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2014年5月16日 社会保障審議会障害者部会(第56回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

平成26年5月16日(金) 15:00~


○場所

TKPガーデンシティ御茶ノ水3階カンファレンスルーム
(東京都千代田区神田駿河台3丁目11-1三井住友駿河台新館)


○出席者

駒村康平部会長、阿由葉寛委員、石野富志三委員、石原康則委員、伊藤たてお委員、伊豫雅臣委員、大濱眞委員、大原祐介委員、河崎建人委員、菊池馨実委員、久保厚子委員、小西慶一委員、竹下義樹委員、橘文也委員、玉木幸則委員、藤堂栄子委員、中村耕三委員、野沢和弘委員、葉梨之紀委員、樋口輝彦委員、日野博愛委員、広田和子委員、本條義和委員、原田勉参考人、伊藤幸寛参考人、柏女霊峰教授

○議事

○駒村部会長

 定刻になりましたので、ただいまから「第56回社会保障審議会障害者部会」を開会いたします。

 委員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、お集まりいただきまして、大変ありがとうございます。

 毎回申し上げることなのですけれども、議事に入る前に質疑時間について一言申し上げたいと思います。事務局においては、資料説明をできるだけ簡潔に要点を押さえた説明になるようにお願いいたします。また、委員におかれましても、より多くの委員御発言の機会を確保するために、できるだけ簡潔に御発言いただきたいと思います。

 本日も議題が3つあります。引き続き、円滑な会議運営に御協力をお願いしたいと思います。

 それでは、事務局より委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。

 

○井上企画課長

 まず、今日は大分暑くなっておりますので、委員の皆様方、上着はお脱ぎいただければと思います。

 議事に入ります前に、41日付の人事異動によりまして、事務局の障害保健福祉部幹部職員の変更がありましたので、御紹介をいたします。竹垣自立支援振興室長です。

 

○竹垣自立支援振興室長

 よろしくお願いいたします。

 

○井上企画課長

 続きまして、委員の出席状況ですが、本日は小澤委員、君塚委員、清原委員、佐藤委員、中板委員、湯崎委員から御都合により御欠席との連絡をいただいております。また、石野委員、伊豫委員のほうからは、若干遅れていらっしゃるとの御報告をいただいております。それから、野沢委員が少し遅れているようでございます。また、清原委員の代理といたしまして、伊藤参考人、それから湯崎委員の代理といたしまして、原田参考人に御出席をいただいております。また本日は、この後、事務局から説明する「障害児支援の在り方に関する検討会の関係団体ヒアリング概要」に関しまして、同検討会の座長を務めていただいております淑徳大学総合福祉学部の柏女教授にもお越しいただいております。

 

○柏女教授

 よろしくお願いいたします。

 

○井上企画課長

 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。まず、資料1「障害児支援の在り方に関する主な意見等」、資料2「障害福祉サービス等報酬改定検討チームについて」、資料3-1「第4期障害福祉計画に係る国の基本指針の見直しについて」、資料3-2として、今回の改正後の基本指針の全文の資料、資料3-3「第4期障害福祉計画に係る国の基本指針の見直しについて(参考資料)」です。以上、お手元にございますでしょうか。過不足等がございましたら、事務局にお申し付けください。

 

○駒村部会長

 それでは、本日の議題に入らせていただきます。まず、事務局から議題の1つ目の「障害児支援の在り方に関する検討会の関係団体ヒアリング概要」について、資料説明をお願いいたします。

 

○阿萬障害児・発達障害者支援室長

 事務局でございます。よろしくお願いいたします。それでは、資料1に関して私のほうから御説明をさせていただきます。

 まず、障害児支援の在り方に関する検討会につきましては、昨年12月の本部会において開催を報告し、御承認をいただきまして、以降、本年の1月に第1回を開催し、これまで計5回開催してきております。その中で、第3回から第5回の3回にわたりまして、関係団体の方々からのヒアリングを行い、それぞれのお立場からの御意見をいただいたところです。ヒアリング実施団体と実施日の一欄は、資料1の最後のページに参考として掲載しておりますので、後ほど御覧いただければと思います。合計19の団体の方々から合計6時間余りにわたり御意見をお伺いしました。検討会におきましては、次回の第6回以降から具体的な報告書の内容について検討に入っていただこうと想定しておりますが、これまで3回のヒアリングにおきまして、各団体の方々からいただいた御意見を資料1のとおり取りまとめました。なお、これにつきましては、恐縮でございますが、作業スケジュールとの関係上、意見をいただいた各団体に確認を取るということを行っておりません。あくまでも事務局の責任におきまして、未定稿として取りまとめたものですが、全体としての議論のイメージはおつかみいただけるものと考えております。本日、内容について御説明をさせていただきますが、部会の委員の皆様方から本日御意見をいただいたものにつきましては、事務局で再度取りまとめ、今後の検討会における議論に提供した上で最終報告に可能な限り盛り込んでいきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、資料の説明に入らせていただきます。まず、資料全体の構成です。全体を3部構成にしております。まず1つ目が、障害児支援を進めるに当たっての基本的な視点、2つ目は、児童発達支援センター等の支援類型ごとの論点、そして3つ目が、その他の横断的なトピックということで、3つの構成で整理をしております。

 初めに、1ページ目以降を御覧いただければと思います。まずは、1.障害児支援を進めるに当たっての基本的な視点として、基本的理念・グランドデザインについて、整理しております。主な意見のまとめのところだけ、少しポイントを絞って御説明させていただきます。まず、1ページ目、障害児支援の基本的理念・グランドデザインのところについては、御覧いただきますとおり、例えば、子育て支援法の基本理念を基本とすべきであるという御意見、また、3つ目の○ですが、教育も含む専門機関との連携・調整が必要ということ、更には、ライフステージに応じて一貫した切れ目のない支援を行うべきであるという御意見をいただいております。また、4つ目の○ですが、一般的な子育て支援よりも丁寧な、また早い段階からの親支援・家族支援が必要であるという御意見。更には、5つ目の○ですが、全ての都道府県・市町村におきまして、きちんとした支援体制の充実に向けて連携を図るべきであるということ。更には、最後の○ですが、関連の専門職の養成に力を入れるべきであることなどの御意見をいただいております。

 次に、3ページ目を御覧いただけますでしょうか。子育て支援との関係での障害児支援の位置付けということで、主な意見の中で、やはり子育て支援施策で、一般的な「子ども・子育て支援制度」との重層的・継続的な支援を行うべきという御意見をいただいております。また、3つ目の○になりますが、保護者のペースに合わせた丁寧な子育ても含めたフォローアップが必要であるという御意見もいただいております。あと、4つ目の○ですが、社会的養護の現場、児童養護施設とか、現場における障害のある方々への対応についても今後検討していくべきであるという趣旨の御意見をいただいているところです。

5ページ目を御覧ください。(3)教育施策との関係での障害児支援の位置付けに関しましてもいろいろ御意見をいただいております。例えば、1つ目の○ですが、特別支援学校等と市町村の障害福祉担当課等との連携を進めるべきであるという御意見、また3番目の○にあるように、障害者就業・生活支援センターや企業等と学校教育現場との連携を進めるべきであるという御意見などもいただいています。以上が基本的な視点としてまとめたところです。

 次に、7ページを御覧ください。支援の類型別ということで、大きくこの中で通所支援、入所支援、及び相談支援に分ける形で御意見を整理させていただいております。その中で、まずは児童発達支援センターの役割です。特に地域支援機能に係る基本的考え方として、少しまとめております。その中で、やはり児童発達支援センターにつきましては、地域支援を行う拠点としての役割をきちんと担っていくべきであるという御意見、更には3つ目の○にありますように、重症心身障害児の方々も含めた、すなわち医療的なところも含めた支援をきちんと行っていくべきであるという御意見をいただいております。また、障害児支援の中で児童発達支援センター等から専門家を派遣して、保育所などで受け入れている障害児の支援を行うという保育所等訪問支援という事業がございます。それなどについては、7ページの下のところの1つ目の○ですが、基幹的な地域支援機能として児童発達支援センターの必須事業としていくべきであるという御意見などもいただいています。

 次に、その他障害児通所支援の在り方ということで、8ページの下から9ページにかけてのところです。その他を含めまして、児童発達支援については、一般の子育て支援との連携という観点で併行通園のための体制整備を進めるべきという御指摘、御意見をいただいております。その他3番目の○にも、重症心身障害児を受け入れるための体制整備のお話もいただいております。更に、4番目の○ですが、平成24年度から新しくスタートしている「放課後等デイサービス」とは、学齢期の障害児の方を学校の放課後、または休日などに受け入れるサービスですけれども、例えば、一般施策として行われている「放課後児童クラブ」との役割分担の明確化ですとか、不登校状態にある子どもの受入れ拡大を図る方向で検討すべきなどの御意見をいただいております。

11ページ、(3)障害児入所支援の関係です。障害児入所支援については、1つ目の○ですが、地域における障害児と家族を支援する拠点施設として、特に施設の中の環境についても普通の暮らしに配慮したような生活環境とすべきという御意見を頂いているところです。また、入所施設についての政策の検討ということで、12ページの下のほうにまとめておりますが、先ほど少し申し上げた児童発達支援センターなどと協働した地域支援体制の整備の必要性、または医療と入所施設の連携したネットワーク構築等を進めるべきということ、更には、社会的養護との連携の強化なども行うべきであるという御意見をいただいております。

13ページ、(4)障害児相談支援の在り方ということで、これについても皆様から数多くの御意見をいただいております。その中で、例えば1つ目の○ですが、障害児支援利用計画の作成については、これまでと比べて根拠と客観性に基づく支援への大きな転換を意味するという御意見をいただいたりもしておりますが、例えば4つ目の○にありますように、計画の作成については、大人の場合よりもかなりの時間を要するということで、報酬上の評価を引き上げるべきという御指摘もいただいています。

15ページを御覧ください。15ページ以降は、各類型に横断的な話を少し整理させていただきました。まずは、発達障害児の支援の在り方についてです。その中で、例えば、1つ目の○として、特に自閉症については、適切な「家族支援」が二次障害を発現させないようにするという意味で重要であるという御意見をいただいており、2つ目の○にあるように、発達障害者支援センターを中心とした重層的な支援体制、ここで重層的と申し上げておりますのは、発達障害者支援センターに加えて、例えば一般的な施策を行う障害児の児童発達支援センター等とも協働しての支援体制という、そういう趣旨です。また、3つ目の○にありますように、早期発見・早期支援などについても御指摘をいただいております。

16ページを御覧ください。3つ目の○ですが、強度行動障害への対応ということで、支援者のスキルアップとか、研修の実施、更には医療と障害福祉、教育分野などが連携する仕組みの構築が必要であるという御指摘もいただいております。

17ページ、重症心身障害児の支援の在り方についてです。例えば1つ目の○にある、医療的支援を組み込んだ連携体制とか、重症児の方についても切れ目のない、地域で安心して暮らせる体制づくりなどの御指摘をいただいております。最後の5つ目の○ですが、介護保険の事業で、療養通所介護と訪問看護ステーションなどが併設して行う事業がありますが、そこで重症心身障害児の受け入れに向けた規制緩和などが平成24年度から行われておりますが、その充実に向けた具体的な検討が必要であるという御指摘もいただいています。

19ページに、その他、障害児の方につきましても、障害者総合支援法に規定されております居宅介護とか、短期入所などの障害福祉サービスを受けることも可能となっております。それに関連して、例えば重度訪問介護や地域移行支援も障害児が利用できるようにするべきではないかという御意見をいただいております。

 かなり、断片的な説明で恐縮ですが、以上、事務局からの説明でございます。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明で、柏女座長のほうから補足等がありましたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

 

○竹下委員

 すみません。

 

○駒村部会長

 補足のお話の後でもよろしいですか。

 

○竹下委員

 後で結構です。

 

○柏女教授

 お時間を与えていただきまして、ありがとうございます。私からは、補足というよりは、皆様方にお礼と、お願いを一つさせていただければと思います。今ほど、ヒアリングの結果の概要についての報告がありましたが、障害児支援の議論を与える場を作っていただいたことに、まず障害者部会の皆様方に心より感謝を申し上げます。

2008年の障害児支援の見直しに関する検討会、この設置が日本で初めて、政府レベルで初めて、障害児だけを対象とした議論が行われる場が設置されたということは、大きな意義があったと思います。今回、それを受けて、平成12年に施行された児童福祉法、あるいは障害者支援法の改正の施行状況を評価し、かつ、今後どのように充実させていったらいいかということを目的として、この障害児支援の在り方に関する検討会の設置を認めていただいたことに、本当に心から感謝申し上げたいと思います。

 目的は3つあると、私は思います。1つは、2015年度からの報酬改定に、この議論を生かしていくこと、2つ目が、2016年度の「障害者総合支援法」あるいは「児童福祉法」の見直しに生かしていくこと、そして3つ目が、来年4月から、2015年度から始まる「子ども・子育て支援新制度」で、障害を持った子どもたちやその御家族を精一杯支援していけるように、障害児固有の支援体系、いわば後方支援を行っていくことの在り方を考えること、この3つが大事だと思います。

 ヒアリングを経て、これからまとめに入っていきます。まとめの方向性は大きく3つあるかと感じております。1つは、障害児支援のための固有のサービスを今より更に充実していくこと、それは報酬改定等にもつながってくるかと思います。2つ目は、今申し上げた「子ども・子育て支援新制度」で、障害を持った子どもたちがきちんと暮らせるように、障害児支援の専門的なサービスがそれを後方支援していく。つまり、地域生活支援を後押ししていく仕組みをどう作っていくか。そして3点目は、新制度と障害児支援制度との十分な連携をしていくこと。障害児支援の固有の制度が広がることによって、障害児の地域生活が制約されてしまっては元も子もありません。新制度から障害児が除外されてしまわないように、しっかりと制度を組み立てていく必要があると思います。今日いただいた御意見、これは1つのお願いになりますが、今日御意見を賜りまして、そして、それを障害児支援の検討会の中で生かして、より良い報告を作っていきたいと思いますので、どうぞ皆様方の御協力をお願いします。私からは以上です。お時間をいただき、ありがとうございました。

 

○駒村部会長

 柏女先生、ありがとうございました。それでは、皆様から御意見、御質問がありましたらお願いします。なお、先ほど冒頭で申し上げましたように、御発言についてはできるだけ簡潔に、3分程度でお願いします。最初に竹下先生から。

 

○竹下委員

 すみません。早々と手を挙げてしまいました。竹下です。3点だけ質問をさせていただきます。1番目の「基本的理念」の所で「ノーマライゼーション」という言葉が出てきます。権利条約の批准やその他の関係からいって、ここは国の言葉としても、インクルーシブという言葉に直っていくのかと思いますが、そこはどうなのでしょうか。そうなってくると、子育て支援や教育の分野にもその部分が重なってくるのではないかと思いますので、この点が1点です。

2番目は、2(3)の部分でしょうか。入所支援において、18歳以上となった入所者についての猶予規定についての意見が出ているようですが、これは基本的な考え方として、地域移行との関係も含めて問題になってくるのかと思うので、これはどういう考え方として議論されているのかについて、分かれば教えていただきたいというのが2点目です。

 最後、3点目、これは意味が分かりかねるのですが、3(2)だと思います。地域移行において、本人の意思確認が可能な者については意思確認をすべきという形で、これは「守る会」からの意見として出ていることがまとめられておりました。この意味がよく理解できません。本人の意思確認がどういう意味を持つかということで議論されているのかについて、もし補足いただければ有難いです。以上です。

 

○駒村部会長

 少しまとめて、事務局からお答えいただきたいと思いますので。今、竹下先生から3点ほどありましたので、後で事務局のほうに。藤堂委員から、続けてお願いします。少しまとめてから。

 

○藤堂委員

 藤堂です。こういう形で話合いができたこと、本当にありがとうございます。簡単に申し上げますと、今の本人との意思確認とも連携しているのですが、まずグランドデザインの中に本人の意思を入れていただきたいと思います。多分、世の中の趨勢は、権利条約もそうですし、本人の意思というものがこの視点からすっぽり抜けているような感じがします。親の意思、又は支援者の意思だけが入っていて、本人の意思が入っていません。子どもであっても、子どもの権利条約の中でも入っていると思いますので、お願いします。

 発達障害に限ってはないと思いますが、本当に障害なのかどうなのかが分かる前から支援をすると、それから、実際に私も障害者であるとしたらば、どの制度にも引っかからない。けれども、障害者差別解消法の中で合理的な配慮をすることは謳われておりますので、合理的な配慮ということに関して、ここで全然触れられていないことについてです。

 非常に具体的な話といえば、例えば、教育とか児童館です。特別支援学校だけではなくて、通常学級の中にいるわけですよね。それから、放課後、デイサービスに行かなくても、児童館の中でもきちんと対応していただくことが必要になってくるわけなので、そこの配慮が欲しいです。この2点をお願いします。

 

○駒村部会長

 藤堂委員から2点です。順にお願いしますので、次、大濱委員、お願いします。

 

○大濱委員

 まず1点目です。竹下委員と重複しますが、グランドデザインに「ノーマライゼーション」という言葉が入っています。これは社会へのインクルージョンに変更すべきだと思います。それから、教育に関する項目の中にインクルーシブという言葉が全く入っていません。ヒアリングの中で、教育におけるインクルーシブの考え方について、全く意見がでなかったのでしょうか。それをお聞きしたいと思います。

 というのは、私は地元で自立支援協議会の委員を務めていて、相談支援の部会にも出席しています。その中で、小学校に進学する障害児の親御さんから、普通学校に行きたいけれど行かせてくれない、特別支援教育支援員を配置してくれないという話をよく耳にして、今も教育委員会と協議を進めています。そういった現場の状況に対して、インクルーシブ教育という考え方がヒアリングの中で全く意見がなかったかどうか、お聞きしたいと思います。

 それから、重症心身障害児についてです。今、私の地元での話合いの中では、ショートステイの問題が非常に頻繁に出てきています。そのショートステイという言葉がこの資料には出てきません。私の地元では、重症心身障害児の親御さんから、短期入所のサービスが欲しい、家族介護の慌ただしさをリセットする場所が欲しいという話を多くききます。そういう話は全くなかったのかどうか。以上、その3点をお聞きしたいと思います。

 

○駒村部会長

 では、もう少し。石野委員、石原委員、続けてお願いしたいと思います。

 

○石野委員

総論についてです。他の委員の方々からの意見とダブる部分については省きます。この資料の5ページの下の所に、障害種別、障害特性に配慮して整理すると書いてあります。ヒアリングを行った団体を見ると、聴覚障害関係、視覚障害関係がほとんど入っていないようですので、理由をお聞きしたいと思います。今後またヒアリングをする時間がありましたら、是非とも聴覚障害者、視覚障害者の団体や親の会等を呼んで、是非聞いていただきたいと思います。以上、意見です。

 

○駒村部会長

 あと、石原委員ですね。

 

○石原委員

 全国就労移行支援事業所連絡協議会の石原です。2点、お話させていただきます。1つは、社会的養護における障害のある児童の支援についてです。現行の制度内で、社会的養護にある児童は、18歳までは児童養護施設等において支援されております。しかし、18歳で一般就労を果たした場合や、就労系の障害福祉サービス事業を利用した場合、障害基礎年金の受給年齢に達していないことから、雇用企業からの賃金や障害福祉サービスの工賃のみで生活しなければならないという問題があります。特に知的障害を持つ人の場合、一般企業で雇用されていても、平均賃金が月額10万円程度、就労継続支援事業B型を利用した場合では、平均工賃が月額13,000円程度です。これでは障害基礎年金受給年齢まで生活が成り立たず、生活保護の受給を勧めざるを得ません。この点に関して、障害基礎年金の受給年齢を引き下げる措置、20歳になるまでの何らかの生活保障が必要となるのではないかということです。

2点目は、教育と就労の連携の問題です。ここに触れられているのですが、連携の対象の文言の中に、就労移行支援事業所も含めて記載していただけると幸いだと思います。現実の支援現場で、学校における、高等部3年生のアセスメント、ジョブマッチングが不十分で、就労後に早期退職するケースが見られます。また、学校からの一般就労を強く推進しすぎるあまり、更なる就労準備訓練が必要だと思われる生徒に対しても、一般就労を勧めているケースも見受けられます。私どもの会の事業所の実例として、就労移行支援事業所を運営する法人が学校と連携しながら、放課後にデイサービスを実施し、就労に向けたマナーの指導や作業指導などを行うことで、社会人としての基本を身につけているケースもあります。学齢期での指導は大きな効果を持つことから、就労移行支援事業所での職業準備訓練やアセスメントを活用することで、一般就労に向けた多角的な視点が得られ、生徒の就労能力の向上につながるのではないかと考えます。この点を報告書に盛り込んでいただければと思います。

 また、就労後のフォローアップにつきまして、障害者就業・生活支援センターの活用だけではなく、学校若しくは教育委員会としても、継続的な定着支援、フォローアップを行える仕組みが必要だと思います。現実問題としまして、障害者就業・生活支援センターの登録者数は増加の一途を辿っているものの、職員数がそれに応じて増えるわけではありません。これ以上の負担増は支援の質を大きく低下させることになると思います。岐阜県の各務原養護学校で先駆的に行われておりますが、出身校が母校として継続的に就労後の支援を提供できる、そういった仕組みを期待したいと思います。

 以上でございます。御清聴ありがとうございました。

 

○駒村部会長

 では、玉木委員に。

 

○玉木委員

 玉木です。気になった点が3つあるので、問題にしたいと思います。1点目は、グランドデザインの中でも、ほかにも、言葉の端々にノーマライゼーションという言葉が出てきているのですが、これは権利条約に批准されたうえで、多分ノーマライゼーションという言葉は、今後なじまないという考え方がありまして、やはりインクルーシブという理念をきちんと、そのグランドデザインの中に示していただきたいということです。併せて、その背景にあるのは、障害者の権利条約だけではなくて、子どもの権利条約とも照らし合わせながら、きちんと指針を検討していただきたいと思いました。

2点目については、子どもの支援を考えていく視点として、福祉分野のみならず、医療や療育、教育などの仕組み作りが必要だと意見として出されています。その中で、端々に、連携という言葉が出てきているのですが、これまでも多分、いろいろな中で連携という言葉を聞いているのです。それは、行政や教育委員会、医師会など様々な通知などの文書で周知はされつつあるものの、実は、現場の職員、医師、保健師であったり、教育現場の教師であったり、そこまでは、具体的な情報が行き渡っていないということもあり、計画相談を進めて行くにしても、なかなか連携しにくい状況もあります。それでいくと、福祉関係者だけではなくて、例えば、地域の保健師であったり、学校の教員だったり、そういう人たちを対象とした研修。体系的な研修の仕組みというか、どういう形が連携なのかを具体的に提示していくことがすごく大事かと思います。

3点目としては、障害児の入所施設からの地域移行支援ということも触れられていますが、特に障害児施設だけではなくて、現にも児童養護施設などにおいても、おそらく何らかの暮らしづらさを抱えている人たちもいらっしゃるはずですが、その人たちへの支援の仕組みもなかなか見えてこない中で、やはり障害児の支援という視点よりは、子どもの支援という視点に立ったときに、子どもの暮らしづらさを、誰がどの段階で見立てていくか、判断していくかという、そういう大事さも検討委員会の中で御検討いただければうれしいかと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。では一度、ここで事務局からお答えいただきたいと思います。竹下、藤堂、大濱、玉木委員からは、少し重なる部分、哲学的な部分、あるいは、個別に各論的な部分もあったかと思いますし、石野委員からはヒアリング対象、石原委員からは、所得保障の隙間の問題とか、教育と就労の連携の話があったかと思います。事務局から簡潔に、ポイントをはずさないように説明していただければと思います。よろしくお願いします。

 

○阿萬障害児・発達障害者支援室長

 事務局でございます。皆さん、御意見をありがとうございました。先ほども少し申し上げましたが、これは言い訳になってしまいますが、時間的な制約もありまして、きちんとした形でまとめることができていない部分もあります。恐らくは、それぞれの団体の方からすると、自分たちはこういうことも言ったのに入っていないではないかという御指摘もあろうかという前提でおります。例えば、重症心身障害児の短期入所の話等について全く議論がなかったのかという御指摘がありましたが、基本的にはどこかで議論はいただいておりますが、この中で反映しきれていなかったところです。ただ、御意見につきましては、これだけをベースにするのではなくて、基本的には各団体からいただいた御意見を全て参考としながら、今後、報告書作りに入っていければと思いますので、その点はよろしくお願いします。

 あと、ノーマライゼーションという概念とインクルーシブという概念をどうするのかという御指摘を幾つかいただきました。インクルージョンという概念自体は2ページ目の1つ目のポツの中で、これは個別の御意見として、インクルージョンの視点を理念に明記すべきであるというものもいただいております。ノーマライゼーションという概念も一緒に、知的障害者福祉協会さんのほうからも頂いていたのですが、これはインクルージョンという言葉自体を、資料をまとめるときに、これは別に事務局のほうが意図したわけではないのですが、省いてしまっただけですので、ソーシャルインクルージョンという考え方そのものはきちんと反映すべきものだと思います。ただ、ノーマライゼーションという言葉そのものについて、使い方をきちんと考えるべきという御指摘は受け止めまして、報告書の中でまた検討させていただければと思います。総括的な話が今のようなところです。

 竹下委員から御質問がありましたので、それについて少し説明をさせていただきます。まず11ページの所ですが、18歳以上の障害者の施設利用に関する猶予措置の件です。これにつきまして、18歳以上の障害者の方については、今の障害児の施設について、18歳以上になっている場合、障害者の施設に移るという話がある中で、それぞれの障害児の施設の方々については、今後、平成24年度から6年間、要するに、平成29年度までの間に、障害児の施設のままでいるのか、それとも、障害者の施設に転換をするのか、障害児と障害者の施設の併設の形にするのか、市町村や都道府県とも相談の上で決めていただきたいとお願いしております。その猶予措置に関しまして、もう少し猶予期間を長くするべきであるとか、あと、最終的な方針を決めた場合、例えば、施設整備、施設の基準などについて、いろいろ猶予措置が必要であるという趣旨の御意見をいただいています。

 あと、重症心身障害児の方の地域移行につきまして、17ページの「主な意見のまとめ」の2つ目の○ですが、守る会さんのほうから「本人の意思を確認できる者に対して」という御意見をいただきました。これにつきまして、我々の理解としては、特に重症心身障害児の方々、保護者の方々からすると、全てのケースで地域移行するということではなくて、施設への入所が一貫して必要である部分がある中で、地域移行をするかどうかについては本人の意思がきちんと確認できる場合にやるべきであるという御指摘をいただいているものと理解しております。

 その他の所についても、いろいろと御指摘をいただきまして、ありがとうございます。最初に申し上げましたように、全体のイメージとして、本日示したものに加え、本日いただいたコメントについても取りまとめた上で、また検討会で示したいと思います。

 あと、石野委員から、ヒアリングについてのお話もありました。先ほど申しましたように、今、19団体の方々からお話をお聞きしましたが、それでもまだ十分お聞きできなかった所もありまして、それについては申し訳ないと思います。ただ、聴覚障害等の施設の関係者からは、お話を伺っておりまして、そこからもいろいろな御意見をいただいています。ただ、これにつきまして、今後、ヒアリングという場を設定するのはなかなか難しかろうと思いますが、もし御要望がありましたら、事務局のほうで、それぞれの当事者の方々のお話も伺いながら、それにつきましても、可能な限り検討会の報告書の中に反映できるようにしていければと思いますので、よろしくお願いします。以上でございます。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。

 

○広田委員

 今日は関係ないから聞いていようかと思ったのですけれど。10ページ、一番上の「不登校状態」という所が1つ、それから、その下の「学籍のない思春期児童の利用」、一番下の「医療的ケアを要する児童」というところです。私は精神医療の被害者、精神医療サバイバーですが、横浜市社会福祉協議会の依頼で、思春期の不登校中退生の子どもたちのイベント、宿泊研修等の実行委員長を1995年から数年間やった経験があります。精神の業界というのは、何でもかんでも、不登校でも家庭内暴力でも精神科医療に結び付ける嫌いがあるのですね。将来、是非これを医療的ケアという所に誘導しないで。全ての道はローマに通ずるではないけれど、なぜかストーカー規制法の加害者とされた男性まで、警察庁が予算を計上して、財務省がお金をつけて、精神科で治療をするという道ができてしまいました。統合失調症やうつ病を治せない日本の精神科医療へ誘導しないでいただきたい。多くの子どももうちに泊まったりしています。私自身、68歳ですが、現在も市内の小学校のお遊びボランティアをやって、昨年もドッジボールをして遊んだり、楽しく交流しています。子どもを精神科医療に誘導しないで欲しい。子どもにも多くの可能性があります。精神科の薬を使ったために、副作用で大変な思いをしている子はいっぱいいます。やめていただきたいということです。

2点目、ここに加算という言葉があります。私は難しいことは分からないから口は出しませんが、何でもかんでも専門家を張り付けるのではなくて、68歳の私どころか、もっと上の高齢者が小学校の現場に来て、いろいろな形で子どもと関わることによって世代間交流もできている。私の認知症予防にもなり、私のうつ予防等にもなっている。そういうことと、介護保険施設のデイサービスに行って、私は傾聴ボランティアをやっています。お話相手です。「広田さんが来ると明るくなる」と一人の看護師さんに喜ばれましたが、そこに行って、年収200万円くらいの低所得の私が400円のデイサービスの、お食事代を負担しています。この国はこれから65歳以上を占める割合がものすごく増えることも考えて、多くの世代間交流ができるようにボランティアとして、学校現場にも行くことによっても、子どもたちにも生きた教育ができているということです。この2点です。よろしくお願いします。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。では伊藤委員、お願いします。

 

○伊藤委員

 日本難病疾病団体協議会の伊藤です。昨年から難病も障害の分野に入れていただいていますが、難病を持つ子どもたちのことも少し聞いていただきたかったと思います。難病だけではなくて、小児期からの慢性疾患の問題が、このヒアリングの中にも入っていなかったのですが、今後どうされるのかということです。あと1件、奇異に思ったのは、この検討会の構成委員の方々の団体がヒアリングの対象になっているのは我田引水かなと見えたりしますが、もう少し幅広くヒアリングをされたほうがよかったのではないかというような印象を持っております。

 

○駒村部会長

 では、伊藤参考人。

 

○伊藤参考人

 全国市長会、清原三鷹市長の代理で出席しています参考人の伊藤です。自治体にとって大変参考になる御意見だと受け止めました。質問なのですけれども、先ほど、これから報告書の内容を取りまとめるというお話でしたが、時期的にはいつぐらいになるのかが1点です。と申しますのは、現在、自治体では障害福祉計画の策定を進めておりますので、そうした中で、先ほど玉木委員からも、連携が大事だというお話がありましたが、自治体の現場では、子ども支援の部分、障害福祉、教育委員会、それから、健康なども関係します。例えば、16か月健診で、あるいは3歳児健診で、気になるお子さんがいて、そこから早期発見につながる例もありますし、かなり広い分野にまたがりますので、そうしたことも参考にしたいことから、いつぐらいにできるのだろうかということです。

 それから、先ほど大濱委員からもありましたが、やはり教育委員会との連携も重要です。この資料の中では、市町村と特別支援学校との連携を更に深めるとありますが、障害福祉分野では特別支援学校との連携はもとより、教育委員会との一層の連携が今後、大きな課題なのかと考えております。そうした中で、教育分野のところの御意見が意外と少ないのかなと、これは感想です。以上です。

 

○駒村部会長

 ほかにいかがでしょうか。よろしければ、ここで一度、また事務局から。いろいろとコメントや御質問があったかと思いますが、事務局のほうからお答えいただけますか。

 

○阿萬障害児・発達障害者支援室長

 教育分野のコメントが少ないのではないかという御指摘がありました。まずは児童福祉法に基づく障害児の支援をベースにした上で今後の制度を考えていく中で、正直申し上げまして、検討会のヒアリングの中では教育現場に関する意見もかなりいただいておりますが、それにつきましては、基本的には文科省サイドに対して「こういうことをきちんと検討してほしい」という要請は既にしておりますが、そういう形で、文科省のほうで対応してもらう部分もあろうかと思いますし、我々の方で、要約をするときにかなり抽象化して量が減っています。実際の意見としては、かなりいただいています。

 今、頂いているお話の中で申し上げますと、あくまでも繰返しになりますが、障害児支援の制度の中で、どのような形でそれを広げていくのかということですので、ほかの分野のところをどれだけ組み込めるかについてはなかなか難しいかと思います。ただ、これにつきまして、皆様方からの意見については全てきちんと精査した上で、座長とも相談しながら、反映できるところについては反映させていければと思いますので、何とぞよろしくお願いします。

 あと、報告書の時期ですが、一応7月中ぐらいにはまとめられればということで。これは12月の部会にも1回報告している事項ですが、大体7月ぐらいにはまとめられればと考えております。以上でございます。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。いかがですか。障害児支援の在り方に関する御意見について、ひと渡りしたようですので、次の議題に入りたいと思いますが、この件についてはよろしいですか。

 それでは、今、御説明にありましたように、今日この部会で出た様々な意見、コメントをまとめていただいて、検討会のほうに御照会いただいて、柏女先生にもこちらの様子を伝えていただきたいと思います。7月頃の取りまとめを目途に、引続き御議論をよろしくお願いします。

 次の議題に入ります。議題の2つ目、平成27年度の「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」について、事務局から資料説明をお願いします。

 

○辺見障害福祉課長

 障害福祉課長の辺見です。お手元の資料2「障害福祉サービス等報酬改定検討チームについて」を御覧ください。障害福祉サービスに係る報酬につきましては、3年に1度、改定を行っています。次回改定が平成274月になりますので、この平成27年度改定に向けて、客観性・透明性を保ちつつ検討を行うということで、「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」を開催し、アドバイザーとして有識者の方々の参画を求め、公開の場で検討を行うことにしています。検討チームの体制につきましては本資料の中程にありますように、高鳥厚生労働大臣政務官を主査として、障害保健福祉部長を副主査、構成員として障害保健福祉部の企画課長、障害福祉課長、精神・障害保健課長、障害児・発達障害者支援室長がメンバーとなる形としております。これに加えて、アドバイザーとして5名の先生方ということで、和光大学教授の井出健二郎先生、大正大学教授の沖倉智美先生、毎日新聞論説委員の野沢和弘先生、川崎市障害保健福祉部長の萩原利昌部長、立教大学教授の平野方紹先生に御参画していただくこととしております。なお、こうした検討チームを設置した形での検討につきましては、平成24年度の改定におきまして、当時駒村先生を含めた4名のアドバイザーの先生方に御参画をいただき検討を行ったところです。公開性を保つという観点から、この検討チームの会議につきましては資料、議事録ともホームページにアップする形で公開するとともに、一般傍聴も可能とする公開の形で行っていくところです。なお平成24年度は平成2311月頃から始めて平成241月末まで、合計9回開催しましたが、実は平成23年ですので震災の影響もあって少し議論の開始が遅れたところがあります。今回は検討スケジュールとして示しておりますように、来月、6月ぐらいから議論を開始し、年度内に関係者のヒアリングや報酬改定に向けた議論を月13回程度で進めていきたいと考えております。この過程において、必要に応じて議論の状況について障害者部会に報告し、また意見等がありましたら検討チームにフィードバックしていきたいと考えております。報酬改定の全体の日程としては、年末に予算編成過程で改定率のセットを踏まえ、3月に告示、公布、関係通知の発出、4月から施行という段取りで進めていくことになります。なお今回の平成27年度の改定につきましては、毎回行っているように経営実態調査を行い、その結果を反映していくことが1つあります。この結果につきましては、秋頃に概要をとりまとめることができると考えております。また、これと併せて今回の特別なこととしては総合支援法の附則、3年後の見直しに関する事項、また付帯決議、こうしたことも見据えながら検討を進めていく必要があると考えております。以上報告とさせていただきます。

 

○駒村部会長

 はい、ありがとうございました。報酬改定検討チームについて御質問、御意見がありましたら挙手をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○日野委員

 身体障害者施設協議会の日野です。今、平成27年度の報酬改定に向けての説明をお聞きしましたが、平成24年度と同じように検討チームを設置したことと、それから今回検討チームから各団体へのヒアリングを行っていくということについて感謝を申し上げたいと思います。その上で、6月から12月にかけて議論が始まって、その中でヒアリングが行われるということで、1月にはこの部会に報告をされるというスケジュールになっておりますけども、できればこの検討会でまとめられた内容を関係団体に、丁寧に説明いただく機会等を設けていただけないかという思いです。今回も一応検討チームが12月までということですので、それを踏まえて説明を行っていただければと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 少し意見をまとめてから事務局に回答いただきたいと思います。ほかに報酬に関する検討チームに関しての意見、質問、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では日野委員からヒアリングのタイミングに関わる話があったと思います。客観性、透明性の向上を図るためにこのチームを作るわけでありますけども、今の日野委員の意見に関して事務局からお答えいただけますでしょうか。

 

○辺見障害福祉課長

 検討チームにおきましての検討の進め方につきましては、まだ最初の会合も開いてないものですから、会合の中で具体的に検討をしてまいりたいと思っております。そうした中で、関係団体の考え方、実は、前回最初の段階で30団体近くの団体からヒアリングをさせていただいております。今回も同様にヒアリングをするということで考えています。一方、報酬の具体的組立てを考えていく中において、その設定の仕方等について現実に照らした場合にどうかといった形で、検討する案についてのメリット、デメリット等を検討していく段階がいずれ出てくると思います。そうした中で、こちらで主査が必要と認めるときは関係者から意見を聞くことができるとしておりますけれども、関係する方にアドバイスをいただきながら適宜、具体案を検討していくことも必要になるかと思っております。いずれにせよ、検討の状況については透明性を高めた形で行ってまいりますので、逆に意見がある場合には働きかけていただくことも可能ですし、広く意見を伺いながら検討していくことが大切だと考えております。

 

○駒村部会長

 ほかに報酬チームに関しての意見、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。状況は平行して部会でも報告いただけるということですので、また日野委員の関心のあるタイミングも出てくるのではないかな。まずチームを設定された後、おそらく事務局からも、あるいは野沢委員もメンバーですので、ある程度そういう要望があったということはお伝えされた上で進め方が決まっていくのではないかと。また、その状況は適宜、部会のほうにもくるかと思います。この点についてはよろしいでしょうか。よろしければ議題2についてはこのくらいにします。事務局もそういう段取りでよろしいですね。本日最後の議題になりますが、議題3、障害福祉計画に係る国の基本指針の見直しについて、事務局から資料説明をお願いいたします。

 

○井上企画課長

 障害保健福祉部企画課長の井上です。では、第4期障害福祉計画に係る国の基本指針の見直しについて御説明申し上げます。資料3-1です。第4期障害福祉計画の計画期間は、平成27年度から平成29年度の3年間となっておりますが、これを今年度中に各都道府県、市町村で策定ということになっております。それに向けての国の基本指針の見直しということで、昨年11月、12月、今年の1月の3回にわたって、この障害者部会において御議論いただき、また見直しの方向性等について了承を頂いたところです。さらに、その後パブリックコメントを3月から4月にかけて約1か月間行い、それを経て515日付けで基本指針を官報に告示したところです。今後これを受けて、各自治体におきまして今年度中に障害福祉計画を策定するという流れになっております。

 基本指針の見直しの主なポイントとして、これまで当部会で説明したことと大部分は重なりますが、改めて主なポイントに絞って説明申し上げます。

(1)計画の作成プロセス等に関する事項ということで、PDCAサイクルの導入です。少なくとも1年に1回は、成果目標等に関する実績を把握し、分析・評価、いわゆる中間評価になりますが、これを行い、必要があると認めるときには計画の変更等の措置を講じる。また中間評価の際には、協議会や合議制の機関等の意見を聴くとともに、その結果について公表することが望ましいといった内容を今回盛り込んでいます。

(2)成果目標に関する事項(平成29年度までの数値目標)ということで、国としての目標を各自治体で計画を定めるに当たっての参考となるように示しています。この目標に関する項目としては○1から○4の大きく4つです。福祉施設から地域生活への移行促進、精神科病院から地域生活への移行促進、地域生活支援拠点等の整備、福祉から一般就労への移行促進、この4つの項目について数値目標を設定したところで、これは1月にも了承いただいた内容です。

 ○1の福祉施設から地域生活への移行促進です。これにつきましては、平成25年度末時点の施設入所者数の12パーセント以上を地域生活へ移行させる。また施設入所者数を平成25年度末時点から4パーセント以上削減するといった目標を掲げています。

 ○2の精神科病院から地域生活への移行促進につきましては、3つの観点から目標を設定するということで、入院後3か月時点での退院率、及び入院後1年時点の退院率を上げ、1年以上の長期在院者数を減少させるという3つの観点から目標を設定する。これも1月に説明したとおりです。1月の段階で、この3つのうちの1つ目2つ目につきましては、ここに書いてあるとおりの目標の数値も既に説明しています。入院後3か月時点での退院率については64パーセント以上とし、入院後1年時点の退院率を91パーセント以上とするという目標にしております。どちらも数値の高い上位5つの都道府県の平均値以上を目指していこうという数値になっております。3つ目の在院期間が1年以上の在院者数を減少させていくという目標につきましては、1月時点ではこの項目について目標を設けるということ、また目標の数値を定めるに当たって、全国の都道府県のうち、退院促進に関し実績を上げている都道府県における長期在院者数に関する指標を勘案して成果目標とするという考え方を示し、そういった方向性について御了承いただいたところです。その後、具体的な目標数値について精査をしたところ、やはり数値の高い上位5つの都道府県の平均値を使うことにすると、これが18パーセントなので、平成246月末時点から18パーセント以上減少させるという数値目標を設定したところです。

 それから3つ目は4つの大きな成果目標の項目のうち新規に今回導入したもので、○3の地域生活支援拠点等の整備です。障害者の地域生活を支援する機能の集約を行う拠点等を各市町村、又は各圏域に少なくとも1つを整備するという目標です。

 ○4の福祉から一般就労への移行促進です。これについては、1月に説明したとおりの目標の内容になっており、福祉施設から一般就労への移行者数を平成24年度実績の2倍以上とする。就労移行支援事業の利用者数を平成25年度末の利用者から6割以上増加させる。就労移行支援事業所のうち就労移行率が3割以上の事業所を全体の5割以上とするという目標を掲げたところです。

(3)その他の事項です。障害児支援体制の整備ということで、児童福祉法に基づく障害児支援等の体制整備についても定めるよう努めるものとするという内容を盛り込んでおります。さらに計画相談の充実、研修の充実等に関する記述も盛り込んでいます。

 それから1点さらに付け加えますと、資料3-2ですが、昨日告示したこれまでの基本指針を改正する告示によって改正された後の基本指針の全文です。

 その2ページ目のちょうど真ん中辺りです。第一の1に、「障害者等の自己決定の尊重と意思決定の支援」という項目があります。この項目につきましては、今回の改正前は「障害者等の自己決定と自己選択の尊重」というタイトルになっていました。この部分に関しては、1月の障害者部会の際に、小澤委員から御意見をいただきました。従前は自己決定と自己選択という言葉を使っていたのですが、自己選択という部分について最近の総合支援法の見直しなどを踏まえると、意思決定という言葉に統一したほうがよいのではないかという御意見をいただきました。その際に事務局のほうから、今後、告示案を作っていく中で検討していきたいと申し上げました。1月の部会の後、事務局としても検討したのですが、1つは昨年の9月に障害者基本計画という、内閣府を中心にとりまとめた新たな障害者基本計画が昨年9月に閣議決定されておりますが、その障害者基本計画を見てみますと、正に「障害者の自己決定の尊重及び意思決定の支援」という、正に意思決定という言葉を使った項目が新たに盛り込まれています。また平成254月から施行されております障害者総合支援法を見ても、その42条の中に「障害者の意思決定の支援に配慮する」とあります。これは指定障害福祉サービス事業者などの責務として障害者等の意思決定の支援に配慮するというものです。こういった形で政府の公式文書や法律の中で意思決定という用語が使われ、既にそういった形で使われているということを踏まえて、今回私どもも基本指針を見直すに当たって意思決定という言葉を使うことにしました。ここのタイトルについては障害者基本計画と同じ表現で、「障害者等の自己決定の尊重と意思決定の支援」という形に直したところです。また、そこにつながる文章においても、「障害者等の自己決定を尊重し、その意思決定の支援に配慮する」という文言を新たに盛り込んだところです。私からの報告は以上です。

 

○駒村部会長

 昨日、告示された基本方針の見直しについての御説明でした。これに対して御意見はいかがでしょうか。

 

○大濱委員

 資料3-1(2)成果目標に関する事項の○3の新規の「地域生活支援拠点等の整備」の部分です。「地域生活を支援する機能の集約を行う拠点等を、各市町村又は各圏域に少なくとも1つ」とありますが、これは具体的にどういうことをイメージしているのか、もう少し詳しく説明してもらいたいのですが。

 

○駒村部会長

 また、取りまとめてにしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

○阿由葉委員

 全国社会就労センター協議会の阿由葉です。新たな基本指針についての資料3-1の○4の福祉から一般就労への移行促進のところです。前回も申し上げたのですが、移行促進を進めることは大変重要であり、必要なことです。ただし同時に定着支援をきちんとしなくてはいけません。定着支援の基準期間は現行では6カ月ですが長く勤めることが御本人にとって一番の幸せですので、定着支援を継続的にきちんと行えるような仕組みにしていただくことが第一です。一般就労への移行促進は、定着支援とセットで進めることを基本に考えていただければと思っています。

 続いて、同じく新たな基本指針についての資料3-28ページの一番下の段落、ここに「国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律」が明記されています。基本方針の中に法律名があるということは、この法律にある内容を進めることを国が一生懸命やらなくてはいけないということです。我々障害者就労支援施設の関係者も、それを一緒に進めていきたいと考えております。半数以上の市町村で調達の目標となる調達方針が策定されていないという状況がありますので、受注機会の拡大をはかるためにも、各市町村に調達方針の策定とそれに基づく取り組みを進めることを、働きかけていただきますよう、よろしくお願いいたします。以上です。

 

○駒村部会長

 ほかに御意見はいかがでしょうか、よろしいでしょうか。それでは大濱委員、阿由葉委員の御意見に関して、事務局からお答えいただければと思います。

 

○辺見障害福祉課長

 障害福祉課長の辺見です。まず大濱委員の御質問ですが、添付しておりますポンチ絵の資料の資料3-17ページを御覧いただきたいと思います。障害児・障害者の地域生活支援の推進のための多機能拠点構想ということでお示ししているものです。これは以前にお示ししたことがある資料かと思いますが、基本的には拠点と言っても具体的な、ある一つのイメージの形のものを全ての市町村に作っていくということよりも、むしろ居住支援機能と地域支援機能、地域で暮らす障害者・障害児の方々を支援する機能を総合的に整備する。そのための在り方として、狭い意味での拠点を設けて整備するやり方もあれば、右上に書いてありますけれども、いわゆる拠点という形ではなくて面的な形で機能を分担する形で、面的に整備をしていく形もあると考えております。

 

○井上企画課長

 資料3-37ページです。

 

○辺見障害福祉課長

 すみません、3-1と説明してしまいました。資料3-3でございます。資料3-37ページでございます、申し訳ございませんでした。

 もう一度御説明させていただきます。資料3-37ページ、横長の資料です。「障害児・者の地域生活支援の推進のための多機能拠点構想」ということで、居住支援の機能と地域支援の機能を一体的に整備していくというものです。具体的には、グループホーム等といった居住支援の機能、コーディネートを行う機能とショートステイなど、緊急時にも対応できるような機能を地域において連携して整備していくというものです。こういった機能を地域において整備していくということを今回、この指針の中で示しているところですけれども、整備の仕方については一義的に同じ形のものを全国の市町村で作っていくということではなく、この機能をこういったグループホームや小規模の施設に併設する形で整備する場合も考えられます。また、右上のほうに赤字で書いておりますように、狭い意味での拠点という形にはせずに機能を分担する形で面的に、広い意味で拠点としていくことも考えているものです。

 いずれにしても、こういった拠点的な整備を行うことにより、地域で暮らしている障害者・障害児の方がいろいろな形でお住まいになっているケースがあろうかと思います。右上のほうに、「親との同居」、「一人暮らし」、「グループホーム」でのお住まいと書いてありますが、このように様々な形でお暮らしになっているケースがあると思います。こういった方々の24時間の相談受付や緊急時等の受入れ、地域生活の様々な支援、こういうニーズに対応できるような仕組みを作っていくことが重要だという趣旨です。

 続きまして、阿由葉委員からの御指摘で幾つかあったかと思います。就労移行した上で定着とセットで取り組むことが重要という御指摘は重要な御指摘であると思っております。これまで就労・生活支援センター等で取り組んでいる施策のほか、総合支援法の附帯決議でも定着支援についての取組が要請されているところですので、既存の取組をしっかり行うとともに更に充実すべきことがあるかどうかを、よく検討しながら進めていきたいと思っています。

 また、優先調達法の施行に関することですけれども、受注機会の拡大、ひいてはB型等で働く障害者の工賃の向上にもつながっていくことでございます。引き続き、各自治体や省庁に対して働きかけを行っていくとともに、併せて、行政サイドとして障害者の関係施設がどういったものを提供できるのか、サービスが提供できるのか情報を入手する。こういったマッチングも大切かと思いますので、そういった機会の応援をしていきたいと考えております。

 いずれにいたしましても、今回優先調達法が施行され、平成25年度が初年度ですけれども、この法律は各機関が調達方針を定める。その結果に基づいて、1年間調達をした調達実績を公表するという仕掛けです。普通は出納整理期間というのがあって、5月ぐらいまで大体帳簿の整理等を行い、然るべき時期、夏ぐらいかと思いますが実績の公表ができるかと思います。今年で施行後2年目になりますけれども、施行1年目の実績というのが公表されることになりますので、そういったことをまず1年目と、2年目に公表してその結果がどのようになっていくのか。こういうことを順次評価していただきながら進めていくものだと考えておりますので、よろしく御理解いただければと思います。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございます。今後の基本指針の見直しについて、ほかに御意見はいかがでしょうか。

 

○河崎委員

 日精協の河崎です。今の地域生活支援拠点について、もう少し教えていただきたいのですが、7ページのポンチ絵の中で、地域生活支援拠点そのものの整備ということに関しては補助金を対象として行っていくということなのですか。そうではなくて、実際、運営そのものは障害福祉サービスの報酬の中で行っていくというイメージでよろしいのでしょうか。その辺りを教えていただきたいと思います。

 

○駒村部会長

 事務局、お願いします。

 

○辺見障害福祉課長

 まず、本日は基本指針の議論ですので、基本指針上どういうことが記載されているかをもう一度確認させていただきたいと思います。先ほど井上課長から説明がありましたが、基本指針の本文である資料3-23ページを御覧いただきますと、上から2行目に、3というのがあります。そこから10行目ぐらいでしょうか、いわゆる33段落目の「特に」という所です。「地域生活支援の拠点等の整備に当たっては、地域での暮らしの安心感を担保し、親元からの自立を希望する者に対する支援等を進めるために、地域生活への移行、親元からの自立等に係る相談、一人暮らし、グループホームへの入居等の体験の機会及び場の提供、ショートステイの利便性・対応力の向上等による緊急時の受入対応体制の確保云々」と、最後の方には、生活環境が変化する節目を見据えて、中長期的視点に立った継続的な支援を行う必要があるということを基本指針の中に記載させていただきました。これに基づいて、市町村レベルでの具体的な計画をお作りいただきたいということです。いわゆる計画ベースではこういった機能・整備をしていくことを求めるということです。

 先生の御質問はこういった計画を作るとして、具体的にどういったものが使えるのかということかと思います。我々がこういったツールとして想定しておりますのは、グループホームや短期入所、また相談に関わる地域定着支援などというのは個別給付がありますので、十分これらを組み合わせてお使いいただくことはできるかと思っています。

 一方で、この間をつなぐような部分、緊急時の対応のためのコールセンター的なもの、コーディネーター的なものについては個別給付で賄いきれない部分があります。こういったところについては、地域生活支援事業の中で利用可能なものをお使いいただいて、それと組み合わせて、市町村等が関与した形で整備を進めていただくということが必要かと思っております。

 具体的にこれを一定の支援能力がある施設やグループホームと組み合わせた形で整備をしていくのか、若しくは必ずしもそうではなくて、分担することによって体制を作ることが可能だという地域があるかもしれません。それは地域の実情に応じて作っていただきたいということで、基本指針や計画レベルでは、それ以上のところまでは書いていないということです。

 

○河崎委員

 ありがとうございます。

 

○駒村部会長

 基本指針に関して、ほかにいかがですか。

 

○葉梨委員

 蒸し返しになるかもしれないのですが、昨年の暮れから参加したものですから余りよく分からなかったのです。計画で何パーセント削減するとか、何パーセントを目標にするというようなことを今、5つぐらいの県を参考にして立てたということですが、そういうことが実現できるのかどうかということをちょっと疑問に思います。

 もう一つは、障害者の自己決定を尊重し、その意思決定を支援するということですが、大体、障害を持つ児童の親御さんや、施設、病院などに保護されている人たちが、周囲と比べて自分の方針を自己決定するとか、意思決定することができるものだろうか。その辺について、大丈夫なのかなという気がいたします。

 それから、地域生活支援拠点というのはどういうところを地域としているのか。今、都会と農山村部とかの差がどんどんついてきている。人口動態などからすると、老人が農山村部に残っていく。果たして、こういうことをやる人材がいるのか、長期的な見通しはどうなっているのかということが気になります。人口問題研究所では、2040年ぐらいには、400ぐらいの自治体が人口1万人以下で、自治体としての機能を成さなくなるという報告も出しているわけです。そういう状態は一気に来るのではなくて徐々に、高齢化率とか、地方においては都会にどんどん若い人が出てきてしまう状態がマスコミでも報告されています。それに合ったような、長期的な見方がこの中に入っているのかなということを、ちょっと疑問に思ったものですからお聞きしたいと思います。

 

○駒村部会長

 今の御指摘のうち、積み重ねの議論で、これまでの成果などを踏まえたり、政府、内閣府のほかの委員会の議論も踏まえたりして書かれているものも中にあります。

 最後のところで、高齢化が地域で進んでいったり人口減少が進んでいる。今のお話は、人口問題研究所、社人研の報告書だったのか、それとも最近議論されているのは民間のシンクタンクの報告書では、これは社会保障・人口問題研究所の推計とは、また違う前提でやっていますので、その辺を分けて、極端なストーリーと分けて議論しておかないといけないと思います。地方で人口が減っていくというのは、いろいろな推計を見てもそういう傾向があると思います。ただ、今日既に報告された内容についての御説明があったわけです。積み重ねの議論と、ここ数年間の政府全体の取組みを反映したものだと私は理解しておりますが、事務局の方から今の葉梨委員の疑問についてはいかがでしょうか。

 

○北島精神・障害保健課長

 上位5県の数を使った目標値の設定が実現できるのかという御質問ですが、もちろん大変厳しい目標設定であると考えております。ただ、精神障害者に関しては、国際的にも入院が多いことも指摘されておりますので、できるだけこの数に近づけることができるように、現在、精神障害者の地域移行に向けての検討会を設置して議論も行っております。そういった方向性も踏まえて、この目標値を達成できるような具体的な施策を出したいということで、この数字をお出ししているところです。

 

○駒村部会長

 事務局からほかにいいですか、加えることはありますか。よろしいですか。

 

○井上企画課長

 障害者の自己決定や意思決定の支援など、こういったものにつきましては、これまで障害者政策をめぐり、いろいろな議論の中でそういったことを尊重していこうという大きな流れを踏まえたものです。もちろん、障害者の状態によっては自分で決めるとか、また自分で意思を決めるということがなかなか難しくていろいろな支援が必要な方がいらっしゃいます。また、その支援の仕方が十分に開発されていない部分もあると思います。まさに意思決定の支援に配慮するというのは、開発ができていない部分は、またそういった手法を開発していく努力をしていくとか、そういったことも含めて、これまでの障害者施策をめぐる議論を踏まえた取組みを進めていくことが大事だと考えております。

 

○駒村部会長

 まだ事務局が続いております、ちょっとお待ちください。

 

○辺見障害福祉課長

 最後に地域拠点に関して触れておられましたが、全体としてはサービスの提供について地域の格差、長期的に見た場合の様々な人口構成の変動等に対応できるのかといった御質問かと思います。確かに、地域による違いというのは確かにあると思っています。この基本指針に基づいて、各都道府県、市町村が計画を作る際には、それぞれの地域の状況を分析・評価していただいた上で作成するという形になっております。ですから、ある程度全体としての方向性を示しつつ、地域に応じて反映させていただくという基本的な仕組みになっております。

 また、長期的な部分に関しての御懸念の点、御指摘のとおりかと思います。この計画の役割としては第4期障害福祉計画、平成27年度から29年度まで3年間の計画という位置付けです。その間において、どういうように取り組むのか、またその間においての状況の変化等あり得るかと思いますけれども、その場合には今回導入されたPDCAサイクルによって実績の把握、分析・評価で見直しをしていく。こういったことで運営していくことが重要かと考えております。

 

○駒村部会長

 河崎委員、お待たせしました。

 

○河崎委員

 今回の精神科病院から地域生活への移行促進のそれぞれの数値は非常に厳しいというか、かなりしっかりやっていかなければ達成できない数値であるという認識はあります。ただ、上位5県の数値については、それぞれの県がどのような形でこういう数値を達成してきたのかということをしっかりと分析していただきたいということはこれまでの議論の中でも出ていたと思っております。その辺のことをしっかりと分析をしていただいて、そういうことを全国的に各都道府県で実現するためには何が必要で、そのための財源としてどういうことをしっかりと担保しなければいけないのかというところまでを、この計画の中で国が認識していかなければ、先ほど先生がおっしゃったように、この数値を達成することは非常に困難になってくるのだろう。私の印象としてはそのように思っております。

 

○駒村部会長

 今のお話は多分、河崎委員から前回のお話で、報道趣旨のお話があったと思います。

 

○広田委員

 御質問、ありがとうございます。今、精神の検討会でやっていますが、もちろん国の責任です。日本のマスコミが、ライシャワー事件という1964年に赤坂のアメリカ大使館をジョギング中のライシャワー駐日大使を刺してしまった犯人が、精神障害者だったということで、「精神障害者を野放しにするな」という大報道をしたりしたそうです。その頃、今の駐日アメリカ大使、キャロラインさんのお父さん、ケネディ大統領がアメリカで精神科の病棟を削減して、予算を付けないでホームレスを生んでしまった。それを日本が教訓にせずにどんどん金利を安くして、お金を貸し出して、ベッド数を世界一にしてしまった。その謝罪も方向転換もしていない。そのことを前回の検討会で言ったのです。精神障害者の手帳ができた時、課長補佐が東京の会場でそれまでの精神障害者の施策について謝罪した。それは厚生労働省の記録に残っているそうです。だけど、それでも患者は激怒して名古屋では生卵をぶつけた。その「クリーニング代は愛知県が厚労省に払った」という話があります。この間、それ以外全く謝罪も何もしていない。そして、最重要の住宅施策を何ら打っていないのです。

 そういう中で、入院している患者が意思があるかないかにかかる。日本国民が自己決定できるかといったら下手な国民だと思います。そういう中で、入院している間に、いわゆる社会的入院の間に施設症になってしまっている。私は全国の精神科病院を泊まり歩いていますけれど、多くの関係者の本音は「6割は社会的入院」だろうと、言っています。20万人ですよ。それが数字ではない、地域移行ではない。この瞬間、私、涙が出ますよ、私が幸せだから。「国内の拉致被害者だ」ってずっと言っているんですよ、何も変わらないのです。日本のマスコミは男を叩き、教師を叩き、警察官を叩いて、この国をガタガタにして、海外にいる日本人が「日本はどうなっちゃうんですか」と心配しているこの国。滞日外国人は「世界一住みやすい」と言っていますが。そういう中で、この瞬間も、今日の9時に入院治療が必要でない社会的入院の仲間が20万人もいるんですよ、薬で寝かされているんですよ。これ、もちろん国の責任ですけれど、国民に知っていただいて、国民の愛で「この国はそういう所に入れてきたんだね」と、「迎えてほしい」と言ったら、今、私は業界の中で叩かれています。「日本精神科病院協会のアドバイザリーボードをやっている、取り込まれている」と叩かれているそうです。記者がそのことでたくさん言って来ています。フリーの人からの取材もあるけど、忙し過ぎて受ける暇がないのです。

 厚生労働省の委員会に入った時も、「厚生労働省に取り込まれている」といって叩かれたのです。そういうふうに精神の業界が割れてしまっているから、国民の前で一枚岩になれないことが最大の原因だと思います。是非、ここにいる皆さん、この国は国内の拉致被害者、小泉総理に総理官邸の執務室で社会的入院の仲間のことも言いました。国会でも各党に「謝罪して」と言っています、尾辻大臣の時に。自立支援法に与党側の参考人で出た時です。何もできていない。是非、この瞬間もそういう人がいるのだと。入院治療が必要ではない人が。本人の都合ではなくて、この国の社会の都合で、この国が責任を持ってやらないために、マスコミがたたき、そしてその存在を放置したために。精神の検討会に取材しにきた大手の新聞記者は何をしたと思いますか。「国民の愛」と発言したら「国民は関係ない」と言ったのです。疲れてしまう、発言した人に記者までがそういう事を言うと。

 ですから、質問していただいてありがとうございます。ぜひ伝えていただきたい。入院治療が必要ではないのに、あの精神科病棟の中にいる、そして自分の意思決定もできなくさせられている。医療費が安い、スタッフも少ない、鉄のドアや鉄格子は、居る人を保護するために構造上ついているけど、外側の住民はそうは思えない。

 そういう中で、入院治療の必要がない人が20万人いる。それをドラスティックに変えるためには是非、国民の理解と合意と愛が必要です。国の責任だけではできない、お金だけではない、そういうものが今この国に求められている。愛の欠乏症社会だから。家庭の中には母性もない、父性もないのです。子どもも育てられない家庭がいっぱいあります。児童相談所に行けば、子どもたちがいっぱいで涙が出てきます。社会的入院に光を当てることはそういうものを変える大きなひとつのチャンスでもある。是非皆さん、その仲間たちに愛を与えてください。よろしくお願いします。私は叩かれてもいいから、よろしくお願いします。そのために私はここに出てきています。「もう一期やって」と、厚労省から言われたから、そのためにやりますから是非協力してください。

 彼らは仲間がお見舞に行っても会えないのです、「家族でなければ駄目」、「誰々でなければ駄目」と。竹下さんは帰っちゃったけど弁護士は6,000人余っているから、「最近あちこちの精神科病院に来ている」そうです。誰もがお見舞いに行けるような当たり前の精神科医療、業界の精神医療ではなく、国民の精神科医療にしたい。そうすることによって皆さんが皆さんの家族、愛する人が安心して精神科を利用できる。是非そうしていきたい。そうしたい。よろしくお願いします。厚生労働省もよろしくお願いします、皆さんもよろしくお願いします。傍聴の皆さんも是非よろしくお願いします。以上です。

 

○駒村部会長

 ありがとうございました。ほかに、この基本指針に対していかがでしょうか、よろしいでしょうか。

 

○野沢委員

 毎日新聞の野沢です。地域の移行のところについて、例えば施設からの移行で、平成17年から24年にかけてどのぐらい施設の方が減っているかというと1万人ぐらい、1万人ちょっとぐらいでしょうか。ここを捉えて、余り地域に行っていないのではないかという意見もあるのですが、確かにそうだと思います。施設内で亡くなる方のことなどを差し引くと、ほとんど減っていないのではないかと思います。

 でも、この期間というのは、グループホームが相当増えている。7万人とか8万人とかになっていますよね。このグループホームの人たちは施設から行っているのではなく、どこから行っているのかといったら、やはり家庭から行っているのだと思います。施設から地域への移行と考えると、入所施設とグループホームというように捉えがちですが、その背景には家庭の中にかなりの当事者がいらっしゃる。これまでは家族が何とか世話をしてこられた人たちが今、どんどん世話もできなくなってきているという現実があります。

 しかも、先ほど先生がおっしゃられましたけれども日本創成会議など、いろいろな統計が出ているけれども、人口が減って高齢化が進んでいくというだけでなくて家族の規模がどんどん小さくなっていく。基本的に、一人暮らし、二人暮らしになっていく。東京都内など、一家族平均1.99人ですから二人暮らしよりもまだ小さい。これ以降、これがどんどん進んでいくと、今以上に家族が抱えられない状況が進んできてもっともっと地域の受け皿を作っていかなければいけないという状況になると思います。

 これから先の施設の削減を実現していくためには、今以上に地域のグループホーム等をもっと飛躍的に作っていかないと、とてもこれは実現できないのではないかと思います。こういう目標を掲げるのは非常に良いと思いますけれども、今、家族を抱えられなくなってくる方々が相当出てくる事をいろいろな関係者に理解していただかないと、地域の受け皿を作っていくための財源や人というのはなかなか確保していけないのではないかと思います。その辺の周知徹底みたいなことを是非お願いしたいと思っています。以上です。

 

○駒村部会長

 ほかに御意見はいかがでしょうか。今のお話は御意見ということで、とりあえず3年の計画はともかく、今後のトレンドとしてはそこを考えなければいけない。これはいろいろな分野で同じことだと思います。

 いかがでしょうか。今日、議題にあがった3つについては概ね議論が終わったかと思います。今日はまだ比較的時間に余裕があります。今日は報告が中心でしたので、このままで行くと比較的早く終わるでしょう。早く終わっても別にどうというわけではないのですが、特段、本日のテーマに関わる議論がもしあれば、あと15分ぐらいできます。なければ終わりにしたいと思います。

 

○広田委員

 先ほど、辺見課長の話に入っていたかどうか、ちょっと聞き取れなかったのですが、障害者のところに仕事が来るのを有利に、優遇するような法律ができたのでしたか、そのような話をしましたか。

 

○辺見障害福祉課長

 はい。

 

○広田委員

 それ、是非、行き過ぎないようにした方がいいと思います。この国全体の経済を見た時、タクシーに乗れば時々「アベノミクス」を聞かれますけど、それは経済評論家ではないからこちらに置いといて。国民全体が、ある意味では大変な生活をしている中で、障害者を突出して優遇しない方がいい。病院だけでなくいろいろな社会資源を回っています。現場の委員もさせていただいていますが、民間企業の大変さから比べれば、よく職員の人材と言うけれど本当に質が低いです。25年前に作業所にいた時と全く変わらず成長していない人が一杯いるから。困ったことに、そういう人も就労に関わる部署にもいます。

 行き過ぎてしまうと国民の反感を買うと思うし、逆差別になります。障害者の可能性を奪ってしまう、失敗したり、傷ついたり、挫折するチャンスを奪ってしまう。行き過ぎないようにしていただきたい。それを作ったこと自体に、えっと思いましたが、できたわけですから、行き過ぎないようにしていただきたいと思います。よろしくお願いします。以上です。

 

○駒村部会長

 辺見課長、何かありますか。

 

○辺見障害福祉課長

 平成24年に法律ができたわけですが、その背景と趣旨等を踏まえて、私どもとしては取り組んでいくということでございます。実際、現場において調達等を進めていく上で様々な過程もあろうかと思います。

 ただ、法律の背景としては、必ずしも委員がおっしゃられたように障害者の施設が一般と比べて進んでいるということでなく、むしろ逆に、なかなか障害者施設で生産するものについて、市場においてなかなか理解が得られていないのではないかという考えがあっての法律だとも考えております。私どもとしては、そういったことを踏まえながら施策展開していきたいと考えています。

 

○広田委員

 なぜこういう事を言うかというと、私、精神病院に行く前は、非常に有能なキャリアの営業の仕事もしていました、大手の商社から零細企業も回っていました。それから、精神医療の被害者になった後もエレクトロラックスという、スウェーデンの一番大きな電化製品会社のアポインターもやりました。成績は全国平均を常に上回りました。「絶対押し売りはしないで下さい。言葉づかいも気をつけて下さい」と支店長から指摘されていました。支店長とアポインターとのミーティングもきちんと行われていましたが、他のアポインターは障害を持たない人たちでした。その先輩たちが「広田さんの話のまとめ方、話し方が、とてもわかり易いので、私たちの代表として支店長に質問したり、意見を言って下さい」と言われ、毎回みんなからメモを受けて、私が質問し発言していました。

 それからほかの零細企業、留学生の中国人と共存する仕事で、お正月3日間だけ休みというような、経済効率最優先の日本経済の最先端のものすごく厳しい社長にしごかれていたこともありました。厳しいことを今すれば、セクハラやパワハラ、やれ、何とか虐待だとなってしまうのですが、甘さも優しさもわからず、厳しさもないのがこの業界、障害者にないのではなくて職員にもない。だから悪いけど、民間では通用しないという人が一杯いるわけです。ですから自己努力をしていただきたい。自己努力をしないと反感を買う、逆差別になるということです。それは贔屓の引き倒しになるということです。障害者の可能性を奪ってしまいます。

 

○駒村部会長

 それでは、本日はここまでにしたいと思います。最後に事務局から今後の日程等についてお話いただきたいと思います。

 

○井上企画課長

 本日は御多忙の中、御議論いただきましてありがとうございました。次回の部会の開催日時等につきましては、追って御連絡させていただきます。

 

○駒村部会長

 本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。


(了)
<照会先>

【社会保障審議会障害者部会事務局】
厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課企画法令係
TEL: 03-5253-1111(内線3022)

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