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2014年4月24日 第16回先進医療技術審査部会

(了)


第16回先進医療技術審査部会

(1) 日 時:平成26年4月24日(木) 16:00~17:15
(2) 場 所:中央合同庁舎第5号館 共用第8会議室(19階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号TEL:03-5253-1111)
(3) 出席者:
猿田座長、山口座長代理、石川構成員、伊藤構成員、
金子構成員、柴田構成員、関原構成員、竹内構成員、
大門構成員、田島構成員、直江構成員、山本構成員、
斎藤技術委員
  (事務局)
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
保険局医療課 専門官

議 題:
1. 継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
2. 新規申請技術の評価結果について
3. 協力医療機関の追加について
4. 高知大学医学部附属病院における事案について
5. 先進医療の取り下げについて
6. 先進医療会議の審査結果について(報告事項)
7. その他

○猿田座長
 それでは、時間がまいりましたので、第16回「先進医療技術審査部会」を始めさせていただきます。本日は、オバマ大統領がいらっしゃったということで、道が大分混んだりしてゴタゴタしていて御迷惑がかかっているかと思います。大変お忙しいところを御出席いただきまして、どうもありがとうございました。
 本日の委員の出席状況です。一色構成員、佐藤構成員、藤原構成員、山中構成員からは御欠席という届けを頂いておりますから、16名中12名の構成員のお集まりです。なお、今日、やはり厚生労働省の中でほかの委員会があって、そこへ今、山本先生も竹内先生、それから金子先生、皆様方重なったりするものですから、ちょっと途中で抜けたりいたしますが御了承いただきたいと思います。それから、本日は、技術委員として斎藤先生にお出でいただいております、どうぞよろしくお願いいたします。
○斎藤技術委員
 よろしくお願いいたします。
○猿田座長
 それでは、事務局にメンバーが加わったということで、御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 4月1日付けで事務局員の異動がありましたので、御紹介いたします。保険局医療課金光一瑛です。今日欠席ですが、研究開発課許斐 健二です。よろしくお願いします。以上です。
○猿田座長
 金光先生、よろしくお願いいたします。
 それでは、早速配布資料の確認をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 配布資料について確認をします。議事次第から始まって、座席表、開催要綱、構成員及び技術委員名簿と続きます。
 次に、「継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について」として資料1-1~1-5があります。「新規申請技術の評価結果について」として資料2-1~2-5があります。「協力医療機関の追加について」として資料3-1、3-2があります。「高知大学医学部附属病院における事案について」として資料4があります。「先進医療の取下げについて」として資料5-1、5-2があります。「先進医療会議の審査結果について(報告事項)」として資料6があります。最後に、参考資料1、2、3となります。会議資料の最終ページは148になります。また、追加資料として、「金沢大学記者会見資料」を1部付けています。本日の資料は以上です。乱丁、落丁等がありましたら事務局までお知らせください。
 それから、利益相反についてです。申請医療機関との関係や対象となる医薬品及び医療機器の企業等について、資料1-1、11ページ又は資料2-1、27ページに記載しています「申請医療機関」「医薬品・医療機器情報」を御覧ください。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業に関して事前に確認しています。山口座長代理、直江構成員、竹内構成員より11ページに記載されている企業、サノフィ・アベンティスとの間に利益相反の届出がありました。参考資料2の143ページに付けている「先進医療会議における利益相反の対応について」を適用します。山口座長代理におかれては、当該技術に関する検討において意見を述べることができますが、議事の取りまとめには加わらないといたします。直江構成員、竹内構成員においては、当該技術に関する検討に御参加いただき議事の取りまとめにも御参加いただきます。なお、事前の届出以外にもし何らかの利益相反がありましたらこの場で御報告をお願いします。よろしいでしょうか。それでは、該当なしということで進めさせていただきます。
 今回もタブレットを使用いたします。届出書類等についてはタブレットから閲覧していただきます。会議資料とタブレットの内容は異なっているので、発言者は会議資料何ページ又はタブレット何ページとあらかじめ御発言いただくようお願いします。以上です。
○猿田座長
 よろしいでしょうか。もしよろしければ、時間の関係もあるので、早速、継続審議の評価を受けた技術の再評価について事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 撮影されている傍聴者の方はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いします。
 では、資料1-1の11ページを御覧ください。今回、先進医療Bとして再評価していただく技術は、整理番号015、全身性エリテマトーデス患者における初回副腎皮質ホルモン治療に続発する大腿骨頭壊死症発生抑制治療です。適応症は、全身性エリテマトーデス患者における初回副腎皮質ホルモン治療に続発する大腿骨頭壊死症の発生抑制となっています。申請医療機関は九州大学病院です。審査担当構成員として、主担当が山本構成員、副担当として柴田構成員、田島構成員です。資料1-5、25ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局から説明します。
 まず、実施責任医師の要件として、診療科は整形外科又は内科(リウマチ、膠原病内科)が必要。資格は不要ですが、当該診療科の経験年数は3年以上の経験が必要です。当該技術の経験年数は特に不要。当該技術の経験症例数は特に不要です。その他として、全身性エリテマトーデス、あるいは大腿骨頭壊死症の診療経験3年以上、本試験で用いる3剤併用投与の経験は問わないとしています。
 医療機関の要件です。診療科は要、整形外科又は内科(リウマチ、膠原病内科)。実施診療科の医師数は要で、全身性エリテマトーデスの診療経験3年以上の整形外科又は内科医師が2名以上。他科、他診療科の医師数は不要ですが、その他の医療従事者の配置として、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師を必要としています。当直体制は要、緊急手術の実施体制は要、院内検査も要です。他の医療機関との連携体制も要です。容態急変時には他の医療機関に救急搬送が可能であること。ただし、自院で対応可能な場合は不要というのが連携体制です。3つ下がって、医療機関としての当該技術の実施症例数は不要としています。また、その他の要件として、頻回の実績報告は不要とされています。以上です。
○猿田座長
 今の最後の保険医療機関の要件、これは特にこれから重視していくということですが、特に問題はないですね。
 それでは、早速、この案件に関して、再評価結果をまず山本構成員から御説明をよろしくお願いします。
○山本構成員
 前回に引き続いて主担当をしています。申請医療機関は九州大学病院です。副担当は柴田先生と田島先生です。実施体制の評価は私がしまして、倫理的観点からの評価は田島先生、試験実施計画書等の評価を柴田先生にしていただいています。それぞれについては、各評価者から御説明を頂きたいと思っています。
 総合評価のほうを先に少し述べます。総合評価としては、担当者3名では「適」と考えています。では、それぞれの担当の先生から御説明していただいてよろしいですか。
○猿田座長
 はい。
○山本構成員
 それでは、先に田島先生からお願いします。
○田島構成員
 説明文書については、前回の審議の際に指摘した事項について所要の修正がなされたので、問題点は解消されており「適」とします。補償については、補償責任保険により対応することとなっていますので、これも「適」です。患者相談の対応も整備されています。以上です。
○猿田座長
 では、柴田先生から、計画書ですね。
○柴田構成員
 資料1-3をお開きください。16~20ページまでの所に照会及びそれに対する御回答を頂いています。基本的には、お願いしたところについては対応を頂いたと判断していて、こちらで問題はないと思います。
 1つだけコメントさせていただきます。18ページに6番の照会を出しています。この研究については、大学の研究をサポートする部門の支援を受けて実施をされるということでしたが、申請資料等を拝見しますとちょっと行き違いがあるのではないかと思われる部分がありました。ですので、実際にデータ管理をされる方ですとか、そういう臨床試験の支援部門の方に確認をしていただくようにお願いをしたところ、追加でこちらに16項目ほど改訂していただいている部分があります。こちらはどれも研究を適切に実施するために必要な改訂であろうと考えますので、このようにしていただいて問題はないと考えます。また、通常、臨床試験の計画を立てられる先生と支援部門の先生方との間でコミュニケーションがうまくとれていなくて、試験が開始された後に問題が判明することが多々起こります。ですので、このように事前に検討していただいて摺合せをしていただくことは重要であろうと考える次第です。以上です。
○猿田座長
 今お話がありましたように、臨床試験の実施計画の所の改訂が必要だったということで御指摘をいただいて、全部直していただいたということです。それでは、山本先生から総括的にお願いします。
○山本構成員
 当初、初回の審査のときには、既にPMDAで一度確か面談もされていましたが、その内容が必ずしも適切に反映されていないという点、それから、いくつか計画上の問題点、それから、先ほど柴田先生が指摘されましたが、実施上の問題点も散見されていて、そちらについて照会事項をかなりいくつか投げています。それに対して全てきちんと丁寧に御回答を頂いたので、現時点でこの照会事項を全てクリアしていただいたと考えています。担当者としては総合評価は「適」としてよろしいのではないかと考えました。以上です。
○猿田座長
 今、山本先生からまとめを頂きましたが、田島先生、柴田先生からも、特に問題はない、この形で直していただいたということで、この形でお認めいただいていいのではないかということです。それでは、どなたか御意見ございますか。
○関原構成員
 私も同意書を読ませていただきましたが、同意書の5ページに、「この治療というのは、今までは動物実験では有効であるという可能性が報告されている」と記され、人については、「これまで患者さんに対しては効果が高まるという報告があり」とされています。私は、例えば有効例は何件ぐらいあったのか、ただありましたというだけではなく、もう少し具体的にどこ医療機関でとか、あるいは何件ぐらいとかこの辺りを1行ぐらいは書き加えてもらったほうが。
○猿田座長
 具体的に。
○関原構成員
 患者としては、動物実験は何か有効ということなのですが、人に対してはどうか、具体的記述がないのが気になった所です。
○猿田座長
 ほかにありますか。
○石川構成員
 ちょっと私まだまだこういうのは分からないのですが、このSLE患者の初回のステロイドで骨壊死が発生するということが、どんな頻度で、あるいはどういう傾向をもった患者で起こるかとか、そういうものがなくて、これ予防でやるわけですよね、それが保険診療だとかそういうものに大体そぐわないということもあると思うのですが、その辺についてはどういう見解をもっているのでしょうか、ちょっと教えていただきたいのですが。
○猿田座長
 実際にはかなりこの療法はやられていて、実際にどういう方に起こるのかとか、そういうことはなかなか読み切れていないのです。それから、もう1つは、関原構成員が言われたように、どのくらい生じているのか、はっきりしていないと思うのですが、山本先生、その辺りどうですか。
○山本構成員
 タブレットの142ページに、この課題の研究計画書の背景の所にステロイド性大腿骨頭壊死症というものの説明があって、一応、彼らのこの説明によると、患者数としては、全国の年間発生数2,000~3,000人というふうな推定になっています。
○猿田座長
 石川先生、よろしいですか。
○石川構成員
 分かりました。
○猿田座長
 実際に、有意性に関しては、はっきりしていないですね。
○山本構成員
 ここは、初回の審議のときにも、先ほどの具体的にどのぐらい効くかというところの議論がいくつかあったと思いますが、余り事前のというか、これの前の比較試験等々がなかったので、そこについては推測しかないということでお聞きしていたと思います。それも含んでの照会事項を作ったということです。
○猿田座長
 関原構成員、よろしいですか。
○関原構成員
 誰(医療機関)が効果があったと報告しているのですか?「抑制効果が高まるという報告があり」と書いてあるのです。
○猿田座長
 これは、実際、九州大学のほうでも経験されていると思うのですが、あと、協力機関からも。
○山本構成員
 いくつか、散発的な研究の報告はありました。
○関原構成員
 大学なり、大学病院にですね。
○山本構成員
 はい、必ずしも九州大学だけではなくて。
○関原構成員
 はい。では、薬もということですね。
○山本構成員
 また、薬も、今回3剤なのですが、この3剤のうちの1剤若しくは2剤併用の研究結果が出ていまして。
○関原構成員
 では、例えば、複数の医療機関から報告とか何か具体的に書いていないと。
○猿田座長
 書き方が悪いのです。
○関原構成員
 ただ、何か、それだけです。
○医政局研究開発振興課専門官
 関原先生の御発言もごもっともで、患者さんにとって有益な情報を提供することが大事ですので、九州大学にお伝えして、その辺を修正していただくように指摘させていただきたいと思います。
○猿田座長
 そのほかどなたか御意見ありますか。実際の治療上では非常に困ることでして、これはやはり少しでもいい方法があればと、世界的にまだ良い予防法がないものですから、この案件のように3つの薬を用いてやればかなり効果が出るだろうということで各病院が力を合わせてやってくれるということですので。もし大きな問題がなければ、いま事務局からお話があったように、九州大学のほうには少しその辺りの文章を直していただくということで、これはマイナーのチェンジですから、もしよろしければこれで、よろしいですね、「適」として。どうですか。
○山本構成員
 では、事務局及び担当のほうでその修正事項については確認させていただくということでよろしいでしょうか。
○猿田座長
 はい。委員の先生方、よろしいですね。
(異議なし)
○猿田座長
 ありがとうございました。それでは、こういう形で今の案件はお認めいただいたことにいたします。竹内先生もお見えになりましたので。
 山本先生どうもありがとうございました。整理番号の028のほうに移ります。それでは、よろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料2-1、27ページを御覧ください。2つ目は、新規案件です。整理番号028、ロボット支援腹腔鏡下腎部分切除術です。適応症はcT1腎がんです。申請医療機関は神戸大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が直江構成員、副担当が竹内構成員と田島構成員です。斎藤技術委員にも事前審査をお願いしています。
 審議に先立ち、本件についても先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局から説明いたします。
 資料2-5、41ページを御覧ください。まず、実施責任医師の要件です。診療科は泌尿器科、資格は日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医が必要。当該診療科の経験年数は、5年以上必要。当該技術の経験年数は、1年以上必要。当該技術の経験症例数は、術者として10例以上必要。助手については、不要とされています。
 医療機関の要件です。診療科は泌尿器科。実施診療科の医師数として、日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医が2名以上。他診療科の医師数は、麻酔科標榜医が必要。その他の医療従事者の配置として臨床工学技士が必要です。当直体制は要。緊急手術の体制は要。院内検査も要とされています。医療機器の保守管理体制も必要とされています。
 その他の要件として、頻回の実績報告は不要とされています。以上です。御審議をお願いいたします。
○猿田座長
 今の施設要件はこれでよろしいですね。それでは、評価をしていただきました、まず、主担当の直江先生からお願いします。
○直江構成員
 今回、初めて主担当させていただきます。当該先進医療の概要は、いわゆるロボット支援手術です。対象は、リンパ腺転移や遠隔転移のない直径7cm以下の限局した腎臓がんです。これを対象にロボット支援腹腔鏡下の腎臓の部分切除術を行いまして、その有効性を評価したいということです。
 私が主担当、副担当が竹内先生と田島先生、それから、技術委員として斎藤先生に加わっていただいています。まず、私が実施体制の評価を行いました。29ページにあるとおり、責任医師、医療機関、有用性の3点については、いずれも「適」です。御存じのとおり、da Vinciの手術は経験豊かな先生が行うと非常に有効であるということで、届出書の367ページに、術者が満たすべき要件が1~5まで書かれています。ロボット手術に関しては、少なくとも、前立腺の全摘を20例以上、腎の部分切除は10例以上の経験があることに限定しています。また、今回申請された医療機関は神戸大学ですが、既に論文もありまして、確か論文では47例だったと思いますが、恐らく日本全体でも少なくとも100例ぐらいの手術がなされているだろうということです。多施設共同なので、施設を加えるときにはまた事務局で検討していただくとして、全く問題ありません。
 医療技術の有用性に関しては、やはり手術は侵襲性が低いということや、後で話が出ますが、評価項目の中に出てくる、腎機能を温存するということ。手術をするときに、腎臓へ行く動脈の根元を縛りまして、いわゆる阻血と言いますか、血が行かないようにしている。目安として、それが25分以内であれば腎機能低下が低いと言われているということなので、どのぐらいそれを達成できるかを1つの評価項目にしようということです。サロゲート・マーカーではありますが、それが満たされれば、恐らく患者にとっては有用ではないかと判断して、1~3はいずれも「適」としました。私の担当の所は、まずは、以上です。
○猿田座長
 先に、技術のことに関して、斎藤先生からコメントを頂けますでしょうか。
○斎藤技術委員
 既に直江先生に御説明いただいたように、29ページにも回答していますが、実施責任医師等の体制は「適」です。実施医療機関の体制も、これは泌尿器科学会でも特に経験豊かな施設ですので「適」としました。医療技術の有用性等に関しては、これは我々、臨床の場でも是非ともda Vinciの適用は徐々に広げていくべきものですし、何と言っても、非常に有用性のある機械です。何でもかんでもというわけではなく、限られた症例に対して是非とも進めなくてはいけないと理解していますので、これも「適」としました。以上です。
○猿田座長
 1つ、伺いたいのは、いわゆる阻血時間の問題です。これを、15%から25%上げて40%ぐらいに持っていきたいということですが、その辺りについてはどうなのでしょうか。
○斎藤技術委員
 これは実は背景があります。御存じのとおり、泌尿器科の疾患で最近一番増えているのは前立腺がんです。前立腺がんは70代、膀胱がんが60代と言いますと、腎がんは30~50代で見付かります。また、健診のエコーで見つかるという症例が多くて、手術をした後、これから生存期間が一番長いのです。そういう意味で腎機能の温存というのは非常に大事なのです。この25分以下かどうかという問題に関しても、例えば、オープンで腎部分切除をやっていた頃は40分でデータを出したりしていましたが、そのうち段々トレンドとして短かくなってきまして、30分、今は25分の論文が多いので。25分で切っていいのかどうかというのは問題になりますが、恐らく、データ的に一番分かりやすいのが25分だということで。これでこのパーセンテージがこれだけ改善するということは、将来、透析に移行するような患者を少なくするという意味で有用性は高いと判断しました。
○猿田座長
 そうすると、このda Vinciにして、そこまで阻血時間を持って上げていますね。そこは妥当だろうということですか。
○斎藤技術委員
 はい。飽くまでもこれは短期間では言えないことなので、長期的なデータで判断しなくてはいけないと思います。
○猿田座長
 では、田島先生から倫理的な面などについてお願いします。
○田島構成員
 説明文書について、利益相反の内容を具体的に書き加えていただきました。関連する企業からの資金の援助を受けて行うことなどを補足していただきました。それから、患者相談窓口について、臨床試験に関わる担当医師以外の窓口について書き加えていただきました。そのような修正がなされましたので、問題点は解消され、同意文書については「適」としました。
 次に、補償内容です。補償は無しとされています。補償については、保険の契約締結を検討されて、大手損害保険会社4社に打診されましたが、引受け不能とされたということで、補償なしとしている点については、やむを得ないと考えて、これも「適」としました。患者相談の対応は整備されています。以上です。
○猿田座長
 竹内先生から、試験の実施計画の問題と、中間評価のことなども含めて、お願いします。
○竹内構成員
 プロトコールの評価をいたしました。プロトコールはとても良く書かれていると判断しました。ただし、被験者の適格基準選択方法と有効性・安全性の評価について、少しコメントしたいと思います。ヒストリカル・コントロールを用いたワンアーム試験で、主要評価項目はヒストリカル・コントロールからのデータの推測から、非移行率が93%、切除断端陰性率が98%。それで、先ほど議論になっていた腎臓結紮時間25分以内の25%のデータは、ヒストリカル・コントロールからこう推測されています。それが一挙に100例までいってしまうということがありましたので、ヒストリカル・コントロールの適格基準を読みますと、直江先生からのコメントもあると思いますが、ヒストリカル・コントロールでは4センチメートルを超えたcT1の腎がんという患者で、今回は7センチメートルになっていて、そこが主要評価項目を決定するのによいかどうか分からないという疑問が残りました。一挙に100例までいくのであれば、ワンアームでオープンになっていますので、途中で結果を検討して、主要評価項目が適切であるかどうかを判断しながら試験を続けていただきたいというのが私のコメントです。
○猿田座長
 その点が引っ掛かるということですね。斎藤先生、その辺りについて何か御意見ありますか。
○斎藤技術委員
 何らかの症状があって来る患者さんの中で、実は、腎がんというのはほとんど症状がない方が多くて、先ほど言ったように、健診のエコーなどで見付かる。面白いことに、副腎と腎がんに限っては、健診センターでは肝臓と胆石をよく診ますので、右の腎がんや右の副腎腫瘍というのが左よりもよく見付かるのです。必ずしも右が多いわけではないと思うのです。お腹から肝臓の裏に見えてしまうということで、そういうことが多いのです。日本のガイドラインでは一応は4センチメートルということになっていますが、ヨーロッパのEUのガイドラインなどでは7センチメートルになっています。先ほどから言うように、技術が進んできますと、4センチメートルまで取れていた。その前は、オープンのときにも2センチメートルぐらいで、しかも外側だったものが、段々、4センチメートルとか、今は7センチメートルでも、特にda Vinciの場合は視野が非常に良いので安全に行われるということで、7センチメートルというのは私は妥当だと考えています。
 100例については、多施設で行うこともありまして、評価を出すためには100例ぐらいは必要ではないかという意見です。
○猿田座長
 では、もう一度、直江先生、総括的にどうでしょうか。
○直江構成員
 31ページに書きましたが、ただいまの御指摘と合わせて2つのことが指摘されていると思います。1つは、適格基準です。資料の444ページを御覧ください。神戸大学も含めて諸家の先生方が報告されているロボット支援手術による論文を一覧にまとめたものです。左から3つ目のカラムに「Mean tumor size」とあって、腫瘍サイズの中央値がどのぐらいかということですが、大体2~3センチメートルぐらいです。それから、先ほど問題になった阻血時間というのは、その隣の隣の「Mean WIT」で、どのぐらい腎臓に血液が行かないようにしたのかという時間です。大体20分台ということで、これも、40%の1つの根拠になっているのではないかという感じがしました。ということで、私の指摘の1点目は、4センチメートルを超えて7センチメートルまでのcT1腎がんについては、これまでの実施症例数も少なく、安全面から再検討が必要ではないかということです。
 2点目は、先ほど竹内先生は余り詳しくおっしゃいませんでしたが、主要評価項目というのが少し複雑で、通常の腹腔鏡手術から開腹手術へ移行しなかった率×切除断端陰性率、これは腫瘍がマージンを残してきちんと全部取れたということの率ですが、それに、×腎の阻血時間が25分以内のパーセント、これらを掛け算をしました。このロボット支援手術が開腹手術への非移行率は同等、断端陰性率も同等、腎の阻血時間が40%上がるということを掛け算して、23.3%に対して37.2%が優れているかどうかということを検証するという試験デザインになっています。私は素人なのですが、安全性や有効性は別々にステップ・バイ・ステップで評価するということに慣れている感じからすると、そういうものを数値化して掛け算して数値が上がるというのは、これはどういう手段でこうなるのかという疑問があります。ですから、先ほど竹内先生がおっしゃった40%の妥当性と、掛け合わせをすることの妥当性について、疑問が出たということです。
 1点目に関しては、申請者から回答がありまして、自験例では、腫瘍サイズと合併症には関連がないということで、そういう文献的な論文も確かにあります。そういうことなので、1点目の懸念は大方払拭できるのではないか。ただ、竹内先生もおっしゃったように、新たに多施設で100例もの症例を対象とするので、どこかで中間解析をするなど、安全面についても配慮してはどうかというのが私の意見です。
 2点目について、申請者らは回答しています。
 繰り返しになりますが、安全性、有効性、メリットを掛け合わせて評価する点、それから、40%についての意味や妥当性について、評価者が納得したかと言うと、そうではないと思ったので、このように書かせていただきました。皆さんの御意見で審議していただきたいと思います。以上です。
○猿田座長
 斎藤先生、恐れ入りますが、今の直江先生の御意見についてどうでしょうか。
○斎藤技術委員
 確かに、そういう御意見には十分納得はいくのですが。私は、症例数に関しては問題ないとは思いますが、中間報告を出すなどということに関しては、安全性という意味で必要ではないかと思います。
○猿田座長
 そうですね。竹内先生、どうですか。
○竹内構成員
 直江先生もおっしゃったように、この3つを掛け合わせていまして、それぞれの項目がヒストリカル・コントロールのデータから出てきていますので、果たしてそれでいいのかということを、100例まで終了して、やはり駄目だったというよりは、途中の所で判断して、妥当であれば最後まで実施したほうがいいのではないかという気はしました。
○山口座長代理
 我々の常識から言うと、大きいものは合併症は多いと思います。これはそうではないと言い切っていますが、本当にこれはサイズによって差がないのでしょうか。一部の人ではなくて、それは全世界の泌尿器科医のコンセンサスなのでしょうか。非常に疑問に感じるのですが。
○斎藤技術委員
 もう国際的には7センチメートルと言われています。日本のガイドラインがまだ小さいということで。
○山口座長代理
 腹腔鏡手術で、センチメートルごとにずっと、例えば合併症とか、時間が変わらないかとか、そういう基本的なデータはあるのでしょうか。
○斎藤技術委員
 後で腎摘になったりなど、そういうトラブルが起きるのは、実は、大きさによるよりも腎杯又は腎盂が開くかどうかという問題なのです。そこが開くと尿路が浮きますので、その時点で感染が起きて、後腹膜膿瘍などになって、やむを得ず取らざるを得ないということが起きます。ところが、このda Vinciの場合は肉眼で見るよりも安全に腎盂を縫合できる。しかも、神戸大学ではどうも2層で縫っているようなので、やはり安全性はかなり高い。それプラス、実質も縫っていますので、そういう意味では、大きいものに対して、肉眼でやるオペよりもda Vinciは意義があるのではないかと、技術的には考えています。
○山口座長代理
 理屈はそうなのです。私もペーパーをいろいろと読ませてもらったのですが、全部ほとんどがレトロスペクティブなスタディで、プロスペクティブなスタディがほとんどありません。胃のときにも少し申し上げましたが、こういう機械を導入した所は、都合のいいデータを出さざるを得ないということもあるかもしれないということです。その辺りの評価を非常に厳密にしなければいけないということが1つです。それから、そういうレトロスペクティブのスタディでもなかなか差が出せなくて、差を出すのに四苦八苦していて、ようやくここにたどり着いたというような感じがするのです。25分の問題についても、26分と、一体臨床的にどういう意義があるのか。そのときの有意の差というのは、何をアウトカムにして検証されたのかという点が詰められているのかどうかということを疑問に思います。やはり、安全性に関しては、そもそも、腹腔鏡の部分切除は、まだ成熟しているかどうか分からない時期に、昔のそういうものと比較してヒストリカル・コントロールするというのは適切ではないのではないかと思います。そういう経験を重ねた上でロボットをやった人のほうが上手いに決まっているので、そこを間違ってしまうとおかしいのではないか。胃のときにも申し上げましたが、やはり同じ疑問を抱かざるを得ないと考えます。
○猿田座長
 ほかに、どなたか御意見ございませんでしょうか。
○大門構成員
 直江先生と竹内先生も危惧されている掛け合わせについてですが、主要評価項目は、切除断端陰性かつ腎阻血時間25分以内の療法の状態を満たす患者さんの数の占める割合になります。これは例数設計で用いられている切除断端陰性となる状態を満たす患者さんの数の占める割合×腎阻血時間25分以内の状態を満たす患者さんの数の占める割合とは必ずしも一致しませんので、この点は統計家にも相談して検討していただいたほうがいいと思います。閾値や期待値も変わり得ますし、結果的に必要な被験者数も変わるかもしれませんので、御検討いただくほうがいいと思います。
○猿田座長
 竹内先生、今のことで何かコメントございますか。
○竹内構成員
 大門先生が今おっしゃったように、必ずしも独立しているものではないという観点と、ここで挙げているデータがヒストリカル・コントロールできているもので、本当にこのda Vinciを使っていいのかということが疑問点には残りました。
○猿田座長
 ほかに、どなたか御意見ございますでしょうか。
○山口座長代理
 前回、胃のときに関原さんがおっしゃったとおり、臨床的に非常に困っている問題をスーパーな技術で解決できるという視点があればいいのですが。この25分の意味がどれほどあるかは分かりません。例えば横浜に行くのに新幹線に乗ったほうが早いのですが、京浜東北線でもいいのではないか。私はそのように理解しています。でも、京都に行くにはやはり新幹線がいいと思うのです。ですから、こういう新しい機械は適用を間違えると、無駄に保険の資源を浪費することになるので、そういう観点もある程度は重要だと私は理解しています。
○猿田座長
 直江先生、総括的にどうですか。
○直江構成員
 今、出たポイントは、安全性と評価のことを考えて中間解析のことが1点です。2点目については、皆さんも同様の御意見だと思いますが、評価のポイントと方法に関して、統計家の先生とも相談して、もう一度出していただいてはどうかと思います。
○猿田座長
 直江先生からはそういう御意見ですが、どなたかいかがでしょうか。伊藤先生は何かございませんか。
○伊藤構成員
 皆さん段々と厳しくなるという気がします。ロボット手術のほうが最終的な成績が良いのであれば、傷口も含めて、そちらに移行するのではないかと個人的には思っています。ただ、比較すべきなのは、過去のオープンの試験なのか、内視鏡の手術なのか、そういったところをきちんと比較ができる形にしていかないといけない。山口先生がおっしゃるように、この手術をするに当たって、100万円の価値があるかどうかというのは、今後どのように評価していくのかということが委員の間でもコンセンサスがないのではないか。1%良くなるために100万円の価値があるか、認めるか、認めないかという判断ができないので、そこはどこかでコンセンサスを持っていないと、今後、評価する人が困るのではないかという気がします。
○猿田座長
 おっしゃるとおり、そこは非常に重要な問題ですね。確かに利点はあるし、お金の問題は問題ですが、内視鏡の手術を今までずっとやってきて慣れた先生は。
○山口座長代理
 これはまだ分かりませんが、例えば食道がんで、開胸しないでロボットを使ってやるとか、極めて操作が難しい手術など、そういうものに関しては大いに価値があるかもしれません。でも、ほかのものを見ていると、かなり苦しいアウトカムを指標に有用性を示そうとしているので、それが、皆が「これはいい」というようにいかないところだと思います。
○伊藤構成員
 前立腺とか、骨盤腔内とか、ある意味で、見る限りにおいては閉鎖区で狭い所の操作をロボットでやるというのは、メリットが出てき得るのではないかという気がするのですが、それが分かる資料にしていただければ。これは100万円の価値があると皆さんが納得すれば一番いいのではないかと思います。
○山口座長代理
 そういう意味では、腹腔鏡の手術がかなり優れていて、開腹に比べるといいので、それを凌ぐだけのものがないと苦しいのではないでしょうか。
○猿田座長
 効果的な方法であることは間違いないけれども、先生がおっしゃったように、その辺りを整理していただいて、もう一度出していただくという形ではどうでしょうか。
○医政局研究開発振興課治験推進室長
 今の御指摘は非常に重要な御指摘だと思います。今後の保険医療のことを考えると費用対効果の側面は非常に大事なファクターになってくると思っています。一方で、この技術審査部会で費用対効果の話を含めて御判断いただくのがいいのか、あるいは、別の会議でその辺のことをお考えいただくのがいいのかという側面も出てくると思います。その捌き方の問題も出てくると思いますので、そこは事務局でも検討させていただきたいと思います。
○猿田座長
 そうですね。この前のときにもそれを言われました。余り対費用効果のことばかりを言ってもということですね。
○関原構成員
 私も、その費用対効果の話ですが、斎藤先生がおっしゃったように、腎臓の話も、確かに40代の患者には効果は相当ありますが、日本の保険は年齢制限はなく、80代の人もやるということになるとバリューは、先ほどのエコノミクスは全く違います。今検討中の費用対効果というのは年齢のことは全く考えない評価ですので、これが非常に悩ましいのです。余り年齢の話をこれに持ち込んで、だからいいとか悪いというのは、議論がややこしくなるという気がします。
○斎藤技術委員
 技術的なことについてです。技術的には、私はda Vinciのオペは絶対的な優利性があると思います。それはなぜかと言うと、先ほど言ったネフレクになる症例とか、そういうものがある。目で縫っていると、やはりマイナー・リークがあって、ネフレクになる可能性があります。
 もう1つは、大きさについて、7センチメートルで取れないということになると、取ることになりますが、その後、50歳以下のうんと若い方は、反対の腎に代償性肥大が起きて、余り透析にならない症例も多いのです。ところが、年齢の話が出たのでお話したいのですが、ある程度高齢になってから取ることになりますと、これはもともと腎機能が悪い方を半分取ってしまうことになりますので、これはかなり将来的に透析になる可能性が増える。だから、年配の方にも有用性があるという技術がこれなのです。要するに、必ずしも若い人だけを助けるためにやろうとか、これだからやらないというわけではなくて、高齢こそ腎機能的に余裕がない。片方だけ取ると、透析に移行する率がうんと高まることも御理解いただきたいと思います。
○猿田座長
 先生方の御意見もよく分かりました。問題になったのは、先ほどの中間評価の問題と、最後の所の整理をしていただくということです。直江先生としては、最終的には28ページにまとめたとおり、継続審議ということで、早急に施設から返事を頂くという形でよろしいですか。直江先生の御意見はこの書類にあるとおりですが。
○山口座長代理
 私は賛成です。今回はエンドポイントがかなり難しい問題が出てきている。安全性に関わることですね。私はもっとすっきりしてほしいと思います。今おっしゃった、透析への移行率が腹腔鏡手術に比べてこれだけいいということがしっかり分かるようなデータを出してもらうといいのですが、非常に曖昧なところで、有用性が示せるかどうかという不安があるので、一度、検討し直していただいたほうがいいと思います。
○直江構成員
 透析移行率が最終的なエンドポイントだとは思いますが、ものすごく時間が掛かりますよね。ですから、私は、この施設に関してはもう既に47名やっていて、安全性という観点では問題がないであろうと思います。問題は有効性です。有効性を、腎阻血率25%をプラス15%にしたという所を、文献的に考察していただいて、その1点をエンドポイントに置くほうがすっきりするのではないかと感じています。それは統計の先生と申請施設が相談して、もう少し分かりやすいエンドポイントでの有効性を示されたほうがいいと思います。掛け合わせると、こちらが下がっても、こちらが増えれば一緒ということになるので、それはないのではないかと思うのです。
○猿田座長
 要するに、エンドポイントの所をもう少しクリアに示していただきたいということですね。
○柴田構成員
 既に竹内先生、大門先生からもコメントが出ている所ですが、少し補足させていただきたいと思います。このエンドポイントを掛け合わせだと見ると解釈が難しいのですが、文学的な表現をすると、望ましい形で手術を終えることができた患者の割合のエンドポイントです。つまり、例えば腎阻血時間が25分未満であったけれども断端陽性になってしまったのであれば、それは望ましい手術結果ではない。ということで、これは掛け合わせにはなっていますが、開腹移行をせずに、断端陰性で手術が終えられて、なおかつ、腎阻血時間25分以内に終えることができた、その3つの条件を満たしたときに望ましい手術結果であったということと解釈して、その望ましい手術結果であった結論に至った患者が37.2%になることを目標にしているというエンドポイントです。
 ですから、この3点セットが望ましい手術の終わり方であるという解釈が妥当であるかという臨床的な判断と、それから、既存の方法に比べて、それが約15%増えることに臨床的な魅力があるかという価値の話、それを合わせて議論していただく必要があるのではないかと思います。書き方が掛け算になっているので少し分かりにくいのですが、かみ砕いて解釈すると、そういうエンドポイントになっています。ただし、先ほど大門先生がおっしゃったように、3つの条件それぞれがブレるものですから、その所の扱いは慎重に検討する必要はあると思います。それはテクニカルな問題ではありますが。
○猿田座長
 今、柴田先生にまとめていただきましたが、とにかく、最後の所の結論の出し方だけを少しクリアにしていただくという形で、継続審議ということで、早急に施設と相談していただいて出し直していただく。
○医政局研究開発振興課専門官
 私は、施設と事前面談をしていて、この審議に諮っています。中間評価に関して竹内先生からコメントがあったと思いますが、申請者らは、中間評価については、今回はしないでもいいのではないかと考えています。その背景は、これはゴールが薬事承認ではなく保険収載であることであって、保険収載は2年に1回で次の診療報酬改定は平成28年です。もしそこでda Vinciが承認されなければ平成30年になってしまう。保険導入までに時間を要してしまう。中間解析では、もし、安全性評価でするのであれば、臨床研究に関する倫理指針の下で有害事象が報告されて試験の中止等が判断できると思うのです。そこを適用して、中間評価なしで100例のデータを集めたいということが神戸大学の主張でした。その辺りについてはいかがでしょうか。
○竹内構成員
 中間というのは、中間解析のP値を計算してほしいという意味ではなく、100例までいってしまうので。先ほどから話題になっているのは、ヒストリカル・コントロールのデータを用いて3つの評価項目について全部「適」「適」「適」でよかったということになっていますので、果たしてそれでいいのかということを、途中で「適切である」と、それなら100例まで入れていいということを審議していただきたいということです。ですから、解析をする必要はないと思うのです。継続可能かどうかということを審議していただきたい。このままであれば、例えば30例やった患者のうち何例がうまくいっていてよかったと、副作用もそれほど出ていないとなれば、次に集めていったとしても問題ないということを途中で1回審議していただけませんかということです。解析で言えば、P値は出していただく必要はないと思っています。
○医政局研究開発振興課専門官
 それは、効果安全評価委員会に諮るということは、届いている有害事象などを第三者で判断して、go、no goを決めるという形でよろしいですか。
○竹内構成員
 はい。
○医政局研究開発振興課専門官
 もう1点、サイズについてです。
○猿田座長
 7センチメートルに関して。
○医政局研究開発振興課専門官
 斎藤先生にも少し触れていただきましたが、私が承っているのは、da Vinciこそ、大きいほうが治療効果が大きいと言いますか、腹腔鏡に比べるとよいということなのです。事前のやり取りの中にもありましたが、神戸大学では50例の治療経験があって、16%で、4センチメートル以上7センチメートル以下の症例でやっていて問題ない。海外でも問題ないということです。斎藤先生もおっしゃったように、サイズも問題ないということでしたので、こういうものを進めていく必要があるのではないかと感じましたので、そこを御議論いただきたいと思います。
○猿田座長
 大きさに関しては、構成員の先生方も、これでいいのではないでしょうか。中間解析の考え方も、先ほど竹内先生がおっしゃったような形で、P値を出すのではないということで、それでできるだけ早く検討していただければ。
○竹内構成員
 問題なければ予定どおりということで。
○猿田座長
 それでいかがでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官
 結構です。
○猿田座長
 ただ、直江先生としては継続審議という形がいいということですが、それでも、できるだけ早く検討していただくということでいかがでしょうか。
○関原構成員
 先ほどの説明で、つまり、平成28年の診療報酬改定で保険に入れることを希望するということですが、逆に、その辺から従来型ではなくて本格的にやろうということは、これは費用対効果に必ず掛かるような話です。それは始まる前に、保険局は、こういう話についてどうなのですか。平成28年までにというのは。
○保険局医療課専門官
 費用対効果については、平成26年の診療報酬改定の付帯意見の中でも述べていますが、費用対効果の観点について、試行的導入も視野に入れながらということで、まだまだ議論が十分にできていないところだと思っています。現時点では、平成28年にその考え方を入れるということすら、まだ言えていませんし、そういう部分では、まだ中医協でもコンセンサスは得られていません。まだ議論をしている最中だということで御理解いただきたいと思います。
○医政局研究開発振興課専門官
 費用対効果については、このプロトコールの中でもデータが集められるようには設計していただいています。平成28年、平成30年に議論できるようにはプロトコールを作っていただいています。
○猿田座長
 では、時間がたってしまいましたが、先ほど直江構成員からお話があったように、継続審議ということで、先ほど挙げた問題を施設と早急に検討していただいて、出し直していただくということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
では、そのような形で処理いたします。竹内先生、どうもありがとうございました。
 次は、協力機関の追加ですね。事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料3-1、43ページを御覧ください。これまでに大臣告示されております4つの技術について、協力医療機関の追加申請がありました。資料3-2、45ページも併せて御覧いただけたらと思います。43ページに示しております告示番号040について、事務局において協力医療機関として提出のあった先進医療実施届出書等を確認した結果、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件、様式第9号を満たしていることから、協力医療機関の追加として御了承いただければと思います。
 また、資料中の下の枠内の協力医療機関については、既に各先進医療の協力医療機関として承認されていますが、平成26年4月1日付けで地方独立行政法人への移行や、事業譲渡により、別個の保険医療機関となったことから、改めて先進医療実施届出書等を提出したものであります。
 なお、これらの医療保険機関は引き続き先進医療を実施していただいております。特に御意見がなければ、追加の手続を進めさせていただきたいと思います。以上です。
○猿田座長
 今、御説明のありましたとおりです。それから、施設の要件に関しては、今の後に続きます。特に問題はないと思いますが、どなたか御意見はありますでしょうか。もし、特に御意見がなければ、追加を認めるということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは、続きまして、高知大学の医学部附属病院における事案について、事務局から御説明よろしくお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料4、49ページを御覧ください。高知大学医学部附属病院における事案について、事務局より説明いたします。資料4に示してありますように、高知大学医学部附属病院において、先進医療の実施に際して不適切な事項がありました。その中間報告を受けて、第14回先進医療技術審査部会において、この資料を用いて中間報告の結果を報告させていただいたわけですが、高知大学は最終報告を平成26年3月31日付けで公表いたしました。その結果をこの資料に盛り込んで、我々も再報告させていただきたいと思います。
 資料の下線で引いている部分が前回と比べて新たに追加した部分です。51ページに先進医療実施に係る違反について、これまで(1)(2)で問題点を指摘していましたが、新たに分かったこととして、51ページのマルの5「臨床研究に関する倫理指針」が求める公開されているデータベースに先進医療の試験実施計画を登録する作業を怠ったということが新たに分かりました。これは介入を伴う臨床研究は、UMIN等の公開されるデータベースに登録することを義務付けておりますが、その作業を怠ったということです。
 51ページ(3)は前回も御報告させていただきましたが、今回の先進医療実施に係る違反において、データのねつ造・改ざん、患者に先進医療と因果関係のある健康被害を及ぼすもの、患者の同意取得を怠ったもの、協力医療機関における先進医療実施及び臨床研究に関する倫理指針に関する違反はいずれもなかったということです。
 4.(3)に今回の事案の原因について、高知大学は以下のようにまとめました。マルの1として当該研究者らの先進医療実施及び臨床研究に関する倫理指針を熟知していなかった。マルの2相互のチェック体制が欠如していた。マルの3臨床研究を支援する組織の関与なく実施していた。マルの4実施部門と倫理審査委員会の連携の欠如が原因といたしました。
 今回の生じた不適切事案に対して、高知大学医学部附属病院は再発防止策を以下のように講じるといたしました。マルの1臨床試験支援部門にレギュレーション担当官を配置し、臨床研究支援窓口を一元化するとともに、セントラルデータマネジャー、モニターを配置し、体制整備を図る組織強化を進める。マルの2臨床研究に関わる全ての者に対する教育強化、倫理審査委員会への教育の義務付けを実施する。マルの3再発防止策の実施状況を半年毎に外部委員を含めた調査委員会に報告する。マルの4先進医療の実施に係る違反について、高知大学の就業規則等に基づき、単に実施責任医師らのみに留まらない範囲で監督責任者・事務職員を含む関係者に対して厳正に対応する、ということです。以上です。
○猿田座長
 今、細かく御説明いただきましたが、高知大学が主になってやっていたことです。先進医療に対する理解がちょっと欠けていたということで、こういった問題が起こりました。特に、データの偽造やねつ造など、そういうものではないということで、それが分かったことによって、今お話がありましたように、外部委員を入れて、調査委員会を設置して、原因の究明と再発防止に心掛けているということで、今、前向きに非常に努力をなさっているということです。
 特に病院全体として、こういったことで力を入れてやっていくということが分かっていますので、是非そういう形で進めていただければと、私どもとしては考えます。せっかく、ここまでやっていたわけですから、しっかりともう1回教育をし直してやってもらえればと考えます。どなたか、委員の方で御意見がありますか。
○田島構成員
 当然、今後しっかり対応していただく必要があると思います。こういう臨床研究に携わる方々の教育といいますか、研修体制が、この高知大学に限らず、非常に脆弱な実態があるように思っております。今後、全研究者にこれを徹底するように、他大学にもきちんとアナウンスしていただきたいと思います。
○猿田座長
 特に、先進医療に対する理解が欠けていて、今、高知大学以外のところでも同じようなことがやはり起こっています。ですから、先進医療はどういう制度であって、どういう形でやるかということと臨床研究の進め方です。その辺りをもう1回徹底しなければいけないだろうということです。そういうところが欠けていたので、これからしっかりやってくださることをお願いするしか方法はないかと考えます。
 ほかに委員の方で御意見がありますでしょうか。
○関原構成員
 本件はほかの大学へもしっかり徹底するように指示して欲しい。高知大学にやれと言うのは当然の話です。田島先生のおっしゃるように、全てのところに対して、これを徹底させる文書を出すなど、そういうことです。
○医政局研究開発振興課治験推進室長
 御指摘ありがとうございます。こういったような案件の発生を踏まえまして、また後ほど別件でもう1件御報告をさせていただくこともありますが、私どもから既に先進医療を実施している医療機関に対して、再度自主点検を行うようなお願いをしています。また、その徹底を図りたいと考えております。田島先生から今後教育や研修などが非常に重要だという御指摘がありました。先日、4月17日に臨床研究の制度の在り方に関する検討会の第1回会合が行われました。そこでも同様の議論がやはりなされました。今後、私どもとしてもそういったような現場の研修や教育など、このようなことの充実について、検討会の御議論を踏まえながら、充実させていきたいと考えております。
○猿田座長
 厚生労働省ではそういう方針で今やっていただくということです。今度のことはやむを得なかったとしても、お認めいただいたということで、実際には高知大学から2件の取下げがありました。少し御説明いただけますか。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料5-1、55ページを御覧ください。今回の事案を受けまして、先進医療Bの取下げが高知大学医学部附属病院より提出されています。取下げの理由は55ページの中段、真ん中のコラムに書いてありますが、本件先進医療の実施に係る違反が判明したため、被験者の保護、高い品質の管理や品質保証に基づいた試験実施が困難であること等のため、先進医療Bを取り下げたいとの申請がありました。1点目がそれです。
 引き続いて、57ページも併せて御覧いただきます。これは高知大学より申請されていて、継続審議となっている案件です。今回と同様にアミノレブリン酸を用いて、先ほどは膀胱がんでしたが、前立腺がんに対して、光らせてその診断精度がどうかを検証する試験デザインでした。取下げ理由としては、高度医療評価会議の指摘事項に従って対応を検討してきましたが、その対応に長期を要し、現行の実施体制、特にモニタリングの方法、データセンターの体制ではデータの信頼性及び品質に懸念が生じる可能性を否定できないと考えたため、一旦取り下げて出直したいということです。以上、御審議をお願いします。
○猿田座長
 今、御説明いただきましたこの2つの案件、これはやむを得ないですね。
○斎藤技術委員 もったいない技術だとは思います。1回、出直していただいてもらいたい。
○猿田座長
 早く体制を整えて、また直ちに始めていただけるようにしていただければと思います。もし、御意見がなければそれでは、この時点では取下げを認めていただくということにさせていただきます。
○医政局研究開発振興課専門官
 資料6に行かせていただきます。先日、4月17日に先進医療会議において、この2件の先進医療Bの案件が審議されて「適」との御判断を頂きました。その御報告をさせていただきたいと思います。資料の059、060が先進医療会議で「適」との判断を頂いて、5月以降先進医療実施が可能となる予定です。以上です。
○猿田座長
 どなたか御意見がありますでしょうか。よろしいでしょうか。特に御意見がなければ、次に移ります。それでは、その次をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 最後です。資料とは別に追加資料をお付けしてあります。追加資料、金沢大学記者会見という資料を御覧ください。一昨日、4月22日、金沢大学附属病院において、先進医療で実施しています告示番号001カフェイン併用化学療法について、先進医療の実施に係る「臨床研究に関する倫理指針」違反行為の調査について公表されましたので、御報告させていただきます。
 この追加資料が金沢大学から公表された資料です。これを拝見しますと、2.の(2)、同療法に基づく治療について「臨床研究に関する倫理指針」に違反すると考えられる以下の行為が存在したため、今後詳しく調査を行う予定であるということです。具体的にはマルの1マルの2マルの3が記載されています。詳細については外部委員を含めた調査委員会を立ち上げて調査をして、それを厚生労働省に報告していただくことになっております。
 3番、今後の対応についてですが、今回の事案に対して、今後速やかに外部の有識者の参画を得た調査委員会を設置し、事実関係の究明とルール違反等の問題点の明確化、再発防止策の策定のための検討を開始する予定であり、早急に中間報告を取りまとめる所存でありますということで、今回は第1報として、こういう事実関係が明らかになったことが報告されました。以上です。
○猿田座長
 この件に関して、どなたか御意見がありますでしょうか。昨日も新聞にも大分細かく書かれてありました。早急に対応していただくということかと思います。前に1回、ヒト幹のことで違反があったりしましたから、その辺り厳重にやっていただくことが非常に重要かと思います。よろしいでしょうか。それでは、ともかく金沢大学でそういった形での対応をしていただいているということですから、金沢大学の報告を待つことになるかと思います。御意見がなければ、そういう形で進めさせていただきます。ありがとうございました。
 そうしますと、今日御議論いただく点は以上です。これからの日程ですか。よろしくお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官
 次回の予定についてお知らせいたします。5月の開催は22日木曜日16時から18時とさせていただきます。場所については別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。
○猿田座長
 どうもありがとうございました。全体として、どなたか御意見がありますでしょうか。せっかくの機会です。一番は先ほどあった高知大学の例、あるいは金沢大学のように、先進医療に対する考え方が徹底していない。あるいは、こちらからの広報も悪いのかもしれませんが、できるだけそういったことを注意していかなければならない。これからできるだけ、事務局とも相談して、しっかりとそういった点は通達していかなければいけないと思います。
 もし、ほかに御意見がなければ、それではこれで第16回の先進医療技術審査部会は終わります。御協力ありがとうございました。



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