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2013年11月27日 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録

○日時

平成25年11月27日(月)18:00~


○場所

航空会館201会議室


○出席者

出席委員(17名)五十音順

◎五十嵐    隆、 石 井 則 久、 遠 藤 一 司、 生 出 泉太郎、
○大 野  泰 雄、 柿 崎    暁、 國 頭 英 夫、 斎 藤    充、
  高 杉  敬 久、 戸 部 依 子、 新 見 伸 吾、 日 野 治 子、
  槇 田  浩 史、 三 谷 絹 子、 三 宅 良 彦、 村 島 温 子、
  矢 野     哲
(注)◎部会長 ○部会長代理

欠席委員(5名)五十音順

加 藤 進 昌、 金 澤   實、 倉 山 英 昭、 林  邦 彦、
渡 邉 治 雄

行政機関出席者

成 田 昌 稔 (大臣官房審議官)
森 口    裕 (安全対策課長)
広 瀬    誠 (安全使用推進室長)
山 本 弘 史 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)

○議事

○事務局 定刻になりましたので、「平成25年度第2回医薬品等安全対策部会」を開催いたします。

 本日の部会は公開で行いますが、カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。また、傍聴の方々におかれましては、「静粛を旨とし喧噪にわたる行為はしないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」など留意事項の厳守をお願いたします。

 本日御出席の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。本日の会議は、金澤委員、倉山委員、林委員、渡邉委員より御欠席の御連絡があり、加藤委員より直前に御欠席の御連絡がありまして、現在17名の委員に御出席いただいております。本部会の定員は22名ですので、定足数に達しております。

 それでは議事に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。以後の議事進行は、五十嵐部会長にお願いいたします。

○五十嵐部会長 それでは、議題に入ります。事務局から、審議参加に関する遵守事項について、説明をお願いいたします。

○事務局 薬事・食品衛生審議会参加規程について、御説明いたします。本日の審議事項のうち、議題1は「ビダラビン」及び「トロキシピド」のリスク区分の見直しについてです。「ビダラビン」については、対象企業、競合企業として、佐藤製薬株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、大正製薬株式会社から、「トロキシピド」については、佐藤製薬株式会社、大正製薬株式会社、エーザイ株式会社、東亜薬品株式会社からの、過去3年度における寄附金等の受取について申告いただきました。なお、競合品目・競合企業については、事前に各委員に資料をお送りして確認をいただいております。

 それでは、委員からの申出状況について御報告いたします。五十嵐委員より、グラクソ・スミスクライン株式会社より50万円超500万円以下の受取、エーザイ株式会社より50万円以下の受取との申告がありました。柿崎委員より、エーザイ株式会社より50万円超500万円以下の受取との申告がありました。日野委員より、グラクソ・スミスクライン株式会社より50万円以下の受取との申告がありました。三谷委員より、グラクソ・スミスクライン株式会社より50万円以下の受取、エーザイ株式会社より50万円以下の受取との申告がありました。三宅委員より、エーザイ株式会社より50万円超500万円以下の受取との申告がありました。村島委員より、グラクソ・スミスクライン株式会社より50万円以下の受取、エーザイ株式会社より50万円以下の受取との申告がありました。

 ビダラビンのリスク区分について審議する間は、五十嵐委員に、トロキシピドのリスク区分について審議する間は、柿崎委員、三宅委員におかれましては、出席し、意見を述べることはできますが、議決には加われないこととなります。

 また、審議事項議題2「医薬部外品及び化粧品の副作用報告制度について」ですが、本事項は、個別の医薬部外品等に係る審議ではないため、薬事分科会審議参加規程に基づき、影響を受ける企業からの申告を厚生労働省ホームページで公開することをもって、審議及び議決に参加できることとなっております。なお、審議会参加規程を踏まえ、影響を受ける企業として、大正製薬株式会社、武田薬品工業株式会社、第一三共ヘルスケア株式会社、株式会社資生堂、花王株式会社、株式会社カネボウ化粧品とし、これらからの過去3年度における寄附金等の受取について申告いただきました。

 委員からの申出について御報告いたします。五十嵐委員より、武田薬品工業株式会社より50万円以下の受取との申告がありました。遠藤委員より、武田薬品工業株式会社より50万円以下の受取との申告がありました。柿崎委員より、武田薬品工業株式会社より50万円以下の受取との申告がありました。槇田委員より、武田薬品工業株式会社より50万円超500万円以下の受取との申告がありました。三谷委員より、武田薬品工業株式会社より50万円超500万円以下の受取との申告がありました。三宅委員より、武田薬品工業株式会社より50万円超500万円以下の受取、第一三共ヘルスケア株式会社より50万円超500万円以下の受取との申告がありました。村島委員より、武田薬品工業株式会社より50万円超500万円以下の受取との申告がありました。

 先にも申し上げましたが、これらの申告については、厚生労働省ホームページで公開いたします。

○五十嵐部会長 ただ今、事務局から説明いただきました審議参加に関する遵守事項について、よろしいでしょうか。

 特にないようですので、競合品目・競合企業の妥当性を含めて御了承いただいたことにしたいと思います。それでは、事務局から本日の配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 各委員の先生方には、事前に資料を送付させていただいておりますが、お手元の資料の確認をお願いいたします。配布資料一覧で御説明いたします。議題1の一般用医薬品のリスク区分について、資料1「製造販売後調査の終了等に伴うリスク区分の変更について」、資料1-1「ビダラビンのリスク区分について」、資料1-2「トロキシピドのリスク区分について」、参考資料1-1「一般用医薬品のリスク区分の変更手順について」、参考資料1-2「一般用医薬品のリスク区分」、参考資料1-3「リスク区分変更に係るパブリックコメントに寄せられたご意見」、議題2として資料2「医薬部外品及び化粧品の副作用報告制度について()」、議題3の医薬品等の市販後安全対策について、資料3-1「医薬品等の使用上の注意の改訂について」、資料3-2「ヒドロキシエチルデンプン含有製剤の使用上の注意の改訂について」、資料3-3「ワクチン、抗インフルエンザ薬の安全性に関する評価について」、議題4の医薬品等の副作用等報告の状況について、資料4-1「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等報告について」、資料4-2「国内副作用報告の状況(医療用医薬品)」、参考資料4-2「薬効分類表」、資料4-3「国内副作用報告の状況(一般用医薬品)」、資料4-4「国内感染症報告の状況」、資料4-5「外国における新たな措置の報告状況」、資料4-6「研究報告の報告状況」、議題5の医薬品の感染症定期報告の状況について、資料5-1「感染症定期報告感染症別文献一覧表」、資料5-2「感染症定期報告の報告状況」、議題6のその他として、資料6-1「薬用化粧品の副作用への対応について」、以上です。過不足がありましたら、お申し付けください。

○五十嵐部会長 特に足りない方はいらっしゃいませんね。

 よろしいですか。それでは、議題1に入ります。ビダラビンの審議については、私の利益相反の関係から、大野部会長代理に進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○大野部会長代理 それでは、代理で座長を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。議題1の審議ですが、ビダラビンについて事務局から概要の説明をお願いいたします。

○事務局 審議事項である議題1「一般用医薬品のリスク区分について」、事務局より御説明いたします。お手元に、資料1、資料1-11-2、参考資料1-1から1-3を御用意ください。まず、資料1を御覧ください。現在、第1類医薬品でありますこれら2つの成分について、製造販売後調査の終了に伴い、リスク区分の変更の検討をお願いするものです。参考資料1-1にありますとおり、一般用医薬品のリスク区分の変更等については、安全対策調査会において、専門家の方々や関係学会等の御意見を踏まえ事前整理をした上で、その結果とパブリックコメントの結果を踏まえ、安全対策部会で調査・審議を行い、リスク区分の変更の要否について答申を得るものとされております。資料1にあります2成分のリスク区分については、7月25日に開催されました安全対策調査会で検討されましたので、その整理結果とパブリックコメントの結果を御報告し、御審議をお願いするものです。

 各成分について御説明いたします。まずビダラビンですが、口唇ヘルペスの再発治療薬です。資料1-1 に、ビダラビンの製造販売後調査報告書と、添付文書を示しております。安全対策調査会において、製造販売後調査では重篤な副作用は報告されていないが、口唇ヘルペスは診断が難しい病気であり、類薬のアシクロビルと同様に、過去に医師の診断、治療を受けた方に使用が制限されていることから、慎重に扱うべきである。類薬であるアシクロビルと同様に、第1類医薬品とすることが適当である、との御意見をいただき、その後30日間のパブリックコメントを実施しております。パブリックコメントの結果については、参考資料1-3を御覧ください。ビダラビンについては、引き続き第1類医薬品とすることが妥当である旨の意見が1件寄せられております。ビダラビンに関しての説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○大野部会長代理 ありがとうございました。ただ今の説明について、御意見、御質問はありますか。

○生出委員 薬剤師会の生出です。参考資料1-3ですが、日本薬剤師会からパブリックコメントとして出した意見です。この中で、私どもが一番危惧しているのは、下から4行目の「また、今般、市販直後調査の終了を受け、インターネットによる販売がなされることが想定される。インターネット販売を行う業者においても、画像などを用いた患部状態の確認や患部の写真をホームページに例示するなど、消費者の適正使用の確保に努めていただきたい。」ということで、今、正に改正薬事法の審議がされている最中です。それが通りますと、当然インターネットでも販売されることが想定されることから、このような意見を述べさせていただきました。

○大野部会長代理 ありがとうございます。これについて、事務局から説明はありますか。これは、第1類でもインターネットで販売できるということですね。

○事務局 今、ちょうど国会で審議しているところで、法案が通って成立しましたら、また細かいところについては報告させていただきたいと考えております。

○生出委員 よろしくお願いいたします。

○日野委員 やはり、この薬剤は、疾患が特殊ですし、使い方もある程度の知識がないと使えない薬品ではないかと思います。ですから、今、先生がおっしゃったように、インターネットで販売すること自体が間違っているのではないかと私は思います。薬剤師よりも医師の診断を受けてから使うべき薬品ではないかと思いますので、これは是非考慮すべきで、もちろん1類に置くべきだと思います。

○大野部会長代理 1類は、もう自動的にインターネットで販売できる方向になるのですか。それとも、1類の中でも分類して、これはそうしないようにとかはあるのですか。

○安全使用推進室長 一般薬のリスク区分の1類、2類、3類とは別に、要指導医薬品というようなカテゴリーができることを、今御審議をいただいているところです。その要指導医薬品に指定されている間は、インターネット販売ではなく、対面での販売が義務付けられるということです。

○大野部会長代理 分かりました。これについては、そういうところに指定するかどうかは、また検討の余地があるということなのですか。

○安全対策課長 その辺りは、またこれからの議論になるとは思います。今、日野先生が言われたように、この薬は自覚症状がきちんと分からないといけないということで、現在でも既に一度診断を受けた方でという縛りが掛かり、口唇ヘルペスの薬には皆そういう条件が付いております。売り方についても、インターネットで売る場合も薬剤師とインターネット上でやり取りをして、自覚症状や、過去に診断を受けたことがあるかということは確認した上で、商品発送をしていただくというような縛りは掛かることになろうかと思っておりますので、全然分からない人がいきなり買うというようなことはないような縛りを掛けたいと思っております。

○日野委員 過去にという部分もきちんと書いてはありますが、やはり診断はそのときそのときによって症状が違っていたり、ほかの病気の場合もありますので、やはりそれは診断されてからの方が好ましいと思います。ですから、やはり1つの縛りがあった方が、私はよろしいと思います。

○大野部会長代理 それについては、これからの検討ということになるのですね。1類に指定しなかったら、きっとそれももう駄目ですね。

○安全使用推進室長 1類の分類と要指導薬とは別の規制にはなります。ただ、1類というのは、きちんと薬剤師が応対をして、医師に事前に診断を受けているかも確認をした上で対応するということになっておりますので、そういった意味では、1類に指定していただくことが妥当ということであれば、かなりそういうところの面での手当てはなされるのではないかと思っております。

○大野部会長代理 ありがとうございます。日野先生、生出先生、そのような説明ですが、よろしいですか。

○生出委員 私どもとしては、日野先生に御意見を頂きましたように、薬剤師会として国民への啓発活動という中で、対面の方が、より安全性が高まることを訴え続けていきたいと思っております。

○國頭委員 今更なのですが、前に診断を受けたことがあるということは、自己申告なのですか。平たく言えば、嘘をつけば嘘をつけるということなのですか。別に、診断書を要求するというものではないですね。

○安全使用推進室長 ないです。

○國頭委員 本人がそうだと言えば、それが通るということですか。

○安全対策課長 正直ベースで考えざるを得ないとは思います。

○國頭委員 御本人が本当のことを言っているということを、前提としているということですね。

○大野部会長代理 ほかに先生方から御意見はありますか。

○戸部委員 この薬の絶対的な安全性、副作用という意味では、この報告のデータで分かるのですが、今お話があるように、第1類というそれなりの取扱いの部分においては、患者あるいは消費者がきちんと選べているかどうかのデータを取る必要もあると思っています。ですので、例えば今までの製造販売後の調査の過程で、医師の診断を受けたことのない人が実際薬局に行かれて、薬剤師さんの応対によって、あなたはこの薬は使えませんよと言われたケースがどのぐらいあるのかも、データとしてあれば、やはり薬剤師の応対が必要だなというところで分かるのではないかと思いました。

○安全使用推進室長 そうですね。データがきちんと取れているかという点では、私たちも詳細までは把握しておりませんので、そこは、何とも言えません。ですが、この1類医薬品については、きちんと書面で御説明をさせていただくということで、書面の中にもそのようなことも書かれておりますので、薬剤師さんがきちんとやっていただいていることを信じております。

○大野部会長代理 薬剤師の立場の方々、よろしくお願いいたします。ほかに御意見はありますか。

 それでは、第1類の指定のままにすることについて、そうでなくてもいいという御意見がありましたら、お伺いしたいと思います。

 それでは、第1類医薬品に留めるということについて異論はないと判断してよろしいでしょうか。

 ありがとうございます。では、そのように結論いたします。ビダラビンのリスク区分の審議はこれで終了いたします。五十嵐先生に座長をお返しいたします。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。では、次にトロキシピドについて、事務局から概要説明をお願いします。

○事務局 事務局から、胃腸薬でありますトロキシピドについて説明いたします。資料1-2を御覧ください。トロキシピドの製造販売後調査報告書と添付文書を示しております。安全対策調査会における議論においては、トロキシピドは消化器内科において粘膜保護剤として使用される薬であり、H2ブロッカーやプロトンポンプインヒビターが頻用される中で、比較的副作用が少なく安全に使用できる。製造販売後調査では、重篤な副作用として、発熱が1例だけ報告されているが、経過を見ると入院後軽快しており、副作用としては比較的軽いものである。類薬であるソファルコン、テプレノン等と同様に、第2類医薬品とすることが適当である、との御意見をいただいております。

 その後、30日間のパブリックコメントを実施しておりますが、トロキシピドに関しては特に御意見等はありませんでした。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明に対して、御意見、御質問はいかがでしょうか。

 特にありませんか。それでは、議決を取りますが、申出に基づきまして、柿崎委員、三宅委員においては、議決への参加を御遠慮いただきます。このトロキシピドについては、第2類とすることでよろしいでしょうか。

 それでは、異議なしとさせていただきます。ただ今御審議いただきました、ビダラビンとトロキシピドのリスク区分案について、今後の予定を事務局から説明をお願いいたします。

○事務局 本日御審議いただきました結果に基づき、リスク区分の指定・変更に係る告示の改正の手続を進めたいと思います。どうもありがとうございました。

○五十嵐部会長 議題2に移ります。事務局から、概要説明をお願いします。

○事務局 審議事項議題2「医薬部外品及び化粧品の副作用報告制度について」、事務局より御説明いたします。

 資料2 医薬部外品及び化粧品の副作用報告制度について()を御覧ください。平成23年の茶のしずく石鹸による健康被害の発生や、本年に発生したカネボウ化粧品の美白化粧品による皮膚障害の発生など、医薬部外品や化粧品による販売前に想定されなかった未知の副作用事例が発生していることを踏まえ、また、前回の第1回部会において、委員より副作用報告制度の強化について検討すべきとの御指摘を頂いたことも踏まえ、今後の同様の事例を早期に把握し、迅速に対応することを目的として、医薬部外品及び化粧品の副作用報告制度の強化について、現在、検討を行っているところです。

 今般、医薬部外品及び化粧品の副作用報告の制度改正について事務局内で検討を行い、また、厚生労働科学研究「ロドデノール配合薬用化粧品による白斑症状の原因究明・再発防止に関する研究班」に参加されている先生方からの意見も踏まえた上で、具体的な制度改正案について取りまとめております。この研究班についての資料を資料6-1としてお配りしております。2ページを御覧ください。こちらに記載しているとおり、白斑症状の原因究明・再発防止について検討するための研究班を立ち上げており、3ページに記載しているとおり、皮膚科医の先生や毒性・品質等に関する専門家の先生にお集まりいただいております。この研究班の班会議を1118日に開催し、医薬部外品、化粧品の副作用報告制度についても御意見を頂き、それらの御意見を踏まえて、制度改正案について取りまとめております。この研究班については、後ほど改めて御説明いたします。

 資料2に戻ります。本日は、資料2に記載した制度改正案を御説明するとともに、これらについて御審議いただきたいと考えております。

 制度改正案の内容について順に御説明します。「1.個別症例の報告の義務化について」を御覧ください。現在、薬事法第77条の4の2第1項に基づく製造販売業者から行政(PMDA)への報告については、1ページに記載した表のとおり、医薬品や医療機器に比べて、医薬部外品や化粧品において報告が必要な情報は限定されており、研究報告、つまり当該製品で健康被害が発生するおそれがあることを示す国内外の論文等のみとされております。医薬品や医療機器で求められている重篤な副作用の個別症例報告など、下の表でバツ印が記載されている部分は、現在は報告不要となっております。また、本部会でも報告しておりますが、茶のしずく石鹸による健康被害の発生を踏まえ、平成23年8月24日付けの安全対策課長通知において、医薬部外品や化粧品による個別の症例情報についても研究報告として報告を行うよう、現在、行政指導により指導を行っております。今回の改正案は、医薬部外品又は化粧品により発生した副作用を迅速かつ確実に把握するため、これまで通知に基づく行政指導で求めてきた個別症例報告について、1ページの表の網掛けの部分、バツからマルに矢印を引いておりますが、このとおり薬事法施行規則を改正し、個別症例報告を法令上義務付けるよう変更するものです。報告期限については、医薬品と同様に死亡症例又は未知の副作用の場合は、製造販売業者が情報を知った日から15日以内に、既知の副作用については30日以内に報告することとしたいと考えております。

 「2.報告が必要な副作用の範囲について」を御覧下さい。1.で御説明したとおり、医薬部外品、化粧品についても個別症例報告を求めることとなりますが、その際の報告の範囲についての検討です。現在の医薬品の副作用報告制度では、死亡又は重篤な副作用症例については個別報告が必要とされておりますが、その定義は国際基準であるICHガイドラインに準じ、死亡、障害、死亡につながるおそれのある症例、障害につながるおそれのある症例、治療のために病院又は診療所への入院若しくは入院期間の延長が必要とされる症例、これらの症例に準じて重篤である症例、後世代における先天性の疾患又は異常とされており、おおよそ入院相当以上の症例が対象となっております。これらの定義に該当する症例は、製造販売業者が情報を入手次第、個別に、未知のものについては15日、既知のものについては30日以内に報告することが義務付けられております。一方、医薬部外品や化粧品については、人体に対する作用が緩和なものとして製造販売が認められている製品で、本来は副作用が発生する可能性が低いこと、また、健康な人が使用することが多く、使用者数も多いと考えられることから、仮にその使用により副作用が発生する場合は、その迅速な把握を行う必要があると考えております。また、リスク・ベネフィットの観点からも、疾病の治療など有効性を持つ医薬品に比べ、医薬部外品や化粧品は許容される副作用の範囲も狭いと考えられるので、より広い範囲の副作用症例を把握し、対応する必要があると考えております。そこで、アンダーラインを引いた部分ですが、現在、医薬品において個別症例報告の対象とされている重篤な副作用症例、つまり入院相当以上の症例に加え、医薬部外品、化粧品については、治療に要する期間が30日以上の症例も個別報告が必要な症例に含めることとしたいと考えております。ここで30日以上とした理由ですが、1つは、薬事法とは別の法律として、消費生活用製品安全法という法律があります。こちらは家電製品や洗剤等、いわゆる消費者が使う製品であって、ほかの法律の対象となっていない製品全般を対象とする包括的な法律です。こちらの法律では、製品によって生じた健康被害であって、治療に30日以上を要する健康被害については、重大事故として消費者庁への報告が義務付けられております。このことから、同程度の健康被害を対象とすることが望ましいと考えていることが挙げられます。2つ目の理由としては、今回の改正の対象となる医薬部外品や化粧品の中には、皮膚に使用する製品が比較的多いと考えられますが、皮膚は通常30日程度でターンオーバーすると言われており、その期間内に回復する症例は比較的軽微なものと言えるかと思います。今回の制度改正では、医薬部外品又は化粧品で生じるすべての副作用を把握することが目的ではなく、その中でも特に重大なものを迅速に把握し、適切に対応することを目的としているので、治療に30日以上を要するものについて重点的に把握することが望ましいと考えております。これらの2点を考慮し、30日以上という日数を設定しました。また、コメ印で記載しておりますが、今般問題となった白斑症状についても、治療に30日以上が必要な場合は個別報告義務の対象となります。

 「3.GVP省令の改正について」を御覧下さい。医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令(GVP省令)は、医薬品や医薬部外品、化粧品等の製造販売業者の許可要件となっており、市販後安全対策の実施内容を定めた省令です。この省令の第7条では、製造販売業者が行わなければならない安全管理情報の収集及び記録について規定しておりますが、現在のGVP省令では、医薬部外品や化粧品の製造販売業者は「学会報告、文献報告その他研究報告に関する情報」及び「その他安全管理情報」のみ、収集や記録の義務が課せられており、医薬品の製造販売業者に義務付けられている医療関係者からの情報や行政機関からの情報、外国政府、外国法人からの情報などは、現在、収集・記録の対象とはなっておりません。

 2つ目ですが、今回、先ほど御説明したとおり、医薬部外品及び化粧品の副作用報告義務の対象を拡大することに伴い、製造販売業者が収集・記録を行うべき情報も拡大させる必要があることから、GVP省令を改正し、医薬品と同様に医療関係者からの情報や行政機関からの情報等を追加することとしたいと考えております。これにより、医療機関等から寄せられる副作用情報について、軽微な副作用も含めて各企業が収集・記録を行うこととなるので、先ほど御説明した治療を要する期間が30日、これに満たない軽微な症例も含め、企業で情報の集積が行われ、必要に応じて対応を行うこととなります。

 現在、事務局において検討している医薬部外品及び化粧品の副作用報告に係る改正案の概要は以上の3点ですが、これらについて御意見を頂きたいと思います。以上です。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。それでは、ただ今の御説明に対して御意見、御質問等はいかがでしょうか。

○石井委員 この表にありますように、重篤な副作用の報告は義務付けるということでいいですね。また、化粧品などはかなり長期間使うし、毎日ではなく、ときどき使ったりもするので、1か月以上ぐらい長きにわたって症状が出るということで、30日以上というのは分かります。

 もう1つ、3番目に企業が情報を収集するということが言われています。医薬品会社が持っている化粧品部門はいいのですが、化粧品だけの会社の場合、情報収集能力は余りないと思うのです。その辺りの情報収集の仕方を企業にどうやって指導していくのかを考えないといけないと思うのですが、いかがでしょうか。

○事務局 御指摘のとおり、化粧品業者の場合、医薬品製造販売業者と比べて医療機関から情報を得るチャンネルが比較的少ない部分があるかと思います。一方、どちらかというと消費者から直接寄せられる、例えばコールセンターやお客様相談室のような所へ情報が入ってくることが多いかと思いますので、そういった情報も必要なものは適切に収集・記録ができるように通知等で指導していきたいと考えております。

○國頭委員 医者側から言うと、例えば化粧品を使って変なことが起こったという人が外来に来て相談を受けたとします。薬でしたら病院でしたらMRがいるので、つかまえてどうなのだと聞けば分かるのですが、化粧品会社に知り合いはいないので、どこにどうしていいのか、医者も困ります。それはどこにするものなのか、少なくとも私は知りません。どこに報告していいのかも分かりません。コールセンターに患者が直接電話をかけて苦情をおっしゃったとして、電話口でどのぐらい重篤なのかが分かるとは思えません。それを、医者に行けとコールセンターに言われるのか、それで患者が面倒だと思ったらそれでおしまいになるのか。行ったら行ったで、化粧品会社からこう言われたのだけれどもと言われても、私がそのドクターだったら、次にどうしたらいいのか分からないと思うのです。ですから、その道筋を今までと違うことを考えなければいけないので、ある程度はっきりしていただかないと、私が当事者になったときには困ると思うのです。

○安全使用推進室長 できれば、実際に使っている製品を正確に覚えていない場合もありますが、なるべくお聞きいただいて、その会社の方に第一報を御連絡いただくか、若しくは医療機関報告の制度があるので、用紙を書いていただくことになりますが、先生自ら厚生労働省に報告いただくということでつなげていただけるかと思います。

○國頭委員 後者はまだ分かるのですが、会社にと言われても、資生堂やカネボウの営業所がどこにあるのか分かりませんからね。どこかに窓口があるものなのですか。

○安全使用推進室長 1つは、もしパッケージか何かで消費者の方が保管されていれば、そこには何らかの連絡先が書かれているのではないかと思います。どこかのコールセンターでなければいけないということもないので、そこの会社のどこかの部署に御連絡いただくことでも大丈夫だと思います。

○國頭委員 世の中の混乱をなるべく少なくするように、スムーズにその情報が出るようにということを考えていただきたい、それだけです。

○安全使用推進室長 実際の運用に当たっては、やり方や通知等の周知を検討したいと思います。

○事務局 1点補足します。メーカーへの副作用情報の報告ですが、必ずしもドクターから直接送っていただかなければならないものではなく、どちらかというと、化粧品会社の連絡先自体は消費者御自身の方が把握されている事例も多いかと思いますので、ドクターの診断結果を受けて、消費者御自身がメーカーに連絡をされるケースも現状たくさんあるかと思います。そのルートと、直接医療機関から情報を頂くルートと、どちらでも対応可能かと思います。

○國頭委員 医者には報告義務はあるのですか。医薬品の場合はありますね。

○安全使用推進室長 医療機関や医療従事者の報告義務は、現在、化粧品や医薬部外品については、義務は掛かっておりませんが、医薬品・医療機器と併せて、通知によるお願いということで収集自体はしております。

○日野委員 医薬部外品に関して、何も取決めがなかったこと自体がいけなかったと思いますし、収集の仕方も、医師も患者も会社のお客様相談センターに電話をするかもしれませんが、そういった所で幾つも掛かってくればすぐに分かりますので、それを届けるように義務付けるような取決めがあってもいいのではないかと思うのです。そうでないと、先生がおっしゃったように、なかなか集積しないのではないかと思います。何か取決めを作っておくのも1つではないかと思います。

○安全使用推進室長 3番でも触れましたが、GVP省令の中で、製造販売業者の方が収集しなければいけない情報なども整理しますので、対応したいと思います。

○日野委員 やり方についても、締付けみたいな取組をしないと、なかなか集積してこないのではないかと思います。

○安全使用推進室長 GVP省令は許可要件にもなっているので、許可更新の際には必ず都道府県が査察に行って、GVP省令をきちんと守ってやっているか、入手した情報を安全管理責任者のところに集約しているか、記録をきちんと残しているか、評価をしているかといったことがGVP省令に書かれているので、それを守っていなければ許可更新できなくなりますので、こういう義務がかかれば、企業はやらざるを得ない。それを都道府県が定期的に査察に入る形になるので、先生の御懸念は解消されるかと思います。

○日野委員 もちろん、企業報告が必要な副作用報告の内容は、医薬部外品に関して15日以内とか30日以内に届けなければならないことは分かりますが、重篤な副作用に加えて治療に要する期間が30日以上の症例というのは、重篤な副作用「又は」なのですか、「かつ、又は」なのですか。足すということですか。

○安全使用推進室長 重篤な副作用のものとは別に、加えて30日以上のものもという意味です。

○日野委員 そうすると、治療に要する期間が30日以上の症例だけれども、重篤でなければならないのですか。

○安全使用推進室長 重篤かどうかは、全然別のカテゴリーになります。30日以上の治療に要するものは、重篤でも非重篤でも報告対象になります。

○日野委員 ただ、治療に関して30日以内に治ってしまう場合もあります。例えば、非常に症状がひどくても、ステロイドを投与してしまえば、治療に関しては30日以内に治ってしまいますが、そういった場合はどうなるのですか。重篤な方に入れるのですか。入院もしないで済むこともあります。

○安全使用推進室長 入院もしないで済むということであれば、今までの取扱いでは非重篤のものに入るかと思います。

○日野委員 30日ということで案として挙げられているのは分かります。今回はいいかもしれませんが、将来、30日に関して状況に応じて見直す方向でいった方がいいのではないかと思います。30日にこだわらないで、もっと症状が激しい場合もあるので、ここで30日と決めてしまうと、30日でなければということになってしまいます。今はいいかもしれませんが、30日に関しては見直す方向でいくべきではないかと思います。

○安全対策課長 医薬品の副作用報告についてはICHで議論されて、日・米・欧の3局で同じ基準で集めておりますが、化粧品の健康被害の報告についてはそういうものがないのです。欧米の状況を説明すると、ヨーロッパは医薬品と同じく重篤が対象になっています。アメリカはそういう報告義務がなくて、業界がボランティアで運用している状況です。国際標準がない中でどこに置くかということで、取りあえず今回30日という案を作りました。今後この報告状況を見て、これでは先生の御心配のとおり、収集すべきものがまだ足りないということが分かってくれば、更に見直しを考えたいと思っております。

○五十嵐部会長 確認ですが、医師が重篤と判断した症例と、治療に30日以上必要な症例と、両方が入るということですか。A&BではなくAorBということですね。

○安全対策課長 はい。

○國頭委員 治療に30日と、言葉尻をとらえるようですが、どうしようもないから諦めろということで続いてしまったのが30日以上というものがあります。薬の重篤・非重篤と化粧品とでは、特に私のように抗がん剤を見ていると、化粧品でどうこうというのは大概非重篤です。しかし、それはもともと健康な人が使うわけだから、癌を持っている人とレベルが違うわけで、治療に必要というのと、やりようがなくて、変わらないのだけれども、御本人にとっては、とにかくうっとうしい。御本人にとっては病気だったら我慢しろで済むというのと、ニュアンスが大分違うような感じがします。そこを考えて30日とされたのでしょうけれども、治療に30日必要というところが少し引っかかります。症状は残っているが、治療は必要もないし、やりようがないということもあるだろうと思うのです。

○事務局 御指摘の点は、いわゆる経過観察が30日以上続いている場合はどうなるのかという御質問かと思います。今回、改正案の参考としている消費生活用製品安全法では、Q&Aの中で、経過観察期間は原則として治療期間には含まれないという解釈を示しております。また、仮に経過観察期間もすべて治療期間とみなした場合は、例えば化粧品によるかぶれが生じて、それは数日程度で治ったのだけれども、念のため1か月間様子を見るといった、実際には軽微なものもすべて報告義務の対象になってくるので、報告件数が大幅に増大することが想定されます。対応が必要な重大な副作用が埋もれてしまうおそれもありますので、今回の副作用報告制度については消費生活用製品安全法と同様に、経過観察のみを行う期間は原則として治療期間には含まないという形にしたいと考えております。ただ、何らかの後遺症が残るもの、あるいは白斑のようになかなか回復しないものなど、ケースによっては報告対象にすべきものも考えられるので、何らかの基準や事例が示せないか、Q&Aの記載を工夫して対応したいと考えております。

○石井委員 もう一度確認ですが、資料2の表の中の、医薬部外品・化粧品のところで、重篤な副作用の報告は、バツがマルになるのですね。

○事務局 はい。

○石井委員 既知もバツがマルになるのですね。だから、重篤が拾えるということですね。

○事務局 はい。

○石井委員 もう1点、化粧品の場合、皮膚科ではパッチテストをやります。パッチテストで陽性になったときには、普通は患者にこの化粧品はかぶれるから使うなと言って、それで一件落着になるのですが、これからはパッチテスト陽性になったものも報告することになるのですか。

○事務局 パッチテスト自体は治療とは切り離して考えていただいて。

○石井委員 例えば、化粧品によって紅斑がひどくなったとか、接触皮膚炎になったとか、そのためにパッチテストをやりますね。そうすると、その化粧品によって副作用が出たことになります。その原因が分かったということなので、有害事象が起きたから報告しなければいけないということになるのですか。

○事務局 有害事象や副作用に該当しているというのは御指摘のとおりですが、30日以上の解釈としては、発生した副作用、健康被害の治療に何日かかったかという考え方をしますので、パッチテストにかかる時間は別にして、発生した副作用自体の治療の日数で考えていただくことになると思います。

○五十嵐部会長 いろいろと具体的なことを、Q&Aのようなもので補足しないといけないかもしれません。ほかにいかがですか。

○三谷委員 繰り返しのような議論になりますが、もちろん製造販売業者からの届出の義務化は必要な第一歩だと思うのです。ただ、特に化粧品に関しては、その症状が重篤か非重篤かという問題に関しては、現場の医師の判断と患者、あるいはお客さん本人が考える重篤・非重篤にはかなりDiscrepancyがあるのではないかと思います。これは大事な改正の第一歩だと思いますが、消費者、患者からの声を直接抽出するようなシステム作りも将来的には検討していただけるとよろしいかと思います。

○矢野委員 化粧品はよく分からないので教えていただきたいのですが、大半の女性が使われていると思いますが、化学薬品を皮膚に塗布するわけですね。アナフィラキシーなどが起きるかもしれませんが、製品には薬品のように使用上の注意などは添付されているのでしょうか。

○安全使用推進室長 一応、外箱や容器に、かぶれが起きた場合にはとか、そういったことが書かれています。

○五十嵐部会長 ほかにいかがでしょうか。特に反対意見、あるいは修正意見はありませんか。

○戸部委員 先ほどから、治療に要する期間は30日以上の症例ということが話題になっていますが、治療に要する期間が30日以上というのは結果です。消費者が何かあって、病院、あるいは製造者に連絡をするときは、何日でどうなるか分からない状態で連絡すると思うのです。いろいろな人がいると思うので、結果的に報告義務があるものは30日以上の症例ということですが、そういった消費者の声を聞くときに、何を確認しないといけないのかを決めておかないと、データとして医療機関に行った場合、メーカーに行った場合とバラバラになると、重篤なものの予兆が把握できなくなるかと思います。申出があったときに、どこに行っても同じような情報収集ができるような体制も必要かと思いました。

○安全使用推進室長 先ほど座長からもお話がありましたが、Q&Aみたいなもので、どういう場合はどうだということで、皆さんが共通の理解になるような仕組みを考えていきたいと思っております。

○五十嵐部会長 具体的なものがないと難しいかもしれません。それは、本日は用意していませんが、後日用意していただけると思います。ほかにいかがでしょうか。

 それでは、特段の反対意見がないようなので、基本的には事務局の説明の方向性で進めるということでよろしいでしょうか。

 それでは、そういう方針で、あとはQ&Aで補足をしていただくことを考えていただきたいと思います。ただ今、御審議をいただいた医薬部外品と化粧品の副作用報告制度の改正案の今後の予定について、事務局から御説明をお願いします。

○事務局 本日御審議いただいた御意見を踏まえ、今後、速やかに省令の改正案等を作成し、パブリックコメントを実施した上で制度改正を進めていく予定です。また、本日御指摘いただいたとおり、Q&Aや通知等の整備も併せて行っていきたいと考えております。

○五十嵐部会長 議題2の審議は以上で終了します。議題3に移ります。事務局から資料の説明をお願いします。

○事務局 資料3-1を御覧ください。医薬品等の使用上の注意の改訂についてです。本年8月9日に開催された前回の医薬品等安全対策部会で7月までの改訂の報告をしておりますので、今回は8月~10月までに改訂の通知を発出したものを報告します。8月に17件、9月に11件、10月に12件の改訂を行いました。これらの使用上の注意の改訂については、本部会の先生方に事前に確認をいただいたものであり、また、これらの改訂時にPMDAメディナビで配信するとともに、PMDAの情報提供ホームページと医薬品医療機器等安全性情報にも掲載しておりますので、詳細の御説明は省略しますが、このうち4件について紹介します。

 3ページの表の通し番号13-51及び13-52、黄連解毒湯、加味逍遙散、辛夷清肺湯の漢方製剤について、重大な副作用の項に、長期投与により、腸間膜静脈硬化症があらわれることがあるため、腹痛、下痢、便秘、腹部膨満等が繰り返しあらわれた場合、又は便潜血陽性になった場合には投与を中止し、CT、大腸内視鏡等の検査を実施するとともに、適切な処置を行うことについて追記しました。

 また、5ページ、通し番号13-57のロサルタンカリウムについて、重大な副作用の項に、低ナトリウム血症を追記しました。

 6ページ、通し番号13-59及び13-60の血液代用剤、ヒドロキシエチルデンプン含有製剤について、重症敗血症などの重症患者管理を目的とした使用に関する注意喚起を追記したものです。その内容について、この後、資料3-2で説明します。

 また、7ページ、通し番号13-64、ボルテゾミブについて、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性でHBc抗体陽性ないしHBs抗体陽性の患者において、本剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎が現れることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと、本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うことなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の兆候や症状の発現に注意することについて、重要な基本的注意の項などに追記しました。資料3-1については以上です。

○事務局 ヒドロキシエチルデンプン含有製剤の安全対策について御説明します。資料3-2を御覧ください。ヒドロキシエチルデンプン含有製剤(以下「HES製剤」)は、膠質浸透圧作用に基づく血漿増量作用を持つ血液代用剤です。本邦においては、平均分子量70000DaHES70000が昭和49年より販売されており、本年3月には平均分子量130000DaHES130000が新たに承認され、10月から販売されております。平成25年6月に、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品安全監視リスク評価委員会(PRAC)より、HES製剤による腎機能障害等に関する臨床試験成績を根拠として、HES製剤の販売承認停止勧告が出されたことを踏まえ、本邦でもHES製剤の安全対策措置について検討を行い、平成25年9月に製造販売業者に対して添付文書の使用上の注意の改訂を指示しておりますので、御報告します。

 PRACによる販売停止勧告の根拠となった臨床試験においては、重症敗血症患者及びICU入室患者に対してHES130000を投与した場合に、リンゲル液や生理食塩液等を投与した場合に比べて腎代替療法や死亡に至るリスクが高かったことが示されております。また、この臨床試験結果を裏付けるメタアナリシスの論文が、本邦におけるHES130000の承認後、複数報告されています。米国の食品医薬品局(FDA)は、これらの臨床試験成績を踏まえ、平成25年6月に添付文書のBoxed Warningの項に敗血症及び腎機能障害のある患者ではHES製剤を使用しないよう追記しております。なお、HES70000は、日本国内でのみ販売されている製剤で、PRACによる販売停止勧告の根拠となった臨床試験では使用されておりません。

 本邦における状況ですが、本邦においては、本年10月にHES130000が発売されるまでは、HES製剤はHES70000のみで、承認効能は「各科領域における出血多量の場合」及び「体外循環における血液稀釈液」であることから、重症敗血症等の重症患者管理における出血を伴わない相対的な循環血液量低下への投与は想定されません。また、そのような用途でHES70000が投与されて、腎機能障害や死亡に至った症例は報告されておりません。

 以上のことを踏まえ、HES70000に関しては、添付文書の効能・効果に関連する使用上の注意の項において、重症敗血症等の重症患者管理における相対的な循環血液量低下には使用しない旨の注意喚起を行い、併せて類薬(HES130000)の情報として、重大な副作用の項に腎機能障害を追記するとともに、欧州のPRACの勧告の根拠となった臨床試験の成績を記載することが適切であると判断しております。

 一方、HES130000は、先般、日本でも承認され、10月から販売されていますが、承認効能は「循環血液量の維持」とされているので、重症敗血症等の重症患者管理における相対的な循環血液量低下への投与が想定されます。本剤の承認審査自体は、欧州で販売停止勧告が出される前に行われていますが、欧州での販売停止勧告の根拠となった臨床試験成績も含めて審査されており、その上で承認されています。承認時の添付文書の「重要な基本的注意」及び「その他の注意」の項にも、欧州の勧告の根拠となった臨床試験の成績が記載されております。なお、国内の臨床試験において、腎機能に関連した安全性に関する問題点は示唆されておりません。今般のPRACによる販売停止勧告を受け、国内承認後に報告されたメタアナリシスの論文等も含めて、再度PMDAで検討しております。その結果、やむを得ない状況における重症敗血症等の重症患者管理における相対的循環血液量低下への使用については、必要な患者も一定程度おり、その可能性を完全に閉ざしてしまわない方がよいだろうということで、禁忌とはせずに、警告欄を添付文書に設け、重症敗血症等の重症患者管理における本剤投与に関しては患者の状態を悪化させるおそれがあるため、治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与するよう注意喚起を追記し、また、「重大な副作用」の項に腎機能障害を追記することが適切であるという判断をしております。これらの検討に基づき、平成25年9月17日に製造販売業者に対して使用上の注意の改訂を指示し、現在の添付文書には重症敗血症等関連の注意が記載されております。

 なお、欧州のその後の状況ですが、医薬品製造販売承認取得者より再検討の要請が出され、PRACが再検討した結果、敗血症、熱傷重症患者については禁忌とされ、適切なリスク低減措置が取られ追加的な試験が実施される場合には、急性失血による血液量減少症の患者には使用できるという結論になっております。これは、この後、最終判断を行う欧州委員会に送られるということです。以上です。

○事務局 続いて資料3-3「ワクチン、抗インフルエンザ薬の安全性に関する評価について」です。本年9月12日及び1028日に開催された安全対策調査会において、ワクチン、抗インフルエンザ薬の安全性について評価いただきました。ワクチンに関しては、厚生科学審議会予防接種ワクチン分科会の副反応検討部会との合同で開催しています。

 1の百日せき、ジフテリア、破傷風等のワクチンの副反応報告状況で、本年4月~6月末までの副反応報告の状況は、表1のとおりです。この期間の副反応報告は百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンは、医療機関から28名、うち重篤が7名、製造販売業者からは3名の報告があります。ジフテリア破傷風混合トキソイドについては、医療機関から12名、うち重篤が1名、製造販売業者からは1名が報告されております。表の3つ下、麻しん風しん混合ワクチンでは、医療機関から34名、うち重篤が16名、製造販売業者からは7名が報告されております。さらに3つ下、BCGワクチンでは医療機関からは41名、うち重篤が7名、製造販売業者からは4名が報告されています。

 次のページです。定期接種化されていない、おたふくかぜワクチンなどの副反応報告状況は、御覧のとおりです。これまで安全対策調査会において評価されている、ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンなどの副反応報告の状況と比べて、大きな差はありませんでした。

 このうち2ページの()「ロタウイルスワクチンについて」は、米国のサーベイランス事業において、5価ロタウイルスワクチン「ロタテック内用液」のリスク解析が行われ、初回接種で腸重積症が増加するなどの結果が得られたことから、添付文書の副作用欄に腸重積症を加えるなどの措置を行うこととなりました。もう1つ承認されているロタウイルスワクチン「ロタリックス内用液」については、米国のサーベイランス事業では症例数などの理由により、検出力が足りないという結果になっていますが、既に添付文書には腸重積症が副作用欄に記載されている状況です。

 続いて、2のヒブ、小児用肺炎球菌、不活化ポリオ等のワクチンの副反応報告状況です。本年4月~7月末までの副反応報告の状況は、3ページの表2のとおりとなっています。この期間のヒブワクチンの副反応報告は医療機関から76名、うち重篤は40名、製造販売業者からは42名が報告されております。小児用肺炎球菌については医療機関から81名、うち重篤が42名、製造販売業者からは53名が報告されております。表2の下部、子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」については、医療機関から106名、うち重篤が56名、製造販売業者からは60名が報告されており、同じく子宮頸がん予防ワクチン「ガーダシル」については、医療機関から102名、うち重篤が31名、製造販売業者から23名が報告されております。子宮頸がん予防ワクチンについては、本年6月14日にワクチン接種の有効性と比較した上で、定期接種を中止するほどリスクが高いということは評価されませんでしたが、接種部位以外の体の広い範囲で持続する疼痛の副作用症例等について、十分に情報提供ができない状況にあるとして、接種希望者の接種機会は確保しつつ、適切な情報提供ができるまでの間は積極的な接種勧奨を差し控えるべきということとなり、予防接種法における積極的受診勧奨を差し控えることとなりました。このため、この期間の子宮頸がん予防ワクチンにつきましては、接種可能延べ人数が減少している一方、副反応報告数が増加していることから、これまでに比べて副反応の報告頻度が上がっています。このワクチン以外のワクチンについては、これまでの副反応報告の頻度に比べ大きな変化はありませんでした。

 3ページ()「死亡症例の評価について」です。専門家の評価がなされた5名については、死亡とワクチン接種との直接的な明確な因果関係は認められないと評価されており、ヒブ、小児用肺炎球菌ワクチンでの死亡例の報告頻度は、安全対策調査会で取り決めた急ぎ対応の検討が必要とされる数値を下回っており、引き続き報告状況を監視していくということとなっています。

 続いて、3の抗インフルエンザ薬の副反応報告状況についてです。昨シーズンの抗インフルエンザ薬の副作用の状況について、安全対策調査会で御議論いただき、インフルエンザ罹患に伴う異常行動の発現に関する厚生労働科学研究によれば、インフルエンザ罹患時の異常な行動の発生状況は、従来の報告とおおむね類似しており、抗インフルエンザ薬の使用の有無、種類にかかわらず発生しています。抗インフルエンザ薬ごとの副作用報告制度による異常な行動の報告数及び死亡症例数は、表3のとおりです。死亡症例の10症例については、情報不足等で抗インフルエンザ薬との因果関係を評価できないとなっております。これらの死亡症例について、異常行動によるものはありませんでした。以上のことから、引き続き抗インフルエンザ薬の処方の有無、種類にかかわらず、異常行動の注意喚起に努めるということになっています。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。御質問、御意見はいかがでしょうか。

○高杉委員 資料3-2のヒドロキシエチルデンプン含有製剤に関して、書き方が甘いと思います。HESというのは、血液が不足しているというのは昔の資材で、危険があるならもっと厳しく書かれるべきだろうと思います。分子量が半分でも腎不全は起こりますので、ほかの治療がたくさんある時代に、まだこれを認める理由は、私はないと思いますが、いかがでしょうか。

○五十嵐部会長 事務局、どうですか。

○事務局 HES70000の方に関しては、今回問題となっている臨床試験では投与されておりませんし、重症敗血症等の重症患者管理については、効能・効果上投与されないと考えておりますので、類薬の情報として注意喚起もしておりますし、そもそも効能・効果関連注意の所で、重症敗血症等には使わないように注意喚起することで、対応したいと考えております。

○高杉委員 それは分かりました。分子量の低い方も危ないと言っているわけです。注意喚起だけでいいのですか。データがないからではなくて、危険性のあるものはもっと厳しく書くべきだろうし、もっとほかの治療の代用ができるわけだったら、今更これを使うことはない。もっとそれぐらいに厳しく書かないと、また起こる可能性は非常にあります。お答えは、今なくていいです。

○國頭委員 事務局がこれを承認したいと言っているわけでも何でもなくて、別の会で別の専門家の先生たちが、こういう理由でということをされた結果なのでしょうけれども、文献は並べてありますが、今ここで文献が出てくるわけではないので、これをしていい悪いというのを判断する根拠は、先生は御存知なのでしょうけれども、私のような門外漢にとっては、いいとか悪いを、ここでどうこうしろと言われても困ってしまいますね。

○高杉委員 やはり副作用はあるのだから、もっときちんとしたことをしてほしいと思います。それは別の委員会でも結構ですので。

○事務局 本件につきましては。

○高杉委員 言い訳は要りません。きちんと調べてください。

○五十嵐部会長 この部会でそういう御意見が出たということをお伝え下さい。

○安全使用推進室長 御意見があったということを、関係するところにもお伝えして考えていきたいと思います。

○五十嵐部会長 あと、参考文献1)のスペリングが間違っていて、「severe」のはずが、「e」が抜けています。ほかに何かありますか。

 よろしいですか。それでは、そういう御意見があったということを記録に残しておいていただきたいと思います。資料4にいきます。

○事務局 資料4-1「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等の報告について」です。平成25年4月1日~平成25年7月31日までの4か月間に受け付けた副作用報告などに関する状況を報告するものです。報告事項は大きく2つです。1つ目として1の製造販売業者からの報告、2つ目として2の医薬関係者からの報告です。

 1の()製造販売業者からの国内症例の報告状況です。今回対象の4か月間で、医療用医薬品について13,970件、一般用医薬品について87件、合わせて14,057件の報告を受け付けています。また、感染症報告は、医療用医薬品について33件の報告を受け付けています。前回の部会にて御報告した平成2412月1日~平成25年3月31日までの4か月間の報告件数は、副作用報告が13,931件、感染症報告は49件で、報告件数としては大きな変化はありませんでした。

 1の()外国症例の報告状況です。この4か月間で副作用報告が87,997件、感染症報告が9件ありました。なお、前回の4か月間の報告数は副作用報告が84,724件、感染症報告が12件であり、大きな変化はありませんでした。

 1の()外国での新たな措置の報告状況です。この4か月間で431件の報告を受け付けています。前回の4か月間の報告数は346件であり、大きな変化はありませんでした。

 1の()研究報告の報告状況です。この4か月間で434件の報告を受け付けております。前回の4か月間の報告数は376件であり、大きな変化はありませんでした。

 2は医薬関係者からの報告です。この4か月間に1,938例の報告を受け付けています。前回の4か月間の報告数は1,218例であり、若干増加いたしました。

 資料4-2から資料4-6は、副作用報告、感染症報告、外国措置報告、研究報告の概要の資料です。資料4-2は、この4か月間に報告された医療用医薬品の国内の副作用報告について、医薬品別、副作用名別の件数を整理したものです。薬効分類別に並べていますが、薬効分類については、参考資料4-2の表を御参照ください。表の見方に幾つか注意事項があります。1として、これらの副作用報告は医薬品との因果関係が不明なものを含め、製造販売業者などから報告されたもので、個々に医薬品との関連性を評価したものではありません。2として、副作用報告の件数については、平成25年4月1日~平成25年7月31日までに報告されたものですが、同一症例に複数の被疑薬が存在し、同じ症例が複数の企業から報告された場合は重複してカウントしておりますので、ここで報告された件数がそのまま症例数にはなりません。3として、副作用報告の件数について、本報告期間中に報告されたものであっても、本報告期間中に追加情報により因果関係が否定された場合や重篤性が変更となり報告対象外になった場合には、報告件数から除外しております。4として、報告件数は副作用名別の件数で示したものであり、1症例で複数の副作用を発現する場合がありますので、副作用報告件数を合計した数が報告症例数になるわけではありません。以上です。

 資料4-3「一般用医薬品の国内の副作用報告」です。一番左の行に薬効群の名前を示しています。こちらを参考に御確認いただければと思います。

 資料4-4「感染症の報告状況」です。多くが輸血用血液製剤に関連する感染症の報告です。

 資料4-5「外国での新たな措置の報告状況」です。資料4-6「研究報告の報告状況」です。簡単ではありますが、副作用などの報告状況については以上です。

○安全使用推進室長 補足させていただきます。資料4-3、一般用医薬品については、今年の2月27日に通知を出しまして、今まで販売経路についてはボランタリィに入れていただいていて、指導通知に基づいて入れさせていただいていたものですが、今回からきちんと販売経路について空欄はないようにということで、必ず記載する項目ということで整理をさせていただきました。これは3月1日から適用されていますので、4月1日以降の報告受付分については、販売経路が空欄のものはなくなっています。しかしながら、企業の方には医療機関等に調査に行っていただくわけですが、実際に問診の際等に、どういう経路で購入されたかを患者から聴き取れていなかったり、情報がなかった場合には「不明」ということになっておりまして、引き続き「不明」がかなりの数を占めているという状況はあります。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。委員の先生から、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。

○生出委員 関連なのですが、資料4-3です。販売経路も設けていただきまして、ありがとうございます。ただ、以前にあったと思うのですが、副作用があった後の転帰について記載がないので、死亡例があったのか、重篤な副作用がどのぐらいあったのかが、ここでは分からないので、どのような状況にあったのか教えていただきたいと思います。それと、今後転帰の欄を設けていただきたいというのが要望です。

○安全使用推進室長 2点目の転帰の欄を設けることについては、対応するようにしたいと思います。

○五十嵐部会長 患者が重篤な状況かどうかということは、本日分かりますか。

○機構 今回の報告分においては、死亡症例は0で、ここにきているのは全部重篤症例という形で報告となっています。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

 ないようですので、次の議題5に進みます。資料の説明をお願いします。

○事務局 資料5-1、資料5-2です。医薬品の感染症定期報告の状況についてです。感染症定期報告は薬事法に基づき、製造販売業者が製品又はその材料による感染症に関する論文等を報告するものです。今回は、本年4月~7月末までに報告された感染症定期報告を取りまとめており、合計で356件の報告がありました。資料は資料5-1「感染症定期報告感染症別文献一覧表」及び資料5-2「感染症定期報告の報告状況」で、これらの資料については感染症定期報告を基に、医薬品医療機器総合機構において、整理作成しています。資料5-2については、感染症定期報告の報告ごとの整理で、製造販売業者ごとの医薬品の成分ごとに整理していることから、同一文献が複数回掲載されていたり、前回の本部会で報告されたものも含まれておりますので、新規の文献について、感染症ごとに整理している資料5-1を用いて報告させていただきます。

 本年4月~7月末までに報告された新規の文献及び報道記事等、131件をまとめています。今回、比較的報告が多かった感染症は2ページ~7ページに報告の概要がある、インフルエンザ、鳥インフルエンザに関するものが34件で、その中でも中国でのインフルエンザA(H7N9)の報告が多くありました。次いで、10ページから始まるウイルス感染に関するものが28件で、中東での新規のコロナウイルス感染事例に関する報告が多くなっています。次いで、18ページ~19ページにかけてのウシの結核に関するものが8件です。今回の感染症報告についても、事前に国立感染症研究所の渡邊委員、石井委員、国立医薬品食品衛生研究所の新見委員にも御確認いただいております。直ちに安全対策措置を講ずるものはなく、また今回は特段のコメントをするものもなかったと伺っています。以上です。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。委員の先生方から、御意見、御質問はいかがでしょうか。

 よろしいですか。ないようですので、議題6に進みます。事務局から資料の説明をお願いします。

○事務局 議題6「薬用化粧品の副作用への対応について」です。資料6-1、追加資料を併せて御覧ください。カネボウ化粧品等が製造販売していたロドデノール配合薬用化粧品については、大学病院の皮膚科医の先生から、「化粧品の使用と白斑発症の因果関係が疑われる」との指摘を受け、カネボウ化粧品が本年7月4日より、製品の自主回収を開始するとともに、白斑様症状の申出者を訪問し、その症状の確認を進めてきたところです。

 追加資料の裏面です。カネボウ化粧品が会社のホームページで公表している最新の数字によると、1031日時点で、販売店の在庫の回収は終了しているということで、消費者からの回収数は、当初カネボウの推定では家庭にある製品数は約45万個ということでしたが、これに対して現在は67.1万個の回収となっています。白斑様症状の確認数は、1110日時点でトータル16,608名に症状があったことが確認されており、うち何らかの症状が残っている方が13,207人、完治又はほぼ回復された方が3,401人です。ただ、これは1回目の訪問時の状況です。2回目以降の訪問で症状が確認できた方というのが、1ページの下の方です。797名のうち、約7割の方に回復傾向が見られているということです。

 資料6-1の2ページです。厚生労働省では、今般の薬用化粧品によると疑われる白斑の問題を受け、厚生労働科学研究費による研究班を立ち上げています。この研究班では、臨床症状及び非臨床試験データを踏まえた白斑の原因究明を行うとともに、再発防止を目的として、承認審査時及び製造販売後における医薬部外品の安全性等に関するデータの収集、解析手法の検討を行うこととしております。

 議題2の、「医薬部外品及び化粧品の副作用報告制度の強化」の所でも少し御説明いたしましたが、この研究班は今月18日に第1回目の会議を開きまして、その中でも御意見を頂いて、その意見も踏まえた上で、事務局として副作用報告制度の強化の案を作って、本日御審議いただいたところです。本研究班の研究成果については、動きがありましたら順次、薬事・食品衛生審議会に御報告する予定です。

 5ページです。医薬部外品及び化粧品の副作用報告については、癌、過敏症、皮膚障害等の保健衛生上注意を要する有害な作用が起こること、又はその可能性があることを疑う情報を医療関係者から入手した場合には、この事実を示す報告書類を社内において取りまとめ、研究報告として提出するよう、平成23年の「茶のしずく事件」のときに通知しています。これは現行制度の話です。医薬部外品及び化粧品によると疑われる白斑の情報についても、この平成23年の通知に基づいて、研究報告としてPMDAに報告していただいているところですが、「報告対象の範囲が明確でない」という御指摘が各方面からありましたので、本年11月5日付けで、Q&Aということで発出いたしまして、報告対象を明確にしています。今後省令改正により、きちんと個別症例報告を法令上義務化する予定ですので、それまでの間の措置になります。

 前回の部会においても御説明しておりますが、本年8月にロドデノール配合薬用化粧品以外の医薬部外品、化粧品についても、白斑などの情報がないか自主点検を行っていただき、必要があれば研究報告を行うように、各メーカーに対して通知していますが、現在幾つか提出されている研究報告について、PMDAにおいて因果関係の評価等を行っているところです。こちらについては、評価がまとまり次第、安全対策調査会等で、追加の対策の必要性などについて御議論いただきたいと考えております。以上です。

○五十嵐部会長 ありがとうございました。ただ今の御説明に対し、御意見、御質問はいかがでしょうか。

 特にないですか。議題6については終了します。本日予定していた議題は以上ですが、事務局から何か追加はございますか。

○事務局 本年8月の部会、その前の昨年11月の部会でも、國頭先生から御質問をいただいていましたランマークの検査頻度の件について、宿題とさせていただいておりましたので、現在の状況を簡単に説明いたします。

 ランマークについて簡単に復習させていただきますと、ヒト破骨細胞分化因子に対するヒト型モノクローナル抗体製剤であり、多発性骨髄腫による骨病変、固形癌骨移転による骨病変の進展を抑える薬剤です。破骨細胞の活性化を抑制するということですので、骨吸収を抑制する作用がありますので、当然血中のカルシウムが下がるので、低カルシウム血症を引き起こすおそれがあります。低カルシウム血症の患者、重度の腎機能障害患者においては、慎重投与とされています。本剤が発売された平成24年4月17日から8月31日までの間に、重篤な低カルシウム血症の副作用が32例報告されまして、そのうち因果関係が否定できない死亡例が2例報告されたということで、添付文書に警告欄を新設しまして、「投与前及び投与後、頻回に血清カルシウムを測定すること」、「十分量のカルシウム及びビタミンDの経口補充の下、本剤を投与すること」、「重度の腎機能障害患者では慎重に投与すること」、「低カルシウム血症が認められた場合には速やかにカルシウムの補充等、適切な処置を行うこと」について、警告欄で注意喚起しておりまして、併せて9月11日付けで安全性速報、いわゆるブルーレターと言っているものですが、こちらをメーカーから出しまして、医薬関係者等に対し情報提供しています。

 このときに、添付文書に追記された「頻回に血清カルシウムを測定すること」という注意喚起に対して、國頭先生より「頻回とは具体的にどのぐらいの頻度であるのか、ある程度目安が示されないと現場では混乱する」という御指摘を頂いておりまして、PMDAにおいて使用成績調査の結果等も踏まえて検討する旨、前回の部会でお返事しているところです。

 その後の状況です。9月30日にランマークの長期使用に関する特定使用成績調査の中間集計結果報告が提出されています。3,000例を目標とした調査ですが、現在498例集まっていまして、そのうち56(11.2)で、低カルシウム血症が見られております。この中間報告においては、ブルーレター発出前に投与開始した症例が68.1%と多く、十分量のカルシウム及びビタミンDが補充された症例は17.9%と、まだ少ない状況です。ただ、十分量のカルシウムとビタミンDが補充されている症例では、9%に低カルシウム血症が発現しているところですが、いずれもgrade1又はgrade2と軽いものでして、grade3を超える症例4例については、カルシウム及びビタミンDの補充がされていない症例、若しくは十分量を補充されていない症例でした。なお、ブルーレター発出後、死亡例は認められておりません。

 これらの結果から、十分量のカルシウム及びビタミンDが補充されている症例では、本剤の用法・用量は4週間に1回投与ですので、4週間に1回の本剤投与時に血清カルシウム値を測定し、カルシウム値の低下が認められた場合には、測定頻度を上げる等の対応を取ることで、重篤な低カルシウム血症には至らずに、ある程度コントロールできるのではないかという印象は持っているところですが、添付文書等の注意喚起の内容を具体的に見直すための情報というのは、まだ不十分であると現時点では考えておりまして、今後3,000例まで症例が積み上がりますので、ブルーレター発出後、十分量のカルシウムとビタミンDの補充がされた症例の情報が集積するのを待って、添付文書及び情報提供資材の改定について検討したいと考えています。以上、現状報告でございます。

○五十嵐部会長 頻回はどういう意味かということだったのですが、途中までの経過で、もう少しデータが出てきたらより具体的な対応をしたいということです。國頭先生、よろしいですか。

○國頭委員 きちんと補充をしてくださいというのが1つですね。それは絶対ですね。している場合に、例えばどのくらいを一回目に取って、そこで大丈夫だったら後はもういいのか、それがまずかった場合には、例えば安全を見込むなら週1回以上取るとか、ここまで確認してくださいというような言い方でもいいのですが、ただ「頻回に」というのだと分からないので、術後のICUの患者だったら2時間に1回採血するのが頻回ですから、そういうところまで誤解を招くような言葉を使われると、こちらは困るということです。

○事務局 今ある情報から何かということですと、例えば現行の情報提供資材において、ランマークの販売開始後、平成241016日までに報告された低カルシウム血症の症例について、ランマークの初回投与から低カルシウム血症発現までの日数の情報を載せていまして、約半数が1週間以内に低カルシウム血症を発現しているということがありまして、ある程度、参考の情報にはなるのではないかと。

○國頭委員 それは1つですね。あと、1コース目が大丈夫だった人は、2コース目以降は、大概大丈夫なのかどうかとか。そういうことをまとめていただきたいと思います。

○事務局 御指摘を踏まえまして、使用成績調査の結果等も踏まえて、また検討していきたいと思います。

○五十嵐部会長 さらにデータの集積を待って、もう少し詳しい具体的な対応をしてくださるということですので、それでよろしいですか。

○國頭委員 はい。

○五十嵐部会長 ありがとうございます。ほかに事務局からございますか。

○事務局 特にございません。

○五十嵐部会長 これで本日の部会を閉会します。長い時間ありがとうございました。


(了)

備考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬食品局 安全対策課 課長補佐 清原(内線2752)

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