ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 臨床研究・治験活性化に関する検討会> 第10回臨床研究・治験活性化に関する検討会(2014年5月22日)




2014年5月22日 第10回臨床研究・治験活性化に関する検討会

医政局研究開発振興課

○日時

平成26年5月22日(木)10:00~12:00


○場所

中央合同庁舎5号館 専用第23会議室(6階)


○議題

(1)臨床研究・治験活性化5か年計画2012に係る進捗の検討
 ・症例集積性の向上
 ・治験手続きの効率化
 ・医師等の人材育成及び確保
(2)今後のスケジュールについて
(3)その他

○配布資料

資料1 臨床研究・治験活性化5か年計画2012 アクションプラン(進捗状況)
資料2 臨床研究・治験活性化5か年計画2012 製薬協の取組み(日本製薬工業協会提出資料)
資料3-1 症例集積性向上等に貢献できる治験ネットワーク活性化に関する研究(山本(学)班提出資料)
資料3-2 臨床研究・治験活性化5か年計画2012の評価に向けた治験・臨床研究基盤整備状況調査の内容検討と結果集計・評価(伊藤班提出資料)
資料3-3 臨床研究コーディネーター養成カリキュラムの標準化に関する研究(楠岡班提出資料)
資料3-4 e-learningシステムICRwebを用いた臨床研究・治験に携わる人材の育成方法に関する研究(山本(精)班提出資料)
資料3-5 大学の連携による職種・レベル別に対応した臨床研究・治験のe-learningシステムを展開する研究(小出班提出資料)
資料4 臨床研究に係る人材養成について
資料5 臨床研究・治験活性化に関する検討会 今後のスケジュール(案)
参考資料1 臨床研究・治験活性化に係る研究班一覧
参考資料2-1 厚労省の研修受講者数
参考資料2-2 臨床研究コーディネーター(CRC)養成数の推移

○議事

○厚生労働省医政局研究開発振興課治験推進室主査 
それでは、定刻となりましたので、第10回「臨床研究・治験活性化に関する検討会」を始めさせていただきます。本日は、御多忙中のところお集まりいただきましてありがとうございます。
 
 本日は、一木構成員、小原構成員、本田構成員の3名から事前に御欠席の連絡を受けておりますが、16名の構成員の方々に御出席いただいております。なお、井部構成員からは少々遅れるという御連絡を事前にいただいております。
 
 「開催要綱4運営」に基づき、構成員の2分の1以上が出席しておりますので、本検討会が成立しておりますことを御報告いたします。また、本日は参考人といたしまして、日本医師会治験促進センター 山本学様、北里大学臨床研究機構 伊藤勝彦先生、東京大学医学部附属病院 小出大介先生に御出席いただいております。
 
 続きまして、配布資料について御説明します。一番上に、議事次第、座席表、構成員名簿、参考人名簿、資料1「臨床研究・治験活性化5か年計画2012アクションプラン(進捗状況)」、資料2「臨床研究・治験活性化5か年計画2012-製薬協の取組み-」、資料3-1「症例集積性向上等に貢献できる治験ネットワーク活性化に関する研究」、資料3-2「臨床研究・治験活性化5か年計画2012の評価に向けた治験・臨床研究基盤整備状況調査の内容検討と結果集計・評価」、資料3-3「臨床研究コーディネーター養成カリキュラムの標準化に関する研究」、資料3-4「e-learningシステム、ICRwebを用いた臨床研究・治験に携わる人材の育成方法に関する研究」、資料3-5「大学の連携による職種・レベル別に対応した臨床研究・治験のe-learningシステムを展開する研究」、資料4「臨床研究に係る人材養成について」、資料5「臨床研究・治験活性化に関する検討会 今後のスケジュール(案)」、参考資料1「臨床研究・治験活性化に係る研究班一覧」、参考資料2-1「厚労省の研修受講者数」、参考資料2-2「臨床研究コーディネーター(CRC)養成数の推移」となっています。資料の過不足等がございましたらお知らせいただくようお願いします。
 
 これからの進行は矢崎座長にお願いします。

 
○矢崎座長 
本日は、お忙しい中、この検討会に御参加いただきまして誠にありがとうございました。
 
 それでは、早速議題に入りたいと思います。まず、お手元の資料にありますように、議題1は「臨床研究・治験活性化5か年計画2012に係る進捗の検討」についてとなります。今回の検討会は、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」の中間評価を目的としていますが、本日は、「9年間の活性化計画を踏まえた更なる飛躍と自立」における課題のうち、前半の3つの項目、すなわち、「症例集積性の向上」、2番目が「治験手続きの効率化」、3番目が「医師等の人材育成及び確保」に関する項目の検討です。さらに、行政の主な取組状況及び関連する研究班からの御報告を頂きまして検討していきたいと思います。
 
 議論の進め方としては、上記3項目について、まず行政から取組について御報告いただいて、次に、この3項目いずれにも対応されている日本製薬工業協会から御報告をいただきます。その上で、各項目ごとに関連研究班からの御報告を踏まえて議論するという進め方をしたいと思います。よろしくお願いします。
 
 それでは、まず最初に、これら3つの課題の行政の取組について、まずは事務局から説明をよろしくお願いします。
 

○研究開発振興課治験推進室主査 
それでは、事務局から御説明します。資料1を御覧ください。アクションプランに基づいて、大きな柱の1つ目として、「9年間の活性化計画を踏まえた更なる飛躍と自立」の項目のうち、(1)症例集積性の向上として、行政の主な取組について御説明します。
 
 短期目標で目指すこととして「治験等の効率化に関する報告書の徹底」が挙げられていますが、行政としては、平成24年以降、講演会や研修会等の場を活用して「治験等の効率化に関する報告書」の紹介をしています。続いて、治験ネットワークの促進という目標については、「国内における優良な治験ネットワークが3ネットワーク以上存在している」という目標に関し、厚生労働省において、優良なネットワークとはどのような要件を満たすものかなどに関する研究班を立ち上げたところです。また、日本医師会治験促進センターを中心に、毎年1月に治験ネットワークフォーラムを開催し、治験ネットワークの事務局と製薬企業が意見交換等を行う機会を設けています。
 
 中・長期に目指す項目として、「疾患に応じた治験ネットワークの構築」、また、「治験ネットワークにおける契約形態の見直し」として、臨床研究中核病院の10機関については、質の高い臨床研究を自ら実施するのみならず、他の医療機関での臨床研究のサポート機能も担う、いわゆるARO機能も求めています。平成26年度からは、早期・探索的臨床試験拠点の5拠点においてもARO機能を求めているところです。また、日本発の革新的医薬品・医療機器の開発などに必要となる質の高い臨床研究を推進するために、国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う病院を臨床研究中核病院として医療法上に位置付けるべく、現在、国会に法案を提出しているところです。
 
 目標の2番目として、治験手続の効率化が挙げられています。短期に目指すものとして、治験等の効率化に関する報告書の徹底、治験ネットワーク事務局機能の強化、統一書式の徹底、共同IRB等の活用において、平成24年12月28日に、GCPガイダンスを改正しました。例えば、モニタリングの実施に当たり、必ずしも全ての治験データについて原資料との照合等の実施を求めるものではないということなどを明記しています。厚生労働省の医師主導治験等の運用に関する研究班においては、治験関連資料の電子化や、リスクに基づくSDVについて検討を行い、その成果に基づき、それらの基本的考え方を示す事務連絡を発出しました。また、毎年度、「治験中核病院・拠点医療機関等基盤整備状況調査」を実施し、治験実施体制や実績等について調査をしています。平成24年からは、治験ネットワーク事務局機能やリモートSDV等に関する質問も追加して行っています。調査内容を更に見直すべく研究班を立ち上げたところです。ITの活用については後述していますので、ここでは割愛します。医師主導治験の運用の改善としては、医師主導治験等の運用に関する研究班の主催で、本研究班の成果を発表するシンポジウムを開催したほか、GCP省令の改正等に関する講演を積極的に実施しています。
 
 (3)「医師等の人材育成及び確保」という目標については、短期的に目指すものとして、「臨床研究・治験に関する教育、研修」の中で、厚生労働省において、毎年度、上級者CRC研修や、データマネージャー研修に加えて、倫理審査委員会委員研修についても実施しています。その受講者数については、参考資料2-1で示しているので御参照ください。日本病院薬剤師会、文部科学省、厚生労働省等が実施している研修の参加者数についても、毎年度調査しており、それについてもグラフで示していますので、参考資料2-2を参照してください。
 
 厚生労働科学研究費補助金によるe-learningに関する研究班を採択しており、e-learningがより活用しやすく、また継続教育にも活用されるサイトを目指しています。日本医師会治験促進センターにおいても、継続的にe-learningを実施しています。厚生労働省においては、CRCの養成カリキュラムに関する研究班を立ち上げて、初級者CRC及び上級者CRCに求められる人材像を明確化した上で、標準的な養成カリキュラムの整備及び研修内容の標準化を図ることを目的として研究を進めているところです。
 
 中・長期的に目指すものとして、「臨床研究・治験に精通する医師の育成」というところでは、PMDAにおいては、19大学と連携大学院協定を締結して人材育成に取り組んでいるところです。また、大学・研究機関等全国24か所とPMDA・国立医薬品食品衛生研究所との人材交流も実施しているところです。文部科学省においては、医学部における臨床薬理学や医薬品・医療機器の開発等に関する教育の実態の調査方法について検討を行ったところです。これについては、平成26年度より調査を実施する予定です。文部科学省では、大学において革新的な医薬品・医療機器の開発等を担うメディカル・イノベーション推進人材を養成するための「未来医療研究拠点形成事業」を平成25年度より実施しています。日本医師会治験促進センターの主催によって、「治験推進連絡会議」を年3回実施しています。また、「臨床研究・治験に携わる医療関係職種の育成」という目標については、臨床研究・治験に係る研修等が各地で開催される際には、講演等の依頼を積極的に受けています。また、臨床研究・治験に携わる人材の確保としては毎年度実施している「治験中核病院・拠点医療機関等基盤整備状況調査」により、臨床研究・治験に係る人材についての雇用状況についても調査をしているところです。事務局としては以上です。
 

○矢崎座長 
どうもありがとうございました。それでは、続いて、これら3つの課題における日本製薬工業協会の取組について御説明をよろしくお願いします。
 

○稲垣構成員 
「臨床研究・治験活性化5か年計画2012に対する製薬協の取組み」について御紹介します。製薬協医薬品評価委員会の稲垣です。資料2を御覧ください。スライド2に、この5か年計画2012アクションプランの中で、治験依頼者、これがプレイヤーとなって関わるべき項目についてリストにしました。今回のテーマが上の3点ということです。優良な治験ネットワークの開発、そして治験の効率化。これはアクションプラン2-6とか12、あるいは11、これらについてもやっています。あと、臨床研究・治験の意義に関する普及啓発の対応、そのほか、これらの活動をやっています。これらについては時間もあるので、若干下のほうも含まれますが、上の2つ等を軸に御紹介します。
 
 まず、スライド3、治験ネットワークの活性化に関する活動です。これは、アクションプラン2-6の「優良な治験ネットワークの積極的活用」という所に関係するわけですが、申し訳ございません、お手元の資料の所で、ステップ1、2、3という所が四角で消されていますが、ここでやっていることは、治験ネットワーク活性化のための優良なネットワークということになります。我々治験の依頼者側として、どのようなネットワークならば仕事をお願いしやすいかということです。ネットワークでこちらの要望を聞いていただける所とタイアップして、3ネットワークほどを選んで、そのネットワークと一緒に改善に対して活動をやっています。現在、ネットワークの選考作業が終了したところです。今後、最後の1年、ネットワークと一緒になって、ではどういう点、問題、何を改善すればよいかというところで取り組んで、優秀なネットワークを活用するという目標ではありますが、逆にそういうネットワークを作り上げるという形で活動をしています。できれば、うまくいった成果をほかのネットワークにも普及していただき、そういうのが増えれば良いということでやっています。
 
 スライド4は、治験等の効率化に関する報告書です。アクションプランの11の所では、「サンプリングやSDV等」という形で、サンプリングやSDVでの効率化という話でしたが、ここでは、その上位概念であるRisk based monitoringについての啓発を我々としては進めています。すなわち、On-site Monitoring、Central Monitoring、これらがありますが、どういう作業をどちらで行ったほうがいいのか、Centralizedで行える業務とか、効率が良いほうのものとか、それでしか出来ないもの等を考えつつ、データの重要度、そしてモニタリングの方法に応じてどういう形でやればいいのか、モニタリングプランを規定するというような形の活動をしています。これはモニタリングの効率化に関する提言、治験手続の電子化云々というところで、製薬協の中の1つの文書として中に発信し、我々の業界の中での共有化に努めています。
 
 スライド5です。これは少し今回の3つの話からは外れるところですが、逆に、臨床研究、あるいは治験の意義に関する普及啓発というところにも取り組んでいて、具体的には、製薬協の中のホームページで治験関連の情報を提供しているわけです。こちらとしては情報を提供しているつもりでも、それを受け取る側が見づらい、探しづらいという話ではどうしようもないということで、では実際は、どのようなものかということで、製薬協のホームページにある治験関連情報について、必要な情報を簡便に入手できるかどうかの調査を行った結果がこの円グラフです。ちょっと潰れていて申し訳ないのですが、資料を探すのは簡単でしたかという問いかけでやってみると、やはりとても難しいという結果です。一般の方向けに資料を見つけられますかという問いを中でやってみたのが下の棒グラフの所です。想定と異なる資料を見つけてしまったという割合が高く、これを見つけてくれるかと思った問いかけに対して違うのを見つけてしまったというのも結構ありました。製薬協の中でもホームページで改善が必要だということで、分かりやすい形にするように我々としてもやっているところです。
 
 スライド6は、治験手続の電磁化実装検討会です。これは、アクションプラン11、治験の効率化の関係で、電磁化による効率化を目指すべく治験手続の電磁化を各社が実装できるように標準SOPを各社が作ることになりますが、その作成・効果について、製薬協として支援するという形で電磁化検討会を作ってそのサポートをしているところです。ここは、楠岡先生、あるいは松村先生たちの「治験等のIT化に関する厚生労働科学研究班」とも連携しています。活動としては、各社4名、モニタリング、監査、システム、SOP作成です。各社それぞれの人たちに入っていただき、ではどういうふうにやればいいのか、それぞれ医療機関やPMDA調査ワーキング等と連携しつつ、SOP作成に向けた作業を進めているところです。
 
 スライド7です。ここは今回の趣旨から少し外れますが、あと、臨床研究の活性化というところで最近の話題としては、やはり資金提供のルールということです。これはアクションプランの95の後ろのほうですが、これもありまして、これについても4月22日に臨床研究支援の在り方に関する基本的考え方ということを各社に伝達したところです。
 
 スライド8です。アクションプラン36の企業治験の実施状況を明らかにするための課題・方策等については、ここにあるように、欧米と足並を揃えた自主基準として、加盟会社に向けて実施要綱・指針を提示し運用を進めています。また、治験費用に関する情報についても研究班に情報を提供していますし、災害時対応マニュアルの作成、これは99番、あるいは100番ですが、これらについてもSOPモデル案を作成して企業側に提示しました。このような形で、臨床研究・治験活性化5か年計画2012には、いくつかのスポンサーが協力しており、実施するようにということですが、特にこの効率化、あるいは優良なネットワークの活用ということに関して、我々としても積極的に取り組んでいるところです。報告は以上です。
 

○矢崎座長 
どうもありがとうございました。ただいまの、行政及び依頼側の製薬協の御説明を頂きましたが、構成員の先生方から、何か御質問、あるいはコメントございますでしょうか。
 

○渡邉構成員 
コメントです。臨床研究・治験に精通する医師の育成の所で、文部科学省で、今後、医学部における臨床薬理学や、医薬品・医療機器の開発等に関する教育の実態の調査方法について検討を行うとありますが、現在、厚生労働省の指定研究として、各全国の医学部、薬学部、看護学部等の医療系大学において、どのような臨床試験に関する教育がなされているかという実態調査を行っています。もし機会があれば、現在実施中のアンケート結果について、ご紹介させていただきたいと思います。以上です。
 

○矢崎座長 
それでは、次の機会に事務局と連絡して、結果を報告いただけるようにしたいと思います。そのほか、いかがですか。
 

○中西構成員 
臨床研究に関する適切な資金提供ルールの検討は非常に重要な課題だと思います。企業からの提供ルールも大事なのですが、受けるほうもルールがまだ未整備ということですので、この件については、製薬協のほうとも相談させていただきながら、特に、医療機関、大学等がどういう形で契約の形態を整備すべきか。既存の方法は適合しないということは間違いないようなので、是非協議しながら進めていきたいと思っています。
 

○稲垣構成員 
是非とも、それはよろしくお願いします。奨学寄付金に代わる形でのお金の納入の仕方というところで、新たなルールが要るのだろうと我々も思っています。ありがとうございます。
 

○矢崎座長 
よろしくお願いします。
 

○井部構成員 
この「治験の意義に関する普及啓発の積極的対応」のところですが、一般の方々たちを対象に、情報を簡便に入手できるよう、調査・検討したということでしたので、何を聞いたのかを教えていただきたいと思います。
 

○稲垣構成員 
まず、この種の活動は、対外的、研究班としても活動しているものがあるかと思うのですが、製薬協としても、情報発信をするというところから製薬協の中のホームページでも治験に関する情報を出しています。それについては、一般と言っても、製薬協の活動ですので、会社の中の人で余り詳しくない人たちに対して、こういう情報を探せるかということで協力をお願いしたという形の調査です。
 

○井部構成員 
ということは、普通の人たちを対象にした調査ではないということですね。
 

○稲垣構成員 
全くの普通の人ということでは、ちょっと。はい。
 

○井部構成員 
普通の方々が、どのようにして治験や、治験に関連する情報に関心をもつのかを知りたかったのでお聞きしました。
 

○稲垣構成員 
はい。
 

○矢崎座長 
それも1つの重要な課題だと思います。
 

○厚生労働省研究開発振興課治験推進室長 
今の点に関して御紹介いたします。お手元の参考資料1、後ろのほうになります。「臨床研究・治験活性化に関する研究班一覧」という1枚紙です。恐らく、井部構成員がおっしゃっているのは、一般の利用者の視点に基づいて臨床研究や治験の普及啓発であるとか、あるいは臨床研究に関するWeb上での検索といった観点での分かりやすさ、こういった視点も重要であるという御指摘だと思います。こういう研究班で現在検討も進められていて、また次回以降、こういう研究班の取組についても御紹介させていただければと思います。
 

○井部構成員 
ありがとうございました。
 

○渡邉構成員 
製薬協に対しての要望です。ホームページ上での情報提供ですと、情報を取りに行く方だけがその情報を入手できるという形態です。製薬協の方々で、「新しい医薬品や医療を届けるために、治験は必須の行為です」というようなメッセージをテレビで伝達することをご検討いただけないでしょうか。製薬企業は各社でコマーシャルをテレビで流していますが、治験に関しては製薬企業の方々が一緒になって関心の低い人々までもが目にするような情報提供の在り方を考えていただければ有り難いと思います。
 

○稲垣構成員 
治験に関する普及啓発に関しては、ポスター等を作成して、それをあちらこちらで掲示させていただくという活動は既に行っています。そちらの形で多くの人たちの目に触れるようなものとして、治験、それこそ「私が育てていたのは薬であった」というポスターのキャッチフレーズがあるのですが、育薬の話等も、いろいろと情報提供は一般に向けてさせていただいています。ちょっと、それが先生の目に触れていなかったとすれば、まだ努力が足りなかったのかなというところですが。
 

○渡邉構成員 
存じ上げています。製薬協のこれまでの活動は非常に有り難いことだと思います。ただ、やはりポスターと、テレビでは影響力もかなり違うと思うので、是非そういう多くの方に情報伝達が可能となる手段の採用を考えていただければ有り難いと思います。
 

○稲垣構成員 
ありがとうございます。
 

○矢崎座長 
大変でしょうけれど、よろしくお願いします。それでは、予定の時間が過ぎていますので、次の課題に移らせていただきます。
 
 次は、各課題の中で具体的に活動されている研究班の先生方に、それぞれの活動状況と今後の活動予定について御説明いただこうと思います。
 
 まず初めに、アクションプランの課題の1番目に当たる、「症例集積性向上等に貢献できる治験ネットワーク活性化に関する研究」について、参考人の日本医師会治験促進センターの山本先生から御説明をよろしくお願いします。
 

○山本参考人 
日本医師会治験促進センターの山本です。今回は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。座って説明させていただきます。
 
 資料3-1を御覧ください。「症例集積性向上等に貢献できる治験ネットワーク活性化に関する研究」の研究代表者を務めております。
 
 スライド2と3は、先ほど厚生労働省から説明がありましたので割愛させていただきます。
 
 スライド4、「研究体制」として、ここに記載のある方々に御協力をいただいております。国立病院機構の長谷川先生、成育医療研究センターの栗山先生です。また、研究協力者として、治験ネットワークを実際に運営されている方々の事務局員の方、また製薬協の方にも入っていただいております。これは、先ほど稲垣構成員が説明されたように、治験ネットワークのタスクフォースを立ち上げているところですので、治験ネットワークを利用する側の意見を必ず取り入れなければいけないということで、協力者に入っていただいております。
 
 スライド5が、「研究計画」になります。1、2が、研究計画の大きな柱になります。1治験ネットワークに求められる機能の明確化、共同IRBの普及への方策案。2治験ネットワークと共同IRBの利用促進される案の提示という大きな柱を掲げております。私の研究は、昨年と今年度の2年間の計画で、昨年度1年目の計画はアンケート、ヒアリング等を重点的に行い、その結果を基に方策案を立てるのが1年目の計画でした。今年度は、その方策案に対し、検証を行って最終案を提示するというような計画になっております。
 
 スライド6に移ります。「平成25年度の研究内容」です。ここに掲げた1、2、3の調査を行いました。1の調査は、治験ネットワークに参加している医療機関に対して、どのような目的で、どのような期待をもってネットワークに参加されたのか、現状はどうなのかという調査をしました。また、治験依頼者が求める治験ネットワーク像に対して、どのように医療機関として対応が可能なのかという質問項目を立てました。製薬協の方々と協力をし、81のネットワーク事務局に依頼し、2か月の調査期間で、168の医療機関から回答がありました。これは、ネットワーク数にすると26のネットワークになります。
 
 2は、1の集計結果を基に、治験ネットワーク事務局に対して現状と課題の意見交換をするという形で、3ネットワークを訪問いたしました。3は、1で回答のあった26の医療機関に対して、2の調査項目を書面調査という形で調査をさせていただき、20ネットワークからの回答がありました。
 
 スライド7です。1の参加医療機関調査結果の概要を説明いたします。2012年10月から1年間にネットワークから案件があった数を教えてくださいという質問に対して、最小は0件、最大は70件、平均が10.1件、中央値としては5件となりました。それを基に、では実際に医療機関で実施したプロトコル数を教えてくださいというもので、ネットワークから紹介があったものでどのぐらい実施をしたかですが、最小は0件、最大は36件、平均2.8件。中央値は1件という結果でした。その下は、直接依頼者が病院に依頼をした数字ですが、ここに書いてあるとおりです。受託が多かったネットワークに関しては、同一母体、例えば国立病院機構が多かったですし、疾患別のネットワークがやはり受託件数としては多かったという結果になりました。
 
 スライド8は、一般的に依頼者がネットワークに求める条件を研究班と製薬協の方と検討し、縦に項目を付けました。158の回答という少ない数字ですが、青い所が対応可能という所で、医療機関側としては受入れ可能という状況に結果としてはなっております。一番下の「リモートSDVの実施環境の受入」は、電子カルテと機密の問題等がまだ未整備のため、対応不可能という数字が若干多い結果になりました。
 
 スライド9です。1の参加医療機関の調査を基に、3ネットワークを訪問いたしました。一番上の「中核病院連携型ネットワーク」ですが、申し訳ありませんが、「自治体主導型ネットワーク」に訂正をお願いします。こちらのネットワークに関しては、創設から10年近く経っており、SOPの統一及び積極的に企業への営業活動を行っております。ただ1つ、共同IRBだけが設置できていない状況です。こちらは、やはり参加医療機関が全て病院になっており、既にIRBを持っている中で、なかなかうまく調整が立たないままで約10年がたってしまいました。実際に、支援倫理委員会というGCPに基づかない機能は持っているのですが、それはサポート的な位置付けであり、共同IRBとしての設定にはできないけれども、やはり我々としても共同IRBは必須ですねというコメントは残させていただきました。
 
 また、2番目のアカデミア主導・病診連携型ネットワークについては、地域の大学を中心にやっており、参加している医療機関の先生方が同一大学出身であるという最大のメリットがあります。こちらは、やはり同一大学ですので、顔も知っている、あの先生はこんな得意なところを持っているという話を事務局が把握できておりますので、タイムリーに治験の依頼をされているという話をしておりました。また、この主導者に関しては、治験はビジネスだと意識をもっており、依頼者の言うことは全て受け入れて対応していくというスタンスでネットワークを運営しているので、受託件数もそれなりにありました。
 
 3番目は、医師会型ネットワークです。こちらは、体制が少し変更されたので、再構築をしている状況ですが、医師会の得意な教育の面に関しては継続していて、参加医療機関の方々も満足度が高いという結果になっております。
 
 スライド10は、「治験ネットワークの書面調査」についてです。左側の棒グラフに関しては、1の参加医療機関のアンケートの結果です。どのような目的でネットワークに参加しましたかという問いで、ネットワーク側から促されてという回答が84という多い結果になります。右側は、実際に設立してからどのぐらいたっていますかという問いで、半分以上が6年以上を経過しています。このグラフを2つ合わせると、やはり自ら治験をやりたいという方々が少ないので、なかなかネットワークが動かないのかなということが少し想像できます。今後我々の研究の中で、その辺りのことも明らかにしていきたいと考えております。
 
 スライド11は、治験事務局の業務例です。一般的な業務項目を約23の項目を挙げました。この23の項目に関しては、回答していただいたネットワーク事務局はほぼ全てに対応しております。濃淡はありますが、対応しているという実例がありましたので、もう少し基盤強化をしていけば、活動・受託件数が上がってくるのかなという想定をしております。
 
 以上の研究結果を基に、先日、研究班会議を開き、今年の目標も含めて話し合いをしました。ネットワークの要件を、まず大きく打ち出しております。既に構築していたものを見直し、基盤の強化を進めるという考えの下に、大項目、中項目をほぼ確定させていただきますので、今後の検討の中で小項目を細かく決めていき、全てのものに対応するのではなく、優先順位も付けながら要件決めをしていこうと考えております。
 
 スライド13です。基盤ができていたからといって、治験受託数が増えるわけではありませんので、大事な症例集積性を上げるにはどうするかが最大の目標です。こちらは事例の紹介になりますが、疾患レジストリーというものがあります。実際、筋ジスのネットワークの方々がやられているように、患者自身が患者登録システムに入っていて、自ら登録をしているものもありますし、日本医師会治験促進センターが管理・運営している大規模治験ネットワークで被験者が検索できるという1,600余りの登録医療機関のシステムもあります。また、厚生労働省の研究班、医局の繋がり、医者のつながりで被験者を収集する事例もあります。上記のシステムのようなつながりを利用して、医師主導治験に関しては承認取得という成果を数多く出しておりますし、大規模治験ネットワークに関しては、企業治験でも利用されて、日本で数例しかないような被験者を1か月もかからずに集積するようなパワーも持っているものもありますので、既存のシステム・手法を有効活用し、それをまた周知をして、効果的に利用していただければと考えております。本研究では、お金が潤沢にあればシステムを作ればいいのですが、お金がないことを前提に考えておりますので、低コストで最大のパワーを出すにはどうしたらいいかを今後考えていきたいと思います。
 
 最後のスライドになりますが、治験等の効率化に関する報告書が平成23年に出ていましたので、こちらを改編させていただきました。当時の報告書は、生活習慣病の治験が多かったのですが、ここ数年で逆転してきている現象が明らかになっております。しかし、SMOや治験ネットワークに治験依頼者が依頼する方策は多分当時とは変わってはいませんので、今後我々が要件を出していくネットワークさんたちにも、やはり勝負というか、競争相手がSMOだという認識をもっていただいて、それに対抗できるものがもちろんベストかもしれませんが、そうでなければ部分的にでもSMOらがやっているような業務に対抗できるものをやっていかなければ、やはり依頼者からの矢印がネットワーク側に太くなっていかないのかなと、研究班の中では思っています。我々としても可能な限り頑張って成果を出していきたいと思っております。以上です。ありがとうございました。
 

○矢崎座長 
どうもありがとうございました。それでは、今の御説明に対して御質問、あるいはコメントはありますか。さらには、今後取り組むべきことなどの御意見がありましたら、よろしくお願いいたします。
 

○塩村構成員 
8ページの対応可否の所で、患者紹介ができないという回答が結構多かったようですが、この理由をもう少し具体的に教えていただきたいと思います。
 

○山本参考人 
理想は、周りの医療機関から1つの病院に患者に来ていただいて、1つの病院でやればいいという意味合いの患者紹介なのですが、やはりこれは受入側と出す側とのいろいろなルールなどがあったり、一般的には、患者を送り出したあと割と戻ってきてくれないという心配もあったりという面で、できない所が29あるのではないかと思っています。それから、事務局側でも、どのような形で金銭以外のインセンティブなどで、患者の紹介や受入れを進めていこうかということは、我々のミッションかと思っております。
 

○矢崎座長 
そのほか、いかがでしょうか。
 

○稲垣構成員 
一緒に連携させていただいて、ありがとうございます。同じく8ページで、多くの施設がいろいろと受入れ可能なわけですが、治験手続の効率化の観点から見て、実際に効率化の観点でやっていることや、効率化の点で施設の対応、ネットワークの対応等で見て何か気が付いたこと等はありますか。
 

○山本参考人 
1例を申しますと、国立病院機構でCRBをやられている場合には、一括的に資料は統一化されているのが、今度の事例でもほとんどです。効率化ということで、やはり一番大きなものはIRBでの一括審議をするというところかと思います。IRBに関しては、ネットワークから紹介してきたものは中央のIRBに掛けるけれども、実際自分たちの直接依頼者から来た治験案件は自分の所のIRBでします。そういうダブルスタンダード的なものは、どうしても今は拭えないところがあるのですが、そこを一括的にCRBにいくようになれば、本当の効率化かなとは思っております。現状は、ネットワークから紹介のものと、そうではないものに分けています。
 

○矢崎座長 
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
 

○山本参考人 
ありがとうございました。
 

○矢崎座長 
それでは、引き続き、アクションプランの課題の2番目に当たる評価に向けた課題です。「評価に向けた治験・臨床研究基盤整備状況調査の内容検討と結果集計・評価」について、参考人の北里大学臨床研究機構の伊藤先生に御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 

○伊藤参考人 
北里大学臨床研究機構の伊藤です。資料3-2に基づき、説明いたします。「臨床研究・治験活性化5か年計画2012の評価に向けた治験・臨床研究基盤整備状況調査の内容検討と結果集計・評価」です。スライド1は、治験・臨床研究基盤整備事業の調査について、説明いたします。一番下に「政策」とあり、「全国治験活性化3カ年計画」があり、それが終了したあとに「新たな治験活性化5カ年計画」が、平成19年から行われております。そのあとを引き継ぐように、「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」が平成24年から、このように政策が行われております。この政策がどのぐらい効力を発揮したのか、どういう効果が出たのかを調査しましょうという観点で、この状況調査は、平成19年からスタートしております。なお、調査対象になる医療機関としては、最初の頃は「治験中核・拠点医療機関」、それから「橋渡し研究支援拠点(TR拠点)」に加え、この間入りました「早期・探索的臨床試験拠点」「日本主導型グローバル臨床研究拠点」、それから「臨床研究中核病院」を対象に、現在のところ56施設を対象に調査を行っています。
 
 スライド2は、医療機関の体制整備状況をイメージ図として表現してみました。縦軸に、どのぐらい整備ができたかというイメージを、横軸に政策を並べています。このようなイメージではないかなとしているのですが、政策を打ち出すと、治験、臨床研究それぞれに対する整備が行われています。ここにイメージとして出したかったのは、治験に関しては既に随分整備されてきて、国際的にも恥ずかしくないようなレベルに達していっているのだろうと。一方、臨床研究のほうは、今後もう少し手を加えていったほうがいいのではないかという意味で、2012の計画が出されたように思います。
 
 スライド3を見ていただきますと、治験・臨床研究基盤整備状況調査研究班の発足背景です。まだ調査は始めておりませんので、こういう考え方で私どもの研究班で作業を進めていこうということだけを本日は御報告いたします。まず、この「新たな治験活性化5カ年計画」が終了いたしました。この終了とともに、「治験中核病院・拠点医療機関等協議会」を作って調査をしていた整備状況調査も終了してしまいました。ただ、この整備事業調査は、極めて有益な調査であるので、新たに「臨床研究・治験活性化協議会」と名前を変えまして、これを母体にここに加盟している医療機関で独自に調査を続けていこうとなりました。いわゆる、手弁当で行っていこうということです。ただ、それだけではなく、折角の調査ですから、1つ研究班を立ち上げて、この調査の作業をサポートしていこうじゃないかということで作られた研究班が、私が代表をさせていただいているこの研究班です。
 
 スライド4は、どういう調査をするかという調査項目ですが、2つに分かれています。1つは、治験・臨床研究基盤整備状況調査票で回答を求めるものと、もう1つは具体的に、どういう治験・臨床研究をやっているかを評価するパフォーマンス調査票があります。その治験・臨床研究基盤整備状況調査票の中では、質問項目が大きく分けて、10個に1つを追加して11個になります。まず、医療機関についてと書いてありますが、これは対象となる医療機関の紹介をしていただきます。どういう所なのかを捉えるということです。それから実施体制、治験・臨床研究に関するネットワーク、治験に関する人材、SMOの活用、被験者や一般患者に対する取組み、企業治験における治験依頼者との役割分担・効率化、治験データの電子化等、それから臨床研究についてです。10は、治験・臨床研究の審査委員会について、これに追加して、臨床研究・治験活性化5か年計画2012に伴う追加調査ということで、項目を1つ増やしております。
 
 先ほどから説明しているように、この研究班を立ち上げる前から調査は続いていたのですが、先ほど申しましたように、もう既に治験に関しては随分整備されてきたので、そろそろ調査項目の内容を見直してみようということになり、現在の状況に即した内容に変更しています。もう1つは、5か年計画2012に対応した形に変更しようというコンセプトで、調査項目の見直しをしております。治験に関しては、既に整備されたと判断できるというものは、過去のデータに遡って調べてみて、そういうものは除いていきましょう、できるだけ省きましょうということです。それから、これまでの尋ね方では詳細が分かりにくかったものを、質問の形式を変えて、より詳細に内容を尋ねる形にしております。臨床研究に関しても、より詳細を知ることができる質問形式に変えております。特に、具体的に何か書いてくださいという形で質問いたしますと、なかなか集計が難しいので、幾つか例を挙げてその中から選んでいただく形に、できるだけ数値化できるような形に変更を加えております。
 
 スライド6は、具体的なものを幾つか紹介いたします。具体的な削除項目として、先ほど申しましたように、現在の状況に即して、十分に整備されたと判断できるものを省きましょうということです。例えば、「貴医療機関の治験実施体制についてお尋ねします」と。一番上は典型的なのですが、相談窓口が治験事務局なのか、薬剤部や診療科のような所で対応しているのか、事務部門で対応しているのか、それ以外で行うのですかという問いです。現在は、大体治験事務局に相談が来ることになっていますので、もう今さらこういうことは尋ねなくてもいいだろうというような考え方で、これは省きます。あとで詳細を見ていただいたらよろしいのですが、現在の状況に即して既に整備されたと判断できるものは省いております。
 
 スライド7に、新規に追加した項目としては、Risk-based monitoringに関する項目及び電子化に関する項目を追加しております。
 
 スライド8は、内容変更の具体例です。左側が変更前、右側が変更後です。例えば、ここではSOPに基づく通常の手順に従い運用した場合の治験実施に要する最短期間となっています。ですから、これはチャンピオンデータが出てくる可能性もあると。それから、SOPに基づくということで、理想的な日数はこのぐらいだとなるけれども実際の調査にはならないかもしれないということで、質問の形式を変えて右側のように、平均というか、これは中央値を取ったほうがいいのではないかという話もありますが、平均このぐらいかかりましたという具体的な数字を書いてくださいと。それから、日数がかかりすぎている所には、どうしてなのですかということを具体的な項目5つに理由を書いて選んでくださいという形になっています。
 
 スライド9も、内容変更の具体例ですが、より詳細を知ることができるような質問内容に変えましょうということです。左側ですと、これは審査委員会についてなのですが、具体的な名前を挙げてくださいという形でしたが、これを右のように具体的に先に名前を羅列していき、○を付けてもらう、選んでいただく形に変えています。
 
 スライド10は、特に、データ集計・解析をしやすいように、何か書いてくださいというところから具体例を挙げて選んでくださいという形に変えています。こういう形で、現在の状況に即して、不要だと思うものは省いて、質問形式をより具体的、かつ数値化できるような内容に変えております。ということで、具体的には今年の6月に調査を開始したいと考えております。
 
 最後に、班会議のメンバーの名前を列挙しております。この調査は、先生方のお世話にもなると思いますが、よろしくお願いいたします。以上です。
 

○矢崎座長 
どうもありがとうございました。どなたか、御質問、コメントはありますか。
 

○伊藤参考人  
まだ調査を開始しておらず、結果が出ておりませんので、今日は考え方だけを御紹介いたしました。
 

○楠岡構成員 
私もこれに関係しておりますので、追加いたします。この1つ前の、新たな治験活性化5カ年計画の時代には、治験の中核病院や拠点医療機関は、この調査に協力することが助成金の条件に入っておりましたので、調査には絶対協力しないといけないということで、しかもこの5年間の進捗状況を見るために、平成19年にスタートしているのですが、平成18年のベースライン調査を行って、結局その経過を見るということですから、6年分のデータがあり、非常に貴重なデータになっております。ところが、この治験中核・拠点医療機関の助成事業が平成22年に終わってしまって、現在の臨床研究・治験活性化5か年計画になりましたので、今までのデータ提出義務は全くなくなってしまったので、6年間続けてきた調査がそこで途切れてしまうことになってしまいました。それで、折角6年間の合計データがあることと、新しい5か年計画になったときも進捗状況を図る手段がないと、具体的に施策がうまくいっているのかどうかを見ることができないということで、今度は前の協議会に参加していた病院に自主参加という形で参加していただくことで、新たな協議会を作ったという形になっております。ただし、この協議会に加盟していただく最低限の条件として、この調査には必ず協力することになっております。
 
 以前は、治験中核とか、拠点医療機関、あるいは文部科学省のTRに入っていないと、この協議会には入れなかったわけですが、現在は入りたい調査に協力する代わりに参加したいという所に関しては、一定の基準の下で承認・了解が得られれば自由に参加できるようになっておりますので、参加していただいている機関数は前回の協議会よりも増えている状況になっております。先ほど伊藤先生がおっしゃったように、2年間、手弁当でやってきたのですが、データを入れるのは各医療機関に自主的に入れていただくとしても、解析するには非常に膨大なデータですので、これまで日本医師会治験促進センターにデータを集めていただき、その一部を厚生労働省が提供を受けて解析するというようなやり方だったのです。しかし、それではやはりなかなかシステマティックな解析にはならないだろうということで、今回伊藤先生の研究班が設立されたということになっております。
 
 この協議会に加盟していただいている各医療機関は、見ていただいたら分かるように、相当膨大なアンケートに答えなければいけないことと、ただ単に答えるだけではなく、各年度の前年度1年分の治験や臨床研究に関するいろいろな実際的な数値を集めて、分析して、その中でデータを出していただかないといけません。非常に多大な協力をいただいておりますので、是非その点に関しては、この検討会でも御認識いただき、いろいろと御支援を頂きたいと思います。このデータがないと、今の5か年計画2012も、うまくいっているかどうかの数値データが全くないということになりますので、そういう意味では非常に大事なデータの提供源になっているかと思います。以上です。
 

○矢崎座長 
この膨大なアンケートを生かして、きちんと進めるには。例えば、これはWebサイトでできるようになっているのですか。
 

○伊藤参考人 
日本医師会の治験促進センターのWebサイトに入力していただく形になります。
 

○矢崎座長 
いかがでしょうか。楠岡先生がおっしゃられるように、進捗状況をしっかり評価する重要な手段というか、手立てですので、是非行政側からも御支援をいただければ大変有り難いということですね、楠岡先生の御発言の趣旨は。是非、よろしくお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。それでは、次にアクションプラン課題の3番目ですが、研究班が3つあります。まずは、「臨床研究コーディネーター養成カリキュラムの標準化に関する研究」ですが、研究代表者である楠岡先生から説明をお願いいたします。
 

○楠岡構成員 
この研究班は表題のとおり、臨床研究コーディネーター養成カリキュラムの標準化を目的としているものです。その目的のベースになっているのは、先ほど事務局から御説明がありました「臨床研究・治験活性化5か年計画2012」です。研究班の構成員はスライド2にお示ししているとおりです。
 
 具体的な作業の進め方として、昨年度からスタートしていますが、その中で考えているのがスライド3にあるものです。1つは、初級者/上級者CRCに求められる人材像を明確化しようということで、関係される方からのヒアリングの実施を行っています。2番目は、具体的な標準カリキュラムを作成するに当たって、国内で今まで実施されていた養成カリキュラム、あるいは海外での養成カリキュラムを参考に、それに基づいた原案を作ることを平成25年度の目標としています。平成26年度、今年度においては平成25年度に作った原案を基に、幾つかの機関においてこのカリキュラムを実際に実施していただき、その中での問題点等をフィードバックいただいて、今年度末には最終的なものを作りたいと考えています。
 
 まずCRCの人材像に関してですが、スライド4にありますように、支えあい医療人権センターCOMLの山口さん、これは被験者側からの意見ということでお願いしていますし、あと実際に臨床研究・治験を実施している研究の中心の医師であるとか、CRCの方々からいろいろ御意見を頂いています。それぞれいろいろな意見を頂いたわけですが、まだ整理が済んでいません。現在、分析中で、今年度前半には質的研究としてまとめたいと思っています。したがって、人材像が明確化しないまま養成カリキュラムの標準化というふうに順番が逆転しているのですが、取りあえず試案を作るということで標準カリキュラムを作成しています。
 
 標準カリキュラムに関しては、平成10年に治験コーディネーターの養成研修が最初に始まったときに暫定的なカリキュラムが作られ、その後、文部科学省系、これは現在、東京大学が引き継いでいますし、厚生労働省が直接やっていて、薬剤師研修センターあるいはPMDAの前身の所が実施していたようなもの、病院薬剤師会、一時は国立病院臨床検査技師の協会、現在は国立病院機構等、いろいろな所で今まで実施カリキュラムが行われていますが、その中には統一されたものがまだありません。いわゆる標準化されたものがなく、各団体ごとの特性を反映したようなカリキュラムになっていましたので、それを標準化することになっています。
 
 そのためには、まず今まで実施されたカリキュラムを全部集めてそれの整理を行っています。その際にどういう整理をしていくかの視点としては、CRCの養成等に関するグローバルスタンダードを作っているアメリカのAssociation of Clinical Research Professionals(ACRP)が、こういう養成カリキュラムの基本骨格を出していますので、それを参考にしています。この基本骨格は、その下にありますように被験者保護、試験関連文書の管理、規制と倫理等から、右側の管理者としてのスキルまでの14項目からできています。ただ、この14項目だけですと、日本国内でCRCとして活動するには若干足りない部分、例えば臨床薬理の知識とか、あるいは日本での法制度、倫理指針が必要になってきますので、その部分は、その他として別途付け加えるような形になっています。
 
 これまでに実施されている初級者CRC養成カリキュラムを整理し、上の視点から追加等を行ったものがスライド6です。具体的なものは後ろに参考資料として初級者CRC養成カリキュラム案として、A4、2枚にわたり非常に細かい字ですが、こういうような形にまとめています。
 
 それの一部抜粋ですが、Content Areasとしては、先ほどのACRPの分類に基づき、例えば1の被験者保護に関して、授業では「被験者保護の概念を知りCRCが携わる業務を説明できる」を目標にし、テーマとしては「ICの必要性」と「IRB/ECの役割」ということで、それぞれの講義に1コマずつを割り振る。ICの必要性に関しては講義だけでは不十分ということで、演習/見学で、ICのロールプレイ等に2コマを充てます。こういう形でそれぞれに標準的なコマ数を割り振ると、講義が26枠、演習が10枠、合計36枠という形のプログラムになっています。この36枠に関して、1枠を40分で行うか60分で行うかはそれぞれの研修によるとは思いますが、仮に60分とすると36時間ですので、5日間で7時間ぐらいの講義と演習を行えばよいということで、大体、日本でも標準的になっている1週間の養成で初級が終わる形になっています。
 
 上級者CRCに関して、現在、行われているのは厚生労働省が行っている上級者CRC養成研修のみであり、それ以外には初級者CRC向けのアドバンスト講座のようなものがあるだけで、まだまとまったカリキュラムがありません。これに関しては新たに作るという考え方で、先ほどのようなACRPの基準に従って整理しています。
 
 それの具体的なものが一番最後のページです。やはりA4、2枚にわたり非常に細かいものですけれども、その抜粋で、1の「被験者保護」の場合には、既に初級のところである程度のことが行われ、かつ、実際的に経験も積んでおられるということなので、もう少しテーマとしては高いものになるようにしています。教育方法の講義の時間としては、ICの概念とその適用に45分、研究倫理とIRB/ECが果たすべき役割・機能が45分、演習としてICのロールプレイに関して2時間程度、合計3.5時間程度を1の項目で必要とします。2の「試験関連文書の管理」に関しては、初級プログラムで行っていて上級で新たに行うことはないであろうということで、ここは「なし」となっています。そういう形で積み重ねて、最終的に14時間ですから7時間を2日間というプログラムを作っています。
 
 これの派生効果として、CRC養成カリキュラムの中で、このカリキュラムには入れることではないだろうけれども、更に上級者を養成するためには必要であろうということで整理して加えています。今日の資料にはありませんが、大学院の修士課程で、こういう臨床研究の支援者として修士号を取るようなことを考える方には、こういうカリキュラムがいいのではないかというカリキュラム案も提示しています。
 
 今年度においては、この暫定的な標準カリキュラムに関して、初級に関しては国立病院機構と日本病院薬剤師会で試行していただくことになっています。国立病院機構では来週行われますし、日本病院薬剤師会は例年、8月と2月の2つに分けて行われますので、8月のほうのパートに関して評価を頂く予定になっています。上級者に関しては厚生労働省の事業が行われていますので、その事業の中でこのカリキュラムを使っていただく形になっています。それぞれの試行結果に関してフィードバックいただき、積み残しになっている人材像の明確化を行い、この両者を重ね合わせた上で今年度末には最終的な標準カリキュラムを作りたいと考えています。
 
 これができますと、今まで各養成団体ごとでばらばらであったものが、ほぼ統一化された形になるということと、今、上級者から更に上を目指すCRCの方も出ていますので、そういう方に、どういう教育を受けていただければいいかの案も出せるのではないかと思い、現在、作業をしているところです。以上です。
 

○矢崎座長 
ありがとうございました。それでは引き続き、e-learningシステムを用いた人材育成に関する研究について、山本先生からよろしくお願いいたします。
 

○山本構成員 
国立がん研究センターの山本です。よろしくお願いします。資料3-4を御覧ください。資料3-4の下のスライド2に、今まで何度か紹介がありました臨床研究・治験活性化5か年計画2012アクションプランとあり、(3)医師等の人材育成及び確保が出ています。左側が本文で、四角で囲った所に「e-learningの一層の活用を促す」とあり、右側に具体的な取組内容として、国は、研究班を設置し、e-learningの継続的な内容の更新を行い、一層の充実・強化を図るということがプランになっています。
 
 スライド3を御覧ください。そこで我々のICRwebですけれども、ICRwebは、研究に携わる全ての者の教育と啓発を目的に、厚労科研費により平成19年度から作成・運用されてきた臨床研究入門のためのe-learningのサイトです。平成21年4月の「臨床研究に関する倫理指針」の改正の際に、e-learningの例として医政局長通知で紹介されたこともあり、数多くの大学、医療機関で公式プログラムとして採用され、臨床研究教育の一つのスタンダードとして利用していただいていると考えています。研究班開始当初、すなわちアクションプランの開始までに既に1万6,000人以上の方の登録と、8,000人以上の方に修了証の発行を行ってまいりました。
 
 そこで、そのアクションプラン開始、すなわち本研究を開始してからの目的ですが、このICRwebを改良し、より使い勝手のよい効果的なe-learningシステムを提供するということで、医師、CRC、DM、生物統計家、事務職員等の支援スタッフ、倫理審査委員等を対象に、更なるコンテンツの開発、使い勝手の向上、それから最後の点は、課題募集の際に厚労省より課されたテーマですが、今後求められるe-learningシステムのあり方についての調査研究など、このようなことを研究の目的としています。
 
 スライド5を御覧ください。具体的にこれまでの活動と今後ですけれども、1としてICRwebの再構築と医療機関への周知・活用です。これまでのコンテンツを、より多くの対象者に、より深い内容を履修してもらえるよう1年ちょっと前にリニューアルしました。このリニューアルにより、対象者の職種ごとやレベル毎にコース化を行い、履修のインセンティブが上がるようにコース毎に修了証を発行できるようにしたり、いわゆるSEO対策を行って検索が容易にできるようにしました。それから、このリニューアルに合わせ、厚生労働省の臨床研究倫理審査委員会報告システムに登録されている施設1,299全てに、サイトの周知を行いました。これらのことがあり、年間目標3,000人を大きく超える5,000人の新規登録を毎年していただいています。
 
 そのリニューアルですけれども、スライド6が旧サイトです。スライド7を見ていただくと、これが1年前にオープンした新サイトで、対象者別にコース分けをしました。具体的には臨床研究者コース、CRC/DMコース、倫理審査委員会コース、疫学者コース、一般の方と、この赤字でくくったコースごとに分かれています。今年度、改訂が予定されている研究倫理指針、統合指針によって、新たに教育義務が課される予定の倫理審査委員や疫学研究者に対しても既にコースを開講しています。
 
 スライド8が、サイトの登録者数の推移です。2007年からグラフを書いていますが、現行指針が改訂されたときから随分多く履修していただけるようになり、平成24年度、平成25年度のところが新しい研究計画のところですけれども、毎年、5,000人を超える方の登録を頂いて累計2万8,000人です。この上がったり下がったりという棒グラフがあると思いますが、これは4月になると上がって、だんだん下がっていき、また4月になると上がるということで、それでも毎年更に増えていっていますから、臨床研究に携わる人はまだまだたくさんいらっしゃると思っています。
 
 スライド9を見ていただくと、これは登録者数の中で我々が考える臨床指針の教育義務に対応した講座ということですが、そこを修了した方の累計及び月別の登録数です。毎年、3,000人以上の方が履修を完了しています。このような形で進めていて、現在、累計1万5,900人の方に修了証を発行しています。
 
 実際、どういう方が利用しているかですが、スライド10を見ていただくと、これは職種ではなく、どういう立場で研究に携わっているかです。医師が圧倒的に多いですが、CRC、倫理審査委員会委員、モニターといった方にも利用していただいていることが分かっています。
 
 スライド11は、教育コンテンツのさらなる充実ですが、この2年間に32本の新規コンテンツを配信しました。目標は年間10本ずつとしていたのですが、たくさん配信することができました。後述しますけれども、国立精神・神経医療研究センターのCRT-webというe-learningのシステムを統合することになりましたので、そちらで配信されている50本の講義も、我々のサイトから発信していくことができる状況になっています。それに加えて直接支援としてのセミナーも19回実施してまいりました。
 
 スライド12には、講座を示しています。大体、今は100以上の講義があるのですが、その100以上の講義を20の講座に分けています。一つ一つの講座が数個から10個ぐらいの講義を含んでいて、例えば臨床研究の基礎、臨床試験、生物統計、プロトコール、疫学、研究倫理、被験者保護、CRCなど、このような形でそれぞれが5個とか10個の講義を組んでいますが、これらを組み合わせることによって基礎編、臨床研究者コース、CRC/DMコース、倫理審査委員コースといったものを構成しています。
 
 スライド13は、1年前のリニューアル後の受講者数を示しています。リニューアルすることによって、どの講座を、どのくらいの方が現在受講されていて修了者がどのくらいいるかが見えるようになりました。いろいろな講座を受けていただいて有り難いと思っているのですが、特に研究倫理指針の解説はたくさんの方に受けていただいていることが分かります。
 
 スライド14ですが、より活用していただきたいために、より履修しやすい形での提供の研究ということで、実際、講義の提供になると1時間、2時間といったものが多いですが、そういうものを実際の臨床現場若しくは施設でパソコンの前に座って見ていくのは、現実的にはなかなか難しいと思いましたので、より有効に利用していただくために、通勤時間や空いている時間に利用していただける形態の提供を考えています。それでPodcastによる配信はずっと行ってきたのですが、あまりPodcastというのは使われていないみたいなので、Youtubeでログインしなくても利用可能とか、モバイルのiPhoneアプリを作って見られるように開発しています。
 
 スライド15はYoutubeの配信です。これは10分ぐらいにまとめて配信しています。
 
 スライド16は、iPhoneアプリを現在作っていて、講義はもちろんのこと、倫理指針とかサンプルサイズ計算機能がアプリでできる。大体、利用する所というのはネットが通じていない所が結構多いので、ネット環境がなくても利用できるようなシステムとして開発しているところです。
 
 スライド17は、4e-learningシステムのあり方の検討ということで、厚労省より課されたテーマです。既存のシステムの内容を比較し、今後求められるe-learningシステムのあり方(システムの統合や専門領域毎の必要性等)について調査研究を実施すること。我々の目標としては、システム同士の相互連携や支援、統合、役割分担を通じ、利用者の利便性の向上を図るということを目的としています。
 
 スライド18です。一昨年の終わりから昨年にかけて、臨床研究教育の実地調査を行いました。これは厚労省臨床研究倫理審査委員会報告システムに、その時点で登録されている1,299の施設に対して行った郵送調査です。調査に答えるほうも大変なので、簡単なA4、1枚両面で調べなくても答えられるような調査にしました。
 
 結果を完全にまとめられなくて恐縮ですが、スライド19は、728の返送があったうち、データクリーニングが済んだ372施設の一部の結果です。臨床研究教育に関して、28%の施設がe-learningで教育機会を提供していることが分かりました。その中で外部利用可能なe-learningを提供している施設はほとんどなくて、内部のみ利用可能な施設が5%、残りの23%が他機関のを利用していて、そのうちの20%(73施設)が我々のサイトを利用してくれています。なぜ外部を利用していないのかを聞きますと、「存在を知らない」が4割もありましたので、さらに周知の必要があると考えています。
 
 スライド20は、他のe-learningとの連携です。この後、御発表いただく小出先生のサイト、日本医師会の治験促進センターのサイト等との連携をもとに、まず考えているのと、もう1つは、システムの統合あるいは研究領域ごとの必要性検討のパイロット研究として、国立精神・神経医療研究センターのe-learningサイトCRT-webを、今回統合しました。今年度が最終年度になりますが、他のe-learningとの連携を実施したいと考えています。
 
 スライド21にあるように、このような形での統合を考えているのですが、新しくトップページを変えようと思っていて、このような形にしています。実際はもう変わりましたので本日からこのサイトはリニューアルしているのですが、この特徴は、トップページで上の赤マルを付けた所にタブを付けて、リンクだけでなくトップページに他のe-learningのサイトなどを載せたいということで、すぐ利用者の目に付くように、こちらも使ってくださいという指示をしたいと考えています。具体的には、先ほどもお話させていただいた日本医師会の治験促進センターのサイトや小出先生のサイト、もしあれば中核病院等のサイト、文科省推薦のCRTとも、できれば連携したい。現在は、既に日本医師会のものと小出先生のサイトとは連携して、すぐ飛べるようになっています。利用者の利便性から考えると、同じサイトで1個でやってくれという意見もよく聞くのですが、現実的にそれは難しいところもありますので、うまく連携して利用者に両方使っていただけることが見えるような形で、ほかの先生方とも協力していきたいのです。
 
 もう1つは、下のマルで囲っているところですが、他のe-learningのプラットフォームとしても使っていただきたい。現実に随分長くやってこれたので、3万人ぐらいの方が登録しているとお話しました。つまり、3万人の方にメール等でアプローチできるということですから、先ほども御紹介のあった厚労省のCRC/DM、倫理審査委員の研修とか、楠岡先生からお話のあった初級者あるいは上級者CRCのカリキュラムに基づいた講義がありましたら、例えばうちのサイトから発信、若しくはそういうのがどこかに出た場合はメールでお知らせするなど、せっかくインフラを作ったので、プラットフォームとして利用していただければと思っています。
 
 スライド22で最後ですが、今後の方向性としては、当然ながらコンテンツの充実ということで、間もなく出る新指針への対応、それから、現在大きな問題になっているResearch integrity関係の講義を追加すること。また、がん以外の研究者にもなじみやすいコンテンツを作っていく。現在もがんに特化しているつもりはないのですが、例題とかは、がんが多くて「がんのサイトではないか」と言われることが多いので、そうでないものを明示的に載せていく。医師主導治験関係のコンテンツ、企業治験のGCPトレーニングとして利用可能なコンテンツ、トップページを一部英語化して、我が国でもこういう提供体制ができていることを海外にも分かっていただく。より一層のサイトの周知、より広いコンテンツの利用を促すような取組を考えています。アクションプランに沿って進めているつもりではあるのですが、より活用いただくために是非、新指針の通知の際に小出先生のサイト、医師会のサイトを周知していただいて、こういうのを使ってくれということを事務局の方から言っていただくことが非常に重要だと思っています。もちろん、e-learningだけで全て完結するわけではないので、うまく使っていただいて効率よく教育等が進むようにしていきたいと思っていますので、是非、皆様の御支援をお願いしたいと思っています。以上です。
 

○矢崎座長 
ありがとうございました。続いて、大学の連携によるe-learningシステムの研究について、東京大学附属病院の小出先生、よろしくお願いいたします。
 

○小出構成員 
東大病院の小出です。発表の機会を頂きまして感謝申し上げます。時間も押しているようですので早速、「大学の連携による職種・レベル別に対応した臨床研究・治験のe-learningシステムを展開する研究」について、紹介させていただきます。
 
 スライド2に移ります。研究の目的ですが、これは大学と地域病院が連携して、基幹病院だけでなく、地域医療の現場でも臨床研究を推進するための新しいe-learningシステムを構築することであり、最終的には、一番下にありますように日本全体の臨床研究・治験のレベルを底上げし、またグローバル化ということで世界にも打って出られるような教育をしたいと思っています。
 
 スライド3に移って、研究の体制ですが、私どもの東大病院は自治医科大学と協力しています。自治医科大学は大学の特徴として全国から学生が集まり、また全国へ散って行くということもありますので、そういった特性を活かしつつ、更に地域の病院・診療所としては都会型はもちろん、たとえ地方又は離島の方々であっても、最新の臨床研究・治験について学べるようにと思っています。また企業としては、東大病院がもともと医療安全や感染制御に関して、シャープのe-learningシステムを用いていたということがありますので、そういう所とのノウハウの共有等を行っています。
 
 また分担研究者として、右上にありますUMINの木内センター長に入っていただき、UMINの新しいシングルサインオンという技術を使い、これに関しては後で説明しますが、またUMIN自体、利用者が数十万人いるということもありますので、そういうのを利用して周知をしていくことにしました。またNPOのJ-CRSU(臨床研究支援ユニット)があり、ここはもともと幾つかe-learningのコンテンツを持っていましたが、あまり活用されていないことがありましたので、それを再利用する形でコンテンツを無料開放するとともに、受講者から得られた評価をフィードバックすることをしています。また東大病院のほうにPMDAから出向している先生にも分担研究者に入っていただいたり、私自身、もう10年以上、ICHの電子化のところを担当していましたので、そういった厚生労働省、行政との連携を行っています。また臨床研究・治験活性化5か年計画2012でも、重点として挙げられているグローバル化に対応するということで、私自身、親交のある世界最大のAROであるDuke Clinical Research Institute等との協力を行っています。
 
 スライド4の研究の工程表ですが、コンテンツとして大きく初級編と上級編の2つに分け、更にインフラについてもいろいろ検討することにしました。初年度の平成24年度に関しては準備の段階ということで、知識をまとめるとか最新情報への対応等を行いましたし、インフラに関しては設計の検討ということで、これも後で説明しますけれども、Moodleというフリーのソフトを活用することにしました。また学習者の拡大への検討ということで調査したところ、大学等でまだまだ開拓の余地があることも分かりましたし、あと職種別、レベル別の要件の検討も行いました。平成25年度に実装を行い、上級編のほうに関して当初の6コマの予定が12コマ、初級編のほうも9コマの予定が30コマと、予想以上の成果を上げたと思っています。平成26年度に関しては、再度、評価等を行ってシステムを更に改善していくことを考えています。
 
 スライド5に移って、UMIN上でMoodleを採用したということと、シングル・サインオンについてですが、Moodleというのは世界的に使われているオープンソースのe-learningシステムであることから、永続性が期待されるものです。またシングル・サインオンという技術を用いると、UMINのID・PWで私どものe-learningを利用できますし、更にUMIN上では臨床試験登録とかEDC、またデータレポジトリ等もサービスとありますが、そういったものも同じID・PWで使えます。またサーバーを超えて同じID・PWで利用できるということで、自治医科大学と東大との間でも、このシングル・サインオンが実現しています。
 
 スライド6で、先ほど言いましたように受講者の拡大を検討する上で、医学、歯学、薬学、看護系の大学及び附属病院にアンケートをして、今現在のこういった臨床研究とか医療倫理の教育の実態について調査しました。左上になりますが、そういった教育の状況を見たところ、看護系大学の半数近くはまだそういった教育がされていないことが分かり、この点は開拓の余地があるであろうと思いました。また右下にありますように、e-learningの導入に関して附属病院等では若干あるのですが、それ以外ではまだほとんどないということで、私どものe-learningを活用する可能性がまだあるのではないかと思っています。回答率等は左隅にあるとおりの状況です。
 
 スライド7で、実際の私どものカリキュラムですが、初級編のほうはNPO等のものを使い、職種としては上のほうにある医師、CRC、IRB委員、生物統計家、事務局事務、データマネージャー等を分けて、それぞれに必修とか任意、また医師では中ほどにある医学の基礎知識などは既に持っているので、あえて教育する必要はないということで全く受けなくてもいいという形にしています。CRCに関しては先ほど楠岡先生から標準化カリキュラムも提示されていますので、そういったものを参考にしながら今後、更に検討していきたいと思っています。
 
 スライド8は上級編のカリキュラムで、先ほどの山本先生の発表にありました国立がん研究センターと連携を取りたいと思っています。山本先生の話にもありましたように、がん情報だけではないということですけれども、逆に、がん情報に関しては、これ以上すばらしいものはないので、私どものほうであえて提供する必要はないと思っています。またグローバル化に関しては、例えば世界的にも有名な抗凝固薬のROCKET-AF Studyの筆頭著者の方の設問とか講義も加えていますし、更にPMDAの方から薬事特論の話、またPMDAが2016年国内導入を決めているITを活用した効率化ということで、CDISCの講義も盛り込んだりしています。
 
 スライド9に、e-learningシステムの構成があります。URLを示してありますので、こちらにアクセスしていただければ私どものe-learningが使えますけれども、ビデオを長々と見るのは大変ということがあり、ビデオはあくまで参考という位置づけで、まずは設問を解いていただき、これは選択肢で5問程度ですけれども、これで8割以上取れた方はあえてビデオを見ていただかなくてもいいと。そこら辺で十分でないという方は、じっくりとビデオを見ていただく形にしました。
 
 スライド10に移って、先ほど示したカリキュラムに基づき、各職種について初級編、上級編別に必修科目を全て80%以上正解を得れば、修了証がダウンロードできる形にしています。
 
 最後のスライド11になりますが、私どもの最終的な目標として、東大、自治医科大学、関連する地域病院等では必須の教材にしていただきたいと思っていて、東大のほうでは臨床研究支援センターの山崎センター長が、この4月からM3とM4のクリニカル・クラークシップのほうで必修としていただきましたし、自治医科大学のほうでも倫理を必修としていただきました。また全国規模の推進体制を構築することや、国際共同臨床研究等の体制強化を目指したい。また産官学の連携による医療イノベーションを発展させる。いずれもWin-Winの関係に持って行きたいと思いますし、将来的には国民やソーシャル・メディアへの啓発資料としても使っていただきたい。数万人規模の利用者を得ましたら、私どもとしても自立運営できるようになりたいと思っています。以上です。
 

○矢崎座長 
ありがとうございました。最後に、文部科学省から取組の御説明、よろしくお願いします。
 

○文部科学省高等教育局医学教育課大学病院支援室長 
大学病院支援室長の手島と申します。よろしくお願いいたします。資料4を御用意ください。臨床研究に係る人材養成について、大きく3つの視点から御説明させていただきます。1つは、大学の学部、大学院教育における取組、2つ目に文部科学省の予算事業としての取組、3つ目に大学病院での取組ということで御説明いたします。
 
 スライド2です。学部教育において、医学教育等におけるモデル・コア・カリキュラムを用意しています。それは医学教育等の内容を精選し、卒業時までに学生が身に付けておくべき必須の実践的能力、知識、技能、態度の到達目標を分かりやすく提示したものです。医学系統の各大学における、カリキュラム作成の参考となる位置付けの教育内容ガイドラインとして提示したものです。モデル・コア・カリキュラムに示された教育内容で医学教育等は完成するものではありません。およそ従来の3分の2程度の時間数で、モデル・コア・カリキュラムに示された内容を履修させることを考えています。医学教育等におけるモデル・コア・カリキュラムは3つあり、医学教育モデル・コア・カリキュラム、歯学教育モデル・コア・カリキュラム、薬学教育モデル・コアカリキュラムです。
 
 スライド3です。これは医学教育モデル・コア・カリキュラムの記載内容で、臨床研究に関係するところを抜粋したものです。表の注のところを御覧ください。到達目標として、学生が卒業時までに身に付けておくべき個々の実践的能力を示しています。一般目標ですが、その到達目標を修得することで達成される目標という形で、このモデル・コア・カリキュラムが記載されています。ここでは、Aの基本事項の中で課題探求・解決学習の在り方、医学研究への志向の涵養、Bの医学・医療と社会の臨床研究と医療という項目の中で、それぞれ一般目標、到達目標を示しています。
 
 スライド4に具体の例として、これは大学のシラバスから私どものほうで抽出した事例です。例えば大阪大学においては「医学概論」を学部の3年生を対象に、1単位12回、各90分の形で実施していますし、慈恵医科大学においては「Evidence-based clinical practice」という科目名の授業を、4年生を対象に1単位の形でやっています。これはシラバスのほうから私どもが抽出したものですが、今年度はこれを悉皆調査する予定です。
 
 スライド5は、歯学教育モデル・コア・カリキュラムの記載内容の例です。Aの基本事項で6の生涯学習のところで、研究マインドの涵養という形で一般目標、到達目標を設定しています。
 
 スライド6に具体の授業の例として、徳島大学歯学部においては「研究基礎ゼミ」を、3年生を対象に3単位の設定をしています。また岡山大学では「臨床歯科薬理学」という授業科目を、4年生を対象に設定しているという事例です。
 
 スライド7は薬学教育モデル・コア・カリキュラムの記載例です。Aの基本事項の(1)薬剤師の使命として、GIOというのが一般目標ですが、明記していませんが枠の外に書いているのが到達目標です。薬剤師の使命、薬剤師に求められる倫理観としてGIOと到達目標を示しています。
 
 スライド8は、Bの「薬学と社会」という項目の中で薬剤師と医薬品等に係る法規範ということで示しています。
 
 スライド9で、Gの「薬学研究」の一般的なこととして、(1)薬学における研究の位置付け、(2)研究に必要な法規範と倫理、(3)研究の実践という項目の中で、それぞれのGIOと到達目標を示しています。
 
 スライド10が、これらモデル・コア・カリキュラムの実際の授業例です。熊本大学では「医療倫理学」を2年の後期に、1単位15回、各90分ということで授業科目を設定しています。北里大学では「臨床試験総論」を4年後期に、1単位12回、各90分という形で授業を展開しています。
 
 スライド11は、PMDAと連携大学院を採用している大学院一覧です。これは連携締結日の順番で記載しています。現在、19大学、21研究科等が連携大学院です。ここで傍聴の方にお詫びです。傍聴の方の資料では金沢大学大学院までしか記載していませんが、平成26年3月10日付で、熊本大学大学院医学教育部でPMDAとの連携大学院を実施しています。大変失礼いたしました。
 
 スライド12は、文部科学省の予算事業です。先進的医療イノベーション人材養成事業の中で、未来医療研究人材養成拠点形成事業を平成25年度から実施していて平成26年度が2年目です。その中では、メディカル・イノベーション人材の養成とリサーチマインドを持った総合診療医の養成という2つの大きなプログラムを用意していますが、臨床研究に係る人材養成についてはメディカル・イノベーション人材の養成です。
 
 スライド13を御覧ください。テーマAとしてメディカル・イノベーション推進人材の養成ですが、これは学部あるいは大学院での教育プログラムコースを設定していただく。そのほか後期研修医のプログラムとか、社会人を対象にした短期集中のコースを設定していただくなど、体系的なプログラムコースを設定していただくものです。
 
 スライド14が選定した大学です。10件、10大学に選定委員会を設けて選定させていただきました。この事業は、この選定した大学においてグッド・プラクティスを作り、またこれを大学全体に敷衍させることが大きな目標ですので、今年の年末には本事業の合同公開フォーラムを予定しています。
 
 スライド15は大学病院での取組で、これまでの御議論の中でも出てきましたが、国公私立大学病院の職員を対象にした臨床研究(治験)コーディネーター養成研修です。スライドの下の※に書いていますが、平成21年度までは文部科学省主催で行っていました。平成22年度からは東京大学が主催し、文部科学省が後援という形で行っていただいています。この資料はその修了者の累計数です。
 
 スライド17、スライド18は、「参考」として、橋渡し研究加速ネットワークプログラムです。この中でも教育訓練ということで人材の養成に取り組んでいるところです。以上です。
 

○矢崎座長 
ありがとうございました。臨床研究の人材育成に関する3つの研究班のお話と文部科学省の取組のお話を頂きました。ここで皆様方からの御質問あるいはコメントがございましたら、よろしくお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
 

○渡邉構成員 
e-learningに関して、よろしいでしょうか。このようなe-learningは今後、臨床研究教育の非常に重要な柱となっていくと思います。山本先生、小出先生のe-learningは実際に現在、臨床研究教育のスタンダードとして機能し、内容も充実していると思いますが、今後このようなシステムを継続していくことが重要です。小出先生は自立運営ということをおっしゃっていますが、運営には財政的な負担も大きいと思いますけれども、山本先生のほうは自立的な運営というのは可能なのでしょうか。
 

○山本構成員 
考えてみたことがあるのですが、既にある我々研究班で作ったサイトからお金を取っていいのかとか、国立がん研究センターでサポートするのかということですけれども、話の筋としては、どこかでやるというよりは国で提供されたものというスタンスでやっていったほうが、皆さん、使いやすいのではないかと思っていますので、そこは厚労省の方と相談しないといけないと思っています。結局、スポンサーが代わるということになると、その権利関係や個人情報のことなど問題が生じるので、考えてはいるのですが、あまり考えたくないというふうに思っています。
 

○渡邉構成員 
私も、こういうシステムこそ国が責任を持って運営し、内容の充実を図りつつ、継続性を担保していただければ有り難いと思って発言しました。
 

○矢崎座長 
そのほか、いかがでしょうか。
 

○井部構成員 
2点、質問があります。1つは、文科省からの報告では、医学教育と薬学教育についてのみの説明でしたけれども、今、看護系の大学は234大学でその半分くらいは修士、更にその半分が博士課程を持っています。看護に関する研究も非常に増えていますけれども、ここに看護学教育というのが1つも出てこないのは何かお考えがあってのことなのか、お聞かせいただきたいと思います。
 

○大学病院支援室長 
今回、説明させていただいたのは、モデル・コア・カリキュラムということで御説明させていただきました。看護学のほうでも到達目標であるのですが、モデル・コア・カリキュラムという形では作成していませんでしたので、今回の説明では入れていないということです。
 

○井部構成員 
看護学の中では、それが1つの課題になっています。看護学のカリキュラムは養成所指定規則で規定されていて、それを網羅しないと看護師等の国家試験受験資格が得られないという規制が掛かっています。したがって、モデル・コア・カリキュラムを研究はしているのですが、なかなか実用化されないのです。そうすると、いつまでもこうした医学や薬学の教育機関とは切り離されたような形で進んでいくのは、残念だと思います。
 
 もう1つは、楠岡先生から、CRCの研究の中でどういう人材を求めるのかが、まだできていないというお話がありました。私はこれがとても重要であると思います。私は当初、研究班の治験コーディネーターの養成として、人材育成をするためのカリキュラムの骨格を検討した立場から言いますと、治験コーディネーターではなくてCRCですね、Clinical Research Coordinatorということになりました。これは名称の変更だけでなく中身も変わっているのだろうと思います。Clinical Research Coordinatorというのは、どの範囲の研究を扱いコーディネートするのかということを考える上で、この人材像に関するヒアリングが既に終わっているのでしたら、なるべく早く提案していただくことを期待したいと思います。
 

○楠岡構成員 
ありがとうございます。我々の班も、これは非常に重要な問題と考えて分析しようということで、今、取組みだしているところなのですが、意見をお聞きしたそれぞれの立場から膨大な要望が出ていて、それをカバーできるような人材というのは結果的にはとても無理なので、どのあたりのレベルの人だったら、どれぐらいのことができるようになればいいのか。あるいは最も基本的なモチベーションとして、どういうものを持っていなければいけないかを、今、整理しようとしてスタートしている状況です。それが一番大事なのは分かっているのですが、養成カリキュラムというのは喫緊の課題でありましたので、そこの順番が逆転している点は我々も危惧して取り組みたいと思っているところです。
 

○矢崎座長 
そのほか、いかがでしょうか。
 

○谷岡構成員 
我々、医療機器のメーカーでは、ISOの13485というものに従って品質システムというところで動いているのですが、その中でも教育訓練と資格をどうするかというところは非常に重要視されます。当然、計画を立てて教育をするということはそうなのですが、最近、その評価をどうしていますかということが非常に問われますので、教育を受けた結果として、テストをするのかアンケートを取るのかレポートするのか。いろいろあると思いますけれども、その評価という観点も今後、いろいろ考えていかないといけないと思いました。
 

○矢崎座長 
ありがとうございました。そのほか、どうぞ。
 

○稲垣構成員 
先ほどの井部構成員のお話にくっつけたような形で、楠岡先生のところで確認というかお話ですが、臨床試験のコーディネーターというのは、治験の場合ですと企業側が入るわけですけれども、臨床試験になった場合、実際に試験を進めるときに今回の治験活性化のキーワードでもある効率化ということがあって、限られた予算と時間の中でいかに進めるかの腕も、CRCの方は求められる形になるかと思います。それがうまくいかないと臨床研究をと言ってもなかなか進まないし、それこそ今の研究で期間内に終わらないものが多いというのがずっと続くようですと、結局、イノベーションという話も絵に描いた餅になるようなところがあり、そのあたりも求められる人材像のところで考慮いただけると有り難いかなと思っています。
 

○楠岡構成員 
まず、基本的にCRCというのは、もともと臨床研究コーディネーターであるべき者が、日本ではたまたま治験コーディネーターという名称でスタートしたところに、少し事情が複雑化しているところがあるのです。我々の所で検討しているのは臨床研究コーディネーターということで、必ずしも治験に特化したということではないということが1つと、CRCの業務範囲も当初は被験者に対するいろいろな対応と、ある程度事務局業務的なものであったのが、今、どんどん範囲が広がってきて、場合によっては多施設共同研究の事務局を担当するレベルまでになり、これは企業治験であれば、企業の開発部門がやるような仕事までをCRCが担当しているという実態がありますので、そこまでをカバーするとなると相当なものになってくると思います。したがって、そこは少しレベル分けで、先ほど評価をどうするかというお話がありましたが、ここで検討しているのはあくまで養成で、評価という意味で認定制度のようなものというと、例えば臨床薬理学会では学会認定を行っていますが、それをもう少し国レベルのもので行うとか、あるいは第三者機関的なものということで、学会も第三者機関ですけれども、より公的な資格のある所で行うかどうかというのは今後の問題かと思っています。
 

○矢崎座長 
予定の時間が過ぎていますので、この課題はこれで終わらせていただきたいと思います。今のお話をまとめさせていただくと、人材養成カリキュラムの標準化をしっかりするということ。特に先ほど御指摘があったように、どういう人材を育てるかという人材像を明確にすること。それから、せっかく標準化のコンテンツができたら、それは共有化するという問題が1つあると思います。2番目はe-learningです。これは人材育成のプラットフォームとして活用していただける非常に有力な手立てですので、お互いに連携しながら標準化に向けて是非、お願いしたいということです。ただ、先ほどあったように維持の問題で常にアップデートの改訂が必要だということで、その費用をどういうふうにサポートするか、事務局のほうでも御検討いただければと思います。大変難しい問題だと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 
 それと、今、大学連携などによる職種レベル別のカリキュラムを作られましたけれども、先ほど、看護教育に関するコンテンツがないのではないかという御指摘がありました。職種レベル別という中に、医療職種全体がカバーできるようなコンテンツを作っていただければ、大変有り難いということだと思います。また何か御意見がありましたら、事務局のほうにお申し付けいただければ大変有り難いと思います。
 
 最後に、今後のスケジュールについて事務局からよろしくお願いします。
 

○研究開発振興課治験推進室主査 
資料5を御覧ください。本日、アクションプランに基づきまして大きな柱の1つ目、9年間の活性化計画を踏まえた更なる飛躍と自立の中で、前半の3つの目標について進捗及び今の取組について報告させていただきました。次回の検討会におきましては、後半部分の(4)~(6)についての進捗及び取組について御報告させていただきます。それらを踏まえて、大きな柱の1つ目に関して、今後、プランの追加が必要なのか、改めて項目自体を見直すべきなのか等について御議論いただければと考えています。
 
 第12回目については、大きな柱の2つ目の進捗や取組について御報告させていただき、プランの見直しや追加項目が必要かどうかについて御議論いただければと考えております。13回目、14回目につきましては、その検討等を含めてまとめに向けて御議論いただければと考えています。以上です。
 

○矢崎座長 
ありがとうございました。このスケジュールで進めさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは事務局から連絡事項をお願いします。
 

○研究開発振興課治験推進室主査 
本日は、御議論いただきましてありがとうございました。次回は7月31日を予定していますので、よろしくお願いいたします。開催案内等につきましては改めて事務局のほうより御連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 

○矢崎座長 
本日は、御熱心に御議論いただきまして誠にありがとうございました。これをもちまして、第10回臨床研究・治験活性化に関する検討会を終了させていただきます。ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 臨床研究・治験活性化に関する検討会> 第10回臨床研究・治験活性化に関する検討会(2014年5月22日)

ページの先頭へ戻る