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2014年5月26日 第6回体内埋植型医療機器患者登録システムの在り方に関する検討会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成26年5月26日(月)17:30〜19:30


○場所

厚生労働省共用第8会議室(19階)


○議題

1.患者登録システムの在り方について
2.その他

○議事

○事務局 定刻より少し早い時間ですが、先生方がお揃いですので、第 6 回体内埋植型医療機器患者登録システムの在り方に関する検討会を開催いたします。

 本日は、検討会構成員 6 名中 5 名に御出席いただいておりまして、検討会開催要領 4.(3) を満たし、会議が成立していることをお知らせいたします。前回の検討会におきましては、前回の検討会をもって報告書の取りまとめに進ませていただく旨を私から申し上げたところですが、永井座長とも御相談させていただき、前回の検討会において頂きました御指摘等について、改めて資料を準備させていただいた上で、御検討をいただくことといたしまして、本日の検討会を開催させていただくことにいたしました。

 議事に先立ちまして、人事異動の御報告をさせていただきます。オブザーバーとして参加しております、医薬品医療機器総合機構安全第一部医療機器安全課長の城谷です。

PMDA 安全第一部課長 城谷と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 これ以降は議事に入りますので、カメラ撮り等ありましたら、ここまでとさせていただきます。

 以後の議事進行を永井座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○永井座長 では、事務局から本日の配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 議事次第ですが、真ん中の所から配布資料一覧となっています。議事次第、座席表がありまして、資料 1 「日本人工関節登録制度について」、資料 2 「埋植型医療機器の市販後の情報収集について」、資料 3 「登録率向上に向けた取組について」、資料 4 「日本人工関節登録制度に関する学会の文書」、以上の 4 点を御用意しています。

 また、参考資料として、参考資料 1 「体内埋植型医療機器患者登録システムの在り方に関する検討会構成員等名簿」、参考資料 2 「同検討会の開催要領」、参考資料 3 「前回の議事録」を添付しています。不足や落丁等がありましたら事務局までお申出ください。

○永井座長 議事に入ります。議題 1 、「患者登録システムの在り方について」ですが、前回の検討会では、既に承認されている製品群に関する患者登録システムの在り方について、人工関節を具体例事例として挙げて、御議論をいただきました。前回の検討会で指摘がありました事項に関して資料を準備いただきましたので、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 まず、前回の検討会における議論について簡単に御説明させていただきます。前回は、永井座長からも御説明ありましたとおり、既に承認されている製品群における患者登録システムの在り方について、その考え方及び具体的事例として人工関節を具体例に挙げて御議論いただきました。

 人工関節を具体的事例として挙げるに当たり、大きく 2 点の御指摘をいただいたところです。まず、指摘事項の 1 つは、人工関節の評価手法として、全例登録というような網羅性を持ったレジストリを用いることが適切か否か。臨床研究のような症例数、施設数あるいは製品を絞った上で、時系列を詳しく追っていくような評価手法とどちらを採用するのが適切か。

2 点目として、レジストリのような網羅性を持った評価手法を用いるに当たり、一定の登録率の確保について、実現することが可能かといった御指摘をいただきました。

 まず、指摘事項 1 について、御議論を進めていただければと思いますが、これまでの人工関節のレジストリに関する、世界あるいは日本での経緯等を含め、レジストリでの評価に関して、秋山構成員より資料を御用意いただいていますので、御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○秋山構成員 秋山でございます。よろしくお願いいたします。資料 1 を御覧ください。まず、 1.1 です。人工関節の、市販後又は市販前において、いろいろな取組をされており、調査・解析を行っています。まず、マル1 PMA(Pre-market approval) ということで、臨床試験・治験を行っていることもあるのですが、これは新規性の高いもの、また新しい材料などを使った人工関節インプラントに関して、企業主体で行っています。

 人工関節の場合は、参加施設は極めて限定的で、数施設です。少ない所では 2 施設で行われていたり、実際の症例数といっても数十で、不都合が起こらないかどうかというのを市販前に臨床試験という形で行っているインプラントもありますが、これは非常に限定的です。

 また不都合報告ということで、マル3の Claims-based data を用いた不都合も収集されていますが、これも基本的には企業主体で行っており、報告は実際の執刀医又は主治医から行っていますので、執刀医又は主治医が不都合とは認めないと、又は報告しなければここに挙がってこないわけです。従来、世界中で行われていたのはほとんどが Retrospective study 、又は Randomized control study となります。また、市販後調査に関しては企業主導で特殊な人工股関節や、また新しい人工関節のインプラントを工夫されたものが出たときには行われていますが、これは期間は発売後 3 年程度のフォローアップで終わっており、 5 年、 10 年というような市販後調査は現在我が国でも外国でも行っていません。

 主に Retrospective study になるわけですが、これに関しては人工関節の手術を数多く行っている病院が、世界的にも日本でも中心になっていまして、 1 施設の Retrospective study から数施設ということで、これも限定的になっています。また、解析・調査なども執刀医又は主治医のいわゆる関与した医者が行って学会報告、それと論文報告の形になっています。

 諸外国の場合は多いものでは 4 ケタ、 1 万例以上の症例の Retrospective study もありますが、日本の場合では症例数としては、数十から数百の 2 ケタから 3 ケタの数のものが多いわけですので、それでは国全体のエビデンスは得られないのが実状でした。それは諸外国でも同じです。

 諸外国では、基本的には Retrospective study Randomized control study に限られた施設で行ってはおりますが、全体像を見るということで、網羅的に全ての症例を登録したレジストリを欧米諸国又はオーストラリアをはじめとして、現在では既に確立してそのデータを基にして、その後問題が起こっているインプラントに関してはサブ解析を行っているのが現状です。

 また人工関節インプラントはイギリスでは約 400 種類ぐらい出ていまして、我が国でもほぼ同じぐらいのインプラントの数が販売されていると思われます。ただ、そのインプラント一つ一つも日本では年間数千例使われるものから、数十例しか使われていないものまで様々で、それを一つ一つ、 3 年間から 5 年間又は場合によっては 10 年間フォローしていくのは、実際問題はかなり難しいのが現状です。押しなべて、大体 10 年間で入替えの手術の割合は 4 5 %になっていますので、それに関してそれよりも少なくとも体内から抜いてしまうというのが、 10 20 %となれば明らかにインプラントして不都合ということが予想されますので、サブ解析をするのが普通になりますが、これが 8 %又は 9 %というときにそれが施設に限定されたものなのか、国全体でインプラントの問題なのかどうかの判断するのがなかなか難しく、やはりエビデンスがないのが現状ですので、諸外国では全例登録して、その結果に基づいて問題がありそうなインプラントに関してはサブ解析を行うのが現状になっています。

 資料 1 4 ページに、最近リコールになったインプラントが列挙していますが、ほとんど各メーカーで何らかのインプラントがこのようにリコールされていっているのが現状で、何か大きな、これは企業主体でリコールされているものもありますが、一番上の Depuy 製品の ASR などは、金属と金属が擦れ合うような人工関節で、これは非常に諸外国では成績が悪くて、訴訟の対象にもなっています。これはそのようなレジストリのところからサブ解析をしてリコールになった代表的なインプラントになります。

 我が国でも、金属と金属が擦れ合うインプラントとしては 10 年間で 2 5,000 例ほど使われていますが、人工関節登録制度ではこれが解析できませんでしたので、人工関節学会で依頼を受けて、これについてアンケート調査をしましたが、実際にアンケート調査でフォローできているのは 2 5,000 例中約 1 万例となります。それである程度の不都合が現在分かっていますが、それが 2 5,000 例全体でどのような全体像になっているのかというのは、このような調査でははっきりと分かりませんので、現在 2 次調査を行い、訪問して、それぞれの所でどのような不都合が起こっているのかを調べるように学会として取組みを行っています。

 網羅的に全例入っていると、何%のものがどこの施設で抜かれていて、どのようなインプラントが抜かれているのかがある程度はっきりと分かってきますので、諸外国のようにレジストリで全体像をまず最初に掴む必要性があるのではないかと思っています。実際にこのようなレジストリで全体像を見まして、それがインプラント自身が本当に問題なのか、それとも限定した施設の手術の問題なのかというのをまずはっきりと明らかにする必要もあると考えています。

 また、もう一つはフォローアップ期間の、資料 1 5 ページ以降ですが、まず、 5 ページの 1 枚目の、 Charnley というものですが、これは現在、日本人工関節登録制度に登録されて、インプラントが埋入されてから何年後に抜かれているかというデータですが、 Charnley というのは一番最初に人工関節の形を 40 年以上前に決めたインプラントで、現在はもうほとんど使われていませんが、大体これが基準になります。このように最初のインプラントは大体 20 25 年ぐらいをピークにして抜かれていて、これよりもいいインプラントを作ろうということで、各社新しい技術を投入してきたわけです。その下に書いてある、ほかのインプラント 2 種類に関しては、大きな不都合がある・なしはともかくとして、最初のインプラントを越えることができなくて、現在は発売中止になっています。よってこれが大体のピークが 15 20 年の間になりますので、この人工関節を本当に使い続けていいかどうかというのは、 5 年ぐらいのフォローアップではなかなか分かりません。

6 ページは骨盤に入れるインプラントですが、一番最初の第 1 世代のインプラントに関しては同じように 20 年以上で抜かれているものが多いわけですが、次に企業が改良したタイプのものに関しては、不都合が多くなり、大体 15 年ぐらいをピークにしています。実はこれは金属が破損するという事態が、長いこと体内に入れていると起こったインプラントです。よって今ではこのようなものがまだ体内に入っている方はおられますけれども、金属が一部破損してしまい、人工関節が駄目になってしまうという症例で、これも 10 年以上フォローアップしなければなかなか分からないというのが分かります。

 最終的に現在使っているのが、 7 ページのものです。これは初期にたくさん抜かれていますが、ほとんどが手術的な問題で、脱臼をしたりというもので、入換えの手術がされています。ただ、インプラントによると、例えば金属と金属が擦れ合う最近問題になっているのは、最初の 5 年ぐらいで、コンスタントにたくさんの症例が抜かれていますので、このように初期にたくさん抜かれている症例に関しては、サブ解析をしてインプラント自身が悪いのか、それとも手術手技で何か問題があって抜かれているのか、総数を見て、それでサブ解析をするのが一番人工関節に関しては現在主流になっており、それがリーズナブルな解析方法ではないかと考えています。よって、長期的に見る解析と短期的に見て解析をする、この両方が必要であると考えています。

 資料 1 2 ページですが、現在、人工関節登録制度によるデータ収集・解析に関して、従来の Retrospective study などでは分からないことに関して、データとして出てきています。それは諸外国も同じで、その国全体での人工関節置換術の手術手技や方法などの実態の解析、又は人工関節置換術を受けられる患者さんの年齢分布や、元々の疾患に関しての各国の特徴、又は人工関節インプラントの使用実態として、どのようなタイプの人工関節がその国で、また各国で使われているのか。また、各メーカーのパーツの組合せで使うことができるのですが、どのような組合せで使われていて、それがどのような成績になっているかも解析ができています。

 また、再置換術をエンドポイントとしますので、再置換術、いわゆる身体から抜くまでどの程度の年限が経っているか。また、やはり 10 年以内で抜かれるような非常に早期に抜かれるインプラント、不良インプラントと考えられるアウトライヤーに関して、そのインプラントを同定することも可能となっています。

 また、各施設、各執刀医が登録されていますので、施設の問題なのか、医者個人の手術手技の問題なのかということも解析することができますし、インプラントの不都合、またある一部のロットなどが悪いというようなインプラントが分かったときには、それはレジストリのデータでインプラント情報が全て入っていますので、各施設に警鐘を報告することもできるのが、現在の人工関節レジストリの主な有効性と目的になっています。以上です。

○事務局 ありがとうございます。引き続きまして、行政側としての問題意識等について、資料 2 に基づいて御説明させていただきます。資料 2 「埋植型医療機器の市販後の情報収集について」。まず、冒頭、「前回までの検討内容」ということで、パターン A 、パターン B 、前回資料に記載させていただきました、レジストリの手法の分けたものです。

 パターン A が症例数や調査施設を絞って経時的にしっかりとフォローアップをしていくというパターン。パターン B は網羅的に症例を登録して評価をしていくというパターンです。 1 ページの真ん中より下の 1 から御説明いたします。 1. 「行政の安全対策と問題意識」です。市販後の安全対策と現状としては、行政においては前回の資料にも出させていただきましたけれども、マル1マル2のようなアウトプットを求めており、そうしたものを実施するために市販後の安全対策の情報を収集しているというところです。マル1として、「把握した不具合状況に関する医療現場への情報提供」。マル2として、「特定の製品に特化した場合には、企業に対する何らかの措置」といったことを行政側のアウトプットとしてあるということです。

 今、議論いただいているのは人工関節のような市販後で既にたくさんのものが承認されているような医療機器の製品群ですが、「新規性の高い医療機器」については、新医療機器として承認された医療機器については、使用成績調査というものが掛けられることになっています。企業の自主的な PMS のほか、そういったもので市販後の調査がされている状況です。一方で、人工関節のように、「既存品の多い医療機器について」は、市販前には想定されなかったような不具合が発生した場合などは、何らかの安全性情報の収集が必要となるというところですが、そういった新医療機器のような制度とはなっていないため、現状ではなかなかコントロールが難しいという状況です。

 現状ある制度としては、「不具合報告制度」があります。既知 / 未知にかかわらず、重篤な不具合が発生した場合には、各企業から行政側に報告を行うということになっており、市販前に想定されなかった不具合等がある程度報告されるという仕組にはなっています。ただ、その下の矢印ですが、不具合報告制度は、医療機器の使用者等が「不具合」と認識するといったところからまず成り立っている制度で、手術手技等による影響との切り分けが難しいとか、「不具合」と認識されないといった場合には報告がなされないということも想定されます。その結果、不具合報告件数はそのまま不具合の発生件数ということにはつながらないことがあり、正確な不具合発生率が把握できないという状況があります。またその正確な不具合の発生率が把握できないことにより、迅速な安全対策が取れないというケースも想定されます。

 既存の医療機器についても、様々な種類のものがありますので、ここで一度、「埋植型医療機器の特徴」ということで、分類したものを示しています。そちらが 1.2 の樹系図のような形に示していますけれども、埋植型医療機器には大きく分けて能動型と非能動型、動力源を持っているか、持っていないかという分け方があるかと思います。能動型はクラス IV の医療機器、リスクの高いものとしてはペースメーカーや人工心臓といったものがあります。クラス III では人工内耳等のようなものがあります。また非能動型の動力源を持たない医療機器については体内に固定するだけのもの、あるいは機能的に可動部分を持つものといったところを 2 つに分けています。固定型のクラス IV としては、冠動脈ステント等、クラス III としては消化管ステントや整形のプレート等。機能性を持つ医療機器としては主にクラス III になりますが、人工関節というのがあるかと思っています。種類としてはこのような形で分類ができるかと思っています。

 またその下の記載ですが、埋植型医療機器については、今のような分類のほか、製品の選択(種類、材質、サイズなど)であったり、埋植の位置・角度などの手術手技、又はその患者背景といったところで、そういった項目が製品の使用成績に大きな影響を与えるということで、施設間での成績のばらつきも考慮する必要があるだろうということがあります。

 上記の「能動型」の医療機器については定期的なメンテナンスやフォローアップ、あるいはその機器自体にアラートを発する機能があったりということも含めて、比較的フォローアップがし易いものが多いのではないかというところです。また、「非能動型」の医療機器の中には、意図的な可動部のようなものを持つもの、先ほど人工関節の所で御説明しましたようなものがあります。埋植型に分類されるクラスは III IV とありますが、リスクによりそれぞれ特徴があるということも考えられています。クラス IV は比較的リスクが高いということで、施設あるいは実施医のレベルに標準化されて使用されていることが多いということで、学会用の実施基準であったり、承認条件としてそういうものが付されていたりということがあります。クラス III は、クラス IV に比べれば比較的リスクが低いということで、幅広い施設で使用されることも多く、医療機関ごとのレベルのばらつきも大きいということがあるかと思います。

 下の矢印ですが、医療機器は今、申し上げたように多種多様で、必ずしも類型化して議論が難しい、できるものではないかなといったところですが、それぞれ類型に沿ったレジストリのパターンはパターン A なのか、 B なのかということがありますが、人工関節については他の医療機器とは異なる特徴を有する製品ということが先ほどからお分かりかと思います。人工関節をどのように取り扱うかについて、以下御説明したいと思います。

 続いて 2. 「人工関節レジストリとの連携必要性」ですが、まず、これまで御説明してきたように、不具合の把握については、人工関節については以下のようないくつかの特徴があり、不具合の把握が比較的困難になることがあるかと思います。 1 点目として、後発品や改良品というようなものが多数存在し、異なる企業の製品での組合せ使用も多く存在しています。国内数千施設で広く使用されていることもあり、施設間での成績のばらきが大きいということも想定されています。

 そのような背景から、現行制度の下では、人工関節の不具合発生状況の正確な把握が難しいことが想定されています。人工関節は、形状、材質、表面処理など様々な改良が施されますけれども、新医療機器というカテゴリーでは使われるほど新規性が高くないケースも多くて、先ほど最初に申し上げたような、「使用成績調査」の対象とはならないようなケースも多いということがあります。

 不具合報告制度においては、製品の明らかな折損やそうした場合を除いて、手術手技や患者背景との切り分けが難しいこともありますので、製品そのものの不具合の疑いがかけられず報告がなされないというケースも想定されます。人工関節については先ほどの類型の中でも非能動型で機能型ということで、特殊な事例にもなるかと思いますので、耐久性等がより重要となる製品かと思っています。

 続いて、先ほど秋山先生からも御説明がありましたが、人工関節にまつわる具体的事例について、改めて御紹介させていただきます。人工関節のうち、金属同士の摺動部分が金属対金属になっている、「 Metal-on-Metal 製品」と言われるものについては、摺動面で生じた金属磨耗粉により、再置換を伴う重大な健康被害が世界的に報告されており、これまで国レベルのレジストリが整備されている英国や豪州などが世界に先駆けてアラートを発信してきているという状況があります。

 一方で、先ほど秋山先生からも御紹介がありましたが、 Metal-on-Metal に関しては、国内での不具合の把握がなかなか難しかったという状況がありました。一定の網羅性が確保されたレジストリにより、再置換率の増加の検出が可能になるというように考えていますし、集積されたデータからその原因の特定まで、先ほど御説明いただいたような、サブ解析等を行うことによって、可能になるのではないかということが見込まれるということです。また、製品群での注意喚起にとどまらず、製品ごとの成績を把握し、安全対策上の措置を行うことが可能となったのではないかと。こうした Metal-on-Metal の事例から考えると、そうした評価手法が妥当ではあったのではないかということです。

 次に、 2.3 「行政から人工関節レジストリとの連携にのぞむこと」ということです。行政側のアウトプットとしては、前述のとおりですが、「パターン A から得られる情報例」としては、 Metal-on-Metal の、御説明させていただいたような国内の発生傾向が分かると。不具合発生の有無に関わらない経時的な予後の把握ということで、例えば埋植年齢、活動性と人工関節の影響や関連性、再置換のタイミング等が分かるといったことがあるかと思います。

 また、パターン B のような形で網羅性を確保したものでは、国内の不具合発生率の算出が可能であること。不具合の製品や手技由来に関するサブ解析などができるだろうと。再置換率が高い製品の特定ができること。あるいは、再置換率が高い手技傾向が特定できるだろうということが考えられます。先ほど行政のアウトプットの所でマル1マル2とありましたけれども、パターン A からはマル1ができるだろうと、パターン B はマル1及びマル2が可能になるだろうというように考えているところです。パターン A から想定されるアウトプットのうち、 Metal-on-Metal に関する注意喚起については、先ほど秋山先生から御説明がありましたように、厚生労働科学研究のほうでアンケート調査を実施していますけれども、その中である程度傾向が分かってきているという状況があります。

 最後にまとめですが、以下のような特徴を持つ人工関節のような製品については、パターン B による調査を行うことで、効率的に必要な情報収集を行うことが可能になると考えられるというようにまとめています。 1 点目が製品のバリエーションが豊富ということで、自社他社に限らず組み合わせて併用される場合もあること。 2 点目に、製品ごとに使用される症例数も様々であるということ。 3 点目に施設や実施医による成績のばらつきが大きいこと。不具合が発生した場合、製品そのものによるものか、手術手技や患者背景によるものかなどの判断が難しいということ。同種製品であっても製品ごとの成績の差が大きく、代表的な製品を選出して評価することがなかなか難しい、そういったことがあるかと思います。

 最後、人工関節の中でも、国内での使用経験に乏しい新規性の高い製品、新医療機器に当たるような新しいものが出てきた場合や、市販前のデータ、あるいは海外からの情報などで既に安全性上の懸念がある製品などについては、パターン A のような手法を用いて、施設や症例数を限定して詳細な情報収集を行う必要があるというケースも想定はされるかと思いますが、パターン B による調査と組み合わせて実施するということが必要だと考えているところです。行政側としての説明は以上です。

○永井座長 御質問、御意見はいかがでしょうか。何で前回議論が紛糾したかというと、「国際的には 80 %を登録しなければ意味がないのだ」という話と、「現実にはなかなか難しいのだ」という意見が出たものですから、それだったら、まだ期が熟していないのではないかということだったわけです。つまり、いかに登録率を上げるかということです。

 もう一つは、これは長期試験になるわけです。おそらく最低でも 20 年、 30 年は継続するというものです。その辺の仕組みをよく考えないと、途中で挫折して、何も分かりませんでしたということになりかねないと思うのです。

 そこの議論も併せて、登録率をいかに上げるかということも、少し御説明していただけますか。むしろそちらが大事なのだと思うのです。

○事務局 続きまして、指摘の 2 点目に進みます。まず、先ほど資料 1 で秋山先生から御説明いただきましたが、引き続き学会での取組について、秋山先生から御説明いただければと思います。

○秋山構成員 資料 1 2 ページ、「登録率の向上に対する取組に関して」を御覧ください。

1 点、私からお詫びがあります。前の会議のときに、「日本整形学会の研修指定病院で登録しても 80 %は難しいのではないか」と申し上げましたが、それは 2006 年に人工関節登録制度を立ち上げるときに試算をした、研修指定病院を基にして申し上げましたが、調べ直しましたら、日本整形外科学会の研修指定病院ですが、この 8 年間で非常に数が増えておりまして、昨年度で 1,993 施設ありました。

 先週に日本整形外科学会がありまして、そこの代議員会で最新の報告がありまして、現在日本整形外科学会の研修指定病院としては 2,024 に増えています。

 年々研修指定病院が増えていまして、それに関して、全ての病院の人工関節の数を把握することはできませんが、資料を参照して概算をしました。日本人工関節登録制度ですが、 5 月現在で、参加登録施設は 180 施設、徐々には増えてきておりますが、全体の人工股関節は 5 万例程度、膝関節が 7 万例程度行われていると考えられておりますが、平成 24 年度の 1 年間の登録率は、股関節は 16.7 %、膝関節に関しては 10.9 %と、まだまだ登録率が非常に低いというのが問題であります。

 登録率が低い原因といたしましては、現在は登録制度の参加が任意であって義務制ではないということ、また、登録をしても手術手技料とか保険点数が付いておりませんので、インセンティブがあまりないということもあります。人工関節に関しては、人工関節をするという病院の施設認定、また医師の専門医、認定医というものがありませんので、どの病院でも、どの医師もやりたければできるという状況になっています。ということで、全体では、病院として人工関節ができるような手術の施設を持っているのは 4,000 施設以上になりますが、データ上は 2,000 施設以上と考えられておりますが、結局は登録の手間を考えて、不参加になっているところが多いのではないかと思っております。

 また、学会は、もともとはこの人工関節登録制度は日本整形外科学会がインプラント委員会というものを設立しまして、そこで立ち上げておりましたが、 2011 年から日本人工関節学会に業務が移行しまして、現在は日本人工関節学会に運営委員会をつくり、運営しております。実際の活動としては、先週日本整形外科会の中でも行いましたが、年次報告会、又は参加説明会を開催しております。また、日本人工関節学会の評議員が約 130 名おりますが、昨年の法人化に伴い定款を改正し、学会の評議員は人工関節登録制度に参加することが、評議員の要件として加わっております。

 また、今年の 7 月から UMIN を用いた WEB 登録のシステム上の開始を予定しています。現在はデータはオープンにしておりませんが、運営委員会でデータを使ってサブ解析をしたいということがありましたら、登録データの一部開示をしまして、研究などに使用していただくように現在検討しております。また、年次報告書としては、 6 月に前年度、今年の 6 月に関しては平成 25 年度の年次報告書を日本人工関節学会のホームページ上にアップして、皆さんに活動をお伝えし、また現在の現状をオープンにしております。

 また、日本整形外科学会への働き掛けとしては、日本人工関節学会の現在の理事長である関西医科大学整形外科の飯田教授から、日本整形外科学会の現在の理事長である九州大学の岩本教授に協力依頼の文書を出しまして、資料 4 に日本整形外科学会の理事長名で、日本人工関節学会の理事長の飯田教授あてに、 80 %以上の登録を目指して、日本整形外科学会のほうも協力していただく。具体的には、今年の 7 月又は 8 月に、専門医制度の委員会が開催されますので、研修指定病院の要項に、この参加を加えていただくことを検討していただくということで、理事会で決議されたと聞いております。

 また、股関節に関しては日本股関節学会というのがあります。また、膝の学会は JOSKAS という学会もあります。そこは人工関節以外に関節鏡又は靭帯の再建などの先生方も含まれておりますが、そちらの股関節、膝関節の学会に関しては、日本人工関節学会から協力への依頼の文書を送ることになっております。

 資料 1 3 ページです。そこに、 1,993 施設に関しては施設名が公開されておりますので、そちらの施設を私が全部ピックアップいたしました。人工股関節置換術に関しては、朝日新聞出版から毎年雑誌が出ていまして、そこで年間 40 例以上の施設、又は人工膝関節に関しては年間 50 例以上を手術している施設名がリストアップされておりますので、そこで研修指定病院を全て調べてみましたところ、年間 40 例以上の人工股関節置換術を行っている研修指定病院は 219 施設で、 10 分の 1 弱ありまして、合計が 23,383 症例、 THA 全症例数の約 50 %が 219 施設で網羅できることが分かりました。

 また、人工膝関節に関しては、年間 50 例以上の手術をしている研修指定病院は 215 施設ありまして、合計は 26,593 症例で、人工膝関節全体の約 38 %を 215 施設で網羅できますので、現在の約 2,000 施設を研修指定病院として、人工股関節登録制度に参加していただければ、 80 %の登録はまず大丈夫だと考えております。

 研修指定病院になっていない病院、主に個人病院ですが、そういう病院に関しましては、また別途、人工関節学会又は日本整形外科学会から参加を依頼する予定にしています。以上です。

○事務局 続いて、資料 3 に基づいて行政側の取組について紹介いたします。資料 3 「登録率向上に向けた取組について」を御覧ください。

1. 「学会の取組」について、ただ今秋山先生から御紹介いただいた日本整形外科学会との専門医の研修指定病院の要件との連動等について、記載しています。

2. 「行政の取組」について説明いたします。今年の 11 月に薬事法が施行される予定ですが、医薬品・医療機器等法の中の制度を活用するといったところで、検討していきたいと考えております。

 不具合報告制度において、製造販売業者に対し、「不具合発生率を把握し、一定以上の発生率が認められたら報告を求める」という規定が現在薬事法の中にもあります。こちらを活用し、企業に不具合発生率を把握する義務を掛けることを検討していきたいと思っております。その際に、不具合発生率の把握に、人工関節登録制度のレジストリを活用していただき、発生率を把握するといったことを考えています。企業に積極的にレジストリに関与していただくことで、登録率の向上に寄与できると考えています。

 また、学会で研修指定病院として登録を義務付けられていないようなところ、それ以外の施設に対する効果も特に期待できるのではないかと考えているところです。また、上記のような学会あるいは行政、あと間接的ではありますが、企業の各ステイクホルダーが連携し、 80 %を超えるような登録率の実現に向けた取組を実施していきたいと考えています。

 学会との連携に関して、資料 4 を御覧ください。今現在、日本人工関節登録制度を日本人工関節学会で運営しているところですが、その関連の学会として、日本整形外科学会に協力を依頼していただいており、それに対する整形外科学会からの文書を添付しております。

 秋山先生から補足等はございますか。

○秋山構成員 先ほども申し上げましたが、日本人工関節学会あてに、日本整形外科学会の理事長から積極的に取り組むということで、今月は理事会が 2 回開かれたそうですが、先週の理事会でも、日本整形外科学会としては協力していくという決議があったと聞いておりますし、 5 月初めの理事会録を日本整形外科学会から取り寄せましても、そのように記載されておりますので、日本整形外科学会といたしましても、日本人工関節学会と協調して、人工関節登録制度に関して、インターナショナルに通用するようなデータを取っていくこと、またそれが行政としっかりとタイアップしてデータを提供していくことなどを協力して、このレジストリを成功させていくということで、学会として取り組んでいくということに決まっております。

○永井座長 大分、前よりは具体的な行動、活動方針が見えてきたと思います。数十年にわたって 80 %、何万件かを調査するわけですが、経費はどうするのですか。

○秋山構成員 現在のところ、 WEB 登録システムができましたので、今までは全て事務の方を雇いまして、手入力をしていましたが、 WEB 登録とインプラントの情報はバーコードで入れられますので、人件費としては、それがワークしていけば少なくて済むと思います。実際に 10 人程度で 15 万件ぐらいは入ることになります。

 現在の運営費は、日本整形外科学会から今年度は援助がきておりますし、人工関節学会からの運営費用からも、このレジストリの運営費が入っております。

 また、今年度はインプラントメーカーからも寄付が入っておりますし、福島県の復興予算からも協力していただいておりまして、それで人件費に関しては 2 名分です。

○永井座長 人件費だけではなくて、システムの維持、データのセキュリティとか、いろいろお金がかかると思うのです。それは、むしろ本村先生のほうが詳しいと思うのですが、始める以上は相当の覚悟を持ってやらないといけないだろうと思うのです。

○秋山構成員 現在、 UMIN でデータは全て管理することになっておりますので、登録したデータも事務局から UMIN に全てアップして、 UMIN でとりあえずは管理していただくことになっております。

○永井座長 行政から業者に対して、不具合発生率を把握しなさいという指導ができるのだということですね。そうすると、これはある意味では、このレジストリに対する支援をしなさいという暗黙の指示と読んでいいのですか。

○事務局 不具合発生率を把握するということは、全例、どういった状況になっているかを企業は把握しなければならないことになります。それを企業で、各導入先を全て調査していくというのは大変な業務になりますので、それでレジストリとして、各医療機関からデータを登録していただいて、そのデータを用いて報告することができるようにすれば、企業としての負担も大分なくなるだろうと思います。

 不具合発生率を把握して、一定以上に発生率が高まった場合に報告するという形になりますので、従来求めている個別の症例の報告はしなくてもよくなると。特に死亡事例などの重篤なものは除きまして、個別症例の報告は不要になります。あと、発生率が高くなってこない場合には、年に 1 回の定期報告で済むことになりますので、企業としてのメリットもあるかなと思っています。

○永井座長 こういう規則が前々からあったけれども、それほど厳しく実施されていなかった。今までは不具合例の報告ということだったわけです。これからは、不具合発生率だということになると、相当、系統的に調べないと出てこないだろうと思います。

 それから、人工関節に限らず、あらゆる医療機器について、これは適用されるということでしょうか。

○事務局 まず人工関節について、先行的に取り組んでいきたいと思っております。その状況などを見まして、今後ほかの医療機器に適用できるのか否かも含めて、検討することになるかと思います。

○永井座長 条項をしっかり施行していただければ、ほかの領域でも、幾らでも前進できるわけです。今まで、むしろしていなかったのがおかしいわけで、これはほかでレジストリを考えている人たちにとっては、非常に明るいニュースではないかと思います。でも、業界にとっては結構大きな負担にもなり得るわけです。慎重に適用しないといけないでしょうけれども、方向としてはそうなのだと、特に薬事法に、「不具合発生率を把握しなさい」と書かれているのであれば、まさに今までの懸案事項というのは、使用者だけではなく、メーカーの責任においても行う、そのように理解できると思います。

○事務局 もともとこの規定の趣旨としては、ある程度不具合の発生内容、頻度等が把握できているものについて、その一例一例を毎回個別症例として報告していただく必要はないだろうということで、発生率が高まってきた場合に、そこを捉えることを目的にした制度です。

 なかなか発生率の閾値の設定が難しいのかと思いますので、そこのところで現在まで運用している事例がないという状況があると思います。この人工関節を題材に検討を進めていきたいということです。

○永井座長 一色先生、いかがですか。いろいろな循環器系でも、いろいろな不具合発生が起こっていますが。

○一色構成員 「レジストリを活用」と記載してありますが、これは今の人工関節のレジストリがうまく、例えば 80 %まで登録が進んでいったときに、各メーカーが学会に定期的に個々の人工関節のデータの出力を依頼するというイメージで捉えてよろしいのですか。

 それに対応する対価を支払うシステムを導入することによって、それがまたレジストリに対する経済的支援になっていくというお考えなのでしょうか。

○事務局 そうです。そういうイメージで考えております。

○一色構成員 そういうことであれば、データベースの管理に対してのサポートという意味では、ある程度、地盤としては固まってくるかもしれないですね。

○永井座長 いろいろな応用が考えられるということだと思います。

○事務局 そうですね。

○永井座長 学会の専門医制度と、行政的なそうした取組の両方を組み合わせれば、かなり登録率が上がるだろうと。そういう方策を今回提示いただいたということですね。いかがでしょうか。

○本村構成員 不具合の発生率、不具合の定義とか、一定以上という、この「一定」というのは、もう決まっていることなのでしょうか、それともこれから誰が決めていくのですか、行政で決まっている内容なのでしょうか。

○秋山構成員 人工関節の国際的な不具合としては、一つの目安が、全体の平均が再置換について 10 年間程度で、 4 5 %になっていますので、レジストリでザッと全てのインプラントを調べまして、 2 倍、 8 10 %になっているものに関しては、全てサブ解析を行うという方向に今は動いています。

 その中で、特に重篤な、抜かれていなくても骨が溶けているとか、歩けなくなっているというものに関しては、かなり慎重に精査をするという方針になっています。

○本村構成員 そうしますと、 10 年間待たないと分からないことになってくるのでしょうか。

○秋山構成員 具体的には、 3 年ぐらいで差が出てきています。本当に悪いものは 3 年ぐらいで差が出てきておりますが、そのときの 2 倍というのは、パーセンテージで 4 5 %ですので、それが本当に有意かどうかというのは、もし Retrospective study とか、 3 年で大きな学会発表とか、論文がありましたら、それはもうレジストリのほうで動いていますので、実際には 3 年、 5 年で動いているというのが現状で、諸外国ではそれが現状になっています。

○本村構成員 永井先生もおっしゃいましたが、こういったシステム、レジストリの有効利用をして、企業にも参加していただきながらの長期にわたるフォローアップが、公のシステムにバックアップしていただきながら確立されるのであれば、素晴らしいことにつながるのではないかという印象を持っています。

○一色構成員 前にも話が出たかもしれないのですが、企業が撤退してしまった場合にどうするのかという問題があります。

 例えば Cypher ステントは、既に企業が撤退してしまいました。 Cypher ステントは非常に多くの患者さんに植え込まれており、いまだにステント血栓症がある程度の頻度で起こっているという事実があります。

 このように、植え込まれて 10 年、 20 年と経過した後に発生してくるような不具合があった場合、既に対応すべき企業が存在しないという状況があり得るのですが、そういう場合の対応は何かお考えなのでしょうか。

○永井座長 これは製品ごとに企業の支援を仰ぐというよりも、企業単位で、別に Cypher ステントは撤退しても、ほかのものを販売しているわけです。そういうことも含めて、レジストリに対する支援を頂くということではないかと思いますが、そこはどうですか。撤退したものは、誰も費用を負担しないという話になってしまうのですか。

○事務局 そこの辺りは、現段階で細かく詰められているわけではありません。

○秋山構成員 企業の方に現在支援をお願いしておりますのは、個別の企業に学会からお願いしているわけではありませんで、企業の集まりで検討していただきまして、支援をお願いしている形になっています。

 また、インプラントに関しても、整形外科は一つのメーカーが 1 種類しか出していないということはありません。基本的には数十種類以上とはいかなくても、複数出していますので、それが企業が合併することはありましても、完全に撤退することは考えにくいと思っています。

○中谷構成員 市販後調査まで至っていないのですが、人工心臓であったのは、米国での話ですが、かなりの数が植えられていたのですが、ある時点で企業が、経営上の問題があって、一瞬にして消えてしまって、その後その会社の機器を装着した患者のフォローをどうするかというのが大問題になって、ある企業がテイクオーバーしたという例があります。

 だから、企業が降りるのは仕方ないと思うのですが、そしたら、ほかの企業がそれをある程度バックアップせざるを得ない状況になると思うのです。そういうこともある程度含めておく必要があると思います。

 このような話は人工心臓に限られたものではなくて、認可のときにその企業の体質とかが調べられないので大きな問題ですが、米国では先に述べた事例以降は、それなりの議論になっているところです。使用する期間が長くなるものに関しては、安全面から、このようなことが起こったときにどうなるということを、それなりの検討を入れておかざるを得ないと思うのです。

○事務局 先ほどの企業が撤退してしまった場合という話ですが、確かにレジストリへの協力という意味では、企業は製品全部を扱わないということであれば、協力しませんということはあり得るかと思うのですが、薬事法上、既に売ったものは会社が存続する限りは、それに対する市販後安全対策の義務は掛かっておりますので、そういったレジストリを使って評価することはしなくて、企業独自でそういった対策をしなければならないという責任は残りますので、むしろ企業としては負担が大きくなることもあり得るのかなと思います。

○永井座長 企業独自では、総数は分からないわけだから、やはりこうした登録率の高いレジストリに参加するか、協力するしかないわけです。不具合発生率ですから。不具合発生症例を散発的に報告するなら、それでいいかもしれませんが、ここに書かれているのは率ですからね。この法律をきちんと運用すれば、レジストリに協力するということしか選択はないように思います。そこをきちんとやっていただくということではないかと思うのですが。

○本村構成員 おっしゃるとおりだと思います。あと、費用負担は重要なポイントだと思うのですが、以前に中谷先生がおっしゃったように、患者のほうにも多少負担をしていただくのは重要なのではないかと思っておりまして、多い少ないは今後の議論ですが、患者自身も、どのインプラントが自分に入るのかという意識を持っていただくためにも、自分も費用を負担しているのだという意識を持っていただくのは、必要なことではないかと私は思っております。

 ですから、「あなた任せ」という風潮がある中、やはりそうではなくて、「こういう特徴のあるインプラントを入れますよ。それでよろしいですか。あなたにはこのぐらいの負担があるのです」ということを、企業側としてもそういう情報を提供していくというのが、将来的にはあり得べき姿ではないかと思っております。

○秋山構成員 人工関節学会でも、それに関して将来的な安定した財源として、いろいろ議論はしているのですが、患者に負担していただくというか、イギリスのようにインプラントに加金しているということは、それは国が結局払っているということなのですが、国が点数として入れていただくのか、それか 2,000 施設ぐらいになってきますと、 1 施設につき年間 1 万円ずつ登録手数料のような形で入れてもらえば、それで 2,000 万円ということになりますので、そういう形がいいのかというのは、現在議論はしているところです。実際にどういう形でやっていくかというのは、また登録率が上がってから実際に動くとは思います。

○永井座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 そういたしますと、本日頂いた御意見を踏まえまして、まず事務局で適宜修正等を行っていただき、検討会の報告書 ( ) の作成を進めていただくことになります。今後の進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 本日の議論の総括ということでまとめさせていただきますが、前回御指摘を頂いた一つ目の点の人工関節の評価手法に関しては、人工関節学会で運営しているレジストリをベースに検討を進めていくといったところで、登録率の確保についても、学会の取組と行政の取組を合わせて、登録率の向上を目指していくということで、行政と学会、あとは企業で協力して進めていくという方向で、報告書にもまとめさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

                                  ( 異議なし )

○事務局 今後の進め方は、本日御議論いただいた人工関節関係以外も含めまして、これまで検討会で御議論いただいた新規性の高いものに関する患者登録システムの在り方、あるいは前回も御議論いただいた、既に承認された医療機器の在り方、そちらの一般論のほうも含めまして、報告書 ( ) を取りまとめたいと思っております。

 次回は 6 16 日に再生医療等製品の患者登録システムの検討会と合同で開催を予定しています。そちらに報告書 ( ) を提出させていただいて、御議論いただきたいと思っております。

○永井座長 報告書 ( ) は事前に私にも見せていただければと思いますので、お願いいたします。

 議題 2 「その他」です。何かありますか。

○事務局 本日、その他特に御用意している議題はありません。

○永井座長 構成員の皆様から御発言はありますか。よろしいですか。

 それでは、本日の議論は終了といたします。事務局から連絡事項等をお願いします。

○事務局 本日は御検討ありがとうございました。遅い時間になってしまいましたが、どうもありがとうございます。本日の速記録については、出来次第構成員の皆様に御連絡いたしまして、御確認いただいた上で、厚生労働省のホームページに掲載する予定です。

 次回以降の予定は、 6 16 日に再生医療等製品の検討会との合同開催で、報告書の取りまとめの議論をお願いします。

○永井座長 これで第 6 回体内埋植型医療機器患者登録システムの在り方に関する検討会を閉会いたします。構成員の皆様、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医薬食品局安全対策課
(代表電話)03−5253−1111

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