ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会・援護局(社会)が実施する検討会等> 福祉人材確保対策検討会> 第1回福祉人材確保対策検討会 議事録(2014年6月4日)




2014年6月4日 第1回福祉人材確保対策検討会 議事録

社会・援護局 福祉基盤課 福祉人材確保対策室

○日時

平成26年6月4日(水)10:00~12:00


○場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンター 14階 ホール14A
(東京都港区赤坂2-14-27 国際新赤坂ビル東館14階)


○議題

(1)介護人材確保について
(2)その他

○議事

○関口室長補佐 皆様、おはようございます。

 定刻となりましたので、ただいまから第1回「福祉人材確保対策検討会」を開催いたします。

 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

 開会に当たりまして、岡田社会・援護局長より御挨拶申し上げます。

○岡田局長 社会・援護局長の岡田でございます。

本日は、御多忙の中、この検討会に御参加いただきましたことに心からお礼を申し上げたいと思います。

 また、日ごろから厚生労働行政の推進につきまして格別の御理解を賜っていることについても、あわせてお礼を申し上げたいと思っています。

 御案内のとおり、我が国は大変急速な高齢化が進展している状況でございまして、いわゆる団塊の世代の皆様が75歳以上になります2025年には介護職員の方が最大で250万人必要というような推計をさせていただいているところでございます。一方で、介護する介護職員の確保の問題につきましては、さまざまな課題が指摘されております。

 後ほど資料を御説明させていただく機会がありますが、介護職員に対する一面的なマイナスイメージが非常に強くあるのではないかということ、離職率が近年やや低下の傾向にございますが、ほかの産業に比べれば高い水準にあるのではないかという御指摘、また離職率は事業所によっても相当ばらつきがあるという御指摘もございます。給与水準が他産業と比べると相対的に低いのではないかという御指摘もございまして、さまざまな課題が指摘されているところでございます。また、今後、少子高齢化が進む中で労働力人口が減少していくということ、経済情勢が好転していく中で他産業に人材が流出する懸念があるということも御指摘されているところでございます。

 厚生労働省といたしましては、これまでも参入の促進、資質の向上、環境の改善という形で一体的な取り組みを進めてきたところでございますが、介護職員の確保対策をより一層推進するためにこの検討会を立ち上げまして、各界の有識者の方から御意見を賜りたいということでお願いすることにいたしたところでございます。

 現在、国会で御審議をいただいています医療・介護総合確保推進法案におきましても、消費税の増税を活用しました新たな財政支援制度が位置づけられていますが、その中の大きな柱の一つといたしまして、介護人材の確保対策が位置づけられているということでございます。また、国会の審議におきましても、介護人材確保対策全般につきまして検討の場を立ち上げまして、早急に一定の方向を示す旨、答弁させていただいているところでございまして、精力的な御検討をお願いしたいと考えているところでございます。

 このため、この検討会におきましては、幅広い観点から福祉人材全般に関する御検討をお願いしたいと思っています。まずは、介護人材の確保につきまして、重点的な御議論、御検討をいただき、可能な限り早期、例えば夏ごろをめどに一定の方向性についてお示しいただければありがたいと考えているところでございます。

 本日は、お忙しい中、介護人材対策につきましての論点、対応策につきまして、あらかじめ御検討いただいていることにつきましても、心から感謝申し上げたいと思います。この検討会におきまして、自由闊達な御議論をぜひお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 続きまして、構成員の方々の御紹介をさせていただきます。

お名前を読み上げさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 公益社団法人日本介護福祉士会会長・石橋真二様。

○石橋構成員 石橋です。よろしくお願いします。

○関口室長補佐 日本社会事業大学専門職大学院教授・井上由起子様。

○井上構成員 井上と申します。よろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 株式会社リクルートキャリアHELP MANJAPAN担当・門野友彦様ですが、門野様におきましては、本日御欠席ということで伺っております。

 桃山学院大学社会学部教授・川井太加子様。

○川井構成員 川井でございます。よろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 神奈川県保健福祉局福祉部地域福祉課長・西條由人様。

○西條構成員 西條です。どうぞよろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 民間介護事業推進委員会代表委員・佐藤優治様。

○佐藤構成員 佐藤でございます。よろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 全国福祉高等学校長会理事長・高橋福太郎様。

○高橋構成員 高橋でございます。よろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 慶應義塾大学名誉教授・田中滋様。

○田中(滋)構成員 田中でございます。よろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会副会長・田中愽一様。

○田中(愽)構成員 田中でございます。よろしくお願いします。

○関口室長補佐 日本労働組合総連合会生活福祉局長・平川則男様。

○平川構成員 平川です。よろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 全国社会福祉法人経営者協議会高齢者福祉事業経営委員長・平田直之様でございますが、本日は平田直之様が欠席であり、代理として全国社会福祉法人経営者協議会制度・政策委員会作業委員・宮田裕司様が出席されております。

○宮田代理 宮田でございます。よろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 労働政策研究・研修機構研究員・堀田聰子様。

○堀田構成員 堀田です。よろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 公益社団法人全国老人福祉施設協議会副会長・松本敦様。

○松本構成員 松本です。よろしくお願いします。

○関口室長補佐 NPO法人介護人材キャリア開発機構理事長・山田尋志様。

○山田構成員 山田でございます。よろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 以上14名の方に委員をお願いしているところでございます。

 続きまして、事務局側のメンバーを紹介させていただきます。

 先ほど御挨拶させていただきましたが、社会・援護局長・岡田でございます。

○岡田局長 岡田です。

○関口室長補佐 大臣官房審議官・古都でございます。

○古都審議官 よろしくお願いします。

○関口室長補佐 ちょっと遅れておりますが、社会・援護局総務課長藤原です。

 社会・援護局福祉基盤課長・友藤でございます。

○友藤福祉基盤課長 友藤です。よろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 同じく社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室長・武内でございます。

○武内室長 武内です。よろしくお願いします。

○関口室長補佐 老健局老人保健課長・迫井でございます。

○迫井老人保健課長 よろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 同じく老健局振興課長・朝川でございます。

○朝川振興課長 よろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 職業能力開発局能力開発課課長補佐・笹でございます。

○笹能力開発課長補佐 よろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 職業安定局雇用政策課長・本多でございます。

○本多雇用政策課長 よろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 私、社会・援護局福祉人材確保対策室の関口と申します。よろしくお願いいたします。

 続きまして、資料の確認をさせていただきたいと思います。

本日、資料は4つございます。まず、本日の議題が書いてある1枚紙と、座席表をお配りしておりますが、それ以外に資料として資料1から4まで入っております。

 資料1 福祉人材確保対策検討会開催要綱

 資料2 介護人材の確保について

 資料3 介護人材確保における課題構造と論点

 資料4 介護人材確保について(構成員提出資料)

 もし資料の不足等ございましたら、申し出ていただければと思いますが、よろしゅうございますか。

 続きまして、本検討会の座長の選任に移らせていただきたいと思います。 

選任につきましては、資料1に開催要綱をつけておりますが、開催要綱の3の()の規定に基づきまして、構成員の互選ということになっております。座長の御推薦がございましたらお願いしたいと思います。

○川井構成員 田中滋先生を御推薦したいと思いますが、いかがでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○関口室長補佐 ありがとうございます。

それでは、皆様の御賛同をいただきましたので、田中(滋)構成員に本検討会の座長をお願いしたいと存じます。

 それでは、以降の進行につきましては、座長の田中先生にお願いしたいと思います。

同時に先生より一言御挨拶を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。

○田中(滋)座長 座長に御推薦いただきましたので、司会を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。

 この問題は、ことし5万人ふえればそれで終わりではなく、2025年、そしてそれ以降まで続く長期の課題です。ということは、短期的な対策をとった結果、かえって長期に悪くなるようなことがあってはいけないですね。2025年にも今よりもはるかにふえるような、むしろ長い目を持っていないといけない。短期の急ぐ対策よりはきちんとしたベースを持った理論的でシステム化された対策を私たちは練らなくてはなりません。同時に、数だけではなく介護労働の質も考えなくてはなりません。皆様方の御協力をよろしくお願いいたします。

○関口室長補佐 ありがとうございました。

 それでは、報道の方々、撮影はここまででお願いしたいと思います。

(報道関係者退室)

○田中(滋)座長 先ほど岡田局長よりお話がありましたように、この検討会は、まずは夏までに、もうすぐですけれども、夏までに介護人材対策について一定の方向性を示すように期待されています。この点について皆様の御協力をよろしくお願いいたします。

 日本語のしゃべり言葉として構成員というのは何となく言いにくいし、反社会勢力のメンバーみたいな感じがするので、議事録上は構成員でいいと思うのですが、お呼びするときはさんづけでいいですか。先生というのも変だし、失礼ですが、年上の特権で「さん」と呼ばせていただきます。議事録は何とでも校正してください。

 では、早速、議事に入ります。

 まず、事務局より提出されている資料の説明をお願いします。その後で皆さんから提出していただいた資料について御説明をお願いします。

初めに、資料の説明をよろしくお願いします。

○武内室長 それでは、お手元の資料2、資料3に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。

皆様には事前にもごらんいただいておりますが、30分ほど時間をいただいてポイントをかいつまんで御説明を申し上げます。

 まず、資料2ですが、介護人材の確保について、2ページ目をごらんいただきたいのですが、構成としましては、介護人材を取り巻く現状と見通し、課題と現在の取り組みの状況、今後の取り組みに向けた議論がどうなっているか、この3つの構成でお話をします。

 3ページから現状についてお話をします。

 まず、介護労働者の属性、あるいはどういう人々が介護業界にいるのかということを俯瞰するための資料です。就業形態、年齢構成に応じて介護職員(施設)、訪問介護員の方々の属性が整理されております。

 1つ目は、介護労働者の就業形態はさまざまで、非正規職員に大きく依存している構造だということがわかります。

 2つ目は、施設、訪問介護でそれぞれ特色のある就業者の構造をしています。青で囲まれているところは、リード文にも書いておりますが、施設の場合は中年層、訪問の場合は高年齢者層がメーンの労働者層になっており、女性に非常に依存している業界であるということがわかります。

 4ページは、介護人材の全体像を直感的にスケールも含めてごらんいただく資料です。縦軸に常勤・非常勤、横軸に訪問・施設の職員の方々を整理していまして、ますの大きさが大体スケール感になっています。訪問介護は非常勤、施設介護は常勤に大きく依存している構造となっております。この資料では離職率も記載しておりまして、特に施設の非常勤が22.1%と高い水準になっていることも見てとれます。

 5ページは、どういう人が介護職を担っているのかという切り口、資格という切り口で見たものです。改めて申し上げるまでもないですが、介護の現場は業務独占の世界ではありませんが、介護福祉士という名称独占の資格がございます。579,401人、約60万人の方が介護福祉士として従事されているということがポイントです。ただ、全体として、青いところですが、110万人の方が介護福祉士として登録されている一方、実際の従事者は53.4%にとどまっているということも議論の一つの切り口になろうかと思います。

 6ページ、訪問介護について見てみます。訪問介護員従業者数の一番下の42万人の方々がどういう資格で研修を受けているのかというのがその上の数字を見ていただくとおわかりになると思います。なお、右の一番下のところの訪問介護員養成研修修了者383万人がポテンシャルとしているということも付言したいと思います。

 7ページでは、今の介護職員の方々の賃金水準がどのくらいになっているのかということも幾つかデータを示しております。ここのデータにはさまざまな属性の方がいらっしゃるので、単純に他業種と比較はできません。しかし、一つの目安としてごらんいただきますと、黄色の部分が介護あるいは福祉に関する方々で、特に一番下の黄色のところをごらんいただくと、ホームヘルパー、施設介護員の方々の男女、男性、女性の平均年齢、勤続年数、現金給与額が見てとれます。

男女計で見ますと、決まって支給される現金給与額は218万円というのが上がっております。また、男性の方々の勤続年数が3.7年、5.4年と他の業種に比べて短く、あるいは給与額が235万円、特に男性についは他の業種よりもやや低い水準にあるということも指摘をされています。ただ、賃金は単純に比較できませんので、どういう初任給の水準か、その後にどういうふうに評価されていくかということも大事なポイントかと思います。

 そういう意味で、8ページをごらんいただきたいのですが、介護職員の賃金(初任給)のデータです。勤続年数1年未満の方の給与額として、産業計、福祉施設の男性・女性の方の水準が見てとれます。

 9ページです。専門性の向上あるいは資格を取っていくことによって賃金にどう反映されるのかという点もこちらのデータを見ていただくとわかるのですが、ホームヘルパー、介護福祉士などの資格や研修を受けることによって、平均勤続年数あるいは実賃金が若干ずつ上がっていくということで、一定の相関が見られるということもおわかりいただけると思います。

 ここまでが介護で働いていらっしゃる方の一つの実像ということなのですが、もう一つマクロという意味で10ページをごらんください。マクロの介護人材の数、ストックについてのデータです。介護保険が創設されて以来平成24年度までの介護職員数の推移です。当初55万人から現在153万人と約3倍弱の水準にまで伸びてきているということが一つ言えます。

なお、平成20年度と21年度の間に点線が入っていて、注1と書いてありますが、21年度以降は調査方法が変更しまして、こちらの調査の回収率が大きく変動しているということで、単純に比較はできないということに御留意いただきたいと思います。

介護職員数の増加についてはさまざまな複合的な要因があるかと思いますが、要介護者数を一つの参考値として青い折れ線で記しております。

11ページは、それでも不足があるということについてのデータです。左が有効求人倍率と失業率、赤が介護の失業率、青が介護の有効求人倍率、緑が全業種の有効求人倍率です。

ごらんいただきますと、青の介護の有効求人倍率については、特に平成20年ごろの2.31をピークとしまして、近年、特に22年以降は高い傾斜で有効求人倍率が伸びており、不足感が高まっているという一つの傍証になるかと思います。

なお、緑色の全職業の状況を見ますと、介護と同じようなトレンドを見せてはいるものの、勾配やその程度においては若干介護と様相を異にしていることも見てとれます。

なお、近年のグレーの部分をズームアップしたものが右のデータになるという見方をしていただければと思います。

 次に、12ページですが、全国を一つにつかんで見るということではなく、地域間の差があることにも留意が必要です。赤が介護、青が職業計の有効求人倍率です。東京、千葉、愛知などの大都市を抱える都道府県では非常に高いということ、それ以外の富山、岐阜、岡山などの県においてもそれぞれの地域の事情があり、有効求人倍率が高いということが言えます。

ただ、留意を要するのは、下のところにも書いておりますが、各地域の高齢化の状況は異なり、特に都市部での高齢化などが進む中で、現時点での状況だけではなく今後の長期的なトレンドを見ていくことが大事だと考えられます。

13ページでは、マクロでのフローの状況を見ていただきたいと思います。離職率と採用率です。特に右側をごらんいただきたいのですが、離職率と採用率について、緑が介護、紫が産業計という形になっています。これをごらんいただきますと、採用率においては全産業に比べて非常に強い採用意欲がうかがわれ、採用されているということが見てとれます。他方、下の離職率では、緑の介護職員は近年1617%の水準に低下し、落ちついてきているということであります。単純に他の業種全部と比較するのはなかなか難しいのですが、他の業種とも見比べながらどう考えるかということが論点になると思います。

14ページは、こうした不足感の背景です。どういう部分で不足感が大きいのかということを介護労働安定センターのデータに基づいてアンケート調査の結果を記しています。訪問施設での不足感がオレンジ色のバーの高さで見てとれます。訪問介護のほうで不足感が非常に強いということがわかります。

また、不足している理由をごらんいただきますと、何が原因かということで「採用が困難である」「事業拡大したいが人材確保できない」というところが大きく出ており、「離職率が高い」というのはそれに比べてやや低い水準です。したがって、前のページとあわせて見ますと、やはり採用段階での問題意識というのが強く広がっているということも見てとれます。

15ページです。では、将来に向かってどういう量的な状況になっていくのか、巷間、最大で介護職員が100万人不足するというような言われ方をしておりますが、私どもが「社会保障と税の一体改革」に際して行った推計によりますと、平成24年度で149万人、平成37年度で237万人から最大249万人、この149万人と249万人の差、100万人ということでよく指摘されているものであります。したがって、2025年までにかけて249万人をどう確保していくかということが一つの大きな命題となります。

16ページですが、ではこれをどう確保していくかという一つの推計がございます。149万人から249万人にふやしていくためには、単純にいいますと毎年6.87.7万人の確保が必要になります。右の吹き出しの中の目安量6.87.7万人、これは入職者と離職者のプラスとマイナスで構成されます。さまざまな従業者の動態を全て統計的に把握するのは難しいのですが、可能な範囲でのデータに基づいてこの内訳を一つの目安として構成すると、ここに書いてありますような数で確保していくことが考えられます。

また、平成24年、23年の実績では、13.3万人、6.5万人の増となっております。6.87.7万人を確保していくためには、真ん中の点線に囲まれたような施策をしっかり行っていくことが重要と考えられます。

17ページです。全国を一体とした推計だけではなくて、やはり地域ごとの状況の違いがあるということで、介護人材の需給推計を都道府県で行うという予定にしています。人口動態や介護サービス量の見込みが各地域で異なるということで、都道府県の需給予測が重要であると考えており、下に書いてありますように、今後、厚生労働省においてワークシートを開発し、都道府県において今年度中を目途に作業するということで、各都道府県の人材の需給推計を行っていくことを予定しております。

18ページです。2つ目のまとめとして、こういった現状を踏まえてどういう課題認識を持ち、どういう取り組みを行っているのかということを19ページ以降で御紹介します。

19ページは、介護に対してのイメージですけれども、「きつい仕事」が3分の2、あるいは「給与水準が低い仕事」が2分の1を超える一方で「社会的に意義のある仕事」「やりがいのある仕事」ということもプラスのイメージとして出てきています。ただ、この点については、介護の実態を正確にあらわしていない一面的な見方ではないかという指摘もございます。

20ページは、実際に働いている人の感想はどうなっているのかです。職場を選択した理由として何が多いかというアンケート結果なのですが、幾つか上に色分けして分類しています。「やりたい職種・仕事内容」「能力や資格が活かせる」といったオレンジ色の個人の意識・意欲という部分が非常に高目に出て、入る時点では介護に対する意欲あるいは仕事への思いということが高く出ています。他方で、ピンク色のような個々の事業所の職場の雰囲気、法人の安定性、将来性、あるいは理念や方針といった部分はやや低目に出ていることが見てとれます。

 これとあわせて、21ページをごらんください。やめるときにどうなのかということなのですが、やめるときは「結婚、出産・育児」が大きな契機になるということは一つございます。2番目、3番目に、法人・事業所の理念や運営のあり方への不満、人間関係など、逆にピンク色の事業所・経営者のマネジメントの部分というのが離職のきっかけになっているということも見てとれます。

 離職という点にフォーカスをして22ページをごらんいただきますと、介護職の離職率と申しましても、なかなか一律に論じられないところがあります。横軸に離職率の違い、縦軸に事業所数の割合を示しています。これをごらんいただきますと、離職率は大きく2極化あるいは多極化していることがわかります。10%未満の事業所が半分か半分以上という一方、30%以上の離職率に達しているところが2割ぐらい存在しているという状況が見てとれます。

なお、全産業の平均離職率は、注2にありますように14.8%です。10%未満、1015%までのところが全産業の平均ということで見てとれますので、おおよそ7~8割のところが全産業の離職率と同じかそれ以下の水準におさまっているという見方もできます。

23ページは、離職率をより深掘りして、事業所の規模、事業主体によって違いがあるかというのを見ています。左を見ていただきますと、事業所の規模に応じてどういう離職率になっているか、常勤、非常勤合わせてのデータです。施設と訪問の状況を見ますと、同じように大規模になればなるほど離職率は低下していることが見てとれます。

右のほうに参考として主体別の離職率を載せております。こちらはN数、このデータのもととなる標本数が若干違いますので、完全にこれで傾向を見てとるのは限界がありますが、御参考としていただければと思います。

24ページです。介護実習は介護福祉士の養成施設の学生が介護現場の状況を学ぶために450時間実習するというもので、縦にありますように、2種類の形の実習が組み込まれているという御紹介です。一般的にいえば、養成施設は2年にわたって、そのうちの2カ月程度を充ててこの実習をしていると承知しております。

25ページからは、どう取り組んでいるのかです。人材確保に向けて基本的な考え方としまして、量と質の好循環をつくっていきましょうということです。先ほど田中(滋)座長からもお話がありましたが、人材の量を確保することと質を確保すること、ここの好循環を回していくことが大事です。量を達成することによって切磋琢磨が進み、質が高まる。質が高まれば評価が高まり、量の拡大にもつながる。この好循環を達成していく。そのための環境整備を下支えしていく。こういう構成で施策を講じております。

26ページは、具体的にそれを施策に落とし込んだものです、量、質、環境整備という3つの柱について現在ある施策のラインアップをこちらで御紹介しています。量でいえば、参入促進という言い方ができますが、マッチングをどう強化するか、修学支援、人材の開拓、イメージアップといった取り組みをしております。資質の向上については、キャリアパスの確立、キャリアアップ支援のための種々の政策を講じております。また、環境の改善という意味からいいますと、処遇の改善、労働環境の改善という大きな柱がございます。

27ページ以降は、今申し上げた施策についての各論を御参考として添付しております。簡単に御説明をしますと、27ページが福祉・介護人材確保緊急支援事業です。これは、基金を積みまして、都道府県が実施する人材確保事業を支援するというもので、下にあるような事業を一つのメニューとしながら、いろいろな人材確保に資する事業に使えるという形をとっております。

28ページから3ページほどは、そういった基金事業を使って先駆的に取り組まれている都道府県の例です。

28ページの京都府の福祉人材育成認証制度は、人材育成に熱心に取り組む事業所を認証するというスキームを入れていることが特色です。

29ページの静岡県では、特にキャリアパスの導入というところにフォーカスして、公的機関から事業所に対してキャリアパスの制度の導入を促し、それによっての賃金向上などを求めていくという取り組みをしています。

30ページの広島県では、多様な主体が構成員となって、福祉・介護人材の確保のためのプラットホームを構築しているところが特徴です。

31ページは、これも先ほど御紹介した施策の中の一つですが、修学資金貸付ということで、養成施設に入る学生に対して1カ月当たり最大5万円などを奨学金として貸与し、5年間介護に従事すれば返還免除となるという仕組みも準備されています。

32ページです。処遇の改善につきましては、これまで平成21年、24年の介護報酬改定、その間の処遇改善交付金補正予算での対応といった契機を捉えまして、介護職員の処遇改善への取り組みを積み重ねてきていると言えます。

33ページです。先ほど地域での取り組みということを御紹介した一つの機関としまして、福祉人材センターがあります。真ん中に都道府県福祉人材センターとありますが、都道府県の社協に都道府県福祉人材センターを設置し、これは一般の方々、従事している方、経営者の方々に多面的なサポートを活動として行っているということも御紹介させていただきます。

34ページ以降は、最近の議論です。

35ページ、36ページは、現在審議されている介護保険制度の改正の前提となった介護保険部会で昨年末に取りまとめられたもので、この中でも人材確保について触れられており、そこを抜粋しております。

この中のポイントとしましては、上のリード文の2つ目の丸にありますが、介護保険事業支援計画、福祉人材確保指針、介護雇用管理改善等計画の連携が指摘されています。

「5.介護人材の確保」の3つ目の丸の下のところにありますが、4つの視点から事業者等とも連携して、国、都道府県、市町村が役割分担しつつ取り組むべきであるということで、介護にかかわる主体が協働して取り組みを行っていくという方向性が出されています。

36ページは、その続きとしてごらんください。

37ページは、介護保険部会に提出された資料です。これも今申し上げたことなのですが、国、都道府県、市町村、事業者、こういった主体が連携して取り組んでいく。その際のそれぞれの役割分担のイメージがここで提示されております。

なお、右の取り組みの4つの視点という意味では、先ほど御紹介した(1)が量の部分、(2)が質の部分、(3)(4)が環境改善という構成とほぼ符合したものになっています。

38ページは、各論になります。今申し上げた介護保険事業支援計画、人材確保指針、雇用管理改善等計画、これは省内でも幾つかの部局にまたがっておりますが、これらを連携させていくことを今後進めていきたいと考えております。

39ページは、現在、国会で審議中の法案についての情報です。医療・介護総合確保推進法案が2月に提出され、参議院で審議中です。

介護人材確保に対する関連事項として3つここで紹介しておりますが、新たな財政支援制度を設けることとなっており、その中の一つの使途として介護人材の確保も位置づけられているということがあります。

 2つ目、介護人材確保のための検討規定というのが附則に盛り込まれています。介護人材へのニーズを踏まえて、1年を目途として介護労働力の確保の方策について検討を加えるということが盛り込まれています。

 3つ目、介護福祉士の資格取得方法の見直しということで、介護福祉士の資格取得方法の見直しの施行時期を平成27年度から28年度に1年間延長する旨が盛り込まれています。

40ページは、財政支援制度の中身で、これは医療も含めた全体像でございますが、上のリード文のブルーのアンダーバーに書いてありますように、介護については27年度から財政支援制度を行っていくことが予定されており、その中の対象事業として介護従事者確保のための事業もラインアップとして上がっていることをお知らせさせていただきます。

41ページは、参考としてごらんいただきます。介護福祉士の資格取得方法の見直しについて、現時点では27年度施行ということになっておりますが、さらに1年施行延期するという方向で盛り込まれていることもあわせてお知らせしたいと思います。このチャートにつきましては、青色の部分が現在の状況、オレンジ色の部分が施行を待っている部分ということでごらんいただきたいと思います。

42ページは、もう一つ、立法府での動きです。介護・障害福祉従事者処遇改善法案という議員立法が現在審議されております。この内容は、介護・障害福祉従事者の賃金を初めとする処遇の改善のための施策のあり方について、財源の確保も含めて検討を加えて必要な措置を講じる旨がうたわれています。

43ページは、こちらも御報告になりますが、当初の佐藤厚生労働副大臣のもとで関係局長が構成員となり、人材不足分野における人材確保の方策について検討しているということがございます。こちらは、建設、介護、保育、看護、いわゆる人手不足の4分野について横串的な観点から方策を検討する場として現在、検討を進めているということでございます。

 あわせて、資料3についても御紹介します。

「介護人材確保における課題構造と論点」というタイトルになっておりますが、これは介護人材に関して巷間さまざまな観点で指摘されているものを試みに整理させていただいたというものでございます。

 介護人材の確保については非常に多面的、複合的な要因があるという理解のもとで、さまざまな指摘がされております。以下の課題や論点のほか、どのようなものが考えられるかについてこの検討会で十分に御議論していただきたいと思いますが、その参考として、1枚目が参入促進、2枚目が資質の向上と環境改善ということで、幾つかの課題を整理させていただいております。

 参入促進については、介護職のイメージをどう確立していくのか、労働力人口が減少し、他業種と競合する中で、他職種からの転職者、女性・シニアを含めたどういう人材層の参入を求めていくのかという論点を書いております。あるいは大量の潜在的人材をどういうふうに生かしていくのか、介護業界特有の事業所や施設との適合性をどう把握し、マッチングしていくのかという課題にどう取り組むのか、現場と教育の部分の乖離があるのではないかという問題意識を例示として挙げさせていただいています。

2枚目の資質の向上の部分では、専門性の確立をより一層図っていく、あるいはより一層理解していただくためにどうしていくのか、そのためのキャリアパスをどう整備していくのかといったこととともに、キャリアを向上するための環境にばらつきがあることをどう考え、どう捉えていくのかという論点を掲げています。

労働環境・処遇の改善という意味では、環境・処遇改善の動機づけをより高めていくことが大事ではないか、従事者に選ばれる事業所となっていくためのインセンティブをどう整備するかという観点もございましょうし、離職率の二極化、多極化に関しては、マネジメントの強化という部分についてどう取り組んでいくのかという論点があります。また、地域での取り組みの差ということで、地域での取り組みのばらつき、あるいは地域の実情を踏まえた取り組みをどういうふうに考えていくのかといった重立った論点を御参考に整理させていただいたというものでございます。

以上でございます。

○田中(滋)座長 よく整理された資料をありがとうございました。

 次に、委員の皆さんからの御意見を伺います。事務局のほうから事前に皆様に本検討会の設置の趣旨を踏まえて問題意識を提出していただいています。これに沿ってお話しいただきたいのですが、一人一人が演説を始めてシンポジウムになって最初の4人ぐらいで終わってしまうといけませんので、1人3分間で厳しくコントロールをお願いいたします。3分間で堀田さんのように人の倍ぐらいしゃべってもいいですけれども、どのくらいのスピードでしゃべるかは任せますが、3分間厳守でお願いいたします。

 では、順番で石橋さんからよろしく。

○石橋構成員 資料4の1ページですけれども、介護人材確保に関しまして、介護の職業を選択する人をふやすこと、離職率を低下させること、やはり入り口と出口の両側面の対策が必要であると考えています。

 そのためには、こちらに3つ課題を書かせていただいております。

まず1つ目には、介護の仕事が社会的に十分評価されていないということが挙げられると思います。介護の仕事が社会的に評価されていない要因としては、資料4で挙げているように、課題が相互に関係していると思いますけれども、その中で日本介護福祉士会としての取り組み、対応の方向性といたしましては、介護職員の処遇改善、労働環境の整備が必須といたしまして、それ以外に、介護の魅力を伝えるなど現場発の発信力の向上、介護の専門性の明確化、介護福祉士資格取得後のキャリアパスの整備を挙げております。

特に介護福祉士資格取得後のキャリアパスの整備につきましては、介護福祉士が将来展望を持つためにとても重要な要素であり、継続的に自己研さんしていくモチベーションにおいてとても大切なものとなります。そのために、厚生労働省や関係団体の協力を得ながら、モデル研修を実施し、認定介護福祉士(仮称)の実現に向けて3年間にわたって検討を行ってまいりました。今後は、職能団体としてだけではなくて、事業者団体を含む介護業界全体の認定システムとなるように関係団体と協議しながら進めてまいりたいと考えております。これは、日本介護福祉士会として実現していくことが重要な項目として資料に下線を引かせていただきましたので、御参照いただきたいと思います。

次に、介護現場を改善していく人材をつくっていくことが必要かと思います。これは認定介護福祉士の役割の一つとしても考えられますけれども、各種の調査におきましても、離職理由は、先ほど室長からのお話がありましたが、賃金や労働環境という側面だけではなくて、やはり事業所・経営者のマネジメントの問題に端を発する理由があると思います。これらを改善するためには、ケアスキルの向上だけではなく、介護の現場をマネジメントし、現場を変革するための人材が必要となります。このことは、介護の現場で働く側から見ても魅力あるものとなっていくだけではなくて、利用者から見ても介護の質の向上が図られることにつながると考え、とても重要な要因ではないかと考えております。

最後に、介護福祉士の潜在化の解消が挙げられます。先ほどの報告にもありましたように、潜在介護福祉士というのは5割ほどいると見られています。その中で、半数以上の人が一定の要件さえ整えば介護の仕事に復帰したいと答えております。したがいまして、処遇改善の促進、労働環境の整備、特に女性が多いということで、女性に配慮した労働環境の整備なども行い、そしてまた生涯、意欲を持って働き続けることができるようなキャリアパスの仕組みの導入などを行って、介護報酬などで介護福祉士を評価するなど介護福祉士としての価値を高めるということも大切かと思います。

なお、介護の職をやめる方への継続的な情報提供や復帰に向けた研修等の取り組みにより、介護福祉士が戻ってきやすい環境の整備が必要だと思っております。

以上、介護人材の確保に関する課題として、会としての方向性についての概要を説明させていただきました。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。時間どおりですね。

井上さん、お願いします。

○井上構成員 そうしましたら、私も3分できっちりお話をしたいと思います。

 私は、3つを挙げさせていただきました。

 1つ目は、介護という仕事の実像に触れる機会が非常に少ないということで、どうしてもイメージが先行します。既にマイナスイメージというものが定着していますから、まずこれを変えなければいけない。そういうふうに考えると、ここにも書いてありますけれども、実際の事例を使ってナラティブ型の公共広告みたいなものをする必要があるだろうと考えています。

 その上で、働き手は、ここに書いているように養成校を卒業した方から高齢者までいろんな方がいるわけで、その方々は労働という商品をある意味買っていただくことになるので、ターゲットごとにプロモーションを適切に行うことが必要だろうと考えています。

例えば、主婦の方にとっては家計補助労働としては非常に魅力的であるけれども、大卒の方、養成校卒の人にとっては長期雇用の場として非常に安定しているということがあるかと思っています。もちろん共通なものとしてヒューマンサービスとしての魅力と難しさがあるということも考えています。

 2つ目が、間口を広げているということですから、山をつくらないと専門性は確立できないということで、まず人材不足への非常事態対応では専門性は確立できないということを皆さんで共有化することが大事だと考えています。

その上で、ヒューマンサービスとプロフェッショナルヒューマンサービスの違いの明確化というものをきちんと考えたほうがよろしいのではないか。私自身は、介護の業界で働く全ての人々がプロフェッショナルヒューマンサービスだとは考えていませんので、そこをきちんと考えたほうがいいと思います。

そのときには、ここに書いてありますけれども、医療職と根拠に基づいたやりとりができる、自立支援に基づいて未来の生活に対して見立てができるというようなことが考え方としてはあるのではないか。いろいろなものが活用できると思いますけれども、既にある段位性や、今やっている認定介護福祉士のモデル研修などを活用するということを考えたらいいかと思っています。

一方、マネジメント層の育成は必須と考えていますけれども、現場のマネジメント層と組織のマネジメント層は若干違っているということをきちんと理解したほうがいいのではないかと思っています。

現場のマネジメント層に対しては、学習する組織づくりやサービスの標準化というものをぜひ取得していただきたいですし、組織のマネジメントの中では人的資源管理をどういうふうに戦略的にやっていくのかということになります。私自身も、来週から職場で人的資源管理の授業を始めるのですけれども、いろんな法人のお話を聞きながら、企業がやっている人的資源管理とどう比較していくのかというような形で整理していて、企業のいろんなものをやはりきちんと学ぶことが必要だろうと考えています。

3つ目が、これから人口が減っていく中でワークライフバランス型の職場を整備しなければいけないと考えています。そのとき、福祉の業界というのは、福祉そのものを提供している、24時間型、居住地近傍型というようなこともあって、ワークライフバランス型をつくる上では競争優位にあることをきちんと認識したほうがいいだろうと思います。具体的には、地域密着型サービス、サロンをどう活用するかということを考えたほうがいいかと思います。

最後になりますけれども、当然、地域によって労働人口の流れが違っていますので、保険者単位で事業の整備と人材確保を連動して考えたほうがいいのではないかと思います。

以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

川井さん、お願いします。

○川井構成員 では、5ページでございます。

私は教育に携わる者としまして少し考えさせていただきました。現状では全ての人を介護職と表現していますけれども、その中には、よくよく見ていきますと高度な介護の中核を担う人材や将来的に介護職の中核を目指す人材、ボランタリー的にかかわる人材といったように、それぞれ期待される役割や働き方というのがあるのではないか、そういう分類があっていいのではないかと思っています。今それを一律に介護人材と表現しているので、それ自体が介護の専門性をわかりづらくしているのかなと思っています。

 まず、高度な介護の中核を担う人材というのは介護福祉専門職であって、それらの人材というのは実践力のある介護福祉士というイメージを確立することが必要なのかと考えています。

介護人材の対象に合わせたキャリアパスの構築ということですけれども、今のように介護職の全員が介護福祉士の資格取得を目指すというものではなくて、働き方に応じたさまざまなキャリアパスがあっていいのではないかということです。介護職の中核となる介護福祉士というのは、あわせていえば養成校ルートを中心に考えてもいいのではないかと思います。

2点目に介護福祉を取り巻く関係団体との連携を挙げさせていただきました理由は、ここにも書いていますように、要介護者等の尊厳や自立支援ということを目指してケアをやっていくために、介護福祉士養成課程では教育の現場で特に「介護過程」というものに150時間を費やして教育しております。

しかし、介護の実践現場で介護過程が十分に展開される状況にないように思われますので、介護の質の向上だけでなくて、介護福祉士養成教育を受けた人材の定着という意味からしても、介護の実践現場において介護過程を実践する必要性の周知、介護過程を実践することが評価され、それがインセンティブになるような仕組みが必要ではないかと思います。

そのためには、職能団体や教育機関、事業者団体や学会等がそれぞれ連携しながら、よりよい介護というものを目指していくような横断的な取り組みが必要になってくるのではないかと思っています。

以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

西條さん、お願いします。

○西條構成員 課題・論点につきましては、事務局のほうで資料3に整理していただいたとおりで、優先度はどれもこれも高いと思っております。私のほうで3点挙げさせていただきましたけれども、その中でも特にこれから力を入れるべきと考えていることについて絞って発言させていただきたいと思います。

 まず第1に、未曾有の人材不足に対しまして、世の中に対して業界と行政が一体となって負のイメージを払拭する強いメッセージを発信する必要があるのではないかと思います。本県では、特に頑張っている若い人を知事が表彰する「福祉みらい賞」を創設したり、あるいは全県立高校で介護の授業を行う高校生職場介護促進事業というのをやっておりまして、授業の中で必ず高校生が介護を学ぶという取り組みも昨年度から進めさせていただいております。高校生には非常に好評なのですが、なかなか保護者の理解が進まなくて、せっかく高校生が介護の分野に行きたいと言っても、介護のイメージが今、悪いわけですから、安定性がない、そういった理由で親に反対されてしまうという実情もございます。

 この際、何よりも大切なのは、介護業界は、利用者は当然ながら、働く人も大切にする業界であるということを、具体的にはしっかりと人を育てる、働く側からすれば自己形成・自己実現が可能な仕事だということをアピールする必要がありますし、また実際にそうでなくてはならないと考えております。

 これまでの人材確保対策は、どうも緊急的、臨時的なもので、一時的な労働力不足を補うという感が強く、潜在有資格者、主婦、リタイアした人を対象とした研修なども実施しておりますが、なかなか劇的な効果は上がっていないというのが実情でございます。

 その中で、外国籍県民を対象とした研修というのは、本県は歴史的な経緯もありまして、そうした土壌もあるせいか、研修修了者の多くが就労に実際結びついておりますし、利用者、介護現場での評価も非常に高い人材が配置されております。考えられる対応の方向性の一つとして、外国人介護福祉士、あえて介護福祉士と言わせていただいていますのは、専門的な人材という趣旨でございますが、そうした介護福祉士の育成を挙げさせていただいたところでございます。

 具体的には、現在のEPAの拡大をイメージしているのですが、国家資格である介護福祉士資格を取得して日本で介護の仕事をきわめようとする外国人を育成するもので、決して短期的に労働力を補うというものではございません。在留資格の問題もありますが、資格を取得して日本で実務経験を積み、キャリアアップを図ろうとする外国人も、日本人と同じようにしっかりと育成していくという取り組みもこれからは必要ではないかと思います。

要は、短期的に労働力を確保するのではなくて、中長期的な視点に立って、日本人も外国人もこの業界で頑張ろうと思っている人には夢を与えて、それがサービスの向上につながる、そうした人材育成のビジョンを明確に打ち出す必要があるというのが私の意見でございます。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

佐藤さん、お願いいたします。

○佐藤構成員 よろしくお願いします。

 私のほうからは、3点です。

 1点目は、喫緊の課題であります在宅介護へ人材をいかに誘導していくかという視点。

2点目は、今、各構成員からもありましたように、イメージをいかによくしていくかというポジティブなキャンペーンを進めていきたい。

3点目は、介護労働者の処遇や環境、そういった改善についてまとめてみました。

 まず1点目の在宅介護への人材誘導という点において、ピンポイントで発言させていただいておりますが、訪問介護事業がなかなか伸びていないということは御存じのとおりでありまして、同じ在宅でありながら通所介護というのは非常な勢いで、もう1兆円を超えて介護給付が行われています。

訪問介護事業がなぜ伸びないかというとやはり参入の障壁が幾つかあるという点です。1つは、制度的な背景で、世帯構成員が主力であり、先ほどのデータも示されているとおり、女性が非常に多い環境で、なおかつ時間によって給付が行われていることもありまして、非常勤社員の活躍がビジネスモデルとして構成されているということと、あわせて訪問介護のサービスについて初任者研修が必須であるという点です。ほかのサービスと違う点は、訪問介護では初任者研修以上ということになっていて、この資格取得者がまず主力であるという点が参入障壁の一つになっているという考え方です。

そこのところへ女性を活用しながら誘導していくとすると、M型カーブの中で求職している女性を世帯構成員としての労働力として最大限訪問介護に誘導するとすれば、そこに何らかの形の育成の仕組み、あるいは補助的な金銭的な対応、そういったものを制度としてそれぞれの地域で暮らしている女性の方々にわかるような形でアナウンスできて、制度も充実させたらいいのではないかという意見です。

 2点目は、もう一つのテーマになっています定年退職後のシニア層です。55歳から65歳ぐらいの方々がその職場に残るのか、あるいは新たな選択肢で就業を求めるのかというのはその段階で選択肢としてあります。そういう機会に、一つは政策として地域包括ケアの中でボランティアというような志向で地域の中にシニア層を取り込もうという考え方があります。その一歩手前、65歳前のところで、私もそうですけれども、地域の中で男性は特に活躍していません。訪問介護とか在宅系の就業者はほとんど御自宅の近隣で勤めたいという就業希望を持っています。地域での参加ということを含めて地域の中での存在というものを認識して、なおかつそれが賃金になり収入になり生活を支えていくということになれば非常にいい機会が生まれてくるのではないかということで、そういう人たちの第二の職場としての介護サービスの受け入れということをもう少し積極的にするような制度あるいは援助の仕組みをつくっていくのはどうかなということをまとめてみました。

 3点目、4点目はここに書いてあるとおりです。

ポジティブキャンペーンについては、よくやっている、できているという事業者をフォーカスしてほしい。ネガティブな報道が非常に多い中で、我々も事例発表、そういったことを8年間やっているのですけれども、その中で魂が震えることはたくさんあります。そういうものを多くの人に知っていただきたい。介護事業というのは、汚い、きつい、そういう3Kのレベルを超えているサービスなのだということをそういうことによってより社会に認識していただけるのではないか。ポジティブな部分を取り上げられるような環境が積極的な仕組みの中で何かできないかということでこういう形でまとめてみました。

キャリアパス、研修制度、待遇、就業者からメッセージなどを地域の中で開示できる制度、今、地域公表制度というのがありまして、これは都道府県で対応されているわけですが、そこの中でそういうものを積極的に開示する。また、積極的に情報が得られるものとして使うことをどんどん進めていく。そのことによって住民の方も介護について理解を示すことができるようになりますし、そこに参加している事業者も切磋琢磨していいサービスをせざるを得なくなる。情報開示することによって競争を生ませていくということもあるのではないかという点でございます。

介護労働者の処遇と環境改善について、処遇改善は継続的にやっていただきたいし、3万円やっているから今、状態としていいということではなくて、もっと何かそれを維持継続できるような形での対応はできないかということです。本来、消費税は社会保障に使うと宣言されて民主党政権のときに出てきたのですが、残念ながら、26年4月の3%アップでは介護にはほとんど流れていなくて医療と子育てという形になっているわけです。2%がもしアップされるとすればぜひその財源をそういうところに充てるように検討していただきたいと思っています。

最後になりますが、婦女子の多い就労環境ですから、腰痛によるリタイアというのがあるわけですので、環境整備をもう少し考えたらいいのではないかと思います。介護度の高い方など、ある程度男性がいるようなところであれば、体重もあるわけですから、そういったところでリフトを、ピンポイントの表現で申しわけないのですけれども、支給限度額から枠を外してでも設置して処遇環境を整備する。高齢者を採用していく中でも高齢者の方が就業しやすいような、過重負担にならないような環境をつくることも一つあるのではないかということでまとめてみました。

以上でございます。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

高橋さん、お願いします。

○高橋構成員 私は早口で物を言ったことがないので、きょう欠席者が2名おりますから、その6分と私の3分で9分しゃべらせていただこうと思っております。また、皆さんは東京近辺の方ですが、私は青森の市内からさらに山に行ったところから来ていますから、言葉で通じない面があるかもしれません。よろしくお願いします。

 1つ目は、資質の向上から見て専門性が未確立である。介護の体系的、実証的な専門性の確立が不十分だとすれば、施設で掲げる理念、目標を職員が理解して、それに対して何が必要かを個々が考えていくようにする。これは、介護職場だけではなく、私、学校を経営していますけれども、学校経営においても大きな意味のあるところだと思います。

 専門職志向が十分認識されていない。介護の専門性志向を喚起するために、施設内のキャリアパスを明確にして職員が理解できるように提示し、個々へのアプローチを行うことが考えられるのではないかと思います。

 また、専門性向上へのキャリアパス確立としては、変動する福祉事業の中で求められる専門性は多いけれども、実態は人員不足で十分な育成ができないケースが多いのではないのか。特に小規模な団体においてはそういうことではないか。これは皆さんやっているとは思うのですけれども、細かいパートタイム導入で人員不足の軽減を図ることも考えられるのではないかということでございます。これが資質の向上面からの点でございます。

 2つ目は、参入促進から見て、現場と教育の距離です。我々福祉科の生徒を持っているわけですけれども、生徒の中には、極めて少人数であるのですけれども、施設実習に参加した後に自分の進路不適応に気づいて進路変更する者もたまにはいるということがあります。介護実習で介護現場に幻滅する者の存在ということはそういう意味があるのではないのかと思います。現在の介護実習の実態を踏まえて何が課題かを考えてみれば、実習を受け入れる状況として適しているか、専門性あるいは能力、人員等の問題において適しているのかといったことが考えられるのではないかと思います。

 課題解決のために、実習施設あるいは教育施設はそれぞれどのような取り組みを行うべきかについては、実習施設の基本的な専門性のアップを図る。あるいは施設で掲げる理念・目標と実際との開きがないように職員個々が理解した上で同じ方向を向いてケアを行っていけるようにするといったことが考えられるのではないかということでございます。

 3つ目は、資質の向上面から見て、キャリア向上環境のばらつきが大きい。事業所の育成姿勢の格差、あるいは小規模事業での難しさ等についてですが、変動する福祉事業の中で事業内容優先になりがちなために、雇用に対する指導、管理が薄くなりがちで、小規模事業の乱立によって人材の不足が考えられるのではないかと思います。また、小規模事業同士で共通のキャリアパスを導入して実践することによってキャリア向上を図ることが考えられるのではないのかと思いました。9分たったのでしょうか。

 以上でございます。

○田中(滋)座長 ありがとうございます。9分たっていませんので。

 私は後にしまして、田中愽一さん、お願いします。

○田中(愽)構成員 田中でございます。よろしくお願いします。

 私は、資料3の「介護職イメージが未確立」と「専門性の未確立」という点について触れさせていただきます。

 まず、参入促進ということが非常に大きなテーマでございますけれども、結論は介護職が魅力のあるものであるということに尽きると思います。これはどなたも異論のないところだと思います。そのことが社会的評価につながっていくと思います。

では、どうしたらそうなるのかということが我々非常に悩むところでございますけれども、私は、介護福祉士を養成している立場から教育という立場で考えてみますと、まずほかの専門職と整合性のあるような教育体系をつくるべきであると思っております。

例えば介護の現場では、看護、PTOT、そういう専門職と比べますと介護福祉士というのは非常に格差がございます。この格差がまず大問題でありまして、少なくともキャリアを形成する上においては出発点で差が出ているということでございます。したがって、少なくとも医療職と教育体系が整合性のあるものにしていくことが重要な点ではないかと思っております。

加えて、御承知のように、ヨーロッパのEQFでは3,600時間という職業資格の教育をしております。私たちは1,850時間でございます。そこまではいかなくても、日本の医療職に近づくような教育体系をつくるべきではないかと思っております。これが1点目でございます。

それから、介護職のイメージが未確立ということで新聞でもよく出ております。これは未確立というのではなくて、発展途上というふうに表現していただきたいと思っています。と申しますのは、介護職業務、介護の領域というのは非常に新しい領域であり、未踏地のところでございます。ほかの業務でもそうでございますけれども、介護というのは極めて相互関係が重要になってきます。そこで成立するというものでございますから、相互関係ということを考えますと、私たちの議論は、事業者や働く人、つまり供給側の考え方が強調されるという点がございます。法の精神として個人の尊厳ということを守りなさいと書いてあります。このことを私たちは議論のときに決して忘れてはならないのではないか、そのことがひいては国民の理解といいますか、イメージにつながっていくと考えております。

3点目は専門性です。何人かの委員の方も専門性はまだできていないとおっしゃいますが、もうできております。これは一定の段階まで来ておりますけれども、これからも未来にずっと発展していくわけです。19年改正というのがございました。私たちの協会は、学会や研修会でこのことをどのように学生に能力として身につけてもらうかということをやってきました。なかなか難しゅうございましたけれども、やっとこの辺の一つの結論が出ました。4年の歳月をかけてテキストもつくりましたし、突き詰めるところ、先ほど川井構成員がおっしゃいましたように、介護過程が展開できる能力、ここに集中してプロフェッショナルを育てようという教育をいたしております。

私たちが一つ抜かっておったのは、どういう教育をするかということばかり考えていたのですが、果たしてその教育をすればどんな仕事ができるのか、ここの証明が十分できていなかった。つまり、介護福祉士資格と職業能力について私たちはきちっと検証していくということを既にやっておりますが、そういうことも検討会の中で御報告させていただきたいと思います。

最後に、これはペーパーにないのですけれども、生産性の問題でございます。介護・福祉の業界は極めて生産性の低い業界であると言われています。福祉は数字ではあらわせませんといいますけれども、この問題はそのことを議論しないといけない。そこのところも考えて議論していく必要があると思っています。

以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

平川さん、お願いします。

○平川構成員 平川でございます。

 何点か記載させていただいておりますけれども、時間がありませんので、特徴的なところだけ報告をさせていただきます。

 何人かの先生のほうから専門職としての専門性ということで強く言われていると思っています。当然、専門職ということをきっちりと明確にしていくことで社会的な地位の向上が図られると思っているところです。残念ながら、看護と違いまして業務独占ではないという制約はあります。介護職はボランティアの延長線上にあるのではないかということも言われますけれども、決してそうではなく、高齢者の自立を支援し、尊厳を確保していくという観点から、あくまでも専門職であるということをしっかりと強調していくことが極めて重要ではないかと思っているところであります。

 そういった意味で、介護職については、ある意味、当然のことではありますけれども、労働者として明確に位置づけていくことが極めて重要だと考えています。

()の4つ目の丸に書いてありますけれども、短時間労働者への社会保険の適用ということで、社会保障改革プログラム法案の中でも適用拡大が課題として述べられております。適用拡大というのは極めて重要だと思います。特に訪問介護の現場においては毎年年末に社会保険の壁ということで雇用調整になってしまうという実態も聞いておりますので、人材確保の観点からもこの課題をしっかりと受けとめていく必要があるのではないかと考えているところであります。

 また一方で、介護の学校を出て、例えば初任者研修を受けまして、高齢者の自立支援や尊厳の確保ということでしっかりと勉強していくという形になるわけでありますけれども、一旦現場に行きますと学校で習ったことと実態との乖離があり、自分が思っている介護ができず、介護に対しての夢、希望との乖離があって離職につながっていくこともあると聞いております。その乖離をどう埋めていくのかというのも大きな課題かなと考えているところであります。

 最後に、労働安全衛生の関係です。介護の学校では腰痛にならないようにということでボディメカニクスの勉強もいろいろするわけでありますけれども、どうしても腰を痛め、結局、介護の仕事を諦めてしまうという方もいる状況でありますので、介護労働者の労働安全衛生ということについてもしっかりと対応していく必要があるのではないかと考えているところであります。

 以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

宮田さん、お願いします。

○宮田代理 まず、福祉人材確保のためのグランドデザインの策定というのが大前提に必要なのではないかということであります。つまり、2025年を想定した需給推計の正確なものがまだないというような状況の中で、今回、26年度で都道府県の需給推計を全国的にやるということでありますが、そういうきちんとしたデータに基づいて将来的に数字としてどれだけ必要というしっかりとグランドデザインをつくった上で、それに基づいて各年度ごとあるいは中期の計画を立てていく、方法論としてはそういうことが必要なのではないかということが第1点です。

 その前提で、何人かの委員がおっしゃっていたように、介護といってもさまざまなレベルがあると思います。非常に重篤な医療の直前のような知識や技術が必要な介護職も必要ですし、一方で生活介護というような比較的専門性の低い介護職も必要だろうと思います。しっかりとその辺の立て分けを整理した上で、将来的にここが何人、ここが何人というような計画を立てていく必要があるのではないか。それに基づいて、ではその必要な数をどこから、例えば主婦層から専門性の高い人をどれぐらい調達しないといけないというようなことを明確にした上で取り組んでいく必要があるのではないかということが一つです。

 もう一つは、イメージアップはもちろん非常に重要なことだと思うのですけれども、まず介護職の正確な実態をしっかりとお知らせしていく。つまり、訪問介護以外は無資格でもいいという状況の中で、誰でもできるのではないかというような誤った認識が広まっていますが、そうではないというところをしっかりとお知らせして、その上でイメージアップにつなげていく、そういう段階の戦略的な取り組みが必要なのではないかということです。

 私のほうからは以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

堀田さん、お願いします。

○堀田構成員 だんだんつけ加えることがなくなってまいりますが、基本的に介護人材の確保ということを考えるときに、事務局からも出されたように、参入の促進、定着・能力発揮分野の中でということがあるわけですが、改めてそれに加えて、トータルで見て必要な人材の質と量をどう考えるのか、それを変化させる、つまり伸びを緩やかにするにはどうしたらいいかということをしっかりと考えていく余地があるのではないかということで最初の2つを挙げさせていただいています。

 1つ目は、今の問題提起にもありましたけれども、中長期の介護人材ビジョンをしっかりと検討して、それに向けたロードマップを描いていくということが大事で、この場というよりもそういうフレームワークをつくるということが大事だと思っています。

これからの役割分担の中でも、より健康増進・予防、つまり御本人ができること、養生、セルフケアを進める、あるいは地域の中でのインフォーマル、支え合いを進めていく、誰がどこまで何を担うのかといったことについての対話をしっかりやるということがまず一つです。40代、50代、あるいは60代以上の人たちに、受けたい人は初任者研修を受けてもらう、そういうこともあり得るのではないかということです。

 2つ目、3つ目については職業資格の継続的な発展ということです。これは人口構成の変化を中長期的にしっかりと推計した上で、もう数年前からずっと基礎資格の共通化ということが言われていますけれども、それが果たして日本でも妥当なのかということも頭に置きながら、ケア関連領域を横断した形で、どなたかもおっしゃいましたけれども、専門職、事業者、教育関連機関、労働関係の機関、保険者、住民などが対話をしながら、継続的に領域を横断して職業資格を整備・発展するというようなプラットホームをつくっていく余地があるのではないかと思います。その中で、基礎資格の共通化、日本型のということも議論があり得るかもしれないと考えています。

 2つ目です。これはまさに田中先生が座長をお務めになって、地域包括ケアの研究会をここのところ続けられてきていますけれども、人材の検討と地域包括ケアシステム構築、まさに国策になっているもの、これが切り離されずに行われていくということが非常に重要だと思っています。

人材に関しても、地域包括ケアシステムの構築に向けたイノベーションを推進するという観点から、現場レベルでどのように各機能を統合的に提供していくのか。例えば介護と看護は統合的にできるようになってきているとか、そういったことのイノベーション、それから、山田さんが取り組んでいらっしゃいますけれども、法人のグループ化、そういったことも含めたマネジメントレベルのイノベーション、さらに制度レベルでは、事業所単位ではなくて地域単位で配置基準を考える、あるいはサービスの質に基づいた支払いにする、そういったことのイノベーションも重要だと思います。これは、求められる人材の質、量にかかわってくるものだと思います。さらに、働き方のイノベーションも非常に重要です。

 最後は、多く指摘されていますので、触れるだけにいたしますが、地域に根差した人材確保策の展開ということで、とりわけ都道府県が危機意識をまず共有して、方向性、ビジョンを共有した上で、地域医療構想、介護保険事業計画と連動して、しっかりと人材に関しても計画をして施策を打ってモニタリングするというマネジメントプロセスを推進していくということが重要ではないかと思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

松本さん、お願いします。

○松本構成員 全国老施協の松本でございます。この検討会で発言の機会をいただき、本当に感謝いたします。

 資料は14ページです。私ども全国老施協の1万2,000施設で従事する介護関係職は約33万人を超え、日々研さんに努めているところでございます。

 さて、最も優先すべき課題の第1に介護職及び介護現場のイメージの確立を挙げさせていただいています。残念なことに介護の仕事は、いわゆる3K5Kという固定観念のもとで介護の負のイメージだけが先走りしております。今や高齢化社会が訪れ、今後、多死社会と言われる社会的状況にあって、死生観、みとりというのは介護福祉現場では身近なテーマとなっています。そうした意味で、日本の社会文化として大きな課題にしていかなければならないのは、介護というものにプラスのイメージ、光を当てていくことだと考えています。

 2つ目ですが、労働力人口減少社会における他産業との競合です。既に運送業、建設業など他産業界においても人手不足が深刻化している中で、介護業界だけで100万人の人材を独占することは極めて困難だと思っています。若い労働力だけでなく、女性、高齢者層をどう活用できるのか、業務の内容を見直し、めり張りをつけ、あらゆる層の活用の場を模索し、裾野を拡大していくことも重要だと思っています。例えば労働環境整備、福祉用具や介護ロボットなどを積極的に活用し、負担の少ない介護というような環境づくりも必要ではないでしょうか。

 3つ目に、専門性の確立を挙げています。介護現場では、利用者の重度化、ニーズの多様化により、医療的ケア、認知症ケアなど介護の専門性がますます問われています。全国老施協においては、科学的介護の実践をテーマに掲げ、おむつ外し、口腔ケア、利用者の自立につながるケア、根拠に基づいた個別ケアを積極的に推進しているところです。また、介護職のモチベーションをアップすることはもちろんですが、それを社会的に評価する体制整備を行っていただきたいと思っています。

 最後に、国家資格である介護福祉士の地位向上が大きな基盤になると考えております。例えば外国人の介護福祉士について在留許可要件として認めていくことも、看護師やOTPTと同格に位置づける意味で道筋を示すものであると考えています。

 以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

最後になりましたが、山田さん、お願いします。

○山田構成員 15ページをお願いします。

先ほど厚生労働省の資料にもありましたように、給付を受ける人は2000年の210万人が530万人ということで、この14年間で急激な需要拡大ということです。それに合わせて介護人材も55万人から153万人と急激な供給拡大の現状があるということで、こういう時間軸で考えたときに、今の混乱とひずみはやむを得ないほどの急激な供給拡大と思っています。

 その中で、2025年あるいは2030年という介護需要が安定期に達したときに日本が世界でも介護のモデルを達成している国となるようなイメージで介護人材に関するロードマップをしっかりと考えていただきたいと思います。

 1番は、介護職を魅力ある仕事として確立するという方向性ですけれども、特に重度要介護の3以上の方あるいは認知症と身体障害の複合障害を有する方たちが非常にふえてきます。この方たちに対して尊厳ある暮らしの実現を支援できる専門職を介護イメージの中核に据えたらどうかということです。将来は業務独占も視野に入れて考えればどうかと思います。

 その実現のためには、教育・資格制度の再構成を検討していただきたいと思います。例えばということで幾つか書いてあります。

 私は事業者としても、地域密着型の24時間365日型サービス、小規模多機能や定期・随時訪問介護看護を実施して、あるいは調査してみて思うのですが、かなり高度な介護人材が必要です。これからひとり暮らし、老夫婦世帯がふえていく中で、家族がそばにいない、あるいは重度要介護、認知症の方を支えていくためには、24時間365日型介護サービスの必要性は当然高まるわけです。そういうことを担う介護福祉士あるいは専門職のあり方をしっかりと確立して、ロードマップはきちんと示したらどうかと思います。

 2点目が、何人かの委員からも出ていましたが、いわゆる予防の必要な方あるいは認知症の影響の少ない軽度要介護の方を支える人材については、一定の研修の仕組み、資格の仕組みを整理し人材登用の間口を拡大してはどうかと思います。ただし、介護福祉士のような専門職の一定のバックアップなどは前提かなと思っています。

 3点目ですが、この視点が大事だと思うのですけれども、堀田さんもおっしゃっていましたが、15年後の日本の社会が地域包括ケアということを目指しているのであれば、やはり自宅の身近なところに介護拠点があることが前提だと思います。それらが地域包括センターのブランチ機能も果たし、いわば予防からターミナルまで自宅の近くで対応していく。施設なども徐々に地域に分散していって、自宅近くの安心な住まいでターミナルという選択肢もつくっていく。地域に密着した介護拠点に併設されたサロン等で予防段階から切れ目なく伴走できる仕組をつくる。そこで働く介護職というイメージで介護の専門性を考えたらどうかと思います。地域あるいはご利用者の満足度の高いサービス、そういうところへ実習生が行くことによってこの仕事に対する就業意欲を高める、あるいは介護職育成につながるということで3番の部分もかなり大事ではないかと思っています。

 以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

1番目だけしゃべります。何人かの方々から御指摘があったように、介護に求められる職務も介護の人材も一律ではないはずですね。介護のプロセスを、何がわかっているか、何を理解しているか、何ができるかに分けて、効率的に判断基準をつくって、実際の現場の方々、介護人材の働きを評価していくようなことが絶対に必要です。一律に介護の人材と言ってはいけない時代です。

現にそれはキャリア段位制度という形で介護のプロセス指標としては恐らく世界で最先端に近い記述ができるようになりました。介護の質評価の仕組みは多くの国でなされてきましたが、我が国もそれに匹敵するようなキャリア段位制度、とりわけジョブ・ディスクリプションのプロセス指標としてつくられてきています。これを活用して介護の人材がそれぞれどこに当てはまるのか、どこができるのかを見ていくことと、どういう人がどれだけ必要かを見る必要量計算と両方使えるはずですので、これを使っていく。そうすると介護のプロフェッショナル性が高まるので、ポジティブキャンペーンにも活用できると考えています。

 もう一つ書いていないことを言いますと、堀田さんや山田さんが言ってくださった地域包括ケアシステムです。249万人の介護者が必要という数値の根拠は、数年前の介護人材に高齢者の伸び率を掛けているだけです。つまり、働き方のシステム変革は入っていない数値のはずです。

私たちは、この国が2025年まで、あるいは2025年から40年の間に耐えられるように、地域包括ケアシステムをつくっていきます。そうすると日常生活圏域ごとでの働き方というシステム化された働き方になるので、249万人という数値がいいのか、先ほど言ったキャリア段位とあわせて言うとどの段階のどの職員の人がどのくらい必要かといったグランドデザインをつくっておく、政策的にはそういう段階であると最後に言わせていただきます。ありがとうございました。

 残りが15分ぐらいです。事務局からいかがですか。どうぞ。

○武内室長 門野さんの分をよろしいでしょうか。きょう御欠席の構成員の門野様からも提出されておりますので、簡単に事務局から御紹介をさせていただきたいと思います。

 その前に、門野様のほうから、きょうは委員の皆様のお手元だけなのですが、「HELP MAM!JAPAN」という雑誌を御送付いただきまして、この277ページに門野様のイラストと略歴があるので自己紹介として御紹介いただきたいということでした。こちらも御参照ください。

 4ページなのですけれども、御提出いただいた内容について事前にお話を伺っております。

 ポイントとしまして、門野構成員が強調されていたことは、()にありますような他業界が当たり前に行っている採用活動を介護業界でもしっかりやるということによってかなり状況は好転するということを強調したいとおっしゃっておられました。その際には、ガイドラインを行政や業界団体でつくってやっていくということでもかなり効果があるのではないかとおっしゃっておられました。

()に「一般学生『も』採用対象とし」とあります。すなわち福祉あるいは介護にあらかじめ興味を持っている学生だけではなくて、一般学生も念頭に置いた採用、育成ノウハウというものをつくっていくことを考えていくべきだと、それから、右の米印のところにありますように、やられた調査によれば日本人の13.4%は性格的に介護の仕事に適性があるというデータもあるので、膨大な潜在層をどう開拓していくかが大事であるということもおっしゃっておられました。

()は、都道府県単位で所属団体の枠を超えて、例えば「ALL○○県」といったような形で、横でつながって取り組むことが大事だということも強調されておられました。その際、右にあるように、地方行政が音頭をとり、県内のキーマンを集めたプラットホームの作成あるいは活動をつくり出していくということ、これは門野様が各地域で事業主や福祉系の学生などに対していろいろなコミュニケーションを行っている中で特に感じられていることで、お伝えしたいということで承っております。

 以上です。

○田中(滋)座長 今の欠席されている方の発言も含めて、非常にお互いに学びがあったと思います。それを踏まえて、資料3の課題提起がなされています。資料3の3つの区分に対して、そしてお互いの発表を聞いた上で、さらに追加の意見がありましたら、残り15分程度ですが、どこでも結構ですのでお願いいたします。

 石橋さん、どうぞ。

○石橋構成員 皆さんたちの御意見を聞いて感想なのですけれども、ここの課題の1番目に書いてあります介護職、介護の仕事のイメージがまだまだ悪いというか、十分払拭されていない、これが入り口あたりの大きな課題かなと思っております。

私たちの責任かもわかりませんけれども、介護の仕事のやりがい、仕事の内容、介護の専門性についてきちんと国民の皆さんたちに周知していく、介護職の楽しさ、やりがいをイメージアップしていくということを介護関係業界団体が一同連携しながら取り組んでいくことが必要かなということを感じました。

ただ、イメージアップしても実態が、一般の産業と比べて介護職員の賃金や労働環境が悪ければそのイメージを壊しかねないという懸念もありますので、その実態に見合うような環境づくりというのは当然必要だと思います。

それから、介護職について将来にキャリアの展望が持てることも介護業界にはあるのだということを示していくことがやはり大切なのかなと思いました。

もう一点、看護師、介護福祉士の養成に携わっているのですけれども、入試のときに看護師を目指す高校生などに、なぜ看護師を目指したかという理由を聞きますと、親が看護師とか、子供のころに病院の看護師さんの働く姿を見て看護師になりたいと思った、そういうような御意見が結構多かったのです。ただ、介護福祉士の場合については、残念ながら介護の現場に触れ合う機会が非常に少なくて、介護福祉士になりたいという機会がなかなかなかったということから、これから小中学校、高校も含めてと思いますけれども、できるだけ子供のときから介護現場に触れる、介護の現場の体験を行うことを義務化する、介護や福祉に対することについて教育分野にも取り入れる、そういう教育分野に対しての働きかけも今後重要かなと感じました。

以上です。

○田中(滋)座長 堀田さん、どうぞ。

○堀田構成員 お配りいただいている資料に関して3点申し上げたいと思います。

 まず、資料2なのですけれども、複数の委員がしっかりとした推計に基づいてというお話をなさったのでそれに関連してということで、まず資料2の10ページです。これはずっと出し続けられているものなのですけれども、事務局からの御説明でもありましたように、注1と書いてあるところ以降、ほぼ100%の回収率だったものがやや落ちていますので、これを割り戻すといったような作業をやっていただければというのが1点目です。

推計に関連することでもう一つですが、17ページ、今後の介護人材の需給推計については都道府県が中心になって、市町村、保険者と一緒に連動しながらやるということになっています。これから地域包括ケアシステムを構築していくであるとか、社会保険に関する検討など、この辺は割と都道府県レベルではなくて国でやっていることだったりもしますので、もちろん市町村とやりとりしながら都道府県が主体的に推計をしていくということは結構なのですが、国は国としてマクロで介護人材の需給推計というのはしっかりとやっていく必要があるのではないかと思っています。

 2点目、16ページです。これも今後の施策を考える上でということになるわけですが、入職者29.230.1万人の内訳のところで新規学卒・転職者等の中にハローワーク16.0万人とあるわけです。これは統計がそろわないので現段階では誰も言えないわけなのですが、この中には介護職よりも広く入っていたり、1年間に複数回来る人たちも多分入っていて、一時点で調査をすると3割ぐらいしかハローワークを経由して入っている人はいなかったりします。一方で結構口コミだったりして、そうすると改めて事業所が重要ということにもなるわけなのですが、施策のバランスを考えていく上でも、すぐ簡単にできることではないので、これをすぐ事務局にお願いというわけではないですが、入職経路をしっかりと見ていくことは、やる余地があるのではないかと思っています。

 最後ですけれども、資料3の2ページ目です。参入促進、資質の向上、労働環境・処遇の改善というのはずっと変わらない柱としてあるわけなのですが、ちょっと注意する必要があるということで申し上げておきたいのは、資質の向上をサービスの質の向上という議論としっかりと並行していくことです。実証的に分析をすると、現在のところでは資格を取り、あるいは経験年数を重ねると職場に対する不満が高まっていたり、あるいはキャリアパスを法人の中でいろいろと用意したけれども、結果的にそのことでは就業継続意欲は余り高まらなくて、それよりも自分のところの法人が提供しているサービスを家族も使ってほしいと思うかとか、そういったことが就業意欲に影響していたりするので、単純にキャリアアップ、そっちだけの議論をやっていると、結局は職員の方々が活躍し、その方々が長きにわたって能力を発揮するということにつながらなくなりかねないので、資質の向上ということだけではなくてサービスの質の向上ということとリンクさせて、つまりクリニカルガバナンスをどうするかということだと思いますが、しっかりと結びつける必要があると思います。

 以上です。

○田中(滋)座長 ありがとうございます。

田中さん、どうぞ。

○田中(愽)構成員 先ほどから地域包括ケアということがテーマになっておりますけれども、私どもも昨年から約1年かけてそのように対応できる人材を育てるための検討会をやってまいりました。これは大きな変更は必要ないと思っております。と申しますのは、19年改正は個人一人一人の要介護者をマネジメントする能力をつけようということでございますので、この路線をきちっと教育していけばいいと思っています。ただ、なかなか2年間では熟成しないということでございます。それには現場と一緒になって育てていくということでございますので、ぜひともこれからの人材育成には現場と一緒になって育てていきたいと思っております。

○田中(滋)座長 心強いですね。

平川さん、お願いします。

○平川構成員 質問になると思うのですけれども、この検討会の最終的な形、イメージを事務局としてどういうふうに持っているのかというのを言っていただければと思っています。取りまとめをして、私の意向としては、介護職員の処遇改善につながるような制度改正をイメージできるようなものにしていければなと思っています。

確かにイメージアップの戦略とか、そういう政策的な展開というのは重要であるのですけれども、一方で先ほどから専門性ということを言われています。専門性の中身、例えば教育課程の問題、もっと言えば認定介護福祉士を創設するような検討ということも含めて、結果として職員処遇改善の裏づけになるような制度改正につながっていくような方向性の取りまとめになればいいのではないかと思っているところです。

 以上です。

○田中(滋)座長 武内室長、お答えください。

○武内室長 御質問いただいたこの検討会の位置づけと着地点ということについてですけれども、この検討会では介護人材の確保に向けて大きな観点から幅広い議論をしていただきたいと思っています。

プロセスとしましては、設置要綱に書かせていただいているように、秋ごろを目途に取りまとめるということを目標にします。その前の段階で、冒頭お話がありました夏ごろを目途に一定の方向性を取りまとめていくということを考えています。

ただ、これがどういう形で政策に結実していくのかということについては、関連する施策の反映方法というのはいろいろあります。一つは予算的なものもありましょうし、制度的な対応というのもありましょうし、今御指摘のあった介護報酬というような議論にもつながってくると思います。それぞれの施策をどう形にしていくかについては、それぞれの具体的な検討の場というのがありますので、それに結びつけていくという大きな方向性や考え方をこの場で議論していき、それぞれの政策反映の場に流し込んでいくというか、投影させていくという位置づけで御理解をお願いいたします。

○田中(滋)座長 もう一人、二人、一言、二言いかがでしょうか。井上さん、お願いします。

○井上構成員 先ほどの幾つかのお話を伺っていまして、一つ感じたことがあります。山田さんの資料にもありましたけれども、地域包括ケアの流れを考えると、介護職を組織化する段階とそれを前提にした他職種との連携になっていく段階の2つの段階があると感じました。それに応じて研修の内容や教育の内容、今育てるべき人材は何かというところが少しずつ時間の中で変わっていく、そこをきちんと考えないといけないかなということを改めて感じました。

○田中(滋)座長 いい取りまとめをありがとうございます。

 ほかはよろしゅうございますか。

では、川井さん、お願いします。

○川井構成員 ここで言うべきかどうか非常に迷ったのですけれども、介護人材確保ということになっていますが、私ども認識しておりますのに、介護福祉士制度ができましたときからの議論で、介護士か介護福祉士かという議論があったように記憶しております。

福祉という中に人権保障ということが入ってまいりますので、精神的、社会的、宗教的、環境的、全て一人の人間としての全体的な福祉という意味を持ち、生活の質を上げていくというのが我々の役割となると、介護というものと介護福祉、そこに何か今後の介護職と言われている人たちが担うべきものがあるのかなと思いますので、介護福祉という表現が的確といいますか、そういうふうになればいいのにと思います。

○田中(滋)座長 ありがとうございます。

委員会の名前が福祉人材で書類は介護人材ですが、使い分けではなくて、多分両方大切だから両方考えようとの気持ちが込められているのだと思います。私たちの考えの中にはおっしゃったような視点は絶対に欠かしてはならないと思いますので、御指摘ありがとうございます。

 一応よろしゅうございますか。

 次回は、議論の参考として、他国の状況や若い介護職員の方、先進的に取り組んでいる事業所の事例をヒアリングすることが重要だと思いますので、ヒアリングの時間を持つことにしております。

 最後に、審議官、何か一言。

○古都審議官 本日も大変短い時間の間に貴重な御意見をたくさんいただいたと思っております。

平成17年から18年の改正の時点で老健局振興課で一番つらかったのは、きょうはポジティブキャンペーンという言葉が皆さん出ていましたが、あのころはまさにネガティブキャンペーンということでございまして、役所はなかなかそれに受け答えが難しい立場でございましたし、介護予防、むしろ元気になろうではないかという観点が入って、その政策理解がなかなか進んでいない、そういう時期だったと思います。

思い出で一番こたえましたのは、テレビでワーキングプアというワーディングでの映像情報が流れ、あるいは一部有料老人ホームの事業者さんが毎週一面広告を出されて、3Kであるというようなことを流されていました。それは、ひとえに処遇や状況を改善するのだという思いだったのだろうとは理解いたしますけれども、結果において養成校の入学者が半減する、そういう現実の事態も起こったわけです。

私は、これは一面的な部分だけが非常に強調されてしまったのではないかと思っておりまして、やはり多くは非常に真摯に介護という仕事に取り組んでいただいていると思います。逆に言うと一部の処遇の悪い問題点、それはあってはならないことですけれども、それについて十分我々も対応できてこなかった、そういう深い反省を込めております。

これから介護あるいは福祉のサービス需要はふえる、あるいは多様化する、この方向は変わらないと思っております。将来にわたって日本の方々が、あるいは外国の方が入ってもいいではないかという声もありましたけれども、多くの方々がこの介護の仕事に誇りを持って参画していただけるように、そのためにきょうここには、養成をされる方々、あるいは実際に介護福祉の人材に働いていただく、あるいはマネジメントされる方々、あるいは行政の立場としてそれをバックアップする方々、あるいは学者として分析して問題を明らかにし施策の議論をされる方、さまざまな方々がいらっしゃるということでございますので、ぜひ英知を結集していただくような議論を、きょうもしていただいたと思いますが、非常に期待しています。

いずれにしても何か一つの方策で答えが出るというものではございません。言ってみれば、あらゆる施策を総動員してやっていくことが必要ではないかと思っておりますので、ぜひどんどんポジティブな御意見をいただいて、我々もできるだけそれに応えるように、先ほど平川さんからもありましたけれども、制度改正というものもあれば、予算措置もあれば、運用改善もあれば、いろんなレベルで我々も積極的にやりたいと思っておりますし、この問題は焦眉の急であると深く思っております。過去の反省も含めて、ぜひ委員の皆さんに御協力いただければと思っております。我々もいろんな御意見について、御質問あるいは作業については真摯に頑張ってやりたいと思っております。きょうはありがとうございました。

○田中(滋)座長 ありがとうございました。

では、次回の説明をお願いします。

○関口室長補佐 それでは、最後に事務的な御連絡になりますが、次回の開催につきましては、6月20日金曜日、時間は、先ほど座長からヒアリングというお話もありましたが、ちょっと長丁場、3時間になりますが、16時から19時にかけて実施します。場所につきましては、また追って御連絡をいたしますが、厚生労働省内での開催を予定しております。

 以上でございます。

○田中(滋)座長 では、これにて本日の議事を全て終了いたしました。大変前向きの議論をありがとうございました。


(了)

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