ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 薬事・食品衛生審議会(医薬品等安全対策部会安全対策調査会)> 平成25年度第5回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会  議事録(第二部)(2013年10月28日)




2013年10月28日 平成25年度第5回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会  議事録(第二部)

医薬食品局安全対策課

○日時

平成25年10月28日(月)
19:00~20:00


○場所

厚生労働省17階専用18,19,20会議室


○議事

○事務局 事務局の不手際で時間が過ぎまして、申し訳ございません。

 引き続きになりますが、ただ今より第5回「薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」を再開したいと思います。

 傍聴の方々におかれましては、引き続き静粛等をお願いいたします。

 委員の出席状況につきまして、報告をさせていただきます。

 安全対策調査会5名のうち5名の御出席をいただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規定により、会議は成立することを御報告いたします。

 また、参考人といたしまして、福岡歯科大学総合医学講座小児科学分野の岡田賢司先生、国際医療福祉大学副学長の桃井真里子先生、国立感染症研究所感染症疫学センター主任研究官の大日康史先生、東京大学医学部大学院医学系研究科国際保険額専攻発達医科学分野の水口雅先生、山口大学大学院医学系研究科神経内科教授の神田隆先生に御参加いただいております。

 以後の進行につきましては、五十嵐調査会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 では、これから始めたいと思います。

 まず事務局から、審議参加に関する遵守事項につきまして、御報告をお願いいたします。

○事務局 審議参加について御報告いたします。

 本日御出席をいただきました委員及び参考人の方々の、過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況を報告いたします。

 本日の議題2に関しまして、抗インフルエンザ薬の製造販売業者であるグラクソ・スミスクライン株式会社、塩野義製薬株式会社、第一三共株式会社、中外製薬株式会社、ノバルティスファーマ株式会社、これらの企業からの過去3年度における寄附金などの受取について、各委員と参考人より申告をいただきました。

 なお、競合品目、競合企業につきましては、事前に各委員に資料をお送りし、確認いただいております。

 申告の状況ですが、五十嵐委員が、塩野義製薬株式会社、ノバルティスファーマ株式会社より50万円以下の受取、グラクソ・スミスクライン株式会社、中外製薬株式会社より50万円以上500万円以下の受取がございます。

 遠藤委員が、中外製薬株式会社、ノバルティスファーマ株式会社より50万円以下の受取がございます。

 柿崎委員が、ノバルティスファーマ株式会社より50万円以下の受取、第一三共株式会社、中外製薬株式会社より50万円以上500万円以下の受取がございます。

 望月委員が、第一三共株式会社、ノバルティスファーマ株式会社より50万円以下の受取がございます。

 以上から、会議に参加し意見を述べることはできますが、五十嵐委員、柿崎委員は抗インフルエンザウイルス薬に関する議決がございましたら、それには参加いただけないということを御報告いたします。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 ただ今の御説明につきまして、御意見、御質問はございますでしょうか。

 特にないようですので、競合品目、競合企業の妥当性を含めて御了解をいただいたということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 では、事務局から、配付資料の確認をお願いいたします。

○事務局 配付資料の確認をさせていただきます。

 議事次第、配付資料一覧、委員名簿、資料及び参考資料が配付されております。配付資料一覧がございますので、併せて御確認ください。

 資料2-1は、インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究に関する資料。

 資料2-2は、オセルタミビルリン酸塩の研究報告。

 資料2-3から2-6までが、各抗インフルエンザ薬の副作用報告状況の資料。

 参考資料として2-1から2-4までございます。

 なお、参考資料2-4につきましては、資料2-2の研究報告の文献でございまして、委員、参考人限りの配付となっております。

 以上です。足りないものなどがございましたら、事務局へお申し出ください。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 では、抗インフルエンザ薬についての議題に入りたいと思います。

 事務局から、経緯並びに抗インフルエンザ薬の使用量について説明していただきたいと思います。

○事務局 では、参考資料2-1及び2-2を用いて説明いたします。

 先に経緯を説明いたしますので、参考資料2-1の3ページを御覧ください。

 抗インフルエンザ薬でございますリン酸オセルタミビル(タミフル)は、平成12年に承認をされております。

 2つ目の○にありますが、その後、平成16年に添付文書の「重大な副作用」の欄に「精神・神経症状があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、観察を十分に行い、症状に応じて適切な処置を行うこと」を追記しております。

 3つ目の○でございますが、平成19年2月にタミフルを服用したとみられる中学生が自宅で療養中、自宅マンションから転落死するという事例が2例報道されたことから、万が一の事故を防止するため、予防的な対応としまして、特に小児・未成年につきましてはタミフルの処方の有無を問わず、異常行動のおそれがあることから、自宅において療養を行う場合、(1)異常行動の発現のおそれについて説明すること、(2)少なくとも2日間、保護者等は小児・未成年者が一人にならないよう配慮するよう医療機関に注意喚起されております。

 4つ目の○ですが、さらに同年3月に、タミフル服用後、12歳の患者が2階から転落し、骨折するという報告があったことから、添付文書の警告に追加するとともに、「緊急安全性情報」を医療機関に配布し、さらに医療関係者に注意喚起を行っております。

 その後、タミフルと異常行動の関連につきまして、動物実験、疫学調査が行われ、その評価が行われました。その結果、1ページ目の3つ目の○でございますが、2つの疫学調査の解析により、タミフル服用の有無にかかわらず、異常行動はインフルエンザ自体に伴い発現する場合があることがより明確になりました。平成19年以降の予防的な安全対策により、それ以降、タミフルの副作用報告において10代の転落・飛び降りによる死亡等の重篤な事例が報告されていないことからも、安全対策につきましては一定の効果が認められる一方、この対策を変更する積極的な根拠も得られていないことから、現在の安全対策を継続することが妥当とされております。

 また、この資料にはございませんが、その後も国立感染症研究所の岡部先生に、インフルエンザ罹患時の異常行動についての調査をお願いしており、昨年10月にも、その後の結果を御報告していただいております。

 この研究では、抗インフルエンザウイルス薬の処方の有無、種類にかかわらず、異常な行動が観察されており、引き続き、抗インフルエンザウイルス薬について、従来どおりの注意喚起を行うことが妥当とされております。

 続きまして、参考資料2-2を御覧ください。こちらは企業が日本医療データセンターのデータベースの情報等を用いて作成した抗インフルエンザウイルス薬の使用状況についての資料でございます。

 2ページ目でございますが、2012年、2013年シーズンの抗インフルエンザウイルス薬の処方につきましては、0歳から9歳まではタミフルが約109万人、リレンザが16万人、ラピアクタが約1万人、イナビルが約21万人となっており、0歳から9歳ではタミフルが使用される割合が多くなっております。

10代では、タミフルが14万人、リレンザが46万人、ラピアクタが約2万人、イナビルが約74万人となっており、10代ではイナビル、リレンザがタミフルに比べて高くなっております。この傾向は、タミフルの添付文書の警告欄に、10代での投与を控えるよう記載されました2007年、2008年シーズン以降、同様でございます。

 処方量やその傾向等につきましては、以上でございます。

○五十嵐座長 次に、大日先生のお話を伺います。その後に、御質問、御意見をいただきます。

 資料2-1の「インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究2012/2013シーズン報告」につきまして、国立感染症研究所の大日先生から御説明をお願いします。お願いします。

○大日参考人 国立感染症研究所の大日と申します。

 資料に沿って説明させていただきます。

 この研究班は、もう既に5年ぐらいしておりまして、シーズン的には7シーズン目ということになっております。

 まず、昨シーズンのインフルエンザの発生状況につきまして、5ページから説明させていただきます。お手元の資料は見づらいですけれども、少し黒くなっているところが昨シーズンでございます。一見して分かりますように、特に大きな流行ではなかったということが全国的にも言えるかと思います。

 6ページ目は、年齢毎の推定患者数でございます。昨年度の大きな特徴として言えるのかと思うのは、成人が比較的多かった。通常、小児のほうがかなり多いわけでございますけれども、昨シーズンに関しては、成人の割合も高かったところでございます。トータルでの推定患者数は1,180万人ということで、その前のシーズンと比べますと、200万人ぐらい少ないという比較的小規模の流行であったというところでございます。

 7ページ目は、また少し見にくいのですけれども、ウイルスの分離状況でございます。一番多いのはA型の亜型不明で、B型もそこそこ出ておるところでございます。

 以上が発生動向調査のインフルエンザ全般の状況でございまして、ここから異常行動についての説明に入らせていただきます。

 冒頭に申しましたように、シーズン的には7シーズン目ということで、以下の報告も先の6シーズンと比べて、2012年、2013年の昨シーズンどうだったかという表現になるかと思います。

10ページになりますが、まず、重度というのを定義しておりまして、重度に関しましては、全ての医療機関にインフルエンザ様疾患と診断され、かつ重度の異常な行動を示した患者さんの登録をインターネットやファクスでお願いしておるところでございます。

 ここで重度の定義でございますけれども、飛び降り、急に走り出すなど、制止しなければ生命に影響か及ぶ可能性のある行動というところで定義させていただいております。

11ページでは、インフルエンザ様疾患の診断基準を書かせていただいております。これは発生動向調査と全く同じものでございます。

12ページからは、制止しなければ生命に影響を及ぼすであろう異常な行動というところのみに限定して報告させていただきます。

13ページからは、報告数が棒グラフ、発生動向調査が折れ線グラフ、インフルエンザ全般の状況を重ねるような形で提示させていただいています。

 昨シーズンに関しましては、14ページの下の段になります。重度の報告件数は40件ということで、過去7シーズンで最も少ないところでございます。

 ですが、これまでのシーズンと同様に、発生動向調査と重度の異常な行動の報告件数のパターンに関しましては、非常によく似ているところで、つまり4週辺りがピークであって、それ以降、低下していくというパターンについては、非常に似通っているところでございます。これは過去6シーズンとも同様でございます。

15ページは、年齢分布に入ってまいります。

 同様で、昨シーズンに関しましては16ページになっております。

 平均年齢では8.42歳、中央値9歳というところで、中央値に関しましてはほぼ例年並み、平均年齢に関しましては、8.42歳というのは、この7シーズンでは一番低いところでございます。

17ページからは、性別になります。

 やはり昨シーズンに関しましては、18ページの下の段でございます。見ていただいたら分かりますように、大体例年同様でございまして、男性が4分の3ぐらい、女性が4分の1ぐらいというところでございます。これは昨シーズンも同様でございます。

19ページは、表1で発熱から異常行動発現までの日数でございます。

 これは2日目が例年半分以上でございまして、昨シーズンに関しましても56%が2日目というところでございます。

 下の段は、重度から「走り出し、飛び降り」のみにさらに限定した部分でございますけれども、こちらでもやはり過半は2日目というのは例年どおりでございます。

20ページは、今回初めてまとめさせていただいたところです。

 表がちょっと見にくいのでございますけれども、まず、タミフルの服用なし、ありでございまして、なしの方の重度の異常行動を示した方の発熱後の異常行動出現の日数を示しております。これは4シーズンまとめてでございますが、タミフル服用なしで重度の異常行動の出現日数は、2日目が58%でございます。同様に、タミフル服用ありの方に関しましても、出現日数は発熱後2日が105件の56%で一番高いところでございます。

 タミフルの服用にかかわらず、発熱後日数は2日目が高いところでございます。

 さらに右側は、抗インフルエンザウイルス、アセトアミノフェン等、服用をモニターしている5つの薬剤がございますけれども、それを全く飲んでいない方といずれかを飲んでおられる方を比較して表にしたものでございます。

 なしの方は、抗インフルエンザウイルス薬あるいはアセトアミノフェンの服用が全くない方でございます。この方に関しましては、発熱後の異常行動出現日数は1日以内が一番高くて、重度の場合は51%でございます。これは恐らく、お医者さんに行かれる前に異常行動が出現した事例だろうと推測されます。そのために、通常48時間以内に受診してくださいということでございますので、1日以内ですと未受診の可能性が高いわけでございますので、未受診であれば、抗ウイルス薬やアセトアミノフェンの服用はないという状況で異常行動が出現したということで、1日以内が一番高くなっているところでございます。

 右側のありの方、何らかの抗インフルエンザウイルス薬やアセトアミノフェン等の使用をされた群におきましては、やはり2日目が一番高いところでございます。重度の場合には59%、112例が2日目ということで、タミフルの服用なし、ありで先ほど見たものと傾向的には同様であることが示されているものでございます。

 ですので、服用なしの群は、1日以内が一番高いのでございますけれども、これは受療行動との関係が強い影響を及ぼしているのかと考察しているところでございます。

21ページ、22ページは、最高体温でございまして、昨シーズンは平均値39.3度ということで、これは例年並みでございます。

23ページ、24ページは、インフルエンザ迅速診断キットの実施の有無でございます。昨シーズンは3件が「実施せず」ということでございました。

25ページ、26ページは、迅速診断キットの結果でございます。先ほどの流行状況を反映しまして、A型の方が79%で8割、B型が13%、5例ということでございます。

27ページ、28ページが睡眠の関係でございまして、これも大体例年どおりのパターンでございます。眠りから覚めて直ちに起こったというところが最も高くて78%で、次いで徐々に起こったというところが5件、12%でございます。

29ページ、30ページは、薬の組合せでございます。タミフルとかリレンザ、抗インフルエンザ薬あるいはアセトアミノフェンの服薬状況を調べておりますが、30ページの下の段を見ていただきまして、全て服用なしの方が10%。

 アセトアミノフェンのみの方が2.5%。

 リレンザのみの方が2%、リレンザとアセトアミノフェンの方が2%でございます。

 タミフルのみの方が5%、タミフルとアセトアミノフェンの方が12%でございます。

 イナビルのみの方が2%、イナビルとアセトアミノフェンの方が7%でございます。

 その他が2.5%ございます。

 一番左側は、抗インフルエンザウイルス薬あるいはアセトアミノフェンのどれか一つでも服用の有無が確認できなかった場合には「いずれかが不明」に入ってしまうわけですけれども、それが約半分でございます。

 ここで例年御指摘させていただいているのは、服用なしの方も11%おられ、抗インフルエンザウイルス薬を服用しないアセトアミノフェンのみの方も5%おられるところで、この異常行動というのは、抗インフルエンザウイルス薬を服用されずとも出現するのだということでございます。

31ページも今年からなのですけれども、投薬の有無だけで見ました。関連している情報が得られているところだけでの有無での異常行動が出現した方の中での割合です。例えばタミフルの場合には、32例の方は投薬の有無が分かっておりまして、そのうちタミフル服用者が16名、服用していない方が16名という形でございます。

 高いところで見ますと、アセトアミノフェンを服用された方が15名、服用されなかった方が12名でございます。

32ページ、33ページは、異常行動の分類でございまして、昨シーズンは下のほうでございます。例年どおり、突然走り出すというのが一番高くて、昨シーズンはその他が若干少なかったかというところでございます。

34ページからは、重度の中でも突然走り出す、飛び降りのみに限定した部分でございます。

35ページ、36ページに患者の年齢分布がございますが、例数的には28件になります。年齢の平均値は8.6歳、中央値は9歳ということで、重度とほぼ同じ形になっております。

 性別に関しましても、やはり4分の3が男性ということで、最高体温に関しても例年どおりでございます。

 インフルエンザ迅速診断キットの実施の有無に関しましても、1例を除いては27例で実施されているところでございます。

43ページ、44ページは、その結果でございますけれども、重度全体とほぼ同様の傾向でございます。

45ページ、46ページは、薬の組合せのところでございますけれども、全て服用なしが11%、アセトアミノフェンのみが7%、リレンザ+アセトアミノフェンの方が4%、タミフルのみの方が7%、タミフル+アセトアミノフェンの方が7%、イナビル+アセトアミノフェンの方が4%という並びになっております。

47ページは、特定の薬剤毎の服用の有無別でございますけれども、タミフルが約半分でございます。先ほどの重度の例と同じでございます。アセトアミノフェンも約半分でございます。

48ページ、49ページは、異常行動と睡眠の関係でございます。昨シーズンに関しましては、90%ぐらいが直ちに起こったということでございます。

 最後、まとめでございます。

 昨シーズンは、全般的なインフルエンザの流行自身は小規模でございました。その関係もございまして、重度の異常行動の報告数は過去7シーズンで最低でございました。

 ただ、発生動向と異常行動の報告のパターンは非常に類似しておりました。

 年齢は9歳が最頻値で、男性が79%は例年どおりでございました。

 服用薬剤別の報告件数は、タミフルを服用された方が16件、アセトアミノフェンが15件、リレンザが9件、イナビルが8件、いずれの服用なしが4件でございました。

 突然走り出す、飛び降りのみに限定しますと、タミフルが11件、アセトアミノフェンが9件、リレンザが6件、イナビルが3件、いずれの服用なしが3件でございました。

 これまでと同様に、抗ウイルス薬の種類、使用の有無と異常行動については、特定の関係に限られるものではないという例年の結果が維持されているのかというところでございます。

 飛び降り、突然走り出し等の重大な事案が発生しかねない報告もございました。

 以上のことから、インフルエンザ罹患時における異常行動による重大な転帰の発生を抑止するために、次の点に対する措置が引き続き必要であると考えました。

 抗インフルエンザウイルス薬の処方の有無にかかわらず、インフルエンザ発症後の異常行動に関して、再度、注意喚起を行うこと。

 抗インフルエンザウイルス薬についても、従来同様の注意喚起を徹底するとともに、異常行動の収集・評価を継続して行うことが必要であると考察いたしました。

 以上でございます。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、大日先生からの御報告につきまして、御質問、御意見をいただきたいと思います。インフルエンザ薬全体の安全性に関する議論は、各々の医薬品の副作用報告状況を後ほど事務局が御説明いたしましたときにいたしますので、大日先生の御説明に関してのみ御質問あるいは御意見をいただきたいと思います。よろしいですか。

 続いて、資料2-2以降について、事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 事務局から説明させていただきます。

 資料2-2を御覧ください。

 昨年11月に行われました本調査会では、昨年8月までの研究報告を御報告させていただいております。それ以降の昨年9月から本年8月までのタミフルに関する研究報告の概要を集めたもので、6報ございます。

 初めの報告は、タミフル又はその活性代謝物による低体温症の作用機序を検討したもので、動物実験でございますが、専門家の見解としては、この報告でメカニズムが明らかになったとは言い難い。今後も情報収集をする必要があるということです。

 次の報告は、タミフル又はリレンザを服用した妊婦を対象にして胎児への影響を調べたものです。専門家の見解としては、本研究で安全性を結論付けることは困難である。

 2ページ目の上の報告は、タミフルの2倍量の投与の調査です。専門家の見解としては、現時点で新たな対応は不要と考えるが、今後も情報収集等が必要とのことです。

 その下の報告は、新型インフルエンザウイルスH7N9のタミフル、リレンザへの耐性に関する報告で、専門家の見解としては、本報告で耐性ウイルスの発現傾向の変化などを議論することは困難である。引き続き情報収集をする必要があるとのことです。

 3ページ目の上の報告は、精神神経系有害事象とタミフルとの関係を米国FDAの有害事象報告システムを用いて調査したもので、専門家の見解としては、本研究をもってこれらの関連性を評価することは困難と考える。今後も情報収集をする必要があるとのことです。

 最後の報告は、米国の8つの医療機関のインフルエンザ患者の電子データを用いて、タミフル投与の有無による精神神経系有害事象の発現を検討したものでございます。専門家の見解としては、本報告で新たな対応は不要である。今後も情報収集等が必要とのことでございます。

 資料2-3「オセルタミビルリン酸塩の副作用報告状況」を御覧ください。昨年9月から本年8月までの報告をまとめております。

 タミフルの推定使用患者数量は304万人分で、企業からの重篤な報告症例は81例、副作用報告件数は113件でございました。

 1ページ目の一番左の列に、精神障害の欄がございます。その中に異常行動の記載がございまして、31件の報告がございました。

 3ページから4ページ目は、前シーズンの報告状況を示したものです。昨シーズンと比べると、本シーズンは昨年の推定使用患者数370万人に対して304万人と幾分少なく、重篤副作用報告数も88症例に対して81症例と若干少なくなっております。

 5ページから20ページ目までは、昨年9月から本年8月までに報告された副作用名にかかわらず、急に走り出すなど、飛び降りや転倒等に結び付くおそれのある異常な行動が報告された症例について、経緯などの概要をまとめたものでございます。

31症例ございますが、乳児・小児が17症例、70歳以上の高齢者は7症例の順で多く、10歳代は12ページの症例番号15番の症例1例のみでございました。タミフル投与開始当日、就寝後に突然ベッドから飛び上がり、床に着地時に骨折をした症例でございます。そのほか、徘徊や飛び起きて走り回るなどの例がございました。

21ページ、22ページは、本シーズンに企業が入手した死亡例の症例をまとめたものでございます。6例ございまして、この中で異常な行動による死亡例はございませんでした。

 症例番号1番は90歳代の女性で、タミフル投与開始翌日に高血糖、糖尿病性昏睡を発現し、投与14日後に死亡された症例でございます。

 症例番号2番は高齢者の方で、タミフル投与4日後に心房細動、頻脈、心筋梗塞が発現し、死亡された症例でございます。

 症例番号3番は高齢者の方で、タミフル投与3日後に死亡された症例で、詳細は不明でございます。

 症例番号4番は40歳代の先天性心疾患のある方で、タミフル投与後3日後にうっ血性心不全が発現し、死亡された症例でございます。

 症例番号5番は60歳代の方で、タミフル投与開始2日後に肺炎を併発し、4日後に死亡された症例です。

 症例番号6番は詳細が不明で、タミフル投与後に急死されたという情報のみでございます。

 いずれの症例につきましても、専門家からは情報不足等により被験薬と死亡との因果関係が評価できないということとなっております。

23ページは、タミフルの死亡症例のこれまでの集計でございます。

 右下の副作用発現時期別マル1とマル2のところでも分かりますように、死亡症例が増加している傾向はございません。

24ページは、死亡症例の医薬品医療機器総合機関の因果関係評価でございます。平成16年度以降の報告が評価されております。82例のうち、被験薬と死亡との因果関係が否定できないとされているA評価が4症例、因果関係が認められないというB評価が14症例、情報不足で因果関係が評価できないというC評価が64症例ございました。

 資料2-4、ザナミビル水和物、販売名リレンザの副作用報告状況でございます。

 1ページ目は、本シーズンの重篤な副作用の報告で、本シーズンの推定使用患者数は約99万人、重篤副作用報告症例数は29例、副作用件数は43件でございました。

 表の下から11例目の欄になりますが、異常行動が1件となっております。

 2ページ目は、昨シーズンの副作用一覧でございます。

 3ページ目は、異常な行動の事例で、こちらもタミフルと同様で副作用名に関係なく、急に走るなど、飛び降りや転落等に結び付くおそれのある異常な行動があった症例を集めており、本症例は10歳代の男性で、リレンザ処方初日に転倒し、2階から転げ落ちたとのことです。

 死亡症例の報告はございませんでした。

 資料2-5、ペラミビル水和物、販売名ラピアクタの副作用報告状況でございます。

 本シーズンの推定使用患者数は約17万人で、投与経路が静脈投与であるため、ほかの抗インフルエンザウイルス薬と比較しまして、数量は限定されております。

 1ページ目は、本シーズンの重篤な副作用報告で、重篤副作用報告症例数は48症例、表の下から16行目に異常行動が事例報告されております。

 2ページ目は、前シーズンの副作用報告でございます。

 3ページ目からは、異常な行動の1例でございます。60歳から90歳代の全3件ございました。

 5ページ目は、死亡症例2症例の概要になっております。

 症例1番は、90歳代の腎機能障害及び心不全のある女性で、投与2日後に急に低体温となり、心肺停止、心不全と診断された症例でございます。関連性は不明ですが、ラピアクタの添付文書の重要な基本的注意のところで、本剤は腎排泄型の薬剤であり、腎機能が低下している場合には高い血漿中濃度が持続するおそれがあるので、クレアチニンクリアランスに応じた用量に基づいて投与するよう記載しております。

 症例2番は、90歳代の慢性腎不全のある女性で、投与1日後の未明に突然死で亡くなられた方で、詳細不明の症例でございます。

 いずれの症例につきましても、専門家からの意見をいただいており、情報不足等により被験薬と死亡との因果関係が評価できないものということになっております。

 資料2-6、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物、販売名イナビルの副作用報告状況でございます。

 推定使用患者数は272万人で、重篤副作用症例は22例、重篤副作用件数は30件でございます。

 1ページ目は、本シーズンの重篤な副作用報告の一覧で、異常行動での報告はございませんでした。

 2ページ目は、前シーズンの報告でございます。

 3ページ目は、異常な行動が見られた症例で、70歳代と10歳代の症例がございました。

 4ページ目は、死亡症例の概要でございます。本シーズンでは2例の方の死亡症例が報告されております。

 死亡症例の1番は10歳代の方で、投与後死亡された症例で、詳細は不明でございます。

 死亡症例の2番は10歳代の男児で、投与当日に呼吸停止状態で発見され、肺水腫と診断された症例でございます。

 いずれの症例につきましても、専門家からは、情報不足等により被験薬と死亡との因果関係が評価できないということとなっております。

 以上でございます。

○五十嵐座長 ありがとうございました。

 それでは、ただ今の事務局からの御説明につきまして、御質問、御意見をいただきたいと思います。特に先ほどの大日先生の調査も含めまして、異常行動について中心に御議論いただきたいと思います。よろしくお願いします。

 今日は参考人の方も来ていらっしゃいますので、御意見をいただきたく存じます。水口先生、よろしくお願いいたします。

○水口参考人 大日先生の調査結果で1つお伺いしたいのですけれども、去年、神奈川県の小児科医のグループが発表したインフルエンザに伴う異常行動の統計みたいなものをとっていらっしゃって、その場合に、6歳を境にして、6歳より上だと男が圧倒的に多いのですけれども、6歳以下だとむしろ女の子が多いという結果だったのです。年齢によって性差がかなり違っている。そういう傾向は、先生の班でも認められているのでしょうか。

○大日参考人 年齢と性別のクロスですね。

 見ておりませんので、何ともお答えできませんけれども、また確認してみます。

○水口参考人 よろしくお願いします。

○五十嵐座長 ほかにいかがですか。

 大野委員、どうぞ。

○大野委員 大野です。

 先ほど御説明のあった参考資料2-4-1で、これは小野先生たちのグループのお仕事ですけれども、専門家の意見の中で1つ抜けているものがあると思いました。資料2-2を御覧ください。

 低体温が出るということですけれども、腹腔内投与のときには100mg/kgを投与しています。これは臨床用量と比べてかなり高い。100mgそのものも高いですが、腹腔内投与だということでさらに高いと判断してよろしいかと思います。

 それから、脳室内投与でやっているのですけれども、このときの体温低下が認められた投与液のオセルタミビル濃度というのは、かなり高いのです。私の計算では、大体8mMとかなり高い。脳脊髄液で10倍に希釈されたとしても800μMと、臨床での推定脳中濃度と比較するとかなり高いということで、この論文から、オセルタミビルを投与することによって低体温症が臨床で起きたことに関する直接的な証拠と見るのはちょっと難しいのではないかと思います。

○五十嵐座長 御指摘ありがとうございます。

 ほかにいかがでしょうか。

 岡田先生、どうぞ。

○岡田参考人 大日先生の資料で年齢別の患者報告数が図2にございまして、5歳から9歳が去年は一番多かったと。そして、図5-2の患者さんの年齢で、数は余り多くありませんけれども、一番多いのは13歳ということになっています。これは例えば図2のように、0~4歳、5~9歳、1014歳と患者数を分母にして、頻度はどうなのでしょうか。

○大日参考人 やっておりませんけれども、ぱっと見ても、発生頻度の比率は10歳から14歳が高そうではありますね。

○岡田参考人 5~9歳が少ないからですね。

○大日参考人 はい。

○岡田参考人 これは患者数に比べると、1014歳のほうが異常行動は起こりやすいと考えると。

○大日参考人 そうですね。

○五十嵐座長 数字では出ていないわけですね。

○大日参考人 はい。

○五十嵐座長 ほかにいかがですか。

 望月先生、どうぞ。

○望月委員 全例の報告をお集めになられて、分析をされるということで、医療機関がとてもよく協力してくださっているのかなと思って拝見したのですが、どうしても背景発生率とか、分母の部分がはっきりしない情報になってしまうので、先ほど配られた資料2-2の参考資料2-4-1のような形で、きちんと非投与群を対照群に作れるような形のデータの解析ができるようなものが、やはりどこかの時点で必要なのかと私は感じて、今回情報を見させていただいておりました。

 最終的に、ケースの中での分布が先ほどの年齢も含めてどうなっているかということが見ることはある程度できても、それが分母のところの情報の部分も含めて、十分把握し切れていないという形になってしまうと、最終的に本当に何が問題なのかというのは分からないような気がいたしました。

 今、いろいろな意味でナショナルデータベースも含めて整備されつつあるところだと思うのですけれども、こうした事例をそういうデータを使えるような形の取組みというのが必要なのかと思うのですが、これは事務局のほうではどのように考えていらっしゃるのか。

○事務局 まだナショナルデータベースは整備中ではあるのですが、そこまでを見越した取組みとか、そこまで行きついていないというのが現状でございます。

○望月委員 難しいですけれども、分かりました。

○五十嵐座長 ほかにいかがでしょうか。

 柿崎委員、どうぞ。

○柿崎委員 異常行動とは関係ないのですが、死亡例の報告を見ていますと、イナビルだけ10代の方が2名亡くなられています。ほかは高齢者であったり、合併症のある患者さんなので、必ずしも薬との因果関係はないかと思うのですけれども、情報が不足していますので、因果関係については何とも言えないかと思いますが、今後、10代とか若くて亡くなる方が増えないかどうか、このイナビルについては経過を追う必要があるのではないかと思います。

○五十嵐座長 ほかにいかがでしょうか。

 桃井先生は神経の専門ですので、何か御意見はございますか。

○桃井参考人 先ほど委員の方がおっしゃられたように、やはりこの7年間の蓄積の中で、これが蓄積しても同じクオリティーのデータが蓄積されるだけで、それはそれで意味はありますけれども、新たな問題の解決にはなかなかならないので、最終的な問題解決のためにどういうデザインにしたらいいかというのは、もう検討すべき時期かなと思います。

○五十嵐座長 ありがとうございます。

 そのほかいかがですか。特にございませんか。

 そうすると、今までの御意見は、このスタディーはもちろん意味があるけれども、このままで同じ調査を続けても、これ以上のデータは出てこないのではないかとの御指摘が多かったように思います。 今日示されたデータからすると、タミフルに関しましては、服用と異常な行動あるいは突然死との因果関係を示唆する結果は示されていなかったのではないかと思います。

 それから、現在の予防的な安全対策を変更する積極的な根拠も得られていないと考えられると思います。

 ということで、これまでの安全対策を継続するということとして、インフルエンザ罹患時の注意喚起を引き続き徹底するということは、これからも必要であると考えます。

 今後も引き続き抗インフルエンザウイルス薬の関連情報を収集することは続けますけれども、新たな情報あるいは報告等が得られた場合には、得られた報告あるいは情報に基づいて、適切な評価をこれからも行っていくことが必要と考えます。

 現時点では、このような結論ではないかと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○五十嵐座長 全体を通して、そのほかに何か御意見はございますか。

 岡田先生、どうぞ。

○岡田参考人 臨床医からすると、今、10歳代でタミフルが使えないという状況がずっと続いていますけれども、どんなデータが出て、どういう状況になれば、10歳代のタミフルが解除されるのでしょうか。

○五十嵐座長 事務局、お答えできますか。

○成田大臣官房審議官 どうもありがとうございました。

 結局、インフルエンザでもいろいろ異常行動が起きるということなので、そことの関係がもう少しということだと思いますので、今、いろいろ御意見をいただきましたけれども、これからどういうところのデータを取れそうなのかというところも含めて、また検討はさせていただきたいと思います。

○五十嵐座長 ほかにいかがですか。よろしいですか。

 それでは、御意見はないようですので、本日の議論はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

 最後に、事務局から何かございますでしょうか。

○事務局 特にございません。

 事務局の不手際もあり、時間が過ぎまして、申し訳ございませんでした。

 議論を賜りまして、本当にありがとうございました。

○五十嵐座長 それでは、本日の会議はこれで終了といたします。

 御協力ありがとうございました。

 


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