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2014年6月20日 第2回福祉人材確保対策検討会 議事録

社会・援護局 福祉基盤課 福祉人材確保対策室

○日時

平成26年6月20日(金)16:00~19:00


○場所

中央合同庁舎第5号館18階専用第22会議室


○議題

(1)事業者等ヒアリング
(2)介護人材確保について
(3)その他

○議事

○関口室長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第2回「福祉人材確保対策検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 本日の構成員の出欠状況でございますが、門野様は御欠席との御連絡をいただいております。

また、平川様の代理として竹内様が本日、御出席をいただいております。

 なお、堀田様は遅れて参加されるとの連絡がございました。

 それから、事務局側でございますが、岡田社会・援護局長は急な公務のために途中で中座をさせていただきます。御了承願います。

 それから、古都審議官、藤原総務課長、迫井老人保健課長が、大変申しわけございませんが、若干遅れております。

 では、以降の進行は田中(滋)座長にお願いしたいと思います。

○田中(滋)座長 では、改めまして、皆さん、こんにちは。

 早速、議事に入ります。本日は、議事次第をごらんになるとわかるように、2つの議題を扱います。1つ目が、本日、既にお越しいただいています皆様からのヒアリングを行います。2つ目に、前回に引き続き、介護人材の確保について、我々の間で議論を行います。

 最初に、資料について、事務局から説明をお願いします。

○関口室長補佐 すいません、報道の皆様、ここで御退席をお願いしたいと思います。

(報道関係者退室)

○関口室長補佐 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思います。

 皆様のお手元には、本日のヒアリングをお願いしています皆様方から御提出をいただきましたヒアリングの資料1から5までがあるかと思いますが、御確認をお願いしたいと思います。

それから、事務局からの資料といたしまして、「第1回の検討会での議論について」ということで資料をお配りさせていただいております。

また、本日のヒアリングの事業所から提供いただきましたパンフレット等もあわせて配付をさせていただいております。

加えまして、議論の参考としていただくために、机上に第1回の検討会の資料と同じものも置かせていただいております。

 資料の不足等ございましたら、事務局までお申しつけくださいますようお願いいたします。

 以上でございます。

○田中(滋)座長 では、早速ですが、そちらの列に座っていらっしゃる、お集まりいただいた方々から御意見を頂戴します。進め方としましては、それぞれプレゼンテーションしていただいた後、質疑の時間を設けていきます。それを繰り返します。

 早速、ヒアリングに入りましょう。まずは事務局よりヒアリングの趣旨と、本日お招きした皆様の簡単な御紹介をお願いします。

○関口室長補佐 今、座長からお話ありました本日のヒアリングの趣旨と、本日お越しいただきました皆様の簡単な御紹介をさせていただきます。

 まず、福祉介護人材に係る求人者・求職者のマッチングの確保の実務等に関しまして、社会福祉法に基づく指定法人であります中央福祉人材センターの福母所長様と、介護労働者の雇用管理の改善等に関する法律に基づく指定法人であります介護労働安定センター理事長の久志様をお招きしております。

 次に、若者に対する介護イメージの向上を検討するに当たりまして、実際に介護現場で働いていらっしゃる若者を代表いたしまして御意見を伺うということで、株式会社ケアワーク弥生より、森近様と飯塚様をお招きいたしております。

 続いて、本検討会の構成員としても御参画いただいております山田様より、京都で行っている先進的な人材育成のための取り組みをお伺いしたいと考えております。

 最後に、諸外国における介護人材確保の動向をお伺いするため、マッキンゼー・アンド・カンパニーのルードヴィヒ・カンツラ様をお招きしております。

 以上でございます。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 では、最初に、中央福祉人材センターの福母様より御説明をお願いいたします。

○福母様 資料に従って御説明をさせていただきます。「福祉人材センターについて」という資料をごらんいただきたいと思います。

PP

 資料につきましては、まず1番目が私どもの法的位置づけ、法定業務についてでございます。それから、2つ目が具体的な業務について御説明しています。それから、私どもとして、今年度の取り組みについてどういう方針で臨んでいるかということを御説明したいと思います。

PP

 冒頭御説明がありましたので、法的位置づけにつきましては省略をさせていただきたいと思います。

PP

 業務につきましては、社会福祉法94条に都道府県人材センターの業務が、100条に中央福祉人材センターの業務が規定をされております。ここに規定されている業務を実施しているということでございます。

PP

 4ページになりますが、そういった業務の具体的な内容について御説明した資料がございます。

 まず1点目でございますが、社会福祉事業に関する啓発活動を法定の業務として規定をされています。

具体的には、そこに4つほど書いてございますが、中高生等への啓発のためのセミナー、講演会、施設見学・体験学習への協力といったことでございます。

2つ目は、大学・専門学校等の養成校における就職説明会につきまして取り組みをしております。

3点目が、「福祉のお仕事」というホームページがございます。同様に「福祉のお仕事スタート」というホームページを持っておりまして、そちらで福祉の仕事、あるいは職場、資格の紹介等について行っております。

4点目が、介護の日のイベント。これは、ハローワークですとか、職能団体等と連携して実施をしているところでございます。

それから、2つ目でございますが、調査研究がございます。これは、おおむね2年に1回程度、各都道府県社協、人材センターで取り組みが進められております。

3つ目が、事業経営者に対する支援でございますが、相談に乗る、それから、採用担当者、管理者等を対象とした研修会を実施しております。

それから、4点目、社会福祉事業従事者及び従事しようとする者に対する研修でございますが、これについては、技術に関する研修ですとか、キャリアパス関係の研修等を実施しております。

それから、6の社会福祉に従事しようとする者に対する就業の援助がございます。ここで無料職業紹介というものを実施しております。それから、それにかかわる相談事業、福祉の仕事に関する説明会の開催、就職フェア、合同面接会の開催、同様にこれに関連して職場体験の実施と、こういったことを行っているところでございます。

PP

 次のページは、私どもが取り組む基本的な考え方。47都道府県ございますので、そこで協議をしながら、こういった4つの、採用、育成、定着、魅力ある職場づくりについて、人材センターとしてそれぞれ支援をしていこうということを決めたものでございます。

PP

 次のページでございますが、無料職業紹介事業を実施していると先ほど説明をいたしましたが、それの実績がここに書いてございます。一番上の採用数の推移でございますが、これは現在、1万1,000人弱でございます。25年度の括弧書きの数字でございますが、これは無料職業紹介事業以外で採用につながったもの。例えば、職場見学、職場体験ですね。そういったことで、そのまま就職につながったといったものがございます。そういったものは、無料職業紹介事業としてはではなくて、就業の援助ということになっていますので、無料職業紹介事業の要件を満たさないけれども、採用につながったというものを含めると、1万7,000人強の数字になっているということでございます。

 2、3、4は、有効求人数、有効求職者数等の推移でございます。

PP

 次のページは、それをグラフにしたものでございます。有効求人数は非常に伸びておりますが、求職者数が近年、減っているということでございます。

PP

 次のページをごらんいただきたいと思います。求人の状況、求職者の状況について、以降、説明をしてまいります。雇用形態別の求人数、求職者数の状況でございますが、これは直近の3カ月期、1-3月期のものでございます。有効求人数の中で正職員が54.3%を占めております。それから、正職員以外の常勤が15.4%、非常勤・パートが30.3%。求人についてはこういうことになっております。

 それに対する求職者の意向といいますか、希望というのは、正職員が68.3%、常勤が4.7%、パートが15.5%、不問が11.5%となっています。ここでは、有効求職者で常勤を目指されている方が1万3,854人で、これに対して求人が3万4,584人となっています。これは上回っていますけれども、だからといって、そのまま就職にはなかなかつながらない。ここがマッチングが難しいというところになります。

PP

 次に、分野別。私どものところは福祉人材センターということで、介護だけに特化して実施しているわけではありませんので、いろいろな分野の求人・求職がございます。ここで、介護関係、高齢者分野を見ますと、求人数の中で約8割が介護関係となってございます。

それに対して求職者のほうは、福祉を目指す方は、ほかの障害者、児童等々に希望が分散をしているということで、介護関係が42.9%という状況になってございます。ということですが、介護関係の有効求人倍率が非常に高くなっている。特にその中でも、介護保険施設以外のところが高くなっているという状況でございます。

PP

 次に、職種別に見たものでございます。やはり介護職が2.68倍、それから、ヘルパーが2.15倍と、有効求人倍率が高くなっています。ここでは特に看護職が18.21%ということで、福祉の職場では看護師の確保が難しくなっているということでございます。

PP

 次は、求人の主体別状況を見たものでございますが、社会福祉法人と営利法人が多くなっているということでございます。

PP

 次のページをごらんいただきたいと思います。資格の状況でございます。求人事業所が求める資格の要否につきましては、84.5%が資格が必要だということになっています。

一方、求職者のほうも、8割強の人が何らかの資格を持っているということでございまして、その内訳が右のほうに載ってございます。

PP

 次のページをごらんいただきたいと思います。私どもの求職者の数の特徴でございますけれども、近年、求職者が減っていると申しましたが、その中でも特に若い30代以下が減ってきているということでございます。逆に中高年がふえているということでございます。

PP

 次は、47県ありますので、求人の正職員の比率ですとか、そういったものが一律ではないことを示したものでございます。

PP

 次のページは、求職者の属性を同様に比べたものでございます。全国平均ですと、男性37.5%で、女性62.5%となってございますが、例えば、C県、右の下段になりますけれども、男性のほうが割合が高くなっていたり、それから、女性が結構多くなっていますけれども、年代で見ても、C県につきましては中高年が非常に多くなっているということがございます。こういったふうに、都道府県によって大分状況が違うということでございます。(PP

今年度の取り組みの重点として私どもが掲げているのは、次の16ページでございますが、次世代への福祉・介護への進路選択を推進する機能の強化ということで、小・中・高校生等の福祉分野の理解を促進する活動、大学生等の福祉分野の就業促進ということで進めております。

2つ目はマッチング機能の強化ということでございますが、キャリア支援専門員はマッチングを担当している職員でありますけれども、そういった職員の活動を推進していくということでございます。

3つ目が、「働きやすい職場づくり」を支援しようということでございます。

4つ目が、潜在有資格者等の再就業を支援する機能の強化でございます。

5つ目が、関係機関、団体との連携ということで、こういったことを中心に進めているところでございます。

以上で終わります。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 では、続きまして、介護労働安定センターの久志様より説明をお願いいたします。

○久志様 それでは、お手元の資料、今、御説明があったところから10ページほど先になりますが、この資料に沿いまして説明させていただきます。

PP

 開いていただきまして1ページ目、初めに当センターの雇用管理改善事業について、主立ったものを説明いたします。

雇用管理に関する相談援助でございますけれども、これは、厚生労働省介護労働者雇用改善等援助事業費による取り組みでありまして、当センター47都道府県の各支部に在籍しますサービスインストラクター及び各支部長が支部で相談を承り、また、事業所を訪問して御相談を受けたり、介護労働に関する情報提供を行っております。相談内容につきましては、能力開発、キャリア形成、求人・求職、労働条件、福利厚生などが多く、就業規則の改定を行いたいという表現で相談されることもあります。相談内容の進展により、記載のとおり必要によって外部人材としてセンターが委嘱し、契約している雇用管理系のコンサルタント、あるいはヘルスカウンセラーによる相談支援を行っております。

次に、雇用管理責任者講習でありますが、これは厚労省からの受託事業であり、平成23年度以前、また、本年度、当センターが取り組んでおります。雇用管理関係の法改正の情報の提供を含め、基本的な総論と個別分野に分けて講習を行い、また、いまだに雇用管理責任者を選任していない事業所については、必ず選任を行うよう働きかけを行っております。

事業者支援セミナーは、対象者といたしましては、記載の人よりも若干経営に近い人を含めまして、事業経営、組織管理、リスクマネジメントなどのセミナーを有料で開催しております。また、記載しておりませんが、キャリアパス制度の導入など、人材育成にシステム的に取り組もうとする事業所の相談支援につきましても、別途に人材育成コンサルタントなどの派遣を行い、積極的に取り組んでいるところでございます。

次の介護労働実態調査につきましては、10年以上取り組んでおりまして、各方面で御利用いただいております。定型的な毎年の調査、記載のほかにも、年々のテーマを別途設定し、特別調査も行っております。それ以外にも調査研究事業にも取り組み、雇用管理改善に資する資料、あるいはガイドブックを作成しているところでございます。

PP

介護労働者の人材確保に関して、現状並びに課題についての概要は、第1回の検討会で既に議論されていると聞いております。第1回の検討会の資料にありましたけれども、介護労働者の離職率は近年17%程度であり、1つの目安として2%引き下げることができないかというテーマを私どもは持っております。これはマクロの面では、同じページにありましたけれども、離職者の中で他の産業に流出してしまう、あるいは事業所を離職した後に、もう介護労働には就かないと、そういう人が10%、14万人程度いると見られ、このことが平均で7万人前後の純増が必要とされる介護労働者の確保に対して大変なロスであり、ぜひ10%から9%、できれば8%にとどめることができれば、ロスの少ない、効率の高い人材確保策ができるのではないかと考えます。そのマクロの面の視点を個々の事業所レベルで考えまして、個々の事業所の定着率を高める、少しでも介護労働として長く働いてもらえる環境整備を行う、そうした対策がマクロにも通じると考えており、先ほどのような取り組みをセンターとして行っております。

こうした中で、雇用管理の実態をどのように捉えるかという方法論といたしましては、労働基準法が守られなかったケースを調べるということではなくて、例えば、就業規則、労働条件の明示をしているか、採用・離職の状況はどうか、両立支援制度の周知、利用の工夫は行っているか、雇用管理責任者の選任状況はどうか、人材育成に関する取り組み、そして経営上、運営上の課題について、また一方では、労働者のほうの意見として、従業員満足度などの実態につきまして、調査票、あるいは事業所訪問時のヒアリングにより現場実態を把握しようとするところでございます。

そうした私どもの全体の取り組みの中から見えてくる課題を幾つか取り上げますと、2ページに記載がありますけれども、1つは、特に新しい事業所、福祉・介護業界ではない業界から進出した民間企業におきましては、労働基準法上で介護労働者に関連の多い注意点、あるいは介護保険との関係において、人員配置や資格者の選任も含め、労働時間の設定を初めとする労働契約上の注意点などに指導、支援をすべき点が多いと感じております。

次に、小規模の事業所で比較的離職率が高い。このことの要因として、雇用管理、労働法令遵守につきまして、ずっと以前の家政婦の時代、あるいは家族介護、あるいはボランティアと、こうしたイメージによる労働時間管理の甘さといっては失礼ですけれども、若干そうしたところが見受けられるとともに、わかっていても代替が効きにくいのだと、しようがないというような認識も感じられるところであります。

代替要員につきましては、事業所全般にサービス別の職員定数に対して余裕をもって採用できているところは少なく、職員数がやや不足、不足と感じている事業所はおおよそ55%強、一方で適当と感じている事業所も4割強あります。特に職員の欠勤の場合、あるいは人を採用しようとした場合に不足感が非常に高いと受け取っております。代替要員の確保につきましては、1つの事業所だけではなくて、複数事業所による工夫等ができないものかと感じております。

また、2ページの記載の件も、第1回検討会資料にありました職場をやめた理由、あるいは人材確保のイメージ取り組みの4つの視点というペーパーがありましたけれども、そういったことを初めとして、対処すべき課題としては重複するところでございますけれども、センターとしても定着推進のために雇用管理改善の基本方策としてこのように考えているところでございます。

経営理念について、介護事業所、利用者に対する理念、また、従業員の仕事のあり方と処遇に関する考え方を明示する、また、極力共有するということは、職員の定着に大変重要な要素であると考えます。そして、これは入職時以降ではなくて、採用時にもきちんと説明して理解してもらってから入職するという必要もあると考えております。定着促進のためには、入職時以降、今、申し上げたように、採用時にもさらに工夫すべき点があるように感じております。

戻りますけれども、事業計画について、方針とともに実態を共有することが大変重要であり、施設長と職員、また職員間のコミュニケーションに工夫が求められると思います。

また、昨今、介護事業の経営統合、あるいは共同経営などの動きが見られますけれども、この場合も統合した後の経営理念、事業計画について、説明、共有が重要であると言われております。

賃金につきましては、これも資料に別途出ておりましたけれども、地場賃金に左右される部分が多いのではないかと思います。一方で新規開業の場合には、その設定によって、人員確保との関係によって差が出るのかということであります。

課題といたしましては、採用時の賃金もさることながら、その後の勤続、スキルアップ、キャリア形成に関連させ、また管理手当等を含め、どのように賃金制度、あるいは賃金表をつくれるのか、その原資をどのように確保するかが課題であります。もちろん介護に限った問題ではありませんけれども、介護保険報酬にこの処遇が強く関連しておりますので、その意味で大きな課題と思います。

また、介護保険対象以外の収入確保や、事業所によっては多角化により収益を確保して処遇改善に取り組み、成功している事業所もあります。こういったところも我々は紹介しているところでございますけれども、一方で問題点が指摘される場合もあります。

また、関連いたしますけれども、中間管理者の育成が大きな鍵を握っていると感じております。ここでは特にメンバーの育成、人材のマネジメントができることを中間管理者の必要とされる資質と見ております。その育成が事業所の労働環境や職員間の意思疎通、労働意欲などに大きな影響があると考えております。

PP

 次の3ページでございますけれども、平成25年度から、厚生労働省の指導により、各都道府県に記載した介護労働懇談会を設置いたしまして、当センターの支部が運営事務局を仰せつかっております。介護に関係する行政機関、事業者団体、加えまして医療・教育関係の各方面にも広くお声かけをいたし、介護労働の現状と課題、行政の取り組み、事業所の工夫、あるいは何か連携、分担できる活動ができる領域がないかなどにつきまして、情報の共有、話し合いの場をつくり始めております。本年4月には、都道府県の参加団体の東京にある中央機関にセンター本部として伺いまして、本年度も継続して参加いただくようお願いしております。

26年度につきましては、介護労働のイメージアップ(啓蒙活動)、また若年層から介護労働に理解と親近感を持ってもらえるような取り組みを工夫することをテーマとしたく考えております。

 以上で説明といたします。ありがとうございました。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 では、ここでお2人の発表に対して、構成員の方々からの質問の時間に移りましょう。どなたでもどうぞ、お願いいたします。どうぞ。

○佐藤構成員 大変ありがとうございました。

最初に、「福祉人材センターについて」という資料の7ページのところで、有効求人数と有効求職者数と採用数の棒グラフが示されているのですが、実質的には有効求職数に対して有効求人数はかなり多いわけですが、採用数については半分以下という実態になっているように見えます。この中でマッチングされている求職者に対して、求人者については、大体、お1人何カ所ぐらい、あるいは何回ぐらいのマッチングをされていて、こういう結果になっているかをお示しいただけませんでしょうか。

○福母様 そういう統計がありませんので、大変感覚的なことで申しわけありませんけれども、対象者の方、相談に来られる方の状態といいますか、二、三度お会いして、経験もあって、すぐに結びつく方が2割ぐらいと聞いております。

あとの8割のうちの半分の4割の方が、求職者からもよく話を聞かないといけないということが1つと、もう一つ、事業所の状況を十分お聞きしないと、マッチングがすぐにはなかなか難しいということですね。例えば、給料の問題ですとか、地域の問題ですとか、身分といいますか、雇用形態の問題ですね、そういったものがなかなか合わないということがありますので、何度かお伺いして、お互いの間を、接点を調整しながらやっていくということが必要だと。

あとの4割の方はなかなか難しい方が多いと聞いています。例えば、中高年で資格がない方とか、今まで人を対象とした仕事をしたことがないとか、そういう方も結構おいでになりますので、そういった方がなかなか就職につながらないということですけれども、そういった方についても適切に対応しなければいけないということでございますが、その方については相当時間と、ある意味、労力が必要になってくるということでございます。

○佐藤構成員 ありがとうございます。

 あわせてよろしいですか。1万数千名の決まらなかった方々の追跡みたいなことはどういう形でおやりになっているのでしょうかね。

○福母様 求職登録をしていただきますと、有効期間が3カ月になります。その時点で決まらなかった方については、再度延長するかどうか、場合によっては、福祉の仕事よりも別の仕事が向いておられるかもしれないということがありますので、そういう方についてはハローワークを紹介する。実はハローワークのほうからも紹介が来たりするわけですけれども、そういうやりとりをしていく。そこでまた御本人が福祉の仕事を希望されれば、もう一度延長して、再度支援をしていくということになります。

○佐藤構成員 ありがとうございます。

○田中(滋)座長 井上構成員、どうぞ。

○井上構成員 ありがとうございます。

 関連して教えていただきたいのですが、13ページの新規求職者の年代の構成割合で、40代、50代の割合が増加しているというお話がありました。それと関連して7ページに、それぞれの有効求職者数というのは、多少上がったり下がったりしていますけれども、この両方を合わせると、若い人は比較的定着していて、40代、50代の人がふえていて、その方の定着が進んでいないという理解をしていいのかどうなのかということを教えていただきたいのが1つ。

 もう一つは、20代、30代の方々を中心に、養成校を出ている方々が中心なのかどうなのかというあたりも、もしわかる範囲があれば教えてください。

○福母様 済みません、もう一度、最後の質問。

○井上構成員 最後のほうは、20代、30代の方々の割合がずっと定常的に、新規求職者としては変わらないという数字が出ているかと思うのですね。この方々は一体どういうバックグラウンドの方々なのかを教えていただきたいのです。

○福母様 まず、1点目の中高年の方の話ですが、まことに申しわけありませんが、どの層が定着が進んでいないかという調査が実はとれていません。ですので、お答えができないという状況ですね。

 若い方の属性については、男女とか年齢まではわかりますけれども、その人がどういうことなのか、あるいは資格をどれぐらい持っているのかとか、全体としてはわかりますけれども、それがクロスされて、というのは、統計上できていないものですから、それもまことに申しわけありませんけれども、お答えできにくいということです。

○井上構成員 今の話は、データはあるけれども、分析ができていないという意味ですか。そうではなくて、データそのものが。でも、個票をとっているから、データはあるのですよね。

○福母様 求職票はありますので、私どものシステム上の制約がありまして、なかなかできないということでございます。

○井上構成員 ありがとうございます。

○田中(滋)座長 田中(愽)構成員。

○田中(愽)構成員 介護労働安定センターの方にお伺いいたしますが、2ページの今後の基本的な方向性の(3)に中間管理者の必要性ということを明記されているわけなのですが、これからの話だと思いますが、もし現段階でお教えいただけるならば、どのようなイメージで中間管理職というものを考えられておって、どのように養成されるかということをお聞きしたいと思います。

○久志様 これからのことなので、若干想定という部分を入れて答えさせていただきたいと思うのですけれども、介護保険導入から15年たっておりますが、内部の人材で、施設長から中間管理者、それから、現場の人というふうに人材育成システムが整っているところはまだまだ少ないと考えております。そういう意味で、先ほど経営のトップの思想と現場の思想の一致ということを申し上げたのですが、それをジョイントする上では、ちょうど中間の管理者層が大事であります。一般の企業の場合は、それを管理職というふうにイメージするのですが、日本特有の問題かもしれませんが、介護の場合には、今、あえて管理者と言っておりまして、施設系と言いますとチームリーダーの層、あるいは訪問系で言いますと訪問のプランを立てて指示するほう、サービス提供責任者がありますが、その辺の人たちを中間管理者と呼ばせていただいて、そこの育成が、この定着、あるいはコストを下げて効果を高めるためには非常に有効な手段ではないかと考えております。

2通りありまして、ここで特に申し上げたいのは、作業とか、シフト表を考えるとか、そういうレベルの管理者という育て方はされるのですが、それよりももっと人を育てるという意味での管理者が育たないと、実際には定着しないのではないかということで、研究会も厚生労働省から幾つか課題をいただいておりまして、この辺の中間管理者層をどのようにすれば育成できるのかということを、今、研究をし始めているところであります。これまでも、中央能力開発協会の手法とか、そういったものを利用させていただいて、何かいいものをつくっていければいいと思いますし、我々がいいところの事業所を、好事例と言っているのですけれども、そういった好事例をどんどんお示しすることで、逆に言えば、広がりを持って、いい意味で育成ができればいいのではないかと考えております。

○田中(滋)座長 竹内代理。

○竹内代理 平川の代理で出席しております竹内と申します。

 介護労働安定センターの久志さんに御質問させていただきます。御説明ありがとうございます。3ページにあります介護労働懇談会、いわゆるプラットフォームについてですけれども、私どもも各地域でこちらの懇談会に団体として参画させていただいており、運営に当たって、センターの御尽力に改めて感謝申し上げたいと思います。昨年から始まり、約1年たったところだと思いますが、介護人材の確保や処遇について、非常に特徴的なポイントであるとか、この懇談会を通じて、把握されていること、印象などについて、47都道府県の中で幅広くいろいろ意見が出されて、把握するのもなかなか難しいかと思うのですが、わかる範囲で教えていただければと思います。

○久志様 正直申し上げまして、昨年度からの設定でございます。ですから、第1回目につきましては、皆さん方にとにかく集まっていただくことが大切だということで1年目が過ぎてしまったように、1つの反省でもありますけれども、成果でもあります。そういう意味では、介護労働者、介護関係事業所だけの介護はそこそこたくさんあったのですけれども、先ほどちょっと申し上げたように、医療、あるいは教育関係の皆様にお声かけて、そういった設定をするという場面では、都道府県の全てのところでというわけでもありませんけれども、これまでなかった取り組みだということに評価をしていただき、まず、これが継続することが大事だと。

その中で、時期にもよったのですが、昨年の夏、秋から人手不足がものすごくテーマになりまして、実際には人手不足について、もっと具体策が出ないのかというお話がどうしても出てしまったわけでございます。それについては、今後、地域として人手不足にどうやって取り組めばいいのかというのはまた議論、研究していくことも考えておりますけれども、全体といたしましては、記載のとおり、まずは、先ほど福祉人材センターでもありましたけれども、イメージアップというものを地域で、その団体が合同して、どういうことができるのかというのをことしのテーマの1つにしております。

 それから、もう一つございましたけれども、高校生なのか、議論の中では小・中学生も大事ではないかという話が出たぐらいなのですけれども、若い人に介護についてどのように親近感を持ち、興味を持っていただくかということにつきましても、ことしの中でどのようにできるのかがテーマになっておるところでございます。

まだ仕組みづくりという段階ではございますけれども、皆さんの議論を踏まえまして、47ありますので、少し特徴が出てもいいのかなということはございます。ここに記載してあるのは統一的なテーマということで御理解、御了承いただきたいと思っております。いつも協力ありがとうございます。

○田中(滋)座長 では、これを最後にいたします。高橋構成員、どうぞ。

○高橋構成員 変な質問になるのかなと思って考えておったのですけれども、例えば、学校の教員であると、採用する場合、自分の学校で、臨時であっても、5年勤めれば、6年目に正職員になれば、6年目の専任教員としての給与が保証されるのですが、福祉関係において、よく給料が安いというお話を承るのですけれども、A施設において5年、一生懸命働いた、それが今度、何かの理由でB施設に仕事が変わったというときに、一般的に前の5年というのはゼロになって、B施設の給与体系になっていくものなのでしょうかね。

○久志様 先ほど早口でしゃべってしまったのですけれども、今の御質問は事業所を移動したときという御質問だと思うのですが、移動したときに前のキャリアを給与面でどういうふうに反映できるのかというのは、1つは、採用時は地場賃金の要素がすごく強いということ。それから、人手不足の関係がありまして、人材確保のために、新しく開業する方は、どうしても必要ということで、お金を高くしてでも、例えば、先ほどの中間管理者層なり、施設長を引き抜くというと言葉は悪いかもしれませんけれども、給与面でインセンティブをつけることを考えられるところもございますので、前のキャリアがこれだからこうだということは、新しい事業所が発足するときには言えない部分もあると思います。

ただし、今、全体で取り組んでおります、例えば、介護職員、昔で言いますところのヘルパー2級から、介護福祉士を取る、あるいは、今後、介護福祉士の中でも上級のレベルの人を認定していったりするという動きも一部で出ておりますけれども、そういう場合には、外に向かって、積み上げ型のキャリアが賃金に生かせるようなものができるのではないかということで、ぜひ横断的な評価ができるようなことを考えていっていただきたいと考えております。

賃金モデルのようなものが介護業界でできているかと申しますと、介護保険収入との関係がありますので、どうしても定員確保のほうに重点がかかり、お1人お1人をどんどん高くするということは非常に難しいのかなというのが1つと、それから、御承知のとおり、約6割が、特に訪問系では非正規職員が多いわけです。訪問系の非正規職員は、施設系の非正規職員等に比べますと、定着率がいい、離職率が低いというのがあります。これは、働ける時間が自分の自由になるというところが非常に大きい要素でありまして、何が言いたいかと申しますと、非正規で労働時間を決めたいという人は、賃金が上がらなくても、安定した仕事があることを望まれるということもありますので、事業所としては、正規職員と非正規職員のバランスを考えながら制度を運営していかなければいけないというのが、非常に私は難しいと思いますので、ちょっと回りくどい表現で恐縮なのですが、こうやったら幾らだということは決め切れないのではないかと、かように考えております。

○高橋構成員 大変ありがとうございます。

○田中(滋)座長 まだ質問おありかと思いますが、きょうはほかの方からも伺わなくてはなりません。

福母様、久志様、どうもありがとうございました。

 続いて、株式会社ケアワーク弥生の森近様、飯塚様から20分程度お話を伺います。よろしくお願いします。

○飯塚様 皆様、こんにちは。ケアワーク弥生の飯塚と森近からお話をさせていただきます。

 福祉人材確保対策検討会というところにお呼びいただいて、まことにありがとうございます。我々、介護職員なので、介護職員のための会議にお呼びいただいて本当にありがたいと思いまして、僣越ながら現場職員を代表して御礼申し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 森近と相談したのですね。どうしようか、基礎調査でもしようかなどという話をしたのですけれども、絶対、介護労働安定センターがいいのを出してくるから、我々は量的調査ではなく、質的に勝負しようということで、質のお話をさせていただきたいと思っております。

 きょうの資料は、このカラフルな資料と、それから、お配りさせていただいた「Wel-bee」という雑誌、あと、緑色の「対人援助職のモチベーション向上にむけて」という資料を使わせていただきたいと思います。

 それでは、初めに、弊社ケアワーク弥生の介護職員の森近より御報告させていただきたいと思います。森近は学生時代にも福祉を仲間等に伝える活動をしており、きょうは、若者に介護を正しく理解してもらい、ポジティブなイメージを持ってもらうためには、どのようなアプローチが有効かという視点からお話をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○森近様 こんにちは。ケアワーク弥生の森近です。

PP

 本日は、このような貴重な場でお話しさせていただけることを心よりうれしく思います。これから「若者が持つ介護に対するイメージの実態と正しい理解を促進するためのアプローチ手法」というテーマでお話しさせていただきます。

PP

 その前に、簡単に自己紹介をさせてください。私は,ユアハウス弥生という小規模多機能にて正社員として勤務しております。一方で、福祉を専攻する大学院生でもあります。大学時代から、1人でも多くの若者が福祉に関心を持ち、活躍できるような社会づくりに貢献したいという思いを抱き、大学生発!福祉をオシャレに発信するフリーペーパー「Wel-bee」等、さまざまな活動を行ってまいりました。こちらが「Wel-bee」です。

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 次のページに行きますと、そのような活動をさせていただいた私なのですけれども、大学入学前の介護に対するイメージは、ほかの介護に無関心な学生と同じような悪いイメージを抱いておりました。介護はおむつがえの仕事だと正直思っておりましたし、両親からも、社会福祉学科に入学してもいいけれども、現場で働くのはやめてよねと念を押されていました。

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 次のページに行きます。しかし、そんな私がなぜ上智大学に入学したのか、そして福祉を学ぼうと考えたのか、そして研究して見えたことについて、お話しいたします。実は私は父親がジャズのミュージシャンなのですけれども、そのこともあって、美大へ進もうと考えていたこともあったのですが、漠然と社会をよくしたいという思いがありまして、上智の社会福祉学科の入学案内の文章に福祉社会をデザインする人を育成しますと書かれていて、おもしろそうだなと思い、入学を決めました。上智大学は臨床系のコースと、政策運営管理系のコースに分かれていて、後者の政策運営管理系のコースに進んで学びたいという結論に至りました。そして大学に入学し、勉強していきますと、自分が抱いていた福祉のイメージは間違っていたことに気づかされました。

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 次のページに移ります。介護現場でボランティアや実習をしたり、ユアハウス弥生で学生時代からアルバイトをしていて、そこで感じたことを3点お伝えさせていただきます。

 1つ目は、利用者さんが得たい生活を日々一緒に試行錯誤しながら、少しずつ獲得していく過程がおもしろいということです。こちらについて、例を2つ述べさせていただきます。

1つ目は、言語コミュニケーションがかなり難しく、なかなか入浴できなかった認知症の御利用者様とじっくり2時間向き合って、入浴していただくことができ、とても喜んでもらえたことです。このとき、本当にうれしかったのを覚えております。

 次の事例なのですけれども、1年前、マイナスの発言が多く、閉じこもり傾向にあった利用者さんがいらっしゃいまして、その方と関係性を構築し、あなたとだったら行きたいわとおっしゃっていただき、一緒に御本人のよく行っていた場所へ行けるようになりまして、今では利用者さんから外出のお誘いを受けるようになりました。その方から先日いただいたお言葉が、「人生の最期にあなたのような人に会えてよかったですよ。もう私は死んだも同然だと思ってたから。」という言葉でした。感動して鳥肌が立ちました。

 2つ目の介護現場で感じたことなのですが、日々勉強不足を感じ、向上心を持ち続けられるということです。例えば、利用者さんと向き合っていくと、認知症のことだったり、病気のことだったり、知らなくてはならないことがいっぱいあると気づかされていきます。

 3つ目は、単純に楽しいということです。先日、テレビを利用者さんと見ていて、利用者さんが死ぬ前に一度ディズニーランドに行ってみたいんよねとおっしゃったのですね。何と、その日のうちにディズニーランドに一緒に行ったことがあります。もう最高に楽しい思い出となりました。

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 このように、福祉を学び、現場で働くことで福祉、介護のおもしろさに気づかされていきました。周りの友達や同世代の方々にもこれを伝えていきたいと思いました。そこで思いついたのが、こちらのフリーペーパー、福祉についてオシャレに発信するフリーペーパー「Wel-bee」です。こちらのフリーペーパーは、若者が福祉についてもっと知りたくなったり、実際にボランティアしたり、働きたくなるようなきっかけとなるようにつくられております。

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なぜフリーペーパーというアプローチの仕方を選んだのかと申しますと、1点目は、たまたま手に取れるということです。例えば、ネットの情報ですと、「福祉」とか「介護」とか、検索しないと情報が出てきませんが、フリーペーパーではたまたま手に取ることができるので、福祉に全く興味のない若者も情報を得ることができます。

2点目はインパクトです。例えば、大きく写真を印刷することで、介護現場の印象をがらっと変えることなどができました。

3つ目は、保管でき、いつでも読み返せるということです。

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 次に、「Wel-bee」の内容について少し御紹介いたします。介護のことをよく知らない人にとっては、やはり介護職の将来像が描けないという課題があると思います。そんな若者に介護業界で活躍する若者のロールモデルを発信しています。

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皆様に配付させていただきました号の「Wel-bee」にも記事が掲載されているイケメン介護士の中浜崇之さんは、「介護ラボしゅう」という、介護に思いを持つ人の集まりを月に1度開催していたり、その他、介護に関するイベントの主催をしたり、MCを務められております。そして、現在、デイサービスを立ち上げられました。「Wel-bee」の紙面では、中浜さんが現場で生き生きと働く姿も掲載させていただいております。

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 次に御紹介させていただく記事ですが、介護が大学生にとって身近になるように、大学生で介護のアルバイトをやりがいを感じながらなさっている柴崎さんという男性を取り上げさせていただきました。ユアハウス弥生でも大学生のパートスタッフが大活躍しております。学生のアルバイトとして介護が当たり前の選択肢になればと考えて記事を作成いたしました。

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 次に、福祉人材確保の視点から、「Wel-bee」の成果についてお話しさせていただきます。

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 まず、1つ目の成果として挙げられるのが、介護の切り口を変えたということです。背景といたしましては、ソーシャルアントレプレナー(社会起業家)であったり、NPO、ソーシャルグッドに興味を持つ大学生がふえております。そのような学生をターゲットに、介護について、それらの切り口で発信することによって、結果として、もともとそれらに興味のあった学生から介護現場でボランティアをしたいと相談を受けることが多々ありました。

 それに関連した事例として1つ申し上げますと、「Wel-bee」ではないのですが、私がフリーのライターとして、社会起業家等を取り上げる若者に人気のウエブメディアにて、ある介護のベンチャー企業の社長のインタビュー記事をアップしたところ、その年の新卒採用の面接の際、記事を見た、介護にもともと関心がなかった福祉学部以外の学生からの応募がたくさんあったそうです。

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 次の成果といたしましては、若手介護スタッフや介護を学ぶ学生の自己肯定感を高められたということです。こちらの背景といたしましては、介護に志を持っている若者が、親御さんや周囲の人の意見から漠然とした不安感を抱いているということがありました。そのような学生に対して、専門学校にて「Wel-bee」を配布して講演をさせていただくことがありました。その講演のアンケートでは、例えば、自分の選んだ道は間違っていなかったのだということを書いている学生がすごい多かったのですね。このことから、イメージを変えることは人材の定着にも結びつくのではないかと考えました。

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 駆け足になりましたが、最後に、活動を通して見えたことをお話しさせていただきます。それは、量の確保の視点のアプローチの限界と、質の確保の視点の重要性です。つまり、若者の福祉の入口を幾らつくっていっても、本当に若者が心から仕事を楽しめる現場はまだ少ないのではないかということです。すなわち、幾ら福祉人材の量をふやしていったとしても、それだけでは不十分で、現場の質をもっと上げる必要性を感じました。ですから、私は、株式会社ケアワーク弥生にて、おもしろい、質のいい仕事をしていきます。そして、若者が働きたい現場となるようマネジメントし、多くの若者がボランティアをしてくれるような、そしてアルバイトとして働いてくれるようにアプローチをしていくつもりです。そして、それらをどんどん世の中へ発信することで、マクロの視点での福祉人材の確保にもつながればと考えております。

 以上で発表を終わります。

○飯塚様 うちの会社はいいスタッフがいますよね。ありがとうございます。反応が欲しかった。

 続きまして、私からお話しさせていただきます。実は私、NPO法人もんじゅという、三人寄れば文殊の知恵のNPOも代表理事でやらせていただいております。2009年にNPOもんじゅという任意団体をつくって、次年度から特定非営利活動法人化したのですけれども、設立経緯についてお話しさせてください。

 実は、2005年ぐらいのお話なのですけれども、私は2000年ちょうどに介護の現場に入ってきたので、現場5年です。悩みながらやっていました。今、若手ではないですけれども、当時、若手の私がもっと活躍できるような現場はないのかなということで悩んでおりました。2025年の介護人材の問題もあります。つまり、2005年からしたら20年後の話ですね。20年後どうなるのだろうか、自分はこの業界に当然いるのだろうけれども、そのときに一緒に働く仲間はちゃんと充実しているのかななどということを考えながら働いておりました。

2008年に小規模多機能型居宅介護が制度化されたところで、我々の法人も小規模多機能型居宅介護を始めました。せっかくだからということで、東京都の小規模多機能型居宅介護の事業者連絡会を立ち上げさせていただいたのですね。その当時は7人ぐらい、いろいろな法人から集まって立ち上げをしたということだったのです。とにかくほかの事業所のスタッフと頭を悩ませながら、自分の現場をどうしたらよくできるのかなどということを一生懸命話し合いました。私にとってはそれは非常に重要なことだったのです。自分のところの法人の人に聞くよりも、ほかの法人のスタッフに聞くことが大事だったのです。なぜかというと、小規模多機能型居宅介護は平成18年当時、全くもって新しいケアだったからなのです。要は、自分のところのノウハウが使えないので、全く新しいケアをつくっていかなければいけないという中で、いろいろな引き出しが欲しかった。だから、同じ境遇の、同じ問題意識を抱えた仲間と問題解決をしていくという重要性を非常に感じました。

ちなみに、そのときの東京都の小規模多機能の連絡会の立ち上げ役員で、現在も小規模多機能型居宅介護を営んでいるのは7人中2人しかいません。皆さん、小規模多機能の業界から去られたのです。すごく悔しかったので、諸先輩方にお話を伺ったのです。偉い女性の方とかに、どうしたらいいかなと聞いたのです。お話伺って、結局、私がどういうふうに介護の中でキャリアを積んでいったらいいかという相談をしたのですけれども、全然腑に落ちなかったのですね。なぜかというと、その方たちは二言目には、自分が年取ったときには、あなたみたいなイケメンとか、すてきな女性にケアしてほしいわなどということを、社交辞令を言うわけなのですけれども、よくよく考えてみたら、その方たちは2025年にはこの介護業界にはいないのですよ。利用者としているような方だったのです。

要するに、当時50歳過ぎぐらいの方は、2025年には70歳、80歳とかで、利用者の立場として介護人材を考える論点だったのですね。ところが、私は今、39歳なので、2029年にはちょうど50歳ぐらいなのですけれども、恐らくまだこの業界にいるでしょうという中で、私たち若手介護職員というのは、2025年にこの仕事をしている、ケア者として主体的な問題意識を抱えており、どちらも当然重要な視点なのですが、私は、このNPO法人もんじゅというものや、今の仕事を通して、労働者の目線であったりとか、また、介護職員の目線から介護人材の問題に触れたいなと考えております。それは、ここの会議の中でも、ひょっとしたらそうなのかもしれません。2025年に皆さんが現役でいらっしゃるかどうか。現役の目線で考えていただきたい、そういうふうに思っております。

現在、NPO法人もんじゅでは、非営利特定活動としていろいろやっています。特に対人援助業務を行う人の現場の問題解決を支援する事業であったり、中学生、高校生、大学生、専門学生に対人援助職の魅力を伝える事業であったり、またネットワーク形成事業、啓発、研究、提言に関する事業などを行っております。特に力を入れているのはもんじゅミーティングというもので、後ほどちょっとだけ説明をさせていただきますけれども、簡単に言うと、相談をしたい現場職員がいて、相談を受ける大人の職員が2人いて、現場職員が大人2人に話をする。三人寄れば文殊の知恵、3人で現場の問題を解決していく。現状分析と目標設定、アクションプランを立てて、それをモニタリングしていくというのを、きちんと文書に書いて残していくなどという活動をしていて、現在までで延べ2,000人ぐらいの方が参加をしております。私の中では、とにかく私たちにとって現場職員の根深い問題について調査するという機会でもあるなと感じております。後ほどこちらをごらんいただければと思います。

そこから本題ですね。若手人材の育成、定着に結びつけるために有効な対策についてという視点からお話をさせていただきますけれども、ここで言う若手人材というのは、今までの話の流れから、また、我々が呼ばれた経緯のところから、恐らく、2025年から2055年に介護労働市場においてリーダーシップを取ることができるような年齢の人材だという御理解でお願いいたします。たまに議論が食い違ってしまうことがあるのですね。だったら、リタイア組とかいっぱい入れればいいではないかと。それはそれで当然大事なのですが、今後、2025年から2055年ぐらいまでに、3040代ぐらいの方をターゲットに我々は活動しております。ちょうど今、生まれたばかりの方が、2055年には40歳ぐらいですね。それから、私はもう既に2025年に50歳になってしまうので、私よりも下ぐらいの年代。つまり、私より下の年代から、私の最近生まれた子供ぐらいまでの年代のことです。その人たちがとにかく10年現場で頑張って、中間管理者になって、いいルーキーたち、介護市場に新たに出てくる新卒などを育てていけたらいいなという思いでNPO法人もんじゅは活動させていただいております。

実際に厚生労働省のほうから、こんな感じで聞きたいからよろしくなどというのが2点ありまして、1つは、NPO法人として、若手人材の人材育成に力を入れているということなのですけれども、どのような悩みが多いのですかみたいな質問があったので、こちらの緑色の冊子の6ページ目の円グラフをごらんください。実は、もんじゅミーティングで聞いたそれぞれの人の悩みの中で、1番目が組織の仕組み上の問題、2つ目が人間関係の問題。実に自分以外の他人のところとか、組織のところで問題を抱えていて、相談しないと、問題解決しないとどうにもならないわという介護職員が3分の2ぐらいいらっしゃるのですね。

ちょっと仕分けをさせていただきました。隣の看護師がむかつくとか、簡単な人間関係の問題については、2番目の緑色のところに仕分けしてあって、上の黄色いところは、上司との連絡調整がうまくいかないとか、ひょっとしたら一般の、それこそマッキンゼーさんみたいな大企業のところではさくさくっといけるような組織の問題のところでつまずいているなというふうに仕分けできるのが3分の1ぐらいありました。

人間関係の悩みのうちの黄色いところに、上司、部下によるものや理念の浸透などに起因する悩みを振り分けました。また、その他、社内によるOJTの機能不全が見られるところがあったり、あと、本人がキャリアなどを悩まれていたりすることもあります。先ほどの高橋さんの話にもあったように、キャリアの問題、私はどういうふうに育っていったら幾らぐらいお金をもらえるのだろうということを切実に悩まれている未婚の男子の方が多かったり、そういった悩みを抱えられている方が多かったのではないかと思います。

済みません、ちょっと時間オーバーいたしましたが、我々からは以上で、よろしくお願いします。どうもありがとうございます。

○田中(滋)座長 ありがとうございます。大変元気の出る発表でした。

 では、質疑に移ります。皆様、何か質問があればお願いいたします。では、お2人どうぞ。

○松本構成員 全国老施協の松本です。

 イメージ戦略というのは本当に重要だなと思いました。若い方々の期待を裏切らないような事業所になっていかなくてはいけないのではないかと。事業所としても、地に足の着いたレベルアップをしていかなくてはいけないと感じています。

また、事業所としても、すごくいい取り組みをして、離職率の低いところもたくさんあるわけなのですね。介護職も頑張っている方がたくさんおられる中で、長期的なモチベーションを上げていく施策もまた必要ではないか、また評価をしていくことも必要ではないかと思っております。全国老施協としては、介護職、介護現場を、人がうらやむ職業にという目標で、今、大きな目標を立ててやっていますので、またよろしくお願いします。

○森近様 お願いします。

○田中(滋)座長 ありがとうございます。

 平田構成員、お願いします。

○平田構成員 いい組織だなとつくづく思います。私どもは社会福祉法人の組織です。私は福岡県ですので、福岡県で関係ある大学では、社会福祉学部に入学しても、恐らく半数ぐらいが社会福祉関係以外に就職されているのが実情なのですけれども、森近さん、あるいは飯塚さんも、株式会社に就職されました。社会福祉法人を含めて何社ぐらい面接に行かれて、ここを選ばれたのか、また、上智大学では、社会福祉学部で何割ぐらいが現実には社会福祉関係に進まれているのか、福岡県と都市部の東京都の学生の違い等の認識のため、教えていただければと思います。

○森近様 ありがとうございます。

 まず、上智大学の就職先の現状なのですけれども、大体4割が現場に就職することになっております。もともと一般企業に入りたくて、社会福祉を学んで、それをいろいろなところで生かすという学生が多いように感じられます。

 私ですが、ほかに面接をしたかという御質問なのですけれども、学生時代からユアハウス弥生にて働いておりますので、全く就職活動などをせず、そのまま就職した形になります。

○平田構成員 ありがとうございます。

○田中(滋)座長 石橋構成員。

○石橋構成員 お2方、発表、どうもお疲れさまでした。

 森近さんにお聞きしたいのですけれども、若い人がこのように介護の魅力を発信していっていただけるということについては本当に敬意を申し上げたいと思います。今後もぜひ継続していただければありがたいかなと思っています。

 最後のところで、質の確保の視点の重要性ということが言われておりますけれども、これから若い人たちが介護の仕事に魅力を持つためには、質の確保が重要と考えます。また、それ以外に介護の魅力というものはどういうものがあればいいのか、率直な御意見をお伺いしたいと思います。

○森近様 御質問ありがとうございます。

 介護の魅力はほかに何があるかということでよろしいですか。お話しさせていただいた魅力のほかに、私の職場ですと、何かやりたいとか、アイデアとかを実現させてくださる環境があるということがすごく魅力だと感じております。なので、ほかの介護現場においても、介護職の内発的動機づけが絶やされないようなマネジメントがされるといいのではないかと私は考えております。

○石橋構成員 ありがとうございます。

 やはり介護の現場に入って、その人が伸びる能力を育てる、そういう環境づくりが必要だということですね。

○森近様 そうですね。私はそこを一番考えております。

○石橋構成員 ありがとうございます。

○田中(滋)座長 川井構成員、西條構成員の順でお願いします。

○川井構成員 森近さんにお尋ねしたいと思います。私のところも大学で教育をしているのですけれども、先ほど御質問ありましたけれども、大体7割の学生が福祉系に就職していくという現状がございます。同じようにNPOを立ち上げて、自分たちで訪問ホームヘルプ事業をやったりという学生もおりますけれども、森近さんにぜひお尋ねしたいのは、今まで森近さんが大学で学ばれたことが、まだ修士行かれているそうですけれども、大学教育がどのように今のお仕事の役に立っているかということを教えていただければいいかと思うのです。

○森近様 そうですね。役に立っていることばかりなのですけれども、私は社会福祉士という資格を持っておりまして、大学でも社会福祉士を取るためにソーシャルワークの教育も受けております。現場で働いていても、地域という視点を持って現場で仕事ができるなというのが、上智で学んだからこそだなと私は考えております。そのほかにも、専門性というのを考えながら働けているなとは思っております。

○川井構成員 1つ、ここに事例を挙げてくださっていましたけれども、鳥肌が立ったとかおっしゃっていましたが、私も聞かせていただきながら鳥肌が立ったといいますか、非常に感激しましたけれども、そのようなことを感じられるというのは、やはり学びがあってそこにつながっていくということなのでしょうか。例えば、認知症の方のお話がありましたね。ずっと我慢して、そこでい続けるとか、見続けるということ自体は、自然の中で出てきたものなのか、日々の学びがそういうことにつながっていくのかという。

○森近様 日々の学びがつながっていると思いますね。

○川井構成員 ありがとうございました。

○西條構成員 大変すばらしい発表ありがとうございました。

私が介護を受けるときには安泰かなというか、安心して受けられるなという印象を持ったわけですけれども、このように若い人がどんどんこの世界に入っていただいて、新しい介護のイメージをつくってもらえればいいかなと思っています。

その上で、森近さんの発表にございました「Wel-bee」のフリーペーパーを拝見させていただいたところ、スポンサーは大丈夫なのかなといいますか、広告を一切載せていないですね。ぜひこの配布部数をもっとふやして、できるだけ広めていただきたいと思っているのですけれども、1点は、今後どういうところにこういうものを発信していくのか、その財源の心配はどう考えていらっしゃるのか。

それと、もう一点、もんじゅの事業の、先ほど御説明あった6ページの、いろいろ職員から悩みを聞いた相談内容の話なのですけれども、統計データ的にといいますか、例えば、法人の種別とか、規模とか、その法人が古い法人なのか、新しい法人なのか、その辺の分析みたいなものをされていらっしゃれば、お答えいただければありがたいなと思っています。

○森近様 では、私からですが、こちらのフリーペーパーは1万部発行しておりまして、裏表紙がAiDEMの広告となっております。2社でマイナスなく、ちゃんと発行できている形になっておりまして、スポンサー探しも、NHKに取り上げていただいたりとかしている関係で、結構スムーズにスポンサーをとらせていただいておりますが、もっともっと部数をふやしていきたいというところなのです。しかし、実は、どうしても配る能力がなくて、うちにもまだいっぱい「Wel-bee」がたまってしまっているのですね。なので、御協力してくださる方がいらっしゃれば、ぜひというところでございます。

○西條構成員 ぜひ送ってください。

○森近様 ありがとうございます。

○飯塚様 先ほどの6ページの表なのですけれども、主に小規模多機能型居宅介護、グループホーム等々、小さな事業所の方が8割ぐらいです。ちょっとごめんなさい、クロスをしていないのですけれども、主に現場に入られて1年目から3年未満ぐらいの方の相談を受けているのが8割以上ですね。あと、もう一つ、新しく管理者とか主任に役つきになった方、いわゆる管理職ルーキーの相談なども受けております。

○西條構成員 ありがとうございます。

○田中(滋)座長 こちらも時間の都合で、まだ御質問のおありの方は、後で直接ケアワークのほうにお尋ねください。

先ほども申しましたが、森近様、飯塚様、大変元気の出る発表をありがとうございました。

続いて、山田様、ここでは地域密着型総合ケアセンターきたおおじの代表としての発表をお願いいたします。

○山田構成員 山田と申します。よろしくお願いいたします。

 資料は、ホチキスどめの3枚ものと、それから、別冊で「きょうと福祉人材育成認証制度」も使いながらお話をさせていただきたいと思います。

きょうは、社会福祉法人7法人が集まりグループで人材育成をしているという部分を中心に発表を依頼いただきました。この3枚もののレジュメの1番の部分ですけれども、もう既に御発表のあった皆さん方からもありましたように、就職した後の組織のあり方とか、人間関係とか、あるいはやりがいのあるケアができているかとか、このあたりの課題について、京都市内でいろいろ考えている者たちで、こういうグループ化の試みが始まったとお考えいただいたら結構です。

まず、きっかけとしては、就職フェアのときに、行列のできる事業所と人が来ない事業所があるという、見せ方の話に結構こだわられる事業所がある一方で、実際就職されてから定着しないという悩みのある事業所もある。いわば見せ方なのか、定着のノウハウなのか、こういうお話があるのですけれども、就職フェアを京都市内でやってみて、例えば、学生から、2000年当初ですと、ユニットケアをやっている施設の一覧表はありませんか、あるいは2010年前後からは、小規模多機能をやっている事業所の一覧表はありませんかと、こういう声がありました。ところが、そういう一覧表をつくると、それをしていないところにとって不利だという話があって、そういうやりとりがあったのも1つのベースになっておりますが、1番に書いていますように、福祉の事業所の経営がどういうふうにされているか、どういう組織をつくっているかということと、そのことによって実現している質による定着とか、口コミによる評価、こういうものが結構大切なものだということは皆共有していたわけです。

1の(1)に書いてございますのは、要するに、福祉とか介護のサービスは、1人の専門職を通じてしか実現できないという特徴があると思っています。そこで、スキルの高い専門職を育てようということでいいのかというのが(2)です。そのための研修とか、資格とか、こういうことを頑張るわけですけれども、(3)に書いていますように、それは当然必要なのだけれども、それとあわせて、これからケアのチームは小規模化していく流れは進んでおりますので、就職した小規模チーム、そこのマネジメントがしっかりできているかどうかというのが結構本質的なことだと。そこで、一人一人が実現したケアの質を共有する営みが行われているかどうか、営みを促進できるリーダーがいるかどうか。(4)です。いわば、こういうことがしっかりと意識化されていないと、人は定着しないし、質の高いケアはできないと考える人たちが京都市内に何人かいたわけです。何よりも(5)に書いていますように、介護福祉経営者の「質の高いケア(アウトカム)」への関心と熱意、これが必ず必要です。それがないところでは、なかなかそういうことは実現しないということ。

そういうことをしなければいけないのはわかっているのだけれども、なかなかうまくいかない。就職フェアでも人は来ないし、なかなか定着しないという社会福祉法人、京都市内ですけれども、3つの法人が、そのようなことを共同で研修ができる、あるいは共同で地域に展開して、地域包括ケアに資するような事業展開ができる、そういう人材を3つの法人で共有すれば、ひょっとして、人の確保、育成というのはうまくいくのではないかという話で、2番に書いてあります、7つの社会福祉法人による人材育成に向けた共同事業がスタートしたわけです。

ここでちょっとパワーポイント、お手元にないものなのですけれども、4枚ほど用意しました。

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 最初は京都市内の3法人でやろうということで、平成22年に話し合いがスタートして、実質的にスタートしたのが平成24年です。「きたおおじ」という共同の本部拠点をつくって、そこで小規模多機能、小規模特養のような事業をすると同時に、人材・開発研究センターを設立して、そこに研修や開発の人材を集めて、各法人にアドバイスをしたり、コンサルテーションするということを始めたわけです。具体的に始まったのが24年です。

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 3法人で始めたのですが、その後、京都市外からも幾つか入りたいということで、今、7法人です。

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 イメージとしては、こんなイメージです。皆でつくった本部に人材を共有して、そして各法人が定着とか確保に向けて、あるいは地域展開に向けてのノウハウを共有していく。

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 これは基盤課でおつくりいただいたパワーポイントですが、各法人から毎月委託費を払って、その人材の人件費を賄う。そして、スーパーバイザーは各法人を巡回する。こういうふうな形で、組織のあり方、あるいはケアの質などを皆で上げていこうということです。

 スライドは以上です。

 お手元の資料に戻っていただきまして、2番のところを簡単に御説明します。そういう経過で始まったものですが、まず、2の(1)グループ化の経緯ですが、今、申し上げたようなことです。このスーパーバイザーは3カ年計画でいい組織をつくろう、そしていい研修をしようということを目標にしていまして、平成24年度が初年度でしたので、ことしが3カ年目に入ります。

まず初年度に、スーパーバイザー2名いるのですけれども、看護師と介護職ですが、各法人を毎週1回巡回するというのが原則です。そして、各法人に初年度、アセスメントシートを提示したわけです。それが3枚目のペーパーです。ちょっと御説明する時間がないので、こういうアセスメントシートがあるということ。

 戻っていただきまして、それに対して、2年度目、各法人がその課題に対する行動計画を立てていただくということで、6項目ありますが、結構なボリュームです。そこまでが初年度ですね。2年目は行動計画を実施するということで進捗していて、今、3年度目に入っています。

 2の(2)ですが、いわば、スーパーバイザーによる支援というのですかね、コンサルテーションと別に、平行して何をしているかというのが(2)の(1)(2)(3)です。要するに、グループによる共同研修、これもかなり実施しておりますが、さらに開発を進めています。それから、(2)がキャリアパスの統一化とか、給与の統一、あるいは現場を支援する組織風土づくり、これを進めています。それから、(3)が、各法人によるそれぞれの地域での地域密着型の展開を支援していくということで、地域との連携を学び合う。こういうことが現在進行形です。始まって3年目で、まだまだ完成品ではありません。このようなことを今、しています。

 それから、(3)に各法人職員の声ということで、外からそういう風が入っているということがいかに重要なのかを感じさせるコメントを書いていただいています。

 3番に、介護人材の育つ環境を考えるということで、(1)に組織の仕組みですね。これは1番に書きましたように、現場に対して、ケアの質、あるいはそれを実現していく職員、あるいは職員が所属するチームのマネジメントがうまくできる、あるいはチームのリーダーが育つ、こういうことにしっかりと関心を持つ経営者、あるいは管理職がいないと、こういうことは実現しない。

 それから、2枚目です。(2)から(5)までは時間の関係で省略します。今、申し上げたことを一応、整理して書いておきました。

 時間がちょうど10分になりましたので、4番を簡単に御紹介しますが、私のポジションでできていることというので、今、1つ御紹介しましたが、もう一つ、京都府が、この緑の冊子ですが、「きょうと福祉人材育成認証制度」という、かなり画期的な試みをされて、当初からお手伝いさせていただいています。

 これを開いていただきまして、真ん中のページをごらんください。認証の評価項目及び認証基準。これは組織のいわば外形的なストラクチャーに過ぎないのですけれども、こういうことをしっかりとつくり込んでいくことは、人が育つ、あるいは福祉人材を育成する事業所の評価を上げていくために、かなり重要な項目が4項目、大項目があります。

幾つか紹介しますと、例えば、1の(3)ですけれども、OJT指導者に対する研修を実施しているかどうか、これが認証基準になります。ですから、OJT指導者を置いているかどうかだけではなくて、それに対する研修をしているかどうか。

それから、大きな2番では、人材育成計画を持っているかどうかとか、あるいは資格取得支援とか、こういうことですね。あるいは、育成を目的とした面談をしているかとか、省略しますが、大きな3番、大きな4番も、雇用条件とか、いろいろな意味で、こういう構造を組織が持っている、しかも、これを京都府が中心になってやっておられるというのは、私はなかなかすばらしいことだと思っています。こういうことが各県でできればいいなと。

レジュメに戻らせていただきまして、5番と6番ですが、5番のキャリアパスシステムは、平成21年度の介護職員の処遇改善交付金のときに一応、義務づけられましたので、多くが持っています。老施協とか経営協、老健協などのモデルに基づいたもの。ところが、運用ですね。ちょっと厳しい書き方をしていますが、なかなか運用できない、あるいはされていないという実態が結構見受けられます。そういうことについて、やはり一定の、こういうことを運用できるためには何が必要かということで、(2)(3)(4)あたりに書いておきました。

最後、6番ですけれども、前回の第1回でも申し上げましたけれども、これから地域包括ケアの中核となるのが、私は介護人材だと思っています。そういうところで介護人材が中核となるためには、従来のケアから大きく変わっていかないといけないということで、そのキーワードがこの3つかなと思っております。こういうことを先ほどのグループの活動を通じて、あるいは京都府のこういうふうな活動を通じて、それから、もう一つ、地域密着型事業所協議会を京都市でつくっておりまして、地域密着型の8種別全てに声をかけていまして、京都市内193事業所のうち、先月、会員事業所が100に乗ったということで、現場の人たちが出会う、そこで毎月一緒にお互いのエピソードを語り合うというのが大変大事だと思っていまして、そういうことをスタートしています。自分でできる範囲のことで、大したことではないのですけれども、そういうことを通じて、きょうのレジュメの1番に書きました、現場の職員さんたちが元気になるような組織を地域全体でつくっていくような1つの試みのお役に立てればいいかなと考えて発表させていただきました。

以上です。

○田中(滋)座長 山田様、大変緻密なプロジェクトの発表をありがとうございました。

 では、皆さんからの質疑に移ります。どなたでも結構です。

 堀田構成員、どうぞ。

○堀田構成員 ありがとうございました。

 2ページ目の一番上のところで「経営者が福祉サービスの質、ケアの質に関心を持つ」と書いてくださっていて、非常にかなめだと思うのですけれども、そのために何が効くなと思われますか。

○山田構成員 それをすれば人が集まり、人が育つということをよく知っていただくと。また、そういう実績を地域の中で上げる事業所、そういう方たちが中心になって、実際、モデルをつくっていくというのが大事かなと思います。

○堀田構成員 ありがとうございます。

○田中(滋)座長 平田構成員、どうぞ。

○平田構成員 様々な規模の介護事業所があるわけですけれども、ある程度大きな組織でないと、自法人のみでこのようなキャリアパスの研修システムは構築できませんね。外部のコンサルを使って今、7法人でやっておられるということなのですけれども、規模別に自法人でやれるところと、逆にやる意思のないところと、やる意思があっても、中小規模で自法人だけではできないところがあります。もし京都中でやろうとすれば、山田さんは何が一番支障、課題になると思われますか。

○山田構成員 私のグループの試みを京都中と。逆にそれはやらなくていいのかなと。やはりやる気のある方でないと無理ですね。真摯に介護職員、あるいは介護現場のことを考える人たちが集まらないと、みんながやればいいというふうには、なかなか難しいのかな。だから、そういうことに関心のある方がふえていき、また、そういう方たちが、何かやり方がよくわからないというときに、あそこへ行けば、そういう方法などが一緒に勉強できるというものを、京都府下でも徐々に入りたいというところも出てきておられますので、そういう輪が広がっていけばいいなということで、全部に広げるというのは余りイメージとしてないですね。

○平田構成員 自法人のみでやるときのコストは大変多額なのですね。私どもの法人でもやっていますが、かなりのコストがかかっています。今、1法人がどれぐらいのコストでされていますか。

○山田構成員 今、月に20万円委託費をいただいています。

○平田構成員 年間240万円。

○平田構成員 月20万円でそういうシステムに乗れるというのは随分安いのですけれどもね。

○山田構成員 ぜひお入りください。

○田中(滋)座長 田中(愽)構成員、どうぞ。

○田中(愽)構成員 レジュメの1枚目の1番のところでございますけれども、アウトカムのことをおっしゃったわけですけれども、もし具体的にこういうことがアウトカムとして可視化できるというものがありましたら、お教えいただきたいと思うのです。

○山田構成員 きょう、厚生労働省で配られた「第1回検討会での議論について」という資料がありますね。これを見ていますと、前回の各構成員がおっしゃったことをまとめたものですが、後で御紹介あると思いますが、これの1ページの1行目に「介護職の本質的な価値(利用者の残された生活能力を引き出し、その尊厳を守りつつ自立を支えること)をどのように表現するか」、多分、これは多くの構成員の方がおっしゃっていたことの共通項だと思われます。ですから、今までできないことに対して何かやってあげる、あるいはサービス提供者と受ける側の2項関係のようなイメージで介護は進んできたのですが、ここに書かれているように、これから向かう方向というのは、こういうことかなと。

要するに、ターミナルであっても、重度の認知症の方であっても、ナラティブなアプローチをすることで、その方が御自分で暮らしをつくっていかれるということを支援する脇役として医療、介護等はあると考えられるというのがこの表現だと思うのですね。ですから、そういうことについて、具体的にといったら、要するに、朝、出勤してから、御自分が行うケアの活動、あるいは地域へ出ていってのいろいろな活動、こういうことが、たくさんのエピソードと試みが蓄積されているのが、現場の一人一人の専門職なのですが、そういう人たちが、私はこういうふうな実践をしたというのが閉じてしまっているのを、どんな形で開くかというのがポイントで、ですから、アウトカムにモデルとか正解はないわけですので、そういうことをスーパーバイズするリーダーがいるかどうかとか、そういう日常の仕組みの中にアウトカムの質というのは多分つくられていくという、そんな感じですかね。だから、1番に書いてある幾つかのことが同時にできている、そういうイメージの中で、日常の個々のアウトカムが鍛えられていくというのですか、そんなイメージで考えています。

○田中(愽)構成員 ありがとうございます。

○田中(滋)座長 石橋構成員、どうぞ。

○石橋構成員 これから福祉介護の人材確保定着のためには、質の高い人材を確保すると同時に、チームリーダーを養成することが重要だと思っておりますけれども、今後、チームリーダーを養成するためには、養成体系のあり方とか、研修の仕組みとか、リーダーを養成した人たちの定着率を高めるためには、どのような仕組みが必要なのか、もしありましたら、お願いします。

○山田構成員 まず、日本介護福祉士会がことしから認定されるファーストステップの認証機関になられますね。ファーストステップ研修などは1つの大事な研修ですね。ああいうものをしっかりと受けるということ。今、モデルでやってられる認定介護福祉士との関係もあれですけれども、ああいうところでしっかりとした研修の仕組みをつくって、そこへ受講することによって育つという仕組みを早く、しっかりとつくっていただきたい。

それはお願いと、それから、組織の内部では、先ほど経営者がアウトカムに関心がある、熱意があると言いましたけれども、関心を持つと、チームマネジメントとか、組織マネジメントに行き着かざるを得ないのですね。そこがうまくいっていないとうまくいかない。それをうまくいかせるのはチームリーダーだと。だから、そこを支援するような組織をつくらないと、あなた、リーダーだよと言って抜擢しても、そこに支援する組織の風土がなかったらつぶれるのですね。ですから、どんな組織に所属しているかということが、その人を育てるかどうかの分かれ目になりますので、事業所としてはそういうことかなと。

それと、リーダー御自身は、いろいろ逆風はあるけれども、頑張ってくれと言わざるを得ないですね。そんな感じです。

○石橋構成員 どうもありがとうございました。参考になりました。

○田中(滋)座長 では、山田様、どうもありがとうございました。引き続き検討会のメンバーの立場で議論に参加してください。

 では、お待たせいたしました。最後になりましたが、カンツラ様から20分程度で発表を伺います。お願いします。

○カンツラ様 この機会を与えていただいて、ありがとうございました。片言の日本語で失礼します。

PP

実は、私が2週間前に武内さんからこの話をいただいたとき、ちょうどドイツ出張の途中だったのですね。そのとき、私のおばあさんがケアホームに入ることが決まりました。この写真の背中が見えるおばあさんが私のおばあさんです。大変難しい思いだったのですね。彼女は最近まで割合に元気で、自分のマンションで暮らしていて、だけれども、だんだん状況が悪くなって、介護が必要となったのですね。それで私は改めて、介護の重要性が個人レベルでわかってきました。

PP

 さて、きょう私が話したいと思っているのは、諸外国の事例です。私は、きょうのプレゼンテーションのために幾つかの国のエキスパートといろいろ話して、その中には、ドイツ、イギリス、フランス、アメリカ、あとスカンジナビアの3国、オランダが入っていて、その事例を紹介したいと思います。その中で特に母国のドイツにフォーカスしたいと思っていて、最後に日本のためにどういうことがサンプルになるかということを話したいと思っています。

PP

 私が海外のエキスパートに日本の話をしたら、各国のエキスパートが、まさにうちのほうも同じ問題だよと言ってくれたのですね。基本的に急激な成長があって、ケアホーム、ケアホームがふえていって、将来それがどんどんふえるという予測があって、その上に人材が足りないという話がほとんどどこにもあります。仕事のイメージも基本的に悪い。3Kに近いイメージが普通、給料もとても低い。だから、いろいろな問題がある。それは量に関してのものでもありますけれども、質の問題もあるという話をもらったのですね。特に田舎のほうに行きますと、専門性を持っている介護のワーカーが足りない。どこの国にもある問題らしいですね。それにもかかわらず、海外で仕事のイメージを変える努力はなさそうですね。少しあります。後で紹介しますけれども、ほとんど日本と同じような状況という印象です。

PP

 ただ、違いもあるかなと思ったのですね。1つは、それは特にケアホームに関してなのですが、大きいプロバイダーが減ってきているのですね。それは合併して成長している背景もあるのですが、民間のプロバイダーの力によって、多少その状況が変わってくることもあります。

まず、このプロバイダーはなぜこの業界に参入したいかというと、伸ばしたいかというと、かなり将来の成長を見込んでいて、安定的なビジネスになっているということですね。海外で、例えば、プライベート・エクイティ・カンパニーもそういう会社にどんどん投入して伸ばそうとしているのですね。あと、診療報酬体制も、各国の場合、それなりにオーケーな状況になっていて、厳しくて、全く利益を出せない状態になっていないということがあります。プロバイダーは、人材を確保するため、あと、当然、患者を確保するため、労働環境をよくして、ワーカーが自分の成長の環境をつくったり、先ほど御紹介していただいた事例のような活動もやっていると思います。それによって逆に成長ができていって、それができない会社は余り人材の確保ができなくて、成長しないという状態になっています。

もう一つ、日本と大きな違いは、海外からの人材の輸入があるのですね。ヨーロッパのほとんどの国の場合、東ヨーロッパからどんどん人が入ってきています。EUが東のほうに大きくなって、それによって移動が自由になっていますので、前はポーランドから、最近は、例えば、ブルガリアから、いろいろな人たちが入ってきて、仕事ができるようになっているのですね。

あと、政治的に介護は、もちろん国によってちょっと違いますけれども、余り大きいテーマになっていない。いろいろな人と話したら、なぜそういうふうになっているかというと、結局、介護が必要な人は余り投票はしない。だから、逆にそんなに心配しなくてもいいという声を聞きました。そうすると、ある程度仕方がなくて、問題がある、少しの介護だけでも十分という程度でやっている国もあると思います。

 少し頑張っているところもあります。どういうことをやろうとしているかというと、もうちょっと専門性をつけようとしています。それは全ての介護ワーカーに高い専門性を認めることではなく、普通の介護の仕事にはそんなにスキルが要らない。ただ、その時々、例えば、寝たきりの人の場合、体の面倒を見る、もうちょっと高いスキルが要るとかありますので、洗濯、買い物をサポートする人と、もっと医療に近いような介護ワーカーの専門性の区別をしようとしているのですね。そのため、診療報酬体制も多少変えたり、例えば、ドイツの場合は、3段階から5段階に変えようとしています。

PP

 次のページはちょっと文字が多いので申しわけないのですが、ほかの国の状態を理解するため、介護制度の理解も大事かなと思って、少し御紹介します。

基本的に、ここに並べている4つの国は、日本の制度に似ている部分もあるし、ちょっと違う部分もあります。多分、一番似ている国はドイツになっていると思います。介護保険があって、ケアマネジャーもあって、そのアセスメントによって誰でも介護を受けることができる制度になっています。自己負担はあるのですが、それは余り自分の財政状態によらないようになっています。もちろん全然お金がない人は社会保護を受けていて、それでも進むのですが、ほかの人は基本的に15%の自己負担、ほかは保険が持つことになっています。

一方、イギリスは全く正反対になって、まず自分のお金を使わなくてはならない制度になっていて、そのお金がほぼなくなった瞬間で市、町が負担を持ってくれる制度になっています。

フランスはその間ぐらいの制度になっていて、スカンジナビア、オランダはドイツに近い制度になっています。

USAは、多分、御存じだと思いますけれども、民間の患者もいるし、メディケア、メディケイドを受けていて、それでお金をもらっている患者もいます。

提供側なのですが、ドイツは、日本のケアホームと似ているような状態だと思いますけれども、民間とプライベート、チャリティーの場合などのミックスがあって、基本的に競争しています。ただ、制度的には、どんどん民間が出てほしいという制度になっています。

イギリスは、ペイヤーはローカルカウンシル、市町になっているのですが、プロバイダーはほぼ全部民間になっています。カウンシルが民間のプロバイダーと契約して、仕事を受けることになるのですね。

フランスはその間の制度になっています。

あと、各国の場合は、その場所によって、あと、サービスの提供によって、フィーが、診療報酬体制が変わっている制度になっています。後でドイツの制度を紹介します。実は、そのことによって、例えば、人材が割と簡単に確保できる場所の場合は、そんなにたくさんお金を出さなくても、プロバイダーが進む制度になっていて、逆に困っている地域だったら、もっと高い診療報酬を出すことになっていて、それで何とか提供側が進んでいるという制度になっています。

PP

 ここから、ドイツの細かい話をしたいと思いますけれども、まず5ページは、ドイツも基本的に介護保険の患者が将来どんどんふえるという予測をされています。日本と余り変わらないような状態になっています。

PP

 どういう介護を受けているかというと、実はドイツで特別な事情があって、家族から介護をもらって、そのため、保険者からお金をもらっている制度になっているのですね。ほぼ半分の介護はそういう制度でできているのですね。ただ、実はその裏にブラックマーケットがあるのですね。ある家族は、そのお金をもらっているのですけれども、自分で介護するより、オランダ人とかブルガリア人を採用して、それをやってもらっているケースもあるという話があるのですね。結局、半分以下、3分の1が家族がやって、あとは業者、外の人がやっていることになっていると思います。その残りが大体ケアホームと訪問介護施設がやっていて、訪問介護施設は日本と同じように小さいところがものすごく多いですね。大きいプロバイダーが基本ではなくて、NPOとか、あとは個人ビジネスとしてやっているプロバイダーがメーンになっています。介護ホームは、先ほど言ったように、民間とNPOとか、あと、公務的な機関があります。

PP

 次のページなのですけれども、お金は基本的に保険と自己負担から来ていて、公的な負担は割と薄いですね。医療のほうも同じようになっていて、基本的な考え方は保険からお金が出るということになっています。

PP

 先ほど場所によってフィーが違うという話をしましたけれども、これは具体的な地図で示しているのですが、基本的に東のほうに行くと、つまり、全体的にコストが低い地域、あと、東ヨーロッパから入ってくる人が多い場所はフィーが低い。西のほう、特に南のほう、私が来たところのほうに行くと高くなるという制度になっています。実は、その中にも、例えば、南西のファーレンヴュルテンベルグ州の中でも大きい差があるのですね。田舎か都市かでまた違うし、あと、介護の相手によってフィーが違うという制度になっています。

PP

 それはなぜできているかというと、次のページで、基本的に医療のほうでも介護のほうでも同じですけれども、フィーの交渉があるのですね。プロバイダーと保険者の間で。プロバイダーは、我々のほうはこういうコストがありますから、このぐらい出してくれないと仕事ができない、もちろん競争相手もいて、みんなそれなりの数字を出していって、それで保険者が、わかりました、では、ことしはこのぐらい出しますよというネゴシエーションになっています。実際、サービスレベルによって、また場所によって、フィーが大幅に変わってくることになっているのですね。逆に、それによって、各プロバイダーは基本的にその場所でうまく仕事をできるはずです。コストに見合うような提供ができるはずで、例えば、南のほうの人材確保は特に困るとか、北のほうは困らないとか、また、田舎のほうは特に困るとか、そういうのは余りなっていないですね。専門性を持っている人だったら、それでもうまく確保できていない場合はまだ残っています。それは全体的な制度の問題であって、仕事の魅力がまだ余り伝わっていないという問題があると思います。

PP

 次のページは飛ばして、12ページ、民間のプロバイダーなのですが、これはケアホームのプロバイダーになって、大きいプレーヤーでも2%しか持っていないのです。ただ、こういうプレーヤーは大体、ある場所に集中していて、その辺でもっとシェアを占めていて、力を持っているのですね。

PP

14ページ、15ページですが、こういう民間のプロバイダーは、自分の人材の確保が大事と思っていて、いろいろな苦労の中で自分の仕事の魅力が伝わるように環境をよくしたり、専門の責任を与えたり、いろいろ頑張っていて、大きいプレーヤーはそれで何とか人材の確保はできているという話があります。

PP

 最後のまとめですが、日本にどういう意味合いがそこから出るかなのですが、まずは、日本でもしかするともう少し検討したほうがいいのは、専門性の話ですね。介護ワーカーの皆さんが同じ専門資格を持つべきなのか、そこをレールをつけることがもしかするとできるか、それによって簡単に人が入って仕事ができる、あと、専門性が高い人にもっと魅力が伝わるということができるかもしれません。

 もう一つは、民間のプロバイダーの力を生かすことだと思うのですね。特に伸ばしたいプロバイダーだったら、労働環境に対して頑張らなくて進まない状況になっていますから、こういうプレーヤーの力を生かして、もっと全体的な制度に対して影響を与えてもらうことは可能でしょうかね。

 あと、給付のほうですね。場所によって、日本の状況が大分違うと思いますので、そこで診療報酬体制を調整する必要があるかどうかという議論が必要かなと思っています。

 以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 それでは、皆様から質問をどうぞ、お願いします。

 石橋構成員、どうぞ。

○石橋構成員 どうも発表ありがとうございました。

 2点ほどお伺いしたいことがあります。まずはドイツにおける介護の専門職の養成のあり方についてが1点。それから、実際にドイツの介護施設などにおいては、そういう専門資格を持った人と、そうでない人の割合がどのくらいなのかということ、この2点、よろしくお願いします。

○カンツラ様 実は、私、そんなに詳しくないので、印象からしか話せないですね。もしよかったら、後で数字を渡しますけれども、専門資格を持っている人の割合はとても少ない感じはしますね。多分、5%程度だと思いますね。あとは、皆、すごく簡単な資格を持って、簡単な仕事しかできない制度になっています。

○田中(滋)座長 どうぞ、田中(愽)構成員。

○田中(愽)構成員 ありがとうございます。

 外国は、私たち日本が、この高齢者問題、介護問題をどのように解決するかということについての関心度がおわかりでしたら教えていただきたいと思います。

○カンツラ様 確かに基本的に外国は、日本は高齢化が一番進んでいる国なので、日本はどうしているか、何をやっているか、日本から何を勉強できるか、実はよく聞いている。私も聞かれているのですね。余りはっきりした答えはまだできないのは本当に残念ですね。

○田中(愽)構成員 非常に関心が高いということですか。

○カンツラ様 関心は高いです、もちろん。ほかの国の場合も基本的に高齢化がすごく進んでいるのですけれども、日本と違うのは、ほかの国から入っている人がいて、全体の高齢化の影響が日本より厳しくないということになっています。

○田中(滋)座長 どうぞ。

○佐藤構成員 ありがとうございました。

 収入のことでちょっと伺いたいのですが、やはりドイツでも介護に従事する人の待遇は低いというお話があって、それは賃金ベースの低い東欧諸国からの労働力が入ったことによって起こっているという現象はかなりあるのでしょうか。

○カンツラ様 15ページに具体的な数字があったのですが、ほかの仕事と比較できるようになっているのですが、基本的に、どんな仕事に比べても低い給料になっています。残念ながら。

○佐藤構成員 その原因としては。

○カンツラ様 原因としては、人がその仕事をすぐやってくれる割合があるのが1つと、診療報酬体制ができて、保険者が厳しくお金を出そうとしていますので、プロバイダーも少し利益をとりたいということで、それで給料が決まってしまうという傾向になっています。例えば、医者だったら、相当出さないと仕事をしてくれないという問題がありますから、結局、ディマンドとサプライの問題で低くなっているということだと思います。

○佐藤構成員 日本国内では外国人の方が介護の中で仕事をするという環境はまだできていないのですが、今、検討はいろいろされているのですけれども、その1つの懸念材料の中に、全体的な賃金ベースが落ちるのではないかということも出ていましてね。それは今、御説明の中で、東欧から安い労働力が入ることによって賄っている部分があるという御説明があったので、ちょっと私はそれが気になったのでお伺いしたという経過です。ありがとうございました。

○カンツラ様 それについて追加で、もちろん、いろいろな国にそれについて懸念はあるのですね。自分が年を取ったら、外国人に面倒を見てもらうのがいいのか、そういう議論もありますけれども、現地の人が余りそういうことをしたくないから仕方がなくて、そういうふうになっているのも現状だと思います。

○佐藤構成員 ありがとうございます。

○田中(滋)座長 堀田構成員。

○堀田構成員 ありがとうございました。

16ページのまとめのところで、さまざまなスキルレベルに細分化できて、それに基づいてサービスの提供も階層化できるということを学びとして書いておられるのですけれども、2010年、2011年にOECDで各国の施策の比較をやったときに、分業したほうがいいのか、それとも統合的にしたほうがいいのかというのはかなり意見が分かれていて、ドイツについては、細分化を進めたほうがいいというふうに合意がとれているという意味なのか。少なくとも2010年段階では細分化、分業化したほうがいいというタイプの意見、研究と、それから、統合的なというところがいろいろとあったわけですけれども、もしドイツの中で合意がとれているのであれば、どういう背景で分業、細分化したほうがいいということになったのか、教えていただけますか。

○カンツラ様 それは単純に分業しないと資格を持っている人が足りなくなるからですね。高い資格を持ってもらうには、そういう人たちに集中して頑張るしかないという背景があるのですね。患者のためには、みんな高いスキルレベルで何でもできるのがベターだとわかっていますけれども、現実的ではないということでそういうふうに進んでいる。

○堀田構成員 ドイツではそういう議論になったということですね。ありがとうございます。

○田中(滋)座長 もう一つ、どうぞ。

○石橋構成員 もう一つなのですけれども、専門職と、専門職でない人の賃金の差がどの程度あるのか、参考のために、わかれば教えてください。

○カンツラ様 数字が手元にないのですが、専門のほうはどちらかというと看護師に近い程度になっています。看護師はドイツのほうでちょうど足りないぐらいにいるのですね。それなりに魅力的な程度になっています。

○田中(滋)座長 よろしいですか。それでは、カンツラ様、貴重な資料をそろえていただきまして、どうもありがとうございました。

 本日のヒアリングは以上でございます。ヒアリングに御協力いただいた皆様、どうもありがとうございました。ここで席を御移動ください。

 引き続き構成員の方々には、残りの時間を使って、今、伺った話を踏まえつつ、介護人材確保の方策について議論を進めてまいりましょう。

 ここで、事務局で前回の議論をまとめていただいた資料があります。説明をお願いします。

○武内室長 説明させていただきます。タイトルに「第1回検討会での議論について」という表紙がついているものがございますので、こちらを御参照ください。

前回の議論では、幾つかの方法で、すなわち、1つは事前にペーパーで出していただく形、もう一つは検討会の中でディスカッションしていただく形で御意見をいただきました。その中での意見は2種類のものがありまして、1つは、新たな問題提起をしていただくという部分がありまして、もう一つは、個々の問題について方向性を御提案いただくという、この2種類の御意見がございました。

それで、今回は、前回の資料でお示しをした課題構造と論点という整理に基づいて、いただいた御意見を再整理させていただいたということになっております。1ページ以降、見ていただきますと、今回お示しした資料には、前回の課題構造と論点のところで示した論点に皆様からいただいた御意見、関連するものをひもづけしてやるという作業をいたしております。なおかつ新しい論点をいただいた場合とか、既存の論点ではなかなか問題意識をきれいに整理できていなかったものについては、新たな論点や、少し論点の修正をしてやるという、そういうことになっております。1ページ以降、主に右側を見ていただきますと、課題解決に向けての論点が「○」、それについて皆様からいただいた御意見が「・」で書いてあるという構造です。

ポイントだけ御紹介いたしますと、1ページ目はイメージの話で、介護職の本質的な価値をどのように表現するか、生活能力を引き出し、その尊厳を守りつつ自立を支えることをどう表現するかということについて、このポツにありますような御意見をいただいています。

下の段、対象に応じた情報発信という意味では、事業者、職能団体、関係機関などが連携をして情報を発信していく必要がある。その際には、保護者、あるいは若年層に対してしっかり伝えていく必要があるという御意見をいただいています。特に介護事業者が明確に打ち出す必要があるという意見が出ております。

2ページ目ですけれども、さまざまな潜在的な人材層にどういうふうにアピールをしていくのか。ターゲットごとのプロモーション手法を検討すべきであるとか、あるいは介護の強みである「福祉の提供」「24時間型」「居住地近傍の職場」などといった競争優位の点を強調すべきという御意見もいただきました。

3ページ目に行きます。3ページ目には、女性が働き続けられる環境づくり、高年齢者層の参画についての論点について。こちらでは、御意見といたしましては、上の段、主婦層を対象とした教育訓練機会を事情すべきという御意見。

それから、下の段では、地域の介護体験の機会をふやすというような論点に対して、特に男性について、第2の就業の選択肢となるよう、地域における生活と密着した就労支援、介護実習の場を構築すべきという、女性、あるいは高年齢者に対して、地域触れる機会、学ぶ機会をつくってはどうかという御意見をいただきました。

4ページに行きます。4ページは、介護福祉士の登録者の半数が働いていないという潜在の問題です。これに関しては、離職後に介護の現場に再就業しやすいような環境を構築すべきという御意見、それから、介護報酬上での評価や、資格の価値を高めるべきというような方向性が示されました。

5ページ目にまいります。求人と求職者側のマッチングの話について、上の段では、介護事業者側の努力としてどういうことを行うべきかということに対し、他業界で当たり前に行っている採用活動をしっかり学ぶ必要がある。あるいは、介護業界、事業者が求める人材ビジョンを明確にすべきという話。それから、将来の見通しがつく給与体系の整備ということをいただきました。また、福祉系だけでない、一般学生の採用育成という転換を図るべきということであるとか、最後のポツのところでは、一定の範囲の介護業務には一定の知識・技術が求められていく。誰でもできる仕事ということではなく、一定のスキルが必要な仕事というところも発信していくべきという御意見もいただきました。

それから、下の段、求人・求職者双方にとっての情報という意味でどういうものが必要かということに関して、直接これに関係する部分と、そうでない部分がありますけれども、福祉人材センターの機能強化、それから、施設、教育機関との連携が必要。そして、介護サービス情報公表制度を使った事業者間の競争を促すべきという御意見もいただきました。

6ページに行きます。現場と教育の乖離についての論点についても御意見がありました。これに関しては、右上の○のところに関し、実習施設、教育施設側の取り組みという論点があります。これに関しては、介護実習生の受け入れに当たっての適切性を判断する仕組みを構築すべきということ、それから、質の高い介護実践現場で介護実習を行い、学生の就業意欲を喚起していくことが必要だという御意見をいただいております。

7ページに行きます。介護職の専門性という部分につきまして、上の段には、介護の専門性と、それを裏づけるスキルは何か、それをどう伝えるのかという論点に関しまして、1つ目は、一律に介護人材という表現をするのではなくて、介護にかかわる中でもさまざまな期待される役割・働き方が分類できるのではないかという御意見をいただきました。また、その下のポツのところでは、利用者像に対応する人材配置のあり方を検討すべきという御意見もいただいております。

また、下の段で、介護の専門性向上をさらに促すための取り組みとしてどのようなものが必要かということに関しまして、介護の仕事・専門性の「見える化」を図るため、専門性評価のスケールを構築すべきという御意見。それから、医療職とのエビデンスベースでの連携や、自立支援というところに向けた専門性の確立を図っていくべき。それから、介護の専門性を科学的に実践する。それに対する社会的評価を得るようにしていくという視点。それから、「自立支援」の実践手法である「介護過程」というものの理解・周知を図っていくことが必要ではないか。介護報酬でプロセスやアウトカム評価を検討すべきではないか。それから、キャリア段位の活用。そして、一番下のポツでは、専門教育を土台とした資格制度の確立、有資格者による業務独占の検討、現場教育における指導体制の構築、こういった観点が示されております。

8ページ目にまいります。専門性を向上するに当たってのキャリアパスをどう確立するかという論点です。これに関しては、幾つかの御意見、共通している部分が多いのですが、多様なキャリアパスの構築を検討すべき、医療職、関係職種との整合性のある養成体系、そして介護福祉士資格の評価を高めること、また、介護福祉士などの資格を取得した後のキャリアパスの構築という観点も大事ではないか。そして、一番下には、業界共通のキャリアを評価するスケールの構築。それから、介護職、あるいは医療、地域住民との連携を見据えたマネジメント人材の育成という論点も御指摘をいただいています。

9ページ目です。9ページ目は、キャリアを向上するための環境が事業所によってまちまちであるという観点に関して、右上のところでは、キャリア向上の運用能力を高めていくためには、法人内キャリアパスを構築、明確化するということで、個々の職員にアプローチをしていく。その前提として法人の理念、目標を職員と共有していくことが大事ではないかという御意見をいただいています。

また、小規模事業所での人材育成に関しては、ここは基本的なスタンスとして、小規模事業所の経営者の意識改革を進める必要がある。あるいは、それを一歩進めて、小規模事業所同士が連携し、共通のキャリアパスを構築すべきという御意見をいただいています。

10ページに行きます。雇用改善に向けた取り組みがまだ十分に進んでいないことに関して、これも多角的な論点からいただいております。ここはむしろいただいた御意見をベースに論点を起こしたという性格が強い部分ですけれども、介護現場のマネジメント人材の育成を進めるべき、事業者に対する労働関係法規やワーク・ライフ・バランスに関する研修の充実、それから、リフト等の設置の推進方策、福祉用具や介護ロボットの活用推進、それから、介護職の適正賃金水準確保の制度的な対応を含めた方策を御提案をいただきました。

11ページになります。11ページには、環境・処遇改善への動機づけがまだ不十分だということに関して、事業者間での違いがあることに対しての論点ですが、右上のところ、「選ばれる事業所」となるためのインセンティブづけをどうするかということに関しまして、個々の事業所として選ばれるよう、広報や情報開示の評価を進めるべきという話。それから、有料な事業者についての好事例を積極的に広め、評価をしていく。逆に離職率が高い事業所を公表すべきという観点もいただいております。

それから、12ページ、地域での取り組みに差がある、地域での取り組みをどう進めるかということに関しまして、地域全体での取り組みの推進基盤をどう形成するかという論点に関し、地域内で各団体がばらばらに動き、都道府県としてのビジョンがない状況を改善すべき、その枠組みを超えた取り組みを協働して行うべきという御意見がありました。また、介護保険事業計画や地域医療構想と連動させて、マネジメントサイクルを構築すべきという御意見もいただきました。それから、「地域包括ケアの構築」という視点に根差して、求められる人材の質・量や働き方を踏まえたさまざまなレベル、現場レベル、マネジメントレベル、制度レベルでの人材配置基準や介護報酬の支払いなどのイノベーションを促す、そのためのネットワークを構築すべきという御意見もいただきました。また、保険者単位での人材確保対策を検討すべきという御意見もいただいています。

最後に13ページです。13ページは新たに起こした項目、塊です。幾つかいただいた御意見の中で、介護人材に関するグランドデザインをつくっていく、中長期的な観点からの方向性をしっかりとつくっていく、そういう政策的なマネジメントをしていくべきではないかという御指摘がありました。具体的には、右の欄にありますけれども、全ての地域住民が介護問題の当事者であることを前提とした上で、介護人材の役割、誰がどこまで何を担うのかを明確化すべきである。あるいは2つ目にありますが、人材のレベルごとに、将来それぞれどの程度のマンパワーが必要になるかを検証すべき。それから、中長期的な視点からの外国人の育成という御指摘もありました。

それから、下の段、時間軸に沿った中長期的な工程をどのように描くかということに関しまして、一番下のポツにありますように、質と量、この両方を継続的に確保するに当たっての時間軸に沿ったグランドデザイン、工程表、数値目標などを構築すべきという御意見をいただいております。

資料の説明は以上です。

○田中(滋)座長 武内室長、ありがとうございました。

 私たちが前回話した内容をこのように、一種、構造化したのですかね、まとめをいただいたおかけで、問題提起や対策の方向性について、かなりまとまって網羅的に提示されているように感じます。

 本日は、さらに議論を深めるために、このペーパーをもとに、さらに具体的な対応の方策について御意見をいただければと思います。また、ここではカバーされていない論点、こういう論点が抜けているというような御指摘があっても結構だと思います。それでは、どうぞ、よろしくお願いします。どうぞ。

○西條構成員 大変整理がされていて、ありがとうございます。

 その中で、私、この検討会の論点と一番したいと思っていたのは、13ページにまとめていただいている「中長期的かつ具体的な見通しを踏まえた対策が必要」と、この部分だと思っています。どちらかというと、これまでのといいますか、国、都道府県も含めて、現在の人材確保対策というのは、どうしても人材確保といいますか、人手不足に対して緊急的にどう対応するかということに重点が置かれていまして、本来は人材育成というのは息の長い取り組みでありますし、その業界の発展には欠かせない要素だと思っています。まして介護業界というのは、人によるサービスの質が問われているのに、これまで量ばかり重視した施策に偏っていたのではないか。

例えば、基金で進めています潜在的有資格者の再就業促進という事業がございます。本県でも取り組んでおりますが、NPOとか養成施設等で、地域住民とか主婦、有資格者などを対象といたしまして研修事業を開催していますが、参加者はそれなりに集まるのですが、外国性県民を対象とした研修以外には、実際には就労には結びついていないのです。また、小規模事業者の連携による研修事業なども、現任職員の人材育成にはそれなりに寄与しているのでしょうけれども、キャリアパスという視点では研修を進めておらず、処遇の改善にも結びついていないと、これが実態でございます。事業所の職員として、あるべき基本的な資質、態度、こういったことも研修項目として加えていく必要があるのではないか。

基金事業の中で、人材センターへのキャリア支援専門員の配置というのがあります。これは私どもも非常に高い効果を得ておりまして、それは寄り添い型のきめ細かい相談対応とか、就労あっせんを行っているからでございまして、求職・求人数もこの支援員のおかげで倍になっています。人材センターに配置しているのですが、人材の確保、育成が継続してできるように、ぜひ基金事業にとどまらず、このキャリア支援専門員の配置というものを、人材センターの機能強化の方策として、ぜひ継続して取り組んでもらいたいなと思っています。

 もう一つは、認定介護福祉士の取得をにらんでチームリーダーを独占する、本県県単でファーストステップ研修というのをやっています。これは幾つかの人材育成に理解のある法人、事業所が共同で研修を企画して実施しているのですが、キャリア形成に資するというものでございまして、参加施設もふえており、ぜひ拡充のために、認定介護福祉士をにらんだ研修となっておりますので、今後も国の支援もいただきたいなと考えております。

 以上、要望も踏まえてお話しさせていただきました。

○田中(滋)座長 西條構成員、ありがとうございました。

 では、石橋構成員、どうぞ。

○石橋構成員 そもそも介護福祉士を含む介護人材確保につきましては、私どもは常々、介護サービスの質の向上のためには人材の質の向上が大切だと思っています。しかしながら、一方、やはり量の確保が必要だという御意見もあるかとはお聞きしますが、本来、人材確保を考えるのであれば、今、介護の現場ではどのような介護が求められているのか、どのような介護人材が求められているかということを念頭に置いて検討していく必要性があるのではないかと思っております。介護保険法の施行に伴いまして、尊厳ある介護、自立に向けた介護、それから、個別ケアが求められ、最近では新しいサービス体系として小規模多機能型、それから、ユニットケアなど、新しいサービス体系がきちんとできる介護職、それから、これから地域包括ケアが推進されていくわけで、そこでの新しい役割を担う介護職員、それから、認知症ケア、最近では医療的ケアなども介護職員は求められてきております。このように、今、求められている介護は非常に多様化、また高度化してきているわけですから、介護職員の質は非常に高いものだと認識する必要性があるのではないかと思っております。

その上で申し上げたいのは、介護の質が向上すれば、介護の社会的評価の向上や、介護に対するイメージが向上し、そのことが介護の魅力を高めて、介護人材の量の拡大につながると、そういう方向性を検討会でしっかり打ち出していくべきではないかと思っております。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 平田構成員。

○平田構成員 先ほどの2025年までのグランドデザインを描くという際に、具体的な工程表をつくる際のデータをどう確定するかという事が重要です。今日おいでの介護労働安定センター、人材センター、あるいは試験センター、この3機関ぐらいのデータしか使えないのですけれども、2025年までに、どういうデータがあれば、中長期的、あるいは短期の具体的な工程表にそれを適用できるかという点が非常に重要だと思いますので、ぜひ今回のグランドデザインのためのデータはどういうデータが必要なのかという確定をまずするような議論をどこかでできればと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 デザインを書くためにはデータがなくてはいけないと、大変大切な主張でした。

 堀田構成員、どうぞ。

○堀田構成員 順番に、まず参入促進のところですけれども、イメージが未確立というのはそのとおりだと思うのですが、参入促進を考えるときには、対象を今までよりも広げることと、それに合わせてイメージをつくるということの組み合わせ、だから、最後、マッチングというところも入ってくるのだと思うのですけれども、そこを明確に書き分けていただけると、ごちゃっと入っているのですけれども、まずは、今まで余り入ってこなかった層を対象を広げていくこと、それは一般大学卒の人たちとか、中高年とかも含めてなのですけれども、対象を広げること、イメージをつくること、それをマッチングすることが構造としてわかりやすいように書き分けていただけるといいと思います。

 それから、イメージをつくるというときに、悪いイメージを払拭することと、いいイメージをつくることと両方あって、どちらかというと、イメージアップというと、いいイメージをどう出すか、それはものすごく大事なのですけれども、一方で阻害要因になっていることを消すためには、悪いイメージを消すためには、リアルなデータが必要で、先ほどの御指摘もありましたけれども、悪いイメージの払拭のためにはデータが必要で、それにはどのようなデータが必要なのか、それは割と簡単にわかると思いますけれども、しっかり入れることも大事。いいイメージに関しては、きょうもお話がありましたけれども、それぞれの広げたい対象に合わせたリアルな物語を紡いでいく。恐らく職場の中でのリフレクションを通じてもそれが紡がれて外にも出されていくということがいいのだろうなと思いました。

 もう一つ、きょうも森近さんからのお話があったときに、イメージというと、これまでの介護のイメージというよりも、より広く、まちづくりであるとか、いろいろな新しいイメージを持って伝えていこうというような、そういう発想を明確に出すのも大事だろうと思います。

ただ、他方で、山田さんの御指摘の中にもあったと思いますが、そういう見せ方に乗って入ってみたら、どなたかも御指摘があったと思いますけれども、中身がそんなに伴っていなかったというのは、逆にショックでやめる割合を高めてしまうわけなのですけれども、結局、介護職の方々の定着促進ということを考えるときには、ケアの質と仕事の質が極めて近い関係にある職種の方々なのですね。なので、参入促進、そして定着促進を語るときに、前回申し上げたような気がするのですけれども、サービスの質ということと結びつけて話さないといけなくて、どうしてもストラクチャーに目が行きがちで、ケアパスをどうするかということに目が行きがちなのだけれども、それはそれで結構だけれども、サービスの質に貢献するストラクチャーなのか、サービスの質に貢献する、仕事の質に貢献するマネジメントなのかということは議論されるべきことではないか。余分な、無駄な仕組みをどんどんつくってしまうことになりかねないのではないかと思います。

 それから、中長期的なということは、前回、私も発言させていただいたところですけれども、この中長期的なグランドデザインということを考えたときに、やはり地域包括ケアシステムの中で議論されているような日常生活圏域の中での機能の統合をどう進めるかという観点での議論が欠かせないと思います。この検討会でそれをやり切るのは無理なのではないかと思いますけれども、どのような場をこれから持っていくのか、どのようなデータに基づいてどういう場をつくっていくのかということは、ぜひ方向性を示していただきたいと思います。

それから、最後ですが、分けていただき方のときに、中身としては入っているのですけれども、参入促進と資質の向上と処遇改善と何とかかんとかというのがあるときに、これは御意見違う方もあるかもしれないですが、介護人材というのも何とかしなければいけない言葉かもしれないのですが、需要の伸びを緩やかにするということをちゃんと立ててはどうかなと思います。地域全体をケアする人にするとか、本人の力を引き出すとかといったことも、どちらかというと、需要の伸びを緩やかにするということに戦略としてははまってくることかもしれず、そういう整理をすることによって割と見えてくるようなこともあるのかな。逆に言うと、需要の伸びを緩やかにするようなアプローチと、専門職として確保したい人たちの参入促進、定着何とかということを一緒に話してしまうと、ちょっと混乱するのかなと思うのですね。だから、地域の住民全体をケアする人にしていくとか、例えば、一般企業、あるいは学校でももっと、ケアは介護という概念だけではなくて、保育とか、さまざまなケアし合うという概念で広く担い手にしていくという発想はすごく大事で、でも、そのことと介護人材の議論を一緒にすると、うまくいかないし、反発もものすごく大きくなってしまうと思うので、そこはぜひ書き分けていただきたいなと思います。

以上です。

○田中(滋)座長 貴重な御指摘ありがとうございました。

 どうぞ、田中(愽)構成員。

○田中(愽)構成員 きょうは、飯塚さん、森近さんの報告をお聞きいたしまして大変勇気づけられました。量の問題は質の問題は欠かせないという結論だったと思うのですけれども、得てすれば量の問題が優先されて、質は、言葉では捉えられるけれども、余り実践が伴わなかったというのが私の強い印象でございます。

そういうことで、質の問題を考えた場合に、私は介護福祉士を養成している者でございますけれども、この資格はそもそも業務を適正化することが出発点ではなかったかと理解しております。しかし、これで二十数年来ました。いよいよそこから専門性ということに近づきつつあるのではないかということでございますので、そういうところの専門性を高めていくという、こういった方向性がどのようにつくられていくのかという点がまず1点、重要ではないかと思っています。

 2点目は、この資格につきましては、先ほどのドイツの例も、いろいろな細分化があって、いろいろな人が参入してくると。しかし、キーパーソンは必要ですよという御指摘だったかと思います。山田さんの御指摘もそうだったかと思います。そのときに、私たちは教育する立場としては、介護福祉士というものについて、1つは教育、そして国家試験、そして資格と、この三位一体が大切だと思っております。ところが、この教育がちょっとおろそかになるような傾向があるように思いますので、国家資格というのは国家試験だけではなくて、教育というものをしっかりやっているということが大事ではないか。そのことが人材を正しく育てていくための要因ではないかと思います。

 最後にもう一点でございますけれども、私たちは就労前教育というものをやっております。介護課程というものを学校で教えているわけでございますが、卒業してから、そこのところがなかなか腕が振るえないという現状がございます。そういう意味からしますと、学校教育と、それから、現場の教育というものをもう少し連携を持って、長い目で、ロングスタンスで人を育てる必要があるので、我々も学校としては、今までインプット、どういう教育をするかということばかりに大変力を注いできました。しかし、つい最近から、どういう能力を身につけるか、世間にわかるように職業能力を示そうではないかと、ここまで来ました。ですから、そういうことについて、現場と連携をしながら、そのような人材を育てていくためには、ぜひとも今後とも協力体制をやっていきたいと、こういうふうに思っております。

○田中(滋)座長 教育のあり方まで言っていただきました。大変正しい御指摘ですね。ありがとうございます。

 井上構成員、お願いします。

○井上構成員 ありがとうございます。

 きょうの森近さんのお話を聞いていまして、純粋に楽しいというお言葉があったと思います。多分、この仕事を始めた最初から楽しい部分があったと思うのですね。今も多分、楽しいのだと思っています。そういうふうに感じたときに、最初は当然初心者なわけなので、そのときの楽しさは何なのだろうと考えるのが重要なのではないかと考えました。では、その楽しさは何かというふうになると、先ほど山田さんからお話がありましたけれども、正解がないとおっしゃいましたね。正しいほうの解はないけれども、なるほうの解というのは、必ず利用者と接しているときにあると私は思っているのですね。利用者と接して、なるほうの解が出てくる。その中で知識の部分が必ずあって、そのために正しいほうの解を勉強しなければいけない。それの循環が回ってくるというのが専門性が高められていくことなのではないかと、きょう、非常に強く感じました。そうなると、なる解のほうで楽しむという仕事の仕方が1つはやはりあるのだろうと。それが介護の入口を広げるときの楽しさとしては1つあるのではないかという考え方を持ったほうがいいのではないかと思ったというのが1つです。

 一方で、知識としての正しい解を積み重ねていくことによる専門性というものがあって、それはある種の厳しいものだというふうに、私はきょう話を聞いて、すごく感じました。そうなると、そういったところを目指す方々と、入口のところでの楽しさをずっと追求できるという2つの考え方をきっちり明確にしたほうがいいのかなと。もちろん皆さんが正しいほうの解に近づけることは大事なことだと思いましたけれども、そんなことをちょっと感じました。

○田中(滋)座長 ありがとうございます。

 どうぞ、高橋構成員。

○高橋構成員 私がしゃべると、どうも誰かが傷つくのです。だから、本当にしゃべらないように、しゃべらないように自分に言い聞かせているつもりなのですが、やはりしゃべらないわけにいかないですね。私は福祉系高校の校長会の代表ということでこの席に座らせていただいております。介護福祉士養成につきましては、福祉系高校は教育を云々と言われることはないつもりで最大のベストを尽くして、今、取り組んできているのです。そのことをまず1つね。

 それから、どうでもいいことなのかもしれないけれども、青森は雪が何メートルも降るのですよ。去年、朝の6時半ぐらいに犬の散歩をして、犬に引っ張られてひっくり返って左足を複雑骨折しました。それで左足に金が3本入っているのです。私は足を折って初めて、整形外科の先生が世界で一番偉い人だということを認識いたしました。本当は注射されてもびびるのですけれども、足を切って金を入れたり、いろいろやる。それで43日入院する中で、看護師の方に下の世話もしてもらったと。

こういうことで、大変恥ずかしかったのですけれども、介護福祉士の方もおりました。そういうことで、私は人材が足りないというのは、厚生労働省の方は耳が痛いかもしれないけれども、介護福祉士の皆さんにもっと法的に報酬を上げるべきだと思いますね。一生懸命教育もしているし、育てて出すけれども、3Kとか4Kとか、わからないことを言われて、離職率が高いと、こういうことは、1つには給与の面において魅力がない。学校の先生は誰でもやれるのですね。大学で教職課程に入ると、誰でも免許取れて、誰でもが教員などというのは勤まるけれども、しかし、介護福祉士とか医者とか看護師というのは誰でもが勤まらない。私、これこそ専門職だと、こう思うのですね。

また嫌味になるのですが、ティーチャーと政治家の先生と、それから、ドクターでは、えらい人間というのか、偉さに違いがあるなと、私は認識をしているのですが、消費税が上がりましたけれども、そういうのは介護福祉士に回っていくように、厚生労働省でしっかりと予算をやってもらうということをしゃべることがこの場にふさわしいかどうか、ちょっと気が引けるのですけれども、どうしても言っておきたいと、こういうことでございます。どうも済みません。

○田中(滋)座長 介護給付表分科会みたいですね、それこそ。ありがとうございました。

 どうぞ、堀田構成員。

○堀田構成員 今、養成校の立場と福祉系高校の立場から続けて御発言があったので、考えてみますとということなのですけれども、今、事業者介護に携わる、それは社会福祉法人だろうと、法人主体の種類を問わず、いかに地域と協働するかということも問われていると思いますが、それは事業者側だけではなくて、学校、教育資源の側もそうなのかなと思っていまして、いかになる前の方々、そこにいる人たちだけではなくて、そもそも地域の一般の小・中学校の子たちとか、あるいは一般の事業所の人たちが介護に興味を持ったら、介護の知識がなくて離職していったりする人もいますので、そういった方々にとっても学びの場になったり、あるいは福祉系高校も幾つか伺わせていただいて思ったのですけれども、特に地方で、かつ1法人1事業所のところが多いような場合には、福祉系の高校、あるいは養成施設が卒業後も卒業生のネットワークを持っていて、そこで学び合えるような仕組みをつくっているのではないかなと感じさせられるところもあって、学びの資源も、事業者側もその資源を外に出していくし、教育の資源も外に出していく、そこが常に触れ合っている状態になることによって、教育と現場のギャップも埋まっていかないかしら、地域の人がみんなケアに入って、ケアということにかかわってこないかしらというふうに期待しました。

 以上です。

○田中(滋)座長 どうぞ、佐藤構成員、お願いします。

○佐藤構成員 きょうのヒアリングのところで意見を述べさせていただきたいと思うのですが、まず、飯塚さんと森近さんのところで非常に強く感じたのは、こういう若い経営者と若い介護従事者が、このモチベーションをどうしたら続けられるかなという思いが湧きましてね。51%の利用者とのコミュニケーションのよさが、恐らく49%のいろいろな挫折感を乗り越えて、彼らの向上心を支えているのだろうなと。

そういうところで、前回の資料でありましたとおり、離職率という見方ではなくて、今いる人たちの定着率をいかに上げるかという視点に立っていくと、恐らく飯塚さんはセラピスト的なこともやっているだろう。要するに社員とモチベーションを高めるためのカウンセリングをしながら、あるいは社員の悩みを聞きながらマネジメントができているのだと。でも、そういう事業者ばかりではないですね。そういう事業者を支えていく地域の中の仕組みが何かあれば、例えば、セラピスト的な、あるいはカウンセリング的なものは利用者だけのものではなくて、そこに働いている人たちで共有できるような、そういう場所があると、定着率、リテンションが高まっていくのではないかと感じました。それには、先ほど山田さんからお話があったような、事業者が協働でやるような、手弁当なのかわかりませんが、そういう共助的な組織が地域の中ででき上がってくると、実行力もあるのではないか。小さい事業者でできないようなカウンセリングが、その場所に行くことによって、社員である人たちの介護従事者がモチベーションを落とさないで仕事を継続できるみたいなものがあると非常にいいなということをきょうのヒアリングの中で感じました。

 以上です。

○田中(滋)座長 山田構成員、お願いします。

○山田構成員 きょう、武内室長から御説明いただいた前回の資料の13ページです。「グランドデザインの必要性」という新しい項目をお加えになったということで、ここで皆さんからも出ています介護人材については、6行目の役割、誰がどこまで、何を担うのかという表現、あるいは前回も何人かの構成員の方から出ていましたが、介護というイメージをある程度整理していったほうがいいのではないかと、私もそう思っているのですけれども、そのときに、どちらかと言えば、事業者の側から、あるいは財源とか、いろいろな視点でこの介護人材というのは、見方によって変わると思うのですが、私はやはり介護を受ける側からの視点、私も1年前に父を在宅でみとったのですけれども、最後は要介護5の重度アルツハイマーということだったのですけれども、横でずっと見ていて、これから家族がそばにいないという場合は特にそうなのですけれども、24時間365日、絶対必要なのですね。しかも介護職、部分的には看護職、医療、これなしにやっていけません。ただ、やはり中核になるのは介護人材だと思います。

そのときに、サービスを受ける側から見たときに、どういう人材に対応してほしいかという視点で整理していったらどうかなと。そうなると、認知症と身体的な障害、あるいは疾病との複合的な状態の方、どこでも話題に出ます。これは入院の問題でも、病院から出ていってほしいと。そのあたりの、24時間365日サービスが必要な人はどういう人材が対応すべきなのかという視点。そうなると、そういうところにかかわる人材の専門性というのはかなり高いものが求められる。では、教育はどうするのか、雇用条件、給与はどうするのかと、こういうふうな形で、時間軸という表現になっていますが、ロードマップをしっかりと制度のほうでおつくりいただいたらどうか。

特に、前回も申し上げた2030年ぐらいには、それから先40年ほど、一応、安定期に入ると思うのですね。今、急激に需要拡大、供給拡大の中でゆがみが出てきていますが、前回申し上げた安定期に入ったときに、世界の介護のモデル的な国になるためにはという、そういう視点で、教育の問題、報酬の問題、少し整理するような意味で時間軸に沿った長期的な工程を、データも含めて整理することが必要かなと考えています。

 以上です。

○田中(滋)座長 では、松本構成員、どうぞ。

○松本構成員 11ページの資料なのですが、一部の離職率が高い事業所を公表すべきだということなのですが、足もとの悪いイメージばかり公表するのではなくて、事業所としていい取り組みをやっているところがたくさんあるわけなのですね。人材育成、安定教育、また地域社会の還元とか、そういういい取り組みを出して評価していくことが大事ではないかなと思います。

また、先日、17日に各都道府県の人材確保の対策の担当者を集めて厚生労働省で戦略会議をやったと聞きました。県の担当者もすごくいい会議だったと言っています。行政とか、きょうプレゼンされた方とか、みんながばらばらな動きになるのではなくて、本当に連携をとって一緒にやっていく、オールジャパンでやっていく、そういう形が一番大事ではないかと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 そうですね。個別の対応策ではなくて、全体を統括して戦略のもとに動いていかなくてはならない。皆さん言ってくださったことでしたね。ありがとうございます。

 どうぞ、最後に。

○竹内代理 先ほどオールジャパンという話が出ましたけれども、介護を利用する立場という意味では、ほとんどの人は誰かしらに介護されながら最期を迎えるでしょうから、やはり介護というのは非常に身近なことです。しかし、一方で、例えば、職場の中でも、介護について語るのはまだまだはばかられるといいますか、育児については、子育てしていることを会社で普通に話す風景がありますけれども、介護について、スムーズに話すような環境にまだないということもあります。そうした意味では、介護業界や地域、行政に加えて教育分野、職場レベルでも、介護についての理解、あるいは介護保険制度はどういうものか、現在の介護人材に係る状況、処遇などについて、身近なレベルでもわかるような、そうした環境づくりも必要であると感じました。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 最後に事務局から1つ報告事項があるそうなので、お願いします。

○武内室長 最近の立法府の動きについて御報告します。構成員の皆様の机上には第1回の資料もお配りをさせていただいています。その中の39ページをごらんいただきますと、今国会に提出されていた医療・介護総合確保推進法案についての資料が入っています。こちらの動きなのですが、こちらの医療・介護総合確保推進法案については6月18日に成立をいたしました。

この中で、39ページにも書いてありますが、3点、介護人材に関することがあります。1つ目が、平成27年度より、介護人材の確保も含め、新たな財政支援制度が創設をされます。

それから、2つ目ですが、今後1年を目途として、介護関係業務に係る労働力確保のための方策について検討を加えることとされております。この検討会では、この検討規定の趣旨を踏まえて引き続き検討を進めていただければと考えております。

また、3のところに書いてあります介護福祉士の資格取得方法の見直し、実務経験ルートでの実務者研修、養成施設ルートでの国家試験の義務づけなどについて、施行日が1年間延期、平成28年4月1日に延期という形になっております。

このような法案が成立したことを御報告をさせていただきます。

以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

 ただいまの報告について、何か御質問ありますか。石橋構成員、どうぞ。

○石橋構成員 今、室長から、介護福祉士の資格取得方法については1年延期になったことが参議院で一昨日、通過したということでございますけれども、この介護人材確保の検討会と、介護福祉士の資格取得方法については密接な関係がありますので、ぜひ次回からこの検討会で資格取得方法の見直しについても御議論いただければと思います。

○田中(滋)座長 では、次回の検討会では本日の議論を引き続き行いますが、介護福祉士の資格取得方法についてもテーマとするよう、事務局と打ち合わせてまいります。

 最後に、事務局から次回の会合についての説明をお願いします。

○関口室長補佐 次回の開催につきましては、7月1日火曜日10時から12時、場所につきましては、TKPガーデンシティ永田町での開催を予定しております。よろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 すぐ次の会合がありますので、皆さん、お忘れなきように。

 本日の議論はこれにて終了いたしました。構成員の方々、また、お越しいただいたヒアリングの対象の方々、どうもありがとうございました。


(了)

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