拡充・適用拡大に向けた検討です。こちらについては、例えば重度訪問介護については移動支援の目的で活用することができること等から、 15 歳未満の障害児でも利用が可能となるように検討すべきといった御意見がありましたので、それを記載しています。また、それぞれのサービスの趣旨又は内容に沿って具体的な障害児の利用可能性について検討し、必要な対応を取るべきといったことを記載しております。

 最後に、 4. まとめの所です。 1 つ目の○に、議論を踏まえて、1から3まで書いておりますが、平成 27 年度の報酬改定の中で検討すべき事項、また、総合支援法の施行 3 年後の見直しの検討に併せて制度見直しを検討すべき事項、また、長期的な検討が必要である事項に分けて整理して、今後、検討を進めるべきであるといったことを記載しています。

 最後の○ですが、厚労省において障害児支援を担当する障害保健福祉部は、一般施策として子育て支援を担当する雇用均等・児童家庭局と密接な連携を図ること。また、各自治体においても、担当部局間の緊密な連携及び都道府県・市町村間の連携を定期的に要請すべきであるといったところを記載しております。

 最後になりますが、今、報告書を本文だけでお示ししている段階でも 30 ページほどになります。このため、今後、事務局において重点事項を整理した概要ペーパーを作成することを考えております。次回の検討会でその案を示させていただきたいと考えておりますのでよろしくお願いします。説明は以上です。

○柏女座長 今、事務局からも説明がありましたように、本文のみで 30 ページを超える大論文ということになりました。皆様方、多くの方々の思いが詰まった報告の素案ですので、 1 1 つが大事なわけですが、更に重点事項等についてペーパーとして作り、案も出してもらえるということです。大部にわたっていますし、また具体的な 3 4 の施策の内容については、要望書の中でかなり細かく報酬上の評価をすべきだと具体的に出したのに、やや抽象的ではないかというような思いを持たれている委員の方もいらっしゃるのではないかと思います。私も、少し具体的な内容のポイントが分かりにくいなという感じはいたしました。

 ただ一方で、この報告書の位置付けは全体の方向性を定めて、そして今後の施策のスタートラインにしていくと。報酬単価等の見直しについては、また別途の細かな議論が行われることになるわけですが、それらを検討していくに当たっての具体的な方向性を出していくのだということを考えれば、一定程度いろいろな動きにも対応できるように方向性を示しておくという形であれば、今のような書き方もある程度は、やむを得ないのかなとも思っています。コメントをいただく際には、そうした点にも御配慮を賜り、前半部分と後半部分に分けて議論を進めていきたいと思います。

 まず最初に、先ほど申し上げましたとおり、 1 番と 2 番について前回の議論を通して出た御意見を丁寧に拾い上げていただき、修正していただいておりますが、この部分について 11 時ぐらいまで御意見等をいただければと思います。どなたからでも結構ですので、御意見のある方は手を挙げていただきたいと思います。

○大塚構成員 上智大学の大塚です。まとめていただいてありがとうございます。様々な意見が入ったと思います。幾つか少し気付いたところを意見として申し上げたいと思います。 11 ページの2に、上記1の基本理念を踏まえつつ、障害のある子どもについては特に丁寧な支援が必要であるという認識は、非常に「丁寧」ということはよくて、幾つかこの報告書の中にも出てくるのですが、丁寧はもちろん意味が込められて丁寧なのでしょうが、いいのですが、では一体何、ということになると、なかなか難しいことがあります。私はむしろ個々の子どもの特性やニーズや対応に応じた配慮された支援、即ち、合理的配慮というのはずっとこれから続くわけですので、個々の子どもに合ったきちんとしたという観点から、合理的配慮はこれからそれぞれの子どもに対していろいろと議論になると思っております。そういった観点からいくと、配慮された支援ということで統一されたほうが説明できるのではないかと。丁寧とは何ぞやと言われたときに、いや、丁寧なのですというのは、ちょっと難しいかもしれません。

 それから、その下の3の障害児本人の最善の利益の保障ということですが、最善の利益、これも 1 つの大切なキーワードだと思っています。この中に多分足りないのは、子育てというのは家族に一義的に責任を持ってやっていただくということを、関係者は支援していく、専門家は支援していくという立場かもしれませんが、なかなか子育てがうまくいかない場合、困難な場合があると。例えば、虐待などは 1 つの大きな例だと思います。虐待防止法、障害者虐待防止法も施行されているところから、ある観点からいくと、むしろそういう子育てが困難な状況に対しては、関係者、行政や支援者や専門家が積極的に支援していく、あるいは関与していくという観点が最善の利益かなという観点が入っているのだと。英語ではインターベーションということかもしれませんが、日本語にすると「介入」となってしまうので、何かちょっときつい。これが、正に最善の利益だという具体的な内容だと思いますので、その観点が必要だと思います。

 それから、 12 ページの家族支援の中のレスパイトの支援です。「レスパイト」は田中さんが先駆者で、ここにも注釈で小休止ということで入っています。そもそもレスパイトをここに入れる意味は、家族支援の 1 つの形態として、レスパイトというのが子育てに疲れたとき、あるいは子育てに伴うストレスから少し解放されて、新しく子どもと向き合って、新鮮な気持ちで子育てをしていこうという積極的な意味に活用したいということが一番重要なことなのです。その意味では、単に子育てから遠のくとか、拒否するということではなくて、レスパイトというのは積極的に使っていいのですよと。それは、御家族や行政も、提供するほうもそうですし、支援者もそういう誤解があると思っておりますので、そういう意味でのレスパイト、新たな子育てに向かうための非常に大切な支援だというニュアンスが必要かと思います。

 次に、その下の 3 つ目の○のワークライフバランスのことです。真ん中に、「上記1の社会への参加・包容の観点との関係も含め、具体的な在り方を検討すべきである。」とありますが、このワークライフバランスと1との関係がよく分からないので、この辺りはもう少し丁寧に書く必要があると思います。本人の参加・包容の観点なのか、家族の参加・包容の観点なのかがつながっていないと思います。最後に、 16 ページの6の障害児入所支援の所です。これは、大変思いを込めたことが入っていると思うのですが、ここのパラグラフだと、そもそもグランドデザイン、地域における縦横連携の話の中で最後にきているわけで、ずっと縦横連携があるのですが、ここは急に縦横連携とは関係のないことが入ってきて、ちょっと座りが悪いかなという印象をもちました。もし、ここに6を入れるということであれば、むしろ行政内部における雇・児局の母子保健や児童家庭福祉課などの要保護児童などの対策をしている所と連携をしながら、縦横関係において要保護児童についてもきちんとやりなさいという意味にしたほうがいいと思います。

○柏女座長 とても貴重な御意見を頂戴いたしました。ほかにはいかがでしょうか。

○田畑構成員 日本相談支援専門員協会の田畑です。意見として 2 点出したいと思います。 1 点目は、表紙のたたき台となっている部分ですが、タイトルの所が「今後の障害児支援の在り方について ( 報告書 ) 」とあり、その下のサブタイトルの部分なのですが、「発達支援が必要な子ども」の支援はどうあるべきかという表記になっています。この部分は先ほど大塚構成員も言われましたように、例えば丁寧な発達支援が必要な、あるいは丁寧な配慮に基づく発達支援が必要な子どもの支援はどうあるべきかという形に整理したほうが分かりやすいのではないかというのが 1 点目です。

2 点目は、 11 ページの基本理念に関わる部分で、2の子育て支援に対する「後方支援」としての専門的役割の発揮という表記なのですが、この部分について、子育て支援に対する専門的な発達支援と、後方支援としての専門的役割の発揮という 2 つの意味が含まれているのではないかと思いますので、後方支援のみの表記にした場合、それぞれの専門機関の専門性の発揮という部分が薄まってくるのではないかと思い、そういう表現が適切ではないかと思っております。

 それから、関連して私から資料 3 を出させていただきました。グランドデザインの案なのですが、少しこの部分を説明させていただいてもよろしいでしょうか。 1 枚開いていただき、「障害児支援のグランドデザイン ( ) 」です。今後の大きな方向は飽くまでも児童福祉論に基づくインクルーシブな支援になると思いますので、基本的な考え方として、まず身近な保育園、幼稚園でインクルーシブな支援が可能な体制をきちんと整備していくこと。それにプラス、障害児支援の専門機関による「専門支援」と「後方支援」の機能を発揮していくという結合したものを、これからの方向として出していくべきだという点から、地域の子育て支援拠点を中核とした一定の支援ビジョンという形で書かせていただきました。そうなってきますと、やはり全ての保育園、幼稚園 ( 認定こども園 ) も含めてですが、丁寧な発達支援を行うためには、学校の特別支援教育コーディネーターのような形の「児童発達支援コーディネーター」的な方を指名するなり配置するなりして、専門機関がそこと連携を取っていくという図が大事ではないかと思っています。そのためには、子ども子育て支援のラインで出ています「地域子育て支援拠点」に、発達支援の専門的なネットワークセンター的な機能を付加していく中で、重層的な支援を展開していくという図が出てくるのではないかと思っています。それから、下の部分は先ほどから議論に出ている部分ですので省かせていただきますが、そういうイメージで考えました。それを簡単な概念図にしたものが、 3 枚目の資料です。

4 ページ目の資料が、児童発達支援ネットワークセンターのイメージ図を出しています。地域によっては児童発達支援センターがこういう機能をしていくという地域も出てくるかとは思いますが、そういうイメージを出しました。それから、児童発達支援コーディネーターとは何ぞやという点ですが、こういう形で整理させていただきました。保育園・幼稚園で丁寧な発達支援を必要とする子どもへの支援のコーディネートを担当するリーダー的な役目なのだということで、既存の主任の業務等の中に、こういうものも付加していくことも必要ではないかと思っています。

 次のページは、特別支援教育コーディネーターと児童発達支援コーディネーターの典型なイメージ図ということで示させていただきました。最後のページが、そういうものを全体的なイメージとしてまとめた形です。子ども子育て支援のラインで出ています「地域子育て支援拠点」を中核とした子育て支援体制をこれから地域でどう作っていくのか。そのためには、その地域子育て支援拠点の中に 2 つの機能、子育て支援のセンター的な機能と児童発達支援の機能を持たせていく。それを、児童発達支援センターあるいは障害支援施設等が支えていくという図式として出させていただきました。長くなりましたが、以上です。

○柏女座長 近未来的な展望をグランドデザインとしてお示しいただきました。ほかにはいかがでしょうか。

○宮田構成員 全国児童発達支援協議会の宮田です。まず 12 ページなのですが、4家族支援の重視の所で、 3 つのポツで、障害児の介護等を行う保護者等のレスパイトの支援など 3 項目が出ています。この順番は逆のほうがいいと思います。保護者の「子育て力」を向上させることを目的としたペアレント・トレーニング等の支援を 1 番に、 2 番はそのまま 2 番で、レスパイトの部分が 3 番にというような順序立てがいいのではないかと思いました。 27 ページでも、同じような保護者の支援の項目が出てくるのですが、その部分も順序を入れ替えたほうがいいのではないかと思いました。

 それから 17 ページ、児童発達支援センターの専門的機能うんぬんのページのいちばん前の○です。この中で、今まで医療型児童発達支援センターについて意見を申し上げてきたわけですが、一番の問題はやはり保育機能の弱さですので、この文章の中のどこかに保育士の十分な配置など、育児支援機能の強化を図るというような一文を入れていただければ嬉しいと思います。

 それから間違いの部分ですが、 19 ページの。

○柏女座長 先生、すみません、あとでこちらの部分はやっていきたいと思います。 16 ページの半分までということで、すみません。

○宮田構成員 分かりました。もう 1 つは 3 ページですが、真ん中辺りに、「障害児支援が児童福祉法に基づく個別給付として位置付けられていることを踏まえると、給付対象となる支援の内容を確定することが難しい一面があるが」と書いてあるのですが、この内容がちょっとよく分からないので教えていただきたい。以上です。

○柏女座長 質問は最後の所で、前半部分の最後の所でまとめてということでもよろしいでしょうか。後半の 3 4 については、後ほどまた 1 時間弱の時間を取りたいと思います。ほかにはいかがでしょうか。

○片桐構成員 全国地域生活支援ネットワークの片桐です。 12 ページの家族支援の所で、レスパイトという言葉が出ており、私たちも全国地域生活支援ネットワークの会員団体の多くは、レスパイトのサービスを始めているところから事業を開始している者が多いです。実は、現場の中でこのレスパイトという言葉をかなり曖昧に使ってきたというか、大雑把に扱ってきたように、この報告書を見ながら感じていました。実はレスパイトというと、ここにも注釈がありますが、小休止の意味であり、保護者がケアを行わなくてもいい時間をつくり、休息を与えていくというケアなのですが、私もそうでしたが、現場では実はかなり多くの場合、就労支援がかなり混ざっていた部分などもあり、お父さん、お母さんが働いているから預からなければならないみたいなところがあったのです。この報告書の中では、○の 2 番目でレスパイトという表現があり、○の 3 番目で就業保障や就労支援という言葉があり、レスパイトという中に就労は入っていたのか、入っていなかったのかみたいなところで、結構曖昧に使っていたなというので、自分の中でも結構混乱していました。この辺りはどのように考えていけばいいのかなということで、意見ではないのですが、何か整理がなされてこなかったなというのもあり、先ほども大塚先生からもありましたが、先駆者である田中さんなどはどのように整理されてきたのかなとか、少しコメントもいただければと思って発言させていただきました。

○柏女座長 レスパイトに関心が集まっておりますが、田中さんから何かありますか。

○田中 ( ) 構生員 育成会の田中です。今の片桐さんの発言については、レスパイトという入り口が結果として様々な需要を飲み込んでいたということで、それは今でいいますと日中の一時支援若しくはそこから本格的に派生している放課後等デイサービスも、入り口があってそこにいろいろな需要が詰め込まれていった結果としてサービスがそのようなことに役に立つというように、現場の皆さんからすると受け止めていくような事情になっているのだと思います。レスパイトという言葉に就労支援を盛り込んでしまうと、非常に混乱することに拍車がかかると思います。レスパイトはここに書かれているような内容で、親御さんを中心にした一時的休息の要素だということが、時間保障も伴ってということで、その時間が保障されれば働きたいというところまで飛躍していったということになると思います。時間保障は限定的な時間保障だという位置付けの中で、一時的な時間保障というような整理にしていくと。ちょっと小休止というのも当たっている部分もありますが、何か常に親御さんは疲労困憊しきっているというイメージが強すぎて、もっと社会参加をするための時間保障であったり、きょうだいなどに手間暇をかけるような時間保障であったり。社会参加というのも、そんなに大げさな話ではなくて、近隣の自治会の参加というくらいのものに留めて、飽くまでも一時的な関わりというような前提でのサービス提供ということに留めておいたほうがいいと思います。

○柏女座長 よろしいでしょうか。ここは、先ほども宮田さんから、順番を少し考えたほうがいいのではないかとか、後との整合性が取れていないという御意見がありました。それらも含めて、少し御検討いただければと思います。ほかはいかがでしょうか。

○辻井構成員  15 ページの5に関連してくる中身になると思うのですが、情報の共有化の観点で、要するに子どもたちの実態を把握してそれを共有するということに関連して、 1 つは、やはりいろいろな所がかなり独自にそれぞれやってきて、要するにある程度のスタンダードあるいはフォーマルなアセスメントツールの使用みたいなことを、もちろん現場に即した工夫は必要なのですが、その中でもやはり最低限、例えば今まで知能検査みたいなものは使われてはきたのだと思うのですが、それ以外にも実際に支援に必要な適用行動の把握や、幾つかのフォーマルなアセスメントをきちんと取り入れることが今までできていなくて、それは必要だということは位置付けていかないといけない。 13 ページの1のライフステージに応じた切れ目のない支援などの、要するに個別の支援計画をライフステージを越えてそれを共有していくこととも関連してくる中身になるのですが、曖昧に工夫とか、ファイルというようなことよりは、やはり関係者が共有できて、ある程度標準化されたツールを用いるべきだということは、きちんと書いていただいたほうがいいのではないかと思います。

○柏女座長 虐待のアセスメントツールなどでも同じようなことが言われているので、大事な視点だと思います。

○佐藤構成員 佐藤です。先ほど田畑構成員から提案、意見がありましたが、私も田畑さんの御意見に賛成というか、そのような基本的立場をきちんと、この報告書の中では貫いてほしいということで発言をさせていただきたいと思います。今の基本的な考え方が、インクルージョンであったり、あるいはそれを具体化するインクルーシブなシステムを作っていくということが大きな流れの前提にあるからこそ、例えばこの報告書でも、言葉としては後方支援が使われていると思うのですね。そういう点で考えますと、今後大きな役割を期待されるのは、保育所であったり幼稚園、あるいは認定こども園であったりという場所のはずです。そこへ長い時間と、いろいろな段取りを踏まえながら 1 つずつシフトしていくということを、我々は全体として目指すべきだと思っています。その前提に立って、現状でそれぞれの資源がどのような役割を果たしていくか。しかし、それらの資源や関係者が目指す方向は、もう決まっていると言って差し支えがないのではないか。そのように認識しますと、例えば重要なツールである保育所等訪問支援が 1,000 人をわずかに超える程度しか現状では利用されていないと。一般的には、これまで比較的障害の軽い子どもたち、あるいは中等度の子どもたちは、障害児保育という枠組みの中で、一般の保育所あるいは積極的な考えを持つ幼稚園等で幼児期を過ごしていた。比較的重い障害のある子どもたちが、当時の障害児通園施設などを利用するということが、非常にざっくり言えばそうであったと思うのですが、現状でいいますと、衣替えというか模様替えをした児童発達支援センター児童発達支援事業に子どもがどんどん増えて、一方でこの保育所等訪問支援はこの程度の数にしかならないというのは、先ほど申し上げたように基本的に現状が向かうべき方向がはっきりしているにも関わらず、こういう状況に対して我々は憂慮すべきだと思っています。これは、あとの課題でも出てきますのでその際にもう一度発言させていただきたいと思いますが、一般施策である「子ども・子育て支援」を担当する部局と、障害のある子どもたちを中心とした子どもたちの発達支援を検討し実施する部局が、本気で密接な連絡をとり、どうやってやるのかまで含めて展望していかないと、ある意味で今の状況が歪になっているという問題意識を共有することが非常に重要ではないかと。そういうことが、文言の上でも多少反映されるべきではないかと思っています。そうしないと、後方支援という意味がおかしなことになり兼ねない。最近は、後方支援がいろいろと「きな臭い」言葉になりつつありますが、すっきりと障害児支援あるいは発達支援が後方支援と言うのに相応しい支援をする際の役割はどうあるべきかを改めて検討していく必要があるための検討会であったと思いますので、その点を意見としたいと思います。

○柏女座長 正に、本気度が試されているということだろうと思います。

○市川構成員  1 点は、 15 ページの冒頭や後半にも随分出てくるのですが、「気づき」とか「気になる」という言葉が大分出てくるのですね。これは、早期の問題につながるのだと思うのですが、これはやはり主語を「誰が」かということをきちんとしておかないと。ほかの行政のお手伝いをしたことがあるのですが、これは保護者なのですね。保護者が気づいて保護者が気になってくれないと、幾ら周囲が、近所のおじさんたちが気づいてもしょうがないし、スタッフが気づいてもうまくいかないということは山のようにあるので、そこをどうやったら気づくか、あるいは気になるようになるかが 1 つ重要な視点ではないかと思います。

 それから、先ほどから出ておりますレスパイトの書きぶりなのですが、「レスパイトの支援を受けている間に保護者がきょうだいの世話ができることを考えると」と書いてあるのですが、これはレスパイトを受けている間に保護者もきょうだいも両方とも休んでもらわなければいけないわけですよね。世話なんて、毎日保護者はやっているわけですよ、ほかの兄弟の方も。ですから、ちょっとこの書きぶりは。これだと何かレスパイトを受けている間に世話をしろと読めてしまうので、もう少し柔らかな書きぶりにしていただいて、きょうだいも含めて休めるというか、英気を養えるようにするというような書きぶりにしていただけたら有り難いと思います。

○柏女座長 ありがとうございました。貴重な御意見を頂きました。ほかはいかがでしょうか。では渡辺さん、お願いします。

○渡辺構成員 日本福祉大学の渡辺です。 12 ページの話題になっているレスパイトの部分ですが、先ほど田中委員からも御説明あったように、レスパイトそのものはサービスではなくて、いわゆる保護者に対する時間保障という概念だと思うのです。レスパイトケアとか、レスパイトサービスというとサービスを指すことになりますが、そういった意味では今のこの書き方が分かりにくくて、下に注釈が付いていて、レスパイトというのは、要するに居宅介護とか、児童発達支援なども副次的にいえばレスパイト的な効果を持つのですというようなことが何となく書いてあるのですが、分かりにくいです。多分文章に書くときには、要するに家族を支援していくという基本の部分ということで言うと、家族に対するやはり時間保障であったり、あるいは子育てに向き合うゆとりだったりとか余裕を保障していくのだということをきちんと分かるように書いておく。その上で、そういうレスパイト的にいろいろなサービス、かつてはレスパイトサービスとかレスパイトケアというのがあったわけです。例えば、保育所を使っている間とか、児童発達支援センターが単独通園できて、そこに行っている間は実は親御さんが自分の時間を持つことができるとか、そういったものも広く含めてレスパイト的な効果を持つことを、もう少し本文の中で分かるように書いていったほうが伝わりやすいのではないかと思っています。

○柏女座長 ありがとうございました。ほかはよろしいでしょうか。 3 4 をやりながらも、また 1 2 に関連するところは当然ありますので、そちらを含めて御意見を頂いても構いませんので、 3 4 に移りたいと思います。

 その前に、特に 1 2 の修文について、まとめをすることはいたしませんが、書きぶりの工夫とか、あと修文上のこと、あるいは固有の配慮が必要なこと、それぞれ御意見がありました。また、根本的な問題としては、田畑さんや佐藤さんがおっしゃっていたように、いわゆる子どもたちの一般のシステムの中で障害を持った子たちを受け入れていく所をしっかりと障害児支援の固有の支援のところが応援をしていく。そうしたことを明確に方向性を打ち出した上で、そこに向かって進んでいくべきではないかといったグランドデザインに関するところもありましたので、こうした点なども含めて、書きぶりの工夫をお願いできればと思います。

 それでは 16 ページ後半部分から 31 ページまで、 3 4 について御意見がございましたら、お願いしたいと思います。先ほど宮田さんが御発言をされましたので、続きをということで、そこからほかの方にお願いしたいと思います。

○宮田構成員 すみません、先走りまして。 17 ページの 1 つ目の○のところです。先ほど申し上げましたように、児童発達支援の機能として保育士の定数増など育児支援機能の充実を図る部分を入れていただきたいと思います。

 次に、 19 ページの 2 つ目の○です。用語が「障害児療育等支援事業」となっていますが、「障害児等療育支援」です。蛇足ですが、事業名が間違っております。

 加えて、 27 ページの家族支援の強化策のこの順番も、先ほど申し上げたのと同じように、3が 1 番に来て、そして2が 2 番目、1の部分はもう少し後ろかと思います。以上です。

○柏女座長 ありがとうございました。それでは大塚さん、大南さんお願いします。

○大塚構成員  19 ページの4支援者ごとの専門性を活かすための協働・連携の推進の所で、「支援者ごとの」というのはよく分からないので、それぞれの支援者の専門性を活かすということなのかもしれませんということで、言葉の問題です。そこの一番最後の「他の支援者と連携して効果的な支援を行うことができるような能力を涵養していくための体制づくり」とありますが、その具体的なことは、多分このようなスキルを身につけるとか研修とか、あるいは教育の中で行っていくということなので、体制をつくるとか、そういう研修のシステムを作るということでは分かるのですが、体制だけだとよく分からないということがあります。

27 ページの (4) 家族支援の強化策の2精神面でのケア、カウンセリング等の支援という所ですが、多分これは精神面でのケア、カウンセリングと、その下の「家族支援に当たっては」と、内容がちょっと合ってないような気がいたします。特に気になるのは、もちろん「自己肯定感」という言葉はいいのですが、専門的用語すぎるということと、「家族自身に自己肯定感を持たせるための支援」というのは、正に家族にとっては大迷惑です。専門家も、家族にこうしてやるのだというようなニュアンスがあるので、ここはむしろ全てではないですが、障害児を持つ家族にとって子育て支援の悩みというのが出てくるわけですね。それはストレスがあるかもしれません。そういうものから、特に精神面での様々なケアが必要な場合が出てくるわけですので、そういう場合については、支援者が早く気づき、飽くまでも必要であれば専門家につなげる。それがカウンセリングという一方法だと思っております。ですから、家族の支援だということなので、ここは本人と混同しているようなところがあって、そちらで統一したほうがいいと思います。

28 ページの4保護者の就労のための支援も議論が出ていて、家族が働くということ、就業が制限されるようなことがあってはならないということなのですね。これはこの間も議論が出て、当然のことなので、これについては就業がきちんとできるように、障害を持った御家族でも働けるように、一般子育て支援や配慮された障害の支援がきちんと保障されることを強調するところで、まずはいいのかなと思っています。反対に、家族機能を壊すような、必要以上の預かり等を希望する保護者というのは、私も家族なのですが、こういう文言が出ると非常に失礼だと思います。気持は分かるのです。ただ、これは働くことを理由にしてサービスを多用することを、もちろんそういうことを言っているのかもしれませんが、これは別に働くことだけではなくて、非常に希な例ですが、障害のある御家族がサービスに頼りすぎるということもあると思うのです、それは事実として。ただ、サービスに頼りすぎるというのは、本来の子育て支援であるとか、家族支援の機能が低下してそうならざるを得ない状況があると。これは正に ICF の相互作用の関係であるわけですから、そういうことにきちんと支援をしていって、もう一度御本人たちで子育てをできるように支援をしていくことが大切なわけです。必ずしも働くということと、それを理由にして出ることはもちろんあるかもしれませんが、ここで書くべきことかなということが疑問であるとともに、この言葉については、やはり権利の観点からも気になるということです。

○柏女座長 ありがとうございました。大切な御指摘を頂いたかと思います。では、大南さん、お願いします。

○大南構成員 全国特別支援教育推進連盟の大南です。まず、 19 ページの 1 つ目の○の 2 行目の最後の所です。「小学校への就学時、中学や高校の卒業・入学時等」とあるわけですが、小学校への就学はもちろん大事なのですが、特別支援学校の小学部もあるわけで、ここは「小学校等への就学時」に。それから「中学や高校」は一般的な言い方ですが、報告書は「中学校や高等学校」ですが、ここも「等」を入れていただきたいのです。特別支援学校の中学部・高等部がありますので、それを含む。「卒業・入学」となっていますが、「入学・卒業」のほうが、語呂もいいかと思いました。

 資料 3 の最後の「地域子育て支援拠点」を中核とした子育て支援体制 ( ) の下の一番右側ですが、幼稚園と学校が分かれている。保育園とのつながりで幼稚園があるわけですが、学校教育法では幼稚園も学校なのです。ですから、下のオレンジ色の枠のところに「小学校等」としていただけると、幼稚園と明確に分かれる。それから「特別支援教育コーディネーター」と、学校の下に書いてあって、幼稚園の下が「児童発達支援コーディネーター」となっていますが、現状では、幼稚園も「特別支援教育コーディネーター」という言い方でこれまで実施してきていますので、これがこのまま出てしまうと、幼稚園の担当者は戸惑うのではないかと思います。幼稚園も「特別支援教育コーディネーター」としていただければと思います。

1 枚戻り、「児童発達支援コーディネーターの連携イメージ」のところです。緑色の部分ですが、左側の保育園、幼稚園のところは「教師」で、右側の特別支援学校のすぐ上は「教員」なのです。これは「教員」のほうがいいと思います。

 そのことは、実は本文の 25 ページの1の 2 つ目の○の 2 行目、「保健師、保育士、教師、事業所職員等」となっているのですが、ここも教師ではなくて、「教員」のほうがいいのではないかと思います。

 資料の 2 の中の参考資料 3 ですが、やはり図の中で一番下の左に近いところですが、「集団生活への適応等を支援」からオレンジの矢印があって、「学校、特別支援学校等」なのですが、特別支援学校は学校ですから、ここを「学校等」でまとめるか、あるいは「小学校、特別支援学校等」とするか。このままでは座りが悪いような気がいたします。以上です。

○柏女座長 資料の 3 は田畑さんのペーパーですので、また田畑さんが必要に応じて修正してくださるのではないかと思います。それ以外の御意見、定義等についての御意見を頂きました。ありがとうございました。加藤さん、お願いします。

○加藤構成員 全国児童発達支援協議会の加藤です。 17 ページの○の 3 つ目、上から 3 つ目ですが、「気になる」段階ということがこの検討会でも 1 つの大きなキーワードになっていると思います。現実的には手帳優先主義といいますか、あるいは診断優先主義といいますか、そういうものがないと、なかなか公的に用意されたサービスが利用できないという現実がずっと続いているわけですね。ですから、今回のこの検討会の中で、是非その壁を取っ払ってほしいと。とり分けインクルーシブと言っている方向性が出されているときに、やはり手帳優先主義だとか、手帳がないと公的なサービスが得られないというようなところを何としても打破したいという気持でいます。そういう意味では、この「気になる」段階ということについては、しっかりと打ち出してほしいということが 1 つの思いとしてあります。また、その文章の 2 行目に、保育所等訪問支援と障害児等療育支援事業うんぬんということがあります。これも新たな方向性の中で打ち出されてきているサービスであるわけですが、保育所等が個別給付、そして障害児等療育支援事業が一般財源化された中でいろいろな意味でこれは地域においては子育て支援の両輪みたいなサービスなのですね。ですから、そういう意味では、どちらが欠けても地域では十分な支援ができない、しにくいという実態になってくると思います。この保育所等訪問支援のところの個別給付的な意味合いをどうしても払拭できないとすれば、それを補うのがこの一般財源化されてしまっている療育等支援事業ですので、各自治体では保育所等が始まったから、もうこれ要らないだろうみたいなことが真しやかに叫ばれて、格好の財政削減のターゲットになっているようなところがあるのです。ですから、是非そうではないのだというところの強調をこの際していただけたらと思います。

20 ページ5の 3 つ目の自立支援協議会も、今後非常に大きな役割を期待されている機能だと思うのです。しかし、これ自体まだ十分機能していないという実態はあるわけですが、それに輪をかけたように、結局この自立支援協議会の子ども部会が非常に貧弱であることと、その子ども部会に参集している関係者が基本的には、その診断名を持ったり、手帳を持った人たちの関係者ばかりなのです。ですから、そういう意味では「気になる」段階の子どもたちが広く地域の中で困り感を持っているときに、関係者が情報を持ち合ったり、カンファレンスをしながらというような体制が作れないでいるのです。そういう意味では、子ども・子育て支援法がらみの中で、是非この自立支援協議会子ども部会の中のメンバーに、通常といいますか、健常というのか、要するに括弧付きの子どもでない関係者、小 P 連、中 P 連を初めとした関係者も、参画しながらという体制づくりをする必要があろうと思いますので、是非その辺についても強調していただけるといいかと思います。

 もう一つは、自立支援協議会の機能としては人材養成ということが非常に大きく求められている視点であるわけです。この人材養成を小さな事業規模でそれぞれに勝手にやりなさいというのは現実的ではないわけです。そういう意味では、放課後等デイではないですが、小規模な事業所がどんどんできつつある中で、やはりそれらを一元的に地域の中で、皆で研修し合う、あるいは集まって研修するというようなコストパフォーマンスの意味も含めて、自立支援協議会的なところの役割として、何かそんな地域の支援力向上のための役割みたいなものがその協議会にあってもいいのではないかと思います。その辺についても、何か触れていただけるとよろしいかと思います。

 あと一つは、 29 ページの最後の○のところ、保育所では「保育所保育指針」があり、幼稚園では「幼稚園教育要領」があるということで、結局この公的な支援サービスには、それなりのガバナンスが効き、内容的にもこうしたものがきちんと用意されて、そのサービスの質が公明公平公正さを担保しながら展開されていることになっているわけです。ところが、我々のこの支援の内容は結局そうした公的な支援をかなり食みながら、内容的には全くその辺何のガバナンスも効いてない、縛りもない、何をしているか訳が分からないみたいな、良い意味でも悪い意味でもそういう実態が現実にあるわけです。やはりこれは、それこそ先ほど来いろいろな方がおっしゃっていますが、いろいろな意味で一定のガイドラインというのはどうしてもあっていいのではないかと。余分にある必要はないのですが、必要最小限のガイドラインは必要だろうと思います。そういう意味では、ガイドラインの策定と趣旨の作成についても、是非その必要性を盛り込んでいただけたらと思います。よろしくお願いします。

○柏女座長 ありがとうございました。特に、最後のガイドラインについては社会的養護分野も、いみじくも今加藤さんがおっしゃられたような批判が周りからあります。それを受けて、社会に開いていく意味で、ガイドラインを全ての施設種別で策定した経緯があります。そういう意味では、ここのガイドラインの策定というのは大事な視点なのかと思いました。

 ほかに、いかがでしょうか。渡辺さん、田中さんのお二人、それから佐藤さん、市川さんということで、順番でお願いしたいと思います。

○渡辺構成員 日本福祉大学の渡辺です。今ガイドラインのことが出ましたので、併せて意見を申し述べたいと思います。ガイドライン自体とても大事だと思っていまして、ここにも書いてあるものもありますが、もちろんそれ以外にも『放課後児童クラブのガイドライン』とか『児童館ガイドライン』とか、私も研究のほうで進めてきた『地域子育て支援拠点のガイドライン』であったりとかというように、子ども・子育て分野は基本的にガイドラインを示して、ある程度の質を担保していくという方向性に向かっていると思うのです。そういった意味では、ガイドラインの策定は非常に大事です。ある程度の方向性は事業所側のほうが創意工夫してという余地はもちろん必要なのですが、そのバランスの間で最低限のミニマムスタンダードの部分をきちんと保証していくためのガイドラインは非常に必要だと思っています。

 それを前提にした上で、 17 ページに児童発達支援センターの役割があって、そこに保育所等訪問支援のことも出てくるのですが、障害のある子どもたちが保育所や幼稚園とか学校に通って、要するに一般施策の中で受け入れられていくようにする。インクルージョンというか、そういうことを進めていくためには、先ほど御意見があったように、政策レベルとか、行政レベルで言うと、児童福祉、子育て支援関係と障害児支援関係、障害児者の施策に、きちんと担当者が協力していくことは絶対必要だと思うのです。

 現場レベルで言うと、保育所や幼稚園等については、この保育所等訪問支援が 1 つの大きな要になると、個人的には思っています。これまでこの委員会の中でも意見を言わせていただいたのですが、現場の調査でも見えてきております。

 私自身、現場を回っていて思うことは、保育所や幼稚園の先生たちが、例えば障害のある子どもを受け入れていくときに非常に大きな不安を持っていらっしゃるということがあります。どう子どもに関わっていけばいいのかとか、あるいはケースの中で困ったことがあったときに誰がバックアップしてくれるかというような、そういったところでの支援者支援的なもの、コンサルテーションを非常に求めていらっしゃるということがあります。それ故に、実際には障害児保育の担当は保育所などでも加配の保育士さんがやったりするような現状もあったりしますので、必ずしも受けていく側の専門性とか知識とかいうものが担保されているわけではない中で、要するに一般施策の中に受入れを進めていくことになります。そういったところで言うと、困ったことがあったときにいつでもバックアップしてくれる。それが正に、後方支援であり、児童発達支援センターに求められる後方支援という役割になってくるのではないかと思います。

 この支援者支援とかコンサルテーションという視点をしっかり作った上で、保育所等訪問支援であったり、それから障害児等療育支援事業であったりというのは、できれば一体的に進めていくことができるほうがいいと思います。そういった意味で言うと、支援者を支援していくのが保育所等訪問支援の担当者になりますので、相応の専門性は求められてきます。そういったところでも、先ほど出てきたガイドラインに示して、何をすればいいか、どうすればいいか、どういう専門性が必要になるのかをきちんと伝えていくことは必要だと思います。保育所等訪問支援を担当する職員に対する都道府県レベルでの、例えば研修体制等をしっかり整えていかないと、今の実態のように、なかなか数が増えていかないところから先に進めないのではないかという危惧を持っています。この辺は是非この報告書の中で、何らかの形で文章として方向性を打ち出していただけたらという願いがあります。

2 つ目が、飛びまして 22 ページ、保育、母子保健等とも連携した気づきの段階からの乳幼児期の障害児支援です。「気づき」とか「気になる」とかいろいろな言葉が出てきて、実は分かりにくいのですが、通常、気になる子どもと言う場合は、多分健診であったりとか、そのまま通過してきたりとか、あるいは指摘程度しか受けてなくて、保育所とか幼稚園とかで集団生活が始まって初めて、支援者の側が何か気になってくる。保護者の気づきがあるかどうか分からないところから、実は支援者が一歩も動けないことを意味しているのが「気になる」という言葉の意味だと思っているのです。そういった意味でも、先ほど言ったバックアップは絶対に必要になってくるのです。

 一方で、 22 ページの 2 つ目の○に、多分、地域子育て支援拠点だと思いますが、地域子育て支援拠点事業や保育所、幼稚園、認定子ども園等の場などにおいて専門的な支援が必要な子どもを見極めることによって、次につないでいくという言葉が出てくるのですが、保育所、幼稚園はともかくとして、地域子育て支援拠点の子育て支援センターのような場は、利用者からすると、一般施策であるが故に垣根が低くて使いやすい部分があるのに、ここで、要は「障害探し」というか、そういった機能を持たせてしまうと、逆に親御さんからすると行きにくくなってしまうといった不安を子育て支援の中で感じています。親御さんからすると、障害児ではないというところで受け入れてくれる場なのに、行ったら、その専門の人がいて、要するに障害があるのではないかという見極めが行われて、そこから支援につながっていくようなことが起こってくると、今でさえ行きづらい人たちが、更にこういう子育て支援の中に来なくなってしまう。予防という意味で言うと、ここは本当は見極めをしていくというよりも、親御さん自身がまだ障害とかということまで認識はしていなくても、ちょっと遅いのだけどとか、ちょっと心配なのだけどというところを丁寧にフォローしていくのが子育て支援の役割で、親御さん自身の気持の整理とか、それを受け入れていく覚悟みたいなものができてから支援に結びつけていっても、私は決して遅くはないと思っています。早い段階から丁寧に親御さんの不安を受け止めて、寄り添っていく場としての子育て支援というところをしっかり位置付けていただきたいと思っています。できれば「障害探し」はしてほしくないというのが、私の個人的な意見です。

24 ページの放課後等デイサービスについて、 2 つ目の○の所に、放課後等デイサービス等について、そもそも支援の質の確保という点で問題があるのではないかという意見も出されているという部分があります。確かに問題になるところもあるのですが、私が知る限りで言うと、非常に頑張っている所もたくさんあって、児童デイサービスにではなくて、放課後等デイサービスになったということで位置付けられている。例えば余暇であったり、作業的な創作的な活動とか、いろいろなものを工夫しながらやっていたり、あるいは発達障害児の学習支援に取り組んでいる放課後等デイサービスであったりとかというように、いろいろな取組に進んできていると個人的には思っています。そういうことがあるのですが、実際にはここで言っていいのかどうか分からないのですが、先ほどのいろいろな動きの中で、どうも放課後等デイサービスを今度の報酬改定で下げられるのではないか。ちょっと劣悪な所も出てきているので締めつけが来るのではないかというような不安が現場の中ではかなり広がってきている側面があります。支援の質の確保という点で問題があるということなのですが、ここについては、むしろ、こここそ本来は質を上げていくという意味で言うと、ここも本当はガイドラインとか、丁寧な研修体制というものが必要になる部分だと思います。ここも是非そういった意味で、例えばガイドライン等をこれから策定していきながら、支援の質の向上を図るとか、そういう文言を入れていただきたいというのが、個人的な要望です。以上です。ありがとうございました。

○柏女座長 幾つか各論にわたって貴重な御意見を頂戴いたしました。田畑さんどうぞ。

○田畑構成員  25 ページの (3) 「特段の支援が必要なケースのために」という部分です。ここの表記なのですが、「特段の支援が必要なケース」という表記は、やはり支援者目線なのです。「特段」という辺りも含めて、支援の丁寧さの度合いの違いだと思うのです。そうであれば、「より丁寧な支援や配慮が必要な子どもへの支援の連携を進める方策」という形のほうが適切ではないのでしょうか。医療連携が特別に書かれていますけれども、そこ……ばと思います。

○柏女座長 田中正博さんお願いします。

○田中 ( ) 構成員 育成会の田中です。 31 ページの最後の○の 2 行目に、「子育て支援の担当部局が、障害児支援についても併せて所管する体制とすべき」と書いていただいています。今、児童福祉法に変わってからの大きな課題になっていると思うのです。そのことが、参考資料 2 の図の、縦横連携のイメージの中で、かなり整理されてすっきりしたのですけれども、障害児支援、障害児支援というように、乳幼児期、学齢期と来て、成年期は就労支援になっています。障害福祉に関してはそのまま位置付いているので、この図の中での子育て支援の担当部局、児童福祉的なイメージが薄いと、やはり障害に関しては縦横連携といっても、乳幼児期から学齢期は障害福祉が担うようなイメージになる要素が強いかと思いますので、少し工夫していただければと思います。

 この流れを強めていく 1 つの……として、今回、…… 17 ページの一番下の○に関して、発達支援センターは、基本的には就学前を中心にしていくというように認証付けられた中身になっています。前回の議論でも、発達支援センターがどこまでを守備範囲にするかについて、学齢期も呑み込んでいくと非常に混乱が予想されるということもありました。 29 ページの先ほどから皆さんが話題にしている、放課護等デイサービスのガイドラインについて、「早期のガイドラインの策定が望まれる」という表現になっています。もう少し踏み込んで、例えば、今は児童のほうのサービス管理責任者研修などで、放課後等デイサービスについても、カリキュラムの中に取り込んでいって、ガイドラインが全体的に整うまで待たずに、具体的な指針を少しずつでも積み上げていく必要があるのではないかと思っています。

 そのことは 23 ページの一番下の○で、放課後等デイサービスで学校教育との連携を図るというときに、担当者会議に学校関係者も参加していただくことになります。今の放課後等デイの実態だと、学校関係者を招集して会議を取り仕切るというところまでは行き切らないところがあるのではないかと思います。併せて、検討が望まれているファイルの作成の位置付けも、科研などを使って早急にしていただくような対応を盛り込んでいただければと思っています。具体策を早急にすることによって、子育て支援の部局が担っていくことの意識も更に深まっていくのではないかということで意見を述べさせていただきました。

○柏女座長 幾つかの施策を、複合的に実施していくことの大事さを御指摘いただきました。田中さんお願いします。

○田中 ( ) 構成員 日本知的障害者福祉協会の田中です。児童発達支援センターに、この地域機能をどうするかということが、この書きぶりでは両論併記になっていて、何か方向性が見えてこない。むしろ、田畑構成員が提案したような、相談支援センターみたいな仕組みの中で、私どもは基本相談の中で、相談専門員をきちっと配置するというイメージで、それを協会の中では療育支援コーディネーターという提案をさせてもらいました。田畑構成員が言っている「発達支援コーディネーター」も、相談支援関係の中で、この基本相談に見合うような人員配置をした上で、体制をきちっと整備をする。

 育成会の田中構成員がおっしゃられたように、幼児期の相談支援の相談内容と、学齢期から、そして学齢期でも特に思春期に至って、本日は特別な支援みたいな「強度行動障害」という用語が出てきていますが、少なくとも、学齢期の中でいろいろな不適応を起こして出てきている相談というのは、思春期以降かなり深刻なのです。こういうものをきちっと受け止めていける相談事業ということでは、ただ児童サービス利用計画を作るだけでは解決しきれないようなこともありますので、できればこういう方向性をきちっと明記していく必要があるのではないかという気がしています。

 それから学校との連携の中で、いわゆる聴覚障害の方々の場合には、比較的旧ろうあ学校の幼稚部等に地域の中で幼児が通っていくということがありました。その辺の連携の中で、少し位置付けをしておいてもいいのかと思いました。学齢期以降の相談を、私どもの入所施設を含め、きちっとした機能を持っていかないと、学齢期の中の、例えばショートステイの利用にしても、かなり本人の療育的なアプローチでの利用が非常に多くなってきている。そういう意味で、施設入所につながらないための在宅支援の 1 つのフレームとして、ショートステイも位置付けられていると思います。その辺の整理をきちっとしていただけると有り難いと思います。

○柏女座長 佐藤さんお願いします。

○佐藤構成員 順番を待っている間にいろいろなことが出てしまって、何かひねり出すような発言になります。 1 つは、学齢期の子どもへの対応ということで、 24 ページに、「障害児通所支援の在り方の問題として」うんぬんということです。ずっと以前に出された資料で、現在、放課後児童クラブを利用している子どもの中の全体の 2.8 %は障害があると。これは、いわゆる自主申告なのでしょうけれども。全国で 2 万数千人います。ところが、現在の放課後等デイサービスは事業所数が 4,100 あって、利用者数が 7 1,000 人、これは本日の資料の中にも出ています。くどいようですけれども、やはり放課後児童クラブで、障害のある子どもが行く所があるでしょうという形で排除されていくことがないようにしなければいけない。そのためには、放課後児童クラブに対して、障害のある子どももきちんと受け入れていくようなことを、こちら側と言うとあれですが、障害福祉サイドからの発信として、児童福祉サイドに対してきちんと要請していく必要があるのではないかと思うのが 1 点です。

 もう 1 つは、先ほどの大塚構成員のお話ともかぶって同じようなことを申し上げることになるかもしれないのですが、 28 ページの就労の問題で、「保護者の就労のための支援を視野に入れるかどうか。入れる場合にはどの程度入れるべきなのか」という点について議論になったと。余り議論した記憶がないのですけれども、しかしその次の行には、「子どもに障害があるからといって、就業が制限されるようなことはあってはならない」と。つまり、就労を希望する、あるいはしなければならない事情にある場合には、当然子どもに障害が有る無しにかかわらず、それを支援するということは、今や国民的合意になってきているのではないかと思うのです。「制限されるようなことはあってはならないことであるが」と。またここでちょっと立ち止まって、それで「家族機能を壊すような」うんぬんというのがあって、その次に「子どもの最善の利益の保障の観点から」というような、いろいろな文言が入り混じることによって、ニュアンスとしては障害のある子どもの親が、子育てに専念せずに、就労、就労というように走っていくのはいかがなものかとさえ受け取られかねないような書き方になっています。これは日本語ないしは文章に対するそれぞれの受け止め方、そういう意味での感受性の違いかもしれませんけれども、ここは何回読んでもしっくり来ないと思っています。

 こじつけでいきますが、 28 ページの一番上の○の所に「ペアレント・トレーニング」というのがここに出ています。ペアレント・トレーニングは今年度国庫補助対象になっています。全国的にどのように行われているのか知りませんけれども、大阪市で変な条例ができようとして、それは潰れました。維新の会の市議会議員団が、家庭教育支援条例というようなことで、発達障害などは親の育て方が悪いのだから、ここをちゃんとしたら直るのだというようなことを言いました。もう完全になくなったはずのいろいろな障害、特に自閉性の障害などについて、あるいは一部の発達障害などもそれに含まれるのでしょうけれども、自閉症の報告以来の心因論というものが亡霊のようにそこで復活しようとしたのです。

 言いたいことは、このペアレント・トレーニングという概念や、具体的な実施に際して、先ほど言った維新の大阪市会議員団の主張するような要素が、いささかも入り込まないように注意をする必要があるのではないか。これは、現実的にどのように対処すべきか、役所としての対処があるのかは分かりませんけれども、実際に「親学」ということを奨励する団体があって、あちこちで同じようなことを言っています。その理論的指導者のバックアップを受けて、大阪の維新の市議団がそれを決めたと言われています。

 いろいろ調べてみると、親学発足当時の会長は、何と現総理大臣なのです。これは奇妙な符牒という感じしかしません。やはり、無視できない影響力があるかもしれないと思ったところであり、このペアレント・トレーニングというのが、おかしなことにならないようにしていただきたい。それが、4の就労の書きぶりとの関連で、どうも私はこのページがしっくりこないということです。抽象的な発言ですが、具体的にはどうするかというのはまだ提案ができませんけれども、もう少し文章として最終的にまとめる段階では考える必要があると思います。

○柏女座長  28 ページの4については、前回、佐藤さんがお休みになられたときにたくさんの御意見が出ました。ただ、ここはためらわずに突き抜けるということを考えてもいいのかということは、大塚さんや佐藤さんのお話を伺って感じました。市川さんお願いします。

○市川構成員 日本発達障害ネットワークの市川です。ペアレント・トレーニングのことで、佐藤構成員から御心配がありました。親学条例は、私もそうですけれども潰す立場の人間が中心になってやっていますので、余り御懸念はないかと思います。後にまた発言があるかもしれません。

 私からは 2 点あります。 1 点は、 21 ページの 1 番のパラグラフのサポートファイルの件です。前回も発言させていただいた件なのですが、まとめていただきました。やはり、記載する際の手間というのは、私の経験では、医療機関が記載するのが一番面倒くさがるというか嫌がります。個人情報の管理は、どこかできる所があればいいのですけれども、基本的には保護者にやっていただかなければいけないかなと。利用する地域があっても、引っ越したら使えなくなるのは困るので、これは全国で使えるものにしていただきたいということです。

 もう 1 つは、これを持っていることによって何らかのメリットがあるというように保護者に思っていただけるようなものにしていただかないと、結局作っても、いつの間にか箪笥の肥やしになってしまうだろうということで、 1 団体でそれをやるのは難しいです。以前にも東京都の育成会で作ったときに、母子手帳が入るポケットを作ってみたり、障害者手帳が入るようなポケットを作ったりして、何とか使ってもらえないかと努力しました。この辺りは是非それなりにオーソライズされた所がバックアップしていただかないと、なかなかうまくいかないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 もう 1 点は、 24 ページの下から 2 番目のパラグラフで、新少年院法が今月 4 日に成立したこともあってここに書いてくれていると思うのです。この新法の検討委員会に私も出席していたので一言言わせていただきます。うまくいく方は 1 回入院して、あとは頑張れるのですけれども、何回も入院してしまう方がいるのが一番問題になっています。これは、最後は社会の受入れの問題になってしまいます。受入れを良くするためには、大人のほうでも、厚生労働省のほうは思っていらっしゃると思うのですが、少年院の場合は、この視点で 1 つ追加していただきたいのは、家族の支援ということが入っていないと、家には帰ったけれども、また似たようなことがということになってはまずいので、そういう点を是非ここに付け加えていただけると有り難いと思います。

○柏女座長 貴重な御意見をありがとうございます。辻井さん、宮田さん、宇佐美さん、片桐さん、大濱さんの順番にお願いします。

○辻井構成員 短く 4 ついきます。 1 つは、 20 ページの一番上の○と関連してくるかと思います。支援のスキル、これはガイドラインに盛り込んでいってというのもそうだと思うのです。支援者の研修の中身に、ある程度エビデンスのある標準化された支援手法を明確に位置付けていかないといけないのか。ソフトウェアとして最低限これだけのものはやらなければいけないという、それも講習・研修会でお話だけ聞いてくるのではなく、実際に OJT でそこの所でできるようにしていくという、エビデンスのある標準化された支援手法を明確に位置付けていくということは一歩踏み込んでもいいのかと思います。

 関連で、先ほどお話のあったペアレント・トレーニングは、 2 パターンあります。一番ベースのがペアレント・プログラムといいます。これは親学が言っているのと全く逆の発想です。発達障害の子が伝統的な子育てと出会うと、うまくできないと叱られるというパターンを取ります。要するに、親の意図をくめないと叱られるのではなくて、むしろ子どもの行動をちゃんとつかんで、子どもができたことを、 1 つずつ子どもが自信を付けられるようにしていくというような、全く逆に行動分析という形の観点に立って、なおかつそれができていくことを認知行動療法といいますが、親御さんの認知をポジティブにしていこうという形のものになっています。

 今、愛知県の新城市では「こども未来課」といいますけれども、行政が主体となっています。南会津では、先ほど出ましたけれども、自立支援協議会の子ども部会が主体となって、そういう研修をするということが既に行われています。それが標準的なものをということです。

2 つ目は先ほど言ったことと同じなのですが、 21 ページの一番上とか、 23 ページの 1 つ目、 2 つ目になってくるのですが、ファイルという形がよく出てきて、記録を共有していくことに関連してです。母子手帳からの記録をどううまく積み上げていくのかという意味で、やはり先ほども申し上げたように、フォーマルなアセスメントとして、ある程度客観的な数値なり、客観的な情報として共有できるものを中に含めていくことにはきちっと踏み込んでいただいたほうがいいのか。ただ、紙に書いてある文字情報を共有しろと言われても、それはなかなか難しいわけですから、ある程度客観化されたものを取り入れていくことは大事なのかと思っています。

3 つ目は参考資料 3 のイメージのところと関連してくるのですが 25 ページです。発達障害に関しては、発達障害者支援センターを、児童発達支援センターの後方支援の枠組みとしてそもそも位置付けているのではないかと思います。この辺は一連を通した図の中で、ぐるっと取り巻きということよりは、もう少し明確に、先ほど言った、エビデンスのある支援手法とか、フォーマルなアセスメントというものは、発達障害者支援センターがきっちり提供できていけることが位置付けではないかと思います。

28 ページで家族会のところです。きょうだい支援のために家族会がということでもないのかと思うのです。家族会は独立で位置付けたほうがいいのかもしれないと思います。そういう意味では、例えばペアレント・メンターというような形で既に強化しているような事業を厚生労働省として行ってきていますので、そうしたものを活用していくことが 1 点です。

 もう 1 点は、家族会がある時期できると、そのまま皆さん年を取っていかれて、だんだん御高齢になられて会がなくなっていくということがあります。ただ、地域の中の家族会をリソースして考えていくと、これに対する支援も行っていく形で、家族の支援もできるようにしていくことも必要な感じがいたします。そうした意味では、家族会はきょうだい支援とは別個にして、家族会の中で、ペアレント・メンターみたいな形で取り組んで強化しているものを活用していくことと、家族会を機能できるように支えていく部分と、その 2 点はやはり必要ではないかと思いました。

○柏女座長 宮田さんお願いします。

○宮田構成員  2 点です。保育所等訪問支援事業が増えてこない点については、理由が 2 つ考えられます。 1 点は頑張っていないからです。もう 1 点は、今まで頑張ってきたからこそ増えない。特に、障害児等療育支援事業を積極的にやってきた地域は、保育所等訪問支援事業になかなか転換できない苦しみを持っています。

 例えば我々の姫路市では、 500 件以上の保育所とか学校への訪問をやってきています。保育所等訪問支援事業の契約に結び付けられない。特に学童では保護者の出費が生じてくるときには、学校側から抵抗されます。また、障害児のサービス利用計画の作成が後追いになってしまって増加しないというような理由もあります。両方とも必要な事業ですので、我々の所では親御さんが、障害を理解してくれるまでは障害児等療育支援事業を利用し、理解をしていただいた上で契約に結び付けていこうではないかと思っているわけですけれども、そこがなかなかうまくいかないのです。この 2 つの事業の重要性と使い方について、少しどこかで触れておく必要があるのかと思います。

 加えて、児童発達支援センターの地域支援機能として、保育所等訪問支援事業はこれから必須になってくると思うのですが、いっそ本来機能の中に組み込んでいくことも考えるべきかと思います。この時に、障害児等療育支援事業をしっかりやっている施設はどうなのか。両方やるのか、若しくはどちらかやれば、地域支援機能として認めていくのかという議論が要るのかと思います。

2 点目は、保護者の就労のことです。前回の会議で、私も「親の生きがい保障」というのは要るのではないかと発言しました。ただ、保護者の就労の一義的な責任は保育所にあるわけです。その部分の明確化というか、障害があってもなくても、親が働くときに子どもは保育所に行く。そこに対して我々児童発達支援がどのようにサポートしていけるか。障害が非常に重くてどうしても保育所では難しいケースも含め、後方支援的に我々がどうサポートできるかという二義的な立場性は明確にしておく必要があるのかと思います。

○柏女座長 宇佐美さんお願いします。

○宇佐美参考人 全国重症児を守る会の宇佐美です。 2 点意見を申し上げます。 26 ページで、「重症児者等に係る在宅医療等との連携」ということで 4 項目挙がっています。大変有り難いことだと思います。私ども守る会でも、約 90 名の看護師を採用して、重症児家庭の訪問をしております。最近よく見られるのは、 NICU から在宅での受入れ体制がまだ整わないままに退院を強く勧められるケースがあって親たちが困っている実情があります。

 私どもの訪問事業では、在宅へ移行するための支援員を 2 年前から配置し、調整しながらやっているのですけれども、なかなかサービスがうまく組み合わされないでいるので困窮しています。そのようなお子さんは、死亡する事例が、施設に入所している場合と比べると高い状況になっております。そういう意味で、今回のこの報告書に盛り込んでいただいたことは非常に有り難いと思います。 27 ページの 4 番目の○の所で、「将来的には」という言葉がありますが、私どもとしてはできるだけ早くやっていただきたかったということです。

2 つ目は 25 ページの (3) 「特段の支援が必要なケースについて」の 1 番目の○の所に、「例えば強度行動障害がある児童や、重症心身障害児の場合に、福祉分野の専門家だけでは適切に対応できないようなことも想定しなければならない」という文章があるのですけれども、重症児の側から見ると、医療との関連はいつもあるわけで、そういう事例が起きるかどうかを想定するということではなくて、既にそういう濃厚な医療との関わりがあるものですから、この書きぶりがどのような視点で書かれているのかがちょっと気になっています。

○柏女座長 質問にも関連してくるかと思いますので、最後に事務局から答えていただきます。片桐さんお願いします。

○片桐構成員 全国地域生活支援ネットワークの片桐です。 24 ページの 2 つ目の○で、先ほど大塚構成員も御家族の立場として、「家族を崩壊するような」という文言に対して、失礼であるとおっしゃいました。法での 2 つ目の○で、そもそも質の支援の確保という点で問題があるのではないかということで、私どもは放課後等デイサービスの事業所でありますけれども、結構、強かにきずいたりしました。そもそもなのかと思ったりしましたので、表現が何とかならないかと思いました。

 この質の所なのですが、 29 ページの (5) 2 つ目の○で、「指導員」とするか「児童指導員」とするかという議論は確かにありました。これについてはどのような形がいいかということで、結論は出ていないと認識しています。 3 つ目の○で、例えば各事業所のうち一定割合は児童指導員の配置を義務付けるといった、確定に近いというか、「考えられる」という表現はあるのですけれども、誤解を招きかねない表現もありますので、正直言って、ここの文言は必要かと思っております。

 児童指導員のところについては前回もありましたけれども、昭和 20 年代に作られた制度の中で、果たして今の時代にそぐった資格要件だろうかということは、何人かの方からも出ていました。そもそものガイドラインのほうが大事であって、どのような質を担保していくのかというのを、資格要件で縛るというよりも、ガイドラインなり方針で示していくほうが大事なので、その辺りの表現については御配慮いただければと思って発言しました。

○柏女座長 大濱さんお願いします。

○大濱構成員 江南市の大濱です。江南市の今担当しているケースの中から、最も支援が困難なケースからお話します。そのケースは、発達障害のみのケースです。資料 3 でいうと市の中の支援者、また福祉圏域の支援者の皆が頭を寄せて、どんな支援がうまくいくかと知恵を絞ってもうまくいかないケースです。 25 ページにあるように、本当に特段な支援が必要なケースです。かなり強度の行動障害も出ておりますし、違法行為も繰り返してしまうということで、生活の立て直しも必要であり、行動調整も必要であると。実態から言うと、ある一定期間入院をしながらでないと、支援がうまく回っていかないようなケースがあります。そういうときには、参考資料 3 のような拠点病院の必要性を関係者は強く持っています。この資料の中には、「医療分野との一層の連携の充実が必要である」と書いてありますが、そもそもそういう拠点病院自体が少なくて、受け入れていただけるような病院がなくて大変苦慮しています。

 もう 1 点は些細なことなのですが、 23 ページに市町の就学先の決定や、就学変更のプロセスをたどっていく委員会の名称です。これは「教育支援委員会 ( 仮称 ) 」と書いてあるのですが、これがふさわしいのか、「就学支援委員会」がふさわしいのかを検討していただけたらと思います。

○柏女座長 まだ、たくさん御意見はあるかと思うのですが、今回が 1 回目、次回が 2 回目ということです。時間も大分過ぎておりますので、この段階で切らせていただいてよろしいでしょうか。ありがとうございます。幾つか質問も出ておりましたので、今後のこのたたき台の進め方も含め、事務局から御質問への回答も含めて話をしていただいて、次のヒアリングのもう 1 つの報告に移ります。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 事務局です。皆様から、様々な観点からのコメントをありがとうございます。御質問の件ですが、宮田構成員と宇佐美参考人から頂いているものを忘れないうちにお答えさせていただきます。基本的には表現ぶりが分かりやすくなっていないという問題で、考え方についてはそんなに皆様との間に齟齬はないと思っております。

3 ページで「障害児支援が児童福祉法に基づく個別給付として位置付けられていることを踏まえると、給付対象となる支援の内容を確定することが難しい一面はあるが」というのはどういう意味かというところです。今回もいろいろと御意見を頂いていますが、制度の中でどのように落とし込むかということを考えていくと、今の児童発達支援などについては、あくまで今は「個別給付」という形で、ある程度定形化された内容について、一定の認定を受けた上で、そういうサービスを提供していく。それについては、公が費用についてもきちんと負担していく形になっています。

 今回皆様から頂いているところについては、基盤整備ということで、サービス基盤の拡充という点もありますが、むしろ、よりきめ細かく、ケース・バイ・ケースでいろいろな所にも対応する形での支援を進めるべきという御意見が多いと認識しています。そういうものについて、特に個別給付の形で、それらについてどこまでカバーしていくのかというところについては、正直なかなか難しいところがあります。それであるからこそ、一般財源を使った予算事業での対応などが必要となってくるところもあります。そういう趣旨のことを申し上げたかったということです。ただ、余りよく意味が通らないところがあったかもしれませんので、そこはそういう趣旨が入るような形で修正したいと思います。

 宇佐美参考人から御指摘がありました、「特別な支援が必要なケースのために」というところです。 25 ページの (3) 1 つ目の○ですが、宇佐美参考人のおっしゃったのは、ヒアリングでも同じような形で、重症心身障害児者については、福祉が中心で、医療との連携ということではなくて、もともと医療があって、それで福祉との関係をどうするかという考え方であるという御意見を頂いているのは我々も承知しております。そこも含める形できちんとできればよかったのですが、そこの趣旨がきちんと入れられておりませんでしたので、それについては表現ぶりを考えさせていただきたいと思います。

 御質問関係はその 2 つだけだったと思います。今後の予定ですが、来週 27 日に次回の検討会を予定させていただいております。正直申し上げまして、様々な観点からたくさん宿題を頂きましたので、 27 日の検討会に、二次案として出させていただくものでどこまで反映できるのかというところについてはなかなか難しいという印象を事務局として持っております。ただ、できる限り、我々のほうとしても反映させていただき、 27 日にお示しさせていただいて、その場でまた御指摘を頂ければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○柏女座長 そういうことで、可能な限り反映していただいたものを、また再度のたたき台として出していただいて、 2 巡目の議論をすることになります。まだ反映が十分されなかった所についてはペンディングの所もあるかもしれませんが、そこは御容赦いただきたいと思います。報告書案についての検討はよろしいでしょうか。続いて資料 4 で、事務局が個別に意見聴取を行った団体からの提出資料について、事務局から説明をお願いします。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 資料 4 を御覧ください。 5 15 日に開催された社会保障審議会の障害者部会において、委員から視覚障害、聴覚障害、難病の関係団体からもヒアリングを行うべきという御意見を頂きました。事務局において、日本盲人会連合、全日本ろうあ連盟、難病のこども支援全国ネットワークに対して個別にヒアリングを行いました。ヒアリングを行った 3 団体からの意見書を頂いておりますのでそれを添付しております。

 主な御意見について御紹介いたします。日本盲人会連合については、気づきの段階での保護者の心理的ケアを行うことが必要なので、盲福祉施設とかリハビリテーション施設に乳幼児教室の設置、又は養育相談員の配置を検討すべき。電話による乳幼児の支援相談事業の創設が必要である。点字の母子保健手帳の充実と周知徹底。早期支援についても重要であるということで、視覚障害の教育機関について、医療・福祉・保健機関に周知する必要がある。こういうことが記載されています。

 全日本ろうあ連盟については、聴覚障害児について訓練が過度な負担とならないようなコミュニケーション支援の体制が必要。聴覚障害児については、普通学校に進むという方向性だけが最善の策ではない。家族支援の位置付けも、親の負担を軽減すること及び兄弟への家族支援も必要。地域における連携の重要性、自立支援協議会に子ども部会を設置し、支援体制を構築する必要がある。人材の専門性、早期発見・早期療育のサポート体制の構築といった御意見を頂いています。

 難病のこども支援全国ネットワークについては、総論として難病や慢性疾患による活動制限や参加制約も包含する障害認定の新たな基準という視点が必要。家族支援については、親や兄弟も含めた包括的な家族支援が必要。医療保険と障害福祉制度の谷間を作らない制度の構築が必要。院内学級で学籍を異動する必要があって、私立の小中学校については、在籍の異動について問題がある。通常学級に在籍する子どもたちへの支援ということで、通常学級では親の付き添いを強要されることがないように、合理的配慮の提供が不可欠である。必要に応じ、学校でも障害福祉サービス、訪問看護といったサービスが利用できるようにすべきという御意見を頂いています。

 資料としては添付しておりませんが、難病のこども支援全国ネットワークの意見書に併せ、色素性乾皮症の親の会である「 XP ひまわりの会」の要望書も頂いております。その中で、インクルーシブ教育システムのために財源の確保と関係機関の支援体制の強化を図るべき。サービスの提供に地域間格差が生じないようにすべきといったことを要望としていただいておりますので、御紹介いたしました。

 要望については以上となりますが、第 6 回障害児検討会でお示ししていた関係団体のヒアリングの未定稿として出していた資料については、現在各団体に対して確認の依頼中です。今回個別に行った 3 団体の意見も盛り込んだ上で、次回検討会で確定版の案ということでお示しする予定にしております。

○柏女座長 ただいまの説明について、御質問、御意見等はありますか。よろしいようでしたら、次回そのヒアリング結果を集約したものについて、修正・調整を図ったものをお出しいただけるということですので、それについての御意見などもその折りに頂戴できればと思います。今後の予定について一部説明していただきましたけれども、事務局から何かありましたらお願いいたします。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 事務局です。皆様、本日はお忙しいところを熱心に御議論いただきまして誠にありがとうございます。次回の検討会については既に申し上げましたが、 6 27 ( ) に開催いたしますのでよろしくお願いいたします。本日提出いたしました報告書案について、皆様から頂いた御意見を踏まえ、更に座長とも相談の上、修正したものを提出させていただきます。また、川島から申し上げましたように、報告書の概要についても、今後いろいろな所で説明していくことも想定した上で、概要版についても作成の上で、併せて御提示させていただきます。

7 9 日の第 10 回においては、次回 6 27 日の議論を踏まえ、再度修正を行ったものについてお諮りする流れで今後進めさせていただきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。

○柏女座長 最後に、構成員の皆様から何かありますか。よろしいようでしたら、これで終了いたします。構成員の皆様方におかれましては長時間にわたりありがとうございました。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
障害児・発達障害者支援室 障害児支援係
〒100-8916
東京都千代田区霞が関1-2-2
電話: 03-5253-1111(内線3037)
FAX: 03-3591-8914

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