ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 障害児支援の在り方に関する検討会> 第6回障害児支援の在り方に関する検討会(議事録)(2014年5月20日)




2014年5月20日 第6回障害児支援の在り方に関する検討会(議事録)

社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害児・発達障害者支援室

○日時

平成26年5月20日(火)
10:00~12:00


○場所

厚生労働省 専用第23会議室(6階)


○出席者

【構成員】

加藤構成員  宮田構成員  田中 齋構成員  朝貝構成員  片桐構成員  田中 正博構成員  石橋構成員  高木構成員  柏女構成員  大塚構成員  柘植構成員  佐藤構成員  大濱構成員  田畑構成員

○議題

・ヒアリングの概要等について 等

○議事

【障害児支援の在り方に関する検討会(第6回)】

○柏女座長 皆さん、おはようございます。この検討会も第 6 回目になりました。 3 回にわたるヒアリングを終えて、今日から報告書の検討に入っていきます。 5 16 日には障害者福祉部会のほうに、私と事務局からこのヒアリングの概要について御報告させていただきました。幾つかのかなり貴重な御意見なども頂戴しておりますので、この報告書の中に生かしていければと思っております。構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ御出席いただきましてありがとうございました。最初に事務局から、今日の構成員の出欠状況と資料の確認をお願いいたします。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 まず、本日の構成員の御出席です。佐藤構成員、高木構成員、田中正博構成員におかれましては、遅れての御出席との連絡を頂いております。岡田構成員、市川構成員、渡辺構成員、辻井構成員、大南構成員からは御欠席の連絡を頂いております。また、岡田構成員、市川構成員、大南構成員の代理として、それぞれ池上参考人、加藤参考人、坂参考人に御出席いただいているほか、 3 月まで構成員でいらっしゃった湖南市の松浦さんにも、本日は参考人として御出席いただいております。蒲原部長においては国会のため、途中で退席させていただきますので、よろしくお願いいたします。

 続いて資料の確認です。まず、資料 1. 「障害児支援の在り方に関する主な意見等 ( 未定稿 ) 」、資料 2. 「第 4 期障害福祉計画に係る国の基本指針の告示について ( 報告 ) 」、資料 3. 「障害児支援の見直しに関する検討会報告書平成 20 7 22 日と現在の関連施策の状況等」、参考資料 1. 「第 2 回検討会で出された御質問等について」、参考資料 2. 「障害児支援の見直しに関する検討会報告書全文」となっております。また、追加資料として本日御欠席の辻井構成員から、今朝御意見が送られてきておりましたので、併せて配布させていただいております。資料の不足等がありましたら、事務局までお願いいたします。

○柏女座長  大丈夫でしょうか。もし欠落等がありましたら、後ほど気が付いたときに事務局に申し出ていただければと思います。

 それでは早速、議事に入りたいと思います。まず第 1 の議題である、ヒアリングにおいて出された御意見等についての御報告です。事務局より説明をお願いしたいと思います。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 それでは資料 1 について、事務局より御説明させていただきます。これまで 3 回のヒアリングにおいて、各団体からいただいた意見をまとめたものです。作業スケジュールの関係上、意見を頂いた各団体に御確認を取っておりませんので、事務局の責任において未定稿としてまとめたものです。この資料で、全体の議論のイメージはお分かりいただけるものと考えております。また先週の金曜日、 16 日の社会保障審議会障害者部会において、この資料で御説明しております。その際にいただいた御指摘などについては、資料 3 に別添としてまとめております。これについては後ほど御説明させていただきます。

 本資料については全体の分量を圧縮する必要もあった関係で、いただいた御意見を全て反映できていないところもありますから、御了承いただければと思います。これから内容について御説明いたしますが、今後の検討会において報告書で言及する論点等については、資料 3 で整理しておりますので、報告書である論点について言及すべきといった御指摘や御意見については、後ほど資料 3 の御説明の後にお願いできればと思っております。まず、資料全体の構成です。 1 6 ページまでが 1. 「障害児支援を進めるに当たっての基本的な視点」、 7 15 ページが 2. 「各支援類型別の論点」、 15 ページ以降が 3. 「各支援類型に横断的なものを含むトピック別論点」という形で整理しております。

 初めに、 1 ページ以降の障害児支援を進めるに当たっての基本的な視点として、 (1) 「障害児支援の基本的理念・グランドデザイン」、 (2) 「一般子育て支援策との連携」、 (3) 「教育施策との連携」について、いただいた意見を整理しております。まず「基本的理念・グランドデザイン」については、子ども・子育て支援法の基本理念を基本とすべき、教育を含む専門機関との連携・調整、ライフステージに応じた一環した切れ目のない支援、一般的な子育て支援よりも丁寧な早い段階での親支援、家族支援が必要、都道府県市町村において支援体制の充実等に向けて連携を図るべき、専門職の養成等を進めるべきといった御意見を頂いております。

3 ページの「子育て支援策との関係での障害児支援の位置づけ」については、子ども・子育て支援制度から排除されることがないよう十分な連携を図った上で、重層的・継続的な支援を行うべき、保護者のペースに合わせた丁寧な支援や子育てに対するフォローアップが必要、社会的養護の現場における障害のある児童への対応についても検討を行うべきといった御意見を頂いております。

5 ページの「教育施策との関係での障害児支援の位置づけ」については、特別支援学校と市町村の障害福祉担当課等の連携を進めるべき、教育現場と障害者就業生活支援センターや企業、労働関係機関等との連携を進めるべきといった御意見を頂いております。

7 ページの支援類型別については、大きく通所支援、入所支援、相談支援に分けております。そのうち通所支援については、特に児童発達支援センターの役割、保育所等訪問支援の役割部分について御意見をお願いし、多くの意見を頂いたところです。 (1) の「児童発達支援センターの役割についてのセンターの地域支援機能に係る基本的考え方」については、地域支援を行う拠点としての役割を担うべき、重症心身障害児支援において医療的な知識、判断や助言を行う力量が求められるといった御意見を頂いております。2の「保育所等訪問支援事業、障害児相談支援事業等の位置づけ」については、保育所等訪問支援と障害児相談支援は基幹的地域支援機能として、児童発達支援センターの必須事業とすべきといった御意見を頂いております。

8 ページが「その他障害児通所支援の在り方」です。1の「現在の事業体系の検証」については、児童発達支援について、併行通園のための体制整備を進めるべき、重症心身障害児を受け入れる際の医療的ケア、また、放課後等デイサービスと放課後児童クラブとの役割分担の明確化、不登校児童における子ども等の受入拡大を図る方向で検討すべきといった御意見を頂いております。2の「新たな政策課題の検討」については、保育所等訪問支援の訪問先を家庭や医療機関に拡大すべき、児童発達支援におけるカウンセリングや通所支援を利用できない場合、訪問型の療育支援について検討すべきといった御意見を頂いております。

11 ページを御覧ください。 (3) 「障害児入所支援の在り方」です。1の「現在の事業体系の検証」については、地域における障害児と家族を支援する拠点支援として位置づけた上で、普通の暮らしに配慮する生活環境とすべきといった御意見を頂いております。2の「新たな政策課題の検討」としては、児童発達支援センターなどと共同した地域支援体制の整備、医療等とも連携したネットワークの構築を進めるべき、社会的養護との連携強化などの御意見を頂いております。

13 ページが「障害児相談支援の在り方について」です。障害児支援利用計画の作成は、根拠と客観性に基づく支援への大きな転換を意味する、計画の作成に大人の場合よりも時間を要することから、報酬の評価を引き上げるべきといった御意見を頂いております。

15 ページのトピック別の論点については、支援類型の横断的なトピック的部分として、発達障害、重症心身障害、その他に分けて御意見をお伺いしました。 (1) 「発達障害児の支援の在り方」については、自閉症については適切な家族支援は二次障害を発現させないようにするという意味で、極めて重要である、発達障害者支援センターを中心とした重層的な支援体制を構築すべき、早期発見、早期支援、教育との連携を進めるべき、強度行動障害の対応に当たっては支援者のスキルアップ、研修の実施、医療と障害福祉、教育分野が連携する仕組みが重要といった御意見を伺っております。

17 ページの「重症心身障害児の支援の在り方」については、医療的支援を組み込んだ連携体制、切れ目のない地域で安心して暮らせる体制づくりを進めるべきといった御意見や、療養通所介護の重症心身障害児の受入体制の充実といった御意見を頂いております。

19 ページの「障害児の障害福祉サービスの利用の在り方」については、障害児の移動支援のために、現行の重度訪問介護の対象年齢を各大すべき、障害児入所施設からの退所や NICU からの退院に当たって、地域移行支援、定着支援が利用できるようにすべきといった御意見を頂いております。資料 1 の説明は以上です。

○柏女座長  ただいまの説明について、御質問がありましたら御発言をお願いしたいと思います。まだ各団体等に確認をしたわけではないので、細かい点については、ここの表現を変えてほしいとか、いろいろとあるのかもしれませんけれども、いま御説明を頂いた主な意見のまとめの大枠のところで、何かありましたらお願いしたいと思います。

○石橋構成員 まとめの大枠については、これで結構だと思いますが、言葉の使い方についてです。事前に配布されたページで言いますと、 15 ページの (1) 「発達障害児の支援の在り方」で使われている「二次障害」というのが、私ども肢体不自由にとってみれば、持って生まれた最初の障害が、年齢を加算することによって飲み込みが悪くなったとか、次のときを「二次障害」と言っているわけです。そのときの二次の使い方と自閉症の場合の二次というのは、意味合いが全然違うと思うのです。ですから、ここはある意味で障害ではなく、ほかの言葉のほうが適当ではないかと感じているのですが、いかがでしょうか。

○柏女座長  事務局、いかがでしょうか。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 石橋構成員の御指摘は承りました。ただ、ここは自閉症協会から、正にこういう言葉で御意見を頂いて、それをそのまま引用しております。私の理解で申し上げますが、発達障害、自閉症支援の関係で、ここで言う二次障害ということになりますと、もともと発達障害の一部できちんとした対応ができない、適切な対応をしないことによって、新たな障害が発生してしまうということで使われていますから、石橋構成員のおっしゃっている肢体不自由の方とは、一部違うところがあるのかもしれません。言葉の使い方については、報告書のまとめの中で気を付けていきたいと思います。

○柏女座長  石橋さん、よろしいでしょうか。

○石橋構成員 はい。よろしくお願いいたします。

○柏女座長  とても大切な点を御指摘いただいたかと思います。事務局からも話がありましたけれども、報告書の中では特に丁寧に、その辺のところは見ていかなければならないと改めて思いました。

○加藤構成員 何点かお尋ねというか、気になるところを申し上げます。まず、最初の「基本理念・グランドデザイン」についてです。前にも発言させていただいたところではあるのですが、障害があるとか障害を理由にというところから、全ての制度や仕組みがスタートするような印象を与えてしまう形なのです。初っぱなから障害のある子ども、障害を理由にという話からスタートしているのですけれども、診断からスタートするのではなく、気になる段階からスタートする、困り感からスタートするということを、最初の基本理念で言っていただけるとよろしいのではないかというのが、私の 1 つの見解です。

 それから、 5 ページの (3) の教育との関係です。要するに、連携が大事だということは、誰も異存のないところかと思います。そういう意味では積極的に進めるべきだとは思います。ただ、四角の中の最初のマルにありますように、卒後の支援というのはもちろん大事ですし、放課後や長期休暇の支援という観点からも書かれているのですが、もう 1 つは就学支援に絡むのでしょうけれども、就学前のところでの福祉と教育の連携と言いますか。学校側からは「教育委員会」と言ったほうが正確かもしれませんが、今は就学前の子どもたちへの様々な支援やアプローチというのが、いろいろな名目で積極的に行われてきていると認識しています。その辺の福祉と教育とのダブルスタンダードみたいな話にならないように、そういう視点からの連携というのも大事なような気がします。

 それから 9 ページの放課後デイについてです。放課後デイというのは、放課後等デイサービスということですけれども、いろいろな意味でこの場でも話題になったと思うのです。その中身については今ひとつ、しっかり書き切れていないというか。余り十分議論もできていないという部分があるのかもしれないのですけれども、その中身、役割、機能、それに見合った職員の資質等々の問題なども、もう少し触れていただきたいと思うところです。

 最後の 15 ページは、「発達障害者支援センターを中心とした重層的な支援体制」ということですが、発達障害者支援センターが地域の中でどの程度機能しているか、私としては余りピンときていないところがあるのです。そこを中心として「重層的な」と言った場合に、具体的に何を言っているかというのがよく分からないのです。結果として地域にいろいろな重層的なシステムがダブル、トリプルに走っている状態というのも、いかがなものかと考えますので、その辺の整合性というか、一体化というか、一元化というか、整理というか、その辺のことも必要だと考えます。その意味で、何か少しピンとこないと思います。

○柏女座長  これはヒアリングの意見を取りまとめたものですから、それを敷衍しての加藤委員の御意見は、とても大事なことだと思います。ただ、ここでこれを書き替える必要はないということでよろしいですね。

○加藤構成員 はい。

○柏女座長  御意見としてとても貴重な御意見を頂きましたので、更に我々がこのヒアリングを読み込んで、どういう点に留意していったらいいのか、加藤委員の意見は報告書の中で生かしていただければいいと思います。ほかにはよろしいでしょうか。

○宮田構成員  9 ページですが、私の発言で若干誤解が生じる部分があるかと思いますので、追加させていただきます。医療型の児童発達支援センターの診療所機能を分離するという表現を、四角の中にも入れていただいているわけです。医療型の障害児施設というのは、いつも福祉的給付と医療費が一緒になって、両方でやっていきなさいと言われるわけですけれども、逆にそのために児童発達支援センターの子育て支援部分と言いますか、保育機能が今まで問われないでやってきているという状況があります。そういった意味では福祉型とか医療型というのを分けずに、子育て支援機能と言いますか、保育士若しくは児童指導員の配置基準を一定にして一緒にし、加えて診療所を持っている施設については、今まで施設内診療所のイメージが強かった診療所部分を外に解放し、給付と別枠で分離すべきという意味合いで申し上げました。その点は追加させていただきます。

○柏女座長  分かりました。報告書作成の段階で生かしていければと思います。とても大切な御指摘ではないかと思います。

○朝貝構成員 肢体不自由児施設運営協議会です。 12 ページの「職員の養成、配置、報酬の見直し等」に、肢体不自由児施設運営協議会の肢体不自由児養護施設連絡協議会等の意見として、人員配置基準の見直しということが書かれて、大変有り難いわけです。ヒアリングの内容で、地域生活を支援するための有期有目的入所というのが、非常にやりにくくなっているというお話をさせていただいた中で、人員配置による給付費の設定とか、短期間の入所に加算を付けるということを具体的にお願いしたわけです。これが今後の地域を支援する入所施設として、非常に重要な 2 点ではないかと思っています。是非、ここにその 2 点を具体的に入れていただくと有り難いと思います。

○柏女座長  貴重な御意見を賜りました。ほかによろしいでしょうか。具体的にこのヒアリングのまとめについての扱いは、どのようにされますか。団体には今いただいた御意見も含めて、細部にわたって修正という御意見もあろうかと思います。それらについては、どのようにされる御予定でしょうか。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 また今後、御相談させていただければと思っております。「未定稿」と銘打っておりますが、未定稿ではなく、この会としてきちんと確定版にすべきだという御意見があるようでしたら、また個別に御確認をさせていただきます。ただ、個別に御確認をさせていただいても、それぞれの団体からいただいた意見が全て入るわけでもありませんので、そこだけは御留意いただければと思います。必要に応じて、ここだけは入れてほしいとか、そういう話がある場合に、それを入れさせていただいた形で最終版にするということは、今後の流れでまた御相談させていただければと思います。

○柏女座長  ここでは結論が出ないかもしれませんが、個人的に言えば、各団体の方々から貴重な御意見を賜りましたので、なるべくなら報告書の後ろに、資料として添付したほうが問題点というか、課題が、全体像が見えるという意味ではいいかと思っています。皆様方の中で「それはちょっとまずい」とか、「そのほうがいいのではないか」といった御意見はありますか。もし、そういうものがあって今日合意できるようであれば、なるべく事務局のほうで各団体の御意見を少しずつ酌み取っていただいた上で、報告書の資料として添付するという形にしたいと思うのです。いかがでしょうか。

○佐藤構成員 今の座長の提案に賛成です。その代わり、これはもうほとんど生のデータとして並んでいるわけですので、資料として付ける際にはその限りの資料であると、きちんと書いていただかないと。見た感じでは矛盾するような所はないようですけれども、それはそれぞれの団体の意見であって、ここの委員全体が議論をし、今後の方向性として、それに積極的に取組んでいこうとか、この点はこういうように変えたほうがいいのではないかという議論はまだしていません。先ほどの座長の提案については、正に資料として、生のデータとしてということで。その代わり、事務局で整理したものをそれぞれの団体にもう一度検討してもらって、これで間違いがないかどうかという手続を踏み、そこには事務局の意図や意思が入らないことを前提にして、資料としてまとめていただくほうがよろしいかと思います。

○柏女座長  ほかの方はいかがでしょうか。おおむね賛意を頂けたということでよろしいでしょうか。

                                  ( 異議なし )

○柏女座長  ありがとうございます。それでは今、佐藤さんからもお話がありましたけれども、そうしたことに配慮しながら、事務局のほうで作業に入っていただいてよろしいでしょうか。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 はい、承知いたしました。

○柏女座長  よろしくお願いいたします。それでは報告書の後ろの資料として添付したいと思います。各団体の御意見を資料の中に入れ込むかどうかについては、別途議論をさせていただきたいと思います。厚生労働省のホームページからは随時、資料として掲載されておりますので、そこからダウンロードできる形にはなっているので、それでもいいかなと感じております。それは最後の段階で、また御意見を賜れればと思います。ヒアリング関係については今後、今申し上げたような形で進めていきたいと思います。なお、それに関連して、報告書の中身についての御意見が加藤さんを初めとして幾つかありましたけれども、それらは報告書の議論をする中で生かしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは 2 つ目も報告という形になりますけれども、「第 4 期障害福祉計画に係る国の基本方針の告示について」に入りたいと思います。事務局より説明をお願いいたします。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 第 4 期障害福祉計画について、資料 2 に基づいて事務局から御説明いたします。障害者の総合支援法においては、厚生労働大臣の定める基本指針に即し、都道府県・市町村が障害福祉計画を定めるものとされているところです。国の基本指針においては、障害福祉計画の計画期間を 3 年と定めており、都道府県・市町村は 3 年ごとに障害福祉計画を作成しているところです。平成 24 26 年度までの第 3 期障害福祉計画に係る基本指針においては、児童福祉法に基づく障害児支援は根拠法が異なることから言及されていませんでした。具体的に言うと、障害児支援に係る方針を策定することが望ましいといった旨を簡潔に記載しているといったものでした。

 一方で子育て支援全体に関して、子ども・子育て支援法が制定され、今後これに基づいて都道府県・市町村の計画が策定されることになっております。その中で、障害児支援についても言及されることが予定されています。このようなことを踏まえ、第 4 期の平成 27 29 年度の障害福祉計画の中でも関係機関との連携の趣旨から、障害児支援についても言及し、障害児童数の見込み等を定める形とすることが適当ではないかと考え、各都道府県・市町村における対応について定めることとしたところです。第 4 期の障害福祉計画に係る基本指針については 5 15 日付けで告示されており、資料 2 として障害児の関係部分を抜粋した資料を付けております。

1 ページめくっていただいて、別添として付けているところが関連部分を抜粋したものです。下線は事務局で引いたものですので御了承願います。第一として障害福祉サービス等の提供体制の確保に関する基本的事項を記載しております。総合的な障害福祉計画を策定する際の配慮すべき点として、「自己決定の尊重と意思決定の支援」、「市町村を基本とした実施主体と障害種別によらない一元的な障害福祉サービスの実施」などを記載しています。

 次のページで、基本的事項の四「障害児支援の提供体制の確保に関する基本的考え方」に新たに記載しているものです。具体的な内容として、障害児については子ども・子育て支援法において、子ども・子育て支援の内容及び水準は全ての子どもが健やかに成長するように支援するものであって、良質かつ適切なものでなければならないというところで規定されていることなどを踏まえ、教育・保育等の関係機関とも連携を図った上で一貫した効果的な支援を身近な場所で提供する体制の構築を図ることが重要である。また、都道府県・市町村は障害児を支援する体制を確保するため、児童福祉法に基づく障害児通所支援及び障害児入所支援の整備についても障害福祉計画を定め、当該計画に沿った取組を進めよう、努めるものとするとしているところです。

 次のページで第三の一の 6 「他の計画との関係」については、子ども・子育て支援法に基づく子ども・子育て支援事業計画と調和を保つことが必要であるとしております。

 四「障害児支援のための計画的な基盤整備」については、障害児支援の種別ごとの必要量を見込むに当たり、資料の一番最後のところに、別表の第一の六に、サービスの類型ごとに記載した表があります。こちらの表を参考にしつつ、障害児支援の利用実態及びニーズの把握を行い、現在の利用実績等に関する分析、また障害児及びその家族の支援の利用に関する意向等を勘案した上で、地域における児童の数の推移も含め、地域の実情を踏まえて設定することとしております。

 また、計画を設定するに当たり、四の 1 5 に記載しておりますが、特に配慮を求める事項を記載しているところです。「 1  児童発達支援センター及び障害児入所施設を中核とした地域支援体制の整備」、「 2  子育て支援に係る施策との連携」、「 3  教育との連携」、「 4  重症心身障害児などの医療的ケアが必要な障害児、又は虐待を受けた障害児など特別な支援が必要な障害児に対する支援体制の整備」、「 5  障害児通所支援及び障害児入所支援の一体的な方針策定」といった項目について特に配慮を求めるということで記載しています。

 なお、障害児支援に係る計画の策定については、根拠法が異なることから、義務の規定ではなくて努力規定になっています。ただ、可能な限り障害福祉サービスに係るものと同様に必要量の見込みや体制整備の検討等を行っていただくこととしています。資料 2 の説明は以上です。

○柏女座長 障害児支援について、障害福祉計画にしっかりと盛り込まれたということの報告ですけれども、これについて御質問等がありましたら御発言をお願いいたします。大塚さんお願いいたします。

○大塚構成員 大塚です。障害福祉計画に係る国の基本指針の告示ということで、障害児部分についても記入されたと。特に別添の 2 ページの四「障害児支援の提供体制の確保に関する基本的な考え方」だとか、更に 3 ページの第三「障害児支援計画の策定に関する事項」の 4 「障害児支援のための計画的な基盤整備」と。これを見ますと、正にここで議論すべき障害児支援の在り方のグランドデザインが書いてあると思います。これを基に、障害児支援の在り方を検討したらどうかという個人的な意見です。

 ただ、例えば「児童発達支援センター及び障害児入所支援を中核とした地域支援体制の整備」と書いてありますけれども、地域支援体制の概念規定がありません。どのような地域支援体制を目指すのか、具体的なものとしてはこういうこと、あるいはそれを進めるためにどんな手順、あるいはどんな計画の下にやっているか。これは、もちろん都道府県・市町村が考え、国も考えるのでしょうけれども、この場においては、これを具体化するための手順であるとか、多分ステップを踏んでやっていくと思いますので、すぐには行けないと思います。どういう目標を持ちながらやっていくかを議論することが必要だと思います。そうすると、児童発達支援センター及び障害児入所支援を中核とした地域支援体制となるので、改めて児童発達支援センターの機能とは何かとか。

 次の「子育て支援に係る施策」のところは、母子保健との関係で、早期発見、早期支援。それから保育所であるとか、言葉の教室などとの連携、更に教育との連携がありますので、ここも非常に大きな議論になると思います。そして、特別な支援が必要な障害児と。これを議論するときには、例えば児童発達支援センターの機能を考えなければならないのですけれども、機能とともに、結局は誰がその支援体制を構築することをどのように行うか。人となると児童発達支援センターに所属する人。人材育成とともに、本日の議論にもあります相談支援事業は相談支援専門員がやっていくことになる。そして、児童発達支援センターに必須の事業としなさいということの提案も団体の意見にありました。

 私も、人材は今の状況からいくと必然性があると思っていますけれども、ただ危険なのは囲い込みになることも含め、相談支援とともにやることがいいのかということも含めて考えるべきです。そうすると、結局最終的には地域支援体制というのは、児童発達支援センター、そしてそこにおける人材、障害児相談との関係、そして自立支援協議会の辺りの議論になると思います。

○柏女座長 障害福祉計画に盛り込まれたグランドデザインを、この検討会の報告書で具体化し、かつ手順を定めていく、そうした具体的な検討がこの検討会で必要なのではないかという御意見だったと思います。朝貝さんお願いいたします。

○朝貝構成員 子育て支援に、この障害児支援を是非しっかり入れていただきたいというのがお願いです。昨日も報道がありましたけれども、安倍内閣の骨太の政策の中で、子育て支援の予算を倍増するというような報道も出ています。正にこの障害児支援というのは、社会のセーフティネットであり、正に子育て支援なのです。しっかり入っていればいいのですけれども、そこのところはいかがでしょうか、入っているのでしょうか。

○柏女座長 今のは御質問ということでよろしいでしょうか。

○朝貝構成員 はい。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 子育て支援の予算ということで、安倍内閣の方針ということでの御指摘がありました。消費税の対象になっている「子育て支援」の内容に、児童発達支援センターや障害児入所施設などの障害児に関する支援として行っているものは入っておりません。政府全体の仕切りとして、障害者・障害児に関する支援を専ら行うものについては消費税の対象とされていないところであります。

 一方、消費税対象経費になっているかどうかにかかわらず、障害者・障害児への支援について、基本的に必要な経費については国等がすべからく負担する制度になっております。実際に、これまで毎年毎年の必要な予算について確保してきております。現実として、毎年の予算ではかなりの増額を確保しているところです。そういう意味では、今おっしゃった安倍内閣の方針うんぬんの中に、障害児のところについては一義的には含まれておりませんけれども、そこは別枠できちんと確保している状況です。

○柏女座長 よろしいでしょうか。関連してですか、別ですか。

○佐藤構成員 そのことではなくて、この。

○柏女座長 分かりました。佐藤さんお願いします。

○佐藤構成員 この指針に基づいて、各市町村では障害福祉計画作りが始まる。例えば私の住んでいる地域では、 6 月から委員会が構成されて始まることになっています。そういう場で、日本中でいろいろな議論が深まっていくことが重要なのだろうと思います。これは余り建設的な意見ではないのですけれども、例えば 2 ページの「障害児支援の提供体制の確保に関する基本的な考え方」の中ごろに、「児童福祉法に基づく障害児支援等の専門的な支援の確保及び共生社会の形成促進の観点から」とあります。しかし、「専門的な支援の確保」と「共生社会の形成」という 2 つの視点は必ずしもきちんと重なっていかない現実があります。そういうことを十分自覚した上でこれを読んでいかないといけないのではないか。

 それをこの文言に従っていうと、解決するために重要なことは、効果的な支援を身近な場所で提供することが非常に重要な方法論の基礎になるのだろうと。そういう前提の上で、教育・保育等の関係機関との連携ということが言われるわけで、漠然と連携すればいいというのは何だか意味がよく分からない話です。効果的な支援を身近な場所で提供するということが、先ほどの専門的支援の確保とか、共生社会の形成、そのために必要な連携ということになる、というようなことを私なりに整理するわけです。

 こういう言い方をすると大変失礼ですけれども、市町村のそれぞれの策定委員会のレベルは甚だ違うと思います。ですから、どういう機会に、どのようにすればいいか分かりませんけれども、重大な誤解を招きかねないようなポイントについては、より丁寧な議論の方向性を示すことが必要ではないかと思います。

 もう 1 点も同じようなことなのですが、その隣のページの「児童発達支援センター及び障害児入所施設を中核とした」という項目の中で、具体的な記述の 2 行目に、「障害の重度化・重複化や多様化に対応する専門的機能の強化を図った上で」うんぬんということがあります。私の認識では、障害の重度化・重複化というようなことが最近より注目されるほどに、数として増えているのかというと、必ずしもそういうことではなくて、障害のある子どもが一定の比率で誕生する。その中には一定の比率で重いあるいは重複の障害をもつ子どもたちがいることは以前から変わらない。

 最近、障害福祉関系の文書は、障害者の高齢化と言いますし、障害の重度化ということも言います。それは、年を取れば当然障害のある人たちの状態像も重くなっていくという、それ以上の意味はないと思うのです。だからこういうことが必要だと、いろいろな制度をつけようとする。子どものことで言うと、先ほど申し上げたように、いかなるデータに基づいてこういう枕詞のようなことが出てくるのか。多様化というが、確かに最近は発達障害に注目されるようになりましたから、その意味で多様化というのは、それはそれで当たるかもしれませんけど。

 結局何を言いたいかというと、こういうことを言いつつ、専門的機能の強化が必要だとし、施設がこれに対応するような専門的機能を持つことになれば、アプリオリに地域の中核的な施設として役割を担うのだということになって、結果として何でも施設に良くも悪くも収斂していくような話になる。やはり、地域で共生社会を作り上げていくプロセスの中で、障害児の支援も整えていくのだという視点が、こういう所で見失われないように留意する必要があるのではないかと思います。この点などについても議論を進めていく上でのいろいろな見方、言わば複眼的な視点が必要だということを、これから議論が始まるところですので、補足的な情報として提供することも必要ではないかと、個人的には考えています。

○柏女座長 今後議論をしていくための重要な論点を頂いたかと思います。時間の関係がありますので、本丸の議論を進めていきたいと思います。この報告についての質疑は以上でよろしいでしょうか。ありがとうございます。

 それでは、続いて本日一番大切な議論になります。障害児支援の見直しに関する検討会報告書と、現在の関連施策の状況等について、言わば報告書の本当の骨子というか、スケルトンという形になるかと思いますが、それについて事務局から説明をしていただいて、議論をしていきます。

○川島障害児・発達障害者支援室長補佐 資料 3 については、今後の議論のまとめに向けて、これまで 3 回実施した関係団体からのヒアリングで出された主な意見、又は関連施策の実施状況について、平成 20 年に開催していた障害児支援の見直しに関する検討会の報告書の構成に沿った形で論点を整理したものです。

 本資料の構成については 2 ページを御覧ください。一番上の四角囲みの記載については、旧検討会の報告書のポイントを記載しております。その下には、今回のヒアリングで出された主な意見。その下は関連施策の現在の実施状況を記載しております。最後に矢印で太文字で書いてある部分については、それらを踏まえて事務局で整理した論点を記載したものです。後ほど御説明いたしますが、 7 ページ以降については、旧検討会の報告書には具体的な記載がなかった事項などについて整理したものです。

 参考資料 2 として、平成 20 年の障害児支援の見直しに関する検討会の報告書の全文も添付しておりますので、適宜御参照いただければと思います。

 「11 . 旧検討会における提言事項との関係」で、まず見直しの基本的な視点として、旧報告書の中では、子どもの将来の自立に向けた発達支援、子どものライフステージに応じた一貫した支援、家族を含めたトータルな支援、できるだけ子ども・家族にとって身近な地域における支援といった記載をしています。

 それに対応する御意見は下に記載しております。資料 1 で取りまとめた御意見を基本的に載せています。子ども・子育て支援法の基本理念を基本とすべき、他教育も含む専門機関との連携調整によりライフステージに応じた一貫した切れ目のない支援を行うべき、一般的な子育て支援よりも丁寧又は早い段階での家族支援が必要、全ての都道府県・市町村において支援体制の充実へ向けた便宜を図るべき、このような御意見を頂きました。

 矢印の論点としては、基本的な考え方は旧検討会の報告書とおおむね一致していますが、一方、子ども・子育て支援法の成立などの新しい状況もありますので、どのような事項を新たに追加するかを論点として整理しております。

2 ページで、旧報告書の 1. の「障害の早期発見・早期対応策」についてです。旧報告書においては、医療機関、母子保健、障害児の専門機関との連携の強化、気になる段階から保健センターなどの身近な所での専門的な支援という項目が記載されていました。

 今回のヒアリングで出された主な意見として、乳幼児健診については検査結果の説明等において医師等による両親への感情の配慮が求められる、気になる段階で支援につなげる仕組み、保護者のペースに合わせた丁寧な支援などが必要、こういう御意見を頂きました。

 この関係の施策の実施状況ですが、発達障害などの知識を有する専門医による保育所等の巡回相談の実施、療育相談や他の事業所の技術的指導を行う専門職員の配置、障害児の居場所作り、早期発見・支援のための職員研修などの体制確保、障害が疑われる児童をサービスにつなげる取組などを実施しています。

 論点としては、気になる階での支援について、一定の取組が始まっているところですが、その現状をどのように評価するか、母子保健との連携を含め早期発見・早期対応を更に進めるためのどのような取組が必要か、このようなことで整理させていただいております。

 「 2. 就学前の支援策」です。旧報告書においては、障害児の専門機関による保育所等への巡回支援等により保育所などの受入れをできるだけ促進、通所支援について障害種別による区分をなくし多様な障害の子どもを受け入れられるよう検討、このようなことが記載されております。

 今回のヒアリングで出された意見として、子ども・子育て支援制度とも十分な連携を図った上で、重層的、継続的な支援を行うべき、保育所訪問支援と障害児相談支援はセンターの必須事業とすべき、保育所等訪問支援の訪問先の拡大、質の高い職員の配置、実施主体の多様化、これは医療機関又は障害児保育に実績のある保育所などへの拡大などを図るといった御意見を頂きました。

 これに関しての施策の実施状況については、平成 24 年度の児童福祉法改正により、通所支援を市町村に一元化したということ、保育所等訪問支援の創設、平成 23 年度から、発達障害などの知識を有する専門医による保育所等の巡回相談の実施を行っています。

 論点として、通所支援の一元化が行われ、保育所等訪問支援の制度的な取組も始まっておりますが、現状をどのように評価するか、特に人員配置基準の内容、質の向上のための専門職の確保などについてどのように考えるか、取組を更に進めるために、並行通園の推進も含め、子ども・子育て支援制度との連携の在り方についてどのように考えるかということで論点を整理しております。

 「 3. 学齢期・青年期の支援策」です。旧報告書においては、放課後において、放課後型のデイサービスとして事業実施を検討、障害児の専門機関が放課後児童クラブなどについても巡回支援していくことが考えられる、卒業後の地域生活や就労を見据え、夏休みなどにおいて体験的に就労事業などを利用といったことが記載されております。

 今回のヒアリングで出された御意見としては、特別支援学校と市町村の障害福祉担当課等の連携を進めるべき、。放課後等デイサービスについて質の向上について検討すべき、。放課後児童クラブとの役割分担の明確化、不登校状態にある子どもなどの受入れ拡大を図る方向で検討すべき、教育現場と障害者就労・生活支援センターや企業、労働関係機関との連携を進めるべき、このような御意見を頂きました。

 関連施策の実施状況については、平成 24 年度から放課後等デイサービスという新なサービスを創設、併せて保育所等訪問支援を創設し放課後児童クラブもその訪問先として対象としているところです。最後に「就労移行支援の制度化」ですが、その中で体験就労等の取組を行っています。

 論点として、放課後等デイサービスなどの制度的な取組は始まっていますが、現状をどのように評価するか、それらを更に進めるために、教育や就労支援との連携を含めてどのような取組が必要か、このように論点を整理しております。

4 ページは「 4 .ライフステージを通じた相談支援の方策」です。旧報告書においては、市町村を中心として都道府県や障害児の専門機関が市町村を支える体制が必要、関係者の連携の強化、教育と連携した個別計画の支援作りが記載されています。

 今回のヒアリングで出された意見については、教育と連携したライフステージを通じた一貫した支援のために情報の共有化を図るべき、関係者がスムーズに情報のやり取りを行うことができるような体制の構築を検討すべき、このような御意見を頂いております。

 関連施策の実施状況については、平成 24 年度の児童福祉法改正により、通所支援の実施主体について市町村に移行、障害児相談支援の創設を行っています。平成 24 26 年度の第 3 期の障害福祉計画の基本指針において、協議を通じた連携の例として障害児支援を特記しています。障害児通所支援における個別支援計画と学校における個別の教育支援計画などとの連携を進めるための通知を、文部科学省との連名で平成 24 年度に発出しています。

 論点については、障害児相談支援が制度化され、教育との連携強化なども進められておりますが、現状をどのように評価するか、更に進めるために、協会の活性化など地域における支援体制の強化、支援情報の共有化についてどのような取組が必要か、このようなことで整理しております。

 「 5 .家族支援の方策」です。旧報告書においては、心理的なカウンセリング、療育方法の支援などを検討、ショートステイの充実等により家族の負担感を軽減、このようなことが記載されています。

 今回のヒアリングで出された主な意見としては、児童発達支援における家族カウンセリングや、通所支援は利用できない場合の訪問型の療育支援について検討をすべき、このような御意見を頂いています。

 関連施策の実施状況については、療育相談や事業所への技術的指導を行う専門職員の配置、居場所づくり、早期発見支援のための研修等の体制確保、障害を疑われる児童をサービスへつなげるための取組、医療的ニーズの態様、緊急受入れなどのショートステイに係る報酬上の評価を平成 24 年度に行っています。発達障害児に係るペアレントメンターの養成、ペアレントトレーニングの実施の支援を行っています。

 論点としては、短期入所等に係る報酬上の評価も行い、また家族支援のための取組が進められている中で、家族支援に何が含まれるべきか等について研修した上で、現状をどのように評価するか、ペアレントトレーニングの推進なども含め家族支援を更に進めるためにどのような取組が必要か、このようなことで整理しております。論点の中に、家族支援に何が含まれるべきかということを記載しておりますが、ヒアリングの中で家族支援として 4 つの要素が入っている場合があると事務局では理解しております。

1 つ目はレスパイト目的の支援、 2 つ目は家族に対する精神的な支えとしての支援、 3 つ目は家族の子育て力を高めるための支援、 4 つ目は家族の両立支援・就労支援といったものと理解しております。特に、家族の両立支援・就労支援については、目的に入っている場合と入っていない場合で、施策の方向性に差が出てくるものと考えており、その論点として挙げております。

5 ページで「 6 .入所施設の在り方」です。旧報告書においては、一元化を図っていくことが適当、小規模な単位での支援ができるような支援の在り方の検討が必要、 18 歳以上の入所者が退所させられないようにする配慮が必要、このような記載があります。

 今回のヒアリングで頂いた意見としては、地域における障害児と家族支援する拠点施設として障害児入所施設を位置付けた上で小舎制など普通の暮らしに配慮する生活環境が可能となるよう検討すべき、児童発達支援センターなどと協働した専門家の派遣などの地域支援体制の整備や医療などとも連携したネットワークの構築等を進めるべき、社会的擁護との連携強化、重症心身障害児の一貫した支援体制、このような御意見を頂いております。

 関連施策の実施状況については、平成 24 年の児童福祉法改正により入所支援の一元化、 18 歳以上については原則として障害福祉サービスで対応するとした上で、重症心身障害児者については、児者一貫した支援が可能となる特例を継続したところです。小規模なグループによる療育や心理的ケアを報酬上、小規模グループケア加算として評価したところです。

 論点としては、入所支援の一元化が行われ、 18 歳以上の者については障害福祉サービスで受け入れることとした上で、重症心身障害児者については一貫した支援が可能となる体制としているところですが、現状をどのように評価するか。特に、入所施設の地域支援拠点としての役割、人員配置基準の内容、質の向上のための専門職の確保、施設の小規模化を含む生活環境の改善などについてどのように考えるか。取組を更に進めるために、社会的擁護などとの連携の在り方も含めてどのように考えるか。このように整理しております。

 「 7. 行政の実施主体」です。旧報告書においては、通所については実施主体を市町村とする方向で検討。入所については、当面は都道府県。措置と契約については、全国的に適切な判断が行われるようガイドラインを作成すべき。このようなことが記載されています。

 今回のヒアリングで頂いた御意見としては、社会的擁護との連携強化を進めるべき、障害児入所施設へ入所直後から市町村が一定の関与を行うシステムを構築すべきという御意見を頂きました。

 関連施策の実施状況としては、通所支援の実施主体は市町村に移行、契約及び措置の適切な運用を図るための通知を平成 21 年に発出、発達障害支援体制整備事業において、市町村サポートコーチを配置していたのですが、平成 26 年度からこれを拡充し、地域支援マネージャーとして市町村に加え、事業所の支援、医療機関との連携、困難ケースへの対応を行うマネージャーを配置することで拡充しました。

 論点として、通所支援に係る実施主体については市町村に移行したところですが、身近な所で支援を行うことができる体制になっているところですが、現状をどのように評価するか。障害児の入所施設について、入所直後から市町村が一定の関与を行うシステムの構築の可否、都道府県と市町村の関係の在り方についてどのように考えるか。このようなところを論点として整理しております。

7 ページで「 8. 法律上の位置付け」です。旧報告書においては、保育所などの一般施策との連携の観点から児童福祉法に位置付けることを基本とすべき。

 関連施策の実施状況としては、通所支援、入所支援は児童福祉法に全て規定しました。第 4 期障害福祉計画に係る国の基本指針において、障害児支援体制の整備についての努力規定を明文化しました。

 論点としては、障害児の通所支援、入所支援については全て児童福祉法に規定したところですが、総合支援法に規定しているショートステイ、居宅介護との関係を踏まえ、現状をどのように評価するか。連携を更に深めるために必要な取組は何か。総合支援法に規定する障害福祉計画における障害児支援に係る記載の法定化・義務化についてどのように考えるか。このような整理をしております。

 障害福祉において、障害児支援の記載を法定化するという点については、先ほど資料 2 で御報告いたしましたが、平成 27 29 年度の第 4 期基本指針においては、あくまでも「努めなければならない」という努力規定になっていて、義務付けされているものではありません。平成 30 32 年度以降の計画を見据え、障害児支援についても障害福祉計画の法定計画の中で記載を義務付けるかどうかという点についても御議論いただいて、その結果を報告書の中に盛り込みたいと考えております。

7 ページで、「22.その他ヒアリングで出された意見、障害者部会で出された意見との関係」です。ここについては第 1 回、第 2 回会合及びヒアリングで出された意見の中で、旧検討会の報告書に余り触れられていない部分について、今回の報告書では触れるようにすべきでは、と事務局で考えられるものについてまとめたものです。発達障害児・重症心身障害児の支援のほか、その他として後ほど御説明いたしますが記載しています。

 「発達障害児の支援について」です。主な意見としては、発達障害者支援センターを中心とした重層的な支援体制を構築すべき、医療と連携した気づきの早期発見支援へのつなぎ、このような御意見を頂いております。

 関連施策の実施状況としては、発達障害者支援センターの運営事業、発達障害者支援体制整備事業の中で先ほども申し上げました地域支援マネージャーの配置、アセスメントツールの導入促進、ペアレントトレーニング、ソーシャルスキルトレーニングに関する研修等を実施しています。その他にも発達障害児者の支援開発モデル事業、子どもの心の診療ネットワーク事業も実施しています。

 論点としては、発達障害児が地域で安心して暮らせる体制とするために、医療と連携した早期発見との支援へのつなぎ、教育との連携などの取組をどのように進めるか。強度行動障害への対応のための支援者のスキルアップなどをどのように進めるか。このような整理をしております。

8 ページで「重症心身障害児者等の地域生活支援について」です。主な意見としては、切れ目のない地域で安心して暮らせる体制づくりを進めるべき、学齢期の児童の放課後における対応を含めた医療的ケアやリハビリテーション、訪問看護等を拡充すべき、このような御意見を頂いております。

 関連施策の実施状況としては、児童福祉法改正により、重症心身障害児者の通園事業を法定化したこと、重症心身障害児者の地域生活モデル事業を実施しています。

 論点としては、重症心身障害児者が地域で安心して暮らせる体制とするため、医療的支援を組み込んだ連携体制と情報提供を含む相談体制、多職種連携によるケアマネジメントの構築をどのように進めるか、療養通所介護をどのように活用していくか、更にその他医療的ケアを必要とする障害児の通所支援をどのように考えていくか、このように整理しております。

9 ページで「 3. その他」で1から5。6は今後付け加えていくものとして書いてありますが、1から5まで項目立てしております。特に1 ICF の考え方、2人材育成の関係については、これまで検討会の中で頂いた御意見と認識していて、ここに盛り込んでいます。1の障害者権利条約への言及、3の視覚障害・聴覚障害児童等への対応。4の難病等児童への対応については、今月の 16 日に行われた障害者部会において、委員から御意見を頂いたものです。 ICF の概念などと併せて今後記載の内容を検討していく中で御意見などを頂ければと考えております。

 別添として付けている資料については、 16 日の障害者部会において、報告書に盛り込むべきとされた個別の事項をまとめたものです。これら頂いた御意見については、事務局において報告書案を作成する際に、このような内容についても言及する前提で作業を進めていく予定としております。これらの他にも、このような点についても言及すべきという点がありましたら御指摘いただければと思います。

 参考資料として付けている、第 2 回検討会で出された御質問についても、ここで併せて御説明させていただきます。 2 ページに「 ICF 国際生活機能分類について」を付けておりますが、これについては第 2 回検討会において、岡田構成員より、疾病についてどうするというよりも、その人の人生の生活、また人生というものを問題とする立場に立ち、 ICF を基本とした考え方をしなければいけないのではないかという御意見を頂きました。座長からも、 ICF については共通理解を図ることが必要という御指示がありましたので、参考 1 として ICF の基本的な考え方を整理した資料を添付しています。

 資料の上の四角囲みに書いているところですが、 ICF については全ての人の生活や障害の状況を現すことができる国際的な共通言語として、 WHO 2001 年に承認したものです。人間の生活機能と障害に関する状況を記述することを目的とした分類で、健康状態、心身機能、身体構造、活動と参加、環境因子、個人因子から構成されていて、全体で 1,424 項目で構成されています。児童期用の ICF CY は更に 232 項目が追加されています。

 特徴としては、一人一人の情報を、「心身機能、心体構造」「活動」「参加」という 3 つの次元に加え、「健康状態」「環境因子」「個人因子」や、それらとの相互作用で総体的に整理できるというものになっているほか、個別の支援のゴールを「心身機能、身体構造」「活動」「参加」の変化・維持で考えること、支援の効果を「環境因子」の変化として評価することができるというものになっています。

 第 2 回検討会において、加藤構成員から、児童養護施設などの各児童福祉施設において、障害児の入所割合が異なっている理由についてというところで御質問がありましたので、関係資料を添付しています。この資料の御説明の前に 1 点お詫びがあります。事前に各構成員にお送りした資料については、「社会的擁護の現状」という形で横の表を付けておりますが、この資料に障害児のそれぞれの施設ごとの入所割合を表に入れ込んで 1 枚の資料としていましたが、最後のページに、これは第 2 回検討会でも出させていただいた資料ですが、こちらでそれぞれ入所している児童が肢体不自由なのか、どんな障害をもっている児童なのかという内訳がこれでは分からないところがありました。お送りした資料は 1 枚ものになっていましたが、 2 枚ものの資料に差し替えさせていただいておりますので御了承ください。

 社会的擁護の現状についての資料については、各施設の対象児童又は施設等をまとめた資料になっています。障害児の入所割合が高い順に考えられる理由を申し上げます。

 情緒障害児短期治療施設は、平成 19 年度の調査においては入所割合が 70.7 %です。そもそも対象児童のところで、軽度の情緒障害を有する児童となっていて、発達障害児などが入所していることが多いのではないかということが想定されるところです。

 児童自立支援施設ですが、非行児童については障害児の入所施設ではなくて、児童自立支援施設での対応をするケースが多いためと想定しています。最後のページの状況のところで、障害児を有する児童の左側の上から 4 段目の自立支援児のところですが、こちらの状況を見ても、発達障害・知的障害の割合が多くなっています。

 乳児院については、乳児期には障害の有無にかかわらず乳児院に入所し、幼児期に児童養護施設や障害児入所施設に移行する状況があると聞いております。そのために障害児の割合が高くなっているものと考えております。

 児童養護施設ですが、中軽度の知的又は発達障害児については、児童養護施設で対応可能な場合は児童養護施設に入所しているケースもあると想定されます。このデータについては、平成 19 年度の調査です。現場の声をお聞きしているところでは、障害児の割合はこれよりも増えているのではないかとも聞いておりますので、実際はこれよりも増えているのだろうということが想定されます。説明は以上です。

○柏女座長 説明が丁寧で、時間を取ってしまいました。今後の進め方ですが、あと 40 分しかないので、全体にわたって追加の意見を頂戴したいと思います。 2 つに分けて、それぞれ 20 分ぐらいずつ御意見を頂きたいと思います。まず、 4 ページの「家族支援の方策」に入る前までで 1 回御意見を頂き、その後「家族支援の充実」から最後まで御意見を頂戴したいと思います。今日は一渡り御意見を頂き、その意見を踏まえて、次回以降、報告書の原案に基づいて御議論いただくというスケジュールにしたいと思っております。

 それでは、前半部分、 4 ページの最後までで何か御意見がありましたらお願いします。

○田中 ( ) 構成員 全日本育成会の田中です。今回、児童福祉法に基本の施策が一元化されたという位置付けの中で、いろいろな課題が出ていますが、特に 4 ページの委員長がここまでと言われた所の表現で、「障害児相談支援が制度化され、教育との連携の強化等も進められている」とありますが、そうは言いながら、就学前と教育と福祉サービスでトリプルスタンダードになっているのではないかと、それぞれが自分のやってきたテリトリーの領域を踏み出し切れていないと思っています。具体的には、就学前が計画相談的な視点としては一番形になりにくい要素かと思いますが、受皿となる保育園や施設などでの個別支援計画はもちろん立っていると思いますが、そこをベースにハビリテーション的な本人の育ちに対しての計画が十分に位置付いていないので、その結果として、福祉サービスを利用する際のサービス利用計画、教育機関に入っての教育支援計画がなかなか 1 つになりにくい要素があるのではないかと思っています。ですから、前半、大塚さんや佐藤さんからも詳らかに具体的な行程をというお話がありましたが、一番軸に本人の育ちをどうみんなで共有していく仕組みを作るのかに力点を置いて進めていっていただけると、いろいろな問題が見えてくるのではないかと思っております。

○柏女座長 本人の育ちの共有の仕組みをしっかりと作って、それを軸にしていくべきだと、連携を図っていくべきだということで、貴重な御意見を頂きました。

○田畑構成員 基本的な視点に関わる部分で、インクルーシブな社会を目指していくことを基本にするという点は一致していると思いますが、そういう方向性から考えた場合、障害児支援の在り方の部分ですが、専門機関を中心に進めていくという方向性が強いのではないかという気がするのです。旧来の流れはそういう方向だったかもしれませんが、身近な保育園や幼稚園で支援できる体制をしっかり作っていく、そのために専門機関が補完的な支援体制を整えていくのだという関係性の下に、今回は議論すべきではないかと思っております。そうなると、一般的な子育て支援策と別立てで障害児支援の施策を組み立てる形ではなくて、既にある子育ての関連施策、いろいろあると思いますが、例えば子育てアドバイザー、あるいは子育て支援コーディネーターなどの既にある施策、制度の中で、役割機能を少しスキルアップしていくことも含めて、既存の制度、一般施策の中の制度をどう活用するのかという視点も大事ではないかと思っています。

 もう 1 点、全ての保育園や幼稚園に対して、教育分野の場合は特別支援教育コーディネーターという連携の中心となる方がいますが、今後は発達支援コーディネーターのような、保育園や幼稚園に対してそういう役割を持つ方を配置なり指名することによって、一般的な施策と連携していくという視点も重要になるかと思います。少し基本的な視点の部分で、どういう方向でいくのかという辺りをもう一度整理すべきではないかと考えております。

○柏女座長 専門機関が子育て支援の後方支援を行っていくという視点を明確にすべきではないかという御意見であったと思います。ほかにいかがですか。

○柘植構成員  2 点あります。 1 つ目は、先ほど田中さんがおっしゃった 4 ページについてです。今回のヒアリングで出された主な意見の一番下の○に、「一元管理して」「体制の構築を検討すべき」ということで、共有すべきだとか連携すべきだという言葉がいろいろ使われていはいると思いますが、ホワッとした言葉なので、既に何年も前から言われていて、あるいは個別の支援計画については文科省と厚労省で連名の発出も出ていることもあるので、何をどこまで、いつまでにという行動レベル的なものを打ち出す必要があるのではないかと考えます。モデル事業なのかガイドラインなのかチェックリストなのか分かりませんが、そのような仕掛が必要だということ明確にしていく時期に来たのかなと、今、改めて感じました。下にゴチックの矢印で「現状をどのように評価するか」とも書いてあるので、正にそういうことだと思います。

2 点目は、田畑委員がおっしゃったことと少し関係しますが、最初に話題になった資料 1 の「基本理念・グランドデザイン」でノーマライゼーションの記述があることも関係しますし、 9 ページの1の「 ICF 」や「障害者権利条約」「差別解消法」、あるいは別添の障害者部会で委員から出たコメントの最初の○の「 Normalization 」「 Inclusion 」「 Inclusive 」といった用語をうまい具合に整理して、平成 20 年の報告書ではない、今正にという現代化というか、そこがうまい具合に書き込まれると、本人の意思決定や気持の尊重も含めて、今、表に出てきて、これからの障害者施策を方向付けるような良い材料がたくさん出てきているので、それをうまい具合に報告書の冒頭でまとめきれるといいなと思っております。

○柏女座長 具体的な御指摘を頂きましてありがとうございました。

○石橋構成員 全児連の石橋です。同じく 4 ページですが、この報告書を作成されたのは平成 20 年で、そのときの自立支援協議会は、市町村は努力規定ということで、努力だったと思うのです。現在は義務になっておりますが、御議論されたときに自立支援協議会の設置をどのように受け止めて、連携という形で出されたのかということを、まずお聞きしたいと思います。また、現状把握のために、自立支援協議会が各地でどういう実態になっているのかを一度整理していただきたいと思います。私の近くで見る限りでは、子ども部会という名のある協議会はありませんし、あったにしても名前だけというのが実態ではないかと思います。これから議論の中でも自立支援協議会に委ねる的な記述もありますので、是非、現状把握のためにお願いしたいと思います。前段の義務規定でなかったときに、協議会の連携はどのような思いを込めて記述されたのかを教えていただければと思います。

○柏女座長 質問については最後にしたいと思います。全体を総括して、事務局からお答えいただきたいと思います。

○大濱構成員 今、お話を伺っていて、ほかの町々がどのようになっているのかなと疑問に感じたところですが、湖南市は前に報告したように、 2 割ぐらいの子どもたちが保育園からいろいろと築かれて、障害という枠組みではなく的になる子どもということで、たくさんフォローされてくるということです。そこから次の福祉や教育へつなげていくときの就学支援の委員会のところを、湖南市の場合は非常に大事にしており、園で作られた個別の支援計画が就学支援の委員会の中でどのような資料としてきちんと生かされているのか、それによって今後必要な福祉にもつながってくるし、必要な教育にもつながってくると考えています。その就学支援の仕組み、枠組みについては大事なポイントだと思っています。

 また、そこに専門機関がどのように園と連携しながら就学支援をともにしていくか、個別の指導計画の中身の充実というところでは支援機関がどのように関係していくかがポイントになってくるかなと感じています。

○松浦参考人 今、石橋構成員から自立支援協議会の子ども部会の話が出ておりましたが、甲賀圏域ではそれを特別支援鬼育部会と呼んでおり、就学前からライフステージで一貫した教育、保健、福祉、就労も入って、特に教育にどうのように取り組むか、入口前と出口にどのようにつないでいくのかという部会を設けております。

 また、先ほどの御意見に、加藤構成員に診断名ではなく気付きのところ、最初のところを大事にしてほしいということがありましたが、湖南市もそのように考えております。

○柏女座長 ほかにいかがでしょうか。なければ、石橋さんから御質問のあった件について、事務局からそれ以外の意見も含めて総括的にお答えいただければと思います。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 平成 24 年度から法定化されたということですが、都道府県ベースでは自立支援協議会は全ての都道府県にありますが、残念ながら、市町村ベースでは毎年少しずつ増えてはいますがまだ全ての所で設置されているものではありません。さらに、石橋構成員が御指摘のとおり、毎年 4 1 日現在で状況は大体把握しておりますが、専門部会すら置いていない所が都道府県にせよ市町村にせよ、私の記憶では 3 分の 1 ぐらいはあったと思いますが、それについては報告書の中で現状どのような形になっているのかということもきちんと整理したいと思っております。

 確かに、我々も現場で話を聞いていく中で、全然自立支援協議会が動いていないという話は聞きます。我々としても、障害児支援だけではなく、計画相談や自立支援協議会の活性化をどう図るかという観点で、別の所ではありますが、いろいろと力を入れて、梃子入れを図ろうとしておりますので、そのような所についても今の現状ということではなく、自立支援協議会をどう活性化するかも含めて、報告書の中で触れる形での案を作っていきたいと思っております。

○柏女座長 石橋さん、よろしいでしょうか。

○石橋構成員 結構です。要するに、言葉だけで終わらないように、これまでの議論の中で、みんな同じなのです。言葉だけで終わりとしないようにしなければいけないのではないかと思っております。

○加藤構成員 自立協議会のことで、私のささやかな経験の中での話も含めて、一言触れさせていただきます。

 方向性としては、自立支援協議会、あるいは協議会と言われているものの方向性は望ましいと私自身は評価していますが、実態として障害児者自立支援協議会みたいな話で、括弧が付いているというか、地域の自立支援協議会の、例えば子ども部会の場合には、障害の有無ではなくて、地域の子育てに様々な困難さやトラブルを抱えている事態を、その地域の関係者が集まっていろいろな角度から知恵を出し合い、力を出し合い、経験を提供し合う場であるべきだと思うのです。ところが、実際は、今現在は決して理想に到達していないことは明らかですが、特に気になることは、協議会に集まっている構成メンバーそのものがその道の関係者、要するに障害関係者に限られてしまっているところがあるのです。 6.5 %ではありませんが、地域の健常児と言われている機関の関係者も等しく参画するということがもっと強く言われないと、障害のある子どもの関係者だけが集まって地域の子どもたちをどうしようかみたいな話をしている気がしてしょうがないのです。その辺りはしっかりアピールしていかないと、今後の方向性という意味ではまずいのではないかと思います。

○片桐構成員 全国地域生活支援ネットワークの片桐です。 4 ページで、相談の所とも絡みますし、就学の所にも絡んできますが、情報の共有支援ファイルというのは、私は地元の自立支援協議会等で 1 年掛けてサポートファイルを作ろうとか、県のフォーマットをカスタマイズして使ってみようということで実際使ってみましたが、ほとんど効果が上がらなかったという実態があります。 1 つはリアルタイム性にどうしても欠けてしまうところがありましたし、実際に共有のファイルは非常に重要だと思っていて、小学校から中学校に上がっていったときに、 6 年生のときの担任の先生も変わってしまって、状況がよく分からないと。個別の教育支援計画と障害児の相談のすり合わせをするといっても、個人情報の問題がうんぬんということでなかなかうまくいかないということが、実際まだ起きています。

 紙ベースの限界もあると思っていて、全国地域生活支援ネットワークでは、前回、湖南市が IT のネットワークを構築されて、あれは恐らくクラウド化だと思いますが、そこについても言及しました。柘植構成員がおっしゃったように、この部分についてはかなり具体的に記述をしていかないと、連携というとお魚と仲よくしましょうみたいな感じになってしまうので、そのような言及の仕方が重要かなと思っております。

○柏女座長 ありがとうございました。後半に移りますが、とても大切な意見が 2 つ出たかと思います。 1 つは平成 20 年の報告にはなかった新しい視点での理念の整理をしっかりとすべきだという御意見、 2 つ目が「連携」という言葉に内実を入れていくという点ではないかと思います。縦のつながり、横のつながり、どちらかといえば前回のものは縦向きのつながりを焦点化したわけですが、今回は教育その他を含めた横のつながりの大切さと、そのための仕組み作りの話、また、支援ファイルの話が出ていましたが、ツールの話、マンパワーの話、コーディネーターの話が出ておりましたし、ワンストップもその 1 つだと思いますが、こうしたつながり、連携のところを具体化していく必要があるのではないか、言葉だけで終わらせず、具体化する必要があるのではないかと。そのためのモデル事業を実施したり、あるいはマニュアル等々やガイドラインを作成していくことが必要なのではないかという意見も出ておりました。この 2 つは、とても大事な今回の報告書の眼目になってくるのではないかと思いました。

 続いて、 4 ページの「家族支援」から最後までについて、御意見がありましたらお願いします。

○田中 ( ) 構成員 福祉協会の田中です。全般についてこういう整理をしていただいて、今後どちらのフレームで報告書を構成していくのかについては明確な方向を示していただければと思います。この中の関連施策の実施状況について、確かに予算事業や法律事業等で整備されていますが、今出たように実態がどうなのかの精査をきちんとしていかないと、本当にこの事業が有効だったのか、それとも今後に向けてもっと改良する必要があるのか、そういった検証をしていくという意味での実態を、是非、調整していただければというのがお願いです。

 また、前回の検討委員会が終わった後、平成 24 年の法改正につながったわけですが、 3 年の実態の中で、法改正の実態評価が今回の検討していく中での意識の土台にあってしかるべきかと思っております。そういう意味で、入所施設の一元化ということで進んできましたが、これが終着点なのかプロセスなのか、もっとこの先の一元化に向けた方向性を明確にして、まだまだ地域ニーズに応えていない入所施設の実態に合わせてどう改革していくのかというところの議論があってもいいのかなと思っています。

 もう 1 つ、今日、養護施設等の障害児の実態を示されてきましたが、学歴全体までを通して見ると、障害児支援の施策だけでは障害児全体に対する支援の枠組みが網羅されていないと思うのです。そういう意味で、児童養護施設等の一般児童福祉施策というか、むしろ児童福祉施設としてどうなのか、それぞれの特性があると思いますが、そういったところも含めて吟味をし、検討していく必要があるかと考えております。

○柏女座長  6 ページの入所支援の所ですが、考えられる論点で、ここだけ 7 行にもわたっていて、一番多いのです。それだけ課題が山積しているというか、前回の報告書では余り触れられなかった、一元化だけに特化してしまったところがあって、入所支援の在り方を今後検討していくことが大事かもしれません。

○大塚構成員  4 5 ページの家族支援の所ですが、ここには心理的なカウンセリング、養育方法の支援等を検討ということで、前回の方策も見て、もちろん家族カウンセリング等専門的なものもあるのでしょうけれども、いささかリアリティがないのではないかと。どこでカウンセリングをやっているのだということも含めて、もちろん重要なアプローチだと思いますが、むしろこの時代ですので、ここにも御参加いただいている家族会も含めた様々な団体、小さな支援団体も含めて、そういうものをエンパワーメントしていくことが、今後必要だと思います。そちらのほうがよほど力があると思いますし、家族同士、当人は少し違う観点かもしれませんが、当事者の団体などによって社会的参加、社会的地位をきちんとやっていくことが必要だと思っています。そういう意味では、もちろん専門家の支援も必要でしょうけれども、御本人や御家族をまず第一に考えるという視点かもしれません。

○柏女座長 すみません、忘れないうちに申し上げておきます。今のことに関連して、辻井さんから意見書が出ていて、これは家族支援の点が中心になっておりますので、一つ一つ読み上げることはしませんが、事務局で御意見を勘案して、報告の中に生かしていただければと思います。忘れてしまうかもしれないので、この機会に申し上げました。ほかにいかがでしょうか。

○田畑構成員 今のことに関連して、家族支援の問題は、発達支援と家族支援の両輪になってくると思うのです。前回の報告書では、先ほど大塚構成員も言われましたが、踏み込んだ内容までなっていない。今の現状を考えると、発達支援の問題と家族支援にかなり踏み込んで入っていかないと現状を打開できないのではないかと考えますので、家族支援を大きなテーマとして、 1 つ基礎を立てて、しっかり議論して方向性を示すようにしていただけたらと思っています。

○宮田構成員 施設の一元化について、言い変えれば普遍化の部分と、議論の中で専門性の追究というところが同時に出てきます。この辺りをどう整理するかが非常に重要かと思っております。きっと、みんな統一した同じ意見、方向性なのは、地域でどう子どもたちを健やかに育てていくのかだと思いますので、そういう意味では一時的な入園を勧奨する部分があったとしても、基本的には地域で育てる支援をしていくことが重要になってくるだろうと。

 そういう意味では、専門的な施設の大きな課題は人材育成だろうと思います。人材育成も、自らの施設の人材育成というよりは、地域の保育所等の機関の人材育成をどう施設の責任として位置付けるかが重要かと思います。保育所と訪問支援事業が出たわけですが、基本的には親との契約関係の中での子どもに限定した支援なので、かつての障害児地域養育等支援事業のように、地域機関の支援の部分を前面に出す必要があるのではないかと思います。それが一元化の 1 つの大きな方向性なのだろうと思います。

○柏女座長 人材育成の視点も強調されました。ここに含まれていない新しい論点、その他の論点についての御意見でも結構ですが、ほかにいかがでしょうか。

○加藤構成員  7 ページの 8. 「法律上の位置付け」についてですが、先般、第 4 期障害福祉計画の中に、基本指針において障害児支援のことが触れられたということで、これはこれで評価したいと思います。しかし、それは飽くまでも努力目標のようなものだと思うのです。ですから、もっと必ず地域の障害児福祉計画の中に障害児施策、障害児者のことが、実態を把握することも含めてしっかり位置付くように、努力目標ではなく、もっと強く義務化するという方向性も打ち出すべきではないかと思います。

○柏女座長  8. について貴重な御意見を頂きました。ほかにいかがですか。

 私から 1 点、先ほど連携・活用の話をしましたが、 9 ページにある介護保険のサービス、今回もいろいろ御報告いただきましたが、とても貴重な活動をされているので、そことの通所介護も含めた介護保険サービス等々とも連携を念頭に置かなければいけないと思いました。

 よろしければ、ここで切らせていただきます。事務局から、今、頂いた御意見について何か総括的に御意見はありますか。よろしいでしょうか。今日、構成員の方々から出された御意見を踏まえて、報告書 ( ) の作成に入っていただき、次回の検討会に提出をしていただくようお願いします。

 それでは、今後の予定等について事務局から説明をお願いします。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 皆様、本日はお忙しいところ熱心に御議論いただきまして、誠にありがとうございました。本日、頂いた御意見については、事務局において集約し、座長とも相談の上で、報告書 ( ) の形で次回の検討会で御提示したいと考えております。

 具体的には、 6 3 日の第 7 回には、現在の予定としては報告書の前半部分、これまでの経緯や現状の把握、基本的な考え方ぐらいまで書いたものをお諮りできればと考えております。さらに、 6 18 日の第 8 回には報告書の残りの部分、具体的な提言、第 7 回でまた御意見を頂くところもあると思いますので、それも含めた上で具体的な提言に係る部分をお諮りできればと考えております。そこでも御意見を頂き、第 9 回が 6 27 日にありますので、そこでは報告書の全体版をお諮りできればと考えております。そこで御意見を頂いて、第 10 回が 7 9 日に予定されておりますので、事務局の想定としては、できれば 7 9 日に御了承いただけるような形に持っていければと考えております。そこで議論が尽きないようであれば、既に予備日として 7 18 日も確保しておりますので、それぐらいまでには最終的に皆様の合意が取れるような形で考えていければと思っております。皆様におかれましては、日程の確保等よろしくお願いいたします。以上です。

○柏女座長 今、最終に向けての行程が事務局の考えとして出されましたが、この方向でよろしいでしょうか。

                                   ( 異議なし )

○柏女座長 ありがとうございます。私から 1 点だけお願いですが、 6 3 日に前半部分を議論するということですが、全体の目次は出しておいていただきたいと思います。そうすると、議論の整理ができますので。

○阿萬障害児・発達障害者支援室長 そのようにさせていただきます。

○柏女座長 それでは、よろしくお願いいたします。少しタイトな日程が続きますが、御協力をよろしくお願いいたします。

 今日は時間になりましたので、以上で終了させていただきます。構成員の皆様方におかれましては、長時間にわたり誠にありがとうございました。これにて、第 6 回障害児支援の在り方に関する検討会を閉会とさせていただきます。


(了)
<照会先>

社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課
障害児・発達障害者支援室 障害児支援係
〒100-8916
東京都千代田区霞が関1-2-2
電話: 03-5253-1111(内線3037)
FAX: 03-3591-8914

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 障害保健福祉部が実施する検討会等> 障害児支援の在り方に関する検討会> 第6回障害児支援の在り方に関する検討会(議事録)(2014年5月20日)

ページの先頭へ戻る