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2014年5月16日 第2回 臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会 議事録

医政局研究開発振興課

○日時

平成26年5月16日(金)16:00〜19:00


○場所

航空会館 7階 大ホール


○出席者

委員

遠藤座長 桐野座長代理 楠岡委員 児玉委員 近藤委員
大門委員 武藤(徹)委員 望月委員 山口委員 山本委員

事務局

原局長 (厚生労働省医政局)
神田審議官 (厚生労働省大臣官房)
成田審議官 (厚生労働省大臣官房)
土生課長 (厚生労働省医政局総務課)
一瀬課長 (厚生労働省医政局研究開発振興課)
城課長 (厚生労働省医政局経済課)
佐藤課長 (厚生労働省医薬食品局審査管理課)
河野治験推進室長 (厚生労働省医政局研究開発振興課)
稲川監視指導室長 (厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課)
広瀬安全使用推進室長 (厚生労働省医薬食品局安全対策課)
中山研究企画官 (厚生労働省大臣官房厚生科学課)

○議題

1. 臨床研究に係る取り組みと現状について
2. 有識者等からのヒアリング
(1) 海外制度について
    (研究代表者からのヒアリング)
(2) 透明性確保等に関する製薬業界の取組み状況
    (日本製薬工業協会からのヒアリング)
(3) 研究者主導臨床試験に係る問題点と今後の対応策について
    (日本学術会議からのヒアリング)
(4) 研究倫理教育の取組み事例
    (CITI Japan プロジェクトからのヒアリング)
3. ヒアリング等を踏まえた議論
4. その他

○配布資料

資料1−1 日本の臨床研究と治験
資料1−2 臨床研究・治験の活性化等に関する 厚生労働省の取組について
資料2−1 研究代表者提出資料
資料2−2 日本製薬工業協会提出資料
資料2−3 日本学術会議提出資料
資料2−4 CITI Japan プロジェクト提出資料
参考資料1 第1回臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会議事録
参考資料2 日本学術会議(提言)「臨床研究にかかる利益相反(COI)マネー ジメントの意義と透明性確保について」平成25年12月20日

○議事

○一瀬課長 それでは、定刻となりましたので、第2回「臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会」を始めます。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、本検討会に御出席をいただきましてありがとうございます。

 まず初めに、前回御欠席の委員を御紹介させていただきます。

 独立行政法人国立病院機構理事長の桐野高明委員です。

○桐野座長代理 桐野でございます。前回欠席しまして申しわけございませんでした。どうぞよろしくお願いいたします。

○一瀬課長 桐野委員には、遠藤座長の御意向を踏まえまして、座長代理をお受けいただいておりますので、あわせて御紹介いたします。

 本日、武藤香織委員からは、御欠席の旨、山本委員からは遅れる旨の御連絡をいただいております。

 まず、配付資料の確認をさせていただきます。

 お手元に1枚紙で議事次第と配付資料一覧を記載したものがございますので、それに沿って御確認をお願いいたします。

 議事次第の次に、それぞれ1枚紙で座席表、参考人名簿、委員名簿がございます。その後、厚生労働省から出しております資料が1−1と1−2でございます。その次、藤原参考人から資料2−1、稲垣治参考人から資料2−2、曽根参考人から資料2−3、市川参考人から資料2−4が資料として出されております。

 その他参考資料等ございますが、不足や落丁等ございましたら、事務局までお知らせください。

 よろしければ、これより議事に入りますので、審議の円滑な実施のために撮影はここまでとさせていただきます。カメラの退室をお願いいたします。

(カメラ退室)

○一瀬課長 それでは、遠藤座長、お願いいたします。

○遠藤座長 それでは、議事に入りたいと思います。

 議題の1番でございますが、臨床研究に係る取り組みと現状について、事務局から資料が出されておりますので、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○南川補佐 それでは、資料の説明をさせていただきます。

 まず、お手元の資料1−1「国内の臨床研究・治験に関する制度」という資料を御確認ください。

 1枚めくっていただいて、2ページ目の臨床研究に関する主な指針という項目ですが、これについては、実施する臨床研究が薬事承認を目的として行われるものであれば、治験となって薬事法の適用になり、それ以外の目的で臨床研究を行う場合には、厚生労働大臣告示で定められている各種指針にのっとって臨床研究を行うことが求められます。その中でも対象となる研究が多い臨床研究に関する倫理指針については、後ほど詳しく説明させていただきます。

 次のページを御確認ください。3枚目の資料ですが、日本における主な指針の策定経緯については、この資料のとおりでございますが、説明については割愛させていただきます。

 次の4枚目を御確認ください。臨床研究に関する倫理指針の枠組み(イメージ)図でございます。臨床研究については、大ぐくりに、まず、医学系研究がありまして、その中に臨床研究がヒトを対象とする研究としてございます。臨床研究の中に介入の有無によって大きく2つに分かれ、さらにその医薬品、医療機器に関する介入の有無があるかによってさらに分かれることになり、分類としては、臨床研究の中で大きく3つに分類されます。その中でも侵襲の有無によってさらに分類されていくことになっております。

 次の資料を御確認ください。「臨床研究に関する倫理指針」において定められている内容についてですが、指針の対象となる臨床研究の全てに定められている事項、例えば倫理審査委員会による研究計画の審査であったり、インフォームドコンセントの義務づけがある一方で、指針の対象となる臨床研究の一部に求めている事項もございます。例えば、医薬品等を用いた介入研究では、健康被害の補償のための保険が必要であったりとか、公開されているデータベースへの計画の登録が必要になる研究もございます。

 次のスライドを御確認ください。現在、「臨床研究に関する倫理指針」は見直しの方向性なのですけれども、前回も御紹介いたしましたが、ディオバンに関する検討会のご提言を踏まえて、現在、そのデータ改ざん防止体制の構築のためにモニタリング・監査の規定を新設したり、資料の補完管理に関する体制・ルールの整備のための規定を新設したり、利益相反に関する規定の新設等の見直しの方向性について、2014年5月1日、「疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議」において、この方向性について合意が得られています。今後、秋から冬に公布を目指して検討を進めていきたいと思っております。

 次の資料を御確認ください。次に、治験について説明させていただきます。治験は、薬事法において、医薬品等の承認申請に際して提出すべき資料のうち、臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験と定義されています。試験には、企業依頼治験のほかに、医師がみずから主導して実施する医師主導治験があります。

 治験の実施に当たっては、本スライドの下側に例示していますが、治験の開始前から、実施中、そして承認申請まで、被験者の安全性を確保すると同時に、承認申請資料の信頼性を担保するために、薬事法のもとで必要なルールが整備されています。

 なお、資料は医薬品の場合で記載していますが、医薬品の治験、医療機器の治験でも同様であるとお考えください。

 簡単に御紹介すると、治験の開始前には毒性試験など、ヒトに投与するに当たって必要な非臨床試験を実施した上で治験の実施計画を作成し、事前に届け出を出す必要がございます。また、治験実施中は、御存じのとおり、GCP省令に従う必要があることに加え、発生した副作用については、市販後と同様に報告義務があります。治験はあくまでも承認申請に用いるためのものですので、申請に際しては、薬事法で定める申請資料は、信頼性の基準を満たすことが要求されます。その基準は、主にGCP省令に従った試験であることと、試験成績に基づき資料が正確に作成されていることの2点です。これを確認するために、承認申請を受けたPMDAは、実施医療機関や製薬企業を実地で訪問し、信頼性調査を実施しています。

 次のスライドを御確認ください。臨床研究と比較して特徴的な制度として、治験計画の届け出と副作用報告についての資料を用意しました。先ほど申し上げたとおり、治験の実施前に治験届け出の提出を定められており、特に新しい有効成分を初めてヒトに投与する治験などでは、PMDAが計画の安全性など、30日間でレビューするまでは、治験の開始をすることはできません。また、治験中に発生した副作用などの安全性情報については、PMDAへの報告と治験に参加している医療機関への通知が義務づけられています。

 次のスライドを御確認ください。GCP省令は、国際的に合意されたICH-GCPを日本国内に導入したもので、治験の準備の立場から報告書の作成まで多岐にわたって定めております。

 次のスライドを御確認ください。GCP省令の中でのモニタリング監査や記録の規定を御紹介いたします。モニタリングは被験者保護と結果の信頼性の確保の2つの観点から、実施医療機関に対して、プロトコール遵守の状況の確認や治験データやカルテの照合を実施するものです。監査の治験の品質保証のための確認作業なのですが、モニタリングと異なり、監査は、同じ製薬企業の中でも開発・モニタリングのセクションから独立した部門の担当者が行う必要があり、治験の準備、モニタリングも含めてチェックするものです。医師主導試験も同様に、監査は治験薬開発研究に関与しない者が実施します。

 記録の保存については、GCP省令の中でその治験薬の承認日か治験終了から3年後のいずれか遅い日までと義務づけられています。

 さらに、資料には記載していませんが、承認を申請した製薬企業は、申請の根拠となる資料を再審査期間が終了するまで保存しておかなければなりません。

 次のスライドを御確認ください。最後に、治験と臨床研究に関する主な規定を比較した資料です。まず、お断りさせていただくと、左右に比較している項目は、必ずしも同じ規定というわけではなくて、対応する規定という意味でごらんいただければと存じます。その上で、右側の臨床研究に関する倫理指針の主な規定について、現在、モニタリング及び監査、記録の保存については見直しの方向で検討しているところでございます。

 この資料については以上です。

 次は、資料1−2を御確認ください。資料1−2では、臨床研究・治験の活性化等に関する厚生労働省の取り組みを御説明します。

 これまでの治験活性化計画と医薬品と治験届け出数の推移ですが、1996年の薬事法改正により、医薬品の治験についてはGCPが法制化され、治験の数が大きく減少しました。これを受けて厚生労働省では、治験を活性化していくための計画を策定し、さまざまな取り組みを実施してきております。現在では、文部科学省と共同で策定した臨床研究治験活性化5か年計画2012に基づいた取り組みを実施しています。

 次のスライドを御確認ください。スライドは時間の関係で飛ばさせてもらいますが、3ページ、4ページについては、臨床研究・治験活性化5か年計画の概要について記載されています。

 5ページ目を御確認ください。ここから先は、臨床研究・治験活性化5か年計画を踏まえ、厚生労働省で行っている具体的な取り組みの内容を一部紹介します。

 まず、臨床研究に関する人材育成確保のために、臨床研究コーディネーター、データマネジャー、倫理審査委員会の委員の研修事業を行っております。

 次のスライドを御確認ください。また、臨床研究・治験等の実施体制の整備を目的に、ヒトに初めて新規薬物を投与・使用する臨床研究を世界に先駆けて行う拠点としての早期・探索的臨床試験拠点の整備、また、ICH-GCP準拠の臨床研究や医師主導治験の中心的な役割を担うとともに、他施設で実施する臨床研究の支援を行う拠点として、臨床研究中核病院を整備しております。

 次のスライドを御確認ください。現在の早期・探索的臨床試験拠点病院及び臨床研究中核病院の整備対象になっている施設一覧です。

 次のスライドを御確認ください。臨床研究中核病院については、現在、予算事業でその整備を行うとともに、医療法に位置づける法案を国会に提出しているところでございます。

 次のスライドを御確認ください。次のスライドにつきましては、先ほどの説明と重複する部分がありますけれども、現在、合同会議で第11回を開催しまして、今、見直しの方向でおおむね合意したところでございます。

 次の10ページ目を御確認ください。また、質の高い倫理審査委員会を認定し、審査の質を保証するとともに、継続的な質の向上を図るために、本年度から倫理審査委員会認定制度を開始していく予定でございます。認定事業を開始していく予定です。

 次のスライドを御確認ください。11ページ目ですが、臨床研究に関する倫理指針においては、介入研究のうち、侵襲性を伴う臨床研究においては、UMIN、日本医師会治験促進センター、JAPICのいずれかのデータベースに登録することを求められています。この3つのデータベースの情報については、保健医療科学院に設置された臨床研究登録情報検索ポータルサイトで一括して検索できるようになっています。このポータルサイトについては、今年度より、国民、患者の皆様が使用しやすいポータルサイトに改修することを実施いたします。

 事務局からの説明は以上です。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明いただきました中身につきまして、御質問あるいは御意見があれば、御自由にいただければと思います。いかがでございましょうか。

 よろしゅうございますか。事実の御説明ということでありますので、これからの議論の中で質問や御意見が出れば、関連するところでまた御質問いただくという形にして、本日は、参考人の先生方に来ていただいておりますので、そちらのほうに時間を割ければと思いますので、それでは早速、次の議題に移りたいと思います。

 議題2、有識者等からのヒアリングということで、議事次第でごらんいただけますように、副題としまして○1から○4までございます。本日、参考人の先生方に御参加いただいておりますので、それぞれの先生からの概要の説明をお願いしたいと考えております。

 それでは、まず、○1の海外制度についてというところで、臨床研究に係る海外制度の研究代表者といたしまして、国立がん研究センターの藤原参考人及び慶應義塾大学の磯部先生から、それぞれ説明をお願いしたいと思います。時間が、恐縮でございますけれども、7分ということでございますが、今の質疑がないので少し延びてもいいかなという感じもいたしますので、よろしくお願いいたします。

○藤原参考人 がんセンターの藤原でございます。

 お持ちの資料2−1をごらん下さい。私に与えられております課題は、海外の臨床研究をめぐるいろいろな規制制度の状況の説明をしろということでございまして、この2−1の一番上に書いてありますように、私はこれまで、平成19年の厚生特研と24年の厚生特研の研究班長をしておりまして、海外の倫理審査委員会の制度でありますとか諸外国の臨床研究の制度の調査をいろいろしてまいりましたし、平成25年は、この後にお話しします慶應のロースクールの磯部教授が、やはり同じような班の班長をしていただいておりまして、現在、海外の制度の調査中でありますので、それらの概要を説明させていただきます。

 先ほどからいろいろな臨床研究倫理指針の改定、疫学指針の改定のお話の中で出てきているいろいろなキーワードに沿って、海外の現状を少し御紹介いたします。

 まず、臨床研究データの保存期間でございます。ディオバンの事案等もありますように、大体研究不正が起きるのは、研究が行われた時期から10年ぐらいたってからですので、医師法等で定めているカルテの保存期間が過ぎていたりとかしますので、なかなか後をトラックしにくいというところから、海外ではどうなっているのだろうということを調べている現状でございます。緑のところが海外の現状ですけれども、EUと米国それぞれですけれども、一応公的な研究費等を用いて行う研究あるいは、EUの場合は、介入を伴う臨床研究、すなわち臨床試験ですけれども、これはICH-GCPに従うというたてつけになっておりますので、一応両方の保存期間、5年、あるいは2年、3年、いろいろな副詞、形容詞がつきますけれども、10年とかという規定にはなっておりませんので、その上の白い括弧に入っております日本の諸規定、医師法とか医療法、あるいは治験であれば薬事法施行規則とか省令GCPになりますけれども、遜色のないデータかなと思います。

 ページをめくっていただきまして、ただ、EUでは、臨床試験指令というものが2000年に出まして、臨床試験というのは、特に医薬品なのですけれども、かなりICH-GCPに従ったきつい環境下で試験を進めることが求められていたのですけれども、なかなか現場の閉塞感も強いということで、ことしの4月に、長い間の検討の末、改正がなされたところであります。これまではダイレクティブという形だったのですけれども、今回はレギュレーションといって、EUの中での法体系では少し厳し目のもの、つまりEU全体で決めてしまえば、そのまま法制化もなく、各国はこれに従わなければいけないという規制に格上げされたのですけれども、中身はさまざまな改正がされておりまして、そこは今、磯部教授を中心に分析を進めているところでございます。

 臨床研究のデータの保存に関しては、5ページに書いてありますように、今回は25年と大幅な伸びになっているところが少し注目するところでありますので、きょうは御紹介させていただきました。

 次に、めくっていただきますと、利益相反、特に金銭的な利益相反の話で、海外と日本の過去と現状を調べてみました。

 7ページにありますような、これはヘルシンキ宣言でございますけれども、臨床研究をやるときには、ヘルシンキ宣言に従いますということは、過去から皆さん言っていらっしゃるのですけれども、ヘルシンキ宣言に金銭的な利益相反の話が入ったのは、2000年のエジンバラ改訂のときであります。このときにIRBあるいはインフォームドコンセント、それから、論文発表のときに利益相反をきちんと開示しましょうということが明記されました。

 ページをめくっていただくと、日本もそれに追随して、比較的早く、平成15年、2003年の臨床研究に関する倫理指針の策定時に、既にプロトコールやインフォームドコンセントにこういうことを書きましょうということが記載されておりますし、被験者さんに説明するときにはその中身も話しましょうという内容になっております。

 9ページに行っていただいて、それの各国との比較あるいは治験の中での比較とみていきますと、省令GCP、これは治験を規定するものですけれども、珍しいことに、ここの利益相反に関して治験は非常に甘々な規定で、省令GCPの中には利益相反に関する記載をしろとは一切書いてありません。ここはちょっと日本の弱いところなのかなと思います。

 片や外国をみてみますと、上からICH-GCPEU、英国、それからUSA、アメリカとなっていますけれども、利益相反に関する規定はさまざまされていますが、一番利益相反を気にしているのはアメリカなのですけれども、赤のところに目を移していただいて読んでいただきたいのですが、日本のほうがかなり厳し目になっておりまして、赤を読ませていただきますと、アメリカでは、IRBへの潜在的な利益相反開示の資料提出やプロトコール内での利益相反に関する記載、あるいはIC、インフォームドコンセント内での被験者への開示というものは求められていません。これは私も調べていてびっくりしたのですけれども、被験者さんに話しなさいとか、プロトコールにきちんと課しなさいというヘルシンキ宣言とか日本臨床研究倫理指針と同じようなことは、アメリカの法令の中には書き込んでありませんでした。ただし、スポンサーあるいは所属機関あるいは規制官庁へはきちんと開示しましょうということが米国の特徴かと思います。

 次をめくっていただいて、今回、臨床研究倫理指針が改定されて医学系に関する倫理指針に変更されますけれども、大きな改定として、臨床試験についてはモニタリンクと監査をしましょうという規定が恐らく盛り込まれると思いますけれども、そのモニタリンクと監査をめぐって各国状況がどうなるかをまとめたものであります。

11ページをごらんいただくと、上からICH-GCPでの規定、EUでの規定、それからイギリスの臨床試験規則での規定、それからアメリカでの規定となっておりますけれども、いずれも臨床試験についてはモニタリングをしましょうという記載になっております。ただ、ここで我々が注意しないといけないのは、臨床研究は非常に幅広い範囲でありまして、研究のためにMRIを数回撮るとか、CTを撮るとか、さまざまな侵襲性の低い臨床研究というものがありますけれども、それに関しては、各国とも余り厳しい規定は設けられておりません。

 ページをめくっていただいて、監査でございますけれども、これも、医薬品を使う臨床試験については、各国さまざまな規定がきちんと盛り込まれておりますけれども、それ以外のものに関しては余り細かい規定はされておりません。

 最後、罰則でありますけれども、これは、今回のいろいろな臨床研究を巡る事案を含めて、臨床研究で何か起きたときに、研究者が何か責任を問われるのかというのが皆さん注目されているところだと思いますので、各国の状況を最後に示しております。

14ページでありますけれども、EUの新しい臨床試験規則、この4月に出ました臨床試験規則では、罰則について、ペナルティーというものが、アーティクル94でありまして、これは各国の規則を制定することを求めるのみの記載となって、具体的な内容にはなっておりません。現行の各国の規制で、例えば英国で見ますと、臨床試験規則では、レギュレーションの52項のところに、罰金あるいは禁固刑というものが臨床試験規則に違反した場合には与えますよと書いてありますし、アメリカであれば、この連邦医薬品化粧品法あるいはUSのコードタイトル18のところ、これは刑法とかその辺が書いてあるところですけれども、臨床試験周りで何か悪いことが起きたら、罰則・禁固を制定するたてつけにはなっております。

 以上が私の説明で、あとは磯部教授から、現在進んでいる今年度の調査状況について御説明させていただきます。

○磯部参考人 引き続きまして、資料の15ページから、平成2526年度、藤原先生の研究を引き継ぐような形で研究代表をしております慶應義塾大学の磯部と申します。

 既に藤原先生が御説明いただいたような内容と対象はかなりかぶっているところもございます。何せ、2年計画とはいいながら、半年で成果を出すというスケジュールでやっておりますので、また、英仏について、平成25年度に実際に実地調査をいたしました。その成果については、次回以降、取りまとめた上で詳しく御報告したいと思っておりますので、差し当たりどのようなことをやろうとしているかということだけ4枚のスライドで書いてあるところです。

16ページのところを見ていただければ、治験との異同であるとか被験者保護というときにどのようなリスクごとの分類になっているのかとか、大きな規制の枠組みといったこと、あるいは倫理審査委員会がどのように機能するようにしているかといった幾つかのことは、既に平成24年度の藤原先生の研究で明らかになっているのですが、モニタリング・監査、データの保存等々、さらに包括的に検討したいということで、2526年度の研究を進めているところであります。

17ページは、研究組織はそのまま引き継いでやっているということになりまして、最後の18ページには、平成25年度にどのようなことをやったのかということが書いてあります。既にもう内容的には先ほどの藤原先生の御報告の中で触れられたことばかりでございますけれども、実際に向こうに行って、規制当局の担当者や病院の方などに話を聞いていきますと、例えば研究に伴う健康被害があったときの補償といったことも、制度としてはあるけれども、実際には極めて数が少ないであるとか、あるいはCOI、利益相反というところですが、いろいろ向こうの人たちの関心とかを見ていきますと、むしろ行政活動における公平性という観点から、規制当局の担当者がどのような適切な利益関係の開示宣言がされているかといったほうに重点がおかれているようなところがあるとか、罰則についても、もちろん臨床試験に関しての規定のところにも出てくるところがありますが、例えば非常にずさんな研究をしたお医者さんは、医師の免許の停止、取り消しなどがされるというような別の制度がリンクしてその実効性を担保しようとしているようなところが見られるとか、やはり関連する諸制度にも視野を広げて検討する必要があるなということを感じたところであります。

 次回以降、詳細については御報告いたします予定ですので、差し当たり、私の持ち時間は2分ですので、このぐらいにさせていただければと思います。

○遠藤座長 どうもありがとうございました。

 それでは、今お2人の先生から御報告があった内容につきまして、御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。山口委員、どうぞ。

○山口委員 患者の立場というか一般の被験者の立場でこの委員を務めさせていただいております山口と申します。

 藤原参考人に2つ質問がございます。資料の5ページのところで、新しいEUの規則では、最低25年ということになってきているとご紹介されましたが、最低ということは、25年以上、もっと長く保存しないといけないものがあるということかなと思ってお聞きしておりました。例えばどういう場合に25年を超えて保存しなければならないのか、こういうものは長い保存の必要性があるとされいる内容や違いがあれば教えていただきたいということが1つです。それから、ディオバンの問題で、あの研究はちょうど今から10年少し前ぐらいから始まったものですが、先ほど8ページのところで臨床研究に関する倫理指針のところにCOIのことがもう盛り込まれていると御説明がございました。確かに最近いろいろな学会等々で発表などを拝見すると、COIについて発表の最初に提示されますが、例えば、ディオバンの臨床研究が始まったあたりは、まだこういう問題は取り沙汰されるちょうどはざまにあったと思うのです。そうことからしますと、この10年で変化してきた点について、研究者としての実感をお持ちであるかどうかということと、今の時点で新たにどういうことを厳しく求める必要が日本の場合あるとお考えになっているのかというこの2点を教えていただきたいと思います。

○遠藤座長 それでは、藤原参考人、お願いいたします。

○藤原参考人 最初のほうなのですけれども、これは、残念ながらこの4月にこの規則が出たばかりで、これからブレークダウンされて、それに付随するいろいろな政省令、日本で言えば法律の下のいろいろな通知とかが出てくる段階なので、この25年をどういうふうに活用するかというのは、まだちょっと詳細は不明なところがあります。

 ただ、この文章を読んでいただきますと、「at least 25 years」とシンプルに書かれておりますし、このEUの臨床試験指令が出る前に、かなり長年にわたってEUの中でさまざまな議論がされているのですけれども、まだその議事録詳細を全部私がチェックしているわけではございません。実感として、研究不正は研究が行われてから10年ぐらいが一番よく判明してくる時期らしいので、それをしっかりカバーするような領域にしてあるのかなという印象で、ちょっと詳細な背景はわかりません。

 それから、利益相反のところでございますけれども、私もディオバンの委員をしておりましたけれども、そのときにいろいろ思ったところで、我が国の臨床研究倫理指針は、平成15年に出ましたけれども、ディオバン研究をいろいろやられたのはたしか2000年ぐらいなので、これが出る前の頃なのですね。一方、ヘルシンキ宣言のエジンバラ改訂は2000年でした。なぜこれが出たかというと、ペンシルベニア大学というアメリカの大学で、遺伝子治療の臨床試験で被験者さんにきちんCOIの開示をせずに、PIといって研究の責任者は、その遺伝子治療研究の開発を担うベンチャーの株を持って、その研究に適格性もないのに患者さんを入れてしまって、その患者さんが死んでしまったという事案が1999年に起きました。それを契機に世界的に、やはりそういうものはきちっとしないとおかしいではないかということになり、この2000年エジンバラ改訂あるいは臨床研究に関する倫理指針に利益相反の規定が入ってきたという歴史です。この時期からがだんだん皆さんが利益相反に注意を払うようになってきたと、特に私の実感としては、ゲルシンガー事件というペンシルベニア大学の事件は、ものすごく臨床試験とか臨床研究の世界の学術雑誌に紹介されたので、それをいつも読んで、こういうのはいかんなと。ただ、産学連携、その中で企業との関係は非常に大事になってくるので、私も周りの人たちも、このころから、2000年ぐらいから、利益相反のことはしっかりしようと思うようになってきましたし、学会に論文を投稿するときに、そのCOIの規定をしっかり求められるように投稿規定等が変わってきたのが、たしかこのぐらいの時期だと理解しております。

○遠藤座長 山口委員、どうぞ。

○山口委員 最後に申し上げた点ですが、変わってきているという現状を踏まえて、今の時点で、さらにもう少し厳しくこういうことをしないといけないとお感じになっているものがもしあるとしたら、教えていただきたいと思います。

○藤原参考人 教育と認識というところなので、これは後から市川先生がお話しされると思いますけれども、医学部の教育などを見ていても、臨床試験の論文を書く方法のお作法は、余り利益相反とかを含め、教えているようなものではなくて、むしろ卒後教育の中で教えているところがあって、若い医師が、こういうものは普通の礼儀としてやるのだということをしっかり認識してもらう、もう少し周知されたほうがいいかなと。それが法律に書いてあるか否かという問題ではないと考えます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 山口委員、よろしゅうございますか。

○山口委員 はい。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 では、武藤委員、お願いいたします。

○武藤(徹)委員 日本では罰則の規定がないと。しかし、アメリカとイギリスは罰則があると書いてあります。私は罰則は必要ではないかと個人的には思っています。具体的にイギリスとかアメリカでそういう事例はあるのですか。どれぐらいの罰則を受けている例があるか教えてください。

○藤原参考人 今回のこの3月にもちょっと行ってきて、本当に罰則をやっているのかと聞いたら、先ほど磯部教授もおっしゃっていましたけれども、実際にはなかなか難しいと。ただ、GCPで違反して、何か変なことをやる人は時々いるらしいのですけれども、その人に罰則を問うようなことというのはない。英国も今のところないと。GLP、製品をつくる段階で変なことをした人に、製剤ですか、物を製造する過程で変なことをした人が1人、訴えられて有罪になった人がいて、禁固になったぐらいで、GCPを違反して捕まって、禁固刑とか罰金を受けた人はないし、起訴しようと思っても、実際なかなか難しいですという話を各国の省庁の担当者さんはおっしゃっていました。アメリカは、これから6月末ぐらいに行きますので、もう少し実態を調査したいとは思います。

 日本は、罰則がないふうには書いていますけれども、臨床研究倫理指針に付随する局長通知には、臨床研究倫理指針を守らなかったら、研究費は差しとめますよという規定はあります。ただし、それは禁固とか罰金ではありません。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 武藤委員、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。

○武藤(徹)委員 はい。

○遠藤座長 桐野座長代理、お願いします。

○桐野座長代理 保存25年というのは相当長いのですけれども、ここには、「the sponsor and the investigator shall archive」と書いてあって、スポンサーと研究者が保存せよと書いてあるように見えるのですが、これは、よくよく考えると、主体が個人なのか、それとも機関なのか。機関だとすると、なかなかそれもまた難しい。例えば大学のある教室であったような場合に、それが丸ごと変わってしまったような場合とか、いろいろなことが考えられるのですが、そこはどういうふうに理解されているのでしょうか。

○藤原参考人 スポンサーという概念が、多分日本人にはなかなかわかりにくい概念だと思うのですけれども、スポンサーというのは、人のこともあるでしょうし、機関のこともありますし、あるいは企業体であったりとか、今回、欧州の調査をする中で、スポンサーというのはどういう位置づけですかというのはなるべく聞くようにしてまいりました。欧州でスポンサーというのは、特に英国で感じたのですけれども、医療機関が責任を持って、自分の機関でやっている臨床研究に関しては信頼性保証をするというようなイメージがありまして、機関には、デパートメント・オブ・リサーチ・アンド・デベロップメントという部署があって、そこのデパートメントヘッドがスポンサーで自機関でやられているところの臨床研究はその人が責任を持って管轄していくというところなので、そういう感覚から類推すればスポンサーという、それはもう機関そのものと言っていいと思いますけれども、各講座の教授が交替していったとしても、デベロップメントをやっている部署が責任を持ってそういう信頼性保証するのだろうと私は思いましたし、実際そういうたてつけになっていると思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。では、楠岡委員、どうぞ。

○楠岡委員 ヨーロッパ、アメリカでの法律というか規制のかかる研究の範囲について教えていただきたいのですけれども。EUディレクティブの場合は、日本のように治験と臨床試験の区別がないのと、臨床試験も、公的研究費で行っているのか、民間資金で行っているかによる差は特にないように感じていますけれども、アメリカの場合は、かつてのナショナルリサーチアクトは、あくまで公的研究費で行う研究にかかっていて、民間資金による研究に関しては、かかっていないというか、ある意味、指針的な存在と思います。一方、未承認薬を使う、INDを出して行う研究は、公的研究であろうと民間研究であろうと、INDに関するFDAのレギュレーションがかかっていて、そこでもしバイオレーションがあると、INDを出す資格を取りとめられるというようなバニッシュメントがあり、結果的に、研究はできなくなってしまう。法律がカバーしている研究の範囲が少しずつずれているような印象を受けていたのですけれども、そういうような解釈でよろしいのでしょうか。

○藤原参考人 私どもそこが一番大事なところだと思いまして、まだ精査中というところがあります。ただ、EUなどを回っていますと、介入を伴った侵襲性の高い臨床試験には非常に厳しいのですけれども、例えば医療機器であったりとか、外科の手術だけとか、放射線治療だけを使うような臨床試験とか、それから疫学研究とか、余り介入性の強くないものに関しては非常に自由度が高く運用されているという印象は持っております。ですから、きょうお示ししたのは、あくまでも医薬品を使って、特に添付文書から外れるような行為をするような臨床試験に関してのEUのレギュレーションだと思っていただければいいでしょう。

 それから、アメリカのほうは、先生がおっしゃったように、INDというのは、そもそもINDというのは、州を越えて物を移動するときにかかる法律なので、そういう州を越えての物品を移動するところの臨床試験はINDを申請しましょうというのでもともと始まったような経緯がありますし、それから、倫理を規定していますのはコモンルールというものがあるのですけれども、それは、先ほど先生がおっしゃったように、公的研究費、NIHを初め、国防省とか、ナショナル・サイエンス・ファウンデーションでもいいですけれども、そういう公的なところから得ている、研究費をもらっている試験だけにかかわるもので、民間企業の資金だけでやっているものは、本来、コモンルールの適用対象ではありませんので、そこは皆さんが思っていらっしゃるように、アメリカの試験は全部すばらしいし倫理基準に従わないといけないかというと、たてつけはそういうふうになっていないというところはあります。ただ、研究費の額とか公的研究費が日本に比べて非常に大きいので、アカデミアで公的研究費をもらってなくて臨床研究をやっているというのはすごく少なくなっていきますから、件数的にはカバーする範囲は大きいと思いますけれども、これが磯部班のところで、その対象がどういうふうになっているかというのはもう少し精緻に分析したいと思っております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。それでは、児玉委員、お願いいたします。

○児玉委員 資料の9ページで、省令GCPに利益相反に関する記載なしという御説明があって、ICH-GCPでも利益相反に関する明確な規定なしと。各国の規定も、今ここで問題にされているような企業からの資金提供や労務提供を禁止したり、開示を求めたりするというルールの射程の中でこの規制をやっていこうという方向に少し乏しいように見えるのですが、この点について改正の機運があるかどうかということと、もう少し原理的な理解の問題なのですが、省令GCPICH-GCPの場合は、企業が資金を提供し、企業が労務を提供し、みずから、例えば資料1−1の、きょう厚生労働省から御提供いただいているような、企業みずからが開発に対する監査やモニタリングも行うという企業の関与と、それに対する行政当局の規制を前提にしたシステムが、その科学性、倫理性、患者権利擁護に機能するということが前提になっているのであって、いわゆる利益相反ルールの資金源、労務提供元の開示というのは、もともと治験の場合は企業がやっていることが前提になっているのだから、その開示ルールを問題にするというのは余り妥当ではない、そういう理解があるから、ずっとこういう省令GCPICH-GCPもルールがないという状況になっているのではないか、そんなことを推測しているのですが、この辺についての原理的な議論、それから改正の方向性など、研究されている内容があったら、ぜひ御紹介いただきたいと思います。

 以上です。

○藤原参考人 治験と言っているのは日本だけで、企業がやっているからとか、インベスティゲーターがやっているから、その臨床試験は企業色があるかどうかというのは、日本以外の国では全然問うていません。だから、治験と言っても誰もわからないのですね。クリニカルトライアルと言うと分かってもらえます。このICH-GCPというのは、別に企業がやっている臨床試験だけを想定している規定ではありませんで、ここにスポンサーと書いていますけれども、このスポンサーは、先ほどちょっと申し上げたように、医療機関がやっている場合もありますし、公的研究費でインベスティゲーターがやっているものもありますし、企業治験に限った、企業がやっている臨床試験に限ったものではないというのは、1つこれを読むときに気をつけていただきたいところだと思います。

 各国規制の中で、労務の提供とか、監査とか、細かい規定をしていないのは、私どももこれを見ている中で、ちょっと日本と違うなとは感じました。むしろその辺はこれからもう少し詳細を調べないといけないというので、これまで主に規制当局にあたって調査をしていたのですけれども、今は、各分担研究者が海外の医療機関のいろいろな友達を通じて、実態の運用としてどうなっているかというのを調べたり、医療機関のSOPのチェックをしたりしているところで、次回の磯部先生のお話のときには、その原理的なところがもう少し詳細としてお話しできるのではないかと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。望月委員、どうぞ。

○望月委員 モニタリングで教えてほしいことがあります。モニタリングというのは非常に大事なことだと思いますが、このモニターを選任するというのは、どういうような条件で、どういうような形で選任するのかということ、それから、モニターは、臨床試験が始まると同時に必要と思うのですが、どのぐらいのインターバルで実際のモニタリングを行うのか、そういうような規定というのはあるのでしょうか。

○遠藤座長 お願いします。

○藤原参考人 企業の治験とは別に、海外では、研究者がやる普通の臨床試験についてもモニタリングをするケースはままあります。そういう際にモニターさんを指名するのはチーフインベスティゲーターの役割になりますけれども、それは、医療職免許を持っているような人でもいいですし、そうでない人もいますけれども、その臨床試験のプロトコールがきちんとわかって、カルテがきちんと見られて、プロトコールに規定してあることが、きちんとこういうタイミングであることが行われていて、それがカルテにもきちんと同じように書いてあるし、CRFといいまして、試験の記録みたいなものですね、実験ノートに近いものかもしれませんけれども、それにもきちんと記載があることを随時チェックしていく過程が、進捗過程でのチェックという意味でモニタリングと思っていただければいいのですけれども、それができる人ということでモニターの選定をすることが多いので、看護師さんであったり、薬剤師さんであったり、臨床検査技師さんであったり、日本で言えばそういう方であるかもしれませんし、文科系の方でも、医療にいろいろタッチしていらっしゃる方であれば、それは読めますから、そういう方でも選任するというところになってくると思います。

○望月委員 必ずモニタリングする人は、臨床試験が始まるとともに関与するわけですか。

○藤原参考人 そうですね。そこは、臨床試験になっても、大きな試験から小さな試験、あるいは侵襲性の高いというか健康被害が起きやすそうな試験から、承認適用の範囲内だけれども、古い薬と新しい薬のどっちがいいか比べるとか、アメリカだとコンパラティブイフェクティブネスリサーチといいますけれども、日本でも、例えばカルシウム拮抗薬が何十種類もありますけれども、どれがいいかわからないというようなときに比べるようなもの、それはそんなに健康被害が起きるわけではないので、それに関してインテンシブに、例えば毎月1回、モニターさんが医療機関に行って、カルテと、CRFという症例の記録を全部見ているかというと、そんなことは多分しないし、EUにおいても、健康被害の発生リスクの高さとか研究の難易度に応じてモニタリングの程度は決めています。だから、研究によってさまざまですね。通常は、初めのときに行って、途中何回か行くというのは、難易度によって変わりますし、難しさというか危なさですね、それから終わりぐらいに行くというようなところが多いと思いますけれども、モニタリングというのはさまざまなタイミングで行われると。

 ただし、必ずしも第三者がやればいいというものではなくて、モニタリングは、アメリカでがんの多施設臨床試験をやる場合には、モニタリングといっても、セントラルモニタリングといって、例えばNCIはワシントンのベセスダにありますけれども、そこでやっているような、そこが金を出してやっている試験は、例えばカリフォルニアであったり、それから、ボストンでもヒューストンでもいい、そういうところでやっているものを、電子カルテを取り寄せたりとか、あるいはCRFという記録を郵送で送ってもらったものを、プロトコールに合っているかどうかをさっと見て、うまくいっているのかなと。日本の治験でやっているような、病院に行って事細かに全部見ているというようなモニタリングはしていません。モニタリングという言葉は非常に幅のある言葉なので、そこは読まれるときにちょっと気をつけられたほうがいいかもしれないですね。

○望月委員 ありがとうございます。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 ほかにございますか。大門委員、どうぞ。

○大門委員 臨床試験の信頼性の確保ということで、主にモニタリングと監査についてお話しいただいたのですけれども、例えばデータマネジメント、統計解析について、海外の状況はいかがでしょうか。

○藤原参考人 データクオリティーは、例えばここのEUのクリニカルダイレクティブというところを見ていただくと、クオリティーコントロールとクオリティーアシュアランスというところになりますので、当然クオリティーコントロールのところには、アシュアランスもそうですけれども、クリニカル・データ・マネジメントという概念は大事になりますし、日本と海外の大きく違うところは、生物統計家、バイオスタティシャンという方が社会的に認知されていて、臨床研究、臨床試験をやるときには、いわゆる数理統計、数学者の統計家ではなくて、そういうライフサイエンスを意識した統計学を知っている生物統計家という専門家が必ずかかわるということが社会の常識ですね。別にそれは患者さんも知っているし、官僚の人たちも知っているし、研究者も知っているという状況で、クリニカル・データ・マネジメントという概念あるいは生物統計家が臨床試験にタッチするということは世の常識になっていると、私は常々いろいろな国を回る中で思っております。

 例えば、英国に行っても、フランスに行っても、アメリカに行っても、大学のデパートメントとして、バイオスタスティクスというのはきちんと存在していますし、それはスタティクスとは全然別物として扱われていますし、その辺は、生物統計というところに関する、規定以外にも、社会としてそういうものが大事だという風土がつくってあるのではないかと思いますし、クリニカル・データ・マネジメントについては、ICH-GCPとか、クリニカルダイレクティブとか、それぞれの臨床試験規則にもいろいろ記載はございます。きょうはちょっと紹介しておりませんけれども。

○大門委員 ありがとうございます。

○遠藤座長 よろしゅうございますか。

 それでは、各委員からまたいろいろなお考えも出ましたので、今後、御発表いただく調査の中で多少とも反映できるものがあれば、御配慮いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 それでは、藤原参考人、磯部先生におかれましては、長時間の御説明ありがとうございました。

 引き続きまして、○2透明性確保等に関する製薬業界の取り組み状況についてに移りたいと思います。日本製薬工業協会の方に参考人として御参加いただいておりますので、取り組み状況につきまして御説明いただければと思います。

 資料は2−2になります。日本製薬工業協会の稲垣参考人及び田中常務理事から御説明をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○稲垣参考人 日本製薬工業協会医薬品評価委員会の稲垣でございます。

 ただいまより、透明性確保等に関する製薬業界の取り組み状況について御紹介させていただきます。失礼して、座ってやらせていただきます。

 この内容について御紹介させていただくわけですが、実は、この会議の開始前に製薬協の会員企業による臨床研究への不適切な関与について発表がありました。この後、私から、今まで製薬協で透明性確保あるいは臨床試験の適正化というところでどのように取り組んできたかについて御紹介させていただきますが、今回このような発表があったということを非常に重く見ております。厚生労働省の高血圧症の臨床研究事案に関する検討事項等も踏まえて、昨年より製薬協として臨床試験の問題に取り組んできたことではございますが、本日の会員企業による発表を踏まえて、今後、事実関係や詳細が明らかになってくるかとは思っておりますが、本件につきましても、製薬協として適正に対応させていただくということを冒頭申し上げさせていただいて、続いて今までどのような形で取り組んできたかというところについてに話を移らせていただきます。

 資料2−2のところでございます。これは、本年4月22日に製薬企業による臨床研究支援の在り方に関する基本的考え方ということで出していただいたものでございますが、このような考えに至った経緯というところで、次のページのスライド右上のところから御説明させていただきたいと思っております。

 これは時系列に沿っていったものでございますが、昨年9月30日に、高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会での中間とりまとめ案が出まして、これを受けまして、その中で指摘されている産業側に対する要請について、速やかに検討、着手し、誠意を持って取り組んでいくという形での会長声明を10月1日に出したところです。その後、9月30日のとりまとめの案が最終化されまして、それを受けまして、1017日のところに改善策の本格的な検討を開始し、23日に理事長通達を出しております。この理事長通達は、次のページにありますが、会員各社で直ちに取りかかれる要請について早急に実施するようにというようなことです。

 そして、早急に実施できるものはこの段階で実施をお願いしているわけですけれども、その後、時間をかけて検討するべきものについて検討し、そして、ことしの4月22日、最初にありましたように、「臨床研究支援の在り方に関する基本的考え方」ということでまとめまして、会員各社に通知したところです。

 ページをめくっていただきまして、昨年の1023日に会員各社で直ちに取りかかれる内容ということで理事長通達として出したのが、この3点です。検討会議の中で、研究支援での研究機関と製薬企業との間の透明性確保についての要請がありましたことより、まず、1番目のポツのところであります医療用医薬品の取引に付随する寄附についての考え方をまとめた「医療用医薬品製造販売業公正競争規約」を遵守するようにということ、そして、2番目のところであります「企業活動と医療機関等の関係の透明性ガイドライン」の早急実施について出しております。この2つについては、次のスライドで紹介させていただきます。また、3番目の点ですが、製薬企業の社内ガバナンスが欠如している、まさにそこが問題であったわけでございますけれども、ガバナンスの欠如という指摘を受けて、利益相反の観点から、社内体制のガバナンス面からの早急点検との指示を出しております。このガバナンス面からの早急点検というのは、進行中の臨床研究に関して、まず、研究支援に関係した社員や組織の行動を会社として把握するように、そして、公益通報等の、何か問題があったときの受け付け窓口が会社の中で機能しているかどうかということを確認するようにというような内容です。

 次のスライド3ですが、この、さっき23日のところで出しております医療医薬品製造販売業公正競争規約、これは医療用医薬品の取引に付随する医療機関等に対する景品等の提供に関する制限について、「景品表示法第11条」の規定に基づいて昭和59年に設定された規則で、景品という言い方をしておりますが、これは物品ばかりではなく、金銭もありますし、また、前回の件で問題になりました労務提供も含まれております。これらについては、公正競争規約を遵守するようにということで、昨年1023日に理事長通達として出しているものです。

 また、透明性ガイドラインというものは、これは、製薬企業が医療機関等にお支払いしている研究費や開発費あるいは学術研究助成費、原稿料などを、各会社のそれぞれのホームページにてその額を開示すべしというガイドラインでして、平成23年に製薬協が会員各社の行動規範となるガイドラインを策定し、それをもとに会員各社がそれぞれの会社での透明性に関する指針を策定し、そして、平成24度分を25年度、つまり昨年に公開するという形になっております。ことしの2月の時点で70社全てが公開ということを確認しております。

 こういう形で、直ちにできるものについては昨年取り組ませていただきました。そして、あと、時間のかかるものとしまして、臨床研究に対する支援のあり方について検討を進めていたわけです。

 臨床研究に関する支援というところで、その対象となりますのが、次の2段重ねの絵の描いてあるところでございますが、先ほど児玉委員から御指摘がありましたように、日本の場合は、臨床研究と言った場合に、企業が実施している治験と、それからいわゆる倫理指針によって実施される研究者主導の臨床研究というものがございます。企業が実施する治験といいますと、いわゆる薬事法の規制に基づいて実施している臨床研究で、企業の責任においてデータの質、クオリティー等を確認しつつ試験を進めております。

 本日、今からお話しさせていただきますのは、この下のほうにあります研究者主導の臨床研究、研究者がみずから実施する研究に対する製薬企業としての支援についてどういうふうにあるべきかという内容のものです。それについて、先ほどのように、4月22日に基本的な考え方を通知させていただいたわけですが、その内容としては、その次のスライドのところにありますように、まず最初は、研究支援の在り方に関する基本的考え方で、自社の医薬品に関係する臨床研究に対する資金提供や物品供与等の支援は契約により行うことです。これは、意味合いとしては、実は日本の場合は奨学寄附という制度がございます。この奨学寄附という制度は、研究機関に対して研究助成のためにお金を寄附するわけですけれども、使い道等の制限が比較的緩やかな形になっておりまして、前回の高血圧治療薬の臨床研究の際にも、それで支援が行われたということで不透明さが増したというような形で御批判いただいたものです。

 自社の製品に対する臨床研究に関しては透明性を確保するという意味で、契約により支援を実施すること。そして、当然ながら、研究への支援をということですので、その契約の中では、臨床研究で使用されなかった資金等についてはお返しいただくというような内容を述べておくこと。さらに、研究者主導の臨床研究ですので、臨床研究の中立性やデータについて疑念を抱かせるような労務提供については行わないということで、この3点をまず1つ目の基本的な考え方として言わせていただきました。

 (2)のところは、さらにその理念のところを突き詰めまして、臨床研究における客観性と信頼性を確保するためには、研究者の独立性が極めて重要であることを製薬企業側も認識し、利益相反関係に十分留意して支援を行うという考え方を述べさせていただいたものです。

 最後のスライド6のところですが、先ほどの奨学寄附金についての提供のあり方ということについても述べております。奨学寄附金は本来の趣旨、これは学術研究の助成というところですが、それに対して適切に提供することとし、今後、自社の医薬品に関する臨床研究に対する資金提供の支援方法としては用いないというところを基本的な考え方とさせていただきました。

 そして、その奨学寄附金の提供に当たっては、社内で営業部門から独立した組織において、利益相反を十分確認の上、決定することとし、奨学寄附の経緯等の記録を作成して、適切に保管しておくこと。すなわち、後になって必要に応じ説明できるように備えておくというような内容を連絡しております。

 また、実際、奨学寄附、これは本来は企業側からは使い道等を限定せずに研究機関のほうで自由に使っていただけるお金ですが、奨学寄附により入れたお金で自社の医薬品に関する臨床研究が行われていることがわかったら、わかった時点で、できるだけ早期に契約による研究支援に切りかえるようにというようなところも言及しております。

 あと、ただ、今回このような形で検討委員会が行われておりまして、臨床研究への支援のあり方についてもさまざまな御意見をいただけるかと思っております。その検討状況によって、下のところにありますように、先ほど基本的な考え方として述べさせていただいたものについても、必要に応じて内容等、よりしっかりとした形に変えていくことも検討していくつもりです。

 一応、今のような形で、検討委員会の後、4月22日にこのような基本的な考え方というものを出させていただいて、製薬協の会員各社に周知したというのが、その後の今の進捗でございます。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいまの御報告につきまして御質問、御意見等ございましたらご自由にどうぞ。山口委員、どうぞ。

○山口委員 2つございます。まず、1つ目として、3ページのところが御説明で少しわからないところがあったのですけれども、景品として物品、金銭、供応、いろいろ入っているということがここに書いてあるのですが、これは、今回の取り組みによって、何がどういうふうに変わったということなのでしょうか。景品の項目を具体化されたということなのか、何かやめることが出てきたということなのか、具体的に教えてください。それからもう一つは5ページのところで、研究が行われるときは契約にするという御説明がありました。これは今まで曖昧な部分で、ディオバンの問題も奨学寄附金ということが問題になっていますので、明確な形にすることはとても大切なことですし、もっと早くにするべきだったのではないかという気もしております。ただ、こういう契約をすることによって研究自体が減ってしまうとか、企業として有益なものでないと契約しないというような何かマイナスの方向になるようなものが考えられるのかどうかという懸念があれば、それも教えていただきたいと思います。

○遠藤座長 お願いします。

○稲垣参考人 まず、前半のところでございますが、ちょっと説明が悪くて申しわけございませんでした。この公正競争規約のほうの話は、今回、新たに何かをつけ加えたというようなものではございません。既にこういうルールがありますよと。そして、そのルールをしっかりと守っていただいて、臨床研究に対する助成の中でもこういうルールがあることを確認し、それをしっかり守ってくださいということを改めて会員各社に呼びかけたというのが、1023日の時点での話です。

 次に、後半のほうの話でございますが、もし臨床研究への助成を契約に切りかえることによって、臨床研究の数がふえるか減るか、そのあたりのところは、正直な話、我々としても予測がつかないところがございます。と申しますのは、ちょっと楽観的な希望かもしれませんけれども、やはりすぐれた研究に対して我々は助成をしたいというような考えは持っているわけで、だからそういう研究、すなわち企業としてイノベーションを進めていくために必要な研究に対しては支援を続けていくことは変わりなく、今まで支援していた優れた研究に対する支援を取りやめるというようなことはちょっと考えづらいのかなと思っております。

 その一方で、ちょっと微妙なところにある研究について助成が続くかどうかというところ、ここは、各社の考え方もいろいろありまして、場合によっては支援する研究が減る部分が出るかもしれませんが、そこもある程度いたし方ないのかなとは思っております。ただ、変な言い方ですが、自社製品に関する研究を契約による支援に切り替えることをお願いすることで、では契約での支援で実施できない研究というものがあるか?、つまり契約による助成でも構わないのであれば、支援はそのまま続けられるので、そう考えれば助成する研究の数は変わらないのではないか、そんなことも考えたりもしております。

○田中参考人 製薬協の事務局の田中でございます。

 追加発言させていただきます。契約により実施することによって、臨床研究の数自体は減るかもしれませんが、質は上がるとは考えております。臨床研究がマイナスの方向に向かうというよりは、質のより良い研究と契約を交わすことになると考えております。

○遠藤座長 山口委員、引き続きお願いいたします。

○山口委員 ということは、今まで、しっかりと契約という形をとっていなかったことを、明確にすることによって質を上げると受けとめてよろしいでしょうか。

○稲垣参考人 どのような研究かということを我々としても内容を把握した上で助成する形になるわけですので、その点では、我々としては質が上がる、または、高質な研究に対して支援が行われるという形になると想像しているというか、イメージしているところです。

○山口委員 わかりました。

○遠藤座長 よろしいですか。

 それでは、児玉委員、武藤委員の順でお願いいたしたいと思います。

○児玉委員 御配付いただいた資料の4ページのパワーポイントを今、見ながらお話を聞いていたのですけれども、この上のところの治験という緑色のカラムのところは、企業が資金も提供され、労務も提供されると同時に、データの信頼性とプロセス、アウトカム、ストラクチャー、全てにわたっての科学性や公正性や中立性を守るために、企業そのものが懸命に努力されてきた経過があると思っております。

 そういう意味で言うと、治験のこの緑のカラムのゾーンでは、企業性悪説ではなく、企業みずからが適正な中立性を維持するためのネガティブな情報も大変重視されるという立場で治験を行っているはずだ、そういう制度構築になっているはずなのです。それをチェックし、支援するために行政規制がかかっていると。

 ところが、今、問題になっている事象は、企業がこの下の茶色の臨床研究というゾーンにかかわり合われたときに、企業の中の組織を挙げてのチェック体制が著しく緩んでいるのではないか。むしろ原状の改善のための方策について、積極的に治験のときと同じように、企業がそのストラクチャー、プロセス、アウトカム全体の公正性、中立性を支え、支援する方向性で関与するという、むしろガバナンスをきかせる方向で関与していく、そういう着想というのは出てこないですかね。といいますのは、この緑のところと茶色のところが、原理原則で全く違うはずはないのに、著しくダブルスタンダードになっているような感じがあって、私自身うまくそしゃくできていない部分があるので、こういう問題提起をさせていただくところです。

○稲垣参考人 ありがとうございます。緑のところの治験、これは薬事法の枠の中で実施されるもので、企業が主体となって実施している臨床研究になります。そのために、責任は企業にあります。医療施設の先生方に対して研究実施をお願いするという形で契約をしておりますが、計画の立案から実施、監査まで、先ほどの藤原先生の話にありましたスポンサー機能はもともと全て企業が持っております。したがって、データの質も全て企業が責任を負う形で、先生方にお願いして実施していただいている研究になります。

 それに対して、普通の臨床研究は、これは実施主体はあくまでも研究者の方で、研究者の方が実施しているところに、企業のほうで何らかの形で御支援できるものがあるかどうか、そして、支援できるものがある場合には支援を行ってきたという経緯です。その支援のあり方について、今回どのような形がいいのか、「基本的な考え方」として取りまとめさせていただいたものでございます。したがいまして、この部分の実施主体はあくまでも研究者であり、企業の立場は単なる支援者でして、それなのに企業がガバナンス的な形で介入を行うのは、ちょっとこの枠組みからするとそぐわないのかなと、そのような形で考えているところでございます。

○遠藤座長 児玉委員、よろしゅうございますか。

○児玉委員 はい。この辺が多分、検討課題として大事なところになるだろうと思いますので、御意見は承らせていただきました。

○遠藤座長 武藤委員、お待たせしました。

○武藤(徹)委員 この委員会の目的も、1つは、やはりこのような不祥事というか不正なことが二度と起こらないようにという再発防止であって、またこの機会に、よりよい治験のシステムをつくるということ、これがより大きな目的だと思うのですね。ただ、この再発防止という点から考えますと、私は、どうしてもペナルティーというものが気になる。先ほども質問しましたけれども。企業として、製薬協としてペナルティーを考えていらしたのか、少なくともこの中に出てきませんし。しかし、会社によって、やはりそういうものは持っていらっしゃるのか、先ほどの話だと、医者のほうにはそういうものはなくて、企業のほうにあるとちょっと伺いましたけれども、実際にはどうなっているのでしょうか。

○田中参考人 田中でございます。武藤先生のペナルティーについての質問に答えさせていただきます。

 パワーポイントの1の資料を見ていただきますと、ペナルティーという意味では、10月3日に、製薬協としては当該会員資格停止処分を取りました。会員資格停止というのはかなり重い処分でありまして、この上の処分は、もう除名しかございません。会員資格停止というのは、会員として製薬協内にとどまっていただいて、年会費もお支払いいただきますが、製薬協内の委員等での活動ができない、ということであります。ただし、企業倫理の研修ですとか、コード委員会の研修等には、逆に積極的に参加していただいて、製薬協会員会社として守るべきルール等をしっかり研修いただくという意味のペナルティーをとっております。

 ペナルティーがないのかという質問に対しましては、我々としては、コード委員会、コンプライアンス委員会という2つの委員会があって、そこで行われた行動に対して、措置もしくは会社に対する処分をしております。

○武藤(徹)委員 実際に関与した個人に対しては何もない。会社としての責任だけですか。

○稲垣参考人 製薬協という立場でございますので、実施した「会社」に対するペナルティーというような形でやっております。あと、臨床研究のほうではございませんが、治験のほうに関しましては、クオリティーを保つというのは企業の責任ですので、臨床研究をお願いする、治験をお願いする施設については、企業の側でしっかりと調査を行い、きちんとした形で試験を行っていただける施設だと確認した上で、治験での症例組み入れをお願いするという形になっております。企業の考え方としては、そういう質のいいしっかりとした施設を選ぶようやっており、その上で、もし何か起こった場合は、その試験データが使えなくなるという形で、我々も一緒に、ペナルティーをいただくような形になるわけです。だからこそデータの質を保つように努力しているところでございます。

○遠藤座長 武藤委員、よろしゅうございますか。

 では、楠岡委員、お願いいたします。

○楠岡委員 契約に移行したというところで、若干意地悪な質問ですが、寄附の場合は対価は求めないわけですから、どんな研究をされようと口は出せないかわりに、結果がどうあろうと企業も口が出せない。それに対して、契約で行った場合には、研究費全部の総額のごく一部を支援するということであれば、当然のことながら、その支援の額に見合った関与しかできないということになると思うのですが、仮に、例えば全額を企業が出して行うような契約の場合に、お金は出しますけれども、もちろんプロトコールとかは見せていただくけれども、結果がどうなろうと、それは関与しないとか、あるいはそこで出てきたデータの引き渡しは求めないというような形がないと、結果的に、契約に基づいて、この結果が悪いから発表するなみたいな話になりかねないということが1つの懸念です。逆に、今回、契約にはそういうことは一切入らないとなった場合には、株式会社ですから、今度は株主代表訴訟みたいなものも起こり得るわけで、お金を出しながら会社が関与しないのはけしからんという人も出てくる可能性もある。その辺は製薬協としてどういうような整理をされて今回の形になられたのか。

○遠藤座長 先ほどの山口委員も、そういうような御趣旨の質問だったと思いますので、お答えいただければと思います。

○稲垣参考人 契約による支援というときのあり方なのですけれども、契約の中身については、製薬協としては特に決めておりません。そして、研究支援した結果の帰属というところについても、これは契約の中で決めればいいところで、さまざまな内容の契約があっても、それは許容できるのかなと思っております。例えば得られた成果を企業が全部持ちたいのであれば、治験というレベルで行うべきものであり、研究者主導の臨床研究に対する支援という形で関与している以上は、その研究の主体はあくまでも研究者の方にあるわけで、それに対する支援の契約を結んでも、支援の部分についての契約であって研究の成果そのものに影響する内容にはならないのではないかと考えております。

 成果物を使いたいという話についても、研究支援の対価として報告を受けることは税務処理上も必要かと思っておりますが、報告を受けた後、その成果を会社が独占的に使いたいとなったときには、また別の話が始まるというか、データ使用に関する契約を結ぶということが可能なのかなと。そのために、「最初にレポートを見せていただく目的で、会社としてお金を出しています。あの先生の研究はすばらしいものですから」ということで、会社として他の利害関係者に対しても説明できるのかな、そのようなイメージでおります。いずれにしても、契約による支援の場合のその契約内容は千差万別ですが、ただ、臨床研究支援の場合、その研究者の独立性、そして中立性を重んずるようにという基本的な考え方に述べられている内容、そこの考えの下で支援をさせていただく、そういうイメージでおります。

○楠岡委員 そうしましたら、全てのデータの帰属は研究代表者、研究責任者にあって、支援の契約の内容としては、データの優先使用権を確保するというか、そういうような考え方ということで。

○稲垣参考人 それも受け入れられると考えでおります。全部それに限定するものではありませんけれども、さまざまな契約の形態があって、その中としてはさまざまあると。ただ、あくまでも臨床研究である以上は、臨床研究支援の中では、研究者の中立性あるいは独立性を尊重するようにということも一緒にうたっているわけでございますので、その理念のもとでの支援、そして契約ということになると思っております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 まだ御質問があるかもしれませんけれども、ちょっと予定していた時間をオーバーしておりますので、製薬業界の方々には、我々の議論が多少進んだ段階でまたいろいろと御質問する可能性もあるかもしれませんので、その辺はよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、稲垣参考人及び田中常務理事におかれましては、御説明どうもありがとうございました。

 それでは、続きまして、○3研究者主導臨床試験に係る問題点と今後の対応策についてに移りたいと思います。日本学術会議から曽根参考人がおいでいただきまして御説明いただけると思います。よろしくお願いいたします。

○曽根参考人 日本学術会議の曽根でございます。

 それでは、早速資料を使って説明させていただきます。

 資料1にありますように、日本学術会議は、頻発する研究不正問題を受けまして、昨年7月に科学研究における健全性の向上に関する検討委員会を発足させました。その時期にディオバン臨床研究疑惑が社会問題化した事情もあり、当該委員会の下部として臨床試験制度検討分科会が設けられました。今年の3月27日に「我が国の研究者主導臨床試験に係る問題点と今後の対応策」という提言を公表しました。この資料は第1回検討会で配付されたと聞いておりますが、今回、この提言をもとに意見を述べさせていただきたいと思います。

 資料2のごとく、医薬品開発には、シーズ探索から臨床開発、さらに、医療の現場に届くまでに、創薬、育薬、そして、適薬の3つのステップが必要であり、その実現には産官学の連携が大前提であることは、御存じのとおりです。新規医薬品の承認申請に必要な治験は、先ほど議論がありましたが、薬事法に基づいて行われております。一旦承認された新規医薬品を臨床の場ではいかに適正に使用するべきか、また、治療の標準化という視点から検討し検証する必要がございます。それらの根拠をつくるために大規模比較臨床試験が必要であり、倫理性、科学性を担保に、研究者主導で多くの臨床試験が行われているのが実情です。特に、高血圧症とか糖尿病、高脂血症などの治療は、1990年後半から、同一疾患に対して同種同効薬、また異種同効薬として多数承認されてきたという背景がございます。そういうことから、同種同効薬の比較試験や異種同効薬にかかる併用試験が研究者主導という形で数多くなされ、それらの成果は治療ガイドラインの策定に非常に貢献してきた経緯があります。

 資料3を見ていただきたい。そのような背景の中で、昨年春から降圧薬バルサルタン、商品名ディオバンの臨床研究疑惑の事案が発生いたしました。5大学で別個で行われた研究者主導の臨床試験の幾つかにおいて、臨床試験が人為的操作によって誤った結論が導き出されたという指摘から始まり、国際誌からの複数論文の撤回という事態になったことは、御存じのとおりです。昨年8月から、厚生労働省のディオバン臨床研究事案検討委員会の調査にて、不正疑惑の背景として当該製薬会社からの不透明な研究資金として多額の奨学寄附金の提供、及び結果に影響を与える不当な労務提供がなされていたことが明らかになり、我が国の臨床研究の信頼性が国際的に大きく揺らぐきっかけになったのは、御存じのとおりです。

 これらの点を踏まえて、臨床研究に係る研究不正の防止に関して、日本学術会議では、会長談話を初め、臨床研究に係るCOIマネジメントの意義と透明性確保についての提言、さらに市販後医薬品に関して研究者主導臨床試験に係る問題点と今後の対応策をそれぞれ提言しております。

 今回の事案も含めて、我が国の臨床試験の現状と問題点をまとめてみますと、1つ目に、研究実施者に大規模臨床試験に関するリテラシー及び倫理観が乏しいこと。2つ目は、バルサルタンの大規模臨床試験実施に関連して、大学によっては数億円の奨学寄附金が提供されていたが、その流れが不透明で、一部しか臨床研究に使われていなかった。3つ目には、医療施設・機関における臨床試験実施に係る管理体制が非常に不十分であり、倫理審査とか利益相反マネジメントがほとんど機能していなかったこと、それして4つ目が、研究者主導の臨床研究が企業からの不透明な奨学寄附金や労務・役務提供に大きく依存しているという現状、そして、そのことが企業側の不当な介入を許し、販売促進活動と直結しやすい環境をつくっていたという点です。5つ目が、同種・異種同効の医薬品が多数承認されている中で、研究者が、その医薬品の適正化とか、あるいは標準化のための比較試験とか併用試験を実施しているが、そのための研究助成金の制度がないという実態です。それから6つ目は、研究不正に対する防止の仕組み及び違反者への懲罰的な制度がないという実態も明らかになっております。

 資料4を見ていただきたい。最近の事例をもとに、研究者の自主的な臨床試験における問題点を図式化したのがこの資料です。ちょっと生々しいですが、研究実施者は、当然、科学性、倫理性を担保に臨床試験を行い、その成果を中立的な立場で公表する社会的な責務を持っております。しかし、企業からの不透明な研究資金の受け入れとか、データ管理や統計解析作業などへの企業雇用者の関与は、臨床試験そのものの科学的な信頼性を著しく損なうものであり、善意により献身的に参加している被験者への裏切り的な行為であると言われても仕方がない。このような状況があると、研究者の発表内容が企業に都合のよいようにバイアスがかけられたり、研究不正の温床になっている可能性も考えられます。結果として、誤った根拠に基づく医療を誘導し、不必要な治療がなされたり、企業利益のために医療費や税金が無駄に使われることは、社会的にも倫理的にも許されない行為と言わざるを得ません。

 資料5を見ていただきたい。日本学術会議では、社会的にも意義が大きい市販後の医薬品を用いた大規模臨床試験を実施して、適薬、すなわち新規医薬品の適正化使用、標準化治療に向けての根拠作りについて、その必要性と意義については非常に重要であるという認識です。従って、適正な研究者主導の臨床試験実施に向けての対応策についての提言をこのたび行っております。

 まず、研究実施者に対する主な提言としては、医師としての職業倫理を強く自覚してもらいたい。ヘルシンキ宣言の遵守はもとより、国際標準に通じるより高い倫理観を学んで、実践していただきたいと提言しております。次に、施設・機関に対する提言として、第1には、施設機関の長は従来の研究推進や支援だけでなく、臨床研究管理センターを設置して、研究指導や臨床研究にかかわる全ての管理をしっかり行い、機能強化を図っていただきたい。また、その責務を担ってもらうという点であります。第2は、研究の質と信頼性を確保するために、研究者主導の臨床試験実施のための実効性のあるガイドラインを策定すべきであるという点です。第3は、研究倫理教育プログラムを策定して、その周知徹底を求めております。

 次に、製薬企業等に対する提言として、第1は、治験は別として、市販後医薬品を用いた臨床試験を適正な契約のもとに、企業依頼、いわゆるファンディングを明確にしてやっていただく。しかし、研究資金の提供及び労務提供については、公開を原則に透明性を確保し、厳しいコンプライアンスとガバナンスを担保にして企業は取り組むべきです。第2は、医薬品の適薬、すなわち適正化使用、標準化に向けたいわゆるevidence-based medicine(EBM)づくりのための研究者主導の大規模臨床試験を推進するためには、関係企業はその役割を分担すべきで応分の経費負担をすべきであるという点です。第3は、公取協については、産学連携確保が社会的に機能する仕組みづくりにより一層励んでいただきたいという点です。

 それから、資料6を見ていただきたい。委員の先生方に特に訴えたい点ですが、国に対する提言として、第1は、市販後の同種同効薬、異種同効薬の適正化使用、標準化治療を確立するための根拠づくりとして、大規模な比較臨床試験は必須であることから、その推進には、既にある公的機関内に臨床試験推進部門を設置し、特定の臨床研究課題を設定して、競争原理のもとに研究代表者を公募、選考し、研究資金を公的に助成する仕組みづくりを行っていただきたいという点です。そのためには、市販後医薬品の販売収益に応じた形で、例えば収益税という名称でも結構ですが、当該製薬企業からの民間資金を拠出させて基金とし、透明性を確保した上での活用を図るべきであると提言しております。実効性のある具体的な対応としては、公的機関である医薬品医療機器総合機構(PMDA)が、現在、医薬品医療機器に係る3つの業務、承認審査と安全対策、健康被害救済の3つを上げておりますが、もう一つ、医薬品の適正化推進の業務を追加して対応すべきであると提案しております。

 それから、第2は、米国の研究公正局に相当する部門の設置でございます。研究不正を監視し、違反者には適切な懲罰的な対応措置が可能な制度として、現在構想中である日本医療研究開発機構内に、日本版の研究公正局を整備し、対応していただきたいという点を提案しております。

 最後に、医薬品開発における臨床研究の質と信頼性を確保するために、特に、先ほど申したように、市販後医薬品の大規模比較臨床試験については、関係する行政、また医療施設・機関や学会、製薬協などが倫理指針、利益相反指針、透明性指針などを策定し、この数年、その適正な推進に向けて積極的に取り組んでおります。しかし、それぞれが行動責任と結果に対する説明責任をしっかりと果たしながら対応して行くべきです。現在、医療イノベーションが国策として進められていますが、整備すべき喫緊の課題としては、再度申しますが、1つは、やはり施設・機関にきちんと、治験だけではなしに、いわゆる市販後の臨床試験も含めた管理を組織的に行う臨床研究管理センターを整備すること、2が、国際水準の研究倫理観を持つ人材の育成、3が、民間資金を活用した臨床研究推進部門の整備、そして4は、日本版の研究公正局の設置であります。そして、5が、製薬企業は、資金提供だけでなく、労務提供のあり方についてもより踏み込んだ行動指針を策定し、違反した企業に対しては、より厳しい対応措置をすべきではないかということでございます。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 現在の課題と幾つかの提言というものを御説明いただいたわけでありますけれども、いかがでございましょうか、御質問、御意見。近藤委員、お願いします。

○近藤委員 参考人から大変参考になる御意見をいただきましてありがとうございます。我が国で一番求められていることは、間違いなく倫理的な科学であろうと思っております。これに基づきまして、私どもPMDAは、やはりレギュラトリーサイエンス、これはもう倫理的な科学です。つまり国民並びに社会に対してどう影響を与えるかどうかということを考えながら判断するための科学であると思って実行しているところでございます。こういう流れの中で、こういう臨床研究の中で起こったさまざまな事例を感じまして、やはり改めてそれが重要であるということを確認するわけでございます。その中で、今、参考人が提示されました中にPMDAという言葉が入っているので、その点、少し説明を加えさせていただければと思うところです。

 もちろん我々で審査をするものは、基本的には全部単品でございます。例えば複数のお薬を同時に見るとか比較をするということは基本的にやっていなかった。今後は、有効性や特に市販後の安全対策ということで、さまざまな診療データベースを集めまして、いわゆるセンチネルという形で、今後、市販後の多くのお薬について、一体どの程度の問題点が出るかどうか、1,000万人規模の患者さんを対象にして始めたところでございます。

 ただ、今ここで適正化推進業務ということになりますと、薬の有効性を比較することになるのかなということになると。うちがそれをやるのかなという気がするのですね。ただ、やらなければいけない業務かなと思って、今後、適正な医療を世の中に提供するためには、そういうことを諮る機関、つまり経済的な面も含めて見ていかなければならないことは間違いないわけでございますが、それがうちの業務と重ねることができるかどうか、例えば、これはFDAもやらないのですね。やりたくてもやらない。ですから、これは別の機関にやってもらう必要があるのかなと思います。でも、この業務はやりたいことは間違いないのですけれども、このように非常に前向きな御意見をいただきましてありがたいと思っているところです。ありがとうございます。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 ほかにございますでしょうか。山口委員、楠岡委員の順番でお願いします。

○山口委員 この臨床研究というのは、そもそも将来的には患者の利益につながることを目的にして行われることだと私は解釈しています。そういう点から見ると、科学的あるいは倫理的に根拠のある臨床研究がきちんと行われることがとても大事だと思っています。そういう視点から、今回この委員になったことで、いろいろな資料を拝見する中で、私もやはりこの奨学寄附金のような曖昧な部分でお金が出ていたことが、この研究者主導の臨床研究の中の問題点ではないか。そうだとすれば、ある程度公的な支援機関ということが必要ではないかということを感じていました。

 きょう、御提言として書いていただいた中に、民間資金を活用した臨床試験推進部門、今、PMDAがちょっとここは違うというお話もございましたけれども、この提案を実現するためにハードルになるようなものがあるとすれば、どういうことがハードルになっていて、何を克服しないといけないのかを教えていただきたいと思います。

○遠藤座長 お願いいたします。

○曽根参考人 今の御質問への対応については、我々アカデミアサイドが考えるよりは、行政サイドで考えていただきたいというのが1点です。あえて言えば、医薬品の開発は薬事法で規制されているから、企業は薬になるまではどんどん資金を投入する。しかし、承認されて以後は、販売促進という形で他社との競争に全力注入する。降圧薬ディオバンにしても、同種同効薬が10種類近くあり、他の降圧剤との差別化をするために多額の奨学寄附金を提供している。昨年度のディオバン臨床研究事案で分かっただけでも、11億円あまりの奨学寄附金を5大学に提供している。そのような状況下で、販売促進のための成果を上げたいという意図から社員による労務提供が不当に行われ、研究不正疑惑に至ったという経緯があります。患者さん目線から考えると、そういったエビデンス作りは、臨床現場では10種類近くの同効薬でどの薬がより効果的でより副作用が少ないか、あるいは同種だけでなしに、異種同効薬を併用して組み合わせすることで、より有効がありより安全性が高いか、そしてもう一つ重要なことは、どれがコストパフォーマンスいいのか、そういう検証をするのが、臨床の現場の研究者の責務だと私は思います。

 そういった市販後医薬品を用いた大規模試験を実施するためには本当に高額の研究資金が要る。では、それを誰が提供するのかが問題です。先ほど言いましたように薬の適正化使用への根拠作りは大切で、創薬、育薬だけでなく、適薬についても企業が負担すべきだと思っています。企業が負担すべきだというと、先ほど御質問がありましたように、企業が本当に出してくれるのか、私もわかりませんが、一つの重要なハードルかもしれません。具体的には、企業の販売収入が新規医薬品でしっかりと上がっていれば、消費税みたいな収益税という形でその0.1%でもいいから拠出させるための法制化が必要と思います。それを原資に適正化、標準的な治療に向けての研究を推進するために、企業からの民間資金を基金に公的に臨床試験を支援することは、社会から見ておかしいとは思わないと思います。製薬企業もこれだけ問題を起こしている訳ですので法制化すれば従うべきというのが、私の考えです。

 今後、行政的にぜひ解決策を見出していただいて、PMDAがするかどうかは検討課題ですが、いずれにしても公的な機関で研究費助成をやらなければ研究者主導の臨床試験の信頼性は確保できないと思います。透明性を持たせた企業ファンディングはいいのですが、企業がファンディングだけでなく、不適切にスポンサーになったことが、今までいろいろな臨床研究疑惑を発生させた要因になったと思っております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 楠岡委員、お待たせしました。

○楠岡委員 今回の提言の中で、我々、将来、この検討会が法制化のことを考えることも1つの役割としてあるので、少し御意見を伺いたい点は、今回の提言の中にオフィス・オブ・リサーチ・インテグリティー、ORIを提案されている点です。確かにORIの前身になるようなものの出てきた経過を見ると、バイオサイエンスに関するいろいろな研究不正がきっかけにはなっていると思うのですけれども、ただ、ORIは、臨床研究だけではなくて、基礎研究も含めて全ての研究をカバーしているところである。それに対して、特に臨床研究に密着しているところでは、オフィス・オブ・ヒューマン・リサーチ・プロテクション、被験者保護局、OHRPというものがあって、研究不正に関しては両方の業務が少しオーバーラップしているようなところもある。ここでORIのほうを提言されて、OHRPは出されなかったのは、特別の意味があるのか、それとも、やはり最初は広く考えてORIにされたのか、格別の理由がもしあるのでしたら、お伺いしたい。

○曽根参考人 基本的に、日本版のORIという言葉で提案してありますが、研究資金にしても、米国であれば大体9割が国からNIHを通して配分されているわけです。日本の場合は、医科系大学のアンケート調査によると、大体50%が外部資金、そのうちの60%余りが寄附金です。我が国の生命科学研究へのファンディングシステムが米国と全く違う。そのような背景から出てくる研究不正の問題は、当然質的にも違うと思います。だから、そのまま米国のその2つの組織でどちらが適切かというのでなしに、やはり日本の現状と特殊性を踏まえて、再発防止にはどのような仕組みにしたらいいのか、検討すべきです。

 私がORIと書いてあるのは、いろいろな議論の結果です。ORIの場合、どういう研究不正がなされたか、そういうものをきちんと名前と所属も含めて手口までをHPに公開しており、他の研究者が見れば、そういうことはしてはいけないという反面教師になるのではという意味で、1つの例として日本版ORIを提案させていただいていた次第です。

 やはり研究環境基盤について日本の特殊性をよく検討していただいて、臨床研究不正の再発防止をしていくには何を法制化すればいいか、ぜひともこの検討会で議論していただきたい。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 それでは、山本委員、お願いいたします。

○山本委員 大変貴重な御提言をありがとうございます。

 今の御質問にかかわるのですけれども、2点ほどお伺いしたいと思います。1つは、ごく基本的なことなのですが、今のORIの部分で、「研究不正を監視し、違反者には適切な対応措置が可能な制度として」と記載されていますが、この違反者に対する適切な対応措置としてどのようなものを想定して議論されたのかということを1つはお伺いしたいということです。

○曽根参考人 それでは、最初のの質問に対して回答しますがよろしいでしょうか。

 私自身、ディオバンの臨床研究事案の検討委員会に副委員長として昨年8月から対応しております。実際に臨床研究をやってこられた研究責任者のヒアリングを通して感じたことは、研究者と企業、いわゆるシード・アンド・ソイルというか、種と土壌がたまたまかみ合ってああいう不正問題疑惑が発生した訳で双方ともに責任があると思っています。現在、研究者自体がどういう不正をしたかは明確になっておりませんが、ああいう事態を招いた責任は負うべきです。しかし、研究責任者に対する大学からの懲罰的な措置とか学会からの懲罰対応というのはほとんどなされていない。そういうことで本当にいいのか、懲罰的な仕組みづくりが必要ではないかとの考えです。その仕組みについては学術会議が行うことではなく、行政も含めて、研究者が所属する主たる施設・機関や学術団体などが検討して決めるべきだと思います。そういう意味で提案をさせていただいた次第です。

○山本委員 わかりました。

 もう一点、きょうの御報告の中にはなかったのですけれども、提言の本体のほうを見ますと、研究者主導臨床試験への法規制は国によっていろいろであって、英国ではGCP遵守を法的に義務づけた結果、臨床試験の実施件数が非常に減ってしまったと。したがって、研究そのものには法令等による束縛になじまない面も少なくなく、画一的な法規制は、研究者の自由な発想による研究課題の設定等に影響を及ぼしかねないので、法制化については十分な議論を積み重ねる必要があると書かれておりますけれども、この点について、どのような議論がされたかということをもう少し具体的にお教えいただくと大変参考になると思います。

○曽根参考人 法的規制というものは、議論の中では、人間を対象とする医学研究、特に侵襲性のある介入研究の場合、そのエンドポイントといいますか目的、課題とか、対象、方法も異なるなど、多種多様な臨床試験が行われる訳であり、それらを全て一律に規定するような法的な規制というものはよくないという意味です。あえて言えば、臨床試験、特に介入でも大規模比較臨床試験とかに絞って法制化し、GCP遵守という形でやっていただくのが良い。しかし、その場合、当然研究資金の確保が大前提であり、原資は民間であっても公的に確保されるなど、研究環境基盤の整備をまず行うことが前提だとの議論でありました。

 一方、我が国の現状において、研究者主導の大規模臨床試験がきちんと実施できるかどうか、先ほども指摘がありましたが、生物統計家が非常に少ない状況の中でどう対応するのか。また大規模臨床試験実施のための実効性のあるルールやガイドラインがない、そういう状況下で、適正に臨床試験ができる人材が非常に乏しいのも事実です。大規模臨床試験を適正に実施するために、例えば制度面の改善に向けて臨床試験認定医とかの資格づけを行い、研修、講習、試験を受けさせて、資格を持った研究者だけに許可することも一案です。研究者が研究資金を確保した場合、施設・機関がスポンサーとしてきちんと臨床研究の実施を組織として管理することができれば、現状の研究環境の基盤はかなり改善されると思います。それらの改善策でもダメであれば、法的に規制することも必要になるのではないかと思います。しかし、介入の研究でも小さな研究とか、あるいは介入以外の人間を対象とした研究まで法的に規制するということは避けるべきであり、一気に臨床試験に対する熱意が低下することも懸念されます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、望月委員、お願いいたします。

○望月委員 課題の中の2番で国際水準の研究倫理観を持つ人材育成、これは非常に大事と思いますが、日本学術会議として、具体的にどうしたら達成できるかという方策は何かございますでしょうか。

○曽根参考人 現在、大西会長をを中心に研究不正にかかる対応策、改善策の提言をそれぞれ公表しておりますが、文部科学省、厚生労働省などと連携をして国際的な倫理感を持つ人材育成を図るための対応についても話を進めていると聞いております。

○望月委員 具体的にはまだこれからでしょうか。

○曽根参考人 私個人としては、具体的な情報を持っておりません。

○望月委員 ありがとうございます。

○遠藤座長 よろしゅうございますか。

 それでは、大門委員、どうぞ。

○大門委員 私もORIについてお教えいただきたいのですが、例えばこのORIが実際に機能する、特に研究不正を監視するには、抜取調査的な形式で行われたり、あるいはそういった匿名の情報提供があった場合に動きをとる、といったイメージをもてばよいのでしょうか。

○曽根参考人 日本版ORIについてそこまで具体的にどう対応するかという方策はございません。話が少しそれますが、現時点では医師個人が企業との話し合いで大規模臨床試験を計画し、契約なしに不透明な形で寄附金を企業から提供してもらっているという仕組みが動いておりますが、研究者個人ではなしに、所属大学・機関の長が、もちろん研究代表者と一緒になって企業と契約する。そして、その臨床試験については、先ほど言いましたように、臨床研究管理センターがデータの収集から管理、そして統計解析についても独立性を担保する形で支援し、適正にマネジメントすることが大切です。臨床試験が終われば終了報告書、それが年余にわたるのであれば毎年提出させるとか、それもマネジメントなのです。そしてもう一つは、その臨床試験がきちんとパブリケーションされているかどうかまで臨床研究管理センターはやるべきだと思います。そういう環境基盤が整備される中で研究不正事例が発生すれば、日本版ORIという組織が当該施設・機関と連携してその実態を把握し、防止策並びに懲罰的な対応措置を検討すべきではないかと私は思っております。

○大門委員 ありがとうございます。

○遠藤座長 武藤委員、どうぞ。

○武藤(徹)委員 先生の先ほどの発言の中で、実際に関与した方とインタビューされて、いろいろ話を聞かれたということで、大学からも、学会からも何らペナルティー的なことがされていないとおっしゃいましたね。私も、実はこのペナルティーというものに非常にこだわっているのですけれども、なかなか難しいことはわかりますけれども、具体的に先生がもしそういう長だとしたら、どんなものがあるとお考えですか。あるいは、外国の事例でそういうことを御存じだったら教えていただきたい。私は、これはやはり絶対それをつけないといけないと思っているのですけれども、なかなか難しいことはたしかですね。

○曽根参考人 私自身は、日本医学会の利益相反委員会委員長としての役割を果たしております。高久会長とも現在相談をしておりまして、日本医学会として、傘下の120分科会のうち臨床にかかわるような学会では、100%近くCOI指針を作られており、マネージメントをお願いしています。

 昨年からのディオバン問題がそうですが、研究責任者が研究不正などで著しく学会の信頼性を傷つけた場合にどう対応すべきか。高血圧学会では当該研究者の理事職を外したということですが、一学会で対応できるのは恐らくそこまでです。そういった事例を捉えて、日本医学会として大所高所からきちんと懲罰的な対応をする方向で準備を進めております。医学会としては、そういう事例を医学会倫理委員会で検討していただいて、医学会としての見解とか、会員の資格停止とか、あるいは除籍とか除名、そういった判断なり決断ができれば、当該会員が所属する他の関係学会についても自動的に懲罰対応がしやすくなるのではないかと。そういう仕組みづくりが現在進んでおります。私は、懲罰的な対応というのはある程度必要だと考えております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかによろしゅうございますか。桐野座長代理、お願いします。

○桐野座長代理 臨床研究管理センターというものがあれば、事前にこういうプロトコールでは全然だめだとか、こういう研究組織ではだめですよとかというようなアドバイスをきちっとされて、そこにしっかりした生物統計家がいれば、いろいろなアドバイスが入りますので、いよいよまずいことが起きて、内部告発がORIに行って、それで何か大騒ぎになるという事前にきちっとした研究に修正していく力が出てくる可能性があると思うのですね。

 だけれども、こういう組織を、例えば大学病院に設置するとして、それは、言ってみればどういう雇用形態の方々が何人ぐらい必要になる組織として想定しておられますか。

○曽根参考人 今の御質問は非常に重要な点です。現在の国立大学病院で見ますと、大体3割余りは、治験管理センターという名前で治験重視ですが、臨床研究にも対応しております。他の多くが臨床研究推進センターとか支援センターとかの名称ですが、臨床研究の質と信頼性を確保するという視点からの管理という意識は乏しいのではないか。さらに言えば、臨床研究を支援、推進し、そして管理もしているという仕組みは現在ほとんど機能していないのではないか。なぜなら、適正に管理をするための人材が必要。そのためには、お金が必要になってくる。治験管理センターあるいは臨床試験推進センターとかの担当者に、臨床研究管理センター構想を申し上げると、人を雇うお金をどう工面するか、目途が経たないとの回答です。対応策として、各施設・機関の長に権限と責任をもっと明確に持たせて、臨床研究を管理できる体制を整備をしていくためのファンディングシステムを各施設・機関ごとに作っていただくことが大切です。それを踏まえて、各施設・機関のサイズや臨床研究の数とか、特に介入研究がどれだけあるかということによってマネージメントに必要な職種の人数が決まってくるのではないかとは思っております。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 それでは、大体一通り御意見を承ったと思いますので、曽根参考人におかれましては、本当に長い間ありがとうございました。大変参考になりました。ありがとうございます。

 それでは、続きまして、研究倫理教育の取り組み事例に移りたいと思います。CITI Japanプロジェクトの市川参考人から御説明をお願いしたいと思います。資料は2−4でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○市川参考人 よろしくお願いいたします。

 一番初めのページから行きますけれども、私は、日本とアメリカとで兼業している状況で、もともとアメリカに25年もおりまして、1998年に日本へ戻ってきて、小児科のチェアマンをやったという経歴で、そのうちに倫理教育というところに、米国とのつながりでもあるのですが、そういうことを始めたということです。

 次のページで、真ん中に「CITI」と、これは何ぞやということで、これは何か銀行の名前のようで、営利企業ではないかと思われがちですが、何の略語かということをそこに書きました。これは「大学間連携の教育推進事業」というもので2000年4月に、主だった大学あるいは大学病院の方々が集まって研究倫理教材をつくり始めた。それをネットを通じて共有することを目的に。なぜそんなことをやるかというと、やはりその道の専門の方となりますと、例えばハーバードの6,000人いる医学部の教員でもそういうことをカバーできない。そういうことで、お互いに教材を利用し合うというところから始まったわけですね。

 私どもも、小規模ながらそれを家内工業的に始めたのですが、2年前に文部科学省から大学間連携共同教育推進事業の一つとして、6大学を中心にした事業として大きく広げ始めたと。これを見ていただければわかるように、日本の名称もアメリカの名称もたまたま全く同じ「大学間連携教育推進事業」ということになっていたわけですね。ですから、大学間連携に何も国境を設けておくことはないと。今の時代、それこそICH-GCPなんてあるぐらいですから、こういうものは、あくまで国際的な協調ということでやるべきだという観点に立って始めているということでございます。

 その次のページ、薄い青いパネルみたいなものが見えるのですが、これが2010年1月25日以降のいわゆる研究規範に関する教育について、米国ではどういうふうに義務化されているかということですね。対象は、どちらかというと若い方が中心なのですが、下のほうにaからiまで学ぶべき項目が。これはもともといわゆるパブリックコメントをもとにつくったものです。その中にヒトを対象とした研究というものがありまして、それは、もちろんヒトを対象にした研究をやる方はこれを学習すべしということではあるのですが、先ほどの曽根さんでしたか、「データがいいかげんであると被験者に対する裏切りである」、というような言葉を使われましたけれども、やはり科学的にまずいものは、いわゆる臨床研究で言うベネフィットとリスクという面から言うと、ベネフィットは全くなくなるわけで、これは非倫理的であるという意味で、ヒトを対象にした研究をやる方は、必ずこういう総合的な行動規範教育を受けるということになったわけですね。

 これぐらい教育を非常に厳しくやろうとした理由は、先ほど来お話になっているORIというものが米国で、結局は監視ということで失敗しているのですね。それは1985年のノーベル賞をとったデビッド・ボルティモア研究室の不正疑惑事件で、あれは11年以上かかって結局何がわかったかというと、研究をいいかげんにやったというぐらいのことしか出なかった。そこのディレクターが私に話したことによれば、結局、先ほど来言っている予算の関係で、職員が10人いたものが、こういう裁判を覚悟すると大体3人が3年間ぐらい張りつけになると。そんなものはとてもじゃないけれどもカバーできないということでした。

 私自身が実際に経験しているのは、大型事件も、全くそういう方向に行っていますね。理研の調査委員会を含め、非常に気にしているのは、これは裁判になるということで、大人数をかけて対応している。ですから、そういう面は、少なくとも米国のORIをまねすべきではない、日本的なものを何か考える必要はあるかと思いますけれども、そういう状況で、仕方がないから教育しようと、それが恐らく教育へ重心を移した動機だったのではないかと思います。

 次のページに行くと、これが「ハーバード」、「ハーバード」と言う点ですが、結局、私も6年ぐらいいたブリガン・アンド・ウーマンズ・ホスピタルというところの現在の行動規範教育に対するホームページなのですね。何と述べているかというと、若い人に対する行動規範教育について、その対象は、あくまで米国の奨学金を受けている人、つまり奨学金を受ける対象は外国人ではないので、米国のポスドク、米国の大学院生だけなのですね。まさに小保方さんもここにおられて、小保方さんが行動規範教育の対象でなかった理由は、小保方さんは外国人のポスドクであったこと。それでもなおかつ研究をやらせたのはなぜかと聞きましたら、それは、日本の大学院の学位を取っているぐらいの方は、そういう教育を当然やってくるはずだという理解であったと説明を受けました。そういう状況ですね。

 その次のページに行きますと、現在、米国あるいはイギリスのエピジェムというところもそうなのですが、教材として扱っているものがここに全てリストされているのですが、法令・指針を勉強させること、あるいはヒトを対象にした研究をする方はそれなりの教材の学習が義務とされるのですが、その中で非常に重要のは評価手段ということなのですね。単に講義をして出席をとるだけではだめだという指示です。私は、これは非常に大事な点だと思っています。なぜかというと、また周知となっている小保方さんの例となりますが、彼女も研究不正に関して書かれた「確認事項」について、目を通してサインをさせられているのですね。その確認事項の中には、やはり時期を異にするゲルの写真を切り貼りすることは禁忌であると記載されているのですが、習得していなかった可能性がある。ですから、見たり聞いたりするだけではだめだ、やはりアチーブメントテストをしないといけない、そういうことと思います。

 そういった観点から、米国では、いわゆるアチーブメントを確認しなくてはいけないということでできたシステムが、このネットを通じたe−ラーニングというシステムです。まず、図のトップに示す大学院あるいは研究所から、先ほど申し上げた教材のプール(コンピューター・ハード)に対して、どういう教材を誰に対して配信するよう指令を出す。すると、そのハードから講習テキスト及びそれに続くテストが該当する人物のパソコン等に配信される。それを受けて、該当する人物が講習テキストを学習して、その後、テストを受けて回答すると、ハードは本人に成績を届けると同時に、成績管理者である大学院・研究所の教学課等には、それぞれの人は何点とった、あるいは合格したという、データを一括して送りつける・・・そういうシステムですね。これによって評価を確保しているというわけです。

 現在のCITI教材は米国だけでなくて、12カ国語で学ぶことができますが、その中でも、我々のように国固有の要素を含めて利用されているものもあり、CITI本部のMiami大学は、WHOの正式機関になっています。数的に言うと、米国の中ではランキングトップ100の大学のうち99が利用し、医学部であると、世界でトップ50のうち30が使っているという状況です。一時期とった統計では、1カ月半の間に約100万人が利用したというデータが出ています。

 次のページは、私の自宅のテレビから撮った宇宙ステーション内の写真です。これは、今の時代、いろいろなレベルで、国際協力で臨床研究をやるという象徴的場面です。国際宇宙ステーションに人を送り込むというのも、ヒトを対象とした研究なので、そこでもCITIの教材を勉強することになる。ロシアの方々も同様。日本の方は、我々がつくったCITI Japanというものを勉強させればよろしいということになっているわけですね。何もこのような共同研究だけではなくて、今の時代は、留学とか就職とかいろいろなレベルで国際交流が行われるわけで、臨床研究で言うICH-GCPと同じような感覚で国際的に協調した行動規範を持てるよう、学ぼうという動きなのではないかと思います。

 そういうわけで、我々が教材をつくるときには、ICHでもあるけれども、日本的なルールを学ばせる必要があるということで、1つには、教材づくりのガバナンスというものを創設しました。米国のCITIの教材そのものは、私を初めとして、何も米国だけではなくて、カナダを含む他国からの参加で作成されるのですが、それを基に我が国では(図では、左の部分に示す)いわゆる日本化の段取りを経てつくり上げるわけですね。その課程は、(図中の青色で示すように)日本の法律、指針、文化というもので肉づけするプロセスです。この中に希少な各種専門家、きょうはお休みになっておられる武藤香織先生などに協力いただくということで、最終的な(図右下に示す)教材が完成するわけです。

 その一方で、日本へ来ている留学生というのは大変多いのですが、今のところそういう方の教育ができていないのですね。実際、全くできていないという状況なので、これらの英語版をつくることも行います。英語版はまた、外国から来る日本への留学生に前もって勉強させるというような意味もあるということです。

 次の図は少し古いのですが、CITIのホームページです。この当時は9カ国語しかなかったのです。このサイトから我々のサイトへと入って出てくるのが、CITI Japanのホームページです。今のところは、文部科学省から資金を受けており、利用は5年間無料ということになっております。

 次の図には、学習者個人のページ、そこにある個人のアカウントを開きますと、「責任ある研究行為」という学習領域が提示されています。これは、先ほど幾つか項目を並べましたけれども、それらの項目を含む領域です。そして、「ヒトを対象にした研究」、あるいは「研究の安全性」、後者の中には例えばラジオアイソトープの取り扱い方とか、そういう教材があります。これら3つの領域のうち、例えば、責任ある研究行為というものをクリックすると、先ほどの幾つかの項目が出てくる。その中には、盗用の問題とか利益相反の問題とかオーサーシップの問題という、いわゆるインターナショナルに共通な概念や規範を学ぶわけですね、我々がジャーナルに発表するのは、インターナショナルジャーナルが目標ですから、こういう教材が必要なわけです。

 教材の一つ一つの内容は大体10ページから20ページぐらいのものです。教材のページへ行きますと、具体的な例、これは12ページの教材でしたが、2ページ目で「盗用」の定義というようなものが出てくるわけですね。実際にどういうものが盗用かということを日本の方は余り詳しくは知らないですね。今日では非常に危険なことです。単にコピペだけが「盗用」ではないのですが、そういうことも勉強していただく必要があります。

 最後のほうに行きますと、(図中の)左下のほうに「クイズを行う」とあります。つまり、一応テキストを見ていただいた後、この「クイズを行う」をクリックすると、このようなクイズが出てきますね。四者択一の設問が出てきて、80点とれば合格という形で5問ぐらい出てくるのですね。クイズを設けておくと、学習者は一生懸命勉強します。どんな易しいクイズを設けてあっても一生懸命勉強する。そういうようなことで、クイズに回答をして、もし80点とれたとしましょう。そうすると、次のページに「完了」と表示されますので、これで1単元修了、こういうシステムですね。こうして一つ一つ単元を修了して全てを終えるわけです。10ほどの単元でも6時間もあれば十分です。これで、研究者の行動規範に関するインターナショナルなリテラシーをつけるということですね。そういうことを目標にしています。

 次の図は、この度、文部科学省からいただいた資金で学習者数がどのように増えてきたかを示します。去年の1月1日からことしの1月1日まで、全部で1万7,000人の学習者があったということを示しています。

 次の図で、私どもの教材は、これまで生命科学系を中心につくってきました。そういうわけで、(図の左欄、および中央欄のとおり)80医学部のうち、緑色で示す既に登録されて学習を始めているところ、そして黄色で示す現在、交渉中を含めますと、50校を超えるに至っています。(図の右側に示す)医学部でない、生命科学という領域の方々も使っています。最近では、工学系も。ともかく教材の一部でも参考になるからということで使われているところがあります。芝浦工業大学などがその例だと思います。ここに示すものは数カ月か前のデータですが、そういう状況です。

 次に示す表は、我々が扱っている教材の一覧です。一番上に記載された領域は、今までお話しした「責任ある研究行為」という領域です。その次が、いわゆる「ヒトを対象とした研究」で、その中には12番目の単元として「新IRB委員が知っておくべき事項」という単元があります。これは、皆さん御存じのとおり、日本の倫理委員会というのは質が非常にばらばらの傾向にあるということと、その中の、委員自体の質がばらばらだと言われる現況の中で、ある一定の質を確保しようという目的でこの教材があるわけです。

 次に出します写真、これは、私自身が日本の教材作りのきっかけになったエピソードを伝えるものです。先ほど来、話に出てくるOHRPにあって、副部長をされているメロディー・リンという方は、ペンシルベニア大学での臨床研究事件の際、全体の研究がシャットダウンされた際に関わった方です。数年前、ご本人から、「日本では研究者が余り倫理に関する勉強をしていない」と、私に直接伝えられました。彼女がなぜこの点を気にするかというと、今の米国発の治験あるいは臨床研究の半数以上がアジア等でやられているにもかかわらず、いわゆるインスペクションとかオーディットとかという対象になっているのはほとんど米国だということで、米国の研究者から「不公平」という文句が数多く寄せられているということがあります。「ですから、我々としては、今度アジアでインスペクション等をしなくてはいけない」と言われ、確かにそれの一貫でしょうか、インドで最近シャットダウンが起きていますね。

 一方、研究者の行動規範ということを問題にするようになったのは、米国でも2000年ぐらいからで、丁度我々が教材を作り始めたのもそのころなのです。2000年ぐらいが始まりですから、我が国で現在臨床系の教授となっておあれる方は、2000年より前に米国に留学等で居られた方はほとんど無く、なかなかこういう内容の教育が急にこの十何年ぐらいに拡がったということを御存じありません。そういうことで、「やはり知らないから仕方がないのだ」ということを私はリン氏に説明として答えた経緯がありました。

 次の図、これはCITIの定例教材作成者会議といって、CITIの会員教員が集まって議論する場で、約2日間かけてやるのです。この場がメロディー・リンと私の出会いでもあったのですが「行動規範教育については米国の教材という性質のものではなくて、今日の状況ではインターナショナル協調の教材をつくるべきだ」ということを提案した場もここでした。

 それでは、CITI教材が米国ではどういうふうに実際に使われているかというと、これは米国のMITとハーバード大学が共有して使用している臨床研究審査申請書類の一部です。この書類にはCITIの教材を責任研究者(主任研究員)、いわゆるPIだけではなくて、研究者全員がCITI教材を学習したかどうかが尋ねられており、「はい」と記入できないと審査の対象にならないとなっており、こういうような形でCITI教材を使っているわけですね。

 次の図に移ると、先ほど少し触れましたけれども、このNASAのホームページには、「研究倫理審査申請書を提出するに当たってはCITI教材を学習した際の修了証を添付のこと」とガイダンスされています。一方、JAXAの人はCITI Japanを学習すれば良いということで、国際協調になっているのですね。

 次の最終ページは、現在行われているCITIの活動はどこかTPPに似ているのではないかと思われる面があります。環太平洋の国が、こういういわゆる国際協調の教材で皆で学習しようという運動です。つい最近までは、日本以外の国では単にCITI教材を翻訳して使用しているだけで、その国独自のものに編集し直したのは我が国だけだったのですが、最近になり、そのほかの国も、自国のルールというものに適合させるような形でつくりかえたものを学習させている、今こういうふうになってきたわけです。

 最後にQ&Aという形でこれまでに数多く寄せられた質問に対する回答を簡潔に添付させていただきました。

 以上でございます。

○遠藤座長 どうもありがとうございました。

 それでは、御質問等おありになる方はいらっしゃいますでしょうか。桐野座長代理、お願いします。

○桐野座長代理 御議論を伺うと、アメリカの人材が厚いというか、人が大勢いるなという感じがするのですが、日本だと、臨床研究に関係してこのような勉強をする方々というのは、医学部、歯学部、薬学部、看護学部の卒業生のような感じなのですが、米国には、そのほかにヘルスサイエンスの学部というのがありますね。その方々が相当大きな役割をしているのではないかと思うのですが、それはいかがですか。

○市川参考人 いや、米国の状況は決してそういうことではなくて、ヘルスサイエンスを含め彼ら研究者はものすごく忙しくて、自分の研究費をとるので手一杯なのですね。今、特に、御存じかもしれませんけれども、NIH10%ぐらいの採択率です。ですから、自分でこういう団体にボランティアで行こうというのは、言い方は悪いのですけれども、オタクみたいな研究者。一方は倫理とか法律の専門家となります。倫理とか法律の専門家は割合といるのですよ、大学でそういうものを育てていますから。そういう意味で、僕はちょっとこの教材をアメリカで見ていておもしろかったから、非常におもしろいものをつくるなと思って著者に直接電話をかけたのがきっかけです。そうしたら、あなたはどういう人かといわれて、私は研究者ですと言ったら、その瞬間にリクルートされたと。そういうぐらい、やはり研究者畑の人材は少ないですね。

 ただ、違うのは、これはどうにもしようがないと思うのですけれども、向こうは、やはりボランティアという観念があるのです。ところが、日本の方は余りそういうものがないですね。難しい言い方なのですが、これは政府がやるものというような感覚があるのかもしれません。

 このようは違いの背景の一つには、教材づくりというのは、米国では、教員としてのクレジット、いわゆる業績になるのですね。ネット上の教材も。ところが、日本では、まずほとんどそういうものを業績とは見なされません。ですから、そういう意味で割損と。具体的に我々が苦労したのも、数少ない専門家をどうやってリクルートするかというようなことでした。結局は、原稿料というような形でお願いしました。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 ほかに何かございますか。望月委員、どうぞ。

○望月委員 先ほど、文部科学省の補助で動いている間は無料でと耳にいたしましたが、この中に加わるのは、個人でも、大学単位でも自由なのですか。

○市川参考人 個人では今のところ入れないです。なぜかというと、大幅に事務上の量がふえてしまうものですから、機関としてお願いしていると。一方、いわゆる一括登録ということができるので、機関としても非常に簡単です。やり方として、一番スムーズに行くのは、いろいろな大学でそういうふうに成功しているのですけれども、講義に出られない方には、このCITI Japan教材をどうぞ、とすると、彼らにとっては選択肢が増えたことになりますから、割合と受け入れやすいということです。

○望月委員 講義される学生よりも、むしろその中心となる教員をまず教育しないといけないかと思います。そういうシステムとしてこれがうまく使えるのかどうかが非常に興味のあるところです。

○市川参考人 そうですね。

○望月委員 ありがとうございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかに。山口委員、どうぞ。

○山口委員 5ページのところに評価手段と書いてあって、やはり伝えるだけではなくて、きちんと確認することがとても大事だなと思いながらお話をお聞きしておりました。

 登録機関がかなり広がってきているということですけれども、これは、広がってきているというのは、文部科学省の事業として行われるようになったことで広がってきているのか、いろいろな方が知る手段としてどのようなものがあって広がっているのでしょうか。

○市川参考人 多分これは、ネズミ算的というか、一度知られるようになると、口伝てが進み、幾何級数的に急に利用が増えてきたのだと思います。

 もう一つ、これはどうしようもないのですが、やはりいろいろな研究上のスキャンダルがあったことだと思いますね。大体新聞にスキャンダル報道が載ると、1週間後ぐらいにその施設から電話がかかってくると。そういうものが基本的にあります。

○山口委員 もう一つよろしいですか。日本化するというお話があったのですけれども、それは、米国のスタンダードがあって、それにプラスするものがあるという意味でしょうか。日本化ということがイメージとしてわからなかったので教えてください。

○市川参考人 例えば、先生も御存じのとおり、個人情報などについては大分ルールが違いますね。ですから、基本的には、個人情報というものを守る意味というものは教えるけれども、アメリカではこうだということを非常に簡単には言う一方、日本ではこうだということを伝えないといけないということなのですね。個人情報などというのは典型的だと思いますね。

○遠藤座長 ありがとうございました。

 ほかによろしゅうございますか。

 それでは、市川参考人におかれましては、ありがとうございました。

 司会の不手際でやや予定していた時間をオーバーしておりますが、これから後は、議題3のヒアリング等を踏まえた議論に移りたいと思います。

 ただいま、各参考人からいろいろなお話を承ったわけであります。それらを参考にしながら、今後の論点整理を見据えて御議論いただきたいと思います。時間があと30分強ぐらいしかないわけでありますが、少し焦点を絞った議論をしていったほうがいいかと思いますので、例えば、前半では製薬企業等の資金提供、労務提供に関して、透明性確保、臨床研究の実施機関における利益相反管理などについてご意見をいただければと思います。製薬協からもそれに関連するようなお話もありましたし、ほかの参考人の方からもありましたので、その辺に関連したお話をいただいて、残った時間で、もう少し幅の広い、倫理委員会の話、倫理の教育の話、あるいはインフォームドコンセントのあり方といったような被験者の保護の問題であるとか、モニタリングとか監査などの医療の臨床研究の質を向上させるための考え方についてご意見いただければと思います。まず、前半から行きまして、製薬企業とどういう関係でやっていくのか、その辺のところで何か御意見があれば承りたいと思います。近藤委員、どうぞ。

○近藤委員 この倫理委員会そのものの中で、やはり問題点の整理を1つさせていただきたいと思うのですけれども、イノベーションは今、非常に政府が中心になって行っているわけですけれども、そこの中心の課題は産官学の連携であります。まことにこれは、大学紛争の時代から大きな問題を引いている話であって、長い間、これは産と学の連携に対してはかなり厳しい見方がずっとあったことは記憶に新しいことであります。しかしながら、これをやっていかないとイノベーションが進んでいかない。ですから、そのつながり方については、やはり産官学がどう手を組むのか、ルールをしっかり決める必要がある。

 そこにおいて、やはり私は、国民目線を中心に置かなければいけないということでいろいろ考えて今日あるわけであります。もう一つは、その中で資金をめぐる資金導入のあり方、やはりこれは、お金がなければ動かない。それは、透明性というところでしっかりやっていかなければいけない。それからもう一つ、小保方問題もあるのですけれども、やはり一番は質の問題だろうと思うのですね。こういう点をそれぞれ分けて考えていくことが、この中では非常に重要な問題なのかなと思うところであります。

○遠藤座長 ありがとうございます。議論していく上での視点をまとめていただいたわけであります。そういうお話でも結構でございますし、あるいはより具体的なお話でも結構でございます。フリートーキングでございますので、どんなご発言でも結構でございます。それでは、児玉委員、どうぞ。

○児玉委員 この検討会が昨今問題になっているディオバンの事例を初めとした4つの事例が報道の対象になっているということで問題提起をいただいて、そういうものにどうアプローチをしていって、新しい制度をつくるかということを検討するというのを目標にしているわけで、いろいろときょうも新しいことを参考人の先生方から御教示いただいて大変勉強になりました。その中で、大きくわけて3つの軸があったように思います。1つは利益相反にどのように対処するか、それから2つ目は、現状の薬事法GCPの規制枠組みが、現状でいいのか拡張するのか、3つ目は、広く研究不正についてどのような規制の仕組みをつくるか。利益相反、研究不正、それから薬事法GCP、いずれも規制の目的も方法も、それから対象行為も、それから責任所在も異なる制度で、ちょうど最初に問題提起をいただいた4つの事例も、いずれも利益相反からも、研究不正からも、薬事法GCPからもアプローチできそうに見えてできていないという、いわばはざまに落ちている状況にあるような印象を持っています。

 それで、包括的に全部の総論をどんなふうに考えるかと考えていると、もう切りがなく議論があり、切りがなくアプローチがあり、幾らでも検討する課題は出てくるように思うのですけれども、私自身は、やはり今、喫緊の課題になっているのは、費用、労力の面から追試が非常に困難で、しかも公的な医療の投薬行動にも影響を及ぼす可能性の高い大規模臨床研究に関して、製薬企業の関与のあり方と行政の関与のあり方について制度をどのように整理するかというところに議論の力をある程度集中したほうがいいのではないかというようなことを思っています。

 ちょっと利益相反というアプローチで随分話が進んできたわけですけれども、利益相反というのは2つ論点があって、1つ目は、出口が禁止ルールかディスクロージャールールか、開示ルールか、いずれかの出口になるのですけれども、諸外国の例等を見ても、例えば産学連携を非常に幅広く禁止するというような結論は出てきにくいと思いますし、それから、今、問題になっている幾つかの事例について、労務提供を受けました、お金の提供も受けました、総額10億円でしたということを開示すればそれで済むのかというと、開示ルールではもう対処できないという問題状況に直面しているように思うわけです。

 むしろ、利益相反ルールの射程ではなくて、実際にフェアであるべき大規模臨床研究の結論が、ひょっとしたらゆがめられているかもしれないという疑念に対して、例えば治験と同様なモニタリングや監査の仕組みを整備し、行政の関与も一定の範囲で行うというような制度構築というものも1つの方向性としてあり得るのではないか。どんどん広がっていくと、むしろ果てしない規制と懲罰の広がりの中で、研究活動や学問の自由を阻害するのではないかというような若干の危惧も感じておりますので、そういう意味で、今の国民目線のニーズに即した問題設定をして、効率的な行政の関与や新しいシステムの整備、それから企業の中のコンプライアンス体制の整備などを考えていくのがよいのではないか、そんなことを思いました。

 以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ただいまの児玉委員の御発言に関連する御発言でも結構でございますし、そうでないものでも結構でございますけれども、何かございますか。

 山口委員、どうぞ。

○山口委員 先ほどと若干重なる部分もあるのですけれども、やはり患者というか被験者の立場から見ると、きちんと発展するべき医学の部分はしっかりとした研究を経て発展してもらいたいという思いがあります。また、安心できる臨床研究の仕組みづくりということも欠かせないと思います。そういう倫理的な配慮等々を考えたときに、今、臨床研究は指針に基づいてということで薬事法下になっていないことによって、今までの指針で守れないことが出てきているとしたら、やはりある程度、法的規制ということが一部は必要なのではないかと思います。

 先ほどの御発表にもありましたように、全てを法的規制することは現実的に無理だと思いますので、例えば医薬品と医療機器に関係する介入研究で、侵襲性のあるものというような、ある程度限定したものに対しては、やはり法的規制をかけていただくことが、より安心につながるのではないかと思います。

 ただし、そうなってくるとそこにお金がかかるのだという話で、特に何にお金がかかるのですかと事前にお尋ねしましたら、モニタリングと監査というところにとても費用がかかるのだというようなお話がございました。この部分に対して、先ほどの学術会議の御発表にあったように、やはりある程度公的な支援をしていく制度のあり方をこの場で考えていかないといけないのではないかと思いましたので、ちょっと重なりますけれども、意見として述べさせていただきました。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

 ほかに何かございますか。山本委員、お願いいたします。

○山本委員 利害相反の話でなくてもよろしいですか。

○遠藤座長 結構です。

○山本委員 先ほど児玉委員からお話がございましたけれども、やはり研究不正の問題と、それから法的な規制をどうするかという問題は、確かに内容的には重なる部分がかなりあると思いますけれども、少し分けて議論をしないと議論が混乱する可能性があるのではないかという気がしています。法的な規制のほうに関して申しますと幾つか問題があって、一方では、研究活動の自由を損なわないようにしなくてはいけない。これは、社会的に見ても、研究活動の自由が損なわれるとやはり大きな損失になるということが一方にはあり、しかし、他方には、非常に生命、身体にかかわる問題であるという点で言うと、これは、法的に何もしなくていいということには恐らくならないだろうというので、その兼ね合いをどうするかということなのですが、幾つかさらに議論のレベルがあって、1つは、およそ研究の風土というか雰囲気を壊すのではないかということがあるのですが、ただ、このレベルで議論をいろいろやってしまいますと、結局水かけ論になってしまう可能性が非常に強いので、恐らくもう一歩踏み込んで、具体的に研究活動とうまくつながるような法的な規制というものは何か考えられるのか。つまり研究の質を向上させるような規制というものが考えられるか、あるいは逆に、こういった規制を入れると研究活動が実際損なわれると。それは、費用がかかるといったようなこともあれば、私もよく経験しますけれども、非常に形式的な規制になってしまって中身が、実効性がどれだけあるのかわからないといったようなものも考えられるかと思いますので、ぜひ、これは次回ですか、ヒアリングをさらにする際に、そのあたりを具体的に、今の薬事法のもろもろの規制あるいは倫理指針の形になっているようなものを入れたときに、具体的に研究活動とうまくつながるようなもの、あるいはこれはちょっとつながらないというようなものを示していただけると、今後の議論の参考になるのではないかと思います。

 それから、もう一つ大きな問題として、法的な規制を入れるといってもいろいろなやり方があって、細かく基準を定めてしまうといったようなやり方もあれば、例えば倫理委員会等々の体制の部分だけ規制といいますか法的な規律を行って、細かい部分についてはそこまでは定めないといったようなやり方もあろうかと思いますので、このあたりは、恐らくさらに海外の法制度についてのヒアリングというものがまだあるのではないかと思いますので、その際にいろいろ伺って考えていく必要があるのではないかと感じました。

 以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 武藤委員、どうぞ。

○武藤(徹)委員 具体的に関与した方々に話を聞いていないから、これは推測にすぎませんけれども、少なくとも5つの大学ですから5人、あるいはそれの何倍かだから何十人の人が関与していると思うのですね。その人たちがこういうことにコミットしたのに、同じような動機あるいは同じような理由でやったのかどうか、それぞれ別なのか、そこら辺のことはわかりませんね。すでにいろいろな規制がありますが、本当にそれが不備だったために今回のことが起こったのかどうか。もしそうならば、その不備なところをきちんと突き詰めて改善するのはいいことですけれども、いろいろ細かい規定をつくって、禁止条例をつくっても、やはり次のときに起こるものは起こるのではないかと。基本的には、その関与した人たちの倫理観の欠如が一番大きな問題だと思うので、そこは前回も申し上げましたけれども、教育の問題だと思うのですね。だから、学生時代から教育する必要があるけど今回の件に関してはtoo lateでありますから、CITI Japanを、治験をする人は必ず受けなければいけないとか、そういうことで防御するのが1つの方法と思います。

 それから、やはり物事がはっきり決まってしまってから内部告発でわかるよりも、モニタリングシステム、チェックシステムをつくって、そして、途中でおかしいよということをチェックすれば、こういう大きな問題にならないのではないかと思います。もうちょっと具体的に、なぜ起こったかということの原因は我々は知らないので、原因追及なしにいろいろ細かい規制を強くするのは、現場の人がむしろ迷惑するのではないかと、私はそれを危惧いたします。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 皆さんおっしゃっていることは、いろいろな視点からおっしゃっておられますけれども、基本的なところは相通ずるところがあるのだろうと思います。規制を強める対象をどうするのか、あるいは規制の仕方をどうするのか。それは、研究開発の促進と不正の抑制のバランスをどうとるのかというところが一番難しいという点では、既に皆さん共通の考え方ですけれども、具体的にどうしていくかというところは、今後もう少し詰めていくという話になるだろうと思います。

 武藤委員は、ペナルティーということに対しては肯定的なように受けとめたのですけれども、一方、今の話は、どちらかというと、規制の仕方やかけ方によってはかえって研究を抑制するという側面が強いのだと聞こえたので、もしかすると私の聞き間違いなのかもしれないですが、どのようなイメージなのかお聞かせいただけますか。

○武藤(徹)委員 両方必要だと思います。やはりペナルティーは、いろいろな意味でなくてはいけない。そういう不正をすればいろいろな意味で損するのだと、それを知らしめないとまずいのではないでしょうか。

○遠藤座長 わかりました。

 児玉委員がおっしゃったのは、かなり具体的に、つまりこの議論をしていく上で一番課題になりそうな大規模臨床研究というところを、中心的な議論として規制を強化するかどうするかということについて議論していくことがいいのではないか、効率的ではないか、そういった御指摘でございますね。

○児玉委員 先ほどの製薬協の出された資料で、治験のところで製薬企業が果たしておれらる、積極的なよい製品開発のための役割と、今回問題になっているような臨床研究の世界で果たしておられる、非常に批判を浴びている不透明な役割とを比較したときに、その違いがどこから出てきているのか、どの場面で治験と同様な規制やデータの整備やモニタリングやオーディットの仕組みを、がんじがらめにしてしまえば、経費がかかり過ぎて研究そのものが萎縮してしまうということはあるけれども、やはりある程度、医療の公共性の観点から規制を検討すべき範囲というものはあるのではないか、そんなことで意見を申し上げました。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 いかがでございましょうか。望月委員、お願いします。

○望月委員 先ほど武藤先生がおっしゃったことは、私も賛同します。この5大学の先生方が、最初に悪い動機を持って始めたとは思わないです。ただ、研究体制を作ったときに、データを理解する点での問題です。先ほどの説明で出ましたが、アメリカでは生物統計のデパートメントもあるということですが、日本ではそういう部門がないので、一番大事なポイントで最終的な結論を出すときに、生物統計を理解する人がその大学にいなかったためと私は思います。研究プロジェクトを作って動き、気がついたら、気がついたらだと思うのですが、世の中でそれだけ騒がれるようなことになってしまったものと。そのもとには、奨学寄附金としてたくさんいただいていたから、気がついたときにはもう何も言えないのかもしれない。問題としては、教育です。その前に研究体制、生物統計をよく知っているバイオスタティシャンがいるということと、それから研究倫理をしっかりと持って、その上で研究グループをつくるということが何よりも私は大事と思います。その上で、さらに問題があるとしたら、規制を入れる必要があるかもしれません。現段階では、まずその研究体制をつくるような、研究倫理と生物統計、そのあたりで、特に、前回も言いましたけれども、PMDAとか国衛研が教育に大いにかかわっていただきたいと、私は希望を持っております。

○遠藤座長 桐野座長代理、お願いします。

○桐野座長代理 恐らく似たようなことを申し上げるのですけれども、こういうまずいことが起きると、それを徹底的に防止するために、もう「最大限綱領」的になってしまう傾向があるのですけれども、基本は、今、先生がおっしゃったように、やはりきちっとした研究組織をつくって、そこに複数の人が研究の進捗を見ていて、どうもおかしいじゃないのということを言う人がいなかったことが、やはり相当なこの研究の不幸なところです。起きたことはもうけしからんことですから、それで、結果として、こういう不正がオープンになったことで、それなりに社会的制裁がもう既に行われつつあるのだろうと思うし、こんなことをまた公然とやろうと思っている人たちはほとんどいないのではないかと思うのですけれども、やはり事前にこんなことが進まないようにする体制をつくるためには、どうしても研究プロトコールがきちっとわかる方とか、生物統計家とかという人材がどうしても必要なので、そういう人たちが、また例によって研究費で非常勤雇用で、例えば2年間で、あとはもうないよというような、そういう形態ではなく、比較的安定したポジションのあるそういう人たちをふやしていくことが、この5年から10年の間に絶対必要だと僕は思います。

○遠藤座長 では、楠岡委員、山口委員の順番で。

○楠岡委員 今までの各委員の御意見には全く賛成で、それを否定するということでは決してないのですけれども、議論をお聞きしていると、研究の質を保つとか、いい研究をするという、研究側に重点があるように感じます。被験者、研究に参加した人たちの視点というものもかなり必要なのではないか。

 先ほども研究に参加した人たちが被害者であるという御発言がありましたけれども、たまたま今回問題になっているものは、承認薬を使ったオープン試験であったので、健康被害はほとんど出なかったわけですけれども、アメリカなどで現に起こっているのは、似たような状況の中で死亡者が出たりしているわけです。たまたま今回は、そういう点ではラッキーだったというだけかもしれない。そういう意味の中で、被験者をどう保護するか、大規模臨床試験に参加する被験者は守られるのだけれども、非常に先駆的な研究に参加する被験者は、かなりリスクにさらされるというのでは、やはり公平性という点では保てないところがある。実効性としてどこかに絞り込まざるを得ないと思うのですけれども、その基本的な考え方として、被験者を守るというその考えをきっちり確認しておかないと、何かアウトプットをよくすることだけに目が行ってしまうのではないか、そこを危惧するわけです。

 多分、全ての委員が同じことを考えた上で、いろいろ具体的なことをおっしゃっているのだと思うのですけれども、もし法制化するとしても、この法律が基本として持っている目的は何かというところにしっかり置いておく必要があるのではないかと思います。

○遠藤座長 大変重要なポイントだと思います。

 山口委員、お待たせしました。

○山口委員 被験者保護ということにも関係するかもしれませんけれども、高血圧の治療薬の検討会の議事録を読ませていただきまして、企業の問題がいろいろと言われていることもさることながら、こんな大学の体制で研究が行われていたのかというのが、被験者の立場から見ると本当にショックでした。解析をする統計家が学内にいなかったから頼んだとか、実際に、新たにできた講座を1つにまとめるために行われた研究だと言いつつも、研究責任者が進捗状況を全く把握していなかったというような発言があったり、こんな体制で大規模研究が行われているのかということに私はショックを受けたのです。

 実際に何が目的の研究だったかわからない、というのが最終的な感想ですが、そういうことの反省に立って、今回のこの検討会があるとすれば、やはり何が欠けていてそうなったかを明確にして、きちんと前向きに、いい研究ができるような体制づくりが必要なのではないかと思っています。

 先ほど来お聞きしていて、倫理観がなぜ根づいていないのかということもそうですし、生物統計家が日本で少ないというお話ですけれども、海外では当たり前だというその違いが何なのか。やはりきちんとした研究をするために、日本としてどんな体制をとっていかないといけないのかということも大事な視点ではないかと思いましたので、追加発言としてお伝えしました。

○遠藤座長 ありがとうございます。

 研究開発の推進あるいは被験者、あるいは国民の保護という意味合いから考えるべきだというのは当然なわけでありますけれども、御議論の中で、体制整備を進め、倫理教育を進めるということは、皆さん同意されるわけですね。ただそれで十分なのかどうかというところが議論になるわけですね。それで十分なのだ、体制整備がしっかりしていて、倫理教育がしっかりすれば、下手に規制などは加えるべきではないという考え方なのか、いや、それでもやはり規制強化はやる必要があると考えるのかというところが議論になるのだろうと思うわけです。

 余計なことを申し上げましたけれども、また御自由な御意見があればいただきたいと思います。

 よろしゅうございますか。

 それでは、きょうはいろいろな参考人から、いろいろな方面からの非常に貴重な御報告をいただきまして、今後我々が議論する上で大変参考になったと思っております。

 それでは、最後の議題の4、その他で、事務局、何かございますでしょうか。

○南川補佐 それでは、事務局から今後の予定について説明させていただきます。

 次回は6月25日の14時から17時の間に開催する予定です。次の第3回検討会においては、海外調査報告のヒアリングを引き続き行うとともに、臨床研究の実施機関からのヒアリング等も行いたいと思っています。

 また、これまで御議論いただいた点についての論点整理もあわせて準備していきたいと思っていますので、委員の皆様におかれましては、今後の論点整理に向けての御意見や論点等を事務局にメール等で御連絡いただきますよう、また、今後の検討会でどのような材料が必要かなどございましたら御意見をいただければと存じます。

○遠藤座長 事務局から論点整理をしていきたいということなので、いろいろなお考えをいただきたいということでありますので、ぜひ積極的に御協力いただければと思います。

 本日御用意しました案件は以上でございますけれども、何か先生方から追加することがございますか。

 よろしゅうございますか。

 それでは、特にないようであれば、事務局から次回の開催についての連絡をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○一瀬課長 繰り返しになりますが、次回は6月2514時からとなりますので、委員の皆様におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。場所等につきましては、また事務局から御連絡を差し上げます。

 本日の議事録につきましては、作成次第、委員の皆様に御確認をお願いいたします。その後、公開させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 事務局からは以上でございます。

○遠藤座長 それでは、本日は長時間どうもありがとうございました。また、参考人の先生方、本当に長時間ありがとうございました。御礼申し上げます。

 それでは、これで検討会を終了したいと思います。ありがとうございました。


(了)
<問い合わせ先>

医政局研究開発振興課 担当:高江、南川
電話:03−5253−1111(内線2542、2687)

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