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2014年2月28日 研究開発機関連携会議

厚生労働省大臣官房厚生科学課

○日時

平成26年2月28日(金)14:00~16:00


○場所

厚生労働省 省議室


○議題

(1)研究実施に係る諸課題について
(2)今後の研究のあり方について
   ・インハウス研究と競争的資金について
   ・研究者の人材育成等について
(3)その他

○議事

議事録

○宮嵜厚生科学課長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから「平成25年度第2回研究開発機関連携会議」を開催させていただきます。御出席の皆様には、御多忙のところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 議事に入ります前に、三浦技術総括審議官より御挨拶を申し上げます。

○三浦技術総括審議官 技術総括審議官でございます。きょうは、大変お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございます。第2回目の会議ということでございまして、当初、私ども予定していましたのは1月の早い段階で一度集まっていただいて、26年度の予算案がどういう内容になっているかなどについてお話を申し上げようというふうに思ったわけでございますが、一方で、同時に進んでおりました日本再興戦略に基づく新たな医療分野の研究体制についての進捗というのがございまして、今月の12日に関連して法案が提出されました。健康・医療戦略推進法案、それから独立行政法人日本医療研究開発機構法案、こういうものでございまして、これらが国会に今提出されているという状況もございまして、その内容などをよく見た上で、また私どもがどういうふうなかかわりをしていくのかということについて、私どもなりの考え方を持ちつつ、やはり研究機関の皆様方にお集まりいただいたほうがより実効的なのではないかと思いまして、およそ1カ月余りスケジュールを延ばしまして、きょうお集まりいただいたということでございます。

 言うまでもなく、健康・医療の分野というのは、厚生労働省のまさに所管する分野でもありますし、その中の研究ということになれば、ここにお集まりの各機関がまさにその中心的役割を果たしていくというのが期待されるものではないかと考えておりまして、そういう意味でも、新しい研究開発の推進体制に私ども自体がどういうふうな形で積極的に関与できるか、あるいはしていくか、こういうことについて十分に皆様方と意思の疎通を図っていくということが重要なのではないかと思っております。

 また、今般の研究開発の予算につきましては、内閣にございます健康・医療戦略推進本部で研究費、これはいわゆる競争的資金もそうですが、併せてインハウス研究につきましても予算配分の調整を行うというような仕掛けになっております。

 競争的資金については、既に昨年の年末の予算編成過程で、厚生労働省のみならず文部科学省、あるいは経済産業省のこの分野における研究開発費の総合的な調整がなされているわけでございますけれども、また、今後はインハウス研究につきましても、さらにいろいろな観点からの調整というのが行われる可能性もあるのではないかと考えております。

 そういう意味で、私どもとしては各研究機関で行われているインハウス研究の考え方というのをやはり整理した上で、その必要性というものを明確にして、厚生労働省や、あるいは各研究機関の連携体制を強化しながら、しっかりとした研究体制を構築していくということが重要なのではないかという認識を持っております。

 そういう観点から、きょうは研究の実施にかかる諸課題について、具体的な中身、テーマを幾つかお示しさせていただきながら、意見交換をさせていただきたいということでございます。

 きょうはもちろん公式の会議ということではありますけれども、いろいろな考え方というものをそれぞれの機関から忌憚なくお伺いをしたいと思っておりまして、それらをとりまとめた上で、この会議としての一定の方向というものも、できればつくっていきたいということも考えているところでございます。ぜひ、そういう観点からも積極的な御発言をお願いしたいということでございます。

 また、これは今申し上げたことと裏腹な状況もあってお話しするところでございますけれども、研究開発をめぐってさまざまな問題というのが今般指摘をされることが多くなりました。このようなことがあれば、健全な科学技術の発展に支障があるということだけではなくて、国民の皆様方の信頼を損ねるということも考えねばならないということでございまして、今申し上げてきたような、前に向いたさらなる研究開発の推進と同時に、しっかりと各研究機関において指導・監督を行っていただきたいということをお願い申し上げまして、最初の御挨拶とさせていただきたいと思います。どうぞきょうはよろしくお願い申し上げます。

○宮嵜厚生科学課長 それでは、本日の御出席の皆様方につきましては、お手元の出席者名簿をごらんいただければと思います。時間の都合上、名簿で御紹介とさせていただきます。

 なお、国立国際医療研究センターにおかれましては、清水所長にかわられまして石坂幸人副研究所長に御出席をいただいております。また、医政局長、労働安全衛生部長につきましては、国会対応等で急遽欠席となって思いますので、御報告申し上げます。

 続きまして、本日の会議資料の確認をさせていただきます。お手元のクリップどめを外していただきますと、1枚目が議事次第、2枚目に出席者名簿、3枚目が配席図でございます。

その後、資料1-11-2が予算の関係の資料でございます。

それから、資料2-1から2-22-32-4、それぞれ一枚紙が健康・医療戦略関連の法案の関係でございます。

それから、資料3が昨年の12月に閣議決定されました「独立行政法人改革等に関する基本方針について」というもの。

資料4が、「独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律案の概要」。

資料5が、「厚生労働科学研究費補助金における研究不正の対応について」。

資料6で、「疫学研究及び臨床研究に関する倫理指針の改正について」でございます。

それから、資料7が、「総合科学技術会議の動向について」。

資料8が、「G8認知症サミットの結果(概要)」でございます。

それから、国立感染症研究所からの提出資料ということでつけさせていただいております。

 以上がきょうの資料ですけれども、過不足等がありましたら、事務局のほうに言っていただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。

 それから、カメラをお持ちの方は撮影はここまでとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、早速、議事に入りたいと思いますが、まず議題(1)の「研究実施に係る諸課題について」ですが、今回は報告事項がたくさんございますので、幾つかに分けて説明させていただければと思います。

 まず、資料1-11-2の予算の関係について、事務局より御説明させていただきます。

○中山研究企画官 それでは説明いたします。資料1-1をごらんください。資料1-1は、何度かごらんいただいたかもしれませんけれども、今年度は新しい独法に医療分野の研究開発予算を一元化していくということで、文部科学省、厚労省、経済産業省、3省が共同していろいろ作業を進めたという経緯がございます。その結果、平成26年度、来年度の医療分野の研究開発関連予算というのが、一つの新独法対象経費としてまとめて計上されているということでございます。それについて御報告いたします。

 まず、26年度決定といたしましては、新独法対象経費として1,215億円でございます。これは25年度当初では約1,000億円ということでありましたので、約20%の増ということになっています。この中で厚労省の予算を見ますと、厚労省が26年度476億円、25年度当初として厚労省は402億円ということですので、おおよそ20%近い増ということになっているかと思います。一方、インハウス研究につきましても、25年度当初713億円が26年度は740億円ということです。厚労省だけを見ますと、厚労省の476億円から455億円ということになっております。

 医療分野の研究開発の関連予算については、このほかに後ほど御説明申し上げますけれども、科学技術イノベーション創造推進費、いわゆる調整費と呼ばれているものですが、政府全体として500億円がございます。そのうち、35%の175億円が医療分野の研究開発関連として充当されるということが決定しているわけでございます。したがいまして、この1,215億円と申しましたが、これに175億円が上乗せされる形で来年度の医療分野の研究開発関連予算が執行される見込みということになろうかと思います。

 この調整費に関しましては、実際に昨年度の予算要求時に想定できていなかったこととか、あるいは想定はしていたんだけれども、かなりいろいろな案件、研究の課題があって、そこで対応しきれなかったものなどについて交付されるということになっておりまして、この3月から4月にかけて、その175億円のうちの全部ではなくて一部ということになろうかと思いますけれども、その使い方をどうするかということを内閣官房を中心に3省でいろいろ検討するという過程があるということになりますので、その辺は十分に御承知おきいただきたいと思うわけであります。

 一応調整費も含めて、この医療分野の研究開発関連予算の一つの売りといいますか、主な取り組みとしてということで、9つの3省連携の分野というのが掲げられています。医薬品・医療機器、再生医療、ゲノム医療、さらには臨床研究中核拠点などの臨床研究拠点の整備、さらに疾病領域としてはがん、脳とこころ、新興・再興感染症、難病というのが9つの連携分野として主な取り組みとして挙げられているということですが、厚労省としては9つの連携分野だけではなく、重要な分野は厚労省独自でもたくさんあるという認識でありまして、さらにこの調整費の配分についても、9つの連携分野だけでなくその他の分野というものも対象となるということのようですので、やはり重要なものについては調整費を上乗せして進捗させるということが近々課題としてあるということでございます。

 2ページ以降、個別の9つの連携分野と申し上げましたが、それぞれについて、昨年の夏の予算の要求時点の基本的な連携の形というもので、さらに要求から実際についた予算ということで書きかえがされていますけれども、それぞれ目標値を立てて推進していくということで今動いているということになろうかと思います。

 次に、資料1-2をごらんいただくと、これは厚労省単独の予算であります。平成26年度の科学技術関係予算案ということで、平成26年度は厚労省1,637億円でございます。ここの部分には、いわゆる特定疾患治療研究費補助金とか小児慢性特定疾患治療研究費補助金などのような予算も入り込んで思います。この1,637億円の中から厚生労働科学研究費を抜き出すと、復興特会というものも含むと491億円でございます。復興特会を除くと、約10億円が復興特会ですので481億円となります。これは平成25年度の440億円から481億円に増加したということで、伸び率としては9.1%増ということになります。

 今481億円と申しましたが、それがどんな分類になるのかということが次のページでございます。厚生労働科学研究費平成26年度予算案481億円と書いてございます。実際に、先ほど新独法の対象経費となるものというのが476億円あると申し上げました。そのうち、厚生労働科学研究費については407億円であるということです。この476から407の差額というのは、いわゆる臨床研究中核病院の拠点の整備というようなお金ですとか、その他、研究費ではないものが一部あるということでございます。新独法の対象となる経費というこの407億円と、あと新独法の対象外となる経費ということで74億円というものを足し合わせたものが481億円ということです。

これは、実際どのような分け方をしたかというと、実際に医薬品ですとか医療機器、あるいは医療技術の実用化に資するというようなタイプのものについて、新独法の対象経費としてまとめたということで、一方、厚労省の中には医療分野の研究開発以外でも重要な分野はたくさんございまして、下に例示されているようなさまざまな研究がございます。そういったものは新独法の対象となる経費としては扱わず、引き続き厚労省の厚生労働科学研究費として残すという整理をしたということでございます。

 以上です。

○宮嵜厚生科学課長 ただいま医療分野の研究開発関連予算全体と厚労省の科学技術関係予算案につきまして御説明させていただきましたが、これにつきまして質問、あるいは御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。

○渡邉所長 先ほど説明いただいたインハウス予算が厚労省の部分だけが減っているように見えるんですけれども、これは何か理由があるんですか。

○中山研究企画官 実際に、厚労省という組織の中でいろいろな予算が全体としてはあるわけで、その中で必然的にといいますか、減らしていかなければいけない部分があって、実際はナショセン関係の予算というのが一定額削減されているというところがこの結果になっているというふうに思います。

○宮嵜厚生科学課長 追加で、ここの予算に施設整備関係も入っていますので、年度で26年度のほうが低くなったというような要素が入っていると御理解いただければと思います。

○堀田理事長 今のに関連してですが、インハウス研究費は運営費交付金の中の一部と研究開発費というふうになっていて、全体として運営費交付金が10%ずつ減になる中で、必然的にここが圧縮されるという状況で、一方では、例えば国立がん研究センターでいえば、ピーク時に比べると約半減に近いところまで来ているという状況です。ですから、今後は競争的資金をしっかりとりにいくという建前にしなければいけないというふうに思ってはいるところですが、今後の流れとして、これは26年度限りというふうな理解でよろしいのでしょうか。

○中山研究企画官 この流れと申しますと、どの。

○堀田理事長 研究開発費がだんだん減っていく状況ですね。今回は厚労だけがというふうに先ほども渡邉先生がおっしゃいましたけれども、たまたまいろいろな整備費の関係でこうなっているのかもしれませんけれども、今後ぜひ確保していただければという要望でございます。

○宮嵜厚生科学課長 今のところの点は、もしいろいろ御意見とかありましたら、また議題(2)のところで引き続き御意見をいただければと思いまして、報告事項が幾つかありますので、先に進めさせていただければと思います。

 続きまして、資料2-1から資料4までですけれども、今の国会に提出されている法案の関係について御説明させていただければと思います。

○中山研究企画官 それでは、御説明します。まず、資料2-1をごらんください。いわゆる健康・医療戦略に関係する法案としては、この健康・医療戦略推進法案というものと、資料2-3になると思いますが、独立行政法人日本医療研究開発機構法案という2つの法案からなっているということをまず冒頭に申し上げます。

 この2つの法案については2月12日閣議決定されておりまして、今後国会で審議されるということです。健康・医療戦略推進法案につきましては、法の目的としては、世界最高水準の医療の提供に資する研究開発等により、目的としては健康長寿社会の形成に資することを目的とするということになっています。

 この中身でございますが、まず、健康・医療戦略推進本部は昨年8月2日に既に内閣に内閣総理大臣を本部長として全閣僚ということで設置はされているんですけれども、それを正式にまず法律に位置づけるということです。

 その中で何をやるかと申しますと、いわゆる健康・医療戦略というものの案の作成及び実施の推進をするということ、さらに医療分野の研究開発推進計画、この健康・医療戦略のさらに研究部分の具体的な推進方向を定めたものと思っていただければいいと思いますが、その作成、さらに医療分野の研究開発の資源配分の方針を決める。さらに、新独法の理事長、監事の任命など中期目標の策定、そういったことを行うというのが推進本部の位置づけです。

 1で申し上げました健康・医療戦略、これについては閣議決定をするという位置づけになっておりますけれども、医療分野の研究開発の大きな方向性、さらには、それだけではなくて、例えば医療の海外展開とか、そういった健康・医療分野全般の方向性を示すものを策定する、閣議決定するということがその法律では位置づけられています。さらに、その健康・医療戦略に即して医療分野の研究開発の部分についての具体的な計画ということで、医療分野の研究開発推進計画というのを策定するということも法律に位置づけられるということです。これはこの推進本部の本部決定という位置づけにするということです。

 実は、これはこれまでもこの半年間余り、総合戦略というものをいろいろ有識者を交え検討してまいりましたが、その延長線上にこの推進計画が位置づけられるということになろうかと思います。

 この健康・医療戦略と推進計画の方向性を踏まえて、内閣及び内閣官房で各府省に対して予算要求の調整などがされて、右のほうに行きますが、各府省は予算を獲得し、その予算について独立行政法人日本医療研究開発機構に補助金として出すことによって、日本医療研究開発機構は研究課題の採択から進捗管理のようなことについての業務を行うということになろうかと思います。

2-2を見ていただくと、これは健康・医療戦略推進法案の中身ですので、今大体申し上げたとおりですので省略したいと思います。

3枚目、日本医療研究開発機構法案でございます。この新しい独法でどういった業務を行うかということがこの法律では書かれています。2というところを見ていただくとわかりますとおり、まず1としては、医療分野の研究開発及びその環境の整備と書いてありますけれども、いわゆるファンディング機能、医療分野の研究開発のファンディング機能を持つということ、さらに2の業務にかかる成果を普及し、その活用を促進するということで、例えば創薬支援のような業務についてはここの規定で位置づけられているということかと思います。さらに、3としては、医療分野の研究開発及びその環境の整備に対する助成ということで、1が研究について委託して行うということであるのに対して、3については体制整備などのための補助というものを行うということで、そういった規定も設けられているということです。その他附帯業務を行うということになっておりまして、法人の設立は来年の4月1日を予定するということになっております。

2-4をごらんいただきます。これは1度前回皆さんもごらんいただいたかと思いますが、重要なこともありますのでもう一度復習させていただきますが、今申し上げたような体制で、法律はまだですけれども、健康・医療戦略推進本部を中心として、実際の各省の3省の予算要求の調整、さらには昨年はまず3省を一体化させていくということでばたばたと進みましたので、なかなか手が及んでおりませんでしたけれども、来年度、ことしからはインハウス研究というものについての予算要求調整というのにもやはり手がさらに加わってくるということになろうかと思います。したがって、競争的資金としての約1,200億円プラス175億円があると申しましたが、そういったもので手当されている部分と、インハウス研究の位置づけということが調整され、予算要求が来年度はされる、ことしの8月にはそういったことになるということを御承知おきいただきたいと思います。

 次に、資料3、資料4の説明もいたします。資料3につきましては、「独立行政法人改革等に関する基本方針について」ということで、これは昨年1224日に閣議決定がされております。1枚めくっていただきますと、その内容のうち厚労省に関係する部分というものを抜粋しているものというふうにお考えいただければいいかと思います。

まず、厚労省に関係する部分についてざっと御説明いたしますが、国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所の2法人を統合し、研究開発型の法人とするということになっております。さらに、この統合については、今申し上げた独立行政法人の日本医療研究開発機構の設立に当たって、日本再興戦略において、スクラップアンドビルドの原則に基づき行うとされておりますので、この2つの法人を統合することによって、新しくつくる1の法人に充てるという位置づけにもなっていくということであります。

医薬基盤研究所がこれまで持っていたファンディング機能と創薬支援業務については、日本医療研究開発機構に移管するということです。

その他、希少疾病用医薬品等の開発振興事業は、基盤研が持っていた事業ですが、残した上でその充実・強化を図るということとか、健栄研の栄養表示の収去試験の実施については、登録検査機関による実施状況に応じて縮小するというような方針が示されているということです。

さらに、労働安全衛生総合研究所と労働者健康福祉機構についても統合して、これは中期目標管理型の法人とするとなっております。国が委託事業として実施している産業保健支援に関する事業や、化学物質の有害性調査については、統合法事の業務として集約するというような方針が出されております。

さらに、国立高度専門医療研究センターについては研究開発型の法人とするということで、さらに6法人間においては、共同して実施したほうが効果的・効率的な業務の共同化や人事交流をさらに推進するんだという方針が出ております。

さらに、その政策課題には柔軟に対応するということや、研究開発力の一層の向上を図る観点から、将来的には上記6法人の統合など、国立高度専門医療研究センター全体としての組織の在り方について検討を行うということが書かれているということでございます。

これが厚労省関連部分の抜粋ですけれども、その次のページに独立行政法人制度の改正ということで、全般のまとめが書いてあります。独立行政法人制度につきましては、今度3つの類型に分かれるということで、中期目標管理型の法人というものと、研究開発型の法人、さらに単年度管理型の法人という3つに大きく分けるということになっています。

その中の研究開発型の法人ということが関係してまいりますので、これは現行の研究開発法人ですけれども、名称といたしましては、国立研究開発法人○○○とするということ、さらに目標期間については最大7年間とするということになっています。さらに、その法人の長の任期についても、その目標設定、目標期間に対応した形の任期とするということが書かれているということであります。さらに、この真ん中から少し下のところにありますとおり、目標設定、業績評価に当たっては、主務大臣のもとに設置する研究開発に関する審議会が助言をするというようなことも書かれているということでございます。

次のページに行っていただきまして、国立研究開発法人の中でも特定国立研究開発法人というものもつくるという方針が出ております。これは何かと申し上げますと、研究開発型法人のうちの科学技術イノベーションの基盤となる世界トップレベルの成果を生み出すことが期待される法人については、仮称ですけれども、特定国立研究開発法人として位置づけて、総合科学技術会議や主務大臣の強い関与や業務運営上の特別な措置等を別途定めるということとされています。この法人については、極力少数に限定するというふうにされているところでもございます。

具体的な制度設計は、現在、内閣府等において独法通則法改正案における研究開発型法人に係る措置との関係も踏まえて、まだ検討が進められているというところかと思います。その後に、基本的な方針の全文が添付されているということでございます。

次に資料4ですが、独立行政法人医薬基盤研究所法の一部を改正する法律案の概要でございます。これも、今週の火曜日、25日だったと思いますが、2月25日に閣議決定がされております。今申し上げた独立行政法人改革に関する閣議決定ですとか、日本再興戦略に基づくスクラップアンドビルドのところに対応した形で、医薬基盤研究所と健栄研を統合する、医薬品及び健康・栄養に関する研究等を実施する独立行政法人とするということです。

両法人が統合することによって、ただ統合するだけではなくて、お互いのいい点を組み合わせて、相乗効果といいますか、シナジー効果といわれているものを出すことが期待されておりますので、そこについてはいろいろとまた議論をさせていただきたいと思っております。

新法人の名称でございますけれども、これは単純に名前をくっつけただけでございます。医薬基盤・健康・栄養研究所ということにしております。主たる事務所は大阪府でございます。実際、法律としては来年の4月1日の施行を予定していて、日本医療研究開発機構も同日に設立予定であるということでございます。

以上です。

○宮嵜厚生科学課長 今、法改革の関係について御説明させていただきましたけれども、何か御質問とか御意見があればよろしくお願いします。もしあれば、また後から戻ってでも御質問をいただければと思いますので、それでは議事を進めさせていただきます。

引き続きまして、資料5の関係でございます。研究不正への対応について、それから資料6の疫学研究及び臨床研究に関する倫理指針の改正につきまして、御説明させていただきます。

○中山研究企画官 それでは、説明します。資料5ですが、まず、研究不正の対応についてということでございます。課題としましては、御存じのとおり、研究費の不正な使用ですとか、そもそもの研究の不正行為、データの捏造、改ざんといったようなことがそれぞれ出てきているということで、いろいろと防止策というものはこれまでもやってきたんだけれども、やはり国としてやるべきことはさらにまた強化していかなければならないという状況がございます。

 先ほど冒頭に申し上げたとおり、医療分野の研究開発というのは政府全体として強化していこうという流れの中でございますので、やはりそういった流れをさらに維持し、発展させていくためにも、こういった不正事案というものについての改善方策というのは一方で求められているという状況かと思います。

 厚労省としての対応状況といたしましては、これも第1回の会議で触れさせていただいたと思いますが、その次のページにあるとおり、9月時点で研究費補助金の不正使用及び研究不正への対応ということで、方向性についてはまとめ上げているところでございます。この方向性に基づきまして、ガイドラインを作成すべく検討を進めておりまして、年度内には出すという形にはしたいという状況でございます。

 一方で、これは厚労省だけの問題ではなく、文部科学省も重大な問題として取り組んできております。文部科学省は、既に研究費の不正使用の部分についてのガイドラインというものを2月18日に改正しております。これは研究機関に既に周知されている状況かと思います。4月から実施されているということで、周知期間ということで今位置づけられているところかと思います。

 もう一方、研究活動の不正行為のガイドラインもここに添付されておりますが、まだこれは文部科学省の案でございますけれども、これについても今検討が進められていて、年度内にはまとめ上げられる予定と聞いておりますが、そういった方向で検討が進んでいるということです。

 2ページ目をごらんいただいて、厚労省の方向性です。これについては、文科省でもう既にガイドラインが研究費の不正のほうについてはまとめられたと申し上げましたが、それと方向性としては全く同じものと考えております。重要なところを見ますと、やはり不正事案に対する措置の強化ということで、そもそも不正を行った研究員に対して、研究費の返還なり、応募を制限するといったような措置はこれまでもやってきたわけですが、やはり研究員が所属する機関の管理というものをきちっとしていただくということで、機関に対しても改善の指導をさせていただき、それでも改善がされない場合については間接経費の一部削減というような措置も行いますというような方向で検討しているということであります。

 文部科学省のほうの既に出されたガイドラインでは、この部分の規定に関しましては、体制整備等の不備に対して、改善事項及びその履行期限の1年を示した管理条件を示すということになっています。管理条件の履行が認められなければ、間接経費を一定割合削減する。フォローアップ調査の結果で、その削減率は上限15%まで引き上げられるというような規定が文科省のガイドラインではもう既に掲げられているという状況であるということを申し添えたいと思います。

 さらに、研究機関の組織の管理責任の明確化というところも大事なポイントであります。これにつきましても、文科省のガイドラインでは、既に最高管理責任者から統括管理責任者、コンプライアンス推進責任者を置くというようなことまで具体的に明記がされているというような状況であります。

 さらに、国としての機関内部として、さらに国としてといいますか、研究費を出しているところとしてのモニタリング体制の強化ということも方向性としては打ち出しております。これについても、厚労省として具体的なガイドラインの中に盛り込んでいくということでございます。

 さらに、不正を事前に防止するための施策の充実ということで、倫理教育等の義務化といったこととか、あるいは研究上の不正行為、データの捏造などに対応するということもあって、研究データの一定期間の保存の義務化ということで、個人情報の保護に留意しつつ、研究データの一定期間の保存の義務化ということを求めるということを方向性として打ち出しているということでございます。

 以上が研究不正への対応ということです。

 さらに、資料6をごらんください。疫学研究の倫理指針と臨床研究の倫理指針というのが今2つある、それぞれあるという状況で、疫学研究の倫理指針については平成14年に文科省・厚労省で制定し、平成19年に全部改正されているという状況です。臨床研究に関する倫理指針は平成15年に厚労省が制定しております。平成20年に全部改正です。

この2つについては、ともに医学系の研究に関する倫理指針として、科学技術の進展ですとか社会経済情勢の変化等に応じた見直しが求められてきたということで、近年、両指針の適用対象というのが、研究が多様化しているということで、共通するものも多くなっているということで、今般、両指針を統合した倫理指針を定めるということにして検討が進んでおります。

 平成25年、去年の2月からは、文科省・厚労省の合同による委員会、合同会議を開催し、月1回のペースで見直しを進め、9月に中間とりまとめができています。その後、合同会議による検討が進められまして、平成26年2月26日、一昨日、第9回の疫学研究に関する倫理指針及び臨床研究に関する倫理指針の見直しに係る合同会議において、ここに別添されておりますとおりですが、人を対象とした医学系研究(仮称)に関する倫理指針ということで、その草案が示されているという状況です。

 合同会議では、指針の適用範囲ですとか、用語の定義、さらにインフォームド・コンセントやインフォームド・アセントという概念も入れ込むということですとか、あるいは倫理審査委員の審査の質を担保する仕組みですとか、あるいは個人情報の取り扱い、あるいは研究成果の信頼性確保、利益相反とか研究にかかる資料等の保存に関する規定などについて、いろいろと議論がされているという状況です。

 今後の予定としましては、3月に第10回の会議が開催される予定となっているという状況でございます。

 以上です。

○宮嵜厚生科学課長 今の2点の御説明につきまして、御質問とかはございますでしょうか。

○川西所長 細かいことになるんですけれども、研究不正に関して関連で、各研究機関における一定期間の研究データの保存、公開の義務づけという議論が書かれているんですけれども、我々もこのあたりを少し整備しようと考えているんですけれども、今の状態というのはもう全てすべからく研究データに関しては、研究費に関係するデータに関しての保存期間というのは議論されているんですけれども、一般的に研究者としての研究データの保存というか、不正に対する備えというか、そういう意味では無制限みたいな議論もあったり、そのあたりどのぐらいの議論がされているかというのは何かございますか。この一定期間というのは。

○事務局 厚生科学課です。この文科省の研究所の不正行為についてのガイドラインのほうですが、データの保存期間については具体的な年数というのは今のところ示されていないのです。これは研究の内容というのが、特に臨床研究だけでなくて、基礎研究も含めて多種多様な研究があるということで、それぞれの性質に応じて考える必要があるだろう、そういう議論があるようですので、今後ある程度目安が示されるかどうかというのはわからないのですけれども、現時点での具体的な期間というのは示されておりません。

○川西所長 ありがとうございます。

○宮嵜厚生科学課長 ほかにはございますでしょうか。

それでは、引き続きまして、次の御説明に移らせていただきたいと思います。次は、資料7の「総合科学技術会議の動向について」と、合わせて資料8の「G8認知症サミットの結果」について、事務局から説明させていただきます。

○中山研究企画官 説明します。「総合科学技術会議の動向について」です。これは1枚めくっていただきますと、総合科学技術会議の司令塔機能の強化ということで、昨年の6月ですけれども、科学技術イノベーション総合戦略、日本再興戦略がまとまっているということです。この中で、科学技術イノベーションについての方向性、総合科学技術会議の司令塔機能の強化というようなことが位置づけられているという状況かと思います。

 そこに基づきまして、大きく3本の柱がございます。全体としては、政府全体の科学技術関係予算の戦略的策定ということで、進化した形の科学技術重要施策アクションプランなどによって、各府省の概算要求の検討段階から総合科学技術会議が主導するということがあります。

 さらに、戦略的イノベーション創造プログラムとして、SIP(アスアイピー)ということで、総合科学技術会議が府省・分野の枠を超えてみずから予算配分すると。基礎研究から出口までを見据えて、規制・制度改革を含めた取り組みを推進するということとなっております。

 さらに、もう一つの柱として、革新的研究開発推進プログラム、ImPACT(インパクト)というものが設けられています。ImPACTにつきましては、平成13年度に終了予定の最先端研究開発支援プログラム、FIRSTというものがございましたけれども、これの後継となるものということでございます。米国国防高等研究計画局のDARPAという組織がございますけれども、このDARPAモデルを参考にして、ハイリスク・ハイインパクトな研究開発を推進するということで、プロジェクトマネジャーに大きな権限を与えて、予算配分やプロジェクトチームの編成等を一任するというようなことでございます。そういった事業として550億円がついているという状況かと思います。それについては、後ほど触れさせていただきたいと思います。

 こういった形ではございますけれども、冒頭申し上げたとおり、医療分野の研究開発に関しましては、科学技術イノベーション総合戦略やアクションプランといったところにも言及はされるのですけれども、実質的な中身としては、科学技術イノベーション総合戦略に対応するものが医療分野に関しては健康・医療戦略になると思われますし、科学技術のアクションプランについては、健康・医療戦略推進本部の策定する総合戦略、さらには法律上位置づけられますと、医療分野の研究開発推進計画というものになると冒頭申し上げましたが、そういったものに対応して、具体的に医療分野に関しては、科学技術イノベーション総合戦略とは別に、健康・医療戦略とか推進計画といったところで位置づけられるということになろうかと思います。

 さらに、SIPに関しても、500億円と申し上げましたが、これも既に説明させていただいたとおり、その35%については医療分野の研究開発として175億円はそちらで調整するという形になっていますので、実質的にはここ医療分野に関しては、先ほど冒頭申し上げたところで進んでいくということかと思います。

ImPACTに関しては、課題を大きく設定して、その中でたまたまそういった医療分野に関連するようなものが出てくれば、入ってくる可能性はあるということかと思います。

 その次のページでございますけれども、これは繰り返しになりますが、調整費としては500億円のうちの35%が健康・医療分野であるということが書かれています。

SIPにつきましては、この事業については対象課題やPD、プログラムディレクターを選定して、その指揮のもと研究全体を俯瞰して進めていくという方針が打ち出されておりますけれども、これについても、今後、医療分野の研究開発のほうでも同様の考え方に基づいて進められていく方向性であるということは申し上げておきたいと思います。

 めくっていただきます。別添3、革新的研究開発推進プログラムの実施についてということで、その次のページをめくっていただくと、ImPACTの制度の目的・特徴ということで、実現すれば社会に変革をもたらす非連続イノベーションを生み出す新たな仕組みということでございます。ハイリスク・ハイインパクトなチャレンジを促して、起業風土を醸成する。優れたアイデアを持つプログラム・マネージャーを選んで、これはPMと呼んでいますけれども、大胆な権限を付与して、優秀な研究者とともにイノベーションを創出するということになっています。

ImPACTのテーマ自体は、大きな分類として決まっていて1から5です。健康・医療に関係するような部分とすれば、恐らく4というところに該当するものがあり得るということかと思いますけれども、少子高齢化社会における世界で最も快適な生活環境の提供というようなことを実現するような、非常に社会に変革を及ぼすようなものにつながる研究を進めていくということであります。

 次のページをめくっていただきますと、PMの選定ということで、プログラム・マネージャーの資質・実績として、マネジメントの経験など、あと研究開発の動向の把握とか、いろいろな条件が書かれています。さらに、2PMの提案する研究開発プログラムの構想としては、今申し上げたとおりの産業や社会の在り方に変革を及ぼす、ハイリスク・ハイインパクトであるというような視点で提案を評価するということになっているわけです。PMのプログラム提案に対して、CSTPで評価を行い、選定し、実施するという予定であるということで、平成25年度で550億円ということでございます。

 予定としては、この一番最後の紙でございますけれども、今後のスケジュールということで、既にImPACTについては平成25年度の補正予算で成立しておりまして、今JSTに基金を置くということで、その法改正が進められようとしているということであります。実際のPMの公募など、選考などについては、今年度中から来年度冒頭にかけて行われる予定で、その後研究が開始されていくという予定が立てられております。これが資料7です。

 さらに最後、資料8ですけれども、G8認知症サミットというのがございましたので、それについても情報提供をさせていただきます。昨年の1211日ですけれども、ロンドンでG8認知症サミットというのが初めて開催されたということでございます。我が国からも土屋副大臣が出席され、イギリスの呼びかけであったということで、イギリスは首相、保健大臣ほか、各国政府の代表の方、あるいは欧州委員会、WHOOECDの代表などが参加されたということです。

 この会議において、宣言と共同声明というものがまとめられているということでございまして、その宣言にはどのような内容が記されているかというのが真ん中でございます。認知症に関する研究資金を共同で大幅にふやしていこうという目標を掲げたということでありまして、さらに認知症関連の調査研究に従事する人々の数もふやしていこうではないかということ。さらに、国際的な専門知識を結集することでイノベーションを促進し、また認知症イノベーションを世界規模で支える民間・慈善基金を立ち上げる可能性を模索することを含むために、認知症イノベーション特使というのを任命することとしております。

 さらに、ビックデータ構想の共有を含む連携と協力が可能な戦略的優先領域を同定するというようなこと、さらに、認知症研究に対するオープンアクセスを奨励するといったようなことが宣言の中では盛り込まれているということです。

 今後の予定としては、このサミットの後継のイベントというのが幾つかもう既に予定されていて、イギリスが主導となって社会的影響への投資という観点でのイベントがことし企画されるということと、さらに学術界と産業界のパートナーシップというのがカナダとフランスの共同主導で企画されるということも予定されているということです。さらに、我が国も、新しい介護と予防モデルということをテーマとしたイベントを本年開催する予定であるということでございます。

 以上です。

○宮嵜厚生科学課長 今の2点の御説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。

○柳澤副所長 ImPACTに対してお聞きします。これは今年度で終了のFIRSTの後継プログラムだと思うんですけれども、先ほど御紹介のあった、現在想定されているテーマを拝見すると5つあって、その中の4番目が医療と関係あるのではないかということなんですが、その何枚か後の少し具体的な紹介を読むと、例えば子供とか高齢者の移動の問題とか、これが果して医療かどうかということで、FIRSTに比べると、大幅に医療関係のテーマというか、削減されていると思うんですけれども、その背景というのは一体何なんでしょうか。

○中山研究企画官 背景は知りません。ただ、これについてはテーマをいわゆる革新的な社会変革を及ぼすようなものを提案して、それを評価するということのようなので、具体的なテーマを絞らずに、広く、だから4番目と申し上げましたが、それでなくても、医療で関係する分野がもしあればかかわってくる可能性はあると思います。ですから、提案次第によってはその中に含まれ得るという状況だということでありまして、何かテーマをそういう意味で絞ったということではないと思います。

○宮嵜厚生科学課長 ほかにはございますでしょうか。

○松谷院長 G8の認知症サミットがイギリス主導で行われた背景というのは、もしわかれば教えてください。

○中山研究企画官 済みません。存じ上げません。申しわけないです。

○三浦技術総括審議官 私もこのG8の認知症サミットの関係の情報というのは多少承知していまして、かねてからイギリスがこの分野について大変熱意を持って当たっているということで、たしかキャメロン首相だったと思いますが、あるいは日本でいう厚生労働大臣に相当するような方が日本に来られたときに、この分野の研究をぜひ進めていきたい、あるいは取り組みを進めていきたいと、日本の協力も求めたいということで、たしか動きがあって、それが今回のG8のこういうような取り組みにつながっているというふうに思います。

 今回、これをごらんいただいているのは、もちろん国内での研究というのも重要ではあるわけですが、あわせて国際分野での動向というものについて、私どももアンテナを高くして、こういうような動きがあるということを早めに察知して、我が国としてどういうふうに取り組むのか、こういうことも重要だと思いますので、ぜひ私ども厚生科学課、あるいは研究開発担当部局だけではなくて、ぜひ研究所のほうでも、それぞれの得意分野の中で、国際的な動向、特に研究開発の中で我が国が参画できる分野だとか、あるいは期待されている領域というものがあればぜひ教えていただいて、今後の研究開発の一つの柱として、国際分野での取り組みというものを一つの研究推進の柱にしていくということが重要なのではないかというふうに思いまして、今回G8の取り組みについての御紹介を差し上げたと。

 したがって、認知症の取り組みが重要だということのみならず、こういう国際分野での動向というものを踏まえて、私どもの研究開発の方針というのも決めていく必要があるのではないかということが趣旨でございます。

○渡邉所長 イギリスはこういうことに関して非常に積極的に行っているんだと思うんですね。前回のサミットのときには、薬剤耐性の問題を掲げたと思います。それに対しては、科学G8サミットのほうもそれに同調した形で宣言を出したと思うんですね。

イギリスはそれに関して、日本において、先生も出席した英国大使館でシンポジウムを開くということと、あと、多分イギリスがアナウンスしていたと思うんですけれども、WHO等でもこのアンティバイオティクスのコミッティーというか、タグミを新しくつくって、そこで新しい方針を出しているということをやってきているわけですけれども、日本の姿が余りよく見えないんですけれども、それに対して日本はどういうふうなスタンスで今後当たっていこうというのが、政府の方針として何かあるのかどうか、その辺をお聞きしたいんですけれども。

○三浦技術総括審議官 私がまとめてお答えすると、国内の問題ということにどうしても直面していますので、研究開発の方針というのがとられるというのはこれは当然のことだと思いますが、国際分野での発展というものが、これは単に国際協力それ自体が重要だということのみならず、それがとりもなおさず最終的には国内にも影響を与える。先ほどの耐性菌の問題についても、これはイギリスの先進的な取り組みを見て、我が国としてどうしていくのか、それの中で研究開発の位置づけはどうするのかというのが出てきているんだろうと思います。

 そういう意味で、国際的な要請に基づく研究開発ということを今後の我が国のこの分野での研究開発にどういう形で位置づけるかというのは極めて重要な課題だと思っていまして、そういう意味で、従来からつながっている厚生科学研究費の枠組みに加えて、そういう分野についても強化していく必要があるのではないかということを、今後の予算要求だとか、いろいろな局面で、私どもも説明していくことが必要とされているというふうに思っております。

○渡邉所長 ぜひよろしくお願いいたします。

○西村所長 質問ではなくて、今の審議官のお話に補足なんですが、最初耳慣れない話をしますが、エイジング・イン・プレイスという割と有名な言葉で、日本では地域包括ケアと申しておりまして、私どもはそういう研究をやっております。その中の一環で、ダートマス市と富士宮市がまさに地域コミュニティーで認知症対応をどうやるかという話を進めております。そういう意味で、ここに載っているイギリス主導は、社会的影響への投資、そして日本主導、新しいケアと予防のモデルというのは大変すっと入るんですが、せんだって今、渡邉所長とおっしゃったこととの関係で、英国大使館で認知症の方を薬で対応するのがいいか、コミュニティーで対応するのがいいか、もちろん結論は両方の組み合わせでございますが、そういうシンポジウムが開かれまして、イギリスから研究者が参りました。そういう中で、私どももそういう意味で、従来認知症はちょっと頭になかったんですが、今度地域包括ケアの中で、町の中で認知症の方を、御承知のようにオレンジプランというのがございまして、サポーター制度とのドッキングというものを一方で考えながら、可能であれば、お薬の、これは慶應の佐渡先生が主導して、今、認知症の方の地域ごとの推計をやっていただいているということもございますので、そういう方向で、もしできたらこういう研究機関で、長寿科学、それぞれみんな関係しておりますので、できましたら連携をとる方向が進むといいかなというふうに思っております。ちょっと質問ではなくて恐縮ですが。

○宮嵜厚生科学課長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問等はございますでしょうか。そうしましたら、今の2つに限らず、議題の(1)で長々といろいろ御報告させていただきましたが、全体を通して改めて御質問とか御意見があれば、まとめてというか、ここの時間でいただければと思います。

 先ほど川西先生から御質問があった資料5の研究不正の関係で、一定期間データの保存の義務化というところがありまして、この資料5のほうで文科省のガイドラインも含めて御説明させていただいたのですけれども、もう一つ、今まだ検討中ですけれども、資料6のほうで疫学研究及び臨床研究に関する倫理指針の改正について、これはまだ議論中でございますが、これの一番最後、36ページから37ページですが、36ページの真ん中ぐらいの第19で、「研究に係る試料及び情報等の保存」という項目も検討の対象になっております。

(1)の「情報を正確に作成しなければならない」から始まって、(2)「で保存する場合の研究計画書にその方法を記載すること」とか、(4)で「保存・管理に関する手順書を作成する」とか、ページが変わりまして、37ページの上ですけれども、(5)で「廃棄する場合は匿名化しなければいけない」というような流れの中で、期間については(6)(7)のところにありますが、(6)のほうで、「研究機関の長は、医薬品又は医療機器の有効性又は安全性に関する研究を実施する場合には、当該研究に係る情報等について、少なくとも当該研究の終了後5年を経過した日又は当該研究の結果の公表後3年を経過した日のいずれか遅い日まで、適切に保存しなければならない」というような方向でどうかというような議論がされている。あるいは、その下は、研究機関以外の試料・情報提供施設のあれですけれども、「提供後5年を経過した日まで適切に保存しなければならない」というような方向で今検討が進んでいるということを補足で御説明させていただきました。

 ほかには、議題(1)の関係ではございますでしょうか。特にございませんようでしたら、次の議事の(2)「今後の研究のあり方について」に移らせていただきます。「今後の研究のあり方について」のうち、今回は議事次第にもございますが、「インハウス研究と競争的資金について」と、「研究者の人材育成等について」について、本日お集まりの皆様方と意見交換させていただければと思っております。

 残り時間が約1時間弱ですので、半分半分ぐらいのイメージで考えておりますが、まず最初のほうのテーマは、「インハウス研究と競争的資金について」でございます。これは、三浦技総審の挨拶や、先ほどの資料1-11-2の関係で中山企画官から説明させていただいたところとも絡みますけれども、26年度の予算要求におきまして、競争的資金とインハウス研究を含む医療分野の研究開発予算が、内閣に置かれました健康・医療戦略推進本部による総合調整の対象とされたということを受けまして、27年度以降の予算要求においても同様に調整の対象とされるものというふうに考えられますので、今後、重複をいかに除いていくかというような観点から、各研究機関のインハウス研究と競争的資金で獲得すべき研究費についての考え方というのは、ある程度整理するというか、議論を深めておいたほうがいいのではないかということで取り上げさせていただいております。

 このテーマにつきまして、まず最初に、国立感染症研究所のほうから資料も御提供いただいておりますので、御発言をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○渡邉所長 まず、感染研がどういう考え方でこの内部予算と外部予算の仕分けをしているのかということからお話しさせていただきます。

国立感染症研究所は、どちらかというとミッションが非常に明確で、感染症に対する対策等に資する科学的エビデンスを厚労省に提供して、そして行政施策にそれを反映していただくというのがミッションでありますので、そのミッションに基づく研究というか、行政からの要請や行政への貢献が明確であり、感染研として継続的・持続的に長期にわたり行政政策に資する業務を実施するために必要な経費というふうに位置づけまして、それを今のところ3つに分けております。

 1つは基盤的研究費ということで、感染研の先ほどのミッションに合うような機能を維持するための基盤的な研究を行うもので、それが非競争的研究費になるものということと、Bとしては、これよりもまずアドホックな問題点等が上がってきた場合に、そこに非競争的研究費を用いて対応しなければいけないようなもので、Cとして、これは感染研が持っている業務の一つで、ワクチン等の生物製剤の国家検定がありますので、それに必要な経費というのが内部予算という形で、インハウス経費というふうに我々は名づけております。

 外部経費は、これは競争的研究費ということで、国等が推進しようとする研究課題に対して、その分野に精通する研究者が交付申請を行い、組織としてではなく当該者が交付を受けて、その申請に基づき限定された期間の中で研究を実施する経費という位置づけで、具体的にはどういうものがあるかというのは次のページで、これもインハウス予算の中で感染症の情報を収集する、それは感染症法という法律に基づいて、約107の疾患がその法律に挙げられておりますので、それの動向調査を行うということで、各医療従事者等から上げられた情報が厚労省及び感染研に集約するシステムになっておりますので、それを収集・解析して、それを還元するという機能が基盤的なものであります。

 そのほかに、院内感染等に対しての薬剤耐性菌の動向等が、これはカルテの中の耐性菌の検査情報が個人情報を抜きにした形で引っ張り出せて、それが厚労省に集まるシステムになっております。それを感染研で解析して、その情報を還元し、院内感染対策等に生かしていただく。これはJANIS事業というふうに名づけたものがあります。

 それと、感染症に基づいて集める情報というのは、特に病原体の情報というのは地方衛生研究所との連携において集めておりますので、地方衛生研究所の技術の向上及びの維持に図るため講習会とか、またマニュアルの作成、これもやはり基盤的なものであります。

 そのほかに、WHO等々が感染症対策に対して非常に国際的な主導権を持って当たっておりますので、それに対して国際貢献するという意味で、WHOのいろいろな機関に感染研としての科学的アドバイスを行うということを行っております。

 最後に、品質管理ということで、国家検定に必要なための標準品の作製等、そういうものがインハウス予算でカバーすべきものというふうに考えております。

 今言った内容のものをもう少し実験的にサポートするために研究事業費というものが、これもインハウス予算として設けられております。

 次のページのところは、こちらは競争的研究費としてどういうものがあるかということで、境界領域のものはどっちにというのはなかなか分けづらいのですけれども、先ほど言った基盤的研究の中でも、少し研究志向が強いものはこちらのほうで厚生科学研究費等にアプライする。もう一つは、先ほどのNIH構想にありますような実用化を目指すような研究、特に感染症のメカニズム等を解明し、それからそれをワクチンまたは新薬の開発等に応用させるもの、あるいはアジュバント等のそういう賦活化物質の探求とか、そういう応用的な色彩が強いものは競争的研究費で行うというような位置づけで一応分けております。

 先ほど言いましたように、ミッションを果たすためには、やはり十分なるインハウス予算がないとなかなかミッションは果たせないと。先ほど、インハウス予算が厚労省は減っているということでしたので、これはぜひふやしていただいて、そして各機関が持っている厚労省をサポートするためのミッションが十分にこなせるような予算体制にしていただければというふうに思います。よろしくお願いします。

○宮嵜厚生科学課長 どうもありがとうございました。それでは、ここからは特にどなたというわけではございませんが、御発言がある方がありましたら、よろしくお願いを申し上げます。どうぞ。

○堀田理事長 国立がん研究センターの堀田でございますが、今、渡邉先生のほうからインハウス研究と競争的資金の仕分けといったところを説明していただいて、まさにそのことが今問題だと思うんですね。

 私どものところも、昨年1年間かけて、インハウス研究費の目的をどうするんだということを議論いたしまして、新しい方向性として運営方針というものをつくりました。もう一つ、それを実行するための組織を改編するということで、外部の委員を含めた運営委員会できちんと評価して、またその運営がうまくいっているかどうかを外部から評価していただくための諮問委員会、そして研究成果を評価するための評価委員会というのをそれぞれ独立させて動かすということで、透明性のある使い方、そのコンセプトはやはり競争的資金にはなじまない政策的・基盤的研究ということに徹底的に絞り込んで、少しでも競争的に取れるものなら外に取りにいくということでないと説明できないだろうということで取りかかったところであります。

ちょうど今、最終的に来年度に向けての課題設定と、それの絞り込みをやっているところですけれども、基本的にはどんなことがあるかというと、分子疫学コホートみたいな、長期的に持続しなければいけないコホート研究ですね。それから、がん登録にまつわるような持続的な、やはり基盤的なものを支えるための研究、あとは標準的治療をつくるための全国的な多施設共同研究の基盤を支える、あるいはいろいろな研究者が共同で利用できるような研究の基盤のコアファシリティといいますか、そういったものにやはり限定していかないと、個別研究をこの中でやっていると、どうしても外から見たときに二重どりではないかと言われるということはきっとあるということで、今大きく方向転換をしているところなんですが、これが中の研究者にとっては自由がないというか、今までとは違うという意識づけをどうするかというのがとても大きな問題だというふうに認識しております。

 以上です。

○宮嵜厚生科学課長 ありがとうございました。

○橋本理事長 基本的には今の2人の御意見と同じなんですが、我々独法化してから、研究開発費というものに対して一つ認識が甘かったというか、曖昧であった部分がたくさんあったと思います。これが今回の一元的な予算配分というシステム、スキームの中で、我々がどうそれをとらえるかということがとても大事だろうと思います。

 一元的な予算配分というのは、このスキームが例えば厚労科研費の4分の3はこの一元化の中に入り、4分の1が対象外であると。そして、インハウス研究もこの一元的なところに入るというのが大変大きな問題だろうと思います。この一元的予算とは別に調整費がある。

こういう構図の中で我々が考えなければいけないのは、例えば一元的な4分の3、この中では個別の研究費のファンディングというのはもちろんありますけれども、それ以外に研究開発にかかわる基盤整備というのもここに文言に入っています。また、その4分の1、一元配分の対象外というところは、厚労省としての調査研究、政策的な対応という文言になっていますので、ここで我々の場合では厚労科研になりますが、この厚労科研とインハウス研究の重複を、さっき堀田先生がおっしゃったように、どうとらえるか、どう分けるかということになってくると思いますし、もう一つは、この4分の1の対象外のところで、ここには厚労省としての調査研究、政策的な対応というのが入っていますので、インハウスと重なる部分が多分出てくるだろうと思います。ですから、インハウスで何をやるかということと、どう説明するかということについては、かなり慎重でなければいけないと思います。

 そういう中で、研究開発独法、我々の場合はナショセンですけれども、そこのやるべきこと、またそこでこういうインハウス研究で何をやらなければいけないかということを一般論として言えば、競争的資金になじまないものということでありますけれども、ナショナルセンターというのは、我々の場合には循環器という病気ですが、これの課題で必要な分野を恒常的に網羅している。これは大学の例えば循環器内科というところは、こういう言い方は失礼かもしれませんけれども、得意分野を重点的にやる。ところが、それぞれのナショナルセンターは、そこに抜けがあってはいけないということで網羅的にやっているということがあります。それをどう補強していくかというのは、競争的資金になじまない部分があると思います。

 もう一つは、ナショナルセンターのアドバンテージとして、全国横断的にネットワーク化できる。これを最大限に利用するということが、またそれを使ったいろいろな情報収集や、あるいはデータバンク等を含めてネットワーク化できる、それを一番やりやすいところで、あるいはやる責任があるというところだというふうに思います。

 こういう点がありますし、もう一つは大学と違って、長期に継続的に研究ができる。人がかわっても研究は継続している。そういうことを使わないとできない研究というのが、我々研究開発法人がインハウス研究でやるべき研究テーマであろうと思います。

 ただ、こういう中で、現在、疾病ごとの重点化ということでは、がん、精神、神経、感染症、難病、希少疾患、こういうプロジェクトがありますけれども、うちの循環器がないという、こういう言い方は事が矮小化してしまいますけれども、例えば循環器疾患というのは患者数にしても医療費にしても、あるいは高齢化社会の今後においても、極めて重要な部分でありますけれども、その重点化というところからはとりあえず外れてしまっている。こういうことが、この循環器の中でまたいろいろなことが、本当は重要なんだけれども、トップダウンのものからは外れてくるということがあり得ますので、これはインハウスでしっかり補強していかなければいけない部分だと思います。

 そういうことを考えると、インハウス研究というのは、一つ我々も少し中途半端だと思うのは、競争的資金で取れなかった分を研究開発費である程度補てんするという気持ちがなかったわけではないというふうに思います。ですから、そこはしっかり切り分ける必要があると思いますし、競争的資金と明確な差別化をするという点においては、先ほど堀田先生がおっしゃった、がんセンターと同じようなシステムを我々もつくって、インハウス研究については、評価委員会、これは外部の有識者、そして厚労省に入っていただいて、全体の中でのインハウス研究の立ち位置を含めて、外部識者と本省に入っていただいて、スタンスをその都度チェックしていくということと、もう一つは外部諮問委員会というものをつくって、外部から見てこの在り方についていいかどうかということを御意見をいただくという形をして、軌道修正をしていくということをしていきたいと思っています。

 いずれにしても、研究開発独法にとって、インハウス研究費というのは存在そのものに近い部分があると思いますので、ぜひこの点についてはまた御尽力いただけたらと思います。

 以上です。

○宮嵜厚生科学課長 ありがとうございます。

○古野理事長 私は、国の研究機関がやるべき研究というのは、やはり国の政策に見合う研究でないといけないと思っております。そうしたら、典型的な例を2つお挙げしますけれども、5年とか二、三年で成果を出せと言われても、これは絶対出るはずはないと思うんですね。1965年代に国立がんセンターの疫学部の26万人のコホートを平山雄先生がつくられて、1980年代になって間接喫煙の影響が出て、現在の喫煙への取り組みが進展してきたわけですね。

 今の同じく堀田先生のところの多目的コホートですね、津金先生らがやっている、あれも1990年の初めにつくられて、2010年、数年前ぐらいから世界的に注目されるような、日本人に特化した特有な食品とか栄養素に関する知見がようやく出てきているわけですね。

 だから、特にコホートの場合、運営、維持に継続的な予算が必要なわけで、これを競争的な資金で賄えというのはちょっときついですね。そのコホートの一定の大きなプロジェクトの中で副次的な特別な部分について、若い研究者が競争的資金を申請していくというのが研究者を育成するという観点でも非常に重要視されるのではないかと考えております。

 以上です。

○宮嵜厚生科学課長 ありがとうございます。

○西村所長 皆さんの研究所と比べると、けたが2けたぐらい違う研究所の長が口幅ったいことを申して恐縮ですが、今、インハウスの研究のお話を伺っておりまして、率直に申して、ちょっと問題発言ですが、議員さん方といろいろお話をさせていただいておりますと、やはり大学だけではなくて研究所もかなり深い研究をしておられるという認識がありますが、今、橋本理事長がおっしゃったように、幅広いことをやることに対する理解というのはなかなか説明が難しいような気がしております。つまり、自分たちが全くわからない大変難しい研究をしている、それは大体御想像いただいて、それはすごいというふうにおっしゃる。しかし、幅広くいろいろな素人にもわかるまでいろいろやるということに関して、なかなか説明が難しい。

そういう意味で、今、外部評価をやっていただくというのは大変大事なポイントで、私どもそういう熱心にそういうことを始めておりますが、できたらこういう機関を通して、広さをもうちょっと広げていく。つまり、周辺分野の方に理解いただくだけではなくて、例えば治験って何という、全然おわりになっていない方に対しても説明するような形のリエゾンができることがいいかなというふうに思っておりまして、こういう機会に何かそういうものができないかと。

 どうしてこういうことを申し上げるかというと、ちょっと個別の話で恐縮ですが、私どもはいろいろな社会保障に関する研究は競争的研究で結構やっておりますが、人口に関する研究はほとんどインハウスの研究でございます。ところが、もう御承知と思いますが、今、もちろん超高齢化の話だけではなくて、人口減少、あるいは少子化、そういった問題はみんな今お見えの研究所と密接に関係する分野で、例えば健康寿命についての研究とか、そういうことをずっとつながりを持ってやらせていただきたく、一部やっているのですが、例えば健康寿命とは何でしょうというのがみんな研究組織が一緒になって一般の方にもうちょっとうまく説明するとか、そういうやり方もこれから考えていくべきではないかというふうに思います。

 ちょっとお願いでございますが、人口というのは、私どもとしてはこういった保健医療の分野だけではなくて、あらゆる分野の基盤的な研究になっているというふうに理解しておりまして、最後は自分の利害を申すことになりますが、先ほど実は長寿科学研の先生がおっしゃった、大都市に高齢者がすごい集中するという事態が今着々進んでおります。さっき申した地域包括ケアというのは、医療、介護、それだけではなくて、都市づくり、コンパクトシティとか、そういうものも含めた試みでございますので、そういう意味で交通手段との連携とか、そういうことも今私どもの研究分野で、超高齢化が進む中でこれをどうするかということをやっております。

 最後は自分のところのお願いでございますが、何とか一般の方に御理解いただくという方法を工夫することによって、インハウスの予算を守っていただきたいというふうに思います。最後、済みません、よろしくお願いします。

○宮嵜厚生科学課長 どうもありがとうございます。ほかには。

○川西所長 私どもの国立医薬品食品衛生研究所は、多分がんセンターとか循環器病研究センターとまたちょっと事情が違うかもしれない。それで、恐らく感染研と似通った部分がございまして、我々レギュラトリーサイエンスという言葉を象徴させる言葉として申し上げておりますように、各いろいろな仕事、医薬品、食品、食品添加物、化学物質、それぞれ今の科学技術政策、特に安全にかかわるところに非常に深くかかわっているところがございます。

 それで、長年、私は35年今の研究所におりましたけれども、いろいろな時代時代があったのですけれども、ここのところのいわゆるインハウスの減少というのは、もう所の基盤を切り崩す、そういう安全を守るということを継続的に我々が機能させる上でもう限界に達するような切り下げ方というか、カットのされ方を今しています。

 従来、そういう部分、意外と競争的研究費でとってくれと言われて、例えば我々が行政の国際会議に要るような旅費もそういうところでとったりということが意外と日本の中でやられていたのですけれども、今やっている議論というのは私は非常にまともな議論だと思うんですが、従来そういうことで補っていた部分が補えなくなっているような状況の中で、研究所の本当に国民の安全確保にかかわるような部門までが機能停止、それから機能を削っていかなければならないような状況になりつつある。

そういう意味で、ちょっと開発志向型の研究所とは事情が違うかと思いますけれども、感染研と同様に、ここのきょうまとめていただいた感染研のこの資料は非常にわかりやすいかと思いますので、こういう方向での切り分けを極めて明確にしていって、インハウス研究費がこれ以上削られると、こういう感染研とか我々のようなレギュレーションに極めてかかわる国研のインハウス予算をそれ以上削ると、これは大変なことになるということはくれぐれも主張していっていただきたいし、我々も言うようにいたしますので、その点はくれぐれもよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。

○宮嵜厚生科学課長 ありがとうございました。

○糸山院長 精神・神経センターの糸山といいますけれども、我々のミッションが神経難病とか精神疾患、筋肉疾患、発達障害、これをやりますけれども、いろいろな分野がありますけれども、先ほどの橋本先生の言われたことプラス、少しつけ足したいのは、神経難病に関して、これはナショナルセンターとして、やはり非常に少ない、例えばウルトラレア?といわれる日本に何十人とか何百人とか、こういう疾患が何千疾患とあるという、特にその中においては3割ぐらいは神経疾患といわれている、こういうことを我々はやっていかないといけない。これはやはり使命であろうと思うんですけれども、こういうものをインハウス予算でないとなかなか出ないということ。

 もう一つは、そういう研究を継続プラス、これを創薬に結びつけるような、例えば製薬産業が振り向いてくれるような形へ研究を持っていくという、これはやはりインハウス研究でないと、これもやはり伸びないというところがありますので、ぜひそういう面も考えていただいて、インハウス研究の予算の充実をお願いしたいと思います。

○宮嵜厚生科学課長 ありがとうございます。ほかには御意見とかはございますでしょうか。

○古野理事長 認知症というのが、厚労省が大きく取り組みたい領域ということであれば、例えば文科省と厚労省が支援しているゲノムの実現化プロジェクト、資料1-1にゲノムコホートが幾つかありますね。バイオバンクとか、NCBMとか、東北メガバンクとか。こういうのでは、認知症の研究というのは加味されてコホートが進展しているのでしょうか。そうでなければ、認知省の研究ができるようなコホートというのは、国立の機関、あるいは独立法人にしても関係する方々が非常に多いので、国の大きな研究の柱として認知症により特化したコホート、あるいは介入研究というようなものを10年の単位で考えるのも重要かというふうに、きょう話を聞いて思いました。

○宮嵜厚生科学課長 ありがとうございます。大変重要な分野だと思いますけれども、何かありますか。

○前田理事長 ありがとうございます。まさにそうだと思うんですね。ただ、認知症というのは非常にヘテロな疾患群、症候群でありまして、ゲノムコホートという研究そのものは必ずしも活発ではありません。ただ、長期的な展望で、視野で、コホート研究をしっかりやっていく、それもかなりの患者さんを対象とした研究はどうしても必要で、これは一大学が競争的な研究費をとってやれることではありませんので、やはりインハウス研究費をしっかり確保していただきたいと思います。

○中山研究企画官 認知症に関しましては、連携施策の中で言うところの資料1-1の8ページに、脳とこころの健康大国実現プロジェクトというのがありまして、ここで認知症の視点も当てた研究を進めるというところがあります。この中で、例えば長寿さんのインハウスとして、このプロジェクトの中で何か位置づけを設けるとか、そういったことはあり得るかと思います。

○柳澤副所長 先ほど糸山先生のほうから創薬の話がありました。大学でも、あるいは我々ナショセンでも、シーズ開発といいましょうか、それをやっている。10年前、20年前、製薬企業はかなりいろいろな意味で潤沢に研究開発費を持って、国内にも探索研究所が幾つもあるというような状況においては、かなり支援をちょうだいする可能性もあったんですけれども、2010年問題に象徴される一つの転換期にあって、なかなか製薬企業の方たちは私たちと手を差し伸べてくれるということがない。死の谷というのがますます幅が広くなって、深くなっている。

ですから、私たちができることは、従来であればアカデミアが必ずしもやらなかった実用化に向けての創薬に関する探索研究とか、それをやっていかなければいけない。でも、これはとてもじゃないですけれども、競争的な研究費で1年2年という単年度でできるものではありませんので、これは何も一つの研究所に限ったことではないと思うんですけれども、ぜひ厚労省の研究機関共通のものとして考えていただければありがたいなと思います。

○宮嵜厚生科学課長 ありがとうございます。ほかに御発言は。

○橋本理事長 いろいろなインハウス研究費の必要性というお話があったと思うんですけれども、先ほどの御説明では、27年度インハウスの研究費についてかなり厳しい状況が想定されるというお話でしたけれども、そうであればというか、それ以外として、科学技術イノベーション創造推進費のうち35%を医療分野の研究開発関連の調整費として充当と、こういう流れがありますけれども、この調整費の可能性については、先のことはわからないのでしょうけれども。

○宮嵜厚生科学課長 調整費については、基本的に競争的資金の部分で宛てがわれるということになろうかと思いますので。

○堀田理事長 話題をそろそろ移してもよろしいでしょうか。競争的資金のほうに少しお話を移したいと思いますけれども、今回、厚労科研の二次募集から委託費になりましたよね。これまでは研究者に直接交付するという形でしたが、今回から委託費になって、しかも機関の長がまとめて申請するという形をとって、しかもそれが交付されるのは1年後と言っては何ですが、Q&Aのところにそう書いてあるんですね。要するに、立てかえておけという形になっているのですが、これって本当にそうなんでしょうか。

○中山研究企画官 その辺は、今、省内の会計課とか財務省といろいろ調整を進めているところなので、原則をまずあそこには書いてあるということで、実際はこれまでの補助金と同様にできるように、今事務的には調整はしているということです。

○堀田理事長 わかりました。今までと随分交付の建てつけが違うものですから、現場は結構戸惑っていまして、実際誰がe-Radに登録するのかというところから始まって、結構現場は苦労していて、これは例えば機関長が委託を受けたとして、その事務経理はその機関内で処理する場合はいいのですが、外に分担研究というような形でやる場合には、それは2度目の委託になるのかどうかということも含めて、現場ではその辺がどうなるかという意見がありますので、今わかる範囲で何かその辺は教えていただければと思います。

○中山研究企画官 再委託ということになるんだと思いますけれども、事務的に不明な点は、今いろいろなところからいろいろな質問も来ていますので、それは一応Q&Aの形にして出しますし、それは個別にまた問い合わせていただいてお答えしたいと思います。

○宮嵜厚生科学課長 ほかによろしいでしょうか。もう一つテーマがあるので、恐縮でございますけれども、今のインハウスと競争的資金のテーマにつきましても、いろいろ考え方の整理とか、貴重な御意見をいただきまして、また考え方の整理だけではなくて、理解を得るための努力が必要とか、いろいろ御示唆もいただきました。これらを踏まえて、27年度の予算要請に向けてということで、課題を整理して、それぞれの研究機関でも整理していただいてということもありますし、省全体としてもある程度整理してちゃんとやっていかなければいけないと思っていますので、引き続きよろしくお願いできればと思います。

 続きまして、2つ目のテーマでございますが、「研究者の人材育成等について」というのを取り上げさせていただきました。これは、研究機関におきまして優れた研究成果を継続的に上げていくために若手の研究者の育成と活用、あるいは海外や国内の他の研究機関との人材交流というのは大変重要だと思います。また、最近では、特に女性研究者の育成とか活用ということもある程度トピック的に取り上げられていて、積極的に行っていく必要があるのかなというような思いもありまして、今後の研究者の人材育成について取り上げさせていただきました。

 このテーマにつきまして、もう実際にこんな感じで取り組んでいるとか、あるいはこういう取り組みをしたいとか、いろいろあると思いますので、御発言をいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

○川西所長 それでは、国立医薬品食品衛生研究所の現状ということで、少しお話しさせていただきます。我々の研究所は、ほかの研究所もそうかと思いますけれども、ここのところ定員削減が非常に激しくて、どんどん減っているという状況、それから新規採用枠などがあったちょっと前までは、外の人材も入れにくいというような状況の中で、我々もどういうふうにしようかということで、今一つの取り組みは、連携大学院というのを従前以上に活用しようということで、大学側も今レギュラトリーサイエンスという分野に関して、みずからのところで取り組もうとしている。それから、今日本においては、向こう側に、大学側に余りノウハウがない、基盤がないということもあって、むしろ我々側から教員を出してくれ、あるいは向こうの研究者なりをこちらに迎え入れるというようなことを、協力研究員なり何なりで、それが非常に積極的になっておりますので、相手先によってはもうこちらの室長以上の人たちが8人ぐらい客員教授、客員准教授というような形をとってやっている。そういう活動をしています。

 ただ、残念ながら、大学院生がこちらで実習するというケースはまだ余り多くはないのですけれども、場合によっては、関西系統大学院入試の面接をこちらで希望する方、我々の場合はPMDAに将来的な活動の場を得ようというような大学院生の場合は、こちらで実施をするという、それでラボワークを経験するというようなことで利用する。そういうことを通じて、レギュラトリーサイエンス全体の日本における人材を豊富にしていこうということ。これが我々が長期的に取り組んでいること。

 それからもう一つ、厚労科研費のほうで、医療イノベーション関係の中で革新的医薬品・医療機器・再生医療製品実用化促進事業、これは主にアカデミア創薬ということを目標に、規制ガイダンス等々を大学、あるいはナショナルセンターを主体にして、それからPMDA、あるいは国立衛研のほうと一緒になって、そういう各種技術ガイドライン等をつくっていこうという中で、人材交流を活発にやっていこうということで、今、二十数テーマありますかね、そのうち10のテーマで国立衛研もかかわって、大学あるいはナショナルセンターの方にこちらの協力研究員になっていただいて、日々研究をする。それから、こちらの人間も向こうに出て教育活動等々をする。

 今のシステムの問題は、私どもの研究所、公務員としての職務専念義務というのがあって、向こうに出にくい。それがちょっとこれを本格的に動かす上で少し障害になっていますが、そういう立場でやっているというところかと思います。

 それ以外にも、我々自身いろいろな努力をしているところですけれども、このあたり、基本的には将来的にはこのまま定員削減というのが続くと、私言っていつも怒られるんですけれども、30年、40年後には国立衛研の定員はゼロになるというようなこともありますので、そのあたり、いろいろな各方面に御理解をいただきながら、国民の安全をあずかるという意味の研究所でもございますので、何とかしようとしているところです。

 もう一つ、女性の活用ということについては、国立衛研は多分日本でもトップの研究所と言えます。今、女性の研究員は、一時40%近くになりましたけれども、今は30%。じゃあ、みんな昇進できないかというと、今、部長、室長、平の職員、全部30%ぐらいという状況で、我々も選考するときに全く男女ということを、全くというのはうそですが、ほとんど配慮しないでやっていて、こういう状況でございます。そういう点では日本に誇れる研究所であるかということは思っておりますので、皆さんの研究所で女性の問題があれば、御相談いただければ相談に乗りますので、よろしくお願いします。

 以上です。

○宮嵜厚生科学課長 ありがとうございます。保健医療科学院のほうは。

○松谷院長 連携大学院の話が出ましたので。先般、3年に1度の機関評価を受けたところですけれども、そこで連携大学院について相当検討すべしという御意見をいただいて、まだ正式な報告書はいただいていないのですけれども、検討を進めなければならないなと思っています。

 今のお話とほとんど同じなのですが、研究員を受け入れることは今も既に制度はありますし、一部大学院生が来たりもしているのですけれども、こちらから行くというのはなかなか難しいんですね。もちろん先方で客員教授なり何なりは受け入れる場合もあると思うんですが、実際に例えば教えに行くということになると、これは連休を取っていかなければならないとか、ここを突破するのはなかなか相当に制度的に難しいところがあるなというふうに考えています。

 ただ、医療科学院の場合は、公衆衛生分野で将来自治体できちっと働く方を中心に考えるので、そういう方に教える場合については、何かそういうときに見る方法がないのかなというところを探る必要があるかなと思っています。

 それから、海外との関係はいろいろ協定を結んだりしてやりとりもしております。それはどこの研究所もやっていると思います。あと、研究者の派遣という意味では、研究休職の制度がありますので、それを使って今WHOに1人行っておりますけれども、そんなような活動をしております。

 女性については、川西所長のところほどではないかもしれませんけれども、ほとんど問題なくいっているのではないかなと思って、採用についても、昇進についても、その面での配慮というのは特になくて済んでいると思います。

 若手研究者については、一番はまず定員の問題ですけれども、2番目は、やはり研究費ですね。若手研究者がとれる研究費というのは、今のようにインハウスのお金を減らすぞみたいな話とか、競争的研究費を公衆衛生みたいな地味なところにはもうあんまりというようなことになってくると、誰も若い人は見向きもしない。若い人はそういう時代の流れには非常に敏感ですから、そういうところをきちんとしないとなかなか難しい。もちろん、任期つきの職員等の制度があって、そういうのを活用していますが、これも逆に任期つきですと、3年ないし5年、任期の後のことを考えて、やはり研究をその間に積み重ねて、次のステップアップを考えなければならないということですから、国研の本来の業務というよりも、そちらのほうにどうしても目を向けざるを得ない。それはある程度やむを得ないところだと思いますし、何よりも優秀な人をとるには、それだけではだめで、これは一長一短あると思うんですけれども、パーマネントの場合とまた別の問題が起きますし、両方あると思うんですけれども、そのバランスをとっていくということが必要だと思います。

 1つだけ御検討いただきたいと思いますのは、パーマネントの新規採用枠について、26年からは採用数の上限値を決める方式をやめていただきましたけれども、これは国全体の話ですけれども、それでも新規採用枠については過去の採用実績を踏まえて対応すると。26年度の場合は21年度の実績の範囲内でしかパーマネントの人の採用ができない。

これはそもそも何で新規採用を抑えたかというと、やめる人、定年いっぱいまで、あるいは定年はいずれ65までということを考えて、一方、国家公務員の定数を維持するということから採用をそう多くできないという観点で行われたということなんですが、これは政府全体の話で、ここで話す話ではないのかもしれませんが、研究所の場合は、そこで考えられた方々のイメージは、大卒で入って定年までずっといる、そういうスキームの中で、上が出ないから下を採るのをやめる、そういう基本的な発想なわけですけれども、研究所はそんなことはなくて、あるいは病院なんかもそうだと思いますが、どんどんやめていくわけですね。ですから、どんどんやめていったのに対してどんどん採らなくちゃならない。それが、出るところの話は何もなくて、採るところの制限をずっといるところの並びでもって制限をするというのは全く不合理であって、こういうことが続くと、本当に若い人を採れないですね。特に、パーマネントにしようとしてもできないというようなことになりますと、部長がやめてしまう、あるいはパーマネントの研究者がやめた後、優秀な若い人で埋めようと思ってもパーマネントでとれないということであれば、これはなかなか若い人のきちんとした育成することができない。これは大きな問題だと思いますけれども、問題提起で、何かの折にはこの面は是正すべきものだと。医療機関ないしは研究所というものはそういうものだということをよく理解していただいて、制度をもう少しきめ細かく運用していただきたいと思っています。

○宮嵜厚生科学課長 ありがとうございました。

○渡邉所長 国研が続くので、国研の話を少し。大体お2方が言われたことと類似なんですけれども、感染研も若手を育成するためには大学院大学をやらざるを得ないということで、今15ぐらいの連携大学院を大学との協定を結んでやっておりまして、大学院生も大分入ってきておりますけれども、先ほどと同じで、そういうことをやったときには、大学とのギブアンドテイクですので、大学にとってメリットがあることを我々もやらなければいけないということで、授業等を肩代わりと言うと怒られますね、授業等のサポートをする。そうすると、その時間帯は専念義務からあれだということで、休暇を取らないといけないという制度になってしまっているので、その辺を少し何とかしていただくと、もうちょっと若手を育てて、特に感染症に興味ある人たちを育てていかないと、今後、世の中で医学部なんかでそういう人たちの数がどんどん少なくなってきているので、それを大学だけに任せておく、その言い方はあれかもしれないですけれども、感染研としても何とか育成をしたいということでやりたいので、その辺は何とか考えていただければ出やすくなるということが1つです。

 あと、そういう形で入ってきたドクターコースの人たちが次のポジションを求めるときに、ポスドクをやはり希望するわけですけれども、今の厚生科学研究費の枠組みだと、なかなかその研究費でもって、多分国研だけなんですかね、雇いにくいというようなところがあるので、そこは人材育成ということをもし大々的に厚労省が考えていくのでしたら、何とかこの研究費等でもって人件費等にそれが回せるような仕組みを考えていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○宮嵜厚生科学課長 ありがとうございます。時間も大分押しているので、あと順番に3名。

○加藤所長 流動研究員の待遇を改善してほしいと思います。ほかの国研はどうなさっているのかわかりませんけれども、私、辞令を渡すとき、非常勤国家公務員は日当幾ら幾らと言うんですね。何と日当なんですよ。ほかに、うちにも学振で来ている特別研究員なんかはすごい格差がありまして、病気で休んで3日ぐらいしか来れなくて、交通費のほうが1カ月分払われた、多く払われたというような実情がありますので、これを本当に何とかしていただかないと。20人ほどうちは流動研究員がおりますけれども。

○米田理事長 人材を育てるという意味では、どうしても人材の交流というのは非常に大事だと思います。特に若い研究者は、我々のような研究所と大学とが交流できるという。そのときに連携大学院とかいろいろ制度はあるんですけれども、できれば研究開発法人として、非常に自由度のある給与体系にしていただいて、例えば大学で給料をもらいながら、基盤研でも例えば研究所で給料をもらいつつ、例えば創薬に関する研究を実際にスペースを持ってやってもらうというようなことができないかというふうに考えています。

そういうことができれば、大学で本当はこういうことをやりたいんだけれども、ボスがおられてできないとか、いろいろ問題があるものを、本当に自由に研究所でやってもらうというようなことができるんじゃないか。それは単にバーチャルなものではなくて、実際に給料をもらいつつも責任を持ってやってもらえるという制度ができれば、例えば5年間だったら5年間思いっきり基盤研で研究していただいて、そのままもちろん基盤研で残るような人材であれば基盤研で例えば創薬をやっていただく。だけども、最終的には大学に戻って教育をやるという方になってもいい。そういう実際の人材の交流が実質的にできるような給与体系なり、システムになっていってほしいなというのが希望です。

 以上です。

○石坂副所長 医療センターの石坂と申します。きょうは清水先生が体調を崩されて、私が御説明させていただきます。幾つかの課題が出ておりまして、私たちも共有しているところはありますが、渡邉先生が御指摘された厚労科研で研究員を雇えないかということに関しましては、うちは独立行政法人になった後にそういうシステムができまして、厚労科研でも研究員が雇用できるという状況になったので、非常にそれはありがたいところです。

 大学との連携につきましては、もちろん連携大学院を持っておりますけれども、より積極的に人事交流するために、今計画しているのはクロスアポイントメントという制度を導入しようかというふうに考えています。例えば、同大にポジションを置いて、医療センターにも置くとか、または地方大学に置いても構わないですし、国研は研究施設が非常に整っていますので、そういう意味では大学院生を引き連れて研究所に来て、そこで研究をしてもらうような環境をつくることで、もっともっと国研は活性化していくのではないかというふうに考えて、それを行おうかなと思っています。

 それから、ナショナルセンターの一番の特徴は、非常に優秀なレジデントが来ているということで、そのフィジシャンサイエンティストをいかにつくるかというところがこの人材育成のナショナルセンターが持っているミッションの一つの大きなポイントなのではないかと思っています。そういう意味では、現在、もちろんいろいろな連携大学院をつくっておりますけれども、その中で若手がポジションをとっていけるようなキャリアパスというのを今積極的につくろうとしています。

 具体的なアクションとしましては、研究員のポジションとして独立した研究室長のような形のポジションを今用意しようとしていまして、下から上がってくるパスウェイの中で、将来的にテニュアトラックに入れるような、そういう道筋というのを若手の研修員、レジデントに示すことで、こちらの道に入ってくることになればいいかなと思って、それは病院と研究所を挙げて、これからエンカレッジしていくというふうに動こうとしているところです。

 それから、女性研究者につきましては、特にアクティブなプランというのはしていませんけれども、全体の10%前後パーマネントのポジションを持って活躍していますので、特に今後女性に門戸をさらに広げるというふうな考え方は持っておりません。

 以上です。

○宮嵜厚生科学課長 ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。もう時間も大分来ているのですけれども、どうしても御発言されたいという方があれば挙手いただければと思います。

 特になければ、もう時間ですので、きょうで全て終わりというわけではありませんけれども、きょうの意見交換は終了させていただければと思います。

 本日の意見交換でいただきました御意見も踏まえまして、冒頭三浦技総審からの御挨拶にもありましたけれども、今後の各研究機関の連携施策などについていただいたものも踏まえて、当会議としても何か一定のとりまとめみたいなものができればなという思いもございます。引き続き、きょうの続きもあれですし、新しいテーマも含めてですけれども、議論をさせていただければなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 これで全ての議題が終了いたしましたが、次回の日程につきましては、またなるべく早く開きたいなという思いがある中で、5月ぐらいはどうかなというふうな思いもあります。具体的には日程とか場所は改めて調整させていただいて、御連絡させていただければと思っております。

 以上をもちまして、「平成25年度第2回研究開発機関連携会議」を終了させていただきます。どうもありがとうございました。


(了)

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