ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(医療保険部会)> 第76回社会保障審議会医療保険部会議事録(2014年5月28日)




2014年5月28日 第76回社会保障審議会医療保険部会議事録

○日時

平成26年5月28日(水)16:00~17:59


○場所

厚生労働省 講堂(低層棟2階)


○議題

1. 市町村国保について
2. 被用者保険について
3. 高齢者医療制度について

○議事

○遠藤部会長

 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第76回「医療保険部会」を開催したいと思います。

 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。

 それでは、本日の委員の出欠状況について申し上げます。

 本日は岡崎委員、齋藤委員、樋口委員、福田委員、和田委員より御欠席の御連絡をいただいております。

 続きまして、欠席委員のかわりに出席される方についてお諮りをしたいと思います。福田委員の代理として和田参考人の御出席につき御承認いただければと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、議事に入らせていただきます。本日は前回に引き続きまして「市町村国保について」、「被用者保険について」、「高齢者医療制度について」について御議論をいただきたいと思います。

 事務局から前回の医療保険部会における主な御発言をまとめた資料を、資料1として配付しております。また、前回御依頼いただいた資料等と前回の資料を準備していただいております。また、本日は委員提出資料として、岡崎委員、小林委員、白川委員、望月委員より資料が提出されておりますので、事務局からの資料の説明の後に御説明をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、事務局より前回御依頼いただいた資料等について、資料の説明をお願いしたいと思います。事務局どうぞ。

○横幕課長

 高齢者医療課長でございます。

 お手元の資料2に沿って御説明をさせていただきたいと思います。

 1ページ、2ページですが、前回の御議論の中で将来のシミュレーション、高齢世代と現役世代の負担についてシミュレーションをという御意見がございましたので、それに対応するものとして1ページ、2ページを用意しております。

 これは新たに作成したものではなくて、これまでの一体改革の議論の中で、基礎として将来を推計していた中から関係部分を持ってきてあるものであります。

 1ページのほうが保険料水準、2ページがマクロで見た医療費用とその財源構成となっております。

 2ページの一番下を見ていただきますと、全体の費用の構成の中で公費の負担が少しずつ上がっていく。高齢者医療が5割の公費負担になっておりますけれども、人口構成、高齢化が進むにつれて、少しずつ公費の全体に占める割合が上がっていくということになっております。

 3ページ、前回御議論の中で、前期調整で被用者側から交付される交付金が国保の若い世代に一部充てられているのではないかという御指摘がありましたので、それに対応するものです。簡単に御説明させていただきたいと思いますが、下のほうが調整前の姿ですが、65歳から74歳の方は1,600万人いらっしゃいますけれども、8割が国保に加入されています。このため、この年齢層の給付費と、この年齢層にかかる後期高齢者支援金、合わせて調整しなければ6.1兆円ということになります。これを調整している姿が上でありますけれども、各保険者同じ全国平均の加入率で前期の方が入っているという考え方で調整をすることによって、交付金3.4兆円が国保に渡るということになります。残り2.7兆円となりますが、これを5割公費負担、残り1.3兆円を保険料で確保する必要があるということになります。

 これに対して65歳から74歳の方が納める保険料ですけれども、上の囲みの中の3つ目の○ですが、1.5兆円になります。したがいまして、必要な額1.3兆円に対して1.5兆円ということで、0.2兆円が多いということになりまして、65歳から74歳の方が納める保険料のうち、この0.2兆円が国保の若い世代への給付費等に充てられることになります。ですので、前期の交付金そのものは、65歳から74歳の国保の方の支出に全て充てられていますけれども、一方でこの年齢層の方の保険料が国保の若いほうの方にも充当されていると見ることができることになります。

 この背景には、国保の中で所得水準を見た場合に、相対的に65歳から74歳の方の所得がやや高いということがあろうと思います。なお、これは申し上げるまでもありませんけれども、国保を含め各保険者では保険集団として、年齢を問わず、全加入者からの保険料を一体として用いて、被保険者間の支え合いによる運営が行われておりますので、各保険者ごとあるいは制度ごとで年齢区分を特定の年齢区分で別に分けるということはせずに、年齢を通じて加入者全体で収支を見て、保険料が設定されているという仕組みになっております。

 4ページ、これも前回の御議論の中で高齢者の保険料に関しまして、負担率についても議論すべきではないかという御意見がございました。上のほうの図は現行制度を御紹介するものでありますけれども、75歳以上の方の給付費1割は高齢者自身の保険料、4割は現役世代からの支援金となっておりますが、将来に向けて現役世代の人口が減っていきますので、何も手当をしなければ現役世代の方の1人当たりの保険料が高くなっていくという問題がございますので、これに対応するため、現行の仕組みでは現役世代の人口減少分を高齢世代と現役世代で2分の1ずつ負担する仕組みになっております。このため、真ん中よりちょっと下に表がございますが、高齢者の負担率、平成20年度は10%でしたが、2年ごとの保険料改定のたびに少しずつ上がっておりまして、今、10.73%になっているという状況がございます。

 これに対して、かねて指摘されている課題がございます。下の囲みの中ですけれども、もともと高齢者の保険料の全体の規模と現役世代からの支援金の規模に相当大きな差がございますので、単純に2分の1ずつにしますと高齢世代の影響のほうが大きくなる。1人当たりで見ると大きくなるので、ここの部分だけを見ると高齢者の保険料の伸びのほうが1人当たりで見ると大きくなることが課題として指摘をされております。このため、平成22年の高齢者医療制度改革会議のまとめの中では、現役世代の保険料の伸び、高齢世代の保険料の伸びが、ほかの要件が同じであれば等しくなるような算定方式に見直すべきではないかという指摘をいただいております。

 ただ、この場合でも全体としては当初の問題意識、現役世代の人口が減るので、現役世代の負担割合を少しずつ減らしていって、高齢世代の負担割合を少しずつふやしていくという全体の仕組みには変わりありませんで、その調整の仕方をより両世代均衡するように変えていくという考え方が提案されています。

 この点については、これまでもこの部会に何度か御報告しておりますけれども、前回も御指摘がありましたので、きょう改めて御報告をするというものです。

○中村課長

 引き続きまして、国保課長でございます。5ページ以下につきまして御説明を申し上げたいと思います。

 前回、市町村国保の現状や見直しの方向性について、資料をお出しして御説明をさせていただきましたけれども、時間の関係もございまして説明を省略した部分もございましたので、一部資料も補う形で説明をさせていただければと思っています。

 5ページは前回、御説明いたしました国民会議の報告書や、プログラム法を踏まえた見直しの方向性を私どもの立場で整理したものでございます。国保が抱える財政上の構造問題の解決を図ることとした上で、運営につきまして都道府県と市町村との間の役割分担について検討していく必要があるということでございます。

 6ページ、財政上の構造問題の解決に向けた方向性をお示ししているものでございます。前回も賛否の立場から御指摘もいただいたところでございますけれども、今後、必要な追加公費の投入を行うことを前提に、それをいかに効果的・効率的に投入していくかということを検討していくことが課題になっているということでございまして、今後、本日も含めて御議論をいただくことになってございます後期高齢者支援金の全面総報酬割を導入した場合に生ずる財源の活用についても検討するということも含めて、今後検討していきたいという考え方でいるということでございます。

 国保の現状でございますが、左側に書いてございますように、医療費に着目した取り組み、保険料負担に着目した取り組みをこれまでも進めてきている状況があるところでございます。年齢構成の問題に起因する部分につきましては御議論あるところでございますが、高齢者医療制度等によって相当程度対応していただいているという認識を持っているところでございますが、そのほかにも保険者の責めによらない要因によって医療給付費が高くなっている部分もあるのではないかということで、そういったところに着目した財政支援の強化等を考えられないかということを考えています。

 市町村に医療費適正化のインセンティブが働くような仕組みを考えていかなければならないということでございまして、保険料率の設定の在り方等と書いてございますけれども、例えば都道府県による財政運営ということを念頭に考えたときに、都道府県内の市町村で県内の均一の保険料としていくのか、あるいは医療費水準等を考慮したような仕組みにしていくのかといったことが、今後の論点になってくるというふうに考えているような状況でございます。

 保険料負担の部分につきましては、今年度も低所得者の方の法定軽減の拡充等の対応を行わせていただいておりますけれども、さらにそれを充実していくようなことが考えられるのかどうかといったことが課題になってくると思ってございますし、平準化を進めていくという取り組みでございますとか、徴収を行うというのを市町村に引き続き担っていただくという前提に立ったときに、その徴収インセンティブが確保されるような仕組みを考えていかなければならないということが課題になってくると考えている次第でございます。

 給付増でございますとか、保険料の徴収が思うようにいかなかったような場合の財政リスクにどのように対応していくのかという課題がありまして、前回もいろいろ御指摘いただきましたけれども、今は市町村から法定外繰入をいただく形でそこに対応している部分がございますので、そこを少し制度的な仕組みあるいは追加公費の投入等によって、法定外繰入に頼らずに運営をしていくような仕組みを考えていく必要があるだろうと考えている次第でございます。

 もう一つの大きな論点でございます。役割分担に関する部分でございますが、前回8ページの資料をご覧いただいております。プログラム法と国民会議の報告書の中では、財政運営については都道府県に担っていただくこととしてはどうか。それから、保険料の賦課徴収でございますとか保健事業のように、住民に身近な業務については、引き続き市町村の役割が積極的に果たされるよう検討していくということが書いてあるところでございますけれども、次のページにつけていますが、保険者機能、さまざまな機能がございますので、資格管理、保険給付、審査・支払い、こういった業務をどのように分かち合っていただくことが果たして効果的かということを議論していただく必要があるということでございます。

 7ページに戻っていただきますと、現段階で考えられる主な論点を書かせていただいております。まず国保の財政運営を都道府県が担うということとした場合に、保険料の賦課・徴収の具体的な仕組みをどう考えるかという課題があるわけでございます。

10ページ、これは国民会議にも提出された資料でございますけれども、現在、市町村国保の中でも、広域連合を組織されて広域的に国保事業を行われている市町村がございます。この例を見ますと分賦金方式、直接賦課方式と書いてございますが、大きく2つの方法で今、運営がされている状況でございます。分賦金方式は、広域連合を設置されていますが、実際の保険料の賦課・徴収は各市町村が独自に行って、その徴収したお金、広域連合から求められる金額を広域連合に納める仕組みでございます。

 直接賦課方式は、広域連合として統一的に保険料の賦課をし、市町村が実際の徴収を担われるような仕組みがあるわけでございます。こうした現行の仕組み等も参考に、今後どのような対応をしていくのが妥当かということを議論しなければならない状況にあるということでございます。

 7ページ、2つ目の課題のところでございますけれども、地域医療の提供水準とあわせて、標準的な保険料等の住民負担の在り方を総合的に検討することを可能とする体制ということが書かれているところでございます。具体的にどのようなことが考えられるかという課題、論点でございますけれども、都道府県による財政運営を行った場合に、例えば県内で保険料が均一となるような仕組みを考えていくのか、あるいは市町村ごとの医療費水準等を考慮するような仕組みとしていくのかということの議論が考えられるというふうに考えておりますし、仮に一定の差異を認めるということになった場合でも、保険料の平準化は進めていかなければならないと思っていますので、それを進める意味でも県内で今、市町村ごとにさまざまな保険料の算定方式等について標準的なものを考えていくかどうか。こういったことが論点になってくるだろうと考えてございます。

 3点目は財政運営あるいは保険料の賦課徴収以外のさまざまな保険給付等の仕組みについて、どのように考えていくのかということでございまして、役割分担をどのようにしていくのが国保の運営にとって効果的、効率的かということを議論していく必要があるという状況でございます。

 前回、申し上げましたけれども、役割分担の議論につきましては、まだ地方3団体との協議の中でも本格的にはこれからという状況になってございますので、引き続き関係団体等とよく相談、協議をしてまいりたいと考えている状況でございます。

 私からは以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、事務局からの説明に引き続きまして、委員提出資料がございますので、小林委員、白川委員、望月委員の順で資料の御説明をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○小林委員

 協会けんぽの小林でございます。

 本日は私ども協会けんぽの財政状況などについて御説明する時間をいただき、ありがとうございます。

 初めに、委員提出資料2-1の2ページ、3ページをごらんください。協会の財政は被保険者の収入の伸びを大きく上回って医療費支出が伸びており、構造的に赤字財政にあります。リーマンショック以降、急激に落ち込んだ標準報酬月額は、これまで減少または横ばいで推移しておりましたが、25年度は若干好転する見込みであります。こうしたことを背景に、今年1月時点の見込みよりもやや改善した状況にあるのではないかと考えます。しかし、好転といっても前年度比でわずかプラス0.3%であり、依然として赤字財政構造があることに変わりありません。

 次に、見開き資料4ページ、5ページをごらんいただきたいと思います。構造的に赤字財政であるのに加え、さらに高齢者医療制度に対する拠出金負担が非常に重たく、協会の保険財政を逼迫させております。現在、協会けんぽの全体の収支は8兆円から9兆円程度でありますが、そのうち高齢者医療への拠出金は全体の収支の約4割、3兆円以上という規模であり、24年度では3,000億円増加し、25年度もさらに2,100億円の増加の見込みであります。こうした依然として厳しい財政状況にある中で、私ども協会けんぽは加入者数3,600万人、国民の3.6人に1人が加入している日本最大の医療保険者として、加入者の皆様の健康、医療を支えるために、財政基盤の強化に向けてジェネリック医薬品の使用促進やレセプト点検、保健事業の推進など、医療費適正化をはじめ、さまざまな面で保険者機能を発揮し、強化してまいりました。詳細については委員提出資料2-2をごらんいただければと思います。

 しかし、日々こうした努力を続け、また、目の前の収支が多少改善したとしても、構造的に赤字財政であることは何ら変わっておりません。協会けんぽが持続可能な制度となるためには、暫定対応の繰り返しではなく、恒久措置の実現が必要であります。

 見開き資料8ページ、9ページをごらんください。8ページは賃金上昇率を過去10年間の平均であるマイナス0.5%で一定としたケースについて、9ページは最近の景気動向を踏まえ、賃金上昇率をゼロ%で一定としたケースについて、それぞれの将来見通しを示したものであります。

 足元の賃金上昇率が多少改善したとしても、いずれのケースも現在の制度の枠組みのままでは平成28年度には準備金は枯渇し、兆円規模に匹敵する累積赤字を抱えることが避けられない見通しであります。

 次に、資料10ページをごらんいただきたいと思います。私ども協会けんぽの平均保険料率は10%と極めて高く、他の被用者保険と比べて依然として大きな開きがあります。これ以上の引上げは加入者の多くを占める中小企業の経営、生活を超えるものであり、限界であります。

 なお、本日事務局が提出した資料2でも、推定時点が若干異なりますが、協会けんぽと健保組合の保険料率に依然として大きな開きがあるということが出ております。

 今回、来年の通常国会に向けて、医療保険制度の全体の見直しのための議論を開始したわけでありますから、協会が持続可能な制度とするために、また、所得の低い方が高い保険料率を負担するという、およそ社会保障とは言いがたい逆進的な状況を改善するために、将来を見据えた改革を実現すべきであります。

 最後の見開き18ページ、19ページをごらんください。協会けんぽとしては27年医療保険制度改革において、協会の財政基盤強化については法律が定めるとおりに国庫補助率20%への引上げを実現させるべきと考えます。また、公費負担の拡充をはじめとした高齢者医療制度の見直しについても、一刻も早く実現させるべきと考えます。まず後期高齢者医療に対する公費負担について、名実ともに5割を実現すべきであります。この問題は協会のみならず、医療保険全体の問題でありますので、避けられないと考えております。一刻も早く結論を出し、手をつけるべきと考えます。

 さらに、団塊世代の影響を踏まえると、前期高齢者医療への負担についても一刻も早く手を打つ必要があります。これも繰り返し申し上げておりますが、新たな公費投入について検討すべきと考えます。また、後期高齢者支援金の負担方法については、前回申し上げたとおり、負担の公平性の確保という観点からも、総報酬割の全面導入を実現すべきと考えます。

 以上でございます。ありがとうございました。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 では、引き続きまして白川委員、よろしくお願いいたします。

○白川委員

 説明の時間を頂戴いたしまして、大変ありがとうございます。

 資料を提出させていただきましたけれども、簡単に言うと3部構成になっておりまして、最初は健保組合の現状を数ページ、次に高齢者医療制度に関連する我々の意見、最後に医療保険部会として議論すべき、少し拡大して議論したらどうかという意見という構成にさせていただいております。

 最初にお開きいただいて、1ページから4ページまでが健保組合の状況でございます。前回、事務局で8ページも資料をつくっていただいたものですから、ここは簡単にまとめさせていただいております。

 1ページ、左の表でございますが、今、健保組合1,410という数で、加入者数は被扶養者含めて2,900万強という数でございます。平均保険料率8.861%、これは本年度26年度の数字でありますけれども、赤字がございますので、その赤字分を保険料換算した実質保険料率ということでいいますと、9.632%という数字でございます。

 右に年度ごとの経常収支の状況をお示ししてございます。これはいつも出させていただいておりますのでおわかりのとおり、2008年の医療制度改正のとき以降、大体3,000億とか4,000億とかいう赤字がずっと続いている状況でございます。

 2ページ、先ほど協会けんぽの小林委員からも御説明がありましたけれども、左のグラフでございます。2007年を100とした場合に拠出金あるいは法定給付費、平均の標準報酬月額、賞与額がどう推移したかというものでございます。これは一目瞭然でございますので、説明は省略いたします。

 右のほうの図でございますが、これも小林委員から御説明があったかと思いますが、問題は経常支出に占める支援金等の拠出金の割合が、健保組合の場合は42%という数字でございます。

 3ページ、この表の説明の前に申し上げておきたいのですけれども、いつも健保組合の場合は平均値でどうだという言われ方をするのですが、先ほど申し上げたとおり1,410の健保組合があるものですから、さまざまな形態がございます。多いところですと被保険者数で30万人というところから数十人という健保組合もございますし、標準報酬につきましても非常にばらつきが大きい。したがって、ここに一部書いてございますけれども、保険料率が10%、これは協会けんぽさんの平均料率でございますが、それを超えている健保組合が年々増えてきておりまして、2014年度では251組合、2割弱というところまで増えてございます。

 右のほうは保険料収入のうち、45%以上を高齢者医療に拠出しているところが約6割という数字でございまして、一番高いところは70%以上も拠出している健保組合もあると御理解をいただければと思います。

 4ページ、これは保険者機能ということで、保健事業について若干まとめたものでございますけれども、上の表でございますが、保健事業費、2014年度予算でいきますと3,594億円という数字でございまして、保険料収入に占める割合、大体5%弱ぐらい毎年保健事業に投入している状況でございます。

 健保組合の現状はそんなところでございまして、5ページ以降は高齢者医療制度に関連する私どもの意見でございます。5ページ目は健保連でシミュレーションしたものでございまして、2010年度と2016年度で後期高齢者、前期高齢者、現役といいますか、それ以下のところが、医療給付費はどのように変化するかというものをあらわしたグラフでございまして、2010年度に58%だった高齢者医療が、2016年度には64%になるということでございまして、実に医療費の3分の2が高齢者医療で必要というシミュレーションでございます。

 6ページ、これは前期高齢者数の推移を表にしたもので、厚生労働省が作成した資料を借用しておりますけれども、団塊の世代が前期高齢者入りをしてまいりましたので、前期高齢者の加入率は、2412.2%、2512.8%というのが、ピーク時の平成32年には14%に達する。その後、徐々に今度は後期高齢者のほうに移ってまいりますので、前期高齢者としてはずっと減って、平成37年には現在ぐらいのあるいは去年ぐらいの水準に戻る。この山をどうするかということが大きな論点ではないかと考えております。

 7ページ、現役世代の拠出金負担の状況ということで、後期と前期で分けて保険者ごとに伸び率をまとめさせていただきました。後期高齢者支援金につきましては一目瞭然、健保組合と共済組合が増加をしておりますけれども、これは3分の1総報酬割を導入した影響となります。

 前期高齢者納付金と退職者医療納付金については、全体で22%の増でございますけれども、これは先ほど御説明したとおり、2015年度以降、暫時増えていくということは間違いないと見ております。

 8ページ、これは私どもで試算をしたものでございますが、左側に被用者保険全体で2010年度から2016年度まで、どれぐらい保険給付費あるいは拠出金が伸びるかというものをまとめております。一番左側が保険給付費でございまして、加入者1人当たりの伸び率は2016年度までで15.9%というシミュレーション結果でございました。それに対してその右側、これは拠出金計でございますので、その右の3つの納付金、支援金等をまとめた数字でございますけれども、こちらの伸びは40.7%ということで、要は自分たちのための保険給付に使う分ではなく、拠出金負担の伸び率のほうが高いという結果になってございます。

 ちなみに、一番右は後期高齢者の保険料をシミュレーションしたものでございますが、これは26.8%ぐらいの伸び。これで言いますと後期高齢者御自身の保険料の伸びよりは、現役世代の伸び率のほうが大きいという結果でございます。

 9ページ、これは小林委員から説明がありましたとおり、上段の後期高齢者医療制度ですが、公費は5割負担ということになっているはずですけれども、現実的には今、47%という水準でございます。それから、前期に係る財政調整で公費はどれぐらい入っているかというものを私どもで試算したものでございますが、一番下にありますとおり、現在合わせて1.5兆円、給付費全体の23%ぐらいが公費の負担になっているという計算でございます。

 以降は健保連の主張でございます。1つ目は高齢者医療制度への公費拡充という話でございまして、縷々説明してまいりましたとおり、持続可能な社会保障制度の構築のためには高齢者医療の負担構造の見直しが最重点課題。高齢者制度のあり方、その費用負担等について、早期に具体策を検討すべきという意見でございます。

 さらに、高齢者と現役世代の給付と負担の均衡、現役世代の拠出金負担の軽減の観点から、後期高齢者医療制度の公費5割を確保することはもとより、団塊世代の高齢化に対応し、前期高齢者医療の財政調整の仕組みを見直すとともに、公費拡充を実現すべき。そのための財源として、消費税の税率引き上げ分を活用すべきという意見でございます。

 2つ目の後期高齢者支援金への全面総報酬割導入につきましては、一番下にありますとおり、国庫補助削減分の財源を市町村国保の財政赤字の補填のために転用する案については、断固反対。これは前回、5団体の共同意見書ということで発表させていただきました。

 その上の2つ目のポツでございます。後半部分ですけれども、それによって削減される国庫補助分は、現役世代の拠出金負担の軽減、特に前期高齢者への公費拡充のために活用すべきというものが私どもの意見でございます。

 その次のページでございます。これは一番上に書いてありますとおり、前期高齢者納付金の計算方法に納得いかない部分が多々ございまして、健保組合の不満が非常に多いという内容でございます。健保組合の関係者以外の方は、なかなか御理解しにくい部分があるかと思いますけれども、一通り説明をさせていただきます。

 まず1つ目は、前期高齢者の納付金が被用者保険全体で約3.4兆円ということでございます。国庫負担、この絵は前回、厚労省から提出された資料をそのまま丸写ししたものでございますけれども、この資料によりますと右下に公費負担額というものがございまして、国の負担は3兆3,300億と書かれておりまして、国の負担よりも被用者保険からの納付金のほうが多いというのはいかがなものかというのが1つ。それから、この絵で先ほど高齢者医療課長から前期高齢者の納付金、交付金、そのうち約2,000億円が若人世代といいますか、前期高齢者以外の部分で使われているという御説明がありましたけれども、なぜそんなことになっているかということを私どもは前々から申し上げているのですが、その理由はこの絵で言いますと一番右に前期高齢者交付金、これは3兆5,000億になっておりますが、これは退職者給付金に相当する部分が1,000億ぐらい入っているので上の数字と合いませんが、いずれにしてもこれをまず先にして、ですから3.5兆円がまずありきで、残った分を公費と保険料で分ける。こういう仕組みになっておりまして、私どもから言わせれば2,000億余計に払っているのであれば、その2,000億分は返してくれと当然主張したいわけです。前期高齢者の分として納付しているはずなのに、それがなぜ現役世代に使われるんですかということでございまして、裏返せばまず国保のほうの保険料と、それに対応した国費、公費を決めていただいて、前期高齢者の足りない分を被用者保険に請求していただく。したがって、順番が違うのではないかというのが私どもの大きな疑問といいますか、問題意識でございます。

12ページ2前期高齢者の計算式というのは依然から説明があったとおり、それぞれの保険者の前期高齢者加入率の差を納付するという形でございます。これ自体はそういうことで一定程度納得はしているのですけれども、それに加えて前期高齢者に係る後期高齢者支援金の分まで加入者調整率により増幅されている。要するに、例えば健保組合に在籍する前期高齢者の方々の後期高齢者支援金を負担するというのは当然なのですが、この計算式で言いますと、被用者保険に在籍していない前期高齢者の分も後期高齢者の支援金分だけは払えという計算になっているということでございまして、この金額が2014年度で4,400億円という巨額な金額になっている。これが納得を得られていないという2点目でございます。

 3つ目、先ほどの件と重なりますけれども、国保側では前期高齢者とそれ以外の財政区分が設けられていない。前期高齢者の保険料が総額幾らになるかという計算は可能でございますが、財政区分が設けられていないために先ほど申し上げたような2,000億がどこに消えたかわからないという状況になっている。現在、都道府県単位化が議論されておりますけれども、現在の1,700の市町村国保の状態で財政区分をすることはかなり難しい。現実的には不可能であろうということは理解をしておりますが、都道府県単位化という段階になりましたら、ぜひとも前期高齢者とそれ以外という財政区分をはっきりさせていただいて、被用者保険から納付した納付金がきちんと前期高齢者に使われているんだということがわかるような仕組みにしていただきたいと考えております。

 4番目は概算と確定というものがございまして、当年度の概算ということで一旦納めるのですけれども、2年後に精算ということで入ってきたり、追加徴収というものが行われます。そうしますと小さな健保にしてみると、追加徴収ということになると保険料を上げなければいけないという事態になることがよくあるものですから、それについて改善をしていくべきではないか。そういったことでございます。

 飛ばしまして最後でございます。13ページでございますけれども、医療費の適正化について、プログラム法でも外来と入院に係る給付の一部見直しというものが掲げられておりますが、私どもはこれだけでは不十分であろうと思っております。患者負担の見直し、紹介状なし大病院外来の定額自己負担、入院の給食給付につきましては多分、事務局でも考えていらっしゃると思いますが、それ以外に例えば高齢者の患者負担割合の引き上げ、高額療養費の外来特例の見直し等についても一度、議論すべきではないかという提案でございます。

 2つ目は、療養の給付範囲の見直し。簡単に言うと保険の適用範囲の見直しということも一度議論すべきではないか。例として湿布薬あるいは市販類似薬の保険適用除外といったことも議論していくべきではないかと願っております。

 現金給付の見直しについても、傷病手当金とか出産育児一時金、埋葬料、これを直ちに見直せと言う気はないのですけれども、議論していくべきではないかということで問題提起をさせていただきました。

 私からは以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 それでは、引き続きまして望月委員から御説明をお願いしたいと思います。

○望月委員

 発言の機会をいただき、ありがとうございます。

 本日、委員提出資料4として、経団連の「医療保険制度改革に関する要望」という資料をお出ししております。

 先日の会議で配付しました被用者保険関係5団体の要望と重なりますので、全ての内容の御説明はしませんけれども、3点申し上げたいと思います。

 まず、要望書1ページ目ですけれども、際限なき保険料負担増の抑制。この2つ目の段落でございますが、後期高齢者支援金への全面総報酬割導入につきましては、高齢者医療への税投入の拡充と、医療給付の重点化・効率化といった施策とセットでなければ賛同できないと考えています。

 保険料の負担増に歯どめがかけられるという展望がない中では、いわゆる応能負担を根拠に負担が際限なく増加するのでは、なかなか納得感が得にくいと考えています。

 国民会議の報告書でも若い人々の納得感が得られる全世代型の社会保障への転換を目に見える形で推進することが重要だとうたわれておりますので、当部会でもこの基本理念を念頭に置いて改革に臨むべきだと考えています。

 次の段落ですけれども、このペーパーの下段のほうですが、2015年度には団塊世代が全て高齢者になるということを踏まえまして、いわゆる保険原理を超えたリスクへの対応や世代間扶助については税による控除という考え方を徹底させて、前期高齢者も含めた高齢者医療給付への税投入を拡充していただきたいと考えています。

 3点目ですけれども、これは先ほど白川委員からも御説明がございましたが、前期高齢者医療への財政調整のあり方について述べたいと思います。事務局におかれましては本日、御説明がございましたけれども、同趣旨の資料を4枚目におつけしております。こちらは平成22年の厚労省の資料で、年度は違いますが、約0.4兆円、先ほどの事務局の御説明では約0.2兆円、いずれにしても超過が生じております。こうした状況を踏まえて制度の見直しが必要だと考えています。

 そもそも全高齢者にかかわる財政調整というのは、保険者間での前期高齢者の偏在に着目した財政調整であるということですので、前期高齢者と現役世代とで会計を明確に区切る必要があると考えています。

 具体的には国保の会計を65から74で明確に区分した上で、その会計区分の中で保険料と公費で賄い切れない部分を納付金で支えるという形に見直すべきだと考えています。

 ちょうど後期高齢者医療の負担のあり方と同じように、前期高齢者医療につきましても保険料、公費、被用者保険からの納付金それぞれが負担すべき分を明確にすべきだと考えています。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 ほかに岡崎委員からも資料が提出されておりますけれども、これは事務局から御対応いただけますか。

○大島課長

 本日、岡崎委員御欠席ですので、かわりに御紹介させていただきます。

 委員提出資料1、国民健康保険の見直しの方向性に対する意見、高知市長岡崎誠也とある1枚紙をご覧願います。

1番目としまして、「1 国保の基盤強化策について」。

 1国保は、財政的な構造問題を抱え、財政基盤の強化は最優先の課題。

 2方針が決まっている社会保障と税の一体改革による保険者支援の1,700億円は、早急かつ確実に実行すべき。また、それだけでは国保の財政基盤の強化は難しい面があるので、さらなる公費投入が不可欠である。後期高齢者支援金への全面総報酬割を導入することにより生じる財源を国保の支援に優先的に活用することを含めて、国の責任において財政確保を行うよう強く求める。

 3公費投入の方法としては、都道府県の被保険者の所得格差に着目した、より財政調整機能を強化する支援策を要望する。

とございます。

 「2 国保の賦課限度額について」。

 保険料を引き上げれば賦課限度額に到達する所得水準は下がるという問題もあり、単純に賦課限度額を改定するだけでは本質的な問題は解決しない。高所得者における負担能力に応じた応分の負担のあり方についても検討すべき。

 「3 財政運営の責任を担う主体(保険者)を都道府県にすることについて」。

 都道府県と市町村の役割分担に当たっては、都道府県単位化によるスケールメリットを生かす。移行によってシステムの維持、回収費用の削減や事務の効率化につながるようにすべきと考える。

 「4 一般会計からの法定外繰入等について」。

 国保保険料負担の重さから、一般会計からの保険外繰入を実施せざるを得ないといった実態もあり、繰り入れをやめるべきというのであれば前述したとおり、基盤強化のための公費による財政支援の拡充が不可欠。また、予期しない給付増や保険料未納等に対して、国保においても財政安定化基金を設けることで赤字補填のための繰り入れを解消していることが適当であり、厚生労働省において具体的な検討をお願いしたい。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、質疑に移りたいと思います。これまで事務局が御説明された内容あるいは提出された委員の方々の御説明された内容、全体を通してで結構でございます。特にテーマは絞りませんので、御質問、御意見があれば御自由にお願いしたいと思います。

 和田参考人、どうぞ。

○和田参考人

 知事会の参考人の和田でございます。発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 本日、できますれば委員提出資料という形でお出ししたかったのですが、資料調整に間に合わなかったために、社会保障常任委員会の委員長という立場あるいは知事会という立場で、近々国のほうに申し入れる中身をこの場で表明をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 読み上げさせていただきます。国民健康保険制度の財政基盤強化についてということでございますが、国は、全国知事会に国保基盤強化協議会への参加を要請するに当たり、「国民健康保険に対する財政支援の拡充をしっかりと行い、財政上の構造的な問題の解決に責任をもって取り組む」旨を表明した。

国民皆保険制度の最後の支え手である国保を将来にわたって持続可能なものとするためには、「あるべき保険料水準」について十分議論した上で、極めて高い被用者保険との保険料負担の格差をできる限り縮小するような、抜本的な財政基盤の強化が必要である。

それにもかかわらず、国は保険料水準の議論を避け、問題解決への道筋を明確に提示していない。

国には、国保の被保険者の負担が限界に近づいていることを改めて認識し、追加国費の規模も含めた抜本的な財政基盤強化の具体策を一刻も早く提示するよう、強く要請する。

 我々都道府県としては、国保の構造問題が解決し、持続可能な制度が構築されるならば、市町村とともに積極的に責任を担う覚悟である。

 今後、国が構造問題解決への道筋を明確に示さずに、都道府県と市町村の役割分担につての議論のみを進めようとする場合には、協議から離脱する、ということでございますが、考え方を少し御説明させていただきたいと思うのですけれども、基本的な方向性の話でありますが、医療費水準が高いでありますとか、保険料負担が重い、あるいは赤字財政といった構造的な問題を解決して、将来にわたって持続可能な制度を構築するために、国費投入による抜本的な財政基盤の強化が必要と考えておりますが、今まで国のほうで示していただいた方向性については、交付金の投入規模が提示されていない。あわせて中身も具体性に欠けている。したがって、現時点で抜本的な財政基盤の強化となるかという判断は非常に難しい状況にあります。

 前回、今回もおつけいただいた資料として、例えば厚労省のほうからは精神疾患の医療費が高いといった、保険者の責めによらない要因により医療給付費が高くなっていることへの財政支援の強化でありますとか、低中所得者層の保険料負担あるいはその伸びを抑制するための財政支援の強化、さらには財政リスクへの制度的な対応等、個々の対策について別に否定をするわけでもないですし、効果がないとは思わないのですが、果たしてこれで構造問題が全て解決して、将来にわたって持続可能な制度となるかというと、とても確信は持てない。

そういう中で都道府県として責任ある財政運営が期待されても、なかなか現時点でそれに対してお応えするようなことは難しいかなと考えてございます。

 医療費の増加が今後見込まれるという中では、当然、将来にわたって保険料の負担が伸びていかざるを得ないという状況はわかるにしても、国保の被保険者が保険料負担に耐えることができて、保険者が安定して財政運営を行うことができるような、もっとマクロ的な観点から検証された構造問題の解決が必要なのではないか。そういったマクロ的な観点からの抜本的な国費投入策が講じられないと、なかなか都道府県としては責任を持って財政運営を担うということは約束できないと考えております。

 知事会内部では多くの県から被用者保険との格差を見ながら、あるべき保険料水準について議論をして、それを踏まえた財政基盤の強化策を提出すべきという意見が出されておりまして、また、医療費が高い、あるいは今後もその増加が避けられないといった中で、特に非正規の労働者等の中低所得者を多く抱え、所得100万円未満の世帯が約5割という状況でございますので、平均所得も63万円という中で、国保において低所得者のみならず、中所得者の負担感が増大している。全国的な負担率といいますか、平均で前回の厚労省でお示ししていただいた14.3%という負担率の数字がございますけれども、あれはあくまでも平均でございまして、ほとんどの都道府県はあれを上回っている状況。高いところですと平均が20%を上回っているような都道府県もあるという状況で、保険者によってはもっと高い。まして低中所得者といった方をつぶさに見ていきますと、低中所得者になればなるほど保険料負担が高いという状況がございますので、そういったところをきちんと見ていただいて、基本的にかなり限界に近づいている、あるいはもう限界に達している市町村もあるのではないかと考えておりますので、改めて多くの県からそういった水準を見ていただいた上で、あるべき財政的な基盤強化策を提示していっていただきたいという議論がされております。

 したがって、前回の部会の中でも議論されました法定外繰入3,500億というところがあるわけですけれども、それだけが解消すればよろしいということではなくて、そもそもそれが入ったとしても、かなり高い水準に保険料負担率があるという前提でも見ていただけないと、それだけに着目してもなかなか構造的な問題の解決にはならない。国保の被保険者が将来にわたってその負担に耐え得るような保険料水準がどういったレベルなのかということを考えて、保険者がそれを踏まえて財政運営を安定して行うことができるようにしていかなければならないのかなと考えております。

 あわせて、これは前回の部会の中でも議論になりました、「被用者保険と比べて必ずしも負担率が高いとは言えないのではないか」といった御指摘があるわけですが、その論拠として一番大きいのは所得捕捉率というところでございますけれども、今回の資料の中にもございますが、国保の職業構成が自営業、農業といったものの中心から年金生活者等の無職者が4割、さらに非正規労働者等の被用者が3割、合わせると7割ぐらいですが、こういった方が中心へ被保険者の構成が変わってきている。そういうところもきちんと見ていただいて、国保と被用者保険との保険料負担の間には、大きな格差が存在しているのかなということを御理解いただければと。

 大都市部の法定外繰入の話が前回も少し議論になりましたけれども、前回、御指摘いただいたことにつきましても該当するような都県に照会していたところ、説明としては、1つは保険料負担率の14.3%、これはあくまで平均であるということで、法定外繰入を行って全国平均を下回る保険料負担とみられている。これは横浜市の例でありますけれども、それにおいても実際の所得階層別の保険料負担の状況というのはかなり高いものになっている。具体的には、全ての階層で保険料負担率については協会けんぽと比べても高くなっている。特に所得で200万円から400万円、いわゆる中間所得階層では、世帯構成人数が3人以上となると協会けんぽの1.5倍とか2倍近くとなっているという御指摘もいただいております。

 一般会計繰入をやめるとなると、中間所得者層の負担が低所得者層も含めてさらに重くなってしまい、負担に耐えられるかどうかという意味合いでは、この制度自体が破たんしかねないということが考えられます。こういった状況からは都市部における多額の法定外繰入を単純に保険料に添加することは困難なので、国保への支援の必要性を減じるものではないというお話はいただいているところでありますが、いずれにしても法定外繰入だけの問題として国保の問題を見ていただきたくないなと。それ以外のところで既に、それを入れたとしてもかなり高い保険料の負担率であるということを前提として見ていただければと思うところでございます。

 以上でございます。長くなりました。済みません。

○遠藤部会長

 先ほど横尾委員、お手を挙げになりました。横尾委員、どうぞ。

○横尾委員

 3点ほど申し上げたいと思います。

 1つ目は質問です。健保組合の資料をいただきましたが、70%以上負担されている32組合というものがありました。どのような職種なのか、もしわかれば教えていただけるとありがたいと思いますし、かなりの負担で御苦労があるだろうと思ったところです。

 2点目は、意見といいますか感じたことです。1つは先ほど委員からの御提案の中に、65歳以上と64歳以下を分けて行うほうがいいのではないかという御主張等もありましたが、冒頭の高齢者医療課長さんからの説明もありましたように、65歳以上を区分した場合には、現役世代の負担料も引き上がるなどの可能性も触れられました。そういったこともありますから、慎重な対応が必要ではないか。現実的な対応を考えるべきではないかと思っています。

 全加入者が保険料を一体として用いて、全体のためにやっているわけですので、そういった財政を含めた検討が極めて重要だろうと思っています。あわせて前回も申し上げましたが、やはり負担能力のある人が払わないことには全体は回らないということになっていくと思います。福祉国家を考えていくと、総報酬制というのがある程度必要ですので、これらについては今後の議論はもちろん必要です。そういったスタンスをとるかどうかというのは非常に重要な判断かもしれませんが、やはり総報酬割を行わなければ全体の財政運営は回らないのではないかということは改めて感じています。

 3点目は、今の知事会の方からの意見を私も驚いて聞いていますが、前回の会議では、「財政運営の改善に資することを念頭に置きながら、テーブルについて議論する」との意見でありましたが、今のお話を聞いていると、そんなことしないよと聞こえてしまったのです。何で急に変わるのかということです。

 そして、本日の今の発言は代理者の方の意見と受けとめていいわけですね。もし公式見解だとすれば、本日傍聴で来られている方の中には報道関係の姿も拝見できますがきっと、ぜひ聞きたい質問が山ほどあるわけです。その辺は、どう対応されるのかと思いました。

 私は後期高齢医療広域連合の代表で来ていますが、自治体側も国保の広域化については非常に重く考えておりまして、知事会あるいは各都道府県別で広域化についても議論されております。積極的にこれをやろうという検討もございますので、今のように十把一絡げで言われると、そういった努力をしてきた基礎自治体や都道府県レベルの自治体においても、非常に齟齬が出てくるのではないかと思いますので、その辺を少し詳しく、また別の機会でも構いませんが、聞かないと納得できないという気がいたしました。

 財政運営は非常に重要なことで懸念も多いと思います。高齢者医療制度改革会議が民主党政権で始まった最初の日に、私は後期高齢者医療広域連合の代表として、当時の長妻大臣に申し上げたのです。「消費税議論を民主党は行わないとの意見でありますが、今から行わなければ間に合わない。福祉国家の財源は必要だと思います。党では行わなくて結構ですから、この場で行ってください、あるいは厚労省で考えてください。そして財源を捻出しなければ全体が回らなくなるので、そういうタブーは一端置いて、別途議論してください。その上で知事会が一番求めておられる財政の手当、政府がはっきりと明確にそのことを表明していただければ、都道府県知事会はおそらく、協議にしっかり乗ってくださる。その上で国民全てが生まれてから天寿を全うするまでの医療について、本格的な議論もできるはずです」ということを申し上げたのですが、当時なかなか実行はされませんでした。

 同じような課題が今も残っておりますので、財政運営を懸念される知事会としては今のような検討を行われていると思います。被用者関係の健康保険もありますが、退職された場合あるいは途中で解雇されて転職をされる場合、一時的に休職をしてその間の医療の頼りとする場合、ほとんどが国保にお世話になる形の方がふえてきております。もちろん、意見されたように所得が高くなく、財政構造はスタート地点からすると大幅に変わっております。しかし、それを何とかやっているのが本日御欠席ですけれども、岡崎委員を中心とした全国の自治体がやる国保であるわけです。これを含めて都道府県の行政、特に保健所行政も担っておられる知事会でありますので、そういったことも包括しながらぜひ国民の健康や医療を守るというスタンスに立って、「少々苦労が多くても一緒に知恵を出すよ」、「汗もかくよ」というスタンスで臨んでいただくことが何より重要なことだと思っています。ぜひ福田委員にも、厚い期待もあります、注目もありますことをお伝えいただきたく思います。ぜひ大きな議論をしていただくことが重要だと思いますし、この部会もそういったことを踏まえた議論をしていくことが今、本当に重要だと思っております。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、質問ということでしたので、白川委員から何かコメントございますか。

○白川委員

 今の横尾委員の御質問について、簡単に申し上げますと、いろいろな軽減措置がございまして、拠出金の負担率というのは50%ぐらいが限界ということにはなっているのですけれども、現実的には先ほど申し上げた2年後精算ということがありまして、当年度ではない分がプラスアルファされて50%を超えるというところが実に200健保ぐらいあります。

 どういう業種かというのは、そういう事情でございますので、限られた業種ということではございませんで、要するに対象になるところは毎年変わる。ただ、同じような傾向がずっと続いているというふうに御理解いただければと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 では、和田参考人、追加のコメントがあればよろしくお願いいたします。

○和田参考人

 横尾委員、ありがとうございました。

 趣旨を取り違えていたら申しわけございません。参考人という立場できょうは出席させていただいておりますので、あくまでも知事の代理ということでございますので、最初、冒頭に読み上げさせていただいたのは、近々国に申し上げたいと調整しております意見書の中身、要望書の中身ということで読み上げさせていただきました。

この中身の趣旨は先週、お答えした中身と実質的には変わってございません。要するに前提として今までずっと知事会としては、財政上の構造的な問題の解決に責任をもって取り組みますというような国からの御意見をいただいて、それを前提として議論に参加しましょうというところ。

ただ、それを横に置いておいて役割分担だけの議論を進めるということであれば、それはちょっと乗れませんというお話でございますので、ですから前回はそうは言いながらも、現時点での財政上の構造の問題について国から示されている中身については、先ほど申し上げましたように必ずしも満足できるものではないといいますか、それだけでは規模感も含めて十分なものとは思えないとは言いながらも、その役割分担、財政上の構造問題とかかわる部分では、当然、役割分担も議論していかなければならないという状況でございますので、当然それには必要な範囲で議論も並行して進めていきましょうということで前回もお話したとおりでございます。前回の話と今回の話と決してそごはないということで御理解いただければと思います。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 横尾委員、よろしいですか。

○横尾委員

 意見書のほうが少し濃厚なのかもしれませんが、正式なものを見てからコメントもしたいと思いますし、ぜひ全体で知恵を出してこの局面を打開できるように、今後ともよろしくお願いいたします。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 岩村部会長代理、どうぞ。

○岩村部会長代理

 今の都道府県の知事会の御意見の件ですけれども、先ほどおっしゃっていたようにあるべき保険料というものについて議論をして、それをもとに財政の問題を考えていくんだという御議論の趣旨だったような気がしますが、私の根本的な疑問は、あるべき保険料水準なんて決まるんですかということです。それは決まらないでしょうという感じを持ちます。それは議論していたらいつまでたっても多分決まらない話だろうという気がします。

 もう一つは、やはり都道府県単位、都道府県のほうで今度は財政責任を負っていただきながら国民健康保険を運営していきましょうということですので、さらには今回、医療法その他の部分でも都道府県の役割等についての変化というものも起きてきますから、そういう意味ではいろいろな形で国民健康保険の財政にかかわる与件というのは変化していくだろうと思いますし、また、財政の面から言えば都道府県の果たすさまざまな誘導的な役割、政策的な役割というものも大きくなってくるので、そういう意味でも財政の面での与件というのは、いろいろ変わってくるのではないかというふうに思います。

 前回のお話ですと、先ほど最後のほうにも触れられたように、財政の話もしつつ、しかし、他方で市町村との役割分担のお話もしますという表明だったと思っていたのですが、きょうお話を伺うと全然そういうふうには聞こえなかったので大変驚いたのです。やはり役割分担の話というものも、結局のところいろいろな形で財政の問題ともかかわる話でございますので、財政の問題について議論が収着しないと役割分担の話には入りませんというスタンスですと、結局、一歩も議論が進まないのではないかという気がいたしますし、生産的な議論にはならないのではないかという気がいたします。財政の問題は財政の問題でもちろん議論していただく必要はあるだろうと思いますが、他方でやはり役割分担のところも議論を詰めていかないと、いろいろな点で財政の問題を議論する前提というのも決まってこないのではないかというような気がいたします。その辺、知事会のほうにおかれましてもぜひ御考慮いただいて、議論に積極的に参加していただければと要望したいと思います。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 例えば都道府県と市町村の役割分担の議論が今、出ましたが、それに関連した御発言のある方いらっしゃいますか。岩本委員、どうぞ。

○岩本委員

 きょう、事務局の資料2で論点が出されていますので、それにつきまして意見を申し上げたいと思います。

 この中で賦課徴収の事務は市町村が役割を担うということで検討されているのですけれども、やはり徴収というのは非常に大変な業務ですので、そこを怠ると徴収率に跳ね返るということですから、市町村から離れてということが現実的ではないということで、これは妥当な考え方であると思います。

 その後に、保険料の設定をどのように考えるかということなのですが、私の考え方としましては、現に国保の保険料、保険税というものが都道府県内で格差があるということがいろいろと言われていまして、そういったものがあるということは、基本的に負担をする側にとっては負担をためらう要因になってくるかと思います。制度はできるだけ透明で公平なものにしていかないと、これからも医療保険の負担というのはどんどん上がっていきますけれども、そういった高い負担というものを納得して払ってもらうためには、公平で透明な制度というものが必要になってくるだろうと考えられます。

 そのような制度でどうするかということなのですが、ここは保険料のほう、都道府県でも全部まとめてしまって均一の保険料の水準にしてしまうのか、あるいはそれを別の形にしてしまうのかという論点があるかと思います。均一にしてしまうということは、各市町村の医療費の使い方というものが違っているという状態で、たくさん使っている自治体の尻拭いをするのかというか、そういう不満も出てくるかと思いますので、よその自治体の尻拭いといったことが起こらないような制度設計をしたほうがいいのではないかと思います。

 そういった面で参考になるのは、協会けんぽが取り入れている仕組みなのですけれども、各都道府県で全て独立でやりますと、これは沖縄県の保険料率がとても跳ね上がってしまうということで、それはならすような仕組みにしておりますけれども、ただ、全国一律ではなくて、保険料は差がある。どうして差があるかというと、それは医療費を全国並み以上に使っている県は高くなっているということで格差があります。ただ、この格差はそういった意味で医療費をたくさん使っているという説明がつきますので、そこで抑えたければ自分の県で努力しなさいという意味で、前向きの格差になっているというわけです。

 こういった仕組みといいますか、こういったものを取り入れながら、保険料の体系を考えていくということが必要ではないかと思います。

 もう一つ、表にありましたが、分賦金方式か直接賦課方式かということですけれども、これは先ほどの話にかかわりますが、直接賦課方式ですと徴収を怠りますと、そのつけが全体に回るということになりますので、これは分賦金方式のほうが都道府県でなく市町村が事務を担うという方向で完結をしているということであれば、こちらのほうが妥当な選択肢かなと考えられます。

 その上で賦課の基準の設定なのですけれども、このあたり市町村で独自にということもあり得ますし、あるいは県でそろえるという選択肢もあると思いますけれども、その際には透明で公平な制度設計。なおかつその中には格差があったとしても、前向きの格差といったものを含むような形の制度設計を考えてはどうかというものが、ここの論点に関する意見でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 役割分担に関して何か御意見ございますか。横尾委員、堀真奈美委員という順番でお願いします。

○横尾委員

 後期高齢者医療もやっていますが、同時に地方自治体の首長でもありますので、若干触れさせていただきたいと思います。岡崎委員からも意見が出ておりまして、過去にも御発言があったと思います。仮に都道府県単位で広域になった場合に基礎自治体と市町村はどう動くかということですが、基本的に協力するというのが大方の首長の認識だと思っています。現状、保険料徴収を初めとしたことを行っておりますので、ここは連携して密にできると思います。岡崎委員からの資料にもありますように、その事務の効率化等を図っていくような工夫をしていくことによって、全体のコストを縮減して保険料への反映をなるべく抑えていく。これは当然のことで、大方の首長は汗をかこうという肚を持った上での広域化議論を、お互いテーブルについて知事会、市長会、町村会が一緒にやるべきだというふうにお考えだと思っています。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 では、堀真奈美委員、お願いします。

○堀真奈美委員

 国保の運営に対する都道府県と市町村の役割分担についてなのですが、財政運営という面では規模の大きな都道府県が担うのが適切だと私自身も思うのですけれども、医療供給体制の地域性を見たときにも都道府県が担うのが妥当だと思っております。一方で医療・介護という視点で見ますと、現在市町村を中心に地域包括ケアの推進が図られていますが、医療と介護の連携がうまくいくかどうかという視点も、都道府県と市町村の役割分担を検討する上では重要な視点なのではないかと思います。

 それから、財政区分の話が前の委員の方々の議論の中にも出ていましたが、負担云々の話ではなくて、保険者機能という視点からも、たとえば、保健事業もですが、良い意味で保険者機能を発揮させた保険運営するためには、どこからお金がどのように入って、それをどのように使っているのかという実態が把握できていることが非常に重要だと思います。新しい制度を創設する際には、収支会計区分が明確になっていて、どのお金が何に使われているかがわかるほうがより健全な事業運営につながるのではないかと思いました。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 大体、役割分担についての御意見はよろしゅうございますか。

 それでは、お待たせいたしました。鈴木委員、お願いします。

○鈴木委員

 前回、今回と保険者の方のお話をじっくり聞かせていただきました。前回も高齢者にも所得の高い方と低い方がいらっしゃるので、そこはしっかり切り分けていただきたいというお話をいたしましたが、高齢者がこれからふえていくということは避けられませんので、これは我が国の優れた社会保険制度を活用して、みんなで乗り切っていく、共助の精神で乗り切っていくしかないと思います。そのための議論であると理解しております。

 また、低所得者の方に対して参考資料3の44ページには特例軽減をいつから、どのように見直すのが適当かという論点も書かれておりますが、その後に低所得者の軽減拡大、これは26年度に実施されておりますし、さらにその後に介護保険料の低所得者への軽減の拡大ということも書いてありますが、これがどうなるのかということはこれからの課題だと思いますが、こういったものを合わせた上で、特例軽減を見直すにしてもこれ以上低所得の方の負担をふやすことがないようにという配慮は必要であると考えます。

 その上で、保険者や高齢者自身、そして都道府県も含めて負担をもう少しできるところにはしていただくということが必要ではないかと思います。そういう意味ではきょうあるいは前回見せていただいた資料で、例えば協会けんぽの委員提出資料2-1の11ページに、これは以前も見させていただいておりますが、協会けんぽと健保組合と共済組合の給料が同じ場合の保険料額の月額というものがありますが、最も中小企業の多い協会けんぽの負担が、大企業や公務員の健保組合、共済組合よりも実額で多いというのはどう考えても矛盾だと思いますので、まずこういったところを金額でそろえ、その上でさらに保険料率をそろえていくというような取り組みが必要ではないかと思います。さらに参考資料1の19ページ、20ページですが、これは前回も出てまいりましたが、これを見ますと法定外の繰り入れというものがありますが、都道府県別に見ると要するに豊かな都道府県が、特に東京が断トツに豊かなようでございますが、低い保険料率であるのに、さらに法定外繰入をしているというようなところがあるということがあります。

 高いところに繰り入れるというのは事情があると思いますが、低い保険料率であるのに、さらにその上で法定外繰入を行うということは、かなり余裕があるということですので、これはもう少し保険料率を上げて平均並みにいただくか、さらに今度は国保の財政運営が都道府県単位になりますから、もっと大きく日本全体で考えますと豊かな都道府県が、そうでない高齢者が多くて財政力の弱い都道府県を支援するようなことも考えていく必要があるのではないかと思います。

 東京は非常に特殊なところでありまして、全国から若い人をどんどん吸収しながら出生率が低く、ブラックホールとも言われており、地方がその分、疲弊していくということがありますので、東京がそういった形で地方に返していくということも考える必要があるのではないかと思います。

 以上、意見でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 それでは、柴田委員、お願いします。

○柴田委員

 白川委員あるいは望月委員から、前期高齢者の調整の関係での御意見がございました。立場が変わると見方が大分違うんだなという感じを持ちましたけれども、まず前期高齢者の2,000億の話ですが、結局は今の調整というのは全加入者の保険料をみんな一体として取り扱う。先ほど横幕課長の話にもありましたが、そのうち前期高齢者のお金が来た場合には、その部分を除いて、あとまた前期高齢者とそれ以外の加入者全員に保険料を賦課する。保険料を賦課した結果、私の大ざっぱな見方といいますか、私は間違っているかもしれませんが、前期高齢者の加入者に占める割合は3割ぐらいなのですけれども、前期高齢者が負担している保険料は全体の4割なのです。これはどういうふうに見るかというと、結局は保険はみんなの助け合いでありますから、本当はグループ分けするというのは変なのですが、仮にグループ分けしたときに結局は保険料をとれている人たちがそうでない人たちを助けているという形になっているに過ぎないのでありまして、何ら問題があるとは私は思っておりません。

 もう一つ、前期高齢者、後期高齢者の分も一緒に調整しているではないかというお話もありましたけれども、前期高齢者制度というのは、結局は被用者保険、被用者保険だけではないですが、65歳以上の方が流れ込んできたりして国保に非常に偏って多い。1人いらっしゃると保険給付もかかるし、それから、後期高齢者の支援金というのも1人当たり幾らということでかかってくるわけです。多くいればそれだけ負担が多くなるわけですから、その分を調整する。1人いれば給付も後期高齢者の支援金もかかるというわけですから、一緒にその分も調整するというのが当たり前の話でありまして、何らおかしなことではないと思っております。

 現実問題としても、国保は今の高齢者の医療費の調整を前提にあと3,000億どうにかしなければいけないとか言って議論している。そして知事会からはきちんと財源を確保すべきというお話もある。そういうことでありますけれども、今、白川さんや望月さんがおっしゃっているようなことを仮にやったとしたら、さらに金を探してこなければならないという話になって、今の国と地方の役割分担とか持ち方、協議の前提が壊れてしまうのではないかと私は思っております。

 そういう意味からも、こういう立場には立てないということを申し上げたいと思います。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、武久委員、どうぞ。

○武久委員

 ありがとうございます。

 2つ、違う点を意見として述べたいと思っております。

 聞いておりますと、各保険者さんの言い分というのは少しずつ違っても、結局は要するに赤字でお金が足らないということに共通点があると思うのです。医療現場を預かる身としては、我々が責められているような気も多少あるのですけれども、一方で高齢者で特に85歳とか90歳になったら医療はいいのではないかという意見も結構あるのですが、個人個人にとってみますと、85歳まで何の病気もせずに保険料をずっと払い続けて、介護保険料も払い続けて、初めて病気になったのに、君は85歳だからもう医療はいいのではないかと。これはありえないのではないかと思います。

 だからこれは大きな問題として、例えば高齢者の医療が非常に高額になっていって、赤字の原因になっているということに対しての医療現場での、今回、診療報酬改定もあって少し制度改革もあるのですけれども、その結果を見ないとわかりませんが、個人的に現場を預かっている医師としては、来られた患者さんが苦しまないように努力して治療するというのは基本なわけです。

 もう一つ、県と市とか先ほどおっしゃっていましたけれども、今度の医療法の問題で、国民健康保険の保険者が県になるというのは、市町村の保険者の過疎化などが起こって、単位が小さいところはとても持てなくなるというところが原因になると思いますし、逆に言うと、都道府県でも先ほど言ったような東京都と過疎県とでは全然環境が違うわけです。そうしたときに、今度保険者である県のほうの権限は病床機能の報告制度というものができまして、知事がある程度のベッドを規制したり、いろいろすることができる。また、都道府県が保険者になりますと、どうしても自分のところの保険料はできるだけ安いほうがいいという感覚になって、いわゆる診療機能を少し抑制しようということになっていくと、お金のほうはいいのだけれども、県民の健康と医療とかに関しては影響が出てくる。権限は付与されるが、市町村から国保の面倒なことを引き受けるのが嫌だというわけにもいかないかなと思って、皆さんの立場でそれぞれ意見を言っているけれども、結局はお話合いをして丸くおさまると私は思いますが、やはり過疎のために県によっても県庁所在地と田舎のほうとで全然環境が違いますので、この流れは私は妥当なことかなと思っていますし、知事に権限が異常に集中するということは、多少、現場としては自分の病院は要らないのではないかと言われるのではないかという危惧はありますが、それは地域地域でそれぞれ協力していかないといけないことと思いますけれども、お互いが辛抱し合って妥協点を見つけていくということでは、この会は有意義ではないかと思っております。ありがとうございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 お待たせしました。和田参考人、どうぞ。

○和田参考人

 先ほど御指摘いただいた中で、1つはあるべき保険料水準について、それが決まらないと先に進めないという議論だとすると、いつになっても決まらないのではないかというお話をいただきました。

 固定的な数字といいますか、考え方として、フィックスした考え方としてこの水準があるべき水準だというものはなかなか難しいだろうというのはわかっております。ただ、ほかの被用者保険なり、ほかの保険制度との比較の中でどこまでが、どの辺までが限界なのかというところは、そういったところも踏まえて公費投入の規模等も考えていかないと、保険料から全てとればいいということになりますと、多分、国保財政は破綻、国保制度そのものが破綻するのではないかという懸念がございます。

 本日もお配りいただいた資料の中で、前回の資料の26ページには所得階層別の割合でございますとか、30ページ、こちらには所得階級別の保険料負担率、これを見ますと低所得者の階層になると20%の保険料の負担率になっている。さらにその下の31のスライド、こちらでは過去5年間ぐらいで、平成20年度から23年度で2割程度の20%程度の保険料率の増がある。さらにきょう厚労省からお配りいただいた資料の1ページの中では、今後の推移として、2012年から2020年の間に国保でいいますと20%以上の伸びが見込まれているといったところを見たときに、果たして保険料をちゃんと負担していけるような形で、保険制度そのものが維持できるのかどうかということを踏まえながら、そうするとどの辺が妥当な水準なのかということも踏まえて公費投入の規模等も考えて、そのやり方も含めて考えていただきたいという趣旨でございます。

 もう一点、法定外繰入の件で先ほど少し御説明いたしましたけれども、これは厚労省さんのほうにお願いといいますか、大都市区の中でも確かに多額の法定外繰入をしているという事実はございますけれども、それでもこの被用者保険よりも高い水準ではないかということも主張しておられるようなので、一般的にやはり被用者保険よりも高い水準ではないかと思われます。この辺、厚労省さんのほうで資料によって明らかにしていただける部分があるのであれば、御説明いただければありがたいなと考えております。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 何か事務局に対するリクエストがありましたけれども、コメントございますか。

○中村課長

 資料の求めがあった部分については、どのような資料が準備できるか考えてみたいと思います。

○遠藤部会長

 よろしくお願いいたします。

 ほかにいかがでございましょうか。白川委員、お願いいたします。

○白川委員

 国保中央会の柴田委員から、国保側の立場として私のプレゼンテーションに対して反論がありましたので、私どもの考え方を申し上げたいと思います。

 私は、被用者保険側からの拠出金について被用者保険側が納得していないよということを申し上げただけでありまして、やはり拠出する側の納得感が得られるような仕組みにしていくべきだというのが私の主張の趣旨でございます。

 現実的に、国保がそういう財源がないと運営できないという実態はもちろん重々わかっておりますし、その分を返せと先ほどちらっと言いましたけれども、そういう意味で申し上げたのではなくて、例えばそれに公費を充てるだとか、消費税財源があるわけですから、そういう工夫をして、拠出側の納得感を得られるような仕組みに消費税財源を使って変えていくという議論をしていただきたいというのが私の趣旨でございますので、あえて言わせていただきたいと思います。

 2つ目は、保険料が高い、低いという議論は、どこの保険者が高いだの低いだのという議論を始めても全然前向きの議論にはならないと思っておりまして、全体として医療費が年3%上がるかどうかは別にして、上がり続けるであろうということは委員の方の一致した見方だろうと思いますので、当然、皆保険を守るためには、保険料は今よりは上げざるを得ない。その中で消費税、公費でどういうふうに負担していただくかということが問題の焦点であって、健保組合が低いとか、国保の1人当たりの負担率が高いという話をここでしても、何も解決にはならないということを申し上げたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、岩本委員、お願いいたします。

○岩本委員

 国庫負担の問題なのですけれども、国庫負担の現状というのは資料が飛びますが、参考資料3の10ページに全体像が出ていますけれども、これを見るといろいろなことが見えてくると思うのですが、これは保険給付費がどうやって支払われているかというものなのですけれども、公費の場所が7カ所あります。後期高齢者の約5割の大きな公費の枠のほかに、点線の枠が全部で6カ所あるということで、このうち後期高齢者の支援金のほうに全面総報酬割を導入すると、ここの公費の部分は減るということで、それをどうするかという話があるかと思うのですけれども、国費のもとをたどっていきますと、これは一般財源から出ているわけですから、これは予算編成の中で医療のために使いますということで取ってきたお金なのですが、その後、目的がなくなればまた別の理由でお金をとってくる必要があるというわけなので、簡単にこの医療の中でよそに回すということが無条件で成立するとは原則的には言えないものだと思います。

 ただ、議論としては医療全体の中で公費という枠が国から認められていて、それを効果的に使っているという説明ができれば、それはこちらの部会の中でどこにお金を入れるかということを考えることができるかもしれません。それにしても公費の使い方というのはきちんと理由をつけて、どこに入れるかということを考えなければいけないというものだと思います。

 そうすると、何の目的にこれだけの巨額な公費が入っているかということなのですけれども、これは全体の保険財政が円滑に運営されることが主な目的だろうということが言えるかと思います。その中で一番大きな理由としては、仮にこういった公費がなければ具体的には後期高齢者、国保というものが行き詰ってしまうといったことを避けるためということが言えるかと思います。そのほかのところにも、そういった財政の理由があるかと思います。そうすると、結局は1つ大きなそういう共通の目的があるのに7カ所もお金を入れる先があって、しかし、それでうまくいっているかどうかという問題があるかと思います。

 手元にコップに水がありますけれども、右から水を入れると右がふくらんだりとか、左から水を入れると左がふくらんだりとか、そういうことではなくて、必ず水平になります。これは水平になるという物理の法則でなるわけです。

 こちらの医療の制度のほうは、保険料負担はそういった意味で全体になだらかに水平になっているわけではなくて、7カ所もお金を入れる先がありながら水平ではない。どこに入れるかということが議論をされているという状況なのですけれども、全体のほうで骨組みとして中で公平な負担になるようなものを入れておけば、どこにお金を入れるかというのは、コップの中の水を右から入れるか左から入れるかというものは全然関係ない。同じような問題に基本的にはなるはずです。

 今の国保のほうに公費を投入するという話と、後期高齢者のほうにこういう話とかいろいろ出てきていまして、この1年間それにしのぎを削るような議論がされるように思うのですけれども、医療費が年々上がっていく中で我々の労力をそこにつぎ込んでいっているというのは未来に向けて本当にいい状態なのかということが本当に心配になってまいります。国民皆保険を維持する上では医療保険は全体で一蓮托生ですから、制度上の不備でつくられた問題だと思うのですけれども、そういった問題に全部の資源を費やすよりは、もう少し先を見据えて全体のことを考えることが必要ではないかと思います。

 今年すぐにはできませんけれども。

今年の課題としても公費を入れるとすれば、公費を出している国に対して、最も効果的な使い方をしているという説明のつくところに入れるというのが妥当な選択になるのではないかと思います。

 少し大きな話ですけれども、以上でございます。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 ほかに御意見ございますか。それでは、堀委員、お願いいたします。

○堀憲郎委員

 歯科医療を提供する立場で一言だけ発言させていただきたいと思いますが、先ほど療養の給付の見直しというような具体的なお話もあったところですが、私どもとしましては世界に例がない高い水準の現在の公的保険医療制度を堅持、充実させながら現在の危機を乗り切るという基本で議論をさせていただきたいと思っております。もちろん待ったなしの議論が行われているところですので、歯科医療提供側としてどういった取り組みや議論ができるかということを検討しているところでありますが、ここ15年以上、歯科のほうについては医療費が全く横ばいで伸びていないということでありまして、なかなか伸び続ける医療費という議論に取り組みにくいところがあるのですが、少なくとも国民会議で示されましたようないろいろな論点につきましては、歯科としてどういった貢献ができるのかということを本当に真摯に考えていきたいと思っております。

 その中で前回の部会におきまして、肺炎球菌ワクチンの経済的な面も含めた効果ということも少し取り上げられまして、そのことに関連しましては同じように例えば誤嚥性肺炎の予防といったことでいわゆる口腔ケア、口腔機能の管理ということが在院日数の削減であるとか、抗菌剤投与の日数の削減というところに効果があるというデータが実は出ておりまして、それは昨年の中医協でもデータを示して御議論いただきました。そういったところで少しやることがあるのかなという気がしておりますが、もちろん制度を語る部会ですので、そういったところまで議論が展開するかどうかわかりませんが、機会がありましたらデータもお示しして説明させていただければと思っております。

 以上です。

○遠藤部会長

 どうもありがとうございました。

 高橋委員、どうぞ。

○高橋委員

 私も保険料を支払う側というところから、少しそもそも論的なところになるのですけれども、意見を言いたいと思います。

 これまでに複数の委員からございましたように、今後、団塊の世代が2015年には65歳に達して、2025年には75歳に達する。この10年間をどうしていくのかというところですごい私たちも問題にしていますし、どうするんだというところでは非常に積極的に意見を言ってまいりたいと思っているのですけれども、現行の仕組みでやる限り、被用者保険にとってはますます先ほど白川委員や小林委員が言われましたように、被用者保険にとっては保険料収入に占める納付金、支援金の割合がますます高まっていくことになります。ですから、このような状況を放置して果たして自律的な医療保険制度と言えるのか。積極的に保険者機能の発揮を困難にするのではないかという問題意識を私は持っておりまして、高齢者医療をどう支えていくのかという議論をすると同時に、この間、法定外繰入のところで質問をさせてもらったのですけれども、国保が抱える構造的な課題といって、保険者の責によらない構造的問題ということで、市町村国保についての1ページのところに示してありますけれども、そのうちの財政上の構造的な問題というところでは、プログラム法の中に書き込まれて、そのことが議論されているわけですが、そのほかの部分の構造的な問題というところを、もっとしっかりどのように克服していくのかといいますか、解消していくのかというところも含めた、そういった中での現役も含めた負担の公平性と納得性ということを、やはり医療保険制度全体の中でどう確保していくのかという、そもそも論的なことになるのですが、そこも同時に議論していかなければならないのではないかと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 どうもありがとうございます。

 小林委員、お願いします。

○小林委員

 今日事務局から、「前回依頼のあった資料等」の御説明があり、この4ページに高齢者の保険料負担率の仕組みの御説明をいただきました。後期高齢者医療の保険料負担率について、世代間の公平という観点は重要でありますが、一方で制度の持続可能性を高めるという観点から、現役世代に過度に依存する現在の仕組みを構造的に見直すことが必要であると思います。

 事務局資料4ページの下の枠囲いに、民主党政権で取りまとめられた高齢者医療制度改革会議の指摘が紹介されておりますが、高齢世代と現役世代の保険料規模の違いを考慮する以前に、増え続ける高齢者医療に対して、診療報酬のあり方を含めて踏み込んだ見直しをしなければ、現役世代の負担が際限なく増えるばかりであります。

 単純に人口の増減だけで高齢者医療の負担を機械的に現役世代に転嫁することのないように、現役世代の負担の引上げに対しては十分、慎重に検討すべきであると考えます。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、初めての方ということで森委員、お願いいたします。

○森委員

 先ほど高橋委員のほうから国保の構造上の問題というお話がありました。どうしても国保が抱える制度上変えられない問題があると思います。例えば年齢構成が高いこと。年齢構成が高ければ当然、医療費水準が高くなります。それから、低所得者の加入者が多いこと。解決できることとしては保険料収納率に関しては容易ではありませんが、解決できるかもしれません。そのような制度上の改善が難しいところをどう考えるのか。また、国保特有の構造上の問題がある中で、それを踏まえてどのように持続可能となるような仕組みにするのか、そこを慎重に考えながらやっていかないと、解決が非常に難しいのではないかと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 どうもありがとうございます。

 横尾委員、お願いします。

○横尾委員

 前回も申し上げて、先ほど堀委員も発言された関連で、例として肺炎球菌ワクチンを出して、投入と効果に関してコストパフォーマンスを調べてくださるということで、今回は資料が出ておりませんので、次回以降に出るのかなと期待をしているところです。前回も申し上げましたが、財政負担のやりくりをどうするか、また過度にそれが膨らまないようにどうするかという議論が主なところだと思うのです。

 考えてみると、ワールドカップ・サッカーで言うとこれはディフェンスだと思うのです。どうしたら失点をしないか。ところが、オフェンスもしなければいけないと思うのです。それは例えば民間で今、ビジネスで行われているビックデータを使い、国民の疾病傾向、あるいは誤嚥性の疾患や肺を患ったことによる入院中の疾患、院内感染の疾患で、結局は死に至ってしまって、その直前で膨大な医療費を要したとか、手当を要したということがよくあるように聞いていますが、それを防ぐためにワクチンがあるなら、その効果、また医療財政にどのようなプラスが出るのかといったことをぜひ調査いただきたいと思っています。

 仄聞したことなので必ずしも正確ではないですが、日本はまだまだ医療に関するデータの蓄積が完璧ではないと聞いていますので、今後の課題かもしれませんが、わかっている範囲でぜひ分析いただきたいし、データがないのであれば今後、データが蓄積できるような制度の充実を行っていただきたい。そして、ビックデータ、オープンデータに基づいた対策ということも行っていくことが、ひいては先ほど他の委員も意見されましたが、納得のできる負担であれば我々も負担しようとか、こういう疾病を減らすためにこういう医療をやるのであれば、それもわかったと、一時的な負担を強いることへの理解にもつながると思いますので、ぜひ厚労省で検討いただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、お待たせいたしました。望月委員、お願いいたします。

○望月委員

 少し毛色の違う話なのですけれども、当然、社会保険料は賃金に対しては課せられますので、雇用をふやして賃金を引き上げている企業ほど当然、負担は重くなる。保険料の負担増そのものが雇用だとか賃金の抑制につながる。あるいは企業の投資意欲のマイナスにも働くということで、特に保険料の負担は医療保険制度を支える現役世代、特に若者たちに重く課せられるということだと思います。

 世代間で助け合う保険制度を持続可能にするという意味でも、支える側と支えられる側、この両者が納得いく公平な仕組みでないとだめだと考えます。そういった意味で、先ほど柴田委員から御指摘を頂戴しましたけれども、支える側に対する説明をどうするのかということの意味で申し上げたまでで、定年を過ぎて国保のほうに大変お世話になっておりまして、国保を支えるというのは当然だと思っていますけれども、それを納得できるように説明をすることが重要だという、その1点で申し上げた次第です。

○遠藤部会長

 ありがとうございました。

 岩村部会長代理、お願いします。

○岩村部会長代理

 時間がないので簡単に3点だけ。

 まず第1は、被用者保険の総報酬割ですけれども、かねてから私が申し上げているように、総報酬割にすべきだというふうに思っています。

 きょうの御議論でもありましたが、結局、総報酬割にしますと健康保険組合側の保険料率が上がるということは、結局のところ国庫補助というのは現行法上は協会けんぽに入っていますけれども、実はこれは協会けんぽを支援しているのではなくて、健康保険組合側を支援しているということを示していると私は理解しています。

 私自身は健康保険組合の役割というのは非常に積極的に評価しておりますけれども、他方で被用者集団全体、つまり協会けんぽと健康保険組合等を含めた被用者集団全体での高齢化に対するリスク分散をできるだけ公平に行うということは、避けて通れないだろうというふうに思います。実質的には健康保険組合側を助けている意味のある国庫補助というのは、総報酬割を導入することによってほかに回す。どこに回すかということについては、医療保険の今後のあり方ということを考えた上で、一番効果的なところに回すということをこれから議論していけばいいかなと思っております。

 2番目は、また繰り返して申しわけありませんが、先ほど知事会から御説明がもう一度ありました、あるべき保険料の議論です。私はあるべき保険料の議論をやっていったときの危険性というのは、みんな保険料水準というのは低いほうがいいと思いがちというところにあると思っています。そうしますと、公費投入ありきという形で議論をすると、保険料水準というものが本当に適正な水準で議論をしていって決まるのかということについては、私は懐疑的であります。

 そういう意味で、あるべき保険料の水準をまず議論してということが、本当に今後の医療保険制度のあり方を考えていく、特に国保のあり方を考えていく上で適切な議論なのかどうかということについては、やや私は疑問を持っています。

 3番目ですが、既に堀委員も触れられましたけれども、私自身は都道府県を保険者にという議論があったときに、一番危惧していたのは、とりわけ介護保険との連携の問題です。先ほど堀委員もおっしゃいましたが、介護保険のほうはこれから地域包括ケアというものを推進していって、特に医療と介護の一体的供給ということを言っておりますので、そういう意味では特に医療保険の給付という観点からいくと、市町村に重要な役割を担ってもらって、医療と介護の連携、とりわけ地域包括ケアの推進を進めていっていただく必要があると考えております。

 そういう意味で最後になりますけれども、ぜひ地方公共団体の3団体におかれましては、今後、財政の問題だけではなく、あわせて役割分担の問題についても積極的に議論を進めていただいて、何度かいい形でまとめていただくよう、改めてお願いしたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長

 どうもありがとうございました。

 予定された時間になりましたので、本議題につきましてはこれまでにしたいと思います。

 本日は、大変率直な御意見どうもありがとうございました。

 前回と今回、2回にわたりまして御議論をいただきましたけれども、ほぼ議論は一巡したように思います。したがいまして、次回につきましてはその他の検討事項について議論をしたいと考えております。

 なお、事務局においては、今回の御意見も反映した主な意見、本日も出ておりますけれども、それに今回の御意見も反映した形で新たに主な意見の資料を作成して、あわせて次回、提出するようにお願いしたいと思いますので、事務局よろしくお願いいたします。

 そのような対応とさせていただきますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長

 ありがとうございます。

 それでは、本日はこれまでとさせていただきます。次回の開催につきましては追って事務局より御連絡したいと思います。

 本日は本当に御多用の中、お集まりいただきましてありがとうございました。


(了)

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