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2014年4月17日 平成26年度第1回薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会安全対策調査会 議事録

医薬食品局安全対策課

○日時

平成26年4月17日(木)
10:00~


○場所

厚生労働省共用第8会議室 19階


○議題

(1)スイッチOTC薬のリスク評価について
(2)その他

○議事

○事務局 定刻となりましたので、平成26年度第1回医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開催いたします。本日御出席の委員、参考人の先生方におかれましては、お忙しい中お集りいただきましてありがとうございます。

 本日の部会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解、御協力のほどお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、静粛を旨とし、喧騒にわたる行為をしないこと。座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うことなど、留意事項の厳守をお願いいたします。

 本日の委員の出欠ですが、安全対策調査会委員5名全員の出席をいただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立することを御報告申し上げます。

 また、今回議題1の参考人としまして、日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科教授の大久保先生、横浜市立大学大学院医学研究科生殖生育病態医学(産婦人科)教授の平原先生、また、議題2の参考人としまして、国立国際医療研究センター国府台病院の塚田先生に御出席いただいております。

 議題2の参考人としてもう1名御出席いただきます、杏林大学医学部精神神経科学教室の渡邊先生におかれましては、1045分ごろ到着と伺っております。

 また、41日付けで事務局に異動がありましたので御紹介をさせていただきます。安全対策課課長補佐に清原が着任しております。

○事務局 清原でございます。前任の黒羽同様、御指導のほどよろしくお願いいたします。

○事務局 よろしくお願いいたします。

 冒頭のカメラ撮りはここまでとさせていただきます。以降の議事の進行は、五十嵐座長にお願いいたします。

○五十嵐座長 皆さんおはようございます。

 初めに、事務局から審議参加に関する遵守事項について御説明をお願いいたします。

○事務局 審議参加に関する遵守事項について説明いたします。本日、御出席をいただいた委員及び参考人の方々の、過去3年度における関連企業、対象品目及び競合品目の製造販売業者からの寄付金、契約金などの受取状況を御報告いたします。本日の議題1に関して、五十嵐座長より、田辺三菱製薬株式会社より50万円以下の受取。柿崎委員より、田辺三菱製薬株式会社より50万円以下の受取。望月委員より、佐藤製薬株式会社より50万円以下の受取。大久保参考人より、田辺三菱製薬株式会社より50万円を超え500万円以下の受取、佐藤製薬株式会社より50万円以下の受取、第一三共ヘルスケア株式会社より50万円以下の受取、エスエス製薬株式会社より50万円以下の受取。続きまして、平原参考人より、第一三共ヘルスケア株式会社より50万円以下の受取、と申告いただきました。

 次に、議題2に関して、五十嵐座長より、大塚製薬株式会社より50万円以下の受取。柿崎委員より、ヤンセンファーマ株式会社より50万円以下の受取、アステラス製薬株式会社より50万円以下の受取、大塚製薬株式会社より50万円以下の受取。続きまして、大久保参考人より、大塚製薬株式会社より50万円以下の受取。渡邊参考人より、ヤンセンファーマ株式会社より50万円以上500万円以下の受取、日本イーライリリー株式会社より50万円以上500万円以下の受取、大塚製薬株式会社より50万円以上500万円以下の受取、アステラス製薬株式会社より50万円以下の受取、と申告いただきました。なお、競合品目、競合企業については、事前に各委員に資料をお送りして確認をいただいています。利益相反については以上のとおりです。

○五十嵐座長 ただ今の事務局から御説明がありました審議参加に関する遵守事項について、特に御意見はありませんでしょうか、よろしいでしょうか。

( 承認)

○五十嵐座長 はい、ありがとうございます。特にないようですので、競合品目、競合企業の妥当性を含めて、皆さんの御理解をいただいたものといたします。

 次に、事務局から、今日の配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 配布資料ですが、一番上に座席表。その次に、安全対策調査会の議事次第。裏側になりますが、安全対策調査会の委員、参考人の一覧。審議事項に関する品目及び企業の一覧です。

 その次に配布資料一覧がありますので、以下、それに併せて資料の確認をさせていただきます。資料1-1-1「スイッチOTC薬等のリスク評価について」、資料1-1-2「要指導医薬品の指定の概要」、参考資料1-1「スイッチ直後品目の製造販売後調査について」、資料1-2「スイッチOTC薬のリスク評価について」、資料1-3-1「オキシコナゾール硝酸塩のリスク評価について」、資料1-3-2「クロトリマゾールのリスク評価について」、資料1-4-1「ケトチフェンフマル酸塩/ナファゾリン塩酸塩のリスク評価について」、資料1-4-2「ベクロメタゾンプロピオン酸エステルのリスク評価について」、資料1-4-3「オキシメタゾリン塩酸塩のリスク評価について」、資料1-5「ロキソプロフェンナトリウム水和物のリスク評価について」。資料1-5-1、表題は「新一般用医薬品製造販売後調査報告書」になっていますが、これは「ロキソニンに関する報告書」です。

 続きまして、資料2-1「ゼプリオン水懸筋注用との因果関係が不明であるが市販直後調査中に報告された死亡症例」。mgの説明は省略させていただきますが、資料2-2「ゼプリオン水懸筋注シリンジの適正使用についてのお願い」、資料2-3「各症例の症例概要(追加3)」、資料2-4、こちらの資料はいろいろと個人情報等の関係もありまして、机上配布のみとさせていただいていますが、「ゼプリオンの死亡症例一覧」、資料2-5「医薬品副作用症例報告書」、こちらも机上配布のみとさせていただいています。資料2-6「使用上の注意の改訂案」、参考資料2-1「ゼプリオン水懸筋注の添付文書」となっています。以上です。漏れや落丁等がありましたら事務局に申出ください。

○五十嵐座長 ただ今の御説明について、御意見、御質問はありますか、よろしいですか。それでは、議題1、「スイッチOTC薬のリスク評価について」、これから審議をしたいと思います。事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 それでは議題1、「スイッチOTC薬リスク評価について」御説明いたします。まず、議題に入る前に、要指導医薬品の一般用医薬品への移行の評価手順について、簡単に御説明させていただきます。資料の順序を入れ替えさせていただきまして、初めに1つ下の資料1-1-2、要指導医薬品の指定の概要です。こちらは先日44日に開催されました一般用医薬品部会において配布された資料です。1.背景から順に御説明いたします。平成251213日に公布されました「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律」では、適正使用のために薬剤師による対面による情報提供や薬学的知見に基づく指導が必要な医薬品として、一般用医薬品とは別に、「要指導医薬品」という新たな医薬品のカテゴリーが設けられることとなりました。

 次の2.です。この要指導医薬品は「医療用に準じたカテゴリーの医薬品」を指定することとして、具体的にはこれまでの一般用医薬品のうち、医療用から移行して間がなく、一般用医薬品としてのリスクが確定していない、スイッチOTC薬、ダイレクトOTC薬、加えて劇薬を指定することとしています。現在新たに販売されるスイッチOTC薬やダイレクトOTCには、それぞれ一定期間の製造販売後調査の実施が義務付けられており、スイッチOTCについては、原則3年間、ダイレクトOTC薬については品目に応じて再審査期間として4から8年間の調査の実施がされていますが、この調査期間中はリスクが確定していないため、要指導医薬品として取扱うこととしたものです。

 次に要指導医薬品への指定とそこから移行する際のリスク評価の手続について御説明いたします。少しページを飛びまして、資料1-1-2のスライドの9ページです。傍聴者の方々には1枚目だけお配りしておりまして、以降のページは省略させていただいておりますので御了承いただければと思います。まず初めに、現在実施していますスイッチOTC薬のリスク評価手続について御説明いたします。上下2本の矢印のうち、上の段が現行制度の手続を示したものです。この安全対策調査会において、これまで何度もスイッチOTC薬のリスク評価について御審議をいただいていますので、既に御案内のこととは存じますが、改めてその手続について御説明いたします。リスク評価については、真ん中の細長い矢印、3年間の製造販売後調査を終え、右側の4年目に入ると製造販売業者から製造販売後調査の報告書が提出されてまいります。その結果に基づいて右側の四角、安全対策調査会、この会議のことですが、この調査会において第1類から第3類のリスク区分について、御審議をいただき、その後、右側の医薬品等安全対策部会において調査会での評価結果を報告させていただき、部会での最終評価によりリスク区分が決定され、その結果に基づき、リスク区分告示を改正することとしています。これらの評価手続におおよそ1年間かかることから、現在の制度ではこのフロー図のとおり、製造販売後調査終了後1年間は第1類医薬品として販売し、その後、リスク区分告示に基づくリスク分類に移行することとしています。

 次に、今回の制度改正後のリスク評価の手続についてです。改正法施行後の要指導医薬品から一般用医薬品への移行に関しては、昨年108日に取りまとめられましたスイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合の報告書において、一般用医薬品としてのリスクが不明な期間を可能な範囲で短縮することも検討して然るべき、との御指摘をいただいていることを踏まえ、昨年1210日に開催されました、平成25年度第3回医薬品等安全対策部会において、一般用医薬品としての販売可否についての評価、すなわち、要指導医薬品から一般用医薬品への移行の可否に関する評価手続について御審議をいただき、その取りまとめをいただきました。今御覧いただいています、スライド9ページ目の下側の部分が、その取りまとめを踏まえた改正後のスイッチ直後品目のリスク評価手順を示した図です。真ん中に先ほどと同じく3年間の製造販売後調査の期間が記載していますが、その後、右側の1年間で調査会、部会での審議を経て、リスク区分を決定するという流れは変わりませんけれども、新しく実施することとなる要指導医薬品から一般用医薬品への移行時の確認については、中央の細長い矢印の中に記載していますとおり、製造販売後調査の3年目の時点で、先行して実施することとしたいと考えています。この要指導医薬品から一般用医薬品に移行させる際の確認は、いわゆる承認拒否事由に該当するかどうかや、重篤な副作用が頻発しているなどの一般用医薬品としての販売を継続させるべきかどうかといった観点で判断することとなります。具体的には、製造販売後調査の2年次が終了した時点以降で、製造販売業者から中間報告書を提出していただき、その結果を踏まえて、本安全対策調査会で確認、仮評価を行っていただきます。その後、フロー図では縦の点線で示していますが、3年経過時点の製造販売後調査が終了した時点で、一般用医薬品に移行することとなります。それまでの間、厚生労働省において、副作用情報等を監視し、調査会で確認していただいた評価結果が変わらないことを継続して、確認することとしています。

 順序が逆になって恐縮ですが、ここで初めの資料1-1-1にお戻りいただければと思います。これまで御説明させていただきました評価の流れについて、先ほど申し上げました、昨年の12月に開催された医薬品等安全対策部会において、審議決定していただきましたリスク評価手続がこちらの資料となっています。本日の御審議はこの部会決定に基づいて実施していただくこととなりますので、詳細について、順に御説明させていただきます。

 まず、1.は先ほどの説明のとおり、要指導薬品のうち、スイッチOTC、ダイレクトOTCについては、一般用医薬品に移行する際にリスク評価を行う必要がある旨を記載しています。

2.はこちらも先ほどの説明のとおり、一般用医薬品としての販売可否に関する評価については原則3年間の製造販売後調査の終了までに行うこととして、その評価に当たっては、製造販売後調査報告を基に重篤な副作用の発生状況を評価し、製造販売承認の拒否事由に該当する状況にないことを確認していただくこととなります。

3.は医薬品等安全対策部会は薬事分科会規定におきまして、一般用医薬品の区分の指定及びその変更に関する事項、その他医薬品の安全性の確保に関する事項を調査、審議することとされており、要指導医薬品から一般用医薬品への移行時の販売可否の評価についても所掌することとなります。この確認手続については、迅速な評価を行う必要があることから、今後は医薬品等安全対策部会長の了解をいただいた上で、本安全対策調査会、この調査会に行っていただくこととしており、本日はこの記載に従って、一般用医薬品としての販売可否について御審議をいただくこととしています。また、本日の審議の結果については、医薬品等安全対策部会に御報告をさせていただくこととしています。

4.は繰り返しとなりますが、要指導医薬品から一般用医薬品への移行は、スイッチOTCの場合は原則3年間で実施することとなりますが、リスク区分の評価手続についてはこれまでどおり、4年間で実施したいと考えています。理由として、リスク区分を決定するためのリスク評価は軽微な副作用やその発生頻度も含め、他の医薬品との比較をしつつ検討するなど、より詳細な評価を行う必要があるため、従来と同様の取扱いとするものです。

 最後に、5.ダイレクトOTC薬のリスク評価に関する記述ですが、ダイレクトOTC薬は、スイッチOTC薬と異なり、新規に開発されたいわゆる新薬と同様に、ヒトでの使用経験がない医薬品ですので、副作用発生頻度の年次ごとの変動や長期服薬時の安全性等を確認する必要があることなどを踏まえ、製造販売後調査期間はスイッチOTC薬と異なり、これまでと同様に48年の再審査期間で製造販売後調査を行うこととしています。

 最後に参考として、資料1-1-2のスライドの4ページ目、こちらが本日御審議いただく「スイッチOTC薬」8品目です。今回は初回の評価となりますので、8品目のうち、製造販売後調査が終了しているもの、あるいは改正法の施行までに終了する予定の品目について御審議をいただくこととしており、それがこの8品目となっています。また、次のスライドの下側の5ページに掲載した品目については、現在製造販売後調査期間が継続されている品目、それから今後新たに販売開始する予定の品目です。これらの品目については、本日の審議内容とは関係ありませんが、今後、製造販売後調査期間の終了時期が近づいてきた品目から順次、この安全対策調査会で御審議をいただく予定としていますので、参考として、御紹介させていただきました。

○事務局 すみません、今の説明に追加します。資料1-1-1は要指導医薬品に指定された品目について、それを一般用医薬品に移行する手続を定めた資料ですが、本日御審議いただく品目は法改正が施行される6月には調査期間が終了するものであり、要指導医薬品の指定はされない予定です。よって、本日は、この移行手続きに準じて今後引き続き一般用医薬品と認めて差し支えないということで御確認いただくという趣旨ですので、誤解のないよう補足させていただきます。

○事務局 続きまして、今回御審議いただく個々の品目の説明に移ります。まず、資料1-2、スイッチOTC薬のリスク評価について、表の6成分8品目は新一般用医薬品、いわゆるスイッチOTC薬として承認を受け、この度製造販売後調査の終了又は終了見込みに伴い、一般用医薬品としての適切性を確認するためのリスク評価をお願いするものです。販売名は現在販売されているもので、「他」というのは、承認を取っていても販売されていない品目があることを示しています。

 まず、その他の女性用薬の2成分3品目を御説明します。資料1-3-1と資料1-3-2です。資料1-3-1「オキシコナゾール硝酸塩のリスク評価」について、事前に委員、参考人に発送しました報告書から一部変更がありまして、発現症例一覧に、企業因果関係評価が追加され、また、有効性に関する記載が削除されています。販売名はオキナゾールL100、フェミニーナ腟カンジダ錠で承認を取っています。効能・効果は、腟外陰カンジダの再発、過去に医師の診断・治療を受けた方に限る、とされています。販売開始後、3年間の安全性に関する製造販売後調査を終え、今回、リスク評価の検討をお願いするものです。2ページからが製造販売後調査報告書です。3ページから調査結果の概要がありますので、御覧ください。まず、特別調査について、本品目は個別に薬局等と契約して、モニター店舗でアンケート調査票をお配りし、調査が実施されました。調査施設は1,349施設。調査症例のうち、未使用症例、重複症例を除いた集計対象症例は3,993症例で、このうち、副作用が報告されているのが162例、284件。副作用発現率は4.06%でした。内訳は、外陰腟そう痒症69件、外陰腟痛38件、外陰腟腫脹35件などでした。重篤と製造販売業者が評価した症例はありませんでした。個別の症例一覧を7ページ以降の別紙3-1に付けています。4ページのII.一般調査に移りますが、一般調査は、使用者若しくは薬剤師からの自発報告という形になります。35例、48件の副作用報告があり、内訳は、外陰腟そう痒症、腟分泌物各8件。腟出血6件などでした。重篤と判断されたものはありませんでした。20ページからの別紙3-2に発現症例の一覧表があります。28ページ以降に添付文書、32ページ以降に企業が作成した使用者向け情報提供文書を添付しています。

 資料1-3-2「クロトリマゾールのリスク評価について」に移ります。販売名は「エンペシドL」、その他で承認を取っています。効能・効果は同じく、腟カンジダの再発、過去に医師の診断、治療を受けた方に限るです。販売開始後、3年間の安全性に関する製造販売後調査が、平成265月に終了する見込みのため、今回、リスク評価の検討をお願いするものです。本品目は現在も製造販売後調査を実施しているため、販売開始以降2年以上の調査期間を有し、特別調査で目標症例数以上を調査しています第3次報告書、この平成263月に提出されているものですが、これを用いまして検討をお願いするものです。

2ページ目からが第3次の製造販売後調査報告書となっています。まず、特別調査、モニター店による頻度調査について、3ページにこれまでの調査での副作用種類別発現状況がありますので御覧ください。調査施設は承認時以降の累積で405施設、調査症例は3,078例でした。報告された副作用が55件、副作用発現率0.2%でした。内訳は、刺激感3件、熱感、外部腟不快感が各1件でした。重篤と製造販売業者が評価した症例はありません。4ページに第3次報告で収集された3例の一覧があります。一般調査ですが、使用者若しくは薬剤師からの自発報告です。第3次の報告機関では副作用報告はありませんでした。また、販売開始以来、企業が重篤と判断し、薬事法に基づき、当局に副作用報告をした症例はありません。6ページ以降に添付文書、8ページ以降に企業が作成した使用者向け情報提供文書を添付しています。これら2成分3製品についての説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 御説明ありがとうございました。まず、平原参考人に御意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○平原参考人 既にこれは医薬品で今まで使われていた薬です。今回はこういう形で薬剤師の先生からの手渡しをした上で、使ったということです。副作用等を見ましても、確かに重篤なのは特にありませんし、ある意味、これは自然に時間とともに経過するような自覚症状の部分ということですので、あえて説明書にも症状が続くか、あるいは重篤であれば、医師に受診するようにというようなことが書いてありますので、その旨、薬剤師の先生からもそういう情報提供があれば大きな問題なく使えるようなお薬であろうと思いますし、多くの患者さんたちがこのためだけに病院に行くというのはなかなか躊躇されることがあるので、一回診断が付いた方を対象にということであれば、そういう利便性は十分有り得るので、そういう意味では有用ではないかと考えています。

○五十嵐座長 どうもありがとうございました。事務局の御説明と平原参考人の御意見を踏まえ、何か御意見、御質問はありますでしょうか。よろしいですか、特に御意見がないようですので、議決を取りたいと思います。この2つの「オキシコナゾール硝酸塩」と「クロトリマゾール」につきましては一般用医薬品として、「適切」と判断してよろしいでしょうか。

(異議なし)

○五十嵐座長 はい、ありがとうございます。それでは、異議なしといたします。

 平原先生、どうもありがとうございました。これ以降の議事では、特に先生から御意見いただく予定はありませんので、途中で御退席されても結構です。

 続いて2番目の「鼻炎用点鼻薬のリスク区分」について、事務局から御説明をお願いいたします。

○事務局 続きまして、2番目の鼻炎用点鼻薬3成分4品目の説明に移ります。資料1-4-11-4-21-4-3をお手元に御用意ください。まず、資料1-4-1「ケトチフェンフマル酸塩/ナファゾリン塩酸塩のリスク評価について」を説明します。本品は抗アレルギー成分、ケトチフェンフマル酸塩に血管収縮成分、ナファゾリン塩酸塩を配合した製剤です。販売名は「パブロン点鼻クイック」他で承認を取っております。効能効果は、花粉、ハウスダスト(室内塵)などによる、次のようなアレルギー症状の緩和、鼻づまり、鼻水(鼻汁過多)、くしゃみとされております。販売開始後、安全性に関する1年間の製造販売後調査を終え、今回、リスク評価の検討をお願いするものです。

2ページ目からは、パブロン点鼻クイックの製造販売後調査報告書です。3ページに調査結果の概要がありますので、御覧ください。まず1.特別調査についてですが、本品目は、個別に薬局等と契約して、モニター店舗でアンケート調査票を配って調査を行う、アンケートによる調査、及び、使用者アンケート用紙を当該製品に添付し、直接に情報を収集する、はがきアンケートによる調査が実施されました。

1.アンケートによる調査では、調査施設は195施設、調査症例数は779例で、このうち、報告された副作用は1118件、副作用発現率は1.41%でした。内訳は、傾眠が7件、鼻出血及び口渇が各2件などであり、これらの副作用の中で重篤と判断されたものはありませんでした。また、はがきアンケートによる調査では、調査施設は109施設、調査症例数は270例で、報告された副作用は612件、副作用発現率は2.22%、内訳は、傾眠が4件、口渇が3件、鼻出血、鼻乾燥、口腔咽頭痛、無力症、異常感、各1件でした。重篤と判断されたものはありませんでした。個別の症例一覧は5ページ以降です。

4ページに戻ります。2.一般調査です。一般調査は、使用者若しくは薬剤師からの自発報告という形ですが、報告された副作用はありませんでした。11ページ以降に添付文書、13ページ以降に、企業が作成した使用者向け情報提供文書を添付しております。

 続きまして、資料1-4-2「ベクロメタゾンプロピオン酸エステルのリスク評価について」を御覧ください。販売名は「ナザールAR〈季節性アレルギー専用〉」、「コンタック鼻炎スプレー〈季節性アレルギー専用〉」その他で承認を取っております。本品は、ステロイド成分であるベクロメタゾンプロピオン酸エステルを一般用医薬品の有効成分として初めて含有する製剤で、ステロイド製剤の長期連用による安全性の懸念から、効能効果を、花粉など季節性アレルギーによる、次のような症状の緩和、鼻づまり、鼻水(鼻汁過多)、くしゃみと、対象が季節性に限定されております。販売開始後、安全性に関する3年間の製造販売後調査を終え、リスク評価の検討をお願いするものです。

2ページ目からが「製造販売後調査報告書」です。3ページに調査結果の概要があります。まず、特別調査についてですが、モニター店による頻度調査において、調査施設は355施設、調査症例数は1,265例で、このうち、報告された副作用が59件、副作用発現率は0.4%でした。内訳は、頭痛は3件、発疹、そう痒症、痂皮、悪心、鼻出血、鼻閉が各1件で、これらの副作用の中で重篤と判断されたものはありませんでした。5ページに個別の症例一覧を付けております。

(2)の、一般調査ですが、35件の副作用報告があり、内訳は、口腔咽頭痛、舌障害、顔面痛、呼吸困難、潮紅が各1件で、重篤と判断されたものはありません。8ページ以降に添付文書、12ページ以降に、企業が作成した使用者向け情報提供文書を添付しております。

 資料1-4-3「オキシメタゾリン塩酸塩のリスク評価について」を御覧ください。本剤は「ナシビンMスプレー」の販売名にて承認されています。販売開始後、安全性に関する3年間の製造販売後調査が平成264月に終了しましたが、最終報告書は現在作成中であるため、販売開始以降、2年以上の調査期間を有し、特別調査で目標症例数以上の調査を実行しております、第3次報告書を中間報告書として、今回、資料として用いております。まず1.特別調査についてですが、4ページの「副作用の種類別発現状況」を御覧ください。特別調査におきまして、承認時以降の累計で、調査施設は161施設、調査症例数は1,125例で、このうち、報告された副作用が78件、副作用発現率は0.62%です。内訳は、鼻部不快感、鼻乾燥が各3件、鼻漏、くしゃみが各1件であり、これらの副作用の中で重篤と判断されたものはありませんでした。個別の症例一覧は5ページにあります。一般調査について、6ページに症例一覧がありますが、承認以降、11件の副作用報告があり、内容としては鼻乾燥で、非重篤と判断されております。8ページ以降に添付文書、10ページ以降に、企業が作成した使用者向け情報提供文書を添付しております。

 鼻炎用点鼻薬について、資料の説明は以上です。御審議のほどをよろしくお願いします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。それでは、初めに大久保参考人から御意見をいただきたいと思います。

○大久保参考人 それでは、意見を述べさせていただきます。資料1-4-1にある、ケトチフェンフマル酸塩/ナファゾリン塩酸塩は、抗ヒスタミン薬と局所の血管収縮薬、いわゆるアルファベータのアドレナリンの刺激薬になります。出ている副作用の件数ですが、ある程度予想された件数であると思います。13%というところで、傾眠、倦怠感、無力症は、抗ヒスタミン薬の血中移行への影響、それ以外の部分においては、点鼻薬、そして、血管収縮薬と。後でオキシメタゾリンが出てきますが、血管収縮薬での鼻の局所症状ということで、全身性のものは抗ヒスタミン薬の点鼻において起こっている。局所のものは点鼻薬という剤形とナファゾリンによる、件数も非常に少ないですし、局所用剤ということで、全身への影響が非常に少ないと思い、安全だと考えられます。

 続きまして、資料1-4-2「ベクロメタゾンプロピオン酸エステルのリスク評価について」です。この薬剤は、いわゆるベクロメタゾン、医療で十分使われていたものです。14回あるいは12回ということで使われていたわけですが、これは医療用の成分の半量になっています。医療用では通年性アレルギー性鼻炎に使われておりましたので、1年中使うということがありましたが、ここでは1年間に1か月の使用という限定がされていること、そして、副作用の少なさ。ステロイドの点鼻ということで、一般の方たちにはハードルが少し高いかという医薬品になるかもしれませんが、副作用が少ないことがこういった調査でも明らかになっていますし、一般の方たちのチョイスが広がるという意味で、一般用医薬品としていいかという判断をしております。

 続きまして、資料1-4-3、オキシメタゾリン塩酸塩です。これは先ほど、一番最初にお話があった、ナファゾリンの、同じような形の、局所の血管収縮薬になります。医療用でも使われておりますが、出ている副作用は0.62%で非常に少ないですし、鼻部不快感、鼻乾燥、鼻漏、くしゃみ等、局所の症状がほとんどですので、全身性の副作用としてあった頭痛が非常に少なくなっています。こういったことから、この血管収縮薬も使用上の注意が十分守られていれば、連用しないと書かれていますので、安全であると、一般用医薬品として、十分注意していれば問題ないと思いました。以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。それでは、ただ今の事務局の御説明と大久保参考人の御意見を踏まえまして、御意見、御質問はありませんか。

○大野委員 ベクロメタゾンの、第1調査期間中の副作用ということで、呼吸困難が出ていますね。これについては非重篤だと判断されていますけども、名前だけを見ると、非重篤とは読めないのですが、症状的に軽いものだったと判断されたということでよろしいのでしょうか。

○事務局 副作用の転帰ですが、治療もなく、その後、回復しているということです。報告書の非重篤というのは、報告者の意見と製造販売業者の評価によって未知・非重篤と判断したものですが、事務局としましても、副作用の症状及び転帰を見て、入院相当以上とか障害が残るといった、重篤に当てはまるものではないと考えます。

○大野委員 分かりました。ありがとうございました。

○大久保参考人 今の件でよろしいですか。

○大野委員 どうぞお願いします。

○大久保参考人 これ、ベクロメタゾンのほかに、セルロース、グリセリン、ポリソルベート、ベンザルコニウム等が入っています。ベクロメタゾンで呼吸が苦しくなるのは、多分、2回とも添加物によるアレルギー反応、1回起きて、最終日にまた起きていますので、そういったことが考えられるのではないかと思います。ただ、用量は少ないですから、起きても20分ほどで回復するような副反応だろうと考えました。

○大野委員 ありがとうございました。

○五十嵐座長 ほかはいかがですか。特にありませんか。

 それでは、これら3つの鼻炎点鼻薬につきましては、一般用医薬品として適切と判断してよろしいですか。

                                   ( 異議なし)

○五十嵐座長 それでは、御異議なしとさせていただきます。どうもありがとうございました。

 大久保先生には御説明をいただきまして、どうもありがとうございました。これ以降は先生にお伺いする予定の議事はありませんので、ここで御退席いただいてもかまいませんので、どうぞよろしくお願いします。

 続きまして、ロキソプロフェンナトリウム水溶物のリスク区分について、事務局から御説明をお願いします。

○事務局 続きまして、解熱鎮痛剤、ロキソプロフェンナトリウム水和物の説明に移ります。資料1-5「ロキソプロフェンナトリウム水和物のリスク評価について」、資料1-5-1、本剤の新一般用医薬品製造販売後調査報告書、添付文書、使用者向け情報提供文書をまとめたものをお手元に御用意ください。

 本品は、販売名は「ロキソニンS」他で承認を取っており、効能効果は頭痛、月経痛、生理痛、歯痛、抜歯後の疼痛、咽喉痛、腰痛、関節痛、神経痛、筋肉痛、肩凝り痛、耳痛、打撲痛、捻挫痛、外傷痛の鎮痛、悪寒・発熱時の解熱です。販売開始後、安全性に関する3年間の製造販売後調査を終え、今回、リスク評価の検討をお願いするものです。

 資料1-5-13ページ以降に「特別調査の概要」があります。6ページ以降に「副作用の種類別発現状況」があります。個別に薬局等と契約し、モニター店舗等でアンケート調査票を配って調査を行う、アンケートによる調査である特別調査では、調査症例数は10,448例で、このうち、報告された副作用が317435件、副作用発現率は3.0%でした。内訳は、腹部不快感が131件、傾眠が52件、口渇37件などであり、これらの副作用の中で重篤と判断されたものはありませんでした。9ページ以降に個別の症例一覧を付けております。一般調査については50ページを御覧ください。

 自発報告である一般調査におきまして、副作用報告が276437件寄せられており、内訳は、発疹が24件、浮腫が23件、悪心が22件などです。重篤と、製造販売業者が判断した副作用報告は1418件ありました。製造販売後調査終了後に報告者が重篤と判断し、副作用報告がなされた重篤な症例はありませんでしたので、製造販売開始後に報告された重篤な副作用報告は14例です。重篤と製造販売業者が判断した、副作用症例の報告の一覧が55ページ、全ての副作用発現症例一覧が56ページ以降、重篤な副作用症例の詳細が87ページ以降にあります。

 資料1-53ページを御覧ください。転帰が死亡の症例は1例で、症例2の、喘息発作重積の男性の症例です。アスピリン喘息の既往のある使用者が服用後に喘息発作重積を起こし、死に至ったもので、外国籍の使用者であったため、言葉の問題等により、販売時に情報伝達を十分に行うことができなかったことが一因と製造販売業者は考え、外国語版の情報提供文書の作成と配付を行う対策を講じております。資料1-5-195ページ以降に外国語版の情報提供文書を添付しております。転帰が不明の症例は、症例7の、脳血管発作の症例ですが、使用者の家族より、以前に使用者が脳卒中と診断されたが、長い間服用していたロキソプロフェンナトリウム水和物や、本剤を含む市販の解熱鎮痛剤が関係あるのか、問合せを受けたことにより情報を入手した事例です。その後、詳細な情報が入手できなかったため、転帰不明となっております。他の症例は、いずれも軽快又は回復しております。製造販売業者は、収集された重篤な副作用の発現傾向については、医療用及び一般用の解熱鎮痛剤と比較して特記すべき点はないと説明しております。

 資料1-51ページに戻ります。使用上の注意の改訂について説明します。平成255月に、稀に起こることがある、重篤な副作用である、腎障害、添付文書の「相談すること」にありますが、これに関して、記載整備として、尿量の減少の症状を追記する自主改訂がなされております。平成256月には、医療用医薬品の添付文書の改訂に伴い、稀に起こることがある重篤な副作用として、横紋筋融解症を追記するよう厚生労働省から指導しております。改訂の根拠は、医療用医薬品において因果関係が否定できない横紋筋融解症の症例が集積したことです。機構の検討におきまして、一般用医薬品で因果関係が否定できないと評価がされた副作用報告はありませんでしたが、医療用医薬品と同様に改訂することが適切と評価されました。資料1-5-191ページ以降に添付文書、93ページ以降に使用者向け情報提供文書を添付しております。資料の説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの御説明に対しまして、御質問、御意見はありますか。特にありませんか。急性腎不全を起こしたけれども、緊急透析を行って回復したとか、あるいは、アスピリン喘息の外国の方が発作を起こしてしまったとか、いくつかありましたが、よろしいですか。

 それでは、議決を取りたいと思いますが、反対意見がないようですので、ロキソプロフェンナトリウム水溶物についても一般用医薬品として適切と判断してよろしいですか。

○柿崎委員 これは一般用医薬品の、現行の第1類でいいかということですか。6月の制度改正以降とは関係なくて、現在の第1類でということですか。

○事務局 6月以降も、要指導医薬品という形ではなくて、まだリスク区分の評価期間が終了しないといいますか、一般用医薬品の第1類の期間になりますので、第1類という形で一般用医薬品になることになります。なので、販売される際に、薬剤師の方から書面を用いて説明をいただく種類の。

○柿崎委員 対面販売は継続されるわけですか。

○事務局 いや。販売ルートとしては、店舗と、それから、インターネット等も入ってきますが、薬剤師の方がきちんと書面で説明するという要件は掛かっております。

○五十嵐座長 よろしいですか。それでは、改めてこれを一般用医薬品として適切と判断してよろしいですか。

                                   ( 異議なし)

○五十嵐座長 それでは、御異議なしということにいたします。

○望月委員 次の議題に入る前に、今までの全体についての意見を。今、柿崎委員のほうからも御質問があったのですが、今後、要指導医薬品という区分から一般用医薬品という区分に移っていくところで、対面による販売とそうでない販売の仕方とが共存するように、販売の仕方が変わる形になっていくと思います。今回はまだ法施行前なので、今日審議したものは既に一般用医薬品なのですね。ですから、特にそこで何かということはできないのですが、今後、こちらのほうで、6月以降にそこを審議する際に、一般用医薬品という区分で販売の仕方が変わったときのリスクをどう評価するかは、事務局のほうでも御検討いただきたいと思います。

 それと、もう1つ。先ほど、ベクロメタゾンの点鼻薬で、もしかしたら、アレルギー反応かもしれない呼吸困難が起こった例とか、それから、今のロキソニンなどでも、ロキソニンが原因と考えられる可能性のある、比較的重篤な副作用について。今回、例えば、外国人の方で、アレルギーの過去の履歴を持っていらっしゃるかどうかというやりとりをされたと思いますけれども。ここで起こっているような副作用について、消費者の方がアレルギーかもしれないので、次に同じ薬を使わないようにするというような、自己防衛というか、そういうことができるような形で、一般の人々に副作用が認識されているのかちょっと心配になりました。先ほどのベクロメタゾンの人がそうなのですが、1回使って、それから1週間とかでまた使って、同じように呼吸困難が起こったというようなこともあるので、そういう方々に、この薬を使うとあなたの場合はこういう副作用が起こる可能性があるというようなことをお伝えできるような方法があれば、市販薬の場合の安全対策としては必要かと思ったのですが、その辺りは何か検討いただけるのですか。

○事務局 2点ほど御意見を頂いているかと思いますけれども。まず、御指摘のように、要指導医薬品の期間と、普通の一般薬として売り出す期間によって、実際の販売方法とは変わっていきます。副作用情報などは引き続き収集していくことになりますので、どこに原因があるのかは、副作用の出方が変わってくれば分析をしていく必要はあるかと思います。ただ、販売方法の差異によってリスクは変わることはないのではないかという前提の下に、インターネットでもいいのではないかという話がありましたので。それは一応、評価と、サイエンティフィックにはそうだということですが、実態で、また副作用が増えてきたら、それについてはまた検討していく必要があるかと思います。

 後段のほうですけれども。なかなか難しいかと思うのは、全く同じ薬であれば、消費者の方もこの薬を飲んで、多分御自身も自覚があると思いますが。ただ、場合によっては一般薬とかのケースで、皆さん、販売名ではよく覚えておられるかと思いますが、同じ成分の入った別の名前のお薬で関連性というのはなかなか難しいかと思うので、そこはきちんと薬剤師や登録販売者の方と、こういうアレルギーがあると店頭で説明していただくことをしっかり周知していく、その相談の過程でそういう事故を防いでいくしかないのかと思います。

○望月委員 やはりそこが肝で、消費者の方が、過去に御自身がそういうお薬で副作用を経験していて、そのお薬が原因であったかという認識を持てるような形になっているかどうかだと思います。販売方法によっては専門家との情報のやり取りの中で、実はこういうことがあったのだよと確認できるような形もあるのですが、御自身で、私はこれで起こったことがあるという認識がない方が購入する場合、そのリアルタイムでの双方向性がないと、使ってはいけない人が購入してしまうケースがあるのかと思います。物として、成分が持っているリスクと、それから購入したり使ったりしていく上でのリスクは、違った視点でデータを集めていかないとなかなか評価ができないのかという気がしまして、今後6月以降、どういう形でそういうところを評価していくかについて、事務局のほうでも是非御検討いただければと思います。

○事務局 御指摘を踏まえて考えていきたいと思います。

○五十嵐座長 それから、インターネット販売によって急激に副作用を呈する患者が増えるのかなどの調査も必要ではないかと思います。今後の課題として検討していただきたいと思います。

 では、今日御審議いただいた3つのお薬につきまして、今後の事務局の方針を御説明いただきたいと思います。

○事務局 御審議いただき、ありがとうございました。本日御審議いただいた結果に基づき、手続を進めますので、どうぞよろしくお願いします。皆様、ありがとうございました。

○五十嵐座長 ありがとうございました。ここまでの段階で、ほかに何か御意見、御質問はありますか。よろしいですか。

 それでは、議題2に入ります。これは、統合失調症の治療薬、ゼプリオンの安全対策について審議をしたいと思います。事務局から御説明をお願いします。

○事務局 それでは、よろしくお願いいたします。本日は、その他としまして、ゼプリオン水懸筋注用について、これまでの経緯、並びに本剤の有害事象の報告状況等について御説明します。

 ゼプリオン水懸筋注用は、ヤンセンファーマ株式会社が開発し、有効成分はパリペリドンパルミチン酸エステルです。体の中に入って、経口剤でも使われておりますパリペリドンになります。特徴として、4週間効果が持続する医薬品です。昨年1119日より販売が開始されており、現在、市販直後調査中です。44日までの時点で、副作用報告として死亡症例が17例集まっておりまして、企業から医療機関に対して、適正使用の啓発と注意喚起のための文書配布をPMDAから指示したところです。これが資料2-2です。

 これらの報告については、情報不足が多く、本剤と死亡との因果関係は不明です。これについて、現時点まで集積された情報からPMDAの評価も踏まえて御報告をさせていただき、本剤の適正使用の強化の必要性の有無あるいは必要であるならば、どのような内容が適切なのか、御議論いただければと思います。

415日時点まで、発売から約5か月間で死亡症例が20例となっております。推定使用患者数は1900人です。なお、20例で資料を作成しておりますが、昨日の夕方、企業から本剤を使用中の患者の死亡について連絡が来ておりますが、これについては現在情報を収集中です。それでは、席上に配布しました資料で、20症例について御説明をしたいと思います。

 資料2-1は、本剤を使用してお亡くなりになった方で、担当医等の許諾が得られたものです。これは傍聴の方にもお配りしており、全部で14症例あります。

 資料2-244日に我々が指示して、5日から企業が医療機関に配布した「適正使用についてのお願い」です。これの4ページ以降に具体的な症例経過等が出ております。これは資料2-1の症例と通し番号が合っております。

 資料2-3は、資料2-2の後に担当医の許諾が得られて、公表できるようになった追加症例3例で、通し番号1214となっています。

 それから、先生方の席上のみですが、非公開資料ということで、20症例全てについて、副作用症例報告に基づいた一覧表を配布しております。ここにおいては症例経過あるいは医師のコメント等も付しております。3枚目の6症例について、席上配布のみの情報提供となっています。3枚目の6症例についての医薬品副作用症例報告書(非公表)が資料2-5です。それでは、資料2-1に基づきまして、各症例、14症例について御説明したいと思います。説明に当たり、各死亡例の因果関係の評価については、医薬品・医療機器総合機構(PMDA)の検討結果も踏まえて御説明したいと思います。

 まず症例番号1は、50代の女性です。統合失調症治療としてリスペリドン持効注射液を3年間使用しています。リスペリドン持効性注射液は2週間に1回の製剤で、リスペリドンは体の中に入りますと、パリペリドンという、今回御審議していただくものと同じ有効成分になるものです。この医薬品を3年使用し、同じく統合失調症の医薬品の経口のアリプラゾール、クエチアピンを併用している患者です。最後のリスペリドンの持効性注射液を50 mg 投与してから約3週間後に本剤のゼプリオン100 mg を投与。その3日後にトイレで倒れているところを発見され、その後、死亡が確認されました。死因及び死亡時の情報が不足していることから、本剤との因果関係は不明と判断しております。

 症例番号250代の男性で、統合失調症治療として、リスペリドン持効性注射液を約9か月間使用し、オランザピンを併用していた方です。最後のリスペリドン持効性注射液50 mg を投与した2週間後にオランザピンを併用したまま、ゼプリオン150 mg を投与した症例です。その6日後に横紋筋融解症発症、投与11日後には、この横紋融解症は軽快しましたが、その後、酸素吸入を開始して、本剤の投与41日後に死亡されたものです。入院時に心電図で異常がなく、また、死亡前に下肢浮腫が認められており、死因は肺塞栓症と主治医により判断されております。なお、剖検は実施されておりません。死亡前の新規投与された医薬品は本剤のみで、またリスペリドン持効性注射液からの切り換え時の推奨用量よりも高用量が投与されていますが、剖検はされておらず、死亡時の情報も不足していることから、本剤と死亡との因果関係は不明と判断しています。

 症例番号360代の男性です。統合失調症治療として、リスペリドン持効性注射液を約25か月間使用、クエチアピンを併用していた方です。最後のリスペリドン持効性注射液25 mg 投与から2週間後にクエチアピンを併用したまま、ゼプリオン25 mg を投与。その後、受診がなく訪問介護時に心肺停止状態で発見され、死亡が確認されたものです。ゼプリオン投与後14日でした。死因は不明です。なお、患者の部屋にゼプリオンを投与した医療機関以外から処方された高血圧症の治療薬があったということです。患者背景、死因及び死亡時の情報が不足しており、本剤との因果関係は不明と判断しております。

 症例番号450代の男性です。統合失調症治療として、リスペリドン持効性注射液を数年間使用していました。リスペリドン持効性注射液を37.5 mg から25 mg に減量した後、多弁など原疾患が悪化したため。リスペリドン持効性注射液を25 mg 投与から2週間後にリスペリドン持効性注射液37.5 mg 相当とされるゼプリオン75 mg を投与されたものです。その後、4週間後に再度ゼプリオン75 mg を投与し、その8日後に自宅で亡くなっているところを家族が発見ました。この患者は、C型肝炎、高血圧、肝機能異常も併発していました。死因及び死亡時の情報が不足しており、本剤との因果関係は不明と判断しています。

 症例番号530代の男性です。統合失調症治療として、アリピラゾールとリスペリドン内服(頓服)を服用していましたが、神経症状が悪く、家で暴れて入院した際にゼプリオン150 mg をアリピラゾールと併用して投与されています。投与翌日に発熱があり、投与4日後、意識を失っているところを発見、その後死亡が確認されました。死因は担当医により急性心筋梗塞と判断されました。死因診断の根拠及び死亡時の情報が不足しており、本剤との因果関係は不明と判断しております。

 症例番号650代の男性です。統合失調症治療としてハロペリドールデカン酸エステル注射液を約1年半使用、オランザピンを併用していました。ハロペリドールデカン酸エステル注射液50 mg 投与後、約1か月後にオラザピンと併用してゼプリオン50 mg を投与。投与13日後、心臓がドキドキする、息苦しさなどを訴えたほか、軽度の呂律不良があり、その後、風呂場で死亡しているのが確認されました。なお、過去1度だけ経口パリペリドンを処方されていますが、有効性が認められず、中止した患者です。死因及び死亡時の情報が不足しており、本剤との因果関係は不明と判断しております。

 症例番号7は、40代の男性です。統合失調症治療として、リスペリドン持効性注射液を使用。また経口リスペリドン、ゾテピン及びスルトプリド塩酸塩を併用していました。リスペリドン持効性注射液を25 mg 投与後、次回投与の代わりに、これまでの抗精神病薬を併用したまま、ゼプリオン50 mg を投与されています。4週間後に再度ゼプリオンを50 mg 投与し、その12日後にコンビニで、雪上に倒れているところを発見され、その後死亡が確認されました。死因は凍死とされています。抗精神病薬の多剤併用が疑われますが、死亡時の情報が不足しており、本剤との因果関係は不明と判断しております。

 症例番号830代の男性です。統合失調症治療としてリスペリドン持効性注射液を使用。また経口リスペリドン、オランザピンを併用していました。頭痛、倦怠感、希死念慮のため入院し、ゼプリオン150 mg をハロペリドールデカン酸エステル注射液250 mg 及びオランザピンと併用して投与。その1週間後にゼプリオン100 mg を投与されています。ゼプリオンの2回目の投与から7日後の夜、家族の声掛けに対して応答がありましたが、その2時間後に呼吸停止で発見、その後死亡が確認されました。多剤併用や本剤の高用量投与の影響も疑われますが、それが死亡の原因になったのかは不明であり、死亡時の状況も不明であることから、本剤との因果関係は不明と判断しております。

 症例番号960代の女性です。統合失調症治療としてリスペリドン持効性注射液を使用。またオランザピン、クエチアピン、レボメプロマジンを併用していました。リスペリドン持効性注射液50 mg を投与した2週間後に、リスペリドン持効性注射液に変え、これまでの経口の抗精神病薬を併用して、ゼプリオン150 mg を投与。その4週間後に再度ゼプリオン150 mg を投与。その6日後に浴室で心肺停止状態で発見。死因は心筋梗塞とさています。多剤併用や本剤の過量投与が疑われますが、それが死亡の原因になったかは不明であり、死亡時の状況も不明であることから本剤との因果関係は不明と判断しております。

 症例番号1050代の女性です。統合失調症治療として、フルフェナジンデカン酸エステル注射液を、本剤投与前から使用されていました。フルフェナジンデカン酸エステル注射液を投与。この投与量は不明ですが、その後、不穏状態となり、隔離開始時に本剤ゼプリオンを150 mg 投与されています。その1週間後にゼプリオン100 mg を投与。その2回目の投与の9日後に不眠、不穏のため経口リスペリドン1 mg を頓服投与し、その3日後にトイレ内で心肺停止の状態で発見され、その後死亡が確認されています。口腔内に嘔吐物及び血液があり、また舌の損傷もありますので、嘔吐による窒息死と推測されています。嘔吐による窒息死が原因と推定されているものの、これらの事象と本剤の因果関係は不明と判断をしております。

 症例番号1150代の男性です。統合失調症の治療として、経口リスペリドンを約9年半、経口パリペリドンを1年半使用されていました。経口リスペリドン及びパリペリドンを併用したまま、ゼプリオン150 mg を投与。途中経口リスペリドンを追加し、初回投与後1週間後にゼプリオン100 mg を、その4週間後にゼプリオン150 mg を投与されています。3回目の投与後、歩くとゼーゼーする症状が発現、内科に受診しましたが、心電図及びレントゲンで異常はありませんでした。そして、この3回目の投与の8日後に心肺停止状態で発見され、その後死亡が確認されました。本剤の追加投与と同系統の薬剤の併用による過量投与が疑われますが、それが死亡の原因となったかは不明であり、死亡時の状況も不明であることから、本剤との因果関係は不明と判断をしております。

 症例番号1240代の男性です。経口リスペリドンを投与されており、誤嚥性肺炎で入退院を繰り返していたため、経口薬を中止し、本剤ゼプリオンに切り換え、150 mg を初回投与、その1週間後に100 mg 、その後4週間ごとに50 mg 2回投与されています。最後の投与14日後に誤嚥性肺炎で死亡されていました。誤嚥性肺炎を繰り返しており、身体的な状態は悪かったようですが、本剤投与中の発現であり、因果関係は今の段階では不明と判断しています。

  症例番号1350代の女性です。統合失調症治療としての前治療の情報はありません。ゼプリオン150 mg を投与。その1週間後に100 mg を、その後4週間ごとに150 mg を投与し、最終投与の16日後に多臓器不全により死亡しました。最終投与の9日後に肝機能異常が発現しており、肝機能検査値から重篤な肝障害と考えられます。本剤と肝機能異常との関係は否定できないものの、多臓器不全については詳細が不明なため、本剤との因果関係は不明と判断しております。

 症例1470代の男性です。統合失調症治療としてハロペリドールデカン酸エステル注射液、経口ハロペリドールを服用。頓用としてリスペリドンを使用していました。これらの医薬品に加えて、ゼプリオン150 mg を投与。その1週間後にゼプリオンを100 mg 、それから4週間後に同75 mg を投与されています。その間、肺炎を繰り返し、発熱もあったことが記録されています。3回目の投与(最後の投与)13時間後に呼吸が停止し、その後死亡が確認されております。本剤投与前から肺炎が疑われているものの、本剤投与の状況と副作用の発現時期を踏まえると、本剤との因果関係は不明と判断をしております。

 以降の症例1520については、非公表となっております。医師等からの許諾はまだ取れていないものです。

 非公表資料2-4のラインリストの3枚目を御覧ください。一番上の症例番号1520代の男性です。ゼプリオン100 mg を投与し、最終投与の2週間以降に死亡が確認されました。死因は不明で、突然死とされております。死亡時の情報が不足しており、本剤との因果関係は不明と判断しております。

 症例番号16、自殺企図の既往歴のある40代の女性です。ゼプリオンの投与を継続し、最終投与の9日後に自殺既遂により死亡しました。本剤において自殺企図は既知の事象ではあるものの、自殺企図の既往歴があり、パリペリドン徐放剤を併用していることから、本剤との明確な因果関係は、今のところ不明と判断しております。

 症例番号1740代の男性です。ゼプリオン100 mg の投与を継続し、最後の投与の数日後に窒息による死亡が確認されたものです。死亡時の情報が不足しており、本剤との因果関係は不明と判断をしております。

 症例番号1870代の男性です。リスペリドン持効性注射液からの切り換えでゼプリオン100 mg を投与。その後何日後かは不明ですが、合併症である膵癌の全身転移により死亡されました。本剤の使用時期と副作用発現時期との時間的な関係や死亡時の情報が不足しており、膵癌を合併していることから、本剤との因果関係は不明と判断をしております。

 症例番号1950代の女性です。ゼプリオン75 mg を投与し、6日後に心停止をしていた症例です。死亡時の情報が不足しており、本剤との因果関係は不明と判断をしています。

 症例番号2030代の女性です。ゼプリオンの投与を継続し、最終投与65日後に死亡されました。死亡原因は不明です。死亡時の情報が不足しており、本剤との因果関係は不明と判断しております。

 以上、20症例、特に非公表のものについては、余り細かく御説明できませんでしたが、ほとんどの症例で副作用の確認のための血液検査あるいは心電図検査が、薬剤投与後なされておらず、死亡との因果関係の評価が困難な状況です。しかしながら、これらの症例については、独り暮らしのため患者の状態が把握できなかった症例、あるいは既に投与中の治療薬、薬剤の種類、用量も変更せずに本剤を上乗せ投与した症例や、本剤と同系統の薬剤の併用例、それから身体状態が不良で経口摂取できないため、あるいはコンプライアンスが悪いためだけに注射となった症例などがあり、情報不足で因果関係は現時点で評価は困難ですが、対策として前治療の切替えのための用法・用量の注意あるいは抗精神病薬の併用注意、投与前の身体症状確認、あるいは異常を感じたら直ちに医療機関を受診するように患者に情報提供することなどが考えられます。以上です。

 最後のほうに、本剤の添付文書を参考資料2-1として配布しております。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 御説明ありがとうございました。今、御指摘いただきましたように、資料2-12-22-4等を拝見しますと、様々なケースがあるようです。今日は参考人として2人の先生においでいただきましたので、統合失調症の治療におけるこの薬の位置付け、他の薬からこの薬へ切り換えるときのいろいろな問題点、投与している患者の状態、併用薬などについて御意見を頂きたいと考えます。初めに塚田先生からお願いいたします。

○塚田参考人 臨床的なこの薬剤の位置付けですが、臨床的にはリスペリドンの経口薬、2週間製剤の注射薬があります。それから、既にリスペリドンの代謝産物で薬理効果があるということでパリペリドンの経口薬もあります。

 常識的にはこういったものを服用していて病状が安定しているときに、これまではリスペリドンの2週間製剤に切り替えていました。ゼプリオンが上市されてからは、そのリスペリドンの2週間製剤から切り替える、または経口でリスペリドンやパリペリドンを飲んでいる方から、こちらに切り替えるというように使うものです。

 ついでに言いますと、ゼプリオンの3か月製剤というのもあって、当院では治験は終了していますが、このままだとゼプリオンの1か月製剤から3か月製剤に切り替えていくことになる予定です。

○五十嵐座長 この亡くなった患者さんたちを御覧になって、どういう御意見がありますか。

○塚田参考人 20例以上になると言いますが、共通項はありません。もちろん50歳過ぎの症例が多いのは当然なのでしょうが、共通項がないので大変怖いと思っています。1万人強の患者に死亡が20人以上となると、無視できない死亡率です。これについては何らかの対策をすぐに講じる必要があると私も思います。

 先ほどのリスペリドンの2週間製剤はクリニックなどでも大量に使っている持効性の抗精神病薬なのに、リスペリドンの際はこういった問題が起こらず、パリペリドンの1か月製剤でこんなに死亡例が出るというのが不思議でしようがありません。何か問題があるのかもしれないと思っています。

○五十嵐座長 それでは、渡邊参考人、いかがでしょうか。

○渡邊参考人 塚田参考人がお話されましたように、位置付けとしては統合失調症の状態が落ち着いてきた人で、しかしながらアドヒアランスが不良になりかねない、または社会性が高い人が毎日服薬する手間が省けるということで、私個人は最初は非常に有用になりうるのではないかと思っていました。

 ただ塚田参考人も言われましたように、これだけの短期間で、それも先ほど事務局が説明していましたが、私たちはてっきり1週間前までは17例と思っていましたが、今週はもう20例になって、更に昨日1例が加わるという刻々と増えている状況を考えますと、何らかの対策を講じなければいけないかと思っています。

 日本臨床精神薬理学会のこのような副作用に詳しい理事で可能性について協議してみました。あくまで可能性なので、それがどこまで正しいか分かりませんが、幾つかの傾向があると思っております。1つには短期間で上昇している。短期間でこのように死亡例が多くなっていて、そのうちの1つには、とにかく150 mg を最初に投与して、翌週に100 mg を投与する。これは治験という、いわゆる非常に健康で、併用薬のない患者には、そのような投与方法は、少なくとも有効な血中濃度を担保するために望ましいとは思うのですが、先ほど事務局が説明していましたように、体の状態が悪いとか、薬が飲めないほど体が衰弱している、あるいは確かに一般的にこういったものはよく使用上の注意に挙げられますが、肝障害、腎障害、高齢者、心臓疾患、不整脈がある場合は、使用上の注意として慎重投与になっているのですが、それに引っ掛かるようなケースが半分以上を占めています。先生方御存じのように、そういったいわゆる身体状況、肝・腎障害があったりする場合、高齢者の場合は当然薬物の血中濃度は上がりやすくなるわけですから、そういったことで、いわゆる臨床試験上、証明された150 mg 、翌週100 mg という急激な投与方法が、何らかの形で血中濃度を上げて、それが心臓なり何なりに負担を掛けたのではないかという可能性を1つ考えております。

 それから切替え例に関しても多かったと思いますが、それも基本的にはこれぐらい、例えば2週間製剤から4週間製剤にすると、理論的にはいいということですが、これもまた先ほどの身体疾患がある高齢者、あとは併用薬もかなりたくさんあるという状態では、同じように不安定になりかねないのではないかと、そのように考えています。以上です。

○五十嵐座長 ありがとうございました。それでは、お二人の御意見を踏まえまして、委員の先生方から何か御意見、御質問はありますか。

○遠藤委員 参考人への質問ではないのですが、事務局に質問します。これは海外では、もう先行発売されているのでしょうか。海外での状況というのは、どうなっているのでしょうか。

○事務局 海外では2009年にアメリカで最初製造承認され、日本で承認時までには66か国で承認されています。ただ、企業に伺ったところ、これほどの死亡例は確認されていないと聞いております。

○遠藤委員 国内と用法・用量は一緒ですか。

○事務局 基本的には同じです。

○柿崎委員 アジアのほかの国でも発売されているのですか。

○渡邊参考人 韓国とかタイで発売されているとの記憶があります。

○事務局 申し訳ありません。そこまでの情報はありませんが、201212月までに66の国又は地域で承認されています。今、手元には具体的な国名は承知しておりません。

○望月委員 私が手元に持っている資料ですと、企業のインタビューフォームですが、香港、韓国、台湾、タイぐらいは載っています。

○五十嵐座長 ほかにいかがですか。

○望月委員 審査報告書等を来る前に読んでいて、十分読み切れてはいないのですが、徐放性製剤ですよね。筋肉内に投与するのですが、筋肉のたくさんある人と、脂肪のほうがたくさんある人とか、海外と日本で徐放の放出のされ方に違いはないか、その辺りはどの程度まで検討されていたのか。90kg以上の人と90kg以下の人で注射針のゲージを変えたり、いろいろな工夫もされているようなところもあるのですが、こうした患者の状況によって徐放性に影響はないのか、その辺について教えていただける情報はありますか。

○事務局 すぐ私どもでお答えできる情報としては、今日、参考資料2-1で添付文書を付けておりますが、6ページ以降に血中濃度に関する推移のデータ等がありまして、こういう形で推移するということなので、急激に上がったりということではないのだろうとは思っております。要するに、同じような濃度の範囲で推移するものだろうと思います。体型の違いまではコメント致しかねます。

○事務局 あと審査報告書ですが、そこの部分について、ばく露量等を確認し、日本人と外国人の血漿中パリヘリドンの薬物動態に異なる経過は示されていない、と企業から説明があり、それを確認した上で、最終的には臨床試験の状況を見ながら、これについて有害事象が多くなったのかどうかを評価することにしております。実際臨床試験、国際共同治験等が実施され、その点は確認されて承認されているというものです。

○五十嵐座長 よろしいですか。

○望月委員 はい。

○五十嵐座長 ほかはいかがでしょうか。はっきりした因果関係は分からないが、しかし比較的短期間に21人が何らかのことでお亡くなりになったということは、事実として重く受け止めなければいけないという参考人の先生方の御意見です。

 そうしますと、それに対して添付文書の改訂案について、事務局からお考えがあるようですので、それについて御説明いただけますか。

○事務局 お手元の資料2-6を御覧ください。3つの改訂案を事務局として作成しております。1つ目は「重大な基本的注意」です。本剤と、体の中で本剤と同じになるリスペリドンについて、これの経験がない場合には、まず経口パリペリドンあるいはリスペリドンを投与して忍容性等があることを確認してください、という注意文書があります。

 資料2-1の真ん中にパリペリドン又はリスペリドンの前投与の有無と用量というのがあります。症例の6番、8番、10番、13番に関しては、パリペリドン又はリスペリドンの前投与がない方で本剤が使われている例がありますので、この有無について、用法・用量に関連する使用上の注意に移して、更なる適正使用の強化をしたいと思っています。

 内容的には下線部を追記しております。まずは一定期間経口パリペリドン又は経口リスペリドンを投与して、治療反応、効果があるかどうかも含めて、忍容性等も確認して、その後、経口パリペリドン又は経口リスペリドン製剤を併用せずに本剤の投与を開始してください、ということで改訂文を作っております。

2つ目は「用法・用量に関連する使用上の注意」です。現在も5番に他の持効性注射液から本剤に切り替える場合には、薬剤の薬物動態等を考慮して投与時期あるいは投与量を十分注意して患者の症状を十分観察することとしております。こちらについても添付文書には記載はありますが、具体的にリスペリドンの持効性注射液から本剤への切替えに当たり、推定値で推奨用量が書かれています。これについて、前のほうに持っていき、下線部のように、まずは本剤及びリスペリドンの主な活性代謝物はパリペリドンであり、リスペリドン持効性懸濁注射液から本剤への切替えに当たっては、過量投与にならないよう用法・用量に注意することということで、以下の投与方法で切り替えてくださいということで、具体的にリスペリドンの持効性懸濁注射液25 mg 2週間間隔で投与している患者には、最終投与の2週間後から本剤50 mg 4週間間隔で投与してください。それからリスペリドンの持効性懸濁注射薬50 mg 2週間間隔で投与している患者には、切り替えるときには2週間後から本剤100 mg 4週間間隔で投与してください、というのを前のほうに持ってくるものです。これについても資料2-1ですが、2番目の症例及び9番目の症例で、リスペリドンの持効性注射液50 mg を使って、推奨用量としては、本剤の100 mg ですが、最大用量150 mg を投与されている例が散見されております。

 「重要な基本的注意」ですが、本剤は4週間効果が持続する持効性製剤ということで、その注意書きはあるのですが、持効性製剤とは何なのかということを、統合失調症の薬について説明を加え、更なる注意喚起をしたいと思っています。具体的には持効性製剤は精神症状の再発の予防を目的とする製剤です。そのため、本剤は急激な精神興奮等の治療や複数の抗精神病薬との併用を必要とする不安定な患者には用いないこと。また、1度投与すると、ここ以下は同じですが、直ちに薬物を体外に排除する方法がないため、あらかじめその必要性について十分考えた上で使ってくださいということで、改訂文を作っています。こちらに該当するものは資料2-14番目の症例、5番目の症例で、いずれも症状が悪化しているときに本剤の投与を開始したというものです。以上、事務局案です。御審議よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございます。何らかの処置が必要だということで、使用上の注意の改訂をしたいという御意見ですが、これについて、委員の先生方いかがでしょうか。特にありませんか。参考人の先生方も、この文案を御覧になって、何か御意見はありますか。

○塚田参考人 これまでに知られたデータからすると、この改訂案で行くしかなかろうなと思います。ただ余りにもよく分からない症例が多いので、臨床データは今後も積み上げていかなければならないなと思っています。どうやってするかは私の権限ではありませんから分かりません。以上です。

○五十嵐座長 渡邊参考人はよろしいですか。

○渡邊参考人 はい。同じ意見です。

○五十嵐座長 ありがとうございます。委員の先生方からも特にありませんか。

○望月委員 使用上の注意の改訂案は、この限られた情報を基に最大限注意を喚起するという形になっていると思います。これをどのような形で医療機関側に伝えていくかを教えていただきたいと思います。

○五十嵐座長 企業にブルーレターを出すよう求めることはいかがですか。

○事務局 こちらで行政指導みたいな形で、そういうブルーレター等をこちらで決めていただければ、我々はそれに応じて対応させていただきます。

○五十嵐座長 そうすると、ブルーレター、すなわち安全性速報を企業の方に出すように指示をすることが必要ということでよろしいでしょうか。

○大野委員 別の件ですが、こういう死亡事例が出たとき、この原因であるかどうか分からないわけですが、血液を取っておくとか、そういう指導はできないのでしょうか。

○事務局 先生の御質問は亡くなったときに、剖検あるいはその中で血液を採取して分析をするということですか。

○大野委員 そうです。剖検もしていただいて、血液を保存しておく。そうすれば後で薬物動態が原因でこういう事故が起きたのか、そうではないのかというのが簡単に仕分けができますね。

 もう1つは、ゼプリオンの持効性に関して、どういうメカニズムで持効性になっているのか、添付文書に何も書いてないのです。普通に化学的な性質で筋肉内に出てくるのが非常に遅くなるのか、それとも特殊な結晶型にしているのか、何かカプセルみたいなのに入れているのか。そういうのは添付文書を見ても全然分からないので、場合によっては、例えばカプセルみたいに入れておくと、運動すると出やすくなるとか、原因を考える上で参考になるようなものが、添付文書か付属文書にあるといいのかなと思うのですが、いかがでしょうか。

○事務局 実際に審査報告書で公開されているものを見ますと、恐らくマイクロバーティクルというか、微小形にして包んで本剤の放出を制御されているというものかも知れません。

 企業は医師に添付文書だけではなくて、分かりやすい資材等を作って御説明していると思いますが、そこでそういうところがどのように説明されているのかを確認しまして、そういうところがなければ本剤の特徴の1つとして、そういう製剤的な特徴も説明をしたほうがいいということでお伝えしたいと思います。おっしゃるとおり、添付文書中では見当たりませんので、確認いたします。

○五十嵐座長 ほかにはいかがですか。それでは、ゼプリオンにつきましては、より適正に使用されるように、事務局が今日お示しになった資料2-6にあるような添付文書の改訂をすることを、まず基本的にやるということと、次に企業にブルーレター、安全性速報の発出を指示して、医療機関への周知を徹底することにしたいと思いますが、これでよろしいでしようか。

                                   ( 異議なし)

○五十嵐座長 それでは、そのように致したいと思います。それから大野委員が御指摘になったような、なぜゆっくりと放出されるかということを添付文書に記載することも検討するということで、これについては私と事務局とで検討させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、今後の事務局の方針についてお願いいたします。

○事務局 本日御審議いただました結果に基づきまして、ブルーレターの発出及び添付文書の改訂の手続を進めさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

○五十嵐座長 ほかに何かございますか。

○事務局 特にございません。事務局で用意した議事、本日の議題につきましては以上となります。本日は長い時間にわたり、御審議いただきまして、どうもありがとうございました。

○五十嵐座長 それでは、今日の調査会はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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