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2013年12月16日 薬事・食品衛生審議会 生物由来技術部会 議事録

○日時

平成25年12月16日(月)11:00~


○場所

厚生労働省専用第17会議室


○出席者

出席委員(10名) 五十音順

◎大 野 泰 雄、○神 田 忠 仁、 斎 藤    泉、 島 田    隆、
  谷   憲三朗、  津 田 知 幸、 新 見 伸 吾、 俣 野 哲 朗、
  森 川 裕 子、  横 田 恭 子
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(4名) 五十音順

  岡 野 栄 之、 五 箇 公 一、 鈴 木 邦 彦、 手 島 玲 子

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
佐 藤 岳 幸 (審査管理課長)
矢 守 隆 夫 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)

○議事

○審査管理課長 定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会生物由来技術部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中、御参集いただきましてありがとうございます。

 本日の委員の出席についてですが、岡野委員、五箇委員、鈴木委員、手島委員から御欠席との御連絡をいただいております。横田委員については若干遅れるとのことです。現在のところ、当部会委員数14名のうち9名の御出席をいただいておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げます。

 大野先生、以降の進行をよろしくお願いいたします。

○大野部会長 おはようございます。お忙しいところ集まっていただいて、どうもありがとうございます。

 それでは、まず、事務局から配布資料の確認と審議事項に関する競合品目・競合企業リストについての報告をお願いいたします。

○事務局 資料の確認をさせていただきます。本日、席上に議事次第、座席表、当部会委員の名簿を配布しております。議事次第に記載されている資料1-1~資料5をあらかじめお送りしております。このほか当日配布資料として、資料6「競合品目・競合企業リスト」、資料7「諮問書」、参考資料1、2、3を配布しております。資料に不足等がありましたら事務局までお申し付けください。

 続いて、本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについて御報告いたします。

 資料6の1ページです。「rSeV/dF-hFGF2」が本申請品目ですが、本品目は導入細胞に線維芽細胞増殖因子を発現させるためのベクターであり、同様の疾患を対象にした薬剤として、資料に掲げる品目を競合品目として選定しております。

 続いて、各委員からの申出状況について御報告いたします。審議事項議題1「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条に基づく遺伝子組換え技術応用医薬品の第二種使用等の拡散防止措置の確認について(rSeV/dF-hFGF2)」、退出委員なし、議決に参加しない委員なし、以上です。

○大野部会長 ありがとうございました。本日の審議ですが、審議事項が一つ、報告事項が二つ、その他が2議題となっております。

 審議事項議題1は、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条に基づく遺伝子組換え技術応用医薬品の第二種使用等の拡散防止措置の確認について(rSeV/dF-hFGF2)」です。審議に入りますが、まず、関連する制度について御説明をお願いいたします。

○事務局 事務局から制度について御説明いたします。

 参考資料1です。遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律、いわゆるカルタヘナ法は、生物の多様性の確保を図るため平成15年に制定された法律です。具体的な法律の規程の内容について、参考資料2を御覧ください。

 参考資料2の上から三つ目の囲み「遺伝子組換え生物等の使用等に係る措置」にあるように、この法律では遺伝子組換え生物等の使用等に先立ち、使用形態に応じて環境中への拡散を防止しないで行う第一種使用等と、環境中への拡散を防止しつつ行う第二種使用等に分類されています。第一種使用等に当たっては、使用者による第一種使用規程及び生物多様性影響評価書の作成、厚生労働大臣及び環境大臣による学識経験者への意見聴取、パブリックコメントの募集等の手続を経た上で、大臣の承認を受ける必要があります。

 第二種使用等については、まず、対象となる品目はリスク等の性質により、GILSP~カテゴリー3までの区分に分類されます。そのうち告示指定されている品目、いわゆるGILSP遺伝子組換え微生物については、使用者が自主的に省令に定められた拡散防止措置を執ることで、大臣による確認は不要となっていますが、告示指定されていない品目については、使用者が拡散防止措置を定めて、それについて大臣の確認を受けた後に使用等を行うこととなっています。

 今回の審議品目、審議事項については、執るべき拡散防止措置が省令により定められていない第二種使用等に該当するものとして、あらかじめ厚生労働大臣の確認を得る必要があり、本部会に諮問、御審議いただくことが適当とされたものです。以上です。

○大野部会長 皆様、御質問はありますか。よろしいですか。

 それでは議題1の品目についての説明をお願いいたします。

○機構 議題1本審議品目は、国立大学法人九州大学九州大学病院から申請がなされているヒト塩基性線維芽細胞増殖因子遺伝子を発現するF遺伝子欠損非伝搬型遺伝子組換えセンダイウイルスベクターの第二種使用確認申請です。資料1-1は総合機構が作成した事前審査結果通知書、資料1-2が申請書となっております。適宜御参照ください。

 品目の概要を御説明いたします。本品目の遺伝子組換え生物は、遺伝子治療等に用いる組換えセンダイウイルスベクターです。本組換えセンダイウイルスベクターは、血管新生とその成熟を促すヒト塩基性線維芽細胞増殖因子、FGF2の遺伝子を発現するように設計されており、これを含む製剤を重症下肢虚血症患者等に筋肉内投与して治療をすることが計画されています。

 本遺伝子組換え生物の宿主は、センダイウイルスのZ株です。センダイウイルスZ株は弱毒性の実験室継代株であり、げっ歯類の呼吸器病ウイルスであることが知られていますが、ヒトに対する病原性の報告はありません。また、本組換えセンダイウイルスベクターは、細胞融合や感染に必須なF遺伝子を欠失させており、F遺伝子産物を産生する特殊な細胞内のみで増殖が可能となっています。

 したがいまして、製剤自体はF遺伝子が欠損しているウイルスとなるため、投与後1回はヒトの細胞に導入されますが、その後、感染性を有する組換えセンダイウイルスは、患者の体内では増殖しないことになっています。

 本申請は、九州大学病院で臨床試験を実施するに当たり、本組換えウイルスベクターを含む製剤の品質確認や薬物動態の検体の検査をカルタヘナ法第二種使用等に従って行うための申請です。

 本組換えセンダイウイルスベクターは、既に平成25年4月にタカラバイオ株式会社より、閉鎖系において製造等を行うことを可として本部会で御審議いただいたものと同一のウイルスになっています。その前回の審議の際には、使用区分は、非増殖性ウイルスであり、病原性を示す可能性は低いと考えられることから、カテゴリー1とされています。

 九州大学病院における拡散防止措置の内容については、提出された図面等の資料から、作業区域は壁や扉により、それ以外の空気と物理的に分離されていること、作業区域外への排気はヘパフィルターを通して行われていること、廃液は高圧蒸気滅菌又は次亜塩素酸処理によって不活化すること、使い捨ての容器、器具類については、高圧蒸気滅菌又は次亜塩素酸処理によって不活化すること、使い捨てではない器具類については、消毒用エタノール噴霧等を行うこと、作業従事者は事前に教育訓練を受講すること、作業区域の入口及び作業に使用する部屋の入口の見やすい箇所に「カテゴリー1取扱い中」の表示を行うことなどを確認しております。

 以上より、作業区域、設備、構造などはカテゴリー1に求められる各種の要件を満たすものであり、本遺伝子組換え生物の第二種使用等に当たって、申請者より示された拡散防止措置は適切であると判断しております。なお、本品目について、機構の職員が現地を訪問しておりますことを申し添えさせていただきます。

 本遺伝子組換え生物を使用等する際の拡散防止措置について、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○大野部会長 委員の先生方から御質問、御意見はありますか。

 私が一つ気になったところがあったのですが、九州大学の施設ですが、それぞれの部屋にオートクレーブが置いてあるということになっていると思うのですが、別紙6の9ページの図6-8を見ると、オートクレーブがどこに置いてあるか分からないのです。これはこの中に元々置かれてないのでしょうか。

○機構 図6-5の「安全性検証ユニット」と書かれている箇所でしょうか。

○大野部会長 9ページの図6-8です。12ページの表にはあるように書いてあるのです。

○機構 確かに、資料に書かれていますので、確認した上で対応させていただきます。

○大野部会長 若干修正していただければよろしいかと思います。そのほか、先生方から御意見はありますか。御質問でも、今気が付かれたことでもよろしいと思いますが。よろしいですか。特にないようでしたら、議題1についての議決に入ります。

 本品目については、一部修正がありますが、カルタヘナ法第13条に基づく第二種使用等に関する拡散防止措置が確認されたものとしてよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、確認されたということで、薬事分科会に報告させていただきたいと思います。

 報告事項に移ります。まず、報告事項議題1です。機構から説明をお願いいたします。

○機構 報告事項議題1、資料2「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第13条に基づく遺伝子組換え技術応用医薬品の第二種使用等をする間に執るべき拡散防止措置の確認を行った品目について」御説明いたします。

 前回の生物由来技術部会での御報告以降、平成25年9月から本部会までの期間に、厚生労働大臣の第二種使用等確認を行ったものを次のページに表でまとめております。全部で3件ありまして、総合機構において専門委員と協議をした上で、いずれの遺伝子組換え生物についても、使用区分はGILSP相当であり、執られている拡散防止措置は適切であると判断したものです。資料2については以上です。

○大野部会長 これについて、委員の先生方から御質問はありますか。特にないようでしたら、皆様御確認されたことといたします。

 次の報告事項ですが、議題2について事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 報告事項議題2、資料3「遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち産業上の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令別表第一号に基づき厚生労働大臣が定めるGILSP遺伝子組換え微生物の一部改正について」御説明いたします。

 先ほど、参考資料2によって御説明させていただいたGILSP告示で指定されていない遺伝子組換え微生物については、その使用等をするに当たり、拡散防止措置について、あらかじめ厚生労働大臣の確認を受けなければならないこととされています。一方、GILSP告示で指定された遺伝子組換え微生物については、定められた拡散防止措置を執る必要はあるものの、使用等に先立つ厚生労働大臣の確認は要しないこととされています。告示の詳細や構成については別添1に示しておりますが、宿主・ベクター、挿入DNA、選択マーカー遺伝子の組合せにより、GILSP遺伝子組換え微生物が定められることとなっています。

 この告示への収載については、GILSP遺伝子組換え微生物として拡散防止措置の確認を受けたことのある個別の品目のうち、その生理活性等を踏まえて収載するべき品目を選定し、申請者に収載の可否を確認した上で追加することとしております。

 今回の改正は、平成23年以降に確認を行った遺伝子組換え微生物を検討対象としており、別添3にお示しする記載の変更を行う予定としております。

 今後については、本部会後、パブリックコメント等の諸手続を実施した上で改正を行うことを予定しております。説明は以上です。

○大野部会長 今の資料3に基づく説明について、先生方から御質問があればお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、先生方に御確認いただいたことといたします。

 それでは、その他の議題1「遺伝子導入細胞の製造に用いられた非増殖性ウイルスベクターの残存に関する考え方について」事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 その他議題1、資料4「遺伝子導入細胞の製造に用いられた非増殖性ウイルスベクターの残存に関する考え方について」事務局から御説明いたします。参考資料3を御覧ください。

 遺伝子治療においては、疾病の治療等を目的として患者から細胞を採取し、それらに体外で遺伝子組換えウイルスにより遺伝子導入を施し、培養・洗浄等の工程を経て患者に投与する、いわゆるex vivo遺伝子治療があります。ex vivo遺伝子治療に用いるヒトの細胞や組織そのものはカルタヘナ法の対象外ですが、遺伝子導入に利用する遺伝子組換えウイルスはカルタヘナ法の対象になります。そのため、患者に投与する遺伝子導入細胞にウイルスの残存がない場合、遺伝子組換えウイルスの使用は拡散防止措置を執った製造所内に限られることから、カルタヘナ法の第二種使用等の確認のみ必要となります。一方、遺伝子組換えウイルスが遺伝子導入細胞に残存している場合は、拡散防止措置の執れない製造所外での使用が含まれるため、第一種使用等の承認も受ける必要があります。

 今回、この遺伝子導入細胞におけるウイルス残存の考え方を明確にし、資料4に掲げる1~4までの要件を満たした場合は遺伝子導入細胞における遺伝子組換えウイルスの残存がないものとするものです。

 具体的には、1は、遺伝子組換えウイルスについて、そのデザイン等についての要件についてです。2は、遺伝子導入細胞の製造方法について、ウイルスの失活、希釈除去の要件についての記載です。3は、実際に投与される遺伝子導入細胞について、ウイルスが検出されないことの要件についてです。4は、類似製品における知見についてです。

 これらの要件を満たした場合は、遺伝子導入細胞における遺伝子組換えウイルスの残存がないものとし、カルタヘナ法の対象外として取り扱うことが適当であろうとするものです。なお、各要件に関する補足説明を資料4の2枚目から示しております。

 この考え方については、本部会で御確認いただいた後、今後、厚生労働省のホームページから公開し、事業者等に対して周知したいと考えております。説明は以上です。

○大野部会長 ありがとうございます。ただ今の御説明又はこの資料の内容について、先生方から御質問、御意見はございますでしょうか。

○斎藤委員 1点だけですが、補足説明の「 1の .について」 の3行目です。2行目から読みますと、「ウイルスを生産するためのパッケージング細胞に導入されたヘルパー遺伝子との組換えによって増殖性を回復するために複数回の組換えを必要とする遺伝子改変などが考えられる」ここで「複数回」となっております。アメリカのガイドライン、Recombinant DNA Advisory Committee (以下、「RAC」) Guide lineがあります。そこの中で、この点に関して4回以上と明記されているのです。ここの所はできればこのアメリカのガイドラインと同じようにして、「4回以上」としておいた方がいいのではないかというのが意見なのですが、いかがでしょうか。

○大野部会長 ありがとうございます。この補足説明の位置付けはどういうものなのでしょうか。

○事務局 補足説明の位置付けにつきましては本文の内容を解釈する内容と位置付けておりますので、基本的には、補足説明の考え方に沿って本文の要点について該当性を評価していただくということになります。

○大野部会長 では、告示するとき、一緒に資料として出すということになるのですか。

○事務局 はい。

○大野部会長 ありがとうございます。これは重要なことですね。

○斎藤委員 先ほどお話がありましたが、これは公開されるわけですね。

○事務局 はい、今後、厚生労働省のホームページなどから公開させていただきます。

○斎藤委員 そういうわけで、ここは「4回以上」とした方がいいのではないかというのが意見です。

○事務局 4回が望ましいという御意見を頂きましたので、そのとおり修正させていただいた上で、厚生労働省のホームページから公開させて頂きます。

○大野部会長 先生方の御意見を伺ってからにします。いかがでしょうか。

○神田部会長代理 斎藤先生の意見が妥当です。質問ですが、これを実際に使うとき、事業者がこれに該当する作り方をしたと判断するとなると、この細胞はカルタヘナの規制を受けないという判断は事業者でされることになるのですか。

○事務局 その判断につきましては、御指摘のとおり、原則的には事業者の皆様御自身においてしていただきます。ただ、それに当たって、例えばPMDAの薬事戦略相談などを活用していただくことは可能ですし、実際、第一種の申請がなされなかったとしても、同時に第二種の申請が行われるケースも多くあります。そのような機会の中で、薬事戦略相談などを利用しながら判断して頂きます。

○大野部会長 神田先生、よろしいですか。

○神田部会長代理 どこかでチェックすること、つまり、この基準に合致するものかどうかを確認する場はあるわけですね。要するに、増殖性のウイルスの有無を検出する技術等が完璧とは言い難い状況の中で、いないと考えて、実質的なメリットがあるからこういう方向に持ってくる、運用しながらだんだん情報も集まるというのは妥当です。私はこの考え方で良いかと思います。ただ、どこかで、この基準に合うものだという、いわゆる第三者の専門家が見る機会は要らないのでしょうか。

○大野部会長 その辺、いかがでしょうか。

○島田委員 実際には今、レンチウイルスを作る系で4種未満のものはないのです。市販されているものも研究室で作っているものも、少なくとも4種に分けているのです。それ以前の、例えば、20年前に私が最初にレンチウイルスを作ったときには3種というものをやってしまったのです。そうすると、レプリケーション・コンピテントが出てきてしまうのです。ですからそういう意味では、実際問題、4種というのを書いても別に厳しくしたということにはなりません。実際に今、4種ではなくて5種とか6種とか、あえてそのようにしているぐらいなので、余り実質的な問題はありません。

○神田部会長代理 技術的には今、レプリケーション・コンピテントの組換えウイルスが出てくるような作り方をしているものはないのですね。

○島田委員 ないです。ですから「4種」と入れることは全く問題ないです。

○神田部会長代理 そういう意味では、事業者に任せても問題はほとんどないですね。

○斎藤委員 そうするとこの案は、委員会レベルで変えることができるというものですね。例えばこの委員会でここの4回という数字を変えるとか、あるいは別の所をこの資料にある文章で変えるというのは委員会レベルですね。告示とか、そういうレベルではないですね。

○事務局 御指摘いただいたとおり、告示やその省令といったものではありませんで、この部会において御確認いただいたものという位置付けになります。

○斎藤委員 それだと変えられるということですね。

○島田委員 こういう文章で「ウイルスは残存していないものとする」の定義をここに出したのですね。ですから、第一種の審査はもう必要ないということはここに書いていないのですが、それとはまた別の次元の話ということですか。

○事務局 結果としては、第一種の申請や承認が必要ないということにはなりますが、あくまでその事実関係としての考え方ですので、シンプルに記載させていただいたものです。

○島田委員 もう一つ、「残存していないものとする」という言い方は少し引っかかるのです。これは例えば具体的に、アデノの場合、そうだったように思いますが、10の何乗以上は存在しないとか、そういう言い方にしなくていいのですか。

○神田部会長代理 これ、非増殖性のγレトロに限っていて、しかも、先生がおっしゃったように製造すれば、レプリケーション・コンピテントは出てこないでしょう。それに限っている話だから、筋は非常に通っています。

○斎藤委員 アデノの場合は Co-culture です。その材料を293細胞と Co-culture して、一定期間、何日か見て、それでウイルスが出てこないという、そのようなことを医科研では推奨しています。 Co-culture が恐らく一番感度が高いです。

○島田委員 技術的な問題があるから、感度の問題が出てきてしまいます。

○斎藤委員 ええ、そうですね。

○島田委員 もちろん私もこちらで結構です。

○谷委員 レトロの場合も検査はするのでしょう。

○島田委員 もちろんするでしょう。

○斎藤委員 ここに書いてあります。

○谷委員 そうですね、しないとはっきり分かりません。

○斎藤委員 1の . にございます。

○谷委員 ある程度出すということになると4回以上の説明をしておいた方がよろしいのではないでしょうか。

○島田委員 これ、RACで書いてあるのは、4種類以上のベクターで作るということを言ったのですね。

○斎藤委員 そうですね。

○島田委員 それと、4回以上を同じ意味としてよろしいのでしょうか。

○神田部会長代理 RACの表現をうまく取り入れた方がいいですよ。4回以上としないで、4種類以上に分割したという意味です。

○斎藤委員 その方が分かりやすいですね。

○島田委員 ええ。

○斎藤委員 これは作るときに四つ以上のプラスミドから作っていけばという話で、何回passageするというのは、今、それとは全く無関係の話です。

○神田部会長代理 4分割されている場合、組換えは4回以上どころではないのではないですか。

○大野部会長 では、このままですね。

○神田部会長代理 そうですね。

○大野部会長 これで考えた方がいいということでよろしいでしょうか。

○神田部会長代理 ええ。

○大野部会長 では俣野先生、御意見がございますか。

○俣野委員 今、最後に出た話を確認ですが、4種を使うということは、組換え回数でいくと、もしかしたら3回ではないでしょうか。ですから、組換え回数4回以上とプラスミドの数4種以上というのは一致しているのでしょうか。

○斎藤委員 私は全く違う議論です。

○俣野委員 いえ、そうではないです。

○斎藤委員 ここで言っているのはスタートのプラスミドです。

○島田委員 1回のキアズマのクロスだけでしたら組換えの回数というのはどこで数えるのですか。

○俣野委員 もちろん組換えの回数という規定でもいいとは思うのですが、分かりにくいと思ったのでお伺いしました。

○島田委員 1回の組換えを1と数えてしまったらすごい数になりますよ。

○神田部会長代理 RACの表現は非常に具体的でしょう。

○島田委員 具体的に4種類ということだから、そちらの方がいいですね。

○横田委員 マウスレトロの場合は違うのですね。マウスレトロの組換えはレンチのように多く分けていません。ギャグ/ポル/エンベロープ欠損ゲノムと、あとはエンベロープと、普通はパッケージング細胞を使います。そういう意味では、そうやって数を書いてしまうとマウスレトロを使えないのか、という感じにならないですか。

○斎藤委員 これはレンチの場合だけですね。

○横田委員 レンチの場合だけではなく、マウスレトロも含まれています。

○斎藤委員 ここの文章は「増殖性を回復するために」と書かれていますので、完全に作るときだけです。それが、プラスミドが例えば四つあると、その中での複数回の組換えと、この作るときだけのことを書いているのではないかと私は解釈したのですが、確かにもう少し言葉を明確にした方がいいかもしれません。

○大野部会長 そうすると、補足説明「1の 2. について」3行目、「増殖性を回復するために複数回の組換えを必要とする遺伝子改変」の文章の表現の問題と考えてよろしいのですね。それについて、もし神田先生にお任せいただければ神田先生にチェックしていただいて、その上でということでいかがでしょうか。

 

○神田部会長代理 それを取り入れた日本語にすればよいですね。

○審査管理課長 それでは一応、今、事務局側からここの趣旨についてもう1回御説明させていただいた上で、アメリカのガイドラインを引用すればよいと言うのであれば、それをまた引用いたしましょう。もう1度、ここの部分を事務局が説明してください。

○機構 機構より説明させていただきます。この箇所はウイルスベクターの作製の件です。ここは、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、両方ともにかかってくる説明文書です。例えばレトロウイルスベクターの場合は、gag-polの遺伝子とenvの遺伝子、そして、通常導入する遺伝子がそれぞれ例えば三つないし四つのプラスミドに分割されて生産用細胞に入れられまして、その細胞から組換えウイルスが出てくるという形になっております。そのときに、gagpol及びenvの遺伝子が元のウイルスに組換えで載ってしまうと増殖性が出てくるというような話があり得るので、そこで複数回の組換えによって増殖性が復帰するというような話を書かせていただいた訳です。

 したがいまして、先ほど俣野委員から御説明いただきました、確かにウイルスプラスミドの数-1の組換えが起こったときに復帰するというような考え方になりますが、表現について多少分かりにくいところがあったかと思いますので、またそこは部会委員の御了承を頂けるような表現で修正させていただければと考えております。

○大野部会長 ありがとうございます。お分かりになりましたでしょうか。

○神田部会長代理 要するに、業者に任せて判断してもらうのであれば、具体的に分かり良くないと困るというのが斎藤先生の御意見で、RACの場合には非常に具体的に書かれていて、だからRACのシステムを参考にされたらどうかと、そういう意見ですね。

○大野部会長 事務局の方も、言葉をどのように表現するかについては委員の先生の御意見を伺いたいということですが、それについてどうですか。

○神田部会長代理 事務局から微修正案が出てきたら、それを確認することにします。

○大野部会長 では、それは皆さんで確認した方がよろしいですか。

○神田部会長代理 ええ。

○大野部会長 では、皆さんで確認していただくということでいかがでしょうか。事務局、よろしいですか。

○審査管理課長 はい。では、メールで先生方に御報告いたします。

○大野部会長 では島田先生、御意見があるようですのでお願いします。

○島田委員 別の話なので、それはそれでいいと思います。

○大野部会長 今のでよろしいですか。

○島田委員 ええ。

○大野部会長 では進ませていただきます。別の話をお願いします。

○島田委員 神田先生と1回議論したいと思っていたことなのですが、これはこれでもちろんいいですし、ex vivoの遺伝子治療のこういう細胞をカルタヘナ法第一種に掛ける必要はないと思います。しかし、例えば残存するウイルスはなく全て細胞に組み込まれている細胞を投与された患者に、ウイルスが重感染したときに、新しい組換えウイルスが出てきてしまう可能性があるわけです。理論的にもそうですし、実験的に示されています。

 ただ、ではそれがカルタヘナに引っかかるかどうかというと、ヒトは生物ではないという定義からいくと、カルタヘナ法では規制できないのかもしれないのです。ただ、そういうことが理論的に起こり得ても、その安全性などの面では全く問題がないので大丈夫という議論はどこかでしておくべきだと思います。レトロウイルスのときには、今まで余り問題にならなかったのですが、レンチウイルス、HIVを使うようになったので、この細胞を持っている患者さんがワイルドタイプのHIVに感染してしまうと、これは組換えウイルスが出来てしまうのです。

○神田部会長代理 いずれにしろ組換えウイルスはカルタヘナ法の対象ですね。

○島田委員 そうすると、そこで対象になってしまいますね。

○神田部会長代理 ええ、組換えウイルスが出てくればカルタヘナ法の対象です。ですから重感染させるような実験をやる場合には、当然、新たな組換えウイルスが出るか出ないかはきちんと議論して、必要があればカルタヘナ法の規制を受けるということになります。つまり、この話はあくまでもex vivoの細胞の話です。でも、患者さんがHIVに感染したときの可能性は、遺伝子治療をやるときにそういう問題が起きて、その患者さんが感染して外に振りまく可能性があれば、当然、議論することになるでしょう。

○島田委員 理論的にはそうですね。そうすると、今回出すものは少なくともその細胞に関してどうかという話であって、ex vivo、遺伝子治療全体として見ると、実はまだその後、そういう可能性もあるわけなので、新たにカルタヘナ法が掛かってくる可能性があるということなのです。それをきちんと理解しておいてもらえばいいのです。実は組み込まれてしまったレンチウイルスのベクターの遺伝子配列は、HIVが掛かってしまうとそこで立ち上がってしまうのです。ですから、新たに組換えウイルスを作ってしまうということなのです。そういうことがあるということを確認しておいてください。

○大野部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問はございますでしょうか。ありがとうございます。これについては、皆さんに修正したところを見ていただいて、確認するなり、また、必要に応じて修正をするということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、その他の次の話題ですが、「薬事分科会・部会手続きの見直しの検討について」の説明をお願いいたします。

○事務局 その他議題2、資料5「薬事分科会・部会手続きの見直しの検討について」事務局より御説明いたします。

 カルタヘナ法に基づく第二種使用等の確認については、これまで薬事分科会における確認事項に基づき、GILSPについては部会報告事項とされ、GILSP以外については、全て生物由来技術部会審議事項とされてきました。このため本部会において既に御審議いただいた品目につきましても、それがGILSP以外の品目であれば、製造所や製造区画の追加・変更等であっても本部会において御審議いただく必要がありました。これに対し、平成25年9月4日に開催されました生物由来技術部会におきまして委員から、審議済み品目の製造所や製造区画の追加・変更等につきましては事務局で処理することとし、研究活動や企業活動に柔軟に対応するようにしてはどうかとの御意見がございました。それに加えて、過去5年間に84件の第二種使用等の審査等を機構において行ってきた実績等を踏まえて、生物由来技術部会における手続の見直しを検討するものです。

 具体的な改正案については資料5の裏側に示しております。カテゴリー1であって既に部会審議された遺伝子組換え生物を用いたものについては、これまで部会審議及び分科会報告の対象としておりましたが、今後、これを事務局で処理し、部会報告のみといたします。今後は、平成251219日に開催されます薬事分科会で本件について検討をする予定です。説明は以上になります。

○大野部会長 ありがとうございました。ただ今の御説明、また資料5について、御質問、御意見はございますでしょうか。特にないようでしたら、これについては御確認いただいたとしてよろしいでしょうか。今後は、12月の薬事分科会で報告して御審議いただくということになります。以上で今日予定しておりました議題は終わりましたが、そのほか、事務局から連絡事項はございますでしょうか。

○事務局 次回の部会につきましては、また改めて日程調整をした上で御連絡させていただきます。また、本日のその他事項の資料4の修正案につきましては、またこちらから皆様に御連絡させていただきます。よろしくお願いいたします。

○大野部会長 そのほかに先生方からございますでしょうか。

○島田委員 審議事項で、たまたま谷先生は九州大学の御所属なのですが、当会は問題にしなくていいということなのですか。今まではどうなのですか。

○大野部会長 そうですね、申請者側ですね。

○島田委員 いえ、結構厳しくしている部会もありますね。

○大野部会長 ただ、大学だと非常に多くの人がいますね。

○島田委員 ええ、ですからそういう考えです。

○大野部会長 この申請に直接タッチしている人はまずいかとは思います。

○谷委員 そういうことはございません。

○島田委員 わかっております。

○谷委員 もし必要でしたら、そのとき退室させていただきます。

○島田委員 そういうことも、必要なのかどうかということもはっきりさせておいた方がよいですね。

○大野部会長 大学等から申請があった場合にその組織に属している先生は直接審議に関わる事項に関与する部局でなければいいとするかという点に関しまして、事務局はいかがお考えでしょうか。

○審査管理課長 なかなか線引きは、即答は難しいと思いますので、整理をさせていただいて、御報告をさせていただきます。一概に全部、所属大学で切ると、また円滑な議論をする上では障害がありますので、整理をさせていただいた上で、別途御報告をさせていただきます。

○大野部会長 ありがとうございます。そのほかはございますでしょうか。

 質問ですが、今日頂いた資料で「厳重管理」と書いてあるものがあるのですが、今日の会議が終わった後も厳重管理になるのでしょうか。

○事務局 資料4についてでしょうか。

○大野部会長 まだ確定していないものは厳重管理で、今日利用させていただいた資料も当てはまるのでしょうか。

○事務局 確定したものにつきましては、皆様に御確認いただいた上で公開させていただきますので厳重管理ではなくなりますが、本日の案としましては厳重管理としてお渡ししております。

○大野部会長 例えば資料3とか資料2とかも厳重管理となっていますが、資料の保管になるのですか。

○事務局 資料3につきましては、今後、パブリックコメント等の手続をさせていただきます。そのときには、公開する形で意見募集の手続などを行うこととなります。

○大野部会長 では今日の資料については、資料4は厳重管理を継続する、それ以外はそれから外れるということでよろしいでしょうか。

○事務局 資料1や2につきましては厳重管理のままですが、今後公開する予定となっております3と4に関しましては、確定した段階で厳重管理を外れるかとは思いますが、公開予定のない1-2等につきましては、今後も厳重管理ということでお願いしたします。

○大野部会長 継続するということですか。

○事務局 はい。

○大野部会長 ありがとうございました。先生方、よろしいでしょうか。それでは、今日の部会は終わりにさせていただきます。御協力、どうもありがとうございました。

 


(了)

備考
 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 審査管理課 課長補佐 益山(内線2746)

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