ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 年金局が実施する検討会等> 積立金基本指針に関する検討会> 第5回 積立金基本指針に関する検討会議事録(2014年3月31日)




2014年3月31日 第5回 積立金基本指針に関する検討会議事録

年金局

○日時

平成26年3月31日(月) 10:00~11:00


○場所

全国都市会館3階 第1会議室
東京都千代田区平河町2-4-2


○出席者

米澤 康博 (座長)
浅野 幸弘 (委員)
臼杵 政治 (委員)
小島 茂 (委員)
川北 英隆 (委員)

○議題

(1)積立金基本指針に関する検討会報告書(案)について
(2)その他

○議事

○米澤座長 まだ、山崎委員がお見えになっていないのですが、時間も過ぎておりますのでただいまから、積立金基本指針に関する検討会を開始させていただきます。本日は第 5 回目の会議になります。どうぞ、よろしくお願いいたします。それでは最初に事務局から委員の出席状況等について御確認をお願いしたいと思います。

○森大臣官房参事官 おはようございます。担当参事官の森です。委員の皆様におかれましては、本日はお忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。本日の会議の出席状況ですが、本日は全委員に出席いただくことになっております。前回に引き続き、今回も各運用主体の方々にお越しいただいております。

 それでは、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。資料 1 として、「積立金基本指針に関する検討会報告書 ( ) 」を配布させていただいております。もし、不足等ございましたら、適宜事務局までお知らせください。

○米澤座長 よろしいですか。カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、よろしく御協力のほどお願いしたいと思います。

 それでは、議事に入ります。前回は、「モデルポートフォリオの運用目標と積立金基本指針に盛り込むべき事項 ( ) 」について御議論いただきましたが、本日は本検討会の報告書として、「積立金基本指針に関する検討会報告書 ( ) 」について御議論いただきたいと思います。それでは、積立金基本指針に関する検討会報告書 ( ) の説明を、事務局のほうよりお願いします。

○森大臣官房参事官 ただいま、座長から御紹介いただきましたように、前回、積立金基本指針に関して盛り込む事項を御審議いただきましたが、それを踏まえて今回、積立金基本指針に関する検討会報告書 という形で提示させていただいております。資料 1 を読み上げさせていただきます。

1 ページで 1. はじめに。被用者年金制度については、平成 24 年に成立した「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律 ( 平成 24 年法律第 63 ) により、平成 27 10 1 日より厚生年金保険制度に一元化されることとなっている。

 一元化後の積立金の運用については、主務大臣が改正後の厚生年金保険法 ( 昭和 29 年年法律第 115 ) 79 条の 4 1 項に規定する積立金の管理及び運用が、長期的な観点から安全かつ効率的に行われるようにするための基本的な指針 ( 積立金基本指針 ) を定めて行うこととされている。

 積立金基本指針には、同条第 2 項第 1 号から第 4 号において、 その他積立金の管理及び運用に関する重要事項を定めることとされている。

 このため、積立金基本指針に盛り込むべき までの事項を具体的に検討するため、厚生労働省年金局長が有識者の参集を求め、検討会を開催することとし、平成 25 7 30 日から何回にわたり検討を行った。

 本検討会は、この間の検討、公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議の提言及び社会保障審議会年金部会年金財政における経済前提と積立金運用のあり方に関する専門委員会の検討結果の報告を踏まえ、報告書として以下のとおり、積立金基本指針に関して盛り込むべき事項を取りまとめた。厚生労働省においては、関係省庁とともに、本報告書を踏まえ、速やかに積立金基本指針の策定に向けた取組を進めることを期待する。

2 ページで 2. 積立金基本指針に盛り込むべき事項。 積立金の管理及び運用に関する基本的な方針。積立金の運用は、積立金が厚生年金保険の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ将来の保険給付の貴重な財源となるものであることに特に留意し、専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために ( 共済各法の目的に沿って運用する場合においては、厚生年金保険の被保険者の利益のために ) 、長期的な観点から、安全かつ効率的行うことにより、将来にわたって厚生年金保険事業の運営の安定に資することを目的として行うものとすること。

 また、積立金の運用は、厚生年金保険事業の財政上の諸前提を踏まえ、保険給付等に必要な流動性を確保しつつ、実質的な運用利回り ( 運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたものをいう。「以下予定運用利回り」という ) を最低限のリスクで確保するよう行うこと。 

積立金の資産の構成の目標に関する基本的な事項。管理運用主体は、本指針に適合するよう共同して管理運用の方針において、基本ポートフォリオを定めるに当たって参酌すべき積立金の資産の構成の目標 ( モデルポートフォリオ ) を定めること。その際、年金財政上の積立金等の見通しと整合的な形でリスクの検証を行うこと。

 積立金の資産の構成の目標は、厚生年金保険事業の財政上の諸前提と整合性をもつ予定運用利回りとして、財政検証を行う際に積立金の運用利回りとして示される実質的な運用利回りを長期的に確保する資産構成とすること。

 積立金の資産の構成の目標は、資産の管理及び運用に関し、一般に認められてる専門的な知見並びに内外の経済動向を考慮して定めること。その際、今後の経済状況の見通しを踏まえ、フォワード・ルッキングな ( 先行きを見据えた ) リスク分析を行うこと。

 積立金の資産の構成の目標を定めるに当たっては、当該目標を参酌して管理運用主体が定める基本ポートフォリオとの関係も併せて検討すること。またその際、各管理運用主体が積立金の運用において、例えば、積立金の資産の構成の目標のかい離許容幅内で基本ポートフォリオを定めるなど、厚生年金保険事業の共通財源として一体性を確保しつつ、自主性・創意工夫を発揮できるようなものとなるよう配慮すること。

 管理運用主体は、財政の現況及び見通しが作成されたときその他必要があると認めるときは、共同して積立金の資産の構成の目標に検討を加え、必要に応じ、これを変更しなければならないこと。また管理運用主体は、策定時に想定した運用環境が現実からかい離してないかなどについての定期的な検証の必要性について検討すること。

4 ページの 積立金の管理及び運用に関し管理運用主体が遵守すべき基本的な事項。積立金の管理及び運用を適切に行うため、本指針に適合するように、かつ積立金の資産の構政の目標に即して、基本ポートフォリオを含む管理運用の方針を定めること。その際、基本ポートフォリオについては、年金財政上の積立金等の見通しと整合的な形でリスクの検証を行うこと。

 本指針が変更されたときその他必要があると認めるときは、管理運用の方針に検討を加え、必要に応じ、これを変更しなければならないこと。特に、基本ポートフォリオについては、策定時に想定した運用環境が現実からかい離していないかなどについての検証を定期的に行い、必要に応じて随時見直すこと。

 基本ポートフォリオは、資産の管理及び運用に関し一般に認められている専門的な知見並びに内外の経済動向を考慮して定めること。その際、今後の経済状況の見通しを踏まえ、フォワード・ルッキングな ( 先行きを見据えた ) リスク分析を行うこと。

 本指針及び管理運用の方針に従って、積立金の管理及び運用を行わなければならないこと。

 分散投資による運用管理を行うこと。この際、ポートフォリオ管理を適切に行うとともに、資産全体、各資産、各運用受託機関及び各資産管理機関等の各種リスク管理を行うこと。

 積立金の運用に当たっては、各管理運用主体の資産の規模に応じ、市場規模を考慮し、自ら過大なマーケットインパクトを蒙ることがないよう努めるとともに、市場の価格形成や民間の投資行動等を歪めないよう配慮すること。

 民間企業の経営に対して、過度に影響を及ぼさないよう配慮するとともに、企業経営等に与える影響を考慮しつつ、長期的な株主等の利益の最大化を目指す観点から、株主議決権の行使などの適切な対応を行うこと。その際、「責任ある機関投資家」の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード ) を踏まえた方針の策定・公表についても検討を行うこと。

 企業経営等に与える影響を考慮し、自家運用で株式運用を行う場合においては、個別銘柄の選択は行わないこと。

 年金財政の見通し及び収支状況を踏まえ、保険給付等に支障を生じさせることがないよう、保険給付等に必要な流動性を確保すること。

 予定運用利回りを確保することができるよう、運用手法の見直し及び運用受託機関等の選定・管理の強化のための取組を進めること。この場合において、運用受託機関については、定期的に評価を行い、資金配分の見直し等の必要な措置をとること。

 原則として、パッシブ運用とアクティブ運用を併用し、アクティブ運用に取り組むことにより、超過収益の獲得を目指すものとすること。ただし、アクティブ運用については、これまでの運用実績も勘案し、超過収益が獲得できるとの期待を裏付ける十分な根拠を得ることを前提に行うこと。

 株式運用においては、財務的な要素に加えて、収益確保のため、非財務的な要素である「 ESG 」を考慮することについて、各管理運用主体において個別に検討すること。 

6 ページの その他積立金の管理及び運用に関する重要事項。管理運用主体は基本ポートフォリオを見直す場合において、市場の影響等に鑑み必要があると認められるときは、円滑に見直し後の基本ポートフォリオの割合に移行させるため、移行ポートフォリオを策定すること。

 積立金の運用の状況については原則として時価評価し、実質的な運用利回りによる評価を行うこと。また、各管理運用主体の各資産の運用利回りは、ベンチマーク収益率による評価を行うこと。ただし、これにより難い場合においては、管理運用の方針において評価方法を明らかにすること。

 年金積立金の運用に対する被保険者の理解を促進するため、被保険者に対する情報公開・広報活動を積極的に行うこと。特に、管理運用主体が作成する業務概況書、所管大臣が行う積立金の管理及び運用の状況の評価の結果、主務大臣が作成する報告書等については分かりやすいものとなるよう工夫すること。

 各管理運用主体は、受託者責任を徹底するための機能を確保するとともに、業務を的確に進行する上で必要となる人材の確保に努めること。

 各管理運用主体は、積立金の運用に係る業務の実施に関して、必要な情報の提供を行うなどして、相互に連携を図りながら協力するよう努めること。

 主務大臣は、管理運用主体に対し、積立金の運用評価等に用いる厚生年金被保険者の賃金上昇率の実績を適時に提供すること。

 主務大臣は、財政の現況及び見通しが作成されたときその他必要があると認めるときは、本指針に検討を加え、必要に応じ、これを変更するものとすること。

7 ページで、本検討会の構成員の先生方のお名前、オブザーバーとして関係省庁の方々。最後の 8 ページは、積立金基本指針に関する検討会の開催実績で、第 1 回目の 7 30 日から今回、第 5 回目の 3 31 日までということです。事務局からは以上です。

○米澤座長 本日は山崎委員が急に御欠席になりましたので、最初に連絡したいと思います。今、説明のありました内容について御意見、御質問等がありましたらお願いします。森参事官、前回と変わった場所があれば御指摘ください。

○森大臣官房参事官 本文の積立金基本指針に盛り込む事項です。 5 ページの 1 つ目の○、 「積立金の管理及び運用に関し、管理運用主体が遵守すべき基本的な事項」の所で、前回「企業経営等に与える影響を考慮し、株式運用を行う場合においては個別銘柄の選択を行わないこと」とお示ししましたが、委託運用におきまして、アクティブで行う場合には、個別銘柄の選択は行うわけで、そこは明確に分かるような形ということで、今回「自家運用で」という言葉を追加させていただきました。

○米澤座長 それ以外は前回と同じと理解しておりますが、いかがでしょうか。

○臼杵委員 この報告書案自体については、かなり大所高所に立っているものなので、文言や内容については異議があるとか、意見があるということではないので、確認だけさせていただければと思います。 2 ページ、「財政上の諸前提を踏まえて、実質的な運用利回りを最低限のリスクで確保するよう行うこと」と書いてありますが、この辺りは前回、例えば賃金プラスいくつになるのかとか、リスクはどうやって定義するのか、リスクの指標は債券 100 %のポートフォリオのときと比べて、賃金プラスアルファの目標を達成する確率が低くならないようにするということを御説明いただいたと思います。このベンチマークなどについて、具体的に何か主務大臣から、そうしなさいという指示があるのか。それとも、この「財政上の諸前提を踏まえて」という所から、そういうことを読み取ることなのかどうかというのが 1 つ目です。

2 つ目に確認したい所は 4 ページ、基本ポートフォリオについて、○の 2 つ目辺りに、「策定時に想定した運用環境が現実からかい離していないかなどについての検証を定期的に行う」とか、 3 つ目に「フォワード・ルッキングなリスク分析を行いなさい」ということが書いてあります。この基本ポートフォリオの有効タイムホライズンとして、どのぐらいの投資期間を想定するか、長期ということが確か書いてあったと思いますが、当然、足元と長期で想定が異なるなどフォワード・ルッキングなことをしていくと違ってくるということがあると思います。その辺りについては、各管理運用主体に任せられているという理解でよろしいのですか。以上 2 点です。

○米澤座長 それでは森参事官のほうからお答えいただけますか。お願いします。

○森大臣官房参事官 いずれも貴重な御指摘を頂きました。まず、積立金の資産構成の目標を定めるに当たってのポートフォリオの決め方については、基本となるのは運用利回りで、このリターンを元にして、有効フロンティア上で幾つか候補が出るわけです。それに関しては先生御指摘のとおり、 1 つは年金財政上必要となる利回りについて最低限のリスクということです。ただ、 1 つ分かりやすい指標として、厚生年金のサラリーマンのほうでは、社会保障審議会の専門委員会におきまして下振れリスク等があります。 1 つシミュレーションみたいな形、若しくはフォワード・ルッキングなリスク検証ということで、これは 1 つではなく、複数のやり方で検証していただくというのが、ある種、普通の専門的知見に沿ったところのポートフォリオの定め方かと思います。

2 点目については、正に基本ポートフォリオは長期ですが、今回、社会保障審議会の専門委員会におきましても、例えばかい離許容幅の中で弾力的な形で、各運用主体が見る。これは多分、 5 年に 1 度基本ポートフォリオを見直しながら改定していく作業の中で、何年が正しいのかみたいな話というのは、各運用主体で考えるという話ではあるかと思いますが、適宜構造的な変化等あった場合においてはポートフォリオ、若しくはかい離許容幅の中で経済見通し等について、確たるものを踏まえて運用していただくという形で、今回はかなり各運用主体のほうで裁量がある形だと考えております。

○臼杵委員 ありがとうございました。 1 点目だけ再確認です。最低限のリスクというのは、ある意味でプルーデントであればいろいろな方法や尺度があって、そこも各モデルポートフォリオ及び各基本ポートフォリオを定めるプロセスがプルーデントであればいいという理解でよろしいのですか。

○森大臣官房参事官 おっしゃるとおりです。ただ、 1 点、かなりリスクのあり方について明確化しなさいという話で、例えば、今まで GPIF については、賦課方式ですので、各年度の積立金の金額を見て、それに対してバリュー・アット・リスクとか、 を見てきたわけです。他方、これについては分かりにくいという話もありましたので、特に年金の場合下振れリスクが非常に重要だという御指摘も踏まえて、今回は分かりやすい形で名目賃金上昇率からの下振れリスクについては、国内債券運用よりも下回らない形という基準も追加しております。

○米澤座長 かなり各運用主体によって裁量的な要素が高いと理解しています。ですから、ここでは厚生年金の積立金運用に関しては、もう少し一般的に書かれているということだと思います。

○森大臣官房参事官 追加して、当然、自主性に任せるということですので、各主体に説明責任がありますし、透明性の確保は必要だと考えております。

○浅野委員 今の臼杵委員の質問に多少関連することで、私も 1 つ確認したいことがあります。 3 ページの下から 2 つ目の○です。この後段の所に「積立金の資産の構成の目標のかい離許容幅内で基本ポートフォリオを定める」と書いてありますが、これはモデルポートフォリオを作ると同時にかい離許容幅、すなわち基本ポートフォリオを作成するときのモデルポートフォリオからのかい離許容幅を定めるということでしょうか。

 それと同時に、それがどの程度制約になるかということですが、これまでの委員会での議論では、方法論、あるいは資産の括り等についても、弾力的に考えたほうがいいという意見が強かったと思います。この文章の後段の部分に「自主性・創意工夫を発揮できるものとなるよう配慮すること」と書いてあるのは、そういう趣旨だということですね。一方、「かい離許容幅内で」と書いてある所には、その前に「例えば」と書いてあるから、これに限定されるものではなく、方法や資産の括りは運用目標とリスクをどの程度取るかという、そこの所さえ満たしていれば、かなり自由にやってよいと理解してよろしいですか。

○森大臣官房参事官 これは正に先生方の御議論にあったように、年金積立金の運用、厚生年金の共通の前提ですので、一体 二元的なポートフォリオというものもありますので、積立金の構成の目標の「かい離許容幅内で」基本ポートフォリオを定めるなどという形で例示はしましたが、これは 1 つの考え方です。また違うやり方が適切だということであれば、運用主体のほうで御検討いただいて、主務大臣のほうに御提案いただくことはあるかと存じます。

 また、この検討会の中では、特にアセットクラスの捉え方について弾力的に見たほうがいいのではないか。例えば、債券についても、例えば市場流通性がある有価証券だけではなく、リスクリターン特性が似ている貸付けなり、インカム収入のことをメインとしたインフラ投資みたいなものについても、その中に含めることもあり得るみたいな形で御議論があったかと思います。そういうことで、管理運用主体のほうで御検討いただけるものと考えております。

○米澤座長 よろしいでしょうか。今後いつになるか私は分からないのですが、モデルポートフォリオ策定が出てくるかと思います。その後を踏まえて、各基本ポートフォリオを作るわけです。基本ポートフォリオは今言った各運用主体によって異なってくる可能性がありますが、今回、そもそものこの目的が一元化ということですので、モデルポートフォリオからそう大きくは離れないということを文章にすると、「例えば」ということで文章化されているのではないかと理解しております。当初の浅野先生の御意見と違わないと思います。

○川北委員  2 点あります。今の浅野委員の質問とも関連するのですが、 3 ページの下から 2 つ目の○の所に、「当該目標を参酌して、管理運用主体が定める基本ポートフォリオとの関係も併せて検討すること」となっていますが、ここで言う基本ポートフォリオの意味というか、この文章が入った意図というのは、現在、各運用主体が定めている基本ポートフォリオ、若しくは独自に持っているアセットクラスというものをここで検討するというか、そういうものにある程度配慮して構成の目標を定めると。そういうふうに読めばいいのかというのが 1 点です。

 もう 1 点はいろいろな所に跨がっていますが、例えば 3 ページの一番下の○の所に、財政の現況及び見通しが作成されたとき、その他必要があると認めるときには、共同して目標の検討をやるのだと。若しくは、運用環境が現実からかい離していないかどうかについては、定期的な検証を行うということ。

4 ページの 2 つ目の○に、これはそれぞれの運用主体の話ですが、定期的に運用環境が現実からかい離していないか検証を行うのだと。

6 ページの下から 3 つ目に、各管理運用主体は相互に連携を図りながら協力するよう、情報の提供を行っていくと書かれております。この辺りは前回の私の質問とも関連しますが、現状の経済の環境に関して、何らか共同して、定期的に検証を行う。若しくはそれに関する情報交換を行うと。そういうふうな場を設けるということを検討されているのかどうか。その辺りをお聞きしたいのです。

○森大臣官房参事官 まずは 3 ページの積立金基本構成の目標に関して、モデルポートフォリオと基本ポートフォリオの関係ですが、当然、各運用主体については、今は基本ポートフォリオを定めて、そこから実際のアセットアロケーションについて調整しつつ、運用するという一般的なモダンポートフォリオ理論に沿った運用を行っております。

 今回のモデルポートフォリオは、各運用主体の運用を制約するものですが、それについて、各運用主体で共同して定めることの趣旨の中には、当然、各運用主体で適切だという知見を持ち寄って、モデルポートフォリオを作成することはありますので、それは今までの基本ポートフォリオの運用、作成等についての知見等も踏まえて、モデルポートフォリオを作成いただけるものだと考えております。これが第 1 点目です。

 第 2 点目の話の必要性の話については、モデルポートフォリオについても各運用主体の基本ポートフォリオを制約するということですので、それについても必要に応じて見直しすとの規定を置かせていただいております。当然、これについても、策定時に想定した運用環境からのかい離等について見直し等を行うことは必要です。それに関して、どういうやり方がいいのか。場とか、そういう形がいいのかということはありますが、先生御指摘のように、各機関で情報交換等がありますので、その情報交換等の機会も通じて、これは市場に構造的な変化があれば、モデルポートフォリオについても見直しは必要だということで、 3 ページの一番下の「管理運用主体は策定時に想定した運用環境が現実からかい離していないかについて検討すること」という規定を置いております。

○米澤座長 今の点は私もかなり重要だと思います。これは公式の場になるのか、非公式の場になるのか分かりませんが、連絡を密に取っていく必要が出てくるかと思います。

○小島委員 今日示されている検討会の報告書は、全体としておおむねこんなものかなという感じがします。 3 点ほど意見、要望、あるいは確認の発言をさせていただきます。

1 点目は、 3 ページの の「積立金の資産の構成の目標に関する基本的な事項」の上から 3 つ目の○、モデルポートフォリオの策定に当たっては、フォワード・ルッキングなリスク分析を行うこととされております。 4 ページには、基本ポートフォリオ策定についてもフォワード・ルッキングなリスク分析と記載されております。確かこれは有識者会議で指摘された内容だと思います。その際、有識者会議は、フォワード・ルッキングなリスク分析を行うと併せて、そのためのリスク管理体制を含むガバナンス体制の見直しが必要だという指摘を行っています。特に GPIF については、意思決定機関の合議制、理事会などの体制、ガバナンス強化という指摘がされておりますが、他の各管理運用主体でガバナンス体制の見直し等が検討されているのかどうかというのが 1 点目の質問です。

2 点目は、 4 ページの最後の○で「その際、『責任ある機関投資家』の諸原則(日本版スチュワードシップ・コード)を踏まえた方針の策定・公表についても検討を行う」と記載されております。

 それに併せて、 5 ページの最後の○の所には「『 ESG (環境、社会、ガバナンス)』を考慮することついて、各管理運用主体において個別に検討する」という表現があります。この 2 つを並べてみますと、濃淡があるように私は感じるのです。私としては、「責任ある機関投資家の諸原則」の中には、当然 ESG も念頭に入れて検討すると解釈すべきだと思っております。確か 2 月末に開かれた金融審議会の総会の中では、金融庁からの説明として、 ESG という考え方と、日本版スチュワードシップ・コードについては、同じスタンスで考えるべきだという説明があったと聞いております。その意味では、日本版スチュワードシップ・コードを踏まえた方針の策定・公表については、当然、 ESG を念頭に置いて検討する、と理解すべきだと思いますので、是非、そういう方向で検討を行うべきだと思います。

 最後は要望です。今回の検討会は、法律が通って、積立金の運用については、既存の組織を活用することを前提に議論をしてきました。これは法律で決まったことですが、制度が一元化され、財源としては、厚生年金制度の財源に位置付けされますので、あえて既存の組織を活用して積立金の運用を行うという積極的な意義を、厚生年金の被保険者、国民にきちんと説明する必要があると思います。

 これは今回の被用者年金一元化法の前に、一旦廃案になった法案を策定する段階で、関係者に対して積立金運用についての組織のあり方ということで意見を求められたときに、私も意見を述べています。そのときには、被用者年金を一元化すると 150 兆円と膨大な積立金になるので、それを 1 つの機関で運用することについては相当リスクがあるのではないか、いわば広い意味でのリスク分散という形で既存の組織の活用が必要ではないかと、確か 2007 年にそういう発言をした覚えがあります。その意味では、そういうリスク分散も念頭に置いて、改めて既存の組織の活用についての積極的な意味、あるいは意義を今後各省庁ではきちんと被保険者、国民の前で説明をしていただきたいというのが最後の要望です。以上です。

○米澤座長 幸いこの席には、その関係者の皆様方が出席されていますので、今、小島委員の言ったことを心してお聞きしたいと思います。森参事官のほうでお答えできる所をお願いします。

○森大臣官房参事官 一番最初にガバナンスについての御質問を頂きました。委員から御指摘いただいたように、今回については、委員が一番最後におっしゃられた説明責任もありますし、あとはポートフォリオの作り方についても、これから皆様方のほうでモデルポートフォリオを作っていただく。若しくはその中のリスク分析についても、フォワード・ルッキングだということを、これもいろいろなリスクシナリオ等を作っていただくことで、一手間、二手間、管理運用主体の方々の責任なり、リスク管理を高度化していくものと存じております。

6 ページ、「その他積立金の管理及び運用に関する重要事項」の下から 4 つ目、「各管理運用主体は受託者責任」。これはプルーデント、慎重な管理者ということで、受託者責任を徹底していただく。当然、そのための機能を確保していただくことを挙げております。業務を的確に遂行する上で必要となる人材。 GPIF については独法で、昨年度末の閣議決定におきまして、若干、独法におきまして一律の制約が緩められたところもあります。今、その専門人材等の確保に努めておりますが、そういった取組ということで、各運用主体において、前般に申したガバナンスなり、一手間、二手間追加された所の説明責任等を果たすための取組の体制の強化を図っていただくものだと考えております。

2 番目の話は、スチュワードシップ・コードと ESG の話がありました。スチュワードシップ・コードについて検討を行うこと、若しくは ESG を考慮することについての個別検討というのは、有識者会議の表現ということで、それぞれ使わせていただいたところです。

 また、スチュワードシップ・コードについては、長期的な株主の利益の最大化ということです。 ESG についても、昨今では他事考慮せずに、正に ESG を配慮することについて、長期的に株式等の価値が増大していくことがあれば、そういうものを考慮していくということで、個別に御検討を頂けるものと考えております。

 説明責任については、正に御指摘いただいたように、今後の取組の中で、各加入者等に十分説明していくべき事項だと考えております。

○米澤座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。委員の皆様方にはいろいろ御指摘を頂きまして、これまで議論をしていただきました。特に、報告書案に関しては、いろいろ意見を頂きましたが、修文に関しては変更の必要はないという理解でよろしいですか。

                                  ( 異議なし )

○米澤座長 それでは、本検討会における取りまとめで、御異議はないということで承りました。ありがとうございます。それでは、今般取りまとめた内容を踏まえて、今後各関係省庁の間で積立金基本指針の策定に向けて作業を進めていただければと思います。よろしくお願いします。

 それでは、予定の議事が終了しましたので、本日の審議を終了いたします。事務局から連絡はありますか。

○森大臣官房参事官 本日は御議論を頂き、どうもありがとうございました。また、各委員におかれましては、これまで御多忙の中、長期にわたりまして、この議論に御参画いただきまして大変ありがとうございました。以上です。

○米澤座長 私からも重ねて、各委員におかれましては、本日までいろいろありがとうございました。それでは終わりにしたいと思います。どうも御苦労様でした。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 年金局が実施する検討会等> 積立金基本指針に関する検討会> 第5回 積立金基本指針に関する検討会議事録(2014年3月31日)

ページの先頭へ戻る